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特表2024-538116キメラ抗原受容体のシグナル伝達ドメイン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体のシグナル伝達ドメイン
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20241010BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241010BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20241010BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241010BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241010BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20241010BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241010BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20241010BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/705
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N5/10
A61K35/17
A61P35/02
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522398
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022078283
(87)【国際公開番号】W WO2023069936
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/256,956
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514266932
【氏名又は名称】カイト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kite Pharma, Inc
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイヴァー リカルド
(72)【発明者】
【氏名】フォン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ゲバラ クラウディア アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ムラカミ ジョディ
(72)【発明者】
【氏名】ナウイヘド ヘバ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ワイマン サラ ケー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及びCD3εシグナル伝達ドメイン、CD3γシグナル伝達ドメイン、CD3δシグナル伝達ドメイン、又はDAP12シグナル伝達ドメインのうちの1つを含むシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)が開示される。CARをコードする核酸及びそのような核酸を含む組換えベクターが開示される。このような核酸及び組換えベクターを含む宿主細胞、並びにこのような宿主細胞を含む医薬組成物が開示される。疾患の処置を必要とする患者において疾患を処置するか、又は対象において免疫応答を誘導するか、もしくは対象を癌に対して免疫する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)であって、
3つのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する抗CD19結合ドメインを含み、ここで
前記HCDR1は、配列番号2~4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、配列番号5~7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3は、配列番号8~10のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1は、配列番号12~14のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号15~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18~20のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むか、又は
前記HCDR1は、配列番号24~26のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、配列番号27~29のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3は、配列番号30~32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1は、配列番号34~36のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2は、配列番号37~39のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、配列番号40~42のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、
膜貫通ドメインと、
共刺激ドメインと、
CD3εシグナル伝達ドメイン、CD3γシグナル伝達ドメイン、CD3δシグナル伝達ドメイン、又はDAP12シグナル伝達ドメインのうちの1つを含むシグナル伝達ドメインと、を含む、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
前記HCDR1、前記HCDR2、及び前記HCDR3を含む重鎖可変ドメイン、並びに前記LCDR1、前記LCDR2、及び前記LCDR3を含む第1の軽鎖可変ドメインを含み、ここで:
前記重鎖可変ドメインが、配列番号1と少なくとも80%同一であり、かつ
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号11と少なくとも80%同一であるか、又は
前記重鎖可変ドメインが、配列番号24と少なくとも80%同一であり、かつ
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号33と少なくとも80%同一である、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項3】
前記HCDR1、前記HCDR2、前記HCDR3、前記LCDR1、前記LCDR2、及び前記LCDR3が単一のポリペプチドに含まれる、請求項1又は2のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項4】
前記抗CD19結合ドメインはscFvを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項5】
前記scFvが、配列番号21又は43のうちの1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の抗CD19 CAR。
【請求項6】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号52に記載のアミノ酸配列を備えるCD3εシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項7】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号57に記載のアミノ酸配列を備えるCD3γシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項8】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号55に記載のアミノ酸配列を備えるCD3δシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項9】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号59に記載のアミノ酸配列を備えるDAP12シグナル伝達ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項10】
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項11】
前記膜貫通ドメインが、CD28共刺激ドメインを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項12】
配列番号62、65、67、及び69のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抗CD19 CARをコードする、核酸。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸を含む、組換えベクター。
【請求項15】
請求項13に記載の核酸又は請求項14に記載の組換えベクターで形質導入した、宿主細胞。
【請求項16】
前記宿主細胞が、T細胞、iNKT細胞又はNK細胞を含む、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項17】
請求項16に記載のT細胞、iNKT細胞及び/又はNK細胞を含む、医薬組成物。
【請求項18】
疾患の処置を必要とする患者における疾患を処置する方法であって、請求項16に記載のT細胞、iNKT細胞及び/若しくはNK細胞又は請求項17に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項19】
対象において免疫応答を誘導するか又は対象を癌に対して免疫化する方法であって、請求項16に記載のT細胞、iNKT細胞及び/若しくはNK細胞を前記対象に、又は請求項17に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記癌が、急性リンパ芽球性前リンパ球性白血病(ALL)(非T細胞性ALLを含む)、急性骨髄白血病、B細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、芽細胞性形質細胞様樹状細胞腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄白血病、慢性又は急性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、毛様細胞白血病、ホジキン疾患、悪性リンパ増殖状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、多発性ミエローマ、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質細胞増殖障害(無症候ミエローマ(くすぶり型多発性ミエローマ又は無痛性ミエローマ)を含む)、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫、形質細胞腫(形質細胞障害、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫、及び多発性骨髄腫を含む)、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、高槻病、及びPEP症候群としても知られる)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、小細胞又は大細胞濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、全身アミロイド軽鎖アミロイドーシス、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、T細胞性リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、又はワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫(MCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(TFL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)、多発性骨髄腫、毛様細胞リンパ腫/白血病、又はそれらの組み合わせである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項22】
707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(α)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C-型レクチン様-1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、及びWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)からなる群から選択される抗原に特異的な結合ドメインを含む、請求項21に記載のCAR。
【請求項23】
バイシストロン性核酸構築物によってコードされる、請求項21に記載のCAR。
【請求項24】
CD19に特異的な結合ドメインを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項25】
前記CD3εシグナル伝達ドメインが、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項21に記載のCAR。
【請求項26】
前記CARが細胞において発現される場合、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインの代わりに野生型CD3εシグナル伝達ドメインを有する対応するCARよりも高い程度の前記細胞膜への輸送を示す、請求項21に記載のCAR。
【請求項27】
請求項21に記載のCARをコードするポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項27に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項29】
請求項28に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項30】
前記細胞は、T細胞、iNKT細胞、又はNK細胞からなる群から選択される、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
請求項29に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項32】
請求項29に記載の宿主細胞を投与することを含む、それを必要とする患者において疾患又は状態を治療する方法。
【請求項33】
請求項21に記載のCARの発現を提供することを含む、CAR T細胞を作製する方法。
【請求項34】
配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項35】
配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項34に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項36】
前記CD3εシグナル伝達ドメインがキメラ抗原受容体(CAR)に含まれる、請求項34に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項37】
前記CARが、707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(α)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C-型レクチン様-1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、及びWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)からなる群から選択される抗原に特異的な結合ドメインを含む、請求項36に記載のCAR。
【請求項38】
前記CARが、バイシストロン性核酸構築物によってコードされる、請求項36に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項39】
前記CARが、CD19に特異的な結合ドメインを含む、請求項36~38のいずれか一項に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項40】
前記CARが細胞において発現される場合、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインの代わりに野生型CD3εシグナル伝達ドメインを有する対応するCARよりも大きな程度の前記細胞膜への輸送を示す、請求項36に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項41】
請求項34に記載のCD3εシグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチド。
【請求項42】
請求項41に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項43】
請求項42に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項44】
前記細胞は、T細胞、iNKT細胞、又はNK細胞からなる群から選択される、請求項43に記載の宿主細胞。
【請求項45】
請求項43に記載の宿主細胞を投与することを含む、それを必要とする患者における疾患又は状態を治療する方法。
【請求項46】
請求項43に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項47】
CAR T細胞を作製する方法であって、請求項36に記載のCARの発現を提供することを含む、方法。
【請求項48】
CARの細胞膜への輸送を改善する方法であって、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを発現するように設計されている、方法。
【請求項49】
前記CD3εシグナル伝達ドメインが、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
CARの細胞膜への前記輸送を改善する方法であって、前記CARが、野生型CD3εシグナル伝達ドメインに対する1つ以上の突然変異、欠失又は挿入を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含むように設計される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年10月18日に出願され、「Chimeric Antigen Receptor(CAR)T Cell Therapy」と題された、米国特許仮出願第63/256,956号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、細胞療法の分野に関し、より具体的には、キメラ抗原受容体(CAR)細胞治療に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト癌は、本質的に、遺伝子変換又はエピジェネティクス変換を起こして、異常な癌細胞になった正常細胞から構成される。そうすることで、癌細胞は、正常細胞によって発現されるものとは異なるタンパク質及び他の抗原を発現し始める。これらの異常な腫瘍抗原は、癌細胞を特異的に標的化して死滅させるために身体の自然免疫系によって使用され得る。しかしながら、癌細胞は様々なメカニズムを用いて、T及びBリンパ球などの免疫細胞が正常に癌細胞を標的とするのを阻止する。
【0004】
現在のT細胞療法は、患者の癌細胞を標的とし、これを死滅させるように濃縮又は改変されたヒトT細胞に基づく。特定の癌細胞を標的とし、これを死滅させるT細胞の能力を増加させるために、T細胞を特定の標的癌細胞に指向する構築物を発現するようにT細胞を操作する方法が開発されてきた。特定の腫瘍抗原と相互作用することができる結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)により、T細胞は特定の腫瘍抗原を発現する癌細胞を標的化して死滅させる。
【0005】
自己又は同種異系環境において癌細胞を特異的に標的化し、死滅させるための抗原受容体改変T細胞を生成する改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
少なくとも1つの抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及びCD3εシグナル伝達ドメイン、CD3γシグナル伝達ドメイン、CD3δシグナル伝達ドメイン、又はDAP-12シグナル伝達ドメインのうちの1つを含むシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)が開示される。
【0007】
特定の実施形態では、CARは、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する抗CD19結合ドメインを含み、ここで、HCDR1は、配列番号2~4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号5~7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、HCDR3は、配列番号8~10のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR1は、配列番号12~14のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR2は、配列番号15~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、配列番号18~20のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0008】
特定の実施形態では、CARは、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する抗CD19結合ドメインを含み、ここで、HCDR1は、配列番号24~26のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、HCDR2は、配列番号27~29のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、HCDR3は、配列番号30~32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR1は、配列番号34~36のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR2は、配列番号37~39のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、配列番号40~42のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0009】
実施形態では、CARは、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変ドメイン、及びLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む第一軽鎖可変ドメインを含み、ここで:重鎖可変ドメインは配列番号1と少なくとも80%同一であり、軽鎖可変ドメインは配列番号11と少なくとも80%同一であるか、又は重鎖可変ドメインは配列番号24と少なくとも80%同一であり、軽鎖可変ドメインは配列番号33と少なくとも80%同一である。
【0010】
実施形態では、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3が単一のポリペプチドに含まれる。
【0011】
実施態様では、抗CD19結合ドメインはscFvを含む。実施形態では、scFvは、配列番号21~43のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0012】
実施形態では、シグナル伝達ドメインは、配列番号52、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含む。実施形態では、シグナル伝達ドメインは、配列番号57に記載のアミノ酸配列を含むCD3γシグナル伝達ドメインを含む。実施形態では、シグナル伝達ドメインは、配列番号55に記載のアミノ酸配列を含むCD3δシグナル伝達ドメインを含む。実施形態では、シグナル伝達ドメインは、配列番号59に記載のアミノ酸配列を含むDAP-12シグナル伝達ドメインを含む。
【0013】
実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインである。実施形態では、共刺激ドメインは、CD28共刺激ドメインを含む。
【0014】
実施形態では、抗CD19 CARは、配列番号62、65、67、69のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む。
【0015】
本明細書に開示されるCARをコードする核酸が開示される。そのような核酸を含む組換えベクターが開示される。核酸及び組換えベクターで形質導入された宿主細胞が開示される。実施形態では、宿主細胞は、T細胞、iNKT細胞又はNK細胞を含む。
【0016】
T細胞、iNKT細胞及び/又はNK細胞を含む、医薬組成物が開示される。疾患の治療を必要とする患者における疾患を治療する方法であって、T細胞、iNKT細胞及び/若しくはNK細胞又は医薬組成物を患者に投与することを含む、方法が開示される。対象において免疫応答を誘導するか、又は対象を癌に対して免疫する方法であって、T細胞、iNKT細胞及び/又はNK細胞又は医薬組成物患者を対象に投与することを含む方法が開示される。実施形態では、癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLが含まれる)、急性骨髄性白血病、B細胞性前リンパ球性白血病、B細胞性急性リンパ性白血病(「BALL」)、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病、慢性若しくは急性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、毛様細胞性白血病、ホジキン病、リンパ球増殖性悪性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、意義不明の単クローン性高γグロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質細胞増殖性疾患(例えば、無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫又は無症候性骨髄腫))、形質芽細胞性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、プラズマ細胞腫(例えば、形質細胞異常増殖症、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫、及び多発性骨髄腫)、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、高槻病、及びPEP症候群としても知られる)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、小細胞又は大細胞濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、全身アミロイド軽鎖アミロイドーシス、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、T細胞性リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、又はワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫(MCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(TFL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)、多発性骨髄腫、毛様細胞リンパ腫/白血病、又はそれらの組み合わせである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第二世代CD20 CD3ゼータ(CD20z)CARを有するバイシストロン性フォーマットの、CD3ゼータ、コドン最適化CD3イプシロン、コドン最適化イプシロン(Δ181-185)、コドン最適化イプシロン(R183K)、及びコドン最適化イプシロン(S178N.R183K)からなる群から選択されるシグナル伝達ドメインを有する抗CD19 CARの実施形態を示す。
【0018】
図2】コドン最適化イプシロン(Δ181-185)、コドン最適化イプシロン(R183K)、及びコドン最適化イプシロン(S178N.R183K)からなる群から選択されるシグナル伝達ドメインを有する抗CD19 CARの実施形態を示す。
【0019】
図3】ゼータ、ゼータ1xx、イプシロン、デルタ、ガンマ、Dap12、コドン最適化ゼータ、及びコドン最適化イプシロンからなる群から選択されるシグナル伝達ドメインを有する抗CD19 CARの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
用語
本開示をより容易に理解するために、特定の用語を以下で最初に定義する。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載されている。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、特に明記されるか、又は文脈から明らかでない限り、「又は」という用語は包括的であると理解され、「又は」及び「及び」の両方を包含する。
【0023】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で、「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB、A(単独)、並びにB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、次の態様、A、B、及びC、A、B、又はC、A又はC、A又はB、B又はC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、並びにC(単独)の各々を包含することを意図している。
【0024】
本明細書で使用される場合、「例えば」という用語は、単に例として使用され、限定を意図するものではなく、本明細書で明示的に列挙された項目のみを指すと解釈されるべきではない。
【0025】
「以上」、「少なくとも」、「超」などの用語、例えば、「少なくとも1つ」は、限定するものではないが、記載された値より少なくとも、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又はそれ以上を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0026】
逆に、「以下」という用語は、記載された値よりも小さい各値を含む。例えば、「100個以下のヌクレオチド」には、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、及び0個のヌクレオチドが含まれる。その間の任意のより少ない数又は分数も含まれる。
【0027】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つ以上」、「少なくとも第2」などの用語は、限定するものではないが、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又はそれ以上を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0028】
本明細書全体を通して、「含む(comprising)」という語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を除外することを意味しないと理解される。態様が「含む(comprising)」という文言で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている他の類似の態様もまた提示されていることが理解される。
【0029】
具体的に述べられているか、又は文脈から明らかである場合を除き、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値又は組成について許容可能な誤差範囲内にある値又は組成を指し、これは、その値又は組成がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定系の限界にある程度依存する。例えば、「約」又は「から本質的になる」は、当該技術分野の慣行によって1又は1超の標準偏差の範囲内であることを意味し得る。「約」又は「から本質的になる」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味し得る。したがって、「約」は、記載された値よりも、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、又は0.001%大きいか又は小さいと理解し得る。例えば、約5mgは、4.5mg~5.5mgの任意の量を含み得る。更に、特に生物学的な系又はプロセスに関して、この用語は、最大で1桁又は最大で5倍の値を意味し得る。本開示において特定の値又は組成が提示される場合、特に明記しない限り、「約」又は「から本質的になる」の意味は、その特定の値又は組成について許容可能な誤差範囲内にあると想定する必要がある。
【0030】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ(百分率)範囲、比の範囲、又は整数の範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適宜その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0031】
本明細書で使用される単位、接頭辞及び記号は、Systeme International de Unites(SI)で受け入れられている形式を使用して提示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
【0032】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Juo,「The Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology」,2nd ed.,(2001),CRC Press、「The Dictionary of Cell & Molecular Biology」,5th ed.,(2013),Academic Press、及び「The Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology」,Cammack et al.eds.,2nd ed,(2006),Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くについて一般的な辞書を当業者に提供している。
【0033】
「投与すること」は、当業者に既知の様々な方法及び送達システムのいずれかを使用した、対象への、本明細書で開示される操作されたT細胞などの薬剤の物理的導入を指す。本明細書中に開示される製剤のための例示的な投与経路としては、例えば、注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。「非経口投与」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、並びにインビボエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、製剤は、非経口でない経路を介して、例えば、経口的に投与される。他の非経口でない経路としては、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、又は局所が挙げられる。投与はまた、例えば、1回、複数回、及び/又は1回以上の長期間にわたって行われ得る。
【0034】
「活性化された」及び「活性化」という用語は、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞の状態を指す。一実施形態では、活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生、及び検出可能なエフェクター機能に関連し得る。「活性化T細胞」という用語は、とりわけ、増殖しているT細胞を指す。TCRのみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分である可能性があり、1つ以上の二次又は共刺激シグナルも必要とされ得る。したがって、T細胞活性化は、TCR/CD3複合体を介した一次刺激シグナル及び1つ以上の二次共刺激シグナルを含む。共刺激は、TCR/CD3複合体を介した刺激などの一次活性化シグナルを受けたT細胞による増殖及び/又はサイトカイン産生によって証明され得る。
【0035】
「薬剤」という用語は、任意のクラスの分子若しくは実体、又は複数の分子若しくは実体を指すことができ、そのいずれも、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、細胞(T細胞又はかかる細胞の前駆体など)、若しくは生物(例えば、その画分若しくは抽出物)又はその成分であり得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、単離された形態又は純粋な形態で利用され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、粗形態又は不純形態で利用され得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、例えば、その中に存在するメンバーを同定又は特徴付けるためにスクリーニングされ得る集団、集合又はライブラリとして提供され得る。
【0036】
「同種異系」という用語は、1つの個体に由来し、次いで同じ種の別の個体に導入される任意の材料、例えば、同種異系T細胞移植を指す。
【0037】
「自己」という用語は、後に再導入される同じ個体に由来する任意の材料を指す。例えば、本明細書に記載の操作された自己細胞療法(engineered autologous cell therapy)の方法は、患者からのリンパ球の採取を含み、次いで、それは、例えばCAR構築物を発現するように操作され、次いで、同じ患者に投与される。
【0038】
「抗体」(antibody、Ab)という用語は、抗原に特異的に結合する糖タンパク質免疫グロブリンを含むが、これに限定されない。概して、及び抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(heavy、H)鎖及び2本の軽(light、L)鎖、又はその抗原結合分子を含み得る。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインCLを含む。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられている、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼ばれる超可変領域に更に細分することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。Abの定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。一般に、ヒト抗体は、通例「Y字形状」構造と称されるものに互いに会合する2つの同一の重(H)鎖ポリペプチド(各々約50kD)と、2つの同一の軽(L)鎖ポリペプチド(各々約25kD)で構成される、約150kDの四量体剤である。重鎖及び軽鎖は、単一のジスルフィド結合によって互いに連結又は接続され、他の2つのジスルフィド結合が重鎖ヒンジ領域を互いに接続し、その結果、二量体が互いに接続されて、四量体が形成される。天然に産生された抗体も、例えばこのCH2ドメイン上で、グリコシル化される。
【0039】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列、又はそれとは区別できない配列から生成、組み立て、又は誘導された可変及び定常ドメイン配列を有する抗体を含むことを意図している。いくつかの実施形態では、抗体(又は抗体成分)は、それらのアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされていない残基又は要素(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発によって導入された又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含むとしても、「ヒト」であるとみなされ得る。「ヒト化」という用語は、非ヒト種の可変ドメイン(例えば、マウス)に由来する配列を有する可変ドメインを有し、ヒト生殖細胞系コード化配列とより類似するように改変されている抗体を含むことが意図される。いくつかの実施形態では、「ヒト化」抗体は、実質的にヒトフレームワークドメインのアミノ酸配列を有する1つ以上のフレームワークドメインと、実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を有する1つ以上の相補性決定領域とを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、概してヒト免疫グロブリン定常ドメインのものを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト重鎖定常ドメインのC1、ヒンジ、C2、C3、及び任意選択的に、C4領域を含み得る。
【0040】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、組換え産生された抗体、単一特異的抗体、多重特異的抗体(二重特異的抗体を含む)、ヒト抗体、操作された抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子とを含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、イントラボディ、抗体融合物(本明細書では「抗体結合」と称されることもある)、ヘテロ結合抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体又は一本鎖Fv(single-chain Fv、scFv)、ラクダ化(camelized)抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では「抗体ミメティック」と称されることもある)、及び上記のいずれかの抗原結合断片を挙げることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。抗体はまた、例えば、Fab’断片、Fd’断片、Fd断片、単離されたCDR、一本鎖Fv、ポリペプチド-Fc融合体、単一ドメイン抗体(例えば、IgNAR又はその断片などのサメ単一ドメイン抗体)、ラクダ科動物抗体、単鎖若しくはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、Anticalins(登録商標)、Nanobodies(登録商標)ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリン反復タンパク質又はDARPINs(登録商標)、Avimers(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectins(登録商標)、Affilins(登録商標)、Trans-bodies(登録商標)、Affibodies(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProteins、Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標)、及びKALBITOR(登録商標)を含み得る。
【0041】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、IgE、及びIgMを含むがこれらに限定されない、一般的に既知のアイソタイプのうちのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスはまた、当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むが、これらに限定されない。「アイソタイプ」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされるAbクラス又はサブクラスを指す(例えば、IgM又はIgG1)。「抗体」という用語は、例として、天然に存在する抗体及び天然に存在しない抗体の両方、モノクローナル及びポリクローナル抗体、キメラ及びヒト化抗体、ヒト又は非ヒト抗体、全合成抗体、並びに単鎖抗体を含む。非ヒト抗体は、ヒトにおけるその免疫原性を低減させる組換え法によってヒト化され得る。明示的に述べられていない場合、又文脈が別段の指示をしない限り、「抗体」という用語は、前述の免疫グロブリンのうちのいずれかの抗原結合断片又は抗原結合部分を含み、一価及び二価の断片又は部分、並びに単鎖抗体も含む。
【0042】
「抗原結合分子」、「抗原結合部分」、「抗原結合断片」又は「抗体断片」又は「抗原結合ドメイン」は、分子が由来する抗体の抗原結合部分(例えば、CDR)を含む任意の分子を指す。抗原結合分子は、抗原相補性決定領域(CDR)を含み得る。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、dAb、線状抗体、scFv抗体、及び抗原結合分子から形成された多重特異的抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチボディ(すなわち、ペプチド結合ドメインを含むFc融合分子)は、好適な抗原結合分子の別の例である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、腫瘍細胞上の抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原又はウイルス抗原若しくは細菌抗原に結合する。特定の実施形態では、抗原結合分子は、キメラ抗原受容体(CAR)である。特定の実施形態では、抗原結合分子又はドメインは、CD19に結合する。特定の実施形態では、抗原結合分子又はドメインは、抗原に特異的に結合する抗体断片であり、その相補性決定領域(CDR)のうちの1つ以上を含む。更なる実施形態では、抗原結合分子は、一本鎖可変断片(single chain variable fragment、scFv)である。
【0043】
いくつかの例では、CDRは、参照抗体(例えば、本開示の抗体)及び/又は本開示で提供されるCDRの配列に見られるものと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと比較して、配列が同一であるか、又は1、2、3、4もしくは5個(例えば、1~5)のアミノ酸置換を含むかのいずれかで、参照CDR(例えば、本開示において、例えば表4に提供されるCDR)と実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を示すという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと少なくとも96%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を示すという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと比較して、CDR内の1個のアミノ酸が欠失、付加、又は置換されているが、同時にCDRが、それ以外は参照CDRのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、CDRは、参照CDRと比較して、CDR内の2、3、4、又は5(例えば、2~5)個のアミノ酸が、欠失、付加、又は置換されているが、同時にCDRが、それ以外は参照CDRのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。様々な実施形態では、抗原結合断片は、参照抗体と同じ抗原に結合する。様々な実施形態では、抗原結合断片は、参照抗体と交差競合し、例えば、参照抗体と実質的に同じ又は同一のエピトープに結合する。
【0044】
抗原結合断片は、任意の手段によって産生され得る。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、無傷の抗体の断片化によって酵素的又は化学的に産生され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、組換えにより産生され得る(操作された核酸配列の発現によってなど)。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、全体的又は部分的に合成により産生され得る。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190アミノ酸以上の長さを有してもよく、いくつかの実施形態では、少なくとも約200アミノ酸(例えば、50~100、50~150、50~200、又は100~200アミノ酸)の長さを有してもよい。
【0045】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、互換的に使用される。可変領域は、典型的には、抗体の一部、概して、軽鎖又は重鎖の一部、典型的には成熟重鎖のアミノ末端110~120アミノ酸及び成熟軽鎖の約90~115アミノ酸を指し、これらは抗体間で配列が大きく異なり、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性に使用される。配列の変動性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中し、可変ドメイン内のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。いかなる特定の機構又は理論にも束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、抗原との抗体の相互作用及び特異性を主に担うと考えられている。特定の実施形態では、可変領域は、ヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類又はマウスCDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。実施形態では、可変領域は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は、げっ歯類又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0046】
「VL」及び「VLドメイン」という用語は、抗体又はその抗原結合分子の軽鎖可変領域を指すために互換的に使用される。
【0047】
「VH」及び「VHドメイン」という用語は、抗体又はその抗原結合分子の重鎖可変領域を指すために互換的に使用される。
【0048】
CDRの多くの定義が、一般に、使用されている:Kabat番号付け、Chothia番号付け、AbM番号付け、又は接触番号付け。AbM定義は、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される2つの間の折衷案である。接触定義は、利用可能な複合結晶構造の分析に基づく。
【0049】
「Kabat番号付け」などの用語は、当該技術分野で認識されており、抗体又はその抗原結合分子の重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸残基に番号付けするシステムを指す。特定の態様では、抗体のCDRは、Kabat番号付けシステムに従って決定できる(例えば、Kabat EA & Wu TT(1971)Ann NY Acad Sci 190:382-391及びKabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242を参照されたい)。Kabat番号付けシステムを使用すると、抗体重鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置31~35(任意選択的に35に続いて1つ又は2つの追加のアミノ酸を含むことができる(Kabat番号付けスキームでは、35A及び35Bと称される))(CDR1)、アミノ酸位置50~65(CDR2)、及びアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Kabat番号付けシステムを使用すると、抗体軽鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のCDRは、Kabat番号付けスキームに従って決定されている。
【0050】
特定の態様では、抗体のCDRは、免疫グロブリン構造ループの位置を指すChothia番号付けスキームに従って決定することができる(例えば、Chothia C & Lesk AM,(1987),J Mol Biol 196:901-917、Al-Lazikani B et al.,(1997)J Mol Biol 273:927-948、Chothia C et al.,(1992)J Mol Biol 227:799-817、Tramontano A et al.,(1990)J Mol Biol 215(1):175-82、及び米国特許第7,709,226号を参照されたい)。典型的には、Kabat番号付け規則を使用する場合、Chothia CDR-H1ループは重鎖アミノ酸26~32、33、又は34に存在し、Chothia CDR-H2ループは重鎖アミノ酸52~56に存在し、Chothia CDR-H3ループは重鎖アミノ酸95~102に存在し、一方、Chothia CDR-L1ループは軽鎖アミノ酸24~34に存在し、Chothia CDR-L2ループは軽鎖アミノ酸50~56に存在し、Chothia CDR-L3ループは軽鎖アミノ酸89~97に存在する。Kabat番号付け規則を使用して番号付けされた場合の、Chothia CDR-HIループの終了は、ループの長さに応じてH32とH34との間で変化する(これは、Kabat番号付けスキームがH35A及びH35Bに挿入を配置するためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終了し、35Aのみが存在する場合、ループは33で終了し、35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終了する)。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体のCDRは、Chothia番号付けスキームに従って決定されている。
【0051】
「定常領域」及び「定常ドメイン」という用語は交換可能であり、当該技術分野で一般的な意味を有する。定常領域は、抗体部分であり、例えば、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などの様々なエフェクター機能を示すことができる、軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、概して、免疫グロブリン可変ドメインと比較してより保存されたアミノ酸配列を有する。
【0052】
抗体に関して使用される場合、「重鎖」という用語は、任意の異なるタイプ、例えば、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指してもよく、これらのタイプは、IgGのサブクラス、例えば、IgG、IgG、IgG及びIgGを含む、抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMクラスをそれぞれ生成する。
【0053】
抗体に関して使用される場合、「軽鎖」という用語は、任意の異なるタイプ、例えば、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)又はラムダ(λ)を指してもよい。軽鎖アミノ酸配列は、当該技術分野で周知である。特定の実施形態では、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0054】
「抗原」は、ヒト又は動物に注射又は吸収される組成物(腫瘍特異的タンパク質を含むものなど)を含む、ヒト又は動物における抗体の産生又はT細胞応答を刺激し得る化合物、組成物、又は物質を指す。抗原は、開示された抗原などの異種抗原によって誘発されるものを含む、特定の体液性又は細胞性免疫の産物と反応する。「標的抗原」又は「目的の標的抗原」は、他の正常な(所望の)細胞の表面に実質的に見られず、本明細書で企図されるCARの結合ドメインが結合するように設計されている抗原である。当業者は、事実上、全てのタンパク質又はペプチドを含む任意の巨大分子が抗原として機能し得ることを容易に理解するであろう。抗原は、内因的に発現、すなわちゲノムDNAによって発現されても、又は組換えによって発現されてもよい。抗原は、癌細胞などの特定の組織に特異的であることも、又は広く発現されることもできる。更に、より大きな分子の断片が抗原として作用し得る。一実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。特定の一実施形態では、抗原は、CD19の全て又は断片である。特定の実施形態では、抗原は、以下に限定されないが、707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(α(a)-フェトタンパク質)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C型レクチン様1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、又はWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)を含み得る。
【0055】
「標的」は、結合ドメイン、抗原結合系、CAR又は抗原結合剤、例えば、抗体によって結合された任意の分子である。
【0056】
「抗原特異的標的化領域」(Antigen-specific targeting region、ASTR)は、特異的抗原を標的とするCARの領域を指す。CAR上の標的化領域は、細胞外である。いくつかの実施形態では、抗原特異的標的化領域は、抗体又はその機能的等価物又はその断片又はその誘導体を含み、標的化領域の各々は、異なる抗原を標的とする。標的化領域は、全長重鎖、Fab断片、単鎖Fv(scFv)断片、二価単鎖抗体又はダイアボディを含み得、これらの各々は、標的抗原に特異的である。しかしながら、連結されたサイトカイン(サイトカイン受容体を有する細胞の認識をもたらす)、アフィボディ、天然に存在する受容体由来のリガンド結合ドメイン、受容体(例えば、腫瘍細胞上の)に対する可溶性タンパク質/ペプチドリガンド、ペプチド、及び免疫応答を促すワクチンなどの多数の代替物が存在し、これらは各々、本開示の様々な実施形態において使用され得る。実際、当業者に理解されるように、所定の抗原に高い親和性で結合するほとんどの任意の分子は、抗原特異的標的化領域として使用され得る。
【0057】
「抗原提示細胞」又は「APC」は、T細胞に対して、抗原を処理し、提示する細胞を指す。例示的なAPCは、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、特定の活性化上皮細胞、並びにTCR刺激及び適切なT細胞共刺激が可能な他の細胞型を含む。
【0058】
「抗腫瘍効果」は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、転移の数の減少、全生存期間又は無増悪生存期間の増加、平均余命の延長、又は腫瘍に関連する様々な生理学的症状の改善として提示され得る生物学的効果を指す。抗腫瘍効果はまた、腫瘍の発生の予防を指し得る。
【0059】
2つの事象又は実体は、一方の存在、レベル、及び/又は形態が他方の存在、レベル、及び/又は形態と相関する場合、互いに「会合」している。例えば、実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物など)は、その存在、レベル、及び/又は形態が、疾患、障害、又は状態の発生率及び/又は感受性と(例えば、関連集団にわたって)相関する場合に、疾患、障害、又は状態と関連していると考えられる。例えば、2つ以上の実体は、それらが直接又は間接的に相互作用する場合、それらが互いに物理的に(例えば結合するなど)近接し、かつ/又は物理的に近接したままとなるように、互いに物理的に「会合」している。更なる例では、互いに物理的に会合している2つ以上の実体は、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、及びそれらの組み合わせによって、互いに共有結合的に連結若しくは接続されているか、又は非共有結合的に会合している。
【0060】
「結合親和性」とは、概して、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別段に指定しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのパートナーYに対する親和性は、概して、解離定数(K)によって表され得る。親和性は、平衡解離定数(K)及び平衡会合定数(K)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の多くの方法で測定及び/又は表現され得る。Kは、koff/konの商から計算され、一方、Kは、kon/koffの商から計算される。konは、例えば、抗原に対する抗体の会合速度定数を指し、koffは、例えば、抗原に対する抗体の解離を指す。kon及びkoffは、BIACORE(登録商標)又はKinExAなどの当業者に既知の技術によって決定することができる。
【0061】
「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数、又は抗原に結合する抗体若しくは抗体結合断片の解離平衡定数を指す。Kと結合親和性との間には反比例の関係があり、したがって、K値が小さいほど、親和性が高い、すなわち強い。したがって、「より高い親和性」又は「より強い親和性」という用語は、相互作用を形成するより高い能力、したがってより小さいK値に関し、逆に、「より低い親和性」又は「より弱い親和性」という用語は、相互作用を形成するより低い能力、したがってより大きいK値に関する。いくつかの状況では、別の相互作用パートナー分子(例えば、抗原Y)に対する分子(例えば、抗体)の結合親和性と比較して、その相互作用パートナー分子(例えば、抗原X)に対する特定の分子(例えば、抗体)のより高い結合親和性(又はK)は、より大きいK(より低い、又はより弱い親和性)をより小さいK(より高い、又はより強い親和性)で割ることによって決定される結合比として表され得、例えば、場合によっては、5倍又は10倍大きい結合親和性として表され得る。
【0062】
「k」(秒-1又は1/s)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数、又は抗体若しくは抗体結合断片の解離速度定数を指す。当該値は、k0ir値とも称される。
【0063】
「k」(M-1×秒-1又は1/M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数、又は抗体若しくは抗体結合断片の会合速度定数を指す。
【0064】
「K」(M-1又は1/M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合平衡定数、又は抗体若しくは抗体結合断片の会合平衡定数を指す。会合平衡定数は、kをkで割ることによって得られる。
【0065】
「結合」という用語は、一般に、2つ以上の実体間の非共有結合性会合を指す。直接結合は、実体又は部分間の物理的接触を伴う。「間接的な」結合は、1つ以上の中間実体との物理的接触による物理的相互作用を含む。2つ以上の実体間の結合は、例えば、相互作用する実体若しくは部分が単独で、又は(例えば、共有結合若しくは他の様式で担体実体と、及び/若しくは細胞のような生物学的系内で会合している間などの)より複雑な系において研究される場合などの様々な状況のいずれかにおいて評価され得る。
【0066】
「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、「特異的に結合する」及び「特異的に認識する」という用語は、抗体の文脈において類似の用語であり、そのような結合が当業者によって理解されているように、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子を指す。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、他のペプチド又はポリペプチドに、例えば免疫アッセイ、BIACORE(登録商標)、KinExA 3000機器(Sapidyne Instruments、Boise,ID)、又は当該技術分野で既知の他のアッセイによって決定されるように、一般的により低い親和性で結合し得る。特定の実施形態では、ある抗原に特異的に結合する分子は、分子が別の抗原に結合するときのKよりも少なくとも2log、2.5log、3log、4log、又はそれより大きいKでその抗原に結合する。結合は、結合ドメイン、抗体、又はCARと標的ではない実体(すなわち、非標的)との会合と比較して、結合ドメイン、抗体、又はCARと、結合ドメイン、抗体、又はCARの標的との優先的な会合を含み得る。いくつかの実施形態では、結合ドメイン、抗体、又はCARと標的との結合が、結合ドメイン、抗体、又はCARと非標的との結合と比較して、2倍超、5倍超、10倍超、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、又は100倍超である場合、結合ドメイン、抗体、又はCARは、標的に選択的に結合する。いくつかの実施形態では、結合ドメイン、抗体、又はCARは、結合親和性が約10-5M未満、約10-6M未満、約10-7M未満、約10-8M未満、又は約10-9M未満である場合、標的に選択的に結合する。
【0067】
別の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、約1×10-7Mの解離定数(K)で結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、Kが約1×10-9M~約5×10-9Mである場合、「高親和性」で抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、Kが1×10-10M~約5×10-10Mである場合、「非常に高親和性」で抗原に特異的に結合する。一実施形態では、抗原結合分子は10-9MのKを有する。一実施形態では、解離速度は約1×10-5未満である。実施形態では、抗原結合分子は、約1×10-10M~約5×10-10MのKでCD19に結合する。
【0068】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、標的ヒト抗原に結合する抗体又はその抗原結合分子であり、例えば、特定の実施形態では、抗原結合分子は、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、又は速度論的排除アッセイによって測定された場合、別の種の標的抗原に対してよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又はそれよりも高い親和性で、CD19に結合する。特定の実施形態では、標的ヒト抗原に結合する、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合分子は、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、又は速度論的排除アッセイによって測定された場合、抗体又はその抗原結合分子のヒト抗原への結合の10%、15%、又は20%未満で、別の種の標的抗原に結合する。
【0069】
「癌」は、体内の異常細胞のコントロール不能な増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。調節されない細胞分裂及び増殖は、隣接組織に侵入し、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分に転移することもある悪性腫瘍の形成をもたらす。「癌」又は「癌組織」は、腫瘍を含み得る。本開示の方法によって治療され得る癌の例としては、リンパ腫、白血病、骨髄腫及び他の白血球悪性腫瘍を含む免疫系の癌が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、例えば、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚又は眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(primary mediastinal large B cell lymphoma、PMBC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma、DLBCL)、濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma、FL)、形質転換型濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫(splenic marginal zone lymphoma、SMZL)、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部肉腫、尿道癌、陰茎癌、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系(central nervous system、CNS)の新生物、中枢神経系原発リンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されたものを含む環境的に誘発された癌、他のB細胞悪性腫瘍、及び上記の癌の組み合わせに由来する腫瘍の腫瘍サイズを縮小するために使用され得る。1つの特定の実施形態では、癌は、多発性骨髄腫である。特定の癌は、化学療法又は放射線療法に反応性であり得、又は特定の癌は難治性であり得る。難治性癌は、外科的介入に適していない癌を指し、難治性癌は、最初から化学療法又は放射線療法に応答しないか、又は癌が時間の経過と共に非応答になるかのいずれかである。癌は更に、他に特定されないびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL)、2選択以上の全身療法後の縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、及び濾胞性リンパ腫から生じるDLBCL、及び濾胞性リンパ腫を含む、2選択以上の全身療法後の再発性又は難治性を含む。
【0070】
「ケモカイン」は、細胞の走化性又は方向性運動を媒介するサイトカインの一種である。ケモカインの例としては、IL-8、IL-16、エオタキシン、エオタキシン-3、マクロファージ由来ケモカイン(macrophage-derived chemokine、MDC又はCCL22)、単球走化性タンパク質1(monocyte chemotactic protein 1、MCP-1又はCCL2)、MCP-4、マクロファージ炎症性タンパク質1α(macrophage inflammatory protein 1α、MIP-1α、MIP-1a)、MIP-1β(MIP-1b)、ガンマ誘発性タンパク質10(IP-10)、並びに胸腺及び活性化制御ケモカイン(thymus and activation regulated chemokine、TARC又はCCL17)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
「キメラ抗原受容体」又は「CAR」は、抗原結合時に結合ドメイン及び免疫細胞(例えば、ナイーブT細胞、中央メモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、iNKT細胞、NK細胞又はそれらの組み合わせなどのT細胞)を活性化する手段を含むように操作された分子を指す。CARは、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体、又はキメラ免疫受容体としても既知である。いくつかの実施形態では、CARは、結合ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、1つ以上の共刺激ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。キメラ抗原受容体を発現するように遺伝子操作されたT細胞は、CAR T細胞と称され得る。
【0072】
「細胞外ドメイン」(又は「ECD」)は、ポリペプチドが細胞膜に存在する場合、細胞膜の外側、細胞外空間に存在すると理解されるポリペプチドの一部を指す。
【0073】
「細胞外リガンド結合ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、リガンド、例えば、細胞表面分子に結合することができるオリゴ又はポリペプチドを指す。例えば、細胞外リガンド結合ドメインは、特定の疾患状態(例えば、癌)に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドを認識するように選択され得る。リガンドとして作用し得る細胞表面マーカーの例としては、ウイルス、細菌及び寄生虫感染、自己免疫疾患並びに癌細胞に関連するものが挙げられる。
【0074】
CARの結合ドメインの後に、「スペーサー」又は「ヒンジ」が続く場合があり、これは、抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離れるように移動させて、適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする領域を指す(Patel et al.,Gene Therapy,1999、6:412-419)。CARにおけるヒンジ領域は、概して、膜貫通(transmembrane、TM)ドメインと結合ドメインとの間にある。特定の実施形態では、ヒンジ領域は、免疫グロブリンヒンジ領域であり、野生型免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された野生型免疫グロブリンヒンジ領域であり得る。本明細書に記載のCARにおいて使用される他の例示的なヒンジ領域は、CD8アルファ、CD4、CD28、及びCD7などの1型の膜タンパク質の細胞外領域に由来するヒンジ領域を含み、これらは、これらの分子の野生型ヒンジ領域であり得るか、又は変更され得る。
【0075】
「膜貫通」領域又はドメインは、細胞外結合部分を免疫エフェクター細胞の原形質膜に固定し、結合ドメインの標的抗原への結合を促進するCARの部分である。膜貫通ドメインは、CD3ゼータ膜貫通ドメインであり得るが、しかしながら、用いられ得る他の膜貫通ドメインとしては、CD8アルファ、CD4、CD28、CD45、CD9、CD16、CD22、CD33、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、及びCD154から得られるものが含まれる。一実施形態では、膜貫通ドメインは、CD137の膜貫通ドメインである。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、合成であり、その場合、それはロイシン及びバリンなどの疎水性残基を主に含む。
【0076】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」又は「シグナル伝達ドメイン」は、標的抗原に結合する効果的なCARのメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に伝達して、CAR結合標的細胞への細胞毒性因子の放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合で誘発された他の細胞応答を含む、エフェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖、及び細胞毒性活性を誘発することに関与する、キメラ抗原受容体タンパク質の一部を指す。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含む援助若しくは活性であり得る。したがって、本明細書で互換的に使用される「細胞内シグナル伝達ドメイン」又は「シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞を特殊な機能を果たすように指向するタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体が用いられ得るが、多くの場合、ドメイン全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用される限りにおいて、そのような切断部分は、エフェクター機能シグナルを変換する限り、ドメイン全体の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断部分を含むことを意味する。細胞内シグナル伝達ドメインは、「シグナル形質導入ドメイン」としても既知であり、典型的には、ヒトCD3又はFcRy鎖の部分に由来する。
【0077】
T細胞受容体のみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次又は共刺激シグナルも必要とされることが既知である。したがって、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列:T細胞受容体を介して抗原依存的一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達配列)及び抗原非依存的な様式で作用して二次又は共刺激シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると言うことができる。一次活性化様式で作用する細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ又はITAMとして既知であるシグナル伝達モチーフを含有し得る。本開示において特に有用であるITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例としては、DAP-12、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロンに由来するものが挙げられる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル伝達ドメイン」又は「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの部分を指す。共刺激分子は、抗原への結合時にTリンパ球の効率的な活性化及び機能に必要とされる第2のシグナルを提供する、抗原受容体又はFc受容体以外の細胞表面分子である。かかる共刺激分子の例としては、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-1、ICOS(CD278)、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、NKD2C、B7-H2及びCD83に特異的に結合するリガンドが挙げられる。したがって、本開示は、CD28及び4-1BBに由来する例示的な共刺激ドメインを提供するが、他の共刺激ドメインは、本明細書に記載のCARとの使用のために企図される。1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインの包含は、CAR受容体を発現するT細胞の有効性及び増殖を増強し得る。細胞内シグナル伝達及び共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのカルボキシル末端にタンデムで任意の順序で連結され得る。
【0079】
CD3又はFcRガンマ由来のシグナル伝達ドメインを含有するように操作されたscFvベースのCARは、T細胞活性化及びエフェクター機能のための強力なシグナルを送達することが示されているが、それらは、付随する共刺激シグナルの非存在下でT細胞生存及び増殖を促進するシグナルを誘発するのに十分ではない。1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、4-1BB、CD28、CD137、CD134及びCD278に由来する細胞内共刺激ドメイン)と一緒に、結合ドメイン、ヒンジ、膜貫通及びシグナル伝達ドメインを含有する他のCARは、インビトロでCAR発現T細胞において、並びに動物モデル及び癌患者において、抗腫瘍活性並びに増加したサイトカイン分泌、溶解活性、生存及び増殖をより効果的に指向し得る(Milone et al.,Molecular Therapy,2009、17:1453-1464、Zhong et al.,Molecular Therapy,2010、18:413-420、Carpenito et al.,PNAS,2009、106:3360-3365)。
【0080】
「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、限定するものではないが、重要な分子の増殖及び/又はアップレギュレーション又はダウンレギュレーションなどのT細胞応答をもたらすシグナルを指す。
【0081】
「共刺激リガンド」は、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合する抗原提示細胞上の分子を含む。共刺激リガンドの結合は、限定するものではないが、増殖、活性化、分化などのT細胞応答を媒介するシグナルを提供する。共刺激リガンドは、刺激分子によって提供される一次シグナルに加えて、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体と、ペプチドを負荷した主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex、MHC)分子との結合によって、シグナルを誘導する。共刺激リガンドとしては、限定するものではないが、3/TR6、4-1BBリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニスト又は抗体、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD30リガンド、CD40、CD7、CD70、CD83、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(herpes virus entry mediator、HVEM)、ヒト白血球抗原G(human leukocyte antigen G、HLA-G)、ILT4、免疫グロブリン様転写物(immunoglobulin-like transcript、ILT)3、誘導性共刺激リガンド(inducible costimulatory ligand、ICOS-L)、細胞間接着分子(intercellular adhesion molecule、ICAM)、B7-H3と特異的に結合するリガンド、リンホトキシンベータ受容体、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MHC class I chain-related protein A、MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MHC class I chain-related protein B、MICB)、OX40リガンド、PD-L2、又はプログラム死(programmed death、PD)L1を挙げることができる。共刺激リガンドとしては、限定するものではないが、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体、例えば、限定するものではないが、4-1BB、B7-H3、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD7、ICOS、CD83と特異的に結合するリガンド、リンパ球機能関連抗原1(lymphocyte function-associated antigen-1、LFA-1)、ナチュラルキラー細胞受容体C(NKG2C)、OX40、PD-1、又は腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(tumor necrosis factor superfamily member 14、TNFSF14又はLIGHT)が挙げられる。
【0082】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってT細胞による共刺激応答、例えば、限定するものではないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーである。共刺激分子には、それだけに限らないが、「共刺激分子」が、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってT細胞による共刺激応答、例えば限定するものではないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーであることが含まれる。共刺激分子としては、4-1BB/CD137、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD 33、CD 45、CD100(SEMA4D)、CD103、CD134、CD137、CD154、CD16、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD22、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3(アルファ、ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、ゼータ)、CD30、CD37、CD4、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD5、CD64、CD69、CD7、CD80、CD83リガンド、CD84、CD86、CD8アルファ、CD8ベータ、CD9、CD96(Tactile)、CDl-la、CDl-lb、CDl-lc、CDl-ld、CDS、CEACAM1、CRT AM、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICAM-1、ICOS、Igアルファ(CD79a)、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、インテグリン、ITGA4、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、LFA-1、LFA-1、LIGHT、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14、TNFSF14)、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CDl la/CD18)、MHCクラスI分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX40、PAG/Cbp、PD-1、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、SLAMF4(CD244、2B4)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAMF7、SLP-76、TNF、TNFr、TNFR2、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらの断片、切断型、若しくは組み合わせが挙げられる。
【0083】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。特定の実施形態では、CDR内又はその抗体又はその抗原結合分子のフレームワーク領域内の1つ以上のアミノ酸残基は、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えることができる。一般に、2つの配列は、対応する位置に保存的アミノ酸置換を含有する場合、概して「実質的に同様」とみなされる。例えば、特定のアミノ酸は、概して、「疎水性」又は「親水性」アミノ酸として、及び/又は「極性」又は「非極性」側鎖を有するものとして分類される。同じ種類の別のアミノ酸の置換は、保存的置換とみなされ得る。例示的なアミノ酸分類を以下の表2及び表3に要約する。
【0084】
「併用療法」は、対象が2つ以上の治療レジメン(例えば、2つ以上の治療部分)に同時に曝露されるそれらの状況を指す。いくつかの実施形態では、2つ以上のレジメンは、同時に投与されてもよく、いくつかの実施形態では、そのようなレジメンは、連続して投与され得(例えば、第1のレジメンの全ての「用量」は、第2のレジメンの任意の用量の投与前に投与される)、いくつかの実施形態では、そのような薬剤は、重複する投与レジメンで投与される。いくつかの実施形態では、併用療法の「投与」は、組み合わせにおいて他の薬剤又はモダリティの投与を受ける対象への1つ以上の薬剤又はモダリティの投与を含み得る。明確にするために、併用療法は、個々の薬剤が単一の組成物で一緒に(又は必然的に同時に)投与されることを必要としないが、いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤又はその活性部分が、組み合わせ組成物で、又は組み合わせ化合物(例えば、単一の化学錯体又は共有結合実体の一部として)でさえ一緒に投与され得る。
【0085】
「に対応する」は、適切な参照分子又は組成物との比較を通して、分子又は組成物中の構造要素の位置/同一性を示すために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー中のモノマー残基(例えば、ポリペプチド中のアミノ酸残基又はポリヌクレオチド中の核酸残基)が、適切な参照ポリマー中の残基「に対応する」ものとして同定され得る。例えば、単純化の目的のために、ポリペプチド中の残基が、参照関連ポリペプチドに基づく標準的な番号付けシステムを使用して指定されてもよく、その結果、例えば、100位の残基「に対応する」アミノ酸は、それが参照ポリペプチド中の100位に見出される残基に対応する限り、実際にはアミノ酸鎖中の100番目のアミノ酸である必要はない。例えば、本開示によるポリペプチド及び/又は核酸中の「対応する」残基を同定するために利用され得る、例えば、BLAST、CS-BLAST、CUDASW++、DIAMOND、FASTA、GGSEARCH/GLSEARCH、Genoogle、HMMER、HHpred/HHsearch、IDF、Infernal、KLAST、USEARCH、parasail、PSI-BLAST、PSI-Search、ScalaBLAST、Sequilab、SAM、SSEARCH、SWAPHI、SWAPHI-LS、SWIMM、又はSWIPEなどのソフトウェアプログラムを含む、様々な配列アラインメント戦略が利用可能である。
【0086】
抗原と第1の抗原結合分子との間の相互作用が、参照結合分子の抗原と相互作用する能力を遮断、制限、阻害、又はさもなければ低減する場合、抗体、その抗原結合断片、CAR又はTCRなどの抗原結合分子は、抗体又はその抗原結合断片などの参照結合分子と「交差競合」する。交差競合は、完全であり得、例えば、抗原結合分子の抗原への結合は、参照結合分子の抗原に結合する能力を完全に遮断するか、又は部分的であり得、例えば、抗原結合分子の抗原への結合は、参照抗原結合分子の抗原に結合する能力を低減させる。特定の実施形態では、参照抗原結合分子と交差競合する抗原結合分子は、参照抗原結合分子と同じ又は重複するエピトープに結合する。他の実施形態では、参照抗原結合分子と交差競合する抗原結合分子は、参照抗原結合分子とは異なるエピトープに結合する。多くの種類の競合結合アッセイを使用して、1つの抗原結合分子が別の抗原結合分子と競合するかどうかを決定することができる:例えば、固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay、RIA)、固相直接又は間接酵素イムノアッセイ(enzyme immunoassay、EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242-253)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614-3619)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press)、1-125標識を使用する固相直接標識RIA(Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7-15)、固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung,et al.,1990,Virology 176:546-552)、及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77-82)。
【0087】
「サイトカイン」は、特定の抗原との接触に応答して1つの細胞によって放出される非抗体タンパク質を指し、サイトカインは第2の細胞と相互作用して第2の細胞における応答を媒介する。サイトカインは、細胞によって内因的に発現され得、又は対象に投与され得る。サイトカインは、免疫応答を伝播するために、マクロファージ、B細胞、T細胞、及び肥満細胞を含む免疫細胞によって放出され得る。サイトカインは、レシピエント細胞において様々な応答を誘導し得る。サイトカインには、恒常性サイトカイン、ケモカイン、炎症誘発性サイトカイン、エフェクター、及び急性期タンパク質が含まれ得る。例えば、インターロイキン(interleukin、IL)7及びIL-15などの恒常性サイトカインは、免疫細胞の生存及び増殖を促進し、炎症誘発性サイトカインは、炎症応答を促進し得る。恒常性サイトカインの例としては、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-15、及びインターフェロン(interferon、IFN)ガンマが挙げられるが、これらに限定されない。炎症誘発性サイトカインの例としては、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-13、IL-17a、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)-アルファ、TNF-ベータ、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor、FGF)2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor、GM-CSF)、可溶性細胞間接着分子1(soluble intercellular adhesion molecule 1、sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(soluble vascular adhesion molecule 1、sVCAM-1)、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、及び胎盤増殖因子(placental growth factor、PLGF)が挙げられるが、これらに限定されない。エフェクターの例としては、グランザイムA、グランザイムB、可溶性Fasリガンド(soluble Fas ligand、sFasL)、及びパーフォリンが挙げられるが、これらに限定されない。急性期タンパク質の例としては、C反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)及び血清アミロイドA(serum amyloid A、SAA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
「減少する」又は「下げる」、又は「軽減する」、又は「低減する」又は「弱める」とは、概して、ビヒクル単独(すなわち、活性部分)又は対照分子/組成物のいずれかによって引き起こされる応答と比較して、より低い生理学的応答(すなわち、下流効果)を生成するか、誘発するか、又は引き起こす、本明細書で企図される組成物の能力を指す。「減少」又は「低減された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、対照組成物であるビヒクルによって生成される応答(参照応答)の、1.1、1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、30倍、又はそれ以上(例えば、500倍、1000倍)(例えば、1.5、1.6、1.7.1.8などの1より上の、間にある全ての整数及び少数を含む)の減少を含み得る。
【0089】
「ドメイン」という用語は、実体の一部を指す。いくつかの実施形態では、「ドメイン」は、例えば、ドメインがその親実体の残りから物理的に分離されている場合に、ドメインが構造的及び/又は機能的特徴を実質的に又は完全に保持するように、実体の構造的及び/又は機能的特徴と関連付けられる。いくつかの実施形態では、ドメインは、その(親)実体から分離され、異なる(レシピエント)実体と連結又は接続された場合に、例えば、親実体で特徴付けられる1つ以上の構造的及び/又は機能的特徴をレシピエント実体で実質的に保持及び/又は付与する実体の一部を含み得る。いくつかの実施形態では、ドメインは、分子(例えば、小分子、炭水化物、脂質、核酸、又はポリペプチド)の一部である。いくつかの実施形態では、ドメインはポリペプチドの部分である。いくつかのそのような実施形態では、ドメインは、構造要素(例えば、アミノ酸配列若しくは配列モチーフ、α-ヘリックス特性、β-シート特性、コイルドコイル特性、ランダムコイル特性など)によって、及び/又は機能的特徴(例えば、結合活性、酵素活性、フォールディング活性、シグナル伝達活性など)によって特徴付けられる。
【0090】
「剤形」という用語は、対象に投与するための活性剤(例えば、抗原結合系又は抗体)の物理的に別個の単位を指すために使用され得る。概して、そのような各単位は、所定量の活性剤を含有する。いくつかの実施形態では、そのような量は、関連する集団に投与されたときに所望の又は有益な結果と相関することが決定された投与レジメンに従って投与するのに適切な単位投与量(又はその全部分)である。対象に投与される治療用組成物又は薬剤の総量は、1人以上の医師によって決定され、1つ以上の剤形の投与を含み得る。
【0091】
「投与レジメン」という用語は、対象に個別に投与される1つ以上の単位用量のセットを指すために使用され得る。いくつかの実施形態では、所与の治療薬は、1つ以上の用量を含み得る推奨投与レジメンを有する。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、各々が他の用量から時間的に離されている複数の用量を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、複数の用量を含み、連続用量が、等しい長さの期間によって互いに離され、いくつかの実施形態では、投与レジメンは、複数の用量を含み、連続用量は、少なくとも2つの異なる長さの期間によって互いに離される。いくつかの実施形態では、投与レジメン内の全ての用量は、同じ単位用量量である。いくつかの実施形態では、投与レジメン内の異なる用量は、異なる量である。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、第1の用量量で第1の用量を含み、続いて、第1の用量量とは異なる第2の用量量で1つ以上の追加用量を含む。いくつかの実施形態では、投与レジメンは、所望の又は有益な結果を達成するように定期的に調整される。
【0092】
「エフェクター細胞」は、1つ以上のFc受容体を発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を指す。いくつかの実施形態では、エフェクター細胞は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞、Tリンパ球、及びBリンパ球のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。エフェクター細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びサルを含むが、これらに限定されない任意の生物のものであり得る。
【0093】
「エフェクター機能」は、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドとの相互作用の生物学的結果を指す。エフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)、抗体依存性細胞媒介性貪食作用(antibody-dependent cell-mediated phagocytosis、ADCP)、及び補体媒介性細胞傷害(complement-mediated cytotoxicity、CMC)を含むが、これらに限定されない。エフェクター機能は、抗原結合依存性、抗原結合非依存性、又はその両方であり得る。ADCCは、免疫エフェクター細胞による抗体結合標的細胞の溶解を指す。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、ADCCは、概して、Fc受容体(Fc receptor、FcR)を含むエフェクター細胞が、抗体コーティングされた標的細胞(例えば、抗体が結合している抗原をその表面に発現する細胞)を認識し、その後死滅させることに関与すると理解されている。ADCCを媒介するエフェクター細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球、好酸球のうちの1つ以上を含むがこれらに更に限定されない免疫細胞を含み得る。
【0094】
「エピトープ」は、抗体が特異的に結合することができる抗原の局在化領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの連続アミノ酸(線形又は連続エピトープ)であり得るか、又はエピトープは、例えば、ポリペプチド又はポリペプチドの2つ以上の非連続領域(立体配座、非線形、不連続、又は非連続エピトープ)からの一緒になり得る。特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、アレイベースのオリゴペプチドスキャンニングアッセイ、及び/又は変異誘発マッピング(例えば、部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学の場合、結晶化は、当該技術分野で既知の方法のいずれかを使用して達成され得る(例えば、Giege R et al.,(1994)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt4):339-350、McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23、Chayen NE(1997)Structure 5:1269-1274、McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300-6303)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を使用して研究することができ、X-PLOR(Yale University,1992、Molecular Simulations Inc.によって配布、例えば、Meth Enzymol(1985)volumes 114 & 115,eds Wyckoff HW et al,、米国特許出願公開第2004/0014194号)、及びBUSTER(Bricogne G(1993)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt 1):37-60、Bricogne G(1997)Meth Enzymol 276A:361-423,ed Carter CW、Roversi P et al.,(2000)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt 10):1316-1323を参照されたい)などのコンピュータソフトウェアを使用して精密化することができる。変異誘発マッピング研究は、当業者に既知である任意の方法を使用して達成され得る。例えば、アラニンスキャニング変異誘発技術を含む変異誘発技術の説明についてはChampe M et al.,(1995)J Biol Chem 270:1388-1394及びCunningham BC & Wells JA(1989)Science 244:1081-1085を参照されたい。
【0095】
遺伝子、タンパク質、及び/又は核酸に関する「内因性」とは、免疫細胞などの細胞におけるその遺伝子、タンパク質、及び/又は核酸の天然の存在を指す。
【0096】
「外因性」とは、核酸、遺伝子、又はタンパク質などの薬剤が、例えば、外部供給源から細胞に導入されることを指す。細胞に導入された核酸は、細胞中に天然に見出されるタンパク質をコードする場合であっても外因性である。タンパク質をコードする核酸のかかる外因性導入は、同様の条件下、例えば、外因性核酸の導入なしでの細胞において天然に見出されるレベルを超えてタンパク質の発現を増加させるために使用され得る。
【0097】
「賦形剤」という用語は、例えば、所望の一貫性又は安定化効果を提供する又はそれらに寄与するために、組成物中に含まれ得る薬剤を指す。いくつかの実施形態では、好適な賦形剤は、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、マルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含み得る。
【0098】
本明細書に記載の材料又は実体の「断片」又は「部分」は、例えば、物理的実体又は抽象的実体の、全体の個別の部分を含む構造を有する。いくつかの実施形態では、断片は、全体に見られる1つ以上の部分を欠く。いくつかの実施形態では、断片は、全体に見られる特徴的な構造的要素、ドメイン又は部分からなるか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、ポリマー断片は、ポリマー全体に見られる、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13,14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500以上の単量体単位(例えば、残基)を含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、ポリマー断片は、ポリマー全体に見られる単量体単位(例えば残基)のうちの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上を含むか、又はそれらからなる(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)。材料又は実体全体は、いくつかの実施形態では、断片の「親」と称され得る。
【0099】
「融合ポリペプチド」又は「融合タンパク質」という用語は、概して、少なくとも2つのセグメントを含むポリペプチドを指す。概して、2つのセグメントが、(1)同じペプチドに、本質的に含まれていない部分、及び/又は(2)単一のポリペプチドに前もって互いに連結又は接続されていない部分、及び/又は(3)人間の手の作用を通じて互いに連結又は接続されている部分である場合、少なくとも2つのそのようなセグメントを含有するポリペプチドは融合ポリペプチドであるとみなされる。実施形態では、CARは、融合タンパク質である。
【0100】
「遺伝子産物」又は「発現産物」という用語は、一般に、遺伝子から転写されたRNA(処理前及び/若しくは処理後)、又は遺伝子から転写されたRNAによってコードされるポリペプチド(改変前及び/若しくは改変後)を指す。
【0101】
「遺伝子操作された」又は「操作された」という用語は、コード領域若しくは非コード領域若しくはその一部を削除すること、又はコード領域若しくはその一部を挿入することなどであるがこれらに限定されない、細胞のゲノムを改変する方法を指す。いくつかの実施形態では、改変された細胞は、リンパ球、例えば、T細胞であり、患者又はドナーのいずれかから得ることができる。細胞は、細胞のゲノムに組み込まれる外因性構築物、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変されてもよい。操作には、概して、人間の手による操作が含まれる。例えば、ポリヌクレオチドは、自然界ではその順序で連結又は接続されていない2つ以上の配列が、操作されたポリヌクレオチドにおいては互いに直接連結又は接続されるように人間の手によって操作される場合、「操作された」とみなされる。分子生物学の技術による細胞の操作の文脈では、細胞又は生物は、その遺伝情報が変更されるように操作された場合、「操作された」とみなされる(例えば、以前に存在しない新しい遺伝物質が、例えば、形質転換、体細胞ハイブリダイゼーション、トランスフェクション、形質導入、エレクトロポレーション、又は他のメカニズムによって導入されているか、又は以前に存在した遺伝物質が、例えば、置換若しくは欠失変異によって、又は他のプロトコルによって変化又は除去される)。いくつかの実施形態では、結合剤(binding agent)は、改変されたリンパ球、例えば、T細胞であり、患者又はドナーのいずれかから得ることができる。操作された細胞は、細胞のゲノムに組み込まれる外因性構築物、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように改変され得る。操作されたポリヌクレオチド又は結合剤の子孫は、概して、実際の操作が前の実体で実行されたとしても、「操作された」と称される。いくつかの実施形態では、「操作された」は、設計及び製造された実体を指す。「設計された」という用語は、(i)その構造が人間の手によって選択されるか、若しくはそれによって選択された、(ii)人間の手を必要とするプロセスによって産生される、並びに/又は(iii)天然物質及び他の既知の薬剤とは異なる、薬剤を指す。
【0102】
「T細胞受容体」又は「TCR」は、T細胞の表面上に存在する抗原認識分子を指す。正常なT細胞の発達中に、4つのTCR遺伝子、α、β、γ、及びδの各々は、再配置して非常に多様なTCRタンパク質をもたらすことができる。実施形態において、本明細書に開示されるT細胞は、TCR受容体のα鎖の表面発現を低減、排除及び/又は阻害するように操作されている。
【0103】
「異種」という用語は、天然に存在する配列以外の任意の供給源に由来することを意味する。例えば、共刺激タンパク質の一部として含まれる異種配列は、野生型ヒト共刺激タンパク質として天然に存在しない、すなわち、野生型ヒト同時刺激タンパク質と整列しないアミノ酸である。例えば、異種ヌクレオチド配列は、野生型ヒト共刺激タンパク質コード配列のヌクレオチド配列以外のヌクレオチド配列を指す。
【0104】
「同一性」という用語とは、ポリマー分子間、例えば、核酸分子間(例えばDNA分子及び/又はRNA分子)、及び/又はポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。提供される2つのポリペプチド配列間の同一性パーセントを計算するための方法が既知である。例えば、2つの核酸又はポリペプチド配列の同一性パーセントの計算は、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって実行され得る(例えば、ギャップは、最適なアラインメントのために第1及び第2の配列の一方又は両方に導入され得、非同一の配列は、比較目的で無視され得る)。次いで、対応する位置でのヌクレオチド又はアミノ酸が比較される。第1の配列の位置が第2の配列における対応する位置と同じ残基(例えば、ヌクレオチド又はアミノ酸)で占められている場合は、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、任意選択的に、ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があり得る。配列の比較又はアラインメント及び2つの配列間の同一性パーセントの決定は、BLAST(基本的なローカルアラインメント検索ツール)などの数学的アルゴリズムを使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%同一である場合(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)、互いに「相同」であるとみなされる。
【0105】
同一性パーセントを計算するために、比較される配列は、典型的には、配列間の最大の一致を与える方法で整列される。同一性パーセントを決定するために使用され得るコンピュータプログラムの一例は、GCGプログラムパッケージであり、これにはGAPが含まれる(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387、Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)。コンピュータアルゴリズムGAPは、配列同一性パーセントが決定されるべき2つのポリペプチド又はポリヌクレオチドを整列させるために使用される。配列は、それぞれのアミノ酸又はヌクレオチド(アルゴリズムによって決定される「一致したスパン」)の最適なマッチングのために整列される。特定の実施形態では、標準比較マトリックス(PAM250比較マトリックスについては、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352、BLOSUM62比較マトリックスについては、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919を参照されたい)も、アルゴリズムで使用される。アミノ酸配列又は核酸配列の比較には他のアルゴリズムも利用可能であり、ヌクレオチド配列用のBLASTN及びアミノ酸配列用のBLASTP、gapped BLAST、及びPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムで利用可能なものを含む。例示的なかかるプログラムは、Altschul,et al.,Basic local alignment search tool,J.Mol.Biol.,215(3):403-410,1990、Altschul,et al.,Methods in Enzymology、Altschul,et al.,「Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs,」Nucleic Acids Res.25:3389-3402,1997、Baxevanis,et al.,Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998、及びMisener,et al.,(eds.),Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1999に記載されている。類似の配列を特定することに加えて、上記のプログラムは、概して、類似度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、対応する残基の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上が、関連するひと続き(relevant stretch)の残基にわたって類似及び/又は同一である場合(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)、2つの配列は、実質的に類似しているとみなされる。いくつかの実施形態では、関連するひと続きは完全な配列である。いくつかの実施形態では、関連するひと続きは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500以上の残基である。実質的な配列類似性を有する配列は、互いに相同体であり得る。
【0106】
「実質的同一性」又は「実質的に同一」という用語は、核酸又はその断片に言及する場合、別の核酸(又はその相補鎖)と適切なヌクレオチド挿入又は欠失を伴って最適に整列させた場合、以下に考察するように、FASTA、BLAST、又はGapなどの配列同一性の任意の周知のアルゴリズムによって測定して、ヌクレオチド塩基の少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約96%、97%、98%、又は99%のヌクレオチド配列同一性が存在することを示す。参照核酸分子に対して実質的同一性を有する核酸分子は、特定の例では、参照核酸分子によってコードされるポリペプチドと同じ又は実質的に類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得る。
【0107】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的類似性」又は「実質的に類似」という用語は、2つのペプチド配列が、デフォルトギャップ重みを使用するプログラムGAP又はBESTFITなどによって最適に整列された場合に、少なくとも95%の配列同一性、更により好ましくは少なくとも98%又は99%の配列同一性を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
【0108】
「改善する」、「増加させる」、「阻害する」及び「低減する」という用語は、ベースライン又は他の参照基準値に対する値を示す。いくつかの実施形態では、適切な基準測定値は、薬剤若しくは治療の非存在下(例えば、前及び/若しくは後)、又は適切な同等の参照薬剤の存在下で、それ以外は同等の条件下での特定の系における(例えば、単一の個体における)測定を含み得る。いくつかの実施形態では、適切な基準測定値は、関連する薬剤又は治療の存在下で、同等の方法で応答することが既知であるか又は予想される同等の系での測定を含み得る。
【0109】
「免疫応答」は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞及び好中球)及びこれらの細胞又は肝臓のいずれかによって産生される可溶性巨大分子(Ab、サイトカイン及び補体を含む)の作用であって、侵入している病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、癌性若しくは他の異常な細胞、又は自己免疫若しくは病理学的炎症の場合には正常なヒト細胞若しくは組織の、選択的標的化、結合、損傷、破壊、及び/又は脊椎動物の体からの排除をもたらす作用を指す。
【0110】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘発する、増強する、抑制する、又は他の様態で改変することを含む、方法による、疾患に罹患しているか、又は疾患に罹るか若しくは疾患を再発するリスクがある対象の治療を指す。免疫療法の例としては、限定するものではないが、NK細胞、iNKT細胞及びT細胞療法が挙げられる。T細胞療法は、養子T細胞療法、腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocyte、TIL)免疫療法、自己細胞療法、操作された自己細胞療法(eACT(商標))、及び同種異系T細胞移植を含み得る。T細胞療法の例は、米国特許出願公開第2014/0154228号及び同第2002/0006409号、米国特許第5,728,388号、及び国際公開第2008/081035号に記載されている。
【0111】
免疫療法のT細胞は、当技術分野で公知の任意の供給源に由来し得る。例えば、T細胞は、造血幹細胞集団からインビトロで分化され得るか、又は例えば、操作後の第2の対象への移植のために、対象から得られ得る。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells、PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍から得ることができる。更に、T細胞は、当該技術分野で利用可能な1つ以上のT細胞株に由来し得る。T細胞はまた、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスなどの当業者に既知の様々な技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。T細胞療法のためにT細胞を単離する更なる方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されている。
【0112】
「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境、例えば試験管、反応容器、細胞培養などで起こる事象を指す。「インビトロ細胞」という用語は、エクスビボで培養される任意の細胞を指す。特に、インビトロ細胞は、T細胞を含み得る。「インビボ」という用語は、ヒト又は非ヒト動物などの多細胞生物内で起こる事象を指す。
【0113】
「単離された」という用語は、(1)物質が以前に会合していたか、又は別様には物質が会合していたであろう、少なくとも一部の成分から分離されている物質、及び/又は(2)限定された若しくは定義された量又は濃度の1つ以上の既知又は未知の汚染物質を含む組成物中に存在する物質を指す。単離された物質は、いくつかの実施形態では、物質が以前に会合していた、物質ではない他の成分、例えばその物質が以前に又は別様には会合したであろう他の成分又は汚染物質の、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)から分離されてもよい。特定の例では、物質は、それが、限定された若しくは低減された量又は濃度の同じ又は類似の種類の分子を含む組成物中に存在する場合に、単離される。例えば、特定の例では、核酸、DNA、又はRNA物質は、それらが、限定された若しくは低減された量又は濃度の物質ではない核酸、DNA、又はRNA分子を含む組成物中に存在する場合に、単離される。例えば、特定の例では、ポリペプチド物質は、それが限定された若しくは低減された量又は濃度の物質ではないポリペプチド分子を含む組成物中に存在する場合に、単離される。特定の実施形態では、量は、例えば、組成物中に存在する所望の物質の量に対して測定された量であり得る。特定の実施形態では、限定された量は、組成物中の物質の量の100%以下である量、例えば、組成物中の物質の量の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%以下(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)である量であってもよい。特定の例では、組成物は、選択された物質に関して純粋又は実質的に純粋である。いくつかの実施形態では、単離された物質は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)の純度である。物質は、他の成分又は汚染物質を実質的に含まない場合、「純粋」である。いくつかの実施形態では、物質は、例えば、1つ以上の担体又は賦形剤など(例えば、緩衝液、溶媒、水など)の特定の他の成分と組み合わされた後であっても、まだ「単離された」又は「純粋な」とみなされてもよく、そのような実施形態では、物質の単離又は純度パーセントは、そのような担体又は賦形剤を含まずに計算される。
【0114】
「リンカー」(L)又は「リンカードメイン」又は「リンカー領域」は、例えば、CAR、及び/若しくはscFvのドメイン/領域のいずれか、又はこれらのポリペプチドの多くのうちのいつも1つを一緒に連結する、約1~100アミノ酸長のオリゴ又はポリペプチド領域を指す。リンカーは、隣接するタンパク質ドメインが互いに対して自由に移動するように、グリシン及びセリンのような柔軟な残基から構成され得る。2つの隣接するドメインが互いに立体的に干渉しないことを確実にすることが望ましい場合には、より長いリンカーを使用してもよい。リンカーは、切断可能であっても切断不可能であってもよい。切断可能なリンカーの例としては、2Aリンカー(例えば、T2A)、2A様リンカー又はそれらの機能的等価物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他のリンカーは当業者に明らかであり、本開示に関連して使用され得る。リンカーは、異なる要素を互いに接続する多要素薬剤の一部であり得る。例えば、2つ以上の機能的又は構造的ドメインを含むポリペプチドは、それらを互いに連結する、かかるドメイン間のアミノ酸のストレッチを含み得る。いくつかの実施形態では、リンカー要素を含むポリペプチドは、一般形態S1-L-S2の全体構造を有し、S1及びS2は、同じであっても異なっていてもよく、リンカーによって互いに関連付けられた2つのドメインを表す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドリンカーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100又はそれを超えるアミノ酸長(例えば、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、10~20、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、又は10~100アミノ酸長)である。いくつかの実施形態では、リンカーは、剛直な三次元構造をとらない傾向があり、代わりにポリペプチドに柔軟性を提供することを特徴とする。別の例において、それは、発現されるポリペプチド又は多くのポリペプチドに接続するために使用され得る。他のリンカーとしては、切断可能でないリンカーが挙げられる。本発明を実現するために、「柔軟なリンカー」を含む多数のリンカーが用いられる。後者は、グリシンに富んでいる。Klein et al.,Protein Engineering,Design & Selection Vol.27,No.10,pp.325-330,2014、Priyanka et al.,Protein Sci.,2013 Feb、22(2):153-167。
【0115】
いくつかの実施形態では、リンカーは、合成リンカーである。合成リンカーは、約10アミノ酸~約200アミノ酸、例えば、10~25アミノ酸、25~50アミノ酸、50~75アミノ酸、75~100アミノ酸、100~125アミノ酸、125~150アミノ酸、150~175アミノ酸、又は175~200アミノ酸の長さを有し得る。合成リンカーは、10~30アミノ酸、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30アミノ酸の長さを有し得る。合成リンカーは、30~50アミノ酸、例えば、30~35アミノ酸、35~40アミノ酸、40~45アミノ酸、又は45~50アミノ酸の長さを有し得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、リンカーは、柔軟なリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン(Gly又はG)残基が豊富である。いくつかの実施形態では、リンカーは、セリン(Ser又はS)残基が豊富である。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン及びセリン残基が豊富である。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のグリシン-セリン残基対(GS)、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個又はそれ以上のGS対を有する。
【0117】
「リンパ球」という用語には、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、iNKT細胞、又はB細胞が含まれる。NK細胞は、遺伝免疫系の構成要素を代表する細胞毒性(細胞毒性)リンパ球の一種である。NK細胞は、腫瘍及びウイルスに感染した細胞を拒絶する。それは、アポトーシス又はプログラム細胞死の過程を通して作用する。それらは、細胞を死滅させるために活性化を必要としないので、「ナチュラルキラー」と呼ばれた。T細胞は、細胞媒介免疫(抗体関与なし)において役割を果たす。そのT細胞受容体(TCR)は、他のリンパ球型から分化する。免疫系の分化した器官である胸腺は、主にT細胞の成熟化を担う。6つの種類のT細胞、すなわち、ヘルパーT細胞(例えば、CD4+細胞)、細胞毒性T細胞(TC、細胞毒性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞又はキラーT細胞としても既知である)、メモリーT細胞((i)幹メモリーTSCM細胞は、ナイーブ細胞と同様に、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+及びIL-7Rα+であるが、それらは、大量のCD95、IL-2Rβ、CXCR3及びLFA-1も発現し、メモリー細胞独特の多数の機能的属性を示す)、(ii)セントラルメモリーTCM細胞は、L-セレクチン及びCCR7を発現し、IL-2を分泌するが、それらは、IFNγ又はIL-4を分泌しない、(iii)エフェクターメモリーTEM細胞は、L-セレクチン又はCCR7を発現せず、IFNγ及びIL-4などのエフェクターサイトカインを産生する)、制御性T細胞(Treg、サプレッサーT細胞、又はCD4+CD25+制御性T細胞)、ナチュラルキラーT細胞(Natural Killer T cells、NKT)及びガンマデルタT細胞が存在する。一方、B細胞は、体液性免疫(抗体の関与を伴う)において役割を果たす。B細胞は、抗体及び抗原を産生し、抗原提示細胞(APC)の役割を果たし、抗原相互作用による活性化後にメモリーB細胞に変わる。哺乳動物では、未成熟B細胞は骨髄で形成され、その名称はここに由来する。
【0118】
「中和する」という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的作用を防止又は低減する抗原結合分子、scFv、抗体、又はその断片を指す。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はその断片は、リガンド上の結合部位を直接遮断するか、さもなければ間接的手段(リガンドの構造的又はエネルギー的変化など)を介して結合するリガンドの能力を変化させる。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はその断片は、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を果たすのを妨げる。
【0119】
「核酸」は、ヌクレオチドの任意のポリマー鎖を指す。核酸は、DNA、RNA、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然核酸残基を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の核酸類似体から構成される。いくつかの実施形態では、核酸は、天然源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素的合成(インビボ又はインビトロ)、組換え細胞又は系での再生、及び化学合成のうちの1つ以上によって調製される。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、又はそれ以上の残基(例えば、20~100、20~500、20~1000、20~2000、又は20~5000、又はそれ以上の残基)の長さである。いくつかの実施形態では、核酸は、部分的又は全体的に一本鎖であり、いくつかの実施形態では、核酸は、部分的又は全体的に二本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードする、又はポリペプチドをコードする配列の相補体である、少なくとも1つの要素を含むヌクレオチド配列を有する。
【0120】
「作動可能に連結された」とは、記載された構成要素がそれらの意図された様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。例えば、機能要素に「作動可能に連結された」制御要素は、機能要素の発現及び/又は活性が、制御要素と適合性のある条件下で達成されるように関連付けられる。
【0121】
「患者」は、癌(例えば、前立腺癌)に罹患している任意のヒトを含む。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0122】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有し、タンパク質又はペプチドの配列を構成できるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合した2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、例えば、当該技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当該技術分野で概してタンパク質と称される長鎖の両方を指し、そのうち多くの種類がある。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性な断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0123】
「薬学的に許容される」という用語は、レシピエントに投与される場合、そのレシピエントに有害ではないか、又はそのレシピエントに対する利益が有害な影響を上回る、分子又は組成物を指す。本明細書に開示される組成物を製剤化するために使用される担体、希釈剤、又は賦形剤に関して、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤は、組成物の他の成分と適合でなければならず、そのレシピエントに有害ではないか、又はレシピエントに対する利益がいかなる有害な影響をも上回る必要がある。「薬学的に許容される担体」という用語は、身体のある部分から別の部分への(例えば、ある臓器から別の臓器への)薬剤の運搬又は輸送に関与する、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、又は溶媒封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを意味する。医薬組成物中に存在する各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならず、又はレシピエントに対する利益が有害な影響を上回る必要がある。薬学的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、セルロース、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体、トラガント末、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤、落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張性生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、pH緩衝溶液、ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物、並びに医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合性物質、を含む。
【0124】
「医薬組成物」という用語は、活性剤が1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化される組成物を指す。いくつかの実施形態では、活性剤は、関連する対象又は集団に投与されたときに所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療レジメンにおける投与に適した単位用量量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、固体又は液体形態での投与のために製剤化されてもよく、これらに限定されないが、以下に対し適合された形態を含む:経口投与、例えば、水薬(水性若しくは非水溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、バッカル、舌下、及び全身吸収を標的とするもの、ボーラス、粉末剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト、非経口投与、例えば、滅菌溶液若しくは懸濁液、又は持続放出製剤としての例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射による、局所投与、例えば、皮膚、肺、又は口腔に塗布される、クリーム、軟膏、又は徐放性パッチ又はスプレーとして、膣内又は直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム、又は泡状物質(foam)として、舌下、眼に対する、経皮的、あるいは経鼻的、肺、及び他の粘膜表面に対するもの。
【0125】
「増殖」という用語は、細胞の対称的又は非対称的な分裂のいずれかで、細胞分裂の増加を指す。いくつかの実施形態では、「増殖」は、T細胞の対称的又は非対称的な分裂を指す。「増殖増加」は、非処理試料中の細胞と比較して、処理された試料中の細胞数が増加すると発生する。
【0126】
「参照」という用語は、比較が実施される標準又は対照を記載する。例えば、いくつかの実施形態では、目的の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、又は値は、薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、又は値である参照又は対照と比較される。いくつかの実施形態では、参照又は対照は、目的の試験、測定、又は決定と実質的に同時に試験、測定、及び/又は決定される。いくつかの実施形態では、参照又は対照は、任意選択的に有形的媒体で具現化された過去からの参照又は対照である。概して、参照又は対照は、評価下にあるものと同等の条件又は状況下で決定又は特徴付けられる。類似性が、選択された参照又は対照に対する依存性及び/又はそれとの比較を正当とするのに十分である場合。
【0127】
「制御性T細胞」(「Treg」、「Treg細胞」、又は「Treg(複数)」)は、特定の免疫活性、例えば、自己免疫、アレルギー、及び感染に対する応答の制御に関与するCD4+Tリンパ球の系統を指す。制御性T細胞は、T細胞集団の活性を調節することができ、特定の自然免疫系細胞型に影響を及ぼすこともできる。Tregは、バイオマーカーCD4、CD25及びFoxp3の発現、並びにCD127の低発現によって同定され得る。天然に存在するTreg細胞は、通常、末梢CD4+Tリンパ球の約5~10%を構成する。しかしながら、腫瘍微小環境内のTreg細胞(すなわち、腫瘍浸潤性Treg細胞)は、全CD4+Tリンパ球集団の20~30%ものTreg細胞を構成し得る。
【0128】
「試料」という用語は、一般に、目的の供給源から得られた、又はこれに由来する材料のアリコートを指す。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、生物学的供給源又は環境的供給源である。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、細胞集団、組織、又は動物(例えば、ヒト)などの細胞又は生物を含み得る。いくつかの実施形態では、目的の供給源は、生物学的組織又は流体を含む。いくつかの実施形態では、生物学的組織又は流体は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、糜粥、射精液、内リンパ液、滲出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液、心嚢液、外リンパ液、腹水、胸水、膿、カタル性分泌物、唾液、皮脂、精液、漿液、恥垢、痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、硝子体液、嘔吐物、及び/又はそれらの組み合わせ若しくは成分を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的流体は、細胞内液、細胞外液、脈管内流体(血漿)、間質液、リンパ液、及び/又は細胞通過液を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的流体は、植物滲出物を含み得る。いくつかの実施形態では、生物学的組織又は試料は、例えば、吸引、生検(例えば、細針又は組織生検)、スワブ(例えば、口腔スワブ、鼻腔スワブ、皮膚スワブ又は膣スワブ)、掻き取り、手術、洗濯又は洗浄(例えば気管支肺胞、管、鼻腔、眼、口腔、子宮、膣又は他の洗濯又は洗浄)によって得ることができる。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、個体から得られた細胞を含む。いくつかの実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られた「一次試料」である。いくつかの実施形態では、文脈から明らかなように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、一次試料の1つ以上の成分を除去することによって、及び/又は一次試料に1つ以上の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。そのような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出された、あるいは一次試料を核酸の増幅又は逆転写、特定の成分の単離及び/又は精製などの1つ以上の技法に供すること等によって得られた核酸又はタンパク質を含み得る。
【0129】
「一本鎖可変断片」、「単鎖抗体可変断片」又は「scFv」抗体は、リンカーペプチドによって連結された重鎖及び軽鎖のみの可変領域を含む抗体の形態を指す。
【0130】
「癌の病期」という用語は、癌の進行のレベルの定性的又は定量的評価を指す。いくつかの実施形態では、癌の病期を決定するために使用される基準は、癌が身体のどこに位置するか、腫瘍サイズ、癌がリンパ節に広がっているかどうか、癌が身体の1つ以上の異なる部分に広がっているかどうかなどのうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、癌はいわゆるTNMシステムを使用して病期分類され得、これによると、Tは、通常は原発腫瘍と呼ばれる主な腫瘍のサイズ及び範囲を指し、Nは、癌を有する近くのリンパ節の数を指し、Mは、癌が転移したかどうかを指す。いくつかの実施形態では、癌は、ステージ0(異常細胞が近くの組織に拡散せずに存在し、癌腫インサイチュ又はCISとも呼ばれ、CISは、癌ではないが、癌になり得る)、ステージI~III(癌が存在し、数が大きいほど、腫瘍が大きくなり、近くの組織に広がっている)、又はステージIV(癌が身体の離れた部分に広がっている)と称され得る。いくつかの実施形態では、癌は、以下からなる群から選択される病期に割り当てられ得る:インサイチュ、限局性(癌はそれが始まった場所に限定され、それが広がった徴候はない)、局所(癌が近くのリンパ節、組織、又は器官に広がっている):遠位(癌が身体の離れた部分に広がっている)、及び未知(病期を決定するための十分な情報がない)。
【0131】
「刺激」は、刺激分子とその同族リガンドとの結合によって誘導される一次応答を指し、結合はシグナル形質導入事象を媒介する。「刺激分子」は、抗原存在細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合する、T細胞上の分子、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体である。「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞上の刺激分子と特異的に結合し、それによって、限定するものではないが、活性化、免疫応答の開始、増殖などの、T細胞による一次応答を媒介し得るリガンドである。刺激リガンドには、抗CD3抗体(OKT3など)、ペプチドを負荷したMHCクラスI分子、スーパーアゴニスト抗CD2抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD28抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0132】
「治療薬」という語句は、生物に投与された場合に所望の薬理学的効果を誘発する任意の薬剤を指し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、適切な集団にわたって統計学的に有意な効果を示す場合には、治療薬であるとみなされる。いくつかの実施形態では、適切な集団は、モデル生物又はヒト対象の集団であり得る。いくつかの実施形態では、適切な集団は、バイオマーカーの有無等に応じて、特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な基準によって定義することができる。いくつかの実施形態では、治療薬は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴の緩和、改善、軽減、阻害、予防、発症の遅延、重症度の低減、及び/又は発生率の低減に使用することができる物質である。いくつかの実施形態では、治療薬は、ヒトへの投与のために市販され得る前に、政府機関によって承認されているか、又は承認される必要がある薬剤である。いくつかの実施形態では、治療薬は、ヒトへの投与のために医学的処方が必要とされる薬剤である。
【0133】
治療剤、例えば、操作されたCAR T細胞の「治療有効量」、「有効用量」、「有効量」又は「治療有効投与量」は、単独で又は別の治療薬と組み合わせて使用された場合に、対象を疾患の発症から保護するか、あるいは、疾患症状の重症度の低下、疾患症状のない期間の頻度及び期間の増加、又は疾患の罹患に起因する障害若しくは能力障害の予防によって証明される疾患の退縮を促進する任意の量である。疾患の退縮を促進する治療剤の能力は、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、又はインビトロアッセイにおいて薬剤の活性をアッセイすることによってなど、当業者に既知の様々な方法を使用して評価され得る。
【0134】
「形質導入」及び「形質導入された」という用語は、外来DNAがウイルスベクターを介して細胞に導入される過程を指す(Jones et al.,「Genetics:principles and analysis,」Boston:Jones & Bartlett Publ.(1998)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター、DNAベクター、RNAベクター、アデノウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター、レンチウイルスベクター、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0135】
「形質転換」は、外因性DNAが宿主細胞に導入される任意のプロセスを指す。変換は、様々な方法を使用して、天然又は人工条件下で起こり得る。形質転換は、原核宿主細胞又は真核宿主細胞への外来核酸配列の挿入のための任意の既知の方法を使用して達成され得る。いくつかの実施形態では、いくつかの形質転換方法論は、形質転換される宿主細胞及び/又は挿入される核酸に基づいて選択される。形質転換の方法は、ウイルス感染、エレクトロポレーション、及びリポフェクションを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、「形質転換された」細胞は、挿入されたDNAが、自律的に複製するプラスミド又は宿主染色体の一部として複製することができるという点で安定的に形質転換される。いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、導入された核酸を発現し得る。
【0136】
対象の「治療」又は「治療すること」は、症状、合併症若しくは状態、又は疾患に関連する生化学的徴候の発症、進行、発展、重症度若しくは再発を逆転、緩和、改善、阻害、減速又は予防することを目的として、対象に対して行われる任意の種類の介入若しくはプロセス、又は対象への活性剤の投与を指す。一実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、部分寛解を含む。別の実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、完全寛解を含む。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害及び/若しくは状態の徴候を示さない対象、並びに/又は疾患、障害及び/若しくは状態の初期徴候のみを示す対象の治療であり得る。いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/又は状態の1つ以上の確定的な徴候を示す対象の治療であり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態に罹患していると診断された対象の治療であり得る。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが既知である対象の治療であり得る。
【0137】
「ベクター」という用語は、提供される核酸配列を含むか、又は組み込むように改変されたレシピエント核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは、追加のDNAがライゲーションされ得る環状二本鎖DNA分子を指す「プラスミド」である。別の種類のベクターは、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノムにライゲーションされ得る。特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞で自律複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよく、それによって宿主ゲノムと共に複製される。更に、特定のベクターは、それらが作動可能に連結されている挿入遺伝子の発現を指示する配列を含む。そのようなベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称され得る。標準技術が、ベクターの操作に使用することができ、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))に見られ、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
本開示の目的のための「遺伝子」は、遺伝子産物をコードするDNA領域(以下を参照)、及び遺伝子産物の産生を調節する全てのDNA領域を含み、かかる調節配列がコード配列及び/又は転写配列に隣接するか否かにかかわらない。したがって、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、リボソーム結合部位及び内部リボソーム進入部位などの翻訳調節配列、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界エレメント、複製起点、マトリックス付着部位及び遺伝子座制御領域を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
【0139】
本開示は、特に反対に示されない限り、当該技術分野の技術の範囲内である、化学、生化学、有機化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、遺伝学、免疫学、及び細胞生物学の方法を用いることができ、その多くは、例示の目的で以下に記載される。そのような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Edition,2001)、Maniatis et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(1982)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,updated July 2008)、Short Protocols in Molecular Biology:A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology,Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience、Glover,DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II(IRL Press,Oxford,1985)、Anand,Techniques for the Analysis of Complex Genomes,(Academic Press,New York,1992)、Transcription and Translation(B.Hames & S.Higgins,Eds.,1984)、Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984)、Harlow and Lane,Antibodies,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1998)Current Protocols in Immunology Q.E.Coligan,A.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevach and W.Strober,eds.,1991)、Annual Review of Immunology、並びにAdvances in Immunologyなどのジャーナルのモノグラフを参照されたい。
【0140】
再発性又は難治性(r/r)B細胞悪性腫瘍などのB細胞悪性腫瘍の治療のための、1つ以上の細胞表面抗原を標的とする次世代CAR T細胞療法が本明細書に開示される。同種異系キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、健康なヒトドナーに由来するT細胞から操作され得る。自己キメラ抗原受容体(CAR)T細胞は、適切なヒト癌患者から操作され得る。これらの操作されたT細胞は、CAR構築物、特定の局面において、抗CD19 CARの遺伝子をコードする操作されたレトロウイルスベクターの挿入を受ける。次世代CAR構築物は、CD3γ、CD3δ、CD3ε、新規の改変されたCD3ε又はDAP-12を含む5つのシグナル伝達ドメインのうちの1つを、CARにおいて標準であるCD3ゼータの代替物として利用する。
【0141】
CD19(分化分類19、Bリンパ球抗原CD19、Bリンパ球表面抗原B4、B4、CVID3、分化抗原CD19としても知られる)は、ヒトにおいてCD19遺伝子によってコードされるタンパク質である。別途示されない限り、本開示におけるCD19への言及は、ヒトCD19に関することが理解される必要がある。それはB細胞の表面上に見出される。CD19発現はB細胞の顕著な特徴であるので、それは、例えばB細胞及びB細胞から生じる癌細胞、例えばB細胞リンパ腫を認識する際の抗原として有用であり得る。抗CD19抗体は、いくつかの非限定的な例を提供するために、例えば末梢血及び脾臓中のBリンパ球、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)細胞、前リンパ球性白血病(PLL)細胞、毛様細胞白血病(HCL)細胞、一般的急性リンパ芽球性白血病(CALL)細胞、プレB急性リンパ芽球性白血病(プレB-ALL)細胞、及びNULL-急性リンパ芽球性白血病(NULL-ALL)細胞上で発現されるCD19に結合し得る。抗CD19結合ドメインを含む抗原結合システムを含む例示的な医薬品は、医薬品YESCARTA(登録商標)である。YESCARTA(登録商標)は、CD19指向の遺伝子組み換え自己T細胞免疫療法である(免疫療法に関連する方法及び組成物に関しては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、YESCARTA(登録商標)FDA承認の添付文書を参照のこと)。抗CD19結合ドメインを含む抗原結合システムを含む別の例示的な医薬品は、医薬品KYMRIAH(登録商標)である。
【0142】
YESCARTA(登録商標)及びKYMRIAH(登録商標)は両方とも、抗ヒトCD19抗体に由来する抗原結合ドメインを含む。多くの抗CD19抗体は、CD19遺伝子のエクソン4にコードされるCD19のエピトープに結合すると考えられている。他の抗CD19結合ドメインは、CD19の異なるエピトープ、又は異なる親和性を有する同じエピトープを認識し得る。
【0143】
本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に記載の抗体において見出される抗原結合配列を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される抗原結合断片を含む。
【0144】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される少なくとも1つのHCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも1つのHCDRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される2つのHCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも2つのHCDRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される3つのHCDR、例えば、表4又は表5に開示される3つのHCDRを含む。
【0145】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される少なくとも1つのLCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも1つのLCDRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される2つのLCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも2つのLCDRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される3つのLCDR、例えば、表4又は表5に開示される3つのLCDRを含む。
【0146】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される少なくとも1つのHCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも1つのHCDRと、本明細書に提供される少なくとも1つのLCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも1つのLCDRと、を含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される2つのHCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも2つのHCDRと、本明細書に提供される2つのLCDR、例えば、表4又は表5に開示される少なくとも2つのLCDRと、を含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に提供される3つのHCDR、例えば、表4又は表5に開示される3つのHCDRと、本明細書に提供される3つのLCDR、例えば、表4又は表5に開示される3つのLCDRと、を含む。
【0147】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される重鎖可変ドメインの少なくとも1つの重鎖フレームワーク領域(重鎖FR)、例えば、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインの少なくとも1つの重鎖FRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される重鎖可変ドメインの2つの重鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインの少なくとも2つの重鎖FRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される重鎖可変ドメインの3つの重鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインの3つの重鎖FRを含む。
【0148】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも1つの軽鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも1つの軽鎖FRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される軽鎖可変ドメインの2つの軽鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも2つの軽鎖FRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される軽鎖可変ドメインの3つの軽鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインの3つの軽鎖FRを含む。
【0149】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される重鎖可変ドメインの少なくとも1つの重鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインの少なくとも1つの重鎖FRと、本明細書に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも1つの軽鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも1つの軽鎖FRと、を含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される重鎖可変ドメインの2つの重鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインの少なくとも2つの重鎖FRと、本明細書に開示される軽鎖可変ドメインの2つの軽鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも2つの軽鎖FRと、を含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、本明細書に開示される重鎖可変ドメインの3つの重鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインの3つの重鎖FRと、本明細書に開示される軽鎖可変ドメインの3つの軽鎖FR、例えば、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインの少なくとも3つの軽鎖FRと、を含む。
【0150】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、一緒に又はそれぞれ個別に少なくとも表4又は表5に開示されている重鎖可変ドメインの重鎖可変ドメインの対応するFRに対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する1つ、2つ、又は3つのFRを含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、一緒に又はそれぞれ個別に少なくとも表4又は表5に開示されている軽鎖可変ドメインの軽鎖可変ドメインの対応するFRに対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する1つ、2つ、又は3つのFRを含む。
【0151】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性を有する少なくとも1つの重鎖可変ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性を各々有する2つの重鎖可変ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を含み、重鎖可変ドメインは同じであっても異なっていてもよい。
【0152】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性を有する少なくとも1つの軽鎖可変ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を含む。様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性を各々有する2つの軽鎖可変ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を含み、軽鎖可変ドメインは同じであっても異なっていてもよい。
【0153】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性を有する少なくとも1つの重鎖可変ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)、並びに表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する少なくとも1つの軽鎖可変ドメインを含む。
【0154】
様々な実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、表4又は表5に開示される重鎖可変ドメインに対して少なくとも75%の配列同一性を各々有する2つの重鎖可変ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)と、表4又は表5に開示される軽鎖可変ドメインに対して各々が少なくとも75%の配列同一性(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を各々有する2つの軽鎖可変ドメインと、を含み、様々な実施形態では、(i)重鎖可変ドメインの各々は、同じであっても異なっていてもよいか、(ii)軽鎖可変ドメインの各々は、同じであっても異なっていてもよい。
【0155】
キメラ抗原受容体(CAR)は、選択された抗原を標的とするようにT細胞(例えば、ドナーT細胞)を指向又は再指向させることができる操作された受容体である。CARは、抗原を認識し、その抗原(CD19など)に結合すると免疫細胞を活性化して、その抗原を有する細胞を攻撃し破壊するように操作され得る。これらの抗原が腫瘍細胞上に存在する場合、CARを発現する免疫細胞は、腫瘍細胞を標的化して死滅させ得る。CARは、概して、抗原結合を媒介する細胞外結合ドメイン(例えば、抗CD19結合ドメイン)、CARが細胞表面又は細胞膜に存在する場合に細胞膜にわたるか又はこれにわたると理解される膜貫通ドメイン、及び細胞内(又は細胞質)シグナル伝達ドメインを含む。
【0156】
1つ以上の抗原結合ドメインが、抗原結合系の標的を決定する。結合ドメインは、任意の目的の抗原に対する結合ドメイン、例えば本開示によって提供される抗体、例えば本開示の結合モチーフを含み得る。結合ドメインは、他のCAR成分と共に一本鎖の一部として発現されるように操作され得るため、少なくとも部分的にキメラ抗原受容体において使用される。例えば、米国特許第7,741,465号及び同第6,319,494号、並びにEshhar et al.,Cancer Immunol Immunotherapy(1997)45:131-136、Krause et al.,J.Exp.Med.,Volume188,No.4,1998(619-626)、Finney et al.,Journal of Immunology,1998,161:2791-2797を参照されたく、これらの各々は、CARにおける結合ドメインに関して参照により本明細書に組み込まれる。結合ドメイン又はscFvは、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む一本鎖抗原結合断片であり、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインは互いに連結又は接続されている。例えば、米国特許第7,741,465号及び同第6,319,494号、並びにEshhar et al.,Cancer Immunol Immunotherapy(1997)45:131-136を参照されたく、これらの各々は、結合ドメインに関して参照により本明細書に組み込まれる。親抗体に由来する場合、結合ドメインは、標的抗原の親抗体の結合の一部を保持しても、全てを保持しても、又は本質的に保持してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるCARは、癌細胞上に発現される抗原に結合するscFv(マウス、ヒト、又はヒト化scFv)であり得る抗原特異的結合ドメインを含む。特定の実施形態では、scFvは、CD19に結合する。
【0157】
特定の実施形態では、本明細書で企図されるCARは、様々なドメイン間に、例えば、VHドメインとVLドメインとの間に、分子の適切な間隔立体配座のために追加されるリンカー残基を含み得る。本明細書で企図されるCARは、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ以上のリンカーを含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーの長さは、約1~約25アミノ酸、約5~約20アミノ酸、又は約10~約20アミノ酸、又は任意の介在する長さのアミノ酸である。いくつかの実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上のアミノ酸長である。
【0158】
リンカーの例示的な例としては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(G1~51~5)n(式中、nは、少なくとも1、2、3、4、又は5の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当該技術分野で既知の他の柔軟なリンカーが挙げられる。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、したがって、本明細書に記載のCARなどの融合タンパク質のドメイン間の中性テザーとして機能することができる。グリシンは、更にアラニンよりもファイ-プサイ空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限が少ない(Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。本明細書で企図される他のリンカーとしては、Whitlowリンカー(Whitlow,Protein Eng.6(8):989-95(1993)を参照されたい)が含まれる。当業者は、いくつかの実施形態におけるCARの設計が、全て又は部分的に柔軟なリンカーを含み得、それにより、リンカーが、柔軟リンカー、並びに所望のCAR構造を提供するようにより低い柔軟構造を付与する1つ以上の部分を含み得ることを認識するであろう。一実施形態では、本明細書に記載の構築物のいずれかは、「GS」リンカーを含み得る。別の実施形態では、本明細書に記載の構築物のいずれかは、「GSG」リンカーを含む。一例において、グリシン-セリンリンカーは、アミノ酸配列GS(配列番号45)を含むか、又はそれからなる。一例において、グリシン-セリンリンカーは、アミノ酸配列GGGSGGGS(配列番号46)を含むか、又はそれからなる。別の実施形態では、配列番号22のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を含む。
【0159】
特定の実施形態では、抗CD19結合ドメインは、本開示の重鎖可変ドメインと、本開示の軽鎖可変ドメインと、配列番号22に対して少なくとも75%の配列同一性を有するリンカーと、を含む結合ドメイン(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を含む。特定の実施形態では、本開示の抗CD19結合ドメインは、配列番号22に記載のリンカーを含む結合ドメインを含む。
【0160】
本明細書に記載の操作されたCARはまた、scFv又は抗原結合ドメインのN末端にN末端シグナルペプチド又はタグを含み得る。一実施形態では、異種シグナルペプチドを使用することができる。抗原結合ドメイン又はscFVは、新生タンパク質を小胞体に誘導し続いて細胞表面に移行させるリーダー又はシグナルペプチドに融合され得る。シグナルペプチドを含有するポリペプチドが細胞表面で発現されると、シグナルペプチドは、概して、小胞体内のポリペプチドの処理及び細胞表面への移行中にタンパク質分解的に除去されることが理解される。したがって、本明細書に記載のCAR構築物などのポリペプチドは、概して、シグナルペプチドを欠く成熟タンパク質として細胞表面で発現されるが、ポリペプチドの前駆体形態は、シグナルペプチドを含む。当該技術分野で既知の任意の好適なシグナル配列を使用することができる。同様に、当該技術分野で既知の任意の既知のタグ配列もまた使用してもよい。特定の実施形態では、本開示の結合ドメインは本開示の重鎖可変ドメイン、本開示の軽鎖可変ドメイン、及び配列番号44と少なくとも75%の配列同一性を有するシグナル配列(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)、MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号44)を含む、抗CD19結合ドメインを含む。
【0161】
実施形態では、CARは、可変領域連結配列を更に含むscFvを含む。「可変領域連結配列」は、重鎖可変領域を軽鎖可変領域に接続し、かつ得られたポリペプチドが同じ軽鎖及び重鎖可変領域を含む抗体と同じ標的分子への特異的結合親和性を保持するように、2つの亜結合ドメインの相互作用と適合性のあるスペーサー機能を提供するアミノ酸配列である。一実施形態では、可変領域連結配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上のアミノ酸長である。
【0162】
実施形態では、CARの結合ドメインに続いて1つ以上の「スペーサードメイン」が続き、これは、抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離れるように移動させて、適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする領域を指す(Patel et al.,Gene Therapy,1999、6:412-419)。スペーサードメインは、天然、合成、半合成、又は組換え供給源のいずれかに由来し得る。特定の実施形態では、スペーサードメインは、免疫グロブリンの一部であり、これには、1つ以上の重鎖定常領域、例えばCH2及びCH3が含まれるが、これらに限定されない。スペーサードメインは、天然に存在する免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る。
【0163】
CARの結合ドメインは、概して、1つ以上の「ヒンジドメイン」が続くことができ、これは抗原結合ドメインをエフェクター細胞表面から離して位置付けて適切な細胞/細胞接触、抗原結合、及び活性化を可能にする役割を果たす。CARは、概して、結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に1つ以上のヒンジドメインを含む。ヒンジドメインは、天然、合成、半合成、又は組換え供給源のいずれかに由来し得る。ヒンジドメインは、天然に存在する免疫グロブリンヒンジ領域又は改変された免疫グロブリンヒンジ領域のアミノ酸配列を含み得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、本開示の抗原結合系は、免疫グロブリン様ヒンジドメインであるか、それからであるか、又はそれに由来する(例えば、免疫グロブリン様ヒンジドメインの全て又は断片を含む)ヒンジを含み得る。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、免疫グロブリンからであるか、又は免疫グロブリンに由来する。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、若しくはIgMのヒンジ、又はその断片から選択される。
【0165】
ヒンジは、天然の供給源又は合成の供給源に由来し得る。本明細書に記載のCARに使用するのに好適なヒンジドメインは、CD8α、CD4、CD28、及びCD7などの1型の膜タンパク質の細胞外領域に由来するヒンジ領域を含み、これらは、これらの分子の野生型ヒンジ領域であり得るか、又は変更され得、例えば、切断型CD28ヒンジドメインであってよい。ヒンジは、天然の供給源又は合成の供給源に由来し得る。いくつかの実施形態では、本開示の抗原結合システムは、CD2、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD4、CD7、CD8α、CD8β、CD11a(ITGAL)、CD11b(ITGAM)、CD11c(ITGAX)、CD11d(ITGAD)、CD18(ITGB2)、CD19(B4)、CD27(TNFRSF7)、CD28、CD28T、CD29(ITGB1)、CD30(TNFRSF8)、CD40(TNFRSF5)、CD48(SLAMF2)、CD49a(ITGA1)、CD49d(ITGA4)、CD49f(ITGA6)、CD66a(CEACAM1)、CD66b(CEACAM8)、CD66c(CEACAM6)、CD66d(CEACAM3)、CD66e(CEACAM5)、CD69(CLEC2)、CD79A(B細胞抗原受容体複合体関連アルファ鎖)、CD79B(B細胞抗原受容体複合体関連ベータ鎖)、CD84(SLAMF5)、CD96(Tactile)、CD100(SEMA4D)、CD103(ITGAE)、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD158A(KIR2DL1)、CD158B1(KIR2DL2)、CD158B2(KIR2DL3)、CD158C(KIR3DP1)、CD158D(KIRDL4)、CD158F1(KIR2DL5A)、CD158F2(KIR2DL5B)、CD158K(KIR3DL2)、CD160(BY55)、CD162(SELPLG)、CD226(DNAM1)、CD229(SLAMF3)、CD244(SLAMF4)、CD247(CD3-ゼータ)、CD258(LIGHT)、CD268(BAFFR)、CD270(TNFSF14)、CD272(BTLA)、CD276(B7-H3)、CD279(PD-1)、CD314(NKG2D)、CD319(SLAMF7)、CD335(NK-p46)、CD336(NK-p44)、CD337(NK-p30)、CD352(SLAMF6)、CD353(SLAMF8)、CD355(CRTAM)、CD357(TNFRSF18)、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、LFA-1(CD11a/CD18)、NKG2C,DAP-10、ICAM-1、NKp80(KLRF1)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、LFA1-1、SLAMF9、LAT、GADS(GrpL)、SLP-76(LCP2)、PAG1/CBP、CD83リガンド、Fcガンマ受容体、MHCクラス1分子、MHCクラス2分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリンタンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、活性化NK細胞受容体、若しくはTollリガンド受容体、又はそれらの断片若しくは組み合わせであるか、それらからであるか、又はそれらに由来する(例えば、これらの全て又は断片を含む)ヒンジを含み得る。実施形態では、ヒンジドメインは、CD28ヒンジ領域を含む。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号47(IEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列番号47))に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD28由来のヒンジドメインを含む。実施形態では、ヒンジドメインは、CD28Tヒンジ領域を含む。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号48(LDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKP(配列番号48))に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD28由来のヒンジドメインを含む。実施形態では、ヒンジドメインは、CD8aヒンジ領域を含む。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号49又は77FVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD(配列番号49)TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACD(配列番号77))に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD8a由来のヒンジドメインを含む。
【0166】
これらのヒンジドメインのポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列は既知である。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインをコードするポリヌクレオチドは、既知のヌクレオチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヒンジドメインのポリペプチド配列は、既知のポリペプチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のポリペプチド配列を含む。
【0167】
一般に、(例えば、抗原結合系の)「膜貫通ドメイン」は、細胞表面又は細胞膜の分子中に存在する場合に膜内に存在する(例えば、細胞膜の一部又は全部にわたる)という属性を有するドメインを指す。本開示の抗原結合系の共刺激ドメインは、膜貫通ドメイン及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインを更に含んでもよい。膜貫通ドメイン中の全てのアミノ酸が膜内に存在する必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、タンパク質の指定されたひと続き又は部分が実質的に膜内に位置することを特徴とする。アミノ酸配列又は核酸配列は、タンパク質の細胞内局在化(例えば、膜貫通局在化)を予測するための様々なアルゴリズムを使用して分析され得る。プログラムpsort(PSORT.org)及びProsite(prosite.expasy.org)は、そのようなプログラムの例である。
【0168】
本明細書に記載の抗原結合系に含まれる膜貫通ドメインのタイプは、いかなるタイプにも限定されない。いくつかの実施形態では、結合ドメイン及び/又は細胞内ドメインと天然に会合している膜貫通ドメインが選択される。いくつかの例では、膜貫通ドメインは、例えば、同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、1つ以上のアミノ酸の改変(例えば、欠失、挿入、及び/又は置換)を含む。膜貫通ドメインは、天然又は合成のいずれかの供給源に由来し得る。供給源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。例示的な膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、又はゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD3デルタ、CD3ガンマ、CD45、CD4、CD5、CD7、CD8、CD8アルファ、CD8ベータ、CD9、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CD16、CD22、CD27、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、TNFSFR25、CD154、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD276(B7-H3)、CD29、CD30、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD84、CD96(Tactile)、CDS、CEACAM1、CRTAM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcガンマ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICAM-1、Igアルファ(CD79a)、IL-2Rベータ、IL-2Rガンマ、IL-7Rアルファ、誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGB1、KIRDS2、LAT、LFA-1、LFA-1、CD83と結合するリガンド、LIGHT、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1、CD1-1a/CD18)、MHCクラス1分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム死-1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、SLAMF4(CD244、2B4)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらの断片、切断、若しくは組み合わせに由来し得る(例えば、少なくとも膜貫通ドメインを含み得る)。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは合成であり得る(並びに、例えば、ロイシン及びバリンなどの主に疎水性の残基を含むことができる)。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインの両端に含まれる。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞質ドメインに直接連結又は接続される。いくつかの実施形態では、短いオリゴ又はポリペプチドリンカー(例えば、2~10アミノ酸長)は、膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの間の連結を形成し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン-セリンダブレットである。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号50(FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号50))のものに対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD28由来のTMドメインを含む。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号51又は配列番号78の(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)に対して少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCD8a由来のTMドメインを含む。
(IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRN(配列番号51))。(IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号78))。
【0169】
本明細書で提供される膜貫通ドメインのポリヌクレオチド配列及びポリペプチド配列は既知である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインをコードするポリヌクレオチドは、既知のヌクレオチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインのポリペプチド配列は、既知のポリペプチド配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%(例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)同一のポリペプチド配列を含む。任意選択的に、短いスペーサーが、CARの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインのいずれか又はいくつかの間に連結を形成し得る。
【0170】
免疫細胞への抗原の結合時にシグナルを伝達し得る細胞内シグナル伝達ドメインは既知であり、そのいずれも本開示の抗原結合系に含まれ得る。例えば、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列は、抗原へのTCRの結合後にシグナル形質導入を開始することが既知である(例えば、Brownlie et al.,Nature Rev.Immunol.13:257-269(2013))。
【0171】
実施形態では、本明細書で企図されるCARは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、標的抗原に結合する効果的なCARのメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に伝達して、CAR結合標的細胞への細胞毒性因子の放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合で誘発された他の細胞応答を含む、エフェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖、及び細胞毒性活性を誘発することに関与する、CARの一部を指す。いくつかの実施形態において、シグナル伝達ドメイン及び/又は活性化ドメインは、CD3γ、CD3δ、CD3ε、もしくはDAP-12、又はそれらの断片、切断型、もしくは組み合わせに由来する細胞質シグナル伝達ドメインを含む。
【0172】
「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性又はサイトカインの分泌を含む援助若しくは活性であり得る。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞を特殊な機能を果たすように指示するタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体が使用され得るが、多くの場合、ドメイン全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断部分が使用される限りにおいて、そのような切断部分は、エフェクター機能シグナルを変換する限り、ドメイン全体の代わりに使用され得る。細胞内シグナル伝達ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断部分を含むことを意味する。
【0173】
一実施形態では、CARは、KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI(配列番号52)に従って少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD3εドメインを有する。
実施形態では、CD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
AAGAACCGGAAGGCCAAGGCCAAGCCTGTGACAAGAGGTGCTGGTGCTGGCGGCAGACAGAGAGGCCAGAACAAAGAAAGACCTCCTCCTGTGCCTAATCCTGACTACGAGCCCATCCGGAAGGGCCAGAGAGATCTGTACAGCGGCCTGAACCAGCGGCGGATT(配列番号53)。
実施形態では、CD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAGGCGAATT(配列番号54)。
【0174】
一実施形態では、CARは、以下に記載の配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するイプシロン-CO(Δ181-185)と呼ばれる新規のCD3εドメインを有する。
KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGL(配列番号87)。実施形態では、イプシロン-CO(Δ181-185)と呼ばれるCD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTC(配列番号79)。
【0175】
一実施形態では、CARは、以下に記載の配列を有する少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するイプシロン-CO(R183K)と呼ばれる新規のCD3εドメインを有する。
KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI(配列番号88)。実施形態では、イプシロン-CO(R183K)と呼ばれるCD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAAGCGAATT(配列番号80)。
【0176】
一実施形態では、CARは、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するイプシロン-CO(S178N.R183K)と呼ばれる新規のCD3εドメインを有する。
KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI(配列番号89)。実施形態では、CD3εドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACAACGGTCTCAATCAGAAGCGAATT(配列番号81)。
【0177】
特定の態様では、新規CD3εドメイン、イプシロン-CO(Δ181-185)、イプシロン-CO(R183K)、及びイプシロン-CO(S178N.R183K)は、細胞膜へのCARの輸送を改善する。
【0178】
一実施形態では、CARは、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD3εドメインを有する。
GHETGRLSGAADTQALLRNDQVYQPLRDRDDAQYSHLGGNWARNK(配列番号55)。実施形態では、CD3δドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GGACACGAAACAGGCAGACTTTCTGGCGCCGCTGATACACAGGCCCTGCTGAGAAACGACCAGGTGTACCAGCCTCTGAGAGACAGAGATGACGCCCAGTACTCTCACCTCGGCGGCAATTGGGCCAGAAACAAG(配列番号56)。
【0179】
一実施形態では、CARは、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD3γドメインを有する。
GQDGVRQSRASDKQTLLPNDQLYQPLKDREDDQYSHLQGNQLRRN(配列番号57)。
実施形態では、CD3γドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GGACAGGATGGCGTCAGACAGAGCAGAGCCAGCGACAAGCAAACCCTGCTGCCTAACGACCAGCTGTACCAGCCTCTGAAGGACAGAGAGGACGACCAGTACAGCCATCTGCAGGGCAACCAGCTGCGGAGAAAC(配列番号58)。
【0180】
一実施形態では、CARは、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するDAP-12ドメインを有する。
YFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK(配列番号59)。実施形態では、DAP-12ドメインは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
TACTTCCTGGGCAGACTGGTGCCTAGAGGAAGAGGAGCTGCTGAGGCTGCTACCAGAAAGCAGAGAATCACCGAGACCGAGAGCCCTTACCAGGAGCTGCAGGGACAGAGAAGCGACGTGTACAGCGACCTGAACACCCAGAGACCTTACTACAAG(配列番号60)。
【0181】
TCRのみを介して生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次又は共刺激シグナルも必要とされ得ることが既知である。したがって、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞内シグナル伝達ドメイン:TCRを介して抗原依存的に一次活性化を開始する一次シグナル伝達ドメイン(例えば、TCR/CD3複合体)及び抗原非依存的に作用して二次又は共刺激シグナルを提供する共刺激シグナル伝達ドメインによって媒介されると言うことができる。いくつかの実施形態では、本明細書で企図されるCARは、1つ以上の「共刺激シグナル伝達ドメイン」及び「一次シグナル伝達ドメイン」を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0182】
本明細書で企図されるCARは、CAR受容体を発現するT細胞の有効性及び増殖を増強するための1つ以上の共刺激シグナル伝達ドメインを含む。本明細書で使用される場合、「共刺激シグナル伝達ドメイン」又は「共刺激ドメイン」という用語は、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを指す。いくつかの実施形態では、共刺激分子は、CD27、CD28、CD137(4-IBB)、OX40(CD134)、CD30、CD40、PD-I、ICOS(CD278)、CTLA4、LFA-1、CD2、CD7、LIGHT、TRIM、LCK3、SLAM、DAPIO、LAG3、HVEM、及びNKD2C、及びCD83を含み得る。実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号61に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有するCD28共刺激ドメインを含む。RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号61)。
【0183】
実施形態では、本明細書に記載のCARは、配列番号77に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する4-1BB共刺激ドメインを含む。KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCE(配列番号77)。
【0184】
CARの成分は、バイオテクノロジーの日常的な技術を使用して同等の成分と交換又は「スワップ」され得る。非限定的かつ部分的ないくつかの例では、本開示のCARは、本明細書で提供されるヒンジ及び本明細書で提供される共刺激ドメインと組み合わせて、本明細書で提供される結合ドメインを含み得る。特定の例では、本開示のCARは、本明細書で提供されるリーダー配列を、本明細書で提供される結合ドメインと一緒に、本明細書で提供されるヒンジ及び本明細書で提供される共刺激ドメインと組み合わせて含み得る。
【0185】
特定の態様では、本開示は、本明細書において提供される抗CD19結合ドメインをコードする核酸を含む。特定の更なる態様では、本開示は、抗CD19結合ドメインをコードする核酸を含むがこれに限定されない、本明細書で提供される抗体をコードする核酸を含む。特定の更なる態様では、本開示は、抗CD19キメラ抗原受容体をコードする核酸を含むがこれに限定されない、本明細書で提供される抗原結合系をコードする核酸を含む。
【0186】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)でアミノ酸配列を含む。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSKNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI(配列番号62)。実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載のアミノ酸配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GATATACAGATGACCCAAACGACGTCTAGCCTCAGTGCGTCACTCGGGGATCGGGTGACAATTAGCTGCAGGGCTAGCCAGGATATTTCAAAATATCTTAACTGGTATCAACAAAAGCCAGATGGAACCGTAAAACTGCTCATATACCACACCAGTCGCCTGCATTCAGGGGTTCCGAGCCGCTTTTCTGGGAGCGGTAGCGGAACtGAtTATAGCTTGACAATAAGCAACCTCGAGCAGGAAGACATTGCGACGTACTTCTGTCAGCAAGGGAACACGCTGCCGTATACCTTCGGTGGCGGCACTAAACTGGAAATCACGGGATCTACGTCTGGATCCGGAAAACCTGGATCTGGTGAAGGATCCACTAAAGGCGAAGTCAAGTTGCAAGAGTCTGGACCTGGTCTCGTGGCACCTTCACAGTCACTCTCCGTTACCTGTACCGTATCTGGAGTTTCACTTCCCGACTATGGCGTGTCATGGATACGCCAACCACCGCGAAAAGGTCTTGAATGGCTGGGCGTTATCTGGGGATCCGAAACCACATACTACAACTCTGCGCTCAAGTCACGGCTGACTATTATAAAGGACAATTCAAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAAATGAACAGCCTGCAGACTGATGACACTGCAATATATTACTGCGCCAAGCATTACTATTACGGCGGATCTTACGCGATGGATTATTGGGGCCAGGGCACCTCTGTAACAGTCAGCTCCGCGGCCGCATTGGACAATGAAAAATCCAATGGCACAATAATTCATGTAAAGGGCAAACACTTGTGTCCTAGCCCACTCTTTCCTGGTCCGTCTAAACCGTTTTGGGTGCTCGTTGTGGTTGGAGGCGTCCTGGCTTGTTACTCTCTGTTGGTGACTGTAGCCTTTATAATATTCTGGGTTAGAAGCAAACGAAGTAGGCTTTTACATTCAGACTATATGAACATGACACCAAGACGCCCCGGCCCCACAAGAAAACACTATCAGCCCTATGCTCCGCCTCGGGACTTCGCTGCTTACCGAAGCAAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAGGCGAATT(配列番号63)。実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCAAGAACCGGAAGGCCAAGGCCAAGCCTGTGACAAGAGGTGCTGGTGCTGGCGGCAGACAGAGAGGCCAGAACAAAGAAAGACCTCCTCCTGTGCCTAATCCTGACTACGAGCCCATCCGGAAGGGCCAGAGAGATCTGTACAGCGGCCTGAACCAGCGGCGGATT(配列番号64)。
【0187】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSGHETGRLSGAADTQALLRNDQVYQPLRDRDDAQYSHLGGNWARNK(配列番号65)。実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCGGACACGAAACAGGCAGACTTTCTGGCGCCGCTGATACACAGGCCCTGCTGAGAAACGACCAGGTGTACCAGCCTCTGAGAGACAGAGATGACGCCCAGTACTCTCACCTCGGCGGCAATTGGGCCAGAAACAAG(配列番号66)。
【0188】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSGQDGVRQSRASDKQTLLPNDQLYQPLKDREDDQYSHLQGNQLRRN(配列番号67)。
【0189】
実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCGGACAGGATGGCGTCAGACAGAGCAGAGCCAGCGACAAGCAAACCCTGCTGCCTAACGACCAGCTGTACCAGCCTCTGAAGGACAGAGAGGACGACCAGTACAGCCATCTGCAGGGCAACCAGCTGCGGAGAAAC(配列番号68)。
【0190】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSYFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK(配列番号69)。
【0191】
実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCTACTTCCTGGGCAGACTGGTGCCTAGAGGAAGAGGAGCTGCTGAGGCTGCTACCAGAAAGCAGAGAATCACCGAGACCGAGAGCCCTTACCAGGAGCTGCAGGGACAGAGAAGCGACGTGTACAGCGACCTGAACACCCAGAGACCTTACTACAAG(配列番号70)。
【0192】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号71)。
【0193】
実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCAGGGTGAAGTTCTCAAGAAGCGCTGACGCTCCTGCTTACCAACAAGGCCAAAACCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGAAGAAGAGAGGAATACGACGTCCTGGACAAGAGAAGAGGAAGAGACCCTGAGATGGGAGGAAAGCCAAGAAGAAAGAACCCTCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAAAAGGACAAGATGGCTGAGGCTTACTCCGAGATCGGAATGAAGGGAGAGAGAAGAAGAGGAAAGGGACACGACGGACTGTACCAAGGCCTGAGCACCGCTACCAAGGACACCTACGACGCTCTGCACATGCAAGCCCTGCCTCCTAGG(配列番号72)。
【0194】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLFNELQKDKMAEAFSEIGMKGERRRGKGHDGLFQGLSTATKDTFDALHMQALPPR(配列番号73)。
【0195】
実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCCGGGTGAAGTTCTCAAGAAGCGCTGACGCTCCTGCTTACCAACAAGGCCAAAACCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGAAGAAGAGAGGAATACGACGTCCTGGACAAGAGAAGAGGAAGAGACCCTGAGATGGGAGGAAAGCCAAGAAGAAAGAACCCTCAAGAGGGCCTGTTTAACGAGCTGCAAAAGGACAAGATGGCTGAGGCTTTCTCCGAGATCGGAATGAAGGGAGAGAGAAGAAGAGGAAAGGGACACGACGGACTGTTCCAAGGCCTGAGCACCGCTACCAAGGACACCTTCGACGCTCTGCACATGCAAGCCCTGCCTCCTAGG(配列番号74)。
【0196】
実施形態では、抗CD19 CAR構築物は、以下に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有するアミノ酸配列を有する。
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLEITGSTSGSGKPGSGEGSTKGEVKLQESGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTSVTVSSAAALDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号75)。
【0197】
実施形態では、抗CD19 CARは、以下に記載の配列を有する核酸に対して少なくとも75%の配列同一性(少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%の同一性など、例えば、85~90%、85~95%、85~100%、90~95%、90~100%、又は95~100%)を有する核酸によってコードされる。
GATATACAGATGACCCAAACGACGTCTAGCCTCAGTGCGTCACTCGGGGATCGGGTGACAATTAGCTGCAGGGCTAGCCAGGATATTTCAAAATATCTTAACTGGTATCAACAAAAGCCAGATGGAACCGTAAAACTGCTCATATACCACACCAGTCGCCTGCATTCAGGGGTTCCGAGCCGCTTTTCTGGGAGCGGTAGCGGAACtGAtTATAGCTTGACAATAAGCAACCTCGAGCAGGAAGACATTGCGACGTACTTCTGTCAGCAAGGGAACACGCTGCCGTATACCTTCGGTGGCGGCACTAAACTGGAAATCACGGGATCTACGTCTGGATCCGGAAAACCTGGATCTGGTGAAGGATCCACTAAAGGCGAAGTCAAGTTGCAAGAGTCTGGACCTGGTCTCGTGGCACCTTCACAGTCACTCTCCGTTACCTGTACCGTATCTGGAGTTTCACTTCCCGACTATGGCGTGTCATGGATACGCCAACCACCGCGAAAAGGTCTTGAATGGCTGGGCGTTATCTGGGGATCCGAAACCACATACTACAACTCTGCGCTCAAGTCACGGCTGACTATTATAAAGGACAATTCAAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAAATGAACAGCCTGCAGACTGATGACACTGCAATATATTACTGCGCCAAGCATTACTATTACGGCGGATCTTACGCGATGGATTATTGGGGCCAGGGCACCTCTGTAACAGTCAGCTCCGCGGCCGCATTGGACAATGAAAAATCCAATGGCACAATAATTCATGTAAAGGGCAAACACTTGTGTCCTAGCCCACTCTTTCCTGGTCCGTCTAAACCGTTTTGGGTGCTCGTTGTGGTTGGAGGCGTCCTGGCTTGTTACTCTCTGTTGGTGACTGTAGCCTTTATAATATTCTGGGTTAGAAGCAAACGAAGTAGGCTTTTACATTCAGACTATATGAACATGACACCAAGACGCCCCGGCCCCACAAGAAAACACTATCAGCCCTATGCTCCGCCTCGGGACTTCGCTGCTTACCGAAGCAGAGTTAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCACCTGCCTACCAaCAAGGGCAGAATCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAGGAATACGATGTGCTGGACAAGAGGAGAGGCAGAGACCCCGAGATGGGCGGCAAACCTAGAAGAAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTATAATGAGCTCCAGAAGGATAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAAAGAAGAAGAGGCAAGGGCCACGACGGCCTCTACCAGGGCTTAAGCACAGCTACTAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAAGCTCTGCCCCCTAGA(配列番号76)。
【0198】
概して、任意の適切なウイルスベクター又はベクターが、本明細書に記載の操作された構築物の形質導入に使用され得ることが理解される。本明細書に記載の一実施形態では、細胞(例えば、T細胞)は、本明細書に記載の操作された抗CD19 CARをコードするレトロウイルスベクター、例えばγレトロウイルスベクターで形質導入される。
【0199】
本明細書で使用される場合、「レトロウイルス」という用語は、そのゲノムRNAを直鎖状二本鎖DNAコピーに逆転写し、続いてそのゲノムDNAを宿主ゲノムに共有結合的に統合するRNAウイルスを指す。いくつかの実施形態での使用に好適な例示的なレトロウイルスには、以下が含まれるが、これらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus、M-MuLV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(Moloney murine sarcoma virus、MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(murine mammary tumor virus、HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(murine mammary tumor virus、MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(gibbon ape leukemia virus、GaLV)、ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus、FLV)、スプーマウイルス、フレンドマウス白血病ウイルス、マウス幹細胞ウイルス(Murine Stem Cell Virus、MSCV)、ラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus、RSV)及びレンチウイルス。
【0200】
本明細書で使用される場合、「レンチウイルス」という用語は、複合体レトロウイルスのグループ(又は属)を指す。例示的なレンチウイルスには、以下が含まれるが、これらに限定されない:HIV(human immunodeficiency virus、ヒト免疫不全ウイルス、HIV1型、及びHIV2型を含む)、ビスナ・マエディウイルス(visna-maedi virus、VMV)ウイルス、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(caprine arthritis encephalitis virus、CAEV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(equine infectious anemia virus、EIAV)、ネコ免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus、FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(bovine immune deficiency virus、BIV)、及びサル免疫不全ウイルス(simian immunodeficiency virus、SIV)。
【0201】
「ベクター」という用語は、本明細書では、別の核酸分子を移動又は輸送することができる核酸分子を指すために使用される。移された核酸は、概して、ベクター核酸分子に連結され、例えば、ベクター核酸分子に挿入される。ベクターは、細胞内で自律複製を指示する配列を含み得るか、又は宿主細胞DNAへの組込みを可能にするのに十分な配列を含み得る。有用なベクターには、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミド又はRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌人工染色体、及びウイルスベクターが含まれる。有用なウイルスベクターには、例えば、複製欠損レトロウイルス及びレンチウイルスが含まれる。
【0202】
当業者には明らかであるように、「ウイルスベクター」という用語は、核酸分子の移動又は細胞のゲノムへの組込みを容易にするウイルス由来の核酸要素を含む核酸分子(例えば、トランスファープラスミド)、あるいは核酸移動を媒介するウイルス粒子のいずれかを指すのに広く使用されている。ウイルス粒子は、典型的には、核酸に加えて、様々なウイルス成分及び時には宿主細胞成分も含む。
【0203】
ウイルスベクターという用語は、核酸を細胞に移すことができるウイルス若しくはウイルス粒子又は移された核酸自体のいずれかを指し得る。ウイルスベクター及びトランスファープラスミドは、主にウイルスに由来する構造的及び/又は機能的遺伝的要素を含有する。「レトロウイルスベクター」という用語は、主にレトロウイルスに由来する構造的及び機能的遺伝的要素、又はその一部を含むウイルスベクター又はプラスミドを指す。「レンチウイルスベクター」という用語は、主にレンチウイルスに由来するLTRを含む、構造的及び機能的遺伝的要素、又はその一部を含むウイルスベクター又はプラスミドを指す。「ハイブリッドベクター」という用語は、レトロウイルス、例えば、レンチウイルス、配列、及び非レトロウイルスのウイルス配列の両方を含有するベクター、LTR、又は他の核酸を指す。一実施形態では、ハイブリッドベクターは、レトロウイルス、例えば、レンチウイルス、逆転写、複製、組み込み、及び/又はパッケージングのための配列を含む、ベクター又はトランスファープラスミドを指す。
【0204】
いくつかの実施形態では、「レンチウイルスベクター」、「レンチウイルス発現ベクター」という用語は、レンチウイルストランスファープラスミド及び/又は感染性レンチウイルス粒子を指すために使用され得る。本明細書で、クローニング部位、プロモーター、調節要素、異種核酸などの要素に対して言及される場合、これらの要素の配列は、本開示のレンチウイルス粒子中にRNA形態で存在し、本開示のDNAプラスミド中にDNA形態で存在することを理解されたい。本明細書に記載の一実施形態では、発現ベクターは、レンチウイルス発現ベクターである。
【0205】
プロウイルスの両端には、「長い末端反復」又は「LTR」と呼ばれる構造がある。「長い末端反復(long terminal repeat、LTR)」という用語は、レトロウイルスDNAの末端に位置する塩基対のドメインを指し、これは、それらの天然の配列構成において、ダイレクトリピートであり、U3、R及びU5領域を含有する。LTRは、概して、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば、遺伝子転写物の促進、開始、及びポリアデニル化)及びウイルス複製に対する基本的な機能を提供する。LTRは、転写制御要素、ポリアデニル化シグナル、及びウイルスゲノムの複製及び組込みに必要な配列を含む多数の調節シグナルを含有する。ウイルスLTRは、U3、R、及びU5と呼ばれる3つの領域に分割される。U3領域は、エンハンサー及びプロモーター要素を含有する。U5領域は、プライマー結合部位とR領域との間の配列であり、ポリアデニル化配列を含有する。R(repeat、繰り返し)領域は、U3及びU5領域に隣接している。LTRは、U3、R及びU5領域で構成され、ウイルスゲノムの5’及び3’末端の両方に現れる。5’LTRに隣接しているのは、ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合部位)、及びウイルスRNAの粒子への効率的なパッケージング(Psi部位)に必要な配列である。
【0206】
本明細書で使用される場合、「パッケージングシグナル」又は「パッケージング配列」という用語は、ウイルスRNAのウイルスキャプシド又は粒子への挿入に必要なレトロウイルスゲノム内に位置する配列を指し、例えば、Clever et al.,1995.J of Virology,Vol.69,No.4、pp.2101-2109を参照されたい。いくつかのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのキャプシド形成に必要な最小パッケージングシグナル(psi[’P]配列とも称される)を使用する。したがって、本明細書で使用される場合、「パッケージング配列」、「パッケージングシグナル」、「psi」、及び記号「’P」という用語は、ウイルス粒子形成中のレトロウイルスRNA鎖のキャプシド形成に必要な非コード配列に関連して使用される。
【0207】
様々な実施形態では、ベクターは、改変された5’LTR及び/又は3’LTRを含む。LTRのいずれか又は両方は、1つ以上の欠失、挿入、又は置換を含むがこれらに限定されない1つ以上の改変を含み得る。3’LTRの改変は、ウイルスの複製を欠陥にすることによってレンチウイルス又はレトロウイルス系の安全性を改善するためにしばしば行われる。本明細書で使用される場合、「複製欠陥」という用語は、感染性ビリオンが産生されないように完全で効果的な複製できないウイルス(例えば、複製欠陥レンチウイルス子孫)を指す。「複製能のある」という用語は、ウイルスのウイルス複製が感染背ビリオン(例えば、複製能のあるレンチウイルス子孫)を産生することができるように、複製が可能な野生型ウイルス又は変異ウイルスを指す。
【0208】
「自己不活性化」(Self-inactivating、SIN)ベクターは、U3領域として知られている右(3’)LTRエンハンサー-プロモーター領域が、ウイルス複製の最初のラウンドを超えるウイルスの転写を防ぐように改変されている(例えば、欠失又は置換によって)、複製欠陥ベクター、例えばレトロウイルス又はレンチウイルスベクターを指す。これは、ウイルス複製中に、右(3’)LTR U3領域が左(5’)LTR U3領域の鋳型として使用され、したがって、U3エンハンサー-プロモーターなしではウイルス転写物が作製することができないためである。本開示の更なる実施形態では、3’LTRは、U5領域が、例えば、理想的なポリ(A)配列で置き換えられるように改変される。3’LTR、5’LTR、又は3’及び5’LTRの両方への改変などのLTRへの改変もまた、本明細書で企図されることに留意されたい。
【0209】
5’LTRのU3領域を異種プロモーターで置き換えてウイルス粒子の産生中にウイルスゲノムの転写を駆動することによって、更に安全性が強化される。使用され得る異種プロモーターの例としては、例えば、ウイルス性シミアンウイルス40(simian virus 40、SV40)(例えば、初期又は後期)、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus、CMV)(例えば、即時初期)、モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus、MoMLV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及び単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus、HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーターが挙げられる。典型的なプロモーターは、Tat非依存的な方法で高レベルの転写を駆動することができる。ウイルス産生システムに完全なU3配列がないため、この置換により、組換えによって複製能のあるウイルスが生成される可能性が低減する。特定の実施形態では、異種プロモーターは、ウイルスゲノムが転写される様式を制御する際に追加の利点を有する。例えば、異種プロモーターは、誘導因子が存在する場合にのみ、ウイルスゲノムの全部又は一部の転写が発生するように誘導性であり得る。誘導因子には、1つ以上の化学化合物、又は宿主細胞が培養される温度若しくはpHなどの生理学的条件が含まれるが、これらに限定されない。
【0210】
いくつかの実施形態では、ウイルスベクターは、TAR要素を含む。「trans-activation response、TAR」という用語は、レンチウイルス(例えば、HIV)LTRのR領域に位置する「トランス活性化応答」遺伝的要素を指す。この要素は、レンチウイルストランス活性化因子(trans-activator、tat)遺伝的要素と相互作用して、ウイルス複製を増強する。
【0211】
「R領域」は、キャッピンググループの開始時に始まり(すなわち、転写開始)、ポリAトラクトの開始直前に終了するレトロウイルスLTR内の領域を指す。R領域はまた、U3及びU5領域に隣接するものとして定義される。R領域は、逆転写中に、ゲノムの一方の末端からもう一方の末端への新生DNAの移動を可能にする役割を果たす。
【0212】
本明細書で使用される場合、「FLAP要素」という用語は、配列に、レトロウイルス、例えば、HIV-I又はHIV-2の中央ポリプリン管及び中央終端配列(cPPT及びCTS)が含まれる中央ポリプリン管及び中央終端配列(cPPT及びCTS)が含まれる核酸を指す。好適なFLAP要素は、米国特許第6,682,907号及びZennou,et al.,2000,Cell,101:173に記載されている。HIV-I逆転写中、中央ポリプリン管(central polypurine tract、cPPT)でのプラス鎖DNAの中央開始及び中央終端配列(central termination sequence、CTS)における中央終端により3本鎖DNA構造の形成をもたらす:HIV-I中央DNAフラップ。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、DNAフラップは、レンチウイルスゲノム核内移行のシス活性決定因子として作用し得、かつ/又はウイルスの力価を増加させ得る。
【0213】
一実施形態では、レトロウイルス又はレンチウイルストランスファーベクターは、1つ以上の輸出要素を含む。「輸出要素」という用語は、細胞の核から細胞質へのRNA転写物の輸送を調節するシス作用転写後調節要素を指す。RNA輸出要素の例としては、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)rev応答要素(rev response element、RRE)(例えば、Cullen et al.,1991.J Virol.65:1053、及びCullen et al.,1991.Cell 58:423を参照されたい)、及びB型肝炎ウイルスの転写後調節要素(hepatitis B virus post-transcriptional regulatory element、HPRE)が挙げられるが、これらに限定されない。概して、RNA輸出要素は、遺伝子の3’UTR内に配置され、1つ又は複数のコピーとして挿入され得る。
【0214】
他の実施形態では、ウイルスベクターにおける異種配列の発現は、転写後調節要素、効率的なポリアデニル化部位、及び任意選択的に転写終結シグナルをベクターに組み込むことによって増加する。様々な転写後調節要素が、タンパク質での異種核酸の発現を増加させる可能性があり、例えば、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE、Zufferey et al.,1999,J Virol.,73:2886)、B型肝炎ウイルスに存在する転写後調節要素(post-transcriptional regulatory element present、HPRE)(Huang et al.,Mol.Cell.Biol.,5:3864)、など(Liu et al.,1995,Genes Dev.,9:1766)である。
【0215】
いくつかの実施形態では、ベクターは、転写又は翻訳調節活性を有する調節オリゴヌクレオチドを含み得る。そのようなオリゴヌクレオチドは、発現の制御を調節するための様々な遺伝子発現構成で使用することができる。転写調節オリゴヌクレオチドは、組換え発現構築物の発現レベルを増加(増強)又は減少(サイレンシング)させることができる。調節オリゴヌクレオチドは、例えば、構成的又は誘導性の発現を含む、ポリヌクレオチドの組織特異的、発生段階特異的、又は同様の発現を付与するためのものを含む、文脈特異的様式での発現を選択的に調節することができる。本開示の調節オリゴヌクレオチドはまた、発現ベクターの成分又は発現可能なポリヌクレオチドに作動可能に連結された調節オリゴヌクレオチドを含む組換え核酸分子の成分であり得る。調節要素は、数ヌクレオチドから数百ヌクレオチドまでの様々な長さであり得る。
【0216】
異種核酸転写物の効率的な終結及びポリアデニル化を指示する要素は、異種遺伝子発現を増加させる。転写終結シグナルは、概して、ポリアデニル化シグナルの下流に見られる。いくつかの実施形態では、ベクターは、発現されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの3’のポリアデニル化配列を含む。本明細書で使用される「ポリA部位」又は「ポリA配列」という用語は、RNAポリメラーゼIIによる新生RNA転写物の終結及びポリアデニル化の両方を誘導するDNA配列を示す。ポリアデニル化配列は、コード配列の3’末端にポリAテールを添加することによってmRNAの安定性を促進し得、したがって、翻訳効率の増加に寄与し得る。組換え転写物の効率的なポリアデニル化は、ポリAテールを欠く転写物が不安定であり、急速に劣化するため、望ましい。本開示のベクターで使用され得るポリAシグナルの例示的な例としては、理想的なポリA配列(例えば、AATAAA、ATTAAA、AGTAAA)、ウシ成長ホルモンポリA配列(bovine growth hormone poly A sequence、BGHpA)、ウサギβ-グロビンポリA配列(rabbit β-globin poly A sequence、rβgpA)、又は当該技術分野で既知の別の好適な異種若しくは内因性ポリA配列が挙げられる。
【0217】
本明細書には、「コドン最適化」核酸も記載されている。「コドン最適化」核酸は、コドンが特定のシステム(特定の種又は種の群など)における発現に最適であるように変更された核酸配列を指す。例えば、核酸配列は、哺乳動物細胞又は特定の哺乳動物種(ヒト細胞など)における発現のために、天然配列のコドンのうちの少なくとも1つ、1つ以上、又はかなりの数を、その種の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンで置き換えることによって、最適化され得る。コドン最適化は、コード化タンパク質のアミノ酸配列を変更しない。
【0218】
本開示に提示されるコドン最適化ヌクレオチド配列は、発現有効性に関連する改善された特性を提示することができる。いくつかの実施形態では、転写されるDNA配列は、より効率的な転写及び/又は翻訳を促進するように最適化され得る。いくつかの実施形態では、DNA配列は、シス調節要素(例えば、TATAボックス、終結シグナル、及びタンパク質結合部位)、人工組換え部位、カイ部位、CpGジヌクレオチド含有量、陰性CpGアイランド、GC含有量、ポリメラーゼ滑り部位、及び/又は転写に関連する他の要素に関して最適化され得る。DNA配列は、潜在(cryptic)スプライス部位、mRNA二次構造、mRNAの安定した遊離エネルギー、反復配列、RNA不安定性モチーフ、及び/又はmRNA処理及び安定性に関連する他の要素に関して最適化され得る。DNA配列は、コドン使用バイアス、コドン適合性、内部カイ部位、リボソーム結合部位(例えば、IRES)、未成熟ポリA部位、シャイン・ダルガノ(Shine-Dalgarno、SD)配列、及び/又は翻訳に関連する他の要素に関して最適化されてもよく、かつ/又はDNA配列は、コドンコンテキスト、コドン-アンチコドン相互作用、翻訳静置部位、及び/又はタンパク質フォールディング関連する他の要素に関して最適化されてもよい。
【0219】
ベクターは、1つ以上のLTRを有してもよく、いずれのLTRも、1つ以上のヌクレオチド置換、付加、又は欠失などの1つ以上の改変を含む。ベクターは、形質導入効率(例えば、cPPT/FLAP)、ウイルスパッケージング(例えば、Psi(Ψ)パッケージングシグナル、RRE)、及び/又は治療用遺伝子発現(例えば、ポリ(A)配列)を増加させる他の要素を増加させるための1つ以上のアクセサリ要素を更に含み得、任意選択的にWPRE又はHPREを含み得る。当業者は、多くの他の異なる実施形態が本開示の既存の実施形態から形成され得ることを理解するであろう。
【0220】
「宿主細胞」は、本開示の組換えベクター又はポリヌクレオチドで、インビボ、エクスビボ、又はインビトロでトランスフェクトされた、感染された、又は形質導入された細胞を含む。宿主細胞は、パッケージング細胞、プロデューサー細胞、及びウイルスベクターに感染した細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のウイルスベクターに感染した宿主細胞は、治療を必要とする対象に投与される。特定の実施形態では、「標的細胞」という用語は、宿主細胞と互換的に使用され、所望の細胞型のトランスフェクトされた細胞、感染された細胞、又は形質導入された細胞を指す。いくつかの実施形態では、標的細胞はT細胞である。
【0221】
多くの場合、妥当なウイルス力価を達成するために、大規模なウイルス粒子産生が必要である。ウイルス粒子は、ウイルス構造遺伝子及び/又はアクセサリ遺伝子、例えば、gag、pol、env、tat、rev、vif、vpr、vpu、vpx、又はnef遺伝子又は他のレトロウイルス遺伝子を含むパッケージング細胞株にトランスファーベクターを、トランスフェクトすることによって産生される。
【0222】
本明細書で使用される場合、「パッケージングベクター」という用語は、パッケージングシグナルを欠き、1つ、2つ、3つ、4つ以上のウイルス構造及び/又はアクセサリ遺伝子をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター又はウイルスベクターを指す。通常、パッケージングベクターは、パッケージング細胞に含まれ、トランスフェクション、形質導入、又は感染を介して細胞に導入される。トランスフェクション、形質導入、又は感染のための方法は、当業者によって周知である。本開示のレトロウイルス/レンチウイルストランスファーベクターは、トランスフェクション、形質導入、又は感染を介してパッケージング細胞株に導入されて、プロデューサー細胞又は細胞株を生成し得る。本開示のパッケージングベクターは、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション、又はエレクトロポレーションを含む一般的な方法によってヒト細胞又は細胞株に導入され得る。いくつかの実施形態では、パッケージングベクターは、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ブラストシジン、ゼオシン、チミジンキナーゼ、DHFR、Glnシンテターゼ、又はADAなどの優性選択可能マーカーと共に細胞に導入され、その後、適切な薬物の存在下で選択し、クローンを単離する。選択可能なマーカー遺伝子は、パッケージングベクターによって、例えば、IRES又は自己切断ウイルスペプチドによって、コードされる遺伝子に物理的に結合され得る。
【0223】
ウイルスエンベロープタンパク質(env)は、細胞株から生成された組換えレトロウイルスによって最終的に感染及び形質転換され得る宿主細胞の範囲を決定する。HIV-1、HIV-2、SIV、FIV、及びEIVなどのレンチウイルスの場合、envタンパク質はgp41及びgp120を含む。いくつかの実施形態では、本開示のパッケージング細胞によって発現されるウイルスenvタンパク質は、前述のように、ウイルスgag及びpol遺伝子とは別個のベクター上にコードされる。
【0224】
本明細書に記載の実施形態で用いられ得るレトロウイルス由来env遺伝子の例示的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:MLVエンベロープ、IOAIエンベロープ、BAEV、FeLV-B、RDI 14、SSAV、Ebola、Sendai、FPV(トリペストウイルス)、及びインフルエンザウイルスエンベロープ。同様に、RNAウイルス(例えば、Picomaviridae、Calciviridae、Astroviridae、Togaviridae、Flaviviridae、Coronaviridae、Paramyxoviridae、Rhabdoviridae、Filoviridae、Orthomyxoviridae、Bunyaviridae、Arenaviridae、Reoviridae、Bimaviridae、RetroviridaeのRNAウイルスファミリー)由来並びにDNAウイルス(Hepadnaviridae、Circoviridae、Parvoviridae、Papovaviridae、Adenoviridae、Herpesviridae、Poxyiridae、及びIridoviridaeファミリー)由来のエンベロープをコードする遺伝子を利用することができる。代表的な例としては、FeLV、VEE、HFVW、WDSV、SFV、Rabies、ALV、BIV、BL V、EBV、CAEV、SNV、ChTL V、STLV、MPMV SMRV、RAV、FuSV、MH2、AEV、AMV、CTIO、及びEIAVが挙げられる。
【0225】
他の実施形態では、本開示のウイルスをシュードタイピングするためのエンベロープタンパク質には、以下のウイルスのいずれかが含まれるが、これらに限定されない:A型インフルエンザウイルス例えば、H1N1、H1N2、H3N2、及びH5Nl(トリインフルエンザ)、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ロタウイルス、ノーウォークウイルスグループの任意のウイルス、腸内アデノウイルス、パルボウイルス、デング熱ウイルス、サル痘、モノネガウイルス目(Mononegavirales)、リッサウイルス例えば狂犬病ウイルス、ラゴスコウモリウイルス、モコラウイルス(Mokola virus)、デュベンヘイジウイルス、ヨーロッパコウモリウイルス1及び2、オーストラリアコウモリウイルス、エフェメロウイルス、ベジクロウイルス、水疱性口内炎ウイルス(Vesicular Stomatitis Virus、VSV)、ヘルペスウイルス例えば単純ヘルペスウイルス1型及び2型、水痘帯状疱疹、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス(Epstein-Barr virus、EBV)、ヒトヘルペスウイルス(human herpesvirus、HHV)、ヒトヘルペスウイルス6型及び8型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、乳頭腫ウイルス、ネズミガンマヘルペスウイルス、アレナウイルス、例えばアルゼンチン出血熱ウイルス、ボリビア出血熱ウイルス、サビア関連出血熱ウイルス、ベネズエラ出血熱ウイルス、ラッサ熱ウイルス、マチュポウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus、LCMV)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridiae)例えばクリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ハンタウイルス(Hantavirus)、腎症候群を引き起こす出血熱ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、エボラ出血熱及びマールブルグ出血熱を含むフィロウイルス科(Filoviridae)(フィロウイルス)、カイサヌール(Kaysanur)森林病ウイルス、オムスク出血熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎を引き起こすウイルスを含むフラビウイルス科(Flaviviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)例えば、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、大痘瘡及び小痘瘡(天然痘)、アルファウイルス例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス、SARS関連コロナウイルス(SARS-associated coronavirus、SARS-Co V)、西ナイルウイルス、又はいずれかの脳炎を引き起こすウイルス。
【0226】
本明細書で使用される「偽型」又は「偽型タイピング」という用語は、ウイルスエンベロープタンパク質が他の特徴を有する別のウイルスのもので置換されているウイルスを指す。例えば、HIVは、水疱性口内炎ウイルスGタンパク質(vesicular stomatitis virus G-protein、VSV-G)エンベロープタンパク質で偽型化され得、これにより、HIVエンベロープタンパク質(env遺伝子によってコードされる)が通常ウイルスをCD4+提示細胞に標的化するため、HIVはより広範囲の細胞に感染することができる。
【0227】
本明細書で使用される場合、「パッケージング細胞株」という用語は、パッケージングシグナルを含まないが、ウイルス粒子の正しいパッケージングに必要なウイルス構造タンパク質及び複製酵素(例えば、gag、pol、及びenv)を安定的に又は一時的に発現する細胞株に関して使用される。任意の好適な細胞株を用いて、本開示のパッケージング細胞を調製することができる。概して、細胞は哺乳動物細胞である。別の実施形態では、パッケージング細胞株を産生するために使用される細胞は、ヒト細胞である。パッケージング細胞株を生成するために使用され得る好適な細胞株としては、例えば、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、C3H 10Tl/2細胞、FLY細胞、Psi-2細胞、BOSC23細胞、P A317細胞、WEHI細胞、COS細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、BMT 10細胞、VERO細胞、W138細胞、MRC5細胞、A549細胞、HTI080細胞、293細胞、293T細胞、B-50細胞、3T3細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、Saos-2細胞、Huh7細胞、HeLa細胞、W163細胞、211細胞、及び211A細胞が挙げられる。
【0228】
本明細書で使用される場合、「プロデューサー細胞株」という用語は、パッケージング細胞株及びパッケージングシグナルを含む転写ベクター構築物を含む組換えレトロウイルス粒子を産生することができる細胞株を指す。感染性ウイルス粒子及びウイルス原液の生成は、従来の技術を使用して実行され得る。ウイルス原液を調製する方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Y.Soneoka et al.(1995)Nucl.Acids Res.23:628-633、及びN.R.Landau et al.(1992)J Virol.66:5110-5113を参照されたい。感染性ウイルス粒子は、従来の技術を使用してパッケージング細胞から回収され得る。例えば、感染性粒子は、当該技術分野で既知であるように、細胞溶解、又は細胞培養物の上清の回収によって回収され得る。任意選択的に、必要に応じて、収集されたウイルス粒子を精製してもよい。好適な精製技術は、当業者に周知である。
【0229】
トランスフェクションではなく、ウイルス感染によるレトロウイルス又はレンチウイルスベクターを使用する遺伝子又は他のポリヌクレオチド配列の送達は、「形質導入」と称される。一実施形態では、レトロウイルスベクターは、感染及びプロウイルス組込みを介して細胞に形質導入される。特定の実施形態では、標的細胞、例えば、T細胞は、ウイルス又はレトロウイルスベクターを使用する感染によって細胞に送達される遺伝子又は他のポリヌクレオチド配列を含む場合、「形質導入される」。いくつかの実施形態では、形質導入細胞は、その細胞ゲノム中のレトロウイルス又はレンチウイルスベクターによって送達される1つ以上の遺伝子又は他のポリヌクレオチド配列を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、本開示の構築物(例えば、抗CD19 CAR)の1つ以上を発現する宿主細胞。宿主細胞は、T細胞悪性腫瘍を治療及び/又は予防するために対象に投与され得る。本開示の特定の実施形態に従って利用され得る遺伝子療法におけるウイルスベクターの使用に関連する他の方法は、例えば、Kay,M.A.(1997)Chest 111(6 Supp.):138S-142S、Ferry,N.and Heard,J.M.(1998)Hum.Gene Ther.9:1975-81、Shiratory,Y.et al.,(1999)Liver 19:265-74、Oka,K.et al.,(2000)Curr.Opin.Lipidol.11:179-86、Thule,P.M.and Liu,J.M.(2000)Gene Ther.7:1744-52、Yang,N.S.(1992)Crit.Rev.Biotechnol.12:335-56、Alt,M.(1995)J Hepatol.23:746-58、Brody,S.L.and Crystal,R.G.(1994)Ann.NY Acad.Sci.716:90-101、Strayer,D.S.(1999)Expert Opin.Investig.Drugs 8:2159-2172、Smith-Arica,J.R.and Bartlett,J.S.(2001)Curr.Cardiol.Rep.3:43-49、及びLee,H.C.et al.,(2000)Nature 408:483-8に見出され得る。
【0231】
CARの導入に加えて、本開示の操作されたT細胞は、例えば、TRAC及びB2M 遺伝子を標的とする1つ以上のZFN又はCRISPR/sgRNAを使用するTCR及びB2Mαの発現を低減及び/又は排除するように更に操作され得る。ZFNによって標的化される細胞の子孫は、それ自体、本明細書に記載される分子、ポリヌクレオチド及び/又はベクターを含まなくてもよいが、これらの細胞において、TCR及び/又はB2M遺伝子が不活性化されることが理解される。
【0232】
本明細書に記載される組成物は、本明細書で企図されるT細胞組成物を含み得る。本明細書に記載される一実施形態は、TCR及びB2Mの検出可能な表面発現などの発現が低減及び/又は排除されている、抗CD19 CARを発現する改変T細胞を含む組成物である。組成物には、医薬組成物が含まれるが、これらに限定されない。「医薬組成物」は、単独で、又は1つ以上の他の治療法と組み合わせて、細胞又は動物に投与するための薬学的に許容されるか又は生理学的に許容される溶液に製剤化された組成物を指す。必要に応じて、本開示の組成物は、例えば、サイトカイン、成長因子、ホルモン、小分子、化学療法薬、プロドラッグ、薬物、抗体、又は他の様々な薬剤活性剤などの他の薬剤と組み合わせて投与され得ることも理解されるであろう。追加の薬剤が、意図された療法を送達する組成物の能力に悪影響を及ぼさない限り、組成物に含まれ得る他の成分は実質的に制限されない。
【0233】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書では、合理的な利益/リスク比に相応する、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症なしに、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、健全な医学的判断の範囲内にあるこれらの化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために用いられる。
【0234】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤」には、限定されないが、米国食品医薬品局によって、ヒト又は家畜での使用が許容されるものとして承認されている、任意のアジュバント、担体、賦形剤、滑剤、甘味剤、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒、界面活性剤、又は乳化剤が含まれる。例示的な薬学的に許容される担体には、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン、セルロース、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体、トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、カカオバター、ワックス、動物及び植物性脂肪、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コム油(com oil)、及び大豆油などの油、プロピレングリコールなどのグリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない(pyrogen-free)水、等張性生理食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、並びに医薬製剤で使用される任意の他の適合性物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0235】
本明細書に記載の一実施形態では、本開示の組成物は、本明細書で企図される量の改変されたT細胞を含む。本明細書で企図されるT細胞を含む医薬組成物は、10~1010細胞/kg体重、10~10細胞/kg体重、10~10細胞/kg体重、10~10細胞/kg体重、10~10細胞/kg体重、又は10~10細胞/kg体重(これらの範囲内の全ての整数値を含む)の投与量で投与され得ると概して述べることができる。細胞の数は、その中に含まれる細胞の種類と同様に、組成物が意図される最終的な使用に依存するであろう。操作されたTCR又はCARを発現するように改変されたT細胞は、これらの範囲内の投与量で複数回投与され得る。細胞は、治療を受けている患者に対して同種異系であっても、同系であっても、異種であっても、自家であってもよい。所望される場合、治療はまた、注入されたT細胞の生着及び機能を増強するため、本明細書に記載されるように、マイトジェン(例えば、PHA)又はリンホカイン、サイトカイン、及び/又はケモカインIFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、TNF-アルファ、IL-18、及びTNF-ベータ、GM-CSF、IL-4、IL-13、Flt3-L、RANTES、MIP1α、など)の投与も含まれ得る。
【0236】
概して、本明細書に記載されるように活性化及び増殖された細胞を含む組成物は、免疫無防備状態又は免疫抑制状態にある個体において生じる疾患の治療及び予防に利用され得る。いくつかの、本明細書で企図される改変されたT細胞を含む組成物は、癌の治療に使用される。本明細書に記載の改変されたT細胞は、単独で、又は担体、希釈剤、賦形剤、及び/又はIL-2、IL-7、及び/若しくはIL-15若しくは他のサイトカイン若しくは細胞集団などの他の成分と組み合わせて医薬組成物として投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で企図される医薬組成物は、1つ以上の薬学的又は生理学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせて、ある量の遺伝子改変されたT細胞を含む。
【0237】
本明細書で企図される改変されたT細胞を含む医薬組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液、グルコース、マンノース、スクロース、又はデキストラン、マンニトールなどの炭水化物、タンパク質、グリシンなどのポリペプチド又はアミノ酸、酸化防止剤、EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、及び防腐剤、を更に含み得る。本開示の組成物は、非経口投与、例えば、血管内(静脈内又は動脈内)、腹腔内又は筋肉内投与用に製剤化され得る。
【0238】
液体医薬組成物は、溶液、懸濁液、又は他の同様の形態であるかにかかわらず、以下のうちの1つ以上を含み得る:注射用の水などの滅菌希釈剤、生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウムなどの生理食塩水、溶媒又は懸濁媒体として機能し得る合成モノ又はジグリセリドなどの固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の溶媒、ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウムなどの酸化防止剤、エチレンジアミン酸四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、又はホスフェートなどの緩衝液、及び塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張度を調整するための薬剤。非経口調製物は、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器又は複数回投与バイアルに封入され得る。滅菌注射用医薬組成物も含まれる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書で企図される組成物は、単独で又は1つ以上の治療薬と組み合わせて、有効量の増殖改変されたT細胞組成物を含む。したがって、T細胞組成物は、単独で、又は放射線療法、化学療法、移植、免疫療法、ホルモン療法、光動的療法などの他の既知の癌治療と組み合わせて投与され得る。組成物はまた、抗生物質及び抗ウイルス剤と組み合わせて投与され得る。そのような治療薬は、癌などの本明細書に記載の疾患状態の治療として当該技術分野で受け入れられ得る。一実施形態では、本明細書で企図される組成物はまた、TGF-βの阻害剤、例えば、小分子阻害剤LY55299と共に投与され得る。企図される例示的な治療薬としては、サイトカイン、増殖因子、ステロイド、NSAID、DMARD、抗炎症薬、化学療法薬、放射線治療薬、治療用抗体、又は他の活性及び補助剤が挙げられる。
【0240】
特定の実施形態では、本明細書で企図されるT細胞を含む組成物は、任意の数の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。化学療法剤の例には、限定されないが、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標))などのアルキル化剤、アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン、アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、及びウレドパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスファミド、トリメチロメラミンレジュームを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン、ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード、ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン、代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート、及び5-フルオロウラシル(5-FU)、葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート、プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン、抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、葉酸補充剤、例えば、フロリン酸、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトレキサート、デフォファミン、デメコルチン、ジアジクオン、エルホルミチン、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、レンチナン、ロニダミン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK(登録商標)、ラゾキサン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、Princeton,N.J.)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer、Antony,France)、クロラムブシル、ゲムシタビン、6-チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキサート、白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン、ビンブラスチン、白金、エトポシド(VP-16)、イホスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ナベルビン、ノバントロン、テニポシド、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼロダ、イバンドロネート;CPT-11、トポイソメラーゼ阻害剤RPS 2000、ジフルオロメチルオミチン(DMFO)、Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)などのレチノイン酸誘導体、ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス)、エスペラマイシン、カペシタビン、並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。また、この定義には、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲンなどの腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、並びに、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリン、並びに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体も含まれる。
【0241】
様々な他の治療薬を、本明細書中に記載の組成物と併せて使用することができる。一実施形態では、T細胞を含む組成物は、抗炎症剤と共に投与される。抗炎症剤又は薬物としては、ステロイド及びグルココルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンを含む)、アスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)、イブプロフェン、ナプロキセン、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミド、及びミコフェノール酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0242】
いくつかの実施形態では、NSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、VIOXX(登録商標)(ロフェコキシブ)及びCELEBREX(登録商標)(セレコキシブ)などのCox-2阻害剤、並びにシアリレートからなる群から選択される。例示的な鎮痛剤は、アセトアミノフェン、オキシコドン、トラマドール、又はプロポキシフェン塩酸塩からなる群から選択される。例示的なグルココルチコイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、又はプレドニゾンからなる群から選択される。例示的な生物学的応答調節剤としては、細胞表面マーカーに対する分子(例えば、CD4、CD5など)、サイトカイン阻害剤、例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))及びインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ケモカイン阻害剤、及び接着分子阻害剤が挙げられる。生物学的応答調節剤としては、モノクローナル抗体並びに分子の組換え形態が挙げられる。例示的な疾患改変性抗リウマチ薬(disease-modifying anti-rheumatic drug、DMARD)としては、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、金(経口(オーラノフィン)及び筋肉内)、及びミノサイクリンが挙げられる。
【0243】
他の実施形態では、本明細書で企図されるCAR改変T細胞との組み合わせに好適な治療用抗体としては、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シクスツムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュシギツマブ、デツモマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エンシツキマブ(ensituximab)、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ、ファリエツズマブ(farietuzumab)、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、イマツズマブ、インダツキシマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リンツズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モキセツモマブ、ナマツマブ、ナプツモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピンツモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、ソリトマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、ツコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ(votumumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、CC49及び3F8、が含まれるがこれらに限定されない。
【0244】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される組成物は、サイトカインと共に投与される。本明細書で使用される場合、「サイトカイン」は、細胞間メディエーターとして別の細胞に作用する1つの細胞集団によって放出されるタンパク質の総称を意味する。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン、及び従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、リラキシン、プロリラキシン、糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone、FSH)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone、TSH)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone、LH)、肝増殖因子、線維芽細胞増殖因子、プロラクチン、胎盤ラクトゲン、腫瘍壊死因子-アルファ及び-ベータ、ミュラー管抑制因子、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、トロンボポエチン(thrombopoietin、TPO)、神経成長因子、例えば、NGF-ベータ、血小板増殖因子、形質転換増殖因子(transforming growth factor、TGF)、例えば、TGF-アルファ及びTGF-ベータ、インスリン様成長因子-I及び成長因子-II、エリスロポエチン(erythropoietin、EPO)、骨誘導因子、インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ、ベータ、及びガンマ、コロニー刺激因子(colony stimulating factor、CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球マクロファージCSF(granulocyte-macrophage-CSF、GM-CSF)、及び顆粒球CSF(granulocyte-CSF、G-CSF)、インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、腫瘍壊死因子、例えば、TNF-アルファ又はTNF-ベータ、並びにLIF及びkitリガンド(kit ligand、KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で使用される場合、サイトカインという用語には、天然源又は組換え細胞培養物由来のタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
【0245】
いずれの細胞も、本開示のポリヌクレオチド、ベクター、又はポリペプチドのための宿主細胞として使用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、原核細胞、真菌細胞、酵母細胞、又は哺乳動物細胞などのより高等な真核細胞であり得る。好適な原核細胞には、限定されないが、グラム陰性又はグラム陽性生物などの真性細菌、例えば、EscherichiaなどのEnterobactehaceae、例えば、E.coli、Enterobacter、Erwinia、Klebsiella、Proteus、Salmonella、例えば、Salmonella typhimurium、Serratia、例えば、Serratia marcescans、及びShigella、B.subtilis及びB.licheniformisなどのBacilli、P.aeruginosaなどのPseudomonas、並びにStreptomycesが含まれる。いくつかの実施形態では、細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は免疫細胞である。
【0246】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、TCR発現細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、顆粒球、自然リンパ細胞、巨核球、単球、マクロファージ、血小板、胸腺細胞、及び骨髄細胞からなる群から選択される。一実施形態では、免疫細胞は操作された同種異系T細胞である。抗体療法又は独立型CAR改変T細胞とは異なり、抗CD19 CARを発現するように改変されたT細胞(又は上記の任意の細胞)は、インビボで複製することができ、したがって、持続的な癌療法をもたらし得る長期持続性に寄与する。
【0247】
別の実施形態では、抗CD19CARを発現するT細胞は、治療用T細胞の集団が残留又は長期間持続できるようにT細胞増殖を起こす可能性がある。したがって、本明細書に記載の別の実施形態は、T細胞の集団を増殖させる方法であり、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載のT細胞を投与することを含む。
【0248】
本明細書に記載の一実施形態では、T細胞の集団は、7日後に約50%~約100%の間、7日後に約60%~約90%の間、又は7日後に約70%~約80%の間のままである。本明細書に記載の別の実施形態では、T細胞の集団は、7日後に約50%、7日後に約60%、7日後に約70%、7日後に約80%、7日後に約90%又は7日後に約100%のままである。
【0249】
本明細書に記載の別の実施形態は、本明細書に記載のCARを発現するT細胞を含む組成物の有効量、例えば、治療有効量を投与することを含む、治療を必要とする対象の癌を治療する方法である。投与の量及び頻度は、患者の状態、患者の疾患の種類及び重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は、臨床試験によって決定され得る。
【0250】
本明細書に記載の別の実施形態は、本明細書に記載のCAR構築物を発現するT細胞を含む組成物の有効量、例えば、治療有効量を投与することを含む、治療を必要とする対象の肝癌を治療する方法である。投与の量及び頻度は、患者の状態、患者の疾患の種類及び重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は、臨床試験によって決定され得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、CARを発現するものをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されたプロモーターを含むベクターで遺伝子改変されたT細胞を含む組成物は、様々な癌の治療において使用される。
【0252】
他の実施形態では、本明細書で企図される治療有効量の改変されたT細胞又はそれを含む組成物を、単独で、又は1つ以上の治療薬と組み合わせて、それを必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。特定の実施形態では、本開示の細胞は、癌を発症するリスクのある患者の治療に使用される。したがって、本開示は、癌の治療又は予防のための方法を提供し、それを必要とする対象に、治療有効量の本開示の改変T細胞を投与することを含む。
【0253】
当業者は、所望の治療に影響を及ぼすために本開示の組成物の複数回の投与が必要とされ得ることを認識するであろう。例えば、組成物は、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、1年、2年、5年、10年、又はそれ以上のスパンにわたって1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回以上投与され得る。
【0254】
特定の実施形態では、活性化T細胞を対象に投与し、次いで、血液を再採取し(又はアフェレーシスを行う)、本開示に従ってそこからT細胞を活性化し、これらの活性化及び増殖されたT細胞を患者に再注入することが望ましい場合がある。このプロセスは、数週間毎に複数回実行され得る。特定の実施形態では、T細胞は、10cc~400ccの採血から活性化され得る。理論に束縛されるものではないが、この複数の採血/複数の再注入プロトコルを使用して、T細胞の特定の集団を選択するのに役立ち得る。
【0255】
本明細書で企図される組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、輸血、移植、又は移植を含む、任意の便利な方法で実施され得る。いくつかの実施形態では、組成物は非経口的に投与される。本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という語句は、経腸及び局所投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、血管内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、腫瘍内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び、胸骨下の注射及び注入、を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、本明細書で企図される組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位への直接注射によって対象に投与される。
【0256】
一実施形態では、それを必要とする対象は、対象における癌に対する細胞免疫応答を増加させるために有効量の組成物を投与される。免疫応答は、感染細胞を死滅させることができる細胞毒性T細胞、制御性T細胞、及びヘルパーT細胞応答によって媒介される細胞免疫応答を含み得る。したがって、抗体産生をもたらすB細胞を活性化することができるヘルパーT細胞によって主に媒介される体液性免疫応答も誘導され得る。本開示の組成物によって誘発される免疫応答のタイプを分析するために、当該技術分野で十分に説明されている様々な技術を使用することができ、例えば、Current Protocols in Immunology,Edited by:John E.Coligan,Ada M.Kruisbeek,David H.Margualis,Ethan.M.Shevach,Warren Strober(2001)John Wiley&Sons,NY,N.Y.に記載されている。
【0257】
T細胞媒介性殺傷の場合、CAR-リガンド結合は、T細胞へのCARシグナル伝達を開始し、T細胞が、様々な機構によって標的細胞アポトーシスを誘導することができるタンパク質を産生する又は放出するように誘導する、様々なT細胞シグナル伝達経路の活性化をもたらす。これらのT細胞媒介メカニズムには、T細胞からの標的細胞への細胞内細胞毒性顆粒の移動、標的細胞殺滅を直接的に誘導し得る炎症誘発性サイトカインのT細胞分泌(又は他のキラーエフェクター細胞の動員を介して間接的に)、及び標的細胞上のそれらの同族死受容体(例えばFas)への結合後に標的細胞アポトーシスを誘導するT細胞表面上の死受容体リガンド(例えば、FasL)のアップレギュレーションが含まれる(しかし、これらに限定されない)。
【0258】
本明細書に記載の実施形態は、癌と診断された対象を治療する方法であって、ドナーからT細胞を取り出すことと、本明細書に記載のCAR構築物を操作して発現するものをコードする核酸を含むベクターで当該T細胞を遺伝子改変し、それによって改変されたT細胞の集団を産生することと、ドナーとは異なる患者に改変されたT細胞の集団を投与することと、を含む、方法である。
【0259】
本明細書に記載の細胞組成物を投与するための方法は、ex vivoで遺伝子改変された免疫エフェクター細胞を再導入するのに有効なあらゆる方法が含まれ、対象内で操作されたCARを直接発現するか、又は対象への導入により、本明細書に記載の操作された発現抗CD19CAR構築物を発現する成熟免疫エフェクター細胞に分化する免疫エフェクター細胞の遺伝子改変された前駆細胞の再導入のいずれかで発現する。
【0260】
前述の開示は、理解を明確にするために、例示及び例としてある程度詳細に説明されているが、本開示の教示に照らして、当業者には、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び改変を加えることができることが容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、限定するものではなく、例示としてのみ提供される。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすために変更又は改変され得る様々な非重要なパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例
【0261】
実施例1
【0262】
IT AM含有ドメインを、次世代抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)としてCD3ゼータの代わりにシグナル伝達ドメインとして選択して、治療可能性を増強した。抗CD19 scFv、CD28ヒンジ、CD28膜貫通、CD28コスチムドメイン及びCD 3ゼータシグナル伝達ドメインの構造を有する抗CD19第2世代キメラ抗原受容体(CAR)を親鋳型として使用して、7つの娘構築物を操作及び合成した。これらの構築物は、以後、CD19-ゼータ-1xx、CD19-イプシロン、CD19-デルタ、CD19-ガンマ、CD19-Dap12、CD19-ゼータ-CO(コドン最適化)、及びCD19-イプシロン-CO(コドン最適化)と称される。娘構築物を生成するために、親鋳型の核酸3316~3651のCD3ゼータシグナル伝達ドメインを以下の配列で置き換えた。
ゼータ1xx:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLFNELQKDKMAEAFSEIGMKGERRRGKGHDGLFQGLSTATKDTFDALHMQALPPR(配列番号77)。
イプシロン:
KNRKAKAKPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLYSGLNQRRI,(配列番号52)。
デルタ:
GHETGRLSGAADTQALLRNDQVYQPLRDRDDAQYSHLGGNWARNK(配列番号55)。
ガンマ:
GQDGVRQSRASDKQTLLPNDQLYQPLKDREDDQYSHLQGNQLRRN(配列番号57)。
Dap12:
YFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK,(配列番号59)。
ゼータ-CO:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号78)。
【0263】
本明細書に記載されるCAR構築物を、CARの構成的発現を駆動するためのマウス幹細胞ウイルス(mSCV)プロモーターを含むレンチウイルスベクター(LVV)にクローニングした。
【0264】
以下の実施例で使用したCARは、上記のように、抗CD19 scFv、CD28ヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、CD28コスチムドメイン及びシグナル伝達ドメインの構造を有するCD 8αシグナル配列を含んでいた。
実施例2
【0265】
CAR-T産物細胞を、健康なヒトドナー由来のアフェレーシス物質から製造した。回収したアフェレーシス物質を洗浄し、抗CD8抗体結合磁気ビーズと共にインキュベートし、CliniMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotech)を製造業者の指示に従って使用し、抗CD8抗体結合磁気ビーズを使用して処理し、CD8+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。得られた陰性画分を洗浄し、抗CD4抗体結合磁気ビーズを用いて上記のように処理して、CD4+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。単離されたCD4+及びCD8+初代ヒトT細胞を、2.6%OpTmizer CTS(商標)T細胞増殖サプリメント、2.5%CTS免疫細胞血清代替物、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び305国際単位/mLヒトインターロイキン(IL)-2を補充したOpTmizer CTS(商標)T細胞増殖基本培地(以後、完全OpTmizer(商標)培地と呼ぶ)中で解凍した。T細胞を、1.66μg/mLの抗CD 28抗体(クローン28.2)を含有する完全OpTmizer(商標)培地中に1.5×10細胞/mLの密度で再懸濁し、次いで、1.23μg/mLの抗CD 3抗体(クローンOKT3)で予めコーティングしたT-75フラスコ中に播種して、T細胞活性化を誘導した(0日目)。活性化後1日目に、細胞に、親抗CD19 CAR又は娘構築物イプシロン、デルタ、ガンマ、及びDap12をコードするLVVを、感染多重度(MOI)20で形質導入した。ゼータCO及びイプシロンCO構築物からなる追加の実験群を5のMOIで形質導入し、非形質導入(NTD)試料を陰性対照として用いた。T細胞を3日目に完全OpTmizer(商標)培地で洗浄し、正規化し、更に4日間(3~7日目)増殖させた。回収時点(7日目)で、細胞を将来の使用のために凍結保存した。増殖中の複数の時点で(3~7日目)、Vi-CELLを使用して細胞計数を行い、細胞密度を、完全OpTmizer(商標)培地の添加によって0.5~1×10細胞/mLに正規化した。これらの時点で、平均細胞生存率、直径、及び細胞密度をVi-CELLに記録した。
【0266】
細胞数、細胞生存率、及び細胞直径を、異なる実験群のそれぞれについて0日目から7日目まで追跡し、表6にまとめる。
【0267】
実験群当たり合計7.9×10の細胞を0日目に刺激した。7日間の製造プロセスの終わりに、イプシロン、イプシロンCO、及びCD19-RVV構築物は、200×10の総細胞をわずかに超えて、最も少なく増殖した。生成物細胞の直径は、T細胞活性化の間接的尺度として使用され、製造中にいずれの群の間でも有意差を示さなかった。
実施例3
【0268】
CAR発現を6日目及び7日目にフローサイトメトリーによって測定して、CAR-T産物細胞の形質導入効率を決定した。T細胞を、CD3、CD4、CD8及びWhitlowリンカー(CAR)に対するフルオロフォア結合抗体のパネルで染色し、フローサイトメトリーによって特徴付けて、形質導入効率及びCD4+/CD8+T細胞比を決定した。CAR発現(抗CD19 CAR)の評価は、抗CD19 scFv中に存在するWhitlowリンカーに対するフルオロフォア結合抗体によって可能になった。また、固定可能な細胞生存色素を使用して、生存細胞の特異的分析を可能にした。細胞を、適切な抗体混合物と共に4℃で20分間インキュベートすることによって染色し、続いて染色緩衝液で2回洗浄し、その後、リン酸緩衝生理食塩水又はハンクス平衡塩溶液中の0.6%パラホルムアルデヒド中で室温で10分間インキュベートすることによって固定した。全てのフローサイトメトリーデータをFACSCanto(商標)機器で回収し、FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0269】
CAR発現を、Whitlowリンカー染色及びその後のフローサイトメトリー分析を使用して、製造の6日目及び7日目の両方で測定した(表7)。実験群は、6日目に81.5%~91.9%の範囲の同等のCAR発現を示し、7日目に比較的安定したままであった。唯一の例外は、6日目に74.2%で最も低いCAR発現を有し、また7日目に58.4%まで有意に低下したイプシロン構築物であった。
実施例4
【0270】
T細胞媒介性細胞毒性を、単独で播種された標的細胞によって放出されるシグナルと比較した、共培養ウェルにおける標的ルシフェラーゼシグナルの減少の関数として測定した。健康なドナーアフェレーシスに由来するT細胞から製造されたT細胞産物を、採取日(製造の7日目)に凍結保存した。共培養の0日目に、T細胞産物を解凍し、完全OpTmizer(商標)培地中で一晩静置した後、標的細胞との共培養を開始した。共培養開始の直前に、各T細胞試料のアリコートを、CD3、CD4、CD8及びWhitlowリンカー(CAR)に対する抗体-フルオロフォアのパネルと共にインキュベートし、フローサイトメトリーによって分析して形質導入効率を評価した。総形質導入効率を、単鎖可変断片(scFv)の重鎖と軽鎖との間のWhitlowリンカーに結合する特注の抗体を使用して評価した。次いで、T細胞をCellTrace(商標)Violet(CTV)試薬で標識し、その後、R-10%培地[10%ウシ胎仔血清、ペニシリンストレプトマイシンL-グルタミン、及びHEPESを補充したRPMI-1640培地]で洗浄した。CTV標識試料の一部を固定し、4日目まで4℃で保存し、4日目の共培養試料と並行して試料をフローサイトメトリーによって分析して、CTVシグナルの初期レベル(CTV Max)を評価した。T細胞産物及びルシフェラーゼ発現標的細胞を、R-10%培地(共培養の0日目)中、3:1~1:243の範囲の(E:T)比で標的に対して異なるエフェクターで一緒に播種した。1ウェル当たりの標的細胞数を20,000細胞で一定に保ちながら、T細胞産物を3倍に連続希釈した。陽性標的細胞は、Nalm6(CD19+)及びST486(CD19+)を含んでいた。対照として、T細胞産物を任意の標的細胞の非存在下(すなわち、T細胞単独)で培養して、抗原刺激の非存在下でのT細胞機能の基礎レベルを評価した。共培養物を37℃で1日又は4日間インキュベートし、以下に記載するように機能評価を行った。
【0271】
解凍して一晩静置した後、各実験群の試料をCD3、CD4、CD8及びWhitlowリンカー(CAR)について染色して、それらの回収率及びCAR発現を評価した。次いで、群を、NTD細胞の添加によって最低の形質導入パーセンテージ(43.7%)まで正規化した。これは、全ての試料が下流アッセイにおいて同じ数のCAR+試料を有することを確実にするために行った。生成物細胞は首尾よく正常化し、41.0~46.8パーセントの範囲であった(表8)。イプシロン構築物は、細胞表面上のCARを下方制御することが観察され、標的細胞との共培養開始の時間までに27.7%CAR+に低下した。
【0272】
T細胞媒介性細胞毒性を、単独で播種された標的細胞によって放出されるシグナルと比較した、共培養ウェルにおける標的ルシフェラーゼシグナルの減少の関数として測定した。共培養開始後1日目及び4日目に、D-ルシフェリン基質を0.14mg/mLの最終濃度で共培養ウェルに添加し、37℃で10分間、暗所でインキュベートした。発光シグナルを、VarioSkan(商標)LUX又はVarioSkan(登録商標)Flashマルチモードマイクロプレートリーダーにおいて直後に読み取った。T細胞媒介性細胞毒性を以下のように計算した。
細胞毒性%=[1-(対象試料/標的単独対照)のルシフェラーゼシグナル]100
【0273】
1日目(表9)及び4日目(表10)の読み出しは、全ての両方の抗原発現細胞株(Nalm6及びST486)にわたって同等の用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
実施例5
【0274】
先の実施例に記載の共培養開始後1日目に、上清を回収し、Meso Scale Discovery V-PLEX(登録商標)Pro inflammatory Panel 1ヒトキットを製造業者の説明書に従って使用してサイトカインレベルについて分析した。具体的には、抗原発現Nalm6及びST486との1:1 E:T比で播種したT細胞産物の共培養物からの上清を、抗原結合によって媒介されるインターフェロンガンマ(IFN-γ)、IL-2、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)分泌のレベルについて分析した。標的細胞の非存在下で培養したT細胞(T細胞単独)からの上清を並行して分析して、抗原の非存在下でのサイトカイン産生の基礎レベルを評価した。全ての試料を検出範囲内になるように希釈した。
【0275】
1:1 E:T 比から上清を回収し、IFN-γ、IL-2、及びTNF-α分泌についてMSDを介して分析した。分析により、全ての構築物が、抗原発現細胞株Nalm6及びST486と共培養した場合にサイトカインを分泌することが示された(表11)。ゼータ1xx、イプシロン-CO、及びある程度のデルタはすべて、ゼータ及びゼータ-COベンチマーク対照と比較して、同等の高レベルの炎症促進性サイトカインを分泌した。イプシロン、ガンマ、及びDap12は、ゼータ及びゼータ-COベンチマーク対照と比較して、より低いレベルのサイトカインを産生した。Nalm6細胞株との共培養は、ST486細胞株で分泌されたレベルと比較した場合、より高いレベルのサイトカインを誘発したが、構築物の全体的な階層的パターンは、両方の細胞株にわたって一貫していた。一方、NTD対照群は、単独で又は抗原発現細胞株と共に培養した場合、測定可能なレベル又は有意なレベルのサイトカインを分泌しなかった。
実施例6
【0276】
共培養開始後4日目、標的細胞と1:1のE:T比で播種されたT細胞産物を回収し、抗体-フルオロフォアのパネルで染色してT細胞を同定し、フローサイトメトリーによって分析した。T細胞産物の増殖能力を、抗原発現標的細胞に応答したCTV色素の細胞分裂駆動性希釈物のフローサイトメトリー分析によって、単独で培養されたT細胞産物(T細胞単独)の増殖能力と比較して決定し、これを使用して刺激の非存在下での恒常性増殖の基礎レベルを評価した。共培養セットアップ(CTV Max)の日に固定されたCTV標識T細胞を、フローサイトメトリーによって並行して分析して、細胞増殖前の初期CTVシグナルの強度を評価した。
【0277】
Cell Trace Violet(CTV)標識の希釈を使用して増殖を評価した。生成物CAR-T細胞が分裂するにつれて、色素は各分裂で希釈され、したがって、0日目の細胞と比較してより低いCTV MFIは増殖を示す。最小限の恒常性増殖又は抗原非依存性増殖が、単独で又は抗原発現細胞株と共に培養された場合、NTD対照群において見られる。全ての他の構築物は、ST486細胞株に対して培養された場合、匹敵するMFIレベルを示した。Nalm6細胞株と共に培養した場合、ゼータ-CO及びイプシロンは両方とも、より大きな増殖を示す最も低いCTV MFIを有した。全ての他の構築物は、この同じ標的株に対して匹敵するレベルの増殖を有した。完全な概要を表12に示す。
実施例7
【0278】
インビボ研究のために、注射の1日前に、抗CD19産物CAR T細胞を上記のように調製し、凍結保存から取り出し、37℃の水浴中で解凍し、予熱した完全OpTmizer(商標)培地中に再懸濁した。細胞懸濁液のアリコートをトリパンブルーで希釈し、細胞を手動で計数した。細胞懸濁液を室温で5分間400×gで遠心分離し、上清を吸引した。次いで、細胞を完全OpTmizer(商標)培地中に2.0~5.0×10細胞/mLで再懸濁し、37℃/5%COインキュベーター中で一晩培養した。注射の日に、NTD T細胞を、総細胞数によって試験群を正規化するために指定された比でCAR+T細胞と共にプールした。均質な細胞懸濁液のアリコートをトリパンブルー溶液で希釈し、血球計数器を使用して細胞を手動で計数して、細胞の注射前生存率を決定した。次いで、細胞懸濁液を4℃で10分間、200×gで遠心分離した。各バイアルの上清を吸引し、細胞ペレットを室温でDPBS中に再懸濁した。2つのCAR T細胞用量を試験した:1群当たり5.0×10及び2.0×10CAR+細胞。移植後、各懸濁液からの残存細胞のアリコートをトリパンブルー溶液で希釈し、計数して移植後細胞生存率を決定した。
【0279】
同じ総数のT細胞(2.4×10細胞)を、処置群のそれぞれにおいてマウスに投与した。各処置群に投与される用量は、抗CD19 CAR形質導入効率に基づいて、各群について同じ総数のT細胞を送達するように正規化した。
【0280】
IVIS 5光学撮像システムを用いてインビボBLIを実施した。動物を約1%~2%イソフルランガス麻酔下で撮像した。各マウスに0.2 mL/20 gのD-ルシフェリンをIP注射し、注射の10分後に腹臥位、次いで仰臥位で撮像した。電荷結合素子(CCD)チップの大規模なビニングを使用し、露光時間を調整して、画像中の各マウスにおいて観察可能な転移性腫瘍から少なくとも数百カウントを得て、CCDチップの飽和を回避した。BLI画像は、6、13、20、27、34、41、及び48日目に回収した。Living Imageソフトウェアバージョン4.7.1を使用して画像を分析した。対象となる(ROI)全身固定体積を各個々の動物について腹臥位及び仰臥位画像上に配置し、動物識別に基づいて標識した。全光束(光子/秒)を計算し、全てのROIについてエクスポートした。ここで、特注スクリプトは、群間の分析を容易にするために、各マウスについて見出された様々なシグナルを表にした。対象となる腹臥位及び仰臥位領域を合計して、全身腫瘍量を推定した。
【0281】
各実験群のBLIを表13に要約する。ビヒクル対照又はNTD細胞のいずれかを受けた群は、腫瘍制御を示さず、両方の群は、高い腫瘍負荷のために20日目までに安楽死させた。全ての高用量構築物は、13日目に有意かつ同等の有効性を示した。高用量群における腫瘍制御の喪失は、早くも20日目に始まった。高用量群のイプシロン-CO、Dap12、及びゼータ1xxは、48日目の研究の終了まで腫瘍制御を維持した。
【0282】
低用量群における腫瘍制御は、試験開始時からより変動しやすかった。ゼータ1xxは、初期に最良の腫瘍制御を有し、研究全体を通してその有効性を維持した。イプシロン-COは、最初の3回の読み出しを通して最小限の腫瘍制御を示したが、その後、27日目に全てのマウスにわたって突然かつ完全な腫瘍制御を示し、研究の残りを通してこの腫瘍制御を維持した。イプシロンは、研究の終わりまで継続した5匹のマウスのうち3匹において34日目に同様の後期腫瘍制御を示した。残りの2つは、高い腫瘍負荷のために最終的に安楽死させた。より多様であったが、Dap12は、低用量において、高用量試験と同様の腫瘍制御効力を示した。1匹のマウスは、特に、27日目に開始して腫瘍制御を失うようであったが、その後、48日目までに回復した。
実施例8
【0283】
ex vivo ddPCR分析のために、100μlの毎週の血液容量を後眼窩洞を介して回収し、氷上で保存した。動物を、T細胞注射の24時間後に開始してサンプリングし、8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、及び43日目の研究期間を通して毎週続けた。KingFisherTMフレックス(小容量)を製造業者の指示に従って使用してDNA精製を行い、次いで、内部Kiteプロトコル及びBio-Rad機器を介して、精製されたDNAにddPCRを行った。
【0284】
インビボでのCAR T細胞増殖及び持続性を評価するために、DNA 1μg当たりのCARコピーについて、ddPCRを介して末梢血を分析した(表14)。分析は、改善された腫瘍制御を示した構築物(ゼータ1xx、Dap12及びイプシロン-CO)に限定した。ゼータは、Nalm6腫瘍モデルにおける本発明者らの標準的な抗CD19 CARについて予想されるように、マウスの末梢血においてほとんど又は全く増殖を示さなかった。しかしながら、イプシロン-CO並びにより少ない程度のゼータ1xx及びDap12は、両方の処置用量において、マウスの末梢血におけるCAR T細胞ピーク拡大及び持続を増加させた。
実施例9
【0285】
以下の実施例は、ベンチマーク抗CD19対照CARにおけるCD3ゼータの置換として、3つの新規CD19_CD3イプシロン-CO変異ドメインのうちの1つを利用する3つの新たな第二世代CD19/CD20バイシストロン性CAR構築物を記載する。3つのCD3イプシロン変異体は、CD20 CARを有するバイシストロン性構築物において、野生型CD3イプシロン-COと比較して、膜への改善されたCD19 CAR発現を示した。全てが初代ヒトT細胞において首尾よく形質導入され、発現された。これらの新しいCAR構築物を、インビトロアッセイによって特徴付けた。
【0286】
構築物設計。抗CD19CD3ゼータ第2世代キメラ抗原受容体(CAR)(以下、CD19zと呼ぶ)を使用して、配列ATGGCACTTCCAGTCACCGCACTCTTGCTTCCACTGGCCTTGTTGCTGCATGCTGCGCGGCCAGATATACAGATGACCCAAACGACGTCTAGCCTCAGTGCGTCACTCGGGGATCGGGTGACAATTAGCTGCAGGGCTAGCCAGGATATTTCAAAATATCTTAACTGGTATCAACAAAAGCCAGATGGAACCGTAAAACTGCTCATATACCACACCAGTCGCCTGCATTCAGGGGTTCCGAGCCGCTTTTCTGGGAGCGGTAGCGGAACtGAtTATAGCTTGACAATAAGCAACCTCGAGCAGGAAGACATTGCGACGTACTTCTGTCAGCAAGGGAACACGCTGCCGTATACCTTCGGTGGCGGCACTAAACTGGAAATCACGGGATCTACGTCTGGATCCGGAAAACCTGGATCTGGTGAAGGATCCACTAAAGGCGAAGTCAAGTTGCAAGAGTCTGGACCTGGTCTCGTGGCACCTTCACAGTCACTCTCCGTTACCTGTACCGTATCTGGAGTTTCACTTCCCGACTATGGCGTGTCATGGATACGCCAACCACCGCGAAAAGGTCTTGAATGGCTGGGCGTTATCTGGGGATCCGAAACCACATACTACAACTCTGCGCTCAAGTCACGGCTGACTATTATAAAGGACAATTCAAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAAATGAACAGCCTGCAGACTGATGACACTGCAATATATTACTGCGCCAAGCATTACTATTACGGCGGATCTTACGCGATGGATTATTGGGGCCAGGGCACCTCTGTAACAGTCAGCTCCGCGGCCGCATTGGACAATGAAAAATCCAATGGCACAATAATTCATGTAAAGGGCAAACACTTGTGTCCTAGCCCACTCTTTCCTGGTCCGTCTAAACCGTTTTGGGTGCTCGTTGTGGTTGGAGGCGTCCTGGCTTGTTACTCTCTGTTGGTGACTGTAGCCTTTATAATATTCTGGGTTAGAAGCAAACGAAGTAGGCTTTTACATTCAGACTATATGAACATGACACCAAGACGCCCCGGCCCCACAAGAAAACACTATCAGCCCTATGCTCCGCCTCGGGACTTCGCTGCTTACCGAAGCAAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAGGCGAATT(配列番号90)を有する抗CD19 CD3 イプシロン-CO構築物を生成し、それを親鋳型として使用して、イプシロン-CO(Δ181-185)、イプシロン-CO(R183K)、及びイプシロン-CO(S178N.R183K)と呼ばれるイプシロン-COシグナル伝達ドメイン内に変異を含む3つの娘構築物を操作した。元のCD3ゼータシグナル伝達タンパク質から娘構築物を生成するために、親鋳型の核酸3316~3651を以下の配列で置き換えた。
イプシロン-CO:
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAGGCGAATT(配列番号54)。
イプシロン-CO(Δ181-185):
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTC(配列番号79)。
イプシロン-CO(R183K):
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAAGCGAATT(配列番号80)。
イプシロン-CO(S178N.R183K)
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACAACGGTCTCAATCAGAAGCGAATT(配列番号81)。
次いで、CD19ゼータCAR構築物、並びにCD3イプシロン-CO及びCD3イプシロンシグナル伝達ドメインにおける突然変異を含有する構築物を、T2Aフューリン切断可能領域を第二世代CD20 CD3ゼータ(CD20z)CARに組み込むことによってバイシストロン性フォーマットに組み立て、以下、図1に示すように、CD19z/CD20z、CD19イプシロン(Δ181-185)/CD20z、CD19イプシロン(R183K)/CD20z及びCD19イプシロン(S178N.R183K)/CD20zと称される、2つの異なるCARの共発現をもたらす。
【0287】
CAR T細胞産物の製造。健康なヒトドナーからのアフェレーシス物質を洗浄し、抗CD8抗体結合磁気ビーズと共にインキュベートし、製造業者の指示に従ってCliniMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotech)を使用して処理して、CD8+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。得られた陰性画分を洗浄し、抗CD4抗体結合磁気ビーズを用いて上記のように処理して、CD4+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。単離されたCD4+及びCD8+初代ヒトT細胞を、2.6%OpTmizer CTS(商標)T細胞増殖サプリメント、2.5%CTS免疫細胞血清代替物、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び305国際単位/mLヒトインターロイキン(IL)-2を補充したOpTmizer CTS(商標)T細胞増殖基本培地(以後、完全OpTmizer(商標)培地と呼ぶ)中で解凍した。T細胞を、1.66μg/mLの抗CD 28抗体(クローン28.2)を含有する完全OpTmizer(商標)培地中に1.5×10細胞/mLの密度で再懸濁し、次いで、1.23μg/mLの抗CD 3抗体(クローンOKT3)で予めコーティングしたPL07バッグ中に播種して、T細胞活性化を誘導した(0日目)。活性化後1日目に、細胞に、親バイシストロニックCD19z/CD20z CARをコードするLVV及びCD19-イプシロン-CO/CD20z CARを含有する構築物のいずれかを10のMOIで形質導入した。非形質導入(NTD)試料は、陰性対照として機能した。T細胞を3日目に完全OpTmizer(商標)培地で洗浄し、正規化し、更に9日間(3~9日目)増殖させた。回収時点(9日目)で、細胞を、将来の発現評価のために凍結保存した。増殖中の複数の時点で(3~9日目)、Vi-CELLを使用して細胞計数を行い、完全OpTmizer(商標)培地を添加することによって細胞密度を0.5×10細胞/mLに正規化した。これらの時点で、平均細胞生存率、直径、及び細胞密度をVi-CELLに記録した。
【0288】
CD3イプシロン-CO/CD 20 z CARの発現決定。製造されたD9 CD19z/CD20z、CD19-イプシロン-CO/CD 20 z及びNTD細胞を解凍し、OpTmizer(商標)培地中で一晩静置して、CAR発現を評価した。huCD19-His組換えペプチド及び抗イディオタイプ抗体(24C12)を使用して発現を評価し、それぞれCD19及びCD20 CARの個々の発現を評価した。各CARについての平行膜及び細胞内発現を評価した。
【0289】
CAR T細胞産物の製造。健康なヒトドナーからのアフェレーシス物質を洗浄し、抗CD8抗体結合磁気ビーズと共にインキュベートし、製造業者の指示に従ってCliniMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotech)を使用して処理して、CD8+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。得られた陰性画分を洗浄し、抗CD4抗体結合磁気ビーズを用いて上記のように処理して、CD4+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。単離されたCD4+及びCD8+初代ヒトT細胞を、2.6%OpTmizer CTS(商標)T細胞増殖サプリメント、2.5%CTS免疫細胞血清代替物、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び305国際単位/mLヒトインターロイキン(IL)-2を補充したOpTmizer CTS(商標)T細胞増殖基本培地(以後、完全OpTmizer(商標)培地と呼ぶ)中で解凍した。T細胞を、1.66μg/mLの抗CD 28抗体(クローン28.2)を含有する完全OpTmizer(商標)培地中に1.5×10細胞/mLの密度で再懸濁し、次いで、1.23μg/mLの抗CD 3抗体(クローンOKT3)で予めコーティングしたPL07バッグ中に播種して、T細胞活性化を誘導した(0日目)。活性化後1日目に、細胞に、親バイシストロン性CD19z/CD20z CAR、又はCD19-イプシロン-CO(Δ181-185)/CD20z、CD19-イプシロン-CO(R183K)/CD20z、もしくはCD19-イプシロン-CO(S178N.R183K)/CD20zを含有する構築物をコードするLVVを10のMOIで形質導入した。非形質導入(NTD)試料は、陰性対照として機能した。T細胞を3日目に完全OpTmizer(商標)培地で洗浄し、正規化し、更に6日間(3~9日目)増殖させた。回収時点(9日目)で、細胞を将来の使用のために凍結保存した。増殖中の複数の時点で(3~9日目)、Vi-CELLを使用して細胞計数を行い、完全OpTmizer(商標)培地を添加することによって細胞密度を0.5×10細胞/mLに正規化した。これらの時点で、平均細胞生存率、直径、及び細胞密度をVi-CELLに記録した。
【0290】
CAR発現を、7日目及び9日目にフローサイトメトリーによって測定した。T細胞をフルオロフォア結合抗体のパネルで染色し、フローサイトメトリーによって特徴付けて、形質導入効率及びCD4+/CD8+T細胞比を決定した。各CARアームの発現評価は、フルオロフォア結合抗FMC63(抗CD19 CARに対するイディオタイプ、CDLとしても知られる)及び24C12(抗CD20 CARに対するイディオタイプ)抗体によって可能にした。CD19及びCD20 CARの単鎖可変断片(scFv)の重鎖と軽鎖との間のWhitlowリンカーに結合する特注抗体であるKIP-1を使用して、総CAR形質導入効率を評価した。固定可能な細胞生存色素は、生存細胞の特異的分析を可能にした。細胞を、適切な抗体混合物と共に4℃で30分間インキュベートすることによって染色し、続いて染色緩衝液で2回洗浄し、その後、リン酸緩衝生理食塩水中のパラホルムアルデヒド中で室温で10分間インキュベートすることによって固定した。全てのフローサイトメトリーデータをAttune NxT機器で回収し、FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0291】
0日目の共培養セットアップ。健康なドナーアフェレーシスに由来するT細胞から製造されたT細胞産物を、採取日(製造の9日目)に凍結保存した。続いて、T細胞産物を解凍し、完全R-10%培地[10%ウシ胎児血清、ペニシリンストレプトマイシンL-グルタミン、及びHEPESを補充したRPMI-1640培地]中で一晩静置した後、標的細胞との共培養を開始した。共培養開始の直前に、各T細胞試料のアリコートを抗体-フルオロフォアのパネルと共にインキュベートし、フローサイトメトリーによって分析して形質導入効率を評価した。各CARアームの発現評価は、フルオロフォア結合抗FMC63(抗CD19 CARに対するイディオタイプ、CDLとしても知られる)及び24C12(抗CD20 CARに対するイディオタイプ)抗体によって可能にした。CD19及びCD20 CARの単鎖可変断片(scFv)の重鎖と軽鎖との間のWhitlowリンカーに結合する特注抗体であるKIP-1を使用して、総CAR形質導入効率を評価した。次いで、T細胞をCellTrace(商標)Violet(CTV)試薬で標識し、続いてR-10%培地で洗浄した。CTV標識試料の一部を固定し、4日目まで4℃で保存し、4日目の共培養試料と並行して試料をフローサイトメトリーによって分析して、CTVシグナルの初期レベル(CTV Max)を評価した。T細胞産物及びルシフェラーゼ発現標的細胞を、R-10%培地(共培養の0日目)中、3:1~1:243の範囲の(E:T)比で標的に対して異なるエフェクターで一緒に播種した。1ウェル当たりの標的細胞数を25,000細胞で一定に保ちながら、T細胞産物を3倍に連続希釈した。陽性標的細胞はRaji(CD19+/CD20+)Nalm6 MHC I/II KO(CD19+.CD20+)及びST486(CD19+/CD20+)を含み、一方、Raji CD19 KO(CD19-/CD20+)、Raji CD20 KO(CD19+/CD20-)及びK-562(CD19-/CD20-)は、抗原陰性対照として役立った。T細胞産物を、任意の標的細胞の非存在下(すなわち、T細胞単独)で培養して、抗原刺激の非存在下でのT細胞機能の基礎レベルを評価した。共培養物を37℃で1日又は4日間インキュベートし、以下に記載するように機能評価を行った。
【0292】
1日目及び4日目細胞毒性。T細胞媒介性細胞毒性を、単独で播種された標的細胞によって放出されるシグナルと比較した、共培養ウェルにおける標的ルシフェラーゼシグナルの減少の関数として測定した。共培養開始後1日目及び4日目に、D-ルシフェリン基質を0.14mg/mLの最終濃度で共培養ウェルに添加し、プレートを37℃で暗所で10分間インキュベートした。発光シグナルを、PerkinElmer EnVision(登録商標)マルチモードマイクロプレートリーダーにおいて直後に読み取った。T細胞媒介性細胞毒性を以下のように計算した。
細胞毒性%=[1-(対象試料/標的単独対照)のルシフェラーゼシグナル]100。
【0293】
1日目のサイトカイン産生。共培養開始後1日目に、上清を回収し、製造業者の指示に従ってMeso Scale Discovery V-PLEX Pro inflammatory Panel 1ヒトキットを使用してサイトカインレベルについて分析した。具体的には、抗原発現Raji(CD19+CD20+)、RajiCD19ノックアウト(KO)(CD19-CD20+)、RajiCD20ノックアウト(KO)(CD19+CD20-)、Nalm6MHCI/IIノックアウト(KO)(CD19+ CD20minimal)、ST486(CD19+CD20+)、及びK-562(CD19-CD20-)との1:1 E:T比で播種したT細胞産物の共培養物からの上清が、抗原結合によって媒介されるインターフェロンガンマ(IFN-γ)、IL-2、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)分泌のレベルについて分析された。抗原陰性共培養物(K-562)からの上清を並行して分析して、抗原の非存在下でのサイトカイン産生の基礎レベルを評価した。全ての試料を検出範囲内になるように希釈した。
【0294】
4日目増殖。共培養開始後4日目に、標的細胞との3:1E:T比で播種したT細胞産物を、を回収し、抗体-フルオロフォアのパネルで染色してT細胞を同定し、フローサイトメトリーによって分析した。T細胞産物の増殖能力を、抗原発現標的細胞に応答したCTV色素の細胞分裂駆動性希釈物のフローサイトメトリー分析によって、単独で培養されたT細胞産物(T細胞単独)の増殖能力と比較して決定し、これを使用して刺激の非存在下での恒常性増殖の基礎レベルを評価した。共培養セットアップ(CTV Max)の日に固定されたCTV標識T細胞を、フローサイトメトリーによって並行して分析して、細胞増殖前の初期CTVシグナルの強度を評価した。
【0295】
CAR-T産物細胞の製造。細胞数、細胞生存率、及び細胞直径を、異なる実験群のそれぞれについて0日目から9日目まで追跡し、表15にまとめる。
【0296】
9日目におけるCAR-T産物細胞の形質導入効率。各CARを個々に検出するためにhuCD19-His組換えペプチド及び抗CD20 CARイディオタイプ(24C12)抗体を使用して、膜及び細胞内染色条件によって、解凍及び回収した一晩9日目の細胞でCAR発現を測定した。CD19イプシロン-CO/CD 20 z構築物におけるCD19 CARの発現は、膜透過化条件下で14%から53.5%に増加する。染色条件又は構築物のいずれかにおけるCD20 CARの発現は、同様のままであり、膜透過性条件下で約11~12%増加した。形質導入パーセンテージを表16に要約する。
【0297】
CAR-T産物細胞の製造。細胞数、細胞生存率、及び細胞直径を、異なる実験群のそれぞれについて0日目から9日目まで追跡し、表17にまとめる。
【0298】
CAR-T産物細胞の形質導入効率。CAR発現を、製造の7日目及び/又は9日目のいずれかに、KIP-1(合計)、CDL(CD19 CAR)及び24C12(CD20 CAR)染色並びにその後のフローサイトメトリー分析によって測定した(表18)。実験群は、7日目に、CD3イプシロン-CO変異体発現構築物については85%~98%、CD19z/CD20zについては42~49%の範囲の同等の全CAR発現及び個々のCAR発現を示した。CAR発現は、全ての構築物について9日目に比較的安定したままであった。
【0299】
共培養セットアップの0日目におけるCAR-T産物細胞の形質導入効率。解凍及び一晩の静置後、各実験群の試料を染色して、それらの回収率及びCAR発現を評価した。次いで、群を、NTD細胞の添加によって、24C12発現当たりの最低形質導入パーセンテージ(31%)まで正規化した。これは、全ての試料が下流アッセイにおいて同じ数のCAR+試料を有することを確実にするために行った。生成物細胞を正規化し、CD20 CAR発現によって22%~32%の範囲であった(表19)。
【0300】
細胞毒性。1日目(表20)及び4日目(表21)の読み出しは、抗原発現細胞株Rajiにわたる用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0301】
1日目(表22)及び4日目(表23)の読み出しは、抗原発現細胞株Raji CD19 KOにわたる用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0302】
1日目(表24)及び4日目(表25)の読み出しは、抗原発現細胞株Raji CD20 KOにわたる用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0303】
1日目(表26)及び4日目(表27)の読み出しは、抗原発現細胞株Nalm6 MHC I/II KOにわたる用量依存的な細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0304】
1日目(表26)及び4日目(表27)の読み出しは、抗原発現細胞株ST486にわたって用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0305】
1日目(表28)及び4日目(表29)の読み出しは、抗原発現細胞株K-562にわたって用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0306】
1日目のサイトカイン産生。1:1 E:T 比から上清を回収し、IFN-γ、IL-2、及びTNF-α分泌についてMSDを介して分析した。分析は、全ての構築物(表30及び表31)が、抗原発現細胞株Raji、Raji CD19 KO、Raji CD20 KO、Nalm6 MHC I/II KO及びST486と共培養した場合にサイトカインを分泌したことを示した。CD3イプシロン-CO変異体構築物は全て、全ての細胞株にわたって同様のレベルのサイトカインを分泌した。Raji及びNalm6細胞株との共培養は、ST486細胞株で分泌されたレベルと比較した場合、より高いレベルのサイトカインを誘発したが、構築物の全体的な階層パターンは、全ての細胞株にわたって一貫していた。一方、NTD対照群は、単独で又は抗原発現細胞株と共に培養した場合、測定可能なレベル又は有意なレベルのサイトカインを分泌しなかった。INFγ<1.76pg/mL、IL-2<0.890pg/mL及びTNFα<0.690pg/mLについてのサイトカイン測定値は、アッセイについての定量限界未満であった(<LOQ)。
【0307】
4日目増殖。Cell Trace(商標)バイオレット(CTV)標識の希釈を使用して増殖を評価した。生成物CAR-T細胞が分裂するにつれて、色素は各分裂で希釈され、したがって、0日目の細胞と比較してより低いCTV MFIは増殖を示す。最小限の恒常性増殖又は抗原非依存性増殖が、単独で又は抗原発現細胞株と共に培養された場合、NTD対照群において見られる。全ての構築物は、Raji、Raji CD19 KO、Raji CD20 KO、Nalm6 MHC I/II KO、ST486及びK-562細胞株に対して培養された場合、同等のMFIレベルを示した。完全な概要を表32に示す。
実施例10
【0308】
以下の実施例は、イプシロン-CO(Δ181-185)、イプシロン-CO(R183K)及びイプシロン-CO(S178N.R183K)シグナル伝達ドメインを利用する抗CD19 CARを記載し、これは、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを有するベンチマーク抗CD19対照CARと比較して、インビボで有意に改善された腫瘍制御を実証する。CD3イプシロンシグナル伝達ドメイン内に突然変異を有するこれらの新たな第二世代CAR構築物を、元のCD3イプシロン-CO構築物とも比較した。全てが初代ヒトT細胞において首尾よく形質導入され、発現された。インビボ研究は、CD3ゼータベンチマーク対照と比較した場合、イプシロン-CO及びイプシロン-CO突然変異体構築物による優れた腫瘍制御、CAR拡大及び持続を実証し、CD3イプシロンシグナル伝達ドメインを利用する抗CD19 CARが増強された有効性インビボを有することを実証した。
【0309】
構築物設計。配列ATGGCTCTGCCTGTGACCGCTCTGCTGTTGCCCCTTGCTTTACTCCTGCACGCCGCAAGACCCGACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCAGGGTGAAGTTCTCAAGAAGCGCTGACGCTCCTGCTTACCAACAAGGCCAAAACCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGAAGAAGAGAGGAATACGACGTCCTGGACAAGAGAAGAGGAAGAGACCCTGAGATGGGAGGAAAGCCAAGAAGAAAGAACCCTCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAAAAGGACAAGATGGCTGAGGCTTACTCCGAGATCGGAATGAAGGGAGAGAGAAGAAGAGGAAAGGGACACGACGGACTGTACCAAGGCCTGAGCACCGCTACCAAGGACACCTACGACGCTCTGCACATGCAAGCCCTGCCTCCTAGG(配列番号91)を有する抗CD19第2世代キメラ受容体(CAR)(以後ゼータと呼ぶ)を親鋳型として使用して、娘構築物を操作及び合成した。イプシロン-COシグナル伝達ドメイン内に突然変異を含有する構築物も作製し、イプシロン-CO(Δ181-185)、イプシロン-CO(R183K)及びイプシロン-CO(S178N.R183K)と呼ぶ。娘構築物を生成するために、親鋳型の核酸3316~3651で開始するCD3ゼータシグナル伝達タンパク質を、以下の配列で置き換えた(図2参照)。
イプシロン-CO(Δ181-185):
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTC(配列番号79)。
イプシロン-CO(R183K):
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAAGCGAATT(配列番号80)。
イプシロン-CO(S178N.R183K)
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACAACGGTCTCAATCAGAAGCGAATT(配列番号81)。
【0310】
CAR T細胞産物の製造。健康なヒトドナーからのアフェレーシス物質を洗浄し、抗CD8抗体結合磁気ビーズと共にインキュベートし、CliniMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotech)を製造業者の指示に従って使用して処理して、CD8+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。得られた陰性画分を洗浄し、抗CD4抗体結合磁気ビーズを用いて上記のように処理して、CD4+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。単離されたCD4+及びCD8+初代ヒトT細胞を、2.6%OpTmizer(商標)CTS T細胞増殖サプリメント、2.5%CTS免疫細胞血清代替物、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び305国際単位/mLヒトインターロイキン(IL)-2を補充したOpTmizer CTS(商標)T細胞増殖基本培地(以後、完全OpTmizer(商標)培地と呼ぶ)中で解凍した。T細胞を、1.66μg/mLの抗CD 28抗体(クローン28.2)を含有する完全OpTmizer(商標)培地中に1.0×10細胞/mLの密度で再懸濁し、次いで、1.23μg/mLの抗CD 3抗体(クローンOKT3)で予めコーティングしたT-25フラスコ中に播種して、T細胞活性化を誘導した(0日目)。活性化後1日目に、細胞に、親抗CD19 CAR又は娘構築物イプシロン-CO、イプシロン-CO(Δ181-185)、イプシロン-CO(R183K)、もしくはイプシロン-CO(S178N.R183K)をコードするLVVを5又は10のMOIで形質導入した。非形質導入(NTD)試料は、陰性対照として機能した。T細胞を3日目に完全OpTmizer(商標)培地で洗浄し、正規化し、更に6日間(3~9日目)増殖させた。回収時点(9日目)で、細胞を将来の使用のために凍結保存した。増殖中の複数の時点で(3~9日目)、Vi-CELLを使用して細胞計数を行い、完全OpTmizer(商標)培地を添加することによって細胞密度を0.5×10細胞/mLに正規化した。これらの時点で、平均細胞生存率、直径、及び細胞密度をVi-CELLに記録した。
【0311】
CAR発現を、6日目及び9日目にフローサイトメトリーによって測定した。T細胞をフルオロフォア結合抗体のパネルで染色し、フローサイトメトリーによって特徴付けて、形質導入効率及びCD4+/CD8+T細胞比を決定した。CAR発現(抗CD19 CAR)の評価は、フルオロフォア結合KIP-1によって可能になった。固定可能な細胞生存色素は、生存細胞の特異的分析を可能にした。細胞を、適切な抗体混合物と共に4℃で30分間インキュベートすることによって染色し、続いて染色緩衝液で2回洗浄し、その後、リン酸緩衝生理食塩水中のパラホルムアルデヒド中で室温で10分間インキュベートすることによって固定した。全てのフローサイトメトリーデータをFortessa-X20機器で回収し、FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0312】
0日目の共培養セットアップ。健康なドナーアフェレーシスに由来するT細胞から製造されたT細胞産物を、採取日(製造の9日目)に凍結保存した。続いて、T細胞産物を解凍し、完全R-10%培地[10%ウシ胎児血清、ペニシリンストレプトマイシンL-グルタミン、及びHEPESを補充したRPMI-1640培地]中で一晩静置した後、標的細胞との共培養を開始した。共培養開始の直前に、各T細胞試料のアリコートを抗体-フルオロフォアのパネルと共にインキュベートし、フローサイトメトリーによって分析して形質導入効率を評価した。総形質導入効率を、単鎖可変断片(scFv)の重鎖と軽鎖との間のWhitlowリンカーに結合する特注抗体であるKIP-1を使用して評価した。次いで、T細胞をCellTrace(商標)Violet(CTV)試薬で標識し、続いてR-10%培地で洗浄した。CTV標識試料の一部を固定し、4日目まで4℃で保存し、4日目の共培養試料と並行して試料をフローサイトメトリーによって分析して、CTVシグナルの初期レベル(CTV Max)を評価した。T細胞産物及びルシフェラーゼ発現標的細胞を、R-10%培地(共培養の0日目)中、3:1~1:243の範囲の(E:T)比で標的に対して異なるエフェクターで一緒に播種した。1ウェル当たりの標的細胞数を25,000細胞で一定に保ちながら、T細胞産物を3倍に連続希釈した。陽性標的細胞は、Raji(CD19+)、Nalm6(CD19+)、ST486(CD19+)、及びRaji CD19 KO(CD19-)又はK562(CD19-)を含んでいた。対照として、T細胞産物を任意の標的細胞の非存在下(すなわち、T細胞単独)で培養して、抗原刺激の非存在下でのT細胞機能の基礎レベルを評価した。共培養物を37℃で1日又は4日間インキュベートし、以下に記載するように機能評価を行った。
【0313】
1日目及び4日目細胞毒性。T細胞媒介性細胞毒性を、単独で播種された標的細胞によって放出されるシグナルと比較した、共培養ウェルにおける標的ルシフェラーゼシグナルの減少の関数として測定した。共培養開始後1日目及び4日目に、D-ルシフェリン基質を0.14mg/mLの最終濃度で共培養ウェルに添加し、プレートを37℃で暗所で10分間インキュベートした。発光シグナルを、PerkinElmer EnVision(登録商標)マルチモードマイクロプレートリーダーにおいて直後に読み取った。T細胞媒介性細胞毒性を以下のように計算した。
細胞毒性%=[1-(対象試料/標的単独対照)のルシフェラーゼシグナル]100。
【0314】
1日目のサイトカイン産生。共培養開始後1日目に、上清を回収し、製造業者の指示に従ってMeso Scale Discovery V-PLEX Pro inflammatory Panel 1ヒトキットを使用してサイトカインレベルについて分析した。具体的には、抗原発現Raji、Nalm6及びST486との1:1 E:T比で播種したT細胞産物の共培養物からの上清を、抗原結合によって媒介されるインターフェロンガンマ(IFN-γ)、IL-2、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)分泌のレベルについて分析した。標的細胞の非存在下(T細胞単独)又は抗原陰性共培養(Raji CD19 KO又はK562)で培養したT細胞からの上清を並行して分析して、抗原の非存在下でのサイトカイン産生の基礎レベルを評価した。全ての試料を検出範囲内になるように希釈した。
【0315】
4日目増殖。共培養開始後4日目、標的細胞との1:1E:T比で播種したT細胞産物を回収し、抗体-フルオロフォアのパネルで染色してT細胞を同定し、フローサイトメトリーによって分析した。T細胞産物の増殖能力を、抗原発現標的細胞に応答したCTV色素の細胞分裂駆動性希釈物のフローサイトメトリー分析によって、単独で培養されたT細胞産物(T細胞単独)の増殖能力と比較して決定し、これを使用して刺激の非存在下での恒常性増殖の基礎レベルを評価した。共培養セットアップ(CTV Max)の日に固定されたCTV標識T細胞を、フローサイトメトリーによって並行して分析して、細胞増殖前の初期CTVシグナルの強度を評価した。
【0316】
連続殺傷。産物CAR-T細胞を、上記の共培養設定と同様に、0日目にCAR発現について正規化した。T細胞を、抗原発現Nalm6標的株とR-10%培地中の1:1 E:Tで共培養した。3~4日毎に、新しいR-10%培地中の追加の25,000個のNalm6(CD19+)標的細胞で培養物をチャレンジした。細胞毒性(上記の細胞毒性と同様に評価される)及びCD3+T細胞数(Attuneサイトメーターで分析される)を、より多くの標的細胞が添加されるラウンドごとに測定した。ラウンド9~13では、Nalm6標的細胞を添加する前に、総ウェル体積を1/3に分割した。
【0317】
CAR-T産物細胞の製造。細胞数、細胞生存率、及び細胞直径を、異なる実験群のそれぞれについて0日目から9日目まで追跡し、表33及び表34にまとめる。
【0318】
CAR-T産物細胞の形質導入効率。CAR発現を、KIP-1染色及びその後のフローサイトメトリー分析を介して、製造の6日目又は7日目及び9日目のいずれかに測定した(表35)。実験群は、7日目にドナー1について83%~95%の範囲で、6日目にドナー2について82%~96%の範囲で、同等のCAR発現を示した。CAR発現は、両方のドナーについて9日目に比較的安定なままであった。
【0319】
共培養セットアップの0日目におけるCAR-T産物細胞の形質導入効率。解凍及び一晩の静置後、各実験群の試料を染色して、それらの回収率及びCAR発現を評価した。次いで、群を、NTD細胞の添加によって、最も低い形質導入パーセンテージ(ドナー1について75%及びドナー2について74%)まで正規化した。これは、全ての試料が下流アッセイにおいて同じ数のCAR+試料を有することを確実にするために行った。生成細胞は首尾よく正常化し、ドナー1では68%~73%、ドナー2では73%~78%の範囲であった(表36)。
【0320】
細胞毒性。ドナー1からの1日目(表37)及び4日目(表38)の読み出しは、抗原発現細胞株Nalm6にわたって用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0321】
ドナー1からの1日目(表39)及び4日目(表40)の読み出しは、抗原発現細胞株Rajiにわたる用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0322】
ドナー1からの1日目(表41)及び4日目(表42)の読み出しは、抗原発現細胞株ST486にわたって用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0323】
ドナー2からの1日目(表43)及び4日目(表44)の読み出しは、抗原発現細胞株Nalm6にわたって用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0324】
ドナー2からの1日目(表45)及び4日目(表46)の読み出しは、抗原発現細胞株Rajiにわたる用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0325】
ドナー2からの1日目(表47)及び4日目(表48)の読み出しは、抗原発現細胞株ST486にわたって用量依存的細胞毒性を示し、構築物間に有意差はなかった。
【0326】
1日目のサイトカイン産生。1:1 E:T 比から上清を回収し、IFN-γ、IL-2、及びTNF-α分泌についてMSDを介して分析した。分析は、ドナー1(表49)及びドナー2(表50)由来の全ての構築物が、抗原発現細胞株Raji、Nalm6及びST486と共培養した場合にサイトカインを分泌したことを示した。イプシロン-CO構築物は全て、全ての細胞株にわたって同様のレベルのサイトカインを分泌した。Raji及びNalm6細胞株との共培養は、ST486細胞株で分泌されたレベルと比較した場合、より高いレベルのサイトカインを誘発したが、構築物の全体的な階層パターンは、全ての細胞株にわたって一貫していた。一方、NTD対照群は、単独で又は抗原発現細胞株と共に培養した場合、測定可能なレベル又は有意なレベルのサイトカインを分泌しなかった。INFγ<1.76 pg/mL、IL-2<0.890 pg/mL及びTNFα<0.690 pg/mLについてのサイトカイン測定値は、アッセイについての定量限界未満であった(<LOQ)。
【0327】
4日目増殖。Cell Trace Violet(CTV)標識の希釈を使用して増殖を評価した。生成物CAR-T細胞が分裂するにつれて、色素は各分裂で希釈され、したがって、0日目の細胞と比較してより低いCTV MFIは増殖を示す。最小限の恒常性増殖又は抗原非依存性増殖が、単独で又は抗原発現細胞株と共に培養された場合、NTD対照群において見られる。全ての構築物は、Raji、Nalm6及びST486細胞株に対して培養された場合、同等のMFIレベルを示した。完全な概要は、ドナー1については表51に、ドナー2については表52に見られる。
【0328】
連続殺傷。生成物CAR-T細胞をCAR発現について正規化し、抗原発現Nalm6標的株と1:1 E:T比で共培養した。3~4日毎に、培養物をより多くのNalm6標的細胞でチャレンジした。細胞毒性(表53)及びCD3+T細胞数(表54)を、より多くの標的細胞を添加したラウンドごとに測定した。14ラウンド後、構築物間に有意差はなかった。
実施例11
【0329】
本明細書に記載されるように、抗CD19第2世代キメラ抗原受容体(CAR)におけるシグナル伝達ドメインとしてCD3ゼータを置き換え、CAR T細胞産物の治療可能性を増強することができる他のITAM含有タンパク質を評価した。5つの新規シグナル伝達ドメイン(CD3イプシロン、CD3デルタ、CD3ガンマ及びDap12を含む)のうちの1つを、ベンチマーク抗CD19対照CARにおけるCD3ゼータの代わりとして利用する、5つの新しい第二世代CAR構築物を設計した。全てが初代ヒトT細胞において首尾よく形質導入され、発現された。これらの新しいCAR構築物は、インビトロアッセイによって特徴付けられ、匹敵するCAR T細胞機能性を示した。インビボ研究は、CD3ゼータベンチマーク対照と比較した場合に、イプシロン-CO構築物による優れた腫瘍制御、CAR拡大及び持続性を実証し、CD3イプシロンシグナル伝達ドメインを利用する抗CD19 CARが増強された有効性インビボを有することを実証した。ここで、CD3イプシロン、Dap12、CD3デルタ又はCD3ガンマシグナル伝達ドメインを利用する抗CD19 CARが、CD3ゼータシグナル伝達ドメインを有するベンチマーク抗CD19対照CARと比較して、インビボで有意に改善された腫瘍制御を実証したことが示される。
【0330】
構築物設計。配列ATGGCTCTGCCTGTGACCGCTCTGCTGTTGCCCCTTGCTTTACTCCTGCACGCCGCAAGACCCGACATCCAAATGACCCAAACCACCTCCTCCCTGAGCGCCTCCCTTGGAGACCGAGTTACCATCTCCTGCCGAGCTTCTCAAGACATCTCCAAGTACTTGAATTGGTATCAACAAAAGCCCGACGGAACCGTGAAGCTGCTGATCTACCACACATCCCGGCTGCACTCTGGCGTTCCCTCAAGATTCTCCGGCTCTGGAAGCGGAACCGACTACTCCCTGACCATCTCCAACCTGGAGCAAGAGGACATCGCTACCTACTTCTGCCAACAAGGCAACACCCTGCCTTACACCTTCGGAGGAGGAACCAAGCTGGAGATCACCGGAAGCACAAGCGGATCTGGCAAGCCTGGAAGCGGAGAGGGAAGCACCAAGGGAGAGGTGAAGCTGCAAGAGAGCGGACCTGGATTGGTGGCCCCCTCACAATCCCTGAGCGTTACATGCACTGTGAGCGGCGTGTCCCTTCCTGACTACGGCGTTTCCTGGATCCGCCAACCTCCAAGAAAGGGACTGGAGTGGCTGGGAGTGATCTGGGGAAGCGAGACCACCTACTACAACTCCGCCCTGAAGAGCCGACTGACCATCATCAAGGACAACTCCAAGAGCCAAGTGTTCCTGAAGATGAACTCTCTCCAAACCGACGACACCGCTATCTACTACTGCGCTAAGCACTACTACTACGGAGGAAGCTACGCTATGGACTACTGGGGACAAGGCACCTCTGTGACCGTCTCCTCTGCCGCCGCTCTGGACAACGAGAAGAGCAACGGAACCATCATCCACGTGAAGGGAAAGCACCTGTGCCCCTCTCCTCTGTTCCCTGGACCCTCCAAGCCTTTCTGGGTGCTCGTGGTGGTGGGAGGAGTGCTGGCTTGCTACTCCCTGCTTGTGACCGTGGCTTTCATCATCTTCTGGGTTAGAAGCAAGAGAAGCAGACTGCTGCACAGCGACTACATGAACATGACCCCTAGAAGGCCCGGACCTACCAGAAAGCACTACCAGCCTTACGCTCCTCCTAGAGACTTCGCTGCTTACAGAAGCAGGGTGAAGTTCTCAAGAAGCGCTGACGCTCCTGCTTACCAACAAGGCCAAAACCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGAAGAAGAGAGGAATACGACGTCCTGGACAAGAGAAGAGGAAGAGACCCTGAGATGGGAGGAAAGCCAAGAAGAAAGAACCCTCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTGCAAAAGGACAAGATGGCTGAGGCTTACTCCGAGATCGGAATGAAGGGAGAGAGAAGAAGAGGAAAGGGACACGACGGACTGTACCAAGGCCTGAGCACCGCTACCAAGGACACCTACGACGCTCTGCACATGCAAGCCCTGCCTCCTAGG(配列番号91)を有する抗CD19第2世代キメラ受容体(CAR)(以下、ゼータと呼ぶ)を親鋳型として使用して、7つの娘構築物を操作及び合成した。これらの構築物は、以下、ゼータ 1xx、イプシロン、デルタ、ガンマ、Dap12、ゼータ-CO、及びイプシロン-COと称される。娘構築物を生成するために、親鋳型の核酸3316~3651のCD3ゼータシグナル伝達タンパク質を以下の配列で置き換えた(図3を参照されたい)。
ゼータ1xx:
CGGGTGAAGTTCTCAAGAAGCGCTGACGCTCCTGCTTACCAACAAGGCCAAAACCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGAAGAAGAGAGGAATACGACGTCCTGGACAAGAGAAGAGGAAGAGACCCTGAGATGGGAGGAAAGCCAAGAAGAAAGAACCCTCAAGAGGGCCTGTTTAACGAGCTGCAAAAGGACAAGATGGCTGAGGCTTTCTCCGAGATCGGAATGAAGGGAGAGAGAAGAAGAGGAAAGGGACACGACGGACTGTTCCAAGGCCTGAGCACCGCTACCAAGGACACCTTCGACGCTCTGCACATGCAAGCCCTGCCTCCTAGG(配列番号82)。
イプシロン:
AAGAACCGGAAGGCCAAGGCCAAGCCTGTGACAAGAGGTGCTGGTGCTGGCGGCAGACAGAGAGGCCAGAACAAAGAAAGACCTCCTCCTGTGCCTAATCCTGACTACGAGCCCATCCGGAAGGGCCAGAGAGATCTGTACAGCGGCCTGAACCAGCGGCGGATT(配列番号53)
デルタ:
GGACACGAAACAGGCAGACTTTCTGGCGCCGCTGATACACAGGCCCTGCTGAGAAACGACCAGGTGTACCAGCCTCTGAGAGACAGAGATGACGCCCAGTACTCTCACCTCGGCGGCAATTGGGCCAGAAACAAG(配列番号83)。
ガンマ:
GGACAGGATGGCGTCAGACAGAGCAGAGCCAGCGACAAGCAAACCCTGCTGCCTAACGACCAGCTGTACCAGCCTCTGAAGGACAGAGAGGACGACCAGTACAGCCATCTGCAGGGCAACCAGCTGCGGAGAAAC(配列番号84)
Dap12:
TACTTCCTGGGCAGACTGGTGCCTAGAGGAAGAGGAGCTGCTGAGGCTGCTACCAGAAAGCAGAGAATCACCGAGACCGAGAGCCCTTACCAGGAGCTGCAGGGACAGAGAAGCGACGTGTACAGCGACCTGAACACCCAGAGACCTTACTACAAG(配列番号85)。
ゼータ-CO:
AGAGTTAAGTTCAGCAGGAGCGCCGACGCACCTGCCTACCAaCAAGGGCAGAATCAACTGTACAACGAGCTGAACCTGGGCAGACGGGAGGAATACGATGTGCTGGACAAGAGGAGAGGCAGAGACCCCGAGATGGGCGGCAAACCTAGAAGAAAGAACCCCCAGGAGGGCCTGTATAATGAGCTCCAGAAGGATAAGATGGCCGAGGCCTACAGCGAGATCGGCATGAAGGGCGAAAGAAGAAGAGGCAAGGGCCACGACGGCCTCTACCAGGGCTTAAGCACAGCTACTAAGGACACCTACGACGCCCTGCACATGCAAGCTCTGCCCCCTAGA(配列番号86)。
イプシロン-CO:
AAGAACCGCAAAGCAAAGGCAAAACCCGTCACACGAGGAGCGGGCGCAGGGGGACGACAACGCGGTCAGAATAAGGAACGCCCGCCTCCAGTACCAAATCCAGATTATGAACCAATTCGGAAGGGACAACGCGATCTCTACTCCGGTCTCAATCAGAGGCGAATT(配列番号54)。
【0331】
CAR T細胞産物の製造。健康なヒトドナーからのアフェレーシス物質を洗浄し、抗CD8抗体結合磁気ビーズと共にインキュベートし、CliniMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotech)を製造業者の指示に従って使用して処理して、CD8+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。得られた陰性画分を洗浄し、抗CD4抗体結合磁気ビーズを用いて上記のように処理して、CD4+T細胞を濃縮し、次いでこれを凍結保存した。単離されたCD4+及びCD8+初代ヒトT細胞を、2.6%OpTmizer(商標)CTS T細胞増殖サプリメント、2.5%CTS免疫細胞血清代替物、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び305国際単位/mLヒトインターロイキン(IL)-2を補充したOpTmizer(商標)CTS T細胞増殖基本培地(以後、完全OpTmizer(商標)培地と呼ぶ)中で解凍した。T細胞を、1.66μg/mLの抗CD 28抗体(クローン28.2)を含有する完全OpTmizer(商標)培地中に1.5×10細胞/mLの密度で再懸濁し、次いで、1.23μg/mLの抗CD 3抗体(クローンOKT3)で予めコーティングしたT-75フラスコ中に播種して、T細胞活性化を誘導した(0日目)。活性化後1日目に、細胞に、親抗CD19 CAR又は娘構築物イプシロン、デルタ、ガンマ、及びDap12をコードするLVVを20のMOIで形質導入した。ゼータCO及びイプシロンCO構築物からなる追加の実験群を5のMOIで形質導入し、非形質導入(NTD)試料を陰性対照として用いた。T細胞を3日目に完全OpTmizer(商標)培地で洗浄し、正規化し、更に4日間(3~7日目)増殖させた。回収時点(7日目)で、細胞を将来の使用のために凍結保存した。増殖中の複数の時点で(3~7日目)、Vi-CELLを使用して細胞計数を行い、細胞密度を、完全OpTmizer(商標)培地の添加によって0.5~1×10細胞/mLに正規化した。これらの時点で、平均細胞生存率、直径、及び細胞密度をVi-CELLに記録した。
【0332】
CAR発現を、6日目及び7日目にフローサイトメトリーによって測定した。T細胞をフルオロフォア結合抗体のパネルで染色し、フローサイトメトリーによって特徴付けて、形質導入効率及びCD4+/CD8+T細胞比を決定した。CAR発現(抗CD19 CAR)の評価は、フルオロフォア結合KIP-1によって可能になった。固定可能な細胞生存色素は、生存細胞の特異的分析を可能にした。細胞を、適切な抗体混合物と共に4℃で20分間インキュベートすることによって染色し、続いて染色緩衝液で2回洗浄し、その後、リン酸緩衝生理食塩水又はハンクス平衡塩溶液中の0.6%パラホルムアルデヒド中で室温で10分間インキュベートすることによって固定した。全てのフローサイトメトリーデータをFACS Canto装置で回収し、FlowJoソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0333】
0日目の共培養セットアップ。健康なドナーアフェレーシスに由来するT細胞から製造されたT細胞産物を、採取日(製造の7日目)に凍結保存した。続いて、T細胞産物を解凍し、完全OpTmizer(商標)培地中で一晩静置した後、標的細胞との共培養を開始した。共培養開始の直前に、各T細胞試料のアリコートを抗体-フルオロフォアのパネルと共にインキュベートし、フローサイトメトリーによって分析して形質導入効率を評価した。総形質導入効率を、単鎖可変断片(scFv)の重鎖と軽鎖との間のWhitlowリンカーに結合する特注抗体であるKIP-1を使用して評価した。次いで、T細胞をCellTrace(商標)Violet(CTV)試薬で標識し、その後、R-10%培地[10%ウシ胎仔血清、ペニシリンストレプトマイシンL-グルタミン、及びHEPESを補充したRPMI-1640培地]で洗浄した。CTV標識試料の一部を固定し、4日目まで4℃で保存し、4日目の共培養試料と並行して試料をフローサイトメトリーによって分析して、CTVシグナルの初期レベル(CTV Max)を評価した。T細胞産物及びルシフェラーゼ発現標的細胞を、R-10%培地(共培養の0日目)中、3:1~1:243の範囲の(E:T)比で標的に対して異なるエフェクターで一緒に播種した。1ウェル当たりの標的細胞数を20,000細胞で一定に保ちながら、T細胞産物を3倍に連続希釈した。陽性標的細胞は、Nalm6(CD19+)及びST486(CD19+)を含んでいた。対照として、T細胞産物を任意の標的細胞の非存在下(すなわち、T細胞単独)で培養して、抗原刺激の非存在下でのT細胞機能の基礎レベルを評価した。共培養物を37℃で1日又は4日間インキュベートし、以下に記載するように機能評価を行った。
【0334】
1日目細胞毒性。T細胞媒介性細胞毒性を、単独で播種された標的細胞によって放出されるシグナルと比較した、共培養ウェルにおける標的ルシフェラーゼシグナルの減少の関数として測定した。共培養開始後1日目及び4日目に、D-ルシフェリン基質を0.14mg/mLの最終濃度で共培養ウェルに添加し、プレートを37℃で暗所で10分間インキュベートした。発光シグナルを、VarioSkan(商標)LUX又はVarioSkan(登録商標)Flashマルチモードマイクロプレートリーダーにおいて直後に読み取った。T細胞媒介性細胞毒性を以下のように計算した。
細胞毒性%=[1-(対象試料/標的単独対照)のルシフェラーゼシグナル]100。
【0335】
1日目のサイトカイン産生。共培養開始後1日目に、上清を回収し、製造業者の指示に従ってMeso Scale Discovery V-PLEX Pro inflammatory Panel 1ヒトキットを使用してサイトカインレベルについて分析した。具体的には、抗原発現Nalm6及びST486との1:1 E:T比で播種したT細胞産物の共培養物からの上清を、抗原結合によって媒介されるインターフェロンガンマ(IFN-γ)、IL-2、及び腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)分泌のレベルについて分析した。標的細胞の非存在下で培養したT細胞(T細胞単独)からの上清を並行して分析して、抗原の非存在下でのサイトカイン産生の基礎レベルを評価した。全ての試料を検出範囲内になるように希釈した。
【0336】
4日目増殖。共培養開始後4日目、標的細胞と1:1のE:T比で播種されたT細胞産物を回収し、抗体-フルオロフォアのパネルで染色してT細胞を同定し、フローサイトメトリーによって分析した。T細胞産物の増殖能力を、抗原発現標的細胞に応答したCTV色素の細胞分裂駆動性希釈物のフローサイトメトリー分析によって、単独で培養されたT細胞産物(T細胞単独)の増殖能力と比較して決定し、これを使用して刺激の非存在下での恒常性増殖の基礎レベルを評価した。共培養セットアップ(CTV Max)の日に固定されたCTV標識T細胞を、フローサイトメトリーによって並行して分析して、細胞増殖前の初期CTVシグナルの強度を評価した。
【0337】
インビボ試験(投与量1-投与量2-投与量3)。抗CD19産物CAR T細胞及びNTD細胞を調製し、クライオバイアル中の凍結細胞をドライアイス上で輸送した。受け取ったら、クライオバイアルを液体窒素中で保存した。注射の前日に、バイアルを凍結保存から取り出し、37℃の水浴中で解凍し、305国際単位(IU)/mLのインターロイキン(IL)-2を含有する予め温めた完全OpTmizer(商標)培地中に細胞を再懸濁した。細胞懸濁液を室温で5分間400×gで遠心分離し、上清を吸引、廃棄した。次いで、細胞ペレットを完全OpTmizer(商標)培地及び305 IU/mL IL-2に再懸濁し、細胞懸濁液のアリコートを、トリパンブルー色素排除法によるVi-CELL BLU自動細胞カウンターを使用して、細胞計数及び生存率について分析した。次いで、細胞を、完全OpTmizer(商標)培地及び305 IU/mL IL-2中に2.0~5.0×10細胞/mLで再懸濁し、培養フラスコに移し、37℃/5%CO2インキュベーター中で一晩培養した。注入当日、細胞を再懸濁した後、各条件のアリコートを、Vi-CELL BLU自動細胞計数器を使用して計数して、細胞濃度及び細胞の注入前生存率を決定した。次いで、細胞懸濁液を4℃で5分間、400×gで遠心分離した。上清を吸引して廃棄し、細胞ペレットを冷PBSに再懸濁した。試験後、異なるCAR T細胞用量を試験した。
投与量1の場合:群あたり1.0x10CAR+細胞の1回投与、
投与量2の場合:群あたり2.0x10CAR+細胞の1回投与、
投与量3の場合:群あたりCAR+細胞の3回分の投与:1.0x10、2.0x10又は4.0x10
【0338】
処置群及び用量正規化。各研究について、同じ総数のT細胞を各処置群のマウスに投与した。各処置群に投与された用量は、抗CD19 CAR形質導入効率に基づいて、各群について同じ総数のT細胞を送達するように正規化した。
【0339】
インビボ生物発光撮像。IVIS Lumina S5光学撮像システム(Xenogen,Alameda,CA)を使用してインビボBLIを行った。5匹の動物を、約1%~2%イソフルランガス麻酔下で一度に撮像した。各マウスに150mg/kgのD-ルシフェリンを腹腔内に(IP)注射し、注射の15分後に腹臥位で撮像した。電荷結合素子(CCD)チップの中程度のビニングが使用され、露光時間を調整(2秒~2分)して、画像中の各マウスにおいて観察可能な播種性腫瘍から少なくとも数百カウントを得て、CCDチップの飽和を回避した。BLI画像を週に2回回収した。Living Imageソフトウェアバージョン4.7.3(Xenogen,Alameda,CA)を使用して画像を分析した。対象となる(ROI)全身固定体積を各個々の動物について腹臥位画像上に配置し、動物識別に基づいて標識した。全光束(光子/秒)を計算し、全てのROIについてエクスポートした。
【0340】
ex vivo ddPCR及びフローサイトメトリー分析。100μLの毎週の血液容量を、後眼窩洞を介してEDTA被覆管に回収し、その後のddPCR分析のために直接凍結するか、又はフローサイトメトリーによって分析するために処理した。動物を、T細胞注射の24時間後からサンプリングし、研究の期間を通して毎週続けた。ddPCRのために、全血からのゲノムDNA精製を、KingFisher(商標)Flex(小容量)を製造業者の指示に従って使用して実施し、次いで、ddPCRを、内部Kiteプロトコル及びBio-Rad機器を介して精製されたDNAに対して実施した。フローサイトメトリー分析のために、全血を、内部Kiteプロトコルに従って蛍光色素結合抗体を使用して染色し、次いでフローサイトメーターで分析した。フローサイトメトリー用のCountBright(商標)Absolute Counting Beadsを使用して、血液中の絶対細胞数を得た。
【0341】
インビボ試験(用量1)。この研究は、インビボでの潜在的な抗原非依存性T細胞増殖及び持続性CAR T細胞の機能性を評価した。処置開始時の初期値からの様々な時点での体重の変化を表62に要約する。全ての群からの全てのマウスは、毒性の非存在と一致して、49日目まで経時的に体重を増加させた。49日目に、各群(イプシロン-CO群を除く)から4匹のマウスをex vivo分析のために安楽死させ、50日目に、各群の残りの4匹のマウスには、Nalm6-luc MHCI/II二重ノックアウト(DKO)腫瘍細胞を移植し(100μL中5.0×10を静脈内(IV))、残りのすべてのマウスの体重変化を、研究が終了する85日目まで記録した。50日目から85日目まで、イプシロン-CO群からのマウスは、研究の終了まで体重増加を示したが、ビヒクル、NTD、及びゼータ-CO群からのマウスは、マウスが70日目までに研究のエンドポイントに到達するにつれて、腫瘍負荷に関連する体重変化が減少した。
【0342】
腫瘍量を、様々な時点でのBLI測定によって評価した(表63)。各実験群の生物発光撮像(BLI)を表63に要約する。0日目にNTD細胞又はゼータ-CO CAR T細胞のいずれかを受けたビヒクル対照群(複数可)は、腫瘍制御を示さず、T細胞注入後70日目(腫瘍細胞移植後20日目)までに高い腫瘍負荷に起因して安楽死させた。イプシロン-CO群のみが、85日目(腫瘍細胞移植の35日後)の研究の終了まで腫瘍成長を示さず、イプシロン-CO CAR T細胞が、抗原の非存在下で50日間それらの機能性及び抗腫瘍効力を持続及び維持し、その後、腫瘍負荷を効率的に除去することができ、ゼータCOベンチマーク対照と比較して腫瘍制御を有意に改善したことを実証した。
【0343】
ex vivoフローサイトメトリー分析。インビボでのCAR T細胞増殖及び持続性を評価するために、末梢血を、フローサイトメトリーを介して、経時的な血液のCD3CAR細胞/μLの数について分析した(表64)。ゼータ-CO群は、CD3CAR細胞が着実に減少して20日後<1細胞/μLに達したので、マウスの末梢血においてCAR T細胞増殖を示さなかった。しかしながら、イプシロン-CO群は、62~76日目まで持続的なCAR T細胞持続性を示し、その後、4匹のうち3匹のマウスが、血液中のCAR T細胞数の減少を示し始めた(表64)。
【0344】
インビボ試験(投与量2)。この研究は、Nalm6 MHC I/II DKO細胞による複数回の腫瘍再チャレンジ後のイプシロン-CO CAR T細胞の持続性及び抗腫瘍有効性を評価した。処置開始時の初期値からの様々な時点での体重の変化を表65に要約する。全てのCAR T細胞は良好な耐容性を示し、動物は試験期間中一貫した体重を維持した。各実験群のBLIを表66に要約する。ビヒクル群及びNTD群は、腫瘍制御を示さず、21日目までに高い腫瘍負荷のために安楽死させた。ゼータ-COグループは、0日目の1回の最初の腫瘍移植後、又は21、28、35、及び42日目のNalm6MHCI/IIDKOによるその後の4回の腫瘍再チャレンジ後のいずれかで、同等の有効性を示した。20日目までは腫瘍を制御し、その後腫瘍が再発し、高い腫瘍負荷により47日目までに安楽死した。対照的に、イプシロン-CO群は、0日目の1回の最初の腫瘍移植後、又は21、28、35、42及び63日目のNalm6 MHC I/II DKOによる5回のその後の腫瘍再チャレンジ後のいずれかで、84日目の研究終了まで完全な腫瘍クリアランスを維持し、これらの細胞がゼータCOベンチマーク対照と比較して腫瘍制御を有意に改善したことを実証した。
【0345】
インビボ試験(用量3)。この研究は、イプシロン-CO CAR T細胞対ゼータ1xx CAR T細胞の抗腫瘍有効性及びPKを評価した。処置開始時の初期値からの様々な時点での体重の変化を表67に要約する。以下の群:ビヒクル、NTD、イプシロン-CO及びゼータ1xxにおける4e4及び2e5用量での経時的な腫瘍量の増加は、平均体重減少及び/又は有害臨床徴候をもたらし、その後、全ての動物を研究から除外した。対照的に、1e6用量のイプシロン-CO及びゼータ1xxからの全てのマウスは、腫瘍負荷の有意な制御に起因して、研究の期間にわたって一貫した体重を維持した。
【0346】
各実験群のBLIを表68に要約する。ビヒクル群及びNTD群は、腫瘍制御を示さず、26日目までに高い腫瘍負荷のために安楽死させた。4e4用量群では、イプシロン-CO群の5匹中1~2匹のマウス及びゼータ1xx群の5匹中3匹のマウスは、腫瘍制御を示さず、高い腫瘍負荷のために安楽死させた。2e5の用量では、ゼータ1xx群のみが、5匹中2匹のマウスにおいて腫瘍制御を示さなかった。対照的に、2e5の用量のイプシロン-COマウスは全て、26日目に死亡したことが見出された群7の1匹のマウスを除いて、57日目のこの用量のエンドポイントまで腫瘍を制御した。全ての高用量構築物、1e6でのイプシロン-CO及びゼータ1xxは、57日目まで腫瘍制御を維持し、その後、群をNalm6 MHC I/II DKO腫瘍移植で再チャレンジした。研究が終了した105日目まで、すべての再チャレンジ群、1e6でのイプシロン-CO及びゼータ1xxは、同様に完全な腫瘍クリアランスを維持した。
【0347】
ex vivo ddPCR分析。インビボでのCAR T細胞増殖及び持続性を評価するために、末梢血を、ddPCRを介して、ゲノムDNA(gDNA)μg当たりのCARコピーについて分析した(表69)。ゼータ1xxCAR T細胞は、マウスの末梢血中で検出されたが、イプシロン-COと比較して限られた増殖を示した。全てのイプシロン-CO群は、特に2e5及び4e4処置群において、マウスの末梢血におけるロバストなCAR T細胞の拡大及び持続を同様に実証した。
【0348】
一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に、全ての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1
図2
図3
【配列表】
2024538116000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-04-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)であって、
3つのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する抗CD19結合ドメインを含み、ここで
前記HCDR1は、配列番号2~4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、配列番号5~7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3は、配列番号8~10のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1は、配列番号12~14のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号15~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記LCDR3が、配列番号18~20のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むか、又は
前記HCDR1は、配列番号24~26のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、配列番号27~29のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3は、配列番号30~32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1は、配列番号34~36のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2は、配列番号37~39のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、且つ前記LCDR3は、配列番号40~42のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、
膜貫通ドメインと、
共刺激ドメインと、
CD3εシグナル伝達ドメイン、CD3γシグナル伝達ドメイン、CD3δシグナル伝達ドメイン、又はDAP12シグナル伝達ドメインのうちの1つを含むシグナル伝達ドメインと、を含む、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項2】
前記HCDR1、前記HCDR2、及び前記HCDR3を含む重鎖可変ドメイン、並びに前記LCDR1、前記LCDR2、及び前記LCDR3を含む第1の軽鎖可変ドメインを含み、ここで:
前記重鎖可変ドメインが、配列番号1と少なくとも80%同一であり、かつ
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号11と少なくとも80%同一であるか、又は
前記重鎖可変ドメインが、配列番号24と少なくとも80%同一であり、かつ
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号33と少なくとも80%同一である、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項3】
前記HCDR1、前記HCDR2、前記HCDR3、前記LCDR1、前記LCDR2、及び前記LCDR3が単一のポリペプチドに含まれる、請求項1又は2のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
【請求項4】
前記抗CD19結合ドメインはscFvを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項5】
前記scFvが、配列番号21又は43のうちの1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の抗CD19 CAR。
【請求項6】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号52に記載のアミノ酸配列を備えるCD3εシグナル伝達ドメインを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項7】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号57に記載のアミノ酸配列を備えるCD3γシグナル伝達ドメインを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項8】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号55に記載のアミノ酸配列を備えるCD3δシグナル伝達ドメインを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項9】
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号59に記載のアミノ酸配列を備えるDAP12シグナル伝達ドメインを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項10】
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項11】
前記共刺激ドメインが、CD28共刺激ドメインを含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項12】
配列番号62、65、67、及び69のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗CD19 CAR。
【請求項13】
請求項1に記載の抗CD19 CARをコードする、核酸。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸を含む、組換えベクター。
【請求項15】
請求項13に記載の核酸又は請求項14に記載の組換えベクターで形質導入した、宿主細胞。
【請求項16】
前記宿主細胞が、T細胞、iNKT細胞又はNK細胞を含む、請求項15に記載の宿主細胞。
【請求項17】
請求項16に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項18】
疾患の処置を必要とする患者における疾患を処置するための、請求項17に記載の医薬組成
【請求項19】
対象において免疫応答を誘導するか又は対象を癌に対して免疫化するための、請求項17に記載の医薬組成
【請求項20】
前記癌が、急性リンパ芽球性前リンパ球性白血病(ALL)(非T細胞性ALLを含む)、急性骨髄白血病、B細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、芽細胞性形質細胞様樹状細胞腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄白血病、慢性又は急性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、毛様細胞白血病、ホジキン疾患、悪性リンパ増殖状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、多発性ミエローマ、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質細胞増殖障害(無症候ミエローマ(くすぶり型多発性ミエローマ又は無痛性ミエローマ)を含む)、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫、形質細胞腫(形質細胞障害、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫、及び多発性骨髄腫を含む)、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、高槻病、及びPEP症候群としても知られる)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、小細胞又は大細胞濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、全身アミロイド軽鎖アミロイドーシス、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、T細胞性リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、又はワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫(MCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(TFL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)、多発性骨髄腫、毛様細胞リンパ腫/白血病、又はそれらの組み合わせである、請求項19に記載の医薬組成物
【請求項21】
配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項22】
707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(α)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C-型レクチン様-1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、及びWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)からなる群から選択される抗原に特異的な結合ドメインを含む、請求項21に記載のCAR。
【請求項23】
バイシストロン性核酸構築物によってコードされる、請求項21に記載のCAR。
【請求項24】
CD19に特異的な結合ドメインを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載のCAR。
【請求項25】
前記CD3εシグナル伝達ドメインが、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項21に記載のCAR。
【請求項26】
前記CARが細胞において発現される場合、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインの代わりに野生型CD3εシグナル伝達ドメインを有する対応するCARよりも高い程度の前記細胞膜への輸送を示す、請求項21に記載のCAR。
【請求項27】
請求項21に記載のCARをコードするポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項27に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項29】
請求項28に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項30】
前記宿主細胞は、T細胞、iNKT細胞、又はNK細胞からなる群から選択される、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
請求項29に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項32】
請求項21に記載のCARの発現を提供することを含む、CAR T細胞を作製する方法。
【請求項33】
配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項34】
配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項33に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項35】
前記CD3εシグナル伝達ドメインがキメラ抗原受容体(CAR)に含まれる、請求項33に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項36】
前記CARが、707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(α)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C-型レクチン様-1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、及びWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)からなる群から選択される抗原に特異的な結合ドメインを含む、請求項35に記載のCAR。
【請求項37】
前記CARが、バイシストロン性核酸構築物によってコードされる、請求項35に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項38】
前記CARが、CD19に特異的な結合ドメインを含む、請求項3537のいずれか一項に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項39】
前記CARが細胞において発現される場合、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインの代わりに野生型CD3εシグナル伝達ドメインを有する対応するCARよりも大きな程度の前記細胞膜への輸送を示す、請求項35に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
【請求項40】
請求項33に記載のCD3εシグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチド。
【請求項41】
請求項40に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項42】
請求項41に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項43】
前記宿主細胞は、T細胞、iNKT細胞、又はNK細胞からなる群から選択される、請求項42に記載の宿主細胞。
【請求項44】
請求項42に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
【請求項45】
CAR T細胞を作製する方法であって、請求項35に記載のCARの発現を提供することを含む、方法。
【請求項46】
CARの細胞膜への輸送を改善する方法であって、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを発現するように設計されている、方法。
【請求項47】
前記CD3εシグナル伝達ドメインが、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
CARの細胞膜への輸送を改善する方法であって、前記CARが、野生型CD3εシグナル伝達ドメインに対する1つ以上の突然変異、欠失又は挿入を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含むように設計される、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0260
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0260】
前述の開示は、理解を明確にするために、例示及び例としてある程度詳細に説明されているが、本開示の教示に照らして、当業者には、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく、特定の変更及び改変を加えることができることが容易に明らかになるであろう。以下の実施例は、限定するものではなく、例示としてのみ提供される。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすために変更又は改変され得る様々な非重要なパラメータを容易に認識するであろう。
[項1]
抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)であって、
3つのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並びにLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を有する抗CD19結合ドメインを含み、ここで
前記HCDR1は、配列番号2~4のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、配列番号5~7のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3は、配列番号8~10のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1は、配列番号12~14のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2が、配列番号15~17のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR3が、配列番号18~20のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むか、又は
前記HCDR1は、配列番号24~26のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、配列番号27~29のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記HCDR3は、配列番号30~32のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR1は、配列番号34~36のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、前記LCDR2は、配列番号37~39のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、配列番号40~42のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含み、
膜貫通ドメインと、
共刺激ドメインと、
CD3εシグナル伝達ドメイン、CD3γシグナル伝達ドメイン、CD3δシグナル伝達ドメイン、又はDAP12シグナル伝達ドメインのうちの1つを含むシグナル伝達ドメインと、を含む、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)。
[項2]
前記HCDR1、前記HCDR2、及び前記HCDR3を含む重鎖可変ドメイン、並びに前記LCDR1、前記LCDR2、及び前記LCDR3を含む第1の軽鎖可変ドメインを含み、ここで:
前記重鎖可変ドメインが、配列番号1と少なくとも80%同一であり、かつ
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号11と少なくとも80%同一であるか、又は
前記重鎖可変ドメインが、配列番号24と少なくとも80%同一であり、かつ
前記軽鎖可変ドメインが、配列番号33と少なくとも80%同一である、項1に記載の抗CD19 CAR。
[項3]
前記HCDR1、前記HCDR2、前記HCDR3、前記LCDR1、前記LCDR2、及び前記LCDR3が単一のポリペプチドに含まれる、項1又は2のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項4]
前記抗CD19結合ドメインはscFvを含む、項1~3のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項5]
前記scFvが、配列番号21又は43のうちの1つに記載のアミノ酸配列を含む、項4に記載の抗CD19 CAR。
[項6]
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号52に記載のアミノ酸配列を備えるCD3εシグナル伝達ドメインを含む、項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項7]
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号57に記載のアミノ酸配列を備えるCD3γシグナル伝達ドメインを含む、項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項8]
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号55に記載のアミノ酸配列を備えるCD3δシグナル伝達ドメインを含む、項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項9]
前記シグナル伝達ドメインが、配列番号59に記載のアミノ酸配列を備えるDAP12シグナル伝達ドメインを含む、項1~5のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項10]
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、項1~9のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項11]
前記膜貫通ドメインが、CD28共刺激ドメインを含む、項1~10のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項12]
配列番号62、65、67、及び69のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含む、項1~11のいずれか一項に記載の抗CD19 CAR。
[項13]
項1~12のいずれか一項に記載の抗CD19 CARをコードする、核酸。
[項14]
項13に記載の核酸を含む、組換えベクター。
[項15]
項13に記載の核酸又は項14に記載の組換えベクターで形質導入した、宿主細胞。
[項16]
前記宿主細胞が、T細胞、iNKT細胞又はNK細胞を含む、項15に記載の宿主細胞。
[項17]
項16に記載のT細胞、iNKT細胞及び/又はNK細胞を含む、医薬組成物。
[項18]
疾患の処置を必要とする患者における疾患を処置する方法であって、項16に記載のT細胞、iNKT細胞及び/若しくはNK細胞又は項17に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
[項19]
対象において免疫応答を誘導するか又は対象を癌に対して免疫化する方法であって、項16に記載のT細胞、iNKT細胞及び/若しくはNK細胞を前記対象に、又は項17に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
[項20]
前記癌が、急性リンパ芽球性前リンパ球性白血病(ALL)(非T細胞性ALLを含む)、急性骨髄白血病、B細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ性白血病(「BALL」)、芽細胞性形質細胞様樹状細胞腫、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄白血病、慢性又は急性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、毛様細胞白血病、ホジキン疾患、悪性リンパ増殖状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、多発性ミエローマ、骨髄異形成及び骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質細胞増殖障害(無症候ミエローマ(くすぶり型多発性ミエローマ又は無痛性ミエローマ)を含む)、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫、形質細胞腫(形質細胞障害、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫、及び多発性骨髄腫を含む)、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、高槻病、及びPEP症候群としても知られる)、原発性縦隔大B細胞リンパ腫(PMBC)、小細胞又は大細胞濾胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫(SMZL)、全身アミロイド軽鎖アミロイドーシス、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、T細胞性リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、又はワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫(MCL)、形質転換濾胞性リンパ腫(TFL)、原発性縦隔B細胞リンパ腫(PMBCL)、多発性骨髄腫、毛様細胞リンパ腫/白血病、又はそれらの組み合わせである、項18又は19に記載の方法。
[項21]
配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
[項22]
707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(α)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C-型レクチン様-1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、及びWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)からなる群から選択される抗原に特異的な結合ドメインを含む、項21に記載のCAR。
[項23]
バイシストロン性核酸構築物によってコードされる、項21に記載のCAR。
[項24]
CD19に特異的な結合ドメインを含む、項21~23のいずれか一項に記載のCAR。
[項25]
前記CD3εシグナル伝達ドメインが、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、項21に記載のCAR。
[項26]
前記CARが細胞において発現される場合、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインの代わりに野生型CD3εシグナル伝達ドメインを有する対応するCARよりも高い程度の前記細胞膜への輸送を示す、項21に記載のCAR。
[項27]
項21に記載のCARをコードするポリヌクレオチド。
[項28]
項27に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[項29]
項28に記載のベクターを含む宿主細胞。
[項30]
前記細胞は、T細胞、iNKT細胞、又はNK細胞からなる群から選択される、項29に記載の宿主細胞。
[項31]
項29に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
[項32]
項29に記載の宿主細胞を投与することを含む、それを必要とする患者において疾患又は状態を治療する方法。
[項33]
項21に記載のCARの発現を提供することを含む、CAR T細胞を作製する方法。
[項34]
配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメイン。
[項35]
配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、項34に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
[項36]
前記CD3εシグナル伝達ドメインがキメラ抗原受容体(CAR)に含まれる、項34に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
[項37]
前記CARが、707-AP(707アラニンプロリン)、AFP(アルファ(α)-フェトプロテイン)、ART-4(T4細胞によって認識される腺癌抗原)、BAGE(B抗原、b-カテニン/m、b-カテニン/変異型)、BCMA(B細胞成熟抗原)、Bcr-abl(易切断分類領域-Abelson)、CAIX(炭酸脱水酵素IX)、CD19(分化分類19)、CD20(分化分類20)、CD22(分化分類22)、CD30(分化分類30)、CD33(分化分類33)、CD44v7/8(分化分類44、エクソン7/8)、CAMEL(黒色腫上のCTL認識抗原)、CAP-1(癌胎児抗原ペプチド-1)、CASP-8(カスパーゼ-8)、CDC27m(細胞分裂周期27、変異型)、CDK4/m(サイクリン依存性キナーゼ4、変異型)、CEA(癌胎児抗原)、C-型レクチン様-1(CLL-1)、CT(癌/精巣(抗原))、Cyp-B(シクロフィリンB)、DAM(分化抗原、黒色腫)、EGFR(上皮増殖因子受容体)、EGFRvIII(上皮増殖因子受容体、バリアントIII)、EGP-2(上皮糖タンパク質2)、EGP-40(上皮糖タンパク質40)、Erbb2、3、4(赤芽球性白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ-2、-3、4)、ELF2M(伸長因子2、変異型)、ETV6-AML1(Etsバリアント遺伝子6/急性骨髄性白血病1遺伝子ETS)、FBP(葉酸結合タンパク質)、fAchR(胎児アセチルコリン受容体)、G250(糖タンパク質250)、GAGE(G抗原)、GD2(ジシアロガングリオシド2)、GD3(ジシアロガングリオシド3)、グリピカン3(GPC3)、GnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素V)、Gp100(糖タンパク質100kD)、HAGE(ヘリコース抗原)、HER-2/neu(ヒト上皮受容体-2/神経性、EGFR2としても知られる)、HLA-A(ヒト白血球抗原-A)、HPV(ヒトパピローマウイルス)、HSP70-2M(熱ショックタンパク質70-2、変異型)、HST-2(ヒト印環腫瘍-2)、hTERT又はhTRT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)、iCE(腸管カルボキシルエステラーゼ)、IL-13R-a2(インターロイキン-13受容体サブユニットα-2)、KIAA0205、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、κ-軽鎖、LAGE(L抗原)、LDLR/FUT(低密度脂質受容体/GDP-L-フコース:b-D-ガラクトシダーゼ2-a-Lフコシルトランスフェラーゼ)、LeY(ルイス-Y抗体)、L1 CAM(L1細胞接着分子)、MAGE(黒色腫抗原)、MAGE-A1(黒色腫関連抗原1)、メソセリン、マウスCMV感染細胞、MART-1/Melan-A(T細胞によって認識される黒色腫抗原-I/黒色腫抗原A)、MC1 R(メラノコルチン1受容体)、Myosin/m(ミオシン、変異型)、MUC1(ムチン1)、MUM-1、-2、-3(黒色腫遍在性、変異型1、2、3)、NA88-A(患者M88のNA cDNAクローン)、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2、メンバーD)リガンド、NY-BR-1(ニューヨーク乳房分化抗原1)、NY-ESO-1(ニューヨーク食道扁平細胞カルシノーマ-1)、癌胎児性抗原(h5T4)、P15(プロテイン15)、p190 minor bcr-abl(190KDのbcr-ablタンパク質)、Pml/RARa(前骨髄球性白血病/レチノイン酸受容体a)、PRAME(黒色腫の優先的発現抗原)、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAGE(腎抗原)、RU1又はRU2(腎偏在性1又は2)、SAGE(肉腫抗原)、SART-1又はSART-3(腫瘍を拒絶する扁平抗原1又は3)、SSX1、-2、-3、4(滑膜肉腫X1、-2、-3、-4)、TAA(腫瘍関連抗原)、TAG-72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TEL/AML1(転座Ets-ファミリー白血病/急性骨髄性白血病1)、TPI/m(トリオースリン酸イソメラーゼ、変異型)、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク質1、又はgp75)、TRP-2(チロシナーゼ関連タンパク質2)、TRP-2/INT2(TRP-2/イントロン2)、VEGF-R2(血管内皮増殖因子受容体2)、及びWT1(ウィルムス腫瘍遺伝子)からなる群から選択される抗原に特異的な結合ドメインを含む、項36に記載のCAR。
[項38]
前記CARが、バイシストロン性核酸構築物によってコードされる、項36に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
[項39]
前記CARが、CD19に特異的な結合ドメインを含む、項36~38のいずれか一項に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
[項40]
前記CARが細胞において発現される場合、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインの代わりに野生型CD3εシグナル伝達ドメインを有する対応するCARよりも大きな程度の前記細胞膜への輸送を示す、項36に記載のCD3εシグナル伝達ドメイン。
[項41]
項34に記載のCD3εシグナル伝達ドメインをコードするポリヌクレオチド。
[項42]
項41に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[項43]
項42に記載のベクターを含む宿主細胞。
[項44]
前記細胞は、T細胞、iNKT細胞、又はNK細胞からなる群から選択される、項43に記載の宿主細胞。
[項45]
項43に記載の宿主細胞を投与することを含む、それを必要とする患者における疾患又は状態を治療する方法。
[項46]
項43に記載の宿主細胞を含む、医薬組成物。
[項47]
CAR T細胞を作製する方法であって、項36に記載のCARの発現を提供することを含む、方法。
[項48]
CARの細胞膜への輸送を改善する方法であって、前記CARが、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCD3εシグナル伝達ドメインを発現するように設計されている、方法。
[項49]
前記CD3εシグナル伝達ドメインが、配列番号79、配列番号80、及び配列番号81からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有する核酸によってコードされる、項48に記載の方法。
[項50]
CARの細胞膜への前記輸送を改善する方法であって、前記CARが、野生型CD3εシグナル伝達ドメインに対する1つ以上の突然変異、欠失又は挿入を有するCD3εシグナル伝達ドメインを含むように設計される、方法。
【国際調査報告】