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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】希釈冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
F25B9/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525550
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022079869
(87)【国際公開番号】W WO2023088648
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】2112235
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】グイア,オリビエ
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、非常に低温、具体的には1ミリケルビン~100ミリケルビンに含まれる範囲を獲得するための希釈冷凍装置であって、ヘリウム同位体3(3He)とヘリウム同位体4(4He)の混合物を含む循環流体を含有するループ形の作業回路(20)を含み、作業回路(20)は、直列に配置され、第1の組の管(2、12、4)を介して流体接続され、混合チャンバ(3)、ボイラ(5)及び移送部材(6)を含み、第1の組の管(2、12、4)は、循環流体を混合チャンバ(3)の出口からボイラ(5)の入口、及びボイラ(5)の出口から移送部材(6)の入口に移送するように構成され、作業回路(20)は、移送部材(6)の出口を混合チャンバ(3)の入口に接続する第2の組の管(7、17)を含み、作業回路(20)は、第1の組の管(2、12)の少なくとも一部と第2の組の管(7、17)との間で熱交換するための少なくとも第1の部分(9)を含み、第1の熱交換部(9)は、ボイラ(5)と混合チャンバ(3)との間に置かれた少なくとも1つの熱交換器を含み、第1の組の管は、混合チャンバ(3)とボイラ(5)との間に、平行に配置され、循環流を複数の平行流に細分する複数の第1の管分岐(12)を有する第1の部分を含むことと、第2の組の管は、ボイラ(5)と混合チャンバ(3)との間に、平行に配置され、循環流を複数の平行流に細分する複数の第2の管分岐(17)の第2の部分を含むことと、第1の熱交換部分(9)は、複数の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、第1の部分の第1の管分岐(12)と第2の部分の第2の管分岐(17)との間に熱交換を提供することとを特徴とする、装置に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常に低温、具体的には1ミリケルビン~約100ミリケルビンの範囲に達するための希釈冷凍装置であって、ヘリウム3(3He)とヘリウム4(4He)の混合物を含む循環流体を含有するループの形の作業回路(20)を含み、前記作業回路(20)は、直列に配置され、第1の組の管(2、12、4)を介して流体接続される、混合チャンバ(3)、ボイラ(5)及び移送部材(6)を含み、前記第1の組の管(2、12、4)は、循環流体を前記混合チャンバ(3)の出口から前記ボイラ(5)の入口、及び前記ボイラ(5)の出口から前記移送部材(6)の入口に移送するように構成され、前記作業回路(20)は、前記移送部材(6)の出口を前記混合チャンバ(3)の入口に接続する第2の組の管(7、17)を含み、前記作業回路(20)は、前記第1の組の管(2、12)の少なくとも一部と前記第2の組の管(7、17)との間で熱交換するための少なくとも第1の部分(9)を含み、前記第1の熱交換部(9)は、1組の1つ又は複数の熱交換器(5)を含み、前記ボイラ(5)と前記混合チャンバ(3)との間に据えられ、前記第1の組の管は、前記混合チャンバ(3)と前記ボイラ(5)との間に、平行に配置され、前記循環流を複数の平行流に細分する複数の第1の管分岐(12)を備えた第1の部分を含むことと、前記第2の組の管は、前記ボイラ(5)と前記混合チャンバ(3)との間に、平行に配置され、前記循環流を複数の平行流に細分する複数の第2の管分岐(17)を備えた第2の部分を含むことと、前記第1の熱交換部(9)が、複数の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、前記第1の部分の第1の管分岐(12)と前記第2の部分の第2の管分岐(17)との間の熱交換を確実にすることとを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記作業回路(20)は、平行に配置された第2の管分岐(17)と同じ数の平行に配置された第1の管分岐(12)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各第1の管分岐(12)は、少なくとも1つの向流熱交換器(19、29)内で第2の管分岐(17)と熱交換することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
各第1の管分岐(12)は、前記回路(20)に直列に配置された複数の別個の向流熱交換器(19、29)のそれぞれの群において第2の管分岐(17)と熱交換することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第1の管分岐(12)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第2の管分岐(17)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の熱交換部(9)は、前記回路(20)に直列に配置された2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ以上の別個の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、第1の管分岐と第2の管分岐との間の熱交換を確実にすることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の部分の前記第1の管分岐(12)の上流端は、同じ混合チャンバ(3)に接続されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の部分の前記第2の管分岐(17)の下流端は、同じ混合チャンバ(3)に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記装置の極低温部、具体的には前記第1の熱交換部(9)を含有する、断熱筐体(30)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記筐体(30)は、垂直方向に延在する円筒の全体形状を有することと、前記向流熱交換器(19、29)は、水平面に配置され、垂直に分布され、前記熱交換器(19、29)は、配管(13)を介して互いに流体接続されることとを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記回路(20)に直列に配置された別個の向流熱交換器(19、29)の複数の群を含むことを特徴とする、組合せて考慮される、請求項4及び11に記載の装置。
【請求項13】
前記群のそれぞれの前記熱交換器(19、29)の少なくとも一部は、実質的に水平に配置され、交換器の少なくとも2つの群は、隣接して配置され、別個のそれぞれの垂直軸に沿って延在することを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの群の前記熱交換器(19、29)は、実質的に同じ水平面内に配置され、前記交換器(19、29)は、円弧に分布され、例えば湾曲した配管(13)を介して互いに流体接続されることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
熱交換器の第1の群の前記熱交換器(19、29)の少なくとも一部は、熱交換器の隣接した第2の群の前記熱交換器(29、19)の間に少なくとも一部が挟まれることを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希釈冷凍装置に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、非常に低温、具体的には1ミリケルビン~約100ミリケルビンの範囲に達するための希釈冷凍装置であって、ヘリウム3(3He)とヘリウム4(4He)の混合物を含む循環流体を含有するループの形の作業回路を含み、作業回路は、直列に配置され、第1の組の管を介して流体接続される、混合チャンバ、ボイラ及び移送部材を含み、第1の組の管は、循環流体を混合チャンバの出口からボイラの入口、及びボイラの出口から移送部材の入口に移送するように構成され、作業回路は、移送部材の出口を混合チャンバの入口に接続する第2の組の管を含み、作業回路は、第1の組の管の少なくとも一部と第2の組の管との間で熱交換するための少なくとも第1の部分を含み、第1の熱交換部は、ボイラと混合チャンバとの間に据えられた少なくとも1つの熱交換器を含む、装置に関する。
【0003】
本発明は、具体的には低温又は非常に低温(恐らく1ミリケルビン~約100ミリケルビンの範囲の温度に下がることを意味する)の高電力極低温冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0004】
約100ミリケルビンより低い温度の冷凍は、ほとんどが物質及び量子現象の研究のため、電磁放射検出器の製造のためなどの用途に使用される。
【0005】
このような装置によって供給される冷却力の必要性は、増加している。しかし電力の増加は、概して必要なヘリウムの容量の増加を必要とする。供給される電力の増加は、装置の構成要素、具体的には混合チャンバ及び熱交換器(1つ又は複数の熱交換部)にも影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、上に説明された先行技術の欠点の全て又は一部を克服することである。
【0007】
例えば一目的は、そのような装置によって生成された冷却力の増加を可能にし、同時にその嵩及び/又は必要なヘリウム3の量を管理することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明により、そうでなければ上の前文に与えられたその一般的な定義による装置は、第1の組の管が、混合チャンバとボイラとの間に、平行に配置され、循環流を複数の平行流に細分する複数の第1の管分岐を備えた第1の部分を含むことと、第2の組の管が、ボイラと混合チャンバとの間に、平行に配置され、循環流を複数の平行流に細分する複数の第2の管分岐を備えた第2の部分を含むことと、第1の熱交換部が、複数の向流熱交換器を含み、それぞれは、第1の部分の第1の管分岐と第2の部分の第2の管分岐との間の熱交換を確実にすることとを基本的に特徴とする。
【0009】
更に、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を有してもよい、すなわち
-作業回路は、平行に配置された第2の管分岐と同じ数の平行に配置された第1の管分岐を有し、
-各第1の管分岐は、少なくとも1つの向流熱交換器内で第2の管分岐と熱交換し、
-各第1の管分岐は、回路に直列に配置された複数の別個の向流熱交換器のそれぞれの群において第2の管分岐と熱交換し、
-第1の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第1の管分岐を含み、
-第2の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第2の管分岐を含み、
-第1の熱交換部は、回路に直列に配置された2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ以上の別個の向流熱交換器を含み、それぞれは、第1の管分岐と第2の管分岐との間の熱交換を確実にし、
-第1の部分の第1の管分岐の上流端は、同じ混合チャンバに接続され、
-第2の部分の第2の管分岐の下流端は、同じ混合チャンバに接続され、
-装置は、装置の極低温部、具体的には第1の熱交換部を含有する断熱筐体を含み、
-筐体は、垂直方向に延在する円筒の全体形状を有し、向流熱交換器は、水平面に配置され、垂直に分布され、熱交換器は、配管を介して互いに流体接続され、
-装置は、回路に直列に配置された別個の向流熱交換器の複数の群を含み、
-群のそれぞれの熱交換器の少なくとも一部は、実質的に水平に配置され、少なくとも2つの群の交換器は、隣接して配置され、別個のそれぞれの垂直軸に沿って延在し、
-少なくとも1つの群の熱交換器は、実質的に同じ水平面内に配置され、交換器は、円弧に分布され、例えば湾曲した配管を介して互いに流体接続され、
-熱交換器の第1の群の熱交換器の少なくとも一部は、熱交換器の隣接した第2の群の熱交換器の間に少なくとも一部が挟まれる。
【0010】
本発明は、特許請求の範囲内で上記又は下記の特徴のあらゆる組合せを含む、あらゆる代替装置又は方法にも関することがある。
【0011】
他の特定の特徴及び利点は、図を参照して提供された、以下の説明を読めば明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明による冷凍装置の構造及び作動の第1の例を示す、概略部分図を示す。
図2図2は、そのような装置の熱交換器の配置の第1の可能な実施形態の詳細を示す、概略部分平面図を示す。
図3図3は、そのような装置の熱交換器の配置の第2の可能な実施形態を示す、概略部分側面図を示す。
図4図4は、そのような装置の熱交換器の配置の第3の可能な実施形態を示す、概略部分側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示された希釈冷凍装置1は、典型的にはヘリウム3(「3He」)とヘリウム4(「4He」)の混合物を含む循環流体を含有するループの形の作業回路20を含む。この作業回路20は、直列に配置され、第1の組の管2、12、4を介して流体接続される、混合チャンバ3、ボイラ5及び循環流体を流体移送するための移送部材6を含む。
【0014】
第1の組の管2、12、4は、循環流体を混合チャンバ3の出口からボイラ5の入口、及びボイラ5の出口から移送部材6の入口に移送するように構成される。
【0015】
作業回路20は、移送部材6の出口を混合チャンバ3の入口に接続する、第2の組の管7、17を含む。
【0016】
ボイラ5(又は蒸発器)は、従来ヘリウム3とヘリウム4との間の相分離を実行する(例えば1モル%のヘリウム3を含有する浴は、例えば0.7K~1Kの温度である)。ボイラ5は、第1の組の管4を介してヘリウム3を備えた移送部材6を供給する。
【0017】
混合チャンバ3内では、温度は、例えばおよそ5mK~300mK、具体的には5mK~150mKであってもよい。移送部材6により混合チャンバ3の中に戻された濃縮ヘリウム3は、希釈液相(例えば6~7%のヘリウム3を含有する)の上方、このチャンバ3の上部に置かれてもよい。第1の組の管7の一端は、例えばこの上部の濃縮相の中に繋がる。
【0018】
混合チャンバ3内では、ヘリウム3の注入された濃縮相は、希釈相内で希釈され、混合チャンバ3の温度で冷却力を生成するのが、この吸熱希釈処理である。
【0019】
生成された低温は、ユーザ(図1に参照番号24で表されている)を冷却するため、又は単純化するために示されていない装置の伝熱板で使用されてもよい。
【0020】
作業回路20は、第1の組の管2、12、4の少なくとも一部と第2の組の管7との間で熱交換するための少なくとも第1の部分9を含む。第1の熱交換部9は、ボイラ5と混合チャンバ3との間に据えられる。
【0021】
極低温構成要素の組(これは作動中に低温である)は、例えば封止された(且つ好ましくは真空断熱された)筐体30又は「クーラーボックス」内に置かれる。
【0022】
この熱交換部9は、従来少なくとも1つの向流熱交換器を使用し、これにより希釈ヘリウム3の相を通って混合チャンバ3の中に再注入された濃縮ヘリウム3の相を予め冷却することが可能になり、これによりこの混合チャンバ3からボイラ5に向かって上昇する。
【0023】
希釈相と濃縮相との間の向流熱交換器9の効率は、これらの希釈冷凍機の臨界点である。ヘリウムと固体物質との間の非常に低温で起き、温度の逆二乗として増加するカピッツァ抵抗として公知の熱抵抗は、これらの交換器の寸法設計を非常に困難にし、重要になる。
【0024】
移送部材6は、例えば循環流体圧縮機及び/又は熱交換器を含む。例えばこの圧縮機6は、周囲温度(例えば装置の残余部を含有するクーラーボックス30の外側)で作動する。これは、この圧縮機6が、希釈冷凍装置1の作動構成において非極低温であることが可能であることを意味する。
【0025】
装置1は、作業回路20と熱交換し、循環流体に低温エネルギーを移送する、すなわち循環流体を冷却するように構成された、少なくとも1つの冷却部材22も含んでもよい。例えば冷却部材22は、流体を移送部材6の出口で(例えば1.3~1.4Kの温度で)冷却するために、作業回路20(第2の組の管7)との熱交換を含む。
【0026】
作業回路20は、極低温ポンプ部材(単純化するために示されていない)も含んでもよい。
【0027】
1つの好都合な特定の特徴によれば、第1の組の管は、混合チャンバ3とボイラ5との間に、平行に配置され、循環流を複数の平行流に細分する複数の第1の管分岐12を備えた第1の部分を含む。
【0028】
例えばボイラ5と混合チャンバ3との間で、単一管2、7は、平行な分岐を有する。
【0029】
同様に、第2の組の管は、ボイラ5と混合チャンバ3との間に、平行に配置され、循環流を複数の平行流に細分する複数の第2の管分岐17を備えた第2の部分を含む。
【0030】
加えて、第1の熱交換部9は、複数の離散した向流熱交換器19、29を含み、それぞれは、第1の部分の少なくとも1つの第1の管分岐12と第2の部分の少なくとも1つの第2の管分岐17との間の熱交換を確実にする。
【0031】
循環流体の流れに関連した交換器のこの配置は、限定された嵩を維持しながら、利用できる冷却力を増加することができる。加えて同じ冷却力に対して、必要なHe3の容量は、低減される(例えば20mKで20μWを生成するために、同等の圧力に対する公知の溶液が50リットルである代わりに、約20~30リットル)。この平行構造は、同一又は可変の寸法化されたシェル若しくはケーシングを備えた、複数の同一又は異なる熱交換器、例えば焼結型の熱交換器の使用も可能にする。
【0032】
同様に交換器を接続する分岐(パイプライン)の大きさ(断面)は、異なっても同一であってもよい。
【0033】
好ましくは、作業回路20は、平行に配置された第2の管分岐17と同じ数の、平行に配置された第1の管分岐12を有する(図1の例及び図3の例のそれぞれでは2つ)。
【0034】
示されたように、各第1の管分岐12は、好ましくは少なくとも1つの向流熱交換器19、29(及び好ましくは複数の熱交換器)における第2の管分岐17と熱交換する。
【0035】
例えば各第1の管分岐12は、回路20に直列に配置された複数の別個の向流熱交換器19、29のそれぞれの群(図1の例では2つの熱交換器、図4の例では3つ、及び図3の例では5つ)において第2の管分岐17と熱交換する。
【0036】
こうして第1の熱交換部9は、回路20に直列に配置された2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ以上の別個の向流熱交換器19、29を含んでもよく、それぞれは、第1の管分岐と第2の管分岐との間の熱交換を確実にする。当然ながら、あらゆる他の数の直列の熱交換器が想定されてもよく、交換器の数は、熱交換における1対の平行な分岐と熱交換における別の対の平行な分岐とは異なってもよい。
【0037】
例えば第1の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第1の管分岐12を含んでもよい。同様に、第2の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第2の管分岐17を含んでもよい。
【0038】
第1の部分の第1の管分岐12の上流端は、好ましくは同じ混合チャンバ3に接続される(しかし1つ又は複数の管12から循環流体の流れを受領する複数の離散した混合チャンバ3を備えた構造が想定されてもよい)。
【0039】
同様に、第2の部分の第2の管分岐17の下流端は、好ましくは同じ混合チャンバ3(又は複数の混合チャンバ3)に接続される。
【0040】
図1図2及び図4に記号で示されているように、筐体30は、垂直方向に延在する円筒の全体形状を有してもよい。向流熱交換器19、29は、水平面に配置され、垂直に分布される(図1図3及び図4参照)。熱交換器19、29は、配管13又はコネクタを介して互いに流体接続されてもよい。こうして装置1は、回路20に直列に垂直に配置された別個の向流熱交換器19、29の複数の群を含んでもよい。
【0041】
図3に見られるように、交換器19、29の全て又は一部は、例えば円板形状である(任意選択で中心に穴がある)、平面板の形状を有してもよい。
【0042】
同様に、直列の熱交換器の群のそれぞれの熱交換器19、29の少なくとも一部は、実質的に水平に配置されてもよい。交換器の少なくとも2つの群は、隣接して配置され、別個のそれぞれの垂直軸に沿って延在してもよい。
【0043】
加えて図4に概略的に示されたように、熱交換器の第1の群の熱交換器19、29の少なくとも一部は、熱交換器の隣接した第2の群の熱交換器29と19との間に少なくとも一部が挟まれてもよい。これにより、交換器が積層された垂直方向に対して横方向に装置1の容積を限定することが可能になる。
【0044】
図2の例に示されたように、各郡の熱交換器19、29は、実質的に同じ水平面内に配置されてもよい。交換器19、29は、円弧に分配され、例えば湾曲した配管13を介して互いに流体接続されてもよい。
【0045】
加えて交換器の異なる群の配管13は、交錯されても又は公差されてもよい。交換器19、29は、こうして同心状に配置されてもよく、及び/又は1つの群から別の群に交互になるように配置されてもよい。これは、交換器の2つの群のそれぞれの熱交換器19、29が、実質的に同じ円弧の上に、実質的に同じ面内で交互になるように配置されてもよいことを意味する。
【0046】
当然ながら、本発明は、上記の例に限定されない。こうして熱交換器19、29は、他の構成(例えば分岐した構成)に配置されてもよい。加えて上に特定された複数の熱交換器19、29の少なくとも一部は、同じ熱交換器の複数の別個の部分(例えば複数の別個の独立部を含む交換器ハウジング)であってもよい。
【0047】
同様に、装置1の回路は、循環流体を(例えば約4K及び/若しくは2Kの温度に)予め冷却するための冷却部材と交換する1つ又は複数の他の冷却部を有してもよい。
【0048】
装置1は、同じ熱交換器19、29を共有し、又は別個のそれぞれの熱交換器を有する、複数の希釈ループを任意選択で有してもよい。
【0049】
本発明は、希釈によって生成された冷却力を増加させることを可能にする。

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常に低温、具体的には1ミリケルビン~約100ミリケルビンの範囲に達するための希釈冷凍装置であって、ヘリウム3(3He)とヘリウム4(4He)の混合物を含む循環流体を含有するループの形の作業回路(20)を含み、前記作業回路(20)は、直列に配置され、第1の組の管(2、12、4)を介して流体接続される、混合チャンバ(3)、ボイラ(5)及び移送部材(6)を含み、前記第1の組の管(2、12、4)は、循環流体を前記混合チャンバ(3)の出口から前記ボイラ(5)の入口、及び前記ボイラ(5)の出口から前記移送部材(6)の入口に移送するように構成され、前記作業回路(20)は、前記移送部材(6)の出口を前記混合チャンバ(3)の入口に接続する第2の組の管(7、17)を含み、前記作業回路(20)は、前記第1の組の管(2、12)の少なくとも一部と前記第2の組の管(7、17)との間で熱交換するための少なくとも第1の部分(9)を含み、前記第1の熱交換部(9)は、1組の1つ又は複数の熱交換器(5)を含み、前記ボイラ(5)と前記混合チャンバ(3)との間に据えられ、前記第1の組の管は、前記混合チャンバ(3)と前記ボイラ(5)との間に、平行に配置され、前記循環流を複数の平行流に細分する複数の第1の管分岐(12)を備えた第1の部分を含むことと、前記第2の組の管は、前記ボイラ(5)と前記混合チャンバ(3)との間に、平行に配置され、前記循環流を複数の平行流に細分する複数の第2の管分岐(17)を備えた第2の部分を含むことと、前記第1の熱交換部(9)が、複数の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、前記第1の部分の第1の管分岐(12)と前記第2の部分の第2の管分岐(17)との間の熱交換を確実にすることとを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記作業回路(20)は、平行に配置された第2の管分岐(17)と同じ数の平行に配置された第1の管分岐(12)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各第1の管分岐(12)は、少なくとも1つの向流熱交換器(19、29)内で第2の管分岐(17)と熱交換することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
各第1の管分岐(12)は、前記回路(20)に直列に配置された複数の別個の向流熱交換器(19、29)のそれぞれの群において第2の管分岐(17)と熱交換することを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第1の管分岐(12)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第2の管分岐(17)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の熱交換部(9)は、前記回路(20)に直列に配置された2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ以上の別個の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、第1の管分岐と第2の管分岐との間の熱交換を確実にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の部分の前記第1の管分岐(12)の上流端は、同じ混合チャンバ(3)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項9】
前記第2の部分の前記第2の管分岐(17)の下流端は、同じ混合チャンバ(3)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記装置の極低温部、具体的には前記第1の熱交換部(9)を含有する、断熱筐体(30)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項11】
前記筐体(30)は、垂直方向に延在する円筒の全体形状を有することと、前記向流熱交換器(19、29)は、水平面に配置され、垂直に分布され、前記熱交換器(19、29)は、配管(13)を介して互いに流体接続されることとを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記回路(20)に直列に配置された別個の向流熱交換器(19、29)の複数の群を含むことを特徴とする、組合せて考慮される、請求項4に従属する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記群のそれぞれの前記熱交換器(19、29)の少なくとも一部は、実質的に水平に配置され、交換器の少なくとも2つの群は、隣接して配置され、別個のそれぞれの垂直軸に沿って延在することを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの群の前記熱交換器(19、29)は、実質的に同じ水平面内に配置され、前記交換器(19、29)は、円弧に分布され、例えば湾曲した配管(13)を介して互いに流体接続されることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
熱交換器の第1の群の前記熱交換器(19、29)の少なくとも一部は、熱交換器の隣接した第2の群の前記熱交換器(29、19)の間に少なくとも一部が挟まれることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
本発明は、希釈によって生成された冷却力を増加させることを可能にする。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 非常に低温、具体的には1ミリケルビン~約100ミリケルビンの範囲に達するための希釈冷凍装置であって、ヘリウム3(3He)とヘリウム4(4He)の混合物を含む循環流体を含有するループの形の作業回路(20)を含み、前記作業回路(20)は、直列に配置され、第1の組の管(2、12、4)を介して流体接続される、混合チャンバ(3)、ボイラ(5)及び移送部材(6)を含み、前記第1の組の管(2、12、4)は、循環流体を前記混合チャンバ(3)の出口から前記ボイラ(5)の入口、及び前記ボイラ(5)の出口から前記移送部材(6)の入口に移送するように構成され、前記作業回路(20)は、前記移送部材(6)の出口を前記混合チャンバ(3)の入口に接続する第2の組の管(7、17)を含み、前記作業回路(20)は、前記第1の組の管(2、12)の少なくとも一部と前記第2の組の管(7、17)との間で熱交換するための少なくとも第1の部分(9)を含み、前記第1の熱交換部(9)は、1組の1つ又は複数の熱交換器(5)を含み、前記ボイラ(5)と前記混合チャンバ(3)との間に据えられ、前記第1の組の管は、前記混合チャンバ(3)と前記ボイラ(5)との間に、平行に配置され、前記循環流を複数の平行流に細分する複数の第1の管分岐(12)を備えた第1の部分を含むことと、前記第2の組の管は、前記ボイラ(5)と前記混合チャンバ(3)との間に、平行に配置され、前記循環流を複数の平行流に細分する複数の第2の管分岐(17)を備えた第2の部分を含むことと、前記第1の熱交換部(9)が、複数の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、前記第1の部分の第1の管分岐(12)と前記第2の部分の第2の管分岐(17)との間の熱交換を確実にすることとを特徴とする、装置。
[2] 前記作業回路(20)は、平行に配置された第2の管分岐(17)と同じ数の平行に配置された第1の管分岐(12)を有することを特徴とする、[1]に記載の装置。
[3] 各第1の管分岐(12)は、少なくとも1つの向流熱交換器(19、29)内で第2の管分岐(17)と熱交換することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の装置。
[4] 各第1の管分岐(12)は、前記回路(20)に直列に配置された複数の別個の向流熱交換器(19、29)のそれぞれの群において第2の管分岐(17)と熱交換することを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の装置。
[5] 前記第1の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第1の管分岐(12)を含むことを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の装置。
[6] 前記第2の部分は、平行に配置された2つ、3つ又は4つ以上の第2の管分岐(17)を含むことを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の装置。
[7] 前記第1の熱交換部(9)は、前記回路(20)に直列に配置された2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ以上の別個の向流熱交換器(19、29)を含み、それぞれは、第1の管分岐と第2の管分岐との間の熱交換を確実にすることを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の装置。
[8] 前記第1の部分の前記第1の管分岐(12)の上流端は、同じ混合チャンバ(3)に接続されることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載の装置。
[9] 前記第2の部分の前記第2の管分岐(17)の下流端は、同じ混合チャンバ(3)に接続されることを特徴とする、[1]~[8]のいずれか一項に記載の装置。
[10] 前記装置は、前記装置の極低温部、具体的には前記第1の熱交換部(9)を含有する、断熱筐体(30)を含むことを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載の装置。
[11] 前記筐体(30)は、垂直方向に延在する円筒の全体形状を有することと、前記向流熱交換器(19、29)は、水平面に配置され、垂直に分布され、前記熱交換器(19、29)は、配管(13)を介して互いに流体接続されることとを特徴とする、[10]に記載の装置。
[12] 前記装置は、前記回路(20)に直列に配置された別個の向流熱交換器(19、29)の複数の群を含むことを特徴とする、組合せて考慮される、[4]及び[11]に記載の装置。
[13] 前記群のそれぞれの前記熱交換器(19、29)の少なくとも一部は、実質的に水平に配置され、交換器の少なくとも2つの群は、隣接して配置され、別個のそれぞれの垂直軸に沿って延在することを特徴とする、[12]に記載の装置。
[14] 少なくとも1つの群の前記熱交換器(19、29)は、実質的に同じ水平面内に配置され、前記交換器(19、29)は、円弧に分布され、例えば湾曲した配管(13)を介して互いに流体接続されることを特徴とする、[12]に記載の装置。
[15] 熱交換器の第1の群の前記熱交換器(19、29)の少なくとも一部は、熱交換器の隣接した第2の群の前記熱交換器(29、19)の間に少なくとも一部が挟まれることを特徴とする、[12]~[14]のいずれか一項に記載の装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【国際調査報告】