(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ループス腎炎及び免疫グロブリンA腎症の治療のための補体D因子阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20241010BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241010BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241010BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20241010BHJP
A61K 31/56 20060101ALI20241010BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P13/12
A61K31/573
A61K31/5377
A61K31/56
C07D401/14 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523160
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-31
(86)【国際出願番号】 US2022046572
(87)【国際公開番号】W WO2023069301
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ナジャフィアン, ネーダー
(72)【発明者】
【氏名】ガルロ, キャサリン ゲイル
(72)【発明者】
【氏名】ポドス, スティーブン デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC73
4C086DA08
4C086DA10
4C086ZA81
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書では、対象におけるループス腎炎(LN)及び/又は免疫グロブリンA(IgA)腎症を治療する方法が開示される。方法は、対象に、治療有効量の小分子補体D因子阻害剤を投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるループス腎炎(LN)及び/又は免疫グロブリンA腎症(IgAN)を治療することを含む治療方法であって、前記治療が、前記対象に治療有効量の化合物1:
【化3】
又はその薬学的に許容される塩を投与して、前記対象のタンパク尿をベースラインから減少させることを含む、方法。
【請求項2】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、1日2回(BID)の約60mg~約300mgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、BIDの約120mgの用量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、BIDの約180mgの用量で投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記治療が、50週間の治療期間後に、前記対象のタンパク尿をベースラインから減少させることを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記治療が、50週間の治療期間後に、前記対象のタンパク尿をベースラインから約30%超で減少させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記治療が、50週間の治療期間後に、前記対象のタンパク尿をベースラインから約50%超で減少させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記治療が、26週間の治療期間後に、前記対象のタンパク尿をベースラインから減少させることを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療が、26週間の治療期間後に、前記対象のタンパク尿をベースラインから約30%超で減少させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記治療が、26週間の治療期間後に、前記対象のタンパク尿をベースラインから約50%超で減少させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記治療が、前記対象の腎機能を改善することを更に含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記腎機能の改善が、50週間の治療期間の後、慢性腎臓病疫学共同試験(CKD-EPI)を用いて計算した場合に、前記対象の推定糸球体濾過率(eGFR)のベースラインからの増加を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記腎機能の改善が、26週間の治療期間の後、CKD-EPIを用いて計算した場合に、前記対象のeGFRのベースラインからの増加を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記腎機能の改善が、50週間の治療期間の後、CKD-EPIを用いて計算した場合に、対照と比較して、前記対象のeGFRのベースラインからの増加を抑えることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記腎機能の改善が、26週間の治療期間の後、CKD-EPIを用いて計算した場合に、対照と比較して、前記対象のeGFRのベースラインからの増加を抑えることを含む、請求項11又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記腎機能の改善が、前記対象のクレアチニンクリアランスを改善することを含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象がLNを有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、治療前6カ月以内に得られた腎生検によって確認された、活動性の局所的又はびまん性の増殖LNクラスII又はIVと診断されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、クラスV疾患を示している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記LNがデノボLNである、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記LNが再発LNである、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記LNが、免疫抑制導入治療を必要とする臨床的に活動性のLNである、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、治療前の24時間尿収集に基づいて、尿タンパク質:クレアチニン比(UPCR)≧1g/gであるタンパク尿を有する、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
スポット尿サンプルで測定したUPCR≦0.5g/gが最初に発生するまでの時間が、対照と比較して短縮される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、50週間の治療期間後に、部分腎寛解(PRR)を経験する、請求項17~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、50週間の治療期間後に、完全腎寛解(CRR)を経験する、請求項17~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象が、26週間の治療期間後に、PRRを経験する、請求項17~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、26週間の治療期間後に、CRRを経験する、請求項17~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記治療が、対照と比較した場合、スポット尿サンプルによって測定されるベースラインからのUPCR≦0.5g/gの最初の発生までの時間を短縮することを含む、請求項17~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、コルチコステロイド導入治療を開始していない、請求項17~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、1回又は複数回の分割用量で、累積用量約1gのメチルプレドニゾロンIVを投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、約30mg/日の最小用量及び約60mg/日の最大容量である0.5mg/kg/日の用量で経口コルチコステロイドを投与される、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象前記治療が、約30mg/日~約60mg/日の用量で、経口コルチコステロイドを共投与することを含む、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項34】
前記経口コルチコステロイドの前記用量が、50週間の治療期間の後に、7.5mg/日まで漸減される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記経口コルチコステロイドの前記用量が、26週間の治療期間の後に、7.5mg/日まで漸減される、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記経口コルチコステロイドの前記用量が、12週間の治療期間の後に、7.5mg/日まで漸減される、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、累積用量約1gのメチルプレドニゾロンIVを投与後、第1の用量のミコフェノール酸モフェチル(MMF)約1~1.5g/日を1回以上の用量で投与され、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMFを1回以上の用量で投与される、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2の用量が、約1~1.5g/日である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2の用量が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後1週間までは約1~1.5g/日であり、その後、前記第2の用量が約2~3g/日まで増加する、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、コルチコステロイド導入治療を開始している、請求項17~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、累積用量≧約1gのメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されており、且つ第1の用量のMMF≧約2g/日を1回以上の用量で投与されており、前記対象が、追加用量のメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されておらず、前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMFを1回以上の用量で投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の用量のMMFが、約2g/日以上である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2の用量のMMFが、約2g/日以上であり、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後4週間を前に約2~3g/日に調節される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、累積用量≧約1gのメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されており、且つ第1の用量のMMF<約2g/日を1回以上の用量で投与されており、前記対象が、追加用量のメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されておらず、前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMFを1回以上の用量で投与される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の用量のMMFが、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始時に、約1~1.5g/日である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の用量のMMFが、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後1週間は、約1~1.5g/日であり、その後、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後4週間を前に、前記第2の用量のMMFを約2~3g/日まで増量する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、第1の用量でプレドニゾン又はプレドニゾン等価物を投与されており、前記第1の用量が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の2日目まで維持され、その後、前記対象が、約30mg/日の最小用量及び約60mg/日の最大容量である0.5mg/kg/日の用量で経口コルチコステロイドを投与される、請求項40~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記経口コルチコステロイドの前記用量が、50週間の治療期間の後に、7.5mg/日まで漸減される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記経口コルチコステロイドの前記用量が、26週間の治療期間の後に、7.5mg/日まで漸減される、請求項47又は48に記載の方法。
【請求項50】
前記経口コルチコステロイドの前記用量が、12週間の治療期間の後に、7.5mg/日まで漸減される、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記治療が、50週間の治療期間内に、前記対象において腎フレアを経験するリスクを低減することを含む、請求項17~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記治療が、50週間の治療期間内に、前記対象において腎外性全身性エリテマトーデス(SLE)フレアを経験するリスクを低減することを含む、請求項17~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記治療が、50週間の治療期間内に、前記対象において治療不成功リスクを低減することを含む、請求項17~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記治療が、前記対象における血清アルブミンレベルをベースラインから低減することを含む、請求項17~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記治療が、対照と比較した場合、最初のCRR又はPRRまでの時間を短縮することを含む、請求項17~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記治療が、対照と比較した場合、UPCR>50%のベースラインからの減少の最初の発生までの時間を短縮することを含む、請求項17~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、50週間の治療期間の後、FACIT疲労合計スコアのベースラインからの増加を示す、請求項17~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が、26週間の治療期間の後、FACIT疲労合計スコアのベースラインからの増加を示す、請求項17~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象における二本鎖DNAに対する抗体(抗dsDNA)及び/又はC1q補体成分に対する抗体(抗C1q)のレベルが、50週間の治療期間の後、ベースラインから減少する、請求項17~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記対象における抗dsDNA及び/又は抗C1qのレベルが、26週間の治療期間の後、ベースラインから減少する、請求項17~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6カ月以内に、シクロホスファミドによる治療を受けていない、請求項17~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前3カ月以内に、カルシニューリン阻害剤による治療を受けていない、請求項17~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象が、活動性腎フレアに対して累積用量が約3gを超えるメチルプレドニゾロンの静脈内(IV)投与による治療を受けていない、請求項17~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、活動性腎フレアに対して連続4週間以上、約2g/日を超えるMMF又はその等価物による治療を受けていない、請求項17~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、活動性腎フレアに対して連続4週間以上、約0.5mg/kg/日以上のプレドニゾン又はその等価物による治療を受けていない、請求項17~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6週間以内に2回以上の測定値で、未制御高血圧を有さない、請求項17~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象が、治療を必要とする臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群の病歴を有していないか、又は治療を必要とする臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群を有している、請求項17~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、コルチコステロイド、MMF、又はMPSによる治療を受けることができない、又は治療に耐えられない、請求項17~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、カルシニューリン阻害剤による治療を受けることを制限される、請求項17~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象がIgANを有する、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記対象が、治療前に得られた腎生検によって確認された原発性IgANと診断されている、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記腎生検が、治療の2年より前に採取されており、前記対象が、尿ディップスティックに基づく1+血液、又は尿沈渣の≧10の赤血球(RBC)/高倍率視野(hpf)顕微鏡検査によって定義される血尿を有する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、RAS阻害剤の安定且つ最適用量で治療を受けており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療中、引き続き前記RAS阻害剤による治療を受けている、請求項70~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内に第2のRAS阻害剤による治療を受けることを制限される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、直接的レニンアンタゴニストの安定且つ最適用量で治療を受けており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療中、引き続き前記直接的レニンアンタゴニストによる治療を受けている、請求項70~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内に第2の直接的レニンアンタゴニストによる治療を受けることを制限される、請求項70~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前3ヵ月間にわたって、制御され且つ安定な血圧を有する、請求項70~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記対象が、50週間の治療期間の後、部分寛解を経験する、請求項70~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記対象が、26週間の治療期間の後、部分寛解を経験する、請求項70~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記治療が、対照と比較して、治療期間の26週目まで、ベースラインから計算されたeGFRの傾きを減衰又は平坦化することを含む、請求項70~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前3カ月間にわたってeGFR損失≧30%によって測定される急速進行性糸球体腎炎と診断されていない、請求項70~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記対象が、IgANの二次的病因を有さない、請求項70~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記対象が、治療を必要とする臨床的に活動性のヘノッホ-シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)を有さない、請求項70~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記対象が、化合物1若しくはその薬学的に許容される塩による治療の前に、プレドニゾン若しくはその等価物>約20mg/日、連続14日超、又は任意の他の免疫抑制剤による治療を受けていない、請求項70~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、30分超の離れた2つの測定値で確認される、≧140/90mmHgの血圧を有さない、請求項70~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、≧38kg/m
2のボディマスインデックスを有さない、請求項70~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記対象が、ヒドロキシクロロキンによる治療を受けることを制限される、請求項70~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記対象が、免疫抑制剤による治療を受けることを制限される、請求項70~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が、連続14日超の全身性コルチコステロイドによる治療を受けることを制限される、請求項70~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記治療が、補体B因子(Bb)の血漿Bbフラグメント濃度及び血清副経路(AP)活性を減少させることを含む、請求項1~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記治療が、前記対象の血尿を減少させることを含む、請求項1~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記対象の血尿を減少させることが、50週間の治療期間の後、尿中赤血球(RBC)のベースラインからの減少を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記対象の血尿を減少させることが、26週間の治療期間の後、尿中赤血球(RBC)のベースラインからの減少を含む、請求項91又は92に記載の方法。
【請求項94】
前記対象の血尿を減少させることが、10RBC/hpf未満を達成することを含む、請求項91~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記治療が、身体機能、身体、体の痛み、活力、全体的健康感、精神、心の健康、及び社会生活機能のうちの1つ以上の36項目の簡易調査票(SF-36)スコアのベースラインからの改善を含む、請求項1~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記治療が、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みのうちの1つ以上のEuroQol5-次元5-レベル質問票(EQ-5D-5L)スコアの改善を含む、請求項1~95のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記対象が、CKD-EPIを用いて計算した場合に、eGFR<30mL/分/1.73m
2を有する、請求項1~96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記対象が、治療前に得られた最新の腎生検で、尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は糸球体の半月体形成が50%未満である、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に得られた最新の腎生検で、LN又はIgAN以外の重大な腎疾患を併発していない、請求項1~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記対象が、固形臓器移植又は骨髄移植の病歴を有さない、請求項1~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記対象が、50週間の治療期間中に、固形臓器移植又は骨髄移植を受けることを制限される、請求項1~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記対象が、脾臓摘出術を受けておらず、機能性無脾症を有さない、請求項1~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記対象が、発作の病歴を有さない、請求項1~102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記対象が、補体欠損症がLN又はIgANに起因するものでない限り、前記補体欠損症が既知又は疑われない、請求項1~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記対象が、トルサード・ド・ポワントの病歴や危険因子を持たず、Fridericiaの式を使用して補正されたQT間隔(QTcF)が、前記対象が男性の場合は450ミリ秒を超え、前記対象が女性の場合又は前記補正されたQT間隔(QTc)を有意に増加させることが知られている薬剤を投与されている場合は470ミリ秒を超える、請求項1~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記対象が、アラニンアミノトランスフェラーゼレベルがULNの2倍超を有さない、請求項1~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記対象が、直接ビリルビンレベルがULNの2倍超を有さない、請求項1~106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、ヘモグロビンA1Cレベル≦7.0%を有する、請求項1~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記対象が、治療前1年以内に薬物又はアルコールの乱用又は依存症の既知又は疑いの病歴を有さない、請求項1~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記対象が、治療前5年以内に悪性腫瘍の病歴がなく、ここで前記悪性腫瘍が非黒色腫皮膚癌又は再発の証拠なく治療された子宮頸部上皮内癌ではない、請求項1~109のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記対象が、陰性表面抗体によるB型肝炎ウイルス感染の兆候を示していない、請求項1~110のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記対象が、C型肝炎ウイルス感染の兆候を示していない;又はC型肝炎ウイルス感染の兆候を示しているが、治療は成功しており、持続的なウイルス学的反応が記録されている、請求項1~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記対象が、ヒト免疫不全ウイルス感染の兆候を示していない、請求項1~112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記対象が、骨髄不全又は血小板減少を有さない、請求項1~113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前14日以内に、活動性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染を有さなかった、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記対象が、髄膜炎菌(N meningitidis)感染の病歴を有さない、請求項1~115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記対象が、免疫系の機能に影響を与える可能性のある生物学的製剤による治療を受けていない;又は前記生物学的製剤による治療を中止しており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に前記生物学的製剤の終末半減期の5倍が経過している、請求項1~116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6カ月以内に、ベリムマブ又はリツキシマブによる治療を受けていない、請求項1~117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩以外の補体阻害剤による治療を受けていなかったか、又は受けていない、請求項1~118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記対象が、強力なシトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA(CYP3A)阻害剤;中等度のCYP3A阻害剤;CYP3Aの強力な誘導物質;CYP3Aの中等度の誘導物質;及びCYP3Aの感受性基質から選択される薬剤による治療を、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前の2週間又は前記薬剤の5倍の半減期のいずれか長い期間以内に受けていない、請求項1~119のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記対象が、メペリジン、ペチジン、典型的(第1世代)抗精神病薬、クロザピン、オランザピン、リチウム、三環系抗うつ薬、ブプロピオン、アミノフィリン、及びテオフィリンから選択される薬剤による治療を受けていない、請求項1~120のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記対象が、妊娠中又は授乳中ではない、請求項1~121のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記対象が、CYP3A4酵素活性を阻害する食品及び飲料の摂取を制限される、請求項1~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記対象が、エクリズマブによる治療を受けることを制限される、請求項1~123のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、ナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT-2)阻害剤による治療を受けており、前記SGLT-2阻害剤の用量が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の間に変化しない、請求項1~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、SGLT-2阻害剤による治療を受けておらず、前記対象が、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内にSGLT-2阻害剤による治療を受けることを制限される、請求項1~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
前記対象が、強力なCYP3A阻害剤;中等度のCYP3A阻害剤;CYP3Aの強力な誘導物質;CYP3Aの中等度の誘導物質;及びCYP3Aの感受性基質から選択される薬剤を使用することを制限される、請求項1~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記対象が、メペリジン、ペチジン、典型的(第1世代)抗精神病薬、クロザピン、オランザピン、リチウム、三環系抗うつ薬、ブプロピオン、アミノフィリン、及びテオフィリンから選択される薬剤を使用することを制限される、請求項1~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記対象が、QTcを有意に延長することが知られている薬剤の使用を制限されるが、前記薬剤がLNの対象に使用されるヒドロキシクロロキンではないことを条件とする、請求項1~128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
治療方法において使用するための薬剤の製造における化合物1:
【化4】
又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記治療方法が、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法である、使用。
【請求項131】
治療方法において使用するための化合物であって、前記化合物が、化合物1:
【化5】
又はその薬学的に許容される塩であり、前記治療方法が、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法である、化合物。
【請求項132】
対象においてLN又はIgANを治療するためのキットであって:
(a)化合物1:
【化6】
又はその薬学的に許容される塩の用量と;
(b)請求項1~129のいずれか1項に記載の方法に従って化合物1又はその薬学的に許容される塩を使用するための説明書と、
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
補体系は、身体の他の免疫系と連携して作用して細胞及びウイルス病原体の侵入を防御する。少なくとも25種の補体タンパク質が存在し、これらは、血漿タンパク質及び膜補因子の複合体集合として見出される。血漿タンパク質は、脊椎動物血清中のグロブリンの約10%を構成する。補体成分は、一連の複雑であるが正確な酵素的開裂及び膜結合事象を相互作用させることによりそれらの免疫防御機能を達成する。結果として生じる補体カスケードは、オプソニン機能、免疫調節性機能及び溶解機能を有する産物の産生をもたらす。補体活性化と関連する生物学的活動の要約が、例えば、The Merck Manual,16th Editionに提供されている。適正に機能する補体系は感染微生物に対する強固な防御を提供する一方、補体経路の不適切な調節又は活性化は、ループス腎炎(LN)及び免疫グロブリンA腎症(IgAN)を含む種々の障害の発病に関与している。
【0002】
LNは、全身性エリテマトーデス(SLE)を有する患者の約50%に発生し(Almaani et al.,Adv Chronic Kidney Dis.2019;26(5):393-403;Morales et al.,Nephron.2021;145(1):1-13)、自己抗原に対する寛容の喪失、自己抗体の産生、及び損傷組織における補体固定免疫複合体(IC)の沈着によって引き起こされる自己免疫障害である(Bao et al.,Kidney Dis(Basel).2015;1(2):91-99。LNの診断は、2018 International Society of Nephrology/Renal Pathology Society(ISN/RPS)の命名法及び2003年の報告(例えば、Bajema et al.,Kidney Int.2018;93(4):789-796)及びMarkowitz et al.,Kidney Int.2017;71(6):491-495参照)から改定された分類に従って腎生検により決定される。合計で6つのクラスのLNがある:クラスI~VI(Markowitz(2019),supra)。LNを発症するSLEを有する患者のサブセットは、最悪の予後を有する。CKDを引き起こすLNは、心血管疾患に起因する全体的な死亡率及び罹患率の独立した主要な危険因子である(Gasparotto et al.,Rheumatology.2020;59(Suppl5):v39-v51)。現在の導入及び維持療法では、5年死亡率は約20%であり、5、10、及び15年目にESRDを発症するリスクは、それぞれ11%、17%、及び22%である(Tektonidou et al.,Arthritis Rheumatol.2016;68(6):1432-1441)。治療後のLNの再発(腎フレア)は、患者の最大25%において1年以内に起こり、慢性腎疾患(CKD)進行のリスク増加と関連する(Almaani et al.,Clin J Am Soc Nephrol.2017;12(5):825-835)。米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)(ACR)、並びに欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism)(EULAR)及び欧州腎臓病・透析移植学会(European Renal Association-European Dialysis and Transplant Association)(ERA-EDTA)は、「増殖性」LNとも呼ばれるクラスIII、IV、III/V、及びIV/V LNに対する免疫抑制治療を推奨した(Bertsias et al.,Ann Rheum Dis.2012;71(11):1771-1782)。本ガイドラインは、グルココルチコイド+ミコフェノール酸モフェチル(MMF)又は低用量シクロホスファミドによる導入療法に同意している。維持療法については、ガイドラインは、低用量グルココルチコイドを伴う又は伴わないMMF又はアザチオプリンに同意している(Bertsias(2012),supra)。LNを有する患者においては、治療の主な目標は、CKD進行の予防、末期腎疾患(ESRD)の予防、及び生存率の向上である。寛解、特に完全寛解の達成の欠如は、腎疾患の進行の主要な危険因子の1つである。従って、短期間CRR及び部分腎寛解(PRR)は、標準治療及び新しい治療法の有効性を評価するために使用される。6~12ヶ月の治療後、患者の10%~40%のみが標準治療でCRRを達成する(Parikh et al.,Am J Kidney Dis.2020;76(2):265-281)。米国におけるベリムマブ及びボクロスポリンの最近の承認は、LNの治療における進歩を表している。2年後の結果では、ベリムマブのCRRが30.0%であるのに対し、プラセボのCRRは20.0%である(Furie et al.,N Engl K Med.2020;383(12):1117-1128)。ボクロスポリンの場合、1年後のCRRは40.8%であったのに対し、プラセボの場合は22.5%であった(Arriens et al.,Ann Rheum Dis.2020;79(Suppl 1):172-173)。しかしながら、LN患者においてステロイド及び/又は免疫抑制剤の必要性を軽減し、完全奏効率が高く、迅速且つ持続的な奏効をもたらす治療法に対する大きなニーズが存在する。
【0003】
ベルガー病としても知られるIgANは、腎不全に進行し得る最も一般的な世界的な原発性糸球体腎症を指す。IgANは、CKDに至る生涯にわたる疾患であり、20~30年の間に患者の30人%~40%においてESRDに進行する(Lai et al.,F1000Res.2016;5)。患者は、最初に血尿及び高血圧を呈し、疾患が進行するにつれてタンパク尿が発症する。IgANの診断は、糸球体における免疫グロブリンA(IgA)の免疫蛍光を示す腎生検によって行われ、Oxford分類命名法によれば、通常はC3と共優勢である(KDIGO,Kidney Int Suppl(2011).2017;7(1):1-59; Rizk eta l.,Front Immunol.2019;10:504;Trimarchi et al,Kidney Int.2017;91(5):1014-1021)。IgANの治療には、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)などのRAS遮断薬が含まれる。これらの治療法は、糸球体内圧を低下させる(これは次にタンパク尿を低下させる)ことによって血圧を制御し、腎機能を維持することを目的とする。これらの治療は、CKD及びESRDに進行する割合が高いため、IgANを有する患者の腎機能を維持するには不十分である(KDIGO clinical practice guideline on glomerular diseases(DRAFT),2020)。ベースライン高血圧(Pugh et al.,Drugs.2019;79(4):365-379)及び>1g/日のタンパク尿を有する患者(Reich et al.,J Am Soc Nephrol.2007;18(12):3177-3183)は、腎疾患進行のリスクが高い
従って、本開示の目的は、LN及びIgANを治療するための新しい治療法を提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Almaani et al.,Adv Chronic Kidney Dis.2019;26(5):393-403
【非特許文献2】Morales et al.,Nephron.2021;145(1):1-13
【非特許文献3】Bao et al.,Kidney Dis(Basel).2015;1(2):91-99
【非特許文献4】2018 International Society of Nephrology/Renal Pathology Society(ISN/RPS)
【非特許文献5】Bajema et al.,Kidney Int.2018;93(4):789-796)
【非特許文献6】Markowitz et al.,Kidney Int.2017;71(6):491-495
【非特許文献7】Gasparotto et al.,Rheumatology.2020;59(Suppl5):v39-v51
【非特許文献8】Tektonidou et al.,Arthritis Rheumatol.2016;68(6):1432-1441
【非特許文献9】Almaani et al.,Clin J Am Soc Nephrol.2017;12(5):825-835
【非特許文献10】Bertsias et al.,Ann Rheum Dis.2012;71(11):1771-1782
【非特許文献11】Parikh et al.,Am J Kidney Dis.2020;76(2):265-281
【非特許文献12】Furie et al.,N Engl K Med.2020;383(12):1117-1128
【非特許文献13】Arriens et al.,Ann Rheum Dis.2020;79(Suppl 1):172-173
【非特許文献14】KDIGO,Kidney Int Suppl(2011).2017;7(1):1-59
【非特許文献15】Rizk eta l.,Front Immunol.2019;10:504;Trimarchi et al,Kidney Int.2017;91(5):1014-1021
【非特許文献16】KDIGO clinical practice guideline on glomerular diseases(DRAFT),2020
【非特許文献17】Reich et al.,J Am Soc Nephrol.2007;18(12):3177-3183
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、小分子補体D因子阻害剤によるループス腎炎(LN)及び免疫グロブリンA腎症(IgAN)の治療に関する。本開示は、部分的に、LN及び/又はIgAN などの疾患を有する患者における、例えば化合物1又はその医薬的塩による、補体AP活性化の直接遮断及び増幅ループを介した補体活性化の減弱をもたらす、D因子阻害が治療効果の可能性を有するという認識に基づく。本開示は、有効量の経口投与される化合物1又はその医薬組成物によるインビボでのFDの阻害が、様々な臨床設定、例えば、活発に増殖する疾患における導入治療及び慢性疾患における維持治療において有効であることを企図する。
【0006】
本開示の更なる実施形態は、LN及び/又はIgANの効果的な治療における、化合物1又はその医薬組成物の有効性のマーカーとしての、タンパク尿及び/又は推定糸球体濾過速度(eGFR)などの評価項目の使用に関する。化合物1の抗炎症効果を認識し、本発明者らは、化合物1又はその医薬組成物によるLN/IgANに罹患している患者の治療が、特にIgAN有する患者における血尿の減少及び/又はLNを有する参加者の腎生検での活性クラスIII若しくはIV腎炎と相関する、タンパク尿の有意な減少につながるであろうと考えた。追加の有効性パラメータであるeGFR>30mL/分/1.73m2は、IgANコホートとLNコホートの両方における腎機能/健康状態を示す。
【0007】
本開示は、以下の非限定的な実施形態のうちの1つ以上に関する:
第1の態様では、本開示は、対象におけるループス腎炎(LN)及び/又は免疫グロブリンA腎症(IgAN)を治療することを含む治療方法であって、上記治療が、対象に治療有効量の化合物1:
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を投与して、対象のタンパク尿をベースラインから減少させることを含む、方法を特徴とする。
【0008】
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、約60mg~約300mgの用量で1日2回(BID)、例えば、約120mgの用量でBID、又は約180mgの用量でBIDで投与される。
【0009】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、対象のタンパク尿をベースラインから(例えば、約30%超、約50%超で)減少させることを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対象の腎機能を改善することを含む。腎機能の改善は、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、慢性腎臓病疫学共同試験(CKD-EPI)を用いて計算した場合に、対象のeGFRのベースラインからの増加であり得る。腎機能の改善は、また、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、CKD-EPIを用いて計算した場合に、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、対象のeGFRのベースラインからの増加を抑えることであり得る。腎機能の改善としては、また、対象のクレアチニンクリアランスを改善することが挙げられ得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、対象はLN(例えば、デノボLN又は再発性LN)を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、治療前6カ月以内に得られた腎生検によって確認された、活動性の局所的又はびまん性の増殖LNクラスII又はIVと診断されている。対象はまた、クラスV疾患を示し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、LNは、免疫抑制導入治療を必要とする臨床的に活動性のLNである。
【0014】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、治療前の24時間尿収集に基づいて、尿タンパク質:クレアチニン比(UPCR)≧1g/gであるタンパク尿を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、スポット尿サンプルで測定したUPCR≦0.5g/gが最初に発生するまでの時間が、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して短縮される。
【0016】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、例えば、26週間及び/又は50週間の治療期間後に、部分腎寛解(PRR;実施例1に示した基準によって定義されるとおり)を経験する。
【0017】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、例えば、26週間及び/又は50週間の治療期間後に、完全腎寛解(CRR;実施例1に示した基準によって定義されるとおり)を経験する。
【0018】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較した場合、スポット尿サンプルによって測定されるベースラインからのUPCR≦0.5g/gの最初の発生までの時間を短縮することを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない。
【0020】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前の最大6週間の期間内に、累積用量約1gのメチルプレドニゾロンIVを1回以上の分割用量で投与されてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前の最大6週間の期間中、約30mg/日の最小用量及び約60mg/日の最大容量である約0.5mg/kg/日の用量で経口コルチコステロイドを投与されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、上記治療は、約30mg/日~約60mg/日の用量で、経口コルチコステロイドを共投与することを含む。経口コルチコステロイドの用量は、例えば、12週間、26週間、又は50週間の治療期間後に、約7.5mg/日まで漸減され得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、累積用量約1gのメチルプレドニゾロンIVを投与後、第1の用量のミコフェノール酸モフェチル(MMF)約1~1.5g/日(又は同等用量の腸溶コーティングされたミコフェノール酸ナトリウム(MPS))を1回以上の用量で投与され、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMF(又は同等用量の腸溶性コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は約1~1.5g/日である。いくつかの実施形態では、第2の用量は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後1週間までは約1~1.5g/日であり、その後、第2の用量は約2~3g/日まで増加する。
【0024】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している。
【0025】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、累積用量≧1gのメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されており、且つ第1の用量のMMF≧約2g/日(又は同等用量の腸溶性コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与されており、対象は、追加用量のメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されておらず、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMF(又は同等用量の腸溶コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、約2g/日以上である。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、約2g/日以上であり、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後4週間を前に約2~3g/日に調節される。
【0026】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、累積用量≧約1gのメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されており、且つ第1の用量のMMF≦約2g/日(又は同等用量の腸溶性コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与されており、対象は、追加用量のメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されておらず、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMF(又は同等用量の腸溶コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始時に、約1~1.5g/日である。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後1週間は、約1~1.5g/日であり、その後、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後4週間を前に、第2の用量のMMFを約2~3g/日まで増量する。
【0027】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有し、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、第1の用量でプレドニゾン又はプレドニゾン等価物を投与されており、第1の用量は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の2日目まで維持され、その後、対象は、約30mg/日の最小用量及び約60mg/日の最大容量である約0.5mg/kg/日の用量で経口コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン又はプレドニゾン等価物)を投与される。経口コルチコステロイドの用量は、例えば、12週間、26週間、又は50週間の治療期間後に、約7.5mg/日まで漸減され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において腎フレアを経験するリスクを低減することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において腎外性全身性エリテマトーデス(SLE)フレアを経験するリスクを低減することを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において治療不成功リスクを低減することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において至適奏効以下リスクを低減することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、対象における血清アルブミンレベルをベースラインから低減することを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較した場合、最初のCRR又はPRR(例えば、スポットUCPRによって測定される)までの時間を短縮することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較した場合、(例えば、スポットUCPRによって測定される)ベースラインからのUPCR>50%減少の最初の発生までの時間を短縮することを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、FACIT疲労合計スコアのベースラインからの増加を示す。
【0036】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象における二本鎖DNAに対する抗体(抗dsDNA)及び/又はC1q補体成分に対する抗体(抗C1q)のレベルは、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、ベースラインから減少する。
【0037】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6カ月以内に、シクロホスファミドによる治療を受けていない。
【0038】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前3カ月以内に、カルシニューリン阻害剤による治療を受けていない。
【0039】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、活動性腎フレアに対して累積用量が約3gを超えるメチルプレドニゾロンの静脈内(IV)投与による治療を受けていない。
【0040】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、活動性腎フレアに対して連続4週間以上、約2g/日を超えるMMF(又はその等価物、例えばMPS)による治療を受けていない
【0041】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、活動性腎フレアに対して連続4週間以上、約0.5mg/kg/日以上のプレドニゾン又はその等価物による治療を受けていない。
【0042】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6週間以内に2回以上の測定値で、未制御高血圧(収縮期血圧>160mmHg又は拡張期血圧>110mmHg)を有さない。
【0043】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、治療を必要とする臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群の病歴を有していないか、又は治療を必要とする臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群を有している。
【0044】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、コルチコステロイド、MMF、又はMPSによる治療を受けることができない、又は治療に耐えられない。
【0045】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、対象は、カルシニューリン阻害剤(例えば、ボクロスポリン)による治療を受けることを制限される。
【0046】
いくつかの実施形態では、対象はIgANを有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、IgANは、治療前に得られた腎生検によって確認された原発性IgANである(IgAN分類基準については表15を参照されたい)。いくつかの実施形態では、腎臓は治療の2年より前に採取されており、対象は、尿ディップスティックに基づく1+血液、又は尿沈渣の≧10の赤血球(RBC)/高倍率視野(hpf)顕微鏡検査によって定義される血尿を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、RAS阻害剤(例えば、最大許容又は耐容アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び/又はアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)用量)の安定且つ最適用量で治療を受けており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療中、引き続きRAS阻害剤による治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内に第2のRAS阻害剤(例えば、ACE阻害剤及び/又はARB)による治療を受けることを制限される。
【0049】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、直接的レニンアンタゴニストの安定且つ最適用量で治療を受けており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療中、引き続き直接的レニンアンタゴニストによる治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内に第2の直接的レニンアンタゴニストによる治療を受けることを制限される。
【0050】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前3ヵ月間にわたって、制御され且つ安定な血圧(即ち<140/90mmHg)を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、部分寛解を経験する。
【0052】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、治療期間の26週目まで、ベースラインから計算されたeGFRの傾きを減衰又は平坦化することを含む。例えば、Barratt et al.,Kidney Int Rep.2019(4):1633-1637を参照されたい。
【0053】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前3カ月間にわたってeGFR損失≧30%によって測定される急速進行性糸球体腎炎と診断されていない。
【0054】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、IgANの二次的病因(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、肝硬変、又はセリアック病)を有さない。
【0055】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、治療を必要とする臨床的に活動性のヘノッホ-シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)を有さない。
【0056】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、化合物1若しくはその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前6カ月以内)に、対象は、プレドニゾン若しくはその等価物>約20mg/日、連続14日超、又は任意の他の免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン又はシクロホスファミド)による治療を受けていない。プレドニゾン等価物及びプレドニゾンとその等価物の間の用量関係は当該技術分野で公知である。
【0057】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、30分超の離れた2つの測定値で確認される、≧140/90mmHgの血圧を有さない。
【0058】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、≧38kg/m2のボディマスインデックスを有さない。
【0059】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、ヒドロキシクロロキンによる治療を受けることを制限される。
【0060】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、免疫抑制剤(例えば、MMF)による治療を受けることを制限される。
【0061】
いくつかの実施形態では、対象がIgANを有する場合、対象は、連続14日超の全身性コルチコステロイドによる治療を受けることを制限される。
【0062】
いくつかの実施形態では、上記治療は、補体B因子(Bb)の血漿Bbフラグメント濃度及び血清副経路(AP)活性を減少させることを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対象の血尿を減少させることを含む。対象の血尿を減少させることは、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、尿中赤血球(RBC)のベースラインからの減少を含み得る。血尿の減少には、10RBC/hpf未満を達成することも含まれ得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、上記治療は、身体機能、身体、体の痛み、活力、全体的健康感、精神、心の健康、及び社会生活機能のうちの1つ以上の36項目の簡易調査票(SF-36)スコアのベースラインからの改善を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、上記治療は、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みのうちの1つ以上のEuroQol5-次元5-レベル質問票(EQ-5D-5L)スコアの改善を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、対象は、CKD-EPIを用いて計算した場合に、eGFR<30mL/分/1.73m2を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前に得られた最新の腎生検で、尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は糸球体の半月体形成が50%未満である。
【0068】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に得られた最新の腎生検で、LN又はIgAN以外の重大な腎疾患を併発していない。
【0069】
いくつかの実施形態では、対象は、固形臓器移植又は骨髄移植の病歴を有さない。
【0070】
いくつかの実施形態では、対象は、50週間の治療期間中に、固形臓器移植又は骨髄移植を受けることを制限される。
【0071】
いくつかの実施形態では、対象は、脾臓摘出術を受けておらず、機能性無脾症を有さない。
【0072】
いくつかの実施形態では、対象は、発作の病歴を有さない。
【0073】
いくつかの実施形態では、対象は、補体欠損症がLN又はIgANに起因するものでない限り、補体欠損症が既知又は疑われない。
【0074】
いくつかの実施形態では、対象はトルサード・ド・ポワントの病歴や危険因子を持たず、Fridericiaの式を使用して補正されたスクリーニングQT間隔(QTcF)が、対象が男性の場合は450ミリ秒を超え、対象が女性の場合又は補正されたQT間隔(QTc)を有意に増加させることが知られている薬剤を受けている場合は470ミリ秒を超える。
【0075】
いくつかの実施形態では、対象は、アラニンアミノトランスフェラーゼレベル>2×基準値上限(ULN)を有さない。
【0076】
いくつかの実施形態では、対象は、直接ビリルビンレベルがULNの2倍超を有さない。
【0077】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、ヘモグロビンA1Cレベル≦7.0%を有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前1年以内に薬物又はアルコールの乱用又は依存症の既知又は疑いの病歴を有さない。
【0079】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前5年以内に悪性腫瘍の病歴がなく、ここで悪性腫瘍は非黒色腫皮膚癌又は再発の証拠なく治療された子宮頸部上皮内癌ではない。
【0080】
いくつかの実施形態では、対象は、陰性表面抗体によるB型肝炎ウイルス感染の兆候を示していない。
【0081】
いくつかの実施形態では、対象はC型肝炎ウイルス感染の兆候を示していない;又はC型肝炎ウイルス感染の兆候を示しているが、治療は成功しており、持続的なウイルス学的反応が記録されている。
【0082】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒト免疫不全ウイルス感染の兆候を示していない。
【0083】
いくつかの実施形態では、対象は、骨髄不全又は血小板減少を有さない。
【0084】
いくつかの実施形態では、対象は、治療の前14日以内に、活動性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染を有さなかった。
【0085】
いくつかの実施形態では、対象は、髄膜炎菌(N meningitidis)感染の病歴を有さない。
【0086】
いくつかの実施形態では、対象は、免疫系の機能に影響を与える可能性のある生物学的製剤(コルチコステロイドや免疫抑制剤など)による治療を受けていない;又は生物学的製剤による治療を中止しており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に生物学的製剤の終末半減期の5倍が経過している。
【0087】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6カ月以内に、ベリムマブ又はリツキシマブによる治療を受けていない。
【0088】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩以外の補体阻害剤による治療を受けていなかったか、又は受けていない。
【0089】
いくつかの実施形態では、対象は、強力なシトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA(CYP3A)阻害剤;中等度のCYP3A阻害剤;CYP3Aの強力な誘導物質;CYP3Aの中等度の誘導物質;及びCYP3Aの感受性基質から選択される薬剤による治療を、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前の2週間又は薬剤の5倍の半減期のいずれか長い期間以内に受けていない。
【0090】
いくつかの実施形態では、対象は、メペリジン、ペチジン、典型的(第1世代)抗精神病薬、クロザピン、オランザピン、リチウム、三環系抗うつ薬、ブプロピオン、アミノフィリン、及びテオフィリンから選択される薬剤による治療を受けていない。
【0091】
いくつかの実施形態では、対象は、妊娠中又は授乳中ではない。
【0092】
いくつかの実施形態では、対象は、CYP3A4酵素活性を阻害する食品及び飲料の摂取を制限される。
【0093】
いくつかの実施形態では、対象は、エクリズマブによる治療を受けることを制限される。
【0094】
いくつかの実施形態では、対象は、ラブリズマブによる治療を受けることを制限される。
【0095】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に(例えば3カ月以上)安定用量のナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT-2)阻害剤による治療を受けており、SGLT-2阻害剤の用量は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の間に(例えば、50週間の治療期間にわたって)変化しない。
【0096】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、SGLT-2阻害剤による治療を受けておらず、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内にSGLT-2阻害剤による治療を受けることを制限される。
【0097】
いくつかの実施形態では、対象は、強力なCYP3A阻害剤、中等度のCYP3A阻害剤、CYP3Aの強力な誘導物質、CYP3Aの中等度の誘導物質、及びCYP3Aの感受性基質から選択される薬剤を使用することを制限される。
【0098】
いくつかの実施形態では、対象は、メペリジン、ペチジン、典型的(第1世代)抗精神病薬、クロザピン、オランザピン、リチウム、三環系抗うつ薬、ブプロピオン、アミノフィリン、及びテオフィリンから選択される薬剤を使用することを制限される。
【0099】
いくつかの実施形態では、対象は、QTcを有意に延長することが知られている薬剤の使用を制限されるが、薬剤がLNの対象に使用されるヒドロキシクロロキンではないことを条件とする。
【0100】
別の態様では、本開示は、治療方法において使用するための薬剤の製造における化合物1又はその薬学的に許容される塩の使用を特徴とし、治療方法は本明細書に開示される方法のいずれか1つである。
【0101】
別の態様では、本開示は、治療方法において使用するための化合物を特徴とし、化合物は化合物1又はその薬学的に許容される塩であり、治療方法は本明細書に開示される方法のいずれか1つである。
【0102】
別の態様では、本開示は、対象においてLN又はIgANを治療するためのキットを特徴とし、これには、(a)化合物1又はその薬学的に許容される塩の用量と;(b)本明細書に開示される方法のいずれか1つに従って化合物1又はその薬学的に許容される塩を使用するための説明書とが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【
図1】
図1は、実施例1に記載の第2相臨床試験(ループス腎炎コホート)のデザインを示す概略図である(LN:ループス腎炎;bid:1日2回)。
【
図2】
図2は、実施例1に記載の第2相臨床試験(免疫グロブリンA腎症コホート)のデザインを示す概略図である(IgAN:免疫グロブリンA腎症;bid:1日2回)。
【
図3】
図3は、実施例1に記載のループス腎炎コホートの適格性を決定するために使用される、全身性エリテマトーデス(SLE)の2019欧州リウマチ学会(ELAR)/米国リウマチ学会(ACR)分類を示す。
【発明を実施するための形態】
【0104】
定義
本明細書で使用する場合、名詞の前の「1つの」又は「複数」という用語は、1つ以上の特定の名詞を表す。例えば、「哺乳動物細胞(a mammalian cell)」という句は、「1つ以上の哺乳動物細胞(one or more mammalian cells)」を表す。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0105】
「約」という用語は、特に所与の数量又は数字に関する場合、プラスマイナス10パーセント(±10%)の内の偏差を包含することを意味する(例えば±5%)。
【0106】
本明細書で使用する場合、「ベースライン」という用語は、治療レジメンの開始時に(例えば、本明細書に開示される方法のいずれか1つに従って)対象において検出又は測定されたパラメータ(例えば、レベル、スコア、又は解剖学的測定)を指す。
【0107】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比に見合っている記載される化合物の塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩は:Berge et al.,J.Pharmaceutical Sciences 66:1-19,1977及びHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(Eds.P.H.Stahl and C.G.Wermuth),Wiley-VCH,2008に記載されている。これらの塩は、無機酸又は有機酸を含む酸付加塩であってもよい。塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離及び精製中にその場で調製することができるか、又は遊離塩基基を好適な酸と反応させることによって個別に調製することができる。適切な塩を調製するための方法は、当該技術分野において十分に確立されている。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アスコルビン酸塩、アルパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、ブロミド、酪酸塩、カンホレート、カンファースルホン酸塩、クロリド、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトネート、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデンカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0108】
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」とは、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に製剤化された活性化合物を指す。いくつかの実施形態では、化合物は、関連する集団に投与された場合に所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す、治療レジメンにおける投与に適切な単位用量で存在する。特定の実施形態では、医薬組成物は、以下に適応したものを含め、固体又は液体の形態で投与するために特別に製剤化することができる:経口投与、例えば、ドレンチ(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、口腔、舌下、及び全身吸収を対象としたもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に塗布するためのペースト;非経口投与、例えば、滅菌溶液若しくは懸濁液、若しくは徐放性製剤としての、例えば、皮下、筋肉内、静脈内若しくは硬膜外注射による;局所適用、例えば、皮膚、肺、若しくは口腔に適用されるクリーム、軟膏、若しくは放出制御パッチ、若しくはスプレーとして;例えばペッサリー、クリーム、若しくはフォームとして膣内若しくは直腸内に;舌下で;眼的に;経皮的に;又は鼻、肺、及びその他の粘膜表面へ。
【0109】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、本明細書で使用する場合、対象において無毒性及び非炎症性である特性を有する任意の不活性成分(例えば、活性化合物を懸濁又は溶解できるビヒクル)を指す。典型的な賦形剤としては、例えば:抗付着剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング、圧縮補助剤、崩壊剤、色素、皮膚軟化剤、乳化剤、希釈剤、フィルム形成剤又はコーティング、香味剤、香料、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、印刷インク、吸着剤、懸濁化若しくは分散剤、甘味料、又は水和の水が挙げられる。賦形剤としては:ブチル化された任意選択的に置換されたヒドロキシトルエン(例えば、BHT)、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、任意選択的に置換されたヒドロキシプロピルセルロース、任意選択的に置換されたヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、様々な薬剤及び材料に精通している。
【0110】
本明細書で使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、ヒト患者(例えば、LN又はIgA腎症を有する患者)である。本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は互換的である。
【0111】
本明細書で使用される場合、「治療すること」という用語は、治療的治療を含む。「治療的」治療という用語は当該技術分野で認知されており、望ましくない病態の発現後に、開示された化合物又は製剤の1つ以上をヒト対象に投与することを含む(すなわち、既存の望ましくない病態又はその副作用を軽減、改善、又は安定化させることを目的とする)。好ましくは、対象の病態(例えば、LN又はIgAN)の重症度が軽減されるか、又は少なくとも部分的に改善若しくは修正され、少なくとも1つの臨床症状(例えば、タンパク尿)のある程度の緩和、軽減、逆転、又は減少が達成される。
【0112】
本明細書で使用される場合、「有効な治療」は、有益な効果、例えば疾患又は障害の少なくとも1つの症状の改善をもたらす治療を指す。有益な効果は、ベースラインを超える改善、すなわち本方法による治療の開始前に行われた測定又は観察を超える改善の形態をとることができる。効果的な治療とは、例えば、疾患又は障害(例えば、LN又はIgAN)の少なくとも1つの症状の緩和を指し得る。
【0113】
本明細書で使用する場合、「有効量」又は「治療的有効量」という用語は、所望の生物学的、治療的及び/又は予防的結果を提供する薬剤の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状若しくは原因の1つ以上の低減、改善、緩和、減少、遅延及び/若しくは軽減又は生物系の任意の他の所望の変化であり得る。一例では、「有効量」は、疾患(例えば、LN又はIgAN)の少なくとも1つの症状を軽減するのに有用な、例えば臨床的に証明されている、化合物1又はその薬学的に許容される塩の量である。有効量を1回以上の投与で投与することができる。
【0114】
本明細書で使用する場合、「腎フレアを経験するリスクを低減すること」という用語は、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における腎フレアの発生頻度(例えば、実施例1で提供される基準によって定義されるとおり)を低減することを指す。低減とは、同じ年齢、性別、及び/又は病態(例えば、併存疾患)の対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における腎フレアの発生頻度は、対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)に対して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは99%、又はそれ以上)減少する。
【0115】
本明細書で使用する場合、「腎外性全身性エリテマトーデス(SLE)フレアを経験するリスクを低減すること」という用語は、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における腎外性SLEフレアの発生頻度(例えば、実施例1で提供される基準によって定義されるとおり)を低減することを指す。低減とは、同じ年齢、性別、及び/又は病態(例えば、併存疾患)の対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における腎外性SLEフレアの発生頻度は、対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)に対して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは99%、又はそれ以上)減少する。
【0116】
本明細書で使用する場合、「至適奏効以下のリスクを低減すること」という用語は、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における至適奏効以下の発生頻度(例えば、実施例1で提供される基準によって定義されるとおり)を低減することを指す。低減とは、同じ年齢、性別、及び/又は病態(例えば、併存疾患)の対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における至適奏効以下の発生頻度は、対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)に対して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは99%、又はそれ以上)減少する。
【0117】
本明細書で使用する場合、「治療不成功のリスクを低減すること」という用語は、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における治療不成功の発生頻度(実施例1で定義されるとおり)を低減することを指す。低減とは、同じ年齢、性別、及び/又は病態(例えば、併存疾患)の対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に従って治療された対象における治療不成功の発生頻度は、対照対象(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)に対して、少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、若しくは99%、又はそれ以上)減少する。
【0118】
本明細書で使用する場合、「タンパク尿」という用語は、対象のサンプル、例えば、尿サンプル中に異常な量のタンパク質が存在することを指す。様々な方法が、尿タンパク質レベルの測定で使用され得る。いくつかの実施形態では、LNを有する対象において、タンパク尿は、尿タンパク質対クレアチニン比(UPCR)により測定することができ、ここで尿は、尿は24時間に1回患者から採取される。加えて、尿アルブミン対クレアチニン比(UACR)も使用してよい。対数変換タンパク尿を測定するための例示的なMMRM法は、実施例に概説されている。いくつかの実施形態では、IgANを有する対象において、タンパク尿は、実際のタンパク質レベルの測定によって測定することができ、ここで尿は、24時間ウインドウ内に2回回収され、クレアチニン排泄率からタンパク尿が推定される。本明細書で使用する場合、「タンパク尿を減少させること」という用語は、タンパク尿を患っている対象の24時間尿タンパク排泄量を、薬剤、例えば、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前の対象におけるベースラインの24時間尿タンパク質排泄量と比較して、(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又はそれ以上)減少させることを指す。
【0119】
ループス腎炎
本開示は、LNを治療する方法を提供する。LNの病態生理学は、補体が異常な免疫応答のメディエーターとして働く複数の重複経路を含む(Bao (2015),supra;Pickering et al.,Rheumatology(Oxford).2000;39(2):133-141)。免疫複合体は、C1複合体の補体成分1q(C1q)との直接相互作用によって補体CPを活性化できる;AP媒介増幅ループによる更なる活性化は、補体活性化産物の全体的な蓄積と、その結果として生じる炎症反応及び組織損傷に寄与する。終末補体成分(C5a及び終末補体複合体[C5b-9])は、インターロイキン及びサイトカインシグナル伝達の活性化を介して急性細胞炎症応答を誘発する。補体はまた、腎臓において免疫グロブリン及びICを固定するように働く(Thurman et al.,Adv Chronic Kidney Dis.2020;27(2):86-94)。実際に、補体及び補体分割生成物は、LNを有する患者の腎生検における顕著な組織学的所見である(Biesecker et al.,J Exp Med.1981;154(6)L 1779-1794;Wilson et al.,Kidney Int.2019;95(3):655-665)。これらの自己免疫及び補体バイオマーカーの血清レベルは、疾患活性と関連している(Birmingham et al.,Nephrol.,Dial,Transplant.2017;32(suppl_1i71-i79;Dall’Era et alArthritis Care Re(Hoboken).2011;63(3):351-357)。C3、補体成分4(C4)、及びC1qの減少は、新規LN及びLNフレアに関連する。同様に、補体バイオマーカーのレベルは、SLEにおける疾患活性と相関する(Kim et al.,Arthritis Rheumatol.2019;71(3):420-430;Song et al.,Am J Med Sci.2017;353(3):247-257)。実際、化合物1の薬力学的(PD)マーカーである血漿補体因子Bbは、臨床寛解期のLN患者、LNのない活動性SLE、及び正常対照と比較した場合、活動性LN患者において有意に上昇する。最後に、血漿Bbレベルは腎臓病活動性指数と有意に相関しており、腎臓への有害な転帰の危険因子である(Song(2017),supra)。
【0120】
補体制御を回復すると、急性の抗炎症効果と腎臓のIC沈着を介した傷害に対する持続的な効果を通じて腎臓の反応が改善される可能性がある。LNの病態生理学に対するAP活性の寄与はマウスモデルで実証されており(Elliot et al.,Kidney Int.2004;65(1):129-138;Grossman et al.,Immunobiology.2016;221(6):701-708;Watanabe et al.,J Immunol.2000;164(2):786-794)、可溶性バイオマーカープロファイルとLN患者の腎沈着の組成によって更に裏付けられている(Lukawska et al.,Clin Exp Med.2018;18(3):297-318;Kim et al.,Lupus.2020;29(8):862-871; Birmingham(2017),Song(2017),supra)。AP制御を回復すると、急性の抗炎症効果と腎臓のIC沈着を介した傷害に対する持続的な効果を通じて腎臓の反応が改善される可能性がある。従って、FD阻害は、活動性増殖性LNの導入治療と慢性LNの維持治療の両方に有望である(Thurman et al.,J Immunol.2006;176(3):1305-1310;Lukawska(2018),supra).
【0121】
免疫グロブリンA腎症
本開示は、IgANを治療する方法を提供する。IgANの病態生理は、腎糸球体に蓄積するグリコシル化不足の免疫グロブリンA1(IgA1)の過剰産生に関連する。しかしながら、異常なガラクトシル化単独では、腎傷害を誘導するには不十分であり、ガラクトシル化不足のIgA1分子を認識するグリカン特異的IgA及び免疫グロブリンG(IgG)自己抗体も寄与する可能性が高い。このプロセスは、腎臓における局所炎症及び補体活性化をもたらす(Oortwijn et al.,Semin Nephrol.2008;28(1):58-65)。AP及びLP補体経路の両方が活性化され得、C3a及びC5aのアナフィラトキシン、並びにMAC C5b-9の生成をもたらし、その後、炎症性メディエーターが促進される(Maillard et al.,J Am Soc Nephrol.2015;26(7):1503-1512;Lukawska(2018),Thurman(2006),supra)。C4及びC3複合体並びに活性化C3生成物は、IgANを有する患者の30%までで上昇する。活性化C3生成物は、これらの生成物の正常レベルを有するIgANを有する患者と比較して高レベルのタンパク尿及び血尿と関連し、腎機能の悪化と相関する(Zwirner et al.,Kidney Int.1997;51(4):1257-1264)。腎生検及び循環補体タンパク質に対する補体活性は、疾患活性及びCKDの進行と関連する。AP関与の証拠は、プロパージンのIgA、及び補体因子H(FH)及び因子H関連タンパク質5(FHR5)を含むAP C3転換酵素安定性調節因子のIgAとの共沈着で確立されている(Medjeral-Thomas et al.,Clin J Am Soc Nephrol.2014;9(1):46-53;Rizk(2019,supra)。IgANの病因とFHRタンパク質の循環レベルとの関連性、並びにFH及びFH関連タンパク質の発現又は活性に影響を与えるCFH遺伝子座における防御的変異体と病原性変異体の両方の同定との関連から、更なる支持が得られる(Tortajada et al.,Mol Immunol.2019;114:123-132)。これらの所見を総合すると、病態生理学における補体の役割並びにIgANにおける補体バイオマーカーの予後的価値が示唆される(Rizk(2019),supra)。動物実験では、C3b及びFBと異常にグリコシル化されたIgA複合体が糸球体に共沈着していることが実証されている(Hashimoto et al.,Am J Pathol.2012;181(4):1338-1347)。このことは、他の腎臓画分と比較して糸球体におけるFD及びプロパージンのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)転写物の発現が上昇していることを実証するデータを通じて、ヒトにおいて裏付けられている(Song et al.,Nephron.1998;78(1):15-22)。
【0122】
D因子阻害は、腎臓病に進行するリスクが高いIgAN患者(すなわち、最適なRAS遮断にもかかわらず有意なタンパク尿)を有する患者の治療の潜在的な標的である(Reich et al.,J am Soc Nephrol.2007;18(12):3177-3183;Rizk(2019),supra)。D因子阻害は補体APの活性化を直接ブロックし、増幅ループの阻害を通じて他の経路を介して補体活性化を和らげ、下流の分子及び細胞への影響を防止し、その後IgAN患者における治療効果の可能性をもたらす。
【0123】
治療方法
本開示は、治療有効量の化合物1:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩を、対象に投与することにより、LN及び/又はIgANに罹患している対象を治療するための方法を提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、約60mg~約300mgの用量で1日2回(BID)、例えば、約120mgの用量でBID、又は約180mgの用量でBIDで投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、約180mgの用量でBIDで投与される。
【0125】
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療過程は、26週間続く。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療過程は、50週間続く。いくつかの実施形態では、治療過程は、26~52週間、26~78週間、26~104週間、26~130週間、26~154週間、又はそれ以上続く。いくつかの実施形態では、治療過程は、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、102、130、154、又は182週間を超えて続く。いくつかの実施形態では、治療過程は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、又はそれ以上の年数を超えて続く。いくつかの実施形態では、治療過程は、対象の残りの生涯にわたって続く。
【0126】
いくつかの実施形態では、改善の最初の兆候は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による12週間の治療までに現れる。いくつかの実施形態では、改善の最初の兆候は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による26週間の治療までに現れる。いくつかの実施形態では、改善の最初の兆候は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による50週間の治療までに現れる。いくつかの実施形態では、改善の最初の兆候は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による改善の最初の兆候は1~26週間、26~52週間、52~78週間、78~102週間、102~130週間、130~156週間、156~182週間、又は182~208週間の治療の間に現れる。いくつかの実施形態では、改善の最初の兆候は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、100、104、108、又は154週間の治療後に現れる。
【0127】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、100、102、104、108、又は154週間の治療の後に、対象からの24時間尿収集に由来する尿タンパク質対クレアチニンの比、及び/又は2回の24時間尿収集の平均に由来する絶対タンパク質によって測定した場合に、対象のタンパク尿を(例えば、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又はそれ以上で)ベースラインから減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、154週間の治療期間後に、対象のタンパク尿をベースラインから(例えば、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又はそれ以上で)減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、102週間の治療期間後に、対象のタンパク尿をベースラインから(例えば、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又はそれ以上で)減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、50週間の治療期間後に、対象のタンパク尿をベースラインから(例えば、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又はそれ以上で)減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、26週間の治療期間後に、対象のタンパク尿をベースラインから(例えば、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又はそれ以上で)減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、9週間の治療期間後に、対象のタンパク尿をベースラインから(例えば、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、又はそれ以上で)減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、50週間の治療期間後に、タンパク尿を30%超で(例えば、50%超で)減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、26週間の治療期間後に、タンパク尿を30%超で(例えば、50%超で)減少させることを含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、対象の腎機能を改善することを含む。腎機能の改善は、慢性腎臓病疫学共同試験(CKD-EPI)を用いて計算した場合に、対象のeGFRのベースラインからの(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)の増加であり得る。腎機能の改善は、また、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、対象のeGFRのベースラインからの(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)の増加を抑えることであり得る。対象の腎機能の改善は、対象のクレアチニンクリアランスを(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)改善することも含み得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、補体B因子(Bb)の血漿Bbフラグメント濃度を(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)、及び血清副経路(AP)活性を(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)減少させることを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、対象の血尿を減少させることを含む。対象の血尿を減少させることは、尿中赤血球(RBC)のベースラインからの(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)の減少を含み得る。血尿の減少には、10RBC/hpf未満を達成することも含まれ得る。いくつかの実施形態では、上記治療は、50週間の治療期間の後に、対象の血尿を減少させることを含む。いくつかの実施形態では、上記治療は、26週間の治療期間の後に、対象の血尿を減少させることを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、治療効果は、36項目の簡易調査票(SF-36)スコアで測定される。(SF-36)は、一連の一般的で一貫性があり、簡単に管理できるクオリティ・オブ・ライフの尺度である。SF-36は、8次元:身体機能、身体、体の痛み、活力、全体的健康感、精神、心の健康、及び社会生活機能にグループ化された36個の項目を有する。例示的なSF-36、スコアリングキー、及びスケールを以下の表1~3に示す。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
いくつかの実施形態では、LN及び/又はIgANの治療は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療の後に、身体機能、身体、体の痛み、活力、全体的健康感、精神、心の健康、及び社会生活機能のうちの1つ以上のSF-36スコアを、ベースラインから(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)改善することを含む。改善は、例えば、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みのうちの1つ以上のSF-36スコアを、ベースラインから(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)増加させることも含み得る。いくつかの実施形態では、SF-36スコアの改善は、8週間の治療後に観察される。いくつかの実施形態では、SF-36スコアの改善は、16週間の治療後に観察される。いくつかの実施形態では、SF-36スコアの改善は、26週間の治療後に観察される。いくつかの実施形態では、SF-36スコアの改善は、50週間の治療後に観察される。
【0138】
いくつかの実施形態では、治療効果は、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みのうちの1つ以上のEuroQol5-次元5-レベル質問票(EQ-5D-5L)スコアにより測定される。EuroQol5-次元5-レベル質問票(EQ-5D-5L)は、健康関連のクオリティ・オブ・ライフを測定するための標準化された質問票であり、5次元、すなわち、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みで決定される。EQ-5D-5Lの代表的な方法は、上記5次元を伴う0~100の健康状態視覚的評価スケール(VAS)に基づいており、0は最悪の健康状態を示し、100は最高の健康状態を示す。0~1のインデックス又はユーティリティスコアは、好みに基づく値セットを使用して5次元から計算され、ここで、0は死亡と同等の健康状態を示し、1は完全な健康を示す。負の値は、死亡よりも悪いと考えられる健康状態を示す。EQ-5D-5Lの各次元はカテゴリ変数として要約及び分析され、試験対象患者の健康プロファイルに関するデータが提供される。VAS及びEQ-5D-5Lインデックススコアは、連続変数として要約及び分析できる。例示的なEQ-5D-5L質問票を以下の表4に提供する。
【0139】
【0140】
いくつかの実施形態では、LN及び/又はIgANの治療は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療の後に、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みのうちの1つ以上のEQ-5D-5Lスコアを、ベースラインから(例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、又はそれ以上)改善することを含む。改善は、例えば、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みのうちの1つ以上のEQ-5D-5Lスコアのベースラインからの増加であり得る。いくつかの実施形態では、EQ-5D-5Lスコアの改善は、8週間の治療後に観察される。いくつかの実施形態では、EQ-5D-5Lスコアの改善は、16週間の治療後に観察される。いくつかの実施形態では、EQ-5D-5Lスコアの改善は、26週間の治療後に観察される。いくつかの実施形態では、EQ-5D-5Lスコアの改善は、50週間の治療後に観察される。
【0141】
いくつかの実施形態では、対象は、CKD-EPIを用いて計算した場合に、eGFR<30mL/分/1.73m2を有する。
【0142】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前に得られた最新の腎生検で、尿細管萎縮、糸球体硬化症、又は糸球体の半月体形成が50%未満である。
【0143】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に得られた最新の腎生検で、LN又はIgAN以外の有意な腎疾患を併発していない。
【0144】
いくつかの実施形態では、対象は、固形臓器移植又は骨髄移植の病歴を有さない。
【0145】
いくつかの実施形態では、対象は、50週間の治療期間中に、固形臓器移植又は骨髄移植を受けることを制限される。
【0146】
いくつかの実施形態では、対象は、脾臓摘出術を受けておらず、機能性無脾症を有さない。
【0147】
いくつかの実施形態では、対象は、発作の病歴を有さない。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象は、補体欠損症がLN又はIgANに起因するものでない限り、補体欠損症が既知又は疑われない。
【0149】
いくつかの実施形態では、対象はトルサード・ド・ポワントの病歴や危険因子を持たず、Fridericiaの式を使用して補正されたスクリーニングQT間隔(QTcF)が、対象が男性の場合は450ミリ秒を超え、対象が女性の場合又は補正QT間隔(QTc)を大幅に増加させることが知られている薬剤を受けている場合は470ミリ秒を超える。このような薬剤の例としては、典型的(第1世代)抗精神病薬(例えば、チオリダジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、ピモジド、又はロキサピン)、非定型的(第2世代)抗精神病薬(例えば、ジプラシドン、イロペリドン、クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、パリペリドン、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、ブレクスピプラゾール、又はプラシドン(purasidone))、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI;例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、又はフルボキサミン)、三環系若しくは四環系抗うつ薬(TCA又はTeCA;例えば、アミトリプチリン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、デシプラミン、クロミプラミン、トリミプラミン、又はドキセピン)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI;例えば、ベンラファキシン、デュロキセチン、デスベンラファキシン、レボミルナシプラン、又はミルナシプラン)、並びにその他の抗うつ薬(例えば、ミルタザピン、ブプロピオン、ボルチオキセチン、ビラゾドン、又はトラゾドン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
いくつかの実施形態では、対象は、アラニンアミノトランスフェラーゼレベル>2×基準値上限(ULN)を有さない。
【0151】
いくつかの実施形態では、対象は、直接ビリルビンレベルがULNの2倍超を有さない。
【0152】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、ヘモグロビンA1Cレベル≦7.0%を有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前1年以内に薬物又はアルコールの乱用又は依存症の既知又は疑いの病歴を有さない。
【0154】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前5年以内に悪性腫瘍の病歴がなく、ここで悪性腫瘍は非黒色腫皮膚癌又は再発の証拠なく治療された子宮頸部上皮内癌ではない。
【0155】
いくつかの実施形態では、対象は、陰性表面抗体によるB型肝炎ウイルス感染の兆候を示していない。
【0156】
いくつかの実施形態では、対象はC型肝炎ウイルス感染の兆候を示していない;又はC型肝炎ウイルス感染の兆候を示しているが、治療は成功しており、持続的なウイルス学的反応が記録されている。
【0157】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒト免疫不全ウイルス感染の兆候を示していない。
【0158】
いくつかの実施形態では、対象は、骨髄不全又は血小板減少を有さない。
【0159】
いくつかの実施形態では、対象は、治療の前14日以内に、活動性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染を有さなかった。
【0160】
いくつかの実施形態では、対象は、髄膜炎菌(N meningitidis)感染の病歴を有さない。
【0161】
いくつかの実施形態では、対象は、免疫系の機能に影響を与える可能性のある生物学的製剤(コルチコステロイドや免疫抑制剤など)による治療を受けていない;又生物学的製剤による治療を中止しており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に生物学的製剤の終末半減期の5倍が経過している。
【0162】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6カ月以内に、ベリムマブ又はリツキシマブによる治療を受けていない。
【0163】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩以外の補体阻害剤による治療を受けていなかったか、又は受けていない。
【0164】
いくつかの実施形態では、対象は、強力なシトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA(CYP3A)阻害剤(例えば、ボセプレビル;コビシスタット;ダノプレビル及びリトナビル;エルビテグラビル及びリトナビル;グレープフルーツジュース;インジナビル及びリトナビル;イトラコナゾール;ケトコナゾール;ロピナビル及びリトナビル;パリタプレビル、リトナビル、及びオムビタスビル及び/若しくはダサブビル;ポサコナゾール;リトナビル;サキナビル及びリトナビル;テラプレビル;チプラナビル及びリトナビル;テリスロマイシン;トロレアンドマイシン;ボリコナゾール;クラリスロマイシン;イデラリシブ;ネファゾドン;又はネルフィナビル);中等度のCYP3A阻害剤(例えば、アプレピタント、シプロフロキサシン、コニバプタン、クリゾチニブ、シクロスポリン、ジルチアゼム、ドロネダロン、エリスロマイシン、フルコナゾール、フルボキサミン、イマチニブ、トフィソパム、又はベラパミル);CYP3Aの強力な誘導物質(例えば、アパルタミド、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、リファンピン、又はセイヨウオトギリソウ);CYP3Aの中等度の誘導物質(例えば、ボセンタン、エファビレンツ、エトラビリン、フェノバルビタール、又はプリミドン);並びにCYP3Aの感受性基質(例えば、アルフェンタニル、アバナフィル、ブスピロン、コニバプタン、ダリフェナシン、ダルナビル、エバスチン、エベロリムス、イブルチニブ、ロミタピド、ロバスタチン、ミダゾラム、ナロキセゴール、ニソルジピン、サキナビル、シンバスタチン、シロリムス、タクロリムス、チプラナビル、トリアゾラム、バルデナフィル、ブデソニド、ダサチニブ、ドロネダロン、エレトリプタン、エプレレノン、フェロジピン、インジナビル、ルラシドン、マラビロク、クエチアピン、シルデナフィル、チカグレロル、又はトルバプタン)から選択される薬剤による治療を、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前の2週間又は薬剤の5倍の半減期のいずれか長い期間以内に受けていない。
【0165】
いくつかの実施形態では、対象は発作閾値の低下及び/又は発作を引き起こすことが知られている薬剤による治療を受けていない。このような薬剤の例としては、メペリジン、ペチジン、典型的(第1世代)抗精神病薬、クロザピン、オランザピン、リチウム、三環系抗うつ薬、ブプロピオン、アミノフィリン、及びテオフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
いくつかの実施形態では、対象は、妊娠中又は授乳中ではない。
【0167】
いくつかの実施形態では、対象は、CYP3A4酵素活性を阻害する食品及び飲料の摂取を制限される。
【0168】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩以外の補体阻害剤(例えば、エクリズマブ又はラブリズマブなどの抗C5抗体)による治療を受けることを制限される。
【0169】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に(例えば3カ月以上)安定用量のナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT-2)阻害剤による治療を受けており、SGLT-2阻害剤の用量は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の間に(例えば、50週間の治療期間にわたって)変化しない。
【0170】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、SGLT-2阻害剤による治療を受けておらず、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内にSGLT-2阻害剤による治療を受けることを制限される。
【0171】
いくつかの実施形態では、対象は、強力なシトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA(CYP3A)阻害剤(例えば、ボセプレビル;コビシスタット;ダノプレビル及びリトナビル;エルビテグラビル及びリトナビル;グレープフルーツジュース;インジナビル及びリトナビル;イトラコナゾール;ケトコナゾール;ロピナビル及びリトナビル;パリタプレビル、リトナビル、及びオムビタスビル及び/若しくはダサブビル;ポサコナゾール;リトナビル;サキナビル及びリトナビル;テラプレビル;チプラナビル及びリトナビル;テリスロマイシン;トロレアンドマイシン;ボリコナゾール;クラリスロマイシン;イデラリシブ;ネファゾドン;又はネルフィナビル);中等度のCYP3A阻害剤(例えば、アプレピタント、シプロフロキサシン、コニバプタン、クリゾチニブ、シクロスポリン、ジルチアゼム、ドロネダロン、エリスロマイシン、フルコナゾール、フルボキサミン、イマチニブ、トフィソパム、又はベラパミル);CYP3Aの強力な誘導物質(例えば、アパルタミド、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、リファンピン、又はセイヨウオトギリソウ);CYP3Aの中等度の誘導物質(例えば、ボセンタン、エファビレンツ、エトラビリン、フェノバルビタール、又はプリミドン);並びにCYP3Aの感受性基質(例えば、アルフェンタニル、アバナフィル、ブスピロン、コニバプタン、ダリフェナシン、ダルナビル、エバスチン、エベロリムス、イブルチニブ、ロミタピド、ロバスタチン、ミダゾラム、ナロキセゴール、ニソルジピン、サキナビル、シンバスタチン、シロリムス、タクロリムス、チプラナビル、トリアゾラム、バルデナフィル、ブデソニド、ダサチニブ、ドロネダロン、エレトリプタン、エプレレノン、フェロジピン、インジナビル、ルラシドン、マラビロク、クエチアピン、シルデナフィル、チカグレロル、又はトルバプタン)から選択される薬剤を使用することを制限される。
【0172】
いくつかの実施形態では、対象は発作閾値の低下及び/又は発作を引き起こすことが知られている薬剤を使用することを制限される。このような薬剤の例としては、メペリジン、ペチジン、典型的(第1世代)抗精神病薬、クロザピン、オランザピン、リチウム、三環系抗うつ薬、ブプロピオン、アミノフィリン、及びテオフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
いくつかの実施形態では、対象は、QTcを有意に延長することが知られている薬剤の使用を制限されるが、薬剤がLNの対象に使用されるヒドロキシクロロキンではないことを条件とする。このような薬剤の例としては、典型的(第1世代)抗精神病薬(例えば、チオリダジン、ハロペリドール、クロルプロマジン、ピモジド、又はロキサピン)、非定型的(第2世代)抗精神病薬(例えば、ジプラシドン、イロペリドン、クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、パリペリドン、アリピプラゾール、アセナピン、クロザピン、ブレクスピプラゾール、又はプラシドン(purasidone))、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI;例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、パロキセチン、フルオキセチン、セルトラリン、又はフルボキサミン)、三環系若しくは四環系抗うつ薬(TCA又はTeCA;例えば、アミトリプチリン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、デシプラミン、クロミプラミン、トリミプラミン、又はドキセピン)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI;例えば、ベンラファキシン、デュロキセチン、デスベンラファキシン、レボミルナシプラン、又はミルナシプラン)、並びにその他の抗うつ薬(例えば、ミルタザピン、ブプロピオン、ボルチオキセチン、ビラゾドン、又はトラゾドン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
LNの治療
いくつかの実施形態では、対象はLN(例えば、デノボLN又は再発性LN)を有する。
【0175】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前6カ月以内に得られた腎生検によって確認された、活動性の局所的又はびまん性の増殖LNクラスII又はIVと診断されている。対象はまた、クラスV疾患を示し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、LNは、免疫抑制導入治療を必要とする臨床的に活動性のLNである。
【0177】
いくつかの実施形態では、対象は、治療前の24時間尿収集に基づいて、尿タンパク質:クレアチニン比(UPCR)≧1g/gであるタンパク尿を有する。
【0178】
いくつかの実施形態では、対象がLNを有する場合、スポット尿サンプルで測定したUPCR≦0.5g/gが最初に発生するまでの時間が、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して短縮される。
【0179】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、治療の3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、部分腎寛解(PRR;実施例1に示した基準によって定義されるとおり)を経験する。いくつかの実施形態では、対象は、26週間の治療期間の後、PRRを経験する。いくつかの実施形態では、対象は、50週間の治療期間の後、PRRを経験する。
【0180】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、治療の3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、完全腎寛解(CRR;実施例1に示した基準によって定義されるとおり)を経験する。いくつかの実施形態では、対象は、26週間の治療期間の後、CRRを経験する。いくつかの実施形態では、対象は、50週間の治療期間の後、CRRを経験する。
【0181】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較した場合、スポット尿サンプルによって測定されるベースラインからのUPCR≦0.5g/gの最初の発生までの時間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週)を短縮することを含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない。
【0183】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前の最大6週間の期間内に、累積用量約1gのメチルプレドニゾロンIVを1回以上の分割用量で投与されてもよい。
【0184】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前の最大6週間の期間中、約30mg/日の最小用量及び約60mg/日の最大容量である約0.5mg/kg/日の用量で経口コルチコステロイドを投与されている。
【0185】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、上記治療は、約30mg/日~約60mg/日の用量で、経口コルチコステロイドを共投与することを含む。経口コルチコステロイドの用量は、例えば、12週間、26週間、又は50週間の治療期間後に、約7.5mg/日まで漸減され得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始していない場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、累積用量約1gのメチルプレドニゾロンIVを投与後、第1の用量のミコフェノール酸モフェチル(MMF)約1~1.5g/日(又は同等用量の腸溶コーティングされたミコフェノール酸ナトリウム(MPS))を1回以上の用量で投与され、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMF(又は同等用量の腸溶性コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量は約1~1.5g/日である。いくつかの実施形態では、第2の用量は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後1週間までは約1~1.5g/日であり、その後、第2の用量は約2~3g/日まで増加する。
【0187】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している。
【0188】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、累積用量≧1gのメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されており、且つ第1の用量のMMF≧約2g/日(又は同等用量の腸溶性コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与されており、対象は、追加用量のメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されておらず、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMF(又は同等用量の腸溶コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、約2g/日以上である。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、約2g/日以上であり、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後4週間を前に約2~3g/日に調節される。
【0189】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、累積用量≧約1gのメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されており、且つ第1の用量のMMF≦約2g/日(又は同等用量の腸溶性コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与されており、対象は、追加用量のメチルプレドニゾロンIV又は同等の経口コルチコステロイドを投与されておらず、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始後50週間まで、第2の用量のMMF(又は同等用量の腸溶コーティングされたMPS)を1回以上の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療開始時に、約1~1.5g/日である。いくつかの実施形態では、第2の用量のMMFは、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後1週間は、約1~1.5g/日であり、その後、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後4週間を前に、第2の用量のMMFを約2~3g/日まで増量する。
【0190】
いくつかの実施形態では、対象が化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前最大6週間の期間内)に、コルチコステロイド導入治療を開始している場合、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始前に、第1の用量でプレドニゾン又はプレドニゾン等価物を投与されており、第1の用量は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の2日目まで維持され、その後、対象は、約30mg/日の最小用量及び約60mg/日の最大容量である約0.5mg/kg/日の用量で経口コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン又はプレドニゾン等価物)を投与される。経口コルチコステロイドの用量は、例えば、12週間、26週間、又は50週間の治療期間後に、約7.5mg/日まで漸減され得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において腎フレアを経験するリスクを低減することを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において腎外性全身性エリテマトーデス(SLE)フレアを経験するリスクを低減することを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において治療不成功リスクを低減することを含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、上記治療は、例えば50週間の治療期間内に、対象において至適奏効以下リスクを低減することを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対象における血清アルブミンレベルをベースラインから低減することを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較した場合、最初のCRR又はPRR(例えば、スポットUCPRによって測定される)までの時間を短縮することを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較した場合、(例えば、スポットUCPRによって測定される)ベースラインからのUPCR>50%減少の最初の発生までの時間を短縮することを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば26週間又は50週間の治療期間後に、慢性疾患治療機能評価(FACIT)疲労スケール合計スコアがベースラインから増加していることを示す。FACIT疲労スケールは、自己申告による疲労と、それが日常の活動や機能に及ぼす影響を評価する40項目の尺度である。例示的なFACIT疲労及び対応するスコアリングガイドを以下の表5及び表6に示す。
【0199】
【0200】
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
いくつかの実施形態では、LNの治療には、対象が示したFACIT疲労合計スコアのベースラインからの増加が含まれる。いくつかの実施形態では、対象は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、ベースラインから少なくとも10ポイント(例えば、10、11、12、13ポイント又はそれ以上)のFACIT疲労合計スコアの増加を示す。いくつかの実施形態では、治療により、FACIT疲労スコアは、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、ベースラインと比較して、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約120%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約180%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、又は少なくとも約400%)の増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、対象は、8週間の治療後に、少なくとも10ポイント(例えば、10、11、12、13ポイント又はそれ以上)のFACIT疲労合計スコアの増加を示す。いくつかの実施形態では、対象は、16週間の治療後に、少なくとも10ポイント(例えば、10、11、12、13ポイント又はそれ以上)のFACIT疲労合計スコアの増加を示す。いくつかの実施形態では、対象は、26週間の治療後に、少なくとも10ポイント(例えば、10、11、12、13ポイント又はそれ以上)のFACIT疲労合計スコアの増加を示す。いくつかの実施形態では、対象は、50週間の治療後に、少なくとも10ポイント(例えば、10、11、12、13ポイント又はそれ以上)のFACIT疲労合計スコアの増加を示す。
【0205】
いくつかの実施形態では、対象における二本鎖DNAに対する抗体(抗dsDNA)及び/又はC1q補体成分に対する抗体(抗C1q)のレベルは、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11,12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、20、31、32、36、40、44、48、52、56、60、64、68、72、76、70、84、88、92、96、102、104、108、又は154週間の治療後に、ベースラインから減少する。いくつかの実施形態では、対象における抗dsDNA及び/又は抗C1qのレベルは、26週間の治療後に、ベースラインから減少する。いくつかの実施形態では、対象における抗dsDNA及び/又は抗C1qのレベルは、50週間の治療後に、ベースラインから減少する。
【0206】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6カ月以内に、シクロホスファミドによる治療を受けていない。
【0207】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前3カ月以内に、カルシニューリン阻害剤による治療を受けていない。
【0208】
いくつかの実施形態では、対象は、活動性腎フレアに対して累積用量が約3gを超えるメチルプレドニゾロンの静脈内(IV)投与による治療を受けていない。
【0209】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、活動性腎フレアに対して連続4週間以上、約2g/日を超えるMMF(又はその等価物、例えばMPS)による治療を受けていない
【0210】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、活動性腎フレアに対して連続4週間以上、約0.5mg/kg/日以上のプレドニゾン又はその等価物による治療を受けていない。
【0211】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前6週間以内に2回以上の測定値で、未制御高血圧(収縮期血圧>160mmHg又は拡張期血圧>110mmHg)を有さない。
【0212】
いくつかの実施形態では、対象は、治療を必要とする臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群の病歴を有していないか、又は治療を必要とする臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群を有している。
【0213】
いくつかの実施形態では、対象は、コルチコステロイド、MMF、又はMPSによる治療を受けることができない、又は治療に耐えられない。
【0214】
いくつかの実施形態では、対象は、カルシニューリン阻害剤(例えば、ボクロスポリン)による治療を受けることを制限される。
【0215】
IgANの治療
いくつかの実施形態では、対象はIgANを有する。
【0216】
いくつかの実施形態では、IgANは、治療前に得られた腎生検によって確認された原発性IgANである(IgAN分類基準については表15を参照されたい)。いくつかの実施形態では、腎臓は治療の2年より前に採取されており、対象は、尿ディップスティックに基づく1+血液、又は尿沈渣の≧10の赤血球(RBC)/高倍率視野(hpf)顕微鏡検査によって定義される血尿を有する。
【0217】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、RAS阻害剤(例えば、最大許容又は耐容アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び/又はアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)用量)の安定且つ最適用量で治療を受けており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療中、引き続きRAS阻害剤による治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内に第2のRAS阻害剤(例えば、ACE阻害剤及び/又はARB)による治療を受けることを制限される。
【0218】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、直接的レニンアンタゴニストの安定且つ最適用量で治療を受けており、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療中、引き続き直接的レニンアンタゴニストによる治療を受けている。いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の開始後50週間以内に第2の直接的レニンアンタゴニストによる治療を受けることを制限される。
【0219】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前3ヵ月間にわたって、制御され且つ安定な血圧(即ち<140/90mmHg)を有する。
【0220】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、26週間又は50週間の治療期間の後、部分寛解を経験する。
【0221】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、例えば、治療期間の26及び/又は50週目まで、ベースラインから計算されたeGFRの傾きを減衰又は平坦化することを含む。例えば、Barratt et al.,Kidney Int Rep.2019(4):1633-1637を参照されたい。
【0222】
いくつかの実施形態では、上記治療は、対照(例えば、未治療対象又はプラセボ治療対象)と比較して、例えば、治療期間の26及び/又は50週目まで、ベースラインから計算されたeGFRの傾きを増加させることを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療前3カ月間にわたってeGFR損失≧30%によって測定される急速進行性糸球体腎炎と診断されていない。
【0224】
いくつかの実施形態では、対象は、IgANの二次的病因(例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、肝硬変、又はセリアック病)を有さない。
【0225】
いくつかの実施形態では、対象は、治療を必要とする臨床的に活動性のヘノッホ-シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)を有さない。
【0226】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1若しくはその薬学的に許容される塩による治療の前(例えば、治療前6カ月以内)に、プレドニゾン若しくはその等価物>約20mg/日、連続14日超、又は任意の他の免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン又はシクロホスファミド)による治療を受けていない。プレドニゾン等価物及びプレドニゾンとその等価物の間の用量関係は当該技術分野で公知である。
【0227】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、30分超の離れた2つの測定値で確認される、≧140/90mmHgの血圧を有さない。
【0228】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物1又はその薬学的に許容される塩による治療の前に、≧38kg/m2のボディマスインデックスを有さない。
【0229】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒドロキシクロロキンによる治療を受けることを制限される。
【0230】
いくつかの実施形態では、対象は、免疫抑制剤(例えば、MMF)による治療を受けることを制限される。
【0231】
いくつかの実施形態では、対象は、連続14日超の全身性コルチコステロイドによる治療を受けることを制限される。
【0232】
医薬組成物
本開示は、また、化合物1及び又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。任意の好適な医薬組成物及び製剤、並びに好適な製剤化方法、並びに好適な投与経路及び好適な投与部位が、本開示の範囲内である。また、特に明記しない限り、任意の好適な投与量及び投与頻度が考慮される。
【0233】
別途注記のない限り、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与量レベルは、任意の好適なレベルであり得る。いくつかの実施形態では、対象にとっての化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与量レベルは、1つの治療当たり、一般に、約1mg/kg~約100mg/kg(例えば、約2mg/kg~約50mg/kg、約5mg/kg~約25mg/kg)であり得る。
【0234】
組成物は、投与経路に部分的に依存する様々な方法を使用してヒト対象に投与することができる。経路は、例えば、経口、舌下、頬側、経皮、皮内、筋肉内、非経口、静脈内、動脈内、頭蓋内、皮下、眼窩内、脳室内、脊髄内、腹腔内、鼻腔内、吸入、及び局所投与であり得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、組成物は経口投与用に製剤化される(「経口製剤」)。経口製剤は、例えば、錠剤、カプセル、液体溶液若しくは懸濁液、粉末、又は液体若しくは固体結晶の形態であり得、これは非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、又はアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール);並びに潤滑剤、流動促進剤、及び癒着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、又はタルク)であってもよい。他の薬学的に許容される賦形剤は、着色剤、香料、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤などであり得る。経口投与用の組成物はまた、チュアブル錠として、活性成分が、不活性固体希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合される硬ゼラチンカプセル剤として、又は活性成分が、水溶性の担体、又は油性の媒体、例えばラッカセイ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油などと混合される軟ゼラチンカプセル剤として提供されてもよい。粉末、顆粒、及びペレットは、錠剤及びカプセルの下で上述した成分を使用して、例えばミキサー、流動床装置又は噴霧乾燥装置を使用する従来の方法で調製することができる。
【0236】
経口使用のための制御放出組成物は、活性薬剤物質の溶解及び/又は拡散を制御することによって活性薬剤を放出するように構築され得る。制御放出及び標的血漿濃度対時間プロファイルを得るために、多くの戦略のいずれかを実行できる。一例では、制御放出は、多様な製剤パラメータ及び成分、例えば、各種制御放出組成物及びコーティングの適切な選択によって達成される。例としては、単回又は複数回単位の錠剤又はカプセル組成物、油剤、懸濁剤、乳剤、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、及びリポソームが挙げられる。いくつかの実施形態では、組成物は、生分解性、pH、及び/又は温度に敏感なポリマーコーティングを含む。
【0237】
溶解又は拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル、ペレット、若しくは顆粒製剤の適切なコーティングによって、又は化合物を適切なマトリックスに組み込むことによって達成することができる。制御放出コーティングには、上記のコーティング物質、並びに/又は例えば、シェラック、ミツロウ、グリコワックス、ヒマシワックス、カルナバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリン、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl-ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、及び/若しくはポリエチレングリコールの1つ以上が含まれてもよい。制御放出マトリックス製剤において、マトリックス材料にはまた、例えば、水和メチルセルロース、カルナバワックス及びステアリルアルコール、カーボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及び/又はハロゲン化フルオロカーボンが含まれてもよい。
【0238】
経口投与用に組成物が組み込まれ得る液体形態としては、水溶液、好適には香味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁液、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油のような食用油を含む香味付けされたエマルション、並びにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルが挙げられる。
【0239】
対象におけるLN及び/又はIgANを治療することができる化合物1又はその薬学的に許容される好適な用量は、例えば、治療される対象の年齢、性別及び体重、並びに使用される特定の阻害剤化合物を含む様々な要因に依存し得る。対象に投与される用量に影響を与える他の要因には、例えば、LN及び/又はIgANの重症度が含まれる。他の要因としては、例えば、対象に同時に又は以前に影響を及ぼしている他の医学的障害、対象の全体的健康感、対象の遺伝的性質、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、及び対象に投与されるその他の追加の治療法が挙げられ得る。また、任意の特定の対象に対する具体的な用量及び治療レジメンは、治療を行う医療施術者(例えば、医師又は看護師)の判断に依存することも理解されるべきである。医薬組成物は、治療有効量の化合物1又はその薬学的に許容される塩を含み得る。このような有効量は当業者により容易に決定できる。
【0240】
キット及び単位剤形
本明細書においては、本明細書に開示される方法のいずれか1つ以上で使用するための、治療有効量の化合物1又はその薬学的に許容される塩(例えば、医薬組成物中)を含むキットもまた提供される。キットは、任意選択的に、施術者(例えば、医師、看護師、又は患者)が、その中に含まれる化合物1又はその薬学的に許容される塩を、例えば、薬学的に許容される担体を更に含む医薬組成物として、LN及び/又はIgANを有する患者に投与できるようにする、例えば、投与スケジュールを含む説明書を含んでもよい。キットは、シリンジを更に含み得る。
【0241】
キットは、任意選択的に、上で提供される方法に従って単回投与のための
有効量の化合物1又はその薬学的に許容される塩を例えば医薬組成物中に各々が含有する単回用量の医薬組成物の複数のパッケージを含むことができる。化合物1又はその薬学的に許容される塩(例えば、薬学的組成物中の)を投与するための器具又は装置もキットに含まれ得る。キットは、有効量の化合物1又はその薬学的に許容される塩を(例えば、医薬組成物中に)含有する1つ以上のプレフィルドシリンジを提供し得る。
【0242】
以下の実施例は単なる例示であり、
本開示を読めば当業者には多くの変形及び等価物が明らかとなるため、
決して本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願全体にわたって引用される全ての参考文献、登録された記載(例えば、PUBMED、GENBANK、UNIPROT、PUBCHEMの記載)、特許、及び特許出願の内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0243】
実施例1 免疫グロブリンA腎症(IgAN)を患う増殖性ループス腎炎(LN)の成人参加者における、化合物1(ALXN2050;ベミルコパン)の効果及び安全性を評価するための第2相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量決定試験
これは、LN又はIgANのいずれかの成人参加者(18~75歳)における標準治療と一致する背景療法に加えたALXN2050の第2相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験である。
【0244】
LNコホートの参加者は、腎生検、推定糸球体濾過率(eGFR)>30mL/分/1.73m2、及びタンパク尿(1回の24時間尿収集からのUPCR≧1g/gとして定義される)に基づいて、活動性フレアを有するLNの診断を有さなければならない。
【0245】
IgANコホートの参加者は、腎生検、eGFR>30mL/分/1.73m2、及び2回の有効な24時間尿収集からの平均タンパク質≧1g/24時間と定義されるタンパク尿に基づいて、IgANの診断を有さなければならない。IgANコホートの参加者は、安定用量の最大耐容レニン-アンギオテンシン系(RAS)阻害薬で治療されており、スクリーニング前に≧3ヶ月間にわたって、制御された安定血圧(<140/90mmHg)を有さなくてはならない。
【0246】
試験は、最大6週間のスクリーニング期間、26週間の盲検初期評価期間、24週間の盲検延長治療期間、及び最大2年のOLE期間からなる。OLE期間の完了時、又は参加者が試験の中止を決定した場合、最後の試験介入後30日間、安全性を確保するために全ての参加者が経過観察調査される。従って、総治療期間は154週間、総試験期間は最大164週間である。
【0247】
全参加者は、試験全体を通して、LN及びIgANの参加者のための標準治療と一致する背景療法を受ける。LNコホートの参加者は、治験実施計画書で定義された腎フレア又は腎外性全身性エリテマトーデス(SLE)フレアの発作が発生した場合、及び26週目以降に至適奏効以下が得られた場合に救助療法を受けることになる。承認されたLNの新規治療法は、治験責任医師の裁量により使用できる。しかしながら、救助療法が開始される場合、治験責任医師は禁止されている薬剤のリストを参照する必要がありる(下記を参照)。救助療法が禁止薬物である場合、救助療法開始の少なくとも3日前に試験介入薬を中止する必要がある。
【0248】
図1及び
図2において、LN及びIgANコホートのそれぞれ試験デザインの概略図を参照されたい。
【0249】
盲検初期評価期間
LN又はIgANのいずれかを有する約126人の成人参加者が、以下のように1日目に試験に無作為に割り当てられる(LNコホートの参加者は約70人、IgANコホートの参加者は約56人):
・各疾患コホートについて、適格基準を満たす参加者は、3:1:3の比率でALXN2050 180mg BID、ALXN2050 120mg BID、又はプラセボ BIDを受け取るように無作為に割り当てられる(表7)。
・IgANコホートについて、プラセボ群に割り当てられた参加者は、無作為化時に1:1の配分比で盲検延長治療期間(ALXN2050 180mg BID又はALXN2050 120mg BID)の治験治療にも割り当てられる。
【0250】
【0251】
層別化は次のように実施される:
・LNコホートの場合:コルチコステロイド導入治療がスクリーニング前に開始されたか、スクリーニング期間中に開始されたかによる。
・IgANコホートの場合:スクリーニング期間中の2回の有効な24時間尿収集による平均タンパク尿(1~2g/日 対 >2g/日)。
【0252】
1日目来院評価の完了後、参加者はクリニックを出る前に最初の用量の試験介入薬を投与される。参加者は、盲検初期評価期間を通じて、BID用量の試験介入薬を投与され続ける(以下の表17を参照)。
【0253】
盲検延長治療期間
盲検初期評価期間(26週目の来院)の完了後、参加者は以下のように24週間の盲検延長治療期間中に引き続き試験介入薬を投与される:
・LNコホートの参加者は、引き続き無作為化された試験介入薬(ALXN2050 180mg、ALXN2050 120mg、又はプラセボ)BIDの割り当てを投与される。26週目以降、至適奏効以下を示した参加者に対する救助療法は、メディカルモニターとの会話における治験責任医師の臨床的裁量により許可される。
・積極的治療に無作為化されたIgANコホートの参加者は、引き続き無作為化された試験介入薬(ALXN2050 180mg又はALXN2050 120mg)BIDの割り当てを投与される。
・プラセボ群に無作為化されたIgANコホートの参加者は、無作為化時に割り当てられたALXN2050 180mg BID又はALXN2050 120mg BIDのいずれかを投与される。
【0254】
非盲検延長治療期間
盲検延長治療期間(50週目の来院)の終わりに全ての評価が完了した後、関連する副作用(治験責任医師の意見)がなく、治療不成功(LNコホート)が存在しない場合、全ての参加者はOLE期間に入り、最大2年間(104週間)ALXN2050を投与される機会が与えられる。OLE期間中:
・アクティブ治療群に無作為に割り付けられたLNコホートの参加者は、盲検延長治療期間中に割り当てられたものと同じ投与レジメンを継続して投与される。
・プラセボ群に無作為に割り当てられたLNコホートの参加者は、プラセボを投与されなくなり、背景療法のみを受け続けることになる。
・IgANコホートの参加者は、盲検延長治療期間中に割り当てられたものと同じ投与レジメンを継続して投与される。
・ALXN2050に無作為に割り当てられ、ALXN2050による少なくとも50週間の治療を完了した両コホートの参加者は、26週目の一次解析の結果並びに/又はデータ監視委員会(DMC)による安全性及び有効性データのレビューに基づいて最適用量が特定されたら、ALXN2050の最適用量レベル(180mg又は120mg BID)を投与される。
・102週目及び154週目でのタンパク尿のベースラインからの変化率、並びにeGFRのベースラインからの変化を探索的有効性評価項目として評価する。安全性及び忍容性もOLE期間を通じて継続的に評価される。
【0255】
試験完了後、又はED後、試験介入の最後の投与から30日後に安全性経過観察来院が実施される。
【0256】
試験スケジュール
試験スケジュール(SoA)は次のように提供される:
・スクリーニング期間及び盲検初期評価期間:26週目(183日目)来院までのスクリーニング(表8のLNコホート及び表9のIgANコホート)
・盲検延長治療期間(表10のLNコホート及び表11のIgANコホート)
・非盲検延長期間及び安全性経過観察期間(表12のLN及びIgANコホートの両方)
【0257】
【0258】
【0259】
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
【0266】
【0267】
【0268】
【0269】
【0270】
目的及び評価項目
この試験の目的及び評価項目を以下の表13に示す。
【0271】
【0272】
【0273】
用量の正当化
臨床薬物動態(PK)及びPDデータは、健康なボランティアを対象としたALXN2050の単回漸増及び複数漸増用量試験で生成される。これらの臨床試験では、ALXN2050は、40mg BIDから200mg BIDの用量範囲にわたって、単回投与後の全身曝露の用量比例増加と、定常状態(7日目及び14日目)での複数回用量投与後の全身曝露の用量比例を超える増加を示した。対象間の大きな変動が観察された。
【0274】
健康な参加者に40mg BIDから200mg BIDの範囲のALXN2050を複数回用量投与した後、PD活性(AP WieslabアッセイにおけるAP阻害によって測定)は用量の増加とともに増加した。120mg BID投与レジメンは、ALXN2050濃度が12時間の投与期間を通じて90%阻害濃度(IC90)閾値に達した健康な参加者に持続的なAP阻害(AP活性<10%)をもたらした。従って、120mg BIDが最小治療用量として選択される。PK及びPK-PD関係における対象間のばらつきは、より多くの参加者が90%AP阻害の閾値を超えるALXN2050濃度に到達し維持するためには、120mg BIDより高い用量(180mg BIDなど)が必要な可能性があることを示した。加えて、腎機能の低下を示す患者ではFDベースラインレベルが上昇すると予想され、LN又はIgANのいずれかの患者においてAP活性を90%阻害するのに必要なALXN2050閾値濃度が上昇すると考えられる。従って、180mg BIDが考えられる治療用量として選択される。
【0275】
複数回の漸増用量試験では、120mg及び200mg BID用量レジメンは安全且つ効果的であり、最大血漿濃度(Cmax)及び時間0から24時間までの濃度時間曲線下面積(AUC0-24)の両方において、非臨床慢性毒物学試験で得られた無毒性量(NOAEL)で達成された曝露量の約10倍以上の安全域を示した(治験責任医師のパンフレットを参照)。加えて、どちらの投与レジメンでも、12時間の投与間隔を通じてAP活性の完全(>90%)且つ持続的な阻害が得られた。従って、120mg BIDが最小治療用量として選択される。
【0276】
これらの試験から得られた良好な臨床安全性及び忍容性データ、並びにALXN2050のPK及びPDの特徴に基づいて、LN又はIgANを有する参加者を対象としたこの用量設定試験では、120mg BID及び180mg BIDの投与レジメンが提案されている。提案されたALXN2050の120mg BID及び180mg BID用量によって生成される曝露範囲は、LN又はIgANを有する参加者におけるPK-PD関係を確立するのに十分であると予想され、それによって計画されている第3相試験における用量選択の基礎が確立される。
【0277】
最適用量は、PK/PD モデリング、安全性、及び有効性データに基づいて、リスクに対する利益の比率が最も高い用量として特定される。
【0278】
試験期間及び試験終了の定義
スクリーニング期間は最長6週間である(表8[LNコホート]及び表9[IgANコホート])。
【0279】
盲検初期評価期間は1日目から26週目までである(表8[LNコホート]及び表9[IgANコホート])。
【0280】
盲検延長治療期間は、26週目(183日目)の来院時の試験介入の投与から開始し、50週目(351日目)の来院まで継続する(表10[LNコホート]及び表11[IgANコホート])。
【0281】
OLE期間は、50週目の来院後に始まり、最長2年間継続する(表12)。
【0282】
安全性経過観察期間は、試験介入の最後の投与後4週間であり、最後の投与後30(±3)日後の安全性経過観察来院が含まれる。
【0283】
参加者は、以下の場合、試験を完了したものとみなされる:
・OLE期間及びSoAに示されている最後に予定された手順を含む、試験の全ての期間を完了している場合。
・試験が早期に中止された場合、参加者はED及び安全性経過観察来院を含む、試験の該当する全ての期間を完了していることになる。
・試験介入が(国固有の規制に従って)登録又は承認されているため、参加者は早期に試験を完了する。
【0284】
早期終了又は中止:参加者が盲検初期評価期間、盲検延長治療期間、又はOLE期間中に試験を中止した場合、参加者は試験を早期終了したものとみなされる。
【0285】
試験の終了:試験の終了日は、最後の参加者がOLE期間及び安全性経過観察来院を含む最後の来院を完了した日として定義される(表12)。
【0286】
試験個体群
組入れ基準
試験に参加する資格を得るには、参加者が全ての参加基準を満たしている必要がある。
【0287】
年齢
1.参加者は、インフォームドコンセント署名時に18歳以上75歳以下でなければならない。
【0288】
性別
2.男性又は女性参加者。
3.妊娠の可能性のある女性参加者、及び男性参加者は、治験実施計画書で指定された避妊ガイダンスに従わなければならない;
【0289】
インフォームドコンセント
4.インフォームドコンセントを与えることができ、これには、インフォームド・コンセントフォーム及びこの治験実施計画書に記載されている要件と制限への準拠が含まれる。
【0290】
ワクチン接種及び抗生物質
5.無作為化前3年以内又は無作為化時に、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染症に対するワクチン接種済み。髄膜炎菌ワクチン接種後2週間未満で試験介入薬を開始した参加者は、ワクチン接種後少なくとも2週間まで適切な予防的抗生物質を投与されなければならない;
【0291】
疾患特性
6.適格性のために使用される腎生検からの局所病理学報告書が入手可能でなければならない。
【0292】
過去の療法/組み合わせ療法
7.ナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT-2)阻害剤(例えば、エンパグリフロジン)の参加者は、盲検治療期間(50週目まで)中に
の参加者は、試験中に用量の計画された変更なしに、3ヶ月間以上安定用量でなければならない。
【0293】
LNコホートのための特定の組み入れ基準
8.2019 ACR及びEULAR基準によるSLEの臨床診断(
図3)。
9.2018年改訂ISN/RPS分類の診断(活動性の局所的又はびまん性の増殖LNクラスIII又はIV;表14)が、スクリーニング前6カ月以内又はスクリーニング期間中に得られた生検によって確認された。参加者は、クラスV疾患を共発症し得る。例えば、Bajema et al.(Kidney Int.2018;93(4):789-796)を参照されたい。そこには、クラスV疾患は、多数の上皮下免疫沈着物を伴う糸球体毛細血管として特徴付けられているが、白血球の流入はない。デノボ又は再発疾患を有する参加者が適格であり得る。
【0294】
【0295】
10.治験責任医師の意見で免疫抑制導入治療を必要とする/受けているスクリーニング時に臨床的に活動性のLN。
11.スクリーニング期間中の1回の24時間尿収集に基づくUPCR≧1g/gであるタンパク尿。
【0296】
IgANコホートのための特定の組み入れ基準
12.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の任意の時に得られた腎生検に基づく原発性IgANの確定診断;IgAN診断分類基準を以下の表15に示す。
【0297】
【0298】
13.スクリーニング期間中の2回の完全且つ有効な24時間尿収集における平均タンパク尿≧1g/日。
14.適格性を判断するために使用されたスクリーニングの1年以上前に腎生検を受けた参加者の場合:
・スクリーニング期間中の尿ディップスティックに基づく陽性結果の血液、又は尿沈渣の≧10の赤血球(RBC)/ハイパワー(hpf)顕微鏡検査(現地の検査室が実施)によって定義される血尿の存在。中央研究所によって記録された血尿の存在も許容される場合がある
15.盲検治療期間(50週目まで)中に用量の予想される変化を伴わない、スクリーニング前3カ月以上にわたる、最大許容又は耐容ACE阻害剤及び/又はARB用量を含むRAS阻害剤治療の安定且つ最適用量の遵守(RAS阻害剤に対する不耐性が確立されている参加者が含まれる可能性がある)。
16.無作為化前過去3ヵ月間にわたる制御され且つ安定な血圧(<140/90mmHgと決定される)。
【0299】
除外基準
以下の基準のいずれかに該当する場合、参加者は試験から除外される。
【0300】
疾患特性
1.慢性腎臓病疫学共同試験(CKD-EPI)によって計算されたスクリーニング中の推定GFR≦30mL/分/1.73m2。
2.スクリーニング時のeGFR Mが45mL/分/1.73m2の参加者については、スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の最新の腎生検で糸球体に以下のいずれかが存在する。
・≧50%の間質性線維症及び尿細管萎縮
・≧糸球体硬化
・≧活発半月体形成
3.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の最新の生検で、LN又はIgAN以外の重大な腎疾患を併発している。
4.盲検延長治療期間(50週間)中の固形臓器(腎臓、心臓、肺、小腸、膵臓、又は肝臓)若しくは骨髄移植の病歴、又は計画された移植の病歴。
【0301】
医学的病態
5.脾臓摘出術又は機能性無脾症。
6.発作の病歴。
7.基礎疾患(LN及びIgANなど)に起因しない限り、既知又は疑われる補体欠損症。
8.トルサード・ド・ポワントの任意の危険因子の病歴又は存在(例、心不全/心筋症又はQT延長症候群の家族歴)、Fridericiaの式(QTcF)を使用して補正されたスクリーニングQT間隔が男性で450ミリ秒以上、女性で470ミリ秒以上、又はLN患者のヒドロキシクロロキンを除き、補正QT間隔(QTc)を有意に延長することが知られている薬剤の投与を受けている。
9.スクリーニング時の臨床検査異常には以下が含まれる:
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常上限(ULN)の2倍超
○直接ビリルビンがULNの2倍超
10.スクリーニング時ヘモグロビンA1C>7.0%。
11.治験責任医師の意見において、参加者を試験に不適切にする、又は参加者を不当な危険にさらす可能性がある、その他の臨床的に重大な臨床検査の異常。
12.行政命令若しくは裁判所の命令、又は治験責任医師の見解において、参加者の試験への完全な参加を妨げる可能性がある、参加者に追加のリスクをもたらす可能性がある、又は評価を混乱させる可能性がある既知の病状又は心理的状態又は危険因子による施設への収容参加者又は試験の結果。
13.スクリーニング期間の開始前1年以内の薬物又はアルコールの乱用又は依存症の既知又は疑いのある病歴。
14.IgANコホート用のRAS阻害剤を除く、標準的な治療背景療法を受けることができない又は耐えられないことを含む、試験介入に含まれるいずれかの成分に対する過敏症の病歴(組み入れ基準15)。
15.スクリーニング前5年以内の悪性腫瘍の病歴、ただし、再発の証拠がなく治療された非黒色腫皮膚癌又は子宮頸部上皮内癌を除く。
16.スクリーニング時に、B型肝炎(肝炎表面抗原[HBsAg]陽性、又は表面抗体陰性[抗HBs]を伴うコア抗体(抗HBc)陽性)又はC型肝炎ウイルス感染(C型肝炎ウイルス[HCV]抗体陽性、ただし、治療の成功が証明され、持続的なウイルス学的反応[SVR]が証明された患者を除く)の証拠。
17.スクリーニング時に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV抗体陽性)感染の証拠;
18.絶対好中球数<1.3×103/μL;血小板減少(血小板数<50,000/mm3)の骨髄不全。
19.試験介入薬の1回目の投与前14日以内の活動性全身性細菌、ウイルス、又は真菌感染;
20.1日目の試験介入薬の投与前7日以内の体温≧38℃(100.4°F)によって記録された発熱の存在。
21.髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)感染の病歴
【0302】
過去の療法/組み合わせ療法
22.免疫系の機能に影響を与える可能性のある生物学的製剤による現在の治療、又は免疫系の機能に影響を与える可能性のある生物学的製剤による治療を中止しており、スクリーニング来院時までに生物学的製剤の5倍の終末半減期が経過していない、又はスクリーニング前6か月以内のベリムマブ若しくはリツキシマブによる治療。
23.補体阻害剤(例えば、エクリズマブ、ラブリズマブ)による以前又は現在の治療。
24.1日目の試験介入(無作為化)の初回投与前の2週間又は5倍の半減期のいずれか長い方の期間の、既知のシトクロムP450、ファミリー3、サブファミリーA(CYP3A)感受性基質、中等度若しくは強力なCYP3A誘導剤、及び/又は中等度若しくは強力なCYP3A阻害剤の使用。
25.本明細書に開示されるように、発作閾値を低下させる、及び/又は発作を引き起こすことが知られている選択された薬剤の使用。
【0303】
以前の/同時の臨床試験の経験
26.この試験の1日目の試験介入開始前の30日以内、又はその治験製品の5倍の半減期以内のいずれか長い方の別の治験薬又は治験装置試験への参加。
【0304】
その他の除外事項
27.妊娠中、授乳中、又は試験期間中に妊娠する予定がある。
【0305】
LNコホートのための特定の除外基準
28.現在進行中のLNフレアに対して以下のいずれかの治療を受けたことがある参加者:
・スクリーニング前≦6カ月のシクロホスファミド
・スクリーニング前≦3カ月のカルシニューリン阻害剤(CNI)
・メチルプレドニゾロンの静脈内(IV)累積投与量>3g
・スクリーニング前の連続4週間以上、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)(又は等価物)>2g/日
・スクリーニング前の連続4週間以上、プレドニゾン又はプレドニゾン等価物≧0.5mg/kg/日
29.スクリーニング期間中、2回以上の測定値で、未制御高血圧(収縮期血圧>160mmHg又は拡張期血圧>110mmHg)。
30.治療を必要とする病歴又は臨床的に活動性のSLE関連脳炎、発作、心膜炎、脳卒中、又は脳卒中症候群を患っている。
31.標準的な背景療法を受けることができない、又はそれに耐えられない。
【0306】
IgANコホートのための特定の除外基準
32.スクリーニング期間前又はスクリーニング期間中の3か月にわたるeGFR損失≧30%によって測定される急速進行性糸球体腎炎の診断。
33.IgANの二次的病因(例えば、SLE、肝硬変、セリアック病)。
34.治療を必要とする臨床的に活動性のヘノッホ-シェーンライン紫斑病(IgA血管炎)。
35.連続14日間より長い間、プレドニゾン又はプレドニゾン等価物>20mg/日、又はIgANスクリーニング前6カ月以内の治療のためのその他の全身免疫抑制。
36.30分間隔の2回の測定値で確認される、スクリーニング期間中の血圧が140/90mmHg以上であること。
37.スクリーニング時にボディマスインデックスが≧38kg/m2。
【0307】
ライフスタイルへの配慮
グレープフルーツなどの特定の食品は、CYP3A4酵素活性の阻害剤であることが示されている。参加者は、1日目の試験介入薬の最初の投与の2週間前から、試験介入薬の最終投与後2週間まで、これらの食品及び飲料の摂取を控えるべきである。
【0308】
試験介入
試験介入薬は、試験の治験実施計画書に従って試験参加者に投与することを目的とした任意の臨床試験介入薬、市販の製品、プラセボ、又は医療装置として定義される。
【0309】
管理された試験発明
本試験における介入薬は、ALXN2050とそれに適合するプラセボである。試験介入薬を以下の表16に提供する。LN及びIgANコホートの閉経療法は本明細書に記載されているとおりである。
【0310】
【0311】
参加者は、試験介入薬のBID(朝に3錠の投与、及び朝の投与の約12時間後に3錠の2回目の投与(夕方))を服用する。毎日ほぼ同じ時間に服用する必要がある。飲み忘れた場合は、当初の予定時間から6時間以内に服用しなければならない。6時間よりも経過した後は、飲み忘れた分は飛ばすべきである。いずれの場合も、次の用量は元の投与スケジュールに従って服用する必要がある。飲み忘れに関する情報は、電子症例報告フォーム(eCRF)に記録する必要がある。
【0312】
ほとんどの投与はクリニックの外で行われる。参加者には、次回の試験来院まで続く十分な試験介入が提供される。
【0313】
PKサンプルの収集が必要な試験来院の場合、参加者は、治験実施計画書に必要な評価後にクリニックで投与できるよう、試験来院当日の朝はALXN2050の投与を控えるよう指示される。クリニック来院時、参加者はまず、SoA(表8~12)に概説されているように、臨床検査及びその他の評価のために採血を受け、その後、その日に割り当てられた朝の用量のALXN2050を服用する。
【0314】
盲検治療
ALXN2050及びプラセボの錠剤の外観は同一になる。盲検試験介入は、以下の表17に示される:
【0315】
【0316】
過去の療法及び併用療法
許可された薬物療法及び治療法
試験中の参加者のケア、又はAEの治療に必要と思われる薬物又は療法(市販薬若しくは処方薬、ワクチン、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)、及び他の薬物、その他の以下に禁止されている薬剤としてリストされているもの以外の薬剤も、治験責任医師の裁量により投与される場合がある。しかしながら、薬剤に関する詳細がeCRFに記録されていることを確認するのは治験責任医師の責任である。
【0317】
試験中に適切な血圧管理が達成できなかった場合、参加者は追加の降圧剤を投与される可能性があるが、50週目までの試験中にタンパク尿に影響を与える薬剤は投与されない。腎機能に悪影響を与える可能性があるため、試験期間中は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の投与を開始しないことが推奨される。しかしながら、これは、短期間の症状緩和に必要な場合に使用できる。
【0318】
LNコホートの参加者のみ:
・ニューモシスチス肺炎の予防は治験責任医師の裁量で許可される。
・禁忌でない限り、ヒドロキシクロロキンなどの抗マラリア薬による治療が強く推奨される。
・試験中は、骨粗鬆症の予防及び治療のための措置が奨励される;これらの措置には、次のいずれか又は全てが含まれ得る:炭酸カルシウム又はクエン酸カルシウム、ビタミンD、及びビスホスホネート。
・救助療法のための免疫抑制剤の使用は許可されている。
【0319】
禁止されている薬剤及び治療法
両方のコホートの参加者は、試験参加期間全体を通じて、以下の薬物療法及び治療法のいずれかを受けることを禁止されている。
・実験的介入又は治療
・補体阻害剤(例えば、エクリズマブ、ラブリズマブ)
・SGLT-2阻害剤の新規使用又は用量変更(最長50週間)
・RAS阻害剤又は直接レニンアンタゴニストによる治療の新規使用又は用量変更(最長50週間)
・既知のCYP3A感受性基質、中等度若しくは強力なCYP3A誘導剤、及び/又は中等度若しくは強力なCYP3A阻害剤は、試験介入薬の最終投与後1週間まで、試験全体を通じて禁止されている(表18)。
【0320】
【0321】
・発作閾値を低下させたり、発作を引き起こすことが知られている特定の薬剤は、併用してはならない:
○メペリジン/ペチジン
○トラマドール
○典型的(第1世代)抗精神病薬
○クロザピン
○オランザピン
○リチウム
○三環系抗うつ薬
○ブプロピオン
○アミノフィリン/テオフィリン
・LN患者のヒドロキシクロロキンを除く、補正QT間隔(QTc)を有意に延長することが知られている薬剤
【0322】
参加者が禁止された投薬及び/又は治療を受けた場合、治験責任医師は試験介入薬の中止を検討する。SGLT-2阻害剤、RAS阻害剤、及び直接レニンアンタゴニストは禁止されているが、治験責任医師及び医療モニターの議論と承認に基づいて、試験介入薬を中止することなく検討することができる。
【0323】
IgANコホートの参加者はまた、試験参加期間全体を通じて、以下の薬物療法及び治療法のいずれかを受けることを禁止されている:
・ヒドロキシクロロキン
・免疫抑制剤(例えば、MMF)
・連続14日を超える全身性コルチコステロイド(IgAN又は手術に関連しない病状の場合、14日以下の短期ステロイドコースは許可される)
【0324】
LNコホートの参加者の場合、免疫抑制の段階的増加は、治験実施計画書で定義された腎炎、腎炎、及び至適奏効以下(26週目以降)に対して許可される。ボクロスポリンが挙げられるがこれに限定されないカルシニューリン阻害剤(CNI)は禁止されている。CNIが、治験責任医師の判断により、救助療法として使用される場合、ALXN2050はCNI投与の3日前に中止する必要がある。しかしながら、参加者は試験に留まり、試験スケジュールに従って試験来院を続けることができる。
【0325】
このセクションに指定されていない薬剤で、治験責任医師にとって懸念が残るものについては、医療モニターと話し合う必要がある。
【0326】
背景療法
この治験実施計画書で採用されている標準的な背景療法は、LN(Rovin et al.,Kidney Int.2019;95(1):219-231)及びIgAN(Rauen et al., N Engl J Med.2015;373(23):2225-2236)を有する患者を対象とした最近の臨床試験と一致している。
【0327】
LNコホートの背景療法
試験期間中、LNコホートの参加者は、LNの導入及び維持治療の標準治療と一致する背景療法を受ける。
【0328】
・スクリーニング前にコルチコステロイド導入治療を開始していない参加者の場合:
○参加者は、スクリーニング期間中(1日目の前)に1回又は複数回の分割用量で投与されるメチルプレドニゾロンIV 1gの累積用量を投与される。
○スクリーニング期間中及び2日目までに、全参加者は表19で概説される開始用量のプレドニゾン又はプレドニゾン等価物と共に経口コルチコステロイドを投与される。許容される開始最小及び最大用量は、それぞれ、30mg/日及び60mg/日である。コルチコステロイドの漸減は、2週目(14日目)に開始する。12週目から26週目まで、標的用量は7.5mg/日である。26週目以降、参加者は7.5mg/日を継続することも、治験責任医師の臨床的裁量により46週目まで減量を続けることもできる。46週目から50週目までは、コルチコステロイドの用量を変更してはならない。
○スクリーニング期間中及び1日目までに、参加者は、スクリーニング期間中及び1日目までのIVメチルプレドニゾロンの完了後の任意の時間に、MMFの1~1.5g/日の累積用量を投与される。用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、1~1.5g/日を1週間投与され続ける。
○1~1.5g/日を1週間投与された後、治験責任医師の裁量により、用量を4週目(28日目)までに2~3g/日のMMFの累積用量に増加させる。用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、2~3g/日のMMFを最低50週間投与され続け、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドライン(KDIGO.Clinical Practice Guidelines for Glomerulonephritis.Kidney Disease Improving Global Outcomes.2012;2(2):209-217)に基づいて減少させ又は中止することができる。
【0329】
・スクリーニング前にコルチコステロイド導入治療を開始し、除外基準28を満たさない参加者の場合:
○参加者がすでにメチルプレドニゾロンIV≧1g又は等価物を投与されており、スクリーニング前にMMF≧2g/日を投与されている場合、メチルプレドニゾロンIVは与えられない。参加者は、スクリーニング中は現在のMMF用量を継続できるが、盲検初期評価期間中は、遅くとも28日目(4週目)までにMMFの用量を2~3g/日を達成するように調整する必要がある。MMFは、50週目まで、2~3g/日で継続され、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドライン(KDIGO(2012),supra)に基づいて、減少し又は中止され得る。
○参加者がすでにメチルプレドニゾロンIV≧1g又は等価物を投与されており、MMF<2g/日を投与されている場合、メチルプレドニゾロンIVは与えられず、MMF用量は、スクリーニング期間中(1日目まで)、1~1.5g/日の累積用量に増加される。参加者は、1~1.5g/日を1週間投与され続け、その後、治験責任医師の裁量によりMMF用量を増加させて、4週目(28日目)までに2~3g/日に到達させる。これらの用量は、複数の分割用量で投与することができる。参加者は、50週目まで、2~3g/日を投与され続け、その後、治験責任医師の判断及びKDIGO臨床ガイドライン(KDIGO (2012),supra)に基づいて減少させるか又は中止することができる。
○参加者がすでにプレドニゾン又はプレドニゾン等価物を投与されている場合、用量は2日目まで継続され、その時点でプレドニゾン又はプレドニゾン等価物は、表19で概説されるように投与されるべきである(許容される最小用量及び最大用量は、それぞれ30mg/日及び60mg/日である)。プレドニゾンの用量は、2週目(14日目)から表のスケジュールに従って漸減される。12週目から26週目まで、標的用量は7.5mg/日である。26週目以降、参加者は7.5mg/日を継続することも、治験責任医師の臨床的裁量により46週目まで減量を続けることもできる。46週目から50週目までは、コルチコステロイドの用量を変更してはならない。
【0330】
【0331】
・MMFの代わりに、等価用量の腸溶コーティングミコフェノール酸ナトリウム(MPS)を使用することができる(即ち、360mg用量のMPSは、500mg用量のMMFと同等である)。
・治験責任医師は、寛容又はAEによりMMFの投与量を調整することができる。参加者の症状が回復した場合、治験責任医師は、MMF(又は等価物)を2~3g/日の目標レベルまで増加させることを試みるべきである。症状が再発する場合、参加者は最高耐容用量で継続される。
・MMFの用量の変更及び妥当性を、eCRFに記載する。
【0332】
コルチコステロイドの漸減に関するその他の考慮事項:
・全参加者は、14日目に開始して、予定されたコルチコステロイドの漸減を有する。参加者は、用量が12週目までに7.5mg/日になるまで、10週間にわたりベースライン体重に従ってプレドニゾン用量を減少させる(表19)。12週目から26週目まで、標的用量は7.5mg/日である。26週目以降、参加者は7.5mg/日を継続することも、治験責任医師の臨床的裁量により46週目まで減量を続けることもできる。46週目から50週目までは、コルチコステロイドの用量を変更してはならない。
・腎フレア又は腎外性SLEフレア以外の理由による予定されたコルチコステロイドの漸減からの逸脱は、解釈を混乱させるため、漸減スケジュールに従うようにあらゆる試みを行うべきである。
・治験責任医師の意見により、2週目後にコルチコステロイドの漸減を開始するには、疾患が臨床的に活動性が高すぎる場合、参加者は、更に28日間まで、最初のコルチコステロイド用量を投与され続けることができる。同様に、漸減を開始し、疾患が臨床的に活動性が高く、漸減を続けることができない参加者は、更に28日間まで、達成された同じ漸減用量を維持することができる。12週目までにコルチコステロイドの漸減が達成されなかったことは、治療不成功とみなされず、副次的評価項目として捕捉される。
・しかしながら、プレドニゾンの用量は、参加者が腎フレア及び/又は重度の腎外性SLEフレアの治験実施計画書に定義された基準を満たさない限り、達成された漸減用量を超えて増加させることはできない。この場合、参加者は、救助療法を受け、治療不成功として含められる。
【0333】
IgANコホートの背景療法
IgANコホートの参加者のための背景療法は、標準治療と一致し、最大耐用量のACE阻害剤又はARBなどのRAS遮断薬を含む。背景治療は、試験の治療期間の最初の50週間を通して安定に保たれなければならない。
【0334】
LNコホートの救助療法
LNコホートにおいて、治験実施計画書で定義された腎フレアの基準を満たす参加者は救助療法を受ける。
【0335】
腎外性SLEフレアの基準を満たすLNコホートの参加者は、治験責任医師が臨床的に適切とみなした場合、救助療法を受けることができる。救助療法が腎外性SLEフレアに投与された場合、この事象は、重度の腎外性SLEフレアとみなされる。
【0336】
26週目以降、至適奏効以下を示した参加者に対する救助療法は、医療モニターとの会話における治験責任医師の臨床的裁量により許可される。
【0337】
救助療法、全てのフレア、及び至適奏効以下は、eCRFに文書化される。
【0338】
救助療法は、現在の標準治療の強化又は新たな免疫抑制療法の導入として定義される。救助療法の具体的な選択は、一般に、治験責任医師の裁量により、LNに対して承認された薬剤(例えば、ボクロスポリン、ベリムマブ)が含まれる場合がある。しかしながら、CNIが救助療法として使用される場合、ALXN2050はCNI投与の3日前に中止する必要がある。
【0339】
治験実施計画書で定義された腎フレア及び腎外性SLEフレアに対するコルチコステロイド投与に関する以下のガイドラインを、治療の一貫性を維持するために考慮するべきである:
・治験実施計画書定義の腎フレアの参加者は、プレドニゾンで最大0.5mg/kg/日(60mg/日を超えない)で最大2週間治療することができる。その後、プレドニゾンを、最初のプレドニゾン増加後6週間以内に、週1回、10mg/日に漸減することができる。プレドニゾンは、更に、治験責任医師の裁量により≦7.5mg/日に漸減することができる。
・腎外性SLEフレアの参加者は、プレドニゾンで最大1mg/kg/日(60mg/日を超えない)で最大2週間治療することができる。
その後、プレドニゾンを2週間ごとに漸減して、最初のコルチコステロイド増加後12週間以内に7.5mg/日を達成する。
・消化管の関与が経口コルチコステロイド使用を一時的に妨げる場合、等価な用量の静脈内コルチコステロイドが可能であり得る。
【0340】
以下の場合には、プレドニゾン≧10mg(≦14日間)は救助療法とはみなされない:
・腎フレアの治験実施計画書で定義された基準を満たさない腎フレア。
・他の医学的病態又は手術
【0341】
救助療法の使用は、治験責任医師と医療モニターの間で直接話し合われなければならない。
【0342】
ワクチン接種及び予防的抗生物質
髄膜炎菌感染のリスクを低減するために、全参加者は、試験介入薬の最初の注入の前又は注入の時点の3年以内にワクチン接種されなければならない。一般的に病原性の髄膜炎菌血清型の予防には、利用可能な場合、血清型A、C、Y、W135、及びBに対するワクチンが推奨される。髄膜炎菌ワクチン接種後2週間未満に試験介入治療を開始した参加者は、ワクチン接種後少なくとも2週間、適切な予防的抗生物質による治療を受けなければならない。
【0343】
参加者は、現在の国のワクチン接種ガイドライン又は補体阻害剤のワクチン接種に関する地域の慣行に従ってワクチン接種又は再ワクチン接種を受けなければならない。ワクチン接種は、髄膜炎菌感染を予防するのに十分ではない可能性がある。全参加者を髄膜炎菌感染の初期徴候についてモニターし、感染が疑われる場合は直ちに評価し、必要であれば適切な抗生物質で治療する。
【0344】
これらのワクチンの十分な接種歴のない参加者は、国又は地域のガイドラインに従ってワクチン接種又は追加免疫の提供を受けることができる。
【0345】
IgANの慢性的な進行を考えると、IgANの参加者では、無作為化の少なくとも14日前に髄膜炎菌ワクチン接種シリーズを開始するためにあらゆる努力を払うべきである。
【0346】
参加者は、現在の国のワクチン接種ガイドライン又h標準治療の一環としてのワクチン使用に関する地域の慣行に従って、他の病原体に対するワクチン接種又は再ワクチン接種を受ける必要がある。
【0347】
用量変更
ALXN2050の最適用量が決定されたら、50週間以内の治療を完了したALXN2050の参加者は、
図1(LNコホートの場合)及び
図2(IgANの場合)に示すように最適用量に切り替えられる。
【0348】
試験評価及び手順
有効性評価
タンパク尿のための24時間尿収集
タンパク尿の決定のために、SoA(表8~12)で指定された時点に24時間尿収集を得て、中央研究所によって分析する。タンパク質に加えて、アルブミン、ナトリウム、及びクレアチニンもまた、各24時間尿収集で定量する UPCR並びにアルブミン対クレアチニン比(UACR)の両方も、24時間尿収集のアリコートで計算する。
【0349】
24時間尿サンプルの収集前48時間以内は、可能な限り、激しい運動及び食事(特に、塩分摂取)の有意な変化を避ける。
【0350】
収集物は、生検手順の前又は>7日後、及び投与日に試験介入薬の投与前に得なければならない。
【0351】
24時間尿収集は、調査員と参加者との合意があれば、地域の規制に従い、移動式バーによって参加者の自宅で行われる。収集は、eCRF完了ガイドラインに従ってeCRFに記録される。
【0352】
LNコホート
LNコホートの参加者の場合、タンパク尿は、UPCRによって測定される。適格性を評価するために、スクリーニング時に単一の24時間尿収集を得る。26週目の来院(主要評価項目を評価するため)及び50週目の来院(副次的評価項目を評価するため)前の2週間以内に、2つの別々の24時間尿収集物を得る。追加の24時間尿収集も102週目及び154週目に予定される。
【0353】
治験実施計画書で定義された腎フレアの確認には、スポット尿サンプルから2週間以内の単一の24時間尿収集が必要である。
【0354】
IgANコホート
IgANコホートの参加者は、スクリーニング期間中(適格性を評価するため)、2回の別々の完全且つ有効な24時間尿収集を提供する必要がある。主要評価項目及び重要な副次的評価項目を評価するために、2つの24時間尿収集物は、26週目及び50週目の来院前の2週間以内に得る。追加の24時間尿収集も102週目及び154週目に予定される。従って、24時間尿収集は、以下の基準の全てが満たされていれば有効であるとみなされ、さもなければ、尿収集が繰り返される必要がある:
・収集は、22~26時間の期間(即ち、最初の廃棄された排尿から最後の排尿/排尿試行までの時間)である。
・参加者の尿収集日誌によって示されるように、収集の開始時間と終了時間との間に排尿が見逃されない。
【0355】
尿収集は医療監視チームによって検査される。
不適切な収集は、各試験時点で2つの有効な収集が確実に得られるようにするために、試験スケジュールに概説されている時間枠内でできるだけ早く繰り返す必要があり得る。
【0356】
スポット尿サンプル(両コホート)
UPCR及びUACRに対する試験介入の効果を評価するために、投薬前の朝スポット尿サンプルからの尿タンパク質、アルブミン、及びクレアチニンレベルをSoAに指定された時点で測定する(表8~12)。
【0357】
両方の疾患コホートの参加者について、LNコホートについては16週目に、IgANコホートについては18週目に、2つの連続スポット尿サンプルが採取される。
【0358】
UPCR及びUACRの結果は参加者のeCRFに記録される。
【0359】
推定糸球体濾過率(両方のコホート)
腎機能の変化は、24時間尿収集時のeGFR(mL/分/1.73m2)及びクレアチニンクリアランスの測定値を使用して監視される。血清クレアチンは、投与前に収集された臨床化学の一部として分析される。eGFRの計算はCKD-EPI式に基づいて行われる。
【0360】
26週目及び50週目のCRR及びPRRを決定するために、eGFRに関する2つの血清クレアチニンサンプルが得られ、1つ目はこれらの試験来院前の2週間以内であり、2つ目は試験来院日に得られる。血液サンプルの採取は、治験責任医師と参加者との合意があれば、参加者の自宅で行うことができる。収集は、eCRF完了ガイドラインに従ってeCRFに記録される。
【0361】
血尿(両コホート)
両疾患コホートの参加者について、スポット尿サンプルからの血尿を評価して、疾患経過に対する試験介入の効果を評価する。血尿の程度は、遠心分離した尿沈渣の顕微鏡による検査(RBC/hpf)によって評価される。
【0362】
血尿評価のための無作為スポット尿サンプルの単一排尿収集物を収集する。治験責任医師が、女性の月経又は運動により血尿が一過性であると判断した場合、サンプルを繰り返す必要があり得る。
【0363】
血尿測定のための無作為スポット尿サンプルは、SoA(表8~12)に概略されるように、試験全体を通して収集され、中央研究所によって分析される。適用可能であれば、試験介入薬投与の前にサンプルを収集する。
【0364】
顕微鏡又は尿ディップスティックによる現地血尿評価を利用して、診断的生検が2年を超える場合、IgANの参加者についてスクリーニング時に試験の適格性を決定し得る。
【0365】
アルブミン(LNコホートのみ)
腎機能評価の場合、臨床化学評価の一部として血清アルブミンのサンプルが収集される。
【0366】
腎フレア(LNコホートのみ)
腎フレアは、以下に概説する基準に加えて、治験責任医師の意見に基づいて決定される:
・CRRを達成した参加者にとって、腎フレアとは、1 g/g以上のタンパク尿が再現可能に再発することである。
・他の全ての参加者にとって、腎フレアは次のいずれかである:
○血清クレアチニンの再現可能な増加がベースラインより25%を超えるか、又はULNを超え、更に以下のいずれか1つを満たしている:
・再現性のあるタンパク尿がベースラインより75%以上高い
・ベースラインと比較して活動性尿沈渣の悪化(5RBC/hpf以上又は新たな赤血球鋳造によって定義される)(少なくとも2つのサンプルからの局所検査結果に基づく)
・適格性を得るために生検が使用されて以来実施された、LNクラスIII又はIV活性を示す腎生検
○試験介入薬の最初の投与後に得られた以前の最低値と比較した、24時間尿収集からのUPCRの再現可能な倍増。
・タンパク尿の再現性には、朝のスポット尿収集からのUPCRに基づくタンパク尿が、2週間以内に得られた24時間尿収集に基づいて計算されたUPCRによって確認される必要がある。
・血清クレアチニンの再現性を得るには、2週間以内に2回の血液検査が必要である。
【0367】
治験実施計画書で定義された腎フレアの基準を満たす参加者は救助療法を受ける。医療モニターは、治験責任医師又は治験分担医師から腎フレアについて通知されるべきである。
【0368】
治験実施計画書で定義された腎フレア基準を満たさない任意の腎フレアは、医療モニターとの協議の後、経口コルチコステロイドを限定期間(14日以内)増量して治療することができる。このような治療は救済療法とみなされず、治療不成功ともみなされない。
【0369】
腎フレア基準は、腎フレアeCRFに記録される。
【0370】
腎外性全身性エリテマトーデスフレア(LNコホートのみ)
全身性エリテマトーデス疾患活動性指標2000(SLEDAI-2K)は、SLEの疾患活動性を評価する票である。この票は、LNコホートにおける腎外性SLEフレアのモニタリングに使用される。
【0371】
腎外性SLEフレアは、エリテマトーデス性狼瘡全国評価(SELENA)修正におけるエストロゲンのSLEDAI-2K安全性の4ポイント以上の増加として定義され、タンパク尿、血尿、尿中細胞円柱、低補体血症、又は抗二本鎖DNA(抗dsDNA)抗体レベルの増加によって説明されない。
【0372】
腎外性SLEフレアの基準を満たすLNコホートの参加者は、治験責任医師が臨床的に適切とみなした場合、救助療法を受けることができる。救助療法が投与された場合、この事象は、重度の腎外性SLEフレアとみなされる。
【0373】
参加者は、以下に概説するように臨床的に保証されている場合、重度ではない腎外性SLEフレアに対して限られた数のコルチコステロイド治療を受けることが許可される。このような治療は救済療法とみなされず、治療不成功ともみなされない。
・重度ではない腎外性SLEフレアに対しては、最大2回のコルチコステロイド治療が許可される。
・重度ではない腎外性SLEフレアに対する1回のコルチコステロイド治療は、12週目(ステロイド漸減終了)から22週目(26週目の主要評価項目の4週間前)までに許可される。
・1回のコルチコステロイド治療は、第26週と第46週(第50週の分析の4週間前)の間に許可される。
・各治療コースの期間は14日を超えてはならず、ステロイドの用量は14日目までに7.5mg/日以下に戻る。
・合計20mg/日(プレドニゾン又はプレドニゾン等価物)までが許可される。
・腎疾患の悪化が同時に起こることはあり得ない(腎炎の基準で定義されているとおり)。
【0374】
至適奏効以下(LNコホートのみ)
至適奏効以下は、26週目の来院後に次の基準に加えて治験責任医師の意見によって決定される:
・中央研究所が実施した24時間尿収集におけるUPCRに基づくベースラインと比較して、再現性のあるタンパク尿が25%以下減少
【0375】
タンパク尿の再現性には、スポット尿収集からのUPCRに基づくタンパク尿が、2週間以内に得られた24時間の尿収集に基づいて計算された中央研究所UPCRによって確認される必要がある。
【0376】
至適奏効以下を示した参加者については、治験責任医師及び医療モニターと話し合う必要がある。至適奏効以下である参加者は試験に留まり、引き続き試験介入薬を投与される。現在の標準治療の強化又は新しい免疫抑制療法の導入は、医療モニターとの会話における治験責任医師の臨床的裁量に従って許可されており、救助療法とみなされる。
【0377】
至適奏効以下の参加者は、治療不成功として含められる。
【0378】
治療不成功(LNコホートのみ)
治療不成功は、治験実施計画書で定義された腎フレア、腎外性SLEフレア、又は至適奏効以下のための、試験の間の任意の時点での救助療法を受けることと定義される。
【0379】
重度の腎外性SLEフレアの治験実施計画書定義に適合しない腎外性SLEフレア、腎フレアの治験実施計画書定義に適合しない腎フレア、至適奏効以下の治験実施計画書定義に適合しない奏効の欠如、他の医学的病態、又は手術のためのコルチコステロイドの増加(期間は≦14日間に限る)は、治療不成功に含まれない。
【0380】
治療不成功の基準を満たす参加者は、治験薬を受け続けて、試験にとどまることができる。参加者に治療不成功が2回ある場合は、試験介入の中止を検討する必要がある。CNIが救助療法に使用される場合、試験介入はCNI投与の3日前に中止する必要がある。
【0381】
完全及び部分腎寛解(LNコホートのみ)
完全腎寛解及びPRRは、26週目及び50週目に評価される。
【0382】
CRRを達成するために(Rovin(2019),supra)、LNコホートの参加者は、以下の基準の3つ全てを満たさなければならない:
・試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られた2回の24時間尿収集に基づく≦0.5g/gへの平均UPCRの減少
・2つの値の平均に基づいて、推定糸球体濾過率>60mL/分/1.73m2、又はベースライン値からのeGFRの≧20%の減少なし。第1のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られなければならず、第2のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)で得られる。
・治療不成功なし(上記参照)
【0383】
PRRを達成するために(Rovin(2019),supra)、LNコホートのCRRを達成しなかった参加者は、以下の基準の3つ全てを満たさなければならない:
・試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られた2回の24時間尿収集の平均に基づいて、ベースライン値と比較して≧50%のUPCRの減少
・2つの値の平均に基づいて、推定糸球体濾過率>60mL/分/1.73m2、又はベースライン値からのeGFRの≧20%の減少なし。第1のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られなければならず、第2のeGFR値は、試験来院(26週目又は50週目)で得られる。
・治療不成功なし(上記参照)
【0384】
全体的な腎寛解は、CRRとPRRの複合値として定義される。
【0385】
部分寛解(IgANコホートのみ)
部分寛解は、試験来院(26週目又は50週目)前の2週間以内に得られた2回の有効な24時間尿収集に基づいて、<1g/24時間の平均タンパク尿として定義される。
【0386】
参加者報告の転帰
本試験では、次の参加者報告の転帰(PRO)手段を使用して、健康に関連するクオリティ・オブ・ライフ(QoL)を取得する:
・欧州クオリティ・オブ・ライフ・ヘルス5項目質問票次元5レベル(EQ-5D-5L 両方のコホート)
・簡易(SF)-36健康調査(両方のコホート)
・慢性療法の機能評価(FACIT)-疲労スケール(LNコホートのみ)
【0387】
全ての票は自己報告され、SoAで指定された来院時に管理される。この票及び質問票についての情報は、必要に応じて、正しいバージョン及び検証済言語バージョンがあり、試験開始前に施設に提供される。
【0388】
EQ-5D-5L(両方のコホート)
EQ-5D-5Lは、健康関連のQoLを測定するための自己申告の標準化された票であり、幅広い健康状態で使用されている。EQ-5D-5Lでは、5次元:移動の程度、ふだんの活動、身の回りの管理、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みにより決定される。0~1の健康状態インデックススコア(又は効用スコア)は、0が死亡に等しい健康状態を示し、1が完全な健康を示し、米国のTTO値セットを使用して個人の健康プロファイルから計算される。負の値は、死亡よりも悪いと考えられる健康状態を示す。EQ-5D-5Lの各次元はカテゴリ変数として要約及び分析され、試験対象患者の健康プロファイルに関するデータが提供される。視覚的評価スケール(VAS)及びEQ-5D-5Lインデックススコアは、連続変数として要約及び分析できる。この票は、両方のコホートで使用される。
【0389】
SF-36(両方のコホートの場合)
SF-36は、一連の一般的で一貫性があり、簡単に管理できる生活の質の尺度である。SF-36には、8つの次元:身体機能、身体、体の痛み、活力、全体的健康感、精神、心の健康、及び社会生活機能にグループ化された36個の項目がある。この票は、両方のコホートで使用される。
【0390】
FACIT-疲労(LNコホートのみ)
FACIT疲労スケールは、慢性疾患による疲労症状の管理に関するQoLの質問を集めたものである。FACIT疲労スケール(バージョン4)は、過去1週間の通常の日常活動における個人の疲労レベルを測定する、13項目からなる短い自己申告型の管理が簡単なツールである。疲労レベルは、5段階のリッカート型スケールで測定される(0=全く疲労していない、1=少し疲労している、2=やや疲労している、3=かなり疲労している、4=非常に疲労している)。全ての項目が同じ重みで合計スコアに寄与する。30未満のスコアは重度の疲労を表し、スコアが高いほど疲労が改善されたことを示す。このスケールでは、3ポイントの変化は臨床的に意味がある。このスケールでは、10ポイント以上の変化は高い有意性がある。この票は、LNコホートで使用される。
【0391】
その他の実施形態
本開示は、方法、化合物、組成物、及び使用の特定の実施形態を説明するが、更なる改変を行うことができることが理解され、本出願は、概して、本開示の原理に従ったそのあらゆる変形又は適応を網羅することを意図するものであり、これには、本開示が関係する技術分野における既知又は慣例の範囲内にあり、上記及び特許請求の範囲に続く必須の特徴に適用され得る、本開示からの逸脱が含まれる。他の実施形態は、特許請求の範囲の範疇にある。
【国際調査報告】