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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】歯科用ハンドピース
(51)【国際特許分類】
   A61C 1/08 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61C1/08 F
A61C1/08 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525297
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 IB2022060356
(87)【国際公開番号】W WO2023073616
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】2021131532
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524086739
【氏名又は名称】メドロボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リップガルト,イヴァン ゲオルギエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ソロヴィフ,エフゲニー アナトレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ザドゥロフ,セルゲイ イゴレヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ブリンコフ,ヴァレンティン アレクセエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】テルクロヴァ,エレナ ヴァジモヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ソロヴィフ,アナスタシア エヴゲーニエヴナ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA06
4C052CC30
4C052EE01
4C052EE05
4C052EE08
4C052NN15
(57)【要約】
本発明は、
・ハンドル(6)と、
・光放射源を含むハウジングと、
・視覚化装置に接続される光学センサ(4)と、を備える歯科用ハンドピースに関する。
本発明によれば、前記ハウジング(18)は、前記光学センサ(4)を遮蔽するように適合された透明遮蔽窓(3)を備える。前記歯科用ハンドピースは、前記透明遮蔽窓(3)上に圧縮空気を供給するための装置をさらに備える。前記ハウジング(18)がさらに、前記透明遮蔽窓(3)へ圧縮空気を供給するための開口部を備え、前記開口部は、圧縮空気を供給するための前記装置に接続される。前記開口部にディフューザ(16)が配置され、前記ディフューザは、前記透明遮蔽窓(3)の前にエアカーテンを形成する空気噴流を発生するように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(6)と、
電源に接続される少なくとも1つの発光ダイオード(17)に代表される光放射源を含むハウジング(18)と、
視覚化装置に接続される光学センサ(4)と、を備える歯科用ハンドピースであり、
前記ハウジング(18)は、前記光学センサ(4)を遮蔽するように適合された透明遮蔽窓(3)を備え、
前記歯科用ハンドピースは、前記透明遮蔽窓(3)上に圧縮空気を供給するための装置をさらに備え、
前記ハウジング(18)がさらに、前記透明遮蔽窓(3)へ圧縮空気を供給するための開口部を備え、前記開口部は、圧縮空気を供給するための前記装置に接続され、
前記開口部にディフューザ(16)が配置され、前記ディフューザは、前記透明遮蔽窓(3)の前にエアカーテンを形成する空気噴流を発生するように設計されている、歯科用ハンドピース。
【請求項2】
前記ディフューザ(16)が、前記ハウジング(18)の作業端から配置され、
前記ディフューザ(16)が、前記空気噴流を前記ハウジング(18)の前記作業端から前記ハンドル(6)に向かって長手方向に遠ざけるように設計されている、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
【請求項3】
前記ディフューザ(16)は、前記ハウジング(18)の作業端から配置され、
前記ディフューザ(16)は、前記空気噴流を前記ハンドル(6)から長手方向に遠ざけるように設計され、
前記ハウジング(18)が、前記作業端から配置された突出部を備え、
前記突出部は、前記ディフューザ(16)から流出する前記空気噴流を120°から140°の第1範囲に含まれる第1角度に回転させる表面形状を有する、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
【請求項4】
前記ディフューザ(16)が、前記ハンドル(6)に対して垂直に配向され、
前記ディフューザ(16)が、前記ハンドル(6)から前記空気噴流を側方に向けるように設計され、
前記ハウジング(18)が、作業端から配置された突出部を備え、
前記突出部は、前記ディフューザ(16)から流出する前記空気噴流を120°から140°の第1範囲に含まれる第1角度に回転させる表面形状を有している、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
【請求項5】
前記ディフューザ(16)は、6m/sから50m/sの範囲の流出速度で前記空気噴流を発生するように設計され、
前記流出速度は、前記透明遮蔽窓(3)の平面と第2角度を形成し、前記第2角度は、0°から15°の第2範囲に含まれる、請求項1に記載の歯科用ハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用機器に関し、より具体的には、ハンドルと、電源に接続される少なくとも1つの発光ダイオードに代表される光放射源を有するハウジングとを備える歯科用ハンドピースに関し、前記ハンドピースは、視覚化装置に接続されるように適合された光学センサを有し、前記ハンドピースは、歯科医師が歯科治療のために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
先行技術の公知例は、ハンドルと、電源に接続される少なくとも1つの発光ダイオードに代表される光放射源を有するハウジングとを備える歯科用ハンドピースであって、前記ハンドピースは、視覚化装置に接続されるように適合された光学センサを有する、歯科用ハンドピースであり、2012年に公開された実用新案RU114603の記載を参照されたい。
【0003】
前記装置は、請求項に係る発明に対して最も近い技術であり、プロトタイプとみなされる。したがって、請求項に係る発明は、プロトタイプとの相違点の観点から記載されるものとする。
【発明の概要】
【0004】
前記装置の欠点は、口腔内の画像を外部スクリーンに映し出すことができるビデオカメラ(光学センサ)を有するが、歯科治療中に口腔からの粒子がその表面に付着しないことを保証できないことである。実際、ドリルのようなある種の工具は、高速で飛散する固体片を発生させる可能性があり、この固体片は周囲の空気を横切ってビデオカメラに付着する可能性がある。
【0005】
本発明は、主に、ハンドルと、電源に接続される少なくとも1つの発光ダイオードに代表される光放射源を有するハウジングとを備える歯科用ハンドピースを提供することを目的とし、前記歯科用ハンドピースは、視覚化装置に接続されるように適合された光学センサを有し、前記歯科用ハンドピースは、エアカーテンによって前記光学センサの信頼できる保護を確保することを可能とし、これは前述の技術的課題である。
【0006】
この目的のために、
・前記ハウジングは、前記光学センサの透明遮蔽窓を有し、
・前記ハンドピースは、前記透明遮蔽窓上に圧縮空気を供給するための装置を有し、
・前記ハウジングは、圧縮空気を供給するための前記装置に接続される、前記透明遮蔽窓へ圧縮空気を供給するための開口部を有し、
・前記開口部にディフューザが配置され、前記ディフューザは、前記遮蔽窓の前にエアカーテンを形成する空気噴流(air jet)を発生するように設計されている。
【0007】
前記光学センサの前記透明遮蔽窓に単にブローして曇りから保護するだけでなく、これらの有用な特徴により、患者の生体組織の調製中に生じる固体粒子及び液滴の汚染から前記遮蔽窓を保護するための強力なエアカーテンを形成することが可能になる、すなわち、外部の光学部品に粒子が付着しないように遮蔽窓を保護することが可能になり、言い換えれば、前記エアカーテンの実施により前記光学センサの信頼できる保護を確保することが可能になる。
【0008】
前記ディフューザが前記ハウジングの作業端から配置され、前記空気噴流をハウジング端から(ハンドルの方向に)遠ざけるように設計されている、本発明の可能なオプション的実施形態がある。
【0009】
これらの有用な特徴により、前記光学センサがドリルビットと前記ハンドルとの間に(ハンドルに沿って)配置される、前記歯科用ハンドピースのオプション的形態を提案することが可能になる。このような条件下で、前記空気噴流は、前記ハウジングの前記作業端から前記遮蔽窓の接線方向に遠ざかるように、即ち、操作条件下で、患者の口腔から遠ざかるように向けられて、ドリルビットを取り扱う操作者を助け、患者の口腔の洗浄を改善する。
【0010】
また、前記ディフューザが前記ハウジングの作業端から配置され、前記空気噴流をハンドルから遠ざけるように設計された、本発明の可能な実施形態がある。これらの条件において、前記ハウジングは、前記作業端から配置された突出部を有し、前記突出部は、前記空気噴流を120°~140°に回転させる表面形状を有する。
【0011】
これらの有用な特徴は、ドリルビットが前記ハンドルと前記光学センサの間に位置する、歯科用ハンドピースの代替的なオプション的形態を提案することを可能にする。前記空気噴流は、前記遮蔽窓の接線方向に向けられ、前記ハウジング(の端部)に沿って前記ハンドルから遠ざかり、前記突出部によって回転され、つまり、操作条件下では患者の口から遠ざかる。これにより、歯科用ハンドピースの機能的能力が拡大され、ドリルビット操作者にとってさらなる利便性が生まれる。
【0012】
また、前記ハウジングは、前記作動端から配置された前記突出部を有し、この突出部は前記空気噴流を120°~140°に回転させる表面形状を有するため、形成される噴流は流れの向きが異なる2つのエシュロンから構成される。高速噴流のこのような複雑な流れは、その速度と密度の範囲を広げることにより、飛散粒子の遮断効率を高めることを可能にする。さらに、光学系の汚染も防ぐことができる。
【0013】
前記ディフューザが前記ハウジングの作業端から配置され、前記ハンドルに対して垂直に配向されている本発明の別の可能な実施形態がある。前記ディフューザは、前記空気噴流を前記ハンドルから側方に向けるように設計されている。これらの条件において、前記ハウジングは、前記作業端から配置されたる突出部を有し、前記突出部は、前記空気噴流を120°~140°に回転させる表面形状を有する。
【0014】
これらの有用な特徴により、前記光学センサがドリルビットに対して横方向に配置され、前記空気噴流が前記ハウジングの中心軸から向けられ、上述した実施形態と同様に回転される、歯科用ハンドピースのオプション的形態を提案することが可能になる。
【0015】
最後に、前記ディフューザが、6m/sから50m/sの範囲の流出速度を有する前記空気噴流を発生するように設計され、前記流出速度が、透明遮蔽窓の平面に対して0°から15°の角度を形成する、本発明の可能な実施形態がある。
【0016】
このような便利な機能により、前記光学センサの保護効果を最大限に確保しつつ、目標とする仕様の前記前記ディフューザの代替的なオプション的形態を提案することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図を参照しながら、例示のために以下の特徴を含むが、これらに限定されない以下の説明から容易に明らかである:
図1】本発明の第1実施形態に係る歯科用ハンドピースの垂直縦断面(ハンドルの長さに沿った、側面図)を表し、光学センサが、ドリルビットとハンドルとの間に(ハンドルの長さに沿って)配置されている。
図2図1に示す本発明の第1実施形態に係る歯科用ハンドピースの垂直横断面(そのハンドルを横切る、N-N平面図)を表す。
図3】本発明の第2実施形態に係る歯科用ハンドピースの垂直縦断面(ハンドルの長さに沿った、側面図)を表し、ドリルビットが、光学センサとハンドルとの間に(ハンドルの長さに沿って)配置されている。
図4図3に示す本発明の第2実施形態に係る歯科用ハンドピースの垂直横断面(そのハンドルを横切る、B-B平面図)を表す。
図5】本発明の第3実施形態に係る歯科用ハンドピースの垂直横断面(ハンドルを横切る)断面を表し、光学センサがハウジングのハンドルに対して垂直に配向され、その結果、透明遮蔽窓がハンドルの長手方向軸から横向きの空気流を受ける。
図6】本発明の第3実施形態に係る歯科用ハンドピースの垂直横断面(ハンドルを横切る)断面を表し、光学センサがハウジングのハンドルに対して垂直に配向され、その結果、透明遮蔽窓がハンドルの長手方向軸から横向きの空気流を受ける。
図7】歯科用ハンドピースの要素A1を表し、当該要素は、図1および図2に示すような、本発明の第1実施形態に係る主要アセンブリの拡大図を表す。
図8】歯科用ハンドピースの要素A2を表し、当該要素は、図3および図4に示すような、本発明の第2実施形態に係る主要アセンブリの拡大図を表す。
図9】歯科用ハンドピースハウジングの作動端部分の垂直縦断面図(そのハンドルの長さに沿った、側面図)であり、突出部が80度傾斜しているときの120度の空気噴流回転角度を伴う例を示す。
図10】歯科用ハンドピースハウジングの作動端部分の垂直縦断面図(そのハンドルの長さに沿った、側面図)であり、突出部が60度傾斜しているときの140度の空気噴流回転角度を伴う例を示す。
図11】等価円形断面直径2.8mmで流出速度3m/sを可能にするディフューザ部品の垂直縦断面図である。
図12】等価円形断面直径0.7mmで流出速度50m/sを可能にするディフューザ部品の垂直縦断面図である。
図13】歯科用ハンドピースハウジングの作業端部の垂直縦断面図(そのハンドルの長さに沿った、側面図)であり、ディフューザ16の出口部の開口角度が0°であるときに、エアカーテンの流出方向と透明遮蔽窓面3との間の角度が0°である例を示す。
図14】歯科用ハンドピースハウジングの作業端部の垂直縦断面図(そのハンドルの長さに沿った、側面図)であり、ディフューザ16の出口部の開口角度が30である場合に、エアカーテンの流出方向と透明遮蔽窓面3との間の角度が15°である例を示す。
【0018】
図1から図14は下記を示す。
1 - ローターグループ。
2 - コレットクランプボタン。
3 - 透明遮蔽ガラス(窓)。
4 - 光学センサ(カメラ)。
5 - 光学センサスリーブ。
6 - ハンドピースハンドル。
7 - ボードのラッチ。
8 - 中西部4アダプター。
9 - コネクタソケット。
10 - カメラモジュールボード。
11 - 圧縮空気供給チューブ。
12 - ドリルビット。
13 - 排気口。
14 - 噴霧器への給水。
15 - 噴霧器への空気供給。
16 - ディフューザ。
17 - 発光ダイオード。
18 - ハンドピースのハウジング。
19 - ハンドピースのカバー。
圧縮空気源(歯科用セット・コンプレッサー)は図に示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図14によれば、歯科用ハンドピースは、ハンドル6と、電源に接続される少なくとも1つの発光ダイオード17に代表される光放射源を有するハウジング18とを備える。前記ハンドピースは、図示しない視覚化装置に接続されるように適合された光学センサ4を有する。
【0020】
ハウジング18は光学センサの透明遮蔽窓3を有する。ハンドピースは、圧縮空気供給チューブ11としても示される、透明遮蔽窓上に(on)圧縮空気を供給するための装置を有する。ハウジング18は、圧縮空気を供給するための装置に接続される透明遮蔽窓へ(to)圧縮空気を供給するための開口部を有する。開口部にはディフューザ16が配置され、前記ディフューザは、透明遮蔽窓3の前にエアカーテンを形成する空気噴流を発生させるように設計されている。
【0021】
第1実施形態では、ディフューザ16は、ハウジング18の作業端から配置され、空気噴流をハウジング18の作業端からハンドルに向かって遠ざけるように設計されている(すなわち、ディフューザ出口がハンドルに向けられている):図1及び図2参照。
【0022】
第2実施形態では、ディフューザ16は、ハウジング18の作業端から配置され、空気噴流をハンドル6から遠ざけるように、すなわち、ディフューザの出口がハンドルから(その長さに沿って)遠ざかるように設計されている。ハウジング18は、作業端から位置する突出部を含み、前記突出部は、空気噴流を120°~140°回転させる表面形状を有する:図3-4、9-10参照。
【0023】
第3実施形態では、ディフューザ16は、透明遮蔽窓3から配置され、ハンドル6に対して垂直に配向されている。ディフューザ16は、空気噴流をハウジング18のハンドル6から横向きに向けるように設計されており、すなわち、ディフューザ16の出口はハンドル6から横向きに向けられている。ハウジング18は、作業端から位置する突出部を含み、前記突出部は、空気噴流を120°~140°回転させる表面形状を有する:図5~6、9~10参照。
【0024】
ディフューザ16は、好ましくは、流出速度が6m/sから50m/sの範囲で、透明遮蔽窓3の平面と0°から15°の角度をなす空気噴流を発生するように設計される。
【0025】
歯科用ハンドピースには、ダイレクト(図1,7に示すようにエアカーテンの回転を伴わない流れ)、リバース(図3,5~6,8~10に示すようにエアカーテンの回転を伴う)、および図1~6から明らかなように、ドリルビット12に対する光学センサ4の位置(ドリルビット12の長手方向軸に対して、前、後、右、左)が異なる状態、といった幾つかの空気供給オプションを備えても設計される。
【0026】
歯科用ハンドピースは次のように動作する。以下、本発明の実施携帯を最も網羅的に説明するが、当該実施例は本発明の他の応用を限定するものではない。
【0027】
(実施例)
圧縮空気は、歯科用ユニットコンプレッサーから圧縮空気供給チューブ11を通ってハウジング18に流路付き空気噴流として供給される。空気は、ハウジング18を通過するとき、6m/sから50m/sの範囲の流出速度で、ハウジング18表面に対して1度から15度の角度に向けられた平坦な噴流を形成する指向性ディフューザ16に向かう。高速噴流は、歯科治療で一般的な密度と速度を持つ異物に中心を通過させず、光学センサ(カメラ)4の透明遮蔽窓3から遠ざける。
【0028】
連続的に変化する範囲の空気噴流の回転角度、空気噴流の流出速度、空気噴流の流出と透明遮蔽窓3平面との間の角度などの技術パラメータの定量的属性は、突出部およびディフューザ16の形状を変化させることにより調整することができる。
【0029】
技術パラメータ値の特定の範囲の選択は、実験的に行われ、光学センサ(カメラ)4の遮蔽窓のブロー効率に依存する。ブロー効率の管理方法は、光学センサ4から転送され、透明遮蔽窓3に付着した異物や液滴によるアーチファクトで汚染された画像の可読性を目視で管理するものとする。画像のアーチファクトの数を次の4段階のブロー効率の基準として評価するものとする。
●「無し」-異物や液滴による目に見えるアーチファクトはない。
●「まあまあ」-異物や液滴が透明遮蔽窓3の表面に保持されず、転送された画像の可読性に影響を与えない。
●「中度」-異物や液滴が透明遮蔽窓3の表面に残り、光学センサ4から転送された画像に影響を与える。しかし、可読性は、操作環境において歯科用ハンドピースを指示するのに十分なままである。
●「重度」-透明遮蔽窓3の表面に異物や液滴が残り、光学センサ4からの画像が読めなくなり、操作環境における歯科用ハンドピースの正しい方向付けに適さない。
【0030】
ディフューザ16に向ける突出面の形状を調整することにより、空気噴流の回転角度を120°~140°の範囲で調整する。突出傾斜角度は、空気噴流の回転角度の幾何学的パラメータとする。突出傾斜角度は、凹面の縁に対する接線と透明遮蔽窓3の平面との間で求められる。
【0031】
空気噴流の回転角度と画像アーチファクトの等級、および上記幾何学的パラメータ(すなわち突出傾斜角度)の関係については表1を参照のこと。
【0032】
【表1】
【0033】
図9は、画像アーチファクト等級が「まあまあ」となる空気噴流の回転角度が120度で、突出傾斜角度が80度の例を示す。
図10は、画像アーチファクトが発生しない(等級「無し」)空気噴流の回転角度140度で、突起傾斜角度60度の例を示す。
【0034】
ディフューザ16の出口断面積を調整することにより、空気噴流の流出速度を6m/sから50m/sの範囲で調整した。空気噴流の流出速度を特徴付ける幾何学的パラメータは、ディフューザ16出口断面と同じ面積の円形断面直径であった。空気噴流の流出流と画像アーチファクト等級と上記幾何学的パラメータとの関係につて表2を参照されたい。
【0035】
【表2】
【0036】
所定範囲の境界値での本発明の実施形態の例について図11及び図12を参照されたい。すなわち、
図11は、空気噴流の流出速度が3m/sで、それぞれ、画像アーチファクト等級が「重度」で、等価円形断面直径が2.8mmの例を示す。
図12は、空気噴流の流出速度が50m/sで、それぞれ、画像アーチファクトが無く、等価円形断面の直径が0.7mmの例を示す。
【0037】
エアカーテンの流出方向と遮蔽窓面と間の角度は、ディフューザ16の出口断面開口角度を調整することにより、0度から15度の範囲で調整した。ディフューザ16の出口断面開口角度を特徴的な幾何学的パラメータとした。エアカーテンの流出方向という方向と遮蔽窓面との間の角度と画像アーチファクト等級との上記幾何学的パラメータに対する依存関係については表3を参照されたい。
【0038】
【表3】
【0039】
所定範囲の境界値での本発明の実施形態の例について図3を参照されたい。すなわち、
図13は、ディフューザ16の出口断面開口角度が0°において、それぞれ、エアカーテンの流出方向という方向と遮蔽窓3面との間の角度が0°で、画像アーチファクトが無い例を示す。
図14は、ディフューザ16の出口断面開口角30°において、それぞれ、エアカーテンの流出方向という方向と遮蔽窓3面との間の角度が15°、画像アーチファクト等級が「中度」である例を示す。
【0040】
そこで、(図1~14参照)本発明は、以下を備える歯科用ハンドピースに関する。
・ハンドル6、
・電源に接続される少なくとも1つの発光ダイオード17に代表される光放射源を含むハウジング18、
・視覚化装置に接続されるように適合された光学センサ4。
本発明によれば、ハウジング18は、光学センサ4を遮蔽するように適合された透明遮蔽窓3を備える。歯科用ハンドピースはさらに、透明遮蔽窓3へ圧縮空気を供給するための装置を備える。ハウジング18はさらに、透明遮蔽窓3へ圧縮空気を供給するための開口部を備えており、前記開口部は、圧縮空気を供給するための装置に接続されている。開口部にはディフューザ16が配置されており、当該ディフューザは、透明遮蔽窓3の前にエアカーテンを形成する空気噴流を発生させるように設計されている。
【0041】
本発明の第1実施形態(図1~2、7)では、ディフューザ16はハウジング18の作業端から配置されている。ディフューザ16は、空気噴流をハウジング18の作業端からハンドル6に向かって長手方向に遠ざけるように設計されている。
【0042】
本発明の代替的な第2実施形態(図3~4、8)では、ディフューザ16はハウジング18の作業端から配置されている。これらの条件下では、ディフューザ16は、空気噴流をハンドル6から遠ざけるように(すなわち、ハンドル6の長さに沿って)設計されている。ハウジング18は、作業端から位置する突出部を有する。この突出部は、ディフューザ16から流出する空気噴流を120°から140°の第1範囲で回転させる表面形状を有する(図9から図10)。
【0043】
本発明の代替的な第2実施形態(図5~6)では、ディフューザ16は、ハウジング18の作業端から配置され、ハンドル6に対して垂直に方向付けられる。ディフューザ16は、空気噴流をハウジング18のハンドル6から側方に向けるように設計されている。ハウジング18は、作業端から位置する突出部を備える。この突出部は、ディフューザ16から流出する空気噴流を120°~140°の第1範囲内の第1角度だけ回転させる表面形状を有する(図9~10)。
【0044】
好ましくは、ディフューザ16は、6m/s~50m/sの範囲の流出速度で空気噴流を発生するように設計される(図11~12)。この空気噴流の流出流は、透明遮蔽窓3の平面と第2角度を形成し、前記第2角度は、0°~15°の第2範囲に含まれる(図13図14)。
【0045】
請求された歯科用ハンドピースは、当業者が実際に実施することが可能であり、実施後に特許請求の範囲に記載された目的が確実に達成されるため、本発明は「産業上の利用可能性」の要件を満たすとの結論に至る。
【0046】
提案した歯科用ハンドピースの操作性を確認するため、一連の実機テストを行った。例として、複合窩洞を有する上顎8番歯の調製をビデオに記録した。調製は、標準的なエアタービンハンドピースを使用し、介入部に標準的な水噴霧をした。センサの遮蔽窓は、調製エリアから25mmから28mmの範囲に、60度から70度の角度で配置された。追加的な光学系保護対策は講じず、標準グレードの歯科医療機器とこのような介入(intervention)に特化した器具のみを使用した。ビデオは、積極的な給水と高強度噴霧の条件下で、透明遮蔽窓3が回転器具によって切断された固形エナメル質および象牙質の粒子によって汚染されないこと、および、カメラ4が介入の間中作動し続けることを示す。
【0047】
したがって、これらの新規な特徴により、請求された技術的成果、すなわち、エアカーテンを実施することにより光学センサの信頼できる保護を確保することが可能となる。前記歯科用ハンドピースはまた、ダイレクトとリバース(エアカーテンの流れの回転を伴う)とドリルビット12に対する光学センサ4の異なる位置(ドリルビット12の長手方向軸線に対して、前、後、右、左)といった幾つかの空気供給オプションを備えて設計される。
【符号の説明】
【0048】
1 - ローターグループ。
2 - コレットクランプボタン。
3 - 透明遮蔽ガラス(窓)。
4 - 光学センサ(カメラ)。
5 - 光学センサスリーブ。
6 - ハンドピースハンドル。
7 - ボードのラッチ。
8 - 中西部4アダプター。
9 - コネクタソケット。
10 - カメラモジュールボード。
11 - 圧縮空気供給チューブ。
12 - ドリルビット。
13 - 排気口。
14 - 噴霧器への給水。
15 - 噴霧器への空気供給。
16 - ディフューザ。
17 - 発光ダイオード。
18 - ハンドピースのハウジング。
19 - ハンドピースのカバー。
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【国際調査報告】