(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】内視鏡洗浄装置と共に使用するための、一体型シールを含むプルタブ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/12 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61B1/12 532
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523891
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2022060462
(87)【国際公開番号】W WO2023073657
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】エバーソール, ギャレット ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バリル, ジェイコブ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ディニーノ, マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, ジャスティン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バナジー, ソーミャ
(72)【発明者】
【氏名】ピレティア, ロイ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, ニコレット エル.
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA24
4C161DD01
4C161FF35
4C161GG04
4C161GG12
4C161JJ11
4C161JJ13
(57)【要約】
内視鏡洗浄装置(500)は、ベース(550)、バッテリパック(540)及びプルタブ(100)を含む。ベースは、管路(518)を画定する円筒体(555)を含む。バッテリパックは、バッテリ(545)と、円筒体に熱的に結合された加熱機構(528)とを含む。プルタブは、本体(102)と、本体に着脱可能に結合された環状シール(126)とを含む。環状シールは、円筒体の管路と位置合わせされる。プルタブは、バッテリと加熱機構との間の電気的連通を阻むために、バッテリパック内に部分的に受けられる。プルタブの本体は、ベース及びバッテリパックに対して取り外し可能に支持され、それにより、プルタブが使用者によって引かれると、環状シールは、プルタブの本体から離脱し、且つ円筒体に対して残って、内視鏡(10)に対して流体密封シールを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡洗浄装置であって、
管路であって、その中に内視鏡を受けるように構成された管路を画定する円筒体を含むベースと、
バッテリと、前記円筒体に熱的に結合された加熱機構とを含むバッテリパックと、
本体と、前記本体に着脱可能に結合された環状シールとを含むプルタブであって、前記環状シールは、前記円筒体の前記管路と位置合わせされ、前記プルタブは、前記バッテリと前記加熱機構との間の電気的連通を阻むために、前記バッテリパック内に部分的に受けられ、前記プルタブの前記本体は、前記ベース及び前記バッテリパックに対して取り外し可能に支持され、それにより、前記プルタブが使用者によって引かれると、前記環状シールは、前記プルタブの前記本体から離脱し、且つ前記円筒体に対して残って、前記環状シールを通して且つ前記ベースの前記管路内に受けられた内視鏡に対して流体密封シールを形成する、プルタブと
を含む内視鏡洗浄装置。
【請求項2】
前記プルタブの前記本体は、電気絶縁材料で形成される、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項3】
前記プルタブの前記本体は、一体的に形成される、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項4】
前記プルタブの前記環状シールは、弾性材料で形成される、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項5】
前記プルタブの前記環状シールは、約10mmの直径を有する内視鏡を密閉関係で受けるように寸法決めされた開口部を画定する、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項6】
前記プルタブの前記環状シールは、約5mmの直径を有する内視鏡を密閉関係で受けるように寸法決めされた開口部を画定する、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項7】
前記バッテリパックと前記ベースの前記円筒体とを覆うハウジングをさらに含み、前記ハウジングは、開口部であって、それを通して内視鏡を受けるための開口部を画定し、前記プルタブの一部は、前記ハウジングの前記開口部を通して延びる、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項8】
前記プルタブの前記本体は、前記バッテリと前記加熱機構との間の電気的連通を阻むために、前記バッテリパック内に受けられるように構成された絶縁部分と、前記環状シールを着脱可能に支持するシール部分とを含む、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項9】
前記円筒体は、切れ目を画定する円形ガイドを含む近位部分を含む、請求項1に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項10】
前記プルタブの前記環状シールは、前記円筒体の前記円形ガイド内に受けられるように寸法決めされる、請求項9に記載の内視鏡洗浄装置。
【請求項11】
内視鏡洗浄装置と共に使用するためのプルタブであって、
絶縁部分と、第1のシール部分と、第1のグリップ部分と、前記第1のグリップ部分及び前記第1のシール部分間に延びる第1のネック部分とを含む第1の構成要素と、
前記第1のシール部分と位置合わせされる第2のシール部分と、第2のグリップ部分と、前記第1のグリップ部分及び前記第2のシール部分間に延びる第2のネック部分とを含む第2の構成要素と、
前記第2の構成要素の前記第2のシール部分上に着脱可能に配置されたシールであって、それを通して内視鏡を受け、且つ前記内視鏡に対して流体密封シールを形成するように構成されたシールと
を含むプルタブ。
【請求項12】
前記第1の構成要素の前記第1のグリップ部分は、前記第2の構成要素の前記第2のグリップ部分に部分的に重なる、請求項11に記載のプルタブ。
【請求項13】
前記第1の構成要素の前記第1のネック部分は、前記第2の構成要素の前記第2のネック部分と重ね合わせた関係にある、請求項11に記載のプルタブ。
【請求項14】
前記第2のシール部分は、前記シールと位置合わせされる開口部を画定する、請求項11に記載のプルタブ。
【請求項15】
前記開口部は、約5mmの直径を有する、請求項14に記載のプルタブ。
【請求項16】
前記シールは、約10mmの直径を有するシール開口部を画定する、請求項11に記載のプルタブ。
【請求項17】
手術キットであって、
内視鏡であって、前記内視鏡の遠位端部分にレンズを有する内視鏡と、
内視鏡洗浄装置であって、
管路であって、その中に前記内視鏡を受けるように構成された管路を画定する円筒体を含むベースと、
バッテリパックであって、
前記ベースの前記管路に熱的に結合された加熱機構、及び
前記加熱機構に電力を供給するように構成されたバッテリ
を含むバッテリパックと、
前記バッテリと前記加熱機構との間の電気的連通を阻むように構成された絶縁部分を有する本体と、前記本体上に着脱可能に配置された環状シールとを含むプルタブであって、前記ベース及び前記バッテリパックに対して取り外し可能に支持され、それにより、前記プルタブが使用者によって引かれると、前記環状シールは、前記プルタブの前記本体から離脱し、且つ前記円筒体に対して残って、前記環状シールを通して受けられた前記内視鏡に対して流体密封シールを形成する、プルタブと
を含む内視鏡洗浄装置と
を含む手術キット。
【請求項18】
前記プルタブの前記本体は、単一の構造体として一体的に形成される、請求項17に記載の手術キット。
【請求項19】
前記プルタブの少なくとも前記環状シールは、弾性材料で形成される、請求項17に記載の手術キット。
【請求項20】
前記内視鏡は、約5mm~約10mmの範囲の直径を有し、及び前記環状シールは、前記内視鏡に対して流体密封シールを形成するように構成される、請求項17に記載の手術キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低侵襲性外科器具に関し、より詳細には、内視鏡洗浄装置と共に使用するための、一体型シールを含むプルタブに関する。
【背景技術】
【0002】
低侵襲手術は、患者に大きい切開を加える必要性を排除し、それにより不快感、回復時間及び従来の開腹手術に関連する多くの有害な副作用を低減する。例えば、腹腔鏡及び内視鏡などの低侵襲性の観察器具は、低侵襲手術中に内部組織及び/又は臓器の観察を提供する。腹腔鏡手術では、患者の腹壁の小さい切開に腹腔鏡を配置し、手術部位を観察する。内視鏡手術では、天然に存在する開口部、例えば口、鼻、肛門、尿道又は膣に内視鏡を配置し、手術部位を観察する。他の低侵襲手術は、肋骨間の小さい切開を介して行われるビデオ支援胸部手術及び心臓血管手術を含む。これらの手術も手術部位を観察するためにスコープを利用する。
【0003】
典型的な低侵襲性の観察器具、例えば腹腔鏡又は内視鏡は、ハウジングと、ハウジングの一端から延びる細長いレンズシャフトと、細長いレンズシャフトの遠位端に設けられるレンズとを含む。ハウジングの他端からカメラビューファインダが延びる。カメラは、ハウジングに接続され、レンズを通して観測された画像を、画像が表示される外部モニタに伝送する。外科処置中、細長いレンズシャフトの遠位端部分は、患者内に延ばされ、細長いレンズシャフトの近位端部分、ハウジング及びカメラビューファインダは、患者の外に残される。このようにして、腹腔鏡/内視鏡は、モニタ上で手術野の特定の解剖学的構造を観察するために位置決め及び調整される。
【0004】
体内への内視鏡又は腹腔鏡の挿入中及び外科処置中、ごみ、例えば有機物及び/又は水分がスコープのレンズ上に堆積し得る。レンズ上のごみ及び結露の蓄積は、手術部位の可視化を損ない、多くの場合にレンズの洗浄を必要とする。内視鏡洗浄装置は、レンズ上のごみを除去し、内視鏡が手術部位に進入する際のレンズの曇りを抑制するために利用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、内視鏡洗浄装置は、ベース、バッテリパック及びプルタブを含む。ベースは、管路であって、その中に内視鏡を受けるように構成された管路を画定する円筒体を含む。バッテリパックは、バッテリと、円筒体に熱的に結合された加熱機構とを含む。プルタブは、本体と、本体に着脱可能に結合された環状シールとを含む。環状シールは、円筒体の管路と位置合わせされる。プルタブは、バッテリと加熱機構との間の電気的連通を阻むために、バッテリパック内に部分的に受けられる。プルタブの本体は、ベース及びバッテリパックに対して取り外し可能に支持され、それにより、プルタブが使用者によって引かれると、環状シールは、プルタブの本体から離脱し、且つ円筒体に対して残って、環状シールを通して且つベースの管路内に受けられた内視鏡に対して流体密封シールを形成する。
【0006】
一態様では、プルタブの本体は、電気絶縁材料で形成され得る。
【0007】
別の態様では、プルタブの本体は、一体的に形成され得る。
【0008】
さらに別の態様では、プルタブの環状シールは、弾性材料で形成され得る。
【0009】
なおもさらに別の態様では、プルタブの環状シールは、約10mmの直径を有する内視鏡を密閉関係で受けるように寸法決めされた開口部を画定し得る。
【0010】
なおもさらに別の態様では、プルタブの環状シールは、約5mmの直径を有する内視鏡を密閉関係で受けるように寸法決めされた開口部を画定し得る。
【0011】
一態様では、内視鏡洗浄装置は、バッテリパックとベースの円筒体とを覆うハウジングをさらに含み得る。ハウジングは、開口部であって、それを通して内視鏡を受けるための開口部を画定し得る。プルタブの一部は、ハウジングの開口部を通して延び得る。
【0012】
別の態様では、プルタブの本体は、バッテリと加熱機構との間の電気的連通を阻むために、バッテリパック内に受けられるように構成された絶縁部分と、環状シールを着脱可能に支持するシール部分とを含み得る。
【0013】
別の態様では、円筒体は、切れ目を画定する円形ガイドを含む近位部分を含み得る。
【0014】
さらに別の態様では、プルタブの環状シールは、円筒体の円形ガイド内に受けられるように寸法決めされ得る。
【0015】
本開示の別の態様によれば、内視鏡洗浄装置と共に使用するためのプルタブは、第1の構成要素、第2の構成要素及びシールを含む。第1の構成要素は、絶縁部分と、第1のシール部分と、第1のグリップ部分と、第1のグリップ部分及び第1のシール部分間に延びる第1のネック部分とを含む。第2の構成要素は、第1のシール部分と位置合わせされる第2のシール部分と、第2のグリップ部分と、第1のグリップ部分及び第2のシール部分間に延びる第2のネック部分とを含む。シールは、第2の構成要素の第2のシール部分上に着脱可能に配置される。シールは、それを通して内視鏡を受け、且つ内視鏡に対して流体密封シールを形成するように構成される。
【0016】
一態様では、第1の構成要素の第1のグリップ部分は、第2の構成要素の第2のグリップ部分に部分的に重なり得る。
【0017】
別の態様では、第1の構成要素の第1のネック部分は、第2の構成要素の第2のネック部分と重ね合わせた関係にあり得る。
【0018】
さらに別の態様では、第2のシール部分は、シールと位置合わせされる開口部を画定し得る。
【0019】
なおもさらに別の態様では、開口部は、約5mmの直径を有し得る。
【0020】
なおもさらに別の態様では、シールは、約10mmの直径を有するシール開口部を画定し得る。
【0021】
本開示のさらに別の態様によれば、手術キットは、内視鏡であって、内視鏡の遠位端部分にレンズを有する内視鏡と、内視鏡洗浄装置とを含む。内視鏡洗浄装置は、ベース、バッテリパック及びプルタブを含む。ベースは、管路であって、その中に内視鏡を受けるように構成された管路を画定する円筒体を含む。バッテリパックは、ベースの管路に熱的に結合された加熱機構と、加熱機構に電力を供給するように構成されたバッテリとを含む。プルタブは、バッテリと加熱機構との間の電気的連通を阻むように構成された絶縁部分を有する本体と、本体上に着脱可能に配置された環状シールとを含む。プルタブは、ベース及びバッテリパックに対して取り外し可能に支持され、それにより、プルタブが使用者によって引かれると、環状シールは、プルタブの本体から離脱し、且つ円筒体に対して残って、環状シールを通して受けられた内視鏡に対して流体密封シールを形成する。
【0022】
一態様では、プルタブの本体は、単一の構造体として一体的に形成され得る。
【0023】
別の態様では、プルタブの少なくとも環状シールは、弾性材料で形成され得る。
【0024】
さらに別の態様では、環状シールは、約5mm~約10mmの範囲の直径を有する内視鏡に対して流体密封シールを形成するように構成され得る。
【0025】
本開示の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照数字が類似又は同一の要素を識別する添付の図面と併せて考慮されると、以下の詳細な記載の観点からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示による、内視鏡と、プルタブを含む内視鏡洗浄装置とを含む手術キットの斜視図である。
【
図2】内視鏡洗浄装置のハウジングを幻像で示す、
図1の内視鏡洗浄装置の斜視図である。
【
図3】部品が分離された
図2の内視鏡洗浄装置の分解斜視図である。
【
図6】部品が分離された
図5のプルタブの分解斜視図である。
【
図7】
図1の断面線7-7に沿って取られた
図1の内視鏡洗浄装置の側断面図である。
【
図9】プルタブの本体が取り外された
図8の内視鏡洗浄装置の部分断面図である。
【
図10】プルタブの本体部分が取り外された
図2の内視鏡洗浄装置の斜視図である。
【
図11】プルタブのシールの別の態様を示す、
図10の内視鏡洗浄装置の斜視図である。
【
図12-13】本開示の別の態様によるプルタブを利用する
図1の内視鏡洗浄装置の斜視図である。
【
図14】本開示のさらに別の態様によるプルタブの斜視図である。
【
図15】部品が分離された
図14のプルタブの分解斜視図である。
【
図16】プルタブの第1の構成要素を第2の構成要素及びプルタブのシールから分離することを示す、
図14のプルタブの斜視図である。
【
図17】プルタブの第1及び第2の構成要素からシールを分離することを示す、
図14のプルタブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で開示される一体型シールを含むプルタブを、図面を参照して詳細に記載するが、図面では、同様の参照数字は、いくつかの図のそれぞれで同一の又は対応する要素を示す。本明細書で使用される場合、「遠位」という用語は、プルタブの従来の使用で使用者からより遠い、記載される部分を指し、「近位」という用語は、プルタブの従来の使用で使用者により近い、記載される部分を指す。さらに、平行及び垂直という用語は、真の平行及び真の垂直~約+又は-10度の実質的に平行及び実質的に垂直である相対的な構成を含むと理解される。さらに、矛盾しない範囲において、本明細書で詳述される態様のいずれか又はすべては、本明細書で詳述される他の態様のいずれか又はすべてと組み合わせて使用され得る。
【0028】
図1を参照すると、本開示による内視鏡洗浄装置500と共に使用するための一体型シールを含む例示的なプルタブが全体的にプルタブ100として示されている。内視鏡洗浄装置500は、手術前及び/又は手術中、内視鏡10の遠位端部分16のレンズ18を洗浄し、暖めるために、内視鏡10を受けるように構成される。内視鏡洗浄装置500は、内視鏡10のレンズ18の曇りを減少させ、良好な視野を維持するのに役立つ。
【0029】
図1は、ハウジング12と、ハウジング12から遠位方向に延び、レンズ18で終端する細長い管状シャフト14とを含む内視鏡10を示す。内視鏡10の遠位端部分16は、当業者に知られているように、患者の組織の画像を生成する多数の光学部品を含む。光学部品は、一般に、内視鏡10の近位端に画像を転送する画像センサの前又は光ファイバ撮像ガイドの前に位置決めされるレンズアセンブリの窓又は前部要素を含む。例えば、発光ダイオード、光ファイバ又は照明ガイドなどの照明源も提供され得る。細長い管状シャフト14は、硬質、半硬質又は可撓性であり得る。ハウジング12は、内視鏡10の位置が手術野の特定の解剖学的構造を見るように調整されるにつれて、患者内の手術野、例えば腹腔、胸腔等の画像が目に入るように適合されたビューファインダ20を含み得る。カメラは、レンズ18を通して観測された手術野の画像を受信し、その画像を例えば外部モニタに伝送し、そのモニタ上に手術野の画像が表示されるように適合される。すなわち、視覚表示装置は、光信号をビデオ信号に変換し、モニタ上に(又は選択された媒体上に保存するために)ビデオ画像を生成する。したがって、このモニタにより、臨床医は、低侵襲性の手術器具又は内視鏡手術器具を用いて外科処置が行われる際、患者内の手術野の解剖学的構造を見ることが可能になる。レンズ18が手術部位に導入されると、レンズ18の曇りが生じ得る。さらに、外科処置中、結露、煙の粒子及び生物学的組織又は物質が内視鏡10のレンズ18に接触し、蓄積し得る。これは、手術野の画像がモニタに表示されるときにそれらを不明瞭にする傾向がある。このため、内視鏡洗浄装置500は、鮮明な画像を維持するために、外科処置中及び/又は外科処置前に利用され得る。特に、内視鏡洗浄装置500は、内視鏡10のレンズ18から例えば有機物及び/又は水分などのごみを除去し、内視鏡10が手術部位に進入する際のレンズ18の曇りを低減するために利用され得る。
【0030】
図1~3は、ハウジング512と、ベース部分550と、ベース部分550に着脱可能に取り付けられたバッテリパック540と、プルタブ100とを含む内視鏡洗浄装置500を示す。ハウジング512は、ベース部分550に取り外し可能に結合される。ハウジング512は、開口部516を画定する。ベース部分550は、内視鏡10のレンズ18を受けるための管路518(
図7)を画定する円筒体555を含む。ベース部分550の管路518は、ハウジング512の開口部516と位置合わせされる。内視鏡洗浄装置500は、内視鏡10のレンズ18を処理して外科処置中に曇ることを抑制するための曇り止め材526(
図7)を管路518内に含み得る。曇り止め材526は、液体又はゲルの形態の曇り止め剤、レンズ洗浄剤又は界面活性剤の溶液を含み得る。内視鏡洗浄装置500は、内視鏡10のレンズ18が曇ることをさらに抑制するために、管路518の内壁及び管路518内に配置された曇り止め材526を加熱するための、円筒体555の管路518と熱的に連通する加熱機構528をさらに含み得る。内視鏡洗浄装置500は、管路518内に少なくとも部分的に配置されたシールアセンブリ530をさらに含み得る。シールアセンブリ530は、それを通して内視鏡10を受け、曇り止め材526が管路518から流出することを抑制するように構成される。シールアセンブリ530は、可撓性の医療グレードのシリコーンプラスチック製であり得る。一態様では、画像の色温度のバランスを取るために、円筒体555の管路18内にホワイトバランス基準材料(図示せず)を配置し得る。ホワイトバランス基準材料は、真白であり、柔らかく、傷が付かず、吸収性の材料であり得る。例えば、ホワイトバランス基準材料は、約D-65、又は約D-50、又は約D-100の色度を有する白色を有するスポンジを含み得る。ホワイトバランス基準材料は、疎水性又は親水性のいずれかであり得る低密度発泡体又は他の軟質材料から作られ得る。一態様では、白色バランス基準材料は、白色の医療グレードの独立気泡発泡体から作られる。一態様では、ハウジング512は、内視鏡10のレンズ18が外科処置中にそこで拭かれて洗浄され得るように、ハウジング512の外面の全部又は一部にマイクロファイバ布地を含み得る。
【0031】
特に
図2及び3を参照すると、バッテリパック540は、ベース部分550に着脱可能に結合可能である。ベース部分550の円筒体555は、管路518(
図7)を画定し、切れ目556を画定する円形ガイド554を有する近位部分552を含む。円形ガイド554は、後述するように、プルタブ100の一部を受けるように構成される。バッテリパック540は、複数のバッテリ545を含み、バッテリ545と加熱機構528との間の電気的連通を阻むために、プルタブ100の一部をその中にスライド可能に受けるように構成されたスロット542を画定する。
【0032】
加熱機構528(
図2)は、バッテリパック540に接続される、例えば巻きゲージ銅線又はニクロム線などの加熱要素を含み得る。作動されると、すなわちプルタブ10が取り外されると、バッテリバック540は、その中に配置された管路518及び/又は曇り止め材526を加熱するために加熱要素に電流を流す。一態様では、バッテリパック540によって電流を流されている間、加熱機構528が、体温を上回る曇り止め材526の一定の温度を長時間維持することを可能にするように、曇り止め材526によって所定の温度に達したときに電気の供給をオフにするために、サーミスタ又は熱的構成要素を有するスイッチを加熱機構528の電気回路に配置することができる。
【0033】
図4~6は、本開示によるプルタブ100を示す。プルタブ100は、本体102と、例えば接着剤で本体102に取り外し可能に取り付けられたシール126とを含む。本体102は、絶縁部分110と、シール126を支持するシール部分120と、ネック部分130と、グリップ部分140とを含む。一態様では、本体102は、一体的に形成され得る。別の態様では、本体102は、電気絶縁材料で形成され得る。さらに別の態様では、本体102は、単一の構造体として形成され得る。シール126は、内視鏡洗浄装置500のシールアセンブリ530(
図3)と位置合わせされる開口部128を画定する環状構成を有する。シール部分120は、後述するように、プルタブ100の絶縁部分110がベース550の円形ガイド554の切れ目556(
図3)を通してバッテリバック540のスロット542(
図3)内に延びるように、ベース550の円筒体555の円形ガイド554(
図3)内に受けられるように構成される。プルタブ100のネック部分130の一部は、
図7に最もよく示されるように、ハウジング512(
図1)と円筒体555の近位部分552(
図3)との間に固定され、グリップ部分140をハウジング512の開口部516(
図1)の外に向けるように折り曲げ可能である。このような構成下において、プルタブ100のグリップ部分140は、臨床医によって引っ張られて、プルタブ100の絶縁部分110をバッテリパック540から取り外して加熱機構528(
図2)に電流を流し、プルタブ100のシール部分120からプルタブ100のシール126を剥離又は離脱させ、それによりシール126の開口部128を、ベース部分550の円筒体555の近位部分552(
図3)に配置されたシールアセンブリ530(
図3)と位置合わせした状態で配置することができる。シール126は、シール126の開口部128を通して受けられた内視鏡10(
図1)に対して流体密封シールを形成する、例えば弾性の材料で形成され得る。
【0034】
図7及び8を参照すると、プルタブ100の絶縁部分110がバッテリパック540のスロット542(
図3)を通してバッテリパック540内に受けられるとき、絶縁部分110は、バッテリ545が加熱機構528(
図2)に電流を流すことを抑制するために、バッテリパック540の電気接触部分572とバッテリ545との間に介在する。さらに、プルタブ100のシール126は、プルタブ100の本体102のシール部分120に着脱可能に支持され、内視鏡洗浄装置500のベース部分550の円形ガイド554(
図3)内に位置決めされる。一態様では、プルタブ100のシール126は、約10mmの直径を有し得る。シール126の開口部128は、ベース部分550の円筒体555の管路518に対して同心に配置される。プルタブ100のネック部分130の一部は、内視鏡洗浄装置500のハウジング512と、ベース部分550の円筒体の近位部分552との間に折り曲げられて固定される。プルタブのグリップ部分140は、内視鏡洗浄装置500のハウジング512の開口部516から延出する。このような構成下において、臨床医によってプルタブ100のグリップ部分140がハウジング512から引き離されると、ハウジング512と近位部分552との間に折り曲げられて固定されるネック部分130の部分は、ハウジング512及び近位部分552からスライドして離れ、ハウジング512の開口部516を通して内視鏡洗浄装置500から取り外される。このとき、プルタブ100のシール126は、
図10に示すように、プルタブ100の本体102のシール部分120から離脱され、近位部分552上、例えばベース部分550の円形ガイド554内に残る。シール126は、それを通して延び、管路518内に挿入される内視鏡10に対して流体密封シールを提供する。しかしながら、プルタブ100は、より小さいシールを利用し得ることが考えられる。例えば、内視鏡10の直径よりも小さい直径を有する内視鏡1010の場合、プルタブ100は、
図11に示されるように、約5mmの直径を有するシール1126を利用し得る。
【0035】
図12及び13は、様々な寸法の内視鏡10、1010を収容するために、例えばポリマー又はゲルなどの弾性及び可撓性材料で形成されたシール2126を示す。例えば、シール2126は、
図12に示されるように、約5mmの直径を有する内視鏡1010に対して流体密封シールを形成するように寸法決めされた開口部2128を画定し得る。しかしながら、例えば、約10mmの直径を有する内視鏡10などのより大きい内視鏡がシール2126を通して挿入されると、
図13に示されるように、内視鏡10に対して流体密封シールを形成しながら、開口部2128が拡大される。
【0036】
図14~17は、本開示の別の態様によるプルタブ300を示す。プルタブ300は、様々なサイズの内視鏡に対応するように選択的に分離可能な多層を含む。具体的には、プルタブ300は、第1の構成要素310と、第2の構成要素360と、シール380とを含む。第1の構成要素310は、絶縁部分312と、第1のシール部分316と、第1のネック部分320と、第1のグリップ部分324とを含む。絶縁部分312は、バッテリパック540のスロット542(
図3)に受けられて、バッテリパック540のバッテリ545(
図8)と電気接触部分572(
図8)との間に介在するように構成される。第1のシール部分316は、ベース部分552のシールアセンブリ530(
図3)と位置合わせされ得る。第1のネック部分320は、第1のシール部分316から延び、第1のグリップ部分324で終わる。第1のグリップ部分324は、例えば、半円形のプロファイルを有し得る。第2の構成要素360は、第2のシール部分362と、第2のネック部分365と、第1の構成要素310の第1のグリップ部分324と部分的に重なる、例えば半円形のプロファイルを同じく有する第2のグリップ部分368とを含む。第2の構成要素360の第2のシール部分362は、例えば、約5mmの直径を有する開口部366を画定する。第2のシール部分362は、第1の構成要素310の第1のシール部分316と位置合わせされる。シール380は、第2の構成要素360の第2のシール部分362に着脱可能に取り付けられる。シール380は、第2の構成要素360の開口部366と連通する開口部384を画定する環状構成を有する。シール380は、例えば、接着剤で第2の構成要素360に取り付けることができる。
【0037】
使用時、臨床医は、最初にプルタブ300の第1の構成要素310を引っ張って、加熱機構528(
図2)がバッテリパック540によって電流を流されるように、絶縁部分312をバッテリパック540のスロット542(
図3)から取り外す。第1の構成要素310を取り外した後、第2の構成要素360の開口部366は、シール380の開口部384と連通する。開口部366は、ベース部分550(
図3)の円筒体555のシールアセンブリ530(
図3)及び管路518(
図7)と位置合わせされる。第2の構成要素360の開口部366は、約5mmの直径を提供する。より小さい内視鏡1010が利用される場合、第2の構成要素360は、内視鏡1010に対して流体密封シールを提供するために、シール384に取り付けられたままである。しかしながら、内視鏡10など、より大きい内視鏡が利用される場合、第2の構成要素360は、第2のグリップ部分368を内視鏡洗浄装置500のハウジング512(
図1)から引き離すことにより、臨床医によって取り外される。プルタブ300のシール380は、ベース部分550の近位部分552(
図3)上に残り、シールアセンブリ530及び管路518と位置合わせされる開口部384を提供する。このような構成下において、シール380は、内視鏡10に対して流体密封シールを提供する。
【0038】
本開示を図面に示したが、本開示をそれに限定することを意図するものではなく、なぜなら、本開示は、当技術分野が許容するのと同程度に範囲が広いこと及び本明細書が同様に読まれることを意図されるためである。したがって、上記の記載は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、単に例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付した特許請求の範囲の範囲及び趣旨内で他の修正形態を想到するであろう。
【国際調査報告】