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特表2024-538035オルガニルオキシ基含有オルガノポリシロキサンをベースとする架橋性塊
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】オルガニルオキシ基含有オルガノポリシロキサンをベースとする架橋性塊
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20241010BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20241010BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20241010BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/06
C08K5/5419
C08K5/544
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521278
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2021079721
(87)【国際公開番号】W WO2023072376
(87)【国際公開日】2023-05-04
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,ボルフガング
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP032
4J002CP051
4J002CP141
4J002DE238
4J002DJ008
4J002EW129
4J002EX016
4J002EX036
4J002EX077
4J002EZ039
4J002EZ049
4J002FD018
4J002FD022
4J002FD039
4J002FD159
4J002FD180
4J002GJ02
(57)【要約】
改善された架橋挙動を特徴とし、固有の長期殺真菌性表面効果を達成する、オルガニルオキシ基を含有するオルガノポリシロキサンをベースとする架橋性組成物であって、
(A)オルガニルオキシ基を含有し、式R (ORSiO(4-a-b-c)/2(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサンと、
(B)式(RO)SiR (4-d)(II)の有機ケイ素化合物、及び/又はその部分加水分解物、並びに
(C)塩基性窒素を含有し、式(RO)SiR (4-e)(III)の有機ケイ素化合物、及び/又はその部分加水分解物
を含み、式中、基及び添え字は、請求項1に示される定義を有し、成分(B)と成分(C)との重量比が1:1~1:5の範囲である架橋性組成物、その製造方法及びその使用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オルガニルオキシ基を含有し、以下の式の単位から構成されるオルガノポリシロキサンと、
(ORSiO(4-a-b-c)/2 (I)、
[式中、
Rは同一であっても異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基又は水素原子を表し、
aは0、1又は2であり、
bは0又は1であり、
cは0、1又は2であり、
ただし、式(I)において、合計a+b+c≦3であり、cは少なくとも1つの単位において0以外である。]
(B)以下の式の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物と、
(RO)SiR (4-d) (II)、
[式中、
は同一であっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の置換されていてもよい炭化水素基を表し、
dは2、3又は4である。]
(C)塩基性窒素を含有し、以下の式の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物と、
(RO)SiR (4-e) (III)、
[式中、
は同一であっても異なっていてもよく、塩基性窒素を含む一価のSiC結合した基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の置換されていてもよい炭化水素基を表し、
eは2又は3である。]
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)の重量比は1:1~1:5の範囲である、架橋性組成物。
【請求項2】
オルガノポリシロキサン(A)が、以下の式の実質的に直鎖状のオルガニルオキシ末端オルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の架橋性組成物。
(OR3-f-h Si-(SiR-O)-SiR (OR3-f-h (IV)、
[式中、
R、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、上記定義のうちの1つを有することができ、
gは30~5000であり、
fは0、1又は2であり、
hは0、1、2又は3であり、
ただし、合計f+h≦3であり、式(IV)の化合物は、少なくとも1つの基R及び少なくとも1つの基ORを有する。]
【請求項3】
オルガノポリシロキサン(A)が、
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)又は
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
である、請求項1又は2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物(B)が、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン若しくは1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン又はそれらの部分加水分解物である、請求項1~3の1つ以上に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
前記有機ケイ素化合物(C)が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又はN-フェニル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又は3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン若しくは3-アミノプロピルメチルジエトキシシランのさらなるN-アルキル若しくはN,N-ジアルキル誘導体、又はそれらの部分加水分解物であり、ここで、記載されたN-アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基又は様々な分岐若しくは非分岐ペンチル基若しくはヘキシル基である、請求項1~4の1つ以上に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
成分(B)と成分(C)の重量比が、1:1.5~1:3の範囲である、請求項1~5の1つ以上に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
成分(B)と成分(C)の重量比が、1:1.6~1:2.6の範囲である、請求項1~6の1つ以上に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
(A)式(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有する式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択で(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
任意選択で(F)触媒、
任意選択で(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、
ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1~1:5の範囲である、請求項1~7の1つ以上に記載の架橋性組成物。
【請求項9】
全ての構成成分が任意の順序で互いに混合される、請求項1~8の1つ以上に記載の架橋性組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~8の1つ以上に記載の組成物を架橋結合することによって製造される成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された架橋挙動を特徴とし、固有の長期殺真菌性表面効果を達成する、オルガニルオキシ基を含有するオルガノポリシロキサンをベースとする架橋性組成物、それを製造方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水を排除すると貯蔵可能であるが、水を加えると室温でエラストマーに加硫される一成分(RTV-1)シーラントは、長年にわたって知られている。これらの製品は、例えば建設産業において、継手又はファサード継手を接続するためのシーラントとして大量に使用され、又は弾性コーティングとして適用することができる。これらの混合物は、例えばOH基などの反応性置換基又はアルコキシ基などの加水分解性基を有するシリル基で末端化されたポリマーをベースとする。さらに、これらのシーラント化合物は、充填剤、可塑剤、架橋剤、触媒、及び添加剤を含んでもよい。これに関して、例えば、EP-A327847号、EP-A1865029号、EP-A1479720号及びEP-A1042400号及びEP-A3565857号を参照することができる。アルコキシ-RTV-1組成物は、他の中性系と比較して、それらの中性で無臭の架橋及び異なる基材への非常に良好な接着のため好ましい。体積による架橋及び硬化の過程で、架橋剤及び開裂生成物が接合部の界面に部分的に移動することがあり、それらはしばしば、平滑化に使用される液体と共に、目に見える除去不可能な構造を生じ得る。これらの系はまた、カビのまん延及び成長を防ぐことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第327847号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1865029号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1479720号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1042400号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第3565857号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、目的は、先行技術の欠点を回避する、オルガニルオキシ基を含有するオルガノポリシロキサンをベースとする架橋性組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主題は、
(A)オルガニルオキシ基を含有し、以下の式の単位から構成されるオルガノポリシロキサンと、
(ORSiO(4-a-b-c)/2 (I)、
[式中、
Rは同一であっても異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基又は水素原子を表し、
aは0、1又は2であり、
bは0又は1であり、
cは0、1又は2であり、
ただし、式(I)において、合計a+b+c≦3であり、cは少なくとも1つの単位において0以外である。]
(B)以下の式の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物と、
(RO)SiR (4-d) (II)、
[式中、
は同一であっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の置換されていてもよい炭化水素基を表し、
dは2、3又は4、好ましくは3である。]
(C)塩基性窒素を含有し、以下の式の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物と、
(RO)SiR (4-e) (III)、
[式中、
は同一であっても異なっていてもよく、塩基性窒素を含む一価のSiC結合した基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の置換されていてもよい炭化水素基を表し、
eは2又は3、好ましくは3である。]
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)の重量比は1:1~1:5の範囲である、架橋性組成物である。
【0006】
本発明の関連において、「オルガノポリシロキサン」という用語は、ポリマーシロキサン、オリゴマーシロキサン、及びダイマーシロキサンを包含することが意図される。
【0007】
架橋性組成物は、縮合反応により架橋可能な組成物であることが好ましい。
【0008】
本発明の関連において、「縮合反応」という名称は、任意の先行する加水分解工程を包含することも意図される。
【0009】
基Rの例は、アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-n-ブチル、2-n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル基、ヘキシル基、例えばn-ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn-ヘプチル基、オクチル基、例えばn-オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4-トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn-ノニル基、デシル基、例えばn-デシル基、ドデシル基、例えばn-ドデシル基、オクタデシル基、例えばn-オクタデシル基;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリル基;アルカリル基、例えばo-、m-及びp-トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;並びにアラルキル基、例えばベンジル基、α-及びβ-フェニルエチル基である。
【0010】
置換された基Rの例は、メトキシエチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル基又はポリオキシアルキル基、例えばポリエチレングリコール基又はポリプロピレングリコール基である。
【0011】
基Rは、好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まず、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基によって置換されていてもよい、1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を含み、より好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない、1~12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を含む、より詳細にはメチル基を含む。
【0012】
基Rの例は、アルケニル基、例えば、直鎖又は分岐1-アルケニル基、例えば、ビニル基及び1-プロペニル基及び2-プロペニル基である。
【0013】
基Rは、好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を有し、ハロゲン原子、アミノ基、エーテル基、エステル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基又は(ポリ)グリコール基によって置換されていてもよい1~18個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を含み、より好ましくは、1~12個の炭素原子を有し、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価の炭化水素基を含み、より詳細にはビニル基を含む。
【0014】
基Rの例は、R及びRについて述べた一価の基である。
【0015】
基Rは、好ましくは、酸素原子によって割り込まれ得る1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよい炭化水素基を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基を含み、より具体的にはメチル又はエチル基を含み、非常に好ましくはメチル基を含む。
【0016】
成分(A)の例は、
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiMe
MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)及び
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)であり、
式中、Meはメチル基を表し、Viはビニル基を表す。
【0017】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、好ましくは実質的に直鎖状のオルガニルオキシ末端オルガノポリシロキサンであり、より好ましくは以下の式のものである。
(OR3-f-h Si-(SiR-O)-SiR (OR3-f-h (IV)、
[式中、
R、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、上記定義のうちの1つを有することができ、
gは30~5000であり、
fは0、1又は2、好ましくは1であり、
hは0、1、2又は3、好ましくは0又は3であり、
ただし、合計f+h≦3であり、式(IV)の化合物は、少なくとも1つの基R及び少なくとも1つの基ORを有する。]
【0018】
式(IV)では特定されていないが、本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、それらの調製の結果として、少量、好ましくは全てのSi単位の最大500ppmまでの分枝を有することができ、より具体的には全く有しない。
【0019】
オルガノポリシロキサン(A)の好ましい例は、
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)又は
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)であり、
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)又は
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)が特に好ましく、
より具体的には、(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)であり、Meはメチル基を表し、Viはビニル基を表す。
【0020】
本発明に従って使用されるオルガノポリシロキサン(A)は、いずれの場合も25℃で好ましくは10~10mPa・s、より好ましくは5000~500000mPa・sの粘度を有する。
【0021】
オルガノポリシロキサン(A)は、商業的に慣用の生成物であり、及び/又はブレンドの前にケイ素化学において常套の方法によって調製及び単離することができる。
【0022】
基Rの例は、R及びRについて述べた一価の基である。
【0023】
基Rは、好ましくは、エーテル基、エステル基、(ポリ)グリコール基又はトリオルガニルオキシシリル基によって置換されていてもよい1~12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基を含み、より好ましくは、1~12個の炭素原子を有するアルキル基又は1~12個の炭素原子を有するアルケニル基を含み、より具体的にはメチル基又はビニル基を含み、特に好ましくはビニル基を含む。
【0024】
基Rの例は、水素原子、及びR及びRについて述べた一価の基である。
【0025】
基Rは、好ましくは酸素原子によって割り込まれてもよい1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよい炭化水素基を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基、より具体的にはメチル基又はエチル基を含む。
【0026】
本発明の組成物に使用される有機ケイ素化合物(B)は、好ましくは少なくとも1つのエトキシ基を有するシラン又はその部分加水分解物、より好ましくはテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン若しくは1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン又はその部分加水分解物、より具体的にはテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン若しくはビニルトリエトキシシラン及び/又はその部分加水分解物、特に好ましくはビニルトリエトキシシラン又はその部分加水分解物である。
【0027】
部分加水分解物(B)は、部分ホモ加水分解物、すなわち、式(II)の1種の有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってもよく、また、部分共加水分解物、すなわち、少なくとも2種の異なる種類の式(II)の有機ケイ素化合物の部分加水分解物であってもよい。
【0028】
本発明の組成物に使用される化合物(B)が式(II)の有機ケイ素化合物の部分加水分解物である場合、10個までのケイ素原子を有するものが好ましい。
【0029】
本発明の組成物において使用される架橋剤(B)は、商業的に慣用の生成物であり、及び/又はケイ素化学において既知の方法によって調製することができる。
【0030】
本発明の組成物は、成分(B)を、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは0.5~15.0重量部、より好ましくは0.5~10.0重量部、より具体的には0.6~7.0重量部の量で含む。
【0031】
本発明の1つの好ましい実施形態において、成分(B)は、少なくとも1つの基Rがエチル基である式(II)の化合物を含む。
【0032】
成分(B)は、好ましくは、少なくとも部分的に、少なくとも1つの基Rが1~12個の炭素原子を有するアルケニル基である式(II)の化合物を含む。
【0033】
本発明において使用される成分(B)は、より好ましくは、30~100重量パーセント、特に60~100重量パーセントの程度まで、少なくとも1つの基Rがビニル基である式(II)の化合物からなる。
【0034】
基Rの例は、式HNCH-、HN(CH-、HN(CH-、HN(CHNH(CH-、HN(CHNH(CH-、HN(CHNH(CHNH(CH-、HCNH(CH-、CNH(CH-、HCNH(CH-、CNH(CH-、HN(CH-、HN(CH-、H(NHCHCH-、CNH(CHNH(CH-、シクロ-C11NH(CH-、シクロ-C11NH(CH-、(CHN(CH-、(CHN(CH-、(CN(CH-及び(CN(CH-の基である。
【0035】
基Rは、好ましくは、HN(CH-基、HN(CHNH(CH-基、HCNH(CH-基、CNH(CH-基又はシクロ-C11NH(CH-基、より具体的にはHN(CHNH(CH-基を含む。
【0036】
基Rの例は、水素原子、及び基Rについて述べた例でもある。
【0037】
基Rは、好ましくは、酸素原子によって割り込まれてもよい1~12個の炭素原子を有する一価の置換されていてもよい炭化水素基を含み、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基を含み、より具体的にはメチル基又はエチル基を含む。
【0038】
有機ケイ素化合物(C)は、好ましくは3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又はN-フェニル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又はさらに3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン若しくは3-アミノプロピルメチルジエトキシシランのN-アルキル若しくはN,N-ジアルキル誘導体又はそれらの部分加水分解物であり、記載されたN-アルキル基は、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基又は種々の分岐若しくは非分岐ペンチル基若しくはヘキシル基である。
【0039】
化合物(C)は、より好ましくは3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン又はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、より具体的にはN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン又はN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0040】
本発明の組成物において使用される化合物(C)は、商業的に慣用の生成物であり、及び/又はケイ素化学において既知の方法によって調製することができる。
【0041】
本発明の組成物は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサンに基づいて、好ましくは0.5~20.0重量部、より好ましくは1.0~16.0重量部、より具体的には1.4~14.0重量部の量で成分(C)を含む。
【0042】
成分(B)と成分(C)との重量比は、好ましくは1:1.5~1:3の範囲、より好ましくは1:1.6~1:2.6の範囲である。
【0043】
成分(A)、(B)及び(C)に加えて、本発明の組成物は今や、縮合反応によって架橋され得る組成物において今日まで使用されてきた全てのさらなる物質を含み得、このようなさらなる物質の例としては、(D)可塑剤、(E)充填剤、(F)触媒、(G)安定剤、及び(H)添加剤が挙げられる。
【0044】
任意選択で使用される可塑剤(D)の例は、室温で1003hPaの圧力下で液体であり、トリメチルシロキシ基で終端され、特に25℃で5~5000mPa・sの間の範囲の粘度を有するジメチルポリシロキサン、室温で1013hPaの圧力下で液体であり、実質的にT、D及びM単位と称されるSiO3/2単位、SiO2/2単位及び
【0045】
【化1】
単位からなるオルガノポリシロキサン、及び高沸点炭化水素、例えば、実質的にナフテン単位及びパラフィン単位からなるパラフィン油又は鉱油などである。
【0046】
任意選択で使用される可塑剤(D)は、好ましくは、トリメチルシリル末端基を有する直鎖ポリジメチルシロキサンを含む。
【0047】
本発明の組成物が可塑剤(D)を含む場合、含まれる量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは10~300重量部、より好ましくは10~200重量部、より具体的には20~100重量部である。好ましくは、本発明の組成物は成分(D)を含む。
【0048】
充填剤(E)の例は、非強化充填剤であり、これらは、最大50m/gのBET比表面積を有する充填剤であり、例えば、コーティングされていない炭酸カルシウム、コーティングされた炭酸カルシウム、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、金属酸化物粉末、例えば、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、鉄酸化物又は亜鉛酸化物及び/又はそれらの混合酸化物、硫酸バリウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、又はガラス粉末及びポリアクリロニトリル粉末などのポリマー粉末である。50m/g超のBET比表面積を有する充填剤である強化充填剤の例は、焼成シリカ、沈降シリカ、カーボンブラック、例えばファーネスブラック及びアセチレンブラック、並びに高いBET比表面積の混合ケイ素-アルミニウム酸化物である。さらに、ポリマー繊維などの繊維状充填剤を使用することも可能である。記載された充填剤は、例えば、オルガノシラン及び/若しくはオルガノシロキサン、ステアリン酸誘導体による処理によって、又はヒドロキシル基のアルコキシ基へのエーテル化によって疎水化されてもよい。
【0049】
充填剤(E)が使用される場合、それらは、好ましくは未処理の炭酸カルシウム、親水性の焼成シリカ、又は疎水性の焼成シリカである。
【0050】
本発明の組成物が充填剤(E)を含む場合、含まれる量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、好ましくは10~500重量部、より好ましくは10~200重量部、非常に好ましくは50~200重量部である。
【0051】
触媒(F)として、縮合反応によって架橋され得る組成物において今日まで使用されてきた全ての硬化促進剤を使用することが可能である。任意に使用される触媒(F)の例は、有機スズ化合物、例えばジ-n-ブチルスズジラウレート及びジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズ酸化物、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズ酸化物、及びこれらの化合物とアルコキシシラン及び有機官能性アルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン及びアミノプロピルトリエトキシシランとの反応生成物、好ましくは、ジ-n-ブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズ酸化物及びジオクチルスズ酸化物とテトラエチルケイ酸塩加水分解物又はアミノプロピルシランとの混合加水分解物との反応生成物である。
【0052】
本発明の組成物が触媒(F)を含む場合、これは好ましいことであるが、含まれる量は、いずれの場合も100重量部のオルガノポリシロキサン(A)に基づいて、0.01~3重量部、より好ましくは0.05~2重量部である。
【0053】
安定剤(G)の好ましい例は、リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸アルキルエステル、及びリン酸アルキルエステルである。
【0054】
本発明の組成物が安定剤(G)を含む場合、これは好ましいことであるが、含まれる量は、いずれの場合もオルガノポリシロキサン(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.01~100重量部、より好ましくは0.05~30重量部、より具体的には0.05~10重量部である。
【0055】
添加剤(H)の例は、顔料、染料、臭気剤、酸化防止剤、電気特性に影響を及ぼすための薬剤、例えば導電性カーボンブラック、難燃剤、光安定剤、殺菌剤、熱安定剤、スカベンジャー、例えばSi-N含有シラザン又はシリルアミド、共触媒、チキソトロピー剤、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はそれらのコポリマー、有機溶媒、例えばアルキル芳香族、パラフィン油、また、成分(A)とは異なる任意の所望のシロキサンである。
【0056】
本発明の組成物が添加剤(H)を含む場合、含まれる量は、いずれの場合もオルガノポリシロキサン(A)100重量部に基づいて、好ましくは0.01~100重量部、より好ましくは0.05~30重量部、より具体的には0.05~10重量部である。
【0057】
本発明の組成物は、好ましくは、
(A)式(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有する式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、
任意選択で(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
任意選択で(F)触媒、
任意選択で(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1~1:5の範囲である組成物である。
【0058】
本発明の組成物は、より好ましくは、
(A)Rがメチル基であり、Rがビニル基である式(IV)のオルガノポリシロキサン、
(B)Rがエチル基である式(II)の少なくとも1つの化合物を含む有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有し、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される式(III)の有機ケイ素化合物、及びその部分加水分解物、
(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
任意選択で(F)触媒、
(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1~1:5の範囲である組成物である。
【0059】
本発明の組成物は、より詳細には、
(A)化合物(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)及び
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)から選択されるオルガノポリシロキサン、
(B)メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンから選択される有機ケイ素化合物及びその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有し、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びその部分加水分解物、
(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
(F)触媒、
(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1.5~1:3の範囲である組成物である。
【0060】
さらにより具体的に好ましい実施形態において、本発明の組成物は、
(A)化合物
MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)及び
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiMe(OMe)から選択されるオルガノポリシロキサン、
(B)化合物メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びビニルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物及びその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有し、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びその部分加水分解物、
(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
(F)触媒、
(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1.5~1:3の範囲である組成物である。
【0061】
別のより特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
(A)(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(B)化合物メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びビニルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有し、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランから選択される有機ケイ素化合物、及びその部分加水分解物、
(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
(F)触媒、
(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1.5~1:3の範囲である組成物である。
【0062】
本発明の組成物は、好ましくは、成分(A)~(H)以外のさらなる構成成分を含まない。
【0063】
本発明の組成物の個々の構成成分は、いずれの場合も、1種類のこのような構成成分又は少なくとも2つの異なる種類のこのような構成成分の混合物を含んでもよい。
【0064】
本発明の組成物は、液体又は粘性混合物を含み、好ましくは粘性からペースト状の組成物である。
【0065】
本発明の組成物は、全ての構成成分を任意の順序で互いに混合することによって調製することができる。
【0066】
本発明のさらなる主題は、任意の順序で個々の成分を混合することによって本発明の組成物を製造方法であり、好ましくは、まず成分(B)及び(C)からプレミックス(BC)を調製し、次いで成分(A)及び任意選択で(D)~(H)と混合する。
【0067】
この混合は、室温で周囲雰囲気の圧力下、換言すれば約900~1100hPaにおいて行うことができる。しかし、所望であれば、この混合は、より高い温度で、例えば35~100℃の範囲の温度で行われてもよい。また、揮発性化合物又は空気を除去するために、減圧下で、例えば、30~900hPaの絶対圧力で、時々又は連続的に混合を行うことが可能である。
【0068】
本発明による混合は、好ましくは大気水分の非存在下で行われる。
【0069】
プレミックス(BC)は、好ましくは、大気水分の非存在下で成分(B)及び(C)を混合し、大気水分の非存在下で5~30℃において少なくとも7日間この混合物を保存することによって調製される。
【0070】
好ましくは、成分(A)、(BC)、(G)及び任意選択で可塑剤(D)は、好ましくはトリメチルシリル末端オルガノポリシロキサンと混合される。これは、大気圧下又は減圧下で行われ得る。その後、充填剤(E)と混合し、比較的高い回転速度で比較的強い剪断でミキサー中で分散を実施することが可能である。これは一般に、揮発性化合物、空気、及び充填剤の水分と成分(B)及び(C)との反応生成物を除去するために減圧下で行われる。さらなる構成成分、例えば安定剤(G)又は添加剤(H)を充填剤(E)の前又はそれと共に添加してもよい。触媒(F)を使用する場合、触媒を最後に均質に撹拌する。これは一般に、ペースト状組成物を無泡にするために減圧下で行われる。
【0071】
空気の通例の含水量は、本発明の組成物を架橋するのに充分である。本発明の組成物の架橋は、好ましくは室温で達成される。所望であれば、室温より高い又は低い温度で、例えば-5℃~15℃又は30℃~50℃で、及び/又は空気の通常の含水量を超える水の濃度によって実施することもできる。水又は含水物質の直接混合も可能である。
【0072】
架橋は、好ましくは100~1100hPaの圧力で、より具体的には周囲雰囲気の圧力下で、換言すれば約900~1100hPaで行われる。
【0073】
本発明のさらなる主題は、本発明の組成物を架橋することによって製造される成形品である。
【0074】
本発明の組成物は、水を排除すると貯蔵可能であり、水が入ると室温で架橋してエラストマーになる組成物を使用することが可能である任意の目的に使用することができる。
【0075】
本発明の組成物は、例えば、建築物及び陸上車両、水中車両及び航空機において、例えば、垂直継手、及び例えば、10~40mmの明確な幅の同様の間隙を含む継手のためのシーリングコンパウンドとして、又は例えば、窓構造において若しくはガラスキャビネットの製造において、接着剤若しくはセメントコンパウンドとして、また、例えば太陽光、雨水、淡水又は塩水に絶えず暴露される表面のためのもの、又は滑り止め被覆若しくはゴム弾性成形物及び電気又は電子機器の絶縁のためのものを含む弾性保護コーティングを製造するのに非常に適している。さらに、本発明の組成物は、ブラシ又はローラーによって塗布されるか、又は噴霧によって塗布され得る表面上にコーティングを生成するのにも適している。
【0076】
本発明の組成物は、製造が容易であり、非常に高い貯蔵安定性が際立つという利点を有する。
【0077】
さらに、本発明の組成物は、適用中に非常に良好な取り扱い品質を有し、多数の適用にわたって優れた加工特性を示すという利点を有する。
【0078】
特に、本発明の組成物は、平滑剤又は水(例えば、白スジなど)で平滑化した後、視覚的破壊効果をほとんど示さず、又は全く示さず、藻類及びカビの発生に対抗する、低充填剤含有量の平滑なアミン含有表面を形成することで注目に値する。
【0079】
本発明の組成物は、異なる気候条件下でさえ効果的に硬化するという利点を有する。したがって、架橋は、周囲温度及び大気湿度とはより無関係である。同時に、充分な迅速性を有する本発明の組成物は、内部強度(凝集)を発現し、これは、部分的に加硫された組成物が、例えば、収縮の結果として、又は基材における動きの結果としての破裂又は膨れ(それらの封止機能を失わせるであろう)を防ぐ。
【実施例
【0080】
別段の記載がない限り、以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力で、換言すれば約1000hPaで、室温で、換言すれば約23℃で、及び/又は追加の加熱又は冷却なしに室温及び約50%の相対大気湿度で成分を組み合わせたときに生じる温度で実施される。さらに、部及びパーセンテージに関する全ての数値は、別段の記載がない限り、重量による。
【0081】
厚さ1cmの押し出されたシーラントビーズ上で、硬度HBの新たに鋭利化された鉛筆を使用して、規則的な間隔で浅い角度で表面に接触することによって、スキン形成時間を決定する。この場合、鉛筆をゆっくり持ち上げたときに鉛筆の先端から材料が垂れ下がらず、細かいスキンが持ち上がると、その時間を記録する。1日後、表面の粘着性及びシーラントビーズの引裂強度に基づいて加硫の品質をさらに調べる(指の爪試験)。
【0082】
体積による硬化は、いわゆくさび法を用いて測定する。この方法では、材料を、0~10mmの深さまで粉砕されたテフロンブロックに均一に導入し、ビーズを浅い端部から持ち上げることによって毎日試験する。ビーズが依然としてベースに粘着した状態で垂れ下がったままである深さを記録する。
【0083】
硬化した組成物の機械的特性を調査するために、ペーストをナイフ又はドクターブレードによって接着性の低い基材に薄層で塗布し、23℃及び相対大気湿度50%で14日間にわたって硬化させる。この目的のために好ましく使用されるのは、2mmの深さに切り出され、組成物で完全に充填され、硬化前にドクターブレードによって表面が均一に滑らかにされるテフロン(R)型である。
【0084】
機械的値を、ISO 37に準拠してS2試料に対して決定する。
【0085】
ショアA硬度を、ISO 868に準拠して決定する。
【0086】
微生物の作用様式は、ISO 846方法Bに準拠して評価し、Gは成長の程度に対応し、Iは阻害ゾーンに対応し、Dは変色に対応する。
【0087】
[実施例1]
2:1のモル比のジメトキシビニルシリル末端基及びジメトキシメチルシリル末端基を有し、90000mPa・sの粘度を有する476gのポリジメチルシロキサン、100mPa・sの粘度を有する84gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、及び1000mPa・sの粘度を有する129.6gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンからなる560gのポリマー混合物(A1)と、25~30%のトリメトキシメチルシラン及び70~75%のオクチルホスホン酸から構成される2.4gのオクチルホスホン酸混合物と、10.2gのビニルトリエトキシシラン、3.2gのN-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン及び18.6gのN-アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシランからなる32.0gのプレミックス(BC1)とを、300rpm及び200~300hPaの圧力で3分間、実験用遊星型ミキサー中で均質化した。次いで、150m/gの比表面積を有する親水性焼成シリカ72.0gを900~1100hPaの圧力でゆっくり混合し、800rpm、200~300hPaの圧力で5分間分散させた。最後に、得られたペーストを、17%のジオクチルスズ酸化物及びアミノプロピルトリエトキシシランとエトキシ末端メチルシルセスキオキサンとの反応生成物83%からなる4.0gのスズ触媒で、300rpm及び200~300hPaの圧力で3分間活性化し、撹拌して気泡を除去した。
【0088】
このように調製した組成物を、防湿容器内で保つために分注し、さらなる試験の前に、23℃で24時間貯蔵した。
【0089】
その後、得られた組成物を上記のように調査し、又は23℃及び50%相対湿度で14日間架橋させ、機械的特性、ショア硬度及び微生物の作用様式を決定した。結果を表1に示す。
【0090】
[例2(非発明、比較例)]
プレミックス(BC1)32.0gの代わりにビニルトリエトキシシランを16.0g、N-アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランを12.0gを用い、粘度1000mPa・sのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンを129.6gの代わりに133.6g用いるという変更を伴って、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0091】
結果を表1に示す。
【0092】
[実施例3]
560gの代わりに、たった556gのポリマー混合物(A1)を使用し、また4.0gのPO-EOブロックポリマー添加剤、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの重合生成物(Clariant Produkte(Deutschland)GmbHから「GENAPOL PF 40」の名称で市販されている)を使用するという変更を伴って、実施例1に記載の手順を繰り返す。
【0093】
結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
[実施例4]
ジメトキシビニルシリル末端基を有し、100000mPa・sの粘度を有する300gのポリジメチルシロキサン、1000mPa・sの粘度を有する106gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、25.0gの脱芳香族化脂肪族鉱油(TOTAL DEUTSCHLAND GMBHから「Hydroseal G 400 H」の名称で市販されている)、25~30%のトリメトキシメチルシラン及び70~75%のオクチルホスホン酸から構成される1.5gのオクチルホスホン酸安定剤、実施例1に記載のプレミックス(BC1)20.0gを、実験用遊星型ミキサー中で300rpm及び200~300hPaの圧力で3分間均質化した。次いで、150m/gの比表面積を有する親水性焼成シリカ45.0gを900~1100hPaの圧力でゆっくり混合し、800rpm、200~300hPaの圧力で5分間分散させた。最後に、得られたペーストを、300rpm及び200~300hPaの圧力で3分間、約17%のジオクチルスズ酸化物を含有するオクチルオルガノスズ混合物である2.5gのスズ触媒で活性化し、撹拌して気泡を除去した。
【0096】
結果を表2に示す。
【0097】
[実施例5]
106gの代わりに、1000mPa・sの粘度を有するトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン101gのみを使用し、2-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンを含有する殺真菌剤ペースト5.0g(Lonza Group Ltd.から「DENSIL(商標)DN」の名称で市販されている)も使用するという変更を伴って、実施例4に記載の手順を繰り返す。
【0098】
結果を表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
[実施例6]
ジメトキシビニルシリル末端基を有し、100000mPa・sの粘度を有する300gのポリジメチルシロキサン、1000mPa・sの粘度を有する133.5gのトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン、25~30%トリメトキシメチルシラン及び70~75%オクチルホスホン酸から構成される1.5gのオクチルホスホン酸安定剤、及び実施例1に記載のプレミックス(BC1)17.5gを、実験用遊星型ミキサー中で、300rpm及び200~300hPaの圧力で3分間均質化した。次いで、150m/gの比表面積を有する親水性の焼成(pyogenic)シリカ45.0gを900~1100hPaの圧力でゆっくり混合し、800rpm、200~300hPaの圧力で5分間分散させた。最後に、得られたペーストを、300rpm及び200~300hPaの圧力で3分間、約17%のジオクチルスズ酸化物を含有するオクチルオルガノスズ混合物である2.5gのスズ触媒で活性化し、撹拌して気泡を除去した。
【0101】
結果を表3に示す。
【0102】
[実施例7]
300.0gの代わりに、ジメトキシビニルシリル末端基を有し、100000mPa・sの粘度を有するポリジメチルシロキサン295.0gのみを使用し、2-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オンを含有する殺真菌剤ペースト5.0g(Lonza Group Ltd.から「DENSIL(商標) DN」の名称で市販されている)も使用するという変更を伴って、実施例6に記載された手順を繰り返す。
【0103】
結果を表3に示す。
【0104】
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)以下の式の実質的に直鎖状のオルガニルオキシ末端オルガノポリシロキサンと、
(OR 3-f-h Si-(SiR -O) -SiR (OR 3-f-h (IV)、
[式中、
Rは同一であっても異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、一価の置換されていてもよい炭化水素基又は水素原子を表し、
gは30~5000であり、
fは0、1又は2であり、
hは0、1、2又は3であり、
ただし、合計f+h≦3であり、式(IV)の化合物は、少なくとも1つの基R 及び少なくとも1つの基OR を有する。
(B)以下の式の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物と、
(RO)SiR (4-d) (II)、
[式中、
は同一であっても異なっていてもよく、一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の置換されていてもよい炭化水素基を表し、
dは2、3又は4である。]
(C)塩基性窒素を含有し、以下の式の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物と、
(RO)SiR (4-e) (III)、
[式中、
は同一であっても異なっていてもよく、塩基性窒素を含む一価のSiC結合した基を表し、
は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は一価の置換されていてもよい炭化水素基を表し、
eは2又は3である。]
を含み、ただし、成分(B)と成分(C)の重量比は1:1~1:5の範囲である、架橋性組成物。
【請求項2】
オルガノポリシロキサン(A)が、
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)ViSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
(MeO)MeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)、
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiViMe(OMe)又は
(MeO)ViMeSiO[SiMeO]200-2000SiVi(OMe)
である、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
前記有機ケイ素化合物(B)が、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、1,2-ビス(トリメトキシシリル)エタン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン若しくは1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン又はそれらの部分加水分解物である、請求項1又は2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
前記有機ケイ素化合物(C)が、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン又はN-フェニル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又は3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン若しくは3-アミノプロピルメチルジエトキシシランのさらなるN-アルキル若しくはN,N-ジアルキル誘導体、又はそれらの部分加水分解物であり、ここで、記載されたN-アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基又は様々な分岐若しくは非分岐ペンチル基若しくはヘキシル基である、請求項1~いずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
成分(B)と成分(C)の重量比が、1:1.5~1:3の範囲である、請求項1~いずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
成分(B)と成分(C)の重量比が、1:1.6~1:2.6の範囲である、請求項1~いずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
(A)式(I)の単位から構成されるオルガノポリシロキサン、
(B)式(II)の有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解物、
(C)塩基性窒素を含有する式(III)の有機ケイ素化合物及び/又はそれらの部分加水分解物、
任意選択で(D)可塑剤、
任意選択で(E)充填剤、
任意選択で(F)触媒、
任意選択で(G)安定剤、並びに
任意選択で(H)添加剤、
を含み、
ただし、成分(B)と成分(C)との重量比は1:1~1:5の範囲である、請求項1~いずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
全ての構成成分が任意の順序で互いに混合される、請求項1~いずれか一項に記載の架橋性組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1~いずれか一項に記載の組成物を架橋結合することによって製造される成形体。
【国際調査報告】