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特表2024-538286中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61N5/10 H
A61N5/10 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525465
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022018101
(87)【国際公開番号】W WO2023101271
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0169024
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518460417
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・ラディオロジカル・アンド・メディカル・サイエンシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ボン・ファン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウ・パク
(72)【発明者】
【氏名】チャ・ウォン・パク
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC07
4C082AE01
4C082AG32
4C082AG42
(57)【要約】
本発明は、ビーム成形装置の経路を迷路のように変化を与え、反射面の角度も前後方向の軸から多様な角度をつけて備えることで、中性子束は維持してかつガンマ線束を画期的に減らすことができる中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子の移動方向に沿って備えられ、ガンマ線及び高速中性子束を減少させて熱外中性子束の減少を最小化することができるように構成される中性子ビーム成形モジュール;及び、
前記中性子ビーム成形モジュールの周りを取り囲んで備えられる反射体;を含み、
前記中性子ビーム成形モジュールは、前方から後方にわたる軸に沿って備えられ、少なくとも一部が前記軸と異なる経路に沿って備えられる中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項2】
前記中性子ビーム成形モジュールは、
前記高速中性子を遮蔽することができるように構成され、中性子発生用ターゲットに隣接して配置される第1の遮蔽部;
前記第1の遮蔽部の後端に備えられ、中性子のエネルギーを減少させることができるように構成される減速材;及び、
前記減速材の後端に備えられ、熱中性子及びガンマ線を遮蔽することができるように構成される第2の遮蔽部;を含む、請求項1に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項3】
傾斜面が、前記第1の遮蔽部、前記減速材、及び前記第2の遮蔽部のうち少なくとも一つの境界に形成される、請求項2に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項4】
前記中性子ビーム成形モジュールの左右側に備えられた反射面は、互いに非対称に備えられる、請求項3に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項5】
前記傾斜面は、
前記減速材と前記反射体の境界面に形成され、
少なくとも二つの互いに異なる角度を有する、請求項4に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項6】
前記互いに異なる二つの傾斜面は、前記粒子ビームの移動方向と平行する平面から正の角及び負の角で配置される、請求項5に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項7】
前記減速材と前記反射体の境界面は、前記粒子ビームの照射方向と平行する角度で備えられる反射面を含む、請求項6に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項8】
前記第1の遮蔽部と前記第2の遮蔽部は、互いに平行に備えられる、請求項4に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項9】
前記第1の遮蔽部と前記第2の遮蔽部の中心は、前記粒子ビームの照射経路上に位置する、請求項8に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項10】
前記第1の遮蔽部と前記第2の遮蔽部の中心は、前記粒子ビームの照射経路と異なる地点に位置する、請求項8に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項11】
前記第1の遮蔽部と前記第2の遮蔽部は、互いに異なる角度で備えられる、請求項4に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【請求項12】
前記第1の遮蔽剤は、前記粒子ビームの照射方向と直交しないように配置される、請求項4に記載の中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ホウ素中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素中性子捕捉療法は、あらかじめホウ素を含む物質を注入して癌細胞にホウ素を集積させた後、中性子を照射して癌細胞内で核分裂を起こし、核分裂による粒子が放出されながら癌細胞を死滅させる治療方法である。ホウ素中性子捕捉療法は、代表的に脳腫瘍、頭頸部癌、皮膚癌等に効果的であると知られていて、従来の放射線治療方法に比べて正常細胞の放射線露出による副作用を最小化することができるという点から次世代癌治療方法として脚光を浴びている。
【0003】
ホウ素中性子捕捉療法装置により発生される中性子は、エネルギーに応じて10keV以上のエネルギーを有する高速中性子(fast neutron)、0.5eV乃至10keVの熱外中性子(epithermal neutron)、及び0.5eV以下のエネルギーを有する熱中性子(thermal neutron)に区分される。このうち、高速中性子は透過力が高くて腫瘍周辺組織に放射性副作用を起こし、エネルギーが低い熱中性子は皮膚に放射性副作用を引き起こすため、治療用目的としては適しないと知られている。
【0004】
このようなホウ素中性子捕捉療法装置と関連して米国登録特許US10124192号が開示されている。一方、このような従来技術では中性子捕捉療法で発生できる放射線による不必要な線量を制御するために、高速中性子フィルタ、ガンマ線フィルタなど、ビーム方向に配置して使用していたが、このようなフィルタの使用は治療に必要な熱外中性子の束も減少させることができるという短所を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のホウ素中性子捕捉療法装置に使われるビーム成形装置の問題点を解決して中性子束の減少を最小化すると同時にガンマ線と高速中性子による線量汚染値を最小化するビーム成形装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題の解決手段として、中性子の移動方向に沿って備えられ、ガンマ線及び高速中性子束を減少させて熱外中性子束の減少を最小化することができるように構成される中性子ビーム成形モジュール、及び中性子ビーム成形モジュールの周りを取り囲んで備えられる反射体を含み、中性子ビーム成形モジュールは、前方から後方にわたる軸に沿って備えられ、少なくとも一部が軸と異なる経路に沿って備えられる中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置が提供される。
【0007】
一方、中性子ビーム成形モジュールは、高速中性子を遮蔽することができるように構成され、中性子発生用ターゲットに隣接して配置される第1の遮蔽部、第1の遮蔽部の後端に備えられ、中性子のエネルギーを減少させることができるように構成される減速材、及び減速材の後端に備えられ、熱中性子及びガンマ線を遮蔽することができるように構成される第2の遮蔽部を含んで構成される。
【0008】
また、傾斜面が、第1の遮蔽部、減速材、及び第2の遮蔽部のうち少なくとも一つの境界に形成される。
【0009】
また、中性子ビーム成形モジュールの左右側に備えられた反射面は、互いに非対称に備えられる。
【0010】
一方、傾斜面は、減速材と反射体の境界面に形成され、少なくとも二つの互いに異なる角度を有するように構成される。
【0011】
一方、互いに異なる二つの傾斜面は、粒子ビームの移動方向と平行する平面から正の角及び負の角で配置される。
【0012】
また、減速材と反射体の境界面は、粒子ビームの照射方向と平行する角度で備えられる反射面を含む。
【0013】
一方、第1の遮蔽部と第2の遮蔽部は、互いに平行に備えられる。
【0014】
また、第1の遮蔽部と第2の遮蔽部の中心は、粒子ビームの照射経路上に位置する。
【0015】
一方、第1の遮蔽部と第2の遮蔽部の中心は、粒子ビームの照射経路と異なる地点に位置する。
【0016】
また、第1の遮蔽部と第2の遮蔽部は、互いに異なる角度で備えられる。
【0017】
一方、第1の遮蔽剤は、粒子ビームの照射方向と直交しないように配置される。
【発明の効果】
【0018】
本発明による中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置は、IAEA-TECDOC-1223で勧告しているBNCTでの線量汚染値(物理的線量値/熱外中性子値)を最小化させることができる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】中性子捕捉療法装置の概念図である。
図2】本発明によるビーム成形装置とターゲットを示す概念図である。
図3】従来のビーム成形装置と本発明によるビーム成形装置における中性子に対する計算機シミュレーションを実行した結果である。
図4a】ビーム成形装置のmoderator angleに中性子成形装置の性能を示す。
図4b】ビーム成形装置のmoderator angleに中性子成形装置の性能を示す。
図4c】ビーム成形装置のmoderator angleに中性子成形装置の性能を示す。
図4d】ビーム成形装置のmoderator angleに中性子成形装置の性能を示す。
図5】本発明による第1の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
図6】本発明による第2の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
図7】本発明による第3の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
図8】本発明による第4の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
図9】本発明による第5の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
図10】本発明による第6の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例に係る中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置に対して、添付図面を参照して詳細に説明する。そして、以下の実施例の説明において、それぞれの構成要素の名称は、当業界で他の名称で呼ばれることができる。しかし、これらの機能的類似性及び同一性があれば、変形された実施例を採用しても均等な構成とみることができる。また、それぞれの構成要素に付加された符号は、説明の便宜のために記載される。しかし、これらの符号が記載された図面上の図示内容は、それぞれの構成要素を図面内の範囲に限定しない。同様に、図面上の構成を一部変形した実施例が採用されても機能的類似性及び同一性があれば、均等な構成とみることができる。また、当該技術分野の一般的な技術者の水準に鑑みて、当然含まれるべき構成要素と認定される場合、これに対しては説明を省略する。
【0021】
以下、方向に対する説明として「前方」と「後方」の用語を使用する。前方はビーム成形装置が加速器を見る方向を意味し、後方は中性子が最終的に到達する患者を見る方向と定義して説明する。前記記述方向によると、中性子は、前方側からビーム成形装置へ照射され、ビーム成形装置を通過して後方へ抜け出るようになる。
【0022】
図1は、中性子捕捉療法装置の概念図である。
【0023】
図示されたように、ホウ素中性子捕捉療法において、中性子を発生させる中性子発生装置は、サイクロトロン、線形加速器、及び静電型加速器のような粒子加速器1、粒子加速器1から高速で放出される陽性子ビームを加速する静電加速器2、陽性子ビームのビーム経路上に設置され、ビームに衝突してその内部の中性子を放出するターゲットが備えられたチャンバ3を含んで構成される。
【0024】
ターゲットで発生された中性子は、10keV以上のエネルギーを有する高速中性子(fast neutron)、0.5eV乃至10keVの熱外中性子(epithermal neutron)、及び0.5eV以下のエネルギーを有する熱中性子(thermal neutron)に区分されることができ、高速中性子を治療に適した熱外中性子に転換できるようにビーム成形装置100が区分される。
【0025】
ビーム成形装置100を通過した中性子ビームは、コリメータにより所望の領域を通過するように構成され、最終的に患者3の患部に照射されて核反応が行われる。
【0026】
図2は、本発明によるビーム成形装置とターゲットを示す概念図である。
【0027】
図2を参照すると、中性子捕捉療法の際、粒子ビームがターゲット200に照射されて核反応が起こるようになり、またガンマ線(γ)が発生するようになる。この時に発生された中性子及びガンマ線は、後方に向かって多様な角度で放出される。以後、ビーム成形装置100
【0028】
を通過しながら適切なエネルギーを有する熱外中性子領域に減速されてフィルタリングされて患者に照射されることができる。
【0029】
一方、本発明によるビーム成形装置100は、粒子ビームが照射される方向、すなわち、前後方向に沿って直線型に配置された従来のビーム成形装置100とは違って、ビーム成形装置100の角度及び反射面の角度を調節して中性子束の減少を最小化してガンマ線を遮蔽することができるように構成される。
【0030】
本発明によるビーム成形装置100は、中性子が通過する領域を決定するビーム成形モジュール110とビーム成形モジュール110の側面を取り囲んで備えられる反射体を含んで構成されることができる。
【0031】
本発明による一実施例において、ビーム成形モジュール110は、前方から後方にわたる軸に沿って備えられることができる。この時、ビーム成形モジュール110の少なくとも一部は、軸と異なる経路に沿って備えられることができる。
【0032】
ビーム成形モジュール110は、第1の遮蔽部111、減速材112、及び第2の遮蔽部113を含んで構成されることができる。第1の遮蔽部111、減速材112、及び第2の遮蔽部113は、前方から後方に向かって順序通りに配置されることができる。
【0033】
第1の遮蔽部111は、高速中性子を遮蔽することができるように構成される。第1の遮蔽部111は、一例として鉄またはアルミニウムを含んで構成されることができる。
【0034】
減速材112は、第1の遮蔽部111を通過した中性子を熱外中性子領域に減速させることができるように構成される。減速材112は、フッ素(Fluorine)を含んで構成されることができ、MgF2、CaF2、PbF2、AlF3、PTFE[(CF2)n]及びFludental(AlF3:69%、Al:30%、LiF:1%)などの材質を含んで構成されることができる。
【0035】
第2の遮蔽部113は、熱中性子を遮蔽し、ガンマ線も遮蔽できるように構成される。第2の遮蔽部113は、熱中性子フィルタ及びガンマフィルタを含むことができる。
【0036】
熱中性子フィルタは、熱中性子が通過することを防止することができるように構成されることができる。一例として、熱中性子フィルタは、カドミウム(cd)またはホウ素を含んで構成されることができ、8.65g/cmの密度を有するように構成されることができる。一方、ガンマフィルタは、中性子のフィルタリングまたは減速時に発生するガンマ線がコリメータ側に流出されることを防止することができるように構成されることができる。ガンマフィルタは、一例としてビスマスを含んで構成されることができ、9.75g/cmの密度を有するように構成されることができる。
【0037】
反射体120は、ガンマ線及び中性子が意図しない領域に放出されることを防止して遮蔽できるように構成される。反射体は、ビーム成形モジュール110の上面と下面、及び両側面を取り囲むことができるように構成される。反射体120は、一例として鉛またはニッケルを含んで構成されることができる。
【0038】
図3は、従来のビーム成形装置と本発明によるビーム成形装置における中性子に対する計算機シミュレーションを実行した結果である。
【0039】
図3を参照すると、Monte Carlo N-Particle code(MCNP、v6.2)を利用したシミュレーション結果であって、中性子等-束分布が示されていて、傾いた中性子成形装置を使用した時、中性子の方向を出口側に誘導できることを確認することができる。すなわち、中性子束が維持されることを確認することができる。
【0040】
図4a、図4b、図4c、及び図4dは、ビーム成形装置のmoderator angleに中性子ビーム成形装置の性能を示す。
【0041】
図4aを参照すると、moderator angleによる中性子成形装置の出口での中性子のエネルギー別フルエンスを示す。ビーム成形モジュールが前後方向の軸となす角度(moderator angle)が10度付近で熱外中性子のフルエンス(fluence)が最も高かったし、それ以上の角度では熱外中性子が減少することを確認することができる。
【0042】
図4bを参照すると、本発明による中性子ビーム成形装置の出口での熱外中性子比率(Epithermal ratio)が最大になることを確認することができる。
【0043】
図4cを参照すると、中性子成形装置の傾いた角度による高速中性子、ガンマ線の物理的線量(Physical dose、Gy)を示す。中性子ビーム成形モジュールが前後方向の軸から傾いた角度が大きくなるほどガンマ線の物理的線量(Gy)が減少することを確認することができる。
【0044】
図4dを参照すると、IAEAで定義する線量汚染度(Dose contamination)である。線量汚染度は、高速中性子、ガンマ線による物理的線量(Gy)を出口での熱外中性子束で割った値である。ビーム成形モジュールが前後方向の軸となす角度(moderator angle)が0乃至40度である時、線量汚染度が一定水準を維持したが、40度以後では増加する傾向を確認することができる。これは、図4cにおいてビーム成形モジュールが前後方向の軸から傾いた角度(moderator angle)が大きくなるほど物理的線量(Gy)は減ったが、また熱外中性子の束が減るため、線量汚染度はその逆で大きくなることを確認することができる。
【0045】
結局、ビーム成形モジュールが前後方向の軸となす角度(moderator angle)が0乃至40度内で熱外中性子比率を適正水準に維持でき、この時、ガンマ線の遮蔽も適切に行われて低い線量汚染度を維持することができるようになる。
【0046】
図3及び図4を参照すると、本発明の実施例のようにビーム成形モジュールの経路に変化を与える場合、治療に必要な中性子を中性子成形装置の出口へガイドすると同時に角度にしたがって変わる熱外中性子束及びガンマ線と高速中性子による線量汚染値を最小化することができるようになる。
【0047】
以下、図5乃至図10を参照して本発明によるビーム成形装置の変形例に対して詳細に説明する。図5乃至図10では説明の便宜のために水平と平行する平面に沿ってターゲット及びビーム成形装置を切開した状態を概念的に図示した。
【0048】
図5は、本発明による第1の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【0049】
図5を参照すると、本発明による第1の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置は、第1の遮蔽部111と第2の遮蔽部113が互いに平行に配置され、外れるように配置されることができる。一方、減速材112は、前後方向の軸(x1、粒子ビームの照射経路と同一)から一定角度をつけて延長されて形成されている。この時、第2の遮蔽部113は、前後方向の軸(x1)が外部へ出ない位置に決定されることができる。
【0050】
図6は、本発明による第2の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【0051】
図6を参照すると、第1の実施例とは違って、減速材112が第1の領域、第2の領域、及び第3の領域に区分されることができる。第1の領域と第3の領域は、前後方向の軸(x1)と平行する方向に沿って配置されることができる。一方、第2の領域は、前後方向の軸(x1)から所定角度をつけて配置されることができる。この時、反射体120とビーム成形モジュール110の境界に形成される反射面は、二つの角度で配置されることができる。すなわち、前後方向の軸と平行する反射面と、前後方向の軸と一定角度をつけて備えられた反射面と、を含むことができる。本実施例においても、第2の遮蔽部113は、前後方向の軸が通過されることができる位置に備えられることができる。
【0052】
図7は、本発明による第3の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【0053】
図7を参照すると、第2の実施例とは違って、第1の遮蔽部111と第2の遮蔽部113が前後方向の軸(x1)に沿って配置され、減速材112の内部は3個の軸に沿って延長されるように構成されることができる。
【0054】
減速材112は、第1の遮蔽部111と連結される地点から傾斜をつける軸(x2)に沿って延長される第1の領域、前後方向の軸(x1)と平行する軸(x3)に沿って延長される第2の領域、及び再び前後方向の軸に向かって延長される軸(x4)に沿って延長される第3の領域で構成されることができる。この時、反射体120の反射面は、前後方向と平行する平面を基準に、正の角に傾いた傾斜面と負の角に傾いた傾斜面とを形成することができる。
【0055】
図8は、本発明による第4の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【0056】
図8を参照すると、第4の実施例は、ビーム成形装置が菱形で構成され、第1の遮蔽部111が前後方向の軸(x1)と直交せずに所定角度をつけて備えられることができる。この時、第2の遮蔽部113は、前後方向の軸(x1)が通過する位置に備えられることができる。一方、ビーム成形モジュール110の第1の遮蔽部111、減速材112、及び第2の遮蔽部113は、前後方向の軸(x1)と所定角度をつけて形成される軸(x2)に沿って直線型に配置されることができる。この時、傾斜面は、第1の遮蔽部111、減速材112、及び第2の遮蔽部113の境界に形成されることができる。
【0057】
図9は、本発明による第5の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【0058】
図9を参照すると、第5の実施例は、図2での減速材112の構成と類似するように3個の領域(S1、S2、S3)に区分されて備えられることができる。一方、第1の遮蔽部111及び第2の遮蔽部113は、互いに平行し、前後方向の軸(x1)と直交しない方向に備えられることができる。この時、ビーム成形モジュール110は、5個の軸(x2、x3、x4、x5、x6)に沿って経路が調節されて備えられることができる。この時、傾斜面は、第1の遮蔽部111、第2の遮蔽部113、及び減速材112のうち第2の領域(S2)の境界に形成されることができる。
【0059】
図10は、本発明による第6の実施例である中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置の断面図である。
【0060】
第6の実施例は、前述した実施例とは違って、第1の遮蔽部111と第2の遮蔽部113が互いに平行しない状態で配置されることができる。また、ビーム成形装置は、全体的に台形で形成されることができる。
【0061】
本実施例において、第1の遮蔽部111は、前後方向の軸(x1)と傾斜をつける軸(x2)に沿って配置され、減速材112は、3個の軸に沿って部分別に延長されることができる。この時、減速材112は、第3の実施例で3個の領域(S1、S2、S3)に区分された時と類似するように構成されることができる。また、第3の実施例とは違って、第1の遮蔽部111は、前後方向の軸(x1)から図10上で時計方向に角度が調節されて配置され、第2の遮蔽部113は、前後方向の軸(x1)から反時計方向に角度が調節されて配置されることができる。
【0062】
前述したように、本発明による中性子捕捉療法のための迷路型中性子ビーム成形装置は、ビーム成形装置の経路を迷路のように変化を与え、反射面の角度も前後方向の軸から多様な角度をつけて備えることで、中性子束は維持してかつガンマ線束を画期的に減らすことができる効果がある。
【符号の説明】
【0063】
1 粒子加速器
2 静電加速器
3 患者
100 ビーム成形装置
110 ビーム成形モジュール
111 第1の遮蔽部
112 減速材
113 第2の遮蔽部
120 反射体
200 ターゲット
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】