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特表2024-538082膨張器-圧縮器システムの磁気軸受用の閉ループ冷却流体回路
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  • 特表-膨張器-圧縮器システムの磁気軸受用の閉ループ冷却流体回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】膨張器-圧縮器システムの磁気軸受用の閉ループ冷却流体回路
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/058 20060101AFI20241010BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20241010BHJP
   F04D 29/08 20060101ALI20241010BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F04D29/058
F04D29/58 M
F04D29/08 F
F16C32/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522165
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022025471
(87)【国際公開番号】W WO2023066518
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021000026741
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ネリ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】カンジョリ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ビリオッティ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】フィオラバンティ,ドゥッチオ
【テーマコード(参考)】
3H130
3J102
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA33E
3H130CA21
3H130DA02X
3H130DB08X
3H130DB10X
3H130DC02X
3H130DG01X
3H130DG07X
3H130DJ01X
3H130EC16E
3J102AA01
3J102BA03
3J102BA17
3J102BA18
3J102CA07
3J102DA02
3J102DA03
3J102GA06
3J102GA08
3J102GA10
3J102GA13
3J102GA20
(57)【要約】
【解決手段】 膨張器(700)と、圧縮器(900)と、膨張器(700)と圧縮器(900)とを機械的に結合するケーシング(600)内に配置されたシャフト(800)とを備える膨張器-圧縮器システム(1000)であって、膨張器-圧縮器システム(100)が、ケーシング(600)の内側に位置決めされ、シャフト(800)に作用するように配置された磁気軸受(500、510、520)を更に備える。磁気軸受(500、510、520)は、冷却流体の環境への放出を回避し、1つの磁気軸受(500、510、520)を冷却するのに必要な冷却流体の量を低減するために、閉ループ構成で配置された冷却流体回路(1110)によって冷却される。膨張器-圧縮器システム(100)は、シャフト(800)における冷却流体回路(1110、2110)へのプロセスガスの漏れを回避するために、シャフト(800)の第1の端部及び/又はシャフト(800)の第2の端部の周りでケーシング(600)に配置された少なくとも1つのドライガスシール(310、320)を更に備えている。冷却流体回路は、冷却流体を循環させるための、ケーシング(600)の内部及び/又は外部にあってもよいポンプ又はブロワ(112)と、冷却流体から熱を除去するための、ケーシング(600)の外部にある熱交換器(111)とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張器-圧縮器システム(1000、2000)であって、
-プロセスガスを膨張させるように構成された膨張器(700)と、
-プロセスガスを圧縮するように構成された圧縮器(900)と、
-前記膨張器(700)と前記圧縮器(900)とを機械的に結合するシャフト(800)と、
-少なくとも前記シャフト(800)を収容するケーシング(600)と、
-前記シャフト(800)の第1の端部及び/又は前記シャフト(800)の第2の端部の周りで前記ケーシング(600)に配置された少なくとも1つのドライガスシール(310、320)と、
-前記シャフト(800)に作用する少なくとも1つの磁気軸受(500、510、520)と、
-冷却流体の循環を通じて前記少なくとも1つの磁気軸受(500、510、520)を冷却するための冷却流体回路(1110、2110)であって、前記冷却流体から熱を除去するように構成された熱交換器(111)を備える、冷却流体回路と、を備え、
前記ドライガスシール(310、320)が、前記シャフト(800)における前記冷却流体回路(1110、2110)へのプロセスガスの漏れを回避するように構成され、
前記少なくとも1つのドライガスシール(310、320)が、固定リング及び回転リングを備え、
前記固定リングが、前記ケーシング(600)に機械的に結合されており、
前記回転リングが、前記シャフト(800)に機械的に結合されており、
前記少なくとも1つの磁気軸受(500、510、520)が、前記ケーシング(600)の内側に配置されており、
前記熱交換器(111)が、前記内側ケーシング(600)の外側に位置決めされており、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、閉ループ構成で配置されている、膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項2】
前記膨張器(700)が、好ましくは前記シャフト(800)の第1の端部に配置され、前記圧縮器(900)が、好ましくは前記シャフト(800)の第2の端部に配置され、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、前記冷却流体を循環させるように構成されたポンプ又はブロワ(112、2100)を備え、
前記少なくとも1つの磁気軸受(500、510、520)が、好ましくは前記膨張器(700)と前記圧縮器(900)との間に配置されており、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、前記冷却流体が前記ケーシング(600)に入り、前記少なくとも1つの磁気軸受(500、510、520)を冷却し、前記ケーシング(600)から出て、前記熱交換器(111)によって冷却され、前記ケーシング(600)に戻るように構成されている、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの磁気軸受が、好ましくは前記膨張器(700)及び前記圧縮器(900)に対して実質的に中心に前記シャフト(800)上に配置された軸方向スラスト磁気軸受(500)である、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項4】
前記磁気軸受が、好ましくは前記シャフト(800)の第1の端部セクション及び/又は前記シャフト(800)の第2の端部セクションにおいて、前記シャフト(800)上に配置されたラジアル磁気軸受(510、520)である、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項5】
前記軸方向スラスト磁気軸受(500)が、スラストディスク(5100、6100)であって、
-前記スラストディスク(5100)の少なくとも第1の側(5001)、好ましくは前記スラストディスク(5100)の両側(5001、5002)の複数の溝(5151)、
並びに/あるいは
-前記スラストディスク(6100)の外周(5114)にある複数のブレード(6252)を有する、スラストディスク(5100、6100)を備え、
前記溝(5151)及び/又は前記ブレード(6252)が、前記冷却流体回路(2110)内で前記冷却流体を循環させるように構成され、それによって、前記軸方向スラスト磁気軸受が、前記ポンプ又はブロワを前記ケーシング(600)の内部で一体化する、請求項3に記載の膨張器-圧縮器システム(2000)。
【請求項6】
前記冷却流体回路(1110、2110)が、少なくとも2つの磁気軸受(500、510、520)を連続して冷却するように構成されている、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項7】
前記冷却流体回路(1110、2110)が、少なくとも2つの磁気軸受(500、510、520)を並列に冷却するように構成されている、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項8】
前記ポンプ又はブロワ(112)が、前記ケーシング(600)の外側に配置されている、請求項2に記載の膨張器-圧縮器システム(1000)。
【請求項9】
前記冷却流体回路(1110、2110)が弁(114)を更に備え
前記弁(114)が冷却流体入口に流体結合されており、
前記弁(114)が、前記冷却流体を前記冷却流体入口から前記冷却流体回路(1110、2110)に選択的に供給するように構成されている、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項10】
前記システムが、
-前記シャフト(800)の中心セクションにおいて前記シャフト(800)に作用するように配置された、前記ケーシング(600)の内側に位置決めされた軸方向スラスト磁気軸受(500)と、
-前記シャフト(800)の第1の端部セクションにおいて前記シャフト(800)に作用するように配置された、前記ケーシング(600)の内側に位置決めされた第1のラジアル磁気軸受(510)と、
-前記シャフト(800)の第2の端部セクションにおいて前記シャフト(800)に作用するように配置された、前記ケーシング(600)の内側に位置決めされた第2のラジアル磁気軸受(520)と、を備え、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、前記冷却流体が
-第1の側で部分的に、且つ第2の側で部分的に前記ケーシング(600)に入り、
-前記第1のラジアル磁気軸受(510)及び前記第2のラジアル磁気軸受(520)を冷却し、
-前記軸方向スラスト磁気軸受(500)を冷却し、
-もっぱら中心領域において前記ケーシング(600)から出る、
ように配置されている、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項11】
前記ケーシング(600)が、中心内部チャンバ(620)を備え、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、前記冷却流体が、
-前記軸方向スラスト磁気軸受(500)から出て、
-前記中心内部チャンバ(620)を通って流れ、
-中心内部チャンバ(620)から出る、
ように配置されている、請求項10に記載の膨張器-圧縮器システム。
【請求項12】
前記ケーシング(600)が、第1の側の内部チャンバ(621)及び第2の側の内部チャンバ(622)を備え、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、前記冷却流体の第1の部分が前記第1のラジアル磁気軸受(510)を冷却する前に前記第1の側の内部チャンバ(621)を通って流れるように配置され、
前記冷却流体回路が、前記冷却流体の第2の部分が前記第2のラジアル磁気軸受(520)を冷却する前に前記第2の側の内部チャンバ(622)を通って流れるように配置されている、
請求項10に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項13】
前記システムが回転体軸受(410、420)を備え、前記回転体が好ましくはセラミック材料であり、
前記冷却流体回路(1110、2110)が、前記冷却流体が回転体軸受(410、420)を通って流れるように配置されている、
請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項14】
前記ドライガスシール(310、320)が、プロセスガスの流れを通して第1の側にシーリングを提供し、且つ、シールガス、特に窒素ガスの流れを通して第2の側にシーリングを提供するように構成されている、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【請求項15】
前記冷却流体回路(1110、2110)がベント(113)、特に較正されたオリフィスを更に備え、前記ベント(113)が、前記冷却流体回路から流体を排出するように構成されており、前記冷却流体回路内の流体が、前記少なくとも1つのドライガスシール(310、320)から部分的に来る、請求項1に記載の膨張器-圧縮器システム(1000、2000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、システムの1つ又は複数の磁気軸受を冷却するための冷却流体回路を備える膨張器-圧縮器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気軸受は、非常に低く予測可能な摩擦、並びに無潤滑及び真空中で動作する能力を含むいくつかの利点により、磁気軸受が設置された機械のロータの位置を制御するために主に使用される。典型的には、磁気軸受は、圧縮器、タービン、ポンプ、モータ、及び発電機などの産業機械において使用される。
【0003】
特に、磁気軸受は、能動型磁気軸受(=AMB)又は受動型磁気軸受(=PMB)とすることができる。受動型磁気軸受は、磁気浮上を発生させるために永久磁石を使用する。しかしながら、受動型磁気軸受は設計が困難である。その結果、ほとんどの磁気軸受は能動型磁気軸受である。
【0004】
一般に、能動型磁気軸受は、典型的にはシャフトに結合されるロータの周りに配置されたいくつかの電磁石を有するステータを有する電磁システムである。ステータの電磁石は、ステータに対するロータの位置を維持するために、ロータに引力を発生させる。
【0005】
能動型磁気軸受を使用する圧縮器又は膨張器などの回転機械がよく知られている。例えば、国際特許出願第WO2017050445A1号は、能動型磁気軸受と、磁気軸受内の熱を放散するための(開ループ構成の)冷却システムとが設けられたターボ機械システム、特にタービン段を開示している。いわゆる「機器空気」は、汚染物質(水分及び微粒子など)を含まない圧縮空気の極めて清浄な供給物であり、典型的には容易に調達可能であり、工業プラント(例えば、空気圧機器又は弁作動用)で利用可能であり、冷却システム内の冷却流体として使用することができる。機器空気は、低温で冷却システムに入り、磁気軸受を冷却し、次いで、より高温で排出される。
【0006】
しかしながら、できるだけ少ない冷却流体を消費することが望ましい。欧州特許出願第EP3450701A1号から、ターボ機械システム、特に圧縮器又はポンプ又はタービン又はターボエキスパンダの能動型磁気軸受を冷却するための閉ループ構成の冷却システムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知の冷却システムが、冷却流体を循環させるために、回転機械のシャフト(機械のケーシングの外側)に設置された外部ブロワ又は追加のインペラを含むことに留意されたい。
【0008】
少なくとも1つの磁気軸受と、冷却流体の消費量が少ない、少なくとも1つの磁気軸受を冷却するための冷却流体回路とを有する膨張器-圧縮器システムを有することが望ましい。
【0009】
一態様によれば、本明細書に開示される主題は、プロセスガス(同じプロセスガスであっても、異なるプロセスガスであってもよい)で動作する膨張器及び圧縮器と、膨張器及び圧縮器を機械的に結合し、ケーシングの内部に配置されるシャフトとを有する膨張器-圧縮器システムに関する。膨張器-圧縮器システムは、シャフトに作用するように配置された磁気軸受と、閉ループ構成で配置され、冷却流体の循環によって磁気軸受を冷却するように構成された冷却流体回路とを更に有する。冷却流体回路は、冷却流体から熱を除去するように構成された熱交換器を備える。磁気軸受はケーシングの内側に配置され、熱交換器はケーシングの外側に配置される。膨張器-圧縮器システムは、冷却流体回路へのプロセスガスの漏れを回避するように構成された少なくとも1つのドライガスシール(=DGS)、好ましくは2つのドライガスシールを更に有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについて、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによってそれらがより良好に理解されるため、完全な理解が容易に得られるであろう。
図1図1は、革新的な膨張器-圧縮器システムの第1の実施形態の簡略化された断面図であり、冷却流体回路の外部部分が強調されている。
図2図2は、革新的な膨張器-圧縮器システムの第2の実施形態の簡略化された断面図であり、冷却流体回路の外部部分が強調されている。
図3図3は、革新的な膨張器-圧縮器システムの簡略化された断面図であり、冷却流体回路の内部部分が部分的に強調されている。
図4図4は、図3の冷却流体回路の内部部分の一部の詳細な断面図である。
図5図5は、図2の革新的な膨張器-圧縮器システムのスラスト磁気軸受の第1の実施形態を示す図である。
図6図6は、図2の革新的な膨張器-圧縮器システムのスラスト磁気軸受の第2の実施形態を示す図である。
図7図7は、革新的な膨張器-圧縮器システム、例えば、図1のシステム又は図2のシステムにおいて使用され得るドライガスシールの実施形態の詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される主題は、革新的な膨張器-圧縮器システム、すなわち、典型的には、共通シャフトによって接続され、少なくともプロセス流体を処理するように構成され、少なくとも1つの磁気軸受を有する圧縮器及び膨張器に関する。磁気軸受は、すなわち、回転部品を固定部品からわずかに離間させて保つ対向磁石のおかげで妨げられない回転を可能にするデバイスである。革新的な膨張器-圧縮器システムには冷却流体回路が設けられており、この冷却流体回路には、作動中に加熱される傾向がある磁気軸受を冷却するために冷却流体が流れる。冷却流体回路は、流体を再循環させ、その流体の環境への放出を回避するために閉ループ構成で配置され、したがって、磁気軸受を冷却するのに必要な冷却流体の量を低減する。膨張器-圧縮器システムは、冷却流体回路へのプロセスガスの漏れを回避するように構成された少なくとも1つのドライガスシール(=DGS)、好ましくは2つのドライガスシールを更に備えている。冷却流体回路は、冷却流体回路内で冷却流体を循環させるためのポンプ又はブロワと、冷却流体から熱を除去するための熱交換器とを備え、それにより、冷却流体が、膨張器-圧縮器システムのケーシングに入り、磁気軸受を冷却し、ケーシングから出て、熱交換器によって冷却され、次いでケーシングに戻るようになっている。冷却流体回路は、冷却流体を冷却流体回路に選択的に供給するための弁と、冷却流体回路において漏出したガスを除去するためのベントとを更に備える。
【0012】
次に、本開示の実施形態を詳述し、その例が図面に例示される。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。以下の説明では、同じ又は類似の機能を実行する要素を示すために、実施形態の図の説明のために類似の参照番号が使用される。更に、説明を明確にするために、いくつかの参照符号は、すべての図において繰り返されない場合がある。
【0013】
図1及び図2には、革新的な膨張器-圧縮器システムの2つの実施形態が概略的に示されている。革新的な膨張器-圧縮器システムは、図1の参照番号1000及び図2の参照番号2000で一般的に示される。図3では、冷却流体回路の内部部分が強調されており、図1図2との両方の実施形態の冷却流体回路に適用される。
【0014】
典型的には、図1図2、及び図3を非限定的に参照すると、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、プロセスガスを膨張させるように構成された膨張器700と、プロセスガスを圧縮するように構成された圧縮器900と、膨張器700と圧縮器900とを互いに機械的に結合するシャフト800とを有する。膨張器700はシャフト800の第1の端部に配置され、圧縮器900はシャフト800の第2の端部に配置される。膨張されるプロセスガス(膨張器プロセスガス)と圧縮されるプロセスガス(圧縮器プロセスガス)とは、同じプロセスガスであってもよいし、異なるプロセスガスであってもよいことに留意されたい。
【0015】
膨張器-圧縮器システム1000、2000は、少なくともシャフト800を収容するケーシング600を更に有する。膨張器700及び圧縮器900がケーシング600に収容されていないことに留意されたい。特に、ケーシング600は、ケーシング600の内部にある機械的構成要素及び流体を周囲の環境から、例えば膨張器700及び圧縮器900から隔離するように構成されている。換言すると、圧縮器900及び膨張器700は、ケーシング600の外部に位置している。
【0016】
図1図2、及び図3を考慮すると、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、シャフト800に作用するように配置された少なくとも1つの磁気軸受を更に備える。これらの図では、3つの磁気軸受500、510、520が示されている。図に示す好ましい実施形態によれば、膨張器-圧縮器システムには、シャフト800上に、好ましくは膨張器700及び圧縮器900に対して実質的に中心に配置された軸方向スラスト磁気軸受500が設けられている。特に、軸方向スラスト磁気軸受500は、シャフト800の中心セクションにおいてシャフト800に作用するように配置される。膨張器-圧縮器システム1000、2000は、好ましくはシャフト800の第1の端部セクション及びシャフト800の第2の端部セクションにおいてシャフト800上に配置されたラジアル磁気軸受、好ましくは2つのラジアル磁気軸受510及び520を更に備える。特に、シャフト800の端部セクションは、シャフト800の第1の端部又は第2の端部におけるセクションである。
【0017】
有利には、磁気軸受500、510、520は、ケーシング600と機械的に結合されたか一体化されたステータ、及び/又はシャフト800と機械的に結合されたか一体化されたロータを有する。例えば、図4に示すように、ラジアル磁気軸受510及び520のステータ522-1及び522-2と、軸方向スラスト磁気軸受500のステータ512-1及び512-2は、ケーシング600のセクション610に結合されている。特に、ケーシング600のセクション610は、ケーシング600の内部セクションである。有利には、半ラジアル磁気軸受510及び520はまた、膨張器-圧縮器システム1000、2000のシャフト800に結合された回転リング524-1及び524-2を有し、且つ/又は、軸方向スラスト磁気軸受500は、膨張器-圧縮器システム1000、2000のシャフト800に結合された(回転)スラストディスク1100、2100を有する。
【0018】
好ましい実施形態(例えば、図3参照)によれば、第1のラジアル磁気軸受510は、膨張器700とスラスト磁気軸受500との間に配置され、第2のラジアル磁気軸受520は、圧縮器900とスラスト磁気軸受500との間に配置される。換言すると、磁気軸受500、510、520は、シャフト800の第1の端部と第2の端部との間で、ケーシング600の内側に配置される。
【0019】
有利には、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、回転体軸受を更に備える。好ましくは、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、2つの回転体軸受410及び420を備え、第1の回転体軸受410は膨張器700と第1のラジアル磁気軸受510との間に配置されており、第2の回転体軸受420は圧縮器900と第2のラジアル磁気軸受520との間に配置されている。好ましくは、回転体はセラミック材料で作られる。回転体軸受は、典型的には、磁気軸受上の負荷がそれらの能力を超える場合、又は磁気軸受システムの故障の場合に使用されるが、膨張器-圧縮器システム1000、2000の通常動作中には使用されないことに留意されたい。実際、これらの回転体軸受の寿命は、セラミック回転体が急速に摩耗してサイズが小さくなる可能性があるので、時間的に非常に限られている。換言すると、回転体軸受は、典型的には、システムの安全軸受として機能する。
【0020】
以下から明らかになるように、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、シャフトの第1の端部及び/又はシャフトの第2の端部の周りのケーシングに配置された少なくとも1つのドライガスシール310、320を更に備える。好ましくは、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、2つのドライガスシール310及び320を有し、第1のドライガスシール310は、シャフト800の第1の端部の周りのケーシング600に、特に膨張器700とラジアル磁気軸受510との間に、より好ましくは膨張器700と第1の回転体軸受410との間に配置され、第2のドライガスシール320は、シャフト800の第2の端部の周りのケーシング600に、特に圧縮器900とラジアル磁気軸受520との間に、より好ましくは圧縮器900と第2の回転体軸受420との間に配置される。有利には、ドライガスシール310及び320は、ドライガスシールの第1の側、特に膨張器700又は圧縮器900に向かう第1の側で、プロセスガス、特に膨張器プロセスガス又は圧縮器プロセスガスの流れを通して、且つ、ドライガスシールの第2の側、特にケーシング600の内側に向かう第2の側で、シールガス、特に窒素ガスの流れを通して、ケーシング600内のシーリングを提供するように構成されている。
【0021】
図1図2、及び図3を非限定的に参照すると、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、少なくとも1つの磁気軸受、好ましくはすべての磁気軸受500、510、520を冷却するように配置された冷却流体回路1110、2110をも備える。冷却流体回路1110、2110は、冷却流体を循環させるように構成されたポンプ又はブロワを備える(例えば、図1の第1の実施形態の要素112及び図2の第2の実施形態の要素2100がこの機能を有する)。冷却流体回路1110、2110はまた、ケーシング600の外側に配置され、冷却流体回路1110、2110の冷却流体から熱を除去するように構成された熱交換器111を備える。冷却流体回路1110、2110は、冷却流体がケーシング600に入り、磁気軸受500、510、520(場合によっては他の構成要素)のうちの少なくとも1つを冷却し、ケーシング600から出て、熱交換器111によって冷却され、ケーシング600に戻るように、閉ループ構成で配置される。
【0022】
図1に示される第1の実施形態によれば、ポンプ又はブロワ112は、冷却流体にポンプ効果を提供するように構成されている。換言すると、ブロワ112は、冷却流体回路1110内の冷却流体をポンプするように構成されている。有利には、ブロワ112は、ケーシング600の外側に配置される。より有利には、ブロワ112は、熱交換器111の下流に配置される。更により有利には、ブロワ112は、専用モータ、特に電気モータによって動力供給される。
【0023】
図2に示す第2の実施形態によれば、軸方向スラスト磁気軸受500はスラストディスク2100を備えており、このスラストディスク2100は、スラストディスク2100の少なくとも第1の側2001、好ましくはスラストディスク2100の両方の側2001、2002の複数の溝、及び/又はスラストディスク2100の外周の複数のブレードを有する。溝及び/又はブレードは、冷却流体にポンプ効果をもたらすように構成されている。換言すると、溝及び/又はブレードは、軸方向スラスト磁気軸受がポンプ又はブロワをケーシング600の内部に統合するように、冷却流体回路2110内で冷却流体を循環させるように構成されている。
【0024】
図示されていない他の実施形態によれば、内部のポンプ又はブロワと、外部のポンプ又はブロワとの両方があってもよい。
【0025】
図5A図5B図6A、及び図6Bには、本開示による革新的な膨張器-圧縮器システム2000のスラストディスク2100(図2参照)の2つの実施形態が概略的に示されている。
【0026】
図5A及び図5Bは、限定ではなく例として、流体をポンプするように構成された複数の溝を備える、5100とラベルが付されたスラストディスクの第1の実施形態を部分的に示す。図5Aは、スラストディスク5100の正面概略図であり、図5Bは、点線Dに沿って取られた図5Aのスラストディスク5100の概略断面図である。
【0027】
図6A及び図6Bは、限定ではなく例として、流体をポンプするように構成された複数の溝を備える、6100とラベルが付されたスラストディスクの第2の実施形態を部分的に示す。図6Aは、スラストディスク6100の正面概略図であり、図6Bは、点線Dに沿って取られた図6Aのスラストディスク6100の概略断面図である。
【0028】
第1の実施形態によれば、スラストディスク5100の少なくとも第1の側5001は、軸方向スラスト磁気軸受500のスラストディスク5100の回転の結果として流体をポンプするように構成された複数の溝5151-1を備える。好ましい実施形態(図5B参照)では、スラストディスク5100は、第1の側5001の複数の溝5151-1と、第2の側5002の複数の溝5151-2とを備え、溝5151-1及び5151-2は、スラスト磁気軸受500のスラストディスク5100の回転の結果として流体をポンプするように構成されている。
【0029】
有利には、図5A及び図5Bに示すように、溝5151は、スラストディスク5100の内周5112の周りのエリアからスラストディスク5100の外周5114の周りのエリアまで延在する。具体的には、溝5151は、スラストディスク5100の内周5112の周りのエリアからスラストディスク5100の外周5114の周りのエリアまで連続して延在する。
【0030】
有利には、溝5151は湾曲形状である。より有利には、溝5151は、冷却流体が従うことができる優先方向を画定するように構成されている。溝5151の幅及び/又は深さは一定でなくてもよいことに留意されたい。例えば、内周5112の周りのエリアの幅が外周5114の周りのエリアの幅よりも大きくてもよい。有利には、スラストディスク5100が第1の側5001と第2の側5002との両方に溝5151を有する場合、溝5151の幾何学的形状は、好ましくは、スラストディスク5100の第1の側5001と第2の側5002との両方で同じである。
【0031】
有利には、冷却流体は、軸方向スラスト磁気軸受500を冷却するために軸方向スラスト磁気軸受500に入る。特に、冷却流体は、スラストディスク5100上を内周5112の周りのエリアから外周5114の周りのエリアに流れる。より有利には、スラストディスク5100上を流れる流体の大部分は、溝5151によって画定される優先方向に流れるように構成されている。換言すると、流体は溝5151に沿って流れるように案内され、これにより、シャフト800の回転によるスラストディスク5100の回転により、溝5151が冷却流体をポンプするように構成されている。溝5151に沿って流れる冷却流体のみがスラストディスク5100のポンプ作用を受け、溝5151の外側を流れる冷却流体はポンプ作用を受けないことに留意されたい。
【0032】
図6に示す第2の実施形態によれば、スラストディスク6100は、軸方向スラスト磁気軸受500のスラストディスク6100の回転の結果として流体をポンプするように構成された複数のブレード6252を外周6214に備える。ブレード6252は、ディスクの機械加工によってスラストディスク6100から直接得ることができるか、溶接又は接合によってスラストディスク6200に取り付けることができる。ブレード6252がスラストディスク6100上に取り付けられる場合、それらはスラストディスク6100の材料とは異なる材料で作られ得ることに留意されたい。例えば、ブレード6252は、複合材料で作られてもよい。ブレード6252を接合により追加する場合には、公知の接合を用いることができることにも留意されたい。好ましくは、ブレード6252は、蟻継ぎ結合によってスラストディスク6100に取り付けられる。
【0033】
有利には、ブレード6252はスラストディスク6100よりも小さい。特に、ブレード6252の高さは、スラストディスク6100の直径(外周6214で測定される)の5~15%の範囲であってもよい。有利には、ブレード6252の幅は、スラストディスク6100の厚さ以下である。好ましくは、ブレード6252の幅は、スラストディスク6100の厚さの70~100%である。
【0034】
ブレード6252が、例えば、流体に対するポンプ効果をより効果的にするため、及び/又はスラストディスク出口で流体を収集するのを助けるために、2つの凹部を有するブレードプロファイルを有することができることに留意されたい。特に、ブレード6252は、第1の側6001に向かって配向された第1の凹面と、第2の側6002に向かって配向された第2の凹面とを有してもよい。好ましくは、ブレード6252の第1及び第2の凹面は、ブレードプロファイルの中心リッジを形成する。
【0035】
上記で説明したように、図1図2及び図3を非限定的に参照すると、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、冷却流体が流れる冷却流体回路1110、2110を有する。具体的には、冷却流体回路1110、2110は、例えば、ケーシング600の外側の冷却流体回路1110、2110の一部をケーシング600の第1の側の内部チャンバ621及び第2の側の内部チャンバ622と流体接続する2つのフランジを通して、冷却流体が部分的に第1の側で、且つ部分的に第2の側でケーシング600に入るように配置される。有利には、第1の側の内部チャンバ621は、膨張器700が位置するケーシングの第1の端部で、特にドライガスシール310と回転体軸受410との間に配置され、第2の側の内部チャンバ622は、圧縮器900が位置するケーシングの第2の端部で、特にドライガスシール320と回転体軸受420との間に配置される。
【0036】
例えば図1及び図2図4も参照)に示す好ましい実施形態によれば、冷却流体回路1110、2110は、2つのラジアル磁気軸受510、520を並列に冷却するように構成されている。特に、冷却流体は、ケーシング600内に流入し、ラジアル磁気軸受510、520を並列に冷却し、特に、磁気軸受510、520のステータ522とロータ524との間の間隙内を流れる。例えば、冷却流体は、第1の側の内部チャンバ621及び第2の側の内部チャンバ622からラジアル軸受510及び520に流れ、最初に回転体軸受410及び420を通過し、次にシャフト800とケーシング600のセクション610(ラジアル軸受510及び520を含む)との間の間隙を通過する。
【0037】
特に、冷却流体の第1の部分は側の内部チャンバ621に入り、冷却流体の第2の部分は第2の側の内部チャンバ622に入る。有利には、冷却流体の第1の部分及び第2の部分は、実質的に同じ流量を有する。より有利には、冷却流体の第1の部分及び第2の部分の流量は、冷却流体中を循環する全流量の半分に実質的に等しい。
【0038】
冷却流体が間隙を通過してラジアル磁気軸受510、520を冷却すると、冷却流体は軸方向スラスト磁気軸受500に到達する。特に、軸方向スラスト磁気軸受500は、スラストディスク1100、2100の第1の側1001、2001における第1の入口101-1から冷却流体の第1の部分を受け取り、スラストディスク1100、2100の第2の側1002、2002における第2の入口101-2から冷却流体の第2の部分を受け取り、それにより、冷却流体の第1の部分がスラストディスク1100、2100の第1の側1001、2001、特にスラストディスク1100、2100の第1の半体を冷却するように構成され、且つ、冷却流体の第2の部分が、スラストディスク1100、2100の第2の側1002、2002、特にスラストディスク1100、2100の第2の半体を冷却するように配置されるようになっている。有利には、軸方向スラスト磁気軸受500は、冷却流体が第1の入口101-1及び第2の入口101-2を通って軸方向スラスト磁気軸受500に入り、ケーシング600のセクション610(ステータ512を含む)とスラストディスク1100、2100との間の間隙を通過し、出口102を通って軸方向スラスト磁気軸受500を出るように配置されている。
【0039】
例えば図1及び図2に示す好ましい実施形態によれば、冷却流体回路1110、2110は、少なくとも2つの磁気軸受510、520を直列に冷却するように構成されている(例えば、軸受500及び510、並びに軸受500及び520-軸受510と軸受520とが並列にも冷却されることに留意されたい)。例えば、図3を非限定的に参照すると、冷却流体回路1110、2110は、最初にラジアル磁気軸受510を冷却し、次に軸方向スラスト磁気軸受500を冷却するように構成されている。有利には、冷却流体回路1110、2110は、最初にラジアル磁気軸受520を冷却し、次に軸方向スラスト磁気軸受500を冷却するようにも構成されている。
【0040】
図3及び図4を考慮すると、冷却流体回路1110、2110の冷却流体は、軸方向スラスト磁気軸受1100、2100を冷却した後、もっぱら中心領域においてケーシング600から出る。特に、ケーシング600は中心内部チャンバ620を備え、冷却流体回路1110、2110は、冷却流体が軸方向スラスト磁気軸受500から、特に出口102において流出し、中心内部チャンバ620を通って流れ、中心内部チャンバ620から、特にケーシング600の外側の冷却流体回路1110、2110の部分を中心内部チャンバ620と流体接続するフランジを通って流出するように配置される。好ましくは、冷却流体は、軸方向スラスト磁気軸受500及び/又はケーシング600の出口102から半径方向に出る。
【0041】
図1及び図2を非限定的に参照すると、冷却流体回路1110、2110は、例えば冷却流体貯蔵部からの冷却流体入口に流体結合された弁114を更に備える。特に、弁114は、冷却流体を冷却流体入口から冷却流体回路1110、2110に選択的に供給するように構成され、冷却流体は、弁114が開かれると冷却流体回路1110、2110に入り、一方、冷却流体入口と冷却流体回路1110、2110とは、弁114が閉じられると分離される(すなわち、冷却流体は、弁114が閉じられると冷却流体回路1110、2110に入ることができない)。有利には、弁114はほとんどの時間閉じられている。
【0042】
有利には、冷却流体は機器空気又は窒素又は他の不活性ガスである。ケーシング600に入る冷却流体の温度と、ケーシング600から出る冷却流体の温度とが異なることにも留意されたい。特に、ケーシング600に入る冷却流体の温度は、ケーシング600から出る冷却流体の温度よりも低い。例えば、ケーシング600に入る冷却流体の温度とケーシング600から出る冷却流体の温度との間の差は、20℃~50℃の範囲であってもよい。
【0043】
既に説明したように、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、少なくとも1つのドライガスシール(=DGS)、好ましくは2つのドライガスシール310及び320(例えば図7参照)を備え得る。典型的には、ドライガスシールは、ガス漏れを防止するために回転機械に適用される。少なくとも1つのドライガスシール310及び320は、膨張器700又は圧縮器900から冷却流体回路1110及び2110へのプロセスガスの漏れを防止するように構成されている。特に、ドライガスシール310及び320は、シャフトの回転を可能にするために必要とされる機械的間隙(例えば、図1及び図2参照)に起因してシャフト800において発生し得る冷却流体回路1110及び2110へのプロセスガスの漏れを回避するように構成されている。有利には、ドライガスシール310及び320がシャフト800の周りに配置される。
【0044】
図7を考慮すると、ドライガスシール310及び/又は320は、概念的に3つのセクションに分割することができ、各セクションは、固定リング306及び回転リング305を備え、回転リング305は、膨張器-圧縮器システム1000、2000のシャフト800に機械的に結合され、固定リング306は、ケーシング600に結合される。有利には、第1のセクション301は、膨張器700又は圧縮器900に配置され、第3のセクション303は、第1の側の内部チャンバ621又は第2の側の内部チャンバ622に配置され、第2のセクション302は、第1のセクション301と第3のセクション303との間に配置される。有利には、第1のセクション301は入口301-1を有し、プロセスガス、特に膨張器プロセスガス又は圧縮器プロセスガスが、このガスが固定リング306を回転リング305から分離させる流体力学的力を発生させるような方法で注入される。好ましくは、ケーシング600は、入口301-1に接続されたプロセスガスの通過のための専用ダクトを有する。有利には、第2のセクション302は入口302-1を有し、ここでシールガス、好ましくは窒素の第1の注入が注入される。好ましくは、ケーシング600は、入口302-1に接続されたシールガスの通過のための専用ダクトを有する。図7に示すように(第2のセクション302の黒い矢印を参照)、第2のセクション302のシールガスの一部は、第1のセクション301に漏れ、プロセスガスと混合する可能性がある。有利には、第1のセクション301はまた、出口301-2を有し、プロセスガスとシールガスとの混合ガスは、この出口を通って出ることができる。有利には、第3のセクション303は入口303-1を有し、ここでシールガス、好ましくは窒素の第2の注入が注入される。好ましくは、ケーシング600は、入口303-1に接続されたシールガスの通過のための専用ダクトを有する。図7に概略的且つ部分的に示すように(第3のセクション303の黒い矢印を参照)、第3のセクション303のシールガスの一部は、冷却流体回路1110、2110に漏れる可能性がある。第2のセクション302のシールガスの一部が第3のセクション303に漏れる可能性があることにも留意されたい。有利には、第3のセクション303はまた、出口303-2を有し、シールガスがこの出口を通って出ることができる。図7の右側には、省略されたドライガスシール310、320の一部が存在することに留意されたい。この部分は、本明細書で開示される主題に関連しない構成要素を含んでもよく、又は図7の左側の部分と同様であってもよい。
【0045】
換言すると、ドライガスシール310及び320は、ケーシング600の内側、特に冷却流体回路1110、2110内へのプロセスガスの漏れを防止する。しかしながら、シールガスのごく一部、例えば1 Nl/分が冷却流体回路1110、2110内に漏れる可能性がある。
【0046】
冷却流体回路1110、2110の加圧を回避するために、膨張器-圧縮器システム1000、2000は、有利には、冷却流体回路1110、2110から流体を排出するように、特にドライガスシール310及び320から部分的に来る流体を排出するように構成されたベント113、特に較正オリフィスを更に備える。換言すると、冷却流体回路1110及び2110内では、冷却流体と、ドライガスシール310及び320から冷却流体回路1110、2110へのシールガスの漏れである少量の余分な流体とを循環させることができる。有利には、オリフィスは、ベント113によって排出される流体の量が、冷却流体回路1110、2110内の漏れである余分な流体の量に等しくなるように較正される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】