(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】艶消し剤及びそれを含むポリウレタンコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20241010BHJP
C09D 7/42 20180101ALI20241010BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20241010BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20241010BHJP
【FI】
C09D175/04
C09D7/42
C09D7/63
C09D7/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522253
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022046608
(87)【国際公開番号】W WO2023064494
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500445446
【氏名又は名称】グレース・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】マルツ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘーリグ,ホルスト
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DG032
4J038DG111
4J038DG262
4J038DG302
4J038HA446
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA20
4J038KA22
4J038NA01
(57)【要約】
本技術は、ポリウレタンコーティング組成物のための艶消し剤を提供し、艶消し剤は、細孔容積に対するBET表面積の比(SA:PV)が160m2/mL以下である多孔質シリカ粒子を含む。本技術は更に、ポリウレタンコーティング組成物及びその硬化コーティングを提供する。組成物は、艶消し剤、ポリオール、架橋剤、及び触媒を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンコーティング組成物用の艶消し剤であって、細孔容積に対するBET表面積の比(SA:PV)が160m
2/mL以下である多孔質シリカ粒子を含む、艶消し剤。
【請求項2】
前記艶消し剤が、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、前記ポリウレタンコーティング組成物において、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を可能にする、請求項1に記載の艶消し剤。
【請求項3】
SA:PVが約150m
2/mL以下である、請求項1又は2に記載の艶消し剤。
【請求項4】
SA:PVが約140m
2/mL以下である、請求項3に記載の艶消し剤。
【請求項5】
SA:PVが少なくとも約80m
2/mLである、請求項1~4のいずれか一項に記載の艶消し剤。
【請求項6】
SA:PVが少なくとも約100m
2/mLである、請求項5に記載の艶消し剤。
【請求項7】
前記多孔質シリカ粒子が、約1μm~約30μmの中央粒径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の艶消し剤。
【請求項8】
前記多孔性シリカ粒子が、約3μm~約15μmの中央粒径を有する、請求項7に記載の艶消し剤。
【請求項9】
前記多孔質シリカ粒子が、シリカゲル、沈殿シリカ、焼成シリカ粒子、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の艶消し剤。
【請求項10】
前記多孔質シリカ粒子が沈殿シリカを含む、請求項9のいずれか一項に記載の艶消し剤。
【請求項11】
前記艶消し剤が、有機艶消し剤を必要とせずに少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を提供する、請求項1~10のいずれか一項に記載の艶消し剤。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の艶消し剤を含むポリウレタンコーティング組成物。
【請求項13】
前記組成物が、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を示す、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記組成物が、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも200回のダブルラブの硬化応答を示す、請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記硬化応答が、有機艶消し剤を必要とせずに得られる、請求項13又は14に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
ポリオール、架橋剤、及び触媒を更に含む、請求項12~15のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記触媒がルイス酸触媒である、請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
前記ルイス酸触媒が、スズ、ビスマス、又は亜鉛触媒を含む、請求項17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
前記スズ触媒が、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、ジオクチルスズジチオグリコレート、ジオクチルスズジアセテート(DOTA)、ジブチルスズジアセテート(DBTA)、ジオクチルスズジノナノエート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジオクチルスズカルボキシレート、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項18に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
前記ビスマス触媒がビスマスジカルボキシレートを含む、請求項18又は19に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
前記亜鉛触媒がネオデカン酸亜鉛を含む、請求項18~20のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
前記架橋剤がイソシアネートである、請求項16~21のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
前記イソシアネートがポリイソシアネートである、請求項22に記載のコーティング組成物。
【請求項24】
前記架橋剤がブロックされた架橋剤である、請求項22又は23に記載のコーティング組成物。
【請求項25】
請求項12~24のいずれか一項に記載のコーティング組成物の硬化コーティングを含む、コーティングされた基材。
【請求項26】
前記基材が金属である、請求項25に記載のコーティング基材。
【請求項27】
前記基材が金属コイルである、請求項25又は26に記載のコーティングされた基材。
【請求項28】
前記硬化コーティングが、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を示す、請求項25~27のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
【請求項29】
前記硬化したコーティングが約1μm~約120μmの厚さである、請求項25~28のいずれか一項に記載のコーティングされた基材。
【請求項30】
請求項12~24のいずれか一項に記載のポリウレタンコーティング組成物を調製するための方法であって、請求項1~11のいずれか一項に記載の艶消し剤を、ポリオール、架橋剤、及び触媒を含む組成物と組み合わせ、混合して、ポリウレタンコーティング組成物を形成することを含む、方法。
【請求項31】
前記触媒がルイス酸触媒である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記架橋剤がイソシアネートである、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記イソシアネートがポリイソシアネートである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記架橋剤がブロックされた架橋剤である、請求項32又は33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
請求項25~29のいずれか一項に記載のコーティングされた基材を調製する方法であって、請求項12~24のいずれか一項に記載のポリウレタンコーティング組成物の層を基材に適用することを含む、方法。
【請求項36】
前記層を硬化させて揮発性物質を除去し、前記基材の少なくとも表面上にコーティングを形成することを更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記基材が金属である、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記基材が金属コイルである、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月13日に出願された米国仮特許出願第63/255349号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、全般的に、艶消し剤及び艶消し剤を含むポリウレタンコーティングの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
コーティング材料は、通常、液体、ペースト、又は粉末の形態の揮発性成分と不揮発性成分との混合物である生成物であり、基材に塗布され、揮発性成分を除去するために規定の条件下で硬化されると、不揮発性成分から層又はコーティングを形成する。コーティング材料は、通常結合剤又は樹脂と呼ばれる少なくとも1種の不揮発性フィルム形成物質、並びに溶媒、希釈剤、増量剤、顔料、染料、及び/又は添加剤などの他の従来の成分を含むことができる。
【0004】
コーティング材料は、単一パック系(1つの成分)又はマルチパック系(2つ以上の別個の成分)として提供され得る。マルチパック系において、2つ以上の別個の成分は、塗布前にコーティング製品仕様に従って混合されなければならない。マルチパックコーティング系は、主に、成分が結合剤及び硬化剤(hardener)(硬化剤(curing agent)とも呼ばれる)を含む2成分系である。
【0005】
塗布後、コーティング材料は、固体から液体へ、そして固体に戻る変化を受ける粉末コーティングを除いて、規定された環境条件下で液体又はペースト状態から固体状態へ変化することによって固体層又はコーティングを形成する。このプロセスは、保護特性、装飾特性、及び/又は他の機能特性若しくは所望の特性を有する層又はコーティングをもたらす。
【0006】
典型的には、コーティングプロセスは少なくとも乾燥工程を含み、硬化工程を含んでもよい。乾燥工程では、コーティング材料の揮発性成分が蒸発し、層の固化をもたらす。硬化工程において、硬化剤は、化学反応によって樹脂の分子サイズを増加させる。両方の工程は、並行して行われ得る。コーティング技術に応じて、硬化剤は、塗布前に樹脂成分に添加されるか(2パック製品若しくはマルチパック製品)、又はその潜在状態で樹脂成分に混合されるか(シングルパック)、又は硬化工程中の環境条件の一部である(シングルパック)。硬化剤は更に、樹脂及び硬化剤が化学的に反応して所望の特性の層を形成することを確実にするために、硬化工程中に活性化される必要がある潜在性硬化剤であってもよい。潜在性硬化剤は、貯蔵条件下で樹脂と反応せず、したがって良好な貯蔵寿命を可能にするが、処理工程中の刺激によって活性化することができる。活性化は、高温で行うことができる。
【0007】
シングルパックは、混合エラーの回避、取扱いの容易さ、プロセス実施(混合機器が不要など)を可能にするので、シングルパックコーティング系はマルチパック系よりも好ましい場合がある。しかしながら、従来のシングルパックコーティング製品は、製品の耐久性、例えば、マルチパック系と比較して低い機械的特性及び/又は低い耐薬品性に関する制限を有することが多い。これは、コーティング層の形成が物理的乾燥、すなわち、硬化剤が存在しないことによる、コーティング材料の揮発性部分の蒸発によって左右されるためである。反応速度は、マルチパック系の硬化時間(すなわち、コーティング材料の塗布と予測される塗布への準備との間の時間)及びポット寿命などの重要なコーティング材料特性を決定する。シングルパック(処理の容易さ)の利点をマルチパック(耐久性)コーティング製品と組み合わせるために、コーティング材料内の潜在性硬化剤(例えば、ポリウレタンコーティング組成物中のブロックされたイソシアネート)の使用が開発された。
【0008】
概して、ポリウレタンコーティング組成物は、ヒドロキシル官能基を含む結合剤(例えば、ポリオール)と、イソシアネート官能基を含む硬化剤とを含む。両方の官能基は、化学反応を確実にするために、硬化工程中に利用可能でなければならない。硬化剤と結合剤との間の化学反応は、主にカルバメート結合(すなわち、ウレタン結合)によって結合された熱硬化性型のポリマーをもたらす。水の存在下で、ポリマーは、カルバミド結合(すなわち、尿素結合)によって部分的に結合され得る。より低い温度(例えば、室温)でのポリオールとイソシアネートとの間の比較的低い反応速度に起因して、ポリイソシアネートは、通常、反応速度を適合させるために触媒される。最も一般的な触媒は、金属錯体(スズ系ジブチルスズジラウレート(DBTL)を含むが、これに限定されない)及び/又は第三級アミンである。触媒の化学的性質に応じて、イソシアネート官能基、ヒドロキシル官能基、又はその両方を活性化して、化学反応速度を増加させることができる。
【0009】
ポリオール型樹脂と組み合わせたブロックされたイソシアネートは、ポリウレタンコーティング組成物において広く使用されており、潜在性硬化剤として作用する。イソシアネートは、硬化剤が活性になり、ポリオール樹脂と反応してコーティング層を形成した後、高温によってブロック解除されてもよい。脱ブロック化温度は、様々なパラメータによって決定されるが、主に、ブロッキング剤の化学的性質、触媒の存在、及びポリオールの存在によって決定される。
【0010】
したがって、ブロックされたイソシアネートを使用するシングルパックポリウレタン型の製品は、取扱いの容易さを維持しながら、従来のマルチパックポリウレタンコーティング製品と同様の耐久性を達成することができる。しかしながら、高焼付けコーティング系(例えば、コイルコーティング、缶コーティング、自動車コーティング、及び電線コーティング)では、生産速度に対する高度の自動化及び高度の最適化により非常に速い硬化コーティング系が必要になる。コイルコーティングラインのような連続プロセスでは、遅い硬化応答のためにライン速度を低減させなければならない場合、高レベルの生産性が失われる場合がある。
【0011】
触媒は更に、このようなポリウレタンコーティング系において重要な役割を果たす。典型的には、触媒はルイス酸触媒である。触媒は、脱ブロック化温度を低下させ、及び/又はポリオールとイソシアネートとの間の反応速度を増加させることによって、迅速な硬化を確実にする。脱ブロック化温度の低下は、連続プロセスのためのより速い生産ライン速度利用及び/又はより低い黄変傾向を含むいくつかの利点を有する。したがって、触媒活性に直接関係するブロックされたイソシアネートポリウレタンのコーティング生成物の速い硬化応答は、このようなプロセスにおいて最も重要である。
【0012】
速い硬化応答の必要性は、多くの場合、最終コーティングにおいて規定された光沢目標を提供する必要性が存在する場合、さらなる課題を提示する。コーティングの光沢を低下させる従来の方法は、概して艶消しと呼ばれ、固体艶消し剤を使用することである。シリカ系の艶消し剤は、概してコーティング、特にポリウレタンコーティングの光沢を低下させるのに最も有効な艶消し剤であることが一般に知られている。しかしながら、シリカ艶消し剤の増加は、コーティング材料において望ましくない副作用を引き起こす場合がある。
【0013】
例えば、ポリウレタンコーティング系において、シリカ艶消し剤の増加は、触媒の不活性化を引き起こし得る。これは、ポリウレタン型のコイルコーティング用途などの厳しい触媒活性を必要とするプロセスにおいて特に問題である。市場は、艶消し剤のより高い充填量を必要とするより低い光沢のポリウレタンコイルコーティング系に向かう傾向がある。この場合、シリカ艶消し剤の増加は、硬化不足のコーティングをもたらすか、又はより高いコストのコーティングをもたらす触媒の量を著しく増加させることを必要とするかのいずれかの程度まで、触媒を不活性化し得る。
【0014】
シリカ艶消し剤を増加させる必要性を最小限にし、触媒失活を回避するために、有機艶消し剤がシリカ艶消し剤と組み合わせて使用されることが多い。有機艶消し剤は、許容可能な触媒活性を維持するのに役立つが、従来のシリカ艶消し剤よりも効率が低く、費用がかかる傾向があり、コーティング系に関連する費用が増える。
【0015】
したがって、コーティング組成物、特に触媒を含むポリウレタンコーティング組成物において高い硬化応答を同時に提供しながら、費用効率が高く、許容可能な光沢レベルを提供する艶消し剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0016】
本技術は、ポリウレタンコーティング組成物のための艶消し剤を提供する。艶消し剤は、細孔容積に対するBET表面積の比(SA:PV)が160m2/mL以下である多孔質シリカ粒子を含む。任意の実施形態において、艶消し剤は、細孔容積に対するBET表面積の比(SA:PV)が150m2/mL以下である多孔質シリカ粒子を含む。任意の実施形態において、SA:PVは、約80m2/mL~約160m2/mL、約80m2/mL~約150m2/mL、又は約80m2/mL~約140m2/mLであってもよい。一実施形態では、艶消し剤は、ポリウレタンコーティング組成物において、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回、少なくとも200回、少なくとも250回、又は少なくとも300回のダブルラブの硬化応答を提供する。
【0017】
別の態様において、本技術は、本明細書に開示及び記載される艶消し剤を含むポリウレタンコーティング組成物を提供する。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、本明細書に開示及び記載される艶消し剤を含むポリウレタンコイルコーティング組成物であってもよい。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、触媒の有害な増加を必要とすることなく、優れた硬化応答及び良好な艶消し効率を提供する。任意の実施形態において、本技術は、有機艶消し剤を組み込む必要なしに良好な艶消し効率を提供することができるため、優れた硬化応答を有するより費用効果の高いポリウレタンコーティング組成物を提供する。
【0018】
本技術は更に、本明細書に開示及び記載される艶消し剤を含む硬化ポリウレタンコーティングを含むコーティングされた基材を提供する。任意の実施形態において、コーティングされた基材は、本明細書に開示されるポリウレタンコーティング組成物でコーティングされた少なくとも1つの表面を含み得る。任意の実施形態において、基材は金属基材であってもよい。任意の実施形態において、基材は金属コイルであってもよい。
【0019】
更に別の態様において、本技術は、本明細書に開示及び記載される艶消し剤を含み、かつ改善された硬化応答を有するポリウレタンコーティング組成物を調製するプロセスを提供する。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、触媒の有害な増加を必要とすることなく、優れた硬化応答及び高い艶消し効率を有し得る。
【0020】
本技術は、本明細書に開示及び記載される艶消し剤を含むポリウレタンコーティング組成物で基材をコーティングするプロセスを提供する。任意の実施形態において、組成物は金属であってもよい。任意の実施形態において、金属基材は、コイル又は缶の形態であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で使用される特定の用語の定義を以下に提供する。特に断らない限り、本明細書で用いる技術的及び科学的な全ての用語は、概して、本技術が属する技術分野における当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0022】
以下で定義されるように、以下の用語が全体を通して使用される。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、要素を記載する文脈において(特に、後続の特許請求の範囲の文脈において)、「a」、「an」、「the」及び同様の指示語などの単数形冠詞は、本明細書において特に指示がない限り、又は明らかに文脈と矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するよう解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特に指示がない限り、この範囲内にある各別個の値を個々に指す簡略な方法としての役目を果たすことを意図しているに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において特に指示がない限り、又はそうでなければ明らかに文脈と矛盾していない限り、任意の好適な順番で実施することができる。本明細書に提供されるあらゆる全ての例、又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、実施形態をよりよく説明することを意図しているに過ぎず、特に明記されていない限り、特許請求の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、任意の請求されない要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0024】
数に関する「約」は、概して、特に明記されていない限り、又はそうでなければ文脈から明らかでない限り、数のいずれかの方向(より大きい、又はより小さい)に1%、5%、又は10%の範囲内にある数を含むと見なされる(そのような数が0%未満であるか、又は可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0025】
メチルエチルケトン(MEK)ダブルラブ試験は、溶媒に対する耐性(摩擦試験)が決定される標準EN 13523-11:2011に基づく試験を指す。MEK試験は、60°で10±2GUの光沢に調整された60μmのポリウレタンコーティング組成物を、Gardobond(登録商標)X 4744(Chemetall Groupから既製品を購入)で前処理された溶融亜鉛めっき鋼パネル上に塗布して、パネルを調製することによって行われ得る。コーティングされたパネルは、230℃のピーク金属温度(赤外線放射高温計によってその場で測定される)に達するまで、実験室用熱風オーブン型(MATHIS AG製)内で硬化され得る。典型的な持続時間は、約48~約50秒の範囲であってよい。MEKダブルラブは、LINEARTESTER 249(Erichsen製)を使用して実施することができる。ダブルラブカウント値は、耐摩擦性に基づく(すなわち、金属基材が見えた後にカウントを停止する)。
【0026】
本技術において艶消し剤として有用な多孔質シリカ粒子の表面積(「SA」)は、Brunauer Emmett Teller(「BET」)理論を使用してMicromeritics ASAP 2420機器で窒素吸着測定によって決定されるか、又は同等の機器によって測定されてもよい。SA値は、ASAP 2420ソフトウェアV2.09によって、Brunauer、Emmett及びTellerの理論に従う吸着等温の線形領域の評価から取得される(Brunauer,S.,Emmett,P.H.and Teller,E.:「Adsorption of gases in multimolecular layers」,J.Amer.Chem.Soc.,60,309(1938)(参照により本明細書に組み込まれる)も参照)。
【0027】
本技術において艶消し剤として有用な多孔質シリカ粒子の細孔容積(「PV」)は、Micromeritics ASAP 2420機器で非反応性ガス(例えば、N2)を用いた吸着測定によって決定される。当業者によって理解されるように、PVは、任意の他の同等の機器を使用することによって決定され得る。ASAP 2420を用いて、吸着された非反応性ガスの量を、活性化された試料上で、77Kの温度での平衡分圧p/p0の関数として容量的に決定される。活性化試料は、蓋を開けた秤量瓶内の1gの試料を、対流乾燥オーブン内で、200℃で約2時間乾燥させることによって調製される。次いで、秤量瓶を閉じ、デシケーター内で周囲温度まで冷却させる。乾燥した試料を、ASAP 2420機器の脱気ユニットを用いて、真空下で約2時間活性化する。PV値は、Barrett,Joyner and Halenda(BJH)の理論に従って(Barrett,E.P.,Joyner,L.G.,Halenda,P.P.:「The determination of pore volume and area distribution in porous substances」,J.Am.Chem.Soc.73(1951)373-380(参照により本明細書に組み込まれる)も参照)、ASAP 2420ソフトウェアV2.09によって、p/p0 0.995までの相対圧力に対応する細孔径範囲について決定した。
【0028】
本実施形態の多孔質シリカ粒子の粒径は、レーザー光散乱法(複数可)を含むがこれに限定されない、当該技術分野において既知の異なる物理的方法によって測定され得る。本明細書に開示及び記載される多孔質シリカ粒子の中央粒径は、Malvern Mastersizer 2000静的レーザー光散乱機器を使用して測定した。当業者によって理解されるように、他の静的レーザー光散乱機器も同様に使用され得る。
【0029】
「中央粒径」又は「容積分布の中央粒径」(「D(v,0.5)」又は「D50」とも呼ばれる)は、試料の50%がその中央粒径よりも小さく、50%がその中央粒径よりも大きい、ミクロン単位の粒径を指す。例えば、試料調製は、約1gの試料及び100~120mLの脱イオン水を150mLビーカーに添加することを含む。超音波共振器(Branson Sonifier W250D)の先端を、ビーカーの中心で流体中に2cm浸漬する。音波処理は、55%の出力設定で10秒間行うことができる。次に、ユーザーマニュアルの濃縮/不明瞭化の要件に従って、十分な量の得られたスラリーをMastersizer機器の試験セルに直ちに移す。分析からの結果は、サイズクラスの範囲における粒子の容積の相対分布である。結果を使用して、サイズ分布を計算し、中央粒径を得るためにサイズ値のフィット曲線から補間する。
【0030】
上述したように、シリカ艶消し剤は、ポリウレタンコーティングにおける光沢を低減するために使用されるが、シリカ艶消し剤は、コーティングを硬化させるのに必要な触媒の不活性化を引き起こし得る。これは、許容できない性能の不十分に硬化したコーティングをもたらすか、又はより多量の触媒を必要とする。特定のSA対PV比、すなわち、SA:PVが160m2/mL以下であるシリカ艶消し剤が触媒を失活させず、速い硬化応答をもたらすことが、意外にも発見された。
【0031】
触媒ウレタン硬化の機構は、触媒と配位することによるポリオールアルコールの活性化を通して働くことが示唆された。(Houghton et al(Journal of Organometallic Chemistry 518,1996,21-27))。理論に束縛されることを望むものではないが、触媒は代わりにシリカ艶消し剤表面上の-OHと配位して、触媒を硬化反応に利用できなくさせ得ると推測される。したがって、硬化応答を最大化するために、シリカ艶消し剤から利用可能な-OH基の数を最小化することが必要な場合がある。したがって、シリカ艶消し剤からの-OH基の総数は、特定の光沢を達成するために、コーティング中で使用されるシリカ艶消し剤のSAに正比例し、シリカ艶消し剤のPVに反比例すべきである。
【0032】
したがって、本技術は、SA対PVの比(SA:PV)が160m2/mL以下である多孔質シリカ粒子を含むポリウレタンコーティング組成物のための艶消し剤を提供する。本技術は更に、本明細書に開示及び記載される艶消し剤を含むポリウレタンコーティング組成物、並びにポリウレタンコーティング組成物の硬化コーティングを含むコーティングされた基材を提供する。
【0033】
任意の実施形態において、本技術において艶消し剤として使用される多孔質シリカ粒子は、SA:PVが約155m2/mL以下であり得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、SA:PVが約150m2/mL以下であり得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、SA:PVが約145m2/mL以下であり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、約140m2/mL以下、約135m2/mL以下、又は約130m2/mL以下であり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、少なくとも約80m2/mLであり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、少なくとも約85m2/mL、少なくとも約90m2/mL、少なくとも約95m2/mL、又は少なくとも約100m2/mLであり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、約80m2/mL~約160m2/mLであり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、約80m2/mL~約150m2/mLであり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、約80m2/mL~約140m2/mLであり得る。任意の実施形態において、SA:PVは、約85m2/mL~約155m2/mL、約90m2/mL~約145m2/mL、約95m2/mL~約135m2/mL、又は約100m2/mL~約130m2/mLであり得る。
【0034】
任意の実施形態において、本技術において艶消し剤として使用される多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって決定される場合、少なくとも約0.4mL/gのPVを有し得る。任意の実施形態において、PVは、少なくとも約0.6mL/g又は少なくとも約0.8mL/gであり得る。任意の実施形態において、PVは、約3.5mL/g以下であり得る。任意の実施形態において、PVは、約3.1mL/g以下であり得る。任意の実施形態において、PVは、約2.5mL/g以下、約2.3mL/g以下、又は約2.1mL/g以下であり得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、約0.4mL/g~約3.5mL/gのPVを有し得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、約0.6mL/g~約3.1mL/g、約0.8mL/g~約3.1mL/g、約0.8mL/g~約2.5mL/g、約0.8mL/g~約2.3mL/g、又は約0.8mL/g~約2.1mL/gのPVを有し得る。
【0035】
任意の実施形態において、本技術において艶消し剤として使用される多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって決定される場合、約525m2/g以下のSAを有し得る。任意の実施形態において、SAは、約465m2/g以下、約450m2/g以下、約425m2/g以下、約400m2/g以下、約375m2/g以下、約350m2/g以下、又は約320m2/g以下であり得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、窒素ポロシメトリーによって決定される場合、少なくとも約60m2/gのSAを有し得る。任意の実施形態において、SAは、少なくとも約80m2/g、少なくとも約100m2/g、少なくとも約110m2/g、又は少なくとも約120m2/gであり得る。任意の実施形態において、SAは、約60m2/g~約525m2/g、約80m2/g~約465m2/g、約90m2/g~約450m2/g、約100m2/g~約400m2/g、約110m2/g~約350m2/g、又は約120m2/g~約320m2/gであり得る。
【0036】
任意の実施形態において、艶消し剤として有用な多孔質シリカ粒子は、レーザー光回折によって決定される場合、約1μm~約30μmの中央粒径を有し得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、約3μm~約15μm又は約5μm~約15μmの中央粒径を有し得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、少なくとも1つの表面ヒドロキシル基を含んでもよい。任意の実施形態において、艶消し剤は、複数の表面ヒドロキシル基を含む。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、シリカゲル、沈殿シリカ、焼成シリカ粒子、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含み得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子はシリカゲルを含み得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は沈殿シリカを含み得る。任意の実施形態において、多孔質シリカ粒子は、焼成シリカ粒子を含み得る。
【0037】
本明細書で論じられる異なる型のシリカの製造は、文献に広範に記載されており、当業者によってよく知られている。例えば、Handbook of Porous Solids,2008,Volume 3,edited by Ferdi Schueth,Kenneth S.W.Sing and Jens Weitkamp,p.1543-1591,John Wiley & Sons(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0038】
沈殿シリカは概して、形成された一次粒子が凝結してクラスターになるような条件下で、ケイ酸ナトリウム又は他のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属を酸性化することによる湿式プロセスを用いて作製される。反応条件は、液相全体が固相によって取り囲まれないように利用される。この反応には、通常、硫酸が使用されるが(例えば、DE 1299617を参照)、塩酸(例えば、EP 170578を参照)オルガノハロシラン(R.K.Iler,The Colloid Chemistry of silica and silicas,Cornell University Press,New York,1955,Chapter 5を参照)、二酸化炭素(例えば、米国特許第4,260,454号を参照)、又は二酸化炭素と鉱酸との組み合わせなどの他の酸が使用された。しかしながら、ほとんど全ての商業的経路は硫酸経路に基づいている。沈殿は主にアルカリ性条件下で行われる。撹拌、沈殿の持続時間、反応物の添加速度、それらの温度、濃度、及びpHの選択は、シリカの特性を変化させ得る。標準条件下で、水を含有する撹拌容器に、ケイ酸ナトリウム(又はアルカリ金属ケイ酸塩)溶液及び酸を同時に供給する。一次シリカ粒子は、4~5nmより大きいサイズに成長し、ケイ酸ナトリウムから来るナトリウムイオンによって凝結して凝集体になる。沈殿の過程で、三次元ネットワークが形成される。ゲル段階の形成は、高温で撹拌することによって回避される。次の段階では、沈殿シリカスラリーを洗浄して可溶性塩を除去する。洗浄条件は、重要ではあるが、シリカゲルの場合よりも最終生成物特性に及ぼす影響が小さい。フィルタープレス、ロータリーフィルター又はベルトフィルターなどの異なるフィルター型を使用することができる。得られたフィルターケーキは、続いて乾燥され、例えば15~25%の固形分を有する。最も一般的な乾燥技術は、噴霧乾燥のような高速乾燥手順、及び回転乾燥のような低速乾燥手順であり、これらは、異なる粒子形状、凝集の程度、及びより少ない程度で多孔性を生じさせる(例えば、DE 3639845を参照)。乾燥されたシリカは、特定の粒径分布を得るために粉砕工程及び分類工程に供されてもよい。必要であれば、シリカを更に修飾するために、例えば、特定の疎水性を導入するために、及び/又は他の官能基を導入するために、追加の工程が含まれてもよい。
【0039】
含水二酸化ケイ素の多孔質固体非晶質形態であるシリカゲルは、Si02・x H20の公称化学式を有する。ランダムに結合した球状重合ケイ酸塩粒子、一次粒子によって構成される。シリカゲルの特性は、一次粒子の凝集状態及びそれらの表面の化学的性質の結果である。SA、多孔性及び表面の化学的性質は、製造プロセス中に制御され得る。シリカゲルは、塩酸又は硫酸のような強鉱酸によってケイ酸ナトリウムの濃縮溶液からケイ酸を放出することからなるグラハム湿式プロセスに従って製造することができる(例えば、米国特許第1,297,724号を参照)。細孔構造の制御は実用上非常に重要である。ゲル合成の異なる段階中のpH、電解質含量、細孔溶媒、及び温度などのプロセス条件の変動は、最終ゲルの細孔構造に大きな影響を及ぼす。ゲル合成に使用される原料に応じて、ヒドロゲルは、特定の量の電解質、酸又は塩基を含有する。これらの成分は、洗浄工程で除去することができる。洗浄条件に加えて、pH、温度、熟成時間、熟成工程の数、及び溶媒型などの後続の熟成中の条件が、細孔構造進化にとって重要である。乾燥プロセスは、キセロゲルの形成をもたらす。乾燥条件は、最終ゲルの構造に大きな影響を与える。第1段階では、蒸発によって失われた液体を収容するためにゲルが収縮する。容積、重量、密度及び細孔構造の最大の変化は、この段階の間に起こる。乾燥速度もゲルネットワーク収縮に影響を及ぼす。第2段階では、細孔が空にされる。速い乾燥は遅い乾燥よりも収縮が少ない(C.J.Brinker,Transactions ACA,1991,27,163)。
【0040】
ヒュームドシリカ又は熱シリカとも呼ばれる焼成シリカは、高温加水分解プロセスによる非常に微細なサイズの酸化物の製造プロセスによって製造することができる(DE 762723参照)。このプロセスにおける原料は、酸素-水素炎中で加水分解されるクロロシランである。シリカはエアロゾルで形成され、続いて気相から分離される。なおシリカ表面に吸着している残留塩化水素は、水蒸気又は空気を用いて除去することができる。焼成シリカ、又はヒュームドシリカ、又は熱シリカの特性は、炎組成及び温度などの反応パラメータを変化させることによって制御できる。このプロセスは、7~40nmの一次粒径及び50~600m2/gのSAを有するシリカを生成する。一次粒子は、相互成長によって凝集体を形成し、凝集力によって塊成する。炎加水分解に対する代替的な熱プロセスは、電気アークプロセスであり、珪砂が石炭で還元されて、気相中で一酸化ケイ素が得られ、その後、非晶質シリカに酸化される。
【0041】
任意の実施形態において、艶消し剤は、多孔質沈殿シリカを含み、任意の従来の沈殿プロセスによって調製されて、開示されるSA:PV比を有する最終多孔質シリカ粒子を提供し得る。任意の実施形態において、艶消し剤は、反応混合物内で沈殿した無機シリカ粒子を形成することと、沈殿した無機シリカ粒子を反応混合物内の液体から分離することと、沈殿した無機シリカ粒子を洗浄して、洗浄された沈殿した無機シリカ粒子を製造することと、洗浄された沈殿した無機シリカ粒子を急速に乾燥させて、乾燥した多孔質無機シリカ粒子を形成することと、によって製造されてもよい。任意の実施形態において、乾燥した多孔質無機シリカ粒子は、所望の平均粒径に粉砕されてもよい。任意の実施形態において、急速乾燥は、約300℃~約350℃の温度で約15秒以下であってもよい(例えば、スピンフラッシュ乾燥機を使用)。好ましい実施形態では、本技術において有用な沈殿シリカは、米国特許第4,590,052(B1)号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示及び記載されている方法によって製造され得る。
【0042】
任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、本明細書に開示される艶消し剤を含む。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、ポリオール、架橋剤、及び触媒を更に含んでもよい。
【0043】
任意の実施形態において、ポリオールは、ポリウレタンコーティングを調製するために使用される任意の既知のポリオールを含んでもよい。非限定的なポリオールとしては、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリ尿素ポリオール、ポリエーテロール、ポリカーボネート、ポリエステル-ポリアクリレートポリオール、ポリエステル-ポリウレタンポリオール、ポリウレタン-ポリアクリレートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂、脂肪酸変性ポリエステル-ポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、並びにそれらのコポリマー及びグラフトポリマーが挙げられる。任意の実施形態において、ポリオールは、米国特許出願公開第2005/0288450号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなポリウレタンコーティングのためのポリオールを含んでもよい。
【0044】
任意の実施形態において、架橋剤は、イソシアネート、好ましくはポリイソシアネートであってもよい。ポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び/又はトリイソシアネートを含むポリウレタンコーティングの調製に有用な任意の公知のポリイソシアネートであってもよい。イソシアネートモノマーの例は以下のとおりである(異性体は特定されていない)。ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、水素化メチレンジフェニルジイソシアネート(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリイソシアナトノナン(TIN)、トリフェニルメタン4,4,4-トリイソシアネート、トリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェート。非限定的なポリイソシアネートは、2つ以上のイソシアネート基を含有し、芳香族、脂肪族、脂環式、及び/又はイソシアネート基で官能化され得る他のモノマー基から誘導され得る。任意の実施形態において、架橋は、米国特許出願公開第2005/0288450号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるようなポリウレタンコーティングのためのポリオールを含んでもよい。
【0045】
任意の実施形態において、架橋剤は、少なくとも部分的にブロックされたポリイソシアネートであってもよい。非限定的な例としては、オキシム化合物、酸アミド化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、及び/又はピラゾール化合物などの熱解離性ブロッキング剤でブロックされたイソシアネート基を有するポリイソシアネートが挙げられる。別の非限定的な例は、a)芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、及び/又はポリイソシアネート官能性ポリマーから選択される少なくとも1つのポリイソシアネートと、b)少なくとも1つのβ-ジケトンとを含む成分の反応から得られるブロックされたポリイソシアネートであってもよい。例示的なブロックされたポリイソシアネートとしては、Desmodur(登録商標)BL 3175(Covestroから入手可能)などのメチルエチルケトンオキシム(MEKO)でブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)型脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。
【0046】
例示的なブロックされたポリイソシアネート硬化剤生成物の概要:
【表1】
【0047】
任意の実施形態において、触媒は、ルイス酸触媒を含んでもよい。任意の実施形態において、ルイス酸触媒は、スズ触媒、ビスマス触媒、亜鉛触媒、又はそれらの2つ以上の組み合わせを含んでもよい。スズ触媒の非限定的な例としては、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、ジオクチルスズジチオグリコレート、ジオクチルスズジアセテート(DOTA)、ジブチルスズジアセテート(DBTA)、ジオクチルスズジノナノエート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジオクチルスズカルボキシレート、又はこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。ビスマス触媒の非限定的な例としては、ジカルボン酸ビスマスが挙げられる。亜鉛触媒の非限定的な例としては、ネオデカン酸亜鉛が挙げられる。
【0048】
任意の実施形態において、本明細書に開示及び記載されるポリウレタンコーティング組成物は、ポリウレタン系コーティング組成物を作製するための任意の既知の方法によって製造され得る。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、ポリウレタン系コーティング組成物を形成するための従来の手段を使用して、艶消し剤と、本明細書に開示及び記載されるポリオール、架橋剤、及び触媒を含む組成物と、を組み合わせ、混合することによって製造されてもよい。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、米国特許出願公開第2005/0288450号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるような任意の方法によって製造され得る。
【0049】
任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、約10重量%~約75重量%(約15重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%を含む)のポリオールを含み得る。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、約0.001重量%~約5重量%(約0.01重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約1重量%を含む)の触媒を含み得る。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、約1重量%~約25重量%(約3重量%~約20重量%、又は約5重量%~約15重量%を含む)の架橋剤を含み得る。
【0050】
任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、約80以下の60°光沢を示す硬化コーティングを提供するのに十分な任意の量で艶消し剤を含むことができる。例えば、ポリウレタンコーティング組成物は、約0.1重量%~約15重量%(約1重量%~約10重量%を含む)の艶消し剤を含むことができる。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、約0重量%~約50重量%(約5重量%~約40重量%、又は約10重量%~約30重量%を含む)の顔料(例えば、二酸化チタン)を含むことができる。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、約0.1重量%~約60重量%(約5重量%~約50重量%、又は約10重量%~約40重量%を含む)の溶媒を含むことができる。
【0051】
任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、ポリウレタンコーティング組成物中に従来含まれる任意の他の既知の成分を含んでもよく、非限定的な例としては、溶媒、希釈剤、増量剤、顔料、染料、及び/又は添加剤が挙げられる。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、米国特許出願公開第2005/0288450号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるような任意の追加成分を含んでもよい。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、米国特許出願公開第2005/0288450号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるような任意の成分を、そこに開示される量で含んでもよい。
【0052】
本技術は更に、本明細書に開示及び記載されるポリウレタンコーティング組成物の層を本明細書に開示及び記載される基材に適用することを含む、コーティングされた基材を調製するための方法を提供する。任意の実施形態において、本方法は、ポリウレタンコーティング組成物の層を硬化させて、少なくとも基材の表面上にコーティングを形成することを更に含んでもよい。任意の実施形態において、硬化は、揮発性物質を除去すること及び/又はポリオールを架橋することを含み得る。
【0053】
任意の実施形態において、本明細書で提供されるポリウレタンコーティング組成物によってコーティングされる基材は、金属、例えば、鉄及び鉄の合金、鋼及び鋼の合金、銅及び銅の合金、スズ及びスズの合金、アルミニウム及びアルミニウムの合金、亜鉛及び亜鉛の合金であってもよい。金属は、別の金属層、例えば、溶融亜鉛めっき亜鉛でコーティングされてもよい。金属は、特定の前処理及び/又はパッシベーション層を作り出すために人工的に処理されてもよい。任意の実施形態において、基材は金属コイルであってもよい。
【0054】
任意の実施形態において、基材は、任意の従来のコーティング技術(例えば、ロールコーティング、ドクターブレーディング、噴霧など)を使用して処理されて、基材上に層又はコーティングを形成してもよい。その後、ポリウレタンコーティングは、あらゆる揮発性成分を除去し、基材上に硬化ポリウレタンコーティングを形成するのに十分な条件下で硬化される。任意の実施形態において、硬化ポリウレタンコーティングの厚さは、意図される用途に応じて変化し得る。任意の実施形態において、コイルコーティング用途のための硬化ポリウレタンコーティングは、約10μm~約50μm又は約15μm~約35μmを含む、約1μm~約120μmの厚さを有し得る。
【0055】
任意の実施形態において、硬化ポリウレタンコーティングは、約80以下の60°光沢を有し得る。任意の実施形態において、硬化ポリウレタンコーティングは、約70以下(約60以下又は約50以下を含む)の60°光沢を有し得る。
【0056】
任意の実施形態において、艶消し剤は、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、ポリウレタンコーティング組成物において少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を可能にする。任意の実施形態において、艶消し剤は、ポリウレタンコーティング組成物において少なくとも200回のダブルラブの硬化応答を可能にする。任意の実施形態において、艶消し剤は、ポリウレタンコーティング組成物において、少なくとも250回のダブルラブ又は少なくとも300回のダブルラブの硬化応答を可能にする。任意の実施形態において、艶消し剤を含むポリウレタンコーティング組成物は、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を提供する。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、少なくとも200回のダブルラブの硬化応答を提供する。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物は、少なくとも250回のダブルラブ又は少なくとも300回のダブルラブの硬化応答を提供する。任意の実施形態において、ポリウレタンコーティング組成物の硬化コーティングを含むコーティングされた基材は、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を示す。任意の実施形態において、組成物の硬化コーティングを含むコーティングされた基材は、少なくとも200回のダブルラブの硬化応答を示す。任意の実施形態において、コーティングされた基材は、少なくとも250回のダブルラブ又は少なくとも300回のダブルラブの硬化応答を示す。
【0057】
任意の実施形態においても、硬化応答は、有機艶消し剤を必要とせずに得ることができる。有機艶消し剤は、プロセスにおける硬化温度がそれぞれの有機艶消し剤に適しているかどうかに応じて、メチレンジアミノメチルエーテル重縮合物型(Deuteron MK)、ポリアミド型(Orgasol範囲)、ポリウレタン型、ポリメチルメタクリレート型、ポリスチレン型、HDPEワックス型又はそれらの混合物であってもよい。
【0058】
本技術は更に、1パック及び2パックコーティングキットを提供する。2パックキットは、本明細書に開示及び記載される艶消し剤、ポリオール、及び触媒を含む第1のパックと、架橋剤を含む第2のパックとを含んでもよい。1パックキットは、本明細書に開示及び記載される艶消し剤、ポリオール、触媒、及び架橋剤(例えば、ブロックされた架橋剤)を含み得る。
【実施例】
【0059】
本技術は、以下の実施例によって更に例示されるが、決して限定するものとして解釈されるべきではない。
【0060】
実施例及び表に示されるシリカ粒子の表面積は、BET理論を使用してMicromeritics ASAP 2420機器での窒素吸着測定によって決定された。実施例において表される細孔容積は、本明細書において上記に開示及び記載されるように、Micromeritics ASAP 2420機器での非反応性ガス(例えば、N2)による吸着測定によって決定された。実施例において試料を試験するために使用されるMEKダブルラブ試験は、本明細書において上記で開示及び記載された標準EN 13523-11:2011に基づいて行われた。
【0061】
実施例1:多孔質シリカ艶消し剤を含有するポリウレタンコーティング組成物
ポリウレタンコーティング組成物1(例1)は、表1に提供される成分を有し、製造された。水冷容器中で成分1~6(表1)を混合し、ビーズミルを用いて2500RPMで60分間分散させることによって、コーティング組成物を製造した。次に、成分7~10(表1)を2000RPMでゆっくり添加し、10分間分散させて、ベースコーティング組成物を得た。最後に、艶消し剤1(4.3g)をベースコーティング組成物(100g)に添加し、高速ディゾルバーを使用して(ディゾルバーブレード直径:40mm、3000RPM)10分間分散して、ポリウレタンコーティング組成物を得た。艶消し剤の添加量は、艶消し曲線を用いて60°で10±2GUの目標光沢を提供するように決定された。艶消し曲線は、ベースコーティング組成物100gに艶消し剤3g~8gを添加し、硬化後の光沢を測定することにより決定された。目標光沢を達成するための艶消し剤量を、得られた艶消し曲線から外挿した。
【表2】
【0062】
同じ方法に従って、表1中の同じ成分を使用して、ポリウレタンコーティング組成物2~10を製造した(例2~10)。ただし、艶消し剤1は、艶消し剤2~10でそれぞれ置換した(表2)。各組成物について、それぞれの艶消し剤の量を、60°で10±2GUの目標光沢を達成するために、上記手順に従って艶消し曲線によって決定した。
【表3】
【0063】
最終コーティング組成物をそれぞれ、Gardobond(登録商標)X 4744(Chemetall Groupから既製品を購入)で前処理した溶融亜鉛めっき鋼パネルに塗布した(60μm湿潤膜厚)。コーティングされたパネルを、実験室用熱風オーブン型(MATHIS AG製)内で、230℃のピーク金属温度に達するまで(赤外線放射高温計によってその場で測定)硬化させた(持続時間は約48~50秒であった)。次いで、本明細書に記載されるようなLINEARTESTER 249(Erichsen製)を使用して、MEKダブルラブ試験を行った。ダブルラブカウント値は、耐摩擦性に基づいた(すなわち、金属基材が見えた後にカウントを停止した)。MEKダブルラブ試験の結果を表3に示す。結果は、SA:PVの比が160m
2/mL以下の艶消し剤は、「可」又は「良」のいずれかであり、SA:PVが140m
2/mL以下の艶消し剤を有するコーティングは、全て「良」であった。
【表4】
良:MEK耐性が>400、
可:MEK耐性が100~400、及び
低:MEK耐性が<100
【0064】
特定の実施形態
【0065】
実施形態1.ポリウレタンコーティング組成物用の艶消し剤であって、細孔容積に対するBET表面積の比(SA:PV)が160m2/mL以下である多孔質シリカ粒子を含む、艶消し剤。
【0066】
実施形態2.艶消し剤が、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、ポリウレタンコーティング組成物において、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を可能にする、実施形態1に記載の艶消し剤。
【0067】
実施形態3.SA:PVが約150m2/mL以下である、実施形態1又は実施形態2に記載の艶消し剤。
【0068】
実施形態4.SA:PVが約140m2/mL以下である、実施形態3に記載の艶消し剤。
【0069】
実施形態5.SA:PVが少なくとも約80m2/mLである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の艶消し剤。
【0070】
実施形態6.SA:PVが少なくとも約100m2/mLである、実施形態5に記載の艶消し剤。
【0071】
実施形態7.多孔質シリカ粒子が、約1μm~約30μmの中央粒径を有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の艶消し剤。
【0072】
実施形態8.多孔質シリカ粒子が、約3μm~約15μmの中央粒径を有する、実施形態7に記載の艶消し剤。
【0073】
実施形態9.多孔質シリカ粒子が、シリカゲル、沈殿シリカ、焼成シリカ粒子、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の艶消し剤。
【0074】
実施形態10.多孔質シリカ粒子が沈殿シリカを含む、実施形態9のいずれか1つに記載の艶消し剤。
【0075】
実施形態11.艶消し剤が、有機艶消し剤を必要とせずに少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を提供する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の艶消し剤。
【0076】
実施形態12.実施形態1~11のいずれか1つに記載の艶消し剤を含むポリウレタンコーティング組成物。
【0077】
実施形態13.組成物が、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を示す、実施形態12に記載のコーティング組成物。
【0078】
実施形態14.組成物が、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも200回のダブルラブの硬化応答を示す、実施形態13に記載のコーティング組成物。
【0079】
実施形態15.硬化応答が有機艶消し剤を必要とせずに得られる、実施形態13又は実施形態14に記載のコーティング組成物。
【0080】
実施形態16.ポリオール、架橋剤、及び触媒を更に含む、実施形態12~15のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
【0081】
実施形態17.触媒がルイス酸触媒である、実施形態16に記載のコーティング組成物。
【0082】
実施形態18.ルイス酸触媒が、スズ、ビスマス、又は亜鉛触媒を含む、実施形態17に記載のコーティング組成物。
【0083】
実施形態19.スズ触媒が、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)、ジオクチルスズジチオグリコレート、ジオクチルスズジアセテート(DOTA)、ジブチルスズジアセテート(DBTA)、ジオクチルスズジノナノエート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジオクチルスズカルボキシレート、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む、実施形態18に記載のコーティング組成物。
【0084】
実施形態20.ビスマス触媒がジカルボン酸ビスマスを含む、実施形態18又は実施形態19に記載のコーティング組成物。
【0085】
実施形態21.亜鉛触媒がネオデカン酸亜鉛を含む、実施形態18~20のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
【0086】
実施形態22.架橋剤がイソシアネートである、実施形態16~21のいずれか1つに記載のコーティング組成物。
【0087】
実施形態23.イソシアネートがポリイソシアネートである、実施形態22に記載のコーティング組成物。
【0088】
実施形態24.架橋剤がブロックされた架橋剤である、実施形態22又は実施形態23に記載のコーティング組成物。
【0089】
実施形態25.実施形態12~24のいずれか1つに記載のコーティング組成物の硬化コーティングを含む、コーティングされた基材。
【0090】
実施形態26.基材が金属である、実施形態25に記載のコーティングされた基材。
【0091】
実施形態27.基材が金属コイルである、実施形態25又は実施形態26に記載のコーティングされた基材。
【0092】
実施形態28.硬化したコーティングが、MEKダブルラブ試験によって決定される場合、少なくとも100回のダブルラブの硬化応答を示す、実施形態25~27のいずれか1つに記載のコーティングされた基材。
【0093】
実施形態29.硬化したコーティングが約1μm~約120μmの厚さである、実施形態25~28のいずれか1つに記載のコーティングされた基材。
【0094】
実施形態30.実施形態12~24のいずれか1つに記載のポリウレタンコーティング組成物を調製するための方法であって、実施形態1~11のいずれか1つに記載の艶消し剤を、ポリオール、架橋剤、及び触媒を含む組成物と組み合わせ、混合して、ポリウレタンコーティング組成物を形成することを含む、方法。
【0095】
実施形態31.触媒がルイス酸触媒である、実施形態30に記載の方法。
【0096】
実施形態32.架橋剤がイソシアネートである、実施形態30又は実施形態31に記載の方法。
【0097】
実施形態33.イソシアネートがポリイソシアネートである、実施形態32に記載の方法。
【0098】
実施形態34.架橋剤がブロックされた架橋剤である、実施形態32又は実施形態33に記載の方法。
【0099】
実施形態35.実施形態25~29のいずれか1つに記載のコーティングされた基材を調製する方法であって、実施形態12~24のいずれか1つに記載のポリウレタンコーティング組成物の層を基材に塗布することを含む、方法。
【0100】
実施形態36.揮発性物質を除去し、少なくとも基材の表面上にコーティングを形成するために層を硬化させることを更に含む、実施形態35に記載の方法。
【0101】
実施形態37.基材が金属である、実施形態35又は36に記載の方法。
【0102】
実施形態38.基材が金属コイルである、実施形態35~37のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
本技術は、本技術の個別の態様の単一の例示として意図される、本出願に記載の特定の実施形態に関して限定されない。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、本技術の多くの修正及び変形が行われ得る。本技術の範囲内の機能的に同等の方法及び装置は、本明細書に列挙されたものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなる。そのような修正及び変形は、本技術の範囲内にあることが意図される。本技術は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物系に限定されず、これらは当然のことながら変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためのものに過ぎず、限定するものとしては意図されていないことも理解されたい。
【0104】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0105】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれの列挙された範囲も、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに細分されることを十分に記載し、それを可能にすることが容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に細分され得る。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」などの全ての文言は、列挙される数を含み、かつその後、先に考察されたように部分範囲に細分され得る範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は、各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の原子を有する群は、1、2、又は3個の原子を有する群を指す。同様に、1~5個の原子を有する群は、1、2、3、4、又は5個の原子を有する群などを指す。
【0106】
本明細書で言及又は引用された全ての特許、特許出願、仮出願、及び刊行物は、本明細書の明示的な教示と矛盾しない範囲で、全ての図及び表を含むそれらの全体が参照により組み込まれる。
【国際調査報告】