(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】タイミング劣化が低減された電圧レベルシフト
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0185 20060101AFI20241010BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H03K19/0185 210
H03K19/0175 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521296
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2024-04-09
(86)【国際出願番号】 US2022046103
(87)【国際公開番号】W WO2023080991
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・ジアンボ・チェン
(72)【発明者】
【氏名】アリアスガル・プレスワラ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ-グアン・タン
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA33
5J056AA37
5J056BB02
5J056CC14
5J056CC21
5J056DD13
5J056DD28
5J056FF09
5J056KK01
(57)【要約】
本開示の一態様は、第1電圧領域(0.9V~1.8V)に従って変化する第1入力信号(V1hv)を受信するよう構成されている第1ゲートを含む第1電界効果トランジスタ(FET)(M1)と、第2電圧領域(0~0.9v)に従って変化する第2入力信号(V2lv/)を受信するよう構成されている第1入力、及び第2電圧領域(0~0.9v)に従って変化する第1出力信号(V1lv)を生成するよう構成されている第1出力を含む、第1インバータ(310)とを含み、第1出力信号が第1入力信号及び第2入力信号に基づき、第1FET(M1)及び第1インバータ(310:M2、M3)が第1電圧レール(VDDIX)と第2電圧レール(VSSX)との間に直列に結合されている、装置(300)に関する。別の態様(
図7)によれば装置は第3電圧領域(0.5V~1.1V)に従った信号を装置が処理することを可能にする追加的な回路(710)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信するように構成されている第1のゲートを含む、第1の電界効果トランジスタ(FET)と、
第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信するように構成されている第1の入力、及び、前記第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成するように構成されている第1の出力を含む、第1のインバータと、を備え、前記第1の出力信号が、前記第1の入力信号及び前記第2の入力信号に基づき、前記第1のFET及び前記第1のインバータが、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、
装置。
【請求項2】
前記第1の電圧レール及び前記第2の電圧レールが、それぞれ、前記第2の電圧領域に従った第1の供給電圧及び第2の供給電圧を受け取るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のFETが、nチャネル金属酸化膜半導体(NMOS)FETを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記NMOS FET及び前記第1のインバータが、前記第1の電圧レールと前記第2の電圧レールとの間に、その順序で直列に結合されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の入力信号が、前記第2の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、前記第1の供給電圧が、前記第1のハイ論理電圧と実質的に同じであり、前記第2の供給電圧が、前記第1のロー論理電圧と実質的に同じである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の入力信号が、前記第1の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、前記第2のロー論理電圧が、前記第1のハイ論理電圧と実質的に同じである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のFETが、pチャネル金属酸化膜半導体(PMOS)FETを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のインバータ及び前記PMOS FETが、前記第1の電圧レールと前記第2の電圧レールとの間に、その順序で直列に結合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の入力信号が、前記第2の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、前記第1の供給電圧が、前記第1のハイ論理電圧と実質的に同じであり、前記第2の供給電圧が、前記第1のロー論理電圧と実質的に同じである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の入力信号が、前記第1の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、前記第2のハイ論理電圧が、前記第1のロー論理電圧と実質的に同じである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の入力信号が、前記第2の入力信号に対して論理的に相補的である、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のインバータの前記第1の出力に結合されているラッチを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
第1の動作モードに従って、前記第1のFETの前記第1のゲートが、前記第1の入力信号を受信するように構成されており、前記第1のインバータが、前記第2の入力信号を受信して前記第1の出力信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の電圧レール及び前記第2の電圧レールが、それぞれ、第3の電圧領域に従った第1の供給電圧及び第2の供給電圧を受け取るように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の動作モードに従って前記第1の入力信号を受信し、第2の動作モードに従って第3の入力信号を受信するように構成されている第2のゲートを含む、第2のFETと、
前記第2のFETの前記第2のゲートに結合されている第2の入力、及び、前記第1のFETの前記第1のゲートに結合されている第2の出力を含む、第2のインバータと、
を更に備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のインバータが、前記第1の電圧領域及び前記第1の動作モードに従って、第3の供給電圧及び第4の供給電圧を受け取り、前記第2の動作モードに従って、前記第1の供給電圧及び前記第2の供給電圧を受け取るように構成されている、プログラマブルな第3の電圧レール及び第4の電圧レールに結合されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のFETが、nチャネル金属酸化膜半導体(NMOS)FETを含み、前記第2のFETが、pチャネル金属酸化膜半導体(PMOS)FETを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記第2のFETが、前記第1の電圧レールと前記第1のインバータとの間に結合されている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の動作モードに従って、前記第2のFETの前記第2のゲートが、前記第3の電圧領域に従って変化する第3の入力信号を受信するように構成されており、前記第1のインバータが、前記第3の電圧領域に従って変化する第4の入力信号を受信して、前記第3の電圧領域に従って変化する第2の出力信号を生成するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の動作モードに従って、前記第2のFETが無効にされ、前記第2のインバータ及び前記第1のFETが有効にされ、
前記第2の動作モードに従って、前記第2のFET、前記第2のインバータ、及び前記第1のFETが有効にされる、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
方法であって、
第1の入力において、第1の動作モードに従って、第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信することと、
第2の入力において、前記第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信することであって、前記第1の電圧領域が前記第2の電圧領域とは異なる、受信することと、
出力において、前記第1の動作モードに従って、前記第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成することであって、前記第1の出力信号が、前記第1の入力信号及び前記第2の入力信号に基づく、生成することと、を含む、
方法。
【請求項22】
前記第1の入力信号が、前記第2の入力信号に対して論理的に相補的である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の入力信号が、前記第1の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、前記第2の入力信号が、前記第2の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、前記第2のハイ論理電圧が、前記第1のロー論理電圧と実質的に同じである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の入力信号が、前記第1の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、前記第2の入力信号が、前記第2の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、前記第1のハイ論理電圧が前記第2のロー論理電圧と実質的に同じである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の入力において、第2の動作モードに従って、第3の電圧領域に従って変化する第3の入力信号を受信することと、
前記第2の入力において、前記第2の動作モードに従って、前記第3の電圧領域に従って変化する第4の入力信号を受信することと、
前記出力において、前記第2の動作モードに従って、前記第3の電圧領域に従って変化する第2の出力信号を生成することであって、前記第2の出力信号が、前記第3の入力信号及び前記第4の入力信号に基づく、生成することと、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
装置であって、
第1の電圧領域における第1の信号を受信するように構成されている入力、第2の電圧領域における第2の信号を生成するように構成されている第1の出力、及び、第3の電圧領域における第3の信号を生成するように構成されている第2の出力を含み、前記第2の信号及び前記第3の信号が前記第1の信号に基づく、電圧領域スプリッタと、
前記第2の信号と前記第3の信号の相補とに基づいて、前記第3の電圧領域における第4の信号を生成するように構成されている、第1のエッジ整合回路と、
前記第2の信号の相補と前記第3の信号とに基づいて、前記第3の電圧領域における第5の信号を生成するように構成されている、第2のエッジ整合回路と、を備える、
装置。
【請求項27】
前記第1のエッジ整合回路が、
前記第2の信号を受信するように構成されているゲートを含む、nチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(NMOS FET)と、
前記相補的な第3の信号を受信するように構成されている入力、及び前記第4の信号を生成するように構成されている出力を含む、インバータと、を含み、前記NMOS FET及び前記インバータが、前記第3の電圧領域に関連付けられている第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第2のエッジ整合回路が、
前記相補的な第2の信号を受信するように構成されている入力、及び、前記第5の信号を生成するように構成されている出力を含む、インバータと、
前記第3の信号を受信するように構成されているゲートを含む、pチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(PMOS FET)と、を含み、前記インバータ及び前記PMOS FETが、前記第2の電圧領域に関連付けられている第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
装置であって、
第1の電圧領域における第1の信号を受信するように構成されている入力、第2の電圧領域における第2の信号を生成するように構成されている第1の出力、及び、第3の電圧領域における第3の信号を生成するように構成されている第2の出力を含み、前記第2の信号及び前記第3の信号が、前記第1の信号に基づく、電圧レベルシフタと、
前記第2の信号と前記第3の信号の相補とに基づいて、前記第3の電圧領域における第4の信号を生成するように構成されている、第1のエッジ整合回路と、
前記第2の信号の相補と前記第3の信号とに基づいて、前記第3の電圧領域における第5の信号を生成するように構成されている、第2のエッジ整合回路と、を備える、
装置。
【請求項30】
前記第1のエッジ整合回路又は前記第2のエッジ整合回路のうちの少なくとも一方が、
前記第2の信号又は前記第3の信号を受信するように構成されているゲートを含む、電界効果トランジスタ(FET)と、
前記第3の信号若しくは前記第2の信号を受信するように構成されている入力、及び、前記第4の信号若しくは前記第5の信号を生成するように構成されている出力を含む、インバータと、を含み、前記FET及び前記インバータが、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、請求項29に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、以下に完全に記載されているかのように、かつ全ての適用可能な目的のために、参照により本明細書に明示的に組み込まれている、2021年11月8日に出願され、本出願の譲受人に譲渡された、係属中の米国非仮出願第17/521,651号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示の諸態様は、全般的に、電圧レベルシフタに関し、詳細には、タイミング劣化が実質的に伴わないか又は低減された、電圧レベルシフタに関する。
【背景技術】
【0003】
電圧レベルシフタは、典型的には、第1の電圧領域における入力信号を変換して、第2の電圧領域における出力信号を生成するために採用される。電圧領域は、信号のハイ論理状態及びロー論理状態の電圧レベルによって定義される。電圧レベルシフタは、第1の電圧領域における信号を処理するように構成されている回路から、入力信号を受信している場合がある。電圧レベルシフタは、第2の電圧領域における信号を処理するように構成されている回路に、出力信号を提供することができる。電圧レベルシフトは、第2の電圧領域が、第1の電圧領域の少なくとも1つの対応する論理電圧レベルよりも高い、少なくとも1つの論理電圧レベルを有する場合に、上向きとすることができる。電圧レベルシフトは、第2の電圧領域が、第1の電圧領域の少なくとも1つの対応する論理電圧レベルよりも低い、少なくとも1つの論理電圧レベルを有する場合に、下向きとすることができる。
【発明の概要】
【0004】
以下では、1つ又は複数の実装形態の簡略化された概要が、そのような実装形態の基本的理解をもたらすために提示される。この概要は、想到されている全ての実装形態の包括的な概説ではなく、全ての実装形態の主要な要素又は重要な要素を特定することも、いずれか又は全ての実装形態の範囲を定めることも意図するものではない。その唯一の目的は、後に提示される「発明を実施するための形態」に対する導入部として、1つ又は複数の実装形態のいくつかの構想を簡略化された形式で提示することである。
【0005】
本開示の一態様は、装置に関する。本装置は、第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信するように構成されている第1のゲートを含む、第1の電界効果トランジスタ(FET)と、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信するように構成されている第1の入力、及び、第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成するように構成されている第1の出力を含む、第1のインバータとを含み、第1の出力信号は、第1の入力信号及び第2の入力信号に基づき、第1のFET及び第1のインバータは、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている。
【0006】
本開示の別の態様は、方法に関する。本方法は、第1の入力において、第1の動作モードに従って、第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信することと第2の入力において、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信することであって、第1の電圧領域が第2の電圧領域とは異なる、受信することと、出力において、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成することであって、第1の出力信号が、第1の入力信号及び第2の入力信号に基づく、生成することとを含む。
【0007】
本開示の別の態様は、装置に関する。本装置は、第1の電圧領域における第1の信号を受信するように構成されている入力、第2の電圧領域における第2の信号を生成するように構成されている第1の出力、及び、第3の電圧領域における第3の信号を生成するように構成されている第2の出力を含み、第2の信号及び第3の信号が、第1の信号に基づく、電圧領域スプリッタと、第2の信号と第3の信号の相補とに基づいて、第3の電圧領域における第4の信号を生成するように構成されている、第1のエッジ整合回路と、第2の信号の相補と第3の信号とに基づいて、第3の電圧領域における第5の信号を生成するように構成されている、第2のエッジ整合回路とを含む。
【0008】
本開示の別の態様は、装置に関する。本装置は、第1の電圧領域における第1の信号を受信するように構成されている入力、第2の電圧領域における第2の信号を生成するように構成されている第1の出力、及び、第3の電圧領域における第3の信号を生成するように構成されている第2の出力を含み、第2の信号及び第3の信号が、第1の信号に基づく、電圧レベルシフタと、第2の信号と第3の信号の相補とに基づいて、第3の電圧領域における第4の信号を生成するように構成されている、第1のエッジ整合回路と、第2の信号の相補と第3の信号とに基づいて、第3の電圧領域における第5の信号を生成するように構成されている、第2のエッジ整合回路とを含む。
【0009】
上記の目的及び関連する目的の達成のために、1つ又は複数の実装形態は、以降で十分に説明され、特に特許請求の範囲において指摘される、特徴を含む。以下の説明及び添付図面は、1つ又は複数の実装形態のいくつかの例示的な態様を詳細に記載している。しかしながら、これらの態様は、様々な実装形態の原理を採用することが可能な様々な方式のうちの、ごく一部を示すものであり、本説明の実装形態は、全てのそのような態様、及びそれらの等価物を含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示の一態様による、例示的な信号処理システムのブロック図を示す。
【
図1B】本開示の別の態様による、
図1Aの信号処理システムの例示的な動作のタイミング図を示す。
【
図2】本開示の別の態様による、別の例示的な信号処理システムのブロック図を示す。
【
図3】本開示の別の態様による、例示的なエッジ整合回路の概略図を示す。
【
図4】本開示の別の態様による、別の例示的なエッジ整合回路の概略図を示す。
【
図5】本開示の別の態様による、
図3、
図4のエッジ整合回路の例示的な動作のタイミング図を示す。
【
図6】本開示の別の態様による、別の例示的な信号処理システムのブロック図を示す。
【
図7】本開示の別の態様による、別の例示的な信号処理システムのブロック図を示す。
【
図8】本開示の別の態様による、例示的なマルチモードエッジ整合回路の概略図を示す。
【
図9】本開示の別の態様による、出力信号を生成するために入力信号を電圧レベルシフトする、例示的な方法のフロー図を示す。
【
図10】本開示の別の態様による、例示的なワイヤレス通信デバイスのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面に関連して、以下に記載される「発明を実施するための形態」は、様々な構成の説明として意図されているものであり、本明細書で説明される構想を実践することが可能な、唯一の構成を表すことを意図するものではない。「発明を実施するための形態」は、様々な構想の完全な理解をもたらすことを目的とする、特定の詳細を含む。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細を伴わずとも、これらの構想を実践することができる点が明らかとなるであろう。場合によっては、そのような構想を不明瞭にすることを回避するために、周知の構造及び構成要素は、ブロック図の形式で示されている。
【0012】
電圧レベルシフトは、多くの用途において使用されている。電圧レベルシフトは、第1の電圧領域に従って変化する入力信号をシフトすることにより、第2の電圧領域に従って変化する出力信号を生成することを伴うものであり、第1の電圧領域は、第2の電圧領域とは異なる。電圧領域は、信号のハイ論理状態及びロー論理状態の電圧レベルによって定義される。電圧レベルシフトは、出力信号の第2の電圧領域が、入力信号の第1の電圧領域の少なくとも1つの対応する論理電圧よりも高い、少なくとも1つの論理電圧を有する場合に、上向きとすることができる。電圧レベルシフトはまた、出力信号の第2の電圧領域が、入力信号の第1の電圧領域の少なくとも1つの対応する論理電圧よりも低い、少なくとも1つの論理電圧を有する場合に、下向きとすることができる。
【0013】
上向きの電圧レベルシフトの一実施例として、入力信号の第1の電圧領域は、ゼロ(0)ボルト(V)のロー論理電圧と、0.9Vのハイ論理電圧との間で変化し得るものであり、出力信号の第2の電圧領域は、0Vのロー論理電圧と、1.8Vのハイ論理電圧との間で変化し得る。それゆえ、第2の電圧領域のハイ論理電圧1.8Vは、第1の電圧領域のハイ論理電圧0.9Vよりも高い。この実施例は、入力信号が、集積回路(IC)又はシステムオンチップ(SOC)に関連する高速デジタル回路によって処理される場合に当てはまり得るものであり、この場合、信号処理の高速性が、デジタル回路において比較的小さいトランジスタ又は電界効果トランジスタ(FETs)を使用するために有利となる。トランジスタの小さい性質のために、トランジスタは、トランジスタの両端間に印加することが可能な電圧に関して、信頼性に限界がある場合がある。この実施例に関して、第1の電圧領域の0.9Vのハイ論理電圧は、トランジスタの信頼性の限界の範囲内であり得るが、第2の電圧領域のハイ論理電圧は、トランジスタの信頼性の限界の範囲外となる可能性がある。出力信号の第2の電圧領域は、プリント回路基板(PCB)の伝送線を介したものなどの、IC又はSOCの外部への信号の伝送に関して、より適切な場合がある。
【0014】
従前の実施例を、下向きの電圧レベルシフトに従って続けると、この場合の入力信号の第2の電圧領域は、0Vのロー論理電圧と1.8Vのハイ論理電圧との間で変化し得るものであり、出力信号の第1の電圧領域は、0Vのロー論理電圧と0.9Vのハイ論理電圧との間で変化し得る。それゆえ、第2の電圧領域のハイ論理電圧0.9Vは、第1の電圧領域のハイ論理電圧1.8Vよりも低い。この実施例は、入力信号が、PCBの伝送線からIC又はSOCによって受信され、高速デジタル回路が、トランジスタの信頼性が損なわれないように、より低い電圧領域において出力信号を処理することができるように、下方電圧変換が実行される場合に当てはまり得る。上述の上向き及び下向きの電圧レベルシフトを実行する、電圧レベルシフタは、IC又はSOCの外部との間で信号を送受信するために、そのIC又はSOCの入出力(I/O)回路若しくはドライバによって採用することができる。電圧レベルシフトの更なる論考及び実施例が、本明細書で更に提供される。
【0015】
図1Aは、本開示の一態様による、例示的な信号処理システム100のブロック図を示す。信号処理システム100は、本明細書では「PX」電圧領域と称される場合がある第1の電圧領域における、入力信号VIN
PXを受信するように構成されている。PX電圧領域に従って、入力信号VIN
PXは、ロー論理電圧VSSX(例えば、0V)とハイ論理電圧VDDPX(例えば、1.8V)との間で変化し得る。本明細書で更に論じられるように、信号処理システム100は、入力信号VIN
PXに基づいて、処理するための異なる電圧領域における信号を生成するように構成されている。
【0016】
具体的には、信号処理システム100は、電圧領域スプリッタ110、バッファ115、125、130、及び135、並びに電圧レベルシフタ120及び140を含む。更には、信号処理システム100は、低電圧(LV)領域信号処理回路150、及び高電圧(HV)領域処理回路160を含む。
【0017】
電圧領域スプリッタ110は、入力信号VINPXを受信して、その入力信号VINPXに基づいて第1の信号V1HV及び第2の信号V2LVを生成するように構成されている。前述の実施例によれば、入力信号VINPXは、信号処理システム100が、PCBの伝送線を介してIC又はSOCの外部から信号を受信している場合があるため、より高いPX電圧領域におけるものであり得る。電圧領域スプリッタ110は、IC又はSOCのI/O回路若しくはドライバの一部とすることができ、PX電圧領域(例えば、0V~1.8V)における信号を確実に処理するように構成されている、トランジスタ(例えば、FET)又は回路(例えば、FETの積み重ね)を含み得る。
【0018】
第1の信号V1HVは、HV電圧領域におけるものとすることができ、この場合、第1の信号V1HVは、ロー論理電圧VSSIX(例えば、0.9V)とハイ論理電圧VDDPX(例えば、1.8V)との間で変化する。同様に、第2の信号V2LVは、LV電圧領域におけるものとすることができ、この場合、第2の信号V2LVは、ロー論理電圧VSSX(例えば、0V)とハイ論理電圧VDDIX(例えば、0.9V)との間で変化する。それゆえ、電圧領域スプリッタ110は、入力信号VINPXの電圧領域PX(例えば、0V~1.8V)を、上半分電圧領域HV(例えば、0.9V~1.8V)と下半分電圧領域LV(例えば、0V~0.9V)とに効果的に分割する。この実施例では、HV電圧領域のロー論理電圧は、LV電圧領域のハイ論理電圧と実質的に同じである点に留意されたい。HV電圧領域及びLV電圧領域における、ロー論理電圧とハイ論理電圧との電圧差(例えば、ΔV=0.9V)は、PX電圧領域の半分であるため、これらの信号を処理する回路(例えば、バッファ115、125、130、135、電圧レベルシフタ120及び140、並びに信号処理回路150及び160)は、HV電圧領域及びLV電圧領域における信号を確実に処理することが可能な、より小さいトランジスタ又はFETを使用して実装することができる。
【0019】
バッファ115は、第1の信号V1HVをバッファリングして、バッファリングされた第1の信号V1BHVを生成するように構成されている。バッファ125は、第2の信号V2LVをバッファリングして、バッファリングされた第2の信号V2BLVを生成するように構成されている。バッファ135は、第1の信号V1HVをバッファリングして、別のバッファリングされた第1の信号V1BHVを生成するように構成されている。バッファ130は、第2の信号V2LVをバッファリングして、別のバッファリングされた第2の信号V2BLVを生成するように構成されている。電圧レベルシフタ120は、バッファリングされた第1の信号V1BHVを、下向きに電圧レベルシフトすることにより、第1の信号V1HVに基づくが、LV電圧領域における、信号V1LVを生成するように構成されている。同様に、電圧レベルシフタ140は、バッファリングされた第2の信号V2BLVを、上向きに電圧レベルシフトすることにより、第2の信号V2LVに基づくが、HV電圧領域における、信号V2HVを生成するように構成されている。V1LV信号及びV2BLV信号は、LV電圧領域におけるものであるため、これらの信号を処理するように、LV領域信号処理回路150が構成されている。同様に、V1BHV信号及びV2HV信号は、HV電圧領域におけるものであるため、これらの信号を処理するように、HV領域信号処理回路160が構成されている。
【0020】
図1Bは、本開示の別の態様による、信号処理システム100の例示的な動作のタイミング図を示す。タイミング図の横軸は、時間を表している。タイミング図の縦軸は、上から下に、信号V1
HV、V2
LV、V1
BHV、V1
LV、V2
BLV、及びV2
HVの論理レベルを表している。
【0021】
前述のように、第1の信号V1HV及び第2の信号V2LVは、入力信号VINPXに基づいて、電圧領域スプリッタ110によって生成されている。双方の信号V1HV及びV2LVは、同じ信号VINPXから導出されているため、双方の信号は、異なる電圧領域HV及びLVにおけるものである点を除いて、論理的に同一であるはずである。しかしながら、いくつかの場合、第1の信号V1HVと第2の信号V2LVとは、異なるデータパスを介して伝搬し、その結果として、V1HVとV2LVとは、もはや同一ではない。例えば、この例示的なタイミング図では、第2の信号V2LVは、第1の信号V1HVのパルス幅又はデューティサイクルよりも大きい、パルス幅又はデューティサイクルを有する。すなわち、第2の信号V2LVのパルス幅は、時間t1から時間t10にまで及び、その一方で、第1の信号V1HVのパルス幅は、時間t3から時間t8にまで及ぶ(例えば、t10-t1>t8-t3)。この初期のタイミング劣化の結果として、これらの信号V1HV及びV2LVから導出される信号は、更なるタイミング劣化を経験する可能性がある。
【0022】
例えば、第1の信号V1HV及び第2の信号V2LVに基づいて、それぞれ、バッファ115/135及びバッファ130/135によって生成されている、第1のバッファリングされた信号V1BHVと第2のバッファリングされた信号V2BLVとは、著しく異なるパルス幅又はデューティサイクルを有する。例えば、第2のバッファリングされた信号V2BLVは、時間t2から時間t9にまで及ぶパルス幅を有し、第1のバッファリングされた信号V1BHVは、時間t4から時間t7にまで及ぶパルス幅を有し、この場合、t9-t2は、t7-t4よりも著しく大きい。このことは、デューティサイクル歪みと称される場合がある。
【0023】
更には、この実施例によれば、バッファリングされた信号V1BHV及びV2BLVに基づいて、それぞれ、電圧レベルシフタ120及び140によって生成されている、電圧レベルシフトされた信号V1LVと信号V2HVとは、更なるタイミング劣化及び不確実性を有し得る。例えば、デューティサイクル歪みに加えて、それぞれ、電圧レベルシフトされた信号V1LV及び信号V2HVの立ち上がりエッジにおける、タイミング不確実性ΔT5及びΔT6と、電圧レベルシフトされた信号V1LV及び信号V2HVの立ち下がりエッジにおける、タイミング不確実性ΔT11及びΔT12とが存在し得る。このことは、電圧レベルシフタ120及び140が、典型的には多くのデバイス(例えば、18個以上のFET)を有し、それら多くのデバイスに起因して、著しいプロセス-電圧-温度(PVT)の動作変動が存在する可能性があるためであり得る。
【0024】
上述のタイミング劣化の全てに起因して、それぞれ、LV領域信号処理回路150及びHV領域信号処理回路160に提供される、信号V1LV/V2BLV及び信号V1BHV/V2HVのタイミングは、完全に破壊される可能性がある。それゆえ、LV信号処理回路150及びHV信号処理回路160は、それぞれ、タイミング劣化した信号V1LV/V2BLV及び信号V1BHV/V2HVに基づいて、その目的としている動作を実行することができない可能性がある。電圧レベルシフタ120及び140の他の欠点としては、多くのデバイスに起因して、実質的なICフットプリントを占有する点が挙げられる。更には、電圧レベルシフタ120及び140の、入力信号と出力信号との間の遅延は、非常に大きく、例えば、ナノ秒のオーダーとなる可能性がある。
【0025】
図2は、本開示の別の態様による、別の例示的な信号処理システム200のブロック図を示す。信号処理システム200は、上述の信号処理システム100の動作と同じ動作、又は同様の動作を実行することができる。しかしながら、電圧レベルシフタ120及び140を使用する代わりに、信号処理システム200は、LV信号処理回路及びHV信号処理回路に提供される信号における、あらゆるタイミング劣化を低減するか又は実質的に排除するために、エッジ整合回路を使用する。
【0026】
具体的には、信号処理システム200は、電圧領域スプリッタ210、インバータ220及び230、エッジ整合回路215及び240、並びにバッファ225及び235を含む。電圧領域スプリッタ210は、従前に詳述された電圧領域スプリッタ110と同様に実装することができる。すなわち、電圧領域スプリッタ210は、PX電圧領域(例えば、0V~1.8V)における入力信号VINPXを受信して、その入力信号VINPXに基づいて、それぞれ、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)及びLV電圧領域(例えば、0V~0.9V)における、第1の信号V1HV及び第2の信号V2LVを生成するように構成されている。同様に、バッファ235及び225は、それぞれ、第1の信号V1HV及び第2の信号V2LVに基づいて、バッファリングされた第1の信号V1BHV及び第2の信号V2BLVを生成するように構成されている。
【0027】
インバータ230及び220は、それぞれ、第1の信号V1
HV及び第2の信号V2
LVを反転させることにより、相補的な第1の信号
【数1】
及び第2の信号
【数2】
を生成するように構成されている。エッジ整合回路215は、第1の信号V1
HV及び相補的な第2の信号
【数3】
を受信して、これらの信号V1
HV及び
【数4】
に基づいて、電圧レベルシフトされた信号V1
LVを生成するように構成されている。同様に、エッジ整合回路240は、第2の信号V2
LV及び相補的な第1の信号
【数5】
を受信して、これらの信号
【数6】
及びV2
LVに基づいて、電圧レベルシフトされた信号V2
HVを生成するように構成されている。本明細書で更に論じられるように、エッジ整合回路215及び240によって生成された、信号V1
LV及びV2
HVは、実質的に時間整合されており、元の入力信号VIN
PXのタイミング情報を保持しており、それらの信号を、LV処理回路250及びHV処理回路260が、それらの目的とする動作に従って適切に処理することを可能にする。
【0028】
図3は、本開示の別の態様による、例示的なエッジ整合回路300の概略図を示す。エッジ整合回路300は、前述のエッジ整合回路215の、例示的な詳細な実装形態とすることができる。
【0029】
具体的には、エッジ整合回路300は、nチャネル金属酸化膜半導体(NMOS)FETとして実装することが可能な、第1の電界効果トランジスタ(FET)M1を含む。エッジ整合回路300は、第2のFET M2と第3のFET M3とを含む、インバータ310を更に含む。第2のFET M2は、pチャネル金属酸化膜半導体(PMOS)FETとして実装することができ、第3のFET M3は、NMOS FETとして実装することができる。FET M1及びインバータ310は、上側電圧レールVDDIXと下側電圧レールVSSXとの間に直列に結合されている。
【0030】
NMOS FET M1は、例えば、入力信号VIN
PXに基づいて電圧領域スプリッタ210によって生成された、第1の信号V1
HVを受信するように構成されている、ゲートを含む。前述のように、第1の信号V1
HVは、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)におけるものである。PMOS FET M2及びNMOS FET M3は、インバータ310の入力を形成するように一体に結合されたそれぞれのゲートであって、例えば第2の信号V2
LVに基づいてインバータ220によって生成された相補的な第2の信号
【数7】
を受信するように構成された、それぞれのゲートを含んでおり、この第2の信号V2
LVは、入力信号VIN
PXに基づいて電圧領域スプリッタ210によって生成される。相補的な第2の信号
【数8】
は、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)におけるものであり、実質的に第1の信号V1
LVに対して論理的に相補的である。
【0031】
PMOS FET M2及びNMOS FET M3は、インバータ310の出力を形成するように一体に結合されて、出力信号V1
LVを生成するように構成されている、対応のドレインを含む。前述のように、出力信号V1
LVは、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)におけるものであり、前述のようにLV電圧領域信号処理回路250に提供することができる。エッジ整合回路300は、出力信号V1
LVをラッチするためにインバータ310の出力に結合されている、ラッチ320を任意選択的に含み得る。このことにより、第1の信号V1
HVと相補的な第2の信号
【数9】
との間に著しい時間遅延が存在する場合に、出力信号V1
LVの正しい論理状態のラッチングを改善することができる。上側電圧レールVDDIX及び下側電圧レールVSSXは、LV電圧領域に従った供給電圧(例えば、それぞれ、0.9V及び0V)を受け取るように構成されている。
【0032】
図4は、本開示の別の態様による、別の例示的なエッジ整合回路400の概略図を示す。エッジ整合回路400は、前述のエッジ整合回路240の、例示的な詳細な実装形態とすることができる。
【0033】
具体的には、エッジ整合回路400は、第1のFET M4と第2のFET M5とを含む、インバータ410を含む。第1のFET M4は、PMOS FETとして実装することができ、第2のFET M5は、NMOS FETとして実装することができる。エッジ整合回路400は、PMOS FETとして実装することが可能な、第3のFET M6を含む。インバータ410及びPMOS FET M6は、上側電圧レールVDDPXと下側電圧レールVSSIXとの間に直列に結合されている。
【0034】
PMOS FET M6は、例えば、入力信号VIN
PXに基づいて電圧領域スプリッタ210によって生成された、第2の信号V2
LVを受信するように構成されている、ゲートを含む。前述のように、第2の信号V2
LVは、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)におけるものである。PMOS FET M4及びNMOS FET M5は、インバータ410の入力を形成するように一体に結合されたそれぞれのゲートであって、例えば第1の信号V1
HVに基づいてインバータ230によって生成された相補的な第1の信号
【数10】
を受信するように構成されている、それぞれのゲートを含み、この第1の信号V1
HVは、入力信号VIN
PXに基づいて、電圧領域スプリッタ210によって生成されている。相補的な第1の信号
【数11】
は、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)におけるものであり、実質的に第2の信号V2
LVに対して論理的に相補的である。
【0035】
PMOS FET M4及びNMOS FET M5は、インバータ410の出力を形成するように一体に結合されて、出力信号V2
HVを生成するように構成されている、対応のドレインを含む。前述のように、出力信号V2
HVは、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)におけるものであり、前述のようにHV電圧領域信号処理回路260に提供することができる。エッジ整合回路400は、出力信号V2
HVをラッチするためにインバータ410の出力に結合されている、ラッチ420を任意選択的に含み得る。このことにより、第2の信号V2
LVと相補的な第1の信号
【数12】
との間に著しい時間遅延が存在する場合に、出力信号V2
HVの正しい論理状態のラッチングを改善することができる。上側電圧レールVDDPX及び下側電圧レールVSSIXは、HV電圧領域に従った供給電圧(例えば、それぞれ、1.8V及び0.9V)を受け取るように構成されている。
【0036】
図5は、本開示の別の態様による、エッジ整合回路300及び400の例示的な動作のタイミング図を示す。このタイミング図は、
図1Bのタイミング図と同様のものであり、横軸は時間を表し、縦軸は、上から下に、信号V1
HV、V2
LV、V1
LV、及びV2
HVの論理レベルを表している。
【0037】
前述のように、例えば、入力信号VIN
PXに基づいて電圧領域スプリッタ210によって生成される場合、第1の信号V1
HV及び第2の信号V2
LVにおいて、ある程度のタイミング劣化が存在し得る。一実施例として、第2の信号V2
LVは、第1の電圧信号V1
HVのパルス幅又はデューティサイクルよりも大きい、パルス幅又はデューティサイクルを有し得る。例えば、この特定の実施例では、第2の信号V2
LVのパルス幅は、時間t
1から時間t
8にまで及び、第1の信号V1
HVのパルス幅は、t
2から時間t
5にまで及び、この場合、t
8-t
1はt
5-t
2よりも大きい。更には、この実施例によれば、相補的な第1の信号
【数13】
及び相補的な第2の信号
【数14】
は、それぞれ、実質的に第1の信号V1
HV及び第2の信号V2
LVの反転バージョンである。
【0038】
図3を更に参照して、エッジ整合回路300の動作を考慮すると、時間t
1において、第2の信号V2
LVは、LV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移する。実質的に同時に、相補的な第2の信号
【数15】
は、LV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移する。相補的な第2の信号
【数16】
が、インバータ310のゲートに印加されると、PMOS FET M2がオンになり、NMOS FET M3がオフになる。次いで、時間t
2において、第1の信号V1
HVは、HV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移する。第1の信号V1
HVが、NMOS FET M1のゲートに印加されると、NMOS FET M1がオンになる。FET M1及びM2の双方がオンにされ、FET M3がオフにされると、出力信号V1
LVは、時間t
3において、LV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移するが、これは、前述のように、上側電圧レールVDDIXに提供される供給電圧が、LV領域におけるハイ論理レベルと実質的に同じであるためである。
【0039】
次いで、時間t
4において、第1の信号V1
HVは、HV領域においてハイ論理信号からロー論理信号に遷移する。第1の信号V1
HVが、NMOS FET M1のゲートに印加されると、FET M1はオフになる。次いで、時間t
6において、第2の信号V2
LVは、LV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移する。実質的に同時に、相補的な第2の信号
【数17】
は、LV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移する。相補的な第2の信号
【0040】
【数18】
が、インバータ310の入力に印加されると、PMOS FET M2がオフになり、NMOS FET M3がオンになる。FET M1及びM2の双方がオフにされ、FET M3がオンにされると、出力信号V1
LVは、時間t7において、LV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移するが、これは、前述のように、下側電圧レールVSSXに提供される供給電圧が、LV領域におけるロー論理レベルと実質的に同じであるためである。
【0041】
図4を更に参照して、エッジ整合回路400の動作を考慮すると、同様に時間t
1において、第2の信号V2
LVは、LV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移する。第2の信号V2
LVが、PMOS FET M6のゲートに印加されると、PMOS FET M6はオフになる。次いで、時間t
2において、第1の信号V1
HVは、HV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移する。実質的に同時に、相補的な第1の信号
【数19】
は、HV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移する。相補的な第1の信号
【数20】
が、インバータ410の入力に印加されると、PMOS FET M4がオンになり、NMOS FET M5がオフになる。FET M5及びM6の双方がオフにされ、FET M4がオンにされると、出力信号V2
HVは、時間t
3において、HV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移するが、これは、前述のように、上側電圧レールVDDPXに提供される供給電圧が、HV領域におけるハイ論理レベルと実質的に同じであるためである。
【0042】
次いで、時間t
4において、第1の信号V1
HVは、HV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移する。実質的に同時に、相補的な第1の信号
【数21】
は、HV領域においてロー論理レベルからハイ論理レベルに遷移する。相補的な第1の信号
【数22】
が、インバータ410の入力に印加されると、PMOS FET M4がオフになり、NMOS FET M5がオンになる。次いで、時間t
6において、第2の信号V2
LVは、LV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移する。FET M5及びM6の双方がオンになり、FET M4がオフにされると、出力信号V2
HVは、時間t
7において、HV領域においてハイ論理レベルからロー論理レベルに遷移するが、これは、前述のように、下側電圧レールVSSIXに提供される供給電圧が、HV領域におけるロー論理レベルと実質的に同じであるためである。
【0043】
エッジ整合回路300の出力信号V1LVと、エッジ整合回路400の出力信号V2HVとは、実質的に時間整合された、時間t3における立ち上がりエッジ、及び時間t7における立ち下がりエッジを有する点に留意されたい。これは、出力信号V1LV及びV2HVの立ち上がりエッジが、第1の信号V1HVの立ち上がりエッジに応答して発生し、出力信号V1LV及びV2HVの立ち下がりエッジが、第2の信号V2LVの立ち下がりエッジに応答して発生するためである。それゆえ、エッジ整合回路300及び400は、それぞれ、FET M1及びM6のゲートにおける入力信号に関する、電圧レベルシフタとして使用することができる。エッジ整合回路300の場合、第1の信号V1HVをHV電圧領域からLV電圧領域にレベルシフトするための、下向き電圧レベルシフタとして動作する。エッジ整合回路400の場合、第2の信号V2LVをLV電圧領域からHV電圧領域にレベルシフトするための、上向き電圧レベルシフタとして動作する。
【0044】
エッジ整合回路300及び400の更なる利点は、それらの回路が少ない数のデバイスを含むという事実から得られる。例えば、任意選択的なラッチ320及び420を使用しない場合、エッジ整合回路300及び400のそれぞれは、前述のような、例示的な電圧レベルシフタに関する少なくとも18個のデバイスと比較して、3つのデバイスを含む。任意選択的なラッチ320及び420を使用する場合、エッジ整合回路300及び400のそれぞれは、各ラッチが交差結合インバータを含み得るため、9つのデバイスを有し得る。更には、少ない数のデバイスに起因して、エッジ整合回路300及び400のそれぞれは、比較的小さいICフットプリントを占有し得る。更には、エッジ整合回路300及び400のそれぞれに関連付けられる遅延は、ピコ秒(ps)のオーダーであり得るが、例示的な電圧レベルシフタに関連する遅延は、前述のように、ナノ秒(ns)のオーダーであり得る。
【0045】
図6は、本開示の別の態様による、別の例示的な信号処理システム600のブロック図を示す。信号処理システム200では、電圧領域スプリッタ210は、LV電圧領域のロー論理電圧からHV電圧領域のハイ論理電圧にまで及ぶ、PX電圧領域における入力信号VIN
PXから、上半分電圧領域HVにおける信号と下半分電圧領域LVにおける信号とを生成するために使用されている。
【0046】
信号処理システム600では、CX電圧領域(例えば、IC又はSOC内の高速信号処理回路によって使用される電圧領域(例えば、0.5V~1.1V))における入力信号VIN
CXが、電圧レベルシフタ610に提供される。この場合、電圧レベルシフタ610は、入力信号VIN
CXに基づいて、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)における、第1の信号V1
HV及び相補的な第1の信号
【数23】
を生成する。更には、電圧レベルシフタ610は、入力信号VIN
CXに基づいて、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)における、第2の信号V2
LV及び相補的な第2の信号
【数24】
を生成する。しかしながら、異なるデータパスに起因して、第1の信号V1
HV及び第2の信号V2
LV、並びにそれらの対応の相補信号
【数25】
及び
【数26】
は、前述のように、タイミング劣化を有し得る。
【0047】
図7は、本開示の別の態様による、別の例示的な信号処理システム700のブロック図を示す。信号処理システム600に関して論じられたタイミング劣化に対処するために、信号処理システム700は、前述のように、HV電圧領域信号処理回路及びLV電圧領域信号処理回路による更なる処理のために、信号をリタイミングするか又は実質的に時間整合させる、エッジ整合回路を含む。
【0048】
具体的には、信号処理システム700は、CX電圧領域(例えば、0.5V~1.1V)における入力信号VIN
CXを受信して、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)における、第1の信号V1
HV及び相補的な第1の信号
【数27】
と、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)における、第2の信号V2
LV及び相補的な第2の信号
【数28】
とを生成するように構成されている、電圧レベルシフタ710を含み、双方の信号セットは、入力信号VIN
CXに基づく。
【0049】
信号処理システム700は、エッジ整合回路720、730、740、及び740のセットを更に含む。エッジ整合回路720は、第1の信号V1
HV及び相補的な第2の信号
【数29】
を受信して、LV領域における第3の信号V3
LVを生成するように構成されている。エッジ整合回路720は、エッジ整合回路300によって実装することができる。エッジ整合回路730は、第1の信号V1
HV及び相補的な第2の信号
【数30】
を受信して、HV領域における相補的な第4の信号
【数31】
を生成するように構成されている。エッジ整合回路730は、エッジ整合回路400によって実装することができる。
【0050】
エッジ整合回路740は、相補的な第1の信号
【数32】
及び第2の信号V2
LVを受信して、HV領域における第4の信号V4
HVを生成するように構成されている。エッジ整合回路740は、エッジ整合回路400によって実装することができる。エッジ整合回路750は、相補的な第1の信号
【数33】
及び第2の信号V2
LVを受信して、LV領域における相補的な第3の信号
【数34】
を生成するように構成されている。エッジ整合回路750は、エッジ整合回路300によって実装することができる。これらの信号V3
LV、
【数35】
、V4
HV、及び
【数36】
は、それぞれ、エッジ整合回路720、730、740、及び750によって生成されるため、それらの信号の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジは、LV電圧領域信号処理回路及びHV電圧領域信号処理回路による処理の改善のために、実質的に時間整合させることができる。
【0051】
図8は、本開示の別の態様による、例示的なマルチモードエッジ整合回路800の概略図を示す。第1の動作モードにおいて、エッジ整合回路800は、前述のエッジ整合回路300によって動作する。第2の動作モードにおいて、エッジ整合回路300は、2入力インバータとして動作する。
【0052】
具体的には、エッジ整合回路800は、PMOS FETとして実装することが可能な、第1のFET M7を含む。エッジ整合回路800は、PMOS FET M7のゲートに結合されている入力を含む、第1のインバータ815を更に含む。第1のインバータ815は、第1のプログラマブル電圧レールVDDPX/VDD_1P2、及び第2のプログラマブル電圧レールVSSIX/VSSXに結合させることができ、これらのプログラマブル電圧レールは、第1の動作モードにおいて、HV電圧領域に従った供給電圧(例えば、それぞれ1.8V及び0.9V)を受け取り、第2の動作モードにおいて、VDD_1P2電圧領域における供給電圧(例えば、それぞれ1.2V及び0V)を受け取るように構成されている。エッジ整合回路800は、NMOS FETとして実装することが可能な、第2のFET M8を更に含む。エッジ整合回路800はまた、第3のFET M9と第4のFET M10とを含む、第2のインバータ810も含む。第3のFET M9は、PMOS FETとして実装することができ、第4のFET M10は、NMOS FETとして実装することができる。第2のFET M8及び第2のインバータ810は、上側電圧レールVDD_1P2と下側電圧レールVSSXとの間に直列に結合されており、それらの電圧レールは、VDD_1P2電圧領域に従った供給電圧(例えば、それぞれ1.2V及び0V)を受け取るように構成されている。PMOS FET M7は、上側電圧レールVDD_1P2と第2のインバータ810との間に結合されている。
【0053】
PMOS FET M7は、第1の入力信号V1を受信するように構成されている、ゲートを含む。第1の動作モードに従って、第1の入力信号V1は、HV電圧領域(例えば、0.9V~1.8V)に従って変化する。第2の動作モードに従って、第1の入力信号V1は、VDD_1P2電圧領域(例えば、0V~1.2V)に従って変化する。PMOS FET M9及びNMOS FET M10は、インバータ810の入力を形成するように一体に結合されて、第2の入力信号V2を受信するように構成されている、対応のゲートを含む。第1の動作モードに従って、第2の入力信号V2は、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)に従って変化する。第2の動作モードに従って、第2の入力信号V2は、VDD_1P2電圧領域(例えば、0V~1.2V)に従って変化する。
【0054】
PMOS FET M9及びNMOS FET M10は、インバータ810の出力を形成するように一体に結合されて、出力信号V3を生成するように構成されている、対応のドレインを含む。第1の動作モードにおいて、出力信号V3は、LV電圧領域(例えば、0V~0.9V)に従って変化する。第2の動作モードにおいて、出力信号V3は、VDD_1P2電圧領域(例えば、0V~1.2V)に従って変化する。エッジ整合回路800は、出力信号V3をラッチするためにインバータ810の出力に結合されている、ラッチ820を任意選択的に含み得る。このことにより、第1の信号V1と第2の信号V2との間に著しい時間遅延が存在する場合に、出力信号V3の正しい論理状態のラッチングを改善することができる。
【0055】
動作モードは、第1の入力信号V1及び第2の入力信号V2の、電圧領域によって設定される。例えば、第1の入力信号V1及び第2の入力信号V2が、それぞれ、HV電圧領域及びLV電圧領域に従って変化する場合には、エッジ整合回路800は、第1の動作モードに従って動作する。このモードでは、PMOS FET M7は、事実上無効にされ、インバータ815及びNMOS FET M8が有効にされる。インバータ815は、NMOS FET M8のゲートにおいて、相補的な第1の電圧V1を生成し、この電圧は、この実施例では、第2の電圧V2の論理レベルに対して実質的に相補的である。それゆえ、エッジ整合回路800の動作は、前述のエッジ整合回路300の動作と事実上同じである。
【0056】
論じられたように、第1の動作モードに従って、PMOS FET M7は、事実上無効にされるが、これは、第1の信号V1が、HV電圧領域に従ったロー論理レベル(例えば、0.9V)では、PMOS FET M7をオンにすることが不可能であるためである。例えば、PMOS FET M7の閾値電圧が、0.4Vである場合には、0.9Vのロー論理レベルは、0.4Vの閾値電圧よりも低い、0.3Vのゲート-ソース間電圧を生成する。それゆえ、PMOS FET M7はオンにならない。
【0057】
第1の入力信号V1及び第2の入力信号V2が、VDD_1P2電圧領域に従って変化する場合には、エッジ整合回路800は、第2の動作モードに従って動作する。このモードでは、PMOS FET M7、インバータ815、及びNMOS FET M8が有効にされる。それゆえ、エッジ整合回路800は、2入力インバータとして動作する。すなわち、第1の入力信号V1及び第2の入力信号V2が、VDD_1P2電圧領域に従ったロー論理レベル(例えば、0V)におけるものである場合、FET M7、M8、及びM9がオンになり、FET M10はオフになる。それゆえ、出力信号V3は、VDD_1P2電圧領域に従ったハイ論理レベル(例えば、1.2V)におけるものである。反対に、第1の入力信号V1及び第2の入力信号V2が、VDD_1P2電圧領域に従ったハイ論理レベル(例えば、1.2V)におけるものである場合、FET M7、M8、及びM9はオフになり、FET M10がオンになる。それゆえ、出力信号V3は、VDD_1P2電圧領域に従ったロー論理レベル(例えば、0V)におけるものである。
【0058】
図9は、本開示の別の態様による、出力信号を生成するために入力信号を電圧レベルシフトする、例示的な方法900のフロー図を示す。
【0059】
方法900は、第1の入力において、第1の動作モードに従って、第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信することを含む(ブロック910)。第1の入力において、第1の動作モードに従って、第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信するための手段の例としては、エッジ整合回路300内のFET M1のゲート、エッジ整合回路400内のFET M6のゲート、及びエッジ整合回路800のFET M8のゲート、並びに、エッジ整合回路215、240、720、730、740、及び735の、対応の第1の入力が挙げられる。
【0060】
方法900は、第2の入力において、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信することを更に含み、第1の電圧領域は、第2の電圧領域とは異なる(ブロック920)。第2の入力において、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信するための手段であって、第1の電圧領域が第2の電圧領域とは異なる、手段の例としては、エッジ整合回路300内のインバータ310への入力、エッジ整合回路400内のインバータ410への入力、及びエッジ整合回路800のインバータ810への入力、並びに、エッジ整合回路215、240、720、730、740、及び735の、対応の第2の入力が挙げられる。
【0061】
更には、方法900は、出力において、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成することを含み、第1の出力信号は、第1の入力信号及び第2の入力信号に基づく(ブロック930)。出力において、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成するための手段であって、第1の出力信号が、第1の入力信号及び第2の入力信号に基づく、手段の例としては、エッジ整合回路300のインバータ310、エッジ整合回路400のインバータ410、及びエッジ整合回路800のインバータ810、並びに、エッジ整合回路215、240、720、730、740、及び735が挙げられる。
【0062】
図10は、本開示の別の態様による、例示的なワイヤレス通信デバイス1000のブロック図を示す。ワイヤレス通信デバイス1000は、少なくとも1つのアンテナ1060(例えば、アンテナアレイ)と、少なくとも1つのアンテナ1060に結合されているトランシーバ1050と、集積回路(IC)又はシステムオンチップ(SOC)1010とを含む。IC又はSOC1010は、1つ又は複数の信号処理コア1020と、トランシーバに結合されている、1つ又は複数の入出力(I/O)ドライバ若しくは回路1030とを含む。1つ又は複数のI/O回路1030は、本明細書で前述されたように実装されている、1つ又は複数のエッジ整合回路を含み得る。
【0063】
信号送信用途に従って、1つ又は複数の信号処理コア1020は、第1の電圧領域(例えば、CX電圧領域)における送信ベースバンド(BB)信号を処理するように構成することができる。1つ又は複数のI/O回路1030は、送信(BB)ベースバンド信号を、第2の電圧領域(例えば、PX電圧領域)へと上向きに電圧レベルシフトするように構成することができる。1つ又は複数のI/O回路1030は、例えば、上向きの電圧レベルシフトを実行するようにエッジ整合回路400によってそれぞれが実装されている、1つ又は複数のエッジ整合回路を含み得る。第2の電圧領域における送信ベースバンド(BB)信号は、送信ベースバンド(BB)信号に基づいて送信無線周波数(RF)信号を生成するように構成されている、トランシーバ1050に提供される。送信RF信号は、1つ又は複数のリモートワイヤレスデバイスへのワイヤレス送信のために、少なくとも1つのアンテナ1060に提供される。
【0064】
信号受信用途に従って、少なくとも1つのアンテナ1060は、1つ又は複数のリモートワイヤレスデバイスから、受信RF信号をワイヤレスで受信するように構成されている。トランシーバ1050は、受信RF信号に基づいて、第2の電圧領域における受信ベースバンド(BB)信号を生成するように構成されている。1つ又は複数のI/O回路1030は、第1の電圧領域における受信ベースバンド(BB)信号を生成するために、受信ベースバンド(BB)信号を、下向きに電圧レベルシフトするように構成されている。1つ又は複数のI/O回路1030は、例えば、下向きの電圧レベルシフトを実行するようにエッジ整合回路300又は800によってそれぞれが実装されている、1つ又は複数のエッジ整合回路を含み得る。1つ又は複数の信号処理コア1020は、第1の電圧領域における受信ベースバンド(BB)信号を処理するように構成することができる。
【0065】
以下では、本開示の諸態様の概要が提供される:
態様1:第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信するように構成されている第1のゲートを含む、第1の電界効果トランジスタ(FET)と、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信するように構成されている第1の入力、及び、第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成するように構成されている第1の出力を含む、第1のインバータとを含み、第1の出力信号が、第1の入力信号及び第2の入力信号に基づき、第1のFET及び第1のインバータが、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、装置。
【0066】
態様2:第1の電圧レール及び第2の電圧レールが、それぞれ、第2の電圧領域に従った第1の供給電圧及び第2の供給電圧を受け取るように構成されている、態様1の装置。
【0067】
態様3:第1のFETが、nチャネル金属酸化膜半導体(NMOS)FETを含む、態様1又は2の装置。
【0068】
態様4:NMOS FET及び第1のインバータが、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に、その順序で直列に結合されている、態様3の装置。
【0069】
態様5:第2の入力信号が、第2の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、第1の供給電圧が、第1のハイ論理電圧と実質的に同じであり、第2の供給電圧が、第1のロー論理電圧と実質的に同じである、態様1~4のうちのいずれか1つの装置。
【0070】
態様6:第1の入力信号が、第1の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、第2のロー論理電圧が、第1のハイ論理電圧と実質的に同じである、態様5の装置。
【0071】
態様7:第1のFETが、pチャネル金属酸化膜半導体(PMOS)FETを含む、態様1又は2の装置。
【0072】
態様8:第1のインバータ及びPMOS FETが、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に、その順序で直列に結合されている、態様7の装置。
【0073】
態様9:第2の入力信号が、第2の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、第1の供給電圧が、第1のハイ論理電圧と実質的に同じであり、第2の供給電圧が、第1のロー論理電圧と実質的に同じである、態様7又は8の装置。
【0074】
態様10:第1の入力信号が、第1の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、第2のハイ論理電圧が、第1のロー論理電圧と実質的に同じである、態様9の装置。
【0075】
態様11:第1の入力信号が、第2の入力信号に対して論理的に相補的である、態様1~10のうちのいずれか1つの装置。
【0076】
態様12:第1のインバータの第1の出力に結合されているラッチを更に含む、態様1~11のうちのいずれか1つの装置。
【0077】
態様13:第1の動作モードに従って、第1のFETの第1のゲートが、第1の入力信号を受信するように構成されており、第1のインバータが、第2の入力信号を受信して第1の出力信号を生成するように構成されている、態様1の装置。
【0078】
態様14:第1の電圧レール及び第2の電圧レールが、それぞれ、第3の電圧領域に従った第1の供給電圧及び第2の供給電圧を受け取るように構成されている、態様13の装置。
【0079】
態様15:第1の動作モードに従って第1の入力信号を受信し、第2の動作モードに従って第3の入力信号を受信するように構成されている第2のゲートを含む、第2のFETと、第2のFETの第2のゲートに結合されている第2の入力、及び、第1のFETの第1のゲートに結合されている第2の出力を含む、第2のインバータとを更に含む、態様13又は14の装置。
【0080】
態様16:第2のインバータが、第1の電圧領域及び第1の動作モードに従って、第3の供給電圧及び第4の供給電圧を受け取り、第2の動作モードに従って、第1の供給電圧及び第2の供給電圧を受け取るように構成されている、プログラマブルな第3の電圧レール及び第4の電圧レールに結合されている、態様15の装置。
【0081】
態様17:第1のFETが、nチャネル金属酸化膜半導体(NMOS)FETを含み、第2のFETが、pチャネル金属酸化膜半導体(PMOS)FETを含む、態様15又は16の装置。
【0082】
態様18:第2のFETが、第1の電圧レールと第1のインバータとの間に結合されている、態様15~17のうちのいずれか1つの装置。
【0083】
態様19:第2の動作モードに従って、第2のFETの第2のゲートが、第3の電圧領域に従って変化する第3の入力信号を受信するように構成されており、第1のインバータが、第3の電圧領域に従って変化する第4の入力信号を受信して、第3の電圧領域に従って変化する第2の出力信号を生成するように構成されている、態様15~18のうちのいずれか1つの装置。
【0084】
態様20:第1の動作モードに従って、第2のFETが事実上無効にされ、第2のインバータ及び第1のFETが有効にされ、第2の動作モードに従って、第2のFET、第2のインバータ、及び第1のFETが有効にされる、態様15~19のうちのいずれか1つの装置。
【0085】
態様21:第1の動作モードに従って、第1の電圧領域に従って変化する第1の入力信号を受信することと、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第2の入力信号を受信することであって、第1の電圧領域が第2の電圧領域とは異なる、受信することと、第1の動作モードに従って、第2の電圧領域に従って変化する第1の出力信号を生成することであって、第1の出力信号が、第1の入力信号及び第2の入力信号に基づく、生成することとを含む、方法。
【0086】
態様22:第1の入力信号が、第2の入力信号に対して論理的に相補的である、態様21の方法。
【0087】
態様23:第1の入力信号が、第1の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、第2の入力信号が、第2の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、第2のハイ論理電圧が、第1のロー論理電圧と実質的に同じである、態様21又は22の方法。
【0088】
態様24:第1の入力信号が、第1の電圧領域に従って第1のロー論理電圧と第1のハイ論理電圧との間で変化し、第2の入力信号が、第2の電圧領域に従って第2のロー論理電圧と第2のハイ論理電圧との間で変化し、第1のハイ論理電圧が第2のロー論理電圧と実質的に同じである、態様21又は22の方法。
【0089】
態様25:第1の入力において、第2の動作モードに従って、第3の電圧領域に従って変化する第3の入力信号を受信することと、第2の入力において、第2の動作モードに従って、第3の電圧領域に従って変化する第4の入力信号を受信することと、出力において、第2の動作モードに従って、第3の電圧領域に従って変化する第2の出力信号を生成することであって、第2の出力信号が、第3の入力信号及び第4の入力信号に基づく、生成することとを更に含む、態様21~23のうちのいずれか1つの方法。
【0090】
態様26:第1の電圧領域における第1の信号を受信するように構成されている入力、第2の電圧領域における第2の信号を生成するように構成されている第1の出力、及び、第3の電圧領域における第3の信号を生成するように構成されている第2の出力を含み、第2の信号及び第3の信号が、第1の信号に基づく、電圧領域スプリッタと、第2の信号と第3の信号の相補とに基づいて、第3の電圧領域における第4の信号を生成するように構成されている、第1のエッジ整合回路と、第2の信号の相補と第3の信号とに基づいて、第3の電圧領域における第5の信号を生成するように構成されている、第2のエッジ整合回路とを含む、装置。
【0091】
態様27:第1のエッジ整合回路が、第2の信号を受信するように構成されているゲートを含む、nチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(NMOS FET)と、相補的な第3の信号を受信するように構成されている入力、及び、第4の信号を生成するように構成されている出力を含む、インバータとを含み、NMOS FET及びインバータが、第3の電圧領域に関連付けられている第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、態様26の装置。
【0092】
態様28:第2のエッジ整合回路が、相補的な第2の信号を受信するように構成されている入力、及び、第5の信号を生成するように構成されている出力を含む、インバータと、第3の信号を受信するように構成されているゲートを含む、pチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(PMOS FET)とを含み、インバータ及びPMOS FETが、第2の電圧領域に関連付けられている第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、態様26又は27の装置。
【0093】
態様29:第1の電圧領域における第1の信号を受信するように構成されている入力、第2の電圧領域における第2の信号を生成するように構成されている第1の出力、及び、第3の電圧領域における第3の信号を生成するように構成されている第2の出力を含み、第2の信号及び第3の信号が、第1の信号に基づく、電圧レベルシフタと、第2の信号と第3の信号の相補とに基づいて、第3の電圧領域における第4の信号を生成するように構成されている、第1のエッジ整合回路と、第2の信号の相補と第3の信号とに基づいて、第3の電圧領域における第5の信号を生成するように構成されている、第2のエッジ整合回路とを含む、装置。
【0094】
態様30:第1のエッジ整合回路又は第2のエッジ整合回路のうちの少なくとも一方が、第2の信号又は第3の信号を受信するように構成されているゲートを含む、電界効果トランジスタ(FET)と、第3の信号若しくは第2の信号を受信するように構成されている入力、及び、第4の信号若しくは第5の信号を生成するように構成されている出力を含む、インバータとを含み、FET及びインバータが、第1の電圧レールと第2の電圧レールとの間に直列に結合されている、態様29の装置。
【0095】
本開示の上記の説明は、本開示をあらゆる当業者が作製又は使用することを可能にするために提供されている。本開示に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義されている一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の変形例に適用することができる。それゆえ、本開示は、本明細書で説明されている実施例に限定されることを意図するものではなく、本明細書で開示されている原理及び新規の特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。
【国際調査報告】