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特表2024-538108混合プラスチック廃棄物を液体炭化水素生成物に変換するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】混合プラスチック廃棄物を液体炭化水素生成物に変換するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20241010BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522338
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022077978
(87)【国際公開番号】W WO2023064816
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/262,391
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308027031
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フエンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ゴータム パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナスワミー ラヴィチャンダー
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラウス アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401CA22
4F401EA64
4F401EA77
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BB04
4H129BC05
4H129BC13
4H129BC35
4H129BC39
4H129KA17
4H129KB01
4H129KD22Y
4H129NA24
(57)【要約】
混合プラスチック廃棄供給物を、2つのクラッキングユニットにより処理することによって、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、富水素炭水化物生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステム及び方法。第1のクラッキングユニットは、混合プラスチック廃棄供給物中のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作され、混合プラスチック廃棄供給物からの無機成分を含有する溶融オリゴマー生成物ストリーム、並びにガスストリームを生成する。この溶融オリゴマー生成物ストリームは、熱又は触媒によるクラッキングユニットにおいてさらに処理されて、炭化水素系ストリームを生成し、これが処理されて、富水素炭化水素生成物、例えば、精油機で処理されうる合成原油、又はスチームクラッカーに供給されうる熱分解油を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成する方法であって、
複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を第1のクラッキングユニットに導入するステップと、
第1のクラッキングユニットを、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームと、揮発性炭化水素及びヘテロ原子を含有するガスストリームとを、生成するステップと、
溶融オリゴマー生成物ストリームを、クラッキング触媒を含有する第2のクラッキングユニットに供給して、第1の炭化水素系ストリーム及び第1のスラリーストリームを生成するステップであって、第2のクラッキングユニットが、連続クラッキングユニットであり、第1のスラリーストリームが、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する、ステップと、
第2のクラッキングユニットからの第1のスラリーストリームを第1の分離ユニットに通して、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するステップと、
富触媒ストリームを第2のクラッキングユニットに供給するステップと、
第2のスラリーストリームを第2の分離ユニットに導入して、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームと、富無機生成物ストリームとを、生成するステップと、
第1の炭化水素系ストリーム及び第2の炭化水素系ストリームを蒸留ユニットに送達して、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するステップと、
第3の分離ユニットにおいて底部ストリームを処理して、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するステップと、
回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを混合して、液体炭化水素生成物を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素ガスが第2のクラッキングユニットに供給されて、1ppmw未満の塩化物レベル及び1質量%未満のオレフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームを生成する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のクラッキングユニットが、約300℃~約500℃の範囲の温度、1時間未満の滞留時間で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1のクラッキングユニットが、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の分離ユニットがコーキングユニットであり、第2のスラリーが、無機生成物をコークスとして除去するために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第3の分離ユニットがコーキングユニットであり、底部ストリームが、残留無機生成物をコークスとして除去するために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを溶融ろ過ユニットに通して、無機生成物の一部及び不溶性成分を除去するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームを収集して、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームにガスストリームを通過させて、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを分離ユニットに通して、塩化物、窒化物及び硫化物のうちの1種又は複数が豊富な揮発性炭化水素を含有する1種又は複数の軽ガスを除去するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
分離ユニットが真空分離ユニットである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1のクラッキングユニットにおいて解重合添加剤を混合プラスチック廃棄供給物に添加するステップであって、解重合添加剤が、解重合加速剤、過酸化物、有機金属化合物又はクラッキング触媒のうちの1種又は複数である、ステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
溶融オリゴマー生成物ストリームの平均分子量が、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのシステムであって、
第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットであって、第1の入口が、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有し、第1のクラッキングユニットが、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する、第1のクラッキングユニットと、
第2の入口、第3の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットであって、第2の入口が第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットが、溶融オリゴマー生成物ストリームをクラッキング触媒に接触させて、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するように構成されている、第2のクラッキングユニットと、
第4の入口、第4の出口及び第5の出口を有する第1の分離ユニットであって、第4の入口が、第2の出口に接続され、流体連通して、第1のスラリーストリームを受け取り、第1の分離ユニットが、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するように構成されており、第4の出口が、第3の入口に接続され、流体連通して、富触媒ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する、第1の分離ユニットと、
第5の入口及び第6の出口を有する第2の分離ユニットであって、第5の入口が、第5の出口に接続され、流体連通して、第2のスラリーストリームを受け取り、第2の分離ユニットが、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている、第2の分離ユニットと、
第6の入口、第7の出口及び第8の出口を有する蒸留ユニットであって、第6の入口が、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第6の入口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取り、蒸留ユニットが、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている、蒸留ユニットと、
第7の入口及び第9の出口を有する第3の分離ユニットであって、第7の入口が、第8の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取り、第3の分離ユニットが、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている、第3の分離ユニットと、
第8の入口及び第9の入口を有するミキサーであって、第8の入口が、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、第9の入口が、第9の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取り、ミキサーが、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物を生成するように構成されている、ミキサーと
を備える、システム。
【請求項16】
第1のクラッキングユニットが、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンク、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのシステムであって、
第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットであって、第1の入口が、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有し、第1のクラッキングユニットが、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する、第1のクラッキングユニットと、
第2の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットであって、第2の入口が第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットが、溶融オリゴマー生成物ストリームを処理して、第1の炭化水素系ストリームと、無機生成物及び残留炭化水素を含有するスラリーストリームとを、生成するように構成された熱クラッキングユニットである、第2のクラッキングユニットと、
第3の入口及び第4の出口を有する第1の分離ユニットであって、第3の入口が、第2の出口に接続され、流体連通して、スラリーストリームを受け取り、第1の分離ユニットが、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている、第1の分離ユニットと、
第4の入口、第5の出口及び第6の出口を有する蒸留ユニットであって、第4の入口が、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第4の出口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取り、蒸留ユニットが、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている、蒸留ユニットと、
第5の入口及び第7の出口を有する第2の分離ユニットであって、第5の入口が、第6の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取り、第2の分離ユニットが、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている、第2の分離ユニットと、
第6の入口及び第7の入口を有するミキサーであって、第6の入口が、第5の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取り、第7の入口が、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、ミキサーが、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物を生成するように構成されている、ミキサーと
を備える、システム。
【請求項19】
第1のクラッキングユニットが、押出機を備えたリアクター、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年10月12日に出願された米国仮特許出願第63/262,391号の利益及びそれへの優先権を主張する。
本開示は、一般に、混合プラスチック廃棄物(MPW)を液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油に変換するためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、MPWを、精油機ユニットでの使用に適した合成原油、又は水蒸気クラッキングへの供給物としての使用に適した熱分解油に変換するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
混合プラスチック廃棄物は、炭化水素系生成物、例えば、熱分解油又は合成原油を作製するために使用されうる機会供給物(opportunity feed)であり、これは、スチームクラッカー又は他の精油機ユニットへの供給物として提供されうる。炭素利用率の観点から、それは、プラスチック変換プロセスから高収率の液体生成物を得るのに最適である。分散型プラスチック変換施設で生成される液体は、スチームクラッカー又は他の精油機ユニットのような中心処理施設に効率的に輸送されうる。液体生成物に変換される際に、MPW中に存在する水素を保持するために、気体成分は最小にする必要がある。
混合プラスチック廃棄物を熱分解油に熱によりクラッキングする公知のプロセスは、いくつかの欠点を有する。例えば、高反応温度の結果、液体収率が低下し、輸送可能ではない可能性のある大量の気体生成物が生成する。これらの生成物の燃焼は炭素損失をもたらす一方、より低い反応温度の結果、バッチ時間が非経済的となり、したがって、ユニットからの生産率が低くなる。この結果、混合プラスチック廃棄物から開始した典型的な液体収率は約70質量パーセント(質量%)となる。低炭素利用率は、低液体収率の結果である。
【0003】
高い設備投資強度は、長い滞留時間の結果である。不十分なスケーラビリティは、他の要因の中でも熱によるクラッキングのために必要な長い滞留時間(約10時間)の直接の結果である。バッチ及び半バッチ操作は、比較的高い資本集約度及び熱プロセスの運転費用に寄与する。熱によるクラッキングは、滞留時間/液体収率のトレードオフを考慮して、クラッキングのための高温の使用を必要とし、富水素軽ガスの大幅な損失をもたらす。熱によるクラッキングプロセスは、約400摂氏度(℃)~約450℃の最終沸点を有する軽熱分解油(pyoils)の生成を目標とし、これは過クラッキング、並びにしたがって富水素ガスの生成及び損失につながる。プラスチック供給物中に存在する水素は保持されず、ガスの一部として失われ、コークスの生成及び液体生成物中の比較的減少した水素含有量につながる。さらに、現在の熱分解油製造機は、バッチ又は半バッチ方式で運転し、小規模連続方式のものは少数であるため、容量が限られている。これは、スチームクラッカー及び精油機などの大容積処理ユニットに供給することができる熱分解油の容積を制限する。夾雑物の存在は、大容積の熱分解油の処理を制限する。消費者使用後の混合プラスチック廃棄物は、多量の夾雑物を本質的に有するため、連続スケーラブルシステムにおいて高液体収率で合成原油又は熱分解油を生成する頑強なプロセスの必要性が存在する。MPWを、スチームクラッカー又は他の精油機ユニットのような処理ユニットにおける供給原料としての使用のための仕様限界を満たす、除染された炭化水素系液体生成物に処理するシステムへのさらなる必要性が存在する。
【0004】
さらに、現在のユニットは、無機残留物及びコークスを除去することによってプラスチックの熱分解/変換装置を清浄するための停止時間が必要である。これらのユニットは自己清浄性ではないため、これはユニットの生産性を制限する可能性がある。さらに、公知の市販の熱クラッキングユニットにおけるプラスチックの変換は長時間(8~14時間)を要し、これは、ユニットの生産性を深刻に制限する。
【発明の概要】
【0005】
プラスチックの熱分解/変換装置を清浄するために必要な停止時間を軽減又は低減し、ユニットを連続運転し続ける必要性が認識された。また、MPWを液体炭化水素生成物に変換する処理ユニットの生産性を増加させる必要性が存在する。これらの欠点のうちの一方又は両方及び当技術分野における他の欠点に対処するために、出願人は、MPWを液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油に変換するためのシステム及び方法を開発した。ある特定の実施形態では、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、富水素炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する方法は、以下のステップ:複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を、第1のクラッキングユニットに導入するステップと、第1のクラッキングユニットを、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームと、ガスストリームとを、生成するステップとを含む。ある特定の実施形態では、第1のクラッキングユニットは、約300℃~約500℃の範囲の温度、及び1時間未満の滞留時間で操作される。第1のクラッキングユニットは、押出機を備えたリアクター、オーガー、スクリュー、ディスクリングリアクター、混練機、キルン、又はそれらの組合せでありうる。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、10質量パーセント(10質量%)未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、5質量%未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームの平均分子量は、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である。方法は、溶融オリゴマー生成物を熱ろ過又は沈殿して、ろ過可能な固体を除去し、次いで、このストリームを、クラッキング触媒を含有する第2のクラッキングユニットに供給して、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒の一部、微量の無機物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するステップをさらに含む。この実施形態は、溶融オリゴマー生成物を触媒ユニットに直接送る代わりに、溶融オリゴマー生成物から無機物を前もって除去するという利点を提供する。この実施形態では、無機物は触媒と混合せず、したがって、高純度の触媒を下部パージで回収することができる。ある特定の実施形態では、方法は、溶融オリゴマー生成物ストリームを、クラッキング触媒を含有する第2のクラッキングユニットに直接供給して、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するステップを含む。ある特定の実施形態では、クラッキング触媒は、塩化物捕捉能を有する。ある実施形態では、第2のクラッキングユニットは、連続クラッキングユニットである。ある実施形態では、クラッキング触媒は、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である。ある特定の実施形態では、MPWは、2時間未満で第1の炭化水素系ストリームに変換される。MPW供給物は、約2~3時間で、より低沸点の熱分解油又は第1の炭化水素系ストリームに完全に変換されうる。MPW供給物は、約1時間未満で全原油のような炭化水素生成物に完全に変換されうる。
【0006】
方法は、第2のクラッキングユニットからの第1のスラリーストリームを第1の分離ユニットに通して、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するステップをさらに含む。ある実施形態では、富触媒ストリームは第2のクラッキングユニットにリサイクルされる。方法は、第2のスラリーストリームを第2の分離ユニットに導入して、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームと、富無機生成物ストリームとを、生成するステップをさらに含む。ある実施形態では、第2の分離ユニットはコーキングユニットであり、第2のスラリーは、無機生成物をコークスとして除去するために処理される。方法は、第1の炭化水素系ストリーム及び第2の炭化水素系ストリームを蒸留ユニットに送達して、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するステップと、第3の分離ユニットにおいて底部ストリームを処理して、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するステップとをさらに含む。ある特定の実施形態では、第3の分離ユニットはコーキングユニットであり、底部ストリームは、残留無機生成物をコークスとして除去するために処理される。
【0007】
ある特定の実施形態では、方法は、溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームを収集して、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップをさらに含みうる。方法は、溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいてガスストリームを溶融オリゴマー生成物ストリームに通過させて、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップをさらに含みうる。
【0008】
ある特定の実施形態では、回収された炭化水素ストリームは、蒸留物ストリームと混合されて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する。ある特定の実施形態では、方法は、溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを溶融ろ過ユニットに通して、無機生成物の一部及び不溶性成分を除去するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、方法は、溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを第4の分離ユニットに通して、塩化物、窒化物及び硫化物のうちの1種又は複数が豊富な揮発性炭化水素を含有する1種又は複数の軽ガスを除去するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、第4の分離ユニットは真空分離ユニットである。ある特定の実施形態では、方法は、第1のクラッキングユニットにおいて解重合添加剤を混合プラスチック廃棄供給物に添加するステップをさらに含む。解重合添加剤は、解重合加速剤、過酸化物、有機金属化合物、酸素若しくは酸素含有種、又はクラッキング触媒のうちの1種又は複数でありうる。
【0009】
実施形態はまた、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステムを含む。1つのそのようなシステムは、第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットを含む。第1の入口は、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有する。この第1のクラッキングユニットは、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する。第1のクラッキングユニットは、押出機を備えたリアクター、オーガー、スクリュー、ディスクリングリアクター、混練機、キルン、又はそれらの組合せでありうる。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、10質量%未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、5質量%未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームの平均分子量は、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である。システムは、第2の入口、第3の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットをさらに含む。第2の入口は第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットは、溶融オリゴマー生成物ストリームをクラッキング触媒に接触させて、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するように構成されている。システムは、第4の入口、第4の出口及び第5の出口を有する第1の分離ユニットをさらに含む。第4の入口は、第2の出口に接続され、流体連通して、第1のスラリーストリームを受け取る。第1の分離ユニットは、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するように構成されている。第4の出口は、第3の入口に接続され、流体連通して、第2のクラッキングユニットに富触媒ストリームを供給する。システムは、第5の入口及び第6の出口を有する第2の分離ユニットをさらに含む。第5の入口は、第5の出口に接続され、流体連通して、第2のスラリーストリームを受け取る。第2の分離ユニットは、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている。システムは、第6の入口、第7の出口及び第8の出口を有する蒸留ユニットをさらに含む。第6の入口は、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第6の出口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取る。蒸留ユニットは、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている。システムは、第7の入口及び第9の出口を有する第3の分離ユニットをさらに含む。第7の入口は、第8の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取る。第3の分離ユニットは、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている。システムは、第8の入口及び第9の入口を有するミキサーをさらに含む。第8の入口は、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、第9の入口は、第9の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取る。ミキサーにおいて、回収された炭化水素ストリームは、蒸留物ストリームと合わせられて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する。
【0010】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するための別のそのようなシステムは、第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットを含む。第1の入口は、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有する。第1のクラッキングユニットは、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する。システムは、第2の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットをさらに含む。第2の入口は、第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取る。第2のクラッキングユニットは、溶融オリゴマー生成物ストリームを処理して、第1の炭化水素系ストリームと、無機生成物及び残留炭化水素を含有するスラリーストリームとを、生成するように構成された熱クラッキングユニットである。システムは、第3の入口及び第4の出口を有する第1の分離ユニットをさらに含む。第3の入口は、第2の出口に接続され、流体連通して、スラリーストリームを受け取る。第1の分離ユニットは、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている。システムは、第4の入口、第5の出口及び第6の出口を有する蒸留ユニットをさらに含む。第4の入口は、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第4の出口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取る。蒸留ユニットは、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている。システムは、第5の入口及び第7の出口を有する第2の分離ユニットをさらに含む。第5の入口は、第6の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取る。第2の分離ユニットは、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている。システムは、第6の入口及び第7の入口を有するミキサーをさらに含む。第6の入口は、第5の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取る。第7の入口は、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取る。ミキサーは、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するように構成されている。
【0011】
これらの例示的な実施形態及び他の実施形態のなお他の態様及び利点について、本明細書で詳細に論じる。さらに、前述の情報及び以下の詳細な説明の両方が、様々な態様及び実施形態の単なる例示的な例を提供し、特許請求される態様及び実施形態の性質及び特徴を理解するための概要又はフレームワークを提供することを意図していることが理解されることになる。したがって、これら及び他の目的は、本開示の利点及び特徴とともに、以下の説明及び添付の図面を参照することにより明らかになるであろう。さらに、本明細書に記載される様々な実施形態の特徴は、互いに排他的ではなく、様々な組合せ及び順列で存在してもよいことが理解されることになる。
本特許又は出願ファイルは、カラーで出力された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を含むこの特許又は特許出願公開の複写は、請求し、必要な手数料を支払えば特許局により提供される。
【0012】
添付の図面は、本開示の実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、本開示の実施形態を例示し、詳細な説明と一緒に、本明細書で論じられる実施形態の原理を説明するのに役立つ。この開示の構造的な詳細を、本明細書で論じられる実施形態及びそれらが実施されうる様々な方法の基本的な理解のために必要でありうるよりも詳細に示す意図はない。常識にしたがって、下記で論じられる図面の様々な特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれるとは限らない。図面中の様々な特徴及び要素の寸法は、本開示の実施形態をより明確に例示するために拡大又は縮小されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ある実施形態による、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するための方法のブロック図である。
図2】ある実施形態による、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステムのブロック図である。
図3】別の実施形態による、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステムのブロック図である。
図4A-4C】未使用の(fresh)Mg-ZSM-5触媒(図4A)、プロセスから回収された触媒(図4B)、及び回収された無機残留物(図4C)のXRDパターンである。
図5A-5D】炭化水素ストリームの一部及び富触媒固体の混合物を有するスラリー沈殿システムの写真画像であり、炭化水素のための第2の触媒によるクラッキングユニットからの触媒の分離を表す。
図6A-6D】炭化水素ストリーム及び富無機物固体の混合物からの富触媒固体の分離のためのスラリー沈殿システムの写真画像である。
図7】例示の実施形態において生成された液体炭化水素生成物の沸点分布のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、MPWを富水素炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油に変換するためのプロセス、デバイス及びシステムに関する様々な実施形態を記載する。より具体的には、本開示は、MPWを、精油機ユニットでの使用に適した合成原油、又は水蒸気クラッキングへの供給物としての使用に適した熱分解油に変換するためのシステム及び方法に関する。これらのシステム及び方法では、スチームクラッカーに供給することができる、より軽い熱分解油(原油よりも軽い)が生成される。ある特定の実施形態では、これらの熱分解システム及び方法は、約70%液体生成物を生成する、スチームクラッカー供給物熱分解油を生成するための公知の市販のプロセスと比較して、約85%液体生成物を生成する。さらなる実施形態が、記載及び開示されうる。以下の記載において、様々な実施形態の完全な理解を提供するために多数の詳細が示される。他の例では、周知のプロセス、デバイス及びシステムは、様々な実施形態を不必要に曖昧にしないために、特に詳細には記載されないことがある。さらに、様々な実施形態の例示は、様々な実施形態を曖昧にしないためにある特定の特徴又は詳細を省略することがある。
【0015】
記載は、「ある特定の実施形態では」、「様々な実施形態では」、「ある実施形態では」、又は「実施形態では」という句を使用することがあり、これらは各々、同じ又は異なる実施形態のうちの1つ又は複数を指しうる。さらに、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」などの用語は、本開示の実施形態に関して使用される場合、同義である。「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって理解される通り、近いこととして定義される。非限定的な一実施形態では、これらの用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、及び最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
【0016】
「除去する」、「除去された」、「減少させる」、「減少した」、又はそれらの任意の変化形は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において使用される場合、所望の結果を実現するための混合物中の1種又は複数の成分の任意の測定可能な減少を含む。特許請求の範囲又は本明細書における、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する」又は「有する」という用語と組み合わせた「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語の使用は、「1つ」を意味するが、また、「1つ又は複数」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は1つよりも多く」の意味とも一致する。「質量%」、「体積%」、又は「mol%」という用語は、それぞれ、成分を含む材料の総質量、総体積、又は総モルに対する成分の質量、体積又はモルパーセンテージを指す。非限定例において、100グラムの材料中10グラムの成分は、10質量%の成分である。
【0017】
ある特定の実施形態では、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する方法は、以下のステップ:複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を、第1のクラッキングユニットに導入するステップと、第1のクラッキングユニットを、プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作して、溶融オリゴマー生成物ストリーム(これは混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物も含有する)及びガスストリームを生成するステップとを含む。ある特定の実施形態では、第1のクラッキングユニットは、約220℃~約500℃の範囲の温度、及び1時間未満の滞留時間で操作される。第1のクラッキングユニットは、押出機を備えたリアクター、オーガー、スクリュー、ディスクリングリアクター、混練機、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せでありうる。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、10質量%未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する(典型的には5質量%未満)。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、5質量%未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームの平均分子量は、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である。ある特定の実施形態では、第1のクラッキングユニットは、ポリマー鎖を20,000ダルトン未満の分子量を有するワックス状流体に部分的に解重合するための、熱又は電気により加熱されたオーガー又は押出機を備える。ワックス状流体は、無機物及び他の不溶物を除去するために熱ろ過されてもよい。真空が、塩素、窒素、硫黄及び他のヘテロ原子が豊富な揮発性炭化水素を含有する軽ガスを引き出すために使用されてもよい。価値のある化学物質は軽ガスから分離され、したがって回収されえ、他の炭化水素は、燃料として使用されてもよい。
【0018】
熱ろ過されたオリゴマーストリームは、第2のクラッキングユニットに供給する前に、熱供給物タンクにおいて収集されてもよく、これは、さらなるヘテロ原子を揮発物として除去するための追加の滞留時間をもたらす。この熱供給物タンクは、揮発物を除去するのを補助するために、真空下でありうるか、又はガスストリームでパージ及び/若しくはバブリングされうる。この熱供給物タンクにおけるホールドアップ時間は、さらなるクラッキング及びヘテロ原子の除去を補助する。
【0019】
方法は、溶融オリゴマー生成物ストリームを、クラッキング触媒を含有する第2のクラッキングユニットに供給して、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するステップをさらに含む。ある実施形態では、第2のクラッキングユニットは、連続クラッキングユニットである。ある特定の実施形態では、クラッキング触媒は、塩化物捕捉能を有する。ある特定の実施形態では、クラッキング触媒は、ポリマー鎖をさらにクラッキングする酸性触媒である。ある実施形態では、クラッキング触媒は、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である。ある特定の実施形態では、混合プラスチック廃棄供給物は連続して供給され、触媒リアクターにおいて2時間半未満で第1の炭化水素系ストリームに変換される。ある特定の実施形態では、MPWは、2時間未満で第1の炭化水素系ストリームに変換される。MPW供給物は、約2~3時間で、より低沸点の熱分解油又は第1の炭化水素系ストリームに完全に変換されうる。MPW供給物は、約1時間未満で全原油のような炭化水素生成物に完全に変換されうる。ある実施形態では、第2のクラッキングユニットは、溶融オリゴマー生成物ストリームを、蒸留されて所望の組成物のストリームに分離されてもよい液体に変換するバッチリアクターである。ある実施形態では、触媒によるクラッキングユニットは、混合プラスチック廃棄供給物を、蒸留されて所望の組成物のストリームに分離されてもよい液体に変換するバッチリアクターである。
【0020】
方法は、第2のクラッキングユニットからの第1のスラリーストリームを第1の分離ユニットに通して、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するステップをさらに含む。ある実施形態では、富触媒ストリームは第2のクラッキングユニットにリサイクルされる。方法は、第2のスラリーストリームを第2の分離ユニットに導入して、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームと、富無機生成物ストリームとを、生成するステップをさらに含む。ある実施形態では、第2の分離ユニットはコーキングユニットであり、第2のスラリーは、無機生成物をコークスとして除去し、供給物中の金属含有量をコークスとして低下させるために処理される。方法は、第1の炭化水素系ストリーム及び第2の炭化水素系ストリームを蒸留ユニットに送達して、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するステップと;第3の分離ユニットにおいて底部ストリームを処理して、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するステップとをさらに含む。ある特定の実施形態では、第3の分離ユニットはコーキングユニットであり、底部ストリームは、残留無機生成物を、供給物中の金属とともにコークスとして除去するために処理される。ある特定の実施形態では、回収された炭化水素ストリームは、蒸留物ストリームと混合されて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する。ある特定の実施形態では、方法は、溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを溶融ろ過ユニットに通して、無機生成物の一部及び不溶性成分を除去するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、方法は、溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを第4の分離ユニットに通して、塩化物、窒化物及び硫化物のうちの1種又は複数が豊富な揮発性炭化水素を含有する1種又は複数の軽ガスを除去するステップをさらに含む。ある特定の実施形態では、第4の分離ユニットは真空分離ユニットであるか、又はガスヘッドスペースパージ及び/又はバブリングによる熱供給物保持タンクである。ある特定の実施形態では、方法は、第1のクラッキングユニットにおいて解重合添加剤を混合プラスチック廃棄供給物に添加するステップをさらに含む。解重合添加剤は、解重合加速剤、過酸化物、有機金属化合物、酸素若しくは酸素含有種、又はクラッキング触媒のうちの1種又は複数でありうる。
【0021】
本明細書に記載される方法の実施形態は、高炭素利用率を実現する。触媒によるクラッキングは、より低い温度及び滞留時間条件下で実施されうる。例えば、ここで記載される方法は、典型的には、熱によるクラッキングについて、約10時間と比較して、約1時間の滞留時間以内に完了しうる。この結果、伝統的な熱によるクラッキングプロセスに対して相当高い液体収率及び改善された炭素利用率となる。これらの方法はまた、改善されたスケーラビリティ及びまた合成粗製物中のより高い水素含有量に起因して、より低い設備投資強度をもたらす。触媒によるクラッキングのための減少した温度及び圧力条件により、比較的減少した量の富水素軽ガスが生成する。したがって、これらの方法により生成された生成物の水素含有量は、従来の熱によるクラッキングプロセスよりも高い。ある特定の実施形態では、ここで開示される方法及びシステムは、クラッキングユニットにおける全体としてより短い滞留時間をもたらし、これはまた、供給物中に存在しない新しい芳香族化合物である、10質量%未満の低芳香族化合物の生成をもたらす。一部の実施形態では、芳香族化合物含有量は、約5質量%未満である。
【0022】
ここで開示される方法及びシステムの別の態様では、第1のクラッキングユニットは、溶融ろ過ユニットを含み、第1のクラッキングは、オーガー/押出機/二軸リアクター/ディスクリングリアクター/混練機/キルン/撹拌タンクリアクター/管状リアクターなどのユニットにおいて行われる。別の実施形態では、第2のクラッキングユニットからの、金属夾雑物が豊富な溶融オリゴマー生成物ストリームの重質留分は、触媒から分離され、除染液の回収を最大にするコーキングステップに供される。MPWからの金属夾雑物は、ここで、コークスとして排除される。触媒は、さらなる反応を支持するために連続してリアクターにリサイクルされる。
【0023】
図1は、ある実施形態による、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、合成原油を生成する方法100のブロック図である。この方法100は、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物102を第1のクラッキングユニット104に導入するステップと、第1のクラッキングユニット104を、混合プラスチック廃棄供給物102中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作して、ガスストリーム105と、混合プラスチック廃棄供給物102からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリーム106とを、生成するステップとを含む。ある実施形態では、第1のクラッキングユニット104は、連続リアクターである。ある特定の実施形態では、第1のクラッキングユニット104は、押出機、オーガー、スクリューフィーダー、フィードチャンバーのピストン、ブロック及びフィードタイプのマニフォールド、ディスクリングリアクター、混練機、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せのうちの1種を含みうる。第1のクラッキングユニット104は、加熱機構を備える。ある実施形態では、加熱機構は、押出機、オーガー又はスクリューフィーダー、ディスクリングリアクター、混練機、キルン、撹拌タンクリアクター又は管状リアクターを備えたユニットのその長さに沿って配置される。ある特定の実施形態では、スクリュー又は混合要素/内部構造の配置構成の組合せは、混合プラスチック廃棄供給物102全体にわたる熱伝達を増加させるように配置構成される。第1のクラッキングユニット104は、高い度合いの熱伝達を促進し、大きな表面積及び表面の連続再生をもたらし、高粘度溶融物の取り扱いを可能にする装置である。この組合せにより、均一な混合/混練を取り扱うように構成され、混合プラスチック廃棄供給物102を最小壁層ビルドアップで運搬し、自己清浄する装置において、高粘度溶融物に関連する熱伝達問題に対処するように、反応条件を最適にすることが可能になる。ある特定の実施形態では、この第1のクラッキングユニット104の操作は、ガス生成の減少につながる。この第1のクラッキングユニット104が、第2の触媒によるクラッキングユニットと組み合わせて操作される場合、触媒によるクラッキングステップの効率が増加する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリーム106は、第2のクラッキングユニットにおける1時間未満の短い滞留時間及び低温勾配で均一な混合に供される。合成原油を製造するこの方法100において、全体的なガス生成は減少する。ある特定の実施形態では、第1のクラッキングユニット104は、第1のクラッキングユニット104において並流で流れる連続ガス流、及び1つ又は複数のガスストリーム105を提供して、第1のクラッキングユニットにおいて形成されたクラッキングガス、塩化水素、他のヘテロ原子含有揮発物を除去して、組換えによって有機塩化物の形成を低減するように構成されたガス入口103を含みうる。ガス入口103を通るガス供給物は、N2、CO2及びその他のような不活性ガス、ヘテロ原子揮発物の除去後のプロセス炭化水素ガス、ヘテロ原子揮発物又はそれらの組合せの除去後のプロセスガスの燃焼から生成された熱排ガスでありうる。ある特定の実施形態では、他のヘテロ原子揮発物は、アンモニア、有機アミン、ニトロ化合物、シアン化水素、酸素含有化合物、又はそれらの組合せを含みうる。第1のクラッキングユニット104を出るガスストリーム105は、水素、メタン、プロパン、ブタン、C2~C4オレフィン、高級炭化水素、クラッキングガス、ヘテロ原子揮発物、窒素、又はそれらの組合せを含みうる。ある特定の実施形態では、部分解重合からのガス生成物は、さらなる凝縮に供されて、凝縮性炭化水素液及び非凝縮性ガスが生成する。非凝縮性ガスは、水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、C2~C4オレフィン及びヘテロ原子揮発物、並びにガス入口103を通したストリームとして導入されたガスストリームの成分を含みうる。凝縮性炭化水素液は、C5~C22炭化水素からの炭化水素を含む。凝縮性炭化水素液は、合成原油を生成する方法からの炭化水素系ストリームで処理される。
【0024】
第1のクラッキングユニット104が押出機、二軸リアクター、オーガーリアクター、ディスクリングリアクター又は混練機のうちの1種又は複数である、ある特定の実施形態では、スクリュー及びバレル間に狭いクリアランスがある。この配置構成は、リアクターの入口及び出口間に提供される加熱流路を迂回又は省略する溶融物の部分がないことを確実にする、強い熱伝達の環境を提供する。リアクターの混合要素(例えば、スクリュー又はオーガー要素)は、リアクターの内容物の完全な混合、リアクター断面におけるより均一な断面温度、及び入口から出口への材料の運搬を確実にする。リアクターは、入口から出口までのリアクターの長さに沿った温度プロファイルを付与する温度設定点制御により外部加熱される。この温度プロファイルは、リアクターの改善された操作について様々でありうる。リアクターはまた、プロセスにおいて生成したガス生成物を除去するように、入口から出口へのスイープガスを供給するための設備も有する。このスイープガスは、処理環境下で不活性なガスでありうる。例えば、このスイープガスは、C1~C4炭化水素を含有する生成物からのリサイクルガス、窒素のような不活性ガスでありえ、又はプロセスにおいて生成したガス生成物を除去し、また直接加熱を提供する熱排ガスでもありうる。
【0025】
ある実施形態では、第1のクラッキングユニット104は、約220~約500摂氏度(℃)の範囲の温度で操作される。操作温度はまた、より具体的には、約380~約450℃の範囲でありうる。ある実施形態では、第1のクラッキングユニット104は、15分未満の滞留時間で操作される。ある実施形態では、第1のクラッキングユニット104は、5分未満の滞留時間で操作される。第1のクラッキングユニット104における混合プラスチック廃棄供給物102の減少した滞留時間は、ガス損失を低減し、混合プラスチック廃棄供給物102中のプラスチックの溶融オリゴマー生成物ストリーム106へのクラッキングを確実にする。このストリーム106は、より低分子量(20000ダルトン未満)の化合物を含有する炭化水素系ワックスストリームでありうる。この処理ステップは、第2のクラッキングユニット108において溶融オリゴマー生成物ストリーム106を原油沸点範囲成分にクラッキングするのに必要な時間を低減する。これはまた、液体成分の気体生成物としての損失も低減する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、400℃~450℃の範囲の温度で10センチポアズ(cP)未満の低粘度を有する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、400℃~450℃の範囲の温度で5cP未満の低粘度を有する。この処理ステップは、第2のクラッキングユニット108が、実質的な熱伝達問題を有する、操作温度で高粘度のストリームを受け取らないことを確実にする。
【0026】
ある特定の実施形態は、部分的解重合の速度を加速するための、第1のクラッキングユニット104への1種又は複数の解重合添加剤の使用を含む。解重合添加剤は、解重合加速剤/有機金属化合物、クラッキング触媒、又はそれらの組合せを含みうる。解重合加速剤/有機金属化合物は、オクタン酸金属塩(metal octonoate)、ナフテン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、メタロセン、又はそれらの組合せを含みうる。有機金属化合物中の金属は、Ni、Mo、Co、W、Fe、遷移金属、又はそれらの組合せでありうる。ある特定の実施形態では、固体触媒/添加剤は、第1のクラッキングユニットにおける解重合速度を加速するように構成されているため、目標分子量減少は、減少した滞留時間で実現されうる。固体触媒/添加剤の非限定例としては、無機酸化物、ZSM-5を含むアルミノケイ酸塩、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USYゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソポーラス材料、SBA-15、シリコ-アルミノリン酸塩、リン酸ガリウム、及びチタノリン酸塩、モレキュラーシーブ、又はそれらの組合せが挙げられる。ある特定の実施形態では、解重合添加剤は、液体形態で存在しうる。ある特定の実施形態は、塩化物を捕捉し、分枝状炭化水素に対して直鎖状炭化水素の生成を強化するように機能する解重合添加剤の使用を含む。例えば、金属担持アルミノケイ酸塩は、塩化物の捕捉を促進し、分枝状炭化水素に対して直鎖状炭化水素の生成を強化するために使用されうる。
【0027】
ある特定の実施形態では、押出機、二軸リアクター、オーガーリアクター、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター又は管状リアクターのような連続リアクターで使用される混合プラスチック廃棄供給物102は、実質的な量の無機物、例えば、フィラー及び添加剤を伴う。したがって、溶融オリゴマー生成物ストリーム106もこれらの無機物を含有し、このストリーム106は、無機物を除去するために熱ろ過されてもよい。この溶融オリゴマー生成物ストリーム106は、第2のクラッキングユニット108におけるさらなるクラッキングのために触媒によるクラッキングユニットに供給されて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成することができる。溶融オリゴマー生成物ストリームは、第2のクラッキングユニット108に供給する前に、熱供給物タンクにおいて収集されてもよい。熱供給物タンクにおけるホールドアップ時間は、ヘテロ原子揮発物の除去のための追加の時間を提供する。
【0028】
第2のクラッキングユニット108において、溶融オリゴマー生成物ストリーム106は、1時間未満の比較的短い滞留時間で第1の炭化水素系ストリーム110及び第1のスラリーストリーム112にさらにクラッキングされる。より短い滞留時間は、過クラッキング、並びに溶融オリゴマー生成物ストリーム106からの水素及び富水素ガスの損失を防止する。第1のスラリーストリーム112は、クラッキング触媒の一部、無機生成物、及び残留炭化水素を含有する。ある特定の実施形態では、生成されたこれらの炭化水素の一部は、より軽い塔頂生成物(ガス及び凝縮性液体)として第2のクラッキングユニット108を離れる。このガス及び凝縮性液体の画分は、さらなる凝縮に供されて、凝縮性炭化水素液及び非凝縮性ガスを生成する。凝縮性炭化水素液は、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する方法からの炭化水素系ストリームで処理される。ある特定の実施形態では、第1の炭化水素系ストリームは、1ppmw(質量百万分率)未満の塩化物レベル及び1質量%未満のオレフィン含有量を有する。
【0029】
ある特定の実施形態では、第2のクラッキングユニット108は、約300℃~約500℃の範囲の温度で操作される触媒によるクラッキングユニットである。触媒及び他の操作条件に応じて、操作温度はまた、より具体的には、約390℃~約450℃の範囲でありうる。ある実施形態では、触媒によるクラッキングユニットは、2.5時間未満の滞留時間で操作される。ある実施形態では、触媒によるクラッキングユニットは、1時間未満の滞留時間で操作される。ある実施形態では、触媒によるクラッキングユニットは、10質量%以下の触媒添加量で操作される。ある実施形態では、触媒によるクラッキングユニットは、触媒によるクラッキングユニットへの供給物に対して5質量%以下の触媒添加量で操作される。ある特定の実施形態では、水素ガスは、第2のクラッキングユニットに供給されて、1ppmw未満の塩化物レベル及び1質量%未満のオレフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームを生成する。
【0030】
ある特定の実施形態では、第2のクラッキングユニット108は、多くの種類の触媒によるクラッキングリアクターのうちの1種、例えば、スラリー撹拌タンクリアクター、気泡塔リアクター、又は循環/混合のためのループしたポンプを有する管状リアクターである。撹拌タンクリアクターは、多段階撹拌機を備えうる。撹拌タンクリアクターは、2段階撹拌機を取り付けられうる。例えば、撹拌機は、異なるレベルのプロペラ及びタービンブレードでありうる。ある実施形態では、最下部撹拌機は、均一に混合するための後続のタービンのために触媒を持ち上げるプロペラである。リアクターはまた、水素又は水素含有などのガス注入のための設備を有する。使用される触媒は水素化を促進しうる金属促進剤を有するため、このガスは、リアクター中のクラッキング生成物のある特定の飽和度の維持を促進する。ある実施形態では、ここで使用されるガスは、プロセスからのクラッキングガス又は分子状水素である。加えて、ガス注入のこのプロセスは、塩素、窒素及び硫黄含有化合物などの夾雑物をリアクター内容物から取り除くことを補助する。このガス注入の使用の結果として不飽和度が低減し、夾雑物が除去されることにより、精油機又はスチームクラッカーに生成されるより大量の合成原油又はナフサ供給物をブレンドすることが可能になる。ある特定の実施形態では、リアクターは、上記の通りのガス注入設備を備えた循環ポンプを使用したリアクター内容物の強制循環による気泡塔リアクターでありうる。ある特定の実施形態では、プロセスにおいて使用される触媒は、ゼオライト触媒である。ゼオライト触媒は、金属担持ゼオライト触媒である。ある特定の実施形態では、触媒の金属成分は、微量塩化物を捕捉することを補助し、また、生成物の直鎖性を増加させて、より高いn-パラフィン対イソパラフィン比(1.5超)をもたらす。これらの直鎖状生成物は、スチームクラッカーにおいて処理される場合、エチレンの生成を最大にする。
【0031】
触媒中に存在する金属の例としては、マグネシウム、ニッケル、コバルト、又は任意の遷移金属若しくは組合せが挙げられる。マグネシウムは、塩化物を捕捉することを補助し、また、n-パラフィン対イソパラフィン比を改善する。ニッケル及び他の遷移金属は、生成物の直鎖性を補助し、また、水素又は水素含有ガスの存在下で液体生成の飽和を補助する。触媒は、無機酸化物、ZSM-5を含むアルミノケイ酸塩、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、USYゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、ナノ結晶性ゼオライト、MCMメソポーラス材料、SBA-15、シリコ-アルミノリン酸塩、リン酸ガリウム、チタノリン酸塩若しくはモレキュラーシーブ、金属担持アルミノケイ酸塩、又はクラッキングを補助するそれらの組合せのうちの1種又は複数を含みうる。塩化物を捕捉し、分枝状炭化水素に対して直鎖状炭化水素の生成を強化するように構成された触媒の例としては、市販のFCC添加剤であるZSM-5上15%Mg、市販のFCC添加剤であるZSM-5上15%Mgと8%ニッケル、又は精油機ユニットからの使用済みFCC触媒と、添加された市販のFCC添加剤であるZSM-5上15%Mg若しくは添加された市販のFCC添加剤であるZSM-5上15%Mgと8%Niとの組合せが挙げられる。ある特定の実施形態では、金属はまた、使用済みFCC触媒に担持されうる。
【0032】
この方法100は、第1のスラリーストリーム112を連続して第1の分離ユニット114に供給して、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリーム116と、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリーム120とを、生成するステップを含む。富触媒ストリーム120は、第2のクラッキングユニット108にリサイクルされる。第1のスラリーストリーム112を含む実験では、触媒はより速く沈殿する傾向が強く、一方、無機材料は、炭化水素系ストリームによく分散し、ゆっくりと沈殿する。ある実施形態では、この無機材料及び触媒間の沈殿速度の差異を、スラリー沈殿機において利用して、これらの成分を分離する。クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリーム120は、スラリー沈殿機から触媒によるクラッキングユニットにリサイクルされ、その一部は、定期的に再生及び再利用/パージに送られる。
【0033】
第2のスラリーストリーム116は、第2の分離ユニット128に供給されて、富無機生成物ストリーム130と、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリーム132とを、生成する。第1の炭化水素系ストリーム110及び第2の炭化水素系ストリーム132は、蒸留ユニット122に供給されて、蒸留物ストリーム124と、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリーム126とを、生成する。ある特定の実施形態では、底部ストリーム126は、第2の分離ユニット128又は第2のクラッキングユニット108に供給される。他の実施形態では、底部ストリーム126は、第3の分離ユニットに供給されて、金属及び残留無機生成物が除去され、回収された炭化水素ストリームを生成する。回収された炭化水素ストリームは、蒸留物ストリームと合わせられて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する。
【0034】
ある特定の実施形態では、第2の分離ユニットからの富無機物ストリームは、コーキングユニットに供給されるため、ヘテロ原子は炭化水素ストリームからコークスとして排除される。ある特定の実施形態では、第2の分離ユニット128からの富無機物ストリーム130は、底部ストリーム126と合わせられ、コーキングユニットに供給される。コーキングユニットから回収された炭化水素は、次いで、蒸留ユニット122に導入され、第1の炭化水素系ストリーム110及び第2の炭化水素系ストリーム132と合わせられて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を形成する。この合成粗製物は、スチームクラッカー供給物留分を生成するか、又はヘテロ原子を含有する重質留分を分離する必要がある場合、さらに蒸留されうる。蒸留からのこの重質留分は、コーキングユニットに供給し戻される。実施形態はまた、富無機生成物ストリーム130、底部ストリーム126、及び蒸留ユニットに向かう生成物回収炭化水素ストリームからの供給物を含むコーキングユニットを含む。コーキングユニットは、約400℃~約530℃の範囲の温度で操作される。コーキングユニットは、コークスの除去及び連続運転の維持に利用可能な予備ユニットを有しうる。スラリー沈殿機は、無機物から触媒を容易に分離するために、15分未満、好ましくは3~5分以下のホールドアップ時間で操作される。
【0035】
実施形態はまた、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステムを含む。図2は、ある実施形態による、混合プラスチック廃棄供給物を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステム200のブロック図である。混合プラスチック廃棄供給物202を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのこのシステムは、第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニット204を含む。第1の入口は、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物202を受け取る開口を有する。第1のクラッキングユニット204は、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物202中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリーム206を生成するための熱源をさらに含有する。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、このストリームを第2のクラッキングユニット208に供給する前に、溶融ろ過システム又は沈殿機に供給されて、溶融オリゴマー生成物ストリーム206中の無機成分の一部を除去する。第1のクラッキングユニット204からの溶融オリゴマー生成物ストリームは、いくつかの方法で処理されて、ろ過されたオリゴマーストリーム206を生成する。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、熱ろ過に供され、次いで、第2のクラッキングユニット208に送られる。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリームは、熱ろ過に供され、続いて熱供給物タンクで保持され、次いで、第2のクラッキングユニット208に送られる。追加の滞留時間は、揮発性ヘテロ原子化合物を除去するための熱供給物タンクにおいて提供される。別の実施形態では、第1のクラッキングユニット204からの溶融オリゴマー生成物ストリームは、スラリー沈殿機において沈殿し、透明な液体オリゴマー生成物ストリームが、熱供給物タンク、次いで第2のクラッキングユニット208に供給される。別の実施形態では、第1のクラッキングユニット204からの溶融オリゴマー生成物ストリームは、第2のクラッキングユニット208に直接供給される。
【0036】
システム200は、第2の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニット208をさらに含む。第2の入口は、第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリーム206を受け取る。第2のクラッキングユニット208は、溶融オリゴマー生成物ストリームを処理して、第1の炭化水素系ストリーム210と、無機生成物及び残留炭化水素を含有するスラリーストリーム212とを、生成するように構成された熱クラッキングユニットである。第2のクラッキングユニット208は、約400℃~450℃の反応温度で、約1時間の滞留時間により熱クラッキングモードで操作されて、原油を生成し、約2~3時間で、スチームクラッカーに供給することができる熱分解油を生成する。ある実施形態では、触媒を用いるシステムの場合と同様の沸点分布を実現するために、熱リアクターシステムは、15~30分長い滞留時間で操作される。
【0037】
ある特定の実施形態では、システム200は、第1のクラッキングユニット、第2のクラッキングユニット及び第1の分離器のうちの1つ又は複数からの気体生成物を受け取り、凝縮性炭化水素液及び非凝縮性ガスを生成するように構成された凝縮器及び気液分離器をさらに含む。凝縮性炭化水素液は、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成する方法からの炭化水素系ストリームで処理される。
【0038】
システム200は、第3の入口及び第4の出口を有する第1の分離ユニット214をさらに含む。第3の入口は、第2の出口に接続され、流体連通して、スラリーストリーム212を受け取る。第1の分離ユニット214は、富無機生成物ストリーム216と、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリーム218とを、生成するように構成されている。システムは、第4の入口、第5の出口及び第6の出口を有する蒸留ユニット220をさらに含む。第4の入口は、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリーム210を受け取り、第4の出口に接続され、流体連通して第2の炭化水素系ストリーム218を受け取る。ある実施形態では、第1の炭化水素系ストリーム210及び第2の炭化水素系ストリーム218は、蒸留ユニット220に供給される前に合わせられうる。蒸留ユニット220は、蒸留物ストリーム222と、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリーム224とを、生成するように構成されている。蒸留ユニット220は、確実に、ヘテロ原子(金属)が底部ストリーム224において分離され、したがって、蒸留物ストリーム222中の金属含有量が減少するように最適化されうる。システムは、第5の入口及び第7の出口を有する第2の分離ユニット226をさらに含む。第5の入口は、第6の出口に接続され、流体連通して、底部ストリーム224を受け取る。第2の分離ユニット226は、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリーム228を生成するように構成されている。システムは、第6の入口及び第7の入口を有するミキサー230をさらに含む。第6の入口は、第5の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリーム228を受け取る。第7の入口は、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリーム222を受け取る。ミキサーは、回収された炭化水素ストリーム228及び蒸留物ストリーム222を合わせて、液体炭化水素生成物232を生成するように構成されている。ある特定の実施形態はまた、ヘテロ原子を除去することによって液体炭化水素生成物を除染する洗浄システムを含みうる。
【0039】
ある特定の実施形態では、富無機生成物ストリームからのすべての固体を溶融ろ過ユニット/沈殿機において除去することによって、第2の分離器は回避される。ある特定の実施形態では、第1の分離ユニットからの富無機生成物ストリームは、生成物からヘテロ原子を除去するためのコークス器において処理される。
【0040】
図3は、別の実施形態による、混合プラスチック廃棄供給物302を処理して、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を生成するためのシステム300のブロック図である。このシステム300は、第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニット304を含む。第1の入口は、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物302を受け取る開口を有する。この第1のクラッキングユニット304は、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物302中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリーム306を生成するための熱源をさらに含有する。第1のクラッキングユニット304は、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターでありうる。ある実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリーム306は、10質量パーセント(10質量%)未満の、供給物中に存在しない追加の芳香族化合物を含有する。ある特定の実施形態では、溶融オリゴマー生成物ストリーム306の平均分子量は、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である。システムは、第2の入口、第3の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニット308をさらに含む。第2の入口は第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリーム306を受け取り、第2のクラッキングユニット308は、溶融オリゴマー生成物ストリーム306をクラッキング触媒に接触させて、第1の炭化水素系ストリーム310と、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリーム312とを、生成するように構成されている。システム300は、第4の入口、第4の出口及び第5の出口を有する第1の分離ユニット314をさらに含む。第4の入口は、第2の出口に接続され、流体連通して、第1のスラリーストリーム312を受け取る。第1の分離ユニット314は、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリーム318と、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリーム316とを、生成するように構成されている。第4の出口は、第3の入口に接続され、流体連通して、第2のクラッキングユニットに富触媒ストリーム316を供給する。システムは、第5の入口及び第6の出口を有する第2の分離ユニット320をさらに含む。第5の入口は、第5の出口に接続され、流体連通して、第2のスラリーストリーム318を受け取る。第2の分離ユニット320は、富無機生成物ストリーム322と、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリーム324とを、生成するように構成されている。システムは、第6の入口、第7の出口及び第8の出口を有する蒸留ユニット326をさらに含む。第6の入口は、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリーム310を受け取り、第6の出口に接続され、流体連通して第2の炭化水素系ストリーム324を受け取る。蒸留ユニット326は、蒸留物ストリーム328と、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリーム330とを、生成するように構成されている。システムは、第7の入口及び第9の出口を有する第3の分離ユニット332をさらに含む。第7の入口は、第8の出口に接続され、流体連通して、底部ストリーム330を受け取る。第3の分離ユニット332は、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリーム334を生成するように構成されている。システムは、第8の入口及び第9の入口を有するミキサー336をさらに含む。第8の入口は、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリーム328を受け取り、第9の入口は、第9の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリーム334を受け取る。ミキサーにおいて、回収された炭化水素ストリーム334は、蒸留物ストリーム328と合わせられて、液体炭化水素生成物338を生成する。ある実施形態では、それぞれ第9の出口及び第7の出口からの回収された炭化水素ストリーム334と蒸留物ストリーム328とは、別個のミキサーユニットなしに合わせられて、液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油を形成し、これは、処理ユニットの下流に供給される。例えば、合成原油は、精製機でさらに処理されえ、熱分解油は、スチームクラッカーに供給されうる。
【実施例
【0041】
下記に提供される様々な実施例は、混合プラスチック廃棄物(MPW)を液体炭化水素生成物、例えば、合成原油又は熱分解油に変換する様々な方法の選択された態様を例示する。
【0042】
(実施例1)
バージンHDPE 23.2質量%、LDPE 25.6質量%、LLDPE 22質量%、PP 29.2質量%樹脂を含有する混合ポリオレフィン供給物のクラッキングを、脱揮押出機において押出機のrpmを100rpmに固定して、異なる温度及び異なる供給速度で研究した。研究に使用した脱揮押出機は、共回転二軸押出機(Type omega 30シリーズ)である。バレル長さは1472mmであり、スクリューの直径は29.7mmである(L/D=49.56)。それは、プログラマブル論理制御器(PLC)による比例微分制御(PID)加熱及び冷却配置構成を有する12基の脱揮バレルからなる。バレルベント位置は6箇所であった。加熱は、ソリッドステートリレーを、バレルにアセンブルした加熱器への制御電源にスイッチングすることによって行い、冷却は、ソレノイドバルブによって操作して、窒素を通すことによって実現する。押出機から流出する溶融ストリームを収集し、芳香族化合物について分析した。赤外線(IR)分析は、450℃の押出機温度でさえ、芳香族化合物の形成を示さなかった。サンプルのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析は、分子量の大幅な低下を示した。顕著なクラッキング及び分子量の低下が存在したが、プロセスにおいて新しい芳香族化合物は形成されなかったように、押出機条件及び滞留時間を維持することが重要である。
【0043】
450℃、100rpmでの押出機ユニットからの約50gの出力物(1.1kg/時の供給速度、分子量5827)を、市販のFCC添加剤であるZSM-5 2.5gとともに丸底フラスコに投入し、混合物を420℃で30分間クラッキングした。液体回収率は95%であり、残部は非凝縮性ガス及びいくらかの凝集性生成物として溶解していた。生成材料は、およそ110℃で液体であり、遠隔地の施設から集中施設に移送するのに好適である。結果は、詳細な炭化水素分析器GC(ASTM D6730)を使用して、216℃未満で沸騰する液体生成物が、5.4体積%の芳香族化合物を有し、216℃超で沸騰する生成物が、C13 NMRスペクトルによって分析して、飽和に割り当てた100%に関して0.3%の芳香族炭素分布を有したことを示した。そのため、全体の原油生成物ベースで、(これは、216℃未満で沸騰する生成物及び216℃超で沸騰する生成物の組合せである)、芳香族化合物含有量は5質量%未満である。この生成物は、原油に類似しているが、水素含有量がより高い(14.6質量%)。この生成物は、合成原油として精油機への供給物として好適である。第1及び第2のクラッキングステップの組合せからの全液体収率は、混合ポリオレフィン供給物の91質量%の大きさのものである。表1は、図1において本明細書に開示されるプロセスによる液体を回収する最大能を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
(実施例2)
実施例1からの、450℃、100rpmでの押出機ユニットからの約50gの出力物(1.1kg/時の供給速度、分子量5827)を、オクタン酸コバルト2.5g(ナフテン酸金属塩及びオクタン酸金属塩のうちの代表的な液体クラッキング触媒)とともに丸底フラスコに投入し、混合物を420℃で30分間クラッキングした。液体回収率は約95質量%(投入した52.5gの材料のうち)であり、残部は、ガス(凝集性及び非凝集性)として溶解していた。生成材料は、およそ110℃で液体であり、遠隔地の施設から集中施設に移送するのに好適である。この材料は、芳香族化合物を含有しなかった。オクタン酸コバルト(ナフテン酸金属塩及びオクタン酸金属塩のうちの代表的な液体クラッキング触媒)は、良好なクラッキング性能を示す。ある実施形態において、この添加剤は、連続供給デバイスにおける解重合速度を加速させるために、プラスチックとともに押出機ユニットにおいて使用されうる。同様に実施例2に基づいて、ZSM-5もプラスチック供給物とともに押出機に添加して、部分解重合ユニット(押出機/二軸リアクター/オーガーリアクター/混練機/ディスクリングリアクター/キルン)における解重合の速度を加速させることができる。第1のクラッキングステップにおいて使用できる他の加速剤は、過酸化物、酸素化物、酸素及び他の酸素含有化合物である。
【0046】
(実施例3)
23.2質量%の高密度ポリエチレン(HDPE)、25.6質量%の低密度ポリエチレン(LDPE)、22質量%の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び29.2質量%のポリプロピレン(PP)を含有する約150gの消費者使用後混合プラスチック廃棄物を、7.5gのZSM-5上15%Mgと混合し、反応を、丸底フラスコ中、420℃で60分間行った。詳細な炭化水素プロファイリング(ASTM D6730)による液体生成物の分析は、液体生成物中、1.7のパラフィン対イソパラフィン比を示した。これは、スチームクラッカーにおけるエチレン収率を最大にするための重要な特性である。Mg/ZSM-5はまた、存在する塩化物を捕捉するのを補助する。液体生成物の収率は、投入した供給物の90%であった。ガス収率は約5質量%であり、無機物は約5質量%であった。液体生成物は、67%軽炭化水素留分(第1の炭化水素ストリーム)として得られ、残部は、重炭化水素留分(残留炭化水素ストリーム)である。これらの留分の沸点分布は表2に示され、併せて、これらは合成原油全体を表す。
【0047】
【表2】
【0048】
固体は分離されて、富触媒固体及び富無機物固体が得られる。使用した未使用の触媒(図4A)及び回収された触媒(富触媒固体(図4B))のXRD比較は、それらが同等であることを示した。富触媒固体は、低含有量の無機成分を有した。富無機物固体画分(図4C)は、ZSM-5の存在を示さず、異なる金属を含有した。未使用のMg-ZSM-5触媒のXRDパターンを、プロセスから回収された触媒及び回収された無機残留物のXRDパターンと比較する。比較は、回収された触媒及び未使用の触媒のXRDパターンが、回収された触媒中の少量のCa塩の存在を除いて同様であることを示す。無機残留物のXRDパターンは、カルシウム、カリウム及び亜リン酸種の存在を明らかに示し、ゼオライトの存在を示さなかった。
【0049】
(実施例4)
実施例3からの約37gのクラッキング炭化水素ストリームを、約1.85gの富触媒固体と混合した。混合物を分液漏斗で完全に振とうし、沈殿させた。1分以内に、漏斗の底で固体層が見られ、約3分で透明な固体層が見られ、5分未満で富触媒固体が完全に沈殿した。この実施例は、触媒が非常に素早く沈殿しえ、炭化水素ストリームから分離でき、再利用のためにリアクターにリサイクルし戻すことができることを明らかに示す。
図5A~5Dは、炭化水素ストリームの一部及び富触媒固体の混合物によるスラリー沈殿システムの写真画像である。第1のクラッキングユニットの下流で熱フィルターが使用される場合、無機物の大部分は除去される。そのような場合には、図5A~5Dは、炭化水素の第2の触媒によるクラッキングユニットからの触媒の分離を表す。図5Aは、実施例4からの炭化水素ストリームの一部によるスラリー沈殿システムの写真である。図5Bは、沈殿プロセスの1分後の炭化水素ストリームの一部及び富触媒固体によるスラリー沈殿システムの写真である。図5Cは、沈殿プロセスの3分後の炭化水素ストリームの一部及び富触媒固体によるスラリー沈殿システムの写真である。図5Dは、沈殿プロセスの15分後の炭化水素ストリームの一部及び富触媒固体によるスラリー沈殿システムの写真である。
【0050】
(実施例5)
実施例4の分液漏斗の内容物に、実施例3からの富無機物固体の一部(3.3g)を添加し、混合物を分液漏斗で完全に振とうし、沈殿させた。1分以内に、富触媒固体層が漏斗の底で見られた。そして、3分で、境界の明らかな富触媒固体層が観察された。約5分で、富触媒固体が沈殿した。しかしながら、富無機物固体は、この時間以内には沈殿しなかった。これは、富触媒固体が、スラリー沈殿操作において5分未満の時間で優先的に富無機物固体から分離されうることを示した。この分離プロセスは、したがって、そのような短縮された沈殿時間で工業用スラリー沈殿機において有利に用いられうる。
【0051】
図6A~6Dは、炭化水素ストリーム及び富無機物固体の混合物からの富触媒固体の分離のためのスラリー沈殿システムの写真画像である。熱フィルター又は他の分離プロセスが第1のクラッキングユニットの下流で使用されない場合、無機物及び触媒は、第2の触媒によるクラッキングユニットを出る炭化水素から分離される必要がある。図6A~6Dは、この分離を例示する。図6Aは、実施例4からの富無機物固体の一部を含む実施例5の分離漏斗の内容物の混合1分以内のスラリー沈殿システムの写真である。図6Bは、沈殿プロセスの3分後の炭化水素ストリーム及び富無機物固体の混合物から分離し始める富触媒固体を有するスラリー沈殿システムの写真である。図6Cは、沈殿プロセスの15分後の炭化水素ストリーム及び富無機物固体の混合物から明らかに分離する富触媒固体を有するスラリー沈殿システムの写真である。図6Dは、沈殿プロセスの35分後の炭化水素ストリーム及び富無機物固体の混合物から十分に分離した富触媒固体を有するスラリー沈殿システムの写真である。
【0052】
(実施例6)
押出機研究(450℃、1.1kg/時及び100rpm)からの実施例1からのオリゴマーの粘度を、No.5スピンドルを使用して、Brookefield粘度計において温度の関数として測定した。結果は、表3に示される通りである。
【表3】

上記の粘度データにより、268℃における粘度は4cPであった。そのため、450℃における粘度は1cP以下であると予想される。そのため、実施例5に示される沈殿研究(低粘度材料)はまた、第1のクラッキングユニットからの低粘度オリゴマー生成物ストリームに当てはまる。したがって、オリゴマー生成物中のこれらの無機残留物は、沈殿又はろ過によって除去されうる。
【0053】
(実施例7)
バージンHDPE 23.2質量%、LDPE 25.6質量%、LLDPE 22質量%、PP 29.2質量%樹脂を含有する混合ポリオレフィン供給物のクラッキングを、脱揮押出機において400℃、1.3Kg/時及び100rpmで研究した。第1のクラッキングステップから得られた約300gのオリゴマー生成物をタンクリアクターに供給し、420℃で45分間クラッキングした。回収された液体生成物は91.4質量%であった。液体生成物の沸点分布が表4に示され、38℃未満の沸点30%、及び329℃未満の沸点25%のより重い粗製物を表すとしてもなお原油沸点範囲内である。生成物は、タンクリアクターにおける滞留時間又は温度を増加させることによってより軽くすることができる。比較して、触媒を使用したプラスチッククラッキングからの生成物(実施例2)は、約380℃で60%の沸騰及び約324℃で50%の沸騰を有した。
【0054】
【表4】
【0055】
(実施例8)
90%ポリオレフィン、8%ポリスチレン、1%PVC及び1%PETを含有する消費者使用後の混合プラスチック供給物150gを、7.5gの触媒(80質量%使用済みFCC触媒及び20質量%の15%Mg-ZSM-5触媒)と混合し、フラスコ中、420℃で1時間クラッキングした。この液体生成物の収率は89.2質量%であり、ガス収率は5.6質量%であり、無機残留物は5.2質量%であった。液体生成物は、72%軽炭化水素留分(第1の炭化水素ストリーム)として得られ、残部は、重炭化水素留分(残留炭化水素ストリーム)である。これらの留分の沸点分布は表5に示され、併せて、これらは合成原油全体を表す。
【0056】
【表5】
【0057】
(実施例9)
90%ポリオレフィン、8%ポリスチレン、1%PVC及び1%PETを含有する消費者使用後の混合プラスチック供給物150gを、7.5gの触媒(80質量%使用済みFCC触媒及び20質量%の15%Mg-ZSM-5触媒)と混合し、フラスコ中、420℃で2.5時間クラッキングした。この液体生成物の収率は87.7質量%であり、ガス収率は7質量%であり、無機残留物は5.3質量%であった。液体生成物の沸点分布を図7に示し、これは、スチームクラッカーへの熱分解油供給物として使用されうる。
【0058】
(実施例10)
n-ヘキサデカン30%、2,2,4-トリメチルペンタン(10%)、1-デセン(20%)、シクロヘキサン(20質量%)、エチルベンゼン(20質量%)を含有する混合物に、塩化物化合物2-クロロペンタン、3-クロロ-3-ペンタン、1-クロロヘキサン、(2-クロロエチル)ベンゼン及びクロロベンゼンを添加して、混合物中合計204ppm、別の例では混合物中1100ppmとした。これらの供給物をアルミナ触媒上水素処理Co-Moと接触させた。この処理の結果は表6に示される。
【0059】
【表6】

この実施例は、クラッキング機能性のない水素化触媒を使用して、生成物中、Cl及びオレフィンを1ppmw未満及び1質量%未満まで除去する能力を例示するために提供される。この適用における第2の触媒リアクターでは、クラッキング触媒は、Ni及びMgを担持されえ、クラッキング、水素化及び塩化物捕捉機能性を提供することができる。上記の実施例における10バールゲージの低圧は、第2の触媒リアクターにおける塩化物除去及び水素化活性のために低圧を使用する能力を明らかに実証する。
【0060】
本明細書に記載されるシステム及びプロセスはまた、示されていない、化学処理の分野の当業者に公知の様々な装置を含みうる。例えば、いくつかの制御器、配管、コンピューター、バルブ、ポンプ、加熱器、熱電対、圧力計、ミキサー、熱交換機などが示されないことがある。本開示の他の目的、特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら、図面、詳細な説明及び実施例は、本開示の具体的な実施形態を示すものの、例示によってのみ示され、限定を意味しないことが理解されるべきである。さらに、この詳細な説明から、本開示の趣旨及び範囲内で変更及び修正が当業者には明らかとなることが企図される。さらなる実施形態では、具体的な実施形態からの特徴は、他の実施形態からの特徴と組み合わせられてもよい。例えば、一実施形態からの特徴は、他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせられてもよい。さらなる実施形態では、追加の特徴が、本明細書に記載される具体的な実施形態に付加されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成する方法であって、
複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を第1のクラッキングユニットに導入するステップと、
第1のクラッキングユニットを、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームと、揮発性炭化水素及びヘテロ原子を含有するガスストリームとを、生成するステップと、
溶融オリゴマー生成物ストリームを、クラッキング触媒を含有する第2のクラッキングユニットに供給して、第1の炭化水素系ストリーム及び第1のスラリーストリームを生成するステップであって、第2のクラッキングユニットが、連続クラッキングユニットであり、第1のスラリーストリームが、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する、ステップと、
第2のクラッキングユニットからの第1のスラリーストリームを第1の分離ユニットに通して、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するステップと、
富触媒ストリームを第2のクラッキングユニットに供給するステップと、
第2のスラリーストリームを第2の分離ユニットに導入して、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームと、富無機生成物ストリームとを、生成するステップと、
第1の炭化水素系ストリーム及び第2の炭化水素系ストリームを蒸留ユニットに送達して、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するステップと、
第3の分離ユニットにおいて底部ストリームを処理して、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するステップと、
回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを混合して、液体炭化水素生成物を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素ガスが第2のクラッキングユニットに供給されて、1ppmw未満の塩化物レベル及び1質量%未満のオレフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームを生成する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1のクラッキングユニットが、約300℃~約500℃の範囲の温度、1時間未満の滞留時間で操作される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1のクラッキングユニットが、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2の分離ユニットがコーキングユニットであり、第2のスラリーストリームが、無機生成物をコークスとして除去するために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第3の分離ユニットがコーキングユニットであり、底部ストリームが、残留無機生成物をコークスとして除去するために処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
溶融オリゴマー生成物ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを溶融ろ過ユニットに通して、無機生成物の一部及び不溶性成分を除去するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
溶融オリゴマー生成物ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームを収集して、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
溶融オリゴマー生成物ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームにガスストリームに通して、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップ
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
溶融オリゴマー生成物ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを分離ユニットに通して、塩化物、窒化物及び硫化物のうちの1種又は複数が豊富な揮発性炭化水素を含有する1種又は複数の軽ガスを除去するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
分離ユニットが真空分離ユニットである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1のクラッキングユニットにおいて解重合添加剤を混合プラスチック廃棄供給物に添加するステップであって、解重合添加剤が、解重合加速剤、過酸化物、有機金属化合物又はクラッキング触媒のうちの1種又は複数である、ステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
溶融オリゴマー生成物ストリームの平均分子量が、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのシステムであって、
第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットであって、第1の入口が、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有し、第1のクラッキングユニットが、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する、第1のクラッキングユニットと、
第2の入口、第3の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットであって、第2の入口が第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットが、溶融オリゴマー生成物ストリームをクラッキング触媒に接触させて、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するように構成されている、第2のクラッキングユニットと、
第4の入口、第4の出口及び第5の出口を有する第1の分離ユニットであって、第4の入口が、第2の出口に接続され、流体連通して、第1のスラリーストリームを受け取り、第1の分離ユニットが、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するように構成されており、第4の出口が、第3の入口に接続され、流体連通して、富触媒ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する、第1の分離ユニットと、
第5の入口及び第6の出口を有する第2の分離ユニットであって、第5の入口が、第5の出口に接続され、流体連通して、第2のスラリーストリームを受け取り、第2の分離ユニットが、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている、第2の分離ユニットと、
第6の入口、第7の出口及び第8の出口を有する蒸留ユニットであって、第6の入口が、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第6の口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取り、蒸留ユニットが、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている、蒸留ユニットと、
第7の入口及び第9の出口を有する第3の分離ユニットであって、第7の入口が、第8の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取り、第3の分離ユニットが、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている、第3の分離ユニットと、
第8の入口及び第9の入口を有するミキサーであって、第8の入口が、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、第9の入口が、第9の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取り、ミキサーが、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物を生成するように構成されている、ミキサーと
を備える、システム。
【請求項16】
第1のクラッキングユニットが、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのシステムであって、
第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットであって、第1の入口が、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有し、第1のクラッキングユニットが、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する、第1のクラッキングユニットと、
第2の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットであって、第2の入口が第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットが、溶融オリゴマー生成物ストリームを処理して、第1の炭化水素系ストリームと、無機生成物及び残留炭化水素を含有するスラリーストリームとを、生成するように構成された熱クラッキングユニットである、第2のクラッキングユニットと、
第3の入口及び第4の出口を有する第1の分離ユニットであって、第3の入口が、第2の出口に接続され、流体連通して、スラリーストリームを受け取り、第1の分離ユニットが、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている、第1の分離ユニットと、
第4の入口、第5の出口及び第6の出口を有する蒸留ユニットであって、第4の入口が、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第4の出口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取り、蒸留ユニットが、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている、蒸留ユニットと、
第5の入口及び第7の出口を有する第2の分離ユニットであって、第5の入口が、第6の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取り、第2の分離ユニットが、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている、第2の分離ユニットと、
第6の入口及び第7の入口を有するミキサーであって、第6の入口が、第5の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取り、第7の入口が、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、ミキサーが、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物を生成するように構成されている、ミキサーと
を備える、システム。
【請求項19】
第1のクラッキングユニットが、押出機を備えたリアクター、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、請求項18に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
本明細書に記載されるシステム及びプロセスはまた、示されていない、化学処理の分野の当業者に公知の様々な装置を含みうる。例えば、いくつかの制御器、配管、コンピューター、バルブ、ポンプ、加熱器、熱電対、圧力計、ミキサー、熱交換機などが示されないことがある。本開示の他の目的、特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。しかしながら、図面、詳細な説明及び実施例は、本開示の具体的な実施形態を示すものの、例示によってのみ示され、限定を意味しないことが理解されるべきである。さらに、この詳細な説明から、本開示の趣旨及び範囲内で変更及び修正が当業者には明らかとなることが企図される。さらなる実施形態では、具体的な実施形態からの特徴は、他の実施形態からの特徴と組み合わせられてもよい。例えば、一実施形態からの特徴は、他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせられてもよい。さらなる実施形態では、追加の特徴が、本明細書に記載される具体的な実施形態に付加されてもよい。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成する方法であって、
複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を第1のクラッキングユニットに導入するステップと、
第1のクラッキングユニットを、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度及び滞留時間で操作して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームと、揮発性炭化水素及びヘテロ原子を含有するガスストリームとを、生成するステップと、
溶融オリゴマー生成物ストリームを、クラッキング触媒を含有する第2のクラッキングユニットに供給して、第1の炭化水素系ストリーム及び第1のスラリーストリームを生成するステップであって、第2のクラッキングユニットが、連続クラッキングユニットであり、第1のスラリーストリームが、クラッキング触媒の一部、無機生成物及び残留炭化水素を含有する、ステップと、
第2のクラッキングユニットからの第1のスラリーストリームを第1の分離ユニットに通して、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するステップと、
富触媒ストリームを第2のクラッキングユニットに供給するステップと、
第2のスラリーストリームを第2の分離ユニットに導入して、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームと、富無機生成物ストリームとを、生成するステップと、
第1の炭化水素系ストリーム及び第2の炭化水素系ストリームを蒸留ユニットに送達して、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するステップと、
第3の分離ユニットにおいて底部ストリームを処理して、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するステップと、
回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを混合して、液体炭化水素生成物を生成するステップと
を含む、方法。
〔2〕クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕水素ガスが第2のクラッキングユニットに供給されて、1ppmw未満の塩化物レベル及び1質量%未満のオレフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームを生成する、前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕第1のクラッキングユニットが、約300℃~約500℃の範囲の温度、1時間未満の滞留時間で操作される、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕第1のクラッキングユニットが、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターである、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕第2の分離ユニットがコーキングユニットであり、第2のスラリーが、無機生成物をコークスとして除去するために処理される、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕第3の分離ユニットがコーキングユニットであり、底部ストリームが、残留無機生成物をコークスとして除去するために処理される、前記〔1〕に記載の方法。
〔8〕溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを溶融ろ過ユニットに通して、無機生成物の一部及び不溶性成分を除去するステップ
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームを収集して、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップ
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔10〕溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、保持タンクにおいて溶融オリゴマー生成物ストリームにガスストリームを通過させて、ヘテロ原子を揮発物として除去するステップ
をさらに含む、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕溶融オリゴマー生成物を第2のクラッキングユニットに供給する前に、溶融オリゴマー生成物ストリームを分離ユニットに通して、塩化物、窒化物及び硫化物のうちの1種又は複数が豊富な揮発性炭化水素を含有する1種又は複数の軽ガスを除去するステップ
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕分離ユニットが真空分離ユニットである、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕第1のクラッキングユニットにおいて解重合添加剤を混合プラスチック廃棄供給物に添加するステップであって、解重合添加剤が、解重合加速剤、過酸化物、有機金属化合物又はクラッキング触媒のうちの1種又は複数である、ステップ
をさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔14〕溶融オリゴマー生成物ストリームの平均分子量が、混合プラスチック廃棄供給物の平均分子量の少なくとも20分の1である、前記〔1〕に記載の方法。
〔15〕混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのシステムであって、
第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットであって、第1の入口が、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有し、第1のクラッキングユニットが、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する、第1のクラッキングユニットと、
第2の入口、第3の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットであって、第2の入口が第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットが、溶融オリゴマー生成物ストリームをクラッキング触媒に接触させて、第1の炭化水素系ストリームと、クラッキング触媒、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第1のスラリーストリームとを、生成するように構成されている、第2のクラッキングユニットと、
第4の入口、第4の出口及び第5の出口を有する第1の分離ユニットであって、第4の入口が、第2の出口に接続され、流体連通して、第1のスラリーストリームを受け取り、第1の分離ユニットが、無機生成物及び残留炭化水素を含有する第2のスラリーストリームと、クラッキング触媒の一部を含有する富触媒ストリームとを、生成するように構成されており、第4の出口が、第3の入口に接続され、流体連通して、富触媒ストリームを第2のクラッキングユニットに供給する、第1の分離ユニットと、
第5の入口及び第6の出口を有する第2の分離ユニットであって、第5の入口が、第5の出口に接続され、流体連通して、第2のスラリーストリームを受け取り、第2の分離ユニットが、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている、第2の分離ユニットと、
第6の入口、第7の出口及び第8の出口を有する蒸留ユニットであって、第6の入口が、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第6の入口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取り、蒸留ユニットが、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている、蒸留ユニットと、
第7の入口及び第9の出口を有する第3の分離ユニットであって、第7の入口が、第8の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取り、第3の分離ユニットが、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている、第3の分離ユニットと、
第8の入口及び第9の入口を有するミキサーであって、第8の入口が、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、第9の入口が、第9の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取り、ミキサーが、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物を生成するように構成されている、ミキサーと
を備える、システム。
〔16〕第1のクラッキングユニットが、押出機、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンク、管状リアクター、又はそれらの組合せを備えたリアクターである、前記〔15〕に記載の方法。
〔17〕クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、前記〔15〕に記載のシステム。
〔18〕混合プラスチック廃棄供給物を処理して液体炭化水素生成物を生成するためのシステムであって、
第1の入口、混合要素及び第1の出口を有する第1のクラッキングユニットであって、第1の入口が、複数のプラスチックポリマーを含有する混合プラスチック廃棄供給物を受け取る開口を有し、第1のクラッキングユニットが、混合プラスチック廃棄供給物を、混合プラスチック廃棄供給物中の複数のプラスチックポリマーを少なくとも部分的に解重合するのに十分な温度に加熱して、混合プラスチック廃棄供給物からの無機生成物を含有する溶融オリゴマー生成物ストリームを生成するための熱源をさらに含有する、第1のクラッキングユニットと、
第2の入口、第2の出口及び第3の出口を有する第2のクラッキングユニットであって、第2の入口が第1の出口に接続され、流体連通して、溶融オリゴマー生成物ストリームを受け取り、第2のクラッキングユニットが、溶融オリゴマー生成物ストリームを処理して、第1の炭化水素系ストリームと、無機生成物及び残留炭化水素を含有するスラリーストリームとを、生成するように構成された熱クラッキングユニットである、第2のクラッキングユニットと、
第3の入口及び第4の出口を有する第1の分離ユニットであって、第3の入口が、第2の出口に接続され、流体連通して、スラリーストリームを受け取り、第1の分離ユニットが、富無機生成物ストリームと、残留炭化水素を含有する第2の炭化水素系ストリームとを、生成するように構成されている、第1の分離ユニットと、
第4の入口、第5の出口及び第6の出口を有する蒸留ユニットであって、第4の入口が、第3の出口に接続され、流体連通して、第1の炭化水素系ストリームを受け取り、かつ第4の出口に接続され、流体連通して、第2の炭化水素系ストリームを受け取り、蒸留ユニットが、蒸留物ストリームと、残留炭化水素、金属及び残留無機生成物を含有する底部ストリームとを、生成するように構成されている、蒸留ユニットと、
第5の入口及び第7の出口を有する第2の分離ユニットであって、第5の入口が、第6の出口に接続され、流体連通して、底部ストリームを受け取り、第2の分離ユニットが、金属及び残留無機生成物を除去し、回収された炭化水素ストリームを生成するように構成されている、第2の分離ユニットと、
第6の入口及び第7の入口を有するミキサーであって、第6の入口が、第5の出口に接続され、流体連通して、回収された炭化水素ストリームを受け取り、第7の入口が、第7の出口に接続され、流体連通して、蒸留物ストリームを受け取り、ミキサーが、回収された炭化水素ストリーム及び蒸留物ストリームを合わせて、液体炭化水素生成物を生成するように構成されている、ミキサーと
を備える、システム。
〔19〕第1のクラッキングユニットが、押出機を備えたリアクター、オーガー、スクリュー、混練機、ディスクリングリアクター、キルン、撹拌タンクリアクター、管状リアクター、又はそれらの組合せである、前記〔18〕に記載のシステム。
〔20〕クラッキング触媒が、イソパラフィン含有量と比較して、より高いパラフィン含有量を有する第1の炭化水素系ストリームの生成に好都合である、前記〔18〕に記載のシステム。
【国際調査報告】