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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】エアロゾル形成装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20241010BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241010BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522587
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2022129353
(87)【国際公開番号】W WO2023093484
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111423274.8
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杜 賢武
(72)【発明者】
【氏名】李 歓喜
(72)【発明者】
【氏名】胡 耀斌
(72)【発明者】
【氏名】李 日紅
(72)【発明者】
【氏名】周 宏明
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は加熱アセンブリ(30)及びエアロゾル生成装置を提供する。該加熱アセンブリ(30)は、エアロゾル生成製品(A)を挿入するためのベース体(31)と、ベース体(31)の外部の周りに位置し、加熱時に赤外線を放射することによりエアロゾル生成製品(A)を加熱して霧化させるための赤外線層(32)と、ベース体(31)の外部の周りに位置し、通電時に赤外線層(32)を加熱するための加熱素子(33)と、を備える。加熱アセンブリ(30)は加熱効率を効果的に向上させ、且つ加熱均一性が比較的高く、エアロゾル生成製品(A)が部分的に高温になって焼き焦げる問題を回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱アセンブリであって、
エアロゾル生成製品を挿入するためのベース体と、
前記ベース体の外部の周りに位置し、加熱時に赤外線を放射することにより前記エアロゾル生成製品を加熱して霧化させるための赤外線層と、
前記ベース体の外部の周りに位置し、通電時に前記赤外線層を加熱するための加熱素子と、を備える加熱アセンブリ。
【請求項2】
前記加熱素子は加熱層であり、前記加熱層が前記ベース体の外表面に設置されて前記ベース体と絶縁されており、前記赤外線層が前記加熱層の前記ベース体から離れる側の表面に設置される請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項3】
前記赤外線層の厚さが10~100マイクロメートルであり、且つ前記赤外線層の前記ベース体から離れる側の表面にマイクロナノ構造が形成される請求項2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項4】
前記赤外線層の材質はブラックシリコン、菫青石、遷移金属酸化物系尖晶石、希土類酸化物、イオン共ドープペロブスカイト、炭化ケイ素、ジルコン及び窒化ホウ素のうちの1つ又は複数を含む請求項2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項5】
前記赤外線層の厚さが1~10マイクロメートルであり、前記赤外線層の材質がCrC、TiCN又はダイヤモンドライクカーボンである請求項2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項6】
前記赤外線層は前記ベース体の外表面に設置され、前記加熱素子は加熱層であり、前記加熱層が前記赤外線層の前記ベース体から離れる表面に設置される請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項7】
前記加熱層の前記赤外線層から離れる側の表面に設置され、且つ赤外線が透過可能であり、前記加熱層を保護するための保護層を更に備える請求項6に記載の加熱アセンブリ。
【請求項8】
前記保護層の厚さが5~60マイクロメートルであり、前記保護層の前記ベース体から離れる側の表面にマイクロナノ構造が形成される請求項7に記載の加熱アセンブリ。
【請求項9】
前記赤外線層が前記ベース体の外表面全体を覆っており、前記加熱層と前記赤外線層との面積の比が40%よりも小さい請求項6に記載の加熱アセンブリ。
【請求項10】
前記赤外線層と前記加熱層との間に設置される遷移層を更に備える請求項2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項11】
前記加熱層の厚さが5~20マイクロメートルである請求項2に記載の加熱アセンブリ。
【請求項12】
前記ベース体がシート状、針状又はバー状を呈し、前記針状又はバー状のベース体の径方向寸法が1.8~2.5ミリメートルである請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項13】
前記ベース体が絶縁材質である請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項14】
前記絶縁材質がセラミックである請求項13に記載の加熱アセンブリ。
【請求項15】
前記ベース体は導電性本体と、前記導電性本体の外表面に設置される絶縁層とを含む請求項1に記載の加熱アセンブリ。
【請求項16】
前記導電性本体がシート状、針状又はバー状を呈し、且つ前記導電性本体の材質が金属である請求項15に記載の加熱アセンブリ。
【請求項17】
エアロゾル生成装置であって、
請求項1に記載の加熱アセンブリであり、通電時にエアロゾル生成製品を加熱して霧化させるための加熱アセンブリと、
前記加熱アセンブリに接続され、前記加熱アセンブリへ給電するための電源アセンブリと、を備えるエアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年11月26日に提出した中国特許出願第2021114232748号の優先権を主張し、ここで、その全ての記載内容が援用により本願に取り込まれる。
【0002】
本発明は電子霧化装置の技術分野に関し、特に加熱アセンブリ及びエアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
加熱非燃焼(HNB、Heat Not Burning)式のエアロゾル生成装置は安全且つ容易に使用でき、ヘルシーで、環境に優しいという利点を有するため、ますます人々に注目及び支持されている。
【0004】
既存の加熱非燃焼式のエアロゾル生成装置は一般的に加熱アセンブリ及び電源アセンブリを備え、加熱アセンブリが通電時にエアロゾル生成製品を加熱して霧化させるためのものであり、電源アセンブリが加熱アセンブリに接続され、加熱アセンブリへ給電するためのものである。現在、加熱アセンブリは一般的に熱伝導によりエアロゾル生成製品を加熱して霧化させることでエアロゾルを形成する。
【0005】
ところが、熱伝導によりエアロゾル生成製品を加熱すれば、部分的に高温になってエアロゾル生成製品が焼き焦げる問題が発生しやすく、そして、エアロゾル生成製品の熱伝導効率が比較的低いため、エアロゾル生成製品の内外温度差が比較的大きくて、加熱均一性が比較的低く、それにより吸い感に影響するだけでなく、エアロゾル生成製品の利用率が比較的低くて予熱時間も比較的長い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願に係る加熱アセンブリ及びエアロゾル生成装置は、既存の加熱アセンブリが熱伝導によりエアロゾル生成製品を加熱すれば、エアロゾル生成製品が焼き焦げ、及びエアロゾル生成製品の加熱均一性が比較的低い問題が発生しやすいという課題を解決するように意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的問題を解決するために、本願が用いる1つの技術案は加熱アセンブリを提供することである。該加熱アセンブリは、エアロゾル生成製品を挿入するためのベース体と、前記ベース体の外部の周りに位置し、加熱時に赤外線を放射することにより前記エアロゾル生成製品を加熱して霧化させるための赤外線層と、前記ベース体の外部の周りに位置し、通電時に前記赤外線層を加熱するための加熱素子と、を備える。
【0008】
前記加熱素子は加熱層であり、前記加熱層が前記ベース体の外表面に設置されて前記ベース体と絶縁されており、前記赤外線層が前記加熱層の前記ベース体から離れる側の表面に設置される。
【0009】
前記赤外線層の厚さが10~100マイクロメートルであり、且つ前記赤外線層の前記ベース体から離れる側の表面にマイクロナノ構造が形成される。
【0010】
前記赤外線層の材質はブラックシリコン、菫青石、遷移金属酸化物系尖晶石、希土類酸化物、イオン共ドープペロブスカイト、炭化ケイ素、ジルコン及び窒化ホウ素のうちの1つ又は複数を含む。
【0011】
前記赤外線層の厚さが1~10マイクロメートルであり、前記赤外線層の材質がCrC、TiCN又はダイヤモンドライクカーボンである。
【0012】
前記赤外線層は前記ベース体の外表面に設置され、前記加熱素子は加熱層であり、前記加熱層が前記赤外線層の前記ベース体から離れる表面に設置される。
【0013】
前記加熱層の前記赤外線層から離れる側の表面に設置され、且つ赤外線が透過可能であり、前記加熱層を保護するための保護層を更に備える。
【0014】
前記保護層の厚さが5~60マイクロメートルであり、前記保護層の前記ベース体から離れる側の表面にマイクロナノ構造が形成される。
【0015】
前記赤外線層が前記ベース体の外表面全体を覆っており、前記加熱層と前記赤外線層との面積の比が40%よりも小さい。
【0016】
前記赤外線層と前記加熱層との間に設置される遷移層を更に備える。
【0017】
前記加熱層の厚さが5~20マイクロメートルである。
【0018】
前記ベース体がシート状、針状又はバー状を呈し、前記針状又はバー状のベース体の径方向寸法が1.8~2.5ミリメートルである。
【0019】
前記ベース体が絶縁材質である。
【0020】
前記絶縁材質がセラミックである。
【0021】
前記ベース体は導電性本体と、前記導電性本体の外表面に設置される絶縁層とを含む。
【0022】
前記導電性本体がシート状、針状又はバー状を呈し、且つ前記導電性本体の材質が金属である。
【0023】
上記技術的問題を解決するために、本願が用いる別の技術案はエアロゾル生成装置を提供することである。該エアロゾル生成装置は、以上に関わる加熱アセンブリであり、通電時にエアロゾル生成製品を加熱して霧化させるための加熱アセンブリと、前記加熱アセンブリに接続され、前記加熱アセンブリへ給電するための電源アセンブリと、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本願の実施例に係る加熱アセンブリ及びエアロゾル生成装置において、該加熱アセンブリはベース体を提供することでベース体によりエアロゾル生成製品を挿入するとともに、ベース体の外部にベース体の周りに赤外線層を設置することで赤外線層が加熱される際に赤外線を放射し、それにより放射された赤外線でエアロゾル生成製品を加熱して霧化させるのであり、赤外線の放射能力が比較的高いため、エアロゾル生成製品の予熱効率を向上させることができるだけでなく、エアロゾル生成製品の内外温度差を効果的に低減させることもでき、これにより、エアロゾル生成製品の加熱均一性を向上させ、部分的に高温になってエアロゾル生成製品が焼き焦げる問題の発生を回避する。また、ベース体の外部にベース体の周りに加熱素子を設置することで加熱素子に通電する際に赤外線層を加熱して、赤外線層に赤外線を放射させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願の一実施例に係るエアロゾル生成装置の構造模式図である。
図2】針状の加熱アセンブリの構造模式図である。
図3a図2に示される加熱アセンブリの第1実施例の横断面図である。
図3b図2に示される加熱アセンブリの第1実施例の縦断面図である。
図4a図2に示される加熱アセンブリの第2実施例の横断面図である。
図4b図2に示される加熱アセンブリの第2実施例の縦断面図である。
図5】シート状の加熱アセンブリの構造模式図である。
図6図5に示される加熱アセンブリの第1実施例の縦断面図である。
図7図5に示される加熱アセンブリの第2実施例の縦断面図である。
図8図5に示される加熱アセンブリの第3実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら本願の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。無論、説明される実施例は本願の実施例の一部であり、実施例の全部ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得する他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0027】
本願の用語「第1」、「第2」、「第3」は説明のためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示し、又は指示される技術的特徴の数を暗に示すものと理解されるべきではない。これにより、「第1」、「第2」、「第3」で限定された特徴は少なくとも1つの該特徴を明示又は暗示的に含んでもよい。本願の説明において、特に明確且つ具体的に限定しない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。本願の実施例における全ての方向性指示(例えば、上、下、左、右、前、後…)はある特定の姿勢(図示のように)における各部材間の相対的位置関係、運動状況などを解釈するためのものに過ぎず、該特定の姿勢が変わる場合、該方向性指示も対応して変わる。また、用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は非排他的包含を含むように意図される。例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は装置は列挙したステップ又はユニットに限定されず、更に列挙しないステップ又はユニットを含むことが好ましく、又は、更にこれらの過程、方法、製品又は装置固有の他のステップ又はユニットを含むことが好ましい。
【0028】
本明細書に言及した「実施例」は、実施例を参照して説明した特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の各箇所に該用語が出現することは必ずいずれも同じ実施例を指すとは限らず、他の実施例と排他性のある独立した又は代替の実施例でもない。当業者であれば明示的又は暗示的に理解されるように、本明細書に説明される実施例が他の実施例と組み合わせられてもよい。
【0029】
以下、図面を参照しながら実施例によって本願を詳しく説明する。
【0030】
図1を参照し、図1は本願の一実施例に係るエアロゾル生成装置の構造模式図であり、本実施例では、エアロゾル生成装置を提供し、該エアロゾル生成装置の構造はチャンバ、電源アセンブリ10、回路20及び加熱アセンブリ30を備える。
【0031】
エアロゾル生成製品Aはチャンバ内に取り外し可能に収容される。エアロゾル生成製品Aは加熱時に基質から揮発性化合物を放出するタバコ含有の材料を用いることが好ましく、又は加熱後に電気加熱による発煙に適する非タバコ材料であってもよい。エアロゾル生成製品Aは固体基質を用いることが好ましく、該固体基質はハーブの葉、タバコの葉、均質化タバコ、膨張タバコのうちの1種類又は複数種類の粉末、粒子、破片・細切れ、ストリップ又はシートのうちの1種類又は複数種類を含んでもよく、又は熱の影響を受けた際に放出するように追加のタバコ又は非タバコの揮発性香り化合物を含んでもよい。
【0032】
加熱アセンブリ30は少なくとも一部がチャンバ内まで延在し、且つエアロゾル生成製品Aがチャンバ内に収容される場合にエアロゾル生成製品A内に挿入されて加熱を行い、それによりエアロゾル生成製品Aに複数種類の揮発性化合物を放出させ、且つこれらの揮発性化合物が加熱処理だけで形成される。電源アセンブリ10は給電のためのものであり、回路20は電源アセンブリ10と加熱アセンブリ30との間で電流を案内するためのものである。該加熱アセンブリ30は以下の実施例に関わる加熱アセンブリ30a/30bであってもよい。
【0033】
既存の加熱アセンブリは一般的に熱伝導によりエアロゾル生成製品を加熱する。しかしながら、該方式によれば、エアロゾル生成製品Aの加熱アセンブリに接触する部分が部分的に高温になって、該部分のエアロゾル生成製品Aが焼き焦げる問題が発生しやすい。それと同時に、エアロゾル生成製品Aの熱伝導効率が比較的低いため、予熱時間が比較的長いだけでなく、エアロゾル生成製品Aの加熱アセンブリに接触する部分と加熱アセンブリから離れる部分との温度差も比較的大きく、更にエアロゾル生成製品Aの加熱均一性が比較的低く、このようにすれば、吸い感に影響するだけでなく、エアロゾル生成製品Aの利用率も比較的低い。
【0034】
上記技術的問題を解決するために、本願の実施例は加熱アセンブリ30a/30bを提供する。該加熱アセンブリ30a/30bは通電時に赤外線を放射することで赤外線でエアロゾル生成製品Aを加熱し、赤外線の放射能力が比較的高いため、エアロゾル生成製品Aの予熱効率を向上させることができるだけでなく、エアロゾル生成製品Aの内外温度差を効果的に低減させることもでき、これにより、エアロゾル生成製品Aの加熱均一性を向上させ、部分的に高温になってエアロゾル生成製品Aが焼き焦げる問題の発生を回避する。
【0035】
図2を参照し、図2は針状の加熱アセンブリ30aの構造模式図であり、図3aは図2に示される加熱アセンブリ30aの第1実施例の横断面図であり、図3bは図2に示される加熱アセンブリ30aの第1実施例の縦断面図である。第1実施例では、加熱アセンブリ30aを提供し、該加熱アセンブリ30aはバー状又は針状を呈し、異なる分野例えば電子タバコ、医療、美容などの分野に適用され得る。該加熱アセンブリ30aはベース体31、赤外線層32及び加熱素子33を備える。本願に関わる縦方向は加熱アセンブリ30a/30bの長さ方向を指し、横方向は加熱アセンブリ30a/30bの長さ方向に垂直である方向を指す。
【0036】
ベース体31はエアロゾル生成製品Aを挿入するためのものである。エアロゾル生成製品Aは植物の草の葉のような基質又はペースト状の基質などであってもよい。図2に示すように、ベース体31は具体的に中実のバー状又は針状を呈し、それによりベース体31の強度を強化する。針状又はバー状のベース体31の径方向寸法は1.8~2.5ミリメートルであってもよい。ベース体31の材質は具体的にセラミック、石英ガラス、雲母などの高温に耐えられる絶縁材料であってもよく、それにより2つの電極が短絡することを防止し、該第1実施例はこの場合を例とする。好ましくは、ベース体31は透明石英であってもよい。具体的に、ベース体31は軸方向に接続される本体部及び挿入部を含んでもよい。挿入部は本体部から離れる方向に沿って徐々に小さくなり、ベース体31のエアロゾル生成製品Aへの挿入過程において、ベース体31の挿入部は先にエアロゾル生成製品Aに挿入され、それにより挿入抵抗を低減する。
【0037】
加熱素子33は加熱層であり、加熱層の厚さが5~20マイクロメートルであってもよい。一実施形態では、図3a及び図3bに示すように、加熱素子33はベース体31の外表面に設置され、通電時に赤外線層32を加熱するためのものである。具体的に、加熱素子33は蒸着、ワイヤ印刷、スパッタリング、塗布、印刷などの方式でベース体31の外表面全体に形成されてもよい。ベース体31の外表面はベース体31の側面を指し、上端面及び下端面を含まず、本願の実施例はいずれもこの場合を例とする。該実施例では、加熱素子33の2つの所定位置に2つの電極を設置してもよく、2つの電極はそれぞれ正極リード線及び負極リード線に接続するためのものであり、それにより電源アセンブリに接続する。当然ながら、他の実施例では、ベース体31の外表面はベース体31の側面及び上下端面を指してもよい。該加熱素子33はベース体31の周方向に沿って切欠を有する円弧形状を呈してもよく、加熱素子33の切欠の位置する両端は2つの電極として形成されてもよく、それにより正極リード線及び負極リード線に接続し、本願はこれを制限しない。具体的に、加熱素子33は具体的に発熱膜、例えば銀パラジウム、ルテニウム系、金スラリーなどの貴金属電子スラリー及び卑金属電子スラリー発熱膜層であってもよい。
【0038】
該実施形態では、赤外線層32は加熱素子33のベース体31から離れる表面に設置され、且つベース体31の外表面全体の周りに設置され、加熱時に赤外線を放射することによりエアロゾル生成製品Aを加熱して霧化させるためのものであり、それにより放射された赤外線でエアロゾル生成製品Aを加熱して霧化させ、更に加熱効率を効果的に向上させ、且つ加熱均一性が比較的高く、エアロゾル生成製品Aが部分的に高温になって焼き焦げる問題を回避する。なお、本願の実施例に関わる赤外線層32は、それ自体が発熱せず、加熱素子33により通電発熱してから熱を赤外線層32に伝達した後で、赤外線層32自体の温度も変わる。
【0039】
加熱素子33及び赤外線層32をいずれもベース体31の外表面全体の周りに設置することにより、加熱素子33に通電した後、該加熱アセンブリ30aがベース体31の周方向に沿って赤外線を均一に放射できることが確保され、それによりエアロゾル生成製品Aを挿入した後、ベース体31の周方向に沿ってエアロゾル生成製品Aを均一に加熱でき、部分的に加熱されて焼き焦げて吸い感に影響することを回避する。
【0040】
具体的な実施例では、該赤外線層32は具体的に赤外線発熱膜例えば赤外線セラミック被膜であってもよい。当然ながら、赤外線層32は更に金属層、導電性セラミック層又は導電性炭素層であってもよい。赤外線層32の形状は連続した膜状、多孔質のメッシュ状又はストリップ状であってもよい。赤外線層32の材料、形状及び大きさは必要に応じて設定されてもよい。赤外線加熱波長が2.5um~20umであり、エアロゾル形成基質を加熱する特徴に対して、一般的に加熱温度が350°C以上である必要があり、エネルギー放射の極値が主に3~5um波長域にある。
【0041】
具体的な実施形態では、赤外線層32の厚さが10~100マイクロメートルである。好ましくは、赤外線層32の厚さが20~40マイクロメートルである。該実施形態では、赤外線層32が厚膜印刷方式で製造されてもよい。赤外線層32の材質はブラックシリコン、菫青石、遷移金属酸化物系尖晶石、希土類酸化物、イオン共ドープペロブスカイト、炭化ケイ素、ジルコン及び窒化ホウ素のうちの1つ又は複数を含む。
【0042】
別の具体的な実施形態では、赤外線層32の厚さは20~500マイクロメートルであり、好ましくは、10~100マイクロメートルであってもよい。該具体的な実施形態では、赤外線層32はテープキャスティング方式で製造されてもよく、生テープを更にベース体31と一体に一体焼成し、生産操作性が比較的高い。該実施形態では、赤外線層32のベース体31から離れる側の表面にマイクロナノ構造が形成され、それによりエアロゾル生成製品Aの接着を減少させ、その後の加熱アセンブリ30aの洗浄を容易にし、ユーザー体験を向上させる。具体的に、該マイクロナノ構造はテープキャスティング・乾燥の後で生テープにパターンをレーザーでレーザー彫刻することにより形成されてもよく、且つマイクロナノ構造は円形、菱形、六角形などの複数種類のパターンであってもよい。パターンの辺長の寸法は0.1~1ミリメートルであってもよい。
【0043】
更に別の実施形態では、赤外線層32の厚さが1~10マイクロメートルであり、好ましくは、赤外線層32の厚さが1~5マイクロメートルである。該実施形態では、赤外線層32が具体的に薄膜コートフィルムである。赤外線層32の材質がCrC、TiCN、ダイヤモンドライクカーボン薄膜(DLC)である。
【0044】
更に、図3a及び図3bに示すように、該加熱アセンブリ30aは遷移層35を更に備え、該遷移層35は赤外線層32と加熱層との間に設置され、且つベース体31の周方向の周りに一回り設置されてもよく、加熱層と赤外線層32との間の膨張係数を緩和して、加熱アセンブリ30a全体の平坦性を向上させるためのものである。具体的に、遷移層35の厚さが5~10マイクロメートルであってもよく、その材質が具体的にSiO又はケイ酸塩ガラスであってもよい。
【0045】
本願の実施例に係る加熱アセンブリ30aは、ベース体31を提供することでベース体31によりエアロゾル生成製品Aを挿入するとともに、ベース体31の外表面に加熱素子33及び赤外線層32を順次設置することで加熱素子33に通電している際に赤外線層32を加熱し、赤外線層32に赤外線を放射させ、それにより放射された赤外線でエアロゾル生成製品Aを加熱して霧化させ、更に加熱効率を効果的に向上させ、且つ加熱均一性が比較的高く、エアロゾル生成製品Aが部分的に高温になって焼き焦げる問題を回避する。赤外線層32を加熱素子33のベース体31から離れる表面に設置することにより、加熱素子33が放射された赤外線を遮断することを回避することができ、加熱効率を向上させ、また、赤外線層32と保護層34との間に遷移層35を設置することは、赤外線層32と加熱素子33との接着に寄与し、加熱アセンブリ30a全体の平坦性を向上させる。
【0046】
第2実施例では、図4a及び図4bを参照し、図4aは図2に示される加熱アセンブリ30aの第2実施例の横断面図であり、図4bは図2に示される加熱アセンブリ30aの第2実施例の縦断面図であり、別の加熱アセンブリ30aを提供し、上記第1実施例に係る加熱アセンブリ30aとの相違点は、赤外線層32がベース体31の外表面に設置され、加熱素子33が赤外線層32のベース体31から離れる側の表面に設置されることである。
【0047】
更に、図4a及び図4bに示すように、上記第1実施例との相違点は、加熱アセンブリ30aは保護層34を更に備え、保護層34は加熱素子33の赤外線層32から離れる側の表面に設置され、且つ赤外線が透過可能であり、加熱素子33を保護及び密閉するためのものであり、それによりエアロゾル生成製品Aの挿入過程において加熱素子33が擦られる問題の発生を回避することである。該実施例では、マイクロナノ構造は具体的に該保護層34のベース体31から離れる側の表面に形成される。マイクロナノ構造の具体的な形成方式は具体的に上記実施例のマイクロナノ構造の形成方式と類似する。具体的に、該保護層34が保護ガラス層であってもよい。保護層34の材質が具体的に赤外線透過ガラスであってもよい。該保護層34の厚さが5~60マイクロメートルであってもよい。
【0048】
赤外線層32がベース体31の外表面全体を覆っており、加熱素子33と赤外線層32との面積の比が閾値よりも小さく、それにより加熱アセンブリ30aが一定の加熱効率を有するとともに、放射赤外線加熱比率を増加させることが確保され、このようにすれば、エアロゾル生成製品Aの温度場の均一性を向上させ、且つエアロゾル生成製品Aを霧化させて形成したエアロゾルの吸い感を向上させこと、及びエアロゾル生成製品Aの利用率を向上させることに寄与する。閾値が30%~50%であってもよく、好ましくは、閾値が40%であってもよい。
【0049】
なお、上記赤外線層32、加熱素子33、保護層34及び遷移層35は具体的にベース体31の本体部の周りに設置されてもよく、ベース体31の挿入部の外表面に1層の保護層を設置することにより挿入部を保護することができる。当然ながら、赤外線層32及び/又は加熱素子33、保護層34並びに遷移層35もベース体31の外表面全体の周りに設置されてもよく、本願はこれを制限しない。
【0050】
本実施例に係る加熱アセンブリ30aは、保護層34を更に設置することで加熱素子33を保護して、エアロゾル生成製品Aで擦られる問題の発生を防止することができるとともに、加熱素子33と赤外線層32との面積の比を閾値よりも小さくすることで放射線における赤外線の比率を増加させて、更にエアロゾル生成製品Aの加熱均一性を確保することができる。
【0051】
第3実施例では、図5及び図6を参照し、図5はシート状の加熱アセンブリ30bの構造模式図であり、図6図5に示される加熱アセンブリ30bの第1実施例の縦断面図であり、上記第1実施例及び第2実施例に係る加熱アセンブリ30aとの相違点は、ベース体31がシート状即ち板状を呈し、且つベース体31が導電性本体311と、導電性本体311の外表面に設置される絶縁層312とを含むことである。
【0052】
導電性本体311はエアロゾル生成製品Aを挿入するためのものである。該導電性本体311がシート状を呈し、且つ導電性本体311の材質がSUS430、SUS444などの型番のステンレスであってもよく、それにより導電性本体311全体の強度を向上させ、導電性本体311がエアロゾル生成製品Aへの挿入過程において折り曲げられ又は破断される問題の発生を回避する。絶縁層312がガラス絶縁層312であってもよく、絶縁層312の厚さが5~20マイクロメートルであってもよく、好ましくは、絶縁層312の厚さが5~10マイクロメートルであってもよい。
【0053】
該実施例では、図6に示すように、具体的な実施形態では、加熱素子33は絶縁層312のベース体31から離れる側の表面に形成され、具体的に蒸着又はワイヤ印刷の方式で形成されてもよく、赤外線層32は加熱素子33の絶縁層312から離れる側の表面に設置され、且つ加熱アセンブリ30aの最外層に覆われる。赤外線層32は厚さが10~40マイクロメートルの厚膜赤外線層32であってもよく、厚膜赤外線層32の材質はブラックシリコン、菫青石、遷移金属酸化物系尖晶石、希土類酸化物、イオン共ドープペロブスカイト、炭化ケイ素、ジルコン及び窒化ホウ素のうちの1つ又は複数を含む。
【0054】
別の具体的な実施形態では、図7を参照する。図7図5に示される加熱アセンブリ30bの第2実施例の縦断面図であり、絶縁層312が物理気相成長(PVD、Physical Vapor Deposition)の方式で導電性本体311の表面に形成されてもよい。絶縁層312の厚さが1~5マイクロメートルであってもよい。加熱素子33が蒸着の方式で絶縁層312の導電性本体311から離れる表面に形成されてもよい。該実施形態では、加熱アセンブリ30bは遷移層35を更に備え、該遷移層35がPVD蒸着の方式で加熱素子33の絶縁層312から離れる側の表面に形成されてもよく、具体的に、該遷移層35の材質が絶縁層312の材質と同じであってもよい。該遷移層35の厚さは1~5マイクロメートルであってもよく、好ましくは、1~2マイクロメートルであってもよい。更に、該実施形態では、赤外線層32が遷移層35の加熱素子33から離れる側の表面に形成される。赤外線層32もPVD蒸着方式で形成されてもよい。該赤外線層32の厚さは1~5マイクロメートルであってもよく、好ましくは、1~2マイクロメートルであってもよい。該赤外線層32の材質がCrC、TiCN、ダイヤモンドライクカーボン薄膜(DLC)である。
【0055】
更に別の実施形態では、図8図5に示される加熱アセンブリ30bの第3実施例の縦断面図である。赤外線層32がベース体31の表面に設置され、加熱素子33が赤外線層32のベース体31から離れる側の表面に設置される。該実施例では、加熱アセンブリ30bは保護層34を更に備え、保護層34が加熱素子33の赤外線層32から離れる側の表面に設置されることにより加熱素子33を保護する。該保護層34は具体的に赤外線透過ガラスであってもよく、その具体的な構造及び機能が上記第2実施例の保護層34の具体的な構造及び機能と類似し、具体的に以上の説明を参照してもよい。
【0056】
なお、本実施例に対応する赤外線層32、加熱素子33、保護層34及び遷移層35は具体的にベース体31の片側の表面に形成されてもよく、このようにすれば、コストを節約することができ、当然ながら、ベース体31の互いに背を向けた2つの表面にもいずれも赤外線層32及び/又は加熱素子33、保護層34、遷移層35が形成されてもよく、それにより加熱均一性を実現する。ベース体31の表面は具体的に板状のベース体31の上表面又は下表面を指し、厚さに対応する側面ではない。
【0057】
本実施例に係る加熱アセンブリ30bは、導電性本体311の材質をステンレスにすることにより、導電性本体311全体の強度を効果的に向上させて、導電性本体311がエアロゾル生成製品Aへの挿入過程において折り曲げられ又は破断される問題の発生を回避することができる。それと同時に、バー状又は針状のベース体31に比べて、導電性本体311をシート状にすることは、ベース体31の表面積を大幅に増加させ、且つエアロゾル生成製品Aの温度場の均一性を向上させ、更に霧化して形成したエアロゾルの吸い感を向上させることに寄与する。
【0058】
具体的に、上記いずれか1つの実施例に係る加熱素子33は更に抵抗温度係数(TCR)特性を有してもよく、温度センサとされてもよい。即ち、加熱素子33の抵抗値はその温度値と単調な1対1の対応関係を有する。例えば、加熱素子33の抵抗値はその温度値の増加につれて増加し、又は、加熱素子33の抵抗値はその温度値の増加につれて減少する。このようにすれば、該加熱アセンブリ30a/30bは加熱素子33の抵抗値を検出することにより加熱アセンブリ30a/30bの温度値を監視し、更に加熱アセンブリ30a/30bの温度場を制御することができ、それにより吸い感を最適にする効果を実現する。従来技術における測温センサなどの測温素子を別途に設置する必要がある解決手段に比べて、加熱素子33が層状を呈するため、直接にベース体31又は赤外線層32の表面に蒸着されてもよく、ベース体31又は赤外線層32の表面に取付溝を設置し、又はボルト又はねじなどの固定部材で取付固定する必要がなく、それにより該加熱素子33が容易に設置できるだけでなく、占有空間も比較的小さい。また、該加熱素子33が実際の必要に応じてベース体31又は赤外線層32のいくつかの特定の位置を覆うか、又はより広い範囲面積のベース体31又は赤外線層32の表面を覆うかを選択してもよいため、ベース体31及び/又は赤外線層32の表面の特定の領域を測温することができ、測温精度が比較的高く、且つベース体31及び/又は赤外線層32のほとんどの領域を測温することができ、加熱アセンブリ30a/30bの測温範囲を効果的に広げる。
【0059】
具体的な実施例では、加熱素子33は少なくとも加熱アセンブリ30a/30bの最高温度領域を覆うことができ、それにより一部の温度が高すぎてエアロゾル生成製品Aの加熱時の吸い感に影響する問題の発生を回避する。理解されるように、具体的な実施例では、加熱アセンブリ30a/30bの最高温度領域がベース体31のある領域に対応する場合、加熱素子33が少なくともベース体31の該位置を覆っており、加熱アセンブリ30a/30bの最高温度領域が赤外線層32のある位置に対応する場合、加熱素子33が少なくとも赤外線層32の該位置を覆う。
【0060】
以上は単に本願の実施形態であり、本願の特許範囲を制限するものではなく、本願の明細書及び図面内容を利用して成される等価構造又は等価プロセス変換、又は他の関連する技術分野への直接又は間接的応用は、いずれも同様に本願の特許保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
A エアロゾル生成製品
10 電源アセンブリ
20 回路
30/30a/30b 加熱アセンブリ
31 ベース体
311 導電性本体
312 絶縁層
32 赤外線層
33 加熱素子
34 保護層
35 遷移層
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】