(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】治療用細胞の製造のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20241010BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241010BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241010BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241010BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241010BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20241010BHJP
C12N 5/077 20100101ALI20241010BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20241010BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20241010BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241010BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20241010BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20241010BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241010BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C12N1/00 N
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/074
C12N5/077
C12N5/0735
C12N5/07
C12N5/0783
A61K47/46
A61K35/28
A61K35/17
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522051
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022046436
(87)【国際公開番号】W WO2023064383
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522316700
【氏名又は名称】サイトナス セラピューティクス,インク.
【住所又は居所原語表記】3280 Grey Hawk Court Carlsbad, CA 92010 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーミアイ,レモ
(72)【発明者】
【氏名】クレムケ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ズール,ユヴァル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD09
4B065BD15
4B065CA44
4C076AA30
4C076AA36
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4C076BB01
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB21
4C076EE57
4C087AA01
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4C087AA03
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4C087MA34
4C087MA55
4C087MA66
4C087NA13
4C087ZC02
(57)【要約】
有核細胞から除核細胞を得るための方法が本明細書に記載される。さらに、有核細胞を含有する組成物を提供する工程および除核細胞画分を生成するために有核細胞の少なくとも一部を除核する工程を含む、細胞処理のための方法が本明細書に記載される。さらに、異種遺伝子産物を発現させる工程を含む細胞処理のための方法が本明細書に記載される。さらに、除核細胞を含む医薬組成物が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有核細胞を含む組成物を提供する工程と、
b)連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために前記有核細胞の一部を除核する工程と
を含む、細胞処理のための方法。
【請求項2】
前記有核細胞の一部が前記有核細胞の約95%以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)で提供される前記組成物が、約500mL以上~約10000mLの間を含む体積を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記連続流遠心分離により、前記組成物中の前記有核細胞から前記除核細胞画分を分離する密度勾配を作製する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記密度勾配が多糖類密度勾配を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記密度勾配が、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの範囲の前記密度勾配を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記多糖類密度勾配が、約25%多糖類、約17%多糖類、約16%多糖類、約15%多糖類、または約12.5%多糖類を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記連続流遠心分離を一回実施することによって生成された前記除核細胞画分が、約6×10
7以上の除核細胞~250×10
7の除核細胞を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
b)の除核する工程が、多糖類を約30000RCF~約200000RCFの間の最大遠心力で遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を作製することをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記連続流遠心分離により、前記有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離するためのゾーン遠心分離を作製する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ゾーン遠心分離により、前記少なくとも1つの除核細胞のサイズに基づいて前記有核細胞から前記少なくとも1つの除核細胞を分離する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ゾーン遠心分離により、前記少なくとも1つの除核細胞の質量に基づいて前記有核細胞から前記少なくとも1つの除核細胞を分離する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの密度画分が前記密度勾配から得られ、前記少なくとも1つの密度画分が、前記有核細胞および前記除核細胞画分の除核細胞のサブセットの混合集団を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記混合集団が少なくとも70%の前記除核細胞を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記連続流遠心分離を使用しない方法によって有核細胞から除核細胞を得る方法と比較して、前記連続流遠心分離を使用することで、前記有核細胞から前記除核細胞を得る収率が少なくとも0.1倍、0.2倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍、またはそれ以上の倍数増大する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記有核細胞が異種ポリヌクレオチドを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、b)の後に除核されない前記有核細胞の細胞死を誘導する工程を含み、前記細胞死は、前記有核細胞中の前記異種ポリヌクレオチドによりコードされた異種遺伝子産物を発現することによって誘導される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a)(i)有核細胞の第1のサブセットおよび(ii)前記有核細胞の第2のサブセットに由来した除核細胞を含む組成物を提供する工程であって、前記有核細胞の前記第1のサブセットが、異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む工程と、
b)前記異種遺伝子産物を発現する工程であって、それにより前記有核細胞の前記第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する、工程と
を含む、細胞処理のための方法。
【請求項19】
前記異種ポリヌクレオチドがプロモーターを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プロモーターが誘導性プロモーターを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記プロモーターが構成的活性型プロモーターを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記異種遺伝子産物が、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記異種遺伝子産物が、FKBPまたはカスパーゼを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記異種遺伝子産物が抗原を含み、前記抗原が、免疫応答を引き起こすことによって前記有核細胞の前記第1のサブセットの前記少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記免疫応答がin vivoでの免疫応答である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記免疫応答がin vitroでの免疫応答である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記異種ポリヌクレオチドが前記有核細胞の染色体に組み込まれる、請求項16~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記異種ポリヌクレオチドがベクターを含む、請求項16~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記異種遺伝子産物を発現しない方法によって有核細胞から除核細胞を得る方法と比較して、前記異種遺伝子産物を発現することで、前記有核細胞から前記除核細胞を得る収率が少なくとも0.1倍、0.2倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍、またはそれ以上の倍数増大する、請求項18~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
凍結保存された除核細胞画分を生成するために、前記除核細胞画分を凍結保存する工程をさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記凍結保存された除核細胞画分を解凍する工程をさらに含み、解凍後、前記凍結保存された除核細胞画分の除核細胞が、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有核細胞が幹細胞を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記幹細胞が、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記有核細胞が前記間葉系間質細胞を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記有核細胞が免疫細胞を含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記免疫細胞が、リンパ球またはナチュラルキラー細胞を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記除核細胞が核を欠き、かつ前記核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記外因性のポリペプチドが、異種ポリヌクレオチドによってコードされる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記外因性のポリペプチドが治療剤を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記除核細胞が、少なくとも1つの標的化部分を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記除核細胞が、少なくとも1つの融合部分を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記除核細胞が、少なくとも1つの免疫回避部分を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記除核細胞画分の除核細胞が、前記有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記除核細胞画分の前記除核細胞が、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、または約90μm以上を含む直径を有する、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記直径が約8μmを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
a)複数の有核細胞の第1のサブセットから得られた除核細胞と、
b)前記複数の有核細胞の第2のサブセットであって、前記複数の有核細胞の前記第2のサブセットの有核細胞が、前記有核細胞の細胞死を誘導するように構成された異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、第2のサブセットと
を含む組成物。
【請求項47】
前記異種ポリヌクレオチドが、前記異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で前記異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成されたプロモーターを含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記プロモーターが、誘導時に、前記異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で前記異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成された誘導性プロモーターを含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記プロモーターが構成的活性型プロモーターを含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項50】
前記構成的活性型プロモーターが、前記異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で前記異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記異種遺伝子産物が、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記異種遺伝子産物が、FKBPまたはカスパーゼを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項53】
前記異種遺伝子産物が抗原を含み、前記抗原が、免疫応答を引き起こすことによって前記有核細胞の前記第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する、請求項50に記載の組成物。
【請求項54】
前記免疫応答がin vivoでの免疫応答である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記免疫応答がin vitroでの免疫応答である、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記異種ポリヌクレオチドが前記有核細胞の染色体に組み込まれる、請求項46に記載の組成物。
【請求項57】
前記異種ポリヌクレオチドがベクターを含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項58】
前記複数の有核細胞が幹細胞を含む、請求項46~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記幹細胞が、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項60】
前記幹細胞が前記間葉系間質細胞を含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記複数の有核細胞が免疫細胞を含む、請求項46~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記免疫細胞が、リンパ球またはナチュラルキラー細胞を含む、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
前記除核細胞が核を欠き、かつ前記複数の有核細胞の1つ以上の構造的特徴を含む、請求項46~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記1つ以上の構造的特徴が、1つ以上の細胞内小器官、1つ以上のトンネルナノチューブ、またはそれらの組合せを含む、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記除核細胞が核を欠き、かつ前記核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む、請求項46~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記1つ以上の細胞内小器官が、ゴルジ体、小胞体、またはそれらの組合せを含む、請求項64または65に記載の組成物。
【請求項67】
前記外因性のポリペプチドが治療剤を含む、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記除核細胞が、少なくとも1つの標的化部分を含む、請求項46~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記除核細胞が、少なくとも1つの融合部分を含む、請求項46~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記除核細胞が、少なくとも1つの免疫回避部分を含む、請求項46~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記除核細胞が、少なくとも1つの治療的部分を含む、請求項46~70のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項72】
除核細胞画分の前記除核細胞が、前記有核細胞の平均直径の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する、請求項46~71のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項73】
除核細胞画分の前記除核細胞が、約10μm~約100μmの間を含む直径を有する、請求項46~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
前記直径が約8μmを含む、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
前記組成物が静脈内投与に適した剤形にある、請求項46~73のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
前記剤形が固体剤形を含む、請求項75に記載の組成物。
【請求項77】
前記組成物が、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、固体分散体、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、拍動性放出剤形、多粒子剤形、ビーズ、ペレット、または顆粒剤を含む、請求項46~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記除核細胞が、凍結保存された除核細胞を生成するためにさらに凍結保存される、請求項46~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
凍結保存された除核細胞画分が解凍され、解凍後、前記凍結保存された除核細胞画分の前記除核細胞は、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
前記除核細胞が、凍結休眠後に生存能を呈する、請求項46~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記除核細胞が、前記凍結休眠の24時間後に測定される前記凍結休眠後の生存能が、凍結休眠されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
前記除核細胞が、凍結保存の後に生存能を呈する、請求項46~78のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記除核細胞が、前記凍結保存の24時間後に測定される前記凍結保存後の生存能が、凍結保存されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記組成物が精製される、請求項46~83のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項85】
前記組成物が凍結乾燥される、請求項46~83のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
前記除核細胞および前記複数の有核細胞が、細胞分化の同じ段階にある、請求項46~85のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
前記除核細胞が、細胞分化によって前記複数の有核細胞から得られない、請求項46~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
前記除核細胞が最終分化細胞ではない、請求項46~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項89】
前記除核細胞が血小板ではない、請求項46~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項90】
前記除核細胞が血小板系細胞から得られない、請求項46~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項91】
前記除核細胞が赤血球ではない、請求項46~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項92】
前記除核細胞が赤血球系細胞から得られない、請求項46~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項93】
請求項46~92のいずれか一項に記載の除核細胞を複数含む、複数の除核細胞。
【請求項94】
a)請求項46~93のいずれか一項に記載の除核細胞と、
b)薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤と
を含む医薬組成物。
【請求項95】
前記医薬組成物が単位剤形にある、請求項94に記載の医薬組成物。
【請求項96】
前記医薬組成物が、対象への髄腔内、眼内、硝子体内、網膜、静脈内、筋肉内、脳室内、大脳内、小脳内、側脳室内、実質内、皮下、腫瘍内、肺内、気管内、腹腔内、膀胱内、膣内、直腸内、経口、舌下、経皮、吸入による、吸入される噴霧形態による、管腔内-GI経路による、またはそれらの組合せの投与のために製剤化される、請求項94または95に記載の医薬組成物。
【請求項97】
前記医薬組成物が静脈内投与のために製剤化される、請求項96に記載の医薬組成物。
【請求項98】
少なくとも1つの追加の活性物質を含む、請求項94~97のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項99】
前記少なくとも1つの追加の活性物質が、サイトカイン、成長因子、ホルモン、酵素、小分子、化合物、またはそれらの組合せを含む、請求項98に記載の医薬組成物。
【請求項100】
c)請求項46~92のいずれか一項に記載の組成物または請求項94~99に記載の医薬組成物と、
d)容器と
を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年10月12日に出願された米国仮特許出願第63/254,920、および2022年3月29日に出願された米国仮特許出願第63/325,070の利益を主張するものであり、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0002】
いくつかの態様では、細胞処理の方法が本明細書に開示され、該方法は、a)有核細胞を含む組成物を提供する工程と、b)連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程とを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約95%以上を含む。いくつかの実施形態では、a)で提供される組成物は、約500mL以上~約10000mLを含む体積を有する。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離により、組成物中の有核細胞から除核細胞画分を分離する密度勾配を作製する。いくつかの実施形態では、密度勾配は多糖類密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、密度勾配は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、多糖類密度勾配は、約25%多糖類、約17%多糖類、約16%多糖類、約15%多糖類、または約12.5%多糖類を含む。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離を一回実施することによって生成された除核細胞画分は、約6×107以上の除核細胞~250×107の除核細胞を含む。いくつかの実施形態では、b)の除核する工程は、多糖類を約30000RCF~約200000RCFの最大遠心力で遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を作製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離により、有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離するためのゾーン遠心分離を作製する。いくつかの実施形態では、ゾーン遠心分離は、少なくとも1つの除核細胞のサイズに基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する。いくつかの実施形態では、ゾーン遠心分離は、少なくとも1つの除核細胞の質量に基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの密度画分が密度勾配から得られ、少なくとも1つの密度画分は、有核細胞および除核細胞画分の除核細胞のサブセットの混合集団を含む。いくつかの実施形態では、混合集団は少なくとも70%の除核細胞を含む。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離を使用しない方法によって有核細胞から除核細胞を得る実施形態と比較して、連続流遠心分離を使用することで、有核細胞から除核細胞を得る収率が少なくとも0.1倍、0.2倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍、またはそれ以上の倍数増大する。いくつかの実施形態では、有核細胞は異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、方法は、b)の後に除核されない有核細胞の細胞死を誘導する工程を含み、細胞死は、有核細胞中の異種ポリヌクレオチドによりコードされた異種遺伝子産物を発現することによって誘導される。
【0003】
いくつかの態様では、細胞処理の方法が本明細書に開示され、該方法は、a)(i)有核細胞の第1のサブセットおよび(ii)有核細胞の第2のサブセットに由来した除核細胞を含む組成物を提供する工程であって、有核細胞の第1のサブセットが、異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む工程と、b)異種遺伝子産物を発現する工程であって、それにより有核細胞の第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する、工程といくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは構成的活性型プロモーターである。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、FKBPまたはカスパーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物が抗原を含み、抗原が、免疫応答を引き起こすことによって有核細胞の第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する。いくつかの実施形態では、免疫応答はin vivoでの免疫応答である。いくつかの実施形態では、免疫応答はin vitroでの免疫応答である。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはベクターを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物を発現しない方法によって有核細胞から除核細胞を得る実施形態と比較して、異種遺伝子産物を発現することで、有核細胞から除核細胞を得る収率が少なくとも0.1倍、0.2倍、0.5倍、1.0倍、2.0倍、5.0倍、10.0倍、またはそれ以上の倍数増大する。いくつかの実施形態では、方法は、凍結保存された除核細胞画分を生成するために、除核細胞画分を凍結保存する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、凍結保存された除核細胞画分を解凍する工程をさらに含み、解凍後、凍結保存された除核細胞画分の除核細胞は、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。いくつかの実施形態では、有核細胞は幹細胞を含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞は間葉系間質細胞を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞は免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球またはナチュラルキラー細胞を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は核を欠き、かつ核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む。いくつかの実施形態では、外因性のポリペプチドは異種ポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性のポリペプチドは治療剤を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの融合部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの免疫回避部分を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、または約90μm以上を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、直径は約8μmを含む。
【0004】
いくつかの態様では、a)複数の有核細胞の第1のサブセットから得られた除核細胞と、b)複数の有核細胞の第2のサブセットであって、複数の有核細胞の第2のサブセットの有核細胞が、有核細胞の細胞死を誘導するように構成された異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、第2のサブセットとを含む組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導時に、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように実施形態された誘導性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは構成的活性型プロモーターである。いくつかの実施形態では、構成的活性型プロモーターは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、FKBPまたはカスパーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物が抗原を含み、抗原が、免疫応答を引き起こすことによって有核細胞の第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する。いくつかの実施形態では、免疫応答はin vivoでの免疫応答である。いくつかの実施形態では、免疫応答はin vitroでの免疫応答である。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはベクターを含む。いくつかの実施形態では、複数の有核細胞は幹細胞を含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は間葉系間質細胞を含む。いくつかの実施形態では、複数の有核細胞は免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球またはナチュラルキラー細胞を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は核を欠き、かつ複数の有核細胞の1つ以上の構造的特徴を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の構造的特徴は、1つ以上の細胞内小器官、1つ以上のトンネルナノチューブ、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は核を欠き、かつ核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内小器官は、ゴルジ体、小胞体、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、外因性のポリペプチドは治療剤を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの融合部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの免疫回避部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの治療的部分を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約10μm~約100μmを含む直径を有する。いくつかの実施形態では、直径は約8μmを含む。いくつかの実施形態では、組成物は静脈内投与に適した剤形にある。いくつかの実施形態では、剤形は固体剤形を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、固体分散体、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、拍動性放出剤形、多粒子剤形、ビーズ、ペレット、または顆粒剤を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結保存された除核細胞を生成するためにさらに凍結保存される。いくつかの実施形態では、凍結保存された除核細胞画分が解凍され、解凍後、凍結保存された除核細胞画分の除核細胞は、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。いくつかの実施形態では、除核細胞は凍結休眠(cryohibernation)の後に生存能を呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結休眠の24時間後に測定される凍結休眠後の生存能が、凍結休眠されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は凍結保存の後に生存能を呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結保存の24時間後に測定される凍結保存後の生存能が、凍結保存されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する。いくつかの実施形態では、組成物は精製される。いくつかの実施形態では、組成物は凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、除核細胞および複数の有核細胞は、細胞分化の同じ段階にある。いくつかの実施形態では、除核細胞は、細胞分化によって複数の有核細胞から得られない。いくつかの実施形態では、除核細胞は最終分化細胞ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は血小板ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は血小板系細胞から得られない。いくつかの実施形態では、除核細胞は赤血球ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は赤血球系細胞から得られない。
【0005】
いくつかの態様では、本明細書に開示される複数の除核細胞を含む複数の除核細胞が本明細書に記載される。
【0006】
いくつかの態様では、a)本明細書に開示される除核細胞と、b)薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬品組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は単位剤形にある。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象への髄腔内、眼内、硝子体内、網膜、静脈内、筋肉内、脳室内、大脳内、小脳内、側脳室内、実質内、皮下、腫瘍内、肺内、気管内、腹腔内、膀胱内、膣内、直腸内、経口、舌下、経皮、吸入による、吸入される噴霧形態による、管腔内-GI経路による、またはそれらの組合せの投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの追加の活性物質を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性物質は、サイトカイン、成長因子、ホルモン、酵素、小分子、化合物、またはそれらの組合せを含む。
【0007】
いくつかの態様では、a)本明細書に開示される組成物または本明細書に開示される医薬組成物と、b)容器とを備えるキットが本明細書に記載される。
【0008】
いくつかの態様では、細胞処理の方法が本明細書に開示され、該方法は、有核細胞を含む組成物を提供する工程と、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程であって、有核細胞の一部が、有核細胞の約70%以上を含む、工程とを含む。いくつかの実施形態では、方法で提供される組成物は、約10ミリリットル(mL)以上~約10000mLの間を含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約10ミリリットル(mL)、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約80mL、約100mL、約200mL、約300mL、約500mL、約1000mL、約2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、約9000mL、または約10000mL以上を含む体積を有する。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離により、組成物中の有核細胞から除核細胞画分を分離する密度勾配を作製する。いくつかの実施形態では、密度勾配は多糖類密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、多糖類密度勾配はフィコール密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、約25%フィコール、約17%フィコール、約16%フィコール、約15%フィコール、または約12.5%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約75%以上を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は脱核細胞の約80%以上を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は脱核細胞の約90%以上を含む。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離を一回実施することによって生成された除核細胞画分は、約(i)6×107の除核細胞、(ii)7×107の除核細胞、(iii)8×107の除核細胞、(iv)9×107の除核細胞の(v)10×107の除核細胞、(vi)15×107の除核細胞、(vii)20×107の除核細胞、(viii)50×107の除核細胞、(ix)100×107の除核細胞、(x)150×107の除核細胞、(xi)200×107の除核細胞、または(xii)250×107の除核細胞以上を含む。いくつかの実施形態では、方法は、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約40分、または少なくとも約50分間に及ぶ加速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、約10分、約20分、約30分、約40分、または約50分間に及ぶ加速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、約30分間に及ぶ加速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法の除核する工程は、最小限の減速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法の除核する工程は、多糖類を約30000相対遠心力(RCF)~約200000RCFの最大遠心力で遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を作製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法の除核する工程は、多糖類を約50000RCF~約120000RCFの最大遠心力で遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を作製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法において、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程は、超遠心分離機を使用して実施される。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程は、固定角遠心分離機またはスイングバケット遠心分離機を使用して実施される。いくつかの実施形態では、有核細胞は異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、方法は、除核されない有核細胞の細胞死を誘導する工程を含み、細胞死は、異種ポリヌクレオチドによってコードされた少なくとも1つの異種遺伝子の発現によって誘導される。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離は、有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離するためのゾーン遠心分離を作製する。いくつかの実施形態では、ゾーン遠心分離は、少なくとも1つの除核細胞のサイズに基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する。いくつかの実施形態では、ゾーン遠心分離は、少なくとも1つの除核細胞の質量に基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する。いくつかの実施形態では、ゾーン遠心分離は、少なくとも1つの除核細胞のサイズおよび質量に基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの密度画分が密度勾配から得られ、少なくとも1つの密度画分は、有核細胞および除核細胞画分の除核細胞のサブセットの混合集団を含む。いくつかの実施形態では、混合集団は少なくとも70%の除核細胞を含む。いくつかの実施形態では、混合集団は少なくとも99%の除核細胞を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、細胞処理の方法が本明細書に開示され、該方法は、有核細胞の第1のサブセットおよび上記有核細胞の第2のサブセットに由来した除核細胞を含む組成物を提供する工程であって、上記有核細胞の上記第1のサブセットは、異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、工程と、上記異種遺伝子産物を発現する工程であって、それにより上記有核細胞の上記第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する、工程とを含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を37℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、dsrAまたはCIRPを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、37℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、熱ショックタンパク質70(HSP70、例えば、NCBI遺伝子ID3308)、熱ショックタンパク質90(HSP90、例えば、NCBI遺伝子ID3320)、増殖停止かつDNA損傷誘導性遺伝子153(GADD153、例えば、NCBI遺伝子ID1649)、多剤耐性変異1(MDR1、例えば、NCBI遺伝子ID5243)、またはサイトメガロウィルス(HSE-CMV、例えば、NCBI遺伝子ID3077513)を含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を分子と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、分子は、rtTA、TRE、TetR、Cumate、ラパマイシン、アブシシン酸、IPTG、またはメタロチオネインを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を光と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、CIB1-CRY2またはGAL4-VVDを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞をホルモンと接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターはエストラジオール-Gal4を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは構成的活性型プロモーターである。いくつかの実施形態では、構成的活性型プロモーターは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、FKBPまたはカスパーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は抗原を含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはベクターを含む。いくつかの実施形態では、方法は、凍結保存された除核細胞画分を生成するために、除核細胞画分を凍結保存する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、凍結保存された除核細胞画分を解凍する工程をさらに含み、解凍後、凍結保存された除核細胞画分の除核細胞は、凍結保存されなかった他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。いくつかの実施形態では、有核細胞は幹細胞を含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞は間葉系間質細胞を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は核を欠き、かつ核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む。いくつかの実施形態では、外因性のポリペプチドは治療剤を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの融合部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの免疫回避部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの治療的部分を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、方法において提供される有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、方法において提供される有核細胞の平均直径の約70%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約5マイクロメートル(μm)、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、または約90μm以上を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約10μm~約100μmを含む直径を含む。いくつかの実施形態では、直径は約8μmを含む。
【0010】
いくつかの態様では、複数の有核細胞の第1のサブセットから得られた除核細胞と、複数の有核細胞の第2のサブセットであって、複数の有核細胞の第2のサブセットの有核細胞が、有核細胞の細胞死を誘導するように構成された異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、サブセットとを含む組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、誘導時に、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成された誘導性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を37℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、dsrAまたはCIRPを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、37℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、熱ショックタンパク質70(HSP70、例えば、NCBI遺伝子ID3308)、熱ショックタンパク質90(HSP90、例えば、NCBI遺伝子ID3320)、増殖停止かつDNA損傷誘導性遺伝子153(GADD153、例えば、NCBI遺伝子ID1649)、多剤耐性変異1(MDR1、例えば、NCBI遺伝子ID5243)、またはサイトメガロウィルス(HSE-CMV、例えば、NCBI遺伝子ID3077513)を含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を分子と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、分子は、rtTA、TRE、TetR、Cumate、ラパマイシン、アブシシン酸、IPTG、またはメタロチオネインを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を光と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、CIB1-CRY2またはGAL4-VVDを含む。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞をホルモンと接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターはエストラジオール-Gal4を含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは構成的活性型プロモーターである。いくつかの実施形態では、構成的活性型プロモーターは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、FKBPまたはカスパーゼを含む。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は抗原を含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはベクターを含む。
【0011】
いくつかの態様では、複数の有核細胞の第1のサブセットから得られた除核細胞を含む組成物が本明細書に記載され、約0.1体積%以下の組成物は、複数の有核細胞の第2のサブセットをさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の有核細胞は幹細胞を含む。いくつかの実施形態では、幹細胞は、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞は間葉系間質細胞を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は核を欠き、かつ複数の有核細胞の1つ以上の構造的特徴を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の構造的特徴は、1つ以上の細胞内小器官、1つ以上のトンネルナノチューブ、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は核を欠き、かつ核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内小器官は、ゴルジ体、小胞体、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、外因性のポリペプチドは治療剤を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの融合部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの免疫回避部分を含む。いくつかの実施形態では、脱核細胞は、少なくとも1つの治療的部分を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、組成物において提供される有核細胞の平均直径の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、組成物において提供される有核細胞の平均直径の約70%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約10μm~約100μmを含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約1μm、約5μm、約8μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、または約100μm以上を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、直径は約8μmを含む。いくつかの実施形態では、組成物は静脈内投与に適した剤形にある。いくつかの実施形態では、剤形は固体剤形を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、固体分散体、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、拍動性放出剤形、多粒子剤形、ビーズ、ペレット、または顆粒剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の除核細胞の総数は、約1000万の除核細胞、約2000万の除核細胞、約3000万の除核細胞、約4000万の除核細胞、約4500万の除核細胞、約5000万の除核細胞、約5500万の除核細胞、約6000万の除核細胞、約6500万の除核細胞、約7000万の除核細胞、約7500万の除核細胞、約8000万の除核細胞、約9000万の除核細胞、または約1億以上の除核細胞を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結保存された除核細胞を生成するためにさらに凍結保存される。いくつかの実施形態では、凍結保存された除核細胞画分が解凍され、解凍後、凍結保存された除核細胞画分の除核細胞は、凍結保存されなかった他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。いくつかの実施形態では、除核細胞は凍結休眠の後に生存能を呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結休眠の24時間後に測定される凍結休眠後の生存能が、凍結休眠されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は凍結保存の後に生存能を呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結保存の24時間後に測定される凍結保存後の生存能が、凍結保存されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する。いくつかの実施形態では、組成物は精製される。いくつかの実施形態では、組成物は凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、除核細胞および複数の有核細胞は、細胞分化の同じ段階にある。いくつかの実施形態では、除核細胞は、細胞分化によって複数の有核細胞から得られない。いくつかの実施形態では、除核細胞は最終分化細胞ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は血小板ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は血小板系細胞から得られない。いくつかの実施形態では、除核細胞は赤血球ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は赤血球系細胞から得られない。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書に記載される複数の除核細胞を含む複数の除核細胞が本明細書に記載される。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書に記載される除核細胞と、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤とを含む医薬品組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は単位剤形にある。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、対象への髄腔内、眼内、硝子体内、網膜、静脈内、筋肉内、脳室内、大脳内、小脳内、側脳室内、実質内、皮下、腫瘍内、肺内、気管内、腹腔内、膀胱内、膣内、直腸内、経口、舌下、経皮、吸入による、吸入される噴霧形態による、管腔内-GI経路による、またはそれらの組合せの投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は静脈内投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの追加の活性物質を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性物質は、サイトカイン、成長因子、ホルモン、酵素、小分子、化合物、またはそれらの組合せを含む。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物または本明細書に記載される医薬組成物と、容器とを備えるキットが本明細書に記載される。
【0015】
参照による援用
本明細書で言及される刊行物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により援用されるように具体的かつ個々に示されるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に援用される。参照により援用される刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示に矛盾する程度まで、本明細書は、そのような矛盾のある題材に取って代わること、および/または上記題材よりも優先することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に開示される方法および組成物のいくつかの新規な特徴は本開示において記載される。本開示の組成物および方法の原則が用いられている例示的な実施形態を記載する以下の詳細な記載、および、添付の図面を参照することで、本明細書に開示される方法と組成物の特徴と利点がより良く理解されるだろう。
【0017】
【
図1】本開示の実施形態による治療薬の送達のための除核細胞の組成物または医薬組成物のためのプロセスの非限定的な工程を示すフローチャートを説明する。
【
図2】本明細書に記載される様々な実施形態による治療剤の送達のための除核細胞を作製するためのプロセスを説明する。
【
図3】一般的な生物学的製剤の開発タイムライン比較した、様々な実施形態による単一ドメイン抗体の送達のための除核細胞の生成についてのスケジュールを説明する。
【
図4A】生存細胞または除核細胞(「細胞質体」)における相対的な倍率変化を経時的に示す代表的なグラフである。
【
図4B】冷凍保存(凍結保存)から回収後の生存細胞および細胞質体を示す代表的なグラフである。
【
図4C】除核の24時間後(新鮮な細胞質体)、または除核後の冷凍保存(凍結保存)から回収してから24時間後の細胞質体の相対的生存率を示す代表的なグラフであり、新鮮な細胞質体および凍結保存された細胞質体が、除核4時間後の細胞質体の生存率と比較される。平均±SEM、n=10。
【
図5A】示された時間にわたる4℃での凍結休眠からの回収直後のMSCおよびMSC由来細胞質体の生存率を示す代表的な直線グラフである。生存率を、トリパンブルー色素排除法を使用して自動細胞計数(Cell Countess)で評価し、投入細胞数に対する比率として表示した。
【
図5B】示された時間にわたる4℃での凍結休眠からの回収直後の、ボイデンチャンバーアッセイにおいて遊走したMSCとMSC由来細胞質体とを比較する代表的な棒グラフである。血清なし(陰性対照)で、または化学誘引物質として10%Premium FBS(P-FBS)を用いて、細胞および細胞質体を、底部チャンバーにおいて3時間遊走させ、計数を負荷対照(loading control)に対して正規化した。
【
図6A】FlowJoによって分析される、操作された細胞質体および操作された親MSC上の蛍光抗体による細胞表面CXCR4発現のシグナル強度に対して計数された事象の数を示す代表的なフローサイトメトリーグラフである。
【
図6B】負荷対照と比較した、ボイデンチャンバー膜の下面に遊走した遊走細胞または細胞質体の比率を示す代表的な棒グラフである。平均±SEM、n=10。操作されたCXCR4受容体の有無にかかわらず、MSCならびにMSC由来細胞質を、ボイデンチャンバーアッセイにおいて2時間、示された濃度のSDF-1αに向かって遊走させた。
【
図7A】FlowJoによって分析される、操作された細胞質および操作された親MSC上の蛍光抗体による細胞表面PSGL1発現のシグナル強度に対して計数された事象の数を示す代表的なフローサイトメトリーグラフである。
【
図7B】フローサイトメトリーによって判定される、操作されたMSCおよびMSC由来細胞質体とのP-セレクチンの細胞表面結合を示す代表的なグラフである。MSC対照=親MSC。操作されたMSC=PSGL1/Fut7で操作されたMSC。操作された細胞質体=PSGL1/Fut7で操作されたMSC由来細胞質体。
【
図8A】FlowJoによって分析される、操作された細胞質および操作されたMSC上のmCD47発現の細胞表面のシグナル強度に対して計数された事象の数を示す代表的なフローサイトメトリーグラフである。
【
図8B】マクロファージ(F4/80-およびCD11b-)による食作用を受けなかった生存細胞質体(DiD+)の数を示す代表的な棒グラフであり、細胞質体が肺内のマクロファージ食作用を逃れたことを示す。平均±SEM、n=3。DiD色素標識対照細胞質または操作された細胞質(mCD47細胞質体)を、後眼窩からマウスの血管系に注射した。24時間後、組織を回収し、2つの異なる汎マクロファージマーカー(F4/80およびCD11b)で染色した。
【
図8C】マクロファージ(F4/80-およびCD11b-)による食作用を受けなかった生存細胞質体(DiD+)のを示す代表的な棒グラフであり、細胞質体が肝臓内のマクロファージ食作用を逃れたことを示す。平均±SEM、n=3。DiD色素標識対照細胞質または操作された細胞質(mCD47細胞質体)を、後眼窩からマウスの血管系に注射した。24時間後、組織を回収し、2つの異なる汎マクロファージマーカー(F4/80およびCD11b)で染色した。
【
図9A】肺内で検出された、DiD標識されたMSCまたは細胞質体の数を示す代表的な散布図である。3D細胞質体を生成するために、MSCを標準的な付着条件(2D)下で、または懸滴(handing drop)法(3D)により懸濁液中で培養した。MSCおよび細胞質体をVybrant(登録商標)DiD色素で標識し、C57BL/6マウスの血管系に後眼窩注射した。24時間後に組織を回収し、フローサイトメトリーによって細胞懸濁液を分析した。平均±SEM、n=2。
【
図9B】肝臓内で検出された、DiD標識されたMSCまたは細胞質体の数を示す代表的な散布図である。3D細胞質体を生成するために、MSCを標準的な付着条件(2D)下で、または懸滴法(3D)により懸濁液中で培養した。MSCおよび細胞質体をVybrant(登録商標)DiD色素で標識し、C57BL/6マウスの血管系に後眼窩注射した。24時間後に組織を回収し、フローサイトメトリーによって細胞懸濁液を分析した。平均±SEM、n=2。
【
図9C】脾臓内で検出された、Vybrant(登録商標)DiD標識されたMSCまたは細胞質体の数を示す代表的な散布図である。3D細胞質体を生成するために、MSCを標準的な付着条件(2D)下で、または懸滴法(3D)により懸濁液中で培養した。MSCおよび細胞質体をDiD色素で標識し、C57BL/6マウスの血管系に後眼窩注射した。24時間後に組織を回収し、フローサイトメトリーによって細胞懸濁液を分析した。平均±SEM、n=2。
【
図10】細胞生存率の分析のためにフローサイトメトリーによって分析された、間葉系間質幹細胞(MSC)または細胞質体上の、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識したアネキシンVの細胞表面染色を説明する。
【
図11A】本明細書に記載される方法によって作製された例示的な勾配を説明する。
【
図11B】有核細胞から得られた生存可能な除核細胞の例示的な画像を説明する。
図11Bは、除核による細胞の例示的な直径の減少をさらに説明する。細胞の直径は除核後に(18.37μmから15.36μへと)減少する。
【
図11C】有核細胞の生存率が除核の前後で大幅に変わらなかったことを説明する。
図11Cは、本明細書に記載される方法を介した除核後の細胞の除核効率および生存率をさらに説明する。
【
図11D】除核直後(上部の2つの画像)および除核の24時間後(下部の画像)の細胞の蛍光画像を説明する。
【
図12A】連続流遠心分離の後に測定された密度勾配を説明する(超遠心分離実行によって行われた(5つのフィコール層を灰色で、3つのフィコール層を濃い灰色で、およびコールアウト線により連続流が示される))。
【
図12B】除核効率試験の代表的な画像を説明する。各視野画像は、明視野(総細胞)およびヘキストチャネル(総有核細胞)を使用して得られた。
【0018】
本開示の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲とともに説明される。本開示の特徴と利点のより良い理解は、例証的な実施形態と添付の図面を説明する以下の詳細な記載を参照することによって得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概要
遠心力を使用して付着細胞中の核を置換する、すなわち除核の既存の技術には、それらを大規模の生医学的用途のための除核細胞プラットフォームで操作不可能にする欠点を有している。そのような欠点としては、限定されないが、スイングバケットの容量が小さいこと、数ミリリットル~数百ミリリットルまで変動すること、およびペレッティングの全体的な時間の長さが挙げられ、結果的に、効率が低い小規模生産となる。これらの欠点により、一度に処理できる細胞の数が大幅に制限され、大規模製造のための各遠心分離バケットにおいて最適な細胞密度を達成することが困難となる。細胞型を互いから分離するために連続流遠心分離などの大規模な技術が使用されている一方で、これら技術は除核細胞を生成するために有核細胞の核を置換することには使用されていない。
【0020】
これらの欠点を取り除くために、本開示の本発明者らは、連続流遠心分離を使用して細胞を除核することを含む細胞処理のための方法を開発した。連続流遠心分離により処理時間が短縮し、何回も遠心分離管を充填し傾瀉したり、頻繁にローターを起動したり止めるといった単調さなしで、大量の材料を高遠心力で遠心分離機にかけることができる。高遠心力および高スループットの組合せにより、生医学的用途のための大規模な除核細胞に連続流処理が役立つようになる。
【0021】
加えて、生医学的用途のための除核細胞プラットフォームの品質管理が課題であり、大規模製造により深刻化するようになる。本明細書に開示される除核細胞の多くの利点のうちのいくつかは、in vivoでの不要な遺伝子導入、in vivoでの限られた寿命などの核の不在に起因する。しかしながら、既存の大規模製造の技術により、得られる治療用組成物中の有核親細胞の一部は、除核細胞プラットフォームの利点を除去する。
【0022】
品質管理を改善するために、本開示の本発明者らは、自殺スイッチの発現または活性が誘導されると、有核親細胞を死滅させるように機能する成体分子「自殺スイッチ」を用いて(除核細胞が由来する)有核親細胞を操作した。本明細書に開示されるように、生体分子自殺スイッチの利用は、得られる組成物中の除核細胞画分を最大化するためのフェイルセーフである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの制御下で生体分子自殺スイッチをコードする異種ポリヌクレオチドは、トランスフェクションまたは形質導入などの適切な技術を使用して、有核親細胞に導入される。除核後に、有核細胞が残っている場合、誘導性プロモーターが活性化され、生体分子自殺スイッチを発現し、かつ細胞死を誘導する場合がある。いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、本明細書に開示されるように、品質管理の尺度としての生体分子「自殺スイッチ」の配備は、有核細胞が不要な実質的にあらゆる細胞治療または細胞ベースの治療送達プラットフォームに適している。そのような細胞治療としては、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)治療、操作されたT細胞受容体(TCR)治療、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞治療、ナチュラルキラー(NK)細胞治療などが挙げられるがこれらに限定されない。そのような細胞媒介性治療送達プラットフォームとしては、赤血球、血小板、幹細胞、白血球、およびその他、例えば、その全体が参照により明細書に援用される、Yu H,et al.Cell-mediated targeting drugs delivery systems.Drug Deliv.2020 Dec;27(1):1425-1437に開示されるものを含むがこれらに限定されない。生体分子自殺スイッチを利用するためのそのような技術は、プログラム細胞死を利用しない機械的除核技術と比較して除核効率の増大をもたらすことができる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、除核効率は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、125%、150%、175%、または200%以上増加する。
【0023】
製造スケーラビリティおよび品質管理における進歩に加えて、本明細書に記載される除核細胞プラットフォーム自体は、治療用組成物として大規模な使用に独自に適するようにする既存の細胞ベースの治療プラットフォームを上回る特定の利点を有している。本明細書に記載される除核細胞は、米国特許出願第10,927,349号で見出すことができ、その全体が参照により本明細書に援用される。加えて、本明細書に開示される除核細胞のさらなる有用性および利点は、2022年2月25日に出願され、WO/20221/83057A1として公開された国際出願番号PCT/US2022/018007および2022年8月11日に出願され、WO/20211/63222A1で公開された米国特許出願第17/885,867号で論じられており、これらそれぞれはその全体が参照により本明細書に援用される。例えば、既存の製造タイムラインが病原体発生による公衆衛生上の緊急事態に対処するために必要なスケーラビリティおよび速度を制限し得る、病原体発生に応答するような細胞送達プラットフォームの特定の治療用途がある。広範な操作を必要とする既存の治療用細胞療法は、最低でも開発するのに約12か月かかる。本明細書に開示される除核細胞は、(例えば、標的組織に特異的な標的化部分、in vivoでの食作用を減少するための免疫系回避部分などを用いた)除核の前後で広範に操作され得るが、次いで、本明細書に開示される適切な手段(例えば、凍結乾燥、凍結休眠、凍結保存)により、いったん回復すると生存能を犠牲にすることなく保存することができる。新たな病原体または既知の病原体の新たな株が識別されると、(適切な標的化部分、免疫系回避部分、免疫活性化因子などを発現するように既に操作された)除核細胞の生物学的活性を復元させ(例えば、再水和、融解など)、その最近発見された病原体または株による感染症の予防もしくは処置用の治療剤を発現または輸送するためにさらに操作することができる。これらの利点は
図3で見出すことができ、
図3は12か月以上である適切なタイムラインと比較して、本開示の除核細胞を製造するプロセスがおよそ2か月であることを説明する。
【0024】
既存の赤血球または血小板の治療のためのプラットフォームは赤血球形成により除核され、赤血球形成では血液細胞が最終分化され、一部がタンパク質の合成および分泌の役割を持つ細胞内小器官およびリボソームが除去される。したがって、得られる赤血球または血小板は、in vivoでの治療剤の生成、送達、分泌などの治療適用に重要であり得る、赤血球形成による除核後の細胞様機能(例えば、タンパク質の発現、分泌、細胞運動、ケモカイン感知(chemokine sensing)、ホーミング能力など)を失う。対照的に、本明細書に記載される除核細胞は、除核後に親細胞にとって内因性である1つ以上の細胞内小器官を保持する。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内小器官はすべて保持される。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内小器官のうちすべてよりは少ないものが保持される。いくつかの実施形態では、ゴルジ体および/または小胞体が保持され、それらはタンパク質の合成および分泌に関係する。1つ以上の細胞内小器官の保持によって、除核細胞は、核がない状態で本明細書に開示される生体分子(例えば、単一ドメイン抗体またはその一部、標的化部分、免疫回避部分など)を少なくとも部分的に合成または放出することができる。
【0025】
本明細書に開示される除核細胞は、実質的にあらゆる有核細胞(本明細書中では「親」細胞と称される)に由来し得る。いくつかの実施形態では、親細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、好中球、好酸球、好塩基球、マスト細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、またはリンパ球(B細胞およびT細胞)である。いくつかの実施形態では、親細胞は幹細胞である。いくつかの実施形態では、親細胞は成体幹細胞である。いくつかの実施形態では、親細胞は間葉系間質細胞(MSC)である。いくつかの実施形態では、除核細胞は人工多能性幹細胞(iPSC)に由来する。いくつかの実施形態では、親細胞は赤血球ではない。いくつかの実施形態では、親細胞は赤血球前駆細胞ではない。いくつかの実施形態では、親細胞は血管内皮細胞ではない。いくつかの実施形態では、親細胞は血管内皮前駆細胞(endothelial precursor cell)ではない。
【0026】
量および純度が増加した除核細胞を製造するための方法が本明細書に記載され、製造された除核細胞は、疾患または疾病の処置を必要とする対象の疾患または疾病を処置するための組成物または医薬組成物に製剤化することができる。
図1は、本明細書に記載される除核細胞(100)の製造の非限定的な例を説明する。有核細胞(101)は対象から単離され、クローン性増殖のためにin vitroで培養することができる。いくつかの実施形態では、さらに有核細胞(101)は不死化されるか、または細胞株に由来し得る。いくつかの実施形態では、有核細胞は異種ポリヌクレオチド(102)を含むように操作(103)することができ、異種ポリヌクレオチドは、必要な場合に有核細胞を死滅させるために自殺部分(例えば、自殺遺伝子)をコードする。その後、有核細胞は連続流遠心分離によって除核することができる(104)。細胞を除核するための連続流遠心分離の使用は、除核のための現在利用可能な方法に対する改善を提示し、連続流遠心分離を介して導いた除核により、有核細胞から得た除核細胞の量(例えば、収率)または純度が増加する。(残存有核細胞を有し得る)除核細胞の組成物(105)を得た後に、組成物は、除核細胞のマーカーについて選択する(106)ことによって、または残っている残存有核細胞の細胞死を誘導すること(107)によって除核細胞についてさらに精製し、除核細胞の一部(108)を得ることができる。除核細胞の一部は凍結休眠(109)、凍結保存(110)、凍結乾燥(111)、またはそれらの組合せを行うことができ、対象内の疾患または疾病を処置するための治療の送達用の組成物または医薬組成物に製剤化することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される除核の方法により、除核細胞(本明細書中で組成物の「除核細胞画分」とも称される)を含む組成物がもたらされる。いくつかの実施形態では、組成物は、除核されなかった、約一(1)パーセント(%)以下の体積の残存有核細胞(本明細書中で組成物の「有核細胞画分」とも称される)を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、または0.9%以下を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で0.1%~約0.2%、約0.1%~約0.3%、約0.1%~約0.4%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約0.6%、約0.1%~約0.7%、約0.1%~約0.8%、約0.1%~約0.9%、または約0.1%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.2%~約0.3%、約0.2%~約0.4%、約0.2%~約0.5%、約0.2%~約0.6%、約0.2%~約0.7%、約0.2%~約0.8%、約0.2%~約0.9%、または約0.2%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.3%~約0.4%、約0.3%~約0.5%、約0.3%~約0.6%、約0.3%~約0.7%、約0.3%~約0.8%、約0.3%~約0.9%、または約0.3%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.4%~約0.5%、約0.4%~約0.6%、約0.4%~約0.7%、約0.4%~約0.8%、約0.4%~約0.9%、または約0.4%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.5%~約0.6%、約0.5%~約0.7%、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約0.9%、または約0.5%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.6%~約0.7%、約0.6%~約0.8%、約0.6%~約0.9%、または約0.6%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.7%~約0.8%、約0.7%~約0.9%、または約0.7%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.8%~約0.9%、または0.8%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、組成物の体積で約0.9%~約1.0%を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞画分は、除核後に誘導された細胞死により排除される。いくつかの実施形態では、誘導された細胞死は、外部刺激、例えば、小分子薬物(例えば、rimiducid)、プロドラッグ(例えば、ガンシクロビル)などへの曝露に応答して発現される生体分子自殺スイッチを使用して利用される。
【0028】
また、本明細書に記載される組成物、および薬学的に許容可能な担体、賦形剤、希釈剤、または噴霧吸入剤を含む医薬組成物および製剤が本明細書に記載される。医薬組成物は医薬製剤中で提供される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、併用療法(例えばプロドラッグ、アジュバント、追加の治療剤、もしくは他の治療法)または単独療法として対象への投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、全身または腫瘍内投与などの作用部位への投与のために製剤化される。
【0029】
本明細書に開示される組成物および個体に組成物を配達するように構成される包装材料を備えるキットが本明細書に開示される。本明細書に開示されるキットは、除核細胞画分および0.1%未満の有核細胞画分を含む組成物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、本明細書に開示される治療剤を生成または分泌するなどの除核細胞画分中の除核細胞のさらなる操作のための説明書をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、組成物の有核細胞画分中の生体分子自殺スイッチの発現または活性を引き起こすために使用される刺激薬をさらに含む。いずれの場合も、説明書は、本明細書に開示される対象への投与のための医薬製剤へ、得られた組成物を製剤化する方法のための説明書をさらに含んでもよい。
【0030】
組成物
核がない状態で、活性物質またはその一部を発現するように広範に操作することができる除核細胞を含む、組成物およびその製剤が本明細書に開示される。そのような除核細胞は、核がない状態で標的細胞または組織に活性物質を合成、放出(例えば、分泌)、または送達することができる生細胞様実在物である。本明細書に開示される組成物は、生物学的活性が復活しても除核細胞の生存能に影響を与えずに、任意の期間の間の凍結休眠、凍結保存、または凍結乾燥などの手段によって停止された生物学的段階で保存することができる。さらに、本明細書に開示される組成物は、本明細書に開示される組成物を治療用途に最適化する、約0.1%以下の有核細胞(例えば、除核プロセスの間に除核されなかった親細胞)を含む。除核細胞(本明細書中で「細胞質体」とも称される)は、親細胞から保持された天然に存在する細胞表面分子をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、除核細胞は、標的化部分、膜貫通部分、本明細書に開示されるものなどの追加の治療剤(例えば、活性物質以外)などの外因性分子をさらに含む。
【0031】
除核細胞
本開示の除核細胞は、対応する有核細胞(本明細書中で「親細胞」と称される)から得られるか、またはこれに由来する。親細胞は真核細胞を含む種々の異なる細胞型に由来してもよい。例えば、除核細胞は、成体幹細胞、間葉系間質幹細胞(MSC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、筋芽細胞、好中球、血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞、および/または線維芽細胞に由来してもよい。いくつかの実施形態では、除核細胞は間葉系間質細胞に由来する。いくつかの実施形態では、除核細胞は人工多能性幹細胞(iPSC)に由来する。いくつかの実施形態では、親細胞は、適切な方法を使用して不死化された細胞に由来する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、細胞内小器官、1つ以上のトンネルナノチューブ、またはそれらの組合せを含む親細胞の1つ以上の構造的特徴を含むか、または保持する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、核がない状態で外因性のポリペプチド(例えば、治療剤)の合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞内小器官は、ゴルジ体、小胞体、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は、本明細書に記載される治療剤のうちのいずれか1つを含むか、または発現する。
【0032】
いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の細胞を有する任意の生物に由来し得る。細胞の非限定的な例としては、原核細胞、真核細胞、細菌細胞、古細菌細胞、単一細胞真核生物の細胞、原生動物細胞、植物(例えば、作物植物、果物、野菜、穀類、ダイズ、トウモロコシ、トウモロコシ、小麦、種子、トマト、米、キャッサバ、サトウキビ、カボチャ、干し草、ジャガイモ、綿、大麻、タバコ、顕花植物類、針葉樹の細胞)の細胞裸子植物、シダ、ヒカゲノカズラ、マツモ、苔類、蘚類)、藻細胞(例えば、ボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、クラミドモナス・レインハルドッティ(Chlamydomonas reinhardtii)、ナンノクロロプシス・ガディタナ(Nannochloropsis gaditana)、クロレラ・ピレノイドーサ(Chlorella pyrenoidosa)、ヤマタツモク(Sargassum patens C. Agardh)など)、海草(例えば、ケルプ)、真菌細胞(例えば、酵母菌、キノコからの細胞)、動物細胞、無脊髄動物(例えば、ミバエ、刺胞動物、棘皮動物、線虫など)の細胞、脊椎動物(例えば、魚類、両生類、爬虫類、鳥、哺乳動物)の細胞、哺乳動物(例えば、ブタ、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、げっ歯類、ラット、マウス、非ヒト霊長類、ヒトなど)の細胞、およびその他が挙げられる。細胞は、天然生物に由来しない細胞(例えば、合成的に作られた細胞、しばしば人工細胞と呼ばれることもある)である。いくつかの実施形態では、細胞は体細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、幹細胞または前駆細胞である。場合によっては、細胞は、間葉系幹細胞または前駆細胞である。場合によっては、細胞は、造血幹細胞または前駆細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、筋細胞、皮膚細胞、血液細胞、または免疫細胞である。細胞の他の非限定的な例としては、B細胞、T細胞(細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、制御性T細胞、ヘルパーT細胞)、ナチュラルキラー細胞、サイトカイン誘導キラー(CIK)細胞などのリンパ球細胞、顆粒球(好塩基性顆粒球、好酸球、好中性顆粒球/過分葉好中球)、単球/マクロファージ、赤血球(網状赤血球)、マスト細胞、血小板/巨核球、樹状細胞などの骨髄性細胞、甲状腺(甲状腺上皮細胞、瀘胞傍細胞)、副甲状腺(上皮小体主細胞、好酸性細胞)、副腎(クロム親和性細胞)、松果体(松果体細胞)細胞を含む内分泌系の細胞、グリア細胞(星状膠細胞、小膠細胞)、大型神経分泌細胞、星細胞、ベッチェル細胞、および脳下垂体(性腺刺激ホルモン分泌細胞、副腎皮質刺激ホルモン分泌細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、成長ホルモン産生細胞、プロラクチン産生細胞)を含む神経系の細胞、肺細胞(I型肺細胞、II型肺細胞)、クラーラ細胞、杯状細胞、塵埃細胞を含む呼吸器系の細胞、心筋細胞(Myocardiocyte)、周皮細胞を含む循環系の細胞、胃(胃の主細胞、壁細胞)、杯状細胞、パネート細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、I細胞、K細胞、S細胞を含む消化器系の細胞、銀還元性細胞、APUD細胞、肝臓(肝細胞、クッパー細胞)、軟骨/硬骨/筋肉を含む腸内分泌細胞、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、歯(セメント芽細胞、エナメル芽細胞)を含む骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞(Chondrocyte)を含む軟骨細胞(cartilage cell)、糸胞、角化細胞、メラニン細胞(母斑細胞)を含む皮膚細胞、ミオサイトを含む筋細胞、有足細胞、傍糸球体細胞、糸球体メサンギウム細胞/糸球体外メサンギウム細胞、腎臓近位尿細管刷子縁細胞、緻密斑細胞を含む泌尿系細胞、精子、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、卵子を含む生殖器系細胞、ならびに脂肪細胞、線維芽細胞、腱細胞、表皮角化細胞(分化表皮細胞)、表皮基底細胞(幹細胞)、指の爪および足指の爪の角化細胞、爪床基底細胞(幹細胞)、髄質毛幹細胞、皮質毛幹細胞、表皮毛幹細胞、表皮毛根鞘細胞、ハックスリー層の毛根鞘細胞、ヘンレ層の毛根鞘細胞、外部毛根鞘細胞、毛母基細胞(幹細胞)、湿潤重層バリア上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道および膣の重層偏平上皮の表面上皮細胞、角膜、舌、口腔、食道、肛門管、遠位尿道および膣の胆管上皮基底細胞(幹細胞)、泌尿器上皮細胞(内膜膀胱および尿管)、外分泌腺分泌上皮細胞、唾液腺粘液細胞(多糖類に富んだ分泌)、唾液腺漿液細胞(糖タンパク質酵素に富んだ分泌)、舌(味蕾洗浄)のフォン・エブネル腺細胞、乳腺細胞(乳汁分泌)、涙腺細胞(涙液分泌)、耳(耳垢分泌)の耳垢線細胞、エクリン腺暗細胞(糖タンパク質分泌)エクリン腺明細胞(小分子分泌)、アポクリン腺細胞(臭分泌、性ホルモン感受性)、眼瞼(特定の汗腺)中のモル細胞の腺(Gland of Moll cell)、皮脂腺細胞(脂質に富んだ皮脂分泌)、鼻(嗅上皮洗浄(washes olfactory epithelium))中のボーマン腺細胞、十二指腸(酵素およびアルカリ性の粘液)中のブルンナー腺細胞、精嚢細胞(泳いでいる精子用のフルクトースを含む精液成分を分泌)、前立腺細胞(精液成分を分泌)、尿道球腺細胞(粘液分泌)、バルトリン腺細胞(腟液分泌)、リトレ腺細胞(粘液分泌)、子宮子宮内膜細胞(炭水化物分泌)、呼吸器系および消化管の単離された杯状細胞(粘液分泌)、胃の内壁粘液細胞(粘液分泌)、胃腺酵素原細胞(ペプシノゲン分泌)、胃腺酸分泌細胞(塩酸分泌)、膵臓腺房細胞(重炭酸塩および消化酵素分泌)、小腸のパネート細胞(リゾチーム分泌)、肺のII型肺細胞(サーファクタント分泌)、肺のクラーラ細胞、ホルモン分泌細胞、下垂体前葉細胞、成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、生殖腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、脳下垂体中葉細胞、大形細胞神経分泌細胞、腸と呼吸器系の細胞、甲状腺細胞、甲状腺上皮細胞、瀘胞傍細胞、副甲状腺細胞、上皮小体主細胞、好酸性細胞、副腎細胞、クロム親和性細胞、精巣のライディッヒ細胞、卵胞の内卵胞膜細胞、破裂した卵胞の黄体細胞、顆粒膜ルテイン細胞、卵胞膜黄体細胞、傍糸球体細胞(レニン分泌)、腎臓の緻密斑細胞、代謝および貯蔵細胞、バリア機能細胞(肺、腸、外分泌腺、および尿生殖路)、腎臓、I型肺細胞(肺の内壁空間)、膵管細胞(房心細胞)、(汗腺、唾液腺、乳腺などの)非横紋管細胞(Nonstriated duct cell)、(精嚢、前立腺などの)管細胞、上皮細胞内壁閉鎖内部体腔、推進機能を有する線毛細胞、細胞外マトリックス分泌細胞、収縮性細胞を含む他の細胞、骨格筋細胞、幹細胞、心臓筋細胞、血液および免疫細胞、赤血球(Erythrocyte)(赤血球(red blood cell))、巨核球(血小板前駆体)、単球、結合組織マクロファージ(様々な型)、表皮ランゲルハンス細胞、(骨中の)破骨細胞、(リンパ系組織中の)樹状細胞、(中枢神経系中の)小膠細胞、好中性顆粒球、エオシン好性顆粒球、好塩基性顆粒球、マスト細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、網状赤血球、幹細胞、ならびに血液および免疫系(様々な型)に関連付けられた前駆体(committed progenitors)、多能性幹細胞、全能性幹細胞、人工多能性幹細胞、成体幹細胞、感覚変換器細胞、自律神経性ニューロン細胞、感覚器官および末梢神経支持細胞、中枢神経系ニューロンおよびグリア細胞(水晶体細胞)、色素細胞、メラノサイト、網膜色素沈着上皮細胞、生殖細胞、卵原細胞/卵母細胞、精子細胞、精母細胞、精原細胞(精母細胞のための幹細胞)、精子、ナース細胞、卵胞細胞、(睾丸中の)セルトリ細胞、胸腺上皮細胞、間質細胞、および間質腎細胞が挙げられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、細胞は真核細胞である。真核細胞の非限定的な例としては、哺乳動物(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類、またはヒト)、非哺乳類動物(例えば、魚類、鳥、爬虫類、または両生類)、無脊椎動物、昆虫、菌類、または植物の細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、真核細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの酵母細胞である。いくつかの実施形態では、真核細胞は、哺乳動物、鳥類、植物、または昆虫の細胞などの高等真核生物である。いくつかの実施形態では、有核細胞は初代細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、免疫細胞(例えば、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞)、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、好中球、マスト細胞、好塩基性細胞、樹状細胞、単球、骨髄由来サプレッサー細胞、好酸球)である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、食細胞または多形核白血球である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、幹細胞(例えば、成体幹細胞(例えば、造血幹細胞、乳腺幹細胞、腸幹細胞、間葉系幹細胞、内皮幹細胞、神経幹細胞、嗅覚成体幹細胞、神経冠幹細胞、睾丸細胞)、胚性幹細胞、誘導性多能性幹細胞(iPS))である。いくつかの実施形態では、有核細胞は前駆細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は細胞株由来である。いくつかの実施形態では、有核細胞は浮遊細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は接着細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は癌遺伝子の発現によって不死化された細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)または任意の癌遺伝子の発現によって不死化される。いくつかの実施形態では、有核細胞は患者または個体に由来する細胞(例えば、自己由来の患者由来の細胞または同種異型の患者由来の細胞)である。いくつかの実施形態では、有核細胞が除核される前に、本明細書に記載され、かつ当技術分野において公知の除核技術のうちのいずれかを使用して、有核細胞は、ベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター(例えば、レンチウイルスベクター)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、小胞ウイルスベクター(例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)ベクター)またはハイブリッドウイルスベクター)、プラスミド)でトランスフェクトされる。
【0034】
いくつかの実施形態では、細胞質体は、対象にとって自己由来の細胞に由来する。いくつかの実施形態では、細胞質体は、対象にとって同形異種の細胞に由来する。
【0035】
いくつかの実施形態では、細胞質体は、免疫細胞に由来する。いくつかの実施形態では、細胞質体は、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、マクロファージ、リンパ球、線維芽細胞、成体幹細胞(例えば、造血幹細胞、乳腺幹細胞、腸幹細胞、間葉系幹細胞、間葉系間質細胞、内皮幹細胞、神経幹細胞、嗅覚成体幹細胞、神経冠幹細胞、皮膚幹細胞、または睾丸細胞)、マスト細胞、好塩基球、好酸球、内皮細胞、内皮細胞前駆細胞、または多能性幹細胞に由来する。
【0036】
いくつかの実施形態では、親細胞は、治療用途のために除核および操作されてもよい。いくつかの実施形態では、親細胞は皮質アクチン細胞骨格を軟化するためにサイトカラシンで処置されてもよい。いくつかの実施形態では、その後、核は、除核細胞を作製するために多糖類のグラジエントにおける高速遠心分離によって細胞体から物理的に抽出される。いくつかの実施形態では、多糖類は、除核細胞を作製するためのフィコール勾配の作製用のフィコールである。除核した細胞および無傷の有核細胞がフィコール勾配中の異なる層に沈殿するため、除核細胞は、単離され、かつ治療目的で調製されるか、または他の細胞(有核または除核)に融合される場合がある。除核プロセスは、本明細書に記載される方法の利用によって何千万もの細胞を処理するのに臨床的にスケーラブルであり得る。いくつかの実施形態では、除核細胞は、様々な疾患を処置するために、臨床的に関連するカーゴ/ペイロードを送達するための疾患ホーミングビヒクルとして使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、少なくとも1つの治療剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される除核細胞は、核がない状態で1つ以上の細胞内小器官を有する治療剤を発現する。いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞またはその親(有核)細胞に対して外因性である。いくつかの実施形態では、除核細胞は、除核細胞表面で治療剤を発現する。いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞によって標的組織の細胞外空間(例えば、微環境)の中へ分泌される。いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞のカーゴ(例えば、除核細胞によって封入される)である。
【0038】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、複数の有核細胞の第1のサブセットから得られる。いくつかの実施形態では、除核細胞は組成物中にあり、さらに有核細胞の複数の第2のサブセットを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約0.1体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約0.5体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約1体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約5体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約10体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約15体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約20体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約25体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約30体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約40体積%未満を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第2のサブセットは組成物の約50体積%未満を含む。
【0039】
一態様では、有核細胞(例えば、本明細書に記載される除核細胞を得るための除核前の親細胞)は、有核細胞の細胞死を誘導するように構成された異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。いくつかの実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、誘導時に、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される除核細胞は、凍結保存されるか、凍結休眠されるか、凍結乾燥されるか、またはそれらの組合せであり得る。いくつかの実施形態では、凍結保存された除核細胞は、解凍後、除核細胞は、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された除核細胞は、凍結乾燥されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。いくつかの実施形態では、凍結休眠された除核細胞は、凍結休眠されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、除核細胞または除核細胞を含む組成物は、凍結保存(例えば、除核細胞または除核細胞を含む組成物を凍結温度で保存すること)または凍結冬眠(例えば、除核細胞または除核細胞を含む組成物を、周囲温度と凍結温度との間の温度で保存すること)されてもよい。凍結保存または凍結休眠の期間は、約1時間、2時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、またはそれ以上の期間であってもよい。いくつかの実施形態では、除核細胞は、同じ期間の凍結保存または凍結休眠後の生存能が、同等の細胞(例えば、凍結保存または凍結休眠されていない、本明細書に記載の親細胞または除核細胞)と約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%以上類似することを呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結休眠の24時間後に測定される凍結休眠後の生存能が、凍結休眠されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結保存の24時間後に測定される凍結保存後の生存能が、凍結保存されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する。この文脈における生存能とは、本明細書に記載されるようなトリパンブルー色素排除によって測定することができる。いくつかの実施形態では、トリパンブルー色素排除は、(a)細胞ペレットを作るために懸濁液中の核のない複数の細胞のアリコートを遠心分離機にかけること、(b)無血清細胞懸濁液を生成するために無血清培地中で細胞ペレットを再懸濁すること、(c)トリパンブルー色素1部と無血清細胞懸濁液1部とを混合すること、(d)(c)の3~5分以内に核のない複数の細胞を計数することによって実施され、ここで、核のない複数の細胞の少なくともいくつかはトリパンブルー色素で染色されず、これは生存能を示す。いくつかの実施形態では、生存能はAnnexin-V細胞表面染色を使用して測定される。いくつかの実施形態では、生存能は外因性ポリペプチドの発現によって測定される。例えば、除核細胞の生存能は、除核細胞によって発現された外因性抗体または単一ドメイン抗体の発現によって決定され得る。いくつかの実施形態では、生存能は、CD105、CD90、CD45、CXCR4、PSGL-1、またはCCR2などの本明細書に記載される細胞表面マーカーのうちのいずれか1つの細胞表面マーカーの表現によって測定される。いくつかの実施形態では、生存能は除核細胞の細胞活性によって測定される。いくつかの実施形態において、生存能は、本明細書に記載されるケモセンシングまたはケモカインホーミング活性によって決定されるような除核細胞のホーミング能力により測定される。
【0042】
いくつかの実施形態では、除核細胞または除核細胞を含む組成物は、凍結乾燥される場合がある。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結乾燥から再構成された後の生存能が、同等の細胞(例えば、凍結乾燥されていない、本明細書に記載の親細胞または除核細胞)と約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%類似することを呈する。
【0043】
いくつかの実施形態では、除核細胞または除核細胞を含む組成物は、脱水される場合がある。いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結乾燥から再水和された後の生存能が、同等の細胞(例えば、脱水されていない、本明細書に記載の親細胞または除核細胞)と約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%類似することを呈する。
【0044】
いくつかの実施形態では、除核細胞または除核細胞を含む組成物は、4℃で約1時間、2時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、またはそれ以上の期間で安定である。いくつかの実施形態では、組成物は、室温で約1時間、2時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、またはそれ以上の期間で安定である。いくつかの実施形態では、組成物は、37℃で約1時間、2時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、1か月、2か月、3か月、またはそれ以上の期間で安定である。いくつかの実施形態では、除核細胞または除核細胞を含む組成物は、本明細書に記載される疾患または疾病を処置するために疾患または疾病の処置を必要とする対象に対して投与された後も、生存可能なままの場合がある。いくつかの実施形態では、除核細胞または除核細胞を含む組成物は、約1時間、2時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、週間、1か月、2か月、3か月、またはそれ以上の期間の間対象に投与された後でも生存可能なままの場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、本明細書に記載される除核細胞による処置を必要としている対象にとって自己由来の親細胞から得られる場合がある。いくつかの実施形態では、除核細胞は、本明細書に記載される除核細胞による処置を必要としている対象にとって同種異型の親細胞から得られる場合がある。
【0046】
除核細胞は、それらの有核対応物(例えば、有核親細胞)より小さい場合があり、そのため、血管系および組織実質の小さな開口部をよりよく通過して移動する場合がある。加えて、大きな密度の核の除去は、主要な物理的障壁を緩和し、細胞が血管および組織実質の小さい開口部を通って自由に移動することを可能にする。したがって、除核細胞は、改善された体内の生体内分布および目的組織への動作を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、少なくとも1μmの直径を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は、直径が1μmを超える。いくつかの実施形態では、除核細胞は、直径が1~100μm(例えば、1~90μm、1~80μm、1~70μm、1~60μm、1~50μm、1~40μm、1~30μm、1~20μm、1~10μm、1~5μm、5~90μm、5~80μm、5~70μm、5~60μm、5~50μm、5~40μm、5~30μm、5~20μm、5~10μm、10~90μm、10~80μm、10~70μm、10~60μm、10~50μm、10~40μm、10~30μm、10~20μm、10~15μm、15~90μm、15~80μm、15~70μm、15~60μm、15~50μm、15~40μm、15~30μm、15~20μmである。いくつかの実施形態では、除核細胞は、直径が10~30μmである。いくつかの実施形態では、除核細胞の直径は、5~25μm(例えば、5~20μm、5~15μm、5~10μm、10~25μm、10~20μm、10~15μm、15~25μm、15~20μm、または20~25μm)の間である。いくつかの実施形態では、除核細胞は約8μmの直径を有する。いくつかの除核細胞は、有利には、標的部位へのより良好なホーミングまたは送達を可能にするほど小さくてもよい。例えば、本明細書に記載される除核細胞は、狭い肺組織または肺胞管もしくは微小毛細管などの肺構造において、親細胞などのほとんどの細胞が通過し得ない通路を通過し得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核親細胞の平均直径の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約50%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約60%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約70%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約80%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約90%以下を含む直径を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、生存可能なままであり、他の細胞型に分化せず、生物活性分子を分泌せず、約5日以下の間物理的に遊走/ホームし得るため、有意な治療価値を有し、ex vivoで広範に除核され、特定の治療機能を果たしてもよく、同じまたは他の細胞型に融合され、天然または除核された所望の生成を移行してもよい。したがって、除核細胞は、遺伝子、ウイルス、細菌、mRNA、shRNA、siRNA、ポリペプチド(抗体および抗原結合フラグメントを含む)、プラスミド、遺伝子編集機構、またはナノ粒子を含む、治療的に重要な生体分子および疾患標的化カーゴを送達するための細胞ビヒクルとして幅広い有用性を有する。本開示は、ヒトに特定の疾患治療および健康促進カーゴを送達するために遺伝的に除核され得る、安全な(例えば、望ましくないDNAは対象に移入されない)、かつ制御可能な(例えば、細胞死はおよそ3~4日で起こる)細胞ベースの担体の作製を可能にする。いくつかの実施形態では、除核細胞は、投与を必要とする対象に投与された後、約12時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、またはそれ以上、生存可能なままであり、遊走またはホーミングする機能を保持する。
【0049】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、外因性DNA分子、外因性RNA分子、外因性タンパク質、もしくは外因性タンパク質、遺伝子編集機構、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つを発現するように操作される。いくつかの実施形態では、外因性DNA分子は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、プラスミド、細菌DNA分子、DNAウイルス、またはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、外因性RNA分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、microRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、RNAウイルス、またはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、外因性タンパク質は、サイトカイン、成長因子、ホルモン、抗体、もしくはその抗原結合フラグメント、酵素、またはそれらの組合せである。いくつかの実施形態では、抗体は、単一ドメイン抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、親細胞(例えば、有核細胞)は、除核の前(例えば除核前(pre-enucleation))に遺伝学的に除核される。いくつかの実施形態では、親細胞は、除核の後に(例えば除核後(post-enucleation))遺伝学的に除核される。
【0050】
膜貫通部分
いくつかの態様では、少なくとも1つの膜貫通部分を含む、除核細胞または除核細胞を含む組成物が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、除核細胞は外因性ポリペプチドである。外因性ポリペプチドは、膜貫通部分に共有結合的に融合される場合がある。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは膜貫通部分と複合体化される。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、完全長タンパク質またはその変異もしくはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、除核細胞を得るために除核される親細胞に対して内因性である。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、親細胞または除核細胞に対して外因性の膜貫通性部分である場合がある。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、単一の膜貫通αヘリックスを含む膜貫通タンパク質(回旋性膜タンパク質)から選択される。膜貫通部分は、多形性膜貫通αヘリックスタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通性部分は、多形性膜貫通Pシートタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通性部分は、I型、II型、III型、またはIV型膜貫通タンパク質を含む。膜貫通タンパク質の非限定的な例としては、CD4、CD14、グリコホリンα(GPA)、またはインテグリンの任意の組合せが挙げられてもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、修飾によって外因性ポリペプチドに付加される。例えば、膜貫通部分を外因性ポリペプチドのN末端またはC末端に付加して、外因性ポリペプチドを本明細書に記載の除核細胞の細胞膜に挿入することができる。膜貫通部分を付加するために外因性ポリペプチドに加えられる修飾の非限定的な例には、グリコシルホスファチジルイノシトール、ファメシル、パルミテート、ミリスチン酸、またはそれらの組合せを外因性ポリペプチドに付加することが含まれ得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、本明細書に記載される少なくとも1つの外因性治療剤と融合または複合体化するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、膜貫通部分は、本明細書される記載の少なくとも1つの外因性治療剤に融合するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、除核細胞は免疫回避部分を含む。いくつかの態様では、免疫回避は、CD47(例えば、NCBI遺伝子ID961)、プログラム細胞死1リガンド1(PD-L1、例えば、NCBI遺伝子ID29126)、主要組織適合性複合体、クラスI、E(HLA-E、例えば、NCBI遺伝子ID3133)、主要組織適合性複合体、クラスI、G(HLA-1、例えば、NCBI遺伝子ID3135)、それらのフラグメント、またはそれらの組合せなどの「don’t eat me」シグナル伝達ペプチドを含む。
【0053】
標的化部分
いくつかの態様では、標的化部分を含む除核細胞が本明細書に記載される。本明細書に記載の標的化部分は、対象への除核細胞の送達(例えば、全身送達)後に、除核細胞を対象における標的細胞または標的環境(例えば、組織)に誘導するように設計される。いくつかの実施形態では、標的化部分は除核細胞の表面上に発現される。いくつかの実施形態では、標的化部分は本明細書に記載される膜貫通部分と複合体化される。いくつかの実施形態では、標的化部分は、除核細胞により分泌される。いくつかの実施形態では、標的化部分を含む除核細胞は、標的化部分を欠いた同等の除核細胞の局在化と比較して、標的細胞または標的環境で、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍、5,000倍、または10,000倍増加して局在化する。いくつかの実施形態では、標的化部分を含む除核細胞は、標的化部分を欠いた同等の除核細胞の局在化と比較して、標的細胞または標的環境で、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%の増加と共に局在化する。いくつかの実施形態では、標的細胞または標的環境はin vivoである。いくつかの実施形態では、標的細胞または標的環境はex vivoである。
【0054】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、本明細書に記載されるバイオマーカーを標的化するための外因性抗体または外因性抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、ケモカインシグナル伝達に関与するケモカイン受容体もしくはケモカインリガンド、またはその部分を標的化するための外因性抗体または外因性抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、外因性抗体は、外因性の単一ドメイン抗体またはそのフラグメントである。
【0055】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、標的細胞もしくは微環境によって発現されるか、または標的細胞もしくは微環境に関連したバイオマーカーを標的化する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、標的細胞によって放出される場合がある。バイオマーカーは、疾患または疾病の存在を示す場合がある。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、疾患もしくは疾病に関連した標的細胞または微環境に反応する免疫細胞によって発現される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーはエピトープまたは抗原である場合がある。いくつかの実施形態では、エピトープを含むバイオマーカーは、治療特性(例えば、治療剤)を付与する抗体またはその抗原結合フラグメントとは異なる抗体によって結合され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、肺細胞または肺癌細胞によって発現されるか、または放出されるバイオマーカーを標的化する。癌細胞バイオマーカーの非限定的な例としては、炭酸脱水酵素9(CA9、例えば、NCBI遺伝子ID768)、炭酸脱水酵素12(CA12、例えば、NCBI遺伝子ID771)、癌/睾丸抗原83(CXorf61、例えば、NCBI遺伝子ID203413)、デスモグレイン3(DSG3(例えば、NCBI遺伝子ID1830)、FAT異型カドヘリン2(FAT2(例えば、NCBI遺伝子ID2196)、Gタンパク質共役受容体(GPR87、例えば、NCBI遺伝子ID53836)、KISS1受容体(KISS1R、例えば、NCBI遺伝子ID84634)、LY6/PLAURドメイン含有3(LYPD3、例えば、NCBI遺伝子ID27076)、溶質担体ファミリー7メンバー11(SLC7A11、例えば、NCBI遺伝子ID23657)、TMPRSS4(例えば、NCBI遺伝子ID56649)、膜貫通セリンプロテアーゼ4(TFPI、例えば、NCBI遺伝子ID7035)、ミッドカイン(MDK、例えば、NCBI遺伝子ID4192)、分泌リンタンパク質1(OPN、例えば、NCBI遺伝子ID6696)、マトリックスメタロペプチダーゼ2(MMP2、例えば、NCBI遺伝子ID4313)、TIMPメタロペプチダーゼ阻害剤1(TIMP1、例えば、NCBI遺伝子ID7076)、細胞接着分子5(CEA、例えば、NCBI遺伝子ID1048)、サイトケラチン19フラグメント(CYFRA21-1、例えば、NCBI遺伝子ID3880)、セルピンファミリーBメンバー3(SCC、例えば、NCBI遺伝子ID6317)、高度グリコシル化最終産物特異的受容体(AGER、例えば、NCBI遺伝子ID177)、脂肪生成調節因子(ClOorf116、例えば、NCBI遺伝子ID10974)、アデュシン2(ADD2、例えば、NCBI遺伝子ID119)、ペリアキシン(PRX、例えば、NCBI遺伝子ID57716)、ラミニンサブユニットベータ3(LAMB3、例えば、NCBI遺伝子ID3914)、シンネミン(SYNM、例えば、NCBI遺伝子ID23336)、スペクトリンアルファ、赤血球1(SPTA1、例えば、NCBI遺伝子ID6708)、アンキリン1(ANK1、例えば、NCBI遺伝子ID286)、ヘモグロビンサブユニットイプシロン1(HBE1、例えば、NCBI遺伝子ID3046)、ヘモグロビンサブユニットガンマ1(HBG1、例えば、NCBI遺伝子ID3047)、炭酸脱水酵素1(CAI、例えば、NCBI遺伝子ID759)、テネイシンXB(TNXB、例えば、NCBI遺伝子ID7148)、多量体2(MMRN2、例えば、NCBI遺伝子ID79812)、ヘモグロビンサブユニットアルファ1(HBA1、例えば、NCBI遺伝子ID3039)、カベオリン1(CAV1、例えば、NCBI遺伝子ID857)、ヘモグロビンサブユニットベータ(HBB、例えば、NCBI遺伝子ID3043)、コラーゲンタイプVIアルファ6鎖(COL6A6、例えば、NCBI遺伝子ID131873)、染色体1オープンリーディングフレーム198(Clorf198、例えば、NCBI遺伝子ID84886)、塩化物細胞内チャネル2(CLIC2、例えば、NCBI遺伝子ID1193)、SdpC合成オペロンの転写調節因子(ArsRファミリー)(SDPR、例えば、NCBI遺伝子8436)、EHドメイン含有2(EHD2、例えば、NCBI遺伝子ID30846)、アポリポタンパク質A2(APOA2、例えば、NCBI遺伝子ID336)、NADH:ユビキノンオキシドレダクターゼサブユニットB7(NDUFB7、例えば、NCBI遺伝子ID4713)、プロテインキナーゼCデルタ結合タンパク質(PRKCDBP、例えば、NCBI遺伝子ID112464)、ラミニンサブユニットアルファ3(LAMA3、例えば、NCBI遺伝子ID)、EvC毛様体複合体サブユニット2(LBN、例えば、NCBI遺伝子ID132884)、セルピンファミリーAメンバー3(ACT、例えば、NCBI遺伝子ID12)、インスリン様成長因子結合タンパク質3(3IGFBP3、例えば、NCBI遺伝子ID3486)、プロスタグランジンD2シンターゼ(L-PGDS、例えば、NCBI遺伝子ID5730)、レチノイン酸受容体ベータ(HAP、例えば、NCBI遺伝子ID5915)、肝細胞成長因子(HGF、例えば、NCBI遺伝子ID3082)、真核生物翻訳開始因子4ガンマ2(AAG1/2、例えば、NCBI遺伝子ID1982)、クラスタリン(CLU、例えば、NCBI遺伝子ID1191)、連鎖球菌スーパー抗原SSA(SSA、例えば、NCBI遺伝子ID6737)。テタニック(TTA、例えば、NCBI遺伝子ID100189453)、アポリポタンパク質A4(APOA4、例えば、NCBI遺伝子ID337)、フィブリノーゲン様タンパク質A(FIBA、例えば、NCBI遺伝子ID105209070)、血清アミロイドAクラスター(SAA、例えば、NCBI遺伝子ID6288)、セルロプラスミン(CP、例えば、NCBI遺伝子ID1356)、ハプトグロビン(HP、例えば、NCBI遺伝子ID3240)、トランスサイレチン(TTR、例えば、NCBI遺伝子ID7276)、ケラチン2(KRT2A、例えば、NCBI遺伝子ID3849)、グルタミン酸輸送体(GLT1B、例えば、NCBI遺伝子ID6506)、カゼインキナーゼ1(CK1、例えば、NCBI遺伝子ID1452)、AKTセリン/トレオニンキナーゼ1(AKT、例えば、NCBI遺伝子ID207)、マンノース結合レクチン2(MBL2、例えば、NCBI遺伝子ID4153)、フィブリノーゲンアルファ鎖(FGA、例えば、NCBI遺伝子ID2243)、ゲルゾリン(GSN、例えば、NCBI遺伝子ID2934)、ハプトグロビン(HP、例えば、NCBI遺伝子ID3240)、フィコリン3(FCN3、例えば、NCBI遺伝子ID8547)、カルノシンジペプチダーゼ1(CNDP1、例えば、NCBI遺伝子ID84735)、カルシトニン関連ポリペプチドアルファ(CALCA、例えば、NCBI遺伝子ID796)、カルバモイルリン酸シンターゼ1(CPS1、例えば、NCBI遺伝子ID1373)、クロモグラニンB(CHGB、例えば、NCBI遺伝子ID1114)、インボルクリン(IVL、例えば、NCBI遺伝子ID3713)、前方勾配2(AGR2、例えば、NCBI遺伝子ID10551)、核自己抗原性精子タンパク質(NASP、例えば、NCBI遺伝子ID4678)、ホスホフルクトキナーゼ、血小板(PFKP、例えば、NCBI遺伝子ID5214)、トロンボスポンジン2(THBS2、例えば、NCBI遺伝子ID7058)、チオレドキシンドメイン含有17(TXNDC17、例えば、NCBI遺伝子ID84817)、プロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン1型(PCSK1、例えば、NCBI遺伝子ID5122)、細胞レチノイン酸結合タンパク質2(CRABP2、例えば、NCBI遺伝子ID1382)、アシル-CoA結合ドメイン含有3(ACBD3、例えば、NCBI遺伝子ID64746)、デスモグレイン2(DSG2、例えば、NCBI遺伝子ID1829)、LPS応答性ベージュ様アンカータンパク質(LRBA、例えば、NCBI遺伝子ID987)、セリン/スレオニンキナーゼ受容体関連タンパク質(STRAP、例えば、NCBI遺伝子ID11171)、VGF神経成長因子誘導性(VGF、例えば、NCBI遺伝子ID7425)、NOP2核小体タンパク質(NOP2、例えば、NCBI遺伝子ID4839)、リポカリン2(LCN2、例えば、NCBI遺伝子ID3934)、クレアチンキナーゼ、ミトコンドリアIB(CKMT1B、例えば、NCBI遺伝子ID1159)、アルドケトレダクターゼファミリー1メンバーB10(AKR1B10、例えば、NCBI遺伝子ID57016)、カルボキシペプチダーゼD(CPD、例えば、NCBI遺伝子ID1362)、プロテアソーム活性化因子サブユニット3(PSME3、例えば、NCBI遺伝子ID10197)、ビリン1(VIL1、例えば、NCBI遺伝子ID7429)、セルピンファミリーBメンバー5(SERPINB5、例えばNCBI遺伝子ID5268)、リボソームタンパク質L5(RPL5、例えばNCBI遺伝子ID6125)、プラコフィリン1(PKP1、例えば、NCBI遺伝子ID5317)、リボソームタンパク質L10(RPL10、例えば、NCBI遺伝子ID6134)、アルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーB10(AKR1B10、例えば、NCBI遺伝子ID57016)、アルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーC1(AKR1C1、例えば、NCBI遺伝子ID1645)、増殖細胞核抗原(PCNA、例えば、NCBI遺伝子ID5111)、リボソームタンパク質S2(RPS2、例えば、NCBI遺伝子ID6187)、アルド-ケトレダクターゼファミリー1メンバーC3(AKR1C3、例えば、NCBI遺伝子ID8644)、アシル-CoA結合ドメイン含有3(ACBD3、例えば、NCBI遺伝子ID64746)、ビシニン様1(VSNL1、例えば、NCBI遺伝子ID7447)、アデノシルホモシステイナーゼ(AHCY、例えば、NCBI遺伝子ID191)、IMMP10、活性化キナーゼ2(PAK2、例えば、NCBI遺伝子ID5062)、インボルクリン(IVL、例えば、NCBI遺伝子ID3713)、イソロイシン-tRNA合成酵素(IARS、例えば、NCBI遺伝子ID3376)、プロテアソーム26Sサブユニットユビキチン受容体、非ATPase2(PSMD2、例えば、NCBI遺伝子ID5708)、グアニル酸結合タンパク質5(GBP5、例えば、NCBI遺伝子ID115362)、ミニ染色体維持複合体成分6(MCM6、例えば、NCBI遺伝子ID4175)、N-myc下流調節1(NDRG1、例えば、NCBI遺伝子ID10397)、NOP58リボ核タンパク質(NOP58、例えば、NCBI遺伝子ID51602)、S100カルシウム結合タンパク質A2(S100A2、例えば、NCBI遺伝子ID6273)、ニューレグリン1(NRG1、例えば、NCBI遺伝子ID3084)、ニューレグリン2(NRG2、例えば、NCBI遺伝子ID9542)、カルノシンジペプチダーゼ1(CNDP1、例えば、NCBI遺伝子ID84735)、ユビキチン交差反応性タンパク質(UCRP、例えば、NCBI遺伝子ID9636)、クランマー(CER、例えば、NCBI遺伝子ID8110)、プラスミノーゲン活性化因子(UPA、例えば、NCBI遺伝子ID5328)、マトリックスメタロペプチダーゼ14(MT1-MMP、例えば、NCBI遺伝子ID4323)、ストラチフィン(SFN、例えば、NCBI遺伝子ID2810)、トランスフェリン(TF、例えば、NCBI遺伝子ID7018)、アルブミン(ALB、例えば、NCBI遺伝子ID213)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9、例えば、NCBI遺伝子ID6280)、スタスミン1(STMN、例えば、NCBI遺伝子ID3925)、エノラーゼ(ENO)、プラスミノーゲン活性化因子(PLAU、例えば、NCBI遺伝子ID5328)、インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7、例えば、NCBI遺伝子ID3490)、マトリックスメタロペプチダーゼ14(MMP14、例えば、NCBI遺伝子ID4323)、トロンボスポンジン1(THBS1、例えば、NCBI遺伝子ID7057)、またはトロンボスポンジン2(THBS2、例えば、NCBI遺伝子ID7058)が挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、転移癌細胞によって発現されるか、または放出されるバイオマーカーを標的化する。例えば、癌細胞は、ある組織から生じ、その後、異なる位置に転移し得る。いくつかの実施形態では、転移癌細胞は、本明細書に記載される癌バイオマーカーの非限定的な例を発現する。いくつかの実施形態では、転移癌細胞は、黒色腫関連抗原(MAGEファミリーメンバーA3(MAGE-A3、例えば、NCBI遺伝子ID4102))、膜関連糖タンパク質(MUC-1、例えば、NCBI遺伝子ID4582)、糖タンパク質-上皮細胞接着分子(EpCAM、例えば、NCBI遺伝子ID4072)、KRASプロトオンコジーン(KRAS、例えば、NCBI遺伝子ID3845)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK、例えば、NCBI遺伝子ID238)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、例えば、NCBI遺伝子ID1493)、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1、例えば、NCBI遺伝子ID5133)、上皮成長因子(EGF、例えば、NCBI遺伝子ID1950)、セリンプロテアーゼエステル(EA、例えば、NCBI遺伝子ID5328)、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT、例えば、NCBI遺伝子ID7015)、PRAME核受容体転写調節因子(PRAME、例えば、NCBI遺伝子ID23532)、受容体チロシン-タンパク質キナーゼerbB-2(HER、例えば、NCBI遺伝子ID2064)、または血管内皮増殖因子(VEGF、例えば、NCBI遺伝子ID7422)、癌胎児性抗原(CEA、例えば、NCBI遺伝子ID1048)、MAGEファミリーメンバーA1(MAGE-A1、例えば、NCBI遺伝子ID4100)、MAGEファミリーメンバーA1(MAGE-A4、例えば、NCBI遺伝子ID4103)、サバイビン、前立腺の6回膜貫通型上皮抗原1(STEAP1、例えば、NCBI遺伝子ID26872)、SRY(性決定領域Y)-ボックス2(SOX2、例えば、NCBI遺伝子ID6657)、または癌/精巣抗原1(CTAG1B、例えば、NCBI遺伝子ID1485)を含む癌バイオマーカーを発現する。
【0058】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、血管内皮細胞によって発現されるか、または放出されるバイオマーカーを標的化する。いくつかの実施形態では、血管内皮細胞は血管細胞である。いくつかの実施形態では、血管内皮細胞はリンパ管細胞である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは血管細胞によって発現されるか、または放出される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーはリンパ管細胞によって発現されるか、または放出される。内皮細胞バイオマーカーの非限定的な例としては、アンジオテンシンI変換酵素(ACE/CD143、例えば、NCBI遺伝子ID1636)、CD93分子(ClqR1/CD93、例えば、NCBI遺伝子ID22918)、カドヘリン5(VE-カドヘリン、例えば、NCBI遺伝子ID1003)、D6タンパク質(CCケモカイン受容体D6、例えば、NCBI遺伝子ID1238)、血小板および内皮細胞接着分子1(CD31/PECAM-1、例えば、NCBI遺伝子ID5175)、CD34分子(CD34、例えば、NCBI遺伝子ID947)、CD36分子(CD36/SR-B3、例えば、NCBI遺伝子ID948)、CD151分子(CD151、例えば、NCBI遺伝子ID977)、CD160分子(CD160、例えば、NCBI遺伝子ID11126)が挙げられる。
【0059】
CD300分子様ファミリーメンバーg(CD300g/ネプムシン、例えば、NCBI遺伝子ID146894)、CDC様キナーゼ1(CL-K1/COLEC11、例えば、NCBI遺伝子ID78989)、切断因子ポリリボヌクレオチドキナーゼサブユニット1(CL-P1/COLEC12、例えば、NCBI遺伝子ID81035)、凝固因子III/組織因子(例えば、NCBI遺伝子ID2152)、C型レクチンドメインファミリー4メンバーM(DC-SIGNR/CD299、例えば、NCBI遺伝子ID10332)、ディスコイジン、CUBおよびLCCLドメイン含有物2(DCBLD2/ESDN、例えば、NCBI遺伝子ID131566)、内皮細胞表面発現走化性およびアポトーシス調節因子(ECSCR、例えば、NCBI遺伝子ID641700)、バシジン(Ok血液型)(EMMPRIN/CD147、例えば、NCBI遺伝子ID682)、エンドグリン/CD105(例えば、NCBI遺伝子ID5077)、エンドムシン(例えば、NCBI遺伝子ID2022)、エンドシアリン/CD248(例えば、NCBI遺伝子ID 57124)、プロテインC受容体(EPCR、例えば、NCBI遺伝子ID10544)、エリスロポエチンR(例えば、NCBI遺伝子ID2056)、内皮血管細胞接着分子(ESAM、例えば、NCBI遺伝子ID90952)、脂肪酸結合タンパク質5(FABP5ZE-FABP、例えば、NCBI遺伝子ID2171)、脂肪酸結合タンパク質6(FABP6、例えば、NCBI遺伝子ID2172)、細胞間接着分子1(ICAM-1/CD54、例えば、NCBI遺伝子ID3383)、細胞間接着分子2(ICAM-2/CD102、例えば、NCBI遺伝子ID3384)、インターロイキン1受容体(IL-1 RI、例えば、NCBI遺伝子ID3553)、インターロイキン13受容体、アルファ1(IL-13 Rα1、例えば、NCBI遺伝子ID3597)、インテグリンアルファ4/CD49d(例えば、NCBI遺伝子ID3676)、インテグリンアルファ4ベータ1(例えば、NCBI遺伝子ID3688)、インテグリンアルファ4ベータ7/LPAM-1(例えば、NCBI遺伝子ID3676)、インテグリンベータ2/CD18(例えば、NCBI遺伝子ID3689)、KLF転写因子4(KLF4、例えば、NCBI遺伝子ID9314)、リンパ管内皮ヒアルロナン受容体1(LYVE-1、例えば、NCBI遺伝子ID10894)、黒色腫細胞接着分子(MCAM/CD146、例えば、NCBI遺伝子ID4162)、ネクチン細胞接着分子2(ネクチン-2/CD112、例えば、NCBI遺伝子ID5819)、PD-ECGF/チミジンホスホリラーゼ(例えば、NCBI遺伝子ID1890)、ポドカリキシン(例えば、NCBI遺伝子ID5420)、ポドプラニン(例えば、NCBI遺伝子ID10630)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体1(S1P1/EDG-1、例えば、NCBI遺伝子ID1901)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体2(S1P2/EDG-5、例えば、NCBI遺伝子ID9294)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体3(S1P3/EDG-3、例えば、NCBI遺伝子ID1903)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体4(S1P4/EDG-6、例えば、NCBI遺伝子ID8698)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体5(S1P5/EDG-8、例えば、NCBI遺伝子ID53637)、E-セレクチン/CD62E(例えば、NCBI遺伝子ID6401)、P-セレクチン/CD62P(例えば、NCBI遺伝子ID6403)、slow as molasses(SLAM/CD150、例えば、NCBI遺伝子ID6504)、スタビリン-1(例えば、NCBI遺伝子ID23166)、スタビリン-2(例えば、NCBI遺伝子ID55576)、プレキシンドメイン含有1(TEM7/PLXDC1、例えば、NCBI遺伝子ID57125)、ANTXR細胞接着分子1(TEM8/ANTXR1、例えば、NCBI遺伝子ID84168)、トロンボモジュリン/BDCA-3(例えば、NCBI遺伝子IDトロンボモジュリン)、トロンボスポンジン1型ドメイン含有1(THSD1、例えば、NCBI遺伝子ID55901)、トロンボスポンジン1型ドメイン含有7A(THSD7A、例えば、NCBI遺伝子ID221981)、TEK受容体チロシンキナーゼ(Tie-2、例えば、NCBI遺伝子ID7010)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー1A(TNF RI/TNFRSF1A、例えば、NCBI遺伝子ID7132)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー1B(TNF RII/TNFRSF1B、例えば、NCBI遺伝子ID7133)、バシギン(Ok血液型)(TRA-1-85/CD147、例えば、NCBI遺伝子ID682)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー10b(TRAIL R2/TNFRSF10B、例えば、NCBI遺伝子ID8795)、TNF受容体スーパーファミリーメンバー10a(TRAILR1/TNFRSF10A、例えば、NCBI遺伝子ID8797)、血管細胞接着分子1(VCAM-1/CD106、例えば、NCBI遺伝子ID7412)、EGF様ドメイン倍数7(VE-スタチン、例えば、NCBI遺伝子ID:51162)、fms関連受容体チロシンキナーゼ1(VEGFR1/Flt-1、例えば、NCBI遺伝子ID2321)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(VEGFR2/KDR/Flk-1、例えば、NCBI遺伝子ID3791)、fms関連受容体チロシンキナーゼ4(VEGFR3/Flt-4、例えば、NCBI遺伝子ID2324)、GパッチおよびFHAドメイン1を有する血管新生因子(VG5Q、例えば、NCBI遺伝子ID55109)、またはフォン・ヴィレブランド因子ドメイン2(vWF-A2、例えば、NCBI遺伝子ID7450)。
【0060】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、ケモカインシグナル伝達に関与するケモカイン受容体もしくはケモカインリガンドまたはその部分、例えば、SDF-1α/CXCR4、CCL2/CCR2、または接着分子、例えば、PSGL-1などを含む。本明細書に示されるように、除核細胞は、除核細胞の特異的標的化を大いに促進し得る、機能的CXCR4、CCR2、ならびにグリコシル化PSGL-1を発現するように除核される場合がある。いくつかの実施形態では、CXCR4、CCR2、またはPSGL-1などの標的化部分は、除核細胞の表面上に発現される場合がある。標的化部分として除核細胞の細胞表面上に発現され得る細胞表面タンパク質の非限定的な例としては、例えば、CXCR4、CCR2、CCR1、CCR5、CXCR7、CXCR2、およびCXCR1などのケモカインが挙げられる。いくつかの実施形態では、除核細胞は、標的化部分を分泌するように除核され得るか、または細胞外マトリックス、例えばSDF1-αもしくはCCL2に係留される。除核細胞によって分泌され得る標的化部分の非限定的な例としては、SDF1-α、CCL2、CCL3、CCL5、CCL8、CCL1、CXCL9、CXCL10、CCL11、およびCXCL12が挙げられる。いくつかの実施形態では、除核細胞は細胞-マトリックス受容体を含み、細胞-細胞接着分子は、インテグリン、カドヘリン、糖タンパク質、およびヘパリン硫酸プロテオグリカンを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、対象の免疫系の回避を助ける表面マーカー(例えば、エンジニアリングによって、またはそれらが得られた細胞から)をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、除核細胞は、CD47、PD-L1、HLA-E、HLA-G、そのフラグメント、またはそれらの組合せを含む場合がある。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、CD47、PD-L1、HLA-E、HLA-G、そのフラグメント、またはそれらの組合せは、除核細胞がマクロファージによって貪食されるのを防止するのに役立つと考えられる。細胞-マトリックス受容体および細胞-細胞接着分子の非限定的な例としては、インテグリン、カドヘリン、糖タンパク質、またはヘパリン硫酸プロテオグリカンが挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞-マトリックス受容体または細胞-細胞接着分子は、PD-L1、HLA-E、またはHLA-Gを含む。治療用分子の非限定的な例としては、腫瘍抗原および免疫調節ペプチド、ポリアミン、およびATPが挙げられる。いくつかの実施形態では、治療用分子は、免疫細胞によって認識され得、免疫応答を誘導し得る。例えば、治療用分子は、免疫応答を誘導するための4-IBBまたは本明細書に記載されるサイトカインのいずれか1つであり得る。
【0062】
治療剤
いくつかの実施形態では、本開示の除核細胞は、少なくとも1つの治療剤を開示含む。いくつかの実施形態では、本開示の除核細胞は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の治療剤を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は活性物質を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞またはその親細胞に対して外因性である。活性物質は、DNA分子、RNA分子、タンパク質(例えば、酵素、抗体、抗原、毒素、サイトカイン、タンパク質ホルモン、成長因子、細胞表面受容体、またはワクチン)、ペプチド(例えば、ペプチドホルモンまたは抗原)、小分子(例えば、ステロイド、ポリケチド、アルカロイド、毒素、抗生物質、抗ウイルス薬、コルヒチン、タキソール、マイトマイシン、またはエムタンシン)、遺伝子編集因子、ナノ粒子、または別の活性物質(例えば、細菌、細菌胞子、バクテリオファージ、細菌成分、ウイルス(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)、エキソソーム、脂質、またはイオン)のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は治療剤を生成(例えば、発現、および場合によっては、放出または分泌)するように操作される。いくつかの実施形態では、親は除核細胞を生成するための除核前に、治療剤を生成するように操作される場合がある。腫瘍溶解性ウイルスの非限定的な例としては、タリモジェン・ラヘルパレプベク、Onyx-015、GL-ONC1、CV706、Voyager-V1、およびHSV-1716が挙げられる。ワクシニアウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ポリオウイルス、レオウイルス、セネカウイルス、ECHO-7、およびセムリキ森林ウイルスなどのいくつかの野生型ウイルスも腫瘍溶解挙動を示す。
【0063】
治療剤は、本明細書に記載される標的化部分であってもよく、または本明細書に記載される標的化部分を含んでいてもよい。除核細胞によって生成され得るか、または除核細胞に含まれ得る標的化部分の非限定的な例としては、ケモカイン受容体、接着分子、および抗原が挙げられる。いくつかの実施形態では、治療剤は、本明細書に記載される膜貫通化部分であってもよく、または本明細書に記載される膜貫通部分を含んでいてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞またはその親細胞によって組換え発現される。いくつかの実施形態において、除核細胞が由来するかまたは得られる親細胞は、治療剤を生成または発現するように操作される。いくつかの実施形態では、治療剤の発現は安定である(例えば、永続的である)。いくつかの実施形態では、親細胞による治療剤の発現は一時的である(例えば、非永続的である)。いくつかの実施形態では、親細胞は、治療剤を組換え発現するために除核細胞を操作する前に除核される。
【0065】
いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞が由来するか、または得られた細胞において、天然に発現されない(例えば、操作の非存在下で)(例えば、治療剤は親細胞に対して外因性である)。いくつかの実施形態では、治療剤は、対象において天然に発現されない(例えば、治療剤は対象に対して外因性である)。いくつかの実施形態では、治療剤は、対象において、意図される治療部位(例えば、腫瘍、または脳、腸、肺、心臓、肝臓、脾臓、膵臓、筋肉、眼などの特定の組織)で天然に発現されない(例えば、治療剤は、意図される治療部位に対して外因性である)。いくつかの実施形態では、治療剤のレベルは、親細胞の除核細胞において天然に存在しない。
【0066】
いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞が由来するか、または得られた細胞において、天然に発現される(例えば、操作の非存在下で)(例えば、治療剤は除核細胞に対して内因性である)。いくつかの実施形態では、治療剤は、対象において天然に発現する(例えば、治療剤は対象に対して内因性である)。いくつかの実施形態では、治療剤は、対象において、意図される治療部位(例えば、腫瘍、または脳、腸、肺、心臓、肝臓、脾臓、膵臓、筋肉、眼などの特定の組織)で天然に発現される(例えば、治療剤は、意図される治療部位に対して内因性である)。
【0067】
いくつかの実施形態では、治療剤は合成細胞に由来し、除核細胞に負荷される。例えば、治療剤は細胞にエンドサイトーシスされ得る。あるいは、治療剤は細胞によって合成され、続いて、標的細胞に送達される場合がある。
【0068】
いくつかの実施形態では、治療剤は、除核細胞が由来するか、または得られた細胞と比較して、DNA分子、RNA分子、タンパク質、ペプチド、小分子活性剤、および/もしくは遺伝子編集因子の修正、切断、または非変異バージョンおよび/またはコピーを含む。例えば、治療剤は、肺癌の処置の一部として標的細胞における変異p53またはEGFRを修正することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、治療剤は、少なくとも2つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、またはそれ以上)の異なる治療用DNA分子、治療用RNA分子、治療用タンパク質、治療用ペプチド、小分子活性剤、または治療用遺伝子編集因子を任意の組合せで含む。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤は治療用DNA分子および小分子活性剤を含む。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤は2つの異なる小分子活性剤を含む。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤は、(例えば標的化用の)ケモカイン受容体および小分子活性剤を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、治療剤は、メッセンジャーRNA(mRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、長鎖非コードRNA(IncRNA)、またはRNAウイルスを含むRNA分子を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、オリゴヌクレオチド、プラスミド、細菌DNA分子、またはDNAウイルスであるDNA分子を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、タンパク質またはその一部を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、サイトカイン、成長因子、ホルモン、抗体、もしくはその抗原結合フラグメント、小ペプチドベースの薬物、または酵素である。いくつかの実施形態では、除核細胞は、治療剤を一時的に発現する。いくつかの実施形態では、治療剤の発現は誘導性である。いくつかの実施形態では、治療剤の発現は永続的である。
【0071】
いくつかの実施形態では、治療剤は外因性薬剤を含む。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は外因性ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、親細胞または除核細胞に送達される外因性ポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、除核細胞の少なくとも1つの細胞内小器官によって合成または放出される。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、除核細胞により放出される。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、除核細胞の細胞表面上で発現される。いくつかの実施形態では、除核細胞は、外因性ポリペプチドを標的細胞に送達する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、本明細書に記載されるいずれかの癌の癌バイオマーカーを発現する癌細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞は、本明細書に記載される血管内皮バイオマーカーを発現する血管内皮細胞である。いくつかの実施形態では、血管内皮細胞は血管細胞である。いくつかの実施形態では、血管内皮細胞はリンパ管細胞である。
【0072】
いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、本明細書に記載されるサイトカインのうちのいずれか1つのサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは可溶性サイトカインを含む。例えば、外因性ポリペプチドは、サイトカインの細胞外ドメインまたはフラグメントを含むことができる。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリルなどを含む有機溶媒、または水もしくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む無機溶媒などの溶媒に外因性ポリペプチドを溶解することによる濁度測定溶解度アッセイまたは熱力学的溶解度アッセイによって決定される溶解度を含む。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、少なくとも0.0001mg/ml、0.0005mg/ml、0.001mg/ml、0.005mg/ml、0.01mg/ml、0.05mg/ml、0.1mg/ml、0.5mg/ml、1.0mg/ml、5.0mg/ml、10mg/ml、50mg/ml、100mg/ml、500mg/ml、1,000mg/ml、5,000mg/ml、10,000mg/ml、50,000mg/ml、または100,000mg/mlである溶解度を含む、
【0073】
いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーメンバーまたはその触媒活性フラグメントを含む。TNFスーパーファミリーメンバーの非限定的な例としては、リンホトキシンアルファ(TNFβ)、腫瘍壊死因子(TNFα)、リンホトキシンベータ(TNFγ)、OX40リガンド(CD252、Gp34、またはCD134L)、CD40リガンド(CD154、TRAP、Gp39、またはT-BAM)、Fasリガンド(CD178、APTL、またはCD95L)、CD27リガンド(CD70)、CD30リガンド(CD153)、CD137リガンド(4-1BBL)、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(CD253またはAPO-2L)、核因子κBリガンドの受容体活性化因子(CD254、OPGL、TRANCE、またはODF)、アポトーシスのTNF関連弱誘導因子(APO-3LまたはDR3L)、増殖誘導リガンド(CD256、TALL-2、またはTRDL1)、B細胞活性化因子(CD257、BLyS、TALL-1、またはTNFSF20)、LIGHT(CD258またはHVEML)、血管内皮増殖阻害剤(TL1またはTL-1A)、TNFスーパーファミリーメンバー18(GITRL、AITRL、またはTL-6)、またはエクトジスプラシンA(ED1-A1またはED1-A2)が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、治療剤は、本明細書に記載される免疫チェックポイントタンパク質のいずれか1つ、または本明細書に記載される免疫チェックポイントタンパク質のいずれか1つを阻害するための免疫チェックポイント阻害剤を含む。免疫チェックポイントタンパク質の非限定的な例としては、PD-1、PD-L1、CTLA-4、VISTA、B7-H3(CD276とも呼ばれる)、A2AR、CD27、LAG3、TIM-3、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、CD73、NKG2A、PVRIG、PVRL2、CEACAM1、CEACAM5、CEACAM6、FAK、CCR-2、CCL-2、LIF、CD47、SIRPα、M-CSF、IL-3、IL-1RAP、IL-8、SEMA4D、アンジオポエチン-2、CLEVER-1、Axl、ホスファチジルセリン、またはそのフラグメントが挙げられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、本明細書に開示されるものなどの追加の治療剤を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞を含む組成物は、追加の治療剤とともに本明細書に開示される対象に投与するために製剤化される。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、連続して、同時に、実質的に連続して、または実質的に同時に対象に投与される。
【0076】
生体分子自殺スイッチ
本明細書に開示される生体分子自殺スイッチなどの細胞死を誘導する1つ以上の生体分子を含む除核細胞が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、生体分子は異種ポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、生体分子自殺スイッチを発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成されたプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、生体分子自殺スイッチの発現は、細胞死を引き起こすのに十分である。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはベクターを含む。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれない。そのような場合、異種ポリヌクレオチドは、核の非存在下での異種遺伝子産物の発現のために誘導され得る。例えば、細胞の染色体に組み込まれていない異種ポリヌクレオチドは、有核または除核細胞において誘導することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、生体分子自殺スイッチの発現を駆動するプロモーターは、その誘導刺激の存在下で、哺乳動物遺伝子発現と適合性があり、迅速で強力な遺伝子発現を提供することができる。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物は、自殺遺伝子または細胞死を誘導する任意の遺伝子産物である。自殺遺伝子の非限定的な例としては、カスパーゼ、DNA架橋剤、合成NOTCH受容体を誘導する死、毒素、およびアポトーシス、オートファジー、エントーシス、ネクローシス、ネクロトーシス、フェロトーシス、またはそれらの組合せを誘導するための誘導剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
いくつかの実施形態では、プロモーターは低体温プロモーター(hypothermic promoter)である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を40℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を39℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を38℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を37℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を36℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を35℃未満の温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、dsrAまたはCIRPが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態では、プロモーターは高体温プロモーター(hyperthermic promoter)である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、35℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、36℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、37℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、38℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、39℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を、40℃を超える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、HSP70、HSP90、GADD153、MDR1、またはHSE-CMVが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を分子と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、分子の例としては、rtTA、TRE、TetR、Cumate、ラパマイシン、アブシジン酸、IPTG、またはメタロチオネインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を光と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、CIB1-CRY2またはGAL4-VVDが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞をホルモンと接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、エストラジオール-Gal4が挙げられるがこれに限定されない。
【0083】
いくつかの実施形態では、プロモーターは構成的活性型プロモーターである。プロモーターは継続的に活性であるが、自殺は特定の状況下で誘導される。いくつかの実施形態では、構成的活性型プロモーターは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物の例としては、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物の例としては、FKBPまたはカスパーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物の例としては、抗原が挙げられるがこれに限定されない。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドの例としては、ベクターが挙げられるがこれに限定されない。
【0084】
医薬組成物
いくつかの態様では、本明細書に開示される組成物、および薬学的に許容可能な担体、賦形剤、希釈剤、または噴霧吸入剤を含む医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、1つ以上の追加の活性物質または治療剤を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、組成物は2つ以上の活性物質または2つ以上の治療剤を含む。いくつかの実施形態では、例えば、除核細胞が2つ以上の治療剤を含む場合、2つ以上の活性物質は、単一の投与量単位に含まれる。実施形態では、2つ以上の活性物質は、除核細胞が追加の治療剤またはアジュバントとは別々に投与される場合など、別々の投与量単位に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書に記載される除核細胞以外の少なくとも1つの追加の活性物質を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の活性物質は、化学療法剤、細胞毒性剤、サイトカイン、成長阻害剤、抗ホルモン剤、抗血管新生剤、心臓保護剤、および/またはチェックポイント阻害剤である。非限定的なチェックポイント阻害剤としては、IMP321/Eftilagimod alpha(Immutep)、リラトリマブBMS-986016、イピリムマブ(Yervoy)、ペンブロリズマブ(Keytruda)、ニボルマブ(Opdivo)、セミプリマブ(Libtayo)、アテゾリズマブ(Tecentriq)、アベルマブ(Bavencio)、デュルバルマブ(Imfinzi)、イピリムマブ(Yervoy)、LAG525、MK-4280、イリノテカン、オキサリプラチン、REGN3767、TSR-033、BI754111、Sym022、FS118(二重特異性抗LAG3/PD-L1拮抗性mAb)、MGD013(二重特異性抗LAG3/PD-1拮抗性mAb)、TSR-022、ニラパリブ、ベバシズマブ、MBG453、デシタビン、スパルタリズマブ、Sym023、INCAGN2390、LY3321367、ラムシルマブ、アベマシクリブ、メレスチニブ、BMS-986258、SHR-1702、カムレリズマブ、MK-7684、エチギリマブ(Etigilimab)/OMP-313 M32、チラゴルマブ/MTIG7192A/RG-6058、BMS-986207、AB-154、ASP-8374、JNJ-61610588、CA-170d、エノブリツズマブ/MGA271、MGD009、I-8H9/オムブルタマブ(omburtamab)、トラスツズマブ、MGD013(抗PD-1、抗LAG-3デュアルチェックポイント阻害剤)、BGB-A1217、CM-24(MK-6018)、BMS986178、MEDI6469、PF-04518600、GSK3174998、MOXR0916、ウトミリマブ(PF-05082566)、ウレルマブ(BMS-663513)ES101、BMS-986156、TRX-518、AMG228、JTX-2011、GSK3359609、BMS-986226、MEDI-570、またはバリルマブ(CDX-1127)が挙げられる。このような化合物または薬物は、意図される目的に有効な量で組み合わさって存在し得る。追加の治療剤のさらなる非限定的な例としては、CPI-006(CD73を阻害し、T細胞およびAPCの活性化を可能にするため)、モナリズマブ(NKG2Aを阻害するため)、COM701(PVRIG/PVRL2を阻害し、T細胞を活性化するため)、CM24(CEACAM1を阻害し、T細胞およびNK細胞の活性化を可能にするため)、NEO-201(CEACAM5およびCEACAM6の阻害のため、腫瘍細胞増殖を妨害しながらT細胞活性化を可能にする)、デファクチニブ(FAKを阻害し、腫瘍増殖を妨害するため)、PF-04136309(CCR-2およびCCL-2を阻害し、T細胞動員および活性化を可能にするため)、MSC-1(癌増殖を妨害しながらLIFを阻害し、T細胞およびAPCの活性化を可能にするため)、Hu5F9-G4(5F9)、ALX148、TTI-662、およびRRx-001(CD47またはSIRPαを阻害し、T細胞およびAPCの活性化を可能にするため)、ラクノツズマブ(Lacnotuzumab)(MCS-110)、LY3022855、SNDX-6352、エマクツズマブ(RG7155)、およびペキシダルチニブ(PLX3397)(M-CSFまたはCSF-1Rを阻害し、APC活性化を可能にするため)、CAN04およびカナキヌマブ(ACZ885)(IL-3またはIL-1RAPを阻害し、T細胞およびAPCの活性化を可能にするため)、BMS-986253(腫瘍増殖を妨害しながらIL-8を阻害し、免疫抑制性腫瘍微小環境を減少させるため)、ペピネマブ(VX15/2503)(腫瘍増殖を妨害しながらSEMA4Dを阻害し、免疫抑制性腫瘍微小環境を減少させること)、トレバナニブ(癌増殖を妨害しながらアンジオポエチン-2を阻害し、APC活性化を可能にするため)、FP-1305(CLEVER-1を阻害し、APC活性化を可能にするため)、エナポタマブベドチン(EnaV)(癌増殖を妨害しながらAxlを阻害し、APC活性化を可能にするため)、またはバビツキシマブ(癌増殖を妨害しながらホスファチジルセリンを阻害し、T細胞およびAPCの活性化を可能にするため)が挙げられる。
【0086】
組成物は、少なくとも外因性治療剤を活性成分として遊離酸もしくは遊離塩基形態で、または薬学的に許容可能な塩の形態で含み得る。加えて、本明細書に記載される方法および組成物は、N-オキシド(適切な場合)、結晶形態、非晶質相、同様に同じタイプの活性を有するこれら化合物の活性代謝物の使用を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、非溶媒和形態で、あるいは、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を含む溶媒和形態で存在する。治療剤の溶媒和形態も、本明細書で開示されるとみなされる。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、微生物活性を阻害する1つ以上の防腐剤を含む。適切な防腐剤には、メルフェン(merfen)およびチオメルサールなどの水銀を含有する物質、安定した二酸化塩素、ならびに、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および塩化セチルピリジウムなどの四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、および他の一般的な安定剤から恩恵を受け得る。そのような安定化剤の例としては、限定されないが、(a)約0.5%~約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%~約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%~約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM~約10mMのEDTA、約0.01%~約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%~約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%~約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリノイド、(m)マグネシウムおよび亜鉛などの二価カチオン、または(n)それらの組合せが挙げられる。
【0089】
投与のための製剤
本明細書に記載される組成物は、水性経口分散剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液、固体経口剤形、エアロゾル剤、制御放出製剤、速溶解製剤、発泡性製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、粉末、丸剤、糖衣錠、カプセル、遅延放出製剤、除放製剤、パルス放出製剤、多重微粒子の製剤、および即時性かつ制御性の混合型放出製剤を含むがこれらに限定されない任意の適切な剤形へと製剤化される。一態様では、本明細書に議論される治療剤、例えば、治療剤は、筋肉内、皮下、または静脈内の注射に適した医薬組成物へと製剤化される。一態様では、筋肉内、皮下、または静脈内の注射に適した製剤は、生理学的に許容可能な滅菌した水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、あるいはエマルション、および滅菌した注射剤または分散剤へと再水和される滅菌した散剤を含む。適切な水溶性および非水溶性の担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモホールなど)、それらの適切な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、およびエチルオレエートなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動度は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散液の場合には必要な粒径を維持することにより、界面活性剤を使用することにより、維持することができる。いくつかの実施形態では、皮下注射に適した製剤は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの、添加剤も含有する。微生物増殖の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤によって確実にすることができる。場合によっては、糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましい。注射可能な剤形の長期間の吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を使用することによってもたらすことができる。
【0090】
静脈内の注射または滴下または注入に関して、本明細書に記載される組成物は、水溶液、好ましくは、ハンクス液、リンガー液、または緩衝生理食塩水などの、生理学的に相溶性のある緩衝液中で製剤される。経粘膜的な投与では、浸透する障壁に適切な浸透剤が製剤中で使用される。こうした浸透剤は一般に、当該技術分野で知られている。他の非経口注射では、適切な製剤としては、好ましくは、生理学的に適合性の緩衝液または賦形剤を有する、水溶液または非水溶液が挙げられる。そのような賦形剤は既知である。
【0091】
非経口的な注入は大量注射または持続注入を含むことがある。注射用の組成物は、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回用量容器内で、追加の防腐剤とともに提示されてもよい。本明細書に記載される組成物は、油性または水性のビヒクル中の無菌の懸濁液、溶液、あるいはエマルジョンとして非経口的な注射に適した形態であってもよく、および、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有していてもよい。一態様では、有効成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば、発熱性物質を含まない蒸留水で構成するための粉末形態である。
【0092】
吸入による投与では、治療剤は、エアロゾル、ミスト、または粉末として使用するために製剤化される。本明細書に記載される医薬組成物は、適切な噴霧剤(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、あるいは他の適切な気体を用いて、加圧されたパックあるいは噴霧器からのエアロゾルスプレー提示という形態で便利よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、測定された量を送達するためのバルブを設けることによって決定され得る。ほんの一例として、吸入器または注入器で使用されるゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、本明細書に記載される治療剤と、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基材との粉末混合物を含有して製剤化されてもよい。組成物を含む製剤は、当該技術分野で知られている、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、フルオロカーボン、および/または他の可溶化剤または分散剤を利用して、生理食塩水中の溶液として調製される。好ましくは、これらの組成物および製剤は、適切な無毒の薬学的に許容可能な成分を用いて調製される。適切な担体の選択は、所望の経鼻剤形の正確な性質、例えば、溶液、懸濁液、軟膏、またはゲルに依存する。経鼻剤形は一般に、有効成分に加えて大量の水を含有している。少量の他の成分、例えば、pH調節剤、乳化剤、または分散剤、防腐剤、界面活性剤、ゲル化剤、または緩衝剤、および他の安定化剤ならびに可溶化剤が、任意選択で存在する。好ましくは、経鼻剤形は鼻の分泌物と等張でなければならない。
【0093】
経口使用される医薬調製物は、1つ以上の固体の賦形剤を、本明細書に記載される1つ以上の組成物と混合することによって、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、必要に応じて、錠剤または糖衣錠コア(dragee cores)を得るために適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理することによって混合される。適切な賦形剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類などの充填剤、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、または、ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)もしくはリン酸カルシウムなどの他のものが挙げられる。必要に応じて、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸あるいはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤が添加される。いくつかの実施形態では、識別のために、または、活性な治療剤の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料または色素が錠剤または糖衣錠のコーティングに添加される。
【0094】
いくつかの実施形態では、外因性治療剤の組成物は、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールで作られた密閉ソフトカプセルを含む、カプセルの形態である。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または、タルクあるいはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意選択で安定剤と混合された活性成分を含有する。ソフトカプセルにおいて、活性な治療剤は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁される。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。カプセルは、例えば、カプセルの内部に治療剤の製剤のバルク混合を入れることによって調製され得る。いくつかの実施形態では、製剤(非水性の懸濁液および溶液)は、軟ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、HPMCを含むカプセルなどの標準的なゼラチンカプセルまたは非ゼラチンカプセルに入れられる。他の実施形態では、製剤は、スプリンクル(sprinkle)カプセルに入れられ、ここで、上記カプセルは、その全体が飲み込まれるか、または開けられてその中身が食事前に食物の上にふりかけられる(sprinkled)。
【0095】
経口投与のための組成物は、そのような投与に適した用量である。一態様では、固体の経口剤形は、組成物を、抗酸化剤、芳香剤、および担体物質、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤の1つ以上と混合することによって調製される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される固体剤形は、錠剤(懸濁錠剤(suspension tablet)、速溶錠剤、咬合崩壊錠剤(bite-disintegration tablet)、急速崩壊錠剤(rapid-disintegration tablet)、発泡錠剤、またはカプレットを含む)、丸剤、散剤、カプセル、固体の分散剤、固溶体、生体分解可能な剤形、制御放出製剤、パルス放出投与量形態、多微粒子剤形、ビーズ、ペレット剤、顆粒の形態である。他の実施形態では、組成物は粉末の形態である。圧縮錠剤は、上記の製剤のバルク混合を圧縮することにより調製される固体剤形である。様々な実施形態では、錠剤は1つ以上の芳香剤を含む。他の実施形態では、錠剤は、最終的な圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、製剤からの治療剤の遅延放出をもたらすことができる。他の実施形態では、患者コンプライアンスにおいてフィルムコーティングが役立つ。フィルムコーティングは、錠剤重量の約1%~約3%まで変動する場合がある。いくつか実施形態では、固体剤形、例えば、錠剤、発泡錠剤、カプセルは、治療剤の粒子を1つ以上の医薬賦形剤と混合してバルク混合組成物を形成することによって、調製される。バルク混合物は、錠剤、丸剤、およびカプセルなどの、等しく有効な単位剤形へと容易に細分化される。いくつかの実施形態では、個々の単位投与量は、フィルムコーティングを含む。
【0096】
別の態様では、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含んでいる。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の適合性を有する材料が、マイクロカプセル化材料中に存在する。材料の非限定的な例としては、pH調整剤、侵食促進剤、消泡剤、抗酸化剤、香味料、および担体材料、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤が挙げられる。
【0097】
経口投与のための液体製剤の剤形は、任意選択で、薬学的に許容可能な水性経口分散液、エマルション、溶液、エリキシル剤、ゲル、およびシロップを含むがこれらに限定されない群から選択される、水性懸濁液である。治療剤に加えて、液体剤形は、任意選択で、(a)崩壊剤、(b)分散剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも1つの防腐剤、(e)粘度増強剤、(f)少なくとも1つの甘味剤、および(g)少なくとも1つの香味料などの添加剤を含む。いくつかの実施形態では、水性分散液は結晶形成阻害剤をさらに含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、自己乳化型薬物送達系(SEDDS)である。エマルジョンは、別の、通常は液滴の形態である1つの不混和相の分散液である。一般に、エマルジョンは、活発な機械的分散によって作られる。SEDDSは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンとは対照的に、任意の外部の機械的分散または撹拌を伴わずに過剰な水に加えられると、自発的にエマルジョンを形成する。SEDDSの利点は、溶液全体に液滴を分布させるためには軽く混合しさえすればよいということである。さらに、水または水相が投与直前に任意選択で添加され、これにより、不安定なまたは疎水性の有効成分の安定性を確実にする。したがって、SEDDSは、疎水性の有効成分の経口送達および非経口送達のために効果的な送達系を提供する。いくつかの実施形態では、SEDDSは、疎水性の有効成分のバイオアベイラビリティの改善をもたらす。
【0099】
本明細書に記載される組成物(例えば、医薬組成物)は、静脈内、動脈内、経口、非経口、頬側、局所的、経皮的、直腸、筋肉内、皮下、骨内、経粘膜的、吸入、または腹腔内の投与経路を含むがこれらに限定されない投与経路で対象に投与するために製剤化される場合がある。本明細書に記載される組成物としては、水性液分散、自己乳化分散液、固溶体、リポソーム分散剤、エアゾール剤、固体剤形、粉末、即時放出製剤、制御放出製剤、速溶解製剤、錠剤、カプセル、丸剤、遅延放出製剤、拡張放出製剤、パルス放出製剤、多重微粒子製剤、および即時性かつ制御性の混合型放出製剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態では、頬側製剤は、当該技術分野で既知の様々な製剤を使用して投与される。加えて、本明細書に記載される頬側剤形は、頬粘膜に剤形を付着させる役目も果たす生体分解可能な(加水分解性の)ポリマー担体をさらに含んでもよい。頬側投与または舌下投与では、組成物は、適切に製剤化された錠剤、ロゼンジ、またはゲル剤の形態をとってもよい。
【0101】
静脈注射では、組成物は、任意選択で、水溶液、好ましくは、ハンクス液、リンガー液、または緩衝生理食塩水などの、生理学的に相溶性のある緩衝液中で製剤される。経粘膜的な投与では、浸透する障壁に適切な浸透剤が製剤中で使用される。他の非経口注射では、適切な製剤としては、好ましくは、生理学的に相溶性の緩衝液または賦形剤を有する、水溶液または非水溶液が挙げられる。
【0102】
非経口的な注入は、任意選択で大量注射または持続注入を含む。注射のための製剤は、任意選択で、単位剤形、例えば、アンプルまたは複数回用量の容器において、加えられた防腐剤とともに提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、油性または水溶性のビヒクル中の滅菌した懸濁液、水溶液、またはエマルジョンとして非経口注射に適した形態であり、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有する。非経口投与のための組成物は、水溶性の形態で頚動脈小体の活性を調節する薬剤の水溶液を含む。さらに、頚動脈小体の活性を調節する薬剤の懸濁液は、必要に応じて任意選択で調製される(例えば、油性注射懸濁液)。
【0103】
従来の製剤技術としては、例えば、(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥または非水性の造粒、(5)湿式造粒、または(6)融合のうち1つまたはそれらの組合せが挙げられる。他の方法としては、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えば、ウースターコーティング)、接線コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押し出しなどが挙げられる。
【0104】
いくつかの実施形態では、対象への経口投与のために、治療剤の粒子および少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤を含む組成物が提供される。製剤は、懸濁用の粉末および/または顆粒であってもよく、水と混合すると実質的に均一の懸濁液が得られる。
【0105】
さらに、組成物は、任意選択で、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、および塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基、ならびに、クエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝液を含む、1つ以上のpH調節剤または緩衝剤を含む。このような酸、塩基、および緩衝剤は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持するのに必要な量で含まれる。
【0106】
さらに、組成物は任意選択で、組成物のモル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするために必要とされる量で1つ以上の塩を含む。こうした塩としては、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムのカチオン、および塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、または重亜硫酸塩のアニオンを有するものが挙げられ、適切な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0107】
他の組成物は任意選択で、微生物の活性を阻害する1つ以上の防腐剤を含む。適切な防腐剤には、メルフェン(merfen)およびチオメルサールなどの水銀を含有する物質、安定した二酸化塩素、ならびに、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、および塩化セチルピリジウムなどの四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0108】
一実施形態では、本明細書に記載される水性懸濁液および分散液は、少なくとも4時間均質な状態のままである。一実施形態では、水性懸濁液は、1分未満続く物理的な撹拌によって、均質の懸濁液へと再懸濁される。さらに別の実施形態では、均質な水性分散液を維持するのに撹拌は必要ではない。
【0109】
鼻への投与に対するエアロゾル製剤は、一般に、滴剤または噴霧剤で鼻通路に投与されるように設計された水溶液である。点鼻液は、一般に等張であり、約5.5から約6.5のpHを維持するためにわずかに緩衝されるという点で鼻汁に類似し得るが、この範囲外のpH値もさらに使用され得る。抗菌薬または防腐剤も製剤に含まれ得る。
【0110】
吸入剤および吸入薬のためのエアロゾル製剤は、薬剤または薬剤の組合せが、経鼻または経口の呼吸経路によって投与されるときに、対象の呼吸樹へと運ばれ得るように、設計され得る。吸入液は、例えば、噴霧器によって投与され得る。細かく粉末にされた薬物または液体の薬物を含む、吸入剤または吹入剤は、例えば、排出(disbursement)を助けるために、噴射剤中の薬剤または薬剤の組合せの溶液または懸濁液の薬用エアロゾルとして呼吸器系に送達され得る。噴射剤は、ハロカーボン、例えば、フッ素化した塩化炭化水素、ハイドロクロロフルオロカーボン、およびハイドロクロロカーボンの他に、炭化水素および炭化水素エーテルなどの、フルオロカーボンを含む、液化ガスであり得る。
【0111】
エアロゾル製剤はまた、他の成分、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールの他に、界面活性剤または油および洗剤などの他の成分を含んでもよい。これらの成分は、製剤を安定させ、かつ/またはバルブ用部品を潤滑する役割を果たすことができる。
【0112】
エアロゾル製剤は、圧力下でパッケージ化され得、溶液、懸濁液、エマルジョン、粉末、および半固形製剤を使用してエアロゾルとして製剤され得る。例えば、溶液エアロゾル製剤は、(実質的に)純粋な噴射剤中の、または噴射剤と溶媒との混合物としての、輸送体、担体、またはイオンチャネル阻害剤などの薬剤の溶液を含む。溶媒は、薬剤を溶解および/または噴射剤の蒸発を遅らせるために使用され得る。溶媒は、例えば、水、エタノールおよびグリコールを含み得る。適切な溶媒の任意の組合せは、任意選択で防腐剤、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分と組み合わせて使用され得る。
【0113】
エアロゾル製剤は、分散液または懸濁液であり得る。懸濁エアロゾル製剤は、薬剤または薬剤の組合せ、例えば、輸送体、担体、またはイオンチャネル阻害剤、および分散剤の懸濁液を含む。分散剤は、例えば、ソルビタントリオレエート、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチン、およびトウモロコシ油を含み得る。懸濁液のエアロゾル製剤はまた、滑沢剤、防腐剤、抗酸化剤、および/または他のエアロゾル成分を含み得る。
【0114】
エアロゾル製剤は、同様にエマルジョンとして製剤され得る。エマルジョンのエアロゾル製剤は、例えば、エタノール、界面活性剤、水および噴射剤などのアルコールの他に、薬剤または薬剤の組合せ、例えば、輸送体、担体、またはイオンチャネルも含み得る。使用される界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、またはカチオン性であり得る。エマルジョンのエアロゾル製剤の一例は、例えば、エタノール、界面活性剤、水、および噴射剤を含む。エマルジョンのエアロゾル製剤の別の例は、例えば、植物油、モノステアリン酸グリセリン、およびプロパンを含む。
【0115】
方法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物を生成または使用する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、方法は、最小限の残留有核親細胞を有する生物医学的用途のための除核細胞を含む組成物を生成するための、除核細胞のためのハイスループット技術を含む。いくつかの実施形態では、方法は、組成物中の残留有核親細胞を死滅させるのに適した条件下で自殺遺伝子の発現を誘導することを含む。本明細書に開示される方法はまた、融合パートナー(例えば、in vivoまたはex vivoでの別の細胞への融合)、または治療剤送達ビヒクル、またはそれらの組合せとして除核細胞を使用する方法を提供する。
【0116】
いくつかの態様では、本明細書に記載される除核細胞を生成する方法が本明細書に開示され、該方法は、有核親細胞を除核する工程を含む。いくつかの実施形態では、親細胞を外因性分子で処理して、親細胞の細胞骨格を軟化させることができる。例えば、親細胞をサイトカラシンで処理して、皮質アクチン細胞骨格を軟化させることができる。いくつかの実施形態では、核は、除核細胞を生成するために遠心分離によって細胞体から物理的に抽出される。いくつかの実施形態では、遠心分離は密度勾配の使用を含み、少なくとも除核細胞および無傷有核細胞が密度勾配において異なる層に沈降するため、除核細胞が単離される。いくつかの実施形態では、遠心分離は、連続流遠心分離を含む。実施例8は、有核細胞から除核細胞を得るための例示的な連続流遠心分離実験を説明する。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離は、固定角遠心分離である。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離の使用は、遠心分離することができる体積を増加させる。例えば、連続流遠心分離の使用は、(同等の密度勾配を生成するための)スイングバケット遠心分離と比較して、遠心分離することができる体積を増加させる。いくつかの実施形態では、遠心分離はゾーン遠心分離を含み、除核細胞は、サイズの差、質量の差、またはそれらの組み合わせに基づいて有核細胞から分離される。実施例7は、ゾーン遠心分離によって除核細胞を生成することを説明する。いくつかの実施形態では、方法は、遠心分離または除核後に有核細胞の細胞死を誘導することを含む。例えば、有核細胞は、本明細書に記載される異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを有するように操作することができ、異種遺伝子産物の発現は、少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、数千万個の除核細胞(「除核細胞画分」)を含む組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、組成物は残留有核細胞(「有核細胞画分」)も含む。いくつかの実施形態では、組成物は、有核細胞画分から除核細胞画分を精製するためにさらに処理される。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物中で製剤化される。
【0118】
いくつかの態様では、除核細胞を産生する方法は、親細胞の分化からなることもなく、親細胞の分化を含んでもいない。例えば、除核細胞は、有核赤血球前駆細胞を分化し除核した赤血球に分化させることによっては得られない。いくつかの実施形態では、除核細胞は最終分化細胞ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は血小板ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は血小板系細胞から得られない。いくつかの実施形態では、除核細胞は赤血球ではない。いくつかの実施形態では、除核細胞は赤血球系細胞から得られない。
【0119】
いくつかの実施形態では、核を含有する親細胞は、本明細書に記載される治療剤、膜貫通部分、免疫回避部分、または標的化部分の少なくとも1つを発現するように操作され、その後、親細胞の核が除去される。いくつかの実施形態では、核を含有する親細胞は除核され、除核細胞は、本明細書に記載される治療剤、膜貫通部分、免疫回避部分、または標的化部分を発現するように操作される。いくつかの実施形態では、親細胞は、1つ以上の上記生体分子(例えば、免疫回避部分および/または標的化部分)を発現するように操作され、得られた除核細胞(例えば、免疫回避部分および/または標的化部分をすでに発現している)は、第2の上記生体分子(例えば、治療剤)を発現するようにさらに操作される。このようにして、本開示の除核細胞は、除核前に広範に操作され、必要に応じて長期間保存され(例えば、凍結乾燥、凍結休眠、凍結保存を介して)、必要時により近い治療剤を発現するように迅速に操作され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、組成物は、約10ミリリットル(mL)以上~約10000mLを含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約10mL以上~約100mL、約10mL~約1,000mL、約10mL~約2,000mL、約10mL~約3,000mL、約10mL~約4,000mL、約10mL~約5,000mL、約10mL~約6,000mL、約10mL~約7,000mL、約10mL~約8,000mL、約10mL~約9,000mL、約10mL~約10,000mL、約100mL~約1,000mL、約100mL~約2,000mL、約100mL~約3,000mL、約100mL~約4,000mL、約100mL~約5,000mL、約100mL~約6,000mL、約100mL~約7,000mL、約100mL~約8,000mL、約100mL~約9,000mL、約100mL~約10,000mL、約1,000mL~約2,000mL、約1,000mL~約3,000mL、約1,000mL~約4,000mL、約1,000mL~約5,000mL、約1,000mL~約6,000mL、約1000mL~約7,000mL、約1000mL~約8,000mL、約1000mL~約9,000mL、約1000mL~約10,000mL、約2000mL~約3,000mL、約2000mL~約4,000mL、約2000mL~約5,000mL、約2000mL~約6,000mL、約2000mL~約7,000mL、約2000mL~約8,000mL、約2000mL~約9,000mL、約2000mL~約10,000mL、約3000mL~約4,000mL、約3000mL~約5,000mL、約3000mL~約6,000mL、約3000mL~約7,000mL、約3000mL~約8,000mL、約3000mL~約9,000mL、約3000mL~約10,000mL、約4000mL~約5,000mL、約4000mL~約6,000mL、約4000mL~約7,000mL、約4000mL~約8,000mL、約4,000mL~約9,000mL、約4,000mL~約10,000mL、約5,000mL~約6,000mL、約5,000mL~約7,000mL、約5,000mL~約8,000mL、約5,000mL~約9,000mL、約5,000mL~約10,000mL、約6,000mL~約7,000mL、約6,000mL~約8,000mL、約6,000mL~約9,000mL、約6,000mL~約10,000mL、約7,000mL~約8,000mL、約7,000mL~約9,000mL、約7,000mL~約10,000mL、約8,000mL~約9,000mL、約8,000mL~約10,000mL、または約9,000mL~約10,000mLを含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約10mL以上、約100mL、約1000mL、約2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、約9000mL、または約10000mLを含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約10mL以上、約100mL、約1000mL、2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、または約9000mLを含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、最大で約100mL以上、約1000mL、約2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、約9000mL、または約10000mLを含む体積を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、組成物は、約10mL~約10000mLの間の体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約10mL~約100mL、約10mL~約1,000mL、約10mL~約2,000mL、約10mL~約3,000mL、約10mL~約4,000mL、約10mL~約5,000mL、約10mL~約6,000mL、約10mL~約7,000mL、約10mL~約8,000mL、約10mL~約9,000mL、約10mL~約10,000mL、約100mL~約1,000mL、約100mL~約2,000mL、約100mL~約3,000mL、約100mL~約4,000mL、約100mL~約5,000mL、約100mL~約6,000mL、約100mL~約7,000mL、約100mL~約8,000mL、約100mL~約9,000mL、約100mL~約10,000mL、約1,000mL~約2,000mL、約1,000mL~約3,000mL、約1,000mL~約4,000mL、約1,000mL~約5,000mL、約1,000mL~約6,000mL、約1000mL~約7,000mL、約1000mL~約8,000mL、約1000mL~約9,000mL、約1000mL~約10,000mL、約2000mL~約3,000mL、約2000mL~約4,000mL、約2000mL~約5,000mL、約2000mL~約6,000mL、約2000mL~約7,000mL、約2000mL~約8,000mL、約2000mL~約9,000mL、約2000mL~約10,000mL、約3000mL~約4,000mL、約3000mL~約5,000mL、約3000mL~約6,000mL、約3000mL~約7,000mL、約3000mL~約8,000mL、約3000mL~約9,000mL、約3000mL~約10,000mL、約4000mL~約5,000mL、約4000mL~約6,000mL、約4000mL~約7,000mL、約4000mL~約8,000mL、約4,000mL~約9,000mL、約4,000mL~約10,000mL、約5,000mL~約6,000mL、約5,000mL~約7,000mL、約5,000mL~約8,000mL、約5,000mL~約9,000mL、約5,000mL~約10,000mL、約6,000mL~約7,000mL、約6,000mL~約8,000mL、約6,000mL~約9,000mL、約6,000mL~約10,000mL、約7,000mL~約8,000mL、約7,000mL~約9,000mL、約7,000mL~約10,000mL、約8,000mL~約9,000mL、約8,000mL~約10,000mL、または約9,000mL~約10,000mLの間を含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、約10mL、約100mL、約1000mL、約2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、約9000mL、または約10000mLの間を含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約10mL、約100mL、約1000mL、2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、または約9000mLの間を含む体積を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、最大で約100mL、約1000mL、約2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、約9000mL、または約10000mLの間を含む体積を有する。
【0122】
いくつかの実施形態では、連続流遠心分離を用いて有核細胞(親細胞)の一部を除核して除核細胞画分を生成することによる細胞処理のための方法が本明細書に記載され、連続流遠心分離は固定角遠心分離である。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離は、スイングバケット遠心分離である。
【0123】
いくつかの実施形態では、得られた組成物は除核細胞画分を含み、除核細胞画分は組成物の100%であり得る。他の実施形態では、除核されなかった有核親細胞から構成される組成物の有核細胞画分が存在し得る。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約30%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約35%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約40%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約45%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約50%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約55%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約60%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約65%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約70%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約75%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約80%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約85%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約90%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約95%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約96%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約97%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約98%以上である。いくつかの実施形態では、除核細胞画分は、組成物の約99%以上である。
【0124】
いくつかの実施形態では、細胞分離、細胞単離、または細胞選別は、細胞の異種混合物から1つ以上の特定の細胞集団を単離するためのプロセスである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される細胞を除核する方法は、均質な細胞の単離された集団に対して行われる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される除核細胞の方法は、細胞の不均質な混合物に対して行われる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、免疫磁気細胞分離、蛍光活性化細胞選別、密度勾配遠心分離、免疫密度細胞単離、マイクロ流体細胞選別、浮力活性化細胞選別、アプタマーベースの細胞単離、補体枯渇、またはそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない好適な細胞分離技法を使用して、異種細胞の混合物から均質細胞の集団を単離する工程を含む。
【0125】
遠心分離において、より高密度の粒子は、混合物の外縁に移動することができるが、より低密度の物体は、試料がスピンされるにつれてさらに集合する。生体試料は、細胞型が層に単離されるまで遠心分離することができる。遠心分離中、各細胞型は、細胞および培地の密度が等しい培地勾配における場所であるその等熱点まで沈降し得る。密度勾配媒体の例としては、Lymphoprep(商標)、Lympholyte(登録商標)、Ficoll-Paque(登録商標)、Percoll(登録商標)、OptiPrep(商標)、Accuspin(商標)Aystem-Histopaque(登録商標)培地による細胞分離、Histopaque(登録商標)培地、Histopaque(登録商標)ヨウ素化勾配培地、無機塩、非イオン性ヨウ素化密度勾配媒体、多価アルコール、多糖類などが挙げられる。例えば、Lymphoprep(商標)、Lympholyte(登録商標)、およびFicoll-Paque(登録商標)は、糖類およびジアトリゾ酸ナトリウムからなり、末梢血、臍帯血、および骨髄から単核細胞を単離するために使用され得る。Percoll(登録商標)は、ポリビニルピロリドンでコーティングされたコロイド状シリカ粒子からなり、細胞、細胞小器官、ウイルス、および他の細胞内粒子を分離するために広く使用されている。OptiPrep(商標)は、水中のイオジキサノールからなる培地であり、ウイルス、オルガネラ、高分子、および細胞を単離するために使用される。
【0126】
いくつかの実施形態では、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程による細胞処理のための方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、ゾーン遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程による細胞処理のための方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離は、固定角遠心分離である。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離は、スイングバケット遠心分離である。いくつかの実施形態では、連続流遠心分離は、密度勾配を作製する。いくつかの実施形態では、密度勾配は、組成物中の有核細胞から除核細胞画分を分離する。いくつかの実施形態では、密度勾配は多糖類密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、多糖類密度勾配はフィコール密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、方法は、スクロース分子をエピクロロヒドリンと重合させて浸透圧的に不活性である多糖類を得ることによってフィコール勾配を生成する工程をさらに含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、勾配は、2つの範囲~20の範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、2つの範囲~3つの範囲、2つの範囲~4つの範囲、2つの範囲~5つの範囲、2つの範囲~6つの範囲、2つの範囲~8つの範囲、2つの範囲~10の範囲、2つの範囲~12の範囲、2つの範囲~14の範囲、2つの範囲~16の範囲、2つの範囲~18の範囲、2つの範囲~20の範囲、3つの範囲~4つの範囲、3つの範囲~5つの範囲、3つの範囲~6つの範囲、3つの範囲~8つの範囲、3つの範囲~10の範囲、3つの範囲~12の範囲、3つの範囲~14の範囲、3つの範囲~16の範囲、3つの範囲~18の範囲、3つの範囲~20の範囲、4つの範囲~5つの範囲、4つの範囲~6つの範囲、4つの範囲~8つの範囲、4つの範囲~10の範囲、4つの範囲~12の範囲、4つの範囲~14の範囲、4つの範囲~16の範囲、4つの範囲~18の範囲、4つの範囲~20の範囲、5つの範囲~6つの範囲、5つの範囲~8つの範囲、5つの範囲~10の範囲、5つの範囲~12の範囲、5つの範囲~14の範囲、5つの範囲~16の範囲、5つの範囲~18の範囲、5つの範囲~20の範囲、6つの範囲~8つの範囲、6つの範囲~10の範囲、6つの範囲~12の範囲、6つの範囲~14の範囲、6つの範囲~16の範囲、6つの範囲~18の範囲、6つの範囲~20の範囲、8つの範囲~10の範囲、8つの範囲~12の範囲、8つの範囲~14の範囲、8つの範囲~16の範囲、8つの範囲~18の範囲、8つの範囲~20の範囲、10の範囲~12の範囲、10の範囲~14の範囲、10の範囲~16の範囲、10の範囲~18の範囲、10の範囲~20の範囲、12の範囲~14の範囲、12の範囲~16の範囲、12の範囲~18の範囲、12の範囲~20の範囲、14の範囲~16の範囲、14の範囲~18の範囲、14の範囲~20の範囲、16の範囲~18の範囲、16の範囲~20の範囲、または18の範囲~20の範囲の間の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、2つの範囲、3つの範囲、4つの範囲、5つの範囲、6つの範囲、8つの範囲、10の範囲、12の範囲、14の範囲、16の範囲、18の範囲、または20の範囲の間を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、少なくとも2つの範囲、3つの範囲、4つの範囲、5つの範囲、6つの範囲、8つの範囲、10の範囲、12の範囲、14の範囲、16の範囲、または18の範囲の間の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、最大で3つの範囲、4つの範囲、5つの範囲、6つの範囲、8つの範囲、10の範囲、12の範囲、14の範囲、16の範囲、18の範囲、または20の範囲の間の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20の範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、少なくとも7つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、少なくとも5つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、少なくとも3つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、7つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、5つの範囲の密度勾配を含む。いくつかの実施形態では、勾配は、3つの範囲の密度勾配を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、勾配は約7.5%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地を含む。7.5%の密度勾配培地~約10%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約12.5%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約15%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約16%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約17%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約18%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約7.5%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約12.5%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約15%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約16%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約17%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約18%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約10%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約15%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約16%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約17%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約18%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約12.5%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約16%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約17%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約18%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約15%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約17%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約18%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約16%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約17%の密度勾配培地~約18%の密度勾配培地、約17%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約17%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約17%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約17%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約17%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約18%の密度勾配培地~約19%の密度勾配培地、約18%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約18%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約18%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約18%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約19%の密度勾配培地~約20%の密度勾配培地、約19%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約19%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約19%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約20%の密度勾配培地~約25%の密度勾配培地、約20%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約20%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、約25%の密度勾配培地~約27.5%の密度勾配培地、約25%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地、または約27.5%の密度勾配培地~約30%の密度勾配培地。
【0129】
いくつかの実施形態では、勾配はフィコール勾配である。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、2つの範囲~20の範囲の間の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、2つの範囲~3つの範囲、2つの範囲~4つの範囲、2つの範囲~5つの範囲、2つの範囲~6つの範囲、2つの範囲~8つの範囲、2つの範囲~10の範囲、2つの範囲~12の範囲、2つの範囲~14の範囲、2つの範囲~16の範囲、2つの範囲~18の範囲、2つの範囲~20の範囲、3つの範囲~4つの範囲、3つの範囲~5つの範囲、3つの範囲~6つの範囲、3つの範囲~8つの範囲、3つの範囲~10の範囲、3つの範囲~12の範囲、3つの範囲~14の範囲、3つの範囲~16の範囲、3つの範囲~18の範囲、3つの範囲~20の範囲、4つの範囲~5つの範囲、4つの範囲~6つの範囲、4つの範囲~8つの範囲、4つの範囲~10の範囲、4つの範囲~12の範囲、4つの範囲~14の範囲、4つの範囲~16の範囲、4つの範囲~18の範囲、4つの範囲~20の範囲、5つの範囲~6つの範囲、5つの範囲~8つの範囲、5つの範囲~10の範囲、5つの範囲~12の範囲、5つの範囲~14の範囲、5つの範囲~16の範囲、5つの範囲~18の範囲、5つの範囲~20の範囲、6つの範囲~8つの範囲、6つの範囲~10の範囲、6つの範囲~12の範囲、6つの範囲~14の範囲、6つの範囲~16の範囲、6つの範囲~18の範囲、6つの範囲~20の範囲、8つの範囲~10の範囲、8つの範囲~12の範囲、8つの範囲~14の範囲、8つの範囲~16の範囲、8つの範囲~18の範囲、8つの範囲~20の範囲、10の範囲~12の範囲、10の範囲~14の範囲、10の範囲~16の範囲、10の範囲~18の範囲、10の範囲~20の範囲、12の範囲~14の範囲、12の範囲~16の範囲、12の範囲~18の範囲、12の範囲~20の範囲、14の範囲~16の範囲、14の範囲~18の範囲、14の範囲~20の範囲、16の範囲~18の範囲、16の範囲~20の範囲、または18の範囲~20の範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、2つの範囲、3つの範囲、4つの範囲、5つの範囲、6つの範囲、8つの範囲、10の範囲、12の範囲、14の範囲、16の範囲、18の範囲、または20の範囲の間を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、少なくとも2つの範囲、3つの範囲、4つの範囲、5つの範囲、6つの範囲、8つの範囲、10の範囲、12の範囲、14の範囲、16の範囲、または18の範囲の間の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、最大で3つの範囲、4つの範囲、5つの範囲、6つの範囲、8つの範囲、10の範囲、12の範囲、14の範囲、16の範囲、18の範囲、または20の範囲の間の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20の範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、少なくとも7つの範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、少なくとも5つの範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、少なくとも3つの範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、7つの範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、5つの範囲の密度フィコール勾配を含む。いくつかの実施形態では、フィコール勾配は、3つの範囲の密度フィコール勾配を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、約7.5%フィコール~約10%フィコール、約7.5%フィコール~約12.5%フィコール、約7.5%フィコール~約15%フィコール、約7.5%フィコール~約16%フィコール、約7.5%フィコール~約17%フィコール、約7.5%フィコール~約18%フィコール、約7.5%フィコール~約19%フィコール、約7.5%フィコール~約20%フィコール、約7.5%フィコール~約25%フィコール、約7.5%フィコール~約27.5%フィコール、約7.5%フィコール~約30%フィコール、約10%フィコール~約12.5%フィコール、約10%フィコール~約15%フィコール、約10%フィコール~約16%フィコール、約10%フィコール~約17%フィコール、約10%フィコール~約18%フィコール、約10%フィコール~約19%フィコール、約10%フィコール~約20%フィコール、約10%フィコール~約25%フィコール、約10%フィコール~約27.5%フィコール、約10%フィコール~約30%フィコール、約12.5%フィコール~約15%フィコール、約12.5%フィコール~約16%フィコール、約12.5%フィコール~約17%フィコール、約12.5%フィコール~約18%フィコール、約12.5%フィコール~約19%フィコール、約12.5%フィコール~約20%フィコール、約12.5%フィコール~約25%フィコール、約12.5%フィコール~約27.5%フィコール、約12.5%フィコール~約30%フィコール、約15%フィコール~約16%フィコール、約15%フィコール~約17%フィコール、約15%フィコール~約18%フィコール、約15%フィコール~約19%フィコール、約15%フィコール~約20%フィコール、約15%フィコール~約25%フィコール、約15%フィコール~約27.5%フィコール、約15%フィコール~約30%フィコール、約16%フィコール~約17%フィコール、約16%フィコール~約18%フィコール、約16%フィコール~約19%フィコール、約16%フィコール~約20%フィコール、約16%フィコール~約25%フィコール、約16%フィコール~約27.5%フィコール、約16%フィコール~約30%フィコール、約17%フィコール~約18%フィコール、約17%フィコール~約19%フィコール、約17%フィコール~約20%フィコール、約17%フィコール~約25%フィコール、約17%フィコール~約27.5%フィコール、約17%フィコール~約30%フィコール、約18%フィコール~約19%フィコール。約18%フィコール~約20%フィコール、約18%フィコール~約25%フィコール、約18%フィコール~約27.5%フィコール、約18%フィコール~約30%フィコール、約19%フィコール~約20%フィコール、約19%フィコール~約25%フィコール、約19%フィコール~約27.5%フィコール、約19%フィコール~約30%フィコール、約20%フィコール~約25%フィコール、約20%フィコール~約27.5%フィコール、約20%フィコール~約30%フィコール、約25%フィコール~約27.5%フィコール、約25%フィコール~約30%フィコール、または約27.5%フィコール~約30%フィコールを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、約7.5%フィコール、約10%フィコール、約12.5%フィコール、約15%フィコール、約16%フィコール、約17%フィコール、約18%フィコール、約19%フィコール、約20%フィコール、約25%フィコール、約27.5%フィコール、または約30%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、少なくとも約7.5%フィコール、約10%フィコール、約12.5%フィコール、約15%フィコール、約16%フィコール、約17%フィコール、約18%フィコール、約19%フィコール、約20%フィコール、約25%フィコール、または約27.5%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、最大で約10%フィコール、約12.5%フィコール、約15%フィコール、約16%フィコール、約17%フィコール、約18%フィコール、約19%フィコール、約20%フィコール、約25%フィコール、約27.5%フィコール、または約30%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は、約25%フィコール、約17%フィコール、約16%フィコール、約15%フィコール、または約12.5%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は約25%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は約17%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は約16%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は約15%フィコールを含む。いくつかの実施形態では、フィコール密度勾配は約12.5%フィコールを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される細胞処理のための方法は、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程を含み、除核される有核細胞の一部は、有核細胞の約10%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約20%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約25%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約30%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約35%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約40%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約45%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約50%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約55%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約60%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約65%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約70%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約75%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約80%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約85%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約90%以上である。いくつかの実施形態では、有核細胞の一部は有核細胞の約95%以上である。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって生成される除核細胞画分は、約1×105の除核細胞、1×106の除核細胞、約1×107の除核細胞、3×105の除核細胞、5×105の除核細胞、7×107の除核細胞、8×107の除核細胞、9×107の除核細胞、10×107の除核細胞、15×107の除核細胞、約20×107の除核細胞、50×107の除核細胞、約70×107の除核細胞、90×107の除核細胞、100×107の除核細胞、150×107の除核細胞、200×107の除核細胞、250×107の除核細胞、300×107の除核細胞、または500×107の除核細胞以上を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約50%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約60%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約70%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約80%以下を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、有核細胞の平均直径の約90%以下を含む直径を有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約5μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、または約90μm以上を含む直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約1μm~約10μmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約1μm~約2μm、約1μm~約3μm、約1μm~約4μm、約1μm~約5μm、約1μm~約6μm、約1μm~約7μm、約1μm~約8μm、約1μm~約9μm、約1μm~約10μm、約2μm~約3μm、約2μm~約4μm、約2μm~約5μm、約2μm~約6μm、約2μm~約7μm、約2μm~約8μm、約2μm~約9μm、約2μm~約10μm、約3μm~約4μm、約3μm~約5μm、約3μm~約6μm、約3μm~約7μm、約3μm~約8μm、約3μm~約9μm、約3μm~約10μm、約4μm~約5μm、約4μm~約6μm、約4μm~約7μm、約4μm~約8μm、約4μm~約9μm、約4μm~約10μm、約5μm~約6μm、約5μm~約7μm、約5μm~約8μm、約5μm~約9μm、約5μm~約10μm、約6μm~約7μm、約6μm~約8μm、約6μm~約9μm、約6μm~約10μm、約7μm~約8μm、約7μm~約9μm、約7μm~約10μm、約8μm~約9μm、約8μm~約10μm、または約9μm~約10μmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、または約10μmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、少なくとも約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、または約9μmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は、最大で約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、または約10μmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態では、除核細胞画分の除核細胞は約8μmの直径を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、細胞処理のための方法は、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分、少なくとも約30分、少なくとも約35分、少なくとも約40分、少なくとも約45分、少なくとも約50分、少なくとも約55分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分にわたる加速度で密度勾配培地を遠心分離機にかけることによって密度勾配を作製する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞処理のための方法は、少なくとも約1分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約25分、少なくとも約30分、少なくとも約35分、少なくとも約40分、少なくとも約45分、少なくとも約50分、少なくとも約55分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、または少なくとも約120分にわたる加速で多糖類を遠心分離機にかけることによって密度勾配を作製する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞処理のための方法は、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約40分、または少なくとも約50分にわたる加速で多糖類を遠心分離機にかけることによって密度勾配を作製する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞処理のための方法は、少なくとも約30分にわたる加速で多糖類を遠心分離機にかけることによって密度勾配を作製する工程をさらに含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、細胞処理のための連続流遠心分離を用いて有核細胞の一部を除核して除核細胞画分を生成する方法は、最小減速で多糖類を遠心分離機にかけることによって密度勾配を作製する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、密度勾配は、約20,000相対遠心力(RCF)~約250,000RCFの最大遠心力で多糖類を遠心分離機にかけることを含む。いくつかの実施形態では、密度勾配は、約20,000RCF~約30,000RCF、約20,000RCF~約40,000RCF、約20,000RCF~約50,000RCF、約20,000RCF~約60,000RCF、約20,000RCF~約70,000RCF、約20,000RCF~約80,000RCF、約20,000RCF~約100,000RCF、約20,000RCF~約120,000RCF、約20,000RCF~約150,000RCF、約20,000RCF~約200,000RCF、約20,000RCF~約250,000RCF、約30,000RCF~約40,000RCF、約30,000RCF~約50,000RCF、約30,000RCF~約60,000RCF、約30,000RCF~約70,000RCF、約30,000RCF~約80,000RCF、約30,000RCF~約100,000RCF、約30,000RCF~約120,000RCF、約30,000RCF~約150,000RCF、約30,000RCF~約200,000RCF、約30,000RCF~約250,000RCF、約40,000RCF~約50,000RCF、約40,000RCF~約60,000RCF、約40,000RCF~約70,000RCF、約40,000RCF~約80,000RCF、約40,000RCF~約100,000RCF、約40,000RCF~約120,000RCF、約40,000RCF~約150,000RCF、約40,000RCF~約200,000RCF、約40,000RCF~約250,000RCF、約50,000RCF~約60,000RCF、約50,000RCF~約70,000RCF、約50,000RCF~約80,000RCF、約50,000RCF~約100,000RCF、約50,000RCF~約120,000RCF、約50,000RCF~約150,000RCF、約50,000RCF~約200,000RCF、約50,000RCF~約250,000RCF、約60,000RCF~約70,000RCF、約60,000RCF~約80,000RCF、約60,000RCF~約100,000RCF、約60,000RCF~約120,000RCF、約60,000RCF~約150,000RCF、約60,000RCF~約200,000RCF、約60,000RCF~約250,000RCF、約70,000RCF~約80,000RCF、約70,000RCF~約100,000RCF、約70,000RCF~約120,000RCF、約70,000RCF~約150,000RCF、約70,000RCF~約200,000RCF、約70,000RCF~約250,000RCF、約80,000RCF~約100,000RCF、約80,000RCF~約120,000RCF、約80,000RCF~約150,000RCF、約80,000RCF~約200,000RCF、約80,000RCF~約250,000RCF、約100,000RCF~約120,000RCF、約100,000RCF~約150,000RCF、約100,000RCF~約200,000RCF、約100,000RCF~約250,000RCF、約120,000RCF~約150,000RCF、約120,000RCF~約200,000RCF、約120,000RCF~約250,000RCF、約150,000RCF~約200,000RCF、約150,000RCF~約250,000RCF、または約200,000RCF~約250,000RCFの最大遠心力で多糖類を遠心分離機にかけることを含む。いくつかの実施形態では、密度勾配は、約20,000RCF、約30,000RCF、約40,000RCF、約50,000RCF、約60,000RCF、約70,000RCF、約80,000RCF、約100,000RCF、約120,000RCF、約150,000RCF、約200,000RCF、または約250,000RCFの間の最大遠心力で多糖類を遠心分離機にかけることを含む。いくつかの実施形態では、密度勾配は、約20,000RCF、約30,000RCF、約40,000RCF、約50,000RCF、約60,000RCF、約70,000RCF、約80,000RCF、約100,000RCF、約120,000RCF、約150,000RCF、または約200,000RCFの間の最大遠心力で多糖類を遠心分離機にかけることを含む。いくつかの実施形態では、密度勾配は、最大で約30,000RCF、約40,000RCF、約50,000RCF、約60,000RCF、約70,000RCF、約80,000RCF、約100,000RCF、約120,000RCF、約150,000RCF、約200,000RCF、または約250,000RCFの最大遠心力で多類糖を遠心分離機にかけることを含む。
【0138】
本開示の細胞の改変
図2に示されるように、有核(「親」)細胞は、1つ以上の外因性因子を発現するように除核前に、または除核後に、またはそれらの組合せで操作され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の外因性生体分子は、標的化部分、膜貫通部分、生体分子自殺スイッチ、または治療剤、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、接着分子、ケモカインもしくは保持受容体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、本明細書に開示される標的組織、細胞、または環境(例えば、対象のリンパ組織)を標的化するように操作される。加えて、または代わりに、得られた除核細胞は、治療剤を発現し、場合によっては分泌するように操作される。いくつかの実施形態では、治療剤は、抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、単一ドメイン抗体)を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞を、投与を必要とする対象に投与して、対象における疾患または疾病を処置することができる。
【0139】
本明細書に記載される親細胞または除核細胞に生体分子(例えば、本明細書に記載される治療剤、膜貫通部分、免疫回避部分、および/または標的化部分)を導入するために、様々な方法が使用され得る。生体分子を親細胞または除核細胞に導入するために使用され得る方法の非限定的な例としては、以下が挙げられる:リポソーム媒介性移入、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルスベースのベクター、レンチウイルスベクター、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、トランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、デンドリマーベースのトランスフェクション、カチオン性ポリマートランスフェクション、細胞圧搾、ソノポレーション、光学トランスフェクション、インフェクション、流体力学的送達、磁気トランスフェクション、ナノ粒子トランスフェクション、またはそれらの組合せ。いくつかの態様では、本明細書に提供される組成物および方法のいずれかの治療剤、ウイルス、抗体、またはナノ粒子を除核細胞に導入することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、除核細胞は、凍結保存、凍結休眠、または凍結乾燥によって保存されている。凍結保存は、除核細胞を凍結することを含み、一方、凍結休眠は、除核細胞を凍結することなく、室温より低い温度で除核細胞を保存することを含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された除核細胞を再構成することができ、再構成された除核細胞は、凍結乾燥されていない除核細胞と同等の生存能を示す。いくつかの実施形態では、凍結乾燥は、成分、細胞を凍らせること、非常に低い圧力(例えば、3000mTorr未満)下で真空を用いて乾燥させることを含む。乾燥成分は、細胞生存能および生物学的機能を維持しながら、昇華をもたらし、細胞を脱水することができる。いくつかの実施形態では、凍結段階は、細胞生存能および安定性、適切な結晶形成、ならびに再構成の速度を維持するために、凍結の持続時間および温度のバランスをとることを含む。物質の三重点は、昇華曲線、融解曲線および気化曲線が出会う温度および圧力である。異なる物質について変化する三重点の達成は、融解ではなく昇華が続く乾燥工程で起こることを確実にする。より速くより効率的な凍結乾燥を促進するために、より大きな氷結晶が好ましいが、これは、昇華中の水蒸気のより速い除去を促進する網目構造を生成物内に形成するからである。より大きな結晶を生成するためには、生成物をゆっくりと凍結させるべきであるか、またはアニーリングと呼ばれるプロセスで温度を上昇および下降させることができる。新鮮なまたは凍結した生きた組織または細胞は、単一の均質な融点(共晶点)を有さず、その結果、材料(細胞または組織)の凍結段階は、材料の固相、液相および気相が共存できる温度および圧力を表すその三重点未満に冷却される。生細胞は、物体または物質の液相および気相の両方が同じ密度を有し、したがって区別できない相図上の臨界点を有する。生成物臨界点温度は、不完全な昇華を反映する一次および二次乾燥中に起こるメルトバックまたはケーク崩壊を防ぐために維持されなければならない。生細胞のような構造の保存が必要とされる物質の場合、大きな氷結晶は有害であり得、細胞壁を破壊する場合があり、これは、ますます乏しい質感および栄養含量の損失をもたらし得る。この場合、材料をその臨界点未満に迅速に下げ、したがって大きな氷結晶の形成を回避するために、凍結は迅速に行われるべきである。細胞または組織の凍結温度は様々であり得るが、一般的には-50℃(-58°F)~-80℃(-112°F)の範囲である。
【0141】
乾燥段階の間、周囲圧力は数ミリバールの範囲まで下げられ、次いで、伝導または放射によって、氷が昇華するための熱が材料に供給される。必要な熱量は、昇華分子の昇華潜熱を用いて計算することができる。この初期乾燥段階では、材料または物質中の水の約95%が昇華する。この段階はしばしば時間がかかり、使用される物質および技術に応じて数日間続くことさえあるが、過剰な熱を加えると材料の構造が迅速に変化し得る。この段階において、圧力は、部分真空の適用を通して制御される。真空は昇華を加速し、それを意図的な乾燥プロセスとして有用にする。低温凝縮器チャンバーおよび/または凝縮器プレートは、水蒸気が再液化および凝固するための表面として使用される。この範囲の圧力では、低い空気密度のために対流効果によって熱を供給することができないことに留意することが重要である。凍結によって誘導される氷は、一次乾燥段階中に除去されるべきであるので、乾燥段階はまた、残りの凍結していない水分子を除去することを目的とする。凍結乾燥プロセスのこの部分は、材料の吸着等温線によって支配される。この段階において、温度は、一次乾燥段階におけるよりも高く上昇し、0℃(32°F)を上回ることさえ可能であり、水分子と凍結材料との間に形成された任意の物理化学的相互作用を破壊する。通常、この段階では、脱着を促進するために圧力も低下する。しかしながら、圧力の増大から利益を得る生成物もある。凍結乾燥プロセスが完了した後、材料を密封する前に、通常、窒素などの不活性ガスで真空を破る。操作の終了時には、生成物中の残留含水量は極めて低く、元の濃度の1%~4%未満の範囲であるべきである。
【0142】
いくつかの実施形態では、除核細胞の凍結乾燥は、細胞生存能および生物学的機能を保持するための凍結乾燥保護剤の使用を含む。凍結乾燥保護剤は、乾燥プロセス中に細胞を保護する試薬、塩、または添加剤の添加を含む。一般的な凍結乾燥保護剤としては、トレハロース、DMSO、メチルセルロース、スクロース、抗酸化剤、ヒトまたは動物血清タンパク質、および細胞ストレスタンパク質が挙げられる。さらに、懸濁液中の細胞内部の凍結保護物質の輸送を増加させるための方法は、凍結乾燥後の細胞の生存能および機能を改善する方法として利用することができる。これらの方法には、エレクトロポレーション、細胞内輸送を増強する試薬の添加、細胞膜上の細孔の発現をアップレギュレートするための細胞の遺伝子改変、および細胞膜の完全性を部分的に破壊し、凍結乾燥保護剤の細胞内輸送を潜在的に促進する機械的マイクロ流体デバイスが含まれる。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される有核細胞は、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)、治療剤、膜貫通部分、異種遺伝子産物、またはそれらの組合せを発現するように改変することができる。いくつかの実施形態では、有核細胞は、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを発現するように改変することができ、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドは、標的化部分、治療剤、膜貫通部分、異種遺伝子産物、またはそれらの組合せをコードする。
【0144】
一態様では、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドを細胞に導入することによって細胞を改変する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、プロモーター、異種遺伝子産物、またはそれらの組合せをコードする。いくつかの実施形態では、方法は、有核細胞の第1のサブセットと、有核細胞の第2のサブセットに由来する除核細胞とを含む組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、有核細胞の第1のサブセットは、異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、方法は、異種遺伝子産物を発現させ、それによって有核細胞の第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導することを含む。異種ポリヌクレオチドは、プラスミド、トランスポゾン、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、CRISPR-Cas技術、ウイルス形質導入などのトランスフェクションによって、除核され得る任意のタイプの細胞、例えば、限定されないが、hTERT固定化間葉系幹細胞に導入することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドはプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、その誘導刺激の存在下でのみ、哺乳動物遺伝子発現に適合し、迅速で強力な遺伝子発現を提供するべきである。関連する自殺遺伝子には、カスパーゼ、「eat me」シグナル、DNA架橋剤、死誘導合成NOTCH受容体、毒素、およびアポトーシス/オートファジー/エントーシス/壊死/ネクロトーシス/フェロトーシス誘導剤が含まれ得るが、これらに限定されない。各プロモーターは、温度、インキュベーション時間、光波長、インデューサー濃度などの点でそれ自体の活性化プロトコルを有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは低体温である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を約40℃未満の温度と接触させることにより誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を約39℃未満の温度と接触させることにより誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を約38℃未満の温度と接触させることにより誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を約37℃未満の温度と接触させることにより誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を約36℃未満の温度と接触させることにより誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を約35℃未満の温度と接触させることにより誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例には、dsrAまたはCIRPが含まれるがこれらに限定されない。
【0147】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは高体温である。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を35℃を越える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を36℃を越える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を37℃を越える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を38℃を越える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を39℃を越える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を40℃を越える温度と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、熱ショックタンパク質70(HSP70)、熱ショックタンパク質90(HSP90)、成長停止およびDNA損傷誘導性遺伝子153(GADD153)、多剤耐性突然変異1(MDR1)、またはサイトメガロウイルス(HSE-CMV)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を分子と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、分子の例として、rtTA、TRE、TetR、Cumate、ラパマイシン、アブシジン酸、IPTG、またはメタロチオネインが含まれるがこれらに限定されない。
【0149】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞を光と接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、CIB1-CRY2またはGAL4-VVDが挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、有核細胞をホルモンと接触させることによって誘導される。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターの例としては、エストラジオール-Gal4が挙げられるがこれに限定されない。
【0151】
いくつかの実施形態では、プロモーターは構成的活性型プロモーターを含む。プロモーターは継続的に活性であるが、自殺は特定の状況下で誘導される。いくつかの実施形態では、構成的活性型プロモーターは、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物の例としては、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物の例としては、FKBPまたはカスパーゼが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、異種遺伝子産物の例としては、抗原が挙げられるがこれに限定されない。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、有核細胞の染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、異種ポリヌクレオチドの例としては、ベクターが挙げられるがこれに限定されない。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される除核細胞は、凍結保存されるか、凍結冬眠されるか、凍結乾燥されるか、またはこれらの組合せであり得る。いくつかの実施形態では、凍結保存された除核細胞は、解凍後、除核細胞は、凍結保存されていない他の同等の除核細胞と同程度に生存可能である。いくつかの実施形態では、凍結乾燥された除核細胞は、凍結乾燥されない他の同等の除核細胞と同程度に生存可能である。いくつかの実施形態では、凍結休眠された除核細胞は、凍結休眠されない他の同等の除核細胞と同程度に生存可能である。
【0153】
処置方法
いくつかの実施形態では、疾患または疾病を処置するための、本明細書に記載される除核細胞、組成物、または医薬組成物を使用する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載の組成物(例えば、治療剤を発現するように操作された除核細胞を含有する医薬組成物)を対象に投与することによって、対象の疾患または疾病を処置することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される除核細胞は、本明細書に開示される治療剤または任意の既存の治療剤で負荷され、トランスフェクトされ、または形質導入され、医薬製剤に製剤化されてもよく、医薬製剤は、本明細書の様々な実施形態に従って対象に送達されてもよい。本明細書に開示される医薬製剤は、本明細書に開示される除核細胞によってカプセル化または発現されない治療剤の投与と比較して、in vivoでの標的細胞または組織への治療剤の生体内分布および/またはホーミングを増加させる。
【0154】
本開示はまた、他の細胞(治療用または天然)との融合パートナーとして除核細胞(天然または除核)を使用して、本明細書に記載の生体分子、例えば治療剤などを増強および/または移入するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、生体分子は、DNA/遺伝子、RNA(mRNA、shRNA、siRNA、miRNA)、ナノ粒子、ペプチド、タンパク質、およびプラスミド、細菌、ウイルス、小分子薬物、イオン、サイトカイン、成長因子、およびホルモンを含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は、融合性部分を発現するように操作される。融合性部分は、膜の融合を促進する任意の生体分子(例えば、糖、脂質、またはタンパク質)であり得る。いくつかの実施形態では、融合部分は融合性タンパク質である。融合タンパク質は、融合タンパク質を発現する除核細胞が標的細胞と融合することを可能にする。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、融合タンパク質を発現する除核細胞と標的細胞との融合を促進し、除核細胞の内容物が標的細胞に入ることを可能にする。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、ウイルスクラスI~IIIまたはHAP2/GCS1またはSNAREなどの異型である。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、EFF-1/AFF-1などのホモレプティックである。融合タンパク質の他の非限定的な例は、Izumo1またはSyncytinである。いくつかの実施形態では、融合タンパク質はウイルスタンパク質である。いくつかの実施形態では、ウイルス由来の融合タンパク質は、VSV-g、hERV-W-ENV(シンサイチン)、またはMV-Ed-F+MV-Ed-H(ヘマグルチニン)である。有核細胞とは異なり、同様のまたは異なる起源の同じまたは別の細胞型への除核細胞の融合は、細胞表面タンパク質、シグナル伝達分子、分泌タンパク質、およびエピジェネティック変化を含むがこれらに限定されない望ましい治療属性を維持しながら、問題のある核移植を欠くユニークな細胞ハイブリッドを生成する。
【0155】
対象
本明細書に開示される方法は、いくつかの実施形態では、組成物(例えば、医薬組成物)を対象に投与または送達することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または疾病(例えば、癌、特発性肺線維症)を有する。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、青年、成人、または高齢の対象である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、少なくとも18歳である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は18歳~約55歳である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は55歳超である。いくつかの実施形態では、対象は18歳~約65歳である。いくつかの実施形態では、対象は65歳超である。いくつかの実施形態では、対象は女性である。いくつかの実施形態では、対象は男性である。いくつかの実施形態では、対象は、免疫無防備状態である、または免疫無防備状態であるリスクが高い。
【0156】
疾患または疾病
本明細書には、本明細書に記載される組成物を対象に投与することによって、対象における疾患または疾病を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態では、投与は、全身投与(例えば、静脈内、吸入など)を含む任意の適切な投与様式による。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、疾患または疾病は、感染症(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、シャーガス病、結核)、神経疾患(例えば、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病)、自己免疫疾患(例えば、糖尿病、クローン病、多発性硬化症、鎌状赤血球貧血)、心血管疾患(例えば、急性心筋梗塞、心不全、難治性狭心症)、眼科疾患、骨格疾患、代謝性疾患(例えば、フェニルケトン尿症、グリコーゲン貯蔵欠乏1A型、ゴーシェ病)、炎症性疾患(例えば、癌、炎症性腸疾患)、または対象における外部病原体もしくは毒素によって引き起こされる疾患を含む。いくつかの実施形態では、疾患または疾病は、特発性肺線維症を含む。いくつかの実施形態では、対象は、そのような除核細胞処置を必要としているか、または必要としていると判定されている。
【0157】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、または任意の他の肺癌型を含む肺癌であり得る。例えば、肺癌には、腺癌、扁平上皮癌、大細胞(未分化)癌、大細胞神経内分泌癌、腺扁平上皮癌、肉腫様癌、肺癌腫瘍、または腺様嚢胞癌が含まれ得る。肺癌の他の非限定的な例としては、リンパ腫、肉腫、良性肺腫瘍、または過誤腫が挙げられる。いくつかの実施形態では、癌は転移性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、異なる組織または供給源から肺に転移した。例えば、肺において見出され得る転移性癌は、乳癌、結腸癌、前立腺癌、肉腫、膀胱癌、神経芽細胞腫、およびウィルムス腫瘍を含み得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の除核細胞は、癌細胞によって発現されるエピトープまたは腫瘍微小環境に関連するエピトープに結合するための本明細書に記載の標的化部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、癌細胞によって発現されるエピトープまたは腫瘍微小環境に関連するエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)のエピトープへの結合は、対象の癌を処置するための治療効果を提供する。いくつかの実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)のエピトープへの結合は、免疫細胞を動員して、癌に対する免疫応答を活性化する。
【0159】
いくつかの実施形態では、除核細胞、および対象における異常な血管系に関連する疾患または疾病を処置するためにこれらの除核細胞を使用する方法が本明細書に記載される。異常な血管系は、炎症および癌などの疾患または疾病と関連し得る(例えば、本明細書に記載の癌のいずれか1つ)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の除核細胞は、異常な血管系と接触すると、異常な血管系の正常化を増加させ、血管系からの血管内因子の漏出を防止するために内皮細胞間の接着が増加する。いくつかの実施形態では、異常な血管系の正常化は、血管系の内皮細胞の細胞死などの損傷の減少を含む。いくつかの実施形態では、異常な血管系の正常化は、未成熟または漏出性血管の血管新生を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞によって及ぼされる正常化は、血管、リンパ管、またはそれらの組合せの正常化を含むことができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、疾患または疾病は、病原体によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の除核細胞は、病原体によって発現されるエピトープまたは病原体に関連する微小環境に関連するエピトープに結合する抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは単一ドメイン抗体を含む。場合によっては、抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは単一ドメイン抗体のエピトープへの結合は、病原体に対する治療特性を付与する。いくつかの実施形態では、抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは単一ドメイン抗体のエピトープへの結合は、免疫細胞を動員して免疫応答を活性化し、病原体に対する治療特性を付与する。例えば、疾患また疾病は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、または解毒に起因する分子によって引き起こされ得る。いくつかの実施形態では、病原体は、個人から個人に播種または伝送される場合があり、高い死亡率をもたらし、公衆衛生への大きな影響の可能性を有しており、社会的なパニックおよび社会的混乱を引き起こす場合があり、そして、公衆衛生準備のための特別な行動を必要とする。これらの病原体の例としては、炭疽(炭疽菌)、ボツリスム(ボツリヌス菌毒素)、ペスト(ペスト菌)、天然痘(大痘瘡)、野兎病(野兎病菌)、またはフィロウイルス(Ebola、Marburg)およびアレナウイルス属(Lassa、Machupo)を含むウイルス性出血熱が含まれる場合がある。
【0161】
いくつかの実施形態では、病原体は、播種性である場合があり、中程度の罹患率と低い死亡率をもたらす場合があるため、診断能力の具体的な増強および疾患監視の増強を必要とする。これらの病原体の例としては、ブルセラ症(ブルセラ属種(Brucella species))、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)のエプシロン毒素、Food safety threats(例えば、サルモネラ属種(Salmonella species)、大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、または赤痢菌(Shigella))、鼻疽(鼻疽菌(Burkholderia mallei))、類鼻疽(類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei))、オウム病(オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci))、Q熱(コクシエラ・バーネティー(Coxiella burnetii))、Ricinus commmunis(キャストル豆)に由来するリシン毒素、ブドウ球菌エンテトキシンB、チフス熱(発疹チフスリケッチア(Rickettsiaprowazeki))、ウイルス性脳炎(東部ウマ脳炎、ベネズエラウマ脳炎、および西部ウマ脳炎などのアルファウイルス)、またはWater safety threats(例えば、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)およびクリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum))が挙げられる。
【0162】
いくつかの実施形態では、病原体は、死亡率および罹患率の高い可能性を有する新生病原体を含み得るが、その広がりは完全には理解されていない。これらの病原体の非限定的な例には、二パウイルスおよびハンタウイルスが含まれ得る。
【0163】
本明細書に記載される除核細胞、またはそのような除核細胞を含有する組成物(このセクションでは「組成物」と称される)は、意図される効果に応じて、好適な用量、投与様式、および頻度で対象に投与され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、組成物は、ある期間(例えば、2日毎、週2回、週1回、毎週、月3回、月2回、1か月に1回、2か月毎、3か月毎、4か月毎、5か月毎、6か月毎、7か月毎、8か月毎、9か月毎、10か月毎、11か月毎、1年に1回)中に少なくとも1回投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、ある期間中に2回以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100回)投与される。
【0165】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、経口または局所投与を含む様々な形態および経路によって治療有効量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、非経口、静脈内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、脳内、くも膜下、眼内、胸骨内、眼、内皮、局所、鼻腔内、肺内、直腸、動脈内、髄腔内、吸入、病巣内、皮内、硬膜外、嚢内、嚢下、心臓内、経気管、皮下、くも膜下、または脊髄内投与、例えば、注射または注入によって投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜投与)を通した吸収によって投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、複数の投与経路を介して送達される。
【0166】
いくつかの実施形態では、組成物は静脈内注入によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、24時間超などの長期間にわたるゆっくりとした連続注入によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内注射または短期注入として投与される。
【0167】
組成物は、局所様式で、例えば、任意選択でデポー製剤または持続放出製剤またはインプラントで、薬剤を臓器に直接注射することによって投与することができる。組成物は、急速放出製剤の形態で、持続放出製剤の形態で、または中間放出製剤の形態で提供され得る。急速放出形態は、即時放出を提供し得る。持続放出製剤は、制御放出または持続遅延放出を提供し得る。。いくつかの実施形態において、ポンプは、組成物の送達のために使用され得る。いくつかの実施形態では、ペン送達デバイスは、例えば、本開示の組成物の皮下送達のために使用され得る。本明細書に提供される組成物は、他の療法、例えば、抗ウイルス療法、化学療法、抗生物質、細胞療法、サイトカイン療法、または抗炎症剤と併せて投与され得る。
【0168】
組成物(例えば、本明細書に記載の除核細胞または除核細胞を含む医薬組成物)は、疾患または状態の発生前、発生中、または発生後に投与することができ、治療剤を含有する組成物を投与するタイミングは変化し得る。場合によっては、組成物は、予防薬として使用され得、コロナウイルスに対する感受性またはコロナウイルスに関連する疾病もしくは疾患に対する傾向を有する対象(例えば、免疫化の対象または処置の対象)に連続的に投与され得る。予防的投与は、感染症、疾患もしくは疾病の発生の可能性を減少させ得るか、または感染症、疾患もしくは疾病の重症度を減少させ得る。
【0169】
組成物は、症状の発症前に対象に投与され得る。組成物は、試験結果、例えば、診断を提供する試験結果、対象(例えば、免疫化の対象または処置の対象)におけるコロナウイルスの存在を示す試験、または疾病の進行、例えば、血中酸素レベルの低下を示す試験の後に(例えば、できるだけ後に)対象(例えば、免疫化の対象または治療の対象)に投与され得る。組成物は、疾患または疾病の発症が検出または疑われた後(例えば、実施可能になるとすぐに、)に投与され得る。組成物は、コロナウイルスへの潜在的曝露の後(例えば、実施可能になるとすぐに、)、例えば、対象(例えば、免疫化の対象または処置の対象)が感染した対象と接触した後、または感染性であり得る感染した対象と接触したことを知った後に投与され得る。
【0170】
本開示の薬剤の実際の投与量レベル(例えば、抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または治療剤)は、特定の対象、組成物、および投与様式に対する所望の治療応答を達成する薬剤の量を得るために、対象(例えば、免疫化の対象または処置の対象)に対して毒性を伴わずに変化させることができる。選択される投与量レベルは、本明細書で使用される特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、排泄速度、治療期間、使用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料、年齢、性別、体重、状態、治療される患者の全般的な健康状態および以前の病歴、ならびに医学分野で周知の同様の要因を含む様々な薬物動態因子に依存し得る。
【0171】
投与レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療および/または予防応答)を提供するように調整することができる。例えば、単回ボーラスを投与してもよく、いくつかの分割用量を経時的に投与してもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように、用量を比例的に減少または増加させてもよい。投与の容易さおよび投与量の均一性のために、非経口組成物を投与単位形態で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は対象のための単位用量(例えば、免疫化のための対象または処置のための対象)として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性剤を、必要とされる医薬担体と共に含有する。本開示の単位剤形の仕様は、(a)活性剤の独特の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性の治療のためにそのような活性剤を配合する技術分野に固有の制限によって決定され得、それらに直接依存し得る。用量は、環状ポリリボヌクレオチドまたは抗体またはその抗原結合フラグメントの血漿中濃度または局所濃度を参照して決定することができる。用量は、線状ポリリボヌクレオチドまたは抗体またはその抗原結合フラグメントの血漿中濃度または局所濃度を参照して決定することができる。
【0172】
本明細書に記載の組成物は、正確な投与量の単回投与に適した単位剤形であり得る。単位剤形では、製剤は、適切な量の組成物を含有する単位用量に分割され得る。単位剤形では、製剤は、適切な量の1つ以上の直鎖状ポリリボヌクレオチド、抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよび/または治療剤を含有する単位用量に分割され得る。単位投与量は、製剤の離散量を含む包装の形態であってもよい。非限定的な例は、包装された注射剤、バイアル、およびアンプルである。本明細書に開示される水性懸濁液組成物は、単回用量の再閉鎖不可能な容器に包装され得る。複数回用量の再閉鎖可能な容器は、例えば、防腐剤と組み合わせて、または防腐剤なしで使用され得る。本明細書に開示される注射用製剤は、単位剤形で、例えば、アンプルで、または防腐剤を含む複数回用量容器で存在し得る。
【0173】
用量は、対象(例えば、予防接種をする対象または処置する対象)の体重1キログラム当たりの薬剤の量に基づく場合がある。薬剤(例えば、抗体)の用量は、10~3000mg/kg、例えば、100~2000mg/kg、例えば、300~500mg/kg/日を1~10または1~5日間、例えば、400mg/kg/日を3~6日間、例えば、1g/kg/日を2~3日間の範囲にある。いくつかの実施形態では、用量は、対象の体重1キログラム当たりの除核細胞の数に基づく場合がある。いくつかの実施形態では、用量は、約1,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重の間の量の投与量で投与される場合がある。いくつかの実施形態では、用量は、約1000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞kg体重~約10,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約100,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約1,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約10,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約100,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約1,000,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約1,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約100,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約1,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約10,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約100,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約1,000,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約10,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg体重~約1,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg体重~約10,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg体重~約100,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞kg体重~約1,000,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000細胞/kg体重~約10,000,000細胞/kg体重、約1,000,000細胞/kg体重~約100,000,000細胞/kg体重、約1,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000細胞/kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000細胞kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重~約100,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000,000細胞/kg体重~約10,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約1,000,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000,000細胞/kg体重~約100,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重、または約100,000,000,000細胞/kg体重~約1,000,000,000,000細胞/kg体重の間の量の投与量で投与される場合がある。いくつかの実施形態では、用量は、約1000細胞/kg体重~約1000000000000細胞/kg体重、約1,000細胞kg体重、約10,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg、体重約1,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重、約1,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000,000細胞/kg体重、約100,000,000,000細胞/kg体重、または約1,000,000,000,000細胞/kg体重の間の量の投与量で投与される場合がある。いくつかの実施形態では、用量は、約1000細胞/kg体重~約1000000000000細胞/kg体重、少なくとも約1,000細胞kg体重、約10,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg、体重約1,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重、約1,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000,000細胞/kg体重、または約100,000,000,000細胞/kg体重の間の量の投与量で投与される場合がある。いくつかの実施形態では、用量は、約1000細胞/kg体重~約1000000000000細胞/kg体重、最大約10,000細胞/kg体重、約100,000細胞/kg、体重約1,000,000細胞/kg体重、約10,000,000細胞/kg体重、約100,000,000細胞/kg体重、約1,000,000,000細胞/kg体重、約10,000,000,000細胞/kg体重、約100,000,000,000細胞/kg体重、または約1,000,000,000,000細胞/kg体重の間の量の投与量で投与される場合がある。いくつかの実施形態では、核のない細胞は、少なくとも1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、1日、2日、一週間、2週間、3週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、1年、2年、3年、または4年以内に2度対象に投与される。
【0174】
本明細書には、組成物または医薬組成物を、投与を必要とする対象に繰り返し投与する方法が開示される。いくつかの実施形態では、除核細胞を含む組成物または医薬組成物の第1の投与は、血管またはリンパ管を正常化する。いくつかの実施形態では、同じ除核細胞を含む組成物または医薬組成物は、血管またはリンパ管の正常化を維持するため、および本明細書に記載される疾患または疾病を処置するための外因性薬剤の送達のために、続けて対象に投与することができる。
【0175】
キット
いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物を使用するためのキットが本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるキットは、対象における疾患または疾病を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態では、キットは、組成物とは別の材料または成分の集合体を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の有核細胞(例えば、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を発現するように操作された有核細胞)、治療剤、膜貫通部分、免疫回避部分、異種遺伝子産物、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、キットは、有核細胞から得られた除核細胞を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、有核細胞および有核細胞から得られた除核細胞の混合集団を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、実質的に純粋な除核細胞の集団を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、少なくとも1つの密度勾配で懸濁された有核細胞、除核細胞、またはそれらの組合せを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、キットは、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)、治療剤、膜貫通部分、免疫回避部分、異種遺伝子産物、またはそれらの組合せを発現する(場合によっては分泌する)ように操作された除核細胞を含む、本明細書に開示される医薬製剤を含む。いくつかの実施形態では、除核細胞は、対象における疾患または疾病を処置するための免疫チェックポイント分子または免疫チェックポイント阻害剤などの治療剤を発現または分泌する。いくつかの実施形態では、除核細胞は、ケモカイン受容体、インテグリンシグナル伝達分子、または抗体もしくはその抗原結合フラグメントなどの標的化部分を発現するようにさらに操作され、これは、除核細胞が、投与されると、対象の標的組織に効率的に遊走することを可能にする。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示されるものなどの追加の治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、癌などの対象における疾患または疾病を処置するために医薬製剤および/または追加の治療剤を対象に投与するための説明書をさらに含む。いくつかの実施形態では、癌は肺組織の癌を含む。いくつかの実施形態では、癌は肺癌である。
【0177】
いくつかの実施形態では、キットは、有核細胞または他の細胞残屑から除核細胞を精製するための構成要素を含む。例えば、キットは、除核細胞を単離および精製するための異なる孔径を有するフィルター膜を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、除核細胞を染色および選択するための構成要素を含む。例えば、キットは、核を染色するための蛍光色素を含むことができ、有核細胞を染色し、選択的に除去して、除核細胞の集団を残すことができる。いくつかの実施形態では、キットは、有核細胞の細胞死を誘導するための構成要素を含む。例えば、キットは、有核細胞の細胞死を誘導するための本明細書に記載の異種遺伝子産物の発現を誘導するための分子を含むことができる。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキットは、除核細胞の均質な集団を選択するための構成要素を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のキットは、除核細胞の異種集団を選択するための構成要素を含む。いくつかの実施形態では、キットは、除核細胞によって合成され、および/または表面上に放出もしくは発現された生体分子(例えば、治療剤)の単位の数をアッセイするための構成要素を含む。いくつかの実施形態では、キットは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、単分子アレイ(Simoa)、PCR、およびqPCRなどのアッセイを行うための構成要素を含む。キットにおいて構成される成分の正確な性質は、その意図される目的に依存する。例えば、いくつかの実施形態は、対象において本明細書に開示される疾患または状態(例えば、癌)を治療する目的のために構成される。いくつかの実施形態では、キットは、特に、哺乳動物被験体を処置する目的で構成される。いくつかの実施形態では、キットは、特に、ヒト対象を処置する目的で構成される。
【0179】
使用説明書がキットに含まれ得る。いくつかの実施形態では、キットは、投与を必要とする対象に組成物を投与するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、生体分子(例えば、治療剤)を発現するように組成物をさらに操作するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、保存または輸送中に凍結保存、凍結乾燥、または凍結休止されていてもよい組成物の生物学的活性を解凍または他の方法で回復させる説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、その意図される目的(例えば、対象を処置するために使用される場合の治療有効性)に対する有効性を確実にするために、復元された組成物の生存能を測定するための説明書を含む。
【0180】
任意選択で、キットはまた、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容される担体、シリンジ、カテーテル、アプリケータ、ピペッティングツールもしくは測定ツール、包帯材料、または他の有用なパラフェルマなどの他の有用な成分を含む。キットにおいて組み立てられた物質または構成要素は、それらの操作性と有用性を維持する好都合かつ適切な方法で保管されて、従事者に提供され得る。例えば、構成要素は、溶解された形態、脱水された形態、または凍結乾燥された形態の場合があり、室温、冷蔵温度、または冷凍温度で提供され得る。構成要素は適切な包装材料に含まれる。
【0181】
定義
絶対的または連続的な用語、例えば、「~するであろう(will)」、「しないであろう(will not)」、「~するものとする(shall)」、「~しないものとする(shall not)」、「~しなければならない(must)」、「~してはならない(must not)」、「最初に(first)」、「当初(initially)」、「次に(next)」、「その後(sequently)」、「~の前(before)」、「~の後(after)」、「最後に(lastly)」、および「最終的な(final)」の使用は、本明細書に開示された本実施形態の範囲を限定するものではなく、例示として意図されている。
【0182】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が他に明白に示していない限り、複数形を同様に含むことが意図されている。さらに、「含むこと(including)」、「含む(includes)」「有すること(having)」、「有する(has)」、「とともに(with)」という用語またはその変形が、詳細な記載および/または請求項のいずれかで使用される程度まで、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語に類似した方法で含まれるように意図されている。
【0183】
本明細書で使用されるように、「少なくとも1つ」、「1つ以上」、および、「および/または」という表現は、作動時に接続的および離接的の両方であるオープンエンドな表現である。例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つ」、「A、B、またはCの少なくとも1つ」、「A、B、およびCの1つ以上」、「A、B、またはCの1つ以上」、および「A、B、および/またはC」という表現のそれぞれは、A単独、B単独、C単独、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、またはA、B、およびCを一緒にということを意味する。
【0184】
本明細書で使用されるとき、「または」は、「および」、「または」、または「および/または」を指し、排他的かつ包含的に使用されてもよい。例えば、「AまたはB」という用語は、「AまたはB」、「AだがBではない」、「BだがAではない」、および「AおよびB」を指すことがある。場合によっては、文脈が特定の意味を指示することがある。
【0185】
本明細書に記載される任意のシステム、方法、ソフトウェア、およびプラットフォームは、モジュール式である。したがって、「第1の」および「第2の」などの用語は、必ずしも優先順位、重要性の順序、または行為の順序を意味するものではない。
【0186】
数または数値範囲に言及する際の「約(about)」という用語は、言及される数または数値範囲が実験の変動性内の(または統計的な実験誤差内の)概算であること、数または数値範囲が明示された数または数値範囲の例えば、1%~15%で変動し得ることを意味している。実施例では、「約」という用語は、明示された数または値の±10%を指す。
【0187】
「増加した(increased)」、「増加している(increasing)」、または「増加(increase)」という用語は一般的に、統計的に有意な量の増加を意味するために本明細書で使用される。いくつかの実施形態では、「増加した」または「増加」との用語は、基準レベルと比較して少なくとも10%の増加、例えば、基準レベル、標準、または対照と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または最大で100%の増加、あるいは10~100%の間の任意の増加を意味する。「増加」の他の例としては、基準レベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれ以上の増加が挙げられる。
【0188】
「減少した(decreased)」、「減少している(decreasing)」、または「減少(decrease)」という用語は一般的に、統計的に有意な量の減少を意味するように本明細書では使用される。いくつかの実施形態において、「減少した」または「減少」は、基準レベルと比較して少なくとも10%の減少、例えば、基準レベルと比較して、少なくとも約20%、または少なくとも約30%、または少なくとも約40%、または少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または最大で100%の減少(基準レベルと比較して非存在レベルまたは検出不可能レベル)、あるいは10~100%の間の任意の減少を意味する。マーカーや症状の文脈では、これらの用語は、そのようなレベルの統計的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%またはそれ以上であり得、所定の疾患のない個体の正常範囲内であると認められるレベルまで減らされることが好ましい。「減少」の他の例としては、基準レベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、またはそれ以上の減少が挙げられる。
【0189】
「個体」または「対象」という用語は交換可能に使用され、哺乳動物を包含する。哺乳動物の非限定的な例には、哺乳類のクラスのあらゆるメンバーが含まれ、ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の類人猿ならびにサル類、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含む。哺乳動物はヒトであり得る。本明細書で使用されるような「動物」との用語は、ヒトおよびヒト以外の動物を含む。1つの実施形態では、「ヒト以外の動物」は哺乳動物、例えば、ラットまたはマウスなどのげっ歯類である。本明細書で使用されるとき、「患者」は、本明細書に記載の疾患または疾病を有するか、またはそれと診断された対象を指す。
【0190】
本明細書で使用される「免疫回避部分」という用語は、マクロファージおよび樹状細胞などの食細胞によって発現されるシグナル受容体タンパク質とのその相互作用によって細胞食作用を低減するシグナル伝達ペプチドまたはその部分を指す。いくつかの実施形態では、免疫回避部分は、免疫細胞認識または免疫細胞活性化を遮断する。
【0191】
本明細書で使用される「標的化部分」という用語は、例えば除核細胞などの細胞を標的組織または細胞に誘導する実体を指す。標的化部分は、タンパク質、ポリペプチド、糖、核酸、もしくは小分子、またはそれらの部分を含む、事実上任意の生体分子であり得る。
【0192】
本明細書で使用される「膜貫通部分」という用語は、細胞(例えば、除核細胞)の細胞膜に(少なくとも部分的に)広がる実体を指す。
【0193】
「発現」または「発現する」という用語は、ポリヌクレオチドがDNA鋳型から(mRNAまたは他のRNA転写物などに)転写される1つまたは複数のプロセス、および/または転写されたmRNAが続いてペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写産物およびコードされたポリペプチドはまとめて「遺伝子産物」と呼ばれることがある。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は真核細胞中にmRNAのスプライシングを含むことがある。発現に関して、「アップレギュレートされる」は一般に、野生型状態におけるその発現レベルと比較してポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)および/またはポリペプチド配列の発現レベルの増加を指し、「ダウンレギュレート」は一般に、野生型状態におけるその発現と比較してポリヌクレオチド(例えば、mRNAなどのRNA)および/またはポリペプチド配列の発現レベルの減少を指す。
【0194】
本明細書で使用される場合、「細胞」は、一般に生物学的細胞を指す。
【0195】
本明細書で使用される場合、「核形成」は、例えば、核の除去を介するなどして、細胞を非複製状態にすることである。
【0196】
本明細書で使用される場合、用語「細胞質体」、「核のない細胞」、または「有核細胞」は、以前に有核された細胞(例えば、本明細書に記載される任意の細胞)から得られた無核細胞を指すために交換可能に使用される。いくつかの実施形態では、有核細胞は、細胞小器官を含み、有核細胞に由来する細胞質は、そのような小器官を保持し、これは、場合によっては、細胞運動性、タンパク質合成、タンパク質分泌などの細胞機能を可能にする。いくつかの態様において、「得る」は、自然過程または他の方法を用いて有核細胞を除核細胞に分化させることを含まない。
【0197】
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、個々のタンパク質またはRNAをコードする核酸のセグメント(「コード配列」または「コード領域」とも呼ばれる)を指し、任意選択で、コード配列の上流または下流に位置し得るプロモーター、オペレーター、ターミネーターなどの関連する調節領域を伴う。用語「遺伝子」は広く解釈されるべきであり、遺伝子のmRNA、cDNA、cRNAおよびゲノムDNA形態を包含し得る。
【0198】
いくつかの使用では、「遺伝子」という用語は、5’および3’非翻訳領域(5’-UTRおよび3’-UTR)、エクソンおよびイントロンを含む転写配列を包含する。いくつかの遺伝子において、転写領域は、ポリペプチドをコードする「オープンリーディングフレーム」を含み得る。この用語のいくつかの使用では、「遺伝子」は、ポリペプチドをコードするために必要なコード配列(例えば、「オープンリーディングフレーム」または「コーディング領域」である)のみを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子は、ポリペプチドをコードせず、例えば、リボソームRNA遺伝子(rRNA)および転移RNA(tRNA)遺伝子である。いくつかの実施形態において、「遺伝子」という用語は、転写された配列だけでなく、加えて、上流および下流の調節領域、エンハンサーおよびプロモーターを含む非転写領域も含む。用語「遺伝子」は、遺伝子のmRNA、cDNAおよびゲノム形態を包含し得る。
【0199】
「包装材料」という用語は、組成物などのキットの内容物を収容するために使用される1つ以上の物理構造を指す。包装材料は、好ましくは、無菌で汚染物質を含まない環境を提供するために、周知の方法で構築される。キットに利用される包装材料は、遺伝子発現アッセイおよび処置の投与において慣習的に利用されるものである。
【0200】
本明細書で使用されるように、「包装」という用語は、個々のキットの構成要素を保持することができる、ガラス、プラスチック、紙、ホイルなどの適切な固体マトリクスまたは固体物質を指す。例えば、包装は、適切な量の医薬品を含有するために使用されるガラスバイアルまたはプレフィルドシリンジであり得る。包装材料は、キットならびにその構成要素の内容および/または目的を示す外部ラベルを有する。
【0201】
「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、および「核酸」という用語は、一本鎖、二本鎖、または多鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、あるいはそれらのアナログの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指すために交換可能に使用される。ポリヌクレオチドは、細胞に対して外来性であっても内因性であってもよい。ポリヌクレオチドは、細胞を含まない環境において存在することができる。ポリヌクレオチドは、遺伝子またはその断片であってもよい。ポリヌクレオチドはDNAであってもよい。ポリヌクレオチドはRNAであってもよい。ポリヌクレオチドは任意の三次元構造を有し得、任意の未知または既知の機能を行い得る。ポリヌクレオチドは1つ以上のアナログ(例えば、変化した骨格、糖、または核酸塩基)を含む。ポリヌクレオチドの非限定的な例としては、遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座(複数の遺伝子座)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、無細胞DNA(cfDNA)と無細胞RNA(cfRNA)を含む無細胞ポリヌクレオチド、核酸プローブ、およびプライマーが挙げられる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断されてもよい。
【0202】
本明細書で使用される場合、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーへの参照において本明細書にて互換的に使用される。タンパク質は、コーディングオープンリーディングフレームから翻訳されるような、または、その成熟形態へと処理されるような完全長ポリペプチドを指し得る一方で、ポリペプチドまたはペプチドは、それでもなお特定のタンパク質へと一意的又は確認可能にマッピングされるタンパク質の分解フラグメントまたは処理フラグメントを指し得る、ポリペプチドは、隣接したアミノ酸残基のカルボキシル基とアミノ基との間のペプチド結合により共に結合される、アミノ酸の単一の線状ポリマー鎖であり得る。ポリペプチドは、例えば、炭水化物の追加やリン酸化などにより修飾され得る。
【0203】
本明細書で使用される場合、用語「フラグメント」、「部分」、または同等の用語は、実体の全長未満を有し、任意選択で、実体の機能を維持する、実体の一部分を指してもよい。いくつかの実施形態では、実体はタンパク質である。
【0204】
「相補的」、「相補的」、「相補的」、および「相補性」という用語は、本明細書で使用される場合、概して、所与の配列に完全に相補的であり、かつそれにハイブリダイズ可能である配列を指す。場合によっては、所与の核酸とハイブリダイズした配列は、所与の領域上の塩基のその配列が、例えば、A-T、A-U、G-C、およびG-U塩基対が形成されるように、その結合パートナーのものに相補的に結合することができる場合、所与の分子の「相補体」または「逆相補体」と呼ばれる。一般に、第2の配列にハイブリダイズ可能である第1の配列は、第2の配列または第2の配列のセットへのハイブリダイゼーションがハイブリダイゼーション反応中の非標的配列とのハイブリダイゼーションよりも好ましいように、第2の配列に特異的または選択的にハイブリダイズ可能である(例えば、関連分野で使用されるストリンジェントな条件などの所与の条件セット下で熱力学的により安定である)。典型的には、ハイブリダイズ可能な配列は、少なくとも約25%以上、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および100%の配列相補性を含む、25%~100%の相補性のようなそれぞれの長さのすべてまたは一部にわたって、の配列相補性の程度を共有している。配列同一性は、例えば、パーセント相補性を評価する目的で、限定されないが、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで入手可能なEMBOSSニードルアライナーを参照)、BLASTアルゴリズムを含む、任意の好適なアラインメントアルゴリズムによって測定され得る。最適なアラインメントは、デフォルトパラメータを含む選択されたアルゴリズムの任意の適切なパラメータも使用して評価されてもよい。
【0205】
本明細書で使用される「パーセント(%)同一性」という用語は、一般に、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して最大パーセント同一性(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために候補配列および参照配列の一方または両方に導入され得、非相同配列は、比較目的のために無視され得る)を達成した後の、参照配列のアミノ酸(または核酸)残基と同一である候補配列のアミノ酸(または核酸)残基のパーセントを指す。アラインメントは、同一性パーセントを決定する目的で、関連分野で公知の様々な方法で達成することができる。2つの配列の同一性パーセントは、BLASTを用いて試験配列を比較配列と整列させ、比較配列の同じ位置のアミノ酸またはヌクレオチドと同一である整列させた試験配列中のアミノ酸またはヌクレオチドの数を決定し、同一アミノ酸またはヌクレオチドの数を比較配列中のアミノ酸またはヌクレオチドの数で割ることによって計算することができる。
【0206】
本明細書で使用される場合、「in vivo」という用語は、対象の身体などの生物において起こる事象を説明するために使用され得る。
【0207】
本明細書で使用される場合、「ex vivo」という用語は、対象の身体などの生物の外部において起こる事象を説明するために使用され得る。「ex vivo」アッセイは、対象に対して行うことができない。むしろ、それは、対象から分離した試料に対して行われる場合がある。ex vivoは、対象の体外の無傷細胞において生じる事象を説明するために使用され得る。
【0208】
本明細書で使用される場合、用語「in vitro」は、物質が獲得される生物源の生体から実験用試薬が分離されるように実験用試薬を保持するための容器に生じる事象を説明するために使用され得る。in vitroのアッセイは、生きているまたは死んでいる細胞が利用される、細胞ベースのアッセイを包含し得る。in vitroのアッセイはまた、無傷の細胞が利用されない無細胞のアッセイを包含し得る。
【0209】
「処置する」、「処置すること」、または「処置」は、本明細書で使用される場合、障害、疾患、もしくは疾病を軽減または抑止することを指すか、または、障害、疾患、もしくは疾病に関連した1つ以上の症状を軽減または抑止するか、または、障害、疾患、もしくは疾病自体の原因を緩和または根絶することを含むことを意味する。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的帰結の減少、転移の予防、疾患進行速度の減少、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0210】
用語「有効量」および「治療有効量」は、本明細書において互換的に使用される場合、一般に、組成物、例えば、本開示の系を含むリンパ球(例えば、Tリンパ球および/またはNK細胞)などの免疫細胞を含む組成物の、それを必要とする対象への投与時に所望の活性をもたらすのに十分な量を指す。本開示の文脈において、「治療上有効な」という用語は、本開示の方法によって処置される障害の徴候を遅延させ、進行を停止させ、少なくとも1つの症状を軽減または緩和するのに十分な組成物の量を指す。
【0211】
用語「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」、または「生理学的に許容される賦形剤」は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指す。構成要素は、医薬製剤の他の成分と適合しているという意味で「薬学的に許容可能」であり得る。それはまた、合理的なベネフィット・リスク比に釣り合った、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、免疫原性、または他の問題あるいは合併症のないヒトおよび動物の組織または臓器に接する使用に適したものであり得る。
【0212】
本明細書で使用される場合、「投与」、「投与する」という用語およびその変形は、組成物または薬剤を対象に導入することを意味し、組成物または薬剤の同時および連続導入を含む。対象への組成物または薬剤の導入は、経口、肺、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、直腸、リンパ内、または局所を含む、任意の好適な経路による。投与には、自己投与および他者による投与が含まれる。適切な投与経路は、組成物または薬剤がその意図される機能を果たすことを可能にする。例えば、適切な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物または薬剤を対象の静脈に導入することによって投与される。投与は、任意の適切な経路によって行われ得る。いくつかの実施形態では、投与は静脈内投与である。いくつかの実施形態では、投与は肺投与である。いくつかの実施形態では、投与は吸入である。
【0213】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示される組成物と、希釈剤または担体(例えば、薬学的に許容される不活性成分)、例えば、担体、賦形剤、結合剤、充填剤、懸濁剤、香味剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、可溶化剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤浸透促進剤、湿潤剤、消泡剤、抗酸化剤、保存剤、またはそれらの1つ以上の組合せなどの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は生物への組成物の投与を容易にし得る。経口投与、注入、エアロゾル投与、非経口投与、および局所投与を含むがこれらに限定されない化合物を投与する複数の技術が当該技術分野に存在している。
【0214】
本明細書で使用される「融合タンパク質」という用語は、除核細胞などの細胞の表面上で発現される場合、融合タンパク質を発現する細胞の細胞間膜と標的細胞との融合を促進するポリペプチドを指す。
【0215】
本発明概念の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態はほんの一例として提供されるに過ぎないことが当業者には明らかであろう。本発明概念が明細書内で提供される特定の例によって制限されることは意図されていない。本発明概念は前述の明細書に関して記載されているが、本明細書中の実施形態の記載および例示は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。当業者であれば、多くの変形、変更、および置換が、本発明概念から逸脱することなく思い浮かぶであろう。さらに、本発明概念のすべての態様は、様々な条件および変数に依存する、本明細書で説明された特定の描写、構成、または相対的な比率に限定されないことが理解されよう。本明細書に記載される本発明概念の実施形態の様々な代替案が、本発明概念の実施に際して利用され得ることを理解されたい。それゆえ、本発明概念は、いかなるそのような代替物、修正物、変形物、または同等物にも及ぶものと企図される。以下の特許請求の範囲は本発明概念の範囲を定義し、この特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにその均等物がそれによって包含されることが意図されている。
【0216】
実施形態
実施形態1:
a)有核細胞を含む組成物を提供する工程と、
b)連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程であって、有核細胞の一部が、有核細胞の約70%以上を含む、工程とを含む、細胞処理のための方法。
【0217】
実施形態2:本明細書中a)で提供される組成物が、約10ミリミットル(mL)以上~約10000mLの間を含む体積を有する、実施形態1に記載の方法。
【0218】
実施形態3:組成物が、約10mL以上、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約80mL、約100mL、約200mL、約300mL、約500mL、約1000mL、約2000mL、約3000mL、約4000mL、約5000mL、約6000mL、約7000mL、約8000mL、約9000mL、または約10000mLを含む体積を有する、実施形態2に記載の方法。
【0219】
実施形態4:連続流遠心分離により、組成物中の有核細胞から除核細胞画分を分離する密度勾配を作製する、実施形態1に記載の方法。
【0220】
実施形態5:密度勾配が多糖類密度勾配を含む、実施形態4に記載の方法。
【0221】
実施形態6:多糖類密度勾配がフィコール密度勾配を含む、実施形態5に記載の方法。
【0222】
実施形態7:フィコール密度勾配が、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、または少なくとも7つの範囲の密度勾配を含む、実施形態6に記載の方法。
【0223】
実施形態8:フィコール密度勾配が、約25%フィコール、約17%フィコール、約16%フィコール、約15%フィコール、または約12.5%フィコールを含む、実施形態7に記載の方法。
【0224】
実施形態9:有核細胞の一部が有核細胞の約75%以上を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
実施形態10:有核細胞の一部が除核細胞の約80%以上を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
実施形態11:有核細胞の一部が除核細胞の約90%以上を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
実施形態12:連続流遠心分離を一回実施することによって生成された除核細胞画分が、約(i)6×107の除核細胞、(ii)7×107の除核細胞、(iii)8×107の除核細胞、(iv)9×107の除核細胞の(v)10×107の除核細胞、(vi)15×107の除核細胞、(vii)20×107の除核細胞、(viii)50×107の除核細胞、(ix)100×107の除核細胞、(x)150×107の除核細胞、(xi)200×107の除核細胞、または(xii)250×107の除核細胞以上を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
実施形態13:少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約40分、または少なくとも約50分間に及ぶ加速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成する工程をさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0229】
実施形態14:約10分、約20分、約30分、約40分、または約50分間に及ぶ加速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成する工程をさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0230】
実施形態15:約30分間に及ぶ加速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成する工程をさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0231】
実施形態16:b)の除核する工程は、最小限の減速で多糖類を遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を生成することをさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0232】
実施形態17:b)の除核する工程は、多糖類を約30000相対遠心力(RCF)~約200000RCFの最大遠心力で遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を作製することをさらに含む、実施形態6に記載の方法。
【0233】
実施形態18:b)の除核する工程は、多糖類を約50000RCF~約120000RCFの最大遠心力で遠心分離機にかけることを含む、密度勾配を作製することをさらに含む、実施形態17に記載の方法。
【0234】
実施形態19:b)における、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程は、超遠心分離機を使用して実施される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
実施形態20:b)における、連続流遠心分離を使用して、除核細胞画分を生成するために有核細胞の一部を除核する工程は、固定角遠心分離機またはスイングバケット遠心分離機を使用して実施される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態21:有核細胞が異種ポリヌクレオチドを含む、実施形態1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
実施形態22:方法が、b)の後に除核されない有核細胞の細胞死を誘導する工程を含み、細胞死は、異種ポリヌクレオチドによりコードされた少なくとも1つの異種遺伝子を発現することによって誘導される。
【0238】
実施形態23:連続流遠心分離により、有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離するためのゾーン遠心分離を作製する、先の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
実施形態24:ゾーン遠心分離により、少なくとも1つの除核細胞のサイズに基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する、実施形態23に記載の方法。
【0240】
実施形態25:ゾーン遠心分離により、少なくとも1つの除核細胞の質量に基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する、実施形態23に記載の方法。
【0241】
実施形態26:ゾーン遠心分離により、少なくとも1つの除核細胞のサイズおよび質量に基づいて有核細胞から少なくとも1つの除核細胞を分離する、実施形態23に記載の方法。
【0242】
実施形態27:少なくとも1つの密度画分が密度勾配から得られ、少なくとも1つの密度画分が、有核細胞および除核細胞画分の除核細胞のサブセットの混合集団を含む、実施形態4に記載の方法。
【0243】
実施形態28:混合集団が少なくとも70%の除核細胞を含む、実施形態27に記載の方法。
【0244】
実施形態29:混合集団が少なくとも99%の除核細胞を含む、実施形態27に記載の方法。
【0245】
実施形態30:
a)(i)有核細胞の第1のサブセットおよび(ii)有核細胞の第2のサブセットに由来した除核細胞を含む組成物を提供する工程であって、有核細胞の第1のサブセットが、異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む工程と、
b)異種遺伝子産物を発現する工程であって、それにより有核細胞の第1のサブセットの少なくとも1つの有核細胞の細胞死を誘導する、工程と
を含む、細胞処理のための方法。
【0246】
実施形態31:異種ポリヌクレオチドがプロモーターを含む、実施形態30に記載の方法。
【0247】
実施形態32:プロモーターが誘導性プロモーターを含む、実施形態31に記載の方法。
【0248】
実施形態33:誘導性プロモーターが、有核細胞を37℃未満の温度と接触させることによって誘導される、実施形態32に記載の方法。
【0249】
実施形態34:誘導性プロモーターが、dsrAまたはCIRPを含む、実施形態33に記載の方法。
【0250】
実施形態35:誘導性プロモーターが、有核細胞を37℃を超える温度と接触させることによって誘導される、実施形態32に記載の方法。
【0251】
実施形態36:誘導性プロモーターが、HSP70、HSP90、GADD153、MDR1、またはHSE-CMVを含む、実施形態35に記載の方法。
【0252】
実施形態37:誘導性プロモーターが、有核細胞を分子と接触させることによって誘導される、実施形態32に記載の方法。
【0253】
実施形態38:分子が、rtTA、TRE、TetR、Cumate、ラパマイシン、アブシシン酸、IPTG、またはメタロチオネインを含む、実施形態37に記載の方法。
【0254】
実施形態39:誘導性プロモーターが、有核細胞を光と接触させることによって誘導される、実施形態32に記載の方法。
【0255】
実施形態40:誘導性プロモーターが、CIB1-CRY2またはGAL4-VVDを含む、実施形態39に記載の方法。
【0256】
実施形態41:誘導性プロモーターが、有核細胞をホルモンと接触させることによって誘導される、実施形態32に記載の方法。
【0257】
実施形態42:誘導性プロモーターが、エストラジオール-Gal4を含む、実施形態41に記載の方法。
【0258】
実施形態43:プロモーターが構成的活性型プロモーターを含む、実施形態31に記載の方法。
【0259】
実施形態44:構成的活性型プロモーターが、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される、実施形態43に記載の組成物。
【0260】
実施形態45:異種遺伝子産物が、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む、実施形態44に記載の方法。
【0261】
実施形態46:異種遺伝子産物が、FKBPまたはカスパーゼを含む、実施形態44に記載の方法。
【0262】
実施形態47:異種遺伝子産物が抗原を含む、実施形態44に記載の方法。
【0263】
実施形態48:異種ポリヌクレオチドが有核細胞の染色体に組み込まれる、実施形態30~47のいずれか1つに記載の方法。
【0264】
実施形態49:異種ポリヌクレオチドがベクターを含む、実施形態30~48のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
実施形態50:凍結保存された除核細胞画分を生成するために、除核細胞画分を凍結保存する工程をさらに含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
実施形態51:凍結保存された除核細胞画分を解凍する工程をさらに含み、解凍後、凍結保存された除核細胞画分の除核細胞が、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である、実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
実施形態52:有核細胞が幹細胞を含む、実施形態1または実施形態30に記載の方法。
【0268】
実施形態53:幹細胞が、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む、実施形態52に記載の方法。
【0269】
実施形態54:有核細胞が間葉系間質細胞を含む、実施形態53に記載の方法。
【0270】
実施形態55:除核細胞が核を欠き、かつ核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載の方法。
【0271】
実施形態56:外因性のポリペプチドが治療剤を含む、実施形態55に記載の方法。
【0272】
実施形態57:除核細胞が、少なくとも1つの標的化部分を含む、実施形態1~56のいずれか1つに記載の方法。
【0273】
実施形態58:除核細胞が、少なくとも1つの融合部分を含む、実施形態1~57のいずれか1つに記載の方法。
【0274】
実施形態59:除核細胞が、少なくとも1つの免疫回避部分を含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
実施形態60:除核細胞が、少なくとも1つの治療的部分を含む、実施形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
実施形態61:除核細胞画分の除核細胞が、a)で提供される有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
実施形態62:除核細胞画分の除核細胞は、a)で提供される有核細胞の平均直径の約70%以下を含む直径を有する、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
実施形態63:除核細胞画分の除核細胞が、有核細胞の平均直径の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する、実施形態1~62のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
実施形態64:除核細胞画分の除核細胞が、約10マイクロメートル(μm)~約100μmの間を含む直径を含む、実施形態1~62のいずれか1つに記載の方法。
【0280】
実施形態65:直径が約8μmを含む、実施形態64に記載の方法。
【0281】
実施形態66:
a)複数の有核細胞の第1のサブセットから得られた除核細胞と、
b)複数の有核細胞の第2のサブセットであって、複数の有核細胞の第2のサブセットの有核細胞が、有核細胞の細胞死を誘導するように構成された異種遺伝子産物をコードする異種ポリヌクレオチドを含む、第2のサブセットと
を含む組成物。
【0282】
実施形態67:異種ポリヌクレオチドが、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成されたプロモーターを含む、実施形態66に記載の組成物。
【0283】
実施形態68:プロモーターが、誘導時に、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成された誘導性プロモーターを含む、実施形態67に記載の組成物。
【0284】
実施形態69:誘導性プロモーターが、有核細胞を37℃未満の温度と接触させることによって誘導される、実施形態68に記載の組成物。
【0285】
実施形態70:誘導性プロモーターが、dsrAまたはCIRPを含む、実施形態69に記載の組成物。
【0286】
実施形態71:誘導性プロモーターが、有核細胞を37℃を超える温度と接触させることによって誘導される、実施形態68に記載の組成物。
【0287】
実施形態72:誘導性プロモーターが、HSP70、HSP90、GADD153、MDR1、またはHSE-CMVを含む、実施形態71に記載の組成物。
【0288】
実施形態73:誘導性プロモーターが、有核細胞を分子と接触させることによって誘導される、実施形態68に記載の組成物。
【0289】
実施形態74:分子が、rtTA、TRE、TetR、Cumate、ラパマイシン、アブシシン酸、IPTG、またはメタロチオネインを含む、実施形態73に記載の組成物。
【0290】
実施形態75:誘導性プロモーターが、有核細胞を光と接触させることによって誘導される、実施形態68に記載の組成物。
【0291】
実施形態76:誘導性プロモーターが、CIB1-CRY2またはGAL4-VVDを含む、実施形態75に記載の組成物。
【0292】
実施形態77:誘導性プロモーターが、有核細胞をホルモンと接触させることによって誘導される、実施形態68に記載の組成物。
【0293】
実施形態78:誘導性プロモーターが、エストラジオール-Gal4を含む、実施形態77に記載の組成物。
【0294】
実施形態79:プロモーターが構成的活性型プロモーターを含む、実施形態67に記載の組成物。
【0295】
実施形態80:構成的活性型プロモーターが、異種遺伝子産物を発現するのに十分な条件下で異種ポリヌクレオチドの転写を活性化するように構成される、実施形態79に記載の組成物。
【0296】
実施形態81:異種遺伝子産物が、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-TK)、シトシンデアミナーゼ(CD)、水痘帯状疱疹TK(VZV-TK)、ニトロレダクターゼ、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2)、シトクロムP450、またはプリンヌクレオシドホスホリラーゼを含む、実施形態80に記載の組成物。
【0297】
実施形態82:異種遺伝子産物が、FKBPまたはカスパーゼを含む、実施形態80に記載の組成物。
【0298】
実施形態83:異種遺伝子産物が抗原を含む、実施形態80に記載の組成物。
【0299】
実施形態84:異種ポリヌクレオチドが有核細胞の染色体に組み込まれる、実施形態66~86のいずれか1つに記載の組成物。
【0300】
実施形態85:異種ポリヌクレオチドがベクターを含む、実施形態66~84のいずれか1つに記載の組成物。
【0301】
実施形態86:
a)複数の有核細胞の第1のサブセットから得られた除核細胞と、
b)複数の有核細胞の第2のサブセットであって、約0.1体積%以下の組成物が、複数の有核細胞の第2のサブセットを含む、第2のサブセットと
を含む組成物。
【0302】
実施形態87:複数の有核細胞が幹細胞を含む、実施形態66~86のいずれか1つに記載の組成物。
【0303】
実施形態88:幹細胞が、細胞株由来の人工多能性幹細胞(iPSC)、成体幹細胞、間葉系間質細胞、胚性幹細胞、線維芽細胞、もしくは不死化細胞、またはそれらの組合せを含む、実施形態87に記載の組成物。
【0304】
実施形態89:有核細胞が間葉系間質細胞を含む、実施形態88に記載の組成物。
【0305】
実施形態90:除核細胞が核を欠き、かつ複数の有核細胞の1つ以上の構造的特徴を含む、実施形態66~89のいずれか1つに記載の組成物。
【0306】
実施形態91:1つ以上の構造的特徴が、1つ以上の細胞内小器官、1つ以上のトンネルナノチューブ、またはそれらの組合せを含む、実施形態90に記載の組成物。
【0307】
実施形態92:除核細胞が核を欠き、かつ核がない状態で外因性のポリペプチドの合成または分泌のための1つ以上の細胞内小器官を含む、実施形態66~91のいずれか1つに記載の組成物。
【0308】
実施形態93:1つ以上の細胞内小器官が、ゴルジ体、小胞体、またはそれらの組合せを含む、実施形態91または実施形態92に記載の組成物。
【0309】
実施形態94:外因性のポリペプチドが治療剤を含む、実施形態92に記載の組成物。
【0310】
実施形態95:除核細胞が、少なくとも1つの標的化部分を含む、実施形態66~94のいずれか1つに記載の組成物。
【0311】
実施形態96:除核細胞が、少なくとも1つの融合部分を含む、実施形態66~95のいずれか1つに記載の組成物。
【0312】
実施形態97:除核細胞が、少なくとも1つの免疫回避部分を含む、実施形態66~96のいずれか1つに記載の組成物。
【0313】
実施形態98:除核細胞が、少なくとも1つの治療的部分を含む、実施形態66~97のいずれか1つに記載の組成物。
【0314】
実施形態99:除核細胞画分の除核細胞が、a)で提供される有核細胞の平均直径の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%以下を含む直径を有する、実施形態66~98のいずれか1つに記載の組成物。
【0315】
実施形態100:除核細胞画分の除核細胞が、a)で提供される有核細胞の平均直径の約70%以下を含む直径を有する、実施形態66~99のいずれか1つに記載の組成物。
【0316】
実施形態101:除核細胞画分の除核細胞が、約10μm~約100μmの間を含む直径を有する、実施形態66~100のいずれか1つに記載の組成物。
【0317】
実施形態102:
除核細胞画分の除核細胞が、約1μm以上、約5μm、約8μm、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、または約100μmを含む直径を有する、実施形態101に記載の組成物。
【0318】
実施形態103:直径が約8μmを含む、実施形態102に記載の組成物。
【0319】
実施形態104:組成物が静脈内投与に適した剤形にある、実施形態66~103のいずれか1つに記載の組成物。
【0320】
実施形態105:剤形が固体剤形を含む、実施形態104に記載の組成物。
【0321】
実施形態106:組成物が、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、固体分散体、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、拍動性放出剤形、多粒子剤形、ビーズ、ペレット、または顆粒剤を含む、実施形態66~105のいずれか1つに記載の組成物。
【0322】
実施形態107:組成物中の除核細胞の総数が、約1000万以上の除核細胞、約2000万の除核細胞、約3000万の除核細胞、約4000万の除核細胞、約4500万の除核細胞、約5000万の除核細胞、約5500万の除核細胞、約6000万の除核細胞、約6500万の除核細胞、約7000万の除核細胞、約7500万の除核細胞、約8000万の除核細胞、約9000万の除核細胞、または約1億の除核細胞を含む、実施形態66~106のいずれか1つに記載の組成物。
【0323】
実施形態108:除核細胞が、凍結保存された除核細胞を生成するためにさらに凍結保存される、実施形態66~107のいずれか1つに記載の組成物。
【0324】
実施形態109:凍結保存された除核細胞画分が解凍され、解凍後、凍結保存された除核細胞画分の除核細胞が、凍結保存されない他の同等の除核細胞と同程度生存可能である、実施形態108に記載の組成物。
【0325】
実施形態110:除核細胞が、凍結休眠後に生存能を呈する、実施形態66~107のいずれか1つに記載の組成物。
【0326】
実施形態111:除核細胞が、凍結休眠の24時間後に測定される凍結休眠後の生存能が、凍結休眠されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する、実施形態110に記載の組成物。
【0327】
実施形態112:除核細胞が、凍結保存後に生存能を呈する、実施形態66~107のいずれか1つに記載の組成物。
【0328】
実施形態113:除核細胞が、凍結保存の24時間後に測定される凍結保存後の生存能が、凍結保存されていない同等の除核細胞の生存能以上であることを呈する、実施形態112に記載の組成物。
【0329】
実施形態114:組成物が精製される、実施形態66~113のいずれか1つに記載の組成物。
【0330】
実施形態115:組成物が凍結乾燥される、実施形態66~113のいずれか1つに記載の組成物。
【0331】
実施形態116:除核細胞および複数の有核細胞が、細胞分化の同じ段階にある、実施形態66~115のいずれか1つに記載の組成物。
【0332】
実施形態117:除核細胞が、細胞分化によって複数の有核細胞から得られない、実施形態66~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0333】
実施形態118:除核細胞が最終分化細胞ではない、実施形態66~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0334】
実施形態119:除核細胞が血小板ではない、実施形態66~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0335】
実施形態120:除核細胞が血小板系細胞から得られない、実施形態66~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0336】
実施形態121:除核細胞が赤血球ではない、実施形態66~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0337】
実施形態122:除核細胞が赤血球系細胞から得られない、実施形態66~116のいずれか1つに記載の組成物。
【0338】
実施形態123:実施形態66~122のいずれか1つに記載の除核細胞を複数含む、複数の除核細胞。
【0339】
実施形態124:
a)実施形態66~112のいずれか1つに記載の除核細胞と、
b)薬学的に許容可能な賦形剤、担体、または希釈剤と
を含む医薬組成物。
【0340】
実施形態125:医薬組成物が単位剤形にある、実施形態124に記載の医薬組成物。
【0341】
実施形態126:医薬組成物が、対象への髄腔内、眼内、硝子体内、網膜、静脈内、筋肉内、脳室内、大脳内、小脳内、側脳室内、実質内、皮下、腫瘍内、肺内、気管内、腹腔内、膀胱内、膣内、直腸内、経口、舌下、経皮、吸入による、吸入される噴霧形態による、管腔内-GI経路による、またはそれらの組合せの投与のために製剤化される、実施形態124または125に記載の医薬組成物。
【0342】
実施形態127:医薬組成物が静脈内投与のために製剤化される、実施形態126に記載の医薬組成物。
【0343】
実施形態128:少なくとも1つの追加の活性物質を含む、実施形態124~127のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0344】
実施形態129:少なくとも1つの追加の活性物質が、サイトカイン、成長因子、ホルモン、酵素、小分子、化合物、またはそれらの組合せを含む、実施形態128に記載の医薬組成物。
【0345】
実施形態130:
a)実施形態66~123のいずれか1つに記載の組成物または実施形態124~129に記載の医薬組成物と、
b)容器と
を備えるキット。
【実施例】
【0346】
以下の実例となる実施例は、本明細書に記載される刺激作用、システム、および方法の実施形態の代表であり、いかなる方法でも限定する目的ではない。
【0347】
実施例1-哺乳動物細胞の除核の成功および生存
様々なタイプの哺乳動物細胞(例えば、間葉系幹細胞、好中球、線維芽細胞、およびナチュラルキラー細胞)の除核効率および回収率を決定した。細胞培養プレートから哺乳動物細胞を取り出した後、不連続フィコール勾配、高速遠心分離を使用して密度勾配遠心分離によって哺乳動物細胞を除核した(
図4A~
図4C)。表1は、懸濁プロトコルを用いた除核の結果を要約する。除核効率および細胞生存率は、hTERT形質転換と初代の両方の間葉系幹細胞(MSC)において最も高く、線維芽細胞および好中球においても同様に高かった。表2は、接着プロトコルを用いた除核の結果を要約する。除核効率は、間葉系幹細胞およびマクロファージの両方において70%超であった。この実験により、様々なタイプの哺乳動物細胞が、本明細書に記載の方法のいずれかを使用して除核を受けられることが示された。
【0348】
【0349】
【0350】
次に、細胞質体の生存を96時間にわたって判定した(
図4A)。MSCが経時的に増殖した一方で、細胞質体は増殖しなかった。代わりに、生存細胞質体の相対的倍数変化は、96時間で減少する前に72時間ほとんど一定のままであった。したがって、細胞質体の生存は3~4日に及んだ。ほとんどの細胞ベースの治療は、すぐには使用されないので、凍結保存後の細胞質体の生存率を決定した。驚くべきことに、凍結保存後の細胞質体の生存率は、凍結保存後のMSCの生存率よりも高かった(
図4B)。除核直後にプレーティングした細胞質体および凍結保存から回収した細胞質体は、24時間後に同様の相対的細胞生存率を示した(
図4C)。この実験により、細胞質体の生存が凍結保存の影響を受けなかったことが示された。さらに、凍結休眠後の細胞質体の生存率は、凍結休眠後のMSCの生存率と同様であった(
図5A)。様々な長さの時間にわたる凍結休眠後に回収した細胞質体は、凍結休眠後に回収したMSCと同様にボイデンチャンバーアッセイにおいて誘導された遊走を受けることができた(
図5B)。
【0351】
本明細書に記載される方法によって生成した細胞質体のさらなる生存率試験。
図10は、フローサイトメトリーによって分析したMSCまたは細胞質体上のFITC標識アネキシンVの細胞表面染色を示す。データをFlowjoで分析し、モードに対して正規化した。親MSC=非操作MSC、アイソタイプ対照=アイソタイプ適合IgGで染色したMSC。2時間(時間)/24時間/48時間/72時間の細胞質体=除核後の示された時点で分析されたMSC由来の細胞質体、熱ショックを受けた細胞は、アポトーシスMSC細胞死の陽性対照として機能した。3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。除核の3日後、細胞質体は、アネキシンV染色およびFACSによって示されるように、アポトーシスを示した。
【0352】
次に、細胞の大規模産生をex vivoで設定し、続いて大容量密度勾配遠心分離および除核を行い、治療用細胞質体の生成をもたらした。一実施形態では、治療用細胞質体は、疾患処置のための治療用カーゴ(例えば、mRNA、薬物、ペプチドなど)を負荷される。別の実施形態では、治療用細胞質体は、診断用途のための即時使用(例えば、静脈内注射(IV)、腹腔内注射(IP)、組織、またはin vitro適用のための)のために調製される。
【0353】
実施例2.除核細胞は無傷で機能的な器官を保持する
細胞質体が凍結保存後に生存能を保持し得るかどうかを決定した後、フローサイトメトリー分析を実施して、MSC由来細胞質の細胞表面マーカープロファイルが骨髄由来MSCと異なるかどうかを決定した。MSC由来細胞質体および骨髄由来MSCの両方が、CD45、CD90、CD44、CD146、およびCD166の細胞表面発現を維持した。細胞質体は、細胞骨格を再編成し、2Dおよび3D培養系においてマトリックスタンパク質上に広がり、同じまたは異なる起源の細胞間でバイオ生成物を移動させることができるトンネルナノチューブを形成した。オルガネラ染色は、ゴルジ、ER、F-アクチン細胞骨格、リソソーム、エンドソーム、微小管、およびミトコンドリアが細胞質体中で無傷のままであることを示した。さらに、細胞質体はin vitroでホーミング能を示した。細胞質体は、細胞外マトリックスタンパク質上で容易に移動し、可溶性ケモカイン勾配に向かって(例えば、化学感知を介して)一方向に移動した。特に、精製mRNAで外因的にトランスフェクトされた細胞質体は、様々な臨床的使用および疾患状態のために開発されている治療的mRNA適用を模倣し得る機能的細胞内タンパク質を産生した。これはまた、mRNA翻訳およびタンパク質合成のための機構が、核の非存在下で細胞質において正常に作用し、したがって、治療的価値を有する生物活性分子を産生するために使用することができることを実証する。
【0354】
既知の分泌タンパク質をコードする精製mRNAで外因的にトランスフェクトされた細胞質体は、馴化培地中で機能的細胞外タンパク質を産生し、これによりER/ゴルジおよび分泌経路が核の非存在下で細胞質体中で正常に機能することが示された。さらに、マクロファージおよび内皮細胞を、分泌タンパク質を含む細胞質馴化培地で処理することにより、これらの細胞における重要なシグナル伝達応答が活性化された。これらの結果は、細胞質体が、治療的価値を有する分泌タンパク質および生体分子を産生および送達するための新規ビヒクルとして使用され得るという概念の証拠を示す。細胞質体には、siRNA、shRNA、mRNA、DNAプラスミド、ペプチド、および化学療法剤を含むがこれらに限定されない様々なカーゴを負荷することができる。
【0355】
実施例3.除核細胞は、機能的細胞表面タンパク質を発現することができる
図6Aに示すように、CXCR4を発現する操作されたMSCとCXCR4を発現する操作されたMSC由来細胞質体は、フローサイトメトリーによって決定されるように、同等レベルのCXCR4を発現する。操作された細胞質体が機能的細胞表面タンパク質を発現し得るかどうかを決定するために、CXCR4受容体を発現するMSCおよびMSC由来細胞質体を、様々な濃度のSDF-1αに向かって遊走させた。
図6Bに示すように、機能的CXCR4を発現するように操作されたMSC由来細胞質体はSDF-1αに向かって遊走することができ、細胞遊走はSDF-1αの濃度の増加と共に増加する。さらに、遊走MSC由来細胞質の数は、CXCR4を発現する遊走MSCの数より多かった(
図6Aおよび
図6B)。
【0356】
図7Aおよび
図7Bは、MSC由来細胞質体が、炎症を起こした血管系への細胞接着を媒介することが知られている機能的細胞接着タンパク質を発現するように操作され得ることを示す。
図8A~
図8Cは、MSC由来細胞質体が、マクロファージ相互作用および治療用細胞の食作用を調節することが知られている細胞タンパク質を発現するように操作され得ることを示す。
【0357】
実施例4.3D培養除核細胞は、in vivoでの良好な生体内分布を示す。
MSCを3D懸滴中で培養し(3D MSC)、次いで除核して3D細胞質体を生成した。健常MSCをトリプシンにより2D培養プレートから回収し、新鮮なα-MEM(ThermoFisher 12561056)完全培地(16.5%Premium FBS、1%抗生物質-抗真菌薬、1%Glutamax、1%HEPES)に143万細胞/mlで再懸濁した。15cmプレートの蓋を完全に開き、20mlのPBSをプレートに加えた。マルチチャネルピペットを使用して、35μl/液滴(約50,000細胞/液滴)でプレートの蓋の上に液滴を作製した。約100~120個の液滴を各蓋に配置した。蓋を閉じ、プレートをインキュベーターに戻した。液滴を2日間培養し、次いで、細胞リフターによって回収し、15mlチューブに収集した(チューブ1つあたりおよそ300液滴)。チューブを1,200rpmで5分間、遠心分離機にかけた。上清を除去し、チューブをPBSで2回洗浄した。次いで、すべてのPBSを除去し、7.5mlの新たに解凍した0.25%トリプシン-EDTA(ThermoFisher 25200114)を各チューブに添加した。チューブを水浴中で4分間インキュベートした。小滴を、低残留チップを有する1mlピペットで約10~20回静かにピペッティングし、水浴中でさらに4分間インキュベートした。液滴のほとんどが解離するまで、液滴を再び低残留チップを有する1mlピペットで約10~20回静かにピペッティングした。7.5ml完全血清培地(GlutaMAX Supplement(Gibco 35050061)、ウシ胎児血清-Premium Select(Atlanta Biologicals S11550)、HEPES(1M)(Gibco 15630080)、抗生物質-抗真菌薬(100X)(Gibco 15240062))を各チューブに添加し、チューブを1,200rpmで10分間遠心分離機にかけた。解離した細胞を10mlの全血清培地で洗浄し、細胞を5mlの全血清培地で再懸濁した。細胞を70μmのセルフィルターに通し、次いでフィルターを5mlの全血清培地で洗浄した。細胞を計数し、10M/ml超の前処理12.5%フィコールで再懸濁した。30~40M細胞を各除核チューブに使用した。その後、除核のプロトコルを実施した。
【0358】
DiD標識された正常な2D培養MSC(2D MSC)、3D MSCまたは3D細胞質体を、それぞれBalB/Cマウスに後眼窩から注射した。示された組織を注射の24時間後に回収し、DiD標識細胞をFACSによって分析した。
図9A~
図9Cは、3D培養MSCからの3D由来細胞質の成功した生成を示し、また、3D由来細胞質が、循環への注射後、2D培養細胞よりも少ない肺捕捉および末梢器官への良好な生体内分布を有することを示す。これは、カーゴの位置を特定して組織に送達する治療能力を大幅に改善すると予想される。
【0359】
実施例5.除核細胞の生成
間葉系間質細胞(MSC)の除核
50%フィコール溶液の調製:遮光したガラスビーカー中で、室温で24時間継続的に磁気撹拌することにより、フィコール(PM400、GEヘルスケア 17-0300-500)をグラム数と同等量ミリリットルの超純水(Invitrogen 10977-015)に溶解した。次いで、混合物を30分間オートクレーブ処理した。混合物を冷却したら、再び撹拌して均一な稠度を確保した。屈折率は、屈折計(Reichert 13940000)で測定して1.4230~1.4290の範囲であった。アリコートを-20℃で保存した。
【0360】
2X MEMの調製:各50mL量については、10ミリリットル(mL)の10×MEM(Gibco、11430-030)、正確に2.94mLの重炭酸ナトリウム(7.5%、Gibco、25080-094)、1mLの100×Pen-Strep(Gibco 15140-122)および36mLの超純水(Invitrogen 10977-015)を使用した。次いで、溶液を0.22um膜フラスコ(Olympus 25-227)に通して濾過し、4℃で保存した。
【0361】
除核の前日に、MSCを、20mL MSC培地DMEM 1X(Gibco 12561-056)、16.5%Premium FBS(Atlanta Biologics S1150)、1%HEPES 1M(Gibco 15630-80)、1%抗生物質-抗真菌薬 100X(Gibco 15240-062)、1%Glutamax 100X(Gibco 35050-061)中、15cmプレート(Olympus 25-203)あたり2.5Mで播種した。次に、サイトカラシンB(Sigma Aldrich C6762)を2X MEM(2μM/mL最終濃度)に添加した。
【0362】
フィコール勾配の調製:2X CytoBを50%フィコールアリコートに1:1希釈で添加して、25%Ficollストック濃度とした。次に、25%フィコールを適切な容量の1X MEM緩衝液(サイトカラシンBを含有する2X MEMを超純水に1:1希釈で添加した)で希釈することにより、17%、16%、15%および12.5%のフィコールを作製した。希釈物をCO2インキュベーター中で少なくとも1時間平衡化し、緩いキャップで覆った。次いで、フィコール勾配を13.2mL超透明チューブ(Beckman、344059)に注ぎ入れ、CO2インキュベーター中で一晩(6~18時間)インキュベートした。
【0363】
除核の日に、12~25M MSC(理想的には20M)を除核のために各チューブに収集した。培地を吸引し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(GIBCO 14190-144)で1回洗浄した。5mLのTrypLE-Select(Gibco、12563011)を各プレートに添加し、最長5分インキュベートした。細胞の90%が剥離したら、5mLの全MSC培地を添加し、細胞を50mLチューブ(3~4プレート/チューブ)に収集した。次いで、チューブを1,200rpmで5分間遠心分離機にかけた。ペレットを10mLのPBSに再懸濁した。細胞を計数し、ペレッティングし、12.5%フィコールで再懸濁した。次に、細胞-フィコール混合物を、40μmのセルストレーナー(Falcon 352340)を通して新しい50mLチューブに滴下した。シリンジを使用して、3.2mLの細胞懸濁液を、予め作製した勾配上にゆっくりとロードした。1mLの1X MEM緩衝液をシリンジで最終(最上)層に添加した。次いで、チューブをローターバケットに装填し、平衡化し、超遠心分離機(Beckman、L8M)中で60分間、26,000rpm、31℃、Accel 7、Deccel 7で実行した。遠心分離の終了時には、12.5%の最上部に近いもの(細胞質体および残屑)、12.5/15%の界面に近いもの(細胞質体)、および25%の最下部にあるペレット(核質体)の3つの層があった。15%フィコール溶液より上側の層を15mlのコニカルチューブに収集した。次いで、収集した層を4倍容量を超える温めた無血清MSC培地で希釈する(すなわち、3mLのフィコールを15mLまでの培地で満たす)。静かに混合した後、混合物を1,200rpmで10分間ペレッティングした。温めた無血清MSC培地で3回洗浄した後、細胞を実験プロトコルに従って培地に再懸濁した(例えば、トランスフェクション培地対遊走培地対無血清培地対完全培地)。1:2000希釈のVybrant(登録商標)Dyecycle(商標)Green(Molecular Probes V35004)または1:5000希釈のヘキスト33342を含む完全MSC培地を添加することによって、12ウェルプレートにおいて除核の効率を決定した。少量の各層を各ウェルに添加し、インキュベーター内で10分間付着/染色させた。集団当たりの陰性細胞質体のパーセンテージを、落射蛍光顕微鏡法によって決定した。
【0364】
細胞質体mRNAトランスフェクション
1M細胞質体を、温めた1mlのアミノ酸を含まないα-MEM完全培地(ThermoFisher 12561056、16.5%Premiumウシ胎仔血清(FBS)、1%Glutamax(Gibco 35050061)、1%HEPES(Gibco 15630080))に懸濁した。1μgのmRNAを、温めたopti-MEMで希釈し、ピペットで少なくとも20回混合した。4μlのリポフェクタミン-3000(ThermoFisher L300015)を46μlの温めたopti-MEM(ThermoFisher 31985062)に添加し、ピペットで少なくとも20回混合した。mRNAとリポフェクタミン-3000との比は1:4(w/v)であった。mRNAおよびリポフェクタミン-3000の希釈物をピペットで少なくとも20回混合し、室温で15分間インキュベートした。mRNAとリポフェクタミン-3000との混合物を細胞質体懸濁液に添加し、よく混合し、37℃で30分間インキュベートした。懸濁液を5分毎に振盪して細胞凝集を防止した。インキュベーション後、細胞を遠心分離機にかけ、通常のα-MEM完全培地(16.5%Premium FBS、1%抗生物質-抗真菌薬、1%Glutamax、1%HEPES)またはPBSに再懸濁した。
【0365】
細胞質体siRNAトランスフェクション
1M細胞質を、温めた1mlのA/Aを含まないα-MEM完全培地(16.5%Premium FBS、1%Glutamax、1%HEPES)に懸濁した。2μlのsiRNAを、温めたopti-MEMで希釈し、ピペットで少なくとも20回混合した。8μgのリポフェクタミン-3000を、92μlの温めたopti-MEMで希釈し、ピペットで少なくとも20回混合した。siRNAとリポフェクタミン-3000との比は1:4(v/v)であった。siRNAおよびリポフェクタミン-3000の希釈物をピペットで少なくとも20回混合し、室温で15分間インキュベートした。siRNAとリポフェクタミン-3000との混合物を細胞質体懸濁液に添加し、よく混合し、37℃で20分間インキュベートした。懸濁液を5分毎に振盪して細胞凝集を防止した。20分間のインキュベーション後、細胞を遠心分離機にかけ、通常のα-MEM完全培地(16.5%Premium FBS、1%抗生物質-抗真菌薬、1%Glutamax、1%HEPES)で再懸濁した。
【0366】
腫瘍溶解性ウイルス感染細胞質体の生成
除核の1日前(通常、除核の18時間前)に、2.5*10^6 hTERT-MSCを15cmディッシュに播種した。播種の約2時間後、細胞をPBSで1回洗浄した。次いで、細胞を、8mLの無血清opti-MEMを含む異なるMOI(例えば0.05または0.5)でoHSV-GFP(Imanis OV3001)に感染させた。次に、細胞を時折振盪しながら37℃で2時間インキュベートした。次いで、ウイルス接種材料を廃棄した。20mLの予め温めた完全培養培地(a-MEM、16.5%Premium FBS、1%抗生物質-抗真菌薬、1%Glutamax、1%HEPES)を各ウェルに添加した。細胞を除核まで37℃でインキュベートした。
【0367】
細胞質体において機能的タンパク質を過剰発現するレンチウイルス
標的細胞を、1~2×105細胞/ウェルの密度で6ウェルプレートのうち1ウェル、または0.5~1M MSCを含む10cmプレートにプレーティングした。翌日、濃縮した組換えレンチウイルスを37℃の水浴中で解凍し、解凍したら直ちに浴から取り出した。次いで、細胞をPBSで3回洗浄した。200μLの無血清培地または2mLの無血清培地(1:1250 SureENTRY)を添加した。標的細胞を6ウェルプレート中で10:1のMOIで感染させた。翌日、ウイルス上清を除去し、適切な完全増殖培地を細胞に添加した。72時間のインキュベーション後、細胞を2×100mmディッシュに継代培養した。適切な量の選択薬物(すなわち、ピューロマイシン)を、安定な細胞株生成のために添加した。選択の10~15日後、クローンを増殖のために選び出し、陽性についてスクリーニングした。選択された陽性クローンを除核のために増殖させた。操作された細胞質体を、上に概説したように調製した。通常の生化学的方法または機能的アッセイ、例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS)、ウエスタンブロット、またはボイデンチャンバーアッセイによって、細胞質体上の標的タンパク質発現を決定した。
【0368】
細胞質体へのペプチド負荷
1×105/ml/ウェルを、完全MSC培地DMEM 1X(Gibco 12561-056)、16.5%Premium FBS(Atlanta Biologics S1150);1%HEPES 1M(Gibco 15630-80)、1%抗生物質-抗真菌薬100X(Gibco 15240-062)、1%Glutamax 100X(Gibco 35050-061)中の4チャンバーガラススライド(LabTek II 4チャンバーガラススライド、155383)上にプレーティングした。細胞を少なくとも1時間または一晩付着させた。次いで、細胞をPBS(Gibco 14190-144)ですすいだ。Arg9(FAM)(10mM、Anaspec、AS-61207)を完全培地で希釈して総濃度1:100(10uM)とした。次いで、細胞質体を1~2時間インキュベートし、PBSで3回すすいだ。ヘキスト33342(Invitrogen)を完全培地中1:5000希釈で少なくとも10分間添加した。次いで、細胞をPBSで洗浄し、落射蛍光顕微鏡法によって画像化した。
【0369】
実施例6.固定角遠心分離による除核細胞の製造
2X MEMの調製
10mLの10X MEM(Gibco、11430-030)、2.94mLの重炭酸ナトリウム(7.5%、Gibco、25080-094)、1mLの100X Pen-Strep(Gibco、15140-122)、および36mLの超純水(Invitrogen、10977-015)をそれぞれ50mLの量で混合することによって、2X MEMを調製した。次いで、サイトカラシンB(Sigma Aldrich、C6762)を2X MEMに添加して20μg/mLの最終濃度とした。
【0370】
1X MEMの調製
2X MEMをサイトカラシンBおよび超純水と等量で混合することによって、1X MEMを調製した。
【0371】
25%フィコールの調製
2X MEMをサイトカラシンBおよび等量のフィコール(グラム)および超純水(ミリリットル)を混合し、オートクレーブすることによって調製した50%フィコールと等量で混合することによって、25%フィコールを調製した。測定された屈折は1.3790~1.3810の間であった。
【0372】
フィコール勾配の調製
フィコール勾配およびフィコール画分を表3および表4に従って作製し、キャップを緩めて37℃、5%CO2下で一晩インキュベートした。(200mLについて:240mLの50%フィコール、400mLの2X MEM、300mLの1X MEM)。
【0373】
【0374】
【0375】
間葉系間質細胞(MSC)の除核
除核の1日前に、MSCをT75フラスコ当たり2.95×102の密度で播種して、理想的な細胞密度(0.0168×102/cm2)に到達させた。CC40NX超遠心分離機に200mLの1X MEM(サイトカラシンBなし)をロードし、真空にし、一晩かけて31℃に加温した。除核の日に、細胞をPBSで洗浄し、トリプシンで剥離した。細胞を除核までPBS緩衝液およびグルコースで再懸濁した。除核の直前に、細胞を300gで5分間遠心分離機にかけ、65mLの12.5%フィコールに再懸濁し、よく混合し、40μmのストレーナーを通して新しい50mLチューブに移した。
【0376】
超遠心分離管の装填は、蠕動ポンプ(10rpm)を用いて(1)17.86mLの1X MEM、(2)57.14mLの12.5%フィコール中の細胞、(3)35.71mLの12.5%フィコール、(4)8.93mLの15%フィコール、(5)8.93mLの16%フィコール、(6)35.71mLの17%フィコール、および35.71mLの25%フィコールの順序で行った。
【0377】
遠心分離を、さらに30分間、36,000rpmの最大速度まで30分の加速および最小減速で行った。遠心分離を終えたら、200mLを、それぞれ5mLを含有する15mLチューブに分画した。
図11Aは、遠心分離の加速および減速中に本明細書に記載される方法およびフィコール画分によって生成される例示的な勾配を説明する。密度は、フィコール密度(g/cm
3)またはBRIX(水溶液100gに対するフィコールなどの糖1gの%)の両方に基づいて測定することができる。
【0378】
除核細胞を含有する画分を1つの50mLチューブに併合し、300gで6分間スピンダウンし、温めた無血清αMEMで洗浄した。35mLを除去し、細胞を無血清αMEMで再度再懸濁した。次いで、細胞生存率、サイズ、および除核効率を測定した。
【0379】
細胞サイズおよび生存率の測定
10μLの細胞懸濁液を10μLのトリパンブルー溶液(0.4%)で希釈し、よく混合した。10μLの混合物を細胞計数スライド上にロードした。自動細胞計数器を使用して、細胞サイズおよび生存率を計算した。
図11Bに示すように、有核細胞の直径は、除核の前後で減少した。さらに、
図11Bおよび
図11Cに見られるように、細胞の生存率は、除核の前後で有意に変化しなかった。
【0380】
除核効率の測定
50μLの細胞懸濁液を96ウェルプレートにピペッティングした。これを1:2000希釈のヘキスト33342(核を染色)および1:500希釈のCalcein AMで染色し、37℃で5分間インキュベートした。細胞の画像を、DAPIおよびFITCチャネルを使用して蛍光顕微鏡下で収集した。
図11Dは、除核直後(上2つの画像)および除核24時間後(下側の画像)の細胞の蛍光画像を説明する。
【0381】
実施例7.ゾーン遠心分離による除核細胞の生成
2X MEMの調製
200mLの10X MEM(Gibco、11430-030)、58.8mLの重炭酸ナトリウム(7.5%、Gibco、25080-094)、20mLの100X Pen-Strep(Gibco、15140-122)、および720mLの超純水(Invitrogen、10977-015)をそれぞれ1Lの量で混合することによって、2X改変イーグル培地(MEM)を調製する。次いで、2X MEMを0.22μmフィルターで濾過する。50mLのアリコートを作製し、4℃で1か月間または沈降が認められるまで保存する。
【0382】
サイトカラシンB作業溶液の調製
除核の1日前に、10mgのサイトカラシンB(Sigma Aldrich、C6762)粉末を1mLのDMSOに溶解して、10mg/mLストックを生成する。100μLのアリコートを調製し、使用するまで-20℃で保存する。100μLの10mg/mLのサイトカラシンBストックを400μLのDMSOに添加して、2mg/mLの作業溶液を生成する。作業溶液の残りは、4℃で2週間まで保存され得る。6mLの2mg/mLのサイトカラシンB作業溶液を600mLの2X MEMに添加し、20μL/mLのサイトカラシンBを含有する最終溶液を作製する。
【0383】
サイトカラシンBを含まない1X MEMの調製
サイトカラシンBを含まない900mLの2X MEMを900mLの超純水に添加することで、サイトカラシンBを含まない1X MEMを2Lボトル中で調製する。
【0384】
サイトカラシンBを含む1X MEMの調製
20μL/mLのサイトカラシンBを含む270mLの最終溶液を270mLの超純水に添加して、10μL/mLのサイトカラシンBを含む1X MEM作業溶液を作製することで、サイトカラシンBを含む1X MEMを1Lボトル中で調製する。
【0385】
25%フィコールの調製
50%フィコールを、等量のフィコール(グラム)および超純水(ミリリットル)を混合することによって調製する。サイトカラシンBを含む520mLの2X MEMを520mLの50%フィコールと混合し、10μg/mLのサイトカラシンBを含有するフィコール作業溶液を作製することによって、25%フィコールを50mLのコニカル中で調製する。70μLの25%フィコールを用いて屈折率を測定する。1.3790~1.3810の間の屈折を測定した。最適な屈折率は、サイトカラシンBを含む2X MEMの最終溶液を添加することによって、または50%フィコールおよびサイトカラシンBを含む2X MEMを等量で混合することによって達成することができる。
【0386】
除核作業溶液および勾配の調製
気泡が消散する間、サイトカラシンBを含む1X MEMを、17%、16%、15%、および12.5%とラベル付けされた4つの500mL滅菌ボトルに加える。サイトカラシンBを含む102.4mLの1X MEMを17%ボトルに加え、サイトカラシンBを含む28.8mLの1X MEMを16%ボトルに加え、サイトカラシンBを含む32mLの1X MEMを15%ボトルに加え、サイトカラシンBを含む400mLの1X MEMを12.5%ボトルに加える。
【0387】
17%フィコール、16%フィコール、15%フィコール、および12.5%フィコールとラベル付けされた4つの500mL滅菌ボトルに、25%フィコールを加える。217.6mLの25%フィコールを17%ボトルに加え、51.2mLの25%フィコールを16%ボトルに加え、48mLの25%フィコールを15%ボトルに加え、400mLの25%フィコールを12.5%ボトルに加え、17%、16%、15%、12.5%のフィコール層とする。
【0388】
キャップを緩めた17%、16%、15%および12.5%とラベルされた滅菌ボトルを5%CO2下でインキュベーター中37℃で一晩インキュベートする。
【0389】
細胞の除核
除核の日に、超遠心分離機を31℃に予熱する。無血清αMEMを37℃の水浴中で予熱する。細胞培養表面から剥離した細胞を再懸濁し、5mLの12.5%フィコールに混合する。452.6mLの12.5%フィコールを細胞混合物に添加して合計457.6mLとする。細胞を40μMストレーナーに通す。細胞を37℃のインキュベーター中で30分間インキュベートする。10000相対遠心力(RCF)のゾーン速度への加速のためのゾーン遠心分離に備えて、ローターに、蠕動ポンプを使用して1.6Lの1X MEMを充填する。30分の細胞のインキュベーション後、蠕動ポンプの速度を最小にしながら、層を細胞を含む457.6mLの12.5%フィコール、細胞を含まない286mLの12.5%フィコール、71.5mLの15%フィコール、71.5mLの16%フィコール、および286mLの17%フィコール、286mLの25%フィコールの順序で遠心分離機にロードする。シールアセンブリを移動させ、キャップをし、加速および減速を最小にして102000RCFで1時間実行する。
【0390】
実行時間が達成されると、ローターはゾーン速度(10000RCF)に減速される。キャップを取り外し、シールアセンブリに接続する。押出溶液を外壁から押し出し、10mLまたは50mLの画分に回収する。画分を表5に列挙する。画分を回収したら、ローターを停止し、清掃する。
【0391】
【0392】
除核細胞を含有する画分を同定し、200RCFで10分間スピンダウンする。予熱した無血清αMEMで除核細胞を洗浄し、次いで予熱した無血清aMEMで再懸濁する。
【0393】
トリパンブルーを使用して除核細胞を計数する。各層からの約20,000個の除核細胞を96ウェルプレートに添加する。PBSを添加して総体積を45μLにする。20μg/mLのヘキストを含有する1:500希釈したヘキストを、除核細胞に添加する場合、さらに1:10に希釈し、2μg/mLの最終ヘキスト濃度を作り出す。
【0394】
除核細胞を37℃、5%CO2で10分間インキュベートする。ヘキスト染色なしの細胞(例えば、除核細胞)として測定される除核効率を決定するために、蛍光顕微鏡を用いて除核細胞を画像化する。除核細胞は、下流の実験または凍結のために処理され得る。
【0395】
実施例8.連続流遠心分離による除核細胞の製造
本実施例は、密度勾配を用いた連続流遠心分離による除核細胞を示す。細胞を5バイアル間隔で解凍し、-80℃での45秒間のインキュベートから5個のバイアルを37℃の水浴中で取り出し、1mlの温めた完全aMEMを各バイアルに滴加し、50mlチューブに移し、合計50mlまでaMEMを完成させ、300RCFで5分間スピンダウンし、次の5つのバイアルで繰り返す。上清を除去し、細胞ペレットを1mlのPBSに再懸濁した。全ての50mlチューブを2つの50mlチューブに合わせた。PBSを添加して、各チューブにおいて合計50mlにした。各チューブについて細胞を計数し、合計294M(百万)の細胞についてチューブ1:3.21M/mlX50ml=160M、91%、14.42um、および、チューブ2:2.68M/mlX50ml=134M、91%、24.4umであった。約200,000個の細胞を対照として保持した。
【0396】
25%フィコールの屈折率を測定して、1.3794であると判定した。サイトカラシンBを、表6に基づいて各フィコール勾配(ストック=10mg/ml、最終濃度=10ug/ml)に添加した。細胞を、サイトカラシンBを含む50mlの12.5%フィコールで再懸濁し、連続流遠心分離のために100umストレーナーを介して移した。
図12Aは、連続流遠心分離後に測定した密度勾配を示す(超遠心分離実行によって行われる(コールアウト線によって連続流が示され、5つのフィコール層が灰色であり、3つのフィコール層が濃い灰色である)。
【0397】
【0398】
遠心分離を実行している間、対照有核細胞を下側の96ウェルプレートに示されるように播種した。96ウェルプレートおよび6ウェルプレートをフィブロネクチンで37℃で1時間コーティングした。10ml画分を15mlチューブに収集した。(目に見える細胞を有する)画分を表7に従って選択した。同じ層からのチューブを単一の50mlチューブに合わせ、温めた無血清aMEMを補充して合計50mlとした。上清を10mlのラインまで除去し、40mlの無血清aMEMで再度洗浄した。細胞を温めた完全aMEMで再懸濁し、20,000細胞/ウェルの播種について計数した。細胞を37℃のインキュベーターで2時間付着させた。未播種細胞を凍結培地(90%血清+10%DMSO)で凍結した。次いで細胞をヘキスト染色および画像化のためにパラホルムアルデヒドで固定した。
図12Bは、除核効率試験の代表的な画像を示す。各視野画像は、明視野(全細胞)およびヘキストチャネル(全有核細胞)を使用して得られた。表8は、除核細胞が有核細胞と比較して小さかったことを示す。表8はまた、収率(有核細胞の総数を初期細胞数で割って決定し、パーセンテージで表す)および除核効率を示す。
【0399】
【0400】
【0401】
前述の開示は、明確性および理解の目的のために、ある程度詳細に説明されたが、形態および詳細における種々の変更が、本開示の真の範囲から逸脱することなく行われ得ることが、本開示を読むことから当業者に明白となるであろう。例えば、上記で説明したすべての技法および装置は、様々な組合せで使用され得る。本出願において引用される全ての刊行物、特許、特許出願、および/または他の文書は、あたかもそれぞれの刊行物、特許、特許出願、および/または他の文書が、あらゆる目的のために参照により援用されると個々にかつ別々に示されるのと同程度に、あらゆる目的のためにその全体が参照により援用される。
【国際調査報告】