IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドンウン アナテック カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2024-538273検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法
<>
  • 特表-検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法 図1
  • 特表-検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法 図2
  • 特表-検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法 図3
  • 特表-検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法 図4
  • 特表-検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法 図5
  • 特表-検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/327 20060101AFI20241010BHJP
   G01N 27/28 20060101ALI20241010BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G01N27/327 353Z
G01N27/28 R
G01N27/416 338
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525355
(86)(22)【出願日】2023-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2023008900
(87)【国際公開番号】W WO2024005493
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0077952
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518086871
【氏名又は名称】ドンウン アナテック カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】12F, 22, Banpo-daero, Seocho-gu, Seoul, 06716 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ミン ス
(72)【発明者】
【氏名】ケ,ジ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ウン ヒェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミ リム
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イン ス
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン チョル
(57)【要約】
検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法を提供する。一実施形態に係るバイオセンサストリップの電極構造は、検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、検体を認識するために使用される検体認識電極、および前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体測定のためのバイオセンサストリップの電極構造であって、
検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、
検体を認識するために使用される検体認識電極、および
前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極
を含む、バイオセンサストリップの電極構造。
【請求項2】
前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極は、
前記作用電極および前記作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられることを特徴とする、請求項1に記載のバイオセンサストリップの電極構造。
【請求項3】
前記作用電極で前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に対応する領域に形成された作用突起および前記作用基準電極で前記検体挿入流路に対応する領域に形成された少なくとも2つ以上の作用基準突起は、
前記作用電極および前記作用基準電極が延長形成される方向に対して直交する一方向に突出した状態で交互に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のバイオセンサストリップの電極構造。
【請求項4】
前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極それぞれに対する認識基準電極は、
前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極に対して共通で備えられることを特徴とする、請求項1に記載のバイオセンサストリップの電極構造。
【請求項5】
前記検体認識電極で前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に対応する領域に形成された検体認識突起および前記認識基準電極で前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に対応する領域に形成された認識基準突起は、
前記検体認識電極および前記認識基準電極が延長形成される方向に対して直交する一方向に突出した状態で互いに対向して配列されることを特徴とする、請求項4に記載のバイオセンサストリップの電極構造。
【請求項6】
前記バイオセンサストリップの検体挿入流路の一側に備えられるダミー電極
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のバイオセンサストリップの電極構造。
【請求項7】
前記ストリップ認識電極、前記検体認識電極、前記作用電極および前記作用基準電極は、
互いに平行に離間した状態で一方向に延長形成されることを特徴とする、請求項1に記載のバイオセンサストリップの電極構造。
【請求項8】
検体測定のためのバイオセンサストリップであって、
検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、検体を認識するために使用される検体認識電極、前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極を含む電極構造を有する下板、
前記下板の上部に配置された状態で、前記検体と反応する酵素化合物が挿入される検体挿入流路を含む中板、および
前記中板の上部に配置された状態で、前記検体挿入流路に前記検体を挿入するための挿入口を含む上板
を含む、バイオセンサストリップ。
【請求項9】
前記下板における前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極は、
前記作用電極および前記作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられることを特徴とする、請求項8に記載のバイオセンサストリップ。
【請求項10】
前記下板における前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極それぞれに対する認識基準電極は、
前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極に対して共通で備えられることを特徴とする、請求項8に記載のバイオセンサストリップ。
【請求項11】
前記下板には、
前記バイオセンサストリップの検体挿入流路の一側に備えられるダミー電極をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のバイオセンサストリップ。
【請求項12】
検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、検体を認識するために使用される検体認識電極、前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極を含む電極構造を有するバイオセンサストリップ、および
前記バイオセンサストリップが挿入されたかどうかを認識し、前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入された場合、前記バイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識し、前記バイオセンサストリップに前記検体が接触した場合、前記作用電極および前記作用基準電極に検体測定信号を印加して前記検体に対する応答信号を測定する前記検体測定機器
を含む、検体測定システム。
【請求項13】
バイオセンサストリップおよび検体測定機器を含む検体測定システムによって実行される検体測定方法であって、
前記バイオセンサストリップに含まれるストリップ認識電極を利用して、前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたかどうかを認識する段階、
前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入された場合、前記バイオセンサストリップに含まれる検体認識電極を利用して、前記バイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識する段階、および
前記バイオセンサストリップに前記検体が接触した場合、前記バイオセンサストリップに含まれる作用電極および作用基準電極に検体測定信号を印加して前記検体に対する応答信号を測定する段階
を含む、検体測定方法。
【請求項14】
前記検体に対する応答信号を測定する段階は、
前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極が前記作用電極および前記作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられることにより、前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたかどうかを認識する段階および前記バイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識する段階とは独立的に実行されることを特徴とする、請求項13に記載の検体測定方法。
【請求項15】
前記バイオセンサストリップの検体挿入流路の一側に備えらえるダミー電極を利用して、前記検体を前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に予め設定された大きさ以上に広く接触させる段階
をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の検体測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、検体測定のためのバイオセンサストリップ、その電極構造、およびそれを利用した検体測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料(bio sample)内に存在する分析物質を定量的かつ定性的に分析することは、化学的にも臨床学的にも重要な事項であると言える。例えば、糖尿病患者のために血糖値を測定したり成人病の要因となるコレステロールを測定することなどが、この代表的な例である。
【0003】
当分野で周知の事項であるが、酵素の活性を利用した電気化学的バイオセンサでは、生体試料(以下、「検体」とする)、例えば、唾液や血液中の特定の物質、臨床化学検査ではグルコース(Glucose)、尿酸、タンパク質、DNA、スクロース(Sucrose)、肝機能検査ではGOT(Glutamate-Oxaloacetate Transaminase)またはGPT(Glutamate-Pyruvate Transaminase)などの酵素活性を迅速性と再現性をもって測定することが極めて重要となる。ここで、バイオセンサは、測定対象を識別する識別部位と電気信号に変換する変化部位で構成されている。
【0004】
識別部位には生体物質が使われ、生体物質が測定対象を認識すると、化学変化や物理変化が起こる。このような変化を電気信号に変換する部位が変化部位であり、識別部位と変化部位を総称したものをバイオセンサ(Bio sensor)電極(electrode)と呼ぶ。
【0005】
現在商用化されているストリップタイプのバイオセンサの測定方式としては、製造過程においてプラズマあるいは化学的界面活性処理過程によって可能となった重力よりも強い力である毛細管現象を利用してバイオセンサの検体挿入流路に検体を接触および流入させて検体挿入流路内に検体を蓄積させた後、作用電極(Working electrode)および作用基準電極(Working reference electrode)に検体測定信号を印加して検体に対する応答信号を測定する方式が一般的である。
【0006】
従来のバイオセンサでは、検体を測定するにあたってバイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識するために、作用電極および作用基準電極に検体認識信号を印加することによって検体の接触および流入時点を認識していた。
【0007】
しかし、このような場合には、検体を測定する過程で使用する作用電極および作用基準電極が検体の接触を認識する過程でも使用されるため、検体を測定する前に作用電極および作用基準電極の表面に電気二重層(Electric Double Layer:EDL)が形成されることがある。電気二重層は、互いに異なる物質(電極、検体、または溶液)の境界で電界を加えるときに現れるものであって、電気二重層の蓄積容量である電気二重層キャパシタンス(Double Layer Capacitance:DLC)は、微量であったとしても、検体測定信号が印加されることによって測定される検体に対する応答電流信号に含まれるようにもなる。したがって、検体測定前に作用電極および作用基準電極に電気二重層を形成するようになる従来の技術は、検体測定の正確度が低下するという問題があった。
【0008】
これにより、従来のバイオセンサが抱えている問題を解決することができる技術の提案が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態は、検体測定前に作用電極および作用基準電極の表面に電気的二重層が形成されることを防いで検体測定の正確度を高めるために、作用電極および作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられたストリップ認識電極および検体認識電極を含む、バイオセンサストリップの電極構造を提案する。
【0010】
また、一実施形態は、バイオセンサストリップの小型化を図るために、ストリップ認識電極および検体認識電極がそれぞれの認識基準電極を共通で備える、バイオセンサストリップの電極構造を提案する。
【0011】
また、一実施形態は、界面材料特性に対する噴射拡散性の不良を改善するために、検体を検体挿入流路に予め設定された大きさ以上に広く接触させるためのダミー電極を含む、バイオセンサストリップの電極構造を提案する。
ただし、本発明が解決しようとする技術的課題が上述したものに限定されてはならず、本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲内で多様に拡張されてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態によると、検体測定のためのバイオセンサストリップの電極構造は、検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、検体を認識するために使用される検体認識電極、および前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極を含んでよい。
【0013】
一側面によると、前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極は、前記作用電極および前記作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられることを特徴としてよい。
【0014】
他の側面によると、前記作用電極で前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に対応する領域に形成された作用突起および前記作用基準電極で前記検体挿入流路に対応する領域に形成された少なくとも2つ以上の作用基準突起は、前記作用電極および前記作用基準電極が延長形成される方向に対して直交する一方向に突出した状態で交互に配列されることを特徴としてよい。
【0015】
また他の側面によると、前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極それぞれに対する認識基準電極は、前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極に対して共通で備えられることを特徴としてよい。
【0016】
また他の側面によると、前記検体認識電極で前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に対応する領域に形成された検体認識突起および前記認識基準電極で前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に対応する領域に形成された認識基準突起は、前記検体認識電極および前記認識基準電極が延長形成される方向に対して直交する一方向に突出した状態で互いに対向して配列されることを特徴としてよい。
【0017】
また他の側面によると、前記バイオセンサストリップの電極構造は、前記バイオセンサストリップの検体挿入流路の一側に備えられるダミー電極をさらに含むことを特徴としてよい。
【0018】
さらに他の側面によると、前記ストリップ認識電極、前記検体認識電極、前記作用電極および前記作用基準電極は、互いに平行に離間した状態で一方向に延長形成されることを特徴としてよい。
【0019】
一実施形態によると、検体測定ためのバイオセンサストリップは、検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、検体を認識するために使用される検体認識電極、前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極を含む電極構造を有する下板、前記下板の上部に配置された状態で前記検体と反応する酵素化合物が挿入される検体挿入流路を含む中板、および前記中板の上部に配置された状態で前記検体挿入流路に前記検体を挿入するための挿入口を含む上板を含んでよい。
【0020】
一側面によると、前記下板における前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極は、前記作用電極および前記作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられることを特徴としてよい。
【0021】
他の側面によると、前記下板における前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極それぞれに対する認識基準電極は、前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極に対して共通で備えられることを特徴としてよい。
【0022】
また他の側面によると、前記下板は、前記バイオセンサストリップの検体挿入流路の一側に備えられるダミー電極をさらに含むことを特徴としてよい。
【0023】
一実施形態によると、検体測定システムは、検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたことを認識するために使用されるストリップ認識電極、検体を認識するために使用される検体認識電極、前記検体を測定するために使用される作用電極および作用基準電極を含む電極構造を有するバイオセンサストリップ、および前記バイオセンサストリップが挿入されたかどうかを認識し、前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入された場合、前記バイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識し、前記バイオセンサストリップに前記検体が接触した場合、前記作用電極および前記作用基準電極に検体測定信号を印加して前記検体に対する応答信号を測定する前記検体測定機器を含んでよい。
【0024】
一実施形態によると、バイオセンサストリップおよび検体測定機器を含む検体測定システムによって実行される検体測定方法は、前記バイオセンサストリップに含まれるストリップ認識電極を利用して、前記バイオセンサストリップに前記検体測定機器が挿入されたかどうかを認識する段階、前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入された場合、前記バイオセンサストリップに含まれる検体認識電極を利用して、前記バイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識する段階、および前記バイオセンサストリップに前記検体が接触した場合、前記バイオセンサストリップに含まれる作用電極および作用基準電極に検体測定信号を印加して前記検体に対する応答信号を測定する段階を含んでよい。
【0025】
一側面によると、前記検体に対する応答信号を測定する段階は、前記ストリップ認識電極および前記検体認識電極が前記作用電極および前記作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられることによって前記検体測定機器に前記バイオセンサストリップが挿入されたかどうかを認識する段階および前記バイオセンサストリップに検体が接触したかどうかを認識する段階とは独立的に実行されることを特徴としてよい。
【0026】
他の側面によると、前記検体測定方法は、前記バイオセンサストリップの検体挿入流路の一側に備えられるダミー電極を利用して、前記検体を前記バイオセンサストリップの検体挿入流路に予め設定された大きさ以上に広く接触させる段階をさらに含むことを特徴としてよい。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態は、作用電極および作用基準電極と電気的に個別に作動するように個別に備えられるストリップ認識電極および検体認識電極を含むバイオセンサストリップの電極構造を提案することによって、検体測定前に作用電極および作用基準電極の表面に電気的二重層が形成されることを防いで検体測定の正確度を高めるという技術的効果を達成することができる。
【0028】
また、一実施形態は、ストリップ認識電極および検体認識電極がそれぞれの認識基準電極を共通で備えるバイオセンサストリップの電極構造を提案することによって、バイオセンサストリップの小型化を図るという技術的効果を達成することができる。
【0029】
さらに、一実施形態は、検体を検体挿入流路に予め設定された大きさ以上に広く接触させるためのダミー電極を含むバイオセンサストリップの電極構造を提案することによって、界面材料特性に対する分注拡散性の不良を改善するという技術的効果を達成することができる。
【0030】
ただし、本発明の効果が上述したものに限定されてはならず、本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲内で多様に拡張されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態における、検体測定システムを示した図である。
図2図1に示した検体採取機器を示した図である。
図3図1に示したバイオセンサストリップを示した図である。
図4図3に示したバイオセンサストリップの下板が有する電極構造を示した図である。
図5】一実施形態における、検体測定方法を示したフローチャートである。
図6図5に示した検体測定方法を説明するための一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明が、このような実施形態によって制限されたり限定されてはならない。なお、図面に示した同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0033】
また、本明細書に記載する用語(Terminology)は、本発明の好ましい実施形態を適切に表現するために使用するものであるが、これは、視聴者や運営者の意図または本発明が属する分野の慣例などによって異なることがある。したがって、このような用語の定義は、本明細書の全般的な内容に基づいて下されなければならない。例えば、本明細書に記載する単数形は、文面で特に言及しない限り複数形も含む。また、本明細書で使用する「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及する構成要素、段階、動作、および/または要素が1つ以上の他の構成要素、段階、動作、および/または要素の存在または追加を排除することを意味するものではない。また、本明細書において、第1や第2などの用語が、多様な領域、方向、形状などを記述するために使用されるが、このような領域、方向、形状がこのような用語によって限定されてはならない。これらの用語は、ある所定の領域、方向、または形状を他の領域、方向、または形状と区別するために使用するものに過ぎない。したがって、ある実施形態において第1部分として言及した部分が、他の実施形態では第2部分として言及されることもある。
【0034】
さらに、本発明の多様な実施形態は、互いに異なるものではあるが、相互排他的である必要はないと理解されなければならない。例えば、本明細書に記載する特定の形状、構造、および特性は、一実施形態と関連して、本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現されてもよい。また、提示された各実施形態の範疇における個別の構成要素の位置、配置、または構成は、本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲内で変更可能であると理解されなければならない。
【0035】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るバイオセンサストリップ、この電極構造、これを含む検体測定システムおよびこれを利用した検体測定方法について説明する。
【0036】
図1は、一実施形態に係る検体測定システムを示した図であり、図2は、図1に示した検体採取機器を示した図であり、図3は、図1に示したバイオセンサストリップを示した図であり、図4は、図3に示したバイオセンサストリップの下板が有する電極構造を示した図である。
【0037】
一実施形態に係る検体測定システム100は、検体測定機器110、バイオセンサストリップ120、および検体採取機器160を含んでよい。
【0038】
検体採取機器160は、図2に示すように、検体を収集するための検体収集スワブ(Swab)161-1を含む検体収集部161、フィルタ162、および圧縮チューブ(Compression tube)163を含む。
【0039】
このとき、検体収集部161は、検体が唾液である場合、検体収集スワブ161-1を通じて唾液を収集してよく、検体収集部161で収集した唾液は、圧縮チューブ163内に挿入されたフィルタ162を介してこれに含まれる干渉物質を除去した後、圧縮チューブ163を通じて外部、すなわち、バイオセンサストリップ120に提供されてよい。
【0040】
すなわち、検体採取機器160は、唾液を収集した後、圧縮チューブ163内で検体収集部161を圧縮チューブ163方向に圧縮し、フィルタ162を介して唾液に含まれる干渉物質を除去することができる。
【0041】
フィルタ162は、少なくとも1つ以上の層で構成されてよい。特に、フィルタ162では、検体から除去しようとする干渉物質の除去程度を考慮して、製造される層の厚さまたは層数を調節してよく、検体から除去しようとする干渉物質の大きさを考慮して、フィルタリング程度を調節してよい。一例として、唾液内に存在する大きい分子と異物を干渉物質として除去しようとする場合、フィルタ162は、大きい分子と異物を除去することができるレベルのフィルタリング程度を有するように形成されてよい。
【0042】
バイオセンサストリップ120は、検体採取機器160によって採取した検体が検体採取機器160を通じて接触および挿入された場合、干渉物質が除去された検体から測定しようとする情報(例えば、グルコース(Glucose)をセンシングする機能を実行するものであって、検体測定機器110に挿入された状態で、検体測定機器110から受信するストリップ認識信号に応答する応答信号、検体測定機器110から受信する検体認識信号に応答する応答信号、および検体測定機器110から受信する検体測定信号に応答する応答信号を検体測定機器110に提供してよい。これにより、検体測定機器110では、バイオセンサストリップ120から受信した応答信号に基づいてバイオセンサストリップ120の挿入と検体の接触を認識し、検体を測定することができる。
【0043】
このようなバイオセンサストリップ120は、図3に示すように、下板130、中板140、および上板150で構成されてよい。より詳しく説明すると、バイオセンサストリップ120は、図4に示すように、電極構造が形成された下板130、下板130の上部に配置された状態で検体と反応する酵素化合物(Enzyme compound)が挿入される検体挿入流路141を含む中板140、中板140の上部に配置された状態で検体挿入流路141に検体を挿入するための挿入口151および空気を排出するための排出口152を含む上板150を含んでよい。
【0044】
ここで、検体挿入流路141は、当技術分野の当業者にとって自明なものであるため、これに関する詳しい説明は省略する。
【0045】
酵素化合物142は、検体に含まれるグルコース(Glucose)を選択的に反応させるための酵素(Enzyme)、酵素を下板130に配置された電極上にアタッチ(Attach)するためのポリマー(Polymer)、および酵素とグルコースの反応を促進させるための触媒(Catalyst)を含んでよい。
【0046】
このとき、触媒は、フェロセン(Ferrocene)、フェロセン誘導体、キノン(Quinone)、キノン誘導体、ヘキサアミンルテニウム(III)塩化物、プロシアンブルー(Prussian blue)、フェリシアン化合物(Ferricyanide)のうちの少なくとも1つを1~10%含んでよく(プロシアンブルーが使用される場合、触媒にはプロシアンブルーが0.001~5%含まれてよい)、酵素は、グルコースオキシダーゼとグルコース脱水素酵素(GDH:glucose dehydrogenase)のうちの少なくとも1つをwt0.001~5%含んでよく、ポリマーは、Chitosan、PVP、Nafion、Polyethylene glycol、poly vinyl Pyrrolidone、poly vinyl alcohol、アガロース(agarose)、トレハロース(trehalose)のうちの少なくとも1つを1~30unit含んでよい。
【0047】
下板130には、ストリップ認識電極131、検体認識電極132、認識基準電極133、作用電極134、作用基準電極135、ダミー電極136、および予備電極137、138が含まれる電極構造が形成されてよい。
【0048】
ストリップ認識電極131は、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたかどうかを認識するために使用されてよい。一例として、ストリップ認識電極131および認識基準電極133を通じて検体測定機器110からストリップ認識信号が印加され、これに応答する応答信号がバイオセンサストリップ120からストリップ認識電極131および認識基準電極133を通じて検体測定機器110に提供されてよい。したがって、検体測定機器110は、ストリップ認識電極131を利用して、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたかどうかを認識することができる。検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたかどうかは、ストリップ認識信号に応答する応答信号の強度、または応答信号の発生および提供状況によって判断されてよい。
【0049】
検体認識電極132は、検体を認識するために使用されてよい。より詳しく説明すると、検体認識電極132は、バイオセンサストリップ120に検体が接触したかどうかを認識するために使用されてよい。一例として、検体認識電極132および認識基準電極133を通じて検体測定機器110から検体認識信号が印加され、これに応答する応答信号がバイオセンサストリップ120から検体認識電極132および認識基準電極133を通じて検体測定機器110に提供されてよい。したがって、検体測定機器110は、検体認識電極132を利用して、バイオセンサストリップ120に検体が接触したかどうかを認識することができる。バイオセンサストリップ120に検体が接触したかどうかは、検体認識信号に応答する応答信号の強度、または応答信号の発生および提供状況によって判断されてよい。
【0050】
検体認識電極132でバイオセンサストリップ120の検体挿入流路141に対応する領域に形成された検体認識突起132-1および認識基準電極133でバイオセンサストリップ120の検体挿入流路141に対応する領域に形成された認識基準突起133-1は、検体認識電極132および認識基準電極133が延長形成される方向に対して直交する一方向に突出した状態で、互いに離間した状態で対向して配列されてよい。
【0051】
このとき、ストリップ認識電極131および検体認識電極132それぞれに対する認識基準電極133は、ストリップ認識電極131および検体認識電極132に対して共通で備えられてよい。すなわち、ストリップ認識電極131および検体認識電極132は、1つの認識基準電極133を共有してよい。これにより、ストリップ認識電極131および検体認識電極132がそれぞれの認識基準電極を備える場合とは異なり、バイオセンサストリップ120の小型化を実現することができる。
【0052】
作用電極134および作用基準電極135は、検体を測定するために使用されてよい。具体的に説明すると、作用電極134および作用基準電極135を通じて検体測定機器110から検体測定信号が印加され、これに応答する検体に対する応答信号がバイオセンサストリップ120から作用電極134および作用基準電極135を通じて検体測定機器110に提供されてよい。したがって、検体測定機器110は、作用電極134および作用基準電極135を利用して検体に対する応答信号を測定することによって、検体を測定することができる。検体測定結果は、検体測定信号に応答する応答信号の強度、または応答信号の発生および提供状況よって判断されてよい。例えば、検体測定結果は、検体測定信号に応答する応答信号の強度に応じて複数の段階の測定数値で示されてよい。
【0053】
作用電極134でバイオセンサストリップ120の検体挿入流路141に対応する領域に形成された作用突起134-1および作用基準電極135で検体挿入流路141に対応する領域に形成された2つ以上の作用基準突起135-1、135-2は、作用電極134および作用基準電極135が延長形成される方向に対して直交する一方向に突出した状態で交互に配列されてよい。
【0054】
このように、1つの作用突起134-1が2つ以上の作用基準突起135-1、135-2の間に配置された状態で互いに交互に配列される形態で構成され、2つ以上の作用基準突起135-1、135-2それぞれの面積よりも1つの作用突起134-1の面積が小さく形成されることによって、検体が接触した場合に、検体測定信号と検体測定信号に応答する応答信号を正確に測定することができる。これにより、検体測定の正確度を高めることができる。
【0055】
上述したストリップ認識電極131、検体認識電極132、認識基準電極133、作用電極134、作用基準電極135は、互いに平行に離間した状態で一方向に延長形成されてよい。
【0056】
上述した電極構造において、ストリップ認識電極131および検体認識電極132は、作用電極134および作用基準電極135と電気的に個別に作動するように個別に備えられてよい。したがって、検体測定前に作用電極134および作用基準電極135の表面に電気的二重層が形成されることを防ぐことによって、検体測定の正確度を高めることができる。
【0057】
ダミー電極136は、界面材料特性に対する分注拡散性の不良を改善するために、検体を検体挿入流路141に予め設定された大きさ以上に広く接触させるためのものであって、下板130で検体挿入流路141に対応する領域の一側に備えられてよい。
【0058】
予備電極137、138は、上述したバイオセンサストリップ120の電極構造で予備用として備えられる電極であって、必要に応じて、ストリップ認識電極131、検体認識電極132、認識基準電極133、作用電極134および作用基準電極135のうちのいずれか1つとして使用されてよい。
【0059】
図面には示していないが、上述した電極構造が形成された下板130は、複数の金属層を重ねて形成されてよい。一例として、下板130は、絶縁基板層(図示せず)、絶縁基板層上に銅で形成される第1金属層(図示せず)、第1金属層上にニッケルで形成される第2金属層(図示せず)、および第2金属層上に金で形成される第3金属層(図示せず)を重ねた4層構造で実現されてよい。この場合、第1金属層、第2金属層、第3金属層、および第4金属層それぞれには、上述した電極構造が形成されてよい。
【0060】
検体測定機器110は、検体が接触および流入されたバイオセンサストリップ120が挿入されることにより、バイオセンサストリップ120にストリップ認識信号、検体認識信号、および検体測定信号を順に印加し、ストリップ認識信号、検体認識信号、および検体測定信号それぞれに対する応答信号を受信することによって、バイオセンサストリップ120が挿入されたことと検体がバイオセンサストリップ120に接触したことを認識して検体を測定する。
【0061】
検体を測定した結果は、検体測定信号に応答する応答信号の強度に応じて複数の段階の測定数値で提供されてよく、測定数値によって異なるグラフィック効果が適用され、検体測定機器110の表示手段を通じて表示されてよい。
【0062】
図5は、一実施形態に係る検体測定方法を示したフローチャートであり、図6は、図5に示した検体測定方法を説明するための例を示した図である。以下で説明する検体測定方法は、図1~4を参照しながら説明した検体測定システム100が主体となって実行されることを前提とする。
【0063】
段階510~530の前に、検体測定システム100(より正確には、検体採取機器160)は、図6(a)と(b)に示すように、検体採取機器160の検体収集部161を利用して対象者の唾液を採取し、これをフィルタ162が備えられた圧縮チューブ163に挿入することによって、唾液である検体から干渉物質を除去してよい。次に、バイオセンサストリップ120が図6(c)に示すように検体測定機器110に挿入され、検体が図6(d)に示すように検体採取機器160からバイオセンサストリップ120の挿入口151に挿入および流入されることにより、検体をバイオセンサストリップ120の検体挿入流路141に接触させてよい。
【0064】
このとき、バイオセンサストリップ120に挿入および流入される検体は、バイオセンサストリップ120の検体挿入流路141の一側に備えられるダミー電極136によって、バイオセンサストリップ120の検体挿入流路141に予め設定された大きさ以上に広く接触させることができる。
【0065】
段階510で、検体測定システム100(より正確には、検体測定機器110)は、バイオセンサストリップ120に含まれるストリップ認識電極131を利用して、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたかどうかを認識してよい。より詳しく説明すると、検体測定機器110は、ストリップ認識電極131および認識基準電極133を通じてストリップ認識信号を印加し、これに応答する応答信号がバイオセンサストリップ120からストリップ認識電極131および認識基準電極133を通じて提供されることにより、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたかどうかを認識および判断してよい。
【0066】
段階520で、検体測定システム100(より正確には、検体測定機器110)は、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入された場合(段階510で、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたと認識された場合)、バイオセンサストリップ120に含まれる検体認識電極132を利用して、バイオセンサストリップ120に検体が接触したかどうかを認識してよい。より具体的に説明すると、検体測定機器110は、検体認識電極132および認識基準電極133を通じて検体認識信号を印加し、これに応答する応答信号がバイオセンサストリップ120から検体認識電極132および認識基準電極133を通じて提供されることにより、検体がバイオセンサストリップ120に接触したかどうかを認識および判断してよい。
【0067】
段階530で、検体測定システム100(より正確には、検体測定機器110)は、バイオセンサストリップ120に検体が接触した場合(段階520で、バイオセンサストリップ120に検体が接触したと認識された場合)、図6(e)に示すように、バイオセンサストリップ120に含まれる作用電極134および作用基準電極135に検体測定信号を印加して検体に対する応答信号を測定してよい。より詳しく説明すると、検体測定機器110は、作用電極134および作用基準電極135を通じて検体測定信号を印加し、これに応答する応答信号がバイオセンサストリップ120から作用電極134および作用基準電極135を通じて提供されることにより、検体測定信号に応答する応答信号を測定して検体を測定してよい。
【0068】
特に、検体に対する応答信号を測定する段階530は、ストリップ認識電極131および検体認識電極132が作用電極134および作用基準電極135と電気的に個別に作動するように個別に備えられることにより、検体測定機器110にバイオセンサストリップ120が挿入されたかどうかを認識する段階510およびバイオセンサストリップ120に検体が接触したかどうかを認識する段階520とは独立的に実行されることができる。
【0069】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0070】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付の特許請求の範囲に属する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】