(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】圧送効果を有する磁気スラスト軸受
(51)【国際特許分類】
F16C 32/04 20060101AFI20241010BHJP
F04D 29/058 20060101ALI20241010BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20241010BHJP
F16C 37/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F16C32/04 Z
F04D29/058
F04D29/58 Q
F16C37/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522445
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-04-13
(86)【国際出願番号】 EP2022025470
(87)【国際公開番号】W WO2023066517
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】102021000026729
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】オルティス ネリ,マシミリアノ
(72)【発明者】
【氏名】カンジョリ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ビリオッティ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】フィオラバンティ,ドゥッチオ
【テーマコード(参考)】
3H130
3J102
3J117
【Fターム(参考)】
3H130AA14
3H130AB27
3H130AB42
3H130AC01
3H130BA33E
3H130BA97E
3H130BA98E
3H130DB02Z
3H130DB10X
3H130EA07E
3H130EA08E
3J102AA01
3J102BA03
3J102CA07
3J102DA02
3J102DA10
3J102DA18
3J117EA03
3J117FA02
3J117GA02
(57)【要約】
【解決手段】 磁気スラスト軸受(1000)は、スラストディスク(110、210)を備える回転子アセンブリ(300)を有する。スラストディスク(110、210)は、軸(X)の周りを回転し、軸(X)の周りの内側エリアで冷却流体を受容し、かつスラストディスクの周囲の周りの外側エリアで冷却流体を排出するように配置されている。スラストディスク(110、210)は、冷却流体を流すための外部ブロワ又は追加のインペラの使用を回避し、好ましくは閉ループ構成での冷却流体再循環を可能にするために、回転子アセンブリ(300)の回転の結果として流体を圧送するように構成されている、スラストディスクの周囲に位置する複数のブレードを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気スラスト軸受(1000)であって、
-第1の側面(101、201)と第2の側面(102、202)とを有するスラストディスク(110、210)を備える、回転するように構成された回転子アセンブリ(300)と、
-前記スラストディスク(110、210)に作用する磁石アセンブリ(412、414)を備える固定子アセンブリ(400)と、を備え、
前記磁気スラスト軸受(1000)が、流体によって冷却されるように構成されており、
前記スラストディスク(110、210)の少なくとも前記第1の側面(101、201)が、前記流体を受容するように構成されており、前記スラストディスク(110、210)の外周(114、214)が、前記流体を排出するように構成されており、
前記スラストディスク(110、210)が、前記外周(114、214)に複数のブレード(252)を備え、
前記複数のブレード(252)が、前記回転子アセンブリ(300)の回転の結果として前記流体を圧送するように構成されている、磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項2】
前記スラストディスク(110、210)が、前記第1の側面(101、201)に複数の溝(151、251)を更に備え、
前記複数の溝(151、251)が、前記回転子アセンブリ(300)の回転の結果として前記流体を圧送するように構成されている、請求項1に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項3】
前記固定子アセンブリが、好ましくは少なくとも2つの磁石アセンブリ(412、414)を備え、第1の磁石アセンブリ(412)が、前記第1の側面(101、201)に面し、第2の磁石アセンブリ(414)が、前記第2の側面(102、202)に面し、
前記磁気スラスト軸受(1000)が、少なくとも1つの流体入口(401-1、401-2)及び流体出口(402)を有し、前記少なくとも1つの流体入口(401-1、401-2)に入り、前記流体入口(401-1、401-2)から前記流体出口(402)まで流れ、前記流体出口(402)から出る、前記流体によって冷却されるように構成されており、
前記スラストディスク(110、210)の少なくとも前記第1の側面が、前記スラストディスク(110、210)の内周(112、212)において前記流体を受容し、前記スラストディスク(110、210)の前記外周(114、214)において前記流体を排出するように構成されている、請求項2に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項4】
前記磁気スラスト軸受(1000)が、前記スラストディスク(110、210)の前記第1の側面(101、201)における前記流体のための第1の流体入口(401-1)と、前記スラストディスク(110、210)の前記第2の側面(102、202)における前記流体のための第2の流体入口(401-2)とを有し、
前記スラストディスク(110、210)が、前記第1の側面(101、201)の第1の複数の溝(151-1)と、前記第2の側面(102、202)の第2の複数の溝(151-2)とを備え、
前記第1の複数の溝(151-1)及び前記第2の複数の溝(151-2)が、前記回転子アセンブリ(300)の回転の結果として前記流体を圧送するように構成されている、請求項3に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項5】
前記溝が、
-前記スラストディスク(110、210)の内周(112、212)の周りのエリアから前記スラストディスク(110、210)の前記外周(114、214)の周りのエリアまで、又は
-前記スラストディスク(110、210)の内周(112、212)の周りのエリアから前記スラストディスク(110、210)の中間領域(115、215)の周りのエリアまで、又は
-前記スラストディスク(110、210)の中間領域(115、215)の周りのエリアから前記スラストディスク(110、210)の前記外周(114、214)の周りのエリアまで延在する、請求項2に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項6】
前記スラストディスク(110、210)が、前記スラストディスク(110、210)の第1の側面(101、201)及び/又は前記スラストディスク(110、210)の第2の側面(102、202)に第1の複数の溝及び第2の複数の溝を備え、前記第1の複数が前記側面(101、102)の内側エリアにあり、前記第2の複数が前記側面(101、102)の外側エリアにある、請求項2に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項7】
前記溝(151、251)が、湾曲形状である、請求項2に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項8】
前記溝(151、251)が、前記流体の少なくとも一部が前記溝(151、251)によって画定される優先方向に流れるように構成されている、請求項2に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項9】
前記ブレード(252)が、前記スラストディスク(210)よりも小さく、特に、前記ブレード(252)の高さが、前記スラストディスク(210)の直径の5~15%である、請求項1に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項10】
前記ブレード(252)の幅が、前記スラストディスク(210)の厚さの70~100%である、請求項1に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項11】
前記ブレード(252)が、第1の凹面と第2の凹面とを有するブレードプロファイルを有し、前記第1の凹面が、前記スラストディスク(210)の第1の側面(201)に向かって配向されており、前記第2の凹面が、前記スラストディスク(210)の第2の側面(202)に向かって配向されている、請求項1に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項12】
前記ブレード(252)が、特に蟻継ぎ結合によって前記スラストディスク(210)上に取り付けられている、請求項1に記載の磁気スラスト軸受(1000)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の磁気スラスト軸受(1000)を備える回転機械(2000)であって、前記磁気スラスト軸受(1000)の前記回転子アセンブリ(300)が、前記回転機械(2000)のシャフトと結合されている、回転機械(2000)。
【請求項14】
前記回転機械(2000)が、膨張機-圧縮機システムである、請求項13に記載の回転機械(2000)。
【請求項15】
前記磁気スラスト軸受(1000)の前記回転子アセンブリ(300)が、前記膨張機-圧縮機システムの膨張機(2800)と、前記膨張機-圧縮機システムの圧縮機(2900)とを機械的に結合するシャフト(2100)に取り付けられている、請求項14に記載の回転機械(2000)。
【請求項16】
前記磁気スラスト軸受(1000)が、前記機械のケーシング(2200)内に位置決めされており、前記磁気スラスト軸受(1000)の前記流体出口(402)が、前記ケーシング(2200)の内側チャンバ(2220)と流体的に結合されている、請求項13に記載の回転機械(2000)。
【請求項17】
流体が前記磁気スラスト軸受(1000)によってのみ閉ループ構成で再循環される冷却システムを備える、請求項13に記載の回転機械(2000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、冷却流体によって冷却される磁気スラスト軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気軸受は、主に、非常に低く予測可能な摩擦、及び無潤滑かつ真空中で稼働する能力を含むいくつかの利点に起因して、上に磁気軸受が設置される機械の回転子の位置を制御するために使用されている。典型的には、磁気軸受は、圧縮機、タービン、ポンプ、モータ及び発電機などの産業機械において使用されている。
【0003】
特に、磁気軸受は、能動型磁気軸受(=Active Magnetic Bearing、AMB)又は受動型磁気軸受(=Passive Magnetic Bearing、PMB)とすることができる。受動型磁気軸受は、磁気浮上を発生させるために永久磁石を使用する。しかしながら、受動型磁気軸受は、設計が困難である。その結果、機械に現在使用されているほとんどの磁気軸受は、能動型磁気軸受である。
【0004】
一般に、能動型磁気軸受は、典型的にはシャフトに結合されている回転子の周りに位置決めされたいくつかの電磁石を備えた固定子を有する電磁システムであり、固定子の電磁石は、固定子に対する回転子の位置を維持するために、回転子に対する引力を発生させる。
【0005】
現在、磁気軸受を装備した回転機械には、磁気軸受内の熱を放散するために冷却システムも提供されており、冷却システムは、冷却流体を循環させるために回転機械のシャフト上に設置された外部ブロワ又は追加のインペラを含む。例えば、欧州特許第3450701号及び国際公開第2017050445号は、能動型磁気軸受に結合されており、冷却流体を循環させてそこから熱を除去する冷却回路を含むターボ機械システムを開示している。欧州特許第3450701号では、冷却流体は、機械シャフト上に取り付けられた追加のインペラによって再循環され、一方、国際公開第2017050445号では、冷却流体は、外部ブロワによって循環される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、磁気軸受を装備した回転機械は、冷却流の循環又は再循環を可能にするために、少なくとも専用の構成要素を備えて提供されなければならない。
【0007】
機械のいわゆる「補機」、すなわち補助デバイスの数を低減し(したがって「補機」に供給される電気エネルギーを低減し)、かつ機械の可用性を高めるために、冷却流の循環又は再循環のための専用の構成要素の使用を回避する冷却式磁気軸受を有することが望ましい。
【0008】
一態様によれば、本明細書に開示される主題は、軸の周りを回転し、冷却流体を受容するように配置されたスラストディスクを備える回転子アセンブリを有する冷却式磁気スラスト軸受に関する。スラストディスクは、冷却流体循環、特に閉ループ構成での冷却流体再循環を可能にするために、回転子アセンブリの回転の結果として流体を圧送するように構成された複数のブレードを備える。
【0009】
別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、冷却式磁気スラスト軸受を備えて提供される回転機械に関し、冷却式磁気スラスト軸受の回転子アセンブリは、回転機械のシャフトと結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示される実施形態、及びそれに付随する利点の多くについて、添付図面に関連して考慮される場合、以下の発明を実施するための形態を参照することによってそれらがより良好に理解されるため、完全な理解が容易に得られるであろう。
【
図1】
図1は、革新的な磁気スラスト軸受の一実施形態を有する回転機械、特に膨張機-圧縮機システムの一実施形態の概略的かつ簡略化された断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の回転機械と結合された磁気スラスト軸受の部分断面のより詳細な図を示す。
【
図3】
図3は、複数の溝を備えたスラストディスクを有する革新的な磁気スラスト軸受の第1の実施形態(添付の特許請求の範囲によって完全にはカバーされない)の正面簡略図及び断面簡略図を部分的に示す。
【
図4】
図4は、複数のブレードを備えたスラストディスクを有する革新的な磁気スラスト軸受の第2の実施形態の正面簡略図及び断面簡略図を部分的に示す。
【
図5】
図5は、
図4の革新的な磁気スラスト軸受の第2の実施形態のスラストディスクに複数のブレードを結合するために使用することができるジョイントの一例の簡略化された断面図を示す。
【
図6】
図6は、複数の溝及び複数のブレードを備えたスラストディスクを有する革新的な磁気スラスト軸受の第3の実施形態の簡略化された部分上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される主題は、内部設計に起因して、外部ブロワ又は追加のインペラを必要とすることなく冷却流体を圧送することができる革新的な磁気スラスト軸受に関する。換言すれば、磁気スラスト軸受は、その従来のスラストバランス機能及びその革新的な冷却流体圧送機能の両方を実行する。
【0012】
第2の態様によれば、本明細書に開示される主題は、回転機械、特に圧縮機又は膨張機-圧縮システムに関する。回転機械は、回転子アセンブリが回転機械のシャフトと一体化されている新たな磁気スラスト軸受を有する。回転機械のシャフトは、回転するように構成されており、磁気スラスト軸受の冷却流体は、回転子アセンブリの回転の結果として圧送される。
【0013】
次に、本開示の実施形態を詳述し、その例が図面に例示される。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。以下の説明では、同様の参照番号が、同じ又は同様の機能を実行する要素を示すために実施形態の図の例示に使用される。更に、例示を明確にするために、いくつかの参照符号は、全ての図において繰り返されない場合がある。
【0014】
第1の態様によれば、本明細書に開示される主題は、革新的な磁気スラスト軸受1000を装備した回転機械2000に関し、機械の一実施形態の簡略化された断面図が
図1に示されている。有利には、回転機械2000は、膨張機2800と、圧縮機2900と、膨張機2800及び圧縮機2900を機械的に結合するシャフト2100と、を備える、膨張機-圧縮システムである。
図1から明らかなように、圧縮機2900は、シャフト2100の第1の端部に配置されており、膨張機2900は、シャフトの第2の端部に配置されている。他の実施形態では、回転機械2000は、例えば、圧縮機をモータ、特に電気モータに結合するシャフトを有する圧縮機であってもよい。
【0015】
図1は、回転子アセンブリ300と固定子アセンブリ400とを含む磁気スラスト軸受1000を概略的に示す。図示のように、これらの要素は全て、回転機械2000のケーシング2200内に収容され得る。回転子アセンブリ300(後述するスラストディスク110/210を含む)は、軸Xの周りを回転するように構成されており、特に、回転子アセンブリ300は、回転機械2000のシャフト2100と一体化され得るか、又は回転機械2000のシャフト2100に結合、特に溶接され得、より有利には、回転子アセンブリ300の軸Xは、回転機械2000のシャフト2100の軸でもある。換言すれば、回転子アセンブリ300は、例えば、回転機械2000の回転子、特にシャフト2100の一部であってもよいため、回転機械の回転子と一緒に(スラストディスクを含め)回転するように構成されている。例えば、
図2は、シャフト2100と結合された回転子磁気スラスト軸受1000の部分断面図を示す。
【0016】
図1及び
図2並びに
図3及び
図4を非限定的に参照すると、回転子アセンブリ300は、軸Xの周りを回転するように、特に回転機械2000のシャフト2100と一緒に回転するように構成されたスラストディスク110/210(
図3の110及び
図4の210)を備える。スラストディスク110/210は、第1の側面101/201及び第2の側面102/202を有し、特に、スラストディスク110/210がシャフト2100の2つの端部に対して中間部分に、好ましくはシャフト長さの中央に配置されるように、第1の側面101/201は、シャフト2100の第1の端部に面し、第2の側面102/202は、シャフト2100の第2の端部に面する。
【0017】
典型的には、スラストディスク110/210は、内周112/212及び外周114/214を有し、有利には、内周112/212は、回転機械2000のシャフト2100と結合されるように配置されている。スラストディスク110/210の厚さが、内周112/212と外周114/214との間で変化し得ることに留意されたい。例えば、スラストディスク110/210の厚さは、外周114/214におけるスラストディスク110/210の厚さよりも内周112/212において大きくてもよい。
図2における実施形態と同様の有利な実施形態によれば、スラストディスク110/210は、
-ディスクの内周112/212から始まり、シャフト2100に結合されており、内周112/212において最大の厚さを有する第1の部分であって、好ましくは、第1の部分の厚さは、最大の厚さから第1の低減された厚さまで徐々に低減されている、第1の部分と、
-一定の厚さを有する第2の部分であって、好ましくは、第2の部分の一定の厚さは、第1の部分の第1の低減された厚さに等しい、第2の部分と、
-第3の部分115/215(以下では「中間領域」とも呼ばれる)であって、厚さが、第2の部分の一定の厚さから始まり、徐々に低減されており、換言すれば、第3の部分の厚さは、第2の部分の一定の厚さから第2の低減された厚さまで徐々に低減されている、第3の部分と、
-ディスクの外周114/214で始まり、一定の厚さを有する第4の部分であって、好ましくは、第4の部分の一定の厚さは、第3の部分の第2の低減された厚さに等しい、第4の部分と、を有し得る。
【0018】
図1及び
図2の実施形態によれば固定子アセンブリ400は、少なくとも2つの磁石アセンブリ412及び414を備え、第1の磁石アセンブリ412は、スラストディスク110/210の第1の側面101/201に面し、第2の磁石アセンブリ414は、スラストディスク110/210の第2の側面102/202に面し、好ましくは、磁石アセンブリ412及び414は、リング形状であり、より好ましくは、磁石アセンブリ412、414は、軸Xの周りに配置されている。
【0019】
図2を非限定的に参照すると、固定子アセンブリ400は、回転機械2000のケーシング2200の内側壁2210であり得る壁に固定されている。特に、固定子アセンブリ400は、磁石アセンブリ412及び414の側面がスラストディスク110/210に面するように、壁に埋め込まれてもよい。有利には、回転子アセンブリ300と固定子アセンブリ400との間に間隙が存在する。より有利には、スラストディスク110/210に面する磁石アセンブリ412及び414の側面は、磁石アセンブリ412及び414を例えば摩耗及び/又は腐食及び/又は熱から保護するために、特にベークライトで作られた保護プレート422及び424を有する。
【0020】
図1及び
図2を考慮すると、磁気スラスト軸受1000は、少なくとも流体入口及び流体出口を有し、流体、特にガスによって冷却されるように構成されている。スラストディスク110/210の少なくとも第1の側面101/201、好ましくはスラストディスク110/210の第1の側面101/201及び第2の側面102/202の両方は、流体を受容するように構成されている。好ましくは、磁気スラスト軸受1000は、スラストディスク110/210の第1の側面101/201において流体が入るための第1の流体入口401-1と、スラストディスク110/210の第2の側面102/202において流体が入るための第2の流体入口401-2とを有する(
図2の2つの水平矢印を参照されたい)。好ましくは、流体出口402は、スラストディスク110/210の外周114/214にある。(例えば、
図2の垂直矢印を参照されたい)。
【0021】
磁気スラスト軸受1000は、流体入口401-1及び401-2に入り、流体入口401-1及び401-2から流体出口402まで流れ、特に流体入口401-1及び401-2における流体温度に対してより高い温度で流体出口402から出る、流体によって冷却されるように構成されており、有利には、流体は、回転機械の作動流体(すなわち、プロセスガス)であってもよい。プロセスガス組成物が、H2S、CO2などのような汚染物質を含有する場合、典型的には容易に調達可能であり、工業プラントにおいて(例えば、空気圧設備又は弁作動のために)利用可能である、いわゆる「機器空気」が使用され得ることに留意されたい。
【0022】
有利には、流体は、好ましくは少なくとも入口フランジを通って回転機械2000のケーシング2200に入り、好ましくはシャフト2100と回転機械2000のケーシング2200の内側壁との間の間隙において実質的に軸方向に(すなわち、例えば
図1及び
図2に示されるように軸Xに平行に)流れ、実質的に軸方向に(
図1及び更に良好には
図2を参照されたい)、スラストディスク110/210の内周112/212において、流体入口401-1及び401-2を通って磁気スラスト軸受1000に入る。流体によって冷却された後、磁気スラスト軸受1000は、スラストディスク110/210の外周114/214において、流体出口402を通して流体を実質的に半径方向に(すなわち、例えば
図1及び
図2に示されるように軸Xに垂直に)排出するように構成されている。有利には、磁気スラスト軸受1000の流体出口402は、ケーシング2200の内側チャンバ2220と流体的に結合されており、次いで、流体は、好ましくは出口フランジを通って、ケーシング2200、特に内側チャンバ2220から出る。より有利には、流体は、特に入口フランジ及び出口フランジと結合された冷却システムを備える閉ループ構成で流れるように、かつ以下から明らかになるように、その圧送効果のおかげで磁気スラスト軸受1000によってのみ閉ループ構成で再循環されるように配置されている。
図1を非限定的に参照すると、閉ループ構成は、少なくとも部分的にケーシング2200の外側に配置されている。有利には、冷却システムはまた、流体出口402から排出される流体から熱を除去するように構成された熱交換器2300を備える。
【0023】
図3A、
図3B、
図4A及び
図4Bには、本開示による革新的な磁気スラスト軸受1000のスラストディスク110(
図3)及び210(
図4)の2つの実施形態が概略的に示されている。
【0024】
図3A及び
図3Bは、限定ではなく例として、流体を圧送するように構成された複数の溝を備えるスラストディスク110の第1の実施形態(添付の特許請求の範囲によって完全にはカバーされない)を部分的に示す。
図1Aは、スラストディスク110の正面概略図であり、
図1Bは、
図1Aのスラストディスク110の点線に沿った断面概略図である。
図4A及び
図4Bは、限定ではなく例として、流体を圧送するように構成された複数のブレードを備えるスラストディスク210の第2の実施形態を部分的に示す。
図4Aは、スラストディスク210の正面概略図であり、
図4Bは、
図4Aのスラストディスク210の点線Dに沿った断面概略図である。
【0025】
第1の実施形態によれば、スラストディスク110の少なくとも第1の側面101は、スラスト磁気軸受1000の回転子アセンブリ300の回転の結果として流体を圧送するように構成された複数の溝151を備える。好ましい実施形態(
図3Bを参照されたい)では、スラストディスク110は、第1の側面101に複数の溝151-1と、第2の側面102に複数の溝151-2とを備え、溝151-1及び151-2は、スラスト磁気軸受1000の回転子アセンブリ300の回転の結果として流体を圧送するように構成されている。
【0026】
有利には、
図3A及び
図3Bに示されるように、溝151は、スラストディスク110の内周112の周りのエリアからスラストディスク110の外周114の周りのエリアまで延在しており、特に、溝151は、スラストディスク110の内周112の周りのエリアからスラストディスク110の外周114の周りのエリアまで連続的に延在する。代替的には、例えば、スラストディスク110が
図2に示されるもののように作られる場合、溝151は、スラストディスク110の内周112の周りのエリアからスラストディスク110の中間領域115の周りのエリアまで延在し得、特に、溝151は、スラストディスク110の第1の一定の厚さ部分に延在する。代替的に又は追加的に、溝151は、スラストディスク110の中間領域115の周りのエリアからスラストディスク110の外周114の周りのエリアまで延在し得、特に、溝151は、スラストディスク110の第2の一定の厚さ部分に延在する。溝151は、スラストディスク110の第1の側面101若しくは第2の側面102のみにあってもよく、又は代替的には、溝151は、スラストディスク110の第1及び第2の側面の両方にあってもよいことに留意されたい(例えば、
図3Bの実施形態を参照されたい。
【0027】
有利には、溝151は、湾曲形状であり、より有利には、溝151は、流体が従うことができる優先方向を画定するように構成されている。溝151の幅及び/又は深さは一定でなくてもよく、例えば、内周112の周りのエリアにおける幅が、外周114の周りのエリアにおける幅よりも大きくてもよいことに留意されたい。有利には、スラストディスク110が第1の側面101及び第2の側面102の両方に溝151を有する場合、溝151の幾何学的形状は、スラストディスク110の第1の側面101及び第2の側面102の両方で同じであることが好ましい。
【0028】
有利には、磁気スラスト軸受1000を冷却するために磁気スラスト軸受1000に入る流体は、内周112の周りのエリアから外周114の周りのエリアへとスラストディスク110上を流れる。より有利には、スラストディスク110上を流れる流体の大部分は、溝151によって画定される優先方向に流れるように構成されている。換言すれば、流体は、溝151に沿って流れるように案内され、それにより、シャフト2100の回転に起因する回転子アセンブリ300の回転とともに、溝151は、流体を圧送するように構成されている。溝151に沿って流れる流体は、スラストディスク110の圧送効果を受けることに留意されたい。概して、溝151の外側を流れる流体は、スラストディスク110の圧送効果を受けない。
【0029】
図4に示される第2の実施形態によれば、スラストディスク210は、スラスト磁気軸受1000の回転子アセンブリ300の回転の結果として流体を圧送するように構成された複数のブレード252を外周214に備える。ブレード252は、ディスクの機械加工によってスラストディスク210から直接得ることができるか、又は溶接若しくは接合によってスラストディスク210上に取り付けることができる。ブレード252は、スラストディスク210上に取り付けられる場合、スラストディスク210の材料とは異なる材料で作られ得ることに留意されたい。例えば、ブレード252は、複合材料で作られてもよい。ブレード252を接合により追加する場合には、既知のジョイントが使用され得ることにも留意されたい。好ましくは、例えば
図5によれば、ブレード252は、蟻継ぎ結合によってスラストディスク210上に取り付けられており、特に、
図5には、2つの可能な結合が示されており、ブレードの第1の群は、ファーツリー結合を有し、ブレードの第2の群は、蟻継ぎ結合を有する。
【0030】
有利には、ブレード252は、スラストディスク210よりも小さく、特に、ブレード252の高さは、(外周214で測定した)スラストディスク210の直径の5~15%の範囲であり得る。有利には、ブレード252の幅は、スラストディスク210の厚さ以下であり、好ましくは、ブレード252の幅は、スラストディスク210の厚さの70~100%の範囲内であり得る(例えば、
図6を参照されたい)。
【0031】
図6に示される別の実施形態では、スラストディスク210は、複数の溝251及び複数のブレード252の両方を有する。特に、
図6を非限定的に参照すると、スラストディスク210は、スラストディスク210の両側面201及び202に複数の溝251を有し、その外周214に複数のブレード252を有する。特に、
図6は、スラストディスク210の簡略化された部分上面図であり、スラストディスク210の第1の側面201上の第1の溝251-1及びスラストディスク210の第2の側面上の第2の溝251-2を見ることができ、有利には、第1の溝251-1及び第2の溝251-2は、スラストディスク210の外周214で終端する。ブレード252は、例えば、流体に対する圧送効果をより効果的にするために、及び/又はスラストディスク外周214において流体を収集するのを助けるために、2つの凹面、特に湾曲形状を有する2つの縁部を有するブレードプロファイルを有することができることに留意されたい。特に、ブレード252は、第1の側面201に向かって配向された第1の凹面と、第2の側面202に向かって配向された第2の凹面とを有し得、好ましくは、ブレード252の第1及び第2の凹面は、ブレードプロファイルの中央隆起部を形成する。代替的には、ブレード252は、平坦な形状を有する(すなわち、凹面を有さない)2つの斜めの縁部を有してもよく、第1の縁部は、第1の側面201に向かって配向され、第2の縁部は、第2の側面202に向かって配向され、好ましくは、第1及び第2の縁部は、ブレードプロファイルの中央隆起部を形成する。
図6によれば、流体は、第1の溝251-1及び第2の溝251-2から出て、流体を圧送するブレード252上を流れ、ブレード252のプロファイルに従ってブレードから出る(
図6の2つの大矢印を参照されたい)。
図6を非限定的に参照すると、ブレード252は、第1の溝251-1及び第2の溝251-2の端部が終端するスラストディスク210の外周214に位置することに留意されたい。有利には、複数のブレード252のうちの少なくともいくつかは、複数の溝251のうちの少なくともいくつかの端部に位置する。
図6のスラストディスク210は、ブレード252からの流体の出口方向と同じ方向に回転していることにも留意されたい。
【0032】
図6に示されるブレードの断面(又は第1の側面に向かって配向された第1の凹面及び第2の側面に向かって配向された第2の凹面を有する同様のもの)は、その表面又は複数の表面における溝と組み合わせなくても、スラストディスクにおいて有利に使用され得ることに留意されたい。
【国際調査報告】