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特表2024-538254水素化-酸触媒二元機能触媒、並びにその調製方法およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】水素化-酸触媒二元機能触媒、並びにその調製方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 31/02 20060101AFI20241010BHJP
   B01J 29/74 20060101ALI20241010BHJP
   B01J 35/61 20240101ALI20241010BHJP
   B01J 35/63 20240101ALI20241010BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20241010BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20241010BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20241010BHJP
   C01B 39/20 20060101ALI20241010BHJP
   C01B 39/26 20060101ALI20241010BHJP
   C07C 2/74 20060101ALN20241010BHJP
   C07C 5/27 20060101ALN20241010BHJP
   C07C 13/28 20060101ALN20241010BHJP
   C07C 9/16 20060101ALN20241010BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241010BHJP
【FI】
B01J31/02 Z
B01J29/74 Z
B01J35/61
B01J35/63
B01J37/02 101Z
B01J37/04
B01J37/18
C01B39/20
C01B39/26
C07C2/74
C07C5/27
C07C13/28
C07C9/16
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525085
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 CN2022127278
(87)【国際公開番号】W WO2023072041
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111250651.2
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210754110.1
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210754120.5
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】509128052
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司上海石油化工研究院
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI RESEARCH INSTITUTE OF PETROCHEMICAL TECHNOLOGY SINOPEC
【住所又は居所原語表記】NO.1658 PUDONG BEI ROAD,PUDONG NEW AREA,SHANGHAI 201208,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藍大為
(72)【発明者】
【氏名】楊為民
(72)【発明者】
【氏名】王振東
(72)【発明者】
【氏名】李相呈
(72)【発明者】
【氏名】劉闖
(72)【発明者】
【氏名】李俊傑
(72)【発明者】
【氏名】王聞年
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G073CZ03
4G073CZ05
4G073CZ07
4G073CZ25
4G073CZ50
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA15C
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA21C
4G169BA32A
4G169BA42A
4G169BA43A
4G169BA44A
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04C
4G169BB08C
4G169BB12C
4G169BC02C
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD12C
4G169BD15C
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE06C
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169CB02
4G169DA05
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC04X
4G169EC04Y
4G169EC06X
4G169EC07X
4G169EC07Y
4G169EC27
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB44
4G169FC02
4G169FC06
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA03A
4G169ZA04A
4G169ZA04B
4G169ZA06A
4G169ZA06B
4G169ZA19A
4G169ZA32A
4G169ZA32B
4G169ZB03
4G169ZB07
4G169ZB09
4G169ZC04
4G169ZC07
4G169ZD06
4G169ZD09
4G169ZE04
4H006AA02
4H006AC11
4H006AC23
4H006AC27
4H006BA05
4H006BA18
4H006BA23
4H006BA25
4H006BA26
4H006BA55
4H006BA56
4H006BA61
4H006BA62
4H006BA81
4H006BA85
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC34
4H006BE20
4H039CA19
4H039CB10
4H039CD10
4H039CJ10
4H039CL11
(57)【要約】
触媒の質量を基準として、ケイ素-アルミニウムモレキュラーシーブ成分を80~99.8%、モレキュラーシーブ上に担持された水素化活性を有する金属成分を0.2~2%、およびヒドロカルビル修飾成分を0~20%含み、前記水素化活性を有する金属がルテニウム、白金、パラジウム、銅、ニッケル、またはこれらの組み合わせから選択され、前記ヒドロカルビル修飾成分がC1-20ヒドロカルビル基である、水素化-酸触媒二元機能触媒。前記触媒は、水素化触媒および酸触媒の二つの機能を有し、ベンゼンのヒドロアルキル化反応とアルカンのヒドロ異性化反応に適している。さらに、前記触媒をベンゼンのヒドロアルキル化反応に使用してシクロヘキシルベンゼンを製造する場合、前記触媒は、高いベンゼン転化率、良好な生成物選択性、および副産物であるシクロヘキサンの生成量が少ないという特性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化-酸触媒二元機能触媒であって、当該触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を80~99.8%、モレキュラーシーブ上に担持された水素化活性を有する金属成分を0.2~2%、およびヒドロカルビル修飾成分を0~20%含み、前記水素化活性を有する金属がルテニウム、白金、パラジウム、銅、ニッケル、またはこれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、ルテニウム、パラジウム、またはこれらの組み合わせから選択され、前記ヒドロカルビル修飾成分は、C1-20ヒドロカルビルであり、好ましくはC1-10ヒドロカルビルであり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、フェネチルまたはこれらの組み合わせから選択される、触媒。
【請求項2】
前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブが、MWW、FAU、MOR、BEAもしくはATS構造を有するモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択され、好ましくはATS構造を有するモレキュラーシーブである、請求項1に記載の触媒;
好ましくは、前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブのケイ素-アルミニウム比は2~50、好ましくは2~40、より好ましくは2~20である。
【請求項3】
前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブがATS構造を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブであり、かつ前記触媒のX線回折スペクトルが、下記表に示される回折ピークの相対強度特性を示す、請求項1または2に記載の触媒:
【表1】
【請求項4】
前記触媒のX線回折スペクトルが、下記表のいずれかの列に示される回折ピークの相対強度特性を示す、請求項3に記載の触媒:
【表2】
【請求項5】
前記触媒は、当該触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を80~98%、水素化活性を有する金属成分を0.2~2%、ヒドロカルビル修飾成分を1~20%含有し、X線光電子分光法(XPS)試験により測定される、触媒の外表面上の元素に対する前記外表面上の水素化活性金属の質量含有量が0.5%以下、好ましくは0.4%以下であり;
好ましくは、前記触媒は、当該触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を90~98%、水素化活性を有する金属成分を0.2~1.5%、およびヒドロカルビル修飾成分を1~10%含有し;
さらに好ましくは、触媒の外表面における水素化活性金属の分配係数が1~20%、好ましくは1.5~18%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒は、下記の特徴:
触媒の比表面積が200~800m/gであり、好ましくは250~700m/gであること;
触媒の全細孔容積が0.15cm/g以上であり、好ましくは0.18~1.0cm/gであること;
触媒の微細孔容積が0.05~0.30cm/gであり、好ましくは0.10~0.25cm/gであること;
触媒の酸含有量の合計が400~1500μmol・g-1であり、好ましくは600~1500μmol・g-1であること;
触媒の外表面における相対酸当量が15~50%であり、好ましくは15~40%であること;
触媒の金属H-TPR試験還元温度が470~500℃であり、好ましくは480~500℃であること;
触媒のB酸/L酸の酸含有量の比が0.2~8.0であり、好ましくは0.4~6.0であること;
触媒において、結晶はストリップ状またはロッド状の形態を有し、前記結晶の長さが0.3~3μmであり、アスペクト比が2~20であり、好ましくは5~20であること;
の1つ以上を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項7】
下記工程:
(1)H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを提供する工程;および
(2)水素化活性金属を前記H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に担持し、得られた生成物に対してヒドロカルビル化処理および/または還元を任意選択で行うことにより、触媒を得る工程を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の触媒を調製する方法。
【請求項8】
工程(1)は、シリカ-アルミナモレキュラーシーブの原料に対して、アンモニウムイオン交換および焼成を行って、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを得る工程を含み、
好ましくは前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブの原料は、MWW、FAU、MORもしくはBEA構造を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(1)が、ケイ素源、アルミニウム源、フッ素源、有機構造規定剤および水を混合すること、加熱前処理後、結晶化処理および焼成を行い、H型ATSシリカ-アルミナモレキュラーシーブを得ることを含み、前記ケイ素源は、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラエチルシリケート、ケイ酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせから選択され、アルミニウム源は、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、またはこれらの組み合わせから選択され、フッ素源は、フッ化水素酸であり、有機構造規定剤は、4-ピロリジニルピリジンであり;
好ましくは、工程(1)は、下記の特徴:
SiOとして計算される添加したケイ素源と、Alとして計算されるアルミニウム源と、Fとして計算されるフッ素源と、有機構造規定剤と、水とのモル比が、1:(0.02~0.2):(0.5~2):(0.25~1.5):(3~15)であり、好ましくは1:(0.05~0.15):(0.5~1):(0.5~1):(5~10)であること;
結晶化処理において、SiOとして計算されるケイ素源の水に対するモル比は、1:(1~10)、好ましくは1:(1.5~6.5)であること;および、
結晶化条件として、結晶化温度が120~200℃、好ましくは150~200℃、結晶化時間が7~21日間、好ましくは7~15日間であることを含むこと;
の1つ以上を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
工程(2)において、水素化活性金属源の溶液を、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに添加し、乾燥させることにより、水素化活性金属をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに担持させ、
好ましくは、工程(2)は下記の特徴:
水素化活性金属源は、金属の可溶性化合物から選択され、好ましくは金属の塩化物、硝酸塩、またはこれらの組み合わせから選択されること;
水素化活性金属源の溶液の濃度は、水素化活性金属の質量を基準として、1.5~50g/Lであり、好ましくは2~45g/Lであること;
水素化活性金属源の溶液は、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに滴下添加されること;および、
水素化活性金属源の溶液中の水素化活性金属とH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブとの質量比は、0.002~0.015:1、例えば0.005~0.02:1であること;
の1つ以上を有する、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒドロカルビル化処理が、水素化活性金属を担持した生成物を溶媒中でヒドロカルビル化試薬と混合して反応させることを含み、
前記ヒドロカルビル化試薬は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオール、ジフェニルシランジオール、またはこれらの組み合わせから選択され、好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオール、またはこれらの組み合わせから選択され;
好ましくは、ヒドロカルビル化処理は下記の特徴:
溶媒はエタノール、トルエンまたはそれらの組み合わせであること;
水素化活性金属と、ヒドロカルビル化試薬と、溶媒とを担持した生成物の質量比は、1:(0.05~0.45):(5~55)であり、好ましくは1:(0.06~0.40):(6~50)であること;
ヒドロカルビル化処理の反応条件として、反応温度が40~110℃であり、好ましくは70~110℃であり、反応時間が6~48時間であり、好ましくは8~24時間であることを含むこと;
の1つ以上を含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記還元が還元ガス、好ましくは水素を用いて行われ、当該還元の条件は、好ましくは還元温度が300~450℃であり、還元時間が3~6時間であり、還元ガスの体積空間速度が40~200h-1であることを含む、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から6のいずれか一項に記載の水素化-酸触媒二元機能触媒の、炭化水素の水素化転化反応における使用であって、炭化水素原料を水素の存在下で前記触媒と接触させ反応させる工程を含み、好ましくは、前記水素化転化反応は、ベンゼンヒドロアルキル化反応およびアルカンヒドロ異性化反応から選択される、使用。
【請求項14】
水素の存在下、請求項1から6のいずれか一項に記載の水素化-酸触媒二元機能触媒とベンゼンとを接触させ、かつ反応させて、シクロヘキシルベンゼンを得る工程を含み;
好ましくは、反応条件が、触媒に対するベンゼンの質量比が8~40であり、好ましくは10~40であること;反応温度が100~220℃であり、好ましくは120~200℃であること;反応時間が2~8時間であり、好ましくは2.5~6時間であること;水素圧が0.8~2.5MPaであり、好ましくは1.0~2.5MPaであること、を含む、ベンゼンを水素化してシクロヘキシルベンゼンを製造するための一段階の方法。
【請求項15】
直鎖アルカンを、水素の存在下、請求項1から6のいずれか1項に記載の水素化-酸触媒二元機能触媒と接触させ、かつ反応させて異性化生成物を得ることを含み;
前記直鎖アルカンはC8以上の直鎖アルカンであり、好ましくはC8~C20の直鎖アルカンであり、より好ましくはC8~C12の直鎖アルカンである;
好ましくは、反応条件として、直鎖アルカンの触媒に対する質量比が10~100であり、好ましくは10~50であること;反応温度が250~400℃であり、好ましくは300~400℃であること;反応時間が3~10時間であり、好ましくは4~10時間であること;水素圧力が2.5~5.0MPaであり、好ましくは3.0~4.0MPaであること、を含む、アルカンの水素化異性化方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本出願は、触媒の分野に関し、具体的には、水素化-酸触媒二元機能触媒、並びにその調製方法およびその使用に関する。
【0002】
〔背景技術〕
シクロヘキシルベンゼンは、重要な化学製品であり、液晶および二次電池の分野で重要な用途を持つ。中でもシクロヘキシルベンゼン液晶は、化学的安定性、光化学的安定性、および物理的特性が極めて高く、液晶ディスプレイの理想的な材料の一つである。また、シクロヘキシルベンゼンは、リチウムイオン電池の電解液の添加剤成分としても使用できる。シクロヘキシルベンゼンには、過充電を防止する機能があるため、電池の安全性を効果的に向上させることができる。さらに、シクロヘキシルベンゼンを中間体として、さらに過酸化反応および分解反応を行うことにより、フェノール樹脂、カプロラクタム、ナイロンの製造に使用できる重要な化学製品であるフェノールおよびシクロヘキサノンを得ることができる。そのため、シクロヘキシルベンゼンの調製および製造は広く注目されている。シクロヘキシルベンゼンの基本情報は以下の通りである:無色の液体、CAS番号:827-52-1、密度0.95g/cm、沸点238~240℃、融点5℃、引火点98℃。
【0003】
原料に依存するシクロヘキシルベンゼンの主要な調製方法として、ヘキセンアルキルベンゼン環化法、およびベンゼンヒドロアルキル化法などがある。このうち、ベンゼンヒドロアルキル化法の基本原理は以下の通りである。原料としてベンゼンと水素を用い、ベンゼンの一部を金属活性中心で水素化することにより、6員環の環状オレフィン構造(シクロヘキセンなど)を得て、さらに、酸性活性中心の位置でベンゼンとアルキル化反応させて、シクロヘキシルベンゼン生成物を得る。したがって、シクロヘキシルベンゼンの製造工程では、水素化活性中心とアルキル化活性中心の両方を持つ二元機能触媒を使用することができる。
【0004】
シクロヘキシルベンゼンを調製するためのベンゼンのヒドロアルキル化に関する研究は、まず1980年代に始まった。現在開発されている触媒は、主にモレキュラーシーブ上に担持された金属を使用しており、そのほとんどは触媒効率が低く、選択性が低いという問題があった。例えば、MCM-22シリーズのモレキュラーシーブに基づく触媒(US2011/0015457A1、CN104105679A)は、触媒速度が遅く、副生成物であるシクロヘキサンに対する選択性が高いという問題がある。また、Ni-希土類を使用して担体として処理されたHYモレキュラーシーブを用いた触媒(US4219689)等の他の触媒は、ベンゼン転化率が低く、かつシクロヘキシルベンゼン生成物の収率が低いという問題がある。ベンゼンのヒドロアルキル化を触媒し、シクロヘキシルベンゼンを一段階で調製するために、Pd/HYを担持したモレキュラーシーブを触媒として用いることが、その後報告されている(Molecular Catalysis 2017, 442, 27-38)。ベンゼンの初期転化率は42.2%であり、シクロヘキシルベンゼンの選択率は約75%を維持し、過剰水素化による副生成物であるシクロヘキサンの選択率は約20%と高かった。この観点から見ると、既存の技術は主として生成物の選択性が低く、かつ副生成物としてのシクロヘキサンが多いという問題により、産業への実用的な応用に大きな問題を与える。
【0005】
同様に、他の水素化-固体酸二元機能触媒反応も、副生成物が多く、目的生成物の選択性が低下するという問題に直面している。例えば、特許CN112934251Aは、n-ヘプタン水素化異性化反応に水素化金属-モルデナイトを使用するスキームを開示しており、このスキームにおけるイソヘプタンの選択率は約60%~70%である。従来のUS5643440、US5302279、US6190532等は、重質油の異性化触媒として貴金属-低酸性モレキュラーシーブを使用するスキームを開示している。しかしながら、水素化触媒および酸触媒の中心部位の位置制御について全体的に欠如しており、かつ二重活性中心の最適なマッチング効果については示されていない。
【0006】
〔発明の開示〕
本出願の目的は、水素化-酸触媒二元機能触媒並びにその調製方法およびその応用を提供することである。本触媒は、水素化と酸触媒との二つの機能を有し、ベンゼンのヒドロアルキル化反応およびアルカンのヒドロ異性化反応に好適である。また、ベンゼンのヒドロアルキル化反応に使用してシクロヘキシルベンゼンを製造する場合、この触媒はベンゼン転化率が高く、生成物の選択性が良好であり、かつ、副生成物であるシクロヘキサンが少ないという特徴を有する。
【0007】
上記目的を達成するために、一実施形態において、本出願は、触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を80~99.8%、モレキュラーシーブ上に担持された水素化活性を有する金属成分を0.2~2%、ヒドロカルビル修飾成分を0~20%を含み、水素化活性金属は、ルテニウム、白金、パラジウム、銅、ニッケル、またはそれらの組み合わせから選択され、ヒドロカルビル修飾成分は、C1-20ヒドロカルビルである。
【0008】
別の一実施形態では、下記工程を含む本願の触媒を調製するための方法が提供される:
(1)H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを提供する工程;および
(2)水素化活性金属をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に担持し、得られた生成物に対してヒドロカルビル化処理および/または還元を任意選択で行うことにより、触媒を得る工程。
【0009】
別の一実施形態では、炭化水素原料を水素の存在下で触媒と接触および反応させる工程を含む、炭化水素の水素化反応における本願の触媒の使用が提供される。
【0010】
別の一実施形態では、本願は、ベンゼンを水素化することによってシクロヘキシルベンゼンを製造する一段階の方法を提供し、当該方法は、水素の存在下、ベンゼンを本出願の触媒と接触および反応させ、シクロヘキシルベンゼンを得る工程を含む。
【0011】
別の一実施形態では、本願は、水素の存在下、直鎖アルカンを本願の触媒と接触および反応させて異性化生成物を得る工程を含み、前記直鎖アルカンはC8以上の直鎖アルカンである、アルカンヒドロ異性化の方法を提供する。
【0012】
従来技術と比較した、本願の触媒の有利な効果として、以下のものが含まれる:
1.本願の触媒は水素化と酸触媒との二つの機能を持ち、穏やかな反応条件下においてベンゼンのヒドロアルキル化反応を実現し、シクロヘキシルベンゼンを生成することができる。ベンゼンの転化率と主生成物であるシクロヘキシルベンゼンの選択性とは、共に非常に高く、反応システムの安定性は良好である。特に、モレキュラーシーブ成分としてATS構造のシリカ-アルミナモレキュラーシーブを使用する場合、本願の触媒は特殊な細孔構造と酸性特性とを有する。本願の触媒は、ベンゼンのヒドロアルキル化反応において、副生成物であるシクロヘキサンおよびジシクロヘキシルベンゼンの発生を減少させるという顕著な効果を有する。
【0013】
2.本願の触媒は特定の組成を有し、特にその活性金属成分は主にモレキュラーシーブの流路に集中し、外表面は金属含有量が低いので、過剰な水素化副生成物(シクロヘキサンなど)の含有量が少ないことを保証し、触媒の外表面は疎水性が高いので、様々な種類のアルカン、芳香族およびその他の非極性物質との親和性がよく、ベンゼン転化率が高いレベルを維持することを保証する。
【0014】
3.本願の触媒を直鎖アルカンの異性化反応に使用する場合、金属が主にモレキュラーシーブの流路に分散し、強酸部位からの空間距離が小さく、外表面の酸の量が少ないので、アルカン水素化異性化反応において、基質転化率が高く、水素化異性化生成物の選択性が良いという利点がある。
【0015】
本発明のその他の特徴および効果については、下記の詳細な説明において説明する。
【0016】
〔図面の簡単な説明〕
以下の図は、本願のさらなる理解を提供するために使用され、本明細書の一部を構成する。これらは、以下の具体的な実施形態と共に本願を説明するために使用される。しかしながら、これらは本願を限定するものではない。ここで、
図1は、製造例I-1で調製した触媒のXRDスペクトルである;
図2は、製造例I-1で調製した触媒のTEM像である;
図3は、製造例I-1で調製した触媒のSEM像である;
図4は、製造例II-1で調製した触媒のXRDスペクトルである;
図5は、製造例II-1で調製した触媒の赤外吸収スペクトルである;
図6は、製造例II-3で調製した触媒のXRDスペクトルである;
図7は、製造例III-1で調製した触媒のXRDスペクトルである。
【0017】
〔発明の詳細な説明〕
以下、図面を参照しながら本願の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施形態は、本願を例示し説明するために使用されるに過ぎず、本願を何ら限定するものではないことを理解されたい。
【0018】
本明細書中に開示のいかなる具体的数値(数値範囲の端点を含む)も当該数値の厳密な値に限定されず、当該厳密な値に近い値、例えば当該厳密な値±5%の範囲内のあらゆる採用可能な値を含むと解釈すべきである。また、開示される数値範囲については、当該範囲の端点値同士を組み合わせること、端点値と当該範囲内の特定数値とを組み合わせること、又は、特定数値同士を任意に組み合わせることによって、1つ又は複数の数値範囲を新たに得ることができる。当該新たな数値範囲も、本明細書に具体的に開示されているものと見做すべきである。
【0019】
本明細書において、いわゆる「ケイ素-アルミニウム比」または「ケイ素-アルミニウムモル比」とは、モレキュラーシーブ中の、SiOとして計算されるケイ素と、Alとして計算されるアルミニウムとのモル比を指す。
【0020】
本明細書において、モレキュラーシーブのXRDデータの、w、m、s、vs、w-m、m-sおよびs-vs等は、回折ピークの強度に基づいて計算された最も強い回折ピーク(すなわち、最大強度を有する回折ピーク)に対する、対応する2θ角の回折ピークの相対強度I/Iを表し、ここで、Iは、対応する回折ピークのピーク強度を表し、Iは最も強い回折ピークのピーク強度を表し、wは弱を意味し、mは中間を意味し、m、sは強を意味し、vsは非常に強を意味し、w-mは弱から中間を意味し、m-sは中間から強を意味し、s-vsは強から非常に強を意味する。このような表現は当業者に公知である。一般に、wは20未満を表し、mは20~40を表し、sは40~70を表し、vsは70超を表し、w-mは40未満を表し、m-sは20~70を表し、s-vsは40超を表す。
【0021】
本願によれば、モレキュラーシーブのXRD回折スペクトルにおける、各回折ピークの面間隔は、回折ピークの2θ値に基づいて、下記ブラッグの式を用いて算出できる。λ=2dsinθ(式中、λは入射波の波長、λ=1.54Å、dは面間隔、θは入射光と散乱面とがなす角度)。
【0022】
本明細書において、いわゆる「細孔容積」とは、触媒の単位質量当たりの細孔の容積を意味する。いわゆる「全細孔容積」とは、触媒の単位質量当たりの全ての細孔の容積を意味する。いわゆる「微細孔容積」とは、触媒の単位質量当たりの全ての微細孔(一般に、細孔直径が2ナノメートル未満の細孔を意味する)の容積を意味する。
【0023】
本明細書において、いわゆる「比表面積」とは、試料の単位質量あたりの、内部の表面積と外表面の面積とを含む総面積を指す。ポルトランドセメント、一部の粘土鉱物粉末等の非多孔質試料は、外部の表面積のみを有する。アスベスト繊維、珪藻土、およびモレキュラーシーブ等の多孔質試料は、外部の表面積と内部の表面積とを有する。多孔質試料においては、孔径2ナノメートル未満の微細孔内の表面積が内部の表面積となる。前記表面積から内部の表面積を引いたものを、外部の表面積とする。試料の単位質量あたりの外部の表面積は外部の比表面積である。したがって、本明細書における「触媒の外表面」とは、細孔直径が2ナノメートル未満の微細孔の内表面を除く触媒の表面を指す。
【0024】
本明細書において、「H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ」は、当該技術分野において一般的に理解される意味を有し、特に、活性化した酸部位を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブを指す。これは通常、酸性系を使用して直接調製するか、またはNa型シリカ-アルミナモレキュラーシーブなどのアルカリ金属型シリカ-アルミナモレキュラーシーブをアンモニウムイオン交換および焼成することによって調製できる。
【0025】
本願において、特に断りのない限り、水素化活性を有する金属成分の量および含有量は、金属を基準としている。
【0026】
特に断りのない限り、本明細書で使用される用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有し、用語が本明細書で定義され、その定義が当技術分野における通常の理解と異なる場合、本明細書で提供される定義が優先するものとする。
【0027】
本願において、明示的に記載されない限り、記載されていない事項は、いかなる変更もなしに、当技術分野で知られているものと同じであると見なされる。さらに、本明細書に記載される実施形態のいずれもが、本明細書に記載される別の1つ以上の他の実施形態と自由に組み合わせることができる。このようにして得られる技術的な解決策または技術的な思想は、本願の元の開示または元の説明の一部とみなされ、そのような組み合わせが明らかに不合理であることが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示または予期されていない新規事項であるとは見なされるべきではない。
【0028】
本明細書で言及される、すべての特許文献および、教科書および雑誌記事を含むがこれらに限定されない非特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
上述したように、第1の態様において、本願は、触媒の質量を基準として、80~99.8%のシリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分と、モレキュラーシーブ上に担持された水素化活性を有する0.2~2%の金属成分と、0~20%のヒドロカルビル修飾成分とを含む水素化-酸触媒二元機能触媒を提供する。
【0030】
本願の触媒において、ヒドロカルビル修飾成分は、ヒドロカルビル-Si-O-モレキュラーシーブの共有結合などの共有結合を介してモレキュラーシーブの表面に接続される。特定の実施形態では、シラン化試薬を原料として使用することができ、ヒドロカルビル修飾成分は、ケイ素に連結したケイ素-酸素結合とモレキュラーシーブ表面の活性ヒドロキシル基との反応を通じてモレキュラーシーブの表面に連結することができる。
【0031】
好ましい実施形態において、水素化活性金属は、ルテニウム、白金、パラジウム、銅、ニッケル、またはそれらの組み合わせから選択され、より好ましくはルテニウム、パラジウム、またはそれらの組み合わせである。
【0032】
好ましい実施形態において、ヒドロカルビル修飾成分は、C1-20ヒドロカルビル、好ましくはC1-10ヒドロカルビルであり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、フェネチル、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0033】
好ましい実施形態では、触媒の質量を基準として、触媒におけるシリカ-アルミナモレキュラーシーブの質量含有量は、90~99.8%であり、例えば91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%などである。さらに好ましくは、シリカ-アルミナモレキュラーシーブの質量含有量は90~98%である。
【0034】
好ましい実施形態では、触媒の質量を基準として、触媒における水素化活性金属の質量含有量は0.2~1.5%であり、好ましくは0.2~1.2%であり、より好ましくは0.3~1.0%であり、例えば0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%などである。
【0035】
好ましい実施形態では、触媒におけるシリカ-アルミナモレキュラーシーブは、MWW構造、FAU構造、MOR構造、BEA構造もしくはATS構造を有するモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択され、好ましくはATS構造を有するモレキュラーシーブである。MWW構造を有するモレキュラーシーブの具体例としては、SCM-1モレキュラーシーブ、MCM-22モレキュラーシーブなどを挙げることができる。FAU構造を有するモレキュラーシーブの具体例としては、Xモレキュラーシーブ、およびYモレキュラーシーブを挙げることができる。MOR構造を有するモレキュラーシーブの具体例としては、LZ-211モレキュラーシーブを挙げることができる。BEA構造を有するモレキュラーシーブの具体例としては、βモレキュラーシーブを挙げることができる。特定の実施形態では、シリカ-アルミナモレキュラーシーブは、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブである。
【0036】
好ましい実施形態では、シリカ-アルミナ触媒中のモレキュラーシーブのケイ素-アルミニウム比は2~50であり、好ましくは2~40であり、より好ましくは2~20である。
【0037】
特定の好ましい実施形態では、触媒におけるモレキュラーシーブは、ATS構造を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブであり、触媒のX線回折スペクトルは、以下の表に示すような回折ピークの相対強度特性を示す:
【0038】
【表1】
【0039】
さらに好ましい実施形態では、触媒のX線回折スペクトルは、以下の表のいずれかの行に示される回折ピークの相対強度特性を示す:
【0040】
【表2】
【0041】
さらに好ましい実施形態では、触媒において、結晶はストリップ状またはロッド状の形態を有し、結晶の長さは0.3~3μmであり、アスペクト比は2~20であり、好ましくは5~20である。
【0042】
本願において、触媒は任意に、ヒドロカルビル化処理および還元処理の一方または両方を受けることができる。ここで、前記ヒドロカルビル化処理および前記還元処理は、水素化活性金属を担持後の触媒の調製中、または触媒の使用前に実施することができる。そして、ヒドロカルビル化処理および還元処理の両方を実施する場合、還元処理は、ヒドロカルビル化処理の前または後に実施することができ、ヒドロカルビル化処理の後に実施することが好ましい。好ましい実施形態では、触媒は還元処理を受ける。さらに、シリカ-アルミナモレキュラーシーブがMWW、FAU、MORまたはBEA構造を有するモレキュラーシーブである場合、触媒は、ヒドロカルビル化処理に供されることが好ましい。
【0043】
本願において、触媒における水素化活性金属は、例えば、金属元素、酸化物、塩化物、硝酸塩、またはこれらの組み合わせから選択される形態等の、種々の形態で存在し得る。好ましい実施形態において、水素化活性金属は、例えば、触媒が還元処理を受けるときには、主に金属元素の形態で存在する。好ましくは、触媒において、水素化活性金属粒子の粒径は0.5~10nmであり、好ましくは1~5nmである。
【0044】
特定の好ましい実施形態において、触媒におけるシリカ-アルミナモレキュラーシーブは、ATS構造を有するモレキュラーシーブ、特に上記のXRDスペクトル特性を有するATSモレキュラーシーブであり、触媒の質量を基準として、ケイ素-アルミニウムモレキュラーシーブの質量含有量は80~99.8%であり、好ましくは90~99.8%であり、水素化活性金属の質量含有量は0.2~2%であり、好ましくは0.2~1.5%であり、触媒はヒドロカルビル修飾成分を含まない。
【0045】
他の好ましい実施形態において、特にシリカ-アルミナモレキュラーシーブがMWW、FAU、MORまたはBEA構造を有するモレキュラーシーブである場合、触媒の質量を基準として、触媒におけるシリカ-アルミナモレキュラーシーブの質量含有量は80~98%であり、好ましくは90~98%であり、水素化活性金属の質量含有量は0.2~1.5%であり、好ましくは0.2~1.2%であり、より好ましくは0.3~1.0%であり、ヒドロカルビル修飾成分の質量含有量は1~20%であり、好ましくは1~10%であり、より好ましくは2~10%であり、例えば2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%などである。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、X線光電子分光法(XPS)により測定した場合の、触媒の外表面における元素に対する、前記外表面における水素化活性金属の質量含有量は、0.5%以下であり、好ましくは0.4%以下であり、より好ましくは0.01~0.35%であり、例えば0.01~0.2%である。
【0047】
さらに好ましい実施形態では、触媒の外表面における水素化活性金属の分配係数は1~20%、好ましくは1.5~18%、より好ましくは1.5~12%、例えば1.5~10%である。
【0048】
本願では、触媒の外表面における水素化活性金属の分配係数は、下記式により算出される:
前記外表面における水素化活性金属の分配係数=(触媒の外表面における元素に対する、前記外表面における水素化活性金属の質量含有量*触媒の外表面の比表面積)/(触媒に含まれる水素化活性金属の全質量含有量*触媒の比表面積)*100%、
ここで、前記触媒の外表面における元素に対する、前記外表面における水素化活性金属の質量含有量は、X線光電子分光法(XPS)により測定され、触媒に含まれる水素化活性金属の全質量含有量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)により測定され得る。
【0049】
本願によれば、触媒の外表面における水素化活性金属の分配係数を用いて、水素化活性金属の全量に対する、触媒の外表面における水素化活性金属の含有量の割合を特徴付けることができる。具体的には、触媒中の水素化活性金属が、簡単な含浸法を用いてモレキュラーシーブの内表面および外表面に担持されている場合、水素化活性金属の総含有量に対する前記外表面における水素化活性金属含有量の割合は、前記外表面における水素化活性金属の相対分布に比例するだけでなく、触媒の外表面積の割合にも比例する。
【0050】
好ましい実施形態では、触媒の比表面積は200~800m/gであり、好ましくは250~700m/gであり、例えば300m/g、380m/g、385m/g、410m/g、490m/gまたは500m/gである。
【0051】
好ましい実施形態では、触媒の全細孔容積は0.15cm/g以上であり、好ましくは0.18~1.0cm/gであり、より好ましくは0.2~1.0cm/gであり、例えば0.2~0.9cm/gである。
【0052】
好ましい実施形態では、触媒の微細孔容積は0.05~0.30cm/gであり、好ましくは0.10~0.25cm/gである。
【0053】
好ましい実施形態において、触媒の全酸含有量は400~1500μmol・g-1であり、好ましくは600~1500μmol・g-1であり、例えば800μmol・g-1であり、1250μmol・g-1であり、1300μmol・g-1または1500μmol・g-1である。
【0054】
いくつかの好ましい実施形態において、例えば、触媒がヒドロカルビル化処理を受ける場合(すなわち、触媒中のヒドロカルビル修飾成分の含有量が1~20%であり、好ましくは1~10%の範囲である場合)、触媒の外表面の相対酸当量は15~50%であり、好ましくは15~40%であり、例えば20%、30%または35%である。
【0055】
特定の好ましい実施形態では、例えば、触媒がヒドロカルビル化処理を受ける場合、触媒のB酸/L酸の酸含有比は0.2~8.0であり、好ましくは0.4~6.0であり、より好ましくは3.0~6.0、例えば5.0または5.5である。
【0056】
他の好ましい実施形態では、例えば、触媒がATSモレキュラーシーブに基づき、ヒドロカルビル化処理を受けていない場合、触媒のB酸/L酸の酸含量比は3~10であり、好ましくは5~7である。
【0057】
好ましい実施形態では、ヒドロカルビル化処理は行うが還元処理は行わない場合、触媒の金属H-TPR試験還元温度は470~500℃であり、好ましくは480~500℃である。
【0058】
第二の態様において、下記工程を含む、本願の触媒を調製するための方法が提供される:
(1)H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを提供する工程;および
(2)水素化活性金属をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に担持し、得られた生成物に対して任意にヒドロカルビル化処理および/または還元を行い、触媒を得る工程。
【0059】
好ましい実施形態において、H型シリカ-アルミナ分子は、MWW、FAU、MOR、BEAもしくはATS構造を有するモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択され、好ましくはATS構造を有するモレキュラーシーブである。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態では、工程(1)は、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを得るために、シリカ-アルミナモレキュラーシーブの原料に対して、アンモニウムイオン交換および焼成を行うことを含む。
【0061】
さらに好ましい実施形態において、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ原料は、MWW、FAU、MORもしくはBEA構造を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0062】
特定の具体的な実施形態では、工程(1)におけるアンモニウムイオン交換は、アルカリ金属型モレキュラーシーブ中のNaおよびKなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属陽イオンをNH4+に交換する。アンモニウムイオン交換は、20~60℃で0.5~4時間、1回または複数回行うことができる。アンモニウムイオン交換におけるアンモニウム塩は、アンモニア、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、および炭酸アンモニウムのうち1つ以上から選択される。アンモニウム塩の濃度は0.1~1.0mol/Lである。アンモニウムイオン交換後、モレキュラーシーブを60~120℃で4~24時間乾燥し、焼成する。焼成温度は400~650℃、焼成時間は1~12時間、焼成雰囲気は酸素または空気であり、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブが得られる。
【0063】
他の好ましい実施形態において、工程(1)は、ケイ素源、アルミニウム源、フッ素源、有機構造規定剤および水を混合すること、および加熱して前処理した後、結晶化処理および焼成を行い、H型ATSシリカ-アルミナモレキュラーシーブを得ることを含む。
【0064】
さらに好ましい実施形態では、工程(1)において、SiOとして計算される添加ケイ素源、Alとして計算されるアルミニウム源、Fとして計算されるフッ素源、有機構造規定剤および水のモル比は、1:(0.02~0.2):(0.5~2):(0.25~1.5):(3~15)であり、好ましくは1:(0.05~0.15):(0.5~1):(0.5~1):(5~10)である。
【0065】
さらなる好ましい実施形態では、工程(1)において、ケイ素源は、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラエチルシリケート、ケイ酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせから選択され、アルミニウム源は、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、またはこれらの組み合わせから選択され、フッ素源は、フッ化水素酸であり、有機構造規定剤は、4-ピロリジニルピリジンである。本実施形態では、有機構造規定剤として4-ピロリジニルピリジンを使用する。反応時に塩基を添加する必要がなく、得られたモレキュラーシーブは、アンモニウムイオン交換を行うことなく触媒として使用することができる。
【0066】
さらに好ましい実施形態では、工程(1)における加熱して前処理する方法は、水分を除去するための回転蒸発、または水分を除去するための開放加熱であり、開放加熱の処理条件は、50~100℃、好ましくは70~90℃での加熱撹拌である。
【0067】
さらに好ましい実施形態では、工程(1)において、原料混合物が加熱され前処理された後、結晶化中のケイ素源(SiOとして計算)の水に対するモル比は、1:(1~10)、好ましくは1:(1.5~6.5)である。
【0068】
さらに好ましい実施形態では、工程(1)において、結晶化条件は、結晶化温度が120~200℃であり、好ましくは150~200℃であること、および、結晶化時間が7~21日間であり、好ましくは7~15日間であることを含む。
【0069】
さらなる好ましい実施形態では、工程(1)において、結晶化は、例えば、ケイ素源、アルミニウム源、フッ素源、有機構造規定剤および水を所定の比率で混合し、得られた混合物を結晶化条件下で加熱して結晶化させることといった、当該技術分野において従来公知の任意の方法で実施することができる。
【0070】
さらに好ましい実施形態では、工程(1)において、結晶化ステップが完了した後、従来公知の任意の分離方法および焼成処理によって、得られた混合物から生成物を得ることができる。分離方法の例としては、得られた混合物を濾過、洗浄、および乾燥する方法が挙げられる。ここで、濾過、洗浄および乾燥は、当該技術分野において従来公知の任意の方法で実施することができる。例えば、濾過としては、得られた生成物の混合物を単に吸引濾過してもよい。洗浄としては、例えば脱イオン水および/またはエタノールによる洗浄が含まれる。乾燥温度としては、例えば40~250℃、好ましくは60~150℃が含まれ、乾燥時間としては、例えば8~30時間、好ましくは10~20時間が含まれる。この乾燥は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
【0071】
さらなる好ましい実施形態では、工程(1)において、焼成は、当該技術分野における従来公知の任意の方法で実施することができる。例えば、焼成温度は一般に300~800℃であり、好ましくは400~650℃であり、焼成時間は一般に1~12時間であり、好ましくは2~6時間である。さらに、焼成は一般に、空気または酸素雰囲気下などの酸素含有雰囲気下で行われる。
【0072】
本発明によれば、工程(2)において、水素化活性金属は、従来の手段(含浸等)により、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に担持され得る。好ましい実施形態では、工程(2)において、水素化活性金属源の溶液をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに添加した後、乾燥させることによって、水素化活性金属をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に担持させる。
【0073】
さらなる好ましい実施形態では、工程(2)において、水素化活性金属源は、金属の可溶性化合物から選択され、好ましくは、金属の塩化物、硝酸塩、またはこれらの組み合わせから選択される。ルテニウムを例にすると、水素化活性金属源の溶液は、硝酸ルテニウムまたは塩化ルテニウムから調製されるルテニウム含有溶液であり得る。
【0074】
さらに好ましい実施形態では、前記工程(2)において、水素化活性金属源の溶液の濃度は、水素化活性金属の質量を基準として、1.5~50g/Lであり、好ましくは2~45g/Lである。
【0075】
さらに好ましい実施形態では、工程(2)において、水素化活性金属源の溶液を、前記工程(1)のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに滴下添加する。本願は、滴下添加条件を特に限定するものではない。例えば、室温で滴下添加した後、1~10時間混合することができる。
【0076】
さらに好ましい実施形態では、工程(2)において、工程(1)のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに対する、水素化活性金属源の溶液中の水素化活性金属の質量比は、0.002~0.015:1であり、例えば0.005~0.02:1である。
【0077】
さらに好ましい実施形態では、工程(2)において、乾燥は、オーブン乾燥等の従来の方法で行うことができる。乾燥条件は、好ましくは、乾燥温度が40~90℃であり、乾燥時間が4~12時間であることを含む。
【0078】
本願によれば、工程(2)において、水素化活性金属をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに担持させた後、得られた生成物を任意にヒドロカルビル化処理及び還元処理の一方又は両方に供することができ、ヒドロカルビル化処理及び還元処理の両方を行う場合、還元処理はヒドロカルビル化処理の前または後に行うことができ、好ましくはヒドロカルビル化処理の後に行う。
【0079】
好ましい実施形態では、工程(2)は、水素化活性金属を担持した後に生成物を還元することを含む。さらに好ましくは、還元は還元ガス、好ましくは水素還元を用いて行うことができ、還元条件は、好ましくは、還元温度が300~550℃であり、還元時間が3~6時間であり、還元ガスの体積空間速度が40~200h-1であることを含む。
【0080】
好ましい実施形態では、特に、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブが、MWW、FAU、MORまたはBEA構造を有するモレキュラーシーブである場合、工程(2)は、水素化活性金属を担持した後の生成物に対してヒドロカルビル化処理を行うことを含む。好ましくは、水素化活性金属を担持した後の生成物は、最初に還元処理に供され、次いでヒドロカルビル化処理に供される。
【0081】
さらに好ましい実施形態では、工程(2)のヒドロカルビル化処理は、水素化活性金属を担持した生成物を、好ましくは還元した後、溶媒中でヒドロカルビル化試薬と混合し反応させることを含む。
【0082】
さらに好ましい実施形態では、ヒドロカルビル化試薬は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオール、ジフェニルシランジオール、またはこれらの組み合わせであり、好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオール、またはこれらの組み合わせから選択される。さらに好ましくは、ヒドロカルビル化処理に使用される溶媒は、エタノール、トルエンまたはこれらの組み合わせから選択される。
【0083】
さらに好ましい実施形態では、ヒドロカルビル化処理において、水素化活性金属を担持した生成物と、ヒドロカルビル化試薬と、溶媒との質量比は、1:(0.05~0.45):(5~55)であり、好ましくは1:(0.06~0.40):(6~50)であり、例えば1:(0.10~0.33):(8~50)、または1:(0.12~0.35):(7.5~52)である。
【0084】
さらなる好ましい実施形態では、ヒドロカルビル化処理において、反応条件は、反応温度が40~110℃、好ましくは70~110℃であり、反応時間が6~48時間、好ましくは8~24時間であることを含む。
【0085】
特定のさらに好ましい実施形態では、ヒドロカルビル化処理後、得られた反応生成物は分離(例えば濾過)され、洗浄され、そして乾燥される。本発明によれば、分離、洗浄および乾燥は、当該技術分野において従来公知の任意の方法で実施することができる。例えば、濾過としては、得られた生成物の混合物を単に吸引濾過してもよい。洗浄の例としては、脱イオン水および/またはエタノールによる洗浄が挙げられる。乾燥温度の例としては、40~250℃であり、好ましくは60~150℃である。乾燥時間の例としては、8~30時間であり、好ましくは10~20時間である。乾燥は、常圧下で行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。
【0086】
第3の態様において、本願の方法によって調製された水素化-酸触媒二元機能触媒が提供される。
【0087】
具体的な実施形態では、本願の方法により得られる水素化-酸触媒二元機能触媒の種々の特徴は、本願の第一の態様で説明した通りであり、ここでは再度説明しない。
【0088】
第4の態様において、炭化水素原料を水素の存在下で触媒と接触させ、かつ反応させる工程を含む、本願の触媒の炭化水素の水素化変換反応における使用が提供される。
【0089】
好ましい実施形態では、炭化水素の水素化変換反応は、ベンゼンのヒドロアルキル化反応およびアルカンのヒドロ異性化反応から選択される。
【0090】
第5の態様において、本願は、ベンゼンを水素化させてシクロヘキシルベンゼンを製造するための一段階の方法を提供する。この方法は、水素の存在下でベンゼンを本願で述べた触媒と接触させ、かつ反応させて、シクロヘキシルベンゼンを得ることを含む。
【0091】
好ましい実施形態では、反応条件は、触媒に対するベンゼンの質量比が8~40であり、好ましくは10~40であること;反応温度が100~220℃であり、好ましくは120~200℃であること;反応時間が2~8時間であり、好ましくは2.5~6時間であること;水素圧力が0.8~2.5MPaであり、好ましくは1.0~2.5MPaであること、を含む。
【0092】
第6の態様において、本願はアルカンのヒドロ異性化方法を提供する。この方法は、水素の存在下、直鎖アルカンを本願の触媒と接触させ、かつ反応させて異性化生成物を得ることを含み、前記直鎖アルカンは、例えばn-ヘプタン、n-デカンなどのC8以上の直鎖アルカンであり、好ましくはC8~C20の直鎖アルカンであり、より好ましくはC8~C12の直鎖アルカンである。
【0093】
好ましい実施形態では、反応条件は以下を含む:直鎖アルカンの触媒に対する質量比が10~100であり、好ましくは10~50である;反応温度が250~400℃であり、好ましくは300~400℃である;反応時間が3~10時間であり、好ましくは4~10時間である;水素圧力が2.5~5.0MPaであり、好ましくは3.0~4.0MPaである。
【0094】
特定の好ましい実施形態では、以下の技術的な解決策が提供される:
A1.シクロヘキシルベンゼンを製造するための触媒であって、式「xM・ySiO・zAl」で示される概略化学組成を有する;
式中、Mは、ルテニウム、白金、パラジウム、銅およびニッケル金属のうち1つ以上から選択される1つの金属元素である;
式中の化学組成において、0.001≦x/y≦0.02、8≦y/z≦80である。
【0095】
A2.前記触媒の質量を基準として、前記金属Mの質量含有量が0.2%~2%であることを特徴とする項目A1に記載の触媒。
【0096】
A3.下記表に示すX線回折パターンを有することを特徴とする、項目A1に記載の触媒:
【0097】
【表3】
【0098】
A4.下記表に示すX線回析パターンをさらに含むことを特徴とする、項目A1またはA3に記載の触媒。
【0099】
【表4】
【0100】
A5.酸総含有量が500~1500μmol・g-1であり、好ましくは800~1500μmol・g-1であり、B酸/L酸の酸含有量比が3~10であり、好ましくは5~7であることを特徴とする項目A1に記載の触媒。
【0101】
A6.触媒において、結晶がストリップ状またはロッド状の形態を有し、前記結晶の長さが0.3~3μmであり、アスペクト比が2~20であることを特徴とする項目A1に記載の触媒。
【0102】
A7.触媒の比表面積が、200~600m/gであり、好ましくは250~500m/gであることを特徴とし;触媒の微細孔容積が、0.05~0.30cm/gであり、好ましくは0.10~0.25cm/gであることを特徴とする項目A1に記載の触媒。
【0103】
A8.下記工程を包含する項目A1~7のいずれか1項に記載のシクロヘキシルベンゼンを製造するための触媒を調製するための方法:
(1)ケイ素源、アルミニウム源、フッ素源、有機構造規定剤および水を混合し、加熱して前処理した後、結晶化および焼成して試料Bを得る;
(2)工程(1)の試料Bに金属Mを含む溶液を添加し、乾燥および還元して触媒を調製する。
【0104】
A9.工程(1)において、SiOとして計算される添加されたケイ素源と、Alとして計算されるアルミニウム源と、Fとして計算されるフッ素源と、有機構造規定剤と水とのモル比が、1:(0.02-0.2):(0.5-2):(0.25-1.5):(3-15)であり、好ましくは1:(0.05-0.15):(0.5-1):(0.5-1):(5-10)であることを特徴とする、項目A8に記載の調製方法。
【0105】
A10.工程(1)において、ケイ素源が、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラエチルシリケート、およびケイ酸ナトリウムのうちの少なくとも1つから選択され;アルミニウム源が、擬ベーマイトおよびアルミニウムイソプロポキシドのうちの少なくとも1つから選択され;工程(1)において、フッ素源が、フッ化水素酸であり;有機構造規定剤が、4-ピロリジニルピリジンであることを特徴とする、項目A8またはA9に記載の調製方法。
【0106】
A11.工程(1)において、加熱して前処理した後の原料混合物の、SiOとして計算されるケイ素源の、結晶化中の水に対するモル比が、1:(1~10)であり、好ましくは1:(1.5~6.5)であることを特徴とする項目A8またはA9に記載の調製方法。
【0107】
A12.工程(1)において、結晶化条件は、温度が120~200℃であり、時間が7~21日間であり、好ましくは、温度が150~200℃であり、時間が7~15日間であることを含むことを特徴とする項目A8またはA9に記載の調製方法。
【0108】
A13.工程(2)において、金属Mを含む溶液の濃度が2~50g/Lであることを特徴とする、項目A8またはA9に記載の調製方法。
【0109】
A14.項目A1~A7のいずれか1項に記載の触媒を用いて、ベンゼンを水素化することによって、シクロヘキシルベンゼンを製造する一段階の方法。
【0110】
A15.シクロヘキシルベンゼンを製造するための水素源として水素を使用し、原料のベンゼンと触媒との接触反応を含むことを特徴とする、項目A14に記載の方法;ここで、原料ベンゼンの触媒に対する質量比は、8~40であり;反応温度は、100~220℃であり;反応時間は、2~8時間であり;水素圧力は、0.8~2.5MPaである。
【0111】
B1.シクロヘキシルベンゼンを製造するための触媒であって、モレキュラーシーブ、活性金属M、およびヒドロカルビル修飾基を含むことを特徴とする触媒;
ここで、前記活性金属Mは、ルテニウム、白金、パラジウム、銅およびニッケルのうち1つ以上から選択される;
ここで、前記ヒドロカルビル修飾基は、C1~C4アルキル基の少なくとも1つから選択される;
ここで、触媒の質量を基準として、活性金属Mの質量含有量が0.2%~1.5%であり、触媒の外表面の元素に対する、前記外表面の金属Mの質量含有量が0.4%以下であり、前記外表面の金属Mの分配係数が1.2%~20%である。
【0112】
B2.前記触媒の質量を基準として、前記金属Mの質量含有量が0.2%~1.2%であることを特徴とする項目B1に記載の触媒。
【0113】
B3.前記触媒の質量を基準として、前記ヒドロカルビル修飾基の質量含有量が1%~10%であることを特徴とする項目B1に記載の触媒。
【0114】
B4.前記触媒中のモレキュラーシーブが、MWW、FAU、MOR、BEA、およびATSモレキュラーシーブのうちの少なくとも1つから選択され;前記触媒中のモレキュラーシーブが、触媒質量の90%~98%を占めており;ケイ素/アルミニウム比が、2~50であり、好ましくは4~40であることを特徴とする、項目B1に記載の触媒。
【0115】
B5.触媒の比表面積が380~800m/gであり、好ましくは400~700m/gであり;触媒の全細孔容積が0.15cm/g以上であり、好ましくは0.2~0.9cm/gであることを特徴とする、項目B1に記載の触媒。
【0116】
B6.下記工程を包含する、項目B1からB5のいずれか1項に記載のシクロヘキシルベンゼンを製造するための触媒を調製するための方法:
(i)アンモニウムイオン交換したモレキュラーシーブ原料を、焼成してH型モレキュラーシーブを得る工程;
(ii)工程(1)のH型モレキュラーシーブに金属Mを含む溶液を添加し、乾燥および還元して触媒前駆体を得る工程;
(iii)触媒前駆体、アルキル化試薬および溶媒を混合および反応させてから、ろ過、洗浄および乾燥して触媒を調製する工程。
【0117】
B7.工程(i)において、金属Mを含む溶液の濃度が2~50g/Lであることを特徴とする、項目B6に記載の調製方法。
【0118】
B8.工程(ii)において、アルキル化試薬が、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシランの1種以上から選択され、好ましくはジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシランおよびイソプロピルトリメトキシシランの1種以上から選択され;溶媒は、エタノールまたはトルエンの少なくとも一方であることを特徴とする、項目B6に記載の調製方法。
【0119】
B9.工程(iii)において、添加される触媒前駆体、アルキル化試薬および溶媒の質量比が、1:(0.05~0.40):(5~50)であることを特徴とする、項目B6に記載の調製方法。
【0120】
B10.項目B1~B5のいずれか1項に記載の触媒を用いてベンゼンを水素化することにより、シクロヘキシルベンゼンを製造する、一段階の方法。
【0121】
C1.原料のベンゼンと触媒との接触反応を含み、水素を水素源として用いてシクロヘキシルベンゼンを製造し;触媒は、モレキュラーシーブ、活性金属Mおよびヒドロカルビル修飾基を含み;
ここで、前記活性金属Mは、ルテニウム、白金、パラジウム、銅およびニッケルのうち1つ以上から選択され;
ここで、前記ヒドロカルビル修飾基は、フェニル、ベンジルおよびフェネチルの少なくとも1つから選択され;
ここで、触媒の全酸含有量は400~1500μmol・g-1であり、触媒の外表面の相対酸当量は15~35%である、ベンゼンを水素化してシクロヘキシルベンゼンを製造する一段階の方法。
【0122】
C2.前記金属Mが、好ましくはルテニウムおよび/またはパラジウム金属元素であることを特徴とする、項目C1に記載の方法。
【0123】
C3.前記触媒の質量を基準として、ヒドロカルビル修飾基の質量含有量が2%~20%であることを特徴とする項目C1に記載の方法。
【0124】
C4.前記触媒中の前記モレキュラーシーブが、MWW、FAU、MOR、BEA、およびATSモレキュラーシーブのうちの少なくとも1つから選択され;前記触媒中の前記モレキュラーシーブが、前記触媒質量の80%~95%を占め;アルミニウムに対するケイ素のモル比が、2~50、好ましくは4~40であることを特徴とする項目C1に記載の方法。
【0125】
C5.前記触媒の比表面積が、385~500m/gであり、好ましくは410~490m/gであることを特徴とし;触媒の全細孔容積が、0.18cm/g以上であり、好ましくは0.18~1.0cm/gであることを特徴とする、項目C1に記載の方法。
【0126】
C6.前記触媒の調製方法が、下記工程を含むことを特徴とする、項目C1に記載の方法:
(A)金属Mを含む溶液をH型モレキュラーシーブと混合し、乾燥および還元して触媒前駆体を調製する工程;
(B)触媒前駆体、アリール化試薬および溶媒を混合および反応させてから、ろ過、洗浄および乾燥させて触媒を調製する工程。
【0127】
C7.工程(A)において、金属Mを含む溶液の濃度が1.5~45g/Lであることを特徴とする、項目C6に記載の方法。
【0128】
C8.工程(B)において、アリール化試薬が、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオールおよびジフェニルシランジオールの1種以上から選択され;溶媒が、エタノールまたはトルエンの少なくとも1種であることを特徴とする、項目C6に記載の方法。
【0129】
C9.工程(B)において、添加される触媒前駆体、アリール化試薬および溶媒の質量比が、1:(0.06~0.45):(6~55)であることを特徴とする、項目C6に記載の方法。
【0130】
C10.前記反応において、原料ベンゼンの触媒に対する質量比が8~40であり、反応温度が100~220℃であり、反応時間が2~8時間であり、水素圧が0.8~2.5MPaであることを特徴とする、項目C1に記載の方法。
【0131】
〔実施例〕
本発明の技術的解決策を、下記実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の保護範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0132】
以下の実施例および比較例において、特に断りのない限り、使用した試薬および原料はすべて市販品であり、その純度は分析グレードである。
【0133】
以下の実施例および比較例において、具体的な条件を示していない実験方法は、従来の方法および条件、または製品の説明書に従って選択されるべきである。
【0134】
以下の実施例および比較例を含む本発明において、試料の構造はX線回折スペクトル(XRD)によって決定され、XRDスペクトルはX線粉末回折装置によって決定される。使用したX線粉末回折装置の型式はPanalytical X PERPROX線粉末回折装置である。試料の物理相を分析するために、以下の条件を使用した:CuKα線源(λ=1.54Å)、ニッケルフィルター、2θ走査範囲2~50°、動作電圧40kV、電流40mA、走査速度10°/min。
【0135】
以下の実施例及び比較例を含む本願において、走査型電子顕微鏡(SEM)の機種は、S-4800II電界放出型走査型電子顕微鏡を用いた。試料の結晶粒子径の測定方法は、以下の通りである:観察視野をランダムに選択して、走査型電子顕微鏡を用いてモレキュラーシーブを1万倍の倍率で観察し、観察視野内の全結晶の粒子径の和の平均値を算出して、この操作を合計10回繰り返す。10個の平均値の総和の平均値を結晶粒子径とする。
【0136】
以下の実施例及び比較例を含む本願において、試料の大きさの測定は、以下の通り行った:透過型電子顕微鏡(G2F30透過型電子顕微鏡、オランダFEI社製、作動電圧300kV)を用いて、観察視野をランダムに選択して、モレキュラーシーブを10万倍の倍率で観察し、観察視野内の全粒子のサイズの総和の平均値を算出し、この操作を合計10回繰り返し、10回の平均値の総和の平均値を粒子のサイズとして用いる。
【0137】
以下の実施例および比較例を含む本願において、試料の酸の含有量、および酸の種類は、ピリジン吸着赤外法(Nicolet Model 710 spectrometer)を用いて測定した。具体的な操作手順は以下の通りである:a.試料の前処理。試料(約30mg)を直径13mmの薄い円盤状にプレスし、赤外試料槽に入れた。その後、真空セル条件下で400℃、1時間、試料の前処理を行った。試料槽を室温まで冷却した後、試料の赤外線データをバックグラウンドとしてスキャンした。b.ピリジン吸着。室温、真空環境下で、吸着が平衡に達するまでピリジン蒸気を元の位置に導入した。吸着時間は1時間だった。c.ピリジン脱離。吸着終了後、100℃で内圧が変化しなくなるまで排気した。脱離時間は40分で、赤外吸収スペクトルをそれぞれスキャンして記録した。ピリジン吸着前後の差スペクトルが、得られたピリジン吸着赤外線吸収スペクトルである。このスペクトルに基づいて、試料の酸含量を計算した:
【0138】
【数1】
【0139】
式中、rおよびwは、触媒薄板の直径(cm)および質量(g)であり、Aは、走査型ピリジン吸着赤外吸収スペクトルに基づく、所定の波数ピークにおける積分吸光度値である。IMECは積分モル減衰係数であり、IMECは2.22、IMECは1.67である。1545cm-1付近のピークはB酸、1455cm-1付近のピークはL酸である。
【0140】
以下の実施例および比較例を含む本願において、触媒の外表面の相対酸当量の特性は、「プローブ反応」であるトリイソプロピルベンゼンの熱分解を利用して測定した。具体的な操作としては、触媒50mgと石英砂100mgとを混合したクロマトグラフィーカラムサンプルを調製し、次に、250℃のガスクロマトグラフィー(GC、Agilent 7890B)にトリイソプロピルベンゼン液1μLを一度に注入する。そして、クロマトグラム中のシクロヘキセンの収率によって、ヒドロカルビル化処理をしていない「金属モレキュラーシーブ」の構造を比較し、触媒の外表面の相対酸含有量および活性を評価した。具体的な計算方法は以下の通りである:
外表面の相対酸当量=(ヒドロカルビル化基のプロピレン生成量/(ヒドロカルビル化基のトリイソプロピルベンゼン付加量×3))/(未ヒドロカルビル化基のプロピレン生成量/(未ヒドロカルビル化基のトリイソプロピルベンゼン付加量×3))×100%。
【0141】
以下の実施例及び比較例を含む本願において、試料の全細孔容積、微細孔容積、全比表面積及び外表面の比表面積は、窒素物理吸着脱離法(BET法)により測定される:物理吸着装置(例えば、Micromeretic ASAP2020M物理吸着装置)を用いて、モレキュラーシーブの窒素物理吸脱着等温線を測定し、BET式及びt-plot式を用いて算出する。
【0142】
以下の実施例および比較例を含む本願において、使用する誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP)の機種は、Varian 725-ESである。分析試料をフッ酸に溶解させ、試料中の水素化活性金属(以下、「金属M」という)を含む元素含有量(モル)を検出し、変換することにより質量含有量を求めた。
【0143】
以下の実施例及び比較例を含む本願において、触媒の外表面の元素に対する、触媒の外表面の金属Mの質量含有量は、触媒表面元素状態の試験であるX線光電子分光法(XPS)によって決定される。使用するX線光電子分光装置の機種は、Thermo Company社製ESCA LAB-250X線光電子分光装置であり、X線源としてAl Ka=1486.6eVを使用し、使用電圧は12KV、使用電流は20mA、検出厚さは3nm、測定された元素信号を補正するための内部標準としてC1s=284.6eVを使用する。
【0144】
以下の実施例及び比較例を含む本願において、触媒の外表面における金属Mの分布係数は、以下の式により算出される:
金属Mの分配係数=(触媒の外表面における元素に対する、触媒の外表面の金属Mの質量含有量×触媒の外表面の比表面積)/(触媒中の金属Mの総質量含有量×触媒の比表面積)×100%。
【0145】
以下の実施例および比較例を含む本願において、金属還元温度は、H-TPR試験(水素温度プログラム還元)により求められる。TPR試験機は、Altamira Instruments社のAMI-3300温度プログラム吸収装置である。試験方法は、試料を充填し、300℃、1時間でアルゴンによりパージした後、50℃まで冷却した。10%H-Ar混合ガスを総流量30mL/minで導入してから、10℃/minで900℃まで昇温して、Hの消費曲線を測定し、曲線のピーク温度を試料の還元温度として記録した。
【0146】
以下の実施例および比較例を含む本願では、熱重量-質量分析(TG-MS)質量減少比を用いて、ヒドロカルビル修飾成分の質量含有量を測定し、質量分析によりヒドロカルビル修飾の種類を確認する。分析装置はNetzsch社のSTA449F3-QMS403モデルである。試料の25~1000℃における熱重量測定の結果は、加熱速度10℃/分で測定した。
【0147】
以下の実施例および比較例を含む本願では、フーリエ変換赤外分光分析装置(FTIR)を用いて触媒の赤外吸収スペクトルを測定した。分析装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のNicolet5700モデルである。試験範囲は、波数400~4000cm-1における吸収スペクトルとした。
【0148】
以下の実施例及び比較例を含む本願において、反応生成物であるシクロヘキシルベンゼンは、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により特徴付けられ、生成物であるシクロヘキシルベンゼンの収率、及び反応基質の転化率は、ガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。GC/MS装置は米国Agilent社のAgilent7890A、クロマトグラフィーカラムはHP-5無極性キャピラリーカラム(30m、0.53mm)。ガスクロマトグラフはAgilent7890Bであり、検出器は水素炎イオン化検出器(FID)であり、クロマトグラフィーカラムはSE-54キャピラリーカラム(30m、0.53mm)であった。
【0149】
生成物であるシクロヘキシルベンゼンの収率および選択率の計算式は以下の通りである:
生成物であるシクロヘキシルベンゼンの収率(%)=(反応により生成したシクロヘキシルベンゼンのモル数×2)/(反応基質であるベンゼンのモル数)×100%。
【0150】
生成物であるシクロヘキシルベンゼンの選択率(%)=(反応により生成したシクロヘキシルベンゼンのモル数×2)/(反応したベンゼンのモル数)×100%。
【0151】
同様に、以下の実施例および比較例を含む本願において、n-デカン水素化異性化反応における、異性化生成物の収率および選択式は以下の通りである:
異性化生成物の収率(%)=(反応により生成した異性化生成物のモル数)/(反応基質であるn-デカンのモル数)×100%。
【0152】
異性化生成物の選択率(%)=(反応で生成した異性化生成物のモル数)/(反応したn-デカンのモル数)×100%。
【0153】
(調製例1-1)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0154】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、3.2g/L塩化ルテニウム溶液を1.2mL滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0155】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-1に示す。触媒のXRDスペクトルを図1に示す。触媒のTEM写真とSEM写真とをそれぞれ図2図3とに示す。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=10であり、Ruの質量分率は0.3%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0021、y/z=10であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0156】
図3のSEMによると、触媒中の結晶は長い帯状であり、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~10であった。
【0157】
【表5】
【0158】
(調製例I-2)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0159】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、3.2g/Lの塩化ルテニウム溶液を2.5mL滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0160】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-2に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様である。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=10、Ruの質量分率は0.6%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0041、y/z=10であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0161】
触媒のSEMは図3と同様である。この触媒では、結晶は長い帯状で、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~10であった。
【0162】
【表6】
【0163】
(調製例I-3)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0164】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、3.2g/L塩化ルテニウム溶液を6mL滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0165】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-3に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=10、Ruの質量分率は1.5%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0104、y/z=10であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0166】
触媒のSEMは図3と同様であった。この触媒では、結晶は長い帯状であり、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~10であった。
【0167】
【表7】
【0168】
(調製例I-4)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン1.1gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.75gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1.5F:29HO:0.75OSDAの組成を有する成分を得た。80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:4.5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0169】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0170】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-4に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=10、Ruの質量分率は0.3%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0021、y/z=10であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0171】
触媒のSEMは図3と同様である。この触媒では、結晶は長い帯状で、結晶の長さは0.4~2.0μmであり、アスペクト比は2~15であった。
【0172】
【表8】
【0173】
(調製例I-5)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン1.5gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸1gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:2F:30HO:1OSDAの組成を有する成分を得た。80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:4.5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0174】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0175】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-5に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=10、Ruの質量分率は0.3%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0021、y/z=10であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0176】
触媒のSEMは図3と同様であった。この触媒では、結晶は長い帯状であり、結晶の長さは0.5~2.5μmであり、アスペクト比は3~20であった。
【0177】
【表9】
【0178】
(調製例I-6)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0179】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの2.7g/L塩化パラジウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0180】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-6に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=10、Pdの質量分率は0.3%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0021、y/z=10であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0181】
触媒のSEMは図3と同様であった。この触媒では、結晶は長い帯状であり、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~10であった。
【0182】
【表10】
【0183】
(調製例I-7)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.21gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.05Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0184】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの3.2g/L塩化パラジウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥した後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0185】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-7に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=20、Ruの質量分率は0.3%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0021、y/z=20であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0186】
触媒のSEMは図3と同様であった。この触媒では、結晶は長い帯状であり、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~12であった。
【0187】
【表11】
【0188】
(調製例I-8)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.08gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.02Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0189】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0190】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-8に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒の組成において、n(SiO):n(Al)=50、Ruの質量分率は0.3%であり、触媒の化学組成は「xM・ySiO・zAl」で表され、x/y=0.0021、y/z=50であった。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0191】
触媒のSEMは図3と同様であった。この触媒では、結晶は長い帯状であり、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~12であった。
【0192】
【表12】
【0193】
(調製例I-9)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0194】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で450℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、触媒前駆体を得た。ジメチルジメトキシシランを0.3gと、触媒前駆体1gと、エタノール溶媒20mLとを混合し、75℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0195】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-9に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒のSEMは図3と同様であった。触媒中の結晶は長い帯状で、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~10であった。
【0196】
【表13】
【0197】
(調製例I-10)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン1.5gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸1gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:2F:30HO:1OSDAの組成を有する成分を得た。80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:4.5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0198】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、2.5mLの3.2g/Lの塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で450℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、エタノール溶媒20mLとを混合し、75℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0199】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-10に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒のSEMは図3と同様であった。触媒中の結晶は長い帯状で、結晶の長さは0.5~2.5μmであり、アスペクト比は3~20であった。
【0200】
【表14】
【0201】
(調製例I-11)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0202】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの2.7g/Lの塩化パラジウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で450℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、エタノール溶媒20mLとを混合し、75℃で24時間還流し、水で遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥して触媒を得た。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0203】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-11に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒のSEMは図3と同様であった。触媒中の結晶は長い帯状で、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~10であった。
【0204】
【表15】
【0205】
(調製例I-12)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.21gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.05Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成を有する成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、所望のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0206】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブの上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥後、固定床反応器で450℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、エタノール溶媒20mLとを混合し、75℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。得られた触媒の特性を表I-13に示す。
【0207】
触媒のXRDスペクトルデータを表I-12に示す。触媒のXRDスペクトルは図1と同様であった。触媒のSEMは図3と同様であった。触媒中の結晶は長い帯状で、結晶の長さは0.4~1.5μmであり、アスペクト比は2~12であった。
【0208】
【表16】
【0209】
(実施例I-1)
調製例I-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0210】
(実施例I-2)
調製例I-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.6MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0211】
(実施例I-3)
調製例I-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を2.0MPaにした。その後、系内温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0212】
(実施例I-4)
調製例I-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0213】
(実施例I-5)
調製例I-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を200℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0214】
(実施例I-6)
調製例I-2で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0215】
(実施例I-7)
調製例I-3で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系内温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0216】
(実施例I-8)
調製例I-4で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0217】
(実施例I-9)
調製例I-5で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0218】
(実施例I-10)
調製例I-6で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0219】
(実施例I-11)
調製例I-7で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0220】
(実施例I-12)
調製例I-9で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系内温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0221】
(実施例I-13)
調製例I-9で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.6MPaにした。その後、系内温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0222】
(実施例I-14)
調製例I-9で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を2.0MPaにした。その後、系内温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0223】
(実施例I-15)
調製例I-9で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0224】
(実施例I-16)
調製例I-9で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系内を200℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0225】
(実施例I-17)
調製例I-10で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0226】
(実施例I-18)
調製例I-11で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0227】
(実施例I-19)
調製例I-12で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表I-14にまとめた。
【0228】
【表17】
【0229】
【表18】
【0230】
(比較例I-1)
<1.触媒の調製>
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを、n(Si):n(Al)=10のH型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)に変更したこと以外は、調製例I-1を参照して触媒を調製した。
【0231】
1gの上記モレキュラーシーブ上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0232】
<2.触媒の評価>
触媒の評価方法は実施例I-1に示す通りである。触媒の組成と評価結果とを表I-15に示す。
【0233】
(比較例I-2)
1.触媒の調製
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを、n(Si):n(Al)=20のH型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)に変更したこと以外は、調製例I-1を参照して触媒を調製した。
【0234】
1gの上記モレキュラーシーブ上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0235】
2.触媒の評価:
触媒の評価方法を実施例I-1に示す。触媒の組成と評価結果とを表I-15に示す。
【0236】
(比較例I-3)
1.触媒の調製
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを、n(Si):n(Al)=20のH型MCM-22モレキュラーシーブ(MWW構造)に変更したこと以外は、調製例I-1を参照して触媒を調製した。
【0237】
1gの上記モレキュラーシーブ上に、1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0238】
2.触媒の評価:
触媒の評価方法を実施例I-1に示す。触媒の組成と評価結果を表I-15に示す。
【0239】
(比較例I-4)
1.触媒の調製
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを、n(Si):n(Al)=30のH型MCM-22モレキュラーシーブ(MWW構造)に変更したこと以外は、調製例I-1を参照して触媒を調製した。
【0240】
1.2mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を1gの上記モレキュラーシーブ上に滴下添加した。80℃で2時間乾燥後、固定床反応器で350℃、水素流量10mL/分で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0241】
2.触媒の評価:
触媒の評価方法を実施例I-1に示す。触媒の組成と評価結果とを表I-15に示す。
【0242】
【表19】
【0243】
(実施例I-20)
調製例I-1で調製した触媒は、洗浄および乾燥を合計6回繰り返した後、次の反応へ供した。触媒の評価には実施例I-1の反応条件をそのまま採用した。すなわち、高圧反応器にベンゼン8gを加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了した。触媒の評価結果を表I-16に示す。
【0244】
【表20】
【0245】
(実施例I-21)
調製例I-9で調製した触媒は、洗浄および乾燥を合計6回繰り返した後、次の反応へ供した。触媒の評価には実施例I-12の反応条件をそのまま採用した。すなわち、高圧反応器にベンゼン8gを加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了した。触媒評価結果を表I-17に示す。
【0246】
【表21】
【0247】
(調製例II-1)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が25:1のNa型MCM-22モレキュラーシーブ(MWW構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離し、洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して、得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを得た。
【0248】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に1.5mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液(溶液濃度はルテニウム元素基準、以下同じ)滴下添加した。その後80℃で2時間乾燥させることにより、ルテニウム担持モレキュラーシーブを得た。このルテニウム担持モレキュラーシーブについてH-TPR試験を行ったところ、還元温度は451℃であった。
【0249】
メチルトリメトキシシラン0.2gと、ルテニウム担持モレキュラーシーブと、トルエン溶媒10mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させてヒドロカルビル化モレキュラーシーブを得た。得られたヒドロカルビル化モレキュラーシーブについてH-TPR試験を行ったところ、還元温度は476℃であった。この結果は、ヒドロカルビル化モレキュラーシーブに担持された活性金属Mは、主にモレキュラーシーブの流路(channels)に分布していることを示す。
【0250】
その後、ヒドロカルビル化モレキュラーシーブを固定床反応器で450℃、水素体積空間速度50h-1で3時間還元し、目的の触媒を得た。
【0251】
得られた触媒のXRDスペクトルを図4に示す。XRDによると、触媒は全体としてMWWモレキュラーシーブ構造を保持していることがわかる。得られた触媒の赤外吸収スペクトルを図5に示す。波数2950cm-1付近にSi-C吸収ピークが現れていることがわかる。また、TG-MSテストによりヒドロカルビルはメチルであると判定され、その含有量は表II-1の通りである。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は、表II-1に示す通りである。
【0252】
(調製例II-2)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が25:1のNa型MCM-22モレキュラーシーブ(MWW構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離し、洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを得た。
【0253】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に1.5mLの3.2g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。その後80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度50h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。ジメチルジメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0254】
得られた触媒のXRDスペクトルは図1と同じである。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量および外表面酸含有量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は、II-1に示す通りである。
【0255】
(調製例II-3)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離し、洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0256】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、2.5mLの3.2g/Lの塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。エチルトリメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0257】
得られた触媒のXRDスペクトルを図6に示す。触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持している。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は、表II-1に示す通りである。
【0258】
(調製例II-4)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が5:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離し、洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを得た。
【0259】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、1.5mLの2.6g/L塩化パラジウム溶液(溶液濃度はパラジウム元素基準、以下同じ)を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。イソプロピルトリメトキシシラン0.2gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒10mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0260】
X線回折から、触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持していることがわかる。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は、表II-1に示す通りである。
【0261】
(調製例II-5)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が5:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離し、洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して、得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0262】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、1.5mLの硝酸ニッケル(6.0g/L)-硝酸銅(3.0g/L)混合溶液(溶液濃度は金属元素による、以下同じ)を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。イソプロピルトリメトキシシラン0.2gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒10mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0263】
X線回折から、触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持していることがわかる。触媒の比表面積、細孔容積、酸性特性(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は、表II-1に示す通りである。
【0264】
(調製例II-6)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成の成分を得た後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱して前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出した後、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させ、550℃で6時間焼成し、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ(ATS構造)を得た。
【0265】
H型ATSモレキュラーシーブ1g上に、1.5mLの3.2g/Lの塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度50h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。イソプロピルトリメトキシシラン0.2gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒10mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0266】
X線回折から、触媒は全体としてATSモレキュラーシーブ構造を保持していることがわかる。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量を表II-1に示す。
【0267】
(調製例II-7)
原料をケイ素-アルミニウムモル比50:1のNa型MCM-22モレキュラーシーブに変更したこと以外は調製例II-1を参照して触媒を調製し、残りの工程は変更しなかった。触媒の特性を表II-1に示す。
【0268】
得られた触媒のXRDスペクトルは図1と同様である。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量および外表面の酸含有量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量を表II-1に示す。
【0269】
(実施例II-1~II-4)
調製例II-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に加えた後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填した。4時間後に反応を終了させた。具体的な評価条件と評価データとを表II-2に示す。
【0270】
(実施例II-5)
調製例II-2で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表2にまとめた。
【0271】
(実施例II-6)
調製例II-3で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表II-2にまとめた。
【0272】
(実施例II-7)
調製例II-4で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表II-2にまとめた。
【0273】
(実施例II-8)
調製例II-5で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表II-2にまとめた。
【0274】
(実施例II-9)
調製例II-6で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表II-2にまとめた。
【0275】
(実施例II-10)
調製例II-7で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン8gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表II-2にまとめた。
【0276】
(比較例II-1)
<1.触媒の調製>
メチルトリメトキシシランによる処理工程を省略したこと以外は、調製例II-1を参照して触媒を調製した。得られた触媒の特性を表II-1に示す。
【0277】
<2.触媒の評価>
触媒の評価方法は実施例II-5に示す通りである。触媒の評価結果を表II-2に示す。
【0278】
(比較例II-2)
<1.触媒の調製>
同濃度の塩化ルテニウム溶液の添加量を8mLに増加させたこと、すなわち触媒中の金属含有量のみを増加させたこと以外は、調製例II-1を参照して触媒を調製した。触媒の特性を表II-1に示す。
【0279】
<2.触媒の評価>
触媒評価方法は実施例II-5と同じで、触媒評価結果を表II-2に示す。
【0280】
(比較例II-3)
<1.触媒の調製>
「ジメチルジメトキシシラン0.3g」をジメチルジメトキシシラン1.0gに増やして添加したこと以外、残りの工程は変更せずに、調製例II-2を参照して触媒を調製した。触媒の特性を表II-1に示す。
【0281】
<2.触媒の評価>
触媒評価方法は実施例II-5と同じであり、触媒評価結果を表II-2に示す。
【0282】
(比較例II-4)
調製例II-1で得られた触媒を、反応条件の水素分圧を4.0MPaに変更したこと以外、残りの工程は変更せずに、調製例II-5の方法を参照して評価した。触媒の評価結果を表II-2に示す。
【0283】
【表22】
【0284】
【表23】
【0285】
(実施例II-10)
調製例II-1で調製した触媒を次の反応に投入する前に洗浄および乾燥し、合計6回サイクリングした。触媒評価には、高圧反応器にベンゼン8gを加え、水素をチャージして系の内圧を1.2MPaにすることを含めた。その後、系の温度を150℃まで上げ、4時間後に反応を終了した。触媒の評価結果を表II-3に示す。
【0286】
【表24】
【0287】
(調製例III-1)
(1)H型MWWモレキュラーシーブの調製
ケイ素とアルミニウムとのモル比が20:1のMCM-22モレキュラーシーブ(MWW構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離して洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0288】
(2)触媒の調製
ケイ素-アルミニウム比が20:1のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、0.5mLの8g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で500℃、水素体積空間速度80h-1で2時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、エタノール溶媒20mLとを混合し、75℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0289】
得られた触媒のXRDスペクトルを図7に示す。触媒は全体としてMWWモレキュラーシーブ構造を保持している。触媒の比表面積、細孔容積、酸性度(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は表III-1に示す通りである。
【0290】
(調製例III-2)
(1)H型MWWモレキュラーシーブの調製
調製工程は、ケイ素-アルミニウムのモル比が25:1のNa型MCM-22モレキュラーシーブを使用したこと以外は、調製例III-1と同じとした。
【0291】
(2)触媒の調製
ケイ素-アルミニウム比25:1のH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、1mLの8g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で500℃、水素体積空間速度80h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。トリルトリメトキシシラン0.2gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒20mlとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0292】
得られた触媒のXRDスペクトルは図7と同じである。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸量および外表面酸量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は表III-1に示す通りである。
【0293】
(調製例III-3)
(1)H型MORモレキュラーシーブの調製
調製工程は、ケイ素-アルミニウムモル比が10:1のNa型モルデナイト(MOR構造)を使用したこと以外は、調製例III-1と同じであった。
【0294】
(2)触媒の調製
ケイ素とアルミニウムとの比率が10:1のH型MORモレキュラーシーブ1g上に、0.5mLの8g/L塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で500℃、水素体積空間速度150h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルシラントリオールを0.3gと、触媒前駆体を1gと、トルエン溶媒を30mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0295】
得られた触媒は、全体としてMORモレキュラーシーブ構造を保持していた。触媒の比表面積、細孔容積、酸性度(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は、表III-1に示す通りである。
【0296】
(調製例III-4)
(1) H型MORモレキュラーシーブの調製
調製工程は、ケイ素-アルミニウムモル比が15:1のNa型モルデナイト(MOR構造)を使用したこと以外は、調製例III-1と同じであった。
【0297】
(2) 触媒の調製
ケイ素とアルミニウムとの比率が15:1のH型MORモレキュラーシーブ1g上に、8g/L塩化パラジウム溶液0.5mLを滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で500℃、水素体積空間速度80h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。ジフェニルシランジオール0.2gと、触媒前駆体1gと、エタノール溶媒20mLとを混合し、75℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離した。洗浄後、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0298】
得られた触媒は、全体としてMORモレキュラーシーブ構造を保持していた。触媒の比表面積、細孔容積、酸性度(全酸含有量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は表III-1に示す通りである。
【0299】
(調製例III-5)
脱イオン水4gと、4-ピロリジニルピリジン0.75gと、アルミニウムイソプロポキシド0.42gと、シリカゾル1.5gと、フッ酸0.5gとを均一に混合し、1SiO:0.1Al:1F:29HO:0.5OSDAの組成の成分を得た。その後、80℃で開放加熱して前処理を行い、ブロック混合物を得た。原料混合物を加熱し、前処理した後、ケイ素源(SiOとして計算)と水との結晶化中のモル比を1:5とし、結晶化ケトルで170℃、15日間結晶化させた。生成物を取り出してから、脱イオン水で3回洗浄し、乾燥させた後、550℃で6時間焼成し、H型ATSモレキュラーシーブを得た。
【0300】
H型ATSモレキュラーシーブ1g上に、0.5mLの8g/Lの塩化ルテニウム溶液を滴下添加した。80℃で2時間乾燥させた後、固定床反応器で500℃、水素体積空間速度80h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.2gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒10mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0301】
得られた触媒は、全体としてATSモレキュラーシーブ構造を保持している。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含有量と外表面酸当量とを含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は表III-1に示す通りである。
【0302】
(調製例III-6)
原料をケイ素-アルミニウムモル比50:1のNa型MCM-22モレキュラーシーブ(MWW構造)に変更したこと以外の工程は変更せずに、調製例III-1を参照して触媒を調製した。
【0303】
得られた触媒のXRDスペクトルは図7と同じであった。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面の金属M含有量は表III-1に示す通りである。
【0304】
(実施例III-1~III-3)
調製例III-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン10gを前記反応器に加え、水素を充填した。4時間後に反応を終了させた。具体的な評価条件と評価データとを表III-2に示す。
【0305】
(実施例III-4)
調製例III-2で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を1.0MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表III-2にまとめた。
【0306】
(実施例III-5)
調製例III-3で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン10gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.0MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表III-2にまとめた。
【0307】
(実施例III-6)
調製例III-4で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン10gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.0MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表III-2にまとめた。
【0308】
(実施例III-7)
調製例III-5で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン10gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.0MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表III-2にまとめた。
【0309】
(実施例III-8)
調製例III-6で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、ベンゼン10gを前記反応器に加え、水素を充填して系内の圧力を1.0MPaにした。その後、系の温度を180℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了させた。評価データを表III-2にまとめた。
【0310】
(比較例III-1)
<1.触媒の調製>
フェニルトリメトキシシランによる処理を省略したこと以外は、調製例III-1を参照して触媒を調製した。
【0311】
<2.触媒の評価>
触媒評価方法は実施例III-4と同様であり、触媒評価結果を表III-2に示す。
【0312】
<比較例III-2>
(1.触媒の調製)
同濃度の塩化ルテニウム溶液の添加量を8mLに増やしたこと、すなわち触媒中の金属含有量のみを増やしたこと以外は、調製例III-1を参照して触媒を調製した。
【0313】
(2.触媒の評価)
触媒評価方法は実施例III-4と同様であり、触媒評価結果を表III-2に示す。
【0314】
(比較例III-3)
<1.触媒の調製>
アリール化ステップの条件において「0.3gのフェニルトリメトキシシラン」の添加を「0.8gのフェニルトリメトキシシラン」の添加に変更したこと以外は、調製例III-1を参照して触媒を調製した。
【0315】
(2.触媒の評価)
触媒評価方法は実施例III-4と同様であり、触媒評価結果を表III-2に示す。
【0316】
(比較例III-4)
調製例III-1で得られた触媒を、反応条件の水素分圧を4.0MPaに変更したこと以外の他の操作は変更せずに調製例III-4の方法に従って評価した。触媒の評価結果を表III-2に示す。
【0317】
【表25】
【0318】
【表26】
【0319】
(実施例III-9)
調製例III-1で調製した触媒は洗浄および乾燥を合計6回繰り返した後、次の反応へ供した。触媒評価として、高圧反応器にベンゼン8gを添加し、水素を充填して系内の圧力を1.2MPaにした。その後、系の温度を150℃まで昇温させ、4時間後に反応を終了した。
【0320】
【表27】
【0321】
(調製例IV-1)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)を45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離してから洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0322】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に4.0mLの3.0g/L塩化パラジウム溶液を、滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。メチルトリメトキシシランを0.2gと、触媒前駆体を1gと、トルエン溶媒を15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥して触媒を得た。
【0323】
得られた触媒のXRDスペクトルは図7と同じである。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸量および外表面酸当量を含む)、金属M含有量および外表面金属M含有量を表IV-1に示す。
【0324】
(調製例IV-2)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)を45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離し、洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0325】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、4.0mLの3.0g/L塩化パラジウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させて、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。ジメチルジメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥して触媒を得た。
【0326】
XRDから、得られた触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持していること分かる。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含量および外表面酸当量を含む)、金属M含量および外表面の金属M含量を表IV-1に示す。
【0327】
(調製例IV-3)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離して洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥し、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0328】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に4.0mLの2.5g/Lの塩化パラジウム溶液を、滴下添加した。80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。ジメチルジメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0329】
XRDから、得られた触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持していることが分かる。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含量および外表面酸当量を含む)、金属M含量および外表面の金属M含量は表IV-1に示す通りである。
【0330】
(調製例IV-4)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が5:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離して洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して、得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0331】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、4.0mLの3.0g/L塩化パラジウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。ジメチルジメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0332】
XRDから、得られた触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持していることが分かる。触媒の比表面積、細孔容積、酸性特性(全酸含量および外表面酸当量を含む)、金属M含量および外表面の金属M含量を表IV-1に示す。
【0333】
(調製例IV-5)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離して洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0334】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に、4.0mLの3.0g/L塩化パラジウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1 で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.3gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥させて触媒を得た。
【0335】
XRDから、得られた触媒は全体としてFAUモレキュラーシーブ構造を保持していることが分かる。触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸含量および外表面酸当量を含む)、金属M含量および外表面の金属M含量は表IV-1に示す通りである。
【0336】
(実施例IV-1)
調製例IV-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.0MPaにした。その後、系の温度を350℃まで昇温し、3時間後に反応を終了した。評価データを表IV-2にまとめた。
【0337】
(実施例IV-2)
調製例IV-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.5MPaにした。その後、系の温度を350℃まで昇温させ、3時間後に反応を終了させた。評価データを表IV-2にまとめた。
【0338】
(実施例IV-3)
調製例IV-1で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.0MPaにした。その後、系の温度を380℃まで昇温させ、3時間後に反応を終了させた。評価データを表IV-2にまとめた。
【0339】
(実施例IV-4)
調製例IV-2で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.0MPaにした。その後、系の温度を350℃まで昇温させ、3時間後に反応を終了させた。評価データを表IV-2にまとめた。
【0340】
(実施例IV-5)
調製例IV-3で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.0MPaにした。その後、系の温度を350℃まで昇温させ、3時間後に反応を終了させた。評価データを表IV-2にまとめた。
【0341】
(実施例IV-6)
調製例IV-4で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.0MPaにした。その後、系の温度を350℃まで昇温させ、3時間後に反応を終了させた。評価データを表IV-2にまとめた。
【0342】
(実施例IV-7)
調製例IV-5で合成した触媒0.25gを高圧反応器に添加した後、n-デカン10gを前記反応器に添加し、水素を充填して系内の圧力を3.0MPaにした。その後、系の温度を350℃まで昇温させ、3時間後に反応を終了させた。評価データを表IV-2にまとめた。
【0343】
(比較例IV-1)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離して洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥させ、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0344】
1gのH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に、4.0mLの3.0g/L塩化パラジウム溶液を滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、必要な触媒を得た。
【0345】
触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸量と外表面酸当量とを含む)、金属M含有量、外表面の金属M含有量は表IV-1に示す通りである。
【0346】
触媒の評価方法を実施例IV-1に示す。触媒の組成と評価結果とを表IV-2に示す。
【0347】
(比較例IV-2)
ケイ素とアルミニウムとのモル比が10:1のNa型Yモレキュラーシーブ(FAU構造)と0.2mol/L NHNO溶液(質量比1:20)とを45℃で2時間アンモニウムイオン交換した後、遠心分離して洗浄した。アンモニウムイオン交換を2回繰り返して得られた試料を100℃で一晩乾燥し、空気中550℃で6時間焼成してH型シリカアルミナモレキュラーシーブを得た。
【0348】
H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ1g上に4.0mLの3.0g/L塩化パラジウム溶液4.0mLを、滴下添加した。その後、80℃で2時間乾燥させ、固定床反応器で450℃、水素体積空間速度100h-1で3時間還元し、触媒前駆体を得た。フェニルトリメトキシシラン0.8gと、触媒前駆体1gと、トルエン溶媒15mLとを混合し、110℃で24時間還流した後、水を加えて遠心分離し、洗浄し、80℃で12時間乾燥して触媒を得た。
【0349】
触媒の比表面積、細孔容積、酸特性(全酸量と外表面酸当量を含む)、金属M含有量、外表面の金属M含有量は表IV-1に示す通りである。
【0350】
触媒の評価方法を実施例IV-1に示す。触媒の組成と評価結果を表IV-2に示す。
【0351】
【表28】
【0352】
【表29】
【0353】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明した。しかしながら、本願発明は、上述の特定の実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で、本発明の技術的解決策に多くの簡単な変更を加えることができ、他の任意の適切な態様における様々な技術的特徴の組み合わせを含む。これらの簡単な修正および組み合わせも本発明の開示内容とみなされるべきであり、そのすべてが本発明の保護範囲に含まれる。
【0354】
加えて、上述した具体的な実施形態に記載された具体的な技術的特徴の各々は、矛盾することなく任意の適切な方法で組み合わせることができることに留意すべきである。不要な繰り返しを避けるために、本願では、様々な可能な組み合わせについてこれ以上説明しない。
【0355】
また、本発明の思想から逸脱しない限り、本発明は種々の異なる実施形態の間で任意に組み合わせることが可能であり、組み合わせたものも本発明の内容としてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0356】
図1図1は、製造例I-1で調製した触媒のXRDスペクトルである。
図2図2は、製造例I-1で調製した触媒のTEM像である。
図3図3は、製造例I-1で調製した触媒のSEM像である。
図4図4は、製造例II-1で調製した触媒のXRDスペクトルである。
図5図5は、製造例II-1で調製した触媒の赤外吸収スペクトルである。
図6図6は、製造例II-3で調製した触媒のXRDスペクトルである。
図7図7は、製造例III-1で調製した触媒のXRDスペクトルである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化-酸触媒二元機能触媒であって、当該触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を80~99.8%、モレキュラーシーブ上に担持された水素化活性を有する金属成分を0.2~2%、およびヒドロカルビル修飾成分を0~20%含み、前記水素化活性を有する金属がルテニウム、白金、パラジウム、銅、ニッケル、またはこれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、ルテニウム、パラジウム、またはこれらの組み合わせから選択され、前記ヒドロカルビル修飾成分は、C1-20ヒドロカルビルであり、好ましくはC1-10ヒドロカルビルであり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、フェネチルまたはこれらの組み合わせから選択される、触媒。
【請求項2】
前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブが、MWW、FAU、MOR、BEAもしくはATS構造を有するモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択され、好ましくはATS構造を有するモレキュラーシーブである、請求項1に記載の触媒;
好ましくは、前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブのケイ素-アルミニウム比は2~50、好ましくは2~40、より好ましくは2~20である。
【請求項3】
前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブがATS構造を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブであり、かつ前記触媒のX線回折スペクトルが、下記表に示される回折ピークの相対強度特性を示す、請求項1に記載の触媒:
【表1】
【請求項4】
前記触媒のX線回折スペクトルが、下記表のいずれかの列に示される回折ピークの相対強度特性を示す、請求項3に記載の触媒:
【表2】
【請求項5】
前記触媒は、当該触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を80~98%、水素化活性を有する金属成分を0.2~2%、ヒドロカルビル修飾成分を1~20%含有し、X線光電子分光法(XPS)試験により測定される、触媒の外表面上の元素に対する前記外表面上の水素化活性金属の質量含有量が0.5%以下、好ましくは0.4%以下であり;
好ましくは、前記触媒は、当該触媒の質量を基準として、シリカ-アルミナモレキュラーシーブ成分を90~98%、水素化活性を有する金属成分を0.2~1.5%、およびヒドロカルビル修飾成分を1~10%含有し;
さらに好ましくは、触媒の外表面における水素化活性金属の分配係数が1~20%、好ましくは1.5~18%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記触媒は、下記の特徴:
触媒の比表面積が200~800m/gであり、好ましくは250~700m/gであること;
触媒の全細孔容積が0.15cm/g以上であり、好ましくは0.18~1.0cm/gであること;
触媒の微細孔容積が0.05~0.30cm/gであり、好ましくは0.10~0.25cm/gであること;
触媒の酸含有量の合計が400~1500μmol・g-1であり、好ましくは600~1500μmol・g-1であること;
触媒の外表面における相対酸当量が15~50%であり、好ましくは15~40%であること;
触媒の金属H-TPR試験還元温度が470~500℃であり、好ましくは480~500℃であること;
触媒のB酸/L酸の酸含有量の比が0.2~8.0であり、好ましくは0.4~6.0であること;
触媒において、結晶はストリップ状またはロッド状の形態を有し、前記結晶の長さが0.3~3μmであり、アスペクト比が2~20であり、好ましくは5~20であること;
の1つ以上を有する、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
下記工程:
(1)H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを提供する工程;および
(2)水素化活性金属を前記H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブ上に担持し、得られた生成物に対してヒドロカルビル化処理および/または還元を任意選択で行うことにより、触媒を得る工程を含む、請求項1に記載の触媒を調製する方法。
【請求項8】
工程(1)は、シリカ-アルミナモレキュラーシーブの原料に対して、アンモニウムイオン交換および焼成を行って、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブを得る工程を含み、
好ましくは前記シリカ-アルミナモレキュラーシーブの原料は、MWW、FAU、MORもしくはBEA構造を有するシリカ-アルミナモレキュラーシーブ、またはこれらの組み合わせから選択される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(1)が、ケイ素源、アルミニウム源、フッ素源、有機構造規定剤および水を混合すること、加熱前処理後、結晶化処理および焼成を行い、H型ATSシリカ-アルミナモレキュラーシーブを得ることを含み、前記ケイ素源は、ケイ酸、シリカゲル、シリカゾル、テトラエチルシリケート、ケイ酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせから選択され、アルミニウム源は、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、またはこれらの組み合わせから選択され、フッ素源は、フッ化水素酸であり、有機構造規定剤は、4-ピロリジニルピリジンであり;
好ましくは、工程(1)は、下記の特徴:
SiOとして計算される添加したケイ素源と、Alとして計算されるアルミニウム源と、Fとして計算されるフッ素源と、有機構造規定剤と、水とのモル比が、1:(0.02~0.2):(0.5~2):(0.25~1.5):(3~15)であり、好ましくは1:(0.05~0.15):(0.5~1):(0.5~1):(5~10)であること;
結晶化処理において、SiOとして計算されるケイ素源の水に対するモル比は、1:(1~10)、好ましくは1:(1.5~6.5)であること;および、
結晶化条件として、結晶化温度が120~200℃、好ましくは150~200℃、結晶化時間が7~21日間、好ましくは7~15日間であることを含むこと;
の1つ以上を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
工程(2)において、水素化活性金属源の溶液を、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに添加し、乾燥させることにより、水素化活性金属をH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに担持させ、
好ましくは、工程(2)は下記の特徴:
水素化活性金属源は、金属の可溶性化合物から選択され、好ましくは金属の塩化物、硝酸塩、またはこれらの組み合わせから選択されること;
水素化活性金属源の溶液の濃度は、水素化活性金属の質量を基準として、1.5~50g/Lであり、好ましくは2~45g/Lであること;
水素化活性金属源の溶液は、H型シリカ-アルミナモレキュラーシーブに滴下添加されること;および、
水素化活性金属源の溶液中の水素化活性金属とH型シリカ-アルミナモレキュラーシーブとの質量比は、0.002~0.015:1、例えば0.005~0.02:1であること;
の1つ以上を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒドロカルビル化処理が、水素化活性金属を担持した生成物を溶媒中でヒドロカルビル化試薬と混合して反応させることを含み、
前記ヒドロカルビル化試薬は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオール、ジフェニルシランジオール、またはこれらの組み合わせから選択され、好ましくは、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、フェニルシラントリオール、トリルシラントリオール、またはこれらの組み合わせから選択され;
好ましくは、ヒドロカルビル化処理は下記の特徴:
溶媒はエタノール、トルエンまたはそれらの組み合わせであること;
水素化活性金属と、ヒドロカルビル化試薬と、溶媒とを担持した生成物の質量比は、1:(0.05~0.45):(5~55)であり、好ましくは1:(0.06~0.40):(6~50)であること;
ヒドロカルビル化処理の反応条件として、反応温度が40~110℃であり、好ましくは70~110℃であり、反応時間が6~48時間であり、好ましくは8~24時間であることを含むこと;
の1つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記還元が還元ガス、好ましくは水素を用いて行われ、当該還元の条件は、好ましくは還元温度が300~450℃であり、還元時間が3~6時間であり、還元ガスの体積空間速度が40~200h-1であることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の水素化-酸触媒二元機能触媒の、炭化水素の水素化転化反応における使用であって、炭化水素原料を水素の存在下で前記触媒と接触させ反応させる工程を含み、好ましくは、前記水素化転化反応は、ベンゼンヒドロアルキル化反応およびアルカンヒドロ異性化反応から選択される、使用。
【請求項14】
水素の存在下、請求項1に記載の水素化-酸触媒二元機能触媒とベンゼンとを接触させ、かつ反応させて、シクロヘキシルベンゼンを得る工程を含み;
好ましくは、反応条件が、触媒に対するベンゼンの質量比が8~40であり、好ましくは10~40であること;反応温度が100~220℃であり、好ましくは120~200℃であること;反応時間が2~8時間であり、好ましくは2.5~6時間であること;水素圧が0.8~2.5MPaであり、好ましくは1.0~2.5MPaであること、を含む、ベンゼンを水素化してシクロヘキシルベンゼンを製造するための一段階の方法。
【請求項15】
直鎖アルカンを、水素の存在下、請求項1に記載の水素化-酸触媒二元機能触媒と接触させ、かつ反応させて異性化生成物を得ることを含み;
前記直鎖アルカンはC8以上の直鎖アルカンであり、好ましくはC8~C20の直鎖アルカンであり、より好ましくはC8~C12の直鎖アルカンである;
好ましくは、反応条件として、直鎖アルカンの触媒に対する質量比が10~100であり、好ましくは10~50であること;反応温度が250~400℃であり、好ましくは300~400℃であること;反応時間が3~10時間であり、好ましくは4~10時間であること;水素圧力が2.5~5.0MPaであり、好ましくは3.0~4.0MPaであること、を含む、アルカンの水素化異性化方法。

【国際調査報告】