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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】一体型電子積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/025 20190101AFI20241010BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20241010BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20241010BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B32B7/025
H05K1/03 670
B32B7/12
H01R11/01 501E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521740
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 IB2022059512
(87)【国際公開番号】W WO2023062484
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0136941
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジョンワン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン-ピル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジンベ
(72)【発明者】
【氏名】マカッチオン,ジェフリー ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01E
4F100AB02E
4F100AB03E
4F100AB04
4F100AB04E
4F100AB09E
4F100AB10E
4F100AB12E
4F100AB18E
4F100AB25
4F100AB31E
4F100AR00B
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AR00E
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CB00
4F100CB00C
4F100CB00E
4F100EH71E
4F100GB48
4F100JG01
4F100JG01B
4F100JG01C
4F100JG01D
4F100JG01E
4F100JG04C
4F100JG04E
4F100JK01A
4F100JK01E
4F100JK17
4F100JK17E
4F100JL11
4F100JL11C
4F100JL11E
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
(57)【要約】
本開示は、一体型電子積層体及び多層積層体に関する。具体的には、本開示の一実施形態によれば、導電性構成要素を接地するための、パッシブ相互変調(PIM)が内部で低減する一体型電子積層体が提供され、この一体型電子積層体は、第1の一体型積層体及び第2の一体型積層体を含み、第1の一体型積層体は第2の一体型積層体に接合されており、第1の一体型積層体は、実質的に剛性の第1の基板と、第1の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に配置された第1の導電層と、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層と、第1の導電性接着剤層と第2の導電性接着剤層との間に配置され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層にそれぞれ接合され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層が電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む、第1の導電性薄膜とを含み、第1の導電性接着剤層は、第1の導電性薄膜を1つ以上の第1の導電層に接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性構成要素を接地するための、パッシブ相互変調(PIM)が内部で低減する一体型電子積層体であって、
前記一体型電子積層体が、第1の一体型積層体及び第2の一体型積層体を含み、前記第1の一体型積層体が前記第2の一体型積層体に接合されており、
前記第1の一体型積層体が、
実質的に剛性の第1の基板と、
前記第1の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に配置された第1の導電層と、
第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層と、
前記第1の導電性接着剤層と前記第2の導電性接着剤層との間に配置され、前記第1の導電性接着剤層及び前記第2の導電性接着剤層にそれぞれ接合され、前記第1の導電性接着剤層及び前記第2の導電性接着剤層が電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む、第1の導電性薄膜と、
を含み、
前記第1の導電性接着剤層が前記第1の導電性薄膜を前記1つ以上の第1の導電層に接合し、
前記第2の一体型積層体が、
実質的に剛性の導電性の第2の基板と、
電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む第3の導電性接着剤層と、
前記第2の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に前記第3の導電性接着剤層を介して接合された可撓性金属薄膜と、を含み、
前記第1の一体型積層体と前記第2の一体型積層体とが、前記第3の導電性接着剤層の反対側に配置された前記可撓性金属薄膜に接合された前記第2の導電性接着剤層によって互いに接合され、前記第1の導電層と前記第2の基板とを電気的に接続する、
一体型電子積層体。
【請求項2】
前記第2の基板がステンレス鋼、アルミニウム(Al)、亜鉛めっきアルミニウム、マグネシウム(Mg)、マグネシウムとアルミニウムとの合金、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、亜鉛めっき鋼、チタン(Ti)、及び亜鉛めっき鉄のうち1つ以上を含む、
請求項1に記載の一体型電子積層体。
【請求項3】
前記第1の導電性接着剤層が前記第1の導電性層との第1の接触抵抗を形成し、前記第3の導電性接着剤層が前記第2の基板との第2の接触抵抗を形成し、
前記可撓性金属薄膜が存在することが、前記第1の接触抵抗及び前記第2の接触抵抗のうち1つ以上で発生するパッシブ相互変調信号を5dB以上、80dB以下だけ低減する、
請求項1に記載の一体型電子積層体。
【請求項4】
前記一体型電子積層体で発生するパッシブ相互変調信号が、主に前記第1の基板及び前記第2の基板のうちいずれか1つによって引き起こされる、
請求項1に記載の一体型電子積層体。
【請求項5】
実質的に剛性である前記第1の基板及び前記第2の基板の各々の第1の点を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、前記第1の点において前記剛性の基板が不可逆的に変形する、
請求項1に記載の一体型電子積層体。
【請求項6】
一体型電子積層体であって、
第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、第3の導電性接着剤層と、
前記第1の導電性接着剤層と前記第2の導電性接着剤層との間に配置され、前記第1の導電性接着剤層及び前記第2の導電性接着剤層に接合された可撓性金属薄膜と、
前記第2の導電性接着剤層と前記第3の導電性接着剤層との間に配置され、前記第2の導電性接着剤層及び前記第3の導電性接着剤層に接合された第2の導電性薄膜と、を含み、
前記第1から第3の導電性接着剤層の各々が、電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含み、
互いに離間した第1の金マイクロストリップ及び第2の金マイクロストリップを提供するステップと、
前記第1の金マイクロストリップと前記第2の金マイクロストリップとの上に同一のステンレス鋼板を配置するステップと、
ある多層積層体及び前記多層積層体と実質的に類似した多層積層体を、前記ステンレス鋼板と前記第1の金マイクロストリップとの間及び前記第2の金マイクロストリップとの間に、前記2つの多層積層体の前記第1の導電性接着剤層が前記ステンレス鋼板の同一表面に接合され、前記2つの多層積層体の前記第3の導電性接着剤層がそれぞれ前記第1の金マイクロストリップと前記第2の金マイクロストリップとに接合されるように配置するステップと、によって導電性回路が提供されたときに、
実質的に同じ強度I1及びI2と、異なった周波数F1及びF2をそれぞれ有する第1の電流信号及び第2の電流信号が同時に前記第1の金マイクロストリップに適用されると、nF1+mF2(m及びnは0でない正又は負の整数)と同じ周波数F3を有する相互変調電流信号が、強度I3、-150≦I3/I1≦-30dBの電気信号によって反射される、
一体型電子積層体。
【請求項7】
前記強度I1及びI2が0%~10%の間に属する、
請求項6に記載の一体型電子積層体。
【請求項8】
前記F1及びF2が約0.4GHz~6GHzである、
請求項6に記載の一体型電子積層体。
【請求項9】
一体型電子積層体であって、
互いに交互になった複数の第1の導電性可撓層及び複数の第2の導電性可撓層を含み、
前記1つ以上の第1の導電性可撓層が金属層であり、前記複数の第2の導電性可撓層の各々が電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む接着剤層であり、
第1の基板と第2の基板との間に一体型の第1の多層積層体を配置することによって電気的に接地された第1の回路が形成され、前記第1の基板は実質的に剛性で、前記一体型の第1の多層積層体が前記第1の基板及び前記第2の基板にそれぞれ接合されるようなっており、前記第2の基板は電気的に接地され、かつ実質的に剛性であり、
電気的に接地された第2の回路が、
前記一体型の第1の多層積層体の複数の層のうちいくつかのみを含む一体型の第1の部分的多層積層体と、前記一体型の第1の多層積層体の前記複数の層のうち他のいくつかを含む一体型の第2の部分的多層積層体とを提供するステップと、
前記一体型の第1の部分的多層積層体を前記第1の基板に接合することによって第1の部分的第2の回路を形成し、前記一体型の第2の部分的多層積層体を前記第2の基板に接合することによって第2の部分的第2の回路を形成するステップと、
によって形成され、
前記一体型の第2の多層積層体が前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されるように、前記第1の部分的第2の回路と前記第2の部分的第2の回路とを互いに接合することによって第2の回路を形成するステップと、によって
形成され、
前記一体型の第1の多層積層体及び前記一体型の第2の多層積層体が、互いに実質的に類似し、前記第1の基板から前記第2の基板まで同じ層順序を有しており、
前記第1の回路の前記第2の基板及び前記第2の回路の前記第2の基板が、パッシブ相互変調信号I1及びI2をそれぞれ発生させ、前記I1が前記I2よりも5dB~80dB小さい、
一体型電子積層体。
【請求項10】
前記一体型の第1の多層積層体の前記他の層のうちいくつかが、前記複数の第1の導電性可撓層のうちいずれか1つと、前記複数の第2の導電性可撓層のうちいずれか1つとを含む、
請求項9に記載の一体型電子積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一体型電子積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、移動通信のための技術開発が活発に行われており、移動通信の開発における重要な要素は、サービス容量を増大させること、及び通信品質を向上させることである。サービス容量の増大及び通信品質の向上にはチャネル間干渉の問題が伴うことがあり、相互変調歪み(IMD:Intermodulation Distortion)が、干渉問題の重要な要因であり得る。
【0003】
2つ以上の信号周波が互いに干渉すると、予期しない寄生信号が発生することがある。例えば、信号周波が互いに干渉して受動要素に寄生信号が発生する現象をパッシブ相互変調(Passive Intermodulation:PIM)という。
【0004】
このようなパッシブ相互変調(PIM)は、フィルタだけでなく、アンテナ、ケーブル、コネクタ、スイッチなどの、金属間接触を有する受動要素のほとんどで発生する。加えて、パッシブ相互変調(PIM)は、機械的接合の緩み、鉄系金属間の接合部の酸化、高周波溶接時の導体表面の汚染、強磁性材料のヒステリシスのような非線形特性などによって発生し得る。
【発明の概要】
【0005】
発明が解決しようとする課題
パッシブ相互変調(PIM)現象は、主として通信機器でデータを高速で通信する過程などで発生する。ところが、パッシブ相互変調が発生すると、上りリンクチャネル信号と下りリンクチャネル信号との間の干渉に影響を及ぼし、通信サービス半径が縮小し、電話接続効率が急激に低下するという問題を引き起こす。このため、通信品質が劣化し、ユーザの不便を招くことがある。
【0006】
本開示の実施形態は、上記背景に鑑みてなされたものであり、複数の信号に起因するパッシブ相互変調(PIM)が内部で低減する導電性回路基板を提供することを目的とする。
【0007】
課題を解決するための手段
本開示の一態様によれば、導電性構成要素を接地するための、パッシブ相互変調(PIM)が内部で低減する一体型電子積層体が提供され、この一体型電子積層体は、第1の一体型積層体及び第2の一体型積層体を含み、第1の一体型積層体は第2の一体型積層体に接合されており、第1の一体型積層体は、実質的に剛性の第1の基板と、第1の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に配置された第1の導電層と、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層と、第1の導電性接着剤層と第2の導電性接着剤層との間に配置され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層にそれぞれ接合され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層が、電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む、第1の導電性薄膜とを含み、第1の導電性接着剤層は第1の導電性薄膜を1つ以上の第1の導電層に接合し、第2の一体型積層体は、実質的に剛性の導電性の第2の基板と、電気絶縁材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む第3の導電性接着剤層と、第2の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に第3の導電性接着剤層を通して接合された可撓性金属薄膜と、を含み、第1の一体型積層体と第2の一体型積層体とは、第3の導電性接着剤層の反対側に配置された可撓性金属薄膜に接合された第2の導電性接着剤層によって互いに接合され、第1の導電層を第2の基板に電気接続している。
【0008】
加えて、一体型電子積層体が提供され、この一体型電子積層体は、第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、第3の導電性接着剤層と、第1の導電性接着剤層と第2の導電性接着剤層との間に配置され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層に接合された可撓性金属薄膜と、第2の導電性接着剤層と第3の導電性接着剤層との間に配置され、第2の導電性接着剤層及び第3の導電性接着剤層に接合された第2の導電性薄膜と、を含み、第1から第3の導電性接着剤層の各々は電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含んでおり、互いに離間した第1の金マイクロストリップ及び第2の金マイクロストリップを提供するステップと、第1の金マイクロスストリップと第2の金マイクロストリップとの上に同一のステンレス鋼板を配置するステップと、ある多層積層体及びその多層積層体に実質的に類似した多層積層体を、ステンレス鋼板と第1の金マイクロストリップとの間及び第2の金マイクロストリップとの間に、2つの多層積層体の第1の導電性接着剤層がステンレス鋼板の同一表面に接合され、2つの多層積層体の第3の導電性接着剤層がそれぞれ第1の金マイクロストリップと第2の金マイクロストリップに接合されるように配置するステップと、によって導電性回路が提供されたときに、実質的に同じ強度I1及びI2と、異なった周波数F1及びF2をそれぞれ有する第1の電流信号及び第2の電流信号が同時に第1の金マイクロストリップに適用されると、nF1+mF2(m及びnは、0ではない正又は負の整数)と同じ周波数F3を有する相互変調電流信号が、強度I3、-150≦I3/I1≦-30dBの電気信号によって反射される。
【0009】
発明の効果
本開示の一実施形態では、複数の信号によって生じるパッシブ相互変調(PIM)が低減するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1の実施形態による一体型電子積層体の断面を示す断面図である。
図2図1の一体型電子積層体を製造する工程を示す断面図である。
図3図1の一体型電子積層体を製造する工程を示す断面図である。
図4】本開示の第2の実施形態による一体型電子積層体の断面を示す断面図である。
図5】本開示の第3の実施形態による一体型電子積層体の断面を示す断面図である。
図6】本開示の第4の実施形態による一体型電子積層体の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の技術的概念を実施するための特定の実施形態を、図面を参照しながら詳細に記載する。
【0012】
本開示の記載において、関連技術の構成又は機能の詳細な説明によって本発明の要旨が不必要に曖昧になると判断される場合、その説明は省略される。
【0013】
加えて、ある要素が別の要素に「接続している(connected to)」、又は「接触している(in contact with)」と記述される場合、その要素は、その別の要素に直接接続、又は直接接触していてもよいが、それらの間に介在要素があってもよいと理解すべきである。
【0014】
「発明を実施するための形態」で使用される用語は特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、本開示を限定すると意図されない。単数形は、文脈によって別途に明示されない限り、複数形も包含すると意図される。
【0015】
加えて、「第1」、「第2」などの序数を含む用語は、様々な要素を説明するために使用できるが、これらの要素は、そのような用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別する目的でのみ使用される。
【0016】
本明細書で使用される用語「含む」は、特定の特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素を特定するものであり、他の特定の特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又は群の存在又は追加を排除するものではない。
【0017】
本明細書で使用される厚さ方向は、図1図3及び図6のy軸方向であってもよい。加えて、横方向は、図1図3及び図6のx軸方向であってもよい。
【0018】
以下では、本開示の一実施形態による一体型電子積層体1の詳細な構成を、図面を参照しながら記載する。
【0019】
図1及び図2を参照すると、本開示の実施形態による一体型電子積層体1は、電気的に接地された回路基板を提供してもよく、複数の電流信号によって引き起こされるパッシブ相互変調(PIM)を低減し得る。前述の一体型電子積層体1は、第1の一体型積層体10及び第2の一体型積層体20を含んでもよい。
【0020】
第1の一体型積層体10は、第2の一体型積層体20と接続していてもよく、第2の一体型積層体20で発生するパッシブ相互変調(PIM)を低減し得る。第1の一体型積層体10は、第1の基板100と、第1の導電層200と、第1の導電性薄膜300と、第1の導電性接着剤層400と、第2の導電性接着剤層500とを含んでもよい。
【0021】
第1の基板100は、電流が流れる回路を提供してもよい。例えば、第1の基板100は可撓性プリント回路基板(printed circuit board:FPCB)であってもよい。加えて、第1の基板100は、導電性を有してもよい。第1の基板100は、厚さ方向に互いに反対側にある第1の主表面110及び第2の主表面120を有してもよい。加えて、第1の基板100は、所定の剛性を有してもよい。例えば、第1の基板100の第1の点101を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、第1の基板100の第1の点101において第1の基板100が不可逆的に変形し得る。第1の基板100は、第1の回路基板130及び電子デバイス140を含んでもよい。
【0022】
第1の回路基板130は、厚さ方向に互いに反対側にある表面を有してもよい。本明細書では、第1の基板100の第1の主表面110を第1の回路基板130の第1の主表面110と称し、第1の基板100の第2の主表面120を第1の回路基板130の第2の主表面120と称することがある。加えて、第1の回路基板130は、導電性コネクタ131を含んでもよい。
【0023】
導電性コネクタ131は、そこを通して電流を流せるように、導電性を有する材料を含んでもよい。加えて、導電性コネクタ131は、第1の基板100の第1の主表面110及び第2の主表面120のうち1つ以上に接続していてもよく、第1の基板130の内部に挿入されていてもよい。例えば、第1の回路基板130上に配置された電子デバイス140は、導電性コネクタ131と電気信号を交換してもよい。
【0024】
複数の導電性コネクタ131が備わってもよく、複数の導電性コネクタ131のうち少なくともいくつかは互いに接続していなくてもよい。加えて、複数の導電性コネクタ131のうちいくつかは電子デバイス140と接続していてもよく、導電性コネクタ131のうち他のいくつかは第1の導電層200と接続していてもよい。
【0025】
第1の導電層200は、第1の基板100の第1の主表面110の少なくとも一部分に配置されてもよい。例えば、第1の導電層200は、第1の基板100の第1の主表面110の一部にのみ配置されていてもよい。加えて、第1の導電層200は、第1の導電性接着剤層400に取り囲まれていてもよい。第1の導電層200でのパッシブ相互変調(PIM)は低くあり得る。例えば、第1の導電層200は、金(Au)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び銀インクのうち1つ以上を含んでもよい。
【0026】
第1の導電性薄膜300は、片面が第1の導電性接着剤層400に接合され、他方の面が第2の導電性接着剤層500に接合されていてもよい。言い換えれば、第1の導電性薄膜300は、第1の導電性接着剤層400と第2の導電性接着剤層500との間に配置されていてもよい。例えば、第1の導電性薄膜300は、導電性箔及び導電性布のうち1つ以上を含んでもよい。第1の導電性薄膜300の導電性箔は、銅(Cu)を含んでもよい。加えて、第1の導電性薄膜300の導電性布は、複数の導電性繊維織布、及び複数の導電性繊維不織布を含んでもよい。
【0027】
第1の導電性接着剤層400は、第1の基板100と第1の導電性薄膜300との間に配置されていてもよく、第1の基板100と第1の導電性薄膜300を接続してもよい。加えて、第1の導電性接着剤層400は、第1の導電層200と第1の導電性薄膜300を接続してもよい。第1の導電性接着剤層400は、第1の導電層200との第1の接触抵抗を形成することがある。本明細書では、第1の接触抵抗とは、第1の導電層200と第1の導電性接着剤層400との接触によって発生する抵抗を意味する。例えば、第1の導電性接着剤層400と第1の導電層200との間に形成された第1の接触抵抗によって、第1のパッシブ相互変調信号が発生することがある。
【0028】
第2の導電性接着剤層500は、第1の導電性薄膜300と第2の一体型積層体20との間に配置されていてもよく、第1の導電性薄膜300と第2の一体型積層体20を接続してもよい。
【0029】
第2の一体型積層体20は、第1の一体型積層体10と接続していてもよい。加えて、第2の一体型積層体20は接地されていてもよく、また第1の一体型積層体10を接地させてもよい。第2の一体型積層体20は、第2の基板600と、可撓性金属薄膜700と、第3の導電性接着剤層800とを含んでもよい。
【0030】
第2の基板600は、電流が流れる回路を提供してもよい。例えば、第2の基板600は、可撓性プリント回路基板(flexible printed circuit board:FPCB)であってもよい。加えて、第2の基板600は、導電性を有してもよい。第2の基板600は、互いに反対側にある第1の主表面610及び第2の主表面620を有してもよい。本明細書では、第2の基板600の第1の主表面610及び第2の主表面620は、第2の基板600の表面であってもよく、第1の基板100の第1の主表面110及び第2の主表面120とは区別されるものとして理解され得る。
【0031】
一方、第2の基板600は接地されていてもよく、また第1の基板100を接地させてもよい。言い換えれば、第1の基板100は、第2の基板600を介して接地されていてもよい。例えば、第2の基板600は、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)、亜鉛めっきアルミニウム、マグネシウム(Mg)、マグネシウムとアルミニウムとの合金、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、亜鉛めっき鋼、チタン(Ti)、及び亜鉛めっき鉄のうち1つ以上を含んでもよい。
【0032】
一体型電子積層体1で発生するパッシブ相互変調信号は、第1の基板100及び第2の基板600のいずれか一方で発生するパッシブ相互変調信号であり得る。例えば、一体型電子積層体1で発生するパッシブ相互変調信号は、主として第2の基板600で発生する第2のパッシブ相互変調信号によって引き起こされ得る。
【0033】
加えて、第2の基板600は、所定の剛性を有してもよい。例えば、第2の基板600の第1の点601を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、第2の基板600の第1の点601において第2の基板600が不可逆的に変形し得る。
【0034】
可撓性金属薄膜700は、第2の基板600で発生するパッシブ相互変調(PIM)を低減し得る。例えば、可撓性金属薄膜700は、後述する第1の接触抵抗及び第2の接触抵抗のうち1つ以上で発生するパッシブ相互変調信号を3dB以上、80dB以下だけ低減し得る。可撓性金属薄膜700は、第3の導電性接着剤層800を介して第2の基板600の第1の主表面610の少なくとも一部に接合されていてもよい。加えて、可撓性金属薄膜700は、第2の導電性接着剤層500に接合されていてもよく、第2の導電性接着剤層500を介して第1の一体型積層体10と電気的に接続していてもよい。
【0035】
例えば、可撓性金属薄膜700は、銅、金属めっき銅、ニッケルめっき銅、ニッケル合金めっき銅、スズめっき銅、金めっき銅、ニッケル、ニッケル合金、及び導電性多層膜のうち1つ以上を含んでもよい。加えて、可撓性金属薄膜700のニッケル合金は、クロム、バナジウム及びチタン合金のうち1つ以上を含んでもよい。
【0036】
加えて、可撓性金属薄膜700は、可撓性材料を含んでもよく、外力によって曲げられ得る。例えば、可撓性金属薄膜700の第1の点701を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、可撓性金属薄膜700の第1の点701において可撓性金属薄膜700に非常に小さい損傷が発生するか、又は損傷が起こらないこともある。
【0037】
第3の導電性接着剤層800は、可撓性金属薄膜700と第2の基板600との間に配置されていてもよく、可撓性金属薄膜700と第2の基板600を接続していてもよい。第3の導電性接着剤層800は、第2の基板600との第2の接触抵抗を形成してもよい。本明細書では、第2の接触抵抗とは、第2の基板600と第3の導電性接着剤層800との接触によって発生する抵抗を意味する。例えば、第3の導電性接着剤層800と第2の基板600との間に形成された第2の接触抵抗によって、第2のパッシブ相互変調信号が発生し得る。
【0038】
一方、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500及び第3の導電性接着剤層800は、それぞれ導電性要素410、510、810及び電気絶縁性材料420、520、820を含んでもよい。
【0039】
複数の導電性要素410、510、810が提供されてもよく、複数の導電性要素410、510、810は電気絶縁性材料420、520、820内に分散されていてもよい。例えば、導電性要素410、510、810は、導電性粒子及び導電性繊維のうち1つ以上を含んでもよい。導電性要素410、510、810の導電性粒子は、1つ以上の導電性塗料でコーティングされた絶縁性粒子を含んでもよい。加えて、導電性要素410、510、810の導電性繊維は、1つ以上の導電性塗料でコーティングされた絶縁性粒子を含んでもよい。
【0040】
第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、及び第3の導電性接着剤層800は、複数の導電性要素410、510、810によって導電性を有してもよい。加えて、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、及び第3の導電性接着剤層800は、厚さ方向の導電性が横方向の導電性より大きくてもよい。言い換えれば、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、及び第3の導電性接着剤層800は、横方向よりも厚さ方向に電流をよく流し得る。
【0041】
本実施形態では、第2の多層積層体40が第2の基板600、可撓性金属薄膜700、及び第3の導電性接着剤層800を含むことを例示したが、これは一例に過ぎず、図3に示すように、第2の多層積層体40は第2の基板600のみを含んでもよい。例えば、第1の多層積層体30は第1の基板100、第1の導電層200、第1の導電性薄膜300、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、可撓性金属薄膜700、及び第3の導電性接着剤層800を含んでもよく、第2の多層積層体40は第2の基板600を含んでもよい。
【0042】
前述の構成に加えて、本開示の第2の実施形態による一体型電子積層体1は、第1の多層積層体30と、第2の多層積層体40と、金マイクロストリップ50と、第1の基板100と、第2の基板600とを含んでもよい。以下では、本開示の第2の実施形態を、図4を参照して記載する。第2の実施形態を記載する際は、前述の実施形態との相違点を主に記載し、同じ記載及び符号については前述の実施形態を参照する。
【0043】
第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40の各々は、第1の導電性薄膜300、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、可撓性金属薄膜700、及び第3の導電性接着剤層800を含んでもよい。
【0044】
第1の導電性薄膜300は、第2の導電性接着剤層500と第3の導電性接着剤層800との間に配置されていてもよく、第2の導電性接着剤層500及び第3の導電性接着剤層800に接合されていてもよい。第1の導電性薄膜300は、第2の導電性薄膜と称され得る。
【0045】
第1の導電性接着剤層400は、第2の基板600と可撓性金属薄膜700との間に配置されていてもよく、第2の基板600と可撓性金属薄膜700を接続してもよい。
【0046】
第2の導電性接着剤層500は、可撓性金属薄膜700と第1の導電性薄膜300との間に配置されていてもよく、可撓性金属薄膜700と第1の導電性薄膜300を接続してもよい。
【0047】
可撓性金属薄膜700は、第1の導電性接着剤層400と第2の導電性接着剤層500との間に配置されていてもよく、第1の導電性接着剤層400及び第2の導電性接着剤層500に接合されていてもよい。
【0048】
第3の導電性接着剤層800は、金マイクロストリップ50と第1の導電性薄膜300との間に配置されていてもよく、金マイクロストリップ50と第1の導電性薄膜300を接続してもよい。
【0049】
第1の基板100は、第1の金マイクロストリップ50と第2の金マイクロストリップ60を接続してもよい。
【0050】
第2の基板600はステンレス鋼を含んでもよく、ステンレス鋼板とも称され得る。
【0051】
金マイクロストリップ50は、金(Au)を含んでもよく、また第1の金マイクロストリップ51及び第2の金マイクロストリップ52を含んでもよい。
【0052】
第1の金マイクロストリップ51は、第1の多層積層体30と第1の基板100との間に配置されていてもよく、第1の多層積層体30と第1の基板100を接続してもよい。第1の金マイクロストリップ51は、第1の多層積層体30と第2の基板600との間に生じるパッシブ相互変調を低減し得る。
【0053】
第2の金マイクロストリップ52は、第2の多層積層体40と第1の基板100との間に配置されていてもよく、第2の多層積層体40と第1の基板100を接続してもよい。第2の金マイクロストリップ52は、第2の多層積層体40と第2の基板600との間に生じるパッシブ相互変調を低減し得る。
【0054】
一方、一体型電子積層体1に導電性回路が備わってもよい。例えば、導電性回路は、第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40を金マイクロストリップ50と第2の基板600との間に配置して、第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40の第1の導電性接着剤層400が第2の基板600の同一の表面に接合され、第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40の第3の導電性接着剤層800が第1の金マイクロストリップ51及び第2の金マイクロストリップ52に接合されるようにするステップによって提供されてもよい。例えば、一体型電子積層体1の導電性回路は、電流が第1の基板100、第1の金属マイクロストリップ51、第1の多層積層体30、第2の基板600、第2の多層積層体40、及び第2の金マイクロストリップ52に沿って流れることのできる、所定の回路であってもよい。
【0055】
第1の電流信号及び第2の電流信号が一体型電子積層体1の第1の金マイクロストリップ51に適用されると、同時に、強度I3の電気信号によって相互変調電流信号が反射され得る。本明細書では、第1の電流信号は、強度I1及び周波数F1を有してもよい。加えて、第2の電流信号は、強度I2及び周波数F2を有してもよい。例えば、F1及びF2は約0.4GHz~6GHzであってもよく、I1及びI2は0%~30%の間に属してもよい。より具体的な例では、F1及びF2は、約600MHz~800MHzであってもよく、約0MHz~100MHzの間の差異を有してもよい。
【0056】
相互変調電流信号は、nF1+mF2と同じ周波数F3を有し得る(m及びnは、0ではない正又は負の整数)。例えば、I3/I1は、-150dB以上、-30dB以下であってもよい。
【0057】
前述の構成に加えて、本開示の第3の実施形態による一体型電子積層体1は、第1の多層積層体30と、第2の多層積層体40と、第1の基板100と、第2の基板600とを含んでもよい。以下では、本開示の第3の実施形態を、図5を参照して記載する。第3の実施形態を記載する際は、前述の実施形態との相違点を主に記載し、同じ記載及び符号については前述の実施形態を参照する。
【0058】
第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40の各々は、第1の導電性薄膜300、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、可撓性金属薄膜700、及び第3の導電性接着剤層800を含んでもよい。
【0059】
本実施形態において、第1の導電性薄膜300及び可撓性金属薄膜700は、第1の導電可撓層900と称され得る。加えて、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、及び第3の導電性接着剤層800は第2の導電性可撓層1000と称され得る。
【0060】
例えば、第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40の各々は、互いに交互になった複数の第1の導電性可撓層900と複数の第2の導電性可撓層1000とを含んでもよい。第1の導電性可撓層900は、金属層であってもよい。加えて、第2の導電性可撓層1000は、電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む接着剤層であってもよい。
【0061】
一方、第1の多層積層体30内に、第1の回路が形成されてもよい。例えば、第1の回路は、第1の多層積層体30を第1の基板100及び第2の基板600に接合するために、第1の基板100と第2の基板600との間に第1の多層積層体30を配置することによって形成されてもよい。
【0062】
加えて、第2の多層積層体40内に、第2の回路が形成されてもよい。例えば、第2の回路は、第1の部分的多層積層体41及び第2の部分的多層積層体42を提供して、提供された第1の部分的多層積層体41を第1の基板100に接合して第1の部分的第2の回路を形成し、第2の部分的多層積層体42を第2の基板600に接合して第2の部分的第2の回路を形成するステップを通じて形成されてもよい。より具体的な例では、第2の回路は、第1の基板100と第2の基板600との間に第2の多層積層体40を配置するために、第1の部分第2の回路と第2の部分第2の回路とを互いに接合することによって形成されてもよい。
【0063】
本明細書では、第1の部分多層積層体41は、第1の多層積層体30の複数の層のいくつかを含み、第2の部分多層積層体42は、第1の多層積層体30の複数の層の他のいくつかを含んでもよい。例えば、第1の部分多層積層体41は、第1の導電性接着剤層400、第1の導電性薄膜300、及び第2の導電性接着剤層500を含んでもよい。加えて、第2の部分多層積層体42は、可撓性金属薄膜700及び第3の導電性接着剤層800を含んでもよい。別の例では、第1の部分多層積層体41は、2つの第2の導電性可撓層1000のうちいずれか1つと、2つの第2の導電性可撓層1000の間に配置された複数の第1の導電性可撓層900とを含んでもよい。加えて、第2の部分的多層積層体42は、複数の第1の導電性可撓層900のいずれか1つと、複数の第2の導電性可撓層1000のいずれか1つとを含んでもよい。
【0064】
第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40は、互いに実質的に類似していてもよく、第1の基板100から第2の基板600まで同じ層順序を有してもよい。加えて、第1の回路及び第2の回路の第2の基板600は、パッシブ相互変調信号I1、I2をそれぞれ発生させることがある。I1は、I2よりも3dB~80dBだけ小さくてもよい。
【0065】
本実施形態では、第1の多層積層体30及び第2の多層積層体40は、それぞれ、一体型の第1の多層積層体30及び一体型の第2の多層積層体40と称され得る。加えて、第1の部分多層積層体41及び第2の部分多層積層体42は、それぞれ、一体型の第1の部分的多層積層体41及び一体型の第2の部分的多層積層体42と称され得る。
【0066】
前述の構成に加えて、本開示の第4の実施形態による一体型電子積層体1は、第1の基板100、第1の導電層200、第1の導電性薄膜300、第1の導電性接着剤層400、第2の導電性接着剤層500、第2の基板600、可撓性金属薄膜700、第3の導電性接着剤層800、及び第4の導電性接着剤層1100を含んでもよい。以下では、本開示の第4の実施形態を、図6を参照して記載する。第4の実施形態を記載する際は、前述の実施形態との相違点を主に記載し、同じ記載及び符号については前述の実施形態を参照する。
【0067】
複数の第1の導電性薄膜300が備わってもよい。複数の第1の導電性薄膜300のいくつかは、第1の導電性接着剤層400と第2の導電性接着剤層500との間に配置されていてもよい。複数の第1の導電性薄膜300の他のいくつかは、第3の導電性接着剤層800と第4導電性接着剤層1100との間に配置されてもよい。
【0068】
第2の導電性接着剤層500は、複数の第1の導電性薄膜300のいくつかを可撓性金属薄膜700に接続してもよい。
【0069】
第3の導電性接着剤層800は、複数の第1の導電性薄膜300の他のいくつかを可撓性金属薄膜700に接続してもよい。
【0070】
第4の導電性接着剤層1100は、複数の第1の導電性薄膜300の他のいくつかと第2の基板600との間に配置されてもよく、複数の第1の導電性薄膜300の他のいくつかと第2の基板600を接続してもよい。
【0071】
以下は、本開示の実施形態のリストである。
【0072】
項目1は導電性構成要素を接地するための、パッシブ相互変調(PIM)が内部で低減する一体型電子積層体に関し、この一体型電子積層体は、第1の一体型積層体及び第2の一体型積層体を含み、第1の一体型積層体は第2の一体型積層体に接合されており、第1の一体型積層体は、実質的に剛性の第1の基板と、第1の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に配置された第1の導電層と、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層と、第1の導電性接着剤層と第2の導電性接着剤層との間に配置され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層にそれぞれ接合され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層が電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む、第1の導電性薄膜とを含み、第1の導電性接着剤層は第1の導電性薄膜を1つ以上の第1の導電層に接合し、第2の一体型積層体は、実質的に剛性の導電性の第2の基板と、電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む第3の導電性接着剤層と、第2の基板の第1の主表面の少なくとも一部分に第3の導電性接着剤層を通して接合された可撓性金属薄膜と、を含み、第1の一体型積層体と第2の一体型積層体とは、第3の導電性接着剤層の反対側に配置された可撓性金属薄膜に接合された第2の導電性接着剤層によって互いに接合され、第1の導電層を第2の基板に電気接続している。
【0073】
項目2は当該一体型電子積層体に関し、第1の基板は1つ以上の導電性コネクタを含む第1の回路基板を含む。
【0074】
項目3は当該一体型電子積層体に関し、第1の基板は、第1の基板の第1の主表面の反対側にある第1の基板の第2の主表面に接合された1つ以上の電子デバイスを更に含み、1つ以上の電子デバイスは1つ以上の導電性コネクタに電気的に接続している。
【0075】
項目4は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電層は、金(Au)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び銀インクのうち1つ以上を含む。
【0076】
項目5は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電性薄膜は導電性箔及び導電性布のうち1つ以上を含む。
【0077】
項目6は当該一体型電子積層体に関し、導電性箔は銅(Cu)を含む。
【0078】
項目7は当該一体型電子積層体に関し、導電性布は複数の導電性繊維織布を含む。
【0079】
項目8は当該一体型電子積層体に関し、導電性布は複数の導電性繊維不織布を含む。
【0080】
項目9は当該一体型電子積層体に関し、第2の基板はステンレス鋼、アルミニウム(Al)、亜鉛めっきアルミニウム、マグネシウム(Mg)、マグネシウムとアルミニウムとの合金、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、亜鉛めっき鋼、チタン(Ti)、及び亜鉛めっき鉄のうち1つ以上を含む。
【0081】
項目10は当該一体型電子積層体に関し、可撓性金属薄膜は銅、金属めっき銅、ニッケルめっき銅、ニッケル合金めっき銅、スズめっき銅、金めっき銅、ニッケル、ニッケル合金、及び導電性多層膜のうち1つ以上を含む。
【0082】
項目11は当該一体型電子積層体に関し、ニッケル合金はクロム、バナジウム、及びチタン合金のうち1つ以上を含む。
【0083】
項目12は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電性接着剤層は第1の導電性層との第1の接触抵抗を形成し、第3の導電性接着剤層は第2の基板との第2の接触抵抗を形成し、可撓性金属薄膜が存在することにより、第1の接触抵抗及び第2の接触抵抗のうち1つ以上で発生するパッシブ相互変調信号が5dB~80dBだけ低減する。
【0084】
項目13は当該一体型電子積層体に関し、第2の基板は接地されており、第1の基板を接地させる。
【0085】
項目14は当該一体型電子積層体に関し、一体型電子積層体で発生するパッシブ相互変調信号は、主に第1の基板及び第2の基板のいずれか1つによって引き起こされる。
【0086】
項目15は当該一体型電子積層体に関し、電子積層体内で発生するパッシブ相互変調信号は主に第2の基板によって引き起こされる。
【0087】
項目16は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、及び第3の導電性接着剤層のうち1つ以上の複数の導電性要素は、導電性粒子及び導電性繊維のうち1つ以上を含む。
【0088】
項目17は当該一体型電子積層体に関し、導電性粒子は、1つ以上の導電性塗料でコーティングされた絶縁性粒子を含む。
【0089】
項目18は当該一体型電子積層体に関し、導電性繊維は、1つ以上の導電性塗料でコーティングされた絶縁性粒子を含む。
【0090】
項目19は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、及び第3の導電性接着剤層のうち1つ以上は、接着剤層の厚さ方向に沿って導電性がより高く、接着剤層の厚さ方向に直交する横方向に沿って導電性がより低い。
【0091】
項目20は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電層は、第1の回路基板の第1の主表面の一部のみに配置される。
【0092】
項目21は当該一体型電子積層体に関し、実質的に剛性である第1の基板及び第2の基板の各々の第1の点を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、剛性基板が第1の点において不可逆的に変形する。
【0093】
項目22は当該一体型電子積層体に関し、可撓性金属薄膜の第1の点を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、第1の点において可撓性金属薄膜に非常に小さい損傷が発生するか、又は損傷が起こらない。
【0094】
項目23は一体型電子積層体に関し、この一体型電子積層体は、第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、第3の導電性接着剤層と、第1の導電性接着剤層と第2の導電性接着剤層との間に配置され、第1の導電性接着剤層及び第2の導電性接着剤層に接合された可撓性金属薄膜と、第2の導電性接着剤層と第3の導電性接着剤層との間に配置され、第2の導電性接着剤層及び第3の導電性接着剤層に接合された第2の導電性薄膜と、を含み、第1から第3の導電性接着剤層は電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含んでおり、互いに離間した第1の金マイクロストリップ及び第2の金マイクロストリップを提供するステップと、第1の金マイクロスストリップと第2の金マイクロストリップとの上に同一のステンレス鋼板を配置するステップと、ある多層積層体及びその多層積層体に実質的に類似した多層積層体を、ステンレス鋼板と第1の金マイクロストリップとの間及び第2の金マイクロストリップとの間に、2つの多層積層体の第1の導電性接着剤層がステンレス鋼板の同一表面に接合され、2つの多層積層体の第3の導電性接着剤層がそれぞれ第1の金マイクロストリップと第2の金マイクロストリップに接合されるように配置するステップと、によって導電性回路が提供されたときに、実質的に同じ強度I1及びI2と、異なった周波数F1及びF2をそれぞれ有する第1の電流信号及び第2の電流信号が同時に第1の金マイクロストリップに適用されると、nF1+mF2(m及びnは、0ではない正又は負の整数)と同じ周波数F3を有する相互変調電流信号が、強度I3、-150≦I3/I1≦-30dBの電気信号によって反射される。
【0095】
項目24は当該一体型電子積層体に関し、可撓性金属薄膜は導電性箔及び導電性布のうち1つ以上を含む。
【0096】
項目25は当該一体型電子積層体に関し、導電性箔は銅を含む。
【0097】
項目26は当該一体型電子積層体に関し、導電性布は複数の導電性繊維織布を含む。
【0098】
項目27は当該一体型電子積層体に関し、導電性布は複数の導電性繊維不織布を含む。
【0099】
項目28は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、及び第3の導電性接着剤層のうち1つ以上の複数の導電性要素は、導電性粒子及び導電性繊維のうち1つ以上を含む。
【0100】
項目29は当該一体型電子積層体に関し、第1の導電性接着剤層、第2の導電性接着剤層、及び第3の導電性接着剤層のうち1つ以上は、接着剤層の厚さ方向に沿って導電性がより高く、接着剤層の厚さ方向に直交する横方向に沿って導電性がより低い。
【0101】
項目30は当該一体型電子積層体に関し、可撓性金属薄膜は、銅、金属めっき銅、ニッケルめっき銅、ニッケル合金めっき銅、スズめっき銅、金めっき銅、ニッケル、ニッケル合金、及び導電性多層膜のうち1つ以上を含む。
【0102】
項目31は当該一体型電子積層体に関し、ニッケル合金はクロム、バナジウム、及びチタン合金のうち1つ以上を含む。
【0103】
項目32は当該一体型電子積層体に関し、強度I1及びI2は0%~10%の間に属する。
【0104】
項目33は当該一体型電子積層体に関し、F1及びF2は約0.4GHz~6GHzである。
【0105】
項目34は当該一体型電子積層体に関し、F1及びF2は約600MHz~4GHzである。
【0106】
項目35は当該一体型電子積層体に関し、F1及びF2は、約600MHz~800MHzである。
【0107】
項目36は当該一体型電子積層体に関し、F1とF2とは、約0MHz~100MHzの差を有する。
【0108】
項目37は当該一体型電子積層体に関し、m及びnのいずれか一方は正の整数であり、m及びnの他方は負の整数である。
【0109】
項目38は、互いに交互になった複数の第1の導電性可撓層と複数の第2の導電性可撓層とを含む一体型電子積層体に関し、ここで、1つ以上の第1の導電性可撓層は金属層であり、複数の第2の導電性可撓層の各々は電気絶縁性材料内に実質的に分散された複数の導電性要素を含む接着剤層であり、一体型の第1の多層積層体を第1の基板と第2の基板との間に第1の多層積層体を配置することによって電気的に接地された第1の回路が形成され、第1の基板は実質的に剛性で、一体型の第1の多層積層体が第1の基板及び第2の基板にそれぞれ接合されるようになっており、第2の基板は電気的に接地され、かつ実質的に剛性であり、ここで、一体型の第1の多層積層体の複数の層のうちいくつかのみを含む一体型の第1の部分的多層積層体と、一体型の第1の多層積層体の複数の層の他のいくつかを含む一体型の第2の部分的多層積層体とを提供するステップと、一体型の第1の部分的多層積層体を第1の基板に接合することによって第1の部分的第2の回路を形成し、一体型の第2の部分的多層積層体を第2の基板に接合することによって第2の部分的第2の回路を警醒するステップと、一体型の第2の多層積層体が第1の基板と第2の基板との間に配置されるように、第1の部分的第2の回路及び第2の部分的第2の回路を互いに接合して第2の回路を形成するステップと、によって、電気的に接地された第2の回路が形成され、ここで、一体型の第1の回路と一体型の第2の回路は実質的に互いに類似し、かつ、第1の基板から第2の基板まで同じ層順序を有し、ここで、第1の回路の第2の基板及び第2の回路の第2の基板はパッシブ相互変調信号I1及びI2をそれぞれ発生させ、I1はI2よりも5dB~80dB小さい。
【0110】
項目39は当該一体型電子積層体に関し、金属層は銅、金属めっき銅、ニッケルめっき銅、ニッケル合金めっき銅、スズめっき銅、金めっき銅、ニッケル、ニッケル合金、及び導電性多層膜のうち1つ以上を含む。
【0111】
項目40は当該一体型電子積層体に関し、1つ以上の第1の導電性可撓層は導電性箔及び導電性布のうち1つ以上を含む。
【0112】
項目41は当該一体型電子積層体に関し、導電性箔は銅を含む。
【0113】
項目42は当該一体型電子積層体に関し、導電性布は複数の導電性繊維織布を含む。
【0114】
項目43は当該一体型電子積層体に関し、導電性布は複数の導電性繊維不織布を含む。
【0115】
項目44は当該一体型電子積層体に関し、第1の基板は1つ以上の導電性コネクタを含む第1の回路基板を含む。
【0116】
項目45は当該一体型電子積層体に関し、第1の基板の第1の主表面の反対側に配置された第1の基板の第2の主表面に接合された1つ以上の電子デバイスを更に含み、1つ以上の電子デバイスは1つ以上の導電性コネクタに電気的に接続している。
【0117】
項目46は当該一体型電子積層体に関し、第2の基板はステンレス鋼、アルミニウム、亜鉛めっきアルミニウム、マグネシウム、マグネシウムとアルミニウムとの合金、鉄、亜鉛、亜鉛めっき鋼、チタン、及び亜鉛めっき鉄のうち1つ以上を含む。
【0118】
項目47は当該一体型電子積層体に関し、実質的に剛性である第1の基板及び第2の基板の各々の第1の点を1mm~10mmの曲げ半径にわたって曲げると、剛性基板が第1の点において不可逆的に変形する。
【0119】
項目48は当該一体型電子積層体に関し、一体型電子積層体のいくつかの層は、2つの第2の導電性可撓層の間に配置された複数の第1の導電性可撓層のうちいずれか1つを含む。
【0120】
項目49は当該一体型電子積層体に関し、一体型電子積層体の他の層のうちいくつかは、複数の第1の導電性可撓層のうちいずれか1つと、複数の第2の導電性可撓層のうちいずれか1つとを含む。
【0121】
以上、本発明の実施形態について具体的な実施形態を挙げて説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、本明細書で開示される技術概念の最も広い範囲を有するものとして解釈されるべきである。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態を組み合わせ/置換することによって、本明細書に記載されていない形状のパターンを具現化してもよい。加えて、当業者であれば、開示された実施形態を詳細な説明に基づいて容易に変更又は修正し得、そのような変更又は修正が本発明の権利範囲に属することは明らかである。
【符号の説明】
【0122】
1 一体型電子積層体
10 第1の一体型積層体
20 第2の一体型積層体
30 第1の積層体
40 第2の積層体
41 第1の部分的積層体
42 第2の部分的積層体
50 金マイクロストリップ
51 第1の金マイクロストリップ
52 第2の金マイクロストリップ
100 第1の基板
200 第1の導電層
300 第1の導電性薄膜
400 第1の導電性接着剤層
500 第2の導電性接着剤層
600 第2の基板
700 可撓性金属薄膜
800 第3の導電性接着剤層
900 第1の導電性可撓層
1000 第2の導電性可撓層
1100 第4の導電性接着剤層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】