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特表2024-538173ポリアミドの連続バッチ製造のためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ポリアミドの連続バッチ製造のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/28 20060101AFI20241010BHJP
   C08G 69/46 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08G69/28
C08G69/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523153
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-17
(86)【国際出願番号】 IB2022060085
(87)【国際公開番号】W WO2023067537
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2115260.8
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317013603
【氏名又は名称】インヴィスタ テキスタイルズ(ユー.ケー.)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ラングリック,チャールズ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ベンステッド,マイケル デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DB02
4J001DB03
4J001EA06
4J001EA08
4J001EA14
4J001EA15
4J001EA17
4J001EB04
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB46
4J001EC08
4J001EC09
4J001EC13
4J001EC15
4J001EC16
4J001GB02
4J001GB03
4J001GD02
4J001JB02
4J001JB06
4J001JB08
4J001JB12
(57)【要約】
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを含む、コポリアミドの連続バッチ製造のための重合プロセスであって、(a)テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンのコポリアミドモノマー単位をバッチ容器に導入して、反応混合物を提供する工程と、(b)当該バッチ容器にエンドキャッピング剤と、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の少なくとも1つのコモノマーと、を導入する工程と、(c)バッチ容器の内容物を、当該コポリアミドを形成するのに十分な条件に供する工程と、(d)容器から当該コポリアミド生成物を回収する工程と、を含み、バッチ容器が、バッチ間で洗浄されない、重合プロセス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを含む、コポリアミドの連続バッチを製造するための重合プロセスであって、
(a)テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンのコポリアミドモノマー単位をバッチ容器に導入して、反応混合物を提供する工程と、
(b)前記バッチ容器にエンドキャッピング剤と、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の少なくとも1つのコモノマーと、を導入する工程と、
(c)バッチ容器内容物を、前記コポリアミドを形成するのに十分な条件に供する工程と、
(d)前記容器からコポリアミド生成物を回収する工程と、を含み、
前記バッチ容器が、バッチ間で洗浄されない、重合プロセス。
【請求項2】
前記プロセスが、前記工程(a)~(d)に従って、前記コポリアミドの第1のバッチの製造及び前記バッチ容器からのその回収を含み、前記コポリアミドの第2のバッチ及び任意選択的に前記コポリアミドの少なくとも1つの後続のバッチの製造を更に含み、前記第2及び任意選択的な後続のバッチの各々の製造工程が、前記工程(a)~(d)に対応する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
各製造バッチにおける工程(d)の完了時に、ヒールとして定義される残留コポリアミド生成物が、前記バッチ容器内に残り、前記第2及び任意選択的な後続のバッチが、先行バッチの前記ヒール上で処理され、好ましくは、前記ヒールの量が、前記バッチからの最大理論収率の10重量%以下に相当する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応混合物が、溶媒、好ましくは水を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記テレフタル酸、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、エンドキャッピング剤、及び他のコモノマーが、混合容器内で接触させられ、次いで、好ましくは供給溶液の形態で、前記バッチ容器内に導入される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記アジピン酸、及び前記コポリアミドを作製するのに必要な前記ヘキサメチレンジアミンの全量の一部分が、ナイロン塩の形態にあり、好ましくは、前記一部分が、アジピン酸の量に対してほぼ化学量論量の前記ヘキサメチレンジアミンである、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記テレフタル酸、前記塩、及び前記他のコモノマーが、混合容器内で接触させられ、追加のヘキサメチレンジアミンが、それに添加され、前記エンドキャッピング剤が、前記テレフタル酸、前記塩、及び前記他のコモノマーと接触させられ得るか、又は前記テレフタル酸、前記塩、及び前記他のコモノマーを含む混合物に、前記追加のヘキサメチレンジアミンと同時に又は同じ組成で添加され得る、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記反応混合物中のジアミンの総量、好ましくは、前記反応混合物中のヘキサメチレンジアミンの総量が、アジピン酸と、テレフタル酸と、前記他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して過剰であり、好ましくは、前記過剰が、アジピン酸と、テレフタル酸と、前記他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせた前記モル量に対して0.1~5.0m%である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記バッチ容器が、約320psiaの最大圧力に供され、最大圧力段階中の前記容器内容物の最大温度が、最終コポリアミド生成物の融点未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記バッチ容器の最終内容物の温度が、最大320℃に制限される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記バッチ容器が、オートクレーブである、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記コポリアミド生成物が、0.5~2.5m%、好ましくは1.0~2.0m%のエンドキャッピング剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記コポリアミド生成物が、0.5~6.0m%、好ましくは2.0~6.0m%、好ましくは2.0~5.5m%、好ましくは2.0~5.0m%、好ましくは2.0~4.5m%の、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の1つ以上のコモノマーの各々を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記コポリアミド生成物が、4.5m%以下、好ましくは0.5~4.5m%、好ましくは2.0~4.5m%の、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の前記1つ以上のコモノマーの各々を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記コポリアミド生成物が、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の複数の前記コモノマーを含み、前記コモノマーの総量が、12m%以下、好ましくは10m%以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記コポリアミド生成物が、25~45m%の、6T成分として定義されるヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率を示す、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記コポリアミド生成物が、50~70m%の、66成分として定義されるヘキサメチレンアジパミドモル分率を示す、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記コポリアミド生成物が、35~45m%、特に40~45m%のヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率(6T成分)を示す場合、前記コポリアミド中に存在する、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の前記1つ以上のコモノマーのうちの少なくとも1つ、好ましくは前記1つ以上のコモノマーの各々の量が、2.5~6.0m%、好ましくは3.0~6.0m%、好ましくは3.5~6.0m%、好ましくは4.0~6.0m%の範囲にある、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記コポリアミド生成物が、35~45m%、特に40~45m%のヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率(6T成分)を示す場合、前記反応混合物中のヘキサメチレンジアミンの前記総量が、アジピン酸と、テレフタル酸と、前記他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせた前記モル量に対して過剰であり、前記過剰が、アジピン酸と、テレフタル酸と、前記他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせた前記モル量に対して3.0~5.0m%である、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記コポリアミド生成物が、35m%未満のヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率(6T成分)を示し、前記反応混合物中のヘキサメチレンジアミンの前記総量が、アジピン酸と、テレフタル酸と、前記他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせた前記モル量に対して過剰であり、前記過剰が、アジピン酸と、テレフタル酸と、前記他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせた前記モル量に対して0.1~3.0m%未満、好ましくは0.1~1.0m%である、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記エンドキャッピング剤が、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、ステアリン酸などの単官能性有機カルボン酸;単官能性有機アミン、好ましくは、n-ヘキシルアミンなどのアルキルアミン;アミン末端と反応して、エンドキャッピング5員イミド環構造を形成するコハク酸などの1,4-ジカルボン酸;アミン末端と反応して、エンドキャッピング5員イミド環構造を形成する無水フタル酸などの無水物;及びアミン末端と反応して、エンドキャッピング6員イミド環構造を形成する1,8-ナフタレン無水物などの無水物から選択され、好ましくは、前記エンドキャッピング剤が、酢酸である、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の前記少なくとも1つのコモノマーが、有機ジアミン、有機ジカルボン酸、有機アミノカルボン酸、及び有機ラクタムから選択され、好ましくは、前記有機ジアミンが、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、オクタンジアミン、m-キシリレンジアミン、2-メチルオクタンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ノナンジアミン、デカンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、及びイソホランジアミンから選択され、並びに/又は、好ましくは、前記有機ジカルボン酸が、アゼライン酸、イソフタル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸から選択され、並びに/又は、好ましくは、前記有機アミノカルボン酸が、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、及び12-アミノドデカン酸から選択され、並びに/又は、好ましくは、前記有機ラクタムが、カプロラクタム及びラウロラクタムから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の前記少なくとも1つのコモノマーが、イソフタル酸(I)、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項1~22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の前記少なくとも1つのコモノマーが、イソフタル酸(I)であり、好ましくは、前記コポリアミド生成物が、4.5m%以下、好ましくは0.5~4.5m%、好ましくは2.0~4.5m%の前記イソフタル酸(I)を含み、任意選択的に、前記イソフタル酸(I)が、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)と組み合わされている、請求項1~23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の前記少なくとも1つのコモノマーが、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)であり、好ましくは、前記コポリアミド生成物が、0.5~6.0m%、好ましくは2.0~6.0m%、好ましくは2.0~5.5m%、好ましくは2.0~5.0m%、好ましくは2.0~4.5m%の前記2-メチルペンタメチレンジアミン(D)を含み、任意選択的に、前記2-メチルペンタメチレンジアミン(D)が、イソフタル酸(I)と組み合わされている、請求項1~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記コポリアミド生成物が、半結晶性コポリアミドである、請求項1~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
ASTM D789法に従って、96%硫酸中のコポリアミド試料の1.0wt./vol.%溶液中で測定された相対粘度を示す前記コポリアミド生成物が、1.8~2.8の範囲であり、アミン末端基含量が、15~100mpmgの範囲である、請求項1~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記コポリアミド生成物が、220.0℃超、好ましくは少なくとも222.0℃、好ましくは225.0℃超、好ましくは少なくとも227.0℃、好ましくは少なくとも230.0℃、かつ好ましくは260.0℃以下、好ましくは255.0℃以下、好ましくは250.0℃以下の結晶化温度を示す、請求項1~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記コポリアミド生成物が、320.0℃以下、好ましくは少なくとも250.0℃の融点を示す、請求項1~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載のプロセスに従って作製されるコポリアミド。
【請求項31】
テレフタル酸と、アジピン酸と、ヘキサメチレンジアミンと、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の少なくとも1つのコモノマーと、エンドキャッピング剤とから誘導されるモノマー単位を含有するコポリアミドであって、ASTM D789法に従って、96%硫酸中の前記コポリアミド試料の1.0wt./vol.%溶液中で測定した相対粘度が、1.8~2.8の範囲であり、アミン末端基含量が、好ましくは15~160mpmgの範囲である、コポリアミド。
【請求項32】
前記コポリアミドが、請求項12~30のいずれか一項に定義されたとおりである、請求項31に記載のコポリアミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年10月22日に出願された英国出願第2115260.8号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン、並びに少量の少なくとも1つの他のコモノマー(各々6モル%未満)及びエンドキャッピング剤(0.5~2.5モル%)を含む、半結晶性ポリアミドの連続バッチを作製するためのプロセスが、開示される。
【背景技術】
【0003】
バッチオートクレーブ技術及び当技術分野で周知の資産を使用して、PA66などのポリアミドを製造するための従来の加水分解重合が、M I Kohanによって、Nylon Plastics Handbook(Section 2.3,pp.17-20,ISBN 1-56990-189-9)に記載されている。
【0004】
加水分解重合プロセスは、液体及び気体からなる二相プロセスである。ガスは、大部分が、液体内の気泡(したがって二相)として、又は液体の上のガスとして存在する水蒸気(スチーム)である。液相は、重合中にその性質を、溶解したモノマーの性質から、溶解したモノマーとオリゴマーとの混合物を経て、重合プロセスの終わりに溶融ポリマーへと変化させる。溶解度限界を超えること、種が形成されるにつれて融点が達成されないこと、又は分岐種を生じさせる分解のいずれかによる、固体又は他の不均質性、例えば、ゲルの形成は、有害であり、重合プロセス中の慎重な温度及び圧力制御によって、意図的に回避される。均質な二相系を保持することができないことは、「フェーズアウト」として説明され得る。
【0005】
フェーズアウトは、厚い部分及び薄い部分(「ブロブ(blobs)」及び「シン(thins)」として説明され得る)の形成を伴うキャスティング時の不均質な溶融レース;キャスティング時のサージングにつながる不均一な粘性挙動、すなわち、短い時間スケールで、粘度の急激な変化がある;過剰量の気泡の巻き込み;ポリマーの溶融挙動のキャスティング後分析で、ポリマーの予想される融点を超える高融点種、「高溶融物(high melts)」又は「未溶融物(un-melts)」の集団が見出されることがある;ポリマーの凝固挙動のキャスティング後分析で、核剤が存在するポリマーで一般的に起こると予想されるよりも高い温度で、ポリマーが凝固し始めることが、見出されることがある;又はポリマーのキャスティング後分析で、ポリマー全体が溶媒に可溶性ではなく、ゲル形成を示すことが見出されることがあるなど、フェーズアウトの程度にも依存し得る様々な方式で現れることがある。
【0006】
いくらかの小レベルの「未溶融物」は許容され得るが、高すぎるレベルは、許容不能なペレット化性能、及び形状不良ペレットのレベルに起因する低収率、又は更にはバッチを「投棄」する必要性をもたらすであろう。
【0007】
対照的に、良好なキャスティング性能は、均質な溶融レース;ブロブ又はシンを引き起こすサージングがないこと;全ての粘度変化が遅く緩やかであること(ポリマーは、キャスティング中継続する重合のために、キャスティングの開始時に終了時よりも低い溶融粘度を示し得るが、これは、容易に補償されることが、当技術分野で周知である)、及びレースは、視認可能な気泡を実質的に含まないか、又は少なくともレース中の全ての気泡は、小さく、かつ低いキャスティング性能をもたらさないような、許容可能なレベルにあること、によって特徴付けられ得る。
【0008】
商業バッチ運転では、重合オートクレーブの溶融内容物が、所望の重合度に達したとき、内容物は、容器から排出され、この排出は、溶融ポリマーのストランドとしてであり得、ストランドは、次いで、しばしば水浴又はスルース中で冷却され、ペレットに形成される。しかしながら、オートクレーブ容器の全内容物は、容器から容易には排出されず、内容物の一部分が、容器内の壁及び他の表面に付着したままである。反応器の内表面上のこの少量のポリマーは、しばしば「ヒール」と称される。排出後、バルブが、閉じられる。
【0009】
各バッチの後にこのヒールを取り除くことは不経済的であり、したがって、次のバッチのモノマー供給原料、通常は高温濃縮水性供給原料を、ヒールが存在するオートクレーブに装入することが望ましいであろう。しかしながら、高温供給原料は、ヒールを構成するポリマーの凝固点又は融点よりも低温であり、したがって、ヒールは、ヒールが存在する場所で凝固する。この結果、この次のバッチが処理及び重合されるときに、ヒールは、熱処理を受ける。熱処理は、ヒールのアニーリング、形成された任意のポリマー結晶子を完全にすること、及びそれらの融点を上昇させることの、当技術分野で周知のプロセスを誘発し得る。この追加の熱処理はまた、最終ポリマー中の追加の熱分解物レベルにも寄与するであろう。ヒールと高温供給原料との間の界面で、加水分解が起こって、ヒールの表面を高温液体中に部分的に溶解することがある。したがって、ヒールは、ヒールが完全に加水分解されたか、又はシステムの温度が、ヒールが流動化するのに十分に高い場合にのみ、この次のバッチに戻されて完全に組み込まれる。しかしながら、アニーリング段階中に作り出されたよりも高い融点の種が依然として存在し得、それらの種は、システムが、それらを破壊するのに十分に高い温度に達するまで持続する。
【0010】
したがって、バッチ-オン-バッチ又は連続バッチを作製するこのモードは、清浄なオートクレーブ上で単一バッチを作製することを超えるそれ自体の課題を有し、清浄なオートクレーブからのものとはわずかに異なる特性を有するポリマーを製造し得る。連続バッチ間でバッチ容器内にヒールを保持しながら、コポリアミドの連続バッチ製造の課題に対処するために、当技術分野において、様々なアプローチが提案されている。
【0011】
従来、ジアミン及びジカルボン酸から作製されるポリアミドの繰り返し単位を命名する技術は、第1の文字が、ジアミンを表し(又は標識し)、第2の文字が、ジカルボン酸を表す(又は標識する)ものである。モノマー、すなわちヘキサメチレンジアミン(6)及びテレフタル酸(T)から誘導されるヘキサメチレンテレフタルアミド(6T又はPA6T)の繰り返し単位を含むポリアミドは、市販されている。
【0012】
これらの6T含有コポリアミドは、作製すること及びフェーズアウトを回避することが特に困難であることが既知であるが、例えば、それらの耐酸化性、高融点、高ガラス転移温度、高熱変形温度、又はより良好な難燃系特性のために、高温環境で良好に機能するそれらの能力が、それらを、PA6又はPA66などのポリアミドが、用途の要求を満たそうと四苦八苦するであろう、より極端な用途での使用のための魅力的なポリマーにする。
【0013】
PA6Tホモポリマーは、それ自体扱いにくく、約350~370℃で融解する。したがって、そのコポリマーは、溶融処理が可能であり、熱分解のレベルが許容されるレベルまで融点を低下させるように作製される。そのような融点の低減に影響を与えるコモノマーは、アジピン酸(6)又はイソフタル酸(I)などの追加のジカルボン酸;又は2-メチルペンタメチレンジアミン(D)などの追加のジアミン;又は6-アミノカプロン酸(6-ACA)などのアミノ酸;又はカプロラクタムなどのラクタム、又はこれらの組み合わせに基づき得る。
【0014】
以下に限定されないが、複合化、射出成形などの方法による、の商業製造、及び、のその後の溶融処理のためには、約260℃~310℃の融点を有するポリマーを製造することが好ましい。これよりも低ければ、従来のPA66(ヘキサメチレンアジパミド)ポリマーに勝る利点がほとんどなく、この温度範囲を上回ると、特に脂肪族ジカルボン酸がポリマーの一部を構成する場合、分解反応が問題となる。
【0015】
大きい投資コストを回避するために、PA66を作製するように設計されている商業資産で、そのような6T含有ポリマーを製造することができることが、非常に望ましいであろう。PA66オートクレーブは、典型的には、約320psiaの最大作動圧力で、及び約330℃で十分に安全マージン内にある内容物を用いて動作するように設計されるが、それらは、PA66を製造する場合、典型的には約265psia及び290℃で動作され得る。
【0016】
溶液粘度などの最終生成物特性を達成するために、時間、温度、圧力、真空の深さなど、当技術分野において一般的に用いられるプロセス変数を利用することができることも、望ましい。同様に、アミン末端基レベル(amine end group、AEG)などの最終生成物特性を達成するために、過剰のジアミン又はジカルボン酸などの、当技術分野で一般に用いられる通常の配合変数を利用すること。最終生成物特性を達成する際にプロセス変数と配合変数との間に相互作用があることが、当技術分野において周知であり、高温でのより長い期間などを考慮する手段は、より高いヘキサメチレンジアミン損失レベルをもたらして、損失を補償するために追加のヘキサメチレンジアミンを添加することを必要とすることがある。
【0017】
他の添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光及びUV安定剤、顔料、潤滑剤、核剤、触媒、酸掃去剤、並びに当技術分野で既知の他の添加剤が、重合の任意の好都合な段階中に任意選択的に添加され得る。
【0018】
米国特許第3,941,755号(R.D.Chapman et al.Monsanto Co.)は、60~80m%(すなわち、モル%)の6Tを含み、10~30%の沸騰水収縮率を有する繊維形成性PA6T/6Iコポリマーを特許請求している。フェーズアウトの問題が、パラグラフカラム2ライン24に記載されており、7.2±0.2のpHを有する6T及び6I塩を使用し、必要に応じて、可塑剤の存在下で重合を行って、少量ではあるが有効量の熱安定剤を含有させる、又は7.2±0.2の間のpHを有する6T及び6I塩を使用し、重合の第2のサイクルを完了するのにかかる時間を35±5分に注意深く制御し(一定の圧力を維持しながら、反応混合物を約250psigで約220℃から300℃~310℃まで加熱する場合)、かつ、必要に応じて、可塑剤の存在下で重合を行う(パラグラフカラム2ライン36)、のいずれかによる、フェーズアウトを防止する手段が、記載されている。
【0019】
米国特許第4,238,603号(R.D.Chapman et al、Monsanto Co.)は、連続バッチを作製するバッチオートクレーブ中で60m%超の6Tを含むPA6T/6Iを作製する問題を記載しており、ヒールが、次のバッチ中で完全には融解せず、「ポリマー不均一性」と称される状態である、ポリマー中に粒子をもたらす。
【0020】
米国特許第4,501,882号(L.W.Plischke、Monsanto Co.)は、連続バッチ間で容器を洗浄することなしに連続バッチを作製することを可能にするのに十分な量で、水酸化ナトリウムなどの塩基を添加することによって、45~80m%の6Tを含むPA6T/6Iコポリマーの連続(successive)(連続(consecutive))バッチを調製するためのプロセスを特許請求している。
【0021】
米国特許第5,302,691号(R.R.Soelch、Du Pont Canada Inc.)は、連続バッチ間でオートクレーブを洗浄するための工程を取らずに、同じオートクレーブ上でPA6T/DT(Dは2-メチルペンタメチレンジアミン(2-methylpentamethylenediamine、2-MPMD)である)を作製するときに生じる問題を記載している。
【0022】
欧州特許第655,076号(C.Leboeuf、Dupont Canada Inc.)は、連続バッチを実行する(すなわち、バッチ間での洗浄なしに)バッチオートクレーブ上でのPA6T/DTの製造のための高圧プロセスを記載している。
【0023】
米国特許第5,656,717号(C.Lebouef、Du Pont Canada Inc.)は、欧州特許第655,076号と同じ問題を記載している。
【0024】
Thermochimica Acta 1998,319,201(M Y Keating)に開示されているZytel(登録商標)HTN 501(Dupont)は、PA6T/DT 50/50w%(この場合m%と同じであり、二酸全体がテレフタル酸であることに留意されたい)であり、Grivory(登録商標)HT XE 3733(EMS)は、第1のサブカテゴリのメンバーであろうから、米国特許出願公開第2002/0173584号(M.Ebert et al、EMS)に開示されているPA6T/6I 70/30m%であり、Zytel(登録商標)HTN502(Dupont)は、米国特許出願公開第2011/0015328号(Y.Orihashi、Dupont)に開示されているPA66/6T 45/55m%であり、Amodel(登録商標)A1000(Solvay)は、米国特許第5436294号(G.P.Desio et al、Amoco Corp.)に開示されているPA66/6T/6I 10/65/25(それぞれ、アジピン酸/テレフタル酸/イソフタル酸モル%(m%))であり、第2のカテゴリ内に入るであろう。
【0025】
脂肪族ジカルボン酸、特にアジピン酸は、熱分解に対してより敏感であり、したがって、高い溶融温度での長時間は、望ましくない脂肪酸セグメントの分解を引き起こすであろう。更に、この問題は、PA66/6T及びPA66/6T/6Iポリフタルアミドのより高い融点に起因して、PA66重合の問題よりも深刻である。製造者にとっての課題は、重合及び満足なポリマー品質を依然として達成しながら、分解を最小化するプロセスを考案することである。
【0026】
PA66/6Tは、十分に確立されたコポリアミドである。Schlack(独国特許第929151号)は、PA66/6Tコポリマーの加水分解溶融重合調製及び50モル%6T(50m%6T)までの組成物の融点について報告した。ポリマーの連続バッチを作製することは、考慮されなかった。
【0027】
純粋なホモポリマーの融点間の、何らかの組成における、最小値への融点の降下に見舞われるほとんどのコポリマー系とは異なり、PA66/6Tは、6T繰り返し単位のPA66結晶格子への同形性を示し、同形性とは、A.J.Yu及びR.D.Evensによって報告されているように(J.Polymn.Sci,1960,XLII,249-257)、PA66/6Tでは、20m%6Tあたりを上回るレベルにおいて、融点が、PA66及びPA6Tホモポリマーの融点間で徐々に上昇する傾向があることを意味する。
【0028】
英国特許第1,114,541号(O.B.Edgar)は、主要割合のPA66、少なくとも20w%のPA6T、及び少割合の第3のコポリアミド、例えば、PA6I、好ましくは、20~40w%のPA6T及び5~10w%の第3のコポリマーで構成される三元コポリアミドを特許請求している。実施例1は、1モルの酢酸を使用して作製されたPA66/6T/6I 58/31.5/10.5w%(60/30/10m%)コポリマーであり、ポリマー100万グラム当たり44モルのアセチル末端があるかどうかを分析している。実施例2は、0.55モルの酢酸を使用して作製されたPA66/6T/6I 72.8/21.9/5.3(74.7/20.6/4.7m%)コポリマーである。
【0029】
米国再発行特許第34447号(米国特許第4603166号の再発行、W.Poppe et al、Amoco Corp.)は、それぞれ、65~90/25~0/35~5m%の範囲(6I/66モル比は3未満:1である)を有するPA6T/6I/66コポリマーを製造するためのプロセスを記載しており、第1のプロセス低分子量プレポリマーが作製され、このプレポリマーが、その後のプロセスで高分子量ポリマーに変換される。例示された1つのプロセスは、モノマーの水溶液を一緒に高温(328℃)及び高圧(1800psig)で短時間(40秒)加熱した後、フラッシュ反応器に供給することによって、非常に低分子量のプレポリマー(ポリアミドオリゴマー)を迅速に作製することからなり、フラッシュ反応器では、反応混合物が、333℃まで到達し得る一方、圧力が、約10秒の滞留時間で、約0~400psigに低減され(フラッシュ反応器は、バッチ、バッチ連続、又は連続モードで操作され得る)、次いで、例えば、分子量を上昇させるように構成された二軸スクリュー反応器/押出機内で重縮合を完了する。別のプロセスでは、低分子量プレポリマーが、約315℃及び130psigの圧力のバッチ反応器内で作製され、顆粒として単離され、その後、分子量を上昇させるように構成された二軸スクリュー反応器/押出機に供給されるものとして例示されている。そのような多工程プロセスは、従来の単工程オートクレーブプロセスよりも複雑である。
【0030】
出願公開第昭61,159,422号(K.Koichi et al、Toray Ind Inc.)は、最高溶融温度を、得られるコポリマーの溶融点を5~15℃上回って制限することによって、20~60w%の6T(約19~38m%)を含有するPA66/6Tポリマーを製造するためのプロセスを記載している。ポリマーの分子量を制御するために、塩をベースとする、酢酸などの0.7~4.0m%の粘度安定剤が、添加される。
【0031】
出願公開第平04,337,323号(S.Kataoka et al、Toray Ind Inc.)は、良好な耐熱性、耐薬品性、低吸水性、凍結防止耐性、寸法安定性、及び改善された溶融滞留安定性を有するブロー成形用ポリアミド樹脂を製造するための方法に関する。
【0032】
欧州特許第3,502,165号(Rhodia Operations)は、PA66/6Tコポリアミドを調整する際の使用済みオートクレーブの付着物の問題を記載しており、この付着物は、定期的に徹底的な洗浄によって除去されなければならない。この特許は、圧力を解放する前にコポリアミドの最終融点よりも高い温度まで温度を上昇させることによって、少なくとも1.2MPaの圧力のオートクレーブ中で塩の濃縮混合物を重合し、生成物を造粒する前に、更なる重合を継続させることを可能にすることによって、50モル%未満の6T単位を含むコポリアミドを製造するためのプロセスを特許請求している。
【0033】
米国特許第10875962号(M.D.Benstead、INVISTA North America S.A.R.L.)は、10~39m%の6Tを含むPA66/6Tを含むポリアミドコポリマーを作製する方法、及び連続バッチモードで(すなわち、前のバッチのヒール上で)そのようなポリマーを作製する方法を記載している。分子量を制限してキャスティング性能を改善するために、酢酸が、任意選択的に、エンドキャッピング剤として0.1~10m%の量で添加される。
【0034】
本発明の目的は、上述した問題のうちの1つ以上に対処することである。具体的には、本発明の目的は、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを、特に6Tの相対的に高いモル分率で含む半結晶性ポリアミドの連続バッチを製造するための改善されたプロセスを提供することである。本発明の特定の目的は、良好な生成物品質を保持しながら、ヒール保持の問題に対処することである。有利には、プロセスは、既存の商業資産、例えば、PA66を製造するために好適な商業資産上で動作可能であるべきである。
【発明の概要】
【0035】
本発明者らは、驚くべきことに、0.5~2.5m%のエンドキャッピング剤の慎重な組み込み、及び0.5~6.0m%の少量の少なくとも1つの他のコモノマー(本明細書では破壊剤とも称される)の組み込みによって、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを含む、半結晶性ポリアミドの連続オートクレーブバッチを製造するための重合プロセスを実施することが可能であることを見出し、ここで、m%6Tは、25~45m%及び約320psiaの最大圧力においてであり、最終ポリマーの融点未満である、最高圧力段階中の最大内容物温度、及び最終内容物温度を最大約320℃に制限すること。
【0036】
理論によって本発明の範囲を限定するものではないが、6Tを含むコポリマーの製造に関して本明細書に記載されている問題は、6T繰り返し単位のブロックの形成の結果であり、またコポリアミド鎖に沿った、同形系内の6Tリッチブロックとして理解されることを意味するということが、本発明者らの主張である。そのようなブロックの長さには、系の統計及び動態によって判定される分布が存在するであろう。高いm%レベルの6Tを有する系では、より低いm%の6Tを有する系と比較して、大きい割合のより長いブロック長を形成するより大きい統計的機会が存在する。テレフタル酸、及び脂肪族であり、より反応性が高いアジピン酸のような、重合を受ける他のカルボン酸の反応性の間に有意な差異が存在する系では、これにより、鎖が成長するにつれて、動力学的組成ドリフトがもたらされる可能性がある。例えば、PA66/6Tでは、PA66リッチポリマーが、最初に形成され、PA6Tリッチセグメントは、後に形成され得る。したがって、6Tは、初期組成を超えて濃縮され、反応性が同等であった場合よりも長い6T繰り返し単位ブロックを形成する可能性が高い。
【0037】
半結晶性ポリマーでは、結晶子中のラメラが厚いほど、その融点は高くなる(B.Wunderlich & G.Czornyj;Macromolecules,1977,19(5),906-913にあるようなギブス-トムソン方程式)。6T繰り返し単位ブロックが長いほど、それらは、より大きな結晶を形成し、したがって、より高い融点を示す能力が高い。したがって、そのようなブロックが溶融重合プロセス中に形成される場合、それらは、一緒に凝集する可能性があり、塊の温度が、形成された6T繰り返し単位ブロックの長さに対して十分に高くない場合、それらは、結晶化する、すなわち、フェーズアウトする可能性がある。フェーズアウトの量は、溶融ポリマーの流体質量の残りのごくわずかな部分から、系全体の凍結まで変化し得る。
【0038】
先に述べたように、バッチ間の洗浄なしにバッチ-オン-バッチ(又は連続バッチ)モードでポリマーを製造する場合、後続の重合中に加熱及びアニールされている、前のバッチからのポリマーの残留ヒールが存在する。このアニーリングプロセス中、6T繰り返し単位の結晶は、再配列を可能にするのに十分な熱運動により成長し得る。その結果、それらの融点が上昇し、清浄なオートクレーブ上でポリマーの単一バッチを作製する場合には観察されない、満足なポリマーを製造する問題として現れるであろう。
【0039】
本発明で使用するのに好適な他のコモノマー(又は破壊剤)、すなわち、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミンではないものは、有機ジアミン、例えば(以下に限定されないが)、ペンタメチレンジアミン;2-メチルペンタメチレンジアミン;オクタンジアミン;m-キシリレンジアミン;2-メチルオクタンジアミン;ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン;ノナンジアミン;デカンジアミン;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン;並びにイソホランジアミン(isophoranediamine)、及び/又は有機ジカルボン酸、例えば(以下に限定されないが)、アゼライン酸;イソフタル酸;セバシン酸;ドデカン二酸;並びに2,6-ナフタネン(naphthanene)ジカルボン酸、及び/又は有機アミノカルボン酸、例えば(以下に限定されないが)、6-アミノヘキサン酸;7-アミノヘプタン酸;11-アミノウンデカン酸;並びに12-アミノドデカン酸、及び/又は有機ラクタム、例えば(以下に限定されないが)カプロラクタム;並びにラウロラクタムであり得る。本発明で使用される好ましい他のコモノマーは、イソフタル酸(I)、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0040】
典型的には、当該コモノマーのうちの2つ以下が、コポリアミド中に存在する。
【0041】
コポリアミド中に複数のコモノマーが存在する場合、コモノマーの総量は、好ましくは12m%以下、好ましくは10m%以下である。
【0042】
当該コモノマーは、コポリアミド生成物のポリマー鎖の主鎖に組み込まれることが理解されるであろう。
【0043】
理論によって本発明の範囲を限定することなく、そのようなコモノマーは、6T繰り返し単位ブロック内に挿入して、それらの長さを低減し、したがって、ラメラをより厚くし、このようにして結晶化時に高融点結晶子を形成する能力を低減する、と考えられる。したがって、そのようなコモノマーは、破壊剤と考えられ、かつ本明細書でそのように称され得る。過剰な量のコモノマーが使用される場合、良好な引張強度又は衝撃強度などの他の望ましい特性が達成不能になるほど、ポリマーの融点が、低減するか、又はポリマーの結晶化度が、低減する可能性がある。
【0044】
同様に、エンドキャッピング剤は、6Tブロックが形成し得る長さを制限し、したがって、ラメラをより厚くし、このようにして結晶化時に高融点結晶子を形成する能力を削減し得る。過剰量のエンドキャッピング剤が存在する場合、良好な引張強さ又は衝撃強さなどの他の望ましい特性が達成不能になるほど、ポリマーの分子量が、低減する可能性がある。
【0045】
本発明者らは、エンドキャッパ及び他のコモノマーを前述の範囲に含めることが、ポリマーの製造中のヒール蓄積を低減又は最小化する一方で、同時に高性能の最終生成物が提供され、特に、機械的特性(引張強度及び/又は衝撃強度など)が、維持若しくは改善されること、及び/又はポリマーの融点の有意な低減を伴わないことを見出した。本発明は、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを含み、m%6Tが、30~45m%、特に35~45m%、特に40~45m%である、特に有利な半結晶性ポリアミドである。
【0046】
本発明のプロセスは、有利には、バッチ間洗浄を最小化又は回避し、したがって、追加の溶媒の使用及びそのような洗浄で使用された使用済み溶媒の処分を持続的に低減する。更に、本発明は、生産性を改善すること、及びオフターゲット又は欠陥生成物を最小化することによって、製造プロセスの持続可能性、効率、及び経済性を改善する。
【0047】
本発明のプロセスは、連続バッチにおける生成物の相対粘度を少なくとも維持しながら、又はその有意な降下なしにのいずれかで、コポリアミドの連続バッチ製造を可能にする。本明細書で使用される場合、相対粘度の有意な降下は、連続バッチ内の、又は最大4つの連続バッチのサイクルにわたる相対粘度(relative viscosity、RVS、以下で定義される)の0.5超の降下として定義される。好ましくは、本発明のプロセスは、0.5以下、好ましくは0.4以下、好ましくは0.3以下、好ましくは0.2以下、好ましくは0.1以下の、連続バッチ内の(及び好ましくは最大4つの連続バッチのサイクルにわたる)相対粘度(RVS)の降下を示す。
【0048】
単官能性有機カルボン酸、例えば、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、ステアリン酸など、及び単官能性有機アミン、特にアルキルアミン、例えば、n-ヘキシルアミンなどを含む、当技術分野で既知又は慣用の任意の好適なエンドキャッピング剤が、使用され得る。1,4-ジカルボン酸、例えば、コハク酸もまた、それらが、アミン末端と反応して、エンドキャッピング5員イミド環構造を形成することができるので、既知のエンドキャッピング剤である。他のエンドキャッピング剤としては、エンドキャッピング5員イミド環構造を形成することができる無水フタル酸、及びエンドキャッピング6員イミド環構造を形成することができる1,8-ナフタレン無水物などの無水物が、挙げられる。特に有用なのは、単官能性有機酸(すなわち、1つのジカルボン酸基を有する)及び単官能性有機アミン(すなわち、1つのアミン基を有する)である。好ましいエンドキャッピング剤は、酢酸(acetic acid、AcOH)である。1つ以上のエンドキャッピング剤が使用され得るが、典型的には、ただ1つのエンドキャッピング剤が、使用される。
【0049】
2-メチルペンタメチレンジアミン(D)は、商品名INVISTA Dytek(登録商標)Aアミンで市販されている。INVISTA DYTEK(登録商標)Aアミンは、2-メチルグルタロニトリル(すなわち「MGN」、methylglutaronitrile)を水素化することによって商業的に製造される。MGNは、アジポニトリル(すなわち「ADN」、adiponitrile)製造のブタジエン二重ヒドロシアン化プロセスからの副生成物として得られる分岐Cジニトリルである。さもなければ処分されるMGN副生成物は、INVISTA Dytek(登録商標)Aアミンの製造にリサイクル及び再利用され得る。したがって、本発明における2-メチルペンタメチレンジアミンの使用は、持続可能かつ有利に、アミン含量をリサイクルする。
【0050】
本発明のプロセスによって製造されるコポリアミドは、好ましくはブロックコポリマーではなく、代わりに、好ましくはランダムコポリマー、又は本質的にランダムコポリマーである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明によれば、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを含み、m%6Tが、25~45m%の範囲、かつ0.5~6.0m%の範囲の少量の少なくとも1つの他のコモノマー及び0.5~2.5m%のエンドキャッピング剤の組み込みである、半結晶性ポリアミドが、バッチ間でオートクレーブを洗浄することなしに、連続バッチモード(バッチ-オン-バッチ)で、バッチオートクレーブ中で製造され得る。
【0052】
重合のための反応物は、任意の好都合な形態で、及び任意の好都合な温度及び圧力で、オートクレーブに導入され得る。一実施形態では、テレフタル酸、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、エンドキャッピング剤、及び少なくとも1つの他のコモノマーを含む、濃縮された(25w%以下の水)塩水溶液が、PA66について当技術分野で十分に実施されている方法と同様の様式で、好都合な温度、圧力、及び濃度で蒸発器容器から供給される。別の実施形態では、テレフタル酸、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、エンドキャッピング剤、及び少なくとも1つの他のコモノマーを含む、適度に濃縮された(40w%以上の水)塩水溶液が、好都合な温度、圧力、及び濃度でオートクレーブに供給される。
【0053】
バッチの重合は、6つのサイクルにおいて実施されるものとして便宜的に説明され得る。
【0054】
第1のサイクルでは、上記のモノマー及び反応物を含む塩水溶液が、調整されたオートクレーブ容器に導入され、塩溶液の導入を待つ。任意選択的に、消泡剤、触媒などの他の添加剤が、この段階で添加され得る。塩溶液が適度に希釈されている場合、水を蒸発させるために、内容物を加熱して排気を行うことができ、圧力は、約30psia~250psiaの設定点に制御され得、温度が約160℃~200℃の設定点に達したときに、排気が停止される。塩溶液が十分に濃縮されている場合、全ての高温溶液(約160℃~200℃である)が添加されると、第2のサイクルが開始する。
【0055】
第2のサイクルでは、加熱を継続して、圧力及び温度を上昇させる。第2のサイクルは、圧力が、約250psiaと、プロセスの最大圧力である320psiaとの間の設定点に達したときに、終了する。
【0056】
第3のサイクルでは、温度が、約245℃~290℃の、及び最終ポリマーの融点未満である設定点まで上昇する間に、排気が始まる。
【0057】
第4のサイクルでは、圧力が、最大圧力から大気圧まで低減され、圧力低減は、中間保持圧力及び最終ポリマーの融点を上回り得る設定点温度目標を用いて段階的に行われ得るか、又は単一の一様な圧力低減であり得る。第4のサイクルは、約15分~120分、好ましくは約25分~40分、より好ましくは30分~35分かかり得る。
【0058】
第5のサイク中に圧力が大気圧に達したときに、システムは、自由に排気させて、水を含む蒸気を蒸発させ得、溶融内容物をそれらの最終温度にし、所望の特性の最終ポリアミドをもたらす任意の所望の長さの時間保持する。任意選択的に、真空が、このサイクル中に、所望の特性の最終ポリアミドをもたらす任意の長さの時間にわたって、任意の深さの真空で、印加され得る。
【0059】
第6のサイクルでは、典型的には窒素ガスを適用することによって、オートクレーブに小さい圧力を加え、ポリマーを、キャスティングバルブを介して押し出し、当技術分野で周知の手段によってペレットに成形する。
【0060】
キャスティングバルブが窒素ガスを吹き通し始めたときに、キャスティングが完了し、キャスティングバルブが閉じられる。キャスティングされなかったポリマー残留物、ヒールが、オートクレーブ内に残っていることに留意されたい。
【0061】
ここで、オートクレーブは、次のバッチのサイクル1に戻り、塩水溶液の導入を待つ準備が整う。サイクルの各々の実施に伴う最適な時間、温度、圧力、真空の深さは、ポリマーの組成に依存していくらか変化するであろう。
【0062】
本発明は、特に、以下の番号付けされたステートメントによって定義される。
1.テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンを含む、コポリアミドの連続バッチを製造するための重合プロセスであって、
a.テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンのコポリアミドモノマー単位をバッチ容器に導入して、反応混合物を提供する工程と、
b.当該バッチ容器にエンドキャッピング剤と、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の少なくとも1つのコモノマーと、を導入する工程と、
c.バッチ容器内容物を、当該コポリアミドを形成するのに十分な条件に供する工程と、
d.容器から当該コポリアミド生成物を回収する工程と、を含み、
バッチ容器が、バッチ間で洗浄されない、プロセス。
2.プロセスが、当該工程(a)~(d)に従って、当該コポリアミドの第1のバッチの製造及び当該バッチ容器からのその回収を含み、当該コポリアミドの第2のバッチ及び任意選択的に当該コポリアミドの少なくとも1つの後続のバッチの製造を更に含み、当該第2及び任意選択的な後続のバッチの各々の製造工程が、当該工程(a)~(d)に対応する、ステートメント1に記載のプロセス。
3.各製造バッチにおける工程(d)の完了時に、ヒールとして定義される残留コポリアミド生成物が、バッチ容器内に残り、当該第2及び任意選択的な後続のバッチが、先行バッチのヒール上で処理され、好ましくは、当該ヒールの量が、バッチからの最大理論収率の10重量%以下に相当する、ステートメント1又は2に記載のプロセス。
4.当該反応混合物が、溶媒、好ましくは水を更に含む、ステートメント1~3のいずれかに記載のプロセス。
5.当該テレフタル酸、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、エンドキャッピング剤、及び他のコモノマーが、混合容器内で接触させられ、次いで、好ましくは供給溶液の形態で、当該バッチ容器内に導入される、ステートメント1~4のいずれかに記載のプロセス。
6.当該アジピン酸、及びコポリアミドを作製するのに必要な当該ヘキサメチレンジアミンの全量の一部分が、ナイロン塩の形態であり、好ましくは、当該一部分が、アジピン酸の量に対してほぼ化学量論量の当該ヘキサメチレンジアミンである、ステートメント1~5のいずれかに記載のプロセス。本明細書で使用される場合、「ほぼ化学量論量」という用語は、1.00:1.00のいずれかの側で10%以下、すなわち1.10:1.00~1.00:1.10の範囲のHMD:AA比を意味する。好ましくは、本プロセスによって達成可能な分子量を最大化するために、化学量論的塩が、使用される。
7.当該テレフタル酸、当該塩、及び当該他のコモノマーが、混合容器内で接触させられ、追加のヘキサメチレンジアミンが、それに添加され、当該エンドキャッピング剤が、当該テレフタル酸、当該塩、及び当該他のコモノマーと接触させられ得るか、又は当該テレフタル酸、当該塩、及び当該他のコモノマーを含む混合物に、当該追加のヘキサメチレンジアミンと同時に又は同じ組成で添加され得る、ステートメント6に記載のプロセス。
8.反応混合物中のジアミンの総量、好ましくは、反応混合物中のヘキサメチレンジアミンの総量が、アジピン酸と、テレフタル酸と、当該他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して過剰であり、好ましくは、当該過剰が、アジピン酸と、テレフタル酸と、当該他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して0.1~5.0m%である、ステートメント1~7のいずれかに記載のプロセス。
9.バッチ容器が、約320psiaの最大圧力に供され、最大圧力段階中の容器内容物の最大温度が、最終コポリアミド生成物の融点未満である、ステートメント1~8のいずれかに記載のプロセス。
10.バッチ容器の最終内容物の温度が、最大320℃に制限される、ステートメント1~9のいずれかに記載のプロセス。
11.バッチ容器が、オートクレーブである、ステートメント1~10のいずれかに記載のプロセス。
12.コポリアミド生成物が、0.5~2.5m%、好ましくは1.0~2.0m%のエンドキャッピング剤を含む、ステートメント1~11のいずれかに記載のプロセス。
13.コポリアミド生成物が、0.5~6.0m%、好ましくは2.0~6.0m%、好ましくは2.0~5.5m%、好ましくは2.0~5.0m%、好ましくは2.0~4.5m%の、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の当該1つ以上のコモノマーの各々を含む、ステートメント1~12のいずれかに記載のプロセス。
14.コポリアミド生成物が、4.5m%以下、好ましくは0.5~4.5m%、好ましくは2.0~4.5m%の、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の当該1つ以上のコモノマーの各々を含む、ステートメント1~12のいずれかに記載のプロセス。
15.コポリアミド生成物が、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の複数の当該コモノマーを含み、当該コモノマーの総量が、12m%以下、好ましくは10m%以下である、ステートメント1~14のいずれかに記載のプロセス。
16.コポリアミド生成物が、25~45m%の、6T成分として定義されるヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率を示す、ステートメント1~15のいずれかに記載のプロセス。
17.コポリアミド生成物が、50~70m%の、66成分として定義されるヘキサメチレンアジパミドモル分率を示す、ステートメント1~16のいずれかに記載のプロセス。
18.コポリアミド生成物が、35~45m%、特に40~45m%のヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率(6T成分)を示す場合、コポリアミド中に存在する、テレフタル酸、アジピン酸、又はヘキサメチレンジアミン以外の当該1つ以上のコモノマーのうちの少なくとも1つ、好ましくは当該1つ以上のコモノマーの各々の量が、2.5~6.0m%、好ましくは3.0~6.0m%、好ましくは3.5~6.0m%、及び好ましくは4.0~6.0m%の範囲にある、ステートメント1~17のいずれかに記載のプロセス。
19.コポリアミド生成物が、35~45m%、特に40~45m%のヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率(6T成分)を示す場合、反応混合物中のヘキサメチレンジアミンの総量が、アジピン酸と、テレフタル酸と、当該他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して過剰であり、当該過剰が、アジピン酸と、テレフタル酸と、当該他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して3.0~5.0m%である、ステートメント1~18のいずれかに記載のプロセス。
20.コポリアミド生成物が、35m%未満のヘキサメチレンテレフタルアミドモル分率(6T成分)を示し、反応混合物中のヘキサメチレンジアミンの総量が、アジピン酸と、テレフタル酸と、当該他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して過剰であり、当該過剰が、アジピン酸と、テレフタル酸と、当該他のコモノマーのうちの任意のカルボン酸含有化合物と、を合わせたモル量に対して0.1~3.0m%未満、好ましくは0.1~1.0m%である、ステートメント1~17のいずれかに記載のプロセス。
21.エンドキャッピング剤が、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、ステアリン酸などの単官能性有機カルボン酸;単官能性有機アミン、好ましくは、n-ヘキシルアミンなどのアルキルアミン;アミン末端と反応して、エンドキャッピング5員イミド環構造を形成するコハク酸などの1,4-ジカルボン酸;アミン末端と反応してエンドキャッピング5員イミド環構造を形成する無水フタル酸などの無水物;及びアミン末端と反応してエンドキャッピング6員イミド環構造を形成する1,8-ナフタレン無水物などの無水物から選択され、好ましくは、エンドキャッピング剤が、酢酸である、ステートメント1~20のいずれかに記載のプロセス。
22.テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の当該少なくとも1つのコモノマーが、有機ジアミン、有機ジカルボン酸、有機アミノカルボン酸、及び有機ラクタムから選択され、好ましくは、当該有機ジアミンが、ペンタメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、オクタンジアミン、m-キシリレンジアミン、2-メチルオクタンジアミン、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン、ノナンジアミン、デカンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、並びにイソホランジアミンから選択され、及び/又は、好ましくは、当該有機ジカルボン酸が、アゼライン酸、イソフタル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、並びに2,6-ナフタネンジカルボン酸から選択され、及び/又は、好ましくは、当該有機アミノカルボン酸が、6-アミノヘキサン酸、7-アミノヘプタン酸、11-アミノウンデカン酸、並びに12-アミノドデカン酸から選択され、及び/又は、好ましくは、当該有機ラクタムが、カプロラクタム及びラウロラクタムから選択される、ステートメント1~22のいずれかに記載のプロセス。
23.テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の当該少なくとも1つのコモノマーが、イソフタル酸(I)、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)、及びそれらの組み合わせから選択される、ステートメント1~22のいずれかに記載のプロセス。
24.テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の当該少なくとも1つのコモノマーが、イソフタル酸(I)であり、好ましくは、コポリアミド生成物が、4.5m%以下、好ましくは0.5~4.5m%、好ましくは2.0~4.5m%の当該イソフタル酸(I)を含み、任意選択的に、当該イソフタル酸(I)が、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)と組み合わされている、ステートメント1~23のいずれかに記載のプロセス。
25.テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の当該少なくとも1つのコモノマーが、2-メチルペンタメチレンジアミン(D)であり、好ましくは、コポリアミド生成物が、0.5~6.0m%、好ましくは2.0~6.0m%、好ましくは2.0~5.5m%、好ましくは2.0~5.0m%、好ましくは2.0~4.5m%の当該2-メチルペンタメチレンジアミン(D)を含み、任意選択的に、当該2-メチルペンタメチレンジアミン(D)が、イソフタル酸(I)と組み合わされている、ステートメント1~24のいずれかに記載のプロセス。
26.当該コポリアミド生成物が、半結晶性コポリアミドである、ステートメント1~25のいずれかに記載のプロセス。
27.ASTM D789法に従って、96%硫酸中のコポリアミド試料の1.0wt./vol.%溶液中で測定された相対粘度を示す当該コポリアミド生成物が、1.8~2.8の範囲であり、アミン末端基含量が、15~100mpmgの範囲である、ステートメント1~26のいずれかに記載のプロセス。
28.当該コポリアミド生成物が、220.0℃超、好ましくは少なくとも222.0℃、好ましくは225.0℃超、好ましくは少なくとも227.0℃、好ましくは少なくとも230.0℃、かつ好ましくは260.0℃以下、好ましくは255.0℃以下、好ましくは250.0℃以下の結晶化温度を示し、好ましくは、コポリアミド生成物の結晶化温度が、220.0℃超~260.0℃以下の範囲、好ましくは少なくとも222.0℃~260.0℃以下の範囲、好ましくは225.0℃超~260.0℃以下の範囲、好ましくは少なくとも227.0℃~260.0℃以下の範囲、好ましくは少なくとも230.0℃、好ましくは255.0℃以下、好ましくは250.0℃以下である、ステートメント1~27のいずれかに記載のプロセス。
29.当該コポリアミド生成物が、320.0℃以下、好ましくは少なくとも250.0℃の融点を示し、好ましくは、コポリアミド生成物の融点が、250.0~320.0℃の範囲である、ステートメント1~28のいずれかに記載のプロセス。
30.ステートメント1~29のいずれかに記載のプロセスに従って作製されるコポリアミド。
31.テレフタル酸と、アジピン酸と、ヘキサメチレンジアミンと、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミン以外の少なくとも1つのコモノマーと、エンドキャッピング剤とから誘導されるモノマー単位を含有するコポリアミドであって、ASTM D789法に従って、96%硫酸中のコポリアミド試料の1.0wt./vol.%溶液中で測定した相対粘度が、1.8~2.8の範囲であり、アミン末端基含量が、好ましくは15~160mpmgの範囲である、コポリアミド。
32.コポリアミドが、ステートメント12~30のいずれかに定義されたとおりである、ステートメント31に記載のコポリアミド。
測定及び試験
【0063】
ポリアミド樹脂の分子量は、典型的には、溶液粘度の測定によって推測される。2つの最も一般的な方法は、(i)相対粘度(relative viscosity、RV)測定のためのASTM D789、及び(ii)粘度数(viscosity number、VN)値を得るために硫酸を使用するISO307である。考慮される粘度値及び傾向は、どの方法が選択されるかにかかわらず、同じ方法によって判定される。
【0064】
本明細書で実施例において使用される「RV」又は「RVF」という用語は、(別段の指示がない限り)ASTM D789に従って、90%ギ酸中の8.4重量%溶液中で測定されるポリマー試料の相対粘度を指す。
【0065】
「RVS」という用語は、ASTM D789に従って、96%硫酸中のポリマー試料の1.0w/v%溶液中で測定される相対粘度を指す。
【0066】
「VNF」という用語は、ISO 307に従って、90%ギ酸中のポリマー試料の0.5w/v%溶液から得られる粘度数を指す。
【0067】
「VNS」という用語は、ISO 307に従って、96%硫酸中のポリマー試料の0.5w/v%溶液から得られる粘度数を指す。
【0068】
ポリマーアミン末端は、溶液中に採取された、秤量されたポリマー試料の標準化過塩素酸溶液を用いた直接滴定によって測定することができる。好ましい方法では、約1.5000gの正確に秤量した乾燥ポリアミドを、メタノール中68w/v%フェノール溶液50mLに、約75℃で溶解させる。冷却した溶液(約25℃)を、自動滴定装置(Metrohm 905 Titranado、Tiamo Software and accessories)を使用して、1-プロパノール中の0.05M過塩素酸の標準化溶液で滴定する。アミン末端基(amine end group、AEG)濃度の結果は、mmol/Kgに相当する、モル/100万グラムポリマー(moles per million grams、mpmg)単位で報告される。他の好適な溶媒としては、メタノール中80w%フェノール、又はm-クレゾールが挙げられる。終点検出の目視確認を助けるために、0.1w%メチルオレンジ及び0.1w%キシレンシアノール混合物水溶液などの指示薬が数滴添加され得る。
【0069】
融解及び結晶化転移は、窒素雰囲気下で、Perkin Elmer DSC 8500上で示差走査熱量測定によって判定した。5~20mgの正確に秤量したポリマーを使用した。以下の加熱方法を使用した。
(i)初期加熱を、10℃/分で、30℃~300℃(又は融解プロセスの終了時を少なくとも10℃超えるより高温)まで行い、
(ii)工程(i)からの最終温度に1分間保持し、次いで、50℃/分で冷却して30℃に戻し、
(iii)10℃/分で、300℃(又は融解プロセスの終了時を少なくとも10℃超えるより高温)まで再加熱し、
(iv)工程(iii)からの最終温度に1分間保持し、次いで、50℃/分で冷却して30℃に戻した。
【0070】
融解のエンタルピ(ΔHm)を、各加熱段階について判定した。第1の冷却段階から、結晶化開始温度(Tc1,o)を判定し、これは、別段の指示がない限り、本明細書においてポリマーの「結晶化温度」と称される。再加熱段階から、溶融プロセス終了温度(Tm2,e)を判定し、これは、別段の指示がない限り、本明細書においてポリマーの「融解温度」(又は「融点」)と称される。
【実施例
【0071】
実施例1(E1.1)PA66/6T/6I 58/40/2m%
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとしてイソフタル酸を含む40m%6T配合物。酢酸[AcOH]をエンドキャッピング剤として使用した。
【0072】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6361gの脱塩水、4110g(15.67モル)のナイロン66塩、1794g(10.8モル)のテレフタル酸、89.7g(0.54モル)のイソフタル酸、及び24.3g(0.4モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1330g、11.44モル)の56w%水溶液2375gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約58/40/2の66/6T/6Iモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.4m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約49w%の濃度の溶液が、製造された。
【0073】
この溶液を、次亜リン酸ナトリウム水和物4.6g(0.43モル、最終ポリマー中212ppmのPに相当)及びSilwet L7605消泡剤の50w%水溶液0.59g(最終ポリマー基準で47ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0074】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、圧力を14分かけて265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が、約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が254℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら48分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を290℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、11分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに4分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、294℃に達した。第6のサイクルでは、80psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0075】
第1のヒール上で処理される第2のバッチ(E1.2)を、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、厚い/薄いレースの問題なく良好にキャスティングされ、良好で一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候がなく、ペレット化が可能であった。
【0076】
更に4つのバッチ(E1.3、E1.4、E1.5、E1.6)を、この連続バッチモードで処理し続けた。最後のバッチ(バッチ-オン-ヒールのバッチとしての第5のバッチ)は、第2のバッチ(ヒール上の第1のバッチ)がキャスティングされたときと同様に、良好にキャスティングされた。
比較例1A(CE1A.1)PA66/6T 60/40m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0077】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まない40m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。
【0078】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6467gの脱塩水、4250g(16.2モル)のナイロン66塩、1794g(10.8モル)のテレフタル酸、及び24.3g(0.4モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1268g、10.91モル)の60w%水溶液2113gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約60/40の66/6Tモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.4m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約49w%の濃度の溶液が製造された。
【0079】
この溶液を、4.55g(0.04モル)の次亜リン酸ナトリウム水和物(最終ポリマー中210ppmのPをもたらす)及び0.57gのSilwet L7605(50%、最終ポリマー基準で45ppmの活性消泡剤をもたらす)とともに、実施例1で使用された24Lのオートクレーブに添加した。
【0080】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、15分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約218℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が255℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら54分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を297℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、11分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに4分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、299℃に達した。第6のサイクルでは、キャスティング時に、初期に材料の小さなプラグが存在し、このプラグを除去し、その後厚い/薄いレースの問題なしに良好なキャスティングが行われ、押出ポリマーは、良好で一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0081】
第2のバッチ(CE1A.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。キャスティング不良が続いて起こり、これは、オートクレーブからレースを押し出す際の明らかな粘度変動に起因して、厚い及び薄いレースが形成されることをはっきり示しており、厚いセクションは、「ゲル様」と記載された。材料をペレット化するための十分に一貫したレースを形成することは不可能であり、オートクレーブ中のポリマー内容物の残りを金属バケツに廃棄した。
【0082】
この比較例は、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸に加えて少量の別のコモノマーを組み込む利点を有した実施例1と比較して、連続バッチを実施して、良好なキャスティング性能を達成することが、可能でなかったことを示す。
比較例1B(CE1B.1)PA66/6T 60/40m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0083】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まない40m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。
【0084】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、4464gの脱塩水、1622g(11.08モル)のアジピン酸、1228g(7.39モル)のテレフタル酸を添加し、ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine、HMD)の80w%水溶液2650gを、80℃の温度を維持しながら蠕動ポンプを介して添加し(2120g、18.24モル)、更なる58gの80%HMD溶液を添加することによって(総HMD2178g、18.64モル)、pHを7.50に調整した(9.5w%溶液に希釈、25℃)。これにより、約60/40の66/6Tモル比を有する、約50w%濃度の溶液が、製造された。
【0085】
この溶液を、16.7g(0.28モル)の酢酸[アジピン酸とテレフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の酢酸]及び1.74g(0.016モル)の次亜リン酸ナトリウム水和物(最終ポリマー中115ppmのPをもたらす)並びに0.4gのSilwet L7605(50%、最終ポリマー基準で46ppmの活性消泡剤をもたらす)とともに、清浄な15Lの電気加熱オートクレーブに添加した。
【0086】
この第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が206℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、20分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約228℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が260℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、34分間排気を継続した。第4のサイクルでは、30分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を294℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、12分かけて圧力を350ミリバールに低減させ、350ミリバールに3分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、301℃に達した。第6のサイクルでは、30psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0087】
第2のバッチ(CE1B.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。キャスティング不良が続いて起こり、これは、オートクレーブからレースを押し出す際の明らかな粘度変動に起因して、厚い及び薄いレースが形成されることをはっきり示しており、厚いセクションは、「塊状」と記載された。材料をペレット化するための十分に一貫したレースを形成することは、可能ではなかった。
【0088】
この比較例は、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸モノマー、並びにエンドキャッパとしての酢酸に加えて、少量の別のコモノマーを組み込む利点を有した実施例1と比較して、エンドキャッピング剤は存在するが、他のコモノマーが存在しない場合、40m%6Tレベルで、連続バッチを実施して、良好なキャスティング性能を達成することは、可能でなかったことを示す。
実施例2(E2.1)PA66/6T/6I 63/35/2m%
【0089】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとしてイソフタル酸を含む35m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。
【0090】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6333gの脱塩水、4616g(17.59モル)のナイロン66塩、1624g(9.78モル)のテレフタル酸、93.0g(0.56モル)のイソフタル酸、及び25.2g(0.4モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1213g、10.34モル)の50w%水溶液2425gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約63/35/2の66/6T/6Iモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.35m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約50w%の濃度の溶液が、製造された。
【0091】
この溶液を、次亜リン酸ナトリウム水和物4.69g(0.44モル、最終ポリマー中210ppmのPに相当)及びSilwet L7605消泡剤の50w%水溶液0.59g(最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0092】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、15分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が254℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、60分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度が、296℃に達した。第5のサイクルでは、真空を印加し、9分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに2分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、298℃に達した。第6のサイクルでは、25psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0093】
第1のヒール上で処理される第2のバッチ(E2.2)を、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、厚い/薄いレースの問題なく良好にキャスティングされ、第1のバッチと同様の良好で一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなく、ペレット化が可能であった。
【0094】
更なる2つのバッチ(E2.3、E2.4)を、この連続バッチモードで処理し続けた。最後のバッチ(第4のバッチ、すなわちバッチ-オン-ヒールのバッチとしての第3のバッチ)は、第2のバッチ(ヒール上の第1のバッチ)がキャスティングされたときと同様に、良好にキャスティングされた。
比較例2A(CE2A.1)PA66/6T 65/35m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0095】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まない35m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。
【0096】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6412gの脱塩水、4604g(17.5モル)のナイロン66塩、1570g(9.45モル)のテレフタル酸、及び24.3g(0.35モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1109g、9.55モル)の56w%水溶液1981gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約65/35の66/6Tモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.35m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約50w%の濃度の溶液が製造された。
【0097】
この溶液を、次亜リン酸ナトリウム水和物4.53g(0.44モル、最終ポリマー中210ppmのPに相当)及びSilwet L7605消泡剤の50w%水溶液0.57g(最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0098】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、16分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が253℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、70分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度が、299℃に達した。第5のサイクルでは、真空を印加し、11分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに4分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、300℃であった。第6のサイクルでは、38psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押し出しバルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。
【0099】
ポリマーは、厚い/薄いレースの問題なく、良好なキャストをもたらし、良好で一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0100】
第2のバッチ(CE2A.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらしたが、明らかに第1のバッチよりも低い溶融粘度であった。
【0101】
第3のバッチ(CE2A.3)を第2のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーのキャスト性能は、第2のバッチと同様であり、妥当な品質を有したが、溶融粘度が低かった。
【0102】
第4のバッチ(CE2A.4)を第3のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。第4のバッチ(CE2A.4)をキャスティングすることはできたが、レース中に気泡及び「未溶融物」の徴候があった。
【0103】
この比較例は、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸モノマー、並びにエンドキャッパとしての酢酸に加えて、少量の別のコモノマーの組み込みがあり、気泡又は「未溶融物」の徴候なしにキャスティング性能が良好なままであった実施例2と比較して、35m%6Tレベルでは、エンドキャッピング剤は存在するが、他のコモノマーが存在しない場合、連続バッチの数が増加すると、わずか数回の連続バッチが実施された後に、キャスティング性能が低下することを示す。
比較例2B(CE2B.1)PA66/6T 65/35m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0104】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まない35m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。
【0105】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器内で、7500gの脱塩水、2645gのアジピン酸(18.10モル)、1619g(9.75モル)のテレフタル酸、及び3236gのヘキサメチレンジアミン(27.85モル)を含む溶液を、80℃の温度で作製した。これにより、約65/35の66/6Tモル比を有する、約50w%濃度の溶液が、製造された。
【0106】
この溶液を、2.60gの次亜リン酸ナトリウム水和物(0.025モル、最終ポリマー中117ppmのPに相当)、25.37gの酢酸(0.42モル、アジピン酸とテレフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%であった)、及び1.8gのAmbersil AF 1316消泡剤の10w%水溶液(最終ポリマー基準で28ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0107】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、12分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約221℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が258℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、49分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度が、284℃に達した。第5のサイクルでは、真空を印加し、15分かけて圧力を350ミリバールに低減させ、350~400ミリバールに5分間保持し、真空を窒素で5分かけて解放し、温度は、293℃であった。第6のサイクルでは、35psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。
【0108】
ポリマーは、厚い/薄いレースの問題なく、良好なキャストをもたらし、良好で一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0109】
第2のバッチ(CE2B.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。押し出し時に、「高溶融物」が視認可能であり、バッチは、キャスティング及びペレット化することができなかった。
【0110】
この比較例は、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸モノマー、並びにエンドキャッパとしての酢酸に加えて、少量の別のコモノマーの組み込みがあり、その時、気泡又は「未溶融物」の徴候なしにキャスティング性能が良好なままであった実施例2と比較して、35m%6Tレベルでは、エンドキャッピング剤は存在するが、他のコモノマーが存在しない場合、ヒール上の第1のバッチでさえも、キャスティング性能が非常に劣っていたことを示す。
比較例3A(CE3A)PA66/6T 70/30m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0111】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まず、エンドキャッピング剤としての酢酸を含まない30m%6T配合物。
【0112】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、5000gの脱塩水、3422g(13.04モル)のナイロン66塩、1578g(5.59モル)の無水ナイロン6T塩を添加した。これにより、約70/30の66/6Tモル比を有する、約50w%濃度の溶液が、製造された。この溶液を清浄な15Lの電気加熱オートクレーブに移した。
【0113】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が209℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、18分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約229℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が270℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、38分間排気を継続した。第4のサイクルでは、30分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を285℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、10分かけて圧力を660ミリバールに低減させ、660ミリバールに6分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、285℃であった。第6のサイクルでは、30psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫しているが、視認可能に高い溶融粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。ポリマーは2.43のRVSを有することが、見出された。
比較例3B(CE3B)PA66/6T 70/30m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0114】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まず、エンドキャッピング剤として0.5m%酢酸を含む30m%6T配合物。
【0115】
酢酸5.6g(0.093モル)の添加以外は、比較例3Aと同じ塩手順を使用した。これにより、約70/30の66/6Tモル比、及び塩を構成するテレフタル酸とアジピン酸と、を合わせたモル数に対して0.5m%の酢酸を有する、約50w%の濃度の溶液が製造された。この溶液を清浄な15Lの電気加熱オートクレーブに移した。
【0116】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が211℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、20分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約232℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が270℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、32分間排気を継続した。第4のサイクルでは、30分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を281℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、10分かけて圧力を645ミリバールに低減させ、645ミリバールに7分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、281℃であった。第6のサイクルでは、30psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫した溶融粘度であり、シン又は気泡がなく、未溶融材料の視認可能な徴候もなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。ポリマーは2.22のRVSを有することが、見出された。
比較例3C(CE3C)PA66/6T 70/30m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0117】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まず、エンドキャッピング剤として1.5m%の酢酸を含む30m%6T配合物。
【0118】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、7500gの脱塩水、5133g(19.56モル)のナイロン66塩、2367g(8.38モル)の無水ナイロン6T塩を添加した。これにより、約70/30の66/6Tモル比を有する、約50w%濃度の溶液が、製造された。
【0119】
この溶液を、25.0g(0.417モル)の酢酸、2.61gの次亜リン酸ナトリウム水和物(0.025モル、最終ポリマー中117ppmのPに相当)、及び1.8gのAmbersil AF 1316(水性エマルジョンとしての10%消泡剤、最終重量ポリマーに対して28ppmの活性添加剤)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0120】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が199℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、圧力を10分かけて265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が257℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、45分間排気を継続した。第4のサイクルでは、36分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を292℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、15分かけて圧力を300ミリバールに低減させ、300~350ミリバールに9分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、298℃であった。第6のサイクルでは、30psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫した溶融粘度であり、シン又は気泡がなく、未溶融材料の視認可能な徴候もなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。ポリマーは2.05のRVSを有することが、見出された。
【0121】
比較例3A、4 3B、及び3Cは、清浄なオートクレーブ上での単一バッチであり(連続バッチなし)、それらは、(英国特許第1,114,541号、出願公開第昭61,159,422号、欧州特許第3,502,165号で実施されているように)エンドキャッピング剤を添加することが、触媒の存在下であっても、どのように分子量を制限し、それにより、溶液の相対粘度値(RVS)の値に反映される溶融粘度を制限するかについての、当技術分野において周知の効果を実証する。当技術分野で開示、示唆、又は調査されていないのは、十分なエンドキャッピング剤単独の使用が、連続バッチのためのプロセスを可能にするかどうかである。
比較例3D(CE3D)PA66/6T 70/30m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0122】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まず、エンドキャッピング剤としての酢酸を含まない30m%6T配合物。
【0123】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6871gの脱塩水、5132g(19.56モル)のナイロン66塩、1392g(8.38モル)のテレフタル酸、及び1620gの60%ヘキサメチレンジアミン(8.31モル)を添加した。これにより、約70/30の66/6Tモル比を有する、約50w%濃度の溶液が、製造された。
【0124】
この溶液を、4.70gの次亜リン酸ナトリウム水和物(0.044モル、最終ポリマー中212ppmのPに相当)、及び1.8gのAmbersil AF 1316(水性エマルジョンとしての10%消泡剤、最終重量ポリマーに対して28ppmの活性添加剤)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0125】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、15分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が256℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、67分間排気を継続した。第4のサイクルでは、30分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を292℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、3分かけて圧力を620ミリバールに低減させ、620ミリバールに17分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、297℃であった。第6のサイクルでは、88psiaの最大窒素圧を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出そうとしたが、ポリマーは、粘性が高すぎて、形態でなく、キャスティングのためのレース、分析目的の少量の試料が、回収された全てであった。ポリマーは、3.13のRV及び31.6mpmgのAEGを有した。
【0126】
比較例3D(CE3D)は、エンドキャッピング剤が使用されていない、清浄なオートクレーブ上で製造された単一バッチのための30m%6Tレベルであっても、ポリマーの過重合が起こり、ポリマーをキャスティング不能にする可能性があることを実証する。したがって、当業者は、製造することを試み、前のバッチのヒール上に連続バッチをャスティングする前に、第1のバッチが製造及びキャスティングされることを可能にする重合条件及び配合物を選択しなければならないであろう。
比較例3E(CE3E.1)PA66/6T 70/30m%[「I」又は「D」コモノマーなし]
【0127】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーを含まず、エンドキャッピング剤として0.5m%の酢酸を含む30m%6T配合物。
【0128】
酢酸8.4g(0.14モル)の添加以外は、比較例3D(CE3D)と同じ塩手順を使用した。これにより、約70/30の66/6Tモル比、及び塩を構成するテレフタル酸とアジピン酸と、を合わせたモル数に対して0.5m%の酢酸を有する、約50w%の濃度の溶液が製造された。
【0129】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、13分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が256℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、50分間排気を継続した。第4のサイクルでは、30分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を281℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、3分かけて圧力を620ミリバールに低減させ、620ミリバールに17分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、287℃であった。第6のサイクルでは、71psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、粘度が高すぎず、未溶融、気泡、又はシンの徴候を示さないという点で、良好であり、一貫していた。バッチのRVは2.68であることが、見出された。
【0130】
第2のバッチ(CE3E.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。第2のバッチ(CE3E.2)は、第1バッチのように良好なキャスティング性能をもたらしたが、2.16の低減したRVを有した。
【0131】
比較例3Eは、30m%の6Tレベルで、エンドキャッピング剤は存在するが、他のコモノマーが存在しない場合、少なくとも1つの連続バッチを前のバッチのヒール上に、良好なキャスティング性能で作製することができたが、他の望ましくない影響、この場合、第1のバッチから第2のバッチへのRVの降下も生じたことを実証する。
実施例4(E4.1)PA 66/6T/6I 69/29/2m%
【0132】
イソフタル酸が、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとして、エンドキャッピング剤としての1.5m%の酢酸とともに使用される29m%6T配合物。
【0133】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、7260gの脱塩水、5059g(19.28モル)のナイロン66塩、1346g(8.10モル)のテレフタル酸、及び93g(0.56モル)のイソフタル酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1006g、8.66モル)の80w%水溶液1258gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約69/29/2m%の66/6T/6Iモル比を有する約50w%濃度の溶液が製造された。
【0134】
この溶液を、25.2g(0.42モル)の酢酸(全テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸基準で1.5m%)及び1.8gのAmbersil AF 1316(10%溶液、最終ポリマー基準で28ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0135】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が194℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、9分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約216℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が253℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、48分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を288℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、10分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに2分間保持し、真空を窒素で5分かけて解放し、温度は、293℃であった。第6のサイクルでは、35psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫した溶融粘度であり、シン又は気泡がなく、溶融材料の視認可能な徴候もなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。
【0136】
第2のバッチ(E4.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0137】
第3のバッチ(E4.3)を第2のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0138】
第4のバッチ(E4.4)を第3のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0139】
実施例4は、29m%の6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び少なくとも1つの他のコモノマーが存在する場合、コンモナー(commoner)が、良好で許容可能なキャスティング性能をもたらしながら、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にするプロセスを使用することができることを損なわなかったことを、実証する。
実施例5(E5.1)PA66/6T/6I 62/32/6m%
【0140】
イソフタル酸が、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとして、エンドキャッピング剤としての1.5m%の酢酸とともに使用される32m%6T配合物。
【0141】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、7260gの脱塩水、4546g(17.33モル)のナイロン66塩、1485g(8.94モル)のテレフタル酸、及び278g(1.67モル)のイソフタル酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1234g、10.62モル)の80w%水溶液1542gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約62/32/6m%の66/6T/6Iモル比を有する約50w%濃度の溶液が製造された。
【0142】
この溶液を、25.2g(0.42モル)の酢酸(全テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸基準で1.5m%)及び1.8gのAmbersil AF 1316(10%溶液、最終ポリマー基準で29ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0143】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が194℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、9分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約216℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が253℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、52分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を289℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、9分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに2分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、292℃であった。第6のサイクルでは、35psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。押し出されたとき、溶融レースは、一貫した溶融粘度であり、シン又は気泡がなく、未溶融材料の視認可能な徴候もなかった。ウォーターシュート内でのポリマーレースの冷却は、本明細書に報告される他の本発明の実施例に対してウォーターシュートの冷却長さをわずかに延長することにより、ペレット化が最適化される非晶質レースを提供した。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。
【0144】
第2のバッチ(E5.2)が、第1のヒール上で処理され、キャスティングされたときに、ウォーターシュート中での冷却時に結晶性レースをもたらした。ポリマーは、良好なキャストをもたらし、容易にペレット化された。
【0145】
第3のバッチ(E5.3)を第2のヒール上で処理し、第2と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0146】
第4のバッチ(E5.4)を第3のヒールで処理し、第2のバッチと本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0147】
実施例5は、相対的により高いレベルのコモノマーにおいて、コポリアミドの結晶化の速度が抑制され得、その結果、相対的により多い冷却が、最適なペレット化に適切であり得ることを示している。実施例5はまた、前のバッチのヒールが、後続のバッチの結晶化挙動に影響を及ぼす可能性があり、それにより、この実施例では、核生成及び結晶化を誘発し、ペレット化に有益であることを示している。
実施例6(E6.1)PA 66/6T/6I 64/34/2m%
【0148】
イソフタル酸が、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとして、エンドキャッピング剤としての1.5m%の酢酸とともに使用される34m%6T配合物。
【0149】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、7260gの脱塩水、4692g(17.88モル)のナイロン66塩、1578g(9.50モル)のテレフタル酸、及び93g(0.56モル)のイソフタル酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1169g、10.06モル)の80w%水溶液1461gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約64/34/2m%の66/6T/6Iモル比を有する約50w%濃度の溶液が製造された。
【0150】
この溶液を、25.2g(0.42モル)の酢酸(全テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸基準で1.5m%)及び1.8gのAmbersil AF 1316(10%溶液、最終ポリマー基準で28ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0151】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が194℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、11分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約216℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が253℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、47分間排気を継続した。第4のサイクルでは、36分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を286℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、9分かけて圧力を500ミリバールに低減させ、500ミリバールに2分間保持し、真空を窒素で1分かけて解放し、温度は、292℃であった。第6のサイクルでは、35psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。ポリマーはウォーターシュート中で半結晶性ポリマーに固化した。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。
【0152】
第2のバッチ(E6.2)が、第1のヒール上で処理され、キャスティングされたときに、ウォーターシュート中での冷却時に結晶性レースをもたらし、時折高溶融物が観察された。ポリマーは、良好なキャストをもたらし、容易にペレット化された。
【0153】
第3のバッチ(E6.3)を第2のヒール上で処理し、第2と本質的に同じ様式で処理し、時折高溶融物が観察された。ポリマーは、良好なキャストをもたらし、容易にペレット化された。
【0154】
第4のバッチ(E6.4)を第3のヒール上で処理し、第2と本質的に同じ様式で処理し、いくらかの高溶融物が観察されたが、ポリマーは、良好なキャストをもたらし、容易にペレット化された。
【0155】
実施例6は、34m%6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び少なくとも1つの他のコモノマーの存在が、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にし、これらの連続バッチは、厚い/薄いレースの問題、及び良好で一貫した粘度の問題なしに、良好にキャスティングされることを実証する。
実施例7(E7.1)PA 66/6T/DI 63/35/2m%
【0156】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとしてイソフタル酸(I)及び2-メチルペンタメチレンジアミン(D)を含む35m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。イソフタル酸及び2-メチルペンタメチレンジアミンを、両方とも2m%レベルで添加した。
【0157】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6731gの脱塩水、4628g(17.64モル)のナイロン66塩、1628g(9.80モル)のテレフタル酸、93.0g(0.56モル)のイソフタル酸、65.0gのDytek A(2-メチルペンタメチレンジアミン、0.56モル)、及び25.2g(0.4モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1147g、9.87モル)の60w%水溶液1912gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約63/35/2の66/6T/DIモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.26m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約50w%の濃度の溶液が、製造された。
【0158】
この溶液を、次亜リン酸ナトリウム水和物4.70g(0.44モル、最終ポリマー中210ppmのPに相当)及びSilwet L7605消泡剤の50w%水溶液0.59g(最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0159】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、15分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が255℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、70分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度が、297℃に達した。第5のサイクルでは、真空を印加し、3分かけて圧力を550ミリバールに低減させ、550ミリバールに7分間保持し、真空を窒素で解放し、温度は、297℃に達した。第6のサイクルでは、42psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。ポリマーのキャストは、顕著な未溶融物も、レース中の過剰な気泡もない点で、良好であった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0160】
第1のヒール上で処理される第2のバッチ(E7.2)を、第1と本質的に同じ様式で処理した。少量の薄いレースが(許容限度内で)生じたが、ポリマーは、良好にキャスティングされ、良好で一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなく、ペレット化が可能であった。
【0161】
更なる2つのバッチ(E7.3、E7.4)を、この連続バッチモードで処理し続けた。最後のバッチ(第4のバッチ、すなわちバッチ-オン-ヒールのバッチとしての第3のバッチ)は、第1のバッチと同様に、良好にキャスティングされた。
【0162】
実施例7は、34m%6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び2つの他のコモノマーの存在が、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にし、これらの連続バッチは、厚い/薄いレースの問題、及び概して、良好で一貫した粘度の問題なしに、良好にキャスティングされることを実証する。
実施例8(E8.1)PA 66/6T/DI 58/40/2m%
【0163】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとしてイソフタル酸(I)及び2-メチルペンタメチレンジアミン(D)を含む40m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。イソフタル酸及び2-メチルペンタメチレンジアミンを、両方とも2m%レベルで添加した。
【0164】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6651gの脱塩水、4261g(16.24モル)のナイロン66塩、1861g(11.2モル)のテレフタル酸、93.0g(0.56モル)のイソフタル酸、65.0gのDytek A(2-メチルペンタメチレンジアミン、0.56モル)、及び25.2g(0.4モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1312g、11.29モル)の60w%水溶液2186gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約58/40/2の66/6T/DIモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.30m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約50w%の濃度の溶液が、製造された。
【0165】
この溶液を、次亜リン酸ナトリウム水和物4.70g(0.44モル、最終ポリマー中210ppmのPに相当)及びSilwet L7605消泡剤の50w%水溶液0.59g(最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0166】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、圧力を17分かけて265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が265℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、76分間排気を継続した。第4のサイクルでは、35分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度が、306℃に達した。第5のサイクルでは、真空を印加し、10分かけて圧力を550ミリバールに低減させ、真空を窒素で解放し、温度は、305℃であった。第6のサイクルでは、44psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。ポリマーのキャストは、薄いレースのいくらかの発生が観察されたが、顕著な未溶融がない点で、良好であった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0167】
第1のヒール上で処理される第2のバッチ(E8.2)を、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、薄いレースのいくらかの発生が観察されたが、顕著な未溶融がない点で、良好にキャスティングされた。
【0168】
実施例8は、40m%6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び2つの他のコモノマーの存在が、薄いレースのいくらかの発生を伴うものの、許容可能な限度内であり、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にすることを実証する。
実施例9(E9.1)PA 66/6T/DI 56/40/4m%
【0169】
ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとしてイソフタル酸(I)及び2-メチルペンタメチレンジアミン(D)を含む40m%6T配合物。酢酸をエンドキャッピング剤として使用した。イソフタル酸及び2-メチルペンタメチレンジアミンを、両方とも4m%のレベルで添加した。
【0170】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6587gの脱塩水、4114g(15.68モル)のナイロン66塩、1861g(11.2モル)のテレフタル酸、186.0g(1.12モル)のイソフタル酸、130.0gのDytek A(2-メチルペンタメチレンジアミン、1.12モル)、及び25.2g(0.4モル)の酢酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1312g、11.29モル)の60w%水溶液2186gを、蠕動ポンプを介して添加した。これにより、約56/40/4の66/6T/DIモル比を有し、アジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して1.5m%の追加の酢酸、及びアジピン酸と、テレフタル酸と、イソフタル酸と、を合わせたモル数に対して0.30m%過剰のヘキサメチレンジアミンを含有する、約50w%の濃度の溶液が、製造された。
【0171】
この溶液を、次亜リン酸ナトリウム水和物4.70g(0.44モル、最終ポリマー中210ppmのPに相当)及びSilwet L7605消泡剤の50w%水溶液0.59g(最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0172】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、圧力を14分かけて265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が265℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、70分間排気を継続した。第4のサイクルでは、34分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度が、302℃に達した。第5のサイクルでは、真空を印加し、3分かけて圧力を670ミリバールに低減させ、670ミリバールに10分間保持し、真空を窒素で解放し、温度は、301℃であった。第6のサイクルでは、50psiaの最大窒素圧力を使用して、底部押出バルブによってオートクレーブからポリマーを押し出した。ポリマーのキャストは、顕著な未溶融物がなく、薄いレースの事象がほとんど観察されなかった点で、良好であった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。容器は、残留ポリマー、ヒールを含んでおり、処理のための次のバッチの準備が整った。
【0173】
第1のヒール上で処理される第2のバッチ(E9.2)を、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、顕著な未溶融物がなく、薄いレースの事象がほとんどなく、かつ気泡がほとんどない点で、良好にキャスティングされた。
【0174】
実施例9は、40m%の6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び2つの他のコモノマーの存在が、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にすること、及び実施例8と比較して、2つの他のコモノマーのレベルを増加させることによって、そのキャスティング性能が、非常に許容可能であったことを実証する。
【0175】
上記の実施例及び比較例では、実施例若しくは比較例で製造されたポリマーについての、又は同じ配合のポリマーによってもたらされたデータからの、いずれかのDSC分析によって融点を判定したときに、高圧サイクルの終了時の温度は常に、最終ポリマーの融点を十分下回った。
実施例10(E10.1)PA 66/6T/6I 63/35/2m%
【0176】
イソフタル酸が、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとして、エンドキャッピング剤としての1.5m%の酢酸とともに使用される35m%6T配合物。
【0177】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6742gの脱塩水、4616g(17.59モル)のナイロン66塩、1624g(9.78モル)のテレフタル酸、及び93g(0.56モル)のイソフタル酸を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1205g、10.37モル)の60w%水溶液2009gを、蠕動ポンプを介して添加した。
【0178】
これにより、約63/35/2m%の66/6T/6Iモル比を有する約50w%濃度の溶液が製造された。5gの60w%ヘキサメチレンジアミン水溶液を添加した。塩混合物の少量の試料を9.5w%に希釈し、pHが、7.60と測定された。
【0179】
塩溶液を、25.2g(0.42モル)の酢酸(全テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸基準で1.5m%)、酢酸添加のバランスをとるための41gの60w%ヘキサメチレンジアミン(0.21モル)、触媒として添加される4.69gの次亜リン酸ナトリウム(0.04モル、最終ポリマーに対して210ppmのリン)、最終ポリマー中のアミン末端基含量を上昇させるために添加される更なる80gの60w%ヘキサメチレンジアミン水溶液(0.41モル)、及び0.59gのSilwet L7605消泡剤(50%溶液、最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0180】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、圧力を14分かけて265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約219℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が255℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、42分間排気を継続した。第4のサイクルでは、31分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を287℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、2分かけて圧力を410ミリバールに低減させ、480ミリバールに10分間保持し、真空を窒素で5分かけて解放し、温度は、287℃であった。第6のサイクルでは、45psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。ポリマーは、2.40のRVS及び80.7mpmgのAEGを有した。
【0181】
第2のバッチ(E10.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。
【0182】
第3のバッチ(E10.3)を第2のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0183】
第4のバッチ(E10.4)を第3のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。
【0184】
実施例10は、35m%6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び1つの他のコモノマー(この実施例ではイソフタル酸)、及び過剰のヘキサメチレンジアミンの存在が、良好で許容可能なキャスティング性能をもたらしながら、また高いアミン末端基レベルを有する生成物をもたらしながら、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にしたことを実証する。
実施例11(E11.1)PA 66/6T/DI 63/35/2m%
【0185】
イソフタル酸及び2-メチルペンタメチレンジアミンが、ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、及びテレフタル酸以外のコモノマーとして、エンドキャッピング剤としての1.5m%酢酸とともに使用される35m%6T配合物。
【0186】
オーバーヘッドスターラ及び凝縮器を備え、窒素雰囲気下に維持された20Lの温度制御されたジャケット付きガラス容器に、6333gの脱塩水、4616g(17.59モル)のナイロン66塩、1624g(9.78モル)のテレフタル酸、93g(0.56モル)のイソフタル酸、及び65gの2-メチルペンタメチレンジアミン(0.56モル、Dytek A(登録商標))を添加した。80℃の温度を維持しながら、ヘキサメチレンジアミン(1137g、9.79モル)の60w%水溶液1895gを、蠕動ポンプを介して添加した。
【0187】
これにより、約63/35/2m%の66/6T/DIモル比を有する約50w%濃度の溶液が製造された。塩混合物の少量の試料を9.5w%に希釈し、pHが、7.60と測定された。
【0188】
塩溶液を、25.2g(0.42モル)の酢酸(全テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸基準で1.5m%)、酢酸添加のバランスをとるための41gの60w%ヘキサメチレンジアミン(0.21モル)、触媒として添加される4.69gの次亜リン酸ナトリウム(0.04モル、最終ポリマーに対して210ppmのリン)、最終ポリマー中のアミン末端基含量を上昇させるために添加される更なる80gの60w%ヘキサメチレンジアミン水溶液(0.41モル)、及び0.59gのSilwet L7605消泡剤(50%溶液、最終ポリマー基準で45ppmの活性成分)とともに、撹拌機を備えた清浄な24Lの油加熱オートクレーブに添加した。
【0189】
第1のサイクルでは、溶液を加熱し、圧力が170psiaに達したときに排気し、温度が198℃に達するまで継続した。第2のサイクルでは、排気を停止し、15分かけて圧力を265psiaに上昇させ、それまでに、内容物の温度が約217℃まで上昇した。第3のサイクルでは、内容物の温度が255℃に達するまで、システムを265psiaに保ちながら、49分間排気を継続した。第4のサイクルでは、33分かけて圧力を大気圧まで低減させ、内容物の温度を291℃まで上昇させた。第5のサイクルでは、真空を印加し、12分かけて圧力を480ミリバールに低減させ、真空を窒素で5分かけて解放し、温度は、292℃であった。第6のサイクルでは、45psiaの最大窒素圧力を使用して、ポリマーが、底部押出バルブによってオートクレーブから押し出され、キャストは、良好であり、一貫した粘度であり、未溶融材料の視認可能な徴候はなかった。窒素の吹き通しが生じたときに、圧力を解放し、押出バルブを密閉した。ポリマーは、2.34のRVS及び86.6mpmgのAEGを有した。
【0190】
第2のバッチ(E11.2)を第1のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、2.18のRVS及び85.5mpmgのAEGを有した。
【0191】
第3のバッチ(E11.3)を第2のヒール上で処理し、第1と本質的に同じ様式で処理した。ポリマーは、良好なキャストをもたらした。ポリマーは、2.50のRVS及び87.4mpmgのAEGを有した。
【0192】
実施例11は、35m%6Tレベルにおいて、エンドキャッピング剤及び2つの他のコモノマー(イソフタル酸及び2-メチルペンタメチレンジアミン)、並びに過剰のヘキサメチレンジアミンの存在が、良好で許容可能なキャスティング性能をもたらしながら、また高いアミン末端基レベルを有する生成物をもたらしながら、前のバッチのヒール上に連続バッチを作製することを可能にしたことを実証する。
【0193】
上記実施例についてのDSC、RVS、及びAEGの結果を以下の表1A、1B、及び1Cに示す。
【0194】
【表1】
【0195】
【表2】
【0196】
【表3】
【0197】
【表4】
【0198】
【表5】
【0199】
【表6】
【0200】
【表7】
【国際調査報告】