(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】mRNA発現のための遺伝子構造体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20241010BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241010BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20241010BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241010BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241010BHJP
C12N 15/85 20060101ALN20241010BHJP
A61K 38/02 20060101ALN20241010BHJP
A61K 39/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/63 Z
A61P35/00
A61P15/00
A61K48/00
A61P37/04
C12N15/85 Z ZNA
A61K38/02
A61K39/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522481
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 KR2022015581
(87)【国際公開番号】W WO2023063769
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0137521
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519124327
【氏名又は名称】ゲノミックツリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GENOMICTREE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】アン ソンファン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084DA27
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZB261
4C085AA03
4C085BA01
4C085BB23
4C085CC05
4C085CC08
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
(57)【要約】
本発明は、mRNA発現のための遺伝子構造体、前記遺伝子構造体を含む医薬組成物、ワクチン組成物及び遺伝子治療用組成物に関し、より詳細には、コロナウイルス(SARS-CoV-2:Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)由来の5’非翻訳領域(UTR)及び/又は3’非翻訳領域(UTR)を含む遺伝子構造体、前記遺伝子構造体を含む医薬組成物、ワクチン組成物及び遺伝子治療用組成物に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット遺伝子のmRNA発現のためのコーディング領域;
前記コーディング領域の上流に位置する5’非翻訳領域(UTR);及び
前記コーディング領域の下流に位置する3’非翻訳領域(UTR);を含む遺伝子構造体であり、
前記5’非翻訳領域(UTR)は、コロナウイルスのリーダー配列を含む遺伝子構造体。
【請求項2】
前記5’非翻訳領域(UTR)は、配列番号1で表されるコロナウイルス(SARS-CoV-2:Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)のリーダー配列を含む、請求項1に記載の遺伝子構造体。
【請求項3】
前記5’非翻訳領域(UTR)は、ヒトコロナウイルス229E、OC43、HKU1、NL63、SARS-1、又はMERS由来のリーダー配列を含む、請求項1に記載の遺伝子構造体。
【請求項4】
前記5’非翻訳領域(UTR)は、配列番号2~配列番号4からなる群から選ばれる一つ以上の配列を含む、請求項1に記載の遺伝子構造体。
【請求項5】
前記3’非翻訳領域(UTR)は、配列番号5の配列を含む、請求項1に記載の遺伝子構造体。
【請求項6】
プロモーター及び/又はポリ(A)配列をさらに含む、請求項1に記載の遺伝子構造体。
【請求項7】
前記プロモーターは、5’非翻訳領域(UTR)の上流に位置する、請求項6に記載の遺伝子構造体。
【請求項8】
前記ポリ(A)配列は、3’非翻訳領域(UTR)の下流に位置する、請求項6に記載の遺伝子構造体。
【請求項9】
配列番号18又は配列番号19の配列を含む、請求項1に記載の遺伝子構造体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の遺伝子構造体を含むベクター。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の遺伝子構造体を含む医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の遺伝子構造体を含むワクチン組成物。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の遺伝子構造体を含む遺伝子治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、mRNA発現のための遺伝子構造体、前記遺伝子構造体を含む医薬組成物、ワクチン組成物及び遺伝子治療用組成物に関し、より詳細には、コロナウイルス由来の5’非翻訳領域(UTR)及び/又は3’非翻訳領域(UTR)を含む遺伝子構造体、前記遺伝子構造体を含む医薬組成物、ワクチン組成物及び遺伝子治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子治療剤は、既存の遺伝子に新しい情報を付加、修正、及び削除し、遺伝子を患者の細胞にプラスミドDNA(plasmid DNA:pDNA)、mRNA(messenger RNA)状態で伝達し、病気の治療又は予防を行う治療剤として開発されてきた(Dunbar,C.E et al.,Science 2018 1:12)。
【0003】
遺伝子治療剤の目的は、遺伝性疾患や奇病に罹患している人の遺伝的欠陥を矯正し、病気を完治させることにある。最近の技術革新及び研究開発投資により、全世界の遺伝子治療剤市場が年平均10%レベルに成長すると共に、遺伝子治療剤が新しい製薬市場のブルーチップとして浮び上がっており、そのうち、mRNAは、ワクチン開発及びタンパク質代替治療剤分野で有望な治療道具として出現している。遺伝子治療剤の原理は、遺伝子をpDNA及びmRNA状態でウイルス、リポソーム、アンチセンス技術などを用いて細胞内に流入させ、治療剤として機能させることにある(Dunbar,C.E et al.,Science 2018 1:12)。
【0004】
mRNA治療剤は、安定性、効率性、及び生産性の面でDNA治療剤やウイルス治療剤などより優れるという長所を有する。一つ目に、mRNAが細胞質で発生するので、感染又はゲノム(genomic)DNA挿入による突然変異が発生する確率が低くなる。二つ目に、mRNAが細胞質内で多様に変形可能であるので、半減期を調節したり、翻訳されるタンパク質の量を増加させ、細胞内の安定性を増加させることができる。三つ目に、mRNAがin vitro実験に容易に使用されるので、迅速な開発及びGMP生産が可能であり、大量生産が容易になるという利点がある(Wang,Y.,Su et al.Molecular therapy 2013 358-367)。
【0005】
mRNAとは、DNAの遺伝情報をリボソームに伝達し、mRNAによる翻訳過程を経てタンパク質を発現させるRNAである。治療剤又はワクチン開発を目的とする組換えmRNAは、T7、SP6など(これに限定されない)のプロモーターとRNA重合酵素によって線形DNAから作られた後、試験管内転写(in vitro transcription)によって5’キャッピング(capping)とポリAアデニル化(poly A tailing)が起こる。このように作られたmRNAは、細胞質内の成熟したmRNAと類似する構造であり、5’キャッピング、5’UTR(untranslated region)、3’UTR、ポリA、及び発現しようとする標的遺伝子で構成される。このうち、非翻訳部位(5’又は3’ untranslated region)は、この配列が何かによってmRNAの安定性及び翻訳活性化に影響を与え、半減期及び発現量が増加する。また、ポリAは、細胞質内のmRNAの分解を防止し、安定性を高め、発現量を増加させる。したがって、mRNA治療剤が体内で効率的且つ安定的にタンパク質を発現するためには、最適な非翻訳部位配列とポリAの長さを探すことが重要である(Pardi,N et al,.Nature reviews 2018 261-279)。
【0006】
このような技術的背景下で、本出願の発明者等は、コロナウイルス(SARS-CoV-2)由来の5’非翻訳領域(UTR)及び/又は3’非翻訳領域(UTR)を含む遺伝子構造体を開発し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、コロナウイルス由来の5’非翻訳領域(UTR)及び/又は3’非翻訳領域(UTR)を含む遺伝子構造体を提供することにある。
【0008】
本発明の目的は、前記遺伝子構造体を含むベクターを提供することにある。
【0009】
本発明の目的は、前記遺伝子構造体を含む医薬組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、前記遺伝子構造体を含むワクチン組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、前記遺伝子構造体を含む遺伝子治療用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、ターゲット遺伝子のmRNA発現のためのコーディング領域(coding region);前記コーディング領域の上流(upstream)に位置する5’非翻訳領域(UTR);及び前記コーディング領域の下流(downstream)に位置する3’非翻訳領域(UTR);を含む遺伝子構造体であり、前記5’非翻訳領域(UTR)は、コロナウイルスのリーダー配列を含む遺伝子構造体を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記遺伝子構造体を含むベクターを提供する。
【0014】
また、本発明は、前記遺伝子構造体を含む医薬組成物を提供する。また、本発明は、前記遺伝子構造体を含むワクチン組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記遺伝子構造体を含む遺伝子治療用組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】コロナウイルス構造とSARS-CoV-2ゲノム(genomic)及びサブゲノム(subgenomic)RNA発現に対する模式図である。(A)は、コロナウイルスの外形及び各タンパク質のmRNA量をノーザンブロットで分析したものである。(B)は、SARS-CoV-2のゲノムRNA構造及びこれから発現される代表的なサブゲノムRNAを示したものである。
【0017】
【
図2】mRNA発現のための鋳型DNAに対する模式図である。
【0018】
【
図3】EGFP遺伝子のmRNA発現のために鋳型DNAをPCR方法で製作する過程を示した図である。
【0019】
【
図4】SARS-CoV-2N遺伝子のmRNA発現のために鋳型DNAをPCR方法で製作する過程を示した図である。
【0020】
【
図5】ヒトADCYAP1遺伝子のmRNA発現のために鋳型DNAをPCR方法で製作する過程を示した図である。
【0021】
【
図6】IVT(In vitro transcription)方法で対照群(control)、EGFP、ADCYAP1及びN遺伝子のmRNA発現を確認した図である。
【0022】
【
図7】
図6で製作されたGFP mRNAをHeLa細胞株にトランスフェクションし、GFPタンパク質の発現をイメージ及びウェスタンブロットで確認した図である。
【0023】
【
図8】
図6で製作されたADCYAP1遺伝子mRNAをHeLa細胞株にトランスフェクションし、ADCYAP1タンパク質が発現され、子宮頸部癌細胞の生長を抑制することをウェスタンブロットで確認した図である。
【0024】
【
図9】
図6で製作されたN遺伝子mRNAをHeLa細胞株にトランスフェクションし、ADCYAP1タンパク質が発現され、子宮頸部癌細胞の生長を抑制することをウェスタンブロットで確認した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
他の方式で定義されない限り、本明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野で熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0026】
最近、全世界的に流行しているCOVID-19は、コロナウイルスの変種であるSARS-CoV-2感染によるものであり、コロナウイルスは、N(nucleocapsid)タンパク質が覆っている約30kb程度の(+)RNAを遺伝体として有しており、その上側には、M(membrane)タンパク質とE(envelope)タンパク質が脂質と共に膜をなしており、外側にはスパイク(spike)タンパク質が突出しているので、王冠の形状と類似する外形をなしている(
図1)。
【0027】
コロナウイルス遺伝体(Genomic RNA)は、感染後に細胞内に入り込み、直ぐmRNAとしての役割をし、前側の上端部位に位置しているorf1b(open reaジng frame 1b)で転写(transcription)が起こり、RdRP(RNA dependent RNA Polymerase)を生産する。RdRPは、RNAを鋳型として用いてRNAを合成できる酵素である(Imbert et al.,EMBO Journal,2006,25:4933-4942)。
【0028】
したがって、RdRPは、細胞に入り込んだゲノムRNA(genomic RNA)を鋳型として用いて、複製(replication)過程を経て同じ長さのマイナス鎖ゲノムRNA(negative strand(-) genomic RNA)を合成する。このように作られた(-)ゲノムRNAは、再度転写のための鋳型(template)としての役割をし、様々なタンパク質を生成できる各種mRNAを作り出す。
【0029】
コロナウイルスの転写メカニズム(transcriptional mechanism)モデルは、未だに明らかに確立されていないが、感染後のウイルスの生活史を見ると、細胞内には、必要な各タンパク質(S、E、M、N)を作り出すために必要なmRNAとしての役割をする複数個のサブゲノムRNA(subgenomic RNA)が存在していると知られている(Krzysztof Pyrc et al.,Virology Journal 2004,1:7)。
【0030】
構造的な特徴を見ると、全てのサブゲノムRNAの長さは異なるが、後側(3’末端)部位は、いずれもゲノムRNAと共通的な3’UTR部位を有している。
【0031】
また、ゲノムRNAの前側(5’末端)には、短い長さ(約75 nucleotides)の塩基配列で構成されたリーダー配列(Leader Sequence)が存在するが、これも、特徴的に全てのサブゲノムRNAの前側に追加されている。特徴的には、全てのサブゲノムRNAは、タンパク質を作るコーディング配列とリーダー配列との間に遺伝子間(intergenic)配列を有し、リーダー配列と遺伝子間配列は、タンパク質の発現時にリボソームが認識できる5’UTRとして作用し、全てのサブゲノムRNAの3’末端には3’UTR配列を含んでいる。
【0032】
したがって、5’UTRとして作用し得るSARS-CoV-2リーダー配列及び遺伝子間配列を連結し、直ぐ後側に発現しようとする遺伝子のコーディング配列、SARS-CoV-2の3’UTR配列及びポリA配列を連結したmRNAを製作し、これを細胞に導入させると、所望のタンパク質を発現できることを確認した(
図1)。また、5’UTRとしては、ヒトコロナウイルス229E、OC43、HKU1、NL63、SARS-1、MERS由来のリーダー配列も使用可能である。
【0033】
このとき、in vitroで所望のターゲット遺伝子のmRNAを発現するために、前記配列の5’末端にプロモーター配列(T7、SP7など)を連結し、IVT(in vitro transcription)方法でターゲット遺伝子のmRNAを製作することができる。
【0034】
これに基づいて、本発明は、ターゲット遺伝子のmRNAを発現するためのコーディング領域;前記コーディング領域の上流に位置する5’非翻訳領域(UTR);及び前記コーディング領域の下流に位置する3’非翻訳領域(UTR);を含む遺伝子構造体であり、前記5’非翻訳領域(UTR)は、コロナウイルスのリーダー配列を含む遺伝子構造体に関する。
【0035】
前記リーダー配列と関連して、コロナウイルスのうちゲノムRNAと転写発現された各サブゲノムmRNA(subgenomic mRNA)は、5’末端に約72bp~77bpで構成されたリーダー配列を共通的に有しており、これは、コロナウイルスの独特の特徴であり、ウイルス配列のうち感染細胞で最も豊富に存在するターゲットである。これは、コロナウイルスの全てのサブゲノムRNAにおいて、ゲノムRNAの5’末端から誘導された約72bpに該当するリーダー配列(leader RNA)が各サブゲノムRNAの5’末端に結合するリーダージョイニング(leader joining)現象を示すためである。よって、リーダー配列は、細胞内でウイルス遺伝子のうち最も高い複製数を有し、Nタンパク質をコーディングするサブゲノムRNAがその次に高い複製数を有する。
【0036】
具体的には、前記5’非翻訳領域(UTR)は、配列番号1で表されるコロナウイルス(SARS-CoV-2:Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)のリーダー配列を含む遺伝子構造体に関する。
【0037】
前記リーダー配列は、配列番号1(ATTAAAGGTTTATACCTTCCCAGGTAACAAACCAACCAACTTTCGATCTCTTGTAGATCTGTTCTCTAAACG)で表される配列を含む。
【0038】
本明細書の「核酸」は、好ましくは、DNA又はRNAを意味する。前記核酸と関連して、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、及び「オリゴヌクレオチド」は、相互交換的に使用される。任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド、又はこれらの類似体を含むことができる。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有することができ、公知又は非公知の任意の機能を行うことができる。ポリヌクレオチドは、一つ以上の変形したヌクレオチド、例えば、メチル化されたヌクレオチド及びヌクレオチド類似体を含むことができる。ヌクレオチド構造に対する変形は、ポリマーのアセンブリ前後に可能である。
【0039】
好ましくは、核酸は、糖/リン酸バックボーンのホスホジエステル結合によって互いに共有結合されたヌクレオチドモノマーを含んだり、又はこれからなるポリマーである。「核酸」は、塩基変形した、糖変形した、又はバックボーン変形したDNA又はRNA分子のような、変形した核酸を含む。
【0040】
前記DNAは、デオキシリボ核酸(deoxyribonucleicacid)に対する略語である。これは、核酸分子、すなわち、ヌクレオチドからなるポリマーである。これらのヌクレオチドは、通常、デオキシ-アデノシン-モノホスフェート、デオキシ-チミジン-モノホスフェート、デオキシ-グアノシン-モノホスフェート及びデオキシ-シチジン-モノホスフェートモノマーであり、糖(デオキシリボース)、塩基及びホスフェートからなり、特有のバックボーン構造によって重合される。バックボーン構造は、典型的には、1つ目に、ヌクレオチドの糖の一部、すなわち、デオキシリボース、2つ目に、ホスフェートの一部、隣接したモノマー間のホスホジエステル結合によって形成される。モノマーの特定の順序、すなわち、糖/ホスフェートバックボーンに連結された各塩基の順序は、DNA配列と呼ばれる。DNAは、単一鎖又は二重鎖であり得る。二重鎖の形態において、第1の鎖のヌクレオチドは、典型的に第2の鎖のヌクレオチドと混成化し、例えば、A/T塩基対及びG/C塩基対による。
【0041】
前記RNAは、例えば、mRNAを含む。RNAは、通常、リボ核酸の略語である。これは、核酸分子、すなわち、ヌクレオチドからなるポリマーである。ヌクレオチドは、通常、いわゆるバックボーンを介して互いに連結されたアデノシン-モノホスフェート、ウリジン-モノホスフェート、グアノシン-モノホスフェート及びシチジンモノホスフェートモノマーである。バックボーンは、1つ目に、糖、例えば、リボースと、2つ目に、隣接モノマーのホスフェートの一部との間のホスホジエステル結合によって形成される。各モノマーの特異的な連続は、RNA配列と呼ばれる。通常、RNAは、DNA配列の転写によって、例えば、細胞内で得られる。真核細胞において、転写は、典型的に核又はミトコンドリア内で行われる。体内において、DNAの転写は、通常、mRNA、メッセンジャーRNAに加工され得る。例えば、真核細胞内でのRNAの加工は、スプライシング、5’-キャッピング、ポリアデニル化、核又はミトコンドリア及びそれと類似するものからの排出などの他の多様な転写後変形を含む。メッセンジャーRNAは、通常、特定のペプチド又はタンパク質のアミノ酸配列に翻訳され得るヌクレオチド配列を提供する。典型的には、mRNAは、5’-キャップ、5’UTR、オープンリーディングフレーム、3’UTR及びポリ(A)配列を含む。メッセンジャーRNAを除いては、転写及び/又は翻訳の調節に含まれ得るRNAのいくつかのノンコーディング形態が存在する。
【0042】
5’UTRは、オープンリーディングフレームの5’に位置する。5’UTRは、転写開始部位で始まり、オープンリーディングフレームの開始コドンの前のヌクレオチドで終決する。5’UTRは、例えば、リボソーム結合部位のような遺伝子発現を調節する要素を含むことができる。5’UTRは、例えば、5’-キャップの追加によって転写後変形し得る。5’UTRは、5’キャップと開始コドンとの間に位置した成熟mRNAの配列に相応する。
【0043】
前記5’非翻訳領域(UTR)は、SARS-CoV-2リーダー配列及び遺伝子間配列を連結したものであり、配列番号2~配列番号4で構成された群から選ばれる一つ以上の配列を含むことができる。
【0044】
3’UTRは、典型的には、mRNAのタンパク質コーディング領域(すなわち、オープンリーディングフレーム)とポリ(A)配列との間に位置したmRNAの一部である。mRNAの3’UTRは、アミノ酸配列に翻訳されない。3’UTR配列は、通常、遺伝子発現過程中にそれぞれmRNAに転写される遺伝子によってコーディングされる。遺伝体配列は、選択的イントロンを含むmRNAに優先的に転写される。その後、mRNAは、5’キャッピング、スプライシング及び3’-末端のポリアデニル化のような3’-末端の変形及び選択的エンド又はエキソヌクレアーゼ分解などの段階を含む。3’UTRは、タンパク質コーディング領域の停止コドン3’の直ぐ横に位置し、ポリ(A)配列5’の直ぐ横のヌクレオチドを含む。
【0045】
前記3’非翻訳領域(UTR)は、SARS-CoV-2の3’UTR配列を含むことができ、配列番号5の配列を含むことができる。
【0046】
典型的には、前記3’非翻訳領域(UTR)は、ペプチド又はタンパク質に翻訳され得るいくつかのヌクレオチドトリプレット(triplets)の配列であり得る。オープンリーディングフレームは、好ましくは、開始コドン、すなわち、その5’-末端にアミノ酸メチオニン(ATG又はAUG)を一般的にコーディングする3個の後続ヌクレオチドの組み合わせ、及び、通常、3ヌクレオチドの倍数の長さを示す後続領域を含む。ORFは、好ましくは、停止コドン(例えば、TAA、TAG、TGA)によって終決する。これは、オープンリーディングフレームの唯一の停止コドンである。したがって、本発明の脈絡で、オープンリーディングフレームは、好ましくは、開始コドン(例えば、ATG又はAUG)で始まり、好ましくは、停止コドン(例えば、TAA、TGA、又はTAG又はUAA、UAG、UGAのそれぞれ)で終決する、3個に分けられ得るヌクレオチドの数からなるヌクレオチド配列である。オープンリーディングフレームは、分離されたり、又は、より長い核酸配列、例えば、ベクター又はmRNAに併合され得る。また、オープンリーディングフレームは、「ポリペプチド又はタンパク質コーディング領域」と呼ばれ得る。
【0047】
本発明によると、プロモーター及び/又はポリ(A)配列をさらに含むことができる。
【0048】
前記プロモーターは、5’非翻訳領域(UTR)の上流に位置し得る。前記プロモーターは、例えば、RNA重合酵素プロモーターのような、転写のために必要な要素を含むことができる。前記プロモーターは、SP6又はT7などのファージRNA重合酵素プロモーター、好ましくは、mRNA配列をコーディングするT7プロモーターを含むことができる。
【0049】
前記ポリ(A)配列の長さは多様であり得る。例えば、ポリ(A)配列は、約20アデニンヌクレオチド~約300アデニンヌクレオチド、好ましくは、約40アデニンヌクレオチド~約200アデニンヌクレオチド、約60アデニンヌクレオチド、70アデニンヌクレオチド、80アデニンヌクレオチド、90アデニンヌクレオチド又は100アデニンヌクレオチド、さらに好ましくは、約50アデニンヌクレオチド~約100アデニンヌクレオチド、又は約20アデニンヌクレオチド~約400アデニンヌクレオチドの長さを有することができる。
【0050】
ポリ(A)配列は、3’非翻訳領域(UTR)の下流に位置し得る。例えば、ポリ(A)配列は、直接又はリンカーを介して、例えば、1~50、好ましくは、1~20ヌクレオチドのリンカーを介して、又は、2、4、6、8、10、20などのヌクレオチドのような、ヌクレオチドのストレッチを介して連結され得る。
【0051】
具体的な実施例において、本発明に係る遺伝子構造体は、5’-から-3’-方向に5’-プロモーター-5’UTR-コーディング領域(ORF)-3’UTR-ポリ(A)の構造を含むことができる。具体的には、SARS-CoV-2の5’UTR及び3’UTR配列を用いてターゲット遺伝子のmRNAをIVT(In vitro transcription)方法で発現させるために、具体的には、5’-T7プロモーター-5’UTR-ターゲット遺伝子-3’UTR-ポリAの配列で構成された鋳型DNAを製作することができる。
【0052】
また、本発明は、前記遺伝子構造体を含むベクターに関する。前記ベクターは、発現ベクター、クローニングベクターなどであり得る。前記ベクターは、mRNA又はペプチド、ポリペプチド又はタンパク質のような発現生産物の生産に使用され得る。前記ベクターは、前記プロモーター配列、例えば、RNAプロモーター配列のようなベクターの配列ストレッチの転写に必要な配列を含むことができる。前記ベクターは、例えば、RNAベクター又はDNAベクターであり得る。前記ベクターは、ウイルスベクター又はプラスミドベクターであり得る。
【0053】
前記ベクターは、円形分子であってもよく、二重鎖分子を含むことができる。円形及び二重鎖DNA分子は、独創的な人工核酸分子に貯蔵形態として容易に使用され得る。前記ベクターは、細胞、例えば、培養された細胞の形質転換に使用され得る。前記ベクターは、人工RNA分子の獲得のために体外転写に使用され得る。前記円形ベクターは、例えば、制限酵素切断によって線形化され得る。
【0054】
場合によって、前記ベクターは、クローニング部位、抗生剤抵抗性因子のような選別マーカー、及び複製原点のようなベクターの増幅に適した配列を含むことができる。
【0055】
前記ベクターは、真核細胞、原核細胞、又は真核、原核、ウイルス又はファージ体外転写システムのような、真核生物、原核生物、ウイルス又はファージ転写システムを使用する転写に適している。場合によって、ベクターは、体外転写システムに基づいたT7 RNA重合酵素のような、体外転写システムに基づいたファージを使用する体外転写に適している。
【0056】
前記ベクターは、微細注入法(microinjection)、電気穿孔法(electroporation)、DEAE-デキストラン処理、リポフェクション(lipofection)、ナノパーティクル-媒介形質注入、タンパク質伝達ドメイン媒介導入、及びPEG-媒介形質注入などのような当業界の多様な方法によって細胞に伝達され得るが、これに制限されるものではない。
【0057】
前記ベクターとして、プラスミドベクター、コスミドベクター、バクテリオファージベクターなどの公知の発現ベクターを使用することができ、ベクターは、DNA組換え技術を用いた任意の公知の方法によって当業者が容易に製造することができる。
【0058】
組換え発現ベクターは、宿主細胞において核酸の発現に適した形態で核酸を含むことができ、これは、組換え発現ベクターが発現のために使用されるように、すなわち、発現される核酸配列に作動可能に連結されるように宿主細胞をベースにして選択され得る一つ以上の調節要素を含むことを意味する。
【0059】
組換え発現ベクター内で、「作動可能に連結された」とは、関心ヌクレオチド配列がヌクレオチド配列の発現を許容する方式で(例えば、試験管内転写/翻訳システムで、又は、ベクターが宿主細胞内に導入される場合は宿主細胞で)調節要素に連結されることを意味する。
【0060】
組換え発現ベクターは、T7プロモーターを含み、メッセンジャーRNA合成に適した形態を含むことができ、これは、in situでmRNA合成を行えるように、すなわち、T7ポリメラーゼによってメッセンジャーRNAが合成され得る一つ以上の調節要素を含むことを意味する。
【0061】
「調節要素」は、プロモーター、エンハンサー、内部リボソーム進入部位(IRES)、及びその他の発現調整要素(例えば、転写終決信号、例えば、ポリアデニル化信号及びポリ-U配列)を含むことができる。調節要素は、多くの類型の宿主細胞でヌクレオチド配列の誘導又は恒常的発現を指示する要素、及び特定の宿主細胞でのみヌクレオチド配列の発現を指示する要素(例えば、組織-特異的調節配列)を含む。
【0062】
具体的には、前記調節要素は、配列番号18又は19の配列を含む遺伝子構造体を含むことができる。
【0063】
前記核酸は、リボ核酸、例えば、メッセンジャーリボ核酸mRNAの形態で注入され得る。本発明に係る核酸は、mRNAの形態であり得る。これを通じて、一時的タンパク質発現(transient protein expression)が可能になる。
【0064】
本発明は、他の観点において、前記遺伝子構造体を含むワクチン組成物に関する。
【0065】
本発明は、他の観点において、前記遺伝子構造体を含む遺伝子治療用組成物に関する。
【0066】
前記組成物は、前記組成物で発現されたmRNAを伝達するための伝達手段を含むことができる。
【0067】
発現されたmRNAは、ナノ粒子、例えば、金ナノ粒子を介して伝達され得る。
【0068】
前記金ナノ粒子は、表面が変形可能である。変形に対する具体的な例示は、Acc Chem Res.2019 June 18;52(6):1496-1506.及びPharmaceutics 2021,13,900.などに具体的に例示されており、本発明に参照として導入され得る。
【0069】
前記mRNAに金ナノ粒子を連結し、カチオン性エンドソーム破壊性(endosomal disruptive)ポリマーで複合体を形成し、この複合体を細胞に伝達することができる(Nature Biomedical Engineering volume 1,pages889-901(2017))。前記カチオン性エンドソーム破壊性(endosomal disruptive)ポリマーは、例えば、ポリエチレンイミン、ポリ(アルギニン)、ポリ(リシン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ-[2-{(2-アミノエチル)アミノ}-エチル-アスパルトアミド](pAsp(DET))、ポリ(エチレングリコール)(PEG)とポリ(アルギニン)のブロックコポリマー、PEGとポリ(リシン)のブロックコポリマー、又はPEGとポリ{N-[N-(2-アミノエチル)-2-アミノエチル]アスパルトアミド}(PEG-pAsp(DET))のブロックコポリマーであり得る。
【0070】
場合によって、表面がアルギニンで変形した金粒子を使用することができる。
【0071】
アルギニンで変形した金粒子を、核酸切断酵素又はこれをコーディングするポリヌクレオチド及び/又は切断因子又はこれをコーディングするポリヌクレオチドと共に組み立てることができる。これを通じて、結果物は、ターゲット細胞の膜と融合し、細胞質に移動するようになる(ACS Nano.2017,11:2452-2458)。
【0072】
発現されたmRNAは、リポソーム(liposome)、LNP(lipid Nano-Particle)又は多様なナノ粒子を介して伝達され得る。リポソーム又はLNPは、カチオン性脂質、非カチオン性脂質又は中性脂質などを含み、さらに、PEG(polyethylene glycol)又はコレステロールなどの他の脂質を含む場合もある。このようなmRNA伝達体は、米国特許公開第2018/0311176号、第2019/0032051号、第2021/0046192号、国際特許公開第WO2018/081480号、第WO2020/097540号、第WO2020/097548号、第WO2021/007278号などに具体的に記載されており、本発明に参照として導入される。
【0073】
前記カチオン性脂質は、米国特許公開第2018/0311176号、第2019/0032051号などに具体的に例示されており、例えば、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(I-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N-(I-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル)-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N-ジメチル-2,3-ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2-ジリノレイルカルバモイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-C-DAP)、1,2-ジリノレイオキシ-3-(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin-DAC)、1,2-ジリノレイオキシ-3-モルホリノプロパン(DLin-MA)、1,2-ジリノレオイル-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2-ジリノレイルチオ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-S-DMA)、1-リノレオイル-2-リノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-2-DMAP)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TMA.Cl)、1,2-ジリノレオイル-3-トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin-TAP.Cl)、1,2-ジリノレイルオキシ-3-(N-メチルピペラジノ)プロパン(DLin-MPZ)、又は3-(N,N-ジリノレイルアミノ-1,2-プロパンジオール(DLinAP)、3-(N,N-ジオレイルアミノ)-1,2-プロパンジオール(DOAP)、1,2-ジリノレイルオキソ-3-(2-N,N-ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin-EG-DMA)、1,2-ジリノレニルオキシ-N,N-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)又はそれらの類似体、(3aR,5s,6aS)-N,N-ジメチル-2,2-ジ((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニル)テトラヒドロ-3aH-シクロペンタ[d][1,3]ジオキソール-5-アミン(ALN100)、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル 4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(MC3)、1,1’-(2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチルアザネジイル)ジドデカン-2-オール(Tech G1)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン、β-L-アルギニル-2,3-L-ジアミノプロピオン酸-N-パルミチル-N-オレイルアミドトリヒドロクロリド、N’,N’-ジオクタデシル-N-4,8-ジアザ-10-アミノデカノイルグリシンアミド[71]、1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン、DLin-KC2-DMA、アミノリピド 2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノエチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA,1)、1,2-ジステアリルオキシ-/V,N-ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA)、DLin-D-DMA、C12-200、98N12-5、(20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-9-アミン、(1Z,19Z)-N5N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-8-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチルドコサ-13,16-ジエン-5-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチルヘンイコサ-12,15-ジエン-4-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-6-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-7-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-10-アミン、(15Z,18Z)-N,N-ジメチルテトラコサ-15,18-ジエン-5-アミン、(14Z,17Z)-N,N-ジメチルトリコサ-14,17-ジエン-4-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-9-アミン、(18Z,21Z)-N,N-ジメチルヘプタコサ-18,21-ジエン-8-アミン、(17Z,20Z)-N,N-ジメチルヘキサコサ-17,20-ジエン-7-アミン、(16Z,19Z)-N,N-ジメチルペンタコサ-16,19-ジエン-6-アミン、(22Z,25Z)-N,N-ジメチルヘントリアコンタ-22,25-ジエン-10-アミン、(21Z,24Z)-N,N-ジメチルトリアコンタ-21,24-ジエン-9-アミン、(18Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-18-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルヘキサコス-17-エン-9-アミン、(19Z,22Z)-N,N-ジメチルオクタコサ-19,22-ジエン-7-アミン、N,N-ジメチルヘプタコサン-10-アミン、(20Z,23Z)-N-エチル-N-メチルノナコサ-20,23-ジエン-10-アミン、1-[(11Z,14Z)-1-ノニリコサ-11,14-ジエン-1-イル]ピロリジン、(20Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-20-エン-10-アミン、(15Z)-N,N-ジメチルヘプタコス-15-エン-10-アミン、(14Z)-N,N-ジメチルノナコス-14-エン-10-アミン、(17Z)-N,N-ジメチルノナコス-17-エン-10-アミン、(24Z)-N,N-ジメチルトリトリアコント-24-エン-10-アミン、(20Z)-N,N-ジメチルノナコス-20-エン-10-アミン、(22Z)-N,N-ジメチルヘントリアコント-22-エン-10-アミン、(16Z)-N,N-ジメチルペンタコス-16-エン-8-アミン、(12Z,15Z)-N,N-ジメチル-2-ノニルヘンイコサ-12,15-ジエン-1-アミン、(13Z,16Z)-N,N-ジメチル-3-ノニルドコサ-13,16-ジエン-1-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプタデカン-8-アミン、1-[(1S,2R)-2-ヘキシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-21-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘンイコサン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]メチル}シクロプロピル]ノナデカン-10-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘキサデカン-8-アミン、N,N-ジメチル-[(1R,2S)-2-ウンデシルシクロプロピル]テトラデカン-5-アミン、N,N-ジメチル-3-{7-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ヘプチル}ドデカン-1-アミン、1-[(1R,2S)-2-ヘプチルシクロプロピル]-N,N-ジメチルオクタデカン-9-アミン、1-[(1S,2R)-2-デシルシクロプロピル]-N,N-ジメチルペンタデカン-6-アミン、N,N-ジメチル-1-[(1S,2R)-2-オクチルシクロプロピル]ペンタデカン-8-アミン、R-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、S-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-オクチルオキシ)メチル]エチル}ピロリジン、(2S)-N,N-ジメチル-1-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-3-[(5Z)-オクト-5-エン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、1-{2-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]-1-[(オクチルオキシ)メチル]エチル}アゼチジン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエニルオキシ]プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘプチルオキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(ノニルオキシ)-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-[(9Z)-オクタデカ-9-エン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン;(2S)-N,N-ジメチル-1-[(6Z,9Z,12Z)-オクタデカ-6,9,12-トリエン-1-イルオキシ]-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(ペンチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-(ヘキシルオキシ)-3-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(11Z,14Z)-イコサ-11,14-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z,16Z)-ドコサ-13,16-ジエン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、(2S)-1-[(13Z)-ドコス-13-エン-1-イルオキシ]-3-(ヘキシルオキシ)-N,N-ジメチルプロパン-2-アミン、1-[(13Z)-ドコス-13-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、1-[(9Z)-ヘキサデカ-9-エン-1-イルオキシ]-N,N-ジメチル-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン、(2R)-N,N-ジメチル-H(1-メトイルオクチル)オキシ]-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、(2R)-1-[(3,7-ジメチルオクチル)オキシ]-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-(オクチルオキシ)-3-({8-[(1S,2S)-2-{[(1R,2R)-2-ペンチルシクロプロピル]-メチル}シクロプロピル]オクチル}オキシ)プロパン-2-アミン、N,N-ジメチル-1-{[8-(2-オクチルシクロプロピル)オクチル]オキシ}-3-(オクチルオキシ)プロパン-2-アミン及び(11E,20Z,23Z)-N,N-ジメチルノナコサ-11,20,2-トリエン-10-アミン、5-カルボキシスペルミルグリシンジオクタオレオイルアミド(「DOGS」)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン 5-カルボキシスペルミル-アミド(「DPPES」)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、DMRIE-HP、リポフェクタミン(DOSPA)、3b-(N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カ
ルバモイル)コレステロール(「DC-Choi」)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(「DODAP」)、DMDMA、カチオン性脂質ベースのトランスフェクション試薬TransIT-TKO、LIPOFECTIN、リポフェクタミン、OLIGOFECTAMINE又はDHARMAFECT、DSDMA、DODMA、DLinDMA、DLenDMA、gamma-DLenDMA、DLin-K-DMA、DLin-K-C2-DMA(DLin-C2K-DMA、XTC2、及びC2Kとしても知られている)、DLin-K-C3-DMA、DLin-K-C4-DMA、DLen-C2K-DMA、y-DLen-C2K-DMA、DLin-M-C2-DMA(MC2としても知られている)、DLin-M-C3-DMA(MC3としても知られている)又は(DLin-MP-DMA)(1-B11としても知られている)、又はその混合物であり得るが、これに制限されるものではない。
【0074】
前記非カチオン性脂質は、米国特許公開第2018/0311176号、第2019/0032051号などに具体的に例示されており、例えば、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、又はリシルホスファチジルグリセロールであり得る。場合によって、前記非カチオン性脂質は、例えば、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン 4-(-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、16-O-モノメチル PE、16-O-ジメチル PE、18-1-trans PE、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジン酸、N-ドデカノイルホスファチジルエタノールアミン、N-スクシニルホスファチジルエタノールアミン、N-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、リシルホスファチジルグリセロール、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)であり得るが、これに制限されるものではない。
【0075】
前記中性脂肪は、米国特許公開第2018/0311176号、第2019/0032051号などに具体的に例示されており、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、ケファリン、又はセレブロシドを含み得るが、これに制限されるものではない。
【0076】
前記mRNA伝達時に生成される粒子の凝集を防止するために、PEG脂肪を含むことができる。PEG脂肪は、米国特許公開第2018/0311176号、第2019/0032051号などに具体的に例示されており、例えば、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、又はその混合物であり得る。非制限的な例として、PLGAは、PLGA-DSPE-PEGを形成する脂質-終端(terminating)PEGにコンジュゲートされ得る。また、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG-DSG)、PEG-c-DOMG、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG-DSG)、PEG-c-DOMG、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG-DSG)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG-DPG)、ジアルキルオキシプロピルに結合されたPEG(e.g.,PEG-DAAコンジュゲート)、ジアシルグリセロールに結合されたPEG(e.g.,PEG-DAGコンジュゲート)、コレステロールに結合されたPEG、ホスファチジルエタノールアミンに結合されたPEG、セラミドにコンジュゲートされたPEG、カチオン性PEG脂質、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミドオリゴマー(e.g.,ATTA-脂質コンジュゲート)などのPEG-脂質コンジュゲート、及びその混合物から選択され得る。前記PEGは、PEG-ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG-ジミリスチルオキシプロピル(C14)、PEG-ジパルミチルオキシプロピル(C16)、PEG-ジステアリルオキシプロピル(C18)、PEG-c-DOMG、PEG-DMG又はその混合物であり得るが、これに制限されるものではない。
【0077】
前記mRNA伝達にペプチドが使用され得る。ペプチドは、核酸のアニオン性リン酸基との静電気的相互作用を行うカチオンを有さなければならなく、リン酸基との静電気的相互作用を行うために、正に荷電したアミノ酸を含むことができる。mRNA伝達に使用可能なペプチドの具体的な内容は、AIMS Biophysics,7(4):323-338.に記載されており、本発明に参照として導入され得る。
【0078】
前記mRNA伝達に使用可能なペプチドは、プロタミンを含むことができる。プロタミンは、精巣で精子を形成中にあるDNAの安定性に寄与するカチオン性アルギニンが豊富な小さい核タンパク質であり、プロタミンは、mRNA分子を安定化させ、効率的に伝達することができる。米国特許登録第9352028号には、プロタミン-mRNA複合物が具体的に記載されており、これは、本発明に参照として導入され得る。
【0079】
細胞透過性ペプチド(CPP)も、mRNAの伝達に有望なカチオン性分子であり得る。アルギニンが豊富なRALAペプチド(WEARLARALARALARHLARALARALRACEA)、RALA、LAH4(KKALLALALHHLAHLALHLALALKKA)及びLAH4-L1(KKALLAHALHLLALLALHLAHALKKA)などの両親媒性CPPを用いてmRNA分子を伝達することができる。
【0080】
場合によって、前記リポソーム(liposome)又はLNP(lipid Nano-Particle)以外に、mRNA伝達にペプチドをさらに含むことができる。前記ペプチドは、核酸パッケージング機能を提供し、DNA又はRNAが細胞内或いは細胞外で分解されることを防止することができる。このようなペプチドの例示は、米国特許公開第2021/0170046号に具体的に記載されており、本明細書に参照として導入され得るが、これに制限されるものではない。前記組成物には、さらに薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含むことができる。薬剤学的に許容可能な担体は、本発明の有効成分と両立可能でなければならなく、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びこれらの成分のうち一つの成分を使用したり、又は二つ以上の成分を混合して使用することができ、必要によって、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形に製剤化することができ、特に、凍結乾燥(lyophilized)された形態の剤形に製剤化して提供することが好ましい。凍結乾燥剤形の製造のために、本発明の属する技術分野で通常知られている方法が使用可能であり、凍結乾燥のための安定化剤が追加されることもある。さらに、当分野の適正な方法で又はレミントン薬科学(Remington’s pharmaceutical Science,Mack Publishing company,Easton PA)に開示されている方法を用いて各疾病又は成分によって好ましく製剤化することができる。
【0081】
本発明の組成物に含まれる有効成分などの含量及び投与方法は、通常の患者の症候と疾病の深刻度に基づいて本技術分野の通常の専門家が決定することができる。また、前記組成物は、散剤、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤、軟膏剤、シロップ剤などの多様な形態で製剤化することができ、単位-投与量又は多-投与量容器、例えば、密封されたアンプル及び瓶などで提供されることもある。
【0082】
本発明の組成物は、経口又は非経口投与が可能である。本発明に係る組成物の投与経路としては、これらに限定されないが、例えば、気管支、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髓内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、腸管、舌下又は局所投与が可能である。本発明に係る組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食事、投与時間、方法、排泄率又は疾病の重症度などによってその範囲が多様であり、本技術分野の通常の専門家が容易に決定することができる。また、臨床投与のために、公知の技術を用いて本発明の組成物を適切な剤形に製剤化することができる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎなく、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈しないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0084】
実施例1.SARS-CoV-2サブゲノム(subgenomic)RNAの5’UTR及び3’UTR配列を確認するためのcDNA合成
【0085】
SARS-CoV-2のサブゲノム(subgenomic)RNAの5’UTRと3’UTR配列を確認するために、ベロ細胞にSARS-CoV-2を感染させて培養した後、分離した全体のRNAを忠南大学校の獣医科大学(BSL3)から受けた。これからcDNAを合成するために抽出した全体のRNA 1μgにオリゴ-dT 0.5μgを添加し、合計12.5μlに作った後、65℃で5分間氷に反応させた。上記の反応液に5X反応バッファー4μL、dNTPミックス1mM、RevertAid Hマイナス逆転写酵素(Minus Reverse Transcriptase)1μl(Enzynomics,Daejeon,South Korea)を添加し、合計20μlの反応液に作った。逆転写反応(reverse transcription)反応は、42℃で60分間、70℃で10分間行い、単一鎖cDNAを合成した。
【0086】
製作されたcDNAからSARS-CoV-2のN、S、E遺伝子の5’UTRと3’UTRを含むcDNAを増幅するためにPCRを行った。PCRに使用したプライマー配列は、表1の通りである。
【0087】
【0088】
PCR反応は、合計20μlの溶液で行い、合成されたcDNA 1ng、順方向プライマー(配列番号7)10pmole、逆方向プライマー(配列番号7~配列番号9)10pmole、2X pfuマスターミックス(Master Mix)10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で1分(30サイクル);72℃(5分)。PCR産物は、pTOP Blunt V2ベクター(Enzynomics,Daejeon,、South Korea)にライゲーション(ligation)した後、DH5α(Enzynomics,Daejeon,South Korea)に形質転換した。形質転換後、アンピシリン(50μg/ml,Sigma Aldrich,USA)が含まれた固体培地(Bioloard,Daejeon,South Korea)に塗抹し、37℃で8時間培養した後、HiGeneTMプラスミドミニプレップキット(Plasmid Mini Prep Kit)(Ver.2.0)(Biofact,Daejeon,South Korea)を用いてプラスミドDNAを抽出した後、サンガー(Sanger)シーケンシングを行った。
【0089】
実施例2.サンガーシーケンシングを通じたSARS-CoV-2のN、S、E遺伝子の5’UTR及び共通3’UTR配列の確認
【0090】
【0091】
3’UTR 5’-
CAATCTTTAATCAGTGTGTAACATTAGGGAGGACTTGAAAGAGCCACCACATTTTCACCGAGGCCACGCGGAGTACGATCGAGTGTACAGTGAACAATGCTAGGGAGAGCTGCCTATATGGAAGAGCCCTAATGTGTAAAATTAATTTTAGTAGTGCTATCCCCATGTGATTTTAATAGCTTCTTAGGAGAATGAC-3’(配列番号5)
【0092】
実施例3.GFP mRNA発現のためのIVT鋳型の製作
【0093】
GFP mRNA発現のためのIVT鋳型を製作するために、SARS-CoV-2のN遺伝子の5’UTRの直ぐ後側にGFP遺伝子コーディング配列を連結し、続いて、SARS-CoV-23’UTR配列及びポリA配列(65ヌクレオチド)をPCR方法で連結した(
図3)。
【0094】
このために、N遺伝子の5’UTRにT7プロモーター配列(配列番号10:5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’)をPCR方法で連結した。前記実施例1で製作されたN遺伝子を含むプラスミドDNA 1ngを鋳型として用いて、順方向プライマー(配列番号6)10pmole、逆方向プライマー(配列番号11)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR(Applied Biosystem)反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で1分(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。N遺伝子の3’UTR配列は、前記実施例1で製作されたN遺伝子を含むプラスミドDNA 1ngを用いて、順方向プライマー(配列番号12)10pmole、逆方向プライマー(配列番号13)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR(Applied Biosystem)反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で1分(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。GFP遺伝子は、GFP遺伝子を含むpFGFP N1(Clontech)1ngを鋳型として用いて、5’UTRの3’末端配列とGFP遺伝子の5’末端配列とが連結された順方向プライマー(配列番号14)10pmole、GFP遺伝子の3’末端配列と3’UTRの5’末端配列とが連結された逆方向プライマー(配列番号15)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR(Applied Biosystem)反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で1分(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。
【0095】
T7プロモーター配列、5’UTR配列、GFP遺伝子配列、3’UTR配列及び65ヌクレオチドのポリA配列を連結するためにPCR方法を使用した。前記製作されたそれぞれのPCR産物を100pgずつ同量で混合した後で鋳型として使用し、順方向T7プロモーター配列プライマー10pmole(配列番号6)、3’UTR配列の3’末端の20ヌクレオチドと65ヌクレオチドのポリA配列を連結した逆方向プライマー(配列番号16)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR(Applied Biosystem)反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で2分(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。PCR産物は、pTOP Blunt V2ベクター(Enzynomics,Daejeon,South Korea)にライゲーションした後、DH5α(Enzynomics,Daejeon,South Korea)に形質転換した。形質転換後、アンピシリン(50μg/ml,Sigma Aldrich,USA)が含まれた固体培地(Bioloard,Daejeon,South Korea)に塗抹し、37℃で8時間培養した後、HiGeneTMプラスミドミニプレップキット(Ver.2.0)(Biofact,Daejeon,South Korea)を用いてプラスミドDNAを抽出した後、サンガーシーケンシングで製作されたIVT鋳型配列を確認した(配列番号18)。
【0096】
ターゲット遺伝子が含まれていない対照群RNA発現のためのIVT鋳型を製作するために、前記製作された3’UTR DNA 100pgを鋳型として用いて、5’UTRの3’末端配列と3’UTRの5’末端配列とが連結された順方向プライマー(配列番号16)10pmole、3’UTRの3’末端配列と65ヌクレオチドとが連結された逆方向プライマー(配列番号17)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR(Applied Biosystem)反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で1分(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。
【0097】
T7プロモーター配列、5’UTR配列、3’UTR配列及び65ヌクレオチドのポリA配列を連結するためにPCR方法を使用した。前記製作されたそれぞれのPCR産物を100pgずつ同量で混合した後で鋳型として使用し、順方向T7プロモーター配列プライマー10pmole(配列番号6)、3’UTR配列の3’末端の20ヌクレオチドと65ヌクレオチドのポリA配列を連結した逆方向プライマー(配列番号16)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR(Applied Biosystem)反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で1分(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。
【0098】
PCR産物は、pTOP Blunt V2ベクター(Enzynomics,Daejeon,South Korea)にライゲーションした後、DH5α(Enzynomics,Daejeon,South Korea)に形質転換した。形質転換後、アンピシリン(50μg/ml,Sigma Aldrich,USA)が含まれた固体培地(Bioloard,Daejeon,South Korea)に塗抹し、37℃で8時間培養した後、HiGeneTMプラスミドミニプレップキット(Ver.2.0)(Biofact,Daejeon,South Korea)を用いてプラスミドDNAを抽出した後、サンガーシーケンシングで製作されたIVT鋳型配列を確認した(配列番号19)。
【0099】
【0100】
[配列番号18]T7 5UTR eGFP 3’UTR oligo dT (65)
TAATACGACTCACTATAGGGATTAAAGGTTTATACCTTCCCAGGTAACAAACCAACCAACTTTCGATCTCTTGTAGATCTGTTCTCTAAACGAACAAACTAAAATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAACAATCTTTAATCAGTGTGTAACATTAGGGAGGACTTGAAAGAGCCACCACATTTTCACCGAGGCCACGCGGAGTACGATCGAGTGTACAGTGAACAATGCTAGGGAGAGCTGCCTATATGGAAGAGCCCTAATGTGTAAAATTAATTTTAGTAGTGCTATCCCCATGTGATTTTAATAGCTTCTTAGGAGAATGACAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
【0101】
[配列番号19]T7 5’UTR 3’UTR oligo dT(65)
TAATACGACTCACTATAGGGATTAAAGGTTTATACCTTCCCAGGTAACAAACCAACCAACTTTCGATCTCTTGTAGATCTGTTCTCTAAACGAACAAACTAAACAATCTTTAATCAGTGTGTAACATTAGGGAGGACTTGAAAGAGCCACCACATTTTCACCGAGGCCACGCGGAGTACGATCGAGTGTACAGTGAACAATGCTAGGGAGAGCTGCCTATATGGAAGAGCCCTAATGTGTAAAATTAATTTTAGTAGTGCTATCCCCATGTGATTTTAATAGCTTCTTAGGAGAATGACAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
【0102】
実施例4.SARS-CoV-2N遺伝子mRNA発現のためのIVT鋳型の製作
【0103】
実施例1で合成したcDNA 1ngを用いて、PCR反応を合計20μLの溶液で行い、順方向プライマー(配列番号6)10pmole、逆方向プライマー(配列番号16)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で2分30秒(30サイクル);72℃(5分)。PCR産物は、pTOP Blunt V2ベクター(Enzynomics,Daejeon,South Korea)にライゲーションした後、DH5α(Enzynomics,Daejeon,South Korea)に形質転換した。形質転換後、アンピシリン(50μg/ml,Sigma Aldrich,USA)が含まれた固体培地(Bioloard,Daejeon,South Korea)に塗抹し、37℃で8時間培養した後、HiGeneTMプラスミドミニプレップキット(Ver.2.0)(Biofact,Daejeon,South Korea)を用いてプラスミドDNAを抽出した後、サンガーシーケンシングを行った(配列番号20)。
【0104】
実施例5.ヒトADCYAP1遺伝子mRNA発現のためのIVT鋳型の製作
【0105】
ADCYP1 mRNA発現のためのIVT鋳型を製作するために、SARS-CoV-2のN遺伝子の5’UTRの直ぐ後側にADCYAP1遺伝子コーディング配列を連結し、続いて、SARS-CoV-23’UTR配列とポリA配列(65ヌクレオチド)をPCR方法で連結した(
図3)。
【0106】
このために、ADCYAP1遺伝子を含むpcDNA3プラスミドDNA(大韓民国登録特許第1399077号)1ngを鋳型として用いて、5’UTRの3’末端配列とADCYAP1遺伝子の5’末端配列とが連結された順方向プライマー(配列番号21)10pmole、ADCYAP1遺伝子の3’末端配列と3’UTRの5’末端配列とが連結された逆方向プライマー(配列番号22)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で2分(30サイクル);72℃(5分)。
【0107】
T7プロモーター配列、5’UTR配列、ADCYAP1遺伝子配列、3’UTR配列及び65ヌクレオチドのポリA配列を連結するためにPCR方法を使用した。前記製作されたそれぞれのPCR産物を10pgずつ同量で混合した後で鋳型として使用し、順方向T7プロモーター配列プライマー(配列番号6)10pmole、3’UTR配列の3’末端の20ヌクレオチドと65ヌクレオチドのポリA配列を連結した逆方向プライマー(配列番号16)10pmole、2X pfuマスターミックス10μL(Biofact,Daejeon,South Korea)を添加した。PCR反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で2分30秒(30サイクル);72℃(5分)。製作されたPCR産物は、アガロースゲル(2%)に電気泳動して確認した。PCR産物は、pTOP Blunt V2ベクター(Enzynomics,Daejeon,South Korea)にライゲーションした後、DH5α(Enzynomics,Daejeon,South Korea)に形質転換した。形質転換後、アンピシリン(50μg/ml,Sigma Aldrich,USA)が含まれた固体培地(Bioloard,Daejeon,South Korea)に塗抹し、37℃で8時間培養した後、HiGeneTMプラスミドミニプレップキット(Ver.2.0)(Biofact,Daejeon,South Korea)を用いてプラスミドDNAを抽出した後、サンガーシーケンシングを行った(配列番号23)。
【0108】
【0109】
[配列番号23]T7 5’UTR ADCYAP1 3’UTR oligo dT (65)
TAATACGACTCACTATAGGGATTAAAGGTTTATACCTTCCCAGGTAACAAACCAACCAACTTTCGATCTCTTGTAGATCTGTTCTCTAAACGAACAAACTAAAATGACCATGTGTAGCGGAGCGAGGCTGGCCCTGCTGGTCTATGGGATAATCATGCACAGCAGCGTCTACAGCTCACCTGCCGCCGCCGGACTCCGGTTCCCCGGGATCAGGCCAGAGGAAGAGGCGTACGGCGAGGACGGAAACCCGCTGCCAGACTTCGATGGCTCGGAGCCGCCGGGCGCAGGGAGCCCCGCCTCCGCGCCGCGCGCCGCCGCCGCCTGGTACCGCCCGGCCGGGAGAAGAGATGTCGCCCACGGGATCCTTAACGAGGCCTACCGCAAAGTGCTGGACCAGCTGTCCGCCGGGAAGCACCTGCAGTCGCTCGTGGCCCGGGGCGTGGGTGGGAGCCTCGGCGGCGGCGCGGGGGACGACGCGGAGCCGCTCTCCAAGCGCCACTCGGACGGGATCTTCACGGACAGCTACAGCCGCTACCGGAAACAAATGGCTGTCAAGAAATACTTGGCGGCCGTCCTAGGGAAGAGGTATAAACAAAGGGTTAAAAACAAAGGACGCCGAATAGCTTATTTGTAGCAATCTTTAATCAGTGTGTAACATTAGGGAGGACTTGAAAGAGCCACCACATTTTCACCGAGGCCACGCGGAGTACGATCGAGTGTACAGTGAACAATGCTAGGGAGAGCTGCCTATATGGAAGAGCCCTAATGTGTAAAATTAATTTTAGTAGTGCTATCCCCATGTGATTTTAATAGCTTCTTAGGAGAATGACAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
【0110】
実施例6.IVTを通じたGFP、N遺伝子及びADCYAP1 mRNA発現の確認
【0111】
IVT方法でそれぞれのmRNAを製作するために、T7プロモーター配列に該当する順方向プライマー(配列番号6)10pmole、3’UTRと65ヌクレオチドのポリAとが連結された逆方向プライマー(配列番号16)10pmole、2X pfuマスターミックス(Biofact,Daejeon,South Korea)10μlを添加し、合計20μLになるようにPCRを行った。PCR反応条件は、次の通りである:95℃で2分(1サイクル);95℃で20秒-60℃で40秒-72℃で2分30秒(30サイクル);72℃(5分)。増幅したPCR産物は、1%のアガロースゲルで電気泳動した後、Qiaquick(R)ゲル抽出キット(Gel Extraction Kit)(QIAGEN,Hilden,Germany)で精製し、IVTのための鋳型として使用した。
【0112】
IVTは、Hiscribe T7 ARCA mRNAキット(NEB)を用いて製造社の指針に従って行った。前記製作されたPCR産物1μgを鋳型として用いて、2X ARCA/NTP MIX 10μl及びT7ポリメラーゼ2μlを添加し、対照群の場合は37℃で16時間、GFP、ADCYAP、及びN遺伝子(gene)の場合は37℃1時間にわたって反応させることによって、mRNAを合成し、5’末端に抗-逆転キャップ類似体(Anti-reverse cap analog;ARCA)を追加できるようにした。反応後、DNase Iを2μl添加した後、37℃で15分間反応させることによってDNA鋳型を除去した。IVT反応後、反応溶液をLiCl溶液(NEB,Massachusetts,USA)と2:1の体積で混合し、-20℃で30分間培養した後、13000rpmで15分間遠心分離することによって上澄液を除去した。冷たい70%のエタノールを500μL入れ、13000rpmで10分間遠心分離した後で上澄液を除去し、常温で10分間培養することによって残った溶液を除去し、最終50μLのRNaseフリー(free)蒸留水に溶出した。精製されたRNAは、Qubitを用いて定量し、アガロースゲル(1%、0.5X TBE)に電気泳動することによってmRNA産物を確認した(
図6)。電気泳動後、サイズを確認した結果、予想されるサイズと一致することを確認した。
【0113】
実施例7.ヒト細胞株対象GFP、N遺伝子及びADCYAP1タンパク質発現の確認
【0114】
7-1.トランスフェクション及び細胞収獲
【0115】
IVT方法で合成されたmRNAをリポフェクタミンメッセンジャーMAXと1:1、w:vで混ぜ、子宮頸部癌細胞株であるHeLa細胞株にトランスフェクションした後、48時間にわたってCO2培養器で培養した。GFP mRNAトランスフェクションした細胞の場合、トランスフェクションしてから48時間後、蛍光顕微鏡を通じてGFPの発現を確認した後で細胞を収穫した。ADCYAP1 mRNAトランスフェクト細胞(transfected cell)の場合、トランスフェクションしてから48時間後、細胞イメージング(cell imaging)を行い、ヘモサイトメーター(hematocytometer)でカウントし、細胞生存性(cell viability)を測定した後で収穫した。N遺伝子mRNAトランスフェクト細胞の場合、トランスフェクションしてから48時間後、細胞イメージングを行って収穫した。収獲された細胞から、pro-prep(iNtRON biotechnology,Seongnam,South Korea)を用いて製造社の指針に従ってタンパク質を抽出した。
【0116】
7-2.ウェスタンブロット(Western blot)
【0117】
抽出したタンパク質は、Mini-PROTEAN(登録商標)Tetra垂直型電気泳動セル(Vertical Electrophoresis Cell)(Bio-rad,California,USA)装備を用いてSDS-PAGEを行った後、ニトロセルロースメンブレン(nitrocellulose membrane)(Bio-rad,California,USA)に移動させた。メンブレンに移動させたタンパク質は、5%のスキムミルク(skim milk)(Biopure,Seoul,South Korea)で1時間にわたってブロッキングした後、5%のスキムミルクにそれぞれ抗GFP(Invitrogen,Massachusetts,USA)、抗ADCYAP1(Santa Cruz Biotechnology,Texas,USA)、抗SARS-CoV-2 ヌクレオカプシド(bioServUK,Sheffield,UK)、抗GAPDH(Santa Cruz Biotechnology,Texas,USA)抗体を希釈した溶液にメンブレンを入れ、4℃で16時間にわたって反応させた。前記結果物は、1X TBS-Tで10分間3回洗浄し、5%のスキムミルクに2次抗体であるヤギ抗マウスIgG HRP、ヤギ抗ウサギIgG HRP(Santa Cruz Biotechnology,Texas,USA)を希釈した溶液に常温で2時間にわたって反応させ、1X TBS-Tで10分間3回洗浄した。WesternBright Peroxide溶液(Advansta,California,USA)とWesternBright ECL溶液(Advansta,California,USA)を1:1の比率で混ぜてからメンブレンに処理し、常温で1分間反応させた後、Chemidoc XRS+(Bio-rad,California,USA)装備を用いてタンパク質の発現を確認した。
【0118】
7-3.蛍光イメージングとウェスタンブロットを通じたGFPタンパク質発現の確認
【0119】
HeLa細胞株にトランスフェクションしてから48時間後、蛍光顕微鏡を通じて観察した結果、試薬(reagent)と対照群mRNAを処理した細胞ではGFPの発現を確認できなかったが、GFPmRNAを処理した細胞ではGFPの発現を確認できた。細胞を収穫し、タンパク質を抽出した後でウェスタンブロットを行った結果も、GFP mRNAを処理した細胞でのみGFPの発現を確認できた(
図7)。これを通じて、SARS-CoV-2の5’UTRと3’UTR配列を用いて本発明で製作したmRNAが細胞内に入り込み、タンパク質としてうまく発現されることを確認できた。したがって、本発明を通じて、その他のmRNAを発現できることを提示する。
【0120】
7-4.ADCYAP1の細胞増殖抑制効果の確認及びウェスタンブロットを通じたADCYAP1タンパク質発現の確認
【0121】
ADCYAP1は、子宮頸部癌細胞の生長を抑制するものとして知られている(大韓民国登録特許:第1399077号)。子宮頸部癌HeLa細胞株にトランスフェクションしてから48時間後、細胞の生長を確認した結果、対照群mRNAをトランスフェクションした細胞と比較したとき、ADCYAP mRNAをトランスフェクションした細胞は約40%減少することを確認できた(
図8)。また、細胞を収穫し、タンパク質を抽出した後でウェスタンブロットを行った結果、ADCYAP1 mRNAを処理した細胞ではADCYAP1タンパク質の発現が増加することを確認できた。これを通じて、細胞内で発現されたADCYAP1タンパク質によって細胞の増殖が抑制されることを確認できた(
図8)。このような結果は、本発明を通じて製作されるmRNAを癌治療剤の目的で活用できることを提示する。
【0122】
7-5.ウェスタンブロットを通じたヌクレオカプシドタンパク質発現の確認
【0123】
HeLa細胞株にトランスフェクションしてから48時間後、細胞を収穫し、タンパク質を抽出した後でウェスタンブロットを行った結果、N遺伝子mRNAを処理した細胞ではSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質が発現されることを確認できた(
図9)。
【0124】
以上では、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界で通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は好適な実施様態に過ぎなく、これによって本発明の範囲が制限されないことは明白であろう。よって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲とそれらの等価物によって定義されると言えるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明に係る遺伝子構造体を通じて、増加したタンパク質の生産を提供できるmRNAを発現することができる。これにより、ワクチン又は遺伝子治療に使用できる薬学的組成物を提供することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0126】
電子ファイルを添付した。
【配列表】
【国際調査報告】