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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】弁および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/04 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
F16K24/04 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523778
(86)(22)【出願日】2021-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 CN2021124969
(87)【国際公開番号】W WO2023065148
(87)【国際公開日】2023-04-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】杜 ▲歓▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 平
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲暁▼▲軍▼
【テーマコード(参考)】
3H055
【Fターム(参考)】
3H055AA11
3H055BA17
3H055CC20
3H055GG02
3H055HH07
(57)【要約】
弁および電子デバイスが提供される。電子デバイスは、ハウジングを含む。ハウジングは、内部に電子構成要素を有するように構成され、弁は、ハウジングに配置される。弁は、弁本体であって、弁本体は流路を具備し、流路は、弁本体が取り付けられたハウジングの内側と外側とを接続する、弁本体と、ボルト本体であって、ボルト本体は、流路を閉じるように弁本体に配置され、内側と外側との圧力差が閾値よりも大きいとき、ボルト本体は流路を開く、ボルト本体とを含む。このようにして、内側と外側との圧力差が小さいとき、外側の水蒸気が内側に進入することが防止されるように、ボルト本体は流路を閉じ得る。また、内側と外側との圧力差が閾値よりも大きいとき、ボルト本体は流路を開き得、これにより、内側と外側との圧力差が均衡されることができ、内側と外側との過度に大きな圧力差によって生じる悪影響が回避されることができ、内側と外側との圧力差が閾値未満に低減されたとき、ボルト本体は流路を閉じ得、これにより、外側の水蒸気が内側に進入することが防止される。したがって、内側の水蒸気含有量が低減され、結露の可能性が低減され、電子構成要素への水蒸気および結露の影響が低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁であって、
弁本体(510)であって、前記弁本体(510)は流路(511)を具備し、前記流路(511)は、前記弁本体(510)が取り付けられたハウジング(410)の内側と外側とを接続する、弁本体(510)と、
ボルト本体(550)であって、前記ボルト本体(550)は、前記流路(511)を閉じるように前記弁本体(510)に配置され、前記内側と前記外側との圧力差が閾値よりも大きい場合に、前記ボルト本体(550)は前記流路(511)を開く、ボルト本体(550)と
を備える弁。
【請求項2】
前記流路(511)は、第1の流路(511a)および第2の流路(511b)を備え、
前記ボルト本体(550)は、
第1の弁フィルム(551)であって、前記第1の弁フィルム(551)は前記第1の流路(511a)を閉じ、前記内側の圧力が前記外側の圧力よりも大きく、前記圧力差が第1の圧力差閾値よりも大きい場合に、前記第1の弁フィルム(551)は、前記第1の流路(511a)を開くように変形する、第1の弁フィルム(551)と、
第2の弁フィルム(552)であって、前記第2の弁フィルム(552)は前記第2の流路(511b)を閉じ、前記外側の圧力が前記内側の圧力よりも大きく、前記圧力差が第2の圧力差閾値よりも大きい場合に、前記第2の弁フィルム(552)は、前記第2の流路(511b)を開くように変形する、第2の弁フィルム(552)と
を備える、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記ボルト本体(550)は、
隔離部(553)であって、前記隔離部(553)は、前記流路(511)を前記第1の流路(511a)と前記第2の流路(511b)とに分割する、隔離部(553)
をさらに備える、請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記第1の弁フィルム(551)は第1の傾斜部(551a)を具備し、前記第1の傾斜部(551a)は、前記流路(511)の内面を押圧し、前記第1の傾斜部(551a)は、前記第1の傾斜部(551a)と前記第1の傾斜部(551a)の周縁側とのより短い距離が前記第1の傾斜部(551a)と前記外側とのより短い距離を示す形状になるように設定され、前記第2の弁フィルム(552)は第2の傾斜部(552a)を具備し、前記第2の傾斜部(552a)は、前記流路(511)の前記内面を押圧し、前記第2の傾斜部(552a)は、前記第2の傾斜部(552a)と前記第2の傾斜部(552a)の周縁側とのより短い距離が前記第2の傾斜部(552a)と前記内側とのより短い距離を示す形状になるように設定される、
請求項2または3に記載の弁。
【請求項5】
前記第1の傾斜部(551a)と前記第2の傾斜部(552a)とが同じ距離だけ前記周縁側に延びている場合に、前記第1の傾斜部(551a)と前記外側との距離は、前記第2の傾斜部(552a)と前記内側との距離よりも小さい、請求項4に記載の弁。
【請求項6】
前記ボルト本体(550)は本体部(554)を備え、前記本体部(554)には、第1の通気孔(555)および第2の通気孔(556)が形成され、前記第1の弁フィルム(551)は、前記第1の通気孔(555)の外側を覆い、前記第2の弁フィルム(552)は、前記第2の通気孔(556)の内側を覆う、
請求項1から5のいずれか一項に記載の弁。
【請求項7】
複数の前記第1の弁フィルム(551)および複数の前記第2の弁フィルム(552)があり、前記複数の第1の弁フィルム(551)は、前記第1の通気孔(555)と接触し、前記第1の通気孔(555)を覆うように互いに傾斜し、前記外側に向けて凸状に形作られ、前記複数の第2の弁フィルム(552)は、前記第2の通気孔(556)と接触し、前記第2の通気孔(556)を覆うように互いに傾斜し、前記内側に向けて凸状に形作られる、
請求項6に記載の弁。
【請求項8】
前記第1の弁フィルム(551)の厚さは、前記第2の弁フィルム(552)の厚さよりも小さい、
請求項2から7のいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
前記第1の弁フィルム(551)および前記第2の弁フィルム(552)が前記流路を閉じている場合に、前記第1の弁フィルム(551)に作用する第1の反発力は、前記第2の弁フィルム(552)に作用する第2の反発力よりも小さい、
請求項2から8のいずれか一項に記載の弁。
【請求項10】
前記第1の弁フィルム(551)または前記第2の弁フィルム(552)は、シリカゲル、エチレンプロピレンジエンモノマー、プラスチック、または金属で作製される、
請求項2から9のいずれか一項に記載の弁。
【請求項11】
前記第1の圧力差閾値および前記第2の圧力差閾値は、10Paよりも大きい、
請求項1から10のいずれか一項に記載の弁。
【請求項12】
シールリング(540)であって、前記シールリング(540)は、前記弁本体(510)の外側にスリーブ付けされる、シールリング(540)と、
前記シールリング(540)と前記ボルト本体(550)とを接続する接続部(560)と
をさらに備え、
前記接続部(560)が通過するための切欠き(515)が、前記流路(511)の側壁に配置される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の弁。
【請求項13】
防水ガス透過膜(520)であって、前記防水ガス透過膜(520)は、前記流路(511)上に配置される、防水ガス透過膜(520)
をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の弁。
【請求項14】
電子デバイスであって、
ハウジング(410)であって、前記ハウジング(410)は、内部に電子構成要素を有するように構成される、ハウジング(410)と、
弁であって、前記弁は、前記ハウジング(410)に配置され、前記弁は、請求項1から13のいずれか一項に記載の弁である、弁と
を備える電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電子デバイス技術の分野に関し、特に、弁および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送の手段として、ビークルは複数の複雑な環境で正常に動作できる必要がある。多数のビークル搭載電子構成要素がビークル内に配置されるため、ビークルの正常な運転を保証するために、ビークル搭載電子構成要素は、異なる環境で正常に動作することが求められる。ビークル技術の継続的な発展に伴い、ビークルの機能はますます豊富で強力になっており、それに応じてビークル内のビークル搭載電子構成要素の数も増加している。したがって、ビークル搭載電子構成要素の適応性に対してより高い要件が課されている。
【0003】
例えば、一部の雨の多い地域では、空気の湿度が高いため、ビークルが、春、秋、もしくは冬のような日中の気温が高い季節に使用されるとき、またはビークルが、トンネルもしくは車庫のような短時間の気温変化が激しいシナリオで使用されるとき、ビークル搭載電子構成要素を搭載したモジュール内部の空気の絶対湿度(すなわち、各立方メートルの湿った空気中の水蒸気の質)が飽和点を超え、モジュール内部の水蒸気が凝縮して水滴を形成し、結露をもたらす。結露時に発生した水滴が、チップまたは構成要素のピン、配線はんだ接合部、または信号出力はんだ接合部のような位置に付着した場合、ピンまたははんだ接合部が腐食し得る。結果として、絶縁性能および耐電圧性能が低下し得る。これは、最終的に絶縁性能を損なうか、または短絡および基板の焼損などのリスクをも引き起こす。
【0004】
また、高湿度のシナリオでは、結露は、ビークル搭載電子構成要素の腐食または短絡を直接引き起こし、湿度もビークル搭載電子構成要素の寿命に影響を及ぼす。ビークル搭載電子構成要素が配される環境のより高い相対湿度は、ビークル搭載電子構成要素のより短い推定寿命を示す。したがって、ビークル搭載電子構成要素が配される微小環境の相対湿度が低いレベルに維持されることで、ビークル搭載電子構成要素の寿命は効果的に延長されることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、内側と外側との圧力差が過度に大きいときに内側と外側との圧力差を均衡させ、結露の可能性を低減し、電子構成要素への水蒸気および結露の影響を低減するために弁および電子デバイスを提供する。
【0006】
本出願の第1の態様によれば、弁が提供される。弁は、弁本体であって、弁本体は流路を具備し、流路は、弁本体が取り付けられたハウジングの内側と外側とを接続する、弁本体と、ボルト本体であって、ボルト本体は、流路を閉じるように弁本体に配置され、内側と外側との圧力差が閾値よりも大きいとき、ボルト本体は流路を開く、ボルト本体とを含む。
【0007】
このようにして、通常の場合、具体的には、内側と外側との圧力差が小さいとき、外側の水蒸気が内側に進入することが防止されるように、ボルト本体は流路を閉じ得る。内側の水蒸気含有量の増加が回避され、結露の可能性が低減され、電子構成要素への水蒸気および結露の影響が低減される。また、内側と外側との圧力差が閾値よりも大きいとき、ボルト本体は流路を開き得、これにより、内側と外側との圧力差は均衡されることができ、内側と外側との過度に大きな圧力差によって生じる構造的な呼吸疲労のリスクが回避されることができる。
【0008】
第1の態様の可能な実施態様では、ボルト本体は、第1の弁フィルムであって、内側の圧力が外側の圧力よりも大きく、圧力差が第1の圧力差閾値よりも大きいとき、第1の弁フィルムは、流路を開くように変形する、第1の弁フィルムと、第2の弁フィルムであって、外側の圧力が内側の圧力よりも大きく、圧力差が第2の圧力差閾値よりも大きいとき、第2の弁フィルムは、流路を開くように変形する、第2の弁フィルムとを含む。
【0009】
このようにして、第1の弁フィルムは、空気を外側に排出し、内側と外側との圧力差を均衡させるために、第1の圧力差閾値に達したときに開かれるように流路を制御し得、第2の弁フィルムは、内側に空気を吸入し、内側と外側との圧力差を均衡させるために、第2の圧力差閾値に達したときに開かれるように流路を制御し得る。このようにして、空気は、要件に従って異なる圧力差閾値の下で排出および吸入されることができ、これにより、弁は、より多くのシナリオに適用されることができる。
【0010】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の圧力差閾値は第2の圧力差閾値よりも大きい。
【0011】
このようにして、弁は、内側の空気をより容易に排出することができ、これにより、内側の水蒸気含有量が低減され、内側の結露の可能性が低減される。
【0012】
第1の態様の可能な実施態様では、流路は、第1の流路および第2の流路を含む。ボルト本体は、第1の弁フィルムであって、第1の弁フィルムは第1の流路を閉じ、内側の圧力が外側の圧力よりも大きく、圧力差が第1の圧力差閾値よりも大きいとき、第1の弁フィルムは、第1の流路を開くように変形する、第1の弁フィルムと、第2の弁フィルムであって、第2の弁フィルムは第2の流路を閉じ、外側の圧力が内側の圧力よりも大きく、圧力差が第2の圧力差閾値よりも大きいとき、第2の弁フィルムは、第2の流路を開くように変形する、第2の弁フィルムとを含む。
【0013】
このようにして、第1の流路および第2の流路の開閉は、空気吸入および空気排出の差別化された制御を実施するために、第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムによって別々に制御され得、これにより、弁は、より多くのシナリオに適用されることができる。具体的には、内側の圧力が外側の圧力よりも大きく、圧力差が第1の圧力差閾値よりも大きいとき、第1の弁フィルムは、空気を外側に排出するために第1の流路を開き、外側の圧力が内側の圧力よりも大きく、圧力差が第2の圧力差閾値よりも大きいとき、第2の弁フィルムは、内側に空気を吸入するために第2の流路を開く。
【0014】
第1の態様の可能な実施態様では、ボルト本体は、隔離部であって、隔離部は、流路を第1の流路と第2の流路とに分割する、隔離部をさらに含む。
【0015】
このようにして、流路は、ボルト本体の隔離部を使用して第1の流路と第2の流路とに分割され得、これにより、弁本体の構造が簡素化され、弁本体の生産コストが低減される。
【0016】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の弁フィルムは第1の傾斜部を具備し、第1の傾斜部は、流路の内面を押圧し、第1の傾斜部は、第1の傾斜部と第1の傾斜部の周縁側とのより短い距離が第1の傾斜部と外側とのより短い距離を示す形状になるように設定され、第2の弁フィルムは第2の傾斜部を具備し、第2の傾斜部は、流路の内面を押圧し、第2の傾斜部は、第2の傾斜部と第2の傾斜部の周縁側とのより短い距離が第2の傾斜部と内側とのより短い距離を示す形状になるように設定される。
【0017】
このようにして、内側の圧力が外側の圧力よりも大きいとき、圧力差が第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムに作用するときに発生するは、外側に向かって作用する。第1の傾斜部と第1の傾斜部の周縁側とのより短い距離は、第1の傾斜部と外側とのより短い距離を示すため、外側に向かって作用する力が、変形するように第1の傾斜部を駆動するとき、第1の傾斜部は、流路の内面から離れる方向に移動し、これにより、第1の流路が開かれる。第2の傾斜部と第2の傾斜部の周縁側とのより短い距離は、第2の傾斜部と内側とのより短い距離を示すため、外側に向かって作用する力が、変形するように第2の傾斜部を駆動するとき、第2の傾斜部は、流路の内面に近づく方向に移動し、これにより、第2の流路は閉じられたままとなる。一方、外側の圧力が内側の圧力よりも大きいとき、圧力差が第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムに作用するときに発生する力は、内側に向かって作用する。このようにして、第2の傾斜部は、流路の内面から離れる方向に移動するように駆動され、これにより、第2の流路は開かれ、第1の傾斜部は、流路の内面に近づく方向に移動するように駆動され、これにより、第1の流路は閉じられたままとなる。したがって、外側の圧力が内側の圧力よりも大きいとき、第1の弁フィルムが第1の流路を開くことが防止され、内側の圧力が外側の圧力よりも大きいとき、第2の弁フィルムが第2の流路を開くことが防止される。第1の弁フィルムは、空気を排出し、内側と外側との圧力差を均衡させるために、内側の圧力が外側の圧力よりも大きいときにのみ第1の流路の開放を制御することができ、第2の弁フィルムは、空気を吸入し、内側と外側との圧力差を均衡させるために、外側の圧力が内側の圧力よりも大きいときにのみ第2の流路の開放を制御することができる。
【0018】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の傾斜部および第2の傾斜部は、周縁側に向かう延在方向において直線状または円弧状である。
【0019】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の傾斜部と第2の傾斜部とが同じ距離だけ周縁側に延びているとき、第1の傾斜部と外側との距離は、第2の傾斜部と内側との距離よりも小さい。このようにして、外側に向かう、第1の弁フィルムに作用する力が内側に向かう、第2の弁フィルムに作用する力と同じであるとき、三角関数の原理によれば、変形方向の第1の傾斜部の分力は、変形方向の第2の傾斜部の分力よりも大きい。したがって、第1の圧力差閾値は第2の圧力差閾値よりも小さい。弁が空気を排出することがより容易であり、これにより、内側の水蒸気含有量が低減され、内側の結露の可能性が低減される。また、弁が空気を吸入することがより困難であり、これにより、外側の水蒸気が内側に進入する可能性が低減され、内側の結露の可能性が低減される。
【0020】
第1の態様の可能な実施態様では、ボルト本体は本体部を含み、本体部には、第1の通気孔および第2の通気孔が形成され、第1の弁フィルムは、第1の通気孔の外側を覆い、第2の弁フィルムは、第2の通気孔の内側を覆う。このようにして、第1の弁フィルムは、第1の通気孔の外側を覆い得、これにより、第1の弁フィルムは、内側の圧力が外側の圧力よりも大きいときに第1の通気孔を開き、外側の圧力が内側の圧力よりも大きいときに第1の通気孔を閉じたままにする。第2の弁フィルムは、第2の通気孔の内側を覆い得、これにより、第2の弁フィルムは、外側の圧力が内側の圧力よりも大きいときに第2の通気孔を開き、内側の圧力が外側の圧力よりも大きいときに第2の通気孔を閉じたままにする。このようにして、第1の弁フィルムは、空気を排出するように流路を制御し得、第2の弁フィルムは、空気を吸入するように流路を制御し得る。
【0021】
第1の態様の可能な実施態様では、複数の第1の弁フィルムおよび複数の第2の弁フィルムがあり、複数の第1の弁フィルムは、外側に面する凸状で第1の通気孔と接触し、第1の通気孔を覆うように傾斜し、複数の第2の弁フィルムは、内側に面する凸状で第2の通気孔と接触し、第2の通気孔を覆うように傾斜する。このようにして、複数の第1の弁フィルムは、外側に面する凸状を形成するように互いに接触する。内側の圧力が外側の圧力よりも大きいとき、複数の第1の弁フィルムは、別々の方向に変形するように駆動され得、これにより、第1の通気孔は開かれる。外側の圧力が内側の圧力よりも大きいとき、複数の第1の弁フィルムは、互いに近づく方向に変形するように駆動され得、これにより、第1の通気孔は閉じられたままとなる。複数の第2の弁フィルムは、内側に面する凸状を形成するように互いに接触する。外側の圧力が内側の圧力よりも大きいとき、複数の第2の弁フィルムは、別々の方向に変形するように駆動され得、これにより、第2の通気孔は開かれる。内側の圧力が外側の圧力よりも大きいとき、複数の第2の弁フィルムは、互いに近づく方向に変形するように駆動され得、これにより、第2の通気孔は閉じられたままとなる。
【0022】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の弁フィルムの厚さは、第2の弁フィルムの厚さよりも小さい。したがって、第1の弁フィルムの変形を駆動するために必要な力は、第2の弁フィルムの変形を駆動するために必要な力よりも小さくてもよい。したがって、第1の圧力差閾値は第2の圧力差閾値よりも小さい。弁が空気を排出することがより容易であり、これにより、内側の水蒸気含有量が低減され、内側の結露の可能性が低減される。また、弁が空気を吸入することがより困難であり、これにより、外側の水蒸気が内側に進入する可能性が低減され、内側の結露の可能性が低減される。
【0023】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムが流路を閉じているとき、第1の弁フィルムに作用する第1の反発力は、第2の弁フィルムに作用する第2の反発力よりも小さい。このようにして、第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムが流路を閉じるときに変形に起因して、第1の変形力および第2の変形力が発生した後、これらに対応して、第1の反発力および第2の反発力が、第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムに作用する。流路を開くように変形し続けるよう第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムを駆動するために、第1の変形力および第2の変形力が打ち勝たれる必要がある。したがって、第1の反発力が第2の反発力よりも小さいとき、第1の弁フィルムが開かれるときの第1の圧力差閾値は、第2の弁フィルムが開かれるときの第2の圧力差閾値よりも小さくなり得る。弁が空気を排出することがより容易であり、これにより、内側の水蒸気含有量が低減され、内側の結露の可能性が低減される。弁が空気を吸入することがより困難であり、これにより、外側の水蒸気が内側に進入する可能性が低減され、内側の結露の可能性が低減される。
【0024】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の弁フィルムまたは第2の弁フィルムは、シリカゲル、エチレンプロピレンジエンモノマー、プラスチック、または金属で作製される。このようにして、第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムを製造するのに適した材料が提供され、これにより、第1の弁フィルムおよび第2の弁フィルムは、内側と外側との圧力差が対応する閾値内にあるときに変形することができる。したがって、流路が開かれることができ、内側および外側の気圧が均衡されることができる。
【0025】
第1の態様の可能な実施態様では、第1の圧力差閾値および第2の圧力差閾値は10Paよりも大きい。このようにして、第1の圧力差閾値の範囲および第2の圧力差閾値の範囲が提供され、これにより、内側と外側との圧力差および水蒸気含有量の要件が内側と外側との過度に小さな圧力差に起因して満たされることができないことが回避されることができる。
【0026】
第1の態様の可能な実施態様では、弁は、シールリングであって、シールリングは、弁本体の外側にスリーブ付けされる、シールリングと、シールリングとボルト本体とを接続する接続部であって、接続部分が通過するための切欠きが流路の側壁に配置される、接続部とをさらに含む。このようにして、弁本体の外側部分がハウジングに接続される位置が、シールリングを使用してシールされ得、これにより、ハウジングのシール性能が改善され、水蒸気の侵入が回避される。
【0027】
第1の態様の可能な実施態様では、弁は、防水ガス透過膜であって、防水ガス透過膜は流路上に配置される、防水ガス透過膜をさらに含む。防水ガス透過膜の配置は、ガスの出入を保証することができ、外側の液体水が流路を通って内側に進入して内側の電子構成要素に影響を及ぼすことを防止することができる。ボルト本体の配置は、防水ガス透過膜の機能性を高めることができ、防水ガス透過膜を介して内側に進入するガスからの水蒸気を低減することができる。これは、防水効果を改善する。
【0028】
本出願の第2の態様によれば、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、ハウジングであって、ハウジングは、内部に電子構成要素を有するように構成される、ハウジングと、弁であって、弁はハウジングに配置され、弁は、本出願の第1の態様における弁のいずれかの可能な実施の形態である、弁とを含む。このようにして、ボルト本体は流路を閉じ得、これにより、ハウジングの外側の水蒸気がハウジングの内側に進入することが防止される。したがって、ハウジングの内側の水蒸気含有量が低減され、結露の可能性が低減され、電子構成要素への水蒸気および結露の影響が低減される。また、ハウジングの内側と外側との圧力差が閾値よりも大きいとき、ボルト本体は流路を開き得、これにより、ハウジングの内側と外側との圧力差が均衡されることができ、内側と外側との過度に大きな圧力差によって生じる悪影響が回避されることができる。
【0029】
本出願の第3の態様によれば、ビークルが提供される。ビークルは、本出願の第2の態様の電子デバイスを含む。
【0030】
本出願のこれらの態様および別の態様は、以下の(複数の)実施形態の説明においてより明確かつより理解しやすくなるであろう。
【0031】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の特徴および特徴間の関係についてさらに説明する。添付の図面はすべて例であり、一部の特徴は実際の比率では示されていない。また、一部の添付の図面では、本出願の分野で本出願にとって必須ではない一般的な特徴は省略されている場合がある。あるいは、本出願にとって必須ではない追加の特徴が示されている。添付の図面に示されている特徴の組合せは、本出願を限定することを意図されていない。また、本明細書では、同じ参照番号によって参照される内容も同じである。具体的な添付の図面は以下のように説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本出願の実施形態による通気弁の使用シナリオの概略図である。
図2】本出願の実施形態によるビークル搭載コントローラの概略構造図である。
図3図2の通気弁とハウジングとの接続の概略構造図である。
図4図2の通気弁の概略構造図である。
図5図2の通気弁の概略分解図である。
図6図2の通気弁の底部の概略正投影図である。
図7図6の通気弁のA-A方向の断面図である。
図8図4の弁本体の概略構造図である。
図9】弁本体の底部の正投影図である。
図10】本出願の実施形態によるボルト本体およびシールリングの軸方向の概略構造図である。
図11】本出願の実施形態によるボルト本体およびシールリングの別の軸方向の概略構造図である。
図12図7のボルト本体および弁本体のB-B方向の断面図である。
図13図7のボルト本体および弁本体のC-C方向の断面図である。
図14図7のボルト本体の位置の部分拡大図である。
図15】本出願の実施形態によるボルト本体およびシールリングの軸方向の別の概略構造図である。
図16図15のボルト本体およびシールリングの上面図である。
図17図16のボルト本体およびシールリングのD-D方向の概略断面図である。
図18】本出願の実施形態によるボルト本体およびシールリングの別の上面図である。
図19図18のボルト本体およびシールリングのE-E方向の概略断面図である。
図20】通気弁とハウジングとの接続の別の概略構造図である。
図21図20のボルト本体の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書および特許請求の範囲において、「第1の、第2の、および第3のなど」の用語またはモジュールA、モジュールB、およびモジュールCなどの同様の用語は、同様の対象を区別するために使用されているにすぎず、対象の特定の順序を表すものではない。ここで説明されている本出願の実施形態が、ここで図示または説明されている順序以外の順序で実施されることができるように、特定の順序または順番は、許可される場合には交換され得ることが理解され得る。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、以下に列挙される内容に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素またはステップを排除するものではない。代わりに、「含む」という用語は、言及された特徴、全体、ステップ、または部分の存在を指定するものとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特徴、全体、ステップ、または部分およびこれらの群の存在または追加を排除するものではない。したがって、「装置Aおよび装置Bを含むデバイス」という表現は、構成要素AおよびBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。
【0035】
本明細書で言及されている「一実施形態」または「実施形態」は、実施形態を参照して説明されている特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示す。したがって、本明細書に現れる「一実施形態では」または「実施形態では」という用語は、必ずしも同じ実施形態を示さないが、同じ実施形態を示し得る。さらに、1つ以上の実施形態では、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者に明らかなように、任意の適切な方法で組み合わされることができる。
【0036】
湿度を制御し、電子構成要素への結露の影響を回避するために、1つの解決策は、結露を回避するために、シールハウジング内に電子構成要素を配置し、電子構成要素の気密性を改善することである。しかしながら、ハウジングが完全にシールされている場合、ハウジングの内側と外側との間に気圧差が生じ、ハウジングは、構造的呼吸(内圧が過度に高いときに構造体の膨張が生じ、または内圧が過度に低いときに構造体の圧縮が生じる)疲労のリスクにさらされる。したがって、ハウジングの内側と外側との気圧差を均衡させるために、ハウジングに通気弁が配置される必要がある。通気弁は水蒸気の侵入を回避することができないため、厳しいシナリオでは、依然としてハウジング内に結露が生じ得る。
【0037】
本出願の実施形態は、ハウジングに進入する水蒸気を低減し、その結果、ハウジング内の結露の可能性を低減するために、通気弁を提供する。
【0038】
図1は、本出願の実施形態による通気弁50の使用シナリオの概略図である。図1に示されているように、ビークル1には、電池パック10、モータ20、ヘッドライト30、およびビークル搭載コントローラ40などの電子デバイスが配置される。ビークル搭載コントローラ40は、MDC(Mobile Data Center、モバイルデータセンタ)、VCU(Vehicle Control Unit、ビークル制御ユニット)、またはCDC(Cockpit Domain Controller、コックピットドメインコントローラ)などであってもよい。MDCは、インテリジェント運転コントローラとして機能する。ビークル1が複数の複雑な環境で正常に動作することができることを保証するために、これらの電子デバイスは通常、シールハウジング410内に配置される。通気弁50が、ハウジング410に配置される。通気弁50は、ハウジング410の内側と外側との圧力差が所定値以内であるときは閉じられ得、またはハウジング410の内側と外側との圧力差が所定値を超えるときは、内側と外側との圧力差が均衡するように開かれ得る。したがって、ハウジング410内への水蒸気の侵入が低減され、ハウジング410内の水蒸気含有量が低減され、ハウジング410内の結露の可能性が低減される。
【0039】
本出願のこの実施形態では、ビークル1が車両である例が説明に使用される。これは、本出願の実施形態に対する限定と考えられるべきではない。ビークル1は、従来の燃料車両であってもよいし、または新エネルギー車両、例えば、純電気車両もしくはハイブリッド車両であってもよい。ビークル1は、乗用車、トラック、旅客バス、およびSUV(sport utility vehicle、スポーツ用多目的車両)などの異なるタイプの車両のいずれか1つであってもよい。ビークル1は、あるいは、別の形態の輸送の手段、例えば船舶または飛行機であってもよい。あるいは、本出願の実施形態における通気弁50は、ビークル1に配置されることに限定されず、水蒸気含有量を低減する必要があり、かつ結露防止要件を有する別のデバイスにさらに配置されてもよい。
【0040】
図2は、本出願の実施形態によるビークル搭載コントローラ40の概略構造図である。図3は、図2の通気弁50とハウジング410との接続の概略構造図である。ビークル搭載コントローラ40は、電子デバイスへの通気弁50の具体的な取付方法を示すための例として使用される。図2および図3に示されているように、ビークル搭載コントローラ40は、シールハウジング410を具備する。ハウジング410は、電子構成要素がハウジング410の外側の空気から隔離されるように、ハウジング410の内側の電子構成要素を保護し得る。ここでの「シール」は、通気弁50以外の部分がシールされることを意味する。取付孔411は、ハウジング410に配置され、通気弁50を設置するように構成される。ハウジング410の内側と外側との圧力差は、通気弁50を使用して均衡され得る。通気弁50と取付孔411との具体的な接続は、図3に示されているクランプ接続であってもよいし、またはねじ接続、溶接、もしくは締り嵌めなどであってもよい。これはここでは限定されない。
【0041】
図4は、図2の通気弁50の軸方向側の概略構造図である。図5は、図2の通気弁50の概略分解構造図である。図6は、図2の通気弁50の底部(ハウジング410に進入する側)の概略正投影図である。図7は、図6の通気弁50のA-A方向の断面図である。図4図5図6、および図7に示されているように、通気弁50は、弁本体510と、防水ガス透過膜520と、保護カバー530と、シールリング540と、ボルト本体550とを含む。弁本体510は、ハウジング410の内側と外側とを接続する流路511を具備する。ボルト本体550は、流路511を閉じるように弁本体510に配置され、内側と外側との圧力差が所定の閾値よりも大きいとき、ボルト本体550は流路511を開く。このようにして、内側と外側との圧力差が小さいとき、外側の空気および水蒸気が内側に進入することが防止されるように、ボルト本体550は流路511を閉じ得る。内側と外側との圧力差が大きいとき、内側と外側との圧力差が均衡するように、ボルト本体550は流路511を開き得る。また、内側と外側との圧力差が低減された後、内側に進入する水蒸気が低減されるように、流路511は再び閉じられる。したがって、ハウジング410内の水蒸気含有量が低減されることができ、これにより、ハウジング410内の結露の可能性が低減される。
【0042】
図8は、図4の弁本体510の概略構造図である。図9は、弁本体510の底部の正投影図である。図4図5図8、および図9に示されているように、弁本体510は、同軸上に円筒状に配置された第1の取付端512および第2の取付端513を含む。流路511は、弁本体510の軸位置に配置され、弁本体510を貫通し、内側と外側との両方に開口を有する。第1の取付端512の端部には、突起状のクランプコネクタ514が周方向に配置される。第1の取付端512には、切欠き515が軸方向に配置される。複数の切欠き515があってもよく、切欠き515は流路511の側壁を半径方向に貫通する。例えば、図9に示されているように、4つの切欠き515があってもよく、第1の取付端512は4つの別個の部分に分割される。
【0043】
第1の取付端512がハウジング410の取付孔411に挿入されるとき、クランプコネクタ514は、取付孔411に押圧された後、第1の取付端512が取付孔411に進入することができるように軸線に向かって変形し得る。クランプコネクタ514が取付孔411を通過するとき、クランプコネクタ514は、ハウジング410への押圧を終了した後、元の形状に復元し、これにより、弁本体510はハウジング410にクランプ固定されることができる。
【0044】
コネクタ516は、第2の取付端513の端面に配置され、保護カバー530への固定接続を実施するように構成され、これにより、弁本体510は、保護カバー530を使用して保護されることができる。また、保護カバー530と第2の取付端513の端面との間には隙間が形成され、これにより、第2の取付端513の流路511が外側と接続される。コネクタ516と保護カバー530との固定接続は、クランプ、貼付け、または固定などであってもよい。これはここでは限定されない。
【0045】
異なる直径を有する2つの部分が、軸方向に沿って流路511に配置され、流路511のより大きな直径を有する部分が、第2の取付端513の対応する位置に配され、これにより、流路511は、第2の取付端513に取付プラットフォーム517を形成する。取付プラットフォーム517は、防水ガス透過膜520を取り付け、防水ガス透過膜520は、液体の通過を防止し、ガスの通過を保証する特徴を有する、ように構成される。取付プラットフォーム517上への防水ガス透過膜520の配置は、結露または他の理由によって形成された液体水が外側から流路511を通ってハウジング410に進入することを防止することができ、ハウジング410の内側と外側との圧力差が均衡するように、空気が流路511を通過することを保証することができる。
【0046】
図10は、本出願の実施形態によるボルト本体550およびシールリング540の軸方向の概略構造図である。図11は、本出願の実施形態によるボルト本体550およびシールリング540の別の軸方向の概略構造図である。図5図7図10、および図11に示されているように、ボルト本体550とシールリング540とは一体に形成されてもよく、接続部560を使用して互いに接続される。ボルト本体550およびシールリング540が弁本体510に取り付けられた後、ボルト本体550は、流路511を閉じるように、流路511の内側に配される。シールリング540は、第1の取付端512の外側に配される。クランプコネクタ514がハウジング410の取付孔411に進入してクランプ接続を実施した後、シールリング540は、弁本体510とハウジング410との間の接続位置をシールするために、第1の取付端512と取付孔411との間のスペースに配され得る。接続部560は、第1の取付端512の切欠き515に対応して配置される。このようにして、接続部560は切欠き515を通過することができ、これにより、一体に形成されたボルト本体550およびシールリング540は弁本体510にうまく取り付けられることができる。
【0047】
図10および図11に示されているように、接続部560は、Y字状であってもよく、すなわち3つの枝部を有してもよい。3つの枝部は、半径方向に120°の角度で配置され、シールリング540の中央位置で接続される。ボルト本体550は、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552を含む。第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552はそれぞれ、シリカゲル、エチレンプロピレンジエンモノマー、プラスチック、または金属で作製されてもよい。第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、図10および図11に示されている扇形の構成要素であってもよいし、または他の形状もしくは形態の弾性構成要素であってもよい。第1の弁フィルム551は、軸方向において120°の角度の扇形部と考えられ、内側に面する、接続部560の面に配置される。第2の弁フィルム552は、240°の角度の扇形部であり、外側に面する、接続部560の面に配置される。第1の弁フィルム551と第2の弁フィルム552とは互いに補完し合い、ボルト本体550の軸方向において360°の円全体を形成する。
【0048】
図12は、図7のボルト本体550および弁本体510のB-B方向の断面図である。図13は、図7のボルト本体550および弁本体510のC-C方向の断面図である。図10図11図12、および図13に示されているように、第1の弁フィルム551の縁および第2の弁フィルム552の縁と接続部560との間に隔離部553が配置され、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、隔離部553を使用して接続部560に接続される。第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552の周縁側(流路511の軸線から離れた、流路511の内面に面する側)は、流路511の内面を押圧する。隔離部553は、流路511を第1の流路511aと第2の流路511bとに分割する。第1の弁フィルム551は第1の流路511aを閉じ、第2の弁フィルム552は第2の流路511bを閉じる。このようにして、ボルト本体550は、流路511を閉じることができる。
【0049】
図14は、図7のボルト本体550の位置の部分拡大図である。図10図11、および図14に示されているように、第1の弁フィルム551の周縁側は第1の傾斜部551aを具備し、第1の傾斜部551aは流路511の内面を押圧し、第1の傾斜部551aは、外側に向かって傾斜する形状になるように設定され、すなわち、第1の傾斜部551aと第1の傾斜部551aの周縁側との間のより短い距離は、第1の傾斜部551aと外側との間のより短い距離を示す。第2の弁フィルム552の周縁側は第2の傾斜部552aを具備し、第2の傾斜部552aは流路511の内面を押圧し、第2の傾斜部552aは、内側に向かって傾斜する形状になるように設定され、すなわち、第2の傾斜部552aと第2の傾斜部552aの周縁側との間のより短い距離は、第2の傾斜部552aと内側との間のより短い距離を示す。第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aの軸方向断面視において、第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aが周縁側に延びる方向はそれぞれ、図14に示されている直線状に配置されてもよいし、または円弧状に配置されてもよい。これはそれに限定されない。このようにして、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、外側に面する開口を有するボウル状構造および内側に面する開口を有するボウル状構造を形成するように、隔離部553に接続される。
【0050】
したがって、図14の(a)に示されているように、ハウジング410の内側の圧力Pがハウジング410の外側の圧力Pよりも大きいときに、内側と外側との圧力差ΔPが第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552に作用するとき、外側に向かう力Fが発生する。第1の傾斜部551aが外側に向かって傾斜しているため、内側と外側との圧力差ΔPが十分に大きいとき、すなわち、力Fが十分に大きいとき、第1の傾斜部551aに力Fを加えることによって得られる、第1の傾斜部551aに垂直な分力F外1は、軸線に近づく方向に変形するように第1の傾斜部551aを駆動し、これにより、第1の傾斜部551aと流路511の内面との間に隙間が生じ得、第1の流路511aは開かれ、ハウジング410の内側から外側に空気が排出される。第2の傾斜部552aが内側に向かって傾斜しているため、第2の傾斜部552aに力Fを加えることによって得られる、第2の傾斜部552aに垂直な分力F外2は、軸線から離れる方向に変形するように第2の傾斜部552aを駆動し、これにより、第2の傾斜部552aは流路511の内面をより密接に押圧し、第2の流路511bは閉じられたままとなる。
【0051】
同様に、図14の(b)に示されているように、ハウジング410の外側の圧力Pがハウジング410の内側の圧力Pよりも大きいときに、外側と内側との圧力差ΔPが第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552に作用するとき、内側に向かう力Fが発生する。第2の傾斜部552aが内側に向かって傾斜しているため、外側と内側との圧力差ΔPが十分に大きいとき、すなわち、力Fが十分に大きいとき、第2の傾斜部552aに力Fを加えることによって得られる、第2の傾斜部552aに垂直な分力F内2は、軸線に近づく方向に変形するように第2の傾斜部552aを駆動し、これにより、第2の傾斜部552aと流路511の内面との間に隙間が生じ得、第2の流路511bが開かれ、ハウジング410の外側からハウジング410の内側に空気が吸入される。第1の傾斜部551aが内側に向かって傾斜しているため、第1の傾斜部551aに力Fを加えることによって得られる、第1の傾斜部551aに垂直な分力F内1は、軸線から離れる方向に変形するように第1の傾斜部551aを駆動し、これにより、第1の傾斜部551aは流路511の内面をより密接に押圧し、第1の流路511aは閉じられたままとなる。
【0052】
ハウジング410の内側の圧力Pからハウジング410の外側の圧力Pを引くことによって得られる値が第1の圧力差閾値ΔP排出よりも大きいとき、ハウジング410の内側からハウジング410の外側に空気が排出されるように設定される。ハウジング410の外側の圧力Pからハウジング410の内側の圧力Pを引くことによって得られる値が第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも大きいとき、ハウジング410の外側からハウジング410の内側に空気が吸入されるように設定される。図14に示されているように、第1の弁フィルム551の厚さは、第2の弁フィルム552の厚さよりも小さい。したがって、同じ条件下で、第1の流路511aを開くように変形するよう第1の弁フィルム551を駆動するために必要な力Fは、第2の流路511bを開くように変形するよう第2の弁フィルム552を駆動するために必要な力Fよりも小さい。このようにして、空気排出時に超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出が、空気吸入時に超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも小さく、これにより、空気が排出されやすく、吸入されにくくなり、流路511を通って水蒸気が内側に進入する可能性が低減される。
【0053】
同様に、図14に示されているように、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、変形した状態で流路511内に取り付けられる。具体的には、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552はサイズが大きいため、第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aは流路511の内面を押圧し、第1の流路511aおよび第2の流路511bが閉じられるときに変形が生じる。このようにして、第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aが変形力を発生させ、その変形力が流路511の内面に作用し、これにより、第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aは互いに逆方向の同じ反発力を受ける。変形力が反発力と相互作用し、これにより、第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aが、シール性能を確保するために、流路511の内面に密接に接続される。第1の弁フィルム551が第1の流路511aを閉じるときに生じる変形の第1の変形量は、第2の弁フィルム552が第2の流路511bを閉じるときに生じる変形の第2の変形量よりも小さい。より大きな変形量は、それに対応して発生するより大きな変形力を示す。したがって、第1の弁フィルム551の変形に起因して発生する第1の変形力は、第2の弁フィルム552の変形に起因して発生する第2の変形力よりも小さい。したがって、第1の弁フィルム551に作用する第1の反発力は、第2の弁フィルム552に作用する第2の反発力よりも小さい。
【0054】
図14に示されているように、第1の変形力および第2の変形力は、軸線から離れる方向に移動するように第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aを駆動する。具体的には、第1の変形力の方向は、第1の流路511aの開放を駆動する分力F外1の方向と反対であり、第2の変形力の方向は、第2の流路511bの開放を駆動する分力F内2の方向と反対である。したがって、変形力は、第1の弁フィルム551の変形を駆動するために必要な力F排出および第2の弁フィルム552の変形を駆動するために必要な力F吸入を増加させる。第1の変形量が第2の変形量よりも小さいため、同じ条件下で、第1の弁フィルム551の変形を駆動するために必要な力F排出は、第2の弁フィルム552の変形を駆動するために必要な力F吸入よりも小さい。このようにして、空気排出時に超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出が、空気吸入時に超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも小さく、これにより、空気が排出されやすく、吸入されにくくなり、流路511を通って水蒸気が内側に進入する可能性が低減される。
【0055】
同様に、図14に示されているように、第1の傾斜部551aと第2の傾斜部552aとが同じ距離だけ周縁側に延びているとき、第1の傾斜部551aと外側との距離は、第2の傾斜部552aと内側との距離よりも小さい。具体的には、第1の傾斜部551aが外側に向かって傾斜する角度αは、第2の傾斜部552aが内側に向かって傾斜する角度βよりも小さい。したがって、三角関数の原理によれば、cosα>cosβであることが知られることができる。F外1=FcosαおよびF内2=Fcosβであるため、同じ圧力差の下では、すなわち、第1の弁フィルム551に作用する力Fが、第2の弁フィルム552に作用する力Fと同じであるとき、第1の傾斜部551aの変形方向の分力F外1は、第2の傾斜部552aの変形方向の分力F内2よりも大きい。したがって、同じ条件下で、第1の弁フィルム551の変形を駆動するために必要な力F排出は、第2の弁フィルム552の変形を駆動するために必要な力F吸入よりも小さい。このようにして、空気排出時に超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出が、空気吸入時に超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも小さく、これにより、空気が排出されやすく、吸入されにくくなり、流路511を通って水蒸気が内側に進入する可能性が低減される。
【0056】
結論として、第1の弁フィルム551は、通気弁50が空気を排出するときに超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出を制御するために使用され得、第2の弁フィルム552は、通気弁50が空気を吸入するときに超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入を制御するために使用され得る。したがって、本出願のこの実施形態における通気弁50の動作原理は以下の通りである。
【0057】
>PかつP-P>ΔP排出のとき、第1の傾斜部551aが変形し、第1の流路511aが開かれ、通気弁50の内側の空気が、第1の流路511aを通って通気弁50の外側に排出される。このようにして、通気弁50の内側と外側との圧力差が均衡されることができ、内側の水蒸気の一部が排出されることができ、これにより、外側の水蒸気が通気弁50の内側に進入することが防止され、内側の水蒸気の濃度が低減され、内側の結露の可能性が低減される。
【0058】
>PかつP-P>ΔP吸入のとき、第2の傾斜部552aが変形し、第2の流路511bが開かれ、通気弁50の外側の空気が、第2の流路511bを通って通気弁50の内側に吸入される。このようにして、過度に大きな圧力差に起因するハウジング410の損傷を回避するために、通気弁50の内側と外側との圧力差が均衡されることができる。また、内側と外側との圧力差が第2の圧力差閾値ΔP吸入以下になった後、第2の傾斜部552aは、変形力の作用下で第2の傾斜部552aの元の形状に復元されることができ、これにより、第2の流路511bは再び閉じられる。このようにして、より多くの水蒸気が通気弁50の内側に進入することが防止され、通気弁50の内側の水蒸気の濃度の増加が回避される。
【0059】
=Pのとき、P>PかつP-P≦ΔP排出のとき、またはP>PかつP-P≦ΔP吸入のとき、第1の傾斜部551aおよび第2の傾斜部552aは静止したままであり、第1の流路511aおよび第2の流路511bは閉状態のままである。このようにして、水蒸気が通気弁50の内側に進入することが防止されることができ、通気弁50の内側の水蒸気の濃度の増加が回避されることができる。
【0060】
さらに、ビークル搭載コントローラ40の要件に基づいて、ビークル搭載コントローラ40が例えばMDCであるとき、第1の圧力差閾値ΔP排出および第2の圧力差閾値ΔP吸入はそれぞれ、10Paよりも大きくなるように設定されてもよい。このようにして、内側と外側との過度に小さな圧力差に起因して内側と外側との圧力差および水蒸気含有量に対するMDCの要件が満たされることができないことが回避されることができる。
【0061】
さらに、本出願のこの実施形態における通気弁は、電池パック10、モータ20、ヘッドライト30、およびビークル搭載コントローラ40などの電子デバイスに配置されてもよく、内側と外側との気圧差が均衡されるときに空気が排出されやすく、吸入されにくいことを可能にするように構成され、これにより、水蒸気含有量が低減される。通気弁は、別のデバイスにさらに配置されてもよく、内側と外側との間に発生する、油圧、例えば水または油の圧力差を均衡させるように構成される。また、内側と外側との間の油圧の圧力差が均衡されるときに、液体を排出しやすく、吸入しにくくすることができ、これにより、内側に進入する有害物質が低減され、内側の有害物質含有量が低減される。
【0062】
図15は、本出願の実施形態によるボルト本体550およびシールリング540の軸方向の別の概略構造図である。図16は、図15のボルト本体550およびシールリング540の上面図である。図17は、図16のボルト本体550およびシールリング540のD-D方向の概略断面図である。図15図16、および図17に示されているように、本出願の実施形態は、ボルト本体550およびシールリング540の別の可能な構造形態をさらに提供する。図15図16、および図17のボルト本体550と、図10および図11のボルト本体550との違いは、ボルト本体550が本体部554を含むことである。本体部554は、シールリング540の中央位置に配され、接続部560を使用してシールリング540に固定的に接続される。ボルト本体550および弁本体510が取り付けられた後、本体部554は流路511に配され、流路511は、軸方向に沿って分離された外側および内側の2つの部分に分割される。本体部554には、第1の通気孔555および第2の通気孔556が配置され、第1の通気孔555および第2の通気孔556の断面の形状はそれぞれ、図15図16、および図17に示されている四角形であってもよいし、または円形もしくは別の形状であってもよい。第1の弁フィルム551は、第1の通気孔555の外側の開口部の位置を覆って配置される。第1の弁フィルム551の一部は、第1の通気孔555の外側の開口部の縁の一部に固定的に接続され、他の部分は互いに押圧する。第2の弁フィルム552は、第2の通気孔556の内側の開口部の位置を覆って配置される。第2の弁フィルム552の一部は、第2の通気孔556の内側の開口部の縁の一部に固定的に接続され、他の部分は互いに押圧する。
【0063】
このようにして、ハウジング410の内側の圧力Pがハウジング410の外側の圧力Pよりも大きく、圧力差が第1の圧力差閾値ΔP排出よりも大きいとき、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、圧力下で外側に向かって変形し、これにより、第1の弁フィルム551が第1の通気孔555を押圧する位置に隙間が発生する。このようにして、第1の流路511aは開かれ、これにより、内側の空気が、第1の流路511aを通って外側に排出される。また、第2の弁フィルム552は、第2の通気孔556をより密接に押圧する。このようにして、第2の流路511bは閉状態のままとなる。ハウジング410の内側の圧力Pがハウジング410の外側の圧力Pよりも大きく、圧力差が第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも大きいとき、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、圧力下で内側に向かって変形し、これにより、第1の弁フィルム551は第1の通気孔555をより密接に押圧する。このようにして、第1の流路511aは閉状態のままとなる。また、第2の弁フィルム552が第2の通気孔556を押圧する位置に隙間が発生する。このようにして、第2の流路511bは開かれ、これにより、外側の空気が、第2の流路511bを通って内側に吸入される。
【0064】
図15図16、および図17に示されているように、第1の通気孔555の外側の開口部および第2の通気孔556の内側の開口部は凸状であり、これにより、第1の弁フィルム551と第1の通気孔555との接触面積および第2の弁フィルム552と第2の通気孔556との接触面積が低減される。このようにして、第1の弁フィルム551が第2の弁フィルム552を押圧するときに発生する圧力と、第1の通気孔555が第2の通気孔556を押圧するときに発生する圧力とが増加されることができ、第1の流路511aおよび第2の流路511bが閉じられるときにシール性能が改善されることができる。
【0065】
図17に示されているように、第1の弁フィルム551の厚さは、第2の弁フィルム552の厚さよりも小さい。このようにして、空気排出時に圧力差によって超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出が、空気吸入時に圧力差によって超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも小さく、これにより、空気が排出されやすく、吸入されにくくなり、流路511を通って水蒸気が内側に進入する可能性が低減される。
【0066】
図17に示されているように、第1の通気孔555の外側の開口部および第2の通気孔556の内側の開口部の凸部は、流路511の半径方向に水平に配置され、第1の弁フィルム551および第2の弁フィルム552は、第1の通気孔555および第2の通気孔556に変形して取り付けられる。第1の弁フィルム551は、角度γで第1の通気孔555に固定的に接続される。このようにして、第1の弁フィルム551は、第1の変形を受けて第1の通気孔555の外側の開口部の縁を押圧し、第1の変形によって発生する第1の変形力は、第1の通気孔555に向かって移動するように第1の弁フィルム551を駆動し、これにより、第1の反発力が発生する。第1の変形力は第1の反発力と相互作用し、これにより、第1の弁フィルム551は第1の通気孔555をシールする。第2の弁フィルム552は、角度δで第2の通気孔556に固定的に接続される。このようにして、第2の弁フィルム552は、第2の変形を受けて第2の通気孔556の内側の開口部の縁を押圧し、第2の変形によって発生する第2の変形力は、第2の通気孔556に向かって移動するように第2の弁フィルム552を駆動し、これにより、第2の反発力が発生する。第2の変形力は第2の反発力と相互作用し、これにより、第2の弁フィルム552は第2の通気孔556をシールする。
【0067】
図17に示されているように、γ<δである。したがって、第1の変形量は第2の変形量よりも小さい。言い換えれば、第1の変形力および第1の反発力は、第2の変形力および第2の反発力よりも小さい。このようにして、空気排出時に超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出が、空気吸入時に超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも小さく、これにより、空気が排出されやすく、吸入されにくくなり、流路511を通って水蒸気が内側に進入する可能性が低減される。
【0068】
さらに、第1の通気孔555の半径方向断面積は、第2の通気孔556の半径方向断面積よりも大きくなるように設定され得、これに対応して、第1の弁フィルム551の面積は、第2の弁フィルム552の面積よりも大きくなるように設定され、これにより、第1の弁フィルム551が第1の通気孔555を押圧する部分は、第2の弁フィルム552が第2の通気孔556を押圧する部分よりも大きくなる。したがって、第1の流路511aを開くように変形するよう第1の弁フィルム551を駆動するための力は、第2の流路511bを開くように変形するよう第2の弁フィルム552を駆動するための力よりも小さい。このようにして、空気排出時に超えられる必要がある第1の圧力差閾値ΔP排出が、空気吸入時に超えられる必要がある第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも小さく、これにより、空気が排出されやすく、吸入されにくくなり、流路511を通って水蒸気が内側に進入する可能性が低減される。
【0069】
図18は、本出願の実施形態によるボルト本体550およびシールリング540の別の上面図である。図19は、図18のボルト本体550およびシールリング540のE-E方向の概略断面図である。図18および図19に示されているように、本出願の実施形態は、ボルト本体550およびシールリング540の別の可能な構造形態をさらに提供する。図18および図19のボルト本体550と、図15図16、および図17のボルト本体550との違いは、第1の通気孔555および第2の通気孔556が円形の貫通孔であることである。4つの第1の弁フィルム551が、第1の通気孔555の外側で、第1の通気孔555の開口部の周囲に配置される。4つの第1の弁フィルム551は、外側に向かって傾斜して配置され、各第1の弁フィルム551は、円錐状の凸状構造を形成するように、隣接する第1の弁フィルム551と接触する。4つの第2の弁フィルム552が、第2の通気孔556の内側で、第2の通気孔556の開口部の周囲に配置される。4つの第2の弁フィルム552は、内側に向かって傾斜して配置され、各第2の弁フィルム552は、円錐状の凸状構造を形成するように、隣接する第2の弁フィルム552と接触する。
【0070】
このようにして、ハウジング410の内側の圧力Pがハウジング410の外側の圧力Pよりも大きく、圧力差が第1の圧力差閾値ΔP排出よりも大きいとき、圧力差が第1の弁フィルム551に作用するときに生成される力は、別々の方向に変形するように第1の弁フィルム551を駆動し、これにより、第1の弁フィルム551間に隙間が発生する。このようにして、第1の流路511aは開かれ、これにより、内側の空気が、第1の流路511aを通って外側に排出される。また、圧力差が第2の弁フィルム552に作用するときに生成される力は、互いに近づく方向に変形するように第2の弁フィルム552を駆動し、これにより、第2の弁フィルム552は互いにより密接に接触する。このようにして、第2の流路511bは閉じられたままとなる。ハウジング410の内側の圧力Pがハウジング410の外側の圧力Pよりも大きく、圧力差が第2の圧力差閾値ΔP吸入よりも大きいとき、圧力差が第2の弁フィルム552に作用するときに生成される力は、別々の方向に変形するように第2の弁フィルム552を駆動し、これにより、第2の弁フィルム552間に隙間が発生する。このようにして、第2の流路511bは開かれ、これにより、外側の空気が、第2の流路511bを通って内側に吸入される。また、圧力差が第1の弁フィルム551に作用するときに生成される力は、互いに近づく方向に変形するように第1の弁フィルム551を駆動し、これにより、第1の弁フィルム551は互いにより密接に接触する。このようにして、第1の流路511aは閉じられたままとなる。
【0071】
図20は、通気弁50とハウジング410との接続の別の概略構造図である。図20に示されているように、本出願の実施形態は、ボルト本体550の別の取付形態をさらに提供する。図3のものと比較して、ボルト本体550およびシールリング540は、あるいは、2つの別個の構成要素であってもよい。弁本体510およびハウジング410の取付孔411のクランプ接続が実行された後、弁本体510は、留め具570を使用して取付孔411の内側にしっかりと固定される。
【0072】
図21は、図20のボルト本体550の概略構造図である。図21に示されているように、弁本体510は、円盤状に一体であり本体部554を含む。弁本体510の中央には、図18および図19のものと同じ第1の通気孔555、第2の通気孔556、第1の弁フィルム551、および第2の弁フィルム552が配置される。したがって、弁本体510が開閉を実行する具体的な方法は、ここでは詳細に説明されない。図20に示されているように、留め具570は、リング状に一体である。取付部571は、留め具570の両端に配置され、ボルトを使用して取付孔411の内側に固定され得る。取付後、弁本体510は、留め具570と取付孔411との間に配され、弁本体510の圧入固定を実施するために、留め具570を使用して本体部554の縁部が押圧される。弁本体510は、流路511の開閉を制御し得る。
【0073】
前述は、本出願の好ましい実施形態および使用される技術的原理にすぎないことに留意されたい。当業者は、本出願がここで説明された特定の実施形態に限定されないことを理解し得、当業者は、本出願の保護範囲から逸脱することなく様々な明らかな変更、再調整、および置換を行い得る。したがって、本出願は、前述の実施形態を参照して詳細に説明されているが、本出願は前述の実施形態に限定されない。より多くの他の同等の実施形態が、本出願の概念から逸脱することなく含まれ得、すべて本出願の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0074】
1 ビークル
10 電池パック
20 モータ
30 ヘッドライト
40 ビークル搭載コントローラ
410 ハウジング
411 取付孔
50 通気弁
510 弁本体
511 流路
511a 第1の流路
511b 第2の流路
512 第1の取付端
513 第2の取付端
514 クランプコネクタ
515 切欠き
516 コネクタ
517 取付プラットフォーム
520 防水ガス透過膜
530 保護カバー
540 シールリング
550 ボルト本体
551 第1の弁フィルム
551a 第1の傾斜部
552 第2の弁フィルム
552a 第2の傾斜部
553 隔離部
554 本体部
555 第1の通気孔
556 第2の通気孔
560 接続部
570 留め具
571 取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁であって、
弁本体(510)であって、前記弁本体(510)は流路(511)を具備し、前記流路(511)は、前記弁本体(510)が取り付けられたハウジング(410)の内側と外側とを接続する、弁本体(510)と、
ボルト本体(550)であって、前記ボルト本体(550)は、前記流路(511)を閉じるように前記弁本体(510)に配置され、前記内側と前記外側との圧力差が閾値よりも大きい場合に、前記ボルト本体(550)は前記流路(511)を開く、ボルト本体(550)と
を備える弁。
【請求項2】
前記流路(511)は、第1の流路(511a)および第2の流路(511b)を備え、
前記ボルト本体(550)は、
第1の弁フィルム(551)であって、前記第1の弁フィルム(551)は前記第1の流路(511a)を閉じ、前記内側の圧力が前記外側の圧力よりも大きく、前記圧力差が第1の圧力差閾値よりも大きい場合に、前記第1の弁フィルム(551)は、前記第1の流路(511a)を開くように変形する、第1の弁フィルム(551)と、
第2の弁フィルム(552)であって、前記第2の弁フィルム(552)は前記第2の流路(511b)を閉じ、前記外側の圧力が前記内側の圧力よりも大きく、前記圧力差が第2の圧力差閾値よりも大きい場合に、前記第2の弁フィルム(552)は、前記第2の流路(511b)を開くように変形する、第2の弁フィルム(552)と
を備える、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記ボルト本体(550)は、
隔離部(553)であって、前記隔離部(553)は、前記流路(511)を前記第1の流路(511a)と前記第2の流路(511b)とに分割する、隔離部(553)
をさらに備える、請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記第1の弁フィルム(551)は第1の傾斜部(551a)を具備し、前記第1の傾斜部(551a)は、前記流路(511)の内面を押圧し、前記第1の傾斜部(551a)は、前記第1の傾斜部(551a)と前記第1の傾斜部(551a)の周縁側とのより短い距離が前記第1の傾斜部(551a)と前記外側とのより短い距離を示す形状になるように設定され、前記第2の弁フィルム(552)は第2の傾斜部(552a)を具備し、前記第2の傾斜部(552a)は、前記流路(511)の前記内面を押圧し、前記第2の傾斜部(552a)は、前記第2の傾斜部(552a)と前記第2の傾斜部(552a)の周縁側とのより短い距離が前記第2の傾斜部(552a)と前記内側とのより短い距離を示す形状になるように設定される、
請求項2または3に記載の弁。
【請求項5】
前記第1の傾斜部(551a)と前記第2の傾斜部(552a)とが同じ距離だけ前記周縁側に延びている場合に、前記第1の傾斜部(551a)と前記外側との距離は、前記第2の傾斜部(552a)と前記内側との距離よりも小さい、請求項4に記載の弁。
【請求項6】
前記ボルト本体(550)は本体部(554)を備え、前記本体部(554)には、第1の通気孔(555)および第2の通気孔(556)が形成され、前記第1の弁フィルム(551)は、前記第1の通気孔(555)の外側を覆い、前記第2の弁フィルム(552)は、前記第2の通気孔(556)の内側を覆う、
請求項1から5のいずれか一項に記載の弁。
【請求項7】
複数の前記第1の弁フィルム(551)および複数の前記第2の弁フィルム(552)があり、前記複数の第1の弁フィルム(551)は、前記第1の通気孔(555)と接触し、前記第1の通気孔(555)を覆うように互いに傾斜し、前記外側に向けて凸状に形作られ、前記複数の第2の弁フィルム(552)は、前記第2の通気孔(556)と接触し、前記第2の通気孔(556)を覆うように互いに傾斜し、前記内側に向けて凸状に形作られる、
請求項6に記載の弁。
【請求項8】
前記第1の弁フィルム(551)の厚さは、前記第2の弁フィルム(552)の厚さよりも小さい、
請求項2から7のいずれか一項に記載の弁。
【請求項9】
前記第1の弁フィルム(551)および前記第2の弁フィルム(552)が前記流路を閉じている場合に、前記第1の弁フィルム(551)に作用する第1の反発力は、前記第2の弁フィルム(552)に作用する第2の反発力よりも小さい、
請求項2から8のいずれか一項に記載の弁。
【請求項10】
前記第1の弁フィルム(551)または前記第2の弁フィルム(552)は、シリカゲル、エチレンプロピレンジエンモノマー、プラスチック、または金属で作製される、
請求項2から9のいずれか一項に記載の弁。
【請求項11】
前記第1の圧力差閾値および前記第2の圧力差閾値は、10Paよりも大きい、
請求項1から10のいずれか一項に記載の弁。
【請求項12】
シールリング(540)であって、前記シールリング(540)は、前記弁本体(510)の外側にスリーブ付けされる、シールリング(540)と、
前記シールリング(540)と前記ボルト本体(550)とを接続する接続部(560)と
をさらに備え、
前記接続部(560)が通過するための切欠き(515)が、前記流路(511)の側壁に配置される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の弁。
【請求項13】
防水ガス透過膜(520)であって、前記防水ガス透過膜(520)は、前記流路(511)上に配置される、防水ガス透過膜(520)
をさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の弁。
【請求項14】
電子デバイスであって、
ハウジング(410)であって、前記ハウジング(410)は、内部に電子構成要素を有するように構成される、ハウジング(410)と、
弁であって、前記弁は、前記ハウジング(410)に配置され、前記弁は、請求項1から13のいずれか一項に記載の弁である、弁と
を備える電子デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載の電子デバイスを備える、ビークル。
【国際調査報告】