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特表2024-538276ベアリング・ピボット・テンショナ・アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】ベアリング・ピボット・テンショナ・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/12 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525369
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022048094
(87)【国際公開番号】W WO2023076520
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/273,347
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(72)【発明者】
【氏名】コプサー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィル,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】フーパー,ブランドン
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BA02
3J049BB05
3J049BB15
3J049BB25
(57)【要約】
テンショナベースと、揺動軸を規定するピボット軸の周りに軸方向に整列された張力付与アームとを有し、張力付与アームがテンショナベースに対して揺動軸の周りに揺動自在であるベルトテンショナ。テンショナは、ピボット軸の周りに、ピボット軸に対してシールされたベアリングを有し、張力付与アームはベアリングの周りに配置される。ベアリングは、ベアリングおよび張力付与アームの間と、ベアリングおよびピボット軸の間との径方向シールを構成する。捻りバネは張力付与アームの部分の周りの外側に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンショナベースと、揺動軸を規定するピボット軸の周りに軸方向に整列された張力付与アームとを備え、前記張力付与アームは前記揺動軸の周りに前記テンショナベースに対して揺動自在であり、前記ピボット軸の周りに配置され、前記ピボット軸に対してシールされたピボットベアリングを備え、前記張力付与アームは前記ピボットベアリングの周りに配置され、前記張力付与アームの部分の周りに配置された捻りバネを備えた
ベルト駆動用ベルトテンショナ。
【請求項2】
前記ピボット軸の周りに配置された減衰機構をさらに備え、前記減衰機構がその周りに配置された前記張力付与アームを有する、請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記ピボットベアリングが前記減衰機構と前記テンショナベースの間に軸方向に配置された請求項2に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記ピボット軸の周りに配置された圧縮バネをさらに備え、前記圧縮バネがその周りに配置された前記張力付与アームを有する、請求項1に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記ベアリングが前記圧縮バネと前記テンショナベースの間に軸方向に配置された請求項4に記載のテンショナ。
【請求項6】
減衰機構と圧縮バネをさらに備え、前記減衰機構と前記圧縮バネが前記ピボット軸の周りに配置され、その周りに配置された前記張力付与アームを有する、請求項1に記載のテンショナ。
【請求項7】
減衰機構と張力付与バネをさらに備え、前記減衰機構と前記張力付与バネが前記ピボット軸の周りに配置され、その周りに配置された前記張力付与アームを有する、請求項1に記載のテンショナ。
【請求項8】
前記ベアリングが前記圧縮バネと前記テンショナベースの間に軸方向に配置され、前記圧縮バネが前記ピボットベアリングと前記減衰機構の間に軸方向に配置された請求項6に記載のテンショナ。
【請求項9】
前記ピボットベアリングが前記捻りバネと前記テンショナベースの間に径方向に配置され、前記圧縮バネが前記ピボットベアリングと前記減衰機構の間に径方向に配置された請求項7に記載のテンショナ。
【請求項10】
テンショナベースと、接続されたプーリを有する張力付与アームとを備え、
前記テンショナベースが揺動軸を規定するピボット軸を有し、前記揺動軸が前記テンショナベースと前記張力付与アームを通って延び、
前記ピボット軸と前記張力付与アームの間に径方向に配置されたピボットベアリングと、
前記ピボット軸と前記張力付与アームの間に径方向に配置された捻りバネと、
前記捻りバネと前記張力付与アームの間に配置された減衰機構とを備えた
ベルト駆動用ベルトテンショナ。
【請求項11】
前記減衰機構が前記捻りバネの第2端部に固定され、前記捻りバネの第1端部が前記張力付与アームに係合する、請求項10に記載のテンショナ。
【請求項12】
前記ベアリングが複列ボールベアリングである請求項9に記載のテンショナ。
【請求項13】
テンショナベースおよび張力付与アームを備え、
前記テンショナベースが揺動軸を規定するピボット軸を有し、前記揺動軸が前記テンショナベースと前記張力付与アームを通って延び、
前記ピボット軸と前記張力付与アームの間に径方向に配置されたピボットベアリングを備え、前記ベアリングが、前記ピボットベアリングおよび前記張力付与アームの間と前記ベアリングおよび前記ピボット軸の間との径方向シールを構成する
ベルト駆動用ベルトテンショナ。
【請求項14】
前記ピボット軸の周りに配置された減衰機構をさらに備え、前記減衰機構がその周りに配置された前記張力付与アームを有する請求項13に記載のテンショナ。
【請求項15】
前記減衰機構が前記捻りバネの第2端部の周りに配置される請求項13に記載のテンショナ。
【請求項16】
前記ピボットベアリングが前記減衰機構と前記テンショナベースの間に軸方向に配置される請求項14に記載のテンショナ。
【請求項17】
前記ピボット軸の周りに配置された圧縮バネをさらに備え、前記圧縮バネがその周りに配置された前記張力付与アームを有する請求項13に記載のテンショナ。
【請求項18】
前記ピボットベアリングが前記圧縮バネと前記テンショナベースの間に軸方向に配置される請求項17に記載のテンショナ。
【請求項19】
前記圧縮バネが前記圧縮バネおよび前記張力付与アームの間と、前記圧縮バネおよび前記ピボット軸の間との径方向を構成する請求項17に記載のテンショナ。
【請求項20】
前記張力付与アームの部分の周りに配置された捻りバネをさらに備える請求項17に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ベルトテンショナは、多くのベルト駆動システムで用いられる、一般によく知られた装置である。テンショナは一般的に、一定のベルト張力を付与し、これは、摩耗、ベルトの伸張(例えば温度上昇による)および他の要素に起因するベルト長さの増加に対して補償する。
【0002】
一般的なベルトテンショナは固定構造物と、ピボットアセンブリによって固定構造物に同軸的に取付けられた揺動構造物とを有し、揺動構造物は回転自在に取付けられたベルト張力付与プーリを有する。コイルバネはピボットアセンブリを囲繞し、揺動構造物をベルト巻付け方向に付勢するために、固定構造物と揺動構造物の間に接続された端部を有する。揺動構造物が最小ベルト巻付け位置から最大ベルト巻付け位置へ移動すると、バネ付勢力が減少する。この変化するバネ力がテンショナの移動範囲を越えるにもかかわらず、比較的一定なベルト張力はテンショナによって維持される。
【0003】
ベルトテンショナの代替的な設計の余地は常にある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、テンショナベースと、揺動軸を規定するピボット軸の周りに軸方向に整列された張力付与アームとを有し、張力付与アームがテンショナベースに対して揺動軸の周りに揺動自在である、ベルトシステムのためのテンショナを提供する。テンショナは、ピボット軸の周りに、ピボット軸に対してシールされたベアリングを有し、張力付与アームはベアリングの周りに配置される。ベアリングは、ベアリングおよび張力付与アームの間と、ベアリングおよびピボット軸の間との径方向シールを構成する。捻りバネは張力付与アームの部分の周りの外側に配置される。
【0005】
一つの特定の実施例において、本開示はベルト駆動用ベルトテンショナを提供し、このテンショナは、テンショナベースと、揺動軸を規定するピボット軸の周りに軸方向に整列された張力付与アームとを備え、張力付与アームは揺動軸の周りにテンショナベースに対して揺動自在であり、ピボット軸の周りに配置され、ピボット軸に対してシールされたピボットベアリングを備え、張力付与アームはベアリングの周りに配置され、張力付与アームの部分の周りに配置された捻りバネとを備える。
【0006】
他の特定の実施例において、本開示はベルト駆動用ベルトテンショナを提供し、このテンショナは、テンショナベースと、接続されたプーリを有する張力付与アームとを備え、テンショナベースがテンショナベースと張力付与アームを通って延びる揺動軸を規定するピボット軸を有し、ピボット軸と張力付与アームの間に径方向に配置されたピボットベアリングと、ピボット軸と張力付与アームの間に径方向に配置された捻りバネと、圧縮バネと張力付与アームの間に配置された減衰機構とを備える。
【0007】
さらに他の特定の実施例において、本開示はベルト駆動用ベルトテンショナを提供し、このテンショナは、テンショナベースおよび張力付与アームを備え、テンショナベースがテンショナベースと張力付与アームを通って延びる揺動軸を規定するピボット軸を有し、、ピボット軸と張力付与アームの間に径方向に配置されたベアリングを備え、ベアリングが、ベアリングおよび張力付与アームの間とベアリングおよびピボット軸の間との径方向シールを構成する。
【0008】
本明細書に記載されたテンショナのこれら、および他の特徴は、詳細な説明および図面を検討した後に明らかになる。しかし、請求された主題の範囲は、記載された請求の範囲により決定されるが、与えられた主題が「背景技術」に記載されたいくつかあるいは全ての問題に対処するか、あるいは「発明の概要」に記載された特徴を含むかに依らない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1はテンショナの代表的な上面図である。
【0010】
図2図1の2-2線に沿うテンショナの代表的な断面側面図である。
【0011】
図3図1および2のテンショナの代表的な分解斜視図である。
【0012】
図4はテンショナの他の実施例の代表的な側面図である。
【0013】
図5はテンショナの他の実施例の代表的な上面図である。
【0014】
図6図5の6-6線に沿うテンショナの代表的な断面図である。
【0015】
図7図4、5および6のテンショナの代表的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述したように、本開示は、ベルトテンショナの内部構造物をシールするためのインターナルベアリングを有するベルトテンショナに向けられる。
【0017】
ベルトテンショナは、ベアリングを有するプーリを介して、例えばベルトやFEAD(フロント・エンド・アクセサリ・ドライブ)に張力を付与する。テンショナは張力付与アームを有し、アームはテンショナベースの周りに回転あるいは揺動して、プーリとベルトにおける張力を調節する。テンショナの内部において、張力付与アームとテンショナベースは空洞を形成し、その中には、アームの運動の減衰を生じる機構と低摩擦ベアリングを与えるピボット面とがある。しかし、この空洞内への汚染物の侵入には2つの道筋がある。すなわち汚染物は、摩耗を早めることにより、および/または2つの面の間の摩擦係数に悪い影響を与えることにより、テンショナの性能と耐久性に影響する。
【0018】
汚染物が空洞へ侵入することを防ぐためにテンショナをシールする1つの従来の方策は、アームとベースの間にラビリンスまたは複雑な経路を設けることである。アームとベースの間のラビリンスはアームおよび/またはベースによって一体的に形成されるが、極限の状態では常に効果的であるわけではない。ラビリンスを形成するために、追加の要素であるシールプレートがしばしば用いられる。
【0019】
テンショナをシールする他の従来の方策は、ピボットの領域をシールするためのキャップを用いることである。キャップもまた追加の要素であり、キャップを着座させるために圧力を与える付加的な組立て工程を必要とする。もし正確に着座されないと、キャップは時間とともに、すなわちテンショナが取付けられる車両の作動の間に緩む。
【0020】
本開示のベルトテンショナは、テンショナの汚染物を抑止する代替的なモードを提供する。上述したように、ベルトテンショナはベルトテンショナの内部構造物をシールするために空洞内にベアリングを用いる。複列ベアリングが使用可能であり、これは非常に頑丈な軸受面を与え、安定したプーリアライメントを与える。ピボット軸と張力付与アームの間の緊密な嵌合により、ベアリングは径方向のシールを形成し、これはまた、減衰板および/または内部の圧縮バネのような減衰機構の領域もシールし、ひいてはテンショナをシールするための付加的な機構または部品の必要性を回避する。圧縮バネは空洞内において減衰機構をさらにシールするかもしれない。圧縮バネは回転自在な張力付与アームに対して減衰機構を押し付け、摩擦力を生じる。
【0021】
本開示のベルトテンショナにより得られる利点は、プーリベアリングのアライメントの高水準な精度と、通常の摩耗とテンショナの内部への汚染物の侵入に起因する摩耗に対するピボットの改善された耐久性とを含む。また、開口内の減衰機構は汚染物のない領域から恩恵を受け、存在する少ない汚染物のため、長期にわたって、より着実な安定した減衰力を発揮する。減衰機構におけるより少ない摩耗は長期にわたって着実なトルク出力をもたらす。
【0022】
他の実施例において、樹脂または金属のブッシュの代わりにピボットベアリングを用いることにより、張力付与アームとベースの間の領域をシールするシールプレートまたはガスケットの使用により、テンショナ内の減衰機構をシールすることが可能である。これはピボットベアリングと減衰機構の使用からピボットの耐久性を改善する。
【0023】
以下の記述において、符号が明細書の一部を形成する添付図面に付され、少なくとも1つの特別な実施例における図示の目的として示される。以下の記述は付加的な特定の実施例を与える。他の実施例が考えられ、本開示の範囲または精神から逸脱することなくなされるかもしれない。したがって以下の詳細な説明は限定された意味にとられない。本開示は限定されないが、以下に記載される図面を含め、実例の説明を通して、本開示の種々の特徴の評価が得られる。いくつかの例では、参照符号が多数の同様な要素の一つを示すために小文字からなる関連した下付き文字を有するかもしれない。下付き文字の特定なしに符号が参照数字であるとき、符号は全ての多数の同様な要素を指すことが意図される。
【0024】
図面を参照すると、図1はFEAD(フロント・エンド・アクセサリ・ドライブ)のようなテンショナ100を示す。テンショナ100はベース構造物110と、ベース構造物110に対してテンショナ100の揺動軸の周りに揺動可能な張力付与アーム120とを有する。このテンショナ100はFEADの一部として具体的に示されるが、テンショナ100は、適切なアプリケーションに用いるために必要に応じて変更されてもよい。
【0025】
図2図1の2-2線に沿うテンショナ100の断面側面図である。図3も分解図としてテンショナ100を示す。
【0026】
ベース構造物110と張力付与アーム120は相互に回転可能に結合し、テンショナ100を構成する。ピボット軸112はテンショナベース110と張力付与アーム120を通って延び、テンショナ100の揺動軸、すなわちテンショナベース110と張力付与アーム120の間の回転軸を規定する。ピボット軸112はテンショナベース110に対して固定され、いくつかの実施例では、テンショナベース110に対して一体的である。張力付与アーム120はピボット軸112の周りに、あるいは少なくとも部分的に、回転あるいは揺動する。
【0027】
ピボットベアリング114は、張力付与アーム120とピボット軸112の間の領域または開口において、ピボット軸112を囲む。ピボットベアリング114はピボット軸112と回転軸を中心としており、ピボット軸112の肩部に着座している。他の実施例では、ピボットベアリング114の下面はテンショナベース110の表面に摩擦係合する。ピボットベアリング114はピボット軸112の長さよりも短い長さを有する。いくつかの実施例では、ピボットベアリング114はピボット軸112に固定され、張力付与アーム120はピボットベアリング114に対して回転する。他の実施例では、ピボットベアリング114は張力付与アーム120に固定され、ピボット軸112とテンショナベース110に対して張力付与アーム120とともに回転する。さらに他の実施例では、ピボットベアリング114は張力付与アーム120とピボット軸112の両方に固定され、ベアリング114の内部で回転が生じる。
【0028】
ピボットベアリング114は回転ベアリング、すなわちボールベアリングあるいはローラベアリングであってもよく、先細り形状を有していても、有していなくてもよい。図2に示された特定のピボットベアリング114は複列ボールベアリングである。
【0029】
ピボットベアリング114がある領域すなわち開口には、ピボットベアリング114よりもテンショナベース110から離れたところに圧縮バネ116がある。圧縮バネ116は減衰力を発生する。ピボットベアリング114と同様に、圧縮バネ116はピボット軸112と回転軸の周りに中心を合わせられ、軸方向に延びる。圧縮バネ116は一定の直径を有する、または長さ方向に沿って直径が変化するコイルバネであってもよい。適当な螺旋形、線径および/または断面(例えば円形、矩形、楕円)、材料、自由長さ、およびバネ端部形状が圧縮バネ116に使用可能である。いくつかの実施例では、代替的な設計が圧縮バネ116に使用でき、例えば渦巻きバネ、捻りバネ、あるいは板バネが使用可能であり、皿バネすなわちベルビルワッシャさえ使用可能である。いくつかの実施例では、2つの平行なコイルバネが用いられてもよく、例えば平行な2つの圧縮バネまたは1つの圧縮バネが内部バネであり、捻りバネが外部バネであってもよい。
【0030】
さらに、ピボットベアリング114と圧縮バネ116がある領域すなわち開口には、ピボットベアリング114よりもテンショナベース110から離れたところに、図示実施例では、圧縮バネ116よりもテンショナベース110から離れたところに、減衰機構118がある。ピボットベアリング114および圧縮バネ116と同様に、減衰機構118はピボット軸112と回転軸の周りに中心を合わせられ、軸方向に延びる。減衰機構118は円板であり、例えば金属、樹脂、あるいはこれらの組み合わせである。減衰機構118は、減衰機構118がピボット軸112に沿って軸方向に摺動することを許容するための中心穴を有するが、軸112に対する回転運動は拘束される。
【0031】
張力付与アーム120の外側には、ピボット軸112と少なくともピボットベアリング114を中心として、回転軸の周りに、捻りバネ119がある。捻りバネ119はいかなる脚部の配置すなわち位置を有してもよい。
【0032】
上述したように、図3はテンショナ100の分解斜視図であり、張力を付与されるべきベルトが周囲に配置されるプーリ122を有する張力付与アーム120を示す。プーリ122とダストシールド124はボルト125によってアーム120に固定される。
【0033】
図3は、ピボット軸112のピボットベアリング114、圧縮バネ116、減衰機構118および捻りバネ119との配置を示し、これらの全ては回転軸でもある中心軸に沿っている。
【0034】
なお、ピボット軸112、ピボットベアリング114、圧縮バネ116、減衰機構118、および捻りバネ119を含む要素は揺動軸の周りにおいて、全体的に径方向に対称である。図1に示されるように、ベース構造物110と張力付与アーム120は揺動軸の周りに対称的ではない。
【0035】
図2、3に示されるように、いくつかの実施例では、テンショナ100は従来のラビリンスもピボット軸112すなわち回転軸に整列したダストキャップを有さない。むしろ、テンショナ100はピボットベアリング114と、ベース構造物110と張力付与アーム120の間の境界部分を通って侵入するような外部の汚染物から減衰機構118を保護するための協働するシールとを用いる。外部の汚染物は、ピボット領域と減衰機構118に影響を与えるためには、ベアリングシールを通過することが必要である。
【0036】
圧縮バネ116はまた、ピボットベアリング114のシールにより保護される。
【0037】
ベルトテンショナ100を組み立てるために、ピボットベアリング114は、まずピボット軸112の周囲においてテンショナベース110に対して、次に周囲に捻りバネ119を有するアーム120に対して押圧され、減衰機構のための保護領域を生成する。
【0038】
図4、5、6および7はテンショナ100の代替的な実施例を示す。図4はテンショナの側面を示す。図5はテンショナの上面を示す。図6図5の6-6線に沿うテンショナの断面側面図である。図6図4および5に示された実施例の分解斜視図である。
【0039】
ベース構造物110と張力付与アーム120は相互に回転可能に結合し、テンショナ100を構成する。ピボット軸112はテンショナベース110と張力付与アーム120を通って延び、テンショナ100の揺動軸、すなわちテンショナベース110と張力付与アーム120の間の回転軸を規定する。ピボット軸112はテンショナベース110に対して固定され、いくつかの実施例では、テンショナベース110に対して一体的である。張力付与アーム120はピボット軸112の周りに、あるいは少なくとも部分的に、回転あるいは揺動する。
【0040】
ピボットベアリング114は、張力付与アーム120とピボット軸112の間の領域または開口において、ピボット軸112を囲む。ピボットベアリング114はピボット軸112と回転軸を中心としており、ピボット軸112の肩部に着座している。他の実施例では、ピボットベアリング114の下面はテンショナベース110の表面に摩擦係合する。ピボットベアリング114はピボット軸112の長さよりも短い長さを有する。いくつかの実施例では、ピボットベアリング114はピボット軸112に固定され、張力付与アーム120はピボットベアリング114に対して回転する。他の実施例では、ピボットベアリング114は張力付与アーム120に固定され、ピボット軸112とテンショナベース110に対して張力付与アーム120とともに回転する。さらに他の実施例では、ピボットベアリング114は張力付与アーム120とピボット軸112の両方に固定され、ベアリング114の内部で回転が生じる。
【0041】
ピボットベアリング114は回転ベアリング、すなわちボールベアリングあるいはローラベアリングであってもよく、先細り形状を有していても、有していなくてもよい。図2図3に示された特定のピボットベアリング114は複列ボールベアリングである。
【0042】
図5は、ベアリング・シール・テンショナ・アセンブリの他の実施例を示す。実施例において、ベース構造物110と張力付与アーム120は相互に回転可能に結合し、テンショナ100を構成する。ピボット軸112はテンショナベース110と張力付与アーム120を通って延び、テンショナ100の揺動軸、すなわちテンショナベース110と張力付与アーム120の間の回転軸を規定する。ピボット軸112はテンショナベース110に対して固定され、いくつかの実施例では、テンショナベース110に対して一体的である。張力付与アーム120はピボット軸112の周りに、あるいは少なくとも部分的に、回転あるいは揺動する。
【0043】
ピボットベアリング114は、張力付与アーム120とピボット軸112の間の領域または開口において、ピボット軸112を囲む。ピボットベアリング114はピボット軸112と回転軸を中心としており、ピボット軸112の肩部に着座している。他の実施例では、ピボットベアリング114はピボット軸112と捻りバネ119の間の径方向位置であってもよい。ピボットベアリング114はピボット軸112の長さよりも短い長さを有する。いくつかの実施例では、ピボットベアリング114はピボット軸112に固定され、張力付与アーム120はピボットベアリング114に対して回転する。他の実施例では、ピボットベアリング114は張力付与アーム120に固定され、ピボット軸112とテンショナベース110に対して張力付与アーム120とともに回転する。さらに他の実施例では、ピボットベアリング114は張力付与アーム120とピボット軸112の両方に固定され、ベアリング114の内部で回転が生じる。
【0044】
ピボットベアリング114は回転ベアリング、すなわちボールベアリングあるいはローラベアリングであってもよく、先細り形状を有していても、有していなくてもよい。図6に示された特定のピボットベアリング114は複列ボールベアリングである。
【0045】
いくつかの実施例では、捻りバネ119は第1端部において途切れ、固定され、接続され、あるいは張力付与アーム120に取付けられ、第2端部において途切れ、固定され、接続され、あるいは減衰機構118に取付けられてもよい。ベルトに負荷が掛けられるとにおけるテンショナの中心軸周りの回転は、捻りバネ119を収縮あるいは伸張させ、張力付与アーム120の内壁面に対して径方向に接触するに従い、減衰機構118を介して捻りバネ119によって付与される減衰力を変化させる。いくつかの実施例では、減衰は、テンショナベース110に対して径方向および/または軸方向に接触する減衰機構118を介して発生するかもしれない。この実施例では、捻りバネは張力付与アーム120とテンショナベース110の内壁の間に保持される。捻りバネ119は減衰力を発生する。捻りバネ119はピボット軸112の周りに径方向に配置されてもよい。捻りバネ119は一定の直径または長さ方向に沿って変化する直径を有する捻りバネであってもよい。適当な螺旋形、線径および/または断面(例えば円形、矩形、楕円)、材料、自由長さ、およびバネ端部形状が捻りバネ119に使用可能である。いくつかの実施例では、代替的な設計が捻りバネ119に使用でき、例えば渦巻きバネあるいはコイルバネが使用可能である。捻りバネ119はいかなる脚部の配置すなわち位置を有してもよい。
【0046】
さらに、減衰機構118が設けられてもよい。いくつかの実施例では、減衰機構118はピボット軸112と張力付与アーム120の間において径方向に配置される。ピボットベアリング114および捻りバネ119と同様に、減衰機構118はピボット軸112と回転軸の周りに、径方向に中心を合わせられ、軸方向に延びる。減衰機構118は張力付与アーム120の内壁と同じ半径を有する円弧状構造であってもよい。減衰機構はまた、ブロック、板状、円板等のように成形されてもよい。減衰機構118は金属、樹脂あるいはこれらの組み合わせにより成形されてもよい。減衰機構118は捻りバネ119の第2端部の周りに配置されてもよく、第2端部は途切れ、固定され、接続され、または張力付与アーム120に取付けられない捻りバネの端部である。
【0047】
上述したように、図7はテンショナ100の分解斜視図であり、張力を付与されるべきベルトが周囲に配置されるプーリ122を有する張力付与アーム120を示す。プーリ122とダストシールド124はボルト125または、固定ピン、押しピン、ラッチクリップ等に限定されない他の固定機構によってアーム120に固定される。
【0048】
図7は、ピボット軸112のピボットベアリング114、減衰機構118および捻りバネ119との配置を示し、これらの全ては回転軸でもある中心軸に沿っている。
【0049】
なお、ピボット軸112、ピボットベアリング114、および捻りバネ119を含む要素は揺動軸の周りにおいて、全体的に径方向に対称である。図7に示されるように、ベース構造物110、減衰機構、および張力付与アーム120は揺動軸の周りに対称的ではない。
【0050】
図6に示されるように、他の実施例では、テンショナ100はピボット軸112すなわち揺動軸に整列した従来のラビリンスを有する。しかし、テンショナ100はピボットベアリング114と、外部の汚染物から減衰機構118を保護するための協働するシールとを用いる。しかし、ベース構造物110と張力付与アーム120の間の境界部分を通って侵入するかもしれない汚染物は、張力付与アーム120とテンショナベース110に成形されたラビリンスにより、テンショナの内部領域に進入するには困難な時間を有する。いくつかの実施例では、ピボットベアリング114と減衰機構118の使用により、ゴムガスケット、ポリマーガスケット等のシールが張力付与バネ119と減衰機構118を汚染物からシールするために、テンショナベース110と張力付与アーム120の間のシールとして用いられてもよい。ピボットベアリング114と減衰機構118はテンショナ100の寿命を延長させる。他の実施例では、ピボットベアリング114と減衰機構118がショートまたはロングアームテンショナの梱包を許容してもよい。
【0051】
テンショナ100の種々の実施例およびその変形例は、金属(例えば鉄、スチール、アルミニウム)、複合材料(例えばセラミックス)高分子材料を含むいかなる材料から成形されてもよく、またこれらの組み合わせでもよい。要素および部品のどれも、表面摩擦を低減させ、耐空性を向上させて物理的摩耗を減少させ、化学的抵抗を増加せるなどのために、それらの上にコーティングが施されてもよい。
【0052】
上述した明細書と実施例は構造の完全な説明と本発明の例示的な実施例の使用を提供する。上記説明は特定の実施例である。他の実施例が考えられ、本開示の範囲と精神から逸脱することなく、実施されることを理解すべきである。したがって上記詳細な説明は限定された意味にとられるべきではない。本開示は限定されないが、本開示の種々の特徴を理解することが提供された実施例の議論から得られるであろう。
【0053】
ここに記載されたテンショナと種々の変形例は、ABDS(アクセサリベルトドライブシステム)、SBDS(同期ベルトドライブシステム)、BSG(例えばハイブリッド車両のためのベルトスタータジェネレータ)、デュアルアームテンショナ、CVT(連続変化トランスミッション)サーペンタインベルト、ウォータポンプ、タイミング等を含む、ベルトドライブシステムおよび他のシステムの広い範囲に組み込まれる。テンショナは、ゴムまたはポリマー(例えばポリウレタン)から成形され、強化される、Vベルト、マイクロVベルト、ダブルVベルト、平ベルト、丸ベルト等とともに使用され得る。
【0054】
特に記載がない限り、形状、大きさ、および物理的性質を表す全ての数字は、「約」という用語が直前に存在するか否かにかかわらず、「約」の用語により修正されると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、記載された数値パラメターは、ここに開示された教示を用いた技術を用いる当業者によって得られるべきと思われる望ましい特性に応じて変化する。
【0055】
ここに使用されるように、単数の形式である「ひとつの」と「その」は、記載内容が明らかにそうではない限りにおいて、複数の支持物を有する意味を含む。この明細書および添付された請求の範囲において用いられるように、「または」の用語は一般的に、記載内容が明らかにそうではない限りにおいて、「および/または」を含む意味に用いられる。
【0056】
「底」「低い」「頂部」「上方」「下方」「下」「上」「頂上」「上に」等を含み、これらに限定されない空間に関する用語は、この明細書に用いられる場合、要素相互間の空間的関係を説明するための容易な記載として用いられる。このような空間に関する用語は、図面に示され、また明細書に記載された特定の位置に加えて装置の異なる位置を含む。例えば、図面に示された構造が反転あるいは裏返されたとき、下あるいは下方の他の要素として既に記載された部分が上あるいは上方の要素となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】