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特表2024-538301DC/DCコンバータを備えるRFパルス増幅器およびRFパルスを増幅する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】DC/DCコンバータを備えるRFパルス増幅器およびRFパルスを増幅する方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241010BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20241010BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20241010BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/28 H
H02M7/06 Z
H03F3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525657
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022080718
(87)【国際公開番号】W WO2023079020
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】2029664
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521460608
【氏名又は名称】プロドライヴ・テクノロジーズ・イノヴェーション・サービシーズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バルト・ヘラルドゥス・マリア・ファン・アルク
【テーマコード(参考)】
5H006
5H730
5J500
【Fターム(参考)】
5H006DA04
5H006DC05
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB27
5H730BB81
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5J500AA04
5J500AA41
5J500AC21
5J500AC46
5J500AC81
5J500AC87
5J500AC92
5J500AF10
5J500AH10
5J500AH24
5J500AH29
5J500AK11
5J500AK12
5J500AK51
5J500AS14
5J500AT01
(57)【要約】
RFパルス増幅装置が、パルス化RF信号を増幅するように構成される増幅器と、DCバス電圧を供給するように構成されるDCリンクと、DCリンクに接続されるエネルギー蓄積デバイスとを備える。増幅器は、電源電圧を受けるための入力を備える。増幅器の入力は、コンバータ入力において供給されるDCバス電圧をコンバータ出力に印加される電源電圧に逓降するように構成されるスイッチDC/DCコンバータを通じてDCリンクに接続される。制御ユニットが、電源電圧を所定の値に制御するためにRFパルスの増幅中にスイッチDC/DCコンバータを動作させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)パルスを増幅するための装置(10,20)であって、
RFパルス化信号を増幅するように構成される増幅器(15)であって、電源電圧(VDD)を受けるための入力(151)を備える、増幅器(15)と、
DCバス電圧(VBUS)を供給するためのDCリンク(13)と、
前記DCリンクに接続されるエネルギー蓄積デバイス(12)と、
前記DCリンクに接続されるコンバータ入力(141)および前記増幅器の前記入力(151)に接続されるコンバータ出力(142)を備えるスイッチDC/DCコンバータ(14,24)と、
前記スイッチDC/DCコンバータを動作させるように構成される制御ユニット(17)と
を備え、
前記スイッチDC/DCコンバータ(14,24)が、前記コンバータ入力における前記DCバス電圧(VBUS)を前記コンバータ出力における前記電源電圧(VDD)に逓降するように構成され、
前記制御ユニット(17)が、前記RFパルス化信号の発生中に前記電源電圧を所定の値に制御するために前記スイッチDC/DCコンバータ(14,24)を連続的に動作させるように構成される
ことを特徴とする、装置(10,20)。
【請求項2】
前記スイッチDC/DCコンバータ(14)が、スイッチング周波数で動作されるように構成され、前記RFパルスの繰返し周波数に対する前記スイッチング周波数の比率が少なくとも10、好ましくは少なくとも20、好ましくは50から10000の間である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電源電圧(VDD)に対する前記DCバス電圧(VBUS)の定格値の比率が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(17)が、前記RFパルス化信号のパルスの増幅中に前記スイッチDC/DCコンバータ(14)を切り替えるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記DCリンク(13)に接続される出力を有する主電源-DCコンバータ(11)であって、前記エネルギー蓄積デバイス(12)にエネルギーを供給するように構成される、主電源-DCコンバータ(11)を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記主電源-DCコンバータ(11)がAC-DCコンバータである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギー蓄積デバイス(12)が、1つまたは複数の蓄積コンデンサを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記増幅器のピーク出力電力に対する前記エネルギー蓄積デバイス(12)の静電容量の比率が0.5mFから100mFの間である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
複数の前記スイッチDC/DCコンバータ(141,14N)および複数の前記増幅器(151,15N)を備え、前記複数の増幅器の各々が、前記複数のスイッチDC/DCコンバータのそれぞれの1つから前記電源電圧を受けるために、前記複数のスイッチDC/DCコンバータのそれぞれの1つに直列接続され、前記複数の増幅器が前記装置の出力(26)に並列接続される、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(20)。
【請求項10】
前記装置の前記出力(26)が、前記複数の増幅器の出力に接続される電力結合器(18)を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数のスイッチDC/DCコンバータが前記DCリンク(13)に並列接続される、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記スイッチDC/DCコンバータ(14)が非絶縁コンバータである、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記スイッチDC/DCコンバータが絶縁コンバータである、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
RF電磁場を発生させるための機器であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置を備える、機器。
【請求項15】
前記RF電磁場を発生させるためのコイルを備え、前記コイルが前記装置(10,20)に結合される、請求項14に記載の機器。
【請求項16】
無線周波数(RF)パルスを増幅する方法であって、
DCバス電圧(VBUS)でエネルギー蓄積デバイス(12)にエネルギーを蓄積するステップと、
スイッチDC/DCコンバータ(14)を使用して前記DCバス電圧を電源電圧(VDD)に逓降するステップと、
前記RFパルスを増幅する増幅器(15)に前記電源電圧を印加するステップと
を含み、
前記RFパルスを増幅する間に前記スイッチDC/DCコンバータ(14)を連続的に切り替えることによって、前記電源電圧が所定の値にあるように制御される、方法。
【請求項17】
複数の前記RFパルスが増幅され、前記複数のRFパルスがパルス繰返し周波数を有し、前記スイッチDC/DCコンバータ(14)がスイッチング周波数で動作され、前記パルス繰返し周波数に対する前記スイッチング周波数の比率が少なくとも10、好ましくは少なくとも20、好ましくは50から10000の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電源電圧(VDD)に対する前記DCバス電圧(VBUS)の比率が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2である、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記RFパルスを発生させるステップと、
前記RFパルスを前記増幅器に印加するステップと
を更に含む、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記エネルギー蓄積デバイスにおける前記エネルギーが1つまたは複数のコンデンサに蓄積される、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に無線周波数(RF)増幅器およびパルスの増幅中にピーク電力を提供するためのエネルギー蓄積デバイスを備える、RFパルス増幅装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI)のようなパルス化RF応用は、1つのパルスを発生させるために数ミリ秒のオーダーの短時間の間、高ピーク電力を必要とする。これらの応用でのピーク対平均電力比は、典型的には5から40の範囲にある。これには、大きなエネルギー(コンデンサ)バッファか、ピーク電力を送り出すことが可能な電源かを必要とする。しかしながら、後者の解決策は、格子容量への大きな影響ならびに平均電力の代わりにピーク電力に基づく寸法の電源の追加コストおよびフットプリントにより好まれない。
【0003】
ピーク電力を送り出すためのエネルギーバッファを使用することの1つの欠点が、バッファの枯渇の速度が電源からの再生の速度を超えると、それがエネルギーバッファでの電圧ドループに至るということである。これは、典型的にはパルスの発生中に生じる。RF出力電力は、関係:PRF=VDD 2/βを通してエネルギーバッファによって増幅器に供給されるDC電圧に直接関連しており、式中βは、負荷インピーダンスおよび使用されるトランジスタ電力能力に応じた定数を表す。エネルギーバッファが単に増幅器に取り付けられると、パルス電力は低減されて、RF電力ドループに至る。この現象は、特に増幅器が圧縮状態で動作されるときに生じる。
【0004】
RF電力ドループ問題は、以前に使用されたVDMOS(縦型二重拡散金属酸化物半導体)トランジスタ技術(電源電圧VDD=150V)に比較してRF増幅器へのLDMOS(横方向拡散金属酸化物半導体)トランジスタ技術(電源電圧VDD=50V)の導入によってより明白になった。LDMOSのための定数βは、同じRF電力のためにはるかに高い供給電流に至るVDMOSに比較して9倍低い。VDMOS RF増幅器に対する1Vの電源電圧ドループが典型的には1.3% RF電力ドループに至るが、LDMOS RF増幅器に対する1V電圧ドループは典型的には4% RF電力ドループに至る。言い換えれば、VDMOSに比較してLDMOSに対して等しいRF電力ドループを有するために、電源電圧は330mVよりも低いべきである。RF電力ドループ問題は、同じく50V電源電圧を特徴とするGaNトランジスタデバイスに対しても明白である。
【0005】
米国特許第6072315号、2000年6月6日が、エネルギー蓄積デバイスおよびRF増幅器の電源電圧を調整するスイッチ電圧レギュレータを備えるRF磁場パルス発生器について記載している。エネルギー蓄積デバイスは、ローカル蓄積コンデンサを備えるスイッチ電圧レギュレータを介して増幅器に接続される。電源電圧は、ローカル蓄積コンデンサにわたる電圧によって定められる。スイッチ電圧レギュレータは、ローカル蓄積コンデンサがいつエネルギー蓄積デバイスから充電されるかを制御する。再充電ロジックは、ローカル蓄積コンデンサがパルス列と同期して充電されるような、かつローカル蓄積コンデンサがパルス中でなく、連続パルス間にだけ充電されるようなものである。米国特許第6072315号は、電源電圧が1つのパルスの経過中に変化し得ることを認識している。しかしながら、電圧レギュレータは、電源電圧が次のパルスに合わせて正しいレベルに回復されることを保証する。
【0006】
米国特許第6072315号の手法が数マイクロ秒のオーダーの超短パルスに対して許容可能であり得るのに対して、それは、例えばMRI応用に慣例であるような数ミリ秒のオーダーのより長いパルスに対しては許容可能でない。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0102441号、2017年4月13日が、パッシブ整流器を通じて3相AC主電源に接続される、RF増幅器電源のような脈動負荷について記載している。ウルトラキャパシタのようなエネルギー蓄積デバイスが、パッシブ整流器によって作成されるDCリンクにDC/DCコンバータを通じて接続される。エネルギー蓄積デバイスは、整流器の下流およびRF増幅器電源から上流をDC/DCコンバータを通じて接続する。パルシング期間中にAC主電源とエネルギー蓄積デバイスとの間で電力が共有され、非パルシング期間中に引き出される電力がエネルギー蓄積デバイスによって再充電するために使用される。ピーク負荷電力期間中のエネルギー蓄積デバイスからのエネルギーの放出は、AC主電源から引き出される電力およびそれ故に電流を低減させることに至る。
【0008】
上のシステムの1つの欠点が、著しいRF電力ドループを防止するために、エネルギー蓄積デバイスとして大きなコンデンサバンクが必要とされて、高コストおよび体積に至るということである。それにもかかわらず、そのような場合にさえ、RF電力ドループは完全には回避できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6072315号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0102441号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/058361号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故、当該技術において先行技術の欠点を克服できるRFパルス増幅器を提供する必要性がある。詳細には、低減されたコストおよび体積でより良好な性能を達成できるRFパルス増幅器の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の態様によれば、したがって、添付の特許請求の範囲に述べられるような無線周波数(RF)パルスを増幅するための装置が提供される。本開示の態様において、RFパルス増幅装置は、パルス化RF信号を増幅するように構成される増幅器と、DCバス電圧を供給するように構成されるDCリンクと、DCリンクに接続されるエネルギー蓄積デバイスとを備える。増幅器は、電源電圧を受けるための入力を備える。増幅器の入力は、DCバス電圧(コンバータ入力において供給される)を電源電圧(コンバータ出力に印加される)に逓降するように構成されるスイッチ(またはスイッチモード)DC/DCコンバータを通じてDCリンクに(およびそれ故にエネルギー蓄積デバイスに)接続される。制御ユニットが、電源電圧を所定の値に制御するためにRF増幅器の動作中に(すなわちRFパルスを増幅するときに)スイッチDC/DCコンバータを動作させるように構成される。有利には、制御ユニットは、スイッチDC/DCコンバータを連続的に、すなわちパルスの発生または増幅中にもパルス化RF信号の連続パルス間にも、切り替わるように制御するように構成される。それ故、有利にはスイッチDC/DCコンバータは、パルスが印加されるかどうかとは独立して、装置の動作中に連続的に切り替わるように構成される。
【0012】
本開示に記載される装置は、それ故にDCリンクのDCバス電圧の変動に関係なく、増幅器の入力における電源電圧を所定の値に効率的に制御することを可能にする。このDCバス電圧は、広範囲に変動するのを許容されてよく、電圧ドループに関してエネルギー蓄積デバイスおよび任意の上流主電源-DCコンバータに対して必要とされる仕様を緩和する。同時に、電源電圧は、DCリンクにおいて生じるいかなる電圧ドループも増幅器の出力に伝搬しないように厳しく制御できて、RF出力電力ドループを効果的に防止する。それ故、本明細書に記載されるような装置は、最小コストおよび体積で高性能を提供する。
【0013】
有利には、スイッチDC/DCコンバータは、RFパルスの繰返し周波数よりも実質的に高いスイッチング周波数で動作される(例えば制御ユニットを通じて)ように構成される。RFパルスの繰返し周波数に対するスイッチング周波数の比率が少なくとも10、好ましくは少なくとも20、好ましくは50から10000の間である。これは、電源電圧を安定した値に効果的に制御することを可能にする。有利には、スイッチDC/DCコンバータは、連続的に動作されるように構成される。スイッチDC/DCコンバータは、高性能を保証しつつ最小体積の非常に経済的なパルス発生器を提供する非絶縁コンバータ、例えばハーフブリッジコンバータであることができる。代替的に、それは絶縁コンバータであることができる。
【0014】
それ故、本明細書に記載されるような装置において、増幅器は、スイッチDC/DCコンバータを通じて、コンデンサバンクのような1つまたは複数の蓄積コンデンサを備えることができるエネルギー蓄積デバイスに接続される。エネルギー蓄積デバイスは、主電源-DCコンバータを通じて主電源、例えばAC電源に接続できる。主電源-DCコンバータは、有利にはDCリンクに接続される出力を備える。主電源-DCコンバータは、有利にはエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを供給するように構成され、主電源-DCコンバータは、有利には増幅器の平均出力電力に基づいて定格される。
【0015】
一部の例では、スイッチDC/DCコンバータおよび増幅器の複数の直列配列が設けられる。各増幅器は、それぞれのスイッチDC/DCコンバータから電源電圧を受ける。スイッチDC/DCコンバータおよび増幅器の直列配列は、増幅器の出力において、例えば電力結合器を通じてかつ/またはスイッチDC/DCコンバータの入力において、例えばDCリンクにおいて並列に接続できる。このように、より高い出力電力のRFパルス増幅装置を提供できる。
【0016】
本開示の第2の態様によれば、本明細書に記載されるような装置を備える、磁気共鳴イメージング機器、プラズマ発生機器、粒子加速器またはレーザ機器のような、RF電磁場を発生させるための機器が提供される。
【0017】
本開示の第3の態様によれば、添付の特許請求の範囲に述べられるようなRFパルスを増幅する方法が提供される。本開示に係る方法は、DCバス電圧でエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを蓄積するステップと、スイッチDC/DCコンバータを使用してDCバス電圧を電源電圧に逓降するステップとを含む。電源電圧は、RFパルスを増幅する増幅器に印加される。スイッチDC/DCコンバータは、RFパルスを増幅する間、動作される。有利には、増幅器はパルス繰返し周波数でRFパルスを出力し、スイッチDC/DCコンバータはスイッチング周波数で動作されており、パルス繰返し周波数に対するスイッチング周波数の比率が少なくとも10、好ましくは少なくとも20、好ましくは50から10000の間である。
【0018】
有利には、電源電圧に対するDCバス電圧の比率が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2である。電源電圧に対するDCバス電圧の比率が大きいほど、パルス発生中のDCバス電圧の大きな電圧変動(例えば電圧ドループによる)を許す。DCバス電圧は20Vから500Vの間、特に70Vから300Vの間であることができる。電源電圧は、有利には5Vから200Vの間、好ましくは12Vから150Vの間、または28Vから100Vの間である。
【0019】
本発明の態様がここで、同じ参照番号が同じ特徴を例示する添付の図面を参照しつつ、より詳細に記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の態様に係るRFパルスを増幅するための装置の概要図である。
図2】本開示の態様に係るRFパルスを増幅するための装置に使用できる非絶縁DC/DCコンバータの図である。
図3】本開示の態様に係るRFパルスを増幅するための装置に使用できる絶縁DC/DCコンバータの概要図である。
図4】複数の増幅器およびRF電力結合器を備える本開示の態様に係るRFパルスを増幅するための装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本開示に係るRFパルスを増幅するための装置10は、出力16において、1つまたは複数のパルスを備えることができる増幅されたRFパルス化信号を提供するように構成される。RFパルス化信号は、信号発生器153によって発生されて、信号入力152においてRF増幅器15に供給される。RF増幅器15は、パルス化RF信号を増幅することが可能な任意の適切な当該技術において公知のような電力増幅器、好ましくはクラスBまたはクラスE増幅器であることができ、信号入力152において受信されるパルス化RF信号を増幅して、出力16において増幅された信号を提供するように構成される。RFパルスは、有利にはACパルスであり、1msから100msの間、好ましくは1msから50msの間のような、数ミリ秒のオーダーのパルス持続時間を有することができるが、但し例えば50μsから1msの間のオーダーの、より短いパルスさえ可能である。パルスデューティサイクルは0.5%から25%の間の範囲であることができ、典型的には1%から10%の間である。パルスによって送り出される電力は1kWから100kWの間、可能であれば5kWから50kWの間のような、2kWから60kWの間の範囲である、例えば、MRI応用にとって典型的である、約20kWであることができる。
【0022】
RF増幅器15は、電源電圧VDDを受けるための入力151を備える。LDMOSまたはGaNトランジスタに基づくRF増幅器に対して、電源電圧VDDは12Vから100Vの間の範囲でよく、典型的にはVDD=50Vである。出力16においてRF増幅器15によって送り出される電力は、典型的には電源電圧に直接関連する。
【0023】
RF増幅器15の入力151は、DC/DCバックコンバータ14を通じてDCリンク13に接続される。DCリンクは、電源電圧VDDよりも高いバス電圧VBUSにあり、DC/DCコンバータは、バス電圧VBUSを電源電圧VDDに逓降(step down)するように構成される。
【0024】
エネルギーバッファとして作用するエネルギー蓄積(storage)デバイス12がDCリンク13に接続される。エネルギー蓄積デバイス12は、コンデンサバンク、または1つもしくは複数のウルトラキャパシタ、または任意の他の当該技術において公知のようなエネルギーバッファリングシステムを備えることができる。エネルギー蓄積デバイスは、典型的にはDCリンク13のバス電圧VBUSで電気エネルギーをバッファする。エネルギー蓄積デバイスは、典型的にはAC電力を提供する主電源9を介して充電される。主電源9とエネルギー蓄積デバイス12との間にAC/DCコンバータ11が接続される。特に、AC/DCコンバータ11は、DCリンク13に接続されるDC出力を備え、エネルギー蓄積デバイス12はDCリンク13に接続される。AC/DCコンバータ11は、当該技術において公知であるようなアクティブまたはパッシブ整流器であることができる。
【0025】
有利には、AC/DCコンバータ11は、RF増幅器15によって要求される平均電力に基づいて定格される。AC/DCコンバータ11によって提供される出力電力は、RF増幅器15によって要求される平均電力に制限できる、またはそれに対して定格できる。パルスの発生中にRF増幅器15によって必要とされるピーク電力が典型的には5から40倍高いのに対して、エネルギー蓄積デバイス12およびDC/DCコンバータ14は、要求されるピーク電力を送り出すことが可能であるサイズに設定される。
【0026】
放電しているエネルギー蓄積デバイスによりパルス増幅中にバス電圧VBUSの電圧ドループが不可避的に生じる。VBUSの電圧ドループがRF増幅器電源電圧VDDに拡散することを防止するために、バス電圧は、RF増幅器電源電圧VDDよりも高いように選ばれ、スイッチ(またはスイッチモード)DC/DCバックコンバータ14は、バス電圧VBUSを電源電圧VDDに逓降するように構成される。DC/DCコンバータ14は、それ故に制御されて実質的に安定した電源電圧VDDを提供するために、パルス増幅中に動作する、すなわち切り替わるように、有利には連続的に動作する、すなわち切り替わるように構成される。それ故、RF増幅器から電力が引き出されるとき、特にパルスの増幅中に、バス電圧VBUSが変動し得るのに対して、DC/DCコンバータは、電源電圧VDDをVBUSの変化に関係なく実質的に一定に維持するように制御される。結果として、本開示に係る装置は、エネルギーバッファのバス電圧での電圧ドループからRF電力ドループが生じることを回避する。
【0027】
スイッチDC/DCコンバータ14の動作を制御することによって電圧変動が吸収されることになるので、電圧ドループに関するエネルギー蓄積デバイス12の仕様は、それ故に緩和できる。それ故、エネルギー蓄積デバイス12は、先行技術の解決策に比較してはるかに小さなエネルギーバッファとして設計できて、既存のRFパルス増幅装置に比較して本開示に係る装置の体積およびコストを低減させることを可能にする。加えて、コンバータ11が装置10の平均出力電力に対して設計される必要があるので、AC/DCコンバータ11の仕様も緩和できる。AC/DCコンバータ11は、DCリンク13に所定の電圧VBUSを維持するためにエネルギー蓄積デバイス12に充電しかついかなるアイドル損失(例えばDC/DCコンバータ14の)も補償するために、RF増幅器15によるパルスの増幅に関係なく、連続的に動作できる。バス電圧VBUSの感知された電圧レベルを基にしてAC/DCコンバータ11を動作させる適切な制御論理を提供できる。
【0028】
比率VBUS/VDD(定格値)は、有利には少なくとも1.3、有利には1.5から20の間、可能であれば2、2.5または3のような、1.7から10の間である。比率VBUS/VDDが大きいほど、VBUS上の許容可能な電圧変動は大きい。パルスの発生中のVBUS上の少なくとも20%の電圧変動を許容できる。一部の例ではVBUS上の少なくとも30%または少なくとも50%の電圧変動を許容できる。
【0029】
図2を参照すると、スイッチDC/DCコンバータ14の具体例が非絶縁ハーフブリッジコンバータとして提供される。ハーフブリッジ143が、単方向または双方向電流遮断能力を有するMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)スイッチデバイスであることができる制御可能なハイサイドスイッチT1、およびダイオードのような、制御可能なスイッチ(例えばT1と同様にMOSFETもしくはIGBT)または電流遮断能力を持つ受動デバイスであることができるローサイドスイッチT2を備える。ハーフブリッジ143の上ノードは、DC/DCコンバータ14の入力端子141に接続される。入力端子141は、DCリンク13の正レールに接続できる。ハーフブリッジ143の下ノードは、DCリンク13の負レールに、または図2に図示されるように、共通グランドに接続できる。スイッチT1およびT2間の、ハーフブリッジ143の中間ノード144は、インダクタLを通じてDC/DCコンバータ14の出力端子142に接続される。
【0030】
ローカル入力コンデンサC1が、その正端子を入力端子141に接続できる。C1の負端子は、共通グランドに、または場合により、DCリンク13の負レールに接続できる。バス電圧VBUSは、それ故にローカル入力コンデンサC1にわたって提供される。ローカル入力コンデンサC1は、局所減結合を提供するために使用される。それは、原則として、エネルギーをバッファするためには構成されない。ローカル出力コンデンサC2が、その正端子を出力端子142に接続できる。C2の負端子は、共通グランドに、または場合により、RF増幅器15の負入力端子に接続できる。電源電圧VDDは、ローカル出力コンデンサC2にわたって提供される。C1と同様に、ローカル出力コンデンサC2は、単に局所減結合のために設けられる。それは、原則として、エネルギーをバッファするためには構成されない。
【0031】
制御ユニット17が、ハーフブリッジ143のスイッチT1および可能であればT2(T2が制御可能である場合)の動作を、例えばパルス幅変調(PWM)を通じて制御する。電圧センサ145が、例えば出力端子142において電源電圧VDDを測定し、制御ユニット17にフィードバック信号171を提供する。このように、制御ユニット17は、T1(および可能であればT2)のデューティサイクルを適切に適合させることを通じて電源電圧VDDをバス電圧VBUSの変化に関係なく実質的に所定の値にあるように制御できる。制御ユニット17は、電源電圧VDDの設定値を受けるための入力172を備えることができる。そのようなハーフブリッジコンバータは、最小コストおよび体積で高性能を提供する。
【0032】
図1を再び参照すると、制御ユニット17は、RF増幅器15の動作を追加的に制御でき、特にRFパルス化信号の発生を制御できる。追加的に、または代替的に、制御ユニット17は、AC/DCコンバータ11の動作を制御できる。
【0033】
DC/DCコンバータ14のために他のコンバータトポロジを使用できる。例として、図3を参照すると、DC/DCコンバータ24の入力端子141と出力端子142との間のガルバニック絶縁を提供する変圧器248を含むなど、絶縁DC/DCコンバータ24を提供することが好都合であり得る。DC/DCコンバータ24は、入力端子141および第1のグランドノードG1に接続される第1のフルブリッジコンバータ回路246、ならびに出力端子142および第2のグランドノードG2に接続される第2のフルブリッジコンバータ回路247を備える。第1および第2のフルブリッジコンバータ回路246、247は、例えば1:1巻線比を有するが、但し任意の他の適切な巻線比も使用できる、ガルバニック絶縁を提供する変圧器248を通じて結合される。第1のフルブリッジコンバータ回路246のブリッジレッグにおけるスイッチは、能動半導体スイッチングデバイスであることができ、その場合それらは制御ユニット17を通じて動作される。第2のフルブリッジコンバータ回路247のブリッジレッグにおけるスイッチは、能動または受動半導体スイッチングデバイスであることができる。グランドノードG1およびG2がガルバニック絶縁されるべきであることに留意することが好都合である。デュアルアクティブブリッジ、フライバックコンバータ、直列または並列共振コンバータおよびハーフブリッジまたはフルブリッジコンバータのような、多くの絶縁DC/DCコンバータトポロジを使用できる。
【0034】
図4を参照すると、RFパルス発生器20が、多数のRF電力増幅器151~15Nの出力16を結合出力26へ結合するための電力結合器18を備えることができる。各RF増幅器151~15Nは、それぞれのRF増幅器に電源電圧を提供するそれぞれのDC/DCコンバータ141~14Nに接続される。RFパルス発生器(図1におけるブロック153など)は、明瞭さ目的で図4に図示されない。全てのDC/DCコンバータ141~14Nは、それらの入力端子がDCリンク13に接続される。それ故、全てのDC/DCコンバータ141~14Nは同じバス電圧VBUSが供給され、NのDC/DCコンバータの各々は、同じであるまたは異なることができる所定の電源電圧VDD,1~VDD,Nを提供するように独立して制御できる。適切な結合器が国際公開第2020/058361号に開示されている。
【0035】
比較例
この比較例では、図1の図が考えられたが、DC/DCコンバータ14が使用されず、バス電圧VBUSがRF増幅器15の電源電圧(VDD)として直接供給された、すなわちVBUS=VDDという点で更に適合された。許容可能な電圧ドループ(dVBUS)は0.1Vに制限され、かつVDD=50V。RF増幅器によるピーク電力出力PRF_SUP=10kWかつパルス持続時間TRF=5msのケースが考えられた。エネルギー蓄積デバイス12のためのコンデンサバンクの必要とされる静電容量CBUSが以下の通り計算された:
CBUS=[(PRF_SUP/VBUS)×TRF]/dVBUS=[(10kW/50V)×5ms]/0.1=10F
【0036】
実施例
この例では、図1の図が考えられ、DC/DCコンバータ14を含んだ。バス電圧VBUS=100Vが考えられ、許容可能な電圧ドループdVBUS=25V(VBUSが100Vから75Vの間で変動してDC/DCコンバータ14に入力された)。RF増幅器電源電圧VDD=50VがDC/DCコンバータ14の出力によって提供される必要がある。比較例におけるように、RF増幅器によるピーク電力出力PRF_SUP=10kWかつパルス持続時間TRF=5ms。エネルギー蓄積デバイス12のためのコンデンサバンクの必要とされる静電容量CBUSが以下の通り計算された:
CBUS=[(PRF_SUP/VBUS)×TRF]/dVBUS=[(10kW/50V)×5ms]/25=40mF
これは、エネルギー蓄積デバイスが比較例に比較して250倍小さな静電容量で設計できることを意味する。
【0037】
有利には、本開示の態様に係るパルス発生器におけるRF増幅器15のピーク電力出力に対するエネルギー蓄積デバイス12の静電容量の比率(CBUS/PRF_SUP)は、0.100mF/W以下、有利には0.050mF/W以下、有利には0.025mF/W以下、有利には0.5.10-3mF/Wから0.020mF/Wの間、有利には1.10-3mF/Wから0.010mF/Wの間である。本開示の態様に係るパルス発生器における(定格)バス電圧VBUSは、有利には少なくとも50V、少なくとも70V、少なくとも75V、少なくとも100Vまたは少なくとも120Vである。(定格)バス電圧VBUSは、有利には1000V以下、有利には500V以下、300V以下または200V以下である。
【0038】
本開示に記載されるようなRFパルス発生器は、RF電磁場を発生させるために使用できる。それらは、MRI機器における増幅器として、プラズマ発生器、CO2レーザまたは粒子加速器として応用先を見つけ得る。このために、パルス発生器10、20の出力16または26はそれぞれ、磁場を発生させるためのRFコイルを含むことができるタンク回路30に結合できる。
【符号の説明】
【0039】
9 主電源
10 装置、RFパルス発生器
11 AC/DCコンバータ
12 エネルギー蓄積デバイス
13 DCリンク
14 DC/DCコンバータ
141,14N DC/DCコンバータ
15 RF増幅器
151,15N RF電力増幅器
16 出力
17 制御ユニット
18 電力結合器
20 装置、RFパルス発生器
24 絶縁DC/DCコンバータ
26 結合出力
30 タンク回路
141 入力端子
142 出力端子
143 ハーフブリッジ
144 中間ノード
145 電圧センサ
151 入力
152 信号入力
153 信号発生器
171 フィードバック信号
172 入力
246 第1のフルブリッジコンバータ回路
247 第2のフルブリッジコンバータ回路
248 変圧器
C1 ローカル入力コンデンサ
C2 ローカル出力コンデンサ
G1 第1のグランドノード
G2 第2のグランドノード
L インダクタ
T1 ハイサイドスイッチ
T2 ローサイドスイッチ
VBUS バス電圧
VDD 電源電圧
VDD,1,VDD,N 電源電圧
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】