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特表2024-538133血液サンプル収集のための添加剤の混合
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】血液サンプル収集のための添加剤の混合
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/151 20060101AFI20241010BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61B5/151 100
G01N1/10 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522533
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-12
(86)【国際出願番号】 US2022046652
(87)【国際公開番号】W WO2023064522
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/256,155
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレックス エフ.フリッケ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ブイ.トリス
(72)【発明者】
【氏名】キショア ケー.ボッカ スリニヴァサ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】スコット ウェンゼル
(72)【発明者】
【氏名】ヴラッド ヤクニッシュ
【テーマコード(参考)】
2G052
4C038
【Fターム(参考)】
2G052AA30
2G052AD06
2G052AD26
2G052BA17
2G052DA02
2G052DA08
2G052DA27
2G052JA08
4C038TA02
4C038UA03
4C038UA06
4C038UC03
4C038UE07
(57)【要約】
血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器は、ハウジングを通って延び、入口および出口を有する流路を有するハウジングと、ハウジングに取り外し可能に接続された容器本体とを含む。容器本体は、開いた上部と、閉じた底部と、上部と底部の間に延び、収集空洞を画定する内壁を含む。ハウジングが容器本体に接続されると、流路の出口は収集空洞と流体連通する。サンプル収集容器は、また、血液収集装置から流路を通って、および/または、収集空洞内に流れる血液によって接触されるように配置された、少なくとも1つの添加剤分散体を含む。少なくとも1つの添加剤分散体は、流路に沿って、収集空洞に流れる血液と混合される添加剤組成物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器であって、前記サンプル収集容器は、
第1の端部と、第2の端部と、入口および出口を有し、ハウジングの第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延びる流路と、を備える、前記ハウジングと、
前記ハウジングの前記第2の端部に取り外し可能に接続され、開いた上部と、閉じた底部と、前記上部と前記底部との間に延び、収集空洞を画定する内壁と、を備える容器本体であって、前記ハウジングが前記容器本体に接続されると、前記流路の前記出口が前記収集空洞と流体連通する、前記容器本体と、
前記血液収集装置から、前記流路を通って、および/または、前記収集空洞内に流れる血液によって接触されるように配置された少なくとも1つの添加剤分散体であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記流路に沿って前記収集空洞内に流れる前記血液と混合される添加剤組成物を含む、前記少なくとも1つの添加剤分散体と、を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項2】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記ハウジングは、さらに、前記血液収集装置から前記流路に前記血液を導くために、前記入口に隣接して少なくとも1つの流れ誘導突起を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項3】
請求項2に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの流れ誘導突起は、血液が付着するための流体付着点を提供するように構成され、それにより、患者の指の皮膚表面から前記ハウジングの前記流路への血液の流れを制御することを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項4】
請求項3に記載のサンプル収集容器であって、前記血液は、毛細管現象によって、前記少なくとも1つの流れ誘導突起の表面から、前記流路を通って、前記流路の前記出口まで引き込まれることを特徴とするサンプル容器。
【請求項5】
請求項2に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの流れ誘導突起は、付着柱体を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項6】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記容器本体の前記底部は、前記容器本体の前記内壁の一部に向かって傾斜する、傾斜底部を備え、前記底部は、前記少なくとも1つの添加剤分散体を収容する大きさとされた凹部を形成することを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項7】
請求項6に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体が前記凹部内に収容されたとき、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記容器本体の前記開いた上部を通して前記容器空洞内に挿入されたプローブと干渉しないことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項8】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記容器空洞は、約50pL-約500pLの容積を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項9】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記添加剤組成物は、サンプル安定化組成物、および/または、RNAまたはタンパク質検体などの、血液の特定の要素を保存する組成物を含むことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項10】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記添加剤組成物は、ヘパリン、または、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの、乾燥抗凝固剤を含むことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項11】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記添加剤組成物を含浸させられた連続気泡発泡体、または、独立気泡発泡体を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項12】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、メラミン、または、ホルムアルデヒド-メラミン-亜硫酸水素ナトリウム共重合体の、少なくとも1つを含む連続気泡発泡体を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項13】
請求項12に記載のサンプル収集容器であって、前記連続気泡発泡体は、親水性の連続気泡発泡体であることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項14】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記ハウジングの前記流路の前記入口の近くに配置されることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項15】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記少なくとも1つの誘導突起の上に取り付けられるように構成された細長い柱体を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項16】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記容器本体の前記内壁の内面に付着されることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項17】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、押し出し工程によって形成された、中空の管状発泡構造を含むことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項18】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記添加剤組成物によって塗布された外面を備える成形部品を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項19】
請求項18に記載のサンプル収集容器であって、前記成形部品は、
前記容器本体の前記収集空洞内に収まるような大きさとされ、前記成形部品を前記容器空洞内において、直立姿勢で安定させるディスクと、
前記ディスクの上面または下面のいずれかから延びる、少なくとも1つの支柱と、を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項20】
請求項19に記載のサンプル収集容器であって、前記直立姿勢において、前記少なくとも1つの支柱の長手方向軸は、前記容器本体の長手方向軸と平行であることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項21】
請求項19に記載のサンプル収集容器であって、前記少なくとも1つの支柱は、前記ディスクの前記下面から下方に延びる複数の下部支柱を備え、前記複数の下部支柱は、半径方向内側に傾斜した自由端を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項22】
請求項21に記載のサンプル収集容器であって、さらに、前記下部支柱の前記内側に傾斜した自由端によって、少なくとも部分的に保持され、前記容器空洞を通って移動して、前記容器空洞内の血液を撹拌するように構成された、ボールを備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項23】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、さらに、前記容器空洞内に配置され、前記容器空洞内を移動して前記容器空洞内の血液を撹拌するように構成された、浮力ボールまたは重いボールなどの撹拌部材を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項24】
請求項1に記載のサンプル収集容器であって、さらに、血液が、前記流路から前記容器空洞内に排出されるとき、血液を撹拌するために、前記流路の前記出口に近接して前記収集空洞内に配置された撹拌ツールを備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項25】
請求項24に記載のサンプル収集容器であって、前記攪拌ツールは、前記流路から排出された前記血液が、フィンまたはブレードに接触し、前記フィンまたはブレードが、支柱の周りを回転することをもたらし、それにより、前記血液を攪拌し、前記血液を前記添加剤組成物と混合するように配置された、前記支柱の周囲に延びる、前記フィンまたはブレードを備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項26】
血液収集アセンブリであって、前記血液収集アセンブリは、
指受容部および作動部を含む指ホルダーと、
前記指ホルダーに取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器と、を備え、前記サンプル収集容器は、
前記指ホルダーに取り外し可能に接続可能な第1の端部と、第2の端部と、入口および出口を有し、ハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延びる流路と、血液収集装置から前記流路に血液を導くための、前記入口に隣接した少なくとも1つの流れ誘導突起と、を含む、前記ハウジングと、
前記ハウジングの前記第2の端部に取り外し可能に接続された容器本体であって、前記容器本体は、開いた上部と、閉じた底部を含む下方部と、前記上部と前記底部との間に延び、収集空洞を画定する内壁と、を備え、前記ハウジングが前記容器本体に接続されると、前記流路の前記出口が前記収集空洞と流体連通する、前記容器本体と、
前記血液収集アセンブリから、前記流路を通って、及び/又は、前記収集空洞内に流れる血液によって接触されるように配置された、少なくとも1つの添加剤分散体であって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記流路に沿って前記収集空洞内に流れる前記血液と混合される添加剤組成物を含む、前記少なくとも1つの添加物分散体と、を備えることを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項27】
請求項26に記載の血液収集アセンブリであって、前記添加剤組成物は、サンプル安定化組成物、および/または、RNAまたはタンパク質検体などの、血液の特定の要素を保存する組成物を含むことを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項28】
請求項26に記載の血液収集アセンブリであって、前記添加剤組成物は、ヘパリンまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの、乾燥抗凝固剤を含むことを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項29】
請求項26に記載の血液収集アセンブリであって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、前記添加剤組成物を含浸させられた、連続気泡発泡体、または、独立気泡発泡体を含むことを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項30】
請求項26に記載の血液収集アセンブリであって、前記少なくとも1つの添加剤分散体は、メラミン、または、ホルムアルデヒド-メラミン-亜硫酸水素ナトリウム共重合体の少なくとも1つを含む、連続気泡発泡体を備えることを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項31】
請求項26に記載の血液収集アセンブリであって、さらに、前記指ホルダーに取り付けられ、作動させられると、前記サンプル収集容器に収容される流体サンプルを撹拌する電子振動子を備えることを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項32】
請求項26に記載の血液収集アセンブリであって、さらに、前記指ホルダーに取り付けられ、作動させられると、前記サンプル収集容器内の磁気撹拌棒が回転することをもたらし、それにより、前記サンプル収集容器内の血液サンプルを撹拌する、磁気撹拌器を備えることを特徴とする血液収集アセンブリ。
【請求項33】
血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器であって、前記サンプル収集容器は、
収集空洞を画定する、前記血液収集装置に取り外し可能に接続される、容器本体であって、前記容器本体は、開いた上部、閉じた底部、および、前記上部と前記底部との間に延びる内壁を備える、前記容器本体と、
前記容器本体上に取り外し可能に接続可能なキャップであって、前記キャップは、開いた上部と、開いた底部と、前記上部と前記底部との間のキャップ側壁と、を備える、前記キャップと、を備え、
前記容器本体の前記内壁の内面と、前記キャップ側壁の内面との間の接続部は、平坦であることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項34】
請求項33に記載のサンプル収集容器であって、前記キャップは、蓋を備え、前記蓋は、前記蓋が、前記キャップの前記開いた上部から分離した開位置と、前記蓋が、前記キャップの前記開いた上部を覆う閉位置との間で移動可能であり、前記蓋は、
蓋本体と、
前記蓋本体と前記キャップの前記側壁との間の柔軟な接続部と、
前記蓋が前記閉位置にあるときに、前記開いた上部を密閉する、前記蓋本体に取り付けられた、穿孔可能なセプタムと、を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項35】
請求項33に記載のサンプル収集容器であって、前記容器本体の前記開いた上部に近接する前記内壁の前記内面が先細りにされ、その結果、前記キャップが前記容器本体に接続されたときに、前記内壁の前記内面と前記キャップの前記内面との間の接続部は、突起を有しないことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項36】
請求項33に記載のサンプル収集容器であって、さらに、前記容器本体の前記内壁の前記内面と、前記キャップの前記側壁の前記内面との間の接続部に塗布された、潤滑剤を備えることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項37】
請求項33に記載のサンプル収集容器であって、さらに、前記容器本体の前記内壁の前記内面に、添加剤組成物を備え、前記添加剤組成物は、スプレー乾燥によって塗布されることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項38】
請求項33に記載のサンプル収集容器であって、さらに、前記容器本体内に配置された添加剤組成物を含む、少なくとも1つの添加剤分散体を備え、前記添加剤分散体は、親水性の連続気泡発泡体を含むことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項39】
逆向き遠心分離方法であって、前記逆向き遠心分離方法は、
請求項33に記載のサンプル収集容器内に血液サンプルを収集することと、
前記サンプル収集容器を密封することと、
前記サンプル収集容器を、逆向きに、遠心分離機の収容部に挿入することであって、前記容器の前記キャップが前記収容部に挿入される、前記遠心分離機の収容部に挿入することと、
前記遠心分離機を作動させることと、を含むことを特徴とする逆向き遠心分離方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記収容部は、前記サンプル収集容器を、遠心分離後に、単一のゲル層が、血清を全血から分離し、前記血清の上方にゲルが存在しないような角度に配置することを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法であって、前記収容部は、遠心分離後に、前記ゲルが、完全に、前記サンプル収集容器の前記キャップ内に存在し、前記容器本体内に存在しないような角度で、サンプル収集容器を配置することを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法であって、前記遠心分離機の前記収容部は、前記サンプル収集容器を、直立位置に対して、約65度から約85度の角度に配置することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年10月15日に出願された「血液サンプル収集のための添加剤の混合」と題された、米国仮出願第63/256,155号に対する優先権を主張し、その全開示は、その全体における参照により、本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本開示は、一般的には、血液サンプルなどの、生物学的サンプルを収容するための収集容器に関する。より具体的には、本開示は、指ベースの毛細管血液収集装置などの血液収集装置に接続して、血液収集装置から血液サンプルを受け取るように構成された、サンプル収集容器に関し、サンプル収集容器は、収集された血液サンプルを、抗凝固剤などの添加剤組成物と受動的または能動的に混合するための態様を含む。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
血液サンプルなどの生物学的サンプルを採取および収集するための装置は、医療業界で一般的に使用される。医療分野で一般的に行われる採血の1つのタイプは、毛細管採血であり、これは、検査用の血液サンプルを収集するためにしばしば行われる。糖尿病などの特定の病気は、例えば、患者の血糖値を監視するために、定期的に患者の血液が検査されることを必要とする。さらに、コレステロール検査キットなどの検査キットは、分析のために、血液サンプルをしばしば必要とする。血液収集手順は、通常、血液サンプルを採取するために、指または他の適切な体の部分を刺すことを必要とする。通常、そのような検査に必要とされる血液の量は、比較的少量であり、小さな刺し傷または切開が、普通は、これらの検査のための十分な量の血液を提供する。患者の皮膚を穿刺して、患者から毛細管血液サンプルを採取するために使用される、さまざまな種類のランセット装置が開発されている。
【0003】
さまざまな種類のランセット装置が、病院、診療所、医院などのほか、個人消費者向けにも市販される。そのような装置は、通常、針などの鋭利な先端部、または、刃などの鋭利な縁部を含み、それは、少量の血液の流出を提供するために、患者の皮膚に素早い刺し傷または切開を形成するために使用される。毛細管血液収集を簡素化するために、ランセット装置は、トリガー機構の作動で、患者の皮膚を穿刺または切開する自動装置へと進化した。いくつかの装置では、それが使用者によってトリガーされるまで、針または刃は、待機位置に保持される。トリガーすることで、針、または、刃は、例えば、指で、患者の皮膚を穿刺するか、または、切開する。しばしば、患者の皮膚を穿刺または切開するために必要な「自動的な」力を提供するために、ばねが装置に組み込まれる。装置から、および、装置内への、穿刺または切開要素の、自動的な射出および引き込みを特徴とする、接触作動式ランセット装置の1つのタイプは、その全体における参照によって、本明細書に組み込まれる、「接触作動式ランセット装置」と題された、特許文献1である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9,380,975号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0216380号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/167746号
【特許文献4】米国特許出願公開第2019/0223772号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2021/0196164明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
毛細管血液収集のためのランセット装置の使用は複雑であり、血液収集手順を実行する医療従事者に高いレベルのスキルを要求し得る。毛細管血液収集プロセスの多段階の性質は、溶血、不十分なサンプルの安定化、微小血栓など、サンプルの品質問題を引き起こし得る、さまざまな変動をもたらし得る。特に、血液サンプルが収集容器に導入されるとき、または、サンプルが容器内に導入された後のいずれかに、容器に外部からの混合力を加えることによって、血液サンプルが、抗凝固剤と十分に混合されない場合に、微小血栓が発生し得る。不十分な混合が、収集したサンプルを損傷または破壊し得る可能性があるため、完全な混合を改善または促進する装置および方法に対する必要性が存在する。特に、装置および方法は、抗凝固剤などの添加剤組成物を、血液サンプル中に迅速かつ完全に分散させ、それによって、収集された血液サンプル中に微小血栓が生じるであろうリスクを実質的に低減させねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本開示の一態様によれば、血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器は、ハウジングであって、第1の端部と、第2の端部と、ハウジングの第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延び、入口および出口を有する流路とを有するハウジング、および、ハウジングの第2の端部に取り外し可能に接続された容器本体を含む。容器本体は、開いた上部、閉じた底部、および、上部と底部の間に延びる内壁を含む。内壁は収集空洞を画定する。ハウジングが容器本体に接続されると、流路の出口は収集空洞と流体連通する。サンプル収集容器は、また、血液収集装置から流路を通って、および/または、収集空洞内に流れる血液によって、接触されるように配置された少なくとも1つの添加剤分散体を含む。少なくとも1つの添加剤分散物体には、流路に沿って流れ、収集空洞に入る血液と混合される添加剤組成物を含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、血液収集アセンブリは、指受容部および作動部を有する指ホルダーと、指ホルダーに取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器とを含む。サンプル収集容器は、ハウジングであって、指ホルダーに取り外し可能に接続可能な第1の端部と、第2の端部と、ハウジングの第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延び、入口および出口を有する流路と、血液収集装置から流路に血液を導くための、入口に隣接する、少なくとも1つの流れ誘導突起とを有する、ハウジング、および、ハウジングの第2の端部に取り外し可能に接続された容器本体を含む。容器本体は、開いた上部、閉じた底部を有する下方部、および、上部と底部との間に延びる内壁を含む。内壁は収集空洞を画定する。ハウジングが容器本体に接続されると、流路の出口は収集空洞と流体連通する。サンプル収集容器は、また、血液収集アセンブリから流路を通って、および/または、収集空洞内に流れる血液によって接触されるように配置された、少なくとも1つの添加剤分散体を含む。少なくとも1つの添加剤分散物体は、流路に沿って流れ収集空洞に入る血液と混合される添加剤組成物を含む。
【0008】
本開示の別の態様によれば、血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器は、収集空洞を画定する、血液収集装置に取り外し可能に接続された容器本体を含む。容器本体は、開いた上部、閉じた底部、上部と底部との間に延びる内壁、および、容器本体上に取り外し可能に接続可能なキャップを含む。キャップは、開いた上部、開いた底部、および、上部と底部の間のキャップ側壁を含む。容器本体の内壁の内面とキャップ側壁の内面との接続部は平坦である。
【0009】
本開示の別の態様によれば、逆向き遠心分離法は、前述のサンプル収集容器のいずれかの中に血液サンプルを収集する工程と、サンプル収集容器を密封する工程と、容器のキャップが収容部に挿入された状態で、サンプル収集容器を、逆向き姿勢で、遠心分離機の収容部に挿入する工程と、遠心分離機を作動させる工程とを含む。
【0010】
次に、本開示の実施形態の非限定的な例示的な例が、以下の番号付きの項目で説明されるであろう。
【0011】
項目1:血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器であって、サンプル収集容器は、第1の端部と、第2の端部と、入口および出口を有し、ハウジングの第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延びる流路と、を備える、ハウジングと、ハウジングの第2の端部に取り外し可能に接続され、開いた上部と、閉じた底部と、上部と底部との間に延び、収集空洞を画定する内壁と、を備える容器本体であって、ハウジングが容器本体に接続されると、流路の出口が収集空洞と流体連通する、容器本体と、血液収集装置から、流路を通って、および/または、収集空洞内に流れる血液によって接触されるように配置された少なくとも1つの添加剤分散物体であって、少なくとも1つの添加剤分散物体は、流路に沿って収集空洞に流れる血液と混合される添加剤組成物を含む、少なくとも1つの添加剤分散体と、を備える、サンプル収集容器。
【0012】
項目2:項目1に記載のサンプル収集容器であって、ハウジングは、さらに、血液収集装置から流路に血液を導くために、入口に隣接して、少なくとも1つの流れ誘導突起を備える、サンプル収集容器。
【0013】
項目3:項目2に記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの流れ誘導突起は、血液が付着するための流体付着点を提供するように構成され、それにより、患者の指の皮膚表面からハウジングの流路への血液の流れを制御する、サンプル収集容器。
【0014】
項目4:項目3に記載のサンプル収集容器であって、血液は、毛細管現象によって、少なくとも1つの流れ誘導突起の表面から、流路を通って、流路の出口まで引き込まれる、サンプル収集容器。
【0015】
項目5:項目2または項目3に記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの流れ誘導突起は、付着柱体を備える、サンプル収集容器。
【0016】
項目6:項目1-5のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、容器本体の底部は、容器本体の内壁の一部に向かって傾斜する、傾斜底部を備え、底部は、少なくとも1つの添加剤分散体を収容する大きさとされた凹部を形成する、サンプル収集容器。
【0017】
項目7:項目6に記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体が凹部内に収容されたとき、少なくとも1つの添加剤分散体は、容器本体の開いた上部を通して容器空洞内に挿入されたプローブと干渉しない、サンプル収集容器。
【0018】
項目8:項目1-7のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、容器空洞は、約50pL-約500pLの容積を備える、サンプル収集容器。
【0019】
項目9:項目1-8のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、添加剤組成物は、サンプル安定化組成物、および/または、RNAまたはタンパク質検体などの、血液の特定の要素を保存する組成物を含む、サンプル収集容器。
【0020】
項目10:項目1-9のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、添加剤組成物は、ヘパリンまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの、乾燥抗凝固剤を含む、サンプル収集容器。
【0021】
項目11:項目1-10のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、添加剤組成物を含浸させられた連続気泡発泡体、または、独立気泡発泡体を備える、サンプル収集容器。
【0022】
項目12:項目1-11のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、メラミン、または、ホルムアルデヒド-メラミン-亜硫酸水素ナトリウム共重合体の少なくとも1つを含む連続気泡発泡体を備える、サンプル収集容器。
【0023】
項目13:項目12に記載のサンプル収集容器であって、連続気泡発泡体は、親水性の連続気泡発泡体である、サンプル収集容器。
【0024】
項目14:項目1-13のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、ハウジングの流路の入口の近くに配置される、サンプル収集容器。
【0025】
項目15:項目1-14のいずれかのサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、少なくとも1つの誘導突起の上に取り付けられるように構成された細長い柱体を備える、サンプル収集容器。
【0026】
項目16:項目1-15のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、容器本体の内壁の内面に付着させられる、サンプル収集容器。
【0027】
項目17:項目1-16のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、押し出し工程によって形成された、中空の管状発泡体構造を含む、サンプル収集容器。
【0028】
項目18:項目1-17のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの添加剤分散体は、添加剤組成物によって塗布された外面を備える成形部品を備える、サンプル収集容器。
【0029】
項目19:項目18のサンプル収集容器であって、成形部品は、容器本体の収集空洞内に収まるような大きさとされ、成形部品を容器空洞内において、直立姿勢で安定させるディスクと、ディスクの上面または下面のいずれかから延びる少なくとも1つの支柱と、を備える、サンプル収集容器。
【0030】
項目20:項目19に記載のサンプル収集容器であって、直立姿勢において、少なくとも1つの支柱の長手方向軸は、容器本体の長手方向軸と平行である、サンプル収集容器。
【0031】
項目21:項目19または項目20に記載のサンプル収集容器であって、少なくとも1つの支柱は、ディスクの下面から下方に延びる複数の下部支柱を備え、複数の下部支柱は、半径方向内側に傾斜した自由端を備える、サンプル収集容器。
【0032】
項目22:項目21に記載のサンプル収集容器であって、さらに、下部支柱の、内側に傾斜した自由端によって、少なくとも部分的に保持され、容器空洞を通って移動して、容器空洞内の血液を撹拌するように構成された、ボールを備える、サンプル収集容器。
【0033】
項目23:項目1-22のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、さらに、容器空洞内に配置され、容器空洞内を移動して容器空洞内の血液を撹拌するように構成された、浮力ボールまたは重いボールなどの撹拌部材を備える、サンプル収集容器。
【0034】
項目24:項目1-23のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、さらに、血液が、流路から容器空洞内に排出されるとき、血液を撹拌するために、流路の出口に近接して収集空洞内に配置された撹拌ツールを備える、サンプル収集容器。
【0035】
項目25:項目24のサンプル収集容器であって、攪拌ツールは、流路から排出された血液が、フィンまたはブレードに接触して、フィンまたはブレードが、支柱の周りを回転することをもたらし、それにより、血液を攪拌し、血液を添加剤組成物と混合するように配置された、支柱の周囲に延びるフィンまたはブレードを備える、サンプル収集容器。
【0036】
項目26:血液収集アセンブリであって、血液収集アセンブリは、指受容部および作動部を含む指ホルダーと、指ホルダーに取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器と、を備え、サンプル収集容器は、指ホルダーに取り外し可能に接続可能な第1の端部と、第2の端部と、入口および出口を有し、ハウジングの第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延びる流路と、血液収集装置から流路に血液を導くための、入口に隣接した少なくとも1つの流れ誘導突起と、を含む、ハウジングと、ハウジングの第2の端部に取り外し可能に接続された容器本体であって、容器本体は、開いた上部と、閉じた底部を含む下方部と、上部と底部との間に延び、収集空洞を画定する内壁と、を備え、ハウジングが容器本体に接続されると、流路の出口が収集空洞と流体連通する、容器本体と、血液収集アセンブリから、流路を通って、及び/又は、収集空洞内に流れる血液によって接触されるように配置された、少なくとも1つの添加剤分散物体であって、少なくとも1つの添加剤分散物体は、流路に沿って収集空洞内に流れる血液と混合される添加剤組成物を含む、少なくとも1つの添加剤分散物体と、を備える、血液収集アセンブリ。
【0037】
項目27:項目26に記載の血液収集アセンブリであって、添加剤組成物は、サンプル安定化組成物、および/または、RNAまたはタンパク質検体などの、血液の特定の要素を保存する組成物を含む、血液収集アセンブリ。
【0038】
項目28:項目26または項目27に記載の血液収集アセンブリであって、添加剤組成物は、ヘパリンまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの、乾燥抗凝固剤を含む、血液収集アセンブリ。
【0039】
項目29:項目26-28のいずれかに記載の血液収集アセンブリであって、少なくとも1つの添加剤分散体は、添加剤組成物を含浸させられた、連続気泡発泡体、または、独立気泡発泡体を含む、血液収集アセンブリ。
【0040】
項目30:項目26-29のいずれかに記載の血液収集アセンブリであって、少なくとも1つの添加剤分散物体は、メラミン、または、ホルムアルデヒド-メラミン-亜硫酸水素ナトリウム共重合体の少なくとも1つを含む、連続気泡発泡体を備える、血液収集アセンブリ。
【0041】
項目31:項目26-30のいずれかに記載の血液収集アセンブリであって、さらに、指ホルダーに取り付けられ、作動させられると、サンプル収集容器に収容される液体サンプルを撹拌する電子振動子を備える、血液収集アセンブリ。
【0042】
項目32:項目26-31のいずれかに記載の血液収集アセンブリであって、さらに、指ホルダーに取り付けられ、作動させられると、サンプル収集容器内の磁気撹拌棒が回転することをもたらし、それにより、サンプル収集容器内の血液サンプルを撹拌する、磁気撹拌器を備える、血液収集アセンブリ。
【0043】
項目33:血液収集装置に取り外し可能に取り付けられるように構成されたサンプル収集容器であって、サンプル収集容器は、収集空洞を画定する、血液収集装置に取り外し可能に接続される、容器本体であって、容器本体は、開いた上部、閉じた底部、および、上部と底部との間に延びる内壁とを備える、容器本体と、容器本体上に取り外し可能に接続可能なキャップであって、キャップは、開いた上部と、開いた底部と、上部と底部との間にキャップ側壁と、を備える、キャップと、を備え、容器本体の内壁の内面と、キャップ側壁の内面との間の接続部は平坦である、サンプル収集容器。
【0044】
項目34:項目33のサンプル収集容器であって、キャップは、蓋を備え、蓋は、蓋が、キャップの開いた上部から分離した開位置と、蓋がキャップの開いた上部を覆う閉位置との間で、移動可能であり、蓋は、蓋本体と、蓋本体とキャップの側壁との間の柔軟な接続部と、蓋が閉位置にあるときに開いた上部を密閉する、蓋本体に取り付けられた、穿孔可能なセプタムと、を備える、収集容器。
【0045】
項目35:項目33または項目34に記載のサンプル収集容器であって、容器本体の開いた上部に近接する内壁の内面が先細りにされ、その結果、キャップが容器本体に接続されたときに、内壁の内面とキャップの内面との間の接続部は、突起を有しない、サンプル収集容器。
【0046】
項目36:項目33-35のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、さらに、容器本体の内壁の内面と、キャップの側壁の内面との間の接続部に塗布された、潤滑剤を備える、サンプル収集容器。
【0047】
項目37:項目33-36のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、さらに、容器本体の内壁の内面に添加剤組成物を備え、添加剤組成物は、スプレー乾燥によって塗布される、サンプル収集容器。
【0048】
項目38:項目33-37のいずれかに記載のサンプル収集容器であって、さらに、容器本体内に配置された添加剤組成物を含む、少なくとも1つの添加剤分散体を備え、添加剤分散体は、親水性の連続気泡発泡体を含む、サンプル収集容器。
【0049】
項目39:逆向き遠心分離方法であって、逆向き遠心分離方法は、項目33-38のいずれかに記載のサンプル収集容器内に血液サンプルを収集することと、サンプル収集容器を密封することと、サンプル収集容器を、逆向きに、遠心分離機の収容部に挿入することであって、容器のキャップが収容部に挿入される、遠心分離機の収容部に挿入することと、遠心分離機を作動させることとを含む、逆向き遠心分離方法。
【0050】
項目40:項目39に記載の方法であって、収容部は、サンプル収集容器を、遠心分離後に単一のゲル層が、血清を全血から分離し、血清の上方にゲルが存在しないような角度に配置する、方法。
【0051】
項目41:項目39または項目40に記載の方法であって、収容部は、遠心分離後に、ゲルが、完全に、サンプル収集容器のキャップ内に存在し、容器本体内に存在しないような角度で、サンプル収集容器を配置する、方法。
【0052】
項目42:項目39-41のいずれかに記載の方法であって、遠心分離機の収容部は、サンプル収集容器を、直立位置に対して、約65度から約85度の角度に配置する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1A】本開示の一態様による、患者の指から血液サンプルを採取するための毛細管血液収集装置及び収集容器の斜視図である。
図1B】本開示の一態様による毛細管血液収集装置およびランセットの断面図である。
図1C】本発明の一態様による、毛細管血液収集装置のホルダーの斜視図である。
図1D】採血処置を行うために患者の指に接続された、図1Cのホルダーの上面を示す概略図である。
図1E】患者の指に接続された、図1Cのホルダーの正面を示す別の概略図である。
図2A】本開示の一態様による、添加剤分散体を含むサンプル収集容器の断面図である。
図2B】本開示の一態様による、添加剤分散体を含むサンプル収集容器の別の例の断面図である。
図2C】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例のハウジングの断面図である。
図2D】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例のハウジングの断面図である。
図2E】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例のハウジングの断面図である。
図3】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例の側面図である。
図4A】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例の断面図である。
図4B】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例の断面図である。
図4C】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例の断面図である。
図5A】本開示の一態様によるサンプル収集容器の別の例の断面図である。
図5B】本開示の態様による、添加剤分散体の上面図である。
図5C】本開示の態様による、異なる添加剤分散体の上面図である。
図6A】本開示の一態様による、サンプル収集容器の別の例の斜視図である。
図6B】本開示の一態様による、添加剤分散体の透視図である。
図6C】本開示の一態様による、異なる添加剤分散体の透視図である。
図7A】本開示の一態様による、サンプル収集容器の追加の例の断面図である。
図7B】本開示の一態様による、サンプル収集容器の追加の例の断面図である。
図7C】本開示の一態様による、サンプル収集容器の追加の例の断面図である。
図8A】本開示の一態様による、遠心分離機に挿入されるサンプル収集容器を示す概略図である。
図8B】本開示の一態様による、遠心分離機に挿入されるサンプル収集容器を示す概略図である。
図9A】本開示の一態様による、サンプル収集容器および磁気撹拌器の斜視図である。
図9B図9Aのサンプル収集容器および磁気撹拌器の断面の概略図である。
図10A】本開示の一態様による、第2の(すなわち、横向きの)向きのサンプル収集容器および磁気撹拌器の斜視図である。
図10B図10Aのサンプル収集容器および磁気撹拌器の断面の概略図である。
図11A】本開示の態様による、血液収集装置、電子振動装置、および、サンプル収集容器を含むアセンブリの側面図である。
図11B】本開示の態様による、血液収集装置、電子振動装置、および、サンプル収集容器を含むアセンブリの側面図である。
図12A】本開示の一態様による、上部、または、キャップが、下部に挿入された状態の、容器本体の断面の概略図である。
図12B】本開示の一態様による、上方部またはキャップに挿入され、上方部と下方部との間にテーパ状の接続部を含む、容器本体の下方部の断面の概略図である。
図13A】本開示の一態様による、直立姿勢で遠心分離した後のサンプル収集容器内の細胞、血清、およびゲルの層を示す概略図である。
図13B】本開示の一態様による、傾斜姿勢で遠心分離した後のサンプル収集容器内の細胞、血清、および、ゲルの層を示す概略図である。
図13C】本開示の一態様による、遠心分離サンプル(逆向き遠心分離による)中のゲルおよび細胞の高さと、遠心分離角度との関係を示すグラフである。
図14】本開示の一態様による、2ピースサンプル収集容器の上方部と下方部との間の接続部に潤滑剤を使用することの効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
発明の説明
以下の説明は、当業者が、本発明を実施するために考えられた、記載された実施形態を作製し、使用することを可能にするために提供される。しかしながら、当業者には、様々な修正、同等物、変形、および、代替が、容易に明らかであろう。あらゆるそのような修正、変更、同等物、および、代替は、本発明の精神および範囲に含まれることを意図される。
【0055】
以下では、説明のために、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」という用語、および、それらの派生語は、それが、図面において方向づけられるように、本発明に関連するであろう。ただし、明示的にそうではないと特定される場合を除き、本発明は、代替の変形および工程シーケンスを推定し得ることが理解されるべきである。また、添付の図面に示され、以下の明細書に記載される、特定の装置およびプロセスは、単に、本発明の例示的な実施形態であることが理解されるべきである。したがって、本明細書に開示される実施形態に関連する、特定の寸法およびその他の物理的特性は、限定するものとみなされるべきではない。
【0056】
本開示は、毛細管血液サンプルを収集するように構成され、血液サンプルを収容するためのサンプル収集容器16を含む、血液収集装置10またはアセンブリに関する。サンプル収集容器16は、血液サンプルがサンプル収集容器16に導入される際の、血液サンプルの添加剤組成物との受動的または自動的混合、容器16内のツールまたは他の物体によって、サンプル収集容器16内に乱流を発生させることによって達成される能動的混合であって、それにより、添加剤組成物が収集された血液サンプルが均一に混合されることをもたらす、能動的混合のうちの、1つ以上を実行するように構成され、および/または、1つ以上に対して使用され得、および/または、ボルテックスまたは遠心分離機などの、撹拌機または混合機による、血液サンプルの能動的混合に使用され得る。
【0057】
本明細書において使用される「添加剤組成物」は、サンプル安定剤(すなわち、血液サンプルを保存するため、および/または、血液サンプルの少なくとも特定の要素または成分を保存するように選択された組成物)であり得る。添加剤組成物は、抗凝固剤、例えば、ヘパリンまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの乾燥抗凝固剤であり得る。いくつかの例では、添加剤組成物は、RNA、タンパク質検体、および/または、血液サンプルのその他の要素など、血液サンプルの特定の要素または成分を保存する。
【0058】
本開示は、また、血液サンプルと接触するサンプル収集容器16内またはその近傍に配置され、それにより、添加剤組成物を血液サンプルに分散させるように構成された、添加剤分散体140に関する。本明細書において使用されるように、「添加剤分散体」は、添加剤組成物によって塗布されるか、または、添加物組成物で含浸させられる物体、または、さもなければ、添加剤組成物を含む物体であり得る。添加剤分散体140は、血液サンプルによって接触され、血液サンプルと接触したときに、添加剤組成物を分散するように構成される。本明細書でさらに詳しく説明されるように、添加剤分散体140は、添加剤組成物を吸収する連続気泡発泡体などの多孔質構造であり得る。添加剤分散体140は、また、添加剤組成物が構造体の外面に塗布された、より高密度、または、より固い構造体(すなわち、非多孔質構造体)であり得る。添加剤分散体140は、サンプル収集容器16内に収まるか、または、サンプル収集容器16に近接する、任意の便利な形状であり得、たとえば、球形、楕円体、円筒、リング、ドーナツ状、立方体、多角柱、または、その他の規則的または不規則な形状を含む。添加剤分散体140は、また、一緒に編み込まれるか、または、ボールまたは他の集合体の状態に配置され、サンプル収集容器16内に配置される、紐体または糸状のものを含む。
血液収集アセンブリまたは装置
本開示の様々な例示的なサンプル収集容器16と共に使用され得る、血液収集装置10またはアセンブリの例が、図1A図1Eに示される。血液収集装置10は、例えば、サンプル収集容器16内に、例えば、最大500マイクロリットル以上の大容量の毛細管血液サンプルを、穿刺し、収集し、および、安定化する能力を備えた、自己充足の、完全に一体化された、指ベースの毛細管血液収集装置であり得る。血液収集装置10またはアセンブリは、また、血液サンプルを採取するために、接続され、および/または、一緒に使用され得る、分離可能な構成要素(つまり、指カフ、ランス、および、リザーバ)から形成され得る。本開示の特徴とともに使用され、および/または、本開示の特徴を含むように変更され得る、他の例示的な毛細管血液収集装置およびアセンブリは、例えば、「血液サンプルを採取するための装置」と題する、特許文献2、及び、「回転可能な接続部を有する毛細管収集器」と題する、特許文献3に記載され、それらのそれぞれは、その全体における参照により、本明細書に組み込まれる。
【0059】
図1Aおよび1Bを参照すると、例示的な血液収集装置10は、一体型ホルダー12、患者の指19(図1Dおよび図1Eに示される)を穿刺するためのランセットハウジングまたはランセット14(図1Bに示される)、および、サンプル収集容器16を含む。他の例では、血液収集装置10は、例えば、別個のホルダー12に接続され得る、一体型ランセットハウジング14、および、収集容器16を含む、半一体型装置10として提供され得る。他の例では、半一体型装置10は、別個のホルダー12に接続された、一体型ランセットハウジング14、および、収集容器16を含み得る。
【0060】
ホルダー12は、血液サンプルなどの生物学的サンプルを供給するための、サンプル源、例えば、患者の指19を受け入れるように構成される。図1C図1Eに示されるように、ホルダー12は、一般的に、第1の開口部22を有する指受容部20、作動部24、第2の開口部28を有するポート26、および、指端ガード30を含む。いくつかの例では、指端ガード30は、ホルダー12内の指19を適切に位置合わせし、固定するための停止部を提供する。指端ガード30は、さらに、患者の指19が指受容部20内の適切な位置に配置されることを確実にすることを支援し、その結果、患者の指19に加えられた圧力は、適切な血流をもたらすであろう。指端ガード30は、患者の指19が指受容部20の端部で止まることを確実にし、一方で、患者の指の爪が指受容部20の端部を通過することを許容する、湾曲した指先支持部を有し得る。指受容部20は、患者集団に存在する人工爪および天然爪のスタイルで、ホルダー12の使用を許容する。
【0061】
指受容部20の第1の開口部22は、サンプル源、例えば、指19を受け入れるように構成される。サンプル源は、また、つま先、または、その他の四肢などの、第1の開口部22内に収まり得る、身体の他の部分を含み得る。ポート26は、指受容部20と連通する。例えば、指19がホルダー12内に収容される状態で、ポート26は、指19の一部と連通する。ポート26の第2の開口部28は、ランセットハウジングまたはランセット14(図1Bに示される)、および、収集容器16を受け入れるように構成される。いくつかの例では、ポート26は、さらに、ランセットハウジングまたはランセット14と収集容器16をポート26内に確実に受け入れるためのロック部32を含む。
【0062】
装置10の作動部24は、ホルダー12が第1の直径を画定する第1の位置と、ホルダー12が第2の直径を画定する第2の位置との間で遷移可能であり、第2の直径は、第1の直径よりも小さい。さらに、第1の位置では、ホルダー12は、第1の楕円形状を画定する。第2の位置では、ホルダー12は、第2の楕円形状を定義し、第1の楕円形状は、第2の楕円形状とは異なる。このように、ホルダー12が、縮小された直径を有する第2の位置にある場合、ホルダー12の一部は、サンプル源(つまり、指19)に接触し、ホルダー12の作動部24は、以下でより詳細に説明されるように、血液を、送り出し、および/または、引き出すことができる。
【0063】
いくつかの例では、作動部24は接触部34を含む。作動部24が第1の位置にある状態で、接触部34は係合解除位置にあり、すなわち、接触部34は、サンプル源に対して第1の位置に設けられ、その結果、接触部34は、サンプル源とわずかに接触し得る。作動部24が第2の位置にある状態で、接触部34は係合位置にあり、すなわち、接触部34は、指19に対して第2の位置に設けられ、その結果、接触部34は、指19と加圧接触しており、ホルダー12の作動部24は、血液を、送り出し、および/または、引き出すことができる。例えば、接触部34が係合位置にある状態で、接触部34は、サンプル源に圧力を加える。
【0064】
いくつかの例では、作動部24は、一対の対向するタブまたは翼部38などの、指19に圧力を加えるためのポンプ部材36を含む。各翼部38は、接触部34を含み得る。ホルダー12は、また、リビングヒンジ部42を含み得る。リビングヒンジ部42は、使用者が、翼部38を、第1の位置(受動的状態)と第2の位置(能動的状態)の間で締め付けることを可能にする。患者の指19から血液を引き出すための、タブまたは翼部38の使用は、溶血を最小限にし、一方で、患者の指19からの適切な血液の流れを維持すると考えられる。翼部38の休止位置、および、ヒンジは、ホルダー12に収まり得る最小の患者の指との接触および保持を維持する一方で、血液の閉塞なしに、ホルダー12内に最大の患者の指を収容するために屈曲するように設計される。いくつかの例では、翼部38は、患者の指19の硬い組織を避けるために、患者の指の爪の近位で、患者の第一関節の遠位に位置づけられる指受容部20に配置され得る。
【0065】
ホルダー12は、使用者が、翼部38を、繰り返し締め付け、および、解放することを可能にするように構成され得、収集容器16に所望量の血液が満たされるまで、指19から血液を送り出し、および/または、血液を引き出す。翼部38は、ホルダー12で使用され得る、さまざまな患者の指のサイズとの穏やかな接触を維持し、ホルダー12を患者の指19に保持するために、屈曲するように構成される。翼部38は、また、ホルダー12に能動的な圧力態様を提供し得る。
【0066】
いくつかの例では、ホルダー12は、安定化延長部40を含み得る。安定化延長部40は、ホルダー12が、指19にしっかりと配置されるための、追加の支持を提供する。一例では、指受容部20は、概ねC字形の部材を形成し、患者の指19にしっかりと配置されるホルダー12のための、追加の把持と支持を提供する、複数の内側把持部材を含む。安定化延長部40は、ホルダー12の使用中に、患者の指19との接触を維持するのに役立つ一方で、血液供給、および、患者の指19の指関節を避ける。
【0067】
血液サンプルを得るための血液収集装置10は、また、ホルダー12のポート26に取り外し可能に接続可能な、ランセットハウジングまたはランセット14(図1Bに示される)を含む。図1Bを参照すると、ランセットハウジングまたはランセット14は、入口または開口部50、内部52、穿刺要素54、係合部56、引き込み機構58、および、駆動ばね60を含み得る。穿刺要素54は、穿刺要素54が、ランセットハウジング14の内部52内に保持される作動前位置と、穿刺要素54の少なくとも一部が、ランセットハウジングまたはランセット14の入口50を通って延び、指19の一部を切開する穿刺位置との間で移動可能であり得る。一例では、本開示のランセット14は、接触作動ランセットであり、その全体における参照により本明細書に組み込まれる、「接触作動ランセット装置」と題される、特許文献1に開示された特徴に従って構築され得る。
【0068】
いくつかの例では、ホルダー12、および、ランセットハウジングまたはランセット14は、ホルダー12のポート26に取り外し可能に接続できる別個の構成要素である。そのような例では、ランセットハウジングまたはランセット14は、係合部56を含む。ランセットハウジングまたはランセット14は、ホルダー12のポート26に押し込まれ、その結果、ランセットハウジングまたはランセット14の係合部56が、ホルダー12のロック部32内にロックされる。このように、ランセットハウジング14は、ホルダー12にしっかりと接続され、ロックされ、その結果、ランセットハウジング14の穿刺要素54は、サンプル源、例えば指19を切開または穿刺するために作動させられ得る。いくつかの例では、ホルダー12のポート26は、ランセット14または収集容器16を、ポート26内に固定してロックするための複数のリブを含む。
【0069】
ランセット14を作動させるために、ランセット14は、指19に押し当てられ、ランセット14の引き込み機構58と駆動ばね60を作動させ、指19を切開する。穿刺後、穿刺要素54は、直ちに引き込まれ、ランセットハウジング14の内部52内に安全に固定される。指19が穿刺されると、血液サンプルが指19から絞り出され、本明細書でさらに詳細に説明されるように、流路に沿って収集容器16に流れ込む。指19の表面からサンプル収集容器16に血液の流れを導く構造の例は、その全体における参照により本明細書に組み込まれる、「血液の付着流れのための装置」と題する、特許文献4に記載される。
【0070】
前述のように、収集容器16は、サンプル安定剤、または、抗凝固剤などの、添加剤組成物を含み得る。本明細書で詳細に説明されるように、血液サンプルは、サンプル収集容器16に入り、添加剤組成物と混合し得、それによって、さまざまな血液および被検体の検査に使用され得る、安定した血液サンプルを生成する。いくつかの例では、収集容器16は、また、十分な量の血液が収集されたことを使用者に示すために、サンプルの所定量に対応する充填ラインを含み得る。いくつかの例では、サンプル収集容器16は、収集された血液の量に関する情報を提供する、表示器または計量器を、代替的にまたは追加的に含み得る。
【0071】
図1A図1Eに示される毛細管血液収集装置10を使用するために、まず、所望の指19が洗浄され、所望の指19に適したサイズを有するホルダー12が選択され、指19にしっかりと配置される。次に、ランセットハウジングまたはランセット14が、ホルダー12のポート26に接続される。前述されるように、ランセットハウジングまたはランセット14は、ホルダー12のポート26に押し込まれ、その結果、ランセットハウジングまたはランセット14の係合部56が、ホルダー12のロック部32内にロックされる。このように、ランセットハウジングまたはランセット14は、ホルダー12にしっかりと接続され、ロックされ、その結果、ランセットハウジング14の穿刺要素54が、指19を切開または穿刺するために作動させられ得る。ランセット14がホルダー12のポート26に接続される状態で、ランセット14は、指19と連通する。
【0072】
指19の皮膚を切開するためにランセット14を作動させることが望まれるとき、ランセット14は、指19に押し当てられ、ランセット14の引き込み機構58を作動させて指19を切開する。指19が切開されて、指19から血流を発生させた後、ランセット14はホルダー12から取り外され、サンプル収集容器16が、ホルダー12のポート26に押し込まれる。血液サンプルの収集のために、容器16がホルダー12に適切に固定された状態で、使用者は、ホルダー12の翼部38を繰り返し締め付けおよび解放して、所望の量の血液が流路に沿って収集容器16に流れるまで、指19から血液を送り出し、および/または、引き出す。有利なことに、ホルダー12が指19に配置された状態で、ホルダー12は、血流を制限せず、切開および指の締め付け位置を画定する。締め付けタブまたは翼部38は、指19全体に一貫して印加される、事前に画定された範囲の締め付け圧力を提供する。そうすることで、ホルダー12は、血液の引き出しを刺激し、いかなる潜在的な溶血(つまり、血球の破裂または破壊)も最小限にする、穏やかな、制御された指19マッサージを提供する。
【0073】
サンプル収集容器16内に所望量の血液が収集されると、収集容器16を含む血液収集部が、収集したサンプルを診断機器および/または検査装置に送るために、収集装置10から取り外され得る。血液収集部は、収集装置10から取り外されると、キャップ、セプタム、および/または、蓋を介して密封され得、収集容器16内の血液サンプルを保護するように密封する。
サンプル収集容器と添加剤組成物
添加剤組成物の血液サンプルとの受動的な、および/または、能動的な混合のための構造を含む、サンプル収集容器16の例が、図2A図10Bに示される。より具体的には、前述されるように、サンプル収集容器16は、サンプルが容器16に導入される際の血液サンプルの受動的/自動的な混合、容器16内に乱流を発生させることによる能動的な混合、および/または、容器16の外部操作(例えば、遠心分離機または渦流機械)による能動的な混合の一つ又は複数を行うように構成され得る。受動的/自動的な混合は、血液サンプルが、添加剤組成物によって塗布され、および/または、添加剤組成物を含む、物体または表面に接触すると起こり得、それにより、添加剤組成物が表面から放出され、血液サンプル全体に分散されることを可能にする。いくつかの例では、添加剤組成物によって塗布された物体または表面は、指19と収集容器16の内部との間の流路内に配置され得る。したがって、添加剤組成物は、流路を通って流れる血液中に分散させられ、容器16の内部に集まり得る。他の例では、添加剤組成物は、容器16の内面、および/または、容器16の内部に含まれる物体の表面に塗布され得る。
【0074】
いくつかの例では、本発明者らは、血液サンプル全体への添加剤組成物の分散が、添加剤組成物に接触する前に血液が移動する距離を短縮する容器16内の位置に、添加剤組成物を配置することによって、改善され得ることを解明した。例えば、添加剤組成物を含む物体は、容器の上部と底部との間のほぼ中間の中間点において、容器16の側壁の内面に付着され得る。他の例では、添加剤組成物は、サンプル収集容器16の底部の近くに配置され得る。そのような場合、上昇ボールまたは沈降ボールなどの異なる撹拌部材が、容器16内に配置され得、添加剤組成物を容器16の底から血液サンプル全体に分散させるのに役立つ。
【0075】
図2Aおよび図2Bを特に参照すると、いくつかの例では、本開示のサンプル収集容器16は、ハウジング150を含み、ハウジング150は、第1の端部152と、第2の端部154と、入口158と出口160を有し、少なくとも部分的にハウジング150の第1の端部152と第2の端部154との間に延びる、流路156を備える。ハウジング150は、また、入口158に隣接して、血液収集装置10のポート26から流路156に血液を導くための、柱体、支柱、フィン、ブレード、または、他の細長い部材などの1つまたは複数の流れ誘導突起162を含み得る。特に、流れ誘導突起162は、流体の付着点または表面を提供する。患者の指19からの血液は、付着力によって表面に向かって引き寄せられる。その後、血液は、重力によって、突起162の表面に沿って流路156に向かって移動する。血液は、流路156を通って、容器本体110の内部または空洞112に流れ込む。血液は、重力、負圧、または、真空力、および/または、毛細管現象を含む力によって、流路156を通って引き込まれ得る。ハウジング150は、また、流路156の出口160の近くに、流れ誘導、または、流れ付着構造(不図示)を含み、この構造は、流路156から容器16の内部112に血液を引き込むのに役立つ。
【0076】
容器16は、また、ハウジング150に取り外し可能に接続された容器本体110を含む。例えば、ハウジング150の第2の端部154は、容器本体110内に、または、容器本体110の上に挿入され得る。容器本体110は、ホルダー12のポート26から血液サンプルを受け取るように構成された、内部または空洞112を画定する。容器の空洞112は、例えば、約50pLから約500pLまでの容積を有し得る。容器本体110は、開いた、または、部分的に開いた上部116を有する、上方部114またはキャップと、閉じた底部120を有する下方部118(本明細書では、また、基部または本体と称される)を含む、ツーピースの筐体であり得る。上方部114および下方部118は、容器本体110の開いた上部116と閉じた底部120との間に延びる、環状壁または内壁124、128を含み得る。
【0077】
上方部114またはキャップと、下方部118は、取り外し可能に一緒に結合され得る、別個の構成要素であり得、例えば、上方部114またはキャップを、下方部118に対して、ねじったり、上方部114またはキャップを、下方部118から軸方向に引き離したりすることによって、分離され得る。いくつかの例では、容器本体110の下方部118は、閉じた底部120、下方部の開いた上部122、および、それらの間に延びる下方部の環状側壁124を含み得る。同様に、上方部114またはキャップは、下方部118の開いた上部122の上に挿入される開いた底部126、上方部の開いた上部116、および、それらの間に延びる上方部の環状側壁128を含み得る。
【0078】
望ましくは、容器本体110の上方部114またはキャップ、および、下方部118は、しっかりと接続され、容器本体110の内部または空洞112内の血液サンプルを保護するべきである。特に、部分114、118の間の接続または接続部は、不適切な、または、予期しないときに、上方部114またはキャップの、下方部118からの漏れ、または、分離を可能にすることなく、予見可能な誤用に耐えるのに十分に安定しており、堅牢であることを必要とし得る。適切なときに、上方部114またはキャップと下方部118との間の接続または接続部は、制御された方法で容易に克服されるべきであり、それによって、使用者が、容器本体110の内部112に収容される血液サンプルに容易にアクセスすることを可能にする。
【0079】
他の例では、上方部114と下方部118は一体的に形成され得、および/または、例えば、接着剤または超音波溶接によって、取り外し不可能な状態で取り付けられ得る。いくつかの例では、容器本体110は、開いた上部116、閉じた底部120、および、上部116と底部120の間に延びる一体型の、または、モノリシックな内壁124を含む、単片の、または、一体の構造であり得る。
【0080】
サンプル収集容器16は、さらに、蓋本体132を含む蓋130、ヒンジ134またはリビングヒンジのような柔軟な接続部、穿孔可能なセプタム136、および、ラッチ138を含む。柔軟な接続部またはヒンジ134は、蓋本体132と、容器本体110の上方部114またはキャップとの間に結合される。ヒンジ134は、開閉するように構成された柔軟な部材であり、これにより、蓋130が、上方部114またはキャップの開いた上部116を覆う、閉じた位置と、上方部114またはキャップの開いた上部116が覆われない、開いた位置(図2Aおよび2Bに示される)との間で、蓋130を移動させる。剛性または半剛性の材料から形成され得る柔軟な接続部またはヒンジ134のさまざまな構造が、当業者に知られるであろうし、これらは、本開示の収集容器16と共に使用するために適応させられ得る。例えば、ヒンジ134は、ヒンジ134に対して屈曲点を提供する、1つまたは複数の切り込みまたは刻み目線を含む、細長い部材であり得る。ヒンジ134は、屈曲点の周りに回動または展開するように構成され、これにより、蓋130が、閉じた位置と開いた位置との間で遷移することを可能にする。
【0081】
いくつかの例では、穿孔可能なセプタム136は、蓋本体132に取り付けられ、蓋130が閉じた位置にあるときに、上方部114の開いた上部116を密閉する。ラッチは、蓋本体132から延び得、蓋130が閉じた位置にあるときに、容器本体110の上方部114またはキャップの突起またはキャッチ138に係合して、蓋130が閉じた位置に留まるように固定する。
【0082】
いくつかの例では、サンプル収集容器16は、さらに、血液収集装置10のポート26から、流路156を通り、および/または、収集空洞112に流入する、血液によって接触されるように配置された、添加剤分散体140を含む。前述されるように、添加剤分散体140は、血液サンプルと混合される添加剤組成物を含む(例えば、添加剤組成物によって塗布され、および/または、添加剤組成物で含浸させられる)。前述されるように、添加剤組成物は、EDTAまたはヘパリンなどの抗凝固剤、および、その他のサンプル安定化組成物を含み得る。
【0083】
いくつかの例では、添加剤分散体140は、約2mm-約8mmの高さ、約3mm-約6mmの直径を有する円筒形構造などの、円筒形構造である。分散体140は、添加剤組成物を含浸させられた、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体から形成され得る。発泡体の多孔度は、50~80%の範囲である。いくつかの好ましい例では、添加剤分散体140は、メラミンまたはホルムアルデヒド-メラミン-亜硫酸水素ナトリウム共重合体の少なくとも1つを含む、連続気泡発泡体から形成される。連続気泡発泡体は、また、血液を吸収するように構成された親水性連続気泡発泡体であり得、それによって、血液サンプルを、発泡体構造上に塗布された、または、発泡体構造に含浸させられた添加剤組成物と接触させる。いくつかの例では、発泡物は、一緒に圧縮されて実質的に円筒形の部材を形成する、複数の発泡ストランドまたは円筒形の部材から形成され得る。いくつかの例では、分散体140は中空の管状構造を備える。例えば、分散体140は、押し出し工程によって形成された発泡体の中空円筒チューブなどの、中空管状構造を備え得る。
【0084】
前述されるように、添加剤分散体は、流路156および/または容器空洞112の中または近傍のさまざまな場所に配置され得る。例えば、図2Aに示されるように、サンプル収集容器16は、流路156の入口158に近接して、流路156内に配置された第1の添加剤分散体140aを含む。容器16は、また、容器本体110の下方部118の底部120に近接して配置された第2の添加剤分散体140bを含む。使用時には、血液サンプルは流路156に入り、連続気泡発泡体などの多孔質で透過性のある材料から形成され得る、第1の添加剤分散体140aの周囲、または、その中を通過し、次に、流路156の出口160から容器本体110の空洞112に入る。その後、血液サンプルは、重力によって容器の空洞112を通って落下し、下方部118の底部120に集まる。容器本体110の底部120に集まると、血液サンプルは、第2の添加剤分散体140bと接触する。収集された血液サンプルが撹拌されると、第2の添加剤分散体140bの添加剤組成物は、血液サンプルの全体に分散させられ得、それによって、ただ一つの添加剤分散体140aが存在する場合よりも、高濃度の添加剤組成物を含む混合サンプルを提供する。
【0085】
図2Bは、容器本体110に挿入されたハウジング150を含む、別の例示的な容器16を示す。先の例と同様に、図2Bの容器16は、また、第1の添加剤分散体140aを含む。しかし、先の例とは異なり、図2Bの添加剤分散体140aは、流路156の出口160に近接して配置される。図2Aと同様に、サンプル収集容器16は、また、容器本体110の下方部118の底部120に近接して配置された、第2の添加剤分散体140bを含む。先の例と同様に、血液サンプルは、流路156を流れ、出口160を通過し、第1の添加剤分散体140aを通過するか、または、その周囲を通過する。その後、血液サンプルは、容器本体110の下方部118の底部120に集まり、そこで、それは、第2の添加剤分散体140bの添加剤組成物と接触し、混ざり合う。
【0086】
図2Cは、容器ハウジング150の別の例を示す。図2Cにおいて、添加剤分散体140は、ハウジング150の流体誘導突起162の一部を形成し、および/または、それを覆う、細長い円筒形の部材である。前述されるように、流体誘導突起162は、患者の皮膚からの血液が、流体誘導突起162に向かって引き込まれるように配置される。血液は突起162に沿って滑り、添加剤分散体140の添加剤組成物と接触する。血液との接触により、添加剤組成物は、突起162から放出され、血液と混合して混合サンプルを形成する。次に、血液と添加剤組成物の混合サンプルが流路156に引き込まれる。混合された血液サンプルは、重力および/または毛細管作用の力によって、流路156を通過し、その後、流路156の出口160から容器空洞112内に排出される。
【0087】
いくつかの例では、図2Dに示されるように、添加剤分散体140は、中央開口部142を含む、ドーナツ形状、環状、または部分的に環状の部材であり得る。中央開口部142は、流体誘導突起162の外径に対応するサイズにされ得、その結果、添加剤分散体140は、流体誘導突起162上に挿入され、流体誘導突起162に対して所定の位置に留まり得る。他の例では、図2Eに示されるように、環状または部分的に環状の分散体140は、流路156の入口158に配置され得、その結果、血液は、環状の添加剤分散体162の中央開口部142を通過して流路156に入る。
【0088】
いくつかの例では、添加剤分散体140は、流路156の中、または、その近傍に配置される代わりに、容器本体110の容器空洞112内に、例えば、容器本体110の下方部118の内壁124に隣接して、または、容器本体110の下方部118の閉じた底部120の近くに配置され得る。血液と添加剤組成物を適切に分散または混合するために、サンプル収集容器16は、血液が、添加剤分散体140を通り過ぎて、または、通って流れること、および、添加剤組成物が血液サンプル全体に分散されることを確実にするために、さまざまな機械的または外部攪拌機構を含み得る。
【0089】
例えば、図3に示されるように、サンプル収集容器16は、血液が、流路156から容器空洞112に排出されるとき、血液を撹拌するための撹拌器具164を含み得る。図3に示されるように、撹拌器具164は、細長い部材または支柱166の周囲に延びる、螺旋状のフィンまたはブレードなどの、フィンまたはブレードであり得る。使用時には、流路156の出口160を通って排出された血液は、フィンまたはブレードに接触し、フィンまたはブレードが、支柱166の周りに回転することをもたらす。フィンまたはブレードの回転は、血液と添加剤組成物を撹拌、混合し、それによって、よく混合されたサンプルを提供する。
【0090】
図4Aを参照すると、いくつかの例では、容器本体110の底部120の近くに配置された添加剤分散体140は、一本の紐、糸、リボン、または、ワイヤなどの、柔軟な、および/または、曲げることができる細長い部材144であり得る。柔軟な細長い部材144は、添加剤組成物を塗布され、および/または、含浸させられ得る。図4Aに示されるように、細長い部材144は、細長い部材144が、多くの方向に曲がるか、または、巻回する、無秩序な、または、解かれた配置で、容器空洞112内に配置される。無秩序な配置は、細長い部材144の周囲に多くの空間、空洞、および割れ目を生成し、これは、血液が、細長い部材144の部分を容易に通過し、細長い部材144に塗布された添加剤組成物と接触して混合し得ることを意味する。
【0091】
図4Bおよび図4Cは、容器本体110の下方部118に配置された円筒形の添加剤分散体140の追加の配置を示す。先の例と同様に、図4Bおよび図4Cの添加剤分散体140は、メラミン連続気泡発泡体などの、多孔質発泡体材料から形成され得る。図4Bおよび図4Cの容器本体110は、容器本体110の下方部118の底部120が、容器本体110の下方部118の内壁124に向かって傾斜し、添加剤分散体140を収容し得るサイズとされ得る凹部168を形成する点で、先例とは異なる。容器本体110の傾斜底部120は、添加剤分散体140が凹部168に配置されたときに、細長いセンサー、プローブ、ツール、または、同様のセンサー装置が容器空洞112に挿入されて、添加剤分散体140に接触することなく血液サンプルを分析し得るように構成され得る。図4Bおよび図4Cの容器16は、また、血液サンプル中を浮くか、または、沈んで、血液サンプルを撹拌し、および/または、血液サンプル中に添加剤組成物を分散させるのを支援するように構成された、浮力のある物体または重い物体などの、撹拌部材170を含み得る。撹拌部材170は、容器空洞112内に収まり、制限なく容器空洞112内を移動し得る、任意の形状およびサイズにされ得る。例えば、撹拌部材170は、ボール、球、立方体、楕円体、円筒、または、その他の任意の便利な形状であり得る。撹拌部材170は、血液中に浮遊する任意の適切な浮力のある材料から形成され得、その結果、血液サンプルが出口160から容器空洞112に排出されるときに、撹拌部材は、容器内を上方向に移動する。撹拌部材170は、また、重い材料(すなわち、血液よりも密度が高い材料)から形成され得、その結果、血液サンプルが容器空洞112に導入されるときに、重い撹拌部材170は、容器空洞112内を下方向に移動する。
【0092】
他の例では、図4Bに示されるように、添加剤分散体140は、容器本体110の内壁124の内面172に接着させられた細長い円筒形であり得る。例えば、添加剤分散体140は、容器本体110の下方部118の中央付近の側壁124に、容器本体110の下方部118の開いた上部122と底部120との間のほぼ中間に、または、容器本体110の上方部または下方部114、118の内壁124、128上の任意の他の都合の良い位置に接着させられる。添加剤分散体140は、容器空洞112内に収容される血液サンプルと相互作用せず、血液サンプルを劣化させない、当技術分野で知られる任意の生体適合性接着剤を使用して内壁124に接着させられ得る。図4Bに示されるように、浮遊ボールまたは沈降ボールなどの撹拌部材170は、容器本体110の傾斜底部120によって形成された凹部168内に置かれている。使用時には、血液は、流路156の出口160を通過し、容器本体110の下方部118の内壁124の内面172に沿い、添加剤分散体140の周囲またはその中を通過し、容器本体110の底部120に集まる。血液が集まると、撹拌部材170が容器本体110のあちこちを移動し、それによって、血液サンプルの撹拌を促進し、特に、添加剤組成物が添加剤分散体140から放出され、収集された血液サンプル全体に分散することをもたらす。
【0093】
図4Cでは、容器16は、2つの添加剤分散体140、具体的には、容器本体110の底部120に近接して配置された、2つの小さな円筒を含む。沈降ボールまたは浮遊ボールなどの撹拌部材170は、また、先例と同様に、容器本体110の傾斜底部120によって形成された凹部168内に配置される。使用時には、血液は、流路156の出口160から容器空洞112に排出される。血液が、容器空洞112に集まると、添加剤分散体140および撹拌部材170は、容器空洞112内を移動し、添加剤組成物が放出され、収集された血液サンプル全体に分散することをもたらす。特に、撹拌部材170は、血液サンプル中を上方向(撹拌部材170が血液よりも密度の低い材料から形成される場合)、または、下方向(撹拌部材170が血液よりも重い材料から形成される場合)のいずれかに移動し得、これは、添加剤組成物が血液サンプル中に分散することをもたらす。
【0094】
図5Aおよび図5Bを参照すると、いくつかの例では、添加剤分散体140は、より大きなドーナツ形状、環状、または半環状の部材を含み得る。環状部材は、容器本体110の下方部118の内壁124の内径D1に対応する外径D2を備える周縁部と、直径D3を備える中央開口部142とを有し得る。したがって、環状の添加剤分散体140は、内壁124の内面172に接触して配置され得、その結果、血液が、重力によって、容器空洞112の底部120に向かって下方に移動するとき、内壁124の内面172に沿って流れる血液は、添加剤分散体140を通って流れるか、または、添加剤分散体140の周りを流れる。図5Cに示されるように、他の例では、添加剤分散体140は、内壁124の内面172に接着され、リングを形成するように配置された、複数の細長い円筒形部材を含み得る。例えば、図5Cに示されるように、リングを形成するように配置された、5つの円筒形部材が存在するが、一方で、他の例では、5つより少ないか、または、5つより多い円筒形部材が使用されて、リングを形成し得る。前述の例と同様に、円筒状部材は、当該技術分野で知られる、任意の都合の良い生体適合性接着剤によって、内壁124の内面172に接着させられ得る。
【0095】
いくつかの例では、図6A図7Cに示されるように、添加剤分散体140は、添加剤分散体140を、容器本体110の下方部118の中央付近、下方部118の開いた上部122と閉じた底部120との間のほぼ中間に配置する構造を含む。図6A図7Cの添加剤分散体140は、硬質プラスチックなどの硬質材料から形成され得る。添加剤分散体140は、射出成形などの、プラスチック部品の既知の製造方法によって形成され得る。添加剤分散体140は、また、前述の例と同様に、連続気泡または独立気泡発泡体部分を含み得る。図6A図7Cの添加剤分散体140は、例えば、添加剤組成物を成形部品に噴霧すること、添加剤組成物の溶液に成形部品を浸漬することによって、または、成形部品にコーティングを施すための他の既知の方法によって、添加剤組成物を塗布され得る。添加剤分散体140を、容器本体110の下方部118の中央に配置することは、血液が、添加剤組成物と混合する前に移動する距離を減少させる。具体的には、図6Aに示されるように、流路156の出口160から排出された血液は、それが、下方部118の内壁124の内面172に沿って移動するときに、添加剤分散体140と接触する。対照的に、添加剤分散体140が容器本体110の底部120に近接する例では、血液は、容器本体110の底部に集まり、これは、添加剤分散体140が、沈められるか、または、部分的に沈められると、より少ない血液が、添加剤分散体140と接触し、それは、血液サンプル中に分散させられる添加剤組成物の量を減少させることを意味する。
【0096】
図6Aおよび図6Bに示されるように、添加剤分散体140は、容器本体110の収集空洞112内に収まる大きさとされた円形のディスク174(図6Aおよび図6Bに示される)、または、部分的に円形のディスク174(図6Cに示される)を含み得、容器空洞112内で添加剤分散体140を直立姿勢で安定化する。ディスク174は、下方部118の内壁124の内面172の曲率に完全にまたは部分的に一致するか、または、実質的に対応する、周縁部176を含み、容器空洞112内でのディスク174の位置決めを維持する。本明細書で使用されるように、部分的に円形のディスク174(図6Cに示される)は、ディスク174の周縁部176の一部または部分が、湾曲するか、または、弓形であり、内壁124の内面172の曲率と一致する、ディスク174に言及する。図6Cに示されるように、ディスク174は、また、ディスク174の周縁部176が、内壁124の内面172と一致しない切り欠き部分178を含み得る。いくつかの例では、ディスク174は、また、中央開口部180を含み得、これは、血液サンプルが、ディスク174を通過し、血液サンプル全体における添加剤組成物の分布を改善する。
【0097】
いくつかの例では、添加剤分散体140は、さらに、ディスク174の上面184または下面186のいずれかから延びる、支柱182を含む。支柱182は、十字形または「x」字形のような形とされた断面を有し得、これは、通常の円形または正方形の断面を有する支柱と比較して、支柱182の表面積を増大させる。図6Aおよび図6Bに示されるように、添加剤分散体140は、ディスク174の上面184から上方向に延びる4つの支柱182(本明細書では上部支柱と称される)を含み得る。図6Cに示されるように、他の例では、添加剤分散体140は、ディスク174の上面184から延びる4本の上部支柱182と、ディスク174の下面186から下方向に延びる4本の支柱182(下部支柱と称される)とを含み得る。
【0098】
図7A図7Cは、容器本体112内に配置されたディスク174および支柱182を含む、添加剤分散体140のさらなる例を示す。図7A図7Cに示されるように、いくつかの例では、ディスク174の下面186から延びる下部支柱182は、半径方向内側に傾斜した、自由端または遠位端188を含み得る。異なる支柱182の遠位端188は、互いに接触するか、または、ほぼ接触して、実質的に、保持領域またはバスケットを形成し得る。容器16は、また、血液中で浮くか、または、沈む材料から形成された、前述の浮遊ボールまたは沈降ボールのいずれかのような、撹拌部材170(図4A図4Cに示される)を含み得る。いくつかの例では、撹拌部材170は、支柱182の内側に向いた遠位端188によって保持され得、および/または、支柱182の遠位端188によって生成されたバスケットまたは保持領域内に保持され得る。撹拌部材170は、容器空洞112内全体を移動して血液サンプルを撹拌し、血液サンプル全体にわたる添加剤組成物の分散を増加させるように構成され得る。
サンプル収集容器の能動的な混合
いくつかの例では、サンプル収集容器16内に乱流を発生させることにより、混合が達成され、添加剤組成物を血液全体に均一に分散させ、血液サンプルを安定化させる。添加剤分散体140を含む、前述のサンプル収集容器16のいずれかは、遠心分離機、ボルテックス機、または、磁気撹拌機などの、当該技術分野で知られる混合機210a、210b(図8A-10Bに示される)と共に使用され得、収集された血液サンプルに対して乱流を生成する。他の例では、添加剤組成物は、サンプル収集容器16の内壁124、128の内面172に噴霧され得る。いずれの場合でも、混合機によって生成される乱流は、添加剤組成物が添加剤分散体140および/または内壁124、128の表面から放出されることをもたらし、血液サンプル全体に分散させ、それによって、血液サンプルの安定性を向上させる。
【0099】
使用時には、前述のように、血液サンプルは、ハウジング150の流路156を介して、容器本体110の内部または容器空洞112に導入される。容器本体112の内面172、または、添加剤分散体140からの添加剤組成物は、血液が添加剤組成物と接触すると、血液サンプル中に溶解させられる。血液収集が完了し、適切な量の血液サンプルが採取されると、サンプル収集容器16は、血液収集装置10(図1A図1Eに示される)のポート26(図1A図1Eに示される)から取り外され得る。次に、蓋130は、キャップまたは上方部114の開いた上部116を覆う、閉じた位置に移動させられ、サンプル収集容器16を密閉する。次に、密封されたサンプル収集容器16は、容器本体112の底部120を、混合機のポートまたは収容部214に挿入することなどによって、混合機に取り付けられるか、または、係合させられ得る(直立姿勢と称される)。他の例では、容器16の上方部114は、収容部214に挿入され得る(倒置、または、逆向き姿勢と称される)。作動させられると、混合機は、図8Aおよび図8Bに示されるように、振動によって、または、図9A図10Bに示されるように、磁気駆動の撹拌動作によって、容器空洞112内に乱流を発生させることで、収集された血液サンプルを混合する。
【0100】
遠心分離機または振動混合機210aの概略図が、図8Aおよび図8Bに示される。図8Aおよび図8Bに示されるように、振動混合機210aは、サンプル収集容器16の底部120を収容する大きさとされた複数の収容部214を備えたトレイ212を含む。混合機210aは、また、トレイ212の下に配置され、モータ、および、モータをトレイ212に操作可能に接続する、関連する機械的リンクなどの、混合機210aの電子部品を収容する大きさとされたハウジング216、または、ベースを含む。モータが作動させられると、モータは、トレイ212が、前方/後方、および/または、左右方向経路内で移動し、容器16内の血液サンプルを振動させることをもたらす。図8Aに示されるように、ポートまたは収容部214は、サンプル収集容器16を、直立姿勢または垂直姿勢で受け入れる大きさとされる。対照的に、図8Bでは、ポートまたは収容部214は、サンプル収集容器が水平に対して角度α1だけ傾斜させられた、傾斜姿勢でサンプル収集容器を受け入れるような大きさとされる。本明細書でさらに詳しく説明されるように、逆向き遠心分離の場合、角度α1は、血液サンプルの適切な混合に寄与するように、約65度から約85度であり得る。
【0101】
図9A図10Bを参照すると、他の例では、サンプル収集容器16は、磁気駆動の撹拌動作を使用して容器112内に乱流を生成する混合機210bの収容部214に挿入される。例えば、図9A図10Bに示されるように、容器空洞112内に磁気撹拌棒218が配置される。撹拌棒218は、磁気撹拌機210bによって生成された磁力にさらされると、回転またはスピンするように構成される。混合機210bに対するサンプル収集容器16の姿勢は、撹拌棒218の回転方向を決定する。具体的には、図9Aおよび図9Bに示されるように、混合機210bは、サンプル収集容器16が機械210bの収容部214に挿入された状態で直立姿勢にあり、その結果、サンプル収集容器16の軸X1は、機械210bの軸X2に対して横断方向または実質的に横断方向である。図9Bに示されるように、機械210bが作動させられると、磁場が生成される。磁場は、磁気撹拌棒218が、サンプル収集容器16の軸X1の周りに回転することをもたらす。
【0102】
図10Aおよび図10Bでは、混合機210bは、混合機210bが、その側部に置かれる、代替姿勢にある。サンプル収集容器16は、サンプル収集容器16を保持するように方向づけられた収容部214に挿入され、その結果、サンプル収集容器16の軸X1は、機械210bの軸X2に対して斜向する(つまり、交差しない)。代わりに、サンプル収集容器16の軸X1は、混合機210bの軸X2から離間して配置される。図10Bに示されるように、混合機210bが作動させられると、発生した電磁場は、容器16内の撹拌棒218が、サンプル収集容器16の軸X1に対して横断方向または実質的に横断方向である、軸X3の周りに回転することをもたらす。
【0103】
いくつかの例では、図11Aおよび図11Bに示されるように、血液収集装置10は、血液収集装置10、および/または、サンプル収集容器16に取り付け、前述の混合機210a、210bなどの、外部またはスタンドアロンの装置を使用することなく、収集された血液サンプル内に乱流を生成する構成要素を含み得る。例えば、図11Aおよび図11Bに示されるように、電気機械式振動子などの電子装置80が、血液収集装置10の指受容部20に取り付けられ得る。電子装置80が作動させられると、指受容部20のポート26に取り付けられたサンプル収集容器16を含む、血液収集装置10全体が、振動させられ得、それによりサンプル収集容器16内に乱流を生成し得る。血液収集装置に取り付けられ得、本開示のサンプル収集容器と共に使用するように適合させられ得る、例示的な振動モジュールは、その全体において参照により組み込まれる、「振動モジュールを備えた血液収集アセンブリ」と題される、特許文献5に記載される。
【0104】
他の例では、血液収集装置10の指受容部20に取り付けられた電子装置80は、磁場を生成する磁気撹拌装置であり得る。図9A図10Bの例のように、磁場発生器が作動させられると、サンプル収集容器16内の磁気撹拌棒218(図9A図10Bに示される)は、容器16の中心軸の周り、容器本体の中心軸を横断する軸の周り、または、その他の任意の所望の向きにスピンまたは回転する。スピン棒、または、回転棒218は、サンプルを混合し、それによって、添加剤組成物が容器16全体に十分に分散されることを確実にする。
逆向き遠心分離用サンプル収集容器
いくつかの例では、サンプル収集容器16は、遠心分離機210aまたはボルテックス機などの混合機に、サンプル収集容器16が逆向き姿勢で挿入された状態の、逆向き遠心分離用に構成され得る。「逆向き遠心分離」中、サンプル収集容器16は、反転させられ、その結果、容器本体110の上方部114またはキャップ側にある全血から、血清/血漿が分離される。遠心分離後、細胞およびゲルは、キャップ側、または、上方部114内に残る。分離させられた血清は、容器本体112の下方部118に集まる。
【0105】
逆向き遠心分離によって高品質の血液サンプルを提供するために、本発明者らは、サンプル収集容器16が、標準的なサンプル収集容器から以下のように変更されるべきであることを認識した。まず、容器本体110の下方部118と、上方部114またはキャップとの間の接続部の形状を最適化して、細胞引っ掛かりと称され得る、本体の部分114、118間の接続部にある鋭いエッジまたは突出面によって、細胞が損傷されないことを確実にすることが必要であり得る。標準的な直立遠心分離に使用されるサンプル収集容器16の、容器本体110の下方部118と、上方部114またはキャップとの間の接続部190の例が、図12Aに示される。図12Aに示されるように、上方部114またはキャップは、下方部118の開いた上部122に挿入される。この配置では、上方部114またはキャップの、下端または底部126は、図12Aに参照番号190で囲まれた、環状の棚を形成する。血球が環状の縁または棚に集まり、または、引っ掛かり、血球を損傷させ、それによって、血液サンプル中の細胞溶血の量を増加させることが考えられる。
【0106】
対照的に、図12Bに示される容器16は、逆向き遠心分離用に最適化される。図12Bに示されるように、上方部114またはキャップは、容器本体110の下方部118の開いた上部122上に挿入される。さらに、下方部118の開いた上部122に近接する内壁124の内面172は先細りとされ、容器本体112の下方部118の内面172と、上方部114またはキャップの内面192との間に、滑らかな、または、平坦な遷移部を生成する。さらに、下方部118の内壁124の内面172と、上方部114またはキャップの内面192との間の接続部190は、突起を含まない。
【0107】
本発明者らは、下方部118と、上方部114またはキャップとの間に、この滑らかなまたは平坦な遷移部を設けることが、遠心分離中に容器空洞112を通る細胞粒子の移行または移動を改善することを認識した。この細胞物質の移行または移動を改善することは、溶血を減少させ、収集された血液サンプルの品質を向上させる。
【0108】
本発明者らは、また、遠心分離角度α1(すなわち、サンプル収集容器の垂直に対する角度)が、適切な血液サンプルが得られることを確実にするための重要なパラメータであり得ることを認識した。図13Aおよび図13Bは、サンプル収集容器16および遠心分離後の血液サンプルを示す概略図である。当業者には理解されるように、遠心分離は、血液サンプルが、血清層、血球層、および1つ以上のゲル層に分離することをもたらす。図13Aに示されるように、直立したサンプル収集容器16の逆向き遠心分離は(すなわち、図8Aに示されるように、上方部114またはキャップが、遠心分離機の収容部に、α1が0度の状態で、直立した姿勢で挿入されるとき)、2つのゲル層の間に血清層が生成する。
【0109】
図13Bは、逆向き遠心分離によって、約75度の角度α1で、遠心分離されたサンプル収集容器16を示す。図13Bに示されるように、ゲル層は、細胞層と血清層の間に存在する。図13Aに示される直立容器16の場合がそうであったように、血清の上にゲル層は存在しない。
【0110】
図13Cは、遠心分離角度α1と、逆向き遠心分離後のサンプル収集容器16の上方部114またはキャップ内のゲル層および細胞層の高さとの関係を示すグラフである。図13Cに示されるように、遠心角度α1が増加するにつれて、細胞とゲル層の高さは減少する。図13Cに示される測定結果に基づいて、本発明者らは、適切なサンプル分離を行わせるためには(すなわち、細胞と血清との間に明確な分離バリアを形成するためには)、遠心分離角度α1が約65度-約85度の間であるべきと判断した。角度α1が約85度より大きい場合、分離された血清の頂部上でのゲルの形成のリスクが存在することが判明し、これは、図13Aに模式的に示される。逆に、角度α1が約65度未満の場合、ゲルバリアが容器本体110の下方部118と上方部114またはキャップとの間の接続部190(図13Bに図示)を横切る可能性があり、これは、血液サンプルにアクセスするための上方部114の取り外しに影響を及ぼすであろう。対照的に、図13Bに示される層の配置、すなわち、ゲル層が容器本体112の下方部118と上方部114またはキャップとの間の接続部190を横切らない配置が好ましい。
サンプル収集容器と潤滑剤
いくつかの例では、本発明者らは、容器本体110の下方部118と上方部114またはキャップとの間の接続部190に、疎水性コーティングを提供することが必要であり得ることを認識した。例えば、コーティングは、血液に対する疎水性バリアを形成する、潤滑剤または界面活性剤であり、それによって、下方部118と上方部114またはキャップとの間の接続部190における細胞の引っ掛かりを軽減させ得る。前述されるように、細胞の引っ掛かりを減少させることは、向上した血液サンプルの品質に貢献する細胞を保存する。いくつかの例では、潤滑剤は、シリコーン流体(例えば、ポリジメチルシロキサン)などの、血液細胞と相互作用せず、血液細胞によって吸収されない生体適合性潤滑剤であり得る。良質の血液サンプルを提供するために必要とされる接続部190での潤滑剤の量は、接続部190および容器本体110のサイズ、形状、および、幾何学的形状に基づいて、当業者によって決定されるであろう。良好なサンプル品質を確実にするために、いくつかの例では、少なくとも約0.5mgの潤滑剤、または、好ましくは約0.5mgから約2.0mgの潤滑剤が、接続部190に提供される。
【0111】
図14は、サンプル収集容器16の下方部118と、上方部114またはキャップとの間の接続部190に潤滑剤を提供することの効果を示すグラフである。図14に示されるように、バキュテナーチューブ(すなわち、接続部を備えない一体型チューブ)の場合、血液サンプル中の溶血量は、非常に低い(2.33mg/dL)。しかし、本明細書に開示される、容器本体112の下方部118と、上方部114またはキャップとの間に、接続部190を備えるサンプル収集容器16のいずれかのような、2ピースのサンプル収集容器が使用されるとき、溶血の量が増加する。具体的には、どの潤滑剤も備えない2ピースサンプル収集容器内の血液サンプルが、逆向き遠心分離で遠心分離されると、溶血量は、16.42mg/dLに増加する。下方部118と、上方部114またはキャップとの間の接続部190に、潤滑剤が塗布されると、溶血量は減少する。特に、多量のSF96潤滑剤(約1.3mgの潤滑剤)が接続部190に塗布されると、溶血量は、3.34mg/dLである。したがって、0.5-5mg/dLの量の潤滑剤が、任意の細胞の引っ掛かり、および、逆向き遠心分離後の溶血レベルを最小限とすることを支援することが理解される。
【0112】
本開示のサンプル収集容器および血液収集装置のさまざまな例が、添付の図面に示され、上記で詳細に説明されるが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、他の例が、当業者には明らかであり、当業者によって容易に作成されるであろう。したがって、前述の説明は、限定的ではなく、例示的であることを意図される。上述の発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の意味および均等の範囲内に含まれる、発明に対するすべての変更は、その範囲内に包含されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14
【国際調査報告】