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特表2024-538057電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置
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  • 特表-電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置 図1
  • 特表-電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20241010BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20241010BHJP
   B60T 13/138 20060101ALI20241010BHJP
   B60T 8/94 20060101ALI20241010BHJP
   B60T 8/96 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T8/1761
B60T13/138 A
B60T8/94
B60T8/96
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522008
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022076144
(87)【国際公開番号】W WO2023066582
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021211891.7
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ハグスピエル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェー,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3D048
3D246
【Fターム(参考)】
3D048BB03
3D048BB07
3D048CC54
3D048HH14
3D048HH15
3D048HH18
3D048HH37
3D048HH66
3D048HH75
3D048RR17
3D048RR25
3D048RR35
3D246BA02
3D246CA02
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB01
3D246GB37
3D246GC14
3D246GC16
3D246HA03A
3D246HA04A
3D246JA12
3D246JB13
3D246LA04Z
3D246LA15Z
3D246LA43B
3D246LA52Z
3D246LA61Z
3D246LA63Z
3D246LA73A
3D246MA19
3D246MA21
3D246MA23
(57)【要約】
電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ(1)の2つのブレーキ回路(I,II)を液圧的に分離するために、本発明は、2つのピストン(4,5)を有するピストンシリンダユニット(2)を提案しており、前記2つのピストン(4,5)のうちの第1のピストン(4)が第1の電動機(6)によってねじ伝動装置(7)を介してしゅう動可能であって、第2のピストン(5)は第1のピストン(4)による圧力負荷によってしゅう動せしめられるようになっている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置であって、ブレーキ液タンク(10)とピストンシリンダユニット(2)とを有しており、該ピストンシリンダユニット(2)のシリンダ(3)が前記ブレーキ液タンク(10)に接続されていて、該ブレーキ液タンク(10)が、液圧のブレーキ圧を発生させるために、第1の電動機(6)により回転/並進運動変換伝動装置(7)を介して前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)内でしゅう動可能な第1のピストン(4)と第2のピストン(5)とを有しており、該第2のピストン(5)が前記第1のピストン(4)による液圧の圧力負荷によってまたは前記2つのピストン(4,5)が互いに当接することによって機械的に前記シリンダ(3)内でしゅう動せしめられるようになっており、前記第2のピストン(5)によって液圧的に互いに分離されて前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)に接続された2つのブレーキ回路(I,II)と補助動力ブレーキ圧発生器(18)とを有しており、該補助動力ブレーキ圧発生器(18)によって、前記ピストンシリンダユニット(2)によるブレーキ圧発生の代わりに、前記補助動力ブレーキ装置(1)の一方の前記ブレーキ回路(I,II)内で液圧のブレーキ圧を発生可能である形式のものにおいて、
前記補助動力ブレーキ装置(1)が逆止弁(21)を有していて、該逆止弁(21)によって前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)が前記ブレーキ液タンク(10)に接続されていることを特徴とする、電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項2】
前記補助動力ブレーキ装置(1)が、逆止弁(21)によって前記ブレーキ液タンク(10)に接続されたそれぞれ1つの補助動力ブレーキ圧発生器(18)を前記各ブレーキ回路(I,II)内に有していることを特徴とする、請求項1に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項3】
前記第1のピストン(4)は、該第1のピストン(4)が前記第1の電動機(6)によって前記回転/並進運動変換伝動装置(7)を介して逆向きの2つの方向で前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)内でしゅう動可能となるように、引張りに対して強くかつ圧縮に対して強く前記回転/並進運動変換伝動装置(7)に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項4】
前記第1のピストン(4)がピストンリセットばねを有していないことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項または複数項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項5】
前記補助動力ブレーキ装置(1)がスリップ制御システム(12)を有していて、該スリップ制御システム(12)が単数または複数の前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)を有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項または複数項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項6】
前記第1の電動機(6)および前記回転/並進運動変換伝動装置(7)が、前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)に対して同軸的に配置されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項または複数項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項7】
前記補助動力ブレーキ装置(1)が、前記ピストンシリンダユニット(2)の前記第1の電動機(6)のための、および前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)または前記スリップ制御システム(12)のための冗長性の電力供給部(24)および/または冗長性の電子制御装置(25)を有していることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項または複数項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項8】
前記補助動力ブレーキ装置(1)が筋力操作装置を有していないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項または複数項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項9】
請求項2から8までいずれか1項または複数項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置(1)のピストン(4,5)をリセットさせるための方法において、
前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)がバルブ(15)によって前記シリンダ(3)に接続されていて、前記ピストン(4,5)の少なくとも一方を液圧の圧力で負荷することを特徴とする、電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置(1)のピストン(4,5)をリセットさせるための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を有する電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気油圧式の補助動力ブレーキ装置は、液圧式のホイールブレーキを操作するために補助動力により液圧のブレーキ圧を発生させる。このために、例えばピストンが電動機によりねじ伝動装置を介してシリンダ内でしゅう動せしめられる。例えば電動機またはその電力供給部が故障した場合の非常制動のために、補助動力ブレーキ装置を代替的に操作するために筋力により操作可能なマスタブレーキシリンダが設けられていることができる。
【0003】
このような形式の補助動力ブレーキ装置は、特許文献1および特許文献2に開示されており、補助動力ブレーキ装置のためのシリンダが、液圧式の2系統車両ブレーキ装置のマスタブレーキシリンダのように、2つのブレーキ回路の接続を液圧的に分離する2系統シリンダとして構成されているという特徴を有している。2系統マスタブレーキシリンダのように、前記2つの特許文献の補助動力ブレーキ装置のためのシリンダも、シリンダ内で相前後して同軸的に互いに間隔を保って配置された2つのピストンを有しており、これら2つのピストンのうちの第1のピストンは一次ピストンともロッド形ピストンとも呼ばれ、電動機によりボールねじ伝動装置を介してシリンダ内でしゅう動せしめられ、二次ピストンとも浮動ピストンとも呼ばれる第2のピストンは、第1のピストンが生ぜしめる液圧のブレーキ圧によって負荷され、それによって第2のピストンは同じブレーキ圧を生ぜしめる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許公開第1970271号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許公開第2641788号明細書
【発明の概要】
【0005】
請求項1の前提部の特徴を有する本発明による電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置は、ピストンシリンダユニットを有しており、該ピストンシリンダユニットのシリンダ内に、筋力により操作される2系統マスタブレーキシリンダ内と同じように2つのピストンが配置されている。補助動力により液圧のブレーキ圧を発生させるために、2つのピストンのうちの第1のピストンは、第1の電動機により回転/並進運動変換伝動装置、例えばねじ伝動装置を介してピストンシリンダユニットのシリンダ内でしゅう動可能である。2つのピストンのうちの第2のピストンは、第1のピストンに面した背面が第1のピストンが生ぜしめるブレーキ圧で負荷され、それによって同様にピストンシリンダユニットのシリンダ内でしゅう動せしめられるか、若しくは第1のピストンとは反対側の前面に同様に液圧のブレーキ圧を発生させる。第2のピストンの背面は、第1のピストンに面した端面であるかまたは第2のピストンのピストン面であり、前面は、第2のピストンの、第1のピストンとは反対側の端面またはピストン面である。第1のピストンがピストンシリンダユニットのシリンダ内でしゅう動する際に、例えば漏れに基づいて圧力を発生しないと、第1のピストンはしゅう動時に第2のピストンにぶつかって、第2のピストンをシリンダ内で機械的にしゅう動させる。
【0006】
2つのブレーキ回路は、例えば2系統マスタブレーキシリンダにおけるように、液圧的に第2のピストンによって互いに分離されて、ピストンシリンダユニットのシリンダに接続されている。
【0007】
本発明による補助動力ブレーキ装置の作動可能性を高めるために、補助動力ブレーキ装置は補助動力ブレーキ圧発生器を有しており、この補助動力ブレーキ圧発生器によって液圧のブレーキ圧が、ピストンシリンダユニットによるブレーキ圧発生とは無関係にかつその代わりに生ぜしめられる。これによって、本発明による補助動力ブレーキ装置は自律走行のために適している。補助動力ブレーキ圧発生器は、例えば補助動力ブレーキ装置のスリップ制御システムの液圧ポンプであってよい。好適な形式で、補助動力ブレーキ装置は、各ブレーキ回路内に1つの液圧ポンプを有している。
【0008】
本発明によれば、例えば補助動力ブレーキ圧発生器は、逆止弁によってブレーキ液タンクに接続されており、これによって補助動力ブレーキ圧発生器は液圧のブレーキ圧を発生させるために、ピストンシリンダユニットを迂回してブレーキ液をブレーキ液タンクから吸い込むことができる。補助動力ブレーキ圧発生器は、1つの共通の逆止弁によってブレーキ液タンクに接続されていてよい。ブレーキ回路を液圧的に分離するために、好適には各補助動力ブレーキ圧発生器のために若しくは各ブレーキ回路にそれぞれ1つの逆止弁が設けられていてよい。1つの補助動力ブレーキ圧発生器だけが逆止弁によってブレーキ液タンクに接続されている、本発明の構成も可能である。逆止弁は、故障に基づいてピストンシリンダユニットの1つまたは2つのピストンが、ブレーキ回路を液圧タンクから液圧的に分離する、前方にしゅう動せしめられた位置でシリンダ内に固着してしゅう動不能になった場合でも、補助動力ブレーキ圧発生器によって液圧のブレーキ圧を発生させることを可能にする。
【0009】
ピストンシリンダユニットのシリンダは、同様にブレーキ液タンクにまたは場合によっては固有のブレーキ液タンクにも接続されている。シリンダは、逆止弁を介在させることなく直接的に、補助動力ブレーキ圧発生器をブレーキ液タンクに接続する逆止弁によって、または固有の逆止弁によってブレーキ液タンクに接続されていてよい。本発明は、ピストンシリンダユニットのシリンダをブレーキ液タンクに接続する別の可能性を排除するものではない。
【0010】
従属請求項は、独立請求項に記載された本発明の実施態様および好適な実施形態の対象である。
【0011】
本発明によれば、補助動力ブレーキ装置を筋力操作可能なマスタブレーキシリンダなしで構成することができる(請求項8)。
【0012】
明細書および図面に開示されたすべての特徴は、個別でも、また基本的に任意の組合せでも、本発明の実施形態において実現され得る。本発明の実施形態または請求項のすべてではなく、1つだけまたは複数の特徴を有する本発明の構成が基本的に可能である。例えば、ブレーキ液タンクと補助動力ブレーキ圧発生器との間に逆止弁が設けられていない本発明による補助動力ブレーキ装置の構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による電気油圧式の補助動力ブレーキ装置の実施形態の液圧回路図である。
図2】本発明による電気油圧式の補助動力ブレーキ装置の実施形態の液圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を以下に、図面に示した実施形態を用いて詳しく説明する。
【0015】
図1に示した電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置1は、シリンダ3を備えたピストンシリンダユニット2を有しており、このシリンダ3内に、筋力により操作可能な従来の2系統マスタブレーキシリンダにおけるような2つのピストン4,5がしゅう動可能に配置されている。補助動力により液圧のブレーキ圧を発生させるために、2つのピストンのうちの第1のピストン4が第1の電動機6によってねじ伝動装置7を介してシリンダ3内でしゅう動可能である。この実施例では、ねじ伝動装置7はボールねじ伝動装置である。ねじ伝動装置7は、一般的に回転/並進運動変換伝達装置と解釈されてよい。第1の電動機6とねじ伝動装置7との間に図示されていない減速歯車装置、特に遊星歯車装置が配置されていてよい。本発明によれば、第1の電動機6、ねじ伝動装置7および(設けられていれば)減速歯車装置は、ピストンシリンダユニット2に対して同軸的に、つまりシリンダ3に対して同軸的に、かつ2つのピストン4,5に対して同軸的に配置されているが、この場合、本発明は、第1の電動機6、ねじ伝動装置7および場合によっては減速歯車装置の、ピストンシリンダユニット2、シリンダ3およびピストン4,5に関連した別の配置も基本的に排除しない。
【0016】
シリンダ3内で第1のピストン4によって生ぜしめられる液圧のブレーキ圧は、ここでは第2のピストン5の背面8と呼ばれる、第2のピストン5の、第1のピストン4に面した端面側またはピストン面を負荷し、それによって第2のピストン5はシリンダ3内でしゅう動せしめられ、ここでは第2のピストン5の前面9と呼ばれる第1のピストン4とは反対側またはピストン面に、液圧のブレーキ圧を発生させる。
【0017】
第1のピストン4は、(例えば漏れのせいで)しゅう動時にシリンダ3内で圧力を発生しないと、しゅう動時に第2のピストン5にぶつかり、第1のピストン4の当接によってこの第2のピストン5を機械的にしゅう動させることになるので、この場合、第2のピストン5もその前面9でシリンダ3内に液圧のブレーキ圧を生ぜしめる。
【0018】
ピストンシリンダユニット2のシリンダ3に無圧のブレーキ液タンク10が配置されており、このブレーキ液タンクに、シリンダ3が2つのピストン4,5の間で、かつ第2のピストン5の前面9に接続されている。
【0019】
本発明による補助動力ブレーキ装置1は、2つのブレーキ回路I,IIおよび図示の実施例では4つの液圧式のホイールブレーキ11を有する2系統ブレーキ装置として構成されていて、4つのホイールブレーキ11のそれぞれ2つが1つのブレーキ回路I,IIに接続されている。2つのブレーキ回路のうちの第1のブレーキ回路Iは、第1のピストン4がシリンダ3内でしゅう動する際に発生させる液圧のブレーキ圧で第1のブレーキ回路Iが負荷されるように、2つのピストン4,5の間でピストンシリンダユニット2のシリンダ3に接続されている。
【0020】
第2のブレーキ回路IIは、第2のピストン6の前面9でピストンシリンダユニット3のシリンダ3に接続されていて、第2のピストン5が発生させるか若しくはシリンダ3内で第2のピストン5の前面9を支配するブレーキ圧で負荷される。
【0021】
第2のピストン5は、その背面8が第1のブレーキ回路Iに接続されていて、その前面9がピストンシリンダユニット2のシリンダ3で第2のブレーキ回路IIに接続されており、この第2のピストン5は、2つのブレーキ回路I,IIを互いに液圧的に分離する。
【0022】
補助動力ブレーキ装置1は、各ホイールブレーキ11のためのそれぞれ1つの吸入バルブ13および吐出バルブ14を備えたスリップ制御システム12を有している。吸入バルブ13によってホイールブレーキ12は、ピストンシリンダユニット2のシリンダ3に接続されており、各ブレーキ回路I,II内にセパレートバルブ15がシリンダ3と吸入バルブ13との間に配置されている。第1のブレーキ回路Iはそのセパレートバルブ15によって2つのピストン4,5間でシリンダ3に接続されていて、第2のブレーキ回路IIはそのセパレートバルブ15によって第2のピストン5の前面9でシリンダ3に接続されている。
【0023】
吐出バルブ14によって、ホイールブレーキ11は、各ブレーキ回路I,II内で液圧ポンプ16の吸込み側に接続されていて、2つのブレーキ回路I,IIの2つの液圧ポンプ16は、1つの共通の第2の電動機17によって駆動可能である。第2の電動機17を有する液圧ポンプ16は、スリップ制御システム12の構成部分であって、補助動力ブレーキ圧発生器18を形成する。液圧ポンプ16の吐出側は、セパレートバルブ15と吸入バルブ13との間に接続されている。液圧ポンプ16の吸込み側に、スリップ制御中にホイールブレーキ11からのブレーキ液を中間貯蔵するためのそれぞれ1つの液圧蓄圧器19が設けられている。さらに、液圧ポンプ16の吸込み側は吸込みバルブ20によって、ピストンシリンダユニット2のシリンダ3に接続されている。つまり、セパレートバルブ15におけるのと同様に、ブレーキ回路Iはその吸込みバルブ20によって2つのピストン4,5の間でシリンダ3に接続されていて、ブレーキ回路IIはその吸込みバルブ20によって第2のピストン5の前面9でシリンダ3に接続されている。
【0024】
スリップ制御システム12の構成部分である吸入バルブ13、吐出バルブ14、セパレートバルブ15、および吸込みバルブ19と、接続バルブ29とは、この実施例では2ポート2位置方向制御弁であって、この場合、吸入バルブ13とセパレートバルブ15と接続バルブ29とは、その無電流の基本位置で開放していて、吐出バルブ14と吸込みバルブ19とは、その無電流の基本位置で閉鎖されている。スリップ制御システム12によって、ホイールブレーキ11内でホイール個別のブレーキ圧制御が可能である。特に、略語ABS、ASRおよびFDRで一般的である、例えばロック防止制御、トラクションスリップ制御およびビークルダイナミックコントロール等のスリップ制御が可能である。このようなスリップ制御は公知であって、ここでは詳しく説明しない。
【0025】
第2の電動機17によって駆動可能な、補助動力ブレーキ圧発生器18を形成する、スリップ制御システム12の液圧ポンプ16によって、冗長性が保証されている。つまり、液圧のブレーキ圧は、スリップ制御システム12の液圧ポンプ16の駆動によりピストンシリンダユニット2,5のシリンダ3内でピストン4,5をしゅう動させることによって選択的に生ぜしめるために、発生可能であり、これによって、本発明による補助動力ブレーキ装置1の作動可能性は、第1の電動機6が故障した場合でも保証されていて、したがって、この補助動力ブレーキ装置1は自律走行のためにも適している。
【0026】
マスタブレーキシリンダにおけるのと同様に、ピストンシリンダユニット2のシリンダ3は、ブレーキ圧を発生させるためにピストン4,5が基本位置からしゅう動せしめられると、ピストン4,5がシリンダ3をブレーキ液タンク10から液圧的に分離するように、ブレーキ液タンク10に接続されている。
【0027】
2つのブレーキ回路I,IIは、逆止弁21によってブレー液タンク10に接続されており、この逆止弁21は、一方ではブレーキ液タンク10とセパレートバルブ15との間、他方ではブレーキ液タンク10と吸込みバルブ20との間に配置されていて、ブレーキ液タンク10からブレーキ回路I,IIに向かう方向に、つまりセパレートバルブ15および吸込みバルブ20に向かって貫流可能である。逆止弁21によって、スリップ制御システム12の液圧ポンプ16は、吸込みバルブ19が開放されているときに、ブレーキ液をピストンシリンダユニット2のシリンダ3の傍らを通って、ブレーキ液タンク10から吸い込むことができる。これによって、特に例えばピストンシリンダユニット2のシリンダ3内でピストン4,5が、ブレーキ液タンク10をシリンダ3から液圧的に分離する、前に押しやられた位置でシリンダ3内で固着されるかまたはその他の形式でロックされた場合でも、補助動力によりブレーキ圧を発生させることができる。
【0028】
逆止弁21は、ピストンシリンダユニット2のシリンダ3もブレーキ液タンク10に接続し、これによって、ピストン4,5は、戻りストロークでブレーキ液をブレーキ液タンク10からシリンダ3内へ吸い込むことができる。本発明は、逆止弁21なしの補助動力ブレーキ装置1の構成または逆止弁21が2つのブレーキ回路I,IIのうちの一方だけに設けられている補助動力ブレーキ装置1の構成(図示せず)を排除しない。
【0029】
逆止弁21に対して液圧的に平行に接続バルブ29が配置されており、この接続バルブ29によって、この接続バルブ29が開放されているときに、ブレーキ液が第1のピストン4によってピストンシリンダユニット2から押しのけられ、ブレーキ液がブレーキ回路Iから、液圧ポンプ18によって圧力調整モジュール23からブレーキ液タンク10内へ圧送され得る。接続バルブ29は本発明にとって必須ではない。
【0030】
第2のピストン5によってブレーキ圧で負荷されるブレーキ回路II内に逆止弁21が設けられていない構成の補助動力ブレーキ装置1も可能ある。この場合、ブレーキ回路IIはブレーキ液タンク10に直接接続されている(図示せず)。
【0031】
図2では、シリンダ3が常に逆止弁21によってブレーキ液タンク10と連通するように、逆止弁21がブレーキ液タンク10をピストンシリンダユニット2のシリンダ3に接続する。つまり、2つのピストン4,5がその基本位置からしゅう動せしめられるか若しくはしゅう動せしめられているときに、2つのピストン4,5がシリンダ3内でのしゅう動時に閉鎖する、ブレーキ液タンク10とシリンダ3との直接的な接続部と同じように、ピストン4,5は、シリンダ3内でこのピストンがしゅう動する際にブレーキ液タンク10とシリンダ3との接続部を逆止弁21によって分離する。本発明のこの構成においても、補助動力ブレーキ圧発生器18を形成するスリップ制御システム12の液圧ポンプ16は、ピストン4,5がシリンダ3内でしゅう動せしめられると、ブレーキ液をブレーキ液タンク10からピストンシリンダユニット2のシリンダ3および逆止弁21によって吸い込むことができ、それによって、本発明のこの構成においても、シリンダ3内でしゅう動せしめられるピストン4,5がシリンダ3内でしゅう動不能に固定されているときに、液圧ポンプ16によって液圧のブレーキ圧を発生させることができる。逆止弁21の記載した配置以外は、本発明による補助動力ブレーキ装置1は2つの図面において同じであり、図2の説明のために図1の説明が参照される。
【0032】
本発明の実施例では、補助動力ブレーキ装置1はモジュール方式で構成されており、ピストンシリンダユニット2は、ここでは圧力発生モジュール22と呼ばれるモジュール内に収容されていて、スリップ制御システム12は、ここでは圧力調整モジュール23と呼ばれる別のモジュール内に収容されている。補助動力ブレーキ装置1のモジュール方式ではない構成のために、ピストンシリンダユニット2およびスリップ制御システム12は1つの共通のモジュール内に収容されていてよい(図示せず)。
【0033】
冗長性の理由により、圧力発生モジュール22および圧力調整モジュール23は、それぞれ1つの固有の電気的な電力供給部24および固有の電子制御装置25を有しており、これによって、圧力発生モジュール22若しくは圧力調整モジュール24の故障時またはスリップ制御システム12の故障時に、補助動力ブレーキ装置1の作動可能性が保証されている。
【0034】
第2のピストン5の前面9で、ピストンシリンダユニット2のシリンダ3内にピストンリセットばね26が配置されており、このピストンリセットばね26は第2のピストン5をその基本位置へ付勢する。第1のピストン4にはピストンリセットばねは設けられていないが、本発明はこのようなピストンリセットばねを排除するものではない。この実施例では、第1のピストン4は、一般的に回転/並進運動変換伝動装置と解釈されてよいねじ伝動装置7に、第1のピストン4がブレーキ圧を発生させるためだけではなく逆方向でも第1の電動機6によってねじ伝動装置7を介してシリンダ3内でしゅう動させることができる程度に、高い引張り強さで接続されている。
【0035】
ピストンシリンダユニット2により生ぜしめようとするブレーキ圧のための目標値送信器として、補助動力ブレーキ装置1はストロークセンサ28または選択的にフォースセンサを備えたばね付勢されたフットブレーキペダル27を有している。冗長性のために、複数のストロークセンサ若しくはフォースセンサ、または1つのストロークセンサおよび1つのフォースセンサが設けられていてもよい(図示せず)。基本的に、筋力で操作可能な1系統マスタブレーキシリンダを設け、この1系統マスタブレーキシリンダによって、2つのブレーキ回路I,IIのうちの一方を選択的に、ピストンシリンダユニット2で圧力を発生させるために液圧のブレーキ圧で負荷可能であるか、または2系統マスタブレーキシリンダを設け、この2系統マスタブレーキシリンダによって2つのブレーキ回路I,IIを圧力負荷可能である(図示せず)。このようなマスタブレーキシリンダによって、補助動力ブレーキ装置1は、特に第1のピストンシリンダユニット2の故障時に、およびスリップ制御システム12の液圧ポンプ16の故障時に、筋力で操作することができる。図示の実施例では、補助動力ブレーキ装置1はマスタブレーキシリンダを有しておらず、筋力で操作可能ではない。しかしながら、ピストンシリンダユニット2または液圧ポンプ16による選択的なブレーキ圧発生を可能にするために、補助動力ブレーキ装置1は自律的な運転のためにも使用可能であり、この自律的な運転において、補助動力ブレーキ装置1は車両運転者による操作なしでも自律的に操作可能でなければならない。
【0036】
故障時にピストンシリンダユニット2のシリンダ3内でピストン4,5をリセットさせるために、本発明によれば、ブレーキ液は液圧蓄圧器19から補助動力ブレーキ圧発生器18の液圧ポンプ16により、開放されたセパレートバルブ15を通じてピストンシリンダユニット2のシリンダ3内へ圧送され、ここで、ピストン4,5を第1の電動機6に向かう方向に負荷するブレーキ圧を発生させることができる。液圧蓄圧器19内に十分なブレーキ液が存在しない場合は、ブレーキ液はセパレートバルブ15が閉鎖されているときに前もって液圧ポンプ16によってブレーキ液タンク10から、開放させる必要がある吸込みバルブ20を通じてホイールブレーキ11内に圧送され、ここからブレーキ液は吸入バルブ13および吸込みバルブ20の閉鎖後および吐出バルブ14の開放後に液圧蓄圧器19内に流入する。このプロセス、つまり、十分なブレーキ液をシリンダ3内に圧送しかつここでピストン4,5のリセットのために十分な圧力を発生させるために、ブレーキ液を液圧ポンプ16によってブレーキ液タンク10から吸い込み、かつブレーキ液を液圧蓄圧器18からピストンシリンダユニット2のシリンダ3内へ圧送することが交互に複数回繰り返し行われ得る。この方法は、2つのブレーキ回路I,IIで同時にまたは各ブレーキ回路I,II内で独自に実行されてよい。好適な形式で、第1のピストン4のリセット時に他方のブレーキ回路IIのセパレートバルブ15は閉鎖され、それと同時に圧力負荷によって第2のピストン5はシリンダ3からブレーキ液を押しやることはなく、第1のピストン4に面した側が圧力に屈することはないかまたはほとんどない。
【符号の説明】
【0037】
1 2系統補助動力ブレーキ装置
2 ピストンシリンダユニット
3 シリンダ
4 第1のピストン
5 第2のピストン
6 第1の電動機
7 回転/並進運動変換伝動装置、ねじ伝動装置
8 背面
9 前面
10 ブレーキ液タンク
11 ホイールブレーキ
12 スリップ制御システム
13 吸入バルブ
14 吐出バルブ
15 セパレートバルブ
16 液圧ポンプ
17 第2の電動機
18 補助動力ブレーキ圧発生器
19 液圧蓄圧器
20 吸込みバルブ
21 逆止弁
22 圧力発生モジュール
23 圧力調整モジュール
24 電力供給部
25 電子制御装置
26 ピストンリセットばね
27 フットブレーキペダル
28 ストロークセンサ
29 接続バルブ
I,II ブレーキ回路
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置であって、ブレーキ液タンク(10)とピストンシリンダユニット(2)とを有しており、該ピストンシリンダユニット(2)のシリンダ(3)が前記ブレーキ液タンク(10)に接続されていて、該ブレーキ液タンク(10)が、液圧のブレーキ圧を発生させるために、第1の電動機(6)により回転/並進運動変換伝動装置(7)を介して前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)内でしゅう動可能な第1のピストン(4)と第2のピストン(5)とを有しており、該第2のピストン(5)が前記第1のピストン(4)による液圧の圧力負荷によってまたは前記2つのピストン(4,5)が互いに当接することによって機械的に前記シリンダ(3)内でしゅう動せしめられるようになっており、前記第2のピストン(5)によって液圧的に互いに分離されて前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)に接続された2つのブレーキ回路(I,II)と補助動力ブレーキ圧発生器(18)とを有しており、該補助動力ブレーキ圧発生器(18)によって、前記ピストンシリンダユニット(2)によるブレーキ圧発生の代わりに、前記補助動力ブレーキ装置(1)の一方の前記ブレーキ回路(I,II)内で液圧のブレーキ圧を発生可能である形式のものにおいて、
前記補助動力ブレーキ装置(1)が逆止弁(21)を有していて、該逆止弁(21)によって前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)が前記ブレーキ液タンク(10)に接続されていることを特徴とする、電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項2】
前記補助動力ブレーキ装置(1)が、逆止弁(21)によって前記ブレーキ液タンク(10)に接続されたそれぞれ1つの補助動力ブレーキ圧発生器(18)を前記各ブレーキ回路(I,II)内に有していることを特徴とする、請求項1に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項3】
前記第1のピストン(4)は、該第1のピストン(4)が前記第1の電動機(6)によって前記回転/並進運動変換伝動装置(7)を介して逆向きの2つの方向で前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)内でしゅう動可能となるように、引張りに対して強くかつ圧縮に対して強く前記回転/並進運動変換伝動装置(7)に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項4】
前記第1のピストン(4)がピストンリセットばねを有していないことを特徴とする、請求項1または2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項5】
前記補助動力ブレーキ装置(1)がスリップ制御システム(12)を有していて、該スリップ制御システム(12)が単数または複数の前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項6】
前記第1の電動機(6)および前記回転/並進運動変換伝動装置(7)が、前記ピストンシリンダユニット(2)の前記シリンダ(3)に対して同軸的に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項7】
前記補助動力ブレーキ装置(1)が、前記ピストンシリンダユニット(2)の前記第1の電動機(6)のための、および前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)または前記スリップ制御システム(12)のための冗長性の電力供給部(24)および/または冗長性の電子制御装置(25)を有していることを特徴とする、請求項に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項8】
前記補助動力ブレーキ装置(1)が筋力操作装置を有していないことを特徴とする、請求項1または2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置。
【請求項9】
請求項2に記載の電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置(1)のピストン(4,5)をリセットさせるための方法において、
前記補助動力ブレーキ圧発生器(18)がバルブ(15)によって前記シリンダ(3)に接続されていて、前記ピストン(4,5)の少なくとも一方を液圧の圧力で負荷することを特徴とする、電気油圧式の2系統補助動力ブレーキ装置(1)のピストン(4,5)をリセットさせるための方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第2のブレーキ回路IIは、第2のピストンの前面9でピストンシリンダユニットのシリンダ3に接続されていて、第2のピストン5が発生させるか若しくはシリンダ3内で第2のピストン5の前面9を支配するブレーキ圧で負荷される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
補助動力ブレーキ装置1は、各ホイールブレーキ11のためのそれぞれ1つの吸入バルブ13および吐出バルブ14を備えたスリップ制御システム12を有している。吸入バルブ13によってホイールブレーキ11は、ピストンシリンダユニット2のシリンダ3に接続されており、各ブレーキ回路I,II内にセパレートバルブ15がシリンダ3と吸入バルブ13との間に配置されている。第1のブレーキ回路Iはそのセパレートバルブ15によって2つのピストン4,5間でシリンダ3に接続されていて、第2のブレーキ回路IIはそのセパレートバルブ15によって第2のピストン5の前面9でシリンダ3に接続されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
スリップ制御システム12の構成部分である吸入バルブ13、吐出バルブ14、セパレートバルブ15、および吸込みバルブ20と、接続バルブ29とは、この実施例では2ポート2位置方向制御弁であって、この場合、吸入バルブ13とセパレートバルブ15と接続バルブ29とは、その無電流の基本位置で開放していて、吐出バルブ14と吸込みバルブ20とは、その無電流の基本位置で閉鎖されている。スリップ制御システム12によって、ホイールブレーキ11内でホイール個別のブレーキ圧制御が可能である。特に、略語ABS、ASRおよびFDRで一般的である、例えばロック防止制御、トラクションスリップ制御およびビークルダイナミックコントロール等のスリップ制御が可能である。このようなスリップ制御は公知であって、ここでは詳しく説明しない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
第2の電動機17によって駆動可能な、補助動力ブレーキ圧発生器18を形成する、スリップ制御システム12の液圧ポンプ16によって、冗長性が保証されている。つまり、液圧のブレーキ圧は、スリップ制御システム12の液圧ポンプ16の駆動によりピストンシリンダユニット2のシリンダ3内でピストン4,5をしゅう動させることによって選択的に生ぜしめるために、発生可能であり、これによって、本発明による補助動力ブレーキ装置1の作動可能性は、第1の電動機6が故障した場合でも保証されていて、したがって、この補助動力ブレーキ装置1は自律走行のためにも適している。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
2つのブレーキ回路I,IIは、逆止弁21によってブレー液タンク10に接続されており、この逆止弁21は、一方ではブレーキ液タンク10とセパレートバルブ15との間、他方ではブレーキ液タンク10と吸込みバルブ20との間に配置されていて、ブレーキ液タンク10からブレーキ回路I,IIに向かう方向に、つまりセパレートバルブ15および吸込みバルブ20に向かって貫流可能である。逆止弁21によって、スリップ制御システム12の液圧ポンプ16は、吸込みバルブ20が開放されているときに、ブレーキ液をピストンシリンダユニット2のシリンダ3の傍らを通って、ブレーキ液タンク10から吸い込むことができる。これによって、特に例えばピストンシリンダユニット2のシリンダ3内でピストン4,5が、ブレーキ液タンク10をシリンダ3から液圧的に分離する、前に押しやられた位置でシリンダ3内で固着されるかまたはその他の形式でロックされた場合でも、補助動力によりブレーキ圧を発生させることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
冗長性の理由により、圧力発生モジュール22および圧力調整モジュール23は、それぞれ1つの固有の電気的な電力供給部24および固有の電子制御装置25を有しており、これによって、圧力発生モジュール22若しくは圧力調整モジュール23の故障時またはスリップ制御システム12の故障時に、補助動力ブレーキ装置1の作動可能性が保証されている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
故障時にピストンシリンダユニット2のシリンダ3内でピストン4,5をリセットさせるために、本発明によれば、ブレーキ液は液圧蓄圧器19から補助動力ブレーキ圧発生器18の液圧ポンプ16により、開放されたセパレートバルブ15を通じてピストンシリンダユニット2のシリンダ3内へ圧送され、ここで、ピストン4,5を第1の電動機6に向かう方向に負荷するブレーキ圧を発生させることができる。液圧蓄圧器19内に十分なブレーキ液が存在しない場合は、ブレーキ液はセパレートバルブ15が閉鎖されているときに前もって液圧ポンプ16によってブレーキ液タンク10から、開放させる必要がある吸込みバルブ20を通じてホイールブレーキ11内に圧送され、ここからブレーキ液は吸入バルブ13および吸込みバルブ20の閉鎖後および吐出バルブ14の開放後に液圧蓄圧器19内に流入する。このプロセス、つまり、十分なブレーキ液をシリンダ3内に圧送しかつここでピストン4,5のリセットのために十分な圧力を発生させるために、ブレーキ液を液圧ポンプ16によってブレーキ液タンク10から吸い込み、かつブレーキ液を液圧蓄圧器19からピストンシリンダユニット2のシリンダ3内へ圧送することが交互に複数回繰り返し行われ得る。この方法は、2つのブレーキ回路I,IIで同時にまたは各ブレーキ回路I,II内で独自に実行されてよい。好適な形式で、第1のピストン4のリセット時に他方のブレーキ回路IIのセパレートバルブ15は閉鎖され、それと同時に圧力負荷によって第2のピストン5はシリンダ3からブレーキ液を押しやることはなく、第1のピストン4に面した側が圧力に屈することはないかまたはほとんどない。

【国際調査報告】