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特表2024-538298面光源から出射される平面型発光トランジスタ及びその製造方法並びに応用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】面光源から出射される平面型発光トランジスタ及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/30 20230101AFI20241010BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 85/20 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 50/805 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20241010BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20241010BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241010BHJP
   H10K 101/10 20230101ALN20241010BHJP
   H10K 101/20 20230101ALN20241010BHJP
【FI】
H10K50/30
H10K50/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17 171
H10K85/60
H10K85/30
H10K85/20
H10K50/805
H10K59/121 213
H10K71/12
H10K71/16 164
H01L29/78 618B
H01L29/78 612Z
H01L29/78 616T
H01L29/78 618Z
H10K101:10
H10K101:20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525634
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 CN2022127967
(87)【国際公開番号】W WO2023078156
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111288584.3
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111460089.6
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506281853
【氏名又は名称】中国科学院化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】董煥麗
(72)【発明者】
【氏名】苗紮根
(72)【発明者】
【氏名】高海闊
(72)【発明者】
【氏名】胡文平
(72)【発明者】
【氏名】高燦
(72)【発明者】
【氏名】趙曼
【テーマコード(参考)】
3K107
5F110
【Fターム(参考)】
3K107AA02
3K107BB01
3K107BB02
3K107BB05
3K107CC02
3K107CC04
3K107CC33
3K107DD02
3K107DD03
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD42X
3K107DD42Y
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD64
3K107DD66
3K107DD67
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD78
3K107DD85
3K107EE04
3K107FF04
3K107FF13
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG06
5F110AA04
5F110BB13
5F110BB20
5F110CC07
5F110DD01
5F110DD02
5F110DD03
5F110DD05
5F110DD13
5F110EE02
5F110EE03
5F110EE04
5F110EE07
5F110EE09
5F110EE14
5F110EE15
5F110EE42
5F110EE43
5F110FF01
5F110FF02
5F110GG05
5F110GG06
5F110GG42
5F110HK02
5F110HK03
5F110HK04
5F110HK07
5F110HK09
5F110HK32
5F110NN71
(57)【要約】
本発明は、面光源から出射される平面発光トランジスタデバイス及びその製造方法並びに応用を開示する。半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に電荷緩衝層を挿入することにより、製造された平面発光トランジスタは、安定した面光源の出射を実現することができ、従来の平面型発光トランジスタの出射光が線状又は帯状であるという欠点を効果的に克服する。当該面光源から出射される平面発光トランジスタデバイスの集積度が高く、安定した面光源の出射を実現することができ、トランジスタデバイスの開口率を効果的に向上させ、ゲート電極の良好な調整能力、高いループ安定性及び任意の調整性を有し、小型化が容易であり、量産可能であり、フレキシブルなウェアラブルデバイスに対する互換性が良く、発光トランジスタデバイスの発光ディスプレイ分野への応用に対して重要な促進作用を奏する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面光源平面型発光トランジスタであって、
ソース電極、ドレイン電極、及びソース電極又はドレイン電極の下に設置された電荷緩衝層を含む、
ことを特徴とする面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項2】
前記面光源平面型発光トランジスタは半導体電荷輸送層を更に含み、好ましくは、前記半導体電荷輸送層はソース電極の下に設置され、より好ましくは前記電荷緩衝層は半導体電荷輸送層の上に設置され、
好ましくは、前記面光源平面型発光トランジスタは発光ユニットを更に含み、好ましくは前記発光ユニットはドレイン電極の下に設置され、より好ましくは前記電荷緩衝層は発光ユニットの下に設置されるか、或いは、前記電荷緩衝層はソース電極及び発光ユニットの下に設置され、
好ましくは、前記電荷緩衝層はドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間に設置されるか、或いは、前記半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に設置されてもよく、
好ましくは、前記面光源平面型発光トランジスタは、
支持基板と、
前記支持基板の表面に設置されたゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設置された誘電体層と、
前記誘電体層の上に設置された半導体電荷輸送層と、
前記半導体電荷輸送層の上に設置され、好ましくは電荷輸送層の異なる側に設置されたソース電極及び電荷緩衝層と、
電荷緩衝層の上に順に設置された発光ユニット及びドレイン電極と、を含み、
より好ましくは、前記面光源平面型発光トランジスタは、
支持基板と、
前記支持基板の表面に設置されたゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設置された誘電体層と、
前記誘電体層の上に設置された半導体電荷輸送層と、
前記半導体電荷輸送層の上に設置された電荷緩衝層と、
電荷緩衝層の上に順に設置され、好ましくは電荷緩衝層の異なる側にあるソース電極及び発光ユニットと、
発光ユニットの上に設置されたドレイン電極と、を含み、
更に好ましくは、前記ソース電極及びドレイン電極は非平面状に配置され、発光部分はソース電極又はドレイン電極の有効面積の全体であり、ゲート電圧は発光輝度を調節するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項3】
前記半導体電荷輸送層の移動度は0.1 cm2 V-1s-1以上であり、
好ましくは、前記半導体電荷輸送層は有機半導体材料及び/又は無機半導体材料を含み、例えば前記有機半導体材料は小分子材料及び/又はポリマー材料から選ばれ、
好ましくは、前記有機半導体材料は、2,7-ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2-b]ベンゾチオフェン(C8-BTBT)、2,6-ジフェニルアントラセン(DPA)、2,6-ジナフチルアントラセン(dNaAnt)、2,6-ジ(p-n-ヘキシルベンゼン)アントラセン(C6-DPA)、2,6-ジ(p-オクチルヘキシルベンゼン)アントラセン(C8-DPA)、2,6-ジ(p-デシルベンゼン)アントラセン(C10-DPA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、9,9-ジ-n-オクチルフルオレン-ベンゾチアジアゾール共重合体(F8BT)、ポリ[2,5-(2-オクチルドデシル)-3,6-ジケトピロロピロール-alt-5,5-(2,5-ジ(チオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン)](DPP-DTT)という物質から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されず、より好ましくはC8-BTBTであり、
好ましくは、前記無機半導体材料は、炭素ナノチューブ(CNTs)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)という物質から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されない、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項4】
前記電荷緩衝層の材料は、低移動度の有機材料、金属材料、p-n-p接合から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、前記低移動度は、前記半導体電荷輸送層の移動度よりも2~5桁小さいことを意味し、
好ましくは、前記電荷緩衝層は、低移動度の有機材料4,4'-シクロヘキシルジ[N,N-ジ(4-メチルフェニル)アニリン](TAPC)、N,N'-ジフェニル-N,N'-(1-ナフチル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)及びPVKのうちの1種又は複数種から形成される層であり、より好ましくはTAPCから形成される層であり、或いは、前記電荷緩衝層は金属材料Au、Ni、Ptなどの1種又は複数種から形成される層であり、或いは、前記電荷緩衝層はp-n-p接合のうちのC60-ペンタセン-C60、C70-テトラセン-C70、C60-テトラセン-C70などの1種又は複数種から形成される層である、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項5】
前記発光ユニットは、発光層並びに前記発光層にエネルギー準位が整合された電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、及び/又は正孔注入層を含み、
更に、前記発光層は発光材料から形成される層であり、例えば前記発光材料は、蛍光材料、リン光材料及び熱活性型遅延蛍光材料から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されず、
好ましくは、前記蛍光材料は、アルミニウムオクタヒドロキシキノリン(Alq3)、5,6,11,12-テトラフェニルテトラセン及び4,4'-ビス[4-(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル(BDAVBi)から選ばれる1種又は複数種であり、
好ましくは、前記リン光材料は、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、アセチルアセトン酸ジ(2-フェニルピリジン-C2,N)イリジウム(Ir(ppy)2(acac))及びイリジウム(III)トリス[N,N'-ジフェニルベンズイミダゾール-2-イリデン-C2,C2'](Ir(dpbic)3)から選ばれる1種又は複数種であり、
好ましくは、前記熱活性型遅延蛍光材料は、9,9'-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-フェニレン)ビス(9Hカルバゾール)(DCzTRZ)、(N-フェノキサジン)フェニル]チオスルホン(PXZ-DPS)、10-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアゾール-2-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(DMAC-TRZ)から選ばれる1種又は2種である、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項6】
前記発光ユニットから出射される光のスペクトルは390 nm~780 nmの間であり、
また例えば、前記発光ユニットにおける発光層は、単一の発光材料から形成されるか、又は、ゲストドーピングされたホスト材料から形成され、
前記単一の発光材料は、好ましくはAlq3、DPA、dNaAntであり、前記ゲストドーピングされたホスト材料におけるゲストドーピング材料は、1,4-ビス(10-フェニルアントラセン-9-イル)ベンゼン(BD-1)、BDAVBi、ペリレン(Perylene)、ビスジメチル-ジヒドロアクリジンフェニルチオスルホン(DMAC-DPS)、ジ[2-(5-シアノ-4,6-ジフルオロフェニル)ピリジン-C2,N)]ピコリナトイリジウム(FCNirPic)、イリジウム(III)ビス[(2,3,4-ジフルオロフェニル)-ピリジン-N,C2']ピコリネート(Ir(tfpd)2pic)、ビス[2,4-ジメチル-6-(4-メチル-2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン-κO3(Ir(mphmq)2tmd)、4,4'-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、9,9'-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-ベンゼン)ビス(9H -カルバゾール)(DCzTrz)、5,5-ジブロモ-4,4-ビス(テトラデシル)-2,2-ビチオフェン(fac-Ir(dpbic)3)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、トリス[2-(p-トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy)3)、アセチルアセトン酸ジ(2-フェニルピリジン-C2,N)イリジウム(III)(Ir(ppy)2(acac))、ビス(2-(ナフト-2-イル)ピリジン)(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(npy)2acac)、トリス[2-(3-メチル-2-ピリジル)フェニル]イリジウム(Ir(3mppy)3)、ビス(2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン-C2,N')(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(dmpq)2acac)、ビス(2-(2'-ベンゾチエニル)-ピリジン-N,C3')イリジウム(アセチルアセトン)(Ir(btp)2(acac))、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)ビニル]-4H-ピラン(DCM2)、5,6,11,12-テトラフェニルテトラセン、トリス(2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン-C2,N')イリジウム(III)(Ir(dmpq)3)、2,8-ジtert-ブチル-5,11-ビス(4-tert-ブチルフェニル)-6,12-ジフェニルテトラセン(TBRb)、10-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアゾール-2-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(DMAC-TRZ)という物質のうちの1種又は複数種であり、
前記ホスト材料は、Alq3、4,4'-ビス(N-カルバゾール)-1,1'-ビフェニル(CBP)、4,4’-ビス(2,2-ジフェニル-エチレン-1-イル)-4,4’-ジメチルフェニル(p-DMDPVBi)、4,4'-ジ(2,2-ジスチリル)-1,1'-ビフェニル(DPVBi)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)、ジフェニル[4-(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシド(TSPO1)、3-(3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゾフラン[2,3-b]ピリジン(PCz-BFP)、2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィンオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアゾール(PO-T2T)、2,4,6-トリス(3-(カルバゾール-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(TCPZ)、4,4'-ビス(トリフェニルシリル)-1,1'-ビフェニル(BSB)、2,7-ビス[9,9-ジ(4-メチルフェニル)-フルオレン-2-イル]-9,9-ジ(4-メチルフェニル)フルオレン(TDAF)、3',3'',3'''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(([1,1'-ビフェニル]-3-ニトリル))(CN-T2T)という物質のうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項7】
前記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットの厚さは何れも、ナノメートルからサブミクロンオーダーである、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項8】
前記面光源平面型発光トランジスタは、電圧印加下で、発光ユニットの色にマッチする面状光を発光することができ、及び/又は、上面発光又は下面発光のデバイス構造を用いることができる、
ことを特徴とする請求項7に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の面光源平面型発光トランジスタの製造方法であって、
ドレイン電極又はソース電極の下に電荷緩衝層を設置するステップを含み、
好ましくは、ドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間に電荷緩衝層を設置するか、或いは、半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に電荷緩衝層を設置し、
前記半導体電荷輸送層、発光ユニット、電荷緩衝層、ソース電極及びドレイン電極は何れも、上記の意味を有し、
好ましくは、前記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットを含む構造を活性層として記し、前記活性層は、
方法一:蒸着チャンバー内で、真空蒸着法により前記誘電体層、電極に前記小分子材料の薄膜を堆積し、活性層を得ること、
方法二:スピンコート法により前記誘電体層、電極に活性層材料の溶液をスピンコートし、活性層を得ること、
方法三:溶液エピタキシャル成長法による前記小分子材料の単結晶薄膜の製造及び成長:前記小分子材料を、水と相溶しない溶媒に溶解し、得られた均一な混合溶液を水面に徐々に滴下し、混合溶液を水面に広げ、その中の溶媒を揮発させ、前記単結晶薄膜を得て、誘電体層を有する支持基板を水中に挿入し、前記単結晶薄膜を誘電体層の表面に移転させ、活性層を得ること、
方法四:溶液せん断法による前記小分子材料の単結晶薄膜の製造:前記小分子材料を有機溶媒に溶解し、得られた均一な混合溶液を、誘電体層を有する支持基板に滴下し、更に、滴下した溶液を徐々にせん断延伸して活性層を形成すること、
から選ばれる方法の何れか1種により製造される、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
ウェアラブルデバイス、照明分野(好ましくは白光照明分野)、照明ディスプレイ分野、レーザー分野における、請求項1~8の何れか1項に記載の面光源から出射される平面発光トランジスタの、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願人が2021年11月2日に中国国家知識産権局に提出した特許出願番号が202111288584.3、発明名称が「面光源から出射される平面発光電界効果トランジスタ及びその製造方法並びに応用」である、並びに、出願人が2021年12月1日に中国国家知識産権局に提出した特許出願番号が202111460089.6、発明名称が「面光源から出射される平面発光電界効果トランジスタ及びその製造方法並びに応用」である、という2件の先行出願の優先権を主張する。上記先行出願は全体として援用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、エレクトロルミネセントデバイス分野に属し、具体的には、面光源から出射される平面発光トランジスタ及びその製造方法並びに応用に関する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイ産業は、情報技術産業の柱となる産業になっている。発光トランジスタは、有機トランジスタの電流増幅機能及び有機発光ダイオードのエレクトロルミネッセンス機能を単一デバイスに組み合わせた高集積のエレクトロルミネセントデバイスの一種として、高集積化、製造プロセスが簡単であるなどの独特な利点を有し、小型化、フレキシブル化、高精細度化を実現する次世帯の革命的なディスプレイ技術の重要なデバイス基本要素と見なされている。
【0004】
現在、発光トランジスタの典型的な構成は、平面型と垂直型に分けられる。垂直型発光トランジスタは短いチャネルを有し、低電圧駆動及び面光源出射を比較的容易に実現できるが、その動作メカニズムは、製造が困難である多孔性ソース電極を備えることが要求されるため、デバイスの安定性及び均一性に影響を与える。平面型発光トランジスタのプロセスは、従来の産業と比較的良好な互換性を有し、デバイスが相対的に安定するが、その電子と正孔が一般にチャネルと電極側で再結合し、発光の形式が線光源となるため、ディスプレイへの応用には適さない。
【0005】
デバイス構造の合理的な設計によって、発光トランジスタが良好なデバイス加工性及び安定性を有することを実現すると共に、安定した面光源の出射を実現することは、当技術分野で解決すべき技術問題である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ソース電極、ドレイン電極、及びソース電極又はドレイン電極の下に設置された電荷緩衝層を含む面光源平面型発光トランジスタを提供する。
【0007】
本発明の実施形態によれば、上記面光源平面型発光トランジスタは、半導体電荷輸送層を更に含む。
【0008】
好ましくは、上記半導体電荷輸送層はソース電極の下に設置される。本発明の一実施形態において、上記電荷緩衝層は半導体電荷輸送層の上に設置される。
【0009】
本発明の実施形態によれば、上記トランジスタは発光ユニットを更に含み、好ましくは上記発光ユニットはドレイン電極の下に設置される。
【0010】
本発明の一実施形態において、上記電荷緩衝層は発光ユニットの下に設置される。本発明の別の実施形態において、上記電荷緩衝層はソース電極及び発光ユニットの下に設置される。
【0011】
本発明の実施形態によれば、上記電荷緩衝層は、ドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間に設置されるか、或いは、上記半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に設置されてもよい。
【0012】
本発明の実施形態によれば、上記トランジスタの発光面(発光ユニットを含む)はU字型であり、ソース電極はU字型開口側に設置される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、上記ドレイン電極、発光ユニット及び電荷緩衝層の平面形状はU字型であり、ソース電極はU字型開口側に設置される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、上記ドレイン電極及び発光ユニットの平面形状はU字型であり、ソース電極はU字型開口側に設置され、好ましくは電荷緩衝層はソース電極の下に設置される。
【0015】
好ましくは、上記面光源平面型発光トランジスタは、
支持基板と、
上記支持基板の表面に設置されたゲート電極と、
上記ゲート電極の上に設置された誘電体層と、
上記誘電体層の上に設置された半導体電荷輸送層と、
上記半導体電荷輸送層の上に設置され、好ましくは電荷輸送層の異なる側に設置されたソース電極及び電荷緩衝層と、
電荷緩衝層の上に順に設置された発光ユニット及びドレイン電極と、を含む。
【0016】
好ましくは、上記面光源平面型発光トランジスタは、
支持基板と、
上記支持基板の表面に設置されたゲート電極と、
上記ゲート電極の上に設置された誘電体層と、
上記誘電体層の上に設置された半導体電荷輸送層と、
上記半導体電荷輸送層の上に設置された電荷緩衝層と、
電荷緩衝層の上に順に設置され、好ましくは電荷緩衝層の異なる側にあるソース電極及び発光ユニットと、
発光ユニットの上に設置されたドレイン電極と、を含む。
【0017】
説明すべきことは、層、膜、結晶体、領域又は基板のような素子が「別の素子の上」/「別の素子の下」又は「2つの素子の間」に設置されると表現される場合、それは、別の素子の上/下に直接設置されてもよく、或いは、中間にある1つ又は複数の層が存在してもよい。
【0018】
本発明の実施形態によれば、上記ソース電極及びドレイン電極は非平面状に配置され、即ち、両者に高低差がある。例えば、ソース電極及び電荷緩衝層の両方は半導体電荷輸送層の上に位置し、両者の間に任意選択的に隙間が存在又は非存在であり、任意選択的に厚さが相同又は相異であり、任意選択的に電荷緩衝層がソース電極を覆うか、又は両者が互いに独立し、ドレイン電極が電荷緩衝層の上に設置され(ドレイン電極は電荷緩衝層を完全に覆うか、又は部分的に覆ってもよい)、ドレイン電極及びソース電極の間に導電チャネルを形成し、任意選択的に、ドレイン電極と電荷緩衝層との間に発光ユニットを設置し、発光ユニットは、電荷緩衝層及び/又はソース電極を完全に覆うか、又は部分的に覆ってもよい。例えば、ソース電極及び発光ユニットの両方は電荷緩衝層の上に設置され、ドレイン電極は発光ユニットの上に設置され、ドレイン電極とソース電極との間に導電チャネルを形成し、任意選択的にソース電極及び発光ユニットの厚さが相同又は相異であり、任意選択的に発光ユニットとソース電極との間に隙間が存在又は非存在であり、任意選択的に発光ユニットは、ソース電極を覆うか、又は両者が互いに独立する。発光部はソース電極又はドレイン電極の有効面積の全体であり、ゲート電圧は発光輝度を調節することができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、上記電荷緩衝層及びソース電極は、半導体電荷輸送層の異なる側に設置されてもよい。発明者らは、電荷緩衝層の導入及びその位置を初めて提案し、電荷緩衝層及び他の層の厚さ、面積について、当業者は実際の必要に応じて調整することができる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、上記半導体電荷輸送層の材料は良好な電気特性を有し、好ましくは半導体電荷輸送層の移動度は0.1 cm2 V-1 s-1以上である。例えば、上記半導体電荷輸送層は有機半導体材料及び/又は無機半導体材料を含み、例えば上記有機半導体材料は小分子材料及び/又はポリマー材料から選ばれる。
【0021】
好ましくは、上記有機半導体材料は、2,7-ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2-b]ベンゾチオフェン(C8-BTBT)、2,6-ジフェニルアントラセン(DPA)、2,6-ジナフチルアントラセン(dNaAnt)、2,6-ジ(p-n-ヘキシルベンゼン)アントラセン(C6-DPA)、2,6-ジ(p-オクチルヘキシルベンゼン)アントラセン(C8-DPA)、2,6-ジ(p-デシルベンゼン)アントラセン(C10-DPA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、9,9-ジ-n-オクチルフルオレン-ベンゾチアジアゾール共重合体(F8BT)、ポリ[2,5-(2-オクチルドデシル)-3,6-ジケトピロロピロール-alt-5,5-(2,5-ジ(チオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン)](DPP-DTT)という物質から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されず、より好ましくはC8-BTBTである。
【0022】
好ましくは、上記無機半導体材料は、炭素ナノチューブ(CNTs)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)という物質から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の実施形態によれば、上記電荷緩衝層の材料は好適な電気特性を有し、例えば低移動度の有機材料、金属材料、p-n-p接合などから選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、上記低移動度は、上記半導体電荷輸送層の移動度よりも2~5桁小さいことを意味する。例えば、上記電荷緩衝層は、低移動度の有機材料4,4'-シクロヘキシルジ[N,N-ジ(4-メチルフェニル)アニリン](TAPC)、N,N'-ジフェニル-N,N'-(1-ナフチル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)及びポリビニルカルバゾール(PVK)のうちの1種又は複数種から形成される層であり、より好ましくはTAPCから形成される層である。また例えば、上記金属材料の仕事関数は発光ユニットの最高占有分子軌道(HOMO)エネルギー準位に整合し、金属材料の仕事関数は4.5 eV~6 eVの範囲で定義されてもよく、好ましくは、上記電荷緩衝層は金属材料Au、例えばAu、Ni、Ptなどの1種又は複数種から形成される層であり、例えば極薄層であり、層の厚さは0.5~10 nm、例えば1 nm、2 nm、3 nmであってもよい。また例えば、上記電荷緩衝層はp-n-p接合のうちのC60-ペンタセン-C60、C70-テトラセン-C70、C60-テトラセン-C70などの1種又は複数種から形成される層である。
【0024】
本発明の実施形態によれば、上記電荷緩衝層の材料が低移動度の有機材料又はp-n-p接合である場合、上記電荷緩衝層の厚さは20~80 nm、例えば30 nm、40 nm、50 nmである。
【0025】
本発明の実施形態によれば、上記発光ユニットは、発光層並びに上記発光層にエネルギー準位が整合された電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、及び/又は正孔注入層を含む。
【0026】
更に、上記発光層は、当該技術分野で公知の発光メカニズムの発光材料から形成される層であってもよく、例えば上記発光材料は、蛍光材料、リン光材料及び熱活性型遅延蛍光材料などから選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。
【0027】
好ましくは、上記蛍光材料は、アルミニウムオクタヒドロキシキノリン(Alq3)、5,6,11,12-テトラフェニルテトラセン(即ちルブレン、Rubrene)及び4,4'-ビス[4-(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル(BDAVBi)から選ばれる1種又は複数種である。
【0028】
好ましくは、上記リン光材料は、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、アセチルアセトン酸ジ(2-フェニルピリジン-C2,N)イリジウム(Ir(ppy)2(acac))及びイリジウム(III)トリス[N,N'-ジフェニルベンズイミダゾール-2-イリデン-C2,C2'](Ir(dpbic)3)から選ばれる1種又は複数種である。
【0029】
好ましくは、上記熱活性型遅延蛍光材料は、9,9'-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-フェニレン)ビス(9Hカルバゾール)(DCzTRZ)、(N-フェノキサジン)フェニル]チオスルホン(PXZ-DPS)、10-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアゾール-2-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(DMAC-TRZ)から選ばれる1種又は2種である。
【0030】
更に、上記発光ユニットから出射される光のスペクトルは390 nm~780 nmである。
【0031】
また例えば、上記発光ユニットにおける発光層は単一の発光材料であってもよく、ゲストドーピングされたホスト材料であってもよい。本発明において、「ドーピング」は、30%以下の重量パーセントの量で最大重量パーセントを占める材料に添加された、対応する層の最大重量パーセントを占める材料と異なる物理的特性を有する何れかの層の材料を指す。何れかの層のホスト材料とドーピング剤材料は互いに区別可能である。
【0032】
本発明の実施形態によれば、上記単一の発光材料は、好ましくはAlq3、DPA、dNaAntであり、上記ゲストドーピングされたホスト材料におけるゲストドーピング材料は1種又は複数種であってもよく、上記ホスト材料は単一物質又は混合物であってもよく、ゲストドーピング材料は、好ましくは1,4-ビス(10-フェニルアントラセン-9-イル)ベンゼン(BD-1)、BDAVBi、ペリレン(Perylene)、ビスジメチル-ジヒドロアクリジンフェニルチオスルホン(DMAC-DPS)、ジ[2-(5-シアノ-4,6-ジフルオロフェニル)ピリジン-C2,N)]ピコリナトイリジウム(FCNirPic)、イリジウム(III)ビス[(2,3,4-ジフルオロフェニル)-ピリジン-N,C2']ピコリネート(Ir(tfpd)2pic)、ビス[2,4-ジメチル-6-(4-メチル-2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン-κO3(Ir(mphmq)2tmd)、4,4'-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、9,9'-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-ベンゼン)ビス(9H-カルバゾール)(DCzTrz)、5,5-ジブロモ-4,4-ビス(テトラデシル)-2,2-ビチオフェン(fac-Ir(dpbic)3)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、トリス[2-(p-トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy)3)、アセチルアセトン酸ジ(2-フェニルピリジン-C2,N)イリジウム(III)(Ir(ppy)2(acac))、ビス(2-(ナフト-2-イル)ピリジン)(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(npy)2acac)、トリス[2-(3-メチル-2-ピリジル)フェニル]イリジウム(Ir(3mppy)3)、ビス(2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン-C2,N')(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(dmpq)2acac)、ビス(2-(2'-ベンゾチエニル)-ピリジン-N,C3')イリジウム(アセチルアセトン)(Ir(btp)2(acac))、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)ビニル]-4H-ピラン(DCM2)、5,6,11,12-テトラフェニルテトラセン(即ちRubrene)、トリス(2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン-C2,N')イリジウム(III)(Ir(dmpq)3)、2,8-ジtert-ブチル-5,11-ビス(4-tert-ブチルフェニル)-6,12-ジフェニルテトラセン(TBRb)のうちの1種又は複数種であり、ホスト材料は好ましくはAlq3、4,4'-ビス(N-カルバゾール)-1,1'-ビフェニル(CBP)、4,4’-ビス(2,2-ジフェニル-エチレン-1-イル)-4,4’-ジメチルフェニル(p-DMDPVBi)、4,4'-ジ(2,2-ジスチリル)-1,1'-ビフェニル(DPVBi)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)、ジフェニル[4-(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシド(TSPO1)、3-(3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゾフラン[2,3-b]ピリジン(PCz-BFP)、2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィンオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアゾール(PO-T2T)、2,4,6-トリス(3-(カルバゾール-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(TCPZ)、4,4'-ビス(トリフェニルシリル)-1,1'-ビフェニル(BSB)、2,7-ビス[9,9-ジ(4-メチルフェニル)-フルオレン-2-イル]-9,9-ジ(4-メチルフェニル)フルオレン(TDAF)、3',3'',3'''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(([1,1'-ビフェニル]-3-ニトリル))(CN-T2T)、10-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアゾール-2-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(DMAC-TRZ)のうちの1種又は複数種である。
【0033】
好ましくは、上記発光ユニットは、緑色発光ユニット10% Ir(ppy)3:CBP/3TPYMB、赤色発光ユニット5% Ir(mphmq)2tmd:CBP/Tmpypb、又は青色発光ユニット10% BD-1:CBP/B3pypbであり、例示的には20 nm 10% Ir(ppy)3:CBP/40 nm 3TPYMB、20 nm 5% Ir(mphmq)2tmd:CBP/40 nm Tmpypb、又は20 nm 10% BD-1:CBP/40 nm B3pypbである。
【0034】
一実施形態において、上記発光ユニットは白色発光ユニットであり、例えば2% Rubrene:DMAC-TRZ/ 3TPYMB、また例えば30 nm 2% Rubrene:DMAC-TRZ/40 nm 3TPYMBである。
【0035】
本発明の実施形態によれば、上記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層及び発光ユニットは、当該技術分野で公知の電荷輸送及び可視光出射に役立つ加工方法により得られ、上記加工方法は、真空蒸着法(vacuum thermal evaporation)、物理的気相輸送法(physical vapor transport)、溶液せん断法(solution shearing)、溶液エピタキシャル成長法(solution epitaxy)、スピンコート法(spin coating)、インクジェット印刷法(inkjet printing)を含むが、これらに限定されない。当業者であれば、具体的に用いられる方法は、実際に用いられる半導体材料の物理的性質(例えば溶解性、融点と沸点など)に応じて具体的に選択することができると理解されるべきである。
【0036】
例えば、上記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットを含む活性層の製造方法は、
方法一:蒸着チャンバー内で、真空蒸着法により上記誘電体層、電極に上記小分子材料の薄膜を堆積し、活性層を得ること、
方法二:スピンコート法により上記誘電体層、電極に活性層材料の溶液をスピンコートし、活性層を得ること、
方法三:溶液エピタキシャル成長法による上記小分子材料の単結晶薄膜の製造及び成長:上記小分子材料を、水と相溶しない溶媒に溶解し、得られた均一な混合溶液を水面に徐々に滴下し、混合溶液を水面に広げ、その中の溶媒を揮発させ、上記単結晶薄膜を得て、誘電体層を有する支持基板を水中に挿入し、上記単結晶薄膜を誘電体層の表面に移転させ、活性層を得ること、
方法四:溶液せん断法による上記小分子材料の単結晶薄膜の製造:上記小分子材料を有機溶媒に溶解し、得られた均一な混合溶液を、誘電体層を有する支持基板に滴下し、更に、滴下した溶液を徐々にせん断延伸して活性層を形成すること、
から選ばれる方法の何れか1種であってもよい。
【0037】
電荷は、半導体電荷輸送層の一端の電極(ソース電極を例とする)から注入され、ゲート電圧印加下で形成された極薄の導電チャネルにおいて他端に輸送され、電荷緩衝層の作用を経て他の電極の下方(ドレイン電極を例とする)に相対的に均一な電流注入を形成し、ドレイン電極から注入された電子と再結合し、均一な面光源を形成して出射する。
【0038】
本発明の実施形態によれば、上記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットの厚さは何れも、ナノメートルからサブミクロンオーダーであり、例えば各層の厚さは独立的に5~500 nm、例えば10~100 nmであってもよい。
【0039】
本発明の実施形態によれば、発光部品(電荷緩衝層及び発光ユニットを指す)の数は少なくとも1つ、例えば2つ、3つ又はそれ以上である。上記発光部品の数は2つ、3つ又はそれ以上である場合、そのうちの電荷緩衝層及び発光ユニットは任意選択的に相同又は相異である。各発光部品間は電荷発生層(CGL)によって接続される。
【0040】
本発明の実施形態によれば、上記面光源平面型発光トランジスタのソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は何れも、透明電極であってもよく非透明電極であってもよく、互いに独立的に、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、ニッケル、金、モリブデン、鉄及び鉛などの金属、上記金属の合金、LiF/Al、LiO2/Al又はLiF/Al/Agなどの多層材料、及びITO、IZO、MoOxなどの金属酸化物、高濃度にドーピングされたシリコンという物質から選ばれる何れか1種又は複数種を含むが、これらに限定されない。当業者であれば、具体的に選択される金属の種類は、半導体材料のエネルギー準位に応じて調整することができると理解されるべきである。
【0041】
本発明の実施形態によれば、上記ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は、当該技術分野で公知の方法を選択して製造される。例えば真空熱蒸着方法、インクジェット印刷法、電子ビーム堆積法などの少なくとも1つを選択することができる。
【0042】
本発明の実施形態によれば、上記誘電体層の種類は、特に制限されず、無機材料誘電体層及び/又は有機材料誘電体層であってもよい。例示的には、上記誘電体層は、無機材料誘電体層、例えば無機酸化物(Al2O3、SiO2)から形成される誘電体層であり、及び/又は、上記誘電体層は、有機材料誘電体層、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)から形成される誘電体層である。
【0043】
本発明の実施形態によれば、上記誘電体層は、当該技術分野で公知の方法を選択して製造することができる。例えば、熱成長法、物理的蒸着法、スピンコート法などの少なくとも1つを選択することができる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、上記誘電体層の厚さは、特に制限されない。例示的には、上記誘電体層の厚さは10~800 nmである。当業者は、実際の必要に応じて誘電体層の厚さを調整することができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、上記支持基板は、剛性基板(例えば二酸化ケイ素ウェハ、ガラス又は石英など)或いはフレキシブル基板(例えばPC、PMMA、PDMSなど)である。
【0046】
本発明の実施形態によれば、上記面光源平面型発光トランジスタは、上面発光又は下面発光のデバイス構造を用いることができる。
【0047】
本発明の実施形態によれば、上記面光源平面型発光トランジスタは、電圧印加下で、発光ユニットの色にマッチする面状光を発光することができる。
【0048】
本発明は、上記面光源から出射される平面発光トランジスタの製造方法であって、ドレイン電極又はソース電極の下に電荷緩衝層を設置するステップを含み、上記ドレイン電極、ソース電極及び電荷緩衝層が何れも、上記の意味を有する、製造方法を更に提供する。
【0049】
本発明の実施形態によれば、上記製造方法は、ドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間に電荷緩衝層を設置するか、或いは半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に電荷緩衝層を設置するステップを含み、
上記ドレイン電極、ソース電極、半導体電荷輸送層、発光ユニット及び電荷緩衝層は何れも、上記の意味を有する。
【0050】
好ましくは、上記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットを含む構造を活性層として記し、上記活性層は上記方法によって製造される。
【0051】
本発明にかかるトランジスタデバイス及び低温製造プロセス、例えば溶液加工プロセス(インクジェット印刷、エレクトロガスアトマイズ、ロールツーロールなど)は、非常に良好な互換性を有する。
【0052】
本発明は、ウェアラブルデバイスにおける、上記面光源から出射される平面発光トランジスタの応用を更に提供する。
【0053】
本発明は、照明ディスプレイ分野、光通信又は新型光電子集積などの分野における、上記面光源から出射される平面発光トランジスタの応用を更に提供する。例えば、上記の他の関連応用分野はレーザーなどである。
【0054】
本発明は、白光照明などの照明分野における、上記面光源から出射される平面発光トランジスタの応用を更に提供する。
【0055】
上記面光源から出射される平面発光トランジスタは、1つの発光部品を含むトランジスタであってもよく、少なくとも2つの発光部品を含む直列トランジスタであってもよい。
〔本発明の有益な効果:〕
従来の平面型発光トランジスタは、大部分のデバイスが線状又は帯状の光を出射するものであり、良好な面光源を呈することができない。従来の発光トランジスタに存在する欠点を克服するために、本発明は、電荷緩衝層を有する発光トランジスタを提案する。本願の発明者らは、ソース電極又はドレイン電極の下、ドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間、或いは電荷輸送層と発光ユニットとの間に電荷緩衝層を挿入することにより、トランジスタに電流密度を再分配することができ、製造された平面発光トランジスタが安定した面光源の出射を実現し、均一なRGB領域出射を提供することができることを見出した。同時に、ゲート電極の良好な調整能力(on/off比106)、高いループ安定性及び任意の調整性を有し、及び実際の必要に応じて調整可能な高開口率を有し、例えば従来技術の10%以上から94%以上に調整される。有機半導体のフレキシブル特性のため、ウェアラブルデバイスとの集積を実現することができ、これは、ウェアラブル面光源発光デバイスの機能及び応用シーンを拡張するのにより有利である。
【0056】
1.本発明に記載の面光源の出射平面発光トランジスタデバイスは、ゲート電圧の影響を受けない面光源の出射を実現することができ、ディスプレイ分野におけるデバイスの応用に役立つ。
【0057】
2.本発明に記載の面光源の出射平面発光トランジスタデバイスは、高開口率のエレクトロルミネセントデバイスの構築を実現することができ、フレキシブルなウェアラブルデバイスと良好な互換性を有することができ、発光トランジスタデバイスの発展に対して重要な促進作用を奏する。
【0058】
3.本発明は、有機半導体に基づいた面光源から出射される発光トランジスタデバイスを開発することにより、有機半導体材料系が豊富で、軽量で、安価であり、加工が容易であるという利点を最大限に利用することができ、発光トランジスタデバイスの大面積の制御可能且つアレイ化の製造のために、効率的な解決案を提供する。
【0059】
「開口率」は、発光面と開口面との面積の和を占める発光面の面積のパーセントを指す。発光面の面積占有率を調整することにより、一連の開口率(例えば、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、82%、85%、88%、90%、94%の開口率)を有するトランジスタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1-1】実施例1~4で製造された面光源から出射される発光トランジスタデバイスの構造概略図である。
図1-2】実施例5で製造された面光源から出射される発光トランジスタデバイスの構造概略図である。
図2-1】実施例1、実施例2、実施例3でそれぞれ製造された赤、緑、青の基本色の平面発光トランジスタデバイスの面光源出射の光学顕微鏡写真である。
図2-2】実施例1で製造された緑色平面発光トランジスタデバイスの典型的な遷移曲線(a)、出力曲線(b)及び発光スペクトル(c)である。
図3】実施例4における高開口率で面光源から出射される平面発光トランジスタのデバイス光学写真及び発光光学写真である。
図4】実施例4における高開口率で面光源から出射される平面発光トランジスタの典型的な遷移曲線及び発光スペクトルである。
図5】実施例8における3つの発光部品を含む面光源から出射される平面発光直列トランジスタの構造概略図である。
図6】実施例9で製造された面光源から出射される発光トランジスタデバイスの構造概略図(左)及び光学写真(右、スケール0.2 mm)である。
図7】実施例9のデバイスのソース・ドレイン電流-輝度-ゲート電圧の関係曲線(左)及び外部量子効率(EQE)と輝度との関係図(右)である。
図8】実施例9のデバイスの、ゲート電圧-5 V、-6 V、-20 Vの電圧での発光写真である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、具体的な実施例を参照しながら本発明を更に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の請求範囲を制限するものではない。また、本発明に開示された内容を読んだ後、当業者は、本発明に対して様々な変更や修正を行うことができ、これらの等価の形態も本発明が限定する請求範囲に含まれると理解すべきである。
【0062】
下記実施例で使用される実験方法は特別な説明がなければ、何れも従来の方法であり、下記実施例で使用される試薬、材料等は、特別な説明がなければ、何れも商業的に入手することができる。
【0063】
実施例1 CBP:Ir(ppy)3緑色発光ユニットに基づいた面光源から出射される平面発光トランジスタデバイス
1)Si/SiO2ウェハ洗浄及び水溶層修飾:
SiO2酸化層を有するシリコンウェハを、使用前に、まず体積比が約1:2の過酸化水素水:濃硫酸(電気炉加熱、15分間煮沸)で洗浄し、次に脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールでそれぞれ順に約10分間超音波を行い、窒素ガスでシリコンウェハを速やかに乾燥させた。O2 plasmaプラズマ洗浄機中で表面エネルギー準位を5分間修飾し、表面に残留した有機溶媒を除去した。次いで、90摂氏度の乾燥箱中で90分間乾燥させた。最後に、1滴のオクタデシルトリクロロシラン(OTS)を毛細管に浸して、シリコンウェハを置いたペトリ皿の中央に滴下し、このペトリ皿を120摂氏度の乾燥箱中に置いて120分間加熱し、自然降温した。
【0064】
2)有機電荷輸送層(即ち半導体電荷輸送層)C8-BTBTの製造
パターン化された金属マスクプレートを基板に固定し、真空蒸着機により、ステップ1)で修飾された後のSi/SiO2ウェハに50 nmのC8-BTBTを熱蒸着させた。蒸着完了後、温度を45摂氏度とし、時間を20分間とするように、直ちにアニール処理を行った。
【0065】
3)ソース電極の製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の一側に2 nmのMoOx及び40 nmのAuを熱蒸着させた。
【0066】
4)電荷緩衝層及び発光ユニットの製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の他側に、電荷緩衝層40 nm TAPC及び発光ユニット20 nm 10% Ir(ppy)3:CBP/40 nm 3TPYMBを順に堆積した。
【0067】
5)ドレイン電極の製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、発光ユニットに、0.5 nm LiF/1 nm Al/35 nm Agをドレイン電極として順に堆積した。デバイスの製造を完了させ、デバイス構造は図1に示された。
【0068】
6)発光トランジスタの性能試験及び特徴付け:
グローブボックスの窒素ガス雰囲気において、プローブを用いてソース・ドレイン・ゲート電極にそれぞれ電圧を印加し、そのうち、ゲート電極は高濃度にドーピングされたシリコンであり、ソース電極は接地され、ソース・ドレイン電極間の電圧は-70 Vであり、ゲート電極とソース電極との間の電圧は20 Vから-70 Vに変化し、ステップ幅は-2 Vであり、暗環境下で0.5 Vのステップでの光電子増倍管を用いてデバイスの光電流を測定し、その電流-光電流-電圧の関係曲線を測定し、分光計を用いてデバイスのスペクトルを測定し、CCDを用いて発光写真を収集した。
【0069】
実施例2 CBP:Ir(mphmq)2tmd赤色発光ユニットに基づいた面光源から出射される平面発光トランジスタデバイス
1)Si/SiO2ウェハ洗浄及び水溶層修飾:
SiO2酸化層を有するシリコンウェハを、使用前に、まず体積比が約1:2の過酸化水素水:濃硫酸(電気炉加熱、15分間煮沸)で洗浄し、次に脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールでそれぞれ順に約10分間超音波を行い、窒素ガスでシリコンウェハを速やかに乾燥させた。O2plasmaプラズマ洗浄機中で表面エネルギー準位を5分間修飾し、表面に残留した有機溶媒を除去した。次いで、90摂氏度の乾燥箱中で90分間乾燥させた。最後に、1滴のオクタデシルトリクロロシラン(OTS)を毛細管に浸して、シリコンウェハを置いたペトリ皿の中央に滴下し、このペトリ皿を120摂氏度の乾燥箱中に置いて120分間加熱し、自然降温した。
【0070】
2)有機電荷輸送層(即ち半導体電荷輸送層)C8-BTBTの製造
パターン化された金属マスクプレートを基板に固定し、真空蒸着機により、ステップ1)で修飾された後のSi/SiO2ウェハに50 nmのC8-BTBTを熱蒸着させた。蒸着完了後、温度を45摂氏度とし、時間を20分間とするように、直ちにアニール処理を行った。
【0071】
3)ソース電極の製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の一側に2 nmのMoOx及び40 nmのAuを熱蒸着させた。
【0072】
4)電荷緩衝層及び発光ユニットの製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の他側に、電荷緩衝層40 nm TAPC及び発光ユニット20 nm 5% Ir(mphmq)2tmd:CBP/40 nm Tmpypbを順に堆積した。
【0073】
5)ドレイン電極の製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、発光ユニットに、0.5 nm LiF/1 nm Al/35 nm Agをドレイン電極として順に堆積した。デバイスの製造を完了させ、デバイス構造は図1に示された。
【0074】
6)発光トランジスタの性能試験及び特徴付け:
グローブボックスの窒素ガス雰囲気において、プローブを用いてソース・ドレイン・ゲート電極にそれぞれ電圧を印加し、そのうち、ゲート電極は高濃度にドーピングされたシリコンであり、ソース電極は接地され、ソース・ドレイン電極間の電圧は-70 Vであり、ゲート電極とソース電極との間の電圧は20 Vから-70 Vに変化し、ステップ幅は-2 Vであり、暗環境下で0.5 Vのステップでの光電子増倍管を用いてデバイスの光電流を測定し、その電流-光電流-電圧の関係曲線を測定し、分光計を用いてデバイスのスペクトルを測定し、CCDを用いて発光写真を収集した。
【0075】
実施例3 CBP:BD-1青色発光ユニットに基づいた面光源から出射される平面発光トランジスタデバイス
1)Si/SiO2ウェハ洗浄及び水溶層修飾:
SiO2酸化層を有するシリコンウェハを、使用前に、まず体積比が約1:2の過酸化水素水:濃硫酸(電気炉加熱、15分間煮沸)で洗浄し、次に脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールでそれぞれ順に約10分間超音波を行い、窒素ガスでシリコンウェハを速やかに乾燥させた。O2plasmaプラズマ洗浄機中で表面エネルギー準位を5分間修飾し、表面に残留した有機溶媒を除去した。次いで、90摂氏度の乾燥箱中で90分間乾燥させた。最後に、1滴のオクタデシルトリクロロシラン(OTS)を毛細管に浸して、シリコンウェハを置いたペトリ皿の中央に滴下し、このペトリ皿を120摂氏度の乾燥箱中に置いて120分間加熱し、自然降温した。
【0076】
2)有機電荷輸送層(即ち半導体電荷輸送層)C8-BTBTの製造
パターン化された金属マスクプレートを基板に固定し、真空蒸着機により、ステップ1)で修飾された後のSi/SiO2ウェハに50 nmのC8-BTBTを熱蒸着させた。蒸着完了後、温度を45摂氏度とし、時間を20分間とするように、直ちにアニール処理を行った。
【0077】
3)ソース電極の製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の一側に2 nmのMoOx及び40 nmのAuを熱蒸着させた。
【0078】
4)電荷緩衝層及び発光ユニットの製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の他側に、電荷緩衝層40 nm TAPC及び発光ユニット20 nm 10% BD-1:CBP/40 nm B3pypbを順に堆積した。
【0079】
5)ドレイン電極の製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、発光ユニットに、0.5 nm LiF/1 nm Al/35 nm Agをドレイン電極として順に堆積した。デバイスの製造を完了させ、デバイス構造は図1に示された。
【0080】
6)発光トランジスタの性能試験及び特徴付け:
グローブボックスの窒素ガス雰囲気において、プローブを用いてソース・ドレイン・ゲート電極にそれぞれ電圧を印加し、そのうち、ゲート電極は高濃度にドーピングされたシリコンであり、ソース電極は接地され、ソース・ドレイン電極間の電圧は-70 Vであり、ゲート電極とソース電極との間の電圧は20 Vから-70 Vに変化し、ステップ幅は-2 Vであり、暗環境下で0.5 Vのステップでの光電子増倍管を用いてデバイスの光電流を測定し、その電流-光電流-電圧の関係曲線を測定し、分光計を用いてデバイスのスペクトルを測定し、CCDを用いて発光写真を収集した。
【0081】
図2-1は、実施例1、実施例2、実施例3でそれぞれ製造された赤、緑、青の基本色の平面発光電界効果トランジスタデバイスの暗視野下の面光源出射の光学顕微鏡写真であり、左から右への発光色は、順に赤、緑、青であり、何れも面光源の出射を実現した。図2-2は、実施例1で製造された緑色平面発光電界効果トランジスタデバイスの典型的な遷移曲線、出力曲線及び発光スペクトルであり、トランジスタデバイスの良好なゲート電圧調節特性(on/off比106)及び発光性能を示した。
【0082】
実施例4 CBP:Ir(ppy)3緑色発光ユニットに基づいた面光源から出射される高開口率の平面発光トランジスタデバイス
1)Si/SiO2ウェハ洗浄及び水溶層修飾:
SiO2酸化層を有するシリコンウェハを、使用前に、まず体積比が約1:2の過酸化水素水:濃硫酸(電気炉加熱、15分間煮沸)で洗浄し、次に脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールでそれぞれ順に約10分間超音波を行い、窒素ガスでシリコンウェハを速やかに乾燥させた。O2plasmaプラズマ洗浄機中で表面エネルギー準位を5分間修飾し、表面に残留した有機溶媒を除去した。次いで、90摂氏度の乾燥箱中で90分間乾燥させた。最後に、1滴のオクタデシルトリクロロシラン(OTS)を毛細管に浸して、シリコンウェハを置いたペトリ皿の中央に滴下し、このペトリ皿を120摂氏度の乾燥箱中に置いて120分間加熱し、自然降温した。
【0083】
2)有機電荷輸送層C8-BTBTの製造
パターン化された金属マスクプレートを基板に固定し、真空蒸着機により、ステップ1)で修飾された後のSi/SiO2ウェハに50 nmのC8-BTBTを熱蒸着させた。蒸着完了後、温度を45摂氏度とし、時間を20分間とするように、直ちにアニール処理を行った。
【0084】
3)ソース電極の製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の一側に2 nmのMoOx及び40 nmのAuを熱蒸着させた。
【0085】
4)電荷緩衝層及び発光ユニットの製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、有機電荷輸送層の他側に、電荷緩衝層40 nm TAPC及び発光ユニット20 nm 10% Ir(ppy)3:CBP/40 nm 3TPYMBを順に堆積した。
【0086】
5)ドレイン電極の製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、発光ユニットに、0.5 nm LiF/1 nm Al/35 nm Agをドレイン電極として順に堆積した。デバイスの製造を完了させ、デバイス構造は図1に示され、得られたデバイスの光学写真(左)及び発光光学写真(右)は図3に示された。
【0087】
6)発光トランジスタの性能試験及び特徴付け:
グローブボックスの窒素ガス雰囲気において、プローブを用いてソース・ドレイン・ゲート電極にそれぞれ電圧を印加し、そのうち、ゲート電極は高濃度にドーピングされたシリコンであり、ソース電極は接地され、ソース・ドレイン電極間の電圧は-70 Vであり、ゲート電極とソース電極との間の電圧は20 Vから-70 Vに変化し、ステップ幅は-2 Vであり、暗環境下で0.5 Vステップでの光電子増倍管を用いてデバイスの光電流を測定し、その電流-光電流-電圧の関係曲線を測定し、分光計を用いてデバイスのスペクトルを測定し、CCDを用いてデバイスの明視野写真及び暗視野発光写真を収集した。試験結果は図4に示され、発光面積を増加させることで、開口率(開口率が約90%)を向上させると同時に、依然として比較的に良好な面光源効果及び発光輝度を実現することができ、このような面光源から出射される平面発光トランジスタは高開口率デバイスの構築を実現することができることを示した。
【0088】
実施例5
実施例4のトランジスタの製造プロセスを参照し、実施例4との違いは、本実施例では、修飾後のSi/SiO2ウェハにまず半導体電荷輸送層を堆積し、次に電荷緩衝層を堆積した後、電荷緩衝層の一側にそれぞれ位置するソース電極及び発光ユニットを電荷緩衝層に堆積し、最後に発光ユニットにドレイン電極を堆積することである。具体的な構造は図1-2に示された。試験によると、本実施例で得られたトランジスタデバイスは、同様に良好なゲート電圧調節特性、発光性能、大開口率(開口率が少なくとも80%に達する)及び安定性を有した。
【0089】
実施例6~7
極薄層金属材料Auで実施例4におけるTAPCを電荷緩衝層として代替するか、或いはC60-ペンタセン-C60で実施例4におけるTAPCを電荷緩衝層として代替し、実施例6~7のトランジスタを製造した。当該トランジスタは、実施例4と同様又は類似する性能を有し、即ち、同様に面光源から出射される平面発光トランジスタであり、良好なゲート電圧調節特性、発光性能及び安定性を有した。
【0090】
実施例8
図5に示すように、本実施例のデバイスは、ソース電極と、有機電荷輸送層C8-BTBTと、電荷緩衝層TAPC及び青色発光ユニットBD-1:CBP/TmPTPBである第1発光部品、電荷緩衝層TAPC及び緑色発光ユニットIr(ppy)3:CBP/3TPYMBである第2発光部品、電荷緩衝層TAPC及び赤色発光ユニットIr(mphmq)2tmd:CBP/Tmpypbである第3発光部品の3つの発光部品と、ドレイン電極LiF/Al/Agと、を含んだ。各発光部品間はCGL層により接続される。
【0091】
実施例9 DMAC-TRZ:Rubrene白色発光ユニットに基づいた面光源から出射される平面発光電界効果トランジスタデバイス
1)ガラス/酸化インジウムスズ(ITO)ウェハ洗浄及び誘電体層の製造:
ITO層を有するガラスシートを、使用前に、順に脱イオン水、アセトン及びイソプロパノールを用いてそれぞれ約10分間超音波を行い、窒素ガスで速やかに乾燥させた。O2plasmaプラズマ洗浄機中で表面エネルギー準位を5分間修飾し、表面に残留した有機溶媒を除去した。
【0092】
PVA粉末(平均Mw≒205000 g mol-1)を脱イオン水(58 mg mL-1)に溶解し、溶液を800 rmpで6時間撹拌した。その後、グルタルアルデヒド(GA、50 wt%)を溶液に添加した(体積比1:80)。調製したPVA溶液をガラス/ITO基底(4200 rmp×45 s)にスピンコートして、厚さ350 nmの薄膜を得た。その後、薄膜を空気中で100℃で90分間アニールした。その後、パーフルオロ樹脂CYTOP(CTL-809M、M型)層(約10 nm)をPVA層にスピンコートし、100℃で30分間アニールした。
【0093】
2)有機電荷輸送層C8-BTBTの製造
パターン化された金属マスクプレートを基板に固定し、真空蒸着機により、ガラス/ITO/誘電体層に50 nmのC8-BTBTを熱蒸着させた。
【0094】
3)ソース電極の製造
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、ガラス/ITO/誘電体層/C8-BTBTに、2 nmのMoOx及び40 nmのAuを熱蒸着させた。
【0095】
4)電荷緩衝層及び発光ユニットの製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、ガラス/ITO/誘電体層/C8-BTBT/MoOx/Auに、40 nm TAPC電荷緩衝層及び発光ユニット30 nm 2% Rubrene:DMAC-TRZ/40 nm 3TPYMBを堆積した。
【0096】
5)ドレイン電極の製造:
マスクプレートを交換して基板に固定し、真空蒸着機により、ガラス/ITO/誘電体層/C8-BTBT/MoOx/Au/TAPC/2% Rubrene:DMAC-TRZ/40 nm 3TPYMBに、2 nm LiF/120 nm Alをドレイン電極として順に堆積した。デバイスの製造を完了させ、デバイスの構造概略図(左)及び光学写真(右)は図6に示された。
【0097】
6)発光電界効果トランジスタの性能試験及び特徴付け:
グローブボックスの窒素ガス雰囲気において、プローブを用いてソース・ドレイン・ゲート電極にそれぞれ電圧を印加し、そのうち、ゲート電極はITOであり、ソース電極は接地され、ソース・ドレイン電極間の電圧は-20 Vであり、ゲート電極とソース電極の間の電圧は0 Vから-20 Vに変化し、ステップ幅は-1 Vであり、暗環境下で0.5 Vステップでの光電子増倍管を用いてデバイスの光電流を測定し、その電流-光電流-電圧の関係曲線を測定し、外部量子効率(EQE)と輝度との関係を計算し、図7に示すように、デバイスの最大輝度は1121ニトであり、最大EQEは6.9%と高かった。携帯電話カメラを用いてデバイスの発光写真を収集した。デバイスのゲート電圧が-5 V、-6 V、-20 Vの電圧での発光写真は図8に示され、均一な白光発光が示され、発光トランジスタを照明分野に用いるのに大きな意味を有する。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明の精神及び原則の範囲内でなされた何れの修正、同等置換、改良なども、本発明の請求範囲内に含まれるものとする。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面光源平面型発光トランジスタであって、
ソース電極、ドレイン電極、及びソース電極又はドレイン電極の下に設置された電荷緩衝層を含む、
ことを特徴とする面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項2】
前記面光源平面型発光トランジスタは半導体電荷輸送層を更に含み、好ましくは、前記半導体電荷輸送層はソース電極の下に設置され、より好ましくは前記電荷緩衝層は半導体電荷輸送層の上に設置され、
好ましくは、前記面光源平面型発光トランジスタは発光ユニットを更に含み、好ましくは前記発光ユニットはドレイン電極の下に設置され、より好ましくは前記電荷緩衝層は発光ユニットの下に設置されるか、或いは、前記電荷緩衝層はソース電極及び発光ユニットの下に設置され、
好ましくは、前記電荷緩衝層はドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間に設置されるか、或いは、前記半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に設置されてもよく、
好ましくは、前記面光源平面型発光トランジスタは、
支持基板と、
前記支持基板の表面に設置されたゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設置された誘電体層と、
前記誘電体層の上に設置された半導体電荷輸送層と、
前記半導体電荷輸送層の上に設置され、好ましくは電荷輸送層の異なる側に設置されたソース電極及び電荷緩衝層と、
電荷緩衝層の上に順に設置された発光ユニット及びドレイン電極と、を含み、
より好ましくは、前記面光源平面型発光トランジスタは、
支持基板と、
前記支持基板の表面に設置されたゲート電極と、
前記ゲート電極の上に設置された誘電体層と、
前記誘電体層の上に設置された半導体電荷輸送層と、
前記半導体電荷輸送層の上に設置された電荷緩衝層と、
電荷緩衝層の上に順に設置され、好ましくは電荷緩衝層の異なる側にあるソース電極及び発光ユニットと、
発光ユニットの上に設置されたドレイン電極と、を含み、
更に好ましくは、前記ソース電極及びドレイン電極は非平面状に配置され、発光部分はソース電極又はドレイン電極の有効面積の全体であり、ゲート電圧は発光輝度を調節するために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項3】
前記半導体電荷輸送層の移動度は0.1 cm2 V-1s-1以上であり、
好ましくは、前記半導体電荷輸送層は有機半導体材料及び/又は無機半導体材料を含み、例えば前記有機半導体材料は小分子材料及び/又はポリマー材料から選ばれ、
好ましくは、前記有機半導体材料は、2,7-ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2-b]ベンゾチオフェン(C8-BTBT)、2,6-ジフェニルアントラセン(DPA)、2,6-ジナフチルアントラセン(dNaAnt)、2,6-ジ(p-n-ヘキシルベンゼン)アントラセン(C6-DPA)、2,6-ジ(p-オクチルヘキシルベンゼン)アントラセン(C8-DPA)、2,6-ジ(p-デシルベンゼン)アントラセン(C10-DPA)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、9,9-ジ-n-オクチルフルオレン-ベンゾチアジアゾール共重合体(F8BT)、ポリ[2,5-(2-オクチルドデシル)-3,6-ジケトピロロピロール-alt-5,5-(2,5-ジ(チオフェン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフェン)](DPP-DTT)という物質から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されず、より好ましくはC8-BTBTであり、
好ましくは、前記無機半導体材料は、炭素ナノチューブ(CNTs)、酸化亜鉛スズ(ZTO)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)という物質から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されない、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項4】
前記電荷緩衝層の材料は、低移動度の有機材料、金属材料、p-n-p接合から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、前記低移動度は、前記半導体電荷輸送層の移動度よりも2~5桁小さいことを意味し、
好ましくは、前記電荷緩衝層は、低移動度の有機材料4,4'-シクロヘキシルジ[N,N-ジ(4-メチルフェニル)アニリン](TAPC)、N,N'-ジフェニル-N,N'-(1-ナフチル)-1,1'-ビフェニル-4,4'-ジアミン(NPB)及びPVKのうちの1種又は複数種から形成される層であり、より好ましくはTAPCから形成される層であり、或いは、前記電荷緩衝層は金属材料Au、Ni、Ptなどの1種又は複数種から形成される層であり、或いは、前記電荷緩衝層はp-n-p接合のうちのC60-ペンタセン-C60、C70-テトラセン-C70、C60-テトラセン-C70などの1種又は複数種から形成される層である、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項5】
前記発光ユニットは、発光層並びに前記発光層にエネルギー準位が整合された電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、及び/又は正孔注入層を含み、
更に、前記発光層は発光材料から形成される層であり、例えば前記発光材料は、蛍光材料、リン光材料及び熱活性型遅延蛍光材料から選ばれる1種又は複数種を含むが、これらに限定されず、
好ましくは、前記蛍光材料は、アルミニウムオクタヒドロキシキノリン(Alq3)、5,6,11,12-テトラフェニルテトラセン及び4,4'-ビス[4-(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル(BDAVBi)から選ばれる1種又は複数種であり、
好ましくは、前記リン光材料は、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、アセチルアセトン酸ジ(2-フェニルピリジン-C2,N)イリジウム(Ir(ppy)2(acac))及びイリジウム(III)トリス[N,N'-ジフェニルベンズイミダゾール-2-イリデン-C2,C2'](Ir(dpbic)3)から選ばれる1種又は複数種であり、
好ましくは、前記熱活性型遅延蛍光材料は、9,9'-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-フェニレン)ビス(9Hカルバゾール)(DCzTRZ)、(N-フェノキサジン)フェニル]チオスルホン(PXZ-DPS)、10-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアゾール-2-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(DMAC-TRZ)から選ばれる1種又は2種である、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項6】
前記発光ユニットから出射される光のスペクトルは390 nm~780 nmの間であり、
また例えば、前記発光ユニットにおける発光層は、単一の発光材料から形成されるか、又は、ゲストドーピングされたホスト材料から形成され、
前記単一の発光材料は、好ましくはAlq3、DPA、dNaAntであり、前記ゲストドーピングされたホスト材料におけるゲストドーピング材料は、1,4-ビス(10-フェニルアントラセン-9-イル)ベンゼン(BD-1)、BDAVBi、ペリレン(Perylene)、ビスジメチル-ジヒドロアクリジンフェニルチオスルホン(DMAC-DPS)、ジ[2-(5-シアノ-4,6-ジフルオロフェニル)ピリジン-C2,N)]ピコリナトイリジウム(FCNirPic)、イリジウム(III)ビス[(2,3,4-ジフルオロフェニル)-ピリジン-N,C2']ピコリネート(Ir(tfpd)2pic)、ビス[2,4-ジメチル-6-(4-メチル-2-キノリニル-κN)フェニル-κC](2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン-κO3(Ir(mphmq)2tmd)、4,4'-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、9,9'-(5-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1,3-ベンゼン)ビス(9H -カルバゾール)(DCzTrz)、5,5-ジブロモ-4,4-ビス(テトラデシル)-2,2-ビチオフェン(fac-Ir(dpbic)3)、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、トリス[2-(p-トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy)3)、アセチルアセトン酸ジ(2-フェニルピリジン-C2,N)イリジウム(III)(Ir(ppy)2(acac))、ビス(2-(ナフト-2-イル)ピリジン)(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(npy)2acac)、トリス[2-(3-メチル-2-ピリジル)フェニル]イリジウム(Ir(3mppy)3)、ビス(2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン-C2,N')(アセチルアセトン)イリジウム(III)(Ir(dmpq)2acac)、ビス(2-(2'-ベンゾチエニル)-ピリジン-N,C3')イリジウム(アセチルアセトン)(Ir(btp)2(acac))、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)ビニル]-4H-ピラン(DCM2)、5,6,11,12-テトラフェニルテトラセン、トリス(2-(3,5-ジメチルフェニル)キノリン-C2,N')イリジウム(III)(Ir(dmpq)3)、2,8-ジtert-ブチル-5,11-ビス(4-tert-ブチルフェニル)-6,12-ジフェニルテトラセン(TBRb)、10-(4-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアゾール-2-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン(DMAC-TRZ)という物質のうちの1種又は複数種であり、
前記ホスト材料は、Alq3、4,4'-ビス(N-カルバゾール)-1,1'-ビフェニル(CBP)、4,4’-ビス(2,2-ジフェニル-エチレン-1-イル)-4,4’-ジメチルフェニル(p-DMDPVBi)、4,4'-ジ(2,2-ジスチリル)-1,1'-ビフェニル(DPVBi)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)、ジフェニル[4-(トリフェニルシリル)フェニル]ホスフィンオキシド(TSPO1)、3-(3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル)ベンゾフラン[2,3-b]ピリジン(PCz-BFP)、2,4,6-トリス[3-(ジフェニルホスフィンオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアゾール(PO-T2T)、2,4,6-トリス(3-(カルバゾール-9-イル)フェニル)-1,3,5-トリアジン(TCPZ)、4,4'-ビス(トリフェニルシリル)-1,1'-ビフェニル(BSB)、2,7-ビス[9,9-ジ(4-メチルフェニル)-フルオレン-2-イル]-9,9-ジ(4-メチルフェニル)フルオレン(TDAF)、3',3'',3'''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス(([1,1'-ビフェニル]-3-ニトリル))(CN-T2T)という物質のうちの1種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項7】
前記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットの厚さは何れも、ナノメートルからサブミクロンオーダーである、
ことを特徴とする請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項8】
前記面光源平面型発光トランジスタは、電圧印加下で、発光ユニットの色にマッチする面状光を発光することができ、及び/又は、上面発光又は下面発光のデバイス構造を用いることができる、
ことを特徴とする請求項7に記載の面光源平面型発光トランジスタ。
【請求項9】
請求項1に記載の面光源平面型発光トランジスタの製造方法であって、
ドレイン電極又はソース電極の下に電荷緩衝層を設置するステップを含み、
好ましくは、ドレイン電極(又はソース電極)と半導体電荷輸送層との間に電荷緩衝層を設置するか、或いは、半導体電荷輸送層と発光ユニットとの間に電荷緩衝層を設置し、
前記半導体電荷輸送層、発光ユニット、電荷緩衝層、ソース電極及びドレイン電極は何れも、上記の意味を有し、
好ましくは、前記半導体電荷輸送層、電荷緩衝層、発光ユニットを含む構造を活性層として記し、前記活性層は、
方法一:蒸着チャンバー内で、真空蒸着法により前記誘電体層、電極に前記小分子材料の薄膜を堆積し、活性層を得ること、
方法二:スピンコート法により前記誘電体層、電極に活性層材料の溶液をスピンコートし、活性層を得ること、
方法三:溶液エピタキシャル成長法による前記小分子材料の単結晶薄膜の製造及び成長:前記小分子材料を、水と相溶しない溶媒に溶解し、得られた均一な混合溶液を水面に徐々に滴下し、混合溶液を水面に広げ、その中の溶媒を揮発させ、前記単結晶薄膜を得て、誘電体層を有する支持基板を水中に挿入し、前記単結晶薄膜を誘電体層の表面に移転させ、活性層を得ること、
方法四:溶液せん断法による前記小分子材料の単結晶薄膜の製造:前記小分子材料を有機溶媒に溶解し、得られた均一な混合溶液を、誘電体層を有する支持基板に滴下し、更に、滴下した溶液を徐々にせん断延伸して活性層を形成すること、
から選ばれる方法の何れか1種により製造される、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
ウェアラブルデバイス、照明分野(好ましくは白光照明分野)、照明ディスプレイ分野、レーザー分野における、請求項1に記載の面光源から出射される平面発光トランジスタの、
使用。
【国際調査報告】