(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20241010BHJP
G01R 19/12 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G01R15/18 A
G01R19/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522099
(86)(22)【出願日】2023-02-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2023054530
(87)【国際公開番号】W WO2023174663
(87)【国際公開日】2023-09-21
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519383544
【氏名又は名称】アナログ・ディヴァイシス・インターナショナル・アンリミテッド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレント・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ハーウィッツ
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G025AA10
2G025AA11
2G025AB14
2G025AC01
2G035AC11
2G035AD18
2G035AD20
2G035AD66
(57)【要約】
電流変化率センサは、第1及び第2の測定コイルの巻きがインターリーブされるように配置された2つの測定コイルを含む。電流変化率センサは、測定コイルとは反対方向に進行するように配置された2つの戻りコイルを更に備える。コイルは、ループを形成し、実質的に標的測定導体の周りを進行する。これは、2つの測定コイルの両方が、測定動作の標的ではない外部導体から同じ静電結合を受けることを確実にする。更に、2つの測定コイルは、第1のコイル及び第2のコイルが、関心対象の電流搬送導体に対して、平均して、同じ距離であるように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流変化率センサであって、前記電流変化率センサが、
少なくとも1つの電流搬送導体のための経路と、
第1の測定コイルであって、前記第1の測定コイルが、第1の円周方向に、前記経路の周りを進行し、前記第1の測定コイルが、第1の端部及び第2の端部を有する、第1の測定コイルと、
第1の戻りコイルであって、前記第1の戻りコイルが、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の戻りコイルの前記第1の端部が、前記第1の測定コイルの前記第2の端部に結合されており、前記第1の戻りコイルが、前記第1の円周方向とは反対の円周方向に、前記経路の周りを進行する、第1の戻りコイルと、
第2の測定コイルであって、前記第2の測定コイルが、第2の円周方向に、前記経路の周りを進行し、前記第2の測定コイルが、第1の端部及び第2の端部を有する、第2の測定コイルと、
第2の戻りコイルであって、前記第2の戻りコイルが、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の戻りコイルの前記第1の端部が、前記第2の測定コイルの前記第2の端部に結合されており、前記第2の戻りコイルが、前記第2の円周方向とは反対の円周方向に、前記経路の周りを進行する、第2の戻りコイルと、を備える、電流変化率センサ。
【請求項2】
前記第1の円周方向及び前記第2の円周方向が、同じ円周方向である、請求項1に記載の電流変化率センサ。
【請求項3】
前記第1の測定コイル、前記第2の測定コイル、前記第1の戻りコイル、及び前記第2の戻りコイルが、各々、前記経路を実質的に取り囲むように進行する、請求項1又は2に記載の電流変化率センサ。
【請求項4】
前記電流変化率センサが、差動出力信号を提供する電流差動変化率センサであり、
前記第1の測定コイルの前記第1の端部が、前記差動出力信号の第1の信号を提供し、
前記第2の測定コイルの前記第1の端部が、前記差動出力信号の第2の信号を提供し、
前記第1の戻りコイルの前記第2の端部が、前記第2の戻りコイルの前記第2の端部に結合されており、かつ共通の基準信号に更に結合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項5】
前記第1の測定コイルが、第1の測定コイルセグメント及び第2の測定コイルセグメントを備え、
前記第1の戻りコイルが、第1の戻りコイルセグメント及び第2の戻りコイルセグメントを備え、前記第1の測定コイルセグメントが、前記第1の戻りコイルセグメントに結合されており、前記第2の測定コイルセグメントが、前記第2の戻りコイルセグメントに結合されており、
前記第2の測定コイルが、第3の測定コイルセグメント及び第4の測定コイルセグメントを備え、
前記第2の戻りコイルが、第3の戻りコイルセグメント及び第4の戻りコイルセグメントを備え、前記第3の測定コイルセグメントが、前記第3の戻りコイルセグメントに結合されており、前記第4の測定コイルセグメントが、前記第4の戻りコイルセグメントに結合されており、
各コイルセグメントが、前記経路の周りを実質的に180°円周方向に進行する、請求項1に記載の電流変化率センサ。
【請求項6】
静電遮蔽部が、前記経路と前記測定コイルとの間に、前記経路の周りに提供される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項7】
前記第1の測定コイル及び前記第2の測定コイルが、基板の内層上に形成されており、静電遮蔽部が、前記基板の外層上に形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項8】
第1の接続導体及び第2の接続導体を更に備え、
前記第1の測定コイルの前記第1の端部が、前記第1の接続導体を使用して電流測定回路の第1のノードに結合するのに好適であり、前記第2の測定コイルの前記第1の端部が、前記第2の接続導体を使用して前記電流測定回路の第2のノードに結合するのに好適であり、前記第1の接続導体及び前記第2の接続導体が、ツイストペア配置を使用して配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項9】
電流変化率センサであって、前記電流変化率センサが、
基板であって、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路を含む、基板と、
前記基板上に形成された第1の測定コイルであって、前記第1の測定コイルが、第1の円周方向に、前記経路の周りを進行して、前記経路を実質的に取り囲み、前記第1の測定コイルが、第1の端部及び第2の端部を有する、第1の測定コイルと、
前記基板上に形成された第1の戻りコイルであって、前記第1の戻りコイルが、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の戻りコイルの前記第1の端部が、前記第1の測定コイルの前記第2の端部に結合されており、前記第1の戻りコイルが、前記第1の円周方向とは反対の円周方向に、前記経路の周りを進行して、前記経路を実質的に取り囲む、第1の戻りコイルと、を備える、電流変化率センサ。
【請求項10】
前記第1の戻りコイルが、前記第1の測定コイルと同じ円周方向に延在する経路に従うように配置されている、請求項9に記載の電流変化率センサ。
【請求項11】
前記電流変化率センサが、電流搬送導体のための経路を更に備え、前記経路が、前記第1の測定コイル及び前記第1の戻りコイルの中心を通る、請求項9又は10に記載の電流変化率センサ。
【請求項12】
電流変化率センサであって、前記電流変化率センサが、
基板であって、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路を含む、基板と、
前記基板上に形成された第1の測定コイルであって、前記第1の測定コイルが、第1の円周方向に、前記経路の周りを進行する、第1の測定コイルと、
前記基板上に形成された第2の測定コイルであって、前記第2の測定コイルが、第2の円周方向に、前記経路の周りを進行する、第2の測定コイルと、を備える、電流変化率センサ。
【請求項13】
前記第1の測定コイル及び前記第2の測定コイルは、それらの両方が、測定下で、電流搬送導体への同じ平均静電結合を有するように、前記基板上にインターリーブされ、前記電流搬送導体が、前記経路に従う、請求項12に記載の電流変化率センサ。
【請求項14】
前記第1の測定コイルの第1の巻き及び前記第2の測定コイルの第1の巻きが、前記基板の表面に垂直な同じ半径方向平面内に位置するように、前記第1の測定コイル及び前記第2の測定コイルが、前記基板の前記表面に垂直な半径方向平面内にインターリーブされる、請求項13に記載の電流変化率センサ。
【請求項15】
前記第1の測定コイルの前記第1の巻きが、前記基板の第1の層及び第3の層上に形成されており、前記第2の測定コイルの前記第1の巻きが、前記基板の第2の層及び第4の層上に形成されている、請求項14に記載の電流変化率センサ。
【請求項16】
前記第1の測定コイルの第1の巻きが、前記基板の前記表面に垂直な第1の半径方向平面内に位置し、前記第2の測定コイルの第1の巻きが、前記基板の前記表面に垂直な第2の半径方向平面内に位置するように、前記第1の測定コイル及び前記第2の測定コイルがインターリーブされ、前記第1の半径方向平面及び前記第2の半径方向平面が、円周方向に互いに隣接する、請求項13に記載の電流変化率センサ。
【請求項17】
前記基板上に形成され、かつ前記第1の測定コイルに結合された第1の補償導体であって、前記第1の補償導体が、前記第1の円周方向とは反対の円周方向に、前記経路の周りを進行する、第1の補償導体と、
前記基板上に形成され、かつ前記第2の測定コイルに結合された第2の補償導体であって、前記第2の補償導体が、前記第2の円周方向とは反対の円周方向に、前記経路の周りを進行する、第2の補償導体と、を更に備える、請求項12~16のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項18】
前記第1の円周方向及び前記第2の円周方向が、同じ円周方向である、請求項12~17のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項19】
前記第1の測定コイルが、前記経路の周りを360°の整数倍で進行し、前記第2の測定コイルが、前記経路の周りを360°の同じ整数倍で進行する、請求項12~18のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【請求項20】
前記電流変化率センサが、前記基板上に形成されたツイストペア配置を更に備え、前記ツイストペアが、第1の接続導体及び第2の接続導体を備え、前記第1の接続導体が、前記第1の測定コイル及び第1のノードに結合されており、前記第2の接続導体が、前記第2の測定コイル及び第2のノードに結合されており、前記第1の接続導体及び前記第2の導体が、互いに交互に交差するように前記基板上に配置されており、前記第1及び第2のノードが、前記電流変化率センサからの出力である、請求項12~19のいずれか一項に記載の電流変化率センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電流センサに関し、具体的には、差動電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電流センサは、導体を通過する電流を検出し、測定する。それらは、例えば、ユーティリティメータで正確な電流測定を提供するために、多くの異なる用途で使用される。
【0003】
電流センサの1つのタイプは、電流搬送導体と直列のシャント抵抗を使用する。抵抗を横切る電圧降下が測定され得、シャントの抵抗の知識を通じて、抵抗を通る電流が計算され得る。しかしながら、より高い電流は、シャントの温度を上昇させ、シャントの抵抗を変化させ、したがって、不正確な電流測定を提供し得る。更に、測定された電流経路内にシャントが直接位置しているので、シャントと高感度測定及び処理電子機器との間に絶縁回路が必要となる場合がある。
【0004】
別のタイプの電流センサは、電流搬送導体によって生成された磁場の変化を検出するために、電磁トランスデューサを使用する。これらの場電流変化率センサ、例えば、ロゴスキーコイルは、電流搬送導体へのいずれの物理的接続も必要とせず、したがって、いずれの更なる絶縁コンポーネントも必要とせずに電流搬送導体から絶縁される。
【0005】
しかしながら、場変化率センサは、磁場の結合に依存するので、それらは、センサの周辺の他の変化する磁場によって生成される干渉の影響を受けやすい。例えば、測定動作の標的ではない第2の電流搬送導体は、ロゴスキーコイルの近くを通過し得る。この第2の電流搬送導体によって生成された磁場がロゴスキーコイル内にいくつか結合され、コイルの測定精度に影響を与える可能性がある。
【0006】
ロゴスキーコイルの両方の端子が同じ端部にあるように、コイルの端部から始まりに戻る補償ワイヤ、補償導体、又は戻りワイヤは、外部横磁場の影響をキャンセルするために使用され得る。補償導体は、ヘリカル測定コイルに対向するループを形成し、外部場の影響をキャンセルする。しかしながら、外部磁場の排除を助ける補償導体があっても、ロゴスキーコイルは、依然として、コイル内への導体の静電結合に起因する外部干渉を受ける可能性がある。
【0007】
ロゴスキーコイルの主な課題は、近くのAC導体からの静電又は容量性結合に対するこの感度である。例えば、ユーティリティメータでは、測定される電流を搬送するACバスバーの位置関係により、静電結合は蔓延する可能性があるが、通常は240Vの相電圧も搬送する。静電結合では、バスバーの電圧は浮遊容量を通してコイルに結合し、導体の電圧が高いことを理由に小さな浮遊容量のみがセンサの誤った信号をもたらす可能性がある。
【0008】
導体に対するコイルの相対位置及び環境の変化に対するこの結合の感度も、考慮され、アルゴリズム的に無効化するのであれば重要である。これは、変動及びドリフトのために実質的に不可能であることが多いため、静電結合に対する感度を低くすることが必要である。
【0009】
外部静電干渉の影響を低減するために、遮蔽部が測定コイルの周りに提供され得る。しかしながら、コイルを遮蔽することは、測定装置のサイズを増加させるだけでなく、過剰な製造要求をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
測定精度に対する外部場の影響を低減し、かつ/又は試験下の導体の位置の全ての条件下で、コイルへの静電結合の影響を低減する、改善された電流測定手段を提供する必要性が存在する。
【0011】
本開示は、静電ノイズ結合の影響を低減するように設計された、改善された電流変化率センサ、例えば、ロゴスキーコイルを提供する。電流搬送導体内の電流を測定するように配置された電流変化率センサは、プリント回路基板上に形成され得る2つの測定コイルを含む。測定コイルは、電流搬送導体を実質的に取り囲むことができ、これは、電流搬送導体の位置に対する感度を低減することができ、また各測定コイルが同じ量の静電結合を受け取るように、ノイズ場のコモンモード結合を提供することができる。そして、この共通の静電結合は、容易にキャンセルされるか又は除去され得る。
【0012】
本開示の第1の態様では、電流変化率センサが提供され、電流変化率センサは、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路と、第1の測定コイルであって、第1の測定コイルが、第1の円周方向に、経路の周りを進行し、第1の測定コイルが、第1の端部及び第2の端部を有する、第1の測定コイルと、第1の戻りコイルであって、第1の戻りコイルが、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の戻りコイルの第1の端部が、第1の測定コイルの第2の端部に結合されており、第1の戻りコイルが、第1の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第1の戻りコイルと、第2の測定コイルであって、第2の測定コイルが、第2の円周方向に、経路の周りを進行し、第2の測定コイルが、第1の端部及び第2の端部を有する、第2の測定コイルと、第2の戻りコイルであって、第2の戻りコイルが、第1の端部及び第2の端部を有し、第2の戻りコイルの第1の端部が、第2の測定コイルの第2の端部に結合されており、第2の戻りコイルが、第2の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第2の戻りコイルと、を備える。
【0013】
第1の円周方向及び第2の円周方向は、同じ円周方向であり得るか、又は第1の円周方向であり得、第2の円周方向は、反対の円周方向であり得る。
【0014】
第1の測定コイル、第2の測定コイル、第1の戻りコイル、及び第2の戻りコイルは、経路を実質的に取り囲むように進行し得る。
【0015】
電流変化率センサは、差動出力信号を提供する差動電流変化率センサであり得、第1の測定コイルの第1の端部は、差動出力信号の第1の信号を提供し、第2の測定コイルの第1の端部は、差動出力信号の第2の信号を提供し、第1の戻りコイルの第2の端部は、第2の戻りコイルの第2の端部に結合されており、かつ共通の基準信号に更に結合されている。
【0016】
第1の測定コイルは、第1の測定コイルセグメント及び第2の測定コイルセグメントを備え得、第1の戻りコイルは、第1の戻りコイルセグメント及び第2の戻りコイルセグメントを備え得、第1の測定コイルセグメントは、第1の戻りコイルセグメントに結合され得、第2の測定コイルセグメントは、第2の戻りコイルセグメントに結合され得、第2の測定コイルは、第3の測定コイルセグメント及び第4の測定コイルセグメントを備え得、第2の戻りコイルは、第3の戻りコイルセグメント及び第4の戻りコイルセグメントを備え得、第3の測定コイルセグメントは、第3の戻りコイルセグメントに結合されており、第4の測定コイルセグメントは、第4の戻りコイルセグメントに結合されており、各コイルセグメントは、経路の周りを実質的に180°円周方向に進行する。
【0017】
静電遮蔽部が、経路と測定コイルとの間に、経路の周りに提供され得る。
【0018】
第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、基板の内層上に形成され得、静電遮蔽部は、基板の外層上に形成され得る。
【0019】
電流変化率センサは、第1の接続導体及び第2の接続導体を更に備え得、第1の測定コイルの第1の端部は、第1の接続導体を使用して電流測定回路の第1のノードに結合するのに好適であり、第2の測定コイルの第1の端部は、第2の接続導体を使用して電流測定回路の第2のノードに結合するのに好適であり、第1の接続導体及び第2の接続導体は、ツイストペア配置を使用して配置されている。
【0020】
本開示の第2の態様では、電流変化率センサが提供され、電流変化率センサは、基板であって、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路を含む、基板と、基板上に形成された第1の測定コイルであって、第1の測定コイルが、第1の円周方向に、経路の周りを進行して、経路を実質的に取り囲み、第1の測定コイルが、第1の端部及び第2の端部を有する、第1の測定コイルと、基板上に形成された第1の戻りコイルであって、第1の戻りコイルが、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の戻りコイルの第1の端部が、第1の測定コイルの第2の端部に結合されており、第1の戻りコイルが、第1の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行して、経路を実質的に取り囲む、第1の戻りコイルと、を備える。
【0021】
第1の戻りコイルは、第1の測定コイルと同じ円周方向に延在する経路に従うように配置され得る。
【0022】
電流変化率センサは、電流搬送導体のための経路を更に備え得、経路は、第1の測定コイル及び第1の戻りコイルの中心を通る。
【0023】
本開示の第3の態様では、電流変化率センサが提供され、電流変化率センサは、基板であって、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路を含む、基板と、基板上に形成された第1の測定コイルであって、第1の測定コイルが、第1の円周方向に、経路の周りを進行する、第1の測定コイルと、基板上に形成された第2の測定コイルであって、第2の測定コイルが、第2の円周方向に、経路の周りを進行する、第2の測定コイルと、を備える。
【0024】
第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、それらの両方が、測定下で、電流搬送導体への同じ平均静電結合を有するように、基板上にインターリーブされ得、電流搬送導体が、経路に従う。
【0025】
第1の測定コイルの第1の巻き及び第2の測定コイルの第1の巻きは、基板の表面に垂直な同じ半径方向平面内に位置するように、第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、基板の表面に垂直な半径方向平面内にインターリーブされ得る。
【0026】
第1の測定コイルの第1の巻きは、基板の第1の層及び第3の層上に形成され得、第2の測定コイルの第1の巻きは、基板の第2の層及び第4の層上に形成され得る。
【0027】
第1の測定コイルの第1の巻きは、基板の表面に垂直な第1の半径方向平面内に位置し、第2の測定コイルの第1の巻きは、基板の表面に垂直な第2の半径方向平面内に位置するように、第1の測定コイル及び第2の測定コイルがインターリーブされ得、第1の半径方向平面及び第2の半径方向平面は、円周方向に互いに隣接する。
【0028】
電流変化率センサは、基板上に形成され、かつ第1の測定コイルに結合された第1の補償導体であって、第1の補償導体が、第1の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第1の補償導体と、基板上に形成され、かつ第2の測定コイルに結合された第2の補償導体であって、第2の補償導体が、第2の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第2の補償導体と、を更に備え得る。
【0029】
第1の円周方向及び第2の円周方向は、同じ円周方向であり得る。
【0030】
第1の測定コイルは、経路の周りを360°の整数倍で進行し得、第2の測定コイルは、経路の周りを360°の同じ整数倍で進行し得る。
【0031】
電流変化率センサは、基板上に形成されたツイストペア配置を更に備え得、ツイストペアは、第1の接続導体及び第2の接続導体を備え、第1の接続導体は、第1の測定コイル及び第1のノードに結合されており、第2の接続導体は、第2の測定コイル及び第2のノードに結合されており、第1の接続導体及び第2の導体は、互いに交互に交差するように基板上に配置されており、第1及び第2のノードは、電流変化率センサからの出力である。
【0032】
本開示の第4の態様では、電流変化率センサが提供され、電流変化率センサは、基板であって、基板が第1の層及び第2の層を含み、基板が、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路を含む、基板と、基板の第1の層上に形成された第1の複数の測定導体と、基板の第2の層上に形成された第2の複数の測定導体と、基板内に形成された第1の複数のビアであって、第1の円周方向に、経路の周りを進行する第1の電流測定コイルと、第2の円周方向に経路の周りを進行する第2の電流測定コイルとを形成するように、第1の複数の測定導体の端部を第2の測定導体のそれぞれの端部と接続するように配置されている、第1の複数のビアと、を備え、基板の第1の層上の各測定導体は、基板の表面に垂直な半径方向平面内で、基板の第2の層上のそれぞれの測定導体と、位置合わせされている。
【0033】
第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、第1の測定コイルの第1の巻きが、第1の半径方向平面内に位置する第1の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第2の複数の測定導体のうちの測定導体を備えるように、また第2の測定コイルの第1の巻きが、第2の半径方向平面内の第1の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第2の複数の測定導体のうちの測定導体を備えるように、インターリーブされ得る。
【0034】
第1の円周方向及び第2の円周方向は、同じ円周方向であり得る。
【0035】
第1の円周方向及び第2の円周方向は、反対の円周方向であり得る。
【0036】
電流変化率センサは、基板の第1の層上に形成された第3の複数の測定導体と、基板の第2の層上に形成された第4の複数の測定導体と、第2の複数のビアと、を更に備え得、第2の複数のビアは、第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルを形成するように、第3の複数の測定導体の端部を第4の複数の測定導体のそれぞれの端部に接続するように配置されており、第1の戻りコイルの第1の端部は、第1の測定コイルの第2の端部に結合されており、第1の戻りコイルは、第1の円周方向とは反対の方向に、経路の周りを進行し、第2の戻りコイルの第1の端部は、第2の測定コイルの第2の端部に結合されており、第2の戻りコイルは、第2の円周方向とは反対の方向に経路の周りを進行し、第1の測定コイルの第1の端部は、測定回路に結合するのに好適であり、第2の測定コイルの第1の端部は、測定回路に結合するのに好適である。
【0037】
第1の測定コイル、第1の戻りコイル、第2の測定コイル、及び第2の戻りコイルは、第1の戻りコイルの第1の巻きが、第3の半径方向平面内に位置する第3の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第4の複数の測定導体のうちの測定導体を備え、第2の戻りコイルの第1の巻きが、第4の半径方向平面内に位置する第3の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第4の複数の測定導体のうちの測定導体を備え、第1の半径方向平面、第3の半径方向平面、第2の半径方向平面、及び第4の半径方向平面が、その順序で、円周方向に隣接するように配置されるように、インターリーブされ得る。
【0038】
第1の測定コイルの第1の端部は、測定回路に結合するのに好適であり得、第2の測定コイルの第1の端部は、測定回路に結合するのに好適であり得、第1の測定回路は、測定下での電流搬送導体を通過する電流を決定するように構成されている。
【0039】
電流変化率センサは、第1の測定コイルの第1の端部を測定回路に接続するための第1の接続導体と、第2の測定コイルの第1の端部を測定回路に接続するための第2の接続導体と、を更に備え得、第1の接続導体及び第2の接続導体は、基板上にツイストペア配置を形成するように配置されている。
【0040】
第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、基板の第1の層及び測定層を使用して測定回路に結合され得、第1の層と測定層との間の誘電距離は、第1の層と第2の層との間の誘電距離よりも小さい。
【0041】
基板は、2つ超の層を備え得、基板の第1の層及び基板の第2の層は、電流測定コイルが基板の内部層上に位置するような、基板の内部層であり、基板は、第3の層及び第4の層を備え、第3の層及び第4の層は、基板の第1及び第2の層の外部に位置しており、第3及び第4の層は、電流測定コイルへの静電結合を低減するように構成された遮蔽を備える。
【0042】
経路は、基板内の貫通孔であり得、貫通孔は、貫通孔に遮蔽を提供するようにめっきされ得る。
【0043】
第1の複数のビアは、第1及び第2の複数の測定導体のうちの測定導体の内側端部におけるビアの第1の円を備え得、ビアの第1の円のビアは、第1及び第2の複数の測定導体のうちの測定導体を接続することによって第1及び第2の測定コイルを形成するように、交互に使用され、第2の複数のビアは、第3及び第4の複数の測定導体のうちの測定導体の内側端部におけるビアの第1の円と同心のビアの第2の円を備え得、ビアの第2の円のビアは、第3及び第4の複数の測定導体のうちの測定導体を接続することによって第1及び第2の戻りコイルを形成するように、交互に使用され、第1の円及び第2の円は、同心の円である。
【0044】
電流変化率センサは、第1の測定コイルに結合された第1の補償導体であって、第1の補償導体が、第1の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第1の補償導体と、第2の測定コイルに結合された第2の補償導体であって、第2の補償導体が、第2の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第2の補償導体と、を更に備え得る。
【0045】
電流搬送導体は、基板上に提供され、基板の外層上に配線され、次いで、第1の電流測定コイル及び第2の電流測定コイルの中心を通って配線され得る。
【0046】
本開示の第5の態様では、電流変化率センサが提供され、電流変化率センサは、基板であって、基板が、第1の層、第2の層、第3の層、及び第4の層を含み、基板が、少なくとも1つの電流搬送導体のための経路を含む、基板と、基板の第1の層上に形成された第1の複数の測定導体と、基板の第2の層上に形成された第2の複数の測定導体と、基板の第3の層上に形成された第3の複数の測定導体と、基板の第4の層上に形成された第4の複数の測定導体と、基板内に形成された第1の複数のビアであって、第1の円周方向に経路の周りに進行する第1の電流測定コイルと、第2の円周方向に経路の周りを進行する第2の電流測定コイルと、を形成するように、第1の複数の測定導体、第2の複数の測定導体、第3の複数の測定導体、及び第4の複数の測定導体のそれぞれの端部を接続するように配置されている、第1の複数のビアと、を備え、基板の第1の層上の各測定導体は、それぞれの測定導体が、基板の表面に実質的に垂直な半径方向平面を形成するように、基板の第2の層、基板の第3の層、及び基板の第4の層上のそれぞれの測定導体と、位置合わせされている。
【0047】
第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、第1の測定コイルの第1の巻きが、第1の半径方向平面内に位置する第1の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第3の複数の測定導体のうちの測定導体を備えるように、また第2の測定コイルの第1の巻きが、第1の半径方向平面内に位置する第2の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第4の複数の測定導体のうちの測定導体を備えるように、インターリーブされ得る。
【0048】
電流変化率センサは、基板の第1の層上に形成された第5の複数の測定導体と、基板の第2の層上に形成された第6の複数の測定導体と、基板の第3の層上に形成された第7の複数の測定導体と、基板の第4の層上に形成された第8の複数の測定導体と、基板上に形成された第2の複数のビアと、を更に備え得、第2の複数のビアは、第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルを形成するように、第5の複数の測定導体、第6の複数の測定導体、第7の複数の測定導体、及び第8の複数の測定導体のそれぞれの端部を接続するように配置されており、第1の戻りコイルの第1の端部は、第1の測定コイルの第2の端部に結合されており、第1の戻りコイルは、第1の円周方向とは反対の方向に経路の周りを進行し、第2の戻りコイルの第1の端部は、第2の測定コイルの第2の端部に結合されており、第2の戻りコイルは、第2の円周方向とは反対の方向に経路の周りを進行し、第1の測定コイルの第1の端部は、測定回路に結合するのに好適であり、第2の測定コイルの第1の端部は、測定回路に結合するのに好適である。
【0049】
第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルは、第1の戻りコイルの第1の巻きが、第2の半径方向平面内に位置する第5の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第7の複数の測定導体のうちの測定導体を備え、また第2の戻りコイルの第1の巻きが、第2の半径方向平面内に位置する第6の複数の測定導体のうちの測定導体、及び第8の複数の測定導体のうちの測定導体を備え、第2の半径方向平面が、円周方向に第1の半径方向平面に隣接するように、インターリーブされ得る。
【0050】
電流変化率センサは、第1の測定コイルに結合された第1の補償導体であって、第1の補償導体が、第1の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第1の補償導体と、第2の測定コイルに結合された第2の補償導体であって、第2の補償導体が、第2の円周方向とは反対の円周方向に、経路の周りを進行する、第2の補償導体と、を更に備え得る。
【0051】
本開示の第6の態様では、電流変化率センサが提供され、電流変化率センサは、基板であって、基板が、電流搬送導体のための経路を含む、基板と、基板上に形成された第1の測定コイルであって、基板の第1の平面内の経路を取り囲むように配置されている、第1の測定コイルと、基板上に形成された第2の測定コイルであって、基板の第1の平面内の経路を取り囲むように配置された第2の測定コイルと、を備え、第1の測定コイルは、経路の周りの円周方向に第2の測定コイルとインターリーブされる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
次に、本開示の態様を、例示としてのみ、添付の図面を参照しながら説明するが、ここで、同様の参照数字は同様の部品を指す。
【
図2a】補償導体又は戻り導体を有するロゴスキーコイルの概略表現である。
【
図2b】補償導体又は戻り導体を有する分割又は差動ロゴスキーコイルの概略表現である。
【
図3】電流変化率センサと測定下での電流搬送導体との間に存在する寄生インピーダンスの概略表現である。
【
図4】
図3の寄生インピーダンスの簡略化された概略表現である。
【
図5a】測定コイルが反対方向に巻かれている、電流変化率センサのあるコイルの概略図である。
【
図5b】測定コイルが反対方向に巻かれている、電流変化率センサの別のコイルの概略図である。
【
図5c】
図5a及び
図5bのコイルを含む、電流変化率センサの概略図である。
【
図6a】
図5aのコイルの簡略化された回路図である。
【
図6b】
図5bのコイルの簡略化された回路図である。
【
図7a】測定コイルが同じ方向に巻かれている、電流変化率センサのあるコイルの概略図である。
【
図7b】測定コイルが同じ方向に巻かれている、電流変化率センサの別のコイルの概略図である。
【
図7c】
図7a及び
図7bのコイルを含む、電流変化率センサの概略図である。
【
図8a】
図7aのコイルの簡略化された回路図である。
【
図8b】
図7bのコイルの簡略化された回路図である。
【
図9a】戻りコイルが提供される、電流変化率センサのあるコイルの概略図である。
【
図9b】戻りコイルが提供される、電流変化率センサの別のコイルの概略図である。
【
図9c】
図9a及び
図9bのコイルを含む、電流変化率センサの概略図である。
【
図13a】第1の測定コイルに関連する導体のみを示す、
図11の4層電流変化率センサのサブセクションである。
【
図13b】第2の測定コイルに関連する導体のみを示す、
図11の4層電流変化率センサのサブセクションである。
【
図13c】
図11の4層電流変化率センサのサブセクションであり、第1の測定コイル及び第2の測定コイルの両方に関連する導体を示す。
【
図15a】
図5aの電流センサの第1のコイルの2層実装の概略表現である。
【
図15b】
図5bの電流センサの第2のコイルの2層表現の概略表現である。
【
図15c】
図15a及び
図15bの第1及び第2のコイルの両方を含む、
図5cによる2層実装の電流変化率センサの概略表現である。
【
図16a】
図7aの2層実装の電流センサの第1のコイル及び第2のコイルの概略表現である。
【
図16b】
図7bの2層実装の電流センサの第2のコイルの概略表現である。
【
図21】
図17の測定導体の内側円周におけるビア配置の平面図である。
【
図22】
図17の電流変化率センサからのツイストペア接続の平面図である。
【
図23】
図17の電流変化率センサからの代替接続の平面図である。
【
図24】更なる静電遮蔽部を含む、
図17の電流変化率センサの表現である。
【
図25】複数のコイルセグメントで構成された電流変化率センサの代替的な実装形態である。
【
図26】測定回路、及び
図25の電流変化率センサの測定回路への接続の図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
既知のロゴスキーコイルは、静電結合されたノイズ、及び磁気結合されたノイズの両方、例えば、ロゴスキーコイルの近くにある他の電流搬送導体によるノイズによって負の影響を受けることがある。差動ロゴスキーコイルへの静電結合されたノイズは、各差動コイルにおいて異なることがあり、これは、それを容易にキャンセル又は除去することができないことを意味する。更に、例えば、補償導体又は戻り導体を使用して、磁気結合されたノイズを除去する解決策は、ロゴスキーコイルのプリント回路基板の実装において実装することが難しい場合がある。
【0054】
図1は、既知のロゴスキーコイルの図である。電流搬送導体100を通って流れる電流I(t)を測定するために、電流搬送導体100が測定コイルを通過するように、測定コイル102が配置されている。測定コイル102は、ヘリックスとして巻かれ、ヘリックスのループ又は巻きが断面積104、Aを囲むようになっている。電流搬送導体100は、例えば、バスバーであり得る。
【0055】
電流搬送導体100内の電流I(t)が変化すると、電流によって生成される場も変化する。測定コイルの位置決めは、電流変化率dI/dtに比例する電圧を測定コイル102内に誘導する。したがって、測定コイルの出力v(t)を積分することは、電流に比例する値を提供する。コイルの各巻き又はループは、電流搬送導体の進行に垂直な平面内に測定領域104を形成している。
【0056】
しかしながら、測定コイル内で誘導される電圧は、ユーザが測定しようとしていない外部導体の影響を受け得る。複数の測定領域104を形成するコイルのループと同様に、コイル自体の進行はまた、電流搬送導体の平面内に単一のループを効果的に形成している。この単一のループへの磁場の結合に対処するために、補償導体が含まれ得る。
【0057】
補償導体を含むロゴスキーコイルが
図2aに示されている。測定コイル200は、コイルの一方の端部に外部回路接続ノード204を有するほぼ完全なループとして形成されている。コイルの他方の端部は、ノード206において補償導体202に取り付けられている。補償導体202は、測定コイル200によって形成されたループ経路に沿って、第2の外部回路接続ノード208に戻る。いくつかの例では、補償導体は、戻り導体又は戻りワイヤと呼ばれることがある。
【0058】
補償導体202は、補償導体202が、測定コイルによって形成されたループ経路に沿って、又はそれを通って戻るように、測定コイル200とは反対の円周方向に、単一の巻きループを形成する。これは、補償導体202における磁気結合が、測定コイル200の大きな単一の巻き領域における磁気結合とは反対であることを効果的にもたらす。
【0059】
図2bは、静電結合の影響を低減するために使用され得る、差動コイル(又は分割/セグメント化されたコイル)を示している。ロゴスキーコイルは、2つの半分のコイル210、212として提供され、各半分のコイルが約180°進行するようになっている。第1の半分のコイル210は、コイルPと呼ばれることがあり、第2の半分のコイル212は、コイルNと呼ばれることがある。
【0060】
第1の半分のコイル210の第1の端部は、接続ノード216に結合されている。第1の半分のコイル210の第2の端部は、接続ノード218において補償導体214の第1の端部に結合されている。補償ワイヤ214の第2の端部は、接続ノード220において第2の半分のコイル212の第1の端部に結合されている。第2の半分のコイル212の第2の端部は、接続ノード222に結合されている。ノード218又は220は、接地又は共通の基準に接続され得る。
【0061】
各半分のコイルは、電流を差動的に検知するように設計されているが、静電結合はコモンモードである。コイルの出力に接続された差動増幅器を使用することによって、静電結合は排除され得る。しかしながら、2つのコイル半分間の静電結合の量の間の任意の差は、差動増幅器の出力における誤差につながり得る。例えば、電流搬送導体100の位置における任意のオフセット(2つの半分のコイルの間に中心に位置しないように配置される電流搬送導体)は、コイルP210内の静電結合をコイルN212内の静電結合と異なるようにし得る。静電結合は、電流搬送導体上に存在するAC電圧から、又はAC電圧(dv/dt)信号を有する近くの導体からであり得る。
【0062】
図3は、電流搬送導体、つまりバスバーと電流測定コイルの巻きとの間に存在する寄生容量の例を示している。コイルP304は、いくつかの巻き、又はループ、POS
巻き1~POS
巻きNで構成されている。コイルN306は、いくつかの巻き、又はループ、NEG
巻き1~NEG
巻きNで構成されている。測定コイルと電流搬送導体との物理的近接のために、電流搬送導体302と測定コイル304、306との間に寄生容量が存在する。AC電圧が電流搬送導体上に存在する場合、例えば、AC電圧308、望ましくない電圧は、寄生容量を介して電流測定コイルに注入され得る。
【0063】
コイルPの各巻き、POS巻き1~POS巻きNは、それぞれの寄生抵抗、RP1~RPN、及びそれぞれの寄生容量、CP1~CPNを含む。寄生抵抗は、測定コイルの抵抗、又は、測定コイルがPCB上に実装される場合は測定コイルを構成する銅トレースの抵抗によって引き起こされる。前述のように、寄生容量は、測定コイルと電流搬送導体又はバスバー302との近接によって引き起こされる。同様に、コイルN、NEG巻き1~NEGの巻きNの各巻きは、それぞれの寄生抵抗、RN1~RNN、及びそれぞれの寄生容量、CN1~CNNを含む。
【0064】
図4は、電流搬送導体と測定コイルとの間の寄生容量の簡略化された等価静電モデルを示している。容量、C
P1~C
PN及びC
N1~C
NNは、C
PがコイルP304と電流搬送導体302との間の総寄生容量を表し、C
NがコイルN306と電流搬送導体302との間の総寄生容量を表すように、それぞれC
P及びC
Nとして簡略化され得る。抵抗、R
P1~R
PN及びR
N1~R
NNは、R
PがコイルP304の総抵抗を表し、R
NがコイルNの総抵抗を表すように、それぞれ、R
P及びR
Nとして簡略化され得る。これらの寄生成分インピーダンスは、関心対象の周波数でのテベニンインピーダンスである。
【0065】
コイルP304及びコイルN306に結合されたノイズ(導体の電圧からの偽信号)は、対応する寄生成分間のインピーダンス分割器によって決定され得る。したがって、CP≠CN又はRP≠RNのときはいつでも、AC電圧308によるコイルP304及びコイルN306への誘導ノイズは異なるはずである。電流搬送導体又はバスバー302がコイルP304及びコイルN306の中心にないような任意のオフセットは、バスバー302のコイルに対する相対位置が異なるため、寄生容量CP及びCNの差を引き起こし得る。これは、測定コイルの結合が異なることをもたらす。同様に、コイルの寄生抵抗の任意の差は、異なるコイルへの結合をもたらし得る。静電結合は、電流搬送導体上に存在するAC電圧から、又はAC電圧(dv/dt)信号を有する近くの導体からであり得る。
【0066】
2つの完全なコイル、すなわち、各々、360°、又は約360°進行するコイルを含む差動コイルを提供することは、電流搬送導体302の位置にかかわらず、各コイルと電流搬送導体302との間の寄生容量のより近い一致を提供することによって、電流搬送導体100の位置に対する感度を大幅に低減させ得る。360°配線は、2つのコイルを、両方が電流搬送導体に対して、平均して、同じ距離であるように位置決めされることを可能にし得る。これはまた、各コイルが同じ経路に従うように、同じコモンモードの静電結合を受けることを確実にする。
【0067】
しかしながら、静電結合の均衡を改善する電流測定コイルを提供する一方で、外部磁場を排除するコイルを提供することが依然として重要であり得る。
【0068】
そこで、外部測定回路でキャンセルされ得る均衡した静電ノイズ結合を提供するために、いくつかの電流変化率センサレイアウトが提案されている。
【0069】
図5a、
図5b、及び
図5cは、電流搬送導体500内の電流を測定するための差動電流変化率センサ502の図を示している。経路、孔、又は開口は、電流搬送導体500に提供され得る。
図5cは、コイルP、コイルN、及びそれらのそれぞれの補償導体を含む、完全な電流変化率センサを示している。
図5aは、第1の測定コイル、コイルP504、及びそのそれぞれの第1の補償導体506を示している。
図5bは、第2の測定コイル、コイルN508、及びそのそれぞれの第2の補償導体510を示している。測定コイルP504の前進経路は、第1の測定コイル及び第2の測定コイルが実質的に反対方向に進行するように、測定コイルN508の前進経路とは反対の円周方向にある。
【0070】
第1の測定コイルP504の第1の端部は、端子又はノード512で始まり、電流搬送導体500に対して反時計回りの方向(又は代替の実装形態では、時計回りの方向)に進行又は移動し、第2の端部又はノード514で終端する。第1の補償導体506は、
図5aに表される例では、電流搬送導体500に対して時計回りに、ノード514からノード516まで、コイルP504に対して反対方向に移動又は進行する。補償導体506の第1の端部514は、測定コイルP504の第2の端部514に結合されている。
【0071】
第2の測定コイルN508の第1の端部は、端子518で始まり、電流搬送導体500に対して時計回りの方向(又は代替の実装形態では、反時計回りの方向)に進行又は移動し、第2の端部又はノード520で終端する。第2の補償導体510は、
図5bに表される電流搬送導体500に対して反時計回りに、ノード520からノード522まで、コイルN508に対して反対方向に移動又は進行する。補償導体510の第1の端部514は、測定コイルN508の第2の端部520に結合されている。
【0072】
図5a~
図5cの概略図は、コイルP504及びコイルNの両方が、電流搬送導体のための経路を取り囲むように、実質的に電流搬送導体500の周りを進行していることを示している。経路を取り囲むことは、180°~360°の間で経路の周りを進行する測定コイルとして定義され得る。例えば、実質的に360°進行することは、
図4に示されるように、優れた均衡した結合を提供し得る。半径方向に延在する測定導体のピッチによって、実質的に360°は、360°よりわずかに小さい場合がある。180°を超える進行は、依然として、コイルが180°を超えて進行しない回路よりも大きなコモンモード成分を有する、改善された結合を提供し得る。測定コイルは、360°を超えて、例えば、N*360°進行してもよく、ここで、Nは正の整数である。このようにして、各コイルへの静電結合は依然として同じである。基板の実質的に同じ領域を横切って進行する2つの測定コイルを有するセンサを提供することによって、寄生容量C
P及びC
Nは、同様又は同じであってもよい。いくつかの例では、ノード516及び522は、共通の基準、例えば、接地(とはいえ、任意の好適な基準電圧であってもよい)に対して一緒に結合され得る。更なる差動測定回路は、第1の測定コイル504及び第2の測定コイル508内の共通の静電結合されたノイズをキャンセルすることを可能にし得る。
【0073】
図5a~
図5cのコイルの簡略化された回路図が、
図6a~
図6cに示されている。特に、第1の補償導体506の第2の端部516は、第2の補償導体510の第2の端部522に結合され得る。センサは更に、電流測定コイルによって検出された電流変化率を電流測定に変換するための回路に、差動端子512及び518を電流測定回路に結合することを通じて結合され得る。電流測定回路は本開示の主題ではないため、本明細書ではこれ以上説明されない。当業者は、使用され得る多くの既知の差動電流測定回路が存在することを理解するであろう。
【0074】
第1の測定コイル504の第1の端部512は、電流変化率センサの差動出力信号の第1の信号を提供し得、第2の測定コイル508の第1の端部518は、差動出力信号の第2の信号を提供し得る。差動出力信号は、更なる差動回路に提供又は結合され得る。
【0075】
図5a~
図6cは、電流測定コイルが実質的に反対の円周方向に進行するセンサを示しているが、電流測定コイルが実質的に同じ円周方向に進行するセンサを実装し得る。
【0076】
例えば、
図7a、
図7b、及び
図7cは、電流搬送導体500内の電流を測定するための差動電流変化率センサ702の図を示している。
図7cは、コイルP、コイルN、及びそれらのそれぞれの補償導体を含む、完全な電流変化率センサを示している。
図7aは、第1の測定コイル、コイルP704、及びそのそれぞれの第1の補償導体706を示している。
図7bは、第2の測定コイル、コイルN708、及びそのそれぞれの第2の補償導体710を示している。測定コイルP704の前進経路は、測定コイルN708の前進経路と同じ円周方向にある。
【0077】
第1の測定コイルP704の第1の端部は、端子又はノード712で始まり、電流搬送導体500に対して反時計回りの方向(又は代替の実装形態では、時計回りの方向)に進行又は移動し、第2の端部又はノード714で終端する。第1の補償導体706は、
図7aに表される例では、電流搬送導体500に対して時計回りに、ノード714からノード716まで、コイルP704に対して反対方向に移動又は進行する。補償導体706の第1の端部714は、測定コイルP704の第2の端部714に結合されている。
【0078】
第2の測定コイルN708の第1の端部は、端子718で始まり、電流搬送導体500に対して反時計回りの方向(又は代替の実装形態では、時計回りの方向)に進行又は移動し、第2の端部又はノード720で終端する。第2の補償導体710は、
図7bに表される電流搬送導体500に対して時計回りに、ノード720からノード722まで、コイルN708に対して反対方向に移動又は進行する。補償導体710の第1の端部714は、測定コイルN708の第2の端部720に結合されている。
【0079】
同じ方向に進行する第1及び第2の測定コイルは、反対方向に進行する測定コイルと比較して、静電結合均衡を改善し得る。コイル中心に対して同じ方向(両方とも時計回り、又は両方とも反時計回り)に両方のコイルを開始すると、各コイルの各巻きが電流搬送導体に対して同じ近接を保つはずである。
【0080】
図7a~
図7cのコイルの簡略化された回路図が、
図8a~
図8cに示されている。特に、第1の補償導体706の第2の端部716は、第2の補償導体710の第2の端部722に結合され得る。センサは更に、電流測定コイルによって検出された電流変化率を電流測定に変換するための回路に、差動端子712及び718を電流測定回路に結合することを通じて結合され得る。電流測定回路は本開示の主題ではないため、本明細書ではこれ以上説明されない。当業者は、使用され得る多くの既知の差動電流測定回路が存在することを理解するであろう。
【0081】
第1の測定コイル704の第1の端部712は、電流変化率センサの差動出力信号の第1の信号を提供し得、第2の測定コイル708の第1の端部718は、差動出力信号の第2の信号を提供し得る。差動出力信号は、更なる差動回路に提供又は結合され得る。
【0082】
図5a~
図8cの実装形態の電流変化率センサは、電流搬送導体500のための経路の周りの実質的に同じ配線で一緒に進行する2つのコイルの提供により、改善された静電結合均衡を有するセンサを提供し得る。更に、センサは、2つの補償ワイヤを提供することを通じて、良好な磁気キャンセルを有するはずである。しかしながら、ある状況では、補償ワイヤによって提供される磁気キャンセルを依然として保持しながら、改善された電流検知感度を有するセンサを提供することも望ましい場合がある。
【0083】
例えば、
図9a、
図9b、及び
図9cは、電流搬送導体500内の電流を測定するための差動電流変化率センサ902の図を示している。電流変化率センサは、2つの順方向コイル及び2つの戻りコイルと呼ばれ得る4つの電流測定コイルを含む。
図9cは、コイルP、コイルN、及びそれらのそれぞれの戻りコイルを含む、完全な電流変化率センサを示している。
図9aは、第1の測定コイル、コイルP904、及びそのそれぞれの第1の戻りコイル906を示している。
図9bは、第2の測定コイル、コイルN908、及びそのそれぞれの第2の戻りコイル910を示している。
【0084】
戻りコイルは、明確にするためにそのように呼ばれてきたが、戻りコイルは、測定コイルと同じ様式で電流搬送導体内の電流を測定するように作用することを理解されたい。したがって、戻りコイルはまた、測定コイルとみなされてもよく、又はそれらはそれぞれの測定コイルの一部であるとみなされてもよい。
【0085】
補償戻りワイヤは、戻りコイル又は逆方向コイルと呼ばれる二次コイルと置き換えられている。前述の設計と同様に、第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、同じ方向(この例では反時計回り)で円周方向の進行を開始する。これらのコイルは、完全な前進のために、空間的対称性を維持しながら一緒に移動する。次いで、それらは各々、同じ前進経路に従って時計回り方向に戻るそれぞれの戻りコイル又は逆方向コイルに接続する。第1の測定コイル及び第2の測定コイルの巻き、並びに第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルの巻きは、
図9a~
図9cに見られるように、前進経路に沿ってインターリーブされる。合計で、これは、所望のロゴスキーコイルを生成するために結合する基本的に4つの個々のコイルを作成する。
【0086】
第1の測定コイルP904の第1の端部は、端子又はノード912で始まり、電流搬送導体500のための経路の周りの反時計回りの方向(又は代替の実装形態では、時計回りの方向)に進行又は移動し、第2の端部又はノード914で終端する。第1の戻りコイル906は、
図9aに表される例では、電流搬送導体又は電流搬送導体500のための経路の周りを時計回りに、ノード914からノード916まで、コイルP904に対して反対方向に移動又は進行する。第1の戻りコイル906の第1の端部914は、測定コイルP904の第2の端部914に結合されている。電流変化率センサは、磁場のキャンセルを依然として提供する一方でコイル巻きの増加を提供するように、測定コイル及び戻りコイルを含むように提供され得る。
【0087】
第2の測定コイルN908の第1の端部は、端子918で始まり、電流搬送導体500のための経路の周りを時計回りの方向(又は代替の実装形態では、反時計回りの方向)に、進行又は移動し、第2の端部又はノード920で終端する。第2の戻りコイル910は、
図9bに表される電流搬送導体500のための経路の周りを反時計回りに、ノード920からノード922まで、コイルN908に対して反対方向に移動又は進行する。第2の戻りコイル910の第1の端部914は、測定コイルN908の第2の端部920に結合されている。
【0088】
この実装形態では、測定コイルは、互いに対して同じ円周方向に進行するが、代替的に、コイルは、互いに対して反対方向に進行し得る。
図9a~
図9cの概略図は、コイルP904及びコイルN908の両方が、経路を取り囲むように、電流搬送導体500のための経路の周りで実質的に進行していることを示している。2つの測定コイルを有するセンサを提供することによって、寄生容量C
P及びC
Nは、同様又は同じであり得る。いくつかの例では、ノード916及び922は、一緒に結合され得、共通の基準、例えば、接地に結合され得る。同様に、戻りコイル906、910は、経路を取り囲むように、電流搬送導体500のための経路の周りを実質的に進行し得る。
【0089】
図9a~
図9cの簡略化された回路図が、
図10a~10cに示されている。特に、第1の戻りコイル906の第2の端部916は、第2の戻りコイル910の第2の端部922に結合され得る。センサは、差動端子912、918を電流測定回路に結合することによって、電流測定コイルによって検出された電流変化率を電流測定に変換するように構成された回路に更に結合され得る。
【0090】
補償導体の代わりに戻りコイルを提供することによって、より多くの巻きが同じ量の空間に提供され得、これは、測定下での電流搬送導体における電流変化率に対するコイル感度を改善し得る。第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、均衡した静電結合を有し得、第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルは、均衡した静電結合を有し得、その結果、静電結合は、更なる測定回路においてキャンセルされ得る。更に、第1の戻りコイルは、第1の測定コイルとは反対の円周方向に進行するにつれて、第1の測定コイルの補償導体として機能し得、第2の戻りコイルは、第2の測定コイルの補償導体として機能し得る。
【0091】
巻き数の増加(戻りコイルはまた、電流搬送導体内の電流を検知するように作用する)に起因して、出力端子912、918における出力電圧は、戻りコイルの代わりに補償導体を提供するシステムよりも大きくなり得る。
【0092】
電流変化率センサのプリント回路基板実装
電流変化率センサは、プリント回路基板(PCB)又は基板上に実装され得る。有利には、プリント回路基板上の電流変化率センサを提供することは、電流変化率センサが、電流測定装置の他の部分と同じ回路基板上、例えば、電流測定回路、増幅器、比較器、積分器と同じ回路基板上に提供されることを可能にし得る。
【0093】
しかしながら、
図5a~
図10cに示されるような電流測定コイルをPCB上に実装しようとするとき、それらが、平均して、電流搬送導体から同じ距離であるように、2つのコイルを配線することが困難であり得る。したがって、
図3及び
図4に概説されるように、各コイルと測定導体との間に提供された容量性結合が同じであることを確実にすることは困難であり得る。各コイルへの静電結合が等しく、結合が差動増幅器段によってキャンセルされ得るような、寄生容量の所望の均衡を達成するPCB上に実装される電流測定コイルを提供する必要がある。コイルが異なる領域にあった場合、静電結合は同じではない可能性があり、出力において完全にキャンセルされないか又は除去されない可能性がある。更に、静電結合の均衡を改善するコイルを作ろうとしている間、外部磁場を排除するコイルを提供することが依然として望ましいため、これは更に困難になる。
【0094】
4層実装:
図5a~
図6cは、2つの電流測定コイル504、508、及び2つの補償導体506、510を備える電流変化率センサ502を示しており、電流測定コイルは反対方向に進行する。この電流変化率センサは、基板又はプリント回路基板(PCB)の4層にわたって実装され得る。
【0095】
図11は、電流搬送導体500のための経路の周りで一緒に実質的に進行する2つの測定コイル(コイルP及びコイルN)を備える、電流変化率センサ502のプリント回路基板実装の二次元上面図を示している。電流搬送導体500の周りで実質的に進行することは、電流測定コイルが、経路を取り囲むように経路の周りで実質的に進行することをもたらし得る。各測定コイルは、部分的に、いくつかの導電性測定コイルトラック/トレース(測定導体とも呼ばれる)1102によって形成されている。測定導体1102は、プリント回路基板の中心から、電流搬送導体500から、又は経路若しくは開口の位置から半径方向に延在し得るという点で、半径方向要素であり得る。それらが延在する平面は、基板の表面又は主表面に垂直である。ロゴスキーコイル状構造は、コイルの中心にある基板/回路基板内の孔、開口、又は経路を含み得、電流搬送導体が経路を通過することを可能にする。複数の測定導体1102は、経路を円周方向に取り囲むように配置されている。コイルの円周方向の進行は、円周方向進行導体、又は「ねじれ」1106を使用して、外側円周で行われ得る。これらの円周方向進行導体は、
図5a~
図5cに関する説明に概説されるように、測定コイルが電流搬送導体500に対して円周方向に進行することを可能にする。
【0096】
図12は、
図11の電流変化率センサのPCBトレース及びビアの三次元図を示している。半径方向測定導体は、PCBの基板の4つの層にわたって分布している。例えば、第1の複数の測定導体1202は、基板の第1の層上に位置している。この例では、第1の層は、表される最も上の層である。第2の複数の測定導体1204は、回路基板の第2の層上に位置しており、この例では、回路基板は、第1の層の下(PCB基板の平面に垂直又は直角な方向)にある層である。第3の複数の測定導体1206は、回路基板の第3の層上に位置しており、この例では、回路基板は、第2の層の下(PCB基板の平面に垂直又は直角な方向)にある層である。第4の複数の測定導体1208は、回路基板の第4の層上に位置しており、この例では、回路基板は、第3の層の下(PCB基板の平面に垂直又は直角な方向)であり、表される最も低い層である。
【0097】
半径方向要素は、回路基板の4つの層にわたって分布しているが、回路基板自体は、必ずしも4層回路基板ではない。例えば、回路基板は、6層、8層、又は10層を有する回路基板など、4層よりも多い層を有し得る。
【0098】
第1の複数の測定導体1202の各それぞれの測定導体は、第2、第3、及び第4の複数の測定導体1204、1206、1208からのそれぞれの測定導体と位置合わせされる。これらのそれぞれの測定導体は、基板の表面に垂直な半径方向平面に位置合わせされ、基板の表面は、基板の主表面である。概念的には、複数の測定導体702、704、706、及び708のそれぞれの測定導体を通過する平面は、コイルの半径方向に延在し、基板の平面に直角/垂直な平面であるため、本開示を通して「半径方向平面」と呼ばれることがある。
【0099】
電流変化率センサ502は、複数の外側円周ビア1210及び複数の内側円周ビア1214、1216を含む第1の複数のビアを更に備える。第1、第2、第3、及び第4の複数の測定導体のそれぞれの測定導体は、複数の外側円周ビア1210のそれぞれのビアに接続されている。外側円周ビア1210は、測定導体の外側円周の周りに形成されている。外側円周ビア1210は、少なくとも導電性ライニングを含み得(及び任意選択的に導電性材料で完全に充填され得る)、円周方向進行導体1212によって、回路基板の1つの層上の測定導体を回路基板の別の層上の測定導体と結合し得る。
【0100】
それぞれの測定導体もまた、内側円周ビア1214、1216に接続されている。内側円周ビアは、第1の円のビア1214が第1の直径を有し、第2の円のビア1216が第2の直径を有し、第1の円と第2の円が同心円であるように、2つの円で提供され得る。第1の円のビア1214の直径は、第2の円のビア1216の直径よりも小さくてもよい。この例では、第1の円のビア1214は、第2の円のビア1216よりも、測定導体のグループによって形成される円の中心に近い位置に形成されるが、「第1の」及び「第2の」は、単なる標識用語である。第1の円のビア1214及び第2の円のビア1216は各々、少なくとも導電性ライニングを含み得(及び任意選択的に導電性材料で完全に充填され得る)、複数の測定導体のうちの1つの測定導体のそれぞれの測定導体を、複数の測定導体のうちの第2の測定導体の測定導体と結合し得る。
【0101】
図1の104と同様の完全なループを形成する各コイルの巻きは、第1の円のビア1214又は第2の円のビア1216のうちの1つによって接続された、複数の測定導体のうちの異なる測定導体からの回路基板の異なる層上の2つの測定導体によって形成されている。例えば、第1の複数の測定導体1202からの測定導体、第2の複数の測定導体1204からの測定導体、第3の複数の測定導体1206からの測定導体、及び第4の複数の測定導体1208からの測定導体は、一緒に、第1の円のビア1214、第2の円のビア1216(コイルの内側円周上)、及び外側円周ビア1210(コイルの外側円周上)からのビアとともに、第1の測定コイル(コイルP)504及び第2の測定コイル(コイルN)508の巻きの一部を形成する。コイルの円周方向の進行は、代替的に、「ねじれ」又は円周方向に延在する導体として知られている接続領域1212を使用して、外側円周に提供される。
【0102】
単に2つの測定コイルを別々に実装すると、例えば、プリント回路基板の層1及び2にコイルPを実装し、回路基板の層3及び4にコイルNを実装することによると、均衡が悪くなる可能性がある。コイルは、異なる領域(例えば、基板の平面に垂直な方向の2つのコイルの平均中間点が異なる)に位置することになり、これにより
図3及び
図4に関して説明した寄生容量が異なることになる。コイルNが第1の回路基板上に実装され、コイルPが第2の回路基板上に実装された場合も同様である。
【0103】
代わりに、コイルNとコイルPとはインターリーブされる。これは、コイルN及びコイルPが、関心対象の電流搬送導体又はバスバーから、平均して、同じ距離であり、各コイルへの静電結合が同じであり(例えば、基板のペインに垂直な方向にある2つのコイルの平均中間点は実質的に同じである)、それらが同じ平均静電結合を有することを意味する。
【0104】
図13a~
図13cは、
図12のサブセクションを示している。説明しやすいように、
図13aは、第2の測定コイルNの一部を形成する測定導体のみを示しており、
図13bは、第1の測定コイルPの一部を形成する測定導体のみを示している。
図13cは、コイルN及びコイルPの両方の測定導体を示している(したがって、
図12の真のサブセクションである)。更に、
図14a、
図14b、及び
図14cは、
図13a、
図13b、及び
図13cのPCB実装の簡略化された概略図を表している。
図14a~
図14cは、直線的に配置されたコイルを示しているが(すなわち、中心開口を囲むのではなく、コイルがまっすぐになっているかのように、右から左へ、又は左から右へ直線的に進行している)、これは、提示の簡略化のためにのみ行われている。半径方向導体要素は、実際には、中心開口の周りに円形に配置され、内側縁部及び外側縁部に位置するビアも、
図11及び12のように、ビアが測定導体の内側円周及び外側円周をマークするように、円形に配置されることが理解されるであろう。
【0105】
コイルNの第1の巻き(
図13aに見られるように)は、第1の複数の測定導体1202のPCBの第1の層上に形成された測定導体1302と、第3の複数の測定導体1206のPCBの第3の層上に形成された測定導体1304と、を含み、測定導体の第1の端部(開口、経路、又は電流搬送導体に近い端部)において、第1の円のビア1214の内側円周ビア1306によって接続されている。コイルNの第2の巻きは、第2の複数の測定導体1204のPCBの第2の層上に形成された測定導体1308と、第4の複数の測定導体1208のPCBの第4の層上に形成された測定導体1310と、を含み、これらは、第2の円のビア1216の内側円周ビア1312によって接続されている。コイルNの第3の巻きは、第1の複数の測定導体1202のPCBの第1の層上に形成された測定導体1314と、第3の複数の測定導体1206のPCBの第3の層上に形成された測定導体1316と、を含み、これらは、第1の円のビア1204の内側円周ビア1318によって接続されている。特に、コイルNの巻きの一部を構成する測定導体は、回路基板の表面に垂直な同じ平面内にある。例えば、測定導体1302及び測定導体1304は、同じ半径方向に延在する平面上に中心に置かれ、平面は、基板の表面に垂直である。ビアはまた、半径方向要素の第2の端部が外部円周上のビアに結合されるように、測定導体のそれぞれの第2の端部(
図12の外側円周ビア1210)に接続されている。しかしながら、これらの外側円周ビアは、理解を容易にするためにこの図には示されていない。
【0106】
コイルPの第1の巻き(
図13bに見られるように)は、第2の複数の測定導体1204のPCBの第2の層上に形成された測定導体1320と、第4の複数の測定導体1208のPCBの第4の層上に形成された測定導体1322と、を備え、これらは、第2の円のビア1216の内側円周ビア1324によって接続されている。コイルPの第2の巻きは、第1の複数の測定導体1202のPCBの第1の層上に形成された測定導体1326と、第3の複数の測定導体1206のPCBの第3の層上に形成された測定導体1328と、を含み、これらは、第1の円のビア1214の内側円周ビア1330によって接続されている。コイルPの第3の巻きは、第2の複数の測定導体1204のPCBの第2の層上に形成された測定導体1332と、第4の複数の測定導体1208のPCBの第4の層上に形成された測定導体1334と、を含み、これらは、第2の円のビア1216の内側円周ビア1336によって接続されている。コイルNと同様に、コイルPの各巻きを形成する測定導体は、同じ半径方向平面内にある。外側円周ビアは、理解を容易にするために
図13bには示されていない。
【0107】
図13cに見られるように、これらの2つの測定コイルが4層回路基板上に実装される場合、それらは、コイルNの巻き(
図13a)が、コイルPの巻き(
図13b)と同じ半径方向に延在する平面内にあるように配置され、これにより、それらのコイルは、インターリーブされる。例えば、測定導体の第1のグループは、測定導体1302、1304、1320、1322を含む。この測定導体のグループは、回路基板又は基板の主表面に垂直な第1の半径方向平面内に位置している。測定導体の第2のグループは、測定導体1308、1310、1326、及び1328を含む。測定導体の第2のグループは、回路基板又は基板の主表面に垂直な第2の半径方向平面内に位置している。測定導体の第3のグループは、回路基板又は基板の主要な表面に垂直な第3の半径方向平面内に位置している測定導体1314、1316、1332、及び1334を含む。測定導体の各グループは、コイルNの一部を形成する2つの測定導体と、コイルPの一部を形成する2つの測定導体と、を含む。
【0108】
コイルPの巻きの一部及びコイルNの巻きの一部は、同じ平面内に位置している。回路基板の第1の層上に実装された測定導体1302、及び回路基板の第3の層上に実装された測定導体1304は、コイルNの一部を形成する。回路基板の第2の層上に実装された測定導体1320、及び回路基板の第4の層上に実装された測定導体1322は、コイルPの一部を形成する。各連続する巻きに対して、コイルNが占める層と、コイルPが占める層とが入れ替わる。例えば、コイルNの第2の巻きは、回路基板の第2の層上に実装された測定導体1308と、第4の層上に実装された測定導体1310とを、含む。コイルPの第2の巻きは、回路基板の第1の層上に実装された測定導体1326と、回路基板の第3の層上に実装された測定導体1328と、を含む。
【0109】
この配置は、コイルNの第1の巻きの一部が層1及び3上に配置され、コイルPの第1の巻きの一部が層2及び4上に配置されることをもたらす。第2の巻きでは、コイルNの測定導体は、層2及び4上に配置され、コイルPの測定導体は、層1及び3上に配置されている。各コイルを交互に配線するために使用される層のこの交互のパターンは、コイルが回路基板の周りを進むにつれて継続する。別の言い方をすると、コイルN及びコイルPの第1の巻きについて、コイルNは、第1の複数の測定導体1202及び第3の複数の測定導体1206の測定導体を備え、コイルPは、第2の複数の測定導体1204及び第4の複数の測定導体1208の測定導体を備える。コイルN及びコイルPの第2の巻きのために、コイルNは、第2の複数の測定導体1204及び第4の複数の測定導体1208の測定導体を備え、コイルPは、第1の複数の測定導体1202及び第3の複数の測定導体1206の測定導体を備える。巻きごとに、コイルは、使用される測定導体を交互にする。
【0110】
このインターリーブされた配置は、改善された静電結合性能を提供し得る。例えば、PCBの最上面の近くに外部の干渉するAC電圧搬送(dv/dt)導体、又は一般的に、PCBの直上に存在する望ましくない場が存在し得る。両方のコイルは、PCBの第1の層上に同じ巻き数を含むので、同じ静電結合が各コイルで生じるはずである。
【0111】
補償導体1206、1210は、回路基板の周りに含まれ得る。例えば、補償導体は、コイルの外側円周ビア1210の近くに位置し、コイルの外側円周ビア1210の間に巻かれた蛇行導体の形態を取ることができる。
【0112】
内側円周のビアは、測定導体のグループを形成する4つの測定導体が、測定導体のグループが形成されるのと同じ半径方向平面内に接続されることを可能にするように、2つの同心円1214、1216として配置され得る。コイルNは、第1の円のビア1214と、内側円周ビアの第2の円のビア1216と、を交互に使用する。コイルPは、第1の円のビア1214と、内側円周ビアの第2の円のビア1216と、を交互に使用する。
【0113】
例えば、コイルNの1302、1304の測定導体は、第1の円のビア1214のビア1306を使用して接続されており、コイルPの測定導体1320、1322は、第2の円のビア1216のビア1324を使用して接続されている。コイルNの測定導体1308、1310は、第2の円のビア1216のビア1312を使用して接続されており、コイルPの測定導体1326、1328は、第1の円のビア1214のビア1330を使用して接続されている。一般に、第1の複数の測定導体1202及び第3の複数の測定導体1206の測定導体は、第1の円ビア1214を使用して接続され得る。第2の複数の測定導体1204及び第4の複数の測定導体1208の測定導体は、第2の円ビア1216を使用して接続され得る。ビアはこのように説明されているが、それらはまた、反対の様式で接続され得、例えば、第1の複数の測定導体1202及び第3の複数の測定導体1206の測定導体は、第2の円ビア1216を使用して接続され得、第2の複数の測定導体1204及び第4の複数の測定導体1208の測定導体は、第1の円ビア1214を使用して接続され得る。各コイル、つまりコイルN及びコイルPが、この交互の様式で同じ数の第1の円のビア及び第2の円のビアを使用するので、コイルによって囲まれる面積は、平均して、同じままである。これは、コイルが測定下での電流搬送導体から均衡した結合を提供し得ることを確実にする。
【0114】
図14aは、コイルN及びそのそれぞれの第1の補償導体を構成する導電性PCBトレースを示している。
図14bは、コイルP及び第2の補償導体を構成する導電性PCBトレースを示している。
図14cは、コイルN及びコイルPがどのように組み合わされて、差動電流変化率センサを形成し得るかを示している。
図14a~
図14cの特徴の多くは、
図13a~
図13cの特徴と同じであるが、
図14a~
図14cは、コイルの外側円周での接続、及び補償導体の配置をより明確に示している。図には凡例が提供されており、基板の異なる層上の測定導体は、異なる線形式を使用して表されている。測定導体は、理解を容易にするために、同じ半径方向平面内に直接にあるものではなく、互いに隣接するものとして表されている。
【0115】
外部円周では、コイルPの円周方向の進行は、測定導体をそれぞれの外側円周ビアに接続する円周方向の進行要素を使用して提供され得る。これらの円周方向進行導体は、測定コイルが接続ノードから円周方向に進行し、更なる測定導体に接続することを可能にする。
【0116】
例えば、コイルP504は、円周方向に延在する導体1402を使用して、接続ノード512からノード514まで反時計回りに進行する。外側円周ビア1404は、回路基板の1つの層上の円周方向に延在する導体を回路基板の別の層上の導体に接続し、円周方向に延在する導体1402が、回路基板の主要な表面に垂直な1つの平面内の測定導体を別の平面内の測定導体に接続することを可能にする。
【0117】
コイルNは、外側円周ビア1408に接続された円周方向に延在する導体1406を使用して、電流搬送導体に対して時計回りの方向に、接続ノード518からノード520まで進行する。
【0118】
第1の補償導体506及び第2の補償導体510もまた、
図14a~
図14cの概略図上に提供されている。第1の補償導体は、それがコイルPとは反対の円周方向に、コイルPの円周導体1402に隣接して蛇行して、ノード514からノード516に戻るように提供される。第2の補償導体は、それがコイルNの円周導体1406に隣接して蛇行するように提供される。この様式で、それぞれの測定コイルの円周方向に延在する要素に密接に従うことにより、補償導体によって形成される単一のループが、測定コイルによって形成される単一のループと同じ、又は可能な限り類似していることが確実となる。
【0119】
補償導体は、回路基板の4つの層にわたって形成され、これらの層の間で交互に形成されている。補償導体は、円周方向に進行する回路基板1410上の導電性トレースから形成されている。補償導体トレース1410は、回路基板の4つの層にわたって、第1の外側円周ビア1412と第2の外側円周ビア1414との間で交互に走っている。
【0120】
上記の4層実装は、電流測定コイルが反対方向に進行する状態で説明されているが、電流測定コイルはまた、
図7a~
図7cに概説されるように、それらが同じ方向に進行するように実装され得る。
【0121】
2層実装
測定コイルが回路基板の4つの層にわたって反対の方向又は検知で実装される上述した電流変化率センサと同様に、差動電流センサはまた、回路基板の2つの層にわたって実装され得る。例えば、
図5a~
図5cの実装形態は、
図11~
図14のように、回路基板の主表面に垂直な平面内でインターリーブされるのではなく、コイルN及びコイルPが回路基板の主表面に平行な平面内でインターリーブされるように、回路基板の2つの層にわたって実装され得る。有益なことに、2層回路基板の実装は、4層回路基板の実装と比較して簡略化された製造要求を提供し得、ノイズ結合の排除に関して依然として良好な性能を維持しながら、電流変化率センサを生成するためのコストを低減し得る。
【0122】
図15a~
図15cは、
図5a~
図5cによる電流変化率センサの2層実装のサブセクションの概略表現であり、ここで、第1及び第2の測定コイルは、電流搬送導体500のための中心経路の周りの反対方向に進行する。
図15a~
図15cは、直線的に配置されたコイルを示しているが(すなわち、中心開口を囲むのではなく、コイルがまっすぐになっているかのように、右から左へ、又は左から右へ直線的に進行している)、これは、提示の簡略化のためにのみ行われている。半径方向導体要素は、実際には、中心開口又は経路の周りに円形に配置され、内側縁部及び外側縁部に位置するビアも、ビアが測定導体の内側円周及び外側円周をマークするように、円形に配置されることが理解されるであろう。2層実装のいくつかの態様は、4層実装のものと同じであり、
図11~
図14に関する記載は、2層実装の記載を考慮するときにも留意されるべきである。
【0123】
図15aは、第1の測定コイルP504及びその第1の補償導体506のサブセクションの概略図を示している。
図15bは、第2の測定コイルN508及び第2の補償導体510のサブセクションの概略図を示している。
図15cは、回路基板の2つの層にわたって実装された、
図15a及び
図15bの両方の特徴を含む概略図を示している。図には凡例が提供されており、基板の異なる層上の測定導体は、異なる線形式を使用して表されている。測定導体は、理解を容易にするために、同じ半径方向平面内に直接にあるものではなく、互いに隣接するものとして表されている。
【0124】
コイルN及びコイルPは、回路基板の2つの層にわたって配置され、コイルNの巻きが、回路基板の表面に垂直な半径方向に延在する平面内に形成され、続いて、回路基板の表面に垂直な異なる半径方向に延在する平面内に形成されたコイルPの巻きが形成されるように、インターリーブされる。例えば、コイルP1502の第1の巻きは、回路基板の2つの層上に形成され、次に、コイルN1504の第1の巻きは、コイルPの第1の巻きに隣接する半径方向平面内の回路基板の2つの層上に形成され、次に、コイルP1506の第2の巻きは、コイルNの第1の巻きに隣接する半径方向平面内の回路基板の2つの層上に形成される。このようにして測定コイルの巻きをインターリーブすることにより、測定コイルは、両方とも、電流搬送導体500のための経路の周りに実質的に進行することが可能になり、一方で、依然として、関心対象の電流搬送導体に対して、平均して、同じ距離を維持している。コイルPの巻き及びコイルNの巻きは、コイルPの巻きが、コイルNの巻きに対して、異なるが隣接する半径方向に延在する平面内にあるように、隣接している。
【0125】
第1の複数の測定導体は、基板又は回路基板の第1の層上に位置し得、第2の複数の測定導体は、回路基板の第2の層上に位置し得る。第1の複数の測定導体の各それぞれの測定導体は、基板の表面に垂直な平面内で第2の複数の測定導体のそれぞれの測定導体と位置合わせされており、平面は半径方向に延在している。第1の測定コイルP504の巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体1508と、第2の複数の測定導体のうちの測定導体1510と、を含み得る。これらの測定導体1508、1510は、同じ半径方向に延在する平面(すなわち、回路基板の表面に垂直な平面)内に形成される。第1の層上の測定導体1508及び第2の層上の測定導体1510は、内側円周ビア1512によって接続され得る。
【0126】
第2の測定コイルN508の巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体1514と、第2の複数の測定導体のうちの測定導体1516と、を含み得る。第1の層上の測定導体1514及び第2の層上の測定導体1516は、内側円周ビア1518によって接続され得る。
【0127】
外部円周では、コイルPの円周方向の進行は、測定導体をそれぞれの外側円周ビアに接続する円周方向の進行要素を使用して提供され得る。これらの円周方向進行導体は、測定コイルが接続ノードから円周方向に進行し、更なる測定導体に接続することを可能にする。
【0128】
例えば、第1の測定コイルP504は、円周方向に延在する導体1520を使用して、接続ノード512からノード514まで、電流搬送導体500のための経路の周りを反時計回り方向に進行する。外側円周ビア1522は、回路基板の1つの層上の円周方向に延在する導体を回路基板の別の層上の導体に接続し、円周方向に延在する導体1520が1つの半径方向平面内の測定導体を隣接する半径方向平面内の測定導体に接続することを可能にする。
【0129】
第2の測定コイルN508は、接続ノード518からノード520まで、電流搬送導体500のための経路の周りを時計回りの方向に進行する。
【0130】
第1の補償導体506及び第2の補償導体510もまた、
図15a~
図15cの概略図に提供されている。第1の補償導体は、それがコイルPとは反対の円周方向に、コイルPの円周導体1520に隣接して蛇行して、ノード514からノード516に戻るように提供されている。第2の補償導体は、それがコイルNの反対の円周方向に、コイルNの円周方向の導体に隣接して蛇行して、ノード520から522に戻るように提供されている。このようにして、それぞれの測定コイルの円周方向に延在する要素に密接に従うことは、補償導体によって形成される単一のループが、測定コイルによって形成される単一のループと同じ、又は可能な限り同様になる可能性がある。
【0131】
補償導体は、回路基板の2つの層にわたって形成され、これらの層の間で交互に形成されている。補償導体は、円周方向に進行する回路基板1524上の導電性トレースから形成されている。補償導体トレース1524は、回路基板の2つの層にわたって、第1の外側円周ビア1526と第2の外側円周ビア1528との間で交互に走っている。
【0132】
補償導体は、補償導体が、回路基板の第1及び第2の層にわたって交互の順序で形成された導体のセグメントを備えるように、回路基板の2つの層にわたって形成され得る。これは、第1の補償導体のセグメント1524が、回路基板の第1の層及び回路基板の第2の層の上に交互のパターンで形成されている
図15a~
図15cに見られる。このパターンは、回路基板の交互の層上に配置された多数の円周方向に進行するセグメント1524から補償導体が形成されるように、継続する。
【0133】
第2の補償コイルは、回路基板の第1及び第2の層上のセグメント1530を使用して、類似の様式で形成されている。
【0134】
図11~
図15は、
図5a~
図5cのように、2つの測定コイルが反対の円周方向に進行するように配置される、電流変化率センサの実装形態に関する。しかしながら、それらはまた、
図7a~
図7cのように、測定コイルが同じ円周方向に進行するように実装され得る。
【0135】
反対方向の測定コイルは、コイル上に対称的に中心を置かれていない干渉導体に起因する
図3及び
図4に示される寄生インピーダンスの不完全な一致によって引き起こされ得る容量性結合を完全に排除しない場合がある。例えば、POS
巻き1の寄生インピーダンスがNEG
巻き1の寄生インピーダンスに等しく、巻きNまでのコイルP及びコイルNの全ての回転に同じことが当てはまった場合、第1の測定コイルと第2の測定コイルとの間に差動電圧が存在しないように、完璧なインピーダンス均衡が存在するはずである。しかしながら、電流搬送導体が、NEG
巻き1よりもPOS
巻き1に物理的に近かったように中心がずれている場合、各巻きの電流搬送導体への寄生容量はわずかに異なることになり、これは、
図4の等価回路におけるインピーダンスの不一致をもたらす。コイルを反対方向に配線することは、コイルが異なる経路に従うことをもたらし得る。
【0136】
したがって、寄生インピーダンスの均衡を更に改善するための潜在的な解決策は、コイルの接続ノードに接続され得る差動測定回路の端子からほぼ同じ様式で両方のコイルを配線することである。両方のコイルを、コイルの中心の周りで同じ円周方向に従うように開始すること(例えば、コイルN及びコイルPの両方が時計回りに進行する、又はコイルN及びコイルPの両方が反時計回りに進行する)は、コイルの各巻きを電流搬送導体又は干渉源から同じ距離に保ち得、コイルの端子又は接続ノード(例えば、718、712、716、及び722)を互いに近くに保ち得る。
【0137】
両方のコイルを同じ方向に進行させることは、両方のコイルが一緒に移動するという点で、コイルの完全な前進のために空間的対称性を維持しながら、それらが同じ経路に従うことを可能にし得る。それは更に、接続ノード712、716、718、及び722がコイルの同じ側に位置決めされることを可能にし得、これは、全ての接続ノードが互いに近いので、測定回路を接続することを容易にし得る。
【0138】
図16a~
図16cは、
図7a~
図7cによる2層同方向実装形態の配置の概略図を示している。
図16aは、第1の測定コイルP704及び第2の測定コイルN708の両方を構成する導電性トレースを示している。
図16bは、コイルN及びコイルPの補償導体を構成する導電性トレースを示している。
図16cは、コイルN、コイルP、及びそれらのそれぞれの補償導体の両方を含む、完全な電流変化率センサを示している。図には凡例が提供されており、基板の異なる層上の測定導体は、異なる線形式を使用して表されている。測定導体は、理解を容易にするために、同じ半径方向平面内に直接にあるものではなく、互いに隣接するものとして表されている。
【0139】
図16a~
図16cは、直線的に配置されたコイルを示しているが(すなわち、中心開口又は経路500を取り囲むのではなく、コイルがまっすぐになっているかのように、右から左へ、又は左から右へ直線的に進行している)、これは、提示の簡略化のためにのみ行われている。半径方向導体要素は、実際には、電流搬送導体500のための経路の周りの円形に配置され、内側縁部及び外側縁部に位置するビアも、ビアが測定導体の内側円周及び外側円周をマークするように、円形に配置されることが理解されるであろう。2層実装のいくつかの態様は、4層及び2層の反対方向の実装形態におけるものと同じであり、
図11~
図15に関する記載は、2層の同じ方向の実装形態の記載を考慮するときにも留意されるべきである。
【0140】
コイルN及びコイルPは、回路基板の2つの層にわたって配置され、コイルNの第1の巻きが、回路基板の表面に垂直な半径方向に延在する平面内に形成され、続いて、回路基板の表面に垂直な半径方向に延在する平面内に形成され、コイルNの第1の巻きに円周方向に隣接するコイルPの第1の巻きが形成されるようにインターリーブされる。例えば、コイルP1602の第1の巻きが、回路基板の2つの層上に形成され、次に、コイルN1604の巻きが、コイルP1602の第1の巻きに円周方向に隣接し、回路基板の2つの層上に形成され、次に、コイルP1606の第2の巻きが、コイルNの第1の巻きに円周方向に隣接し、回路基板の2つの層上に形成されている。このように測定コイルの巻きをインターリーブすることで、測定コイルが経路又は回路基板の周りを一緒に進行する一方で、依然として、関心対象の電流搬送導体に対して、平均して、同じ距離を維持することができる。例えば、経路の周りを実質的に、例えば、360°進行する。コイルPの巻き及びコイルNの巻きは、コイルPの巻きが、コイルNの巻きに対して、異なるが円周方向に隣接する半径方向に延在する平面内にあるように、円周方向に隣接している。
【0141】
第1の複数の測定導体は、基板又は回路基板の第1の層上に位置し得、第2の複数の測定導体は、回路基板の第2の層上に位置し得る。第1の複数の測定導体及び第2の複数の測定導体のそれぞれの測定導体は、基板の表面に垂直な同じ半径方向に延在する平面内に位置している。コイルPの巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体1608と、第2の複数の測定導体のうちの測定導体1610と、を含む。これらの測定導体は、同じ半径方向に延在する平面(すなわち、回路基板の表面に垂直な平面)に形成されている。第1の複数の測定導体のうちの測定導体1608と第2の複数の測定導体のうちの測定導体1610とは、内側円周ビア1612によって接続され得、内側円周ビアは、測定導体と同じ半径方向平面内に位置し得る。
【0142】
コイルNの巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体1614と、第2の複数の測定導体のうちの測定導体1616と、を含む。第1の層上の測定導体1614及び第2の層上の測定導体1616は、内側円周ビア1618によって接続され得、内側円周ビアは、測定導体と同じ半径方向平面内に位置している。
【0143】
外部円周では、コイルPの円周方向の進行は、測定導体をそれぞれの外側円周ビアに接続する円周方向の進行要素を使用して提供され得る。これらの円周方向進行導体は、測定コイルが接続ノードから円周方向に進行し、更なる測定導体に接続することを可能にする。
【0144】
例えば、コイルP704は、円周方向に延在する導体1620を使用して、接続ノード712からノード714まで、電流搬送導体の周りを反時計回り方向に進行する。円周方向に延在する導体は、外側円周でビアに接続され、これは、1つの半径方向に延在する平面内の測定導体を、異なる半径方向に延在する平面内の半径方向に延在する要素に接続することを可能にする。コイルNは、接続ノード718からノード720まで、電流搬送導体の周りを反時計回り方向に進行する。この図は、両方の測定コイルが反時計回りの方向に進行することを示す一方、測定コイルは、代替的に、両方とも時計回りの方向に進行し得る。
【0145】
第1の補償導体706及び第2の補償導体710もまた、
図16a~
図16cの概略図に提供されている。第1の補償導体は、それがコイルPとは反対の円周方向に、コイルPの円周方向進行導体1620に隣接して蛇行して、ノード714からノード716に戻るように提供されている。第2の補償導体は、それがコイルNの円周方向進行導体1620に隣接して蛇行するように提供される。この様式で、それぞれの測定コイルの円周方向に延在する要素に密接に従うことにより、補償導体によって形成される単一のループが、測定コイルによって形成される単一のループと同じ、又は可能な限り類似していることを意味し得る。
【0146】
補償導体は、回路基板の2つの層にわたって形成され、これらの層の間で交互に形成されている。補償導体は、円周方向に進行する回路基板1622上の導電性トレースから形成されている。補償導体トレース1622は、回路基板の2つの層にわたって走っている。
【0147】
補償導体は、コイルの前進とは反対のキャンセルループを形成することによって、外部の横場に対して少なくともいくつかの磁気イミュニティを提供し得る。この補償導体は、磁気イミュニティを犠牲にすることなく、二次コイル又は戻りコイルに置き換えられ得る。したがって、いくつかの実装形態では、電流変化率センサは、補償導体を含まず、代わりに、
図9a~
図9cに示されるように、更なるコイルを含み得る。このようにして更なるコイルを提供することで、より多くの巻きが電流センサに含まれることを可能にし得、これは、戻りコイルの巻きも電流測定を提供するためである。より多数のコイルの巻きを含めることは、測定される同じ電流に対してより大きな出力電圧を提供する、測定下での電流に対する向上した感度を提供し得る。
【0148】
図17は、電流変化率センサ902のプリント回路基板実装形態の二次元上面図を示している。
図9a~
図9cと同様に、電流変化率センサは、第1の測定コイル(コイルP)904、第2の測定コイル(コイルN)908、第1の戻りコイル906、及び第2の戻りコイル910を含む。
図18及び
図19は、
図17のサブセクションを示しており、
図18は、第1の測定コイル904及び第2の測定コイル908を形成する導体を示している。
図19は、第1の戻りコイル906及び第2の戻りコイル910を形成する導体を示している。基板上の第1の層上の測定導体は実線として表されており、基板の第2の層上の測定導体は破線として表されている。
【0149】
測定コイル及び戻りコイルは、電流搬送導体又は経路500の周りを、例えば、経路の周りを実質的に、例えば、経路を取り囲むように進行する。各測定コイルは、部分的に、いくつかの導電性測定コイルトラック/トレース、測定導体1702によって形成されている。測定導体又は測定コイルトラック1702は、それらがセンサの電流搬送導体500のための経路から半径方向に延在し得るという点で、半径方向要素であり得る。戻りコイル904、908の一部を形成する更なる測定導体1706が提供されている。複数の測定導体1702、1706は、電流搬送導体500を円周方向に取り囲むように配置されている。コイルの円周方向の進行は、円周方向進行導体、又は「ねじれ」1704を使用して、外側円周で行われ得る。これらの円周方向進行導体は、
図9a~
図9cに関する説明に概説されるように、測定コイルが電流搬送導体又は経路500に対して円周方向に進行することを可能にする。
【0150】
図18は、第1及び第2の測定コイルを構成する複数の測定導体1702を示している。測定導体1702は、基板の第1の層上に形成された第1の複数の測定導体と、基板の第2の層上に形成された第2の複数の測定導体と、を含む。第1の複数の測定導体及び第2の複数の測定導体のそれぞれの測定導体は、基板の表面に垂直な同じ半径方向に延在する平面内に位置している。
図18は、測定コイルの上から下への斜視図を示すため、第1の層上に位置する第1の複数の測定導体のみが見え、同じ半径方向平面内に位置する第2の複数の測定導体の図が遮られている。
【0151】
図19は、第1及び第2の戻りコイルを構成する複数の測定導体1704を示している。測定導体1704は、基板の第1の層上に形成された第3の複数の測定導体と、基板の第2の層上に形成された第4の複数の測定導体と、を含む。第3の複数の測定導体及び第4の複数の測定導体のそれぞれの測定導体は、基板の表面に垂直な同じ半径方向に延在する平面内に位置している。
図19は、測定コイルの上から下への斜視図を示すため、第1の層上に位置する第3の複数の測定導体のみが見え、同じ半径方向平面内に位置する第4の複数の測定導体の図が遮られている。
【0152】
第1の複数の測定導体の測定導体は、第1の円を形成する第1の複数のビア1802を使用して、第2の複数の測定導体の測定導体に結合されている。第3の複数の測定導体の測定導体は、第2の円を形成する第2の複数のビア1902を使用して、第4の複数の測定導体の測定導体に結合されている。
【0153】
図20a~
図20cは、
図9a~
図9cによる戻りコイルを含む2層実装の配置の概略図を示している。
図20aは、
図18にあるように、第1の測定コイルP及び第2の測定コイルNの両方を示している。
図20bは、
図19にあるように、第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルを示している。
図20cは、第1の測定コイル904、第2の測定コイル908、第1の戻りコイル906、第2の戻りコイル910の両方を含む、完全な電流変化率センサを示している。図には凡例が提供されており、基板の異なる層上の測定導体は、異なる線形式を使用して表されている。測定導体は、理解を容易にするために、同じ半径方向平面内に直接にあるものではなく、互いに隣接するものとして表されている。
【0154】
図20a~
図20cは、直線的に配置されたコイルを示しているが(すなわち、中心開口を囲むのではなく、コイルがまっすぐになっているかのように、右から左へ、又は左から右へ直線的に進行している)、これは、提示の簡略化のためにのみ行われている。半径方向導体要素は、実際には、中心開口又は経路の周りに円形に配置され、内側縁部及び外側縁部に位置するビアも、
図17及び
図19のように、ビアが測定導体の内側円周及び外側円周をマークするように、円形に配置されることが理解されるであろう。この2層実装のいくつかの態様は、他のPCB実装と同じであり、
図11~
図16に関する記載は、2層実装の記載を考慮するときにも留意されるべきである。
【0155】
コイルN及びコイルPは、回路基板の2つの層にわたって配置され、第1の測定コイルの巻きが、回路基板の表面に垂直な第1の半径方向に延在する平面内に形成され、続いて、第2の半径方向に延在する平面内に形成された第2の測定コイルの円周方向に隣接する巻きが形成されるように、インターリーブされる。このように測定コイルの巻きをインターリーブすることで、測定コイルが回路基板の周りを一緒に進行する一方で、依然として、電流搬送導体に対して、平均して、同じ距離を維持することができる。
【0156】
コイルNの巻き及びコイルPの巻きは、コイルPの巻きの後にコイルNの巻きが続くように、電流搬送導体又は電流搬送導体500のための経路の周りに繰り返しパターンで提供される。しかしながら、戻りコイルは、この繰り返しパターンで更にインターリーブされ得る。第1の戻りコイル906の第1の巻き2008は、第2の戻りコイル910の第1の巻き2010に隣接して提供されている。これは、円周方向にセンサの周りを回ると、第1の測定コイル904の巻き2002が、第1の戻りコイル906の巻き2008に隣接し、これは、第2の測定コイル908の巻き2004に隣接し、これは、第2の戻りコイル910の巻き2010に隣接し、これは、第1の測定コイル904の次の巻きに隣接するなどのように、繰り返されるインターリーブされたパターンを提供する。
【0157】
第1の測定コイルP904の巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体2012と、第2の複数の測定導体のうちの測定導体2014と、を含み得る。コイルの巻きの一部を構成する測定導体は、基板の表面に垂直な同じ半径方向に延在する平面内に位置している。第1の層上の測定導体2012及び第2の層上の測定導体2014は、ビア2016によって接続され得、巻きの測定導体を接続するビア2016は、測定導体と同じ平面内に位置している。
【0158】
第2の測定コイル908の巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体2018と、第2の複数の測定導体のうちの測定導体2020と、を含み得る。第1の層上の測定導体2018及び第2の層上の測定導体2020は、ビア2022によって接続され得、ビア2022は、測定導体2018、2020と同じ平面内に位置している。
【0159】
第1の戻りコイル906の巻きは、第3の複数の測定導体の測定導体2024と、第4の複数の測定導体の測定導体2026とを、含み得る。第1の層上の測定導体2024及び第2の層上の測定導体2026は、ビア1728によって接続され得る。
【0160】
第2の戻りコイル910の巻きは、第1の複数の測定導体のうちの測定導体2030と、第4の複数の測定導体のうちの測定導体2032と、を含み得る。第1の層上の測定導体2030及び第2の層上の測定導体2032は、ビア2034によって接続され得る。
【0161】
特に、第1の測定コイル904、第1の戻りコイル906、第2の測定コイル908、及び第2の戻りコイル910は、第1の測定コイルの巻きが、第1の戻りコイルの巻き、次いで第2の測定コイルの巻き、次いで第2の戻りコイルの巻きによって円周方向に後続又は先行するように、基板の平面内でインターリーブされる。
【0162】
巻きは、各巻きが組み合わされたコイル出力電圧に付加されるように配線され得る。第1の測定コイル904の第1の巻き2002は、第1の層上の巻きに入り得、第2の層上の巻きから出て、これは、所望の磁場の測定から生じる特定の極性EMFが巻きに誘導されることをもたらす。第2の測定コイル908の第1の巻き2004は、第2の層の巻きに入ることができ、第1の層の巻きを出ることができ、第1の測定コイル904の第1の巻き2002で誘導されたものに対して反対の極性EMFが誘導されることをもたらす。これらの反対の極性は、端子912及び918で差動モード電圧をもたらす。各コイルの各巻きは、端子912及び918からこのように配線することができ、追加される各巻きの差動モード電圧を増加させる。戻りコイルの巻きは、差動モード電圧を更に加えるように配線される。
【0163】
第1の測定コイル904、第2の測定コイル908、第1の戻りコイル906、及び第2の戻りコイル910は、円周方向に進行する要素又は導体1704を使用して、経路500の周りを円周方向に進行する。コイルの全ての円周方向の進行は、測定導体の外側の端部において発生する。これにより、測定コイル及び戻りコイルの前進リングが基板の同じ領域で発生し、各順方向コイルで誘導される磁気ノイズが、それぞれの戻りコイルで誘導される磁気ノイズでキャンセルされることが確実となり得る。各コイルの前進は、同一のループ領域を有し、望ましくない磁場によるほぼ同一の磁気ピックアップをもたらす。
【0164】
第1の複数の測定導体及び第2の複数の測定導体の測定導体は、経路又は電流搬送導体500により近い、測定導体の内側円周においてビアを使用して結合されている。第1の複数の測定導体と第2の複数の測定導体とを結合するビアは、第1の円のビア1708を形成するように配置され得る。第3の複数の測定導体と第4の複数の測定導体とを結合するビアは、第2の円のビア1710を形成するように配置され得る。このようにして、第1の測定コイル904及び第2の測定コイル908は、第1の円のビア1708のビアを使用して形成されており、第1の戻りコイル906及び第2の戻りコイル910は、第2の円のビア1710のビアを使用して形成されている。
【0165】
測定導体の内側円周のビアは、ずらして配置され得、順方向コイル904及び908は、第1の円のビア1708のビアを使用し、戻りコイル906、910は、第2の円のビア1710のビアを使用する。これは、第1の測定コイル904の巻きが第2の測定コイル908の巻きと同じサイズであり、第1の戻りコイル906の巻きが第2の戻りコイル910の巻きと同じサイズであり、第1及び第2の測定コイルへの結合が均衡され、第1及び第2の戻りコイルへの結合が均衡されることを意味する。第1の円のビア1708は、第1の直径を有し、第2の円のビア1710は、第2の直径を有し、第1の直径は、第2の直径よりも小さく、第1及び第2の円のビアは、同心円である。
【0166】
これは、第1の測定コイル904及び第2の測定コイル908を構成する測定導体の内側端部が互いに電流搬送導体に対して同じ距離であり、第1の戻りコイル906及び第2の戻りコイル910を構成する測定導体の内側端部が互いに電流搬送導体に対して同じ距離であることをもたらす。
【0167】
この配置は、測定コイル904、908が、両方が回路基板の各層上の測定導体の同じ割合を共有し、ビアの同じ円のビアを使用して結合されるため、それらが空間的に等しくなる様式で位置決めされることをもたらし、これは、測定導体が同じ長さであることを意味する。これは更に、コイルが回路基板の周りを進行するのと同じ領域を囲むことをもたらす。同じことは、戻りコイルにも当てはまる。
【0168】
このようにビアをずらすことは、第1及び第2の測定コイル、並びに第1及び第2の戻りコイルの寄生容量をそれぞれ均衡させる。これはまた、内側円周は外側円周よりも小さく、したがって、達成したビア/巻きの数に制限を提供し得るため、より多くの巻き数が全てのコイルに提供されることを可能にする。2つの内側円周を提供することは、内側円周に配置され得るビアの数を増加させ、したがって、コイルが有することができる巻きの数を増加させ得る。
【0169】
図21は、
図17の第1の円のビア及び第2の円のビア配置を示している。
図21の配置は、電流搬送導体2102を更に含む。典型的には、先行技術の配置では、電流搬送導体は、コイルの中心に位置しないように中心がずれていることは、
図3及び
図4に関連して説明されるように、コイルへの容量性結合が不均衡になることをもたらすであろう。しかしながら、第1の測定コイル及び第2の測定コイルの巻きの測定導体を交互に接続するように、第1の円のビアのビアを交互にすることによって、第1及び第2の測定コイルと試験下での電流搬送導体との間の容量性結合は、ほぼ等しくなるはずである。
【0170】
同様に、第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルの巻きの測定導体を交互に接続するように、第2の円のビアのビアを交互にすることによって、第1及び第2の戻りコイルへの容量性結合は、ほぼ等しくなるはずである。
【0171】
例えば、第1の円のビアのビア2016は、第1の測定コイル906の巻きの一部を形成し、第1の円のビアのビア2022は、第2の測定コイル908の巻きの一部を形成する。それらの位置のために、第1及び第2の測定コイルの巻きへの静電結合は、同じ又は同様であるはずである。このようにビアをずらすことは、第1の測定コイル904及び第2の測定コイル908の巻きの配線が空間的に等しくなることを可能にし、これは、外部の磁場及び静電場からのコモンモードノイズピックアップのみが発生することを意味するはずである。
【0172】
第1の測定コイル及び第2の測定コイルの両方は、最上層と最下層との間の時間の同じ割合を共有し得、前進の周りを移動するにつれて、各巻きで同じ正方形領域を囲み得る。これは、各測定コイル(及びそれらが提供される戻りコイル)が、回路基板の各層上の同じ量の導電性トレース又は導体を利用することを確実にする。
【0173】
戻りコイルの概念は、2層PCB実装に関して
図17~
図21に関して説明されているが、これはまた、回路基板の4つの層にわたって実装され得ることは明らかである。例えば、
図14a~
図14cの実装形態では、補償導体は、第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルに置き換えられ得る。第1及び第2の戻りコイルを4つの層にわたって実装するために、第5の複数の測定導体が基板の第1の層上に提供され得、第6の複数の測定導体が基板の第2の層上に提供され得、第7の複数の測定導体が基板の第3の層上に提供され得、第8の複数の測定導体が基板の第4の層上に提供され得る。第1の戻りコイル及び第2の戻りコイルは、第5~第8の複数の測定導体を使用して、第1の測定コイル及び第2の測定コイルが第1~第4の複数の測定導体を使用して形成されるのと同じ方式で形成され得る。第1及び第2の戻りコイルは、第1の半径方向平面が第1の測定コイル及び第2の測定コイルの測定導体を含み、隣接する第2の半径方向平面が第1及び第2の戻りコイルの測定導体を含むように、基板の平面内の第1及び第2の測定コイルとインターリーブされ得る。
【0174】
図9の電流変化率センサの端子912、916、918、及び922は、更なる測定回路に接続され得る。
図10a~
図10cに示されるように、戻りコイルの端子916及び922は、例えば接地の共通の基準に結合され得る。第1及び第2の測定コイルの端子912、918は、差動増幅器に結合され得る。これにより、第1の測定コイル及び第2の測定コイルの共通の容量結合信号が増幅器によってキャンセルされることが可能になり得る。
【0175】
しかしながら、コイルから増幅器又は他の測定回路への接続は、この接続によって形成される意図しないループ領域のために、更なる望ましくない電磁ピックアップの潜在的な原因となり得る。
【0176】
図22は、不要な電磁ピックアップが低減され得る1つの方法を示している。第1の測定コイル904及び第2の測定コイル908の第1の端部912、918は、基板又はPCB実装されたツイストペア配置を使用して、ノード2202及び2204において測定回路に結合され得る。ツイストペアによって形成されたループは、ツイストペアの各導体が任意の干渉源から平均して同じ距離にあり、したがって、信号の差を取ることによってキャンセルされ得る同じ量のノイズ結合を受け取るように配置されている。基板の第1の層上の導体は、陰影線で表されており、基板の第2の層上の導体は、明確な線として表されている。
【0177】
ツイストペア配置は、複数の接続導体2206を使用して基板上に構築され、複数の接続ビア2208を使用して結合されている。接続導体2206は、接続ビア2208を使用して、基板の第1の層と第2の層との間で交互になるように配置されている。接続導体は、ジグザグ状に配置され、基板の第1及び第2の層にわたって互いに交差し、ツイストペアを形成している。
【0178】
特に、ツイストペア配置は、記載されたPCB配置のいずれか、及び
図5~
図10の概略図のいずれかに実装され得る。例えば、
図11~
図14の4層電流変化率センサで実装される場合、ツイストペア配置は、第1の層と第4の層との間で、第2の層と第3の層との間で、又はそれらの任意の組み合わせの間で交互になり得る。
【0179】
図22に関して説明したツイストペア配置の代わりに、又はそれと組み合わせて、外側測定回路への接続は、小さな誘電距離を有する基板の層上に接続導体を配線することによって、接続によって作成されるループのサイズを小さくし得る。これにより、ループ面積が無視できるほど小さくなり、電磁ノイズのピックアップ量が減少する。例えば、電流変化率センサがPCBの第1の層及び第2の層にわたって実装されている場合、更なる電流測定回路への接続は、PCBの第1の層及び更なる「接続」層にわたって実装され得、第1の層と接続層との間の誘電距離は、PCBの第1の層と第2の層との間の誘電距離に対して小さい。
【0180】
例えば、4層PCBでは、第1の層及び第2の層は、PCBの内部層であり得、第1及び第2のコイル(すなわち、上述した2つの層設計)に使用され得る。外部測定回路への接続は、外部層(この例では「接続」層と呼ばれ得る)、及び第1の層及び第2の層のうちの1つを使用して行われ得る。
【0181】
図22は、4つの層2302、2304、2306、2308を含む、PCB又は基板上に実装される電流変化率センサを示している。測定コイルは、4つの層のうちの2つにわたって実装され、例えば、
図17~
図20に記載された第1の層は、層2304であり得、
図17~
図20に記載された第2の層は、層2306であり得る。外部測定回路への接続は、ノード912、918、916、及び922を含む、
図9に示される測定コイル/戻りコイルの端と同じであり得る。ノード916及び922は、共通の基準又は接地に一緒に結合され得る。
【0182】
ノード916、922は、第1の層2304を使用して測定回路に配線され、ノード912及び918は、第2の層2306を使用して共通の基準に配線されるのではなく、代わりに、層2302及び2304を使用して配線され得る。例えば、
図23に表されるように、ノード916、922は、第1の層2304を使用して測定回路に配線され、ノード912及び918は、層2302を使用して共通の基準に配線され得る(ノード912及び918を層2036に結合するために使用されるビアを用いる)。代替的に、ノード916、922は、層2308を使用して(ビアがノード916、922を層2308に結合するために使用される)測定回路に配線され得、ノード912及び918は、層2306を使用して共通の基準に配線され得る。層2302と層2304との間の(及び層2306と層2308との間の)誘電距離は、層2304と層2306との間の誘電距離よりも小さい。これは、ノード912、918、916、及び922の測定回路への接続によって形成されるループのサイズを低減する。これは更に、測定コイルを配線するために使用される基板の層間のより広い誘電距離を可能にし、各コイル巻きの面積を増加させ、それによってコイルの感度を向上させ、電圧出力を増加させる。
【0183】
一般に、4層PCB積み重ねは、測定及び戻りコイルの巻きに使用される銅層の間に広い誘電体層を有するように選択できるが、更なる測定回路への接続に使用される層の間に薄い誘電体層を有するように選択できる。この概念は、外部測定回路への接続が、コイルの巻きの大部分を配線するために使用されるものよりも小さい誘電距離を有する層を使用して配線されるという点で、上記で参照されるPCB設計のいずれにも当てはまる。
【0184】
コイルの感度を改善させるために、各コイルの各巻きによって囲まれる面積は、第1の測定コイルの巻きによって囲まれる面積を第2の測定コイルの巻きによって囲まれる面積と実質的に同じに保ちながら、できるだけ大きくしてもよい。
【0185】
例えば、8層基板が提供され得、測定コイルが基板の層1、2、7、及び8に実装されるように、4層実装が提供され得る。これにより、各コイル巻きの面積が増加するが、コイルは依然として、これらの層にわたって交互にインターリーブされた様式で配置され得る。同様に、回路が2層実装である場合、2つの層は、巻きによって囲まれる面積を最大化するために、回路基板の層1及び8であり得る。
【0186】
更に、測定コイルを実装するのに必要な数よりも多くの層を有する基板を使用して、外部静電結合からの遮蔽を実装してもよい。電流搬送導体又は経路の周りを実質的に進行する2つの測定コイルを提供することは、コイルが均衡した結合を受けるという点で、改善された静電結合を提供するが、PCBに遮蔽層を追加することによって静電結合を更に低減することができる。例えば、測定コイルは、多層PCBの内層上に実装され得、遮蔽部は、PCBの外層上に実装され得る。6層基板では、4層測定コイルは、上述した同じ交互のインターリーブされた配置で、2層、3層、4層、及び5層上に実装され得る。遮蔽部は、導電性材料中の層1及び層6をコーティングすることによって、層1及び層6上に実装され得る。同様に、2層測定コイルは、4層基板の層2及び3上に実装され得、遮蔽は、層1及び4上に実装され得る。
【0187】
例えば、
図24は、4層PCB上に実装される電流変化率センサを示している。第1の静電遮蔽層2402及び第2の静電遮蔽層2404は、電流変化率センサのコイルを実装するために使用される層に対して外部にある基板の層上に提供され得る。
【0188】
PCBビア技術は、異なるレベルの製造複雑性を伴う可能性があり、これは、PCB上に電流測定コイルを開発するコスト及び複雑さに影響を与える。貫通孔ビアは、1つの表面層で開始し、他の表面層で終わる、PCBスタック全体を通って延在するビアである。ブラインドビアは、表面層上で開始し、PCBスタックを通して部分的に延在する。埋設されたビアは、表面層を通って延在せず、代わりに、PCBスタックの内部層上で始まり、終了する。ブラインドビア及び埋め込みビアは、貫通孔ビアよりも製造が複雑になる傾向があるが、より高密度のPCBを設計することができる。本明細書で説明される電流測定コイルの全ての実装は、ブラインド又は埋設されたビアを使用して製造されてもよいが、これは製造複雑性を増加させるので望ましくない場合があり、本明細書で設計される実装は全て貫通孔ビアを使用してもよい。
【0189】
回路基板が非ブラインドビア、例えば、
図24のような貫通孔ビア2406を使用する場合、遮蔽導体材料は、ビアが回路基板の表面に到達するので、外層全体を覆うことができない場合がある。したがって、遮蔽部は、貫通孔ビアを含まない遮蔽層の全ての領域を覆うように延在し得る。例えば、基板の外層は、遮蔽層から内側及び外側ビアを絶縁するように、ビアの各々を取り囲むエッチングされた領域2408を除いて、それらの領域全体にわたって導体でコーティングされ得る。
【0190】
貫通孔ビアは、コイル又は基板の最も外側の円周から基板の中心に溢れることによって遮蔽層を製造することができるように、十分な間隔が提供され得る。
【0191】
孔、開口、又は経路500、2410は、電流測定コイルの中心の基板上に含まれ得、電流搬送導体が基板上に位置すること、又は電流測定コイルの中心の基板を通過することを可能にし得る。孔の内側円周は、経路の内側円周をめっきすることによって、回路基板の全ての層にわたって静電的に遮蔽2412され得る。代替的に、単一の遮蔽ではなく、複数の遮蔽ビアが、回路基板の全ての層にわたって延在する、測定導体の内側円周での孔とビアとの間で、内側円周の周りに位置し得る。これは、コイルの内側に遮蔽を提供し得る。
【0192】
測定コイルは、多層PCBの内層上に実装され得、その結果、外層は、電流搬送導体の配線を可能にするために使用され得る。これにより、別個の物理的なワイヤベースの導体を使用する必要がなくなり、電流測定コイルをよりコンパクトに実装することができる。代わりに、システムは、電流搬送導体を接続することができる接点を単に含み得る。6層PCB上で、4層電流変化率センサは、層2、3、4、及び5の上に実装され得、電流搬送導体のための配線が、層1及び6上に、測定コイルの中心に層1及び6上の電流搬送導体を接続するビアを伴って提供される。
【0193】
電流変化率センサが8層以上のPCB上に実装されている場合、PCBベースの電流搬送導体と測定コイルとの間に遮蔽部が実装され得る。例えば、の4層電流変化率センサは、層3~6上に実装され得、遮蔽部は、層2及び7上に実装され得、入力電流伝達PCBトレースは、層1及び8上に実装され得る。
【0194】
遮蔽部及び配線電流搬送導体の少数の例のみがここに記載されているが、プリント回路基板が6層、8層、又はそれ以上を有する場合、測定コイル、遮蔽部、及び電流搬送導体接続の複数の組み合わせが回路基板の異なる層にわたって実装され得ることは明らかである。
【0195】
電流変化率センサは、測定コイルがホール又は電流搬送導体の周りで実質的に、例えば、
図5~
図10のように、360°進行するように実装され得る。しかしながら、電流変化率センサは、コイルの各々が360°未満で進行する、より短いコイルの組み合わせを使用して実装され得る。例えば、第1の測定コイルは、2つの180°コイルとして実装され得、第2の測定コイルは、2つの180°コイルとして実装され得る。
【0196】
例えば、
図25は、180°コイルセグメントを含む電流変化率センサを示している。第1の測定コイルは、2つの180°測定コイルセグメント及び2つの180°戻りコイルセグメントで構成されている。
【0197】
第1の測定セグメントは、ノード2502で始まり、ノード2504まで180°進行し、ノード2504はまた、ノード2504からノード2506まで180°進行する第1の戻りセグメントに接続される。第2の測定セグメントは、ノード2508で始まり、ノード2510に180°進行し、ノード2510はまた、ノード2510からノード2512に180°進行する第2の戻りセグメントに接続される。このようにして、360°進行する第1の測定コイルは、第1の測定セグメント及び第2の測定セグメントから形成される。同様に、360°進行する第1の戻りコイルは、第1の戻りセグメント及び第2の戻りセグメントから形成される。
【0198】
第3の測定セグメントは、ノード2514で始まり、ノード2516に180°進行し、ノード2516はまた、ノード2516からノード2518に180°進行する第3の戻りセグメントに接続される。第4の測定セグメントは、ノード2520で始まり、ノード2522に180°進行し、ノード2522はまた、ノード2522からノード2524に180°進行する第4の戻りセグメントに接続される。このようにして、360°進行する第2の測定コイルは、第3の測定セグメント及び第4の測定セグメントから形成される。同様に、360°進行する第2の戻りコイルは、第3の戻りセグメント及び第4の戻りセグメントから形成される。
【0199】
この配置は、第1及び第2の測定コイル及び戻りコイルが依然として均衡された結合を提供する一方で、測定コイルの上部にギャップを残すシステムを提供する。これにより、電流変化率センサが、複数の、例えば2つの基板又は回路基板にわたって提供されることが可能になり得る。
【0200】
個々の測定コイルセグメントは、同じプリント回路基板上に位置し得、又は代替的に、別個の回路基板上に位置し得る。後者は、電流センサのクランプオンの種類、又は分解上の制約のために電流搬送ワイヤをセンサを通過させることが可能でないブラウンフィールドアプリケーションに有用であろう。
【0201】
更に、各測定コイル又は戻りコイルは、2つ以上のセグメントから構成され得、例えば、第1の測定コイルは、4つの測定セグメントを使用して実装され得、各セグメントは、90°の進行を提供し、6つの測定セグメントを使用して実装され得、各セグメントは、60°の進行を提供し、又は8つの測定セグメントを使用して実装され得、各セグメントは、45°の進行を提供する。
【0202】
図25の第1の測定コイル及び第2の測定コイルは、層が第1の測定コイルに対して第2の測定コイル上で反転し得ることを除いて、構造が同一である。言い換えれば、第1の測定コイルは、第1の層上で開始し得、第2の測定コイルは、第2の層上で開始し得る。層の反転は、電流搬送導体への磁気結合である所望される信号が、2つのコイル間で逆極性を有し、外部磁場又は静電場からの所望されない信号が、2つのコイル間で同極性を有することをもたらし得る。したがって、回路において、所望されない信号はキャンセルされ得、所望される信号は建設的に付加され得る。
【0203】
図26は、
図25の回路の各ノードが更なる測定回路にどのように接続され得るかの一例を示している。第1の差動増幅器2602は、ノード2502及び2514からの信号を入力として受け取る。ノード2506及び2518は、例えば接地の共通の基準に接続され得る。第2の差動増幅器2604は、ノード2508及び2520からの信号を入力として受け取る。ノード2512及び2524は、例えば接地の共通の基準に接続され得る。第1の差動増幅器2602及び第2の差動増幅器2604の出力は、第3の差動増幅器2606に接続され得る。第3の差動増幅器2608の出力は、電流測定信号であり得る。
【0204】
特徴の追加、削除、又は置換の方法の如何を問わず、更なる例を提供するために、上記の例に対して様々な修正がなされてもよく、それらのいずれも及び全てが添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【国際調査報告】