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特表2024-538297潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム
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  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図1
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図2A
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図2B
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図3A
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図3B
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図4A
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図4B
  • 特表-潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/01 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61M25/01 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525586
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022048470
(87)【国際公開番号】W WO2023076693
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,468
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】マー、イーピン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA14
4C267BB11
4C267BB12
4C267CC08
4C267GG02
4C267HH04
(57)【要約】
カテーテルアセンブリは、カテーテル(120)と、カテーテルの中心管腔内に挿入されたスタイレット(140)とを含む。カテーテルは、中心管腔を画定する長尺の本体に連結されるハブ(122)を含む末梢挿入型中心静脈カテーテルであってもよく、1つ以上の延長脚部(130,132)がハブに連結される。スタイレットは、スタイレットチューブの管腔に配置される潤滑剤(380)とともに複数の磁石(348)を有するスタイレットチューブ(54)を含む。潤滑剤は、スタイレットの屈曲事象の間、管腔内の磁石の摺動変位を可能にする。ワイヤ(354)はまた、スタイレットチューブの管腔内に配置されてもよく、ワイヤは、各磁石の周りに巻き付けられてもよい。スタイレットの取付部材(347)は、カテーテルのコネクタと連結され得る。電極(356A)はワイヤと連結され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアセンブリであって、
カテーテル近位端及びカテーテル遠位端を画定するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記カテーテル遠位端と前記カテーテル近位端におけるカテーテルコネクタとの間に延びる中心管腔を画定する、カテーテルと、
前記中心管腔に挿入されるスタイレットと、を備え、前記スタイレットは、
スタイレットチューブであって、スタイレット近位端とスタイレット遠位端との間で前記スタイレットチューブに沿って延びるチューブ管腔を画定する、スタイレットチューブと、
前記チューブ管腔内に配置される複数の磁石と、
潤滑剤であって、前記潤滑剤が前記スタイレットチューブに対する前記複数の磁石のうちの1つ以上の摺動運動を可能にするように、前記複数の磁石のうちの1つ以上と前記スタイレットチューブの内面との間に配置される、潤滑剤と、を備える、カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテルは、末梢挿入型中心静脈カテーテルである、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記カテーテルは、2つ以上の延長脚部を含み、各延長脚部は、前記中心管腔と流体連通する延長脚部管腔を画定する、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記スタイレットチューブは、ポリアミド材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記潤滑剤は、前記複数の磁石と前記スタイレットチューブの内面との間に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記潤滑剤は、前記複数の磁石のうちの隣接する磁石間に延在する、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の磁石は、前記スタイレットの磁石領域に沿って配置され、前記磁石領域は、前記スタイレット遠位端から離れるように近位に延びる、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記潤滑剤は、前記磁気領域に沿って配置される、請求項7に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記潤滑剤は、前記磁気領域から離れるように近位に延びる前記スタイレットチューブの一部分に沿って配置される、請求項7又は8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記磁石の各々は、円筒形状であり、
前記複数の磁石は、前記磁気領域に沿って端から端まで配列される、請求項7~9のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の磁石の各々は、パリレンコーティングを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記スタイレットは、前記チューブ管腔内に配置されるステンレス鋼ワイヤを含み、
前記ステンレス鋼ワイヤは、少なくとも前記磁気領域に沿って長手方向に延びる、請求項7~11のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記ステンレス鋼ワイヤは、各磁石の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる、請求項12に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記スタイレットは、電気信号を検出するように構成される1つ以上のセンサを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記1つ以上のセンサは、前記スタイレットの前記遠位端に配置される電極を含み、前記電極は、前記ワイヤと電気的に連結される、請求項14に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項16】
前記潤滑剤は、可溶性である、請求項1~15のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項17】
前記潤滑剤は、生物学的薬剤を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項18】
前記スタイレットは、前記カテーテルコネクタと連結するように構成される取付部材を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項19】
前記取付部材は、前記カテーテルコネクタの雌ルアーテーパに係合するように構成される雄ルアーテーパを含む、請求項18に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項20】
前記取付部材と前記スタイレット遠位端との間の第1の距離は、前記カテーテルコネクタと前記カテーテル遠位端との間の第2の距離に実質的に等しく、それにより、前記取付部材が前記コネクタと連結されるとき、前記スタイレット遠位端は前記カテーテル遠位端に隣接して配置される、請求項18又は19に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項21】
カテーテル内に挿入されるように構成されるスタイレットであって、
スタイレットチューブであって、スタイレット近位端とスタイレット遠位端との間で前記スタイレットチューブに沿って延びるチューブ管腔を画定する、スタイレットチューブと、
前記チューブ管腔内に配置される複数の磁石と、
潤滑剤であって、前記潤滑剤が前記スタイレットチューブに対する前記複数の磁石のうちの1つ以上の摺動運動を可能にするように、前記複数の磁石のうちの1つ以上と前記スタイレットチューブの内面との間に配置される、潤滑剤と、を備える、スタイレット。
【請求項22】
前記スタイレットチューブは、ポリアミド材料を含む、請求項21に記載のスタイレット。
【請求項23】
前記潤滑剤は、前記複数の磁石と前記スタイレットチューブの内面との間に配置される、請求項21又は22に記載のスタイレット。
【請求項24】
前記潤滑剤は、前記複数の磁石のうちの隣接する磁石間に配置される、請求項21~23のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項25】
前記複数の磁石は、前記スタイレットの磁気領域に沿って配置され、前記磁気領域は、前記スタイレット遠位端から離れるように近位に延びる、請求項21~24のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項26】
前記潤滑剤は、前記磁気領域に沿って配置される、請求項25に記載のスタイレット。
【請求項27】
前記スタイレットは、前記チューブ管腔内に配置されるステンレス鋼ワイヤを含み、
前記ステンレス鋼ワイヤは、少なくとも前記磁気領域に沿って長手方向に延びる、請求項25又は26に記載のスタイレット。
【請求項28】
前記ステンレス鋼ワイヤは、各磁石の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる、請求項25~27のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項29】
前記スタイレットは、電気信号を検出するように構成される1つ以上のセンサを含む、請求項21~28のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項30】
前記1つ以上のセンサは、前記スタイレットの前記遠位端に配置される電極を含み、前記電極は、前記ワイヤと電気的に連結される、請求項29に記載のスタイレット。
【請求項31】
前記スタイレットは、カテーテルコネクタと連結するように構成される取付部材を含む、請求項21~30のいずれか一項に記載のスタイレット。
【請求項32】
カテーテルアセンブリを製造する方法であって、
スタイレットを組み立てることであって、
潤滑剤をスタイレットチューブの管腔内に供給することであって、前記潤滑剤が前記スタイレットチューブの遠位端に隣接して配置される、供給することと、
前記潤滑剤が複数の磁石の各々を覆うように、前記複数の磁石を前記スタイレットチューブの前記管腔内に挿入することと、を含む、スタイレットを組み立てることと、
前記スタイレットをカテーテルの中心管腔に挿入することと、を含む、カテーテルアセンブリを製造する方法。
【請求項33】
前記カテーテルは、2つ以上の延長脚部を有する末梢挿入型中心静脈カテーテルを含み、各延長脚部は、前記中心管腔と流体連通する延長脚部管腔を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記スタイレットを組み立てることは、
前記複数の磁石の各々をワイヤで巻くことと、
前記ワイヤを前記スタイレットチューブの前記管腔に挿入することと、を更に含む、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記スタイレットを組み立てることは、
電極を前記遠位端で前記スタイレットチューブに連結することと、
前記ワイヤを前記電極に接続することと、
前記ワイヤを前記スタイレットチューブの近位端を越えて近位に延ばすことと、を更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記スタイレットチューブの前記遠位端が前記カテーテルの遠位端に隣接して配置されるように、前記スタイレットを前記カテーテルに対して位置決めすることを更に含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記スタイレットを組み立てることは、
取付部材を前記スタイレットチューブ上に螺合させることと、
前記取付部材を前記スタイレットチューブに固定することと、を更に含み、
前記方法は、
前記取付部材を前記カテーテルのコネクタに連結することを更に含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、潤滑を有するスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
末梢挿入型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter、「PICC」)を患者の血管系に挿入することは、PICC-スタイレットアセンブリの挿入中にPICCを安定させるために、スタイレットがPICCの管腔内に配置されることを含んでもよい。しかしながら、PICCの先端は、配置中に障害物に遭遇する可能性があり、スタイレット及びPICCの先端の座屈又は屈曲事象につながる。屈曲事象は、スタイレット及びPICCの先端の破断につながる可能性があり、先端のうちの1つ以上の破断は、PICCの深刻な故障と見なされる。屈曲事象の傾向がないPICC及びスタイレットを有することは、患者及び臨床医にとって有益であり、臨床医が、PICC又はスタイレットの故障の恐れなく、PICCを適切に配置することを可能にする。本明細書に開示されるのは、上記に対処するシステム、装置、及び製造方法である。
【発明の概要】
【0003】
カテーテルアセンブリが本明細書に開示され、いくつかの実施形態によれば、カテーテルアセンブリは、カテーテル近位端及びカテーテル遠位端を画定するカテーテルを含み、カテーテルは、カテーテル遠位端とカテーテル近位端におけるカテーテルコネクタとの間に延びる中心管腔を画定する。カテーテルアセンブリは、中心管腔に挿入されるスタイレットを更に含み、スタイレットは、(i)スタイレットチューブであって、スタイレット近位端とスタイレット遠位端との間でスタイレットチューブに沿って延びるチューブ管腔を画定する、スタイレットチューブと、(ii)チューブ管腔内に配置される複数の磁石と、(iii)潤滑剤であって、潤滑剤がスタイレットチューブに対する複数の磁石のうちの1つ以上の摺動運動を可能にするように、複数の磁石のうちの1つ以上とスタイレットチューブの内面との間に配置される、潤滑剤とを含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、末梢挿入型中心静脈カテーテルである。いくつかの実施形態では、カテーテルは、2つ以上の延長脚部を含み、各延長脚部は、中心管腔と流体連通する延長脚部管腔を画定する。
【0005】
いくつかの実施形態では、スタイレットチューブは、ポリアミド材料を含む。
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、複数の磁石とスタイレットチューブの内面との間に配置される。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、複数の磁石のうちの隣接する磁石間に延在する。
【0006】
いくつかの実施形態では、複数の磁石は、スタイレットの磁気領域に沿って配置され、磁気領域は、スタイレット遠位端から離れるように近位に延びる。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、磁気領域に沿って配置される。いくつかの実施形態では、潤滑剤は、磁気領域から離れるように近位に延びるスタイレットチューブの一部分に沿って配置される。
【0007】
いくつかの実施形態では、磁石の各々は、円筒形状であり、複数の磁石は、磁気領域に沿って端から端まで配列される。いくつかの実施形態では、磁石の各々は、パリレンコーティングを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、スタイレットは、チューブ管腔内に配置されるステンレス鋼ワイヤを含み、ワイヤは、少なくとも磁気領域に沿って長手方向に延びる。いくつかの実施形態では、ワイヤは、各磁石の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0009】
いくつかの実施形態では、スタイレットは、電気信号を検出するように構成される1つ以上のセンサを含み、いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサは、スタイレットの遠位端に配置される電極を含み、電極は、ワイヤと電気的に連結される。
【0010】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、可溶性であり、いくつかの実施形態では、潤滑剤は、生物学的薬剤を含む。
いくつかの実施形態では、スタイレットは、カテーテルコネクタと連結するように構成される取付部材を含む。いくつかの実施形態では、取付部材は、カテーテルコネクタの雌ルアーテーパに係合するように構成される雄ルアーテーパを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、取付部材とスタイレット遠位端との間の第1の距離は、カテーテルコネクタとカテーテル遠位端との間の第2の距離に実質的に等しく、それにより、取付部材がコネクタと連結されるとき、スタイレット遠位端はカテーテル遠位端に隣接して配置される。
【0012】
また、本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態によれば、(i)スタイレットチューブであって、スタイレット近位端とスタイレット遠位端との間でスタイレットチューブに沿って延びるチューブ管腔を画定する、スタイレットチューブと、(ii)チューブ管腔内に配置される複数の磁石と、(iii)潤滑剤がスタイレットチューブに対する複数の磁石のうちの1つ以上の摺動運動を可能にするように、複数の磁石のうちの1つ以上とスタイレットチューブの内面との間に配置される、潤滑剤とを含む、カテーテル内に挿入されるように構成されるスタイレットである。
【0013】
スタイレットのいくつかの実施形態では、スタイレットチューブはポリアミド材料を含む。
スタイレットのいくつかの実施形態では、潤滑剤は、複数の磁石とスタイレットチューブの内面との間に配置され、スタイレットのいくつかの実施形態では、潤滑剤は、複数の磁石のうちの隣接する磁石間に配置される。
【0014】
スタイレットのいくつかの実施形態では、複数の磁石は、スタイレットの磁気領域に沿って配置され、磁気領域は、スタイレット遠位端から離れるように近位に延びる。スタイレットのいくつかの実施形態では、潤滑剤は磁気領域に沿って配置される。
【0015】
いくつかの実施形態では、スタイレットは、チューブ管腔内に配置されるステンレス鋼ワイヤを含み、ステンレス鋼ワイヤは、少なくとも磁気領域に沿って長手方向に延びる。スタイレットのいくつかの実施形態では、ステンレス鋼ワイヤは、各磁石の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、スタイレットは、電気信号を検出するように構成される1つ以上のセンサを含む。スタイレットのいくつかの実施形態では、1つ以上のセンサは、スタイレットの遠位端に配置される電極を含み、電極は、ワイヤと電気的に連結される。
【0017】
いくつかの実施形態では、スタイレットは、カテーテルコネクタと連結するように構成される取付部材を含む。
また、本明細書に開示されるのは、カテーテルアセンブリを製造する方法であって、方法は、スタイレットを組み立てることを含み、スタイレットを組み立てることは、(i)潤滑剤をスタイレットチューブの管腔内に供給することであって、潤滑剤がスタイレットチューブの遠位端に隣接して配置される、供給することと、(ii)潤滑剤が複数の磁石の各々を覆うように、複数の磁石をスタイレットチューブの管腔内に挿入することと、を含む方法である。本方法は更に、スタイレットをカテーテルの中心管腔に挿入することを含む。
【0018】
方法のいくつかの実施形態では、33。カテーテルは、2つ以上の延長脚部を有する末梢挿入型中心静脈カテーテルを含み、各延長脚部は、中心管腔と流体連通する延長脚部管腔を含む、請求項21に記載の方法。
【0019】
本方法のいくつかの実施形態では、スタイレットを組み立てることは、複数の磁石の各々をワイヤで巻くことと、ワイヤをスタイレットチューブの管腔に挿入することと、を更に含む。
【0020】
本方法のいくつかの実施形態では、スタイレットを組み立てることは、(i)電極を遠位端でスタイレットチューブに連結することと、(ii)ワイヤを電極に接続することと、(iii)ワイヤをスタイレットチューブの近位端を越えて近位に延ばすことと、を更に含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、スタイレットチューブの遠位端がカテーテルの遠位端に隣接して配置されるように、スタイレットをカテーテルに対して位置決めすることを更に含む。
【0022】
本方法のいくつかの実施形態では、スタイレットを組み立てることは、取付部材をスタイレットチューブ上に螺合させることと、取付部材をスタイレットチューブに固定することとを更に含み、本方法は、取付部材をカテーテルのコネクタに連結することを更に含む。
【0023】
本明細書で提供される概念のこれら及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。
【0024】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示される特定の実施形態を参照することにより行われる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものとみなされないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて更に具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】いくつかの実施形態による、末梢挿入型中心静脈カテーテル及びスタイレットを含む末梢挿入型中心静脈カテーテルシステムの斜視図である。
図2A】いくつかの実施形態による、屈曲事象における図1のスタイレットの遠位端の側断面図である。
図2B】いくつかの実施形態による、屈曲事象における図1のスタイレットの遠位端の側断面図である。
図3A】いくつかの実施形態による、スタイレットの詳細な側断面図である。
図3B】いくつかの実施形態による、スタイレットの遠位端の端断面図である。
図4A】いくつかの実施形態による、屈曲事象における潤滑剤を含むスタイレットの遠位端の断面図である。
図4B】いくつかの実施形態による、屈曲事象における潤滑剤を含むスタイレットの遠位端の断面図である。
図5】いくつかの実施形態による、カテーテルシステムを製造する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、又は置換することができる特徴を有することが可能であることも理解されたい。
【0027】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3、等)は、一般に、複数の特徴又は複数のステップの群内の異なる特徴又はステップを区別又は識別するために使用され、連続的な限定又は数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、及び「第3」の特徴又はステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴又はステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴又はステップに限定される必要はない。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」等の表示は、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表示は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、及び「その」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0028】
「近位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「近位部分」又は「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、又は近位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0029】
「遠位」に関して、例えば、本明細書に開示されるカテーテルの「遠位部分」又は「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、又は患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近く又は患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、又は遠位長さは、カテーテルの末端部分又は末端長さではない。
【0030】
「に接続される」、「と連結される」、及び「と連通している」という語句は、機械的相互作用、電気的相互作用、磁気的相互作用、電磁的相互作用、流体相互作用、及び熱の相互作用を含むがこれらに限定されない、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いと直接接触していなくても、互いに連結することができる。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素により互いに連結することができる。
【0031】
本明細書で開示される任意の方法は、説明された方法を実行するための1つ以上のステップ又はアクションを含む。方法ステップ及び/又はアクションは、互いに交換可能であり得る。換言すれば、ステップ又はアクションの特定の順序が実施形態の適切な動作のために必要とされない限り、特定のステップ及び/又はアクションの順序及び/又は使用が修正されてもよい。
【0032】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
図1は、いくつかの実施形態による、スタイレット140と連結されたカテーテル120を含むカテーテルアセンブリ(「アセンブリ」)100の斜視図を示す。いくつかの実施形態では、カテーテル120は、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)を含む。カテーテル120は、長尺の本体124に沿って延びる中心管腔134を画定し、スタイレット140は、スタイレット140がカテーテル120と連結されるとき、中心管腔134に挿入される。カテーテル120は、カテーテル120の近位端129にカテーテルコネクタ127を含む。カテーテルコネクタ127は、カテーテル120の遠位端128から距離120Aだけ離れるように位置決めされる。いくつかの実施形態では、カテーテルコネクタ127は、雌ルアーテーパ127A及び/又は外部ルアーロックねじ山127Bを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル120は、ハブ122に連結された1つ以上の延長脚部130を含み、1つ以上の延長脚部130は、ハブ122から離れるように近位に延び、各延長脚部は、その中に延長脚部管腔132を画定し、各延長脚部管腔132は、中心管腔134と流体連通している。しかしながら、いくつかの実施形態では、アセンブリ100は、2つ以上の管腔を有するPICCを含むように設計されてもよく、これは、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0033】
いくつかの実施形態では、スタイレット140は、患者の血管系内へのカテーテル120の挿入を可能にするように、カテーテル120に剛性を提供するために、1つ以上の延長脚部管腔132を通って中心管腔134の中へ挿入されてもよい。スタイレット140は複数の磁石148を含んでもよく、複数の磁石148は、スタイレット140が磁気追跡医療機器を介して検出可能及び/又は追跡可能であるように、磁場を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、スタイレット140は、1つ以上の電気信号を検出し、電気信号を計算装置に提供するように構成された1つ以上のセンサ156(例えば、電極又はコイル)を含んでもよい。一実施形態では、1つ以上のセンサ156は、スタイレット140が患者の血管系内に挿入されるときに、患者の心臓から発せられるECG信号など、患者から発せられる電気信号を検出するように構成されてもよい。
【0034】
図2A図2Bは、例えば曲線などの血管160の抵抗部260Aを含む血管160を横断するスタイレット140及びカテーテル120の遠位部分の側断面図を示す。スタイレット140は、スタイレット140の長さに沿って延びるスタイレットチューブ又はチュービング252を含み、チュービング252は管腔252Aを画定し、複数の磁石148は管腔252A内に配置される。図2Aに示されるように、いくつかの実施形態では、スタイレット140は、カテーテル120の中心管腔134内に挿入される。カテーテルアセンブリ100が血管160の管腔に沿って前進させられるにつれて、カテーテルアセンブリ100は、抵抗部260A(例えば、図示される曲線、血管直径内の増加又は減少等)に遭遇し得る。カテーテルアセンブリ100は、抵抗部260Aを通って押し進められ、血管160に沿って前進し続けることができる。場合によっては、図2Bに示されるように、遠位端244は抵抗部260Aと係合して、スタイレット140に屈曲事象を起こさせてもよい。屈曲事象は、スタイレット140の遠位部分、例えば磁気領域243が、磁気領域243に沿ったチュービング252の短いゲージ長(又は短い曲率半径)に起因して過剰なひずみを受けることを含む。過剰なひずみは、チュービング252の破裂(又は断裂)の原因となり得、破裂は、スタイレット140の遠位端244に隣接する一部分などのスタイレット140の一部分をスタイレット140から分離する原因となり得、血管160内で遊離粒子なる原因となり得る。
【0035】
図3Aは、いくつかの実施形態による、遠位端244を含むスタイレット140の側断面図を示す。いくつかの実施形態では、スタイレット140は、近位端346及び遠位端244を有するスタイレット本体342を含む。いくつかの実施形態では、スタイレット本体342は、中心長手方向軸341を画定する長尺の本体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、スタイレット140は、カテーテルコネクタ127を介して、スタイレット140をカテーテル120に取り外し可能に連結するように構成された取付部材347を含んでもよい。いくつかの実施形態では、取付部材347は、遠位端244を含むスタイレット140をカテーテル120内の最適な位置に位置決めするように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、取付部材347と遠位端244との間の距離340Aは、距離120A(図1参照)と実質的に等しくてもよく、それにより、スタイレット140がカテーテル120と連結されるとき、スタイレット140の遠位端244は、カテーテル120の遠位端128に隣接して配置される。
【0036】
いくつかの実施形態では、取付部材347は、雄ルアーロックコネクタと一致する構成要素を含んでもよい。例えば、取付部材347は、カテーテルコネクタ127の雌ルアーテーパ127A(図1参照)に係合するように構成された雄ルアーテーパ347Aを含んでもよい。同様に、取付部材347は、カテーテルコネクタ127の外部ルアーロックねじ山127B(図1参照)に係合するように構成された内部ルアーロックねじ山347Bを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、スタイレット本体342は、単一部品本体(singular piece body)を含んでもよく、又は複数部品本体(multi-piece body)を有してもよい。いくつかの実施形態では、スタイレット本体342全体が高い剛性を有してもよく、又はスタイレット本体342の部分が高い剛性を有し、スタイレット本体342のいくつかの部分が可撓性を有してもよい。例えば、近位端346から離れるように遠位に延びるスタイレット本体342の一部分は、遠位端244から離れるように近位に延びるスタイレット本体342の一部分よりも高い剛性を有してもよい。いくつかの実施形態では、チュービング252は、ポリイミドチュービング、PVC、シリコンなどを含むことができる。
【0038】
上述したように、スタイレット140は、遠位端244から離れるように近位に延びる磁気領域243を含む。磁気領域243は、複数の磁石148(図1図2B参照)を含む。図示された実施形態では、複数の磁石148は、4つの磁石348A~348Dを含む。他の実施形態では、複数の磁石148は、4つより多いか又は少ない磁石を含んでもよい。磁石348A~348Dは、磁気追跡医療機器によって検出可能な磁場を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、磁石348A~348Dは、スタイレット140の遠位端244まで延びてもよい。いくつかの実施形態では、磁石348A~348Dは、中心長手方向軸341に沿って連続的に位置合わせされてもよい。例えば、第1の磁石348Aは、遠位端244に隣接して配置されてもよく、第2の磁石348Bは、第1の磁石348Aの近位に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、チュービング252は、複数の磁石148を覆って被覆されてもよい。いくつかの実施形態では、磁石348A~348Dは、円筒形状であってもよく、端から端まで配列されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、スタイレット140は、スタイレット140に沿って延びるワイヤ354を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ワイヤ354は、磁気領域243に沿ってのみ延びてもよい。他の実施形態では、ワイヤ354は、スタイレット140の全長に沿って延びる。ワイヤ354は、磁石348A~348Dの各々の周りに少なくとも部分的に巻き付けられてもよい(すなわち、コイル状に巻き付けられてもよい)。いくつかの実施形態では、ワイヤ354は、磁石348A~348Dの各々の周りに、少なくとも完全に1回転巻き付けられてもよい(すなわち、コイル状に巻き付けられてもよい)。図示されるように、ワイヤ354は、チュービング252の管腔252A内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ354は、ステンレス鋼で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ354は、磁石348A~348Dをスタイレット140に固定し、及び/又は磁石348A~348Dの管腔252Aとの長手方向の変位を制限するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ354は、例えば、磁石348A、348Bなどの隣接する磁石間に分離空間352Bを画定することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、ワイヤ354は、スタイレット140に沿って電気信号を伝搬するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ワイヤ354の近位部分は、スタイレット140(又はより具体的には、チュービング252)の近位端346を越えて延びてもよく、その結果、ワイヤ354は、例えば、ECGデバイスなどの電気信号を処理するように構成された医療機器に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサ156は、スタイレット140の遠位端244に配置された電極356Aを含んでもよく、ワイヤ354は、電極356Aに電気的に接続されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、スタイレット140は、潤滑剤380を含んでもよく、潤滑剤380は、概して、チュービング252に対する磁石348A~348Dのうちの1つ以上の長手方向の摺動変位を可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、第1の磁石348Aと第2の磁石348Bとの間、第2の磁石348Bと第3の磁石348Cとの間、及び第3の磁石348Cと第4の磁石348Dとの間に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、スタイレット140の遠位端244から磁気領域243の近位端まで延在してもよい。チュービング252に対する磁石348A~348Dのうちの1つ以上の摺動変位を可能にすることによって、潤滑剤380は、屈曲事象中に磁石348A~348Dのうちの1つ以上が長手方向に変位することを可能にし、それによって、屈曲事象中のチュービング252上のひずみを減少させて、チュービング252の破裂の可能性を防止し、阻止し、又は減少させる。
【0042】
図3Bは、いくつかの実施形態による、スタイレット140の断面図である。一実施形態では、スタイレット本体342は、遠位端244まで延びる複数部品本体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、磁石348A~348Dの各々は、トロイダル断面を画定することができる。いくつかの実施形態では、隣接する磁石は、互いに磁気的に引き付けられてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、磁石348A~348Dのうちの1つ以上の外面349とチュービング252の内面353との間に配置された潤滑層を画定することができる。いくつかの実施形態では、ワイヤ354は、潤滑剤380の層内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、隣接する磁石間の空間352B内に配置されてもよく、カテーテル120内へスタイレット140を挿入する力は、潤滑剤380を磁石348A~348Dの外面349及びチュービング252の内面153に沿って拡散させ得る。潤滑剤380は、液体又は半固体(例えば、ゲル)であってもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は水溶性であってもよい。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、例えば、薬物などの生物学的薬剤を含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、シリコーン油、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのうちの1つ以上を含む組成物を含むことができる。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、製造プロセス中にスタイレット140に塗布される。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、運動、摩擦、温度などの際に不活性状態と活性状態との間で移行する調合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、潤滑剤380は、(i)スタイレット140に不活性状態で塗布され、次いで、(ii)スタイレット140の挿入前又は挿入中に活性状態に移行されてもよい。一実施形態では、潤滑剤380は、規定の温度を超えて加熱されると液化する薄い固体膜で形成されてもよく、潤滑剤380が磁石348A~348Dとチュービング252との間を流れることを可能にする。一実施形態では、規定の温度は95°F(35℃)よりも高くてもよい。
【0044】
図4A図4Bは、いくつかの実施形態による、磁気領域243に沿って配置された磁石348A~348Dと、管腔252A内に配置された潤滑剤380とを含むスタイレット140の遠位端244の断面図を示す。図4Aは、直線形状に配置された磁気領域243を示し、図4Bは、スタイレット140の遠位先端部445に加えられた力410から生じる湾曲形状に配置された磁気領域243を示し、力410は屈曲事象を引き起こす。矢印420によって示されるように、チューブ252に対する磁石348A~348Dの各々の独立した双方向の摺動変位は、潤滑剤380によってもたらされる低減された摩擦の結果として、屈曲事象中に随意に生じ得る。したがって、潤滑剤380は、磁石348A~348Dと内面153との摺動接触がチューブ252をえぐり取るか又は他の形で損傷することを阻止する。同様に、磁石348A~348Dの各々の随意の独立した双方向の摺動変位は、チューブ252がより大きい曲率半径で曲がることを可能にし、したがって、チューブ252内のひずみを低減し、それによって、チュービング252への損傷を更に阻止し得る。
【0045】
図5は、いくつかの実施形態による、カテーテルアセンブリの例示的な製造方法のフローチャートを示す。本方法500は、以下のステップ、アクション、又はプロセスの全て又は任意のサブセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法500は、スタイレットを組み立てること(ブロック510)を含んでもよい。
【0046】
スタイレットを組み立てることは、潤滑剤をスタイレットチューブの管腔内に供給すること(ブロック511)を含んでもよい。潤滑剤を供給することは、例えば、磁気領域に沿ってなど、スタイレットチューブの遠位端に隣接して潤滑剤を位置させることを含んでもよい。
【0047】
スタイレットを組み立てることはまた、複数の磁石をスタイレットチューブの管腔内に挿入すること(ブロック512)を含んでもよい。複数の磁石を挿入することは、例えば磁気領域に沿ってなど、スタイレットチューブの遠位端に隣接して磁石を位置することを含んでもよい。潤滑剤を供給すること及び/又は磁石を挿入することは、磁石を潤滑剤で覆うことを含んでもよい。
【0048】
スタイレットを組み立てることはまた、複数の磁石の各々をワイヤで巻くこと(ブロック513)と、ワイヤをスタイレットチューブの管腔内に挿入すること(ブロック514)とを含んでもよい。
【0049】
スタイレットを組み立てることはまた、電極をスタイレットチューブに連結すること(ブロック515)を含んでもよく、電極は遠位端でスタイレットチューブに連結される。電極を連結することはまた、ワイヤを電極に接続することと、ワイヤをスタイレットチューブの近位端を越えて近位に延ばすことと、を含んでもよい。
【0050】
スタイレットを組み立てることはまた、取付部材をスタイレットチューブに固定すること(ブロック516)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、取付部材を固定することは、取付部材をスタイレットチューブ上に螺合させることを含む。
【0051】
本方法500はまた、スタイレットをカテーテルの中心管腔内に挿入すること(ブロック520)を含んでもよい。カテーテルは、2つ以上の延長脚部を有する末梢挿入型中心静脈カテーテルを含んでもよく、各延長部は、中心管腔と流体連通する延長脚部管腔を含む。
【0052】
スタイレットをカテーテルの中心管腔内に挿入することは、スタイレットチューブの遠位端がカテーテルの遠位端に隣接して配置されるように、スタイレットをカテーテルに対して位置決めすること(ブロック521)も含んでもよい。
【0053】
スタイレットをカテーテルの中心管腔に挿入することはまた、取付部材をカテーテルのコネクタに連結すること(ブロック522)を含んでもよい。
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合及び/又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合及び/又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】