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特表2024-538201分散型音響センシングを用いた降雨強度推定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】分散型音響センシングを用いた降雨強度推定
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
G01H9/00 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523625
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 US2022047211
(87)【国際公開番号】W WO2023069576
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,659
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/969,673
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ディン、 ヤンミン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ティン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン、 ユエ
(72)【発明者】
【氏名】オズハラー、 サーパー
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB24
2G064BC12
2G064BC33
2G064CC29
2G064CC41
2G064CC61
(57)【要約】
本開示の態様は、光ファイバセンサーの全長に沿って降雨強度測定を有利に提供する分散型光ファイバセンシング/分散型音響センシング(DFOS/DAS)システム、方法、および構造を記載する。ライブ電気通信トラフィックを同時に伝送することができる既存の電気通信光ファイバ(マルチファイバ、光ファイバケーブルの一部であってもよい)を使用する。DFOS/DAS光ファイバセンシングは、振動データまたは音響データを取得するために使用され、このデータから、DFOS/DAS光ファイバセンサーの全長に沿って降雨強度測定を行うことができる。
【選択図】図1(A)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型光ファイバセンシング/分散型音響センシング(DFOS/DAS)を用いた降雨強度推定方法であって、
光センサーファイバと、
前記光センサーファイバと光通信するDFOS/DASインタロゲータであって、光パルスを生成し、前記生成されたパルスを前記光センサーファイバに取り込み、前記光センサーファイバから後方散乱信号を受信するように構成されたDFOS/DASインタロゲータと、
前記DFOS/DASインタロゲータによって受信されたDFOS/DASセンシングデータを分析し、前記後方散乱信号から、前記光センサーファイバに沿った1つ以上の地点で発生する音響/振動活動を決定するように構成されたインテリジェントアナライザと、
を含むDFOS/DASシステムを設けること、
前記DFOS/DASシステムを作動させ、一定期間にわたって光ファイバセンサーケーブルに沿った1つ以上の地点から雨滴誘起の音響/振動データを収集/分析すること、
前記収集された音響/振動データから前記光ファイバセンサーケーブルに沿った前記1つ以上の地点での降雨強度を決定すること、を含む方法。
【請求項2】
前記決定された降雨強度を雨量計による降雨強度決定と比較することによって前記降雨強度を較正することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最大周波数値分析を使用して前記DFOS/DASセンシングデータに対して周波数領域分析を実行し、前記雨滴誘起の音響/振動活動の最大周波数値を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定された最大周波数値から降雨強度の予測モデルを構築することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記雨滴誘起の音響振動活動の各周波数成分に対して相対累積周波数分析を実行し、各周波数成分の電力スペクトルを合計して累積周波数を生成し、前記累積周波数および降雨強度の間の相関関係を決定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記累積周波数および降雨強度の間の前記相関関係から降雨強度のカテゴリーを決定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
降雨強度と降雨持続時間と再現期間との間の関係を記述する強度-持続時間-周波数関係を決定することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
位置および降雨強度の指標を含む地図を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光ファイバセンサーケーブルは、その長さに沿って1つ以上のファイバループを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のファイバループは、分散型音響センシング(DAS)データが生成される位置を定義し、非ループ型光ファイバセンサーケーブルは、分散型振動センシング(DVS)データが生成される位置を定義する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、分散型光ファイバセンシング(DFOS)システム、方法、及び構造に関する。より具体的には、分散型音響センシング(DAS)を用いた降雨強度推定に関する。
【背景技術】
【0002】
降雨データの歴史的および統計的評価は、下水道や雨水システムの建設、ならびに排水路やポンプ場の排水能力の決定を含む水資源の計画と管理において重要な考慮事項である。より具体的には、降雨データは洪水対策において重要な役割を果たし、人命や財産の損失を軽減する。
【0003】
理解されるように、降雨強度は時間と場所の両方によって変化するため、決定的に測定することは非常に困難である。従来、降雨強度は、2つの方法の1つ、すなわち、一定期間にわたって標準雨量計で雨水を収集し、収集した雨水の量/高さ(インチ、mmなど)を雨強度の関数として測定する方法で測定される。もう1つのより洗練された方法は、降雨によるミリ波信号およびマイクロ波信号の吸収を測定し、例えばmm/hr単位で降雨強度の測定値を生成することである。
【0004】
しかしながら、前述のように、このような方法では、単一の場所における降雨量の測定値しか得られず、周囲の測定されていない地域の降雨強度を決定することは通常不可能である。
【発明の概要】
【0005】
当該技術の進歩は、光ファイバセンサーの全長に沿って降雨強度測定を有利に提供する分散型光ファイバセンシング/分散型音響センシング(DFOS/DAS)システム、方法、および構造に関する本開示の態様によって達成される。
【0006】
従来技術とは対照的に、本開示の態様によるシステムおよび方法は、ライブ電気通信トラフィックを同時に伝送することができる既存の電気通信光ファイバ(マルチファイバ、光ファイバケーブルの一部であってもよい)を使用してそのような降雨強度測定を提供する。
【0007】
本発明の一態様によれば、DFOS/DAS光ファイバセンシングは、振動データまたは音響データを取得するために使用され、このデータから、DFOS/DAS光ファイバセンサーの全長に沿って降雨強度測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のより完全な理解は、添付図面を参照することによって実現され得る。
【0009】
図1(A)】本開示の態様に係るDFOSシステムを示す概略図である。
【0010】
図1(B)】本開示の態様による帯域外信号生成を備えた符号化定振幅DFOSシステムを示す概略図である。
【0011】
図2】本開示の態様による分散型音響センシングを用いた降雨強度推定を示す概略図である。
【0012】
図3】本発明の態様による降雨イベントのDFOS/DASの動作を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、単に本開示の原理を例示するものである。したがって、当業者は本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。
【0014】
さらに、本明細書に記載されているすべての実施例および条件付き用語は、本開示の原理および技術を促進するために発明者によって寄与された概念を読者が理解するのを助けるための教育目的のためだけのものであることを意図しており、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないと解釈されるべきである。
【0015】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態を記載する本明細書のすべての記述、ならびにその具体例は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図している。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物と、将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行する開発された要素との両方を含むことが意図されている。
【0016】
したがって、たとえば、本明細書の任意のブロック図が、本開示の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことは、当業者には理解されるであろう。
【0017】
本明細書で特に明記しない限り、図面を構成する図は、縮尺通りに描かれていない。
【0018】
追加の背景として、分散型光ファイバセンシング(DFOS)は、インタロゲータに順番に接続された光ファイバケーブルに沿って任意の場所で環境条件(温度、振動、音響励起振動、伸縮レベルなど)を検出するために重要で広く使用されている技術であることに注目することから始める。知られているように、現代のインタロゲータは、ファイバへの入力信号を生成し、反射/散乱され、その後受信された信号を検出/分析するシステムである。信号が分析され、ファイバに沿って遭遇する環境条件を示す出力が生成される。このように受信された信号は、ラマン後方散乱、レイリー後方散乱、ブリリオン後方散乱などのファイバ内の反射に起因する可能性がある。DFOSは、複数のモードの速度差を利用した順方向の信号を使用することもできる。一般性を失うことなく、以下の説明では反射信号を想定しているが、同じアプローチを転送信号にも同様に適用できる。
【0019】
図1(A)は、一般化された従来技術のDFOSシステムの概略図である。理解されるように、現代のDFOSシステムは、光パルス(または任意の符号化信号)を周期的に生成し、それらを光ファイバに注入するインタロゲータを含む。注入された光パルス信号は、光ファイバに沿って伝送される。
【0020】
ファイバに沿った位置では、信号のごく一部が反射され、インタロゲータに戻される。反射信号は、例えば、機械的振動を示す電力レベルの変化など、インタロゲータが検出するために使用する情報を伝送する。詳細には示されていないが、インタロゲータは、図1(B)に示すような当技術分野で知られているコヒーレント受信機構成を採用することができる符号化DFOSシステムを含むことができる。
【0021】
反射信号は電気領域に変換され、インタロゲータ内で処理される。パルス注入時間と信号が検出された時間に基づいて、インタロゲータは信号がファイバ上のどの位置から来ているかを判断し、ファイバ上の各位置の行動を感知することができる。
【0022】
当業者であれば、質問信号に信号符号化を実装することにより、より多くの光パワーをファイバに送信することができ、これにより、レイリー散乱ベースのシステム(例えば、分散型音響センシング、すなわちDAS)及びブリルアン散乱ベースのシステム(例えば、ブリルアン光時間領域反射率測定法、すなわちBOTDR)の信号対雑音比(SNR)を有利に改善できることが理解し、認識するであろう。
【0023】
現在多くの現代的な実装で実装されているように、専用ファイバは光ファイバケーブルのDFOSシステムに割り当てられており、異なるファイバで伝送される既存の光通信信号とは物理的に分離されている。しかし、爆発的に増大する帯域幅需要を考慮すると、DFOS運用のみを目的として光ファイバを経済的に運用および維持することは非常に困難になってきている。その結果、より大きなマルチファイバケーブルの一部である共通のファイバ上に通信システムと検知システムを統合することへの関心が高まっている。
【0024】
動作上、DFOSシステムは、符号化実装を備えたレイリー散乱ベースのシステム(例えば、分散型音響センシング、すなわちDAS)およびブリルアン散乱ベースのシステム(例えば、ブリルアン光時間領域反射率測定法、すなわちBOTDR)であると仮定する。このような符号化設計では、これらのシステムは、動作電力が低いため、ファイバ通信システムと統合される可能性が高く、光増幅器の応答時間の影響も大きくなる。
【0025】
ブロック図に例示的に示した配置では、符号化された質問シーケンスがデジタル的に生成され、デジタル/アナログ変換(DAC)および光変調器を介してセンシングレーザーに変調されると仮定する。変調された質問シーケンスは、質問のためにファイバに送られる前に、最適な動作電力に増幅される場合がある。
【0026】
有利なことに、DFOS動作は、同じファイバ内のWDMを介した通信チャネルとともに統合することもできる。センシングファイバ内では、質問シーケンスと返されたセンシング信号は、離散的(EDFA/SOA)方法または分散的(ラマン)方法のいずれかによって光学的に増幅することができる。返されたセンシング信号は、増幅および光バンドパスフィルタリングの後、コヒーレント受信機に送られる。コヒーレント受信機は、信号の両偏波で光場を検出し、アナログ/デジタル変換(ADC)サンプリングとデジタル信号プロセッサ(DSP)処理のために4つのベースバンドレーンにダウンコンバートする。当業者であれば容易に理解し認識するように、符号化動作は、DSPで実行されてファイバのレイリー応答またはブリルアン応答を生成し、応答の変化が識別され、センサーの読み取り値として解釈される。
【0027】
図を引き続き参照すると、符号化された質問シーケンスはデジタルで生成されるため、帯域外信号もデジタルで生成され、その後、DACによって波形が作成される前に符号シーケンスと合成される。デジタルで一緒に生成される場合、帯域外信号は符号シーケンスの時間期間外でのみ生成されるため、一緒に加算すると、合成された波形の振幅は一定になる。
【0028】
当業者には理解され認識されるように、DFOS/DASシステムは、可聴周波数範囲の音響振動を検出し、記録し、聴取することが示されている。ただし、感度を制限する要因の1つは、センサーとして使用される光ファイバケーブルの物理的なレイアウトである。
【0029】
屋外用途の場合、通信グレードの太い光ファイバケーブルは、可聴範囲の低振幅の振動に対して物理的にあまり反応しない。したがって、音響信号の品質は、ファイバの種類、レイアウト、および音響圧力波がどのようにファイバケーブルに結合されるかに大きく依存する。
【0030】
容易に理解されるように、光ファイバケーブルは都市部と農村部の両方で広く配備されており、より広い帯域幅、伝送距離、および信頼性を有利に提供する。
本開示の態様によれば、光ファイバセンサーケーブルに当たる雨滴によって生じる機械的振動は、ファイバ内の散乱に影響を及ぼすため、動作中のDFOS/DASインタロゲータによって検出され、分析される。このようなDFOS/DASデータはリアルタイムで処理されるため、高度なアルゴリズムが光ファイバセンサーケーブルの全長(経路)に沿って各種の降雨イベントの固有の特徴を認識し、リアルタイムの降雨強度の推定とマッピングが可能になる。
【0031】
図2は、本発明の態様による分散型音響センシングを用いた降雨強度推定を示す概略図である。この図に示すように、DFOS/DASインタロゲータは、電柱から吊り下げられた既存の通信ケーブルであってもよい光ファイバセンサーケーブルと光通信している。図にさらに示すように、このような光ファイバ通信ケーブルの設置には、同様に電柱から吊り下げられた1つ以上のファイバコイルループを含むことができる。
【0032】
さらに、図には、光ファイバセンサーケーブル(通信ケーブル)と光通信しているDFOS/DASインタロゲータが示されており、このケーブルは、前述のように、その経路に沿って電柱から吊り下げられていることが示されている。嵐雲は雨を示し、図に示すように、落下する雨滴が光ファイバセンサーケーブルに接触して、DASの動作によって検出可能な音響振動を生成する。
【0033】
当業者には明らかなように、雨の強度を測定する本発明のDAS手法は、DASを介してリアルタイムの雨音および振動データを使用する。この技術を使用すると、既存のキロメートル長の通信用光ファイバは、外部電源やポイントセンサー、データ転送や制御のための通信チャネルを必要とせずに、数千個の個別センサーとして機能できるようになる。ファイバ経路全体にわたる雨の強度の観測は、ファイバの一端から極めて高い精度と感度で実行できるという利点がある。
【0034】
雨の強度を推定するために、インタロゲータに含むことができるアナライザが、フーリエ変換を使用してDASから得られた雨音および振動データの周波数特性を分析する。スペクトルの最大周波数と累積相対周波数(cumulative relative frequency)が決定され、これが雨の強度の指標となる。
【0035】
Marshall-Palmer雨滴粒度分布式およびBest方程式によれば、
【数1】
【数2】
【数3】
であり、
【0036】
ここで、N(D)はMarshall-Palmer分布、Rは降雨強度mm/h、Dは雨滴の粒径、Vは大気中を落下する水滴の終端速度、N0、A0、β、nは定数パラメータであり、それらの値は表1に示されている。
【表1】
【0037】
ここで示したMarshall-Palmer分布関係は、特定の粒度の雨滴の数を記述する。雨の強度が増すにつれて、単位体積あたりに存在する雨滴の数が増加することが分かる。したがって、ケーブルに落ちる雨滴の平均着弾時間間隔は、雨の強度が増すにつれて短くなり、雨音の周波数が高くなる。
【0038】
決定された降雨データから、本発明のシステムは、光ファイバセンサーケーブルに沿った複数の場所で、所定の期間(例えば、30分または1時間)に降った雨量を示すグラフィカルな降雨マップを有利に作成することができる。すべてのファイバ経路で収集された強度データを合成することで、都市/郡/州/国全体の降雨マップを得ることができる。
【0039】
図3は、本発明の態様による降雨イベントのDFOS/DASの動作を示す概略フロー図である。この図を参照して、本開示の態様による全体的な降雨強度決定について説明する。
【0040】
ステップ1-データ収集と較正
【0041】
このステップでは、DASインタロゲータが光ファイバセンサーケーブル経路に設けられ、接続される。雨が降っている間に作動させると、リアルタイムの雨滴誘起の振動データが収集され、フィルタリング、正規化、しきい値処理によって生の信号のノイズが除去される。電柱に取り付けられた物理的な雨量計は、雨を収集すると同時に強度データを生成することができ、較正器として機能することができる。有利なことに、雨音は電柱に配置されたファイバセンサーコイルから取得でき、振動データはユーザーが指定した空間分解能で光ファイバセンサーケーブルから取得できる。
【0042】
ステップ2-周波数領域分析
【0043】
最大周波数値分析
【0044】
DASからの前処理データは、周波数領域での特徴抽出に使用される。得られた周波数成分に移動平均窓を適用し、周波数特性を平滑化する。最大電力スペクトル値における最大周波数が計算される。2つの電柱間のスパンに基づいて、光ファイバセンサーケーブルは複数のセグメントに「分割」され、その結果、最大周波数を平均化することができる。
【0045】
雨音や振動の最大周波数値に基づいて、降雨強度を予測するモデルを構築することができる。
【0046】
相対累積周波数分析
【0047】
このステップでは、各周波数成分の電力スペクトルを加算して累積周波数を算出し、一方、相対累積周波数を表す曲線の形状から降雨強度を得ることができる。同様に、2つの電柱間のスパンに基づいて、ケーブルをいくつかのセグメントに分割し、累積周波数を平均化することができる。
【0048】
累積周波数と雨強度との相関関係の判定を行う。
【0049】
ステップ3-雨強度のカテゴリーの決定
【0050】
日本の気象庁が公表している降雨カテゴリーのガイドラインに基づき、雨強度は表2に示すように5つのカテゴリーに分類することができる。
【0051】
まず、ステップ2の周波数領域分析で得られた最大周波数に基づいて、雨強度を大まかに推定することができる。次に、累積周波数と雨強度の相関関係を使用して、各カテゴリ内の推定値を絞り込むことができる。
【表2】
【0052】
ステップ4-強度-持続時間-周波数(IDF)曲線の決定
【0053】
強度-持続時間-周波数(IDF)曲線は、降雨強度、降雨持続時間、および再現期間(return period)の関係を表し、インフラ設計や水資源管理で広く使用されている。IDF曲線を導出するための主な手順は、次のように決定される。
【0054】
第1に、年間最大値分析(annual maximum analysis)により、指定された期間の極端な降雨強度を取得する。
【0055】
第2に、各期間の極端な降雨強度の時系列を、一般化極値、ピアソンIIIなどの理論分布関数に適合させる。
【0056】
第3に、選択された分布関数に基づいて、各期間および再現期間の降雨強度を計算する。
【0057】
第4に、回帰法を用いて、Talbot、Sherman、Bernardなどの経験的方程式に基づいてIDF曲線を構築する。
【0058】
ここまで、いくつかの具体的な例を用いて本開示を提示してきたが、当業者であれば、本発明の教示がそれに限定されないことを認識するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
図1(A)】
図1(B)】
図2
図3
【国際調査報告】