(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ドライバ回路要素及び電力システム
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20241010BHJP
G05F 1/56 20060101ALI20241010BHJP
H03K 17/04 20060101ALI20241010BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20241010BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02M1/08 A
G05F1/56 310N
H03K17/04
H03K17/16 H
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523406
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022046971
(87)【国際公開番号】W WO2023069399
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ボキアン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】アヴィナシュ シュレーパシ バハット
【テーマコード(参考)】
5H430
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
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5J055GX01
5J055GX06
(57)【要約】
一例において、回路(100)が、制御電圧入力とフィードバック入力と第1の制御出力と第2の制御出力とを有する入力段(106)を含む。フィードバック入力は、ドライバ出力(102)に結合される。第1の経路段(108)が、第1の電圧入力と第3の出力とを有する。第1の電圧入力は第1の制御出力に結合され、第3の出力はドライバ出力に結合される。第2の経路段(110)が、第2の電圧入力と第4の出力とを有する。第2の電圧入力は第2の制御出力に結合され、第4の出力はドライバ出力(102)に結合される。負荷トランジスタが、ドライバ出力(102)に結合される制御入力を有する。入力段(106)は、電圧出力における出力電圧に応答して負荷トランジスタをオンにするために、第1の経路段(108)にgmブースティングを提供するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
制御電圧入力と、フィードバック入力と、第1の制御出力と、第2の制御出力とを有する入力段であって、前記フィードバック入力がドライバ出力に結合される、前記入力段と、
第1の電圧入力と第3の出力とを有する第1の経路段であって、前記第1の電圧入力が前記第1の制御出力に結合され、前記第3の出力が前記ドライバ出力に結合される、前記第1の経路段と、
第2の電圧入力と第4の出力とを有する第2の経路段であって、前記第2の電圧入力が前記第2の制御出力に結合され、前記第4の出力が前記ドライバ出力に結合される、前記第2の経路段と、
制御入力と電圧出力とを有する負荷トランジスタであって、前記制御入力が前記ドライバ出力に結合され、前記入力段が、前記電圧出力における出力電圧に応答して前記負荷トランジスタをオンにするために前記第1の経路段にgmブースティングを提供するように構成される、前記負荷トランジスタと、
を含む、回路。
【請求項2】
請求項1の回路であって、前記入力段が更に、
ゲートとソースとドレインとを有する入力トランジスタであって、前記ゲートが前記制御電圧入力に結合され、前記ソースが前記フィードバック入力に結合される、前記入力トランジスタと、
ミラー入力と電圧源入力とミラー出力とを有する電流ミラーであって、前記ミラー入力が前記ドレイン及び前記第2の電圧入力に結合され、前記電圧源入力が第1の電圧端子に結合され、前記ミラー出力が前記第1の電圧入力に結合される、前記電流ミラーと、
前記ミラー出力と第2の電圧端子との間に結合される電流源と、
前記ミラー出力と前記第2の電圧端子との間で前記電流源に並列に結合されるフィルタネットワークと、
を含む、回路。
【請求項3】
請求項2の回路であって、前記第1の経路段が、
バッファ入力とバッファ出力とを有するバッファであって、前記バッファ入力が前記第1の制御出力に結合される、前記バッファと、
第1の制御端子と第2の端子と第3の端子とを有する第1の経路出力トランジスタであって、前記第1の制御端子が前記バッファ出力に結合され、前記第2の端子が前記第1の電圧端子に結合され、前記第3の端子が前記ドライバ出力に結合される、前記第1の経路出力トランジスタと、
を含む、回路。
【請求項4】
請求項3の回路であって、前記第1の制御出力におけるインピーダンスが、前記第1の経路段のための前記gmブースティングを実装するように構成される、回路。
【請求項5】
請求項3の回路であって、前記バッファが第1のバッファであり、前記第2の経路段が、
第2のバッファ入力と第2のバッファ出力とを有する第2のバッファであって、前記第2のバッファ入力が前記第2の制御出力に結合される、前記第2のバッファと、
第2の制御端子と第4の端子と第5の端子とを有する第2の経路出力トランジスタであって、前記第2の制御端子が前記第2のバッファ出力に結合され、前記第4の端子が前記第2の電圧端子に結合され、前記第5の端子が
前記ドライバ出力に結合される、前記第2の経路出力トランジスタと、
を含む、回路。
【請求項6】
請求項5の回路であって、前記第1の経路出力トランジスタ及び前記第2の経路出力トランジスタ及び前記負荷トランジスタの各々が、同じ型(flavor)のトランジスタである、回路。
【請求項7】
請求項6の回路であって、前記第1の経路出力トランジスタ、前記第2の経路出力トランジスタ、及び前記負荷トランジスタの各々が、それぞれのn型のトランジスタを用いて実装され、又は前記第1の経路出力トランジスタ、前記第2の経路出力トランジスタ、及び前記負荷トランジスタの各々が、それぞれのp型のトランジスタを用いて実装される、回路。
【請求項8】
請求項7の回路であって、前記フィルタネットワークが第1のフィルタネットワークであり、前記入力段が、前記フィードバック入力と前記ドライバ出力との間に結合される第2のフィルタネットワークを含む、回路。
【請求項9】
請求項1の回路であって、基準入力と、フィードバック電圧入力と、誤差出力とを有する誤差増幅器を更に含み、前記フィードバック電圧入力が前記電圧出力に結合され、前記誤差出力が前記入力段の前記制御電圧入力に結合される、回路。
【請求項10】
請求項9の回路であって、前記誤差増幅器が、前記出力電圧と前記基準入力において受信された基準電圧とに応答して前記制御電圧入力に誤差信号を提供するように構成される、回路。
【請求項11】
回路であって、
共通経路入力段と、第1の経路段と、第2の経路段と、負荷トランジスタとを含み、
前記共通経路入力段が、誤差信号が前記負荷トランジスタのターンオンを要求することに応答して第1の出力において第1のgmブーストされた制御信号を提供し、前記誤差信号が前記負荷トランジスタのターンオフを要求することに応答して第2の出力において第2の制御信号を提供するように構成され、
前記第1の経路段が、前記第1のgmブーストされた制御信号に応答して第1の電圧をドライバ出力に提供するように構成され、
前記第2の経路段が、前記第2の制御信号に応答して第2の電圧を前記ドライバ出力に提供するように構成され、
前記負荷トランジスタが、前記第1の電圧に応答してオンになり、前記第2の電圧に応答してオフになることによって、前記ドライバ出力における前記電圧に応答して出力電圧を調整するように構成される、
回路。
【請求項12】
請求項11の回路であって、
前記第1の経路段が、第1のバッファと第1のトランジスタとを含み、前記第1のバッファが、前記負荷トランジスタをオンにするように前記第1のトランジスタを制御するため前記第1のgmブーストされた制御信号をバッファリングするように構成され、
前記第2の経路段が、第2のバッファと第2のトランジスタとを含み、前記第2のバッファが、前記負荷トランジスタをオフにするように前記第2のトランジスタを制御するため前記第2の制御信号をバッファリングするように構成される、
回路。
【請求項13】
請求項12の回路であって、前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、及び前記負荷トランジスタの各々が、それぞれの同じ型のトランジスタを用いて実装される、回路。
【請求項14】
請求項13の回路であって、前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、及び前記負荷トランジスタの各々が、それぞれのnチャネル電界効果トランジスタ又はそれぞれのpチャネル電界効果トランジスタを用いて実装される、回路。
【請求項15】
請求項12の回路であって、前記共通経路入力段が更に、
前記誤差信号に応答して第1の電圧端子から電流を導通するように構成される入力トランジスタと、
前記入力トランジスタからの前記電流をミラーリングし、ミラーリングされた電流を前記第1の出力に提供するように構成される電流ミラーと、
前記第1の出力に結合される利得ブースティング回路要素であって、前記第1の出力におけるインピーダンスと前記ミラーリングされた電流とに応答して前記第1の経路段のためのgmブースティングを実装するように構成される前記利得ブースティング回路要素と、
を含む、回路。
【請求項16】
請求項15の回路であって、前記利得ブースティング回路要素が、
前記第1の経路段の入力における電圧を安定化するように構成されるフィルタネットワークと、
前記第1の出力と第2の電圧端子との間で前記フィルタネットワークに並列に結合される電流源と、
を含み、
前記電流源及び前記フィルタネットワークが、前記gmブースティングを実装するために前記第1の出力において前記インピーダンスを提供するように構成される、
回路。
【請求項17】
請求項16の回路であって、前記フィルタネットワークが第1のフィルタネットワークであり、前記回路が更に、前記入力トランジスタと前記ドライバ出力との間に結合される第2のフィルタネットワークを含み、前記第2のフィルタネットワークが、前記回路の閉ループ応答におけるピーキングを低減するように構成される、回路。
【請求項18】
請求項16の回路であって、前記電流源が、固定又は可変電流を提供するように構成される、回路。
【請求項19】
請求項12の回路であって、前記第2の経路段が、接地又は供給電圧の飽和電圧内に前記負荷トランジスタをオフにするように構成される、回路。
【請求項20】
請求項11の回路であって、前記出力電圧及び基準電圧に応答して前記誤差信号を提供するように構成される誤差増幅器を更に含む、回路。
【請求項21】
システムであって、
基準入力とフィードバック電圧入力と誤差出力とを有する誤差増幅器と、
AB級ドライバと、
入力とフィードバック出力とを有する容量性負荷と、
を含み、
前記AB級ドライバが、
誤差入力と、フィードバック入力と、第1の利得ブーストされた出力と、第2の出力とを有する共通経路段であって、前記誤差入力が前記誤差出力に結合される、前記共通経路段と、
プルアップ経路回路と、
プルダウン経路回路と、
を含み、
前記プルアップ経路回路が、
第1のバッファ入力と第1のバッファ出力とを有する第1のバッファであって、前記第1のバッファ入力が前記第1の利得ブーストされた出力に結合される、前記第1のバッファと、
第1の制御入力と第3の出力とを有するプルアップトランジスタであって、前記第1の制御入力が前記第1のバッファ出力に結合され、前記第3の出力がドライバ出力に結合される、前記プルアップトランジスタと、
を含み、
前記プルダウン経路回路が、
前記第2の出力に結合される第2の電圧入力と、第2のバッファ出力とを有する第2のバッファと、
第2の制御入力と第4の出力とを有するプルダウントラジスタであって、前記第2の制御入力が第2のバッファ出力に結合され、前記第4の出力が前記ドライバ出力に結合される、前記プルダウントラジスタと、
を含み、
前記容量性負荷の前記入力が前記ドライバ出力に結合され、前記フィードバック出力が前記フィードバック電圧入力に結合され、前記フィードバック出力が、出力電圧を表す信号を提供するように構成される、
システム。
【請求項22】
請求項21のシステムであって、
前記容量性負荷が負荷トランジスタを含み、
前記共通経路段が、前記負荷トランジスタをオンにする前記ドライバ出力への回路経路のためのgmブーストを提供するように構成され、
前記共通経路段が、前記ドライバ出力を接地又は供給電圧の飽和電圧内までプルダウンするように前記プルダウン経路回路を制御するように構成される、
システム。
【請求項23】
請求項22のシステムであって、前記プルアップトランジスタ、前記プルダウントランジスタ、及び前記負荷トランジスタの各々が、それぞれの同じ型のトランジスタを用いて実装される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、ドライバ回路要素、及びドライバ回路要素を用いるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
低ドロップアウト(LDO)電圧レギュレータは、例えば、電圧制御発振器(VCO)、アナログ-デジタルコンバータ、デジタルアナログコンバータ(DAC)、ハイエンドプロセッサ、無線周波数(RF)増幅器、シリアライザ-デシリアライザ(SerDes)回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの低電圧デバイスなど、様々な応用例において電力を提供する。LDOを駆動するように構成される電力管理回路要素は、LDOの性能に影響を及ぼす可能性がある。例えば、電力管理回路要素の速度及びヘッドルームは、全体的なLDO性能に影響を与え得る。
【発明の概要】
【0003】
記載する例において、或る回路が、入力段と、第1及び第2の経路(path)段と、負荷トランジスタとを含む。入力段は、制御電圧入力、フィードバック入力、第1の制御出力、及び第2の制御出力を有する。フィードバック入力はドライバ出力に結合される。第1の経路段は、第1の電圧入力と第3の出力とを有する。第1の電圧入力は第1の制御出力に結合され、第3の出力はドライバ出力に結合される。第2の経路段は、第2の電圧入力と第4の出力とを有する。第2の電圧入力は第2の制御出力に結合され、第4の出力はドライバ出力に結合される。負荷トランジスタは、制御入力と電圧出力とを有する。制御入力はドライバ出力に結合され、入力段は、電圧出力における出力電圧に応答して負荷トランジスタをオンにするために、第1の経路段にgmブースティングを印加するように構成される。
【0004】
記載する別の例において、或る回路が、誤差信号が負荷トランジスタのターンオンを要求することに応答して第1の出力において第1のgmブーストされた制御信号を提供するように構成される共通経路入力段を含む。共通経路入力段は、誤差信号が負荷トランジスタのターンオフを要求することに応答して第2の出力において第2の制御信号を提供するように構成される。第1の経路段が、第1のgmブーストされた制御信号に応答して第1の電圧をドライバ出力に提供するように構成される。第2の経路段が、第2の制御信号に応答して第2の電圧をドライバ出力に提供するように構成される。負荷トランジスタは、第1の電圧に応答してオンになり、第2の電圧に応答してオフになることによって、ドライバ出力における電圧に応答して出力電圧を調整するように構成される。
【0005】
更に記載する例において、システムが、外側ループ回路と、AB級ドライバと、負荷とを含む。外部ループ回路は、基準入力と、フィードバック電圧入力と、誤差出力とを有する。AB級ドライバは、共通経路段と、プルアップ経路回路と、プルダウン経路回路とを含む。共通経路段は、誤差入力と、フィードバック入力と、第1のgmブースト出力と、第2の出力とを有する。誤差入力は誤差出力に結合される。プルアップ経路回路は、第1のバッファと、プルアップトランジスタとを含む。第1のバッファは、第1のバッファ入力と第1のバッファ出力とを有し、第1のバッファ入力は、第1のgmブースト出力に結合される。プルアップトランジスタは、第1の制御入力と第3の出力とを有する。第1の制御入力は第1のバッファ出力に結合され、第3の出力はドライバ出力に結合される。プルダウン経路回路は、第2のバッファと、プルダウントラジスタとを含む。第2のバッファは、第2の電圧入力と第2のバッファ出力とを有し、第2の電圧入力は第2の出力に結合される。プルダウントラジスタは、第2の制御入力と第4の出力を有する。第2の制御入力は第2のバッファ出力に結合され、第4の出力はドライバ出力に結合される。負荷は入力とフィードバック出力とを有し、この入力はドライバ出力に結合され、フィードバック出力はフィードバック電圧入力に結合される。フィードバック出力は、出力電圧を表す信号を提供するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】負荷に結合される例示のドライバ回路を図示する。
【0007】
【
図2】ドライバ回路を含む例示の電圧レギュレータを図示する。
【0008】
【0009】
【
図4】様々な例示のドライバ回路のための開ループ応答及び閉ループ応答を示すグラフを図示する。
【0010】
【
図5】負荷に結合される別の例示のドライバ回路を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
種々の例は、AB級ドライバ回路などのドライバ回路要素、並びに、1つ又は複数のAB級ドライバ回路を実装するシステム及び回路に関する。
【0012】
一例として、ドライバ回路が、共通経路入力段と、第1及び第2の電圧端子間に並列に結合される第1及び第2の出力段とを含む。第1及び第2の出力段の各々は、それぞれのバッファ及び出力トランジスタを含むものとして実装され得る。出力トランジスタは、第1の電圧端子と第2の電圧端子との間に結合することができ、各出力トランジスタはドライバ出力に結合される。共通経路入力段は第1及び第2の出力を有し、第1の出力は、第1の出力段のそれぞれのバッファの入力に結合され、第2の出力は、第2の出力段のそれぞれのバッファの入力に結合される。共通経路入力段は、誤差信号に応答して第1の出力段のそれぞれの出力トランジスタを制御するために、第1の出力においてトランスコンダクタンス(gm)ブーストされた制御信号を提供するように構成される。共通経路入力段は、誤差信号に応答して第2の出力段のそれぞれの出力トランジスタを制御するために、第2の出力において第2の制御信号を提供するように構成される。共通経路入力段は、駆動されている共通経路入力又は負荷トランジスタと同じ極性にgmブーストを印加するように構成される。nチャネル金属酸化物半導体(NMOS)入力又は負荷の例では、共通経路入力段は、負荷NMOSのプルアップ又はターンオンにgmブーストを印加するように構成される。pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)入力又は負荷の例では、共通経路入力段は、負荷PMOSのプルダウン又はターンオンにgmブーストを印加するように構成される。いくつかの例において、共通経路回路は、ドライバ回路の閉ループ応答におけるピーキングを低減するための補償フィルタを含む。
【0013】
本明細書に記載のドライバ回路は、ドライバ出力に結合されるように適合される、容量性回路に駆動信号を提供するように構成される閉ループAB級ドライバとして実装することができる。容量性回路は、nチャネル電界効果トランジスタ(NFET)又はpチャネルFET(PFET)などの電界効果トランジスタ(FET)、NPN又はPNPなどのバイポーラ接合トランジスタ(BJT)、及び/又は、入力キャパシタンスを有する他のデバイスを含むことができる。例えば、ドライバ出力は、低閾値電圧(Vth)低ドロップアウト(LDO)電力FETのゲートに結合される。ドライバ回路は、パワーFETをオンにするためにgmブースティングを用いるように構成される。ドライバ回路はまた、低入力低出力(LILO)動作における完全なターンオフのために、LDO電力FETのゲートを接地に近接して駆動するように構成され得、これにより、ドライバ回路が低ヘッドルームを達成することが可能となる。ドライバ回路は更に、高帯域幅(例えば、1MHzより大きい)LDOループにおいて安定したままであるために、有限の電流バジェットに対してドライバ出力において低い出力インピーダンスを維持することができる。そのため、本明細書に記載されるAB級ドライバ回路及びシステムは、低ヘッドルームで高帯域幅のドライバ回路を実装するように構成され得る。ドライバ回路はまた、共通経路回路によって実装されるアップストリーム電力管理が、多くの既存の設計と比較して、より小さな面積を有し、低減された電流を用いることを可能にするために、より少ない電流を用いて低減された出力インピーダンスを達成することができる。
【0014】
本明細書で用いられる場合、「回路」という用語は、アナログ回路又は制御回路などの回路機能を実施する能動素子及び/又は受動素子の集合を含むことができる。更に或いは代替として、例えば、「回路」という用語は、回路要素のすべて及び/又はいくつかが、共通基板(例えば、ダイ又はチップなどの半導体基板)上に作製される集積回路(IC)を含むことができる。一例において、ドライバ回路100は、集積回路(IC)チップにおいて、又はシステムオンチップ(SoC)の一部として、実装される。
【0015】
図1は、ドライバ出力102を有する例示のAB級ドライバ回路100を示す。例えば、ドライバ出力102は、出力回路要素104に結合されるように適合された端子である。一例において、出力回路要素104は、トランジスタ(例えば、FET、BJTなど)を含むなどの容量性負荷、ドライバ出力102に結合されるときに入力静電容量(例えば、100pFより大きい)を有するコンデンサ又は負荷デバイスを含む。ドライバ回路100は、共通経路入力段106と、第1の出力段108と、第2の出力段110とを含む。共通経路入力段106は、入力112と、第1及び第2の出力114及び116とを有する。入力112は、出力回路要素104に提供されるかさもなければ出力回路要素104によって用いられる出力電圧を増加又は減少させるためのコマンドを表すなどの、誤差信号V_ERRORを受信するように適合される。
図1の例において、ドライバ回路100は、電圧VDD及び接地として示される第1及び第2の電圧端子118及び120間に結合される。他の例において、他の相対的な電圧を用いて、端子118と120との間に所望の電圧電位を確立することができる。
【0016】
入力段106は、共通経路入力112に結合される(又は共通経路入力112を提供する)ゲートを有する入力トランジスタM1を含む。
図1の例において、M1はNFETとして示されている。別の例において、M1は、PFET又は別のタイプのトランジスタとして実装され得る。M1のドレインは電流ミラー122に結合され、M1のソースはドライバ出力102に結合され、ドライバ回路100はドライバ出力信号VDRVを提供する。電流ミラー122は、pチャネルFET(PFET)として示されるトランジスタM2及びM3を含む。別の例において、異なるタイプのトランジスタを用いて、異なるドライバ構成などで、電流ミラー122を実装することができる。M2はダイオード接続され、ここで、ソースは端子118に結合され、ドレインはM1のドレインに結合される。M3のソースは端子118に結合され、ドレインは電流源124を介して接地端子120に結合される。電流源124は、固定バイアス電流又は動的バイアス電流などであり得、M3のドレインにバイアス電流を提供するように構成される。補償フィルタネットワーク126が、電流源124に並列に結合される。電流源124及びフィルタネットワーク126に結合されるM3のドレインはまた、入力段106の第1の出力114に結合される。フィルタネットワーク126は、出力114を安定させるように構成される。
【0017】
第1の出力段108は、バッファ130及び出力トランジスタM4を含む。バッファ130の入力が第1の出力114に結合され、バッファ出力はM4のゲートに結合される。M4は、電圧端子118とドライバ出力102との間に結合される。例えば、バッファ130の入力は正の極性を有する。入力段106は、誤差信号V_ERRORが、出力電圧を増加(又は減少)させるコマンドを表す値を有することに応答して、114においてgmブーストされた制御信号を提供するように構成される。例えば、電流源124及びフィルタネットワーク126を含む利得ブースティング回路要素は、電流ミラーの出力(M3のドレイン及び出力114)に結合される。本明細書において記載するように、利得ブースティング回路要素は、M3のドレイン、電流源124、及びフィルタネットワーク126における合成インピーダンスに基づいて、114における出力インピーダンスのM3倍のgmによって記載される利得を提供する。そのため、利得ブースティング回路要素は、第1の出力段108のためのgmブースティングを実装するように構成される。そのため、入力段106は、gmブーストされた制御信号を出力段108の入力に提供するように構成される。
図1の例において、バッファ130は、114からのgmブーストされた信号をM4のゲートに渡すように構成され、M4がオンになってドライバ出力102を端子118に結合し、そのため、ドライバ出力102がプルアップされる。114におけるgmブーストされた制御信号は、本明細書に記載されるように、M4に対するより強いターンオンを可能にして、出力回路要素104の増大した電力需要に対する改善された応答性を提供する。
【0018】
第2の出力段110は、バッファ132及び出力トランジスタM5を含む。バッファ132の入力が、M2及びM3の共通ゲートに結合される第2の出力116に結合される。バッファ132の出力はM5のゲートに結合され、M5はドライバ出力102と電圧端子120との間に結合される。例えば、バッファ132の入力は、負の極性(例えば、バッファ130の入力における極性の反対)を有する。入力段106は、誤差信号V_ERRORが出力電圧の減少又は変化なしを要求することに応答して、第2の出力116においてそれぞれの制御信号を提供するように構成される。
図1の例において、バッファ132は、第2の制御信号をM5のゲートに渡すように構成され、これはM5を活性化して、ドライバ出力102を端子120に結合し、ドライバ出力102を必要に応じて接地付近にプルダウンする。入力段106は、第1の出力段108に提供されたように、gmブーストなしで第2の制御信号を第2の出力段110に提供するように構成することができる。114におけるgmブーストされた制御信号は、M5に対するよりもM4に対するより強いターンオンを可能にし、そのため、出力102における信号に応答する出力回路要素104の増加した電圧及び/又は電流要求に応答して、出力102におけるアンダーシュートを低減する。
【0019】
いくつかの例において、M4と同じ型(flavor)のトランジスタのトランジスタを用いてM5が実装され得る。本明細書で用いられる場合、所与のタイプのトランジスタ(例えば、FET又はBJT)は、本明細書において型(例えば、n又はp型)と呼ばれる複数のサブタイプを有する。例えば、FETトランジスタタイプ(例えば、MOSFET又は接合FET(JFET))が、nチャネルFET(NFET)及びPFET型で実装され得る。同様に、BJTタイプのトランジスタを、NPN及びPNP型で実装することができる。所与のドライバ回路100が、2つ以上のタイプのトランジスタを含むことができ、異なるタイプのトランジスタは、本明細書において記載するように、同じ又は異なる型とすることができる。ドライバ回路100がFETを用いて実装される一例において、M4及びM5はいずれもNFETであるか、又はM4及びM5はいずれもPFETである。M4及びM5がバイポーラ接合トランジスタ(BJT)として実装される場合などの他の例において、M4及びM5はいずれもNPN BJTであるか、又はM4及びM5はいずれもPNP BJTである。
【0020】
出力回路要素104が、ドライバ出力102に結合される制御入力を有する負荷トランジスタ(例えば、
図2及び
図3に示されるM12などのLDOパワートランジスタ)を含むように実装される例において、LDOトランジスタは、M4及びM5両方と同じトランジスタの型(例えば、n又はp)として実装され得る。102において結合されるLDOトランジスタは、M4及びM5と同じ又は異なるタイプのトランジスタであり得るが、同じ型(例えば、n又はp)を実装することもできる。例えば、M4及びM5はNFETであり、LDOトランジスタはNPN BJT(例えば、すべてn型トランジスタ)である。別の例において、M4及びM5はPFETであり、LDOトランジスタはPNP BJT(例えば、すべてp型トランジスタ)である。M4、M5及びLDOトランジスタには、他のタイプ及び型のトランジスタを用いることもできる。AB級ドライバのプッシュプルバッファ出力段においてM4とM5に同じ型のトランジスタを用いると、LILO動作の性能を向上させることができる。例えば、同じ型のトランジスタを用いることは、ドライバ出力102のプルダウンの間のM5上のヘッドルームを改善するのに役立ち、また、M4のプルアップ強度を増加させるために102における出力インピーダンス(例えば、1/gm)を低減するのにも役立ち得る。
【0021】
本明細書に記載されるように、gmブースティングを実装するように入力段106を構成することによって、102における出力インピーダンスはまた、所与のバイアス電流に対して低減され得る。その結果、ドライバ回路100は低ヘッドルーム及び高帯域幅で実装することができ、LILO動作及び高速速度に特に適している。これは更に、アップストリーム電力管理回路要素(例えば、チャージポンプ回路要素(図示せず))が、低減された面積で実装され、多くの既存のアプローチよりも低い電流で動作するように構成されることを可能にする。
【0022】
図2は、調整された出力電圧VOUTを出力202において提供するように構成される例示の電圧レギュレータシステム200を図示する。レギュレータシステム200は、
図1のドライバ回路100を実装するために用いられ得るなどの、ドライバ回路100を含む。
図2の記載は
図1も参照する。例えば、ドライバ回路100は、入力段106と、第1の出力段108と、第2の出力段110とを含み、これらは、VDD及び接地として示される第1及び第2の電圧端子118及び120の間に結合される。また、出力回路104は、負荷トランジスタM12及び出力202、及び(もしあれば)202に結合される回路を含む。
【0023】
レギュレータシステム200は、フィードバックに応答して出力電圧VOUTを制御するように構成される外側ループ回路204を含む。
図2の例において、外側ループ回路204は、出力202に結合される反転入力を有する誤差増幅器206を含む。別の例において、分周器回路(例えば、抵抗分周器)を、出力202と誤差増幅器206の反転入力との間に結合することもできる。誤差増幅器206の非反転入力が、基準電圧VREFを受け取るように構成される。例えば、非反転入力は、基準電圧VREFを提供するように構成される基準電圧生成器(例えば、デジタルアナログ変換器又は他のDC源)の出力に結合される。誤差増幅器206は、入力段106の入力112に結合される出力を有する。例えば抵抗R1及びコンデンサC1を含むフィルタネットワークが、増幅器出力と接地との間に結合される。フィルタネットワークは、ドライバ回路100の入力112に供給される入力112への誤差信号V_ERRORの安定化を助けるように構成される。誤差増幅器206は、VOUT及びVREFに応答して、誤差信号V_ERRORを入力112に提供するように構成される。誤差信号V_ERRORは、出力202においてより高い生成されるべきか又はより低い出力電圧が生成されるべきか表す電圧コマンドを提供する。
【0024】
入力段106は、増幅器206の出力に結合されるゲートを有する入力トランジスタM1を含む。フィルタ208が、M1のソースとドライバ出力102との間の内部ループフィードバック経路に結合される。例えば、フィルタ208は、並列抵抗器R2と、出力102において提供されるドライバ出力信号VDRVのピーキングを減衰させるように構成されるコンデンサC2とを含む。M1のドレインは、FET M2及びM3で形成される電流ミラー122に結合される。M2のゲート及びドレインは、M1のドレインに結合される。M2及びM3は、共通ゲート、及び端子118に結合される共通ソースを有する。M3のドレインは、電流源124を介して接地端子120に結合される。電流源124は、固定されるか又は動的にバイアスされる電流源など、M3のドレインにバイアス電流を提供するように構成される。電流源124は、主バイアス電流生成器に結合される電流ミラーの配置を含むように実装することができる(例えば、システム200を実装するIC内)。
図2の例において、電流源124に並列に結合される補償フィルタネットワーク126は、出力114と端子120(例えば、接地)との間に直列に結合される抵抗器R3及びコンデンサC3を含む。
【0025】
ドライバ回路100の第1の出力段108は、電圧端子118及び120間のそれぞれの電流源210及び212に直列に結合されるPFET M6を含む。M6のゲートは、入力段106の出力114に結合される。M6のソースはNFET M4のゲートに結合され、M4のソースはドライバ出力102に結合される。別のNFET M7が、M4のゲートと接地端子120との間に結合される。M7のゲートはM6のドレインに結合される。そのため、
図2の例において、入力段106は、誤差信号V_ERRORが、202における出力電圧VOUTを増大させるコマンドを表す値を有することに応答して、負荷トランジスタM12をオンにする駆動出力102をプルアップするように制御するように構成される駆動制御経路(例えば、ターンオン経路として示される)のためのgmブースティングバッファとして実装される。
【0026】
ドライバ回路100の第2の出力段110は、PFET M8を含み、PFET M8は、電圧端子118(例えば、VDD)に結合されるソースと、M9のドレイン、並びに、M9及びM10の両方のゲートに結合されるドレインとを有する。M8と同様に、M9及びM10のソースは電圧端子118に結合される。M9のドレインと電圧端子120(例えば、接地)との間に電流源214が結合される。電流源214は、M8、M9、及びM10によって形成される電流ミラーネットワークをバイアスするように構成される。M10のドレインは、NFET M11のドレインに結合され、NFET M11は、M10と電圧端子120(例えば、接地)との間にダイオード接続される。M11のゲート及びソースは、出力FET M5のゲートに結合される。
図2の例において、M8、M9、M10、M11、及び電流源214によって形成されるバッファは、116において入力段106によって提供される制御信号に応答して、M5をオンにし、ドライバ出力102をプルダウンするように構成される。上述のように、入力段106は、誤差信号V_ERRORがVOUTの減少又は増加なしを指令することに応答して、出力FET M5を活性化するための制御信号を116において提供するように構成される。
【0027】
システム200はまた、ドライバ出力102に結合されるゲートを有する負荷FET M12を含む。M12のソースは、出力端子202に結合され、M12のドレインは、入力電圧VINに結合されるように適合された入力電圧端子216に結合される。例えば、M12は、LDO電力FETとして実装される。本明細書において記載するように、M12は、n又はp型負荷トランジスタとして実装することができる。
図2の例において、M4、M5、及びM12は、それぞれのNFETとして実装されるものとして示される。別の例において、M4、M5、及びM12は、VDD及びVINが同じ電圧供給になるPFETとして実装される。
【0028】
M4、M5、及びM12の各々は、本明細書に記載されるように、同じ型のトランジスタを用いて実装することができる。
図2では、M4、M5、及びM12の各々は、それぞれのNFETを用いて実装される。代替例において、M4、M5、及びM12の各々は、それぞれのPFETを用いて実装され得る。そのような代替例では、ドライバ回路における残りのFETの型は、変更され(例えば、NFETがPFETになり、PFETがNFETになり)、相対的な電圧は、図示及び説明されたものから反転され得る。トランジスタがBJTを用いて実装される更に別の例において、M4、M5、及びM12の各々は、同じ型のBJTを用いて実装され得る。すなわち、それらがNPN BJTであってよく、又はPNP BJTであってもよい。それぞれのトランジスタは、FETとBJTとの間でタイプが混合され、同じ型で実装されてもよい。
【0029】
一例において、外側ループ回路204と、ドライバ回路100と、出力FET M12とを含むレギュレータシステム200は、単一のIC(例えば、所与のICダイ上)に実装される。別の例において、出力FET M12は、ドライバ回路100及び外側ループ回路204を実装するICの外部の別個のICの一部である。
【0030】
図2の例において、ドライバ回路100は、誤差信号V_ERRORが、VOUT<VREFを表す値を有することに応答して、出力段108によって実装されるターンオン経路をgmブーストするように構成される。例えば、ドライバ回路100に対する利得は、下記のように表される。
ここで、gm1/gm2は、M1及びM2に起因する入力段106の利得を表し、
gm8・gm10・gm5/gm9・gm11は、M8、M10、M5、M9、及びM11に起因する出力段110の利得を表し、
は、M4及びM3に起因する出力段108と、抵抗器R3及びコンデンサC3を含むフィルタネットワーク126に並列の電流源124のインピーダンスに並列のM3の出力インピーダンスとの利得を表す。
そのため、実際には、構成要素の値は、ドライバ出力102におけるVDRVのプルアップの間、又はM12がオンにされているとき、出力段108の入力に印加されるgmブーストを調節するように構成され得る。例えば、電流源124及びフィルタネットワーク126は、上記した式に示されているように、第1の経路段へのgmブースティングを実装するため、(例えば、出力114における)M6のゲートにおけるインピーダンスを増加させるように構成される。一例において、gmブースティングが、入力段106の出力114における増加したインピーダンスに起因して(例えば、
に起因して)、相互コンダクタンス利得(gm)を100倍又はそれ以上増加させることができる。
【0031】
そのため、M4のターンオンの間のgmブースティングは、わずかな量のバイアス電流を使用しながら、LDOループから容量性電力FETゲート(又はドライバ出力102に結合される他の容量性負荷)の極をより高い周波数にプッシュすることができる。第2の出力段110は、(ドライバ回路100の構成に応じて)接地又は供給電圧の飽和電圧VDSAT内まで負荷トランジスタM12をオフにするように構成される。例えば、ドライバ出力102をプルダウンするためにM5がオンにされることに応答して、駆動電圧VDRVは、低い広帯域出力インピーダンスを維持しながら、120における電圧(例えば、接地)を上回るM5(例えば、VDSAT,M5)の飽和電圧までスイングする。そのような特徴は、高帯域幅LDO動作に有用である低コストで低バイアスの電流回路構成において(例えば、IC上で)実装され得る。
【0032】
上記に鑑みて、電圧調整システム200は、予期される動作条件の範囲にわたって所望の電圧ヘッドルーム及び高帯域幅を提供するAB級ドライバ回路を含む。ドライバ回路は、LILO応用例に対して特に効率的であり経済的である。
【0033】
図3は、本明細書に記載されるような閉ループAB級ドライバ回路100を含む、例示のレギュレータシステム300の高レベル回路図を図示する。ドライバ回路300は、
図1及び
図2に示す回路100及び200など、本明細書において記載する例示のドライバに従って実装することができる。従って、
図3の説明は
図1及び
図2も参照する。本記載に基づくドライバ回路要素の他の構成を、レギュレータシステム300において用いることもできる。レギュレータシステム300は、レギュレータ出力202に結合される反転入力と基準電圧VREFを受け取るように構成される非反転入力とを有する誤差増幅器206を含む外側制御ループを含む。R1及びC1を含むものなどのフィルタが誤差増幅器206の出力に結合されて、ドライバ回路100の入力112において誤差信号V_ERRORを提供する。
【0034】
ドライバ回路100は、共通経路入力段106と、それぞれの出力段108及び110とを含む。本明細書において記載するように、共通経路入力段106は、出力段108へのgmブーストを実装するように構成される。gmブースティングにより、ドライバ回路が、増大した電流需要により迅速に反応し、アンダーシュートを減少することが可能となる。その結果、ドライバ回路100は、LDO電力FET M12に対してより強いターンオンを実装するように、或いは、102においてVDRVをプルアップするように構成される。これは、オーバシュート過渡現象を低減するためにLDO電力FETのより強いターンオフを実装するように構成される傾向があるいくつかの既存の設計とは対照的である。
【0035】
一例において、外側ループ回路204とドライバ回路100と出力FET M12とを含むシステム300が、共通IC内に実装される。別の例において、出力FET M12は、ドライバ回路100及び外側ループ回路204を実装するICの外部の別個のICの一部である。
【0036】
図3の例において、出力回路要素104が、負荷304に並列に出力202に結合される力コンデンサCOUTを含む。負荷304は、様々な電気回路によって実装することができる。負荷304として実装され得る電気回路の例には、電圧制御発振器(VCO)、アナログデジタルコンバータ、DAC、ハイエンドプロセッサ、RF増幅器、SerDes回路、及びFPGAが含まれる。代替的に、他の例において、M12、COUT、及び負荷304が、1つ又は複数の他の負荷で置き換えられてもよい。
【0037】
図4は、
図2のレギュレータシステム200のためのM4のゲートにおける様々な例のAB級ドライバ回路のための開ループ及び閉ループ利得及び位相応答を示す、グラフ400及び402を示す。グラフ400は、
図2のドライバ回路100のための開ループ応答404及び閉ループ応答406を含み、フィルタ208がシステム200から省略されている。グラフ400及び402に示されるように、ドライバ回路100は、LDOの単位利得帯域幅をはるかに超えて中間極をプッシュするように構成される。しかしながら、グラフ400における閉ループ応答406(フィルタ208がない場合)は、408に示すように、いくらかのピーキングを示す。ピーキングは、システム200のためのグローバル制御ループの単位利得帯域幅の直後に生じる。
【0038】
他のグラフ402は、
図2に示されるRCフィルタ208が存在しない場合のドライバ回路100のそれぞれの開ループ及び閉ループ位相応答のプロット410及び412を含む。ドライバ回路100が並列RCフィルタ208を含むように構成されるとき、応答406からのピーキング408は除去又は減衰される。そのため、結果として生じるドライバ回路は、予期される動作条件にわたる範囲にわたって安定性を高めることができる。
【0039】
別の例として、
図5は、
図1の回路100を概して反転させたものとして示される、例示のAB級ドライバ回路500である。従って、
図5の説明は、必要に応じて
図1にも言及する。例えば、ドライバ回路500は、PFET M12(例えば、LDO電力PFET)を含むものとして
図5に示される出力回路要素104に結合されるように適合された出力102(例えば、端子)を有する。本明細書において記載するように、ドライバ回路100は、共通経路入力段106と、第1の出力段108と、第2の出力段110とを含む。共通経路入力段106は、入力112と、第1及び第2の出力114及び116とを有する。入力112は、出力202における出力電圧VOUTを増加又は減少させるためのコマンドを表すなどの誤差信号V_ERRORを受信するように適合される。
図1の例において、ドライバ回路100は、電圧VDD及び接地として示される第1及び第2の電圧端子118及び120の間に結合される。他の例において、他の相対的な電圧を用いて、端子118と120との間に所望の電圧電位を確立することができる。出力202は、端子118に結合することができる供給電圧VINに結合される。
【0040】
図5の例において、入力段106は、共通経路入力112に結合される(又はそれを提供する)ゲートを有するPFET M1を含む。M1のドレインは電流ミラー122に結合され、M1のソースはドライバ出力102に結合される。ドライバ回路100は、102においてドライバ出力信号VDRVを提供するように構成される。電流ミラー122は、NFETとして示されるトランジスタM2及びM3を含む。M2はダイオード接続され、ここで、ソースは端子120に結合され、ドレインはM1のドレインに結合される。M3のソースは端子120に結合され、ソースは電流源124を介して端子118に結合される。電流源124は、固定又は動的バイアス電流など、M3のドレインにバイアス電流を提供するように構成される。電流源124に並列に補償フィルタネットワーク126が結合される。M3のドレインは、電流源124及びフィルタネットワーク126に結合されており、入力段106の第1の出力114にも結合される。フィルタネットワーク126は、出力114において制御信号を安定化するように構成される。
【0041】
第1の出力段108は、バッファ130及び出力トランジスタM4を含む。バッファ130の入力が第1の出力114に結合され、バッファ出力はM4のゲートに結合される。M4は、電圧端子120とドライバ出力102との間に結合される。例えば、バッファ130の入力は負の極性を有する。入力段106は、誤差信号V_ERRORが、VOUTを減少させる(又は変化させない)ためのコマンドを表す値を有することに応答して、gmブーストされた制御信号を114において提供するように構成される。例えば、電流源124及びフィルタネットワーク126を含む利得ブースティング回路要素は、電流ミラーの出力(M3のドレイン及び出力114)に結合される。本明細書において記載するように、利得ブースティング回路要素は、M3のドレイン、電流源124、及びフィルタネットワーク126における合成インピーダンスに基づいて、114において出力インピーダンスのM3倍のgmで表される利得を提供する。そのため、利得ブースティング回路要素は、第1の出力段108のためのgmブースティングを実装するように構成される。そのため、入力段106は、gmブーストされた制御信号を出力段108の入力に提供するように構成される。
図1の例において、バッファ130は、114からのgmブーストされた信号をM4のゲートに渡すように構成される。M4は、114におけるgmブーストされた信号に応答してオンになり、ドライバ出力102を端子120に結合し、従って、ドライバ出力102は、PFET M12をオンにするためにプルダウンされる。114におけるgmブーストされた制御信号は202において結合される負荷の電力需要に応答するなど、PFET M12のターンオン(例えば、プルダウン)を容易にするために、M4に対するより強いターンオンを可能にする。
【0042】
第2の出力段110は、バッファ132及び出力トランジスタM5を含む。バッファ132の入力が、M2及びM3の共通ゲートに結合される第2の出力116に結合される。バッファ132の出力は、M5のゲートに結合され、M5は、ドライバ出力102と電圧端子118との間に結合される。例えば、バッファ132の入力は、正の極性(例えば、バッファ130の入力における極性の反対)を有する。入力段106は、VOUTの増大を要求する誤差信号V_ERRORに応答して、第2の出力116においてそれぞれの制御信号を提供するように構成される。
図5の例において、バッファ132は、第2の制御信号をM5のゲートに渡すように構成され、これは、必要に応じて、ドライバ出力102を端子118に結合し、ドライバ出力102をプルアップするために、M5を活性化する。
【0043】
上記に鑑みて、本明細書において記載する回路及びシステムは、より低いヘッドルーム、より高い帯域幅、及び改善された過渡応答を有するドライバ回路を実装することができる。ドライバ回路は、所与のバイアス電流に対してより低い出力インピーダンスで構成することもでき、これにより、ドライバ回路が、他のドライバ設計よりも高い帯域幅動作を達成することができる。
【0044】
その結果、本明細書に記載されるようなAB級ドライバ回路を実装する回路及びシステムは、一層低い供給電圧を最終機器負荷に提供するために用いることができ、その結果、電力が節約される。また、特にアンダーシュートの低減に起因する、改善された過渡応答は更に、改善された速度、及びより高い精度を達成することができる。(例えば、電流源124、210、及び212によって)ドライバ回路において用いられる一層低いバイアス電流は、電力節約をもたらし、より小さいチャージポンプを可能にする。まとめると、そのような要因は、比較可能な既存の解決策よりも小さなサイズでドライバ回路を実装することを可能にする。
【0045】
本明細書では、「結合する」という用語は、間接的又は直接的接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。例えば、デバイスAがデバイスBを制御して或る行為を実施するための信号を生成する場合、(A)第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更しない場合に、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合され、従って、デバイスBはデバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAによって制御される。
【0046】
「に基づく」という記載は、「少なくとも部分的に基づく」という意味である。従って、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0047】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
【国際調査報告】