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特表2024-538068自動車、特に動力車の燃焼機関のための排ガス後処理装置を作動させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】自動車、特に動力車の燃焼機関のための排ガス後処理装置を作動させるための方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20241010BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20241010BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20241010BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F01N3/08 B
F01N3/035 A
F01N3/20 K
F01N3/24 C
F01N3/24 E
F01N3/24 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522086
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022076654
(87)【国際公開番号】W WO2023061734
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】102021005146.7
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ムラー,ジークフリート
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒスマイヤー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】バイル,ハイコ
(72)【発明者】
【氏名】ラトヴィッヒ,クリスティアン ドミニク
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA02
3G091BA14
3G091CA03
3G091CA16
3G091EA17
3G091EA18
3G091FA02
3G091FB02
3G091FC05
3G091FC07
3G091HA10
3G091HA12
3G091HA15
3G091HA16
3G091HA45
3G190AA12
3G190BA17
3G190CB13
3G190CB18
3G190CB19
3G190CB23
3G190CB26
3G190EA23
3G190EA25
(57)【要約】
本発明は、自動車の燃焼機関のための排ガス後処理装置(10)を作動させるための方法に関し、この方法においては、排ガス後処理装置(10)が、触媒コーティングを有する酸化触媒(14)を含む。排ガス後処理装置(10)は、酸化触媒(14)の上流側の加熱部材(16)を含むか、又は触媒コーティングが設けられている加熱部材としての加熱部材(16)を含み、この加熱部材(16)を用いて、加熱箇所(H)において、熱エネルギを排ガス装置に能動的に導入することができる。排ガス後処理装置(10)は、酸化触媒(14)の下流側に配置されている導入箇所(E)において還元剤を排ガスに導入可能である調量部材(18)と、導入箇所(E)の下流側に配置されているSCRシステム(20)と、を含む。提案される動作方法では、排ガス装置において目標温度にどの程度達しているかが検査される。目標温度を下回る場合、本発明によれば、加熱部材を用いて、且つポスト噴射を実施して、規定の期間内に目標温度に到達すべきストラテジが提案される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の燃焼機関のための排ガス後処理装置(10)を作動させるための方法であって、
前記燃焼機関の排ガスが通流可能である前記排ガス後処理装置(10)は、
-触媒コーティングを有する酸化触媒(14)と、
-加熱箇所(H)において前記排ガス及び/又は前記酸化触媒(14)に熱エネルギを能動的に導入するように形成されている加熱部材(16)であって、前記酸化触媒(14)の上流側に配置されている加熱部材として、又は前記触媒コーティングが設けられている加熱部材として形成されている、加熱部材(16)と、
-前記酸化触媒(14)の下流側且つ前記加熱箇所(H)の下流側に配置されている導入箇所(E)において、還元剤を前記排ガスに導入可能である調量部材(18)と、
-前記導入箇所(E)の下流側に配置されており、且つSCR触媒(22)を有するSCRシステム(20)と、
を含む、方法において、
-前記加熱箇所(H)の下流側の第1の温度と、前記SCRシステム(20)の第2の温度と、が、それぞれ対応付けられている目標温度を下回ると判定された場合、且つ構成部材保護温度を超過しないと判定された場合、且つポスト噴射を実施するための、前記燃焼機関の最低温度に達しているか若しくは前記最低温度を超過している場合、前記SCRシステム(20)の第2の温度が前記対応付けられている目標温度に達するために、前記SCRシステム(20)の前記第2の温度を高めなければならない分の温度上昇を算出するステップと、
-前記ポスト噴射の実施なしでは、前記加熱部材(16)を用いて所定の期間内に前記温度上昇を行えないと判定された場合、前記加熱部材(16)を用いて、且つ前記ポスト噴射の実施によって、前記排ガスを能動的に加熱し、且つ前記排ガスの能動的な加熱によって前記SCRシステム(20)を加熱するステップと、
-前記ポスト噴射を実施せずとも、前記加熱部材(16)を用いて前記所定の期間内に前記温度上昇を行えること判定された場合、前記ポスト噴射を実施せずに、前記加熱部材(20)を用いて、前記排ガスを能動的に加熱して前記SCRシステム(20)を能動的に加熱するステップと、
を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記加熱部材(16)に付加的に設けられている、第2の加熱部材が設けられおり、前記第2の加熱部材は、前記加熱箇所(H)の下流側に配置されている第2の加熱箇所において、熱エネルギを前記排ガス及び/又は前記酸化触媒(14)に能動的に導入するように形成されており、前記第2の加熱部材は、前記酸化触媒(14)の下流側に配置されている加熱部材として、又は前記触媒コーティングが設けられている加熱部材として形成されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記SCRシステム(20)には、第2のSCR触媒を形成する第2の触媒コーティングが設けられているパティキュレートフィルタ(24)を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記酸化触媒(14)は、前記排ガスから窒素酸化物を貯蔵するようにも形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の、自動車、特に動力車の燃焼機関のための排ガス後処理装置を作動させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、特に動力車の、内燃機関とも称される燃焼機関のための排ガス後処理装置を作動させるためのその種の方法は、例えば特許文献1から既に公知となっている。その方法においては、燃焼機関の排ガスが通流可能な排ガス後処理装置が、触媒コーティングを有する酸化触媒を有し、従って、この酸化触媒は、少なくとも部分的に触媒コーティングによって形成されている。更に、排ガス後処理装置は、加熱箇所において排ガス及び/又は酸化触媒に熱エネルギを能動的に導入し、従って加熱箇所において排ガス及び/又は酸化触媒を能動的に加熱するように形成されている加熱部材を含む。加熱部材は、酸化触媒の上流側、従って触媒コーティングの上流側に配置されている加熱部材として形成されているので、加熱箇所は酸化触媒の上流側又は加熱箇所の上流側に配置されているか、又は加熱部材は、触媒コーティングが設けられた加熱部材として形成されており、従って酸化触媒に接続されているか、又は酸化触媒の構成部材である。酸化触媒の下流側且つ加熱箇所の下流側に配置されている導入箇所において、例えば液体の還元剤、特に排ガスの脱硝のための液体の還元剤を排ガスに導入することができる調量部材も設けられている。排ガス後処理装置は更に、導入箇所の下流側に配置されているSCRシステムを含み、このSCRシステムは特に、SCR触媒及びパティキュレートフィルタを有することができる。
【0003】
更に、特許文献2は、内燃機関の排ガス後処理システムを加熱するための方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第3099905号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102019119123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、排ガス後処理装置を特に有利に加熱することができ、従って特に低排出の動作を実現することができるように、冒頭で述べたような方法を更に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1の特徴を備えた方法によって解決される。本発明の好適な発展形態を含む有利な構成は他の請求項に記載されている。
【0007】
排ガス後処理装置を特に有利に加熱することができるように、従って非常に低排出の動作を実現できるように、請求項1の前段部に記載されているような方法を更に発展させるために、本発明によれば、本方法の第1のステップにおいて、例えば排ガス後処理装置を作動させるための、特に制御又は調整するための電子計算装置を用いて、加熱箇所の下流側の第1の温度、従って加熱部材の下流側の第1の温度と、SCRシステム、特にSCR触媒の第2の温度と、が、それぞれ対応付けられている目標温度を下回ると判定された場合、且つ排ガス後処理装置の構成部材を保護するための構成部材保護温度を超過しないと判定された場合、且つ、燃焼機関のポスト噴射を実施するための最低温度に達しているか、又は最低温度を超過すると判定された場合、SCRシステム20の第2の温度が、対応付けられている目標温度に少なくとも達するために、即ちその目標温度に達するか又は目標温度を超過するために、SCRシステムの温度を高めなければならない分の、即ち高める必要がある分の温度上昇が算出される。例えば、本方法の第2のステップでは、特に電子計算装置を用いて、温度上昇が所定の期間内に、加熱部材を用いるだけでは、即ちポスト噴射の実施なしでは引き起こすことができないと判定された場合、排ガスの能動的な加熱、またそれによるSCRシステムの加熱が、能動的な加熱部材を用いて、且つ燃焼機関のポスト噴射を実施することによって実施される。しかしながら、第2のステップにおいて、特に電子計算装置を用いて、温度上昇が所定の期間内に、加熱部材を用いて行えること、特にポスト噴射を実施することなく引き起こし得ると判定された場合には、排ガスの能動的な加熱、またそれによるSCRシステムの能動的な加熱は、加熱部材を用いて実施されるが、その際、ポスト噴射は実施されない。
【0008】
従って、本発明による方法は、特に、加熱部材の形態の少なくとも1つの能動的な加熱手段とポスト噴射との組み合わせによる、とりわけ機関付近の排ガス装置として形成されている排ガス後処理装置の特に迅速な加熱及び熱保持のための動作ストラテジである。本方法は、特に、排ガス後処理装置を、特に迅速に、排ガスの後処理に有利な目標温度にすることができるか、又は目標温度を維持することができる。本発明は、特に以下の認識及び考察を基礎としている:排ガス装置とも称される排ガス後処理装置は、例えばディーゼル機関として形成されている燃焼機関によってもたらされ、従って排ガスに含有されている、機関の汚染物質の低減に用いられる。燃焼機関は、例えばディーゼル機関として形成されているので、例えば、酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)として形成されている。酸化触媒の触媒コーティングは、従って、排ガスに含有される成分、例えば未燃焼の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)を酸化させるように形成されている。とりわけ、エンジンとも称される燃焼機関は、超化学量論的に、従ってリーンに動作し、つまり超化学量論的な、従ってリーンな空気/燃料混合気でもって動作し、それによって、排ガスはいわばリーンになる。排ガスを浄化するために、排ガス装置内には種々のコンポーネント及び手段が組み込まれている。第1の手段は酸化触媒であり、この酸化触媒は、とりわけ排ガスシステムを通流する排ガスの流れ方向における第1の触媒である。酸化触媒は、酸化機能を有する触媒であり、この場合、酸化触媒は、付加的に、窒素酸化物貯蔵機能(NOx機能)、従って窒素酸化物貯蔵触媒(NSC)の機能を有することができる。例えば、酸化触媒の上流側に、また場合によっては更に酸化触媒の下流側にも、能動的な加熱手段を配置することができる。能動的な加熱手段は、前述の加熱部材のような加熱装置によって実現されている。従って、以下において、既述の能動的な加熱手段又は初出の能動的な加熱手段について言及する場合、これは、別個の記載がない限りは、加熱部材であると解される。能動的な加熱手段は、例えば、電気的に加熱可能な部材であってよく、この部材は例えば、特に加熱箇所において、その加熱箇所を通過する排ガスに熱を放出することができるように組み込まれている。電気的に加熱可能な部材は、酸化触媒の上流側に配置することができ、従って触媒コーティングの上流側に配置することができるか、又は電気的に加熱可能な部材は、酸化触媒に接続することができ、従って触媒活性材料とも称される触媒コーティングでコーティングすることができる。代替的に、1つ以上の電気的に加熱可能な部材の代わりに、又は1つ以上の電気的に加熱可能な部材との組み合わせにおいて、例えばバーナのような別の能動的な加熱手段を設けることができ、この別の能動的な加熱手段を用いて、熱を特に加熱箇所において排ガスに導入することができる。例えば、バーナを用いて、特に無炎で、又は火炎を形成しながら燃料が燃焼され、それによって、加熱箇所において熱又は熱エネルギを排ガスに導入することができる。
【0009】
酸化触媒の下流側において、またとりわけ加熱箇所の下流側においても、導入箇所、従って調量部、とりわけ排ガスに導入された還元剤が排ガスと混合される混合区間が配置される。とりわけ、還元剤は、排ガスを脱硝するためにアンモニア(NH3)を供給することができる、尿素水溶液である。例えば、導入箇所の下流側には、例えばホットエンド(Hot-End)SCRシステムとして形成されているSCRシステムが配置されており、このSCRシステムは、少なくとも1つ以上のSCR触媒を有する。各SCR触媒は、例えばSCRブロックによって形成されている。更に、SCRシステムは、パティキュレートフィルタを含む。パティキュレートフィルタは、例えばディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)である。パティキュレートフィルタには、SCRコーティングとして形成されている、別の触媒コーティングを設けることができ、この別の触媒コーティングによって、別のSCR触媒が形成されている。従って、パティキュレートフィルタは、例えばSDPFであってよい。特に、排ガス装置の底部領域には、排ガスに還元剤を導入するための別の調量ユニット、特に別のSCR触媒並びにアンモニアスリップ触媒(ASC)の隣に設けられていてもよく、それによって、付加的に、排ガスに含有されている窒素酸化物が変換され、即ち還元され、場合によっては生じる排ガスからのNH3スリップが除去される。
【0010】
この構造の目的は、特に少なくとも1つ以上の能動的な加熱手段を使用することによって、可能な限り迅速に、且つ更なる動作において、排出された汚染物質が効率的に変換されるように、排ガス装置における温度を確実に調整することである。もっとも、排ガス質量流量は、走行状態に依存して、排ガス装置に導入された熱の大部分が加熱すべきコンポーネントから再び取り除かれる程に大きい。このことは、能動的な加熱手段(aHM)を介する熱入力能力は技術的に限定されているので、より緩慢な又は不十分な加熱又は熱保持をもたらす恐れがある。その結果、排ガス後処理は効率が低く不所望なものになる恐れがある。
【0011】
この理由から、前述の動作ストラテジが提案され、この動作ストラテジでは、必要とされる熱入力能力が、1つ以上の能動的な加熱手段と、少なくとも1回のポスト噴射の実行との組み合わせによって達成される。目的は、排出された汚染物質が少なくともほぼ全て効果的に変換される温度まで排気装置を迅速に加熱することである。T_nach_aHMとも記す、加熱箇所の下流側において支配的な、第1の温度に対応付けられている第1の目標温度は、例えば250℃である。T_SCRとも記す、SCRシステムの、特にSCR触媒の第2の温度に対応付けられている第2の目標温度は、例えば225℃である。
【0012】
このために、例えば、先ず排ガス装置の加熱に必要とされる、Soll_T_Hubとも記す温度上昇が、特に排ガス質量流量に依存して算出される。熱入力能力、排ガス質量流量、及び排ガスの熱容量を介して、SCRシステムの上流側、特にSCR触媒の上流側の排ガスが、能動的な加熱手段(aHM)の上流側の温度、又は能動的な加熱箇所の上流側の温度に比べて、能動的な加熱手段によってどれほど加熱されるか(DeltaT_aHM)が算出される。温度上昇を生じさせるために必要とされる熱入力能力を、1つ以上の能動的な加熱手段を介しては、十分迅速に提供できない場合(制御差分は0より大きい)、ポスト噴射が行われることによって、付加的な発熱が排ガス装置に導入される。この際、特に留意すべき点は、T_nach_aHMが例えば250℃の所要最低温度に達すると即座に、ポスト噴射が許可されることである。動作状態に応じて、能動的な加熱手段の動作状態によって著しく迅速に最低温度に達するか、またはこの最低温度に全く達しない。
【0013】
それと同時に、動作ストラテジが、構成部材保護及び排出低減の意味において最善の結果を達成するために別の特徴を含む場合には有利である。一方では、例えば加熱ディスクとして形成されている能動的な加熱手段、又は一般的には排ガス装置の全てのコンポーネントの温度が、許容最高温度を超過する温度までは上昇しないように監視されることが望ましい。特に、これを阻止するためには、まずポスト噴射量が制限され、又は0にセットされ、続いて、能動的な加熱手段の出力が調整されることが望ましい。更に、ポスト噴射が完全に酸化触媒において変換され得るようにするために、また排ガス内の酸素が不足していることに起因する汚染物質の排出、特にHC及び/又はCOの排出が上昇しないようにするために、λに応じた量制御の形態のポスト噴射量の制限が使用される。
【0014】
本発明の有利な構成では、加熱部材に付加的に設けられている、第2の加熱部材が設けられおり、この第2の加熱部材は、加熱箇所の下流側に配置されている第2の加熱箇所において、熱エネルギを排ガス及び/又は酸化触媒に能動的に導入するように形成されており、この場合、第2の加熱部材は、酸化触媒の下流側に配置されている加熱部材として、又は触媒コーティングが設けられている加熱部材として形成されている。
【0015】
本発明の有利な構成では、パティキュレートフィルタには、第2のSCR触媒を形成する第2の触媒コーティングが設けられている。
【0016】
本発明の有利な構成では、酸化触媒は、排ガスから窒素酸化物を貯蔵するようにも形成されている。
【0017】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好適な実施例の下記の説明並びに図面から明らかになる。上記の説明において挙げた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下の各図に関する説明において挙げられる特徴及び特徴の組み合わせ、並びに/又は各図においてのみ示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ提示した組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせで使用することもできるし、単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】自動車の燃焼機関のための排ガス後処理装置の概略図を示す。
図2】排ガス後処理装置を作動させるための方法を説明するためのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図中、同一の要素又は機能的に同一の要素には、同一の参照符号を付している。
【0020】
図1は、自動車の燃焼機関のための排ガス後処理装置10を概略的に示す。とりわけ、燃焼機関は、ディーゼル機関として形成されている。図1において矢印12によって示されているように、排ガスは排ガス後処理装置10を通流可能である。排ガス後処理装置10は、例えばディーゼル酸化触媒(DOC)として形成されている酸化触媒14を含み、この酸化触媒14は、触媒コーティングを有し、従って少なくとも部分的に触媒コーティングによって形成されている。触媒コーティング、ひいては酸化触媒14は、例えば未燃焼の炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)のような、排ガスに含有される成分を酸化させるように形成されている。排ガス後処理装置10は更に、能動的な加熱手段とも称される能動的な加熱部材16も含み、この能動的な加熱部材は、加熱箇所Hにおいて、排ガスに熱エネルギを能動的に導入し、また排ガスを介して酸化触媒14に熱エネルギを能動的に導入するように形成されている。図1に図示した実施例では、加熱部材は、酸化触媒14の上流側、従って触媒コーティングの上流側に配置されている加熱部材として形成されており、ここでは、加熱部材16が、とりわけ電気的に動作可能な加熱部材である。加熱部材16には、酸化触媒14の触媒コーティングが含まれていないことも考えられる。代替的に、加熱部材16がいわば酸化触媒14に接続されており、その場合に触媒コーティングが設けられていることも考えられる。加熱部材16に代替的に又は付加的に、例えば他の能動的な加熱手段、例えばバーナのような加熱手段を使用することができ、これを用いて例えば燃料が燃焼され、それによって例えば、加熱箇所Hにおいて、熱を排ガスに導入することができる。
【0021】
排ガス後処理装置10は更に、調量部材18を含み、この調量部材18を用いて、導入箇所Eにおいて、とりわけ液体の還元剤を排ガスに導入することができる。図1から見て取れるように、導入箇所Eは、加熱箇所Aの下流側、またここでは加熱部材16の下流側且つ酸化触媒14の下流側に配置されている。更に、導入箇所Eは、排ガス後処理装置10のSCRシステム20の上流側に配置されている。SCRシステム20は、SCR触媒22と、図1に図示した実施例ではSCR触媒22の下流側に配置されているパティキュレートフィルタ24と、を有する。とりわけ、パティキュレートフィルタ24は、ディーゼルパティキュレートフィルタである。パティキュレートフィルタ24には、SCRコーティングとも称される別の触媒コーティングが設けられていてもよい。SCRコーティングによって、例えば、別のSCR触媒が形成されている。特に、SCR触媒コンバータ22もSCRコーティングによって形成されていることが考えられる。
【0022】
例えば、図面には図示していない電子計算装置が設けられており、この電子計算装置を用いて、排ガス後処理装置10を作動させることができ、特に調整させることができる。特に、電子計算装置を用いて、排ガス後処理装置10を作動させるための方法が実行される。以下において更により詳細に説明するように、この方法によって、排ガス後処理装置10を特に迅速に加熱することができ、その結果、排ガス後処理装置10は、特に有利に排ガスの後処理を実施することができる。
【0023】
図2は、この方法を説明するためのブロック図を示す。ブロック27では、排ガス後処理装置10の各目標温度に達したか否かが求められる。目標温度の内の第1の温度は、加熱箇所Hの下流側W、従って加熱部材16の下流側の排ガス装置10内の温度に対応付けられており、これはT_nach_aHMとも記す。例えば、第1の目標温度は250℃である。目標温度の内の第2の目標温度は、SCRシステム20に対応付けられており、例えば225℃である。例えば、T_SCRで表されるSCRシステム20の温度が225℃であるか、又はT_SCRが225℃より高い場合、即ちT_SCRが第2の目標温度に対応するか、又はT_SCRが第2の目標温度よりも高い場合、且つT_nach_aHMが250℃以上である場合、従って第1の目標温度以上である場合、ブロック28では、排ガス後処理装置10又は排ガスの能動的な加熱は行われない。しかしながら、第1の温度及び第2の温度、従ってT_nach_aHM及びT_SCRがそれぞれ対応付けられている目標温度を下回り、T_nach_aHMが250℃未満であり、且つT_SCRが225℃未満である場合、ブロック30では、排ガス後処理装置10の構成部材を保護するための構成部材保護温度を超過していないか否かが検査される。超過している場合、ブロック32では、排ガス又は排ガス後処理装置10の能動的な加熱は行われない。しかしながら、構成部材保護温度に達していない場合、ブロック34では、ポスト噴射を実施するための最低温度に少なくとも達しているか否かが検査される。例えば、最低温度として250℃が使用される。例えば、最低温度は、T_nach_aHMと比較される。ポスト噴射(NE)を実施するための最低温度に達していないことがブロック34において判定された場合、つまり例えば、T_nach_aHMが250℃未満であるとブロック34で判定された場合、例えばブロック36では、排ガス、従って排ガス後処理装置10が、例えば電気的に動作可能な加熱部材として形成されており、能動的な加熱手段とも称される加熱部材16を用いて能動的に加熱され、つまり温められ、この際、ポスト噴射は実施されない。
【0024】
しかしながら、ブロック34において、ポスト噴射を実施するための最低温度に達していると判定された場合、即ち、ここでは例えば、T_nach_aHMが250℃以上であると判定された場合、ブロック37では、実際温度又はT_SCRとも称されるSCRシステム20の第2の温度が、ここでは225℃である、対応付けられている目標温度に達するために、SCRシステム20の第2の温度、従って実際温度又はT_SCR-istを高めなければならない分の温度上昇が算出される。温度上昇は、Soll_T-Hubとも記され、従って次式により表される:
Soll_T-Hub=T_SCR_soll-T_SCR_ist
【0025】
ここで、T_SCR_sollは、SCRシステム20の第2の温度に対応付けられている、ここでは225℃の目標温度を表すものとする。
【0026】
ブロック38では、制御差分が算出される。制御差分は次式より得られる:
Regeldifferenz=Soll_T_Hub-DeltaT_aHM
DeltaT_aHM=熱入力能力/(排ガス質量流量・CP)
【0027】
熱入力能力は、能動的な加熱手段の熱入力能力であると解される。
【0028】
ブロック40では、特にポスト噴射を実施することなく、能動的な加熱手段を用いて制御差分を達成することができるか否かが検査される。換言すれば、ブロック40では、制御差分が0未満であるか否かが検査される。0未満である場合、ブロック42では、特にポスト噴射を実施することなく、能動的な加熱手段を用いて能動的な加熱が行われる。しかしながら、制御差分が、能動的な加熱手段を用いるが、ポスト噴射なしでは達成できない場合、ブロック44では、能動的な加熱が、能動的な加熱手段を用い、且つポスト噴射、とりわけ後期ポスト噴射を実施することによって行われる。
【0029】
特に、ブロック40では、制御差分が、能動的な加熱手段のみを用いて、即ちポスト噴射を実施せずとも、所定の期間内に、従ってX秒以内に達成できるか否かを検査することも考えられる。達成できる場合、本方法は、ブロック42において継続され、達成できない場合、本方法は、ブロックプロセスはブロック44において継続される。とりわけ、Xは100秒から200秒である。換言すれば、例えば、前述の期間は、100秒以上200秒以下の範囲である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-06-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の燃焼機関のための排ガス後処理装置(10)を作動させるための方法であって、
前記燃焼機関の排ガスが通流可能である前記排ガス後処理装置(10)は、
-触媒コーティングを有する酸化触媒(14)と、
-加熱箇所(H)において前記排ガス及び/又は前記酸化触媒(14)に熱エネルギを能動的に導入するように形成されている加熱部材(16)であって、前記酸化触媒(14)の上流側に配置されている加熱部材として、又は前記触媒コーティングが設けられている加熱部材として形成されている、加熱部材(16)と、
-前記酸化触媒(14)の下流側且つ前記加熱箇所(H)の下流側に配置されている導入箇所(E)において、還元剤を前記排ガスに導入可能である調量部材(18)と、
-前記導入箇所(E)の下流側に配置されており、且つSCR触媒(22)を有するSCRシステム(20)と、
を含む、方法において、
-前記加熱箇所(H)の下流側の第1の温度と、前記SCRシステム(20)の第2の温度と、が、それぞれ対応付けられている目標温度を下回ると判定された場合、且つ構成部材保護温度を超過しないと判定された場合、且つポスト噴射を実施するための、前記燃焼機関の最低温度に達しているか若しくは前記最低温度を超過している場合、前記SCRシステム(20)の第2の温度が前記対応付けられている目標温度に達するために、前記SCRシステム(20)の前記第2の温度を高めなければならない分の温度上昇を算出するステップと、
-前記ポスト噴射の実施なしでは、前記加熱部材(16)を用いて所定の期間内に前記温度上昇を行えないと判定された場合、前記加熱部材(16)を用いて、且つ前記ポスト噴射の実施によって、前記排ガスを能動的に加熱し、且つ前記排ガスの能動的な加熱によって前記SCRシステム(20)を加熱するステップと、
-前記ポスト噴射を実施せずとも、前記加熱部材(16)を用いて前記所定の期間内に前記温度上昇を行えること判定された場合、前記ポスト噴射を実施せずに、前記加熱部材(20)を用いて、前記排ガスを能動的に加熱して前記SCRシステム(20)を能動的に加熱するステップと、
を有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記加熱部材(16)に付加的に設けられている、第2の加熱部材が設けられおり、前記第2の加熱部材は、前記加熱箇所(H)の下流側に配置されている第2の加熱箇所において、熱エネルギを前記排ガス及び/又は前記酸化触媒(14)に能動的に導入するように形成されており、前記第2の加熱部材は、前記酸化触媒(14)の下流側に配置されている加熱部材として、又は前記触媒コーティングが設けられている加熱部材として形成されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記SCRシステム(20)には、第2のSCR触媒を形成する第2の触媒コーティングが設けられているパティキュレートフィルタ(24)を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記酸化触媒(14)は、前記排ガスから窒素酸化物を貯蔵するようにも形成されていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【国際調査報告】