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特表2024-538146モノアシルグリセロールリパーゼ阻害剤の結晶質形態
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】モノアシルグリセロールリパーゼ阻害剤の結晶質形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/10 20060101AFI20241010BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C07D471/10 101
C07D471/10 CSP
A61P17/00
A61P37/08
A61P13/10
A61P9/00
A61P1/00
A61P19/02
A61P13/12
A61P21/00
A61P7/00
A61P43/00 111
A61K31/438
A61P25/06
A61P37/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522643
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022080434
(87)【国際公開番号】W WO2023078868
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/274,887
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,サミュエル ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】シンコッティ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】パターソン,アダム ロス
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,リチャード ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェター,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ユウル,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス デ ディエゴ,ハイジ
(72)【発明者】
【氏名】グライス,シェリル エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーナー,ジョン ジェイ.エム.
(72)【発明者】
【氏名】バザード,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アラン,エイミー
(72)【発明者】
【氏名】ガンセド,スサナ デル リオ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB03
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA36
4C086ZA51
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZC20
(57)【要約】
MAGL阻害剤1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の新たな結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩が本明細書において記述される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
以下の2θ角度:8.60°、10.72°、11.12°、14.17°、15.30°、19.08°、22.70°、及び24.30°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項3】
以下の2θ角度:8.91°、9.20°、12.17°、14.11°、16.33°、18.46°、及び19.90°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態7である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項4】
以下の2θ角度:10.19、11.09、15.00、17.86、19.57、20.84、23.74、31.34°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項5】
以下の2θ角度:7.46、14.64、15.09、16.15、18.72、19.34、25.22、25.92°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項6】
以下の2θ角度:6.67、11.01、15.23、16.06、16.81、19.39、19.77、22.84°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項7】
以下の2θ角度:4.30°、10.16°、12.85°、15.67°、21.54°、及び23.08°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態2である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項8】
以下の2θ角度:9.05、11.07、11.75、15.31、18.39、25.60、29.67、36.40°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態4である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又は薬学的に許容可能な塩と、1つ若しくは複数の薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、を含む医薬組成物。
【請求項10】
薬物として使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療において使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害を治療する方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩を、その必要がある患者に治療有効量で投与することを含む、方法。
【請求項13】
アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害を治療するための薬物の製造における、請求項1から8のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項14】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって、
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を提供する工程;
ii)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を、150℃を超える温度~180℃に、最低2分間加熱する工程;
を含む、プロセス。
【請求項15】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって、
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を提供する工程;
ii)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む、プロセス。
【請求項16】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって、
i)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を提供する工程;
ii)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の固体形態、かかる固体形態を含む医薬組成物、並びにモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)の阻害の恩恵を受けるであろう様々な疾患を治療する方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MAGLは、セリン加水分解酵素スーパーファミリーのメンバーである。MAGLは、ニューロン、小グリア細胞、星状細胞、及びオリゴデンドロサイトなど、脳全体に発現される。MAGLは、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)からアラキドン酸(AA)への分解を制御する主要な酵素である(Blankman et al.Chem Biol.2007;Nomura et al.Science.2011)。
【0003】
2-AGは脳内で最も豊富な内因性カンナビノイドリガンドであり、そこでシナプス前CB受容体の活性化を介して、過剰な神経伝達を減少させる逆行性メッセンジャーとして機能し(Katona et al.,Nat Med.2008 Sep;14(9):923-30)、小グリア細胞CB受容体の活性化による免疫応答を調節し(Turcotte et al.Cell Mol Life Sci.2016 Dec;73(23):4449-4470)、例えば、オリゴデンドロサイトの産生と生存への影響を介して神経保護を促進する(Front Neurosci.2018 Oct 26;12:733)。
【0004】
AAは、脳内で最も豊富な脂肪酸の1つであり、炎症性メディエーターとして知られているプロスタノイド及びロイコトリエンなどのエイコサノイドの主要な前駆体である。
【0005】
MAGLは、内因性カンナビノイドとエイコサノイドのシグナル伝達システムの間の交差点にある。MAGLの作用又は活性化を阻害することは、その病理学的特徴が、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷、脳卒中、癲癇、疼痛、片頭痛、常習癖、不安、鬱病、及びその他のストレス関連障害などの、神経伝達の過剰、神経炎症又は神経変性などを含む、脳障害の予防又は治療のための有望な治療アプローチである(Grabner et al.Pharmacol Ther.2017 Jul;175:35-46;Mulvihill et al.Life Sci.2013 Mar 19;92(8-9):492-7;Gil-Ordonez et al.Biochem Pharmacol.2018 Nov;157:18-32)。
【0006】
国際公開第2018/217805号パンフレットに、MAGL阻害が有益であり得る疾患の治療に有望なMAGL阻害剤である化合物の例として、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸が開示されている。
【0007】
化合物の様々な固体形態が存在する場合、それらをどのように製造するかは言うまでもなく、以前の経験から予測することが不可能であるため、医薬化合物の開発は非常に複雑である。
【0008】
固体形態での変化が、予測できない様々な物理的及び化学的能力に影響し得て、且つ加工、製剤化、安定性、バイオアベイラビリティ又は貯蔵などの薬剤開発の領域における利点又は欠点を提供し得ると仮定すると、固体形態が製造された後でさえ、更なる薬剤開発のための固体形態の同定及び選択は複雑である。
【0009】
この背景から、特定の化合物又は化合物の塩が多形を形成するか否か、かかるいずれかの多形が治療用組成物における商業的使用に適しているか否か、或いはその多形がかかる望ましい特性を示すか否かを予想することは依然として不可能である。したがって、更なる薬剤開発のために、望ましい特性を有する固体形態を製造するプロセスは未だ対処されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、薬剤開発に適した1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(化合物(I))の固体形態を提供することである。
【0011】
したがって、本発明の第1の態様において、化合物(I)の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0012】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図1に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:8.60、10.72、11.12、14.17、15.30、19.08、22.70、及び24.30°にて特有のピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図2に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1である。
【0013】
一実施形態において、その結晶質形態は、以下の2θ角度:8.60、10.72、11.12、14.17、15.30、19.08、22.70、及び24.30°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1である。
【0014】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図3に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:8.91、9.20、12.17、14.11、16.33、18.46、及び19.90°にて特有のピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図4に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態7である。
【0015】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の2θ角度:8.91、9.20、12.17、14.11、16.33、18.46、及び19.90°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態7である。
【0016】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図5に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:10.19、11.09、15.00、17.86、19.57、20.84、23.74、及び31.34°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図6に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物である。
【0017】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の2θ角度:10.19、11.09、15.00、17.86、19.57、20.84、23.74、及び31.34°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物である。
【0018】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図7に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:7.46、14.64、15.09、16.15、18.72、19.34、25.22、及び25.92°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1である。
【0019】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の2θ角度:7.46、14.64、15.09、16.15、18.72、19.34、25.22、及び25.92°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1である。
【0020】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図8に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:6.67、11.01、15.23、16.06、16.81、19.39、19.77、及び22.84°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2である。
【0021】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の2θ角度:6.67、11.01、15.23、16.06、16.81、19.39、19.77、22.84°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2である。
【0022】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図10に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:4.30、10.16、12.85、15.67、21.54,23.08°で特有のピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図11に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);又は
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態2である。
【0023】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の2θ角度:4.30、10.16、12.85、15.67、21.54、及び23.08°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態2である。
【0024】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の特性:
a)図14に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:9.05、11.07、11.75、15.31、18.39、25.60、29.67、及び36.40°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図15に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);又は
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態4である。
【0025】
一実施形態において、結晶質形態は、以下の2θ角度:9.05、11.07、11.75、15.31、18.39、25.60、29.67、及び36.40°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態4である。
【0026】
更なる態様において、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又は薬学的に許容可能な塩と、1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬組成物が提供される。
【0027】
更なる態様において、MAGLの阻害から恩恵を受け得る疾患又は障害の治療において使用される、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩が提供される。
【0028】
一実施形態において、その疾患又は障害は、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される。
【0029】
更なる態様において、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造する方法を提供する。
【0030】
一実施形態において、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスは、
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を提供する工程;及び
ii)150℃を超える温度~180℃に、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を最低2分間加熱する工程;
を含む。
【0031】
一実施形態において、工程i)は:
1a)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を提供する工程;
1b)アセトンを添加して、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を含む溶液を提供する工程;及び
1c)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボンを含む溶液を成熟させる工程;
を含む。
【0032】
一実施形態において、工程1b)のアセトンは、5~50℃で添加される。
【0033】
一実施形態において、工程1c)において、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を含む混合物を、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間成熟させる。
【0034】
別の実施形態において、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスは、
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を提供する工程;及び
ii)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む。
【0035】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1は、熱力学的に安定であることが判明している。
【0036】
一実施形態において、工程i)は、
1a)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を提供する工程と、
1b)室温で1,4-ジオキサンを添加して、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を含む混合物を提供し、その溶液を0~10℃、好ましくは5℃で少なくとも24時間攪拌する工程と、を含む。
【0037】
一実施形態において、その溶液は工程1b)において少なくとも36時間、好ましくは48時間攪拌される。
【0038】
別の実施形態において、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスは、
i)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を提供する工程;及び
ii)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む。
【0039】
一実施形態において、工程i)は、
1a)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を提供する工程と、
1b)室温にて1,4-ジオキサンを添加し、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を含む混合物を提供し、続いてその溶液を40~60℃、好ましくは50℃で少なくとも24時間攪拌する工程と、を含む。
【0040】
一実施形態において、混合物は、工程1b)において少なくとも36時間、好ましくは48時間攪拌される。
【0041】
一実施形態において、工程ii)の乾燥は、室温にて真空中で実施される。
【0042】
参照による援用
本明細書で言及される全ての刊行物及び特許出願は、適用可能且つ関連する範囲で参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】化合物(I)形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図2】化合物(I)形態1の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図3】化合物(I)形態7のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図4】化合物(I)形態7の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図5】化合物(I)アセトン溶媒和物のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図6】化合物(I)アセトン溶媒和物の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図7】化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図8】化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図9】化合物(I)HCl塩MIBK溶媒和物のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図10】化合物(I)HCl塩形態2のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図11】化合物(I)HCl塩形態2の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図12】化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図13】化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図14】化合物(I)HCl塩形態4のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図15】化合物(I)HCl塩形態4の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図16】化合物(I)HCl塩形態5のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図17】化合物(I)HCl塩形態5の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図18】化合物(I)HCl塩形態6のX線粉末回折(XRPD)パターンを図示する。X軸:回折角(°2θ);Y軸:強度(カウント)。
図19】化合物(I)HCl塩形態6の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
図20】化合物(I)形態1の製造の概要を示す。
図21】化合物(I)HCl塩MIBK溶媒和物の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図示する。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、特許請求される主題が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示及び説明のためだけのものであり、特許請求される主題の限定を意図するものではないことが理解されるべきである。本出願において、単数形の使用は、特に明記されていない限り、複数形を含む。本明細書及び添付の特許請求範囲の用法では、文脈上例外が明記されていない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数指示対象を含むことに留意すべきである。本出願において、「又は」の使用は、特に明記されない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などのその他の形態の使用は、限定的ではない。
【0045】
本明細書の用法では、製剤、組成物又は成分に関する「許容可能な」又は「薬学的に許容可能な」という用語は、本明細書の用法では、治療される対象の一般的な健康状態に持続的な有害な作用を及ぼさないか、又は化合物の生物学的活性又は特性を無効にせず、比較的非毒性であることを意味する。
【0046】
本明細書の用法では、特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の疾患、障害又は病状の「改善」は、恒久的か又は一時的か、持続的か一過性かを問わず、化合物又は組成物の投与に起因又は関連し得る、重症度の軽減、発症の遅延、進行の遅延、又は持続期間の短縮を指す。
【0047】
「同時投与」などの用語は、本明細書の用法では、選択された治療薬の1人の患者への投与を包含することが意図され、薬剤が、同じか又は異なる投与経路によって、或いは同時か又は異なる時間に投与される、治療レジメンを含むことが意図される。
【0048】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書の用法では、治療される疾患又は病状の1つ又は複数の症状をある程度緩和する、投与された薬剤又は化合物の十分な量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、又は原因の減少及び/又は緩和、又は生体系の任意のその他の所望の改変であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、過度の有害な副作用なしに、疾患症状の臨床的に有意な減少を提供するのに必要とされる、本明細書で開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の症例における適切な「有効量」は、用量漸増試験などの技術を用いて判定されてもよい。「治療有効量」という用語には、例えば、予防有効量が含まれる。本明細書で開示される化合物の「有効量」は、過度の有害な副作用なしに、所望の薬理学的効果又は治療上の改善を達成するのに有効な量である。「有効量」又は「治療有効量」は、化合物(I)の代謝の変動、対象の年齢、体重、全身状態、治療される病状、治療される病状の重症度、及び処方医の判断により、対象毎に変動し得ることが理解される。単なる例として、治療有効量は、用量漸増臨床試験をはじめとするがこれに限定されるものではない、日常的な実験によって判定されてもよい。
【0049】
本明細書で使用される「阻害する(inhibits)」、「阻害する(inhibiting)」、又は酵素の「阻害剤」という用語は、本明細書の用法では、酵素活性の阻害を指す。
【0050】
本明細書で使用される「対象」という用語は、本明細書の用法では、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。単なる例として、対象は、ヒトをはじめとするがこれに限定されるものではない、哺乳類であってもよい。ある実施形態では、対象はヒトである。
【0051】
「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療」(treatment)という用語は、本明細書の用法では、例えば、疾患又は病状の発症を阻止する、疾患又は病状を緩和する、疾患又は病状の退行をもたらす、疾患又は病状によって引き起こされる症状を緩和する、又は疾患又は状態の症状を止めるなど、疾患又は症状を緩和、軽減又は改善すること、追加の症状を予防すること、症状の根底にある代謝の原因を改善又は予防すること、疾患又は病状を阻害することを含む。「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療」(treatment)という用語は、予防的及び/又は治療的処置を含むが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本明細書で提供するX線回折データは、±0.1°2θの精度で示される。
【0053】
化合物
化合物(I)として本明細書で指定される化合物、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸は、以下の構造:
【化1】
を有する。
【0054】
国際公開第2018/217805号パンフレットに、非晶質化合物(I)として本明細書で指定される、非晶質2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸が示されている。本発明は、「化合物(I)」の結晶質形態、並びにエンドカンナビノイドシステムシグナル伝達活性の調節に関係すると考えられる様々な疾患及び障害の治療のための化合物の使用に関する。本発明はさらに、「化合物(I)形態1」、「化合物(I)形態7」、「化合物(I)1、4-ジオキサン溶媒和物形態1」、「化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2」及び「化合物(I)アセトン溶媒和物」として本明細書に記載の化合物(I)の結晶質形態を提供する。これらは、化合物(I)の遊離型である。「遊離型」という用語は、非塩形態の化合物(I)を意味する。「溶媒和物」という用語は、化合物(I)を含有するが、結晶格子に組み込まれる溶媒の分子も含有する物質を意味する。
【0055】
本発明はさらに、化合物(I)の薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0056】
「非晶質化合物(I)HCl」、「化合物(I)HCl形態1」、「化合物(I)HCl形態2」、「化合物(I)HCl 2-MeTHF溶媒和物」、「化合物(I)HCl形態4」、「化合物(I)HCl形態5」、及び「化合物(I)HCl形態6」として指定の化合物(I)のいくつかの一塩酸塩がさらに本明細書に記載される。
【0057】
化合物(I)に関して「薬学的に許容可能な」という用語は、それが投与される哺乳動物に著しい刺激作用を起こさず、且つ化合物の生物活性及び特性を実質的に抑制しない、化合物(I)の塩を意味する。
【0058】
特定の理論によって束縛されることを意図しないが、特定の固体形態は、異なる物理的及び化学的性質、例えば薬剤及び治療剤形に適切な安定性、溶解性及び溶出速度を有する。さらに、特定の理論によって束縛されることを望まないが、特定の固体形態は、特定のプロセス(例えば、収率、濾過、洗浄、乾燥、粉砕、混合、錠剤化、流動性、溶解、製剤化、及び凍結乾燥)に影響を及ぼす、異なる物理的及び化学的性質(例えば、密度、圧縮率、硬度、モフォロジー、切断、べたつき、溶解性、吸水、電気的性質、熱的挙動、固体状態反応性、物理的安定性、及び化学的安定性)を有し、それによって特定の固体形態が固形剤形の製造に適するようになる。かかる特性は、本明細書に記載され、且つ当技術分野で公知の固体状態分析技術(例えば、X線回折、顕微鏡検査、分光法及び熱分析)などの、特定の分析化学技術を用いて決定することができる。
【0059】
本発明の実施形態
以下に、本発明の実施形態が開示される。第1実施形態をE1と示し、第2実施形態をE2と示し、以下同様に示す。
【0060】
E1.1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1、8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0061】
E2.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図1に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:8.60、10.72、11.12、14.17、15.30、19.08、22.70、及び24.30°で特有のピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図2に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1である、結晶質形態。
【0062】
E3.実施形態E2による結晶質形態であって、以下の2θ角度:8.60、10.72、11.12、14.17、15.30、19.08、22.70、及び24.30°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン形態1である、結晶質形態。
【0063】
E4.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図3に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:8.91、9.20、12.17、14.11、16.33、18.46、及び19.90°で特有のピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図4に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態7である、結晶質形態。
【0064】
E5.実施形態E4による結晶質形態であって、以下の2θ角度:8.91、9.20、12.17、14.11、16.33、18.46、及び19.90°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態7である、結晶質形態。
【0065】
E6.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図5に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:10.19、11.09、15.00、17.86、19.57、20.84、23.74、及び31.34°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図6に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物である、結晶質形態。
【0066】
E7.実施形態E6による結晶質形態であって、以下の2θ角度:10.19、11.09、15.00、17.86、19.57、20.84、23.74、及び31.34°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物である、結晶質形態。
【0067】
E8.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図7に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:7.46、14.64、15.09、16.15、18.72、19.34、25.22、及び25.92°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1である、結晶質形態。
【0068】
E9.実施形態E8による結晶質形態であって、以下の2θ角度:7.46、14.64、15.09、16.15、18.72、19.34、25.22、及び25.92°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1である、結晶質形態。
【0069】
E10.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図8に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)6.67、11.01、15.23、16.06、16.81、19.39、19.77、及び22.84°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2である、結晶質形態。
【0070】
E11.実施形態E10による結晶質形態であって、以下の2θ角度:6.67、11.01、15.23、16.06、16.81、19.39、19.77、22.84°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2である、結晶質形態。
【0071】
E12.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図10に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:4.30、10.16、12.85、15.67、21.54、23.08°で特有のピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図11に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);又は
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態2である、結晶質形態。
【0072】
E13.実施形態E12による結晶質形態であって、以下の2θ角度:4.30、10.16、12.85、15.67、21.54、及び23.08°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態2である、結晶質形態。
【0073】
E14.実施形態E1による結晶質形態であって、以下の特性:
a)図14に示すパターンと実質的に同じXRPDパターンを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角度:9.05、11.07、11.75、15.31、18.39、25.60、29.67、及び36.40°で特有のピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)図15に記載の熱重量分析と実質的に同様な熱重量分析(TGA);又は
d)その組み合わせ;
のうちの少なくとも1つを有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態4である、結晶質形態。
【0074】
E15.実施形態E14による結晶質形態であって、以下の2θ角度:9.05、11.07、11.75、15.31、18.39、25.60、29.67、及び36.40°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態4である、結晶質形態。
【0075】
E16.実施形態E1~E15のいずれかに記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又は薬学的に許容可能な塩と、1つ若しくは複数の薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、を含む医薬組成物。
【0076】
E17.結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって:
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を提供する工程;
ii)150℃を超える温度~180℃に、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を最低2分間加熱する工程;を含む、プロセス。
【0077】
E18.実施形態E17のプロセスであって、工程i)が、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を提供する工程;アセトンを添加して、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を含む溶液を提供する工程;1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボンを含む溶液を成熟させる工程;を含む、プロセス。
【0078】
E19.実施形態E18によるプロセスであって、アセトンが5~50℃で添加されるプロセス。
【0079】
E20.実施形態E18~E19のいずれか一つによるプロセスであって、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を含む混合物が、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも72時間成熟される、プロセス。
【0080】
E21.結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって:
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を提供する工程;
ii)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む、プロセス。
【0081】
E22.実施形態E21によるプロセスであって、工程i)が、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を提供する工程と、室温で1,4-ジオキサンを添加して、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を含む混合物を提供する工程と、0~10℃、好ましくは5℃にて溶液を少なくとも24時間攪拌する工程と、を含むプロセス。
【0082】
E23.実施形態E22によるプロセスであって、溶液が少なくとも36時間、好ましくは48時間攪拌される、プロセス。
【0083】
E24.結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって:
i)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を提供する工程;
ii)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含むプロセス。
【0084】
E25.実施形態E24によるプロセスであって、工程i)が、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を提供する工程と、室温で1,4-ジオキサンを添加して、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸を含む混合物を提供し、続いてその溶液を40~60℃、好ましくは50℃で少なくとも24時間攪拌する工程と、を含むプロセス。
【0085】
E26.実施形態E25によるプロセスであって、混合物が、少なくとも36時間、好ましくは48時間攪拌される、プロセス。
【0086】
E27.実施形態E20~E26のいずれか1つによるプロセスであって、乾燥工程が室温にて真空中で実施される、プロセス。
【0087】
E28.アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療において使用される、実施形態E1~E15のいずれか一つによる1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【0088】
E29.アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療方法であって、実施形態E1~E15のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1、1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩を、その必要がある患者に治療有効量で投与することを含む、方法。
【0089】
E30.アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療のための薬物の製造における、実施形態E1~E15のいずれかによる2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【0090】
医薬組成物
上述の化合物又は薬学的に許容可能な塩は、単独の活性成分として、又はその他の活性成分と組み合わせて、組成物中に存在してもよい。さらに、1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体又は希釈剤が、組成物中に存在してもよい。
【0091】
医薬組成物は、経口、直腸、鼻腔、肺、局所(バッカル及び舌下をはじめとする)、経皮、大槽内、腹腔内、膣、及び非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内、及び皮内をはじめとする)経路などの任意の適切な経路による投与のために、特に製剤化されてもよく、経口経路が好ましい。好ましい経路は、治療される対象の全身状態及び年齢、治療される病状の性質、及び選択された活性成分に依存することが理解されるであろう。
【0092】
経口投与のための医薬組成物としては、カプセル剤、錠剤、糖衣錠、丸薬、ロゼンジ、散剤、及び顆粒剤などの固形剤形が挙げられる。適切な場合には、それらは、コーティングを施して調製され得る。経口剤形、特に錠剤は、投与が容易であり、且つその結果として服薬コンプライアンスが良好であることから、患者及び医師によって好まれることが多い。錠剤に関しては、活性成分は結晶質であることが好ましい。
【0093】
経口投与のための液体剤形としては、溶液、エマルション、懸濁液、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられる。
【0094】
非経口投与のための医薬組成物としては、滅菌水性及び非水性注射液、分散液、懸濁液又はエマルション、並びに使用前に滅菌注射液又は分散液で再構成されるべき滅菌散剤が挙げられる。
【0095】
その他の適切な投与形態としては、坐剤、スプレー、軟膏、クリーム、ジェル、吸入剤、皮膚パッチ、インプラントなどが挙げられる。
【0096】
好都合には、本発明の化合物は、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg100mg、150mg、200mg又は250mgの本発明の化合物などの、約0.1~500mgの量で前記化合物を含有する、単位用量剤形で投与される。
【0097】
非経口投与に関して、滅菌水溶液、プロピレングリコール水溶液、ビタミンE水溶液又はゴマ若しくはラッカセイ油中の本発明の化合物の溶液が用いられ得る。かかる水溶液は、必要であれば、適切に緩衝され、液体希釈剤は最初に、十分な生理食塩水又はグルコースで等張性が付与されるべきである。水溶液は特に、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に適している。用いられる滅菌水性媒体はすべて、当業者に公知の標準技術によって容易に入手可能である。
【0098】
適切な薬学的担体としては、不活性固体希釈剤又は充填剤、滅菌水溶液、及び様々な有機溶媒が挙げられる。乳糖、白土、スクロース、シクロデキストリン、滑石、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、落花生油、オリーブ油、リン光体脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン、及び水である。本発明の化合物と、薬学的に許容可能な担体とを組み合わせることによって形成された医薬組成物は、次に開示された投与経路に適した様々な剤形で容易に投与される。
【0099】
経口投与に適した本発明の製剤は、適切な賦形剤を含んでもよい、所定量の活性成分をそれぞれ含有するカプセル剤又は錠剤などの別個の単位として提示されてもよい。さらに、経口的に利用可能な製剤は、粉末又は顆粒、水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液、又は水中油又は油中水液体エマルションの形態であってもよい。
【0100】
固体担体が経口投与に使用される場合、製剤は、錠剤、カプセル、又はペレット形態、又はトローチ又はロゼンジ形態であってもよい。固体担体の量は変動してもよいが、通常は約25mg~約1gである。
【0101】
液体担体が使用される場合、調製物は、シロップ剤、エマルション、軟質ゼラチンカプセル剤、又は水性又は非水性液体懸濁液又は溶液などの滅菌注射用液体の形態であってもよい。
【0102】
錠剤は、活性成分を通常のアジュバント及び/又は希釈剤と混合し、それに続いて従来の打錠機で混合物を圧縮することによって調製されてもよい。アジュバント又は希釈剤の例は、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、乳糖、ガムなどを含む。着色料、香味料、保存料などのような目的で、通常使用されるその他の任意の補助剤又は添加剤は、それらが活性成分と適合するという条件で使用されてもよい。
【0103】
一実施形態において、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩は、緩衝剤、安息香酸、ヒドロキシプロピルベータデックス、アセスルファムカリウム、安息香酸デナトニウム、及び水を含む経口溶液中で提供される。
【0104】
治療のための条件
MAGLの阻害から恩恵を受け得る疾患若しくは障害を治療及び/又は予防する方法もまた、本明細書において開示される。開示の方法は、本明細書に記載の化合物を薬学的に有効な量で投与することを含む。
【0105】
アトピー性皮膚炎
湿疹としても知られるアトピー性皮膚炎(AD)は、体の免疫システムの機能不全と関連する一般的な慢性炎症性皮膚疾患である。ADに小児の20%までが罹患するが、成人期に及び得て、成人の3%までが罹患している。ADにおいて、皮膚は非常に痒くなる。過度に引っ掻くことによって、赤み、腫れ、裂け、「湿潤性」の透明な液体及び皮膚の痂皮が生じる。機能性エンドカンナビノイドシグナル伝達システムが皮膚に存在し、皮膚生物学の複数の側面を仲介する。第三者の研究から、CB1及びCB2受容体がアトピー性皮膚炎においてアップレギュレートされること、及びエンドカンナビノイドシステムが、皮膚アレルギーのモデルにおいて保護作用を発揮することが示されている。さらに、MAGL阻害剤がMAGL活性を低減し得て、げっ歯類の皮膚において2-AGのレベルを増加し得ることが実証されている。
【0106】
一部の実施形態において、本明細書に記載のMAGL阻害剤は、アトピー性皮膚炎の治療において有効性を有する。一部の実施形態において、アトピー性皮膚炎を、その必要がある患者において治療する方法であって、化合物、又はその薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を治療有効量で患者に投与することを含む方法が本明細書において開示される。一部の実施形態において、アトピー性皮膚炎を、その必要がある患者において治療する方法であって、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)HCl形態2又は化合物(I)HCl形態4を治療有効量で患者に投与することを含む方法が、本明細書において開示される。
【0107】
線維筋痛症
線維筋痛症(FM)は、身体の広範囲の疼痛及び触圧によるアロディニアを特徴とする、一般的な、慢性特発性症状である。FMにおけるエキソカンナビノイドのいくつかの第三者の研究から活性が示された。例えば、疼痛の尺度(例えば、NRS-11,疼痛評価(Pain VAS))及びFMにより影響を受ける日常生活のいくつかの活動における制限を測定する線維筋痛症質問票(FIQ)から、FM臨床試験における薬物の活性が実証されている。8週の患者40名の研究において、プラシーボと比較して、エキソカンナビノイドは、10cm VASで測定される疼痛を改善し、不安のFIQドメイン及びFIQ合計スコアが改善された。
【0108】
一部の実施形態において、本明細書に記載のMAGL阻害剤は、FMの治療において有効性を有する。一部の実施形態において、線維筋痛症を、その必要がある患者において治療する方法であって、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)HCl形態2又は化合物(I)HCl形態4を治療有効量で患者に投与することを含む方法が、本明細書において開示される。
【0109】
片頭痛
片頭痛は、頭痛及び顔面痛の一般的な反復性障害である。片頭痛発作は、NSAID、アセトアミノフェン、様々なトリプタン(例えば、スマトリプタン)、及び制吐薬で急性的に治療することができるが、一部の片頭痛患者は、既存の治療選択肢に対して不反応性の疼痛を有する。第三者のデータから、エンドカンナビノイド経路が片頭痛において関連性があり得ると示唆される。慢性片頭痛及び鎮痛薬乱用疑いの頭痛を有する患者において、CSF試料は、健康なコントロールと比較して、エンドカンナビノイドパルミトイルエタノールアミドのより高いレベル、及びアナンダミドのより低いレベルを示した。さらに、片頭痛の一次診断を有する患者では、大麻療法を開始した後に、片頭痛の頻度の減少が見られた。
【0110】
一部の実施形態、本明細書に記載のMAGL阻害剤は、片頭痛の治療における有効性を有する。一部の実施形態において、片頭痛をその必要がある患者において治療する方法であって、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)HCl形態2又は化合物(I)HCl形態4を治療有効量で患者に投与することを含む方法が、本明細書において開示される。
【0111】
急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、及び末梢神経障害によって起こる疼痛
MAGL阻害剤は、急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、及び化学療法誘発の末梢神経障害によって起こる疼痛のいくつかのげっ歯類モデルにおいて有効性を示した。
【0112】
一部の実施形態において、本明細書に記載のMAGL阻害剤は、急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、及び化学療法誘発の末梢神経障害によって起こる疼痛の治療において有効性を有する。一部の実施形態において、急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、及び末梢神経障害によって起こる疼痛を、その必要がある患者において治療する方法であって、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)HCl形態2又は化合物(I)HCl形態4を治療有効量で患者に投与することを含む方法が、本明細書において開示される。
【0113】
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシア(FD)は、診療で遭遇する最も一般的な消化器疾患の一つである。いくつかの病態生理学的メカニズムは、中枢性若しくは末梢性感作が原因の内臓過敏性、低グレードの炎症状態、消化管ホルモン分泌の改変、遺伝的素因、及び異常な胃内容排出又は胃内容停滞など、FDにおける症状の発生の根底にあると提唱されている。第三者のデータから、エンドカンナビノイドシステムの機能がFD患者において改変されるという仮説が裏付けられる。
【0114】
一部の実施形態において、本明細書に記載のMAGL阻害剤は、機能性ディスペプシアの治療における有効性を有する。一部の実施形態において、機能性ディスペプシアを、その必要がある患者において治療する方法であって、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)HCl形態2又は化合物(I)HCl形態4を治療有効量で患者に投与することを含む方法が、本明細書において開示される。
【0115】
骨格筋挫傷
骨格筋挫傷は、筋肉への直接的な鈍い圧縮力を表す。挫傷は、最も一般的なスポーツ関連損傷の1つである。挫傷の重症度は、単純な皮膚挫傷から筋挫傷、及び骨挫傷から内臓挫傷の範囲にわたる。第三者のデータにおいて、MAGL阻害から、ラット骨格筋挫傷モデルにおける抗炎症作用が実証された。
【0116】
一部の実施形態において、本明細書に記載のMAGL阻害剤は、骨格筋挫傷の治療において有効性を有する。一部の実施形態において、骨格筋挫傷を、その必要がある患者において治療する方法であって、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)HCl形態2又は化合物(I)HCl形態4を治療有効量で患者に投与することを含む方法が、本明細書において開示される。
【0117】
併用療法
本明細書ではまた、例えば、これらの治療薬の相互作用から有益な効果を提供することを意図した特定の治療レジメンの一部として、開示された化合物と追加の活性剤とを同時投与するなど、併用療法も想定される。組み合わせの有益な効果としては、治療薬の組み合わせから生じる薬物動態学的又は薬力学的相互作用が挙げられるが、これらに限定されるものではない。組み合わせたこれらの治療薬の投与は、典型的には、定義された期間(通常、選択された組み合わせに応じて、数週間、数ヶ月間又は数年間)にわたって行われる。併用療法は、複数の治療薬を順次投与すること、すなわち各治療薬を異なる時期に投与すること、並びにこれらの治療薬又は治療薬の少なくとも2つを実質的に同時に投与することを包含することを意図する。
【0118】
実質的な同時投与は、例えば、対象に、各治療薬の固定比率を有する単一の製剤又は組成物(例えば、錠剤又はカプセル剤を投与することによって、又は治療薬のそれぞれについて複数の単一製剤(例えば、カプセル剤)を投与することによって達成される。各治療薬の順次又は実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介した直接吸収をはじめとするがこれらに限定されるものではない、任意の適切な経路によって影響を受ける。治療薬は、同じ経路又は異なる経路で投与される。例えば、選択された組み合わせの第1の治療薬が静脈内注射によって投与され、組み合わせのもう一方の治療薬が経口投与される。代案としては、例えば、全ての治療薬が経口投与されるか、又は全ての治療薬が静脈内注射によって投与される。
【0119】
併用療法はまた、その他の生物活性成分及び非薬物療法のさらなる組み合わせで、上記の治療薬を投与することを包含する。併用療法が非薬物治療をさらに含む場合、非薬物治療は、治療薬と非薬物治療の組み合わせの相互作用による有益な効果が達成される限り、任意の適切な時点で実施される。例えば、適切な場合には、放射線治療が治療薬の投与から、おそらく数日又は数週間、時間的に離れていても、有益な効果が依然として達成される。
【0120】
組み合わせの構成成分は、同時又は順次患者に投与される。構成成分が同じ薬学的に許容可能な担体中に存在し、したがって同時投与されることが理解されるであろう。代案としては、活性成分は、同時又は順次投与される、従来の経口剤形などの別々の薬学的担体中に存在する。
【0121】
例えば、想定される疼痛治療のために、開示された化合物は、オピオイド、カンナビノイド受容体(CB又はCB)調節剤、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン、及び/又は非ステロイド性抗炎症剤などの疼痛のための別の治療薬と同時投与される。例えば、疼痛の治療のための同時投与される追加の治療薬としては、モルヒネ、プレガバリン、ガバペンチン、コデイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシモルホン、フェンタニル、トラマドール、及びレボルファノールが挙げられる。
【0122】
同時投与のためのその他の想定される治療薬としては、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、サルサレート、ジフルニサール、デキシブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラック、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、セレコキシブ、パレコキシブ、リモナバン、及び/又はエトリコキシブが挙げられる。
【0123】
実験セクション
略語の一覧
上記及び本発明の明細書全体で使用される、以下の略語は、別段の指定がない限り、以下の意味を有すると理解すべきである:
t-Bu:t-ブチル
DCM:ジクロロメタン(CH2Cl2)
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
equiv:当量
EtOH:エタノール
EtOAc:酢酸エチル
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
i-PrOAc:酢酸イソプロピル
MS:質量分析
NMR:核磁気共鳴
MeCN:アセトニトリル
2-MeTHF:2-メチルテトラヒドロフラン
MIBK:メチルイソブチルケトン
MTBE:メチルt-ブチルエーテル
TFA:トリフルオロ酢酸
TGA:熱重量分析
TLC:薄層クロマトグラフィー
RT:室温
XRPD:X線粉末回折
【0124】
化学合成
特に明記しない限り、試薬及び溶媒は商業的供給業者から受領されたものをそのまま使用した。湿度及び/又は酸素に敏感な合成変換には、無水溶媒とオーブンで乾燥させたガラス器具を使用した。収率は最適化されなかった。反応時間は概算であり、最適化されていない。特に明記されない限り、カラムクロマトグラフィー及び薄層クロマトグラフィー(TLC)はシリカゲル上で実施した。
【実施例
【0125】
実施例1:非晶質化合物(I)の製造
【化2】
非晶質固体形態の化合物(I)の製造が、上記のスキームに従って、以下の手順で行われた。
【0126】
5L三つ口丸底フラスコに、DCM(2L)中のt-ブチル1-[(1-[[2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-イル)カルボニル]-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(200g)の溶液を入れた。これに続いて、5℃で攪拌しながらトリフルオロ酢酸(500mL)を一滴ずつ添加した。得られた溶液を室温で6時間攪拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残渣を重炭酸ナトリウム水溶液3Lに溶解した。得られた溶液をジクロロメタン5×1Lで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ジクロロメタン/メタノール(1:50~1:5)を用いてシリカゲルカラム上に残基を適用した。10:1の比のn-ヘプタン:MTBEから粗製(150g)生成物を再沈殿させた。20%KHSO水溶液で、得られた生成物137gをpH5~6に調整し、DCMで抽出し、続いてn-ヘプタン中でスラリー化した。次いで、水の存在下での共沸蒸留を実施して、DCMを除去した。これによって、1-[(1-[[2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-イル)カルボニル]-1H-ピラゾール-3-カルボン酸100gを得た。H-NMRは構造に適合する。XRPDから、得られた固体が非晶質であることが示された。
【0127】
実施例2:化合物(I)形態1の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)形態1を得た。
【0128】
非晶質化合物(I)(1.50g)を20mlバイアルに計量し、エタノール7.5mL(5体積)エタノールを50℃で添加し、攪拌した。5分後、初期の懸濁液は透明な溶液へと溶解していた。20分後、沈殿物が形成し、試料を0.1℃/分にて5℃に冷却し、24時間攪拌した。H-NMRは構造に適合する。XRPD分析から、図1に示すXRPDパターンが明らかとなった。TGAサーモグラムを図2に示し、その図から化合物(I)形態1が非溶媒和及び非水和であることが分かる。
【0129】
実施例3:化合物(I)形態7の製造
化合物(I)形態7は以下の手順を用いて得られた。
【0130】
実施例1に詳述されるように製造された非晶質化合物(I)1.083gを金属製粉砕容器に計量し、メタノール100μlを添加した。試料を30Hzにて30分間粉砕した。試料を周囲条件に開放して一晩放置し、溶媒を蒸発させた。H-NMRは構造に適合する。XRPD分析から、図3に示すパターンが明らかとなった。TGAサーモグラムを図4に示し、その図から化合物(I)形態7が非溶媒和及び非水和であることが分かる。
【0131】
実施例4:化合物(I)アセトン溶媒和物の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)アセトン溶媒和物を得た。
【0132】
非晶質化合物(I)(100mg)を2mLバイアル内に計量し、50℃のアセトン(1mL,10体積)を添加した。その溶液を50℃で30分間攪拌した状態で放置した。0.1℃/分にて試料を5℃に冷却し、温度5~50℃でサイクルすることによって、72時間成熟させた。懸濁液のアリコートをXRPDによって分析した。次いで、懸濁液を濾過し、室温にて真空オーブン内で20時間乾燥させた。濾過後の湿潤固体で実施されたXRPD分析から、図5に示すXRPDパターンが明らかとなった。TGAサーモグラムを図6に示し、その図から溶媒和物と一致する質量損失が示される。
【0133】
H-NMRは構造に適合し、その溶媒和物はアセトン溶媒和物であることが同定される。
【0134】
化合物(I)アセトン溶媒和物を175℃にて2分間加熱すると、図1におけるXRPDパターンが明らかとなり、化合物(I)アセトン溶媒和物が高温で化合物(I)形態1へと変換することが示される。
【0135】
実施例5:化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を得た。
【0136】
非晶質化合物(I)(30mg)を2mLバイアル内に計量し、1,4-ジオキサン5体積(150μL)を室温で添加した。その混合物を室温で20分間攪拌し、次いで5℃で48時間攪拌した。得られた懸濁液を室温で濾過除去した。
濾過後の湿潤固体で実施されたXRPD分析から、図7に示すXRPDパターンが明らかとなった。
室温にて真空オーブン内で固体を2時間乾燥させた後のXRPD分析から、図1に示すXRPDと実質的に同じXRPDが明らかとなり、化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1が、乾燥させると化合物(I)形態1へと変換することが示される。
【0137】
実施例6:化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を得た。
【0138】
非晶質化合物(I)(30mg)を2mLバイアル内に計量し、1,4-ジオキサン5体積(150μL)を室温で添加した。その混合物を室温で20分間攪拌し、次いで5℃で48時間攪拌した。得られた懸濁液を室温で濾過分離した。
【0139】
濾過後の湿潤固体で実施されたXRPD分析から、図8に示すXRPDパターンが明らかとなった。
【0140】
室温にて真空オーブン内で固体を2時間乾燥させた後のXRPD分析から、図1と一致するXRPDパターンが明らかとなり、化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2が、乾燥させると化合物(I)形態1へと変換することが示される。
【0141】
実施例7:非晶質化合物(I)HCl塩の製造
以下の手順を用いて、非晶質化合物(I)HCl塩を得た。
【0142】
化合物(I)HCl塩形態2(800mg)を20mlバイアル内に計量し、MeCN/水の1:3混合物(v/v)の溶媒20体積(16mL)に溶解した。次いで、試料を0.45μmフィルターに通して濾過して、新たな20mlバイアルに入れ、400μL(HCl塩20mgに等しい)をHPLCバイアルに分注した。バイアルをフォイルで覆い、空気穴をあけた。次いで、ドライアイス/アセトン中でバイアルを瞬間凍結し、凍結乾燥機で一晩、凍結乾燥させた。得られた固体のXRPD分析から、試料が非晶質であることが分かった。H-NMR分析によって、試料が化合物(I)のHCl塩と一致することが示された。
【0143】
実施例8:化合物(I)HCl塩MIBK溶媒和物の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)HCl塩形態1を得た。
【0144】
50℃で攪拌しながら、非晶質化合物(I)HCl塩(50mg)を75体積(3.5mL)MIBK中でスラリー化した。50/25℃(8時間/サイクル)の加熱-冷却サイクルで、この試料を3日間成熟させた。穏やかな陽圧下にて25℃でフリットを有するSPEカートリッジ内に、得られた懸濁液を濾過し、余分な溶媒を除去した。ワットマン濾紙上で10秒間空気乾燥させることによって、湿った固体を単離し、次いでXRPDによって分析した。
【0145】
湿潤懸濁液のXRPD分析によって、図9に示すパターンが形成された。
【0146】
TGA分析(図21)から、溶媒和物である固体形態と一致する、150℃までの2つの確定された質量損失が示された。
【0147】
固体を乾燥した後のXRPD分析から、図10と一致するXRPDパターンが明らかとなり、乾燥させると、化合物(I)HCl塩MIBK溶媒和物が、化合物(I)HCl塩形態2へと変換することが示される。
【0148】
実施例9:化合物(I)HCl塩形態2の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)HCl塩形態2を得た。
【0149】
非晶質化合物(I)HCl塩20mgを含有するHPLCバイアルに、酢酸エチル10体積(200μL)を添加した。得られた懸濁液を500rpmで攪拌し、それぞれ5℃又は50℃で3~4日間成熟させた。
【0150】
これらの試料のXRPD分析によって、化合物(I)HCl塩形態2が上記の条件下にて形成することが確認された。
【0151】
H-NMRは構造と適合する。
【0152】
更なる研究から、化合物(I)HCl塩形態2が、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン及びアセトンからも形成し得ることが分かった。
【0153】
実施例10:化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物を得た。
【0154】
非晶質化合物(I)(30mg)を2つのHPLCバイアル内に計量し、2-MeTHF(20体積)を添加した。粘着性残渣を含む溶液が確認され、50℃で10分間攪拌した後に持続した。その溶液に、HCl 1.1当量(THF中に1M)を添加した。白色の懸濁液がHClの最初の添加後に形成し、50℃で5分間攪拌した後に持続した。0.1℃/分にて懸濁液を5℃に冷却し、24時間後に白色懸濁液がまだ確認された。
【0155】
濾過後、これらの試料のXRPD分析によって、化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物が上記の条件下にて形成することが確認された。
【0156】
TGA分析(図13)から、125℃までの2-Me-THF1当量と一致する質量損失が示された。
【0157】
化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物を100℃で10分間乾燥させ、その後のXRPD分析から、前述の2-MeTHF溶媒和物が化合物(I)HCl塩形態4へと変換したことが分かった(図14)。
【0158】
化合物(I)HCl塩2-MeTHFを40℃/RH75%にて7日間貯蔵し、その後のXRPD分析から、化合物(I)HCl塩2-MeTHFが化合物(I)HCl形態2へと変換したことが分かった(図10)。
【0159】
実施例11:化合物(I)HCl塩形態4の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)HCl塩形態4を得た。
【0160】
室温にて丸底フラスコ中で、化合物(I)形態14.806gを2-MeTHF150mLに溶解した。
【0161】
HCl 1.0g(12モル,1.1当量)と2-MeTHF100mLの混合物を滴下漏斗内で調製した。この混合物をおよそ4時間にわたって一滴ずつ添加した。
【0162】
得られた懸濁液を濾過分離し、得られた濾過ケークを2-MeTHF20mLで洗浄した。生成物を真空オーブン内で50℃にて一晩乾燥させた。
【0163】
これらの試料のXRPD分析から、化合物(I)HCl塩形態4が上記の条件下にて形成されることが確認された(図14)。
【0164】
TGA分析(図15)によって、形成された固体は非溶媒和形態であることが示された。
【0165】
実施例12:化合物(I)HCl塩形態5の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)HCl塩形態5を得た。
【0166】
55℃のアセトニトリル35mL中に、化合物(I)HCl塩形態2 500mgを溶解した。溶液を2時間にわたって35℃に冷却した。
【0167】
これらの試料のXRPD分析から、化合物(I)HCl塩形態5が上記の条件下にて形成されることが確認された。
【0168】
NMRは構造と適合する。
【0169】
実施例13:化合物(I)HCl塩形態6の製造
以下の手順を用いて、化合物(I)HCl塩形態6を得た。
【0170】
化合物(I)HCl塩形態2(500mg)を100ml丸底フラスコに添加し、25℃にて700rpmで攪拌し、MeOH(10ml,20体積)を装入した。15分間攪拌しながら、温度を50℃に上昇させた。この時点の後、貧溶媒を200~400μlのアリコート(TBME,40ml,合計80体積)中に徐々に10分間にわたって添加した。最終的な貧溶媒:溶媒混合物は4:1(v/v)であり、白色懸濁液が生じた。懸濁液を50℃にて40分間攪拌し、次いで0.1℃/分で5℃に冷却し、一晩維持した。懸濁液が残り、それを濾過分離した。得られたケークを真空下にて室温で15分間乾燥させた。
【0171】
その試料のXRPD分析から、化合物(I)HCl塩形態6が上記の条件下にて形成されることが確認された。
【0172】
実施例14:X線粉末回折(XRPD)
以下の詳述される2つの手順のうちの1つを用いて、示されるX線粉末ディフラクトグラムを記録した。
【0173】
手順1:CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて、PANalytical X’Pert PROX線回折計で、X線粉末ディフラクトグラムを測定した。X’celerator検出器を使用して、2θ範囲3~40°で反射モードにて試料を測定した。周囲条件下にて試料をランした。
【0174】
手順2:CuKα1線を使用してBruker D8回折計でX線粉末ディフラクトグラムを収集した。平板試験片として試料を周囲条件下にてランした。研磨したゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハー上で試料を調製し、その平面で回転させた。ステップサイズ0.05°2θ及び合計収集時間6.4分で、データを2θ範囲2~42°で収集した。
【0175】
手順3:透過配置でCuKα線(45kV,40mA)を用いて、PANalytical Empyrean回折計で、XRPDディフラクトグラムを収集した。試料を調製し、透過モードで金属又はMillipore96ウェルプレートのいずれかで分析した。金属ウェルプレート上の金属シート間でX線透過フィルムを使用し、粉末(約1~2mg)を受け取った状態のまま使用した。ステップサイズ0.0130°2θ及び合計収集時間2.07分で、データを2θ範囲2.5~32°で収集した。
【0176】
手順4を非周囲条件下で行った:可変温度(VT-XRPD)実験に関して、試料を調製し、Anton Paarクロムめっき試料ホルダーで分析した。10℃/分の加熱/冷却速度を用いた。測定パラメーターは、標準スクリーニングデータ収集法に従う(上記の手順3に詳述される)。以下の温度:25、100、145、150、155、160、165、170、175、及び25℃で測定を行った。
【0177】
表1において、化合物(I)形態1、化合物(I)形態7、化合物(I)アセトン溶媒和物、化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1、化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2、化合物(I)HCl塩形態2、及び化合物(I)HCl塩形態4に関して測定される特有のピークが記載される。
【0178】
表1に、上記の測定手順を用いて、化合物(I)の異なる固体形態について測定された特有のピークを示す。回折データを±0.1°2θで示す。
【0179】
【表1】
【0180】
得られた化合物のXRPD分析
化合物(I)形態1のXRPD分析(図1)から、その形態が結晶質であることが示された。
【0181】
化合物(I)形態7のXRPD分析(図3)から、その形態が結晶質であることが示された。
【0182】
化合物(I)アセトン溶媒和物のXRPD分析(図5)から、その溶媒和物が結晶質であることが示された。
【0183】
化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態1のXRPD分析(図7)から、その溶媒和物形態が結晶質であることが示された。
【0184】
化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2のXRPD分析(図8)から、その溶媒和物形態が結晶質であることが示された。
【0185】
化合物(I)HCl塩形態1のXRPD分析(図9)から、その塩形態が結晶質であることが示された。
【0186】
化合物(I)HCl塩形態2のXRPD分析(図10)から、その塩形態が結晶質であることが示された。
【0187】
化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物のXRPD分析(図12)から、その溶媒和物形態が結晶質であることが示された。
【0188】
化合物(I)HCl塩形態4のXRPD分析(図14)から、その塩形態が結晶質であることが示された。
【0189】
化合物(I)HCl塩形態5のXRPD分析(図16)から、その塩形態が結晶質であることが示された。
【0190】
化合物(I)HCl塩形態6のXRPD分析(図18)から、その塩形態が結晶質であることが示された。
【0191】
実施例15:熱重量分析(TGA)
TA-instruments Discovery TGA又はTA-instruments Q500を使用して、熱重量分析(TGA)を行った。窒素フロー下にて開放された皿の中で試料1~10mgを10℃/分で加熱する。
【0192】
化合物(I)形態1のTGA分析(図2)から、その形態が非溶媒和及び非水和であることが示された。
【0193】
化合物(I)形態7のTGA分析(図4)から、その形態が非溶媒和及び非水和であることが示された。
【0194】
化合物(I)アセトン溶媒和物のTGA分析(図6)から、80℃までに1.8%及びさらには175℃までに3.2%の2つの確定された質量損失が示され、したがって、その形態は溶媒和物であることを意味する。
【0195】
化合物(I)HCl塩2-MeTHF溶媒和物のTGA分析(図13)から、125℃までに13.5%の確定された質量損失が示され、したがって、その形態は溶媒和物であることを意味する。
【0196】
化合物(I)HCl塩形態4のTGA分析(図15)から、その形態が非溶媒和及び非水和であることが示された。
【0197】
化合物(I)HCl塩形態5のTGA分析(図17)から、その形態が非溶媒和及び非水和であることが示された。
【0198】
化合物(I)HCl塩形態6のTGA分析(図19)から、その形態が非溶媒和及び非水和であることが示された。
【0199】
実施例16:動的水蒸気吸着(DVS)測定に使用される手順
相対湿度をRH0%から90%に変化させる、SMS DVS Intrinsic moisture sorption分析装置を使用して、動的水蒸気吸着(DVS)を測定した。試料温度を25℃に維持した。総流量200ml/分で、乾燥窒素と湿った窒素のストリームを混合することによって、湿度をコントロールした。相対湿度は、試料付近に位置付けられた、較正Rotronicプローブ(RH1.0~100%の動的範囲)によって相対湿度を測定した。RH%の関数としての試料の重量変化が、バランスによって常にモニターされた。
【0200】
通常、周囲条件下にて、風袋引きされたメッシュステンレス鋼バスケット内に試料5~30mgを入れた。RH40%及び25℃(一般的な室内条件)にて試料を添加し、取り出した。化合物(I)形態1のDVS分析から、RH90%まで吸水率1%未満で、その形態が主に非吸湿性であることが示された。DVS分析後のXRPD分析から、固体形態が依然として化合物(I)形態1であることが確認された。
【0201】
化合物(I)形態7のDVS分析から、その形態がRH90%まで吸水率約6%を有して、中程度に吸湿性であることが示された。DVS分析後のXRPD分析から、固体形態が依然として化合物(I)形態7であることが確認された。
【0202】
化合物(I)HCl形態2のDVS分析から、その形態がRH90%まで吸水率0.5重量%を有して、わずかに吸湿性であることが示された。
【0203】
化合物(I)HCl形態4のDVS分析から、その形態がRH90%まで吸水率1.4重量%を有して、わずかに吸湿性であることが示された。
【0204】
化合物(I)HCl形態5のDVS分析から、その形態がRH90%まで吸水率9.2重量%を有して、中程度に吸湿性であることが示された。
【0205】
化合物(I)HCl形態6のDVS分析から、その形態がRH90%まで吸水率3.1重量%を有して、中程度に吸湿性であることが示された。
【0206】
実施例17:化合物(I)の結晶質形態のH NMR
オートサンプラーを備え、且つDRX400コンソールによって制御されるBruker400MHz装置でH NMRスペクトルを収集した。別段の指定がない限り、試料をDMSO-d6溶媒中で調製した。
【0207】
実施例18:化合物(I)形態1と化合物(I)形態7との競合的スラリー実験
以下に詳述される競合的スラリー実験を用いて、化合物(I)形態1及び化合物(I)形態7の相対的な熱力学的安定性を解明した。
【0208】
工程1:化合物(I)形態1(150mg)及び化合物(I)形態7(150mg)を20mLバイアル中で混合した。この物理的混合物40mg(それぞれ)を6つの2mLバイアルに入れた。
【0209】
工程2:残りの60mgの物理的混合物を用いて、メタノール及びエタノールそれぞれでの飽和溶液を生成した。飽和溶液を濾過分離した。
【0210】
工程3:各飽和溶液10体積(600μL)を、工程1に記載の6つの2mLバイアルそれぞれに添加した。
【0211】
工程4:各溶媒の1つのバイアルを5℃、室温及び50℃にて1週間維持した。
【0212】
固体について行われたXRPD分析から、6つすべてのバイアルに関して、図1と実質的に類似のパターンが得られた。
【0213】
この実験の結果から、化合物(I)形態1は、試験されたすべての温度で化合物(I)形態7よりも熱力学的に安定性であることが示される。これは、試験されたすべての温度で化合物(I)形態7が化合物(I)形態1へと変換するという観察からの証拠である。したがって、化合物(I)形態1は、標準貯蔵温度、つまり5~50℃にて化合物(I)形態7よりも熱力学的に安定である。
【0214】
実施例19:化合物(I)形態7の可変温度XRPD分析
実施例2に詳述される手順を用いて得られた化合物(I)形態7を、実施例10(「非周囲条件下での手順3」)に記載のように可変温度X線粉末回折(VT-XRPD)にかけた。
【0215】
このXRPD分析から、160℃で開始する、化合物(I)形態7から化合物(I)形態1への転化が示された。170℃にて、独占的に化合物(I)形態1を得た。混合された形態7及び1は、160℃~170℃で確認された。これは、これらの高温にて化合物(I)形態7が化合物(I)形態1へと再結晶化することを意味する。
【0216】
実施例20:化合物(I)HCl塩の異なる形態間での競合的スラリー実験
化合物(I)HCl塩の異なる形態間での競合的スラリー実験が実施され、対象の非溶媒和結晶質形態間の相対的な熱力学的安定性が解明された。
【0217】
このために、異なる溶媒中の飽和溶液が以下の方法で調製された:化合物(I)HCl塩形態2(HCl塩,溶媒混合物に応じて50~500mg)を4mlバイアル中に計量し、各試料に溶媒1.2~2mlを添加した。得られたスラリーを3時間攪拌して、5又は50℃、500rpmにて平衡条件に近づけた。以下の溶媒及び溶媒の組み合わせ:EtOAc、MIBK、THF、MeCN、MeOH、及びアセトンを用いた。次いで、0.45μmフィルターを使用して、試料を濾過し、得られた飽和溶液(化合物(I)HCl塩形態2に関して)を、次のパラグラフに詳述される競合的スラリー実験において使用した。
【0218】
化合物(I)HCl塩形態2、4、5及び6(それぞれ少なくとも120mg)の個々の乾燥粉末混合物を調製した。この乾燥粉末混合物をジャイロスコープターブラ(gyroscopic Turbula)ミキサーで2時間混合した。次いで、混合物のアリコート50mgをHPLCバイアルに計量し、上記の飽和溶液0.5mLを添加した。次いで、得られた懸濁液を7日間攪拌した。
【0219】
上記の競合的スラリーを1日後及び7日後にサンプリングした。1日後に採取された試料を空気乾燥させ、XRPDで分析した。7日後に採取した試料(Kaptonフィルムで覆われている)を湿潤状態で最初にXRPDで分析し、次いで空気乾燥にかけ、再び分析した。表2は、このようにして得られたXRPD結果の概要を示す。
【0220】
【表2】
【0221】
意外なことに、化合物(I)HCl塩の非溶媒和形態及び化合物(I)HCl塩の形態の混合物は、これらの競合的スラリー条件で長時間後でさえ、異なる溶媒混合物から生じる。溶媒和物が異なる溶媒環境に存在する場合に、かかる結果が極めて可能性があることは当業者には知られている。他の点では、溶媒和物が関与しない場合には、形態の混合物がスラリー化後に生じること(転化速度が遅い場合)又は転化速度によってこれが可能となった場合に、同じ純粋な結晶質形態がすべての溶媒中に現れることが予想されるだろう。しかしながら、溶媒和物の介入で、溶媒和結晶種が、所定の環境において最も安定な結晶質種に相当する可能性がある(且つ実際に可能性が高い)。したがって、表2にまとめる結果は、溶媒和物を含まなければならない、驚くほど複雑な固体形態の景観(landscape)の結果である。湿潤粉末試料で得たXRPDデータの詳細な検査で、準安定性溶媒和物を経て、非溶媒和化合物(I)HCl塩形態(形態2、形態4、形態5及び形態6)の形成が進行する証拠を確認することができる。これによって、溶媒和物が所定の溶媒条件で存在し、且つこの環境において安定性であると同時に、穏やかな乾燥条件下(室内条件での乾燥)で容易に脱溶媒和することが分かる。この挙動の更なる証拠が、XRPDで分析された湿潤試料(右から2番目の欄)で判明し、試料を乾燥させると消失する、形態4、形態5及び形態6の粉末パターンでの追加のピークが確認された。
【0222】
実施例21:化合物(I)HCl形態及びその物理的性質の概要
塩酸塩形態間の違いをさらに解明するために、促進条件でのその安定性及びその吸湿性を測定した。実施例20で報告される観察と共に、表3にそのデータをまとめる。化合物(I)HCl塩形態2及び形態4は、化合物(I)HCl塩形態5と比べて優れた安定性を示し、したがって開発に好ましいであろうことが、当業者には理解される。化合物(I)HCl塩形態2は、最も低い吸水率を示し、そのことから、その形態が、化合物(I)HCl塩の同定された形態の中で最も好ましいことがさらに指摘される。
【0223】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
以下の2θ角度:8.60°、10.72°、11.12°、14.17°、15.30°、19.08°、22.70°、及び24.30°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項3】
以下の2θ角度:8.91°、9.20°、12.17°、14.11°、16.33°、18.46°、及び19.90°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態7である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項4】
以下の2θ角度:10.19、11.09、15.00、17.86、19.57、20.84、23.74、31.34°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項5】
以下の2θ角度:7.46、14.64、15.09、16.15、18.72、19.34、25.22、25.92°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項6】
以下の2θ角度:6.67、11.01、15.23、16.06、16.81、19.39、19.77、22.84°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項7】
以下の2θ角度:4.30°、10.16°、12.85°、15.67°、21.54°、及び23.08°でピークを示す、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態2である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項8】
以下の2θ角度:9.05、11.07、11.75、15.31、18.39、25.60、29.67、36.40°でピークを示す、CuKα線(λ=1.5406Å,λ=1.5444Å)を用いて得られたXRPDによって特徴付けられる結晶形を有する、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸HCl塩形態4である、請求項1に記載の結晶質形態。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩と、1つ若しくは複数の薬学的に許容可能な担体又は希釈剤と、を含む医薬組成物。
【請求項10】
薬物として使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療において使用される、請求項1から8のいずれか一項に記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害を治療する方法であって、請求項1から8のいずれか一項に記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩を、その必要がある患者に治療有効量で投与することを含む、方法。
【請求項13】
アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害を治療するための薬物の製造における、請求項1から8のいずれか一項に記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項14】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって、
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を提供する工程;
ii)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸アセトン溶媒和物を、150℃を超える温度~180℃に、最低2分間加熱する工程;
を含む、プロセス。
【請求項15】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって、
i)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を提供する工程;
ii)結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態1を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む、プロセス。
【請求項16】
結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を製造するプロセスであって、
i)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を提供する工程;
ii)1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸1,4-ジオキサン溶媒和物形態2を乾燥させて、結晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸形態1を提供する工程;
を含む、プロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
化合物
化合物(I)として本明細書で指定される化合物、1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸は、以下の構造:
【化1】
を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
国際公開第2018/217805号パンフレットに、非晶質化合物(I)として本明細書で指定される、非晶質1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸、並びにエンドカンナビノイドシステムシグナル伝達活性の調節に関係すると考えられる様々な疾患及び障害の治療のための化合物の使用が開示されている。本発明はさらに、「化合物(I)形態1」、「化合物(I)形態7」、「化合物(I)1、4-ジオキサン溶媒和物形態1」、「化合物(I)1,4-ジオキサン溶媒和物形態2」及び「化合物(I)アセトン溶媒和物」として本明細書に記載の化合物(I)の結晶質形態を提供する。これらは、化合物(I)の遊離型である。「遊離型」という用語は、非塩形態の化合物(I)を意味する。「溶媒和物」という用語は、化合物(I)を含有するが、結晶格子に組み込まれる溶媒の分子も含有する物質を意味する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
E29.アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療方法であって、実施形態E1~E15のいずれかに記載の1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩を、その必要がある患者に治療有効量で投与することを含む、方法。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
E30.アトピー性皮膚炎、多発性硬化症と関連する膀胱機能不全、心血管疾患、接触皮膚炎、嚢胞性線維症、皮膚筋炎、湿疹、子宮内膜症、腸炎、線維筋痛症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、過敏性大腸症候群、虚血、分娩、腹部痛、過敏性大腸症候群と関連する腹部痛、急性疼痛、背痛、癌性疼痛、胸痛、機能性胸痛、関節痛、月経痛、代謝異常、筋骨格疾患、末梢神経障害、片頭痛、内臓過敏性変形性関節症、膵炎、咽頭炎、乳房切除後疼痛症候群、三叉神経痛後、術後疼痛、腎臓虚血、慢性関節リウマチ、骨格筋挫傷、皮膚疾患、日焼け、全身性エリテマトーデス、歯痛、鎌状赤血球疾患における有痛性血流閉塞発作及び内臓痛から選択される疾患又は障害の治療のための薬物の製造における、実施形態E1~E15のいずれかによる1-(1-(2-(ピロリジン-1-イル)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-1,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-カルボニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の結晶質形態、又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【国際調査報告】