(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】レーザ溶接装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/21 20140101AFI20241010BHJP
B23K 26/066 20140101ALI20241010BHJP
B23K 26/14 20140101ALI20241010BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20241010BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/066
B23K26/14
H01M50/536
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521796
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2022016043
(87)【国際公開番号】W WO2023068843
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140231
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハム、セオク ホン
【テーマコード(参考)】
4E168
5H043
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA29
4E168EA19
4E168FB03
4E168KB03
5H043AA19
5H043BA19
5H043EA60
(57)【要約】
本発明は、レーザ照射器、ベースプレート及び上部マスクが結合された状態で下部マスク上に電極リードと電極タブが取り付けられると、ベースプレートの開口孔と上部マスクの開口孔を通過するようにレーザが照射されて溶接が行われるレーザ溶接装置において、一面から突出するように締結具が備えられたベースプレート;及び前記締結具が進入する締結孔が設けられ、前記締結具が締結孔に結束されて前記ベースプレートに結合される上部マスク;を含み、前記締結具は、内部が長手方向に空いた形状を有し、エアホールが穿孔されたシリンダ、スプリングに結合された状態で前記シリンダの内部を滑走可能であり、一側に行くにつれて直径が縮小する区間を有するピストン、及びシリンダに結合されたボールを含み、前記締結具が締結孔の内部に進入すると、前記ボールはピストンにより締結孔の内周面に形成された溝に進入して離脱が防止され、エアホールにエアが注入されると、ピストンの滑走が行われ、前記ボールは前記溝から離脱可能であることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ照射器、ベースプレート及び上部マスクが結合された状態で下部マスク上に電極リードと電極タブが取り付けられると、前記ベースプレートの開口孔と前記上部マスクの開口孔を通過するようにレーザが照射されて溶接が行われるレーザ溶接装置において、
一面から突出するように締結具が備えられたベースプレート;及び
前記締結具が進入する締結孔が設けられ、前記締結具が前記締結孔に結束されて前記ベースプレートに結合される上部マスク;を含み、
前記締結具は、内部が長手方向に空いた形状を有し、エアホールが穿孔されたシリンダ、スプリングに結合された状態で前記シリンダの内部を滑走可能であり、一側に行くにつれて直径が縮小する区間を有するピストン、及び前記シリンダに結合されたボールを含み、
前記締結具が前記締結孔の内部に進入すると、前記ボールは前記ピストンにより前記締結孔の内周面に形成された溝に進入して離脱が防止され、前記エアホールにエアが注入されると、前記ピストンの滑走が行われ、前記ボールは前記溝から離脱可能である、レーザ溶接装置。
【請求項2】
前記ピストンは、相対的により大きい直径を有する側の端部において直径がさらに拡張したフランジが形成され、
前記フランジを基準として、一側にはスプリングが配置され、他側において前記シリンダに前記エアホールが位置する、請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
前記上部マスクにはスリーブが結合され、前記スリーブ内に前記締結孔及び前記溝が形成され、前記締結具が前記スリーブに結束される、請求項2に記載のレーザ溶接装置。
【請求項4】
前記ベースプレートには、前記締結具が少なくとも2つ以上備えられ、前記上部マスクには、前記締結具の数に対応して複数の締結孔が形成される、請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項5】
前記ボールは、前記シリンダの周囲に沿って複数結合される、請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項6】
前記上部マスクには、不活性ガスが移動するガス通路が形成され、前記ベースプレートには、前記ガス通路に前記不活性ガスが注入される注入孔が形成され、
前記上部マスクが前記ベースプレートに結合されると、前記ガス通路と前記注入孔が開通する、請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項7】
前記上部マスクは、端部が尖った中空円錐(cone)状に形成された部分を備え、前記レーザが貫通する開口孔は、尖った端部において開通し、
前記ガス通路は、前記開口孔に連通するように形成される、請求項6に記載のレーザ溶接装置。
【請求項8】
前記ガス通路は、前記上部マスクの模様を形成する形状面の内部において連通するように形成される、請求項7に記載のレーザ溶接装置。
【請求項9】
前記ガス通路を介して注入された前記不活性ガスは、前記ベースプレートの開口孔と前記上部マスクの開口孔を介して排出される、請求項8に記載のレーザ溶接装置。
【請求項10】
前記不活性ガスは、窒素である、請求項6に記載のレーザ溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月20日付けの韓国特許出願第10-2021-0140231号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容が本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、二次電池の製造時、一端はパウチの外部に延びて他端はパウチの内部に位置する電極リードに電極組立体から延びた電極タブを溶接するレーザ溶接装置に関し、より詳細には、上部マスクの交換の利便性を高めることのできるレーザ溶接装置に関する。
【背景技術】
【0003】
充放電が可能で軽いながらもエネルギー密度及び出力密度が高いリチウム二次電池が様々な機器のエネルギー源として広範囲に用いられている。
【0004】
また、ガソリン車、ディーゼル車など化石燃料を使用する従来の内燃機関自動車の大気汚染及び温室ガス問題を解決するための代替案として、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリ電気自動車(BEV)、電気自動車(EV)などが提示されているが、リチウム二次電池はこのような内燃機関代替自動車の動力源としても注目されている。
【0005】
このような二次電池は、一般に、電極(負極,正極)と分離膜とが交互に積層された構造を有する電極組立体、電極にイオンを移動させる電解質(電解液)、並びに前記電極組立体及び電解質が収容されるケースを含む構造を有する。
【0006】
また、前記リチウム二次電池は、様々な形態で製造することができるが、代表的に円筒型(cylinder type)、角型(prismatic type)、パウチ型(pouch type)に製造されるのが一般的である。
【0007】
これらのうち、パウチ型二次電池は、パウチに電気エネルギーを充放電する電極組立体と電解液が内蔵されると、前記パウチの開放された部分をシールして製造される。
【0008】
前記電極組立体は、負極と正極とが分離膜と共に交互に積層されて構成され、前記負極から突出した負極タブと前記正極から突出した正極タブとは、同じ一側辺から共に突出するか、又は対向側辺からそれぞれ突出するように製造される。また、それぞれの電極タブ(正極タブ,負極タブ)は、電極リード(正極リード,負極リード)に溶接された状態でパウチに搭載される。
【0009】
よって、前記電極リードと電極タブとが溶接された状態で、前記電極リードは、一側がパウチ内で電極タブに接続され、他側がパウチの外部に突出して外部機器に電気的に接続される。
【0010】
一方、前記電極リードと電極タブとは、
図1aに示すようなレーザ溶接装置1により溶接される。
【0011】
前記レーザ溶接装置1は、電極リードLと電極タブTが取り付けられる下部マスク5、前記下部マスク5上に取り付けられた電極リードLと電極タブTが積層された地点にレーザを照射するレーザ照射器4、前記レーザ照射器4の下部に結合されたベースプレート2、及び前記ベースプレート2に脱着可能に結合された上部マスク3を含む。
【0012】
また、前記レーザ照射器4から照射されたレーザは、ベースプレート2の開口孔2c及び上部マスク3の開口孔3dを介して照射され、溶接が行われる。すなわち、上部マスク3の開口孔3dの上端3eはベースプレート2の開口孔2cに開通する。さらに、前記上部マスク3は、下端に行くにつれて次第に狭くなる形状を有し、開口孔3dの下端3fは電極リードLと電極タブTとの溶接地点W上に位置する。
【0013】
なお、レーザ溶接時、スパッタ(spatter)の飛散を防止し、溶接品質を高めるために、不活性ガスの注入が行われる。
【0014】
従来の上部マスク3の側面形状(上)及びベースプレート2を上下反転させた形状(下)を示す
図1b、及び従来の上部マスク3がベースプレート2に結合された状態の断面形状を示す
図1cを参照すると、従来は、上部マスク3には係止部3aが突設され、ベースプレート2には前記係止部3aが嵌合固定されるキャッチャ2aが備えられる。すなわち、従来の構造においては、前記係止部3aとキャッチャ2aとの結合及び分離によりベースプレート2と上部マスク3との脱着が行われる。ここで、係止部3aとキャッチャ2aとの結合及び分離は、専用工具により作業者の手作業で行われる。
【0015】
また、前記上部マスク3は、電極タブTと電極リードTに近づく方向に尖った中空円錐(cone)状に形成された部分を備え、内部に備えられた開口孔3d、3e、3fも端部3fに行くほど尖った形状に形成される。さらに、前記上部マスク3は、両側から不活性ガスが注入されて開口孔端部3fに供給されるように、内部にガス通路3b、3cが形成される。ここで、ガス通路のうち、1箇所3cは、ベースプレート2に開通する孔2bを介して不活性ガスが供給され(
図1cにおける右側)、他の1箇所3bは、外部配管又はホースHに直接連結されて供給(
図1cにおける左側)を受ける構造である。そして、開口孔端部3f側に集まった不活性ガスは、溶接部位Wに接触し、その後レーザが照射される上部マスク3の開口孔3e及びベースプレート2の開口孔2cを介して排出される。
【0016】
一方、溶接時には、溶接地点で溶融が生じ、小粒子状のスパッタ(spatter)Sが飛散する。このようなスパッタSは、上部マスク2の表面に付着するので、溶接が進むにつれて上部マスク3の表面に累積され、ガス通路3b、3c及び開口孔3fを閉塞するという問題があり、周期的な交換が要求されていた。
【0017】
しかし、従来の構造において、上部マスク3の脱去は、不活性ガスを注入するための外部配管又はホースHを別途分離し、その後係止部3aとキャッチャ3bとを分離する手順で行われていたが、作業者の熟練度によって交換時間の差が発生し、交換時間の間溶接工程が遅れるという問題があった。たとえ、前記係止部3aに磁石を装着して磁力により係止部3aとキャッチャ3bとの結合を容易にすることもあるものの、分離作業時、このような磁力はかえって妨害の要因となることがあった。
【0018】
よって、本発明は、上部マスク3とベースプレート2との結合及び分離が容易に行われる新たな結合構造を提供する必要性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明は、上部マスクとベースプレートとの結合及び分離を容易に行えるレーザ溶接装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明は、レーザ照射器、ベースプレート及び上部マスクが結合された状態で下部マスク上に電極リードと電極タブが取り付けられると、ベースプレートの開口孔と上部マスクの開口孔を通過するようにレーザが照射されて溶接が行われるレーザ溶接装置において、一面から突出するように締結具が備えられたベースプレート;及び前記締結具が進入する締結孔が設けられ、前記締結具が締結孔に結束されて前記ベースプレートに結合される上部マスク;を含み、前記締結具は、内部が長手方向に空いた形状を有し、エアホールが穿孔されたシリンダ、スプリングに結合された状態で前記シリンダの内部を滑走可能であり、一側に行くにつれて直径が縮小する区間を有するピストン、及びシリンダに結合されたボールを含み、前記締結具が締結孔の内部に進入すると、前記ボールはピストンにより締結孔の内周面に形成された溝に進入して離脱が防止され、エアホールにエアが注入されると、ピストンの滑走が行われ、前記ボールは前記溝から離脱可能であることを特徴とする。
【0021】
前記ピストンは、相対的により大きい直径を有する側の端部において直径がさらに拡張したフランジが形成され、前記フランジを基準として、一側にはスプリングが配置され、他側において前記シリンダにエアホールが位置する。
【0022】
前記上部マスクにはスリーブが結合され、前記スリーブ内に締結孔及び溝が形成され、前記締結具がスリーブに結束されてもよい。すなわち、前記締結孔及び溝は、上部マスク自体に設けられてもよく、スリーブが別途装着されて提供されてもよい。
【0023】
前記ベースプレートには、締結具が少なくとも2つ以上備えられ、前記上部マスクには、前記締結具の数に対応して複数の締結孔が形成される。
【0024】
前記ボールは、シリンダの周囲に沿って複数結合される。
【0025】
前記上部マスクには、不活性ガスが移動するガス通路が形成され、ベースプレートには、前記ガス通路に不活性ガスが注入される注入孔が形成され、前記上部マスクがベースプレートに結合されると、前記ガス通路と注入孔が開通する。
【0026】
前記上部マスクは、端部が尖った中空円錐(cone)状に形成された部分を備え、レーザが貫通する開口孔は、尖った端部において開通し、前記ガス通路は、開口孔に連通するように形成される。
【0027】
前記ガス通路は、上部マスクの模様を形成する形状面の内部において連通するように形成される。
【0028】
前記ガス通路を介して注入された不活性ガスは、ベースプレートの開口孔と上部マスクの開口孔を介して排出される。
【0029】
前記不活性ガスとしては、窒素(N2)が提供されてもよい。
【発明の効果】
【0030】
上記のような構成を有する本発明においては、ベースプレートと上部マスクとの脱着が締結具により行われるが、前記締結具は空気が注入されるか否かによって結束と分離が可能になるので、迅速な脱着が可能である。これにより、非熟練者でもより迅速かつ容易に上部マスクの脱着作業が可能である。
【0031】
前記締結具が進入する締結孔、及び締結具のボールが進入する溝は、上部マスクに一体に形成されてもよいが、別体のスリーブが提供されて設けられてもよいので、スリーブを追加することにより、従来の上部マスクをそのまま使用することができる。
【0032】
前記上部マスクは、ベースプレートの注入孔を介して不活性ガスが供給される構造であるので、別途の不活性ガス注入用ホースや外部配管を結合及び分離する必要がないので、より迅速な交換が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】レーザ溶接装置の全体形状を単純化して示す斜視図である。
【
図1b】
図1aのレーザ溶接装置における従来の分離された上部マスクの側面形状(上)及び前記上部マスクに当接する底面が見えるように従来のベースプレートを上下反転させた様子(下)を示す図である。
【
図1c】従来の方式で上部マスクとベースプレートとが結合されたときの断面形状を示す図である。
【
図2】本発明による分離された上部マスクの側面形状(上)及び前記上部マスクに当接する底面が見えるように本発明によるベースプレートを上下反転させた様子(下)を示す図である。
【
図3】本発明による上部マスクとベースプレートとが結合されたときの中空円錐(cone)状に形成された部分の断面形状を示す図である。
【
図4】本発明による締結具の縦断面形状を示す図である。
【
図5】締結具がスリーブに対してロックされたときの様子(i)及び締結具がスリーブに対してロック解除されたときの様子(ii)をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付の図面に基づいて、本発明について、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0035】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似の構成要素には同一の参照符号を付す。
【0036】
なお、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈されるべきである。
【0037】
本発明は、
図1aから
図1cに示すように、上から下へレーザ照射器、ベースプレート及び上部マスクが結合された状態で下部マスク上に電極リードと電極タブが取り付けられると、ベースプレートの開口孔と上部マスクの開口孔を順次通過するようにレーザ照射器からレーザが照射されて電極タブと電極リードとの溶接が行われるレーザ溶接装置に関するものであり、以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【0038】
すなわち、上述した従来の構造のように、本発明によるレーザ溶接装置も、下部マスク、レーザ照射器、ベースプレート20及び上部マスク30を含むように構成される。
【0039】
図2は本発明による上部マスク30が分離された側面形状(上)及び前記上部マスク30に当接する底面が見えるように本発明によるベースプレート20を上下反転させた形状(下)を示す図である。
【0040】
従来の構造における係止部及びキャッチャの代わりに、本発明の構造においては、上部マスク30には締結孔が設けられ(締結孔が上部マスク自体に一体に形成されるか、又は締結孔が形成されたスリーブが結合され)、ベースプレート20には締結孔に固定される締結具10が備えられる。
【0041】
すなわち、前記ベースプレート20において上部マスク30が結合される一面(すなわち、
図1aのような配置における底面)には表面から突出するように締結具10が装着され、前記上部マスク30には締結孔が設けられた構造を有する。
【0042】
図3は本発明による上部マスク30とベースプレート20とが結合されたときの中空円錐(cone)状に形成された部分の断面形状を示す図である。なお、締結具10が締結孔に結合される部分は
図3の外側に位置する地点であるので、
図3においては省略されている。
【0043】
図示のように、前記上部マスク30は、端部が尖った中空円錐(cone)状に形成された部分を備え、レーザが照射される開口孔32a、32b、32cは、溶接が行われる地点Wに行くほど尖った端部において開通するように形成され、前記ガス通路31も、開口孔の下端部32cに連通するように形成される。
【0044】
前記ガス通路31は、不活性ガスが移動する経路であって、上部マスク30の模様を形成する形状面の内部において連通するように形成され、溶接が行われる地点Wに不活性ガスが供給されるようにする。前記形状面とは、上部マスク30において円錐形状を形成するように厚さを有して外形を構成する部分を意味する。
【0045】
一方、本発明において提供される上部マスク30は、従来の構造とは異なり、不活性ガスが外部配管又はホースHから直接注入されるのではなく、ベースプレート20に形成された注入孔21を介して注入される。
【0046】
すなわち、従来の外部配管又はホースHは、ベースプレート20に形成された注入孔21の一側に連結され、ベースプレート20に上部マスク30が結合されるとその他側が上部マスク30のガス通路31に開通する。
【0047】
また、
図3に示すように、電極タブTと電極リードLとのレーザ溶接が行われる間、前記ガス通路31を介して注入された不活性ガスは、溶接が行われる地点Wで溶接を安定させる作用をし、継続して供給されて、ベースプレート20の開口孔22と上部マスク30の開口孔32a、32b、32cを介して排出される。
【0048】
すなわち、ガス通路31に注入された不活性ガスは、上部マスク30の開通孔の下端部32c、中間部32b、上端部32aを経てベースプレートの開通孔22から排出される。ここで、前記不活性ガスとしては、窒素(N2)が提供されてもよい。
【0049】
また、本発明において提供される締結具10は、
図2に示すように、ベースプレート20の両側の注入孔21のそれぞれの外側に配置される。
【0050】
図4は本発明による締結具10の縦断面形状を示す図であり、
図5は締結具10がスリーブ40に対してロックされたとき(締結時)の様子(i)及び締結具10がスリーブ40に対してロック解除されたとき(脱去許容時)の様子(ii)をそれぞれ示す図である。
【0051】
前記締結具10は、シリンダ11の内部にピストン13が結合され、前記ピストン13の滑走位置によってボール15が前記シリンダ11の表面から突出することによりロック又はロック解除が行われる構成を有する。
【0052】
同図を参照すると、前記シリンダ11は、内部が長手方向に空いた形状を有し、所定の高さにエアホール12が穿孔される。前記エアホール12は、シリンダ11の内側と外側とを開通する。
【0053】
前記ピストン13は、付勢力により加圧されるように一端がスプリング14に結合された状態で前記シリンダ11の内部を滑走することができるように装着される。前記ピストン13は、一側に行くにつれて直径が縮小する形状、又は一側に行くにつれて直径が縮小する区間が少なくとも一部分に形成された形状を有する。
【0054】
また、前記シリンダ11の周囲に沿って少なくとも1つ以上、好ましくは周囲に沿って所定の間隔をおいて複数のボール15が結合された構造を有する。同図には明確に示していないが、前記ボール15は、弾性体(図示せず)により結束及び拘束されて一部分がシリンダ11に埋め立てられるように配置され、前記ピストン13の滑走によって、ピストン13の直径が拡大した部分に当接するとシリンダ11の表面から突出し、ピストン13の直径が縮小した部分に当接すると埋め立てられて元の状態になるように挙動する。
【0055】
ここで、前記ピストン13は、相対的に直径が拡大した側の端部(又は中間部)において直径が拡張したフランジ13aが形成され、前記フランジ13aを基準として、一側(
図4における下側)にはスプリング14が配置され、他側(
図4における上側)において前記シリンダ11にエアホール12が位置する。
【0056】
図4を基準として、前記ピストン13は、下方に行くほどより大きい直径を有する。よって、スプリング14の付勢力によりピストン13が上昇すると、前記ボール15は、ピストン13により加圧されてシリンダ11の表面から外側に突出する。
【0057】
そして、エアホール12に圧縮空気が供給されると、シリンダ11内部の空間(より詳細には、フランジを基準としてシリンダ内部の空間が分割されたとき、スプリングが配置された空間の反対側の空間)の圧力が増加する。これにより、ピストン13は、スプリング14の付勢力を克服して下降し、前記ボール15は、ピストン13により加圧されていた圧力が解除され、シリンダ11に埋め立てられて元の状態に復元される。
【0058】
さらに、前記上部マスク30には、締結具10が配置された位置に対応する位置に前記締結具10が進入できるように締結孔が設けられ、前記締結孔の内周面には、凹んだ形状を有するように溝が形成される。前記締結孔と溝は、上部マスク30に一体に形成されてもよいが、締結孔41と溝42が設けられたスリーブ40が前記上部マスク30に結合される形態で提供されてもよい。
【0059】
図5は上部マスク30に別途結合されるリング状のスリーブ40に締結孔41と溝42が設けられ、前記スリーブ40に締結具10が結合された様子を示す。
【0060】
図5を参照すると、左側に示すように、前記締結具10は、締結孔41の内部に進入すると、ピストン13により前記ボール15が締結孔41の内周面に形成された溝42に進入し、前記締結具10がスリーブ40に拘束される。このとき、締結具10はベースプレート20に結合され、スリーブ40は上部マスク30に固定された状態であるので、ベースプレート20と上部マスク30との結合が行われる。すなわち、ベースプレート20に固定された締結具10を締結孔41に挿入することにより、ワンタッチ方式でベースプレート20と上部マスク30との締結が行われる。
【0061】
なお、
図5のピストン13は、直径が一定な部分と直径が変化する部分の両方を有する構造として示しているが、ボール15の大きさや締結孔41の内径に応じてピストン13の形態は異なる。
【0062】
また、エアホール12からエア(圧縮空気)が注入されると、
図5の右側に示すように、スプリング14の反対側の空間の圧力が上昇し、ピストン13は後退する方向(
図5の下側)に滑走する。このとき、ピストン13は、直径が縮小する地点がボール15に対向するので、ボール15に加わる圧力は解除される。
【0063】
よって、締結具10は、締結孔41から離脱可能になり、ベースプレート20と上部マスク30との分離が行われる。
【0064】
一方、前記上部マスク30の重量を適宜支持できるように、前記ベースプレート20には、締結具10が少なくとも2つ以上備えられ、前記上部マスク30には、前記締結具10の数に対応して複数の締結孔が設けられることが好ましい。また、締結具10をより効率的に拘束できるように、前記ボール15は、シリンダ11の周囲に沿って複数配置された構造を有することが好ましい。
【0065】
上記のような構成を有する本発明においては、ベースプレート20と上部マスク30との脱着が締結具10により行われるが、前記締結具10は空気が注入されるか否かによって結束と分離が可能になるので、迅速な脱着が可能である。これにより、非熟練者でもより迅速かつ容易に上部マスクの脱着作業が可能である。
【0066】
前記締結具10が進入する締結孔、及び締結具のボールが進入する溝は、上部マスクに一体に形成されてもよいが、別体のスリーブ40が提供されて設けられてもよいので、スリーブ40を追加することにより、従来の上部マスクをそのまま使用することができる。
【0067】
前記上部マスク30は、ベースプレート20の注入孔を介して不活性ガスが供給される構造であるので、別途の不活性ガス注入用ホースHや外部配管を結合及び分離する必要がないので、より迅速な交換が可能である。
【0068】
以上、本発明は、たとえ限定された実施形態と図面により説明されたが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者により本発明の技術思想と添付の特許請求の範囲の均等範囲内で様々な実施が可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 締結具
20 ベースプレート
30 上部マスク
40 スリーブ
【国際調査報告】