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特表2024-538131膀胱癌処置のための低酸素誘導因子2(アルファ)阻害剤
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  • 特表-膀胱癌処置のための低酸素誘導因子2(アルファ)阻害剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】膀胱癌処置のための低酸素誘導因子2(アルファ)阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/277 20060101AFI20241010BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K31/277
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K45/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522509
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 US2022046922
(87)【国際公開番号】W WO2023069372
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,069
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521453150
【氏名又は名称】ニカン セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ジン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C206AA01
4C206HA14
4C206KA01
4C206KA16
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、低酸素誘導因子2α(HIF-2α)阻害剤を用いた膀胱癌の処置のための方法に関する。それを含む医薬組成物も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の膀胱癌を処置する方法であって、治療有効量の式(I):
【化1】

(式中、
は、CH又はNであり;
は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、-OP(O)(OH)、-OCHOP(O)(OH)、-OCOR10、-OCOOR11、-OCONR1213、-OCHR14OCOR15又は-OCHR14OCOOR15aであり、ここで、R10、R11、R15、及びR15aは、独立して、アルキル、又はアミノ、カルボキシ若しくはヒドロキシで置換されたアルキルであり、R12及びR13は、独立して、水素、アルキル、又はアミノ、カルボキシ若しくはヒドロキシで置換されたアルキルであるか、又はR12及びR13は、それらが結合している窒素原子とともに、任意選択により置換されたヘテロシクリルを形成し、各R14は、水素、アルキル、又はハロアルキルであり;
は、水素、重水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
2aは、水素又は重水素であり;
及びRは、独立して、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルコキシアルキルであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員の任意選択により置換されたヘテロシクリレンを形成し;
は、水素、重水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、又はアルコキシであり;
は、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、又はハロであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、アルキルジエニル、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員の任意選択により置換されたヘテロシクリレンを形成し;ただし、R及びRとR及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、シクロアルキレン、又は任意選択により置換された4~6員のヘテロシクリレンを同時に形成せず;
は、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
Lは、結合、S、SO、SO、O、CO、又はNR16であり、ここで、R16は、水素又はアルキルであり;
は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、二環式シクロアルキル、オキソシクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルアルキルであり;ここで、アリール又はヘテロアリールは、それぞれそれ自体で、又はアラルキル若しくはヘテロアラルキルの一部として、又はヘテロシクリル自体で、又はヘテロシクリルアルキルの一部として、R、R、R、R及びRで置換され、ここで、R、R、及びRは、水素、重水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキリデニル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロアリール、及び任意選択により置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、R及びRは、水素、重水素、ハロから独立して選択され;
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホニル、又はヘテロアリールであり、ここで、前記ヘテロアリールは、任意選択により、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、及びシアノから独立して選択されるR、R、及びRで置換されるか;又は
及びRが同じ炭素原子に結合している場合、それらは組み合わさって、オキソ、アルキルジエニル、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員のヘテロシクリレンを形成することができ;
9aは、水素又は重水素である);
又はその薬学的に許容される塩のHIF-2α阻害剤を、それを必要とする前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、式(IIa)又は(IIb):
【化2】

の構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、式(IIa’)又は(IIb’):
【化3】

の構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
がフルオロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
及びRがフルオロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
LがOである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
がR、R、R、R及びRで置換されたフェニルであり、R、R、及びRが、水素、重水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロアリール、及び任意選択により置換されたヘテロシクリルであり、R及びRが、水素、重水素、及びハロから独立して選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
が、3-クロロ-5-フルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、3-フルオロ-5-メトキシフェニル、3-シアノ-5-フルオロフェニル、3-クロロ-5-シアノフェニル、3-シアノ-5-メチルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-5-フルオロフェニル、3-フルオロ-5-メチルフェニル、3-シアノフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3-クロロ-2-メチルフェニル、3,5-ジクロロフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2-クロロ-6-メチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,4,5-トリフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、4-フルオロ-3-メチルフェニル、3-シアノ-4-フルオロフェニル、3-シアノ-5-ジフルオロメチルフェニル又は3-シアノ-5-フルオロ-2,4,6-トリジュウテリオフェニルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
が水素であり;
が水素、メチル、又はエチルであり;
が水素、アルキル、フルオロ、ヒドロキシ、又はアルコキシである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記式(I)のHIF-2α阻害剤が、
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-オキソ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1R,2aS)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1R、2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-7-((5-フルオロピリジン-3-イル)オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2aH-シクロペンタ[cd]インデン-2a-オール;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[cd]-インデン-1,1’-シクロプロパン]-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチル-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-1-メチル-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチル-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a、3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-((2a-アミノ-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2,2a、3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1S、2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロ-ペンタ[cd]インデン-7-イル-1,2,2-d3)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロ-ペンタ[cd]インデン-7-イル-1-d)オキシ)ベンゾニトリル-2,4,6-d
(R)-3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;及び
(S)-3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;又は
その薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記式(I)のHIF-2α阻害剤が、3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記式(I)のHIF-2α阻害剤が、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルが、結晶性固体であり、結晶形Aの多形として指定され、角度位置15.8及び18.6にピークを含むX線粉末回折パターンを有し、角度位置が、1.5418ÅのX線波長(Cu Kα)を用いたX線粉末回折によって測定して+0.2°2θ変動し得る、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記結晶形A多形のX線粉末回折パターンが、角度位置20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が+0.2°2θ変動し得る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結晶形A多形のX線粉末回折パターンが、角度位置12.9及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が+0.2°2θ変動し得る、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記結晶形A多形のX線粉末回折パターンが、角度位置11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が+0.2°2θ変動し得る、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記結晶形A多形のX線粉末回折パターンが、角度位置10.1、11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が+0.2°2θ変動し得る、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルが、結晶性固体であり、結晶形Aの多形として指定され、図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折パターンを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
示される前記X線粉末回折パターンのピークの前記角度位置が、+0.1°2θ変動し得る、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記膀胱癌が、転移性膀胱癌、非転移性膀胱癌、早期膀胱癌、非浸潤性膀胱癌、筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)、筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)、原発性膀胱癌、進行膀胱癌、局所進行性膀胱癌、寛解期膀胱癌、進行性膀胱癌、再発性膀胱癌、及び尿路上皮癌からなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記膀胱癌が、筋層浸潤性膀胱癌である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、1つ以上の追加の抗癌剤、放射線療法及び/又は手術と組み合わせて前記HIF-2α阻害剤を投与することをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記HIF-2α阻害剤及び前記1つ以上の追加の抗癌剤が、連続的に又は同時に投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の抗癌剤が、ボファタマブ、インフィグラチニブ、LY2874455、ペミガチニブ、ロガラチニブ、PRN1371、ゾリグラチニブ、デラザンチニブ、エルダフィチニブ、Debio-1347、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI-0680、デュルバルマブ、BMS-936559、セトレリマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、アファチニブ、ラパチニブ、エルロチニブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ・デルクステカン、ベバシズマブ、ラムシルマブ、ソラフェニブ、カルボザニチブ、レンバチニブ、パゾパニブ、オラパリブ、AZD1775、ビスツセルチブ、リンロドスタット、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、エンフォルツマブ・ベドチン-ejfv、マイトマイシン、RC48-ADC、チオテパ、サシツズマブ・ゴビテカン-hziy、バルルビシン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ペメトレキセド、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)、及びインターフェロンからなる群から選択される、請求項22又は23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年10月18日に出願された米国仮特許出願第63/257,069号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、低酸素誘導因子2α(HIF-2α)阻害剤を用いた膀胱癌の処置のための方法に関する。それを含む医薬組成物も開示される。
【背景技術】
【0003】
膀胱癌(BC)は、罹患率及び死亡率の主要な原因であり、世界中で毎年推定500,000件の新規症例及び200,000件の死亡が発生している(Lenis et al.(2020)JAMA 324(19):1980-1991;以下「Lenis et al.」)。米国だけでも、2021年には80,000件を超える新規症例及び17,000件を超える死亡が予測されている。
【0004】
膀胱癌は、膀胱の乳頭/管腔及び非乳頭/基底トラックに沿った異なる細胞から発生する可能性がある。これは、世界保健機関が記載する標準化された組織病理学的特徴に基づいて、非筋層浸潤性膀胱癌(NMIBC、腫瘍が尿路上皮及び固有層に限局されている場合)と筋層浸潤性膀胱癌(MIBC、腫瘍が筋層及びその外に浸潤する場合)に分類される。
【0005】
NMIBCは、臓器限局性膀胱癌のおよそ70%~80%を占める。NMIBCは一般に、アジュバント膀胱内注入を伴う又は伴わない経尿道的腫瘍切除(TUR)によって処置される(Babjuk et al.(2019)Eur Urol 76(5):639-57)。NMIBCは、生命を脅かすことは稀であるが、再発し、筋層浸潤性疾患に進行する傾向がある。したがって、異なるメカニズムを有する、より優れた新規治療薬が、NMIBCの処置結果を向上させ得る。
【0006】
対照的に、MIBCは転移が広がる傾向が大きく、最終的には最大の罹患率及び死亡率をもたらす。早期診断及び集学的治療により、非転移性MIBCを有する患者の転帰が改善されるが、転移性疾患は依然として一般的に治療不能であり、相対的な5年全生存率(OS)は15%である(Nawaz and Webster(2016)Nat Rev Drug Discov 15(9):599-600)。全身組み合わせ化学療法は、手術不能な局所進行性又は転移性MIBCを有する患者の初期処置の標準的なアプローチである。初期奏効率は高いものの、奏効の持続性は多剤化学療法での約15ヶ月の生存期間中央値にばらつきがあり、進行した疾患を有する患者の予後は依然として不良である。
【0007】
膀胱癌は変異量が大きいため、免疫療法、特にプログラム細胞死-1(PD-1)及びそのリガンドPD-L1を標的とするチェックポイント阻害剤の影響を受けやすくなっている。これまでに、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ及びアベルマブを含む5つのチェックポイント阻害剤が、様々なステージの膀胱癌の処置について承認されている。免疫チェックポイント阻害剤(ICI)単独療法の成功にもかかわらず、長期にわたる持続的な奏効率は依然として低く、大半の患者は再発する(Nadal and Bellmunt(2019)Cancer Treat Rev.76:10-21、以下「Nadal and Bellmunt」;Lenis et al.;Nadal et al.(2021)Hematol Oncol Clin North Am.35(3):469-93;以下「Nadal et al.」)。
【0008】
膀胱癌の病態生理学及び分子生物学的理解の最近の進歩により、小分子FGFR阻害剤及び抗体薬物複合体という2つの新規標的治療薬の承認も得られた。FGFRの変化は非MIBCでより頻繁に発生するが、FGFR遺伝子の増幅、変異、及び融合を伴う局所進行性又は転移性膀胱癌の最大21%にも見られる。汎FGFR阻害剤であるエルダフィチニブは、FGFR2及びFGFR3が変化した進行性膀胱癌を有する患者について承認され、患者の組織内のFGFR変化を検出するための初のPCRベースの診断コンパニオンが同時に承認された(Alifrangis et al.(2019)Nat Rev Urol 16:465-83;Nadal and Bellmunt;Nadal et al.)。抗体薬物複合体は、高度に発現されたネクチン4タンパク質を薬物送達の標的として利用する。微小管破壊分子モノメチルオーリスタチンEに結合した抗ネクチン4抗体を使用するエンフォルツマブ・ベドチンは、化学療法及び免疫療法による処置後に進行した患者において44%の客観的奏効率を示した。これにより、この両剤抵抗性環境におけるエンフォルツマブ・ベドチンがFDA承認につながった(Nadal and Bellmunt;Lenis et al.)。
【0009】
複数の免疫療法及び標的療法が最近承認されたにもかかわらず、単独療法及び組み合わせ療法のいずれにおいても、膀胱癌の処置のための新規治療剤に対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、HIF-2αの阻害により膀胱癌を処置する方法が開示される。この方法は、少なくとも部分的に、MIBC T24モデルを含む特定の膀胱(baldder)癌異種移植モデルを3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル(以下、化合物1と称する)で処置して得られた結果に基づく。化合物1は、強力且つ選択的なHIF-2α小分子阻害剤であり、国際公開第2020/214853号パンフレットの表1に化合物番号5として開示されている。
【0011】
化合物1を、膀胱癌異種移植モデル、NMIBCモデルRT112及びRT4、並びにMIBCT24モデルにおいて試験した。20mg/kgの化合物1による処置により、RT4モデルでは有意な抗腫瘍効果(TGI=44%)が得られ、T24モデルでは完全な退縮が得られた(図1)。T24細胞において、HIF-1α及びHIF-2αは、いずれも正常酸素状態(20%O)で検出でき、低酸素状態(1%O)では上方制御された(図2(a))ため、化合物1によるMIBC T24腫瘍モデルにおける完全な腫瘍退縮は予想外である。
【0012】
HIF-1α及びHIF-2αは、低酸素に対する細胞応答を媒介し、腫瘍増殖を促進する転写因子である。HIF-1α及びHIF-2αは多くの細胞環境において機能的重複を共有することがわかっているため、HIF-1αとHIF-2αの一方又は両方がT24細胞における腫瘍形成のドライバーであるかを決定するために、以下が決定された:低酸素症、HIF-1α及びHIF-2αのsiRNAノックダウン(knowndown)、並びに化合物1による処置に応答した、血管内皮増殖因子A(VEGFA)及びグルコーストランスポーター1(GLUT1)遺伝子のmRNAレベル。VEGFA及びGLUT1は、腫瘍の血管新生及び代謝の再プログラミングを調節し、それによって腫瘍の増殖を促進する、重要な低酸素下流遺伝子である。低酸素条件下のT24細胞ではHIF-1αとHIF-2αの両方が上方制御されるが(図2(a))、HIF-2αのsiRNAノックダウンと化合物1によるT24細胞の処置は、それぞれVEGFAとGLUT1の低酸素誘導性上方制御を有意に抑制する(それぞれ図2(b)と2(c))ことが発見された。対照的に、HIF-1αノックダウンは、VEGFA及びGLUT1 mRNAレベルを上方制御した(図2(a))。これらの結果は、T24癌において、HIF-1αではなくHIF-2αがT24膀胱癌の増殖に重要な低酸素応答を調節することを証明している。したがって、HIF-2α阻害剤は、単独で、又は他の抗癌剤及び/又は放射線療法と組み合わせて、膀胱癌の処置に有効である可能性がある。
【0013】
第1の態様では、HIF-2α阻害剤又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物中の治療有効量のHIF-2α阻害剤又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、患者の膀胱癌を処置する方法が提供される。
【0014】
第1の態様の第1の実施形態において、HIF-2α阻害剤は、
(a)式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
は、CH又はNであり;
は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、-OP(O)(OH)、-OCHOP(O)(OH)、-OCOR10、-OCOOR11、-OCONR1213、-OCHR14OCOR15又は-OCHR14OCOOR15aであり、ここで、R10、R11、R15、及びR15aは、独立して、アルキル、又はアミノ、カルボキシ若しくはヒドロキシで置換されたアルキルであり、R12及びR13は、独立して、水素、アルキル、又はアミノ、カルボキシ若しくはヒドロキシで置換されたアルキルであるか、又はR12及びR13は、それらが結合している窒素原子とともに、任意選択により置換されたヘテロシクリルを形成し、各R14は、水素、アルキル、又はハロアルキルであり;
は、水素、重水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
2aは、水素、ハロ、又は重水素であり;
及びRは、独立して、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルコキシアルキルであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員の任意選択により置換されたヘテロシクリレンを形成し;
は、水素、重水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、又はアルコキシであり;
は、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、又はハロであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、アルキルジエニル、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員の任意選択により置換されたヘテロシクリレンを形成し;ただし、R及びRとR及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、シクロアルキレン、又は任意選択により置換された4~6員のヘテロシクリレンを同時に形成せず;
は、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
Lは、結合、S、SO、SO、O、CO、又はNR16であり、ここで、R16は、水素又はアルキルであり;
は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、二環式シクロアルキル、融合フェニル、オキソシクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、スピロシクロアルキル、スピロヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルアルキルであり、ここで、アリール又はヘテロアリールは、それぞれそれ自体で、又はアラルキル若しくはヘテロアラルキルの一部として、ヘテロシクリル自体で、又はヘテロシクリルアルキル及び融合フェニルの一部として、R、R、R、R及びRで置換され、ここで、R、R、及びRは、水素、重水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキリデニル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロアリール、及び任意選択により置換されたヘテロシクリルから独立して選択され、R及びRは、水素、重水素、ハロから独立して選択され;
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホニル、又はヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、任意選択により、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、及びシアノから独立して選択されるR、R、及びRで置換されるか;又は
及びRが同じ炭素原子に結合している場合、それらは組み合わさって、オキソ、アルキルジエニル、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員のヘテロシクリレンを形成することができ;
9aは、水素、ハロ、又は重水素である);
(b)3-(((1S,2S,3R)-2,3-ジフルオロ-1-ヒドロキシ-7-(メチルスルホニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
(c)NovartisDFF332;若しくは
(d)Arcus AB521;
又はその薬学的に許容される塩である。
【0015】
第1の態様の第2の実施形態において、HIF-2阻害剤は、式(II)又は(III):
【化2】

であり、ここで、式(II)及び(III)は、国際公開第2019/191227号パンフレットにおいて(I’)及び(II)と番号付けされた式にそれぞれ対応し;式(II)のX、Y、Z、R1b、RA1、RA2、及びR2b、並びに式(III)のn’、Z、X’、R、R15b、R16b、R17、R18、及びR19は国際公開第2019/191227号パンフレットの段落[008]、[024]、及び[033]~[049]に定義される通りであり、これらの段落は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。式(II)及び(III)の化合物の実施形態は、国際公開第2019/191227号パンフレットの段落[009]~[023]、[025]~[026]及び[0125]~[0187]に開示され、特定の化合物1~833(表1)及びII-1~II-60(表2)として開示されており、これらの段落及び特定の化合物も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
第1の態様の第3の実施形態において、HIF-2阻害剤は、式(IV):
【化3】

であり、ここで、式(IV)は、国際公開第2021/188769号パンフレットの式(I)に対応し;段落[0055]、[0058]、[0059]~[0089]における式(IV)のY、Y、Y、Y、W、W、W、及びR、及びその実施形態(すなわち、国際公開第2021/188769号パンフレットで番号付けされた式II、III、(IV-a)~(IV-f)、及び(V-a)~(V-g)の化合物)及び段落[0012]~[0051]におけるそのような式で使用される用語の定義は、国際公開第2021/188769号パンフレットに開示されており、これらの式及び段落は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。国際公開第2021/188769号パンフレットの表1、2及び3に開示されている特定の化合物1~248も、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
第1の態様の第4の実施形態において、HIF-2阻害剤は、(S)-1’-クロロ-8-(ジフルオロメトキシ)-8’,8’-ジフルオロ-6-(トリフルオロメチル)-7’,8’-ジヒドロ-3H,6’H-スピロ[イミダゾ[1,2-a]-ピリジン-2,5’-イソキノリン]又はその薬学的に許容される塩(DFF332)である。
【0018】
第4の態様において、Arcus AB521若しくはNovartis DFF332を含む、式(I)、(II)、(III)、(IV)の化合物(又は本明細書に記載される実施形態のいずれか)、又は膀胱癌の処置における使用のためのその薬学的に許容される塩が提供される。
【0019】
第5の態様において、Arcus AB521若しくはNovartis DFF332を含む、式(I)、(II)、(III)、(IV)の化合物(又は本明細書に記載される実施形態のいずれか)、又は膀胱癌の処置における使用のための医薬品の調製のためのその薬学的に許容される塩が提供される。
【0020】
第6の態様において、前述の態様のいずれか1つの方法において、本明細書に開示される化合物は、本出願に開示される1つ以上の抗癌剤と、任意選択により放射線療法及び/又は手術と組み合わせて投与することができる。第5の態様の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、FGFR阻害剤(ボファタマブ、インフィグラチニブ、LY2874455((R,E)-2-(4-(2-(5-(1-(3,5-ジクロロピリジン-4-イル)エトキシ)-1H-インダゾール-3-イル)ビニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタン-1-オール)、ペミガチニブ、ロガラチニブ、PRN1371(8-(3-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)プロピル)-6-(2,6-ジクロロ)-3,5-ジメトキシフェニル)-2-(メチルアミノ)ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン)、ゾリグラチニブ、デラザンチニブ、ゾリグラチニブ[Debio-1347、(5-アミノ-1-(2)-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)(1H-インドール-2-イル)メタノン]、及びエルダフィチニブなど)、チェックポイント阻害剤(PD1、PDL1、又はCTLA-4阻害剤(ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI-0680(ヒト化IgG4κ抗プログラム細胞死1抗体)、デュルバルマブ、BMS-936559(抗PD-L1モノクローナル抗体)、セトレリマブ、アベルマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、及びアテゾリズマブなど)など)、アファチニブ、ラパチニブ、エルロチニブ、ペルツズマブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ・デルクステカン、ベバシズマブ、ラムシルマブ、ソラフェニブ、レンバチニブ、カルボザニチブ、パゾパニブ、オラパリブ、AZD1775(トレオニルトレオニルチロシルアラニルアスパルチルフェニルアラニルイソロイシルアラニルセリルグリシルアルギニルトレオニルグリシルアルギニルアルギニルアスパラギニルアラニルイソロイシルヒスチジルアスパラギン酸)、ビスタセルチブ、リンロドスタット、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、エンフォルツマブ・ベドチン-ejfv、マイトマイシン、サシツズマブ・ゴビテカン-hziy、RC48-ADC(ジシタマブ・ベドチン)、チオテパ、バルルビシン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ペメトレキセド、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)、及びインターフェロンから選択される。
【0021】
第7の態様において、式(V)の化合物:
【化4】

(式中、
は、CH又はNであり;
は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ、-OP(O)(OH)、-OCHOP(O)(OH)、-OCOR10、-OCOOR11、-OCONR1213、-OCHR14OCOR15又は-OCHR14OCOOR15aであり、ここで、R10、R11、R15、及びR15aは、独立して、アルキル、又はアミノ、カルボキシ若しくはヒドロキシで置換されたアルキルであり、R12及びR13は、独立して、水素、アルキル、又はアミノ、カルボキシ若しくはヒドロキシで置換されたアルキルであるか、又はR12及びR13は、それらが結合している窒素原子とともに、任意選択により置換されたヘテロシクリルを形成し、各R14は、水素、アルキル、又はハロアルキルであり;
は、水素、重水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルケニル、又はアルキニルであり;
2aは、水素、ハロ、又は重水素であり;
及びRは、独立して、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、又はアルコキシアルキルであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員の任意選択により置換されたヘテロシクリレンを形成し;
は、水素、重水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、又はアルコキシであり;
は、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、又はハロであるか;又は
及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、アルキルジエニル、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員の任意選択により置換されたヘテロシクリレンを形成し;ただし、R及びRとR及びRは、それらが結合している炭素とともに、オキソ、シクロアルキレン、又は任意選択により置換された4~6員のヘテロシクリレンを同時に形成せず;
は、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
Lは、結合、S、SO、SO、O、CO、又はNR16であり、ここで、R16は、水素又はアルキルであり;
がR、R、R、R及びRで置換された融合フェニルであり、R、R、及びRが、水素、重水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキリデニル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロアリール、及び任意選択により置換されたヘテロシクリルであり、R及びRが、水素、重水素、及びハロから独立して選択され;
は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホニル、又はヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、任意選択により、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、及びシアノから独立して選択されるR、R、及びRで置換されるか;又は
及びRが同じ炭素原子に結合している場合、それらは組み合わさって、オキソ、アルキルジエニル、3~6員のシクロアルキレン、又は4~6員のヘテロシクリレンを形成することができ;
9aは、水素、ハロ、又は重水素である);
又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0022】
第7の態様の特定の実施形態において、Lは結合であり、基R、R、R、R、R、R、R、R、R2a、R9aは、本明細書の以下の実施形態2a~25及び31~37で定義される通りである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】マウス膀胱癌異種移植モデルRT112、RT4、及びT24における、HIF-2a阻害剤化合物1、結晶形A多形の抗腫瘍効果を示す。
図2a】正常酸素条件下及び低酸素条件下での膀胱癌細胞T24における72時間でのHIF-1a及びHIF-2aタンパク質レベルの誘導を示す。
図2b】正常酸素条件下又は低酸素条件下でのHIF-1α、HIF-2α又は対照のsiRNAで処置した膀胱癌T24細胞における72時間でのGLUT1及びVEGFAの低酸素誘導性上方制御に対する効果を示す。
図2c】正常酸素条件下又は低酸素条件下での1μMの化合物1又はDMSOで処置した膀胱癌T24細胞における72時間でのGLUT1及びVEGFAの低酸素誘導性上方制御に対する効果を示す。
図3】化合物1の結晶形A多形の代表的なXRPD回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
定義:
特に明記しない限り、式(I)及び(V)の化合物におけるX、R、R、R2a、R、R、R、R、R、R、R、R9aという用語を含む、明細書及び特許請求の範囲で使用される以下の用語は、本出願の目的のために定義され、特に明記しない限り、以下の意味を有する。
【0025】
「アルキル」は、1~6つの炭素原子の直鎖飽和一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素原子の分岐飽和一価炭化水素ラジカル、例えばメチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル、ペンチルなどを意味する。「アルキル」という用語が「アルキレン」基を含み得ることは、当業者によって認識されるであろう。
【0026】
「アルキレン」とは、特に明記しない限り、1~6つの炭素原子の直鎖飽和二価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素原子の分岐飽和二価炭化水素ラジカル、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、1-メチルプロピレン、2-メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
【0027】
「アルケニル」は、二重結合を含む、2~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素原子の分岐一価炭化水素ラジカル、例えばプロペニル、ブテニルなどを意味する。
【0028】
「アルキルジエニル」は、末端の二価炭素を介して結合した上記で定義されたアルケニルである。例えば、以下の化合物:
【化5】

において、アルキルジエニル基は、矢印で示されたボックスで囲まれている。
【0029】
「ハロアルキルジエニル」は、1つ又は2つのハロで置換されたアルキルジエニルであり、各基は、本明細書で定義されている。
【0030】
「アルキニル」は、三重結合を含む、2~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素原子の分岐一価炭化水素ラジカル、例えばプロピニル、ブチニルなどを意味する。
【0031】
「アルキルチオ」は、Rが、上記で定義されたアルキルである、-SRラジカル、例えばメチルチオ、エチルチオなどを意味する。
【0032】
「アルキルスルホニル」は、Rが、上記で定義されたアルキルである、-SORラジカル、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニルなどを意味する。
【0033】
「アルキルスルホキシド」は、Rが、上記で定義されたアルキルである、-SORラジカル、例えばメチルスルホキシド、エチルスルホキシドなどを意味する。
【0034】
「アミノ」は、-NHを意味する。
【0035】
「アルキルアミノ」は、Rが、上記で定義されたアルキルである、-NHRラジカル、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ又は2-プロピルアミノなどを意味する。
【0036】
「アミノアルキル」は、R’及びR’’が、それぞれ本明細書で定義されるように、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル又はアルキルカルボニルである-NR’R’’で置換されている、1~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素の分岐一価炭化水素ラジカル、例えばアミノメチル、アミノエチル、メチルアミノメチルなどを意味する。
【0037】
「アルコキシ」は、Rが、上記で定義されたアルキルである、-ORラジカル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ又は2-プロポキシ、n-、イソ-若しくはtert-ブトキシなどを意味する。
【0038】
「アルコキシアルキル」は、上記で定義したように、1つ又は2つのアルコキシ基などの少なくとも1つのアルコキシ基で置換されている、1~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素の分岐一価炭化水素ラジカル、例えば2-メトキシエチル、1-、2-又は3-メトキシプロピル、2-エトキシエチルなどを意味する。
【0039】
「アルコキシカルボニル」は、Rが、上記で定義されたアルキルである、-C(O)ORラジカル、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどを意味する。
【0040】
「アルキルカルボニル」は、Rが、本明細書で定義されるアルキルである、-C(O)Rラジカル、例えばメチルカルボニル、エチルカルボニルなどを意味する。
【0041】
「アリール」は、6~10の環原子の一価の単環式又は二環式芳香族炭化水素ラジカル、例えばフェニル又はナフチルを意味する。
【0042】
「アラルキル」は、Rが、上記で定義されたアリールである、-(アルキレン)-Rラジカル、例えばベンジル、フェネチルなどを意味する。
【0043】
「二環式シクロアルキル」は、アルキル、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシ及びシアノから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択により置換されている6~10の炭素原子の縮合二環式飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、デカリン、オクタヒドロ-1H-インデンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
「シクロアルキル」は、アルキル、アルキルジエニル、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロアルキルジエニル及びシアノアルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択により置換されている、3~10の炭素原子の単環式飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シアノシクロプロプ-1-イル、1-シアノメチルシクロプロプ-1-イル、3-フルオロシクロヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルは、本明細書で定義されるシクロアルキレンを含み得る。
【0045】
「シクロアルキルアルキル」は、Rが、上記で定義されたシクロアルキルである、-(アルキレン)-Rラジカル、例えばシクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルなどを意味する。
【0046】
「シクロアルキレン」は、特に明記しない限り、上記で定義された二価のシクロアルキルを意味する。
【0047】
「シクロアルケニル」は、アルキル、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ及びシアノアルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択により置換されている、1つ又は2つの二重結合を含む、3~10の炭素原子の単環式一価炭化水素ラジカルを意味する。例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
「オキソシクロアルケニル」は、1つ又は2つの二重結合及びオキソ基を含む、3~10の炭素原子の単環式一価炭化水素ラジカルを意味し、アルキル、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ及びシアノアルキルから独立して選択される1つ又は2つの置換基で任意選択により置換されている。例としては、3-オキソシクロヘキサ-1-エニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
「シアノアルキル」は、シアノで置換されている、1~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素の分岐一価炭化水素ラジカル、例えばシアノメチル、シアノエチルなどを意味する。
【0050】
「カルボキシ」は、-COOHを意味する。
【0051】
「ジアルキルアミノ」は、R及びR’が、上記で定義されたアルキルである、-NRR’ラジカル、例えばジメチルアミノ、メチルエチルアミノなどを意味する。
【0052】
「二置換アミノ」は、R及びR’が、それぞれ本明細書で定義されるように、独立して、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル又はアルキルカルボニルである、-NRR’ラジカル、例えばジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ビス-ヒドロキシエチルアミノ、ビス-メトキシエチルアミノ、ジエチルアミノエチルアミノなどを意味する。
【0053】
「縮合フェニル」は、それぞれ本明細書で定義されるシクロアルキル、シクロアルケニル、又はヘテロシクリルと縮合したフェニルを意味する。縮合フェニルは、任意の環原子で式(I)の-L-に結合することができる。
【0054】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード、好ましくはフルオロ又はクロロを意味する。
【0055】
「ハロアルキル」は、異なるハロゲンで置換されたものを含む、フッ素又は塩素などの1つ以上のハロゲン原子、例えば1~5つのハロゲン原子で置換されている、上記で定義されたアルキルラジカル、例えば-CHCl、-CF、-CHF、-CHCF、-CFCF、-CF(CHなどを意味する。アルキルがフルオロのみで置換されている場合、それは、本出願においてフルオロアルキルと称することができる。
【0056】
「ハロアルコキシ」は、Rが、上記で定義されたハロアルキルである、-ORラジカル、例えば-OCF、-OCHFなどを意味する。Rがハロアルキルであり、アルキルがフルオロのみで置換されている場合、それは、本出願ではフルオロアルコキシと称される。
【0057】
「ヒドロキシアルキル」は、2つのヒドロキシ基が存在する場合、それらが両方とも同じ炭素原子上にないことを条件として、1つ又は2つのヒドロキシ基で置換されている、1~6つの炭素原子の直鎖一価炭化水素ラジカル又は3~6つの炭素の分岐一価炭化水素ラジカルを意味する。代表的な例には、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシ-エチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシブチル、3,4-ジヒドロキシブチル及び2-(ヒドロキシメチル)-3-ヒドロキシプロピル、好ましくは2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル及び1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
「ヘテロシクリル」は、1つ又は2つの環原子が、N、O又はS(O)から選択されるヘテロ原子である、4~8つの環原子の飽和又は不飽和一価単環式基を意味し、ここで、nは、0~2の整数であり、特に明記しない限り、残りの環原子は、Cである。さらに、ヘテロシクリル環の1つ又は2つの環炭素原子は、任意選択により、-CO-基で置換することができる。より具体的には、ヘテロシクリルという用語は、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、2-オキソピロリジニル、2-オキソピペリジニル、モルフォリノ、ピペラジノ、テトラヒドロ-ピラニル、チオモルホリノなどを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクリル環が不飽和である場合、それは、環が芳香族でない限り、1つ又は2つの環二重結合を含むことができる。ヘテロシクリル基が少なくとも1つの窒素原子を含む場合、それは、本明細書ではヘテロシクロアミノとも称され、ヘテロシクリル基のサブセットである。
【0059】
「ヘテロシクリルアルキル」又は「ヘテロシクロアルキル」は、Rが、上記で定義されたヘテロシクリル環である、-(アルキレン)-Rラジカル、例えばテトラヒドロフラニルメチル、ピペラジニルメチル、モルホリニルエチルなどを意味する。
【0060】
「ヘテロシクリレン」は、特に明記しない限り、上記で定義された二価のヘテロシクリルを意味する。ヘテロシクリレンが4、5又は6つの環原子を含む場合、それは、本明細書において4~6員のヘテロシクリレンと称され得る。
【0061】
「ヘテロアリール」は、特に明記しない限り、5~10の環原子の一価の単環式又は二環式芳香族ラジカルを意味し、ここで、1つ以上(一実施形態において1つ、2つ又は3つ)の環原子は、N、O又はSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は、炭素である。代表的な例には、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、イソインドリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリルなどが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で定義される場合、「ヘテロアリール」及び「アリール」という用語は、相互に排他的である。ヘテロアリール環が5つ又は6つの環原子を含む場合、それは、本明細書では5員又は6員のヘテロアリールとも称される。
【0062】
「ヘテロアリーレン」は、上記で定義された二価のヘテロアリールラジカルを意味する。
【0063】
「ヘテロアラルキル」は、Rが、上記で定義されたヘテロアリールである、-(アルキレン)-Rラジカル、例えばピリジニルメチルなどを意味する。ヘテロアラルキルのヘテロアリール環が5又は6つの環原子を含む場合、それは、本明細書では5員又は6員のヘテロアラルキルとも称される。
【0064】
本明細書において単独で又は組み合わせて使用される「オキソ」という用語は、=(O)を指す。
【0065】
「任意選択により置換されたアリール」は、アルキル、ヒドロキシル、シクロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択により置換されたアリールを意味する。
【0066】
「任意選択により置換されたヘテロアリール」は、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、シクロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択により置換された、上記で定義されたヘテロアリールを意味する。
【0067】
「任意選択により置換されたヘテロシクリル」は、特に明記しない限り、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、シクロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択により置換された、上記で定義されたヘテロシクリルを意味する。
【0068】
「任意選択により置換されたヘテロシクリレン」は、上記で定義された二価の任意選択により置換されたヘテロシクリルである。
【0069】
「任意選択による」又は「任意選択により」は、その後に説明される状況の事象が発生する場合も発生しない場合もあり、その記載が、その事象又は状況が発生する場合と発生しない場合を含むことを意味する。例えば、「任意選択により置換されたアリール」は、アリール基が置換されている場合も置換されていない場合もあり、その記載が、置換されたアリール基と置換を有しないアリール基の両方を含むことを意味する。
【0070】
「スピロシクロアルキル」は、環が1つの原子のみを介して接続されている、6~10個の環炭素原子を有する飽和二環式環を意味し、接続原子はスピロ原子とも呼ばれ、最も多くの場合、四級炭素(「スピロ炭素」)である。スピロシクロアルキル環は、任意選択により、アルキル、ハロ、アルコキシ、ヒドロキシ、及びシアノから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換されている。代表的な例には、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[3.5]ノナン、スピロ[4.4]ノナン(1:2:1:1)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
「スピロヘテロシクリル」は、1つ、2つ、又は3つの環原子がN、O、又はS(O)から選択されるヘテロ原子である6~10個の環原子を有する飽和二環式環を意味し、ここで、nは0~2の整数であり、残りの環原子はCであり、環は1つの原子のみを介して接続され、接続原子はスピロ原子とも呼ばれ、最も多くの場合、四級炭素(「スピロ炭素」)である。スピロヘテロシクリル環は、アルキル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、ヒドロキシル、シクロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、及びシアノから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの置換基で任意選択により置換されている。代表的な例には、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.4]オクタン、2-アザスピロ[3.4]オクタン、2-アザスピロ[3.5]ノナン、2,7-ジアザスピロ[4.4]ノナンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、値が同等である測定された物理的特性、又はピーク位置及び典型的にはサンプルの配置及び取り扱いに関連する変動の範囲内での振幅若しくは強度が同等なデータトレース、又はトレース若しくは物理的特徴を取得するために使用された機器の同一性、又は実験室環境若しくは分析機器内若しくはそれらの間で通常遭遇するその他の変動又はゆらぎによるものを指す。
【0073】
必要に応じて、本明細書の任意の定義を他の定義と組み合わせて使用して、複合構造群を説明することができる。慣例により、そのような定義の末尾の要素は、親部分に付加する要素である。例えば、複合基アルコキシアルキルとは、アルコキシ基がアルキル基を介して親分子に結合していることを意味する。
【0074】
本開示は、式(I)の化合物の保護された誘導体も含む。例えば、式(I)の化合物が、ヒドロキシ、カルボキシ、チオール又は窒素原子を含む任意の基などの基を含む場合、これらの基は、適切な保護基で保護することができる。適切な保護基の包括的なリストは、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,5th Ed.,John Wiley&Sons,Inc.(2014)に見出すことができ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示の化合物の保護された誘導体は、当技術分野で周知の方法によって調製することができる。
【0075】
本開示は、式(I)の化合物の多形又はそれらの薬学的に許容される塩も含む。多形は、結晶格子内のその化合物の分子の配置において異なる、化合物の異なる結晶形である。したがって、単一化合物は、様々な多形を生じ得る。化合物の多形は、通常、異なる融点、溶解度、密度及び光学特性を有する。化合物の多形は、X線回折測定、IR又はラマン分光法などのいくつかの技術によって区別できる。
【0076】
「プロドラッグ」という用語は、インビボでより活性化される化合物を指す。式(I)の特定の化合物は、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology(Testa,Bernard and Mayer,Joachim M.Wiley-VHCA,Zurich,Switzerland 2003)に記載されているように、プロドラッグとしても存在し得る。式(I)の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて活性化合物を提供する化合物の構造的に修飾された形態である。プロドラッグは、一部の状況では、化合物又は親薬物よりも投与が容易であり得るため、多くの場合に有用である。それらは、例えば、経口投与によって生体利用可能であり得るが、親薬物は、生体利用可能でない。プロドラッグの加水分解的開裂又は酸化的活性化に依存するものなど、多様なプロドラッグ誘導体が当技術分野で公知である。プロドラッグの例は、限定されないが、エステルとして投与されるが、その後、代謝的に加水分解されて、活性実体であるカルボン酸になる化合物(「プロドラッグ」)である。追加の例としては、式(I)の化合物のペプチジル誘導体が含まれる。
【0077】
化合物の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には、
塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸で形成された酸付加塩;又はギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸で形成された酸付加塩;又は
親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン又はアルミニウムイオンのいずれかで置き換えられた場合に形成される塩;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基との配位物
が含まれる。薬学的に許容される塩は、非毒性であることが理解される。適切な薬学的に許容される塩に関する追加情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1985に見出すことができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
式(I)の化合物は、不斉中心を有し得る。非対称に置換された原子を含む式(I)の化合物は、光学活性又はラセミ形態で単離され得る。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発物質から合成的に調製するか、又はエナンチオマー生成物の混合物の調製、続いてジアステレオマーの混合物への変換などの分離、続いて分離又は再結晶、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラムでのエナンチオマーの直接分離又は当技術分野で公知の他の適切な方法によって調製することができる。特定の立体化学又は異性体形態が具体的に示されていない限り、全てのキラル、ジアステレオマー、キラル又はジ形態の全ての混合物及びラセミ形態は、本開示の範囲内である。
【0079】
式(I)の特定の化合物は、互変異性体及び/又は幾何異性体として存在することができる。個々の形態及びそれらの混合物としての全ての可能な互変異性体並びにシス及びトランス異性体は、本開示の範囲内である。さらに、本明細書で使用される場合、アルキルという用語は、数例のみが示されているが、前記アルキル基の全ての可能な異性体形態を含む。さらに、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどの環状基が置換されている場合、それらは、数例のみが示されているが、全ての位置異性体を含む。さらに、式(I)の化合物の全ての水和物は、本開示の範囲内である。
【0080】
式(I)の化合物は、そのような化合物を構成する1つ以上の原子において異常な量の同位体も含み得る。異常な量の同位体は、天然に見られる量から、対象の原子の100%の量までの範囲として定義され得、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる。式(I)の化合物(及び特定の化合物を含む本明細書に開示されるその任意の実施形態)に組み込むことができる例示的な同位体には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体(それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I、125Iなど)が含まれる。同位体標識された化合物(例えば、H及び14Cで標識されたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイに有用であり得る。トリチウム化(すなわちH)及び炭素14(すなわち14C)同位体は、調製の容易さ及び検出可能性のために有用であり得る。さらに、重水素(すなわちH)などのより重い同位体での置換は、より大きい代謝安定性から生じる特定の治療上の利点(例えば、インビボ半減期の増加又は必要な投与量の減少)をもたらし得る。いくつかの実施形態において、以下の表1を含む本明細書に開示される化合物において、1つ以上の水素原子がH若しくはHで置き換えられるか、又は1つ以上の炭素原子が13C若しくは14Cに富む炭素で置き換えられる。15O、13N、11C及び15Fなどの陽電子放出同位体は、基質受容体の占有率を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究に役立つ。同位体標識化合物は、一般に、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を使用することにより、本明細書のスキーム又は実施例に開示される手順と類似の手順に従うことによって調製することができる。
【0081】
本明細書で提供される特定の構造は、1つ以上の変動する置換基とともに描かれる。別段の定めがない限り又は文脈から明らかでない限り、置換基は、化学的に実行可能であり、原子価の規則が許す場合、それが結合している環の任意の原子に存在し得る。例えば、構造:
【化6】

において、R置換基は、XがCHである場合にCHの水素を含む、三環のベンゾ部分上の任意の水素を置き換えることができる。
【0082】
「薬学的に許容される担体又は賦形剤」とは、一般に安全であり、非毒性であり、生物学的にも他の点でも望ましくないものでない医薬組成物を調製するのに有用な担体又は賦形剤を意味し、獣医及びヒトの医薬品のために許容される担体又は賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容される担体/賦形剤」は、1つ及び2つ以上のそのような賦形剤の両方を含む。
【0083】
本明細書で使用される「腫瘍」という用語は、悪性か良性かを問わず、全ての新生物細胞の成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性の細胞及び組織を指す。
【0084】
「癌」、「癌性」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互に排他的ではない。
【0085】
本開示は、化合物1の多形を含む。多形は、結晶格子内のその化合物の分子の配置が異なる化合物の異なる結晶形である。したがって、単一化合物は、様々な多形を生じ得る。化合物の多形は通常、異なる融点、溶解度、密度、及び光学特性を有する。化合物の多形は、X線回折測定、IR又はラマン分光法などの当技術分野で周知のいくつかの技術によって区別できる。
【0086】
「XRPD」は、固体成分の存在下でのX線の回折を測定する分析技術であるX線粉末回折を意味する。結晶性で、原子の規則的な繰り返し配列を有する物質は、独特の粉末パターンを生成する。
【0087】
本明細書で使用される「約」という用語は、それが修飾する数値を特定することを意図しており、そのような値を許容誤差内の変数として示す。チャート又はデータの表に示されている平均値への標準偏差など、特定の許容誤差が記載されていない場合、「約」という用語は、記載されている値及び範囲を含み、±10%、好ましくは±5%を包含するであろう範囲を意味すると理解されるべきである。
【0088】
式(I)のRの定義における「水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ及びシアノから独立して選択されるR、R及びRで任意選択により置換されたヘテロアリール」という句(及び式(I)で他の基を定義するために使用される同様の句)は、非置換のヘテロアリール並びにR、R及びRのいずれか1つで置換されたヘテロアリールを包含することが意図される。
【0089】
本明細書で使用される「疾患」という用語は、一般に同義語であることが意図されており、「障害」、「症候群」及び「状態」(病状の場合のように)という用語と互換可能に使用され、全てがヒト又は動物の身体又は正常な機能を損なうその部分の1つの異常な状態を反映している点において、典型的には兆候及び症状を区別することによって示され、ヒト又は動物の生存期間又は生活の質の低下を引き起こす。
【0090】
「組み合わせ療法」又は「~と組み合わせて投与」という用語は、本開示に記載されている疾患又は障害を処置するための2つ以上の治療剤の投与を意味する。そのような投与は、一定の比率の有効成分を有する単一のカプセル又は錠、又は各有効成分について別個の複数カプセル又は錠など、これらの治療剤の同時の方法での共投与を包含する。さらに、そのような投与は、連続的な方法での各タイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合にも、処置レジメンは、本明細書に記載の状態又は障害の処置において薬物の組み合わせの有益な効果を提供する。
【0091】
「化学療法」及び「抗癌剤」という用語は、本明細書では互換可能に使用される。
【0092】
「患者」という用語は、一般に、「対象」という用語と同義であり、ヒトを含む全ての哺乳動物を含む。患者の例には、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ及びウサギなどの家畜並びにイヌ、ネコ、ウサギ及びウマなどのコンパニオンアニマルが含まれる。好ましくは、患者は、ヒトである。
【0093】
「相乗効果」又は「相乗的」という用語は、HIF-2α阻害剤又は薬学的に許容されるその塩と1つ以上の抗癌剤との組み合わせの結果が、各化合物を個別に合計したものよりも大きいことを意味するために使用される。処置されている疾患、状態、又は障害におけるこの改善は、「相乗」効果である。
【0094】
「相乗量」は、本明細書において「相乗的」と定義されるように、相乗効果をもたらすHIF-2α阻害剤又はその薬学的に許容される塩と1つ以上の抗癌剤との組み合わせの量である。
【0095】
疾患を「処置すること」又は疾患の「処置」には、
(1)疾患を予防すること、すなわち疾患にさらされているか、又は疾患にかかりやすいが、依然として疾患の症状を経験していないか又は示さないことがあり得る哺乳動物において、疾患の臨床症状を発症させないこと;
(2)疾患を阻害すること、すなわち疾患又はその臨床症状の発症を阻止(安定化)又は軽減すること;又は
(3)疾患を緩和すること、すなわち疾患又はその臨床症状の退行を引き起こすこと
が含まれる。
【0096】
「治療有効量」は、疾患を処置するために患者に投与された場合、疾患のそのような処置に影響を与えるのに十分である、本開示の化合物又はその薬学的に許容される塩の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患及びその重症度並びに処置される哺乳動物の年齢、体重などによって異なる。
【0097】
「阻害する」及び「低減する」という用語又はHIF-2αに関連するこれらの用語の任意の変形には、所望の結果を達成するための測定可能な減少又は完全な阻害が含まれる。例えば、約、最大で約又は少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれを超えるもの又はそれから導くことのできる任意の範囲の減少、HIF-2α活性の通常と比較した低下があり得る。
【0098】
式(I)の代表的なHIF-2α阻害剤は、以下の化合物表Iに開示されている。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
実施形態:
以下のさらなる実施形態1~55において、本開示は以下を含む。
【0104】
1.実施形態1では、第1の態様に記載される膀胱癌を処置する方法が提供される。
【0105】
2.実施形態2では、実施形態1の方法において、HIF-2α阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0106】
2a.実施形態2aでは、実施形態1又は2の方法において、HIF-2α阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、R、R2a、R、及びR9aのうちRのみがハロであり得る。実施形態2aの下位実施形態では、Rはハロである。
【0107】
2b.実施形態2bでは、実施形態1又は2の方法において、HIF-2α阻害剤は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩であり、R、R2a、R、及びR9aのうちR及びR2aのみがハロであり得る。実施形態2bの下位実施形態では、Rはハロである。
【0108】
3.実施形態3では、実施形態2、2a、又は2bの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、R及びRが独立してハロである。
【0109】
4.実施形態4では、実施形態2、2a、又は2bの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがハロであり、Rが水素である。
【0110】
5.実施形態5では、実施形態2、2a、2b、3、又は4の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがヒドロキシである。
【0111】
6.実施形態6では、実施形態2~4のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがアミノである。
【0112】
7.実施形態7では、実施形態2~6のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがハロである。
【0113】
8.実施形態8では、実施形態2~6のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがアルキルであり、好ましくはRがメチルである。
【0114】
9.実施形態9では、実施形態2~6のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが水素である。
【0115】
10.実施形態10では、実施形態3~6のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがシクロアルキルであり、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。
【0116】
11.実施形態11では、実施形態2~10のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがハロであり、好ましくはフルオロである。
【0117】
12.実施形態12では、実施形態2~10のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがハロアルキルであり、好ましくはRがジフルオロメチル又はトリフルオロメチルである。
【0118】
13.実施形態13では、実施形態2~10のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがアルキルであり、好ましくはRがメチル又はエチルである。
【0119】
14.実施形態14では、実施形態2~10のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが水素又はアルコキシである。
【0120】
15.実施形態15では、実施形態2~6のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、R及びRが、それらが結合している炭素とともに、それぞれが任意選択により1つ又は2つのフルオロで置換された、3~6員のシクロアルキレン、好ましくはシクロプロピレン、シクロブチレン又はシクロペンチレンを形成する。
【0121】
16.実施形態16では、実施形態2~15のいずれか1つの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、XがCRである。
【0122】
17.実施形態17では、実施形態2、2a、又は2bの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa1)又は(IIb1)の構造:
【化7】

を有する。
【0123】
18.実施形態18では、実施形態2、2a、又は2bの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa1’)又は(IIb1’)の構造:
【化8】

を有する。
【0124】
19.実施形態19では、実施形態2、2a、又は2bの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa)又は(IIb)の構造:
【化9】

を有する。
【0125】
20.実施形態20では、実施形態2、2a、2b、又は19の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(IIa’)又は(IIb’)の構造:
【化10】

を有する。
【0126】
21.実施形態21では、実施形態2、2a、又は2bの方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(IVa)の構造:
【化11】

(式中、R及びRは、それらが結合している炭素とともに、それぞれが任意選択により1つ又は2つのフルオロで置換された、3~6員のシクロアルキレン、好ましくはシクロプロピレン、シクロブチレン又はシクロペンチレンを形成する)を有する。
【0127】
22.実施形態22では、実施形態17~21のいずれか1つの方法において、式(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rがフルオロである。
【0128】
23.実施形態23では、実施形態17~21のいずれか1つの方法において、式(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、R及びRがフルオロである。
【0129】
24.実施形態24では、実施形態2~23のいずれか1つの方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、LがO、S、SO、SO、又はNHである。
【0130】
25.実施形態25では、実施形態24の方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、LがOである。
【0131】
25a.実施形態25aでは、実施形態24の方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Lが結合であり、Rが、概要の第1の態様に定義されるように置換された縮合フェニルである。
【0132】
26.実施形態26では、実施形態2~25のいずれか1つの方法、及びそれに含まれる下位実施形態において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、RがR、R、R、R及びRで置換されたフェニルであり、R、R、及びRが、水素、重水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロアリール、及び任意選択により置換されたヘテロシクリルであり、R及びRが、水素、重水素、及びハロから独立して選択される。
【0133】
27.実施形態28では、実施形態26の方法、及びそれに含まれる下位実施形態において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)及び(IVa)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、Rが、3-クロロ-5-フルオロフェニル、3,5-ジフルオロフェニル、3-フルオロ-5-メトキシフェニル、3-シアノ-5-フルオロフェニル、3-クロロ-5-シアノフェニル、3-シアノ-5-メチルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、3-クロロ-5-フルオロフェニル、3-フルオロ-5-メチルフェニル、3-シアノフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3-クロロ-2-メチルフェニル、3,5-ジクロロフェニル、3,5-ジメチルフェニル、2-クロロ-6-メチルフェニル、2,6-ジフルオロフェニル、3,4,5-トリフルオロフェニル、3,4-ジフルオロフェニル、4-フルオロ-3-メチルフェニル、3-シアノ-4-フルオロフェニル、3-シアノ-5-ジフルオロメチルフェニル又は3-シアノ-5-フルオロ-2,4,6-トリジュウテリオフェニルである。実施形態27の第1の下位実施形態では、R10は、3-シアノ-5-フルオロフェニル又は3-シアノ-5-フルオロ-2,4,6-トリジュウテリオフェニルである。
【0134】
28.実施形態28では、実施形態2~25のいずれか1つの方法及びそれに含まれる任意の下位実施形態において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが、それぞれ任意選択によりアルキル、ハロ、アルコキシ、シアノ、及びヒドロキシから独立して選択される1つ又は2つの置換基で置換された、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルである。
【0135】
29.実施形態29では、実施形態2~25のいずれか1つの方法及びそれに含まれる任意の下位実施形態において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)、及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが、水素、アルキル、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルコキシ、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロアリール、及び任意選択により置換されたヘテロシクリルから独立して選択される、R、R、及びRで置換されたヘテロアリールである。
【0136】
30.実施形態30では、実施形態2~25のいずれか1つの方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが、ピリジン-3-イル、ピリジン-2-イル、ピリダジン-3-イル、ピリダジン-4-イル、ピリミジン-5-イル、ピリミジン-2-イル、チエン-2-イル、フラン-2-イル、チアゾール-5-イル、オキサゾール-5-イル、イミダゾール-5-イル、フラン-3-イル、チエン-3-イル、チアゾール-4-イル、ピリジン-4-イル、オキサゾール-2-イル、イミダゾール-2-イル、ピリジン-2-イル、ピラジン-2-イル又はチアゾール-2-イルであり、Rが、それぞれR、R、及びRで置換されており、R及びRが、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシ、クロロ、フルオロ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、及びトリフルオロメトキシから独立して選択され、Rが、水素、メチル、シアノ、クロロ、フルオロ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、及びトリフルオロメトキシから選択される。
【0137】
31.実施形態32では、実施形態2~30のいずれか1つの方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが、水素、メチル、エチル、メトキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシであり、好ましくはRが水素である。
【0138】
32.実施形態32では、実施形態2~31のいずれか1つの方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが、水素、フルオロ、メチル、又はエチルである。
【0139】
33.実施形態33では、実施形態2~32のいずれか1つの方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIB’)及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが水素、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、又はアルコキシである。
【0140】
34.実施形態34では、実施形態33の方法において、式(I)、(IIa1)、(IIb1)、(IIa1’)、(IIb1’)、(IIa)、(IIb)、(IIa’)、(IIb’)及び(IVa)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、Rが水素、メチル、ヒドロキシ、又はフルオロである。
【0141】
35.実施形態35では、実施形態2の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(VIIIa)又は(VIIIb)の構造:
【化12】

、好ましくは、式(VIIIb)の構造を有する。
【0142】
36.実施形態36では、実施形態1の方法において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、式(IXa)又は(IXb)の構造:
【化13】

(式中、R2aは水素以外である)を有する。
【0143】
37.実施形態37では、実施形態35又は36の方法において、Rが水素であり、Rが3-シアノ-5-フルオロフェニルであり、R及びR2aがハロである。
【0144】
38.実施形態38では、実施形態2の方法において、式(I)の化合物は、
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-オキソ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1R,2aS)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1R、2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-7-((5-フルオロピリジン-3-イル)オキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロ-2aH-シクロペンタ[cd]インデン-2a-オール;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロスピロ[シクロペンタ[cd]-インデン-1,1’-シクロプロパン]-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチル-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-1-メチル-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチル-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a、3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-((2a-アミノ-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2,2a、3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,1,2a,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-((3,3-ジフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-5-イル)オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
3-((3,3-ジフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-オキソ-2,2a、3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-5-イル)オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
3-((3,3-ジフルオロ-1,2a-ジヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-5-イル)オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,3,3-トリフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-5-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-((1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]-ンデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1S、2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロ-ペンタ[cd]インデン-7-イル-1,2,2-d3)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロ-ペンタ[cd]インデン-7-イル-1-d)オキシ)ベンゾニトリル-2,4,6-d
(R)-3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
(S)-3-フルオロ-5-((3,3,4,4-テトラフルオロ-2a-ヒドロキシ-1-メチレン-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-フルオロ-5-(((1R,2S,2aS)-1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;及び
3-フルオロ-5-(((1R,2R,2aS)-1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;又は
その薬学的に許容される塩から選択される。
【0145】
39.実施形態39では、実施形態1の方法において、HIF-2α阻害剤は、
3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ-[cd]-インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリル;
3-(((1S,2S,3R)-2,3-ジフルオロ-1-ヒドロキシ-7-(メチルスルホニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
Novartis DFF332;若しくは
Arcus AB521;又は
その薬学的に許容される塩である。
【0146】
39a.実施形態39aでは、実施形態1の方法において、HIF-2α阻害剤は、
3-(((1S,2S,3R)-2,3-ジフルオロ-1-ヒドロキシ-7-(メチルスルホニル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-オキシ)-5-フルオロベンゾニトリル;
(S)-1’-クロロ-8-(ジフルオロメトキシ)-8’,8’-ジフルオロ-6-(トリフルオロメチル)-7’,8’-ジヒドロ-3H,6’H-スピロ[イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2,5’-イソキノリン](Novartis DFF332);若しくは
Arcus AB521;又は
その薬学的に許容される塩であり;
膀胱癌が筋層浸潤性膀胱癌である。
【0147】
40.実施形態40では、実施形態1、2、又は38の方法において、HIF-2α阻害剤は、3-フルオロ-5-((1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルである。
【0148】
41.実施形態41では、実施形態1、2、又は40の方法において、HIF-2α阻害剤は、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルである。
【0149】
42.実施形態42では、実施形態41の方法において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルは、結晶性固体であり、結晶形Aの多形として指定され、角度位置15.8及び18.6にピークを含むX線粉末回折パターンを有し、角度位置は、1.5418ÅのX線波長(Cu Kα)を用いたX線粉末回折によって測定して±0.2°2θ変動し得る。
【0150】
43.実施形態43では、実施形態42の方法において、結晶形A多形のX線粉末回折パターンは、角度位置20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が±0.2°2θ変動し得る。
【0151】
44.実施形態44では、実施形態42の方法において、結晶形A多形のX線粉末回折パターンは、角度位置12.9及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が±0.2°2θ変動し得る。
【0152】
45.実施形態45では、実施形態42の方法において、結晶形A多形のX線粉末回折パターンは、角度位置11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が±0.2°2θ変動し得る。
【0153】
46.実施形態46では、実施形態42の方法において、結晶形A多形のX線粉末回折パターンは、角度位置10.1、11.4、12.9、及び20.1にピークをさらに含み、前記角度位置が±0.2°2θ変動し得る。
【0154】
47.実施形態47では、実施形態42の方法において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)ベンゾニトリルは、結晶性固体であり、結晶形Aの多形として指定され、以下の表1から選択される角度位置に少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つのピーク、少なくとも7つのピーク、又は少なくとも8つのピークを含むX線粉末回折パターンを有し、角度位置は、±0.2°2θ変動し得る。
【0155】
【表5】
【0156】
【表6】
【0157】
【表7】
【0158】
48.実施形態48では、実施形態47の方法において、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又は少なくとも6つのピークは、10.1、11.4、12.9、13.7、15.9、18.0、19.6、20.1、21.4、21.7、25.0、26.0から選択され、角度位置は、±0.2°2θ変動し得る。
【0159】
49.実施形態49では、実施形態41の方法において、3-フルオロ-5-(((1S,2aR)-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2a-ヒドロキシ-2,2a,3,4-テトラヒドロ-1H-シクロペンタ[cd]インデン-7-イル)オキシ)-ベンゾニトリルは、結晶性固体であり、結晶形Aの多形として指定され、図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折パターンを有する。
【0160】
50.実施形態50では、実施形態42~48のいずれか1つの方法において、そこに示されるX線粉末回折パターンのピークの角度位置は、±0.1°2θ変動し得る。
【0161】
51.実施形態51では、第1の態様の第3の実施形態の下位実施形態が提供され、HIF-2阻害剤は、
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

からなる群から選択される。
【0162】
52.実施形態52では、実施形態1~51のいずれか1つの方法において、膀胱癌は、転移性膀胱癌、非転移性膀胱癌、早期膀胱癌、非浸潤性膀胱癌、筋層浸潤性膀胱癌(MIBC)、筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)、原発性膀胱癌、進行膀胱癌、局所進行性膀胱癌、寛解期膀胱癌、進行性膀胱癌、再発性膀胱癌及び尿路上皮癌からなる群から選択される。
【0163】
53.実施形態53では、実施形態52の方法において、膀胱癌は、筋層浸潤性膀胱癌である。
【0164】
54.実施形態54では、実施形態1~53のいずれか1つの方法において、方法は、1つ以上の追加の抗癌剤、放射線療法及び/又は手術と組み合わせてHIF-2α阻害剤を投与することをさらに含む。
【0165】
55.実施形態55では、実施形態1~54のいずれか1つの方法において、HIF-2α阻害剤及び1つ以上の追加の抗癌剤は、連続的に又は同時に投与される。
【0166】
56.実施形態56では、実施形態1~55のいずれか1つの方法において、1つ以上の抗癌剤は、ボファタマブ、インフィグラチニブ、LY2874455、ペミガチニブ、ロガラチニブ、PRN1371、ゾリグラチニブ、デラザンチニブ、エルダフィチニブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、MEDI-0680、デュルバルマブ、BMS-936559、セトレリマブ、アベルマブ、アテゾリズマブ、ラパチニブ、エルロチニブ、ベバシズマブ、ソラフェニブ、カルボザニチブ、パゾパニブ、オラパリブ、AZD1775、ビスツセルチブ、リンロドスタット、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、エンフォルツマブ・ベドチン-ejfv、マイトマイシン、チオテパ、サシツズマブ・ゴビテカン-hziy、バルルビシン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル、ペメトレキセド、カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)、及びインターフェロンからなる群から選択される。
【0167】
医薬組成物
一般に、本開示のHIF-2αは、同様の有用性を提供する薬剤について認められている投与方法のいずれかによって、治療有効量で投与される。本明細書に開示されるHIF-2α阻害剤の治療有効量は、1日あたり約100mg~約500mg、好ましくは200mg~500mgの範囲であり得、単回又は複数回の用量で投与することができる。
【0168】
HIF-2α阻害剤、すなわち有効成分の実際の量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢及び相対的健康、利用される化合物の効力、投与の経路及び形態、並びにその他の要因などの多くの要因に依存する。
【0169】
一般に、本開示のHIF-2α阻害剤は、以下の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内又は坐剤)又は非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)投与のいずれかによって医薬組成物として投与される。好ましい投与方法は、苦痛の程度に応じて調整することができる、簡便な毎日の投与量レジメンを使用する経口である。組成物は、錠剤、ピル、カプセル、半固体、粉末、徐放性製剤、溶液、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル又は他の適切な組成物の形態をとることができる。
【0170】
製剤の選択は、薬物投与のモード(例えば、経口投与の場合、錠剤、ピル又はカプセルの形態の製剤、腸溶性コーティング又は遅延放出錠剤を含むピル又はカプセルが好ましい)及び原薬のバイオアベイラビリティなどの様々な要因に依存する。
【0171】
組成物は、一般に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた本開示のHIF-2α阻害剤から構成される。許容される賦形剤は、非毒性であり、投与を補助し、HIF-2α阻害剤の治療上の利益に悪影響を及ぼさない。そのような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体であり得るか、又はエアロゾル組成物の場合、当業者に一般的に利用可能な気体の賦形剤であり得る。
【0172】
固形医薬賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳などが含まれる。液体及び半固体の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール及び石油、動物、植物又は合成由来のものを含む様々な油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。好ましい液体担体、好ましくは特に注射用溶液のものには、水、生理食塩水、水性デキストロース及びグリコールが含まれる。
【0173】
化合物は、注射、例えばボーラス注射又は持続注入による非経口投与のために製剤化され得る。注射用製剤は、保存剤を添加した単位剤形、例えばアンプル又は複数用量容器中に提供され得る。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液などの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの配合剤を含み得る。製剤は、単位用量又は複数用量の容器、例えば密封されたアンプル及びバイアルで提供され得、滅菌液体担体、例えば使用直前の生理食塩水又は無菌のパイロジェンフリー水の添加のみを必要とする粉末形態又はフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。即時注射溶液及び懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
【0174】
非経口投与用の製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び目的のレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含み得る活性化合物の水性及び非水性(油性)滅菌注射溶液;並びに懸濁剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。適切な親油性溶媒又はビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール又はデキストランなど、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。任意選択により、懸濁液は、化合物の溶解度を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする適切な安定剤又は薬剤も含み得る。
【0175】
前述の製剤に加えて、化合物は、デポ調製物としても製剤化され得る。そのような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下若しくは筋肉内)又は筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、化合物は、適切なポリマー若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂とともに或いは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化され得る。
【0176】
口腔内又は舌下投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、ロゼンジ、トローチ又はゲルの形態をとり得る。そのような組成物は、スクロース及びアカシア又はトラガカントなどのフレーバーベースの有効成分を含み得る。
【0177】
化合物は、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する坐剤又は保持浣腸などの直腸組成物にも製剤化され得る。
【0178】
製剤中の化合物のレベルは、当業者によって使用される全範囲内で変動し得る。典型的には、製剤は、重量パーセント(wt%)ベースで、全製剤に基づく約0.01~99.99重量%のHIF-2α阻害剤を含み、残りは1つ以上の適切な医薬賦形剤である。例えば、HIF-2α阻害剤は、約1~80重量%のレベルで存在する。
【0179】
本明細書に開示されるHIF-2α阻害剤は、単独で、又は本開示の化合物が有用である癌の処置に有用な1つ以上の他の抗癌剤と組み合わせて投与することができる。そのような他の薬物は、一般的に使用される経路及び量で、HIF-2α阻害剤と同時に又は連続して投与され得る。そのような1つ以上の他の有効成分と組み合わせて使用される場合、HIF-2α阻害剤阻害剤及び他の有効成分は、それぞれが単独で使用される場合よりも低用量で使用され得ることも企図される。
【0180】
したがって、HIF-2α阻害剤は、本開示の化合物に加えて、1つ以上の他の薬物を含有するものも含む。本開示の化合物のそのような他の有効成分に対する重量比は変化する可能性があり、各成分の有効用量に依存する。一般的に、それぞれの有効用量が使用される。
【0181】
そのような他の抗癌剤の例としては、ゴシポール、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、全てのトランスレチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5-アザ-2’-デオキシシチジン、全てのトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(商標))、ゲルダナマイシン、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11-7082、PKC412、又はPD184352、微小管形成を増強及び安定化することによって作用する周知の抗癌剤である「パクリタキセル」とも称されるタキソール(商標)、及びタキソテール(商標)などのタキソール(商標)の類似体が含まれるが、これらに限定されない。
【0182】
他の抗癌剤には、細胞増殖性障害に関連するキナーゼの阻害剤が含まれる。これらのキナーゼには、Aurora-A、BTK、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK6、CDK5、CDK7、CDK8、CDK9、エフリン受容体キナーゼ、CHK1、CHK2、SRC、Yes、Fyn、Lck、Fer、Fes、Syk、Itk、Bmx、GSK3、JNK、MEK、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PDK1、PKA、PKC、RAF、Rsk及びSGKが含まれるが、これらに限定されない。特に、HIF-2α阻害剤と相乗作用を示し、HIF-2α阻害に対する耐性を逆転させる可能性を有するアベマシクリブ(Verzenio)、パルボシクリブ(Ibrance)、リボシクリブ(Kisqali)を含むCDK4/6の阻害剤;マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達、例えばU0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY43-9006、ワートマニン又はLY294002;Syk阻害剤;抗体(例えば、リツキサン);フォレチニブ、カルボザンチニブ又はクリゾチニブなどのMET阻害剤;スニチニブ、ソラフェニブ、レゴラフィニブ、レンバチニブ、バンデタニブ、カルボザンチニブ、アキシチニブなどのVEGFR阻害剤;アファチニブ、ブリバニブ、カルボザチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ネラチニブ、ラパチニブなどのEGFR阻害剤;XL147、XL765、BKM120(ブパルリシブ)、GDC-0941、BYL719、IPI145、BAY80-6946.BEX235(ダクトリシブ)、CAL101(イデラリシブ)、GSK2636771、TG100-115などのPI3K阻害剤;ラパマイシン(シロリムス)、テムシロリムス、エベロリムス、XL388、XL765、AZD2013、PF04691502、PKI-587、BEZ235、GDC0349などのMTOR阻害剤;AZD6244、トラメチニブ、PD184352、ピマセルチニブ、GDC-0973、AZD8330などのMEK阻害剤;CSF1R阻害剤(PLX3397、LY3022855など)及びCSF1R抗体(IMC-054、RG7155など);LY2157299などのTGFベータ受容体キナーゼ阻害剤;イブルチニブなどのBTK阻害剤である。
【0183】
他の抗癌剤には、カルフィルゾミブ、MLN9708、デランゾミブ又はボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤;INCB054329、OTX015、CPI-0610などのBET阻害剤;GSK2979552、INCB059872などのLSD1阻害剤;パノビノスタット、ボリノスタットなどのHDAC阻害剤;アザシチジン、デシタビンなどのDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び他のエピジェネティックモジュレーター;TNO155などのSHP-2阻害剤;Bcl2阻害剤ABT-199及び他のBcl-2ファミリータンパク質阻害剤;PT2977及びPT2385などのHIF-2α阻害剤;ベータカテニン経路阻害剤、ノッチ経路阻害剤及びヘッジホッグ経路阻害剤が含まれる。VEGFに対する抗体又は他の治療用タンパク質には、ベバシズマブ及びアフリベルセプトが含まれる。
【0184】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤/薬物には、LXRアゴニスト及びLXRベータ選択的アゴニストを含む肝臓X受容体(LXR)モジュレーター;アリール炭化水素受容体(AhR)阻害剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0185】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤には、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;アメタントロン酢酸塩;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシ;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;クラドリビン;クラドリビン;クリスナトールメシレート;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;デザグアニンメシレート;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;ドロテストステロンプロピオナート;ドゥアゾマイシン;エダトレキサート;エフロルニチン塩酸塩;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチン・リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロキシウリジン;フルダラビンリン酸塩;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;水酸化尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターロイキンII(組換えインターロイキン又はRil2を含む);インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-1a;インターフェロンγ-1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;リアロゾール塩酸塩;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲステロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;マイトジリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペグアスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;プロカルバジン塩酸塩;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトレゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;トリシリビンホスファート;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが含まれる。
【0186】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤には、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスティン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質1;抗アンドロゲン、前立腺癌;抗エストロゲン;抗腫瘍薬;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子修飾剤;アポトーシス調節剤;アプリン酸ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;β-ラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;Bfgf阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルフォキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨組織由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルラン(chlorln);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス(didox);ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロミチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;フォルフェニメクス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロン作動薬;インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;リュープロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミゾール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;細胞溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;ミトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;複数の腫瘍抑制因子1ベースの治療剤;マスタード抗癌剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン(nitrullyn);O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オラシン;口腔サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化物質阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAベースの免疫調節剤;プロテインキナーゼC阻害剤;微細藻類;プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン接合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;エチドロン酸レニウムRe186;リゾキシン;リボザイム;R11レチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン(saintopin);SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣物;セムスチン;老化由来1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン;ソブゾキサン;ボロカプチン酸ナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルフォシン酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオダイド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣物;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来の成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクターシステム、赤血球遺伝子治療剤;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン(vinxaltine);ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ(zilascorb);及びジノスタチンスチマラマーが含まれる。
【0187】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができるさらに他の抗癌剤には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産物又はホルモン、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチンなど)又はトリアゼン(デカルバジンなど)が含まれる。代謝拮抗剤の例には、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)又はピリミジン類似体(例えば、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0188】
本開示の化合物と組み合わせる有用な天然産物の例には、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)又は生物学的反応修飾剤(例えば、インターフェロンアルファ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0189】
本開示の化合物と組み合わせて使用できるアルキル化剤の例には、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファランなど)、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)、セムスチン、ストレプトゾシンなど)又はトリアゼン(デカルバジンなど)が含まれるが、これらに限定されない。代謝拮抗剤の例には、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)又はピリミジン類似体(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0190】
本開示の化合物と組み合わせる有用なホルモン及びアンタゴニストの例には、アドレノコルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メゲストロールアセテート、メドロキシプロゲステロンアセテート)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)が含まれるが、これらに限定されない。癌の処置又は予防のために本明細書に記載の方法及び組成物で使用できる他の薬剤には、白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボブラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)が含まれる。
【0191】
本開示の化合物と組み合わせて使用することができる他の抗癌剤には、エルブロゾール(R-55104としても知られる)、ドラスタチン10(DLS-10及びNSC-376128としても知られる)、イセチオン酸ミボブリン(CI-980としても知られる)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモリド(NVP-XX-A-296としても知られる)、ABT-751(Abbott、E-7010としても知られる)、Altorhyrtin(AltorhyrtinA及びAltorhyrtinCなど)、スポンギスタチン(スポンギスタチン1、スポンギスタチン2、スポンギスタチン3、スポンギスタチン4、スポンギスタチン5、スポンギスタチン6、スポンギスタチン7、スポンギスタチン8、スポンギスタチン9など)、セマドチン塩酸塩(LU-103793及びNSC-D-669356としても知られる)、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(デソキシエポチロンA又はdEpoAとしても知られる)など、エポチロンD(KOS-862、dEpoB及びデソキシエポチロンBとも称される)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(BMS-310705としても知られる)、21-ヒドロキシエポチロンD(デソキシエポチロンF及びdEpoFとしても知られる)、26-フルオロエポチロン)、オーリスタチンPE(NSC-654663としても知られる)、ソブリドチン(TZT-1027としても知られる)、LS-4559-P(Pharmacia、LS-4577としても知られる)、LS-4578(Pharmacia、LS-477-Pとしても知られる)、LS-4477(Pharmacia)、LS-4559(Pharmacia)、RPR-112378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ-3358(Daiichi)、FR-182877(Fujisawa、WS-9885Bとしても知られる)、GS-164(Takeda)、GS-198(Takeda)、KAR-2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF-223651(BASF、ILX-651及びLU-223651としても知られる)、SAH-49960(Lilly/Novartis)、SDZ-268970(Lilly/Novartis)、AM-97(Armad/Kyowa Hakko)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN-5005(Indena)、クリプトフィシン52(LY-355703としても知られる)、AC-7739(Ajinomoto、AVE-8063A及びCS-39.HClとしても知られる)、AC-7700(Ajinomoto、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39-L-Ser.HCl及びRPR-258062Aとしても知られる)、ビチレブアミド、Tubulysin A、カナデンソール、センタウレイジン(NSC-106969としても知られる)、T-138067(Tularik、T-67、TL-138067、TI-138067としても知られる)、COBRA-1(Parker Hughes Institute、DDE-261及びWHI-261としても知られる)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジンA1(BTO-956及びDIMEとしても知られる)、DDE-313(Parker Hughes Institute)、Fijianolide B.Laulimalide、SPA-2(Parker Hughes Institute)、SPA-1(Parker Hughes Institute、SPIKET-Pとしても知られる)、3-IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-569としても知られる)、ナルコシン(NSC-5366としても知られる)、ナスカピン、D-24851(Asta Medica)、A-105972(Abbott)、ヘミアステリン、3-BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-191としても知られる)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトナート、T-138026(Tularik)、Monsatrol、イナノシン(NSC-698666としても知られる)、3-1AABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A-204197(Abbott)、T-607(Tuiarik、T-900607としても知られる)、RPR-115781(Aventis)、エレウテロビン(Eleutherobin)(デスメチルエレウテロビン、デスアセチルエレウテロビン、イソエレウテロビンA、Z-エレウテロビンなど)、カリベオシド、カリベオリン、ハリコンドリンB、D-64131(Asta Medica)、D-68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A-293620(Abbott)、NPI-2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB-245(Aventis)、A-259754(Abbott)、Diozostatin、(-)-Phenylahistin(NSCL-96F037としても知られる)、D-68838(Asta Medica)、D-68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D-43411(Zentaris、D-81862としても知られる)、A-289099(Abbott)、A-318315(Abbott)、HTI-286(SPA-110、トリフルオロ酢酸塩としても知られる)(Wyeth)、D-82317(Zentaris)、D-82318(Zentaris)、SC-12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム、BPR-OY-007(National Health Research Institutes)及びSSR-250411(Sanofi)を含む、安定化された微小管によりG2-M期の細胞を停止させることによって作用する抗癌剤が含まれる。
【0192】
1つ以上の追加の免疫チェックポイント阻害剤を本開示の化合物と組み合わせて使用することができる。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、CD27、CD28、CD40、CD122、CD96、CD73、CD39、CD47、OX40、GITR、CSF1R、JAK、PI3Kδ、PI3Kγ、TAM、アルギナーゼ、CD137(4-1BBとしても知られる)、ICOS、A2AR、A2BR、SHP-2、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、LAG3、TIM3、VISTA、CD96、TIGIT、PD-1、PD-L1及びPD-L2などの免疫チェックポイント分子に対する阻害剤(スマック分子又は生物学的製剤)が含まれる。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子は、CD27、CD28、CD40、ICOS、OX40、GITR、CD137及びSTINGから選択される刺激性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子は、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、TDO、アルギナーゼ、KIR、LAG3、PD-1、TIM3、CD96、TIGIT及びVISTAから選択される阻害性チェックポイント分子である。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される化合物は、KIR阻害剤、TIGIT阻害剤、LAIR1阻害剤、CD160阻害剤、2B4阻害剤及びTGFRベータ阻害剤から選択される1つ以上の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-1の阻害剤、例えば抗PD-1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ(MK-3475としても知られている)、ピディリズマブ、SHR-1210、PDR001又はAMP-224である。いくつかの実施形態において、抗PD-1モノクローナル抗体は、ニボルマブ又はペンブロリズマブ又はPDR001である。いくつかの実施形態において、抗PD1抗体は、ペンブロリズマブである。
【0194】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、PD-L1の阻害剤、例えば抗PD-L1モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A(RG7446としても知られている)又はMSB0010718Cである。いくつかの実施形態において、抗PD-L1モノクローナル抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)又はMEDI4736(デュルバルマブ)である。
【0195】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、CTLA-4の阻害剤、例えば抗CTLA-4抗体である。いくつかの実施形態において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ又はトレメリムマブである。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、LAG3の阻害剤、例えば抗LAG3抗体である。いくつかの実施形態において、抗LAG3抗体は、BMS-986016又はLAG525である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、GITRの阻害剤、例えば抗GITR抗体である。いくつかの実施形態において、抗GITR抗体は、TRX518又はMK-4166、INCAGN01876又はMK-1248である。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント分子の阻害剤は、OX40の阻害剤、例えば抗OX40抗体又はOX40L融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、抗OX40抗体は、MEDI0562又はINCAGN01949、GSK2831781、GSK-3174998、MOXR-0916、PF-04518600又はLAG525である。いくつかの実施形態において、OX40L融合タンパク質は、MEDI6383である。
【0196】
さらに、本明細書に開示される組み合わせ療法は、放射線と併せて投与することができる。
【実施例
【0197】
実施例1
マウス膀胱癌異種移植モデルにおける化合物1の抗腫瘍効果
化合物1は、0.5%メチルセルロースを用いて製剤化された。腫瘍形成のために、PBS及びCorning(登録商標)Matrigel(体積比1:1)中の4~10×10個の腫瘍細胞を、生後6~7週の各Balb/cヌードマウスの右脇腹に皮下接種した。腫瘍のサイズが100~200mmになると、担癌マウスを無作為に2つの群(n=8)に分け、それぞれ1日2回のビヒクル及び1日2回の20mg/kgの化合物1で17~30日間、処置を開始した。腫瘍のサイズはキャリパーを使用して週に2回二次元で測定し、式V=0.5×a×b(式中、a及びbは、それぞれ腫瘍の長径及び短径)を使用して体積をmmで表した。全てのデータは、平均値及び平均値の標準誤差(SEM)として表示した。図1に示すように、化合物1処置により、RT112異種移植モデルではわずかな抗腫瘍効果があり、RT4異種移植モデルでは有意な腫瘍増殖阻害があり、T24異種移植モデルでは完全な腫瘍退縮がある。
【0198】
実施例2
低酸素条件下でのHIF-1α及びHIF-2αタンパク質レベルの誘導
T24細胞は、20%O(正常酸素)又は1%O(低酸素)のいずれかで、細胞培養インキュベーター中、72時間培養された。次いで、細胞をPBSですすぎ、Pierceプロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤(Thermo Scientific;カタログA32959)を含有するRIPA緩衝液中で溶解した。タンパク質濃度は、Pierce BCA Protein Assayキット(Thermo Scientific;カタログ23225)で定量した。単離されたタンパク質は、SDS-PAGEゲルで分離され、ニトロセルロース膜(Thermo Scientific、カタログIB23001)に転写され、次の抗体:抗HIF-1α(Cell signaling Technology、カタログ36169)、抗HIF-2α(Cell Signaling Technology;カタログ7096)及び抗チューブリン(Cell Signaling Technology;カタログ15115)を使用した免疫ブロットによって検出された。T24細胞において、HIF-1α及びHIF-2αは、いずれも正常酸素状態(20%O)で検出でき、低酸素状態(1%O)では上方制御された(図2(a))。
【0199】
実施例3
化合物1又はsiRNAノックダウンによるHIF-2α阻害は、VEGFA及びGLUT1の低酸素誘導性mRNA上方制御を抑制した
T24細胞を、DMSO又は1.0μMの化合物1;対照siRNA又はHIF-1α、HIF-2αに特異的なsiRNAで、正常酸素(20%O)条件下又は低酸素(1%O)条件下で72時間処置した。全RNAは、RNeasyミニキット(Qiagen、カタログ番号74104)及びQIAshredder(Qiagen、カタログ番号79654)を使用して抽出した。次いで、Applied Biosystems(商標)High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems(商標)カタログ番号4368814)を使用して、RNAをcDNAに逆転写した。このcDNAを鋳型として使用して、GAPDHを正規化のコントロールとして用いた定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ(Applied Biosystems(商標)のPowerUp SYBR Green Master Mix、カタログ番号A25742)によって、VEGFA及びGLUT1のmRNA発現を検査した。HIF-2αノックダウン及び化合物1処理は、低酸素状態によって誘導されるVEGFA及びGLUT1 mRNAレベルを抑制した(図2(b)及び(c))。対照的に、HIF-1αノックダウンは、VEGFA及びGLUT1 mRNAレベルを上方制御した(図2(b))。
図1
図2
図3
【国際調査報告】