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特表2024-538172生物工学的臓器を支持するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】生物工学的臓器を支持するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20241010BHJP
   C12M 3/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
A01N1/02
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523149
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022078287
(87)【国際公開番号】W WO2023069939
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/256,981
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517335857
【氏名又は名称】ミロマトリックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】カタネ アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】ストゥムブラス アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ポクヒル ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】リースグラフ ショーン
【テーマコード(参考)】
4B029
4H011
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB20
4H011CA01
4H011CB05
4H011CC01
4H011CC05
4H011CD02
4H011CD04
(57)【要約】
臓器(50)、特に生物工学的臓器を、生育または支持するためのシステム(200)は、エンクロージャー(202);灌流液回路;灌流液ポンプ(206);気体移送ユニット(208)、および任意で、気体移送ユニットに接続された気体混合ユニット;1つまたは複数のセンサー(212a, 212b);栄養素を注入するように構成された注入システム(216);ならびにコントローラー(214)を具備する。臓器を自動もしくは半自動の様式で生育または支持するために、コントローラーは、センサーからのセンサー信号に基づいて、ポンプ、気体移送ユニット、および注入システムを作動させるように構成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備する、臓器を生育または支持するためのシステム:
その中の該臓器を灌流液フロー中で支持するように構成されたエンクロージャーであって、該エンクロージャーを通りかつ該臓器を通って該灌流液フローを受けるための灌流液インレットおよび灌流液アウトレットを含む、エンクロージャー;
該灌流液インレットおよび該灌流液アウトレットに接続され、かつ該システムおよび該臓器を通して灌流液を循環させるように構成された、灌流液回路;
該回路に接続され、かつ該灌流液回路を通して灌流液を循環させるように構成された、灌流ポンプ;
該灌流液回路に接続され、かつ該灌流液に、および該灌流液から、気体を移送するように構成された、気体移送ユニット;
該灌流液回路に接続され、かつ該灌流液のコンディションに基づくセンサー信号を生じるように構成された、センサー;
該システム内に栄養素を注入するように構成された、該灌流回路に接続された注入システム;ならびに
該ポンプ、該気体移送ユニット、および該注入システムを、該センサー信号に基づいて作動させるように構成された、コントローラー。
【請求項2】
気体移送ユニットに接続され、かつ該気体移送ユニットに気体を送達するように構成された、気体混合ユニット
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
気体混合ユニットが、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニットに送達する、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
気体混合ユニットに接続され、かつコントローラーと通信している、気体制御弁であって、該コントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために該制御弁を作動させるように構成された、気体制御弁
をさらに具備する、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
センサーが、コントローラーに気体信号を送信するように構成された気体センサーであり、該コントローラーが、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されており;かつ、該コントローラーが、該決定された臓器の気体消費量に基づいて該臓器に気体混合物を供給するために気体弁を作動させるように構成されている、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
気体混合ユニットに接続され、かつコントローラーにガスメーター信号を送信するように構成された、ガスメーターであって、該コントローラーが、ガスメーター信号に基づいて制御弁を作動させるように構成された、ガスメーター
をさらに具備する、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
気体移送ユニットに接続され、かつ異なる気体または異なる気体濃度を該気体移送ユニットにするように構成された、複数の気体混合ユニット
をさらに具備する、請求項3記載のシステム。
【請求項8】
気体混合ユニット気体混合ユニットのうち1つにそれぞれ接続されており、かつコントローラーとそれぞれ通信している、複数の気体制御弁であって、該コントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために複数の気体制御弁を作動させるように構成された、複数の気体制御弁
をさらに具備する、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
センサーが、コントローラーに気体信号を送信するようにそれぞれ構成された複数の気体センサーであり、該コントローラーが、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されており;かつ、該コントローラーが、該決定された臓器の気体消費量に基づいて該臓器に気体混合物を供給するために、複数の気体制御弁を作動させるように構成されている、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
気体移送ユニットが酸素付加器である、請求項3記載のシステム。
【請求項11】
気体移送ユニットがエアセパレーターを含む、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
気体移送ユニットを通じて灌流液と熱交換するために該気体移送ユニットに接続された加温システム
をさらに具備する、請求項2記載のシステム。
【請求項13】
エンクロージャーの上流で前記回路に接続されたインレット温度センサーであって、該エンクロージャーに入る灌流液のインレット温度に基づいてインレット温度信号を生じるように構成された、インレット温度センサー;および
該エンクロージャーの下流で前記回路に接続されたアウトレット温度センサーであって、該エンクロージャーから出る灌流液のアウトレット温度に基づいてアウトレット温度信号を生じるように構成された、アウトレット温度センサー
をさらに具備する、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
コントローラーが、
インレット温度信号およびアウトレット温度信号を受信するように;かつ
該インレット温度信号および該アウトレット温度信号に基づいて、ポンプ、気体移送ユニット、および加温システムを作動させるように
構成されている、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
エンクロージャーの上流で灌流液回路に接続され、かつコントローラーと通信している、注入システムであって、該コントローラーが、灌流液に栄養補助剤を送達するためにセンサー信号に基づいて注入システムを作動させるように構成された、注入システム
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項16】
注入システムが、灌流液に栄養補助剤を送達するようにそれぞれ構成された複数の注入ポンプを含み;コントローラーが、該灌流液に栄養補助剤を送達するためにセンサー信号に基づいて該注入ポンプの各々を作動させるように構成されている、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の注入ポンプが、細胞培養培地、細胞、グルタミン、グルコース、緩衝剤、塩化ナトリウム、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、薬剤、アンモニア(塩化アンモニウム)、HEPES(C8H18N2O4S)、重炭酸ナトリウム、インスリン、エピネフリン、アルブミン、リノール酸、デキサメタゾン、およびグルカゴンのうち1種または複数種を、灌流液および臓器に送達するようにそれぞれ構成されている、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
注入システムが、前記複数の注入ポンプおよび栄養補助剤を支持するエンクロージャーを含む、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
注入システムが、該注入システムの環境を冷却するように構成された冷却システムを含み;該冷却システムはコントローラーと通信しており;該コントローラーは、該注入システムの環境の望ましい温度を維持するために該冷却システムを作動させるように構成されている、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
エンクロージャーのインレットにて灌流液回路に接続されたインレット制御弁であって、コントローラーと通信している、インレット制御弁;ならびに
該エンクロージャーのアウトレットにて該灌流液回路に接続されたアウトレット制御弁であって、該エンクロージャーおよび臓器を隔離するために該インレット制御弁および該アウトレット制御弁を作動させるように構成された該コントローラーと通信している、アウトレット制御弁
をさらに具備する、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
灌流液ポンプの下流で前記回路に接続され、かつ臓器の二次脈管を通して灌流液を循環させるように構成された、二次灌流液ポンプ
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項22】
エンクロージャーに接続され、かつ該エンクロージャー内で負の空気圧を作り出すように構成された、真空ポンプ
をさらに具備する、請求項1記載のシステム。
【請求項23】
以下の段階を包含する、システムを使用して臓器を生育または支持するための方法:
灌流液インレットおよび灌流液アウトレットを含むエンクロージャー内に臓器を収容する段階;
該システムを通して灌流液を循環させるために、該灌流液インレットおよび該灌流液アウトレットに接続された灌流液回路を通して灌流液をポンプ送りする段階;
該灌流液回路に接続された気体移送ユニットを使用して、該灌流液に、または該灌流液から、気体を移送する段階;ならびに
該灌流回路に接続された注入システムを使用して、該システム内に栄養素を注入する段階。
【請求項24】
灌流液のコンディションに基づくセンサー信号を生じる段階;ならびに
該センサー信号に基づいてポンプおよび注入システムを作動させる段階
をさらに包含する、請求項23記載の方法。
【請求項25】
気体移送ユニットに気体を送達するために気体混合ユニットを作動させる段階
をさらに包含する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
気体混合ユニットが、センサー信号に基づいて、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニットに送達する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
気体移送ユニットに接続され、かつセンサー信号に基づいて異なる気体または異なる気体濃度を該気体移送ユニットに提供するように構成された、複数の気体混合ユニットを作動させる段階
をさらに包含する、請求項26記載の方法。
【請求項28】
気体混合ユニット気体混合ユニットのうち1つにそれぞれ接続されており、かつコントローラーとそれぞれ通信している、複数の気体制御弁を作動させる段階であって、該コントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために複数の気体制御弁を作動させるように構成されている、段階
をさらに包含する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
センサーが、コントローラーに気体信号を送信するようにそれぞれ構成された複数の気体センサーであり、該コントローラーが、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されており;かつ、該コントローラーが、該決定された臓器の気体消費量に基づいて該臓器に気体混合物を供給するために、複数の気体制御弁を作動させるように構成されている、請求項28記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2021年10月18日に提出されたAleksandr Kataneの米国特許出願第63/256,981号「ASSEMBLING AND SUPPORTING BIOLOGICALLY ENGINEERED ORGANS」の優先権の恩典を35 U.S.C. Section 119(e) のもとに主張する;同出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
臓器移植は米国全域および世界中で一般に行われている。レシピエントを延命するために肝臓、腎臓、膵臓、肺、および心臓などの臓器が一般に移植されている。しかし、臓器が不足することも多く、臓器に対する需要および待機リストを作り出している。この不足に対する1つの解決法は生物工学的臓器および代替組織を使用することである;その際に、拒絶を防ぐことを助けるために、臓器からその細胞を取り除き、レシピエントの細胞を生物工学的臓器内に灌流することができる。
【発明の概要】
【0003】
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面において、縮尺は必ずしも一律でなく、同様の数字は異なる図面における類似のコンポーネントを説明している可能性がある。異なる添え字を有する同様の数字は、類似のコンポーネントの異なる事例を表す可能性がある。図面は概して、本文書において論じるさまざまな態様を、限定としてではなく例として図示する。
【0005】
図1】生物工学的臓器の移植の諸ステージにかかわるデバイスおよびシステムの概要を図示する。
図2】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
図3】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
図4図4Aは、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。図4Bは、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
図5】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムを作動させる方法の模式図を図示する。
図6】使用される例示的コンピューティングシステムのためのアーキテクチャーのブロック図を図示する。
図7】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
図8】バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステムの模式図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
生物工学的臓器(BEO)および高度バイオ工学的組織(AT)は、拒絶の低減を助けかつ臓器の待機時間の低減を助けながら、生得的な臓器機能の再現を助ける可能性がある。BEOはまた、異なる生物種の臓器を利用することによって待機時間の低減を助ける可能性もある。いずれのシナリオにおいても、BEOは典型的に、研究室にて厳格に制御された条件下で処理されてから、植え込みのために病院に輸送できるようになる。例えば、ATおよびBEOは、ATまたはBEOの生育および支持の間、発達および生理機能維持を促す適切な生化学的および物理的キューでコンディショニングされるべきである。BEOには肝臓、肺、心臓、膵臓、腎臓、または腸などが含まれ、各タイプの臓器が、ATまたはBEOの生育および支持の間、注意深いモニタリングおよび制御を要する可能性がある。しかし、臓器のコンディショニングは、相当の手作業を要する、非常に時間のかかるプロセスとなる可能性がある。本開示は、ATまたはBEOを収容することができかつ組織の脈管系に接続できるシステムを使用することによって、これらの問題への対処を助けるシステムについて論じる。本システムは、必要時に、ATまたはBEOを培地または血液で灌流できる。ATまたはBEOがアクティブなフローを確立したら、さまざまな機能パラメーターを検査するためにシステムが使用されてもよい。これらの機能検査は、システム内に組み込まれたATまたはBEOに特異的なものであってもよい。システムはさらに、検査またはセンサーデータに基づいて、ATまたはBEOの最適な生育または支持のための、ATまたはBEOの要件を決定してもよい。
【0007】
例えば、ATまたはBEOが灌流されている間に、測定されるパラメーターに基づいてATまたはBEOの機能に負荷をかけるために、さまざまな化学物質、薬剤、および/またはタンパク質がシステムに投与されてもよい。機能的妥当性を決定するために、培地または血液のサンプルが集められかつ解析されてもよい。システムはまた、植え込み前にATまたはBEOが仕様を満たしていることを確実にするために、格納されたATまたはBEOの生存能および機能について能動的にモニターしてもよい。本システムは、システムの作動を自動的に調整するかまたは灌流液に栄養素を自動的に注入することによって、輸送および移植前のBEOまたはATの生育または維持に必要な労働要件の低減を助ける可能性がある。そして本システムはまた、センサーフィードバックに基づいて栄養素の枯渇を自動的に補償することによって、灌流液/培地の不必要な消費/補充の低減を助けることにより、サプライチェーンの非効率性も低減させる可能性がある。
【0008】
以上の記述は本特許出願の内容の概要を提供することを意図しており、本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図しているわけではない。本特許出願についてさらに情報を提供するために以下の記述を含める。
【0009】
図1に、本開示の少なくとも1つの実施例に基づく、BEOの移植の諸ステージにかかわるデバイスおよびシステムの概要を図示する。
【0010】
例示的手技100は、移植手技に含まれうるさまざまなステージを示す。ステージ102において、ヒト、またはブタ、ヒツジ、もしくはウシなど他の生物種のドナーから臓器が受け取られる。臓器は、研究室内において注意深く制御された条件下で脱細胞化され、すべての(または実質的にすべての)細胞性物質が臓器から除去される。脱細胞化に続いて、ステージ104において臓器が再細胞化され、それによってドナー(または他の由来源)からの細胞が臓器に添加される;そして臓器は機能的に検査されるか、または植え込みのためにその他準備されてもよい。BEOが移植の準備ができたと決定されたら、BEOは、ステージ106における輸送のために準備されてもよい。次に、段階108にて、移植手術においてBEOがレシピエント体内に植え込まれてもよい。これら段階のいくつかのさらなる詳細を、図2~6に関してさらに詳しく後述する。
【0011】
図2に、バイオ工学的臓器(BEO)の機能的検査、維持、または生育のためのシステム200の模式図を図示する。システム200は、エンクロージャー202、灌流液回路204、ポンプ206、気体移送システム208、加温/冷却システム210、インレットセンサー群212a、アウトレットセンサー群212b、コントローラー214、および注入システム216を含んでいてもよい。図2には、例えば肝臓であってもよい臓器50、および流体であってもよい灌流液52も示されている。
【0012】
エンクロージャー202は、その中の臓器50を灌流液フロー中で支持するように構成されたエンクロージャーであってもよい。エンクロージャー202は、エンクロージャーを通りかつ臓器50を通って灌流液フローを受けるための灌流液インレット202aおよび灌流液アウトレット202bを含んでいてもよい。エンクロージャー202は、ポリカーボネートなど、金属、プラスチック、発泡体、エラストマー、セラミック、複合体、またはそれらの組み合わせなどのうち1つまたは複数などの材料で作られた、剛性または半剛性の、コンテナ、エンクロージャー、またはハウジングであってもよい。エンクロージャー202は、オペレーターまたは技師のためにその中の臓器50の可視性を提供するために、透明または半透明であってもよい。任意で、エンクロージャー202は、臓器50の光への曝露を制限するように構成されていてもよい。エンクロージャー202は、蓋を気密の様式で再シール可能式に閉じるために、1つまたは複数のラッチまたはファスナーなどを含んでいてもよい。いくつかの実施例において、エンクロージャー202は1つまたは複数のヒンジを含んでいてもよい。エンクロージャー202は、エンクロージャー202の内容物を周囲条件から温度的に隔離することを助けるために、1つまたは複数の断熱層を含んでいてもよい。エンクロージャー202は、エンクロージャー202の蓋とコンテナとの間にシールを含んでいてもよい。
【0013】
エンクロージャー202は、その中の生物工学的臓器を灌流液フロー中および/または液槽中で収容しかつ支持するように構成されていてもよい。すなわち、エンクロージャー202はその中で臓器を支持するように形状決定されてもよい。いくつかの実施例において、エンクロージャー202が腎臓(または他の実施例において他の臓器)を支持するために形状決定されるように、エンクロージャー202が臓器特異的(例えば腎臓特異的)であってもよい。いくつかの実施例において、臓器特異的なエンクロージャー202は、臓器を輸送するために必要に応じて取り外し可能および取り替え可能であってもよい。灌流液インレット202aおよび灌流液アウトレット202bは、エンクロージャー202を灌流液回路204から断路するための無菌迅速接続部(sterile-quick connect)を含んでいてもよい。
【0014】
灌流液回路204は灌流液インレット202aおよび灌流液アウトレット202bに接続されてもよく、かつ、システムおよびそのコンポーネントを通して灌流液を送るように構成されてもよい。回路204は、さまざまな材料(例えば銅、鋼、アルミニウム、プラスチック、またはシリコーンなど)上の剛性、半剛性、および可撓性チュービングを含む、1つまたは複数のタイプのチュービングで作られてもよい。任意で、回路204のチュービングは、低シェッド(low-shed)チュービングまたは薬局等級のチュービングであってもよい。加えて、灌流液回路204は、灌流液回路204を通る圧力降下を減らすことを助けるために、灌流液回路204全体を通じて比較的少ない制限ポイントを有するように構成されてもよく、それは、臓器50の外側かつ圧力センサー(例えばインレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212b)にて測定される圧力と、臓器50またはその中における圧力との間の、正確さの増大を助ける。
【0015】
チュービングまたは回路204は、任意で、臓器50の灌流脈管に直接接続してもよく、それは独立した脈管インターフェースを可能にする。概して図2に関して灌流液を記述するが、灌流液回路は、培地または血液など、1つまたは複数の他の流体を扱うように構成されてもよい。いくつかの実施例において、患者特異的なドナー血液が回路204内で使用されてもよく、それは患者特異的な適合性を得ることを助ける可能性がある。
【0016】
ポンプ206は回路204に接続されてもよく、かつ灌流液回路204を通して灌流液を循環させるように構成されてもよい。ポンプ206は容積式ポンプ、遠心ポンプ、または軸流ポンプであってもよい。ポンプ206は、流体のダメージを制限することを助けるために低剪断ポンプであってもよく、任意で可逆式であってもよい。いくつかの実施例において、ポンプ206は、持続タイプのポンプ、または(ダンピングを伴うかもしくは伴わない)蠕動タイプのポンプであってもよい。いくつかの実施例において、ポンプ206は、エンクロージャー202のアウトレット202bの下流、かつ気体移送ユニット208の上流に位置してもよい。
【0017】
気体移送ユニット208は灌流液回路204に接続されてもよく、かつ、酸素、窒素、アルゴン、および二酸化炭素(CO2)などの気体を、灌流液に、および灌流液から、移送するように構成されてもよい。気体移送ユニット208は、灌流液中で酸素およびCO2を望ましい濃度範囲に維持するように構成された、能動的な気体移送ユニットまたは受動的な気体移送ユニットのいずれかであってもよい。いくつかの実施例において、気体移送ユニット208が、臓器培養に資する他の気体を管理してもよい。気体移送ユニット208は、ポンプ206の下流かつインレットセンサー212の上流に位置してもよい。気体/移送ユニット208は、任意で、灌流液回路204の灌流液と加温冷却システム210との間で熱交換するように構成された熱交換器を含む。任意で、別個の熱交換がシステム200内で使用されてもよい。気体移送ユニット208はまた、任意でエアセパレーターまたはバブルトラップも含んでいてもよい。任意で、気体移送ユニット208が酸素付加器であってもよい。
【0018】
加温/冷却システム210は、灌流液が目標の温度範囲内でエンクロージャー202および臓器50に送達されるように、灌流液と熱交換するために灌流液回路204に接続されてもよい。加温/冷却システム210は、気体移送ユニット208の熱交換器が灌流液回路204内の灌流液と熱交換することを可能にするなどのために、気体移送ユニット208に接続されてもよい。例えば、供給ライン218および戻りライン220が、加温/冷却システム210を気体移送ユニット208に接続してもよく、例えば気体移送ユニット208の熱交換器などに接続してもよい。
【0019】
加温/冷却システム210は、いくつかの実施例において加温システムであってもよく、いくつかの実施例において冷却システムであってもよい。いくつかの実施例において、システム210が別々の加温冷却システムを含んでいてもよい。例えば、システム210が抵抗加熱器、ファン、および熱交換器を含んでいてもよい。他の実施例において、システム210は例えば、圧縮器と、凝縮器と、蒸発器と、1つまたは複数の膨張弁と、逆転弁とを含む冷媒ヒートポンプであってもよい。いくつかの実施例において、システム210が熱電式の加温冷却デバイス(ペルチェデバイス)であってもよい。いくつかの実施例において、システムが冷凍冷却システムおよび抵抗性電気加温デバイスを含んでいてもよい。これらの例のいずれにおいても、システム210が、灌流液と間接的に熱交換するように構成された熱交換器を含んでいてもよい。任意で、システム210が緊急冷却システムを含んでいてもよい。
【0020】
任意で、気体移送ユニット208が、1つまたは複数の気体混合ユニット222a~222nを含んでいてもよく、またはこれに接続されていてもよい。気体混合ユニット222は、気体移送ユニット208にそれぞれ接続されていてもよく、かつ気体移送ユニット208に気体を送達するように構成されていてもよい。気体混合ユニット222は、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニット208に送達するようにそれぞれ構成されていてもよい。任意で、空気に対して20%のO2~空気に対して80%のO2のブレンドであるO2など、気体ブレンドが送達されてもよい。
【0021】
気体混合ユニット222は、気体貯蔵ユニット、制御弁、またはガスメーターをそれぞれ含んでいてもよい。任意で、単一の質量/フローコントローラー223が気体移送ユニット208の上流で気体混合ユニット222に接続されてもよい。フローコントローラー223は、任意で、ガスメーターまたは流量計、および1つまたは複数の制御弁を含んでいてもよい。フローコントローラー223の流量計および制御弁はコントローラー214と通信していてもよい。各気体貯蔵ユニットは、気体または流体を貯蔵するように構成された、タンクまたはベッセルなどであってもよい。気体混合ユニット222の気体貯蔵ユニットは、灌流液への移送のために気体移送ユニット208に気体(酸素など)を供給するように構成されていてもよい。気体混合ユニット222の制御弁はコントローラーと通信していてもよく、かつ気体混合ユニット222から気体移送ユニット208までの気体のフローを制御するために作動されてもよい。ガスメーターは、混合ユニット222a~222nの各々を通る気体のフローを検出するように、かつ検出されたフローに基づいて信号を生じるように、それぞれ構成されてもよい。任意で、混合ユニット222a~222nの各々によって気体移送ユニット208に送達される気体圧を制限するために、混合ユニット222a~222nの各々に圧力変換機またはスイッチが接続されてもよい。
【0022】
システム200は、任意で、ポンプ206、加温/冷却システム210、気体移送ユニット208、システム200のさまざまなセンサー、コントローラー、ユーザーインターフェース、および/またはシステム200の他のコンポーネントに電力供給するように構成されてもよい電源を含んでいてもよく、またはこれに接続されていてもよい。電源は、任意で、万一の入力電力喪失の場合もシステム200に持続的な電力を提供するなどのために、無停電電源であってもよい。
【0023】
インレットセンサー群212aは、任意で、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、O2センサー、CO2センサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を含んでいてもよい。各センサーは、エンクロージャー202の上流で灌流液回路204に接続されていてもよい(かつ任意でエンクロージャー202内にあってもよい)。同様に、アウトレットセンサー群212bは、任意で、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、O2センサー、CO2センサー、臓器健康状態センサー、および他のセンサーのうち、1つまたは複数を含んでいてもよい。各センサーは、エンクロージャー202の上流で灌流液回路204に接続されていてもよい(かつ任意でエンクロージャー202内にあってもよい)。図2においてセンサーは特定の位置を有するものとして示されているが、他の実施例においてセンサーがさまざまな位置にポジショニングされていてもよい。
【0024】
例えば、温度センサーがエンクロージャー202の上流またはエンクロージャー202の下流に位置していてもよい。インレット温度センサーは、エンクロージャー202に入る灌流液のインレット温度に基づいてインレット温度信号を生じるように構成されてもよい。アウトレット温度センサーは、エンクロージャー202から出る灌流液のアウトレット温度に基づいてアウトレット温度信号を生じるように構成されてもよい。温度センサーは、回路204のパイプに連結されたサーモウェル内にあるか、または処理流体と直接接触しているかのいずれかである、サーミスタ、熱電対、または抵抗温度検出器など、任意のタイプの流体温度センサーである。
【0025】
センサーのさまざまな選択肢を以下に記述する。インレットグルコースセンサーが、エンクロージャー202の上流などで灌流液回路204に接続されてもよい。同様に、アウトレットグルコースセンサーが、エンクロージャー202の下流などで灌流液回路204に接続されてもよい。グルコースセンサーは、灌流液のグルコースレベルに基づいてグルコースセンサー信号を生じるように構成されてもよい。同様に、臓器健康状態センサーが、エンクロージャー202の上流または下流などで灌流液回路204に接続されてもよい。臓器健康状態センサーは、回路204内の灌流液の代謝産物レベルに基づいて臓器健康状態センサー信号を生じるように構成されてもよい。インレットCO2センサーがエンクロージャー202の上流で灌流液回路204に接続されてもよい。アウトレットCO2センサーがエンクロージャー202の下流で灌流液回路204に接続されてもよい。インレットCO2センサーおよびアウトレットCO2センサーの各々が、灌流液の灌流液のそれぞれのCO2レベルに基づいて二酸化炭素信号を生じるように構成された、二酸化炭素センサーであってもよい。インレットO2センサーがエンクロージャー202の上流で灌流液回路204に接続されてもよい。アウトレットO2センサーがエンクロージャー202の下流で灌流液回路204に接続されてもよい。インレットO2センサーおよびO2センサーの各々が、灌流液のそれぞれのO2レベルに基づいて酸素信号を生じるように構成された、酸素センサーであってもよい。インレット圧力センサーがエンクロージャー202の上流で灌流液回路204に接続されてもよく、かつ、エンクロージャー202内に至る灌流液の圧力に基づいてインレット圧力信号を生じるように構成されてもよい。アウトレット圧力センサーがエンクロージャー202の上流で灌流液回路204に接続されてもよく、かつ、エンクロージャー202内に至る灌流液の圧力に基づいてインレット圧力信号を生じるように構成されてもよい。センサー信号のいずれかまたはすべてがコントローラー214に送信されてもよい。
【0026】
灌流液回路204は、任意で、インレット制御弁224aおよびアウトレット制御弁224bを含んでいてもよい。インレット制御弁224aおよびアウトレット制御弁224bは、それぞれが、コントローラーと通信している変調弁または隔離弁であってもよく、かつ、エンクロージャー202および臓器50をシステム200から取り外すなどのためにエンクロージャー202および臓器50を隔離するなどのため、コントローラーによって作動されてもよい。任意で、インレット制御弁224aおよびアウトレット制御弁224bは、エンクロージャー202および臓器50を通るフローを調節するために使用されてもよい。
【0027】
サンプリングポート235が灌流液回路204に(例えばポンプ206の下流に)接続されていてもよく、かつ、回路204内の灌流液の無菌性を損なうことなく灌流液のサンプルを引くためにシリンジを受けるように構成されていてもよい。同様に、投与ポート236が灌流液回路204に(例えばポンプ206の上流に)接続されていてもよく、かつ、回路204内の灌流液の無菌性を損なうことなく灌流液そして最終的に臓器まで送達するために栄養補助剤を受けるように構成されていてもよい。
【0028】
コントローラー214は、シングルボードもしくはマルチボードのコンピューター、ダイレクトデジタルコントローラー(DDC)、またはプログラマブルロジックコントローラー(PLC)などの、プログラマブルコントローラーであってもよい。他の実施例において、コントローラー214は、ハンドヘルドコンピューターなど任意のコンピューティングデバイス、例えばスマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップコンピューターなどであってもよく、または、プロセッサー、メモリ、および通信能力を含む、他の任意のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0029】
コントローラー214は、ポンプ206、気体移送ユニット208、加温/冷却システム210、電源、センサー群212の任意のセンサー、または注入システム216の作動を制御するなどによって、概してシステム200の作動を制御するように構成されてもよい。臓器50を支持または生育するためにシステム200の1つまたは複数のコンポーネントをコントローラー214がどのように制御しうるかについてのさまざまな例を、図3を参照して後述する。
【0030】
注入システム216は、ハウジング226、加温/冷却システム228、ポンプ230a~230c、およびタンク232a~232cを含んでいてもよい。注入システム216は、1種または複数種の栄養素または流体を灌流液回路204中に注入するように構成されてもよい。各ポンプ230の吐出は、一緒に接続またはマニホールドされてもよく、かつ、インレットセンサー群212aの上流、したがってインレット制御弁224aおよび灌流液インレット202aの上流などで、灌流液回路204に接続されてもよい。任意で、注入システム216は、気体移送ユニット208の上流または別の位置において灌流液回路204に接続してもよい。
【0031】
エンクロージャー226は、温度制御された環境をエンクロージャー226内に提供するなどのために、1つまたは複数の壁および断熱材を含んでいてもよい。エンクロージャー226は、金属、プラスチック、発泡体、エラストマー、セラミック、複合体、またはそれらの組み合わせなどのうち1つもしくは複数などの材料で作られてもよい。エンクロージャー226は、ポンプ230およびタンク232の可視性を提供するために透明もしくは半透明であってもよい(または、例えば窓など、透明もしくは半透明の部分を含んでいてもよい)。任意で、エンクロージャー226は、タンク232の光への曝露を制限するように構成されてもよい。エンクロージャー226は、ドアまたは蓋を再シール可能式に閉じるために、1つもしくは複数のラッチまたはファスナーなどを含んでいてもよい。いくつかの実施例において、エンクロージャー226は、ドアを接続するために1つまたは複数のヒンジを含んでいてもよい。エンクロージャー226は、エンクロージャー226のドアとコンテナとの間にシールを含んでいてもよい。
【0032】
ポンプ230は、それぞれ、それを通して流体をポンプ送りしかつ流体を灌流液回路204に吐出するように構成されてもよい。ポンプ230の各々は、ポンプ206に関して上述したポンプタイプのいずれかであってもよい。タンク232は、それぞれ、金属、プラスチック、発泡体、エラストマー、セラミック、複合体、またはそれらの組み合わせなどのうち1つもしくは複数で構築された貯蔵コンテナであってもよい。タンク232は、それぞれ、必要に応じてまたはコントローラー214のオペレーターによる決定に応じて灌流液回路204内に注入される流体を、貯蔵するように構成されてもよい。図には3つのタンクおよびポンプが示されているが、注入システム216は1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10個などの、タンクまたはポンプを含んでいてもよい。
【0033】
タンク232は、細胞培養培地、細胞、グルタミン、グルコース、緩衝剤、塩化ナトリウム、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、薬剤、アンモニア(塩化アンモニウム)、HEPES(C8H18N2O4S)、重炭酸ナトリウム、インスリン、エピネフリン、アルブミン、リノール酸、デキサメタゾン、またはグルカゴンのうち、1種または複数種を貯蔵するように構成されてもよく、かつポンプ230はこれをポンプ送りするために送達されてもよい。薬剤は、(R)-ワルファリン、(S)-メフェニトイン、アセトアミノフェン、アプレピタント、アゾール、ベンゾジアゼピン、ベータ(Beta)、カフェイン、カルシウム、カルバマゼピン、セレコキシブ、クラリスロマイシン、コデイン、シクロスポリン、デラビルジン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジクロフェナク、エナラプリル、エリスロマイシン、エストラジオール、エストロゲン、フェンタニル、フィナステリド、フレカイニド、フルオキセチン、グリピジド、グリブリド、ハロペリドール、インジナビル、インドメタシン、リドカイン、ロピナビル、ロラチジン(Loratidine)、メタドン、メキシレチン、モルヒネ、ネルフィナビル、ニフェジピン、オランザピン、オメプラゾール、オピオイド、ペンタミジン、フェノチアジン、フェニトイン、ピロキシカム、プレドニゾン、プロゲステロン、プロプラノロール、キニジン、リスペリドン、リトナビル、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、サキナビル、シルデナフィル、シロリムス、スタチン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、テストステロン、テオフィリン、トラマドール、トラゾドン、三環系(Tricyclic)、バルプロ酸塩、ベンラファキシン、ベラパミル、またはボリコナゾールのうち、1種または複数種であってもよい。
【0034】
注入システム216は、エンクロージャー202内で臓器50を処置、生育、または支持するなどのため、1つまたは複数の流体を灌流液回路204中に注入するために、コントローラー214などによって制御されてもよい。システム200および注入システム216の作動のさらなる詳細を、図3に関して後述する。
【0035】
図3に、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステム200の模式図を図示する。システム200は、図2に関して上述したシステム200と同じまたは同様であってもよい;図3は、さまざまなコンポーネントがコントローラー214にどのように接続されうるかを示す。
【0036】
ポンプ206、気体移送ユニット208、冷却システム210、インレットセンサー群212a、アウトレットセンサー群212b、注入システム216、気体混合ユニット222、および制御弁224がコントローラーに接続されてもよい。冷却システム228およびポンプ230は、コントローラー214に直接接続されてもよく、または、注入システム216のコントローラーもしくは他のデバイスを通じてコントローラー214に接続されてもよい。
【0037】
ユーザーインターフェース234は任意のディスプレイおよび/または入力デバイスであってもよい。例えば、ユーザーインターフェースは、タッチスクリーンディスプレイ、コンピューター、タブレット、または電話などであってもよい。別の実施例において、ユーザーインターフェース234がライト、ボタン、および/またはスイッチを提供してもよい。ユーザーインターフェース234はコントローラー214と通信していてもよく、かつ、コントローラー214およびそれに接続されたデバイスを作動させるように構成されてもよい。
【0038】
臓器50の生育または支持に必要とされる時間および労力の低減を助けるなどのため、システム内の臓器50を自動もしくは半自動の様式で生育または支持するために、システム200のさまざまなセンサーおよび信号のうち1つまたは複数がコントローラー214によって使用されてもよい。コントローラー214は、臓器のそうした生育または維持を行うために、1つまたは複数のセンサーからのデータを組み込むさまざまなアルゴリズム(例えばPIDループ)を使用してもよい。さまざまな実施例をさらに詳しく後述する。
【0039】
一実施例において、コントローラー214は、インレットセンサー群212aからインレット温度信号を、またはアウトレットセンサー群212bからアウトレット温度信号を受けるように構成されてもよい。コントローラー214は、インレット温度信号およびアウトレット温度信号に基づいて、ポンプ206、気体移送ユニット208、または加温冷却システム210を作動させるようにさらに構成されてもよい。例えば、コントローラー214は、回路204内の灌流液の温度が例えば摂氏37、38、または39度などの閾値を上回っていることをアウトレット温度信号が示している時に、システム210の冷却を起動してもよい。同様に、コントローラー214は、回路204内の灌流液の温度が例えば摂氏37、36、または35度などの閾値を下回っていることをアウトレット温度信号が示している時に、システム210の加温を起動してもよい。いくつかの実施例において、コントローラー214は、周囲温度センサーからの周囲温度信号に基づいてそうしたコンポーネントの作動を修正してもよい。コントローラー214はまた、温度センサー信号のいずれかに基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。
【0040】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bなどの)グルコースセンサーからグルコースセンサー信号を受けるように構成されてもよく、かつコントローラー214は、グルコースセンサー信号に基づいて、ポンプ206、気体移送ユニット208、または注入システム216を作動させるように構成されてもよい。例えば、回路204内の灌流液のグルコース濃度が閾値(例えば1リットルあたり0.5グラム)を下回るまで降下したならば、コントローラー214は、灌流液回路204内にグルコースを注入するためにグルコース注入ポンプ230を起動してもよい。コントローラー214はまた、臓器50のグルコース消費レートが閾値(例えば1時間あたり100ミリグラム)を下回るまで降下したなどであれば、グルコースセンサー信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。
【0041】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bなどの)圧力センサーから圧力信号を受けるように構成されてもよく、かつコントローラー214は、圧力信号に基づいてポンプ206または冷却システム210を作動させるように構成されてもよい。コントローラー214はまた、圧力が閾値圧力を下回るまで降下しかつポンプが作動しており、ポンプが破損しているまたは破損したことを示しているなどであれば、圧力信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。ポンプ206のフローは、灌流液回路204(例えばエンクロージャー202のインレットまたはアウトレット)の、モニターされた圧力に基づいて制御されてもよい。ポンプ206はまた、0~2300ミリリットル毎分(mm/分)などで、灌流液回路204を通る灌流液の流量を変動させるために制御されてもよい。ポンプ206はまた、0~200水銀柱ミリメートル(mm/Hg)などで作動圧力を変動させるために制御されてもよい。
【0042】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bなどの)気体センサーから気体信号を受けるように構成されてもよく、かつ、気体信号に基づいて臓器50の気体消費量を決定するために気体信号(例えばO2またはCO2)を使用してもよい。コントローラー214はまた、決定された臓器の気体消費量に基づいて臓器50に気体混合物を供給するために、気体混合ユニット222の気体弁を作動させてもよい。コントローラー214はまた、気体信号に基づいて注入システム216を作動させてもよい。例えば、コントローラー214は臓器50による気体の消費量に基づいてポンプ230の流量を調整してもよい。コントローラー214はまた、灌流液回路204内の気体レベルが許容可能範囲外になった、または気体消費量が多すぎもしくは少なすぎるなどであれば、気体信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。
【0043】
任意で、気体混合ユニット222のタンクが、それぞれ、異なるブレンドまたは濃度の気体を含んでいてもよく、かつコントローラー214が、灌流液回路204内の気体の決定された濃度に基づいて、または臓器50の消費量に基づいて、気体混合ユニット222のうち1つ(222aなど)を作動させてもよい。代替的に、気体混合ユニット222のタンクがすべて異なる気体であってもよく、かつコントローラー214が、灌流液回路204内の気体の濃度に基づいて、または臓器50の消費量に基づいて、灌流液回路204に流入する気体の望ましいブレンドを実現するように気体混合ユニット222の弁を作動させてもよい。いずれの例においても、気体混合ユニット222によって気体移送ユニット208および灌流液回路204に提供される気体は、コントローラー214によって臓器50のニーズに合わせられてもよい。
【0044】
1つもしくは複数のガスメーターまたは流量計(フローコントローラー223のメーター、または気体混合ユニット222のメーターなど)が、ガスメーター信号を生じてコントローラー214に送信するように構成されてもよい。コントローラー214は、ガスメーター信号に基づいて気体混合ユニット222または注入システム216を作動させるように構成されてもよい。
【0045】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bなどの)pHセンサーからpH信号を受けるように構成されてもよく、かつ、灌流液回路204内の灌流液のpH範囲を決定するためにpH信号を使用してもよい。コントローラー214は、pHを望ましいまたは作動可能な範囲内に維持するために緩衝溶液(または別の流体)を灌流液回路204に提供するため、注入システム216のポンプ230のうち1つまたは複数を作動させてもよい。コントローラー214はまた、灌流液回路204内のpHレベルが許容可能範囲外になったなどであれば、pH信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。そうした実施例において、アラートは、臓器50が汚染されまたは損なわれたことを示す可能性がある。コントローラー214はまた、培地/灌流液中の酸素濃度に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。例えば、酸素濃度の急な低減は汚染の指標である可能性がある。
【0046】
任意で、ポンプ230の1つは、流体(例えば灌流液)を灌流液回路204の外にポンプ送りするためにコントローラー214よって作動可能などである、廃液ポンプであってもよい。そうした実施例において、タンク232の1つが、手動もしくは自動で空にするかまたはドレーンできる廃液タンクであってもよい。コントローラー214は、1つまたは複数のセンサー信号(例えば臓器健康状態信号またはpH信号)に基づいて、培地が望ましい範囲外(例えばpH)にあり、それを回復できないかまたはそうすることが効率的でないとコントローラー214が決定した時などに、灌流液回路204から培地を除去するために廃液ポンプを作動させてもよい。そうした決定がなされた時に、コントローラー214は、培地を灌流液回路204から出てタンク232(例えば232a)内に入るようにポンプ送りするために廃液ポンプを作動させてもよい。その後に、コントローラー214は、灌流液回路204内の培地を補充するために培地を別のタンク(例えば232b)から出るようにポンプ送りするため、別のポンプ230を作動させてもよい。任意で、システム200は、廃棄の培地または灌流液を除去するために、(手動でまたはコントローラー214によって作動される)制御弁によって作動されるドレーンを含んでいてもよい。
【0047】
別の実施例において、コントローラー214は、(インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bなどの)臓器健康状態センサーから臓器健康状態センサー信号を受けるように構成されてもよく、かつコントローラー214は、臓器健康状態センサー信号に基づいてポンプ206および気体移送ユニット208を作動させるように構成されてもよい。任意で、コントローラー214は、タンク232のうち1つまたは複数から灌流液回路204まで流体をポンプ送りするためにポンプ230のうち1つまたは複数を作動させるため、注入システム216を作動させてもよい。コントローラー214はまた、臓器健康状態センサー信号に基づいてアラートを生じるように構成されてもよい。いくつかの実施例において、臓器健康状態センサーは、1つまたは複数の代謝産物センサーであってもよい。
【0048】
コントローラー214は、臓器50および灌流液回路204の望ましい代謝産物レベルを維持するために1種または複数種の栄養素を灌流液回路204に注入するため、ポンプ230を作動させてもよい。臓器健康状態センサーは、灌流液の1つまたは複数のコンディションをモニターするように構成されたさまざまなタイプのセンサーであってもよい。例えば、臓器健康状態センサーは、灌流液のアンモニアの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたアンモニアセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、灌流液のグルタミンの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたグルタミンセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、灌流液の乳酸の濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成された乳酸センサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、灌流液の胆汁の濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成された胆汁センサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、灌流液のクレアチニンの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたクレアチニンセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、灌流液のアルブミンの濃度またはレベルに基づいて信号を生じるように構成されたアルブミンセンサーであってもよい。臓器健康状態センサーはまた、血液の活性化凝固時間(ACT)に基づいて信号を生じるための凝固時間センサーであってもよい。(第VII因子、第VIII因子、または第X因子などの)凝固因子もまた、血液、灌流液、または培地中でモニターされてもよい。いくつかの実施例において、コントローラー214は、健康状態センサーから健康状態信号を受けるように構成されてもよく、かつ、ACTが閾値を下回る(100秒を下回るなど)まで降下したならば抗凝固薬(ヘパリンなど)の注入を制御するように構成されてもよい。
【0049】
いくつかの実施例において、灌流液回路204に接続されたサンプリングポート235(図2に示す)が、灌流液回路から検体体積を取り出すために使用されてもよい。検体は手動で試験されてもよく、そして検体は輸送中のサンプリングおよび解析用に自動的に試験されてもよい。サンプリングポート235から収集された検体は、ATまたはBEOの機能の発達および維持に必要な生化学成分を注入システム216を通じて添加するために、コントローラー214によって使用されてもよい。さらに、サブシステムの自動サンプリングがコントローラー214によって行われてもよい。例えば、血液がシステムから自動的に引かれてもよく、かつACT、グルコース、またはアンモニアなどを測定するコンポーネントに送達されてもよい。
【0050】
いくつかの実施例において、血液または培地の検体がサンプリングポート235を通じて(またはグルコースセンサー212aを使用して)採取されてもよい。検体は、指定の期間にわたって灌流液のグルコース含有量について(コントローラー214などによって)アッセイされてもよい。これは、リリース仕様基準(release specification criteria)を満たす充分なグルコース消費レートをATまたはBEOが有しているかを決定するために行われてもよい。回路204内の灌流液のグルコースレベルが低すぎると決定された時は、回路204内にグルコースを注入するためにコントローラー214が注入システム216を作動させてもよい。
【0051】
いくつかの実施例において、一般に肝臓内でクリアランスされる指定用量の薬剤が指定の期間にわたって注入されてもよい((R)-ワルファリン、(S)-メフェニトイン、アセトアミノフェン、アプレピタント、アゾール、ベンゾジアゼピン、ベータ、カフェイン、カルシウム、カルバマゼピン、セレコキシブ、クラリスロマイシン、コデイン、シクロスポリン、デラビルジン、デキストロメトルファン、ジアゼパム、ジクロフェナク、エナラプリル、エリスロマイシン、エストラジオール、エストロゲン、フェンタニル、フィナステリド、フレカイニド、フルオキセチン、グリピジド、グリブリド、ハロペリドール、インジナビル、インドメタシン、リドカイン、ロピナビル、ロラチジン、メタドン、メキシレチン、モルヒネ、ネルフィナビル、ニフェジピン、オランザピン、オメプラゾール、オピオイド、ペンタミジン、フェノチアジン、フェニトイン、ピロキシカム、プレドニゾン、プロゲステロン、プロプラノロール、キニジン、リスペリドン、リトナビル、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、サキナビル、シルデナフィル、シロリムス、スタチン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、テストステロン、テオフィリン、トラマドール、トラゾドン、三環系、バルプロ酸塩、ベンラファキシン、ベラパミル、またはボリコナゾール)。肝臓BEO(臓器50)がリリース基準を満たす充分なレートで薬剤をクリアランスしているかを決定するために、血液または培地の検体がサンプリングポート235から周期的に採取されてもよく、かつ生体分析されてもよい。いくつかの実施例において、肝臓BEOがリリース仕様基準を満たす充分なアルブミン産生を有するかを決定するために、指定の期間にわたって血液または培地の検体がサンプリングポート235から採取されて、アルブミン含有量についてアッセイされてもよい。いくつかの実施例において、肝臓BEOがリリース仕様基準を満たす充分な胆汁産生を有するかを決定するために、指定の期間にわたって血液または培地の検体がサンプリングポート235から採取されて、アルブミン含有量についてアッセイされてもよい。いくつかの実施例において、腎臓BEO(臓器50)がリリース仕様基準を満たす糸球体濾過率を有するかを決定するために、指定の期間にわたって血液または培地の検体がサンプリングポート235から採取されて、クレアチニン、BSA、および/または尿素の含有量についてアッセイされてもよい。
【0052】
図4Aに、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステム400の後面図を図示する。図4Bに、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステム400の前面図を図示する。以下に図4Aおよび4Bをともに説明する。システム400は、上述したシステム200と同様であってもよく、そのすべての特徴を含んでいてもよい。システム400のコンポーネントを含むようにシステム200が修正されてもよい。
【0053】
図4Aは、システム400が(エンクロージャー202と同様の)エンクロージャー402に至る複数の接続を含んでいてもよいことを示しており、ここでその接続は、エンクロージャー402内の臓器の房もしくは脈管(または、区画もしくは部分)に直接接続してもよい。例えば、エンクロージャー402は、臓器のアウトレット部分に直接接続されてもよいアウトレット402bを含んでいてもよい。アウトレット402bは、(回路204と同様の)灌流液回路404に接続してもよい。灌流液回路404は、サンプリングポート、投与ポート、またはドレーンポートなどであってもよい、1つまたは複数のポート435を含んでいてもよい。アウトレット402bは、体積Vの、臓器周囲の灌流液または液体に接続してもよい。任意で、アウトレット402bは、エンクロージャー402内の臓器50の脈管に直接接続されてもよい。同様に、アウトレット402bは、サンプリングポート、投与ポート、またはドレーンポートなどであってもよいポート437に接続されてもよい。そうしたポートは、灌流液回路404内の培地のサンプリング、培地のドレーン、または培地の試験を可能にしてもよい。
【0054】
図4Bは、システム400が複数のインレットポート402aおよび402dを含んでいてもよいことを示している。システム400はまたアウトレットポート402cも含んでいてもよい。ポート402a、402c、および402dの各々は、それぞれ、試験またはサンプリング用のポート435a、435c、および435dを含むループに接続されてもよい。ポート402a、402c、および402dの各々についてのループの各々は、コントローラーに接続されてもよい隔離制御弁(例えば弁434d)もまた含んでいてもよい。隔離弁は任意で手動弁であってもよい。
【0055】
ポート402aは任意で、臓器のインレット房または脈管への直接接続であってもよい。ポート403aは、臓器内または流体体積中に流入するフローを可能にするなどのための、流体体積Vへの接続であってもよい。同様に、ポート402dは任意で、臓器50のインレット房または脈管(肝管など)への直接接続であってもよく、かつポート403dは流体体積Vへの接続であってもよい。ポート402cは任意で、臓器50のアウトレット房または脈管(下大静脈など)への直接接続であってもよく、かつポート403cは流体体積Vへの接続であってもよい。システム400はまた、フローを臓器50の1つもしくは複数の房または脈管内に導入することを可能にするスプリッター439も含んでいてもよい。
【0056】
図4Aおよび4Bはまた、開放系を作り出すためにシステム400を大気圧に接続するなどのため、エンクロージャー402の蓋にフィルター444およびアウトレット446が接続されてもよいことも示している。フィルター444は、周囲環境からの臓器50および流体の汚染を制限または防止することを助けてもよい。
【0057】
いくつかの実施例の作動において、臓器の房または脈管のうち1つまたは複数に至る直接フローなどのように、コントローラー(例えばコントローラー214)によって制御されてインレット402a~402dのうち1つまたは複数に灌流液が向けられてもよく、それは臓器を通る灌流の最適化を可能にする。臓器の、または、臓器の1つもしくは複数の脈管または房の、健康状態を決定するなどのために、インレットおよびアウトレットのループのいずれかが手動または自動でサンプリングされてもよい。
【0058】
図5に、本開示の少なくとも1つの実施例に基づく方法500の模式図を図示する。方法500は、BEOを試験、支持、および生育する方法であってもよい。方法500の段階またはオペレーションは、便宜性および明瞭性のために特定の順序で図示されている;論じられるオペレーションの多くは、他のオペレーションに著しい影響を及ぼすことなく、異なるシーケンスで、または並列で、行われうる。本明細書で論じる方法500は、複数の異なる行為者、デバイス、および/またはシステムによって行われるオペレーションを含む。理解される点として、方法500において論じられるオペレーションのサブセットは、単一の行為者、デバイス、またはシステムに帰属可能であり、別個のスタンドアロンのプロセスまたは方法とみなせる可能性がある。
【0059】
方法500は、臓器が灌流液インレットおよび灌流液アウトレットを含むエンクロージャー内に収容されてもよい段階502で始まる。例えば、臓器50がエンクロージャー202内に収容されてもよい。段階504にて、システムを通って灌流液を循環させるために、灌流液インレットおよび灌流液アウトレットに接続された灌流液回路を通って灌流液がポンプ送りされてもよい。例えば、システム200を通って灌流液を循環させるために、灌流液インレット202aおよび灌流液アウトレット202bに接続された灌流液回路204を通って灌流液がポンプ送りされてもよい。
【0060】
段階506にて、灌流液回路に接続された気体移送ユニットを使用して、灌流液に、または灌流液から、気体が移送されてもよい。例えば、気体移送ユニット208を使用して、灌流液回路204の灌流液に、または灌流液から、気体が移送されてもよい。段階508にて灌流液が加温または冷却されてもよい。加温または冷却は、インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bの温度信号に基づくなどして、コントローラーによって制御されてもよい。段階510にてセンサー信号がコントローラーによって受けられてもよい。例えば、インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bのセンサーのうち、1つまたは複数からの信号が、コントローラー214によって受けられてもよい。段階512にて、システムの作動が信号に基づいて修正されてもよい。例えば、図2および3に関して上述したような1つまたは複数の信号に基づいて、コントローラー214がシステム200の1つまたは複数のコンポーネントを作動させてもよい。
【0061】
いくつかの実施例において、注入システム(例えば注入システム216)が、灌流回路を介してシステム内に1種または複数種の栄養素を注入してもよい。別の実施例において、灌流液のコンディションに基づくセンサー信号が生じられてもよい。例えば、インレットセンサー群212aまたはアウトレットセンサー群212bがセンサー信号を生じてもよい。任意で、ポンプおよび注入システムがセンサー信号に基づいて作動されてもよい。例えば、コントローラー214が、信号に基づいてポンプ206または注入システム216を作動させてもよい。
【0062】
別の実施例において、気体移送ユニットに気体を送達するために気体混合ユニットが作動されてもよい。例えば、気体移送ユニット208に気体を送達するために気体混合ユニット222が作動されてもよい。任意で、気体移送ユニットに接続された複数の気体混合ユニット(例えば気体混合ユニット222)が、センサー信号に基づいて、異なる気体または異なる気体濃度を気体移送ユニットに提供するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、複数の気体制御弁がそれぞれ気体混合ユニット気体混合ユニットの1つに接続されかつそれぞれコントローラーと通信していてもよく、かつコントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために、その複数の気体制御弁を作動させるように構成されていてもよい。いくつかの実施例において、気体混合ユニットは、センサー信号に基づいて、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニットに送達してもよい。
【0063】
別の実施例において、センサーは、コントローラーに気体信号を送信するようにそれぞれ構成された複数の気体センサーであってもよく、かつコントローラーは、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されてもよく、かつコントローラーは、決定された臓器の気体消費量に基づいて臓器に気体混合物を供給するために複数の気体制御弁を作動させるように構成されてもよい。
【0064】
図6に、本明細書に論じる技法(例えば方法論)のうちいずれか1つまたは複数が行われうる例示的機械600のブロック図を図示する。本明細書に説明するような実施例は、機械600(システム200であってもよい)内の論理もしくはいくつかのコンポーネント、または機構を含んでいてもよく、またはそれによって作動されてもよい。サーキットリー(例えば処理サーキットリー)は、ハードウェア(例えば単純な回路、ゲート、論理など)を含む、機械600の有形エンティティにおいて実施される回路の集合である。サーキットリーのメンバーシップは経時的にフレキシブルであってもよい。サーキットリーには、作動時に指定の作動を単独でまたは組み合わせで行ってもよいメンバーが含まれる。一実施例において、サーキットリーのハードウェアは、特定の作動を行うように不変的に設計されてもよい(例えば配線されるなど)。一実施例において、サーキットリーのハードウェアは、可変接続された物理的コンポーネント(例えば実行ユニット、トランジスター、単純な回路など)を含んでいてもよく、それには、特定の作動の命令をエンコードするために物理的に修正される(例えば、不変質量粒子の、磁気的、電気的に移動可能な配置など)機械可読媒体も含まれる。物理的コンポーネントの接続において、ハードウェア構成要素の基礎的な電気特性が、例えば絶縁体から導体に、またはその逆などのように変更される。命令は、作動時に特定の作動の一部分を行うために、埋込みハードウェア(例えば実行ユニットまたはローディング機構)が可変接続を介してハードウェア内のサーキットリーのメンバーを作り出すことを可能にする。したがって、一実施例において、デバイスの作動時に、機械可読媒体要素はサーキットリーの一部であるか、またはサーキットリーの他のコンポーネントに通信可能的に連結される。一実施例において、物理的コンポーネントのいずれかが、1つより多いサーキットリーの1つより多いメンバーにおいて使用されてもよい。例えば、作動下において、実行ユニットが、1つの時点で第一サーキットリーの第一回路において使用され、かつ異なる時点で第一サーキットリー内の第二回路によって、または第二サーキットリー内の第三回路によって、再使用されてもよい。機械600に関するこれらコンポーネントのさらなる例を以下に示す。
【0065】
代替的態様において、機械600は、スタンドアロンのデバイスとして作動してもよく、または他の機械に接続(例えばネットワーク)されてもよい。ネットワーク式の展開において、機械600は、サーバー - クライアント・ネットワーク環境におけるサーバーマシン、クライアントマシン、またはその両方のキャパシティ内で作動してもよい。一実施例において、機械600は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境におけるピアマシンとして作用してもよい。機械600は、パーソナルコンピューター(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルーター、スイッチもしくはブリッジ、または、その機械が取るべきアクションを指定した(逐次的またはその他の)命令を実行できる任意の機械であってもよい。さらに、単一の機械のみが図示されているが、「機械」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータークラスター構成など、本明細書において論じる方法論のいずれか1つまたは複数を行うために命令セット(または複数の命令セット)を個別にまたは合同で実行する、機械の任意の集合もまた含むものとみなされるべきである。
【0066】
機械(例えばコンピューターシステム)600は、ハードウェアプロセッサー602(例えば中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、ハードウェアプロセッサーコア、もしくはそれらの任意の組み合わせ)、主メモリ604、静的メモリ(例えば、ファームウェア、マイクロコード、基本入出力(BIOS)、ユニファイド・エクステンシブル・ファームウェア・インタフェース(UEFI)などのための、メモリもしくはストレージ)606、および大容量ストレージ608(例えばハードドライブ、テープドライブ、フラッシュストレージ、または他のブロックデバイス)を含んでいてもよく、その一部または全部がインターリンク(例えばバス)630を介して互いに通信していてもよい。機械600は、ディスプレイユニット610、英数字入力デバイス612(例えばキーボード)、およびユーザーインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス614(例えばマウス)をさらに含んでいてもよい。一実施例において、ディスプレイユニット610、入力デバイス612、およびUIナビゲーションデバイス614が、タッチスクリーンディスプレイであってもよい。機械600は、ストレージデバイス(例えばドライブユニット)608;信号生成デバイス618(例えばスピーカー);ネットワークインターフェースデバイス620;および、汎地球測位システム(GPS)センサー、コンパス、加速度計、もしくは他のセンサーなど、1つまたは複数のセンサー616を追加的に含んでいてもよい。機械600は、1つまたは複数の周辺デバイス(例えばプリンター、カードリーダーなど)と通信しまたはこれを制御するために、直列接続(例えばユニバーサルシリアルバス(USB))、並列接続、または他の有線もしくは無線接続(例えば赤外(IR)、近距離無線通信(NFC)など)などの出力コントローラー628を含んでいてもよい。
【0067】
プロセッサー602、主メモリ604、静的メモリ606、または大容量ストレージ608のレジスターは、機械可読媒体622であるかまたはこれを含んでいてもよい;そこには、本明細書に説明する技法または機能のいずれか1つもしくは複数を、具現化するかまたはこれによって利用される、データ構造または命令624の1つもしくは複数のセット(例えばソフトウェア)が保存される。命令624もまた、機械600による実行中に、プロセッサー602、主メモリ604、静的メモリ606、または大容量ストレージ608のいずれかのレジスター内に、完全にまたは少なくとも部分的に存在してもよい。一実施例において、ハードウェアプロセッサー602、主メモリ604、静的メモリ606、もしくは大容量ストレージ608のうち1つ、またはその任意の組み合わせが、機械可読媒体622を構成してもよい。機械可読媒体622は単一の媒体として図示されているが、「機械可読媒体(machine readable medium)」という用語には、1つまたは複数の命令624を保存するように構成された、単一の媒体または複数の媒体(例えば集中型もしくは分散型のデータベース、ならびに/または、関連するキャッシュおよびサーバー)が含まれうる。
【0068】
「機械可読媒体」という用語には、機械600によって実行されかつ本開示の技法のうち1つまたは複数を機械600に行わせる命令を、保存、エンコード、もしくは搬送できる任意の媒体;または、そうした命令によって使用されもしくはそうした命令に関連するデータ構造を、保存、エンコード、もしくは搬送できる任意の媒体;が含まれうる。機械可読媒体の非限定例には、固体メモリ、光学媒体、磁気媒体、および信号(例えば無線周波信号、他の光子ベースの信号、音信号など)が含まれうる。一実施例において、非一時的な機械可読媒体は、不変(例えば静止)質量を有しゆえに物質の組成である複数の粒子を備えた、機械可読媒体を具備する。したがって、非一時的な機械可読媒体は、一時的な伝搬信号を含まない機械可読媒体である。非一時的な機械可読媒体の具体例には、半導体メモリデバイス(例えば、電気的にプログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能なプログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM))、およびフラッシュメモリデバイスなどの、不揮発性メモリ;内蔵ハードディスクおよび取り外し可能なディスクなどの、磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに、CD-ROMディスクおよびDVD-ROMディスクが含まれうる。
【0069】
命令624はさらに、多数の転送プロトコル(例えばフレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)など)のうちいずれか1つを利用するネットワークインターフェースデバイス620を介して、伝送媒体を使用した通信ネットワーク626上で送信または受信されてもよい。通信ネットワークの例には、とりわけ、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えばインターネット)、携帯電話ネットワーク(例えばセルラーネットワーク)、在来電話(POTS)ネットワーク、ならびに、無線データネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)として公知であるInstitute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.11標準ファミリー、WiMax(登録商標)として公知であるIEEE 802.16標準ファミリー)、IEEE 802.15.4標準ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークなどが含まれうる。一実施例において、ネットワークインターフェースデバイス620は、通信ネットワーク626に接続するために、1つもしくは複数の物理的ジャック(例えばイーサネットジャック、同軸ジャック、もしくは電話ジャック)、または、1つもしくは複数のアンテナを含んでいてもよい。一実施例において、ネットワークインターフェースデバイス620は、単入力多出力(SIMO)技法、多入力多出力(MIMO)技法、または多入力単出力(MISO)技法のうち、少なくとも1つを使用して無線通信するために、複数のアンテナを含んでいてもよい。「伝送媒体」という用語は、機械600によって実行されるための命令を保存、エンコード、もしくは搬送できる、任意の無形媒体を含むものとして取られるべきであり、そうしたソフトウェアの通信を容易にするためのデジタルもしくはアナログの通信信号、または他の無形媒体を含む。伝送媒体は機械可読媒体である。
【0070】
図7に、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステム700の模式図を図示する。システム700は上述したシステム200と同様であってもよい;システム700は、真空ポンプおよび二次ポンプなどの、追加的な特徴またはコンポーネントを含んでいてもよい。上述または後述するいずれかのシステムが、システム700の特徴を含むように修正されてもよい。システム700において、システム200と同様の符番を伴うコンポーネントは、上述のように接続されかつ作動してもよい同様のコンポーネントを参照する可能性がある。
【0071】
より具体的には、システム700は、回路704に接続されてもよくかつ灌流液回路704を通して灌流液を循環させるように構成されてもよい、二次ポンプ748を含んでいてもよい。二次ポンプ748は容積式ポンプ、遠心ポンプ、または軸流ポンプであってもよい。二次ポンプ748は、流体のダメージを制限することを助けるために低剪断ポンプであってもよく、任意で可逆式であってもよい。いくつかの実施例において、ポンプ748は、持続タイプのポンプ、または(ダンピングを伴うかもしくは伴わない)蠕動タイプのポンプであってもよい。いくつかの実施例において、二次ポンプ748は、一次ポンプ706の下流、かつエンクロージャー702の上流に位置してもよい。
【0072】
システム700はまた、二次ポンプ748の吐出と二次インレット702cとの間に位置する二次インレットセンサー群750も含んでいてもよい。二次インレットセンサー群750は、任意で、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、O2センサー、CO2センサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を含んでいてもよい。各センサーは、エンクロージャー702の上流で灌流液回路704に接続されていてもよい(かつ任意でエンクロージャー702内にあってもよい)。二次インレットセンサー群750は、1つまたは複数の信号をコントローラー714に送信するように構成されてもよい。
【0073】
システム700はまた、エンクロージャー702内に少なくとも部分的に位置しかつコントローラー714に接続されたエンクロージャーセンサー群751も含んでいてもよい。エンクロージャーセンサー群751は、任意で、圧力センサー、温度センサー、流量計、グルコースセンサー、O2センサー、CO2センサー、または他のセンサーのうち、1つまたは複数を含んでいてもよい。
【0074】
システム700の1つもしくは複数のセンサー信号に基づいて、または、その信号を使用してなされる1つもしくは複数の決定に基づいて、コントローラー714がポンプ748の作動を制御できるように、二次ポンプ748がコントローラー714に接続しかつこれと通信していてもよい。同様に、二次インレットセンサー750がコントローラー714に接続しかつこれと通信していてもよい。コントローラー714は、二次インレットセンサー群750またはシステム700の他の任意のセンサーからの、1つまたは複数の信号に基づいて、一次ポンプ706および二次ポンプ748のうち1つまたは複数を作動させるように構成されてもよい。
【0075】
システム700の作動において、一次ポンプ706は、臓器50の1つもしくは複数の一次回路または一次脈管に(例えば直接)接続されてもよいインレット702aを通じて、流体(灌流液または血液など)を提供または送達するように構成されてもよい。コントローラー714は、臓器50の一次回路を適切に灌流するための圧力または流量で灌流液をインレット702aに送達するために、一次ポンプ706の作動を制御してもよい。一方で、ポンプ748は、一次脈管とは異なる作動圧力または流量を要する可能性がある、臓器50の1つもしくは複数の二次回路または二次脈管に、流体を送達するように構成されてもよい。コントローラー714は、臓器50の二次脈管を適切に灌流するための圧力または流量で灌流液をインレット702cに送達するために、ポンプ748の作動を制御してもよい。この様式において、システム700は、臓器の健康状態または生育を向上させるための、フロー分配のフレキシビリティまたは可変性を有することができる。
【0076】
図7はまた、システム700が、アウトレットまたはベント702dに接続されてもよい真空ポンプ752を含んでいてもよいことも示している。エンクロージャー702内の空気(または気体)の圧力において真空を作り出すように構成された真空ポンプ752をコントローラー714が作動できるように、真空ポンプ752がコントローラー714に接続されてもよい。大気圧と比較して負圧(またはより低い圧力)を伴う環境を作り出すことは、臓器の外側部分など、臓器を通る灌流液および細胞の灌流を促すことを助ける可能性があり、それは、生物工学的臓器の健康状態または生育を向上させることを助ける可能性がある。
【0077】
図7はまた、エンクロージャー702が、エンクロージャー702の1つまたは複数の壁に接続されてもよい支持部754を含んでいてもよいことも示している。支持部754は、臓器50の生育、脱細胞化、または再細胞化中に臓器の形状および機能を維持することを助けるために、エンクロージャー702内で臓器50を支持または懸架してもよい。
【0078】
さらに、図7は、システム700がインジケーター756を含んでいてもよいことを示している。インジケーター756は、コントローラー714に接続された一連のライトまたは他の視覚的インジケーターであってもよい。インジケーター756は、システム700の1つもしくは複数の信号に基づいて、または、その信号を使用してなされる1つもしくは複数の決定に基づいて、ライト(例えば赤、黄、緑)のうち1つもしくは複数の点灯または可能化を制御するために、コントローラー714から信号を受けるように構成されてもよい。
【0079】
図7はまた、システム700が力センサー758a~758cを含んでいてもよいことも示している。力センサー758aはタンク732aに接続されていてもよく、力センサー758cはタンク732bに接続されていてもよく、かつ力センサー758cはタンク732cに接続されていてもよい。力センサー758は、各タンクの重量と相関させるなどのために、タンクによって印加される力に基づいて信号を生じるように構成された、スケールまたは他の力センサーであってもよい。力センサー758は、力信号をそれに送信するなどのために、コントローラー714に接続されかつこれと通信していてもよい。例えば、力センサー758aがタンクの重量または質量に基づいて力信号を生じてもよく、その信号は、タンク732a内の流体の重量を決定するためにコントローラー714に送信されてもよい。コントローラー714は、タンク732aの流体の体積または重量における変化を決定するために力信号を使用してもよく、それは、質量、重量、または体積に基づいてタンク732aから流体を注入するために714がポンプ730を制御することを可能にする。このようにして、コントローラー714は、重量または質量によって栄養素を回路704内に注入するためにポンプ730を作動させることができる。
【0080】
システム700はまた、それぞれのタンク732a~732cに接続された撹拌デバイス760a~760cも含んでいてもよい。撹拌デバイス760a~760cはそれぞれのタンク732a~732c内に位置してもよく、または、それぞれのポンプ730a~730cの下流もしくは上流で回路内に位置してもよい。タンク732内で、またはそこからポンプ送りされる際に、内容物を混合するために、コントローラー714が1つまたは複数の撹拌デバイス760a~760cを作動できるように、各ミキサー760はコントローラー714と通信したモーターを含んでいてもよい。それによって、撹拌デバイス760a~760cは、溶液の均一な分布を促すことを助ける可能性があり、それは沈降または分離する細胞溶液にとって重要である可能性がある。
【0081】
そしてまた、インレットセンサー群712aが、インレット702aの上流など回路704内における1つまたは複数の気泡の検出に基づいて気泡信号を生じるように構成された気泡センサーを含んでいてもよい。インレットセンサー群712aは、回路704内の気泡の存在をコントローラー714が検出できるように気泡信号を送信するなどのために、コントローラー714と通信していてもよい。回路704内に気泡が検出されたら、気泡が臓器50(ATまたはBEO)に入ることを制限することを助けるため、かつ臓器50への損傷を制限することを助けるために、ポンプを停止させるなど、コントローラー714が一次ポンプ706を作動させてもよい。
【0082】
図8に、バイオ工学的臓器の生育および支持のためのシステム700の模式図を図示する。システム700は上述したシステム200と同様であってもよい;システム700は、真空ポンプおよび二次ポンプなどの、追加的な特徴またはコンポーネントを含んでいてもよい。上述または後述するいずれかのシステムが、システム700の特徴を含むように修正されてもよい。システム700において、システム200と同様の符番を伴うコンポーネントは、上述のように接続されかつ作動してもよい同様のコンポーネントを参照する可能性がある。
【0083】
図7を参照して上述したように、システム700は、コントローラー714に接続されてもよい二次ポンプ748および真空ポンプ752を含んでいてもよい。システム700はまた、コントローラー714に接続されてもよいインジケーター756も含んでいてもよい。二次インレット702cに流入する灌流液の流量または圧力を制御することなどによって、二次インレット702cに流入する灌流液のフローを制御するために、二次ポンプ748がコントローラー714によって作動されてもよい。例えば、圧力センサー信号または流量信号など、二次インレットセンサー群750からの1つまたは複数の信号に基づいて、二次インレット702cに流入する灌流液の流量または圧力を制御するために、コントローラー714がポンプ748を作動させてもよい。コントローラー714は、臓器50の最適な生育または健康状態に基づいて、灌流液の流量および圧力を制御してもよい。例えばポンプ748は、例えば0~100 ml/分のフローを0~100 mm Hgの圧力で送達するように制御されてもよい。
【0084】
コンテナ内の気体圧、空気圧、または周囲圧力を灌流液52に対して制御するために、真空ポンプ752がコントローラー714によって作動されてもよい。例えば、圧力センサー信号などエンクロージャーセンサー群751からの1つまたは複数の信号に基づいて、エンクロージャー702内の気体の圧力を制御するために、コントローラー714が真空ポンプ752を作動させてもよい。臓器50の生育または健康状態を最適化するためにエンクロージャー702内の圧力を維持するために、コントローラー714が真空ポンプ752を制御してもよい。例えば、0~-50 mm Hgの真空計圧力など、エンクロージャー702内の圧力を維持するために、二次インレットセンサー群750が制御されてもよい。
【0085】
インジケーター756は、さまざまな色を発光するライトなど、1つまたは複数の視覚的インジケーターを含んでいてもよい。例えばインジケーター756は、赤色のライト、黄色のライト、および緑色のライトを含んでいてもよい。コントローラー714は、システム700からの1つまたは複数の信号に基づいて、ライトの各々を制御してもよい。例えばコントローラー714は、システム700が正常に作動している時に緑色のライトを可能化してもよい。コントローラー714は、システム700の作動が異常であり注意を要する時に黄色のライトを可能化してもよい。コントローラー714は、システム700の作動が最適状態に及ばないかまたは注意もしくは行為をただちに要する時に赤色のライトを可能化してもよい。任意で、システム700の1つもしくは複数のセンサー信号に基づくか、または、システム700の1つもしくは複数の信号に基づきコントローラー714によってなされた1つもしくは複数の決定に基づくなどして、ライトがフラッシュまたは明滅するように制御されてもよい。
【実施例
【0086】
注記および実施例
以下の非限定例は、とりわけ、本明細書において論じる課題を解決し恩典を提供するための、本対象事項の特定の局面を詳述する。
【0087】
実施例1は、以下を具備する、臓器を生育または支持するためのシステムである:その中の該臓器を灌流液フロー中で支持するように構成されたエンクロージャーであって、該エンクロージャーを通りかつ該臓器を通って該灌流液フローを受けるための灌流液インレットおよび灌流液アウトレットを含む、エンクロージャー;該灌流液インレットおよび該灌流液アウトレットに接続され、かつ該システムおよび該臓器を通して灌流液を循環させるように構成された、灌流液回路;該回路に接続され、かつ該灌流液回路を通して灌流液を循環させるように構成された、灌流ポンプ;該灌流液回路に接続され、かつ該灌流液に、および該灌流液から、気体を移送するように構成された、気体移送ユニット;該灌流液回路に接続され、かつ該灌流液のコンディションに基づくセンサー信号を生じるように構成された、センサー;該システム内に栄養素を注入するように構成された、該灌流回路に接続された注入システム;ならびに、該ポンプ、該気体移送ユニット、および該注入システムを該センサー信号に基づいて作動させるように構成された、コントローラー。
【0088】
実施例2において、実施例1の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに接続され、かつ該気体移送ユニットに気体を送達するように構成された、気体混合ユニット。
【0089】
実施例3において、実施例2の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニットが、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニットに送達すること。
【0090】
実施例4において、実施例3の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニットに接続され、かつコントローラーと通信している気体制御弁であって、該コントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために気体制御弁を作動させるように構成された、気体制御弁。
【0091】
実施例5において、実施例4の対象事項が任意で以下を含む:センサーが、コントローラーに気体信号を送信するように構成された気体センサーであり、該コントローラーが、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されていること;および、該コントローラーが、該決定された臓器の気体消費量に基づいて該臓器に気体混合物を供給するために気体弁を作動させるように構成されていること。
【0092】
実施例6において、実施例5の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニットに接続され、かつコントローラーにガスメーター信号を送信するように構成されたガスメーターであって、該コントローラーが、ガスメーター信号に基づいて制御弁を作動させるように構成された、ガスメーター。
【0093】
実施例7において、実施例3~6のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに接続され、かつ異なる気体または異なる気体濃度を該気体移送ユニットにするように構成された、複数の気体混合ユニット。
【0094】
実施例8において、実施例7の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニット気体混合ユニットのうち1つにそれぞれ接続されており、かつコントローラーとそれぞれ通信している、複数の気体制御弁であって、該コントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために複数の気体制御弁を作動させるように構成された、複数の気体制御弁。
【0095】
実施例9において、実施例8の対象事項が任意で以下を含む:センサーが、コントローラーに気体信号を送信するようにそれぞれ構成された複数の気体センサーであり、該コントローラーが、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されていること;および、該コントローラーが、該決定された臓器の気体消費量に基づいて該臓器に気体混合物を供給するために、複数の気体制御弁を作動させるように構成されていること。
【0096】
実施例10において、実施例3~9のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットが酸素付加器であること。
【0097】
実施例11において、実施例10の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットがエアセパレーターを含んでいること。
【0098】
実施例12において、実施例2~11のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットを通じて灌流液と熱交換するために該気体移送ユニットに接続された加温システム。
【0099】
実施例13において、実施例12の対象事項が任意で以下を含む:エンクロージャーの上流で前記回路に接続されたインレット温度センサーであって、該エンクロージャーに入る灌流液のインレット温度に基づいてインレット温度信号を生じるように構成された、インレット温度センサー;および、該エンクロージャーの下流で前記回路に接続されたアウトレット温度センサーであって、該エンクロージャーから出る灌流液のアウトレット温度に基づいてアウトレット温度信号を生じるように構成された、アウトレット温度センサー。
【0100】
実施例14において、実施例13の対象事項が任意で以下を含む:コントローラーが、インレット温度信号およびアウトレット温度信号を受信するように;かつ、該インレット温度信号および該アウトレット温度信号に基づいて、ポンプ、気体移送ユニット、および加温システムを作動させるように;構成されていること。
【0101】
実施例15において、実施例1~14のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:エンクロージャーの上流で灌流液回路に接続され、かつコントローラーと通信している注入システムであって、該コントローラーが、灌流液に栄養補助剤を送達するためにセンサー信号に基づいて注入システムを作動させるように構成された、注入システム。
【0102】
実施例16において、実施例15の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、灌流液に栄養補助剤を送達するようにそれぞれ構成された複数の注入ポンプを含み;コントローラーが、該灌流液に栄養補助剤を送達するためにセンサー信号に基づいて該注入ポンプの各々を作動させるように構成されていること。
【0103】
実施例17において、実施例16の対象事項が任意で以下であってもよい:前記複数の注入ポンプが、細胞培養培地、細胞、グルタミン、グルコース、緩衝剤、塩化ナトリウム、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、薬剤、アンモニア(塩化アンモニウム)、HEPES(C8H18N2O4S)、重炭酸ナトリウム、インスリン、エピネフリン、アルブミン、リノール酸、デキサメタゾン、およびグルカゴンのうち1種または複数種を、灌流液および臓器に送達するようにそれぞれ構成されていること。
【0104】
実施例18において、実施例16~17のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、前記複数の注入ポンプおよび栄養補助剤を支持するエンクロージャーを含むこと。
【0105】
実施例19において、実施例18の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、該注入システムの環境を冷却するように構成された冷却システムを含み;該冷却システムはコントローラーと通信しており;該コントローラーは、該注入システムの環境の望ましい温度を維持するために該冷却システムを作動させるように構成されていること。
【0106】
実施例20において、実施例18~19のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:注入システムが、該注入システムの環境を冷却するように構成された冷却システムを含み;該冷却システムはコントローラーと通信しており;該コントローラーは、該注入システムの環境の望ましい温度を維持するために該冷却システムを作動させるように構成されていること。
【0107】
実施例21において、実施例20の対象事項が任意で以下を含む:エンクロージャーのインレットにて灌流液回路に接続されたインレット制御弁であって、コントローラーと通信しているインレット制御弁;ならびに、該エンクロージャーのアウトレットにて該灌流液回路に接続されたアウトレット制御弁であって、該エンクロージャーおよび臓器を隔離するために該インレット制御弁および該アウトレット制御弁を作動させるように構成された該コントローラーと通信している、アウトレット制御弁。
【0108】
実施例22において、実施例1~21のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:灌流液ポンプの下流で回路に接続され、かつ臓器の二次脈管を通して灌流液を循環させるように構成された、二次灌流液ポンプ。
【0109】
実施例23において、実施例1~22のいずれか1つまたは複数の対象事項が任意で以下を含む:エンクロージャーに接続され、かつ該エンクロージャー内で負の空気圧を作り出すように構成された、真空ポンプ。
【0110】
実施例24は、以下の段階を包含する、システムを使用して臓器を生育または支持するための方法である:灌流液インレットおよび灌流液アウトレットを含むエンクロージャー内に臓器を収容する段階;該システムを通して灌流液を循環させるために、該灌流液インレットおよび該灌流液アウトレットに接続された灌流液回路を通して灌流液をポンプ送りする段階;該灌流液回路に接続された気体移送ユニットを使用して、該灌流液に、または該灌流液から、気体を移送する段階;該灌流回路に接続された注入システムを使用して、該システム内に栄養素を注入する段階。
【0111】
実施例25において、実施例24の対象事項が任意で以下を含む:灌流液のコンディションに基づくセンサー信号を生じる段階;ならびに、該センサー信号に基づいてポンプおよび注入システムを作動させる段階。
【0112】
実施例26において、実施例25の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに気体を送達するために気体混合ユニットを作動させる段階。
【0113】
実施例27において、実施例26の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニットが、センサー信号に基づいて、二酸化炭素、二酸素、窒素、またはアルゴンのうち、1種または複数種を気体移送ユニットに送達すること。
【0114】
実施例28において、実施例27の対象事項が任意で以下を含む:気体移送ユニットに接続され、かつセンサー信号に基づいて異なる気体または異なる気体濃度を該気体移送ユニットに提供するように構成された、複数の気体混合ユニットを作動させる段階。
【0115】
実施例29において、実施例28の対象事項が任意で以下を含む:気体混合ユニット気体混合ユニットのうち1つにそれぞれ接続されており、かつコントローラーとそれぞれ通信している、複数の気体制御弁を作動させる段階であって、該コントローラーが、センサー信号に基づいて気体移送ユニットに気体を送達するために複数の気体制御弁を作動させるように構成された、段階。
【0116】
実施例30において、実施例29の対象事項が任意で以下を含む:センサーが、コントローラーに気体信号を送信するようにそれぞれ構成された、複数の気体センサーであり、該コントローラーが、センサー信号に基づいて臓器の気体消費量を決定するように構成されていること;および、該コントローラーが、該決定された臓器の気体消費量に基づいて該臓器に気体混合物を供給するために、複数の気体制御弁を作動させるように構成されていること。
【0117】
実施例31は、実施例1~29のいずれかを実施するための手段を具備する装置である。
【0118】
実施例32は、実施例1~29のいずれかを実施するためのシステムである。
【0119】
実施例33は、実施例1~29のいずれかを実施するための方法である。
【0120】
実施例34において、実施例1~33のいずれか1つまたは任意の組み合わせの、装置または方法は、具陳されたすべての要素または選択肢が、これを使用しまたは選び取るために利用可能であるように、任意で構成されていてもよい。
【0121】
以上の詳細な説明は、詳細な説明の一部をなす添付の図面への参照を含む。図面は、本発明が実践されうる具体的態様を実例として示している。これらの態様はまた、本明細書において「実施例(examples)」ともいう。そうした実施例は、図示および説明された要素に加えて、さらに要素を含む可能性がある。しかし、本発明者らはまた、図示または説明された要素のみが提供された実施例もまた企図している。さらに、本発明者らはまた、本明細書に図示または説明される、特定の実施例(またはその1つもしくは複数の局面)かまたは他の実施例(またはその1つもしくは複数の局面)かのいずれかに関して、図示または説明されたそれら要素(またはその1つもしくは複数の局面)の任意の組み合わせまたは順列を使用した実施例もまた企図している。
【0122】
本文書と、参照により組み入れられるいずれかの文書との間に、語法の不一致が生じた場合は、本文書における語法が支配する。本文書において、「~を含む(including)」および「~である(in which)」という用語は、「~を具備する(comprising)」および「~である(wherein)」というそれぞれの用語の、平易な英語による相当語句として用いられる。そしてまた、添付の特許請求の範囲において、「~を含む」および「~を具備する」という用語はオープンエンドである;すなわち、請求項内でそうした用語の後に列挙された要素に加えて、さらに要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスも、やはりその請求項の範囲内に入るとみなされる。
【0123】
本文書において、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、特許文書において一般的であるように、他の任意の事例、または「少なくとも1つの(at least one)」もしくは「1つまたは複数の(one or more)」の語法とは独立に、1つまたは1つより多いことを含めるために用いられる。本文書において、「または(もしくは)(or)」という用語は非排他的orを指すために用いられ、ゆえに「AまたはB(A or B)」は、別段の提示がない限り、「AであるがBでない(A but not B)」、「BであるがAでない(B but not A)」、および「AおよびB(A and B)」を含む。本文書において、「~を含む(including)」および「~である(in which)」という用語は、「~を具備する(comprising)」および「~である(wherein)」というそれぞれの用語の、平易な英語による相当語句として用いられる。そしてまた、添付の特許請求の範囲において、「~を含む」および「~を具備する」という用語はオープンエンドである;すなわち、請求項内でそうした用語の後に列挙された要素に加えて、さらに要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物、またはプロセスも、やはりその請求項の範囲内に入るとみなされる。さらに、添付の特許請求の範囲において、「第一の(first)」、「第二の(second)」、および「第三の(third)」などの用語はラベルとして用いられるにすぎず、それらのものに数的要件を課すことは意図されていない。
【0124】
上述の説明は制限的ではなく例証的なものであると意図されている。例えば、上述の実施例(またはその1つもしくは複数の局面)は、互いと組み合わせて用いられてもよい。上述の説明を検討したうえで、当業者などによって他の態様が用いられてもよい。要約は、本技術的開示の性質を読者が速やかに確かめることができるように、37 C.F.R. §1.72(b)に準拠して提供されるのであり、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために用いられるわけではないとの理解で提出されている。そしてまた、上述の詳細な説明において、本開示を簡素化するためにさまざまな特徴がグループ化されている可能性がある。これは、特許請求されていない開示特徴がいずれかの請求項に不可欠であることを意図しているものとして解釈されるべきでない。むしろ、本発明の対象事項は、特定の開示態様のすべての特徴より少ない特徴で存在する可能性がある。ゆえに、添付の特許請求の範囲は、実施例または態様として本明細書の詳細な説明に組み入れられ、各請求項がそれ自体で別個の態様として成り立ち、そうした態様がさまざまな組み合わせまたは順列で互いに組み合わせられてもよいことが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そうした特許請求の範囲が権利付与される等価物の全範囲とともに参照して、決定されるべきである。
図1
図2
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図7
図8
【国際調査報告】