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特表2024-538060重質芳香族ストリームを改質するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】重質芳香族ストリームを改質するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/04 20060101AFI20241010BHJP
   C07C 15/04 20060101ALI20241010BHJP
   C07C 15/06 20060101ALI20241010BHJP
   C07C 15/067 20060101ALI20241010BHJP
   C07C 1/22 20060101ALN20241010BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
C07C7/04
C07C15/04
C07C15/06
C07C15/067
C07C1/22
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522034
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022046721
(87)【国際公開番号】W WO2023064565
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/255,817
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524060418
【氏名又は名称】ヴィレント,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ブロメル,ポール ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ストラテン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ダリ―,ブライス
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB84
4H006AD11
4H006BA10
4H006BA11
4H006BA14
4H006BA21
4H006BA25
4H006BA30
4H006BA55
4H006BA71
4H006BD40
4H006BD52
4H006BD60
4H006BD84
4H006BE20
4H006DA12
4H039CA41
4H039CB10
4H039CB40
(57)【要約】
重質芳香族化合物(C11+)をC6~8芳香族化合物に改質するためのプロセス、触媒、および反応器システムが開示される。炭水化物、糖、糖アルコール、糖分解生成物などの酸素化炭化水素から芳香族化合物および液体燃料を生成するためのプロセス、触媒、および反応器システムも開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族炭化水素を、複数の非芳香族炭化水素および芳香族炭化水素を含む炭化水素供給原料ストリームから生成および分離するためのプロセスであって、前記非芳香族炭化水素が、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せを含み、前記芳香族炭化水素が、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せを含み、前記プロセスが、
(i)一連の蒸留塔を使用して、前記炭化水素供給原料ストリームを分留して、芳香族生成物ストリームおよび重質炭化水素ストリームを前記炭化水素供給原料ストリームから分離するステップであって、前記芳香族生成物ストリームが、C芳香族、C芳香族、C芳香族、またはそれらの組合せを含み、前記重質炭化水素ストリームがC11+化合物を含む、ステップと、
(ii)前記重質炭化水素ストリームを水素の存在下で水素化触媒と接触させて水素化C11+ストリームを生成するステップと、
(iii)前記水素化C11+ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、前記C11+化合物の少なくとも一部を脱アルキル化して改質物ストリームを生成するステップであって、前記改質物ストリームが、ステップ(i)の前記一連の蒸留塔に供給される、ステップと
を含むプロセス。
【請求項2】
ステップ(i)が、
第1の蒸留塔を使用して、前記炭化水素供給原料ストリームを分留して、C5-ストリームおよびC6+ストリームを前記炭化水素供給原料ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、前記C6+ストリームを前記芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、前記芳香族生成物ストリームがC6~8化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、前記C9+ストリームをC9~10ストリームおよび前記重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記C5-ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒にリサイクルするステップをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(i)が、
第1の蒸留塔を使用して、前記炭化水素供給原料ストリームを分留してC7-ストリームおよびC8+ストリームを前記炭化水素供給原料ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、前記C8+ストリームを前記芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、前記芳香族生成物ストリームがC化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、前記C9+ストリームをC9~10ストリームおよび前記重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記C7-ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒にリサイクルするステップをさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記C9~10ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒にリサイクルして、前記C9~10ストリーム中のC9~10化合物の少なくとも一部を脱アルキル化するステップをさらに含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記水素化触媒が、少なくとも1種の担体および少なくとも1種の金属を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記少なくとも1種の担体が、炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、バナジア、セリア、シリカ-アルミネート、ゼオライト、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、クロミア、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記少なくとも1種の金属が、Fe、Ru、Co、Pt、Pd、Ni、Re、Cu、それらの合金、またはそれらの組合せを含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
ステップ(ii)における前記重質炭化水素ストリームが少なくとも1種の多核芳香族(PNA)を含み、水素化中の前記PNAの変換率が少なくとも70%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記水素化C11+ストリームが、前記水素化C11+ストリームの総重量に対して5wt%未満の多核芳香族化合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記水素化C11+ストリームがテトラリンを含み、前記水素化C11+ストリームが、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+化合物を含む前記重質炭化水素ストリーム中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10wt%大きいテトラリンの重量分率を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記水素化C11+ストリームがデカリンを含み、前記水素化C11+ストリームが、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+化合物を含む前記重質炭化水素ストリーム中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも10wt%大きいデカリンの重量分率を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
ステップ(i)の前に、
水および酸素化炭化水素を含む原料ストリームを水素の存在下で脱酸素化触媒と接触反応させて脱酸素化生成物ストリームを生成するステップと、
前記脱酸素化生成物ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒と接触反応させて前記炭化水素供給原料ストリームを生成するステップと
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
(i)水および酸素化炭化水素を含む原料ストリームを水素の存在下で脱酸素化触媒と接触反応させて脱酸素化生成物ストリームを生成するステップと、
(ii)前記脱酸素化生成物ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触反応させて、非芳香族炭化水素および芳香族炭化水素を含む縮合生成物ストリームを生成するステップであって、前記非芳香族炭化水素が、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せを含み、芳香族化合物が、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せを含む、ステップと、
(iii)一連の蒸留塔を使用して、前記縮合生成物ストリームを分留して芳香族生成物ストリームおよび重質炭化水素ストリームを前記縮合生成物ストリームから分離するステップであって、前記芳香族生成物ストリームが、C芳香族、C芳香族、C芳香族、またはそれらの組合せを含み、前記重質炭化水素ストリームがC11+化合物を含む、ステップと、
(iv)前記重質炭化水素ストリームの少なくとも一部をステップ(i)の前記脱酸素化触媒にリサイクルするステップと
を含むプロセス。
【請求項16】
前記酸素化炭化水素が、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、糖分解生成物、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、リグニン誘導体、リグノセルロース誘導体、またはそれらの組合せを含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
ステップ(iii)が、
第1の蒸留塔を使用して、前記縮合生成物ストリームを分留してC5-ストリームおよびC6+ストリームを前記縮合生成物ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、前記C6+ストリームを前記芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、前記芳香族生成物ストリームがC6~8化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、前記C9+ストリームをC9~10ストリームおよび前記重質炭化水素ストリームに分留するステップと
を含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記C5-ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒と接触させて、縮合反応により、前記C5-ストリーム中のC5-化合物の少なくとも一部をC4+化合物に変換するステップをさらに含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
ステップ(iii)が、
第1の蒸留塔を使用して、縮合ストリームを分留してC7-ストリームおよびC8+ストリームを前記縮合ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、前記C8+ストリームを前記芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、前記芳香族生成物ストリームがC化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、前記C9+ストリームをC9~10ストリームおよび前記重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項20】
前記C7-ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒と接触させて、縮合反応により、前記C7-ストリーム中のC7-化合物の少なくとも一部をC4+化合物に変換するステップをさらに含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記C9~10ストリームを前記少なくとも1種の変換触媒と接触させて、前記C9~10ストリーム中のC9~10化合物の少なくとも一部を脱アルキル化するステップをさらに含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記脱酸素化触媒が、少なくとも1種の担体および少なくとも1種の金属を含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項23】
前記少なくとも1種の担体がジルコニアを含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記少なくとも1種の金属が、Pd、W、Mo、Sn、またはそれらの組合せを含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項25】
前記変換触媒が、カーバイド、ニトリド、ジルコニア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、リン酸塩、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化物、ヘテロポリ酸、無機酸、酸修飾樹脂、塩基修飾樹脂、またはそれらの組合せを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記変換触媒がゼオライトを含む、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記変換触媒が少なくとも1種の金属を含み、前記金属が、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、それらの合金、または組合せを含む、請求項1から26のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年10月14日に出願された米国仮出願第63/255,817号明細書の優先権を主張し、その内容は、これによりその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
芳香族炭化水素、特に、ベンゼン、トルエン、およびキシレンは、スチレン、フェノール、アニリン、ポリエステル、およびナイロンを含む、多数の化学物質、繊維、プラスチック、およびポリマーを生成するために使用される重要な工業製品である。典型的には、そのような芳香族炭化水素は、十分に確立されている精製または化学的プロセスを使用して石油原料から生成される。つい最近では、バイオマス、合成ガスおよび天然ガスなどの代替資源から芳香族炭化水素を得ることに関心が高まっている。
【0003】
バイオ改質プロセスは、セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンなどのバイオマス原料から芳香族炭化水素を生成することができる。例えば、セルロースおよびヘミセルロースは、水素化と統合された場合に、セルロースおよびヘミセルロースを、とりわけ、水素、液体燃料、芳香族、ケロシン、ディーゼル燃料、潤滑油、および燃料油を含む数々の生成物に変換することができる水相改質(APR)および水素化脱酸素(HDO)-接触改質プロセスを含む、様々なバイオ改質プロセスの原料として使用され得る。APRおよびHDO法および技術は、米国特許第6,699,457号明細書、同第6,964,757号明細書、同第6,964,758号明細書、および同第7,618,612号明細書(全てCortrightらによるもの、「Low-Temperature Hydrogen Production from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);米国特許第6,953,873号明細書(Cortrightらによるもの、「Low-Temperature Hydrocarbon Production from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);ならびに米国特許第7,767,867号明細書および同第7,989,664号明細書および米国出願第2011/0306804号明細書(全てCortrightによるもの、「Methods and Systems for Generating Polyols」と題される)に記載されている。様々なAPRおよびHDO法および技術は、米国特許第8,053,615号明細書、同第8,017,818号明細書および同第7,977,517号明細書ならびに米国特許出願第13/163,439号明細書、同第13/171,715号明細書、同第13/163,142号明細書および同第13/157,247号明細書(全てCortrightおよびBlommelによるもの、「Synthesis of Liquid Fuels and Chemicals from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);米国特許出願第2009/0211942号明細書(Cortrightによるもの、「Catalysts and Methods for Reforming Oxygenated Compounds」と題される);米国特許出願第2010/0076233号明細書(Cortrightらによるもの、「Synthesis of Liquid Fuels from Biomass」と題される);国際特許出願第PCT/US2008/056330号明細書(CortrightおよびBlommelによるもの、「Synthesis of Liquid Fuels and Chemicals from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);ならびに権利者が同一である同時係属中の国際特許出願第PCT/US2006/048030号明細書(Cortrightらによるもの、「Catalyst and Methods for Reforming Oxygenated Compounds」と題される)に記載されており、これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
一部の例では、軽質末端(例えば、C5-化合物)および重質炭化水素生成物(例えば、C11+)は、バイオ改質プロセスによって生成される縮合物生成物ストリームの顕著な留分を代表する。しかし、これらのストリームの生成物価値は、典型的には、芳香族(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)などの他の生成物と比較すると低い。現在、軽質末端および重質炭化水素生成物ストリームを改質して、それぞれのストリームの生成物価値を高めることが当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本開示は、芳香族炭化水素を炭化水素供給原料ストリームから生成および分離するためのプロセスを提供する。炭化水素供給原料ストリームは、複数の非芳香族炭化水素および芳香族炭化水素を含み得る。非芳香族炭化水素は、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せを含んでもよく、芳香族炭化水素は、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せを含んでもよい。プロセスは、一連の蒸留塔を使用して、炭化水素供給原料ストリームを分留して、芳香族生成物ストリームおよび重質炭化水素ストリームを炭化水素供給原料ストリームから分離するステップを含み得る。芳香族生成物ストリームは、C芳香族、C芳香族、C芳香族、またはそれらの組合せを含み得る。重質炭化水素ストリームはC11+化合物を含み得る。プロセスは、重質炭化水素ストリームを水素の存在下で水素化触媒と接触させて水素化C11+ストリームを生成するステップと、水素化C11+ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、C11+化合物の少なくとも一部を脱アルキル化して、改質物ストリームを産生するステップとをさらに含み得る。プロセスは、改質物ストリームを一連の蒸留塔に供給するステップをさらに含み得る。
【0006】
一部の実施形態では、本プロセスの分留ステップは、第1の蒸留塔を使用して、炭化水素供給原料ストリームを分留してC5-ストリームおよびC6+ストリームを炭化水素供給原料ストリームから分離するステップと、第2の蒸留塔を使用して、C6+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC6~8化合物を含む、ステップと、第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップとを含む。実施形態では、本プロセスは、C5-ストリームを少なくとも1種の変換触媒にリサイクルするステップをさらに含む。
【0007】
一部の実施形態では、本プロセスの分留ステップは、第1の蒸留塔を使用して、炭化水素供給原料ストリームを分留してC7-ストリームおよびC8+ストリームを炭化水素供給原料ストリームから分離するステップと、第2の蒸留塔を使用して、C8+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC化合物を含む、ステップと、第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップとを含む。実施形態では、本プロセスは、C7-ストリームを少なくとも1種の変換触媒にリサイクルするステップをさらに含む。実施形態では、本プロセスは、C9~10ストリームを少なくとも1種の変換触媒にリサイクルして、C9~10ストリーム中のC9~10化合物の少なくとも一部を脱アルキル化するステップをさらに含む。
【0008】
一部の実施形態では、本プロセスにおける重質炭化水素ストリームは、少なくとも1種の多核芳香族(PNA)を含む。水素化中のPNAの変換率は、例えば、少なくとも70%であり得る。一部の実施形態では、本プロセスの水素化C11+ストリームは、水素化C11+ストリームの総重量に対して5wt%未満の多核芳香族化合物を含む。
【0009】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリームはテトラリンを含む。水素化C11+ストリームは、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+化合物を含む重質炭化水素ストリーム中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10wt%大きいテトラリンの重量分率を含み得る。
【0010】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリームはデカリンを含む。水素化C11+ストリームは、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+化合物を含む重質炭化水素ストリーム中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも10wt%大きいデカリンの重量分率を含み得る。
【0011】
一部の実施形態では、本プロセスは、分留ステップの前に、水および酸素化炭化水素を含む原料ストリームを水素の存在下で脱酸素化触媒と接触反応させて脱酸素化生成物ストリームを生成するステップと、脱酸素化生成物ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触反応させて炭化水素供給原料ストリームを生成するステップとをさらに含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、水および酸素化炭化水素を含む原料ストリームを水素の存在下で脱酸素化触媒と接触反応させて脱酸素化生成物ストリームを生成するステップを含むプロセスを提供する。プロセスは、脱酸素化生成物ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触反応させて、非芳香族炭化水素および芳香族炭化水素を含む縮合生成物ストリームを生成するステップであって、非芳香族炭化水素が、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せを含み、芳香族化合物が、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せを含む、ステップをさらに含み得る。プロセスは、一連の蒸留塔を使用して、縮合生成物ストリームを分留して、芳香族生成物ストリームおよび重質炭化水素ストリームを縮合生成物ストリームから分離するステップであって、芳香族生成物ストリームが、C芳香族、C芳香族、C芳香族、またはそれらの組合せを含み、重質炭化水素ストリームがC11+化合物を含む、ステップをさらに含み得る。プロセスは、重質炭化水素ストリームの少なくとも一部を脱酸素化触媒にリサイクルするステップをさらに含み得る。
【0013】
一部の実施形態では、酸素化炭化水素は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、糖分解生成物、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、リグニン誘導体、リグノセルロース誘導体、またはそれらの組合せを含む。
【0014】
一部の実施形態では、分留ステップは、第1の蒸留塔を使用して、縮合生成物ストリームを分留してC5-ストリームおよびC6+ストリームを縮合生成物ストリームから分離するステップと、第2の蒸留塔を使用して、C6+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC6~8化合物を含む、ステップと、第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップとを含む。一部の実施形態では、プロセスは、C5-ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、縮合反応により、C5-ストリーム中のC5-化合物の少なくとも一部をC4+化合物に変換するステップをさらに含み得る。
【0015】
一部の実施形態では、分留ステップは、第1の蒸留塔を使用して、縮合ストリームを分留してC7-ストリームおよびC8+ストリームを縮合ストリームから分離するステップと、第2の蒸留塔を使用して、C8+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC化合物を含む、ステップと、第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップとをさらに含む。一部の実施形態では、プロセスは、C7-ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、縮合反応により、C7-ストリーム中のC7-化合物の少なくとも一部をC4+化合物に変換するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、プロセスは、C9~10ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させてC9~10ストリーム中のC9~10化合物の少なくとも一部を脱アルキル化するステップをさらに含み得る。
【0016】
一部の実施形態では、本開示で使用される水素化触媒は、少なくとも1種の担体および少なくとも1種の金属を含む。金属は、例えば、Fe、Ru、Co、Pt、Pd、Ni、Re、Cu、それらの合金、およびそれらの組合せであり得る。担体は、例えば、炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、バナジア、セリア、シリカ-アルミネート、ゼオライト、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、クロミア、またはそれらの組合せを含み得る。
【0017】
一部の実施形態では、本開示で使用される脱酸素化触媒は、少なくとも1種の担体および少なくとも1種の金属を含む。例えば、脱酸素化触媒の金属は、Pd、W、Mo、Ni、Pt、Ru、Sn、またはそれらの組合せを含み得る。例えば、担体はジルコニアを含み得る。
【0018】
一部の実施形態では、本開示で使用される変換触媒は、カーバイド、ニトリド、ジルコニア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、リン酸塩、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化物、ヘテロポリ酸、無機酸、酸修飾樹脂、塩基修飾樹脂、またはそれらの組合せを含む。例えば、変換触媒はゼオライトを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一部の実施形態に従って、炭化水素供給原料ストリームをC6~8生成物ストリームおよびC9~10生成物ストリームに改質するための例示的なプロセスを示す図である。
図2】本開示の一部の実施形態に従って、炭化水素供給原料ストリームをC生成物ストリームに改質するための例示的なプロセスを示す図である。
図3】本開示の一部の実施形態に従って、炭化水素供給原料ストリームをC生成物ストリームおよびC9~10生成物ストリームに改質するための例示的なプロセスを示す図である。
図4】酸素化炭化水素を酸素化化合物に変換するための例示的なプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示がより容易に理解されるために、ある特定の用語がまず下記に定義される。以下の用語および他の用語に関する追加の定義は、本明細書全体で明記される。
【0021】
この出願では、文脈から特に明確でない限り、用語「1つの(a)」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解され得る。この出願で使用される場合、用語「または」は、「および/または」を意味すると理解され得る。この出願では、用語「含む(comprising)」および「含む(including)」は、箇条書きされた成分またはステップを、それらだけで提示されていようが、1つまたは複数の追加の成分またはステップと一緒に提示されていようが包含すると理解され得る。特に述べられていない限り、用語「約」および「およそ」は、当業者により理解されるように、標準偏差(例えば、±10%)を許容すると理解され得る。範囲が本明細書で提供される場合、終点が含まれる。この出願で使用される場合、用語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprising)」および「含む(comprises)」などの用語の変形は、他の添加物、成分、整数またはステップを除くことを意図しない。
【0022】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。全ての定義は、本明細書で定義および使用される場合、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味より優先することが理解されるべきである。
【0023】
バイオマスまたは化石燃料由来の酸素化物を炭化水素に変換するシステムおよび方法は、典型的には、様々な価値の生成物の分配を生成する。例えば、酸素化物から芳香族への変換は、典型的には、ガス、軽質ナフサ、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)、中間範囲芳香族(典型的には、CおよびC10)、ならびにより重質のC11+芳香族および炭化水素を含む生成物をもたらす。ガソリンおよびC11+芳香族などの液体生成物の価値は、ガス状生成物より高くなり得る。次に、BTX成分の価値は、一般的に、軽質ガス、中間範囲、および重質芳香族より高い。商業的シナリオに応じて、キシレン生成物の価値は、混合BTX生成物よりさらに高くなる。したがって、酸素化物変換システム生成物プロファイルおよび全体の収率構造を低い価値の生成物から所与のシナリオに望まれ得る高い価値の生成物にシフトすることができることが望ましい。
【0024】
本開示は、炭化水素供給原料の収率構造を非芳香族化合物(例えば、パラフィン、オレフィン、ナフテン)からC6~10芳香族化合物にシフトするためのシステムおよび方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、芳香族化合物(例えば、C6~10)、特に、ベンゼン、トルエン、パラ-キシレン、オルト-キシレン、およびメタ-キシレンの収率を増加させるために、炭化水素供給原料内の軽質炭化水素ストリーム(例えば、C5-)および重質炭化水素ストリーム(例えば、C11+)をアップグレードするためのシステムおよび方法を提供する。
【0025】
図1を参照すると、炭化水素供給原料ストリーム102をアップグレードするためのプロセス100が、本開示の一部の態様に従って説明される。一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリームは、限定ではなく、バイオマス由来の酸素化物および縮合生成物、石油精製、炭化水素の熱または接触クラッキング、石炭のコークス化、石油化学変換、ならびにそれらの組合せを含む様々な元の供給源に由来し得る非芳香族化合物および芳香族化合物を含む。
【0026】
一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリーム102は、0.1wt%~45wt%の非芳香族炭化水素、例えば、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリームは、少なくとも0.1wt%の非芳香族炭化水素、または少なくとも1wt%、もしくは少なくとも2wt%もしくは少なくとも3wt%、もしくは少なくとも4wt%、もしくは少なくとも5wt%、もしくは少なくとも10wt%、もしくは少なくとも15wt%、もしくは少なくとも20wt%~25wt%未満、30wt%未満、もしくは35wt%未満、もしくは40wt%未満、もしくは45wt%未満を含む。一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリームは、C3~30パラフィン、C3~30オレフィン、C5~30ナフテン、またはそれらの組合せを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「パラフィン」または「アルカン」は、C3~30飽和直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。一部の実施形態では、パラフィンはC2n+2の一般式を有し、nは、3~30、3~25、3~20、3~15、3~10、または3~6の範囲であり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「オレフィン」または「アルケン」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有するC3~30不飽和直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。一部の実施形態では、オレフィンはC2nの一般式を有し、nは、3~30、3~25、3~20、3~15、3~10、または3~6の範囲であり得る。
【0029】
様々なパラフィンおよびオレフィンの例は、限定ではなく、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン、ペンタン、ペンテン、2-メチルブタン、ヘキサン、ヘキセン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、ヘプタン、ヘプテン、オクタン、オクテン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、ノナン、ノネン、デカン、デセン、ウンデカン、ウンデセン、ドデカン、ドデセン、トリデカン、トリデセン、テトラデカン、テトラデセン、ペンタデカン、ペンタデセン、ヘキサデカン、ヘキサデセン、ヘプチルデカン、ヘプチルデセン、オクチルデカン、オクチルデセン、ノニルデカン、ノニルデセン、エイコサン、エイコセン、ウンエイコサン、ウンエイコセン、ドエイコサン、ドエイコセン、トリエイコサン、トリエイコセン、テトラエイコサン、テトラエイコセン、およびそれらの異性体を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「ナフテン」または「シクロアルカン」は、飽和環式、二環式、または架橋環式炭化水素基を指す。飽和環式、二環式、または架橋環式(例えば、アダマンタン)炭化水素基は、1つまたは複数の直鎖または分岐鎖アルキル基またはアルキレン基で置換されていてもよく、例えば、置換された基は、直鎖または分岐鎖C1~12アルキル、直鎖または分岐鎖C3~12アルキレン、直鎖または分岐鎖C1~4アルキル、直鎖または分岐鎖C3~4アルキレンを含み得る。ナフテンは、一置換または多置換されていてもよい。一部の実施形態では、ナフテンは、C2nの一般式を有し、nは、5~30、5~25、5~20、5~15、5~10、または5~6の範囲であり得る。
【0031】
ナフテンの例は、限定ではなく、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチル-シクロペンタン、メチル-シクロペンテン、エチル-シクロペンタン、エチル-シクロペンテン、エチル-シクロヘキサン、エチル-シクロヘキセン、プロピル-シクロヘキサン、ブチル-シクロペンタン、ブチル-シクロヘキサン、ペンチル-シクロペンタン、ペンチル-シクロヘキサン、ヘキシル-シクロペンタン、ヘキシル-シクロヘキサン、デカリン、エチル-デカリン、ペンチル-デカリン、ヘキシル-デカリン、およびそれらの異性体を含む。用語「デカリン」は、本明細書で使用される場合、デカリン、置換されたデカリン化合物(エチル-デカリン、ペンチル-デカリン、またはヘキシル-デカリンなど)、それらの異性体、およびそれらの任意の組合せを含む。例えば、「デカリン」は、純粋なデカリン、純粋な置換されたデカリン化合物、デカリンおよび少なくとも1種の置換されたデカリン化合物の混合物、または2種以上の置換されたデカリン化合物の混合物を指し得る。
【0032】
一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリームは、10wt%~80wt%の芳香族炭化水素、例えば、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリームは、少なくとも10wt%の芳香族炭化水素、または少なくとも10wt%、もしくは少なくとも15wt%もしくは少なくとも20wt%、もしくは少なくとも25wt%、もしくは少なくとも30wt%、もしくは少なくとも35wt%、もしくは少なくとも40wt%、もしくは少なくとも45wt%~50wt%未満、55wt%未満、もしくは60wt%未満、もしくは65wt%未満、もしくは75wt%未満、もしくは80wt%未満の芳香族を含む。一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリームは、複数のC6~30アリール、C12~30縮合アリール、C12~30多環式化合物、またはそれらの組合せを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、無置換(例えば、フェニル)、一置換、または多置換形態の芳香族炭化水素を指す。一置換および多置換化合物の場合、置換基は、分岐C3+アルキル、直鎖C1+アルキル、分岐鎖C3+アルキレン、直鎖C2+アルキレン、またはそれらの組合せを含み得る。例として、置換基の少なくとも1つは、分岐鎖C3+アルキル、直鎖C1~12アルキル、分岐鎖C3~12アルキレン、直鎖C2~12アルキレン、またはそれらの組合せを含む。さらなる例として、置換基の少なくとも1つは、分岐C3~4アルキル、直鎖C1~4アルキル、分岐C3~4アルキレン、直鎖C2~4アルキレン、またはそれらの組合せを含む。様々なアリールの例は、限定ではなく、ベンゼン、トルエン、キシレン(ジメチルベンゼン)、エチルベンゼン、パラ-キシレン、メタ-キシレン、オルト-キシレン、C9+芳香族、ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、およびそれらの異性体を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「縮合アリール」または「多核芳香族(PNA)」は、無置換、一置換、または多置換形態のいずれかの二環式および多環式芳香族炭化水素を指す。一置換および多置換化合物の場合、置換基は、分岐鎖C3~12アルキル、直鎖C1~12アルキル、分岐鎖C3~12アルキレン、直鎖C2~12アルキレン、分岐鎖C3~4アルキル、直鎖C1~4アルキル、分岐鎖C3~4アルキレン、直鎖C2~4アルキレン、またはそれらの組合せを含み得る。様々な縮合アリールの例は、限定ではなく、ナフタレン、アントラセン、およびそれらの異性体を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「多環式化合物」は、少なくとも1つの飽和または部分的飽和環を有する、無置換、一置換、または多置換形態のいずれかの二環式および多環式炭化水素を指す。一置換および多置換化合物の場合、置換基は、分岐鎖C3~12アルキル、直鎖C1~12アルキル、分岐鎖C3~12アルキレン、直鎖C2~12アルキレン、分岐鎖C3~4アルキル、直鎖C1~4アルキル、分岐鎖C3~4アルキレン、直鎖C2~4アルキレン、またはそれらの組合せを含み得る。様々な多環式化合物の例は、限定ではなく、テトラリン(すなわちテトラヒドロナフタレン)、エチル-テトラリン、ペンチル-テトラリン、ヘキシル-テトラリン、およびそれらの異性体を含む。用語「テトラリン」は、本明細書で使用される場合、テトラリン、置換されたテトラリン化合物(エチル-テトラリン、ペンチル-テトラリン、またはヘキシル-テトラリンなど)、それらの異性体、およびそれらの任意の組合せを含む。例えば、「テトラリン」は、純粋なテトラリン、純粋な置換されたテトラリン化合物、テトラリンおよび少なくとも1種の置換されたテトラリン化合物の混合物、または2種以上の置換されたテトラリン化合物の混合物を指し得る。
【0036】
炭化水素供給原料ストリーム102は、様々な方法で生成され得る。一部の実施形態では、炭化水素供給原料ストリーム102はバイオマスから生成される。酸素化炭化水素および縮合生成物の混合物に変換する方法、プロセス、および技術は、米国特許第6,699,457号明細書、同第6,964,757号明細書、同第6,964,758号明細書、および同第7,618,612号明細書(全てCortrightらによるもの、「Low-Temperature Hydrogen Production from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);米国特許第6,953,873号明細書(Cortrightらによるもの、「Low-Temperature Hydrocarbon Production from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);米国特許第7,767,867号明細書、同第7,989,664号明細書、同第8,198,486号明細書、同第8,492,595号明細書、および米国特許出願公開第2013/0289302号明細書(全てCortrightによるもの、「Methods and Systems for Generating Polyols」と題される);米国特許第8,053,615号明細書、同第8,017,818号明細書、同第7,977,517号明細書、同第8,362,307号明細書、同第8,367,882号明細書、同第8,455,705号明細書ならびに米国特許出願公開第2011/0245542号明細書および同第2013/0185992号明細書(全てCortrightおよびBlommelによるもの、「Synthesis of Liquid Fuels and Chemicals from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);米国特許第8,231,857号明細書(Cortrightによるもの、「Catalysts and Methods for Reforming Oxygenated Compounds」と題される);米国特許第8,350,108号明細書(Cortrightらによるもの、「Synthesis of Liquid Fuels from Biomass」と題される);米国特許出願第2011/0160482号明細書(Nagakiらによるもの、「Improved Catalysts for Hydrodeoxygenation of Polyols」と題される);米国特許出願第2011/0009614号明細書(Blommelらによるもの、「Processes and Reactor Systems for Converting Sugars to Sugar Alcohols」と題される);国際特許出願第PCT/US2008/056330号明細書(CortrightおよびBlommelによるもの、「Synthesis of Liquid Fuels and Chemicals from Oxygenated Hydrocarbons」と題される);権利者が同一である米国特許第8,231,857号明細書(Cortrightらによるもの、「Catalyst and Methods for Reforming Oxygenated Compounds」と題される);ならびに米国特許出願第13/586,499号明細書(Blankらによるもの、「Improved Catalysts for Hydrodeoxygenation of Oxygenated Hydrocarbons」と題される);米国特許第10,005,700号明細書(Beckらによるもの、「Production of Aromatics from Di- and Polyoxygenates」と題される)に十分に記載されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。上記で言及された出願および特許に記載されている炭化水素生成物ストリームは、本出願に従う炭化水素供給原料ストリーム102として使用するのに適し得る。
【0037】
加えてまたは代替的に、炭化水素供給原料ストリーム102は、石油精製、炭化水素の熱もしくは接触クラッキング、石炭のコークス化、または石油化学変換に由来し得る。例えば、炭化水素供給原料ストリーム102は、例えば、個々の成分としての、または接触クラッキングもしくは改質された炭化水素の選択的分留および蒸留によって得られるある特定の沸騰範囲留分としての、様々な石油精製所ストリームからの適当な留分に由来し得る。
【0038】
重質芳香族アップグレード(HAU):
再び図1を参照すると、炭化水素供給原料ストリーム102を改質して、C6~8芳香族および炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、パラ-キシレン、オルト-キシレン、メタ-キシレンを含む芳香族生成物ストリーム104を生成するためのプロセス100(および対応するシステム)が説明される。一部の実施形態では、プロセス100は、炭化水素供給原料ストリーム102をリサイクルされた改質物ストリーム134と共に蒸留塔106で分留して、C5-ストリーム108およびC6+ストリーム110を分離するステップを含む。本明細書で使用される場合、用語「Cn-」は、化合物中にn個以下の炭素(例えば、5つまたは5つ未満の炭素原子)を有する炭化水素化合物を指し、用語「Cn+」は、化合物中にn個以上の炭素(例えば、少なくとも6つの炭素)を有する炭化水素化合物を指す。C6+ストリーム110は、C6+ストリーム110をC9+ストリーム114およびC6~8化合物を含む芳香族生成物ストリーム104に分離するために、第2の蒸留塔112で分留される。C9+ストリーム114は、C9+ストリーム114をC9~10ストリーム118およびC11+ストリーム120に分離するために第3の蒸留塔116で分留される。本明細書で記載されるように、C11+ストリームもC11+化合物を含む重質炭化水素ストリームと称され得る。
【0039】
本出願人は、C5-ストリーム108、C9~10ストリーム118、および大部分のC11+ストリーム120は、変換触媒130上で直接改質されて、C5-ストリーム108の縮合反応ならびにC9~10ストリーム118およびC11+ストリーム120の脱アルキル化により、追加のC6~8芳香族を形成し得ることを見出した。しかし、ナフタレンなどのC11+ストリーム120中の一部のPNA化合物は、変換触媒130上で最小限~完全に非反応性であることも見出された。PNAをC6~8またはC9~10生成物に変換してプロセス100の収率を最大化することが望ましい。本出願人は、多環式炭化水素(例えば、テトラリン)およびシクロアルカン(デカリン)が変換触媒130と反応性であり、所望のC6~8またはC9~10生成物に変換され得ることをさらに見出した。本開示の態様は、PNA化合物(例えば、ナフタレン)を、後に変換触媒130上で改質されて増加した濃度のC6~8芳香族およびC9~10化合物を生成し得る、反応性多環式炭化水素(例えば、テトラリン)およびシクロアルカン(デカリン)に変換するための方法を提供する。
【0040】
一部の実施形態では、C11+ストリーム120は、水素の存在下で水素化触媒122と接触して水素化C11+ストリーム128を生成する。一部の実施形態では、水素化触媒122は、水素化反応器124内に配置される。水素化反応は、設計、サイズ、幾何学的形状、流速などについて限定することなく、連続流、バッチ、セミバッチまたはマルチシステム反応器を含む適切な設計の任意の反応器で行われ得る。水素反応器124は、流動触媒床システム、スイング床システム、固定床システム、移動床システム、または前述の組合せも使用し得る。本開示の反応は、典型的には、連続流システムを使用して、定常平衡状態で実施される。水素は、水素を含有するリザーバー(例えば、加圧タンク)、上流もしくは下流プロセスユニットからの水素を含有するリサイクルストリーム、またはそれらの組合せであり得る水素供給源126により水素化反応器124に提供され得る。水素化反応は、5℃~700℃、10℃~500℃、100℃~450℃、または200℃~400℃の温度で行われ得る。一部の実施形態では、水素化反応は、0psig~5000psig、500psig~3000psig、750psig~2000psig、または800psig~1400psigの圧力で行われ得る。
【0041】
一部の実施形態では、プロセス100の反応器システムに適した水素化触媒122は、1種または複数の活性金属および1種または複数の担体を有する水素化触媒122を含む(例えば、図1に示されるような水素化反応器124内)。適切な活性金属は、これらに限定されないが、Fe、Ru、Co、Pt、Pd、Ni、Re、Cu、それらの合金、およびそれらの組合せを単独で、またはAg、Au、Cr、Zn、Mn、Mg、Ca、Cr、Sn、Bi、Mo、W、B、P、およびそれらの合金または組合せなどの促進剤と共に含む。一部の実施形態では、水素化触媒の金属は、Fe、Ru、Co、Pt、Pd、Ni、Re、Cu、それらの合金、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、水素化触媒は、少なくとも1種の促進剤をさらに含む。例えば、促進剤は、Ag、Au、Cr、Zn、Mn、Mg、Ca、Cr、Sn、Bi、Mo、W、B、P、それらの合金、またはそれらの組合せであり得る。
【0042】
水素化触媒は、触媒の所望の機能性に応じて、いくつかの担体のうちの任意の1種も含み得る。例示的な担体は、遷移金属酸化物、1種または複数のメタロイドから形成される酸化物、および反応性非金属(例えば、炭素)を含む。担体の非限定的な例は、これらに限定されないが、炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、バナジア、セリア、シリカ-アルミネート、ゼオライト、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、クロミア、およびそれらの混合物を含む。
【0043】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128は、水素化C11+ストリーム128の総重量に対して10wt%未満のPNA化合物を含む。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128は、水素化C11+ストリーム128の総重量に対して5wt%未満、または4wt%未満、または3wt%未満、または2wt%未満、または1wt%未満、または0.5wt%未満のPNA化合物を含む。
【0044】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128中のPNA(例えば、ナフタレン)化合物の変換率は、少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%である。本明細書で使用される場合、特定の反応物の変換率は、
【0045】
【数1】
(式中、Xは変換率であり、nは特定の反応物(例えば、ナフタレン)のモル数である)によって計算され得る。
【0046】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128中のテトラリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム120中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10%大きい。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128中のテトラリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム120中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも15%大きい、または少なくとも20%大きい、または少なくとも25%大きい、または少なくとも30%大きい、または少なくとも35%大きい~40%未満大きい、または45%未満大きい、または50%未満大きい。
【0047】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128中のデカリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム120中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも10%大きい。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム128中のデカリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム120中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも15%大きい、または少なくとも20%大きい、または少なくとも25%大きい、または少なくとも30%大きい、または少なくとも35%大きい~40%未満大きい、または45%未満大きい、または50%未満大きい。
【0048】
一部の実施形態では、プロセス100は、改質物ストリーム134を生成する縮合および脱アルキル化反応を誘導するのに有効な温度、圧力、および重量空間速度で、水素化C11+ストリーム128およびC5-ストリーム108を変換触媒130と接触させるステップを含む。特に、C11+化合物は、C10-化合物を生成するために変換触媒130上で脱アルキル化されてもよく、C5-化合物は、縮合反応によりC4+化合物に変換される。このようにして、C5-ストリーム108およびC11+ストリーム120は、芳香族生成物ストリーム104中のC6~8化合物の収率を増加させるために改質され得る。
【0049】
いずれの特定の理論にも限定せずに、変換触媒130は、(a)任意の酸素化物からアルケンへの脱水、(b)アルケンのオリゴマー化、(c)クラッキング反応(例えば、脱アルキル化)、(d)芳香族を形成するための、より大きなアルケンの環化、(e)アルカン異性化、(f)アルカンを形成するための水素移動反応を含む一連のステップを一般的に含む、本開示に従う反応を促進すると考えられる。反応は、(1)β-ヒドロキシケトンまたはβ-ヒドロキシアルデヒドを形成するためのアルドール縮合、(2)共役エノンを形成するためのβ-ヒドロキシケトンまたはβ-ヒドロキシアルデヒドの脱水、(3)さらなる縮合反応またはアルコールもしくは炭化水素への変換に関与し得るケトンまたはアルデヒドを形成するための共役エノンの水素化、および(4)カルボニルからアルコールへの水素化またはその逆を含む一連のステップも含み得る。アルドール縮合、プリンス反応、酸のケトン化、およびディールス・アルダー縮合を含む他の縮合反応が並行して生じ得る。
【0050】
変換触媒130は、一般的に、新しい炭素-炭素結合により、2つのオレフィンまたは酸素含有種を連結することによってより長い鎖の化合物を形成し、得られた化合物を炭化水素、アルコールまたはケトンに変換することができる触媒である。変換触媒130は、一般的に、重質C11+芳香族および炭化水素を脱アルキル化することもできる。変換触媒は、限定ではなく、カーバイド、ニトリド、ジルコニア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、リン酸塩、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化物、ヘテロポリ酸、無機酸、酸修飾樹脂、塩基修飾樹脂、およびそれらの組合せを含み得る。変換触媒は、上記を単独でまたはCe、La、Y、Sc、P、B、Bi、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、およびそれらの組合せなどの修飾剤と組み合わせて含み得る。変換触媒は、金属機能性を提供するために、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、それらの合金および組合せなどの金属も含み得る。一部の実施形態では、変換触媒は、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、それらの合金、またはそれらの組合せである金属を含む。一部の実施形態では、変換触媒は少なくとも1種の金属を含む。例えば、変換触媒は少なくともNiを含み得る。一部の実施形態では、変換触媒は、Ce、La、Y、Sc、P、B、Bi、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、またはそれらの組合せである修飾剤を含む。
【0051】
ある特定の実施形態では、変換触媒は、限定ではなく、カーバイド、ニトリド、ジルコニア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、リン酸塩、ゼオライト(例えば、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35およびZSM-48)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化物、ヘテロポリ酸、無機酸、酸修飾樹脂、塩基修飾樹脂、およびそれらの組合せを含み得る。変換触媒は、金属機能性を提供するために、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、それらの合金および組合せなどの金属も含み得る。
【0052】
変換触媒130は、自立型であり得るか(すなわち、触媒は、担体として働く別の材料を必要としない)、または触媒を反応物ストリーム中に懸濁するのに適した別個の担体を必要とし得る。ある特定の実施形態では、担体は、アルミナ、シリカ、およびジルコニアからなる群から選択される。他の実施形態では、特に変換触媒が粉末である場合、触媒系は、触媒を望ましい触媒形状に形成するのを補助するための結合剤を含み得る。適用可能な形成プロセスは、押出し、ペレット化、油滴下、または他の公知のプロセスを含む。酸化亜鉛、アルミナ、および解膠剤が一緒に混合され、押し出されて、形成された材料を生成することもできる。乾燥後、この材料は、通常は350℃を超える温度を必要とする、触媒として活性な相の形成に適当な温度でか焼される。他の触媒担体は、下記にさらに詳細に記載されるものを含み得る。
【0053】
一部の実施形態では、変換触媒はゼオライトを含む。変換触媒は、シリカ-アルミナのかごのような構造を含む、1種または複数のゼオライト構造を含み得る。ゼオライトは、明確な細孔構造を有する結晶性ミクロ多孔質物質である。ゼオライトは、ゼオライト骨格内に産生され得る活性部位、通常は酸部位を含有する。活性部位の強度および濃度は、特定の利用に合わせられ得る。第二級アルコールおよびアルカンを縮合するのに適したゼオライトの例は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,702,886号明細書に記載されるような、Ga、In、Zn、Mo、およびそのようなカチオンの混合物などのカチオンで任意選択で修飾されるアルミノシリケートを含み得る。当技術分野で認識されているように、特定の1種または複数のゼオライトの構造は、生成物混合物中に異なる量の様々な炭化水素種をもたらすために変更され得る。ゼオライト触媒の構造に応じて、生成物混合物は、様々な量の芳香族および環式炭化水素を含有し得る。
【0054】
適切なゼオライト触媒の例は、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35およびZSM-48を含む。ゼオライトZSM-5およびその従来の調製は、全てが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,702,886号明細書、Re.29,948(高シリカZSM-5)、米国特許第4,100,262号明細書および同第4,139,600号明細書に記載されている。ゼオライトZSM-11およびその従来の調製は、また参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,709,979号明細書に記載されている。ゼオライトZSM-12およびその従来の調製は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,832,449号明細書に記載されている。ゼオライトZSM-23およびその従来の調製は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,076,842号明細書に記載されている。ゼオライトZSM-35およびその従来の調製は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,016,245号明細書に記載されている。ZSM-35の別の調製は、米国特許第4,107,195号明細書に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。ZSM-48およびその従来の調製は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,375,573号明細書によって教示されている。ゼオライト触媒の他の例は、また参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,019,663号明細書および米国特許第7,022,888号明細書に記載されている。例示的な変換触媒は、Cu、Pd、Ag、Pt、Ru、Re、Ni、Sn、またはそれらの組合せで修飾されたZSM-5ゼオライトである。
【0055】
米国特許第7,022,888号明細書に記載されているように、変換触媒は、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、それらの合金および組合せの群からの少なくとも1種の金属元素、またはIn、Zn、Fe、Mo、Au、Ag、Y、Sc、Ni、P、Ta、ランタニド、およびそれらの組合せの群からの修飾剤を含む、二機能性ペンタシルゼオライト触媒であり得る。ゼオライトは、強酸性部位を有してもよく、580℃未満の温度で、酸素化炭化水素を含有する反応物ストリームと共に使用され得る。二機能性ペンタシルゼオライトは、多数の5員酸素環(すなわちペンタシル環)からなる、ZSM-5、ZSM-8またはZSM-11型の結晶構造を有し得る。一実施形態では、ゼオライトは、ZSM-5型構造を有する。
【0056】
代替的に、リン酸塩、塩化物、シリカ、および他の酸性酸化物で修飾されたアルミナなどの固体酸触媒が、プロセスにおいて使用され得る。また、硫酸化ジルコニア、リン酸化ジルコニア、チタニアジルコニア、またはタングステン酸ジルコニアは、必要な酸度を提供し得る。ReおよびPt/Re触媒も縮合反応を促進するのに有用である。Reは、酸触媒縮合を促進するのに十分酸性である。ある特定の実施形態では、酸度はまた、硫酸塩またはリン酸塩の添加により、活性炭に付加され得る。
【0057】
縮合反応は、縮合反応器132内で行われ得る。縮合反応器132は、設計、サイズ、幾何学的形状、流速などについて限定することなく、連続流、バッチ、セミバッチまたはマルチシステム反応器を含む適切な設計の任意の反応器を有し得る。反応器132は、流動触媒床システム、スイング床システム、固定床システム、移動床システム、または前述の組合せも使用し得る。本開示の反応は、典型的には、連続流システムを使用して、定常平衡状態で実施される。水素が132に提供され得るが、これは図1に示されていない。
【0058】
生成される特定のC4+化合物(C6~8芳香族化合物など)およびC10-化合物(C9~10化合物など)は、限定ではなく、反応物ストリーム中の酸素化化合物の種類、縮合温度、縮合圧力、触媒の反応性、ならびに空間速度、GHSV(ガス空間速度)、LHSV(液空間速度)、およびWHSV(重量空間速度)に影響を及ぼすことから反応物ストリームの流速を含む様々な因子に依存する。ある特定の実施形態では、反応物ストリームは、所望の炭化水素生成物を生成するのに適当なWHSVで変換触媒と接触する。一実施形態では、WHSVは、1時間当たり、触媒1グラム当たり、少なくとも0.1グラムの反応物である。別の実施形態では、WHSVは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10g/g hrのWHSVおよびそれらの間の増加分を含む、0.1~10.0g/g hrの間である。
【0059】
ある特定の実施形態では、縮合反応は、縮合反応器132内で、提案された反応の熱力学が良好である温度および圧力で行われる。縮合温度は、一般的に、80℃、または100℃、または125℃、または150℃、または175℃、または200℃、または225℃、または250℃を超え、500℃、または450℃、または425℃、または375℃、または325℃、または275℃未満である。例えば、縮合温度は、80℃~500℃の間、または125℃~450℃の間、または250℃~425℃の間であり得る。縮合圧力は、一般的に、0psig、または10psig、または100psig、または200psigを超え、2000psig、または1800psig、または1600psig、または1500psig、または1400psig、または1300psig、または1200psig、または1100psig、または1000psig、または900psig、または700psig未満である。例えば、縮合圧力は、0.1psigを超える、または0~1500psigの間、または0~1200psigの間であり得る。
【0060】
本開示の縮合反応は、C4~30非芳香族炭化水素およびC6~30芳香族炭化水素、例えば、直鎖または分岐鎖C4~30アルカン、直鎖または分岐鎖C4~30アルケン、任意選択の直鎖または分岐鎖アルキル基を有するC5~30シクロアルカン、任意選択の直鎖または分岐鎖アルケン基を有するC5~30シクロアルケン、任意選択の直鎖または分岐鎖アルカンまたはアルケンを有するC6~30アリール、任意選択の直鎖または分岐鎖アルカンまたはアルケンを有するC12~30縮合アリール、任意選択の直鎖または分岐鎖アルカンまたはアルケンを有するC12~30多環式化合物、直鎖または分岐鎖C4~30アルコール、直鎖または分岐鎖C4~30ケトン、直鎖または分岐鎖C4~30フランおよびそれらの混合物の生成において使用することができ、アリールの割合が有利に高く、アルカンの割合が低い。
【0061】
一部の実施形態では、変換触媒130によって生成される改質物ストリーム134は、蒸留塔106にリサイクルされる。改質物ストリーム134は、蒸留塔106への供給前に炭化水素供給原料ストリーム102と任意選択で組み合わされ得る。
【0062】
5-ストリーム108および水素化C11+ストリーム128を変換触媒130に供給することによって、プロセス100は、高濃度のC6~10芳香族を、低濃度のC4+パラフィンおよびPNA化合物と共に生成するという利点を提供する。特に、上記のプロセス100の使用は、炭化水素供給原料ストリーム102の50%以上の炭素分率(CF)のC6~10アリール収率、炭化水素供給原料ストリーム102の5%以下のCFのPNA収率、および水性原料炭素の25%以下のCFのC4+アルカン収率をもたらす。ある特定の実施形態では、C6~10アリール収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の55wt%以上、60%以上のCF、または65%以上のCFであり得る。ある特定の実施形態では、PNA収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の5%未満のCF、または4%未満のCF、または3%未満のCF、または2%未満のCF、または1%未満のCFである。ある特定の実施形態では、C4+アルカン収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の25%以下のCF、20%以下のCF、15%以下のCF、または10%未満のCFである。
【0063】
本明細書で使用される場合、互換的に使用され得る用語「炭素分率」および「CF」は、成分の炭素の質量(例えば、アリール中の炭素の質量)を供給原料中の炭素の質量で割って100を掛けることによって計算され得る。代替的に、%CFは、供給原料炭素百分率、炭素百分率、または他の同様の専門語として報告され得る。
【0064】
キシレンのみ(NBX):
図2を参照すると、炭化水素供給原料ストリーム102を改質して、C芳香族および炭化水素、例えば、パラ-キシレン、オルト-キシレンおよびメタ-キシレンを含む芳香族生成物ストリーム204、ならびにC9~10生成物ストリーム218を生成するためのプロセス200が説明される。C9~10範囲の炭化水素および芳香族は、溶媒、塗料、樹脂、殺虫剤および石油掘削における使用などの他の芳香族を作製すること以外の利用を有する。C9~10生成物ストリーム218は、Aromatic100溶媒(ARO100)またはAromatic150溶媒(ARO150)などの生成物を含み得るか、またはこれらを生成するように処理され得る。
【0065】
一部の実施形態では、プロセス200は、炭化水素供給原料ストリーム102をリサイクルされた改質物ストリーム234と共に蒸留塔206で分留して、C7-ストリーム208およびC8+ストリーム210を分離するステップを含む。C8+ストリーム210は、C8+ストリーム210をC9+ストリーム214およびC化合物を含む芳香族生成物ストリーム204に分離するために第2の蒸留塔212で分留される。C9+ストリーム214は、C9~10ストリーム218およびC11+ストリーム220を分離するために第3の蒸留塔216で分留される。
【0066】
一部の実施形態では、C11+ストリーム220は、水素の存在下で水素化触媒122と接触して水素化C11+ストリーム228を生成する。プロセス100に記載されている水素化触媒122、水素化反応器124、および稼働条件は、水素化C11+ストリーム228を産生するためにプロセス200で使用するのに適している。
【0067】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228は、水素化C11+ストリーム228の総重量に対して10wt%未満のPNA化合物を含む。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228は、水素化C11+ストリーム228の総重量に対して5wt%未満、または4wt%未満、または3wt%未満、または2wt%未満、または1wt%未満、または0.5wt%未満のPNA化合物を含む。
【0068】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228中のPNA(例えば、ナフタレン)化合物の変換率は、少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%である。
【0069】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228中のテトラリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム220中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10%大きい。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228中のテトラリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム220中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも15%大きい、または少なくとも20%大きい、または少なくとも25%大きい、または少なくとも30%大きい、または少なくとも35%大きい~40%未満大きい、または45%未満大きい、または50%未満大きい。
【0070】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228中のデカリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム220中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも10%大きい。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム228中のデカリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム220中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも15%大きい、または少なくとも20%大きい、または少なくとも25%大きい、または少なくとも30%大きい、または少なくとも35%大きい~40%未満大きい、または45%未満大きい、または50%未満大きい。
【0071】
一部の実施形態では、プロセス200は、改質物ストリーム234を生成する縮合および脱アルキル化反応を誘導するのに有効な温度、圧力、および重量空間速度で、水素化C11+ストリーム228、C7-ストリーム208、およびC9~10ストリーム218を変換触媒130と接触させるステップを含む。特に、C11+およびC9~10化合物は、変換触媒130上で脱アルキル化されてC10-化合物を生成することができ、C7-化合物は、縮合反応によりC4+化合物に変換される。このようにして、C7-ストリーム208、C9~10ストリーム218、およびC11+ストリーム220は、芳香族生成物ストリーム204中のC化合物の収率を増加させるために改質され得る。プロセス100に記載されている変換触媒130、縮合反応器132、および稼働条件は、改質物ストリーム234を産生するためにプロセス200で使用するのに適している。
【0072】
一部の実施形態では、変換触媒130によって生成される改質物ストリーム234は、蒸留塔206にリサイクルされる。改質物ストリーム234は、蒸留塔206への供給前に炭化水素供給原料ストリーム102と任意選択で組み合わされ得る。
【0073】
水素化C11+ストリーム228、C7-ストリーム208、およびC9~10ストリーム218を変換触媒130に供給することによって、プロセス200は、高濃度のC芳香族を、低濃度のC4+パラフィンおよびPNA化合物と共に生成するという利点を提供する。特に、上記のプロセス200の使用は、炭化水素供給原料ストリーム102の35%以上の炭素分率(CF)のCアリール収率、炭化水素供給原料ストリーム102の5%以下のCFのPNA収率、および水性原料炭素の35%以下のCFのC4+アルカン収率をもたらす。ある特定の実施形態では、Cアリール収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の40wt%以上、45%以上のCF、50%以上のCF、または60%以上のCFであり得る。ある特定の実施形態では、PNA収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の5%未満のCF、または4%未満のCF、または3%未満のCF、または2%未満のCF、または1%未満のCFである。ある特定の実施形態では、C4+アルカン収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の30%以下のCF、25%以下のCF、または20%以下のCFである。
【0074】
キシレン-合成芳香族ケロシン(キシレン-SAK):
図3を参照すると、炭化水素供給原料ストリーム102を改質して、C芳香族および炭化水素、例えば、パラ-キシレン、オルト-キシレン、およびメタ-キシレンを含む芳香族生成物ストリーム304、ならびにC9~10生成物ストリーム318を生成するためのプロセス300が説明される。
【0075】
一部の実施形態では、プロセス300は、炭化水素供給原料ストリーム102をリサイクルされた改質物ストリーム334と共に蒸留塔306で分留して、C7-ストリーム308およびC8+ストリーム310を分離するステップを含む。C8+ストリーム310は、C8+ストリーム310をC9+ストリーム314およびC化合物を含む芳香族生成物ストリーム304に分離するために第2の蒸留塔312で分留される。C9+ストリーム314は、C9~10ストリーム318およびC11+ストリーム320を分離するために第3の蒸留塔316で分留される。C9~10ストリームは、生成物ストリーム318として収集される。
【0076】
一部の実施形態では、C11+ストリーム320は、水素の存在下で水素化触媒122と接触して水素化C11+ストリーム328を生成する。プロセス100で記載されている水素化触媒122、水素化反応器124、および稼働条件は、水素化C11+ストリーム328を産生するためにプロセス300で使用するのに適している。
【0077】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328は、水素化C11+ストリーム328の総重量に対して10wt%未満のPNA化合物を含む。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328は、水素化C11+ストリーム328の総重量に対して5wt%未満、または4wt%未満、または3wt%未満、または2wt%未満、または1wt%未満、または0.5wt%未満のPNA化合物を含む。
【0078】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328中のPNA(例えば、ナフタレン)化合物の変換率は、少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%である。
【0079】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328中のテトラリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム320中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10%大きい。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328中のテトラリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム320中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも15%大きい、または少なくとも20%大きい、または少なくとも25%大きい、または少なくとも30%大きい、または少なくとも35%大きい~40%未満大きい、または45%未満大きい、または50%未満大きい。
【0080】
一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328中のデカリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム320中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも10%大きい。一部の実施形態では、水素化C11+ストリーム328中のデカリンの重量分率は、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム320中のデカリンの重量分率と比べて少なくとも15%大きい、または少なくとも20%大きい、または少なくとも25%大きい、または少なくとも30%大きい、または少なくとも35%大きい~40%未満大きい、または45%未満大きい、または50%未満大きい。
【0081】
一部の実施形態では、プロセス300は、改質物ストリーム334を生成する縮合および脱アルキル化反応を誘導するのに有効な温度、圧力、および重量空間速度で、水素化C11+ストリーム328およびC7-ストリーム308を変換触媒130と接触させるステップを含む。特に、C11+化合物は、変換触媒130上で脱アルキル化されてC10-化合物を生成することができ、C7-化合物は、縮合反応によりC4+化合物に変換される。このようにして、C7-ストリーム308およびC11+ストリーム320は、芳香族生成物ストリーム304中のC化合物の収率を増加させるために改質され得る。プロセス100に記載されている変換触媒130、縮合反応器132、および稼働条件は、改質物ストリーム334を産生するためにプロセス300で使用するのに適している。
【0082】
一部の実施形態では、変換触媒130によって生成される改質物ストリーム334は、蒸留塔306にリサイクルされる。改質物ストリーム334は、蒸留塔306への供給前に炭化水素供給原料ストリーム102と任意選択で組み合わされ得る。
【0083】
水素化C11+ストリーム328およびC7-ストリーム308を変換触媒130に供給することによって、プロセス300は、高濃度のC8~10芳香族を、低濃度のC4+パラフィンおよびPNA化合物と共に生成するという利点を提供する。特に、上記のプロセス300の使用は、炭化水素供給原料ストリーム102の35%以上の炭素分率(CF)のC8~10アリール収率、炭化水素供給原料ストリーム102の5%以下のCFのPNA収率、および水性原料炭素の25%以下のCFのC4+アルカン収率をもたらす。ある特定の実施形態では、C8~10アリール収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の40wt%以上、45%以上のCF、50%以上のCF、または60%以上のCFであり得る。ある特定の実施形態では、PNA収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の5%未満のCF、または4%未満のCF、または3%未満のCF、または2%未満のCF、または1%未満のCFである。ある特定の実施形態では、C4+アルカン収率は、炭化水素供給原料ストリーム102の25%以下のCF、20%以下のCF、または15%以下のCFである。
【0084】
バイオマス原料:
図4を参照すると、バイオマスに由来する炭化水素供給原料ストリーム102を生成するためのプロセス400が説明される。プロセス400は、炭化水素供給原料ストリーム102を芳香族生成物ストリーム404に改質するためのステップをさらに含む。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「バイオマス」は、限定ではなく、植物(例えば、葉、根、種子および茎)によって生成される有機物質、ならびに微生物および動物代謝廃棄物を指す。一般的なバイオマス供給源は、(1)トウモロコシの茎、藁、種子の殻、サトウキビかす、バガス、堅果の殻、ならびに畜牛、家禽、および肉豚からの糞尿などの農業廃棄物、(2)木または樹皮、おがくず、材木の破片、およびミルスクラップなどの木質材料、(3)紙くずおよび庭の刈り取った草などの一般廃棄物、ならびに(4)ポプラ、ヤナギ、スイッチグラス、ムラサキウマゴヤシ、プレーリーブルーステム、トウモロコシ、ダイズなどのエネルギー作物などを含む。
【0086】
様々な糖処理方法は、当技術分野で周知であり、バイオマスから糖液を生成するために大規模に、商業的に実施される。例えば、サトウキビを使用するプロセスでは、スクロース、フルクトース、およびグルコースがリッチな水性のバイオマス由来中間原料ストリームを単離し、得るために、サトウキビは、一般的に、洗浄され、押しつぶされるかまたは拡散され、石灰で清澄化される。テンサイを使用するプロセスでは、スクロース、フルクトース、およびグルコースがリッチな水性のバイオマス由来中間原料ストリームを単離し、得るために、テンサイは、同様に、洗浄され、スライスされ、抽出され、清澄化される。穀粒を含むプロセスについて、穀粒は、洗われ、次いで、湿式粉砕デンプン(トウモロコシ)または乾式粉砕/粉にしたデンプン(トウモロコシ、コムギ、オオムギ、モロコシ粒)を得るために処理される。単離された糖液は、所望の糖濃度を得るために調整されてもよく、例えば、原料溶液10を得るために濃縮または水で希釈され得る。一般的に、適切な濃度は約5%~約70%の範囲内にあり、約40%~70%の範囲が、工業利用ではより一般的である。
【0087】
リグノセルロースバイオマスの生の原料について、バイオマス供給原料は、複雑なバイオポリマーから糖および可溶性酸素化物に分解されて原料溶液10を形成し得る。一実施形態では、生のリグノセルロース原料(例えば、トウモロコシの葉茎)は、希酸熱化学的前処理による分解、水酸化アンモニウム、石灰、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基によるpH調整および酵素加水分解を受けて可溶性の糖を形成する。任意選択の変換前方法は、原料の収穫での分別、ふるい分けによる分別、望ましくない成分を浸出させるための化学的前処理、白色腐朽菌による処理などの発酵的前処理、水蒸気爆砕、焙焼、またはペレット形成などの機械的方法を含む。分解の代替手段は、自己加水分解(熱水のみ)、アルカリ(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、酸化(例えば、過酸化水素、酸素、空気)、オルガノソルブ(例えば、エタノール、酢酸、触媒由来溶媒)、およびイオン性液体による熱化学的前処理を含む。リグノセルロースバイオマスの処理ステップは、切り刻まれた、細断された、圧縮された、粉にされたまたは変換に適したサイズに処理されたバイオマスを得るために、追加の処理も含み得る。
【0088】
一部の実施形態では、原料溶液10は、前述のプロセスのうちの1種または複数を使用して形成されてもよく、前述のバイオマス供給源のうちの1種または複数に由来してもよい。原料溶液は、現在公知のもしくは将来開発される任意の手段によってバイオマスから作製され得るか、または単純に他のプロセスの副産物であり得る。原料溶液は、本明細書に記載されるようなプロセスのための原料ストリームとも称され得る。
【0089】
一部の実施形態では、原料溶液は、1種または複数の酸素化炭化水素を含む。用語「酸素化炭化水素」は、3つ以上の炭素原子および2つ以上の酸素原子を含有する水溶性炭化水素、例えば、炭水化物(例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、およびデンプン)、糖(例えば、グルコース、スクロース、キシロースなど)、糖アルコール(例えば、ジオール、トリオール、およびポリオール)、および糖分解生成物(例えば、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、レブリン酸、ギ酸、およびフルフラール)を指し、これらの各々は、本明細書でC3+2+と表される。本明細書で使用される場合、用語「酸素化化合物」または「酸素化物」は、2つ以上の炭素原子および1つまたは複数の酸素原子を有する分子(すなわちC2+1+)を指し、用語「一酸素化物」は、2つ以上の炭素原子および1つの酸素原子を含有する炭化水素分子(すなわちC2+)を指し、用語「二酸素化物」は、2つ以上の炭素原子および2つの酸素原子を含有する炭化水素分子(すなわちC2+)を指し、用語「ポリ酸素化物」は、2つ以上の炭素原子および3つ以上の酸素原子を含有する炭化水素分子(すなわちC2+3+)を指す。
【0090】
酸素化炭化水素に加えて、原料は、リグニン、1種もしくは複数の抽出物、1種もしくは複数の灰成分、または1種もしくは複数の有機種(例えば、リグニン誘導体)も含み得る。抽出物は、テルペノイド、スチルベン、フラボノイド、フェノール類、脂肪族、リグナン、アルカン、タンパク様物質、アミノ酸、および他の無機生成物を含む。灰成分は、Al、Ba、Ca、Fe、K、Mg、Mn、P、S、Si、Znなどを含む。他の有機種は、4-エチルフェノール、4-エチル-2-メトキシフェノール、2-メトキシ-4-プロピルフェノール、バニリン、4-プロピルシリンゴール、ビタミンE、ステロイド、長鎖炭化水素、長鎖脂肪酸、スチルベノイドなどを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるような原料ストリームは酸素化炭化水素を含み、酸素化炭化水素は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、糖分解生成物、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、リグニン誘導体、リグノセルロース誘導体、またはそれらの組合せを含む。
【0091】
再び図4を参照すると、原料溶液10は、水素の存在下で脱酸素化触媒12と接触して、1種または複数の酸素化物の混合物を含む脱酸素化生成物ストリーム18を生成する。水素は、水素を含むリザーバー(例えば、加圧タンク)または水素を生成する上流プロセスユニットであり得る水素供給源14から提供され得る。一部の実施形態では、脱酸素化触媒12は脱酸素化反応器16内に配置される。
【0092】
脱酸素化生成物ストリーム18は、0.5以上2未満、または0.8~1.8、または1~1.6、または1.2~1.6のH:Ceff比を含み得る。一部の実施形態では、H:Ceff比は、少なくとも0.5、または少なくとも0.6、または少なくとも0.7、または少なくとも0.8、または少なくとも0.9、または少なくとも1、または少なくとも1.1、または少なくとも1.2~1.3未満、または1.4未満、または1.5未満、または1.6未満、または1.8未満、または1.9未満、または2.0未満である。
【0093】
本明細書で使用される場合、用語「H:Ceff比」は、供給原料中の炭素、酸素および水素の量に基づき、以下の通りに計算される:
【0094】
【数2】
(式中、Hは水素原子数を表し、Oは酸素原子数を表し、Cは炭素原子数を表す)。水および分子水素(2原子水素、H)は計算から除かれる。H:Ceff比は、個々の成分および成分の混合物の両方に当てはまるが、炭素、水素、および酸素以外の原子を含有する成分には有効でない。混合物について、C、H、およびOは、水および分子水素を除く全ての成分に関して合計される。用語「水素」は、任意の水素原子を指すが、用語「分子水素」は、2原子水素、Hに限定される。一部の実施形態では、H:Ceff比は、水素化および水素化脱酸素触媒ならびに稼働条件(例えば、温度、圧力、WHSV、供給原料源の選択および濃度)を変えることによって制御またはモジュレートされ得る。
【0095】
一部の実施形態では、脱酸素化生成物18ストリームは、アルコール、ケトン、アルデヒド、フラン、ヒドロキシカルボン酸、カルボン酸、ジオールおよびトリオールなどの1つまたは複数の炭素原子および1~3つの間の酸素原子を有する化合物であるC1+1~3炭化水素を含む。一部の実施形態では、C1+1~3炭化水素は、1~6つの炭素原子、または2~6つの炭素原子、または3~6つの炭素原子を有する。C1+1~3炭化水素に加えて、脱酸素化生成物ストリーム18は、酸素元素を有しない炭化水素を含み得る。
【0096】
脱酸素化生成物ストリーム18中の例示的なアルコールは、限定ではなく、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、2-メチル-シクロペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、およびそれらの異性体などの第一級、第二級、直鎖状、分岐状、または環式C1+アルコールを含み得る。
【0097】
例示的なケトンは、限定ではなく、ヒドロキシケトン、環式ケトン、ジケトン、アセトン、プロパノン、2-オキソプロパナール、ブタノン、ブタン-2,3-ジオン、3-ヒドロキシブタン-2-オン、ペンタノン、シクロペンタノン、ペンタン-2,3-ジオン、ペンタン-2,4-ジオン、ヘキサノン、シクロヘキサノン、2-メチル-シクロペンタノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、デカノン、ウンデカノン、ドデカノン、メチルグリオキサール、ブタンジオン、ペンタンジオン、ジケトヘキサン、およびそれらの異性体を含み得る。
【0098】
例示的なアルデヒドは、限定ではなく、ヒドロキシアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、およびそれらの異性体を含み得る。
【0099】
例示的なカルボン酸は、限定ではなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、2-ヒドロキシブタン酸および乳酸などのヒドロキシル化誘導体を含むそれらの異性体および誘導体を含み得る。
【0100】
例示的なジオールは、限定ではなく、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、およびそれらの異性体を含み得る。
【0101】
例示的なトリオールは、限定ではなく、グリセロール、1,1,1トリス(ヒドロキシメチル)-エタン(トリメチロールエタン)、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、およびそれらの異性体を含み得る。例示的なフランおよびフルフラールは、限定ではなく、フラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、2-フランメタノール、2-メチル-テトラヒドロフラン、2,5-ジメチル-テトラヒドロフラン、2-メチルフラン、2-エチル-テトラヒドロフラン、2-エチルフラン、ヒドロキシルメチルフルフラール、3-ヒドロキシテトラヒドロフラン、テトラヒドロ-3-フラノール、2,5-ジメチルフラン、5-ヒドロキシメチル-2(5H)-フラノン、ジヒドロ-5-(ヒドロキシメチル)-2(3H)-フラノン、テトラヒドロ-2-フロン酸、ジヒドロ-5-(ヒドロキシメチル)-2(3H)-フラノン、テトラヒドロフルフリルアルコール、1-(2-フリル)エタノール、ヒドロキシメチルテトラヒドロフルフラール、およびそれらの異性体を含む。
【0102】
一部の実施形態では、脱酸素化触媒12は、酸素原子のうちの1つまたは複数を原料溶液から取り出して1種または複数の酸素化物を生成するための水素と原料溶液10との反応を触媒することができる、1種または複数の材料を有する不均一系触媒からなる。一部の実施形態では、脱酸素化触媒12は、担体に付着した1種または複数の金属からなり、限定ではなく、Cu、Re、Fe、Ru、Ir、Co、Rh、Pt、Pd、Ni、W、Os、Mo、Ag、Au、それらの合金および組合せを含み得る。脱酸素化触媒は、これらの元素を単独で、またはMn、Cr、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Y、La、Sc、Zn、Cd、Ag、Au、Sn、Ge、P、Al、Ga、In、Tl、およびそれらの組合せなどの1種または複数の促進剤と組み合わせて含み得る。一実施形態では、脱酸素化触媒は、Pt、Ru、Cu、Re、Co、Fe、Ni、WまたはMoを含む。さらに別の実施形態では、脱酸素化触媒は、FeまたはReおよびIr、Ni、Pd、P、Rh、およびRuから選択される少なくとも1種の遷移金属を含む。別の実施形態では、触媒は、Fe、Reおよび少なくともCuまたは1種のVIIIB族遷移金属を含む。一部の実施形態では、脱酸素化触媒の金属は、Pd、W、Mo、Ni、Pt、Ru、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、脱酸素化触媒は促進剤を含む。例として、脱酸素化触媒の促進剤は、Sn、W、またはそれらの組合せを含み得る。担体は、ニトリド、炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、バナジア、セリア、酸化亜鉛、クロミア、窒化ホウ素、ヘテロポリ酸、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物を含む本明細書に記載の担体のうちの任意の1種であり得る。一部の実施形態では、担体はジルコニアを含む。
【0103】
脱酸素化温度は80℃~300℃の範囲であり得る。一部の実施形態では、反応温度は、約120℃~600℃の間、または約200℃~280℃の間、または約220℃~260℃の間である。脱酸素化圧力は、72psig~1300psigの範囲であり得る。一部の実施形態では、脱酸素化圧力は、72~1200psig、または145~1200psig、または200~725psig、または365~700psig、または600~650psigの範囲である。
【0104】
一部の実施形態では、脱酸素化反応のWHSVは、1時間当たり、触媒1グラム当たり、0.1グラムの酸素化炭化水素(g/g-hr)~40g/g-hrの範囲である。一部の実施形態では、WHSVは、少なくとも0.25、少なくとも0.5、少なくとも0.75、少なくとも1.0、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0、少なくとも2.1、少なくとも2.2、少なくとも2.3、少なくとも2.4、少なくとも2.5、少なくとも2.6、少なくとも2.7、少なくとも2.8、少なくとも2.9、少なくとも3.0、少なくとも3.1、少なくとも3.2、少なくとも3.3、少なくとも3.4、少なくとも3.5、少なくとも3.6、少なくとも3.7、少なくとも3.8、少なくとも3.9、少なくとも4.0、少なくとも4.1、少なくとも4.2、少なくとも4.3、少なくとも4.4、少なくとも4.5、少なくとも4.6、少なくとも4.7、少なくとも4.8、少なくとも4.9、少なくとも5.0~6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、11未満、12未満、13未満、14未満、15未満、20未満、25未満、30未満、35未満、または40g/g hr未満である。
【0105】
一部の実施形態では、脱酸素化反応器16に供給される水素の量は、原料中の酸素化炭化水素の総モル数に対して、0~2400%、5~2400%、10~2400%、15~2400%、20~2400%、25~2400%、30~2400%、35~2400%、40~2400%、45~2400%、50~2400%、55~2400%、60~2400%、65~2400%、70~2400%、75~2400%、80~2400%、85~2400%、90~2400%、95~2400%、98~2400%、100~2400%、200~2400%、300~2400%、400~2400%、500~2400%、600~2400%、700~2400%、800~2400%、900~2400%、1000~2400%、1100~2400%、または1150~2400%、または1200~2400%、または1300~2400%、または1400~2400%、または1500~2400%、または1600~2400%、または1700~2400%、または1800~2400%、または1900~2400%、または2000~2400%、または2100~2400%、または2200~2400%、または2300~2400%の範囲であり、これらの間の全ての間隔を含む。水素は、外部の水素またはリサイクルされた水素であり得る。用語「外部のH」は、原料溶液に由来しないが、外部の供給源から反応器システムに添加される水素を指す。用語「リサイクルされたH」は、収集され、次いでさらなる使用のためにリサイクルされて反応器システムに戻る未消費の水素を指す。
【0106】
一部の実施形態では、生成物ストリーム18は、生成物ストリーム18を非凝縮ガスストリーム22、有機生成物ストリーム24、および水性生成物ストリーム26に分離するために、3相分離器20を通過する。非凝縮ガスストリーム22は、水素、二酸化炭素、メタン、エタンおよびプロパンからなり得る。非凝縮ガスは、除去され、燃焼してプロセス熱(すなわち、脱酸素化反応器内の反応を駆動するための熱)を作り得るか、またはリサイクルして水素ストリーム14に戻すために水素が回収され得る分離システムに送られ得る。部分的脱酸素化炭化水素を含有する水性生成物ストリーム26は、リサイクルされて脱酸素化反応器16の入口に戻り得る。一部の一酸素化物(例えば、アルコール)を含む水性パージストリーム28は、反応器システム内の水の蓄積を防止するために使用され得る。水性パージストリーム28は、有機生成物ストリーム24と組み合わされ得るか、またはプロセスから廃棄され得る。
【0107】
一部の実施形態では、酸素化物を含む有機生成物ストリーム24は、酸素化物を、C4+化合物を含む縮合物生成物ストリーム30に変換する縮合反応を誘導するのに有効な温度、圧力、および重量空間速度で、変換触媒130と接触する。C4+化合物は、C4~30非芳香族炭化水素およびC6~30芳香族炭化水素、例えば、直鎖または分岐鎖C4~30アルカン、直鎖または分岐鎖C4~30アルケン、任意選択の直鎖または分岐鎖アルキル基を有するC5~30シクロアルカン、任意選択の直鎖または分岐鎖アルケン基を有するC5~30シクロアルケン、任意選択の直鎖または分岐鎖アルカンまたはアルケンを有するC6~30アリール、任意選択の直鎖または分岐鎖アルカンまたはアルケンを有するC12~30縮合アリール、任意選択の直鎖または分岐鎖アルカンまたはアルケンを有するC12~30多環式化合物、直鎖または分岐鎖C4~30アルコール、直鎖または分岐鎖C4~30ケトン、直鎖または分岐鎖C4~30フランおよびそれらの混合物のうちの1種または複数を含み得る。
【0108】
一部の実施形態では、縮合生成物ストリーム30は、縮合生成物ストリーム30を酸縮合ガスストリーム34、有機ストリーム102、および水性ストリーム38に分離するために3相分離器32を通過し得る。有機ストリーム102および水性ストリーム38は、密度差によって分離されるが、非凝縮ガスを含む酸縮合ガスストリーム34は、酸縮合反応器132にリサイクルされて追加のC4+化合物を産生する。一部の実施形態では、水性ストリーム38は、プロセスから廃棄されるか、または下流プロセスユニットでさらに処理される。
【0109】
一部の実施形態では、有機ストリーム102は、プロセス100~300に記載されている炭化水素供給原料ストリーム102を形成し得るか、または炭化水素供給原料ストリーム102と組成が同様であり得る。一部の実施形態では、プロセス400は、有機ストリーム102を第1の蒸留塔406で分留して、有機ストリーム102を第1の留出物ストリーム408および第1の底部ストリーム410に分離するステップを含む。一部の実施形態では、第1の留出物ストリーム408は、C7-化合物またはC5-化合物を含み、第1の底部ストリーム410は、C8+化合物またはC6+化合物を含む。
【0110】
プロセス400は、第1の底部ストリーム410を第2の蒸留塔412で分留して、第1の底部ストリーム410を第2の留出物ストリーム404および第2の底部ストリーム414に分離するステップをさらに含む。第2の留出物ストリーム404は、生成物ストリームとして収集されてもよく、C化合物またはC6~8化合物のどちらかを含む。第2の底部ストリーム414はC9+化合物を含む。プロセス400は、第2の底部ストリーム414を第3の蒸留塔416で分留して、第2の底部ストリーム414をC9~10化合物を含む第3の留出物ストリーム418およびC11+化合物を含む第3の底部ストリーム420に分離するステップをさらに含む。
【0111】
11+化合物を水素化触媒上で水素化するのではなく、プロセス400は、第3の底部ストリーム420を脱酸素化触媒12にリサイクルするステップを含む。本出願人は、驚くべきことに、許容可能な変換率を維持しながら、脱酸素化触媒12が、第3の底部ストリーム420からのC11+化合物を脱アルキル化し、同時に原料溶液10中の水溶性糖および酸素化物を脱酸素化することができることを見出した。
【0112】
一部の実施形態では、プロセスは、改質物ストリーム134を生成する縮合および脱アルキル化反応を誘導するのに有効な温度、圧力、および重量空間速度で、C7-化合物またはC5-化合物を含む第1の留出物ストリーム408およびC9~10化合物を含む第3の留出物ストリーム418を変換触媒130と接触させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、C9~10化合物を含む第3の留出物ストリーム418は、リサイクルされて変換触媒130に戻るのではなく、生成物ストリームとして収集される。
【0113】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。全ての定義は、本明細書で定義および使用される場合、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味より優先することが理解されるべきである。
【0114】
本発明は、1つまたは複数の好ましい実施形態に関して記載され、明示的に述べられたものとは別に、多くの均等物、代替、変形、および改良が可能であり、本発明の範囲内にあることが理解されるべきである。
【実施例
【0115】
以下の実施例は、当業者が本開示の原理をより容易に理解することを可能にする。以下の実施例は、例示のために提示され、決して限定することを意図しない。
【0116】
比較例1:ソルビトール供給原料を用いたベースライン構成
水中50wt%ソルビトールからなる原料溶液をPd-Mo-Sn-W ZrO HDO触媒上で反応させて酸素化物の混合物を生成した。140グラムのHDO触媒を、直列でつながれた2つのOD1インチのインコネル反応器にロードした。供給原料を取り込む前に、HDO触媒をその場で、水素で、400℃および1050psigで還元した。原料溶液をHDO触媒上で、1800psigおよび1時間当たり、触媒1グラム当たり、0.8グラムの原料溶液の重量空間速度(WHSV)で反応させた。第1のHDO反応器は、232℃の入口温度および254℃の出口温度を有した。第2のHDO反応器は、264℃の入口温度および295℃の出口温度を有した。水素を2550ml/分の速度でHDO反応器に同時供給した。生成物のHDO生成物ストリームからの7.5g/分の水性リサイクルをHDO入口に送り戻した。
【0117】
その後、HDO反応器から生成された酸素化物の混合物をNi修飾ZSM-5変換触媒上で反応させて混合芳香族供給原料ストリームを生成した。165グラムのNi修飾ZSM-5触媒をOD1インチのインコネルリード反応器にロードし、150グラムのNi修飾ZSM-5触媒をOD1インチのインコネルラグ反応器にロードした。再生は、反応器を再生の順にラグからリードへとスイング(前進にスイング)させながら絶えず行われた。供給原料を取り込む前に、変換触媒をその場で、窒素下で、100psigおよび400℃で還元した。酸素化物の混合物を変換触媒上で、100psigで反応させた。リードおよびラグAC反応器は、410℃の入口温度および405℃の出口温度を有した。HDO反応器からの水素を分離し、AC反応器に送り、同時供給した。AC生成物ストリームからの1~3g/分の水性リサイクルをリサイクルしてリードAC反応器に戻した。AC生成物ストリームからの3000mL/分の蒸気リサイクルをリサイクルしてAC反応器に戻した。
【0118】
AC生成物ストリームを、AC生成物ストリームをC6-ストリームおよびC7+ストリームに分離するように構成された蒸留塔に送った。次いで、軽質末端生成物から芳香族へのさらなるアップグレードのために、C6-ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。C7+ストリームを生成物として収集した。
【0119】
【表1】
【0120】
正味の収率プロファイルを集めるために、4回の重量チェックを全ての生成物ストリームに行った。表1は、重量チェックの平均である炭素収率プロファイルをまとめる。
【0121】
[実施例1]
ソルビトール供給原料を用いたHAU
比較例1で概説された同じ反応条件を使用して、水中50wt%ソルビトールからなる原料溶液をPd-Mo-Sn-W ZrO HDO触媒およびNi修飾ZSM-5変換触媒上で反応させた。
【0122】
第1の蒸留塔は、酸縮合生成物ストリームをC5-ストリームおよびC6+ストリームに分離した。増加した濃度の芳香族を生成するためのさらなるアップグレードのために、C5-ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。第2の蒸留塔は、C6+ストリームをC6~8ストリームおよびC9+ストリームに分離した。第3の蒸留塔は、C9+ストリームをC9~10ストリームおよびC11+ストリームに分離した。C9~10ストリームを生成物ストリームとして収集した。
【0123】
11+ストリームを市販の酸化ニッケル水素化触媒(18%Niを有する、CRI catalystsから入手可能なKL6560)と接触させて水素化C11+ストリームを生成した。10グラムの水素化触媒をOD1/2インチのインコネル反応器にロードした。供給原料を取り込む前に、水素化触媒をその場で、水素で、400℃および1050psigで還元した。C11+ストリームを水素化触媒上で、600psigで反応させた。水素化反応器は、170℃の入口温度および100℃の出口温度を有した。水素を150mL/分の速度で水素化反応器に同時供給した。脱アルキル化のために水素化C11+ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。
【0124】
【表2】
【0125】
表2は、水素化反応器に入る材料の組成および流出物の組成を含む。述べた通り、PNA(例えば、ナフタレン)は、変換触媒上で最小限に反応性であるが、テトラリンおよびデカリンは、C10-芳香族および炭化水素へと容易に脱アルキル化される。水素化触媒は、供給原料炭素に対するパーセンテージに基づいて、C11+ストリーム中のPNAの濃度を13.02%から4.11%に低減するのに有効であった。
【0126】
【表3】
【0127】
正味の収率プロファイルを集めるために、4回の重量チェックを全ての生成物ストリームに行った。正味の収率プロファイルは、重量チェックの平均であった。表3は、HAU構成についての炭素収率プロファイルをまとめ、炭素収率プロファイルをベースライン構成と比較する。C10+芳香族およびPNA(例えば、ナフタレン)によって一度捕捉された炭素は、パラフィンおよびナフテンのような飽和化合物、ならびに芳香族およびオレフィンのような不飽和化合物を含む高い価値の生成物に再分配された。
【0128】
比較例2:調整したエタノール供給原料を用いたベースライン構成
41.2wt%の酢酸エチル、27.7wt%の脱イオン水、および31.1wt%の190プルーフのエタノールからなる原料溶液をNi修飾ZSM-5変換触媒上で反応させて混合芳香族供給原料ストリームを生成した。165グラムのNi修飾ZSM-5触媒をOD1インチのインコネルリード反応器にロードし、150グラムのNi修飾ZSM-5触媒をOD1インチのインコネルラグ反応器にロードした。再生は、反応器を再生の順にラグからリードへとスイング(前進にスイング)させながら絶えず行われた。供給原料を取り込む前に、変換触媒をその場で、窒素下で、100psigおよび400℃で還元した。酸素化物の混合物をラグからリードへの構成でAC反応器で反応させた。反応の圧力は200psigで、および1時間当たり、触媒1グラム当たり、0.25グラムの原料溶液のWHSVで生じた。ラグAC反応器は、405℃の入口温度および435℃の出口温度を有した。リードAC反応器は、450℃の入口および出口温度を有した。水素は反応器に同時供給しなかった。AC生成物ストリームからのおよそ1g/分の水性リサイクルをリサイクルしてリードAC反応器に戻した。AC生成物ストリームからの2700mL/分の蒸気リサイクルをリサイクルしてラグAC反応器に戻した。
【0129】
AC生成物ストリームを、AC生成物ストリームをC6-ストリームおよびC7+ストリームに分離するように構成された蒸留塔に送った。次いで、軽質末端生成物から芳香族へのさらなるアップグレードのために、C6-ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。C7+ストリームを生成物として収集した。
【0130】
【表4】
【0131】
正味の収率プロファイルを集めるために、4回の重量チェックを全ての生成物ストリームに行った。表4は、重量チェックの平均である炭素収率プロファイルをまとめる。
【0132】
[実施例2]
調整したエタノール供給原料を用いたHAU
比較例2で概説された同じ反応条件を使用して、41.2wt%の酢酸エチル、27.7wt%の脱イオン水、および31.1wt%の190プルーフのエタノールをNi修飾ZSM-5変換触媒上で反応させて混合芳香族供給原料ストリームを生成した。
【0133】
第1の蒸留塔は、酸縮合生成物ストリームをC5-ストリームおよびC6+ストリームに分離した。増加した濃度の芳香族を生成するためのさらなるアップグレードのために、C5-ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。第2の蒸留塔は、C6+ストリームをC6~8ストリームおよびC9+ストリームに分離した。第3の蒸留塔は、C9+ストリームをC9~10ストリームおよびC11+ストリームに分離した。C9~10ストリームを生成物ストリームとして収集した。
【0134】
11+ストリームを市販の酸化ニッケル水素化触媒(18%Niを有する、CRI catalystsから入手可能なKL6560)と接触させて水素化C11+ストリームを生成した。10グラムの水素化触媒をOD1/2インチのインコネル反応器にロードした。供給原料を取り込む前に、水素化触媒をその場で、水素で、400℃および1050psigで還元した。C11+ストリームを水素化触媒上で、600psigで反応させた。水素化反応器は、130℃の入口温度および105℃の出口温度を有した。水素を150mL/分の速度で水素化反応器に同時供給した。脱アルキル化のために水素化C11+ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。
【0135】
【表5】
【0136】
表5は、水素化反応器に入る材料の組成および流出物の組成を含む。水素化触媒は、供給原料炭素に対するパーセンテージに基づいて、C11+ストリーム中のPNAの濃度を13.02%から4.11%に低減するのに有効であった。水素化触媒は、変換触媒上で容易に脱アルキル化されるテトラリンおよびデカリンの濃度を増加させるのにも有効であった。
【0137】
【表6】
【0138】
正味の収率プロファイルを集めるために、4回の重量チェックを全ての生成物ストリームに行った。正味の収率プロファイルは、重量チェックの平均であった。表6は、HAU構成についての炭素収率プロファイルをまとめ、炭素収率プロファイルをベースライン構成と比較する。C10+芳香族およびPNA(例えば、ナフタレン)によって一度捕捉された炭素は、パラフィンおよびナフテンのような飽和化合物、ならびに芳香族およびオレフィンのような不飽和化合物を含むより高い価値の生成物に再分配された。
【0139】
[実施例3]
調整したエタノール供給原料を用いたNBX
比較例2で概説された同じ反応条件を使用して、41.2wt%の酢酸エチル、27.7wt%の脱イオン水、および31.1wt%の190プルーフのエタノールをNi修飾ZSM-5変換触媒上で反応させて混合芳香族供給原料ストリームを生成した。
【0140】
第1の蒸留塔は、酸縮合生成物ストリームをC7-ストリームおよびC8+ストリームに分離した。次いで、増加した濃度の芳香族を生成するためのさらなるアップグレードのために、C7-ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。第2の蒸留塔は、C8+ストリームをCストリームおよびC9+ストリームに分離した。第3の蒸留塔はC9+ストリームをC9~10ストリームおよびC11+ストリームに分離した。脱アルキル化のためにC9~10ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。
【0141】
11+ストリームを市販の酸化ニッケル水素化触媒(18%Niを有する、CRI catalystsから入手可能なKL6560)と接触させて水素化C11+ストリームを生成した。10グラムの水素化触媒をOD1/2インチのインコネル反応器にロードした。供給原料を取り込む前に、水素化触媒をその場で、水素で、400℃および1050psigで還元した。C11+ストリームを水素化触媒上で、600psigで反応させた。水素化反応器は、130℃の入口温度および105℃の出口温度を有した。水素を150mL/分の速度で水素化反応器に同時供給した。脱アルキル化のために水素化C11+ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。キシレンを含むCストリームを正味の生成物ストリームとして収集する。
【0142】
【表7】
【0143】
表7は、水素化反応器に入る材料の組成および流出物の組成を含む。水素化触媒は、供給原料炭素に対するパーセンテージに基づいて、C11+ストリーム中のPNAの濃度を44.37%から7.4%に低減するのに有効であった。水素化触媒は、変換触媒上で容易に脱アルキル化されるテトラリンおよびデカリンの濃度を増加させるのにも有効であった。
【0144】
【表8】
【0145】
正味の収率プロファイルを集めるために、4回の重量チェックを全ての生成物ストリームに行った。正味の収率プロファイルは、重量チェックの平均であった。表8は、NBX構成についての炭素収率プロファイルをまとめ、炭素収率プロファイルをHAU構成およびベースライン構成と比較する。C10+芳香族およびPNA(例えば、ナフタレン)によって一度捕捉された炭素は、パラフィンおよびナフテンのような飽和化合物、ならびに芳香族およびオレフィンのような不飽和化合物を含むより高い価値の生成物に再分配された。
【0146】
[実施例5]
調整したエタノール供給原料を用いたキシレン-SAK
比較例2で概説された同じ反応条件を使用して、41.2wt%の酢酸エチル、27.7wt%の脱イオン水、および31.1wt%の190プルーフのエタノールをNi修飾ZSM-5変換触媒上で反応させて、混合芳香族供給原料ストリームを生成した。
【0147】
第1の蒸留塔は、酸縮合生成物ストリームをC7-ストリームおよびC8+ストリームに分離する。次いで、さらなるアップグレードのためにC7-ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻す。第2の蒸留塔は、C8+ストリームをCストリームおよびC9+ストリームに分離する。第3の蒸留塔は、C9+ストリームをC9~10ストリームおよびC11+ストリームに分離する。CストリームおよびC9~10ストリームは、正味の生成物ストリームとして収集される。
【0148】
11+ストリームを市販の酸化ニッケル水素化触媒(18%Niを有する、CRI catalystsから入手可能なKL6560)と接触させて水素化C11+ストリームを生成した。10グラムの水素化触媒をOD1/2インチのインコネル反応器にロードした。供給原料を取り込む前に、水素化触媒をその場で、水素で、400℃および1050psigで還元した。C11+ストリームを水素化触媒上で、600psigで反応させた。水素化反応器は、130℃の入口温度および105℃の出口温度を有した。水素を150mL/分の速度で水素化反応器に同時供給した。脱アルキル化のために水素化C11+ストリームをリサイクルしてAC触媒に戻した。
【0149】
【表9】
【0150】
正味の収率プロファイルを集めるために、4回の重量チェックを全ての生成物ストリームに行った。正味の収率プロファイルは、重量チェックの平均であった。表9は、キシレン-SAK構成についての炭素収率プロファイルをまとめ、炭素収率プロファイルをHAU構成、NBX構成、およびベースライン構成と比較する。C10+芳香族およびPNA(例えば、ナフタレン)によって一度捕捉された炭素は、パラフィンおよびナフテンのような飽和化合物、ならびに芳香族およびオレフィンのような不飽和化合物を含むより高い価値の生成物に再分配された。
【0151】
したがって、本開示は、炭化水素供給原料の収率構造を非芳香族化合物(例えば、パラフィン、ナフテン)からC6~10芳香族化合物にシフトするためのシステムおよび方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、芳香族化合物(例えば、C6~10)、特に、ベンゼン、トルエン、パラ-キシレン、オルト-キシレン、およびメタ-キシレンの収率を増加させるために、炭化水素供給原料内の軽質炭化水素ストリーム(例えば、C5-)および重質炭化水素ストリーム(例えば、C11+)をアップグレードするためのシステムおよび方法を提供する。
【0152】
本発明は、ある特定の実施形態を参照してかなり詳細に記載されたが、当業者は、本発明が、限定ではなく例示の目的で提示された、記載された実施形態の代替の実施形態で使用され得ることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記載に限定されるべきでない。
【0153】
完全にするために、本発明の様々な態様が、以下の番号付きの条項において明記される。
【0154】
条項1.芳香族炭化水素を、複数の非芳香族炭化水素および芳香族炭化水素を含む炭化水素供給原料ストリームから生成および分離するためのプロセスであって、非芳香族炭化水素が、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せのうちの1種または複数を含み、芳香族化合物が、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せのうちの1種または複数を含み、プロセスが、
(i)一連の蒸留塔を使用して、炭化水素供給原料ストリームを分留して芳香族生成物ストリームおよび重質炭化水素ストリームを炭化水素供給原料ストリームから分離するステップであって、芳香族生成物ストリームが、C芳香族、C芳香族、C芳香族、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含み、重質炭化水素ストリームがC11+化合物を含む、ステップと、
(ii)重質炭化水素ストリームを水素の存在下で水素化触媒と接触させて水素化C11+ストリームを生成するステップと、
(iii)水素化C11+ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させてC11+化合物の少なくとも一部を脱アルキル化して、改質物ストリームを産生するステップであって、改質物ストリームがステップ(i)の一連の蒸留塔に供給される、ステップと
を含むプロセス。
【0155】
条項2.ステップ(i)が、
第1の蒸留塔を使用して、炭化水素供給原料ストリームを分留してC5-ストリームおよびC6+ストリームを炭化水素供給原料ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、C6+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC6~8化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、条項1に記載のプロセス。
【0156】
条項3.C5-ストリームを少なくとも1種の変換触媒にリサイクルするステップをさらに含む、条項2に記載のプロセス。
【0157】
条項4.C6~8ストリームが、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項2に記載のプロセス。
【0158】
条項5.ステップ(i)が、
第1の蒸留塔を使用して、炭化水素供給原料ストリームを分留してC7-ストリームおよびC8+ストリームを炭化水素供給原料ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、C8+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、条項1に記載のプロセス。
【0159】
条項6.C7-ストリームを少なくとも1種の変換触媒にリサイクルするステップをさらに含む、条項5に記載のプロセス。
【0160】
条項7.C9~10ストリームを少なくとも1種の変換触媒にリサイクルしてC9~10化合物の少なくとも一部を脱アルキル化するステップをさらに含む、条項5に記載のプロセス。
【0161】
条項8.水素化触媒が、少なくとも1種の担体および少なくとも1種の金属を含む、条項1に記載のプロセス。
【0162】
条項9.少なくとも1種の担体が、炭素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、バナジア、セリア、シリカ-アルミネート、ゼオライト、珪藻土、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、クロミア、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項8に記載のプロセス。
【0163】
条項10.金属が、Fe、Ru、Co、Pt、Pd、Ni、Re、Cu、それらの合金、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項8に記載のプロセス。
【0164】
条項11.水素化触媒が少なくとも1種の促進剤をさらに含む、条項8に記載のプロセス。
【0165】
条項12.促進剤が、Ag、Au、Cr、Zn、Mn、Mg、Ca、Cr、Sn、Bi、Mo、W、B、P、およびそれらの合金または組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項11に記載のプロセス。
【0166】
条項13.変換触媒が、カーバイド、ニトリド、ジルコニア、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、リン酸塩、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化物、ヘテロポリ酸、無機酸、酸修飾樹脂、塩基修飾樹脂、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項1に記載のプロセス。
【0167】
条項14.変換触媒が少なくとも1種の金属を含み、金属が、Cu、Ag、Au、Pt、Ni、Fe、Co、Ru、Zn、Cd、Ga、In、Rh、Pd、Ir、Re、Mn、Cr、Mo、W、Sn、Os、それらの合金および組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項1に記載のプロセス。
【0168】
条項15.変換触媒が少なくとも1種の修飾剤を含み、修飾剤が、Ce、La、Y、Sc、P、B、Bi、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、およびそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項1に記載のプロセス。
【0169】
条項16.ステップ(ii)における重質炭化水素ストリームが少なくとも1種の多核芳香族(PNA)を含み、水素化中のPNAの変換率が、少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%である、条項1に記載のプロセス。
【0170】
条項17.水素化C11+ストリームが、水素化C11+ストリームの総重量に対して5wt%未満の多核芳香族化合物、または4wt%未満、または3wt%未満、または2wt%未満、または1wt%未満を含む、条項1に記載のプロセス。
【0171】
条項18.水素化C11+ストリームがテトラリンを含み、水素化C11+ストリームが、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10wt%大きい、または少なくとも20wt%大きい、または少なくとも30wt%大きい、または少なくとも40wt%大きい、または少なくとも50wt%大きいテトラリンの重量分率を含む、条項1に記載のプロセス。
【0172】
条項19.水素化C11+ストリームがデカリンを含み、水素化C11+ストリームが、それぞれのストリームの総重量に対して、C11+ストリーム中のテトラリンの重量分率と比べて少なくとも10wt%大きい、または少なくとも20wt%大きい、または少なくとも30wt%大きい、または少なくとも40wt%大きい、または少なくとも50wt%大きいテトラリンの重量分率を含む、条項1に記載のプロセス。
【0173】
条項20.ステップ(i)の前に、
水および酸素化炭化水素を含む原料ストリームを水素の存在下で脱酸素化触媒と接触反応させて脱酸素化生成物ストリームを生成するステップと、
脱酸素化生成物ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触反応させて炭化水素供給原料ストリームを生成するステップと
をさらに含む、条項1に記載のプロセス。
【0174】
条項21.
(i)水および酸素化炭化水素を含む原料ストリームを水素の存在下で脱酸素化触媒と接触反応させて脱酸素化生成物ストリームを生成するステップと、
(ii)脱酸素化生成物ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触反応させて、非芳香族炭化水素および芳香族炭化水素を含む縮合生成物ストリームを生成するステップであって、非芳香族炭化水素が、パラフィン、オレフィン、ナフテン、またはそれらの組合せのうちの1種または複数を含み、芳香族化合物が、アリール、縮合アリール、多環式化合物、またはそれらの組合せのうちの1種または複数を含む、ステップと、
(iii)一連の蒸留塔を使用して、縮合生成物ストリームを分留して芳香族生成物ストリームおよび重質炭化水素ストリームを縮合生成物ストリームから分離するステップであって、芳香族生成物ストリームが、C芳香族、C芳香族、C芳香族、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含み、重質炭化水素ストリームがC11+化合物を含む、ステップと、
(iv)重質炭化水素ストリームの少なくとも一部をステップ(i)の脱酸素化触媒にリサイクルするステップと
を含むプロセス。
【0175】
条項22.酸素化炭化水素が、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、糖アルコール、糖分解生成物、セルロース誘導体、ヘミセルロース誘導体、リグニン誘導体、リグノセルロース誘導体、およびそれらの組合せのうちの1種または複数を含む、条項21に記載のプロセス。
【0176】
条項23.ステップ(iii)が
第1の蒸留塔を使用して、縮合ストリームを分留してC5-ストリームおよびC6+ストリームを縮合ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、C6+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC6~8化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、条項21に記載のプロセス。
【0177】
条項24.C5-ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、縮合反応により、C5-化合物の少なくとも一部をC4+化合物に変換するステップをさらに含む、条項23に記載のプロセス。
【0178】
条項25.C6~8ストリームが、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1種を含む、条項23に記載のプロセス。
【0179】
条項26.ステップ(iii)が、
第1の蒸留塔を使用して、縮合ストリームを分留してC7-ストリームおよびC8+ストリームを縮合ストリームから分離するステップと、
第2の蒸留塔を使用して、C8+ストリームを芳香族生成物ストリームおよびC9+ストリームに分留するステップであって、芳香族生成物ストリームがC化合物を含む、ステップと、
第3の蒸留塔を使用して、C9+ストリームをC9~10ストリームおよび重質炭化水素ストリームに分留するステップと
をさらに含む、条項21に記載のプロセス。
【0180】
条項27.C7-ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、縮合反応により、C7-化合物の少なくとも一部をC4+化合物に変換するステップをさらに含む、条項26に記載のプロセス。
【0181】
条項28.C9~10ストリームを少なくとも1種の変換触媒と接触させて、C9~10化合物の少なくとも一部を脱アルキル化するステップをさらに含む、条項26に記載のプロセス。
【0182】
条項29.脱酸素化触媒が、少なくとも1種の担体および少なくとも1種の金属を含む、条項21に記載のプロセス。
【0183】
条項30.少なくとも1種の担体がジルコニアを含む、条項29に記載のプロセス。
【0184】
条項31.少なくとも1種の金属が、Pd、W、またはそれらの組合せを含む、条項29に記載のプロセス。
【0185】
条項32.脱酸素化触媒が促進剤を含む、条項29に記載のプロセス。
【0186】
条項33.促進剤が、Sn、W、またはそれらの組合せを含む、条項32に記載のプロセス。
【0187】
条項34.変換触媒がゼオライトを含む、条項21に記載のプロセス。
【0188】
条項35.変換触媒が少なくとも1種の金属を含む、条項21に記載のプロセス。
【0189】
条項36.金属がNiである、条項35に記載のプロセス。
【符号の説明】
【0190】
10 原料溶液
12 脱酸素化触媒
14 水素供給源
16 脱酸素化反応器
18 脱酸素化生成物ストリーム
20 3相分離器
22 非凝縮ガスストリーム
24 有機生成物ストリーム
26 水性生成物ストリーム
28 水性パージストリーム
30 縮合生成物ストリーム
34 酸縮合ガスストリーム
32 3相分離器
38 水性ストリーム
100 プロセス
102 炭化水素供給原料ストリーム、有機ストリーム
104 芳香族生成物ストリーム
106 蒸留塔
108 C5-ストリーム
110 C6+ストリーム
112 第2の蒸留塔
114 C9+ストリーム
116 第3の蒸留塔
118 C9~10ストリーム
120 C11+ストリーム
122 水素化触媒
124 水素化反応器
126 水素供給源
128 水素化C11+ストリーム
130 変換触媒
132 縮合反応器
134 改質物ストリーム
200 プロセス
204 芳香族生成物ストリーム
206 蒸留塔
208 C7-ストリーム
210 C8+ストリーム
212 第2の蒸留塔
214 C9+ストリーム
216 第3の蒸留塔
218 C9~10ストリーム
220 C11+ストリーム
228 水素化C11+ストリーム
234 改質物ストリーム
300 プロセス
304 芳香族生成物ストリーム
306 蒸留塔
308 C7-ストリーム
310 C8+ストリーム
312 第2の蒸留塔
314 C9+ストリーム
316 第3の蒸留塔
318 C9~10ストリーム
320 C11+ストリーム
328 水素化C11+ストリーム
334 改質物ストリーム
400 プロセス
404 第2の留出物ストリーム、芳香族生成物ストリーム
406 第1の蒸留塔
408 第1の留出物ストリーム
410 第1の底部ストリーム
412 第2の蒸留塔
414 第2の底部ストリーム
416 第3の蒸留塔
418 第3の留出物ストリーム
420 第3の底部ストリーム
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】