(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】車両ロッカーアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
B62D25/20 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521781
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022078061
(87)【国際公開番号】W WO2023064868
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591187162
【氏名又は名称】シェイプ・コープ
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
【住所又は居所原語表記】1900 Hayes St., Grand Haven, Michigan 49417, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】オクスレイ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カイパーズ、マシュー
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203AA33
3D203BB12
3D203BB13
3D203BB55
3D203BB62
3D203CA25
3D203CA29
3D203CA55
3D203CA57
3D203CA58
3D203DB05
(57)【要約】
車両ロッカーアセンブリ(102)は、シルインナー(12)及びシルアウター(14)を含む。シルインナー(12)の上部フランジ部分(18)は、シルアウター(14)の上部フランジ部分(22)と結合され、及びシルインナー(12)の下部フランジ部分(20)は、シルアウター(14)の下部フランジ部分(24)と結合されて、車両ロッカーアセンブリ(102)の中空内部(16)を取り囲む。シルインナー(12)又はシルアウター(14)の一方は、それぞれのシルインナー(12)又はシルアウター(14)のシル壁に一体化された補強構造(40)を含む。補強構造(40)は、それぞれ中空内部(16)に横方向にまたがり、且つシルインナー(12)及びシルアウター(14)と多中空断面形状を形成する壁を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ロッカーアセンブリであって、
シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルインナーと、
シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルアウターと
を備え、
前記シルインナーの前記上部フランジ部分が前記シルアウターの前記上部フランジ部分と結合され、及び前記シルインナーの前記下部フランジ部分が前記シルアウターの前記下部フランジ部分と結合されて、前記車両ロッカーアセンブリの中空内部を取り囲み、
前記シルインナー又は前記シルアウターの一方が、前記それぞれのシルインナー又はシルアウターの前記シル壁に一体化された補強構造を備え、
前記補強構造が、それぞれ前記中空内部にまたがり、且つ前記シルアウターからシルインナーへの側面衝撃荷重経路を担うように構成された上壁及び下壁を備える、
車両ロッカーアセンブリ。
【請求項2】
前記シルインナーが、前記補強構造の前記上壁及び下壁の端部間を一体的に接続する外壁セクションをさらに備え、
前記外壁セクションが前記シルアウターに隣接して配置される、請求項1に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項3】
前記外壁セクションが、前記シルアウターで受けた側面衝撃力を前記補強構造に伝達するように構成される、請求項2に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項4】
前記上壁及び前記下壁の少なくとも一方が、前記シルインナー又は前記シルアウターの一方の前記シル壁部分と直角に対して角度を成して配置され、
前記角度が横力偏向の角度として定義される、請求項2又は3に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項5】
前記横力偏向の角度が、前記補強構造の横方向の変形を制御するように構成される、請求項4に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項6】
前記横力偏向の角度が50度未満である、請求項4又は5に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項7】
前記補強構造が、前記車両ロッカーアセンブリの長さに沿って連続的に平行に延びる複数の細長い屈曲を有するシート材料で構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項8】
前記シルインナーが、前記補強構造の前記上壁及び前記下壁の端部間を一体的に接続する外壁セクションをさらに備え、
前記複数の細長い屈曲が前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁を分割する、請求項7に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の細長い屈曲が前記補強構造の三角形の断面形状を画定する、請求項7又は8に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項10】
前記シルインナー及び前記シルアウターが、前記車両ロッカーアセンブリの前記長さに沿って延びる複数の取り囲まれた管状セクションを形成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の管状セクションが少なくとも第1の管状セクション、第2の管状セクション及び第3の管状セクションを備える、請求項10に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項12】
上部フランジ部分及び下部フランジ部分を有するシルアウターに結合されるように構成された車両補強構成要素であって、
中空内部を取り囲むように、前記シルアウターの前記上部フランジ部分と結合されるように構成された上部フランジ部分及び前記シルアウターの前記下部フランジ部分と結合されるように構成された下部フランジ部分と、
前記上部及び下部フランジ部分間に配置され、且つそれぞれ前記上部及び下部フランジ部分間で前記シルアウターに係合するように車外に延びる上壁及び下壁を備える補強構造と
を備え、
前記上部フランジ部分、下部フランジ部分及び補強構造が、前記中空内部の長さに沿って一貫した断面形状を有する薄肉構造として一緒に一体的に形成される、
車両補強構成要素。
【請求項13】
前記上壁及び前記下壁の車外端部間を一体的に接続する外壁セクションをさらに備え、
前記外壁セクションが、前記シルアウターに係合するように構成される、請求項12に記載の車両補強構成要素。
【請求項14】
前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁が実質的に平面状の薄肉構造であり、
前記上壁及び前記下壁が前記外壁セクションに対して斜めの角度で配置される、請求項13に記載の車両補強構成要素。
【請求項15】
前記補強構造が、前記中空内部の前記長さに沿って連続的に延びる複数の細長い屈曲を一緒に画定する、前記上壁、前記下壁及び前記外壁セクション間に配置された円弧状形状を備える、請求項13又は14に記載の車両補強構成要素。
【請求項16】
前記円弧状形状が、前記補強構造の横方向の変形を制御するように構成される曲率半径を含む、請求項15に記載の車両補強構成要素。
【請求項17】
前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁が一緒に三角形の断面形状を形成する、請求項13~16のいずれか一項に記載の車両補強構成要素。
【請求項18】
車両補強構成要素であって、
インナーパネルと、
アウターパネルであって、前記インナーパネルと結合されて、それらの間に複数の細長い中空キャビティを取り囲むアウターパネルと
を備え、
前記インナーパネルが、それぞれ前記インナーパネルの内壁セクションから車外に一体的に延びる上壁及び下壁を有する補強構造を備え、
前記上壁及び下壁の車外端部が、前記アウターパネルに隣接して配置される外壁セクションと一体的に接続する、
車両補強構成要素。
【請求項19】
前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁が実質的に平面状の薄肉構造であり、
前記上壁及び前記下壁が前記外壁セクションに対して斜めの角度で配置される、請求項18に記載の車両補強構成要素。
【請求項20】
前記補強構造が、前記インナーパネルの長さに沿って連続的に延びる複数の細長い屈曲を一緒に画定する、前記上壁、前記下壁及び前記外壁セクション間に配置された円弧状形状を備える、請求項18又は19に記載の車両補強構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月13日に提出された米国仮特許出願第63/255,053号に付与された米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張するものであり、この先行出願の開示は、本出願の一部とみなされ、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ロッカー及びシルアセンブリ、バッテリトレイ補強材並びに関連する構造構成要素などの細長い車両フレーム及びボディ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
車両フレーム及びボディ構造は、車両を支持するように設計され、また、保険要件並びに他の規制要件及び法的要件に従って車両内への侵入距離を防止するように、特定レベルの衝撃力を受け、吸収するように設計されている。車両への側面衝撃は、一般的にサイドポール衝撃試験で試験され、この試験は、車両に大きな側面衝撃力を仕向ける。車両フレームは、主に、車両フレームの下部車外部分に沿って前輪と後輪との間を長手方向に走るロッカーセクションで、これらの側面衝撃を吸収する。
【0004】
電気自動車及びハイブリッド電気自動車において対向するロッカーセクション間の横方向車内エリアにバッテリトレイが組み込まれた状態では、バッテリトレイ内の利用可能なバッテリ格納容積を最大にするために、側面衝撃侵入距離を短くすることが望まれる。例えば、ロッカーセクションに内部補強材を追加するなどしてロッカーセクションの剛性を高めて側面衝撃侵入の車内距離を短くすることが一般的に知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ロッカーアセンブリなどの車両補強構成要素を提供する。車両補強構成要素及びロッカーアセンブリの例は、シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルインナーを含み得る。車両補強構成要素及びロッカーアセンブリは、シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルアウターも含み得る。いくつかの例では、シルインナーの上部フランジ部分は、シルアウターの上部フランジ部分と結合され、及びシルインナーの下部フランジ部分は、シルアウターの下部フランジ部分と結合されて、車両ロッカーアセンブリの中空内部を取り囲む。いくつかの例では、シルインナー又はシルアウターの一方は、それぞれのシルインナー又はシルアウターのシル壁に一体化された補強構造を含む。いくつかの例では、補強構造は、それぞれ中空内部にまたがり、且つシルアウターからシルインナーへの側面衝撃荷重経路を担うように構成された上壁及び下壁を含む。
【0006】
本開示の実施態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの例では、車両ロッカーアセンブリは、シルアウターに隣接する外壁セクションを含む。いくつかの実施態様では、外壁セクションは、側面衝撃力を受けるように構成され、外壁セクションは、シルアウター及び補強構造の1つ又は複数と係合するように構成される。
【0007】
いくつかの例では、補強構造は、上壁と下壁との間に円弧状形状を含む。円弧状形状は、補強構造の横方向の変形を制御するように構成された曲率半径を含み得る。いくつかの例では、円弧状形状で提供される角度は、50度未満である。いくつかの例では、円弧状形状で提供される角度は、およそ20度などの10~30度である。
【0008】
いくつかの実施態様では、上壁部分及び下壁部分は、補強構造の長さに沿って延びる複数の管状セクションを形成する。いくつかの例では、複数の管状セクションは、少なくとも第1の管状セクション、第2の管状セクション及び第3の管状セクションを含む。
【0009】
本開示の1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載に記載されている。他の態様、利点、目的及び特徴は、図面と併せて以下の明細書を検討すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ロッカーアセンブリ及び他の構造構成要素を概略的に示す車両の上方斜視図である。
【
図2】ロッカーアセンブリ及び他の構造構成要素を概略的に示す車両の側面立面図である。
【
図3】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの一例の断面図である。
【
図4】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図5】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図6】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図7】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図8】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図9】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図10】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照数字は、図面全体を通して同様の部品を示す。
【0012】
ここで、図面及びそこに描かれた説明に役立つ実施形態を参照すると、
図1及び2に示されるようなボディ構造又はフレーム101など、車両100のための車両補強構成要素が提供される。車両フレーム101及び関連する構成要素は、異なる様式及び種類の車両用など、様々な設計及び構成を有し得る。例えば、
図1及び2に示されるように、車両補強構成要素は、考えられる他の構造構成要素の中でもとりわけ、Bピラー103、ヒンジピラー104、フロアクロスメンバ105、ルーフボウ106又はヘッダ107など、他の車両構成要素の中でもとりわけ車両ロッカーアセンブリ102として実装され得る。また、車両は、トラクションバッテリ又はバッテリモジュールなどのバッテリを使用する推進システムによって部分的に作動され得る。これらのバッテリは、バッテリ重量を分散して車両の低重心を確立するために、一般にアクスル間及び車両の床付近に配置されたバッテリ構造又はトレイ108に支持され得る。例えば、
図3に示すように、多中空車両補強構成要素は、バッテリケース又はトレイ108に沿って配置された車両ロッカーアセンブリ10を備え得る。アウターシルパネル14は、
図3に示されるようなインナーシルパネル12に取り付けられる。インナーシルパネル12は、バッテリトレイ108の外側セクションと並んで配置される多管状ロッカー構造を形成するように車外に延びる内部補強壁を有する。フロアクロスメンバ105も、バッテリトレイ108を越えて車両100内に横方向にまたがるように車両ロッカーアセンブリ10に取り付けられる。したがって、追加的な実施態様における車両補強構成要素は、同様に又は代替的に、バッテリトレイ構成要素又はその一部となるように、バッテリトレイと部分的に又は完全に一体化され得る。例えば、いくつかの例では、車両補強構成要素は、バッテリトレイの長手方向に向けられた側壁セクションである。さらに、車両補強構成要素は、それぞれの車両補強構成要素の部品全体として又は一部として具現化され得る。車両補強構成要素は、車両の外側ボディ構造を部分的に形成するためにフロアクロスメンバ105の端部に配置されるボディアウターパネルも含むか又は一体化し得る。
【0013】
車両補強構成要素は、構造構成要素又はバッテリトレイ構成要素等として実装されるか否かにかかわらず、様々な衝撃力を受け、様々な荷重条件を支持し、維持するように設計され得る。本明細書に開示される補強構造を用いて車両補強構成要素を設計する場合、車両補強構成要素の外寸を小さくし、車両補強構成要素の全体重量を低減する一方、要求される衝撃及び荷重条件を満たすか又は上回るようにし得る。追加の剛性及び強度を提供する補強構造は、車両補強構成要素の部分的なセクション又は全長にまたがり得る。本明細書に開示される補強構造は、車両補強構成要素全体を構成し得るか、又はその所望のセクションなどで追加の補強材若しくは車両補強構成要素の一部に接合され得る。例えば、補強構造は、1つ又は複数の追加構成要素と一体的に形成され得る。これは、中空構成要素内のレーザ溶接又はMIG溶接などのより高価な溶接技術への依存を排除又は低減し得、且つ追加構成要素の必要性も排除し得る。さらに、本明細書で開示される補強構造は、金属シートをロール成形するなどしてシート材料で形成して、一般的なロッカーパネルと比較して比較的高い強度(せん断荷重及び軸方向荷重に対して)及び低い重量を有する構造を提供し、例えば、対応する車両補強構成要素のシルパネル(提供される場合)がより少ない材料を使用し、より小さいパッケージングスペースを占有し、外形設計でより大きい柔軟性を有することを可能にし得る。
【0014】
車両補強構成要素及び補強構造は、断面形状に示すように薄肉構造である。しかし、車両補強構成要素及び補強構造の異なる例の断面形状は、車両補強構成要素の所望の用途のために様々な形状及び厚さを含み得る。いくつかの例における車両補強構成要素は、車両の長さに沿って延び、1つ又は複数のシルパネル、例えば内部エリア16の周りに一緒に取り付けられるシルインナーパネル12及びシルアウターパネル14を含む細長いロッカー構成要素であり得る。本明細書で使用される場合、「インナー」及び「アウター」という用語は、
図1において方向付けられる車両100などの車両の幅方向又は横方向における車内又は内側を向いた方向及び車外又は外側を向いた方向に関して使用される。シルインナー12又はシルアウター14は、
図3~10に示すように、それぞれのシルインナー12又はシルアウター14のシル壁に補強構造40を一体化し得る。補強構造40は、多管状構造を形成するように、第1及び第2のシルパネル12、14間で車両ロッカーアセンブリ10の中空内部空間16内に配置され得る。補強構造は、車両補強構成要素の内部エリア内に延びる2つ以上の中空内部エリアを有する多管状形状を有し得る。補強構造の断面形状又はプロファイルは、一般に、補強構造に沿って一貫した構造的支持、剛性及び強度を提供するように、補強構造の長さに沿って一貫した形状を有し得る。
【0015】
反対に指定されない限り、ロッカー構成要素の追加の実施態様は、インナーパネルとして識別されるシルパネルがアウターパネルとして使用され、アウターパネルとして識別されるシルパネルがインナーパネルとして使用され得るなど、図示及び記載される例とは反対の向きを有し得ることが一般に理解される。インナーパネル及びアウターパネルの断面形状は、例えば、(ロッカー又はBピラーの実装に使用され得るように)端部で外側に広がることによってなど、車両補強構成要素に沿って変化し得る。
【0016】
ここで、
図4に示す車両補強構成要素10を参照すると、第1のシルパネル12及び第2のシルパネル14は、シルパネル12、14間の中空内部空間16を取り囲むように一緒に取り付けられる。
図4に示す車両補強構成要素10は、車両ロッカー構成要素として具現化される。したがって、第1のシルパネル12は、ロッカー構成要素のシルインナーパネルと呼ばれ得る。第1のシルパネル12は、インナーパネルのそれぞれの上縁及び下縁に沿って延びる上部フランジ18及び下部フランジ20を有する。第1のシルパネル12は、上部及び下部フランジ18、20から車内に突出して、外向きの凹状構造を形成する。ロッカー構成要素のロッカーアウターパネルと呼ばれ得る第2のシルパネル14は、同様に上部フランジ22及び下部フランジ24と呼ばれ得るフランジ22、24を有するC字形断面を有する。インナー及びアウターシルパネル12、14の上部フランジ18、22及び下部フランジ20、24は、その凹状構造を互いに対向させた状態で溶接などを介して互いに取り付けられる。
図4に示すシルパネル12、14のそれぞれの上部及び下部フランジ18、20、22、24は、ロッカー構成要素の縁部に沿って連続的に長手方向に延びる。しかし、フレームの取り付けを容易にするか又は重量を軽減するために、選択されたエリアでフランジが切り取られ得ることが考えられる。
【0017】
図4にさらに示すように、インナー及びアウターシルパネル12、14は、シルパネル12、14間に中空内部空間16を画定するように一緒に接合される。
図4に示す中空内部空間16は、細長い多管状部材として形成されるように、2つの取り囲まれた管状セクション60、62に分割される。上部及び下部フランジ18、20、22、24は、実質的に平面であり、構成要素の長さに沿って概ね連続的に接触して嵌合するように、概ね垂直な構成で配向される。上部及び下部フランジ18、20、22、24は、溶接、好ましくはスポット溶接を介して一緒に接合され得る。しかし、接着剤又は留め具等など、代替の溶接方法又は接合手段が、ロッカー構成要素の異なる実施態様において、スポット溶接に加えて又はスポット溶接に代えて使用され得ることが考えられる。
【0018】
ロッカー構成要素10の第1のシルパネル12、すなわちインナーパネルは、実質的に平面であり、上部セクション26aと下部セクション26bの2つのセクションに分割された内壁を有する。上部及び下部セクション26a、26bは、それぞれの上端部及び下端部で上壁28及び下壁30へのコーナー移行部と一体的に相互接続される。コーナー移行部は、内壁セクション26a、26bと、上壁及び下壁28、30との間でほぼ90度である。また、コーナー移行部は、金属シート(例えば、高度高強度鋼板)など、第1のシルパネル12を形成するシート材料に対する長手方向の屈曲によって画定される。同様に、上壁及び下壁28、30は、それぞれ上部フランジ18及び下部フランジ20に対してほぼ90度のコーナー移行部を有する。このコーナー移行部も第1のシルパネル12のシート材料の長手方向の屈曲によって画定される。
図4に同じく示されるように、上部及び下部フランジ18、20は、実質的に平面であり、内壁セクション26a、26bの平面範囲と平行に整列して配向される。第1のシルパネル12の上壁及び下壁28、30も実質的に平面であり、
図4に示すように、実質的に互いに平行である。しかし、追加的な例では、それらは、互いにわずかに角度を成し得る。コーナー移行部は、およそ40度~120度、70度~100度、80度~95度又は82度~92度など、
図4に示されるよりも大きい又は小さい角度移行部も有し得る。
【0019】
図4に同じく示すように、車両ロッカーアセンブリ10の第2のシルパネル14、すなわちアウターパネルは、実質的に平面であり、それぞれの上端部及び下端部で上壁34及び下壁36と一体的に相互接続する外壁32を有する。外壁32と、上壁及び下壁34、36との間のおよそ80度のコーナー移行部は、第2のシルパネル14を形成するシート材料に対する長手方向の屈曲によって画定される。シート材料は、第1のシルパネル12と同じであるか又は異なり得、高度高強度鋼板又はアルミニウムシートなどの金属シートを含み得る。同様に、上壁34も上部フランジ22へのコーナー移行部を有し、下壁36も下部フランジ24へのコーナー移行部を有する。これらもそれぞれ第2のシルパネル14のシート材料における長手方向の屈曲によって画定される。ここでも、上部及び下壁34、36と、上部及び下部フランジ22、24並びに外壁32との間のコーナー移行部は、およそ40~120度、70~100度、80~95度又は82~92度など、
図4に示されるよりも大きい又は小さい角度移行部を有し得る。
【0020】
図4に示すように、上部及び下部フランジ22、24は、実質的に平面であり、外壁32の平面範囲と平行に整列して配向される。第2のシルパネル14の上壁及び下壁34、36も実質的に平面であるが、外壁32及びフランジ22、24に対する直交からわずかに角度を付けられている。パネル12、14のフランジ18、20、22、24が一緒に取り付けられた状態で、それらの壁は、実質的に六角形の断面形状を画定する。しかし、補強構造の追加的な例は、対応する車両設計のための様々な代替断面形状(例えば、実質的に長方形の形状)及び異なる壁構成(例えば、垂直方向に向けられていない内壁又は外壁の部分)を有し得ることが理解される。アウターシル14又はインナーシル12の1つ又は複数は、アウターシル14が、追加の剛性及び側面衝撃支持を提供するように構成された内側又は外側に突出する補剛リブ部分を備えることを含むが、これに限定されない異なる構成を含み得ることも考えられる。
【0021】
図4にさらに示すように、シルインナー12は、シルインナー壁に一体化された補強構造40を含む。補強構造40は、それぞれ補強構造40の別々の壁セクション間の角度移行部を形成し、補強構造40の別々の壁セクションを画定する、金属シートの複数の長手方向の屈曲を有する。複数の壁セクションは、補強構造40に沿って長手方向に延びる内部エリアを取り囲む管状形状を形成するように、互いに角度を付けられている。より具体的には、シルインナー12は、上壁及び下壁セクション26a、26b間のインナーシル壁に一体化された補強構造40を含む。補強構造40は、例えば、
図4に示されるように、アウターシルパネル14と係合して、シルインナー及びシルアウターパネル12、14と共に多中空断面形状を形成する。補強構造40は、車両ロッカーアセンブリ10の中空内部空間16内に配置され、ロッカー構成要素を強化する。補強構造40を車両ロッカーアセンブリ10の内部容積16に配置することにより、ロッカー構成要素の内側部分を補剛するために隔壁部材を含まなくてもよい。
【0022】
図4に示すように、補強構造40は、それぞれ中空内部にまたがり、且つシルアウター14からシルインナー12への側面衝撃荷重経路を担うように構成された上壁セクション58及び下壁セクション54を含む。補強構造40の壁セクションは、下部せん断壁セクション54と上部せん断壁セクション58とを一体的に接続する外壁セクション52も含む。インナーシルパネル12の内壁26a、26bは、実質的に平面であり、それぞれの上端部及び下端部で上壁58及び下壁30と一体的に相互接続する。内壁16a、26b、上壁及び下壁58、54並びに外壁セクション52間のおよそ80度のコーナー移行部は、金属シート(例えば、高度高強度鋼板)などの第1のシルパネル12を形成するシート材料に対する長手方向の屈曲によって画定される。
【0023】
補強構造40の上部及び下部せん断壁54、58は、上部及び下部フランジの平面範囲に直交して画定された平面的な水平方向の配向に対して角度を成して配置され得る。この角度は、横力偏向の角度と称され得る。横力偏向の角度は、補強構造40の横方向の変形を制御するように構成される。
図4に示す例では、補強構造の上部及び下部せん断壁54、58は、横力偏向の角度がおよそ20度となるように、垂直に対しておよそ20度の角度を成している。しかしながら、補強構造の上壁又は下壁の1つ又は複数が50度未満の横力偏向の角度を含み得ることも考えられる。別の例では、横力偏向の角度は、10~30度である。さらに別の例では、横力偏向の角度は、15~25度である。
【0024】
なおも
図4を参照すると、上壁セクション28、内壁セクション26a及び上部せん断壁セクション58は、上壁34及びアウターシルパネル14の外壁32の上部と共に、上部内部エリア60を概ね取り囲む管状形状を形成する。また、下壁セクション30、内壁セクション26b及び下部せん断壁セクション54は、下部内部エリア62を概ね取り囲む管状形状を形成する。さらに、中央内部エリア63は、上部せん断壁セクション58、下部せん断壁セクション54及びインナーシルパネル12の外壁52によって画定され得る。中央内部エリア63は、
図4の例に示されるように、第2のインナーパネル15の内壁56によってさらに囲まれ得るか、又は車両の別の部分によって画定され得る。第2のインナーパネル15は、
図4に示すように、内壁56のそれぞれの上端部及び下端部から車外に一体的に延びる上部及び下部フランジ57、59を有するC字形状を含む。上部、中央及び下部の内部エリア60、63、62を取り囲む管状形状は、互いに平行に整列して補強構造に沿って長手方向に延び、中間壁セクション52にわたって互いの鏡像として示されている。しかしながら、補強構造の追加的な例は、管状形状が不均等な大きさであり得、且つ/又は異種の形状を有し得る。また、
図5~10に示されるような、補強構造40の他の様々な断面形状が考えられる。例えば、補強構造は、フランジ部分18、20、22、24;内壁26;上壁28、34;下壁30、36;外壁32;上壁セクション34;及び内壁セクション48を含むが、これらに限定されない、シルインナー及びシルアウターの1つ又は複数の1つ又は複数の構成要素を含み得る。
【0025】
図5を参照すると、車両ロッカーアセンブリ10の一例では、第2のインナーパネル15が省略され、代わりにインナーシルパネル12の内壁セクション26a、26bが車両ロッカーアセンブリ10の最内壁を画定している。
図6に示すような他の例では、アウターシル14を省略し(
図6及び10を参照されたい)、代わりに補強構造40の外壁セクション52がロッカー構成要素の最外壁を画定し、車両ボディ外側109と直接係合し得る。さらに他の例では、
図10に示すように、第2のインナーパネル及びアウターシルパネルの両方が省略され、インナーシルパネル12の内壁セクション26a、26bが車両ロッカーアセンブリ10の最内壁を画定し、補強構造40の外壁セクション52が車両ロッカーアセンブリ10の最外壁を画定する。
【0026】
ロッカー構成要素の他の例が
図7~10に示されている。
図7に示す例では、補強構造40の上部及び下部せん断壁54、58は、インナーシル12の車内側で互いに接近して延びた後、アウターシル14に対して横方向に概ね垂直に延在し、その後、横力偏向の角度で分岐する。
図7に示す例では、横力偏向の角度は、およそ45度である。しかしながら、補強構造40の上部又は下壁46、50の1つ又は複数が70度未満の横力偏向の角度を含み得ることも考えられる。別の例では、横力偏向の角度は、40~60度である。さらに別の例では、横力偏向の角度は、40~50度である。
図5に示す例と同様に、
図7に示す補強構造40の上部及び下部せん断壁54、58は、最内壁から外壁セクションまで延び、シルアウター14に隣接して接合され、外壁セクション52を形成する。
図7~10に示す例では、上部及び下部せん断壁54、58は、互いに離れるように延びた後、互いに向かって延び、外壁セクション52を形成する。
図8に示すようないくつかの例では、接合された上壁及び下壁58、54の一部は、シルインナー12に向かって延び、シルアウター14からの係合から離れて、三角形又は全体的にハート形の形状を形成する。さらに、上壁及び下壁46、50は、対称でなくてもよいことが考えられる。さらに、
図8に示すように、アウターシル14の外壁32は、外側に延び、外壁セクション52のより多くの表面積がアウターシル14と係合することを可能にする張出部分70を有し得る。張出部分70は、補強構造40の形状及びサイズに対応する任意の形状又はサイズであり得る。さらに、
図9に示されるように、補強構造の内壁セクション48は、上部及び下部せん断壁54、58に移行する前には任意の長さであり得る。
【0027】
インナー及びアウターシルパネル及び一体化された補強構造は、およそ1,500MPaなど、1,000MPAを超える引張強度を有する高度高強度鋼からロール成形され得る。補強構造をロール成形するために使用される金属板は、1.2~1.6mmなど、およそ12mmの厚さであり得る。また、車両補強構成要素の補強構造及びパネルに使用される鋼板は、腐食から保護する亜鉛コーティングを有するように亜鉛メッキされ得る。しかしながら、いくつかの例では、補強構造の鋼板は、亜鉛メッキされなくてもよい。他の例では、車両補強構成要素を形成する鋼板は、亜鉛メッキされなくてもよい。さらなる例では、補強構造を形成する金属シートは、アルミニウムシートである。インナーシルパネル12の長さは、アウターシルパネル14の長さと実質的に等しい。さらなる実施態様では、インナーシルパネル12の長さは、対応する構成要素の中空内部空間の長さよりも短くてもよく、例えば補強構造の長さの40%~100%、30%~90%又は30%~60%であり得る。シルインナー12及びシルアウター14は、溶接により、留め具、接着剤又は他の結合方法を用いて結合され得る。補強構造40とシルインナー12及びシルアウター14の一方との結合は、車両ロッカーアセンブリにさらなる強度を提供し得る。
【0028】
補強構造は、追加の補強なしに十分な剛性及び強度を提供する構造を有し得る。しかし、車両補強構成要素は、ロッカー構成要素の長手方向範囲に対して概ね直交に配置される1つ又は複数の隔壁部材を含み得ることが考えられる。例えば、ロッカーアセンブリ間のトレイに配置されたバッテリモジュールを保護するためなど、アウターロッカーパネルをさらに補剛することが望まれる場合、一連の隔壁部材が、補強構造の外壁セクションとロッカー構成要素のアウターパネルとの間の中空内部に沿って間隔を空けて配置され得る。隔壁部材は、機械的留め具、溶接、接着剤又はそれらの任意の組み合わせでアウターパネル及び/又は補強構造に接続することができる。さらに、インナーパネル及びアウターパネルは、インナーパネル及びアウターパネルの選択された位置に取り付けられ得る壁補剛材を含み得ることが考えられる。例えば、壁補剛材は、インナーパネル及びアウターパネルを形成する金属板の丸みを帯びた角に取り付けられ、それを補強し得る。他の例では、追加的又は代替的な取り付け位置が使用され得ることが考えられる。
【0029】
本開示の目的のために、「結合された」(その全ての形態、結合する、結合している、結合されたなど)は、一般に、2つの構成要素(電気的又は機械的)が互いに直接的又は間接的に接合することを意味する。このような接合は、本質的に静止しているか又は本質的に可動であり得;2つの構成要素(電気的又は機械的)と、互いに又は2つの構成要素と単一ユニット体として一体的に形成される任意の追加的な中間部材とによって達成され得;特に断らない限り、本質的に永久的であるか又は本質的に取り外し可能若しくは解放可能であり得る。
【0030】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、先の記載において要素の1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。さらに、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、言及された特徴を同じく組み込んだ追加の実装形態の存在を除外すると解釈されることを意図していないことを理解されたい。さらに、「第1」「第2」等の用語は、本明細書で使用される際、順序、量及び重要度を表さず、別の要素からの要素を表すために使用される。
【0031】
本明細書に記載された数値、パーセンテージ、比率又は他の値は、その値及び本開示の実装形態に包含される当業者によって理解されるであろう、「約」又は「およそ」の記載された値である他の値も含むように意図されている。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するため又は所望の結果を達成するために、記載された値に少なくとも十分に近い値を包含するように十分に広く解釈されるべきである。例えば、「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、記載された量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内及び0.01%未満以内の量を指し得る。
【0032】
さらに、先の記載におけるあらゆる方向又は基準枠は、単に相対的な方向又は動きであることを理解されたい。例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」、「車内」、「車外」という用語及びそれらの派生語は、
図1に示される方向に関するものとする。しかしながら、反対に明示的に指定された場合を除き、様々な代替的な向きが提供され得ることが理解される。また、添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲で定義された発明的概念の単なる例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、限定的であるとみなされることはない。
【0033】
具体的に記載された実施形態における変更及び修正は、特許法の原則に従って解釈される添付の請求項の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は、説明に役立つ方法で記載されており、使用されてきた用語は、限定ではなく、記載の言葉の性質内にあることを意図されていることが理解されるであろう。本開示の多くの修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、本開示は、具体的に記載された方法とは別の方法で実施されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月13日に提出された米国仮特許出願第63/255,053号に付与された米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張するものであり、この先行出願の開示は、本出願の一部とみなされ、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ロッカー及びシルアセンブリ、バッテリトレイ補強材並びに関連する構造構成要素などの細長い車両フレーム及びボディ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
車両フレーム及びボディ構造は、車両を支持するように設計され、また、保険要件並びに他の規制要件及び法的要件に従って車両内への侵入距離を防止するように、特定レベルの衝撃力を受け、吸収するように設計されている。車両への側面衝撃は、一般的にサイドポール衝撃試験で試験され、この試験は、車両に大きな側面衝撃力を仕向ける。車両フレームは、主に、車両フレームの下部車外部分に沿って前輪と後輪との間を長手方向に走るロッカーセクションで、これらの側面衝撃を吸収する。電気自動車及びハイブリッド電気自動車において対向するロッカーセクション間の横方向車内エリアにバッテリトレイが組み込まれた状態では、バッテリトレイ内の利用可能なバッテリ格納容積を最大にするために、側面衝撃侵入距離を短くすることが望まれる。例えば、特許文献1に開示されているものなど、ロッカーセクションに内部補強材を追加するなどしてロッカーセクションの剛性を高めて側面衝撃侵入の車内距離を短くすることが一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0309297号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ロッカーアセンブリなどの車両補強構成要素を提供する。車両補強構成要素及びロッカーアセンブリの例は、シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルインナーを含み得る。車両補強構成要素及びロッカーアセンブリは、シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルアウターも含み得る。いくつかの例では、シルインナーの上部フランジ部分は、シルアウターの上部フランジ部分と結合され、及びシルインナーの下部フランジ部分は、シルアウターの下部フランジ部分と結合されて、車両ロッカーアセンブリの中空内部を取り囲む。いくつかの例では、シルインナー又はシルアウターの一方は、それぞれのシルインナー又はシルアウターのシル壁に一体化された補強構造を含む。いくつかの例では、補強構造は、それぞれ中空内部にまたがり、且つシルアウターからシルインナーへの側面衝撃荷重経路を担うように構成された上壁及び下壁を含む。
【0006】
本開示の実施態様は、以下の任意選択の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。いくつかの例では、車両ロッカーアセンブリは、シルアウターに隣接する外壁セクションを含む。いくつかの実施態様では、外壁セクションは、側面衝撃力を受けるように構成され、外壁セクションは、シルアウター及び補強構造の1つ又は複数と係合するように構成される。
【0007】
いくつかの例では、補強構造は、上壁と下壁との間に円弧状形状を含む。円弧状形状は、補強構造の横方向の変形を制御するように構成された曲率半径を含み得る。いくつかの例では、円弧状形状で提供される角度は、50度未満である。いくつかの例では、円弧状形状で提供される角度は、およそ20度などの10~30度である。
【0008】
いくつかの実施態様では、上壁部分及び下壁部分は、補強構造の長さに沿って延びる複数の管状セクションを形成する。いくつかの例では、複数の管状セクションは、少なくとも第1の管状セクション、第2の管状セクション及び第3の管状セクションを含む。
【0009】
本開示の1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の記載に記載されている。他の態様、利点、目的及び特徴は、図面と併せて以下の明細書を検討すれば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ロッカーアセンブリ及び他の構造構成要素を概略的に示す車両の上方斜視図である。
【
図2】ロッカーアセンブリ及び他の構造構成要素を概略的に示す車両の側面立面図である。
【
図3】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの一例の断面図である。
【
図4】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図5】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図6】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図7】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図8】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図9】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【
図10】補強構造を有する車両ロッカーアセンブリの別の例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照数字は、図面全体を通して同様の部品を示す。
【0012】
ここで、図面及びそこに描かれた説明に役立つ実施形態を参照すると、
図1及び2に示されるようなボディ構造又はフレーム101など、車両100のための車両補強構成要素が提供される。車両フレーム101及び関連する構成要素は、異なる様式及び種類の車両用など、様々な設計及び構成を有し得る。例えば、
図1及び2に示されるように、車両補強構成要素は、考えられる他の構造構成要素の中でもとりわけ、Bピラー103、ヒンジピラー104、フロアクロスメンバ105、ルーフボウ106又はヘッダ107など、他の車両構成要素の中でもとりわけ車両ロッカーアセンブリ102として実装され得る。また、車両は、トラクションバッテリ又はバッテリモジュールなどのバッテリを使用する推進システムによって部分的に作動され得る。これらのバッテリは、バッテリ重量を分散して車両の低重心を確立するために、一般にアクスル間及び車両の床付近に配置されたバッテリ構造又はトレイ108に支持され得る。例えば、
図3に示すように、多中空車両補強構成要素は、バッテリケース又はトレイ108に沿って配置された車両ロッカーアセンブリ10を備え得る。アウターシルパネル14は、
図3に示されるようなインナーシルパネル12に取り付けられる。インナーシルパネル12は、バッテリトレイ108の外側セクションと並んで配置される多管状ロッカー構造を形成するように車外に延びる内部補強壁を有する。フロアクロスメンバ105も、バッテリトレイ108を越えて車両100内に横方向にまたがるように車両ロッカーアセンブリ10に取り付けられる。したがって、追加的な実施態様における車両補強構成要素は、同様に又は代替的に、バッテリトレイ構成要素又はその一部となるように、バッテリトレイと部分的に又は完全に一体化され得る。例えば、いくつかの例では、車両補強構成要素は、バッテリトレイの長手方向に向けられた側壁セクションである。さらに、車両補強構成要素は、それぞれの車両補強構成要素の部品全体として又は一部として具現化され得る。車両補強構成要素は、車両の外側ボディ構造を部分的に形成するためにフロアクロスメンバ105の端部に配置されるボディアウターパネルも含むか又は一体化し得る。
【0013】
車両補強構成要素は、構造構成要素又はバッテリトレイ構成要素等として実装されるか否かにかかわらず、様々な衝撃力を受け、様々な荷重条件を支持し、維持するように設計され得る。本明細書に開示される補強構造を用いて車両補強構成要素を設計する場合、車両補強構成要素の外寸を小さくし、車両補強構成要素の全体重量を低減する一方、要求される衝撃及び荷重条件を満たすか又は上回るようにし得る。追加の剛性及び強度を提供する補強構造は、車両補強構成要素の部分的なセクション又は全長にまたがり得る。本明細書に開示される補強構造は、車両補強構成要素全体を構成し得るか、又はその所望のセクションなどで追加の補強材若しくは車両補強構成要素の一部に接合され得る。例えば、補強構造は、1つ又は複数の追加構成要素と一体的に形成され得る。これは、中空構成要素内のレーザ溶接又はMIG溶接などのより高価な溶接技術への依存を排除又は低減し得、且つ追加構成要素の必要性も排除し得る。さらに、本明細書で開示される補強構造は、金属シートをロール成形するなどしてシート材料で形成して、一般的なロッカーパネルと比較して比較的高い強度(せん断荷重及び軸方向荷重に対して)及び低い重量を有する構造を提供し、例えば、対応する車両補強構成要素のシルパネル(提供される場合)がより少ない材料を使用し、より小さいパッケージングスペースを占有し、外形設計でより大きい柔軟性を有することを可能にし得る。
【0014】
車両補強構成要素及び補強構造は、断面形状に示すように薄肉構造である。しかし、車両補強構成要素及び補強構造の異なる例の断面形状は、車両補強構成要素の所望の用途のために様々な形状及び厚さを含み得る。いくつかの例における車両補強構成要素は、車両の長さに沿って延び、1つ又は複数のシルパネル、例えば内部エリア16の周りに一緒に取り付けられるシルインナーパネル12及びシルアウターパネル14を含む細長いロッカー構成要素であり得る。本明細書で使用される場合、「インナー」及び「アウター」という用語は、
図1において方向付けられる車両100などの車両の幅方向又は横方向における車内又は内側を向いた方向及び車外又は外側を向いた方向に関して使用される。シルインナー12又はシルアウター14は、
図3~10に示すように、それぞれのシルインナー12又はシルアウター14のシル壁に補強構造40を一体化し得る。補強構造40は、多管状構造を形成するように、第1及び第2のシルパネル12、14間で車両ロッカーアセンブリ10の中空内部空間16内に配置され得る。補強構造は、車両補強構成要素の内部エリア内に延びる2つ以上の中空内部エリアを有する多管状形状を有し得る。補強構造の断面形状又はプロファイルは、一般に、補強構造に沿って一貫した構造的支持、剛性及び強度を提供するように、補強構造の長さに沿って一貫した形状を有し得る。
【0015】
反対に指定されない限り、ロッカー構成要素の追加の実施態様は、インナーパネルとして識別されるシルパネルがアウターパネルとして使用され、アウターパネルとして識別されるシルパネルがインナーパネルとして使用され得るなど、図示及び記載される例とは反対の向きを有し得ることが一般に理解される。インナーパネル及びアウターパネルの断面形状は、例えば、(ロッカー又はBピラーの実装に使用され得るように)端部で外側に広がることによってなど、車両補強構成要素に沿って変化し得る。
【0016】
ここで、
図4に示す車両補強構成要素10を参照すると、第1のシルパネル12及び第2のシルパネル14は、シルパネル12、14間の中空内部空間16を取り囲むように一緒に取り付けられる。
図4に示す車両補強構成要素10は、車両ロッカー構成要素として具現化される。したがって、第1のシルパネル12は、ロッカー構成要素のシルインナーパネルと呼ばれ得る。第1のシルパネル12は、インナーパネルのそれぞれの上縁及び下縁に沿って延びる上部フランジ18及び下部フランジ20を有する。第1のシルパネル12は、上部及び下部フランジ18、20から車内に突出して、外向きの凹状構造を形成する。ロッカー構成要素のロッカーアウターパネルと呼ばれ得る第2のシルパネル14は、同様に上部フランジ22及び下部フランジ24と呼ばれ得るフランジ22、24を有するC字形断面を有する。インナー及びアウターシルパネル12、14の上部フランジ18、22及び下部フランジ20、24は、その凹状構造を互いに対向させた状態で溶接などを介して互いに取り付けられる。
図4に示すシルパネル12、14のそれぞれの上部及び下部フランジ18、20、22、24は、ロッカー構成要素の縁部に沿って連続的に長手方向に延びる。しかし、フレームの取り付けを容易にするか又は重量を軽減するために、選択されたエリアでフランジが切り取られ得ることが考えられる。
【0017】
図4にさらに示すように、インナー及びアウターシルパネル12、14は、シルパネル12、14間に中空内部空間16を画定するように一緒に接合される。
図4に示す中空内部空間16は、細長い多管状部材として形成されるように、2つの取り囲まれた管状セクション60、62に分割される。上部及び下部フランジ18、20、22、24は、実質的に平面であり、構成要素の長さに沿って概ね連続的に接触して嵌合するように、概ね垂直な構成で配向される。上部及び下部フランジ18、20、22、24は、溶接、好ましくはスポット溶接を介して一緒に接合され得る。しかし、接着剤又は留め具等など、代替の溶接方法又は接合手段が、ロッカー構成要素の異なる実施態様において、スポット溶接に加えて又はスポット溶接に代えて使用され得ることが考えられる。
【0018】
ロッカー構成要素10の第1のシルパネル12、すなわちインナーパネルは、実質的に平面であり、上部セクション26aと下部セクション26bの2つのセクションに分割された内壁を有する。上部及び下部セクション26a、26bは、それぞれの上端部及び下端部で上壁28及び下壁30へのコーナー移行部と一体的に相互接続される。コーナー移行部は、内壁セクション26a、26bと、上壁及び下壁28、30との間でほぼ90度である。また、コーナー移行部は、金属シート(例えば、高度高強度鋼板)など、第1のシルパネル12を形成するシート材料に対する長手方向の屈曲によって画定される。同様に、上壁及び下壁28、30は、それぞれ上部フランジ18及び下部フランジ20に対してほぼ90度のコーナー移行部を有する。このコーナー移行部も第1のシルパネル12のシート材料の長手方向の屈曲によって画定される。
図4に同じく示されるように、上部及び下部フランジ18、20は、実質的に平面であり、内壁セクション26a、26bの平面範囲と平行に整列して配向される。第1のシルパネル12の上壁及び下壁28、30も実質的に平面であり、
図4に示すように、実質的に互いに平行である。しかし、追加的な例では、それらは、互いにわずかに角度を成し得る。コーナー移行部は、およそ40度~120度、70度~100度、80度~95度又は82度~92度など、
図4に示されるよりも大きい又は小さい角度移行部も有し得る。
【0019】
図4に同じく示すように、車両ロッカーアセンブリ10の第2のシルパネル14、すなわちアウターパネルは、実質的に平面であり、それぞれの上端部及び下端部で上壁34及び下壁36と一体的に相互接続する外壁32を有する。外壁32と、上壁及び下壁34、36との間のおよそ80度のコーナー移行部は、第2のシルパネル14を形成するシート材料に対する長手方向の屈曲によって画定される。シート材料は、第1のシルパネル12と同じであるか又は異なり得、高度高強度鋼板又はアルミニウムシートなどの金属シートを含み得る。同様に、上壁34も上部フランジ22へのコーナー移行部を有し、下壁36も下部フランジ24へのコーナー移行部を有する。これらもそれぞれ第2のシルパネル14のシート材料における長手方向の屈曲によって画定される。ここでも、上部及び下壁34、36と、上部及び下部フランジ22、24並びに外壁32との間のコーナー移行部は、およそ40~120度、70~100度、80~95度又は82~92度など、
図4に示されるよりも大きい又は小さい角度移行部を有し得る。
【0020】
図4に示すように、上部及び下部フランジ22、24は、実質的に平面であり、外壁32の平面範囲と平行に整列して配向される。第2のシルパネル14の上壁及び下壁34、36も実質的に平面であるが、外壁32及びフランジ22、24に対する直交からわずかに角度を付けられている。パネル12、14のフランジ18、20、22、24が一緒に取り付けられた状態で、それらの壁は、実質的に六角形の断面形状を画定する。しかし、補強構造の追加的な例は、対応する車両設計のための様々な代替断面形状(例えば、実質的に長方形の形状)及び異なる壁構成(例えば、垂直方向に向けられていない内壁又は外壁の部分)を有し得ることが理解される。アウターシル14又はインナーシル12の1つ又は複数は、アウターシル14が、追加の剛性及び側面衝撃支持を提供するように構成された内側又は外側に突出する補剛リブ部分を備えることを含むが、これに限定されない異なる構成を含み得ることも考えられる。
【0021】
図4にさらに示すように、シルインナー12は、シルインナー壁に一体化された補強構造40を含む。補強構造40は、それぞれ補強構造40の別々の壁セクション間の角度移行部を形成し、補強構造40の別々の壁セクションを画定する、金属シートの複数の長手方向の屈曲を有する。複数の壁セクションは、補強構造40に沿って長手方向に延びる内部エリアを取り囲む管状形状を形成するように、互いに角度を付けられている。より具体的には、シルインナー12は、上壁及び下壁セクション26a、26b間のインナーシル壁に一体化された補強構造40を含む。補強構造40は、例えば、
図4に示されるように、アウターシルパネル14と係合して、シルインナー及びシルアウターパネル12、14と共に多中空断面形状を形成する。補強構造40は、車両ロッカーアセンブリ10の中空内部空間16内に配置され、ロッカー構成要素を強化する。補強構造40を車両ロッカーアセンブリ10の内部容積16に配置することにより、ロッカー構成要素の内側部分を補剛するために隔壁部材を含まなくてもよい。
【0022】
図4に示すように、補強構造40は、それぞれ中空内部にまたがり、且つシルアウター14からシルインナー12への側面衝撃荷重経路を担うように構成された上壁セクション58及び下壁セクション54を含む。補強構造40の壁セクションは、下部せん断壁セクション54と上部せん断壁セクション58とを一体的に接続する外壁セクション52も含む。インナーシルパネル12の内壁26a、26bは、実質的に平面であり、それぞれの上端部及び下端部で上壁58及び下壁30と一体的に相互接続する。内壁16a、26b、上壁及び下壁58、54並びに外壁セクション52間のおよそ80度のコーナー移行部は、金属シート(例えば、高度高強度鋼板)などの第1のシルパネル12を形成するシート材料に対する長手方向の屈曲によって画定される。
【0023】
補強構造40の上部及び下部せん断壁54、58は、上部及び下部フランジの平面範囲に直交して画定された平面的な水平方向の配向に対して角度を成して配置され得る。この角度は、横力偏向の角度と称され得る。横力偏向の角度は、補強構造40の横方向の変形を制御するように構成される。
図4に示す例では、補強構造の上部及び下部せん断壁54、58は、横力偏向の角度がおよそ20度となるように、垂直に対しておよそ20度の角度を成している。しかしながら、補強構造の上壁又は下壁の1つ又は複数が50度未満の横力偏向の角度を含み得ることも考えられる。別の例では、横力偏向の角度は、10~30度である。さらに別の例では、横力偏向の角度は、15~25度である。
【0024】
なおも
図4を参照すると、上壁セクション28、内壁セクション26a及び上部せん断壁セクション58は、上壁34及びアウターシルパネル14の外壁32の上部と共に、上部内部エリア60を概ね取り囲む管状形状を形成する。また、下壁セクション30、内壁セクション26b及び下部せん断壁セクション54は、下部内部エリア62を概ね取り囲む管状形状を形成する。さらに、中央内部エリア63は、上部せん断壁セクション58、下部せん断壁セクション54及びインナーシルパネル12の外壁52によって画定され得る。中央内部エリア63は、
図4の例に示されるように、第2のインナーパネル15の内壁56によってさらに囲まれ得るか、又は車両の別の部分によって画定され得る。第2のインナーパネル15は、
図4に示すように、内壁56のそれぞれの上端部及び下端部から車外に一体的に延びる上部及び下部フランジ57、59を有するC字形状を含む。上部、中央及び下部の内部エリア60、63、62を取り囲む管状形状は、互いに平行に整列して補強構造に沿って長手方向に延び、中間壁セクション52にわたって互いの鏡像として示されている。しかしながら、補強構造の追加的な例は、管状形状が不均等な大きさであり得、且つ/又は異種の形状を有し得る。また、
図5~10に示されるような、補強構造40の他の様々な断面形状が考えられる。例えば、補強構造は、フランジ部分18、20、22、24;内壁26;上壁28、34;下壁30、36;外壁32;上壁セクション34;及び内壁セクション48を含むが、これらに限定されない、シルインナー及びシルアウターの1つ又は複数の1つ又は複数の構成要素を含み得る。
【0025】
図5を参照すると、車両ロッカーアセンブリ10の一例では、第2のインナーパネル15が省略され、代わりにインナーシルパネル12の内壁セクション26a、26bが車両ロッカーアセンブリ10の最内壁を画定している。
図6に示すような他の例では、アウターシル14を省略し(
図6及び10を参照されたい)、代わりに補強構造40の外壁セクション52がロッカー構成要素の最外壁を画定し、車両ボディ外側109と直接係合し得る。さらに他の例では、
図10に示すように、第2のインナーパネル及びアウターシルパネルの両方が省略され、インナーシルパネル12の内壁セクション26a、26bが車両ロッカーアセンブリ10の最内壁を画定し、補強構造40の外壁セクション52が車両ロッカーアセンブリ10の最外壁を画定する。
【0026】
ロッカー構成要素の他の例が
図7~10に示されている。
図7に示す例では、補強構造40の上部及び下部せん断壁54、58は、インナーシル12の車内側で互いに接近して延びた後、アウターシル14に対して横方向に概ね垂直に延在し、その後、横力偏向の角度で分岐する。
図7に示す例では、横力偏向の角度は、およそ45度である。しかしながら、補強構造40の上部又は下壁46、50の1つ又は複数が70度未満の横力偏向の角度を含み得ることも考えられる。別の例では、横力偏向の角度は、40~60度である。さらに別の例では、横力偏向の角度は、40~50度である。
図5に示す例と同様に、
図7に示す補強構造40の上部及び下部せん断壁54、58は、最内壁から外壁セクションまで延び、シルアウター14に隣接して接合され、外壁セクション52を形成する。
図7~10に示す例では、上部及び下部せん断壁54、58は、互いに離れるように延びた後、互いに向かって延び、外壁セクション52を形成する。
図8に示すようないくつかの例では、接合された上壁及び下壁58、54の一部は、シルインナー12に向かって延び、シルアウター14からの係合から離れて、三角形又は全体的にハート形の形状を形成する。さらに、上壁及び下壁46、50は、対称でなくてもよいことが考えられる。さらに、
図8に示すように、アウターシル14の外壁32は、外側に延び、外壁セクション52のより多くの表面積がアウターシル14と係合することを可能にする張出部分70を有し得る。張出部分70は、補強構造40の形状及びサイズに対応する任意の形状又はサイズであり得る。さらに、
図9に示されるように、補強構造の内壁セクション48は、上部及び下部せん断壁54、58に移行する前には任意の長さであり得る。
【0027】
インナー及びアウターシルパネル及び一体化された補強構造は、およそ1,500MPaなど、1,000MPAを超える引張強度を有する高度高強度鋼からロール成形され得る。補強構造をロール成形するために使用される金属板は、1.2~1.6mmなど、およそ12mmの厚さであり得る。また、車両補強構成要素の補強構造及びパネルに使用される鋼板は、腐食から保護する亜鉛コーティングを有するように亜鉛メッキされ得る。しかしながら、いくつかの例では、補強構造の鋼板は、亜鉛メッキされなくてもよい。他の例では、車両補強構成要素を形成する鋼板は、亜鉛メッキされなくてもよい。さらなる例では、補強構造を形成する金属シートは、アルミニウムシートである。インナーシルパネル12の長さは、アウターシルパネル14の長さと実質的に等しい。さらなる実施態様では、インナーシルパネル12の長さは、対応する構成要素の中空内部空間の長さよりも短くてもよく、例えば補強構造の長さの40%~100%、30%~90%又は30%~60%であり得る。シルインナー12及びシルアウター14は、溶接により、留め具、接着剤又は他の結合方法を用いて結合され得る。補強構造40とシルインナー12及びシルアウター14の一方との結合は、車両ロッカーアセンブリにさらなる強度を提供し得る。
【0028】
補強構造は、追加の補強なしに十分な剛性及び強度を提供する構造を有し得る。しかし、車両補強構成要素は、ロッカー構成要素の長手方向範囲に対して概ね直交に配置される1つ又は複数の隔壁部材を含み得ることが考えられる。例えば、ロッカーアセンブリ間のトレイに配置されたバッテリモジュールを保護するためなど、アウターロッカーパネルをさらに補剛することが望まれる場合、一連の隔壁部材が、補強構造の外壁セクションとロッカー構成要素のアウターパネルとの間の中空内部に沿って間隔を空けて配置され得る。隔壁部材は、機械的留め具、溶接、接着剤又はそれらの任意の組み合わせでアウターパネル及び/又は補強構造に接続することができる。さらに、インナーパネル及びアウターパネルは、インナーパネル及びアウターパネルの選択された位置に取り付けられ得る壁補剛材を含み得ることが考えられる。例えば、壁補剛材は、インナーパネル及びアウターパネルを形成する金属板の丸みを帯びた角に取り付けられ、それを補強し得る。他の例では、追加的又は代替的な取り付け位置が使用され得ることが考えられる。
【0029】
本開示の目的のために、「結合された」(その全ての形態、結合する、結合している、結合されたなど)は、一般に、2つの構成要素(電気的又は機械的)が互いに直接的又は間接的に接合することを意味する。このような接合は、本質的に静止しているか又は本質的に可動であり得;2つの構成要素(電気的又は機械的)と、互いに又は2つの構成要素と単一ユニット体として一体的に形成される任意の追加的な中間部材とによって達成され得;特に断らない限り、本質的に永久的であるか又は本質的に取り外し可能若しくは解放可能であり得る。
【0030】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、先の記載において要素の1つ又は複数が存在することを意味することが意図される。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。さらに、本開示の「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、言及された特徴を同じく組み込んだ追加の実装形態の存在を除外すると解釈されることを意図していないことを理解されたい。さらに、「第1」「第2」等の用語は、本明細書で使用される際、順序、量及び重要度を表さず、別の要素からの要素を表すために使用される。
【0031】
本明細書に記載された数値、パーセンテージ、比率又は他の値は、その値及び本開示の実装形態に包含される当業者によって理解されるであろう、「約」又は「およそ」の記載された値である他の値も含むように意図されている。したがって、記載された値は、所望の機能を実行するため又は所望の結果を達成するために、記載された値に少なくとも十分に近い値を包含するように十分に広く解釈されるべきである。例えば、「およそ」、「約」及び「実質的に」という用語は、記載された量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内及び0.01%未満以内の量を指し得る。
【0032】
さらに、先の記載におけるあらゆる方向又は基準枠は、単に相対的な方向又は動きであることを理解されたい。例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「後」、「前」、「垂直」、「水平」、「車内」、「車外」という用語及びそれらの派生語は、
図1に示される方向に関するものとする。しかしながら、反対に明示的に指定された場合を除き、様々な代替的な向きが提供され得ることが理解される。また、添付の図面に示され、本明細書に記載された特定の装置及びプロセスは、添付の特許請求の範囲で定義された発明的概念の単なる例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された実施形態に関する特定の寸法及び他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、限定的であるとみなされることはない。
【0033】
具体的に記載された実施形態における変更及び修正は、特許法の原則に従って解釈される添付の請求項の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の原理から逸脱することなく実施され得る。本開示は、説明に役立つ方法で記載されており、使用されてきた用語は、限定ではなく、記載の言葉の性質内にあることを意図されていることが理解されるであろう。本開示の多くの修正及び変形は、上記の教示に照らして可能であり、本開示は、具体的に記載された方法とは別の方法で実施されてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ロッカーアセンブリであって、
シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルインナーと、
シル壁部分、上壁部分、下壁部分、上部フランジ部分及び下部フランジ部分を備えるシルアウターと
を備え、
前記シルインナーの前記上部フランジ部分が前記シルアウターの前記上部フランジ部分と結合され、及び前記シルインナーの前記下部フランジ部分が前記シルアウターの前記下部フランジ部分と結合されて、前記車両ロッカーアセンブリの中空内部を取り囲み、
前記シルインナー又は前記シルアウターの一方が、前記それぞれのシルインナー又はシルアウターの前記シル壁に一体化された補強構造を備え、
前記補強構造が、それぞれ前記中空内部にまたがり、且つ前記シルアウターからシルインナーへの側面衝撃荷重経路を担うように構成された上壁及び下壁を備える、
車両ロッカーアセンブリ。
【請求項2】
前記シルインナーが、前記補強構造の前記上壁及び下壁の端部間を一体的に接続する外壁セクションをさらに備え、
前記外壁セクションが前記シルアウターに隣接して配置される、請求項1に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項3】
前記外壁セクションが、前記シルアウターで受けた側面衝撃力を前記補強構造に伝達するように構成される、請求項2に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項4】
前記上壁及び前記下壁の少なくとも一方が、前記シルインナー又は前記シルアウターの一方の前記シル壁部分と直角に対して角度を成して配置され、
前記角度が横力偏向の角度として定義される、請求項2又は3に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項5】
前記横力偏向の角度が、前記補強構造の横方向の変形を制御するように構成される、請求項4に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項6】
前記横力偏向の角度が50度未満である、請求項
4に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項7】
前記補強構造が、前記車両ロッカーアセンブリの長さに沿って連続的に平行に延びる複数の細長い屈曲を有するシート材料で構成される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項8】
前記シルインナーが、前記補強構造の前記上壁及び前記下壁の端部間を一体的に接続する外壁セクションをさらに備え、
前記複数の細長い屈曲が前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁を分割する、請求項7に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の細長い屈曲が前記補強構造の三角形の断面形状を画定する、請求項
7に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項10】
前記シルインナー及び前記シルアウターが、前記車両ロッカーアセンブリの前記長さに沿って延びる複数の取り囲まれた管状セクションを形成する、請求項
7に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の管状セクションが少なくとも第1の管状セクション、第2の管状セクション及び第3の管状セクションを備える、請求項10に記載の車両ロッカーアセンブリ。
【請求項12】
上部フランジ部分及び下部フランジ部分を有するシルアウターに結合されるように構成された車両補強構成要素であって、
中空内部を取り囲むように、前記シルアウターの前記上部フランジ部分と結合されるように構成された上部フランジ部分及び前記シルアウターの前記下部フランジ部分と結合されるように構成された下部フランジ部分と、
前記上部及び下部フランジ部分間に配置され、且つそれぞれ前記上部及び下部フランジ部分間で前記シルアウターに係合するように車外に延びる上壁及び下壁を備える補強構造と
を備え、
前記上部フランジ部分、下部フランジ部分及び補強構造が、前記中空内部の長さに沿って一貫した断面形状を有する薄肉構造として一緒に一体的に形成される、
車両補強構成要素。
【請求項13】
前記上壁及び前記下壁の車外端部間を一体的に接続する外壁セクションをさらに備え、
前記外壁セクションが、前記シルアウターに係合するように構成される、請求項12に記載の車両補強構成要素。
【請求項14】
前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁が実質的に平面状の薄肉構造であり、
前記上壁及び前記下壁が前記外壁セクションに対して斜めの角度で配置される、請求項13に記載の車両補強構成要素。
【請求項15】
前記補強構造が、前記中空内部の前記長さに沿って連続的に延びる複数の細長い屈曲を一緒に画定する、前記上壁、前記下壁及び前記外壁セクション間に配置された円弧状形状を備える、請求項13又は14に記載の車両補強構成要素。
【請求項16】
前記円弧状形状が、前記補強構造の横方向の変形を制御するように構成される曲率半径を含む、請求項15に記載の車両補強構成要素。
【請求項17】
前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁が一緒に三角形の断面形状を形成する、請求項13
又は14に記載の車両補強構成要素。
【請求項18】
車両補強構成要素であって、
インナーパネルと、
アウターパネルであって、前記インナーパネルと結合されて、それらの間に複数の細長い中空キャビティを取り囲むアウターパネルと
を備え、
前記インナーパネルが、それぞれ前記インナーパネルの内壁セクションから車外に一体的に延びる上壁及び下壁を有する補強構造を備え、
前記上壁及び下壁の車外端部が、前記アウターパネルに隣接して配置される外壁セクションと一体的に接続する、
車両補強構成要素。
【請求項19】
前記外壁セクション、前記上壁及び前記下壁が実質的に平面状の薄肉構造であり、
前記上壁及び前記下壁が前記外壁セクションに対して斜めの角度で配置される、請求項18に記載の車両補強構成要素。
【請求項20】
前記補強構造が、前記インナーパネルの長さに沿って連続的に延びる複数の細長い屈曲を一緒に画定する、前記上壁、前記下壁及び前記外壁セクション間に配置された円弧状形状を備える、請求項18又は19に記載の車両補強構成要素。
【国際調査報告】