(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】多色露光のための局所的シャドウマスキング
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525010
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022047662
(87)【国際公開番号】W WO2023076222
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA42
2H197AB07
2H197AB12
2H197AB13
2H197AB16
2H197BA11
2H197CA03
2H197CA06
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
(57)【要約】
基板をパターニングする方法は、基板上に第1のフォトレジストを提供することと、上記第1のフォトレジスト上に第2のフォトレジストを積層することと、上記第2のフォトレジストを第1のパターンの化学線放射に暴露することと、上記第2のフォトレジストの一部が溶解されるように上記第2のフォトレジストを現像して、上記第2のフォトレジストのフィーチャ間にギャップを提供することであって、上記ギャップが上記第1のフォトレジストの一部を露出する、こととを含む。上記方法は、次いで、上記第1のフォトレジストを第2のパターンの化学線放射に暴露することと、上記第1のフォトレジストの露出部分の一部が溶解されるように上記第1のフォトレジストを現像して、上記第1のフォトレジストのフィーチャ間に、上記基板の一部が暴露されるギャップを提供することとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングする方法であって、
基板上に第1のフォトレジストを提供することと;
上記第1のフォトレジスト上に第2のフォトレジストを積層することと;
上記第2のフォトレジストを第1のパターンの化学線放射に暴露することと;
上記第2のフォトレジストの一部が除去されるように上記第2のフォトレジストを現像して、上記第2のフォトレジストのフィーチャ間にギャップを提供することであって、上記ギャップが上記第1のフォトレジストの一部を露出する、ことと;
上記第1のフォトレジストを第2のパターンの化学線放射に暴露することと;
上記第1のフォトレジストの露出部分の一部が除去されるように上記第1のフォトレジストを現像して、上記第1のフォトレジストのフィーチャ間に、上記基板の一部が暴露されるギャップを提供することと
を含む方法。
【請求項2】
上記第1のパターンの化学線放射は第1の波長を有し、上記第2のパターンの化学線放射は第2の波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1の波長と上記第2の波長は異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記第2の波長は上記第1の波長よりも短い、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
上記第1の波長は200nm~300nmの範囲にある、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
上記第2の波長は10nm~100nmの範囲にある、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
上記第2のパターンの化学線放射は、垂直ではない角度で上記第1のフォトレジストに向けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
上記第2のパターンの化学線放射は、上記基板に対して10°~80°の角度で上記第1のフォトレジストに向けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
上記第2のパターンの化学線放射は、上記基板に対して垂直な角度で上記第1のフォトレジストに向けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
上記基板上に上記第1のフォトレジストを提供する前に、上記基板上にターゲット層を積層することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記ターゲット層はハードマスク層である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記第1のフォトレジストと上記第2のフォトレジストは、互いに異なる材料を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
上記第1のフォトレジストはEUVレジストであり、上記第2のフォトレジストはDUVレジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
上記第1のフォトレジストと上記第2のフォトレジストは、互いに同じ材料を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
上記第1のフォトレジストは化学増幅有機ポリマー系レジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
上記第1のフォトレジストは有機金属フォトレジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項17】
上記第1のフォトレジストはドライレジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
上記第2のフォトレジストは化学増幅有機ポリマー系レジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項19】
上記第2のフォトレジストは有機金属レジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
上記第2のフォトレジストはドライレジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項21】
上記第1のパターンの化学線放射は、波長が193nmである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項22】
上記第1のフォトレジストは、ポリヒドロキシスチレン(PHS)を含む化学増幅有機ポリマー系レジストであり、上記第2のフォトレジストは、(メタ)アクリレートを含む化学増幅有機ポリマー系レジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項23】
上記第1のパターンの化学線放射は、波長が193nmであり、上記第2のパターンの化学線放射はEUV光である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
上記第1のフォトレジストは有機金属レジスト又は金属含有ドライレジストであり、上記第2のフォトレジストは、(メタ)アクリレートを含む化学増幅有機ポリマー系レジストである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項25】
上記第1のパターンの化学線放射は、波長が193nmであり、上記第2のパターンの化学線放射はEUV光である、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は典型的には、レジストとして公知である感光性膜をあるパターンの化学線放射に暴露し、その後、レジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いで、レリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施される場合に、基板のエッチングされない部分を覆うエッチングマスクとして作用する。
【0002】
マルチパターニングは、複数のリソグラフィ工程を使用して最終パターンを作成することを説明する用語である。各種形態でのマルチパターニングによって、高度な半導体デバイスの製造が可能となる。パターニングは典型的には、2つの基本的な工程を含む。第1の工程は、リソグラフィを用いて、マスクベースの露光によりパターンを作成した後に、可溶性領域を現像することを含む。第2の工程は、方向性エッチング又は異方性エッチングによってパターンを下にある材料に転写することを含む。これら2つの工程は合わせて、デバイスのパターニングと称され得る。
【0003】
高度なデバイスを作製するためには、いくつかのパターニング工程が使用され得る。例えば、あるエリアを何らかの形態のマルチパターニングでパターニングし、次いでカットマスクを使用して1つ以上のパターニングされた領域間で切断してもよい。その後、連結パターンでアクティブエリア間を「ブリッジ」することで、高度なデバイスが提供され得る。かかるパターン構造を提供するには、多くの場合、相互作用しない最大で5回又は6回もの暴露が必要であり得るが、例えば、ブリッジは、異なるエリアの隔離を破壊すべきではない。そこで、これらのパターニング構造を提供するために、精巧な複数工程のパターニングプロセスが開発されている。しかし、かかるプロセスは複雑で高価であり、パターニングプロセスの各工程で転換するのが困難である。したがって、従来の複数工程パターニングプロセスの各工程を簡素化して、スループット、時間、そして最終的にはシュリンク能力を向上することが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択物を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0005】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、基板をパターニングする方法であって、基板上に第1のフォトレジストを提供することと、上記第1のフォトレジスト上に第2のフォトレジストを積層することと、上記第2のフォトレジストを第1のパターンの化学線放射に暴露することと、上記第2のフォトレジストの一部が溶解されるように上記第2のフォトレジストを現像して、上記第2のフォトレジストのフィーチャ間にギャップを提供することであって、上記ギャップが上記第1のフォトレジストの一部を露出する、こととを含む方法に関する。上記方法は、次いで、上記第1のフォトレジストを第2のパターンの化学線放射に暴露することと、上記第1のフォトレジストの露出部分の一部が溶解されるように上記第1のフォトレジストを現像して、上記第1のフォトレジストのフィーチャ間に、上記基板の一部が暴露されるギャップを提供することとを含む。
【0006】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法で適用され得るあるパターンの化学線放射の概略図である。
【
図1B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法で適用され得るあるパターンの化学線放射の概略図である。
【0008】
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0009】
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3E】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3F】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図3G】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は一般的に、半導体基板をパターニングする方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」という用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の半導体材料であり得る。本開示に係る方法は、従来の半導体マスクと、表面シャドウマスク又は表面コンタクトマスクとを組み合わせて、高度な半導体パターン形成を達成し得る。1つ以上の実施形態では、フォトレジスト層に到達するあるパターンの化学線放射が、フォトマスクとコンタクトマスクとの組み合わせによって画定され得る。かかる実施形態では、化学線放射は、基板によって画定される公称平面に対して垂直な角度でフォトレジスト層に向けられ得る。従来のフォトマスクが化学線放射を制限又はフィルタリングして、初期パターンの化学線放射を提供し、これがコンタクトマスクによってさらに画定される。コンタクトパターン又は表面パターンは、ウェハ表面に接触して形成されたレリーフパターン、マスクパターン又はテンプレートである。したがって、かかるマスクによって光が直接フィルタリングされる。コンタクトマスクは、ターゲットフォトレジスト層上に提供された既存のレリーフパターンであり得る。
図1Aに、フォトマスク111とコンタクトマスクとの組み合わせを用いて基板102上のフォトレジスト層104に適用され得るパターンの化学線放射を示す。コンタクトマスクは、第2のフォトレジスト106のレリーフパターンの構造物によって形成される。化学線放射の角度は、
図1A中の公称平面100に対して決定され得る。
【0011】
あるいは、1つ以上の実施形態では、フォトレジスト層に到達するあるパターンの化学線放射が、フォトマスクと表面シャドウマスクとの組み合わせによって画定され得る。シャドウマスクは、ターゲットフォトレジスト層上の既存のレリーフパターンを用いて作成され得るが、その場合、既存のレリーフパターンの陰が提供されて化学線放射への暴露を決定するように、上記パターンの化学線放射が、基板によって画定される公称平面に対して90°ではない角度、すなわち垂直ではない角度でフォトレジスト層に向けられる。表面シャドウマスクの作成は、暴露が分離され得る場合に有益である。浸透深度が非常に小さい極端紫外線(EUV)の場合、既存のターゲットEUV層の上方で第2のリソグラフィ工程を用いることで、単純なシャドウマスクを局所的に作成できる。
図1Bに、コンタクトマスクと表面シャドウマスクとの組み合わせを用いて基板102上のフォトレジスト層104に適用され得るパターンの化学線放射を示す。第2のフォトレジスト106のレリーフパターンの構造物が、コンタクトマスクと表面シャドウマスクの両方として作用する。パターンの化学線放射の角度は、
図1B中の平面100に対して決定され得る。
【0012】
このような技術はパターニングにおいて有利である。利点の1つは、表面コンタクトマスクの3D高さを利用することであり、第2の暴露の際に照射をコントロールできる。例えば、基板に対して45°など、斜めに光を投射すると、シャドウイングにより一部の光が遮断される。斜め暴露の場合、光の干渉が不要であれば、レンズ積層体の片側でスキャナをモノポールにセットできる。通常は、強め合う(constructive)干渉及び弱め合う(destructive)干渉が必要であるが、一部の斜め暴露では中断できる。
【0013】
表面コンタクトマスクの構造物は、投射パターンに対するフィルタとして機能し得る。光が基板表面に垂直であるトップダウンの視点からは、狭いフィーチャを暴露できる。フーリエ領域内フィルタ、すなわち開口数フィルタが提供される。所定のコンタクトマスクは、それが画定するスペースと比べて高さを相対的に高くできる。このことは、ラインの高さに近い幅を有するスペース/トレンチの場合、それらのトレンチが、斜め光によって完全に陰となり得ることを意味する。そして、入射光については、ラインにより、所与の投射パターンの望ましくない部分を遮断する機構が提供される。
【0014】
本明細書に開示される方法により、EUVリソグラフィの機能を向上できる。EUVレジストの暴露中、EUV源は主に13.5nmの放射を提供する。しかしながら、EUV光源は、EUV放射に加えて、UV光やDUV光などの帯域外放射も約5%生成する。このような放射、特に190~240nmの放射は、パターン形状の劣化のEUVレジストの感度の低下をもたらすおそれがある。特に、ライン幅が22nm以下のパターン形状は、この帯域外放射の影響を受け、EUVレジストの解像度に悪影響を与える。
【0015】
本明細書の技術は、帯域外放射のフィルタリングに役立ち、EUVフォトリソグラフィにおいてパターン形状及び解像度を向上させることができる。したがって、二次マスクの様々な部分によってパターンに機能が追加される。最も単純なケースでは、表面パターンが作成する密度の高いエリアがフィルタとして作用する。
【0016】
本開示に係る方法により、サブミクロンもの小さなフィーチャにアクセスできるようになる。したがって、本明細書に開示される方法は、高解像度フィーチャの生成、入射光のフィルタリング、並びに新規のデバイス及び形態の製造に用いることができる。
【0017】
本開示に係る方法200を
図2に示し、
図2を参照して論じる。方法200は、まず、ブロック202で、基板上に第1のフォトレジストを提供することを含む。次いで、ブロック204で、第1のフォトレジスト上に第2のフォトレジストを積層する。ブロック206で、第2のフォトレジストをあるパターンの化学線放射に暴露する。ブロック208で、第2のフォトレジストを現像してレリーフパターンを提供する。その後、ブロック210で、第2のフォトレジスト上のレリーフパターンをコンタクトマスクとして使用して、第1のフォトレジストを第2のパターンの化学線放射に暴露する。最後に、ブロック212で、第1のフォトレジストを現像する。
【0018】
上述した方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図3A~
図3Gに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」とは、第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。
図3Aは、第1のフォトレジスト304の層を第2のフォトレジスト306の層の下に有する基板302を示す。
図3Bでは、第2のレジストが、あるパターンの化学線放射に暴露されて、第2のフォトレジストの未暴露部分306及び暴露部分307の2つの部分が提供される。
図3Cは、第2のフォトレジストが現像され、その結果、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308間のギャップ309によって第1のフォトレジストの領域が暴露された後のコーティングされた基板を示す。
図3Dには、第1のフォトレジストの一部310が、フォトマスク311により提供されたパターンを有する第2のパターンの化学線放射に暴露されているコーティングされた基板を示す。最後に、
図3Fは、第1のフォトレジスト304が現像され、その結果、基板の一部が暴露され、エッチング可能となった後のコーティングされた基板302を示す。
図3E及び
図3Gは、それぞれ化学線放射が斜めに入射した場合の
図3D及び
図3Fの変形例を示す。
図2の方法及び
図3A~
図3Gに示すコーティングされた基板について、以下に詳細に論じる。
【0019】
1つ以上の実施形態では、本開示の方法に従ってパターニングされる基板は、ターゲット層を含み得る。当技術分野で知られる任意の好適なターゲット層を基板上に積層し得る。特定の実施形態では、ターゲット層はハードマスク層である。
【0020】
方法200のブロック202で、基板上に第1のフォトレジストを提供する。1つ以上の実施形態において、第1のフォトレジストはEUVレジストであるが、ここで、EUVレジストという用語は、EUV光に感受性のあるレジストを意味する。好適なEUVレジストとしては、化学増幅レジスト、有機金属レジスト及びドライレジストが挙げられる。
【0021】
1つ以上の実施形態では、EUVレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストはポリマーを含む。ポリマーは、フォトレジスト材料に典型的に使用される任意の標準的なポリマーであり得るが、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組み合わせを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態でポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のフォトレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変化させ得る。当業者に理解されるように、様々な保護基が、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組み合わせを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも称される。
【0022】
酸不安定基は、分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成してもよい。かかる酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三級エステル基、又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各R1は任意選択的には、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、いずれの2つのR1基もともに、任意選択的には環を形成し、R2は、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは、水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各R2は任意選択的には、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基はともに、任意選択的には環を形成し、R3は、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、R3は任意選択的には、その構造の一部として、-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2はR3とともに、任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは典型的には、芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0023】
あるいは又は加えて、ポリマーは、重合時に、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸不安定基を含むモノマーを含み得る。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、式中、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは典型的には、芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマー中に存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0024】
別の実施形態では、ポリマーは、高分子材料に化学的に結合され得るケイ素含有単位を含むポリマーであり得る。好ましい実施形態では、ケイ素含有単位はケイ素-酸素結合を含む。かかるポリマーを含むレジストは、本明細書では「ケイ素系レジスト」と称され得る。ケイ素含有レジストの例は、米国特許第5,985,524号、同6,444,408号,同6,670,093号,同6,596,830号、並びにSchaedeliらによる“Bilayer Resist Approach for 193 nm Lithography”,Proc.SPIE,Vol.2724,pp.344-354,1996、及びKesselらによる“Novel Silicon-Containing Resists for EUV and 193 nm Lithography”,Proc.SPIE,Vol.3678,pp.214-220,1999に開示されている。
【0025】
上述の通り、好適なEUVレジストとしては、有機金属レジストが挙げられる。したがって、1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストは、金属酸化物の化学反応に基づいた有機金属又は金属系レジストであり、放射線感受性配位子を利用して化学線放射によりパターニングを可能にする金属オキソ/ヒドロキソ組成物が挙げられる。あるクラスの放射線系レジストは、放射線感受性安定化配位子としてペルオキソ配位子を使用する。ペルオキソ系金属オキソ-ヒドロキソ化合物は、例えば、「Patterned Inorganic Layers,Radiation Based Patterning Compositions and Corresponding Methods」と題するStowersらに対する米国特許第9,176,377号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載される。関連するレジスト化合物は、「Metal Peroxo Compounds With Organic Co-ligands for Electron Beam,Deep UV and Extreme UV Resist Applications」と題するBassらに対する米国特許出願公開第2013/0224652号(参照により本明細書に組み入れられる)に論ぜられる。効果的なタイプのレジストが、「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions」と題するMeyersらに対する米国特許第9,310,684号、「Organometallic Solution Based High Resolution Patterning Compositions and Corresponding Methods」と題するMeyersらに対する米国特許出願公開第2016/0116839号、及び「Organotin Oxide Hydroxide Patterning Compositions,Precursors,and Patterning」と題する米国特許出願シリアル番号15/291,738(それらのすべてが参照により本明細書に組み入れられる)に記載されるようにアルキル配位子を用いて開発されている。スズ組成物がこれらの文献に例示されており、ここに提示されたデータはスズ系レジストに焦点を当てているが、ここに記載のエッジビード除去溶液は、後述する他の金属系レジストに有効であると期待される。
【0026】
特に興味深いスズ系フォトレジストについて、これらのフォトレジストは、式RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x[式中、0<z≦2及び0<(z+x)≦4であり、Rは、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である]で表される有機金属組成物の化学反応に基づいている。しかしながら、オキソ/ヒドロキソ配位子の少なくとも一部は、式RnSnX4-n[式中、n=1又は2であり、Xは、加水分解性M-X結合を有する配位子である]で表される組成物に基づいたその場での(in situ)加水分解に基づいた堆積後に形成され得ることが分かった。一般に、好適な加水分解性配位子(RSnX3のX)には、アルキニドRC≡C、アルコキシドRO-、アジドN3-、カルボキシレートRCOO-、ハライド及びジアルキルアミドが含まれ得る。そのため、いくつかの実施形態では、オキソ-ヒドロキソ組成物のすべて又は一部は、Sn-X組成物又はその混合物で置換され得る。R-Sn結合は一般的に、放射線感受性であり、レジストの放射線処理可能な側面の基礎となる。ただし、RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x組成物の一部は、MO((m/2)-l/2)(OH)xで置換され得る。式中、0<z≦2、0<(z+w)≦4、m=Mm+の形式原子価、0≦l≦m、y/z=(0.05~0.6)、及びM=M’又はSnであり、M’は、周期表の2~16族である非スズ金属であり、Rは、1~31個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。したがって、エッジビードリンス中に処理されるフォトレジストは、RzSnO(2-(z/2)-(x/2))(OH)x、R’nSnX4-n及び/又はMO((m/2)-l/2)(OH)xの選択されたブレンドを含み得るが、一般的にはこの組成物のかなりの割合がアルキル-スズ結合を含む。他のフォトレジスト組成物としては、例えば、ジブチルスズジアセテートなど、金属カルボキシレート結合(例えば、アセテート、プロパノエート、ブタノエート、ベンゾエートなどの配位子)を有する組成物が挙げられる。
【0027】
上で言及した金属オキソ/ヒドロキソ又はカルボキシレート系フォトレジストが特に望ましいが、いくつかの実施形態では、いくつかの他の高性能フォトレジストが好適である場合がある。詳細に述べると、他の金属系フォトレジストとしては、基板及びハードマスク材料に対する高いエッチング選択性を有するものが挙げられる。これらには、金属酸化物ナノ粒子レジスト(例えば、Jiang,Jing;Chakrabarty,Souvik;Yu,Mufei;et al.,“Metal Oxide Nanoparticle Resists for EUV Patterning”,Journal Of Photopolymer Science And Technology 27(5),663-666 2014(参照により本明細書に組み入れられる))、又は他の金属含有レジスト(A Platinum-Fullerene Complex for Patterning Metal Containing Nanostructures,D.X.Yang,A.Frommhold,D.S.He,Z.Y.Li,R.E.Palmer,M.A.Lebedeva,T.W.Chamberlain,A.N.Khlobystov,A.P.G.Robinson,Proc SPIE Advanced Lithography,2014(参照により本明細書に組み入れられる))などのフォトレジストが含まれ得る。他の金属系レジストは、「Film-Forming Composition,Method for Pattern Formation,and Three-Dimensional Mold」と題するYamashitaらに対する米国特許出願公開第2009/0155546号、及び「Method of Making Electronic Materials」と題するMaloneyらに対する米国特許第6,566,276号(それらの両方が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0028】
他の実施形態では、第1のフォトレジストは、「ドライレジスト」として知られる、蒸着プロセスによって適用されるEUV感受性膜である。膜は、有機金属前駆体の蒸気ストリームと対反応物の蒸気ストリームとを混合して重合体有機金属材料を形成することで形成し得る。ハードマスクもまた、有機金属ポリマー様材料を半導体基板の表面に堆積させることで形成し得る。混合操作及び堆積操作は、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、及びCVD要素を有するALD(金属前駆体と対反応物とが時間的又は空間的に分離される不連続のALD様プロセスなど)によって実行し得る。
【0029】
かかるEUV感受性膜は、EUVに暴露されると変化を受ける(例えば、低密度M-OHリッチ材料中の金属原子に結合した嵩高いペンダント置換基が失われることで、架橋されて、より高密度のM-O-M結合した金属酸化物材料となる)材料を含む。EUVパターニングによって、膜には、未暴露エリアに対して物理的又は化学的性質が変化したエリアが作成される。この性質を後続の処理で利用して、例えば、未暴露エリア又は暴露エリアのいずれかを溶解させたり、暴露エリア又は未暴露エリアのいずれかに材料を選択的に堆積したりできる。いくつかの実施形態では、かかる後続の処理が実行される条件下で、未暴露膜が疎水性表面を有し、暴露膜が親水性表面を有する(暴露エリア及び未暴露エリアの親水性は互いに相対的であることが認識される)。例えば、膜の化学組成、密度及び架橋の違いを利用することで材料の除去を実行できる。除去は、湿式処理で行っても、乾式処理で行ってもよい。
【0030】
様々な実施形態では、薄膜は、SnOx又はその他の金属酸化物部分を含む有機金属材料である。有機金属化合物は、有機金属前駆体と対反応物との気相反応において作製し得る。様々な実施形態では、有機金属化合物は、嵩高いアルキル基又はフルオロアルキルを有する有機金属前駆体と対反応物との特定の組み合わせを混合し、その混合物を気相で重合して、基板上に堆積する低密度のEUV感受性材料を作製することで形成される。
【0031】
様々な実施形態では、有機金属前駆体は、気相反応に耐え抜き得る少なくとも1つのアルキル基を各金属原子上に有し、一方、金属原子に配位した他の配位子又はイオンは、対反応物で置換され得る。有機金属前駆体としては、以下の式のものが挙げられる。
【0032】
MaRbLc (式1)
【0033】
式中、MはEUV吸光断面積の大きい金属であり;Rはアルキル、例えばCnH2n+1(好ましくはn≧3)であり;Lは配位子、イオン、又は対反応物と反応性である他の部分であり;a≧1;b≧1;及びc≧1である。
【0034】
様々な実施形態では、Mは、原子吸光断面積が1×107cm2/mol以上である。Mは、例えば、スズ、ビスマス、アンチモン及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、Mはスズである。Rはフッ素化されていてもよく、例えば式CnFxH(2n+1)を有するものである。様々な実施形態では、Rは少なくとも1つのβ-水素原子又はβ-フッ素を有する。例えば、Rは、i-プロピル、n-プロピル、t-ブチル、i-ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、t-ペンチル、sec-ペンチル及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。Lは、アミン(ジアルキルアミノ、モノアルキルアミノなど)、アルコキシ、カルボキシレート、ハロゲン及びこれらの混合物からなる群から選択される部分など、対反応物によって容易に置換されてM-OH部分を生成する任意の部分であり得る。
【0035】
有機金属前駆体は、候補となる多種多様な有機金属前駆体のいずれであってもよい。例えば、Mがスズである場合、かかる前駆体としては、t-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、n-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、sec-ブチルトリス(ジメチルアミノ)スズ、i-プロピル(トリス)ジメチルアミノスズ、n-プロピルトリス(ジエチルアミノ)スズ、及び類似のアルキル(トリス)(t-ブトキシ)スズ化合物、例えばt-ブチルトリス(t-ブトキシ)スズが挙げられる。いくつかの実施形態では、有機金属前駆体は部分的にフッ素化されている。
【0036】
対反応物は、反応性部分である配位子又はイオン(例えば、上記式1のL)を置換して、少なくとも2つの金属原子を化学結合を介して連結する能力を有することが好ましい。対反応物は、水、過酸化物(例えば過酸化水素)、ジ-又はポリヒドロキシアルコール、フッ素化ジ-又はポリヒドロキシアルコール、フッ素化グリコール、及び他のヒドロキシル部分の供給源を含むことができる。様々な実施形態では、対反応物は、隣接する金属原子間に酸素架橋を形成することで有機金属前駆体と反応する。他の対反応物としては、硫黄架橋を介して金属原子を架橋できる硫化水素及び二硫化水素が考えられる。
【0037】
薄膜は、有機金属前駆体及び対反応物に加えて、膜のEUV感度を変更したり、エッチング耐性を向上したりするなど、膜の化学的又は物理的特性を変更するための任意選択材料を含んでいてもよい。かかる任意選択材料は、基板上への堆積前、膜堆積後又はその両方で、気相形成中にドーピングなどによって導入できる。いくつかの実施形態では、穏やかなリモートH2プラズマを導入して一部のSn-L結合をSn-Hに置換し得るが、これによって、EUV下でのレジストの反応性を高めることができる。
【0038】
様々な実施形態では、EUVパターニング可能な膜は、当技術分野で公知の蒸着装置及びプロセスのものを用いて作製され、基板上に堆積される。かかるプロセスにおいて、重合体有機金属材料は、基板表面に気相で又はその場で(in situ)形成される。好適なプロセスとしては、例えば、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、及びCVD要素を有するALD(金属前駆体と対反応物とが時間的又は空間的に分離される不連続のALD様プロセスなど)が挙げられる。
【0039】
一般的に、方法は、有機金属前駆体の蒸気ストリームと対反応物の蒸気ストリームとを混合して重合体有機金属材料を形成することと、有機金属材料を半導体基板の表面に堆積することとを含む。当業者には理解されるように、プロセスの混合及び堆積側面は、実質的に連続的なプロセスにおいて同時に行われ得る。
【0040】
例示的な連続CVDプロセスにおいて、別々の導入経路中の有機金属前駆体及び対反応物源の2つ以上のガスストリームが、CVD装置の成膜チャンバに導入され、そこで、気相で混合及び反応して、(例えば、金属-酸素-金属結合形成を介して)凝集高分子材料を形成する。ストリームは、例えば別々の注入口又はデュアルプレナムシャワーヘッドを用いて、導入できる。装置は、有機金属前駆体及び対反応物のストリームがチャンバ内で混合され、有機金属前駆体と対反応物が反応して重合体有機金属材料を形成できるように構成されている。本技術の機構、機能又は有用性を限定するものではないが、このような気相反応による生成物は、金属原子が対反応物で架橋されるにつれ、分子量が重くなり、その後、凝縮などによって基板上に堆積されると考えられる。様々な実施形態では、嵩高いアルキル基の立体障害により高密度充填ネットワークが形成されず、低密度の多孔質膜が生成される。
【0041】
一般的に、CVDプロセスは、10mTorr~10Torrなどの減圧下で行われる。いくつかの実施形態では、プロセスは、0.5~2Torrで行われる。基板の温度は、反応物ストリームの温度以下であることが好ましい。例えば、基板温度は0℃~250℃、又は周囲温度(例えば23℃)~150℃であり得る。様々なプロセスにおいて、重合体有機金属材料の基板上への堆積が起こる速度は、表面温度に反比例する。
【0042】
基板の表面に形成されるEUVパターニング可能な膜の厚さは、表面の性質、使用する材料及び処理条件によって変化し得る。様々な実施形態では、膜厚は、0.5nm~100nmの範囲であり得るが、EUVパターニング条件下でEUV光の大部分を吸収するのに十分な厚さであることが好ましい。例えば、レジスト膜の総吸光率は、レジスト膜底部のレジスト材料が十分に暴露されるように30%以下(例えば、10%以下又は5%以下)であってもよい。いくつかの実施形態では、膜厚は10~20nmである。本技術の機構、機能又は有用性を限定するものではないが、本技術のプロセスは、当技術分野の湿式スピンコーティングプロセスとは異なり、基材の表面接着性に対する制約が少ないため、多種多様な基材に適用できると考えられる。また、上で論じた通り、堆積膜は表面フィーチャに密接に追従し得るため、フィーチャが下にある基板などの基板上に、かかるフィーチャを「埋める」などの平坦化を行わずに、マスクを形成する際に有利である。
【0043】
1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストは光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、化学線又は化学線放射の照射時に酸を発生することが可能である化合物である。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光重合開始剤、ラジカル光重合用の光重合開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される化学線又は化学線放射の照射時に酸を発生することが可能である公知の化合物から選択することができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0044】
好適な光酸としては、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートが挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、ニトロベンジル誘導体、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム;N-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びにハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンが挙げられる。好適な非重合体光酸発生剤は、Hashimotoらに対する米国特許第8,431,325号(37欄、11~47行目及び41~91欄)に更に記載される。他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に記載されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基などのスルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0045】
第1のフォトレジストは、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、高分子、非高分子であり得るか、又は高分子PAGと非高分子PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは非高分子である。好ましくは、複数のPAGが使用される場合、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上述したようなスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含有する。
【0046】
1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストは任意選択的には、他の添加剤を含有し、他の添加剤は、フッ素原子又はケイ素原子のいずれかを少なくとも有する樹脂、塩基性化合物、界面活性剤、オニウムカルボキシレート、色素、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解抑制剤、及び現像剤中での溶解を加速させるための化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0047】
1つ以上の実施形態では、基板上に提供された第1のフォトレジストは、十分な厚さを有し得る。第1のフォトレジストの十分な厚さは、約300~約3000Åの範囲であり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1のフォトレジストは、第2のフォトレジスト上に積層される前に安定化される。凍結プロセスとしても知られる様々なフォトレジスト安定化技術が提案されており、例えば、イオン注入、UV硬化、加熱硬化、熱硬化及び化学硬化が挙げられる。技術は、例えば、米国特許出願公開第2008/0063985号、米国特許出願公開第2008/0199814号及び米国特許出願公開第2010/0330503号において記載されている。
【0049】
方法200のブロック204では、第1のフォトレジスト上に第2のフォトレジストを積層する。
図3Aに、第1のフォトレジスト304及び第2のフォトレジスト306が積層された基板302を示す。第2のフォトレジストは、例えばスピンオン堆積又は気相処理などの当技術分野で知られる任意の好適な方法に従って第1のフォトレジスト上に積層し得る。第2のフォトレジストは、ポリマー及び光酸発生剤を含み得る。1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、上述の通り、化学増幅有機レジスト、有機金属レジスト又はドライレジストを含み得る。第2のフォトレジストに含まれるレジストは、第1のフォトレジストに含まれる有機又は有機金属レジストと同じであっても異なっていてもよい。例えば、第1のフォトレジストがEUVフォトレジストであってもよい一方、第2のフォトレジストがDUVレジストであってもよい。1つ以上の実施形態では、第2のレジストはEUVレジストである。
【0050】
第2のフォトレジストを第1のフォトレジスト上に積層した後、方法200のブロック206に示すように、第2のフォトレジストをあるパターンの化学線放射に暴露し得る。化学線放射は、リソグラフィプロセスで一般的に使用される任意の波長であってよく、例えば任意のUV波長である。例えば、化学線放射は、波長が100nm~400nmの範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、第2のフォトレジストに適用される化学線放射は、波長が193nm~300nmの範囲であることが好ましい。
【0051】
現像されたレジストに形状又はレリーフパターンを付与するために、マスクを使用してレジストの一部を化学線放射から遮断し得る。化学線放射が適用された後、第2のフォトレジストの未暴露部分は、第2のフォトレジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。
図3Bに、第2のレジストがあるパターンの放射に暴露されているコーティングされた基板を示す。
図3Bに示す通り、第2のフォトレジストは、未暴露部分306と暴露部分307とから構成される。
【0052】
次いで、方法200のブロック208では、第2のフォトレジストをレジスト現像剤でリンスして、未暴露部分又は暴露部分のいずれかを除去し、レリーフパターンを提供する。フォトレジストの未暴露部分が現像剤でのリンス後に残っている場合に提供されるレリーフパターンは、ポジトーン現像フォトレジストである。対照的に、フォトレジストの暴露部分が現像剤でのリンス後に残っている場合に提供されるレリーフパターンは、ネガトーン現像フォトレジストである。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2のフォトレジストはポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストである。かかる実施形態では、第2のフォトレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含むモノマーがいずれも保護されているポリマーを含み得る。このように、PTDの第2のフォトレジストは有機可溶であり得るため、レリーフパターンは、塩基性のレジスト現像剤でリンスすることにより提供され得る。好適な塩基性レジスト現像剤としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの第四級水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0054】
他の実施形態では、第2のフォトレジストはネガ型レジストである。かかる実施形態では、レリーフパターンは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含むモノマーがいずれも保護されていないポリマーを含み得る。化学線放射への暴露によって、暴露エリアでポリマーの架橋が生じ、ポリマーが現像剤に対して不溶となる。その後、未暴露、したがって未架橋のエリアは、適当な現像剤を使用して除去されて、レリーフパターンを形成することができる。
【0055】
さらなる実施形態では、第2のフォトレジストはネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。PTDレジストと同様に、NTDレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含むモノマーがいずれも保護されているポリマーを含み得る。このように、NTDの第1のレジストは有機可溶であり得るが、レリーフパターンは、塩基性のレジスト現像剤で暴露エリアを現像する代わりに、有機溶媒を含むレジスト現像剤で第1のレジストをリンスすることで提供され得る。レジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。
【0056】
第2のフォトレジストのレリーフパターンは、ギャップで分離されたフィーチャを含み得る。
図3Cに、かかるレリーフパターンを有する第2のフォトレジストを含むコーティングされた基板を示す。
図3C中、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308は、ギャップ309で分離されている。1つ以上の実施形態では、第2のフォトレジストのレリーフパターンのフィーチャは、厚さが約300~3000Åであり得る。フィーチャを分離するギャップにより、第1のフォトレジストの一部が暴露された状態となり得る。
【0057】
その後、方法200のブロック210では、第1のフォトレジストをあるパターンの化学線放射に暴露する。化学線放射は、リソグラフィプロセスで一般的に使用される任意の波長であってよく、例えば任意のUV波長である。例えば、化学線放射は、波長が10nm~400nmの範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストに適用される化学線放射の波長は、第2のフォトレジストに適用される化学線放射の波長とは異なり、その波長よりも短い。したがって、第1のフォトレジストに適用される化学線放射の波長は、好ましくは10nm~100nmの範囲であり得る。
【0058】
1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストに適用されるパターンの化学線放射は、基板によって画定される公称平面(
図1A中、公称平面100として示す)に対して垂直な角度で第1のフォトレジストに対して向けられる。かかる実施形態では、フォトマスクと、第2のフォトレジストの既存のレリーフパターンとを組み合わせて、上記パターンの化学線放射を画定し得る。かかる組み合わせの例を
図3Dに示す。
図3Dに示すように、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308とフォトマスク311とを組み合わせて用いて特定のパターンの化学線放射を提供し、第1のフォトレジストに潜在パターンを付与する。
図3Dから、潜在パターンは、第1のフォトレジスト304の化学線放射に暴露されていない部分と、第1のフォトレジストの化学線放射に暴露された部分310とを含むことがわかる。特に、第1のフォトレジストの暴露部分は、第2のフォトレジストのレリーフパターンの2つのフィーチャ間に存在し得る。
【0059】
1つ以上の実施形態では、第1のフォトレジストに適用されるパターンの化学線放射は、基板によって画定される公称平面(
図1B中、公称平面100として示す)に対して垂直ではない角度で第1のフォトレジストに対して向けられる。例えば、上記パターンの化学線放射は、基板によって画定される公称平面に対して10°~80°の角度で基板に対して向けられ得る。このため、1つ以上の実施形態では、第2のフォトレジストのレリーフパターンの一部によって、暴露角度及び第2のレリーフパターンの構造物の高さに応じて第1のフォトレジストの一部が陰となる。
図3Eに、基板によって画定される公称平面に対して垂直ではない角度の化学線放射に暴露されるコーティングされた基板を示す。
図3Eに示すように、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308をコンタクトマスク及びシャドウマスクとして用い、化学線放射が斜めに適用されて、第1のフォトレジストに潜在パターンを提供する。上述の通り、潜在パターンは、第1のフォトレジスト304の化学線放射に暴露されていない部分と、第1のフォトレジストの化学線放射に暴露された部分310とを含む。特に、第1のフォトレジストの暴露部分は、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308と隣接し得る。
【0060】
最後に、ブロック212では、第1のフォトレジストを現像する。第2のフォトレジストと同様に、第1のフォトレジストは、レジスト現像剤でリンスして、未暴露部分又は暴露部分のいずれかを除去し、レリーフパターンを提供することで、現像し得る。第1のフォトレジストは、PTDフォトレジスト又はNTDフォトレジストであってもよく、そのため、塩基性現像剤又は有機現像剤を用いて現像し得る。塩基性現像剤及び有機現像剤は上述の通りである。
【0061】
1つ以上の実施形態では、組成、架橋度及び膜密度に関する差異を利用して、第1のフォトレジストの選択的ドライエッチングを行うことができる。いくつかの実施形態では、パターンを乾式法で現像して金属酸化物含有マスクを形成する。かかるプロセスにおいて有用な方法及び装置のなかでも、2018年12月20日に出願されたVolosskiyらによる米国特許出願第62/782,578号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものが挙げられる。このような乾式現像プロセスは、BCl3(三塩化ホウ素)や他のルイス酸などの乾式現像化学物質を流しながら、穏やかなプラズマ(高圧、低電力)又は熱プロセスのいずれかを用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、BCl3によって未暴露材料を迅速に除去することができ、後に残された暴露膜のパターンを、従来のエッチングプロセスなどのプラズマ系エッチングプロセスによって下層に転写できる。
【0062】
プラズマプロセスには、トランス結合プラズマ(TCP)、誘導結合プラズマ(ICP)又は容量結合プラズマ(CCP)が含まれ、当技術分野で公知の装置や技術のものが用いられる。例えば、5mTを超える(例えば15mTを超える)圧力、1000W未満(例えば500W未満)の電力レベルでプロセスを実施し得る。流量が100~1000標準立方センチメートル/分(sccm)、例えば約500sccmで1~3000秒(例えば、10~600秒)間、温度は0~300℃(例えば、30~120℃)であり得る。
【0063】
図3F及び3Gに、方法200終了時のコーティングされた基板を示す。
図3Fは、上記
図3Dに続くものである。
図3F中、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308が、第1のフォトレジスト304上にコンタクトマスクを形成している。現像後、第1のフォトレジスト304は、第2のフォトレジストのレリーフパターンと、フォトマスクを用いて適用されたパターンの化学線放射との組み合わせによって画定されたレリーフパターンを有する。そのため、サブミクロンもの小さなギャップ312が第1のフォトレジスト304に提供される。
【0064】
図3Gは、上記
図3Eに続くものである。
図3G中、第2のフォトレジスト306のフィーチャ308が、第1のフォトレジスト304上にコンタクトマスクを形成している。基板に対して垂直ではない角度で化学線放射を適用することで、フィーチャ308はシャドウマスクとしても作用する。現像後、第1のフォトレジスト304は、第2のフォトレジストのレリーフパターン及び適用された化学線放射の角度から得られたコンタクトマスク及びシャドウマスクによって画定されたレリーフパターンを有する。そのため、サブミクロンもの小さなギャップ312が第1のフォトレジスト304に提供される。
【0065】
方法200は、可能な一実施形態を表しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。当業者によって理解されるように、本発明は様々な代替的方法を包含し得る。かかる代替的実施形態では、本方法で使用される構成要素及び技術は、方法200に関して前述される通りであり得る。
【0066】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に記載したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】