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特表2024-538266化合物、パターニング材料、半導体装置、端末、およびパターニング方法
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  • 特表-化合物、パターニング材料、半導体装置、端末、およびパターニング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】化合物、パターニング材料、半導体装置、端末、およびパターニング方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/004
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525272
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-16
(86)【国際出願番号】 CN2022116901
(87)【国際公開番号】W WO2023071526
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111281644.9
(32)【優先日】2021-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】イー,シヤオフオン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ディー
(72)【発明者】
【氏名】ディーン,チーンゥローン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ユイ
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC01
2H225CC11
2H225CD05
(57)【要約】
本願では有機混合金属-酸素クラスター化合物が提供され、その化学一般式は、(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)zであり、ここで
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に配位可能であり、配位原子として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、yおよびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である。本願ではさらに、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物を含むパターニング材料、前記パターニング材料を含む半導体装置、端子、および基板表面のパターニング方法が提供される。本願における基板表面のパターニング方法では、単純な材料が使用され高い解像度でエッジ粗さの小さいパターンを実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機混合金属-酸素クラスター化合物であって、
化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に配位可能であり、配位原子(ligating atom)として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、yおよびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項2】
2≦a+b+c≦60である、請求項1に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項3】
g+x+y+z≦8(a+b+c)である、請求項1または2に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項4】
5≧b/(a+c)≧0.1である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項5】
a:b:cの比は、5:9:1である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項6】
M1はTiであり、M2はBiであり、M3はCoおよびNiの少なくとも1つである、請求項5に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項7】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、
該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項8】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、
該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項9】
L1およびL2の1つ以上は、同じ有機配位子中に共存する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項10】
当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、
該放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、
置換用の前記放射線感受性元素は、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項11】
有機混合金属-酸素クラスター化合物を含むパターニング材料であって、
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで、
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に直接配位し、配位原子として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
b、g、x、y、およびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、パターニング材料。
【請求項12】
2≦a+b+c≦60、g+x+y+z≦8(a+b+c)、および5≧b/(a+c)≧0.1である、請求項11に記載のパターニング材料。
【請求項13】
a:b:cの比は、5:9:1であり、
M1はTiであり、M2がBiであり、M3は、CoおよびNiの少なくとも1つである、請求項11または12に記載のパターニング材料。
【請求項14】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項15】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む、請求項11乃至14のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項16】
L1およびL2の1つ以上は、同じ有機配位子中に共存する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項17】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換されており、
前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、
置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる、請求項11乃至16のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項18】
半導体装置であって、
基板と、
前記基板の表面に配置された機能層であって、請求項11乃至17のいずれか一項に記載のパターニング材料を含む、機能層と、
を有する、半導体装置。
【請求項19】
端末であって、
筐体と、
前記筐体に収容された半導体装置と、
を有し、
前記半導体装置は、請求項18に記載の半導体装置を有する、端末。
【請求項20】
基板表面のパターニング方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板の表面にパターニング材料層を形成するステップであって、前記パターニング材料層は、有機混合金属-酸素クラスター化合物を含み、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで
M1は、Ti、Zr、Hfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、Auの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、Cuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に直接配位し、配位原子として機能するO、S、Se、N、Pの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、y、zは、いずれも1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、ステップと、
前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップと、
現像液を用いて前記パターニング材料層の一部を除去するステップと、
を有する、基板表面のパターニング方法。
【請求項21】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、2≦a+b+c≦60、g+x+y+z≦8(a+b+c)、および5≧b/(a+c)≧0.1である、請求項20に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項22】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、
該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される、請求項20または21に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項23】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む、請求項20乃至22のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項24】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、
前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、
置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれる金属元素とは異なる、請求項20乃至23のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項25】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、a:b:cの比は、5:9:1であり、M1はTiであり、M2はBiであり、M3は、CoおよびNiの少なくとも1つである、請求項20乃至24のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項26】
前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップでは、1nmから15nmの波長範囲内の軟X線の、任意の単波長光線もしくは混合波長光線が使用され、または電子ビームが使用され、または極紫外放射線が使用される、請求項20乃至25のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項27】
前記軟X線を用いて前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップでは、マスクが用いられ、パターン情報を搬送する軟X線は、前記マスクを介して前記パターニング材料層に到達し、前記パターニング材料層が局所的に露光される、請求項26に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項28】
前記現像液は、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、乳酸エチル、および水の少なくとも1つである、請求項20乃至27のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項29】
さらに、前記基板上に残存する前記パターニング材料膜層を保護層として用いて、前記基板をエッチングするステップを有する、請求項20乃至28のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年10月31日に中国国家知識産権局に出願された「化合物、パターニング材料、半導体装置、端末、およびパターニング方法」という名称の中国特許出願第202111281644.9号の優先権を主張する出願であり、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、有機混合金属-酸素クラスター化合物、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物を含むパターニング材料、前記パターニング材料が用いられた半導体素子、端末および基板表面パターニング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路産業の急速な発展に伴い、特に、単位面積当たりのチップの計算パワーが向上する際、換言すれば、チップに対応するキーサイズがより小さくなる際に、パターニング技術の開発は、必要不可欠である。パターニングプロセスは、通常、以下のステップ:所定のパターンをテンプレートとして用い、前記テンプレートを介して基板の表面にコーティングされた膜層に照射し、被照射領域および非照射領域を有する被照射構造を前記膜層に形成するステップと、前記被照射構造または前記非照射構造を選択的に溶解および洗浄するステップであって、残留材料により形成されたパターンは、前記テンプレートのパターンと同じであり、前記残留パターニング材料は、エッチングステップにおいてエッチング耐性を有し得る、ステップと、前記基板がエッチングされることまたはゆっくりとエッチングされることを選択的に保護し、前記基板に転写するためのグラフを形成し、シリコンウェハのような前記基板上にパターンを形成するステップであって、前記パターンは、最初に選択的に露光されたパターンである、ステップと、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
短波長(15 nm未満)の光線を使用することにより、グラフィックスを実現する高度なプロセスでは、パターニング技術の光源透過効率が低いため、パターニング材料には高い感度を示すことが要求され、露光エネルギーは、通常30mJ/cm2以下である。現在のところ、有機ポリマー材料系、有機シリコン材料系などを含む、いくつかのパターニング材料系がある。有機ポリマー材料系は、旧来のパターニング材料である。15nm未満の短波長が適用される前に、有機ポリマー材料系が使用される。しかしながら、パターニング光源の波長が15nm未満まで低下すると、形成されるパターンの解像度を向上させる必要が生じる。有機シリコン材料系は、高い解像度および小さな分子サイズを有する。しかしながら、シリコンは、波長が15nm未満の光源に対する感度が低く、極めて高い露光エネルギーが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施形態の第1の態様では、有機混合金属-酸素クラスター化合物であって、
化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に配位可能であり、配位原子(ligating atom)として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、yおよびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、有機混合金属-酸素クラスター化合物が提供される。
【0006】
本願において、波長が1nmから15nmの範囲の軟X線の露光下では、有機混合金属-酸素クラスター化合物は、高い感度を有し、微調整することができる。有機混合金属-酸素クラスター化合物は、金属および有機配位子を有する。異なる金属の種類および割合が調整され、および/または有機配位子に感光性官能基が導入され、パターニング材料の感光性が高められ、ラインエッジ粗さが改善され、解像度が10nmから40nmに改善されてもよい。
【0007】
本願の一実施態様では、2≦a+b+c≦60である。
【0008】
本願の一実施形態では、g+x+y+z≦8(a+b+c)である。
【0009】
g+x+y+z≦8(a+b+c)は、原子配位数に基づいて求められる。
【0010】
本発明の一実施形態では、5≧b/(a+c)≧0.1である。
【0011】
本願の一実装形態では、a:b:cの比は、5:9:1である。
【0012】
本願の一実施態様では、M1はTiであり、M2はBiであり、M3はCoおよびNiの少なくとも1つである。
【0013】
本願の一実施態様では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される。
【0014】
官能基は、有機混合金属-酸素クラスター化合物の溶解性のような特性を調整するために、有機配位子L1、L2、およびL3に導入され、これにより、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物を含む膜層の厚さ、膜層粗さ、解像度、膜層接着性、および耐食性に影響が生じる。
【0015】
本願の一実施形態では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む。
【0016】
放射線感受性官能基は、有機混合金属-酸素クラスター化合物の感光性をさらに向上させてもよく、ラインエッジラフネスが改善され、解像度が改善される。
【0017】
本願の一実施態様では、L1およびL2の1つ以上は、同じ有機配位子中に共存する。
【0018】
本願の一実施態様では、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、該放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、置換用の前記放射線感受性元素は、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる。
【0019】
放射線感受性元素は、有機混合金属-酸素クラスター化合物の金属元素を置換し、有機混合金属-酸素クラスター化合物の感光性を高めることができる。
【0020】
本願の実施形態の第2の態様では、有機混合金属-酸素クラスター化合物を含むパターニング材料が提供される。前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで、
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に直接配位し、配位原子として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、y、およびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である。
【0021】
有機混合金属-酸素クラスター化合物は、パターニング材料の主要材料として使用され、パターニング材料は、高い感度、高いエッチング耐性、高い解像度、低い脱ガス(露光プロセスにおいて放出されるガスがより少ないことを意味する)、小さな分子サイズ、および混合金属を使用することにより微調整され得る材料特性を満たすことができる。
【0022】
本願の一実施形態では、2≦a+b+c≦60、g+x+y+z≦8(a+b+c)、および5≧b/(a+c)≧0.1である。
【0023】
本願の一実施形態では、a:b:cの比は、5:9:1であり、M1はTiであり、M2がBiであり、M3は、CoおよびNiの少なくとも1つである。
【0024】
本願の一実施形態では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される。
【0025】
本願の一実施形態では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む。
【0026】
本願の一実施形態では、L1およびL2の1つ以上は、同じ有機配位子中に共存する。
【0027】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換されており、前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる。
【0028】
本願の実施形態の第3の態様では、半導体装置であって、
基板と、
前記基板の表面に配置された機能層であって、本願の実施形態の第2の態様によるパターニング材料を含む、機能層と、
を有する、半導体装置が提供される。
【0029】
機能層のパターンの解像度は高く、パターンのエッジの粗さは低い。
【0030】
本願の実施形態の第4の態様では、端末であって、筐体と、前記筐体に収容された半導体装置と、を有し、前記半導体装置は、本願の実施形態の第3の態様による半導体装置を有する、端末が提供される。
【0031】
本願の実施形態の第5の態様では、基板表面のパターニング方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板の表面にパターニング材料層を形成するステップであって、前記パターニング材料層は、有機混合金属-酸素クラスター化合物を含み、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで
M1は、Ti、Zr、Hfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、Auの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、Cuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に直接配位し、配位原子として機能するO、S、Se、N、Pの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、y、zは、いずれも1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、ステップと、
前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップと、
現像液を用いて前記パターニング材料層の一部を除去するステップと、
を有する、基板表面のパターニング方法が提供される。
【0032】
本願における基板表面のパターニング方法では、高い解像度および低いエッジ粗さを有するパターン化されたパターニング材料層を得ることができ、これにより、半導体装置を用いて実施される処理が容易化される。
【0033】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、2≦a+b+c≦60、g+x+y+z≦8(a+b+c)、および5≧b/(a+c)≧0.1である。
【0034】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される。
【0035】
本願の一実施形態では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む。
【0036】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれる金属元素とは異なる。
【0037】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、a:b:cの比は、5:9:1であり、M1はTiであり、M2はBiであり、M3は、CoおよびNiの少なくとも1つである。
【0038】
本願の一実施形態では、前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップでは、1nmから15nmの波長範囲内の軟X線の、任意の単波長光線もしくは混合波長光線が使用され、または電子ビームが使用され、または極紫外放射線が使用される。
【0039】
本願の一実施形態では、前記軟X線を用いて前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップにおいてマスクが用いられ、パターン情報を搬送する軟X線は、前記マスクを介して前記パターニング材料層に到達し、前記パターニング材料層が局所的に露光される。
【0040】
本願の一実施形態では、前記現像液は、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、乳酸エチル、および水の少なくとも1つである。
【0041】
本願の一実施形態では、当該基板表面のパターニング方法は、さらに、前記基板上に残存する前記パターニング材料膜層を保護層として用いて、前記基板をエッチングするステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】パターニングプロセスの概略図である。
図2】本願の一実施形態による半導体装置の断面構造を模式的に示した図である。
図3】本願の実施例1による有機混合金属-酸素クラスター化合物の構造の概略図である。
図4】本願の実施例1による有機混合金属-酸素クラスター化合物の赤外線スペクトルである。
図5A】露光および現像されたパターニング材料コーティングの走査型電子顕微鏡図である。
図5B】露光および現像されたパターニング材料コーティングの走査型電子顕微鏡図である。
図6】本願の実施例2による有機混合金属-酸素クラスター化合物の構造の概略図である。
図7】本願の実施例1による有機混合金属-酸素クラスター化合物の赤外線スペクトルである。
図8A】露光および現像されたパターニング材料コーティングの走査型電子顕微鏡図である。
図8B】露光および現像されたパターニング材料コーティングの走査型電子顕微鏡図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態における添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0044】
パターニングプロセスでは、波長が1nmから15nmの範囲の軟X線(Soft X-ray)を露光光源として用い、あるいは電子ビームエッチングを用いることにより、高精度なパターンが形成され得る。図1に示すように、パターニングプロセスは、(1)基板10上にパターニング材料膜層20を形成するステップと、(2)パターニング材料膜層20を選択的に露光するステップと、(3)露光されたパターニング材料膜層20に対して現像を実施し、パターニング材料膜層20の一部を除去するステップと、(4)パターニング材料膜層20の残留部分を保護層として用い、基板10をエッチングするステップと、を有する。
【0045】
ステップ(1)における、基板上にパターニング材料膜層を形成するステップは、パターニング材料を好適な溶媒と混合して、特定の濃度の溶液を形成するステップであって、前記溶液濃度は、膜厚要求に従って調整されてもよく、一般に、より高い溶液濃度は、より厚い膜層に対応する、形成するステップと、基板のサイズに基づいて、特定の体積の溶液を採取し、スピンコーティング法で基板上にコーティングするステップであって、前記基板は、シリコンウェハであってもよい、ステップと、別のコーティングにより被覆されたシリコンウェハ上に、またはシリコンウェハを最終基板として使用する任意の他のコーティング上に、厚さが100nm未満のパターニング材料膜層を形成するステップと、を有する。選択的露光の前に、通常、膜層に残った溶媒は、ベーキングにより除去される。
【0046】
ステップ(2)における選択的露光プロセスでは、マスク(図示せず)が使用されてもよい。波長が1nmから15nmの範囲の軟X線における任意の単一波長光線または混合波長光線が、マスクを介してパターニング材料膜層に選択的に照射され、マスク上のパターンがパターニング材料膜層に転写される。パターニング材料が選択的に照射された後、パターン化材料の被照射部分の化学的性質および溶解度が変化する。
【0047】
前記(3)のステップでは、現像液(有機溶液、無機溶液、純粋溶媒、混合溶媒、添加剤を含む溶媒等から選択されてもよい)を用いて、被照射パターニング材料が清浄化される。清浄化は、10秒から300秒間行われ、単一ステップの清浄化またはマルチステップの清浄化であってもよい。パターニング材料がポジ型のパターニング材料である場合、清浄化されたパターニング材料層の被照射部分が洗浄除去され、ポジ型パターンが形成される。パターニング材料がネガ型のパターニング材料である場合、清浄化されたパターニング材料層の被照射部分は洗浄除去されず、ネガ型パターンが形成される。
【0048】
ステップ(4)では、パターニング材料により形成されたパターンは、エッチングステップにおいて基板を選択的に保護する。特定の条件下でエッチングを実施した後、パターニング材料および基板の未保護部分がエッチングされる。しかしながら、基板のうちパターニング材料により保護された部分のエッチング速度は、未保護部分のエッチング速度よりも遅く、従って、最終的に基板上にパターンが形成される。
【0049】
前述のパターニングプロセスでは、露光には、波長が1nmから15nmの範囲の軟X線、またはマスクを使用しない電子線が用いられる。この条件下では、得られるパターンには、高い解像度、低いパターンエッジ粗さ、および低い消費露光エネルギーを有することが要求される。しかしながら、既存のパターニング材料では、この要求を満たすことは難しい。
【0050】
従って、本願では、短波長(15nm未満)の軟X線または電子線を用いる露光によりパターニングを実施するプロセスに使用できるパターニング材料が提供される。パターニング材料は、短波長(15nm未満)の軟X線に対して高感度であるため、パターンの解像度が高くなるとともに、パターンのエッジ粗さが改善される。
【0051】
パターニング材料は、有機混合金属-酸素クラスター化合物を含む。パターニング材料は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物に加えて、さらに、添加剤、例えば、安定剤、分散剤または溶媒を有してもよい。
【0052】
有機混合金属-酸素クラスター化合物の一般的な化学式は、(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)zであり、ここで
M1は、高反応性金属/高分解性金属Ti、Zr、Hfの少なくとも1種から選択され、M2は、高感度金属Bi、Te、Sn、Pt、Ag、Auの少なくとも1種から選択され、M3は、架橋金属Fe、Ni、Co、Cuの少なくとも1種から選択され、L1、L2、L3は、それぞれ、金属に直接配位する有機配位子から選択され、これに限られるものではないが、配位原子として機能するO、S、Se、N、Pを含み、a、b、g、x、y、zは、いずれも1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である。
【0053】
いくつかの実施形態では、c=0である場合、これは、有機混合金属-酸素クラスター化合物が2つの金属M1およびM2のみを含むことを表す。
【0054】
いくつかの実施形態では、2≦a+b+c≦60である。
【0055】
いくつかの実施形態では、g+x+y+z≦8(a+b+c)である。g+x+y+z≦8(a+b+c)は、原子配位数に基づいて求められる。
【0056】
いくつかの実施形態では、5≧b/(a+c)≧0.1である。
【0057】
一実施形態において、M1対M2対M3のモル比は、5:9:1であり、すなわち、a対b対cの比は、5:9:1である。また、M1はTiであり、M2はBiであり、M3はCoおよびNiの少なくとも一つである。
【0058】
いくつかの実施形態では、L1およびL2は、互いに独立した有機配位子であってもよい。いくつかの他の実施形態では、L1およびL2の1つ以上(複数の有機配位子L1およびL2が存在してもよいため)が、同じ有機配位子中に共存する。例えば、L1およびL2は、サリチル酸リガンド内に共存する。この場合、L1は、アルコール系有機配位子であり、L2はカルボン酸系有機配位子であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素で置換され、有機混合金属-酸素クラスター化合物の感光性が高められてもよい。放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、Y、Ga、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含む。有機混合金属-酸素クラスター化合物のM1、M2、およびM3は、前述の放射線感受性元素Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Sn、Te、Hf、Pt、Au、およびBiの少なくとも1つを含み得るため、有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンを置換する放射線感受性元素は、本願における有機混合金属-酸素クラスター化合物に元来含まれる金属元素とは異なる。すなわち、例えば、有機混合金属-酸素クラスター化合物が金属Tiを含む場合、Tiは、置換のための放射線感受性元素としては選択されない。
【0060】
いくつかの実施形態では、L1、L2、およびL3の少なくとも1つに放射線感受性官能基が導入され、有機混合金属-酸素クラスター化合物の感光性がさらに高められ、ラインエッジ粗さが改善され、解像度が改善されてもよい。放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、放射線感受性官能基は、有機配位子L1、L2、およびL3の少なくとも1つに導入されてもよい。例えば、官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンのような、追加的にアクセスされる反応基の少なくとも1つであってもよく、有機混合金属-酸素クラスター化合物の溶解度のような特性が調整され、これにより、膜層厚さ、膜層粗さ、解像度、膜層接着性、および耐食性に影響が及ぼされる。
【0062】
金属イオンに対する有機配位子の配位原子の比が調整され、有機混合金属-酸素クラスター化合物の感度、ラインエッジ粗さ、および解像度が改善されてもよいことが理解され得る。
【0063】
本願において、有機混合金属-酸素クラスター化合物は、金属および有機配位子を含む。異なる金属の種類および割合を調整し、および/または感光性官能基を有機配位子に導入することにより、パターニング材料の感光性がさらに高められ、ラインエッジ粗さが改善され、解像度が改善されてもよい。
【0064】
この用途では、波長が1nmから15nmの範囲の軟X線の露光下で、有機混合金属-酸素クラスター化合物は、高い感度を有し、微調整されてもよい。有機混合金属-酸素クラスター化合物は、パターニング材料の主要な材料として使用され、これにより、パターニング材料は、高い感度、高いエッチング耐性、高い解像度、低い脱ガス(露光プロセスにおいて放出されるガスがより少ないことを意味する)、小さい分子サイズ、および混合金属を使用することにより微調整され得る材料特性を満たす必要があるという問題が解決されてもよい。
【0065】
本願において、前述のパターニング材料を用いて実施されるパターニング方法は、以下のステップを有する。
【0066】
(a)基板表面処理
親水化処理:ピラニア溶液(H2O:30%水酸化アンモニア:30%H2O2=5:1:1)中で15分から20分、清浄化が実施され、脱イオン水洗浄され、その後イソプロパノールで洗浄される。使用前に、エアガンを用いて基板表面の液体が乾燥される。
【0067】
疎水化処理:基板に対して親水化処理を行った後、気相めっきまたはスピンコーティング法により、ヘキサメチルジシラザン(Hexamethyldisilazane、HMDS)を基板の表面に均一にコーティングする。
【0068】
反射防止層の処理:反射防止層が底部層に追加され、またはスピンコーティング法により、ケイ素化合物層もしくは炭素化合物層が底部層にコーティングされる。
【0069】
(b)溶液調製
調製された有機混合金属-酸素クラスター化合物(白色粉末)は、溶媒に溶解され、清澄溶液が形成される。明らかな不溶性がある場合、溶媒が再選択され、有機混合金属-酸素クラスター化合物が溶解され、清澄溶液が得られる。その後、溶液が濾過され、パターニング材料配合物混合物が得られる。溶媒としては、これに限られるものではないが、N,N-ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、イソプロパノール、トルエン、ジクロロメタン等が含まれる。溶媒中の有機混合金属-酸素クラスター化合物の濃度は、約5mg/mLから30mg/mLである。
【0070】
(c)膜層の調製
基板のサイズに基づき、適切な量のパターニング材料配合混合物がスピンコーティングに使用される。例えば、通常、4インチのシリコンウェハ上に、1mLから5mLのパターニング材料配合混合物がスピンコーティングされ、均一な厚さが5nmから200nmであり、表面粗さが2nm未満である、パターニング材料膜層が得られる。スピンコーティングの後、選択的にベーキングステップが追加されてもよい。残留溶媒を除去するベーキング温度は、60℃から200℃の範囲であり、ベーキング時間は、20秒から120秒の範囲である。
【0071】
(d)膜層露光
電子線、極紫外線、または波長が1nmから15nmの範囲の軟X線が、パターニング材料膜層に選択的に照射される。パターニング材料膜層の被照射部分で化学反応が生じ、被照射部分の溶解度が変化する。軟X線を用いてパターニング材料層に局所的な露光を実施するステップでは、マスクが用いられる。パターン情報を搬送する軟X線は、マスクを介してパターニング材料層に到達し、パターニング材料層が局所的に露光される。
【0072】
露光後、選択的にベーキングステップが追加され、膜層での未完了の化学反応が促進されてもよい。ベーキング温度は、60℃から200℃の範囲であり、ベーキング時間は、20秒から120秒の範囲である。
【0073】
(e)現像プロセス
現像プロセスでは、現像液が被露光膜層と接触するように使用され、パターニング材料膜層の一部が溶解され、除去される。例えば、膜層は、現像液に浸漬されてもよい。現像液と膜層との接触時間は、通常10分を超えない。
【0074】
いくつかの実施形態では、現像液は、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、乳酸エチル、および水のような溶媒、またはそれらの組み合わせ、ならびに材料が照射の前後で異なる溶解速度を示すことが可能となる別の溶媒を含む。
【0075】
ある実施形態では、現像液は、以下の溶媒または以下の溶媒の複数の混合物を含む現像液であってもよい:
濃度が0.5%から5%の範囲のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液;
ケトンのような有機溶媒、例えば、シクロヘキサノン、メチル-2-n-ペンチルケトン;
アルコール、例えば、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール;
エーテル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2-メトキシエタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2-エトキシエタノール、1,2-ジメトキシプロパン、およびジエチレングリコールジメチルエーテル;
エステル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、およびプロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート;
ラクトン類、例えばγ-ブチロラクトン;
高沸点アルコール溶媒、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、1,4-ブタンジオール、または1,3-ブタンジオール。
【0076】
現像液と被露光膜層との間の接触の現像持時間は、10秒から120秒の範囲である。現像プロセスの後、水洗浄リンスプロセスが選択的に追加され、洗浄リンス時間は10sから120sであってもよい。リンスプロセス後に、ベーキングプロセスが選択的に追加されてもよい。ベーキング温度は60℃から200℃の範囲であり、ベーキング時間は20秒から120秒の範囲である。
【0077】
(f)パターン描写
電子顕微鏡または原子間力顕微鏡を用いて、得られたパターンが観測、測定される。得られたパターンの解像度は、3nmから100nmであり、エッジ粗さは、パターンの解像度の2%から30%である。
【0078】
(g)エッチングプロセス(選択的)
パターニング材料膜層を保護層として用いて基板がエッチングされ、酸素イオンのようなエッチング条件下またはイオン注入プロセスにおいて、基板にパターンが転写されてもよい。
【0079】
ステップ(a)は、選択的に実施されることが理解され得る。いくつかの実施形態では、代わりにステップ(a)は、省略されてもよく、またはステップ(a)において親水化処理または疎水化処理が行われる。
【0080】
ステップ(g)は、選択的に実施されることが理解され得る。いくつかの実施形態では、代わりに、ステップ(g)は、省略されてもよい。これにより、機能層として、基板上に未エッチングのパターニング膜層が残留してもよい。
【0081】
本願では、さらに、半導体装置を有する電子装置(図示せず)が提供される。いくつかの実施形態では、半導体装置は、集積回路(図示せず)の一部であってもよい。図2に示すように、半導体装置100は、基板10と、該基板10上に形成されたパターン化された機能層30(例えば、誘電体材料層)とを有する。機能層30は、有機混合金属-酸素クラスター化合物を含む。機能層30のパターンの解像度は高く、10nmから40nmに達する。パターンのエッジ粗さは低く、解像度の10%以内である。
【0082】
以下、特定の実施形態を使用することにより、本願の実施形態における技術的解決策についてさらに説明する。
【0083】
(実施例1)
有機混合金属-酸素クラスター化合物が合成される:Ti5CoBi9O9(C7H4O39(C2OO)(C7H4O38。特に、前述の分子式は、[Ti(C7H4O333@Ti2CoIIBi9O8(μ2-O)(μ2-C2OO)(C7H4O38として表されてもよく、ここで、@は、[Ti(C7H4O333が中心の2つのTi原子に接続され、1つのO原子がμ2架橋方式で2つの原子に接続され、(C2OO)基がμ2架橋方式で2つの原子に接続されることを表す。
【0084】
0.05mmolのサリチル酸ビスマス、0.1molの酢酸コバルト、0.1mmolのサリチル酸、0.5mlのテトライソプロポキシチタンを、8mlのアセトニトリルに混合し、80℃に加熱し、3日後に室温まで冷却する。析出した結晶は、有機混合金属-酸素クラスター化合物である。
【0085】
図3には、[Ti(C7H4O333@Ti2CoIIBi9O8(μ2-O)(μ2-C2OO)(C7H4O38の構造の模式図を示す。なお、図3では、構造を明確にするため、酸素、炭素、窒素、水素などの一部の原子は、省略されている。
【0086】
図4には、有機混合金属-酸素クラスター化合物の赤外線スペクトログラムを示す。400から892cm-1の位置にある特徴的なピークは、金属酸素結合の膨張振動領域であり、Bi-O、Ti-O、Co-Oの存在を示唆している。1032から1242cm-1の位置にある特徴的なピークは、C-Oの膨張振動領域である。1349から1595cm-1の位置にある特徴的なピークは、ベンゼン環の骨格振動を表し、ベンゼン環の存在を示唆する。3000から3500cm-1の位置にある特徴的なピークは、O-H/N-Hの膨張振動領域であり、H2Oピークであり、有機混合金属-酸素クラスター化合物が微量の水分子を含むことを示唆する。
【0087】
パターニング処理
親水化処理:ピラニア溶液(H2O:30%水酸化アンモニア:30%H2O2=5:1:1)中で15分から20分、清浄化処理が実施され、脱イオン水処理された後、イソプロパノールで洗浄される。使用前に、表面上の液体は、エアガンを使用することにより乾燥される。疎水化処理:シリコンウェハに対して親水化処理を実施した後、気相メッキ法またはスピンコート法により、シリコンウェハの表面にHMDSが均一に被覆される。
【0088】
膜層の調製:5mgから20mgの有機混合金属-酸素クラスター化合物が、1mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解され、溶液が濾過され、適量の濾過溶液が採取され、親水性または疎水性のシリコンウェハの表面にスピンコーティングされ、金属有機クラスターパターニング材料コーティングが形成される。
【0089】
放射線露光:電子ビームエッチング技術(EBL)を用いて、パターニング材料コーティングに対して露光が実施される。
【0090】
現像:使用される現像液の組み合わせは、DMFとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)との混合物(体積比は10:1から1:10)、およびイソプロパノール(IPA)とPGMEAとの混合物(体積比は10:1から1:10)を含む。現像時間は15秒から60秒の範囲である。
【0091】
グラフィック描写:走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、露光および現像されたパターニング材料コーティングに対してパターン描画を行う。
【0092】
図5Aおよび図5Bに示すように、露光および現像されたパターニング材料コーティングは、同じ方向に延在する複数のラインである。図5(a)における線幅は、100nmであり、図5(b)における線幅は、50nmである。露光され現像されたパターニング材料コーティングの解像度は、100nmまたは50nmにも達し得る。
【0093】
本実施形態では、新しい種類のTi、Co、およびBiが混合された金属-酸素クラスター化合物が、波長が15nm未満の光源および電子ビームを使用する露光用の高性能パターニング材料として使用され得る。露光後に高解像度パターンが形成されてもよい。また、パターニング材料の特性は、混合された金属の割合を通じて微調節されてもよい。
【0094】
(実施例2)
有機混合金属-酸素クラスター化合物が合成される:Ti5NiBi9O9(C7H4O39(C2OO)(C7H4O38。特に、前述の分子式は、[Ti(C7H4O333@Ti2NiIIBi9O8(μ2-O)(μ2-C2OO)(C7H4O38と表すことができ、ここで@は、[Ti(C7H4O333が中心の2つのTi原子に結合され、1つのO原子が2つの原子にμ2架橋方式で結合され、(C2OO)基が2つの原子にμ2架橋様式で結合されていることを表す。
【0095】
0.05mmolのサリチル酸ビスマス、0.1molの酢酸ニッケル、0.1mmolのサリチル酸、0.5mlのテトライソプロポキシチタンを8mlのアセトニトリルに混合し、80℃に加熱し、3日後に室温まで冷却する。析出した結晶は、有機混合金属-酸素クラスター化合物である。
【0096】
図6には、[Ti(C7H4O333@Ti2NiIIBi9O8(μ2-O)(μ2-C2OO)(C7H4O38の構造の模式図を図6に示す。なお、図6では、構造を明確にするため、酸素、炭素、窒素、水素などの一部の原子は、省略されている。
【0097】
図7には、有機混合金属-酸素クラスター化合物の赤外線スペクトログラムを示す。400から892cm-1の位置にある特徴的なピークは、金属酸素結合の膨張振動領域であり、Bi-O、Ti-O、Ni-Oの存在を示唆している。1030から1240cm-1の位置にある特徴的なピークは、C-Oの膨張振動領域である。1464から1608cm-1の位置にある特徴的なピークは、ベンゼン環の骨格振動を示し、ベンゼン環の存在を示唆する。
【0098】
パターニング方法
シリコンウェハ処理:親水化処理:ピラニア溶液(H2O:30%水酸化アンモニウム:30%H2O2=5:1:1)中で15分から20分、清浄化処理が実施され、脱イオン水での処理後、イソプロパノールで洗浄される。使用前に、シリコンウェハの表面上の液体は、エアガンを使用することにより乾燥される。
【0099】
疎水化処理:シリコンウェハに対して親水化処理を実施した後、気相メッキ法またはスピンコート法により、シリコンウェハの表面にHMDSが均一に被覆される。
【0100】
膜層の調製:5mgから30mgの固体サンプルが1mLの乳酸エチル溶媒に溶解され、溶液が濾過され、適量の濾過溶液が採取され、親水性または疎水性のシリコン基板の表面上にスピンコーティングされ、混合金属有機クラスターパターニング材料コーティングが形成される。
【0101】
放射線露光:本発明では、電子ビームエッチング技術(EBL)を用いてパターニング材料層に対して露光が実施される。
【0102】
現像:本発明で使用される現像液の組合せは、イソプロパノールを含む。現像時間は15秒から60秒の範囲である。
【0103】
パターン描画:走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、露光および現像された層材料に対してパターン描画が実施される。
【0104】
図8Aおよび図8Bに示すように、露光および現像されたパターニング材料コーティングは、同じ方向に延在する複数のラインである。図8(a)におけるラインの幅は、100nmであり、図8(b)におけるラインの幅は、50nmである。露光され現像されたパターニング材料コーティングの解像度は、100nmまたは50nmに達してもよい。
【0105】
前述の記載は、単なる本願の特定の実施態様に過ぎず、本願の保護範囲は、これに限定されないことに留意する必要がある。本願に記載の技術的範囲の範囲内で、当業者により容易に見出される任意の変更または置換は、本願の保護範囲内に属することに留意する必要がある。矛盾しない場合、本願の実施形態および実施形態における特徴は、相互に組み合わされてもよい。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従う。
【符号の説明】
【0106】
100 半導体装置
10 基板
20 パターニング材料膜層
30 機能層
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機混合金属-酸素クラスター化合物であって、
化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に配位可能であり、配位原子(ligating atom)として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、yおよびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項2】
2≦a+b+c≦60である、請求項1に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項3】
g+x+y+z≦8(a+b+c)である、請求項1または2に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項4】
5≧b/(a+c)≧0.1である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項5】
a:b:cの比は、5:9:1である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項6】
M1はTiであり、M2はBiであり、M3はCoおよびNiの少なくとも1つである、請求項5に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項7】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、
該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項8】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、
該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項9】
L1およびL2の1つ以上は、同じ有機配位子中に共存する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項10】
当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、
該放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、
置換用の前記放射線感受性元素は、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機混合金属-酸素クラスター化合物。
【請求項11】
有機混合金属-酸素クラスター化合物を含むパターニング材料であって、
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで、
M1は、Ti、Zr、およびHfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、およびAuの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、およびCuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に直接配位し、配位原子として機能するO、S、Se、N、およびPの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、y、およびzは、全て1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、パターニング材料。
【請求項12】
2≦a+b+c≦60、g+x+y+z≦8(a+b+c)、および5≧b/(a+c)≧0.1である、請求項11に記載のパターニング材料。
【請求項13】
a:b:cの比は、5:9:1であり、
M1はTiであり、M2がBiであり、M3は、CoおよびNiの少なくとも1つである、請求項11または12に記載のパターニング材料。
【請求項14】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される、請求項11乃至13のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項15】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む、請求項11乃至14のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項16】
L1およびL2の1つ以上は、同じ有機配位子中に共存する、請求項11乃至15のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項17】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換されており、
前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、
置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる、請求項11乃至16のいずれか一項に記載のパターニング材料。
【請求項18】
半導体装置であって、
基板と、
前記基板の表面に配置された機能層であって、請求項11乃至17のいずれか一項に記載のパターニング材料を含む、機能層と、
を有する、半導体装置。
【請求項19】
端末であって、
筐体と、
前記筐体に収容された半導体装置と、
を有し、
前記半導体装置は、請求項18に記載の半導体装置を有する、端末。
【請求項20】
基板表面のパターニング方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板の表面にパターニング材料層を形成するステップであって、前記パターニング材料層は、有機混合金属-酸素クラスター化合物を含み、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の化学一般式は、

(M1)a(M2)b(M3)cOg(L1)x(L2)y(L3)z

であり、ここで
M1は、Ti、Zr、Hfの少なくとも1つから選択され、
M2は、Bi、Te、Sn、Pt、Ag、Auの少なくとも1つから選択され、
M3は、Fe、Ni、Co、Cuの少なくとも1つから選択され、
L1、L2、L3は、それぞれ、有機配位子から選択され、該有機配位子は、金属に直接配位し、配位原子として機能するO、S、Se、N、Pの少なくとも1つを含み、
a、b、g、x、y、zは、いずれも1以上の自然数であり、cは、0以上の自然数である、ステップと、
前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップと、
現像液を用いて前記パターニング材料層の一部を除去するステップと、
を有する、基板表面のパターニング方法。
【請求項21】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、2≦a+b+c≦60、g+x+y+z≦8(a+b+c)、および5≧b/(a+c)≧0.1である、請求項20に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項22】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、官能基を含み、
該官能基は、カルボン酸、アルコール、フェノール、ニトリル、アルキン、アルコールアミン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、ピペラジン、およびピラジンの少なくとも1つから選択される、請求項20または21に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項23】
L1、L2、およびL3の少なくとも1つは、放射線感受性官能基を含み、該放射線感受性官能基は、二重結合、三重結合、およびエポキシプロパンの少なくとも1つを含む、請求項20乃至22のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項24】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、
前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、
置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれる金属元素とは異なる、請求項20乃至23のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項25】
前記有機混合金属-酸素クラスター化合物の前記化学一般式において、a:b:cの比は、5:9:1であり、M1はTiであり、M2はBiであり、M3は、CoおよびNiの少なくとも1つである、請求項20乃至24のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項26】
前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップでは、1nmから15nmの波長範囲内の軟X線の、任意の単波長光線もしくは混合波長光線が使用され、または電子ビームが使用され、または極紫外放射線が使用される、請求項20乃至25のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項27】
前記軟X線を用いて前記パターニング材料層に対して局所的な露光を実施するステップでは、マスクが用いられ、パターン情報を搬送する軟X線は、前記マスクを介して前記パターニング材料層に到達し、前記パターニング材料層が局所的に露光される、請求項26に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項28】
前記現像液は、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、2-アセトキシ-1-メトキシプロパン、乳酸エチル、および水の少なくとも1つである、請求項20乃至27のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【請求項29】
さらに、前記基板上に残存する前記パターニング材料層を保護層として用いて、前記基板をエッチングするステップを有する、請求項20乃至28のいずれか一項に記載の基板表面のパターニング方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本願の一実施態様では、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、該放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、置換用の前記放射線感受性元素は、当該有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換されており、前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれている金属元素とは異なる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
本願の一実施形態では、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素により置換され、前記放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含み、置換用の前記放射線感受性元素は、前記有機混合金属-酸素クラスター化合物中に元来含まれる金属元素とは異なる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
いくつかの実施形態では、有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンの少なくとも一部は、放射線感受性元素で置換され、有機混合金属-酸素クラスター化合物の感光性が高められてもよい。放射線感受性元素は、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Rb、Sr、YNb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Pb、Bi、およびPoの少なくとも1つを含む。有機混合金属-酸素クラスター化合物のM1、M2、およびM3は、前述の放射線感受性元素Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Sn、Te、Hf、Pt、Au、およびBiの少なくとも1つを含み得るため、有機混合金属-酸素クラスター化合物中の金属イオンを置換する放射線感受性元素は、本願における有機混合金属-酸素クラスター化合物に元来含まれる金属元素とは異なる。すなわち、例えば、有機混合金属-酸素クラスター化合物が金属Tiを含む場合、Tiは、置換のための放射線感受性元素としては選択されない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
(a)基板表面処理
親水化処理:ピラニア溶液(H2O:30%水酸化アンモニウム:30%H2O2=5:1:1)中で15分から20分、清浄化が実施され、脱イオン水洗浄され、その後イソプロパノールで洗浄される。使用前に、エアガンを用いて基板表面の液体が乾燥される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
パターニング処理
親水化処理:ピラニア溶液(H2O:30%水酸化アンモニウム:30%H2O2=5:1:1)中で15分から20分、清浄化処理が実施され、脱イオン水処理された後、イソプロパノールで洗浄される。使用前に、表面上の液体は、エアガンを使用することにより乾燥される。疎水化処理:シリコンウェハに対して親水化処理を実施した後、気相メッキ法またはスピンコート法により、シリコンウェハの表面にHMDSが均一に被覆される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【国際調査報告】