(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241010BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
F28F9/02 301A
F28D1/047 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523519
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 KR2022020832
(87)【国際公開番号】W WO2023146135
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2022-0012536
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ジョンボム
(72)【発明者】
【氏名】コ, グァン オク
(72)【発明者】
【氏名】イ, サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ジ フン
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA11
3L103AA13
3L103DD08
3L103DD34
(57)【要約】
【課題】2つの熱交換部が一体に形成される一体型熱交換器において、2つの熱交換部の間で温度差によって発生する熱応力を減少させ、2つの熱交換部の間で熱交換媒体の漏れが発生することを防止できる熱交換器を提供する。
【解決手段】本発明は、周りに沿って互いに離隔して形成される複数の折り曲げタブの間に末端から凹状に凹んでいる複数の溝部が形成されたヘッダーと、前記ヘッダーの内側に下端部が挿入され、前記折り曲げタブが内側に折り曲げられて結合し、前記ヘッダーと結合して熱交換媒体の流動空間を形成するタンクと、を含み、前記ヘッダーには前記溝部よりも深さの深い第1溝部が形成され、温度差によって発生する熱変形を容易に許容して熱応力を減少させることで、熱交換媒体の漏れを防止できることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔配置された一対のヘッダータンク及び前記一対のヘッダータンクに両端が接続された複数のチューブを含み、
前記一対のヘッダータンクはそれぞれ、
周りに沿って互いに離隔して形成される複数の折り曲げタブを含み、前記複数の折り曲げタブの間には末端から凹状に凹んでいる複数の溝部が形成されたヘッダーと、
前記ヘッダーの内側に下端部が挿入され、前記折り曲げタブが内側に折り曲げられて結合し、前記ヘッダーと結合して熱交換媒体の流動空間を形成するタンクと、を含み、
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、前記溝部よりも深さの深い第1溝部が形成されたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記ヘッダー及びタンクのうちいずれか1つ以上に結合して内部空間を区画する少なくとも1つ以上のバッフルをさらに含み、
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記バッフルに対応する位置に前記第1溝部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記バッフルによってヘッダータンクの一側と他側が区画され、区画された一側と他側に流動する熱交換媒体の温度が互いに異なることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記バッフルは、一対で構成され、長手方向に互いに離隔配置され、
前記第1溝部は、長手方向に前記一対のバッフルの間に位置することを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1溝部は、ヘッダーの幅方向両側に互いに対応する位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記第1溝部の一側又は両側に離隔して第2溝部が形成され、
前記第2溝部は、前記溝部よりも深さが深く形成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2溝部の深さは、前記第1溝部の深さと同一に形成されたことを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記第1溝部の一側又は両側に離隔して第3溝部が形成され、
前記第3溝部は、前記溝部よりも深さが深く形成され、前記第1溝部は、前記第3溝部よりも深さが深く形成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記チューブの間に配置され、前記一対のヘッダータンクに両端が接続し、前記一対のバッフルの間に接続されたダミーチューブをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記ダミーチューブの内部は、熱交換媒体が流動しないように形成され、
前記ダミーチューブは、前記チューブと同一の形状に形成されたことを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1溝部は、前記ダミーチューブの両側に隣接する前記チューブの間に位置することを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1溝部は、前記ダミーチューブの位置に対応する位置に形成されたことを特徴とする請求項11に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記ヘッダーと前記タンクと前記一対のバッフルと対応する形状に形成され、前記ヘッダーと前記タンクとの間、及び前記一対のバッフルと前記ヘッダーとの間に介在して密着するガスケットをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記ヘッダーは、縁部にガスケット装着溝が形成され、前記ガスケット装着溝にガスケットが挿入され、
前記タンクは下端に外側に突出した結合部が形成され、前記結合部がヘッダーのガスケット装着溝に挿入され、前記ガスケット装着溝と前記結合部との間にガスケットが押されて密着したことを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記ガスケットは、
前記ヘッダーのガスケット装着溝に対応する形状に形成された周部と、
前記周部の幅方向両側に両端が接続し、前記一対のバッフルの位置に対応するように長手方向に互いに離隔配置された一対のブリッジと、を含み、
前記周部がガスケット装着溝に挿入され、前記一対のブリッジは、前記一対のバッフルと前記ヘッダーとの間に押されて密着したことを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記第1溝部は、長手方向に前記一対のブリッジの間に位置することを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記溝部の凹部の底から延びる線を溝部基準線とすると、
前記溝部基準線は、前記タンクと前記ガスケットとの接触面よりも前記ヘッダーの底面からさらに離隔したことを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項18】
前記第1溝部の凹部の底から延びる線を第1溝部基準線とすると、
前記第1溝部基準線は、前記タンクと前記ガスケットとの接触面よりも前記ヘッダーの底面にさらに隣接して位置することを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項19】
前記一対のヘッダータンクのそれぞれの前記ヘッダーには、長手方向に前記第1溝部の一側又は両側に離隔して第3溝部が形成され、前記第3溝部は、前記溝部よりも深さが深く形成され、前記第1溝部は、前記第3溝部よりも深さが深く形成され、
前記第3溝部の凹部の底から延びる線を第3溝部基準線とすると、
前記第3溝部基準線は、前記タンクと前記ガスケットとの接触面よりも前記ヘッダーの底面からさらに離隔するか、又は同一線上に位置することを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に係り、より詳しくは、2つの熱交換部が一体に形成される一体型熱交換器において、2つの熱交換部の間で温度差によって発生する熱応力を減少させ、2つの熱交換部の間で熱交換媒体の漏れが発生することを防止できる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱交換器は、特定の流路上に設けられ、その内部を循環する熱交換媒体が外気熱を吸熱するか、又は熱交換媒体の熱を外部に放熱する方式で熱交換を行う装置である。
このような熱交換器は、冷媒を熱交換媒体として用いる凝縮器及び蒸発器と、冷却水を熱交換媒体として用いるラジエータ及びヒーターコアと、エンジン及び変速器などの内部を流動するオイルを冷却するためにオイルを熱交換媒体として用いるオイルクーラなど、使用目的と用途に応じて多様に製作されている。
また、近年、自動車産業において、世界的に環境やエネルギーへの関心が高まっていることによって、燃費向上のための研究が行われている、多様な消費者のニーズを満たすために、軽量化・小型化及び高機能化のための研究開発が着々と進められている。
【0003】
しかし、自動車に用いられる熱交換器において、複数の熱交換器を別々に製作して設置すると、製造工数が多くなり生産性が低いだけでなく、材料の無駄が多く原価上昇と共に、それぞれの熱交換器を装着するための空間の確保も困難であった。そこで、これらの問題を解決するために複数の熱交換器を一体化して形成する多様な技術を開発して用いている。
これに関連する従来技術として、特許文献1に一体型熱交換器が開示されており、
図1は従来の一体型熱交換器を示す図である。
【0004】
図1に示す通り、従来の一体型熱交換器は、第1流体が流通する複数の第1チューブ11、前記第1チューブ11の間に介在された第1放熱フィン12、及び前記第1チューブ11の両端にそれぞれ結合する第1ヘッダー13からなる第1コア部10と、第2流体が流通する複数の第2チューブ21、前記第2チューブ21の間に介在された第2放熱フィン22、及び前記第2チューブ21の両端にそれぞれ結合する第2ヘッダー23からなる第2コア部20と、上下に配列される前記第1及び第2コア部10、20の第1ヘッダー12及び第2ヘッダー22に同時に結合し、前記第1及び第2流体が流動する空間を形成する単一のタンク30と、前記タンク30の内部に少なくとも1つ以上設けられ、第1流体と第2流体を分離するバッフル60とを含んでなる。このように従来の一体型熱交換器は、単一のタンク30の内部をバッフル60で区画し、2つの熱交換媒体を同時に冷凍させるようにした。
【0005】
ところで、このとき、一体型熱交換器は、温度の異なる2つの熱交換媒体がバッフル60で区画された1つのタンクの内部を循環するため、温度差によるチューブ21、22とタンク60の熱膨脹差によって、チューブ、ヘッダー及びタンクの変形が発生し、これにより熱交換媒体の漏れが発生することがある。これを解決するために、互いに離隔配置された一対のバッフル60をタンク30に設け、一対のバッフル60の間に熱遮断スロット31を形成することにより、タンク30を通じる2つの熱交換媒体の熱伝逹を減らすようにしたが、一体型熱交換器は、加熱と冷却が繰り返され、2つの熱交換部が接する部分で十分に応力を吸収することが困難であるため、依然として熱交換媒体の漏れが発生するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2007-0081635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、2つの熱交換部が一体に形成される一体型熱交換器において、2つの熱交換部の間で温度差によって発生する熱応力を減少させ、2つの熱交換部の間で熱交換媒体の漏れが発生することを防止できる熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の熱交換器は、互いに離隔配置された一対のヘッダータンク、及び前記一対のヘッダータンクに両端が接続された複数のチューブを含み、前記一対のヘッダータンクはそれぞれ、周りに沿って互いに離隔して形成される複数の折り曲げタブを含み、前記複数の折り曲げタブの間には、末端から凹状に凹んでいる複数の溝部が形成されたヘッダーと、前記ヘッダーの内側に下端部が挿入され、前記折り曲げタブが内側に折り曲げられて結合し、前記ヘッダーと結合して熱交換媒体の流動空間を形成するタンクと、を含み、前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、前記溝部よりも深さの深い第1溝部が形成されることを特徴とする。
【0009】
前記ヘッダー及びタンクのうちいずれか1つ以上に結合して内部空間を区画する少なくとも1つ以上のバッフルをさらに含み、前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記バッフルに対応する位置に前記第1溝部が形成される。
前記バッフルによってヘッダータンクの一側と他側が区画され、区画された一側と他側に流動する熱交換媒体の温度が互いに異なる。
前記バッフルは、一対で構成され、長手方向に互いに離隔配置され、前記第1溝部は、長手方向に前記一対のバッフルの間に位置している。
【0010】
前記第1溝部は、ヘッダーの幅方向両側に互いに対応する位置に形成されている。
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記第1溝部の一側又は両側に離隔して第2溝部が形成され、前記第2溝部は、前記溝部よりも深さが深く形成されている。
前記第2溝部の深さは、第1溝部の深さと同一に形成されている。
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記第1溝部の一側又は両側に離隔して第3溝部が形成され、前記第3溝部は、前記溝部よりも深さが深く形成され、前記第1溝部は、前記第3溝部よりも深さが深く形成されている。
【0011】
前記チューブの間に配置され、前記一対のヘッダータンクに両端が接続し、前記一対のバッフルの間に接続されたダミーチューブをさらに含む。
前記ダミーチューブの内部は、熱交換媒体が流動しないように形成され、前記ダミーチューブは、チューブと同一の形状に形成されている。
前記第1溝部は、ダミーチューブの両側に隣接するチューブの間に位置している。
前記第1溝部は、ダミーチューブの位置に対応する位置に形成されている。
【0012】
前記ヘッダーとタンクと一対のバッフルに対応する形状に形成され、前記ヘッダーとタンクとの間、及び一対のバッフルとヘッダーとの間に介在して密着するガスケットをさらに含んでいる。
前記ヘッダーは、縁部にガスケット安着溝が形成され、前記ガスケット安着溝にガスケットが挿入され、前記タンクは、下端に外側に突出した結合部が形成され、前記結合部がヘッダーのガスケット安着溝に挿入され、前記ガスケット安着溝と結合部との間にガスケットが押されて密着している。
【0013】
前記ガスケットは、前記ヘッダーのガスケット装着溝に対応する形状に形成された周部と、前記周部の幅方向両側に両端が接続し、前記一対のバッフルの位置に対応するように長手方向に互いに離隔配置された一対のブリッジと、を含み、前記周部がガスケット装着溝に挿入され、前記一対のブリッジは、一対のバッフルとヘッダーとの間に押されて密着している。
【0014】
前記第1溝部は、長手方向に前記一対のブリッジの間に位置している。
前記溝部の凹部の底から延びる線を溝部基準線とすると、前記溝部基準線は、タンクとガスケットとの接触面よりもヘッダーの底面からさらに離隔して配置されている。
前記第1溝部の凹部の底から延びる線を第1溝部基準線とすると、前記第1溝部基準線は、タンクとガスケットとの接触面よりもヘッダーの底面にさらに隣接して位置している。
【0015】
前記一対のヘッダータンクのそれぞれのヘッダーには、長手方向に前記第1溝部の一側又は両側に離隔して第3溝部が形成され、前記第3溝部は、前記溝部よりも深さが深く形成され、前記第1溝部は、前記第3溝部よりも深さが深く形成され、前記第3溝部の凹部の底から延びる線を第3溝部基準線とすると、前記第3溝部基準線は、タンクとガスケットとの接触面よりもヘッダーの底面からさらに離隔するか、又は同一線上に位置している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本発明の熱交換器は、2つの熱交換部が一体に形成される一体型熱交換器において、2つの熱交換部間の温度差によって発生する熱変形を容易に許容できるように形成して熱応力を減少させることで、2つの熱交換部の間で熱交換媒体の漏れが発生することを防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の第1実施形態による熱交換器を示す組立斜視図及び分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による熱交換器を示す組立斜視図及び分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による熱交換器の第1ヘッダータンク部分を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の熱交換器を図面を参考して詳しく説明する。
図2及び
図3は、本発明の熱交換器を示す組立斜視図及び分解斜視図であり、
図4は、本発明の熱交換器の第1ヘッダータンク部分を示す断面図であり、
図5及び
図6は、本発明の熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
【0019】
図示のように、本発明の熱交換器は、大きくは一対のヘッダータンク100、200及び複数のチューブ300を含んで構成されてもよく、複数のフィンをさらに含んでもよい。また、一対のヘッダータンクは、第1ヘッダータンク100と第2ヘッダータンク200で構成され、第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200はそれぞれ、ヘッダー、タンク及びバッフルを含んで構成され、ヘッダーにはそれぞれ複数の溝部及び第1溝部が形成されてもよく、一対のヘッダータンク100、200は、それぞれガスケット120、220をさらに含んで構成されてもよい。
【0020】
第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200は、互いに上下に一定距離離隔して並んで配置されてもよく、第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200のヘッダーには、複数のチューブ300の両端が挿入結合されもよい。第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200は、熱交換媒体が貯蔵及び流動する空間を形成する部分であり、複数のチューブ300は、熱交換媒体の流路を形成する部分である。また、それぞれのヘッダータンク100、200は、ヘッダー130、230とタンク110、210との結合によって形成され、ヘッダーとタンクとが互いに結合する部分には、ガスケット120、220が介在して熱交換媒体の漏れを防止するように結合してもよい。また、一対のヘッダータンクには、熱交換媒体が流入する入口パイプ、及び排出される出口パイプが形成されてもよい。
【0021】
複数のチューブ300は、それぞれ第1ヘッダータンク100のヘッダー130に一端が接続し、第2ヘッダータンク200のヘッダー230に他端が接続してもよい。また、複数のチューブ300は、互いに一定距離離隔して並んで配置されてもよい。チューブ300は、ヘッダー130、230に形成されたチューブ挿入孔に挿入された後、ロウ付けなどによって両端を固定して熱交換媒体流路を形成し、熱交換媒体が通過して熱交換を起こす部分である。このとき、ヘッダー130、230には、チューブ300の端部が挿入されるように複数のチューブ挿入孔が形成され、複数のチューブ300は、長手方向に互いに離隔して並んで配置されてもよい。
【0022】
フィン400は、チューブ300の間に介在され、フィン400は、チューブ300と接するように配置された状態でロウ付けなどによってチューブ300に結合してもよく、フィン400は、コルゲイト形状などに形成され、チューブ300を通過する熱交換媒体の放熱面積を広げることで、熱交換効率を高める役割をする。
【0023】
また、本発明による第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200は、それぞれヘッダー130、230、ガスケット120、220、タンク110、210、及び一対のバッフル111、211を含んで構成されてもよい。ここで、第1ヘッダータンク100と第2ヘッダータンク200は、それぞれのヘッダー130、230が互いに対向するように配置されてもよく、第1ヘッダータンク100と第2ヘッダータンク200は、詳細な形態を除いては互いに対称な構造で形成されてもよい。
【0024】
以下では、第1ヘッダータンク100の詳細構造を例として説明する。
タンク110は、ヘッダー130と結合して内部に熱交換媒体が貯蔵及び流動できる空間を形成する部分である。タンク110は、一側が開放された凹状の容器形状に形成され、タンク110は、開放された端部に周りに沿って結合部112が形成され、結合部112がヘッダー130のガスケット安着溝136に挿入されてもよい。
【0025】
ヘッダー130は、縁部にガスケット120が挿入配置されるようにガスケット安着溝136が形成され、ガスケット安着溝136は、ヘッダー130の全周に沿って凹状に形成されてもよい。また、ヘッダー130には、チューブ300が挿入されるチューブ挿入孔が形成されてもよい。また、ヘッダー130は、ガスケット安着溝136の外縁の端部に周りに沿って離隔し、複数の溝部131が凹状に形成されてもよい。また、溝部131の間の部分が折り曲げタブ132で形成され、折り曲げタブ132を内側に折り曲げてタンク110の結合部112を固定してもよい。
【0026】
ガスケット120は、ヘッダー130に形成されたガスケット安着溝136の形状と対応する形状に周部121が形成されてもよい。また、ガスケット120は、周部121の幅方向両側に一対のブリッジ122が接続してもよく、一対のブリッジ122は、互いに長手方向に離隔して配置されてもよい。また、ガスケット120は、周部121がヘッダー130のガスケット安着溝136に挿入配置され、ブリッジ122は、ヘッダー130に形成された1つのチューブ挿入孔を基準として両側にそれぞれ配置され、チューブ挿入孔の間にブリッジ122が配置されてもよい。ここで、ブリッジ122は、ヘッダー130の対面に置かれる。
【0027】
バッフル111は、タンク110の内部空間を区画するようにタンク110の内側に形成され、バッフル111は、ガスケット120のブリッジ122と対応する位置に形成されてもよい。すなわち、バッフル111は、一対で構成され、互いに長手方向に離隔して配置されてもよい。また、第1ヘッダータンク100に形成された一対のバッフル111の位置と第2ヘッダータンク200に形成された一対のバッフル211の位置は、長手方向に互いに同一の位置に形成されてもよい。
【0028】
これによって、ヘッダー130にガスケット120を結合した状態でタンク110の結合部112がヘッダー130のガスケット安着溝136に挿入されるように結合し、ヘッダー130とタンク110を加圧した状態でガスケット安着溝136の外側で上側に延長形成された形状の折り曲げタブ132をタンク110の方に向かって折り曲げることで、ヘッダー130とタンク110とガスケット120とを結合することができる。このとき、ガスケット120の周部121がヘッダー130とタンク110によって押されて密着し、ガスケット120のブリッジ122がヘッダー130とバッフル111によって押されて密着した状態で結合することができる。
【0029】
これによって、一対のバッフル111、211によって第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200の内部空間がそれぞれ区画され、一対のバッフル111、211が形成された位置を基準として、長手方向の左側には第1熱交換部1001が形成され、右側には第2熱交換部1002が形成されてもよい。また、第1熱交換部1001と第2熱交換部1002には、それぞれ入口パイプと出口パイプが形成され、第1熱交換部1001の内部と第2熱交換部1002の内部に互いに異なる熱交換媒体が流動してもよい。また、熱交換媒体は冷却水であり、本発明の熱交換器はラジエータであり、互いに温度の異なる低温及び高温の熱交換媒体がバッフルによって区画された一側と他側にそれぞれ流動する一体型ラジエータであってもよい。
【0030】
ここで、第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200のそれぞれのヘッダー130、230には、長手方向に一対のバッフル111、211の間に対応する位置に、溝部131よりも深さの深い第1溝部133が形成されてもよい。第1ヘッダータンク100を例として説明すると、長手方向に一対のバッフル111の間の位置は、第1熱交換部1001と第2熱交換部1002とが互いに接する部分であり、この部分では両側の熱交換部の温度差によって両側の熱交換部に位置するチューブ300の熱膨脹による長さ変化が異なるため、ヘッダーに熱変形が発生することになる。このとき、本発明は、ヘッダー130に形成された第1溝部133により、ヘッダー130の熱変形を容易に許容する構造となるため、ヘッダータンクの第1熱交換部1001と第2熱交換部1002との間の位置で、ヘッダー130及びこの部分に隣接するチューブ300とヘッダー130との結合部分に発生する熱応力を減らすことができる。したがって、両側の熱交換部の温度差によって発生する熱応力によるヘッダー、ヘッダーとチューブとの結合部分の破損を防止でき、これによって一体型熱交換器の信頼性を向上させることができる。
【0031】
本発明の熱交換器は、ダミーチューブ310をさらに含んで構成されてもよい。ダミーチューブ310は、長手方向に一対のバッフル111、211の間の位置に配置されてもよく、ダミーチューブ310は、チューブ300と同様に第1ヘッダータンク100及び第2ヘッダータンク200に両端が接続された形態に結合されてもよい。ここで、ダミーチューブ310は、内部が空いており、内部に熱交換媒体が流動せず、ダミーチューブ310は、第1熱交換部1001と第2熱交換部1002との間の熱伝逹を遮断する役割をすることができる。また、ダミーチューブ310は、一例として、チューブ300と同一の形状に形成され、チューブ300とダミーチューブ310とを共用で容易に用いることができる。また、ダミーチューブ310の両側に隣接するチューブ300の間の位置に第1溝部133が形成されてもよく、望ましくは、長手方向にダミーチューブ310に対応する位置に第1溝部133が形成されてもよい。
、第1溝部133は、ヘッダー130の幅方向両側に互いに対応する位置に形成され、より容易にヘッダー130が熱変形を許容可能とする。
【0032】
図7及び
図8は、本発明の第2実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
図示のように、本発明の第2実施形態による熱交換器の一対のヘッダータンク100、200は、それぞれのヘッダーに第2溝部134がさらに形成されてもよい。
一例として、第1ヘッダータンク100のヘッダー130には、長手方向に第1溝部133の一側又は両側に離隔して第2溝部134が形成され、第2溝部134は、溝部131よりも深さが深く形成されてもよい。すなわち、第1溝部133に隣接して第2溝部134がさらに形成されるものである。このとき、第2溝部134の深さは、第1溝部133と同一に形成されてもよい。
また、第1溝部133が形成された部分を基準として、長手方向の外側に向かって分散させて熱変形を許容するように(熱応力を減少させるように)することで、ヘッダー及びヘッダーとチューブとの結合部分の破損をさらに効果的に防止することができる。
【0033】
図9及び
図10は、本発明の第3実施形態による熱交換器のヘッダーの一部を示す斜視図及び正面図である。
図示のように、本発明の第3実施形態による熱交換器の一対のヘッダータンク100、200は、それぞれのヘッダーに第3溝部135がさらに形成されてもよい。一例として、第1ヘッダータンク100のヘッダー130には、長手方向に第1溝部133の一側又は両側に離隔して第3溝部135が形成され、第3溝部135は、溝部131よりも深さが深く形成されてもよい。すなわち、第1溝部133に隣接して第3溝部135がさらに形成されるものである。このとき、第3溝部135の深さは、第1溝部133よりは深さが浅く形成されてもよい。言い換えると、第1溝部133の深さが最も深く形成され、第1溝部133を基準として長手方向の外側に深さのより薄い第3溝部135が形成され、次いで第3溝部135よりも深さのより薄い溝部131が形成された形状に配置されてもよい。
【0034】
これによって、第1溝部133が形成された部分を基準として、長手方向の外側に向かって分散させて段階的に熱変形を許容するように(熱応力を減少させるように)することで、ヘッダー及びヘッダーとチューブとの結合部分の破損をさらに効果的に防止することができる。
また、第1溝部133は、長手方向に一対のブリッジ122の間に位置してもよい。また、溝部131の凹部の底から延びる線を溝部基準線とすると、溝部基準線は、タンク110とガスケット120との接触面の延長線Lよりもヘッダー130の底面からさらに離隔して配置されてもよい。また、第1溝部133の凹部の底から延びる線を第1溝部基準線とすると、第1溝部基準線は、タンク110とガスケット120との接触面の延長線Lよりもヘッダー130の底面にさらに隣接して位置してもよい。また、第3溝部135の凹部の底から延びる線を第3溝部基準線とすると、第3溝部基準線は、タンク110とガスケット120との接触面の延長線Lよりもヘッダー130の底面からさらに離隔するか、又は同一線上に位置してもよい。すなわち、一般に、溝部131は、ガスケット120が見えない深さに形成されなければリークを防止できないが、第1溝部133は、ガスケット120が見えても、熱交換媒体が流れないダミーチューブ310に隣接する位置に配置された場合には熱交換媒体のリークが発生する余地がない。したがって、その分だけ第1溝部133の深さを深く形成することができる。しかし、必ずしもガスケット120が見えるように第1溝部133の深さを形成しなければならないのではなく、第1溝部133の形成深さは、タンク110の結合部112及びガスケット120とは関係なく自由に形成することができる。
【0035】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、適用範囲が多様であり、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば多様な変形実施が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0036】
100:第1ヘッダータンク
110:タンク
111:バッフル
112:結合部
120:ガスケット
121:周部
122:ブリッジ
130:ヘッダー
131:溝部
132:折り曲げタブ
133:第1溝部
134:第2溝部
135:第3溝部
136:ガスケット安着溝
200:第2ヘッダータンク
210:タンク
211:バッフル
220:ガスケット
221:周部
222:ブリッジ
230:ヘッダー
300:チューブ
310:ダミーチューブ
400:フィン
1001:第1熱交換部
1002:第2熱交換部
【国際調査報告】