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2024-538181絹によって刺激されたコラーゲン及びクローディン-1発現、並びに絹によって刺激された抗炎症効果
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】絹によって刺激されたコラーゲン及びクローディン-1発現、並びに絹によって刺激された抗炎症効果
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/17 20060101AFI20241010BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20241010BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20241010BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20241010BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61K38/17
A61K8/64
A61Q19/00
A61P17/02
A61P17/16
A61Q19/08 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523188
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022078314
(87)【国際公開番号】W WO2023069956
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/256,942
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/256,896
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516092706
【氏名又は名称】エボルブド バイ ネイチャー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン,グレゴリー,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コスタッシュ,マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ジェネル,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ボスケス,カルロス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スワンプラディド,ジュタマス
(72)【発明者】
【氏名】ジャイガネーシュ,アヴィナッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ミュオーロ,ローラ,アール.
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB331
4C083AD451
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD32
4C083DD33
4C083EE12
4C083EE13
4C084AA02
4C084BA01
4C084CA49
4C084MA22
4C084MA58
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA89
(57)【要約】
本開示は、対象におけるコラーゲン発現、クローディン-1、及び-又は抗炎症効果を刺激するための絹フィブロイン組成物、並びにその使用方法を提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)コラーゲン発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又は
ii)クローディン-1発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又は
iii)もう1つの抗炎症遺伝子の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、
によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防の方法であって、前記方法が、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約17kDa~約39kDa、約14kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物を、前記対象に投与することを含み、
前記組成物中の絹フィブロイン断片の濃度が、約0.001%w/v~約10%w/vである、方法。
【請求項2】
前記組成物が、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記絹フィブロイン断片が、1~約1.5の多分散性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記絹フィブロイン断片が、約1.5~約2.0の多分散性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記絹フィブロイン断片が、約1.5~約3.0の多分散性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記絹フィブロイン断片が、約2.0~約2.5の多分散性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記絹フィブロイン断片が、約2.5~約3.0の多分散性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物に製剤化する前の少なくとも10日間、水溶液中にある場合、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、色又は濁度が視覚的に変化しない、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約1%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記絹フィブロイン断片が、約0.01%w/v~約1%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記絹フィブロイン断片が、約0.025%w/v~約1%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記絹フィブロイン断片が、約0.05%w/v~約0.7%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、注射可能な組成物又は外用組成物として製剤化される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、薬学的に許容可能な担体を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記薬学的に許容可能な担体が、水相を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薬学的に許容可能な担体が、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、上皮表面への投与のために製剤化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記上皮表面が、表層表皮領域、角質層、眼表面、又は腸表面である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、経表皮水分蒸散量を低減するために製剤化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、バリア製剤として製剤化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組成物が、創傷閉鎖製剤として製剤化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が、前記対象における皺を予防若しくは改善する、前記対象における加齢性色素斑を予防若しくは改善する、前記対象における乾燥肌を予防若しくは改善する、又は前記対象における不均一な皮膚の色調を予防若しくは改善するために製剤化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物が、前記対象における皮膚のたるみを予防若しくは改善する、前記対象における皮膚の老化を予防若しくは改善する、前記対象における低減した皮膚の引張強度を予防若しくは改善する、前記対象における光損傷した皮膚を予防若しくは改善する、又は前記対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を予防若しくは改善するために製剤化される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患又は状態が、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、低減した皮膚の引張強度、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約17kDa~約39kDa、約14kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物の使用であって、前記組成物中の絹フィブロイン断片の濃度が、約0.001%w/v~約10%w/vであり、
i)コラーゲン発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又は
ii)クローディン-1発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又は
iii)もう1つの抗炎症遺伝子の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防のための薬剤の製造における、使用。
【請求項27】
前記組成物が、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記組成物が、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む、請求項26又は27に記載の使用。
【請求項29】
前記絹フィブロイン断片が、1~約1.5の多分散性を有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
前記絹フィブロイン断片が、約1.5~約2.0の多分散性を有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記絹フィブロイン断片が、約1.5~約3.0の多分散性を有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記絹フィブロイン断片が、約2.0~約2.5の多分散性を有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記絹フィブロイン断片が、約2.5~約3.0の多分散性を有する、請求項26~28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記絹フィブロイン断片が、前記組成物に製剤化する前の少なくとも10日間、水溶液中にある場合、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、色又は濁度が視覚的に変化しない、請求項26~33のいずれか一項に記載の使用。
【請求項35】
前記絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約1%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項26~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項36】
前記絹フィブロイン断片が、約0.01%w/v~約1%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項26~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記絹フィブロイン断片が、約0.025%w/v~約1%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項26~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項38】
前記絹フィブロイン断片が、約0.05%w/v~約0.7%w/vで、前記組成物中に存在する、請求項26~34のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記組成物が、注射可能な組成物又は外用組成物として製剤化される、請求項26~38のいずれか一項に記載の使用。
【請求項40】
前記組成物が、薬学的に許容可能な担体を更に含む、請求項26~39のいずれか一項に記載の使用。
【請求項41】
前記薬学的に許容可能な担体が、水相を含む、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
前記薬学的に許容可能な担体が、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む、請求項40又は41に記載の使用。
【請求項43】
前記組成物が、上皮表面への投与のために製剤化される、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項44】
前記上皮表面が、表層表皮領域、角質層、眼表面、又は腸表面である、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
前記組成物が、経表皮水分蒸散量を低減するために製剤化される、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項46】
前記組成物が、バリア製剤として製剤化される、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項47】
前記組成物が、創傷閉鎖製剤として製剤化される、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項48】
前記組成物が、前記対象における皺を予防若しくは改善する、前記対象における加齢性色素斑を予防若しくは改善する、前記対象における乾燥肌を予防若しくは改善する、又は前記対象における不均一な皮膚の色調を予防若しくは改善するために製剤化される、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記組成物が、前記対象における皮膚のたるみを予防若しくは改善する、前記対象における皮膚の老化を予防若しくは改善する、前記対象における低減した皮膚の引張強度を予防若しくは改善する、前記対象における光損傷した皮膚を予防若しくは改善する、又は前記対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を予防若しくは改善するために製剤化される、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【請求項50】
前記疾患又は状態が、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、低減した皮膚の引張強度、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む、請求項26~42のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連技術の相互参照
本出願は、2021年10月18日に出願された米国仮特許出願第63/256,942号、及び2021年10月18日に出願された米国仮特許出願第63/256,896号の利益を主張するものであり、それら両方は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、絹フィブロイン組成物、及びコラーゲン発現を刺激するための方法の分野にある。
【背景技術】
【0003】
絹は、様々な昆虫及びクモによって産生される天然高分子である。絹は、フィラメントコアタンパク質、絹フィブロイン、及び非フィラメント状タンパク質、セリシンからなる膠状コーティングを含む。
【0004】
外用又は非経口投与によるコラーゲン刺激に好適な安定した絹フィブロインペプチド溶液の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、コラーゲン発現を刺激又は調節することによって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防を必要とする対象において、それを行う方法であって、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約14kDa~約30kDa、約17kDa~約39kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物を、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、1~約1.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約1.5~約2.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約1.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約2.0~約2.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、約2.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、絹フィブロイン断片に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物に製剤化する前の少なくとも10日間、水溶液中にある場合、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、色又は濁度が視覚的に変化しない。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約1.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約2.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約2.0重量%~約3.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約3.0重量%~約4.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約4.0重量%~約5.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片は、組成物の総重量に対して約5.0重量%~約6.0重量%で、組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物として、又は外用組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、懸濁液、エマルジョン、粉末、溶液、分散液、又はエリキシルのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、フォーム、スラリー、軟膏、油、ペースト、坐剤、スプレー、半固体組成物、固体組成物、スティック、若しくはムースのうちの1つ以上を含むか、又はそれらとして製剤化される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、マンニトール又はデキストロースのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、約0.001%~約10%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、約1%~約10%(w/v)、約10%~約25%(w/v)、約25%~約50%(w/v)、又は約50%~約99.99%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、脂肪族油、脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリド、アシルグリセロール、及びリン脂質のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、水相を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸油、脂肪酸エステル、又はカチオン性四級アンモニウム塩のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体の一部は、ポリエポキシリンカー、ジエポキシリンカー、ポリエポキシ-PEG、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ポリアクリレートPEG、ジアクリレートPEG、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、ジビニルスルホン(DVS)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、UV光、グルタルアルデヒド、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン(DEO)、ビスカルボジイミド(BCDI)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、カルボジイミド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される架橋剤、架橋前駆体、又は活性化剤で改変される。いくつかの実施形態では、ポリエポキシリンカーは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリ-メチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、及びソルビトールポリグリシジルエーテルから選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、非経口的に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は注入によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、皮下注射、皮内注射、経皮注射、又は真皮下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、骨内注射、心臓内注射、関節内注射、又は海綿体内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、デポー注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、浸潤注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、留置カテーテルによって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、マイクロニードルによって投与される。いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、対象における1つ以上のメタロプロテイナーゼ(MMP)の発現を減少させる。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現を刺激又は調節することは、コラーゲン発現を増加させることを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%増加する。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、約129%、約130%、約131%、約132%、約133%、約134%、約135%、約136%、約137%、約138%、約139%、約140%、約141%、約142%、約143%、約144%、約145%、約146%、約147%、約148%、約149%、約150%、約151%、約152%、約153%、約154%、約155%、約156%、約157%、約158%、約159%、約160%、約161%、約162%、約163%、約164%、約165%、約166%、約167%、約168%、約169%、約170%、約171%、約172%、約173%、約174%、約175%、約176%、約177%、約178%、約179%、約180%、約181%、約182%、約183%、約184%、約185%、約186%、約187%、約188%、約189%、約190%、約191%、約192%、約193%、約194%、約195%、約196%、約197%、約198%、約199%、又は約200%増加する。いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、対象における皺を予防若しくは改善すること、対象における加齢性色素斑を予防若しくは改善すること、対象における乾燥肌を予防若しくは改善すること、又は対象における不均一な皮膚の色調を高めることのうちの1つ以上をもたらす。いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、対象における皮膚のたるみを予防若しくは改善すること、対象における皮膚の老化を予防若しくは改善すること、対象における低減した皮膚の引張強度を予防若しくは改善すること、対象における光損傷した皮膚を予防若しくは改善すること、又は対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を予防若しくは改善することのうちの1つ以上をもたらす。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、低減した皮膚の引張強度、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、甲状腺ホルモン誘発性心筋
肥大を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腱の断裂、損傷、又は裂傷を含む。いくつかの実施形態では、腱は、小円筋腱、棘下筋腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱、三角筋腱、二頭筋腱、三頭筋腱、腕橈骨筋腱、回外筋腱、橈側手根屈筋腱、尺側手根屈筋腱、長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱、腸腰筋腱、内閉鎖筋腱、長内転筋腱、腓骨又はマグナス筋腱、大殿筋又は中殿筋腱、四頭筋腱、膝蓋腱、膝窩腱、縫工筋腱、腓腹筋腱、アキレス腱、ヒラメ筋腱、前脛骨筋腱、長腓骨筋腱、長指屈筋腱、骨間筋腱、深指屈筋腱、小趾外転筋腱、母指対立筋腱、長母指屈筋腱、母指伸筋又は外転筋腱(Extensor or abductor pollicis tendons)、長母趾屈筋腱、短趾屈筋腱、中様筋腱、母趾外転筋腱、長趾屈筋腱、小趾外転筋腱、眼筋腱、眼瞼挙筋腱、咬筋腱、側頭筋腱、僧帽筋腱、胸鎖乳突筋腱、頭半棘筋又は頭板状筋腱、顎舌骨筋又は甲状舌骨筋腱、胸骨舌骨筋腱、腹直筋腱、外腹斜筋腱、腹横筋腱、広背筋腱、及び脊柱起立筋腱から選択される。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、ウェルナー症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、低下した糖尿病性皮膚の完全性を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節炎を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節リウマチを含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腫瘍の進行又は腫瘍の成長を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、低下した心機能を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、エーラス・ダンロス症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腹部大動脈瘤を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、創傷を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皮膚又は結合組織の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、軟骨の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、再発性多発軟骨炎、ティーツェ症候群、蜂巣炎、エーラス・ダンロス症候群、ケロイド(にきびケロイドを含む)、ムコポリサダリドーシスI(mucopolysaddaridosis I)、壊死性障害(環状肉芽腫、リポイド類壊死症を含む)、骨形成不全症、皮膚弛緩症、皮膚筋炎、デュピュイトラン拘縮、ホモシスチン尿症、エリテマトーデス(皮膚、円板状、深在性、全身性、及び腎炎を含む)、マルファン症候群、混合性結合組織疾患、ムチン沈着症(濾胞性を含む)、ムコ多糖症(I、II、UU、IV、IV、及びVII)、粘液水腫、成年性浮腫性硬化症及び滑液嚢腫、結合組織新生物、ヌーナン症候群、骨斑紋症、硬結性紅斑を含む脂肪織炎、結節性非化膿性及び腹膜、陰茎硬化症、弾性線維性仮性黄色腫、関節炎を含むリウマチ性疾患(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、カプラン症候群、フェルティ症候群、リウマトイド結節、強直性脊椎炎、及びスチル病)、骨増殖症、リウマチ性多発筋痛症、限局性強皮症、並びに全身性強皮症(CREST症候群)から選択される。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、好酸球増多随伴性血管類リンパ組織増殖症;瘢痕(cicatix)(肥厚性(hypertophic)を含む);皮膚瘻、皮膚弛緩症(cuis laxa);肢端皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎(アレルギー性接触、光アレルギー性、ウルシ)、刺激性皮膚炎(光毒性、おむつかぶれ)、職業性皮膚炎を含む皮膚炎;剥脱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、薬疹(中毒性表皮壊死症、結節性紅斑、血清病など)、発汗異常性、間擦疹、神経皮膚炎、及び放射線皮膚炎を含む湿疹;皮膚筋炎;慢性遊走性、硬結性、伝染性、多形性(スティーヴンス・ジョンソン症候群)、及び結節性(スイート症候群)を含む紅斑;突発性を含む発疹;ざ瘡様発疹を含む顔面皮膚疾患(ケロイド、酒さ、尋常性、及びファーブル・ラクーショー症候群);水虫を含む足の皮膚疾患;手の皮膚疾患;ケラトアカントーマ;皮膚硬結、真珠腫性中耳炎(中耳を含む)、魚鱗癬(先天性魚鱗癬様紅皮症(congenital ichtyosiform erythroderms)、表皮剥離性角質増殖症、葉状魚鱗癬、尋常性魚鱗癬、X連鎖性魚鱗癬、及びシェーグレン・ラルソン症候群を含む)、膿漏性角皮症、掌蹠角皮症(palmoplantar keratoderms)、毛包性角化症、脂漏性角化症、不全角化症、及び汗孔角化症を含む角化症;脚部皮膚疾患、マスト細胞症(色素性蕁麻疹)、類壊死症(環状肉芽腫及びリポイド類壊死症)、光過敏症(光アレルギー性又は光毒性皮膚炎(photoxic dermatitis)、種痘様水疱症、日光皮膚炎(sundurn)、及び色素性乾皮症);銀皮症、色素沈着、メラノーシス、黒色表皮腫(aconthosis nigricans)、黒子、ポイツ・ジェガース症候群、低色素沈着、先天性白皮症、まだら症(pibaldism)、白斑、色素失調症、色素性蕁麻疹、色素性乾皮症、痒疹を含む色素異常症;掻痒症(肛門及び外陰部を含む);膿瘡及び壊疽性膿皮症を含む膿皮症;頭皮疾患(sclap dermatoses);成人性浮腫性強皮症(sclerodema adultorum);新生児皮膚硬化症(sclerma neonatorum);毛髪疾患(脱毛症、毛包炎、男性型多毛症、多毛症(hypertichosis)、縮れ毛症候群)、爪疾患(ネイル・パテラ症候群、嵌入爪又は爪形成異常、爪真菌症、爪周囲炎)、皮脂腺疾患(鼻瘤、新生物)、汗腺疾患(化膿性汗腺炎、多汗症、乏汗症、稗粒腫(miliara)、フォックス・フォアダイス病、新生物)を含む皮膚付属器(skin appenage)疾患;先天性白皮症(alfinism)、皮膚弛緩症、家族性良性慢性天疱瘡、ポルフィリン症、肢端皮膚炎、外胚葉形成不全症、エリス・ファンクレフェルト症候群、巣状皮膚低形成、エーラス・ダンロス症候群、表皮水疱症、魚鱗癬(ichtysosis)を含む遺伝性皮膚疾患;皮膚真菌症、ブラストミセス症、カンジタ症、黒色分芽菌症、マズラ菌症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、白癬を含む感染性皮膚疾患;頸部顔面放線菌症、細菌性血管腫症(bacilliary angiomatosis)、膿瘡、丹毒、慢性遊走性紅斑、紅色陰癬、鼠径部肉芽腫、化膿性汗腺炎、マズラ菌症、爪周囲炎、ピンタ、鼻硬化症、ブドウ球菌皮膚感染症(せつ腫症(furuncolosis)、癰、膿痂疹、熱傷様皮膚症候群)、皮膚梅毒、皮膚結核、フランベジアを含む細菌性皮膚疾患;幼虫移行症、リーシュマニア症、シラミ寄生症、及び疥癬を含む寄生性皮膚疾患;伝染性紅斑、突発性発疹、単純ヘルペス、伝染性軟属腫(moolusum contagiosum)、及び疣贅を含むウイルス性皮膚疾患から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書で開示される実施形態を、添付の図面を参照して更に説明する。示した図面は必ずしもスケール通りではなく、代わり、一般的に、本明細書で開示される実施形態の原理を例証する際に強調がなされている。
【0007】
図1A図1A~1Cは、若い皮膚及び老化した皮膚におけるコラーゲン合成の概略図、並びにコラーゲン合成の刺激における絹フィブロインの提案される役割を示す。図1A:健康な若い皮膚では、高密度コラーゲンマトリックス中の真皮線維芽細胞が、新たなコラーゲンを産生することによってマトリックスを継続的に強化する。若い皮膚では、真皮細胞外マトリックス(ECM)内の無傷のコラーゲンが、線維芽細胞の付着部位及び機械的抵抗を提供する。線維芽細胞は、伸びて新たなコラーゲン(緑色)を産生し、ECMの完全性及び安定性を促進する。
図1B図1B:加齢に伴い、線維芽細胞による新たなコラーゲンの産生が減少し、コラーゲンマトリックスが分解する。加齢に伴い、コラーゲン合成の低減及びMMP活性の上昇により、コラーゲン原線維が断片化される。これにより、線維芽細胞の機械的張力が失われ、ECMの完全性及び安定性が失われる。
図1C図1C:マトリックスへの絹フィブロインの添加は、線維芽細胞によるコラーゲン産生を刺激し、マトリックスの構造完全性を回復させる。添加された絹フィブロインは、恐らく線維芽細胞との直接的相互作用並びにコラーゲン断片の架橋によって、線維芽細胞を刺激してコラーゲンを産生する。これは、ECMの完全性の回復、及びより若い皮膚の外観を促進すると予測される。(出典Varani et al.AmJ Pathol.2006,168:1861)。
図2】コラーゲン産生が、絹組成に依存することを示す。様々な絹濃度での細胞内コラーゲン産生は、絹の種類の関数として示される。刺激率は、陰性対照と比較したコラーゲン形成の増加である。絹平均MW組成:絹A=低MW(約14kDa~約30kDaから選択される平均重量平均分子量)、絹B=中MW(約39kDa~約54kDaから選択される平均重量平均分子量)。
図3】インビトロモデル:細胞外マトリックス生成。タイムラインは、実験の時間順序及び処置条件を示す。
図4】インビトロモデル:コラーゲン産生。陽性対照処置は、TGF-β(10ng/mL+Vit C(20μg/mL)であった。
図5A図5A及び5Bは、ヒト真皮線維芽細胞をVit Cの存在下で絹を用いて処置すると、総コラーゲン産生が増加する。図5Aは、5日間のVit C、並びにTGF-b(陽性対照としての役割を果たす)、媒体対照、レチノイン酸、中MW絹、又は低MW絹との共処置を用いたヒト真皮線維芽細胞のシリウスレッド染色である。スケールバーは、650μmを表す。
図5B図5Bは、図5Aのシリウスレッド染色された細胞の分光光度分析である。n=1。
図6】中MW絹及び低MW絹は、総コラーゲン産生を高める。刺激の24時間後のヒト真皮線維芽細胞に対するシリウスレッドの分光光度分析(n=2)。
図7】中MW絹及び低MW絹は、ヒト真皮線維芽細胞においてCOL1A1遺伝子発現を上方制御した。処置後8時間の絹及びレチノイン酸処置されたヒト真皮線維芽細胞におけるCOL1A1に対する定量的PCR。n=1群当たり2。TGF-b+Vit.C処置されたヒト真皮線維芽細胞において8倍超の増加(陽性対照としての役割を果たす)。
図8A図8A及び8Bは、低MW絹は、コラーゲン1タンパク質発現を上方制御する。図8Aは、生細胞上でゲーティングされたレチノイン酸処置、ビヒクル処置、及び低MW絹処置されたヒト真皮線維芽細胞のコラーゲン1の代表的なフローサイトメトリー分析のヒストグラムである。示されるデータは、n=1群当たり3を表す。
図8B図8Bは、ビヒクル対照と比較した、レチノイン酸処置及び低MW絹処置された細胞におけるコラーゲン1の平均蛍光強度(MFI)の増加率を示す。データは、一元配置ANOVA、続くボンフェローニ補正を用いた事後t検定で、平均+SEM、*p<0.05として要約される。n=1群当たり3:TGF-β+Vit C処置されたヒト真皮線維芽細胞(陽性対照としての役割を果たす)におけるコラーゲン1 MFIの34.5%の増加。レチノイン酸処置及び低MW絹処置されたヒト真皮線維芽細胞(n=1)におけるコラーゲン1(緑色染色)及びヘキスト(青色)共局在化を示す代表的な免疫組織化学染色。
図9】低MW絹は、COL4A1タンパク質発現を変化させない。レチノイン酸処置、ビヒクル処置、及び低MW絹処置されたヒト真皮線維芽細胞におけるCOL4A1細胞頻度(生細胞における)の定量分析。n=1群当たり2。
図10】Activated Silk(商標)分子は、ヒト真皮線維芽細胞において、レチノイン酸と同様のコラーゲン1の刺激を示す。
図11】Activated Silk(商標)の33Bは、ヒト真皮線維芽細胞においてCOL1A1遺伝子発現を上方制御する。処置後8時間の絹及びレチノイン酸処置されたヒト真皮線維芽細胞におけるCOL1A1に対する定量的PCR。n=1群当たり2。
図12】本開示の絹フィブロインタンパク質断片(SPF)を産生するための様々な実施形態を示すフローチャートである。
図13】抽出及び溶解工程の間に、本開示の絹タンパク質断片溶液を産生するプロセスの間に改変され得る様々なパラメータを示すフローチャートである。
図14A図14A及び14Bは、DAPIで対比染色した、低MW絹(RITC標識)に2×5時間曝露したEFT-400組織の断面を示す。5倍の倍率の画像(図14A)は、全組織厚を示し、10倍の倍率の画像(図14B)は、表皮に焦点を合わせている。
図14B図14A及び14Bは、DAPIで対比染色した、低MW絹(RITC標識)に2×5時間曝露したEFT-400組織の断面を示す。5倍の倍率の画像(図14A)は、全組織厚を示し、10倍の倍率の画像(図14B)は、表皮に焦点を合わせている。
図15A図15A及び15Bは、DAPIで対比染色した、中MW絹(FITC標識)に2×5時間曝露したEFT-400組織の断面を示す。5倍の倍率の画像(図15A)は、全組織厚を示し、10倍の倍率の画像(図15B)は、表皮に焦点を合わせている。
図15B図15A及び15Bは、DAPIで対比染色した、中MW絹(FITC標識)に2×5時間曝露したEFT-400組織の断面を示す。5倍の倍率の画像(図15A)は、全組織厚を示し、10倍の倍率の画像(図15B)は、表皮に焦点を合わせている。
図16】本明細書に記載される絹フィブロイン(Activated Silk(商標))処置されたEpiDermFT組織の顕微鏡断面図である。蛍光タグ付き絹フィブロインの蛍光撮像。
図17-1】図17A~Dは、本明細書に記載される絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚(N=1、52歳の白人女性)においてクローディン-1発現を回復させることを示す。
図17-2】図17E~Hは、本明細書に記載される絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚(N=1、52歳の白人女性)においてクローディン-1発現を回復させることを示す。
図17-3】図17I~Nは、本明細書に記載される絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚(N=1、52歳の白人女性)においてクローディン-1発現を回復させることを示す。
図18】本明細書に記載される絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚においてクローディン-1発現を回復させることを示す。
図19】本明細書に記載される絹フィブロインが、どのようにクローディン-1発現を回復させて皮膚バリアを改善するかを示す。
図20図20中の図20A~21Hは、中スキッド絹が、インビトロで、ヒト新生児表皮ケラチノサイトにおいてどのようにクローディン-1タンパク質発現を増加させるかを示す。(20A~20H)24時間、中スキッド(33B)絹ポリペプチド(0.5mg/mL~6mg/mL=0.05~0.6%w/v)を用いずに(20A、20G)、又は用いて(20B~20F、20H)処置したケラチノサイト細胞(約80~90%コンフルエンス)の代表的な免疫組織化学画像。クローディン-1発現(赤色)は、中スキッド絹の添加とともに増加する。パネルG及びHを、標的一次抗体の非特異的結合を示すために、正常なウサギIgGアイソタイプ対照抗体で処置した。
図21図21中の図21A~21Dは、低スキッド絹が、インビトロで、ヒト新生児表皮ケラチノサイトにおいてどのようにクローディン-1タンパク質発現を増加させるかを示す。24時間、低スキッド(27p)絹ポリペプチド(0.5mg/mL~7mg/mL=0.05~0.7%w/v)を用いずに(21A)、又は用いて(21B~21D)処置したケラチノサイト細胞(約80~90%コンフルエンス)の代表的な免疫組織化学画像。クローディン-1発現(赤色)は、低スキッド絹の添加とともに増加する。
図22A図22A及び22Bは、皮膚生検におけるクローディン-1上方制御の検出のための実験の結果を示す。穿刺皮膚生検を、30~60歳の年齢範囲のヒトドナーから取得した。22A:皮膚生検を材料及び方法に記載されるようにアセトンで前処置し、次いで、絹又は他の試薬を図に示されるようにそれらに添加した。
図22B】22B:生検を最初にアセトンで、次いでビヒクルで処置した場合、クローディン-1(橙色染色)は消滅し、再生しなかった。しかしながら、アセトン処置後、中皮膚(33B)絹を適用した場合、クローディン-1発現は回復した。
図23】低(27P)スキッド絹及び中(33B)スキッド絹の実験の結果が、ヒト皮膚においてクローディン-1発現を回復させることを示す。穿刺皮膚生検を、30~52歳の年齢範囲のヒトドナーから取得した。皮膚生検を材料及び方法に記載されるようにアセトンで処置し、次いで、絹又は他の試薬を図に示されるようにそれらに添加した。皮膚の切片を、クローディン-1(橙色染色)及び細胞核(青色染色)について染色した。低(27P)絹ポリペプチド及び中(33B)絹ポリペプチドで処置した皮膚生検は、アセトンでの処置後にクローディン-1発現を上方制御した。(代表的な実験がこの図に示される)。(2mg/mL=0.2%、3mg/mL=0.3%、4mg/mL=0.4%)。
図24図24中の図24A~24Dは、クローディン-1上方制御の定量化を示す。A、B 各実験内のクローディン-1(赤色強度)対DAPI(細胞数)の比を平均して、1細胞当たりのクローディン-1発現を表した。データを処置なしサンプルに対して正規化し、エラーバーは、正規化されたデータの標準偏差を表す。C、D ヒト皮膚サンプル中のクローディン-1の総面積を示す分析。データは、パーセンテージ±SEM、*p<0.05として表される(更なる詳細については材料及び方法を参照されたい)。(2mg/mL=0.2%、3mg/mL=0.3%、4mg/mL=0.4%、5mg/mL=0.5%、6mg/mL=0.6%、7mg/mL=0.7%、60mg/mL=6%)。
図25】低スキッド(27P)絹は、真皮皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン発現を上方制御する。ヒト真皮線維芽細胞を様々な濃度の低(27P)スキッド絹ポリペプチドで処置し、コラーゲンの発現を可視化した。コラーゲン発現を、2mg/mLの低(27P)スキッド絹ポリペプチド(0.2%)で上方制御した。
図26】低スキッド(27P)絹は、2mg/mL(0.2%w/v)で、真皮皮膚線維芽細胞においてコラーゲン発現を上方制御する。ヒト真皮線維芽細胞を様々な濃度の低(27P)スキッド絹ポリペプチドで処置し、コラーゲンの発現を可視化及び定量化した。コラーゲン発現は、2mg/mLの低(27P)スキッド絹ポリペプチドで有意に上方制御された。(0.25mg/mL=0.025%、0.5mg/mL=0.05%、2mg/mL=0.2%、7mg/mL=0.7%)。
図27】低スキッド(27P)絹は、創傷閉鎖アッセイにおいて細胞遊走を加速させる。ヒト初代ケラチノサイトを、血清及び成長因子を含まない培地中で成長させた(更なる詳細は材料及び方法を参照されたい)(陰性対照)。それが層を形成した後、層の連続性を妨害する引っ掻き傷を作製した。細胞を、生成された「創傷」(ギャップ)に遊走させ、それを充填する速度を測定した。血清及び成長因子を含まない培地で処置したケラチノサイトは、生成された総ギャップの約20%を再充填した(「創傷閉鎖」)。ケラチノサイトを、血清及び成長因子を含有する培地で処置した場合、創傷閉鎖はほぼ完全であった(陽性対照)。培地及び0.5mg/mL(0.05%)の低スキッド(27P)絹ポリペプチドで処置したケラチノサイトも、ほぼ完全であった。
図28】絹ポリペプチドとのCD44相互作用。固相タンパク質間相互作用アッセイの結果。低スキッド絹(27P)及び中スキッド絹(33B)を高結合96ウェルプレート上に固定した。低(27P)絹ポリペプチド組成物及び中(33B)絹ポリペプチド組成物の両方で結合したヒトCD44-hFcタンパク質(レーン3を4と、及び7を6と比較する)。中スキッド(33B)絹は、二次抗体に対してより高い非特異的結合を有した(レーン6を2と比較する)が、CD44-hFcを添加した場合、得られたシグナルは、はるかにより高かった(レーン7を6と比較する)。吸光度は、3つの技術的反復の平均である。独立した実験は、同様の結果(図示せず)を示した。
図29】小皺及び皺の専門家による評価の概要を示すグラフである。
図30】皮膚の堅さの専門家による評価の概要を示すグラフである。
図31】発赤の専門家による評価の概要を示すグラフである。
図32】TEWLデータ(Tewameter(登録商標)によって測定される)の概要を示すグラフである。
図33】NumWrデータ(シリコーンプロフィロメトリーによって測定される)の概要を示すグラフである。
図34】くまデータ(シリコーンプロフィロメトリーによって測定される)の概要を示すグラフである。
図35】33B研究についての自己認識質問票からのトップボックス応答を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を作製する方法は、知られており、例えば、米国特許第9,187,538号、同第9,511,012号、第9,517,191号、同第9,522,107号、同第9,522,108号、同第9,545,369号、及び同第10,166,177号に記載されている。動物の毛髪のコーティング用途を含むコーティング用途において、絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を使用する方法は、知られており、例えば、米国特許出願公開第2016/0222579号及び同第2016/0281294号に記載されている。化粧品用途で絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片を使用する組成物及び方法は、知られており、例えば、米国特許出願公開第2018/0280274号及び同第2018/0008522号、並びに国際公開第2019/005848号に記載されている。本明細書に引用される刊行物の全てが、参照によりそれらの全体において組み込まれる。
【0009】
定義
前のセクションで、及び本明細書の残りの部分全体を通して使用される場合、別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許及び刊行物が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0010】
全てのパーセンテージ、部、及び比は、別段の指定がない限り、本発明のコラーゲンブースティング組成物の総重量に基づく。列挙された成分に関連する全てのそのような重量は、活性レベルに基づいており、したがって、別段の指定がない限り、市販の材料に含まれ得る溶媒又は副生成物を含まない。「重量パーセント」という用語は、本明細書では「重量%」又は%w/wとして示され得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、又は「the」という用語は、一般的に、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈される。
【0012】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、一般的に、当業者により決定される許容可能な誤差範囲内にある特定の数値を指し、それは、数値がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定系の限度に一部依存する。例えば、「約」は、所定の数値の±20%、±10%、又は±5%の範囲を意味し得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「皮膚科学的に許容可能な担体」という用語は、例えば、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などのいかなる悪影響も引き起こすことなく、哺乳動物ケラチン組織と接触して使用するのに好適な担体を意味する。皮膚科学的に許容可能な担体としては、限定なしで、水、液体、又は固体の軟化剤、ヒューメクタント、溶媒などが挙げられ得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、界面活性剤の「親水性-親油性バランス」(HLB)という用語は、分子の異なる領域の値を計算することによって決定される、親水性又は疎水性である程度の尺度であり、Griffinの方法HLB=20*M/M(式中、Mは、界面活性剤の親水性部分の分子質量であり、Mは、界面活性剤分子全体の分子質量である)によって記載され、0~20のスケールで結果を与える。0のHLB値は、完全に親油性の分子に対応し、20の値は、完全に親水性の分子に対応する。HLB値は、分子の界面活性剤特性を予測するために使用され得る:HLB<10:脂質可溶性(水不溶性)、HLB>10:水溶性(脂質不溶性)、HLB=1~3:消泡剤、3~6:W/O(油中水型)乳化剤、7~9:湿潤剤及び展着剤、8~16:O/W(水中油型)乳化剤、13~16:界面活性剤、16~18:可溶化剤又はヒドロトロープ。
【0015】
本明細書で使用される場合、「平均重量平均分子量」は、同じ組成物の絹フィブロイン又はその断片の重量平均分子量の2つ以上の値の平均を指し、2つ以上の値は、2つ以上の別個の実験読取値によって決定される。
【0016】
本明細書で使用される場合、ポリマーの「多分散性(PD)」という用語は、通常、ポリマーの分子量分布の広さの尺度として使用され、多分散性
【数1】
の式によって定義される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「実質的に均質な」という用語は、同定された分子量の周りに正規分布で分布している絹フィブロインベースのタンパク質断片を指し得る。本明細書で使用される場合、「実質的に均質な」という用語は、本開示の組成物全体にわたる、例えば、構成成分又は添加剤、例えば、絹フィブロイン断片、皮膚科学的に許容可能な担体などの均一な分布を指し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「絹フィブロインペプチド」、「絹フィブロインタンパク質断片」、及び「絹フィブロイン断片」という用語は、互換的に使用される。分子量又はアミノ酸単位の数は、分子サイズが重要なパラメータになるときに定義される。
【0019】
SPFの定義及び特性
本明細書で使用される場合、「絹タンパク質断片」(SPF)は、以下のうちの1つ以上を含む:本明細書で定義される「絹フィブロイン断片」、本明細書で定義される「組換え絹断片」、本明細書で定義される「クモ絹断片」、本明細書で定義される「絹フィブロイン様タンパク質断片」、及び/又は本明細書で定義される「化学的に改変された絹断片」。SPFは、本明細書に説明される任意の分子量の値又は範囲、及び本明細書に説明される任意の多分散性の値又は範囲を有し得る。本明細書で使用される場合、いくつかの実施形態では、「絹タンパク質断片」という用語はまた、天然絹ポリペプチド若しくはそれらのバリエーション、天然絹ポリペプチドのアミノ酸配列、又は両方の組み合わせから各々が独立して選択される、少なくとも2つの同一の反復単位を含む、又はそれからなる絹タンパク質を指す。
【0020】
SPF分子量及び多分散性
一実施形態では、本開示の組成物は、約1~約5kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約5~約10kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約10~約15kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約15~約20kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約14~約30kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約20~約25kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約25~約30kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約30~約35kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約35~約40kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約39~約54kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約40~約45kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約45~約50kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約50~約55kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約55~約60kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約60~約65kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約65~約70kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約70~約75kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約75~約80kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約80~約85kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約85~約90kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約90~約95kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約95~約100kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約100~約105kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約105~約110kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約110~約115kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約115~約120kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約120~約125kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約125~約130kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約130~約135kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約135~約140kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約140~約145kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約145~約150kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約150~約155kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約155~約160kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約160~約165kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約165~約170kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約170~約175kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約175~約180kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約180~約185kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約185~約190kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約190~約195kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約195~約200kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約200~約205kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約205~約210kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約210~約215kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約215~約220kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約220~約225kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約225~約230kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約230~約235kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約235~約240kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約240~約245kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約245~約250kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約250~約255kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約255~約260kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約260~約265kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約265~約270kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約270~約275kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約275~約280kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約280~約285kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約285~約290kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約290~約295kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約295~約300kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約300~約305kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約305~約310kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約310~約315kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約315~約320kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約320~約325kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約325~約330kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約330~約335kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約335~約340kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約340~約345kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。一実施形態では、本開示の組成物は、約345~約350kDaの間から選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、組成物番号1001~番号2450から選択され、約1kDa~約145kDaから選択される重量平均分子量を有し、1~約5の間(限定されないが、1の多分散性を含む)、1~約1.5の間(限定されないが、1の多分散性を含む)、約1.5~約2の間、約1.5~約3の間、約2~約2.5の間、約2.5~約3の間、約3~約3.5の間、約3.5~約4の間、約4~約4.5の間、及び約4.5~約5から選択される多分散性を有するSPF組成物を含む:

【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0022】
本明細書で使用される場合、「低分子量」、「低MW(low MW)」、又は「低MW(low-MW)」のSPFは、重量平均分子量、又は約5kDa~約38kDa、約14kDa~約30kDa、若しくは約6kDa~約17kDaから選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含み得る。いくつかの実施形態では、特定のSPFの標的低分子量は、約5kDa、約6kDa、約7kDa、約8kDa、約9kDa、約10kDa、約11kDa、約12kDa、約13kDa、約14kDa、約15kDa、約16kDa、約17kDa、約18kDa、約19kDa、約20kDa、約21kDa、約22kDa、約23kDa、約24kDa、約25kDa、約26kDa、約27kDa、約28kDa、約29kDa、約30kDa、約31kDa、約32kDa、約33kDa、約34kDa、約35kDa、約36kDa、約37kDa、又は約38kDaの重量平均分子量であり得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「中分子量」、「中MW(medium MW)」、又は「中MW(mid-MW)」のSPFは、重量平均分子量、又は約31kDa~約55kDa、若しくは約39kDa~約54kDaの間から選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含み得る。いくつかの実施形態では、特定のSPFについての標的中分子量は、約31kDa、約32kDa、約33kDa、約34kDa、約35kDa、約36kDa、約37kDa、約38kDa、約39kDa、約40kDa、約41kDa、約42kDa、約43kDa、約44kDa、約45kDa、約46kDa、約47kDa、約48kDa、約49kDa、約50kDa、約51kDa、約52kDa、約53kDa、約54kDa、又は約55kDaの重量平均分子量であり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「高分子量」、「高MW(high MW)」、又は「高MW(high-MW)」のSPFは、重量平均分子量、又は約55kDa~約150kDaの間から選択される平均重量平均分子量を有するSPFを含み得る。いくつかの実施形態では、特定のSPFについての標的高分子量は、約55kDa、約56kDa、約57kDa、約58kDa、約59kDa、約60kDa、約61kDa、約62kDa、約63kDa、約64kDa、約65kDa、約66kDa、約67kDa、約68kDa、約69kDa、約70kDa、約71kDa、約72kDa、約73kDa、約74kDa、約75kDa、約76kDa、約77kDa、約78kDa、約79kDa、又は約80kDaであり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される分子量(例えば、低分子量絹、中分子量絹、高分子量絹)は、当業者により理解され得るように、それぞれのSPF内に含まれるアミノ酸のおよその数に変換され得る。例えば、アミノ酸の平均重量は、約110ダルトン(すなわち、110g/mol)であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、直鎖状タンパク質の分子量を110ダルトンにより除すことを、その中に含まれるアミノ酸残基数の近似に使用することができる。
【0026】
一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、1~約5.0の間から選択される多分散性を有し、限定されないが、1の多分散性を含む。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、1~約1.5から選択される多分散性を有し、限定されないが、1の多分散性を含む。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.5~約2.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.0~約2.5から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.5~約3.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.0~約3.5から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.5~約4.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.0~約4.5から選択される多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.5~約5.0の間から選択される多分散性を有する。
【0027】
一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、1の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.1の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.2の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.3の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.4の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.5の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.6の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.7の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.8の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約1.9の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.0の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.1の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.2の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.3の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.4の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.5の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.6の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.7の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.8の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約2.9の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.0の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.1の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.2の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.3の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.4の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.5の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.6の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.7の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.8の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約3.9の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.0の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.1の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.2の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.3の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.4の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.5の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.6の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.7の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.8の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約4.9の多分散性を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のSPFは、約5.0の多分散性を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、低、中、及び/又は高分子量SPFの組み合わせを有する、本明細書に記載される組成物において、そのような低、中、及び/又は高分子量SPFは、同一又は異なる多分散性を有してもよい。
【0029】
絹フィブロイン断片
絹フィブロイン又は絹フィブロインタンパク質断片を作製する方法、及び様々な分野におけるそれらの適用は、知られており、例えば、米国特許第9,187,538号、同第9,511,012号、同第9,517,191号、同第9,522,107号、同第9,522,108号、同第9,545,369号、及び同第10,166,177号、同第10,287,728号、及び同第10,301,768号に記載されており、それらの全てが、それらの全体において本明細書に組み込まれる。カイコであるBombyx mori由来の未加工の絹は、2つの主要タンパク質で構成される:絹フィブロイン(およそ75%)及びセリシン(およそ25%)。絹フィブロインは、剛性及び強度を提供する半結晶構造を伴う線維性タンパク質である。本明細書で使用される場合、「絹フィブロイン」という用語は、約370,000Daの重量平均分子量を有するBombyx moriの繭の線維を意味する。粗製カイコ繊維は、フィブロインの二重糸からなる。これらの二重繊維を一緒に保持している接着物質がセリシンである。絹フィブロインは、約350,000Daの重量平均分子量を有する重鎖(H鎖)、及び約25,000Daの重量平均分子量を有する軽鎖(L鎖)で構成される。絹フィブロインは、高分子量を有するポリマーの主要構成成分を占める、大きな疎水性ドメインを伴う両親媒性ポリマーである。疎水性領域は、小さな親水性スペーサーにより中断され、鎖のN及びC末端がまた、高度に親水性である。H鎖の疎水性ドメインは、Gly-Ala-Gly-Ala-Gly-Serの反復ヘキサペプチド配列及びGly-Ala/Ser/Tyrジペプチドのリピートを含み、それは、安定な逆平行シート結晶子を形成することができる。L鎖のアミノ酸配列は非反復的であり、そのため、L鎖はより親水性であり、比較的弾性である。絹フィブロイン分子中の親水性(Tyr、Ser)及び疎水性(Gly、Ala)鎖セグメントは、絹フィブロイン分子の自己構築を可能にするように代替的に配置される。
【0030】
本明細書では、多様な適用のために、複数の業界にわたって使用され得る、純粋で高度にスケーラブルな絹フィブロイン-タンパク質断片混合溶液を産生するための方法が提供される。任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、これらの方法は、限定されないが、組換え絹タンパク質、及び絹様又はフィブロイン様タンパク質の断片化を含む、本明細書に記載される任意のSPFの断片化に等しく適用可能であると考えられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「フィブロイン」という用語は、カイコフィブロイン及び昆虫又はクモ絹タンパク質を含む。一実施形態では、フィブロインは、Bombyx moriから得られる。Bombyx mori由来の未加工の絹は、2つの一次タンパク質で構成される:絹フィブロイン(およそ75%)及びセリシン(およそ25%)。絹フィブロインは、剛性及び強度を提供する半結晶構造を伴う線維性タンパク質である。本明細書で使用される場合、「絹フィブロイン」という用語は、約370,000Daの重量平均分子量を有するBombyx moriの繭の線維を意味する。水溶性絹フィブロインタンパク質断片への、これらの不溶性絹フィブロイン線維の変換には、濃縮中性塩(例えば、8~10Mの臭化リチウム)の添加が必要であり、これは、分子間及び分子内イオン結合並びに水素結合に干渉し、それらは、そうでなければ、フィブロインタンパク質を水に不溶性にする。絹フィブロインタンパク質断片、及び/又はその組成物を作製する方法は、公知であり、例えば、米国特許第9,187,538号、第9,511,012号、第9,517,191号、第9,522,107号、第9,522,108号、第9,545,369号、及び第10,166,177号において記載されている。
【0032】
カイコであるBombyx moriからの未加工の絹繭を、小片に切断した。小片の絹繭を、NaCOの水溶液中で約100℃で約60分間にわたり処理して、セリシンを除去した(脱ガム)。使用される水の容量は、約0.4×未加工の絹重量と等しく、NaCOの量は、未加工の絹繭小片の重量の約0.848×である。結果として得られる、脱ガムされた絹繭小片を、約60℃で脱イオン水で3回リンスした(20分/リンス)。各サイクルについてのリンス水の容量は、0.2L×未加工の絹繭小片の重量であった。脱ガムされた絹繭小片からの過剰な水を除去した。DI水洗浄工程の後、湿潤の、脱ガムされた絹繭小片を室温で乾燥させた。脱ガムされた絹繭小片をLiBr溶液と混合し、混合物を約100℃まで加熱した。温めた混合物を乾燥オーブン中に入れ、約100℃で約60分間にわたり加熱し、天然絹タンパク質の完全な溶解を達成した。結果として得られる絹フィブロイン溶液を濾過し、接線流濾過(TFF)及び脱イオン水に対する10kDa膜を使用して72時間にわたり透析した。結果として得られる絹フィブロイン水溶液は、約8.5重量%の濃度を有する。次に、8.5%絹溶液を水で希釈し、1.0%w/vの絹溶液をもたらした。TFFを次に使用して、純粋な絹溶液を、水に対して20.0%w/wの濃度の絹に更に濃縮することができる。
【0033】
一連の水の変化を通じて絹を透析することは、手作業であり、時間集中的なプロセスであり、特定のパラメータを変化させること、例えば、透析前に絹溶液を希釈することにより加速することができる。透析プロセスは、半自動装置、例えば、接線流濾過システムを使用することにより、製造のために増減させることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、絹溶液は、様々な調製条件パラメータ、例えば90℃30分、90℃60分、100℃30分、及び100℃60分などの下で調製される。簡単には、9.3MのLiBrを調製し、室温で少なくとも30分間にわたり放置した。5mLのLiBr溶液を1.25gの絹に添加して、60℃のオーブン中に入れた。各セットからのサンプルを、4、6、8、12、24、168、及び192時間で除去した。
【0035】
いくつかの実施形態では、絹溶液は、様々な調製条件パラメータ、例えば90℃30分、90℃60分、100℃30分、及び100℃60分などの下で調製される。簡単には、9.3MのLiBr溶液を4つの温度:60℃、80℃、100℃、又は沸騰のうちの1つまで加熱した。5mLの高温LiBr溶液を1.25gの絹に添加し、60℃のオーブン中に入れた。各セットからのサンプルを、1、4、及び6時間で除去した。
【0036】
いくつかの実施形態では、絹溶液は、様々な調製条件パラメータの下で調製される。例えば:4つの異なる絹抽出の組み合わせを使用した:90℃30分、90℃60分、100℃30分、及び100℃60分。簡単には、9.3MのLiBr溶液を4つの温度:60℃、80℃、100℃、又は沸騰のうちの1つまで加熱した。5mLの高温LiBr溶液を1.25gの絹に添加し、LiBrの同温度でオーブン中に入れた。各セットからのサンプルを、1、4、及び6時間で除去した。1mLの各サンプルを、7.5mLの9.3M LiBrに添加し、粘度試験のために冷蔵した。
【0037】
いくつかの実施形態では、SPFは、未加工の未精練、部分的精練、又は精練済みのカイコ繊維を中性臭化リチウム塩で溶解することにより得られる。未加工のカイコ絹は、任意のセリシンを除去し、断片混合物の所望の重量平均分子量(M)及び多分散性(PD)を達成するために、選択された温度及び他の条件下で処理される。プロセスパラメータの選択は、使用目的に依存して、異なる最終絹タンパク質断片の特徴を達成するように変更することができる。結果として得られる最終断片溶液は、プロセス汚染物質の検出不能なレベル、医薬、医療、及び消費者アイケア市場において許容可能なレベルの100万分の一(ppm)を伴う純粋な絹フィブロインタンパク質断片及び水である。SPFの濃度、サイズ、及び多分散性は、所望の使用及び性能要件に依存して、更に変更することができる。
【0038】
図5は、本開示の純粋な絹フィブロインタンパク質断片(SPF)を産生するための様々な実施形態を示すフローチャートである。例証される工程の全てが、必ずしも、本開示の全ての絹溶液を製作するために必要とされるわけではないことを理解すべきである。図5、工程Aにおいて例証するように、繭(熱処置若しくは非熱処置)、絹線維、絹粉末、クモ絹、又は組換えクモ絹を、絹供給源として使用することができる。Bombyx moriからの未加工の絹繭から出発した場合、その繭を切断して小さな小片、例えば、ほぼ等しいサイズの小片にすることができる(工程B1)。未加工の絹を次に抽出し、リンスしてセリシンを除去する(工程C1a)。これによって、セリシンを実質的に含まない未加工の絹がもたらされる。一実施形態では、水を84℃~100℃の間の温度(理想的には沸点)まで加熱し、次にNaCO(炭酸ナトリウム)を、NaCOが完全に溶解するまで沸騰水に添加する。未加工の絹を沸騰水/NaCO(100℃)に添加し、およそ15~90分間にわたり浸漬させ、より長期の時間にわたる沸騰によって、より小さな絹タンパク質断片がもたらされる。一実施形態では、水の容積は約0.4×未加工の絹重量に等しく、NaCOの容積は約0.848×未加工の絹の重量に等しい。一実施形態では、水の容積は0.1×未加工の絹重量に等しく、NaCOの容積は2.12g/Lで維持される。
【0039】
その後、水に溶解したNaCO溶液を排出させ、過剰の水/NaCOを、絹フィブロイン線維から除去する(例えば、手動、機械を使用した脱水サイクルなどによりフィブロイン抽出物をリングアウトする(ring out))。結果として得られる絹フィブロイン抽出物を、典型的には約40℃~約80℃の温度範囲で、水の容積を少なくとも1回変化させ(必要な回数だけ繰り返す)、温水~熱水でリンスし、全ての残りの吸着セリシン又は汚染物質を除去する。結果として得られる絹フィブロイン抽出物は、実質的にセリシンが欠乏した絹フィブロインである。一実施形態では、結果として得られる絹フィブロイン抽出物は、約60℃の温度で水でリンスされる。一実施形態では、各サイクルについてのリンス水の量は、0.1L~0.2L×未加工の絹の重量に等しい。リンス効果を最大にするために、リンス水を掻き混ぜる、回転させる、又は循環させると有利であり得る。リンス後、過剰の水を、抽出された絹フィブロイン線維から除去する(例えば、手動によるか、又は機械を使用してフィブロイン抽出物をリングアウトする)。あるいは、当業者に公知の方法、例えば圧力、温度、若しくは他の試薬、又はそれらの組み合わせなどを、セリシン抽出の目的のために使用することができる。あるいは、絹糸腺(100%セリシン不含の絹タンパク質)を、カイコ(worm)から直接除去することができる。これは、タンパク質構造のいかなる変化も伴わずに、セリシンを含まない液体絹タンパク質をもたらし得る。
【0040】
抽出されたフィブロイン線維を次に、完全に乾燥させる。一度、乾燥したら、抽出された絹フィブロインを、周囲~沸騰温度の間で、絹フィブロインに添加された溶媒を使用して溶解させる(工程C1b)。一実施形態では、溶媒は、臭化リチウム(LiBr)の溶液である(LiBrについての沸点は140℃である)。あるいは、抽出されたフィブロイン線維は乾燥されないが、しかし、湿潤であり、溶媒中に置かれ;溶媒濃度を次に変動させて、乾燥絹を溶媒に添加する場合と同様の濃度を達成することができる。LiBr溶媒の最終濃度は、0.1M~9.3Mの範囲であり得る。抽出されたフィブロイン線維の完全な溶解は、溶媒を溶解する濃度とともに、処置時間及び温度を変動させることにより達成することができる。限定されないが、ホスフェートリン酸(phosphate phosphoric acid)、硝酸カルシウム、塩化カルシウム溶液、又は他の無機塩の濃縮水溶液を含む、他の溶媒を使用することができる。完全な溶解を確実にするために、絹線維を、既に加熱されている溶媒溶液内に十分浸漬させ、次に、約60℃~約140℃の範囲の温度で1~168時間にわたり維持すべきである。一実施形態では、絹線維を、溶媒溶液内に十分浸漬させ、次に、約100℃の温度で約1時間にわたり乾燥オーブン中に置くべきである。
【0041】
絹フィブロイン抽出物をLiBr溶液に添加する(又はその逆の)温度は、フィブロインを完全に溶解させるのに要求される時間に対する、並びに結果として得られる、最終SPF混合溶液の分子量及び多分散性に対する効果を有する。一実施形態では、絹溶媒溶液濃度は20%w/v未満又はそれに等しい。加えて、導入又は溶解の間に撹拌を使用して、変動する温度及び濃度で溶解を促してもよい。LiBr溶液の温度は、作製される絹タンパク質断片混合物の分子量及び多分散性に対する制御を提供する。一実施形態では、より高い温度は、絹をより迅速に溶解させ、絹溶液の高まったプロセススケーラビリティ及び大量生産をもたらす。一実施形態では、80℃~140℃の温度に加熱されたLiBr溶液を使用することによって、完全な溶解を達成するために、オーブン中で必要とされる時間が低下する。60℃又は60℃超で溶解溶媒の時間及び温度を変動させることによって、元の分子量の天然絹フィブロインタンパク質から形成されるSPF混合溶液のMW及び多分散性が変化し、制御される。
【0042】
あるいは、繭全体を、抽出をバイパスすることにより、溶媒、例えばLiBrなどの中に直接入れることができる(工程B2)。これは、疎水性及び親水性のタンパク質を分離するために当技術分野において公知の方法、例えばカラム分離及び/又はクロマトグラフィー、イオン交換、塩及び/又はpHでの化学沈殿、並びに/あるいは酵素消化及び濾過又は抽出など(全ての方法は、標準的なタンパク質分離法のための一般的な例であり、これらに限定されない)を使用する、絹及び溶媒溶液からのカイコ粒子のその後の濾過及びセリシン除去を必要とする(工程C2)。カイコが除去されている非熱処置繭を、代わりに、抽出をバイパスして、溶媒、例えばLiBrなどの中に直接入れてもよい。上に記載される方法は、セリシン分離のために使用することができ、非熱処置繭が、有意に少ないカイコの残骸を含むという利点を伴う。
【0043】
透析を使用して、結果として得られる溶解したフィブロインタンパク質断片溶液から溶解溶媒を、その溶液をある容積の水に対して透析させることにより除去することができる(工程E1)。透析前の前濾過は、絹及びLiBr溶液から全ての残骸(すなわち、カイコの残遺物)を除去するのに有用である(工程D)。一例では、3μm又は5μmフィルタを200~300mL/分の流量で使用して、所望の場合には、透析及び潜在的な濃縮の前に0.1%~1.0%の絹-LiBr溶液まで濾過する。本明細書で開示される方法は、上に記載されるように、特に、スケーラブルなプロセス方法を作製することを考慮した場合、濾過及び下流での透析を促進するために、濃度を9.3M LiBrから0.1M~9.3Mの範囲まで減少させるための時間及び/又は温度を使用することである。あるいは、追加の時間又は温度の使用を伴わずに、9.3M LiBr-絹タンパク質断片溶液を水で希釈して、残骸の濾過及び透析を促進させてもよい。所望の時間及び温度の濾過での溶解の結果は、公知のMW及び多分散性の、半透明な、粒子不含の室温での保管安定性のある絹タンパク質断片LiBr溶液である。溶媒が除去されるまで、透析水を定期的に変える(例えば、1時間、4時間後に水を変え、次に、12時間毎に合計6回水を変える)ことが有利である。水容量交換の総数は、絹タンパク質の溶解及び断片化のために使用される溶媒の、結果として得られる濃度に基づいて変動させることができる。透析後、最終絹溶液を更に濾過して、全ての残る残骸(すなわち、カイコの残遺物)を除去することができる。
【0044】
あるいは、接線流濾過(TFF)は、生体分子の分離及び精製のための迅速で効率的な方法であり、結果として得られる溶解フィブロイン溶液から溶媒を除去するために使用することができる(工程E2)。TFFは、高度に純粋な絹タンパク質断片水溶液を提供し、制御された反復可能な様式において大容積の溶液を産生するために、プロセスのスケーラビリティを可能にする。絹及びLiBrの溶液を、TFFの前に希釈することができる(水か又はLiBrのいずれかの中で20%~0.1%絹)。TFF処理の前での、上に記載されるような前濾過によって、フィルタ効率を維持することができ、残骸粒子の存在の結果としての、フィルタの表面上での絹ゲル境界層の形成を潜在的に回避する。TFFの前の前濾過はまた、結果として得られる水だけの溶液の自然発生的な又は長期的なゲル化を起こし得る絹及びLiBr溶液から全ての残る残骸(すなわち、カイコの残遺物)を除去するために有用である(工程D)。TFF(循環又はシングルパス)は、0.1%~30.0%の絹(より好ましくは0.1%~6.0%の絹)の水-絹タンパク質断片溶液の作製のために使用することができる。異なるカットオフサイズのTFF膜が、溶液中での絹タンパク質断片混合物の所望の濃度、分子量、及び多分散性に基づいて必要とされ得る。1~100kDaの範囲の膜は、例えば、抽出沸騰時間の長さ、又は溶解溶媒(例えば、LiBr)中での時間及び温度を変動させることにより作製される分子量絹溶液を変動させために必要であり得る。一実施形態では、TFF5又は10kDa膜は、絹タンパク質断片混合溶液を精製し、最終的な所望の絹と水の比率をもたらすために使用される。その上に、TFFシングルパス、TFF、及び当技術分野において公知の他の方法、例えば流下膜式蒸発器などを、溶解溶媒(例えば、LiBr)の除去後に溶液を濃縮するために使用することができる(結果として得られる0.1%~30%絹の範囲の所望濃度を伴う)。これは、水ベースの溶液を作製するために、当技術分野において公知の標準的なHFIP濃縮方法の代替法として使用することができる。より大きい細孔膜をまた、小さな絹タンパク質断片を濾別し、より厳格な多分散性の値を伴う及び/又は伴わない、より高分子量の絹の溶液を作製するために利用することができる。
【0045】
LiBr及びNaCO検出のためのアッセイは、蒸発光散乱検出器(ELSD)を備えたHPLCシステムを使用して実施することができる。計算は、濃度に対してプロットされた、分析物についての結果として得られるピーク面積の線形回帰により実施した。本開示の多数の製剤の2つ以上のサンプルを、サンプル調製及び分析のために使用した。一般的に、異なる処方物の4つのサンプルを、10mL容量フラスコ中に直接量り取った。サンプルを5mLの20mMギ酸アンモニウム(pH3.0)中に懸濁し、時々振盪しながら2~8℃で2時間にわたり維持して、フィルムから分析物を抽出した。2時間後、溶液を20mMギ酸アンモニウム(pH3.0)で希釈した。メスフラスコからのサンプル溶液を、HPLCバイアル中に移し、炭酸ナトリウム及び臭化リチウムの推定のためにHPLC-ELSDシステム中に注入した。
【0046】
絹タンパク質製剤中のNaCO及びLiBrの定量化のために開発された分析方法は、10~165μg/mLの範囲で線形であることが見出されたが、注入精度についてのRSDは、炭酸ナトリウム及び臭化リチウムについて、それぞれ、面積については2%及び1%並びに保持時間については0.38%及び0.19%であった。この分析方法は、絹タンパク質製剤中の炭酸ナトリウム及び臭化リチウムの定量的決定のために適用することができる。
【0047】
図6は、抽出及び溶解工程の間に、本開示の絹タンパク質断片溶液を産生するプロセスの間に改変され得る様々なパラメータを示すフローチャートである。選択方法のパラメータは、使用目的、例えば、分子量及び多分散性に依存して、明確な最終溶液の特徴を達成するように変更することができる。例証される工程の全てが、必ずしも、本開示の全ての絹溶液を製作するために必要とされるわけではないことを理解すべきである。
【0048】
一実施形態では、幅広い適用のために有用な絹タンパク質断片溶液は、以下の工程に従って調製される:Bombyx moriのカイコからの絹繭の小片を形成する工程;NaCO水溶液中で約100℃において約60分間、小片を抽出して(水の容量は、未加工の絹重量の約0.4×に等しく、NaCOの量は、小片の重量の約0.848×である)、絹フィブロイン抽出物を形成する工程;絹フィブロイン抽出物を、約60℃で、リンス水の容量中での1回のリンス当たり約20分間にわたり3回リンスする工程(各サイクルについてのリンス水は、小片の重量の約0.2L×に等しい)、絹フィブロイン抽出物から過剰な水を除去する工程、絹フィブロイン抽出物を乾燥する工程、乾燥絹フィブロイン抽出物をLiBr溶液中に溶解する工程(LiBr溶液がまず約100℃に加熱されて、絹及びLiBr溶液を作製し、維持される)、絹及びLiBr溶液を、約100℃で約60分間にわたり乾燥オーブン中に入れ、天然絹タンパク質構造の完全な溶解及び更なる断片化を、所望の分子量及び多分散性を伴う混合物中に達成する工程、溶液を濾過して、カイコからの全ての残る残骸を除去する工程、溶液を水で希釈して、1.0重量%絹溶液をもたらす工程、及び接線流濾過(TFF)を使用して溶液から溶媒を除去する工程。一実施形態では、10kDaの膜を利用して絹溶液を精製し、最終的な所望の絹と水の比をもたらす。TFFを次に使用して、絹溶液を、水中の2.0重量%絹の濃度まで更に濃縮することができる。
【0049】
任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、抽出(すなわち、時間及び温度)、LiBr(すなわち、絹フィブロイン抽出物に添加される、又はその逆の場合でのLiBr溶液の温度)、及び溶解(すなわち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性、及び色を伴う溶媒及び絹溶液がもたらされる。また、いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、抽出のための温度を上昇させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解する場合に、出現時に及び長期にわたって、より高い温度のLiBr溶液を使用すること、並びに(例えば、本明細書に示すようなオーブン、又は代替の熱源における)温度での時間を増加させることは全て、より低い粘性の、かつより均一な溶媒及び絹溶液をもたらした。
【0050】
抽出工程は、60℃~100℃での又はその間の温度を維持することができる、より大きな容器、例えば、工業用洗浄機械中で完了することができる。リンス工程を、また、工業用洗浄機械において完了することができ、手動でのリンスサイクルを排除する。LiBr溶液中での絹の溶解は、対流式オーブン以外の容器、例えば、撹拌槽型反応器中で生じ得る。一連の水の変化を通じて絹を透析することは、手作業であり、時間集中的なプロセスであり、特定のパラメータを変化させること、例えば、透析前に絹溶液を希釈することにより加速することができる。透析プロセスは、半自動装置、例えば、接線流濾過システムを使用することにより、製造のために増減させることができる。
【0051】
抽出(すなわち、時間及び温度)、LiBr(すなわち、絹フィブロイン抽出物に添加される又はその逆の場合でのLiBr溶液の温度)、及び溶解(すなわち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性、及び色を伴う溶媒及び絹溶液がもたらされる。抽出のための温度を増加させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解させる場合に、出現時及び長期にわたって、より高い温度のLiBr溶液を使用すること、及び(例えば、本明細書中に示すようなオーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を増加させることは、全て、粘性がより低く、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらす。ほとんど全てのパラメータが、実行可能な絹溶液をもたらす一方で、完全な溶解を4~6時間よりも短い時間で達成させるような方法が、プロセススケーラビリティのために好ましい。
【0052】
一実施形態では、約6kDa~約17kDaの間から選択される重量平均を有する絹フィブロインタンパク質断片の溶液を、以下の工程に従って調製する:約30分~約60分の処置時間にわたり、絹供給源を、沸騰(100℃)炭酸ナトリウムの水溶液に添加することにより、絹供給源を脱ガムする工程、溶液からセリシンを除去して、非検出レベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、絹フィブロイン抽出物を、約60℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウムの溶液中に溶解する工程、約140℃の温度を有するオーブン中の絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を、最大で1時間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、並びに絹タンパク質断片の水溶液を産生する工程(水溶液は、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量、及び1~約5、又は約1.5~約3.0の多分散性を有する断片を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定される300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定される100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥してもよい。いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片溶液は、ゲル、粉末、及びナノファイバーを含む様々な形態中に更に加工されてもよい。
【0053】
一実施形態では、約17kDa~約39kDaの間から選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の溶液を、以下の工程に従って調製する:脱ガムをもたらすように、約30分~約60分の処置時間にわたり、炭酸ナトリウムの沸騰(100℃)水溶液に絹供給源を添加する工程、この溶液からセリシンを除去して、検出不可能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、約80℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウム溶液中に絹フィブロイン抽出物を溶解する工程、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を、約60℃~約100℃の範囲中の温度を有する乾燥オーブン中で、最大で1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、並びに、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を産生する工程(絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残渣を含み、絹タンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残渣を含み、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量及び1~約5、又は約1.5~約3.0の多分散性を有する断片を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定される300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定される100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、約6kDa~約17kDaの間から選択される平均重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を調製するための方法は、以下の工程を含む:約30分~約60分の処置時間にわたり、絹供給源を、炭酸ナトリウムの沸騰(100℃)水溶液に添加することにより、絹供給源を脱ガムする工程、この溶液からセリシンを除去して、検出不可能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、絹フィブロイン抽出物を、約60℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウムの溶液中に溶解する工程、約140℃の温度を有するオーブン中で、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を少なくとも1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、並びに、絹タンパク質断片の水溶液を産生する工程(水溶液は、約6kDa~約17kDaから選択される平均重量平均分子量及び1~約5、又は約1.5~約3.0の多分散性を有する断片を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定される300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定される100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。本方法は、更に、治療用薬剤を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、酸化防止剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、ビタミンを、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。このビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であってよい。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥してもよい。本方法は、更に、アルファヒドロキシ酸を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。本方法は、更に、約0.5%~約10.0%の濃度のヒアルロン酸又はその塩形態を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの少なくとも1つを添加することを含み得る。フィルムを、本方法により産生される純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から作製してもよい。フィルムは、約1.0重量%~約50.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。フィルムは、約2.0重量%~約20.0重量%の範囲の水含量を有し得る。フィルムは、約30.0重量%~約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含み得る。ゲルを、本方法により産生される純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から作製することができる。ゲルは、約0.5重量%~約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。ゲルは、少なくとも2%の絹含量及び少なくとも20%のビタミン含量を有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、約17kDa~約39kDaの間から選択される平均重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を調製するための方法は、以下の工程を含む:脱ガムをもたらすために、約30分~約60分の処置時間にわたり絹供給源を、炭酸ナトリウムの沸騰(100℃)水溶液に添加する工程、この溶液からセリシンを除去して、検出不可能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、約80℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウム溶液中に絹フィブロイン抽出物を溶解する工程、約60℃~約100℃の間の範囲の温度を有するオーブン中で、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を少なくとも1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、並びに、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を産生する工程(純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残渣を含み、絹タンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残渣を含み、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約17kDa~約39kDaから選択される平均重量平均分子量、及び1~約5、又は約1.5~約3.0の多分散性を有する断片を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定される300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定される100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。本方法は、更に、治療用薬剤を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、酸化防止剤又は酵素のうちの1つから選択される分子を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、ビタミンを、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。このビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であってよい。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥してもよい。本方法は、更に、アルファヒドロキシ酸を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。本方法は、更に、約0.5%~約10.0%の濃度のヒアルロン酸又はその塩形態を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、酸化亜鉛又は二酸化チタンのうちの少なくとも1つを添加することを含み得る。フィルムを、本方法により産生される純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から作製してもよい。フィルムは、約1,0重量%~約50.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。フィルムは、約2.0重量%~約20.0重量%の範囲の水含量を有し得る。フィルムは、約30.0重量%~約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含み得る。ゲルを、本方法により産生される純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から作製することができる。ゲルは、約0.5重量%~約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。ゲルは、少なくとも2%の絹含量及び少なくとも20%のビタミン含量を有し得る。
【0056】
一実施形態では、約39kDa~約80kDaの間から選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインタンパク質断片の溶液は、以下の工程に従って調製される:脱ガムをもたらすために、約30分の処置時間にわたり絹供給源を、炭酸ナトリウムの沸騰(100℃)水溶液に添加する工程、この溶液からセリシンを除去して、検出不可能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、約80℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウム溶液中に絹フィブロイン抽出物を溶解する工程、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を、約60℃~約100℃の範囲中の温度を有する乾燥オーブン中で、最大で1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、並びに、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液を産生する工程(絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~約300ppmの臭化リチウム残渣、約10ppm~約100ppmの炭酸ナトリウム残渣、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量、及び1~約5、又は約1.5~約3.0の多分散性を有する断片を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定される300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定される100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、更に、活性剤(例えば、治療用薬剤)を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含むことができる。本方法は、更に、酸化防止剤又は酵素のうちの1つから選択される活性剤を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。本方法は、更に、ビタミンを、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。このビタミンは、ビタミンC又はその誘導体であってよい。純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥してもよい。本方法は、更に、アルファ-ヒドロキシ酸を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。アルファヒドロキシ酸は、グリコール酸、乳酸、酒石酸、及びクエン酸からなる群から選択することができる。本方法は、更に、約0.5%~約10.0%の濃度のヒアルロン酸又はその塩形態を、純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液に添加することを含み得る。フィルムを、本方法により産生される純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から作製してもよい。フィルムは、約1.0重量%~約50.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。フィルムは、約2.0重量%~約20.0重量%の範囲の水含量を有し得る。フィルムは、約30.0重量%~約99.5重量%の純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含み得る。ゲルを、本方法により産生される純粋な絹フィブロインタンパク質断片の水溶液から作製することができる。ゲルは、約0.5重量%~約20.0重量%のビタミンC又はその誘導体を含み得る。ゲルは、少なくとも2重量%の絹含量及び少なくとも20重量%のビタミン含量を有し得る。
【0057】
絹タンパク質断片の分子量は、抽出時間及び温度を含む、抽出工程の間に利用される特定のパラメータ、臭化リチウム中への絹の浸漬の時間でのLiBr温度及び溶液が特定の温度で維持される時間を含む、溶解工程の間に利用される特定のパラメータ、並びに濾過工程の間に利用される特定のパラメータに基づいて制御され得る。本開示の方法を使用してプロセスパラメータを制御することにより、5kDa~200kDa、又は10kDa~80kDaから選択される様々な異なる分子量で、2.5と等しい又はそれよりも低い多分散性を伴う絹フィブロインタンパク質断片溶液を作製することが可能である。異なる分子量を伴う絹溶液を達成するためにプロセスパラメータを変更することにより、所望の性能要件に基づき、2.5と等しい又はそれよりも低い、望ましい多分散性を伴う断片混合物最終産物の範囲を標的とすることができる。例えば、眼科用薬物を含む高分子量絹フィルムは、より低分子量のフィルムと比較して、制御された徐放速度を有してもよく、アイケア製品における送達賦形剤のために理想的となる。追加的に、2.5を超える多分散性を伴う絹フィブロインタンパク質断片溶液を達成することができる。更に、異なる平均分子量及び多分散性を伴う2つの溶液を混合して、組み合わせ溶液を作製することができる。あるいは、カイコから直接除去された液体絹糸腺(100%セリシン不含絹タンパク質)を、本開示の絹フィブロインタンパク質断片溶液のいずれかとの組み合わせにおいて使用することができる。純粋な絹フィブロインタンパク質断片組成物の分子量を、屈折率検出器(RID)を伴う高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定した。多分散性を、Cirrus GPCオンラインGPC/SECソフトウェアバージョン3.3(Agilent)を使用して算出した。
【0058】
処理パラメータにおける差は、分子量、及びペプチド鎖サイズ分布(多分散性、PD)において変動する再生絹フィブロインをもたらし得る。これは、次に、機械的強度、水可溶性などを含む、再生絹フィブロインの性能に影響を及ぼす。
【0059】
パラメータを、未加工の絹繭を処理して絹溶液にする間に変動させた。これらのパラメータを変動させることによって、結果として得られる絹溶液のMWに影響を及ぼした。操作されたパラメータは、(i)抽出の時間及び温度、(ii)LiBrの温度、(iii)溶解オーブンの温度、及び(iv)溶解時間を含んだ。実験を、抽出時間を変動させることの効果を決定するために行った。表1~7に結果をまとめる。以下がまとめである:
・30分間のセリシン抽出時間は、60分間のセリシン抽出時間よりも大きい分子量をもたらした。
・分子量はオーブン中で時間の経過とともに減少する。
・140℃ LiBr及びオーブンは、9500Daの分子量を下回る信頼区間の下限をもたらした
・1時間目及び4時間目での30分間の抽出では、未消化の絹を有する。
・1時間目での30分間の抽出は、35,000Daである信頼区間の下限を伴う、有意に高い分子量をもたらした。
・信頼区間の上限に達した分子量の範囲は、18000~216000Da(特定の上限値を伴う溶液を提供するために重要である)であった。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0060】
実験を、抽出温度を変動させた効果を決定するために行った。表7に結果をまとめる。以下がまとめである:
・90℃でのセリシン抽出は、100℃抽出でのセリシン抽出より高いMWをもたらした
・90℃及び100℃の両方が、オーブン中での経時的なMWの減少を示す。
【表8】
【0061】
実験を行って、絹に添加された場合の臭化リチウム(LiBr)温度を変動させた効果を決定した。表8~9に結果をまとめる。以下がまとめである:
・分子量又は信頼区間に対する影響はなし(全て、CI約10500~6500Da)
・試験によって、LiBrが添加され、溶解を始めると、LiBr-絹溶解の温度が、室温でその質量の大部分が絹であることに起因して、元のLiBr温度を下回って迅速に下落することが例証される。
【表9】
【表10】
【0062】
実験を、オーブン/溶解温度の効果を決定するために行った。表10~14に結果をまとめる。以下がまとめである:
・オーブン温度は、30分間抽出された絹より、60分間抽出された絹に対して、より少ない効果を有する。理論により拘束されることを望まないが、30分絹は、抽出の間にそれほど分解されず、したがって、オーブン温度は、より大きなMWに対してより多くの効果を有しており、絹の分解部分がより少ないと考えられる。
・60℃対140℃オーブンについて、30分間抽出された絹は、より高いオーブン温度で、より低いMWの非常に有意な効果を示した一方で、60分間抽出された絹は、効果を有したが、しかし、それはずっと少なかった。
・140℃オーブンは、約6000Daで信頼区間における下限をもたらした。
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0063】
カイコであるBombyx moriからの未加工の絹繭を、小片に切断した。未加工の絹繭の小片を、NaCO(約100℃)の水溶液中で約30分~約60分の時間にわたり沸騰させて、セリシンを除去した(脱ガム)。使用される水の容量は、約0.4×未加工の絹重量と等しく、NaCOの量は、未加工の絹繭小片の重量の約0.848×である。結果として得られる、脱ガムされた絹繭小片を、約60℃で脱イオン水で3回リンスした(20分/リンス)。各サイクルについてのリンス水の容量は、0.2L×未加工の絹繭小片の重量であった。脱ガムされた絹繭小片からの過剰な水を除去した。DI水洗浄工程の後、湿潤の、脱ガムされた絹繭小片を室温で乾燥させた。脱ガムされた絹繭小片をLiBr溶液と混合し、混合物を約100℃まで加熱した。温めた混合物を乾燥オーブン中に入れ、約60℃~約140℃の範囲の温度で約60分間にわたり加熱して、天然絹タンパク質の完全な溶解を達成した。結果として得られる溶液を室温まで冷却し、次に、3,500DaのMWCO膜を使用してLiBr塩を除去するために透析した。複数の交換を、オクトンブロマイド(Br)二重接合イオン選択電極上の加水分解フィブロイン溶液リードにおいて決定されたように、Brイオンが1ppm未満になるまで、Di水中で実施した。
【0064】
結果として得られる絹フィブロイン水溶液は、約6kDa~約16kDa、約17kDa~約39kDa、及び約39kDa~約80kDaの間から選択される平均重量平均分子量並びに約1.5~約3.0の多分散性を有する純粋な絹フィブロインタンパク質断片を含む約8.0%w/vの濃度を有する。8.0%w/vをDI水で希釈し、1.0%w/v、2.0%w/v、3.0%w/v、4.0%w/v、5.0%w/vコーティング溶液を提供した。
【0065】
様々な%の絹濃度が、接線流濾過(TFF)の使用を通じて産生されている。全ての場合において、1%絹溶液を入力フィードとして使用した。1%絹溶液750~18,000mLの範囲を、開始容積として使用した。溶液をTFFにおいて透析濾過し、臭化リチウムを除去する。一度、残留LiBrの指定レベルを下回ると、溶液は、限外濾過を受けて、水の除去を通じて濃度を増加させる。以下の例を参照のこと。
【0066】
6つの絹溶液を、標準的な絹構造において利用し、以下の結果を伴った:
溶液#1は、5.9重量%の絹濃度、19.8kDaの平均MW、及び2.2PDIである(60分の沸騰抽出、1時間にわたる100℃のLiBr溶解で作製)。
【0067】
溶液#2は、6.4重量%の絹濃度である(30分の沸騰抽出、4時間にわたる60℃のLiBr溶解で作製)。
【0068】
溶液#3は、6.17重量%の絹濃度である(30分の沸騰抽出、1時間にわたる100℃のLiBr溶解で作製)。
【0069】
溶液#4は、7.30重量%の絹濃度である:7.30%の絹溶液を、1バッチ当たり100gの絹繭の30分抽出バッチから産生した。抽出された絹線維を次に、100℃の9.3M LiBrを使用して、100℃のオーブン中で1時間にわたり溶解した。100gの絹線維を1バッチ当たりに溶解し、LiBr中の20%絹を作製した。LiBr中に溶解された絹を次に、1%の絹に希釈し、5μmフィルタを通して濾過し、大きな残骸を除去した。15,500mLの1%濾過絹溶液を、TFFの開始容積/透析濾過容積として使用した。一度、LiBrが除去されれば、この溶液を1300mL前後の容積に限外濾過した。1262mLの7.30%絹を次に回収した。水を供給液に添加し、残りの溶液を除去するのを助け、547mLの3.91%絹を次に回収した。
【0070】
溶液#5は、6.44重量%の絹濃度である:6.44重量%の絹溶液を、1バッチ当たり25、33、50、75、及び100gの絹繭の混合物の60分抽出バッチで開始して産生した。抽出された絹線維を次に、100℃の9.3M LiBrを使用して、100℃のオーブン中で1時間にわたり溶解した。絹線維の1バッチ当たり35、42、50、及び71gを溶解して、LiBr中の20%絹を作製し、合わせた。LiBr中の溶解された絹を次に、1%の絹に希釈し、5μmフィルタを通して濾過し、大きな残骸を除去した。17,000mLの1%濾過絹溶液を、TFFの開始容積/透析濾過容積として使用した。一度、LiBrが除去されれば、この溶液を3000mL前後の容積に限外濾過した。1490mLの6.44%絹を次に回収した。水を供給液に添加し、残りの溶液を除去するのを助け、1454mLの4.88%絹を次に回収した。
【0071】
溶液#6は、2.70重量%の絹濃度である:2.70%の絹溶液を、1バッチ当たり25gの絹繭の60分抽出バッチで開始して産生した。抽出された絹線維を次に、100℃の9.3M LiBrを使用して、100℃のオーブン中で1時間にわたり溶解した。35.48gの絹線維を1バッチ当たり溶解し、LiBr中の20%の絹を作製した。LiBr中に溶解された絹を次に、1%の絹に希釈し、5μmフィルタを通して濾過し、大きな残骸を除去した。1000mLの1%濾過絹溶液を、TFFの開始容積/透析濾過容積として使用した。一度、LiBrが除去されれば、この溶液を300mL前後の容積に限外濾過した。312mLの2.7%の絹を次に回収した。
【0072】
高分子量を伴う絹フィブロイン溶液の調製を表15中に与える。
【表16】
【0073】
織物への適用のための絹水性コーティング組成物を、以下の表16及び17中に与える。
【表17】
【表18】
【0074】
3つの絹溶液をフィルム製造において利用し、以下の結果を伴った:
溶液#1は、5.9%の絹濃度、19.8kDaの平均MW、及び2.2PD(60分間の沸騰抽出、1時間にわたる100℃のLiBr溶解で作製)である。
【0075】
溶液#2は、6.4%の絹濃度(30分間の沸騰抽出、4時間にわたる60℃のLiBr溶解で作製)である。
【0076】
溶液#3は、6.17%の絹濃度(30分間の沸騰抽出、1時間にわたる100℃ LiBr溶解で作製)である。
【0077】
フィルムは、Rockwood et al. (Nature Protocols;Vol. 6;No. 10;オンライン公開日:2011年9月22日、doi:10.1038/nprot.2011.379)に従って作製した。4mLの1%又は2%(重量/容積)の絹水溶液を100mmのペトリ皿中に添加し(絹の容積は、より厚い又はより薄いフィルムについて変動することができ、重要ではない)、覆いのない状態で一晩乾燥させた。真空デシケーターの底部を水で満たした。乾燥フィルムをデシケーター中に置き、真空適用して、ディッシュからの除去の前にフィルムを4時間にわたり水アニーリングさせた。溶液#1から成型されたフィルムは、構造的に連続的なフィルムをもたらさなかった。フィルムはいくつかの小片に割れていた。これらのフィルムの小片は、水アニーリング処置にも関わらず水中に溶解した。
【0078】
様々な分子量の絹溶液及び/又は分子量の組み合わせは、ゲル適用のために最適化することができる。以下は、本プロセスの例を提供するが、しかし、それは、適用又は製剤化において限定することを意図しない。3つの絹溶液をゲル作製において利用し、以下の結果を伴った:
溶液#1は、5.9%の絹濃度、19.8kDaの平均MW、及び2.2PD(60分間の沸騰抽出、1時間にわたる100℃のLiBr溶解で作製)である。
【0079】
溶液#2は、6.4%の絹濃度(30分間の沸騰抽出、4時間にわたる60℃のLiBr溶解で作製)である。
【0080】
溶液#3は、6.17%の絹濃度(30分間の沸騰抽出、1時間にわたる100℃ LiBr溶解で作製)である。
【0081】
「Egel」は、Rockwood of al.において記載されているようなエレクトロゲル化プロセスである。簡潔には、10mlの絹水溶液を、50mlの円錐形チューブに添加し、一対の白金線電極を絹溶液中に浸漬させた。20ボルトの電位を、プラチナ電極に5分間にわたり印加し、電源をオフにしてゲルを回収した。溶液#1は、5分間の印加電流にわたってEGELを形成しなかった。
【0082】
溶液#2及び#3を、公開された西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)プロトコルに従ってゲル化した。挙動は、公開された溶液に典型であるように思われた。
【0083】
材料及び方法:以下の装置及び材料が、絹分子量の決定において使用される: chemstationソフトウェアver.10.01を有するAgilent 1100、屈折率検出器(RID)、分析バランス、メスフラスコ(1000mL、10mL、及び5mL)、HPLCグレードの水、ACSグレードの塩化ナトリウム、ACSグレードのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物、リン酸、デキストランMW標準-公称分子量5kDa、11.6kDa、23.8kDa、48.6kDa、及び148kDa、50mL PET又はポリプロピレン製ディスポーザブル遠心チューブ、目盛り付きピペット、テフロン(登録商標)性キャップを伴う褐色ガラスHPLCバイアル;Phenomenex PolySep GFC P-4000カラム(サイズ:7.8mm×300mm)。
【0084】
手順工程:
A)1L移動相(0.0125Mリン酸ナトリウム緩衝液中の0.1M塩化ナトリウム溶液)の調製。
250mLの清潔な乾燥したビーカーを取り、それをバランス上に置き、風袋の重さを量る。約3.3509gのリン酸ナトリウム二塩基性七水和物をビーカーに添加する。リン酸ナトリウム二塩基の正確な重量を量ったことを書き留める。100mLのHPLC水をビーカー中に添加することにより、秤量されたリン酸ナトリウムを溶解する。ビーカーの内容物をこぼさないように注意する。溶液を、清潔で乾燥した1000mLのメスフラスコ中に注意深く移す。ビーカーをリンスし、リンス液をメスフラスコ中に移す。リンスを4~5回繰り返す。別個の清潔で乾燥した250mLのビーカー中に、正確に約5.8440gの塩化ナトリウムを秤量する。秤量した塩化ナトリウムを50mLの水中に溶解し、溶液を、メスフラスコ中のリン酸ナトリウム溶液に移す。ビーカーをリンスし、リンス液をメスフラスコ中に移す。リン酸を用いて、溶液のpHを7.0±0.2に調整する。HPLC水でメスフラスコ中の容積を1000mLにして、激しく撹拌し、溶液を均一に混合する。この溶液を、0.45μmのポリアミド膜フィルタを通して濾過する。この溶液を清潔な乾燥溶媒ボトルに移し、ボトルにラベルを付ける。この溶液の容積は、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物及び塩化ナトリウムの量を対応するように変動させることにより、要件に対して変動させることができる。
【0085】
B)デキストラン分子量標準液の調製
少なくとも5つの異なる分子量標準が、試験されるサンプルの期待値が、使用される標準の値により挟まれるように、実行されるサンプルの各バッチについて使用される。6本の20mLシンチレーションガラスバイアルを、分子量標準に対してそれぞれラベルする。約5mgの各々のデキストラン分子量標準を正確に秤量し、重量を記録する。デキストラン分子量標準を5mLの移動相中に溶解し、1mg/mLの標準溶液を作製する。
【0086】
C)サンプル溶液の調製
サンプル溶液を調製する際に、利用可能なサンプルの量に限界がある場合、調製物は、比率が維持されている限り調整してもよい。サンプルの種類及びサンプル中の絹タンパク質含量に依存して、50mLの使い捨て遠心チューブ中の十分なサンプルを、分析用の1mg/mLサンプル溶液を作製するために、分析バランスで秤量する。サンプルを等容積の移動相中で溶解し、1mg/mL溶液を作製する。チューブを固くキャップし、サンプルを混合する(溶液中)。サンプル溶液を室温で30分間にわたり放置する。サンプル溶液を再度1分間にわたり穏やかに混合し、4000RPMで10分間にわたり遠心分離する。
【0087】
D)サンプルのHPLC分析
1.0mLの全ての標準及びサンプル溶液を個々のHPLCバイアル中に移す。分子量標準(各々1回注入)及び各サンプルを2回ずつ注入する。以下のHPLC条件を使用して、全ての標準及びサンプル溶液を分析する:
【表19】
【0088】
E)データ分析及び計算-Cirrus Softwareを使用した平均分子量の計算
標準及び分析サンプルのクロマトグラフィーデータファイルを、Cirrus SECデータ収集及び分子量分析ソフトウェア中にアップロードする。サンプルの各注入についての重量平均分子量(M)、数平均分子量(M)、ピーク平均分子量(M)、及び多分散性を計算する。
【0089】
クモ絹断片
クモ絹は、3つのドメイン:タンパク質鎖を支配する反復中間コアドメイン、並びに非反復N末端ドメイン及びC末端ドメインからなる天然ポリマーである。大きなコアドメインは、ブロック共重合体様配置において組織化され、それにおいて、2つの基本配列、結晶性〔ポリ(A)又はポリ(GA)]及びより少ない結晶性(GGX又はGPGXX)ポリペプチドが交互に現れる。ドラッグライン絹(Dragline silk)は、大瓶状腺ドラッグライン絹タンパク質1(MaSp1)及び大瓶状腺ドラッグライン絹タンパク質2(MaSp2)で構成されるタンパク質複合体である。両方の絹が、およそ3500アミノ酸長である。MaSp1はファイバーコア及び周辺部において見出すことができるのに対し、MaSp2は特定のコア領域中でクラスタを形成する。MaSp1及びMaSp2の大きな中心ドメインは、ブロック共重合体様配置において組織化され、それにおいて、2つの基本配列、結晶性[ポリ(A)又はポリ(GA)]、及びより少ない結晶性(GGX又はGPGXX)ポリペプチドが、コアドメイン中で交互に現れる。特定の二次構造が、ポリ(A)/(GA)、GGX、及びGPGXXモチーフに割り当てられ、それぞれ、βシート、βヘリックス、及びβスパイラルを含む。反復コアドメインの一次配列、組成物、及び二次構造エレメントは、クモ絹の機械的特性に関与する;それに対して、非反復N及びC末端ドメインは、管腔中での液体絹ドープの貯蔵及びスピニングダクト中での線維形成のために不可欠である。
【0090】
MaSp1とMaSp2との間での主な違いは、MaSp2中の総アミノ酸含量の15%を占めるプロリン(P)残基の存在であるのに対し、MaSp1はプロリン不含である。N.クラビペス(N.clavipes)ドラッグライン絹中のプロリン残基の数を算出することにより、線維中の2つのタンパク質の存在を推定することが可能である;81%のMaSp1及び19%のMaSp2。異なるクモは、MaSp1及びMaSp2の異なる比率を有する。例えば、オーブウィーバーArgiope aurantiaからのドラッグライン絹線維は、41%MaSp1及び59%のMaSp2を含む。大瓶状腺絹の比率におけるそのような変化は、絹線維の性能を左右し得る。
【0091】
少なくとも7種類の異なる種類の絹タンパク質が、1つのオーブウィーバー種のクモについて公知である。絹は、一次配列、物理的特性及び機能において異なる。例えば、フレーム、半径、及びライフラインを構築するために使用されるドラッグライン絹は、強度、靭性、及び弾性を含む、顕著な機械的特性のため公知である。等重量ベースで、クモ絹は、鋼及びケブラー(登録商標)よりも高い靭性を有する。捕捉スパイラルにおいて見出される鞭状腺絹は、最大500%の拡張性を有する。小瓶状腺絹は、オーブウェブの補助スパイラル及び捕食において見出され、大瓶状腺絹とほぼ同様の高い靭性及び強度を持つが、しかし、水中では超収縮しない。
【0092】
クモ絹は、それらの高い張力強度及び靭性について公知である。組換え絹タンパク質はまた、特に、保湿作用又は軟化作用、良好なフィルム形成特性、及び低表面密度を改善することができるように、美容組成物又は皮膚学的組成物に有利な特性を付与する。多様かつ固有の生体力学的特性は、生体適合性及び遅い分解速度と一緒に、クモ絹を、組織工学、誘導組織修復、及び薬物送達のための生体材料としての、美容製品(例えば、爪及び毛髪強化剤、皮膚ケア製品)、並びに産業材料(例えば、ナノワイヤ、ナノファイバー、表面コーティング)のための優れた候補にする。
【0093】
一実施形態では、絹タンパク質は、天然クモ絹タンパク質から由来するポリペプチドを含み得る。ポリペプチドは、特に、それが、天然のクモ絹タンパク質から由来する限り限定されず、ポリペプチドの例は、天然クモ絹タンパク質及び組換えクモ絹タンパク質、例えば天然クモ絹タンパク質の変異体、類似体、誘導体、又は同様のものを含む。優れた粘り強さに関して、ポリペプチドは、クモの大瓶状腺において産生されるメジャードラッグライン絹タンパク質から由来し得る。メジャードラッグライン絹タンパク質の例は、Nephila clavipesからの大瓶状腺スピドロインMaSp1及びMaSp2、並びにAraneus diadematusからのADF3及びADF4などを含む。主要なドラッグライン絹タンパク質から由来するポリペプチドの例は、主要なドラッグライン絹タンパク質の変異体、類似体、誘導体又は同様のものを含む。更に、ポリペプチドは、クモの鞭状腺において産生される鞭状腺絹タンパク質から由来し得る。鞭状腺絹タンパク質の例は、ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)などから由来する鞭状腺絹タンパク質を含む。
【0094】
メジャードラッグライン絹タンパク質から由来するポリペプチドの例は、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の2つ以上の単位を含むポリペプチド、好ましくはその5つ以上の単位を含むポリペプチド、及びより好ましくはその10個以上の単位を含むポリペプチドを含む。あるいは、メジャードラグライン絹タンパク質から由来するポリペプチドは、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の単位を含むポリペプチドであってもよく、それは、C末端に、米国特許第9,051,453号の配列番号1~3のいずれかにより表されるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号の配列番号1~3のいずれかにより表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する。主要なドラッグライン絹タンパク質から由来するポリペプチドにおいて、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の単位は、同一であってもよく、又は互いに異なっていてもよい。宿主として微生物、例えば大腸菌などを使用して組換えタンパク質を産生する場合では、主要なドラッグライン絹タンパク質から由来するポリペプチドの分子量は、生産性の観点から、500kDa以下、又は300kDa以下、又は200kDa以下である。
【0095】
式(1)では、REP1はポリアラニンを示す。REP1において、連続で配置されるアラニン残基の数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、及び特に好ましくは5以上である。更に、REP1において、連続で配置されるアラニン残基の数は、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下、及び特に好ましくは10以下である。式(1)では、REP2は、10~200アミノ酸残基で構成されるアミノ酸配列である。アミノ酸配列中に含まれるグリシン、セリン、グルタミン、及びアラニン残基の総数は、その中に含まれるアミノ酸残基の総数に対して40%以上、好ましくは60%以上、及びより好ましくは70%以上である。
【0096】
メジャードラッグライン絹では、REP1は、結晶性βシートが形成される線維中の結晶領域に対応し、REP2は、部品の大半が規則的な構成を欠き、より多くの柔軟性を有する線維中のアモルファス領域に対応する。更に、[REP1-REP2]は、結晶領域及びアモルファス領域で構成される反復領域(反復配列)に対応し、これは、ドラッグライン絹タンパク質の特徴的な配列である。
【0097】
組換え絹断片
いくつかの実施形態では、組換え絹タンパク質は、組換えクモ絹ポリペプチド、組換え昆虫絹ポリペプチド、又は組換えムール貝絹ポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae若しくはAraneoidsの組換えクモ絹ポリペプチド、又はBombyx moriの組換え昆虫絹ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae若しくはAraneoidsの組換えクモ絹ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae若しくはAraneoidsの天然クモ絹ポリペプチドから由来する反復単位を有するブロック共重合体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組換え絹タンパク質断片は、Araneidae若しくはAraneoidsのクモ絹ポリペプチドから由来する合成反復単位を有するブロック共重合体、及びAraneidae若しくはAraneoidsのクモ絹ポリペプチドの天然反復単位から由来する非反復単位を含む。
【0098】
遺伝子工学における最近の進歩は、様々な種類の組換え絹タンパク質を産生するための経路を提供している。組換えDNA技術は、より実用的な絹タンパク質の供給源を提供するために使用されている。本明細書で使用される場合、「組換え絹タンパク質」は、遺伝子工学方法を使用して原核生物又は真核生物発現系において異種的に産生される合成タンパク質を指す。
【0099】
組換え絹ペプチドを合成するための様々な方法が公知であり、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology § 8 (John Wiley & Sons 1987, (1990))により記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。グラム陰性の桿状細菌である大腸菌は、タンパク質の産業規模の生産のための十分に確立された宿主である。したがって、組換え絹の大部分は、大腸菌において生産されてきた。操作が簡単である大腸菌は、短い世代時間を有し、比較的低コストであり、多量のタンパク質産生のためにスケールアップすることができる。
【0100】
組換え絹タンパク質は、絹タンパク質について、このタンパク質の断片について、又はそのようなタンパク質の類似体についてコードするcDNAを含む、形質転換された原核生物又は真核生物系により産生されることができる。組換えDNAアプローチは、プログラムされた配列、二次構造、構造、及び正確な分子量を伴う組換え絹の産生を可能にする。このプロセスにおいて4つの主な工程がある:(i)遺伝子「カセット」中への合成絹様遺伝子の設計及び組立、(ii)DNA組換えベクター中へのこのセグメントの挿入、(iii)宿主細胞中へのこの組換えDNA分子の形質転換、並びに(iv)選択されたクローンの発現及び精製。
【0101】
「組換えベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、プラスミドベクター、コスミドベクター、ファージベクター、例えばラムダファージなど、ウイルスベクター、例えばアデノウイルス若しくはバキュロウイルスベクターなど、又は人工染色体ベクター、例えば細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、若しくはP1人工染色体(PAC)などを含む、当業者に公知の任意のベクターを含む。当該ベクターは、発現ベクター並びにクローニングベクターを含む。発現ベクターは、プラスミド並びにウイルスベクターを含み、一般的に、特定の宿主生物体(例えば、細菌、酵母、又は植物)において又はインビトロ発現系における動作可能に連結されたコード配列の発現のために必要な所望のコード配列及び適したDNA配列を含む。クローニングベクターは、一般的に、特定の所望のDNA断片を操作及び増幅するために使用され、所望のDNA断片の発現のために必要な機能的配列を欠き得る。
【0102】
原核生物系は、グラム陰性細菌又はグラム陽性細菌を含む。原核生物発現ベクターは、宿主生物体により認識されることができる複製起点、当該宿主において機能的である相同又は異種プロモーター、クモ絹タンパク質について、このタンパク質の断片について、又は類似タンパク質についてコードするDNA配列を含むことができる。原核性発現生物の非限定的な例は、大腸菌、バチルス・サブチリス、バチルス・メガテリウム、コリネバクテリウム・グルタミカム、アナベナ、カウロバクター、グルコノバクター、ロドバクター、シュードモナス、パラコッカス、バチルス(例えば、バチルス・サブチリス)、ブレビバクテリウム、コリネバクテリウム、リゾビウム(シノリゾビウム)、フラボバクテリウム、クレブシエラ、エンテロバクター、ラクトバチルス、ラクトコッカス、メチロバクテリウム、プロピオニバクテリウム、スタフィロコッカス、又はストレプトマイセスの細胞である。
【0103】
真核生物系は、酵母及び昆虫、哺乳類、又は植物の細胞を含む。この場合では、発現ベクターは、酵母プラスミドの複製起源又は自律複製配列、プロモーター、クモ絹タンパク質について、断片について、又は類似タンパク質についてコードするDNA配列、ポリアデニル化配列、転写終結部位、及び、最後に、選択遺伝子を含み得る。真核発現生物の非限定的な例は、酵母、例えばサッカロミセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、担子胞子性、子嚢胞子性など、糸状菌、例えばアスペルギルス・ニジェール、アスペルギルス・オリゼ、アスペルギルス・ニデュランス、トリコデルマ・リーセイ、アクレモニウム・クリソゲナム、カンジダ、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、サッカロミセス(例えば、サッカロミセス・セレビシエ)、シゾサッカロミセス、ピキア(例えば、ピキア・パストリス)又はヤロウィア細胞など、哺乳類細胞、例えばHeLa細胞、COS細胞、CHO細胞など、昆虫細胞、例えばSf9細胞、MEL細胞など、「昆虫宿主細胞」、例えばスポドプテラ・フルギペルダ又はトリコプルシア・ニ細胞などを含む。SF9細胞、SF-21細胞、又はHigh-Five細胞、ここで、SF-9及びSF-21は、スポドプテラ・フルギペルダからの卵巣細胞であり、High-Five細胞は、トリコプルシア・ニ、「植物宿主細胞」、例えばタバコ、ジャガイモ、又はエンドウ豆細胞などからの卵細胞である。
【0104】
様々な異種宿主系が、異なる型の組換え絹を産生するために探索されてきた。組換え部分的スピドロイン並びに操作された絹は、クローニングされ、細菌(大腸菌)、酵母(ピキア・パストリス)、昆虫(カイコの幼虫)、植物(タバコ、大豆、ジャガイモ、シロイヌナズナ)、哺乳類細胞株(BHT/ハムスター)、及びトランスジェニック動物(マウス、ヤギ)において発現されている。絹タンパク質の大半が、N末端又はC末端のHisタグを伴って産生され、精製を単純化し、十分な量のタンパク質を産生する。
【0105】
いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモ絹タンパク質を発現するために好適な宿主は、トランスジェニック動物及び植物を含み得る。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモ絹タンパク質を発現するために好適な宿主は、細菌、酵母、哺乳類細胞株を含む。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモ絹タンパク質を発現するために好適な宿主は、大腸菌を含む。いくつかの実施形態では、異種系を使用して組換えクモ絹タンパク質を発現するために好適な宿主は、ゲノム編集技術(例えば、CRISPR)を使用して生成されたトランスジェニックB.モリカイコを含む。
【0106】
本開示中の組換え絹タンパク質は、天然絹タンパク質の反復単位に基づく合成タンパク質を含む。合成反復絹タンパク質配列の他、これらは、追加的に、1つ以上の天然非反復絹タンパク質配列を含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、「組換え絹タンパク質」は、組換えカイコ絹タンパク質又はその断片を指す。絹フィブロイン及び絹セリシンの組換え産生が報告されている。様々な宿主が産生のために使用され、大腸菌、サクロミセス・セレビシエ、シュードモナス属、ロドシュードモナス属、バチルス属、及びストレポミセス属を含む。EP0230702を参照のこと。それは、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0108】
本明細書では、また、B.モリ絹重鎖(H鎖)の反復ドメインから由来するGAGAGX(配列番号1)ヘキサペプチド(XはA、Y、V、又はSである)を含む、絹フィブロインタンパク質様マルチブロックポリマーの設計及び生物学的合成が提供される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、GAGAGS(配列番号2)ヘキサペプチド反復ユニットを含むB.モリ絹重鎖(H鎖)の反復ドメインから由来する、絹タンパク質様マルチブロックポリマーを提供する。GAGAGS(配列番号2)ヘキサペプチドは、H鎖のコアユニットであり、結晶性ドメインの形成において重要な役割を果たしている。GAGAGS(配列番号2)ヘキサペプチド反復ユニットを含む絹タンパク質様マルチブロックポリマーは、天然絹フィブロインタンパク質と同様に、自発的に、βシート構造中に凝集し、ここで、絹タンパク質様マルチブロックポリマー中では、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示は、B.モリの絹重鎖のH鎖から誘導されたGAGAGS(配列番号2)ヘキサペプチド反復断片及び大腸菌により産生される哺乳類エラスチンVPGVG(配列番号3)モチーフで構成される絹ペプチド様マルチブロック共重合体を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、B.モリの絹重鎖のH鎖から誘導されたGAGAGS(配列番号2)ヘキサペプチド反復断片及び大腸菌により産生されるGVGVP(配列番号4)で構成される融合絹フィブロインタンパク質を提供し、ここで、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する絹タンパク質様マルチブロックポリマー中である。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示は、(GAGAGS)16(配列番号5)反復断片で構成されるB.モリカイコ組換えタンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、大腸菌により産生される、(GAGAGS)16(配列番号5)反復断片及び非反復(GAGAGS)16-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-F-F-F-F-F-COOH、(GAGAGS)16-F-F-F-F-F-F-F-F-F-F-F-F-COOHで構成される組換えタンパク質を提供し、式中、Fは、以下のアミノ酸配列SGFGPVANGGSGEASSESDFGSSGFGPVANASSGEASSESDFAG(配列番号6)を有し、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有する絹タンパク質様マルチブロックポリマー中にある。
【0112】
いくつかの実施形態では、「組換え絹タンパク質」は、組換えクモ絹タンパク質又はその断片を指す。部分的cDNAクローンに基づく組換えクモ絹タンパク質の産生が報告されている。そのようなものとして産生される組換えクモ絹タンパク質は、クモのネフィラ・クラビペスからの、ドラッグラインクモ絹タンパク質スピドロイン1から由来する反復配列の一部を含む。Xu et al. (Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,87:7120-7124(1990)を参照のこと。ネフィラ・クラビペスのドラッグライン絹からの第2のフィブロインタンパク質スピドロイン2の反復配列の一部分をコードするcDNAクローン及びその組換え合成は、J.Biol. Chem.,1992,volume 267,pp.19320-19324において記載されている。形質転換された大腸菌からのネフィラ・クラビペスのタンパク質断片及び変異体を含むクモ絹タンパク質の組換え合成が、米国特許 第5,728,810号及び第5,989,894号において記載されている。小瓶状腺クモ絹タンパク質をコードするcDNAクローン及びその発現が、米国特許 第5,733,771号及び第5,756,677号において記載されている。オーブウェブスピニングクモからの鞭状腺絹タンパク質をコードするcDNAクローンが、米国特許 第5,994,099号において記載されている。米国特許 第6,268,169号は、大腸菌、バチルス・サブチリス、及びピキア・パストリス組換え発現系による、ネフィラ・クラビペスの天然クモドラッグラインにおいて見出される反復ペプチド配列から由来するクモ絹様タンパク質の組換え合成を記載する。WO03/020916には、ネフィラ・マダガスカリエンシス、ネフィラ・セネガレンシス、テトラグナタ・カウアイエンシス、テトラグナタ・バーシカラー、アルギオペ・オーランティア、アルギオペ・トリファシアータ、ガステラカンサ・マンモサ、及びラトロデクトス・ゲオメトリクスの大瓶状腺、アルギオペ・トリファシアタの鞭状腺、ドロメデス・テネブロススの瓶状腺、プレクトリューリス・トリスティスからの2組の絹腺、及びマイガロモルフ・ユーアグルス・チソセウスの絹腺から由来する反復配列を有するクモクモ絹タンパク質をコードするcDNAクローン及びその組換え産生が記載されている。上の参考文献の各々が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0113】
いくつかの実施形態では、組換えクモ絹タンパク質は、クモ絹タンパク質及び昆虫絹タンパク質、クモ絹タンパク質及びコラーゲン、クモ絹タンパク質及びレシリン、又はクモ絹タンパク質及びケラチンのハイブリッドタンパク質である。クモ絹反復単位は、天然大瓶状腺ポリペプチド、例えばドラッグラインクモ絹ポリペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭状腺ポリペプチド、凝集腺クモ絹ポリペプチド、ブドウ状腺クモ絹ポリペプチド、又は梨状腺クモ絹ポリペプチドなどの内で反復的に生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む、又はそれからなる領域のアミノ酸配列を含む、又はそれからなる。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモ絹タンパク質は、天然クモ絹タンパク質の反復単位、コンセンサス配列、及び、任意選択的に、1つ以上の天然非反復クモ絹タンパク質配列から由来する合成クモ絹タンパク質を含む。天然クモ絹ポリペプチドの反復単位は、アラネイダ又はアラネオイドのドラッラインクモ絹ポリペプチド又は鞭状腺クモ絹ポリペプチドを含み得る。
【0115】
本明細書で使用される場合、クモ絹「反復単位」は、天然大瓶状腺ポリペプチド、例えばドラッグラインクモ絹ポリペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭状腺ポリペプチド、凝集腺クモ絹ポリペプチド、ブドウ状腺クモ絹ポリペプチド、又は梨状腺クモ絹ポリペプチドなどの内で反復的に生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む、又はそれからなる。「反復単位」は、アミノ酸配列において、天然の絹ポリペプチド(例えば、MaSpI、ADF-3、ADF-4、又はFlag)(すなわち、同一のアミノ酸配列)内で反復的に生じる、少なくとも1つのペプチドモチーフ(例えば、AAAAAA)(配列番号21)又はGPGQQ(配列番号5))を含む、又はそれからなる領域に、又はそれらと実質的に類似したアミノ酸配列(すなわち、変異アミノ酸配列)に対応する領域を指す。天然絹ポリペプチド内の対応するアミノ酸配列と「実質的に類似」しているアミノ酸配列を有する「反復単位」(すなわち、野生型反復単位)はまた、その特性に関して類似しており、例えば、「実質的に類似した反復単位」を含む絹タンパク質は、依然として不溶性であり、その不溶性を保持する。例えば、天然絹ポリペプチドのアミノ酸配列と「同一」であるアミノ酸配列を有する「反復単位」は、MaSpI、MaSpII、ADF-3、及び/又はADF-4の1つ以上のペプチドモチーフに対応する絹ポリペプチドの一部であり得る。例えば、天然絹ポリペプチドのアミノ酸配列と「実質的に類似」しているアミノ酸配列を有する「反復単位」は、MaSpI、MaSpII、ADF-3、及び/又はADF-4の1つ以上のペプチドモチーフに対応するが、しかし、特定のアミノ酸位置で1つ以上のアミノ酸置換を有する絹ポリペプチドの一部であり得る。
【0116】
本明細書で使用される場合、「コンセンサスペプチド配列」という用語は、特定の位置(例えば、「G」)において頻繁に生じるアミノ酸を含有するアミノ酸配列を指し、ここで、更に決定されない他のアミノ酸は、プレースホルダー「X」によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、コンセンサス配列は、(i)GPGXX(配列番号7)、ここで、Xは、A、S、G、Y、P、及びQから選択されるアミノ酸である、(ii)GGX、ここで、Xは、Y、P、R、S、A、T、N、及びQ、好ましくはY、P、及びQから選択されるアミノ酸である、(iii)A、ここで、xは5~10からの整数である、のうちの少なくとも1つである。
【0117】
コンセンサスペプチド配列GPGXX(配列番号7)及びGGX、すなわち、グリシンリッチモチーフは、絹ポリペプチド、及びしたがって、当該モチーフを含有する絹タンパク質から形成される糸に柔軟性を提供する。詳細には、反復されたGPGXX(配列番号7)モチーフは、ターンらせん構造を形成し、絹ポリペプチドに弾性を付与する。大瓶状腺及び鞭状腺絹は両方ともGPGXX(配列番号7)モチーフを有する。反復されたGGXモチーフは、1ターン当たり3つのアミノ酸を有するらせん構造に関連付けられ、大半のクモ絹において見出される。GGXモチーフは、絹に追加的な弾性特性を提供し得る。反復されたポリアラニンAx(ペプチド)モチーフは、例えば、WO03/057727において記載されるように、絹ポリペプチドに強度を提供する結晶性βシート構造を形成する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモ絹タンパク質は、2つの同一の反復単位を含み、各々が、レジリンから由来するGGRPSDTYG(配列番号8)及びGGRPSSSYG(配列番号9)からなる群から選択される少なくとも1つの、好ましくは1つのアミノ酸配列を含む。レシリンは、大半の節足動物において見出されるエラストマータンパク質であり、低い剛性及び高い強度を提供する。
【0119】
本明細書で使用される場合、「非反復単位」は、米国特許第8,367,803号において記載されるように、好ましくは、クモアラネウス・ダイアデマトゥスのADF-3(配列番号1)、ADF-4(配列番号2)、NR3(配列番号41)、NR4(配列番号42)、ADF-4内の天然ドラグラインポリペプチド内の対応する非反復(カルボキシ末端)アミノ酸配列(すなわち、野生型非反復(カルボキシ末端)単位)と「実質的に類似」しているアミノ酸配列を指し、C16ペプチド(クモ絹タンパク質eADF4、分子量47.7kDa、AMSilk)は、A.ダイアデマトゥスからのADF4の天然配列から適合されたアミノ酸配列である、配列GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPSGPGGYGPGGP(配列番号10)の16反復を含む。非反復ADF-4及びその変異体は、効率的な組立挙動を呈する。
【0120】
合成クモ絹タンパク質の間で、本開示における組換え絹タンパク質は、いくつかの実施形態では、米国特許第8288512号において記載されるポリペプチド配列配列番号1を有するC16タンパク質を含む。配列番号1において示されるポリペプチド配列の他に、特に、この配列の機能的等価物、機能的誘導体、及び塩も含まれる。
【0121】
本明細書で使用される場合、「機能的等価物」は、上記のアミノ酸配列の少なくとも1つの配列位置において、具体的に言及されるアミノ酸以外のアミノ酸を有する変異体を指す。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモ絹タンパク質は、Xu et al.,PNAS,USA,87,7120,(1990)によって記載されるスピドロインメジャー1、Hinman and Lewis,J.Biol.Chem., 267,19320,(1922)によって記載されるスピドロインメジャー2、米国特許出願第2016/0222174号、及び米国特許第9,051,453号、同第9,617,315号、同第9,689,089号、同第8,173,772号、同第8,642,734号、同第8,367,803号、同第8,097,583号、同第8,030,024号、同第7,754,851号、同第7,148,039号、同第7,060,260号に記載される組換えクモ絹タンパク質、又はあるいは、特許出願第WO95/25165号に記載されるマイナースピドロインに対応するクモ絹タンパク質を含む少なくとも1つの天然又は組換え絹タンパク質を有効量で含む。上で引用された参考文献の各々は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。本開示の組換えRSPFのために好適な追加の組換えクモ絹タンパク質は、アラネウス・ダイアデマトゥスの「大瓶状」腺からのADF3及びADF4を含む。
【0123】
組換え絹はまた、他の特許及び特許出願に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる:US2004/590196、US7,754,851、US2007/654470、US7,951,908、US2010/785960、US8,034,897、US2009/0263430、US2008/226854、US2009/0123967、US2005/712095、US2007/991037、US2009/0162896、US2008/85266、US8,372,436、US2007/989907、US2009/267596、US2010/319542、US2009/265344、US2012/684607、US2004/583227、US8,030,024、US2006/643569、US7,868,146、US2007/991916、US8,097,583、US2006/643200、US8,729,238、US8,877,903、US2019/0062557、US2016/0280960、US2011/0201783、US2008/991916、US2011/986662、US2012/697729、US2015/0328363、US9,034,816、US2013/0172478、US9,217,017、US2017/0202995、US8,721,991、US2008/227498、US9,233,067、US8,288,512、US2008/161364、US7,148,039、US1999/247806、US2001/861597、US2004/887100、US9,481,719、US8,765,688、US2008/80705、US2010/809102、US8,367,803、US2010/664902、US7,569,660、US1999/138833、US2000/591632、US2012/0065126、US2010/0278882、US2008/161352、US2010/0015070、US2009/513709、US2009/0194317、US2004/559286、US2005/89551、US2008/187824、US2005/0266242、US2005/0227322、及びUS20044418。
【0124】
組換え絹はまた、他の特許及び特許出願に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる:US2019/0062557、US2015/0284565、US2013/0225476、US2013/0172478、US2013/0136779、US2013/0109762、US2012/0252294、US2011/0230911、US2011/0201783、US2010/0298877、US10,478,520、US10,253,213、US10,072,152、US9,233,067、US9,217,017、US9,034,816、US8,877,903、US8,729,238、US8,721,991、US8,097,583、US8,034,897、US8,030,024、US7,951,908、US7,868,146、及びUS7,754,851。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモ絹タンパク質は、2~80の反復単位を含む、又はそれらからなり、各々が、本明細書で定義されるGPGXX、GGX、及びAから独立して選択される。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示の組換えクモ絹タンパク質は、反復単位を含む、又はそれらからなり、各々が、独立して、GPGAS(配列番号11)、GPGSG(配列番号12)、GPGGY(配列番号13)、GPGGP(配列番号14)、GPGGA(配列番号15)、GPGQQ(配列番号16)、GPGGG(配列番号17)、GPGQG(配列番号18)、GPGGS(配列番号19)、GGY、GGP、GGA、GGR、GGS、GGT、GGN、GGQ、AAAAA(配列番号20)、AAAAAA(配列番号21)、AAAAAAA(配列番号22)、AAAAAAAA(配列番号23)、AAAAAAAAA(配列番号24)、AAAAAAAAAA(配列番号25)、GGRPSDTYG(配列番号26)、及びGGRPSSSYG(配列番号27)、(i)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGSGQQ(配列番号28)、(ii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPSGPGGYGPGGP(配列番号29)、(iii)GPGQQGPGQQGPGQQGPGQQ(配列番号30):(iv)GPGGAGGPYGPGGAGGPYGPGGAGGPY(配列番号31)、(v)GGTTIIEDLDITIDGADGPITISEELTI(配列番号32)、(vi)PGSSAAAAAAAASGPGQGQGQGQGQGGRPSDTYG(配列番号33)、(vii)SAAAAAAAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNGGRPSSSYG(配列番号34)、(viii)GGAGGAGGAGGSGGAGGS(配列番号35)、(ix)GPGGAGPGGYGPGGSGPGGYGPGGSGPGGY(配列番号36)、(x)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGCGQQ(配列番号37)、(xi)GPYGPGASAAAAAAGGYGPGKGQQ(配列番号38)、(xii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPCGPGGYGPGGP(配列番号39)、(xiii)GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPGGP(配列番号40)、(xiv)GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPGGP(配列番号40)又は米国特許 第8,877,903号において記載されるそれらの変異体、例えば、ペプチド鎖中のGPGAS(配列番号11)、GGY、GPGSG(配列番号12)の連続順序、又はペプチド鎖中のAAAAAAAA(配列番号23)、GPGGY(配列番号13)、GPGGP(配列番号14)の連続順序、ペプチド鎖中のAAAAAAAA(配列番号23)、GPGQG(配列番号18)、GGRの連続順序を有する合成クモペプチドからなる群から選択される。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示は、天然クモ絹タンパク質から由来するアミノ酸の反復単位、例えばスピドロインメジャー1ドメイン、スピドロインメジャー2ドメイン、又はスピドロインマイナー1ドメインなどを模倣する絹タンパク質様マルチブロックペプチド及び三次元立体構造の改変を伴わない反復単位間のバリエーションのプロファイルを提供し、ここで、これらの絹タンパク質様マルチブロックペプチドは、以下の配列(I)、(II)、(III)、及び/又は(IV)のうちの1つに対応するアミノ酸の反復単位を含む。
【0128】
[(XGG)(XGA)(GXG)(AGA)(G)AG]式(I)、式中、Xはチロシンに又はグルタミンに相当し、wは2又は3に等しい整数であり、xは1~3の整数であり、yは5~7の整数であり、zは1又は2に等しい整数であり、及びpは整数であり、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有し、並びに/あるいは
[(GPGYGPGQ(X’)S(A)式(II)、式中、X’はアミノ酸配列GPS又はGPGに対応し、aは2又は3に等しく、bは7~10の整数であり、及びpは整数であり、本明細書に記載される任意の重量平均分子量を有し、並びに/あるいは
[(GR)(GA)(A)(GGX)(GA)(A)式(III)及び/又は[(GGX)(GA)(A)式(IV)、式中、X”はチロシン、グルタミン、又はアラニンに対応し、lは1~6の整数であり、mは0~4の整数であり、nは1~4の整数であり、及びpは整数である。
【0129】
いくつかの実施形態では、組換えクモ絹タンパク質又は配列(V)のアミノ酸反復単位を含むクモ絹タンパク質の類似体:
[(Xaa Gly Gly)(Xaa Gly Ala)(Gly Xaa Gly)(Ala Gly Ala)(Gly)zAla Gly]式(V)、式中、Xaaはチロシン又はグルタミンであり、wは2又は3に等しい整数であり、xは1~3の整数であり、yは5~7の整数であり、zは1又は2に等しい整数であり、及びpは整数である。
【0130】
いくつかの実施形態では、本開示中の組換えクモ絹タンパク質は、米国特許第8,367,803号において記載されているように、ADF-3又はその変異体、ADF-4又はその変異体、MaSpI(配列番号43)又はその変異体、MaSpII(配列番号44)又はその変異体からなる群から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示は、哺乳類細胞において産生される水溶性の組換えクモ絹タンパク質を提供する。哺乳類細胞において産生されるクモ絹タンパク質の溶解性は、これらのタンパク質中のCOOH末端の存在に起因し、それによって、それらはより親水性になる。これらのCOOH末端アミノ酸は、微生物宿主において発現されるクモ絹タンパク質中には存在しない。
【0132】
いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモ絹タンパク質は、GCGGGGGG(配列番号41)、GKGGGGGG(配列番号42)、GCGGSGGGGSGGGG(配列番号43)、GKGGGGGGSGGGG(配列番号44)、及びGCGGGGGGSGGGG(配列番号45)からなるアミノ酸配列から選択されるアミノ末端又はカルボキシル末端で改変された水溶性組換えクモ絹タンパク質C16を含む。いくつかの実施形態では、本開示における組換えクモ絹タンパク質は、タンパク質の分子量が、本明細書に記載される範囲であるように、C16NR4、C32NR4、C16、C32、NR4C16NR4、NR4C32NR4、NR3C16NR3、又はNR3C32NR3を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本開示中の組換えクモ絹タンパク質は、米国特許第8,877,903号において記載されているように、AダイアデマトゥスからのADF4の天然配列から適合された合成反復ペプチドセグメント及びアミノ酸配列を有する組換えクモ絹タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、本開示中のRSPFは、天然クモ絹タンパク質から由来する反復ペプチド単位、例えばスピドロインメジャー1ドメイン、スピドロインメジャー2ドメイン、又はスピドロインマイナー1ドメインなどを有する組換えクモ絹タンパク質を含み、ここで、反復ペプチド配列は、米国特許第8,367,803号において記載されているように、GSSAAAAAAAASGPGQGQGQGQGQGGRPSDTYG(配列番号46)又はSAAAAAAAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNGGRPSSSYG(配列番号47)である。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示は、GPGGAGPGGYGPGGSGPGGYGPGGSGPGGY(配列番号48)反復断片で構成され、本明細書に記載される分子量を有する組換えクモタンパク質を提供する。
【0135】
本明細書で使用される場合、「組換え絹」という用語は、組換えクモ及び/又はカイコ絹タンパク質あるいはその断片を指す。一実施形態では、クモ絹タンパク質は、帯状絹(ブドウ状腺絹)、卵嚢絹(円柱腺絹)、卵ケース絹(管状腺絹)、非粘着性ドラッグライン絹(大瓶状腺絹)、付着糸絹(梨状腺絹)、粘着性絹コア線維(鞭状腺絹)、及び粘着性絹外線維(凝集腺絹)からなる群から選択される。例えば、組換えクモ絹タンパク質は、本明細書に記載されるように、米国特許出願第2016/0222174号並びに米国特許第9,051,453号、同第9,617,315号、同第9,689,089号、同第8,173,772号、及び同第8,642,734号に記載されるタンパク質を含む。
【0136】
一部の生物は、固有の配列、構造エレメント、及び機械的特性を伴う複数の絹線維を作製する。例えば、オーブウィービングクモは、環境又はライフサイクルニッチに適合するように調整された線維中に重合された、異なる絹ポリペプチド配列を産生する6つの固有の種類の腺を有する。線維は、それらが由来する腺にちなんで名付けられ、ポリペプチドは、腺の略語(例えば、「Ma」)及びスピドロインについての「Sp」(クモフィブロインについての略)で標識される。orbウィーバーでは、これらの種類は、大瓶状腺(MaSp、ドラッグラインとも呼ばれる)、小瓶状腺(MiSp)、鞭状腺(Flag)、ブドウ状腺(AcSp)、管状腺(TuSp)、及び梨状腺(PySp)を含む。異なる属及び生物種の間の線維の種類、ドメイン、及び変動にわたるポリペプチド配列のこの組み合わせは、組換え線維の商業産生により利用することができる、幅広い潜在的な特性に導く。今日まで、組換え絹を用いた研究の大部分が、大瓶状腺スピドロイン(MaSp)に焦点を当ててきた。
【0137】
ブドウ状腺(AcSp)絹は、中程度に高い強度及び中程度に高い伸張性とを合わせた結果、高い靭性を有する傾向がある。AcSp絹は、ポリセリン及びGPXのモチーフをしばしば組み込む、大きなブロック(「アンサンブルリピート」)サイズにより特徴付けられる。管状腺(TuSp又は円筒形(Cylindrical))絹は、大きな直径を有する傾向があり、中程度の強度及び高い伸張性を伴う。TuSp絹は、それらのポリセリン及びポリトレオニン含量、並びにポリアラニンの短い管により特徴付けられる。大瓶状(MaSp)絹は、高い強度及び中程度の伸張性を有する傾向がある。MaSp絹は、2つのサブタイプ、MaSp1及びMaSp2のうちの1つであり得る。MaSp1絹は、一般的に、MaSp2絹よりも伸張性が低く、ポリアラニン、GX、及びGGXモチーフにより特徴付けられる。MaSp2絹は、ポリアラニン、GGX、及びGPXモチーフにより特徴付けられる。小瓶状腺(MiSp)絹は、中程度の強度及び中程度の伸張性を有する傾向がある。MiSp絹は、GGX、GA、及びポリAモチーフにより特徴付けられ、しばしば、およそ100アミノ酸のスペーサーエレメントを含む。鞭状腺(Flag)絹は、非常に高い伸張性及び中程度の強度を有する傾向がある。Flag絹は通常、GPG、GGX、及び短いスペーサーモチーフにより特徴付けられる。
【0138】
絹ポリペプチドは、非反復領域(例えば、C末端ドメイン及びN末端ドメイン)により隣接された反復ドメイン(REP)で特徴的に構成されている。一実施形態では、C末端ドメイン及びN末端ドメインの両方が、75~350アミノ酸長である。反復ドメインは、階層構造を示す。反復ドメインは、一連のブロック(反復ユニットとも呼ばれる)を含む。ブロックは、絹反復ドメイン全体にわたって、時々完全で、時々不完全に(準反復ドメインを形成する)反復される。ブロックの長さ及び組成は、異なる絹の種類の間で、及び異なる種にわたり変動する。米国公開出願第2016/0222174号の表1は、その全体が本明細書に組み込まれ、選択された種及び絹型からのブロック配列の例を列挙し、更なる例が、Rising,A.et al.,Spider silk proteins: recent advances in recombinant production,structure-function relationships and biomedical applications,Cell Mol. Life Sci.,68:2,pg 169-184(2011)、及びGatesy,J.et al.,Extreme diversity,conservation,and convergence of spider silk fibroin sequences,Science,291:5513,pg. 2603-2605(2001)において提示されている。一部の場合では、ブロックは規則的なパターンにおいて配置され、絹配列の反復ドメイン中に複数回(通常、2~8)現れるより大きなマクロリピートを形成する。反復ドメイン又はマクロリピート内の反復ブロック、及び反復ドメイン内の反復マクロリピートは、スペーシングエレメントにより分離されうる。
【0139】
本開示の特定の実施形態に従った、ブロック及び/又はマクロリピートドメインからの特定のクモ絹ブロック共重合体ポリペプチドの構造が、米国特許出願公開第2016/0222174号において例証されている。
【0140】
組換え原核生物又は真核生物系における遺伝子発現により産生されるクモ絹配列に基づく組換えブロック共重合体ポリペプチドは、当技術分野において公知の方法に従って精製することができる。好ましい実施形態では、商業的に入手可能な発現/分泌系を使用することができ、それにより、組換えポリペプチドが発現され、その後、宿主細胞から分泌され、周囲の培地から簡単に精製される。発現/分泌ベクターを使用しない場合、代替的なアプローチは、ポリペプチドが発現された原核細胞又は真核細胞から由来する細胞可溶化物(細胞の完全性の破壊後の細胞の残り)から組換えブロック共重合体ポリペプチドを精製することを含む。そのような細胞可溶化物の生成のための方法は、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、組換えブロック共重合体ポリペプチドは、細胞培養上清から単離される。
【0141】
組換えブロック共重合体ポリペプチドは、親和性分離により、例えば、それらのN末端又はC末端の6~8のヒスチジン残基でタグ付けされた組換えポリペプチドの単離用の組換えポリペプチド又はニッケルカラムに特異的に結合する抗体との免疫学的相互作用により精製されてもよい。代替タグは、FLAGエピトープ又はヘマグルチニンエピトープを含み得る。そのような方法は、当業者により一般的に使用される。
【0142】
そのようなポリペプチド(すなわち、組換え絹タンパク質)の溶液を次に、本明細書に記載されるように調製し、使用してもよい。
【0143】
別の実施形態では、組換え絹タンパク質は、米国特許第8,642,734号において記載される方法に従って調製してもよく、その全体が本明細書に組み込まれ、本明細書に記載されるように使用される。
【0144】
一実施形態では、組換えクモ絹タンパク質が提供される。クモ絹タンパク質は、典型的には、170~760アミノ酸残基、例えば170~600アミノ酸残基など、好ましくは280~600アミノ酸残基、例えば300~400アミノ酸残基など、より好ましくは340~380アミノ酸残基からなる。小さなサイズが有利である。なぜなら、より長いクモ絹タンパク質は、非結晶性凝集体を形成する傾向があり、それは、可溶化及び重合のために厳しい溶媒の使用が必要となるためである。組換えクモ絹タンパク質は、特に、クモ絹タンパク質が、クモ絹タンパク質のN末端部分から由来する3つ以上の断片を含む場合では、760を上回る残基を含んでもよく、クモ絹タンパク質は、クモ絹タンパク質の対応する部分から由来する少なくとも1つの断片(NT)、及びクモ絹タンパク質の対応する内部断片から由来する反復断片(REP)からなるN末端断片を含む。任意選択的に、クモ絹タンパク質は、クモ絹タンパク質の対応する断片から由来するC末端断片(CT)を含む。クモ絹タンパク質は、典型的には、クモ絹タンパク質のN末端部分から由来する単一断片(NT)を含むが、しかし、好ましい実施形態では、N末端断片は、少なくとも2つ、例えばクモ絹タンパク質のN末端部分から由来する2つの断片(NT)などを含む。このように、スピドロインは、式NT-REP、及び代替的にNT-REP-CTにより模式的に表すことができ、mは、1以上、例えば2以上など、好ましくは1~2、1~4、1~6、2~4、又は2~6の範囲内の整数である。好ましいスピドロインは、式NT-REP又はNT-REP、及び代替的にNT-REP-CT又はNT-REP-CTにより模式的に表すことができる。タンパク質断片は、典型的には、ペプチド結合を介して共有結合される。一実施形態では、クモ絹タンパク質は、REP断片に結合されたNT断片からなり、そのREP断片は、任意選択的に、CT断片に結合される。
【0145】
一実施形態では、単離されたクモ絹タンパク質のポリマーを産生する方法の第1の工程は、好適な宿主、例えば大腸菌などにおける、クモ絹タンパク質をコードするポリ核酸分子の発現を含む。このようにして得られたタンパク質は、標準的な手順を使用して単離される。任意選択的に、リポ多糖類及び他の発熱性物質は、この段階で積極的に除去される。
【0146】
単離されたクモ絹タンパク質のポリマーを産生する方法の第2の工程では、液体媒体中のクモ絹タンパク質の溶液が提供される。「可溶性」及び「溶液中」という用語は、タンパク質が目に見えるように凝集せず、60,000×gで溶媒から沈殿しないことを意味する。液体媒体は、任意の好適な媒体、例えば水性媒体など、好ましくは生理学的媒体、典型的には、緩衝水性媒体、例えば10~50mMのTris-HCl緩衝液又はリン酸緩衝液などであり得る。液体媒体は、6.4以上のpH及び/又はクモ絹タンパク質の重合を防止するイオン組成物を有する。すなわち、液体媒体は、pH6.4以上、あるいはクモ絹タンパク質の重合を防止するイオン組成物のいずれか、又はその両方を有する。
【0147】
クモ絹タンパク質の重合を防止するイオン組成物は、本明細書で開示される方法を利用して、当業者により容易に調製されることができる。クモ絹タンパク質の重合を防止する好ましいイオン組成物は、300mM超のイオン強度を有する。クモ絹タンパク質の重合を防止するイオン組成物の特定の例は、300mM超のNaCl、100mMのリン酸塩、及びクモ絹タンパク質の重合に対する所望の予防効果を有するこれらのイオンの組み合わせ、例えば、10mMのリン酸塩及び300mMのNaClの組み合わせを含む。
【0148】
NT断片の存在によって、溶液の安定性が改善され、これらの条件下でのポリマー形成が防止される。これは、即時の重合が望ましくないであろう場合、例えば、タンパク質精製の間、大バッチの調製中、又は他の条件を最適化する必要がある場合に有利であり得る。液体媒体のpHは、クモ絹タンパク質の高い溶解性を達成するために、6.7以上、例えば7.0以上など、あるいは更に8.0以上、例えば最大10.5などまで調整されることが好ましい。また、液体媒体のpHは、6.4~6.8の範囲に調整されることが有利であり得るが、それによって、クモ絹タンパク質の十分な溶解性が提供されるが、しかし、その後のpH調整が6.3以下まで促進される。
【0149】
第3の工程では、液体媒体の特性は、6.3以下のpH及び重合を可能にするイオン組成物に調整される。すなわち、クモ絹タンパク質が溶解される液体媒体が、6.4以上のpHを有する場合、pHは6.3以下まで減少される。当業者は、典型的には、強酸又は弱酸の添加を含め、これを達成するための様々な方法を十分に認識している。クモ絹タンパク質が溶解される液体媒体が、重合を防止するイオン組成物を有する場合、イオン組成物は、重合を可能にするように変化する。当業者は、これを達成するための様々な方法、例えば、希釈、透析、又はゲル濾過を十分に認識している。必要な場合、この工程は、液体媒体のpHを6.3以下に減少させること、及び重合を可能にするためにイオン組成物を変化させることを含む。液体媒体のpHは、6.2以下、例えば6.0以下などに調整されることが好ましい。特に、先行工程における6.4又は6.4~6.8からのpH降下を、この工程において6.3又は6.0~6.3、例えば、6.2に限定することは、実用的な観点から有利であり得る。好ましい実施形態では、この工程の液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上などである。結果として得られるpH範囲、例えば、4.2~6.3によって、迅速な重合が促進される。
【0150】
第4の工程では、クモ絹タンパク質は、6.3以下のpH及びクモ絹タンパク質の重合を可能にするイオン組成物を有する液体媒体中で重合することができる。NT断片の存在によって、6.4以上のpHでのクモ絹タンパク質の溶解性、及び/又はクモ絹タンパク質の重合を防止するイオン組成物が改善されるが、それは、イオン組成物がクモ絹タンパク質の重合を可能にする場合、6.3以下のpHでのポリマー形成を加速させる。結果として得られるポリマーは、好ましくは、固体及び肉眼的であり、それらは、6.3以下のpH及びクモ絹タンパク質の重合を可能にするイオン組成物を有する液体媒体中で形成される。好ましい実施形態では、この工程の液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上などである。結果として得られるpH範囲、例えば、4.2~6.3によって、迅速な重合が促進される。結果として得られるポリマーは、本明細書に記載される分子量で提供され、物品コーティングのために必要な場合に使用され得る溶液形態として調製されてもよい。
【0151】
クモ絹タンパク質の重合を可能にするイオン組成物は、本明細書で開示される方法を利用して、当業者により容易に調製されることができる。クモ絹タンパク質の重合を可能にする好ましいイオン組成物は、300mM未満のイオン強度を有する。クモ絹タンパク質の重合を可能にするイオン組成物の具体的な例は、150mMのNaCl、10mMのリン酸塩、20mMのリン酸塩、及びクモ絹タンパク質の重合に対する予防効果を欠くこれらのイオンの組み合わせ、例えば、10mMのリン酸塩又は20mMのリン酸塩及び150mMのNaClの組み合わせを含む。この液体媒体のイオン強度は、1~250mMの範囲に調整されることが好ましい。
【0152】
任意の特定の理論に限定されることを望まないが、NT断片は反対に荷電した極を有し、pHにおける環境変化は、タンパク質の表面上の荷電バランスに影響を及ぼし、重合が続き、他方で塩は同じ事象を阻害することが想定される。
【0153】
中性pHでは、酸性極の過剰な負荷電を埋めるエネルギッシュなコストによって、重合が防止されると予測されうる。しかし、二量体が、より低いpHでその等電点に近づくにつれて、誘引性の静電力が最終的に支配的となり、観察された塩並びにNT及びNT含有ミニスピドロインのpH依存的な重合挙動が説明される。いくつかの実施形態では、pH誘導性NT重合、及びNT-ミニスピドロインの線維アセンブリの効率増加が、表面静電電位変化に起因していること、並びに、NTの1つの極での酸性残基のクラスタリングによって、その荷電バランスがシフトして、重合転移が、6.3以下のpH値で生じることが提案されている。
【0154】
第5の工程では、結果として得られる、好ましくは固体のクモ絹タンパク質ポリマーは、当該液体媒体から単離される。任意選択的に、この工程は、リポ多糖類及び他の発熱性物質をスピドロインポリマーから積極的に除去することを含む。
【0155】
任意の特定の理論に限定されることを望まないが、スピドロインポリマーの形成は、水溶性スピドロイン二量体の形成を介して進行することが観察されている。本開示はまた、このように、単離されたクモ絹タンパク質の二量体を産生する方法を提供し、最初の2つの方法工程は、上記に説明されるとおりである。クモ絹タンパク質は、6.4以上のpH及び/又は当該クモ絹タンパク質の重合を防止するイオン組成での液体媒体中の二量体として存在する。第3の工程は、第2の工程において得られた二量体を単離することを含み、任意選択的に、リポ多糖類及び他の発熱性物質の除去を含む。好ましい実施形態では、本開示のクモ絹タンパク質ポリマーは、重合したタンパク質二量体からなる。本開示は、このように、クモ絹タンパク質の二量体を産生するための、クモ絹タンパク質の新規使用、好ましくは、本明細書で開示されるものを提供する。
【0156】
別の態様によれば、本開示は、本明細書で開示されるクモ絹タンパク質のポリマーを提供する。一実施形態では、このタンパク質のポリマーは、本開示に従った方法のいずれか1つにより取得可能である。このように、本開示は、組換え絹ベースのコーティングとしてクモ絹タンパク質のポリマーを産生するための、組換えクモ絹タンパク質の様々な使用、好ましくは、本明細書で開示されるものを提供する。一実施形態によれば、本開示は、組換え絹ベースのコーティングとして単離クモ絹タンパク質のポリマーを産生するための、クモ絹タンパク質の二量体の新規使用、好ましくは本明細書で開示されるものを提供する。これらの使用において、ポリマーは、6.3以下のpH及び当該クモ絹タンパク質の重合を可能にするイオン組成を有する液体媒体中で産生されることが好ましい。一実施形態では、液体媒体のpHは、3以上、例えば4.2以上などである。結果として得られるpH範囲、例えば、4.2~6.3によって、迅速な重合が促進される。
【0157】
本開示の方法を使用して、重合プロセスを制御することが可能であり、これによって、所望の特性及び形状を伴う絹ポリマーを得るためのパラメータの最適化が可能となる。
【0158】
一実施形態では、本明細書に記載される組換え絹タンパク質は、米国特許第8,642,734号において記載されているものを含み、その全体が参照により組み込まれる。
【0159】
別の実施形態では、本明細書に記載される組換え絹タンパク質は、米国特許第9,051,453号において記載されている方法に従って調製されてもよく、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0160】
米国特許第9,051,453号の配列番号1により表されるアミノ酸配列は、C末端でのADF3のアミノ酸配列の50のアミノ酸残基で構成されるアミノ酸配列と同一である(NCBI登録番号:AAC47010、GI:1263287)。米国特許第9,051,453号の配列番号2により表されるアミノ酸配列は、20の残基がC末端から除去された、米国特許第9,051,453号の配列番号1により表されるアミノ酸配列と同一である。米国特許第9,051,453号の配列番号3により表されるアミノ酸配列は、29の残基がC末端から除去された、配列番号1により表されるアミノ酸配列と同一である。
【0161】
式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の単位を含み、C末端に配列番号1~3のいずれかにより表されるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号の配列番号1~3のいずれかにより表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号の配列番号8により表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。米国特許第9,051,453号の配列番号8により表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、以下の変異により得られる:ADF3(NCBIアクセッション番号:AAC47010、GI:1263287)のアミノ酸配列において、そのN-末端に開始コドン、His 10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位で構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)が付加されており、1~13番目の反復領域が約二倍になっており、翻訳が1154番目のアミノ酸残基で終了する。米国特許第9,051,453号の配列番号8により表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドにおいて、C末端配列は、配列番号3により表されるアミノ酸配列と同一である。
【0162】
更に、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の単位を含み、C末端に、米国特許第9,051,453号の配列番号1~3のいずれかにより表されるアミノ酸配列又は米国特許第9,051,453号の配列番号1~3のいずれかにより表されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、米国特許第9,051,453号の配列番号8により表されるアミノ酸配列を有し、それにおいて、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されており、結晶領域及びアモルファス領域で構成される反復領域を有するタンパク質であり得る。
【0163】
更に、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の2つ以上の単位を含むポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号の配列番号15により表されるアミノ酸配列を有するADF4から由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号の配列番号15により表されるアミノ酸配列は、NCBIデータベース(NCBI受入番号:AAC47011、GI:1263289)から得られたADF4の部分アミノ酸配列のN末端に、開始コドン、His 10タグ、HRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位で構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を付加することにより得られたアミノ酸配列である。更に、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列を2つ以上の単位を含むポリペプチドは、米国特許第9,051,453号の配列番号15により表されるアミノ酸配列を有し、それにおいて、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されており、並びに結晶領域及びアモルファス領域で構成される領域を有するポリペプチドであり得る。更に、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の2つ以上の単位を含むポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号の配列番号17により表されるアミノ酸配列を有するMaSp2から由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号の配列番号17により表されるアミノ酸配列は、NCBIウェブデータベース(NCBI受入番号:AAT75313、GI:50363147)から得られたMaSp2の部分配列のN末端に、開始コドン、His 10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ(ヒトライノウイルス3Cプロテアーゼ)認識部位で構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を付加することにより得られるアミノ酸配列である。更に、式1:REP1-REP2(1)により表されるアミノ酸配列の2つ以上の単位を含むポリペプチドは、米国特許第9,051,453号の配列番号17により表されるアミノ酸配列を有し、それにおいて、1つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されており、並びに結晶領域及びアモルファス領域で構成される領域を有するポリペプチドであり得る。
【0164】
鞭状腺絹タンパク質から由来するポリペプチドの例は、式2:REP3(2)により表されるアミノ酸配列の10以上の単位を含むポリペプチド、好ましくはその20以上の単位を含むポリペプチド、及びより好ましくはその30以上の単位を含むポリペプチドを含む。宿主として微生物、例えば大腸菌などを使用して組換えタンパク質を産生する場合では、鞭状腺絹タンパク質から由来するポリペプチドの分子量は、生産性の観点から、好ましくは500kDa以下、より好ましくは300kDa以下、更に好ましくは200kDa以下である。
【0165】
式(2)では、REP3は、Gly-Pro-Gly-Gly-Xで構成されるアミノ酸配列を示し、ここで、Xは、Ala、Ser、Tyr、及びValからなる群から選択されるアミノ酸を示す。
【0166】
クモ絹の主要な特徴は、鞭状腺絹が結晶領域を有しないが、しかし、アモルファス領域で構成される反復領域を有することである。主要なドラッグライン絹及び同様のものは、結晶領域及びアモルファス領域で構成される反復領域を有するため、それらは高い応力及び伸縮性の両方を有すると予想される。一方、鞭状腺絹に関しては、応力はメジャードラッグライン絹のそれよりも劣るが、伸縮性は高い。これについての理由は、鞭状腺絹の大半がアモルファス領域で構成されることであると考えられる。
【0167】
式2:REP3(2)により表されるアミノ酸配列の10以上の単位を含むポリペプチドの例は、米国特許第9,051,453号の配列番号19により表されるアミノ酸配列を有する鞭状腺絹タンパク質から由来する組換えタンパク質である。米国特許第9,051,453号の配列番号19により表されるアミノ酸配列は、NCBIデータベース(NCBI受入番号:AAF36090、GI:7106224)から得られたネフィラ・クラビペスの鞭状腺絹タンパク質の部分配列、具体的には、反復部分及びモチーフに対応するN末端から1220残基から1659残基までのそのアミノ酸配列(PR1配列として言及する)を、NCBIデータベース(NCBI受入番号:AAC38847、GI:2833649)から得られたネフィラ・クラビペスの鞭状腺絹タンパク質の部分配列、具体的には、C末端から816残基~907残基のC末端アミノ酸配列を組み合わせて、その後に、開始コドン、His 10タグ、及びHRV3Cプロテアーゼ認識部位で構成されるアミノ酸配列(米国特許第9,051,453号の配列番号5)を、組み合わせた配列のN末端に付加することにより得られたアミノ酸配列である。更に、式2:REP3(2)により表されるアミノ酸配列の10以上の単位を含むポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸が、置換、欠失、挿入、及び/又は付加され、アモルファス領域で構成される反復領域を有する、米国特許第9,051,453号の配列番号19により表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得る。
【0168】
ポリペプチドは、ポリペプチドをコードする遺伝子を含む発現ベクターにより形質転換された宿主を使用して産生することができる。遺伝子を産生するための方法は、特に限定されないが、それは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)など、及びそれをクローニングすることにより、クモから由来する細胞から天然クモ絹タンパク質をコードする遺伝子を増幅することにより産生されてもよく、又は化学的に合成されてもよい。また、遺伝子を化学的に合成する方法は、特に限定されないが、それは、例えば、以下のとおりに合成することができる:NCBIウェブデータベースなどから得られた天然クモ絹タンパク質のアミノ酸配列の情報に基づいて、AKTAオリゴパイロットプラス10/100(GE Healthcare Japan Corporation)で自動的に合成されたオリゴヌクレオチドが、PCRなどにより連結される。この時点で、タンパク質の精製及び観察を促進するために、上記のアミノ酸配列のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子を、開始コドン及びHis 10タグで構成されるアミノ酸配列が付加されたN末端に合成することが可能である。
【0169】
発現ベクターの例は、DNA配列に基づいてタンパク質を発現することができるプラスミド、ファージ、ウイルス及び同様のものを含む。プラスミド型発現ベクターは、それによって、標的遺伝子を宿主細胞中で発現することができ、それ自体が増幅することができる限り、特に限定されない。例えば、宿主として大腸菌ロゼッタ(DE3)を使用する場合において、pET22b(+)プラスミドベクター、pColdプラスミドベクター、及び同様のものを使用することができる。これらの間で、タンパク質の生産性に関しては、pET22b(+)プラスミドベクターを使用することが好ましい。宿主の例は、動物細胞、植物細胞、微生物などを含む。
【0170】
本開示中で使用されるポリペプチドは、好ましくは、ADF3から由来するポリペプチドであり、それは、アラネウス・ダイアデマトゥスの2つの主要なドラッグライン絹タンパク質のうちの1つである。このポリペプチドは、基本的に高い強度-伸張性及び強靭性を有し、簡単に合成されるという利点を有する。
【0171】
したがって、本明細書に記載される実施形態、物品、及び/又は方法に従って使用される組換え絹タンパク質(例えば、組換えクモ絹ベースのタンパク質)は、上に記載される、又は米国特許第8,173,772号、同第8,278,416号、同第8,618,255号、同第8,642,734号、同第8,691,581号、同第8,729,235号、同第9,115,204号、同第9,157,070号、同第9,309,299号、同第9,644,012号、同第9,708,376号、同第9,051,453号、同第9,617,315号、同第9,968,682号、同第9,689,089号、同第9,732,125号、同第9,856,308号、同第9,926,348号、同第10,065,997号、同第10,316,069号、及び同第10,329,332号、及び米国特許公開第2009/0226969号、同第2011/0281273号、同第2012/0041177号、同第2013/0065278号、同第2013/0115698号、同第2013/0316376号、同第2014/0058066号、同第2014/0079674号、同第2014/0245923号、同第2015/0087046号、同第2015/0119554号、同第2015/0141618号、同第2015/0291673号、同第2015/0291674号、同第2015/0239587号、同第2015/0344542号、同第2015/0361144号、同第2015/0374833号、同第2015/0376247号、同第2016/0024464号、同第2017/0066804号、同第2017/0066805号、同第2015/0293076号、同第2016/0222174号、同第2017/0283474号、同第2017/0088675号、同第2019/0135880号、同第2015/0329587号、同第2019/0040109号、同第2019/0135881号、同第2019/0177363号、同第2019/0225646号、同第2019/0233481号、同第2019/0031842号、同第2018/0355120号、同第2019/0186050号、同第2019/0002644号、同第2020/0031887号、同第2018/0273590号、同第20191/094403号、同第2019/0031843号、同第2018/0251501号、同第2017/0066805号、同第2018/0127553号、同第2019/0329526号、同第2020/0031886号、同第2018/0080147号、同第2019/0352349号、同第2020/0043085号、同第2019/0144819号、同第2019/0228449号、同第2019/0340666号、同第2020/0000091号、同第2019/0194710号、同第2019/0151505号、同第2018/0265555号、同第2019/0352330号、同第2019/0248847号、及び同第2019/0378191号において記述される1つ以上の組換え絹タンパク質を含み得るが、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0172】
絹フィブロイン様タンパク質断片
本開示中の組換え絹タンパク質は、天然絹タンパク質の反復単位に基づく合成タンパク質を含む。合成反復絹タンパク質配列の他、これらは、追加的に、1つ以上の天然非反復絹タンパク質配列を含むことができる。本明細書で使用される場合、「絹フィブロイン様タンパク質断片」は、本明細書で定義される分子量及び多分散性、並びに天然絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、あるいは1つ以上のGAGAGS(配列番号2)ヘキサアミノ酸反復単位を含む任意のタンパク質から選択されるタンパク質とある程度の相同性を有するタンパク質断片を指す。いくつかの実施形態では、相同性の程度は、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約94%、約93%、約92%、約91%、約90%、約89%、約88%、約87%、約86%、約85%、約84%、約83%、約82%、約81%、約80%、約79%、約78%、約77%、約76%、約75%、又は75%未満から選択される。
【0173】
本明細書に記載されるように、タンパク質、例えば天然絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、あるいは1つ以上のGAGAGS(配列番号2)ヘキサアミノ酸反復単位を含む任意のタンパク質などは、約9%~約45%の間のグリシン、又は約9%のグリシン、又は約10%のグリシン、約43%のグリシン、約44%のグリシン、約45%のグリシン、又は約46%のグリシンを含む。本明細書に記載されるように、タンパク質、例えば天然絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、あるいは1つ以上のGAGAGS(配列番号2)ヘキサアミノ酸反復単位を含む任意のタンパク質などは、約13%~約30%の間のアラニン、又は約13%のアラニン、又は約28%のアラニン、又は約29%のアラニン、又は約30%のアラニン、又は約31%のアラニンを含む。本明細書に記載されるように、タンパク質、例えば天然絹タンパク質、フィブロイン重鎖、フィブロイン軽鎖、あるいは1つ以上のGAGAGS(配列番号2)ヘキサアミノ酸反復単位を含む任意のタンパク質などは、9%~約12%の間のセリン、又は約9%のセリン、又は約10%のセリン、又は約11%のセリン、又は約12%のセリンを含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、又は約55%のグリシンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される絹フィブロイン様タンパク質は、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、又は約39%のアラニンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、又は約22%のセリンを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、独立して、天然フィブロイン中に含まれることが公知である任意のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質は、独立して、天然フィブロイン中に含まれることが公知である任意のアミノ酸を除外し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質中の平均で6つのアミノ酸中2つ、6つのアミノ酸中3つ、又は6つのアミノ酸中4つが、グリシンである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質中の平均で6つのアミノ酸中1つ、6つのアミノ酸中2つ、又は6つのアミノ酸中3つが、アラニンである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロイン様タンパク質中の平均で6つのアミノ酸中0、6つのアミノ酸中1つ、又は6つのアミノ酸中2つが、セリンである。
【0175】
SPFの他の特性
本開示の組成物は、「生体適合性」である又は「生体適合性」を示し、組成物が、毒性がない、有毒でない、生理学的反応性がない、及び免疫拒絶を起こさないことにより、生体組織又は生体システムと適合することを意味する。そのような生体適合性は、参加者が、局所的に、延長期間にわたり彼らの皮膚上に本開示の組成物を適用することにより証明することができる。一実施形態では、延長期間は約3日間である。一実施形態では、延長期間は約7日間である。一実施形態では、延長期間は約14日間である。一実施形態では、延長期間は約21日間である。一実施形態では、延長期間は約30日間である。一実施形態では、延長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコーティングは、生体適合性コーティングである。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、生体適合性組成物(例えば、絹を含む生体適合性コーティング)であってもよく、評価されて、「Biological evaluation of medical devices - Part 1: Evaluation and testing within a risk management process」と題される国際規格ISO10993-1に準拠し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、生体適合性組成物であってもよく、細胞傷害性、感作性、血液適合性、発熱性、移植性、遺伝毒性、がん原性、生殖発生毒性、及び分解のうちの1つ以上について、ISO 106993-1の下で評価されてもよい。
【0177】
本開示の組成物は、「低アレルギー性」であり、アレルギー反応を起こす可能性が比較的低いことを意味する。そのような低アレルギー性は、参加者が、局所的に、延長期間にわたり彼らの皮膚上に本開示の組成物を適用することにより証明することができる。一実施形態では、延長期間は約3日間である。一実施形態では、延長期間は約7日間である。一実施形態では、延長期間は約14日間である。一実施形態では、延長期間は約21日間である。一実施形態では、延長期間は約30日間である。一実施形態では、延長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。
【0178】
一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約1日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約2日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約3日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約4日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約5日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約6日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約7日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約8日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約9日である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は約10日である。
【0179】
一実施形態では、本開示の組成物の安定性は、約11日、約12日、約13日、約14日、約15日、約16日、約17日、約18日、約19日、約20日、約21日、約22日、約23日、約24日、約25日、約26日、約27日、約28日、約29日、又は約30日である。
【0180】
一実施形態では、本開示の組成物の安定性は10日~6ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は6ヶ月~12ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は12ヶ月~18ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は18ヶ月~24ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は24ヶ月~30ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は30ヶ月~36ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は36ヶ月~48ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は48ヶ月~60ヶ月である。
【0181】
一実施形態では、本開示のSPF組成物は、タンパク質の結晶性に起因して、水溶液中で可溶性ではない。一実施形態では、本開示のSPF組成物は、水溶液中で可溶性である。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、約3分の2の結晶性部分及び約3分の1のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、約半分の結晶性部分及び約半分のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、99%の結晶性部分及び1%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、95%の結晶性部分及び5%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、90%の結晶性部分及び10%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、85%の結晶性部分及び15%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、80%の結晶性部分及び20%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、75%の結晶性部分及び25%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、70%の結晶性部分及び30%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、65%の結晶性部分及び35%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、60%の結晶性部分及び40%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、50%の結晶性部分及び50%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、40%の結晶性部分及び60%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、35%の結晶性部分及び65%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、30%の結晶性部分及び70%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、25%の結晶性部分及び75%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、20%の結晶性部分及び80%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、15%の結晶性部分及び85%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、10%の結晶性部分及び90%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、5%の結晶性部分及び90%のアモルファス領域を含む。一実施形態では、本開示の組成物のSPFは、1%の結晶性部分及び99%のアモルファス領域を含む。
【0182】
本明細書で使用される場合、「無機残渣を実質的に含まない」という用語は、組成物が0.1%(w/w)以下の残渣を示すことを意味する。一実施形態では、「無機残渣を実質的に含まない」は、0.05%(w/w)以下の残渣を示す組成物を指す。一実施形態では、「無機残渣を実質的に含まない」は、0.01%(w/w)以下の残渣を示す組成物を指す。一実施形態では、無機残渣の量は、0ppm(「検出不能」又は「ND」)~1000ppmの間である。一実施形態では、無機残渣の量は、ND~約500ppmである。一実施形態では、無機残渣の量は、ND~約400ppmである。一実施形態では、無機残渣の量は、ND~約300ppmである。一実施形態では、無機残渣の量は、ND~約200ppmである。一実施形態では、無機残渣の量は、ND~約100ppmである。一実施形態では、無機残渣の量は、10ppm~1000ppmの間である。
【0183】
本明細書で使用される場合、「無機残渣を実質的に含まない」という用語は、組成物が0.1%(w/w)以下の残渣を示すことを意味する。一実施形態では、「無機残渣を実質的に含まない」は、0.05%(w/w)以下の残渣を示す組成物を指す。一実施形態では、「有機残渣を実質的に含まない」は、0.01%(w/w)以下の残渣を示す組成物を指す。一実施形態では、有機残渣の量は、0ppm(「検出不能」又は「ND」)~1000ppmの間である。一実施形態では、有機残渣の量は、ND~約500ppmである。一実施形態では、有機残渣の量は、ND~約400ppmである。一実施形態では、有機残渣の量は、ND~約300ppmである。一実施形態では、有機残渣の量は、ND~約200ppmである。一実施形態では、有機残渣の量は、ND~約100ppmである。一実施形態では、有機残渣の量は、10ppm~1000ppmの間である。
【0184】
本開示の組成物は、「生体適合性」を示し、組成物が、毒性がない、有毒でない、又は生理学的反応性がない、及び免疫拒絶を起こさないことにより、生体組織又は生体システムと適合することを意味する。そのような生体適合性は、参加者が、局所的に、延長期間にわたり彼らの皮膚上に本開示の組成物を適用することにより証明することができる。一実施形態では、延長期間は約3日間である。一実施形態では、延長期間は約7日間であり、一実施形態では、延長期間は約14日間であり、一実施形態では、延長期間は約21日間である。一実施形態では、延長期間は約30日間である。一実施形態では、延長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。
【0185】
本開示の組成物は、「低アレルギー性」であり、アレルギー反応を起こす可能性が比較的低いことを意味する。そのような低アレルギー性は、参加者が、局所的に、延長期間にわたり彼らの皮膚上に本開示の組成物を適用することにより証明することができる。一実施形態では、延長期間は約3日間である。一実施形態では、延長期間は約7日間である。一実施形態では、延長期間は約14日間である。一実施形態では、延長期間は約21日間である。一実施形態では、延長期間は約30日間である。一実施形態では、延長期間は、約1ヶ月間、約2ヶ月間、約3ヶ月間、約4ヶ月間、約5ヶ月間、約6ヶ月間、約7ヶ月間、約8ヶ月間、約9ヶ月間、約10ヶ月間、約11ヶ月間、約12ヶ月間、及び無期限からなる群から選択される。
【0186】
以下は、本開示の絹溶液の調製における及びそのための様々なパラメータの好適な範囲の非限定的な例である。本開示の絹溶液は、これらのパラメータのうちの1つ以上(しかし、必ずしも全てではない)を含み得るが、そのようなパラメータの範囲の様々な組み合わせを使用して調製され得る。
【0187】
一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、30.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、25.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、20.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、19.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、18.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、17.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、16.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、15.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、14.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、13.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、12.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、11.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、10.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、9.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、8.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、7.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、6.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、5.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、4.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、3.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、2.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、1.0重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.9重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.8重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.7重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.6重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.5重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.4重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.3重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.2重量%未満である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.1重量%未満である。
【0188】
一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.1重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.2重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.3重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.4重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.5重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.6重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.7重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.8重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、0.9重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、1.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、2.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、3.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、4.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、5.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、6.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、7.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、8.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、9.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、10.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、11.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、12.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、13.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、14.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、15.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、16.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、17.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、18.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、19.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、20.0重量%超である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、25.0重量%超である。
【0189】
一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約30.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約25.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約20.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約15.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約9.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約8.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約7.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約6.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約6.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約5.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約5.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約4.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約4.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約3.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約2.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約2.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約2.4重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.5重量%~約5.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.5重量%~約4.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.5重量%~約4.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.5重量%~約3.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.5重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.5重量%~約2.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約4.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約3.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約2.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約2.4重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約2.0重量%の範囲である。
【0190】
一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約20.0重量%~約30.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約2重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約0.1重量%~約6.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約6.0重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約6.0重量%~約8.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約6.0重量%~約9.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約10.0重量%~約20.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約11.0重量%~約19.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約12.0重量%~約18.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約13.0重量%~約17.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約14.0重量%~約16.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約1.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約2.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約2.4重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約3.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約3.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約4.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約4.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約5.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約5.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約6.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約6.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約7.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約7.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約8.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約8.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約9.0重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約9.5重量%である。一実施形態では、溶液中のSPF(%)は、約10.0重量%である。
【0191】
一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、検出不能~25.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、検出不能~5.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、1.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、2.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、3.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、4.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、5.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、10.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、25.0重量%である。
【0192】
いくつかの実施形態では、本開示の絹フィブロインタンパク質断片は、貯蔵条件、SPFのパーセント、並びに出荷の数及び出荷条件に依存して、10日間~3年間の保管安定性を有する(それらは、水溶液中で貯蔵した場合に、ゆっくりと又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集はなく、したがって経時的な分子量の増加はない)。追加的に、pHを変化させて、絹の未熟な折り畳み及び凝集を防止することにより、保管寿命を延長させることができる及び/又は出荷条件を支援することができる。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~1年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~2年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~3年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~2年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~3年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は2~3年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は2~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は2~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は3~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は3~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は4~5年間である。
【0193】
一実施形態では、本開示の組成物の安定性は10日~6ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は6ヶ月~12ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は12ヶ月~18ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は18ヶ月~24ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は24ヶ月~30ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は30ヶ月~36ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は36ヶ月~48ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は48ヶ月~60ヶ月である。
【0194】
一実施形態では、SPFを有する本開示の組成物は、検出不可能なレベルのLiBr残渣を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、10ppm~1000ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、10ppm~300ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、25ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLi Br残渣の量は、50ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、75ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、100ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、200ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、300ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、400ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、500ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、600ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、700ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、800ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、900ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、1000ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~500ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~450ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残基の量は、検出不能~400ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~350ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~300ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~250ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~200ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~150ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、検出不能~100ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、100ppm~200ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、200ppm~300ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、300ppm~400ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のLiBr残渣の量は、400ppm~500ppmである。
【0195】
一実施形態では、SPFを有する本開示の組成物は、検出不能なレベルのNaCO残渣を有する。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、100ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、200ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、300ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、400ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、500ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、600ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、700ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、800ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、900ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、1000ppm未満である。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~500ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~450ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~400ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~350ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~300ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~250ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~200ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~150ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、検出不能~100ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、100ppm~200ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、200ppm~300ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、300ppm~400ppmである。一実施形態では、本開示の組成物中のNaCO残渣の量は、400ppm~500ppmである。
【0196】
本開示のSPF溶液組成物のユニークな特色は、貯蔵条件、絹のパーセント、並びに出荷の数及び出荷条件に依存して、10日間~3年間の保管安定性である(それらは、水溶液中で貯蔵した場合に、ゆっくりと又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集はなく、したがって経時的な分子量の増加はない)。追加的に、pHを変化させて、絹の未熟な折り畳み及び凝集を防止することにより、保管寿命を延長させることができ及び/又は出荷条件を支持することができる。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、室温(RT)で、最大2週間にわたる保管安定性を有する。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大4週間にわたる保管安定性を有する。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大6週間にわたる保管安定性を有する。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大8週間にわたる保管安定性を有する。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大10週間にわたる保管安定性を有する。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、最大12週間にわたる保管安定性を有する。一実施形態では、本開示のSPF溶液組成物は、RTで、約4週間~約52週間の範囲の保管安定性を有する。
【0197】
以下の表18は、本開示のSPF組成物の実施形態についての保管安定性試験結果を示す。
【表20】
【0198】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロインタンパク質断片から由来する絹フィルムの水溶性は、溶媒アニーリング(水アニーリング又はメタノールアニーリング)、化学架橋、酵素架橋、及び熱処置によって改変することができる。
【0199】
いくつかの実施形態では、アニーリングのプロセスは、コーティング材料として使用される絹フィブロインタンパク質断片溶液中でベータシート形成を誘導することを含み得る。絹フィブロインタンパク質ベースの断片のアニーリング(例えば、増加した結晶化度)又は他の方法での「分子充填」を促進する技術が記載されている。いくつかの実施形態では、非結晶性絹フィルムは、水又は有機溶媒の群から選択される溶媒の存在においてベータシートを導入するためにアニールされる。いくつかの実施形態では、非結晶性絹フィルムは、水の存在においてベータシートを導入するためにアニールされる(水アニーリングプロセス)。いくつかの実施形態では、非結晶性絹フィブロインタンパク質断片フィルムは、メタノールの存在においてベータシートを導入するためにアニールされる。いくつかの実施形態では、アニーリング(例えば、ベータシート形成)は、有機溶媒の添加により誘導される。好適な有機溶媒は、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール、又はそれらの組み合わせを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、アニーリングは、いわゆる「水アニーリング」又は「水蒸気アニーリング」により行われ、それにおいて、水蒸気が、ベータシートのパッキングを促すために、中間可塑剤又は触媒として使用される。いくつかの実施形態では、水アニーリングのプロセスは、真空下で実施され得る。好適なそのような方法が、Jin H-J et al. (2005)、Water-stable Silk Films with Reduced Beta-Sheet Content、Advanced Functional Materials、15:1241-1247;Xiao H. et al. (2011)、Regulation of Silk Material Structure by Temperature-Controlled Water Vapor Annealing、Biomacromolecules、12(5):1686-1696において記載されている。
【0201】
水アニーリングプロセスの重要な特色は、絹フィブロインタンパク質断片ペプチド鎖において結晶性ベータシートの形成を駆動して、絹フィブロインを連続フィルム中に自己構築させることである。いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片フィルムの結晶性は、水蒸気の温度及びアニーリングの期間を制御することにより制御される。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約65℃~約110℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、水の温度は、約80℃に維持される。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約105℃、及び約110℃の群から選択される温度で実施される。
【0202】
いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスが、約1分~約40分、約1分~約50分、約1分~約60分、約1分~約70分、約1分~約80分、約1分~約90分、約1分~約100分、約1分~約110分、約1分~約120分、約1分~約130分、約5分~約40分、約5分~約50分、約5分~約60分、約5分~約70分、約5分~約80分、約5分~約90分、約5分~約100分、約5分~約110分、約5分~約120分、約5分~約130分、約10分~約40分、約10分~約50分、約10分~約60分、約10分~約70分、約10分~約80分、約10分~約90分、約10分~約100分、約10分~約110分、約10分~約120分、約10分~約130分、約15分~約40分、約15分~約50分、約15分~約60分、約15分~約70分、約15分~約80分、約15分~約90分、約15分~約100分、約15分~約110分、約15分~約120分、約15分~約130分、約20分~約40分、約20分~約50分、約20分~約60分、約20分~約70分、約20分~約80分、約20分~約90分、約20分~約100分、約20分~約110分、約20分~約120分、約20分~約130分、約25分~約40分、約25分~約50分、約25分~約60分、約25分~約70分、約25分~約80分、約25分~約90分、約25分~約100分、約25分~約110分、約25分~約120分、約25分~約130分、約30分~約40分、約30分~約50分、約30分~約60分、約30分~約70分、約30分~約80分、約30分~約90分、約30分~約100分、約30分~約110分、約30分~約120分、約30分~約130分、約35分~約40分、約35分~約50分、約35分~約60分、約35分~約70分、約35分~約80分、約35分~約90分、約35分~約100分、約35分~約110分、約35分~約120分、約35分~約130分、約40分~約50分、約40分~約60分、約40分~約70分、約40分~約80分、約40分~約90分、約40分~約100分、約40分~約110分、約40分~約120分、約40分~約130分、約45分~約50分、約45分~約60分、約45分~約70分、約45分~約80分、約45分~約90分、約45分~約100分、約45分~約110分、約45分~約120分、及び約45分~約130分の群から選択される期間持続する。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約1分~約60分の範囲の期間持続する。いくつかの実施形態では、アニーリングプロセスは、約45分~約60分の範囲の期間持続する。処理後のより長い水のアニーリングは、絹フィブロインタンパク質断片の増加した結晶性に対応した。
【0203】
いくつかの実施形態では、アニーリングされた絹フィブロインタンパク質断片膜によって、湿潤絹フィブロインタンパク質断片膜が、100%メタノール中で、室温で60分間にわたり浸漬される。メタノールアニーリングによって、絹フィブロインタンパク質断片膜の組成物が、主に非晶質のランダムコイルから結晶性抗平行ベータシート構造に変化した。
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるSPF溶液を使用して、メタノールでの沈殿によりSPFマイクロ粒子を調製することができる。代替的なフラッシュ乾燥、流動床乾燥、スプレー乾燥、又は真空乾燥を適用して、絹溶液から水を除去することができる。SPF粉末は次に、冷蔵又は他の特別な取り扱い手順を伴うことなく、保存及び取り扱うことができる。いくつかの実施形態では、SPF粉末は低分子量絹フィブロインタンパク質断片を含む。いくつかの実施形態では、SPF粉末は中分子量絹フィブロインタンパク質断片を含む。いくつかの実施形態では、SPF粉末は、低分子量絹フィブロインタンパク質断片及び中分子量絹フィブロインタンパク質断片の混合物を含む。
【0205】
コラーゲンブースティング組成物及びその方法における絹タンパク質断片
本開示は、コラーゲン発現を刺激又は調節することによって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防を必要とする対象において、それを行う方法であって、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約14kDa~約30kDa、約17kDa~約39kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片を含む組成物を、対象に投与することを含む、方法を提供する。絹フィブロイン断片の任意の他の分子量、分子量範囲、及び多分散性、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片を、本開示の方法及び組成物に使用することができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、1~約1.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約1.5~約2.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約1.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約2.0~約2.5の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、約2.5~約3.0の多分散性を有する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約0.001重量%~約10.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片に対して約0.001%(w/w)~約10%(w/w)のセリシンを更に含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物に製剤化する前の少なくとも10日間、水溶液中にある場合、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、色又は濁度が視覚的に変化しない。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約1.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約1.0重量%~約2.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約2.0重量%~約3.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約3.0重量%~約4.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約4.0重量%~約5.0重量%で組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン断片、又は限定するものではないが、本明細書に記載される任意の他の絹タンパク質断片は、組成物の総重量に対して約5.0重量%~約6.0重量%で組成物中に存在する。
【0207】
いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物として、又は外用組成物として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、限定するものではないが、コラーゲンをブーストする(例えば、限定するものではないが、コラーゲン発現を刺激又は調節する)ことによって、皮膚の外観及び感触を改善するために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚上のコラーゲンをブーストするために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、皮内のコラーゲンをブーストするために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、頭皮上のコラーゲンをブーストするために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための液体溶液として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのフィルムとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための固体として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための粉末として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのゲルとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための絹ゲルとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための、リドカイン含有又は不含絹/HAゲルとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための石鹸として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのクリームとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのローションとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのシャンプーとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのコンディショナーとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための栄養剤として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのマスクとして製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするためのオーバー・ザ・カウンター製品として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための薬物として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための治療薬として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための絹コーティング織物として製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンをブーストするための絹コーティング不織材料として製剤化される。
【0208】
いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、皮膚科学的に許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な許容可能な担体を更に含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、懸濁液、エマルジョン、粉末、溶液、分散液、又はエリキシルのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、フォーム、スラリー、軟膏、油、ペースト、坐剤、スプレー、半固体組成物、固体組成物、スティック、又はムースのうちの1つ以上を含む又は製剤化される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、マンニトール又はデキストロースのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、約0.001%~約10%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、約1%~約10%(w/v)、約10%~約25%(w/v)、約25%~約50%(w/v)、又は約50%~約99.99%(w/v)のヒアルロン酸を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、100,000ダルトン以上、150,000ダルトン以上、100万ダルトン以上、又は200万ダルトン以上の分子量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、100,000ダルトン以下、150,000ダルトン以下、100万ダルトン以下、又は200万ダルトン以下の分子量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、高分子量(例えば、約1MDa~約4MDaのHA分子量)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるHAは、低分子量(例えば、約1MDa未満のHA分子量)を有する。いくつかの実施形態では、HA源は、例えばヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸塩であってもよい。いくつかの実施形態では、HAは、架橋されている。架橋HAは、膜、ゲル、半ゲル、スポンジ、又はミクロスフェアなどの各種形状に製剤化することができる。いくつかの実施形態では、架橋HAは、流体ゲル形態であり、すなわち、その容器の形状を呈する。HAゲル又は半ゲルの粘度は、非共役HA及び/又はヒアルロネートの添加によって変化させることができる。粘度はまた、本明細書に記載されるように、SPF-SPF、SPF-HA、及び/又はHA-HA架橋の程度を変化させることによって調節することができる。いくつかの実施形態では、HAの約4%~約12%が、HA-HA又はHA-SPFとして架橋され得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、脂肪族油、脂肪アルコール、脂肪酸、グリセリド、アシルグリセロール、及びリン脂質のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、水相を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸油、脂肪酸エステル、又はカチオン性四級アンモニウム塩のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体の一部は、ポリエポキシリンカー、ジエポキシリンカー、ポリエポキシ-PEG、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ポリアクリレートPEG、ジアクリレートPEG、1,4-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシジルオキシブタン、ジビニルスルホン(DVS)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、UV光、グルタルアルデヒド、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8-ジエポキシオクタン(DEO)、ビスカルボジイミド(BCDI)、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシクロヘキサン、カルボジイミド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される架橋剤、架橋前駆体、又は活性化剤で改変される。いくつかの実施形態では、ポリエポキシリンカーは、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリ-メチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、及びソルビトールポリグリシジルエーテルから選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、組成物は、麻酔薬化合物を更に含む。いくつかの実施形態では、化合物は、ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、アルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、及びトリメカインから選択される。いくつかの実施形態では、組成物は、リドカインを更に含む。いくつかの実施形態では、組成物中のリドカインの濃度は、約0.01%~約1%であり、0.01%の任意の増分を含む。いくつかの実施形態では、組成物中のリドカインの濃度は、約0.3%である。
【0211】
特定の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、組成物注射部位での痛み又は不快感を改善又は軽減するのに有効な量の1つ以上の麻酔薬を含むことができる。局部麻酔薬は、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジサイクロミン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータ-ユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチル-p-アミノベンゾエート、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ネパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセサゼイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、シュードカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、及びそれらの塩からなる群から選択することができる。
【0212】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、重量による、約0.01%~約0.02%、又は約0.03%~約0.04%、又は約0.05%~約0.06%~約0.07%、又は約0.08%~約0.09%、又は約0.1%~約0.2%、又は約0.3%~約0.4%、又は約0.5%~約0.6%、又は約0.7%~約0.8%、又は約0.9%~約1.0%、又は約1%~約1.5%、又は約1.5%~約2.0%、又は約2.0%~約2.5%、又は約2.5%~約3.0%、又は約3.0%~約3.5%、又は約3.5%~約4.0%、又は約4.0%~約4.5%、又は約4.5%~約5.0%、又は約5.0%~約5.5%、又は約5.5%~約6.0%、又は約6.0%~約6.5%、又は約6.5%~約7.0%、又は約7.5%~約8.0%、又は約8.0%~約8.5%、又は約8.5%~約9.0%、又は約9.5%~約10%の濃度のリドカイン又は本明細書に列挙する他の麻酔薬を含み得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な担体は、ゲルを含む、又はゲルとして製剤化される。ゲルは、注射可能なゲル、例えば、限定するものではないが、組織フィラー又は外用投与用ゲルであり得る。好適なゲルは、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2019/005848に記載されている。いくつかの実施形態では、ゲルは、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載される任意の他のSPF、ヒアルロン酸(HA)、並びにポリエチレングリコール(PEG)及び/又はポリプロピレングリコール(PPG)を含む。いくつかの実施形態では、HAの一部は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、及び二級アルコールのうちの1つ以上を含む1つ以上のリンカー部分によって改変又は架橋されており、リンカー部分は、リンカーの一端でHAに付着している。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載される任意の他のSPFの一部は、改変又は架橋されている。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載される任意の他のSPFの一部は、遊離している。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載される任意の他のSPFの一部は、HAに架橋されている。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載される任意の他のSPFの一部は、絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片、又は本明細書に記載される任意の他のSPFに架橋されている。いくつかの実施形態では、絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片は、セリシンを実質的に欠いている。いくつかの実施形態では、ゲルは、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15%の修飾度(MoD)を有する。いくつかの実施形態では、改変又は架橋は、架橋剤として、ジエポキシ-PEG、ポリグリシジル-PEG、ジグリシジル-PEG、ジエポキシ-PPG、ポリグリシジル-PPG、ジグリシジル-PPG、又はそれらの任意の組み合わせを使用して得られる。いくつかの実施形態では、改変又は架橋は、約200Da、約500Da、1000Da、約2,000Da、又は約6000DaのMWを有するポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを使用して得られる。いくつかの実施形態では、改変又は架橋は、約380Da、又は約640DaのMWを有するポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを使用して得られる。いくつかの実施形態では、ゲルは、ヒドロゲルである。いくつかの実施形態では、ゲルは、水を更に含む。いくつかの実施形態では、ゲルは、単相である。いくつかの実施形態では、ゲル中のHA及び絹の総濃度は、約18mg/mL、約19mg/mL、約20mg/mL、約21mg/mL、約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、又は約30mg/mLである。いくつかの実施形態では、ゲル中の絹フィブロイン又は絹フィブロイン断片に対するHAの比は、約92/8、約93/7、約94/6、約95/5、約96/4、約97/3、約18/12、約27/3、約29.4/0.6、約99/1、約92.5/7.5、又は約90/10である。いくつかの実施形態では、ゲルは、真皮フィラーである。いくつかの実施形態では、ゲルは、生分解性である。いくつかの実施形態では、ゲルは、注射可能である。いくつかの実施形態では、ゲルは、30G又は27Gの針を通して注射可能である。いくつかの実施形態では、ゲルは、約5Pa~約500Paの貯蔵弾性率(G’)を有する。いくつかの実施形態では、G’は、約1Hz、約5Hz、又は約10Hzの振動応力により測定される。いくつかの実施形態では、ゲルは、約1Pa・s~約10Pa・sの複素粘度を有する。いくつかの実施形態では、複素粘度は、約1Hz、約5Hz、又は約10Hzの振動応力により測定される。いくつかの実施形態では、ゲルは、ヒアルロン酸(HA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、アルギネート、コンドロイチン-4-硫酸塩、コンドロイチン-6-硫酸塩、キサンタンガム、キトサン、ペクチン、寒天、カラギーナン、及びグアーガムからなる群から選択されるグリコサミノグリカンを含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、組成物は、非経口的に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、注射可能な組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は注入により投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、皮下注射、皮内注射、経皮注射、又は真皮下注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、骨内注射、心臓内注射、関節内注射、又は海綿体内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、デポー注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、浸潤注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、留置カテーテルによって投与される。いくつかの実施形態では、組成物又はその一部は、生体適合性、生分解性、生体吸収性、生体再吸収性、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、流体構成成分、例えば、単一の流体又は実質的に1つ以上の流体を含む溶液を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、水又は水溶液を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、組織の外科的切除後など、当技術分野で知られた任意の手段によって、皮下に注射可能、移植可能、又は送達可能である。いくつかの実施形態では、組成物は、真皮フィラーである。いくつかの実施形態では、組成物は無菌である。
【0215】
実施形態では、本明細書に記載される組成物中の重量パーセント含水量は、約1%、又は約2%、又は約3%、又は約4%、又は約5%、又は約6%、又は約7%、又は約8%、又は約9%、又は約10%、又は約11%、又は約12%、又は約13%、又は約14%、又は約15%、又は約16%、又は約17%、又は約18%、又は約19%、又は約20%、又は約21%、又は約22%、又は約23%、又は約24%、又は約25%、又は約26%、又は約27%、又は約28%、又は約29%、又は約30%、又は約31%、又は約32%、又は約33%、又は約34%、又は約35%、又は約36%、又は約37%、又は約38%、又は約39%、又は約40%、又は約41%、又は約42%、又は約43%、又は約44%、又は約45%、又は約46%、又は約47%、又は約48%、又は約49%、又は約50%、又は約51%、又は約52%、又は約53%、又は約54%、又は約55%、又は約56%、又は約57%、又は約58%、又は約59%、又は約60%、又は約61%、又は約62%、又は約63%、又は約64%、又は約65%、又は約66%、又は約67%、又は約68%、又は約69%、又は約70%、又は約71%、又は約72%、又は約73%、又は約74%、又は約75%、又は約76%、又は約77%、又は約78%、又は約79%、又は約80%、又は約81%、又は約82%、又は約83%、又は約84%、又は約85%、又は約86%、又は約87%、又は約88%、又は約89%、又は約90%、又は約91%、又は約92%、又は約93%、又は約94%、又は約95%である。
【0216】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現をブーストすることに加えて、組成物を軟組織内及びその周辺に投与して、ボリュームを与え、軟組織欠損を補助、又は別様に治療することができる。本明細書に記載される組成物は、真皮下の複数レベルに投与され得る。本明細書で使用される場合、「軟組織」という用語は、体の他の構造及び臓器を結合、支持、又は囲むものを指し得る。例えば、本明細書に記載される軟組織は、限定するものではないが、皮膚、真皮組織、真皮下組織、皮膚組織、皮下組織、硬膜内組織、筋肉、腱、靭帯、線維組織、脂肪、血管及び動脈、神経、並びに滑膜(皮内)組織を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示は、個体の軟組織状態を治療する方法であって、本明細書で開示される1つ以上の組成物を個体の軟組織状態の部位に投与することを含み、組成物の投与が、軟組織状態を改善して、それによって軟組織状態を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、軟組織状態は、乳房組織の状態、顔面組織の状態、頸部の状態、皮膚の状態、上腕の状態、下腕の状態、手部の状態、肩部の状態、背部の状態、胴部(腹部を含む)の状態、臀部の状態、大腿の状態、下腿の状態(ふくらはぎの状態を含む)、足部の状態(足底脂肪パッドの状態を含む)、眼の状態、生殖器の状態、又は他の身体の一部、領域、若しくは範囲に範囲を及ぼす状態である。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示は、限定するものではないが、表皮-真皮接合部を含む皮膚の領域、並びに表層真皮(乳頭領域)及び深部真皮(網状領域)を含む真皮を含む真皮領域に関する組成物及び治療方法を提供する。皮膚は3つの一次層で構成される:防水性を提供し、感染に対するバリアとして機能する表皮;皮膚の付属物のための場所としての役目を果たす真皮;及び皮下組織(皮下脂肪層)。表皮は血管を含まず、真皮からの拡散により栄養供給される。表皮を構成する細胞の主な種類は、ケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、及びメルケル細胞である。
【0218】
一実施形態では、本明細書に記載される組成物を、1つ以上の状態の治療を必要とする患者においてそれを行う方法に提供され得る。いくつかの実施形態では、治療有効量の組成物を、状態又は他の組織欠損を治療するために、それを必要とする患者の組織に送達することができる。
【0219】
本明細書で使用される場合、「治療している(treating)」、「治療する(treat)」、又は「治療(treatment)」という用語は、患者において、状態、例えば軟組織の状態などの美容的又は臨床的症状を低下又は排除する、あるいは、個体において、状態の美容的又は臨床的症状の発症を遅延又は予防することを指す。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物によって治療される状態は、軟組織の状態を含み得る。軟組織の状態は、限定されないが、身体の一部、領域、又は範囲の増大、再建、疾患、障害、欠損、又は不完全性を含む。一態様では、開示の組成物によって治療される軟組織の状態は、限定するものではないが、顔面の増大、顔面の再建、顔面の疾患、顔面の障害、顔面の欠陥、又は顔面の不完全性を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物によって治療される軟組織の状態は、限定するものではないが、皮膚の脱水、皮膚弾力の欠如、皮膚の荒れ、皮膚の張りの欠如、皮膚のストレッチライン若しくはマーク、皮膚の蒼白、真皮の凹み、窪んだ頬、窪んだこめかみ、薄い唇、尿道の欠陥、皮膚の欠陥、乳房の欠陥、後眼窩欠陥、顔面のひだ、又は皺を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物によって治療される軟組織状態は、限定するものではないが、乳房の不完全性、欠損、疾患、及び/又は障害、例えば、乳房の増大、乳房の再建、乳房固定術、小乳房症、胸椎低形成、ポーランド症候群、被膜収縮及び/又は破裂などのインプラント合併症に起因する欠損;顔面の不完全性、欠損、疾患、又は障害、例えば、顔面の増大、顔面の再建、Parry-Romberg症候群、エリテマトーデスの隆起、皮膚の凹み、陥没した頬、陥没したこめかみ、薄い唇、鼻の不完全性又は欠損、後眼窩の不完全性又は欠損、顔面のひだ、線、及び/又は眉間線などの皺、鼻唇溝、口周囲線、及び/又はマリオネットライン、及び/又は顔の他の輪郭の変形若しくは不完全性;首の不完全性、欠損、疾患、又は障害;皮膚の不完全性、欠損、疾患、及び/又は障害;他の軟組織の不完全性、欠損、疾患、及び/又は障害、例えば、上腕、下肢、手、肩、背中、腹部を含む胴体、殿部、上腿、ふくらはぎを含む下腿、足底脂肪パッドを含む足、眼、生殖器、又は他の身体の一部、領域、若しくは範囲の増大又は再構成、あるいはこれらの身体の一部、領域、若しくは範囲に影響を及ぼす疾患若しくは障害など;尿失禁、便失禁、他の型の失禁;及び胃食道逆流症(GERD)を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、限定するものではないが、皮膚、真皮組織、真皮下組織、皮膚組織、皮下組織、硬膜内組織、筋肉、腱、靭帯、線維組織、脂肪、血管及び動脈、神経、並びに滑膜(皮内)組織を含む軟組織に送達され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、細胞接着、遊走、及び増殖シグナルとともに人工生分解性マトリックスを提供することによって、創傷内に直接配置されて治癒を助けることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、生分解性メッシュ若しくは他の移植材料上にコーティングされ得るか、又はそれ自体が、シート又は他の構造に形成され得るか、又は水和形態で維持され得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法のいずれかとともに使用される組成物の量は、所望の変化及び/又は改善、所望の状態の症状の低下及び/又は除去、個人及び/又は医師により望まれる臨床及び/又は美容効果、並びに治療される身体部分又は領域に基づいて決定される。組成物投与の有効性は、以下の臨床的及び/又は美容的尺度のうちの1つ以上によって表され得る:変化した及び/又は改善された軟組織形状、変化した及び/又は改善された軟組織サイズ、変化した及び/又は改善された軟組織輪郭、変化した及び/又は改善された組織機能、組織内部成長サポート、及び/又は新たなコラーゲン沈着、組成物の持続移植、改善された患者の満足度及び/又は生活の質、並びに移植可能な異物の減少した使用。例えば、乳房増大の手順について、組成物及び方法の有効性は、以下の臨床的及び/又は美容的尺度の1つ以上により表すことができる:増加した乳房サイズ、変化した乳房形状、変化した乳房輪郭、持続生着、莢膜収縮のリスクにおける低下、脂肪壊死性嚢胞形成の減少した速度、改善した患者の満足度及び/又は生活の質、並びに乳房インプラントの減少した使用。
【0224】
いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、対象における1つ以上のメタロプロテイナーゼ(MMP)の発現を減少させる。いくつかの実施形態では、コラーゲン発現を刺激又は調節することは、コラーゲン発現を増加させることを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%増加する。
【0226】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、約129%、約130%、約131%、約132%、約133%、約134%、約135%、約136%、約137%、約138%、約139%、約140%、約141%、約142%、約143%、約144%、約145%、約146%、約147%、約148%、約149%、約150%、約151%、約152%、約153%、約154%、約155%、約156%、約157%、約158%、約159%、約160%、約161%、約162%、約163%、約164%、約165%、約166%、約167%、約168%、約169%、約170%、約171%、約172%、約173%、約174%、約175%、約176%、約177%、約178%、約179%、約180%、約181%、約182%、約183%、約184%、約185%、約186%、約187%、約188%、約189%、約190%、約191%、約192%、約193%、約194%、約195%、約196%、約197%、約198%、約199%、又は約200%増加する。
【0227】
いくつかの実施形態では、コラーゲン発現は、ベースレベルに対して、約225%、又は約250%、又は約275%、又は約300%、又は約325%、又は約350%、又は約375%、又は約400%、又は約425%、又は約450%、又は約475%、又は約500%、又は約525%、又は約550%、又は約575%、又は約600%、又は約625%、又は約650%、又は約675%、又は約700%、又は約725%、又は約750%、又は約775%、又は約800%、又は約825%、又は約850%、又は約875%、又は約900%、又は約925%、又は約950%、又は約975%、又は約1000%増加する。
【0228】
いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、対象における皺を予防若しくは改善すること、対象における加齢性色素斑を予防若しくは改善すること、対象における乾燥肌を予防若しくは改善すること、対象における不均一な皮膚の色調を高めること、又は皮膚の外観及び感触を改善することのうちの1つ以上をもたらす。皮膚の外観及び感触の改善は、限定するものではないが、損傷した皮膚の外観及び感触を改善するだけでなく、そうでなければ視覚的には損傷していない皮膚の外観及び感触を改善することも含む。いくつかの実施形態では、組成物を投与することは、対象における皮膚のたるみを予防若しくは改善すること、対象における皮膚の老化を予防若しくは改善すること、対象における低減した皮膚の引張強度を予防若しくは改善すること、対象における光損傷した皮膚を予防若しくは改善すること、又は対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を予防若しくは改善することのうちの1つ以上をもたらす。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、低減した皮膚の引張強度、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皮膚の状態を含む。いくつかの実施形態では、皮膚の状態は、皮膚の脱水、皮膚弾力の欠如、皮膚の荒れ、皮膚の張りの欠如、皮膚のストレッチライン、皮膚のストレッチマーク、皮膚の蒼白、真皮の凹み、窪んだ頬、窪んだこめかみ、薄い唇、後眼窩欠損、顔面のひだ、及び皺であり得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、開示される治療方法は、増大、再建、疾患の治療、障害の治療、身体の一部、領域、又は範囲の欠陥又は不完全性の治療を含む。いくつかの実施形態では、開示される治療方法は、顔面の増大、顔面の再建、顔面の疾患の治療、顔面の障害の治療、顔面の欠陥の治療、又は顔面の不完全性の治療を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、レーザー治療の前、後、又は最中に本開示の組成物を投与すること、皮膚剥離の前、後、又は最中に本開示の組成物を投与すること、放射線治療の前、後、又は最中に本開示の組成物を投与することのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、限定するものではないが、任意のタイプの火傷(例えば、熱傷、日焼け、火による火傷、熱水火傷、放射線熱傷、化学火傷など)を含む火傷を治療するために、本開示の組成物を投与することのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、限定するものではないが、第1度、第2度、又は第3度の火傷を含む火傷を治療するために、本開示の組成物を投与することのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、提供される治療方法は、加齢による皮膚状態を治療するために、本開示の組成物を投与することのうちの1つ以上を含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、甲状腺ホルモン誘発性心筋肥大を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腱の断裂、損傷、又は裂傷を含む。いくつかの実施形態では、腱は、小円筋腱、棘下筋腱、棘上筋腱、肩甲下筋腱、三角筋腱、二頭筋腱、三頭筋腱、腕橈骨筋腱、回外筋腱、橈側手根屈筋腱、尺側手根屈筋腱、長橈側手根伸筋腱、短橈側手根伸筋腱、腸腰筋腱、内閉鎖筋腱、長内転筋腱、腓骨又はマグナス筋腱、大殿筋又は中殿筋腱、四頭筋腱、膝蓋腱、膝窩腱、縫工筋腱、腓腹筋腱、アキレス腱、ヒラメ筋腱、前脛骨筋腱、長腓骨筋腱、長指屈筋腱、骨間筋腱、深指屈筋腱、小趾外転筋腱、母指対立筋腱、長母指屈筋腱、母指伸筋又は外転筋腱(Extensor or abductor pollicis tendons)、長母趾屈筋腱、短趾屈筋腱、中様筋腱、母趾外転筋腱、長趾屈筋腱、小趾外転筋腱、眼筋腱、眼瞼挙筋腱、咬筋腱、側頭筋腱、僧帽筋腱、胸鎖乳突筋腱、頭半棘筋又は頭板状筋腱、顎舌骨筋又は甲状舌骨筋腱、胸骨舌骨筋腱、腹直筋腱、外腹斜筋腱、腹横筋腱、広背筋腱、及び脊柱起立筋腱から選択される。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、ウェルナー症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、低下した糖尿病性皮膚の完全性を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節炎を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、関節リウマチを含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腫瘍の進行又は腫瘍の成長を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、低下した心機能を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、エーラス・ダンロス症候群を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、腹部大動脈瘤を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、創傷を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、皮膚又は結合組織の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、軟骨の疾患を含む。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、再発性多発軟骨炎、ティーツェ症候群、蜂巣炎、エーラス・ダンロス症候群、ケロイド(にきびケロイドを含む)、ムコポリサダリドーシスI(mucopolysaddaridosis I)、壊死性障害(環状肉芽腫、リポイド類壊死症を含む)、骨形成不全症、皮膚弛緩症、皮膚筋炎、デュピュイトラン拘縮、ホモシスチン尿症、エリテマトーデス(皮膚、円板状、深在性、全身性、及び腎炎を含む)、マルファン症候群、混合性結合組織疾患、ムチン沈着症(濾胞性を含む)、ムコ多糖症(I、II、UU、IV、IV、及びVII)、粘液水腫、成年性浮腫性硬化症及び滑液嚢腫、結合組織新生物、ヌーナン症候群、骨斑紋症、硬結性紅斑を含む脂肪織炎、結節性非化膿性及び腹膜、陰茎硬化症、弾性線維性仮性黄色腫、関節炎を含むリウマチ性疾患(関節リウマチ、若年性関節リウマチ、カプラン症候群、フェルティ症候群、リウマトイド結節、強直性脊椎炎、及びスチル病)、骨増殖症、リウマチ性多発筋痛症、限局性強皮症、並びに全身性強皮症(CREST症候群)から選択される。いくつかの実施形態では、障害、疾患、又は状態は、好酸球増多随伴性血管類リンパ組織増殖症;瘢痕(cicatix)(肥厚性(hypertophic)を含む);皮膚瘻、皮膚弛緩症(cuis laxa);肢端皮膚炎、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎(アレルギー性接触、光アレルギー性、ウルシ)、刺激性皮膚炎(光毒性、おむつかぶれ)、職業性皮膚炎を含む皮膚炎;剥脱性皮膚炎、疱疹状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、薬疹(中毒性表皮壊死症、結節性紅斑、血清病など)、発汗異常性、間擦疹、神経皮膚炎、及び放射線皮膚炎を含む湿疹;皮膚筋炎;慢性遊走性、硬結性、伝染性、多形性(スティーヴンス・ジョンソン症候群)、及び結節性(スイート症候群)を含む紅斑;突発性を含む発疹;ざ瘡様発疹を含む顔面皮膚疾患(ケロイド、酒さ、尋常性、及びファーブル・ラクーショー症候群);水虫を含む足の皮膚疾患;手の皮膚疾患;ケラトアカントーマ;皮膚硬結、真珠腫性中耳炎(中耳を含む)、魚鱗癬(先天性魚鱗癬様紅皮症(congenital ichtyosiform erythroderms)、表皮剥離性角質増殖症、葉状魚鱗癬、尋常性魚鱗癬、X連鎖性魚鱗癬、及びシェーグレン・ラルソン症候群を含む)、膿漏性角皮症、掌蹠角皮症(palmoplantar keratoderms)、毛包性角化症、脂漏性角化症、不全角化症、及び汗孔角化症を含む角化症;脚部皮膚疾患、マスト細胞症(色素性蕁麻疹)、類壊死症(環状肉芽腫及びリポイド類壊死症)、光過敏症(光アレルギー性又は光毒性皮膚炎(photoxic dermatitis)、種痘様水疱症、日光皮膚炎(sundurn)、及び色素性乾皮症);銀皮症、色素沈着、メラノーシス、黒色表皮腫(aconthosis nigricans)、黒子、ポイツ・ジェガース症候群、低色素沈着、先天性白皮症、まだら症(pibaldism)、白斑、色素失調症、色素性蕁麻疹、色素性乾皮症、痒疹を含む色素異常症;掻痒症(肛門及び外陰部を含む);膿瘡及び壊疽性膿皮症を含む膿皮症;頭皮疾患(sclap dermatoses);成人性浮腫性強皮症(sclerodema adultorum);新生児皮膚硬化症(sclerma neonatorum);毛髪疾患(脱毛症、毛包炎、男性型多毛症、多毛症(hypertichosis)、縮れ毛症候群)、爪疾患(ネイル・パテラ症候群、嵌入爪又は爪形成異常、爪真菌症、爪周囲炎)、皮脂腺疾患(鼻瘤、新生物)、汗腺疾患(化膿性汗腺炎、多汗症、乏汗症、稗粒腫(miliara)、フォックス・フォアダイス病、新生物)を含む皮膚付属器(skin appenage)疾患;先天性白皮症(alfinism)、皮膚弛緩症、家族性良性慢性天疱瘡、ポルフィリン症、肢端皮膚炎、外胚葉形成不全症、エリス・ファンクレフェルト症候群、巣状皮膚低形成、エーラス・ダンロス症候群、表皮水疱症、魚鱗癬(ichtysosis)を含む遺伝性皮膚疾患;皮膚真菌症、ブラストミセス症、カンジタ症、黒色分芽菌症、マズラ菌症、パラコクシジオイデス症、スポロトリクム症、白癬を含む感染性皮膚疾患;頸部顔面放線菌症、細菌性血管腫症(bacilliary angiomatosis)、膿瘡、丹毒、慢性遊走性紅斑、紅色陰癬、鼠径部肉芽腫、化膿性汗腺炎、マズラ菌症、爪周囲炎、ピンタ、鼻硬化症、ブドウ球菌皮膚感染症(せつ腫症(furuncolosis)、癰、膿痂疹、熱傷様皮膚症候群)、皮膚梅毒、皮膚結核、フランベジアを含む細菌性皮膚疾患;幼虫移行症、リーシュマニア症、シラミ寄生症、及び疥癬を含む寄生性皮膚疾患;伝染性紅斑、突発性発疹、単純ヘルペス、伝染性軟属腫(moolusum contagiosum)、及び疣贅を含むウイルス性皮膚疾患から選択される。
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法のいずれかで使用される組成物の量は、典型的には、治療有効量である。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、「有効量」、「治療有効用量」、及び/又は「有効用量」と同義であり、それを必要とする患者における予想される生物学的、美容的、又は臨床応答を引き起こす組成物の量を指す。非限定的な例として、有効量は、本明細書に開示された臨床的及び/又は美容的対策のうちの1つ以上を達成するのに十分な量である。開示される方法の特定の適用のために投与される適した有効量が、本明細書に提供される指針を使用して、当業者により決定されることができる。例えば、有効量は、本明細書に記載される任意の及び全てのインビトロ及びインビボアッセイから推定することができる。当業者は、個体の状態を治療の経過を通してモニタリングすることができること、及び投与される、本明細書で開示される組成物の有効量を適宜調整することができることを認識する。
【0233】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、少なくとも0.001g、又は少なくとも0.002g、又は少なくとも0.003g、又は少なくとも0.004g、又は少なくとも0.005g、又は少なくとも0.006g、又は少なくとも0.007g、又は少なくとも0.008g、又は少なくとも0.009g、又は少なくとも0.01g、又は少なくとも0.02g、又は少なくとも0.03g、又は少なくとも0.04g、又は少なくとも0.05g、又は少なくとも0.06g、又は少なくとも0.07g、又は少なくとも0.08g、又は少なくとも0.09g、又は少なくとも0.1g、又は少なくとも0.2g、又は少なくとも0.3g、又は少なくとも0.4g、又は少なくとも0.5g、又は少なくとも0.6g、又は少なくとも0.7g、又は少なくとも0.8g、又は少なくとも0.9g、又は少なくとも1g、又は少なくとも2g、又は少なくとも3g、又は少なくとも4g、又は少なくとも5g、又は少なくとも6g、又は少なくとも7g、又は少なくとも8g、又は少なくとも9g、又は少なくとも10g、又は少なくとも11g、又は少なくとも12g、又は少なくとも13g、又は少なくとも14g、又は少なくとも15g、又は少なくとも20g、又は少なくとも25g、又は少なくとも30g、又は少なくとも35g、又は少なくとも40g、又は少なくとも45g、又は少なくとも50g、又は少なくとも55g、又は少なくとも60g、又は少なくとも65g、又は少なくとも70g、又は少なくとも75g、又は少なくとも80g、又は少なくとも85g、又は少なくとも90g、又は少なくとも95g、又は少なくとも100gである。
【0234】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、最大0.001g、又は最大0.002g、又は最大0.003g、又は最大0.004g、又は最大0.005g、又は最大0.006g、又は最大0.007g、又は最大0.008g、又は最大0.009g、又は最大0.01g、又は最大0.02g、又は最大0.03g、又は最大0.04g、又は最大0.05g、又は最大0.06g、又は最大0.07g、又は最大0.08g、又は最大で0.09g、又は最大で0.1g、又は最大で0.2g、又は最大で0.3g、又は最大で0.4g、又は最大で0.5g、又は最大で0.6g、又は最大で0.7g、又は最大0.8g、又は最大0.9g、又は最大1g、又は最大2g、又は最大3g、又は最大4g、又は最大5g、又は最大6g、又は最大7g、又は最大8g、又は最大9g、又は最大10g、又は最大11g、又は最大12g、又は最大13g、又は最大14g、又は最大15g、又は最大20g、又は最大25g、又は最大30g、又は最大35g、又は最大40g、又は最大45g、又は最大50g、又は最大55g、又は最大60g、又は最大65g、又は最大70g、又は最大75g、又は最大80g、又は最大85g、又は最大90g、又は最大95g、又は最大100gである。
【0235】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、約0.001g、又は約0.002g、又は約0.003g、又は約0.004g、又は約0.005g、又は約0.006g、又は約0.007g、又は約0.008g、又は約0.009g、又は約0.01g、又は約0.02g、又は約0.03g、又は約0.04g、又は約0.05g、又は約0.06g、又は約0.07g、又は約0.08g、又は約0.09g、又は約0.1g、又は約0.2g、又は約0.3g、又は約0.4g、又は約0.5g、又は約0.6g、又は約0.7g、又は約0.8g、又は約0.9g、又は約1g、又は約2g、又は約3g、又は約4g、又は約5g、又は約6g、又は約7g、又は約8g、又は約9g、又は約10g、又は約11g、又は約12g、又は約13g、又は約14g、又は約15g、又は約20g、又は約25g、又は約30g、又は約35g、又は約40g、又は約45g、又は約50g、又は約55g、又は約60g、又は約65g、又は約70g、又は約75g、又は約80g、又は約85g、又は約90g、又は約95g、又は約100gである。
【0236】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の量は、限定するものではないが、0.001g~0.01g、又は0.01g~0.1g、又は0.1g~1g、又は1g~10g、又は10g~20g、又は20g~30g、又は30g~40g、又は40g~50g、又は50g~60g、又は60g~70g、又は70g~80g、又は80g~90g、又は90g~100gである。
【0237】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の容積は、限定するものではないが、少なくとも0.01mL、又は少なくとも0.02mL、又は少なくとも0.03mL、又は少なくとも0.04mL、又は少なくとも0.05mL、又は少なくとも0.06mL、又は少なくとも0.07mL、又は少なくとも0.08mL、又は少なくとも0.09mL、又は少なくとも0.10mL、又は少なくとも0.15mL、又は少なくとも0.20mL、又は少なくとも0.25mL、又は少なくとも0.30mL、又は少なくとも0.35mL、又は少なくとも0.40mL、又は少なくとも0.45mL、又は少なくとも0.50mL、又は少なくとも0.55mL、又は少なくとも0.60mL、又は少なくとも0.65mL、又は少なくとも0.70mL、又は少なくとも0.75mL、又は少なくとも0.80mL、又は少なくとも0.85mL、又は少なくとも0.90mL、又は少なくとも0.95mL、又は少なくとも1mL、又は少なくとも2mL、又は少なくとも3mL、又は少なくとも4mL、又は少なくとも5mL、又は少なくとも6mL、又は少なくとも7mL、又は少なくとも8mL、又は少なくとも9mL、又は少なくとも10mL、又は少なくとも15mL、又は少なくとも20mL、又は少なくとも25mL、又は少なくとも30mL、又は少なくとも35mL、又は少なくとも40mL、又は少なくとも45mL、又は少なくとも50mL、又は少なくとも55mL、又は少なくとも60mL、又は少なくとも65mL、又は少なくとも70mL、又は少なくとも75mL、又は少なくとも80mL、又は少なくとも85mL、又は少なくとも90mL、又は少なくとも95mL、又は少なくとも100mL、又は少なくとも110mL、又は少なくとも120mL、又は少なくとも130mL、又は少なくとも140mL、又は少なくとも150mL、又は少なくとも160mL、又は少なくとも170mL、又は少なくとも180mL、又は少なくとも190mL、又は少なくとも200mL、又は少なくとも210mL、又は少なくとも220mL、又は少なくとも230mL、又は少なくとも240mL、又は少なくとも250mL、又は少なくとも260mL、又は少なくとも270mL、又は少なくとも280mL、又は少なくとも290mL、又は少なくとも300mL、又は少なくとも325、350mL、又は少なくとも375mL、又は少なくとも400mL、又は少なくとも425mL、又は少なくとも450mL、又は少なくとも475mL、又は少なくとも500mL、又は少なくとも525mL、又は少なくとも550mL、又は少なくとも575mL、又は少なくとも600mL、又は少なくとも625mL、又は少なくとも650mL、又は少なくとも675mL、又は少なくとも700mL、又は少なくとも725mL、又は少なくとも750mL、又は少なくとも775mL、又は少なくとも800mL、又は少なくとも825mL、又は少なくとも850mL、又は少なくとも875mL、又は少なくとも900mL、又は少なくとも925mL、又は少なくとも950mL、又は少なくとも975mL、又は少なくとも1000mLである。
【0238】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の容積は、限定するものではないが、最大0.01mL、又は最大0.02mL、又は最大0.03mL、又は最大0.04mL、又は最大0.05mL、又は最大0.06mL、又は最大0.07mL、又は最大0.08mL、又は最大0.09mL、又は最大0.10mL、又は最大0.15mL、又は最大0.20mL、又は最大0.25mL、又は最大0.30mL、又は最大0.35mL、又は最大0.40mL、又は最大0.45mL、又は最大0.50mL、又は最大0.55mL、又は最大0.60mL、又は最大0.65mL、又は最大0.70mL、又は最大0.75mL、又は最大0.80mL、又は最大0.85mL、又は最大0.90mL、又は最大0.95mL、又は最大1mL、又は最大2mL、又は最大3mL、又は最大4mL、又は最大5mL、又は最大6mL、又は最大7mL、又は最大8mL、又は最大9mL、又は最大10mL、又は最大15mL、又は最大20mL、又は最大25mL、又は最大30mL、又は最大35mL、又は最大40mL、又は最大45mL、又は最大50mL、又は最大55mL、又は最大60mL、又は最大65mL、又は最大70mL、又は最大75mL、又は最大80mL、又は最大85mL、又は最大90mL、又は最大95mL、又は最大100mL、又は最大110mL、又は最大120mL、又は最大130mL、又は最大140mL、又は最大150mL、又は最大160mL、又は最大170mL、又は最大180mL、又は最大190mL、又は最大200mL、又は最大210mL、又は最大220mL、又は最大230mL、又は最大240mL、又は最大250mL、又は最大260mL、又は最大270mL、又は最大280mL、又は最大290mL、又は最大300mL、又は最大325、350mL、又は最大375mL、又は最大400mL、又は最大425mL、又は最大450mL、又は最大475mL、又は最大500mL、又は最大525mL、又は最大550mL、又は最大575mL、又は最大600mL、又は最大625mL、又は最大650mL、又は最大675mL、又は最大700mL、又は最大725mL、又は最大750mL、又は最大775mL、又は最大800mL、又は最大825mL、又は最大850mL、又は最大875mL、又は最大900mL、又は最大925mL、又は最大950mL、又は最大975mL、又は最大1000mLである。
【0239】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の容積は、限定するものではないが、約0.01mL、又は約0.02mL、又は約0.03mL、又は約0.04mL、又は約0.05mL、又は約0.06mL、又は約0.07mL、又は約0.08mL、又は約0.09mL、又は約0.10mL、又は約0.15mL、又は約0.20mL、又は約0.25mL、又は約0.30mL、又は約0.35mL、又は約0.40mL、又は約0.45mL、又は約0.50mL、又は約0.55mL、又は約0.60mL、又は約0.65mL、又は約0.70mL、又は約0.75mL、又は約0.80mL、又は約0.85mL、又は約0.90mL、又は約0.95mL、又は約1mL、又は約2mL、又は約3mL、又は約4mL、又は約5mL、又は約6mL、又は約7mL、又は約8mL、又は約9mL、又は約10mL、又は約11mL、又は約12mL、又は約13mL、又は約14mL、又は約15mL、又は約16mL、又は約17mL、又は約18mL、又は約19mL、又は約20mL、又は約21mL、又は約22mL、又は約23mL、又は約24mL、又は約25mL、又は約26mL、又は約27mL、又は約28mL、又は約30mL、又は約35mL、又は約36mL、又は約37mL、又は約38mL、又は約39mL、又は約40mL、又は約41mL、又は約42mL、又は約43mL、又は約44mL、又は約45mL、又は約46mL、又は約47mL、又は約48mL、又は約49mL、又は約50mL、又は約51mL、又は約52mL、又は約53mL、又は約54mL、又は約55mL、又は約56mL、又は約57mL、又は約58mL、又は約59mL、又は約60mL、又は約61mL、又は約62mL、又は約63mL、又は約64mL、又は約65mL、又は約66mL、又は約67mL、又は約68mL、又は約69mL、又は約70mL、又は約71mL、又は約72mL、又は約73mL、又は約74mL、又は約75mL、又は約76mL、又は約77mL、又は約78mL、又は約79mL、又は約80mL、又は約81mL、又は約82mL、又は約83mL、又は約84mL、又は約85mL、又は約86mL、又は約87mL、又は約88mL、又は約89mL、又は約90mL、又は約91mL、又は約92mL、又は約93mL、又は約94mL、又は約95mL、又は約96mL、又は約97mL、又は約98mL、又は約99mL、又は約100mL、又は約110mL、又は約120mL、又は約130mL、又は約140mL、又は約150mL、又は約160mL、又は約170mL、又は約180mL、又は約190mL、又は約200mL、又は約210mL、又は約220mL、又は約230mL、又は約240mL、又は約250mL、又は約260mL、又は約270mL、又は約280mL、又は約290mL、又は約300mL、又は約310mL、又は約320mL、又は約330mL、又は約340mL、又は約350mL、又は約360mL、又は約370mL、又は約380mL、又は約390mL、又は約400mL、又は約410mL、又は約420mL、又は約430mL、又は約440mL、又は約450mL、又は約460mL、又は約470mL、又は約480mL、又は約490mL、又は約500mL、又は約510mL、又は約520mL、又は約530mL、又は約540mL、又は約550mL、又は約560mL、又は約570mL、又は約580mL、又は約590mL、又は約600mL、又は約610mL、又は約620mL、又は約630mL、又は約640mL、又は約650mL、又は約660mL、又は約670mL、又は約680mL、又は約690mL、又は約700mL、又は約710mL、又は約720mL、又は約730mL、又は約740mL、又は約750mL、又は約760mL、又は約770mL、又は約780mL、又は約790mL、又は約800mL、又は約810mL、又は約820mL、又は約830mL、又は約840mL、又は約850mL、又は約860mL、又は約870mL、又は約880mL、又は約890mL、又は約900mL、又は約910mL、又は約920mL、又は約930mL、又は約940mL、又は約950mL、又は約960mL、又は約970mL、又は約980mL、又は約990mL、又は約1000mLである。
【0240】
いくつかの実施形態では、投与される組成物の容積は、限定するものではないが、0.01mL~0.10mL、又は0.10mL~1mL、又は1mL~10mL、又は10mL~100mL、又は50mL~100mL、又は100mL~150mL、又は150mL~200mL、又は200mL~250mL、又は250mL~300mL、又は300mL~350mL、又は350mL~400mL、又は400mL~450mL、又は450mL~500mL、又は500mL~550mL、又は550mL~600mL、又は600mL~650mL、又は650mL~700mL、又は700mL~750mL、又は750mL~800mL、又は800mL~850mL、又は850mL~900mL、又は900mL~950mL、又は950mL~1000mL、又は1mL~25mL、又は1mL~50mL、又は1mL~75mL、又は1mL~100mL、又は10mL~25mL、又は10mL~50mL、又は10mL~75mL、又は100mL~250mL、又は100mL~500mL、又は100mL~750mL、又は100mL~1000mLである。
【0241】
コラーゲン刺激組成物としての絹フィブロインタンパク質断片
カイコであるBombyx mori由来の未加工の絹は、2つの主要タンパク質で構成される:絹フィブロイン(約75%)及びセリシン(約25%)。絹フィブロインは、剛性及び強度を提供する半結晶構造を伴う線維性タンパク質である。本明細書で使用される場合、「絹フィブロイン」という用語は、約370,000Daの重量平均分子量を有するBombyx moriの繭の線維を意味する。粗製カイコ繊維は、フィブロインの二重糸からなる。これらの二重繊維を一緒に保持している接着物質がセリシンである。絹フィブロインは、約350,000Daの重量平均分子量を有する重鎖(H鎖)、及び約25,000Daの重量平均分子量を有する軽鎖(L鎖)で構成される。
【0242】
これらのフィブリル絹フィブロインの、水溶性絹フィブロインタンパク質断片への変換は、濃縮重塩(concentrated heavy salt)(例えば、8~10Mの臭化リチウム)の添加を必要とし、これが、そうでなければフィブロインタンパク質を水に対して不溶性にする、分子間及び分子内のイオン結合及び水素結合に干渉する。絹フィブロイン若しくは絹フィブロイン断片を作製する方法、及び/又はその組成物は、知られており、例えば、米国特許第9,187,538号、同第9,511,012号、同第9,517,191号、同第9,522,107号、同第9,522,108号、同第9,545,369号、及び同第10,166,177号に記載されている。
【0243】
本明細書では、未加工の未精練、部分精練、又は精練済みのカイコ繊維を、中性臭化リチウム塩で溶解することによって得られる絹タンパク質断片(SPF)混合溶液が提供される。未加工のカイコ繊維は、セリシンを除去し、断片混合物の所望の重量平均分子量(M)及び多分散性(PD)を達成するために、選択された温度及び他の条件下で処理される。選択したプロセスパラメータは、使用目的に応じて異なる最終絹タンパク質断片の特性を達成するように変更され得る。結果として得られる最終断片溶液は、プロセス汚染物質のPPMから検出不能なレベル、医薬、医療、及び消費者化粧品市場で許容可能なレベルを有する絹タンパク質断片及び水である。溶液中の絹タンパク質断片の濃度、サイズ、及び多分散性は、所望の用途及び性能要件に応じて更に変更され得る。
【0244】
一実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法における適用のために有用な絹タンパク質断片溶液は、以下の工程に従って調製される:Bombyx moriのカイコから絹繭の小片を形成する工程、NaCO水溶液中で約100℃において約60分間、小片を抽出して(水の容量は、未加工の絹重量の約0.4×に等しく、NaCOの量は、小片の重量の約0.848×である)、絹フィブロイン抽出物を形成する工程、絹フィブロイン抽出物を、約60℃で、リンス水の容量中での1回のリンス当たり約20分間にわたり3回リンスする工程(各々のサイクルについてのリンス水は、約0.2L×の小片の重量に等しい)、絹フィブロイン抽出物から過剰な水を除去する工程、絹フィブロイン抽出物を乾燥する工程、乾燥絹フィブロイン抽出物をLiBr溶液中に溶解する工程(、LiBr溶液がまず約100℃に加熱されて、絹及びLiBr溶液を作製し、維持される)、絹及びLiBr溶液を、約100℃で約60分間にわたり乾燥オーブン中に入れ、天然絹タンパク質構造の完全な溶解及び更なる断片化を、所望の分子量及び多分散性を伴う混合物中に達成する工程、溶液を濾過して、カイコからの全ての残る残骸を除去する工程、溶液を水で希釈して、1.0重量%絹溶液をもたらす工程、並びに接線流濾過(TFF)を使用して溶液から溶媒を除去する工程。一実施形態では、10kDaの膜を利用して絹溶液を精製し、最終的な所望の絹と水の比をもたらす。TFFを次に使用して、絹溶液を、水中の2.0重量%絹の濃度まで更に濃縮することができる。
【0245】
任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、抽出(すなわち、時間及び温度)、LiBr(すなわち、絹フィブロイン抽出物に添加される、又はその逆の場合でのLiBr溶液の温度)、及び溶解(すなわち、時間及び温度)パラメータを変動させると、異なる粘度、均一性、及び色を伴う溶媒及び絹溶液がもたらされる。また、任意の特定の理論により拘束されることを望まないが、抽出のための温度を増加させること、抽出時間を延長すること、絹を溶解させる場合に、出現時に及び長期にわたって、より高い温度のLiBr溶液を使用すること(例えば、本明細書に示すようなオーブン中、又は代替の熱源)の温度での時間を増加させることは、全て、より低い粘性の、より均一な溶媒及び絹溶液をもたらした。
【0246】
一実施形態では、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶液を、以下の工程に従って調製する:約30分~約60分の処置時間にわたり、絹供給源を、沸騰(100℃)炭酸ナトリウムの水溶液に添加することによって、絹供給源を脱ガムする工程、溶液からセリシンを除去して、非検出レベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、絹フィブロイン抽出物を、約60℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウムの溶液中に溶解する工程、約140℃の温度を有するオーブン中で、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を少なくとも1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、及び絹タンパク質断片の水溶液を産生すること(水溶液は、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量を有する断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約1.5~約3.0の多分散性を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、凍結乾燥され得る。
【0247】
一実施形態では、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶液を、以下の工程に従って調製する:脱ガムをもたらすように、約30分~約60分の処置時間にわたり、炭酸ナトリウムの沸騰(100℃)水溶液に絹供給源を添加する工程、この溶液からセリシンを除去して、検出不可能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、約80℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウム溶液中に絹フィブロイン抽出物を溶解する工程、約60℃~約100℃の間の範囲の温度を有するオーブン中で、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を少なくとも1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、及び絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液を産生する工程(絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~300ppmの臭化リチウム残渣を含み、絹タンパク質断片の水溶液は、約10ppm~100ppmの炭酸ナトリウム残渣を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有する断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約1.5~約3.0の多分散性を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。
【0248】
一実施形態では、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶液は、以下の工程に従って調製される:脱ガムをもたらすために、約30分の処置時間にわたり絹供給源を、炭酸ナトリウムの沸騰(100℃)水溶液に添加する工程、この溶液からセリシンを除去して、検出不可能なレベルのセリシンを含む絹フィブロイン抽出物を産生する工程、絹フィブロイン抽出物から溶液を排出する工程、約80℃~約140℃の範囲の臭化リチウム溶液中での絹フィブロイン抽出物の配置時に、開始温度を有する臭化リチウム溶液中に絹フィブロイン抽出物を溶解する工程、約60℃~約100℃の間の範囲の温度を有するオーブン中で、絹フィブロイン-臭化リチウムの溶液を少なくとも1時間の期間にわたり維持する工程、絹フィブロイン抽出物から臭化リチウムを除去する工程、及び絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液を産生する工程(絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約10ppm~300ppmの臭化リチウム残渣、約10ppm~100ppmの炭酸ナトリウム残渣、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する断片を含み、絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、約1.5~約3.0の多分散性を含む)。本方法は、更に、溶解工程の前に、絹フィブロイン抽出物を乾燥させることを含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー臭化リチウムアッセイを使用して測定したとき、300ppm未満の臭化リチウム残渣を含み得る。絹フィブロインベースのタンパク質断片の水溶液は、高速液体クロマトグラフィー炭酸ナトリウムアッセイを使用して測定したとき、100ppm未満の炭酸ナトリウム残渣を含み得る。
【0249】
一実施形態では、溶液中の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、セリシンを実質的に欠いており、約6kDa~約17kDaから選択される重量平均分子量を有し、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、溶液中の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、セリシンを実質的に欠いており、約17kDa~約39kDaから選択される重量平均分子量を有し、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、溶液中の絹フィブロインベースのタンパク質断片は、セリシンを実質的に欠いており、約39kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有し、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。
【0250】
本明細書で使用される場合、「セリシンを実質的に含まない」又は「セリシンを実質的に欠いている」という用語は、セリシンタンパク質の大部分が除去された絹線維を指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約10.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約9.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約8.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約7.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約6.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約5.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.05重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.1重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.5重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約1.0重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約1.5重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約2.0重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約2.5重量%~約4.0重量%のセリシンを有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.01重量%~約0.1重量%のセリシン含量を有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.1重量%を下回るセリシン含量を有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、セリシンを実質的に欠いている絹フィブロインは、約0.05重量%を下回るセリシン含量を有する絹フィブロインを指す。一実施形態では、絹供給源が、沸騰(100℃)炭酸ナトリウムの水溶液に、約30分間~約60分間の処置時間にわたり添加される場合に、約26.0重量%~約31.0重量%の脱ガム損失が得られる。
【0251】
以下は、本開示の絹溶液の調製における及びそのための様々なパラメータの好適な範囲の非限定的な例である。本開示の絹溶液は、これらのパラメータのうちの1つ以上(ただし、必ずしも全てではない)を含み得るが、そのようなパラメータの範囲の様々な組み合わせを使用して調製され得る。
【0252】
一実施形態では、溶液中の絹(%)は、限定するものではないが、30重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、25重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、20重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、19重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、18重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、17重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、16重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、15重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、14重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、13重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、12重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、11重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、10重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、9重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、8重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、7重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、6重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、5重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、4重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、3重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、2重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、1重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.9重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.8重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.7重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.6重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.5重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.4重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.3重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.2重量%未満である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.1重量%未満である。
【0253】
一実施形態では、溶液中の絹(%)は、限定するものではないが、0.1重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.2重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.3重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.4重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.5重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.6重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.7重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.8重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、0.9重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、1.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、2.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、3.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、4.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、5.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、6.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、7.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、8.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、9.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、10.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、11.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、12.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、13.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、14.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、15.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、16.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、17.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、18.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、19.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、20.0重量%超である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、25.0重量%超である。
【0254】
一実施形態では、溶液中の絹(%)は、限定するものではないが、約0.1重量%~約30.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約25.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約20.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約15.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約9.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約8.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約7.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約6.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約6.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約5.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約5.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約4.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約4.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約3.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約2.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約2.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約2.4重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約5.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約4.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約4.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約3.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.5重量%~約2.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約4.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約3.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約3.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約2.5重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約2.4重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約2重量%の範囲である。
【0255】
一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約20.0重量%~約30.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約2重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約0.1重量%~約6.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%~約10.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%~約8.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%~約9.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約10.0重量%~約20.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約11.0重量%~約19.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約12.0重量%~約18.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約13.0重量%~約17.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約14.0重量%~約16.0重量%の範囲である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約1.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約2.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約2.4重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、3.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、3.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約4.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約4.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約5.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約5.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約6.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約7.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約7.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約8.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約8.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約9.0重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約9.5重量%である。一実施形態では、溶液中の絹(%)は、約10.0重量%である。
【0256】
一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、検出不能~30.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、検出不能~5.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、1.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、2.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、3.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、4.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、5.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、10.0重量%である。一実施形態では、溶液中のセリシン(%)は、30.0重量%である。
【0257】
いくつかの実施形態では、本開示の絹フィブロインタンパク質ベースの断片は、貯蔵条件、絹のパーセント、並びに出荷の数及び出荷条件に応じて10日間~3年間の保管安定性を有する(水溶液中で貯蔵した場合、それらは、徐々に又は自然発生的にゲル化することはなく、断片の凝集はなく、したがって経時的な分子量の増加はない)。追加的に、pHを変化させて、絹の未熟な折り畳み及び凝集を防止することにより、保管寿命を延長させることができ及び/又は出荷条件を支持することができる。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~1年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~2年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~3年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は0~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~2年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~3年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は1~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は2~3年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は2~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は2~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は3~4年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は3~5年間である。一実施形態では、LiBr-絹断片溶液の安定性は4~5年間である。
【0258】
一実施形態では、本開示の組成物の安定性は10日~6ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は6ヶ月~12ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は12ヶ月~18ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は18ヶ月~24ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は24ヶ月~30ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は30ヶ月~36ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は36ヶ月~48ヶ月である。一実施形態では、本開示の組成物の安定性は48ヶ月~60ヶ月である。
【0259】
一実施形態では、本開示の組成物は、6kDa~17kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、17kDa~39kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、39kDa~80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、40kDa~65kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、1kDa~5kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、5kDa~10kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、10kDa~15kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、15kDa~20kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、20kDa~25kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、25kDa~30kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、30kDa~35kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、35kDa~40kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、40kDa~45kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、45kDa~50kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、50kDa~55kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、55kDa~60kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、60kDa~65kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、65kDa~70kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、70kDa~75kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、75kDa~80kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、80kDa~85kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、85kDa~90kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、90kDa~95kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、95kDa~100kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、100kDa~105kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、105kDa~110kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、110kDa~115kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、115kDa~120kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、120kDa~125kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、125kDa~130kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、130kDa~135kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、135kDa~140kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、140kDa~145kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、145kDa~150kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、150kDa~155kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、155kDa~160kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、160kDa~165kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、165kDa~170kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、170kDa~175kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、175kDa~180kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、180kDa~185kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、185kDa~190kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、190kDa~195kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、195kDa~200kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、200kDa~205kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、205kDa~210kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、210kDa~215kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、215kDa~220kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、220kDa~225kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、225kDa~230kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、230kDa~235kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、235kDa~240kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、240kDa~245kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、245kDa~250kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、250kDa~255kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、255kDa~260kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、260kDa~265kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、265kDa~270kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、270kDa~275kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、275kDa~280kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、280kDa~285kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、285kDa~290kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、290kDa~295kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、295kDa~300kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、300kDa~305kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、305kDa~310kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、310kDa~315kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、315kDa~320kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、320kDa~325kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、320kDa~330kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、330kDa~335kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、350kDa~340kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、340kDa~345kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタンパク質断片を含む。一実施形態では、本開示の組成物は、345kDa~350kDaから選択される重量平均分子量を有する絹フィブロインベースのタン
パク質断片を含む。
【0260】
一実施形態では、本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1~約5.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1.5~約3.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1~約1.5から選択される多分散性を有する。一実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約1.5~約2.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約2.0~約2.5から選択される多分散性を有する。一実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約2.0~約3.0から選択される多分散性を有する。一実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片の組成物は、約2.5~約3.0から選択される多分散性を有する。
【0261】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥絹粉末は、貯蔵後に水、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、又は有機溶液に再懸濁して、最初に生成されたものよりも高濃度の溶液を含む様々な濃度の絹溶液を作製することができる。別の実施形態では、絹フィブロインベースのタンパク質断片は、10質量%未満の水を含有する乾燥タンパク質形態を作製するために、ロトサームエバポレータ又は当技術分野において既知の他の方法を使用して乾燥される。一実施形態では、有機溶液中の本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約50.0%~約100%の範囲である。一実施形態では、有機溶液中の本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約60.0%~約100%の範囲である。一実施形態では、有機溶液中の本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約70.0%~約100%の範囲である。一実施形態では、有機溶液中の本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約80.0%~約100%の範囲である。一実施形態では、有機溶液中の本開示の絹フィブロインベースのタンパク質断片の溶解性は、約90.0%~約100%の範囲である。一実施形態では、本開示の絹フィブロインベースの断片は、有機溶液中で非可溶性である。
【0262】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法における適用に有用な絹フィブロインタンパク質断片はまた、絹フィブロインタンパク質断片の水性ゲルを含む。絹フィブロインタンパク質断片溶液のゲル化は、ソニケーション、ボルテックス、加熱、溶媒処置(例えば、メタノール、エタノール)、電気ゲル化、超音波処理、化学物質(例えば、ビタミンC)などによって誘導され得る。
【0263】
絹ペプチドは、天然の絹フィブロイン加水分解物からの抽出物である。絹ペプチドは、パーソナルケア製品に組み込まれると、真珠の光沢及び絹のような感触を示す。絹ペプチドの構造は、ヒトの毛髪及び皮膚組織に類似している。絹ペプチドは、10個以上のアミノ酸残基及び本明細書に記載される重量平均分子量を有するセリンに富むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、絹ペプチド抽出物は、皮膚、例えば、ヒトの皮膚によって容易に吸収され、皮膚に栄養素を与え、皮膚の代謝を促進することができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法における適用に有用な絹フィブロインタンパク質断片溶液はまた、低分子量絹フィブロインペプチド(約200Da~5kDaの重量平均分子量)を含む。絹フィブロインタンパク質加水分解物に由来する低分子量絹フィブロインペプチドは、遊離アミノ酸の天然の保湿因子を補完して、頭皮の水分含量を改善することができる。いくつかの実施形態では、低分子量絹フィブロインペプチドは、毛包の奥深くに浸透して、修復し、水を補充し、毛髪に栄養を与え、水分バランスを改善し、ふけの発生を予防することができる。
【0265】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法における用途に有用な絹フィブロインタンパク質断片溶液はまた、加水分解された絹フィブロインに由来する絹フィブロインタンパク質アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、絹フィブロインアミノ酸は、市販の加水分解絹(CAS番号:96690-41-4)からのものである。Bombyx moriの絹フィブロインタンパク質に由来するアミノ酸組成物は、主に、Gly(43%)、Ala(30%)、及びSer(12%)からなる。
【0266】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、絹フィブロインタンパク質断片の有益な効果を高める植物抽出物を含む。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、米、オート、アーモンド、Camellia Sinensis(緑茶)抽出物、Butyrospermum Parkii(シアバター)、ココナッツ、パパイヤ、マンゴー、ピーチ、レモン、小麦、ローズマリー、アプリコット、藻類、グレープフルーツ、サンダルウッド、ライム、オレンジ、Acacia concinna、Butea parviflora、Butea superb、Butea frondosa、Campanulata(ファイヤーチューリップ)、Adansonia Digitata(バオバブ)、Phoenix Dactylifera(デーツ)、Hibiscus Sabdariffa(ハイビスカス)、Aframomum Melegueta(アフリカンペッパー)、Khaya Senegalensis(マホガニーウッド)、Tamarindus Indica(タマリンド、又はクルクミン)、Cyperus Papyrus(パピルス)、Ageratum spp.、バーチ、ごぼう、ホーステイル、ラベンダー、マジョラム、イラクサ、テールキャット、タイム、オークバーク、エキナセア、セイヨウイラクサ、マンサク、ホップ、ヘンナ、カモミール、セイヨウサンザシ、ライムツリーブロッサム、アーモンド、松葉、ホースチェスナット、ジュニパー、キウイ、メロン、マロウ、ハナタネツケバナ、ワイルドタイム、ヤロウ、メリッサ、レストハロー、コルツフット、マシュマロ、ライスメリステム、モリンガ、ジンセン及びジンジャー根、アロエベラ、aloe barbadensis葉抽出物、lavandula angustifolia(ラベンダー)花抽出物、sambucus nigra(エルダーベリー)果実抽出物、phoenix dactylifera(デーツ)種子抽出物、avandula stoechas(スパニッシュラベンダー)抽出物、spiraea ulmaria(メドウスイート)葉抽出物、chamomilla recutita(カモミール)葉抽出物、及びSymphytum officinale(コンフリー)葉抽出物、並びにそれらの組み合わせからの抽出物からなる群から選択される。これらの植物の抽出物は、種子、根、茎、葉、花、樹皮、果実、及び/又は植物全体から得られる。
【0267】
いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、組成物の総重量により約0.001重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで提供される。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、組成物の総重量により約0.005重量%~約5.0重量%の範囲の重量パーセントで提供される。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、組成物の総重量により約0.01重量%~約2.0重量%の範囲の重量パーセントで提供される。いくつかの実施形態では、植物抽出物は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、組成物の総重量により約0.0045重量%~0.0055重量%の範囲の重量パーセントで提供される。
【0268】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、290~329nmの波長の紫外線を吸収するUVフィルタを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、パラ-アミノ安息香酸、パラ-アミノ安息香酸エチル、パラ-アミノ安息香酸アミル、パラ-アミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、シンナミン酸ベンジル、パラメトキシケイヒ酸2-エトキシエチル、パラ-メトキシケイヒ酸オクチル、モノ(2-エチルヘキサノエート)ジパラ-メトキシケイヒ酸グリセリル、パラ-メトキシケイヒ酸イソプロピル、ジイソプロピル-ジイソプロピルシンナミン酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、及び2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールからなる群から選択されるUVフィルタを含む。いくつかの実施形態では、p-メトキシケイヒ酸2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、2,4,6-トリス-[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される水溶性紫外線吸収剤である。
【0269】
いくつかの実施形態では、UVフィルタは、メトキシジベンゾイルメタンブチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチル、オクトクリレン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、p-メトキシケイヒ酸イソアミル、ヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ベンゾフェノン-3、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0270】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、TiO、SiO、Fe、ZrO、MnO、Al、及びそれらの組み合わせから選択されるUVフィルタとしての無機顔料を含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、UVフィルタは、コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.001重量%~約20.0重量%の範囲の重量パーセントで組成物中に提供される。いくつかの実施形態では、UVフィルタは、組成物の総重量により約0.01重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで組成物中に提供される。いくつかの実施形態では、UVフィルタは、組成物の総重量により約0.05重量%~約8.0重量%の範囲の重量パーセントで組成物中に提供される。
【0272】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、炭化水素油、炭化水素ワックス、シリコーン油、アセトグリセリドエステル、エトキシル化グリセリド、脂肪酸のアルキルエステル、脂肪酸のアルケニルエステル、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールエーテル、エーテルエステル、ラノリン、ラノリン誘導体、多価アルコール、ポリエーテル誘導体、多価エステル、ワックスエステル、ミツロウ誘導体、植物ワックス、天然又はエッセンシャルオイル、リン脂質、ステロール、アミド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される皮膚軟化剤を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製方法及び使用方法に組み込まれた皮膚軟化剤は、(1)炭化水素油及びワックス、例えば、鉱油、ワセリン、パラフィン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン、スクアレン、及びペルヒドロスクアレン、(2)シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、水溶性及びアルコール溶性のシリコーングリコールコポリマー、(3)アセトグリセリドエステル、例えば、アセチル化モノグリセリド、(4)エトキシル化グリセリド、例えば、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、(5)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル、例えば、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、メチル、イソプロピル、脂肪酸のブチルエステル、(6)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル、例えば、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、及びオレイン酸オレイル、(7)10~20個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸、(8)10~20個の炭素原子を有する脂肪アルコール、例えば、ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、エルシルアルコール、及び2-オクチルドデカノール、(9)脂肪アルコールエーテル、例えば、10~20個の炭素原子のエトキシル化脂肪アルコール、それらに付着した、1~50個のエチレンオキシド基又は1~50個のプロピレンオキシド基のラウリル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、コレステロールアルコール、(10)エーテル-エステル、例えば、エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル、(11)ラノリン及びその誘導体、例えば、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸イソプロピル、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキシル化コレステロール、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、リノール酸ラノリンアルコール、リシノレイン酸ラノリンアルコール、リシノレイン酸ラノリンアルコールの酢酸塩、エトキシル化アルコール-エステルの酢酸塩、ラノリンの水素化分解、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリン、並びに液体及び半固体のラノリン吸収塩基、(12)多価アルコール及びポリエーテル誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール2000及び4000、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200-6000、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000、及び5000、ポリ[エチレンオキシド]ホモポリマー(100,000~5,000,000Daの重量平均分子量)、ポリアルキレングリコール及び誘導体、ヘキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトヘキサジオールUSP(2-エチル-l,3-ヘキサンジオール)、C15-C18ビシナルグリコール、並びにトリメチロールプロパンのポリオキシプロピレン誘導体、(13)多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200-6000)モノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、エトキシル化モノステアリン酸プロピレングリコール、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸1,3-ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3-ブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヤシ脂肪酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、ヘキサエルカ酸スクロース、ラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ペンタエルカ酸スクロース、ポリベヘン酸スクロース、ポリ綿実脂肪酸スクロース、ポリラウリン酸スクロース、ポリリノール酸スクロース、ポリオレイン酸スクロース、ポリパーム脂肪酸スクロース、ポリダイズ油脂肪酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース、リシノレイン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、テトライソステアリン酸スクロース、トリベヘン酸スクロース、テトラステアリン酸スクロース(sucrose tristearat)、(14)ワックスエステル、例えば、ミツロウ、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、及びステアリン酸ステアリル、(15)ミツロウ誘導体、例えば、様々なエチレンオキシド含量のエトキシル化ソルビトールとのミツロウの反応生成物であるポリオキシエチレンソルビトールミツロウ、(16)植物ワックス、例えば、カルナウバ及びカンデリラワックス、(17)天然油又は精油、例えば、柑橘油、非柑橘果物油、ナット油、風味、香料、又は芳香を有する油、キャノーラ油、コーン油、ニーム油、オリーブ油、綿実油、ココナッツ油、分画ココナッツ油、パーム油、ナッツ油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ピーカン油、松の実油、ピスタチオ油、クルミ油、グレープフルーツシード油、レモン油、オレンジ油、スイートオレンジ油、タンジェリン油、ライム油、マンダリン油、オメガ3油、亜麻仁油(flaxseed oil)(亜麻仁油(linseed oil))、アプリコット油、アボカド油、ニンジン油、カカオバター油、ココナッツ油、分画ココナッツ油、ヘンプ油、パパイヤシード油、米ぬか油、シアバター油、ティーツリーシード油、及び小麦胚芽油、ラベンダー油、ローズマリー油、桐油、ホホバ油、ポピーシード油、シアバター、ヒマシ油、マンゴー油、ローズヒップ油、トール油、カモミール油、桂皮油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネルシード油、ジャスミン油、ジュニパーベリー油、ラズベリーシード油、ラベンダー油、月見草油、レモングラス油、ナツメグ油、パチュリ油、ペパーミント油、パイン油、ローズ油、ローズヒップ油、ローズマリー油、ユーカリ油、ティーツリー油、ローズウッド油、サンダルウッド油、サッサフラス油、スペアミント油、ricinus communis(ヒマシ)シード油、ウインターグリーン油、(18)リン脂質、例えば、レシチン及び誘導体、(19)ステロール、例えば、コレステロール及びコレステロール脂肪酸エステル、並びに(20)脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アミド、及び固体脂肪酸アルカノールアミド、(21)ラノリン、therbroma cacao(カカオ)シードバター、ワセリン、euphorbia cerifera(カンデリラ)ワックス、ハチミツ、ゲラニオール、メンソール、カンファー、セチルエステル、鉱油、サリチル酸、フェノール、パルミトイルイソロイシンのうちの1つ以上を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、水溶性低分子量保湿剤、脂溶性低分子量保湿剤、水溶性高分子量保湿剤、及び脂溶性高分子量保湿剤、ヒューメクタント、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される保湿剤を含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、保湿剤は、ヒューメクタントを含む。本明細書で使用される場合、「ヒューメクタント」という用語は、ものを湿った状態に維持するために使用される吸湿性物質を意味する。ヒューメクタントは、吸収により近傍の空気中の水分を引き付け、かつ保持し、水蒸気を生物又は物体の表面の内部又は下部に引き込む。
【0276】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、ヒューメクタントとして、水溶性絹フィブロインペプチドを含む。絹フィブロインタンパク質断片に由来するアミノペプチドは、皮膚によって容易に吸収され得る。いくつかの実施形態では、水溶性絹フィブロインペプチドを組成物に添加して、使用後の感触を高めることができる。
【0277】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片に由来するアミノ酸は、コンディショニング剤としてコラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法に添加され得る(例えば、湿った感触、柔らかさ、滑らかさ、光沢などの優れた状態効果を発揮する目的で)。
【0278】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、ハチミツ、アロエベラ、アロエベラ葉汁、アロエベラ葉抽出物、ソルビトール、尿素、乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、トレハロース、マルチトール、アルファ-ヒドロキシ酸、ピログルタミン酸ナトリウム、ピロリドンカルボキシレート、N-アセチル-エタノールアミン、乳酸ナトリウム、イソプロパノール、ポリアルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール)、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリルココネート(glyceryl coconate)、ヒドロキシステアレート、ミリステート、オレエート、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチンソルビトール、PEG-4、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の更なるヒューメクタントを含み得る。
【0279】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、グルタミン、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸ナトリウム(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリン(重合度n=2以上)、乳酸、ラクテート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される多価アルコールを、保湿剤として含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、コレステロール及びコレステロールエステルからなる群から選択される脂溶性低分子量保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、任意選択的に、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパルテート、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、及びデキストリンからなる群から選択される水溶性高分子量保湿剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、任意選択的に、ポリビニルピロリドン-エイコセンコポリマー、ポリビニルピロリドン-ヘキサデセンコポリマー、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、及び高分子シリコーンからなる群から選択される脂溶性高分子量保湿剤を含む。
【0281】
追加の好適な保湿剤としては、本質的に水溶性及び/又は水膨潤性であるポリマー保湿剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸又はキトサンを保湿剤と組み合わせて、それらの性質を高める。
【0282】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.1重量%~約30.0重量%の保湿剤を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.5重量%~約25.0重量%の保湿剤を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約1.0重量%~約20.0重量%の保湿剤を含有する。
【0283】
本明細書に記載される組成物は、薬物などの追加の活性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、活性剤は、酵素阻害剤、麻酔剤、医療用神経毒、酸化防止剤、抗感染剤、抗炎症剤、血管拡張剤、紫外(UV)線遮断剤(例えば、入れ墨用染料、インク、又は顔料)、反射剤、ホルモン、免疫抑制剤、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上であり得る。本明細書に記載される組成物は、酵素阻害剤、麻酔剤、医療用神経毒(例えば、ボツリヌス毒素及びクロストリジウム毒素)、酸化防止剤、抗感染剤(例えば、抗生物質)、血管拡張剤、染料(例えば、入れ墨用インク又は顔料、反射剤、抗炎症剤、紫外(UV)線遮断剤、染料、ホルモン、免疫抑制剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される活性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、ラパマイシン又はラパマイシン様化合物である。いくつかの実施形態では、活性剤は、ペニシリン(例えば、ペニシリンV、アモキシシリン)、エリスロマイシン(例えば、ステアリン酸エリスロマイシン)、リンコサミド(例えば、クリンダマイシン)、及びセファロスポリン(例えば、セファレキシン)、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される抗生物質であり得る。
【0284】
いくつかの実施形態では、追加の活性剤は、ニトログリセリン、ラベタロール、チアジド(thrazide)、二硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトール、ジギタリス、ヒドララジン、ジアゾキシド、アムリノン、L-アルギニン、硫酸バメタン、フマル酸ベンシクラン、ヘミコハク酸ベンフロジル、ニコチン酸ベンジル、塩酸ブフロメジル、塩酸ブフェニン、塩酸ブチルアミン(butalamine hydrochloride)、クエン酸セチエジル、シクロニカート、マレイン酸シネパジド、シクランデラート、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアンモニウム、ニコチン酸エチル、ヘプロニカート、ニコチン酸ヘキシル、酒石酸イフェンプロジル、ニコチン酸イノシトール、塩酸イソクスプリン、カリジノゲナーゼ、ニコチン酸メチル、シュウ酸ナフチドフリル、クエン酸ニカメタート、ニセリトロール、ニコボキシル、ニコフラノース、ニコチニルアルコール、酒石酸ニコチニルアルコール、一酸化窒素、ノニバミド、オキシペンチフィリン、パパベリン、パパベロリン、ペンチフィリン、過酸化亜硝酸、ピナシジル、ピプラテコール、プロペントフィルチン、ラウバシン、スルオクチジル、テアスプリン、塩酸チモキサミン、ニコチン酸トコフェロール、トラゾリン、ニコチン酸キサンチノール、ジアゾキシド、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される血管拡張剤であり得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、重量による、約0.01%~約0.1%、又は約0.05%~約0.15%、又は約0.1%~約0.2%、又は約0.15%~約0.25%、又は約0.2%~約0.3%、又は約0.25%~約0.35%、又は約0.3%~約0.4%、又は約0.35%~約0.45%、又は約0.4%~約0.5%、又は約0.45%~約0.55%、又は約0.5%~約0.6%、又は約0.55%~約0.65%、又は約0.6%~約0.7%、又は約0.65%~約0.75%、又は約0.7%~約0.8%、又は約0.75%~約0.85%、又は約0.8%~約0.9%、又は約0.85%~約0.95%、又は約1%~約2%、又は約1.5%~約2.5%、又は約2%~約3%、又は約2.5%~約3.5%、又は約3%~約4%、又は約3.5%~約4.5%、又は約4%~約5%、又は約4.5%~約5.5%、又は約5%~約6%、又は約5.5%~約6.5%、又は約6%~約7%、又は約6.5%~約7.5%、又は約7%~約8%、又は約7.5%~約8.5%、又は約8%~約9%、又は約8.5%~約9.5%、又は約9%~約10%、又は約10%~約15%、又は約15%~約20%、又は約20%~約25%、又は約25%~約30%、又は約30%~約35%、又は約35%~約40%、又は約40%~約45%、又は約45%~約50%の濃度の追加の活性剤を含み得る。
【0286】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、線維症阻害剤を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、治療部位内又はその周囲の病理学的プロセスに対する阻害効果を発揮するように作用する化合物を更に含み得る。特定の態様では、活性剤は、以下の化合物のクラスのうちの1つから選択され得る:抗炎症剤(例えば、デキサメタゾン、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α-メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、及びアスピリン)。
【0287】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、粒子を含み、粒子は、高分子粒子、雲母、シリカ、泥、及び粘土を含み得る。コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法における粒子は、滑らかさ、低減した摩擦、滑りやすい感触の利点をもたらすと同時に、毛髪を清潔で軽く、風通しの良い状態に保ち、手及び/又は毛髪に広げたときに改善された質感を保つ。
【0288】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、アニオン性及び/又は非イオン性及び/又は双性イオン性ポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成されるポリマー粒子を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリ-2-エチルヘキシルメタクリレート、6,12-ナイロン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、スチレン/酢酸ビニルコポリマー、スチレン/トリメチルアミノエチルメタクリレートクロリコポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーから形成されるポリマー粒子を含有する。
【0289】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、ポリエチレンホモポリマー、エチレン-アクリル酸コポリマー、約6,000Da~約12,000Daの範囲の分子量を有するポリアミドポリマー、ポリエチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーン-合成ワックスコポリマー、シリコーン-天然ワックスコポリマー、カンデリラ-シリコーンコポリマー、オゾケライト-シリコーンコポリマー、合成パラフィンワックス-シリコーンコポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疎水性ポリマーから形成されるカチオン性ポリマー粒子を含有する。
【0290】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、別個の粒子を沈着させるための膨潤したポリマー粒子を含有する。いくつかの実施形態では、膨潤したポリマー粒子は、粒子状シリコーンポリマー及び表面アルキル化球状シリコン粒子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、膨潤したポリマー粒子を形成するシリコーンポリマーは、ポリジオルガノシロキサン、ポリモノオルガノシロキサン、及び架橋ポリジメチルシロキサン、ヒドロキシル又はメチルを含む末端基を任意選択的に有する架橋ポリモノメチルシロキサン、及び架橋ポリジメチルシロキサン(Dow Corning製のDC2-9040シリコーン液)からなる群から選択される。ポリジソルガノシロキサン(polydisorganosiloxanes)は、好ましくは、RSiO0.5反復単位及びRSiO反復単位の好適な組み合わせから誘導される。ポリモノオルガノシロキサンは、RSiO1.5から誘導される。各Rは、独立して、アルキル、アルケニル(例えば、ビニル)、アルカリル、アラルキル、又はアリール(例えば、フェニル)基を表す。いくつかの実施形態では、Rは、メチル基である。
【0291】
いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、1000nm未満のメジアン粒子サイズを有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約5nm~約600nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約10nm~約500nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約10nm~約400nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約20nm~約300nmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、ポリマー粒子は、約50nm~約600nmのメジアン粒子サイズを有する。
【0292】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、本明細書で開示されるように、皮膚科学的に許容可能な担体中に分散液又は懸濁液を形成する粘土粒子を含有する。本明細書全体を通して、「粘土」という用語は、水と混合すると塑性になる細粒の土の材料を意味することが意図される。粘土は、天然、合成、又は化学的に改変された粘土であり得る。粘土は、不純物、例えば、少量のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、又は鉄を含有する含水ケイ酸アルミニウムを含む。
【0293】
一実施形態では、粘土は、38.8%~98.2%のSiO及び0.3%~38.0%のAlを含有する材料であり、更に、Fe、CaO、MgO、TiO、ZrO、NaO、及びKOから選択される金属酸化物のうちの1つ以上を含有する。いくつかの実施形態では、粘土は、八面体配位のアルミニウム、マグネシウム、若しくは鉄、又は四面体配位のシリコンの含水シートを含む層状構造を有する。
【0294】
一実施形態では、粘土は、カオリン、タルク、2:1フィロケイ酸塩、1:1フィロケイ酸塩、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト(ベントナイトとしても知られる)、ヘクトライト、ボルコンコイト、ノントロナイト、サポナイト、バイデライト、ソーコナイト、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、粘土は、カオリン又はベントナイトである。いくつかの実施形態では、粘土は、合成ヘクトライトである。別の実施形態では、粘土は、ベントナイトである。
【0295】
いくつかの実施形態では、粘土は、約0.7meq/100g~約150meq/100gのカチオン交換容量を有する。いくつかの実施形態では、粘土は、約30meq/100g~約100meq/100gのカチオン交換容量を有する。
【0296】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、本明細書で開示される、カチオン性に荷電したヘアコンディショニング剤と静電的に複合体を形成したアニオン性に荷電した粘土を有する複合粒子を含む。
【0297】
市販の合成ヘクトライトとしては、商品名Laponite(登録商標)RD、Laponite(登録商標)RDS、Laponite(登録商標)XLG、Laponite(登録商標)XLS、Laponite(登録商標)D、Laponite(登録商標)DF、Laponite(登録商標)DS、Laponite(登録商標)S、及びLaponite(登録商標)JS(Southern Clay products,Texas,USA)で販売されている製品が挙げられる。市販のベントナイトとしては、商品名Gelwhite(登録商標)GP、Gelwhite(登録商標)H、Gelwhite(登録商標)L、Mineral Colloid(登録商標)BP、Mineral Colloid(登録商標)MO、Gelwhite(登録商標)MAS 100(sc)、Gelwhite(登録商標)MAS 101、Gelwhite(登録商標)MAS 102、Gelwhite(登録商標)MAS 103、Bentolite(登録商標)WH、Bentolite(登録商標)L10、Bentolite(登録商標)H、Bentolite(登録商標)L、Permont(登録商標)SX10A、Permont(登録商標)SC20、及びPermont(登録商標)HN24(Southern Clay Products,Texas,USA);Bentone(登録商標)EW及びBentone(登録商標)MA(Dow Corning);並びにBentonite(登録商標)USP BL 670及びBentolite(登録商標)H4430(Whitaker、Clarke & Daniels)で販売されている製品が挙げられる。いくつかの実施形態では、粒子は、約1μm~約100μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約2μm~約50μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約2μm~約20μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約4μm~約10μmのメジアン粒子サイズを有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約1μm、約1.1μm、約1.2μm、約1.3μm、約1.4μm、約1.5μm、約1.6μm、約1.7μm、約1.8μm、約1.9μm、約2.0μm、約2.1μm、約2.2μm、約2.3μm、約2.4μm、約2.5μm、約2.6μm、約2.7μm、約2.8μm、約2.9μm、約3.0μm、約3.1μm、約3.2μm、約3.3μm、約3.4μm、約3.5μm、約3.6μm、約3.7μm、約3.8μm、約3.9μm、約4.0μm、約4.1μm、約4.2μm、約4.3μm、約4.4μm、約4.5μm、約4.6μm、約4.7μm、約4.8μm、約4.9μm、約5.0μm、約5.1μm、約5.2μm、約5.3μm、約5.4μm、約5.5μm、約5.6μm、約5.7μm、約5.8μm、約5.9μm、約6.0μm、約6.1μm、約6.2μm、約6.3μm、約6.4μm、約6.5μm、約6.6μm、約6.7μm、約6.8μm、約6.9μm、約7.0μm、約7.1μm、約7.2μm、約7.3μm、約7.4μm、約7.5μm、約7.6μm、約7.7μm、約7.8μm、約7.9μm、約8.0μm、約8.1μm、約8.2μm、約8.3μm、約8.4μm、約8.5μm、約8.6μm、約8.7μm、約8.8μm、約8.9μm、約9.0μm、約9.1μm、約9.2μm、約9.3μm、約9.4μm、約9.5μm、約9.6μm、約9.7μm、約9.8μm、約9.9μm、及び約10.0μmから選択されるメジアン粒子サイズを有する。
【0298】
いくつかの実施形態では、カチオン性に荷電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.05:1~20:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性に荷電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.1:1~10:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性に荷電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.2:1~5:1である。いくつかの実施形態では、カチオン性に荷電したヘアコンディショニング剤の、粘土に対する重量比は、0.05:1、0.1:1、0.2:1、0.5:1、0.75:1、1:1、1.5:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、5.0:1、5.5:1、6.0:1、6.5:1、7.0:1、7.5:1、8.0:1、8.5:1、9.0:1、9.5:1、10.0:1、10.5:1、11.0:1、11.5:1、12.0:1、12.5:1、13.0:1、13.5:1、14.0:1、14.5:1、15.0:1、15.5:1、16.0:1、16.5:1、17.0:1、17.5:1、18.0:1、18.5:1、19.0:1、19.5:1、及び20.0:1から選択される。
【0299】
いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、絹コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.01重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、絹コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.1重量%~約10.0重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、絹コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.1重量%~約2.0重量%の範囲の重量パーセントで組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、絹コラーゲンブースティング組成物の総重量により約1.0重量%~約9.0重量%の範囲の重量パーセントで組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、絹コラーゲンブースティング組成物の総重量により約1.0重量%~約5.0重量%の範囲の重量パーセントで組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、粒子は、組成物の総重量により約0.01重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2.0重量%、約2.1重量%、約2.2重量%、約2.3重量%、約2.4重量%、約2.5重量%、約2.6重量%、約2.7重量%、約2.8重量%、約2.9重量%、約3.0重量%、約3.1重量%、約3.2重量%、約3.3重量%、約3.4重量%、約3.5重量%、約3.6重量%、約3.7重量%、約3.8重量%、約3.9重量%、約4.0重量%、約4.1重量%、約4.2重量%、約4.3重量%、約4.4重量%、約4.5重量%、約4.6重量%、約4.7重量%、約4.8重量%、約4.9重量%、約5.0重量%、約5.1重量%、約5.2重量%、約5.3重量%、約5.4重量%、約5.5重量%、約5.6重量%、約5.7重量%、約5.8重量%、約5.9重量%、約6.0重量%、約6.1重量%、約6.2重量%、約6.3重量%、約6.4重量%、約6.5重量%、約6.6重量%、約6.7重量%、約6.8重量%、約6.9重量%、約7.0重量%、約7.1重量%、約7.2重量%、約7.3重量%、約7.4重量%、約7.5重量%、約7.6重量%、約7.7重量%、約7.8重量%、約7.9重量%、約8.0重量%、約8.1重量%、約8.2重量%、約8.3重量%、約8.4重量%、約8.5重量%、約8.6重量%、約8.7重量%、約8.8重量%、約8.9重量%、約9.0重量%、約9.1重量%、約9.2重量%、約9.3重量%、約9.4重量%、約9.5重量%、約9.6重量%、約9.7重量%、約9.8重量%、約9.9重量%、及び約10.0重量%から選択される重量パーセントで組成物中に存在する。
【0300】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、特により大きなサイズの粒子の粒子分散安定性を維持するために、コロイド安定剤を任意選択的に含む。好適なコロイド安定剤は、プロピレンオキシド-エチレンオキシドコポリマー又はエチレンオキシド-プロピレンオキシドグラフト化ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレン(20~80単位POE)イソオクチルフェニルエーテル、脂肪族アルコールエトキシレート、ポリビニルピロリドンを含むポリエトキシル化ポリテレフタレートブロックコ-ポリマー、ビニルピロリドン反復単位を含有するコポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0301】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、皮膚科学的に許容可能な担体としてエマルジョンを含む。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、従来のエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、マイクロエマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、油中水型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、水中油型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、ナノ-エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、シリコーン油中水型エマルジョンとして存在する。いくつかの実施形態では、皮膚科学的に許容可能な担体は、水中シリコーン油型エマルジョンとして存在する。
【0302】
本明細書で使用される場合、従来のエマルジョンは、1つの連続相及び1つの分散相を有し、これは、界面活性剤でのコーティングにより安定化された非常に小さな球体として存在する。連続相の性質に応じて、エマルジョンは、水中油型又は油中水型として記載される。これらのエマルジョンは、理想的な場合には速度論的に安定している。すなわち、無限にではないが、長期間さえ保持される。特に温度変動中には、それらは、沈降、クリーミング、増粘、又は凝集の結果として相分離する傾向がある。
【0303】
本明細書で使用される場合、マイクロエマルジョンは、油性構成成分、水性構成成分、及び界面活性剤の3成分を有する三元系を含有する、熱力学的に安定で、等方性で、流体で、光学的に透明な単一液相である。界面活性剤、又はより頻繁には、界面活性剤及び共界面活性剤の混合物が、油/水界面張力を非常に低い値、多くの場合、10~10、好ましくは10~10N/mの範囲に低減し、これにより2つの不溶性相が、熱撹拌の結果として、それら自体が均一に分散された状態になる場合に、マイクロエマルジョンが生じる。マイクロエマルジョンは、100~1000オングストロームの大きさの平衡領域、いわゆる、副相を有する双連続構造を有することが多い。マイクロエマルジョンは、油がミセルによって可溶化されるO/W(水中油)型マイクロエマルジョンの1つの状態、又は水相及び油相の両方が連続構造を有するように、界面活性剤分子の会合の数が無限になる双連続マイクロエマルジョンのいずれかを指す。
【0304】
性質については、マイクロエマルジョンは、透明又は半透明に見え、全ての配合成分及び構成成分が、その中に均一に溶解している単相状態の溶液として存在し得る。
【0305】
製造プロセスに関わらず、マイクロエマルジョンは、同一の配合構成成分を有し、同一温度で調製される場合、同一の状態になり得る。したがって、上記の3成分(油、水、及び界面活性剤)並びに残りの成分は、必要に応じて任意の順序で添加及び混合され得、任意の力での機械力を使用して撹拌して、結果として実質的に同一の状態(外観、粘度、使用感などにおいて)を有するマイクロエマルジョンを得ることができる。
【0306】
双連続マイクロエマルジョンは、水相及び油相の2つの相を、広がり隣接し絡み合ったドメインの形態で含み、その界面で、安定化界面活性界面活性剤(stabilizing interface-active surfactants)が単分子層として濃縮されている。個々の構成成分、水、油、及び好適な乳化剤系が混合されると、非常に低い界面張力のために、双連続マイクロエマルジョンが非常に容易に、通常は自発的に形成される。ドメインは、少なくとも一次元でナノメートルの大きさの非常に小さな広がりしか有しないため、マイクロエマルジョンは、視覚的に透明に見え、使用される乳化剤系に応じて、熱力学的、すなわち、無限に、特定の温度範囲で安定している。
【0307】
本明細書で使用される場合、ナノエマルジョンという用語は、それらのナノ粒子サイズ、例えば、1000nm未満のために透明又は半透明の外観を示すエマルジョンを指す。
【0308】
乳化剤(例えば、界面活性剤)は、互いに混和しない液相である極性相、多くの場合、水と非極性の有機相との間の界面張力を低減し、したがってそれらの相互溶解性を高める物質である。界面活性剤は、少なくとも1つの親水性及び1つの疎水性の構造単位の特徴的な構造上の特徴を有する。この構造上の特徴は、両親媒性とも称される。
【0309】
アニオン性、カチオン性、両親媒性、及び非イオン性の界面活性剤は、水及び油性物質の乳化による乳化化粧品材料の製造用の乳化剤として従来から使用されている。しかしながら、合成界面活性剤は、皮膚表面組織の破壊に関わり、体内に入ると、肝臓損傷の原因となるため、天然タンパク質ベースの乳化剤を含む多くの天然由来のタンパク質ベースの乳化剤が、それらの高い安全性から用いられている。
【0310】
タンパク質ベースの乳化剤を使用して得られる乳化化粧品材料は、一般に、使用中に柔らかくしっとりとした感触を有するが、完成品は、崩れ感があり、広がりがないことが多い。化粧品に使用される乳化剤の重要な要素としては、安全性及び乳化力だけでなく、使用中の感触も含む。本開示は、本明細書で開示されるコラーゲンブースティング組成物用の乳化担体を安定化するための乳化剤(以下、絹乳化剤)としての絹フィブロインタンパク質断片の使用を提供する。
【0311】
一実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、乳化剤系内に絹乳化剤を有する担体として、エマルジョンを含む。絹フィブロインは、高分子量を有するポリマーの主要構成成分を占める、大きな疎水性ドメインを伴う両親媒性ポリマーである。疎水性領域は、小さな親水性スペーサーにより中断され、鎖のN及びC末端がまた、高度に親水性である。H鎖の疎水性ドメインは、Gly-Ala-Gly-Ala-Gly-Serの反復ヘキサペプチド配列及びGly-Ala/Ser/Tyrジペプチドのリピートを含み、それは、安定な逆平行シート結晶子を形成することができる。L鎖のアミノ酸配列は非反復的であり、そのため、L鎖はより親水性であり、比較的弾性である。絹フィブロイン分子中の親水性(Tyr、Ser)及び疎水性(Gly、Ala)鎖セグメントは、絹フィブロイン分子の自己構築を可能にするように代替的に配置される。
【0312】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、高HLB値を有する低分子とを含む。疎水性反復基の組成は、各親水性-Ser-に対して1つのペンタ-ペプチド-Gly-Ala-Gly-Ala-Gly-であり、絹フィブロインタンパク質の親水性-疎水性バランス(HLB)は、高HLB値(すなわち、10超)を有する親水性分子の添加により作製された親水性環境において、7.95~16.74の範囲に改変され得る。絹フィブロインタンパク質断片のHLB値のこの範囲は、O/W型エマルジョンからW/O型エマルジョンまでの広範囲のエマルジョンの調製を可能にする。いくつかの実施形態では、高HLB値を有する親水性分子は、グリセロールHLB 11.28、ブタンテトラオールHLB 12.7、キシリトールHLB 14.13、D-ソルビトールHLB 15.55、イノシトールHLB 16.74、ヒアルロン酸、ヒアルロネート、カラギーナン、プルラン、アルギン酸、アルギネート、微生物エキソポリサッカライド、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、グリコサミノグリカン、グルコマンナン、及びそれらの組み合わせを含む多糖からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤及びグリセロールを含む。
【0313】
いくつかの実施形態では、絹乳化剤及び高いHLB値を有する親水性分子は、1:1~1:10の絹乳化剤対親水性分子の重量比で、エマルジョン担体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、絹乳化剤及び高いHLB値を有する親水性分子は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0、1:3.1、1:3.2、1:3.3、1:3.4、1:3.5、1:3.6、1:3.7、1:3.8、1:3.9、1:4、1:4.1、1:4.2、1:4.3、1:4.4、1:4.5、1:4.6、1:4.7、1:4.8、1:4.9、1:5.0、1:5.1、1:5.2、1:5.3、1:5.4、1:5.5、1:5.6、1:5.7、1:5.8、1:5.9、1:6、1:6.1、1:6.2、1:6.3、1:6.4、1:6.5、1:6.6、1:6.7、1:6.8、1:6.9、1:7、1:8、1:9、及び1:10から選択される、絹乳化剤対親水性分子の重量比で、エマルジョン担体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、絹乳化剤及び高いHLB値を有する親水性分子は、1:1の絹乳化剤対親水性分子の重量比で、エマルジョン担体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、1:1~1:3の絹乳化剤対グリセロールの重量比で、絹乳化剤及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3.0から選択される、絹乳化剤対グリセロールの重量比で、絹乳化剤及びグリセロールを含む。
【0314】
一実施形態では、本開示は、エマルジョン担体用の乳化剤(以下、絹乳化剤)として、上記の絹フィブロインタンパク質断片の水溶液又は絹フィブロインタンパク質ベースの断片の水性ゲルを提供する。上記の絹フィブロインタンパク質断片の水溶液又は絹フィブロインタンパク質断片の水性ゲルを油性構成成分と混合して、絹フィブロインタンパク質断片の水溶液又は水性ゲル中の水と、油性構成成分との間の均一な乳化を達成することができる。
【0315】
いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質断片は、約5kDa超の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約5kDa~約350kDaから選択される重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約20kDa~約80kDaから選択される重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤として使用される絹フィブロインタンパク質は、約40kDa~約60kDaから選択される重量平均分子量を有する。他の実施形態では、本明細書に記載される任意の絹フィブロイン断片を、乳化剤として使用することができる。
【0316】
いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に提供される絹乳化剤の量は、エマルジョン担体の総重量により約0.1重量%~約15.0重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に提供される絹乳化剤の量は、エマルジョン担体の総重量により約0.75重量%~約10.0重量%の範囲である。いくつかの実施形態では、エマルジョン担体中に提供される絹乳化剤の量は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10.0重量%、約10.25重量%、約10.5重量%、約10.75重量%、約11.0重量%、約11.25重量%、約11.5重量%、約11.75重量%、約12.0重量%、約12.25重量%、約12.50重量%、約12.75重量%、約13.0重量%、約13.25重量%、約13.50重量%、約13.75重量%、約14.0重量%、約14.25重量%、約14.50重量%、約14.75重量%、及び約15.0重量%からなる群から選択される。
【0317】
水溶液中の絹タンパク質は、より高い分子量を有すると、振動又は撹拌のせん断によってより容易にフィブリル化する傾向がある。フィブリル化タンパク質は、水不溶性の塊からなり、化粧品材料の使用中の心地良い感触の低減を引き起こす。
【0318】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片は、親水性の環境を高めるために高HLB値を有する親水性物質とブレンドされ、そのような親水性物質としては、絹フィブロイン溶液のゲル化を防ぐグリセロール、ブタンテトラオール、キシリトール、D-ソルビトール、イノシトールポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリ乳酸、セルロース、キチン、及びポリビニルアルコールが挙げられる。ランダムコイルからβシート構造へのフィブロインの形状変化(フィブリル化)を防ぐことが重要である。
【0319】
いくつかの実施形態では、10超のHLB値を有するスクロース脂肪エステルベースの乳化剤が、絹フィブロインタンパク質の乳化効率を高めるために、乳化安定剤として絹フィブロインタンパク質に添加される。
【0320】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法のための乳化系は、スクロース脂肪酸エステルベースの乳化剤、及び絹フィブロインタンパク質の水溶液又は絹フィブロインタンパク質の水性ゲルを含み得る。
【0321】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片を含有する水溶液又は水性ゲルは、コラーゲン刺激組成物の共乳化剤として使用され得、絹タンパク質の水溶液又はゲルは、未精練、部分精練、又は精練済みの紡績カイコ繊維(繭フィラメント)を中性塩(例えば、臭化リチウム)で溶解することによって得られる。いくつかの実施形態では、スクロース脂肪酸エステルは、スクロースパルミテート及びスクロースラウレートエステルである。いくつかの実施形態では、絹タンパク質は、高まった乳化効率を有するコラーゲン刺激組成物のための界面活性剤として用いられ得る。いくつかの実施形態では、リン脂質(例えば、レシチン)を使用して、絹フィブロインタンパク質断片に由来する共乳化剤と複合体を形成させ、その乳化力(界面活性剤の効率)を高めることができる。
【0322】
いくつかの実施形態では、絹フィブロインタンパク質断片ベースの乳化剤を使用して得られたマイクロエマルジョンを含有するコラーゲン刺激組成物は、一般に、使用中に良好な展延性、滑らかで湿った感触を有する。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法のためのエマルジョン担体は、共乳化剤として1つ以上のイオン性界面活性剤を更に含むことができる。
【0323】
イオン性界面活性剤は、水溶液中に荷電を有するようにイオン化される界面活性剤であり、荷電の種類に応じて、それは、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤に分類される。アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を水溶液中で混合すると、油に対する界面張力が低下する。
【0324】
両性界面活性剤は、少なくとも1つのカチオン性官能基及び1つのアニオン性官能基を有し、溶液が酸性の場合はカチオン性であり、溶液がアルカリ性の場合はアニオン性であり、等電点付近で非イオン性界面活性剤と同様の特性を呈する。
【0325】
両性界面活性剤は、アニオン性基の種類に基づいて、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、及びリン酸エステル型に分類される。本発明の場合、カルボン酸型、硫酸エステル型、及びスルホン酸型が好ましい。カルボン酸型は、更にアミノ酸型及びベタイン型に分類される。特に好ましいのは、ベタイン型である。
【0326】
具体的な例としては、イミダゾリン型両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-1-ヒドロキシエチル-1-カルボキシメチル-4,5-ジヒドロ-2-イミダゾリウムナトリウム塩、及び1-[2-(カルボキシメトキシ)エチル]-1-(カルボキシメチル)-4,5-ジヒドロ-2-ノルコアルキルイミダゾリウム水酸化物二ナトリウム塩)、並びにベタイン型界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアルニノ酢酸ベタイン(lauryldimethylarninoacetic acid betaine)、アルキルベタイン、アミドベタイン、及びスルホベタイン)が挙げられる。
【0327】
カチオン性界面活性剤の例としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベネニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、及びメチル硫酸セチルトリメチルアンモニウムなどの四級アンモニウム塩が挙げられる。他の例としては、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノエチルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジエチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘン酸ジエチルアミノプロピルアミド、及びベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどのアミドアミン化合物が挙げられる。
【0328】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法のための乳化剤系は、1つ以上のアニオン性界面活性剤を更に含み得る。アニオン性界面活性剤は、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩、及びアルキルエーテル酢酸塩などのカルボン酸塩型、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、及びアルキルベンゼンスルホン酸塩などのスルホン酸型、高級アルコール硫酸エステル塩及びリン酸エステル塩などの硫酸エステル型に分類される。カルボン酸塩型、スルホン酸型、及び硫酸エステル塩型が好ましく、特に好ましいには、硫酸エステル塩型である。
【0329】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製方法及び使用方法のためのアニオン性界面活性剤は、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸カリウム)、アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン及びPOE-ラウリル硫酸ナトリウム)、N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム)、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイルN-メチルタウリン酸ナトリウム、N-ココイル-N-メチルタウリン酸ナトリウム、及びジャウロイルメチルタウリン酸ナトリウム(Sodium jauroylmethyl taurate))、リン酸エステル塩(例えば、POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム及びPOEステアリルエーテルリン酸)、スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、及びラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、及び直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸)、高級脂肪酸エステル硫酸塩(例えば、水素化ココナッツ油脂肪族酸グリセリル硫酸ナトリウム)、N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸一ナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、及びN-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、硫酸化油(例えば、ロート油)、POE-アルキルエーテルカルボン酸、POE-アルキルアリールエーテルカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、sec-アルコール硫酸塩、高級脂肪酸アルキルアミド硫酸塩、ラウロイルモノエタノールアミンコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、並びにカゼイン酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0330】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法のための乳化剤系は、共乳化剤として1つ以上の非イオン性界面活性剤を更に含み得る。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、8.9~14のHLB値を有する。HLBが7である場合、水への溶解性及び油への溶解度がバランスを保つことが一般に知られている。すなわち、本発明に好ましい界面活性剤は、油/水中で中程度の溶解性を有する。
【0331】
非イオン性界面活性剤は、以下を含み得る。(1)ポリエチレンオキシド伸長ソルビタンモノあるキレート(例えば、ポリソルベート)。(2)ポリアルコキシル化アルカノール。(3)ポリアルコキシル化アルキルフェノールは、ICONOL(登録商標)及びTRITON(登録商標)という商標名で市販されている、少なくとも約14のHLB値を有するポリエトキシル化オクチル又はノニルフェノールを含む。(4)ポロキサマー。エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)のブロックコポリマーに基づく界面活性剤も、有効であり得る。EO-PO-EOブロック及びPO-EO-POブロックの両方が、HLBが少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16である限り、十分に機能すると予想される。そのような界面活性剤は、BASFからPLURONIC(登録商標)及びTETRONIC(登録商標)の商標名で市販されている。(5)ポリアルコキシル化エステル:エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどのポリアルコキシル化グリコールは、部分的又は完全にエステル化され得、すなわち、1つ以上のアルコールが、(C8~C22)アルキルカルボン酸でエステル化され得る。少なくとも約14、好ましくは少なくとも約16のHLBを有するそのようなポリエトキシル化エステルは、本発明の組成物における使用に好適であり得る。(6)アルキルポリグルコシド。これは、(C8~C16)アルキル鎖長を有するグルコポン425を含む。(7)高HLB値(8~18)を有するスクロース脂肪酸エステル:ヤシ脂肪酸スクロース、ジラウリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、ヘキサエルカ酸スクロース、ヘキサオレイン酸/ヘキサパルミチン酸/ヘキサステアリン酸スクロース、ヘキサパルミチン酸スクロース、ラウリン酸スクロース、ミリスチン酸スクロース、オレイン酸スクロース、パルミチン酸スクロース、ペンタエルカ酸スクロース、ポリベヘン酸スクロース、ポリ綿実脂肪酸スクロース、ポリラウリン酸スクロース、ポリリノール酸スクロース、ポリオレイン酸スクロース、ポリパーム脂肪酸スクロース、ポリダイズ油脂肪酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース、リシノレイン酸スクロース、ステアリン酸スクロース、テトライソステアリン酸スクロース、トリラウリン酸スクロース。
【0332】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノオレイン酸モノオレイン酸塩、ソルビタンモノイソステアリン酸モノイソステアリン酸塩、ソルビタンモノラウリン酸モノラウリン酸塩、ソルビタンモノパルミチン酸モノパルミチン酸塩、ソルビタンモノステアリン酸モノステアリン酸塩、ソルビタンセスキオレイン酸塩、ソルビタントリオレイン酸塩、ジグリセリルソルビタンペンタ-2-エチルヘキシレート、ジグリセリルソルビタンテトラ-2-エチルヘキシレート)からなる群から選択される親油性非イオン性界面活性剤、グリセリル及びポリグリセリル脂肪族酸(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリル、リンゴ酸モノステアリン酸グリセリル)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール)、水素化ヒマシ油誘導体、グリセリルアルキルエーテル、及びそれらの組み合わせを含む。
【0333】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、POE-ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸POE-ソルビタン、モノステアリン酸POE-ソルビタン、モノオレイン酸POE-ソルビタン、及びテトラオレイン酸POE-ソルビタン);POEソルビトール脂肪酸エステル(例えば、モノラウリン酸POEソルビトール、モノオレイン酸POE-ソルビトール、ペンタオレイン酸POE-ソルビトール、及びモノステアリン酸POE-ソルビトール);POE-グリセリル脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸POE-グリセリル、モノイソステアリン酸POE-グリセリル、及びトリイソステアリン酸POEグリセリングリセリルなどのモノオレイン酸POE);POE-脂肪酸エステル(例えば、ジステアリン酸POE、モノジオレイン酸POE、及びジステアリン酸エチレングリコール);POE-アルキルエーテル(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE 2-オクチルドデシルエーテル、及びPOE-コレスタノールエーテル);プルアロニック(例えば、プルアロニック);POE-POP-アルキルエーテル(例えば、POE-POP-セチルエーテル、POE-POP-デシルテトラデシルエーテル、POE-POP-モノブチルエーテル、POE-POP-ラノリン水和物、及びPOE-POPグリセリングリセリルエーテル);テトラPOE-テトラPOP-エチレンジアミノ凝縮物(例えば、テトロニック);POE-ヒマシ油水素化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-水素化ヒマシ油、モノイソステアリン酸POE-水素化ヒマシ油、トリイソステアリン酸POE-水素化ヒマシ油、POE-水素化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、及びPOE水素化ヒマシ油マレイン酸);POE-ミツロウ-ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビトールミツロウ);アルカノールアミド(例えば、パーム油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、及び脂肪酸イソプロパノールアミド);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;スクロース脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;及びトリオレイルリン酸を含む。
【0334】
親水性界面活性剤は、イオン性又は非イオン性であり得る。好適なイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチン及び水素化レシチン;リゾレシチン及び水素化リゾレシチン;リン脂質及びその誘導体;リゾリン脂質及びその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドクサートナトリウム;アシルラクチレート;モノ-及びジ-グリセリドのモノ-及びジ-アセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノ-及びジ-グリセリド;モノ-及びジ-グリセリドのクエン酸エステル;並びにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0335】
前述の群のうち、イオン性界面活性剤としては、一例として、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質、及びそれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドクサートナトリウム;アシルラクチレート;モノ-及びジ-グリセリドのモノ-及びジ-アセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノ-及びジ-グリセリド;モノ-及びジ-グリセリドのクエン酸エステル;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0336】
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸の乳酸エステル、ステアロイル-2-乳酸塩、ステアロイル乳酸塩、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリル酸塩、カプロン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、リシノール酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル硫酸塩、テラセシル硫酸塩、ドクサート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、並びにそれらの塩及び混合物のイオン化形態であり得る。
【0337】
親水性非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとポリオールの親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、その誘導体、及び類似体;ポリオキシエチル化ビタミン及びその誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;並びにそれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、並びにトリグリセリド、植物油、及び水素化植物油からなる群の少なくとも1つのメンバーとポリオールの親水性エステル交換生成物が挙げられ得るが、これらに限定されない。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、又は糖類であり得る。
【0338】
他の親水性-非イオン性界面活性剤としては、PEG-10ラウレート、PEG-12ラウレート、PEG-20ラウレート、PEG-32ラウレート、PEG-32ジラウレート、PEG-12オレエート、PEG-15オレエート、PEG-20オレエート、PEG-20ジオレエート、PEG-32オレエート、PEG-200オレエート、PEG-400オレエート、PEG-15ステアレート、PEG-32ジステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-20ジラウレート、PEG-25グリセリルトリオレエート、PEG-32ジオレエート、PEG-20グリセリルラウレート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルステアレート、PEG-20グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-40グリセリルラウレート、PEG-40パーム核油、PEG-50水素化ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40水素化ヒマシ油、PEG-60水素化ヒマシ油、PEG-60コーン油、PEG-6カプレート/カプリレートグリセリド、PEG-8カプレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセリル-10ラウレート、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30大豆ステロール、PEG-20トリオレエート、PEG-40ソルビタンオレエート、PEG-80ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG-100スクシネート、PEG-24コレステロール、ポリグリセリル-10オレエート、Tween40、Tween60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ、及びポロキサマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0339】
好適な親油性界面活性剤としては、ほんの一例として、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノ-及びジ-グリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸、及びステロールからなる群の少なくとも1つのメンバーとポリオールの疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;並びにそれらの混合物が挙げられる。この群のうち、好ましい親油性界面活性剤としては、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びそれらの混合物、又は植物油、水素化植物油、及びトリグリセリドからなる群の少なくとも1つのメンバーとポリオールの疎水性エステル交換生成物が挙げられる。
【0340】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、モノ-グリセロール誘導体及び/又はジグリセロール誘導体を含む。具体的な例としては、モノグリセロールモノオクタン酸塩、モノオクチルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノノナン酸塩、モノノニルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノデカン酸塩、モノデシルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノウンデシレン酸塩、モノウンデシレニルグリセリルエーテル、モノグリセロールモノドデカン酸塩、モノドデシルモノグリセリルエーテル、モノグリセロールモノテトラデカン酸塩、モノグリセロールモノヘキサデカン酸塩、モノグリセロールモノオレイン酸塩、及びモノグリセロールモノイソステアリン酸塩などのモノグリセロール誘導体、並びにジグリセロールモノオクタン酸塩、モノオクチルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノノナン酸塩、モノノニルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノデカン酸塩、モノデシルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノウンデシレン酸塩、モノウンデシレニルグリセリルエーテル、ジグリセロールモノドデカン酸塩、モノドデシルジグリセリルエーテル、ジグリセロールモノテトラデカン酸塩、ジグリセロールモノヘキサデカン酸塩、ジグリセロールモノオレイン酸塩、及びジグリセロールモノイソステアリン酸塩などのジグリセロール誘導体が挙げられる。
【0341】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースのうちの1つ以上とを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、ラウリン酸スクロースとを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤と、パルミチン酸スクロースとを含む。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤、ラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1~1:3の範囲のラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤、ラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤、ラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:3から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤、ラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1のラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有する。
【0342】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、絹乳化剤、グリセロール、ラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択されるラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有し、エマルジョン担体中の絹乳化剤及びグリセロールは、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、及び1:3.0から選択される絹乳化剤対グリセロールの重量比を有する。
【0343】
いくつかの実施形態では、乳化剤系、絹乳化剤、グリセロール、ラウリン酸スクロース、及びパルミチン酸スクロースを含み、エマルジョン担体中のラウリン酸スクロース及びパルミチン酸スクロースは、1:1、1:1.1、1:1.2、及び1:1.3のラウリン酸スクロース対パルミチン酸スクロースの重量比を有し、エマルジョン担体中の絹乳化剤及びグリセロールは、1:1、1:2、及び1:3.0から選択される絹乳化剤対グリセロールの重量比を有する。
【0344】
いくつかの実施形態では、乳化剤系は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により0.1重量%~5.0重量%の範囲の重量パーセントで、エマルジョン担体中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により0.1重量%~3.0重量%の範囲の重量パーセントで、エマルジョン担体中に組み込まれる。いくつかの実施形態では、乳化剤系は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により0.1重量%~2.0重量%の範囲の重量パーセントで、エマルジョン担体中に組み込まれる。
【0345】
いくつかの実施形態では、エマルジョン担体は、上記の絹乳化剤を含む乳化剤系で乳化された油相を含む。脂肪性材料は、油相を形成するのに有用であり得る。脂肪性材料は、炭化水素油、シリコン油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂、固体油脂、ワックス、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0346】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、ワックスを含む。ワックスは、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ミツロウ、カンデリラワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、コットンワックス、エスパルトワックス、カルナウバワックス、ベイベリーワックス、ツリーワックス、鯨ワックス、モンタンワックス、ライスワックス、ラノリン、カポック(kapok)ワックス、酢酸ラノリン、液体ラノリン、サトウキビワックス、ラノリン脂肪酸イソプロピルエステル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバワックス、硬質ラノリン、シェラックワックス、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素化ラノリンアルコールエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0347】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、エステル油を含む。エステル油は、イソステアリン酸コレステリル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクタデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸セテアリル、オクタン酸セテアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリレーテルカプリン酸)グリセリル、オレイン酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジカプリリルエーテル、カプリル酸/カプリン酸プロピレングリコールジエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0348】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、グリセリド脂肪エステルを含む。本明細書で使用される場合、「グリセリド脂肪酸エステル」という用語は、グリセロールとC6-30カルボン酸などの長鎖カルボン酸との間に形成されたモノ-、ジ-、及びトリ-エステルを指す。カルボン酸は、飽和若しくは不飽和であり得るか、又はヒドロキシルなどの親水性基を含有し得る。好ましいグリセリド脂肪酸エステルは、C10~C24、好ましくはC10~C22、最も好ましくはC12~C20の範囲の炭素鎖長のカルボン酸に由来する。
【0349】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、合成エステル油を含む。いくつかの実施形態では、合成エステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、エチレングリコールジ-2-エチルヘキシレート、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸-N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリメチロールプロパントリ-2-エチルヘキシレート、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ペンタンエリスリトールテトラ-2-エチルヘキシレート、グリセリルトリ-2-エチルヘキシレート、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、パルミチン酸2-エチルヘキシル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセリド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプロピル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、ラウリン酸エチル、ジ-2-エチルヘキシルセバケート(cebatate)、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、ジイソプロピルセバケート(cebatate)、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0350】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、エーテル油を含む。いくつかの実施形態では、エーテル油は、アルキル-1,3-ジメチルエチルエーテル、ノニルフェニルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0351】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、高級脂肪酸を含む。本明細書で使用される場合、高級脂肪酸は、8~22の範囲の炭素数を有する。いくつかの実施形態では、高級脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0352】
一実施形態では、脂肪性材料は、任意選択的に、高級脂肪アルコールを含む。本明細書で使用される場合、高級脂肪族アルコールは、8~22の範囲の炭素数を有する。いくつかの実施形態では、高級脂肪酸は、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、及びセトステアリルアルコール)及び分岐鎖エチルアルコール(例えば、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、及びオクチルドデカノール)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0353】
いくつかの実施形態では、脂肪相は、液体油/脂を含む。いくつかの実施形態では、液体油脂肪は、アボカド油、椿油、カメ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ゴマ種子油、杏仁油、小麦胚芽油、ササンクア油、ヒマシ油、亜麻仁油、サフラワー油、綿実油、ペリラ油、大豆油、ピーナッツ油、茶種子油、カヤ油、ライスブラン油、中国木油、日本木油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセロール、トリオクタン酸グリセリル、及びトリイソパルミチン酸グリセリル、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0354】
いくつかの実施形態では、脂肪相は、固形油/脂を含む。いくつかの実施形態では、固形油脂は、カカオバター、ココナッツ油、ウマ獣脂、パーム脂、硬化ココナッツ油、パーム油、牛獣脂、羊獣脂、硬化牛獣脂、パーム核油、豚獣脂、牛骨獣脂、ジャパニーズコアワックス(Japanese core wax)、硬化油、ニートフット(neatsfoot)獣脂、ジャパニーズワックス、及び水素化ヒマシ油、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0355】
いくつかの実施形態では、脂肪相は、植物油を含む。いくつかの実施形態では、植物油は、ブリチ油(buriti oil)、大豆油、オリーブ油、茶樹油、ローズマリー油、ホホバ油、ココナッツ油、ゴマ種子油、ゴマ油、パーム油、アボカド油、ババス油、米油、アーモンド油、アルゴン油、ヒマワリ油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、植物油は、ココナッツ油、ヒマワリ油、及びゴマ油からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、油性構成成分は、カカオバター、パームステアリン、ヒマワリ油、大豆油、及びココナッツ油から選択される。
【0356】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法のための油相は、脂質材料を含む。いくつかの実施形態では、脂質材料は、セラミド、リン脂質(例えば、大豆レシチン、卵レシチン)、糖脂質、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0357】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法のための油相は、炭化水素油を含む。本明細書で使用される場合、炭化水素油は、20個未満の炭素原子の平均炭素鎖長を有する。好適な炭化水素油としては、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分岐鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)が挙げられる。直鎖炭化水素油は、典型的には、約6個~約16個の炭素原子、好ましくは約8個~約14個の炭素原子を含有する。分岐鎖炭化水素油は、より多数の炭素原子、例えば、約6個~約20個の炭素原子、好ましくは約8個~約18個の炭素原子を含有することができ、かつ典型的には含有し得る。本発明の好適な炭化水素油は、一般的に、周囲温度(25~30℃)で0.0001~0.5Pa・s、好ましくは0.001~0.05Pa・s、より好ましくは0.001~0.02Pa・sの粘度を有する。
【0358】
いくつかの実施形態では、水素炭素油は、液状ワセリン、スクアラン、プリスタン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、スクアレン、鉱油、軽質鉱油、軽質鉱油及び重質鉱油のブレンド、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、テルペン油、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0359】
いくつかの実施形態では、水素炭素油は、軽質鉱油である。本明細書で使用される場合、鉱油は、石油から得られる透明な油性液体であり、そこからワックスが除去され、より揮発性の高い留分が蒸留によって除去される。250℃~300℃で蒸留される留分は鉱油と呼ばれ、炭化水素の混合物からなり、炭化水素分子当たりの炭素原子の数は、通常、C10~C40の範囲である。鉱油は、その粘度により特徴付けられ得、軽質鉱油は、重質鉱油よりも比較的粘度が低く、これらの用語は、U.S.Pharmacopoeia,22nd revision,p. 899(1990)でより具体的に定義されている。本発明における使用のための好適な軽質鉱油の市販品の例としては、Silkoleneから入手可能なSirius(登録商標)M40(炭素鎖長C0~C28、主にC12~C20、粘度4.3×10Pa・s)である。本発明において使用され得る他の炭化水素油としては、テトラデカン、ヘキサデカン、及びオクタデカンなどの直鎖飽和炭化水素、ジオクチルシクロヘキサン(例えば、HenkelからのCETIOL(登録商標)S)などの環状炭化水素、分岐鎖炭化水素(例えば、Exxon Corp.からのISOPAR(登録商標)及びISOPAR(登録商標)V)を含む比較的低分子量の炭化水素が挙げられる。
【0360】
いくつかの実施形態では、油相の脂肪性材料は、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、アジピン酸ジオクチル、ココ-カプリル酸塩/カプリン酸塩、アジピン酸ジエチルヘキシル、ジリノール酸ジイソプロピル二量体、ジリノール酸ジイソステアリル二量体、butyrospermum parkii(シア)バター、乳酸C12-C13アルキル、酒石酸ジ-C12-C13アルキル、クエン酸トリ-C12-C13アルキル、乳酸C12-C15アルキル、ジオクタン酸ppg、ジオクタン酸ジエチレングリコール、メドウフォーム油、オレイン酸C12-15アルキル、ネオペンタン酸トリデシル、セテアリルアルコール及びポリソルベート60、C18-C26トリグリセリド、セテアリルアルコール及びセテアリルグルコシド、アセチル化ラノリン、vp/エイコセンコポリマー、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、C18-36酸グリコールエステル、C18-36トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。また、好適かつ好ましいのは、セチルアルコール及びステアリン酸グリセリル及びPEG-75、ステアリン酸塩及びセテス-20及びステアレス-20、ラウリルグルコシド及びジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ベヘネス-25、ポリアミド-3及びテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシケイヒ酸ペンタエリスリチル、ポリアミド-4及びPEG-100ステアリン酸塩、セチルリン酸カリウム、ステアリン酸及びヘクタイトである。
【0361】
いくつかの実施形態では、油相用の脂肪性材料は、液体パラフィン、液体イソパラフィン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、グリセリルトリ(カプリレーテルカプリン酸)、アルキ-1,3-ジメチルブチルエーテル、分子量100~500のメチルポリシロキサン、デカメチルシドペンタシロキサン、オクタメチルシドテトラシロキサン、炭素数12~22の高級脂肪酸、炭素数12~22の高級アルコール、セラミド、糖脂質、及びテルペン油からなる群から選択される。
【0362】
いくつかの実施形態では、油相の脂肪性材料は、パラフィン油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セチルステアリル2-エチルヘキサノエート、水素化ポリイソブテン、ワセリン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、マイクロクリスタリンワックス、ラノリン及びステアリン酸、シリコーン油、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0363】
一実施形態では、油相用の脂肪性材料は、ホホバ油、オリーブ油、カメリア油、アボカド油、カカオ油、ヒマワリ油、杏仁油、パーム油、ヒマシ油、ブリチ油、中鎖トリグリセリドを含む植物油からなる群から選択される。
【0364】
一実施形態では、絹乳化剤によって乳化可能な油性材料は、植物油、イソドデカン、及びイソヘキサデカン、並びに脂肪酸の1つ以上の油性エステルからなる群から選択され、植物油は、ホホバ油及び/又はカメリア油から選択され、当該油性エステルは、イソノナン酸イソノニル及びココカプリル酸塩から選択される。
【0365】
いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、コラーゲンブースティング、組成物の総重量により1.0重量%~約95重量%の範囲の重量パーセントで存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により45.0重量%~約95重量%の範囲の重量パーセントで、コラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により45.0重量%~約65.0重量%の範囲の重量パーセントで、コラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により5.0重量%~約45重量%の範囲の重量パーセントで、コラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により5.0重量%~約35重量%の範囲の重量パーセントで、コラーゲンブースティング組成物中に存在する。いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により10.0重量%~約25重量%の範囲の重量パーセントで、コラーゲンブースティング組成物中に存在する。
【0366】
いくつかの実施形態では、油相は、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法において、エマルジョン担体の総重量により約50.0重量%~95.0重量%の範囲の重量パーセントで提供される。いくつかの実施形態では、油相は、エマルジョン担体の総重量により約5重量%~45重量%の範囲の重量パーセントで、コラーゲンブースティング組成物中に提供され、これは、そのような含量が、エマルジョン担体が、おおよそ室温よりも広い温度範囲にわたる安定性、及び良好な感触を有することを可能にするためである。
【0367】
いくつかの実施形態では、エマルジョン担体用の水相は、水、水溶液、アルコール及び水のブレンド、又は水性担体としてのリオトロピック液晶相を含む。本発明のコラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法に含有される水の選択は、特に限定されず、具体的な例としては、精製水、イオン交換水、及び水道水が挙げられる。いくつかの実施形態では、水性は、エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上の低分子多価アルコールを更に含む。いくつかの実施形態では、水相は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールを含む1つ以上の低級アルコール溶媒を更に含む。
【0368】
水及び多価アルコールのブレンド比は、エマルジョンの配合の種類に基づいて適切に決定される。
【0369】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、組成物の総重量により約50重量%~約98重量%の水相を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、組成物の総重量により約60重量%~約90重量%の水相を含む。いくつかの実施形態では、エマルジョン中の水相の量は、組成物の総重量により約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0370】
いくつかの実施形態では、絹含有乳化剤系は、水相に存在する。
【0371】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、粘度調整剤及び/又は増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、増粘剤は、モノステアリン酸エチレングリコール、カルボマーポリマー、カルボキシビニルポリマー、アクリルコポリマー、メチルセルロース、ラクチド及びグリコリドモノマーのコポリマー、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カラギーナン、疎水性変性ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト、セルロースエーテル(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース)の水溶性塩、カラヤガム、アラビアゴム、グアーガム(Guars)、HPグアーガムなどの天然ガム、ヘテロ多糖ガム(例えば、キサンタンガム)、及びトラガカントガムからなる群から選択される。
【0372】
いくつかの実施形態では、増粘剤は、タルク、ヒュームドシリカ、ポリマーポリエーテル化合物(例えば、1個~約18個の炭素原子を含有するアルキル又はアシル基でキャップされたポリエチレン又はポリプロピレンオキシド(MW300~1,000,000))、ステアリン酸エチレングリコール、16個~22個の炭素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミド、ジステアリン酸ポリエチレングリコール3、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol(登録商標)420、Carbopol(登録商標)488、又はCarbopol(登録商標)493)、アクリル酸の架橋ポリマー、アクリル酸及び疎水性モノマーのコポリマー、カルボン酸含有モノマー及びアクリルエステルのコポリマー(例えば、Carbopol(登録商標)1342)、アクリル酸及びアクリレートエステルの架橋コポリマー、多官能剤で架橋されたポリアクリル酸(例えば、Carbopol(登録商標)910、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、及びCarbopol(登録商標)980、Ultrez(登録商標)10)、並びに結晶性長鎖アシル誘導体からなる群から選択される。
【0373】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約0.1重量%~約15.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約0.1重量%~約10.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約0.5重量%~約6.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約0.9重量%~約4.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約2.0重量%の増粘剤/粘度調整剤を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製方法及び使用方法において提供される増粘剤/粘度調整剤の量は、組成物の総重量により約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.50重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5.0重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6.0重量%、約6.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8.0重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9.0重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10.0重量%、約10.1重量%、約10.2重量%、約10.3重量%、約10.4重量%、約10.5重量%、約10.6重量%、約10.7重量%、約10.8重量%、約10.9重量%、約11.0重量%、約11.1重量%、約11.2重量%、約11.3重量%、約11.4重量%、約11.5重量%、約11.6重量%、約11.7重量%、約11.8重量%、約11.9重量%、約12.0重量%、約12.1重量%、約12.2重量%、約12.3重量%、約12.4重量%、約12.5重量%、約12.6重量%、約12.7重量%、約12.8重量%、約12.9重量%、約13.0重量%、約13.1重量%、約13.2重量%、約13.3重量%、約13.4重量%、約13.5重量%、約13.6重量%、約13.7重量%、約13.8重量%、約13.9重量%、約14.0重量%、約14.1重量%、約14.2重量%、約14.3重量%、約14.4重量%、約14.5重量%、約14.6重量%、約14.7重量%、約14.8重量%、約14.9重量%、約15.0重量%からなる群から選択される。
【0374】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、水性担体として、水、水溶液、アルコール、アルコール及び水のブレンド、又はリオトロピック液晶相を含む。組成物に含有される水の選択は、特に限定されず、具体的な例としては、精製水、イオン交換水、及び水道水が挙げられる。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上の低分子多価アルコールを更に含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールを含む1つ以上の低級アルコール溶媒を更に含む。
【0375】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約50重量%~約98重量%の水性担体を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約60重量%~約90重量%の水性担体を含む。いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製方法及び使用方法における水性担体の量は、組成物の総重量により約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0376】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、非水性液体担体を含む。本明細書で使用される場合、非水性液体担体は、液体担体が実質的に水を含まないことを意味する。本発明において、「液体担体は実質的に水を含まない」とは、液体担体が水を含まないか、又は液体担体が水を含有する場合、水の量が非常に少ないことを意味する。本発明において、含まれる場合の水の量は、組成物の重量により1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、更により好ましくは0.1%以下、更により好ましくは0%である。
【0377】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、鉱油、炭化水素油、水素化ポリデセン、ポリイソブテン、イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、揮発性シリコーン油、不揮発性シリコーン油、イソヘキサデカン、スクアレン、スクアレン、エステル油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される油性材料を含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、白色鉱油、スクアラン、水素化ポリイソブテン、イソヘキサデカン、及びイソドデカンからなる群から選択される油性材料を含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、スクアラン及び水素化ポリイソブテンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、白色鉱油、イソヘキサデカン、及びイソドデカンを含む。いくつかの実施形態では、炭化水素油は、液体パラフィン、液体イソパラフィン、スクアレン、鉱油、飽和及び不飽和ドデカン、飽和及び不飽和トリデカン、飽和及び不飽和テトラデカン、飽和及び不飽和ペンタデカン、飽和及び不飽和ヘキサデカン、ポリブテン、ポリデセン、ペルメチル置換異性体、例えば、ヘキサデカン及びエイコサンのペルメチル置換異性体(例えば、2,2,4,4,6,6,8,8-ジメチル-10-メチルウンデカン及び2,2,4,4,6,6-ジメチル-8-メチルノナン)、イソブチレン及びブタンのコポリマー、ポリ-α-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデカン、1-テトラデセンのポリマー)、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0378】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジヘキシルデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル、アジピン酸オレイル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸グリコール、及びラウリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソセチルステアロイル、アジピン酸ジイソプロピル、クエン酸トリステアリル、トリオレイン、ジラウリン酸トリステアリングリセリル、トリメチロールプロパンのC-C10トリエステル、3,3ジエタノール-1,5ペンタジオールのテトラエステル、アジピン酸のC-C10ジエステル、エチレングリコールモノ及びジ-脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ-及びジ-脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ-及びジ-脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリプロピレングリコール、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸エトキシル化プロピレングリコール、グリセリルモノ-及びジ-脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ-脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸1,3-ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3-ブチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、ポリソルベート80、Tween80(登録商標))、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される脂肪酸エステル油を含む有機性油を含む。
【0379】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約8個~約20個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約8個~約16個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、約10個~約16個の炭素原子を有する揮発性イソパラフィンを含む。いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、イソブテンの三量体、四量体、及び五量体、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。市販のイソパラフィン炭化水素は、その重合度の分布を有することができ、例えば、三量体、四量体、及び五量体の混合物であり得る。本明細書においては、四量体とは、四量体が最も高い含量を有する市販のイソパラフィン炭化水素、すなわち、四量体が、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更により好ましくは85%以上の量で含まれることを意味する。
【0380】
いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、いくつかのグレードのイソパラフィンの混合物である。いくつかの実施形態では、揮発性イソパラフィンは、37.8℃で、約0.5mm・s-1~約50mm・s-1、約0.8mm・s-1~約40mm・s-1、約1mm・s-1~約30mm・s-1、約1mm・s-1~約20mm・s-1、及び約1mm・s-1~約10mm・s-1から選択される粘度範囲を有する。2つ以上のイソパラフィン炭化水素溶媒を使用する場合、イソパラフィン炭化水素溶媒の混合物が、上記の粘度を有することが好ましい。
【0381】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、エステル油を含む。いくつかの実施形態では、エステル油は、3以下の、及び室温で液体としてのHLBを有する。いくつかの実施形態では、エステル油は、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、及びラウリン酸メチルからなる群から選択される。一実施形態では、エステル油は、ステアリン酸メチルである。
【0382】
いくつかの実施形態では、エステル油は、調節された触感と生成物安定性との間のバランスの観点から、及び/又は発泡防止の観点から、コラーゲンブースティング組成物の総重量により約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約15重量%、約1.0重量%~約10重量%、約1.0重量%~約5.0重量%から選択される重量パーセントで、非水性液体担体に含まれる。
【0383】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、トリメチロイルプロパントリカプリレート/トリカプリレート、安息香酸C12-C15アルキル、ステアリン酸エチルヘキシル、ヤシ脂肪酸エチルヘキシル、オレイン酸デシル、ヤシ脂肪酸デシル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エチルヘキシルパーラゴネート(ethylhexyl perlagonate)、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、並びにglycine soja、helianthus annuus、simmondsia chinensis、carthamus tinctorius、oenothera biennis、及びrapae oleumなどの天然油、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される脂肪酸エステルを含む。
【0384】
いくつかの実施形態では、非水性液体担体は、グリセリド脂肪酸エステルを含む。いくつかの実施形態では、本発明におけるヘアオイルにおける使用に好適なグリセリド脂肪酸エステルは、周囲温度(25~30℃)で0.01~0.8Pa・s、好ましくは0.015~0.6Pa・s、より好ましくは0.02~0.065Pa・sの粘度を有する。
【0385】
一実施形態では、脂肪性材料は、グリセリド脂肪酸エステルを含む。本明細書で使用される場合、「グリセリド脂肪酸エステル」という用語は、グリセロールとC6-C30カルボン酸などの長鎖カルボン酸との間に形成されたモノ-、ジ-、及びトリ-エステルを指す。カルボン酸は、飽和若しくは不飽和であり得るか、又はヒドロキシルなどの親水性基を含有し得る。好ましいグリセリド脂肪酸エステルは、C10~C24、好ましくはC10~C22、最も好ましくはC12~C20、最も好ましくはC12~C18の範囲の炭素鎖長のカルボン酸に由来する。いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪酸エステルは、C6-C12脂肪酸鎖を有する中鎖トリグリセリドである。
【0386】
いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪エステルは、カメリア油、ココナッツ油、ヒマシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、ラノリン、及び大豆油などの様々な植物性及び動物性油脂から供給される。合成油としては、トリミリスチン、トリオレイン、及びトリステアリングリセリルジラウレートが挙げられる。植物由来のグリセリド脂肪エステルとしては、アーモンド油、ヒマシ油、ココナッツ油、パーム核油、ゴマ油、ヒマワリ油、及び大豆油が挙げられる。
【0387】
いくつかの実施形態では、グリセリド脂肪酸エステルは、ココナッツ油、ヒマワリ油、アーモンド油、及びそれらの混合物から選択される。
【0388】
非水性液体担体は、コラーゲンブースティング組成物の総重量により約50%~約99.9%、約60%~約99.8%、より好ましくは約65%~約98%のコラーゲンブースティング組成物の重量によるレベルで含まれる。
【0389】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、非絹界面活性剤を実質的に含まない水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水、水溶液、アルコール、アルコール及び水のブレンド、又はリオトロピック液晶相から選択される。組成物に含有される水の選択は、特に限定されず、具体的な例としては、精製水、イオン交換水、及び水道水が挙げられる。
【0390】
いくつかの実施形態では、水性液体担体は、エタンジオール、プロパンジオール、グリセロール、ブタンジオール、ブタンテトラオール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上の低分子多価アルコールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、水及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10の水対グリセロールの重量比で、水及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、及び1:1から選択される水対グリセロールの重量比で、水及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:1の水対グリセロールの重量比で、水及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10の水対グリセロールの重量比で、水及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、及び1:1から選択される絹フィブロインタンパク質断片対グリセロールの重量比で、絹フィブロインタンパク質断片及びグリセロールを含む。いくつかの実施形態では、水性液体担体は、1:1の絹フィブロインタンパク質断片対グリセロールの重量比で、絹フィブロインタンパク質断片及びグリセロールを含む。
【0391】
いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約4.0~約9.0の範囲で調整される。いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約4.5~約8.5の範囲で調整される。いくつかの実施形態では、水性液相のpHは、約5.0~約7.0の範囲で調整される。pH調整剤は、緩衝液(例えば、PBS緩衝液)、アルカリ金属塩、酸、クエン酸、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、エタノールアミン、炭酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0392】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約1.0重量%~約99.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約5.0重量%~約45.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約5.0重量%~約35.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約10.0重量%~約30.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約45.0重量%~約95.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約60.0重量%~約90.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約45.0重量%~約75.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約60.0重量%~約75.0重量%の水性液体担体を含む。いくつかの実施形態では、組成物中の水性液体担体の量は、組成物の総重量により約1.0重量%、約2.0重量%、約3.0重量%、約4.0重量%、約5.0重量%、約6.0重量%、約7.0重量%、約8.0重量%、約9.0重量%、約10.0重量%、約11.0重量%、約12.0重量%、約13.0重量%、約14.0重量%、約15.0重量%、約16.0重量%、約17.0重量%、約18.0重量%、約19.0重量%、約20.0重量%、約21.0重量%、約22.0重量%、約23.0重量%、約24.0重量%、約25.0重量%、約26.0重量%、約27.0重量%、約28.0重量%、約29.0重量%、約30.0重量%、約31.0重量%、約32.0重量%、約33.0重量%、約34.0重量%、約35.0重量%、約36.0重量%、約37.0重量%、約38.0重量%、約39.0重量%、約40.0重量%、約41.0重量%、約42.0重量%、約43.0重量%、約44.0重量%、約45.0重量%、約46.0重量%、約47.0重量%、約48.0重量%、約49.0重量%、約50.0重量%、約51.0重量%、約52.0重量%、約53.0重量%、約54.0重量%、約55.0重量%、約56.0重量%、約57.0重量%、約58.0重量%、約59.0重量%、約60.0重量%、約61.0重量%、約62.0重量%、約63.0重量%、約64.0重量%、約65.0重量%、約66.0重量%、約67.0重量%、約68.0重量%、約69.0重量%、約70.0重量%、約71.0重量%、約72.0重量%、約73.0重量%、約74.0重量%、約75.0重量%、約76.0重量%、約77.0重量%、約78.0重量%、約79.0重量%、約80.0重量%、約81.0重量%、約82.0重量%、約83.0重量%、約84.0重量%、約85.0重量%、約86.0重量%、約87.0重量%、約88.0重量%、約89.0重量%、約90.0重量%、約91.0重量%、約92.0重量%、約93.0重量%、約94.0重量%、約95.0重量%、約96.0重量%、約97.0重量%、約98.0重量%から選択される。
【0393】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、天然又は合成の芳香性エッセンシャルオイルを含む。いくつかの実施形態では、芳香性エッセンシャルオイルは、ユーカリ油、ラバンディン油、ラベンダー油、ベチバー油、リトシークベバ油、レモン油、サンダルウッド油、ローズマリー油、カモミール油、セイバリー油、ナッツメグ油、シナモン油、ヒソップ油、キャラウェイ油、オレンジ油、ゲラニオール油、ケイド油、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、スギ油、小麦胚芽油、ベルガモット油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0394】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK、リボフラビン、ピリドキシン、補酵素チアミンピロホスフェート、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、ピリドキサールホスフェート、テトラドロ葉酸(tetradrofolic acid)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるビタミンを含む。
【0395】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、組成物の総重量により約0.01重量%~約8.0重量%のビタミン及び/又は補酵素を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約0.001重量%~約10.0重量%のビタミン及び/又は補酵素を含有する。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の総重量により約0.05重量%~約5.0重量%のビタミン及び/又は補酵素を含有する。
【0396】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、任意選択的に、トリアゾール、イミダゾール、ナフタレン誘導体、ベンズイミダゾール、モルフリン(morphline)誘導体、ジチオカルバミン酸塩、ベンズイソチアゾール、ベンズアミド、ホウ素化合物、ホルムアルデヒド供与体、イソチアゾロン、チオシアン酸塩、四級アンモニウム化合物、ヨウ素誘導体、フェノール誘導体、殺菌剤、ピリジン、ジアルキルチオカルバミン酸塩、ニトリル、パラベン、アルキルパラベン、及びそれらの塩からなる群から選択される防腐剤を含む。
【0397】
いくつかの実施形態では、コラーゲン刺激組成物並びにその作製及び使用方法は、水溶液、エタノール溶液、油、ジェル、エマルジョン、懸濁液、ムース、液晶、固体、ジェル類、ローション、クリーム、エアゾルスプレー、ペースト、フォーム、及びトニックからなる群から選択される形態で製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、クリーム、スプレー、エアロゾルムース、又はジェルからなる群から選択される形態である。
【0398】
一実施形態では、組成物は、本開示の化合物の良好な可溶化及び/又は溶解を確実にし、かつ本開示の化合物の沈殿を最小限にするための可溶化剤を含むことができる。これは、非経口使用のための組成物、例えば、注射用組成物にとって特に重要であり得る。親水性薬物、及び/又は界面活性剤などの他の構成成分の溶解性を高めるために、又は組成物を安定又は均質な溶液若しくは分散液として維持するために、可溶化剤が添加され得る。
【0399】
好適な可溶化剤の例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びその異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体などのアルコール及びポリオール;テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)又はメトキシPEGなどの約200~約6000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル;アミド、並びに2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドンなどの他の窒素含有化合物;プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、一酢酸プロピレングリコール、二酢酸プロピレングリコール、.イプシロン.-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体などのエステル;並びにジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及び水などの当技術分野で既知の他の可溶化剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0400】
可溶化剤の混合物も使用することができる。例としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコフロール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0401】
含まれ得る可溶化剤の量は、特に制限されない。所定の可溶化剤の量は、生物学的に許容可能な量に限定されることがあり、この量は、当業者によって容易に決定され得る。場合により、例えば薬物濃度を最大にするために、生物学的に許容可能な量を遥かに超える量の可溶化剤を含むことが有利であり得、過剰の可溶化剤は、患者への組成物の投与に先立ち、蒸留又は蒸発などの従来の技術を使用して除去される。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物及び他の賦形剤の合計重量に基づいて、10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、又は最大約200重量%の重量比であり得る。必要に応じて、5%、2%、1%、又は更にはそれ以下などの非常に少量の可溶化剤を使用することもできる。典型的には、可溶化剤は、約1重量%~約100重量%、より典型的には、約5重量%~約25重量%の量で存在することができる。
【0402】
組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤及び賦形剤を更に含むことができる。そのような添加剤及び賦形剤としては、粘着除去剤、消泡剤、緩衝剤、ポリマー、抗酸化剤、防腐剤、キレート剤、粘度調節剤、張性調節剤、香味料、着色剤、臭気剤、乳白剤、懸濁剤、結合剤、フィラー、可塑剤、潤滑剤、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0403】
注射による投与用に本開示の組成物が組み込まれ得る形態としては、水性若しくは油性懸濁液又はエマルジョンが挙げられ、ゴマ油、コーン油、綿実油、又は落花生油、並びにエリキシル剤、マンニトール、デキストロース、又は滅菌水溶液、及び類似の医薬ビヒクルを含む。
【0404】
生理食塩水中の水溶液もまた、従来、注射用に使用されている。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール(及びそれらの好適な混合物)、シクロデキストリン誘導体、並びに植物油も用いられ得る。適切な流動性は、例えば、分散液の場合に必要な粒子サイズを維持するためのレシチンなどのコーティングの使用によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールによってもたらされ得る。
【0405】
本開示の組成物は、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、フォーム、粉末、スラリー、軟膏、溶液、油、ペースト、坐剤、スプレー、エマルジョン、生理食塩水、ジメチルスルホキシド(DMSO)ベースの溶液などの、局所又は外用投与に適した固体、半固体、又は液体形態の調製物に製剤化され得る。一般に、より高密度の担体は、領域に、有効成分への長時間の曝露を提供することができる。対照的に、溶液製剤は、選択された領域に、有効成分のより即時性の曝露を提供することができる。
【0406】
医薬組成物はまた、好適な固相又はゲル相担体又は賦形剤を含むことができ、これらは、皮膚の角質層透過性バリアにわたる治療用分子の浸透を高める、又はその送達を助ける化合物である。外用製剤の分野で訓練された者に知られているこれらの浸透促進分子が多く存在する。そのような担体及び賦形剤の例としては、ヒューメクタント(例えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル及びラウリル硫酸ナトリウム)、ピロリドン、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、並びにポリエチレングリコールなどのポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0407】
本開示の方法における使用のための別の例示的な製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を用いる。そのような経皮パッチを使用して、別の活性医薬成分の有無にかかわらず、制御された量で、本明細書に記載される連続又は不連続の注入組成物を提供することができる。薬剤送達のための経皮パッチの構築及び使用は、当技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号、及び同第5,001,139号(これらの各々は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる)を参照されたい。そのようなパッチは、薬剤の連続性、拍動性、又はオンデマンド送達用に構築され得る。
【0408】
医薬組成物はまた、本明細書に記載される組成物、及び舌下、頬側、直腸、骨内、眼内、鼻腔内、硬膜外、又は脊髄内投与に適した1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤から調製され得る。そのような医薬組成物の調製は、当技術分野でよく知られている。例えば、Anderson,et al.,eds.,Handbook of Clinical Drug Data,Tenth Edition,McGraw-Hill,2002、及びPratt and Taylor,eds.,Principles of Drug Action,Third Edition,Churchill Livingston,N.Y.,1990(これらの各々は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0409】
これらの方法としては、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、血管内、腹腔内、若しくは注入を含む)、外用(例えば、経皮適用)、カテーテル若しくはステントによる局所送達を介した直腸投与、又は吸入、脂肪内又は髄腔内が挙げられる。
【0410】
本開示の組成物はまた、ステント、すなわち、動脈内に挿入された円筒形ポリマーなど、含浸又はコーティングされたデバイスを介して送達され得る。そのような投与方法は、例えば、バルーン血管形成術などの施術後の再狭窄の予防又は改善を助けることができる。理論に拘束されるものではないが、本開示の化合物は、再狭窄に寄与する動脈壁における平滑筋細胞の遊走及び増殖を遅延させる又は阻害することができる。本開示の化合物は、例えば、ステントのストラットから、ステントグラフトから、グラフトから、又はステントのカバー若しくはシースからの局所送達によって投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、マトリックスと混合される。そのようなマトリックスは、高分子マトリックスであり得、化合物をステントに結合させるのに役立ち得る。そのような使用に適した高分子マトリクスとしては、例えば、ポリラクチド、ポリカプロラクトングリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、多糖類、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル-エステル)コポリマー(例えば、PEO-PLLA)などのラクトンベースのポリエステル又はコポリエステル;ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン-ビニルアセテート)、アクリレートベースのポリマー又はコポリマー(例えば、ポリヒドロキシエチルメチルメタクリレート、ポリビニルピロリジノン)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリマー、及びセルロースエステルが挙げられる。好適なマトリックスは、非分解性であり得るか、又は経時的に分解して、化合物を放出し得る。本明細書で開示される組成物は、ディップ/スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、及び/又はブラシコーティングなどの様々な方法によってステントの表面に適用され得る。化合物を溶媒中で適用することができ、溶媒を蒸発させ、したがってステント上に化合物の層を形成することができる。あるいは、組成物は、ステント又はグラフの本体、例えば、マイクロチャネル又はマイクロポアに位置付けられ得る。埋め込まれると、組成物は、ステントの本体から拡散して動脈壁に接触する。そのようなステントは、そのようなマイクロポア又はマイクロチャネルを含有するように製造したステントを、好適な溶媒中の本開示の化合物の溶液に浸漬した後、溶媒を蒸発させることによって調製され得る。本明細書で開示される組成物は、血管形成術中に使用されるバルーンから血管内に投与され得る。本開示の組成物の心膜を介する又は外膜適用を介する血管外投与も、再狭窄を減少させるために実施され得る。
【0411】
例示的な非経口投与形態としては、無菌水溶液中の溶液又は懸濁液、例えば、プロピレングリコール水溶液又はデキストロース水溶液が挙げられる。そのような剤形は、必要に応じて、好適に緩衝化され得る。
【0412】
本開示は、キットも提供する。キットは、好適なパッケージ内に、本明細書で開示される組成物を含み、使用説明書、臨床試験の内容、及び副作用のリストを含み得る文書を含む。そのようなキットは、科学文献の参考文献、添付文書、臨床試験結果、及び/又はこれらの要約などの情報も含むことができ、これらは、組成物の活性及び/若しくは利点を示すか若しくは確立し、かつ/又は用量、用法、副作用、薬物相互作用、又は医療提供者に有用な他の情報を記載する。そのような情報は、様々な研究、例えば、インビボモデルを含む実験動物を使用した研究、及びヒトの臨床試験に基づく研究の結果に基づき得る。キットは、別の活性医薬成分を更に含有し得る。使用に適したパッケージング及び追加の物品(例えば、液体調製物用の計量カップ、空気への曝露を最小限にするためのフォイル包装など)は、当技術分野において知られており、キットに含まれ得る。本明細書に記載されるキットは、医師、看護師、薬剤師、処方官(formulary officials)などを含む医療提供者に提供、販売、及び/又は宣伝され得る。キットはまた、いくつかの実施形態では、消費者に直接販売され得る。キットは、好ましくは、本明細書に記載される疾患及び状態の治療における使用を目的とする。
【0413】
以下の条項は、特定の実施形態を説明する。
【0414】
第1項. i)コラーゲン発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又はii)クローディン-1発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又はもう1つの抗炎症遺伝子の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防の方法であって、方法が、約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約17kDa~約39kDa、約14kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物を、対象に投与することを含み、組成物中の絹フィブロイン断片の濃度が、約0.001%w/v~約10%w/vである、方法。
【0415】
第2項. 組成物が、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む、第1項に記載の方法。
【0416】
第3項. 組成物が、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む、第1項又は第2項に記載の方法。
【0417】
第4項. 絹フィブロイン断片が、1~約1.5の多分散性を有する、第1~3項のいずれか一項に記載の方法。
【0418】
第5項. 絹フィブロイン断片が、約1.5~約2.0の多分散性を有する、第1~3項のいずれか一項に記載の方法。
【0419】
第6項. 絹フィブロイン断片が、約1.5~約3.0の多分散性を有する、第1~3項のいずれか一項に記載の方法。
【0420】
第7項. 絹フィブロイン断片が、約2.0~約2.5の多分散性を有する、第1~3項のいずれか一項に記載の方法。
【0421】
第8項. 絹フィブロイン断片が、約2.5~約3.0の多分散性を有する、第1~3項のいずれか一項に記載の方法。
【0422】
第9項. 絹フィブロイン断片が、組成物に製剤化する前の少なくとも10日間、水溶液中にある場合、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、色又は濁度が視覚的に変化しない、第1~8項のいずれか一項に記載の方法。
【0423】
第10a項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10b項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約2%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10c項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約3%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10d項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約4%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10e項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約5%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10f項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約6%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10g項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10h項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約8%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第10i項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約9%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。
【0424】
第11a項. 絹フィブロイン断片が、約0.01%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11b項. 絹フィブロイン断片が、約0.002%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11c項. 絹フィブロイン断片が、約0.003%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11d項. 絹フィブロイン断片が、約0.004%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11e項. 絹フィブロイン断片が、約0.005%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11f項. 絹フィブロイン断片が、約0.006%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11g項. 絹フィブロイン断片が、約0.007%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11h項. 絹フィブロイン断片が、約0.008%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第11i項. 絹フィブロイン断片が、約0.009%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。
【0425】
第12a項. 絹フィブロイン断片が、約0.025%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12b項. 絹フィブロイン断片が、約0.01%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12c項. 絹フィブロイン断片が、約0.02%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12d項. 絹フィブロイン断片が、約0.03%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12e項. 絹フィブロイン断片が、約0.04%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12f項. 絹フィブロイン断片が、約0.05%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12g項. 絹フィブロイン断片が、約0.06%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12h項. 絹フィブロイン断片が、約0.07%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12i項. 絹フィブロイン断片が、約0.08%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第12j項. 絹フィブロイン断片が、約0.09%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。
【0426】
第13a項. 絹フィブロイン断片が、約0.05%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13b項. 絹フィブロイン断片が、約0.01%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13c項. 絹フィブロイン断片が、約0.02%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13d項. 絹フィブロイン断片が、約0.03%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13e項. 絹フィブロイン断片が、約0.04%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13f項. 絹フィブロイン断片が、約0.06%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13g項. 絹フィブロイン断片が、約0.07%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13h項. 絹フィブロイン断片が、約0.08%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13i項. 絹フィブロイン断片が、約0.09%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13j項. 絹フィブロイン断片が、約0.1%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。
【0427】
第13k項. 絹フィブロイン断片が、約0.1%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13l項. 絹フィブロイン断片が、約0.15%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13m項. 絹フィブロイン断片が、約0.2%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13n項. 絹フィブロイン断片が、約0.25%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13o項. 絹フィブロイン断片が、約0.3%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13p項. 絹フィブロイン断片が、約0.35%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13q項. 絹フィブロイン断片が、約0.4%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13r項. 絹フィブロイン断片が、約0.45%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13s項. 絹フィブロイン断片が、約0.5%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13t項. 絹フィブロイン断片が、約0.55%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13u項. 絹フィブロイン断片が、約0.6%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13v項. 絹フィブロイン断片が、約0.65%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13x項. 絹フィブロイン断片が、約0.7又は0.75%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13y項. 絹フィブロイン断片が、約0.8又は0.85%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。第13z項. 絹フィブロイン断片が、約0.9又は0.95%w/vで組成物中に存在する、第1~9項のいずれか一項に記載の方法。
【0428】
第14a項. 組成物が、注射可能な組成物又は外用組成物として製剤化される、第1~13項のいずれか一項に記載の方法。第14b項. 組成物が、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、フォーム、スラリー、軟膏、油、ペースト、坐剤、スプレー、半固体組成物、固体組成物、スティック、又はムースとして製剤化される、第1~13項のいずれか一項に記載の方法。
【0429】
第15項. 組成物が、薬学的に許容可能な担体を更に含む、第1~14項のいずれか一項に記載の方法。
【0430】
第16a項. 薬学的に許容可能な担体が、水相を含む、第15項に記載の方法。第16b項. 薬学的に許容可能な担体が、懸濁液、エマルジョン、粉末、溶液、分散液、又はエリキシルのうちの1つ以上を含む、第15項に記載の方法。
【0431】
第17項. 薬学的に許容可能な担体が、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む、第15項又は第16項に記載の方法。
【0432】
第18a項. 組成物が、上皮表面への投与のために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。第18b項. 組成物が、注射によって投与されるために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。第18c項. 組成物が、皮下注射、皮内注射、経皮注射、又は真皮下注射によって投与されるために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。第18d項. 組成物が、筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、骨内注射、心臓内注射、関節内注射、又は海綿体内注射によって投与されるために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。第18e項. 組成物が、デポー注射によって、浸潤注射によって、留置カテーテルによって、又はマイクロニードルによって投与されるために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。第18f項. 組成物が、経皮的に投与されるために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0433】
第19項. 上皮表面が、表層表皮領域、角質層、眼表面、又は腸表面である、第18項に記載の方法。
【0434】
第20項. 組成物が、経表皮水分蒸散量を低減するために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0435】
第21項. 組成物が、バリア製剤として製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0436】
第22項. 組成物が、創傷閉鎖製剤として製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0437】
第23項. 組成物が、対象における皺を予防若しくは改善する、対象における加齢性色素斑を予防若しくは改善する、対象における乾燥肌を予防若しくは改善する、又は対象における不均一な皮膚の色調を予防若しくは改善するために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0438】
第24項. 組成物が、対象における皮膚のたるみを予防若しくは改善する、対象における皮膚の老化を予防若しくは改善する、対象における低減した皮膚の引張強度を予防若しくは改善する、対象における光損傷した皮膚を予防若しくは改善する、又は対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を予防若しくは改善するために製剤化される、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0439】
第25a項. 疾患又は状態が、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、低減した皮膚の引張強度、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。第25b項. 疾患又は状態が、甲状腺ホルモン誘発性心筋肥大、又は腱の断裂、損傷、若しくは裂傷を含む、第1~17項のいずれか一項に記載の方法。
【0440】
第26項. 約1kDa~約5kDa、約5kDa~約10kDa、約6kDa~約17kDa、約10kDa~約15kDa、約15kDa~約20kDa、約17kDa~約39kDa、約14kDa~約30kDa、約20kDa~約25kDa、約25kDa~約30kDa、約30kDa~約35kDa、約35kDa~約40kDa、約39kDa~約54kDa、約39kDa~約80kDa、約40kDa~約45kDa、約45kDa~約50kDa、約60kDa~約100kDa、及び約80kDa~約144kDaから選択される平均重量平均分子量と、1~約5の多分散性とを有する絹フィブロイン断片を含む組成物の使用であって、組成物中の絹フィブロイン断片の濃度が、約0.001%w/v~約10%w/vであり、i)コラーゲン発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又はii)クローディン-1発現の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、及び/又はiii)もう1つの抗炎症遺伝子の刺激若しくは調節を必要とする対象において、それを行うこと、によって軽減される障害、疾患、又は状態の治療又は予防のための薬剤の製造における、使用。
【0441】
第27項. 組成物が、0~500ppmの臭化リチウムを更に含む、第26項に記載の使用。
【0442】
第28項. 組成物が、0~500ppmの炭酸ナトリウムを更に含む、第26項又は第27項に記載の使用。
【0443】
第29項. 絹フィブロイン断片が、1~約1.5の多分散性を有する、第26~28項のいずれか一項に記載の使用。
【0444】
第30項. 絹フィブロイン断片が、約1.5~約2.0の多分散性を有する、第26~28項のいずれか一項に記載の使用。
【0445】
第31項. 絹フィブロイン断片が、約1.5~約3.0の多分散性を有する、第26~28項のいずれか一項に記載の使用。
【0446】
第32項. 絹フィブロイン断片が、約2.0~約2.5の多分散性を有する、第26~28項のいずれか一項に記載の使用。
【0447】
第33項. 絹フィブロイン断片が、約2.5~約3.0の多分散性を有する、第26~28項のいずれか一項に記載の使用。
【0448】
第34項. 絹フィブロイン断片が、組成物に製剤化する前の少なくとも10日間、水溶液中にある場合、自然発生的に又は徐々にゲル化せず、色又は濁度が視覚的に変化しない、第26~33項のいずれか一項に記載の使用。
【0449】
第35項. 絹フィブロイン断片が、約0.001%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第26~34項のいずれか一項に記載の使用。
【0450】
第36項. 絹フィブロイン断片が、約0.01%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第26~34項のいずれか一項に記載の方法。
【0451】
第37項. 絹フィブロイン断片が、約0.025%w/v~約1%w/vで組成物中に存在する、第26~34項のいずれか一項に記載の使用。
【0452】
第38項. 絹フィブロイン断片が、約0.05%w/v~約0.7%w/vで組成物中に存在する、第26~34項のいずれか一項に記載の使用。
【0453】
第39項. 組成物が、注射可能な組成物又は外用組成物として製剤化される、第26~38項のいずれか一項に記載の使用。
【0454】
第40項. 組成物が、薬学的に許容可能な担体を更に含む、第26~39項のいずれか一項に記載の使用。
【0455】
第41項. 薬学的に許容可能な担体が、水相を含む、第40項に記載の使用。
【0456】
第42項. 薬学的に許容可能な担体が、水中油型エマルジョン又は油中水型エマルジョンを含む、第40又は41項に記載の使用。
【0457】
第43項. 組成物が、上皮表面への投与のために製剤化される、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【0458】
第44項. 上皮表面が、表層表皮領域、角質層、眼表面、又は腸表面である、第43項に記載の使用。
【0459】
第45項. 組成物が、経表皮水分蒸散量を低減するために製剤化される、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【0460】
第46項. 組成物が、バリア製剤として製剤化される、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【0461】
第47項. 組成物が、創傷閉鎖製剤として製剤化される、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【0462】
第48項. 組成物が、対象における皺を予防若しくは改善する、対象における加齢性色素斑を予防若しくは改善する、対象における乾燥肌を予防若しくは改善する、又は対象における不均一な皮膚の色調を予防若しくは改善するために製剤化される、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【0463】
第49項. 組成物が、対象における皮膚のたるみを予防若しくは改善する、対象における皮膚の老化を予防若しくは改善する、対象における低減した皮膚の引張強度を予防若しくは改善する、対象における光損傷した皮膚を予防若しくは改善する、又は対象における皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を予防若しくは改善するために製剤化される、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【0464】
第50項. 疾患又は状態が、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、不均一な皮膚の色調、皮膚のたるみ、皮膚の老化、低減した皮膚の引張強度、光損傷した皮膚、又は皮膚伸展線条(ストレッチマーク)を含む、第26~42項のいずれか一項に記載の使用。
【実施例
【0465】
ここで、以下の実施例を参照して、本明細書に包含される実施形態が説明される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供され、本明細書に包含される開示は、決してこれらの実施例に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるあらゆる変形例を包含するものとして解釈されるべきである。
【0466】
一般的手順
本発明の組成物は、当技術分野で既知の様々な方法によって作製され得る。そのような方法には、以下の実施例のもの、及び以下に具体的に例示される方法が含まれる。
【0467】
実施例1:絹フィブロインによるコラーゲン刺激
皮膚の健康及び老化における絹-コラーゲンの関係-薬用化粧品が増えている。アンチエイジングスキンケア製品及び敏感肌の消費者による使用に適した製品に対する需要の高まりに応えて、スキンケア業界は、「薬用化粧品」を開発している。これらの化粧品は、皮膚の健康を強化し、かつそれを美しくするために、生物学的に活性な成分を組み込み、それらの目的は、皮膚の不完全性を隠すのではなく、その原因を解決することである。薬用化粧品に対する需要の高まりは、若い外観を保持したいという付随する願望を伴う世界人口の高齢化の結果であり、過去10年間は、40歳以上の人々の著しい増加を伴う急速な人口増加が見られ、これらの高齢群における化粧品の使用も増加している。その結果、皺、加齢性色素斑、乾燥肌、及び不均一な皮膚の色調を予防又は改善する製品の需要が高まり、新たな処方の開発及び業界の成長に拍車をかけている。[Mordor Intelligence(2019). Cosmeceuticals Market-Segmented by Product Type(Skin Care,Hair Care,Injectable,Oral Care),Active Ingredients(Antioxidants,Botanicals,Exfoliants,Peptides,Retinoids),and Regions-Growth,Trends,and Forecast(2019-2024)。www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industryで入手可能。2019年5月5日にアクセス。web.archive.org/web/20190506184300/https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industryでアーカイブ。]これらの製品は、皮膚の疾患状態を治療するための薬物を含んでいないため、米国食品医薬品局(FDA)などの機関によって規制されておらず、医師の処方箋を必要としない。[Martin KI,Glaser DA(2011)Cosmeceuticals:The new medicine of beauty. Missouri Medicine108:1、Report Linker(2018)Global Cosmeceuticals Market Outlook 2022。www.reportlinker.com/p01103487/Global-Cosmeceuticals-Market-Outlook.htmlで入手可能。2019年5月5日にアクセス。web.archive.org/web/20190506184758/https://www.reportlinker.com/p01103487/Global-Cosmeceuticals-Market-Outlook.htmlでアーカイブ。]薬用化粧品の高い人気及びアクセサビリティのために、それらの世界市場は、2017年に470億米ドルであり、2023年までに800億米ドル値に達すると予想されている。[Mordor Intelligence(2019). Cosmeceuticals Market-Segmented by Product Type(Skin Care,Hair Care,Injectable,Oral Care),Active Ingredients(Antioxidants,Botanicals,Exfoliants,Peptides,Retinoids),and Regions-Growth,Trends,and Forecast(2019-2024)。www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industryで入手可能。2019年5月5日にアクセス。web.archive.org/web/20190506184300/https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/global-cosmeceuticals-market-industryでアーカイブ。]米国では、薬用化粧品市場は、近年、100億ドルを遥かに超えた小売売上高があり、成長を続けている。[Packaged Facts(2012)Cosmeceuticals in the US. 6th ed. www.packagedfacts.com/Cosmeceuticals-Edition-6281775/で入手可能。2019年5月5日にアクセス。https://web.archive.org/web/20190506183806/https://www.packagedfacts.com/Cosmeceuticals-Edition-6281775/]でアーカイブ。]
【0468】
皮膚の健康及び老化におけるコラーゲン、線維芽細胞、及び細胞外マトリックスの役割。
【0469】
真皮は、皮膚の最も大きな部分であり、主に、皮膚の強度、復元性、及び弾性に関与する、高密度でコラーゲンが豊富なタンパク質性細胞外マトリックス(ECM)で構成されている。[Rittie L,Fisher GJ(2015)Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5:a015370、Quan T,Fisher GJ(2015)Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging:A mini-review. Gerontology 61:427-434.]数十年もの間、科学者らは、薄化、乾燥、細かい皺などの皮膚の老化の目に見える特徴が、加齢に伴う皮膚コラーゲンの分解の増加を反映することを知見している。[Smith JG,Davidson EA,Sams WM,Clark RD(1962)Alterations in human dermal connective tissue with age and chronic sun damage. J Invest Dermatol 39:347-350、Lavker RM(1979)Structural alterations in exposed and unexposed aged skin. J Invest Dermatol 73:59-66、Varani J et al(2000)Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114:480-486、Varani J et al(2000)Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114:480-486.]皮膚の結合組織の主要構成成分として、コラーゲンは、皮膚の強度及び復元性を維持する上で重要な役割を果たし、その変性は、脆弱で、容易にあざができ、一般的な若い外観を失った皮膚をもたらす。[同書。]より具体的には、真皮に対する加齢の影響は、コラーゲンベースの細胞外マトリックスの構造及び組織への有害な変化を伴う。[Rittie L,Fisher GJ(2015)Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5:a015370、Quan T,Fisher GJ(2015)Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging:A mini-review. Gerontology 61:427-434.]
【0470】
皮膚におけるこのコラーゲンの変性は、コラーゲン自体の発現の、通常の加齢に伴う減少と併せて、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)と呼ばれるコラーゲン分解酵素の発現の、通常の加齢に伴う増加の結果として生じる。酵素的MMP作用の増加は、経時的に真皮ECMにおける断片化されたコラーゲンフィブリルの蓄積をもたらす。このコラーゲンの断片化に伴うECMの構造的完全性の喪失は、メカノトランスダクションとして知られる現象を介して、コラーゲンを産生する真皮線維芽細胞の形状の完全性の喪失に生物学的に変換される。[Rittie L,Fisher GJ(2015)Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5:a015370、Quan T,Fisher GJ(2015)Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging:A mini-review. Gerontology 61:427-434.]真皮線維芽細胞とその周囲のECMとの相互作用は、細胞表面上のインテグリンとして知られる膜貫通型結合及びシグナル伝達受容体を介して生じる。健康で若い皮膚に見られる、正常な組織張力などの適切な機械的応力を受けている「伸ばされた」コラーゲンマトリックスに付着した線維芽細胞では、コラーゲン産生が高い。しかしながら、コラーゲン発現は、老化した皮膚のECMに見られるような、より「弛緩した」ECM環境内の線維芽細胞では抑制されており、断片化されたコラーゲンが多く蓄積する。[Chiquet M(1999)Regulation of extracellular matrix gene expression by mechanical stress. Matrix Biol 18:417-426.]したがって、適切な線維芽細胞の形状の喪失は、その細胞機能の喪失に関連しており、これは、コラーゲン産生の更なる低減につながり、次いで、MMP発現の増加につながる。[Rittie L,Fisher GJ(2015)Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5:a015370、Quan T,Fisher GJ(2015)Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging:A mini-review. Gerontology 61:427-434.]これらのコラーゲンベースの効果に加えて、皮膚の真皮線維芽細胞のポピュレーション(数)自体も加齢中に低減される。若年者の皮膚と高齢者の皮膚とでは、コラーゲン含量が68%低減され、線維芽細胞の数が35%低減されることが示されている。Varani J et al(2000)Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114:480-486、Varani J et al(2006)Decreased collagen production in chronologically aged skin roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation. AmJ Pathol 168:1861-1868.]コラーゲン及びMMPの発現及び線維芽細胞の細胞機能の変化のその後のフィードバックループは、コラーゲンマトリックスの密度低下がECMタンパク質産生の下方制御サイクルを永続させるため、老化した皮膚の目に見える特徴をもたらす、コラーゲンの恒常性の変化を助長する。[Rittie L,Fisher GJ(2015)Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5:a015370、Quan T,Fisher GJ(2015)Role of age-associated alterations of the dermal extracellular matrix microenvironment in human skin aging:A mini-review. Gerontology 61:427-434.]
【0471】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、皮膚の老化の顕在化の重要な決定因子は、真皮線維芽細胞の年齢ではなく、ECMの構造的な質であると考えられる。[Quan T et al(2013)Enhancing structural support of the dermal microenvironment activates fibroblasts,endothelial cells,and keratinocytes in aged human skin in vivo. J Invest Dermatol 133:658-667.]したがって、ECM及び線維芽細胞の健康を促進する老化又は損傷した皮膚の治療は、皮膚の外観の年齢依存性変化を成功裏に改善することができる。事実、研究によれば、老化した皮膚で観察されたコラーゲン産生の減少は、真皮線維芽細胞を刺激する処置によって幾分改善され得る。[Varani J et al(2000)Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114:480-486、Varani J et al (2006)Decreased collagen production in chronologically aged skin roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation. AmJ Pathol 168:1861-1868、Nusgens BV et al(2001)Topically applied vitamin C enhances the mRNA level of collagens I and III,their processing enzymes and tissue inhibitor of matrix metalloproteinase 1 in the human dermis. J Invest Dermatol 116:853-859、Quan T et al(2013)Enhancing structural support of the dermal microenvironment activates fibroblasts, endothelial cells,and keratinocytes in aged human skin in vivo. J Invest Dermatol 133:658-667、Rittie L,Fisher GJ(2015)Natural and sun-induced aging of human skin. Cold Spring Harb Perspect Med 5:a015370.]更に、日焼けで損傷した皮膚に見られる、より顕著な皮膚外観の変化は、コラーゲン産生線維芽細胞自体の損傷の結果ではないため、この損傷の改善も可能であると予想される。[Smith JG,Davidson EA,Sams WM,Clark RD(1962)Alterations in human dermal connective tissue with age and chronic sun damage. J Invest Dermatol 39:347-350、Lavker RM(1979)Structural alterations in exposed and unexposed aged skin. J Invest Dermatol 73:59-66、Varani J et al(2000)Vitamin A antagonizes decreased cell growth and elevated collagen-degrading matrix metalloproteinases and stimulates collagen accumulation in naturally aged human skin. J Invest Dermatol 114:480-486、Varani J(2001)Inhibition of Type I procollagen synthesis by damaged collagen in photoaged skin and by collagenase-degraded collagen in vitro. Am J Pathol 158:931-942、Varani J et al (2006)Decreased collagen production in chronologically aged skin roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation. AmJ Pathol 168:1861-1868.]
【0472】
絹ベースのスキンケアは、コラーゲン発現を促進し、老化及び損傷した皮膚を改善する。
【0473】
絹線維は、そのコアにおいて、フィブロインとして知られる天然タンパク質で構成されている。皮膚の結紮に利用された最初の埋め込み型生体材料として、絹フィブロインは、十分に確立された使用の歴史及びヒトの皮膚との適合性を誇る。2003年に、著者らは、絹フィブロインタンパク質が線維芽細胞によるコラーゲン産生を誘導する能力について報告し、改変された絹タンパク質ベースのマトリックスを用いた線維芽細胞の培養により、コラーゲン発現が促進され、かつ線維芽細胞密度が増加した。[Chen J et al(2003)Human bone marrow stromal cell and ligament fibroblast responses on RGD-modified silk fibers. J Biomed Mater Res A 67:559-570.]絹フィブロインとECM産生細胞との間の直接的相互作用が、これらの好ましい結果に関与したと考えられる。
【0474】
本明細書に記載されるように、絹フィブロインの液体製剤(ACTIVATED SILK(商標))は、線維芽細胞に影響を与える。すなわち、絹フィブロインを添加すると、培養中の線維芽細胞が刺激されて、対照線維芽細胞より20~30%超多いコラーゲンを産生する(絹フィブロインの添加濃度に応じて、図2を参照)。上記の有害なフィードバックループを考慮すると、この結果は、老化及び/又は損傷した皮膚の薬用化粧品治療の開発に非常に有望な発見である。
【0475】
スキンケア成分として、液体絹フィブロインは、ECMタンパク質の皮膚の知覚濃度を一時的に上昇させると考えられる。線維芽細胞上のインテグリンとの相互作用を介した分子シグナル伝達に加えて、絹フィブロインのタンパク質配列は、コラーゲンに存在するアミノ酸と容易かつ迅速に結合する水素が豊富なアミノ酸が主体となっている。具体的には、絹フィブロインのβシートが豊富な構造は、可逆的な水素結合で主に構成されており、そのタンパク質配列は、非極性アミノ酸のグリシン及びアラニンが主体となっている。[Marelli B et al(2012)Silk fibroin derived polypeptide-induced biomineralization of collagen. Biomaterials 33:102-108、Schroeder WA et al(1955)The Amino Acid Composition of Bombyx mori Silk Fibroin and of Tussah Silk Fibroin. J Am Chem Soc 77:3908-3913.]これらの水素が豊富なアミノ酸は、健康な皮膚、筋肉、及び骨の形成に関与するコラーゲンに存在する、密に存在する極性及び荷電アミノ酸と容易かつ迅速に結合する。[Lodish H et al. (2000)Collagen:The Fibrous Proteins of the Matrix. Molecular Cell Biology. Macmillan Publishers,New York.]コラーゲンと絹フィブロインとの結合は、ECMの完全性及び安定性を更に高め得る、元来安定した相互作用である。[Saxena T et al(2014)Chapter 3-Proteins and Poly(Amino Acids)A2-Kumbar,Sangamesh G.In Natural and Synthetic Biomedical Polymers,Laurencin CT,Deng M(eds),pp 43-65. Oxford:Elsevier.]インテグリンの絹フィブロインとの関与、及びECMの安定化によって刺激される、その後の正のフィードバック生物学的ループは、コラーゲン産生を促進し、より健康的で若々しい皮膚をもたらす(図1)。ACTIVATED SILK(商標)フィブロインは、ヒトの皮膚を引き締め、かつ張りを持たせることが臨床的に証明されている。
【0476】
ACTIVATED SILK(商標)は、絹フィブロインタンパク質の液体製剤である。絹フィブロインタンパク質を精製及び可溶化するためのプロセスは、有毒な化学物質を含まず、純粋な絹の繭、毒性のない塩、及び水のみを必要とする。これは、絹の調製に従来使用されているより過酷な加水分解法を、使用される塩及び生分解性ACTIVATED SILK(商標)の両方が、水路に流入しても安全であるため、廃水管理を必要としないグリーンケミストリー法に置き換えたものである。これは、ACTIVATED SILK(商標)が、ヒトの皮膚に接触する、合成の、かつ毒性を有し得る成分を、非毒性の、再生可能で、酸性に必要なエネルギーがより少なく、かつ廃棄物の生成がより少ない成分に置き換えることを意味する。ACTIVATED SILK(商標)は、生体適合性でもあり、あらゆるタイプの皮膚との接触に対して、敏感肌を有する人々に対してさえも、安全であることを意味する。事実、様々な形態の絹が、創傷被覆材及びグラフトの足場として使用されており、創傷治癒を改善することが見出されている。[Altman GH et al(2003)Silk-based biomaterials. Biomaterials 24:401-416. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4573254/、Thurber AE,Omenetto FG,Kaplan DL(2015)In vivo bioresponses to silk proteins. Biomaterials 71:145-157. www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4573254/pdf/nihms717107.pdf.]
【0477】
米国環境保護庁(EPA)によれば、グリーンケミストリーは、ソース削減のための化学の使用、すなわち、化学試薬、溶媒、及び製品の危険性を最小限にする又は排除することによって、そのソースでの汚染を削減する。これは、そのような有害物質の使用又は生成を削減又は排除する化学製品及びプロセスの設計によって達成される。グリーンケミストリーの原則は、化学製品の製造、使用、及び廃棄を含む、そのライフサイクル全体に適用される。
【0478】
液体絹のフィブロイン単位は、様々な二次構造で堅牢な生体材料に自己組織化する能力を有し、通常、生物及び環境に悪影響を与える溶媒、可塑剤、又は触媒を必要とすることなしに、絹がより高次のポリマーに重合することができることを意味する。更に、タンパク質の疎水性の性質及び結晶化の傾向は、温度及び湿度の変化に対する復元性を与え、ゲル及びフィルムなどの構造の形成を促進する機会を提供する。[Li AB et al(2015)Silk-based stabilization of biomacromolecules. J Control Release 219:416-430. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4656123/.]pHの変動が効能を大幅に阻害し得る薬物及び生体分子とは異なり、絹フィブロインの水素が豊富なアミノ酸構造は、pH変化によって悪影響を受けない。[Schroeder WA et al(1955)The Amino Acid Composition of Bombyx mori Silk Fibroin and of Tussah Silk Fibroin. J Am Chem Soc 77:3908-3913.]低pHは、コラーゲンの機械的構造の「捻じれを戻す」ことができると仮定されている[Coffey JW et al(1976)Digestion of native collagen,denatured collagen,and collagen fragments by extracts of rat liver lysosomes. J Biol Chem 251:5280-5282、Fine NA et al(2015)SERI surgical scaffold,prospective clinical trial of a silk-derived biological scaffold in two-stage breast reconstruction:1-year data. Plastic Reconst Surg 135:339-351](皮膚の密な角質層に位置する機械的構造など)。その結果、表皮及び真皮内への強化された輸送のためのプロトン化戦略は、ACTIVATED SILK(商標)の機能性を妨げないはずである。臨床スキンケア試験は、この仮説を裏付けており、低pHの薬用美容液を塗布して、ACTIVATED SILK(商標)でアイトリートメントを行った後、わずか7日間で小皺及び皺の外観の減少が観察された。
【0479】
ACTIVATED SILK(商標)は、ハイドラント、乳化剤、エクスフォリアント、クレンザー、ゲル/フィラー、ビタミンCなどの生物活性物質又は(フタレートを含まない)香料のための担体、更には静菌剤としての役割を果たすことができる。したがって、ACTIVATED SILK(商標)は、スキンケアにおいて非常に効果的な有効成分である。
【0480】
実施例2:コラーゲン産生に対するActivated Silkの効果:研究の説明
研究目的:処置の24時間後の、線維芽細胞培養物のコラーゲン濃度に対する試験物質(ACTIVATED SILK(商標))の効果の評価。初代ヒト線維芽細胞(継代5)を、24ウェル培養プレートに50000細胞/cmで播種し、一晩インキュベートした(37℃、5%CO)。培地を廃棄し、500μLの様々な濃度の試験品又は参照物質で置き換えた。プレートを24時間インキュベートした(37℃、5%CO)。培養培地を除去し、細胞をリンスし、回収した。細胞内及び細胞外コラーゲンを、シリウスレッド色素(ネイティブコラーゲンの三重らせん(Gly-X-Y)n構造に対して特異的な親和性を示す)で定量化した。色素-コラーゲン複合体の吸光度は、540nmで分光光度的に測定した。超音波処理後、ブラッドフォード法を使用して総タンパク質を評価した。
【0481】
試験系:細胞-現在の作業指示に従って調製された初代ヒト線維芽細胞。研究前に、細胞を培地DMDM 4.5g/lのグルコース、2mMのL-グルタミン又は安定化グルタミン、10%熱不活化胎児子牛血清(FCS)、50UI/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシンで培養する。研究中、FCSを、参照物質及び試験物質の両方の希釈のために、1%に低減する。細胞は、マイコプラズマが除去されている。マイコプラズマの評価を、現行の作業指示書に従って行った。
【0482】
参照物質:陰性対照:1%熱不活化FCS培養培地;陽性対照:1%FCS培養培地中の形質転換成長因子β1(TGFβ)20ng/ml。
【0483】
材料及び試薬
材料:細胞培養用の24ウェルプレート;吸光度読み取り用の96ウェルプレート;細胞スクレーパー;超音波プローブ;MULTISKAN EXプレートリーダー(Thermo life sciences)-読み取り範囲0~3.5単位の吸光度-直線性範囲0~2.000単位の吸光度;細胞培養実験室で使用される従来の材料。
【0484】
試薬:培養培地:DMEM 4.5g/lのグルコース、2mMのLグルタミン又は安定化グルタミン、10%熱不活化FCS、50IU/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン)(5℃±3℃で貯蔵);ダルベッコのPBS Ca2+及びMg2+不含(室温20℃±5℃で貯蔵);Direct Red 80 CAS 2610-10-8(室温20℃±5℃で貯蔵);プロテアーゼ阻害剤カクテル(5℃±3℃で貯蔵);ブラッドフォード試薬(5℃±3℃で貯蔵);BSA溶液(ウシアルブミン血清)(5℃±3℃で貯蔵);HCl(室温20℃±5℃で貯蔵);NaOH(室温20℃±5℃で貯蔵);TGF β1(-20℃±5℃で貯蔵);3mg/mlのコラーゲン溶液(5℃±3℃で貯蔵)。
【0485】
シリーズの定義:8つの濃度の試験物質を試験した。コラーゲンの評価を、非細胞毒性の4つの最高濃度で行った。各試験物質又は参照物質の状態を、少なくとも3つの培養ウェルで試験する。
【0486】
試験プロトコル
細胞播種:細胞を24ウェル培養プレートに50000細胞/cmで播種し、次いで、一晩インキュベートした(37℃、5%CO)。
【0487】
細胞と試験物質との間の接触:試験物質及び参照物質の希釈を、1%FCS培養培地で行った。培地を廃棄し、500μlの様々な濃度の試験物質又は参照物質で置き換えた。陰性対照のウェルを、1%FCS培養培地で満たした。プレートを、48時間±1時間インキュベートした(37℃、5%CO)。
【0488】
コラーゲン合成及び細胞密度の評価:各ウェルから培養培地を除去し、細胞層を500μLの2×濃縮プロテアーゼ阻害剤カクテルでリンスした。全ての培地及び阻害剤を、同一チューブ内にプールした。
【0489】
500μLの1×濃縮プロテアーゼ阻害剤カクテル中でスクレーピングすることにより細胞層を回収し、ウェルを500μlの1×カクテルで再度リンスした。細胞外マトリックスを構成する2つの容積を、同一チューブ内にプールし、超音波プローブによって40秒間処置した。
【0490】
細胞内及び細胞外コラーゲンを、ネイティブコラーゲンの三重らせん(Gly-X-Y)n構造に対して特異的な親和性を示すシリウスレッド色素(Direct Red 80)で定量化した。複合色素-コラーゲンの吸光度を、分光光度計を用いて540nmで測定する。較正範囲を、0~10μgのコラーゲンで確立する。
【0491】
総タンパク質量を、PBS中の0~400μg/mlのBSA溶液から確立した較正範囲を用いて、ブラッドフォード法(Bradford et al Anal Biochem 1976;72:248-54)を使用して評価した。30μlの各サンプル(試験物質、参照物質、標準の希釈)を、96ウェルプレート中の280μlのブラッドフォード試薬と混合した。プレートを、遮光下、室温で約15分間インキュベートする。吸光度を、ブランクとしてのブラッドフォード試薬に対して620nmで測定した。
【0492】
絹フィブロインを添加すると、培養中の線維芽細胞が刺激されて、絹フィブロインの添加濃度に応じて、対照線維芽細胞より20~30%超多いコラーゲンを産生する。また、コラーゲン産生は、絹組成に依存している(図2)。様々な絹濃度での細胞内コラーゲン産生は、絹の種類の関数として示される。刺激率は、陰性対照と比較したコラーゲン形成の増加である。絹平均MW組成:絹A=低MW(約14kDa~約30kDaから選択される平均重量平均分子量)、絹B=中MW(約39kDa~約54kDaから選択される平均重量平均分子量)。
【0493】
結果の計算及び解釈
細胞密度:タンパク質濃度を、確立された検量線に従って計算する。吸光度=f(μgでのタンパク質量)。これは、1ウェル当たりのタンパク質のμgで表される。
【0494】
コラーゲンの決定:ウェル毎のコラーゲンの量は、確立された検量線に従って決定する(吸光度=f(μgでのコラーゲン量)。これは、1ウェル当たりのコラーゲンのμgで表される。結果は、ウェル中のコラーゲン量とタンパク質量との間の比によって表される。
【0495】
実施例3:ヒト真皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成に対する中分子量及び低分子量(MW)絹の効果
I.研究の目的
ヒト真皮線維芽細胞からのコラーゲンの産生における絹の効果を決定すること
【0496】
II.試験物質及び濃度の計算
製剤:液体;貯蔵条件:冷蔵庫(4℃); 試験物質の性質:化粧品成分。試験物質の濃度を以下に示す(表3-1)。試験物質の特定、純度、及び安定性に関連する情報は、製造部門の責任下にある。
【表21】
【0497】
III.研究の原則
線維芽細胞は、皮膚の真皮区画における主要な細胞である。それらは、コラーゲン合成に特化している。コラーゲンには多くの異なる種類があり、そのうちのほんのわずかが、皮膚の健康における役割を果たす。コラーゲン1及びコラーゲン3は、皮膚の健康及び美しさに重要である。存在量の観点から、コラーゲン1は、皮膚細胞外マトリックスの70%を構成し、張力及びけん引力に対する耐性を付与する。(Hui Hui Wong et al.Sci Rep.2020;10:19723.) 皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン1遺伝子発現の低減は、真皮におけるコラーゲン1レベルを制限し、これは、皺形成を引き起こす(Hui Hui Wong et al.Sci Rep.2020;10:19723.)。したがって、コラーゲン1合成を促進することは、審美学及びアンチエイジングトリートメントに重要である(Hui Hui Wong et al.Sci Rep.2020;10:19723、DM Reilly et al.Plast.Aesthet.Res.2021; 8:2)。一方で、コラーゲン4、特にCOL4A1サブユニットは、疾患において顕著な役割を果たす(Ana Maria Abreu-Velez et al.N Am J Med Sci.2012 Jan;4(1):1-8.)。
【0498】
薬用化粧品治療で一般的に使用されるレチノールは、皮膚に有意な生物学的効果を及ぼさない。したがって、皮膚の健康において重要な役割を果たすために、レチノールは、レチノイン酸(レチノールよりも20倍強力)に変換する必要がある(Malwina Zasada M.et al.Dermatol Alergol.2019 Aug;36(4):392-397.)。異なる濃度のレチノイン酸は、真皮線維芽細胞によるコラーゲン1産生を刺激又は阻害することが示されている(Varani J.et al.J Invest Dermatol.1990 May;94(5):717-23.)。更に、レチノール及びレチノイン酸は、それらの不安定性(光及び空気感受性)並びに毒性によって制限される。これらの制限は、レチノール及びレチノイン酸を含有する生成物の製剤化、貯蔵、及び適用を複雑にする。したがって、コラーゲンをブーストし、製剤を安定化させ、安全かつ使いやすい新しい化粧品有効成分に対する満たされていないニーズがある。
【0499】
本研究は、正常なヒト真皮線維芽細胞を使用してコラーゲン産生に対する試験物質の有効性を評価することを目的とする。総(細胞内及び細胞外)コラーゲンをシリウスレッドで定量化した。複合染料-コラーゲンの吸光度を、540nmの波長の分光光度計で決定した。定量的コラーゲン1遺伝子発現分析を、リアルタイムPCR標準法を使用して行った。フローサイトメトリーを使用して、試験物質を用いたインビトロヒト真皮線維芽細胞刺激後のコラーゲンタンパク質アイソフォームを検出/確認した。
【0500】
IV.研究過程及び方法
研究期間:2021年3月30日~2021年8月30日。
実験のために、ヒト真皮線維芽細胞の初代培養物を、70%超のコンフルエンスに達したときに使用した。
【0501】
インビトロモデル:細胞外マトリックス生成
初代ヒト真皮線維芽細胞を、1%FBS(Genesee Scientific)、2mMのグルタミン、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシン(Cytiva)を含有するDMEM 1g/Lグルコース培地(Genesee Scientific)中の各ウェルに播種し、37℃、5%COで一晩培養した。翌日、各処置条件とともに50μg/mlのアスコルビン酸(Vit Cとしても既知、Sigma Aldrich)を補充した培地を、各培養物に添加して、細胞外マトリックスの自己組織化を促進した:培地を2日毎に合計5日間、新鮮な培地で置き換えた。タイムラインは、実験の時間順序を示し、処置条件は図3に列挙されている:陽性対照処置は、TGF-β(10ng/ml、Tonbo Biosciences)+Vit C(50μg/ml、Sigma Aldrich)Ghetti,M.et al. Br J Dermatol. 2018 Aug; 179(2):381-393。
【0502】
インビトロモデル:コラーゲン産生
初代ヒト真皮線維芽細胞を、1%FBS(Genesee Scientific)、2mMのグルタミン、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシン(Cytiva)を含有するDMEM 1g/Lグルコース培地(Genesee Scientific)中の各ウェルに播種し、37℃/5%COで一晩培養した。翌日、培地に、図4に示される処置条件を補充した。陽性対照処置は、TGF-β(10ng/ml)+Vit C(20μg/ml)であった。
【0503】
フローサイトメトリー
フローサイトメトリー染色のために以下の抗体を使用した:抗コラーゲン1(Abcam)、抗COL4A1(Santa Cruz Biotechnology)、続いて、二次抗体(Thermo Fisher Scientific):Alexa Fluor(商標)647コンジュゲート二次、Alexa Fluor(商標)-594コンジュゲート二次、及びAlexa Fluor(商標)488コンジュゲート二次と反応させた。
【0504】
定量的RT-PCR
Quick-RNA MicroPrep Kit(Genesee Scientific)を使用して、全RNAを細胞から単離した。RNAを、qPCRBIO cDNA Synthesis Kit(Genesee Scientific)を使用して逆転写し、結果として得られるcDNAを、qPCRBIO SyGreen Blue Mix Lo-ROX(Genesee Scientific)を使用して増幅した。表3-2に示されるプライマーを用いてPCRを行った
【表22】
【0505】
免疫蛍光
細胞を、抗コラーゲン1(Novus Biologicals)とともに4℃で一晩インキュベートし、
続いて、Alexa Fluor(商標)488コンジュゲート二次抗体(Thermo Fisher Scientific)と反応させた。核をHoechst 33342で対比染色し、PBSで洗浄し、Antifade Mounting Media(Thermo Fisher Scientific)でマウントした。
【0506】
シリウスレッド色素染色及び分光光度分析
簡潔に述べると、細胞を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、水道水で慎重に洗浄し、シリウスレッド(0.1%、Electron Microscopy Sciences)中、室温で1時間インキュベートした。染色溶液を除去し、細胞を0.5%v/v酢酸で2回洗浄した。分光光度分析のために、シリウスレッドを0.1N水酸化ナトリウム中で溶出し、Varioskan Lux Spectrophotometer(Thermo Fisher Scientific)を使用して、540nmでの光学密度を決定した。(Xu Q et al.Am J Physiol Renal Physiol.2007 Aug;293(2):F631-40。
【0507】
統計分析
複数の群間の比較については、全体的な差を、ボンフェローニ多重比較を用いたANOVAによって分析した。
【表23】
【0508】
V.結果
この研究では、絹がヒト真皮線維芽細胞におけるコラーゲン産生を上方制御したと仮定した。この仮説を試験するために、ヒト真皮線維芽細胞を、コラーゲン合成及び細胞外マトリックス形成のブースターである絹及びVit Cと共処置することによって、細胞外マトリックスを生成するために、インビトロモデルを使用した(DePhillipo,NN et al.Orthop J Sports Med.2018 Oct;6(10)、Pullar JM et al.Nutrients.2017 Aug;9(8):866.)(図3)。予備データは、Vit Cを有する中MW絹及びVit Cを有する低MW絹が、正常なヒト真皮線維芽細胞における総コラーゲンレベルを高めたことを示した(図5A~5B)。
【0509】
コラーゲン活性化剤としての絹の機能的役割を調べるために、図4に示すように、Vit Cを実験モデルから除外した。データは、中MW絹及び低MW絹の処置が総コラーゲン産生を高め、コラーゲンブースティング生成物の単一成分としての中MW絹及び低MW絹の潜在的な役割を示唆したことを示した(図6)。
【0510】
次いで、コラーゲンブースティング特性を詳細に調査した。中MW絹及び低MW絹で処置したヒト真皮線維芽細胞が、COL1A1遺伝子発現を上方制御したことが見出され、遺伝子は、ビヒクル対照と比較してI型コラーゲンのプロα1鎖をコードする(図7)。このデータは、絹ペプチドが細胞内COL1A1遺伝子発現を制御したことを示した。
【0511】
フローサイトメトリー分析により、低MW絹が、コラーゲン4のサブユニットであるCOL4A1のタンパク質発現を調節しない一方で、コラーゲン1タンパク質発現を有意に上方制御したことが更に確認された(図8A~8B)。一方で、中MW絹(120μM)は、コラーゲン1及びコラーゲン4タンパク質発現を増加させなかった(データは示さず)。興味深いことに、コラーゲンエンハンサー分子であるレチノイン酸は、COL4A1陽性細胞を強固に増加させ、正常なヒト真皮線維芽細胞においてコラーゲン1タンパク質発現を一貫性なく増加/減少させた(図8A~8B及び図9)。加えて、TGF-β及びVit C(陽性対照)で共処置した正常なヒト線維芽細胞は、COL4A1陽性細胞(レチノイン酸よりも低い程度まで)及びコラーゲン1タンパク質発現を増加させた(図8A及び図9)。低MW絹は、ヒト真皮線維芽細胞において細胞内コラーゲン1合成を選択的に誘導したと結論付けられた。
【0512】
VI.結論
保持された実験条件下では、低MW絹は、コラーゲン合成にプラスの効果を示す。
【0513】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、及び公開されている参考文献が、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。本開示の方法は、その特定の実施形態との関連において記載されてきた一方で、更なる改変が可能であることが理解されるであろう。更に、本出願は、本開示の方法が関係する当技術分野における公知又は慣用的な実務内にあるような、本開示からのそのような逸脱を含む、本開示の方法の任意のバリエーション、使用、又は適応を対象とすることを意図する。
【0514】
実施例4:組織断面を使用した透過分析
回収した組織を10%ホルマリン中で18~24時間インキュベートした後、ホルマリンをDPBSに交換した。組織を一連の勾配エタノール(70~95%)で脱水し、キシレンで脱水し、パラフィンに包埋した。断面を含有するスライドを、標準的な手順に従って調製した。各組織からの3つの切片を各スライド上に調製した。組織毎に1つの未染色の脱パラフィンスライドを、蛍光透過分析用に調製した。スライドを、dH2Oで5~10分間再水和した。DAPIストック溶液を、dH2Oで1:47,000希釈し、スライドを希釈溶液中で10分間インキュベートした。スライドをdH2Oで3回リンスした。組織切片を、イムノマウントマウンティング溶液(Thermoカタログ番号9990402)で覆い、カバースリップを適用した。スライドは、10×対物レンズを使用するOlympus VS100スライドスキャナーで画像化して、蛍光シグナルを視覚化した。
【0515】
組織断面を使用した透過分析
各時点で、蛍光標識された試験物質で処置したEFT-400組織を、中性緩衝ホルマリンで固定し、標準的な組織学的方法を使用して断面を含有するスライドを調製した。未染色の脱パラフィンスライドを、(核を視覚化するために)DAPIで対比染色し、XM10蛍光カメラを備えたOlympus VS-120自動スライドスキャナーシステムを使用して画像化した。全ての切片を、DAPI(455nm)、FITC(518nm)、及びTRITC(615nm)フィルタを使用して画像化した。蛍光標識された物質を含有しないdH2O対照組織を使用して、処置された組織の蛍光シグナルを評価するためのスケーリング閾値を確立した。図14A及び14Bは、DAPIで対比染色した、低MW絹(RITC標識)に2×5時間曝露したEFT-400組織の断面を示す。5倍の倍率の画像(図14A)は、全組織厚を示し、10倍の倍率の画像(図14B)は、表皮に焦点を合わせている。図15A及び15Bは、DAPIで対比染色した、中MW絹(FITC標識)に2×5時間曝露したEFT-400組織の断面を示す。5倍の倍率の画像(図15A)は、全組織厚を示し、10倍の倍率の画像(図15B)は、表皮に焦点を合わせている。
【0516】
この研究の結果は、EFT-400組織におけるRITC標識低MW絹試験材料の時間依存性透過の証拠を示している。対照的に、FITC標識中MW絹で処置されたEFT-400組織では、ほとんど透過が観察されなかった。この研究では、組織断面の画像で行われた観察と、各時点でEFT-400組織から回収した培養培地で測定された蛍光シグナルの定量化との間に非常に良好な相関関係がある。
【0517】
実施例5:ワセリン代用
ワセリンは、皮膚保護剤としてのOTC使用についてFDAに承認されている。その密封の性質は、皮膚からの水分喪失を防止する物理的バリアを作製し、切り傷及び擦り傷を和らげ、かぶれ及び湿疹などを治療し得る。しかしながら、粗油から作製され、多くの形態の生命に毒性があり得、その抽出が気候変動を助長し得、皮膚を水和せず、脂っぽくかつ重くあり得、かつその製造プロセスが乳がんとの潜在的な関連を有する多環式芳香族炭化水素(PAH)を含むなど、ワセリンに関する懸念が存在する。
【0518】
本明細書に記載される絹フィブロイン組成物は、皮膚バリアとして作用することができ、かつ/又は皮膚バリア製剤として製剤化され得る。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、クローディン-1低減は、密着結合機能を破壊し、例えば、アトピー性皮膚炎において、表皮バリア欠損をもたらすと考えられる。Benedetto et al,JACI,2010,Bergmann et al,Scientific Reports,2020。また、いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、クローディン-1欠損マウスは、重度の脱水、皺のある皮膚、及び表皮透過性の上昇を有すると考えられる。Furuse et al,JCB,2002。
【0519】
図16は、本明細書に記載される絹フィブロイン(Activated Silk(商標))処置されたEpiDermFT組織の顕微鏡断面図である。蛍光タグ付き絹フィブロインの蛍光撮像。図17A~17Nは、本明細書に記載される絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚(N=1、52歳の白人女性)においてクローディン-1発現を回復させることを示す。図18は、本明細書に記載される絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚においてクローディン-1発現を回復させることを示す。図19は、本明細書に記載される絹フィブロインが、どのようにクローディン-1発現を回復させて皮膚バリアを改善するかを示す。図10は、本明細書に記載される絹フィブロインが、どのようにヒト真皮線維芽細胞においてコラーゲン産生を刺激するかを示し、本明細書に記載される絹フィブロインは、ヒト真皮線維芽細胞において、レチノイン酸と同様のコラーゲン1の刺激を示す。図11は、本明細書に記載される絹フィブロインが、どのようにヒト真皮線維芽細胞においてCOL1A1遺伝子発現を上方制御するかを示し、本明細書に記載される絹フィブロインは、ヒト真皮線維芽細胞においてCOL1A1遺伝子発現を上方制御する。処置後8時間の絹及びレチノイン酸処置されたヒト真皮線維芽細胞におけるCOL1A1に対する定量的PCR。n=1群当たり2。TGF-β+Vit C処置されたヒト真皮線維芽細胞において8倍超の増加(陽性対照としての役割を果たす)ASTS。
【0520】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本明細書に記載される絹フィブロイン、例えば、限定されないが、Activated Silk(商標)33Bが、角質層の表面上に保持されると考えられる。本明細書に記載される絹フィブロインは、皮膚バリア用途に使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される絹フィブロインは、H2Oで5回リンスした後、角質層に保持される。
【0521】
図17A~17Nは、絹フィブロインが、損傷したヒト皮膚においてクローディン-1発現を回復させることを示す。
【0522】
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、及び公開されている参考文献が、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。本開示の方法は、その特定の実施形態との関連において記載されてきた一方で、更なる改変が可能であることが理解されるであろう。更に、本出願は、本開示の方法が関係する当技術分野における公知又は慣用的な実務内にあるような、本開示からのそのような逸脱を含む、本開示の方法の任意のバリエーション、使用、又は適応を対象とすることを意図する。
【0523】
実施例6:皮膚状態を治療するための絹ポリペプチド組成物の投与量。
導入
皮膚は、高度に層状の構造を維持することによって、液体及び電解質の損失を制御する物理的バリアを提供する。表皮内のこのバリアは、層状上皮の最外層を形成し、主にケラチノサイトで構成されている。ケラチノサイト細胞は、カルシウムに応答して異なる分化段階を経て、その結果、基底層から上皮の最上層に移動する。皮膚バリアプロセスの一部は、ケラチノサイト間の皮膚密着結合の形成を含み、これは次に、皮膚の完全性を維持する。クローディンタンパク質ファミリーのメンバー、特にクローディン-1は、この密着結合形成、並びに細胞間接着及び完全性の維持において重要な役割を果たすことが周知である。
【0524】
線維芽細胞は、皮膚の真皮区画に見られ、コラーゲン産生に関与する。皮膚のコラーゲン1の低減は、皺及び皮膚の健康の悪化を引き起こす。コラーゲン1のブースティングは、皮膚の健康を回復させ、皺の消失をもたらす。皮膚におけるコラーゲン1産生に取り組むために薬用化粧品として使用されるレチノールは、不安定であり、上昇した毒性を有する一方で、有効であるように、レチノイン酸に変換されなければならない。ここでは、創傷治癒を促進し、潜在的な作用機序についてある程度の詳細を提供するために、クローディン-1の上方制御を促進する絹製剤の使用及び投与量、コラーゲン、ケラチノサイト細胞遊走が説明される。絹は、皮膚バリア機能を促進することが見出され、炎症を促進する遺伝子を下方制御した。したがって、記載される絹ポリペプチド組成物を使用して、広範囲の皮膚状態を治療することができる。
【0525】
結果及び考察
絹は、ケラチノサイト培養物中のクローディン-1の発現を上方制御する。
【0526】
皮膚バリア機能に対する絹処置の効果を調べるために、密着結合タンパク質であるクローディン-1が、適切な皮膚バリア機能にとって重要であるため、これに焦点を当てた。クローディン-1発現に対する可溶性絹ポリペプチドの効果を試験するために、中スキッド絹及び低スキッド絹の用量応答評価を、初代ケラチノサイト細胞系を用いて行った。ケラチノサイトは、皮膚に見られ、表皮の形成に関与する不可欠な細胞集団である。ケラチノサイトの障害は、乾癬及びアトピー性皮膚炎などの様々な皮膚疾患をもたらす。初代ケラチノサイトを、ある濃度範囲の中スキッド絹(0.05%~0.6%w/v)及び低スキッド絹(0.05%~0.7%w/v)で処置し、クローディン-1発現のためにヒト抗マウスモノクローナルクローディン-1一次抗体(sc-81796、Santa Cruz)で染色した(図20A~20H、24A)。33B絹ポリペプチド濃度が、6mg/mL(0.6%w/v)に達したとき、クローディン-1発現が、上方制御された(図20、24A)。予備結果は、7mg/mL(0.7%w/v)の27p絹ポリペプチドの添加が、増加したクローディン-1発現をもたらしたことを示した(図21、24B)。6mg/mLの濃度の中スキッド絹が、初代ケラチノサイト細胞培養物中でクローディン-1発現を上方制御し、皮膚バリア機能を促進する可能性があると結論付けられた。
【0527】
絹は、皮膚生検においてクローディン-1の発現を上方制御する。
【0528】
初代ケラチノサイト培養物中の中スキッド(33B)絹ポリペプチドの効果が、ヒト皮膚においてクローディン-1に影響を及ぼすかどうかを調査するために、皮膚生検を使用した。生検を、30~60歳の年齢範囲の女性皮膚ドナーから採取した。皮膚生検を99.5%以上のアセトンで処置して、クローディン-1を枯渇させた(図22A~22B)。未処置生検と比較して、アセトン処置されたヒト皮膚において低減したクローディン-1免疫反応性が見られ、モデル確立の成功を示した。アセトン処置後、皮膚生検を水、石油ゼリー、セラミド、並びに2つの濃度の中スキッド絹、及び1つの濃度の低スキッド絹で処置した。30~60歳の女性のヒト皮膚ドナーからのデータは、2mg/mLの最小濃度の33B絹ポリペプチド組成物が、石油ゼリーに匹敵するレベルで、アセトン前処置された皮膚においてクローディン-1発現を回復させたことを示す(図23、24C、24D)。4mg/mLの低スキッド(27P)絹も、クローディン-1レベルを回復させた(図23、24C、24D)。セラミドは、その系においてクローディン-1に顕著な効果を有しなかった(図23、24D)。
【0529】
絹は、皮膚線維芽培養物中でコラーゲンの発現を上方制御する。
【0530】
コラーゲンは、皮膚の健康において重要な役割を果たし、コラーゲン-1が、真皮細胞外マトリックスの約70%を構成することが知られている。したがって、ヒト真皮線維芽細胞におけるコラーゲン産生に対する低スキッド(27P)絹ポリペプチドの効果を、用量応答研究として試験した。初代真皮線維芽細胞を、ある濃度範囲の低スキッド(27P)絹ポリペプチド(0.025%~0.7%w/v)で処置し、シリウスレッド分光光度分析を使用して総コラーゲンについて評価した。TGF-βは、コラーゲン産生の周知のプロモーターであるため、TGF-β処置された線維芽細胞を陽性対照として使用した。シリウスレッド色素染色された細胞を、明視野顕微鏡を使用して可視化し、OD 540での分光分析によって追加的に定量化した。結果は、ビタミンCの非存在下において、0.2%及び0.7%の低スキッド(27P)絹ポリペプチドで処置したヒト線維芽細胞培養物中で、優位に増加したコラーゲン産生を示す(図25及び26)。しかしながら、20μL/mLのビタミンCの存在下において、27p処置された線維芽細胞ではコラーゲン産生の有意な差は観察されなかった(データは示さず)。
【0531】
実施例7:低スキッド(27P)絹ポリペプチドは、インビトロモデルでの創傷閉鎖における細胞遊走を加速する。
皮膚上皮の1つの重要な機能は、創傷治癒である。創傷治癒は、皮膚の破損によって作製されるギャップを埋めるために、細胞分裂及び遊走を必要とする。絹組成物が、創傷治癒の任意の態様に影響を及ぼすかどうかを試験するために、創傷閉鎖インビトロアッセイを使用した。最初に、ヒト初代ケラチノサイトの層を作製した。ケラチノサイト層の連続体を破壊する引っ掻き傷を生成し、細胞に自由空間を占有させた。ケラチノサイトを、低スキッド(27P)絹ポリペプチドを含有した培地で処置した場合、それらは遊走し、血清及び成長因子を含有する培地で処置されたケラチノサイトと同じくらい速く引っ掻き傷の利用可能な空間を充填した(図27)。したがって、低スキッド(27P)絹ポリペプチドが、創傷治癒を加速する上皮細胞におけるシグナル伝達経路を活性化すると結論付けられた。
【0532】
実施例8:CD44受容体は、インビトロで低(27P)絹及び中(33B)絹と相互作用する。
CD44受容体は、創傷治癒及びコラーゲン調節に関与している。絹ポリペプチドが、ヒトCD44受容体と相互作用することができるかどうかを試験するために、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)の原則に基づく固相タンパク質間相互作用アッセイを開発した。簡潔に述べると、絹ポリペプチドを96ウェルプレートの表面上に固定し、ヒトCD44-hFc構築物との相互作用を測定した。Fc部分を使用して、二次抗ヒトFc IgGと絹上で結合したCD44を検出した。絹を単離されたヒトFc断片で処置した場合、結合は有意ではなかった(図28)。これとは対照的に、CD44-hFcは、固定化された低スキッド(27P)絹及び中スキッド(33B)絹の両方に対して有意により高い結合を示した。この結果は、低(27P)スキッド絹ポリペプチド及び中(33B)スキッド絹ポリペプチドが、インビトロでCD44と相互作用することができることを示す。
【0533】
実施例9:絹は、皮膚における炎症応答に関与した遺伝子の発現を下方制御する。
皮膚及び上皮の恒常性を制御する別の機序は、炎症である。絹製剤が炎症経路に影響を及ぼすかどうかを調査するために、皮膚生検を中スキッド(33B)絹ポリペプチドで処置し、炎症の機序を制御する遺伝子の差次的な発現を探した。皮膚生検を99.5%アセトンで処置し、次いで、5mg/mL及び60mg/mLの中スキッド(33B)絹ポリペプチドを適用した。処置後、RNAを抽出し、遺伝子発現について分析した。炎症に関与するいくつかの遺伝子が、ビヒクル(水)のみで処置された皮膚生検との関連で、5mg/mL及び60mg/mLの中スキッド(33B)絹ポリペプチドで処置された皮膚生検において下方制御された(表2)。これらの結果は、中スキッド(33B)絹ポリペプチドが炎症を下方制御し、皮膚の健康を促進することができることを示す。
【0534】
表2. 中皮膚(33B)絹で処置された皮膚生検のトランスクリプトーム分析。この表の遺伝子は、炎症経路に関与し、99.5%アセトンでの処置、並びに5mg/mL(0.5%)(TrtA)及び60mg/mL(6%)(TrtB)の中スキッド(33B)絹でのその後の処置の後に、皮膚生検において下方制御された。
【表24-1】
【表24-2】
【表24-3】
【表24-4】
【表24-5】
【0535】
実施例10:外用適用された絹は、経表皮水分蒸散量(TEWL)の低減をもたらす
研究で評価された濃度(2%)で、Activated Silk 33Bは、経表皮水分蒸散量を有意に低減し、細胞及びエクスビボ皮膚レベルで観察された利益が、外用適用された場合に測定可能な皮膚バリア利益につながることを立証した。(プラセボ血清を使用した研究参加者は、TEWLのいかなる低減も経験しなかった)。
【0536】
33Bを使用した研究参加者はまた、専門の評価者によって評価されるように、皮膚の質感及び堅さの有意な改善、並びに発赤、小皺、及び皺の低減を経験した。血清形式の成分性能に関する自己認識フィードバックも有望であった(表1)。
【表25】
【0537】
Activated Silk 33Bは、皮膚バリア機能を改善することが証明されているレベル(2%)で、安定した水性ベースの製剤に製剤化され得る。
【0538】
試験材料:
・血清、S33B-18(2%Activated Silk 33Bを含有する)
・血清、NSS-144-75(絹を欠くプラセボ血清)
【0539】
研究プロトコル
本研究の目的は、28日間の使用期間にわたる、小皺/皺、質感、発赤、色素沈着、堅さ、水和、弾性、及びバリア(経表皮水分蒸散量又はTEWL)に対する、33Bを含有する血清の有効性を評価することであった。
【0540】
同じパラメータを、プラセボ対照を使用した第2の研究で評価して、有益な効果が、33B以外の製剤中の他の成分に起因しなかったことを確実にした。消費者認識情報も、33Bを評価する研究で収集した。対象は、新たにクレンジングした顔に、それぞれの試験物質を1日2回(朝及び夜)使用するように指示された。以下からなる研究評価を、ベースライン、7日目、及び28日目に行った:
・小皺/皺、色素沈着、堅さ、発赤(専門の臨床評価者によって視覚的に評価される)
・触覚的質感/滑らかさ(専門の臨床評価者によって評価される)
・経表皮水分蒸散量(TEWL)を介した皮膚バリア(Tewameter(登録商標)TM 300(Courage & Khazaka、Cologne,Germany)を介して測定される)。
・皮膚表面の水和(Corneometer(登録商標)CM 825(Courage & Khazaka、Cologne,Germany)を介して測定される)。
・弾性及び堅さ(Cutometer(登録商標)MPA 580(Courage & Khazaka、Cologne,Germany)を介して測定される)。
・皮膚表面の線及び皺を、シリコーン複製を介して収集し、プロフィロメトリーを介して評価した。
・自己認識質問票(33B血清研究のみ)。
【0541】
結果
小皺/皺、堅さ、及び発赤の改善(専門の臨床評価者によって視覚的に評価される)を以下に要約する(色素沈着の改善は、統計的に有意ではなかった)
【0542】
小皺及び皺
2%の33Bは、プラセボ対照と比較して、小皺及び皺の外観を有意に低減した(専門の評価者によって評価される)。
【表26】
【0543】
堅さ
2%の33Bは、プラセボ対照と比較して、皮膚の堅さの外観を有意に改善した(専門の評価者によって評価される)。
【表27】
【0544】
発赤
2%の33Bは、プラセボ対照と比較して、発赤の外観を有意に低減した(専門の評価者によって評価される)。
【表28】
【0545】
33B研究及びプラセボ研究の両方について、28日目の質感(滑らかさ)の触覚的評価の統計的に有意な改善が見られた。
【0546】
33B血清を使用した研究群について、7日目のデータ点及び28日目のデータ点の両方で、経表皮水分蒸散量(TEWL)の統計的に有意な低減が観察された。プラセボ群では改善は見られなかった。
【0547】
ベースラインと比較して、皮膚表面水和(Corneometer(登録商標)を介して測定される)は、33Bを含有する血清を使用した対象間で、7日後及び28日後に統計的に有意な程度まで改善された。プラセボ群の有意な改善は、28日目のデータ点でのみ観察された。
【0548】
弾性及び堅さ(Cutometer(登録商標)によって測定される)は、いずれの群でも改善しなかった。皮膚表面の線及び皺(シリコーン型のプロフィロメトリーによって測定される)を評価する8つのパラメータのうちの2つは、2%の33Bを含有する血清の適用後に統計的に有意な改善を示した。
【0549】
試験血清及びプラセボの両方について、皺の数(NumWr)が有意に低減された(データは図33にプロットされている)
【0550】
くまは、33Bを使用した試験群について有意に低減され、プラセボ群のくまの低減は、統計的に有意ではなかった(データは図34にプロットされている)。
【0551】
33B血清研究における自己認識質問票は、好ましい結果を示した。表1及び図35は、トップボックス応答を選択する対象のパーセントに基づいて、どの記述が統計的に有意であったかを示す(非常にそう思う、及びそう思う)。
【0552】
結論
この研究で評価された濃度(2%)で、Activated Silk 33Bは、経表皮水分蒸散量を有意に低減し、皮膚バリアに利益をもたらすという主張を立証する。追加的に、水和、発赤の低減、小皺/皺の外観の低減、及び皮膚質感の外観の改善に関する主張が実証される。血清形式の成分性能に関する自己認識フィードバックも有望である。
【0553】
実施例11:初代ケラチノサイトクローディン-1発現。
初代ヒト新生児上皮ケラチノサイトを、1X EDGS (Epilife Defined Growth Supplement、Gibco)、100U/mLのペニシリン(Genesee Scientific)、100μg/mLのストレプトマイシン(Genesee Scientific)、及び60μMのCaClを含有するEpilife培地(Gibco)を用いて、48ウェル組織培養処置プレートのウェル中で培養した。継代2~5の間の細胞を実験に使用し、80~90%のコンフルエンスに達するまで、5%COで37℃においてインキュベートした。次いで、細胞を1X D-PBSで2回穏やかに洗浄し、次いで無血清Epilife培地(100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、60μMのCaClのみ)で37℃、5%COにおいて30分間処置した。それぞれの濃度の中スキッド絹(0.05、0.1、0.2、0.5、0.6%w/v)又は低スキッド絹(0.05、0.2、0.4、0.7%w/v)を含有する無血清Epilife培地を、1X D-PBSで2回洗浄した後に添加し、細胞を37℃、5%COで24時間インキュベートした。処置なしの細胞を、水を含有する無血清Epilife培地(ビヒクル対照)で処置した。
【0554】
免疫蛍光染色について、24時間の処置後、細胞を1X D-PBSで3回洗浄し、暗所で室温(RT)において10分間、4%パラホルムアルデヒド(1X D-PBSで希釈)で固定した。次いで、細胞を1X D-PBSで2回洗浄し、0.03%Triton-X(1X D-PBSで希釈)で室温において10分間透過処理し、次いで、スーパーブロッキング溶液(1X D-PBS中の正常ヤギ血清、正常ロバ血清、10%BSA、魚皮ゼラチン、100%Triton-X)で室温において30分間ブロッキングした。1X D-PBS中の50%ブロッキング溶液中で希釈されたヒト抗マウスモノクローナルクローディン-1一次抗体(1:300、sc-81796、Santa Cruz)を、固定細胞に添加し、室温で1時間又は4℃で一晩インキュベートした。IgG対照細胞を、一次抗体結合の陰性対照として、正常マウスIgG2a抗体(Santa Cruz;sc-3878)で処置した。1X D-PBSで2回洗浄した後、Alexa-Fluor(商標) 594コンジュゲートヤギ抗マウスIgG二次Ab(1:400、Thermo Fisher Scientific)を細胞に添加し、暗所で室温において1時間インキュベートした。1X D-PBS洗浄後、核をHoechst 33342で対比染色し、1X D-PBSで再度洗浄し、DAPI及びTX-Red蛍光撮像のために、DAPI(Thermo Fisher Scientific)を有するSlowFade(商標)Diamond Antifade Mountantでマウントした。中絹(33B)の実験を、少なくとも3回の生物学的反復で行い、細胞を20倍の倍率で撮像して、DAPI染色核及びTX-Red染色クローディン-1を可視化した。低絹(27p)の予備実験を、1回の生物学的反復、2回の技術的反復で行い、画像を33B実験と同様に処理した。中スキッド絹処置サンプルと未処置サンプルとの間の多重比較を用いた通常の一元配置ANOVAを使用して、統計分析を行い、p<0.05である場合に有意であるとみなした。
【0555】
実施例12:皮膚生検クローディン-1発現。
簡潔に述べると、健康な皮膚をアセトンで5分間前処置して、最初の損傷を作製した。石油ゼリー、2、3、4、5、及び60mg/mlでの中スキッド絹(AS TM 33B)20μl、又はビヒクル対照を、皮膚生検に24時間適用した。その後、皮膚サンプルをダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)溶液で洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定し、iHisto INCによるクリオスタット切片化のために処理した。切片を、抗クローディン-1抗体(Thermo Fisher Scientific)と4℃で一晩インキュベートし、続いてAF-647コンジュゲート二次抗体(Thermo Fisher Scientific)と反応させた。核をHoechst 33342で対比染色し、PBSで洗浄し、Antifade Mounting Media(Thermo Fisher Scientific)でマウントした。クローディン-1陽性範囲を、ImageJソフトウェアを使用して測定した。データは、少なくとも2つの別個の顕微鏡視野、200倍、1条件当たり1~6人のドナーからのパーセンテージ±SEMとして表される。クローディン-1の正規化された発現を計算するために、以下の式を使用した。
クローディン-1染色%=クローディン1染色総面積表皮総面積×100
【0556】
複数の群間の比較については、全体的な差を、ボンフェローニ多重比較検定を用いたANOVAによって分析した。
【0557】
実施例13:真皮線維芽細胞におけるコラーゲン発現。
初代ヒト真皮線維芽細胞を、1X LSGS(低血清成長サプリメント、Gibco)、及び100U/mLのペニシリン(Genesee Scientific)、100μg/mLのストレプトマイシン(Genesee Scientific)、292μg/mLのL-グルタミン(100μMのクエン酸緩衝液中)を含有する線維芽細胞増殖培地(FEM、Gibco)中で、65~70%のコンフルエンスまで、5%COで37℃において増殖させた。実験について、継代2~6の間の線維芽細胞を、48ウェル組織培養処置プレートのウェルに播種して、1%FBS(Genesee Scientific)、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Cytvia)を含有するDMEM 1g/Lグルコース培地(Genesee Scientific)中で、80~90%のコンフルエンスに達するように、37℃、5%COで一晩増殖させた。次いで、細胞を1X D-PBSで2回穏やかに洗浄し、次いで無血清DMEM培地(2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンのみ)で37℃、5%COにおいて30分間処置した。それぞれの濃度の低スキッド絹(0.25、0.5、2.0、7.0mg/mL)を含有する無血清DMEM培地を、1X D-PBSで2回洗浄した後に添加し、細胞を37℃、5%COで24時間インキュベートした。陰性対照細胞を、水を含有する無血清DMEM培地(ビヒクル対照)で処置した一方で、陽性対照細胞を、10ng/mLのTGF-β1を含有する無血清DMEM培地で処置した。全ての処置条件を、20μg/mLのビタミンC(L-アスコルビン酸)の非存在下及び存在下で追加的に試験した。
【0558】
シリウスレッド分光光度分析を使用して総コラーゲン産生を測定するために、線維芽細胞(24時間の処置後)を1X D-PBSで2回洗浄し、暗所で室温(RT)において10分間、4%パラホルムアルデヒド(1X D-PBSで希釈)中で固定した。次いで、細胞を水道水で2回洗浄し、シリウスレッド色素(0.1%)で室温において1時間染色した。次いで、細胞を0.5%v/v酢酸(酸性水)で2回迅速に洗浄した。分光光度分析のために、シリウスレッド色素を0.1 N NaOH中で溶出し(1分未満)、Varioskan Lux Spectrophotometer(Thermo Fisher Scientific)を使用して、540nmでの光学密度を測定した。軽度に染色された固定線維芽細胞を、明視野顕微鏡(EVOS M7000、Thermo Fisher Scientific)を使用して4倍の倍率で撮像した。4つの生物学的反復及び2つの技術的反復からのデータを平均化した。統計的有意性についての試験を、処置されたサンプルと陰性対照サンプルとの間の二元配置ANOVA(ダネットの多重比較検定)を使用して行い、p<0.05である場合に有意であるとみなした。
【0559】
実施例14:低スキッド絹は、創傷閉鎖アッセイにおいてケラチノサイト遊走を加速する。
初代ヒト新生児上皮ケラチノサイトを、1x HKGS(Human Keratinocyte Growth Supplement、S001K)、0.25μg/mLのゲンタマイシン、10μg/mLのアムホテリシン、70μMのCa2+を含有するM-154培地(M154500、Gibco)を用いて、24ウェル組織培養処置プレートにおいて継代2~4の間培養した。細胞培養物を、90~95%のコンフルエンスに達するまで、37℃、5%CO2中でインキュベートした。次いで、細胞を1x D-PBSで穏やかに洗浄し、20μLのピペットチップで均一に引っ掻き、ウェルにおいて直線状創傷を作製した。細胞を1x D-PBSで穏やかに洗浄した。処置条件は、以下の通りであった:陰性対照は、無血清M-154培地(ゲンタマイシン、アムホテリシン、水、70μMのCa2+のみ)を含有し、陽性対照は、1x HKGS、抗生物質、及び70μMのCa2+を含む完全M-154培地を含有し、試験サンプルは、抗生物質及び70μMのCa2+を含む無血清M-154培地中で希釈された0.5mg/mLの27pを含有した。それぞれの処置条件を、引っ掻き及び1x D-PBS洗浄後に細胞に添加し、37℃、5%CO2で20時間インキュベートさせた。細胞を、ライブイメージング明視野顕微鏡(Cytation 1、Agilent BioTek)で、30分間隔で20時間撮像した。20時間にわたる細胞の画像スタックを、ImageJ(創傷治癒サイズツールプラグイン)を使用して分析して、各フレームの創傷面積を測定した。データを、経時的な(時間)創傷閉鎖(%)(以下の式による)としてプロットし、エラーバーは、各条件で処置された細胞の少なくとも2つのウェルで測定された創傷閉鎖(%)の標準偏差を表す。
【数2】
【0560】
実施例15:絹ポリペプチドとのCD44相互作用。
固相タンパク質間相互作用アッセイのために、マルチウェル免疫プレート、Naxisorp 96ウェル(Sigma-Aldrich、M9410-1CS、ロット20182)を使用した。ウェルを、20,000x gの最大速度で遠心分離した200μLの絹溶液でコーティングした。絹を含むプレートを4℃で一晩インキュベートした。ウェルを200μLのTBS 1xで3回洗浄した。200μLのブロッキング溶液(TBS中のBLOTTO、Thermo Scientific REF 37530 LOTXB344941(1x TBS中で1/20希釈))を各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートした。ウェルを200μLのTBS 1xで3回洗浄した。1x TBS中のCD44-hFcの200nM溶液100μLを各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルを200μLのTBS 1xで3回洗浄した。抗ヒトIgG(Fc特異的)ペルオキシダーゼ抗体を、1x TBS中で1:50,000希釈した。100μLの1:50,000抗ヒトIgG(Fc特異的)ペルオキシダーゼ抗体希釈を、各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。ウェルを200μLのTBS 1xで3回洗浄した。100μLの超高感度TMB溶液を各ウェルに添加し、653nmでの吸光度を1分毎に60分間測定した。
【0561】
使用した材料:
ブロッキング溶液:TBS中のブロッカーBLOTTO、Thermo Scientific REF 37530 LOTXB344941(1x TBS中で1/20希釈)。
組換えヒトCD44タンパク質(Fc-Tag)、Sino Biological、12211-H02H、LC13AP3001 50μg。
ヤギで産生された抗ヒトIgG(Fc特異的)ペルオキシダーゼ抗体、親和性単離抗体、Sigma-Aldrich A0170-1mL、ロット0000154644、ソース0000141524
ヒトIgG、Fc断片精製タンパク質、Millipore、カタログ番号AG714、ロット番号3853811。
TBS Tablets、EMD Millipore、524750-1EA、ロット:3780735
超高感度TMB溶液(Millipore、ES022-500mL、ロット番号3739113)
【0562】
実施例16:臨床研究のための33B血清の調製
1000mLのビーカー内で、RO/DI水(566.94g、94.49%)を、4ブレードピッチインペラ撹拌シャフトを備えたオーバーヘッド撹拌器で撹拌した。水を、ホットプレート上で60~65℃に同時に加熱した。所望の温度に達すると、ヒドロキシエチルセルロース(5.28g、0.88%)を撹拌水に振るい入れた。加熱装置をオフにし、混合物をその後の30分間超にわたって撹拌しながらわずかに冷却させた。ヒドロキシエチルセルロースが溶解したら、Geogard Ultra(グルコノラクトン及び安息香酸ナトリウムで構成されたブレンド、グルコノラクトン)(5.40g、0.90%)を添加した。溶液を均質になるまで撹拌した。撹拌速度を200rpmに低減した。6%固体(19.98g、2.00%の33B+1.33%の水に等しい3.33%)を含有する絹溶液を添加した。混合物を約5分間撹拌し、スパチュラで断続的に手動撹拌して、混合を補助した。次いで、混合物を、25%水酸化ナトリウム水溶液(2.40g、0.40%)を使用してpH5.0に調整した。均質になると、撹拌を停止し、生成物をフロストガラスドロッパーボトルにパッケージングした。
【0563】
絹溶液の添加を省略して(絹の代わりに等量の水を添加して)、上記の手順を複製してプラセボ血清を産生した。
【0564】
臨床研究
28日間の期間にわたり、Princeton Consumer Researchにより、一重盲検、自宅使用研究を実施した。本研究は、「28日間の使用期間にわたる老化の兆候を改善する試験物質の有効性を決定する臨床研究」と題された。合計34人の女性参加者を研究の試験群に登録した一方で(32人が研究を完了)、23人の女性参加者を研究のプラセボ群に登録した(22人が試験を完了)。対象は、新たにクレンジングした顔に1日2回(朝及び夜)適用する指示とともに、33B血清又はプラセボ血清のいずれかを支給された。研究評価は、ベースライン、7日目、及び28日目に完了し、以下を含んだ。
・小皺/皺、色素沈着、堅さ、及び発赤を臨床評価者によって視覚的に評価した
・触覚的質感/滑らかさを臨床評価者によって評価した
・経表皮水分蒸散量(TEWL)を介した皮膚バリアを、Tewameter(登録商標) TM 300(Courage & Khazaka)で測定した。
・皮膚表面の水和を、Corneometer(登録商標) CM 825(Courage & Khazaka)で測定した。
・対象は、皮膚特性、製品有効性、及び認識された改善を評価する自己認識質問票(SPQ)に記入した。
【0565】
実施例17:抗炎症データ
【表29-1】
【表29-2】
【表29-3】
【表29-4】
【表29-5】
【表29-6】
【表29-7】
【表29-8】
【表29-9】
【表29-10】
【表29-11】
【表30-1】
【表30-2】
【表30-3】
【表30-4】
【表30-5】
【表30-6】
【表30-7】
【表30-8】
【表30-9】
【表30-10】
【表30-11】
【表30-12】
【表30-13】
【表31-1】
【表31-2】
【表31-3】
【表32-1】
【表32-2】
【表32-3】
【表32-4】
【表32-5】
【表32-6】
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17-1】
図17-2】
図17-3】
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
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図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【配列表】
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【国際調査報告】