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特表2024-538283レーザビトレオライシスのための走査型レーザ検眼鏡によるレーザ誘導
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】レーザビトレオライシスのための走査型レーザ検眼鏡によるレーザ誘導
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61F9/008 120
A61F9/008 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525445
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 IB2022060493
(87)【国際公開番号】W WO2023089430
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/281,520
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(57)【要約】
特定の実施形態では、眼内の浮遊物を治療するための眼科レーザ手術システムは、走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスと、治療用レーザデバイスと、xyスキャナとを含む。SLOデバイスは、SLOビームを眼の網膜に向けて誘導し、眼から反射されたSLOビームから浮遊物影を含む画像を生成し、浮遊物影のxy位置を特定し、共焦点フィルタを使用して網膜に対する浮遊物のz位置を特定する。治療用レーザデバイスは、SLOデバイスから浮遊物のz位置を受信し、レーザビームをz位置に向けて誘導する。xyスキャナは、SLOデバイスからSLOビームを受光し、SLOビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。xyスキャナはまた、治療用レーザデバイスからレーザビームを受光し、レーザビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内の浮遊物を治療するための眼科レーザ手術システムであって、
高速フォトダイオードと共焦点フィルタとを含む走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスであって、
SLOビーム経路に沿ってSLOビームを前記眼の網膜に向けて誘導し、
前記高速フォトダイオードを使用して前記眼から反射された前記SLOビームを受光し、
画像であって、前記浮遊物が前記網膜上に落とす浮遊物影を含む前記画像を、前記反射されたSLOビームから生成し、
xyスキャナに基づいて前記浮遊物影のxy位置を特定し、
前記共焦点フィルタを使用して前記網膜に対する前記浮遊物のz位置を特定する
ように構成された前記SLOデバイスと、
レーザビーム経路に沿ってレーザビームを前記浮遊物の前記z位置に向けて誘導するように構成された治療用レーザデバイスと、
xyスキャナであって、
前記SLOデバイスから前記SLOビームを受光し、前記SLOビーム経路に沿って前記SLOビームを前記浮遊物影の前記xy位置に向けて誘導し、
前記治療用レーザデバイスから前記レーザビームを受光し、前記SLOビーム経路に沿って前記レーザビームを前記浮遊物影の前記xy位置に向けて誘導する
ように構成された前記xyスキャナと、
前記SLOデバイス及び前記治療用レーザデバイスを制御するように構成されたコンピュータと
を含む、眼科レーザ手術システム。
【請求項2】
前記xyスキャナの位置であって、エンコーダ単位で表されたエンコーダxy位置に対応する前記位置を検出し、
エンコーダ単位で表された前記エンコーダxy位置を前記浮遊物影の前記xy位置として報告する
ように構成されたxyエンコーダを更に含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項3】
前記治療用レーザデバイスは、
前記浮遊物の前記z位置を受信し、
前記浮遊物影の前記xy位置の角度方向に沿って前記レーザビームの焦点を前記浮遊物の前記z位置に向けて誘導する
ように構成されたz焦点合わせ構成要素を含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項4】
前記SLOデバイスは、40度以上の大きな角度範囲にわたって走査するように構成される、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項5】
前記SLOデバイスは、前記大きな角度範囲よりも小さい小さな角度範囲にわたって走査するように構成される、請求項4に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項6】
前記コンピュータは、
浮遊物影の複数の次のxy位置を予測するように構成され、浮遊物影の前記複数の次のxy位置は、第1のxy位置と、前記第1のxy位置よりも後の第2のxy位置とを含む、請求項1に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項7】
前記コンピュータは、
前記SLOビームを前記浮遊物影の前記第1のxy位置に誘導し、
前記浮遊物の前記z位置を特定する
ように、前記SLOデバイスに命令するように構成される、請求項6に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項8】
前記コンピュータは、
前記SLOビームを前記第2のxy位置に誘導するように前記SLOデバイスに命令し、
前記レーザビームを前記浮遊物の前記z位置に誘導するように前記治療用レーザデバイスに命令する
ように構成される、請求項6に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項9】
眼内の浮遊物を治療するための眼科レーザ手術システムであって、
レンズとピンホールとを含む共焦点フィルタを含む走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスであって、
SLOビーム経路に沿ってSLOビームを前記眼に向けて誘導し、
前記眼の網膜の画像であって、前記浮遊物が前記網膜上に落とす浮遊物影を示す前記画像を生成し、
前記浮遊物影のxy位置を特定し、
前記共焦点フィルタの前記ピンホールに対する前記レンズの焦点の位置を調整して前記浮遊物の画像を生成し、
前記ピンホールに対する前記レンズの前記焦点の前記位置に基づいて前記網膜に対する前記浮遊物のz位置を特定する
ように構成された前記SLOデバイスと、
レーザビーム経路に沿ってレーザビームを前記浮遊物の前記xy位置及び前記z位置に向けて誘導するように構成された治療用レーザデバイスと、
前記SLOデバイス及び前記治療用レーザデバイスを制御するように構成されたコンピュータと
を含む、眼科レーザ手術システム。
【請求項10】
前記治療用レーザデバイスは、
前記浮遊物影の前記xy位置の角度方向に沿って前記レーザビームの焦点を前記浮遊物の前記z位置に向けて誘導するように構成される、請求項9に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項11】
前記SLOデバイスから前記SLOビームを受光し、前記SLOビーム経路に沿って前記SLOビームを前記浮遊物影の前記xy位置に向けて誘導し、
前記治療用レーザデバイスから前記レーザビームを受光し、前記SLOビーム経路に沿って前記レーザビームを前記浮遊物影の前記xy位置に向けて誘導する
ように構成されたxyスキャナを更に含む、請求項9に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項12】
前記xyスキャナの位置であって、エンコーダ単位で表されたエンコーダxy位置に対応する前記位置を検出し、
エンコーダ単位で表された前記エンコーダxy位置を前記浮遊物影の前記xy位置として報告する
ように構成されたxyエンコーダを更に含む、請求項11に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項13】
前記コンピュータは、
浮遊物影の複数の次のxy位置を予測するように構成され、浮遊物影の前記複数の次のxy位置は、第1のxy位置と、前記第1のxy位置よりも後の第2のxy位置とを含む、請求項9に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項14】
前記コンピュータは、
前記SLOビームを前記浮遊物影の前記第1のxy位置に誘導し、
前記浮遊物の前記z位置を特定する
ように、前記SLOデバイスに命令するように構成される、請求項13に記載の眼科レーザ手術システム。
【請求項15】
前記コンピュータは、
前記SLOビームを前記第2のxy位置に誘導するように前記SLOデバイスに命令し、
前記レーザビームを前記浮遊物の前記z位置に向けて誘導するように前記治療用レーザデバイスに命令する
ように構成される、請求項13に記載の眼科レーザ手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼科レーザ手術システムに関し、より詳細には、レーザビトレオライシスのための走査型レーザ検眼鏡によるレーザ誘導に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科レーザ手術では、外科医は、眼を治療するためにレーザビームを眼内に誘導し得る。例えば、眼浮遊物を治療するためにレーザビームが硝子体中に誘導され得る。眼浮遊物は、硝子体中に形成されるコラーゲンタンパク質の塊である。これらの塊は、移動する影及び歪みによって視界を妨げる可能性がある。浮遊物を破砕して視覚を改善するためにレーザビームが使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態では、眼内の浮遊物を治療するための眼科レーザ手術システムは、走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスと、治療用レーザデバイスと、xyスキャナと、コンピュータとを含む。SLOデバイスは、高速フォトダイオードと共焦点フィルタとを含む。SLOデバイスは、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを眼の網膜に向けて誘導し、高速フォトダイオードを使用して眼から反射されたSLOビームを受光し、画像であって、浮遊物が網膜上に落とす浮遊物影を含む画像を、反射されたSLOビームから生成し、xyスキャナに基づいて浮遊物影のxy位置を特定し、共焦点フィルタを使用して網膜に対する浮遊物のz位置を特定する。治療用レーザデバイスは、レーザビーム経路に沿ってレーザビームを浮遊物のz位置に向けて誘導する。xyスキャナは、SLOデバイスからSLOビームを受光し、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。xyスキャナはまた、治療用レーザデバイスからレーザビームを受光し、SLOビーム経路に沿ってレーザビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。コンピュータは、SLOデバイス及び治療用レーザデバイスを制御する。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0005】
*眼科レーザ手術システムは、エンコーダ単位で表されたxy位置に対応するxyスキャナの位置を検出し、エンコーダ単位で表されたxy位置を浮遊物影のxy位置として報告する、xyエンコーダを含む。
【0006】
*治療用レーザデバイスは、浮遊物のz位置を受信し、浮遊物影のxy位置の角度方向に沿ってレーザビームの焦点を浮遊物のz位置に向けて誘導する、z焦点合わせ構成要素を含む。
【0007】
*SLOデバイスは、40度以上の大きな角度範囲にわたって走査する。SLOデバイスはまた、大きな角度範囲よりも小さい小さな角度範囲にわたって走査し得る。
【0008】
*前記コンピュータは、第1のxy位置と、第1のxy位置よりも後の第2のxy位置とを含む、浮遊物影の次のxy位置を予測する。コンピュータは、SLOビームを浮遊物影の第1のxy位置に誘導し、浮遊物のz位置を特定するように、SLOデバイスに命令し得る。コンピュータは、SLOビームを第2のxy位置に誘導するようにSLOデバイスに命令し得、レーザビームを浮遊物のz位置に誘導するように治療用レーザデバイスに命令し得る。
【0009】
特定の実施形態では、眼内の浮遊物を治療するための眼科レーザ手術システムは、走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスと、治療用デバイスと、コンピュータとを含む。SLOデバイスは、レンズとピンホールとを備えた共焦点フィルタを含む。SLOデバイスは、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを眼に向けて誘導し、眼の網膜の画像を生成し、画像は、浮遊物が網膜上に落とす浮遊物影を示し、浮遊物影のxy位置を特定する。SLOデバイスは、共焦点フィルタのピンホールに対するレンズの焦点の位置を調整して浮遊物の画像を生成し、ピンホールに対するレンズの焦点の位置に基づいて網膜に対する浮遊物のz位置を特定する。治療用レーザデバイスは、レーザビーム経路に沿ってレーザビームを浮遊物のxy位置及びz位置に向けて誘導する。コンピュータは、SLOデバイス及び治療用レーザデバイスを制御する。
【0010】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0011】
*治療用レーザデバイスは、浮遊物影のxy位置の角度方向に沿ってレーザビームの焦点を浮遊物のz位置に向けて誘導する。
【0012】
*眼科レーザ手術システムは、xyスキャナを更に含む。xyスキャナは、SLOデバイスからSLOビームを受光し、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。xyスキャナはまた、治療用レーザデバイスからレーザビームを受光し、SLOビーム経路に沿ってレーザビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。眼科レーザ手術システムは、xyエンコーダを含み得る。xyエンコーダは、エンコーダ単位で表されたエンコーダxy位置に対応する、xyスキャナの位置を検出し、エンコーダxy位置を浮遊物影のxy位置として報告する。
【0013】
*コンピュータは、第1のxy位置と、第1のxy位置よりも後の第2のxy位置とを含む、浮遊物影の次のxy位置を予測する。コンピュータは、浮遊物影の第1のxy位置にSLOビームを誘導し、浮遊物のz位置を特定するように、SLOデバイスに命令し得る。コンピュータは、SLOビームを第2のxy位置に誘導するようにSLOデバイスに命令し得、レーザビームを浮遊物のz位置に誘導するように治療用レーザデバイスに命令し得る。
【0014】
*SLOデバイスは、40度以上の大きな角度範囲にわたってSLOビームを走査する。SLOデバイスは、大きな角度範囲よりも小さい小さな角度範囲にわたってSLOビームを走査し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】特定の実施形態による、眼を治療するために使用され得る眼科レーザ手術システムの一例を示す。
図2図1のシステムによって生成され得る画像の一例を示す。
図3】特定の実施形態による、図1のシステムで使用され得る走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスの一例を示す。
図4】特定の実施形態による、図1のシステムによって使用され得る、浮遊物影のxy位置を追跡及び予測する一例を示すグラフである。
図5】特定の実施形態による、図1のシステムによって実行され得る浮遊物を治療するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、特許請求の範囲を、図面において示され、説明において開示される特定の実施形態に限定することも意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0017】
特定の撮像システムは、光干渉断層撮影(OCT)デバイスを使用して、眼内の浮遊物のz位置を撮像して特定し得る。しかしながら、OCTデバイスは高価である。よって、本明細書で説明するシステムは、走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイスを使用して、浮遊物影のxy位置だけでなく浮遊物のz位置も測定する。SLOデバイスは、浮遊物のz位置を特定するために使用できる共焦点フィルタを含む。
【0018】
図1は、特定の実施形態による、眼を治療するために使用され得る眼科レーザ手術システム10の一例を示す。概要として、システム10は、図示のように結合された、走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイス21、治療用レーザデバイス22、1つ又は複数の共有構成要素24、及びコンピュータ26を含む。治療用レーザデバイス22は、図示のように結合された、レーザ30及びz焦点合わせ構成要素32を含む。共有構成要素24は、図示のように結合された、xyスキャナ40、xyエンコーダ41、及び光学要素(ミラー42及びレンズ44、46など)を含む。コンピュータ26は、図示のように結合された、ロジック50、(コンピュータプログラム54を記憶する)メモリ52、及びディスプレイ56を含む。
【0019】
システム10の動作の概要として、SLOデバイス21は、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを眼内の浮遊物影及び/又は浮遊物に向けて誘導し、xyスキャナに及び/又は網膜に対する浮遊物のz位置に基づいて浮遊物影のxy位置を特定する。治療用レーザデバイス22は、レーザビーム経路に沿ってレーザビームを浮遊物のz位置に向けて誘導する。共有構成要素のxyスキャナ40は、SLOビーム及び浮遊物影のxy位置を受信し、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。xyスキャナ40はまた、治療用レーザデバイス22からレーザビームを受光し、SLOビーム経路と位置合わせされたレーザビーム経路に沿ってレーザビームを浮遊物影のxy位置に向けて誘導する。
【0020】
システムの部分に着目すると、SLOデバイス21は、硝子体中の浮遊物及び/又は浮遊物影を検出、位置特定、及び/又は撮像する。浮遊物影を撮像するために、SLOデバイス21は、SLOビーム経路に沿ってSLOビームを、影が落とされた網膜に向けて誘導する。SLOデバイス21は、反射されたビームを検出し、反射されたビームから画像を生成し、この画像は、ディスプレイ56上に映像として表示され得る。SLOデバイス21は、影の画像から浮遊物影のxy位置を特定する(コンピュータ26を利用して特定し得る)。SLOデバイス21は、干渉計デバイスの画像フレームレートよりも高い画像フレームレート(例えば、30~60、例えば45~55、又は約50フレーム毎秒(フレーム/秒))を有し、これによって、浮遊物影のより高速な追跡が可能となる。加えて、SLOデバイス21は、図3を参照して説明したように、浮遊物のz位置を測定するために使用できるz焦点合わせ構成要素(例えば、調整可能な共焦点レンズ)を含む共焦点フィルタを含む。
【0021】
治療用レーザデバイス22に着目すると、超短パルスレーザ30は、例えば400nm~2000nmの範囲の、任意の適切な波長を有するレーザビームを生成する。治療用レーザデバイス22は、任意の適切な繰り返し率でレーザパルス(例えば、200メガヘルツ(MHz)までの単一パルス)を送達する。レーザパルスは、任意の適切なパルス幅(例えば、20フェムト秒(fs)~1000ナノ秒(ns))、任意の適切なパルスエネルギー(例えば、1ナノジュール(nJ)~10ミリジュール(mJ))、及び任意の適切なサイズの焦点(例えば、1~30ミクロン(μm))を有する。特定の実施形態では、レーザは、100パルス毎秒(pps)を超える繰り返し率を有するピコ秒又はフェムト秒レーザである。
【0022】
z焦点合わせ構成要素32は、レーザビームの焦点を特定の位置へ浮遊物影の方向に長手方向に誘導する。特定の実施形態では、z焦点合わせ構成要素32は、コンピュータ26又はSLOデバイス21から浮遊物のz位置を受信し、レーザビームを浮遊物のz位置に向けて誘導する。z焦点合わせ構成要素32は、屈折力可変レンズ、機械的に移動可能なレンズ、電気的に調整可能なレンズ(例えば、Optotune社のレンズ)、電気的又は機械的に調整可能な望遠鏡を含み得る。特定の実施形態では、治療用レーザデバイス22又は光送達システムはまた、例えば3D焦点パターンを作成するために、z焦点合わせ構成要素32と連動して使用される高速xyスキャナを含む。そのようなスキャナの例としては、ガルバノスキャナ、MEMSスキャナ、共振スキャナ、又は音響光学スキャナが挙げられる。
【0023】
共有構成要素24は、SLOデバイス21及び治療用レーザデバイス22からのSLOビーム及びレーザビームを、それぞれ眼に向けて誘導する。SLOビームとレーザビームは両方とも共有構成要素24を使用するため、両方のビームは同じ光学歪み(例えば、スキャナの扇形歪み、スキャナレンズの樽形又は枕形歪み、眼の内面からの屈折歪み、及び他の歪み)の影響を受ける。歪みは、両方のビームに同じように影響を及ぼすので、歪みが補償される。これにより、SLOビームによって生成された画像を使用して、向上した精度でレーザビームの照準を合わせることが可能となる。
【0024】
共有構成要素24の動作の概要として、ミラー42は、ビーム(SLO及び/又はレーザビーム)をxyスキャナ40に向けて誘導し、xyスキャナ40は、ビームをレンズ44に向けて横方向に誘導する。レンズ44及び46は、眼に向けてビームを誘導する。共有構成要素24はまた、ビームが同じ経路を共有することを可能にするために、SLO及びレーザビームのスペクトル及び偏光結合及び分離を提供し得る。
【0025】
共有構成要素24の細部に着目すると、特定の実施形態では、xyスキャナ40は、SLOデバイス20又はコンピュータ26から浮遊物影のxy位置を受信し、SLO及び/又はレーザビームをxy位置に向けて誘導する。xyスキャナ40は、ビームの焦点をx及びy方向に横方向に誘導し、瞳孔へのビームの入射角を変化させる任意の適切なxyスキャナであり得る。例えば、xyスキャナ40は、相互に垂直な軸の周りでチルトすることができるガルバノメトリック作動式スキャナミラーの対を含む。別の例として、xyスキャナ40は、ビームを音響光学的に操作できる音響光学結晶を含む。別の例として、xyスキャナ40は、例えば、レーザスポットの2Dマトリクスを生成できる高速スキャナ(例えば、ガルバノスキャナ、共振スキャナ、又は音響光学スキャナ)を含む。
【0026】
xyエンコーダ41は、xyスキャナ40の位置を検出し、その位置をxy位置として報告する。例えば、xyエンコーダ41は、xyスキャナ40のガルバノミラーの角度方向をエンコーダ単位で検出する。xyエンコーダ41は、SLOデバイス21、治療用レーザデバイス22、及び/又はコンピュータ26に位置をエンコーダ単位で報告し得る。SLOデバイス21及び治療用レーザデバイス22がxyスキャナ40を共有するので、コンピュータ26は、エンコーダ単位を使用して、ビームの照準をどこに合わせるべきかをシステム20及びデバイス22に指示することができ、エンコーダ単位からミリメートルなどの長さ単位へのコンピュータを利用した変換の実行を不要にする。xyエンコーダ41は、任意の適切な速度で、例えば5~50ミリ秒(ms)毎、例えば10~30ミリ秒毎又は約20ミリ秒毎に位置を報告し得る。
【0027】
共有構成要素24はまた光学要素を含む。一般に、光学要素は、レーザビームに作用(例えば、透過、反射、屈折、回折、コリメート、調整、整形、集束、変調、及び/又は他の方法で作用)することができる。光学要素の例としては、レンズ、プリズム、ミラー、回折光学要素(DOE)、ホログラフィック光学要素(HOE)、及び空間光変調器(SLM)が挙げられる。この例では、光学要素は、ミラー42と、レンズ44及び46とを含む。ミラー42は、トリクロイックミラーであり得る。レンズ44及び46は、SLOデバイスの走査光学系であり得る。
【0028】
コンピュータ26は、コンピュータプログラム54に従ってシステム10の構成要素(例えば、SLOデバイス21、治療用レーザデバイス22、及び/又は共有構成要素24)を制御する。コンピュータ26は、構成要素から分離され得るか、又は任意の適切な方式でシステム10間、例えばSLOデバイス21、治療用レーザデバイス22、及び/又は共有構成要素24内に分散して配置され得る。特定の実施形態では、SLOデバイス21、治療用レーザデバイス22、及び/又は共有構成要素24を制御するコンピュータ26の部分は、それぞれ、SLOデバイス21、治療用レーザデバイス22、及び/又は共有構成要素24の一部であり得る。
【0029】
コンピュータ26は、システム10の構成要素を制御し、構成要素がそれらの動作を実行することを可能にするために、システム10の構成要素の一部であり得る。コンピュータ26は、コンピュータプログラム54に従って構成要素を制御する。コンピュータプログラム54の例としては、浮遊物影撮像プログラム、浮遊物影追跡プログラム、画像処理プログラム、浮遊物評価プログラム、網膜露光量算出プログラム、患者教育プログラム、及び保険承認プログラムが挙げられる。例えば、コンピュータ26は、コンピュータプログラム54を使用して、浮遊物影又は浮遊物を撮像し、浮遊物のxy位置及びz位置を特定し、レーザビームの焦点を浮遊物に合わせるように、SLOデバイス21、治療用レーザデバイス22、及び/若しくは共有構成要素24に命令し並びに/或いはこれらを制御し得る。
【0030】
特定の実施形態では、コンピュータ26は、画像処理プログラム54を使用して画像に対して画像処理を実行する、例えば、画像のデジタル情報を解析して画像から情報を抽出する。特定の実施形態では、画像処理プログラム54は、浮遊物影の画像を解析して浮遊物に関する情報を取得する。例えば、プログラム54は、(例えば、エッジ検出又は画素解析を使用して)画像内のより暗い形状を検出することによって浮遊物影を検出し得る。別の例として、プログラム54は、浮遊物のサイズ及び形状を示す、浮遊物影の形状及びサイズを検出し得る。別の例として、プログラム54は、浮遊物の密度を示す、浮遊物影の色調又は発光を検出し得る。
【0031】
特定の実施形態では、コンピュータ26は、追跡プログラム54を使用して浮遊物影の動きを追跡及び/又は予測する。例えば、コンピュータ26は、浮遊物影の動きを追跡するために、SLOデバイスからの網膜映像の画像解析を実行し得る。追跡プログラム54は、浮遊物影の動きを予測し、レーザビームが浮遊物に到達するときに浮遊物影があると予測される位置を治療用レーザデバイス22に送信し得る。特定の実施形態では、コンピュータ26は、SLOデバイス21の一部として動作の追跡及び/又は予測を実行し得る。浮遊物影の動きの追跡及び予測について、図4を参照してより詳細に説明する。
【0032】
図2は、図1のシステム10によって生成され得る網膜画像60の一例を示す。画像60は、中心窩領域(又は中心窩)64及び傍中心窩領域(又は傍中心窩)66を有する眼の網膜62を示す。一般に、中心窩64は、約±1度の視角を有し、傍中心窩66は約±7度の視角を有する。画像60は、浮遊物が網膜62上に落とす浮遊物影68(68a、68b、68c)の例も示す。他の浮遊物影は、異なるサイズ、形状、及び/又は光学密度を有し得る。
【0033】
浮遊物は、患者の視線が移動すると移動する可能性がある。ほとんどの浮遊物は、粘性物質である硝子体中に埋め込まれているため、動きは、予期しない加速又は急停止なしに、比較的緩慢且つ予測可能である。よって、浮遊物影の追跡は、技術的に実現可能である。移動しない影は通常、浮遊物によって引き起こされるものではないが、例えば、角膜若しくは水晶体の混濁、又は網膜の解剖学的変化などによって引き起こされる可能性があり、したがって、浮遊物の治療は移動しない影とは関係がない。
【0034】
浮遊物は、浮遊物影の任意の適切な特徴、例えば、影のサイズ及び/又は濃度、中心窩及び/又は傍中心窩に対する影の近接度、並びに/或いは中心窩及び/又は傍中心窩に対する影の軌跡から特定できる、視覚障害を浮遊物が引き起こす可能性がある場合に臨床的に重大なものとみなされ得る。一例として、浮遊物は、浮遊物が永久的若しくは一時的に中心窩64上に影68を落とす場合、視覚障害を引き起こす可能性があり、又は浮遊物が永久的又は一時的に傍中心窩66上に影68を落とす場合、注意散漫又は不快感を引き起こす可能性がある。よって、浮遊物影が中心窩64及び/若しくは傍中心窩66内に入るか又はその中で移動すると予測される場合、浮遊物は、臨床的に重大なものと指定され得る。別の例として、浮遊物影68は、浮遊物のサイズ及び密度を推定するために使用することができる。より大きく高密度の浮遊物は、視覚障害を引き起こす可能性がより高い。したがって、臨界の影サイズよりも大きい影68は、臨床的に重大な浮遊物を示す可能性がある。背景に対してより高いコントラストを有する影68は、臨床的に重大な浮遊物を示す場合がある。
【0035】
特定の実施形態では、外科医などのユーザは、表示された浮遊物影の画像(映像など)から重要性を判断し得る。画像処理プログラムは、ユーザが判断を下すのを支援することができる。他の実施形態では、コンピュータは、画像処理及び標的評価コンピュータプログラムを使用して画像から重要性を判断することができる。
【0036】
図3は、特定の実施形態による、図1のシステム10で使用され得る走査型レーザ検眼鏡(SLO)デバイス21の一例である。SLOデバイス21は、浮遊物のz位置を測定できる調整可能な共焦点レンズを含む。この例では、SLOデバイス21は、図示のように結合された、レーザ源80、コリメートレンズ82、ビームスプリッタ84、共焦点フィルタ(zスキャナレンズ86とピンホール88とを含む)、及びフォトダイオード90を含む。
【0037】
動作の一例として、レーザ源80はSLOビームを生成し、コリメートレンズ82は、このビームをコリメートする。ビームスプリッタ84は、レーザ源80からのビームを共有構成要素24に送信する。xyスキャナ40(スキャナミラーの対を含む)は、ビームを眼に向けて偏向させる。xyスキャナ40は、任意の適切な角度範囲、例えば、少なくとも30度、40度、50度、若しくは120度などの大きな範囲、又は大きな範囲よりも小さい小さな範囲にわたってSLOビームを走査し得る。レンズ44及び46は、スキャナミラーを眼の瞳孔に共役させる。SLOビームは、瞳孔を通って眼に入る。眼の天然水晶体は、SLOビームの焦点を眼の網膜上に合わせる。
【0038】
眼の天然水晶体及びレンズ44及び46は、網膜からの後方反射光をコリメートする。xyスキャナ40及びビームスプリッタ84は、後方反射光を、レンズ86とピンホール88をと含む共焦点フィルタに向けて誘導する。ピンホール88に対するレンズ86の焦点の位置に応じて、眼の内部の異なる部分を撮像することができる。例えば、レンズ86の焦点がピンホール88に位置する場合、共焦点フィルタは、網膜から反射された集束SLOビーム(浮遊物影を示す可能性がある)のみを透過し、他の光を抑制する。別の例として、レンズ86の焦点は、浮遊物を視覚化し、他の後方反射光を抑制するために、ピンホール88の前に配置され得る。フォトダイオード90は、後方反射光の強度を測定する。
【0039】
コンピュータ20は、xyスキャナ40のミラーの角度方向と、フォトダイオード90によって測定される後方反射光の強度とを記録する。コンピュータ20は、この情報を使用して網膜又は浮遊物の画像を生成する。標準的なSLOのコンピュータ26の速度は、通常、網膜画像をリアルタイム映像として表示するのに十分に高い。
【0040】
構成要素に着目すると、レーザ源80は、白色光を含み得る、SLOビームを生成する任意の適切なレーザであり得る。共焦点フィルタは、光をフォトダイオード90に向けて誘導し、レンズ86とピンホール88とを含む。レンズ86は、光の焦点をz方向に変化させることができる任意の適切なスキャナ又はレンズ、例えば電気的に調整可能なレンズであり得る。レンズ86の焦点とピンホール88との間の距離(「ZCF距離」)は、眼内部の異なる部分を任意の適切な方式で撮像するために調整することができる。例えば、ZCF距離は機械的に調整され得る。別の例として、レンズ86は、その焦点を調整できる電気的に調整可能なレンズ(例えば、Optotune社のレンズ)であり得る。
【0041】
フォトダイオード90は、任意の適切な光検出器、例えば、アバランシェフォトダイオード(APD)であり得る。フォトダイオード90は、応答時間が0.1ナノ秒(ns)~1マイクロ秒(μs)の範囲、例えば1ns~1μsであるフォトダイオードなどの、高速フォトダイオードであり得る。応答時間は、所望の感度に応じて選択され得る。特定の実施形態では、フォトダイオード90は、約20マイクロメートル(μm)の空間分解能で最大25フレーム/秒の映像フレームレートを可能にし得る。
【0042】
特定の実施形態では、コンピュータ20及び/又はSLOデバイス21は、治療用レーザの焦点を浮遊物上に合わせるために、共焦点フィルタからの情報を利用して、浮遊物と網膜との間の距離(「FR距離」)を特定することができる。実施形態では、コンピュータ20は、光学ソフトウェアにアクセスして、ZCF距離をFR距離に変換する。コンピュータ20は、FR距離を使用して、レーザデバイス22のz焦点合わせ構成要素32を調整し、治療用レーザビームの焦点を浮遊物上に合わせる。
【0043】
図4は、特定の実施形態による、図1の眼科レーザ手術システムによって使用され得る、浮遊物影のxy位置を追跡及び予測する一例を示すグラフ180である。実施形態では、コンピュータは、追跡プログラムを使用して浮遊物影の動きを追跡及び/又は予測する。例えば、コンピュータは、網膜画像の画像解析を実行して、浮遊物を追跡するために浮遊物影の動きを追跡する。図2を参照して説明したように、浮遊物の治療は、移動する影に関係している。
【0044】
この例では、xy位置は、(エンコーダ41によって提供され得る)エンコーダ単位で与えられる。変数tは、時点t=-3、-2、-1、0、1、2を表し、ここで、t=0は現在の時点であり、t=-3、-2、-1は過去の時点であり、t=1、2、3は将来の時点である。Ytは、時点tにおけるエンコーダ単位でのy位置を表し、Xtは、時点におけるエンコーダ単位でのx位置を表す。追跡プログラムは、過去のxy位置の外挿から将来のxy位置を予測し得る。
【0045】
この例では、レンズ86とピンホール88とを含む、共焦点フィルタは、参照番号182で示される、時点t=1でのxy位置(x1,y1)における浮遊物のz位置を測定する。測定は、レーザを発射する数ミリ秒前に実行され得る。治療用レーザデバイスは、参照番号184で示される、時点t=2でのxy位置(x2,y2)に、レーザパルスを含むレーザビームを発射する。レーザビームは、xyスキャナによってxy位置(x2,y2)へ誘導され、z焦点合わせ構成要素によってレーザビームの焦点がz位置に合わせられる。一般に、浮遊物はz方向にはあまり移動しないので、t=1で測定されたz位置は、t=2でのz位置に十分に近い可能性がある。
【0046】
図5は、特定の実施形態による、図1のシステム10によって実行され得る浮遊物を治療するための方法の一例を示す。方法は、ステップ110で始まり、ステップ110では、SLOデバイスは、大きな角度範囲にわたって走査して網膜の画像を生成する。例えば、SLOは、50フレーム毎秒(フレーム/秒)以上のフレームレートで40度以上の角度範囲を走査し得る。
【0047】
コンピュータは、ステップ112において、画像から浮遊物影のxy位置を特定する。SLOデバイスは、ステップ114において、浮遊物影を追跡する。SLOデバイスは、ステップ116において、小さな角度範囲にわたって走査する。例えば、SLOは、5~20度の小さな角度範囲を走査し得る。小さな角度範囲は、高速なフレームレートを可能にする。
【0048】
コンピュータは、ステップ118において、将来のSLOフレームにおける浮遊物影のxy位置を予測し、その間に、浮遊物のz位置を測定することができ、レーザパルスを浮遊物へ誘導することができる。例えば、コンピュータは、次の2~5フレームにおけるxy位置を予測し得る、例えば、次のフレーム1及び2におけるxy位置(x1,y1)及び(x2,y2)が予測され得る。特定の実施形態では、エンコーダは、影の位置をエンコーダ単位で提供し、コンピュータは、過去の影の位置から将来の影の位置を予測し得る。
【0049】
SLOデバイスは、SLOビームを予測位置(x1,y1)に誘導し、共焦点フィルタは、ステップ120において、浮遊物のz位置を測定する。治療用レーザデバイスは、ステップ122において、レーザパルスの焦点を浮遊物のz位置に合わせる。例えば、コンピュータは、パルスの焦点をz位置に合わせるように、レーザデバイスのz焦点合わせ構成要素に命令する。SLOデバイスは、ステップ124において、SLOビームを予測位置(x2,y2)に誘導する。ステップ120及び124の継続時間中に、浮遊物は通常、xy方向に移動し、z方向へは無視できる程度しか移動しない。
【0050】
治療用レーザデバイスは、ステップ126において、レーザパルスを浮遊物に誘導して浮遊物を破砕する。浮遊物は、通常数ミリメートルの寸法の体積を有する。特定の実施形態では、レーザパルスは、数十パルスから数千パルスの範囲であり得るとともに、浮遊物のサイズに依存し得る、任意の適切な数のパルスの2次元(2D)又は3次元(3D)パターンを形成し得る。任意の適切な繰り返し率が使用され得る。例えば、数kHzの繰り返し率によって、1秒よりも短い治療時間が得られ得る。
【0051】
本明細書に開示のシステム及び装置の(制御コンピュータなどの)構成要素は、インターフェース、ロジック、及び/又はメモリを含み得、これらのうちの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インターフェースは、構成要素への入力を受信する、及び/又は構成要素からの出力を送信することができ、通常、例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ及びこれらの組み合わせ間で情報を交換するために使用される。ユーザインターフェースは、コンピュータと通信する(例えば、コンピュータに入力を送信する及び/又はコンピュータから出力を受信する)ためにユーザが利用できるインターフェースの一種である。ユーザインターフェースの例としては、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイク、及びスピーカが挙げられる。
【0052】
ロジックは、構成要素の操作を行うことができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する1つ又は複数の電子デバイスを含み得る。かかる電子デバイスの例としては、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU))、及びコンピュータチップが挙げられる。ロジックは、操作を行うために電子デバイスにより実行されることができる命令を符号化するコンピュータソフトウェアを含み得る。コンピュータソフトウェアの例としては、コンピュータプログラム、アプリケーション、及びオペレーティングシステムが挙げられる。
【0053】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読及び/又はコンピュータ実行可能なストレージ媒体を含み得る。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読み出し専用メモリ(ROM))、マスストレージメディア(例えば、ハードディスク)、リムーバブルストレージメディア(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)、及び/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いて符号化されたメモリを対象とし得る。
【0054】
特定の実施形態に関して本開示を説明してきたが、実施形態の修正形態(例えば、変更形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の修正形態)が、当業者には明らかになろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に対する修正がなされ得る。例えば、本明細書で開示されたシステム及び装置に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、システム及び装置の構成要素は、統合若しくは分離され得る、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他の構成要素によって実行され得る。別の例として、本明細書で開示された方法に対する修正がなされ得る。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含み得、ステップは、任意の適切な順序で実行され得る。
【0055】
請求項を解釈する際に特許庁及び読者を助けるために、本出願人らは、用語「のための手段(means for)」又は「のためのステップ(step for)」が特定請求項において明示的に使用されない限り、請求項又は請求要素のいかなるものも合衆国法典第35巻§112条(f)を想起させるように意図されてはいないということを注記する。請求項内の任意の他の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、又は「コントローラ」)の使用は、当業者にとって既知の構造を指すものと本出願人らにより理解され、したがって合衆国法典第35巻§112条(f)を想起させるように意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】