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特表2024-538213架橋性シリル化ポリマーをベースとする接着性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】架橋性シリル化ポリマーをベースとする接着性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 183/02 20060101AFI20241010BHJP
   C08L 101/10 20060101ALI20241010BHJP
   C08K 5/55 20060101ALI20241010BHJP
   C09J 175/06 20060101ALI20241010BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20241010BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20241010BHJP
   C09D 183/02 20060101ALI20241010BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20241010BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20241010BHJP
   C09D 175/08 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C09J183/02
C08L101/10
C08K5/55
C09J175/06
C09J175/08
C09J175/04
C09D183/02
C09D175/04
C09D175/06
C09D175/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523814
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 FR2022051967
(87)【国際公開番号】W WO2023067279
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】2111162
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(71)【出願人】
【識別番号】508242056
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ ルシェルシュ サイエンティフィック
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】513277212
【氏名又は名称】アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ボリ
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】フーカイ, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】プショール, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】シャボー, ローラン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4J002BG001
4J002BP031
4J002CF001
4J002CG001
4J002CH001
4J002CK031
4J002CK041
4J002CK051
4J002EY016
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD050
4J002FD060
4J002FD146
4J002FD150
4J002FD200
4J002GF00
4J002GH00
4J002GJ01
4J038DG101
4J038DG111
4J038DG121
4J038DG131
4J038DL021
4J038GA15
4J038KA04
4J038KA08
4J038NA02
4J038NA25
4J038PA18
4J040EF101
4J040EF111
4J040EF121
4J040EF131
4J040EK021
4J040GA31
4J040HD39
4J040HD42
4J040JA13
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA31
4J040KA42
(57)【要約】
本発明は、式(I):-Si(R(OR3-p[式中、各Rは独立して、1~4個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基を表し;各Rは独立して、1~10個の炭素原子、酸素および窒素から選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでよい、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、または2つのOR基は2~8個の炭素原子を含む1つかつ同一の環に含まれ;pは0、1または2に等しい整数である]の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基を含む、少なくとも1つのシリル化ポリマー(A);ならびに式(V):B(OH)R’R”[式中、R’は置換または非置換のアリール基を表し、R”はOH基および置換または非置換のアリール基から選ばれる]の少なくとも1つの触媒(B)を含む、接着性組成物に関する。本発明はまた、前記組成物のコーティング剤としての使用、前記組成物の架橋により得られる少なくとも1つの層を含む物品、およびさらに前記物品の製造の方法にも関する。最後に、本発明は、式(I)のシリル化ポリマー(A)の架橋を触媒するための、式(V)の化合物の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 式(I):
(I)-Si(R(OR3-p
[式中、
- 各Rは、独立して、1~4個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
- 各Rは、独立して、1~10個の炭素原子を含み、酸素および窒素から選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでもよい、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、または2つのOR基が、2~8個の炭素原子を含む1つの同一環に含まれ、
- pは0、1または2に等しい整数である]
の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基を含む、少なくとも1つのシリル化ポリマー(A)であって、
式(II)、(III)および(IV):
[式中、
- Pは、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含んでもよい、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状のポリマー基を表し、
- Rは、5~15個の炭素原子を含み、芳香族または直鎖状もしくは分岐状の脂肪族または脂環式であることができる、二価の炭化水素ラジカルを表し、
- Rは、1~6個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を表し、
- Xは、-NH-、-NR-、-O-または-S-から選ばれる二価の基を表し、
- Rは、1~20個の炭素原子を含み、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含むことができる、直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
- fは1~6の範囲の整数である]
のうち1つに相当する、少なくとも1つのシリル化ポリマー(A);ならびに
- 式(V):
(V)B(OH)R’R”
[式中、
- R’は、置換または非置換のアリール基を表し;
- R”は、OH基および置換または非置換のアリール基から選ばれる]
の少なくとも1つの触媒(B)
を含む、接着性組成物。
【請求項2】
触媒(B)が、以下の式:
[式中、R、R、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子を含むことのできる、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す];
(式中、
- R、R、R10、R11およびR12は、上に詳細に記載したとおりであり;
- R13、R14、R15、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子を含むことのできる、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基である);ならびに
[式中、
- R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、上に詳細に記載したとおりであり;
- Yは酸素または硫黄原子である]
のうち1つを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17が、水素原子、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含むシクロアルキル基、およびハロゲンから選ばれ、好ましくはフルオロアルキル基、好ましくは-CF基、ハロゲン、およびさらにそれらの組合せから選ばれる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17基のうち1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つが、フッ素原子、および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれる、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
1成分の組成物または2成分の組成物である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
触媒が、シリル化ポリマーの全重量に対して、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の含有量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
Pが、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリアクリレートポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタンおよびブロックポリエーテル/ポリエステルポリウレタンから選ばれる高分子ラジカルを表す、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
2つの基材を一緒に結合させるための接着剤として、または基材の表面上のコーティング剤としての、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物の架橋により得られる少なくとも1つの層を含む物品であって、層が好ましくは接着剤の層である、物品。
【請求項10】
請求項9に記載の物品の製造のための方法であって、接着性組成物の表面への適用、それに続く前記接着性組成物の架橋を含む、方法。
【請求項11】
式(I):
(I)-Si(R(OR3-p
[式中、
- 各Rは独立して、1~4個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
- 各Rは独立して、1~10個の炭素原子を含み、酸素および窒素から選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでよい、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、または2つのOR基は、2~8個の炭素原子を含む1つの同一環に含まれ、
- pは0、1または2に等しい整数である]
の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基を含むシリル化ポリマー(A)の架橋を触媒するための、式(V):
(V)B(OH)R’R”
[式中、
- R’は、置換または非置換のアリール基を表し;
- R”は、OH基および置換または非置換のアリール基から選ばれる]
の化合物の使用であって、
シリル化ポリマー(A)が、式(II)、(III)および(IV):
[式中、
- Pは、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含んでよい、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の高分子ラジカルを表し、
- Rは、5~15個の炭素原子を含み、芳香族または直鎖状もしくは分岐状の脂肪族または脂環式であることができる、二価の炭化水素ラジカルを表し、
- Rは、1~6個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を表し、
- Xは、-NH-、-NR-、-O-または-S-から選ばれる二価の基を表し、
- Rは、1~20個の炭素原子を含み、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含むことができる、直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
- fは1~6の範囲の整数である]
のうち1つに相当する、化合物の使用。
【請求項12】
触媒(B)が請求項2から4のいずれか一項に記載のとおりであり、および/またはシリル化ポリマー(A)の高分子ラジカルPが請求項7に記載のとおりである、請求項11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリル化ポリマーおよび触媒を含む接着性組成物、ならびにまた、接着剤またはコーティング剤としてのこの組成物の使用に関する。本発明はまた、前記組成物の架橋により得られた層を含む物品および前記物品を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
シリル化ポリマーは、様々な種類の用途に用いることができ、例えば接着性組成物においては、表面コーティングの接着性結合などのあらゆる種類の接着性結合に使用することができ、または漏洩防止膜を形成するもしくは自己接着性物品を製造するためにも使用することができる。
【0003】
シリル化ポリマーは、周囲温度でも、反応性シリル基の大気中水分との反応により架橋することができる。シリル化ポリマーの架橋を迅速化する目的で、シリル化ポリマーに架橋触媒を添加することが可能である。
【0004】
一般に、シリル化ポリマーをベースとする接着性組成物において使用される架橋触媒は、スズ系触媒、例えばジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、またはさらにジオクチルスズである。
【0005】
しかし、これらのスズ系触媒の毒性が次第に強調されるようになり、製造者はこれらの使用を回避するようになっている。
【0006】
シリル化ポリマーの架橋のために、スズ非含有触媒が開発されており、その中ではビスマスネオデカノエートまたは亜鉛オクトエートまたはネオデカノエートに言及することができる。これらのスズ非含有触媒は、スズ系触媒より有効性が2分の1から3分の1の低さである。したがって、スズ系触媒により得られるものと同等の架橋時間を得るためには、ビスマスネオデカノエートまたは亜鉛オクトエート型の触媒を2~3倍多く導入することが必要となる。
【0007】
有機触媒を介したシリル化ポリマーの触媒も、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン-(DBU)または1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)の中間体を介して可能であるが、これらは漆喰の表面へと触媒が移動するために最終生成物が黄色に着色する欠点を有し、多くの工業製品におけるそれらの使用を限定している。
【0008】
架橋触媒は、その使用中にシリル化ポリマーの架橋を迅速化することを可能にしなければならない。架橋触媒はまた、使用前に接着性組成物を保管する間、安定性を維持しなければならない。言い換えれば、架橋触媒は、接着性組成物の保管後に最終使用者がそれを使用するまで、前記ポリマーの架橋を迅速化させるその能力を保持しなければならない。
【0009】
加えて、接着性組成物の最適な使用のためには、前記接着性組成物はその保管の間、架橋してはならない。
【0010】
Nomura Y.らによる論文(Curing of Silylated Polyurethane with BF-Monoethylamine Complex as Moisture-Curable Adhesives and Their Properties、Journal of Applied Polymer Science、106(2007)、3165~3170)は、シリル化ポリウレタンの架橋のための、モノエチルアミンとの組合せでのBFの使用を記載している。
【0011】
Huber P.らによる論文(FTIR Investigations on Hydrolysis and Condensation Reactions of Alkoxysilane Terminated Polymers for Use in Adhesives and Sealants、Int.J.of Adhesion & Adhesives、64(2016)、153~162)もやはり、アルコキシシラン末端ポリマーの加水分解および縮合反応のための架橋のための、モノエチルアミンとの組合せでのBFの使用を記載している。
【0012】
Adachi K.らによる論文(Accelerated Silane Water-Crosslinking Kinetics of Ethylene-Propylene Copolymer by Boron Trifluoride Complexes、Macromol.React.Eng.、1(2007)、313~320)は、グラフトされたビニルトリメトキシシラン基を有するエチレン-プロピレンコポリマーの架橋のための、BF錯体の使用に関する。
【0013】
文献EP2267083は、シロキサン結合(反応性シリル基)の形成により架橋性ケイ素含有基、グアニジン化合物およびメチルエステル基を含有する化合物を有する有機ポリマーを含む、スズ触媒を除いた硬化性組成物に関する。
【0014】
文献US8124690は、ケイ素基を有するポリマーである湿気硬化性ポリマーに関する。
【0015】
したがって、スズを除き、迅速な架橋時間および良好な安定性(特に保管中)を呈する、架橋性接着性組成物を提供する真の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、第一に、
- 式(I):
(I)-Si(R(OR3-p
[式中、
- 各Rは独立して、1~4個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基(alkyl radical)を表し;
- 各Rは独立して、1~10個の炭素原子を含み、酸素および窒素から選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでよい、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、または2つのOR基が、2~8個の炭素原子を含む1つの同一環に含まれ;
- pは0、1または2に等しい整数である]
の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基を含む、少なくとも1つのシリル化ポリマー(A)、ならびに、
- 式(V):
(V)B(OH)R’R”
[式中、
- R’は、置換または非置換のアリール基を表し;
- R”は、OH基および置換または非置換のアリール基から選ばれる]
の少なくとも1つの触媒(B)
を含む、接着性組成物に関する。
【0017】
一部の実施形態によれば、触媒(B)は、以下の式:
[式中、R、R、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子を含むことのできる、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す];
[式中、
- R、R、R10、R11およびR12は、上に詳細に記載したとおりであり;
- R13、R14、R15、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子を含むことのできる、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す];ならびに
[式中、
- R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、上に詳細に記載したとおりであり;
- Yは酸素または硫黄原子である]
のうち1つを有する。
【0018】
一部の実施形態によれば、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、水素原子、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含むシクロアルキル基、およびハロゲンから選ばれ、好ましくはフルオロアルキル基、好ましくは-CF基、ハロゲン、およびさらにそれらの組合せから選ばれる。
【0019】
一部の実施形態によれば、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17基の1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つが、フッ素原子、および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれる。
【0020】
一部の実施形態では、組成物は、1成分の組成物または2成分の組成物である。
【0021】
一部の実施形態によれば、触媒は、シリル化ポリマーの全重量に対して、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の含有量で存在する。
【0022】
一部の実施形態によれば、シリル化ポリマーは、式(II)、(III)または(IV):
[式中、
- Pは、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含んでよい、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の高分子ラジカルを表し、
- Rは、5~15個の炭素原子を含み、芳香族または直鎖状もしくは分岐状の脂肪族または脂環式であることができる、二価の炭化水素ラジカルを表し、
- Rは、1~6個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基(alkylene radical)を表し、
- Xは、-NH-、-NR-、-O-または-S-から選ばれる二価の基(divalent radical)を表し、
- Rは、1~20個の炭素原子を含み、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含むことができる、直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
- fは1~6の範囲の整数である]
のうち1つに相当する。
【0023】
本発明はまた、上に記載した組成物の、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤として、または基材の表面上のコーティング剤としての使用にも関する。
【0024】
本発明はまた、上に記載した組成物の架橋により得られる少なくとも1つの層を含む物品であって、層が好ましくは接着剤の層である、物品にも関する。
【0025】
本発明はまた、上に記載した物品の製造の方法であって、接着性組成物の表面への適用、それに続く前記接着性組成物の架橋を含む、方法に関する。
【0026】
本発明はまた、式(I)
(I)-Si(R(OR3-p
[式中、
- 各Rは独立して、1~4個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状のアルキル基を表し;
- 各Rは独立して、1~10個の炭素原子を含み、酸素および窒素から選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでよい、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、または2つのOR基は、2~8個の炭素原子を含む1つの同一環に含まれ; - pは0、1または2に等しい整数である]
の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基を含むシリル化ポリマー(A)の架橋を触媒するための、式(V):
(V)B(OH)R’R”
[式中、
- R’は、置換または非置換のアリール基を表し;
- R”は、OH基および置換または非置換のアリール基から選ばれる]、
の化合物の使用にも関する。
【0027】
特に、式(V)の化合物は、前記シリル化ポリマー(A)の架橋を、加水分解されたアルコキシシラン(シラノール)基を縮合し、シロキサン(-Si-O-Si-)結合を形成することにより触媒するために使用される。
【0028】
一部の実施形態によれば、触媒(B)は、上に記載したとおり、または詳細な記述のとおり(実施形態および好ましい特徴を含む)であり、および/または、シリル化ポリマー(A)は、上に記載したとおり、または詳細な記述のとおり(実施形態および好ましい特徴を含む)である。
【0029】
本発明は、上に表明した必要性を満たすことを可能とする。本発明は、より具体的には、スズを除いたものであることが可能であり、かつ迅速な架橋時間および良好な安定性(特に保管中)を呈する架橋性接着性組成物を提供する。
【0030】
これは、本発明による組成物の利点によって達成される。より具体的には、式(V)の化合物は特に、加水分解されたアルコキシシラン(シラノール)基を縮合し、シロキサン(-Si-O-Si-)結合を形成することにより、シリル化ポリマー架橋の触媒として有効に作用する。これにより、スズを含む触媒、およびさらに安定性の問題を呈する触媒(最終生成物の着色など)をも回避することが可能となる。加えて、式(V)の触媒は、スズ触媒のものと類似した時間および量でシリル化ポリマーを効率的に架橋する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を以下、続く記述においてより詳細かつ非限定的に記載する。
【0032】
本発明は、シリル化ポリマー(A)および触媒(B)を含む接着性組成物に関する。
【0033】
シリル化ポリマー(A)
本発明の意味の中で、「シリル化ポリマー」という用語は、少なくとも1つのアルコキシシラン基を含むポリマーを意味するものと理解される。好ましくは、少なくとも1つのアルコキシシラン基を含むシリル化ポリマーは、式(I):
(I)-Si(R(OR3-p
[式中、
- 各Rは独立して、1~4個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基を表し;
- 各Rは独立して、1~10の炭素原子を含み、酸素および窒素から選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子を含んでよい、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表し、または2つのOR基が、2~8個の炭素原子を含む1つの同一環に含まれ;
- pは0、1または2に等しい、好ましくは0または1に等しい整数である]
の少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基を含むポリマーである。
【0034】
上に定義したシリル化ポリマーは、少なくとも1つの架橋性アルコキシシラン基を含む。架橋性アルコキシシラン基は、好ましくは前記ポリマーの末端に位置する。しかし、鎖の中央に位置することは除外されない。シリル化ポリマーは、接着性組成物の適用前には架橋されない。接着性組成物は、特に加水分解されたアルコキシシラン(シラノール)基の縮合でシロキサン(-Si-O-Si-)結合を形成することにより、その架橋を可能にする条件下で適用される。
【0035】
シリル化ポリマー(A)は一般的に、多少なりとも粘性の液体の形態で提供される。好ましくは、シリル化ポリマーは、10~200Pa.sの範囲、好ましくは20~175Pa.sの範囲の粘度を呈し、前記粘度は、例えばBrookfield型方式に従い、23℃、50%の相対湿度(S28スピンドル)で測定される。
【0036】
シリル化ポリマー(A)は、好ましくは式(I)の2つの基を含むが、式(I)の3つ~6つの基を含むこともできる。
【0037】
好ましくは、シリル化ポリマー(A)は、500~50000g/molの範囲、より好ましくは700~20000g/molの範囲の数平均モル質量(Mn)を呈する。ポリマーの数平均モル質量(Mn)は、当業者に周知の方法により、例えばポリスチレンタイプの標準を使用するサイズ排除クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、シリル化ポリマー(A)は、式(II)、(III)または(IV):
[式中、
- R、Rおよびpは、上に記載した式(I)中と同一の意味を有し、
- Pは、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含んでよい、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の高分子ラジカルを表し、好ましくは100g/mol~48600g/mol、より特別には300g/mol~18600g/molまたはさらに500g/mol~12600g/molの数平均モル質量を呈し、
- Rは、5~15個の炭素原子を含み、芳香族または直鎖状もしくは分岐状の脂肪族または脂環式であることができる、二価の炭化水素ラジカルを表し、
- Rは、1~6個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を表し、
- Xは、-NH-、-NR-、-O-または-S-から選ばれる二価の基を表し、
- Rは、1~20個の炭素原子を含み、1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含むことができる、直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、
- fは、1~6の範囲、好ましくは2~5の範囲の、好ましくは2~4の範囲の、より好ましくは2~3の範囲の整数である]
のうち1つに相当する。
【0039】
好ましくは、上の式(II)、(III)および/または(IV)において、Pは非限定的に、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリオレフィンポリウレタン、ポリアクリレートポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ブロックポリエーテル/ポリエステルポリウレタンから、またはポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリオレフィンポリウレタン、ポリアクリレートポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ブロックポリエーテル/ポリエステルポリウレタンから、特に、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタン、ポリアクリレートポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタンおよびブロックポリエーテル/ポリエステルポリウレタンから、例えばポリエーテルおよびポリエーテルポリウレタンから選ばれる高分子ラジカルを表す。
【0040】
例えば、シリル化ポリマーは、文献EP2468783の教示によるものであることができ、これは式(II)のシリル化ポリマーを記載し、ここでPはポリウレタン/ポリエステル/ポリエーテルブロックを有する高分子ラジカルを表す。
【0041】
一実施形態によれば、シリル化ポリマーは、シリル化ポリウレタン、シリル化ポリエーテルおよびそれらの混合物から選ばれる。
【0042】
特定の実施形態によれば、シリル化ポリマーは、式(II’)、(III’)および(IV’):
のうち1つに相当する。
【0043】
式(II’)、(III’)および(IV’)において:
- R、R,R、R、X、Rおよびpは、上に記載した式(II)、(III)および(IV)中と同一の意味を有し、
- Rは、1つまたは複数のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含んでよい、飽和または不飽和の、直鎖状または分岐状の二価の炭化水素ラジカルを表し、好ましくは100g/mol~48600g/mol、より好ましくは300g/mol~18600g/molまたはさらに500g/mol~12600g/molの数平均モル質量を呈し、
- nは0以上の整数である。
【0044】
上に定義された式(II’)、(III’)および(IV’)のシリル化ポリマーにおいて、Rラジカルが1つまたは複数のヘテロ原子を含む場合、前記ヘテロ原子は鎖の末端に存在しない。言い換えれば、シリル化ポリマーの隣接する酸素原子に結合した二価のRラジカルの遊離原子価は、それぞれ炭素原子に由来する。したがって、Rラジカルの主鎖は2つの末端のそれぞれが炭素原子により終結しており、前記炭素原子はそこで遊離原子価を呈する。
【0045】
一実施形態によれば、シリル化ポリマー(A)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリアミドポリオール、ポリシロキサンポリオールおよびポリオレフィンポリオールならびにそれらの混合物から選ばれるポリオールから、またはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリシロキサンポリオールおよびポリオレフィンポリオールならびにそれらの混合物から、ならびにより好ましくは、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリレートジオール、ポリシロキサンジオール、ポリオレフィンジオールおよびそれらの混合物から選ばれるジオールから、特にポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリレートジオール、ポリシロキサンジオールおよびそれらの混合物から得られる。上に記載した式(II’)、(III’)および(IV’)のポリマーの場合、このようなジオールは式HO-R-OHにより表すことができ、ここでRは式(II’)、(III’)および(IV’)中と同一の意味を有する。
【0046】
例えば、式(II’)、(III’)および(IV’)中に存在することができるRタイプのラジカルの中では、以下の二価の基について言及することができ、以下のその式は、2つの遊離原子価を示す:
- ポリプロピレングリコールの誘導体:
- ポリエステルジオールの誘導体:
- ポリブタジエンジオールの誘導体:
- ポリアクリレートジオールの誘導体:
- ポリシロキサンジオールの誘導体:
[式中、
qは、Rラジカルの数平均分子量が100g/mol~48600g/mol、好ましくは300g/mol~18600g/mol、より好ましくは500g/mol~12600g/molの範囲であるような整数を表し、
rおよびsは、Rラジカルの数平均分子量が100g/mol~48600g/mol、好ましくは300g/mol~18600g/mol、より好ましくは500g/mol~12600g/molの範囲であるようなゼロまたは非ゼロの整数を表し、r+sの合計がゼロ以外であることが理解され、
は、好ましくは1~18個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を呈する、飽和または不飽和、直鎖状または分岐状、芳香族または脂肪族の二価のアルキレン基を表し、
は、好ましくは2~36個の炭素原子、より好ましくは1~8個の炭素原子を呈する、直鎖状または分岐状の二価のアルキレン基を表し、
、Q、Q、Q、QおよびQは、互いに独立して、水素原子、または好ましくは1~12個の炭素原子を、好ましくは2~12個の炭素原子を、より好ましくは2~8個の炭素原子を呈する、アルキル、アルケニルもしくは芳香族ラジカルを表す]。
【0047】
一実施形態によれば、Rは、以下の二価の基のうち1つから選ばれ、以下のその式は、2つの遊離原子価を示す:
a)イソホロンジイソシアネート(IPDI)に由来する二価の基:
b)ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)に由来する二価の基:
c)トルエンジイソシアネート(TDI)に由来する二価の基:
d)ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-および2,4’-の異性体に由来する二価の基:
e)ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に由来する二価の基:
-(CH
f)m-キシリレンジイソシアネート(m-XDI)に由来する二価の基:
g)ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)に由来する二価の基:
-(CH-。
【0048】
式(II)および(II’)のポリマーは、文献EP2336208およびWO2009/106699に記載された方法に従って得ることができる。当業者には、異なる種類のポリオールを使用する場合には、これら2文献に記載された製造方法をどのように適合させるかは既知であろう。式(II)に相当するポリマーの中では、以下の市販の参照:
- Geniosil(登録商標)STP-E10(Wackerより入手可):ジメトキシタイプの2つの基(I)(nは0に等しく、pは1に等しく、RおよびRはメチル基を表す)を含むポリエーテルであって、数平均モル質量8889g/molを呈し、ここでRはメチル基を表すポリエーテル;
- Geniosil(登録商標)STP-E30(Wackerより入手可):ジメトキシタイプの2つの基(I)(nは0に等しく、pは1に等しく、RおよびRはメチル基を表す)を含むポリエーテルであって、数平均モル質量14493g/molを呈し、ここでRはメチル基を表す;
- Desmoseal(登録商標)S XP 2636(Bayerより入手可):トリメトキシタイプの2つの基(I)(nは0に等しく、pは0に等しく、かつRはメチル基を表す)を含むポリウレタンであって、数平均モル質量15038g/molを呈し、ここでRはn-プロピレン基を表すポリウレタン
について言及することができる。
【0049】
式(III)または(III’)のポリマーは、例えば文献EP1829928に記載されている方法に従って、ポリエーテルジアリルエーテルのヒドロシリル化により得ることができる。式(III)に相当するポリマーの中では、以下の市販の参照:
- ポリマーMS SAX(登録商標)350(カネカより入手可)、14000~16000g/molの範囲の数平均モル質量を有するジメトキシタイプの2つの基(I)(pは1に等しく、RおよびRはメチル基を表す)を含むポリエーテルに相当;
- ポリマーMS SAX(登録商標)260(カネカより入手可)、16000~18000g/molの数平均モル質量を呈し、Rはエチル基を表すジメトキシタイプの2つの基(I)(pは1に等しく、RおよびRはメチル基を表す)を含むポリエーテルに相当;
- ポリマーMS S303H(カネカより入手可)、おおよそ22000g/molの数平均分子量を有する、ジメトキシタイプの2つの基(I)(pは1に等しく、Rはメチル基を表す)を含むポリエーテルに相当
について言及することができる。
【0050】
式(IV)または(IV’)のポリマーは例えば、ポリオールと1つまたは複数のジイソシアネートとの反応、続くアミノシランまたはメルカプトシランとの反応により得られる。式(IV)または(IV’)のポリマーの調製方法は、文献EP2583988に記載されている。当業者であれば、異なる種類のポリオールを使用する場合にこれら2文献に記載された製造方法をどのように適合させるかは既知であろう。式(IV)に相当するポリマーの中では、以下:
- SPUR+(登録商標)1050MM(Momentiveより入手可):数平均モル質量16393g/molを呈し、ここでRはn-プロピル基を表す、トリメトキシタイプの2つの基(I)(nは0ではなく、pは0に等しく、Rはメチル基を表す)を含むポリウレタン;
- SPUR+(登録商標)Y-19116(Momentiveより入手可):15000~17000g/molの範囲の数平均モル質量を呈し、ここでRはn-プロピル基を表す、トリメトキシタイプの2つの基(I)(nは0ではなく、Rはメチル基を表す)を含むポリウレタン
について言及することができる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、接着性組成物は、式(II)および/もしくは(II’)の少なくとも1つのシリル化ポリマー、または式(III)および/もしくは(III’)の少なくとも1つのシリル化ポリマーを含む。
【0052】
本発明の非常に特に好ましい実施形態によれば、接着性組成物は、式(III’)、特にRがポリエーテル由来、好ましくはポリ(オキシアルキレン)ジオール由来、よりさらに詳細にはポリプロピレングリコール由来の二価の基である、少なくとも1つのシリル化ポリマーを含む。前記接着性組成物の架橋時間はその場合、全体として有利に短縮される。
【0053】
シリル化ポリマー(A)は、接着性組成物の全重量の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%に相当し得る。一般に、接着性組成物中のシリル化ポリマーの含有量は、接着性組成物の全重量に対して、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、よりさらに優先的には70重量%以下、有利には60重量%以下である。
【0054】
接着性組成物中のシリル化ポリマー(A)の量は、前記接着性組成物の使用に依存する場合がある。具体的には、漆喰組成物については、接着性組成物は、接着性組成物の全重量に対して好ましくは5重量%~50重量%のシリル化ポリマー、好ましくは10重量%~40重量%のシリル化ポリマーを含む。感圧性の自己接着性物品(PSAタイプ)の製剤に使用される接着性組成物については、接着性組成物は、接着性組成物の全重量に対して好ましくは10重量%~99.9重量%、好ましくは15重量%~90重量%、より好ましくは20重量%~80重量%のシリル化ポリマーを含む。
【0055】
触媒(B)
触媒(B)は、特にアルコキシシラン(シラノール)基の縮合でシロキサン(-Si-O-Si-)結合を形成することにより、シリル化ポリマー(A)の架橋を可能にする。触媒(B)は、本発明において定義されるとおり、特に接着性組成物の保管中、安定である。
【0056】
接着性組成物の保管中、シリル化ポリマー(A)は架橋性(架橋されていない)形態にある。シリル化ポリマー(A)の架橋は、特に大気中水分の存在下、接着性組成物の表面への適用中に起こり(アルコキシシラン基の加水分解が可能となる)、接着性結合をもたらし、またはさらにコーティングもしくは漏洩防止シールを形成する。触媒(B)の安定性は、接着性組成物の保管後にその架橋時間を維持する上で有利に対応する。
【0057】
触媒(B)は式(V):
(V)B(OH)R’R”
[式中、
- R’は、置換または非置換のアリール基を表し;
- R”は、OH基および置換または非置換のアリール基から選ばれる]
を有する。
【0058】
前記アリール基は、置換されていてもされていなくてもよい。アリール基は例えば、6~110個の炭素原子を含むことができる。R”基がアリール基である場合、R’およびR”基は、(B原子を介して結合されることに加えて)ビラジカルにより結合され得る。したがってそれらは、例えば下に記載する式(Vc)において例示されるとおり、追加の中間環を形成する。「ビラジカル」という用語は、2つの化学結合により他の基に結合する(この場合、一方ではR’に、および他方ではR”に結合する点において)基を意味するものと理解される。このビラジカルは、特に酸素(-O-)および硫黄(-S-)から選ぶことができる。
【0059】
一部の実施形態によれば、触媒(B)は、式(Va):
[式中、
- R、R、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子を含むことのできる、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す]
のボロン酸である。
【0060】
ヘテロ原子は、好ましくはハロゲン原子であり、好ましくはフッ素、塩素およびホウ素から選ばれる。
【0061】
他の実施形態によれば、触媒(B)は、式(Vb)または(Vc):
[式中、
- R、R、R10、R11およびR12は、上に詳細に記載したとおりであり;
- R13、R14、R15、R16およびR17は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つのヘテロ原子を含むことのできる直鎖状もしくは分岐状のアルキル基であり;
- Yは酸素または硫黄原子である]
のボリン酸である。
【0062】
ヘテロ原子は、好ましくはハロゲン原子であり、好ましくはフッ素、塩素およびホウ素から選ばれる。
【0063】
、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17基は、独立して、水素原子、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含む直鎖状もしくは分岐状のフルオロアルキル基、1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子を含むシクロアルキル基、およびハロゲンから選ばれる。好ましくは上の基は、フルオロアルキル基(好ましくは-CF基)、ハロゲン、およびそれらの組合せから選ばれる。
【0064】
一部の実施形態によれば、R、R、R10、R11およびR12基、ならびに任意選択で(すなわち、触媒が式(Vb)または(Vc)を有する場合)R13、R14、R15、R16およびR17基は、すべて水素原子である。
【0065】
他の好ましい実施形態によれば、R、R12、R13およびR17基は水素原子であり、R、R10、R11、R14、R15および/またはR16基の少なくとも1つが、アルキル(好ましくはフルオロアルキル)基である。好ましくは、(式(Vb)または(Vc)の触媒の)各アリール基は、水素以外の1つ~3つの基を有する。
【0066】
好ましい実施形態によれば、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17基の1つまたは複数は、フッ素、塩素および臭素から選ばれる、少なくとも1つの原子を含むことができる。
【0067】
一部の好ましい形態によれば、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17基の1つ、好ましくは2つ、より好ましくは3つが、フッ素原子、および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれる。
【0068】
触媒(B)が式(Va)または(Vb)を有する場合、ならびにR、R、R10、R11およびR12基の1つ、ならびに任意選択でR13、R14、R15、R16およびR17基の1つが水素原子以外である場合、この基は、フッ素原子、および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれることができる。好ましくは、この基はR、R10、R11基の1つ、および/またはR14、R15、R16基の1つである。
【0069】
触媒(B)が式(Va)または(Vb)を有する場合、ならびにR、R、R10、R11およびR12基の2つ、ならびに任意選択でR13、R14、R15、R16およびR17基の2つが水素原子以外である場合、これらの基は、フッ素原子、および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれることができる。これらの基は、RおよびR11基、ならびに任意選択でR14およびR16基であることが好ましい。
【0070】
触媒(B)が式(Vc)を有し、R、R、R10およびR11基の1つ、ならびにR13、R14、R15およびR16基の1つが水素原子以外である場合、この置換基は、フッ素原子、および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれることができる。好ましくは、この基はR、R10、R11基の1つ、および任意選択でR14、R15、R16基の1つである。
【0071】
触媒(B)が式(Vc)を有し、R、R、R10およびR11基の2つ、ならびにR13、R14、R15およびR16基の2つが水素原子以外であり、好ましくはフッ素原子および1~20個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは-CF基を含むフルオロアルキル基から選ばれる場合、これらの基はRおよびR11基ならびにR14およびR16基であることが好ましい。
【0072】
有利には、触媒(B)は上に記載したように、実施形態および好ましい特徴を含み、式(Vb)のボリン酸である。
【0073】
一部の好ましい実施形態によれば、触媒(B)は、以下の式(VI)~(XX):
のうち1つを有する。
【0074】
有利には、触媒(B)は上に記載した式である、式(VI)、(VIII)、(IX)、(X)、(XII)、(XIX)、(XX)または(XXI)、例えば(IX)、(X)、(XII)、(XIX)または(XXI)、特に(IX)または(XXI)を有する。
【0075】
一部の実施形態によれば、触媒(B)は、シリル化ポリマー(A)の重量に対して、0.05重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の含有量で存在することができる。この含有量は、シリル化ポリマー(A)の重量に対して、0.05重量%~0.1重量%;または0.1重量%~1重量%;または1重量%~2重量%;または2重量%~3重量%;または3重量%~4重量%;または4重量%~5重量%;または5重量%~6重量%;または6重量%~7重量%;または7重量%~8重量%;または8重量%~9重量%;または9重量%~10重量%であることができる。
【0076】
接着性組成物
一部の実施形態によれば、本発明による接着性組成物は、シリル化ポリマー(A)および触媒(B)から実質的に構成され、実際はさらにこれらからなる。
【0077】
「実質的に構成される」という用語は、本発明による接着性組成物が、シリル化ポリマー(A)および触媒(B)以外の原料の含有量を、前記組成物の全重量に対して5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%以下含むことを意味すると理解される。
【0078】
代替的に、本発明による接着性組成物はまた、1つまたは複数の他の添加剤を含むこともできる。
【0079】
「他の添加剤」という用語は、上に定義したシリル化ポリマー(A)または触媒(B)のいずれでもない添加剤を意味することが理解される。
【0080】
他の添加剤の中でも、充填剤、接着促進剤、可塑剤、レオロジー剤、水分吸収剤、UVおよび熱安定剤、共触媒(本発明において定義される触媒(B)とは異なる)について言及することができる。
【0081】
本発明による接着性組成物は、触媒(B)以外に、少なくとも1つの架橋剤を追加的に含むことができる。架橋剤は、例えば、1つまたは複数の加水分解可能基を有するシリケートから選ぶことができる;好ましくは、架橋剤はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)である。架橋剤の使用は、一部の場合における架橋速度を改善させることを可能にする。
【0082】
本発明による接着性組成物は、触媒(B)以外に、少なくとも1つの共触媒を追加的に含むことができる。共触媒は特に、アミノアルコキシシランであることができる。-NH基の存在は、水分の存在下、加水分解および縮合反応を有効に共触媒することを可能にする。共触媒の他の例は、BF錯体(例えばBFモノエチルアミン)であり、これは加水分解および縮合反応中にアルコキシ基の離脱を容易にすることを可能にする。
【0083】
本発明による接着性組成物は、充填剤を含むことができ、前記充填剤は、無機充填剤、有機充填剤または無機充填剤および有機充填剤の混合物であることが可能である。
【0084】
無機充填剤は、炭酸カルシウム、カルシウムポリカーボネート、水酸化アルミニウム、タルク、カオリン、カーボンブラック、シリカおよびフュームドシリカ、クオーツまたはグラスビーズから選ぶことができる。
【0085】
有機充填剤は、塩化ポリビニル、ポリエチレン、ポリアミド、スチレン/ブタジエン樹脂または粉末形態の任意の他の有機ポリマーから選ぶことができる。
【0086】
好ましくは、充填剤は0.010~20μmの範囲、好ましくは0.020~15μm、より好ましくは0.030~5μmの範囲の粒径を呈する。
【0087】
接着性組成物中に存在する充填剤は、例えばレオロジー剤の機能など、組成物の中で様々な機能を提供することができる。
【0088】
充填剤は、接着性組成物の全重量の最大で80重量%、好ましくは20重量%~70重量%、より好ましくは30重量%~60重量%に相当し得る。
【0089】
添加剤は、適用の制約に従って、接着性組成物のレオロジーを調整する目的で供給することができる。例えば、収率点を上昇させる添加剤(レオロジー剤)は、組成物の適用中、特に接着性組成物の層を受ける表面が水平でない場合にサギングを防止する目的で添加することができる。
【0090】
レオロジー剤は、接着性組成物の全重量の0.01重量%~8重量%、好ましくは0.05重量%~6重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%に相当し得る。
【0091】
可塑剤は、例えば、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸もしくはクエン酸のエステルから、またはポリエステル、ポリエーテル、鉱物油炭化水素の誘導体から選ぶことができる。フタル酸の誘導体の中では、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジベンジルフタレートまたはブチルベンジルフタレートについて言及することができる。可塑剤が存在する場合、それは好ましくはフタレート、セバケート、アジペートおよびベンゾエートから選ばれる。
【0092】
可塑剤はポリマーと相容性でなければならず、接着性組成物において脱混合してはならない。可塑剤は組成物の可塑性(伸び)を増大させ、その粘性を低減することを可能にする。
【0093】
組成物中に可塑剤が存在する場合、その含有量は接着性組成物の全重量に対して表すと、好ましくは30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%~15重量%である。可塑剤は、存在する場合、接着性組成物の全重量の10重量%~30重量%、好ましくは10重量%~20重量%に相当する。
【0094】
水分吸収剤は、存在する場合、ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、例えばMomentiveから入手可能なSilquest(登録商標)A171、ビニルトリエトキシシラン(VTEO)、例えばWackerから入手可能なGeniosil(登録商標)GF56、またはアルコキシアリールシラン、例えばWacker社から入手可能なGeniosil(登録商標)XL70などから選ぶことができる。
【0095】
水分吸収剤は、接着性組成物中に存在する可能性のある水の中和に加えて、例えば、添加剤を介して、架橋が迅速過ぎる場合、目的の適用に従って接着性組成物の架橋時間を若干増加させることを可能にする。
【0096】
組成物中に水分吸収剤が存在する場合、その含有量は、接着性組成物の全重量に対して表すと、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。水分吸収剤は、存在する場合、接着性組成物の全重量の0.5重量%~3重量%、好ましくは1重量%~2重量%の含有量で存在する。過度に大量に存在する場合、水分吸収剤は接着性組成物の架橋時間の増加をもたらす可能性がある。
【0097】
ポリマーの分解を防止(減速化または停止)するため、UV照射または熱衝撃へのより良好な耐性を得る目的で、UVおよび熱安定剤を添加することができる。例として、BASFから入手可能なTinuvin(登録商標)123、Tinuvin(登録商標)326またはIrganox(登録商標)245について言及することができる。
【0098】
接着促進剤の例として、アミノシランおよびグリシドキシシランについて言及することができる。特にアミノシランは、式(II)もしくは(II’)または(IV)もしくは(IV’)のシリル化ポリマーの架橋を改善することを可能にする。式(III)または(III’)のシリル化ポリマーの場合、接着性組成物がアミノシランを含まないことが好ましい。
【0099】
組成物中に接着促進剤が存在する場合、その含有量は有利には、接着性組成物の全重量に対して0.1重量%~5重量%、好ましくは0.2重量%~3重量%、より優先的には0.5重量%~2重量%の範囲である。
【0100】
好ましくは、本発明による接着性組成物は、従来のレオメータを使用してビンガムモデルにより23℃で測定した、10000~500000MPa.sの範囲の粘度を呈する。
【0101】
一部の実施形態によれば、本発明による接着性組成物は、シリル化ポリマー(A)および触媒(B)が2つの別のコンパートメントにパッケージングされた2成分の形態で提供される。接着性組成物が添加剤を含む場合、これらの添加剤は、シリル化ポリマー(A)を含むコンパートメント(パート)中、および/または触媒(B)を含むコンパートメント(パート)中に存在することができる。この実施形態によれば、触媒(B)を含むコンパートメントは、任意選択で、好ましくは本発明による接着性組成物の全重量に対して0.1重量%~10重量%の範囲の量で、水を含むことができる。
【0102】
接着性組成物は、例えば支持体への適用によって使用される前には架橋されない。本発明による接着性組成物は、その架橋を可能にする条件下で適用される。接着性組成物の架橋は、上に記載したシリル化ポリマーのポリマー鎖の間に、大気中の水分の作用下で、シロキサンタイプの結合を創出する効果を有し、その結果、三次元のポリマーネットワークが形成される。
【0103】
本発明による接着性組成物は、組成物を基材に適用する前に、例えば10℃~120℃の範囲の温度および20%~55%(+/-5%)の範囲の相対湿度で、シリル化ポリマー(A)と触媒(B)とを混合することにより調製できる。接着性組成物中に充填剤が存在する場合、触媒(B)は好ましくは第2の段階において、シリル化ポリマーと充填剤との混合の後に添加する。他の任意選択的な添加剤は、正常な使用法に従って導入する。
【0104】
代替的に、組成物の2つの部分(シリル化ポリマー(A)および触媒(B))の1つが、第1のステップにおいて基材の表面でコーティングされることができ、第2の段階において、2つの部分の2つ目が、基材の表面で2つの部分のうち1つ目の上へとコーティングされることができる。この場合、組成物の架橋は基材の表面上で、例えば10℃~120℃の範囲の温度で、20%~55%(+/-5%)の範囲の相対湿度で実施される。
【0105】
本発明による接着性組成物は、少なくとも2つの隔てられたコンパートメントを含み、本発明による接着性組成物を含むキットにパッケージングされることができる。
【0106】
前記キットは水を含むことができ、この場合、水およびシリル化ポリマーは2つの隔てられたコンパートメントにパッケージングされるものと理解される。
【0107】
したがって、このようなキットにおいて、本発明による接着性組成物は、シリル化ポリマー(A)および触媒(B)が2つの隔てられたコンパートメント(パート)にパッケージングされた2成分の形態で提供されることができる。この実施形態によれば、キットは追加的に、触媒(B)を含むコンパートメント中に、または第3のコンパートメント中のいずれかに水を含むことができる。触媒(B)を含むコンパートメントに水が存在する場合、水は、本発明による接着性組成物の全重量に対して0.1重量%~10重量%に相当し得る。
【0108】
この場合、組成物の部分A(シリル化ポリマー(A)を含む)の部分B(触媒(B)を含む)に対する重量の割合は、100/1~0.2/1、特に50/1~0.5/1、好ましくは40/1~1/1である。例えば、割合は、40/1~35/1;または35/1~30/1;または30/1~25/1;または25/1~20/1;または20/1~15/1;または15/1~10/1;または10/1~5/1;または5/1~1/1であることができる。
【0109】
他の好ましい実施形態によれば、接着性組成物は、1成分の形態、すなわち、組成物の使用前、シリル化ポリマー(A)および触媒(B)は同じコンパートメント中にパッケージングされている。この場合、水は第2のコンパートメント中に保管することができる。したがって、接着性組成物の適用中、本発明によるキットのコンパートメントの構成部分は、シリル化ポリマーの架橋が可能となるように混合される。
【0110】
本発明はまた、接着性結合方法であって、本発明による接着性組成物の表面への適用、それに続く、特に加水分解されたアルコキシシラン(シラノール)基の縮合でシロキサン(-Si-O-Si-)結合が形成することによる前記接着性組成物の架橋を含む、方法に関する。
【0111】
接着性組成物の架橋は、水分、特に大気中の水分により促進される。
【0112】
接着性組成物は、15~120℃の温度で、好ましくは20~65℃の温度で架橋されることができる。例えば、この温度は15~20℃;または20~25℃;または25~30℃;または30~35℃;または35~40℃;または40~45℃;または45~50℃;または50~55℃;または55~60℃;または60~65℃;または65~70℃;または70~75℃;または75~80℃;または80~85℃;または85~90℃;または90~95℃;または95~100℃;または100~105℃;または105~110℃;または110~115℃;または115~120℃であることができる。
【0113】
一部の実施形態によれば、接着性組成物の架橋は、水の存在下で行われる。
【0114】
他の実施形態によれば、接着性組成物の架橋は、水の非存在下で行われる(大気中の水分以外)。
【0115】
本発明による接着性組成物は、任意の種類の基材、例えばコンクリート、タイル、金属、ガラス、木材およびプラスチックに適用することができる。
【0116】
接着性組成物は、基材の表面上に継続的な層を形成することができる。この層は、1μm~2mm、好ましくは25μm~2mmの厚みを有することができる。
【0117】
本発明による組成物は、2つの基材が一緒に接着的に結合するよう、接着性組成物として使用することができる。したがって、架橋の後、組成物は2つの基材を一緒に固定して保つ接着性の層を形成することができる。より詳細には、基材の表面上で接着性組成物をコーティングした後、追加的な基材の表面をコーティングされた表面と接触させ、2つの基材を接着的に結合させることができる。特定の実施形態によれば、追加的な基材をコーティングされた表面と接触させ、集合体をホットプレス下に配置して、2つの基材が一緒に接着的に結合するよう、迅速化することができる。このプレスの温度は、例えば、60~110℃、好ましくは80~100℃であることができる。
【0118】
他の実施形態によれば、本発明による接着性組成物は、基材の表面上のコーティングとして使用することができる。したがって、架橋の後、組成物は、例えば基材の表面の1つまたは複数の特性を改変する目的で、基材の表面を覆う層を形成することができる。
【0119】
したがって、本発明による接着性組成物の適用後に製造された物品は、接着性組成物でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む。
【0120】
接着性組成物がコーティングとして使用される場合、関わるのは物品の外側表面である。
【0121】
接着性組成物が接着剤として使用される場合、関わるのは物品の内側表面、すなわち、例えば物品の別の表面と接触する物品の表面であり、組成物はこれら2つの表面の間に見出される。
【実施例
【0122】
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示する。
【0123】
以下の化合物が、実施例の状況において使用された:
- A1:シリル化ポリマーMS S303H、カネカ製;
- B1:
- Cat1:ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、TIB Chemicals製(TIB KAT 226)。
【0124】
実施例1
まず、接着性組成物C1~C5(本発明による)を、水(シリル化ポリマーの重量に対して1重量%)の存在下、以下の表1に示すようにシリル化ポリマーA1を触媒B1~B5(シリル化ポリマーの重量に対して1重量%)と接触させることにより調製した。反応は温度50℃、空気下で行われた。組成物Comp1(比較例)は、シリル化ポリマー(A)をスズ触媒と接触させたもので、同じ条件下で調製した。
【0125】
「架橋時間」は、薄膜の形成時間に相当し、接着性組成物のビーズをボール紙の基材に適用することにより測定する。ビーズの表面に、低密度ポリエチレン製ピペットの端を使用して異なる時間に接し、表面に薄膜が形成される時点を決定する。
【0126】
触媒が使用されていない場合、架橋が観察されないことに注目すべきである(表1には示さない)。
【0127】
一方、本発明による触媒(スズを除いたもの)では、シリル化ポリマーの架橋は効率的に行われ、触媒の量は同一で、スズ触媒Cat1で得られた架橋時間と比較して同等かつ許容可能な時間であることが見出される。
【0128】
実施例2
この実施例では、組成物C6~C10を、水の非存在下、以下の表2に示すようにシリル化ポリマーA1を触媒B1~B5(シリル化ポリマーの重量に対して1重量%)と接触させることにより調製した。反応は温度50℃、空気下で行われた。組成物Comp2(比較例)は、シリル化ポリマーA1をスズ触媒Cat1と接触させたもので、同じ条件下で調製した。
【0129】
「架橋時間」は、実施例1に従って決定する。
【0130】
触媒が使用されていない場合、架橋が観察されないことに注目すべきである(表2には示さない)。
【0131】
一方、再度、本発明による触媒(スズを除いたもの)では、(水の非存在下でさえ)シリル化ポリマーの架橋が効率的に行われ、触媒の量は同一で、スズ触媒Cat1で得られた架橋時間と比較して同等かつ許容可能な時間であることが見出される。
【国際調査報告】