IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼノ ロイアルティー アンド マイルストーンズ リミテッド ライアビリティー カンパニーの特許一覧

特表2024-538117WEE1阻害剤と抗CD47抗体との組み合わせ。
<>
  • 特表-WEE1阻害剤と抗CD47抗体との組み合わせ。 図1
  • 特表-WEE1阻害剤と抗CD47抗体との組み合わせ。 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】WEE1阻害剤と抗CD47抗体との組み合わせ。
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20241010BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/5365 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241010BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20241010BHJP
   C12N 9/99 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/519
A61K31/5365
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
C07K16/28
C12N9/99
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522406
(86)(22)【出願日】2022-10-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 US2022046291
(87)【国際公開番号】W WO2023064282
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/262,466
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドネイト,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】イザディ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】サマター,アフメド アブディ
(72)【発明者】
【氏名】ボーレン,ブラント クレイトン
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ピーター キンファ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB06
4C086CB10
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、がんなどの疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせである。組み合わせは、ZN-c3などのWEE1阻害剤、及び抗CD47抗体を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用であって、前記組み合わせが、有効量の化合物(A)及び有効量の化合物(B)、又はそれらの薬学的に許容される塩を含み、化合物(A)がWEE1阻害剤であり、化合物(B)が抗CD47抗体である、使用。
【請求項2】
前記WEE1阻害剤が、以下の刊行物:国際公開第2019/074979号、国際公開第2020/210383号、国際公開第2020/210375号、国際公開第2020/210377号、国際公開第2020/210380号、国際公開第2020/210381号、国際公開第2022/082174号、米国特許出願公開第2022/0162229号、米国特許出願公開第2022/0168313号、米国特許出願公開第2022/0169646号、米国特許出願公開第2022/0220115号、米国特許第11,332,473号、国際公開第2019/173082号、国際公開第2019/011228号、国際公開第2019/138227号、国際公開第2018/162932号、国際公開第2018/011570号、国際公開第2018/011569号、米国特許出願公開第2022/0194947号、国際公開第2018/090939号、国際公開第2015/092431号、国際公開第2015/019037号、国際公開第2014/167347号、国際公開第2007/126122号、国際公開第2011/034743号、米国特許出願公開第2007/0254892号、国際公開第2008/133866号、米国特許出願公開第2016/0060258号、米国特許出願公開第2019/0308984号、米国特許出願公開第2020/0131192号、国際公開第2021/073491号、米国特許第11,345,710号、米国特許第11,345,711号 国際公開第2019/085933号、国際公開第2020/221358号、欧州特許第3712150号、国際公開第2018/133829号、国際公開第2021/047627号、米国特許出願公開第2021/0403451号、国際公開第2020/083404号、国際公開第2019/037678号、国際公開第2018/171633号、中国特許出願公開第113387962号、国際公開第2019/165204号、国際公開第2012/161812号、国際公開第2013/012681号、国際公開第2013/013031号、国際公開第2013/059485号、国際公開第2013/126656号、米国特許出願公開第2012/0220572号、米国特許出願公開第2013/0018045号、韓国特許第2016035878号、韓国特許第2020016567号、国際公開第2018/056621号、国際公開第2017/075629号、国際公開第2019/169065号、国際公開第2019/134539号、国際公開第2020/028814号、米国特許出願公開第2021/0309630号、国際公開第2020/069105号、国際公開第2020/192581号、米国特許出願公開第2022/0194960号、中国特許出願公開第114831993号、中国特許出願公開第111718348号、国際公開第2022/188802号、国際公開第96/34867号、国際公開第2008/153207号、国際公開第2010/067888号、国際公開第2009/054332号、国際公開第2021/073491号、国際公開第2021/074251号、中国特許出願公開第112142763号、国際公開第2020/259724号、米国特許出願公開第2022/0259210号、国際公開第2019/096322号、中国特許出願公開第112142747号、中国特許出願公開第112142747号、国際公開第2021/043152号、国際公開第2021/254389号、国際公開第2022/171088号、国際公開第2022/171126号、国際公開第2022/171128号、国際公開第2022/174765号、国際公開第2022/174796号、中国特許出願公開第112442049号、中国特許出願公開第114072411号、中国特許出願公開第113402520号、中国特許出願公開第113387962号、韓国特許第2022081171号、国際公開第2022/124748号、国際公開第2022/155202号、中国特許出願公開第114591334号及び国際公開第2021/074251号のうちのいずれか1つ以上において提供されている、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記WEE1阻害剤が、AZD1775、SC0191、PD0166285、NUV-569、SDR-7995、SDR-7778、IMP7068、Debio 0123、SY-4835、SPH-6162及びATRN-W1051、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記WEE1阻害剤が、
【化1】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記WEE1阻害剤が、
【化2】

又はその薬学的に許容される塩若しくはN-オキシドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記WEE1阻害剤が、
【化3】

又は前述のうちのいずれかのその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記WEE1阻害剤が、
【化4】

又は前述のうちのいずれかのその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記WEE1阻害剤が、
【化5】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記WEE1阻害剤が、
【化6】

又は前述のうちのいずれかのその薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記抗CD47抗体が、STI-6643(Sorrento therapeutics)、Magrolimab(Gilead)、DSP107(KAHR)、IBI-188(Innovent Biologics)、AK117(Akeso)、ALX148(ALX Oncology)、AO-176(Arch Oncology)、HX009(Waterstone Hanxbio)、レムゾパルリマブ(Abbvie/I-Mab)、SRF231(Surface Oncology)、ZL-1201(Zai Lab)及びTTI-621(Pfizer)からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記疾患又は病態が、膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、他の脳がん、頭頸部がん、白血病、AML(急性骨髄白血病)、CLL(慢性リンパ球性白血病)、ALL(急性リンパ球性白血病)、骨髄異形成症候群(MDS)、皮膚がん、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆のうがん、胃がん、胃腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、血液腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん及び下咽頭がん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ種、中皮腫、メラノーマ、多発性ミエローマ、神経芽細胞種、上咽頭がん、卵巣がん、骨肉種、肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、膵臓がん、下垂体がん、網膜芽腫、唾液腺がん、胃がん、小腸がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮がん、子宮肉腫、子宮漿液がん、腟がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウイルムス腫瘍、充実性腫瘍並びに液性腫瘍からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記疾患又は病態が、非ホジキンリンパ腫である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願を参照することによる組み込み)
例えば、本出願とともに提出される出願データシート又は請求において、外国又は国内優先権の主張が確認される任意及び全ての出願が、37 CFR 1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれ、2021年10月13日に出願された米国仮出願第63/262,466号が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。より具体的には、本明細書に開示されるのは、併用療法、並びに、本明細書に記載の併用療法を用いて疾患及び/又は病態を治療する方法である。
【背景技術】
【0003】
がんは、身体の他の部分に浸潤又は拡散する可能性がある異常な細胞増殖を伴う疾患群である。今日のがん治療には、手術、ホルモン療法、放射線、化学療法、免疫療法、標的療法、及びそれらの組み合わせが含まれる。生存率は、がんの種類によって、かつがんが診断されるステージによって変化する。2021年には、米国において約190万人ががんと診断され、推定600,000人ががんで死亡している。したがって、有効ながん治療の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含み得る、化合物の組み合わせに関する。
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含む。本明細書に記載の他の実施形態は、疾患又は病態を治療するための薬品の製造における化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、本明細書に記載のがんであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】WEE1阻害剤の構造を提供する。
図2】RPMI-8226非ホジキンリンパ腫異種移植モデルにおける腫瘍体積に対する、WEE1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩、及び抗CD47抗体を単独で又は組み合わせて使用する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0009】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素ホスファートなど)と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸の塩、重炭酸の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C~Cアルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得られ得る。当業者は、窒素ベースの基(例えば、NH)のプロトン化によって塩が形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NHがNH になり得る)、正電荷が負の電荷を持つ対イオン(Clなど)によってバランスがとられ得ることを理解する。
【0010】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な化合物、鏡像異性的に富化された化合物、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的に富化された化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、全ての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0011】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(軽水素)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0012】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造において表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含み得る。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(軽水素)及び水素-2(重水素)を含むが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であり得る。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0013】
本明細書に記載の方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、水、エタ
ノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてもよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和形態並びに溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であるとみなされる。
【0014】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0015】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的又は重要でさえあるということを暗示するものとしてではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用される場合又はされない場合がある代替又は追加の特徴を強調することが意図されるものとして理解されるべきである。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含み得ることを意味する。
【0016】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0017】
化合物
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、疾患又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含んでもよく、化合物(A)はWEE1阻害剤であり、化合物(B)は抗CD47抗体である。
【0018】
化合物(A)の好適なWEE1阻害剤の例としては、以下の刊行物:国際公開第2019/074979号、国際公開第2020/210383号、国際公開第2020/210375号、国際公開第2020/210377号、国際公開第2020/210380号、国際公開第2020/210381号、国際公開第2022/082174号、米国特許出願公開第2022/0162229号、米国特許出願公開第2022/0168313号、米国特許出願公開第2022/0169646号、米国特許出願公開第2022/0220115号、米国特許第11,332,473号、国際公開第2019/173082号、国際公開第2019/011228号、国際公開第2019/138227号、国際公開第2018/162932号、国際公開第2018/011570号、国際公開第2018/011569号、米国特許出願公開第2022/0194947号、国際公開第2018/090939号、国際公開第2015/092431号、国際公開第2015/019037号、国際公開第2014/167347号、国際公開第2007/126122号、国際公開第2011/034743号、米国特許出願公開第2007/0254892号、国際公開第2008/133866号、米国特許出願公開第2016/0060258号、米国特許出願公開第2019/0308984号、米国特許出願公開第2020/0131192号、国際公開第2021/073491号、米国特許第11,345,710号、米国特許第11,345,711号 国際公開第2019/085933号、国際公開第2020/221358号、欧州特許第3712150号、国際公開第2018/133829号、国際公開第2021/047627号、米国特許出願公開第2021/0403451号、国際公開第2020/083404号、国際公開第2019/037678号、国際公開第2018/171633号、中国特許出願公開第113387962号、国際公開第2019/165204号、国際公開第2012/161812号、国際公開第2013/012681号、国際公開第2013/013031号、国際公開第2013/059485号、国際公開第2013/126656号、米国特許出願公開第2012/0220572号、米国特許出願公開第2013/0018045号、韓国特許第2016035878号、韓国特許第2020016567号、国際公開第2018/056621号、国際公開第2017/075629号、国際公開第2019/169065号、国際公開第2019/134539号、国際公開第2020/028814号、米国特許出願公開第2021/0309630号、国際公開第2020/069105号、国際公開第2020/192581号、米国特許出願公開第2022/0194960号、中国特許出願公開第114831993号、中国特許出願公開第111718348号、国際公開第2022/188802号、国際公開第96/34867号、国際公開第2008/153207号、国際公開第2010/067888号、国際公開第2009/054332号、国際公開第2021/073491号、国際公開第2021/074251号、中国特許出願公開第112142763号、国際公開第2020/259724号、米国特許出願公開第2022/0259210号、国際公開第2019/096322号、中国特許出願公開第112142747号、中国特許出願公開第112142747号、国際公開第2021/043152号、国際公開第2021/254389号、国際公開第2022/171088号、国際公開第2022/171126号、国際公開第2022/171128号、国際公開第2022/174765号、国際公開第2022/174796号、中国特許出願公開第112442049号、中国特許出願公開第114072411号、中国特許出願公開第113402520号、中国特許出願公開第113387962号、韓国特許第2022081171号、国際公開第2022/124748号、国際公開第2022/155202号、中国特許出願公開第114591334号及び国際公開第2021/074251号に記載されているものが挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、AZD1775、SC0191、PD0166285、NUV-569、SDR-7995、SDR-7778、IMP7068、Debio 0123、SY-4835、SPH-6162及びATRN-W1051、又はそれらの任意の組み合わせから選択され得る。WEE1阻害剤に関する更なる詳細を図1に提供する。他の実施形態では、WEE1阻害剤は、
【0020】
【化1】

(ZN-c3)、又はその薬学的に許容される塩であり得る。更に他の実施形態では、WEE1阻害剤は、
【0021】
【化2】

又はその薬学的に許容される塩若しくはN-オキシドであり得る。なおも更に他の実施形態では、WEE1阻害剤は、
【0022】
【化3】

又は前述のうちのいずれかのその薬学的に許容される塩から選択され得る。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、
【0023】
【化4】

又は前述のうちのいずれかのその薬学的に許容される塩から選択され得る。他の実施形態では、WEE1阻害剤は、
【0024】
【化5】

又はその薬学的に許容される塩であり得る。更に他の実施形態では、WEE1阻害剤は、
【0025】
【化6】

又は前述のうちのいずれかのその薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0026】
例示的な抗CD47抗体としては、以下:STI-6643(Sorrento therapeutics)、Magrolimab(Gilead)、DSP107(KAHR)、IBI-188(Innovent Biologics)、AK117(Akeso)、ALX148(ALX Oncology)、AO-176(Arch Oncology)、HX009(Waterstone Hanxbio)、レムゾパルリマブ(lemzoparlimab)(Abbvie/I-Mab)、SRF231(Surface
Oncology)、ZL-1201(Zai Lab)及びTTI-621(Pfizer)が挙げられる。
【0027】
本明細書に記載の組み合わせにおける化合物の投与の順序は、変化し得る。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)、又はそ
の薬学的に許容される塩の前に投与することができる。他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と同時に投与することができる。更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の投与に続いて投与することができる。
【0028】
本明細書に記載の化合物の組み合わせの使用について、いくつかの利点が存在し得る。例えば、複数の経路を同時に攻撃する化合物を組み合わせることは、組み合わせの化合物が単独療法として使用される場合と比較して、本明細書に記載されるものなどのがんの治療においてより有効であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、化合物(B)などの本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。
【0030】
本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用すると、相加効果、相乗効果、又は強い相乗効果をもたらすことができる。本明細書に記載の化合物の組み合わせは、拮抗的ではない効果をもたらし得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、相加効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、相乗効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、強い相乗効果をもたらし得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との組み合わせは、拮抗的ではない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「拮抗的」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に(すなわち、単一の化合物として)測定した場合のその組み合わせの各化合物の活性の総和と比較してより低いことを意味する。本明細書で使用される場合、「相乗効果」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に測定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和より高いことを意味する。本明細書で使用される場合、「相加効果」という用語は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に測定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和にほぼ等しいことを意味する。
【0033】
本明細書に記載の組み合わせを利用する潜在的な利点は、各化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、本明細書に開示される疾患状態を治療するのに有効な化合物の必要量が低減することであり得る。例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量は、単独療法として投与される場合に疾患マーカー(例えば、腫瘍サイズ)の同じ減少を達成するために必要な化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量と比較して、より少ない場合がある。本明細書に記載される組み合わせを利用する別の潜在的な利点は、異なる作用機序を有する2つ以上の化合物の使用が、化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、耐性の発生に対してより高い障害となり得ることである。本明細書に記載の組み合わせを利用する更なる利点として、本明細書に記載の組み合わせの各化合物間にほとんど又は全く交差耐性がないこと、本明細書に記載の組み合わせの各化合物の排出(elimination)の経路が異なること、及び/又は本明細書に記載の組み合わせの各化合物間の重複毒性(overlapping toxicity)がほとんどないこと、を挙げることができる。
【0034】
医薬組成物
その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、医薬組成物中に提供され得る。同様に、その薬学的に許容される塩を含む化合物(B)は、医薬組成物中に提供され得る。
【0035】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の化合物及び/又は塩と、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤などの他の化学構成成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。医薬組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸と反応させることによって得られ得る。医薬組成物は、一般に、意図される具体的な投与経路に合わせて調整される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを容易にする、一般的に利用される担体である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、明らかな薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましくあり得る、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用され得る。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であり得る。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、限定することなく、ヒト血液のpH及び等張性を模したリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される、本質的に不活性の物質を指す。例えば、酸化防止剤及び金属キレート剤などの安定剤は、賦形剤である。一実施形態では、医薬組成物は、酸化防止剤及び/又は金属キレート剤を含む。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0039】
いくつかの実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩とともに、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)を含む医薬組成物中に提供され得る。他の実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩とともに、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)を含む医薬組成物とは別の医薬組成物で投与することができる。
【0040】
本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト患者にそれ自体で、あるいはそれらが、併用療法におけるような他の活性成分、又は担体、希釈剤、賦形剤、若しくはそれらの組み合わせと混合される医薬組成物において、投与することができる。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載の化合物の製剤化及び投与のための技術は、当業者に既知である。
【0041】
本明細書に開示の医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である様式で製造され得る。追加的に、活性成分が、その意図した目的を達成するために有効な量で含有される。本明細書に開示の薬剤の組み合わせで使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
【0042】
筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内
注射を含む、経口、直腸、肺内、局所、エアロゾル、注射、注入、及び非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物、塩、及び/又は組成物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、経口投与することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)及びその薬学的に許容される塩と同じ投与経路によって、対象に提供され得る。他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)は、化合物(B)及びその薬学的に許容される塩と異なる投与経路によって、対象に提供され得る。
【0043】
また、全身的な方法ではなく局所的な方法で、例えば、多くの場合、デポー製剤又は持続放出製剤として化合物を患部に直接注射する又は埋め込むことによって化合物、塩、及び/又は組成物を投与してもよい。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、器官に対して標的化され、かつ器官により選択的に取り込まれるであろう。例えば、呼吸器の疾患又は状態を標的とするための鼻腔内又は肺内送達が望ましい場合がある。
【0044】
組成物は、所望される場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含み得る、パック又はディスペンサデバイス中に提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスタパックなどの金属又はプラスチック箔を含み得る。パック又はディスペンサデバイスには、投与に関する指示書が添付され得る。パック又はディスペンサはまた、医薬品の製造、使用、又は販売を規制する行政機関によって規定された形式の、容器に関連付けられた注意書きが添付され得、その注意書きは、ヒト又は動物投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。そのような注意書きは、例えば、処方薬に関し米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は承認された製品添付文書であり得る。適合する薬学的担体中で製剤化される本明細書に記載の化合物及び/又は塩を含むことができる組成物はまた、示された病態の治療のために調製され、適切な容器内に配置され、かつラベル付けされてもよい。
【0045】
使用及び治療方法
本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、有効量の、その薬学的に許容される塩を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩とを含む化合物の組み合わせを使用して、疾患又は病態を治療することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、疾患又は病態は、膠芽腫、星状細胞腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、髄芽細胞腫、他の脳がん、頭頸部がん、白血病、AML(Acute Myeloid Leukemia、急性骨髄白血病)、CLL(Chronic lymphocytic leukemia、慢性リンパ球性白血病)、ALL(Acute Lymphocytic Leukemia、急性リンパ球性白血病)、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome、MDS)、皮膚がん、副腎がん、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸直腸がん(例えば、結腸腺がん)、子宮内膜がん、食道がん、眼がん、胆のうがん、胃がん、胃腸がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、血液腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん及び下咽頭がん、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ種、中皮腫、メラノーマ、多発性ミエローマ、神経芽細胞種、上咽頭がん、卵巣がん、骨肉種、肉腫、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor、GIST)、膵臓がん、下垂体がん、網膜芽腫、唾液腺がん、胃がん、小腸がん、精巣がん、胸腺がん、甲状腺がん、子宮がん、子宮肉腫、子宮漿液がん、腟がん、外陰がん、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウイルムス腫瘍、充実性腫瘍並びに液性腫瘍から選択され得る。いくつかの実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫であり得る。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん(例えば、結腸腺がん)であり得る。
【0047】
いくつかの場合では、がん治療に続いて、対象は、がんがぶり返す又は再発することがある。本明細書で使用される場合、「ぶり返す」及び「再発」という用語は、当業者によって理解されるように、それらの通常の意味で使用される。したがって、がんは、再発性がんであり得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳動物が含まれる。「哺乳動物」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び/又は乳児であり得る。他の実施形態では、対象は、成人であり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾病又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾患又は状態の任意の所望されない徴候又は症状の任意の程度までの任意の緩和が、治療及び/又は療法とみなされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての全体的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0050】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は薬学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、有効量の化合物、塩又は組成物は、疾患又は状態の症状を予防、緩和、若しくは改善するか、又は治療される対象の生存を延長するために必要な量であってもよい。この応答は、組織、系、動物、又はヒトにおいて生じる場合があり、治療されている疾患又は状態の徴候又は症状の緩和を含む。有効量の判定は、本明細書に提供される本開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性によって決まる。用量は、所望の効果を達成するように調整され得るが、体重、食生活、併用投薬及び医療分野の当業者が認識するであろう他の要因などの要因に依存するであろう。
【0051】
例えば、化合物又は放射線の有効量は、(a)がんによって引き起こされる1つ以上の症状の軽減、緩和、若しくは消失、(b)腫瘍サイズの低減、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期疾患安定化(増殖停止)、をもたらす量である。
【0052】
治療で使用するために必要とされる化合物、塩、及び/又は組成物の量は、選択された特定の化合物又は塩だけはなく、投与経路、治療されている疾患又は状態の性質及び/又は症状、並びに患者の年齢及び状態によっても変化し、最終的に、主治医又は臨床医の判断による。薬学的に許容される塩の投与の場合、投薬量は、遊離塩基として計算され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の状況において、特に進行性の疾患又は状態を効果的かつ積極的に治療するために、本明細書に記載の投与量範囲を超えるか、又ははるかに超えさえする量で、本明細書に開示の化合物を投与することが必要であり得る。
【0053】
当業者には容易に明らかになるように、投与される有用なインビボ投与量及び特定の投与方法は、年齢、体重、苦痛の重症度、治療される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、及びこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて変動するであろう。有効な投薬量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な投薬量レベルの判定は、日常的な方法、例えば、ヒト臨床試験、インビボ研究及びインビトロ研究を使用して、当業者によって達成することができる。例えば、化合物(A)及び/若しくは(B)、又は前述の薬学的に許容される塩の有用な投与量は、それらのインビトロ活性及び動物モデルにおけるインビボ活性を比較することによって判定され得る。そのような比較は、シスプラチン及び/又はゲムシタビンなどの確立された薬物との比較によって行われ得る。
【0054】
投与量及び間隔は、活性部分が調節作用又は最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)を維持するのに十分である血漿濃度を提供するように、個々に調節されてもよい。MECは、化合物ごとに変化するが、インビボ及び/又はインビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投薬量は、個々の特性及び投与経路に依存するであろう。しかしながら、血漿濃度を判定するためには、HPLCアッセイ又はバイオアッセイを使用することができる。投薬量間隔もまた、MEC値を使用して判定することができる。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%及び最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿レベルを維持する計画を使用して投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関係しない場合がある。
【0055】
毒性又は臓器機能不全により、投与の終了、中断、又は調節の方法及び時期については、主治医が承知しているであろうことに留意されたい。反対に、主治医は、臨床応答が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも承知しているであろう。対象となる疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療しようとする疾患又は状態の重症度及び投与経路によって変化するであろう。疾患又は状態の重症度は、例えば、ある程度は、標準的な予後評価方法によって評価され得る。更に、用量及び恐らく投薬頻度はまた、個々の患者の年齢、体重及び応答によっても変化するであろう。上記で考察されるものと同等のプログラムが、獣医学で使用され得る。
【0056】
本明細書に開示の化合物、塩、及び組成物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットについての毒性学は、哺乳動物の細胞株、好ましくはヒトの細胞株などの細胞株に対するインビトロ毒性を評価することによって確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。代替的に、マウス、ラット、ウサギ、イヌ又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して判定され得る。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められている方法を使用して確立され得る。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路及び/又はレジメンを選択するにあたり最先端の技術を指針とすることができる。
【実施例
【0057】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
【0058】
マウスに、腫瘍発生のために血清を含まない100μLのRPMI 1640マトリゲル混合物(1:1比)中の95%生存腫瘍細胞(1×107)の単細胞懸濁液で、右脇腹の皮下にRPMI-8226細胞を接種した。平均腫瘍サイズがおよそ200mm(個々の腫瘍サイズの範囲は185~235mm)に達した時点で処置を開始した。動物を、各々10匹の動物の処置群にランダムに配分し、ビヒクル及び示された化合物を、図2及び表1に示される、示された投与量及び頻度で投薬した。図2において、丸印のある一番下の線は、ZN-c3 60mg/kg経口1日1回×21+抗CD47 20mg/kg腹腔内週2回×3である。抗CD47は、Bio X Cell(クローンB6.H12、カタログ番号BE0019-1)から入手した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の徴候の代わりとして週に2回秤量した。腫瘍増殖阻害(tumor growth inhibition、TGI)は、次式:TGI=(1-(Td-T0)/(Cd-C0))×100%を使用して計算した。Td及びCdは、処置動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T0及びC0は、試験開始時の処置動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。腫瘍退縮を、個々の腫瘍体積(tumor volume、TV)減少(初期TVと比較した末期TV)として定義した。腫瘍退縮は、式:(1-(Td/T0))×100%を使用して計算した。図2及び表1は、60mg/kgのZN-c3の単剤処置が61%の腫瘍増殖阻害をもたらし、抗CD47 20mg/kg腹腔内週2回×3による単剤処置が108%の有効性及び15%の退縮をもたらしたことを示す。ZN-c3(60mg/kg)と抗CD47 20mg/kg、腹腔内週2回×3との組み合わせは、著しいTGIを示し、21日目に10個の腫瘍のうち8個の完全な退縮をもたらした。
【0059】
【表1】
【0060】
更に、上文は、明確さと理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、それどころか本発明の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替形態を包含することも明確に理解するべきである。
図1
図2
【国際調査報告】