IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシーの特許一覧

特表2024-538144ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法
<>
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図1
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図2
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図3
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図4
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図5
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図6
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図7
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図8
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図9
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図10
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図11
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図12
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図13
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図14
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図15
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図16
  • 特表-ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ポリリボヌクレオチドを精製するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
C12N15/10 Z
C12N15/10 110Z
C12N15/10 114Z
C12N15/10 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522631
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 US2022046969
(87)【国際公開番号】W WO2023069397
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/256,703
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダドキン, ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ペク, キ ヨン
(57)【要約】
本開示は、ポリリボヌクレオチドを分離及び/又は精製するための組成物及び方法に関する。ポリリボヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドとポリリボヌクレオチドの標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドとの混合物から分離することができ、治療薬としての使用として利用可能であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的領域を含む線状ポリリボヌクレオチドを、線状ポリリボヌクレオチド及び環状ポリリボヌクレオチドの混合物を含む複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法であって、
(a)前記複数のポリリボヌクレオチドであって、そのサブセットが前記標的領域を含む前記線状ポリリボヌクレオチドを含む複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することと;
(b)前記サンプルを前記標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させることと;
(c)前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている前記標的領域を含む前記線状ポリリボヌクレオチドを、前記サンプル中の前記複数のポリリボヌクレオチドから分離することと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記環状ポリリボヌクレオチドが、前記標的領域を欠いている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
標的領域を含むポリリボヌクレオチドを、複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法であって、
(a)前記複数のポリリボヌクレオチドであって、そのサブセットが前記標的領域を含み、前記標的領域が前記標的領域を含む前記ポリリボヌクレオチドの3’又は5’末端に位置しない、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することと;
(b)前記サンプルを前記標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させることと;
(c)前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている前記標的領域を含む前記ポリリボヌクレオチドを前記サンプル中の前記複数のポリリボヌクレオチドから分離することと、
を含む、方法。
【請求項4】
標的領域を含む線状ポリリボヌクレオチドを前記標的領域を含む複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離する方法であって、
(a)前記複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することと;
(b)前記サンプルを、前記線状ポリリボヌクレオチドの前記標的領域と第1の結合親和性でハイブリダイズし、前記環状ポリヌクレオチドの前記標的領域と前記第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させることと;
(c)前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている前記標的領域を含む前記線状ポリリボヌクレオチドを、前記サンプル中の前記複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離することと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記第1の結合親和性が、前記第2の結合親和性より小さく、前記オリゴヌクレオチドが、前記線状ポリリボヌクレオチドに優先的に結合する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
標的領域を含む第1の配置におけるポリリボヌクレオチドを、前記標的領域を含む第2の配置における複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法であって、
(a)前記複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することと;
(b)前記サンプルを、前記第1の配置における前記ポリヌクレオチドの前記標的領域と第1の結合親和性でハイブリダイズし、前記第2の配置における前記ポリヌクレオチドの前記標的領域と前記第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させることと;
(c)前記オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている前記標的領域を含む前記第1の配置における前記ポリリボヌクレオチドを、前記サンプル中の前記第2の配置における前記複数のポリリボヌクレオチドから分離することと、
を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の結合親和性が前記第2の結合親和性より低く、前記オリゴヌクレオチドが前記第1の配置における前記ポリリボヌクレオチドに優先的に結合する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)が、前記オリゴヌクレオチドを固定化することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記標的領域がポリA配列を欠いている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが粒子にコンジュゲートされている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記オリゴヌクレオチドが第1の捕捉剤にコンジュゲートされている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが、前記第1の捕捉剤に化学的リンカーによってコンジュゲートされている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化学的リンカーがトリエチレングリコールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記化学的リンカーが、前記オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端にコンジュゲートされている、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の捕捉剤が抗原を含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗原がビオチンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の捕捉剤に結合する第2の捕捉剤を準備することをさらに含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の捕捉剤が抗体又はその抗原結合断片を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体又はその抗原結合断片がストレプトアビジンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の捕捉剤が粒子にコンジュゲートされている、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子が磁気粒子又はビーズである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記標的領域を含む前記ポリリボヌクレオチドが、イントロン又はその一部分を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記標的領域がイントロン又はその一部分を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記標的領域が、前記イントロン又はその一部分の5’又は3’側に位置する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
スプライスされたポリリボヌクレオチドをスプライスされていない又は部分的にスプライスされたポリリボヌクレオチドから分離することを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記スプライスされたポリリボヌクレオチドが環状ポリリボヌクレオチドである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記スプライスされたポリリボヌクレオチドが線状ポリリボヌクレオチドである、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記スプライスされたポリリボヌクレオチドが、イントロン又はその一部分を欠いている、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記スプライスされたポリリボヌクレオチドの量を、前記サンプルと比較して少なくとも50%富化する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記イントロン又はその一部分を含む前記ポリリボヌクレオチドが、線状ポリリボヌクレオチドである、請求項22~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記標的領域を含む前記捕捉されたポリリボヌクレオチドを1回以上洗浄することをさらに含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(c)後、第1の溶出ステップを実施して、前記標的領域を含む前記捕捉されたポリリボヌクレオチドを放出することをさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の溶出ステップが、第1の緩衝剤を添加し、及び/又は前記サンプルを加熱することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の溶出ステップが、前記サンプルを少なくとも50℃に加熱することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の溶出ステップ後、第2の溶出ステップを実施することをさらに含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の溶出ステップが、第2の緩衝剤を添加し、及び/又は前記サンプルを加熱することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の溶出ステップが、前記サンプルを少なくとも50℃に加熱することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の緩衝液が変性剤を含む、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記変性剤が、ホルムアミド又は尿素を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(a)が、前記サンプルを前記オリゴヌクレオチドとともに少なくとも10分間インキュベートすることを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ステップ(b)が、前記オリゴヌクレオチドによって結合されていない前記サンプルの一部分を回収することを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
複数のオリゴヌクレオチドであって、各オリゴヌクレオチドが異なる標的領域にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを準備することを含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
各オリゴヌクレオチドが、第1の捕捉剤にコンジュゲートされている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記オリゴヌクレオチドが、前記標的領域の長さが等しい部分と少なくとも80%の相補性を有する、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記オリゴヌクレオチドが、前記標的領域の前記長さが等しい部分と少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%の相補性を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ステップ(a)が、前記オリゴヌクレオチドを、前記標的領域を含む前記ポリリボヌクレオチドに対する10:1~1:10のモル比で準備することを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1~46のいずれか一項に記載の方法によって生成される、ポリリボヌクレオチドの集団。
【請求項48】
請求項47に記載のポリリボヌクレオチドの集団であって、標的領域を欠いている環状ポリリボヌクレオチドを含み、前記環状ポリリボヌクレオチドが、前記組成物中の前記全ポリリボヌクレオチドの少なくとも40%(モル/モル)を含む、集団。
【請求項49】
ポリリボヌクレオチドの混合物を含む組成物であって、前記混合物の第1のサブセットが、標的領域を欠いている環状ポリリボヌクレオチドを含み、前記複数のポリリボヌクレオチドの第2のサブセットが、前記標的領域を含む線状ポリリボヌクレオチドを含み、ここで前記第1のサブセットが、前記組成物中の前記全ポリリボヌクレオチドの少なくとも40%(モル/モル)を含む、組成物。
【請求項50】
前記集団が、50%(モル/モル)未満の線状ポリリボヌクレオチドを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
標的領域を含むポリリボヌクレオチド及び前記標的領域にハイブリダイズするように設計されているオリゴヌクレオチドを含む組成物であって、前記オリゴヌクレオチドが第1の捕捉剤にコンジュゲートされている、組成物。
【請求項52】
前記標的領域を欠いているポリリボヌクレオチドをさらに含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記標的領域を欠いている前記ポリリボヌクレオチドが環状ポリリボヌクレオチドである、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記第1の捕捉剤に結合するように設計されている第2の捕捉剤をさらに含む、請求項51~53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記第2の捕捉剤が粒子にコンジュゲートされている、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記第1の捕捉剤がビオチンである、請求項51~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記第2の捕捉剤がストレプトアビジンである、請求項51~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
請求項1~46のいずれか一項に記載の方法によって生成される、請求項49~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記線状ポリリボヌクレオチドが、イントロン又はその一部分を含む、請求項49~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記標的領域が、前記イントロン又はその一部分を含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記標的領域が、前記イントロン又はその一部分の5’又は3’側に位置する、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
請求項49~61のいずれか一項に記載の組成物及び希釈剤、担体、又は賦形剤を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリリボヌクレオチドは、種々の治療及び改変適用に有用である。したがって、ポリリボヌクレオチドを分離及び精製するための新しい組成物及び方法が有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一態様では、本発明は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドを複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法を特徴とする。この方法では、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルが準備される。サンプル中の複数のポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有する。方法は、サンプルを標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させること、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有するポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離することをさらに含む。
【0003】
別の態様では、本発明は、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを、線状ポリリボヌクレオチド及び環状ポリリボヌクレオチドの混合物を含む複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法を特徴とする。この方法では、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルが準備される。サンプル中の複数の線状ポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有する。方法は、サンプルを標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させること、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離することをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的領域を有するポリリボヌクレオチドは、ポリA配列(即ち、ポリAテール)を欠いている。いくつかの実施形態では、標的領域は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドの3’又は5’末端に位置しない。環状ポリリボヌクレオチド又はそのサブセットは、標的領域が欠け得る。
【0004】
別の態様では、本発明は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドを複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法を特徴とする。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含み、ここで複数のポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有する。標的領域は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドの3’又は5’末端に位置しない(即ち、標的領域は、ポリリボヌクレオチド上に内部的に位置する)。方法は、サンプルを標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させること、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有するポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離することをさらに含む。
【0005】
別の態様では、本発明は、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを、標的領域を有する複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離する方法を特徴とする。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。方法は、サンプルをオリゴヌクレオチドと接触させることをさらに含む。オリゴヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、環状ポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離する。いくつかの実施形態では、第1の結合親和性は、第2の結合親和性より低く、オリゴヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドに優先的に結合する。
【0006】
別の態様では、本発明は、標的領域を有する第1の配置におけるポリリボヌクレオチドを、標的領域を有する第2の配置における複数のポリリボヌクレオチドから分離する方法を特徴とする。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。方法は、サンプルをオリゴヌクレオチドと接触させることをさらに含む。オリゴヌクレオチドは、第1の配置におけるポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、第2の配置におけるポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する第1の配置におけるポリリボヌクレオチドをサンプル中の第2の配置における複数のポリリボヌクレオチドから分離する。いくつかの実施形態では、第1の結合親和性は、第2の結合親和性より低く、オリゴヌクレオチドは、第1の配置におけるポリリボヌクレオチドに優先的に結合する。
【0007】
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、分離は、オリゴヌクレオチドを固定化することを含む。
【0008】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、標的領域は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドの5’又は3’末端に位置しない。例えば、標的領域は、ポリリボヌクレオチド上に内部的に位置し得る。いくつかの実施形態では、標的領域は、ポリリボヌクレオチドの3’末端に位置しない。
【0009】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、標的領域は、ポリリボヌクレオチドの5’又は3’末端に位置し、標的領域は、ポリA配列を含有しない。いくつかの実施形態では、標的領域は、ポリリボヌクレオチドの3’末端に位置し、ポリA配列を含有しない。
【0010】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、標的領域は、ポリA配列を含有しない。
【0011】
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、粒子にコンジュゲートされる。粒子は、例えば、磁気粒子又はビーズであってもよい。ビーズは、例えば、架橋アガロース、例えば、SEPHAROSE(登録商標)ビーズであってもよい。
【0012】
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第1の捕捉剤にコンジュゲートされる。
【0013】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、化学的リンカーを介して第1の捕捉剤又は粒子にコンジュゲートされる。化学的リンカーは、例えばトリエチレングリコールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、化学的リンカーは、オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端にコンジュゲートされる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の捕捉剤は、抗原(例えば、ビオチン)を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、サンプルを第1の捕捉剤に結合している第2の捕捉剤(second capture)と接触させることをさらに含む。第2の捕捉剤は、例えば、抗体又はその抗原結合断片(例えば、ストレプトアビジン)を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2の捕捉剤は、粒子にコンジュゲートされる。粒子は、例えば、磁気粒子又はビーズであってもよい。ビーズは、例えば、架橋アガロース、例えば、SEPHAROSE(登録商標)ビーズであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の捕捉剤は、化学的リンカーを用いて粒子にコンジュゲートされる。化学的リンカーは、例えば、トリエチレングリコールを含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、標的領域を有するポリリボヌクレオチドは、イントロン又はその一部分(例えば、半分イントロン(half-intron))を含む。標的領域は、イントロン又はその一部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分は、触媒イントロン(例えば、グループI触媒イントロン又はグループII触媒イントロン)又はその一部分である。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分は、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100ヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分は、20~500、20~400、20~300、20~200、20~100、50~500、50~400、50~300、50~200、100~500、100~400、100~300、又は100~200ヌクレオチドの長さを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、標的領域は、半分イントロン(例えば、触媒イントロンの5’又は3’部分)を含む。いくつかの実施形態では、標的領域は、5’半分-イントロン(例えば、触媒イントロンの5’部分に対応する5’半分-イントロン)を含む。いくつかの実施形態では、標的領域は、3’半分-イントロン(例えば、触媒イントロンの3’部分に対応する3’半分-イントロン)を含む。いくつかの実施形態では、標的領域は、グループI触媒イントロンの5’半分を含む。いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロンの5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、T4ファージtd遺伝子、又はその変異体の5’部分に由来する。いくつかの実施形態では、標的領域は、グループI触媒イントロンの3’半分を含む。いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロンの3’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、T4ファージtd遺伝子、又はその変異体からの3’部分から選択される。
【0019】
標的領域は、イントロン若しくはその一部分の5’若しくは3’側に位置してもよい、又はイントロン若しくはその一部分の5’若しくは3’側に位置する領域の一部分を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、スプライスされたポリリボヌクレオチドをスプライスされていない又は部分的にスプライスされたポリリボヌクレオチドから分離することを含む。いくつかの実施形態では、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、イントロン又はその一部分を欠いている(例えば、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、触媒イントロン、例えばグループI触媒イントロン、又はその一部分を欠いている)。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、スプライスされたポリリボヌクレオチドの量を、サンプルと比較して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)富化する。
【0022】
いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分を有するポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドである。
【0023】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも5ヌクレオチド(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、若しくはそれ以上のヌクレオチド)の長さを有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、5~100、5~95、10~90、10~80、12~60、15~50、15~40、15~30、18~30、20~25、又は20~22ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、23ヌクレオチドの長さである。
【0024】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、約45℃~約75℃、例えば、約46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、又は75℃の融解温度(Tm)を有し得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約45℃~約65℃のTmを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、捕捉された標的領域を有するポリリボヌクレオチドを、(例えば、接触及び/又は分離ステップ後)1回以上(例えば、2回、3回、4回、5回、又はそれ以上)洗浄するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、第1及び/又は第2の捕捉剤を1回以上(例えば、2回、3回、4回、5回、又はそれ以上)洗浄することをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の溶出ステップを実施し、捕捉された標的領域を有するポリリボヌクレオチドを放出させるステップをさらに含む。第1の溶出ステップは、例えば、第1の緩衝剤を添加し、及び/又はサンプルを、例えば少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、又はそれ以上に加熱することを含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の溶出ステップを実施することをさらに含む。第2の溶出ステップは、第2の緩衝剤を添加し、及び/又はサンプルを、例えば少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、又はそれ以上に加熱することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液は、変性剤、例えば、ホルムアミド又は尿素を含む。第2の緩衝液は、例えば、約40%~約60%のホルムアミド(例えば、約40%、45%、50%、55%、又は60%のホルムアミド)を含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、サンプルをオリゴヌクレオチド(例えば、第1の捕捉剤にコンジュゲートされた)とともに少なくとも10分(例えば、少なくとも20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、又はそれ以上)かけてインキュベートすることを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドによって結合されていないサンプルの一部分を回収することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、捕捉剤(例えば、第1及び/又は第2の捕捉剤)によって結合されていないサンプルの一部分を回収することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のオリゴヌクレオチドを準備することを含み、各オリゴヌクレオチドは、異なる標的領域にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、各オリゴヌクレオチドは、第1の捕捉剤にコンジュゲートされる。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、複数の標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを準備することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、3’半分イントロン及び5’半分イントロンにハイブリダイズする単一オリゴヌクレオチドを準備することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、3’半分-イントロンにハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチド及び5’半分-イントロンにハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドを準備することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、各々が3’半分-イントロン及び/又は5’半分-イントロン上の異なる領域にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを準備することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的領域の長さが等しい一部分と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドをポリリボヌクレオチドに対する10:1~1:10(例えば、10:1、5:1、2:1、1:2、1:5、又は1:10)のモル比で準備することを含む。
【0035】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいずれかの方法によって生成されるポリリボヌクレオチドの集団を特徴とする。集団は、例えば、標的領域を欠いている環状ポリリボヌクレオチドを含んでもよく、環状ポリリボヌクレオチドは、組成物中の全ポリリボヌクレオチドの少なくとも1%(例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)(モル/モル)を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、集団は、50%未満(例えば、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満)(モル/モル)の線状ポリリボヌクレオチドを有する。
【0037】
別の態様では、本発明は、ポリリボヌクレオチドの混合物を含む組成物を特徴とする。混合物の第1のサブセットは、標的領域を欠いている環状ポリリボヌクレオチドを含み、複数のポリリボヌクレオチドの第2のサブセットは、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを含む。第1のサブセットは、組成物中の全ポリリボヌクレオチドの少なくとも1%(例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)(モル/モル)を含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、標的領域を有するポリリボヌクレオチド及び標的領域にハイブリダイズするように設計されているオリゴヌクレオチドを含む組成物であって、オリゴヌクレオチドが第1の捕捉剤(例えば抗原、例えばビオチン)にコンジュゲートされている組成物を特徴とする。組成物は、例えば、標的領域を欠いているポリリボヌクレオチドをさらに含んでもよい。標的領域を欠いているポリリボヌクレオチドは、例えば、環状ポリリボヌクレオチドであってもよい。組成物は、第1の捕捉剤に結合するように設計されている第2の捕捉剤(例えば、抗体又はその抗原結合断片、例えばストレプトアビジン)をさらに含んでもよい。第2の捕捉剤は、粒子にコンジュゲートされ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に記載される方法によって生成される。
【0040】
本明細書に記載される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、イントロン又はその一部分を含む。標的領域は、イントロン又はその一部分を含んでもよい。標的領域は、イントロン又はその一部分の5’又は3’側に位置し得る。
【0041】
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドは、修飾され得る。
【0042】
別の態様では、本発明は、例えば、上に記載される方法、及び希釈剤、担体、又は賦形剤によって生成される、本明細書に記載される組成物を含む医薬組成物を特徴とする。
【0043】
定義
本開示の理解を促すため、いくつかの用語が以下に定義される。本明細書で定義される用語は、本開示に関連する領域における当業者によって一般に理解されているような意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図しておらず、一般的クラスも含むが、その具体例は、例示のために使用されてもよい。「又は」という用語は、代替物のみを指すように明示されない限り、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は」を意味するものとして使用されるが、本開示は、代替物のみと「及び/又は」とを指すような定義を支持する。本明細書中の用語は、具体的な実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用は、請求項において概説される場合を除き、限定するものとして解釈されるべきでない。
【0044】
本明細書で使用されるとき、値の範囲内に提供される任意の値は、上限と下限の両方、並びに上限及び下限の範囲内に含まれる任意の値を含む。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、列挙値の±10%以内にある値を指す。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「担体」という用語は、細胞への組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の輸送又は送達を、部分又は完全カプセル化をした薬剤、又はその組み合わせを介して、環状ポリリボヌクレオチドの共有結合修飾によって容易にする化合物、組成物、試薬、又は分子である。担体の非限定的な例には、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン又はグリコーゲン型物質)、ナノ粒子(例えば、環状ポリリボヌクレオチドにカプセル化又は共有結合されるナノ粒子)、リポソーム、フソソーム、生体外で分化した網状赤血球、エキソソーム、タンパク質担体(例えば、ポリリボヌクレオチドに共有結合したタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が含まれる。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「環状ポリリボヌクレオチド」、「環状RNA」、及び「circRNA」という用語は、互換的に使用され、遊離末端(即ち、遊離3’及び/又は5’末端)を有していない構造を有するポリリボヌクレオチド分子、例えば、共有結合又は非共有結合を介して環状又は末端のない構造を形成するポリリボヌクレオチド分子を意味する。環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、共有的に閉じているポリリボヌクレオチドであってもよい。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「疾患」、「障害」、及び「症状」という用語はそれぞれ、最適でない健康の状態、例えば、医療専門家によって通常は診断又は処置されている、又は診断又は処置されることになる状態を指す。
【0049】
「異種」は、天然に存在する(天然の)状況以外の状況下で生じること意味する。「異種」ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列がその配列の天然ゲノムにおいて見出されるもの以外の方法で使用されていることを示す。例えば、「異種プロモーター」は、そのプロモーターによって天然に転写される配列でない配列の転写を駆動するために使用され;それ故、「異種プロモーター」配列は、組換え核酸技術を用いて、発現構築物中に含まれることが多い。「異種」という用語はまた、別の配列との天然に存在しない関係において配置される所与の配列を指すように使用され;例えば、異種コード又は非コードヌクレオチド配列は、一般にゲノム形質転換技術によってゲノムに挿入され、遺伝子修飾又は組換えゲノムをもたらす。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「半分イントロン」という用語は、イントロンの一部分を指し、第1の半分イントロン及び第2の半分イントロンは、一緒に触媒イントロンなどのイントロンを形成する。半分イントロンは、イントロンの5’部分(例えば、触媒イントロンの5’部分)又はイントロンの3’部分(例えば、触媒イントロンの3’部分)であってもよく、それにより5’半分-イントロン及び3’半分-イントロンは、機能的イントロン、例えば自己スプライシングを触媒する(catalytic)ことが可能な機能的イントロンを一緒に形成する。半分イントロンという用語は、2つの部分に分割されたイントロンを指すことが意図されている。半分イントロンという用語は、2つの部分又は半分の長さが等しいことを述べる、意味する、又は示唆することは意図されない。半分イントロンという用語は、分割イントロンという用語と同義的に使用され、「イントロン断片」という用語の代わりに使用してもよい。
【0051】
本明細書で使用されるとき、「不純物」という用語は、組成物、例えば、本明細書に記載される医薬組成物中に存在する望ましくない物質である。いくつかの実施形態では、不純物は、プロセス関連不純物である。いくつかの実施形態では、不純物は、本明細書に記載のとおり、最終組成物中の所望の産物以外、例えば活性薬剤成分以外、例えば環状ポリリボヌクレオチドといった産物関連物質である。本明細書で使用されるとき、「プロセス関連不純物」という用語は、本明細書に記載の線状ポリリボヌクレオチド以外の、最終組成物、調製物、又は産物において望ましくない、組成物、調製物、又は産物の作製において使用される、存在する、又は生成される物質である。いくつかの実施形態では、プロセス関連不純物は、ポリリボヌクレオチドの合成又は環状化において使用される酵素である。本明細書で使用されるとき、「産物関連物質」という用語は、組成物、調製物、若しくは産物、又はその任意の中間体の合成中に生成される物質又は副産物である。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、デオキシリボヌクレオチド断片である。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、デオキシリボヌクレオチド単量体である。いくつかの実施形態では、産物関連物質は、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドの誘導体又は断片、例えば、10、9、8、7、6、5、若しくは4つのリボ核酸、モノリボ核酸(monoribonucleic acids)、ジリボ核酸(diribonucleic acids)、又はトリリボ核酸(triribonucleic acids)の断片の1つ以上である。
【0052】
本明細書で使用されるとき、対象の「適応度を増加させる」又は「適応度を促進する」は、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドの投与の結果としての、生理における、又は対象生物によって実施される任意の活性の任意の好ましい改変、例えば限定はされないが、以下の所望の効果のいずれか1つ以上を指す:(1)生物的又は非生物的ストレスの耐性の増加;(2)収率又はバイオマスの増加;(3)開花期の変更;(4)害虫又は病原体に対する抵抗性の増加、(4)除草剤に対する抵抗性の増加;(5)対象生物(例えば、農業的に重要な昆虫)の集団の増加;(6)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の生殖率の増加;(7)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の運動性の増加;(8)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の体重の増加;(9)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の代謝率又は活動性の増加;(10)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)による受粉(例えば、所与の期間内に受粉された植物の数)の増加;(11)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の副産物(例えば、ミツバチからの蜂蜜又はカイコからの絹)の生成の増加;(12)対象生物(例えば、昆虫)の栄養素含有量(例えば、タンパク質、脂肪酸、又はアミノ酸)の増加;又は(13)駆除薬(例えば、ネオニコチノイド(例えば、イミダクロプリド)又は有機リン殺虫剤(例えば、ホスホロチオエート、例えば、フェニトロチオン))に対する対象生物の抵抗性の増加、(14)ヒト又は非ヒト動物などの対象生物の健康の増強又は疾患の低減。宿主適応度の増加は、調節剤が投与されていない対象生物と比較して判定することができる。逆に、対象の「適応度の低下」は、本明細書に記載のペプチド又はポリペプチドの投与の結果としての、生理における、又は対象生物によって実施される任意の活性の任意の好ましくない改変、例えば限定はされないが、以下の意図された効果のいずれか1つ以上を指す:(1)生物的又は非生物的ストレスの耐性の低下;(2)収率又はバイオマスの低下;(3)開花期の変更;(4)害虫又は病原体に対する抵抗性の低下、(4)除草剤に対する抵抗性の低下;(5)対象生物(例えば、農業的に重要な昆虫)の集団の減少;(6)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の生殖率の低下;(7)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の運動性の低下;(8)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の体重の減少;(9)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の代謝率又は活動性の低下;(10)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)による受粉(例えば、所与の期間内に受粉された植物の数)の減少;(11)対象生物(例えば昆虫、例えばミツバチ又はカイコ)の副産物(例えば、ミツバチからの蜂蜜又はカイコからの絹)の生成の低下;(12)対象生物(例えば、昆虫)の栄養素含有量(例えば、タンパク質、脂肪酸、又はアミノ酸)の減少;又は(13)駆除薬(例えば、ネオニコチノイド(例えば、イミダクロプリド)又は有機リン殺虫剤(例えば、ホスホロチオエート、例えば、フェニトロチオン))に対する対象生物の抵抗性の低下、(14)ヒト又は非ヒト動物などの対象生物の健康の低減又は疾患の低減。宿主適応度の低下は、調節剤が投与されていない対象生物と比較して判定することができる。対象の生理、表現型、又は活動性における特定の変化、例えば植物における開花期の変更により、状況に応じて(例えば、気候又は他の環境条件における変化に適応するのに)、対象の適応度が増加するか又は対象の適応度が低下すると考察可能であることは当業者にとって明らかであろう。例えば、開花期の遅延(例えば、所与のカレンダー日付に開花する集団内の植物が約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%減少すること)は、より遅いか又はより涼しい春季への有利な適応であり得て、それ故、植物の適応度を増加させると考察可能であり;逆に、より早期の又はより暖かい春季という状況下での開花期の同様の遅延は、植物の適応度を低下させると考察可能である。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「線状ポリリボヌクレオチド」、「線状RNA」、及び「線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。5’及び3’末端の一方又は両方は、遊離末端であってもよい、又は別の部分に連結されてもよい。線状ポリリボヌクレオチドは、環状化を受けていない(例えば、環状化前である)ポリリボヌクレオチドであってもよく、例えば、スプリットライゲーション(splint ligation)、又は化学的な、酵素的な、リボザイム若しくはスプライシング触媒による環状化法を介する、環状化のための出発物質として使用することができる。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「修飾オリゴヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオチド間結合に対する少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドを意味する。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合に対する少なくとも1つの修飾を有するヌクレオシドを含有するリボヌクレオチドを意味する。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「裸の送達」という用語は、担体の助けを借りず、細胞への送達を助ける部分への共有結合修飾も使用しない、細胞への送達のための製剤である。裸の送達製剤には、トランスフェクション試薬、カチオン担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のいずれも含まれない。例えば、環状ポリリボヌクレオチドの裸の送達製剤は、共有結合修飾なしで環状ポリリボヌクレオチドを含み、担体を含まない製剤である。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「ニックRNA」又は「ニック線状ポリリボヌクレオチド」又は「ニック線状ポリリボヌクレオチド分子」という用語は、互換的に使用され、環状RNAのニッキング又は分解から生じる5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチド分子を意味する。「ニック環状RNA」は、ニックされている環状RNAを意味する。
【0058】
「任意選択的に置換されたX」という用語は、本明細書で使用されるとき、「Xであって、任意選択的に置換されているX」(例えば、「アルキルであって、任意選択的に置換されているアルキル」)に等しいことが意図されている。特徴「X」(例えば、アルキル)が本質的に任意選択的であることを意味することは意図されていない。「任意選択的に置換された」という用語は、本明細書で使用されるとき、0、1、若しくはより多くの置換基(例えば、0~25、0~20、0~10、又は0~5の置換基)を有することを指す。例えば、Cアルキル基、即ち、メチルは、オキソと置換されることで、ホルミル基を形成し、また-OH又は-NHとさらに置換されることで、カルボキシル基又はアミド基を形成し得る。
【0059】
「医薬組成物」という用語は、医薬組成物内に含まれる環状又は線状ポリリボヌクレオチドを、療法によるヒト又は動物の体の処置に使用できることを開示することも意図している。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」という用語は、1つ又は複数の核酸サブユニット又はヌクレオチドを含む分子を意味し、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」と互換的に使用することができる。ポリヌクレオチドは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)、及びウラシル(U)、又はそれらの変異体から選択される1つ又は複数のヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドは、ヌクレオシド及び少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸(PO)基を含み得る。ヌクレオチドは、核酸塩基、五炭糖(リボース又はデオキシリボースのいずれか)、及び1つ又は複数のリン酸基を含み得る。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。ポリリボヌクレオチド、リボ核酸、又はRNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のリボヌクレオチドを含む高分子を指し得る。デオキシリボヌクレオチドは、糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。
【0061】
本明細書で使用されるとき、本明細書中の「ポリリボヌクレオチドカーゴ」という用語は、少なくとも1つのポリリボヌクレオチドを含む任意の配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1つ又は複数の発現(又はコーディング)配列を含み、各発現(又はコーディング)配列は、ポリペプチドをコードする。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、調節又は触媒機能を有するポリリボヌクレオチドなどの1つ又は複数の非コード配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現及び非コード配列の組み合わせを含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、本明細書に記載の1つ又は複数のポリリボヌクレオチド配列、例えば、1つ又は複数の調節要素、内部リボソーム進入部位(IRES)要素、又はスペーサー配列を含む。
【0062】
本明細書で互換的に使用されるとき、「ポリA」及び「ポリA配列」という用語は、少なくとも5ヌクレオチドの長さであり、アデノシン残基からなる核酸分子の翻訳されない隣接領域を指す。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、オープンリーディングフレーム(open reason frame)(例えば、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム)の3’側(例えば、その下流)に位置し、ポリA配列は、ポリAが翻訳されないように、終結配列(例えば、停止コドン)の3’側に存在する。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、終結配列及び3’非翻訳領域の3’側に位置する。
【0063】
本明細書で使用されるとき、核酸の要素は、それらが転写されて、線状ポリリボヌクレオチドを形成し得て、次いで本明細書に提供される方法を用いて、環状ポリリボヌクレオチドに環状化され得るように、ベクターに配置される場合、「作動可能に連結されている(connected)」又は「作動可能に連結されている(linked)」。
【0064】
ポリデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボ核酸、及びDNAは、ホスホジエステル結合を介して重合された複数のデオキシリボヌクレオチドを含む高分子を意味する。ヌクレオチドは、ヌクレオシド一リン酸又はヌクレオシドポリリン酸であり得る。ヌクレオチドは、発光タグやマーカーなどの検出可能なタグ(例えば、フルオロフォア)を含む、例えば、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、ウリジン三リン酸(dUTP)、及びデオキシチミジン三リン酸(dTTP)dNTPから選択することができるデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)などのデオキシリボヌクレオシドポリリン酸を意味する。ヌクレオチドは、成長する核酸鎖に組み込むことができる任意のサブユニットを含み得る。このようなサブユニットは、A、C、G、T、又はU、或いは、1つ又は複数の相補的なA、C、G、T、若しくはUに特異的であるか、又はプリン(即ち、A又はG、又はその変異体)若しくはピリミジン(即ち、C、T、又はU、又はその変異体)に相補的な任意の他のサブユニットであり得る。いくつかの例では、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又はそれらの誘導体若しくは変異体である。場合によっては、ポリヌクレオチドは、いくつか例を挙げると、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、プラスミドDNA(pDNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、mRNA前駆体(pre-mRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)であり、ヌクレオチド配列、及び一本鎖、二本鎖、三本鎖、らせん、ヘアピンなどのその任意の構造的実施形態の両方を包含する。場合によっては、ポリヌクレオチド分子は環状である。ポリヌクレオチドは、様々な長さを有し得る。核酸分子は、少なくとも約10塩基、20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、100塩基、200塩基、300塩基、400塩基、500塩基、1キロ塩基(kb)、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、50kb、又はそれ以上の長さを有し得る。ポリヌクレオチドは、細胞又は組織から単離することができる。ポリヌクレオチド配列の実施形態は、単離及び精製されたDNA/RNA分子、合成DNA/RNA分子、及び合成DNA/RNA類似体を含み得る。
【0065】
ポリヌクレオチドの実施形態、例えば、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドは、非標準ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又は修飾ヌクレオチドを含む1つ又は複数のヌクレオチド変異体を含有するポリヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドの例には、限定されるものではないが、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルケオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、及び2,6-ジアミノプリンなどが含まれる。場合によっては、ヌクレオチドは、三リン酸部分への修飾を含む、それらのリン酸部分の修飾を含む。そのような修飾の非限定的な例としては、より長いリン酸鎖(例えば、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のリン酸部分を有するリン酸鎖)及びチオール部分の修飾(例えば、α-チオ三リン酸及びβ-チオ三リン酸)が挙げられる。実施形態では、核酸分子はまた、塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格で(例えば、典型的には相補的ヌクレオチドとの水素結合を形成するのに利用できる1つ又は複数の原子で、又は典型的には相補的なヌクレオチドとの水素結合を形成できない1つ又は複数の原子で)修飾される。実施形態では、核酸分子は、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にするために、アミノアリル-dUTP(aa-dUTP)及びアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン修飾基を含む。本開示のオリゴヌクレオチドにおける標準的なDNA塩基対又はRNA塩基対の代替物は、高い1立方mm当たりのビット密度、より高い安全性(天然毒素の偶発的又は意図的な合成に対する耐性)、光プログラムされたポリメラーゼにおけるより容易な識別、又は下位二次構造を提供し得る。デノボ又は増幅合成のための天然及び突然変異ポリメラーゼと適合するそのような代替塩基対は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Betz K,Malyshev DA,Lavergne T,Welte W,Diederichs K,Dwyer TJ,Ordoukhanian P,Romesberg FE,Marx A.Nat.Chem.Biol.2012 Jul,8:612-4に記載されている。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。この用語は、本明細書で使用されるとき、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド、及びペプチドを指す。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、それらの断片及び他の同等物、変異体、及び類似体が含まれ得る。ポリペプチドは、単一分子であっても、又は二量体、三量体、若しくは四量体などの多分子複合体であってもよい。ポリペプチドはまた、単鎖、又は抗体若しくはインスリンなどの多重鎖ポリペプチドを含み得、会合又は連結され得る。最も一般的なジスルフィド結合は、多重鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用することができる。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「植物改変ポリペプチド(plant-modifying polypeptide)」という用語は、遺伝的特性(例えば、遺伝子発現を増加させる、遺伝子発現を低下させる、又はそれ以外ではDNA若しくはRNAのヌクレオチド配列を改変する)、エピジェネティック特性、又は植物の生化学的若しくは生理学的特性を、植物の生理又は表現型の変化、例えば植物適応度の増加又は低下をもたらす方法で改変し得るポリペプチドを指す。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「精製する」、「精製すること」、及び「精製」という用語は、不純物(例えば、プロセス関連不純物(例えば、酵素)、プロセス関連物質(例えば、デオキシリボヌクレオチド断片、デオキシリボヌクレオチド単量体))又は副産物(例えば、線状RNA)を、他の物質の中でも環状RNA及び線状RNAの混合物を含有するサンプルから除去し、不純物(例えば、プロセス関連不純物(例えば、酵素)、プロセス関連物質(例えば、デオキシリボヌクレオチド断片、デオキシリボヌクレオチド単量体))又は副産物(例えば、線状RNA)のレベルが元の混合物と比較して低下した、又は線状RNA若しくは物質が開始混合物と比較して質量ベースで40%若しくはそれ以上(例えば、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、若しくは99%若しくはそれ以上)低下している、環状RNAの濃縮された集団を含有する組成物を生成する、1つ以上のステップ又はプロセスを指す。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「純粋な」及び「純度」という用語は、分析物(例えば、環状RNA)が単離されている、他の成分を含まない程度を指す。核酸(例えば、ポリリボヌクレオチド)との関連で、単離された核酸(例えば、環状RNA)の純度は、任意の汚染物質、不純物、又は副産物(例えば、線状RNA及び他の物質)を含まない核酸の集団に関して表すことができる。例えば、環状RNAの集団の純度は、単離された材料の全質量当たりの環状RNAが集団にどのくらい存在するかを示し、例えば、参照としての純粋な環状RNAを用いて決定され得る。本開示で見出される純度のレベルは、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、95%超、又は99%超(w/w)であり得る。いくつかの実施形態では、汚染物質又は不純物又は副産物のレベルは、約20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%(w/w)以下である。純度は、特定の分析物(例えば、環状RNA)又は特定の不純物又は副産物(例えば、線状RNA)のレベルを、ゲル電気泳動、分光光度法(例えば、ThermoFisher ScientificによるNanoDrop)、又は核酸の集団の純度の測定に適した他の技術を用いて検出し、(例えば、当該技術分野で公知のアッセイによって決定する場合)全核酸含量に対する分析物のパーセンテージ(w/w)を計算することによって決定することができる。
【0070】
本明細書で使用されるとき、「1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない」という語句は、1つ以上の不純物若しくは副産物(例えば、本明細書で開示される1つ以上の不純物又は副産物)を含まない、又は最小量の1つ以上の不純物若しくは副産物を含有するサンプル、例えば、濃縮された環状RNAの集団を含有するサンプルの特性を指す。最小量の1つ以上の不純物又は副産物は、20%(w/w)以下(例えば、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(w/w)以下、又はそれ以下)であってもよい。別の例では、サンプル又は濃縮された環状RNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、15%(w/w)未満(例えば、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(w/w)以下、又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。別の例では、サンプル又は濃縮された環状RNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、10%(w/w)未満(例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%(w/w)以下、又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。別の例では、サンプル又は濃縮された環状RNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、5%(w/w)未満(例えば、4%、3%、2%、1%(w/w)以下又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。さらに別の例では、サンプル又は濃縮された環状RNAの集団は、1つ以上の不純物又は副産物が、1%未満(0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%(w/w)以下、又はそれ以下)の量で存在する場合、1つ以上の不純物又は副産物を実質的に含まない。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「調節要素」は、環状又は線状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を変更する、核酸配列などの部分である。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「スペーサー」は、2つの隣接するポリヌクレオチド領域間に距離又は柔軟性をもたらす(例えば、1つ以上のヌクレオチドの)任意の隣接するヌクレオチド配列を指す。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「配列同一性」という用語は、グローバル又はローカルアラインメントアルゴリズムを使用して2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列のアラインメントによって決定される。配列は、それらが最適に整列された場合(デフォルトパラメータを使用して、GAP又はBESTFITなどのプログラムによって整列された場合)に少なくとも特定の最小パーセンテージの配列同一性を共有する場合、「実質的に同一」又は「本質的に類似」と呼ばれる。GAPは、Needleman及びWunschグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して、2つの配列をその全長にわたって整列させ、一致の数を最大化し、ギャップの数を最小化する。一般に、ギャップ作成ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップ拡張ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)のGAPのデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトのスコア行列は、nwsgapdnaであり、タンパク質の場合、デフォルトのスコア行列は、Blosum62である(Henikoff&Henikoff,1992,PNAS 89,915-19)。配列アラインメント及び配列同一性パーセンテージのスコアは、例えば、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsin Package,Version 10.3又はEmbossWin version 2.10.0(プログラム「針」を使用)などのコンピュータープログラムを使用して決定される。別法又はこれに加えて、パーセント同一性は、例えば、FASTA、BLASTなどのアルゴリズムを使用してデータベースで検索することによって決定される。配列同一性は、配列の全長にわたる配列同一性を指す。
【0074】
本明細書で使用されるとき、RNAに関して「構造化された」は、それ自身又は同じRNA分子中の他の配列を用いる構造(例えば、ヘアピンループ)を形成するため、RNAFoldソフトウェア又は類似の予測ツールによって予測されるRNA配列を指す。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、動物、植物、又は微生物などの生物を指す。実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。実施形態では、対象はヒトである。実施形態では、対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、バイソン、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「処置する」及び「処置すること」という用語は、対象の疾患又は障害(例えば、感染症、がん、毒性、又はアレルギー反応)の予防的又は治療的処置を指す。処置の効果には、疾患又は疾患若しくは障害の1つ若しくは複数の徴候若しくは発現の逆転、軽減、重症度の軽減、治癒、進行の阻害、再発の可能性の低減、疾患又は障害の状態の安定化(即ち、悪化しないこと)、又は治療的処置がない場合の疾患又は障害の状態又は症状と比較して、疾患又は障害の蔓延の防止が含まれ得る。実施形態は、植物を処置して、無脊椎動物害虫又は微生物(例えば、細菌、真菌、卵菌、又はウイルス)病原体に起因するか又はそれと関連する疾患又は有害な症状を制御することを含む。実施形態は、植物を処置して、害虫又は病原体圧力に耐える植物の自然防御能又は免疫能を増加させることを含む。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「終結要素」は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を終結させる核酸配列などの部分である。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「翻訳効率」は、リボヌクレオチド転写産物からのタンパク質又はペプチド産生の速度又は量である。ある実施形態では、翻訳効率は、例えば、所与の翻訳系、例えば、ウサギ網状赤血球溶解物のような無細胞翻訳系において、例えば所与の期間で、タンパク質又はペプチドをコードする所与の量の1転写産物当たりで生成されるタンパク質又はペプチドの量として表され得る。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「翻訳開始配列」は、環状又は線状ポリリボヌクレオチドにおける発現配列の翻訳を開始させる核酸配列である。
【0080】
本明細書で使用されるとき、「治療用ポリペプチド」は、対象に投与されるか又は対象で発現されると、いくつかの治療的利益を提供するポリペプチドを指す。実施形態では、治療用ポリペプチドを使用して、対象における疾患、障害、又は症状を、治療用ペプチドの対象への投与によって、又は治療用ポリペプチドの対象における発現によって処置又は予防する。他の実施形態では、治療用ポリペプチドは、細胞内で発現され、細胞は、対象に投与することで、治療的利益を提供する。
【0081】
本明細書で使用されるとき、「ベクター」は、(例えば、PCRを使用して)合成される、又は外来DNA断片がクローニング若しくは発現を目的として挿入可能である、若しくは挿入されている高次生物のウイルス、プラスミド、若しくは細胞から採取される、DNAの断片を意味する。いくつかの実施形態では、ベクターは、生物内で安定に維持され得る。ベクターは、例えば、複製起点、選択可能マーカー又はレポーター遺伝子、例えば、抗生物質耐性若しくはGFP、又は複数のクローニング部位(MCS)を含み得る。該用語は、直鎖状DNA断片(例えば、PCR産物、線状化プラスミド断片)、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)などを含む。一実施形態では、本明細書に提供されるベクターは、複数のクローニング部位(MCS)を含む。別の実施形態では、本明細書に提供されるベクターはMCSを含まない。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「収率」という用語は、出発物質(例えば、ポリリボヌクレオチド、例えば、環状ポリリボヌクレオチド及び線状ポリリボヌクレオチドなどの混合集団)中の分析物の量と比較した、精製ステップ又はプロセス後に得られた分析物(例えば、環状ポリリボヌクレオチドの集団)の相対量を指す(w/w)。収率は、パーセンテージとして表すことができる。本開示との関連で、出発物質中の分析物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)及び精製ステップ後に得られた分析物の量は、アッセイ(例えば、ゲル電気泳動又は分光光度法)を用いて測定することができる。本開示の方法を用いて、出発物質、例えば、ポリリボヌクレオチドの混合集団中に存在する量と比較して、約20%(w/w)又はそれ以上の環状ポリリボヌクレオチドの濃縮集団の収率をもたらすことができる。例えば、方法を用いて、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、若しくは90%(w/w)又はそれ以上の精製された環状ポリリボヌクレオチドの収率をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本明細書に記載される方法を示す概略図である。左側は、線状ポリリボヌクレオチド及び環状ポリリボヌクレオチドの混合物であり、その一部は標的領域を含有する。第1の捕捉剤にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドが、ポリリボヌクレオチドの混合物に添加され、標的領域を含有するポリリボヌクレオチドにハイブリダイズする。粒子にコンジュゲートされている第2の捕捉剤が、第1の捕捉剤に結合し、それにより、標的領域を含有するポリリボヌクレオチドが標的領域を欠いているポリリボヌクレオチドから分離される。
図2】環状RNAが自己スプライシングによって生成された場合のインビトロ転写(IVT)混合物中の線状副産物を示すゲルである。ゲルは、所望の環状RNA産物、スプライされていない線状RNA、部分的にスプライスされた線状RNA、ニック環状RNA、及びスプライスされたイントロンを示す。
図3】線状RNA副産物を自己スプライシングによって生成された環状RNAから除去するための方法の設計を示す概略図である。
図4】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる環状RNAの濃縮を示すゲルである。構築物は、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計された。オープンリーディングフレーム(ORF)は、モデルタンパク質:ガウシアルシフェラーゼ(Gluc)である。
図5】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる環状RNAの濃縮を示すゲルである。構築物は、5’から3’へ:触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計された。ORFは、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)である。
図6】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる環状RNAの濃縮を示すゲルである。
図7】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、環状RNAを濃縮するための2つの異なる手法を示すゲルである。一方の方法は、RNA-オリゴ混合物をチューブ内でストレプトアビジン-SEPHAROSE(登録商標)ビーズとともにインキュベートすること(バッチ法)であり、他方は、ビーズをカラム内に予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を重力によって通過させること(カラム法)である。
図8】連続的な線状RNAプルダウンによる、環状RNAのさらなる濃縮を示すゲルである。
図9】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、環状RNA濃縮に対する結合緩衝液における塩濃度の効果を示すゲルである。図9Aは、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計された構築物を示す。ORFはhEPOである。図9Bは、図9Aと類似する構築物を示すが、ORFは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質(スパイク)である。
図10】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、環状RNAを濃縮するための線状RNAプルダウン法によって精製されている環状RNAからの増強された発現を示すゲルである。構築物は、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計された。ORFは、モデルタンパク質:ガウシアルシフェラーゼ(Gluc)である。
図11】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、環状RNAを濃縮するための線状RNAプルダウン法によって精製されている環状RNAからの増強された発現を示すゲルである。構築物は、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計された。ORFはhEPOである。
図12】本明細書に記載の線状プルダウン法において使用される3’半分-イントロン(#1~#4)及び5’半分-イントロン(#5及び#6)についての代表的なオリゴマー設計を示す概略図である。
図13】数が減少したオリゴマーを用いて、線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、線状RNAプルダウンによる環状RNA濃縮に対する効果を示すゲルである。
図14】2つのオリゴ(即ち、3’半分-イントロンに対するオリゴマー及び5’半分-イントロンに対するオリゴマー)の組み合わせを用いて、線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、線状RNAプルダウンによる環状RNA濃縮に対する効果を示すゲルである。
図15】線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、環状RNAを濃縮するための線状RNAプルダウン法によって精製されている環状RNAからの発現を示す棒グラフである。
図16】3’半分-イントロンと5’半分-イントロンの両方を標的にする代表的な単一オリゴマーを示す概略図である。
図17】3’半分-イントロンと5’半分-イントロンの両方を標的にする単一オリゴマーを用いて、線状副産物をオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して捕捉することによる、線状RNAプルダウンによる環状RNA濃縮に対する効果を示すゲルである。
【発明を実施するための形態】
【0084】
本開示は、リボヌクレオチドを処理する、例えば精製するための組成物及び方法を記載する。線状又は環状ポリリボヌクレオチドなどのポリリボヌクレオチドは、種々の改変又は治療を目的として使用することができる。しかし、ポリリボヌクレオチドが特定の生物学的反応を介して生成されるとき、様々な不純物、副産物、又は不完全な産物が認められることがある。本発明は、所望のポリリボヌクレオチド組成物、量、及び/若しくは純度を有する組成物、又は所望のポリリボヌクレオチド組成物、量、及び/若しくは純度を有する複数のポリリボヌクレオチドを含有する集団を生成するため、これらの不純物、副産物、又は不完全な産物をサンプルから低減又は除去するのに有用な方法を特徴とする。
【0085】
特定の実施形態では、方法は、スプライシング反応を受けているポリリボヌクレオチドを精製するために有用である。そのような実施形態では、方法を用いて、スプライスされたポリリボヌクレオチドをスプライスされていないポリリボヌクレオチドから、又はスプライスされていないポリリボヌクレオチドをスプライスされたポリリボヌクレオチドから分離することができる。いくつかの実施形態では、方法を用いて、環状ポリリボヌクレオチド(例えば、スプライスされている)を線状ポリリボヌクレオチドから、又は線状ポリリボヌクレオチドを環状ポリリボヌクレオチドから分離することができる。所望のポリリボヌクレオチドを含有するそのような精製された組成物は、様々な下流適用、例えば、ポリヌクレオチドカーゴ(例えば、遺伝子又はタンパク質をコードする)の標的細胞への送達にとって有用であり得る。組成物及び方法は、以下により詳細に記載されている。
【0086】
方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドを複数のポリリボヌクレオチドから分離することを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。複数のポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有する。方法は、サンプルを標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させること、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有するポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離することをさらに含む(図1)。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを、線状ポリリボヌクレオチド及び環状ポリリボヌクレオチドの混合物を含む複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。この方法では、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルが準備される。サンプル中の複数の線状ポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有する。方法は、サンプルを標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させるステップ、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、標的領域を有するポリリボヌクレオチドは、ポリA配列(例えば、ポリAテール)を欠いている。いくつかの実施形態では、標的領域は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドの3’又は5’末端に位置しない。環状ポリリボヌクレオチド又はそのサブセットは、標的領域が欠け得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドを複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含み、複数のポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有する。標的領域は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドの3’又は5’末端に位置しない(例えば、標的領域は、ポリリボヌクレオチド上に内部的に位置する)。方法は、サンプルを標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させること、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有するポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離することをさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域に対する示差的な結合親和性によってポリリボヌクレオチドを分離することを含む。示差的な結合は、標的結合領域が結合のための標的部位への接近を調節する示差的な二次的構成要素の内部に存在する場合、達成され得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、第1の構造配置におけるポリリボヌクレオチドの標的領域に第1の親和性で、また第2の構造配置におけるポリリボヌクレオチドの標的領域に例えば第1の親和性と異なる第2の親和性で結合し得る。いくつかの実施形態では、示差的な結合又は二次的構成要素は、標的領域が線状ポリリボヌクレオチドか環状ポリリボヌクレオチドかの内部に、又は2つ以上の異なる構造配置で存在するポリリボヌクレオチド中に存在する場合、生じ得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性で、また環状ポリリボヌクレオチドの標的領域に第2の結合親和性で結合し得る。第1の結合親和性は、第2の結合親和性より大きい場合がある。或いは、第1の結合親和性は、第2の結合親和性より小さい場合がある。より低い結合親和性は、オリゴヌクレオチドが標的に、例えば、ある配置の標的により大きい結合親和性でというよりも優先的に結合することを可能にする。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有する第1の配置におけるポリリボヌクレオチドを、標的領域を有する第2の配置における複数のポリリボヌクレオチドから分離することを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。方法は、サンプルをオリゴヌクレオチドと接触させることをさらに含む。オリゴヌクレオチドは、第1の配置におけるポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、第2の配置におけるポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する第1の配置におけるポリリボヌクレオチドをサンプル中の第2の配置における複数のポリリボヌクレオチドから分離する。いくつかの実施形態では、第1の結合親和性は、第2の結合親和性より小さく、オリゴヌクレオチドは、第1の配置におけるポリリボヌクレオチドに優先的に結合する。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法は、ポリリボヌクレオチドを(例えば、捕捉剤の存在下又は非存在下で)粒子にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを、標的領域を有する複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。方法は、サンプルをオリゴヌクレオチドと接触させることをさらに含む。オリゴヌクレオチドは、線状ポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、環状ポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離する。いくつかの実施形態では、方法は、ポリリボヌクレオチドを、(例えば、捕捉剤の存在下又は非存在下で)粒子にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。
【0093】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第1の捕捉剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、方法は、第1の捕捉剤に結合する第2の捕捉剤を準備するステップをさらに含む。第2の捕捉剤は、粒子にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、第1の捕捉剤は、粒子にコンジュゲートされる。
【0094】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、粒子にコンジュゲートされる。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドを複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチド及び第1の捕捉剤にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。複数のポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有し、オリゴヌクレオチドは、標的領域にハイブリダイズする。方法は、サンプルを第1の捕捉剤に結合する第2の捕捉剤と接触させるステップ、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有するポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップをさらに含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有する第1の配置(confirmation)におけるポリリボヌクレオチドを、第2の配置における標的領域を有する複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチド及び第1の捕捉剤にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。オリゴヌクレオチドは、第1の配置におけるポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、第2の配置におけるポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズする。方法は、サンプルを第1の捕捉剤に結合する第2の捕捉剤と接触させるステップ、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する第1の配置におけるポリリボヌクレオチドをサンプル中の第2の配置における複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の結合親和性は、第2の結合親和性より小さく、オリゴヌクレオチドは、第1の配置におけるポリリボヌクレオチドに優先的に結合する。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを、標的領域を含む複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。方法は、複数のポリリボヌクレオチド及び第1の捕捉剤にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。オリゴヌクレオチドは、線状ポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性でハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドは、環状ポリヌクレオチドの標的領域に第1の結合親和性と異なる第2の結合親和性でハイブリダイズする。方法は、サンプルを第1の捕捉剤に結合する第2の捕捉剤と接触させるステップ、及びオリゴヌクレオチドにハイブリダイズされている標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドをサンプル中の複数の環状ポリリボヌクレオチドから分離するステップをさらに含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、第1又は第2の捕捉剤を伴わないオリゴヌクレオチドを用いて、標的領域を有するポリリボヌクレオチドを複数のポリリボヌクレオチドから分離するステップを含む。オリゴヌクレオチドは、粒子に直接的にコンジュゲートされ得る。方法は、複数のポリリボヌクレオチド及び粒子にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドを含むサンプルを準備することを含む。複数のポリリボヌクレオチドのサブセットは、標的領域を有し、オリゴヌクレオチドは、標的領域にハイブリダイズする。
【0099】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、標的領域は、標的領域を有するポリリボヌクレオチドの5’又は3’末端に位置しない。例えば、標的領域は、ポリリボヌクレオチド上に内部的に位置し得る。いくつかの実施形態では、標的領域は、ポリリボヌクレオチドの3’末端に位置しない。
【0100】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、標的領域は、ポリリボヌクレオチドの5’又は3’末端に位置し、標的領域は、ポリA配列を含有しない。いくつかの実施形態では、標的領域は、ポリリボヌクレオチドの3’末端に位置し、ポリA配列を含有しない。
【0101】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、標的領域は、ポリA配列(例えば、ポリAテール)を含有しない。
【0102】
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、分離は、オリゴヌクレオチドを固定化することを含む。方法は、例えば、オリゴヌクレオチド、第1の捕捉剤、第2の捕捉剤、粒子、又はその組み合わせを固定化することを含んでもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、粒子は磁気粒子である。方法は、磁気粒子に磁気力などの力を加えることを含んでもよい。粒子又はビーズは、例えば、架橋アガロース、例えば、SEPHAROSE(登録商標)ビーズであってもよい。方法は、ビーズ又は粒子に、機械力、光学力、遠心力、又は音響力などの力を加えることを含んでもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、標的領域を有するポリリボヌクレオチドは、イントロン又はその一部分(例えば、半分イントロン)を含む。標的領域は、イントロン又はその一部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分は、触媒イントロン(例えば、グループI触媒イントロン又はグループII触媒イントロン)又はその一部分である。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分は、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100ヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分は、20~500、20~400、20~300、20~200、20~100、50~500、50~400、50~300、50~200、100~500、100~400、100~300、又は100~200ヌクレオチドの長さを有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、標的領域は、半分イントロン(例えば、触媒イントロンの5’又は3’部分)を含む。いくつかの実施形態では、標的領域は、5’半分-イントロン(例えば、触媒イントロンの5’部分に対応する5’半分-イントロン)を含む。いくつかの実施形態では、標的領域は、3’半分-イントロン(例えば、触媒イントロンの3’部分に対応する3’半分-イントロン)を含む。いくつかの実施形態では、標的領域は、グループI触媒イントロンの5’半分を含む。いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロンの5’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、T4ファージtd遺伝子、又はその変異体の5’部分に由来する。いくつかの実施形態では、標的領域は、グループI触媒イントロンの3’半分を含む。いくつかの実施形態では、グループI触媒イントロンの3’半分は、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、T4ファージtd遺伝子、又はその変異体からの3’部分から選択される。
【0106】
本明細書に記載のとおり、該方法を用いて分離する、例えば、スプライスされていないポリリボヌクレオチドからスプライスすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、スプライスされたポリリボヌクレオチドをスプライスされていない又は部分的にスプライスされたポリリボヌクレオチドから分離することを含む。いくつかの実施形態では、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スプライスされたポリリボヌクレオチドは、例えば、生成中のスプライシング(例えば、自己スプライシング)事象後、イントロン又はその一部分を欠いている。いくつかの実施形態では、イントロン又はその一部分を有するポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドである。
【0107】
いくつかの実施形態では、方法は、標的領域を有する捕捉されたポリリボヌクレオチド及び/又は捕捉剤(例えば、第1及び/又は第2の捕捉剤)を1回以上(例えば、2回、3回、4回、5回、又はそれ以上)洗浄することをさらに含む。洗浄は、接触ステップ後及び/又は分離ステップ後に行ってもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、方法は、標的領域を含む捕捉されたポリリボヌクレオチド及び/又は捕捉剤(例えば、第1及び/又は第2の捕捉剤)を、標的領域を有するポリリボヌクレオチドから放出するための第1の溶出ステップを実施することをさらに含む。第1の溶出ステップは、第1の緩衝剤を添加し、及び/又はサンプルを、例えば少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、又はそれ以上に加熱することを含んでもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の溶出ステップを実施することをさらに含む。第2の溶出ステップは、第2の緩衝剤を添加し、及び/又はサンプルを、例えば少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、又はそれ以上に加熱することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の緩衝剤は、変性剤、例えばホルムアミド又は尿素を含む。第2の緩衝剤は、例えば、約40%~約60%のホルムアミド(例えば、約40%、45%、50%、55%、又は60%のホルムアミド)を含んでもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、方法は、サンプルをオリゴヌクレオチド及び/又は捕捉剤(例えば、第1及び/又は第2の捕捉剤)と少なくとも10分(例えば、少なくとも20分、30分、40分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、120分、又はそれ以上)かけてインキュベートすることを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、方法は、捕捉剤(例えば、第1及び/又は第2の捕捉剤)及び/又はオリゴヌクレオチドによって結合されていないサンプルの一部分を回収することを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のオリゴヌクレオチドを準備することを含み、各オリゴヌクレオチドは、異なる標的領域にハイブリダイズする。各オリゴヌクレオチドは、例えば、第1の捕捉剤又は粒子、例えば磁気粒子又はビーズにコンジュゲートされ得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、方法は、複数の標的領域にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを準備することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、3’半分イントロン及び5’半分イントロンにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを準備することを含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、方法は、3’半分-イントロンにハイブリダイズする第1のオリゴヌクレオチド及び5’半分-イントロンにハイブリダイズする第2のオリゴヌクレオチドを準備することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、各々が3’半分-イントロン及び/又は5’半分-イントロン上の異なる領域にハイブリダイズする複数のオリゴヌクレオチドを準備することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドをポリリボヌクレオチドに対する10:1~1:10(例えば、10:1、5:1、2:1、1:2、1:5、又は1:10)のモル比で準備することを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、方法は、粒子、例えばビーズ、例えば磁気ビーズのサンプルを準備することを含む。粒子は、容器内、例えばマイクロ遠心チューブ内に存在し得る、又はカラムに充填され得る。粒子は、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされ得る。方法は、ポリリボヌクレオチドの混合物を(例えば、第1の捕捉剤にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドとともに)、粒子を含有するカラムに流すことを含んでもよい。そのようなことから、オリゴヌクレオチドによって結合されているポリリボヌクレオチドは、カラムに結合することになる。いくつかの実施形態では、粒子は、例えば、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされている第1の捕捉剤に結合するように設計されている、第2の捕捉剤にコンジュゲートされる。他の実施形態では、粒子は、例えば、ポリリボヌクレオチドの標的領域にハイブリダイズするように設計されているオリゴヌクレオチドに直接的にコンジュゲートされる。
【0117】
いくつかの実施形態では、例えば磁気粒子を使用する場合、方法は、磁気粒子を、例えば、永久磁石を提供することにより、容器(例えば、マイクロ遠心チューブ)内でペレット化することを含んでもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、サンプル中の所望のポリリボヌクレオチドの量を濃縮する。例えば、方法は、所望の(例えば、スプライスされた)ポリリボヌクレオチドの量を、精製前のサンプルと比較して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)濃縮し得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、精製の方法により、50%(モル/モル)未満(例えば、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%(モル/モル)未満)の線状ポリリボヌクレオチドを有する環状ポリリボヌクレオチドがもたらされる。
【0120】
オリゴヌクレオチド
本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドの標的領域にハイブリダイズするように設計される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的領域の長さが等しい部分と少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、又は100%)の相補性を有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドの標的領域に対する最大で10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1つのミスマッチを有する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的領域に対するミスマッチを有しない。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、(例えば、修飾されたリン酸塩、糖、又は塩基を有する)修飾オリゴヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的領域にハイブリダイズするように設計された一部分及び標的領域にハイブリダイズしない一部分(例えば、末端領域)を含有する。
【0121】
オリゴヌクレオチドは、例えば、少なくとも5ヌクレオチド(例えば、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、若しくはそれ以上のヌクレオチド)の長さであってもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、例えば、5~100、5~95、10~90、10~80、12~60、15~50、15~40、15~30、18~30、20~25、又は20~22ヌクレオチドの長さである。
【0122】
オリゴヌクレオチドは、例えば、30~70%、例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、又は70%のGC含量を有してもよい。オリゴヌクレオチドは、例えば、約45℃~約75℃、例えば、約46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、又は75℃の融解温度(Tm)を有してもよい。
【0123】
捕捉剤
本明細書に記載のとおり、オリゴヌクレオチド及び/又は粒子は、捕捉剤にコンジュゲートされ得る。捕捉剤は、標的分子に結合する、例えばそれを捕捉するように設計される。捕捉剤又は捕捉剤のセット、例えば、第1及び/又は第2の捕捉剤は、抗体又はその抗原結合断片及び抗原などの任意の親和性ペアを含んでもよい。同様に、親和性ペアは、受容体又はその断片及びその同族リガンドを含んでもよい。第1の捕捉剤及び第2の捕捉剤は、共有結合又は非共有結合(例えば、イオン力又はファンデルワールス力)相互作用を可能にするのに十分な結合エネルギーで相互作用するように設計された任意の2つの分子であり得る。
【0124】
本明細書に記載の組成物又は方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、第1の捕捉剤にコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、第1の捕捉剤は抗原を含む。抗原は、例えばビオチンであってもよい。
【0125】
本明細書に記載のとおり、捕捉剤又はオリゴヌクレオチド(例えば、捕捉剤にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチド)は、第2の捕捉剤によって結合され得る、又は結合されるように設計され得る。いくつかの実施形態では、第2の捕捉剤は、例えば、抗原に結合するように設計されている抗体又はその抗原結合断片を含む。第2の捕捉剤は、例えばストレプトアビジンであってもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、第1の捕捉剤にコンジュゲートされないか又はそれを含まない、また第2の捕捉剤は、オリゴヌクレオチドに直接的に結合する。
【0126】
いくつかの実施形態では、第1の捕捉剤は、抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、第2の捕捉剤は抗原である。
【0127】
粒子
本明細書に記載のオリゴヌクレオチド及び/又は捕捉剤は、粒子、例えば、磁気粒子又はビーズにコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチド及び/又は捕捉剤は、複数の粒子にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、粒子は、複数の捕捉剤及び/又はオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0128】
磁気粒子は、磁気力に対して応答性がある少なくとも1つの成分を含む。磁気粒子は、全体的に磁気的であってもよい、又は非磁性である成分を含有してもよい。磁気粒子は、磁気ビーズ、例えば、実質的に球状の磁気ビーズであってもよい。磁気粒子は、全体的に磁気的であってもよい、又は、例えば、1つ以上の標的分子に結合するための1つ以上の官能基及び/若しくは修飾などの1つ以上の追加材料によって囲まれた1つ以上の磁気コアを含有してもよい。いくつかの例では、磁気粒子は、磁気成分及び1つ以上のシラノール基で修飾された表面を含有してもよい。このタイプの磁気粒子は、標的核酸分子に結合するために使用されてもよい。
【0129】
粒子、例えば、磁気粒子又はビーズは、多孔質体、非多孔質体、中空体、固体、半固体、半流体、流体、及び/又はその組み合わせであってもよい。いくつかの場合、粒子、例えばビーズは、溶解性又は分解性であってもよい。いくつかの場合、粒子、例えばビーズは、分解性でなくてもよい。いくつかの実施形態では、ビーズは、架橋アガロース、例えばSEPHAROSE(登録商標)で構成される。
【0130】
粒子、例えば、磁気粒子又はビーズは、天然及び/又は合成材料を含んでもよい。例えば、粒子、例えばビーズは、天然高分子、合成高分子又は天然及び合成高分子の両方を含み得る。天然高分子の例として、タンパク質及び糖、例えば、デオキシリボ核酸、ガム、セルロース、デンプン(例えば、アミロース、アミロペクチン)、タンパク質、酵素、多糖、絹、ポリヒドロキシアルカノエート、キトサン、デキストラン、コラーゲン、カラギーナン、イスパキュラ、アカシア、寒天、ゼラチン、セラック、カラヤガム、キサンタンガム、トウモロコシ糖ガム、グアーガム、ガムカラヤ、アガロース、アルギン酸、アルギン酸塩、又はその天然高分子が挙げられる。合成高分子の例として、アクリル、ナイロン、シリコーン、スパンデックス、ビスコースレーヨン、ポリカルボン酸、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリウレタン、ポリ乳酸、シリカ、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリホルムアルデヒド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニリデンジクロリド)、ポリ(二フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)及び/又はその組み合わせ(例えば、共重合体)が挙げられる。ビーズはまた、脂質、ミセル、セラミックス、ガラスセラミックス、材料複合体、金属、他の無機材料、及びその他を含む、ポリマー以外の材料から形成されてもよい。
【0131】
架橋は、使用される特定の架橋剤に応じて、永久的又は可逆的であってもよい。可逆的架橋は、ポリマーが適切な条件下で線状化又は解離することを可能にし得る。いくつかの場合、可逆的架橋はまた、ビーズの表面に結合された材料の可逆的結合を可能にし得る。
【0132】
粒子、例えば、ビーズ又は磁気粒子は、均一サイズ又は不均一サイズであってもよい。いくつかの場合、粒子、例えばビーズの直径は、少なくとも約1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、又はそれ以上であってもよい。いくつかの場合、粒子、例えばビーズは、約1μm未満、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、250μm、500μm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm又はそれ以下の直径を有してもよい。いくつかの場合、粒子、例えばビーズは、約40~75μm、30~75μm、20~75μm、40~85μm、40~95μm、20~100μm、10~100μm、1~100μm、20~250μm、若しくは20~500μm、500μm~1mm、1mm~2mm、1~5mm、若しくは1~10mmの範囲の直径を有してもよい。
【0133】
粒子は、任意の好適な形状であってもよい。粒子、例えば、磁気粒子又はビーズの形状の例として、限定はされないが、球状、非球状、卵円状、長方形、非晶質、環状、円柱状、及びそのバリエーションが挙げられる。
【0134】
リンカー
いくつかの実施形態では、リンカーを使用して、本明細書に記載の組成物又は方法において使用される2つ以上の成分をコンジュゲートする。例えば、リンカーを使用して、オリゴヌクレオチドを捕捉剤に、捕捉剤を粒子(例えば、ビーズ)に、オリゴヌクレオチドを粒子(例えば、ビーズ)に、又はその任意の組み合わせ若しくはバリエーションでコンジュゲートすることができる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、化学的リンカーによって第1の捕捉剤にコンジュゲートされる。化学的リンカーは、オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端にコンジュゲートされ得る。或いは、化学的リンカーは、オリゴヌクレオチドの内部領域にコンジュゲートされ得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、第2の捕捉剤は、粒子にコンジュゲートされる。粒子は、例えば、磁気粒子又はビーズであってもよい。ビーズは、例えば架橋アガロース、例えばSEPHAROSE(登録商標)ビーズであってもよい。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、粒子(例えばビーズ、例えば磁気ビーズ又は架橋アガロース、例えばSEPHAROSE(登録商標)ビーズ)に直接的にコンジュゲートされる。
【0136】
化学的リンカーは、例えば、オリゴヌクレオチドと捕捉剤(例えば、第1の捕捉剤)及び/又は捕捉剤(例えば、第2の捕捉剤)及び粒子との間に、空間、硬性、及び/又は柔軟性をもたらす。いくつかの実施形態では、リンカーは、結合、例えば共有結合、例えば、アミド結合、ジスルフィド結合、C-O結合、C-N結合、N-N結合、C-S結合、又は化学反応、例えば化学的コンジュゲーションからもたらされるあらゆる種類の結合であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、250個以下の原子(例えば、1~2、1~4、1~6、1~8、1~10、1~12、1~14、1~16、1~18、1~20、1~25、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、1~65、1~70、1~75、1~80、1~85、1~90、1~95、1~100、1~110、1~120、1~130、1~140、1~150、1~160、1~170、1~180、1~190、1~200、1~210、1~220、1~230、1~240、又は1~250個の原子;250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の原子)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、250個以下の非水素原子(例えば、1~2、1~4、1~6、1~8、1~10、1~12、1~14、1~16、1~18、1~20、1~25、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、1~65、1~70、1~75、1~80、1~85、1~90、1~95、1~100、1~110、1~120、1~130、1~140、1~150、1~160、1~170、1~180、1~190、1~200、1~210、1~220、1~230、1~240、又は1~250個の非水素原子;250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の非水素原子)を含む。いくつかの実施形態では、リンカーの骨格は、250個以下の原子(例えば、1~2、1~4、1~6、1~8、1~10、1~12、1~14、1~16、1~18、1~20、1~25、1~30、1~35、1~40、1~45、1~50、1~55、1~60、1~65、1~70、1~75、1~80、1~85、1~90、1~95、1~100、1~110、1~120、1~130、1~140、1~150、1~160、1~170、1~180、1~190、1~200、1~210、1~220、1~230、1~240、又は1~250個の原子;250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、28、26、24、22、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の原子)を含む。リンカーの「骨格」は、コンジュゲートの一方の部分からコンジュゲートのもう一方の部分にかけての最短経路を一緒に形成するリンカー中の原子を指す。リンカーの骨格内の原子は、コンジュゲートの一方の部分をコンジュゲートのもう一方の部分に連結することに直接的に関与する。例えば、リンカーの骨格内の炭素に結合した水素原子は、コンジュゲートの一方の部分をコンジュゲートのもう一方の部分に連結することに直接的に関与するとみなされない。
【0137】
いくつかの実施形態では、リンカーは、例えば、合成高分子(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー)に由来する合成基を含んでもよい。化学的リンカーは、例えば、トリエチレングリコール(TEG)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸残基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(例えば、1~25アミノ酸、1~10アミノ酸、1~9アミノ酸、1~8アミノ酸、1~7アミノ酸、1~6アミノ酸、1~5アミノ酸、1~4アミノ酸、1~3アミノ酸、1~2アミノ酸、又は1アミノ酸配列)であってもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上の任意選択的に置換されたC~C20アルキレン、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロアルキレン(例えば、PEG単位)、任意選択的に置換されたC~C20アルケニレン(例えば、Cアルケニレン)、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC~C20アルキニレン、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたC~C20シクロアルキレン(例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン)、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたC~C20シクロアルケニレン、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロシクロアルケニレン、任意選択的に置換されたC~C20シクロアルキニレン、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロシクロアルキニレン、任意選択的に置換されたC~C15アリレン(例えば、Cアリレン)、任意選択的に置換されたC~C15ヘテロアリレン(例えば、イミダゾール、ピリジン)、O、S、NRi(Riは、H、任意選択的に置換されたC~C20アルキル、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC~C20アルケニル、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC~C20アルキニル、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC~C20シクロアルキル、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたC~C20シクロアルケニル、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロシクロアルケニル、任意選択的に置換されたC~C20シクロアルキニル、任意選択的に置換されたC~C20ヘテロシクロアルキニル、任意選択的に置換されたC~C15アリール、又は任意選択的に置換されたC~C15ヘテロアリールである)、P、カルボニル、チオカルボニル、スルホニル、リン酸塩、ホスホリル、又はイミノを含んでもよい。
【0138】
リンカーを用いたコンジュゲート中の2つ以上の成分の共有結合的コンジュゲーションは、周知の有機化学合成技術及び方法を用いて達成することができる。2つの成分上の相補的な官能基は、互いに反応し、共有結合を形成し得る。相補的な反応性官能基の例として、限定はされないが、例えば、マレイミド及びシステイン、アミン及び活性化カルボン酸、チオール及びマレイミド、活性化スルホン酸及びアミン、イソシアン酸塩及びアミン、アジド及びアルキン、並びにアルケン及びテトラジンが挙げられる。ポリペプチドへの部位特異的コンジュゲーションは、当該技術分野で公知の技術を用いて達成することができる。
【0139】
組成物
本明細書に記載のとおり、本発明は、本明細書に記載される方法によって生成されたポリリボヌクレオチドの集団を含む組成物を特徴とする。集団は、例えば、標的領域を欠いている環状ポリリボヌクレオチドを含んでもよく、環状ポリリボヌクレオチドは、組成物中の全ポリリボヌクレオチドの少なくとも1%(例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)(モル/モル)を含む。いくつかの実施形態では、集団は、組成物中の50%未満(例えば、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満)(モル/モル)の線状ポリリボヌクレオチドを有する。
【0140】
他の実施形態では、集団は、例えば、標的領域を有する第1の配置におけるポリリボヌクレオチド及び標的領域を有する第2の配置におけるポリリボヌクレオチドを含んでもよく、第1の配置におけるポリリボヌクレオチドは、組成物中の全ポリリボヌクレオチドの少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)(モル/モル)を含む。
【0141】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明は、ポリリボヌクレオチドの混合物を含む組成物を特徴とする。混合物の第1のサブセットは、標的領域を欠いている環状ポリリボヌクレオチドを含み、複数のポリリボヌクレオチドの第2のサブセットは、標的領域を有する線状ポリリボヌクレオチドを含む。第1のサブセットは、組成物中の全ポリリボヌクレオチドの少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、又は少なくとも40%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)(モル/モル)を含む。
【0142】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本発明は、標的領域を有するポリリボヌクレオチド及び標的領域にハイブリダイズするように設計されているオリゴヌクレオチドを含む組成物であって、オリゴヌクレオチドが第1の捕捉剤(例えば抗原、例えばビオチン)にコンジュゲートされている組成物を特徴とする。組成物は、例えば、標的領域を欠いているポリリボヌクレオチドをさらに含んでもよい。標的領域を欠いているポリリボヌクレオチドは、例えば、環状ポリリボヌクレオチドであってもよい。組成物は、第1の捕捉剤に結合するように設計されている第2の捕捉剤(例えば、抗体又はその抗原結合断片、例えばストレプトアビジン)をさらに含んでもよい。第2の捕捉剤は、例えばリンカーを介して粒子にコンジュゲートされ得る。
【0143】
本明細書に記載される組成物のいずれかのいくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、イントロン又はその一部分を含む。標的領域は、イントロン又はその一部分を含んでもよい。標的領域は、イントロン又はその一部分の5’又は3’側に位置してもよい。
【0144】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、修飾されたポリリボヌクレオチドであってもよい。
【0145】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、質量ベースで、少なくとも30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)、60%(w/w)、70%(w/w)、80%(w/w)、85%(w/w)、90%(w/w)、91%(w/w)、92%(w/w)、93%(w/w)、94%(w/w)、95%(w/w)、96%(w/w)、97%(w/w)、98%(w/w)、99%(w/w)、又は100%(w/w)純粋である。純度は、例えば限定はされないが、クロマトグラフィー(カラムを使用する、ペーパーを使用する、ゲルを使用する、HPLCを使用する、UHPLCを使用するなど、又はICによる、SECによる、逆相による、アニオン交換による、混合モードによるなど)又は電気泳動(尿素PAGE、チップベース、ポリアクリルアミドゲル、RNA、キャピラリー、c-IEFなど)などの分離技術の使用など、当業者に公知のいくつかの分析技術のいずれか1つにより、質量分析、UV-可視光、蛍光、光散乱、屈折率に基づく検出技術を用いる、又は検出のための銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を用いる分離前若しくは分離後の誘導体化方法の存在下又は非存在下で測定することができる。或いは、純度は、質量分析による、顕微鏡による、円二色性(CD)分光学による、UV若しくはUV-vis分光光度法による、蛍光測定(例えば、Qubit)による、リボヌクレアーゼH分析による、表面プラズモン共鳴(SPR)、又は検出のための銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を用いる方法による分離技術を用いることなく、測定することができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、純度は、生物学的試験方法(例えば、細胞ベース又は受容体ベースの試験)によって測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の調製物におけるリボヌクレオチド集団全体の少なくとも30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)、60%(w/w)、70%(w/w)、80%(w/w)、85%(w/w)、90%(w/w)、91%(w/w)、92%(w/w)、93%(w/w)、94%(w/w)、95%(w/w)、96%(w/w)、97%(w/w)、98%(w/w)、99%(w/w)又は100%(w/w)が、環状ポリリボヌクレオチド分子中に含有される。パーセントは、例えば限定はされないが、クロマトグラフィー(カラムを使用する、ペーパーを使用する、ゲルを使用する、HPLCを使用する、UHPLCを使用するなど、又はICによる、SECによる、逆相による、アニオン交換による、混合モードによるなど)又は電気泳動(尿素PAGE、チップベース、ポリアクリルアミドゲル、RNA、キャピラリー、c-IEFなど)などの分離技術の使用など、当業者に公知のいくつかの分析技術のいずれか1つにより、質量分析、UV-可視光、蛍光、光散乱、屈折率に基づく検出技術を用いる、又は検出のための銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を用いる分離前若しくは分離後の誘導体化方法の存在下又は非存在下で測定することができる。或いは、純度は、質量分析による、顕微鏡による、円二色性(CD)分光学による、UV若しくはUV-vis分光光度法による、蛍光測定(例えば、Qubit)による、リボヌクレアーゼH分析による、表面プラズモン共鳴(SPR)による、又は検出のための銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を用いる方法による分離技術を用いることなく、測定することができる。
【0147】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、少なくとも0.1ng/mL、0.5ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、50ng/mL、0.1μg/mL、0.5μg/mL、1μg/mL、2μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、20μg/mL、30μg/mL、40μg/mL、50μg/mL、60μg/mL、70μg/mL、80μg/mL、100μg/mL、200μg/mL、300μg/mL、500μg/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、100,000μg/mL、200mg/mL、300mg/mL、400mg/mL、500mg/mL、600mg/mL、650mg/mL、700mg/mL、又は750mg/mLの環状ポリリボヌクレオチド濃度を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、モノヌクレオチドを実質的に含まない、又は1pg/mL、10pg/mL、0.1ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、若しくは100,000μg/mL以下のモノヌクレオチド含量を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、最大で、1pg/mL、10pg/mL、0.1ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、又は100,000μg/mLの検出限界からのモノヌクレオチド含量を有する。
【0148】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、質量ベースで、全ヌクレオチドの0.1%(w/w)、0.2%(w/w)、0.3%(w/w)、0.4%(w/w)、0.5%(w/w)、0.6%(w/w)、0.7%(w/w)、0.8%(w/w)、0.9%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、4%(w/w)、5%(w/w)、6%(w/w)、7%(w/w)、8%(w/w)、9%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)以下、又はそれらの間の任意のパーセンテージのモノヌクレオチド含量を有し、ここで全ヌクレオチド含量は、デオキシリボヌクレオチド分子及びリボヌクレオチド分子の全質量である。
【0149】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、600ng/mL、1μg/ml、10μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200g/mL、300μg/mL、400μg/mL、500μg/mL、600μg/mL、700μg/mL、800μg/mL、900μg/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、2mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、50mg/mL、100mg/mL、200mg/mL、300mg/mL、400mg/mL、500mg/mL、600mg/mL、650mg/mL、700mg/mL、又は750mg/mL以下の線状RNA含有物、例えば、線状RNA対応物又はRNA断片を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、最大で、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、600ng/mL、1μg/ml、10μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200g/mL、300μg/mL、400μg/mL、500μg/mL、600μg/mL、700μg/mL、800μg/mL、900μg/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、2mg/mL、5mg/mL、10mg/mL、50mg/mL、100mg/mL、200mg/mL、300mg/mL、400mg/mL、500mg/mL、600mg/mL、650mg/mL、700mg/ml、又は750mg/mlの検出限界からの線状RNA含有物、例えば、線状RNA対応物又はRNA断片を有する。
【0150】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、10%(w/w)、9.9%(w/w)、9.8%(w/w)、9.7%(w/w)、9.6%(w/w)、9.5%(w/w)、9.4%(w/w)、9.3%(w/w)、9.2%(w/w)、9.1%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)、若しくは0.1%(w/w)以下、又はそれらの間のパーセンテージのニックRNA含量を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、0程度に低いニックRNA含量を有する、又はニックRNAを実質的に含まない。
【0151】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、30%(w/w)、25%(w/w)、20%(w/w)、15%(w/w)、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)、0.5%(w/w)、若しくは0.1%(w/w)以下、又はそれらの間のパーセンテージの線状RNAとニックRNAを組み合わせた含量を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、0程度に低いニックRNAと線状RNAを組み合わせた含量を有する、又はニック及び線状RNAを実質的に含まない。
【0152】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、質量分析、UV分光又は蛍光検出器、光散乱技術、表面プラズモン共鳴(SPR)を、HPLCを含む、HPLC、チップ若しくはゲルベースの電気泳動による分離方法の使用の存在下又は非存在下、分離前若しくは分離後のいずれかの誘導体化方法、銀若しくは色素染色若しくは放射性崩壊を用いる検出方法、又は顕微鏡法、視覚的方法若しくは分光光度計の使用の存在下又は非存在下で用いる方法などの分析方法の検出限界以下の線状RNA含有物、例えば、線状RNA対応物又はRNA断片を有する。
【0153】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、例えば、実施例2における方法によって測定したとき、0.1%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、4%(w/w)、5%(w/w)、6%(w/w)、7%(w/w)、8%(w/w)、9%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、35%(w/w)、40%(w/w)、45%(w/w)、50%(w/w)以下の線状RNAを有する。
【0154】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物の線状ポリリボヌクレオチド分子は、環状ポリリボヌクレオチド分子の線状対応物又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物の線状ポリリボヌクレオチド分子は、線状対応物(例えば、環状化前バージョン)を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物の線状ポリリボヌクレオチド分子は、環状ポリリボヌクレオチドに対する非対応物又はその断片を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物の線状ポリリボヌクレオチド分子は、環状ポリリボヌクレオチドに対する非対応物を含む。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチド分子は、環状ポリリボヌクレオチドの対応物及び環状ポリリボヌクレオチドの非対応物又はその断片の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチド分子は、環状ポリリボヌクレオチドの対応物及び環状ポリリボヌクレオチドの非対応物の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチド分子断片は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、11000、12000、若しくはそれ以上のヌクレオチドの長さ、又はそれらの間の任意のヌクレオチド数である断片である。
【0155】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、例えば、分光光度計によって測定したとき、約1.6~約2.3のA260/A280吸光度比を有する。いくつかの実施形態では、A260/A280吸光度比は、約1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、又はそれらの間の任意の数である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドの生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、例えば、分光光度計によって測定したとき、約1.8を超えるA260/A280吸光度比を有する。いくつかの実施形態では、A260/A280吸光度比は、約1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又はそれ以上である。
【0156】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、不純物又は副産物を実質的に含まない。様々な実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物中の少なくとも1つの不純物又は副産物のレベルは、不純物又は副産物を除去するための精製又は処理前の組成物の場合と比較したとき、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)、又は少なくとも95%(w/w)低下する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセス関連不純物又は副産物のレベルは、不純物又は副産物を除去するための精製又は処理前の組成物の場合と比較したとき、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)、又は少なくとも95%(w/w)低下する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの産物関連物質のレベルは、不純物又は副産物を除去するための精製又は処理前の組成物の場合と比較したとき、少なくとも30%(w/w)、少なくとも40%(w/w)、少なくとも50%(w/w)、少なくとも60%(w/w)、少なくとも70%(w/w)、少なくとも80%(w/w)、少なくとも90%(w/w)、又は少なくとも95%(w/w)低下する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、プロセス関連不純物又は副産物をさらに実質的に含まない。いくつかの実施形態では、プロセス関連不純物又は副産物は、タンパク質(例えば、宿主細胞タンパク質などの細胞タンパク質)、デオキシリボ核酸(例えば、宿主細胞デオキシリボ核酸などの細胞デオキシリボ核酸)、モノデオキシリボヌクレオチド若しくはジデオキシリボヌクレオチド分子、酵素(例えば、ヌクレアーゼ、例えば、エンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼ、又はリガーゼ)、試薬成分、ゲル成分、又はクロマトグラフ材料を含む。いくつかの実施形態では、不純物又は副産物は、緩衝液試薬、リガーゼ、ヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ阻害剤、リボヌクレアーゼR、デオキシリボヌクレオチド分子、アクリルアミドゲル細片、及びモノデオキシリボヌクレオチド分子から選択される。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、タンパク質(例えば、宿主細胞タンパク質などの細胞タンパク質)汚染物質、不純物、又は副産物として、環状ポリリボヌクレオチド分子の1ミリグラム(mg)当たり、0.1ng、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、30ng、35ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、100ng、200ng、300ng、400ng、又は500ng未満のタンパク質汚染物質、不純物、又は副産物を含む。
【0157】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、DNA含有物を実質的に含まない、例えば、鋳型DNA又は細胞DNA(例えば、宿主細胞DNA)は、0程度に低いDNA含量を有する、又は1pg/mL、10pg/mL、0.1ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、1000μg/mL、5000μg/mL、10,000μg/mL、又は100,000μg/mL以下のDNA含量を有する。
【0158】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、DNA含有物を実質的に含まない、0程度に低いDNA含量を有する、又は質量ベースで全ヌクレオチドの0.001%(w/w)、0.01%(w/w)、0.1%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、4%(w/w)、5%(w/w)、6%(w/w)、7%(w/w)、8%(w/w)、9%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、35%(w/w)、40%(w/w)、45%(w/w)、50%(w/w)以下のDNA含量を有し、ここで全ヌクレオチド分子は、デオキシリボヌクレオチド含有物及びリボヌクレオチド分子の全質量である。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、ヌクレオシドを消化する酵素による全DNA消化後に定量液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)によって測定したとき(DNAの含量は、LC-MSによって測定したとき、各塩基(即ち、A、C、G、T)の検量線から逆計算される)、DNA含有物を実質的に含まない、0程度に低いDNA含量を有する、又は質量ベースで全ヌクレオチドの0.001%(w/w)、0.01%(w/w)、0.1%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、3%(w/w)、4%(w/w)、5%(w/w)、6%(w/w)、7%(w/w)、8%(w/w)、9%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、35%(w/w)、40%(w/w)、45%(w/w)、50%(w/w)以下のDNA含量を有する。
【0159】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、0.1ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/ml、又は500ng/ml以下のタンパク質(例えば、細胞タンパク質(CP)、例えば、酵素、産物関連タンパク質、例えば、担体タンパク質)汚染物質、不純物、又は副産物を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドの生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、最大で0.1ng/mL、1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/ml、又は500ng/mlの検出限界からのタンパク質(例えば、細胞タンパク質(CP)、例えば酵素などの産物関連タンパク質)汚染物質、不純物、又は副産物を有する。
【0160】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、環状ポリリボヌクレオチドの1ミリグラム(mg)当たり、0.1ng、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、30ng、35ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、100ng、200ng、300ng、400ng、又は500ng未満のタンパク質(例えば、細胞タンパク質(CP)、例えば酵素などの産物関連タンパク質)汚染物質、不純物、又は副産物を有する。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドの生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、環状ポリリボヌクレオチドの1ミリグラム(mg)当たり、最大で0.1ng、1ng、5ng、10ng、15ng、20ng、25ng、30ng、35ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、100ng、200ng、300ng、400ng、又は500ngの検出レベルからのタンパク質(例えば、細胞タンパク質(CP)、例えば酵素などの産物関連タンパク質)汚染物質、不純物、又は副産物を有する。
【0161】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、例えば、カブトガニ血球抽出成分(LAL)試験によって測定したとき、低レベルの内毒素を有する、又は内毒素が実質的に不在である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの生成における医薬調製物若しくは組成物又は中間体は、カブトガニ血球抽出成分試験によって測定したとき、20EU/kg(重量)、10EU/kg、5EU/kg、1EU/kg未満の内毒素を含む、又は内毒素を欠いている。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド組成物は、低レベルのヌクレアーゼ又はリガーゼを有する、又はそれが不在である。
【0162】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、約50%(w/w)、45%(w/w)、40%(w/w)、35%(w/w)、30%(w/w)、25%(w/w)、20%(w/w)、19%(w/w)、18%(w/w)、17%(w/w)、16%(w/w)、15%(w/w)、14%(w/w)、13%(w/w)、12%(w/w)、11%(w/w)、10%(w/w)、9%(w/w)、8%(w/w)、7%(w/w)、6%(w/w)、5%(w/w)、4%(w/w)、3%(w/w)、2%(w/w)、1%(w/w)以下の少なくとも1つの酵素、例えばポリメラーゼ、例えばRNAポリメラーゼを含む。
【0163】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド調製物の生成における環状ポリリボヌクレオチド医薬調製物若しくは組成物又は中間体)は、無菌である、又は微生物を実質的に含まない、例えば、組成物若しくは調製物は、無菌条件下で試験したとき、100未満の生存可能な微生物の成長を支持し、組成物若しくは調製物は、USP<71>の基準を満たし、及び/又は組成物若しくは調製物は、USP<85>の基準を満たす。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、滅菌前、100CFU/100ml、50CFU/100ml、40CFU/100ml、30CFU/100ml、200CFU/100ml、10CFU/100ml、又は10CFU/100ml未満のバイオバーデンを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド調製物は、不純物又は副産物を除去するため、カラムクロマトグラフィー又はpH、バイアル不活性化などの当該技術分野で公知の技術を用いて、さらに精製することができる。
【0165】
ポリヌクレオチド
本発明は、分離及び/又は精製の方法において使用され、本明細書に記載の組成物中に存在するポリリボヌクレオチドを特徴とする。本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチド、環状ポリリボヌクレオチド又はその組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、線状ポリリボヌクレオチドの適合可能な末端をスプライシングすることにより)線状ポリリボヌクレオチドから生成される。いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドが、デオキシリボヌクレオチド鋳型(例えば、ベクター、線状化ベクター、又はcDNA)から転写される。したがって、本発明は、ポリリボヌクレオチドの生成において有用である、線状デオキシリボヌクレオチド、環状デオキシリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド、及び環状ポリリボヌクレオチド及びその組成物を特徴とする。
【0166】
線状ポリリボヌクレオチド
本発明は、以下の1つ以上を含み得る線状ポリリボヌクレオチドを特徴とする:3’半分-イントロン;3’スプライス部位;3’エクソン;ポリリボヌクレオチドカーゴ;5’エクソン;5’スプライス部位;及び5’半分-イントロン。いくつかの実施形態では、3’半分-イントロンは、触媒グループIイントロン、例えば、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、T4ファージtd遺伝子、又はその変異体からの触媒グループIイントロンの3’部分に対応する。いくつかの実施形態では、5’半分-イントロンは、触媒グループIイントロン、例えば、シアノバクテリアアナベナ属(Anabaena)プレtRNA-Leu遺伝子、テトラヒメナ属(Tetrahymena)プレrRNA、T4ファージtd遺伝子、又はその変異体からの触媒グループIイントロンの5’部分に対応する。
【0167】
線状ポリリボヌクレオチドは、追加的な要素を、例えば、上記要素の外側又はそれらいずれかの間に含んでもよい。例えば、上記要素のいずれかは、本明細書に記載のとおり、スペーサー配列によって分離されてもよい。本明細書に記載される標的領域は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの任意の領域内に存在してもよい。いくつかの実施形態では、標的領域は、イントロン又はその一部分の内部に存在する。
【0168】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるデオキシリボヌクレオチド(例えば、ベクター、線状化ベクター、又はcDNA)を鋳型(例えば、RNAポリメラーゼプロモーターが線状ポリリボヌクレオチドをコードする領域の上流に配置されている、本明細書に提供されるベクター、線状化ベクター、又はcDNA)として使用して、無細胞系における転写(例えば、インビトロ転写)を実施することにより、線状ポリリボヌクレオチドを生成する方法である。
【0169】
デオキシリボヌクレオチド鋳型を転写し、本明細書に記載の成分を含有する線状ポリリボヌクレオチドを生成することができる。発現時、線状ポリリボヌクレオチドは、例えば後の使用のため、スプライスされることで環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る、スプライシングに適合するポリリボヌクレオチドを生成することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、線状ポリリボヌクレオチドは、50~20,000、例えば、300~20,000(例えば、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、又は20,000)リボヌクレオチドの長さである。線状ポリリボヌクレオチドは、例えば、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも4,000、又は少なくとも5,000リボヌクレオチドの長さであり得る。
【0171】
環状ポリリボヌクレオチド
いくつかの実施形態では、本発明は、環状ポリリボヌクレオチドを特徴とする。環状ポリリボヌクレオチドは、5’エクソン及び3’エクソンを連結するスプライス結合を含んでもよい。本明細書に記載される標的領域は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドの任意の領域内に存在し得る。環状ポリリボヌクレオチドは、例えばスプライシング後、イントロンが欠け得る。
【0172】
環状ポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドカーゴをさらに含んでもよい。ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現配列、非コード配列、又は発現配列及び非コード配列の組み合わせを含んでもよい。ポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列を含んでもよい。ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含んでもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、IRESと5’エクソン断片又は3’エクソン断片との間にスペーサー領域をさらに含む。スペーサー領域は、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、スペーサー領域は、ポリA-C、ポリA-G、ポリA-U、又は他の異質若しくはランダム配列を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド、又は少なくとも約20,000ヌクレオチドである。
【0174】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソームへの結合部位を収容するのに十分なサイズであり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのサイズは、有用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、したがって、少なくとも20,000ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレオチド、少なくとも7,500ヌクレオチド、少なくとも5,000ヌクレオチド、少なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも2,000ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも1400ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチドの長さが生成され得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中に記載の1つ以上の要素を含む。いくつかの実施形態では、要素は、スペーサー配列によって互いに分離され得る。いくつかの実施形態では、要素は、1リボヌクレオチド、2ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約60ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1000ヌクレオチド、最大約1kb、少なくとも約1000ヌクレオチド、又はそれらの間の任意の量のヌクレオチドによって互いに分離され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の要素は、互いに隣接しており、例えばスペーサーエレメントを欠いている。
【0176】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の反復エレメントを含み得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書中に記載の1つ以上の修飾を含む。一実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオシド修飾を含む。一実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのヌクレオシドの最大100%が修飾される。一実施形態では、少なくとも1つのヌクレオシド修飾は、ウリジン修飾又はアデノシン修飾である。
【0177】
その環状化の結果として、環状ポリリボヌクレオチドは、それを線状ポリリボヌクレオチドと区別する特定の特徴を含んでもよい。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドよりも多かれ少なかれアクセス可能な標的領域を含有してもよい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドと比較した場合にエキソヌクレアーゼによる分解をより受けにくいことがある。そのようなものとして、環状ポリリボヌクレオチドは、特にエキソヌクレアーゼの存在下でインキュベートされるとき、線状ポリリボヌクレオチドより安定であり得る。環状ポリリボヌクレオチドの安定性の線状ポリリボヌクレオチドと比較しての増加は、環状ポリリボヌクレオチドを、ポリペプチドを生成するための細胞形質転換試薬としてより有用なものにし、線状ポリリボヌクレオチドより容易に、そしてより長い間、貯蔵可能である。エキソヌクレアーゼで処理された環状ポリリボヌクレオチドの安定性は、RNA分解が(例えば、ゲル電気泳動によって)生じているか否かを判定する、当該技術分野で標準の方法を用いて試験することができる。さらに、線状ポリリボヌクレオチドと異なり、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドが子ウシ腸ホスファターゼなどのホスファターゼとともにインキュベートされるとき、脱リン酸化をより受けにくい可能性がある。
【0178】
ポリリボヌクレオチドカーゴ
本明細書に記載のポリリボヌクレオチドカーゴは、少なくとも1つのポリリボヌクレオチドを含む任意の配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現配列、非コード配列、又は発現配列及び非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、ポリペプチドをコードする発現配列に作動可能に連結されているIRESを含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、対象に対する生物学的効果を有するポリペプチドをコードする発現配列を含む。
【0179】
ポリリボヌクレオチドカーゴは、例えば、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド、又は少なくとも約20,000ヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1~20,000ヌクレオチド、1~10,000ヌクレオチド、1~5,000ヌクレオチド、100~20,000ヌクレオチド、100~10,000ヌクレオチド、100~5,000ヌクレオチド、500~20,000ヌクレオチド、500~10,000ヌクレオチド、500~5,000ヌクレオチド、1,000~20,000ヌクレオチド、1,000~10,000ヌクレオチド、又は1,000~5,000ヌクレオチドを含む。
【0180】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1つ又は複数の発現(又はコード)配列を含み、ここで各発現(又はコード)配列は、ポリペプチドをコードする。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、1つ又は複数の非コード配列を含む。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、全体的に非コード配列からなる。実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、発現(又はコード)配列及び非コード配列の組み合わせを含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製されたポリリボヌクレオチドは、治療法又は農業におけるエフェクターとして使用される。例えば、本明細書に記載の方法(例えば、本明細書に記載の無細胞法)によって作製された環状ポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物において)対象に投与することができる。別の例では、本明細書に記載の方法(例えば、本明細書に記載の無細胞法)によって作製された環状ポリリボヌクレオチドは、細胞に送達することができる。
【0182】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、全体が参照により本明細書に援用されるPCT国際公開第2019/118919号パンフレットに開示されたとおりの任意の特徴、又は特徴のいずれかの組み合わせを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、オープンリーディングフレームを含む。いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、IRESに作動可能に連結されている。オープンリーディングフレームは、RNA又はポリペプチドをコードし得る。いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、ポリペプチドをコードし、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、例えば、ポリペプチドをコードする線状ポリリボヌクレオチドと比較した場合、ポリペプチドの(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又はそれ以上の)発現増加をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド、例えば環状ポリリボヌクレオチドの純度の増加は、例えば、環状及び線状ポリリボヌクレオチドの集団と比較した場合、ポリペプチドの(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又はそれ以上の)発現増加をもたらす。
【0184】
ポリペプチド発現配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の発現(又はコード)配列を含み、ここで各発現配列は、ポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の発現(又はコード)配列を含む。
【0185】
各コードポリペプチドは、直鎖状又は分岐状であってもよい。実施形態では、ポリペプチドは、約5~約40,000アミノ酸、約15~約35,000アミノ酸、約20~約30,000アミノ酸、約25~約25,000アミノ酸、約50~約20,000アミノ酸、約100~約15,000アミノ酸、約200~約10,000アミノ酸、約500~約5,000アミノ酸、約1,000~約2,500アミノ酸、又はそれらの間の任意の範囲の長さを有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、有用であり得る、約40,000アミノ酸未満、約35,000アミノ酸未満、約30,000アミノ酸未満、約25,000アミノ酸未満、約20,000アミノ酸未満、約15,000アミノ酸未満、約10,000アミノ酸未満、約9,000アミノ酸未満、約8,000アミノ酸未満、約7,000アミノ酸未満、約6,000アミノ酸未満、約5,000アミノ酸未満、約4,000アミノ酸未満、約3,000アミノ酸未満、約2,500アミノ酸未満、約2,000アミノ酸未満、約1,500アミノ酸未満、約1,000アミノ酸未満、約900アミノ酸未満、約800アミノ酸未満、約700アミノ酸未満、約600アミノ酸未満、約500アミノ酸未満、約400アミノ酸未満、約300アミノ酸未満、又はそれ以下の長さを有する。
【0186】
本明細書に含まれるポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド又は天然に存在しないポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、参照ポリペプチドの機能断片又は変異体(例えば、酵素の酵素活性断片又は変異体)であるか又はそれを含む。例えば、ポリペプチドは、例えば、特定領域にわたり、又は全配列にわたり、本明細書に記載のポリペプチド又は天然に存在するポリペプチドの配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有する、本明細書に記載のポリペプチドのいずれかの機能的に活性のある変異体であってもよい。いくつかの場合、ポリペプチドは、目的のタンパク質と少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、99%、又はそれ以上)の同一性を有し得る。
【0187】
ポリペプチドのいくつかの例として、限定はされないが、蛍光タグ若しくはマーカー、抗原、治療用ポリペプチド、又は農業用途のポリペプチドが挙げられる。
【0188】
治療用ポリペプチドは、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、酵素(例えば、オキシドレダクターゼ、代謝酵素、ミトコンドリア酵素、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ATP非依存性酵素、リソソーム酵素、デサチュラーゼ)、サイトカイン、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば、一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、Fc融合タンパク質、抗凝固剤、血液因子、骨形成タンパク質、インターフェロン、インターロイキン、及び血栓溶解剤であってもよい。
【0189】
農業用途のポリペプチドは、バクテリオシン、溶解素、抗菌ポリペプチド、抗真菌ポリペプチド、根粒Cリッチペプチド、菌細胞調節ペプチド(bacteriocyte regulatory peptide)、ペプチド毒素、殺虫性(pesticidal)ポリペプチド(例えば、殺虫性(insecticidal)ポリペプチド又は殺線虫性ポリペプチド)、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば、一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、酵素(例えば、ヌクレアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、キチナーゼ)、ペプチドフェロモン、及び転写因子であってもよい。
【0190】
いくつかの場合、ポリリボヌクレオチドは、非ヒトタンパク質を発現する。
【0191】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、抗体、例えば、抗体断片、又はその一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドによって発現される抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソタイプであり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の一部分、例えば、軽鎖、重鎖、Fc断片、CDR(相補性決定領域)、Fv断片、又はFab断片、そのさらなる一部分を発現する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の1つ以上の部分を発現する。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含むことができ、それらの各々は、抗体の一部分を発現し、それらの和は、抗体を構成し得る。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の重鎖をコードする1つの発現配列、及び抗体の軽鎖をコードする別の発現配列を含む。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチドが細胞又は無細胞環境下で発現される場合、軽鎖及び重鎖は、適切な修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を受け、機能的抗体を形成し得る。
【0192】
実施形態では、ポリペプチドは、複数のポリペプチド、例えば、1つのポリペプチド配列の複数のコピー、又は複数の異なるポリペプチド配列を含む。実施形態では、複数のポリペプチドは、リンカーアミノ酸又はスペーサーアミノ酸によって接続される。
【0193】
実施形態では、ポリヌクレオチドカーゴは、シグナルペプチドをコードする配列を含む。多くのシグナルペプチド配列は記載がなされており、例えば、Tat(ツインアルギニン転座)シグナル配列は、典型的に、脂質二重層を通じてそのようなTatシグナルペプチドを含む折り畳みタンパク質を転座させることに役立つ、コンセンサスSRRxFLK「ツインアルギニン」モチーフを含むN末端ペプチド配列である。また、例えば、www.signalpeptide.deで公的に利用可能なシグナルペプチドデータベースを参照されたい。シグナルペプチドは、タンパク質を特定の細胞小器官に誘導するためにも有用であり;例えば、proline.bic.nus.edu.sg/spdbで公的に利用可能なSpdbシグナルペプチドデータベースにおいて開示された、実験的に測定され、計算的に予測されたシグナルペプチドを参照されたい。
【0194】
実施形態では、ポリヌクレオチドカーゴは、細胞透過性ペプチド(CPP)をコードする配列を含む。数百のCPP配列が記載されており;例えば、crdd[dot]osdd[dot]net/raghava/cppsite/で公的に利用可能な細胞透過性ペプチドのデータベースのCPPsiteを参照されたい。一般に使用されるCPP配列の例が、CGIペプチドのC末端に融合され得る、ポリ-アルギニン配列、例えば、オクタアルギニン(octoarginine)又はノナアルギニン(nonoarginine)である。
【0195】
実施形態では、ポリヌクレオチドカーゴは、自己集合ペプチドをコードする配列を含み;例えば、Miki et al.(2021)Nature Communications,21:3412,DOI:10.1038/s41467-021-23794-6を参照されたい。
【0196】
いくつかの実施形態では、発現配列は、(例えば、発現配列の3’末端に)ポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリA配列の長さは、10を超えるヌクレオチドの長さである。一実施形態では、ポリA配列は、15を超えるヌクレオチドの長さである(例えば、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチドであるか又はそれを超える)。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919A1号パンフレットの[0202]~[0204]におけるポリA配列の記載に従って設計される。いくつかの実施形態では、発現配列は、(例えば、発現配列の3’末端で)ポリA配列を欠いている。
【0197】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の特徴を調節するため、ポリAを含むか、ポリAを欠いているか、又は修飾ポリAを有する。いくつかの実施形態では、ポリAを欠いているか又は修飾ポリAを有する環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の機能特性、例えば、免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ以上のマーカーのレベル)、半減期、及び/又は発現効率を改良する。
【0198】
治療用ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、治療用ポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。治療用ポリペプチドは、対象に投与されるか又は対象内で発現される場合、いくつかの治療的利益を提供するポリペプチドである。治療用ポリペプチドの対象への投与又は対象内での発現を用いて、疾患、障害、若しくは状態又はその症状を処置又は予防することができる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上の治療用ポリペプチドをコードする。
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、治療用タンパク質をコードする発現配列を含む。該タンパク質は、それを必要とする対象における疾患を処置することができる。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、それを必要とする対象における変異された、下方発現された、又は存在しないタンパク質を補償し得る。いくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、それを必要とする対象における細胞、組織、又はウイルスを標的にし、それと相互作用し、又はそれに結合することができる。
【0200】
治療用ポリペプチドは、細胞から分泌され得る、又は細胞の細胞質、核、若しくは膜区画に局在化され得るポリペプチドであり得る。
【0201】
治療用ポリペプチドは、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、酵素(例えば、オキシドレダクターゼ、代謝酵素、ミトコンドリア酵素、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ATP非依存性酵素、リソソーム酵素、デサチュラーゼ)、サイトカイン、転写因子、抗原結合ポリペプチド(例えば、抗原結合抗体又は抗体様断片、例えば一本鎖抗体、ナノボディ又は他のIg重鎖若しくは軽鎖を含むポリペプチド)、Fc融合タンパク質、抗凝固剤、血液因子、骨形成タンパク質、インターフェロン、インターロイキン、血栓溶解剤、抗原(例えば、腫瘍、ウイルス、又は細菌抗原)、ヌクレアーゼ(例えば、Casタンパク質、例えばCas9などのエンドヌクレアーゼ)、膜タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、膜貫通受容体、Gタンパク質共役受容体(GPCR)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、抗原受容体、イオンチャネル、又は膜トランスポーター)、分泌タンパク質、遺伝子編集タンパク質(例えば、CRISPR-Cas、TALEN、又はZnフィンガー)、又は遺伝子書き込みタンパク質(gene writing protein)(例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2020/047124号パンフレットを参照されたい)であってもよい。
【0202】
いくつかの実施形態では、治療用ポリペプチドは、抗体、例えば、全長抗体、抗体断片、又はその一部分である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)によって発現される抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソタイプであり得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現・抗体の一部分、例えば、軽鎖、重鎖、Fc断片、CDR(相補性決定領域)、Fv断片、又はFab断片、そのさらなる一部分を発現する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、抗体の1つ以上の部分を発現する。例えば、ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含むことができ、それらの各々は、抗体の一部分を発現し、それらの和は、抗体を構成し得る。いくつかの場合、ポリリボヌクレオチドは、抗体の重鎖をコードする1つの発現配列、及び抗体の軽鎖をコードする別の発現配列を含む。ポリリボヌクレオチドが細胞下で発現される場合、軽鎖及び重鎖は、適切な修飾、フォールディング、又は他の翻訳後修飾を受け、機能的抗体を形成し得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製されたポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、治療法又は農業におけるエフェクターとして使用される。例えば、本明細書に記載の方法によって作製されたポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物において)対象に投与することができる。実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。実施形態では、対象はヒトである。実施形態では、方法の対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0204】
植物改変ポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、植物改変ポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。植物改変ポリペプチドは、植物の生理又は表現型の変化、例えば植物の適応度の増加又は低下をもたらす様式で、植物の遺伝的特性を改変し得る(例えば、遺伝子発現を増加させる、遺伝子発現を低下させる、又はそれ以外ではDNA若しくはRNAのヌクレオチド配列を改変する)、エピジェネティック特性を改変し得る、又は生理学的若しくは生化学的特性を改変し得るポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくはそれ以上の異なる植物改変ポリペプチド、又は1つ以上の植物改変ポリペプチドの多重コピーをコードする。植物改変ポリペプチドは、種々の植物の生理若しくは表現型を改変し得る、又は種々の植物の適応度を増加若しくは低下させ得る、又は1つ以上の特定の植物(例えば、植物の特定の種又は属)におけるこのような変化をもたらすものであり得る。
【0205】
本明細書で使用することができるポリペプチドの例として、酵素(例えば、代謝組換え酵素、ヘリカーゼ、インテグラーゼ、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、又はユビキチン化タンパク質)、孔形成タンパク質、シグナル伝達リガンド、細胞透過性ペプチド、転写因子、受容体、抗体、ナノボディ、遺伝子編集タンパク質(例えば、CRISPR-Casエンドヌクレアーゼ、TALEN、又はZnフィンガー)、リボタンパク質、タンパク質アプタマー、又はシャペロンを挙げることができる。
【0206】
農業ポリペプチド(agricultural polypeptide)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、農業ポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。農業ポリペプチドは、農業使用に適するポリペプチドである。実施形態では、農業ポリペプチドを、(例えば、葉面スプレー、ダスティング、注射、又は種子被覆により)植物若しくは種子に、又は(例えば、土壌ドレンチ又は顆粒土壌適用により)植物の環境に適用することで、植物の生理、表現型、又は適応度の改変をもたらす。農業ポリペプチドの実施形態は、植物又は非ヒト動物宿主の内部又は表面に常在する1つ以上の微生物のレベル、活性、又は代謝を改変するポリペプチドを含み、その改変により、宿主の適応度増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、農業ポリペプチドは、植物ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、農業ポリペプチドは、昆虫ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、農業ポリペプチドは、非ヒト脊椎動物、無脊椎動物、微生物、又は植物細胞と接触する際、生物学的効果を有する。
【0207】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくはそれ以上の農業ポリペプチド、又は1つ以上の農業ポリペプチドの多重コピーをコードする。
【0208】
農業適用に有用なポリペプチドの実施形態として、例えば、バクテリオシン、溶解素、抗菌ペプチド、根粒Cリッチペプチド、及び菌細胞調節ペプチドが挙げられる。ミツバチ及びカイコなどの昆虫の適応度を増加させるため、このようなポリペプチドを使用して、標的微生物のレベル、活性、又は代謝を改変することができる。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、ペプチド毒素、例えば、当該技術分野で公知のとおり、昆虫病原菌(例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)、セラチア・エントモフィラ(Serratia entomophila)、又はゼノラブダス・ネマトフィラ(Xenorhabdus nematophila))によって天然に生成されたものを含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、農業的に重要な害虫又は病原体を制御するための(シクロジペプチド又はジケトピペラジンなどの小ペプチドを含む)ポリペプチド、例えば、植物における疾患を制御するための抗菌ポリペプチド若しくは抗真菌ポリペプチド、又は昆虫若しくは線虫などの無脊椎動物害虫を制御するための殺虫性(pesticidal)ポリペプチド(例えば、殺虫性(insecticidal)ポリペプチド又は殺線虫性ポリペプチド)を含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、抗体、ナノボディ、及びその断片、例えば、インタクトな抗体又はナノボディの特定の結合活性の少なくとも一部(例えば、少なくとも10%)を保持する抗体又はナノボディ断片を含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、転写因子、例えば植物転写因子を含み;例えば、agris-knowledgebase[dot]org/AtTFDB/で公的に利用可能な、モデル植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において同定された転写因子ファミリーを列記する「AtTFDB」データベース)を参照されたい。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、ヌクレアーゼ、例えば、エキソヌクレアーゼ又はエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9又はCas12aなどのCasヌクレアーゼ)を含む。農業的に有用なポリペプチドの実施形態は、細胞透過性ペプチド、酵素(例えば、アミラーゼ、セルラーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、キチナーゼ)、ペプチドフェロモン(例えば、酵母接合フェロモン、無脊椎動物の生殖及び幼生のシグナル伝達フェロモン、例えば、Altstein(2004)Peptides,25:1373-76を参照されたい)をさらに含む。
【0209】
内部リボソーム進入部位(IRES)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の内部リボソーム進入部位(IRES)要素を含む。いくつかの実施形態では、IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結される(例えば、各IRESは、1つ以上の発現配列に作動可能に連結される)。実施形態では、IRESは、異種プロモーターとコード配列の5’末端との間に位置する。
【0210】
ポリリボヌクレオチド内に含めるのに適したIRES要素は、真核生物リボソームと会合することが可能なRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、IRES要素は、少なくとも約5nt、少なくとも約8nt、少なくとも約9nt、少なくとも約10nt、少なくとも約15nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約250nt、少なくとも約350nt、又は少なくとも約500ntである。
【0211】
いくつかの実施形態では、IRES要素は、限定はされないが、ウイルス、哺乳動物、及びショウジョウバエを含む生物のDNAに由来する。このようなウイルスDNAは、限定はされないが、ピコルナウイルス相補DNA(cDNA)とともに、脳心筋炎ウイルス(encephalomyocarditis virus)(EMCV)cDNA及びポリオウイルス(poliovirus)cDNAに由来し得る。一実施形態では、IRES要素の由来元であるショウジョウバエ(Drosophila)DNAは、限定はされないが、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)由来のアンテナペディア遺伝子を含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、存在する場合、IRES配列は、タウラ症候群ウイルス、トリアトマウイルス、タイラー脳脊髄炎ウイルス、シミアンウイルス40、ソレノプシスインビクタウイルス1、ムギクビレアブラムシウイルス、細網内皮症ウイルス、ヒト(fuman)ポリオウイルス1、チャバネアオカメムシ腸管ウイルス、カシミール蜂ウイルス、ヒトライノウイルス2、ヒメヨコバイ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒト免疫不全ウイルス1型、ヒメヨコバイ(Homalodisca coagulata)ウイルス-1、ヒメトビPウイルス(Himetobi P virus)、C型肝炎ウイルス、A型肝炎ウイルス、GB型肝炎ウイルス、口蹄疫ウイルス、ヒトエンテロウイルス71、ウマ鼻炎ウイルス(Equine rhinitis virus)、チャシャクガピコルナ様ウイルス、脳心筋炎ウイルス(EMCV)、ショウジョウバエCウイルス、アブラナ科トバモ(Crucifer tobamo)ウイルス、クリケット麻痺(Cricket paralysis)ウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス1、黒色女王蜂児ウイルス、アブラムシ致死性麻痺ウイルス(Aphid lethal paralysis virus)、トリ脳脊髄炎ウイルス、急性蜂麻痺ウイルス、ハイビスカス退緑輪点ウイルス(Hibiscus chlorotic ringspot virus)、古典的ブタ熱ウイルス、ヒトFGF2、ヒトSFTPAl、ヒトAMLl/RUNXl、ショウジョウバエアンテナペディア(antennapedia)、ヒトAQP4、ヒトAT1R、ヒトBAG-1、ヒトBCL2、ヒトBiP、ヒトc-IAPl、ヒトc-myc、ヒトeIF4G、マウスNDST4L、ヒトLEF1、マウスHIF1α、ヒトn.myc、マウスGtx、ヒトp27kipl、ヒトPDGF2/c-sis、ヒトp53、ヒトPim-1、マウスRbm3、ショウジョウバエリーパー(reaper)、イヌスカンパー(Scamper)、ショウジョウバエUbx、ヒトUNR、マウスUtrA、ヒトVEGF-A、ヒトXIAP、サリウイルス(Salivirus)、コサウイルス、パレコウイルス、ショウジョウバエヘアレス(hairless)、酵母(S.cerevisiae)TFIID、酵母(S.cerevisiae)YAP1、ヒトc-src、ヒトFGF-1、サルピコマウイルス(picomavirus)、カブクリンクルウイルス(Turnipcrinklevirus)、eIF4Gに対するアプタマー、コクサッキーウイルスB3(CVB3)又はコクサッキーウイルスA(CVB1/2)のIRES配列である。さらに別の実施形態では、IRESは、コクサッキーウイルスB3(CVB3)のIRES配列である。さらなる実施形態では、IRESは脳心筋炎ウイルスのIRES配列である。
【0213】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上)の発現配列に隣接する少なくとも1つのIRESを含む。いくつかの実施形態では、IRESは、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上)の発現配列の両側に隣接する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に1つ以上のIRES配列を含み、得られるペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0214】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドカーゴは、IRESを含む。例えば、ポリリボヌクレオチドカーゴは、例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Chen et al.Mol.Cell 81:1-19,2021に記載されるとおり、環状RNA IRESを含み得る。
【0215】
調節要素
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の調節要素を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば、ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。
【0216】
調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含んでもよい。調節要素は、隣接配列に作動可能に連結されてもよい。調節要素は、調節要素が存在しない場合に発現される産物の量又は数と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。さらに、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物の量を増加させ得る。したがって、1つの調節要素が、1つ以上の発現配列の発現を促進することができる。複数の調節要素が、当業者に周知である。
【0217】
いくつかの実施形態では、調節要素は、翻訳モジュレーターである。翻訳モジュレーターは、ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレーターは、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接した少なくとも1つの翻訳モジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接した翻訳モジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、翻訳モジュレーターは、各発現配列の片側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0218】
いくつかの実施形態では、調節要素は、マイクロRNA(miRNA)又はmiRNA結合部位である。
【0219】
調節要素のさらなる例が、例えば、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0154]~[0161]に記載されている。
【0220】
翻訳開始配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結されている翻訳開始配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコードし、翻訳開始配列、例えば開始コドンを含み得る。いくつかの実施形態では、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えば、コザック配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態では、翻訳開始配列、例えば、コザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物の分離をもたらす。ある実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態では、翻訳開始配列は、ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態では、翻訳開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。翻訳開始配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0163]~[0165]に記載されている。
【0222】
ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60又は60を超える開始コドンなどの2つ以上の開始コドンを含んでもよい。翻訳は、第1の開始コドンで開始し得るか、又は第1の開始コドンの下流で開始し得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドン、例えばAUGでないコドンで開始し得る。ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列、例えば限定はされないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUGで開始し得る。いくつかの実施形態では、翻訳は、選択的条件、例えばストレス誘導条件下で、代替的な翻訳開始配列で開始する。非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列、例えばACGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列のCTG/CUGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドの翻訳は、代替的な翻訳開始配列のGTG/GUGで開始し得る。別の非限定的な例として、ポリリボヌクレオチドは、リピート関連非AUG(RAN)配列、例えば、反復RNAの短いストレッチ、例えば、CGG、GGGGCC(配列番号1)、CAG、CTGを含む代替的な翻訳開始配列で翻訳を開始し得る。
【0224】
終結配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、少なくとも(least)1つの終結配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、発現配列に作動可能に連結されている終結配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、終結配列を欠いている。
【0225】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠いていることで、ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される。終結配列の除外は、ローリングサークル翻訳又は発現産物の連続的発現をもたらし得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発現配列は、終結配列を有する場合も有しない場合もある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結配列を欠いていることで、環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される。終結配列の除外は、リボソーム停止又は脱落の欠如に起因して、ローリングサークル翻訳又は発現産物、例えばペプチド又はポリペプチドの連続的発現をもたらし得る。このような実施形態では、ローリングサークル翻訳は、各発現配列を通じて、連続的発現産物を発現する。いくつかの他の実施形態では、発現配列の終結配列は、スタガー要素の一部であり得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の発現配列は、終結配列を含む。しかし、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列のローリングサークル翻訳又は発現が実施される。このような場合、発現産物は、リボソームが終結配列、例えば停止コドンに遭遇し、翻訳を終結させる場合、リボソームから脱落し得る。いくつかの実施形態では、翻訳は、リボソーム、例えば、リボソームの少なくとも1つのサブユニットが環状ポリリボヌクレオチドとの接触状態を維持しながら終結される。
【0227】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列の末端に終結配列を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の発現配列は、後続の2つ以上の終結配列を含む。このような実施形態では、翻訳が終結され、ローリングサークル翻訳が終結される。いくつかの実施形態では、リボソームは、環状ポリリボヌクレオチドと完全に隔てられる。いくつかのこのような実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列の生成において、翻訳の開始前に環状ポリリボヌクレオチドと再会合するため、リボソームを必要とし得る。一般に、終結配列は、翻訳の終結を伝えるインフレームのヌクレオチドトリプレット、例えば、UAA、UGA、UAGを含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の終結配列は、フレームシフトされた終結配列、例えば限定はされないが、翻訳を終結し得る、オフフレーム又は-1及び+1シフトされたリーディングフレーム(例えば、隠れた停止)である。フレームシフトされた終結配列は、発現配列の第2及び第3のリーディングフレーム内に出現する三重ヌクレオチド、TAA、TAG、及びTGAを含む。フレームシフトされた終結配列は、細胞に対して有害であることが多い、mRNAの誤読を防止するのに重要であり得る。いくつかの実施形態では、終結配列は、停止コドンである。
【0228】
終結配列のさらなる例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0169]~[0170]に記載されている。
【0229】
非翻訳領域
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含まれ得る。ある実施形態では、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。ある実施形態では、イントロンは、ヒトイントロンである。
【0230】
例示的な非翻訳領域が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0197]~[201]に記載されている。
【0231】
ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含む。例示的なポリA配列が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0202]~[0205]に記載されている。ある実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。
【0232】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、アデノシン及びウリジンの1つ又は複数のストレッチが内包されたUTRを含む。これらのAUリッチのシグネチャーは、発現産物のターンオーバー速度を増加させ得る。
【0233】
UTRのAUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性、又は免疫原性(例えば、免疫又は炎症性応答の1つ又は複数のマーカーのレベル)を調節するのに有用であり得る。特定の環状ポリリボヌクレオチドを改変するとき、AREの1つ又は複数コピーを環状ポリリボヌクレオチドに導入してもよく、AREのコピーは、発現産物の翻訳及び/又は産生を調節し得る。同様に、AREを、同定及び除去し、又は環状ポリリボヌクレオチドに改変することで、細胞内安定性を調節し、ひいては得られるタンパク質の翻訳及び産生に作用することができる。
【0234】
任意の遺伝子からの任意のUTRが環状ポリリボヌクレオチドの各隣接領域に組み込まれてもよいことは理解されるべきである。
【0235】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTR、3’UTR、及びIRESを欠いており、その1つ又は複数の発現配列からのタンパク質発現の能力がある。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列:1つ又は複数のmiRNAをコードする配列、1つ又は複数の複製タンパク質をコードする配列、外因性遺伝子をコードする配列、治療(therapeutic)をコードする配列、調節要素(例えば、翻訳モジュレーター、例えば、翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、内因性遺伝子を標的にする1つ又は複数の調節核酸(例えば、siRNA、lncRNA、shRNA)、及び治療的mRNA又はタンパク質をコードする配列、の1つ又は複数を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、3’UTRを欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、終結配列を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いているという事実は、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されない、又はエキソヌクレアーゼの存在下で限られた範囲に限って分解される、例えば、エキソヌクレアーゼの不在下で同等又は類似的であることを意味し得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによって分解されない。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝露されるとき、分解が低下している。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合を欠いている。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠いている。
【0237】
スタガー要素
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接した少なくとも1つのスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接したスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、各発現配列の片側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び/又はポリペプチドの分離をもたらす。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の一部分である。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、1つ以上の発現配列のそれぞれが、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要素によって後続の発現配列から隔てられる。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ以上の発現配列のうちの発現配列の一部を含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素を含む。連続的発現産物、例えばペプチド又はポリペプチドの生成を回避しながら、ローリングサークル翻訳を維持するため、スタガー要素を含めることで、翻訳中のリボソーム停止を誘導してもよい。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、1つ又は複数の発現配列の少なくとも1つの3’末端にある。スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳中にリボソームを停止させるように設計され得る。スタガー要素は、限定はされないが、2A様、又はCHYSEL(配列番号72)(シス作用性ヒドロラーゼエレメント)配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スタガー要素は、XEXNPGP(式中、Xは、不在又はG若しくはHであり、Xは、不在又はD若しくはGであり、Xは、D又はV又はI又はS又はMであり、Xは、任意のアミノ酸である)(配列番号83)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする。いくつかの実施形態では、この配列は、強力なαらせん性を有するアミノ酸の非保存配列と、それに続くコンセンサス配列-D(V/I)EXNPGP(式中、x=任意のアミノ酸である)(配列番号4)とを含む。スタガー要素のいくつかの非限定例として、GDVESNPGP(配列番号55)、GDIEENPGP(配列番号56)、VEPNPGP(配列番号57)、IETNPGP(配列番号58)、GDIESNPGP(配列番号59)、GDVELNPGP(配列番号10)、GDIETNPGP(配列番号11)、GDVENPGP(配列番号12)、GDVEENPGP(配列番号13)、GDVEQNPGP(配列番号14)、IESNPGP(配列番号15)、GDIELNPGP(配列番号16)、HDIETNPGP(配列番号17)、HDVETNPGP(配列番号18)、HDVEMNPGP(配列番号19)、GDMESNPGP(配列番号20)、GDVETNPGP(配列番号21)GDIEQNPGP(配列番号22)、及びDSEFNPGP(配列番号23)が挙げられる。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスタガー要素は、本明細書に記載のコンセンサス配列のG及びPの間などで、発現産物を切断する。1つの非限定例として、環状ポリリボヌクレオチドは、発現産物を切断するための少なくとも1つのスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接したスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の後にスタガー要素を含む。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列の片側又は両側に存在するスタガー要素を含むことで、各発現配列から個別のペプチド及び/又はポリペプチドの翻訳を引き起こす。
【0240】
いくつかの実施形態では、スタガー要素は、翻訳中にリボソーム停止を誘導する、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックド核酸(LNA)、並びにグリコール核酸(GNA)及びトレオース核酸(TNA)を含んでもよい。これらなどの例は、天然に存在するDNA又はRNAと、分子の骨格に対する変化によって区別される。修飾は、翻訳中にリボソーム停止を誘導し得る、糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合(例えば、連結リン酸塩/リン酸ジエステル結合/リン酸ジエステル骨格)に対する任意の修飾、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。本明細書に提供される例示的な修飾のいくつかは、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0241】
いくつかの実施形態では、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中に他の形態で存在する。例えば、いくつかの例示的な環状ポリリボヌクレオチドでは、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の終結配列、及び第1の発現配列に連続する発現の第1の翻訳開始配列から終結配列を分離するヌクレオチドスペーサー配列を含む。いくつかの例において、第1の発現配列の第1のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列に連続する発現の第1の翻訳開始配列の上流(それに対する5’側)に存在する。いくつかの場合、第1の発現配列及び第1の発現配列に連続する発現配列は、環状ポリリボヌクレオチド中の2つの別々の発現配列である。第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及びその連続する発現配列の連続的翻訳を可能にし得る。
【0242】
いくつかの実施形態では、第1のスタガー要素は、終結配列を含み、第1の発現配列の発現産物をその連続する発現配列の発現産物から分離し、それにより分離した発現産物を作出する。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチド中の連続する配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される一方で、第2の発現配列に連続する発現配列の第2の翻訳開始配列の上流に存在する第2の発現配列のスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳されない。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチド中に発現配列が1つだけ存在し、第1の発現配列及びその連続する発現配列は、同じ発現配列である。いくつかの例示的な環状ポリリボヌクレオチドでは、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の終結配列、及び下流の翻訳開始配列から終結配列を分離するヌクレオチドスペーサー配列を含む。いくつかのそのような例では、第1のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(に対する5’側)に存在する。いくつかの場合、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及び任意の連続する発現配列の連続的翻訳を可能にする。
【0243】
いくつかの実施形態では、第1のスタガー要素は、第1の発現配列の1回の発現産物を第1の発現配列の次回の発現産物から分離し、それにより分離した発現産物を作出する。いくつかの場合、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流に第1のスタガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳される一方で、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2の発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、継続的に翻訳されない。いくつかの場合、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始配列との間の距離は、対応する環状ポリリボヌクレオチドにおいて、環状ポリリボヌクレオチドにおける第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離よりも少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、又は10倍大きい。いくつかの場合、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上である。いくつかの実施形態では、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始配列との間の距離は、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離よりも、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt、又はそれ以上大きい。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含む。
【0244】
スタガー要素の例が、全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019/118919号パンフレットの段落[0172]~[0175]に記載されている。
【0245】
非コード配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、ポリリボヌクレオチドのポリリボヌクレオチドカーゴ)は、1つ以上の非コード配列、例えば、ポリペプチドの発現をコードしない配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10若しくは10より大きい非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチド発現配列をコードしない。
【0246】
非コード配列は、天然又は合成配列であり得る。いくつかの実施形態では、非コード配列は、細胞挙動、例えば、リンパ球挙動などを改変し得る。いくつかの実施形態では、非コード配列は、細胞RNA配列に対してアンチセンスである。
【0247】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、典型的に、(特定のRNA構造(例えば、5~30bpのmiRNA、200~500bpのlncRNA)に応じて約5~500塩基対(bp)のRNA又はRNA様構造である調節核酸を含み、細胞内の発現された標的遺伝子におけるコード配列と同一(相補的)又はほぼ同一(実質的に相補的)である核酸塩基配列を有し得る。実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、より小さいmiRNA中間体又は成熟miRNAにプロセシング可能である、約50~約1000bpであり得る、より小さいRNAにプロセシング可能であるRNA前駆体、例えばmiRNA前駆体をコードする調節核酸を含む。
【0248】
長い非コードRNA(IncRNA)は、100ヌクレオチドより長い非タンパク質コード転写物と定義される。多くのIncRNAは、組織特異性として特徴づけられる。近傍のタンパク質コード遺伝子に対して逆方向に転写される多様なIncRNAは、有意な割合(例えば、哺乳動物ゲノムにおける全IncRNAの約20%)を含み、おそらくは近傍遺伝子の転写を調節する。一実施形態では、本明細書に提供されるポリリボヌクレオチドは、IncRNAのセンス鎖を含む。一実施形態では、本明細書に提供されるポリリボヌクレオチドは、IncRNAのアンチセンス鎖を含む。
【0249】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、内因性遺伝子又は遺伝子産物(例えば、mRNA)の全て又は少なくとも1つの断片に対して、実質的に相補的である、又は完全に相補的である調節核酸をコードする。実施形態では、調節核酸は、転写における特定遺伝子の新規に生成された核RNA転写物のmRNAへの成熟を防止するため、イントロンとエクソンとの間の境界での、エクソン間における、又はエクソンに隣接した配列を補完する。特定遺伝子に対して相補的である調節核酸は、その遺伝子に対するmRNAとハイブリダイズし、その翻訳を阻止し得る。アンチセンス調節核酸は、DNA、RNA、又はその誘導体若しくはハイブリッドであり得る。いくつかの実施形態では、調節核酸は、内因性遺伝子又は外因性遺伝子の発現の調節に関与するタンパク質に結合し得るタンパク質結合部位を含む。
【0250】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドの長さは、目的の転写産物にハイブリダイズする調節性核酸をコードし、ここで調節性RNAは、約5~30ヌクレオチド、約10~30ヌクレオチド、又は約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30ヌクレオチド若しくは30を超えるヌクレオチドの長さを有する。実施形態では、調節性RNAの標的化転写産物との配列同一性の程度は、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。
【0251】
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、標的遺伝子の約5~約25の隣接ヌクレオチドと同一のマイクロRNA(miRNA)分子をコードする、又はそのmiRNAの前駆体をコードする。いくつかの実施形態では、miRNAは、mRNAが特定の標的mRNAを認識し、それに結合することを可能にする配列を有する。実施形態では、miRNA配列は、ジヌクレオチドAAから開始し、約30~70%(約30~60%、約40~60%、又は約45%~55%)のGC含量を含み、対象(例えば、哺乳動物)のゲノム中の標的以外の任意のヌクレオチド配列であって、例えば標準BLAST検索による決定として導入されるべきであるヌクレオチド配列とは高いパーセンテージの同一性を有しない。
【0252】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのmiRNA(又はmiRNA前駆体)、例えば、2、3、4、5、6、又はそれ以上のmiRNA又はmiRNA前駆体を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、標的配列と少なくとも約75%、80%、85%、90%95%、96%、97%、98%、又は99%又は100%のヌクレオチド配列相補性を有する、miRNA(又はその前駆体)をコードする配列を含む。
【0253】
siRNA及びshRNAは、内因性マイクロRNA(miRNA)遺伝子のプロセシング経路における中間体に類似する。いくつかの実施形態では、siRNAは、miRNAとして機能することができ、その逆も言える。マイクロRNAは、siRNAのようにRISCを使用して、標的遺伝子を下方制御するが、siRNAと異なり、大部分の動物のmiRNAは、mRNAを切断しない。代わりに、miRNAは、翻訳抑制又はポリA除去及びmRNA分解を通じて、タンパク質出力を低減する。公知のmiRNA結合部位は、mRNAの3’UTRの内部に存在し;miRNAは、miRNAの5’末端からのヌクレオチド2~8とほぼ完全な相補性を有する部位を標的にするように思われる。この領域は、シード領域として知られる。成熟siRNA及びmiRNAが互換可能であることから、外因性siRNAは、siRNAと相補的なシードを有するmRNAを下方制御する。
【0254】
公知のmiRNA配列のリストは、特に、ウェルカム・トラスト・サンガー研究所(Wellcome Trust Sanger Institute),Penn Center for Bioinformatics、メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)、及び欧州分子生物学研究所(European Molecule Biology Laboratory)などの研究組織によって維持されたデータベース内に見出すことができる。公知の有効なsiRNA配列及び同族結合部位についても、関連文献において十分に表されている。RNAi分子は、当該技術分野で公知の技術によって容易に設計及び生成される。加えて、有効な特定の配列モチーフを見出す機会を増加させる計算ツールが存在する。
【0255】
タンパク質結合配列
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば、リボソームがRNA配列内の内部部位に結合することを可能にする、1つ又は複数のタンパク質結合部位を含む。タンパク質結合部位、例えば、リボソーム結合部位を環状ポリリボヌクレオチド中に設計することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドを宿主の免疫系の成分からマスクすることによって、宿主の免疫系による検知を逃避し得るか又は低下させているか、分解を調節しているか、又は翻訳を調節している。
【0256】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの免疫タンパク質結合部位を含むことで、例えば、免疫応答、例えば、CTL(細胞傷害性Tリンパ球)応答を逃避する。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性としての環状ポリリボヌクレオチドのマスキングを補助するヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク質に結合し、外因性又は外来性としての環状ポリリボヌクレオチドの隠蔽を補助するヌクレオチド配列である。
【0257】
線状RNAへのリボソーム会合の伝統的機構は、RNAのキャップされた5’末端へのリボソーム結合を含む。リボソームは、5’末端から開始コドンに移動するとすぐに、第1のペプチド結合が形成される。本開示によると、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳の内部開始(即ち、キャップ非依存性)は、遊離末端又はキャップ末端を必要としない。むしろ、リボソームは、非キャップ内部部位に結合し、それにより、リボソームは、ポリペプチド伸長を開始コドンで開始させる。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソーム結合部位、例えば、開始コドンを含む、1つ又は複数のRNA配列を含む。
【0258】
天然5’UTRは、翻訳開始における役割を果たす特徴を有する。それは、リボソームが多数の遺伝子の翻訳を開始させるプロセスに関与することが一般に知られるコザック配列のようなシグネチャーを内包する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号24)(ここでRは、開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニン又はグアニン)である)を有し、それにもう一つの「G」が後続する。5’UTRは、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することも知られている。
【0259】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質に結合するタンパク質結合配列をコードする。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、環状ポリリボヌクレオチドを特異的標的に標的化し、又は局在化する。いくつかの実施形態では、タンパク質結合配列は、タンパク質のアルギニンリッチ領域に特異的に結合する。
【0260】
いくつかの実施形態では、タンパク質結合部位として、限定はされないが、ACIN1、AGO、APOBEC3F、APOBEC3G、ATXN2、AUH、BCCIP、CAPRIN1、CELF2、CPSF1、CPSF2、CPSF6、CPSF7、CSTF2、CSTF2T、CTCF、DDX21、DDX3、DDX3X、DDX42、DGCR8、EIF3A、EIF4A3、EIF4G2、ELAVL1、ELAVL3、FAM120A、FBL、FIP1L1、FKBP4、FMR1、FUS、FXR1、FXR2、GNL3、GTF2F1、HNRNPA1、HNRNPA2B1、HNRNPC、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPM、HNRNPU、HNRNPUL1、IGF2BP1、IGF2BP2、IGF2BP3、ILF3、KHDRBS1、LARP7、LIN28A、LIN28B、m6A、MBNL2、METTL3、MOV10、MSI1、MSI2、NONO、NONO-、NOP58、NPM1、NUDT21、PCBP2、POLR2A、PRPF8、PTBP1、RBFOX2、RBM10、RBM22、RBM27、RBM47、RNPS1、SAFB2、SBDS、SF3A3、SF3B4、SIRT7、SLBP、SLTM、SMNDC1、SND1、SRRM4、SRSF1、SRSF3、SRSF7、SRSF9、TAF15、TARDBP、TIA1、TNRC6A、TOP3B、TRA2A、TRA2B、U2AF1、U2AF2、UNK、UPF1、WDR33、XRN2、YBX1、YTHDC1、YTHDF1、YTHDF2、YWHAG、ZC3H7B、PDK1、AKT1、及びRNAに結合する任意の他のタンパク質などのタンパク質への結合部位が挙げられる。
【0261】
スペーサー配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチドは、1つ以上のスペーサー配列を含む。スペーサーは、2つの隣接するポリヌクレオチド領域間で距離又は柔軟性を提供する、(例えば、1つ以上のヌクレオチドの)任意の隣接するヌクレオチド配列を指す。スペーサーは、本明細書に記載の核酸因子のいずれかの間に存在してもよい。スペーサーはまた、本明細書に記載の核酸因子の内部に存在してもよい。
【0262】
スペーサーは、例えば、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、各スペーサー領域は、少なくとも5(例えば、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20)リボヌクレオチドの長さである。各スペーサー領域は、例えば、5~500(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500)リボヌクレオチドの長さであってもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA配列を含んでもよい。第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-C配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー領域、第2のスペーサー領域、又は第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、ランダム配列を含む。
【0263】
スペーサーはまた、本明細書に記載の核酸領域内に存在してもよい。例えば、ポリヌクレオチドカーゴ領域は、1つ又は複数のスペーサーを含んでもよい。スペーサーは、ポリヌクレオチドカーゴ内の領域を分離し得る。
【0264】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、例えば、少なくとも10ヌクレオチドの長さ、少なくとも15ヌクレオチドの長さ、又は少なくとも30ヌクレオチドの長さであり得る。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチドの長さ以下である。いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、20~50ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチドの長さである。
【0265】
スペーサー配列は、ポリA配列、ポリA-C配列、ポリC配列、又はポリU配列であり得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、ポリA-T、ポリA-C、ポリA-G、又はランダム配列であり得る。
【0267】
スペーサー配列を使用して、IRESを隣接する構成要素から分離することで、IRES又は隣接要素の構造と機能を維持(martini)することができる。スペーサーは、IRESに応じて特異的に改変することができる。いくつかの実施形態では、RNAFoldなどのRNAフォールディングのコンピュータソフトウェアを利用して、スペーサーを含むベクターの様々な要素の設計を導くことができる。
【0268】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(例えば、5’アニーリング領域とポリリボヌクレオチドカーゴとの間に)5’スペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも10ヌクレオチドの長さである。別の実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも15ヌクレオチドの長さである。さらなる実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチドの長さ以下である。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、20~50ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、5’スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチドの長さである。一実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA配列である。別の実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-C配列である。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ランダム配列を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(例えば、3’アニーリング領域とポリリボヌクレオチドカーゴとの間に)3’スペーサー配列を含む。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも10ヌクレオチドの長さである。別の実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも15ヌクレオチドの長さである。さらなる実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、少なくとも7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25又は30ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、100、90、80、70、60、50、45、40、35又は30ヌクレオチドの長さ以下である。いくつかの実施形態では、3’スペーサー配列は、20~50ヌクレオチドの長さである。特定の実施形態では、3’スペーサー配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチドの長さである。一実施形態では、3’スペーサー配列は、ポリA配列である。別の実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-C配列である。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-G配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ポリA-T配列を含む。いくつかの実施形態では、5’スペーサー配列は、ランダム配列を含む。
【0270】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、5’スペーサー配列を含むが、3’スペーサー配列を含まない。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、3’スペーサー配列を含むが、5’スペーサー配列を含まない。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、5’スペーサー配列も3’スペーサー配列も含まない。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、IRES配列を含まない。さらなる実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、IRES配列、5’スペーサー配列又は3’スペーサー配列を含まない。
【0271】
いくつかの実施形態では、スペーサー配列は、少なくとも3リボヌクレオチド、少なくとも4リボヌクレオチド、少なくとも5リボヌクレオチド、少なくとも約8リボヌクレオチド、少なくとも約10リボヌクレオチド、少なくとも約12リボヌクレオチド、少なくとも約15リボヌクレオチド、少なくとも約20リボヌクレオチド、少なくとも約25リボヌクレオチド、少なくとも約30リボヌクレオチド、少なくとも約40リボヌクレオチド、少なくとも約50リボヌクレオチド、少なくとも約60リボヌクレオチド、少なくとも約70リボヌクレオチド、少なくとも約80リボヌクレオチド、少なくとも約90リボヌクレオチド、少なくとも約100リボヌクレオチド、少なくとも約120リボヌクレオチド、少なくとも約150リボヌクレオチド、少なくとも約200リボヌクレオチド、少なくとも約250リボヌクレオチド、少なくとも約300リボヌクレオチド、少なくとも約400リボヌクレオチド、少なくとも約500リボヌクレオチド、少なくとも約600リボヌクレオチド、少なくとも約700リボヌクレオチド、少なくとも約800リボヌクレオチド、少なくとも約900リボヌクレオチド、又は少なくとも約100リボヌクレオチドを含む。
【0272】
バイオリアクター
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)を精製する任意の方法は、バイオリアクター内で実施してもよい。バイオリアクターは、生物又はそのような生物に由来する生化学的活性物質を含む化学的又は生物学的プロセスが実施される、任意の容器を指す。バイオリアクターは、本明細書に記載の環状RNAを生成又は精製するための無細胞法に適合し得る。バイオリアクター用の容器は、単回使用(ディスポーザブル)、オートクレーブ可能、又は滅菌可能であり得る、培養フラスコ、ディッシュ、又はバッグを含んでもよい。バイオリアクターは、ガラス製であってもよい、又はポリマーベースであってもよい、又は他の材料で製造されてもよい。
【0273】
バイオリアクターの例として、限定はされないが、撹拌タンク(例えば、十分に混合された)バイオリアクター及び平板(例えば、プラグフロー)バイオリアクター、空輸バイオリアクター、膜撹拌タンク(membrane stirred tank)、スピンフィルター撹拌タンク、振動ミキサー、流動層リアクター、及び膜バイオリアクターが挙げられる。バイオリアクターを運転するモードは、バッチ又は連続プロセスであってもよい。バイオリアクターは、試薬及び製品の流れが継続的に供与され、システムから取り除かれる場合、連続的である。バッチバイオリアクターは、連続再循環フローを有し得るが、試薬又は製品回収の連続供与を有し得ない。
【0274】
本開示のいくつかの方法は、ポリリボヌクレオチドの大規模生成を対象とする。大規模生成方法の場合、方法は、1リットル(L)~50L、又はそれ以上(例えば、5L、10L、15L、20L、25L、30L、35L、40L、45L、50L、又はそれ以上)の体積で実施することができる。いくつかの実施形態では、方法は、5L~10L、5L~15L、5L~20L、5L~25L、5L~30L、5L~35L、5L~40L、5L~45L、10L~15L、10L~20L、10L~25L、20L~30L、10L~35L、10L~40L、10L~45L、10L~50L、15L~20L、15L~25L、15L~30L、15L~35L、15L~40L、15L~45L、又は15~50Lの体積で実施することができる。
【0275】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、少なくとも1gのRNAを生成し得る。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、1~200gのRNA(例えば、1~10g、1~20g、1~50g、10~50g、10~100g、50~100g、50~200gのRNA)を生成し得る。いくつかの実施形態では、生成される量は、1リットル当たりで測定され(例えば、1リットル当たり1~200g)、バッチ又は反応当たりで測定され(例えば、バッチ又は反応当たり1~200g)、又は単位時間当たりで測定される(例えば、1時間又は1日当たり1~200g)。
【0276】
いくつかの実施形態では、生成能力を増強するため、2つ以上のバイオリアクターを連続的に利用することができる(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又は9つのバイオリアクターを連続的に使用することができる)。
【0277】
使用方法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のとおりに作製されたポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、治療又は農業におけるエフェクターとして使用される。
【0278】
例えば、本明細書に記載の方法によって精製されたポリリボヌクレオチドは、(例えば、医薬、動物、又は農業組成物で)対象に投与してもよい。いくつかの実施形態では、対象は、脊椎動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、非ヒト霊長類(例えば、サル、類人猿)、有蹄動物(例えば、ウシ、水牛、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ラクダ、ラマ、アルパカ、シカ、ウマ、ロバ)、肉食動物(例えば、イヌ、ネコ)、齧歯類(例えば、ラット、マウス)、又はウサギ類(例えば、ウサギ)などの非ヒト哺乳動物である。実施形態では、対象は、キジ目(Galliformes)(例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、ウズラ)、ガンカモ目(Anseriformes)(例えば、アヒル、ガチョウ)、古顎類(Paleaognathae)(例えば、ダチョウ、エミュー)、ハト目(Columbiformes)(例えば、ハト(pigeons)、ハト(doves))、又はオウム目(Psittaciformes)(例えば、オウム)といった鳥類分類群のメンバーなどの鳥類である。実施形態では、対象は、節足動物(例えば、昆虫、クモ類、甲殻類)、線虫、環形動物、蠕虫、又は軟体類などの無脊椎動物である。実施形態では、対象は、無脊椎動物の農業害虫又は無脊椎動物若しくは脊椎動物宿主に対する寄生虫である無脊椎動物である。実施形態では、対象は、被子植物(双子葉又は単子葉であり得る)又は裸子植物(例えば、針葉樹、ソテツ、マオウ門(Gnetophyte)、イチョウ)、シダ、ツクシ、ヒカゲノカズラ、又はコケ植物などの植物である。実施形態では、対象は、真核藻類(単細胞又は多細胞)である。実施形態では、対象は、作条作物、果実生成植物及び樹木、野菜、樹木、及び観賞植物、例えば、観賞花、低木、樹木、グランドカバー、及び芝生などの農業又は園芸上重要な植物である。
【0279】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物又は調製物を対象に提供することによる、対象を変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、核酸分子(例えば、本明細書に記載のDNA分子又はRNA分子)であるか又はそれを含み、ポリヌクレオチドは、真核生物対象に提供される。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、本明細書に記載の核酸を含む真核又は原核細胞であるか又はそれを含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物又は調製物を対象に提供することによる、それを必要とする対象における症状を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、核酸分子(例えば、本明細書に記載のDNA分子又はポリリボヌクレオチド)であるか又はそれを含み、ポリヌクレオチドは、真核生物対象に提供される。いくつかの実施形態では、組成物又は調製物は、本明細書に記載の核酸を含む真核又は原核細胞であるか又はそれを含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む真核生物又は原核細胞を対象に提供することによる、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)を対象に提供する方法を提供する。
【0282】
調製物
本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、組成物、例えば、細胞、植物、無脊椎動物、非ヒト脊椎動物、又はヒト対象への送達のための組成物、例えば、農業、動物、又は医薬組成物で製剤化することができる。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、医薬組成物で製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリリボヌクレオチド及び希釈剤、担体、アジュバント、又はそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、組成物は、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド及び担体又は担体を全く含まない希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドと担体を全く含まない希釈剤とを含む組成物は、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の対象へのネイキッド送達に使用される。
【0283】
医薬組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加的な活性物質、例えば、治療及び/又は予防活性物質を含んでもよい。医薬組成物は、任意選択的に、本明細書に記載の組成物(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、例えば、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、不活性成分データベース内に列記されている不活性成分のいずれか1つを含む組成物)の媒体又は培地として役立つ不活性物質を含んでもよい。本発明の医薬組成物は、無菌及び/又はパイロジェンフリーであってもよい。医薬品の製剤化及び/又は製造における一般的考察は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(参照により本明細書中に援用される)において見出すことができる。不活性物質の非限定例として、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、平滑剤、油、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0284】
本明細書に提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの投与に適する医薬組成物を対象とするが、このような組成物が任意の他の動物、例えば非ヒト動物、例えば非ヒト哺乳類への投与に適することは当業者によって理解されるであろう。ヒトへの投与に適する医薬組成物の、組成物を様々な動物への投与にとって好適なものにする修飾は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、単に通常の(可能であれば)実験を行うことで、そのような修飾を設計及び/又は実施することができる。医薬組成物の投与が企図される対象として、限定はされないが、ヒト及び/若しくは他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/若しくはラットなどの商業的に重要な哺乳類を含む哺乳類;並びに/又は家禽、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、及び/若しくはシチメンチョウなどの商業的に重要な鳥類を含む鳥類が挙げられる。
【0285】
本明細書に記載の医薬組成物の調製物は、薬理学の分野における公知の又は以降に開発されている任意の方法によって調製することができる。一般に、そのような予備的方法は、活性成分を賦形剤及び/又は1つ以上の他の付属成分と会合状態にし、そして次に、必要である場合及び/又は望ましい場合、製品を分割、形成及び/又はパッケージングするステップを含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在する線状ポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、線状ポリリボヌクレオチド分子の1ng/mL、5ng/mL、10ng/mL、15ng/mL、20ng/mL、25ng/mL、30ng/mL、35ng/mL、40ng/mL、50ng/mL、60ng/mL、70ng/mL、80ng/mL、90ng/mL、100ng/mL、200ng/mL、300ng/mL、400ng/mL、500ng/mL、600ng/mL、1μg/ml、10μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200g/mL、300μg/mL、400μg/mL、500μg/mL、600μg/mL、700μg/mL、800μg/mL、900μg/mL、1mg/mL、1.5mg/ml、又は2mg/ml以下の存在である。
【0287】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在する環状ポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の少なくとも30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)、60%(w/w)、70%(w/w)、80%(w/w)、85%(w/w)、90%(w/w)、91%(w/w)、92%(w/w)、93%(w/w)、94%(w/w)、95%(w/w)、96%(w/w)、97%(w/w)、98%(w/w)、99%(w/w)、99.1%(w/w)、99.2%(w/w)、99.3%(w/w)、99.4%(w/w)、99.5%(w/w)、99.6%(w/w)、99.7%(w/w)、99.8%(w/w)、99.9%(w/w)、又は100%(w/w)の分子である。
【0288】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在する線状ポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)以下の線状ポリリボヌクレオチド分子である。
【0289】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在するニックポリリボヌクレオチド分子の量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、又は15%(w/w)以下のニックポリリボヌクレオチド分子である。
【0290】
いくつかの実施形態では、調製物中に存在するニック及び線状ポリリボヌクレオチド分子の組み合わせの量についての参照基準は、医薬調製物中の全リボヌクレオチド分子の0.5%(w/w)、1%(w/w)、2%(w/w)、5%(w/w)、10%(w/w)、15%(w/w)、20%(w/w)、25%(w/w)、30%(w/w)、40%(w/w)、50%(w/w)以下のニック及び線状ポリリボヌクレオチド分子の組み合わせである。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、最終の環状ポリリボヌクレオチド製剤の中間医薬調製物である。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、原体又は活性医薬成分(API)である。いくつかの実施形態では、医薬調製物は、対象への投与のための製剤である。
【0291】
いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドの調製物は、(線状RNAの減少の前、間又は後に)さらに処理され、DNA、タンパク質汚染物質、不純物、又は副産物(例えば、宿主細胞タンパク質などの細胞タンパク質又はプロセス不純物タンパク質)、内毒素、モノヌクレオチド分子、及び/又はプロセス関連不純物が実質的に除去される。
【0292】

いくつかの場合、本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、1つ又は複数の塩を含む。浸透圧を制御するため、ナトリウム塩などの生理学的塩が、本明細書に提供される組成物に含まれ得る。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含み得る。いくつかの場合、組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容できる塩と共に製剤化される。1つ又は複数の薬学的に許容できる塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの無機イオンのものを含み得る。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸などの無機酸又は有機酸の塩を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0293】
緩衝剤/pH
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、トリス緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(例えば、水酸化アルミニウムアジュバントを有する);又はクエン酸緩衝剤などの1つ又は複数の緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、いくつかの場合、5~20mMの範囲内に含まれる。
【0294】
本明細書に提供される組成物又は医薬組成物は、約5.0~約8.5の間、約6.0~約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間のpHを有し得る。組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0295】
洗浄剤/界面活性剤
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、意図される投与経路に応じて、1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般に「Tween(登録商標)」と呼ばれる)、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80;DOWFAX(商標)という商品名で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマー、例えば、線状EO/POブロックコポリマー;エトキシ(オキシ-l,2-エタンジイル)基の繰り返し数が異なり得るオクトキシノール、例えば、オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100、又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40);リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン);ノニルフェノールエトキシレート、例えば、Tergitol(商標)NPシリーズ;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪族エーテル(Brij(登録商標)界面活性剤として知られる)、例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij(登録商標)30);並びにソルビタンエステル(一般に、「SPAN(登録商標)」として知られる)、例えば、ソルビタントリオレエート(Span(登録商標) 85)及びソルビタンモノラウレート、オクトキシノール(オクトキシノール-9(Triton(登録商標) X-100)又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノールなど)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(「CTAB」)、又はデオキシコール酸ナトリウムを含むことができる。1種又は複数種の洗浄剤及び/又は界面活性剤は、微量でのみ含まれ得る。いくつかの例では、組成物は、オクトキシノール-10及びポリソルベート80のそれぞれを1mg/ml未満含むことができる。本明細書では、非イオン性界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類することができる。いくつかの例では、界面活性剤は、少なくとも10、少なくとも15、及び/又は少なくとも16のHLBを有する。ポリリボヌクレオチドは、線状又は環状の形態で含まれ得る。
【0296】
希釈剤
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む。
【0297】
希釈剤は、非担体賦形剤であり得る。非担体賦形剤は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドなどの、組成物のためのビヒクル又は媒体として働く。非担体賦形剤の非限定的な例としては、溶媒、水性溶媒、非水性溶媒、分散媒、希釈剤、分散体、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))、滑沢剤、油、及びそれらの混合物が挙げられる。非担体賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)(FDA)によって承認され、細胞透過効果を示さないInactive Ingredient Databaseに列挙された非有効成分のいずれかであり得る。非担体賦形剤は、例えば、獣医学的使用に好適な非ヒト動物への投与に好適な任意の不活性成分であり得る。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な組成物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとしても通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。
【0298】
ある実施形態では、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、希釈剤を含むものなどのネイキッド送達製剤として送達され得る。ネイキッド送達製剤は、担体を用いずに、修飾又はポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入、キャップされたポリリボヌクレオチド、又はその複合体なしで、ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する。
【0299】
ネイキッド送達製剤は、担体を含まない製剤であり、ここで、ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド)は、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さず、又はポリリボヌクレオチドの部分的若しくは完全な封入なしである。ある実施形態では、細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さないポリリボヌクレオチドは、タンパク質、小分子、粒子、ポリマー、又はバイオポリマーに共有結合されないポリリボヌクレオチドである。細胞への送達を助ける部分に結合する共有結合修飾を有さないポリリボヌクレオチドは、修飾リン酸基を含まない。例えば、細胞への送達を助ける部分に結合する共共有結合修飾を有さないポリリボヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロジアミダート、アルキル又はアリールホスホネート、又はホスホトリエステルを含まない。
【0300】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、トランスフェクション試薬、カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体のうちのいずれか又は全てを含まない。ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリン、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-β-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHCl)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(1,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンを含まない。
【0301】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、非担体賦形剤を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、細胞透過効果を示さない不活性成分を含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、緩衝液、例えばPBSを含む。ある実施形態では、非担体賦形剤は、溶媒、非水性溶媒、希釈剤、懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤、乳化剤、保存料、ポリマー、ペプチド、タンパク質、細胞、ヒアルロニダーゼ、分散剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、又は油である。
【0302】
ある実施形態では、ネイキッド送達製剤は、希釈剤を含む。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。ある実施形態では、希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、又は等張剤である。RNA可溶化剤の例としては、水、エタノール、メタノール、アセトン、ホルムアミド、及び2-プロパノールが挙げられる。緩衝液の例としては、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリス、2-[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸(ADA)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、トリス、トリシン、Gly-Gly、ビシン、又はホスフェートが挙げられる。等張剤の例としては、グリセリン、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、又はスクロースが挙げられる。
【0303】
担体
ある実施形態では、本開示の組成物は、環状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。ある実施形態では、本開示の組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び担体を含む。
【0304】
特定の実施形態において、組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、組成物は、小胞又は他の膜ベースの担体中に本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドを含む。
【0305】
他の実施形態において、組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して環状ポリリボヌクレオチドを含む。他の実施形態において、組成物は、細胞、小胞若しくは他の膜ベースの担体中に又はそれらを介して線状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に環状ポリリボヌクレオチドを含む。一実施形態において、組成物は、リポソーム又は他の同様の小胞中に線状ポリリボヌクレオチドを含む。リポソームは、内部の水性区画を取り囲む単層又は多重膜脂質二重層及び比較的不透過性の外側の親油性リン脂質二重層から構成される球形の小胞構造である。リポソームは、アニオン性、中性又はカチオン性であり得る。リポソームは、生体適合性であり、非毒性であり、親水性及び親油性の両方の薬物分子を送達することができ、そのカーゴを血漿酵素による分解から保護し、生体膜及び血液脳関門(BBB)を越えてそのロードを輸送する(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。
【0306】
小胞は、いくつかの異なるタイプの脂質から作製され得るが;リン脂質が、薬物担体としてリポソームを生成するために、最も一般的に使用される。多重膜小胞脂質の調製のための方法が、当該技術分野において公知である(例えば、多重膜小胞脂質調製に関連するその教示内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,693,086号明細書を参照されたい)。脂質膜が水溶液と混合されるとき、小胞形成が自然に起こり得るが、それはまた、ホモジナイザー、ソニケーター、又は押し出し装置を用いることによって、振とうの形態の力を加えることによって促進され得る(例えば、概説については、Spuch and Navarro,Journal of Drug Delivery,vol.2011,Article ID 469679,12 pages,2011.doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。押し出された脂質は、押し出された脂質の調製に関するその教示内容が参照により本明細書に援用される、Templeton et al.,Nature Biotechnol.,15:647-52,1997に記載されるように、減少したサイズのフィルタに通して押し出すことによって調製され得る。
【0307】
特定の実施形態において、本開示の組成物は、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子、例えば、脂質ナノ粒子を含む。特定の実施形態において、本開示の組成物は、線状ポリリボヌクレオチド及び脂質ナノ粒子を含む。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。脂質ナノ粒子は、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子のための生体適合性及び生分解性送達システムを提供する担体の別の例である。ナノ構造脂質担体(NLC)は、SLNの特性を保持し、薬物安定性及び負荷容量を改善し、薬物漏出を防止する、修飾された固体脂質ナノ粒子(SLN)である。ポリマーナノ粒子(PNP)は、薬物送達の重要な構成要素である。これらのナノ粒子は、薬物送達を、特定の標的に有効に指向し、薬物安定性及び制御薬物放出を改善し得る。リポソーム及びポリマーを組み合わせる新しいタイプの担体である脂質-ポリマーナノ粒子(PLN)も、用いられ得る。これらのナノ粒子は、PNP及びリポソームの補完的な利点を有する。PLNは、コア-シェル構造から構成され;ポリマーコアは、安定した構造を提供し、リン脂質シェルは、良好な生体適合性を提供する。したがって、2つの構成要素が、薬物封入効率を増加させ、表面修飾を促進し、水溶性薬物の漏出を防止する。概説については、例えば、Li et al.2017,Nanomaterials 7,122;doi:10.3390/nano7060122を参照されたい。
【0308】
担体のさらなる非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、無水物修飾フィトグリコーゲン若しくはグリコーゲン型材料)、タンパク質担体(例えば、ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質又は線状ポリリボヌクレオチドに共有結合されたタンパク質)、又はカチオン性担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が挙げられる。炭水化物担体の非限定的な例としては、フィトグリコーゲンオクテニルスクシネート、フィトグリコーゲンβ-デキストリン、及び無水物修飾フィトグリコーゲンβ-デキストリンが挙げられる。カチオン性担体の非限定的な例としては、リポフェクタミン、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド-ポリアミン、ジデオキシ-ジアミノ-b-シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、l,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、l-[2-(オレオイルオキシ)エチル]-2-オレイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-l-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、3B-[N-(N\N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC-コレステロールHC1)、ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N-ジステアリル-N,N-ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N-(l,2-ジミリスチルオキシプロパ-3-イル)-N,N-ジメチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、及びN,N-ジオレイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)が挙げられる。タンパク質担体の非限定的な例としては、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、又はグロブリンが挙げられる。
【0309】
エキソソームはまた、本明細書に記載される組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。エキソソームはまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物の薬物送達ビヒクルとして使用され得る。レビューのためには、Ha et al.July 2016.Acta Pharmaceutica Sinica B.Volume 6,Issue 4,Pages 287-96,doi.org/10.1016/j.apsb.2016.02.001を参照されたい。
【0310】
エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される組成物又は調製物の担体として使用され得る。エクスビボ分化赤血球はまた、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物の担体として使用され得る。例えば、国際公開第2015/073587号パンフレット;国際公開第2017/123646号パンフレット;国際公開第2017/123644号パンフレット;国際公開第2018/102740号パンフレット;国際公開第2016/183482号パンフレット;国際公開第2015/153102号パンフレット;国際公開第2018/151829号パンフレット;国際公開第2018/009838号パンフレット;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136;米国特許第9,644,180号明細書;Huang et al.2017.Nature Communications 8:423;Shi et al.2014.Proc Natl Acad Sci USA.111(28):10131-10136を参照されたい。
【0311】
例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、国際公開第2018/208728号パンフレットに記載されるようなフソソーム組成物も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。
【0312】
ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。ビロソーム及びウイルス様粒子(VLP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を標的細胞に送達するための担体として使用され得る。
【0313】
例えば、国際特許公開番号国際公開第2011/097480号パンフレット、国際公開第2013/070324号パンフレット、国際公開第2017/004526号パンフレット、又は国際公開第2020041784号パンフレットに記載されるような植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。植物ナノ小胞及び植物メッセンジャーパック(PMP)も、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド組成物又は調製物を送達するための担体として使用され得る。
【0314】
マイクロバブルも、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。マイクロバブルも、本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチド分子を送達するための担体として使用され得る。例えば、米国特許第7115583号明細書;Beeri,R.et al.,Circulation.2002 Oct 1;106(14):1756-1759;Bez,M.et al.,Nat Protoc.2019 Apr;14(4):1015-1026;Hernot,S.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2008 Jun 30;60(10):1153-1166;Rychak,J.J.et al.,Adv Drug Deliv Rev.2014 Jun;72:82-93を参照されたい。ある実施形態では、マイクロバブルは、アルブミン被覆されたペルフルオロカーボンマイクロバブルである。
【0315】
本明細書に記載のポリリボヌクレオチドを含む担体は、複数の粒子を含み得る。粒子は、30~700ナノメートル(例えば、30~50、50~100、100~200、200~300、300~400、400~500、500~600、600~700、100~500、50~500、又は200~700ナノメートル)の物品サイズ中央値を有し得る。粒子の大きさは、細胞へのポリリボヌクレオチドを含むペイロードの沈着に有利に働くように最適化することができる。特定の細胞型へのポリリボヌクレオチドの沈着は、異なる粒径に有利であり得る。例えば、粒径は、抗原提示細胞へのポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。粒径は、樹状細胞へのポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。さらに、粒径は、流入領域リンパ節細胞へのポリリボヌクレオチドの沈着のために最適化され得る。
【0316】
脂質ナノ粒子
本開示によって提供される組成物、方法、及び送達システムは、特定の実施形態において、本明細書に記載の脂質ナノ粒子(LNP)を含む任意の好適な担体又は送達モダリティを用い得る。脂質ナノ粒子は、ある実施形態では、1つ以上のイオン性脂質、例えば、非カチオン性脂質(例えば、中性又はアニオン性、又は両性脂質);1つ以上のコンジュゲート脂質(PEGコンジュゲート脂質又は全体が参照により本明細書に援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーにコンジュゲートされた脂質など);1つ以上のステロール(例えば、コレステロール)を含む。
【0317】
ナノ粒子形成において使用され得る脂質(例えば、脂質ナノ粒子)は、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表4に記載されるものを含み-例えば、脂質含有ナノ粒子は、国際公開第2019217941号パンフレットの表4中の脂質の1つ以上を含み得る。脂質ナノ粒子は、さらなる要素、例えば、ポリマー、例えば、参照により援用される国際公開第2019217941号パンフレットの表5に記載されるポリマーを含み得る。
【0318】
ある実施形態では、コンジュゲート脂質は、存在する場合、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、及び国際公開第2019051289号パンフレット(参照により援用される)の表2に記載されるもの、並びに上記のものの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0319】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子に組み込まれ得るステロールとしては、参照により援用される国際公開第2009/127060号パンフレット又は米国特許出願公開第2010/0130588号明細書に記載されるものなどの、コレステロール又はコレステロール誘導体の1つ以上が挙げられる。さらなる例示的なステロールとしては、参照により本明細書に援用される、Eygeris et al.(2020)、dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものを含む植物ステロールが挙げられる。
【0320】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、粒子の凝集を阻害するコンジュゲート脂質、及びステロールを含む。これらの構成要素の量は、独立して、所望の特性を達成するために変化され得る。例えば、ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、総脂質の約20mol%~約90mol%の量のイオン化可能な脂質(他の実施形態において、それは、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の20~70%(mol)、30~60%(mol)又は40~50%(mol);約50mol%~約90mol%であり得る)、総脂質の約5mol%~約30mol%の量の非カチオン性脂質、総脂質の約0.5mol%~約20mol%の量のコンジュゲート脂質、及び総脂質の約20mol%~約50mol%の量のステロールを含む。総脂質対核酸の比率は、必要に応じて変化され得る。例えば、総脂質対核酸(質量又は重量)比は、約10:1~約30:1であり得る。
【0321】
ある実施形態では、脂質対核酸比(質量/質量比;w/w比)は、約1:1~約25:1、約10:1~約14:1、約3:1~約15:1、約4:1~約10:1、約5:1~約9:1、又は約6:1~約9:1の範囲であり得る。脂質及び核酸の量は、所望のN/P比、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のN/P比を得るために調整され得る。一般に、脂質ナノ粒子製剤の全脂質含量は、約5mg/ml~約30mg/mLの範囲であり得る。
【0322】
本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するために(例えば、他の脂質成分と組み合わせて)使用され得る脂質化合物のいくつかの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【化1】
ある実施形態では、式(i)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0323】
【化2】
ある実施形態では、式(ii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0324】
【化3】
ある実施形態では、式(iii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0325】
【化4】
ある実施形態では、式(v)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0326】
【化5】
ある実施形態では、式(vi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0327】
【化6】
ある実施形態では、式(viii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0328】
【化7】
ある実施形態では、式(ix)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0329】
【化8】
式中、
が、O、NR、又は直接結合であり、Xが、C2~5アルキレンであり、Xが、C(=O)又は直接結合であり、Rが、H又はMeであり、Rが、C1~3アルキルであり、Rが、C1~3アルキルであり、又はRが、それが結合される窒素原子及びXの1~3個の炭素原子と一緒になって、4員、5員、若しくは6員環を形成し、又はXが、NRであり、R及びRが、それらが結合される窒素原子と一緒になって、5員若しくは6員環を形成し、又はRが、R及びそれらが結合される窒素原子と一緒になって、5員、6員、若しくは7員環を形成し、Yが、C2~12アルキレンであり、Yが、
【化9】
から選択され、
nが、0~3であり、Rが、C1~15アルキルであり、Zが、C1~6アルキレン又は直接結合であり、

【化10】
(いずれかの配向で)であるか又は非存在であり、ただし、Zが直接結合であり、Zが非存在である場合;
が、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Rが、C5~9アルキル又はC6~10アルコキシであり、Wが、メチレン又は直接結合であり、Rが、H又はMe、又はその塩であり、ただし、R及びRが、C2アルキルであり、Xが、Oであり、Xが、直鎖状C3アルキレンであり、Xが、C(=0)であり、Yが、直鎖状Ceアルキレンであり、(Y)n-Rが、
【化11】
であり、Rが、直鎖状C5アルキルであり、Zが、C2アルキレンであり、Zが、非存在であり、Wが、メチレンであり、Rが、Hである場合、R及びRが、Cxアルコキシでない。
【0330】
ある実施形態では、式(xii)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【化12】
ある実施形態では、式(xi)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0331】
【化13】
ある実施形態では、LNPは、式(xiii)の化合物及び式(xiv)の化合物を含む。
【0332】
【化14】
ある実施形態では、式(xv)を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0333】
【化15】
ある実施形態では、式(xvi)の製剤を含むLNPが、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を、細胞に送達するのに使用される。
【0334】
【化16】
【0335】
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物、例えば、本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))の送達のための脂質ナノ粒子を形成するのに使用される脂質化合物は、以下の反応のうちの1つによって作製される:
【化17】
【0336】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxi)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxi)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表1の脂質など、式(1)の脂質)である。
【化18】
式中、
各nは、独立に、2~15の整数であり;L及びLは、各々独立に、-OC(O)-又は-C(O)O-であり、式中、「」は、R又はRとの結合点を指し;
及びRは、各々独立に、オキソ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルデヒド、ヘテロシクリルアルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルアミノアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、(ヘテロシクリル)(アルキル)アミノアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、アルキニル、アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキルカルボニルアミノ、アミノカルボニルアルキルアミノ、(アミノカルボニルアルキル)(アルキル)アミノ、アルケニルカルボニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノアルキルアミノカルボニル、アルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、(アルキルアミノアルキル)(アルキル)アミノカルボニル、アルキルアミノアルキルカルボニル、ジアルキルアミノアルキルカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホキシドアルキル、アルキルスルホニル、及びアルキルスルホンアルキルからなる群から選択される1つ又は複数の置換基によって任意選択で置換されている、線状又は分枝状C~C20アルキル又はC~C20アルケニルであり;及び
は、
【化19】
からなる群から選択される。
【0337】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxii)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxii)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表2の脂質など、式(2)の脂質)である。
【化20】
式中、
各nは、独立に、1~15の整数であり;
及びRは、各々独立に、
【化21】
からなる群から選択される。
は、
【化22】
からなる群から選択される。
【0338】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)組成物を細胞に送達するために、式(xxiii)を含むLNPが使用される。いくつかの実施形態では、式(xxiii)のLNPは、国際公開第2021113777号パンフレットによって記載されるLNP(例えば、国際公開第2021113777号パンフレットの表3の脂質など、式(3)の脂質)である。
【化23】
式中、
Xは、-O-、-S-、又は-OC(O)-から選択され、式中、は、Rとの結合点を指し;
は、
【化24】
からなる群から選択され、
は、
【化25】
からなる群から選択される。
【0339】
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物(例えば核酸(例えば環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)又はタンパク質)は、イオン化可能な脂質を含むLNP中で提供される。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許第9,867,888号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例1に記載されるようなヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(SM-102)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2015/095340号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例13において合成されるような9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート(LP01)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、米国特許出願公開第2012/0027803号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)実施例7、8、又は9において合成されるようなジ((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)9-((4-ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(L319)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2010/053572号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例14及び16において合成されるような1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、イミダゾールコレステロールエステル(ICE)脂質(3S、10R、13R、17R)-10、13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2、3、14、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17-テトラデカヒドロ-lH-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート、例えば、国際公開第2020/106946号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)からの構造(I)である。
【0340】
ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、カチオン性脂質、イオン化可能なカチオン性脂質、例えば、pHに応じて正荷電若しくは中性形態で存在し得るカチオン性脂質、又は容易にプロトン化され得るアミン含有脂質であり得る。ある実施形態では、カチオン性脂質は、例えば、生理的条件下で、正に荷電することが可能である脂質である。例示的なカチオン性脂質としては、正電荷を有する1つ以上のアミン基を含む。ある実施形態では、脂質粒子は、中性脂質、イオン化可能なアミン含有脂質、生分解性アルキン脂質、ステロイド、多価不飽和脂質を含むリン脂質、構造脂質(例えば、ステロール)、PEG、コレステロール及びポリマーコンジュゲート脂質のうちの1つ以上との配合物中のカチオン性脂質を含む。ある実施形態では、カチオン性脂質は、イオン化可能なカチオン性脂質であり得る。本明細書に開示される例示的なカチオン性脂質は、6.0を超える有効pKaを有し得る。実施形態において、脂質ナノ粒子は、第1のカチオン性脂質と異なる有効pKa(例えば、第1の有効pKaより高い)を有する第2のカチオン性脂質を含み得る。脂質ナノ粒子は、40~60molパーセントのカチオン性脂質、中性脂質、ステロイド、ポリマーコンジュゲート脂質、及び治療剤、例えば、脂質ナノ粒子内に封入されるか又はそれと結合された本明細書に記載される核酸(例えば、RNA(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド))を含み得る。ある実施形態では、核酸は、カチオン性脂質と同時に配合される。核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNPの表面に吸着され得る。ある実施形態では、核酸は、LNP、例えば、カチオン性脂質を含むLNP内に封入され得る。ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、例えば、標的化剤で被覆された標的部分を含み得る。実施形態において、LNP製剤は、生分解性である。ある実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の脂質、例えば、式(i)、(ii)、(ii)、(vii)及び/又は(ix)を含む脂質ナノ粒子は、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%又は100%のRNA分子を封入する。
【0341】
脂質ナノ粒子製剤に使用され得る例示的なイオン化可能な脂質としては、限定はされないが、参照により本明細書に援用される国際公開第2019051289号パンフレットの表1に列挙されるものが挙げられる。さらなる例示的な脂質としては、限定はされないが、以下の式の1つ以上:米国特許出願公開第2016/0311759号明細書のX;米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書のI;米国特許出願公開第20160151284号明細書のI、II又はIII;米国特許出願公開第20170210967号明細書のI、IA、II、又はIIA;米国特許出願公開第20150140070号明細書のI-c;米国特許出願公開第2013/0178541号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0303587号明細書又は米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0141678号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0239926号明細書のII、III、IV、又はV;米国特許出願公開第2017/0119904号明細書のI;国際公開第2017/117528号パンフレットのI又はII;米国特許出願公開第2012/0149894号明細書のA;米国特許出願公開第2015/0057373号明細書のA;国際公開第2013/116126号パンフレットのA;米国特許出願公開第2013/0090372号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274523号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0274504号明細書のA;米国特許出願公開第2013/0053572号明細書のA;国際公開第2013/016058号パンフレットのA;国際公開第2012/162210号パンフレットのA;米国特許出願公開第2008/042973号明細書のI;米国特許出願公開第2012/01287670号明細書のI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2014/0200257号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2015/0203446号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2015/0005363号明細書のI又はIII;米国特許出願公開第2014/0308304号明細書のI、IA、IB、IC、ID、II、IIA、IIB、IIC、IID、又はIII~XXIV;米国特許出願公開第2013/0338210号明細書の;国際公開第2009/132131号パンフレットのI、II、III、又はIV;米国特許出願公開第2012/01011478号明細書のA;米国特許出願公開第2012/0027796号明細書のI又はXXXV;米国特許出願公開第2012/0058144号明細書のXIV又はXVII;米国特許出願公開第2013/0323269号明細書の;米国特許出願公開第2011/0117125号明細書のI;米国特許出願公開第2011/0256175号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2012/0202871号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII;米国特許出願公開第2011/0076335号明細書のI、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、X、XII、XIII、XIV、XV、又はXVI;米国特許出願公開第2006/008378号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0123338号明細書のI;米国特許出願公開第2015/0064242号明細書のI又はX-A-Y-Z;米国特許出願公開第2013/0022649号明細書のXVI、XVII、又はXVIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2013/0116307号明細書のI、II、又はIII;米国特許出願公開第2010/0062967号明細書のI又はII;米国特許出願公開第2013/0189351号明細書のI~X;米国特許出願公開第2014/0039032号明細書のI;米国特許出願公開第2018/0028664号明細書のV;米国特許出願公開第2016/0317458号明細書のI;米国特許出願公開第2013/0195920号明細書のI;米国特許出願公開第10,221,127号明細書の5、6、又は10;国際公開第2018/081480号パンフレットのIII-3;国際公開第2020/081938号パンフレットのI-5又はI-8;米国特許出願公開第9,867,888号明細書の18又は25;米国特許出願公開第2019/0136231号明細書のA;国際公開第2020/219876号パンフレットのII;米国特許出願公開第2012/0027803号明細書の1;米国特許出願公開第2019/0240349号明細書のOF-02;米国特許出願公開第10,086,013号明細書の23;Miao et al(2020)のcKK-E12/A6;国際公開第2010/053572号パンフレットのC12-200;Dahlman et al(2017)の7C1;Whitehead et alの304-O13又は503-O13;米国特許第9,708,628号明細書のTS-P4C2;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;国際公開第2020/106946号パンフレットのI;及び国際公開第2021/113777号パンフレットの(1)、(2)、(3)又は(4)が挙げられる。例示的脂質としては、国際公開第2021/113777号パンフレットの表1~表16のいずれか1つの脂質がさらに挙げられる。
【0342】
ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例9に記載されるようなMC3(6Z,9Z,28Z,3lZ)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,3l-テトラエン-l9-イル-4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA又はMC3)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例10に記載されるような脂質ATX-002である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例11に記載されるような(l3Z,l6Z)-A,A-ジメチル-3-ノニルドコサ-l3、l6-ジエン-l-アミン(化合物32)である。ある実施形態では、イオン化可能な脂質は、例えば、国際公開第2019051289A9号パンフレット(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例12に記載されるような化合物6又は化合物22である。
【0343】
例示的な非カチオン性脂質としては、限定はされないが、ジステアロイル-sn-グリセロ-ホスホエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、モノメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-モノメチルPEなど)、ジメチル-ホスファチジルエタノールアミン(16-O-ジメチルPEなど)、l8-l-trans PE、l-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、スフィンゴミエリン(SM)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジエルコイルホスファチジルコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルグリセロール(POPG)、ジエライドイル-ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジセチルホスフェート、リゾホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリン、又はそれらの混合物が挙げられる。他のジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミンリン脂質も使用され得ることが理解される。これらの脂質中のアシル基は、好ましくは、C10~C24炭素鎖を有する脂肪酸に由来するアシル基、例えば、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、又はオレオイルである。さらなる例示的な脂質としては、特定の実施形態において、限定はされないが、参照により本明細書に援用される、Kim et al.(2020)dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.0c01386に記載されるものが挙げられる。このような脂質としては、ある実施形態では、mRNA(例えば、DGTS)との肝臓トランスフェクションを改善することが分かっている植物脂質が挙げられる。
【0344】
脂質ナノ粒子に使用するのに好適な非カチオン性脂質の他の例としては、限定はされないが、非リン脂質、例えば、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、パルミチン酸アセチル、リシノール酸グリセロール、ステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸イソプロピル、両性アクリルポリマー、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル-アリールサルフェートポリエチルオキシ化脂肪酸アミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、セラミド、スフィンゴミエリンなどが挙げられる。他の非カチオン性脂質が、国際公開第2017/099823号パンフレット又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0345】
ある実施形態では、非カチオン性脂質は、オレイン酸又は米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の式I、II、若しくはIVの化合物である。非カチオン性脂質は、例えば、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~30%(mol)を占め得る。ある実施形態では、非カチオン性脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の5~20%(mol)又は10~15%(mol)である。実施形態において、イオン化可能な脂質対中性脂質のモル比は、約2:1~約8:1の範囲(例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、又は8:1)である。
【0346】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、いずれのリン脂質も含まない。
【0347】
ある態様において、脂質ナノ粒子は、膜完全性を提供するために、ステロールなどの成分をさらに含み得る。脂質ナノ粒子に使用され得る1つの例示的なステロールは、コレステロール及びその誘導体である。コレステロール誘導体の非限定的な例としては、極性類似体、例えば、5a-コレスタノール、53-コプロスタノール、コレステリル-(2-ヒドロキシ)-エチルエーテル、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテル、及び6-ケトコレスタノール;非極性類似体、例えば、5a-コレスタン、コレステノン、5a-コレスタノン、5p-コレスタノン、及びデカン酸コレステリル;及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、コレステロール誘導体は、極性類似体、例えば、コレステリル-(4’-ヒドロキシ)-ブチルエーテルである。例示的なコレステロール誘導体が、PCT公開国際公開第2009/127060号パンフレット及び米国特許出願公開第2010/0130588号明細書(これらはそれぞれ、全体が参照により本明細書に援用される)に記載される。
【0348】
ある実施形態では、ステロールなどの、膜完全性を提供する成分は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0-50%(mol)(例えば、0~10%、10~20%、20~30%、30~40%、又は40~50%)を占め得る。ある実施形態では、このような成分は、脂質ナノ粒子の総脂質含量の20~50%(mol)30~40%(mol)である。
【0349】
ある実施形態では、脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)又はコンジュゲート脂質分子を含み得る。一般に、これらは、脂質ナノ粒子の凝集を阻害し、及び/又は立体安定化を提供するのに使用される。例示的なコンジュゲート脂質としては、限定はされないが、PEG-脂質コンジュゲート、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、カチオン性ポリマー脂質(CPL)コンジュゲート、及びそれらの混合物が挙げられる。ある実施形態では、コンジュゲート脂質分子は、PEG-脂質コンジュゲート、例えば、(メトキシポリエチレングリコール)コンジュゲート脂質である。
【0350】
例示的なPEG-脂質コンジュゲートとしては、限定はされないが、PEG-ジアシルグリセロール(DAG)(l-(モノメトキシ-ポリエチレングリコール)-2,3-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)など)、PEG-ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG-リン脂質、PEG-セラミド(Cer)、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)、PEGスクシネートジアシルグリセロール(PEGS-DAG)(4-0-(2’,3’-ジ(テトラデカノイルオキシ)プロピル-l-0-(w-メトキシ(ポリエトキシ)エチル)ブタンジオエート(PEG-S-DMG)など)、PEGジアルコキシプロピルカルバム、N-(カルボニル-メトキシポリエチレングリコール2000)-l,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンナトリウム塩、又はそれらの混合物が挙げられる。さらなる例示的なPEG-脂質コンジュゲートが、例えば、米国特許第5,885,6l3号明細書、米国特許第6,287,59l号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2003/0077829号明細書、米国特許出願公開第2005/0175682、米国特許出願公開第2008/0020058号明細書、米国特許出願公開第2011/0117125号明細書、米国特許出願公開第2010/0130588号明細書、米国特許出願公開第2016/0376224号明細書、米国特許出願公開第2017/0119904号明細書、米国特許出願第2018/0028664号明細書、及び国際公開第099823号明細書(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)に記載される。ある実施形態では、PEG-脂質は、米国特許出願公開第2018/0028664号明細書(全内容が参照により本明細書に援用される)の式III、III-a-I、III-a-2、III-b-1、III-b-2、又はVの化合物である。ある実施形態では、PEG-脂質は、米国特許出願公開第20150376115号明細書又は米国特許出願公開第2016/0376224号明細書(これらは両方とも、全内容が参照により本明細書に援用される)の式IIのものである。ある実施形態では、PEG-DAAコンジュゲートは、例えば、PEG-ジラウリルオキシプロピル、PEG-ジミリスチルオキシプロピル、PEG-ジパルミチルオキシプロピル、又はPEG-ジステアリルオキシプロピルであり得る。PEG-脂質は、PEG-DMG、PEG-ジラウリルグリセロール、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステリルグリセロール、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、PEG-ジステリルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスタ-5-エン-3[β]-オキシ)カルボキサミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[ω]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、及び1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]のうちの1つ以上であり得る。ある実施形態では、PEG-脂質は、PEG-DMG、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000]を含む。ある実施形態では、PEG-脂質は、
【化26】
から選択される構造を含む。
【0351】
ある実施形態では、PEG以外の分子とコンジュゲートされた脂質も、PEG-脂質の代わりに使用され得る。例えば、ポリオキサゾリン(POZ)-脂質コンジュゲート、ポリアミド-脂質コンジュゲート(ATTA-脂質コンジュゲートなど)、及びカチオン性ポリマー脂質(GPL)コンジュゲートが、PEG-脂質の代わりに又はそれに加えて使用され得る。
【0352】
例示的なコンジュゲート脂質、すなわち、PEG-脂質、(POZ)-脂質コンジュゲート、ATTA-脂質コンジュゲート及びカチオン性ポリマー-脂質が、国際公開第2019051289A9号パンフレット(これらは全て、全内容が参照により本明細書に援用される)の表2に列挙されるPCT及びLIS特許出願に記載される。
【0353】
ある実施形態では、PEG又はコンジュゲート脂質は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0~20%(mol)を占め得る。ある実施形態では、PEG又はコンジュゲート脂質含量は、脂質ナノ粒子中に存在する総脂質の0.5~10%又は2~5%(mol)である。イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びPEG/コンジュゲート脂質のモル比は、必要に応じて変化され得る。例えば、脂質粒子は、組成物のモル又は総重量当たり30~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり0~60%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり0~30%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質を含み得る。好ましくは、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり30~40%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり40~50%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり10~20%の非カチオン性脂質を含む。ある他の実施形態において、組成物は、組成物のモル又は総重量当たり50~75%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり20~40%のコレステロール、及び、組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質及び組成物のモル又は総重量当たり1~10%のコンジュゲート脂質である。組成物は、組成物のモル又は総重量当たり60~70%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり25~35%のコレステロール、及び組成物のモル又は総重量当たり5~10%の非カチオン性脂質を含有し得る。組成物はまた、組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~15%の非カチオン性脂質を含有し得る。製剤はまた、例えば、組成物のモル又は総重量当たり8~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり5~30%の非カチオン性脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり0~20%のコレステロール;組成物のモル又は総重量当たり4~25%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり4~25%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~25%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり10~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり5%のコレステロール;又は組成物のモル又は総重量当たり2~30%のイオン化可能な脂質、組成物のモル又は総重量当たり2~30%の非カチオン性脂質、組成物のモル又は総重量当たり1~15%のコレステロール、組成物のモル又は総重量当たり2~35%のコンジュゲート脂質、及び組成物のモル又は総重量当たり1~20%のコレステロール;或いは組成物のモル又は総重量当たり最大で90%のイオン化可能な脂質及び組成物のモル又は総重量当たり2~10%の非カチオン性脂質、或いは組成物のモル又は総重量当たり100%のカチオン性脂質を含む脂質ナノ粒子製剤であり得る。ある実施形態では、脂質粒子製剤は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、リン脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。ある他の実施形態において、脂質粒子製剤は、60:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質、コレステロール及びPEG化脂質を含む。
【0354】
ある実施形態では、脂質粒子は、イオン化可能な脂質、非カチオン性脂質(例えばリン脂質)、ステロール(例えば、コレステロール)及びPEG化脂質を含み、ここで、脂質のモル比は、イオン化可能な脂質では20~70モルパーセントの範囲であり、目標は40~60であり、非カチオン性脂質のモルパーセントは、0~30の範囲であり、目標は0~15であり、ステロールのモルパーセントは、20~70の範囲であり、目標は30~50であり、PEG化脂質のモルパーセントは、1~6の範囲であり、目標は2~5である。
【0355】
ある実施形態では、脂質粒子は、50:10:38.5:1.5のモル比で、イオン化可能な脂質/非カチオン性脂質/ステロール/コンジュゲート脂質を含む。
【0356】
一態様において、本開示は、リン脂質、レシチン、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンを含む脂質ナノ粒子製剤を提供する。
【0357】
ある実施形態では、1つ以上のさらなる化合物も含まれ得る。それらの化合物は、別々に投与され得、又はさらなる化合物は、本発明の脂質ナノ粒子に含まれ得る。言い換えると、脂質ナノ粒子は、核酸又は第1の核酸と異なる少なくとも第2の核酸に加えて、他の化合物を含有し得る。限定はされないが、他のさらなる化合物は、小型若しくは大型有機又は無機分子、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、ペプチド類似体及びその誘導体、ペプチド模倣薬、核酸、核酸類似体及び誘導体、生体材料から作製された抽出物、又はそれらの任意の組合せからなる群から選択され得る。
【0358】
ある実施形態では、LNPは、生分解性、イオン化可能な脂質を含む。ある実施形態では、LNPは、(9Z,l2Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,l2-ジエノエート(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,l2Z)-オクタデカ-9,l2-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号パンフレット、国際公開第/2017/173054号パンフレット、国際公開第2015/095340号パンフレット、及び国際公開第2014/136086号パンフレット、並びにその中に提供される参考文献の脂質を参照されたい。ある実施形態では、LNP脂質に関するカチオン性及びイオン化可能という用語は、同義的であり、例えば、イオン化可能な脂質は、pHに応じてカチオン性である。
【0359】
ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、例えば、動的光散乱(DLS)によって測定される、数10nm~数100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約40nm~約150nm、例えば、約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、又は150nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、又は約90nm~約100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態において、LNP製剤の平均LNP直径は、約80nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約100nmであり得る。ある実施形態では、LNP製剤の平均LNP直径は、約lmm~約500mm、約5mm~約200mm、約10mm~約100mm、約20mm~約80mm、約25mm~約60mm、約30mm~約55mm、約35mm~約50mm、又は約38mm~約42mmの範囲である。
【0360】
LNPは、ある場合には、比較的均質であり得る。多分散指数は、LNPの均質性、例えば、脂質ナノ粒子の粒度分布を示すのに使用され得る。小さい(例えば、0.3未満の)多分散指数は、一般に、狭い粒度分布を示す。LNPは、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、又は0.25の多分散指数を有し得る。ある実施形態では、LNPの多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
【0361】
LNPのゼータ電位は、組成物の界面動電位を示すのに使用され得る。ある実施形態では、ゼータ電位は、LNPの表面電荷を表し得る。より高度に荷電された種は、身体内の細胞、組織、及び他の要素と不必要に相互作用し得るため、正又は負の比較的低い電荷を有する脂質ナノ粒子が一般に望ましい。ある実施形態では、LNPのゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、又は約+5mV~約+10mVであり得る。
【0362】
タンパク質及び/又は核酸の封入の効率は、提供される初期量と比べた、調製後にLNPで封入されるか又は他の形でLNPと結合されるタンパク質及び/又は核酸の量を表す。封入効率は、高い(例えば、ほぼ100%)のが望ましい。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒又は洗浄剤で脂質ナノ粒子を分解する前及び後で脂質ナノ粒子を含有する溶液中のタンパク質又は核酸の量を比較することによって、測定され得る。アニオン交換樹脂が、溶液中の遊離タンパク質又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。蛍光が、溶液中の遊離タンパク質及び/又は核酸(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。本明細書に記載される脂質ナノ粒子の場合、タンパク質及び/又は核酸の封入効率は、少なくとも50%、例えば50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも90%であり得る。ある実施形態では、封入効率は、少なくとも95%であり得る。
【0363】
LNPは、任意に、1つ以上のコーティングを含み得る。ある実施形態では、LNPは、コーティングを有するカプセル、フィルム、又は錠剤に製剤化され得る。本明細書に記載される組成物を含むカプセル、フィルム、又は錠剤は、任意の有用なサイズ、引張り強さ、硬度又は密度を有し得る。
【0364】
LNPの追加的な例示的脂質、製剤、方法、及び特徴付けについては、国際公開第2020/061457号パンフレット及び国際公開第2021/113777号パンフレット(これらの各々は、本明細書において全体として参照により援用される)により教示されている。LNPのさらなる例示的脂質、製剤、方法、及び特徴付けについては、Hou et al.Lipid nanoparticles for mRNA delivery.Nat Rev Mater(2021).doi.org/10.1038/s41578-021-00358-0(全体として参照により本明細書に援用される)により教示されている(例えば、Hou et al.の図2の例示的脂質及び脂質誘導体を参照のこと)。
【0365】
ある実施形態では、インビトロ又はエクスビボ細胞リポフェクションが、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMax(Thermo Fisher)又はTransIT-mRNA Transfection Reagent(Mirus Bio)を用いて行われる。特定の実施形態において、LNPは、GenVoy_ILMイオン化可能な脂質混合物(Precision NanoSystems)を用いて製剤化される。特定の実施形態において、LNPは、2,2‐ジリノレイル‐4‐ジメチルアミノエチル‐[1,3]‐ジオキソラン(DLin‐KC2‐DMA)又はジリノレイルメチル‐4‐ジメチルアミノブチレート(DLin-MC3-DMA又はMC3)を用いて製剤化され、その製剤及びインビボでの使用が、Jayaraman et al.Angew Chem Int Ed Engl 51(34):8529-8533(2012)(全体が参照により本明細書に援用される)に教示される。
【0366】
CRISPR-Casシステム、例えば、Cas9-gRNA RNP、gRNA、Cas9 mRNAの送達のために最適化されたLNP製剤が、国際公開第2019067992号パンフレット及び国際公開第2019067910号パンフレット(両方とも参照により援用される)に記載され、環状ポリリボヌクレオチド及び本明細書に記載される線状ポリリボヌクレオチドの送達のために有用である。
【0367】
核酸(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)の送達に有用なさらなる特定のLNP製剤が、米国特許第8158601号明細書及び米国特許第8168775号明細書(両方とも参照により援用される)に記載され、これは、ONPATTROの名称で販売されているパチシラン中で使用される製剤を含む。
【0368】
実施形態では、本明細書に記載のタンパク質又はポリペプチドの少なくとも一部分(例えば、抗原部分)をコードするポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)は、LNP中で製剤化される:(a)LNPは、カチオン性脂質、中性脂質、コレステロール、及びPEG脂質を含む、(b)LNPは、80nm~160nmの平均粒径を有する、及び(c)ポリリボヌクレオチド。実施形態では、LNP中で製剤化されているポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)は、ワクチンである。
【0369】
ポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)LNPの代表的な投与では、約0.1、0.25、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、又は100mg/kg(RNA)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリリボヌクレオチド(例えば、環状ポリリボヌクレオチド、線状ポリリボヌクレオチド)抗原組成物の用量は、30~200mcg、例えば、30mcg、50mcg、75mcg、100mcg、150mcg、又は200mcgである。
【実施例
【0370】
以下の実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作製され、評価され得るかの説明を当業者に提供するために提示され、本開示を純粋に例示するものであることが意図されており、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。
【0371】
実施例1:環状RNAを濃縮するための線状RNAプルダウン法
本実施例は、線状RNA副産物を自己スプライシングによって生成された環状RNAから除去するための方法の設計について記載する。
【0372】
環状RNAが自己スプライシングによって生成されるとき、インビトロ転写(IVT)混合物中にはいくつかの主要な線状不純物又は副産物が存在し得る:スプライスされていない線状RNA、部分的にスプライスされた線状RNA、ニック環状RNA、及びスプライスされたイントロン(図2)。
【0373】
オリゴマーは、イントロン領域に対する相補的配列を有するように設計する。イントロン領域は、環状RNA産物中に存在せず、線状RNA又はスプライスアウトされた形態の一部として線状副産物中に限って存在する配列である(図2及び図3)。オリゴマーは、ストレプトアビジンタンパク質に高い親和性で結合し得るTEGリンカーによって接続されているビオチンを有するように設計する。一旦オリゴマーがイントロン配列を含有する線状副産物に結合すると、副産物は、ストレプトアビジンビーズによって捕捉され得て、環状RNAは、非結合画分中に濃縮され得る。
【0374】
実施例2:線状RNAプルダウンは線状副産物を特異的に捕捉し、環状RNAを濃縮する
本実施例は、オリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して線状副産物を捕捉することによる環状RNAの濃縮を実証する。
【0375】
本実施例において、構築物は、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、オープンリーディングフレーム(ORF)を含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。ORFは、ガウシアルシフェラーゼ(Gluc、図4の場合)又はホタルルシフェラーゼ(Fluc、図5の場合)のいずれかであった。線状RNAの長さは、Gluc ORFの場合に約1.4Kbであり、Fluc ORFの場合に約2.6Kbであった。
【0376】
イントロン配列を含有する線状副産物を除去するための線状RNAプルダウン(LP)の場合、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマーを設計した:3’半分-イントロンに対する4つのオリゴマー、及び5’半分-イントロンに対する2つのオリゴマー。各オリゴマーは、23ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。
【0377】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる又は追加的な反応は必要でなかった。
【0378】
自己スプライスされたRNA(200ピコモル)を、同じ量の各オリゴマー(200ピコモルの各オリゴマー、全部で1.2ナノモルのオリゴマー)と、全体で500μl中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであった)。LP効率に対するRNA:オリゴマー比の効果を試験するため、2倍(800nM)及び5倍より多いオリゴマー(2μM)を使用した。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNAを使用した。RNA-オリゴマー混合物を室温(RT)で30分間インキュベートし、次に100μlのストレプトアビジン-SEPHAROSE(登録商標)(Sigma)と混合した。混合物をミックスローター上、RTで1時間インキュベートし、ストレプトアビジン-SEPHAROSE(登録商標)ビーズを遠心分離によってスピンダウンすることにより、非結合画分を収集した。ビーズを1倍結合緩衝液で3回洗浄した。樹脂を1倍結合緩衝液の存在下、75℃で10分間加熱することにより、ビーズに結合しているRNAを溶出させた(図4及び図5中の「溶出された」)。ビーズを95%ホルムアミドの存在下、95℃で5分間加熱することにより、ビーズに依然として結合しているRNAを溶出させた(図4及び図5中の「樹脂」)。非結合及び溶出RNAの濃度をQubitによって測定し、尿素ポリアクリルアミドゲル電気泳動(尿素PAGE)によって200ngのRNAを分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0379】
1.4KbのRNA(図4)と2.6KbのRNA(図5)の両方において、入力と比較して、非結合画分における環状RNAの有意な濃縮が認められた(1.4KbのRNAにおける約90%の濃縮(図4)及び2.6KのRNAにおける50%の濃縮(図5))。樹脂に結合しているRNAの大半が、イントロン領域を含有する線状RNAであった(線状RNA、図4及び図5)が、オリゴマーがイントロンを含有するRNAを特異的に捕捉したことが示される。オリゴマー濃度の増加は、1.4KbのRNAと2.6KbのRNAの両方において環状RNAの濃縮収率に影響しなかった。
【0380】
実施例3:単一オリゴマーが線状RNA副産物を捕捉し、環状RNAを濃縮し得る
本実施例は、オリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して線状副産物を捕捉することによる環状RNAの濃縮を実証する。本実施例において、線状RNAは、自己スプライシング中にスプライスアウトされている3’半分-イントロンの5’末端に拡張された領域を含んだ。
【0381】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。構築物は、5’末端に36ヌクレオチドの拡張された配列を含んだ。
【0382】
拡張された配列を含有する線状副産物をプルダウンするため、拡張された領域に対するオリゴマーを設計した。オリゴマーは、36ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。
【0383】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる/追加的な反応は必要でなかった。
【0384】
自己スプライスされたRNA(200ピコモル)を、400ピコモルのオリゴと、1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであり、オリゴマー濃度は800nMであった)。線状RNAプルダウン効率に対するRNA:オリゴマー比の効果を試験するため、2.5倍(1μM)又は5倍より多い(2μM)オリゴマーを使用した。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNAを使用した。RNA-オリゴマー混合物をRTで30分間インキュベートし、次に100μlのストレプトアビジン-SEPHAROSE(登録商標)(Sigma)と混合した。混合物をミックスローター上、RTで1時間インキュベートし、SEPHAROSE(登録商標)ビーズを遠心分離によってスピンダウンすることにより、非結合画分を収集した。ビーズを1倍結合緩衝液で3回洗浄した。樹脂を1倍結合緩衝液の存在下、75℃で10分間加熱することにより、樹脂に結合したRNAを溶出させた(図6中の「溶出された」)。樹脂を95%ホルムアミドの存在下、95℃で5分間加熱することにより、ビーズに依然として結合していたRNAを溶出させた(図6中の「樹脂」)。非結合及び溶出RNAの濃度をQubitによって測定し、尿素PAGEによって200ngのRNAを分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いることによって可視化した。
【0385】
非結合画分中の環状RNAの濃縮は入力と比較して有意であった(800nMのオリゴにおいて50%の濃縮(図6))。樹脂に結合したRNAの大半は、拡張された領域を有する線状RNAであり、オリゴマーが拡張された領域を有する線状RNAを特異的に捕捉することが示された(線状RNA、図6)。オリゴマー濃度の増加は、環状RNAの濃縮収率に、800nMのオリゴマーの場合の50%から4μMのオリゴマーの場合の96%にかけて有意に影響した。
【0386】
実施例4:バッチ精製及びカラム充填方法を比較する
本実施例は、オリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して線状副産物を捕捉することによる環状RNAの濃縮についての2つの異なる手法を実証する。一方の方法は、RNA-オリゴ混合物をチューブ内でストレプトアビジン-SEPHAROSE(登録商標)ビーズとインキュベートすること(バッチ法)であり、他方の方法は、ビーズをカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を重力によって通過させること(カラム法)であった。
【0387】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。
【0388】
イントロン配列を含有する線状副産物をプルダウンするため、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマーを設計した:3’半分-イントロンに対するオリゴマー、及び5’半分-イントロンに対する2つのオリゴマー。各オリゴマーは、23ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。
【0389】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる/追加的な反応は必要でなかった。
【0390】
自己スプライスされたRNA(1ナノモル)を、2ナノモルの各オリゴと、全体で2.5ml中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであり、オリゴマー濃度は各オリゴマー当たり800nMであった)。RNA-オリゴマー混合物を、75℃で3分間の加熱の存在下又は非存在下で、RTで30分間インキュベートした。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNA混合物を使用した。バッチ精製法の場合、500μlのストレプトアビジン-SEPHAROSE(登録商標)ビーズを混合物に添加した。次に、混合物をミックスローター上、RTで1時間インキュベートし、SEPHAROSE(登録商標)ビーズを遠心分離によってスピンダウンすることにより、非結合画分を収集した。カラム精製の場合、500μlのビーズを空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。非結合又はフロースルーのRNA濃度をQubitによって測定し、200ngのRNAを尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0391】
入力と比較した、環状RNAの濃縮における有意差は、バッチ精製法とカラム精製法との間で見出されなかった(例えば、それぞれレーン3及びレーン4対レーン6及びレーン7を参照されたい)(図7)。RNA-オリゴマーの加熱及び冷却により、環状RNAの濃縮は増加しなかった。このデータは、線状RNAのプルダウン法(LP)の方法が、SEPHAROSE(登録商標)ビーズのカラム充填を通じてスケールアップ可能であることを示す。
【0392】
実施例5:連続的な線状RNAプルダウンは環状化効率が低い場合に環状RNAをさらに濃縮し得る
本実施例は、連続的な線状RNAプルダウンによる環状RNAの濃縮を実証し得る。
【0393】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。
【0394】
イントロン配列を含有する線状副産物をプルダウンするため、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマーを設計した:3’半分-イントロンに対する4つ、及び5’半分-イントロンに対する2つ。各オリゴマーは、23ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。
【0395】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じたが;さらなる/追加的な反応は必要でなかった。
自己スプライスされたRNA(1ナノモル)を、2ナノモルの各オリゴと、全体で2.5ml中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであり、オリゴマー濃度は各オリゴマー当たり800nMであった)。RNA-オリゴマー混合物をRTで30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlのビーズを空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。収集したフロースルーを追加的なオリゴマーと混合し(最終で800nM)、次に新たに予め充填された樹脂を通過させた。フロースルーを収集し、フロースルーの第1及び第2ラウンドの濃度をQubitによって測定した。200ngのRNAを尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0396】
線状RNAプルダウンの第1ラウンドでは、環状RNAの130%の濃縮がなされた(図8、第1のLP;環状RNAの純度が23%から54%に)。プルダウンの第2ラウンドの場合、追加的な濃縮がなされ、次に最終的に200%を超える濃縮が達成された(図8、第2のLP;環状RNAの純度が23%から72%に)。
【0397】
実施例6:異なる塩濃度による線状RNAプルダウンの最適化
本実施例は、環状RNA濃縮に対する結合緩衝液における塩濃度の効果を、オリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して線状副産物を捕捉することによって実証する。
【0398】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。ORFは、hEPO(hEPO、図9Aの場合)又はSARS-CoV-2スパイクタンパク質(スパイク、図9Bの場合)のいずれかであった。線状RNAの長さは、hEPO ORFの場合に約1.2Kbであり、SARS-CoV-2スパイクORFの場合に約4.5Kbであった(たとえRNAのサイズが4.5Kbであっても、6%尿素PAGE上で2Kbのラダーとともに動く)。
【0399】
イントロン配列を含有する線状副産物をプルダウンするため、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマーを設計した:3’半分-イントロンに対する4つ、及び5’半分-イントロンに対する2つ。各オリゴマーは、23ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。
【0400】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる又は追加的な反応は必要でなかった。
【0401】
自己スプライスされたRNA(1ナノモル)を、2ナノモルの各オリゴと、全体で2.5ml中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであり、オリゴマー濃度は各オリゴマー当たり800nMであった)。環状RNA濃縮に対する塩濃度の効果を試験するため、500mM、1000mM及び2000mMのNaCl濃度についても試験した。RNA-オリゴマー混合物をRTで30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlのビーズを空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。フロースルーを収集し、フロースルー中のRNAの濃度をQubitによって測定した。200ngのRNAを尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0402】
1.2KbのRNAの場合、異なる塩条件下で環状RNA濃縮に対する有意差は認められなかった(図9A)。しかし、4.5KbのRNAの環状RNA濃縮は、塩濃度が増加したとき、増加した(図9B)。150mMのNaClにおいては60%の濃縮がなされた(入力からの20%の環状RNA純度から32%の環状RNA純度へ)が、2000mMのNaClにおいては90%の濃縮がなされた(入力からの20%の環状RNA純度から38%の環状RNA純度へ)。このデータは、線状RNAプルダウン(LP)において、より高い塩が長いRNAの環状RNA濃縮を改善し得ることを示す。
【0403】
実施例7:線状RNAプルダウン媒介性環状RNA濃縮は下流工程精製後の環状RNA発現を増強する
本実施例は、線状RNAプルダウン法によって精製されている環状RNAからの増強された発現を実証する。
【0404】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。ORFは、ガウシアルシフェラーゼ(Gluc、図10の場合)又はhEPO(図11の場合)のいずれかであった。
【0405】
イントロン配列を含有する線状副産物をプルダウンするため、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマーを設計した:3’半分-イントロンに対する4つのオリゴマー、及び5’半分-イントロンに対する2つのオリゴマー。各オリゴマーは、23ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。
【0406】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる/追加的な反応は必要でなかった。
【0407】
自己スプライスされたRNA(1ナノモル)を、2ナノモルの各オリゴと、全体で2.5ml中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであり、オリゴマー濃度は各オリゴマー当たり800nMであった)。RNA-オリゴマー混合物をRTで30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlのビーズを空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。収集したフロースルーを、Amicon超遠心フィルター(100Kカットオフ)によって水で緩衝液交換した。
【0408】
濃縮された環状RNAを異なる下流工程で精製した。対照として濃縮を伴わないインビトロ転写RNAを並行して精製した。
【0409】
Glucをコードする環状RNAの場合、4つの異なる精製方法を試験した。第1の方法はカラム精製であり、濃縮された環状RNAをカラム精製した(Monarch)。第2の方法はゲル精製であった。Glucをコードする濃縮された環状RNAを尿素PAGEによって精製し、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)で溶出させ、エタノール沈殿し、RNAseを含まない水に再懸濁した。第3の方法は、逆相クロマトグラフィー(RP)であった。Glucをコードする環状RNAを逆相クロマトグラフィーによって精製し、画分を、Amicon超遠心フィルター(100Kカットオフ)においてクエン酸ナトリウム、次いで水で緩衝液交換した。第4の方法は、アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)であった。Glucをコードする環状RNAをアニオン交換クロマトグラフィー(chromatograph)(AEX)によって精製し、画分を、Amicon超遠心フィルター(100Kカットオフ)において水で緩衝液交換した。比較として、インビトロ転写RNAにRP及びAEX精製を施した。
【0410】
hEPOをコードする環状RNAの場合、4つの異なる精製方法を試験した。第1の方法は、精製を行わず、緩衝液交換している環状RNAのみを使用した(BE)。第2の方法は、ゲル精製であった。hEPOをコードする濃縮された環状RNAを尿素PAGEによって精製し、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1%SDS、1mM EDTA)で溶出させ、エタノール沈殿し、RNAseを含まない水に再懸濁した。第3の方法は、逆相クロマトグラフィー(RP)であった。hEPOをコードする環状RNAを逆相クロマトグラフィーによって精製し、画分を、Amicon超遠心フィルター(100Kカットオフ)においてクエン酸ナトリウム、次いで水で緩衝液交換した。第4の方法は、アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)であった。hEPOをコードする環状RNAをアニオン交換クロマトグラフィー(chromatograph)(AEX)によって精製し、画分を、Amicon超遠心フィルター(100Kカットオフ)において水で緩衝液交換した。比較として、インビトロ転写RNAにゲル精製、RP及びAEX精製を施した。
【0411】
濃縮(LP)又は非濃縮(IVT)環状RNAからのGlucの発現を比較するため、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、0.1ピコモルの精製されている環状RNAをヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)にトランスフェクトした。6時間、24時間又は48時間の時点で、細胞培地を収集した。Gluc活性を測定するため、10μlの収集した細胞培地を白色96ウェルプレートに移し、生物発光レポーターアッセイ系を製造業者の使用説明書に従って使用した(Pierceガウシアルシフェラーゼフラッシュアッセイキット、16158、Thermo Scientific)。プレートをルミノメーター装置(Promega)で読み取った。
【0412】
濃縮(LP)又は非濃縮(IVT)環状RNAからのhEPOの発現を比較するため、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、0.25ピコモルの精製されている環状RNAをヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)にトランスフェクトした。24時間又は48時間の時点で、細胞培地を収集した。分泌されたhEPOタンパク質の量を、hEPO ELISAキット(Invitrogen)により、製造業者の使用説明書に従って測定した。
【0413】
Gluc RNA及びhEPO RNAの両方において、線状RNAプルダウン(LP)を介して精製されている環状RNAは、濃縮を行わずに環状RNAを同じ方法を用いて精製した場合より優れた発現を示した(例えば、LP-RPは、Glucの場合にIVT-RPより4倍超高い発現、またhEPOの場合に2倍高い発現を示した)。このデータは、本明細書に記載の方法を用いる環状RNAの濃縮が発現を増強することを示す。
【0414】
実施例8:オリゴマーの数が減少した線状RNAプルダウンは環状RNAを濃縮する
本実施例は、より少数のオリゴマーでオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して線状副産物を捕捉することによる、環状RNAの濃縮を実証する。
【0415】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。本実施例の場合、ORFはhEPOであり、hEPO ORFを有する線状RNAの長さは約1.4Kbである。
【0416】
イントロン配列を含有する線状副産物を除去するための線状プルダウンの場合、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマーを設計した:3’半分-イントロンに対する4つのオリゴマー(#1~#4)、及び5’半分-イントロンに対する2つのオリゴマー(#5及び#6)(図12)。各オリゴマーは、23ヌクレオチドであり、TEGによって連結されているビオチンを有した。本実施例において、オリゴマーの数が減少した場合のプルダウン効率を試験した。
【0417】
第1の試験において、3’半分-イントロンに対するオリゴマーを試験した(#1~#4)。7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる又は追加的な反応は必要でなかった。
【0418】
自己スプライスされたRNA(200ピコモル)を、3’半分-イントロンに対する各オリゴマー(#1~#4)と、2つの異なる濃度(2.4μM又は4.8μM)で、全体で500μl中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであった)。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNAを使用した。陽性対照の場合、全部で6つのオリゴマー(#1~#6)の混合物を使用した。RNA-オリゴマー混合物を室温(RT)で30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlの樹脂を空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。フロースルーのRNAの濃度をQubitによって測定し、200ngのRNAを尿素PAGEによって分離し、ゲル染色溶液を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0419】
#1及び#2オリゴマーは、2.4μM及び4.8μMの両方の濃度で、プルダウンに全部で6つのオリゴマーを使用する場合の陽性対照と比較して、類似の濃縮効率(図13A、6%ゲル)及び3’半分-イントロンの除去(図13B、10%ゲル)を示した。
【0420】
第2の試験において、3’半分-イントロン(#1及び#2)及び5’半分-イントロン(#5及び#6)の両方に対するオリゴの組み合わせを試験した。7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;さらなる又は追加的な反応は必要でなかった。
【0421】
自己スプライスされたRNA(200ピコモル)を、#5若しくは#6オリゴと組み合わせた#1オリゴマー、又は#5若しくは#6オリゴと組み合わせた#2オリゴマーと、全体で500μl中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであった)(最終オリゴマー濃度はそれぞれ、2.4μMである)。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNAを使用した。さらなる対照として、#1オリゴのみ又は#5オリゴマーのみを使用した。陽性対照の場合、全部で6つのオリゴマー(#1~#6)の混合物を使用した。RNA-オリゴマー混合物を室温(RT)で30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlの樹脂を空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。フロースルーのRNAの濃度をQubitによって測定し、200ngのRNAを尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0422】
3’半分-イントロン又は5’半分-イントロンに対する2つのオリゴの組み合わせは、類似する環状RNA濃縮効率(図14A、6%ゲル)及び3’半分-イントロンに対する単一オリゴマーを使用するより優れたイントロン除去(図14B、10%ゲル)を示した。#1及び#5オリゴの組み合わせは、プルダウンに全部で6つのオリゴマーを使用する場合の陽性対照と比較して、類似する環状RNA濃縮効率(図14A)及びイントロン除去効率(図14B)を示した。これらのデータは、2つのオリゴマーの使用が6つのオリゴマーの使用と等しい環状RNA濃縮及びイントロン除去効率を有することを示す。
【0423】
実施例9:数が減少したオリゴマーを用いる線状RNAプルダウン媒介性の環状RNA濃縮が環状RNAの発現をもたらす
本実施例は、2つのオリゴマーを用いる線状RNAプルダウン法によって精製されている環状RNAからの発現を実証する。
【0424】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、hEPO ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。
【0425】
イントロン配列を含有する線状副産物を除去するための線状プルダウンの場合、イントロン領域に対する6つの異なるオリゴマー(#1~#6)を実施例8に記載のとおりに設計した。
【0426】
自己スプライスされたRNA(200ピコモル)を、#1オリゴマー及び#5若しくは#6オリゴマー、又は#2オリゴマー及び#5若しくは#6オリゴマーと、全体で500μl中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであった)(最終オリゴマー濃度はそれぞれ、2.4μMである)。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNAを使用した。別の対照として、#1オリゴマーのみ又は#5オリゴマーのみを使用した。陽性対照の場合、全部で6つのオリゴマー(#1~#6)の混合物を使用した。RNA-オリゴマー混合物を室温(RT)で30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlの樹脂を空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。収集したフロースルーを、Amicon超遠心フィルター(100Kカットオフ)によって水で緩衝液交換した。
【0427】
異なるオリゴマーによる濃縮された(LP)環状RNAからのhEPOの発現を比較するため、LIPOFECTAMINE(登録商標)MessengerMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用して、0.25ピコモルの精製された環状RNAを、ヒーラ細胞(96ウェルプレート内で10,000細胞/ウェル)にトランスフェクトした。24時間の時点で、細胞培地を収集した。分泌されたhEPOタンパク質の量を、hEPO ELISAキット(Invitrogen)により、製造業者の使用説明書に従って測定した。
【0428】
2つのオリゴマーを用いる線状プルダウン(LP)を介して精製されている環状RNAは、全部で6つのオリゴマー(#1~#6)を用いるLPを介して精製されている環状RNAと同等の発現を示した(図15)。特に、データは、環状RNAの発現が、2つのオリゴマー(即ち、3’半分-イントロンに対するオリゴマー及び5’半分-イントロンに対するオリゴマー)の組み合わせを用いるLPを介して精製されている環状RNAから得られ、全部で6つのオリゴマーを用いるLPを介して精製されている環状RNAから認められた発現において同等であることを示す。
【0429】
実施例10:3’半分-イントロンと5’半分-イントロンの両方を標的にする単一オリゴマーによる線状RNAプルダウン
本実施例は、3’半分-イントロンと5’半分-イントロンの両方を標的にする単一オリゴマーによるオリゴ-ストレプトアビジン相互作用を介して線状副産物を捕捉することによる環状RNAの濃縮を実証する。
【0430】
本実施例において、構築物を、触媒イントロンの3’半分、エクソン断片2(E2)、ORFを含むポリリボヌクレオチドカーゴ、エクソン断片1(E1)、及び触媒イントロンの5’半分を含むように設計した。ORFはhEPOであり、線状RNAの長さは約1.4Kbであった。
【0431】
本実施例において、2つのオリゴマーを設計した:オリゴ5-Bio_1A5は、#1オリゴ(実施例8に記載される3’半分-イントロンに対するオリゴマー)とそれに続く#5オリゴ(実施例8に記載される5’半分-イントロンに対するオリゴマー)からなる;オリゴ5-Bio_5A1は、#5オリゴとそれに続く#1オリゴからなる。5-Bio_1A5オリゴマーと5-Bio_5A1オリゴマーの両方は、異なるオリゴマー配列とTEGによってオリゴマーに連結されている5’末端ビオチンとの間に、アデノシンリンカーの8つのヌクレオチドを有する。5-Bio_1A5及び5-Bio_5A1オリゴマーの概略図を図16に提示する。
【0432】
7.5mMのNTPの存在下でDNA鋳型からのT7 RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写により、線状RNAを合成した。デオキシリボヌクレアーゼで20分間処理することにより、鋳型DNAを除去した。合成された線状RNAを、RNAクリーンアップキット(New England Biolabs,T2050)で精製した。自己スプライシングが転写中に生じ;追加的な反応は必要でなかった。
【0433】
自己スプライスされたRNA(200ピコモル)を、3’半分-イントロンと5’半分-イントロンの両方を標的にするオリゴマー5-Bio_1A5又は5-Bio_5A1(2.4μMの濃度)と、500μlの全体積中の1倍結合緩衝液(150mM NaCl、15mMクエン酸ナトリウム、0.5mM EDTA)の存在下で混合した(最終RNA濃度は400nMであった)。陰性対照として、オリゴマーを伴わないRNAを使用した。陽性対照の場合、全部で6つのオリゴマー(#1~#6)の混合物を使用した。RNA-オリゴマー混合物を室温(RT)で30分間インキュベートした。カラム精製の場合、500μlの樹脂を空のカラムに予め充填し、RNA-オリゴマー混合物を充填された樹脂上に置いた。RNA-オリゴマー混合物を重力によって樹脂を通過させ、フロースルーを収集した。フロースルーのRNAの濃度をQubitによって測定し、200ngのRNAを尿素PAGEによって分離し、ゲル染色を用いて染色し、画像処理システムを用いて可視化した。
【0434】
5-Bio_1A5又は5-Bio_5A1を用いる線状プルダウン法を介して精製されている環状RNAは、線状RNA(図17A)及びイントロンRNA(図17B)を効率的に除去した。環状RNA濃縮効率(図17A)及びイントロン除去効率(図17B)は、全部で6つのオリゴマーをプルダウンに使用する場合の陽性対照と類似していた。これらのデータは、3’半分-イントロンと5’半分-イントロンの両方を標的にするように設計されている単一オリゴマーを線状プルダウンに使用して、環状RNAを濃縮することで、6つのオリゴマーによるLPを用いることに匹敵する環状RNA濃縮効率及びイントロン除去効率を得ることができる。
【0435】
他の実施形態
本発明がその具体的な実施形態と関連させて記載されている一方で、それがさらなる修飾が可能であり、本願が、一般に本発明の原則に従い、本発明が関連する当該技術分野内の公知の又は習慣的な実践の範囲に属するような本発明からの逸脱を含む、本発明の任意のバリエーション、使用、又は適応を包含することが意図され、記載される上述の必須の特徴に適用可能であり、請求項の範囲内に従うことは理解されるであろう。他の実施形態は、請求項の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】