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特表2024-538300折りたたみ式プランジャ付き引き込み可能なプレフィルド注射器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】折りたたみ式プランジャ付き引き込み可能なプレフィルド注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
A61M5/32 510H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525650
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2022080484
(87)【国際公開番号】W WO2023078885
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21205847.3
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523053048
【氏名又は名称】ロンカデッレ オペレーションズ エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】RONCADELLE OPERATIONS SRL
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】エリック リカルツ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066FF05
4C066HH02
4C066HH12
4C066LL22
4C066LL26
(57)【要約】
本発明は、プランジャ付き又はプランジャ無しのプレフィルド注射器を使用する注射器アセンブリに関する。この注射器アセンブリは、注射器引き込み機構を含むことにより、注射器の安全な使用を可能にし、この機構は注射後に自動的に作動する。引き込まれると、注射器は囲まれた状態に維持され、露出する可能性はない。引き込み機構が作動すると、注射器アセンブリはコンパクトな被いを有することになるので、アセンブリの状態について使用者に疑念を抱かせることはない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器アセンブリ1であって、
a.プレフィルド注射器6の径方向に延びるリップ16を受容するのに適した中空の第1の近位セクションを有する外側バレル2であって、前記第1の近位セクションは、より小さい直径を有する中空の第2のセクションと連通しており、前記第2のセクションは、プレフィルド注射器6のバレルを受容するのに適している、外側バレル2と、
b.第1の径方向に延びるリップ8と、少なくとも第2の径方向に延びるリップとを含む引き込みパーツ5であって、当該引き込みパーツ5は、引き込みパーツ5の近位端から後方に延びる後方延長部9をさらに含む、引き込みパーツ5と、
c.第1の近位中空キャビティと第2の遠位中空キャビティとを有する外側プランジャ3であって、前記第2の遠位中空キャビティは、前記第1の近位中空キャビティよりも実質的に大きな直径を有し、前記第2の遠位中空キャビティは、引き込みパーツ5を受容するのに適している、外側プランジャ3と、
d.径方向に延びるフランジを備えた近位端と、外側プランジャ3の近位端と剛性接続された中間部とを有するバネ支持キャップ13であって、その遠位端に延長部4をさらに備えている、バネ支持キャップ13と、
e.第1の近位端と第2の遠位端を有するバネ7であって、前記第1の近位端はバネ支持キャップ13の遠位端に剛性的に取り付けられ、前記第2の遠位端は引き込みパーツ5の後方延長部9に剛性的に接続されている、バネ7と、を含み、
前記外側プランジャ3は、後方位置Aと前方位置Bとを有し、位置Aでは、引き込みパーツ5は、保持要素によって外側プランジャ3に対して前進した位置に保持され、位置Bでは、引き込みパーツ5は、保持機能が解除され、バネ7の作用の下で外側プランジャ3内に引き込まれることを特徴とする、注射器アセンブリ1。
【請求項2】
前記保持要素は、外側プランジャ3の前記第2のセクションの内面から延びる環状リング12であることを特徴とする、請求項1に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項3】
前記環状リング12は、引き込みパーツ5の径方向に延びるリップ8の外径よりも小さい内径を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項4】
外側バレル2の第1のセクションは、遠位端に向かって、かつ外側バレル2の長手方向軸に向かって延びる、少なくとも2つの折り曲げ可能なタブ14を備え、前記折り曲げ可能なタブ14は、外側バレル2の第1のセクションの遠位端近傍に位置することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項5】
外側バレル2の第1のセクションから外側バレル2の第2のセクションへの移行部の少なくとも一部が、外側バレル2の長手方向軸に対して実質的に垂直なアバットメント面15を形成していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項6】
外側プランジャ3は、その遠位端近傍に環状溝10をさらに備え、この溝は、外側プランジャが位置Bにあるとき、外側バレル2の折り曲げ可能なタブ14とかみ合うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項7】
前記アバットメント15と前記外側バレル2の遠位端との間の距離は、プレフィルド注射器6の前記外側バレルと少なくとも同じ長さであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項8】
前記引き込みパーツ5の後方延長部9は、少なくとも2つの引っかけタブを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項9】
前記外側プランジャ3の前記第2の遠位中空キャビティは、プレフィルド注射器6の径方向に延びるリップ16の直径よりも大きい内径を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項10】
前記外側バレルの前記折り曲げ可能なタブは、30°から-15°の間で折り曲げ可能であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項11】
前記引き込みパーツ5は、内側プランジャ11をさらに含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項12】
前記内側プランジャ11の直径は、プレフィルド注射器6のバレルの内径よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項13】
前記引き込みパーツ5は、プレフィルド注射器6のプランジャの近位端19を受容するのに適した中空キャビティを有することを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項14】
前記引き込みパーツ5は、少なくとも2つの折り曲げ可能なタブ18をさらに備えることを特徴とする、請求項13に記載の注射器アセンブリ1。
【請求項15】
前記引き込みパーツのタブは、-30°から15°の間で折り曲げ可能であることを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の注射器アセンブリ1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射装置に関する。特に、本発明は、プレフィルド注射器に適用される安全注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
引き込み可能な注射器アセンブリ、特に、ガラスアンプル等に備えた従来型のプレフィルド注射器を利用するアセンブリを提供する多くの試みがなされてきた。
【0003】
米国特許第4624660号明細書は、ガラスアンプル用の引き込み可能な針を開示している。他の例としては、米国特許第5624400号明細書、米国特許第5634909号明細書がある。これらの出願は、標準的なアンプルが用いられ、引き込み可能な針の操作が標準的なアンプルの周囲で実施される、アンプルに基づく引き込み可能な針の操作を提示する多くの出願の中の例である。
【0004】
豪国特許出願公開第2011265487号明細書には、プレフィルドガラス製注射器のための注射器アセンブリが記載されており、このアセンブリは、注射を終えると、注射器アセンブリの外側バレルが延びることにより形成されたスリーブ内に前記ガラス製注射器を引き込むことができる。この明細書に開示されたアセンブリは、注射器の引き込み、ひいては当該注射器の針の引き込みを許容するが、引き込みは、使用者がプランジャを離したときにのみ起こる。この結果、注射が行われた後、針が長く露出することになる上に、使用者は注射器アセンブリを再び把持する必要がある。さらに、注射器の引き込み後でさえ、アセンブリの状態は、注射器が使用されたか否かについて使用者に疑念を残す可能性がある。
【0005】
出願人名がPlastic Omnium SAである、仏国特許出願公開第2799976号明細書には、針ホルダーとプランジャを備えたバレルからなる注射器が記載されている。この注射器にはスリーブがあり、このスリーブ内でバレルが注入位置と後退位置の間を軸方向にスライドできるようになっている。仏国特許出願公開第2799976号明細書の装置では、注射器の針を覆うことはできるが、注射器のプランジャを操作不能にすることはできない。
【0006】
出願人名がSafe T Ltd.である、英国特許出願公開第2404338号明細書には、注射器用アクチュエータおよび収容デバイスが記載されている。この装置は、中空体、バネ及びプランジャからなり、この中空体は、内部に係止構成を有し、注射器バレル及びピストン手段を収容するように適合されている。英国特許出願公開第2404338号明細書の装置は、不利なことに、前記中空体、特にラッチ形成部を各特定タイプの注射器ピストンに適合させる必要がある。同様の装置が、出願人名がRobert J. Sullivanである、米国特許第5330430号明細書に開示されている。米国特許第5330430号明細書の装置は、引き込み可能な注射器アプリケータであるが、不利なことに、操作可能にするためには、注射器のプランジャを適合させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点を解消する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明及びその実施形態は、上述の欠点の1つ又は複数に対する解決策を提供するのに役立つ。この目的のために、本発明は、請求項1に係る注射器アセンブリに関する。
【0009】
この装置の好ましい実施形態は、請求項2~15のいずれかに示されている。この請求項に開示された注射器アセンブリは、プレフィルドシリンジに備えられる注入可能な医薬品を投与する、安全性に利点を有する方法を提供する。
【0010】
具体的な好ましい実施形態は、請求項11に係る発明に関する。この好ましい実施形態は注射器アセンブリに関し、プランジャを含まないプレフィルド注射器の使用を可能にする。
【0011】
具体的な好ましい実施形態は、請求項13に係る発明に関する。この好ましい実施形態は、プランジャを既に含むプレフィルドシリンジの使用を可能にする。
【0012】
特許請求の範囲に開示された注射器アセンブリは、引き込み機構を提供することによって、プレフィルド注射器の安全な使用を可能にし、この引き込み機構は、アセンブリの本体内に前記注射器を引き込んで完全に囲い込む。さらに、注射器アセンブリの機構は、注射器アセンブリの状態に関して使用者に疑念を抱かせないようなものである。
【0013】
本発明の特定の実施形態の図についての以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本教示、その適用又は使用を限定することを意図するものではない。図面を通して、対応する参照数字は、類似又は対応する部分及び特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】引き込みパーツが内側プランジャを含む注射器アセンブリの第1の実施形態を示し、この図では注入前の状態で示されている。
図2】引き込みパーツが内側プランジャを含む注射器アセンブリの第1の実施形態を示し、この図では引き込み前の状態で示されている。
図3】引き込みパーツが内側プランジャを含む注射器アセンブリの第1の実施形態を示し、このでは引き込まれた状態で示されている。
図4】引き込みパーツがプレフィルド注射器のプランジャに取り付けられる注射器アセンブリの第2の実施形態を示す。
図5】第2の実施形態の引き込みパーツの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、注射器アセンブリに関する。
【0016】
別段の定めがない限り、技術用語及び科学用語を含む、本発明の開示の際に使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するための用語の定義が含まれる。
【0017】
本明細書で使用される場合、以下の用語は以下の意味を有する。
【0018】
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明確に示されない限り、単数及び複数の両方の参照語を指す。例として、「区画」とは、1つ又は複数の区画を指す。
【0019】
本明細書で使用される「comprise」、「comprising」、及び「comprises」、「comprising of 」は、「include」、「including」、「includes」、又は「contain」、「containing」、「contains」と同義であり、例えば構成要素に続くものの存在を特定する包括的又はオープンエンドな用語であり、当該技術分野において既知であるか、又はそこに開示されている、追加の、直接言及のない構成要素、特徴、要素、部材、ステップの存在を除外又は排除するものではない。
【0020】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、特定されない限り、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも連続的又は時系列的な順序を説明するために使用されるものではない。このように使用される用語は、適切な状況下では置換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は説明される以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0021】
端点による数値範囲の記載は、記載された端点と、その範囲内に包含されるすべての数値及び分数を含む。
【0022】
用語「1つ又は複数」又は「少なくとも1つ」は、部材のグループの1つ又は複数又は少なくとも1つの部材など、それ自体で明確であるのに対し、さらなる例示によって、この用語は、特に、前記部材の任意の1つ、又は前記部材の任意の2つ以上、例えば、前記部材の任意の3以上、4以上、5以上、6以上又は7以上など、及びすべての前記部材までをも参照対象として包含する。
【0023】
別段の定めがない限り、技術用語及び科学用語を含め、本発明の開示の際に使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味を有する。さらなる指針として、本発明の教示をよりよく理解するために、本明細書で使用される用語の定義が含まれる。本明細書で使用される用語又は定義は、本発明の理解を助けるためにのみ用いられる。
【0024】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」という言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じて様々な箇所で「1つの実施形態において」又は「一実施形態において」という表現が現れるのは、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指している可能性はある。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含むが、他の実施形態に含まれる他の特徴は含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味し、当業者に理解されるように、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用することができる。
【0025】
第1の態様において、本発明は、
a.プレフィルド注射器6の径方向に延びるリップ16を受容するのに適した中空の第1の近位セクションを有する外側バレル2であって、前記第1の近位セクションは、より小さい直径を有する中空の第2のセクションと連通しており、前記第2のセクションは、プレフィルド注射器6のバレルを受けるのに適している、外側バレル2と、
b.第1の径方向に延びるリップ8と、少なくとも第2の径方向に延びるリップとを含む引き込みパーツ5であって、当該引き込みパーツ5は、引き込みパーツ5の近位端から後方に延びる後方延長部9をさらに含む、引き込みパーツ5と、
c.第1の近位中空キャビティと第2の遠位中空キャビティとを有する外側プランジャ3であって、前記第2の遠位中空キャビティは、前記第1の近位中空キャビティよりも実質的に大きな直径を有し、前記第2の遠位中空キャビティは、引き込みパーツ5を受容するのに適している、外側プランジャ3と、
d.径方向に延びるフランジを備えた近位端と、外側プランジャ3の近位端と剛性接続された中間部とを有するバネ支持キャップ13であって、その遠位端に延長部4をさらに備えている、バネ支持キャップ13と、
e.第1の近位端と第2の遠位端を有するバネ7であって、前記第1の近位端はバネ支持キャップ13の遠位端に剛性的に取り付けられ、前記第2の遠位端は引き込みパーツ5の後方延長部9に剛性的に接続されている、バネ7と、を含む、注射器アセンブリ1を提供する。
【0026】
外側プランジャ3は、後方位置Aと前方位置Bとを有し、位置Aでは、引き込みパーツ5は、保持要素12によって外側プランジャ3に対して前進した位置に保持され、位置Bでは、引き込みパーツ5は、保持機能が解除され、バネ7の作用の下で外側プランジャ3内に引き込まれる。好ましくは、バネ7は引張バネである。より好ましくは、位置Aは、プレフィルド注射器の任意の事前設定注入量に適合可能である。
【0027】
好ましい実施形態では、保持要素は、外側プランジャ3の第2のセクションの内面から延びる環状リング12である。好ましくは、環状リング12は、引き込みパーツ5の径方向に延びるリップ8の外径よりも小さい内径を有する。これにより、外側プランジャ3が位置Bにある限り、バネ7の作用下で引き込みパーツ5の引き込みを阻止することができる。
【0028】
さらなる又は別の実施形態では、外側バレル2の第1のセクションは、遠位端に向かって、かつ外側バレル2の長手方向軸に向かって延びる、少なくとも2つの折り曲げ可能なタブ14を備え、前記折り曲げ可能なタブ14は、外側バレル2の第1のセクションの遠位端近傍に位置する。これにより、プレフィルド注射器6を外側バレル2内に容易に取り付けることができる。さらに、折り曲げ可能なタブ14は、注射が終了するまでプレフィルド注射器6を所定の位置に保持することを可能にする。
【0029】
さらなる又は別の実施形態では、外側バレル2の第1のセクションから外側バレル2の第2のセクションへの移行部の少なくとも一部が、外側バレル2の長手方向軸に対して実質的に垂直なアバットメント面15を形成している。このアバットメント15により、プレフィルド注射器6のリップ16が支持され、従って、注射前及び注射中に外側バレル2内での注射器6の安定した位置決め及び保持が可能になるという有利な点を有する。
【0030】
さらなる又は別の実施形態では、外側プランジャ3は、その遠位端近傍に環状溝10をさらに備え、この溝は、外側プランジャが位置Bにあるとき、外側バレル2の折り曲げ可能なタブ14とかみ合う。環状溝10により、外側バレル2の折り曲げ可能なタブ14による抵抗によって外側プランジャ3が前進位置Bで保持可能になるという有利な点を有する。このようにして、注射器アセンブリ1は、注射後に、より小さい被いを呈し、この小さい被いのおかげで、使用済みの注射器アセンブリ1の保管及び廃棄が容易になるという有利な点がある。また、このより小さい被いにより、注射器アセンブリ1が使用され、その薬用内容物が空であることを使用者に知らせるので、注射器アセンブリ1の状態に関して使用者に疑念を抱かせることがない。
【0031】
さらなる又は別の実施形態では、アバットメント15と外側バレル2の遠位端との間の距離は、プレフィルド注射器6の前記バレルと少なくとも同じ長さである。このようにすることで、注射器6のバレルの全長は、注射前及び注射中に支持及び保護されたままとなる。さらに重要なことは、アバットメント15と外側バレル2の遠位端との間の距離が、注射後に注射器6の針を完全に包囲する保護スリーブを提供することである。このようにして、注射が終了すると、注射針が使用者に接触することはない。より好ましくは、アバットメント15と外側バレル3の遠位端との間の距離は、注射器のキャップが外側バレル2の遠位端によって部分的に支持され得るように、注射器のバレルを越えて延びている。
【0032】
さらなる又は別の実施形態では、引き込みパーツ5の後方延長部9は、少なくとも2つの引っかけタブを含む。このようにして、バネ7の遠位端の組立及び保持が改善され、注射後のプレフィルド注射器6の適切な引込み及び保持が確実となるという有利な点を有する。
【0033】
さらなる又は別の実施形態では、外側プランジャ3の第2の中空キャビティは、プレフィルド注射器6の径方向に延びるリップ16の直径よりも大きい内径を有する。これにより、引き込みパーツ5及び注射器6を外側プランジャ3の本体内に引き込むことができる。このようにすることで、注射器アセンブリ1の全長がコンパクトに保たれるという有利な点があり、注射前、注射中、注射後の注射器アセンブリ1の取り扱いがより良好になる。さらに、注射器アセンブリ1のコンパクトなサイズは、使用前及び使用後の保管、並びに使用後の注射器アセンブリ1の廃棄を容易にする。
【0034】
さらなる又は別の実施形態では、外側バレルの折り曲げ可能なタブは、30°から-15°の間で折り曲げ可能である。これにより、プレフィルド注射器6のリップ16に係合するのに十分な曲げ振幅が得られるとともに、溝10に作用して外側プランジャ3を十分に保持することができる。
【0035】
さらなる又は別の実施形態では、引き込みパーツ5は、内側プランジャ11をさらに含む。好ましくは、内側プランジャ11の直径は、プレフィルド注射器6のバレルの内径よりも小さい。より好ましくは、内側プランジャ11は、リアシールに対して押し付けられるか、又はリアシールに対してひねられることにより、プレフィルド注射器6のストッパ20に取り付けられる。このようにして、引き込みパーツ5が外側プランジャの折り曲げ可能なタブ14から解放される際にバネ7によって発揮される引き込み力が、ストッパ20と注射器6の内面との間の摩擦によって注射器6に伝達されるという有利な点を有する。これにより、プランジャを備えていないプレフィルド注射器の使用及び引き込みが可能になる。
【0036】
さらなる又は別の実施形態では、引き込みパーツ5は、プレフィルド注射器6のプランジャの近位端19を受容するのに適した中空キャビティを有する。好ましくは、引き込みパーツ5は、少なくとも2つの折り曲げ可能なタブ18をさらに備える。より好ましくは、引き込みパーツのタブは、-30°から15°の間で折り曲げ可能である。このようにして、プランジャの近位端19は、引き込みパーツ5によって確実に保持され、それにより、引き込みパーツ5が解放されると、ストッパ20と注射器6の内面との間の摩擦によって、バネ7によって発揮される力が注射器6に伝達される。これにより、注射後の注射器6の効果的な引き込みを確保しつつ、プランジャを有するプレフィルド注射器の使用が可能となるという有利な点を有する。
【0037】
しかしながら、本発明が医薬品投与用の注射器に限定されないことは明らかである。本発明による注射器アセンブリは、あらゆる種類の注入可能な液体に適用することができる。
【0038】
本発明は、本発明をさらに説明する以下の非限定的な図面によってさらに説明されるが、これらは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、また限定するように解釈されるべきではない。
【0039】
[図を用いた説明]
本発明の特性をより良く説明することを目的として、以下では、一例として、そして他の潜在的な用途を何ら限定することなく、本発明に基づく注射器アセンブリの多数の好ましい実施形態の説明を提示する。
【0040】
図1は、注射器アセンブリ1の第1の実施形態を示している。この図は注入前の状態を示しており、引き込みパーツ5は内側プランジャ11を含む。注射器アセンブリ1は、プレフィルド注射器6を含み、この注射器は、一対の折り曲げ可能なタブ14と、注射器リップ16に作用するアバットメント15とによって、外側バレル2内に保持される。引き込みパーツ5から延びる内側プランジャ11は、注射器6のバレル内に挿入され、ストッパ20に取り付けられている。バネ7が伸長した状態で示されており、このバネ7は、引き込みパーツ延長部9と、バネ支持キャップ13から延びるバネ支持キャップ延長部4に取り付けられている。引き込みパーツ5は、外側プランジャリング12と引き込みパーツリップ8との間の干渉によって、バネ7の作用下での引き込みが阻止される。外側プランジャ3には溝10が設けられている。
【0041】
図2は、注射器アセンブリ1の第1の実施形態を示している。この図は引き込み前の状態を示しており、引き込みパーツ5は内側プランジャ11を含む。注射器アセンブリ1は、プレフィルド注射器6を含み、この注射器は、前進位置に留まり、外側プランジャ3の介在によって外側バレルタブ14から解放され、この外側プランジャ3は、現在、注射器リップ16を包囲している。引き込みパーツ5から延びる内側プランジャ11は、注射器6のバレル内に完全に挿入され、ストッパ20に取り付けられている。バネ7はまだ伸びた状態で示されており、このバネ7は引き込みパーツ延長部9と、バネ支持キャップ13から延びるバネ支持キャップ延長部4に取り付けられている。引き込みパーツ5はまだその前方位置にあり、外側プランジャリング12と引き込みパーツリップ8との間の干渉によって、バネ7の作用下での引き込みが阻止されている。外側プランジャ3は、ほぼ前進位置Bに示されており、外側プランジャ溝10は、外側バレルの折り曲げ可能タブな14によって係合されて示されている。
【0042】
図3は、注射器アセンブリ1の第1の実施形態を示している。この図は引き込み状態を示しており、引き込みパーツ5は、内側プランジャ11を含む。注射器アセンブリ1は、プレフィルド注射器6を含み、内側プランジャ11がこの注射器に完全に挿入された状態で示されており、このプランジャ11は、ストッパ20に取り付けられた状態で示されている。バネ7は収縮した状態で示されており、このバネ7は、引き込みパーツ5、内側プランジャ11及び注射器6を外側バレル2内の引き込み位置に保持している。外側プランジャ3は前進位置Bに示されており、外側プランジャ溝10は折り曲げ可能な外側バレルタブ14によって係合されて示されている。
【0043】
図4及び図5は、引き込みパーツがプレフィルド注射器のプランジャに取り付けられる注射器アセンブリ1の第2の実施形態を示す。図4は、外側バレル2内に一体型ストッパ20を有し、プレフィルド注射器自身のプランジャ17を備えた、プレフィルド注射器6を示している。この注射器は、注射器のリップ16に対して作用する一対の折り曲げ可能なタブ14によって保持され、前記リップ16をアバットメント15に対して静止させる。図4及び図5において、外側プランジャ3は、外側バレル2内の後方位置Aに示され、バネ支持キャップ13を備えており、このバネ支持キャップ13は、バネ7の近位端を支持する延長部4を備えて示されている。バネ7は伸長位置にあり、その遠位端が引き込みパーツ延長部9に取り付けられ、それにより引き込みパーツ5が引き戻されるように示されているが、この後方への動きは引き込みパーツリップ8と外側プランジャリングとの間の干渉によって阻止される。注射器プランジャの近位端19は、引き込みパーツ5の遠位端を通って挿入され、2つの折り曲げ可能なタブ18によってそこに保持されるように示されている。
【符号の説明】
【0044】
1 注射器アセンブリ
2 外側バレル
3 外側プランジャ
4 バネ支持キャップ延長部
5 引き込みパーツ
6 プレフィルド注射器
7 バネ
8 引き込みパーツリップ
9 引き込みパーツ延長部
10 外側プランジャ溝
11 内側プランジャ
12 外側プランジャリング
13 バネ支持キャップ
14 折り曲げ可能な外側プランジャタブ
15 アバットメント
16 注射器リップ
17 注射器プランジャ
18 折り曲げ可能な引き込みパーツタブ
19 注射器プランジャの近位端
20 ストッパ
【0045】
本発明は、実施例に記載された及び/又は図に示された実施形態に決して限定されない。それどころか、本発明によるアセンブリは、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる方法で実現され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】