(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】改善されたパッチおよびそれを使用して活性物質を皮膚に送達するための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20240101AFI20241010BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
A61F13/02 310M
A61F13/02 380
A61F13/02 310H
A61F13/02 310D
A61F13/02 355
A61F13/02 360
A61K9/70 401
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523227
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2022078796
(87)【国際公開番号】W WO2023066846
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503330303
【氏名又は名称】デベヴェ・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ヴィレット
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・エフアルン
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076BB31
(57)【要約】
本発明は、被験者の皮膚に活性物質を投与するためのパッチに関する。本発明のパッチは、製造を簡素化し、結果の再現性を改善し、被験者へのパッチの貼り付けをしやすくし、貼り付けの一貫性を高め、早期剥離の危険性が低減された初期および長期粘着力の改善を実証するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚に生物学的に活性な物質を送達するためのパッチであって、
基材と、
前記基材上に配設された生物学的に活性な物質と、
周辺部、第1の皮膚に面する表面、および前記第1の皮膚に面する表面上に配設された粘着剤の第1の層を有する発泡体リングであって、前記発泡体リングは前記基材の下に配設され、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、前記生物学的に活性な物質が配置される閉塞または凝縮チャンバーを形成する、発泡体リングと、
前記基材の上に配設され、外側表面、前記外側表面に対向する第2の皮膚に面する表面、および前記第2の皮膚に面する表面上に配設された粘着剤の第2の層を有する、通気性フィルムと、
前記通気性フィルムの前記外側表面上に除去可能に配設された紙製アプリケータであって、前記紙製アプリケータは内側縁を備える開口を有し、前記紙製アプリケータは被験者の皮膚に前記パッチを貼り付けるように構成された、紙製アプリケータと、
を備え、
前記通気性フィルムは、前記基材および前記発泡体リングを覆い、前記紙製アプリケータの前記開口は、連続しており、前記発泡体リングの周りにあり、前記発泡体リングと同心であり、前記紙製アプリケータは、前記通気性フィルムの前記外側表面からの除去を円滑にするために開放ノッチを有する、
パッチ。
【請求項2】
前記開放ノッチは、前記紙製アプリケータの前記内側縁上で開いている、請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
前記開放ノッチは、半径方向に向けられている、請求項1または2に記載のパッチ。
【請求項4】
前記開放ノッチは、V字形ノッチである、請求項1から3のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項5】
前記V字形ノッチは、丸みを付けた頂点を有する、請求項4に記載のパッチ。
【請求項6】
前記V字形ノッチは、約45°±10°の角度αで形成される、請求項4または5に記載のパッチ。
【請求項7】
前記紙製アプリケータは、前記開放ノッチと整列された少なくとも1つのスリットを備え、前記少なくとも1つのスリットは、前記紙製アプリケータの縁から前記開放ノッチに向かって延在し、前記通気性フィルムの前記外側表面からの除去をさらに円滑にする、請求項1から6のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項8】
前記紙製アプリケータは、複数の整列されたスリットを備え、1つのスリットは、前記開放ノッチの頂点から延在する、請求項7に記載のパッチ。
【請求項9】
1つのスリットは、前記開放ノッチの前記頂点上で開いている、請求項8に記載のパッチ。
【請求項10】
前記開放ノッチは、V字形ノッチであり、前記紙製アプリケータは、前記V字形ノッチと整列された少なくとも1つのスリットを備え、前記少なくとも1つのスリットは、前記紙製アプリケータの外側縁から前記V字形ノッチに向かって延在し、前記通気性フィルムの前記外側表面からの除去をさらに円滑にする、請求項1から9のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項11】
前記紙製アプリケータは、複数のスリットを備え、1つのスリットは、前記V字形ノッチの丸みを付けた頂点から延在する、請求項10に記載のパッチ。
【請求項12】
1つのスリットは、前記V字形ノッチの前記丸みを付けた頂点上で開いている、請求項11に記載のパッチ。
【請求項13】
前記紙製アプリケータの前記開口の内径は、前記紙製アプリケータの大きい方の寸法の約80%から95%である、請求項1から12のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項14】
前記粘着剤の第1の層および前記粘着剤の第2の層上に除去可能に配設された剥離ライナーをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項15】
前記剥離ライナーは、前記粘着剤の第1の層および前記粘着剤の第2の層からの除去を円滑にするためにスリットを備える、請求項8に記載のパッチ。
【請求項16】
前記剥離ライナーのスリットは、2つの部分からなり、非対称的に配置され、前記発泡体リングの幅の真ん中に留置され、前記閉塞または凝縮チャンバーからオフセットされる、請求項14に記載のパッチ。
【請求項17】
前記発泡体リングは円形であり、前記通気性フィルムは円形または丸みを帯びたコーナーを備える長方形の形状を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項18】
前記基材は、水分不透過性を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項19】
前記生物学的に活性な物質は、アレルゲン、抗原、および生物学的に活性なポリペプチドから選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項20】
(i)基材、(ii)生物学的に活性な物質、(iii)周辺部、第1の皮膚に面する表面、および前記第1の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の層を有する発泡体リング、(iv)外側表面、第2の皮膚に面する表面、および前記第2の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の第2の層を有する生体適合性を有する通気性フィルム、ならびに(v)内側縁および開放ノッチを備える開口を有する紙製アプリケータを提供するステップと、
前記生体適合性を有する発泡体リングを前記基材の下に付けて、被験者の皮膚に貼り付けられたときに閉塞チャンバーを形成するステップと、
前記閉塞チャンバーを介して被験者の皮膚に送達するために前記生物学的に活性な物質を前記基材上に配設するステップと、
前記生体適合性を有する通気性フィルムを前記基材および前記発泡体リングの上に同心円状に貼り付けるステップと、
前記開口が前記発泡体リングと同心であり、前記紙製アプリケータの前記内側縁と前記発泡体リングの前記周辺部との間に間隙を設けるように前記通気性フィルムの前記外側表面上に前記生体適合性を有する紙製アプリケータを貼り付けるステップであって、前記紙製アプリケータは前記パッチが被験者の皮膚上に押し付けられた後、前記外側表面から除去されるように構成される、ステップと、
を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載のパッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、皮膚、身体の一部を使用して被験者に活性物質を送達するためのパッチ、および特に経皮経路による免疫療法を提供するための、パッチの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願の譲受人であるDBV Technologiesは、水溶性の形態をとる、アジュバントなしの、基材表面上に静電気により堆積される、生物由来物質などの少量のアレルゲン、または牛乳もしくはピーナッツタンパク質としての、食物タンパク質を含むパッチを使用した先駆けである。そのようなパッチは、アレルゲンへの曝露に対する被験者の免疫応答を決定するために、または免疫療法を実施するために使用されるものとしてよく、被験者は、数週間または数か月にわたってアレルゲンへの皮膚曝露をもたらすパッチを身に着けることで、アレルゲンに対する耐性を増進する。
【0003】
たとえば、米国特許第7,635,488号では、アレルゲンが固形乾燥堆積物としてコートされた中央部分と、皮膚に粘着剤で結合され得る周辺部分とを含む支持体を含むパッチを説明している。周辺部分が被験者の皮膚に付着されたときに、支持体の中央部分は、閉塞または凝縮チャンバー(occlusive or condensation chamber)を形成する。パッチは指定された期間の間身に着けられ、その間に皮膚被験者から発汗した汗がチャンバー内に凝縮し、支持体の中央部分の内部表面上でコートされたアレルゲンの固形堆積物を可溶化し、アレルゲンが皮膚に接触して表皮に浸透することを可能にする。米国特許第8,968,743号では、経皮経路を経由してワクチンを送達するためのそのようなパッチの使用を説明している。
【0004】
そのようなパッチは、裏材上に配設され、パッチの裏材と被験者の皮膚との間の防水ジョイントとして働く、円形発泡体リングをさらに含み、それによって、閉塞チャンバーまたは凝縮チャンバーとして画成される密閉チャンバーが、パッチが皮膚に貼り付けられたときに得られる。
【0005】
被験者に所望の効果をもたらすために、パッチは被験者の皮膚上に所定時間期間の間留まることが重要である。しかしながら、現在まで、パッチの粘着性は不十分であり、被験者の皮膚上へのパッチの粘着が一貫せず、時には早期に剥離することもあり得る。
【0006】
したがって、皮膚への有効成分の送達、貼り付けの取り扱い、および使い勝手の一貫性を改善するパッチを提供することが望ましいであろう。
【0007】
また、被験者へのパッチの貼り付けを円滑にし、被験者へのパッチの貼り付けの一貫性を高めるパッチを提供することが望ましいであろう。
【0008】
さらに、身に着けている期間中改善された粘着性を有するパッチを提供し、被験者の皮膚からの早期剥離の危険性を低減することが望ましいであろう。
【0009】
なおもさらに被験者の衣服がパッチに擦れることによって引き起こされる剥離に対する耐性を高めたパッチを提供し、それによってパッチ外れる危険性をさらに低減することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,635,488号
【特許文献2】米国特許第8,968,743号
【特許文献3】欧州特許第EP0051935A2号
【特許文献4】英国特許第GB2128479A号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、被験者の皮膚に生物学的に活性な物質を送達するためのパッチを提供することであり、このパッチは基材と、基材上に配設された生物学的に活性な物質と、周辺部、第1の皮膚に面する表面、および第1の皮膚に面する表面上に配設された粘着剤の第1の層を有する発泡体リングであって、発泡体リングは基材の下に配設され、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、生物学的に活性な物質が配置される閉塞または凝縮チャンバーを形成する、発泡体リングと、基材の上に配設され、外側表面、外側表面に対向する第2の皮膚に面する表面、および第2の皮膚に面する表面上に配設された粘着剤の第2の層を有する、通気性フィルムと、通気性フィルムの外側表面上に除去可能に配設された紙製アプリケータ(paper applicator)であって、紙製アプリケータは内側縁を備える開口を有し、紙製アプリケータは被験者の皮膚にパッチを貼るように構成された、紙製アプリケータとを備え、通気性フィルムは、基材および発泡体リングを覆い、紙製アプリケータの開口は、発泡体リングの周りにあり、発泡体リングと同心であり、紙製アプリケータは、通気性フィルムの外側表面からの除去を円滑にするために、V字形ノッチなどの開放ノッチを有する。
【0012】
本発明は、被験者の皮膚に生物学的に活性な物質を送達するためのパッチにも関係し、このパッチは(i)生体適合性を有する基材と、(ii)基材上に配設された生物学的に活性な物質と、(iii)周辺部、もしくは外側縁、皮膚に面する表面、および第1の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の層を有する生体適合性を有する発泡体リングであって、発泡体リングは基材の下に配設され、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、生物学的に活性な物質が配置されるチャンバーを形成する、発泡体リングと、(iv)外側表面、第2の皮膚に面する表面、および第2の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の層を有する生体適合性を有する通気性フィルムと、(v)通気性フィルムの外側表面上に除去可能に配設された紙製アプリケータであって、紙製アプリケータは内側縁を備える開口を有し、紙製アプリケータは被験者の皮膚にパッチを貼るように構成された、紙製アプリケータとを備え、通気性フィルムは、基材および発泡体リングを覆い、開口は、発泡体リングの周りにあり、発泡体リングと同心であり、紙製アプリケータの内側縁と発泡体リングの周辺部との間に間隙を形成する。有利には、紙製アプリケータは、通気性フィルムの外側表面からの除去を円滑にするために、内側縁上に、V字形ノッチなどの開放ノッチを有する。
【0013】
本発明は、被験者の皮膚に生物学的に活性な物質を送達するためのパッチにも関係し、このパッチは基材と、基材上に配設された生物学的に活性な物質と、周辺部、第1の皮膚に面する表面、および第1の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の第1の層を有する発泡体リングであって、発泡体リングは基材の下に配設され、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、閉塞チャンバーを形成する、発泡体リングと、外側表面、皮膚患者に面する表面、および第2の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の第2の層を有する通気性フィルムと、通気性フィルムの外側表面上に除去可能に配設され、パッチを被験者の皮膚に貼り付けるように構成されている紙製アプリケータを備え、紙製アプリケータは通気性フィルムの外側表面からの除去を円滑にするために、V字形ノッチなどの開放ノッチを有する。
【0014】
本発明によれば、開放ノッチは、紙製アプリケータの縁(内側縁または外側縁)から、紙製アプリケータ上に部分的に延在する。開放ノッチは、紙製アプリケータの縁で開いており、部分的に前記紙製アプリケータの反対側の縁に向かって延在する。たとえば、開放ノッチは、U字形ノッチ、V字形ノッチなどであってよい。
【0015】
本発明によれば、パッチは、被験者の皮膚へのパッチの密着性を改善するために互いに協働する連続層を含む。
【0016】
以前から知られているパッチについて観察された欠点を考慮すると、本発明に従って製作されたパッチは、製造を簡素化し、アレルギー検査のための、または経皮免疫療法の場合のような表皮などの、皮膚への活性物質の送達を提供するためのパッチの再現性を改善する。特に、本発明のパッチは、被験者へのパッチの貼り付けを円滑にし、その一貫性を高めるとともに、着用時間にわたる長期的な粘着性の改善、および早期剥離のリスクの低減を促進する。「長期的」とは、治療過程にわたる、たとえば数時間、1日、または1日よりさらに長い期間にわたることを意味する。さらに、本発明のパッチは、被験者の衣類がパッチに当たって擦れることによって引き起こされる剥離に対する改善された抵抗性を示す。
【0017】
本発明の原理によれば、パッチは、そうでなければ早期の粘着力喪失を引き起こすか、または衣類を擦ることで生じる摩擦に起因して持ち上がるかまたは丸まる焦点をもたらし得る直角を減少させる丸いもしくは丸みを帯びた長方形の形状を有利には有するように製作された複数の層を含む。本発明のパッチは、一般的に、基材を含み、この基材に注目する所定の量の活性物質が固形物として堆積される。発泡体リングが活性物質の周りで基材に結合され、それにより水が入り込まないように皮膚に密着され得る事前形成された閉塞または凝縮チャンバーを提供する。発泡体リングおよび基材は、実質的に同じ外径を有し得る。
【0018】
基材は、活性物質を支持するための任意の好適な材料または材料の組合せを含むものとしてよく、好適には、たとえば、発泡体リングの隣接する表面上の粘着剤を介して発泡体リングに結合され得る。たとえば、基材は、セルロースプラスチック(酢酸セルロース(CA)もしくはプロピオン酸セルロース(CP)など)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸塩(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)など)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはフッ素重合体(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)から選択されたポリマーを含み得る。基材は、エレクトロスプレーによる活性物質の堆積を円滑にするために、導電層、たとえば、酸化チタン、アルミニウム、または金などの金属層もしくは金属粒子もしくは金属酸化物粒子を含むコーティングをさらに含み得る。特定の一実施形態において、基材は、ポリエチレンテレフタレート、およびその皮膚に面する表面上のチタン層コーティングを含む。
【0019】
発泡体リングは、発泡体または生体適合性を有するポリマー材料の任意の好適な組合せを含み得る。特に、発泡体またはポリマー材料は、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、シリコーン、またはそれらの混合物であるか、またはそれらを含み得る。
【0020】
有利には、発泡体リングの外径と内径との間の比は、約1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、または1.75など、約1.20から約1.75であってよい。発泡体リングの厚さは、パッチが被験者の皮膚に貼り付けられたときに被験者の皮膚と発泡体リングの内径との間に凝縮または閉塞チャンバーを形成するのに十分な厚さである。
【0021】
アセンブリは、基材を覆う通気性フィルムによって皮膚上に維持される。より具体的には、通気性フィルムは、発泡体リングの外側縁を越えて延在し、発泡体リングの周辺部を越えて被験者の皮膚にパッチを付着する。通気性フィルムの寸法は、通気性フィルムが発泡体リングを完全にリカバーし、発泡体リングを越えて延在するように、発泡体リングの寸法に適合される。たとえば、通気性フィルムの直径またはそれより大きい寸法は、20%、30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%以上など発泡体リングの直径より少なくとも10%大きい。特に、通気性フィルムの直径またはそれ以上の寸法は、発泡体リングの直径よりも約65%、±5%高くてもよい。
【0022】
有利には、通気性フィルムは、円形または丸い角度のコーナーを有する。
【0023】
発泡体リングおよび/または通気性フィルム上の粘着剤層は、アクリル系粘着剤、親水コロイド粘着剤、ポリウレタン粘着剤、またはシリコーン粘着剤を含み得る。
【0024】
パッチは、発泡体リングの粘着面および通気性フィルムの粘着剤層を露出させるために除去される保護的役割において、剥離ライナーを有する、すぐに使用できる形態で提供され得る。パッチは、さらに、通気性フィルムの非粘着性表面に関連する紙製アプリケータを備える。この紙製アプリケータは、パッチの剛性を改善し、取り扱いを円滑にし、次いで、被験者の皮膚にパッチを付着させたまま介護者によって除去され得る。「パッチを被験者の皮膚に貼り付けるように構成された」とは、パッチの紙製アプリケータが、取り扱いを円滑にするようにパッチにわずかな剛性を一時的に与えるために少なくとも部分的に通気性フィルムをリカバーし、通気性フィルムからの剥離を可能にする手段を備えることを意味する。
【0025】
紙製アプリケータは、通気性フィルムの形状に適合するように実質的にリング形状(たとえば、円形または長円形)を有する。紙製アプリケータは、円形または長円形の形状の中央開口を有する。紙製アプリケータは、紙製アプリケータの開口が発泡体リングと一致するように構成される。
【0026】
紙製アプリケータの幅は、紙製アプリケータの外側縁から内側縁(すなわち、開口の境界となる縁)まで半径方向に延在する寸法に対応して、前記紙製アプリケータの大きい方の寸法の、約8%、9%、9.5%、10%、12%、15%、15.5%、16%、17%、18%、19%など、約5%から約20%であってよい。すなわち、紙製アプリケータの開口の大きい寸法、すなわち直径は、前記紙製アプリケータの大きい方の寸法の、約81%、82%、83%、84%、84.5%、85%、88%、90%、90.5%、91%、92%など、約80%から95%であってもよい。たとえば、紙製アプリケータの幅は、紙製アプリケータの大きい方の寸法の、約9%から約9.5%、または約15%から約15.5%など、約8%から約16%である。
【0027】
前記開口の大きい方の寸法は、厳密には発泡体リングの直径よりも大きく(たとえば、発泡体の外径の少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも125%、または少なくとも150%)、したがって発泡体リングの周りに冠を形成する通気性フィルムの一部(本明細書では「間隙」)は、紙製アプリケータの内側縁と発泡体リングの周辺部の周り、およびそれらの間に延在する。特に、間隙の幅(すなわち、紙製アプリケータの内側縁と発泡体リングの周辺部との間の距離)は、通気性フィルムの外側縁と発泡体リングの周辺部との間の距離の約1/4から2/3、たとえば、通気性フィルムの外側縁と発泡体リングの周辺部との間の距離の1/3から1/2の間、または1/2から2/3の間であってよい。間隙の幅は、発泡体リングの全周で一定であり得るか、または間隙の幅は、発泡体リングの周りで変化し、ある部分では大きく、他の部分では小さくなっていてもよい。特定の実施形態では、隙間は丸い形状を有している。別の実施形態では、間隙は長方形の形状を有している。
【0028】
紙製アプリケータの幅は、発泡体リングと紙製アプリケータとの間の間隙の幅の約10%から約200%、たとえば、間隙の幅の約20%から約180%、または間隙の幅の約50%から約150%、または間隙の幅の約80%から約120%、または間隙の幅の約90%から約110%、または間隙の幅の約100%であってよい。たとえば、紙製アプリケータの幅は、間隙の幅の、約20%から約95%、または約50%から約95%など、約10%から約95%である。
【0029】
特定の実施形態において、紙製アプリケータの幅は、通気性フィルムが発泡体リングの外側縁を越えて延在する距離の約半分を覆う。
【0030】
紙製アプリケータは、シリコーン処理された紙(たとえば、片面または両面にシリコーンをコーティングし、任意選択でPTFEなどの疎水性コーティングを含む紙)などの材料の組合せの任意の好適な材料を含み得る。
【0031】
本発明によれば、紙製アプリケータは、通気性フィルムの外側表面からの除去を円滑にするために、V字形ノッチなどの開放ノッチを有し得る。ノッチは、紙製アプリケータの内側縁または外側縁上で管理され得る。特に、開放ノッチは、紙製アプリケータの内側縁に至り、紙製アプリケータの内径から部分的にその外径に向かって延在するように半径方向に向けられ得る。代替的に、開放ノッチは、紙製アプリケータの外側縁に至り、紙製アプリケータの外径から部分的にその内径に向かって延在するように半径方向に向けられ得る。
【0032】
特に、開放ノッチはV字形ノッチであり、紙製アプリケータの内側縁または外側縁のいずれかに至り、紙製アプリケータの内径から部分的にその外径に向かって延在するように半径方向に向けられるか、またはその逆に向けられ得る。V字形ノッチは、ノッチの縁を容易に掴めるように、約45°±10°の角度αで形成されてもよい。さらに、V字形ノッチの頂点は、製造の妨げとなる可能性のある鋭利な縁を避けるために、湾曲していてもよい(たとえば、丸みを付けた頂点)。
【0033】
ノッチの頂点は、ノッチの頂点から紙製アプリケータの外側縁(または内側縁)まで放射状に延在する1つまたはいくつかの連続するスリットと整列され得る。有利には、スリットは、紙製アプリケータの幅部分を完全に横切っては延在せず、それによって、紙製アプリケータが製造時に自由になり得ないことを確実にする。これらのスリットは、パッチが被験者の皮膚に付着した後に紙製アプリケータをさらに引き剥がすことを円滑にし得る。ノッチおよび任意選択のスリットは、通気性フィルムおよび/または発泡体リングに印加される剪断力を減らして紙製アプリケータを除去することを可能にする。
【0034】
特に、紙製アプリケータは、複数の整列された不連続なスリットを備え、それらは、紙製アプリケータの縁から開放ノッチに向かって放射状に連続して延在する。有利には、前記複数のスリットのうちの1つは、ノッチの端部、または頂点で開いている。
【0035】
たとえば、紙製アプリケータは、V字形ノッチと、複数の整列されたスリットとを備え、前記複数のスリットのうちの1つのスリットは、V字形ノッチの頂点上で開いている。
【0036】
特に、紙製アプリケータは、V字形ノッチなどの開放ノッチと、2つの連続するスリットとを備える。開放ノッチは、紙製アプリケータ上で半径方向に向けられ、ノッチの開いた端部は、紙製アプリケータの第1の縁に至る。第1のスリットは、ノッチの閉じた端部、または頂点から半径方向に、部分的に紙製アプリケータの反対側の縁(すなわち、第2の縁)に向かって延在する。第2のスリットは、第1のスリットと第2の縁との間に半径方向に延在する。第1のスリットは、ノッチの頂点上で開くものとしてよい。代替的に、またはそれに加えて、第2のスリットは、第2の縁上で開き得る。
【0037】
2つの連続するスリットの間の距離は、スリットの数、各スリットの寸法、および/またはノッチの頂点と紙製アプリケータの反対側の縁との間の距離に依存する。たとえば、開放ノッチは、紙製アプリケータの縁から、紙製アプリケータの幅の40%から60%の部分上に、半径方向に延在する。紙製アプリケータは、2つの連続するスリットをさらに備える。第1のスリットは、ノッチの頂点から延在し、紙製アプリケータの幅の約10%から約15%の長さを有し、第2のスリットは、紙製アプリケータの幅の約10%から約15%の長さを有する。2つの連続するスリットの間に延在する紙製アプリケータの非切断部分は、紙製アプリケータの幅の約10%から約25%の長さを有する。
【0038】
有利には、紙製アプリケータの外側縁は、通気性フィルムの外側縁と重なり合う。
【0039】
さらに本発明の原理によれば、剥離ライナーは、実質的にフィルムを歪ませることなく発泡体リングおよび通気性フィルムの粘着面を露出させるためにパッチからライナーを剥がすことを円滑にするスリットを備える。特に、スリットは、凝縮チャンバーを画成する基材の部分からオフセットされるように非対称的に配置され得る。これは、水分がスリットを介して凝縮チャンバー内に入るのを抑制し得る。スリットは、剥離ライナーをアセンブリの残り部分から剥がすのを円滑にするように発泡体リングと重なり合うものとしてよい。
【0040】
それに加えて、非限定的な例では、紙製アプリケータは、発泡体リングの外側縁を越えて延在するフィルムの幅の約2分の1の幅を有するリングの形状で構成される。紙製アプリケータは、また、紙が完全には分割されず、両側でカットされるだけであり、手ですぐに破れる、たとえばV字形を有する、半径方向に向けられたノッチを備え、パッチが被験者の皮膚に貼り付けられた後、通気性フィルムの外側表面から紙製アプリケータを剥がしやすいものとしてよい。有利には、紙製アプリケータは、アプリケータが除去されるときにパッチが被験者の皮膚から持ち上がって離れることのないように構成される。
【0041】
剥離ライナー上のスリットは、有利にはパッチの第1の半分に配置されるが、紙製アプリケータ上の開放ノッチおよび任意選択のスリットは、好ましくはパッチの第2の反対側の半分に配置される。代替的に、またはそれに加えて、剥離ライナー上のスリットの長手方向軸は、紙製アプリケータの開放ノッチの長手方向軸に対して垂直に延在する。それによって、剥離ライナーの除去は、紙製アプリケータの、開放ノッチを有する部分を歪ませない。それは、紙製アプリケータが制御されることなくおよび/または望ましくない形で剥離する危険性を制限する。
【0042】
特定の一実施形態において、パッチは丸い形状または長方形であり、
- 通気性フィルムの直径または大きい方の側は、40mm±5mmから55mm±5mmの間、好ましくは45mm±1mmから50mm±1mmの間であり、
- 発泡体リングの外径は、20mm±5mmから35mm±5mmの間、好ましくは25mm±1mmから30mm±1mmの間であり、
- 発泡体リングの内径(閉塞チャンバーの直径に対応する)は、15mm±5mmから25mm±5mmの間、好ましくは18mm±1mmから20mm±1mmの間であり、
- 基材の直径は、発泡体リングの外径に実質的に等しく、
- 紙製アプリケータの外側縁は、通気性フィルムの外側縁と重なり合い、
- 紙製アプリケータの開口の直径または大きい方の寸法は、32mm±1mmから44mm±1mmの間、または38mm±1mmから52mm±1mmの間など、30mm±5mmから52mm±5mmの間である。
紙製アプリケータは、紙製アプリケータの内側縁からその内径に部分的に向かって半径方向に向けられた、V字形ノッチなどの開放ノッチを有し、1つまたは2つのスリットはV字形ノッチの頂点から紙製アプリケータの外側縁に向かって半径方向に延在するものとしてよい。
【0043】
活性物質は、任意の好適な方式で基材上に配設され得る。非限定的な一例において、生物学的に活性な物質は、基材に静電気力によって結合され得る。しかしながら、生物学的に活性な物質は、たとえば、噴霧および乾燥、または粘着剤の使用など、任意の好適な方式で施され得ることは理解されるであろう。いくつかの例では、生物学的に活性な物質は、アレルゲン、抗原、または生物学的に活性なポリペプチド(またはペプチド)から選択される。物質は粒子を含んでもよい。
【0044】
好ましくは、パッチは、典型的には、真空下、または乾燥窒素などの不活性雰囲気下で、1回使用の引き裂きパウチ内に調製され、および/または保存される。
【0045】
本発明の上記の、および他の利点は、図面全体を通して類似の参照文字が類似の部品を指す付属の図面に関して読み取り、以下の詳細な説明を考察した後、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】経皮免疫療法の臨床試験において採用される参照パッチの一実施形態の平面図である。
【
図1B】経皮免疫療法の臨床試験において採用される参照パッチの一実施形態の断面図である。
【
図3A】本発明の実施形態によるパッチの平面図である。
【
図5A】本発明の別の実施形態によるパッチの平面図である。
【
図23】参照パッチ(本出願人によって以前に企図された)を貼り付ける際の中間操作を概略的に例示する図であって、通気性フィルムの縁からの剥離ライナーの除去を示す図である。
【
図24】参照パッチ(本出願人によって以前に企図された)を貼り付ける際の中間操作を概略的に例示する図であって、通気性フィルムの縁からの剥離ライナーの除去を示す図である。
【
図25】参照パッチ(本出願人によって以前に企図された)を貼り付ける際の中間操作を概略的に例示する図であって、剥離前線および凝縮チャンバーの近くのそれらの集中を例示する図である。
【
図26】本発明のパッチを貼り付ける際の中間操作を概略的に例示する図であって、本発明のパッチの実施形態を例示する図である。
【
図27】本発明のパッチを貼り付ける際の中間操作を概略的に例示する図であって、剥離ライナーの除去を例示する図である。
【
図28】本発明のパッチを貼り付ける際の中間操作を概略的に例示する図であって、剥離ライナーの除去を例示する図である。
【
図29】本発明による例示的なパッチの設計を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の原理に従って構成されたパッチは、同一出願人による米国特許第7,635,488号および米国特許第8,968,743号に記載されているパッチの改善を提供する。本明細書において説明されているように、改善は、製造可能性を簡素化し、アレルギー検査または経皮免疫療法(「EPIT」)を提供することに対する結果の再現性を改善し、被験者へのパッチの貼り付けの一貫性を助長し、高め、および/または治療時に改善された長期粘着性を示し、および/または除去時の不快なレベルの痛みを抑制しながら、被験者の衣類がパッチに当たって擦れることによって引き起こされる剥離に対する改善された抵抗性を提供すること含む方法により、早期剥離の危険性を低減することである。
【0048】
本明細書において使用されているように、「経皮」という用語は、皮膚に貼り付けられることを意味することを意図されている。経皮投与は、典型的には、化合物が少なくとも角質層および任意選択で1つまたは複数の他の表皮層などの皮膚の表層に浸透するかまたは拡散することを可能にするのに十分な条件の下での皮膚への適用を含む。
【0049】
本明細書において使用されているように、「生体適合性(を有する)」という用語は、生体組織に対して有害でないことを意味することを意図されている。
【0050】
本明細書において使用されているように、「通気性」という用語は、水蒸気透過性であること、たとえば、非ゼロの水蒸気透過率を有することを意味することを意図されている。
【0051】
本明細書において使用されているように、「リング」という用語は、ある領域を囲む構造を意味することを意図されている。リングは、任意の好適な形状を有するものとしてよく、たとえば、実質的に円形、実質的に長円形、実質的に丸みを帯びた正方形、実質的に丸みを帯びた長方形、または同様のものであってよい。リングは、外すなわち外側の縁、内すなわち内側の縁を有し得る。外側縁と内側縁の形状は、互いに類似しているか、または互いに異なっていてもよい。「丸みを帯びた」は、鋭い直角のコーナーとは対照的に、円形および長方形のパッチ形状に適合した曲率半径を有することを意味する。たとえば、丸みを帯びた形状は、パッチ寸法の少なくとも約10%、またはパッチ寸法の少なくとも約20%、またはパッチ寸法の少なくとも約50%の曲率半径、例示的に、少なくとも約5mm、少なくとも約9mm(たとえば、約36mm×約44mmのサイズを有する丸みを帯びた長方形パッチに対して)、または少なくとも約22mm(約44mmの直径を有する円形パッチに対して)の曲率半径を有し得る。
【0052】
本明細書において使用されているように、本明細書全体を通して使用される「実質的に」、「近似的に」、「おおよそ」、および「約」という用語は、寸法のバラツキに起因するなどの、小さな変化または変動を説明し、考慮するために使用される。たとえば、これらは、±5%以下など、±2%以下など、±1%以下など、±0.5%以下など、±0.2%以下など、±0.1%以下など、±0.05%以下など、±10%以下を指すものとしてよい。
【0053】
本明細書において使用されているように、「生物学的に活性な物質」、「活性物質」、「活性成分」、および同様の用語は、診断、治療、または予防目的の物質を意味することが意図されている。生物学的に活性な物質または成分は、アレルゲン、抗原、小分子薬物、またはホルモン、アプタマー、抗体、もしくは同様のものなどのような注目する任意の治療薬としての物質であるものとしてよい。生物学的に活性な物質は、ペプチド、組換えタンパク質を含むポリペプチド、オリゴまたは多糖類、核酸、または同様のものであってよい。生物学的に活性な物質または成分は、孤立分子、さらにはタンパク質抽出物などの抽出物であってもよい。生物学的に活性な物質または成分は、任意の適切な賦形剤と組み合わせてもよい。好ましい一実施形態において、生物学的に活性な物質は、アレルゲン、抗原、または生物学的に活性なポリペプチド(またはペプチド)から選択される。たとえば、生物学的に活性な物質は、卵、牛乳、またはピーナッツ由来のアレルゲンなどの食物アレルゲン、たとえば、そのような食物から得られるタンパク質抽出物、またはチリダニまたは花粉由来のアレルゲンなどの空気アレルゲンであり得る。本発明のパッチは、前記アレルゲンに対してアレルギーを有する被験者において、脱感作を与える、すなわち所与のアレルゲンに対する耐性を増大させるために使用され得る。他の実施形態において、生物学的に活性な物質は、病原性細菌またはウイルスなどの病原体由来のものであり得、パッチは、そのような病原体に対するワクチン接種を提供するための方法において使用される。
【0054】
本明細書において使用されているように、「開放ノッチ」という用語は、紙製アプリケータの縁(内側または外側)の端開口部を含む、完全にはカットされていないノッチを指す。開放ノッチは、紙製アプリケータの端部から、部分的に前記紙製アプリケータの反対側の縁に向かって延在する。言い換えると、開放ノッチは、紙製アプリケータの幅全体にわたって延在することはない。開放ノッチは、U字形、V字形などの、開放された端部を示す任意の形状を有し得る。
【0055】
以下で説明されるように、いくつかの例において、生物学的に活性な物質は「乾燥層コーティング」される。たとえば、この物質は、乾燥層として利用可能であるか、または乾燥層になるように(たとえば、凍結乾燥、加熱および噴霧、微粉化などを通じて)変形されるかもしくは処理されるかのいずれかであり得る。たとえば、この物質は、典型的には凝集体、または凝集粒子の形態の固体状態であり得る。他の例では、活性物質は、液体または半固体(たとえば、ゲル、ゼリー、発泡体、またはペースト)の形態であってもよい。活性物質は、任意の好適な方式で基材の関連する非粘着性部分に塗布され、そこで乾燥させられて固体を形成するか、または液体もしくは半固体の形態で維持され得る。いくつかの例において、活性物質は、粘着剤、賦形剤、または他の成分と混合されることはない。いくつかの他の実施形態では、活性物質は、1つまたはいくつかの医薬品として許容される賦形剤と組み合わせて存在する。
【0056】
この物質は、乾燥層の形態で、すなわち、個別化された粒子の形態で、天然のものとしてもしくは市販のものとして入手可能であるものとしてよく、これは、必要な場合におそらくその粒子のサイズを小さくする以外の、任意の特定の処理または変形を必要としない。
【0057】
この物質は、代替的に、大きな固形物の形態で利用可能であり得る。この場合、物質を、任意選択で変性させることなくそれの保存を確実にすることを目的とした変形の後に、個別化された粒子に縮小することが最初に好ましいものとしてよい。
【0058】
さらなる代替的形態において、天然物質は液体形態であってもよい。そのような状況では、物質は、凍結乾燥され、乾燥層コーティング形態を得るものとしてよい。乾燥層コーティング形態は、たとえば、凍結乾燥(真空下での凍結および昇華)または加熱および噴霧などの知られている技術によって得られ、これらの技術の選択、特に微粉化の程度は、考察対象の物質の物理化学的特性の関数として当業者の評価に委ねられる。
【0059】
パッチを包装して保存するために、また特に周囲空気による物質の変化を回避するために、粒子は、典型的には、凍結乾燥などの、特定の処理、より具体的には、当業者に知られている任意の処理を受ける。
【0060】
本発明の文脈の範囲内において、「静電気力」という用語は、一般的に、電荷を伴う任意の非共有結合力を指す。より具体的には、この用語は、別々にまたは一緒に作用し得る2種類の力、すなわち、表面の空間電荷と荷電粒子との間のクーロン力、および/または表面の空間電荷と粒子との間のファンデルワールス力を指す。表面と粒子間との間の力の強さは、水分の存在に起因する薄い水膜の存在によって増強されるか、または低くされ得る。一般的に、パッチは、乾燥した場所で作られ、保管される。水分は、好ましくは、パッチが皮膚に貼り付けられるまで有効成分が保存されることを可能にするように十分に低い。水分率は、パッチが皮膚に貼り付けられるまで好適な粘着力を達成するように調節され得る。
【0061】
本明細書において使用されているように、「基材」という表現は、活性物質を支持するのに適した生体適合性を有する材料から作られた任意の支持体を示す。非限定的な例では、基材は、基材と分注され電界を介して基材に誘導される活性物質を含む液体が出て来るエレクトロスプレーノズルとの間に電圧が印加されるエレクトロスプレープロセスを使用する活性物質の堆積を円滑にするように導電性である。堆積プロセスの後に、本明細書の他の箇所において説明されているような方式でパッチが皮膚に貼り付けられて閉塞または凝縮チャンバーを形成するまで基材と活性物質との間の静電気力が活性物質を基材に保持するものとしてよい。例示的に、基材は、金属粒子を含み得る。
【0062】
本発明のパッチは、哺乳動物被験体の皮膚を通してまたは皮膚に物質を送達するかもしくは曝すために使用され得る。上で説明されているように、物質は、静電気力を通してパッチの表面に直接的または間接的に結合される。特に、本発明のパッチは、(乾燥層コーティングされた)生物学的に活性な物質が静電気力を通じて直接的にまたは間接的に結合される支持体または基材を含む。基材は、基材と一緒に、パッチが被験者の皮膚に貼り付けられたときにチャンバーを形成し、それによって湿潤を通じて生物学的に活性な物質の放出を可能にする発泡リングスペーサに関連付けられている。
【0063】
図1A、
図1B、
図2A、および
図2Bを参照すると、本明細書において説明され請求されている改善を明らかにするための文脈として、本出願人によって以前に企図された参照パッチの製作の詳細が提供されている。
【0064】
図1Aにおいて、参照パッチ10の平面図が、その保管パウチから取り出されたときに、被験者の皮膚から離れる方向に向いている表面を見ているように、説明されている。
図1Bは、パッチ10の断面図であり、明確にするために層は互いに分離されている。パッチ10は、皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤層12を有する通気性フィルム11、ラベル13、基材14、粘着剤が付いている下側表面16を有する発泡体リング15、および剥離ライナー17を含む。剥離ライナー17は、通気性フィルム11の粘着剤層12および発泡体リング15の粘着剤が付いている下側表面16に係合し、パッチ10が被験者の皮膚に貼り付けられるのに先立ち剥離される。生物学的に活性な物質は、静電気力によって基材14の皮膚に面する表面に結合される。発泡体リング15は、被験者の皮膚と接触しないように基材14上の生物学的に活性な物質を支持するので、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、発泡体リング15および基材14は、皮膚から発する水分を集めるチャンバーCを形成する。回収された水分は、固体の活性物質粒子が可溶化して患者の表皮(下層の角質層)に浸透することを可能にする一方で、皮膚に潤いを与える。
【0065】
次に、
図2A~
図2Bも参照すると、パッチ10は、通気性フィルム11の外側に面する表面に軽く付着された紙製アプリケータ18を含む。紙製アプリケータ18は、通気性フィルム11の保護層として働き、介護者がパッチ10を被験者の皮膚にしっかりと付着させることを容易にする。紙製アプリケータ18は、基材14および発泡体リング15の周辺部を囲む開口19を含む。このようにして、介護者が発泡体リング15を押圧して皮膚に付着させるが、不注意に基材14の中央部を押し下げて生物学的に活性な物質を押しつぶし被験者の皮膚に直接接触させることがないようにすることを意図されている。開口19は、基材14および発泡体リング15の周辺部に非常に近い。以下で説明されるように、検査中に、紙製アプリケータ18が通気性フィルム11の外面を覆う被覆度が高いと、紙製アプリケータ18がその後除去されるときに通気性フィルム11により大きい張力を意図せずに課すことが発見された。さらに、本発明者らは、約50%から90%の通気性フィルムを覆う紙の表面(表面の紙対通気性フィルムの比)を提供する代わりに、
図2A~
図2Bの設計のスリットの代わりに、形状に適合したV字形のノッチを含めることで、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bの設計と比較して、皮膚へのパッチ貼り付け中の通気性フィルムの適合性を改善することを見出した。
【0066】
さらに
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bに関して、パッチ10は、剥離ライナー17が除去されたときにパッチ10を把持するための除去可能なタブ20aおよび20bを備える。本発明者らの指示により実施されたその後の検査中にさらに決定されたように、タブ20aおよび20bは、被験者の皮膚上への留置の準備中にパッチ10を操作する労力を増やし、同時に、デバイスをより複雑にし、製造可能性を低下させる。さらに、タブを引き剥がす際に印加される剪断力が、パッチの縁およびコーナーの剥離を促進することが実証された。以下で説明されているように、本発明の改善されたパッチは、除去可能なタブ20aおよび20bをなくし、それによって製造労力を削減し、パッチ貼り付けの取り扱いおよび再現性を改善する。
【0067】
表面からの粘着剤の剥離における破壊動力学は、よく知られたメカニズムである。基本的に、均質媒質では、剥離前線は、引っ張り方向に直交し、剥離力は剥離前線の長さに比例する。本明細書において説明されているようなパッチでは、たとえば創傷被覆材を保護する剥離ライナー(剥離可能層)などの弱く付着した層に対して剥離が生じることがある。たとえば、
図23~
図25は、本発明のパッチ(すなわち、参照パッチ)を貼り付けるときの中間操作を概略的に例示している。本発明のパッチシステムの剥離における問題の1つは、異なる密着性および剛性の2つの領域を含むという点である(
図23参照)。パッチチャンバーを形成する発泡体リングは、粘着剤の負荷が大きく硬いが、PU粘着剤(被覆材の一部)は、柔らかく粘着剤の負荷が小さい。したがって、剥離ライナーからのパッチの剥離をその境界縁の1つで開始すると(
図24)、剥離前線は、リング縁に達するまで直線的に伝搬する(
図25)。したがって、剥離力は、急激に、大きな集中した緊張を誘発し、粘着剤の柔らかいPU層に重い歪み(しわ)および機械的損傷を引き起こし得る。剥離タブを使用してパッチを剥離ライナーから剥離するときに、この問題が参照パッチに生じた。
【0068】
剥離タブは、創傷被覆材において一般的に使用され、被覆材の粘着性接着剤を覆う剥離可能な紙シートから作られ得る(たとえば欧州特許第EP0051935A2号参照)。剥離タブは、被覆材を皮膚に貼り付けるためのハンドルを備え得る。そのような設計では、剥離ライナーは、剥離タブ領域を含むかまたは除外する、被覆材の粘着剤全体を覆う単一の剥離部分から作られる。
【0069】
他の設計では、剥離ライナーは、2つの部分で作られ、第1の部分は被覆材の片側上に配設され、第2の部分は被覆材の残りの部分上に配設される。第1の部分はハンドルを設けるように適合され、これにより第2の部分を把持し、粘着剤から剥がすことができる(たとえば英国特許第GB2128479A号参照)。
【0070】
本発明のパッチにおいて、剥離ライナーの分割線は、チャンバーを貫通することまたは横断することをし得ず、チャンバーはその完全性および気密性を維持し得る。たとえば、本発明のパッチ(
図26~
図28)において、剥離ライナーを分離する分割線は、パッチチャンバー(
図26)を形成する発泡体リング上に配置され得る。そのようなものとして、パッチを曲げたときに、大きな部分は、把持され容易に剥がせる(
図27および
図28)。したがって、剥離力は、リングの粘着剤に直接加えられ、PU粘着剤層の緊張にはつながらない。
【0071】
剥離ライナーの残り部分は、依然として発泡体リングに付着され、硬いハンドルを形成し、被覆材に著しいしわを寄せることなく皮膚上に留置することを可能にする。皮膚上に留置した後、主要な粘着剤領域が皮膚に接触しているときに、剥離ライナーの残り部分は、剥がされ得る。
【0072】
なおも
図2Aおよび
図2Bを参照すると、紙製アプリケータ18は、パッチ10が被験者の皮膚にしっかりと付着された後、紙製アプリケータ18の除去を助けるように設計されたスリット21を含む。特に、スリット21は、通気性フィルム11から紙製アプリケータ18を剥がすのを円滑にするように設計された。しかしながら、初期の臨床試験中に観察されたように、スリット21は、採用するのが困難であり、また結果として紙製アプリケータ18を除去する際に通気性フィルム11に過剰な張力が加わる一因となることが判明した。
図1A、
図2A、および
図2Bでさらに観察されるように、パッチ10は、丸みを付けられているが実質的に直角を形成するコーナー22を備える。以下の実施例において説明されているような、初期の臨床試験およびその後の実験室試験中に決定されるように、これらの実質的に直角のコーナー22は、通気性フィルム11と被験者の皮膚との間の密着の早期喪失に寄与し、さらにはパッチ10と被験者の上に着ている衣類との間の摩擦に対する焦点をもたらす。さらに、本発明のパッチのV字形ノッチは、半径方向に向けられ、そのようなものとして、本発明の紙製アプリケータを除去するために加えられる力は、粘着力と反対方向にあり、より低い大きさを有し、実質的に本発明の通気性フィルムを変形させず、本発明の通気性フィルムに加えられる剥離力を制限する。
【0073】
次に、
図3A、
図3B、および
図4を参照すると、本発明の原理に従って製作されたパッチの実施形態が説明されている。パッチ30の製作は、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bのパッチ10に類似するコンポーネントを有するが、被験者の皮膚への密着性を改善し、取り扱い性、製造性、および結果の再現性を改善し、早期剥離の危険性を低減するために、広範なインビトロ試験に基づき製作される。
【0074】
図3A、
図3B、および
図4に例示されている例では、パッチ30は、スリット32を有する剥離ライナー31、剥離ライナー31と接触して配設された第1の皮膚に面する表面に生体適合性を有する粘着剤層を有する発泡体リング33、皮膚に面する下側表面35上に生物学的に活性な物質を保持する基材34、外側表面37および皮膚に面する表面に配設された生体適合性を有する粘着剤の層38を有する通気性フィルム36、および通気性フィルム36の外側表面37上に配設された紙製アプリケータ39を備える。本発明のパッチのすべてのコンポーネントは、そのようなものとして特に説明されていなくても、生体適合性を有することは理解されるであろう。
【0075】
発泡体リング33は、基材を皮膚から離間させてチャンバーを画成するのに適した発泡体または生体適合性を有するポリマー材料の任意の好適な組合せ、およびその上側表面および下側表面に任意の好適な医療グレードの感圧粘着剤を含み得る。好ましくは、発泡体リング33およびその上の粘着剤は、十分な強度と柔軟性とを有し、それにより皮膚に貼り付けられたときに、皮膚が屈曲するかまたは伸長した場合でも、閉塞または凝縮チャンバーの密閉性を維持する。非限定的な例において、発泡体またはポリマー材料は、ポリエチレン酢酸ビニル(PEVA)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、またはシリコーンであるか、またはそれらを含み得る。非限定的な例において、発泡体リング33(およびパッチ30の他のコンポーネント内)の上側および/または下側表面の粘着剤は、アクリル系粘着剤、親水コロイド粘着剤、ポリウレタン粘着剤、または軟質シリコーン粘着剤を含み得る。発泡体リング33は、被験者に貼り付けられたときに、被験者の皮膚より上に基材34を支持し、チャンバーを形成するために任意の好適な形状および寸法を有し得る。たとえば、発泡体リング33は、約10mmから約100mmの間、たとえば約20mmから約50mmの間、または約20mmから約30mmの間の外径を有し得る。それに加えて、または代替的に、発泡体リング33は、上記の外径のいずれよりも少なくとも約1mm小さい内径を有し得る(すなわち、発泡体リング33の幅は少なくとも約1mmであってもよい)。特に、発泡体リング33の内径は、外径よりも約2mmから50mm小さいか、または外径よりも約2mmから20mm小さいか、または外径よりも約5mmから15mm小さくてもよい。いくつかの例において、発泡体リングの外径と内径との比は、約1.25から約1.5であり得る(たとえば、外径約26mmから内径約18mmであり、約3mmから約4mmの発泡体リングの幅をもたらす)。発泡体リング33は、任意の好適な厚さ、たとえば、約0.1mmから約1mm、たとえば、約0.5mmから約0.9mmを有し得る。非限定的な一例では、発泡体リング33は、好ましくは、26mm±5mmの外径、約18mm±5mmの内径、および約0.5mm±0.2mmの厚さを有する。発泡体リング33および基板34は、互いに実質的に同じ外径を有してもよい。たとえば、これらのコンポーネントは、互いに組み付けられ、次いで一緒に打ち抜き加工され得る。
【0076】
紙製アプリケータ39は、シリコーン処理された紙(たとえば、片面または両面にシリコーンをコーティングし、任意選択でPTFEなどの疎水性コーティングを含む紙)などの材料の組合せの任意の好適な材料を含み得る。本発明の一態様によれば、紙製アプリケータ39は、内径41から部分的に外径42に向かって延在するように半径方向に向けられ得るV字形ノッチ40を有するリング形状を有する。
図3Aの細部Aに対応して、
図3Bに示されているように、V字形ノッチ40は、好ましくは、パッチ30が被験者の皮膚上にしっかりと押し付けられた後、紙製アプリケータ39の引き裂きを円滑にするために、少なくとも1つのスリット、たとえば、スリット44aおよび44bと整列される丸みを付けた頂点43を有する。それに加えて、紙製アプリケータ39は、好ましくは、発泡体リングと紙製アプリケータとの間に少なくとも約1mmの間隙を設けるように、発泡体リング33の外径より少なくとも約1mm大きい内径を有する中央開口45を備える。紙製アプリケータ39の内径は、たとえば、発泡体リング33の外径より約1mmから約20mm大きいか、または発泡体リング33の外径より約2mmから約10mm大きいか、または発泡体リング33の外径より約3mmから約5mm大きいものとしてよい。紙製アプリケータ39は、紙製アプリケータ39の内径よりも少なくとも1mm大きい任意の好適な外径を有し得る(すなわち、紙製アプリケータ39は、少なくとも1mmの幅を有し得る)。たとえば、紙製アプリケータ39は、約1mmから約20mm、または約2mmから約10mm、または約3mmから約5mmの幅を有し得る。いくつかの例において、紙製アプリケータ39の幅は、間隙46の約10%から約95%、たとえば、間隙46の約20%から約95%、または間隙46の約50%から約95%である。非限定的な一例において、紙製アプリケータ39の幅は、通気性フィルム36が発泡体リング33の外側縁を越えて延在する距離の約半分を覆うように(すなわち、間隙46と近似的に同じ幅を有するように)、また取り扱いを円滑にするのに十分な剛性を与える3mmの最小幅を有するように選択される。非限定的な一例において、紙製アプリケータ39は、約30mmから40mm(たとえば、約35mm)の、開口の直径に対応する、内径と、約2mmから4mm(たとえば、約3mm)の幅とを有し、それによって、発泡体リング33の周辺部まで約4mmから5mm(たとえば、約4.5mm)の間隙46(
図3A参照)を提供し得る。以下で説明されているように、紙製アプリケータ39の幅および/または間隙46のサイズは、初期留置の際にパッチ30の留置をより適切に制御すること、および長期間にわたって粘着力を良好に保つことに寄与し、以下の実施例において説明されているようなパッチ10と比較して製造可能性および結果の均一性が改善され得る。
【0077】
特に、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bのパッチ10の初期臨床試験中に、比較的短い期間、たとえば、24時間の治療期間よりも著しく短い期間の後に、パッチが、以下の実施例において説明されているような被験者の皮膚に対する粘着力を失い始めることが観察された。この粘着力の喪失は、もっぱら、パッチ10が貼り付けられた直後にフィルム11の外側表面から剥がされる、紙製アプリケータ18の除去の結果生じたと考えられる。それに加えて、剥離タブの除去は、パッチの縁およびコーナーに剪断力を誘発したと考えられる。粘着力の喪失は、本発明のパッチ30が対処する異なる原因から生じると考えられた。第1に、パッチ10において、紙製アプリケータ18の開口19の内径は、発泡体リング15の周辺部に非常に近い。第2に、紙製アプリケータ18のスリット21は、操作が困難であることが観察された。パッチ10のこれら2つの特徴は、検査中に、フィルム11の外側表面から紙製アプリケータ18を持ち上げて離すためにより大きな力を必要とし、スリット21を把持して開くためにより大きな操作を必要とすることが観察された。それとともに、パッチ10のこれらの特徴は、パッチ10を最初に留置した後にフィルム11により大きな引張力が印加され、初期および長期の両方の粘着力を低下させることに寄与した。
【0078】
本発明の原理に従って、以下の実施例において説明されているようなインビトロ検査により決定されるように、出願人は、パッチ30における紙製アプリケータ39の幅を縮小し、それによって紙製アプリケータの被覆範囲を狭め、紙製アプリケータ39の除去時に通気性フィルム36および発泡体リング33上の粘着剤層38に印加される張力を減少させる間隙46(目に見える通気性フィルムの空間)を設けるが、それでも、貼り付けるときにアセンブリの取り扱いを円滑にするために紙製アプリケータの十分な表面を設け、剛性を与えることが好ましいと決定した。したがって、いくつかの例において、皮膚パッチ30は、好ましくは、発泡体リング33の周辺部から少なくとも約3.0mm、より好ましくは約3.0mmから5.5mm、たとえば約4.5mmの幅を有する間隙46を含み、紙製アプリケータ39は、少なくとも3.0mm、より好ましくは約3.0mmから5.5mm、たとえば約4.5mmの幅を有する。V字形ノッチは、紙製アプリケータの幅の少なくとも50%、好ましくは40%から60%の間に延在し得る。2つの連続するスリット間の距離は、0.25mm以上、好ましくは約0.20mmから約1.00mmの間、より好ましくは約0.5mmから約1.00mmの間など、少なくとも0.1mmであってよい。予想され得るように、間隙46は、パッチ30上の紙製アプリケータ39の被覆範囲を縮小する。紙製アプリケータ39の被覆範囲が小さければ小さいほど、結果として、紙製アプリケータ39を除去するのに必要な力がパッチ10の紙製アプリケータ18のものと比較してかなり小さいので、被験者の皮膚へのパッチ30のより大きな初期および長期の粘着力をもたらす。たとえば、紙の硬さは、皮膚上の通気性フィルム36の形状適合性を損ない、したがって、通気性フィルムの間隙46が大きければ大きいほど、紙製アプリケータの除去の間に、皮膚上の粘着剤を維持することがより容易である。
【0079】
図3Bに例示されているV字形ノッチ40ならびにスリット44aおよび44bもまた、通気性フィルム36の外側表面37から紙製アプリケータ39を剥がすのに必要な介護者の操作の量を減らすことによって長期粘着力、製造可能性、ならびに初期および長期粘着力の再現性に寄与する。V字形ノッチ40は、好ましくは、介護者がノッチの縁を容易に掴めるように約45°の角度αで形成される。さらに、V字形ノッチ40は、好ましくは、包装に干渉する恐れのある鋭利な縁を回避するために、丸みを付けた頂点43を備える。ノッチ40は、また、好ましくはスリット44aに隣接する。スリット44aおよび44bは、紙製アプリケータの幅部分を完全に横切っては延在せず、それによって、紙製アプリケータ39が製造時に自由になり得ないことを確実にする。スリット44aおよび44bを裂く力は、パッチの中心から周辺部へ印加され、したがって、剥離タブ設計の場合のように、縁またはコーナーに力を実質的に及ぼさない。紙製アプリケータが本発明の通気性フィルムに加える力の配向は、粘着剤の縁に剪断力を実質的に及ぼさないように適切に配向されている。比較すると、剥離タブは通気性フィルム11の延長線上にあり、剥離タブを除去するために、印加された力は剪断応力を誘発し、通気性フィルムを変形させた。紙製アプリケータはより大きく、通気性フィルム11のほぼ全面を覆っていた。本発明のパッチは剥離タブを含まず、印加するときに通気性フィルム36を変形させる危険性は実質的に低い。たとえば、本発明者らは、ノッチ40ならびにスリット44aおよび44bの構成が、パッチ30が被験者に付着された後、介護者による紙製アプリケータ39の引き裂かれやすさを大幅に高めることをインビトロ検査時に観察した。この方式で、パッチの操作は、被験者に貼り付けられた後減らされ、紙製アプリケータ39の除去の際にパッチに印加される張力の量は、パッチ10と比較してさらに減らされる。
【0080】
基材34は、活性物質を支持するための任意の好適な材料または材料の組合せを含むものとしてよく、好適には、たとえば、発泡体リング33の隣接する表面上の粘着剤を介して発泡体リングに結合され得る。いくつかの例では、基材34は、ポリマーを含み得る。好適なポリマーの非限定的な例は、セルロースプラスチック(酢酸セルロース(CA)もしくはプロピオン酸セルロース(CP)など)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸塩(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)など)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはフッ素重合体(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)を含む。活性物質の堆積にエレクトロスプレーが使用される非限定的な例では、基材34は、エレクトロスプレープロセスおよび注目する化合物の堆積の間に正または負の電荷が裏材上に分配されることを可能にするように、導電層、たとえば、酸化チタン、アルミニウム、または金などの金属粒子または金属酸化物粒子を含むコーティングを含み得る。非限定的な一例では、パッチ30の基材34は、ポリエチレンテレフタレート、およびエレクトロスプレープロセスにおいて電流を散逸するのに使用する皮膚に面する表面上のチタン層コーティングを含む。生物学的に活性な物質は、アジュバントを使用することなく基材に結合されるものとしてよく、したがって物質はその反応原性を保持する。いくつかの実施例では、基材34は、少なくとも部分的に透明であり、チャンバー内の皮膚表面は、パッチ30を除去することなく潜在的な有害影響を監視するために目視検査され得る。他の例では、基材34は不透明である。パッチ30の通気性フィルム36は、好ましくは、生体適合性を有する医療グレードの感圧粘着剤で部分的にコーティングされ、透水性(水蒸気透過率)を有する半透明ポリウレタン(またはシリコーン)材料を含む。好適な粘着剤の非限定的な例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0081】
有利には、通気性フィルム36の円形形状は、インビトロ剥離試験時にフィルムの剥離に対する開始点であると観察された、パッチ10のコーナー22などの直角のコーナーを回避する。特に、いくつかの試験リグが、模擬被験者の皮膚に貼り付けられたときに患者の衣類がパッチに当たって擦れるのをシミュレートするために、機械的および物理的な制約を作り出すように開発された。第1の試験リグは、指定された数のサイクルに対する再現可能な力によりパッチおよび模擬皮膚の上で往復運動により擦られた布片を含み、それによって複数のパッチ構成が試験されることを可能にする。第2の試験リグは、伸長の異なる%で、模擬皮膚に貼り付けられたパッチに対する反復的な皮膚伸長制約条件を模倣するために開発された。パッチの剥離は、目視観察により、スコア粘着(score adhesion)を達成するのに必要な、サイクル数に従って評価された。ロボットアームおよび引っ掻き指(scratching finger)を備えた第3の試験リグは、模擬皮膚に貼り付けられたパッチに付けた人間の引っ掻き指を模倣するために開発された。いくつかが以下の実施例においてさらに説明されている、そのようなシミュレーションに基づき、本発明者らは、直角のコーナーを実質的に除去することで本発明のパッチの粘着力を著しく高めること、およびパッチの通気性のある粘着表面を増やすことで円形および丸みを帯びた長方形の形状の両方により粘着力を著しく高めることを見出した。この結論は、実施例において説明されているように成人健常者のヒト皮膚でのインビボ検査結果によって確認された。
【0082】
非限定的な例では、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bのパッチ10が、約1100mm
2の総パッチ面積に対して約30mm平方から45mm平方であったが、
図3および
図4のパッチ30は、約45mmの直径を有し、総パッチ面積は約1500mm
2から1520mm
2であり、面積の増加は約30%であり、通気性フィルム面積の増加は約60%である。これらの値は一例に過ぎず、好適には通気性フィルム36の他の絶対サイズおよび相対サイズが使用されてもよいことは理解されるであろう。
【0083】
パッチ30は、パッチ30では剥離タブ20aおよび20bを完全になくし、それらを取り除いたことでパッチ10を留置する際の初期粘着力を低下させることも観察されたという点でパッチ10とさらに異なる。パッチ30では、通気性フィルム36はいかなる種類のタブも備えない。その代わりに、剥離ライナー31は、パッチのうねに沿ってスリット32を備える。スリットは、凝縮チャンバーを画成する基材の部分からオフセットされるように非対称的に配置され、それにより水分がスリットを介して凝縮チャンバー内に入るのを抑制し得る。スリットは、剥離ライナーをアセンブリの残り部分から剥がすのを円滑にするように発泡体リングと重なり合うものとしてよい。たとえば、剥離ライナーの大きい方の部分が除去され、発泡体リングに取り付けられている剥離ライナーの小さい方の部分を残し、
図26~
図28を参照しつつ説明されているような方式でアセンブリを適切に位置決めして皮膚に付着させる際のハンドルとして使用するものとしてよい。非限定的な一例において、スリット32は、
図3Aに描かれているように、対角線上の、(約11mmの)発泡体リング幅の片側および中央に留置される幅47を画成する。この方式で、剥離ライナー31は、パッチをわずかに曲げてスリット32によって露出された剥離ライナーの縁を把持することを介護者にしてもらうことよって通気性フィルム36および発泡体リング33の皮膚に面する表面から容易に取り除かれ得る。次いで、剥離ライナーの大部分がないパッチは、被験者の皮膚に貼り付けられ、すると剥離ライナーの小部分は、容易に除去することができ、次いでパッチはパッチ30内の他の粘着表面に加えて紙製アプリケータ39をしっかり押し付けることによって皮膚に完全に密着し、その後、紙製アプリケータ39はV字形ノッチ40で引き裂かれ、通気性フィルム36の外側37から除去され得る。
【0084】
いくつかの例において、パッチ30は、任意選択で、
図3Aに示されているような、例示的に「DBV」または任意の他の好適な文字および数字の組合せである、ラベル48をさらに備え、これは、好ましくは食品グレードのインクを使用する、インクジェットプリンタを使用して、通気性フィルム36の外側表面37、または通気性フィルムの内側表面および/または通気性フィルムの皮膚に面する側の粘着剤に印刷されるものとしてよい。一実施形態において、通気性フィルムが形に合わせてカットされる前にフィルムをインクジェットプリンタに通すことによって、まだロール状である間に粘着フィルム37にラベル情報が施され得る。
【0085】
前述の特徴は、単独でおよび組み合わせて、本出願の譲受人の指示で実施されたインビボおよびインビトロ検査を使用して、たとえば、さらに以下の実施例において説明されるように、パッチ10と比較してパッチ30の製造可能性、操作および貼り付けのしやすさ、初期および長期粘着力を著しく高め改善すると決定された。
【0086】
次に、
図5A、
図5B、および
図6を参照すると、本発明の原理に従って製作されたパッチの第2の実施形態が説明されている。パッチ50は、
図3A~
図3Bおよび
図4のパッチ30と同様に製作され、パッチ30に関して上で説明されている様々な本発明の特徴のすべてを含む。より具体的には、パッチ50は、スリット52を有する剥離ライナー51、剥離ライナー51と接触して配設された生体適合性を有する粘着剤層を有する発泡体リング53、皮膚に面する下側表面55に結合された生物学的に活性な物質を保持する基材54、外側表面57および皮膚に面する表面に配設された生体適合性を有する、医療グレードの感圧粘着剤の層58を有する通気性フィルム56、およびフィルム56の外側表面57上に配設された紙製アプリケータ65を備える。
【0087】
発泡体リング53は、発泡体リング33について説明されているように、類似の材料から作られ、類似の寸法を有し得る。たとえば、発泡体リング53は、被験者に貼り付けられたときに、被験者の皮膚より上に基材54を支持し、チャンバーを形成するために任意の好適な形状および寸法を有し得る。たとえば、発泡体リング53は、約10mmから約100mmの間、たとえば約20mmから約50mmの間、または約20mmから約40mmの間の外径を有し得る。それに加えて、または代替的に、発泡体リング53は、上記の外径のいずれよりも少なくとも約4mm小さい内径を有し得る(すなわち、発泡体リング33の幅は少なくとも約2mmであってもよい)。それに加えて、発泡体リング53の内径は、外径よりも約2mmから50mm小さいか、または外径よりも約2mmから20mm小さいか、または外径よりも約5mmから15mm小さくてもよい。発泡体リング53は、任意の好適な厚さ、たとえば、約0.1mmから約1mm、たとえば、約0.5mmから約0.9mmを有し得る。非限定的な一例では、発泡体リング53は、20mmから30mm(たとえば、約26mm)の外径、約10~20mm(たとえば、約18mm)の内径、および約0.7mmから0.9mm(たとえば、約0.8mm)の厚さを有し得る。発泡体リング53および基板54は、互いに実質的に同じ外径を有してもよい。たとえば、これらのコンポーネントは、互いに組み付けられ、次いで一緒に打ち抜き加工され得る。
【0088】
この例では、紙製アプリケータ65は、その内側に沿った長円形の開口60と、通気性フィルム56と同一の広がりを有する丸みを帯びた長方形の周辺部61とを備える実質的にリングの形状を有する。紙製アプリケータ65は、楕円形開口60から部分的に周辺部61に向かって延在するV字形ノッチ62を備え得る。
図5Bの詳細Bに示されているように、V字形ノッチ62は、好ましくは、半径方向に向けられ、パッチ50が被験者の皮膚上にしっかりと押し付けられた後、紙製アプリケータ65の引き裂きを円滑にするために、スリット64aおよび64bと整列された丸みを付けた頂点63を有し得る。開口60の短軸は、発泡体リングと紙製アプリケータとの間に少なくとも約1mmの間隙を設けるように、発泡体リング53の外径よりも少なくとも約1mm大きいものとしてよい。開口60の短軸は、たとえば、発泡体リング53の外径より約1mmから約20mm大きいか、または発泡体リング53の外径より約2mmから約10mm大きいか、または発泡体リング53の外径より約3mmから約5mm大きいものとしてよい。紙製アプリケータの丸みを帯びた長方形の周辺部61は、開口60の短軸よりも少なくとも1mm大きい任意の好適な寸法を有し得る(すなわち、紙製アプリケータ65は、少なくとも1mmの幅を有し得る)。たとえば、紙製アプリケータ61は、約1mmから約20mm、または約2mmから約10mm、または約3mmから約5mmの幅を有し得る。いくつかの例では、紙製アプリケータ59の幅は、発泡体リング53と紙製アプリケータ61との間の間隙の幅の約10%から約200%、たとえば、間隙の幅の約20%から約180%、または間隙の幅の約50%から約150%、または間隙の幅の約80%から約120%、または間隙の幅の約90%から約110%、または間隙の幅の約100%であってよい。非限定的な一例において、紙製アプリケータ65の幅は、通気性フィルム56が発泡体リング53の外側縁を越えて延在する距離の約半分を覆うように(すなわち、間隙と近似的に同じ幅を有するように)、また取り扱いを円滑にするのに十分な剛性を与える3mmの最小幅を有するように選択される。非限定的な一例では、長円形開口60の短軸は、約30mmの内径と約38mmの長軸を有し、それによって発泡体リング53の周辺部まで約3.0mmの最小間隙66(
図5A参照)を設ける。上で説明されているパッチ30のように、紙製アプリケータ39の幅および間隙46の大きさは、パッチ10と比較して、最初に留置するときにパッチ30を留置することをより適切に制御すること、およびより良好な長期粘着力、より良好な製造可能性、および結果の均一性に寄与する。
【0089】
上で説明されているように、パッチ10の初期臨床試験において、パッチが被験者の皮膚に最初に貼り付けられた後まもなく粘着力を失い始めることが観察された。粘着力のその喪失は、もっぱらパッチ10が貼り付けられ、剥離タブが除去された後に紙製アプリケータ18を取り除いた結果生じると考えられる。
図3A~
図3Bおよび
図4の実施形態と同様に、粘着力のその喪失は、紙製アプリケータ65の幅を縮小することによってパッチ50に対しては解決され、これは、紙製アプリケータ65の除去の際に通気性フィルム56および発泡体リング53上の粘着剤層58に印加される張力を減らす。たとえば、Dは、発泡体リング53の外側周辺部とパッチ50の外側周辺部との間のパッチの寸法であってよく、紙製アプリケータ65の幅は、Dの約40%~60%の間であり得る。いくつかの例において、間隙66は、楕円形開口60の内側と発泡体リング53の周辺部との間で少なくとも約3.0mmの最小幅を有する。間隙66は、紙製アプリケータ65がパッチ50を被覆する範囲を減らすが、被覆が少なければ少ないほど、紙製アプリケータ65を除去するのに必要な力も減少する。この方式で、パッチ50の紙製アプリケータ65では、パッチ10のものと比較して被験者の皮膚に対するパッチ50の初期および長期粘着力は大きくなる。
【0090】
V字形ノッチ62ならびにスリット63aおよび63bもまた、通気性フィルム56の外側表面57から紙製アプリケータ65を剥がすのに必要な介護者の操作の量を減らすことによって長期粘着力、製造可能性、ならびに初期および長期粘着力の再現性に寄与する。特に、V字形ノッチ62は、好ましくは、介護者がノッチの縁を容易に掴めるように約45°の角度αで形成される。さらに、V字形ノッチ62は、好ましくは、たとえば、鋭利なコーナーが回転切断用の工具に問題を引き起こし得る、包装または製造に干渉する恐れのある鋭利な縁を回避するために、丸みを付けた頂点63を備える。ノッチ62は、また、好ましくはスリット64aに隣接する。スリット64aおよび64bは、紙製アプリケータ65の幅部分を完全に横切っては延在せず、それによって、紙製アプリケータが製造時に自由になり得ないことを確実にする。インビボ検査で観察されたように、ノッチ62ならびにスリット64aおよび64bの構成は、パッチ50が被験者に貼り付けられた後、紙製アプリケータ65の除去のしやすさを大幅に高める。先行する実施形態と同様に、パッチ50の操作は、被験者に貼り付けられた後減らされ、紙製アプリケータ65の除去の際にパッチに印加される張力は、パッチ10と比較して小さくなる。
【0091】
基材54は、活性物質を支持するための任意の好適な材料または材料の組合せを含むものとしてよく、好適には、たとえば、発泡体リング53の隣接する表面上の粘着剤を介して発泡体リングに結合され得る。基材54に使用するための材料の非限定的な例、および活性物質をそこに付けるための例は、本明細書の他の箇所において説明されている。
【0092】
パッチ50の通気性フィルム56は、好ましくは、生体適合性を有する医療グレードの感圧粘着剤でコーティングされた半透明の生体適合性を有するポリウレタン材料を含む。好適な粘着剤の非限定的な例は、本明細書の他の箇所に記載されている。有利には、通気性フィルム56の丸みを帯びた長方形の形状は、パッチ10のコーナー22などの、直角のコーナーを回避する。同様に、パッチ30に関して上で説明されている試験リグで観察されたように、実施例において、丸みを帯びたコーナー68は、フィルムの早期剥離に対する焦点にならない。それに加えて、パッチ50の総粘着面積は、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bのパッチ10と比較して増えている。たとえば、パッチ10は、約1156mm
2の総パッチ面積を有するのに対して、パッチ50は約1550mm
2の総パッチ面積を有し、約34%の面積増加である。これらの値は一例に過ぎず、好適には通気性フィルム56の他のサイズが使用されてもよいことは理解されるであろう。
【0093】
パッチ50は、また、剥離タブ20aおよび20bを完全になくし、それらを取り除いたことでパッチ10を留置する際の初期粘着力を低下させることが観察されたという点でパッチ10と異なる。たとえば、パッチ50は、通気性フィルム56上に除去可能なタブを含まないが、その代わりに、
図5Aに描かれているように、剥離ライナー51内に斜めにスリット52を備え、スリットと基材54の中心との間の発泡体リング幅66の片側および真ん中に留置される。この構成は、
図26~
図28を参照しつつ説明されているような方式で、パッチをわずかに曲げてスリット52によって露出された剥離ライナーの縁を把持することを介護者してもらうことよって、粘着フィルム56および発泡体リング53の皮膚に面する表面から剥離ライナー51を除去することを円滑にする。次いで、パッチ50は、被験者の皮膚上に位置決めされ、紙製アプリケータ65を含む、パッチ表面全体にしっかり押し付けることによって皮膚に付着され得る。紙製アプリケータ65は、V字形ノッチ62のところで引き裂かれ、通気性フィルム56の外側57から除去され得る。
【0094】
いくつかの例において、パッチ50は、
図5Aに示されるような、ラベル67、例示的に「VIASKIN DBV 712」または文字および数字の任意の他の好適な組合せをさらに含み、これは、インクジェットプリンタおよび食品グレードのインクを使用して通気性フィルム56の内側または外側表面に印刷され得る。好ましくは、通気性フィルムが形に合わせてカットされる前にフィルムをインクジェットプリンタに通すことによって、まだロール状である間に通気性フィルム57にラベル情報が施され得る。
【0095】
パッチ30と同様に、パッチ50の上述の特徴は、単独でおよび組み合わせて、本出願の譲受人の指示で実施されたインビトロおよびインビボ検査で、パッチ50の製造可能性、操作および貼り付けのしやすさ、初期および長期粘着力を著しく高め改善すると決定された。実施例において以下で説明されるように、いくつかのインビボ検査が成人健常者のヒト皮膚に対して実施され、インビトロ検査で得られたのと同じ結論、すなわち、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bを参照しつつ説明されている参照パッチと比較して特許請求されたパッチの粘着力の優位性に対して実施された。
【0096】
本発明のパッチは、操作の任意の好適な組合せを使用して製造され得ることは理解されるであろう。非限定的な一例において、パッチ30またはパッチ50の製造は、(i)基材、(ii)生物学的に活性な物質、(iii)周辺部、第1の皮膚に面する表面、および第1の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の層を有する発泡体リング、(iv)外側表面、第2の皮膚に面する表面、および第2の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の第2の層を有する生体適合性を有する通気性フィルム、ならびに(v)内側縁を備える開口を有する紙製アプリケータを提供することを含み得る。パッチの製造は、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、閉塞チャンバーを形成する、基材の下に生体適合性を有する発泡体リングを付けることを含み得る。パッチの製造は、また、チャンバーを介して被験者の皮膚に送達するために、生物学的に活性な物質を基材上に配設することを含み得る。パッチの製造は、また、生体適合性を有する通気性フィルムを基材および発泡体リングの上に同心円状に貼り付けることも含み得る。パッチの製造は、また、開口が発泡体リングと同心であり、紙製アプリケータの内側縁と発泡体リングの周辺部との間に間隙を設けるように通気性フィルムの外側表面上に生体適合性を有する紙製アプリケータを貼り付けることを含み得る。紙製アプリケータは、パッチが被験者の皮膚上に押し付けられた後、外側表面から除去されるように構成され得る。
特定の一実施形態において、パッチの製造方法は、
- (i)基材、(ii)生物学的に活性な物質、(iii)周辺部、第1の皮膚に面する表面、および第1の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の層を有する発泡体リング、(iv)外側表面、第2の皮膚に面する表面、および第2の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の第2の層を有する生体適合性を有する通気性フィルム、ならびに(v)内側縁を備える開口を有する紙製アプリケータを提供するステップと、
- 生体適合性を有する発泡体リングを基材の下に付けて、被験者の皮膚に貼り付けられたときに閉塞チャンバーを形成するステップと、
- チャンバーを介して被験者の皮膚に送達するために生物学的に活性な物質を基材上に配設するステップと、
- 生体適合性を有する通気性フィルムを基材および発泡体リングの上に貼り付けるステップと、
- 開口が発泡体リングと同心であり、紙製アプリケータの内側縁と発泡体リングの周辺部との間に間隙を設けるように通気性フィルムの外側表面上に生体適合性を有する紙製アプリケータを貼り付けるステップであって、紙製アプリケータはパッチが被験者の皮膚上に押し付けられた後、外側表面から除去されるように構成される、ステップとを含み得る。
好ましくは、開放ノッチは、通気性フィルム上に貼り付けられる前に紙製アプリケータ上にすでに存在する。
【0097】
いくつかの例において、生物学的に活性な物質は、基材に静電気力によって結合される。いくつかの例では、生物学的に活性な物質は粒子を含む。
【0098】
いくつかの例において、パッチの製造は、通気性フィルムの外側表面からの除去を円滑にするために紙製アプリケータにV字形ノッチなどの開放ノッチを形成することをさらに含み得る。いくつかの例において、V字形ノッチは、半径方向に向けられている。いくつかの例において、V字形ノッチは、丸みを付けた頂点を有する。いくつかの例では、パッチの製造は、フィルムの外側表面からの除去をさらに円滑にするために、開放ノッチと整列されている紙製アプリケータに少なくとも1つのスリットを形成することをさらに含む。
【0099】
いくつかの例において、パッチの製造は、生体適合性を有する剥離ライナーを第1および第2の粘着剤層に貼り付けることを含む。いくつかの例において、パッチの製造は、第1および第2の粘着剤層からの除去を円滑にするために剥離ライナーにスリットを形成することを含む。いくつかの例において、スリットは、剥離ライナーに非対称的に配置され、チャンバーからオフセットされる。
【0100】
いくつかの例において、通気性フィルムを提供することは、円形の形状を有する通気性フィルムを提供することを含む。いくつかの例において、通気性フィルムを提供することは、丸みを帯びたコーナーを備える長方形の形状を有する通気性フィルムを提供することを含む。いくつかの例において、通気性フィルムを提供することは、半透明の通気性フィルムを提供することを含む。いくつかの例において、通気性フィルムを提供することは、第2の皮膚に面する表面上に事前印刷されたラベルを有する通気性フィルムを提供することを含む。
【0101】
いくつかの例において、生物学的に活性な物質は、アレルゲン、抗原、および生物学的に活性なポリペプチドから選択される。
【実施例】
【0102】
次の例は、純粋に例示的であることを意図されており、本発明を限定するものではない。
【0103】
インビトロ検査:伸長、引っ掻き、剥離試験
インビトロ検査は、患者使用をシミュレートすることが可能である極端な条件下でのインビボ粘着力性能を予測し、改善の領域を識別するために、システムに及ぼされる様々な制約およびストレッサを模倣して研究するために開発された。インビトロ検査は、
図1A~
図1Bおよび
図2A~
図2Bを参照しつつ説明されているパッチ(本明細書ではcVPシステムまたはcVPパッチと称され得る)と比較して本発明のパッチ(mVPシステムまたはmVPパッチと称され得る)における粘着力に寄与する因子を研究するために使用された。
【0104】
現実の皮膚伸長条件を模倣することを通じて耐剥離性を評価するために伸長ベンチが使用された。これは、ヒト皮膚に類似する特性(たとえば、表面張力)を有する基材にパッチを貼り付けることと、通常のヒトの活動と一致する様々な程度でパッチを機械的に伸長させることとを伴う。これは、また、貼り付け時の背中の位置(すなわち、湾曲した、またはまっすぐな姿勢)が粘着性能に及ぼす影響が評価されることを可能にした。インビトロ検査は、ゴム製の「指」を備えたロボットアームを使用して、引っ掻きの影響を評価するために使用された。ロボットアームは、ヒトのアトピー性皮膚に類似する表面張力を有するゴム材料にパッチが付着された状態で、局所系の刺激/掻痒に関係する引っ掻きを模倣するように様々な方法でプログラムされた。
【0105】
それに加えて、様々なmVPパッチ設計が、摩擦に抵抗する能力に関してcVPパッチ設計と比較された。印加される力、方向、および頻度を変化させながら前後運動を実行して加圧および摩擦下でのパッチの挙動をシミュレートするために試験台が設計され、使用された。これらのインビトロ評価および共同作業により、機械力の影響を評価し、インビボ分析に進むための形状および特定のプロトタイプを識別することが可能であった。
【0106】
インビボ検査
複数のmVPパッチ設計およびcVPパッチのインビボ粘着力性能は、48人の成人健常者ボランティアにおいて、システム毎に24時間の貼り付け時間を伴う検査で評価された。この検査において、検査者は、2日にわたって(1日目と2日目の間に少なくとも48時間あける)、参加者1人当たり1日に4つのシステムを適用した。各参加者は、毎日同じ4つのシステムのうち2つ(合計8つのシステム)を装着し、システムの1つのグループは参加者が背中を曲げた姿勢で適用され、他のシステムは背中をまっすぐに伸ばした姿勢で適用され、それによりシステム適用時の姿勢の影響を含むmVPパッチ粘着力性能を評価した。参加者は、望む身体活動に参加することを奨励されたが、これらの活動は2日間とも類似していることが求められ、活動の種類および浸水などの要因は、参加者によって文書に記録された。粘着力、除去しやすさ、および除去する際の痛みが評価された。
【0107】
この検査の参加者は、貼り付けた日の間中一般的に活動的であり、96%が何らかの身体活動を報告し、92%が浸水を報告した。貼り付け時および24時間後の両方の粘着スコアは、一般に非常に良好であり、剥離または閉塞チャンバーの破壊はほとんど見られなかった。特に、すべてのmVPパッチ設計は、システムを貼り付けている間の2つの姿勢に関わらず、cVPパッチよりも良好な粘着力を示した。mVPパッチ設計は、除去する際の痛みをあまりもたらさなかったが、疼痛スコアは一般的に低く、パッチは、除去する際に痛みをもたらさないものと考えられた。
【0108】
パッチ設計
5つのmVPシステム(円形および丸みを帯びた長方形)が、将来の臨床研究で使用できるように発展させるという最終目標に向けてインビボで研究された。
図29は、研究の例示的なパッチ設計を例示している。今までのこれらのインビボ評価は、ピーナッツタンパク質を含有していないプロトタイプを用いて、少なくとも18歳の非ピーナッツアレルギーの参加者に実施されている。
【0109】
CHAMP:健常ボランティア被験者においてcVPパッチの粘着力をmVPパッチ設計と比較する研究
この研究の目的は、cVPに対して5つのmVPパッチ設計の粘着力性能を比較することであった。この粘着力研究は、24時間の計画された貼り付け持続時間にわたって、23%がアトピー性皮膚炎/湿疹の既往歴を報告した、成人健常者の参加者(60人が無作為に選択された)に実施された。各参加者は6つのシステムすべてを装着し、装着箇所は参加者によって無作為に選択された。
図29は、研究された5つのmVPパッチ、すなわち、3つの丸い形状のパッチB、C、D、および2つの丸みを帯びた長方形のパッチF、およびH(本明細書ではそれぞれ、mVP-B、mVP-C、mVP-D、mVP-F、およびmVP-Hとも称される)の画像を、皮膚に接触しているPU被覆材(通気性フィルム36または56)の寸法とともに示す。参加者は、研究中、シャワーを浴び、3回の別々の10分間の運動セッションに参加する必要があった。
【0110】
この研究の結果により、cVPパッチがmVPパッチほど良好に機能しなかったことが確認される。特に、いくつかのcVPパッチは、mVPに関して、貼り付け時に(前のIFUを使用して)被覆材の縁のリフトオフまたは剥離を生じた。それに加えて、いくつかのcVPシステムは、相対的に20時間後に発泡体リングの部分的な剥離を生じたが、mVPシステムにはほとんどなかった。全体として、参加者の15.0%(9/60)が20時間までにcVPパッチの粘着不良を生じたが、20時間までにmVPパッチで粘着不良を生じた参加者はほとんどいなかった。24時間時点でも同様の結果が得られた。すべてのシステムが、24時間時点では良好な忍容性を有し、除去しやすいと判断された。
【0111】
本発明の好ましい例示的実施形態が上で説明されているが、当業者には、本発明から逸脱することなく様々な変更および修正が行われ得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0112】
10 パッチ
11 通気性フィルム
12 粘着剤層
13 ラベル
14 基材
15 発泡体リング
16 粘着剤が付いている下側表面
17 剥離ライナー
18 紙製アプリケータ
19 開口
20a、20b 除去可能なタブ
21 スリット
22 コーナー
30 パッチ
31 剥離ライナー
32 スリット
33 発泡体リング
34 生物学的に活性な物質を保持する基材
35 皮膚に面する下側表面
36 通気性フィルム
37 外側表面
38 層
39 紙製アプリケータ
40 V字形ノッチ
41 内径
42 外径
43 丸みを付けた頂点
44a、44b スリット
45 中央開口
46 間隙
47 幅
50 パッチ
51 剥離ライナー
52 スリット
53 発泡体リング
54 基材
55 皮膚に面する下側表面
56 通気性フィルム
57 外側表面
58 層
60 長円形の開口
61 丸みを帯びた長方形の周辺部
62 V字形ノッチ
63a、63b スリット
64a、64b スリット
65 紙製アプリケータ
68 丸みを帯びたコーナー
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚に生物学的に活性な物質を送達するためのパッチであって、
基材と、
前記基材上に配設された生物学的に活性な物質と、
周辺部、第1の皮膚に面する表面、および前記第1の皮膚に面する表面上に配設された粘着剤の第1の層を有する発泡体リングであって、前記発泡体リングは前記基材の下に配設され、被験者の皮膚に貼り付けられたときに、前記生物学的に活性な物質が配置される閉塞または凝縮チャンバーを形成する、発泡体リングと、
前記基材の上に配設され、外側表面、前記外側表面に対向する第2の皮膚に面する表面、および前記第2の皮膚に面する表面上に配設された粘着剤の第2の層を有する、通気性フィルムと、
前記通気性フィルムの前記外側表面上に除去可能に配設された紙製アプリケータであって、前記紙製アプリケータは内側縁を備える開口を有し、前記紙製アプリケータは被験者の皮膚に前記パッチを貼り付けるように構成された、紙製アプリケータと、
を備え、
前記通気性フィルムは、前記基材および前記発泡体リングを覆い、前記紙製アプリケータの前記開口は、連続しており、前記発泡体リングの周りにあり、前記発泡体リングと同心であり、前記紙製アプリケータは、前記通気性フィルムの前記外側表面からの除去を円滑にするために開放ノッチを有する、
パッチ。
【請求項2】
前記開放ノッチは、前記紙製アプリケータの前記内側縁上で開いている、請求項1に記載のパッチ。
【請求項3】
前記開放ノッチは、半径方向に向けられている、請求項1または2に記載のパッチ。
【請求項4】
前記開放ノッチは、V字形ノッチである、請求項1から3のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項5】
前記V字形ノッチは、丸みを付けた頂点を有する、請求項4に記載のパッチ。
【請求項6】
前記V字形ノッチは、約45°±10°の角度αで形成される、請求項4または5に記載のパッチ。
【請求項7】
前記紙製アプリケータは、前記開放ノッチと整列された少なくとも1つのスリットを備え、前記少なくとも1つのスリットは、前記紙製アプリケータの縁から前記開放ノッチに向かって延在し、前記通気性フィルムの前記外側表面からの除去をさらに円滑にする、請求項1から6のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項8】
前記紙製アプリケータは、複数の整列されたスリットを備え、1つのスリットは、前記開放ノッチの頂点から延在する、請求項7に記載のパッチ。
【請求項9】
1つのスリットは、前記開放ノッチの前記頂点上で開いている、請求項8に記載のパッチ。
【請求項10】
前記開放ノッチは、V字形ノッチであり、前記紙製アプリケータは、前記V字形ノッチと整列された少なくとも1つのスリットを備え、前記少なくとも1つのスリットは、前記紙製アプリケータの外側縁から前記V字形ノッチに向かって延在し、前記通気性フィルムの前記外側表面からの除去をさらに円滑にする、請求項1から9のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項11】
前記紙製アプリケータは、複数のスリットを備え、1つのスリットは、前記V字形ノッチの丸みを付けた頂点から延在する、請求項10に記載のパッチ。
【請求項12】
1つのスリットは、前記V字形ノッチの前記丸みを付けた頂点上で開いている、請求項11に記載のパッチ。
【請求項13】
前記紙製アプリケータの前記開口の内径は、前記紙製アプリケータの大きい方の寸法の約80%から95%である、請求項1から12のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項14】
前記粘着剤の第1の層および前記粘着剤の第2の層上に除去可能に配設された剥離ライナーをさらに備える、請求項1から
13のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項15】
前記剥離ライナーは、前記粘着剤の第1の層および前記粘着剤の第2の層からの除去を円滑にするためにスリットを備える、請求項
14に記載のパッチ。
【請求項16】
前記剥離ライナーのスリットは、2つの部分からなり、非対称的に配置され、前記発泡体リングの幅の真ん中に留置され、前記閉塞または凝縮チャンバーからオフセットされる、請求項
15に記載のパッチ。
【請求項17】
前記発泡体リングは円形であり、前記通気性フィルムは円形または丸みを帯びたコーナーを備える長方形の形状を有する、請求項1から
16のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項18】
前記基材は、水分不透過性を有する、請求項1から
17のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項19】
前記生物学的に活性な物質は、アレルゲン、抗原、および生物学的に活性なポリペプチドから選択される、請求項1から
18のいずれか一項に記載のパッチ。
【請求項20】
(i)基材、(ii)生物学的に活性な物質、(iii)周辺部、第1の皮膚に面する表面、および前記第1の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の層を有する発泡体リング、(iv)外側表面、第2の皮膚に面する表面、および前記第2の皮膚に面する表面上に配設された生体適合性を有する粘着剤の第2の層を有する生体適合性を有する通気性フィルム、ならびに(v)内側縁および開放ノッチを備える開口を有する紙製アプリケータを提供するステップと、
前記生体適合性を有する発泡体リングを前記基材の下に付けて、被験者の皮膚に貼り付けられたときに閉塞チャンバーを形成するステップと、
前記閉塞チャンバーを介して被験者の皮膚に送達するために前記生物学的に活性な物質を前記基材上に配設するステップと、
前記生体適合性を有する通気性フィルムを前記基材および前記発泡体リングの上に同心円状に貼り付けるステップと、
前記開口が前記発泡体リングと同心であり、前記紙製アプリケータの前記内側縁と前記発泡体リングの前記周辺部との間に間隙を設けるように前記通気性フィルムの前記外側表面上に前記生体適合性を有する紙製アプリケータを貼り付けるステップであって、前記紙製アプリケータは前記パッチが被験者の皮膚上に押し付けられた後、前記外側表面から除去されるように構成される、ステップと、
を含む、請求項1から
19のいずれか一項に記載のパッチの製造方法。
【国際調査報告】