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特表2024-538155パワーモジュールとパワーモジュールを組み立てるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】パワーモジュールとパワーモジュールを組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522690
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2022080204
(87)【国際公開番号】W WO2023073172
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212232.9
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】村岡 充敏
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044KK04
5F044LL17
5F044PP17
5F044PP19
5F047FA18
(57)【要約】
パワーモジュール(20)を提供する。パワーモジュール(20)は、キャリア(40)とキャリア(40)上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイス(42)とを有するチップ装置(24)と、第1の層(30)と、第1の層(30)上に位置する電気的に絶縁される第2の層(32)と、第2の層(32)上に位置する導電する第3の層(34)とを有する放熱体(22)と、チップ装置(24)と放熱体(22)との間に配置されるとともに少なくとも一つの接触凹部(50、52)を含む装置本体(26)であって、チップ装置(24)は、該少なくとも一つの接触凹部を介して放熱体(22)と熱結合するとともに、該少なくとも一つの接触凹部は、装置本体(26)と放熱体(22)との間に、放熱体(22)の層(30、32、34)のうちの少なくとも一つの層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在し、そして装置本体(26)とチップ装置(24)との間に、チップ装置(24)のキャリア(40)の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置される装置本体(26)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュール(20)であって、
キャリア(40)と前記キャリア(40)上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイス(42)とを有するチップ装置(24)と、
第1の層(30)と、前記第1の層(30)上に位置する電気的に絶縁される第2の層(32)と、前記第2の層(32)上に位置する導電する第3の層(34)とを有する放熱体(22)と、
前記チップ装置(24)と前記放熱体(22)との間に配置されるとともに少なくとも一つの接触凹部(50、52)を含む装置本体(26)であって、前記チップ装置(24)は、前記少なくとも一つの接触凹部を介して前記放熱体(22)と熱結合するとともに、前記少なくとも一つの接触凹部は、前記装置本体(26)と前記放熱体(22)との間に、前記放熱体(22)の層(30、32、34)のうちの少なくとも一つの層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在し、そして前記装置本体(26)と前記チップ装置(24)との間に、前記チップ装置(24)のキャリア(40)の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置される装置本体(26)とを含み、ここで、前記装置本体(26)と前記放熱体(22)との間の形状嵌合は、
前記装置本体(26)における放熱体凹部(54)によって提供されるとともに、前記放熱体凹部(54)の内側壁と前記放熱体(22)の外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって前記放熱体(22)を前記放熱体凹部(54)内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、
前記装置本体(26)における少なくとも一つの第3の層の凹部(52)によって提供されるとともに、前記第3の層の凹部(52)の内側壁と前記第3の層(34)の少なくとも一つのセクションの外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めを利用して前記放熱体(22)の第3の層(34)の該当するセクションを前記第3の層の凹部(52)内に配置することによって提供される、パワーモジュール(20)。
【請求項2】
前記装置本体(26)と前記チップ装置(24)との間の形状嵌合は、
前記装置本体(26)における電子デバイスに用いられる凹部(50)によって提供されるとともに、前記チップ装置(24)の電子デバイス(42)を前記電子デバイスに用いられる凹部(50)内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、
前記装置本体(26)の、前記チップ装置(24)のキャリア(40)における該当するピン凹部(44)内に配置される少なくとも一つのピン(56)によって提供される、前記請求項のいずれか一項に記載のパワーモジュール(20)。
【請求項3】
前記チップ装置(24)と前記放熱体(22)との熱結合は、
前記放熱体(22)と前記チップ装置(24)との間の直接的な物理接触によって提供され、又は
前記チップ装置(24)と前記放熱体(22)とを堅固に連結する接続材によって提供される、前記請求項のいずれか一項に記載のパワーモジュール(20)。
【請求項4】
前記装置本体(26)は、前記チップ装置(24)と前記放熱体(22)との間の少なくとも一つのキャビティが前記装置本体(26)によって充填されるように形成されて配置される、前記請求項のいずれか一項に記載のパワーモジュール(20)。
【請求項5】
前記放熱体(22)は、ダイレクトボンド銅基板又は絶縁金属基板である、前記請求項のいずれか一項に記載のパワーモジュール(20)。
【請求項6】
前記チップ装置(24)の電子デバイス(42)又は少なくとも一つの別の電子デバイス(42)は、高性能半導体チップである、前記請求項のいずれか一項に記載のパワーモジュール(20)。
【請求項7】
パワーモジュール(20)を製造するための方法であって、
第1の層(30)と、前記第1の層(30)上に位置する電気的に絶縁される第2の層(32)と、前記第2の層(32)上に位置する導電する第3の層(34)とを有する放熱体(22)を提供することと、
接触凹部(50、52)を有する装置本体(26)を前記放熱体(22)上に配置することであって、前記装置本体(26)は、前記装置本体(26)と前記放熱体(22)との間に、前記放熱体(22)の層(30、32、34)のうちの少なくとも一つの層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置されることと、
キャリア(40)と前記キャリア上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイス(42)とを有するチップ装置(24)を前記装置本体(26)上に配置することであって、前記装置本体(26)と前記チップ装置(24)は、前記放熱体(22)と前記チップ装置(24)が前記接触凹部(50、52)を介して互いに熱結合するとともに、前記装置本体(26)と前記チップ装置(24)との間に、前記チップ装置(24)のキャリア(40)の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置されることとを含み、ここで、前記装置本体(26)と前記放熱体(22)との間の形状嵌合は、
前記装置本体(26)における放熱体凹部(54)によって提供されるとともに、前記放熱体凹部(54)の内側壁と前記放熱体(22)の外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって前記放熱体(22)を前記放熱体凹部(54)内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、
前記装置本体(26)における少なくとも一つの第3の層の凹部(52)によって提供されるとともに、前記第3の層の凹部(52)の内側壁と前記第3の層(34)の少なくとも一つのセクションの外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めを利用して前記放熱体(22)の第3の層(34)の該当するセクションを前記第3の層の凹部(52)内に配置することによって提供される、パワーモジュール(20)を製造するための方法。
【請求項8】
前記装置本体(26)と前記放熱体(24)との間の形状嵌合は、
前記装置本体(26)における電子デバイスに用いられる凹部(50)によって提供されるとともに、前記チップ装置(24)の電子デバイス(42)を前記電子デバイスに用いられる凹部(50)内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、
前記装置本体(26)の、前記チップ装置(24)のキャリア(40)における該当するピン凹部(44)内に配置される少なくとも一つのピン(56)によって提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記装置本体(26)は、前記チップ装置(24)と前記放熱体(22)との間の少なくとも一つのキャビティが前記装置本体(26)によって充填されるように形成されて配置される、請求項7又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記放熱体(22)と前記チップ装置(24)との間の、前記放熱体(22)と前記チップ装置(24)との間に熱結合を行うように構成される領域において、少なくとも一つの接続材を提供することで、前記接続材を前記放熱体(22)及び前記チップ装置(24)と直接に物理接触させることと、
前記放熱体(22)の第1の層(30)を加熱することで、熱を前記放熱体(22)の前記第1の層(30)から前記第2の層と前記第3の層(32、34)によって前記接続材に伝達するとともに前記接続材を少なくとも部分的に溶融することと、
前記パワーモジュール(20)を冷却することで、前記接続材を硬化するとともに、硬化された接続材によって前記チップ装置(24)と前記放熱体(22)とを堅固に接続することとをさらに含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーモジュールとパワーモジュールを製造するための方法に関する。
【0002】
従来のパワーモジュールは、放熱体と放熱体上に組み立てられるチップ装置とを含んでもよい。放熱体は、DBC(Direct Bonded Copper、ドイツ語:direkt gebondetes Kupfer(ダイレクトボンド銅))基板又はIMS(Insulated Metal Substrate、ドイツ語:isoliertes Metallsubstrat(絶縁金属基板))を含んでもよい。チップ装置は、キャリアとキャリア上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイスとを含んでもよい。チップ装置の少なくとも一部(例えば、電子デバイス)は、放熱体と熱接触、例えば直接に物理接触してもよい。
【0003】
電子デバイスは、アクティブ電子デバイス及び/又はパッシブ電子デバイスを含んでもよい。パッシブ電子デバイスは、抵抗器、コンデンサ及び/又は導体を含んでもよい。アクティブ電子デバイスは、チップ及び/又はトランジスタを含んでもよい。アクティブ電子デバイスは、高速切り替え機器として構成されてもよい。アクティブ電子デバイスは、高性能半導体機器として構成されてもよい。チップ装置は、上記電子デバイスのうちの二つ又はより多くを含んでもよく、ここで、電子デバイスは、キャリアの放熱体に向かう第1の側に配置されてもよく、ここで、電子デバイスは、キャリアの放熱体から離反する第2の側に配置されてもよく、又はここで、電子デバイスのうちのいくつかの電子デバイスは、キャリアの第1の側に配置されてもよく、そして電子デバイスのうちのいくつかの電子デバイスは、キャリアの第2の側に配置されてもよい。
【0004】
パワーモジュールの組み立て中に、チップ装置を放熱体上に組み立てる。特に、まず、チップ装置を放熱体上に配置し、ここで、チップ装置を放熱体上に精確に位置決めすることが重要である。これは課題となる可能性があり、特に一つの電子デバイス/複数の電子デバイスが、一つの電子デバイス又は複数の電子デバイスの重量がキャリア上に不均一に分布するという方式でキャリア上に配置される場合には、これはチャレンジとなり得るが、その原因は、チップ装置を放熱体上に配置した後にキャリアが放熱体に対して傾く可能性があることである。ダイボンディングプロセスを使用してチップ装置を放熱体上に固定してもよい。ダイボンディングプロセスにおいて、チップ装置の少なくとも一部(例えばチップ装置の電子デバイス)を放熱体上に焼結、ボンディング、接着又は溶接する。チップ装置が放熱体上に精確に位置決めされると、チップ装置と放熱体との間の熱伝導性が悪くなることを引き起こす可能性があるため、チップ装置の放熱性が悪くなることを引き起こす。これは、チップ装置の冷却が悪くなることを引き起こす可能性があるとともに、チップ装置の一つの電子デバイス/複数の電子デバイスのパワーが低減する可能性がある。
【0005】
JP 5607829 B2にはチップ装置が示されており、該チップ装置において、二つのチップはハウジングにおいて二つのDBC基板の間に配置される。チップは、接着剤とシリコーンゲルによってハウジングの凹部内に固定される。接着剤とシリコーンゲルが塗布時に少なくとも部分的に液体の状態でなければならないため、凹部内でのチップの位置は、横方向においてそれらの予想した位置からずれる可能性があり、これは、位置決めが不正確になる可能性があるとともに、電気的接触の場合に問題が生じる可能性がある。
【0006】
そのため、本発明の一つの目的は、少なくとも一つの電子デバイスを含むパワーモジュールを提供することであり、ここで、該パワーモジュールは、容易、精確及び/又は迅速に組み立てることができ、ここで、該パワーモジュールは、電子デバイスの高性能を実現することができ、及び/又はここで、該パワーモジュールは、電子デバイスの適切な冷却を実現することができる。
【0007】
本発明の別の目的は、少なくとも一つの電子デバイスを含むパワーモジュールを組み立てるための方法を提供することであり、ここで、該方法は、容易、精確及び/又は迅速に実行可能であり、ここで、該パワーモジュールは、電子デバイスの高性能に役立ち、及び/又はここで、該方法は、電子デバイスに対して適切な冷却を行うことに役立つ。
【0008】
これらの目的は、独立請求項の主題によって実現される。有利な実施形態は、従属請求項において記述される。
【0009】
一態様によれば、パワーモジュールに関し、該パワーモジュールは、キャリアとキャリア上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイスとを有するチップ装置と、導電する第1の層と、第1の層上に位置する電気的に絶縁される第2の層と、第2の層上に位置する導電する第3の層とを有する放熱体と、チップ装置と放熱体との間に配置されるとともに少なくとも一つの接触凹部を含む装置本体であって、チップ装置は、該少なくとも一つの接触凹部を介して放熱体と熱結合するとともに、該少なくとも一つの接触凹部は、装置本体と放熱体との間に、前記放熱体の層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在し、そしてチップ装置の装置本体の間に、チップ装置のキャリアの延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置される装置本体とを含む。
【0010】
放熱体と形状嵌合するとともにチップ装置と形状嵌合する装置本体を提供することで、パワーモジュールを容易、精確及び/又は迅速に組み立てることを実現することができ、及び/又は電子デバイスに対して適切な冷却を行うことに役立つため、電子デバイスの高性能に役立つ。
【0011】
電子デバイスは、アクティブ電子デバイス(例えばチップ又はトランジスタ)、又はパッシブ電子デバイス(例えば抵抗器、コンデンサ又はチョークコイル)であってもよい。アクティブ電子デバイスは、半導体ダイを含んでもよい。半導体ダイは、SiC、GaN又はGaOを含んでもよい。チップ装置は、二つ又はより多くの電子デバイスを含んでもよい。電子デバイスのうちのいくつかの電子デバイスは、キャリアの放熱体に向かう第1の側に配置されてもよい。代替的又は付加的には、電子デバイスのうちのいくつかの電子デバイスは、キャリアの放熱体から離反する第2の側に配置されてもよい。キャリアは、プリント回路基板(PCB)であってもよい。放熱体の層の延びる方向に平行な方向とチップ装置のキャリアの延びる方向に平行な方向は、互いに平行に延びてもよい。
【0012】
一つの実施形態によれば、装置本体と放熱体との間の形状嵌合は、装置本体における放熱体凹部によって提供されるとともに、放熱体を放熱体凹部内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、装置本体における少なくとも一つの第3の層の凹部によって提供されるとともに、放熱体の第3の層の少なくとも一つのセクションを第3の層の凹部内に配置することによって提供される。放熱体凹部及び/又は第3の層の凹部を提供することで、簡単かつ安全な方式で放熱体の層の延びる方向に平行な方向において装置本体と放熱体との間の形状嵌合を提供することを実現することができる。
【0013】
放熱体は、放熱体凹部の内側壁と放熱体の外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって放熱体凹部内に少なくとも部分的に配置されることができる。第3の層の凹部の内側壁と第3の層の該当するセクションの外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって、第3の層は、第3の層の凹部内に少なくとも部分的に配置されることができる。チップ装置が第3の層の凹部を介して放熱体と熱結合する場合、第3の層の凹部は、接触凹部の一部を形成することができ、又は接触凹部に相当することができる。第3の層の凹部は、装置本体の第1の側から装置本体の第2の側に延びる貫通する凹部であってもよく、ここで、装置本体の第1の側は、放熱体に向かうが、装置本体の第2の側は、チップ装置に向かう。これに対して、放熱体凹部は、装置本体の第1の側から装置本体の第2の側に部分的のみに延びていてもよく、そして装置本体における底部を含んでもよい。なお、第3の層の凹部は、放熱体凹部に配置されるか又はその中に通してもよい。
【0014】
一つの実施形態によれば、装置本体とチップ装置との間の形状嵌合は、装置本体における電子デバイスに用いられる凹部によって提供されるとともに、チップ装置の電子デバイスを電子デバイスに用いられる凹部内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、装置本体の、チップ装置のキャリアにおける該当するピン凹部内に配置される少なくとも一つのピンによって提供される。電子デバイス及び/又はピンに用いられる凹部の提供及びピン凹部の提供によって、簡単な方式でチップ装置のキャリアの延びる方向に平行な方向において装置本体とチップ装置との間の形状嵌合を提供することを実現することができる。
【0015】
電子デバイスは、電子デバイスに用いられる凹部の内側壁と該当する電子デバイスの外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって電子デバイスに用いられる凹部内に少なくとも部分的に配置されることができる。ピン凹部の内壁と該当するピンの外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって、ピンは、ピン装置内に少なくとも部分的に配置されることができる。ピン凹部は、キャリアの第1の側からキャリアの第2の側に延びる貫通する凹部であってもよい。電子デバイスに用いられる凹部は、装置本体の第1の側から装置本体の第2の側に延びる貫通する凹部であってもよい。チップ装置が電子デバイスに用いられる凹部を介して放熱体と熱結合する場合、電子デバイスに用いられる凹部は、接触凹部に相当することができる。代替的には、電子デバイスに用いられる凹部と第3の層の凹部は、完全に重ね合わせることができるため、単一の接触凹部を形成することができる。
【0016】
一つの実施形態によれば、チップ装置と放熱体との熱結合は、放熱体とチップ装置との間の直接的な物理接触、又はチップ装置と放熱体とを堅固に連結する接続材によって提供される。チップ装置と放熱体との間の直接的な物理接触又は堅固な接続は、チップ装置のキャリアと放熱体の第3の層との間及び/又はチップ装置の電子デバイスと放熱体の第3の層との間の直接的な物理接触又は堅固な接続によって提供されてもよい。これは、有効かつ簡単な方式でチップ装置と放熱体との熱結合を提供することを実現することができる。
【0017】
チップ装置が電子デバイスと放熱体の第3の層との熱結合によって放熱体と熱結合する場合、該電子デバイスは、装置本体の、電子デバイスに用いられる凹部内に配置されてもよく、ここで、該当する、電子デバイスに用いられる凹部は、接触凹部に相当することができる。
【0018】
一つの実施形態によれば、装置本体は、チップ装置と放熱体との間の少なくとも一つのキャビティが装置本体によって充填されるように形成されて配置される。該配置方式では、放熱体と装置本体は、安定的及び/又は連続的な基礎をチップ装置に提供する。一つの電子デバイス又は複数の電子デバイスの重量がキャリア上に不均一に分布する場合にも、放熱体上におけるチップ装置の精確な位置決めを実現することができるとともに、チップ装置が放熱体に対して傾くことを回避する。これは、チップ装置と放熱体との間の非常に良い熱結合に役立つため、チップ装置の非常に良い放熱に役立つ。なお、これは、電子デバイスの高性能にも役立つことによって、パワーモジュールの高性能に役立つ。本明細書における用語である「充填」は、「完全な充填」を指してもよい。そのため、キャビティは、装置本体によって完全に充填されてもよい。例えば、チップ装置と放熱体との間のいかなるキャビティは、装置本体によって充填されることもできる。
【0019】
一つの実施形態によれば、放熱体は、ダイレクトボンド銅基板又は絶縁金属基板である。これは、チップ装置の非常に良い放熱に役立つ。
【0020】
一つの実施形態によれば、チップ装置の電子デバイス又は少なくとも一つの別の電子デバイスは、高性能半導体チップである。高性能半導体チップは、例えば100Vを超える高電圧及び/又は例えば10Aを超える高電流を処理するように構成されてもよい。
【0021】
上記パワーモジュールに関わる特徴、実施形態及び/又は利点は、パワーモジュールを組み立てるための方法の特徴、実施形態及び/又は利点に係ってもよく、この方法は、以下に記述される。
【0022】
別の態様によれば、パワーモジュールを組み立てるための方法に関し、ここで、この方法は、導電する第1の層と、第1の層上に位置する電気的に絶縁される第2の層と、第2の層上に位置する導電する第3の層とを有する放熱体を提供することと、接触凹部を有する装置本体を放熱体上に配置することであって、装置本体は、装置本体と放熱体との間に、放熱体の層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置されることと、キャリアとキャリア上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイスとを有するチップ装置を装置本体上に配置することであって、装置本体とチップ装置は、放熱体とチップ装置が接触凹部を介して互いに熱結合するとともに、装置本体とチップ装置との間に、チップ装置のキャリアの延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置されることとを含む。
【0023】
一つの実施形態によれば、装置本体と放熱体との間の形状嵌合は、装置本体における放熱体凹部によって提供されるとともに、放熱体を放熱体凹部内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、装置本体における少なくとも一つの第3の層の凹部によって提供されるとともに、放熱体の第3の層の少なくとも一つのセクションを第3の層の凹部内に配置することによって提供される。
【0024】
一つの実施形態によれば、装置本体とチップキャリアとの間の形状嵌合は、装置本体における電子デバイスに用いられる凹部によって提供されるとともに、チップ装置の電子デバイスを電子デバイスに用いられる凹部内に少なくとも部分的に配置することによって提供され、及び/又は、装置本体の、チップ装置のキャリアにおける該当するピン凹部内に配置される少なくとも一つのピンによって提供される。
【0025】
一つの実施形態によれば、装置本体は、チップ装置と放熱体との間の少なくとも一つのキャビティが装置本体によって充填されるように形成されて配置される。
【0026】
一つの実施形態によれば、該方法は、放熱体とチップ装置との間の、放熱体とチップ装置との間に熱結合を行うように構成される領域において、少なくとも一つの接続材を提供することで、該接続材を放熱体及びチップ装置と直接に物理接触させることと、放熱体の第1の層を加熱することで、熱を放熱体の第1の層から第2の層と第3の層によって接続材に伝達するとともに接続材を少なくとも部分的に溶融することと、パワーモジュールを冷却することで、接続材を硬化するとともに、硬化された接続材によってチップ装置と放熱体とを堅固に接続することとをさらに含む。
【0027】
接続材は、接続材を放熱体の第3の層及び電子デバイスと直接に物理接触させ、及び/又は接続材を放熱体の第3の層及びチップ装置のキャリアと直接に物理接触させるように配置されてもよい。接続材は、ハンダ又は導電する接着剤であってもよい。
【0028】
以下に説明される実施形態を参照しながら、本発明のこれらの態様及び他の態様を明かにして記述する。以下、図面を結び付けながら本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例によるパワーモジュールの断面側面図を示す。
図2図1によるパワーモジュールの放熱体の平面図を示す。
図3図1によるパワーモジュールのチップ装置の底面図を示す。
図4図1によるパワーモジュールの装置本体の平面図を示す。
図5】本発明の実施例によるパワーモジュールを組み立てるための方法のフローチャートを示す。
【0030】
図面に使用される符号及びその意味は、符号の説明リストに概要としてリストされる。原則的には、図面において同じ部材に同じ符号が設けられている。
【0031】
図1は、本発明の実施例によるパワーモジュール20の断面側面図を示す。特に、図1は、その組み立て状態にあるパワーモジュール20を示す。パワーモジュール20は、チップ装置24と、放熱体22と、装置本体26とを含む。パワーモジュール20は、インバータ及び/又は整流器において使用され得る一つ又は複数のハーフブリッジを提供することができる。
【0032】
チップ装置24は、キャリア40とキャリア40上に組み立てられる少なくとも一つの電子デバイス42とを含む。電子デバイス42は、アクティブ電子デバイス(例えばチップ又はトランジスタ)、又はパッシブ電子デバイス(例えば抵抗器、コンデンサ又はチョークコイル)であってもよい。チップ装置24は、二つ又はより多くの電子デバイス42を含んでもよい。電子デバイス42は、キャリア40の放熱体22に向かう第1の側に配置される。代替的又は付加的には、電子デバイス42のうちのいくつかの電子デバイスは、キャリア40の放熱体22から離反する第2の側に配置されてもよい。キャリア40は、プリント回路基板(PCB)であってもよい。キャリア40の表面が放熱体22の表面よりも大きくてもよいため、キャリア40は、放熱体22の外縁を超えて延びている。
【0033】
チップ装置24の電子デバイス42のうちの少なくとも一つの電子デバイスは、高性能半導体チップであってもよい。高性能半導体チップは、例えば100Vを超える高電圧及び/又は例えば10Aを超える高電流を処理するように構成されてもよい。アクティブ電子デバイスは、半導体ダイを含んでもよい。半導体ダイは、SiC、GaN又はGaOを含んでもよい。
【0034】
放熱体22は、第1の層30と、第1の層30上の電気的に絶縁される第2の層32と、第2の層32上の導電する第3の層34とを含む。第1の層30は、支持層である。第1の層、第2の層及び/又は第3の層30、32、34は、互いに平行であってもよい。第1の層と第2の層30、32は、完全に重ね合わせてもよく、ここで、第1の層30の外縁は、第2の層32の外縁と面一になっていてもよい。第3の層34は、互いに分離する二つのセクション、三つのセクション又は四つ以上のセクションを含んでもよい。代替的には、第3の層34は、例えば完全に第2の層32全体上に延びる一つの第3の層34のみを含んでもよい。第1の層及び/又は第3の層30、34は、銅及び/又はアルミニウムを含んでもよく、又は銅及び/又はアルミニウムによって製造される。第2の層32は、誘電体材料を含んでもよい。放熱体22は、DBC(Direct Bonded Copper、ドイツ語:direkt gebondetes Kupfer(ダイレクトボンド銅))基板又はIMS(Insulated Metal Substrate、ドイツ語:isoliertes Metallsubstrat(絶縁金属基板))であってもよい。
【0035】
装置本体26は、チップ装置24と放熱体22との間に配置される。装置本体26は、少なくとも一つの接触凹部50、52を含み、チップ装置24は、該少なくとも一つの接触凹部を介して放熱体22と熱結合する。装置本体26は、装置本体26と放熱体22との間に、放熱体22の層30、32、34のうちの少なくとも一つの層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置される。装置本体26は、合成材料を含んでもよく又は合成材料によって製造され、例えば合成樹脂によって製造される。装置本体26の材料は、耐熱性のものであってもよく、例えば、100°から300°まで高い温度、例えば150°から250°までの温度、例えば約200°までの温度に耐えられる。装置本体26の材料は、電気的に絶縁されるものであってもよい。
【0036】
装置本体26と放熱体22との間の形状嵌合は、装置本体26における放熱体凹部54によって提供されるとともに、放熱体22を放熱体凹部54内に少なくとも部分的に配置することによって提供されてもよい。例えば、放熱体22の第2の層及び/又は第3の層32、34は、放熱体凹部54内に完全又は部分的に配置されてもよい。放熱体22は、放熱体凹部54の内側壁と放熱体22の外縁、特に放熱体22の第2の層32の外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって放熱体凹部内に少なくとも部分的に配置されてもよい。放熱体凹部54は、装置本体26の第1の側から装置本体26の第2の側に部分的のみに延びていてもよく、そして装置本体26における底部を取り囲む内側壁を含んでもよい。
【0037】
代替的又は付加的には、装置本体26と放熱体22との間の形状嵌合は、装置本体26における少なくとも一つの第3の層の凹部52によって提供されるとともに、放熱体22の第3の層34の少なくとも一つのセクションを第3の層の凹部52内に配置することによって提供されてもよい。第3の層の凹部52の内側壁と第3の層34の該当するセクションの外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって、第3の層34の該当するセクションは、第3の層の凹部52内に少なくとも部分的に、好ましくは完全に配置されることができる。チップ装置24が第3の層の凹部52を介して放熱体22と熱結合する場合、第3の層の凹部52は、上記の接触凹部に相当することができる。第3の層の凹部52は、装置本体26の第1の側から装置本体26の第2の側に延びる貫通する凹部であってもよい。なお、第3の層の凹部52は、放熱体凹部54に配置され及び/又はその中に通してもよい。
【0038】
装置本体26は、装置本体26とチップ装置24との間に、チップ装置24のキャリア40の延びる方向に平行な方向において形状嵌合が存在するように形成されて配置される。放熱体22の層30、32、34の延びる方向に平行な方向とチップ装置24のキャリア40の延びる方向に平行な方向は、互いに平行に延びてもよい。
【0039】
装置本体26とチップ装置24との間の形状嵌合は、装置本体26における電子デバイスに用いられる凹部50によって提供されるとともに、チップ装置24の電子デバイス42を電子デバイスに用いられる凹部50内に少なくとも部分的に配置することによって提供されてもよい。電子デバイス42は、電子デバイスに用いられる凹部50の内側壁と該当する電子デバイス42の外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって電子デバイスに用いられる凹部50内に少なくとも部分的に配置されることができる。チップ装置24が電子デバイスに用いられる凹部50を介して放熱体22と熱結合する場合、電子デバイスに用いられる凹部50は、接触凹部に相当することができる。電子デバイスに用いられる凹部50は、装置本体26の第1の側から装置本体26の第2の側に延びる貫通する凹部であってもよい。
【0040】
代替的又は付加的には、装置本体26とチップ装置24との間の形状嵌合は、装置本体26の、チップ装置24のキャリア40における該当するピン凹部44内に配置される少なくとも一つのピン56によって提供されてもよい。ピン凹部44の内側壁と該当するピン56の外縁との間の隙間嵌め又は締り嵌めによって、ピン56は、ピン凹部44内に少なくとも部分的に配置されることができる。ピン凹部44は、キャリア40の第1の側からキャリア40の第2の側に延びる貫通する凹部であってもよい。
【0041】
チップ装置24と放熱体22との熱結合は、放熱体22とチップ装置24との間の直接的な物理接触によって提供されてもよい。チップ装置24と放熱体22との間の直接的な物理接触は、チップ装置24のキャリア40と放熱体22の第3の層34との間の直接的な物理接触によって提供されてもよい。代替的又は付加的には、チップ装置24と放熱体22との間の直接的な物理接触は、チップ装置24の電子デバイス42と放熱体22の第3の層34との間の直接的な物理接触によって提供されてもよい。
【0042】
代替的又は付加的には、チップ装置24と放熱体22との熱結合は、チップ装置24と放熱体22とを堅固に連結する接続材(示せず)によって提供されてもよい。チップ装置24と放熱体22との間の堅固な接続は、チップ装置24の電子デバイス42と放熱体22の第3の層34との間の堅固な接続によって提供されてもよい。チップ装置24が電子デバイス42と放熱体22の第3の層34との熱結合によって放熱体と熱結合する場合、電子デバイス42は、装置本体26の、電子デバイスに用いられる凹部50内に配置されてもよく、ここで、該当する電子デバイスに用いられる凹部50は、接触凹部に相当することができる。
【0043】
装置本体26は、チップ装置24と放熱体22との間の少なくとも一つのキャビティが装置本体26によって充填されるように形成されて配置されてもよい。例えば、チップ装置24と放熱体22との間のいかなるキャビティは、装置本体26によって充填されることもできる。例えば、装置本体26によって充填されるいかなるキャビティは、装置本体26によって完全に充填されることもできる。
【0044】
パワーモジュール20は、ハウジング(示せず)内に嵌め込まれてもよい。ハウジングは、モールディング材料によって製造されてもよい。換言すれば、パワーモジュール20は、モールディングによってモールディング体(示せず)内に嵌め込まれてもよい。例えば、パワーモジュール20は、モールディング体内に完全に嵌め込まれてもよい。
【0045】
図2は、図1によるパワーモジュール20の放熱体22の平面図を示す。図2から分かるように、放熱体22は、矩形形状を有するとともに、放熱体22は、第3の層34の四つのセクションを含み、ここで、各セクションは、いずれも矩形形状を有する。代替的には、放熱体22及び/又はセクションは、様々な形状、例えば任意の多辺形又は円形形状を有してもよい。なお、放熱体22は、第3の層34のより少ないセクション又はより多くのセクションを含んでもよい。
【0046】
図3は、図1によるパワーモジュール20のチップ装置24の底面図を示す。図3から分かるように、チップ装置24は、矩形形状を有し、チップ装置24は、四つのピン凹部44を含むとともに、チップ装置24は、八つの電子デバイス42を含む。各ピン凹部44は、いずれも貫通した凹部であり、且つチップ装置24の第1の側からチップ装置24の第2の側に延びる。各ピン凹部44はいずれも円形形状を有してもよい。各電子デバイス42は、いずれもチップ装置24の第1の側に配置される。代替的には、チップ装置24及び/又はピン凹部44は、様々な形状、例えば任意の多辺形又は円形形状を有してもよい。なお、チップ装置24は、より多く又はより少ないピン凹部44及び/又は電子デバイス42を含んでもよく、及び/又は電子デバイス42のうちのいくつかの電子デバイスは、チップ装置24の第2の側に配置されてもよい。
【0047】
電子デバイス42は、パワーモジュール20の組み立て状態でそれが第3の層34のセクションと重ね合わせるように配置される。例えば、パワーモジュール20の組み立て状態で、電子デバイス42は、放熱体22の第3の層34の該当するセクションと直接に物理接触することができ、又は接続材によって第3の層34の該当するセクションと連結することができる。
【0048】
図4は、図1によるパワーモジュール20の装置本体26の平面図を示す。図4から分かるように、装置本体26は、矩形形状を有し、装置本体26は、一つの放熱体凹部54と、四つのピン56と、四つの第3の層の凹部52と、八つの電子デバイスに用いられる凹部50とを含む。各電子デバイスに用いられる凹部50はいずれも貫通した凹部であり、且つ装置本体26を完全に貫通して延びている。チップ装置24は、より多く又はより少ない電子デバイスに用いられる凹部50を含んでもよく、凹部の数は、チップ装置24の電子デバイス42の数に対応する。電子デバイスに用いられる凹部50は、パワーモジュール20の組み立て状態で電子デバイス42が該当する電子デバイスに用いられる凹部50内に配置されるように配置される。
【0049】
各ピン56は、いずれも装置本体26のチップ装置24に向かう側に配置される。各ピン56はいずれも円形形状を有してもよく、ここで、ピン56は、チップ装置24の該当するピン凹部44内に挿入されるように構成されるとともにここに配置される。代替的には、チップ装置24及び/又はピン44は、様々な形状、例えば任意の多辺形又は円形形状を有してもよく、ここで、ピン56の数と形状は、好ましくはピン凹部44の数又は形状に対応する。
【0050】
第3の層の凹部52は、放熱体22の第3の層34の該当するセクションを少なくとも部分的に収容するように構成される。例えば、パワーモジュール20の組み立て状態では、第3の層34のセクションは、該当する第3の層の凹部52内に完全に配置されてもよい。第3の層の凹部52は、電子デバイスに用いられる凹部50と完全に重ね合わせる。代替的な実施形態では、電子デバイスに用いられる凹部50のうちの少なくとも一つの凹部と該当する二つの第3の層の凹部52は、単一の凹部として設計されてもよい。
【0051】
放熱体凹部54は、放熱体22を少なくとも部分的に収容するように構成され、例えば、放熱体22の第2の層及び/又は第3の層30、32を収容するように構成される。例えば、パワーモジュール20の組み立て状態では、第2の層32は、該当する放熱体凹部54内に完全に配置されてもよい。放熱体凹部54は、第3の層の凹部52及び電子デバイスに用いられる凹部50と完全に重ね合わせる。
【0052】
パワーモジュール20の組み立て状態で、放熱体凹部54と第3の層の凹部52は、放熱体22と装置本体26との間に、放熱体22の層30、32、34のうちの少なくとも一つの層の延びる方向に平行な方向において形状嵌合を提供する。代替的には、放熱体22と装置本体26との間の形状嵌合は、放熱体凹部54のみによって提供されてもよいし、第3の層の凹部52のみによって提供されてもよい。
【0053】
パワーモジュール20の組み立て状態で、ピン56と電子デバイスに用いられる凹部50は、チップ装置24と装置本体26との間に、チップ装置24のキャリア40の延びる方向に平行な方向において形状嵌合を提供する。代替的には、チップ装置24と装置本体26との間の形状嵌合は、ピン56のみによって提供されてもよいし、電子デバイスに用いられる凹部50のみによって提供されてもよい。
【0054】
図5は、本発明の実施例によるパワーモジュール(例えば上記パワーモジュール20)を組み立てるための方法のフローチャートを示す。
【0055】
ステップS2において、放熱体、例えば上記放熱体22を提供する。
【0056】
任意選択的なステップS4において、接続材(例えば上記接続材)を放熱体上に配置してもよい(例えば放熱体22の第3の層34のセクションの上方に配置される)。
【0057】
ステップS6において、装置本体(例えば上記装置本体26)を放熱体22上に配置する。好ましくは、装置本体26を放熱体22上に配置することで、放熱体22が放熱体凹部54内に少なくとも部分的に配置されるとともに、第3の層34のセクションが該当する電子デバイスに用いられる凹部50内に完全に配置される。
【0058】
ステップS8において、チップ装置(例えば上記チップ装置24)を放熱体26上に配置する。好ましくは、チップ装置24を放熱体26上に配置することで、ピン56が該当するピン凹部44内に収容されるとともに、電子デバイス42が電子デバイスに用いられる凹部50内に配置される。ステップS4において接続材を放熱体22の第3の層34上に配置する場合、チップ装置24を装置本体26と放熱体22上に配置することで、電子デバイス42と接続材を直接に物理接触させることができる。
【0059】
任意選択的なステップS10において、例えばステップS4において接続材を放熱体22の第3の層34上に配置する場合、パワーモジュール20を加熱することで、接続材を溶融することができる。パワーモジュール20を加熱し接続材を溶融するために、パワーモジュール20を特にヒートプレートに配置してもよく、ここで、放熱体22の、チップ装置24から離反する第1の層30をヒートプレートに配置する。そして、ヒートプレートは、放熱体22を加熱することができ、ここで、熱は、放熱体22の層30、32、34によって接続材に伝達されるとともに接続材を少なくとも部分的に溶融する。
【0060】
例えば、ステップS10において接続材を溶融する場合、任意選択的なステップS12において、パワーモジュール20を冷却してもよく、ここで、溶融された接続材は硬化し、且つ電子デバイス42と放熱体22の第3の層34の該当するセクションとの堅固な接続を提供する。
【0061】
そして、パワーモジュール20は、その組み立て状態にあり、例えば図1に示すとおりである。任意選択的に、パワーモジュール20は、モールディング体(示せず)内に、嵌め込まれ、例えば完全に嵌め込まれてもよい。
【0062】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、より多く又はより少ないピン56と該当するピン凹部44が存在してもよい。なお、ピン56は、チップ装置24上に配置されてもよく、そして該当するピン凹部44は、装置本体26内に配置されてもよい。なお、より多く又はより少ない電子デバイス42と該当する電子デバイスに用いられる凹部50が存在してもよい。なお、第3の層34のより多く又はより少ないセクションと該当する第3の層の凹部52が存在してもよい。
【0063】
図面と以上の記述において本発明を詳細に示して説明したが、このような図示と説明は、説明のためのもの又は例示的なものであり、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、開示される実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、保護が要求される本発明を実践し、図面、開示される内容と添付された請求項を注意深く研究することによって、開示された実施形態の他の変形体を理解して実現することができる。請求項における用語である「含む」は、他の要素とステップを排除するものではなく、そして不定冠詞である「一/一つ」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は単一のコントローラ又は単一のユニットは、請求項に記載される複数の素子の機能を実現することができる。いくつかの施策が相互に異なる従属関係を有する請求項に列挙されているという事実は、これらの施策の組み合わせを使用して優位性を得ることができないことを意味するものではない。
【0064】
請求項におけるいかなる符号は、範囲に対する制限として理解すべきではない。
【符号の説明】
【0065】
20 パワーモジュール
22 放熱体
24 チップ装置
26 装置本体
30 第1の層
32 第2の層
34 第3の層
40 キャリア
42 電子デバイス
44 ピン凹部
50 電子デバイスに用いられる凹部
52 第3の層の凹部
54 放熱体凹部
56 ピン
S2~S12 ステップ2からステップ12
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】