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特表2024-538324導波路の二重バウンスを最小限に抑えるシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】導波路の二重バウンスを最小限に抑えるシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/14 20060101AFI20241010BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20241010BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
G02B27/14
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525979
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022039407
(87)【国際公開番号】W WO2023033984
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/464,240
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アデマ,ダニエル
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA82
2H199CA84
2H199CA92
2H199CA94
(57)【要約】
異なる波長の光ビームを放射するように構成されたレーザダイオード[418]を備えた光学エンジン[202]と、反射光ビームのエッジが、他の反射面から反射された他の光ビームに共通の接線[502]上に位置するように、レーザダイオードの1つから光ビームの1つを受け取り、受け取った光ビームを反射するように各々が構成された反射面[504]を有するビーム結合器[224]と、を備えたレーザ投影システム[200]における二重バウンス効果やバウンス分離間隔効果の事例などの回折角効果を低減するシステムおよび方法。レーザ投影システムは、結合光ビームを受け取るための入力結合器[212]であって、入力結合器のエッジは、複数の光ビームのエッジが整列する接線に対応する、入力結合器[212]、を有する導波路[205]を含むヘッドマウントディスプレイ(HMD)に実装することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ビームを放射するように構成された複数のレーザダイオードを備える光学エンジンと、
前記複数のレーザーダイオードのうちの1つからの前記複数の光ビームのうちの1つを受け取るように各々が構成された複数の反射面を有し、前記複数の反射面は、反射光ビームのエッジを前記複数の反射面のうちの他の反射面から反射された前記複数の光ビームに共通する接線上に位置するように、受け取った光ビームを反射する、ビーム結合器と、を備える、レーザ投影システム。
【請求項2】
前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する、請求項1に記載のレーザ投影システム。
【請求項3】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項2に記載のレーザ投影システム。
【請求項4】
前記複数の反射面は、前記ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている、請求項1または請求項2に記載のレーザ投影システム。
【請求項5】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の位置は、前記複数の光ビームの各々のエッジを接線上に位置合わせすることに基づく、請求項4に記載のレーザ投影システム。
【請求項6】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の間の間隔は、前記複数の光ビームの各々のエッジを接線上に位置合わせすることに基づく、請求項4または請求項5に記載のレーザ投影システム。
【請求項7】
前記接線は、前記レーザ投影システムに関連付けられた導波路の入力結合器のエッジに対応する、請求項5に記載のレーザ投影システム。
【請求項8】
複数のレーザダイオードと、内部に配置された複数の反射面を有するビーム結合器とを備え、前記複数の反射面の各々が、前記複数のレーザダイオードのうちの1つから投影される光ビームを受け取るように位置決めされるレーザ投影システムにおける、
前記複数のレーザダイオードから複数の光ビームを投影することと、
前記複数の光ビームの各々のエッジが接線上に位置合わせされるように、前記複数の反射面から前記複数の光ビームを反射することによって結合光ビームを生成することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の反射面は、前記ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている、請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々は、前記複数の反射面の各々によって反射された前記光ビームの各々のエッジが、前記複数の反射面のうちの異なる反射面から反射された他の前記複数の光ビームのうちの1つのエッジに共通する接線上に位置合わせされるように位置決めされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の反射面の各々によって反射された前記光ビームの各々のエッジが、前記複数の反射面のうちの異なる反射面から反射された他の前記複数の光ビームのうちの1つのエッジに共通する接線上に位置合わせされるように、前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の間隔をあけることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接線は、前記レーザ投影システムに関連付けられた導波路の入力結合器のエッジに対応する、請求項8~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
複数の光ビームを放射するように構成された複数のレーザダイオードを備える光学エンジンと、
複数の反射面を有し、前記複数の光ビームの各々のエッジが接線上に位置合わせされるように、前記複数の反射面から前記複数の光ビームを反射することによって結合光ビームを生成するように構成された、ビーム結合器と、
を含む、レーザ投影システムと、
前記結合光ビームを受け取るための入力結合器を有し、前記入力結合器のエッジは、前記複数の光ビームの前記エッジが整列する前記接線に対応する、導波路と、を備えた、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)。
【請求項17】
前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する、請求項16に記載のHMD。
【請求項18】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項16または請求項17に記載のHMD。
【請求項19】
前記複数の反射面は、前記ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている、請求項16~請求項18のいずれか1項に記載のHMD。
【請求項20】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の位置および前記複数の反射面の各々の間の間隔は、接線上で前記複数の光ビームの各々のエッジを整列させることに基づく、請求項16~請求項19のいずれか1項に記載のHMD。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
光学の分野では、結合器は、2つの光源、例えば、結合器の外側からの環境光と、導波路を介して結合器に向けられるマイクロディスプレイから送信される光と、を組み合わせる光学装置である。光結合器は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:head-mounted display)またはニアアイディスプレイとも呼ばれることがあるウェアラブルヘッドアップディスプレイ(WHUD:wearable heads up display)で使用され、これにより、ユーザは、コンピュータで生成されたコンテンツ(テキスト、画像、またはビデオコンテンツなど)を、WHUDを通して見えるユーザの環境に重ねて見ることができ、拡張現実(AR:augmented reality)または複合現実(MR:mixed reality)として知られるものを作成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
WHUD内でマイクロディスプレイからユーザの目に光を送信するには、一般に複数の反射、屈折、回折、および/または偏光の変化を伴い、その結果、光の一部が途中で導波路の外に向けられたり、主経路から逸脱したりする可能性があり、したがって、光が意図した目的地(つまり、ユーザの目)に到達しないため、事実上「失われる」ことになる。この光の損失により、WHUDの効率が低下し、ユーザが見る画像に例えば不均一な明るさや不均一な色などの収差が発生する可能性がある。
【0003】
添付の図面を参照することによって、本開示がよりよく理解され、その多くの特徴および利点が当業者に明らかになり得る。異なる図面での同じ参照記号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】いくつかの実施形態による、ユーザの目に向かって画像を投影するように構成されたレーザ投影システムを含む例示的な表示システムを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のレーザ投影システムのブロック図を示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、図2のレーザ投影システムの導波路内の光の伝播の一例を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、光リレーが成形反射リレーを含む、図2のレーザ投影システムの例示的な実施形態を示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、光学エンジンおよびビーム結合器が接線上にレーザ光のビームを整列させるように構成された、図4のレーザ投影システムの一部を示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、図6のWHUDまたは図1の表示システムなどのWHUDの一部の部分的に透明な斜視図を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、図4のレーザ投影システムの配置例を含む、WHUDの一部の部分的に透明な斜視図を示す図である。
図8】いくつかの実施形態による、図2の光学エンジンおよび導波路などの光学エンジンから導波路に提供される非同心結合光ビームの断面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
従来のWHUDでは、マイクロディスプレイからの視覚コンテンツを表す光は、光が、光の全反射(TIR:total internal reflection)が発生する臨界角より大きい入射角で導波路の境界に入射するように特定の角度で光を透過または反射する入力結合器によって導波路に向けられる。その後、光は複数回のTIRを介して導波路の内部容積に沿って伝播し、光を導波路の外へ、通常は画像または一連の画像として見られるようにユーザの目のほうに向けられるように設計された構造(つまり、出力結合器)に到達する。
【0006】
場合によっては、導波路の入力結合器は、導波路の表面に配置された回折格子として実装され、回折格子はマイクロディスプレイ光の異なる波長を異なる角度で回折する。これらの回折角が異なるため、マイクロディスプレイ光の異なる波長は導波路内で異なる伝播角度を有し、したがって導波路内でのTIRバウンス間の距離も異なる。さらに、光の各波長の回折角が異なるため、「二重バウンス」効果によって一部の光が導波路から失われる可能性があり、入力結合器によって初めて透過または反射された光は、導波路の表面から入力結合器に向かって反射された結果として、二度目に入力結合器に入射する可能性がある。二度目に入力結合器に光が入射すると、光の一部は導波路から透過または反射され(つまり、「失われる」)、その結果、マイクロディスプレイから最初に放射された光よりも少ない光が導波路を通ってユーザの目に送信されることになり、その結果、ユーザに表示される画像の明るさが低下し、ユーザの体験が低下する可能性がある。
【0007】
光の各波長の回折角が異なると、光の波長ごとに導波路内のバウンス間の距離も異なる場合がある。2つの隣接するバウンス間の距離(光ビームの中心から測定される)は「バウンス分離」として知られ、異なる光ビームの隣接するバウンス間の距離は「バウンス分離間隔」と呼ばれる。バウンス分離と光の波長間のバウンス分離間隔が増加すると、ユーザに表示される画像の色の均一性も低下する。言い換えると、比較的短い波長の光(例えば、青色光)は、より長い波長の光(例えば、赤色光)よりも回折角が小さいため、青色光のバウンス分離は赤色光よりも小さくなる。つまり、青色光は、導波路の所与の領域内で赤色光よりも多くのTIRバウンスを経験し、一般に、青色光の光ビーム間のバウンス分離間隔は赤色光よりも小さくなる。その結果、青色光と赤色光が導波路の出力結合器に遭遇すると、青色光は赤色光よりも多くの出力結合バウンスを経験し、その結果、青色光は赤色光よりも多くの場所で導波路から出る。したがって、ビューアに表示される画像は、画像全体にわたって比較的一貫した青色の彩度を有するが、赤色の彩度は画像の特定の領域で異なる。
【0008】
図1図8は、表示システムにおける二重バウンスおよびバウンス分離間隔効果の事例などの回折角効果を低減する例示的な装置および技術の実施形態を示す図である。ただし、本開示の装置および技術は、図示された表示システムへの実装に限定されず、代わりに、本明細書で提供されるガイドラインを使用して、様々な表示システムのいずれかで実装され得ることが理解されるであろう。例示的な装置のいくつかの実施形態では、導波路に関連付けられたマイクロディスプレイは、異なる波長の光ビームを生成するように構成されたレーザダイオードを使用し、各光ビームは、導波路の入力結合器に入射するときに特定の光ビームに与えられると予想される回折角に比例する周長を有する。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロディスプレイのレーザダイオードに関連付けられたビーム結合器には、放射された円形または楕円形の光ビームのエッジが接線で整列し、入力結合器のエッジでバイアスされるように配置された反射面が含まれている。つまり、光ビームは、光ビームの中心に基づいてビーム結合器によって位置合わせされるのではなく、むしろ、光ビームのエッジが、ビーム結合器から出力される結合光ビームの共通のエッジに位置合わせされる。したがって、例示的な装置および技術は、光ビームが導波路内を伝送される際の二重バウンスおよび光ビームのバウンス分離間隔の事例を低減する。
【0009】
図1は、投影された画像がレンズ要素108、110の一方または両方においてディスプレイの視野(FOV)領域106に表示されているようにユーザが知覚するように、ユーザの目に向かって画像を投影するように構成されたレーザ投影システムを収容するアーム104を含む支持構造102を有する表示システム100の一例を示す図である。図示の実施形態では、表示システム100は、ユーザの頭に装着されるように構成された支持構造102を含み、眼鏡(例えば、サングラス)フレームの一般的な形状および外観を有するウェアラブルヘッドアップディスプレイ(WHUD)である。支持構造102は、レーザプロジェクタ、光スキャナ、および導波路などの、ユーザの目に向けたそのような画像の投影を容易にするための様々な構成要素を収容するか、さもなければ含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、1つまたは複数の前面カメラ、背面カメラ、他の光センサ、運動センサ、加速度計などの様々なセンサをさらに含む。支持構造102は、1つまたは複数の無線周波数(RF:radio frequency)インターフェース、またはBluetooth(商標)インターフェース、WiFiインターフェースなどの他の無線インターフェースをさらに含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、支持構造102は、表示システム100の電気構成要素に電力を供給するための1つまたは複数のバッテリまたは他のポータブル電源をさらに含む。いくつかの実施形態では、表示システム100のこれらの構成要素の一部またはすべては、支持構造102の領域112のアーム104内など、支持構造102の内部容積内に完全または部分的に収容される。例示的なフォームファクタが示されているが、表示システム100は、図1に示されている眼鏡フレームとは異なる形状および外観を有してもよいことが理解されることに留意されたい。
【0010】
レンズ要素108、110の一方または両方は、レンダリングされたグラフィックコンテンツが、レンズ要素108、110を通してユーザが知覚する現実世界のビューに重ね合わせることができ、あるいはそれと併せて提供され得る拡張現実(AR:augmented reality)表示を提供するために表示システム100によって使用される。例えば、知覚可能な画像または一連の画像を形成するために使用されるレーザ光は、表示システム100のレーザプロジェクタによって、対応するレンズ要素、1つまたは複数の走査ミラー、および1つまたは複数の光リレー内に少なくとも部分的に形成された導波路など、一連の光学素子を介してユーザの目に投影され得る。したがって、レンズ要素108、110の一方または両方は、導波路の入力結合器によって受け取られた表示光を導波路の出力結合器に経路指定する導波路の少なくとも一部を含み、導波路の出力結合器は表示光を表示システム100のユーザの目に向けて出力する。表示光は、ユーザが表示光を画像として知覚するように、変調され、ユーザの目に走査される。加えて、レンズ要素108、110の各々は、画像が実世界環境の少なくとも一部に重ねて表示されるように、ユーザが透視してユーザの実世界環境の視野を提供できるほど十分に透明である。
【0011】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、デジタル光処理ベースのプロジェクタ、走査型レーザプロジェクタ、あるいはレーザまたは1つもしくは複数のLEDなどの変調光源と、1つまたは複数のダイナミックスキャナまたはデジタル光プロセッサなどのダイナミックリフレクタ機構との任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、プロジェクタは、複数のレーザダイオード(例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオード、および/または青色レーザダイオード)と少なくとも1つの走査ミラー(例えば、微小電気機械システム(MEMS:micro-electromechanical system)ベースまたはピエゾベースであり得る2つの一次元走査ミラー)とを含む。プロジェクタは、コントローラと、コントローラによって実行されるとコントローラにプロジェクタの動作を制御させるプロセッサ実行可能命令および他のデータを格納する非一時的なプロセッサ可読記憶媒体またはメモリとに通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、コントローラは、プロジェクタの走査領域サイズおよび走査領域位置を制御し、表示システム100で表示されるコンテンツを生成するプロセッサ(図示せず)に通信可能に結合される。
【0012】
プロジェクタは、表示システム100のFOV領域106として指定される可変領域にわたって光を走査する。走査領域サイズはFOV領域106のサイズに対応し、走査領域位置はFOV領域106がユーザに見えるレンズ要素108、110のうちの1つの領域に対応する。いくつかの実施形態では、プロジェクタは、第1および第2の走査ミラー、第1および第2の走査ミラーの間に配置された光リレー、および第2の走査ミラーの出力に配置された導波路を介して光を経路指定する。いくつかの実施形態では、導波路の出力結合器の少なくとも一部がFOV領域106と重なっていてもよい。
【0013】
光ビームが導波路内を伝送される際の二重バウンスおよび光ビームのバウンス分離間隔の事例を減らすために、いくつかの実施形態では、レーザダイオードに関連付けられたビーム結合器の反射面は、放射された光ビームが接線で整列し、各レーザ光ビームが導波路の入力結合器のエッジと整列するように配向される。これらの態様の例については、以下でより詳しく説明する。
【0014】
図2は、レーザ光を介してユーザの目に直接画像を投影するレーザ投影システム200の簡略化されたブロック図を示す図である。レーザ投影システム200は、光学エンジン202、光スキャナ204、および導波路205を含む。光スキャナ204は、第1の走査ミラー206、第2の走査ミラー208、および光リレー210を含む。導波路205は、入力結合器212および出力結合器214を含み、本例では、出力結合器214がユーザの目216と光学的に位置合わせされる。導波路205の入力結合器212は、少なくとも第1のエッジ220および第2のエッジ222を含む。いくつかの実施形態では、レーザ投影システム200は、ウェアラブルヘッドアップディスプレイまたは図1の表示システム100などの他の表示システムに実装される。
【0015】
光学エンジン202は、光ビーム218(例えば、赤、青、および緑のレーザ光などの可視レーザ光、ならびに/または赤外レーザ光などの非可視レーザ光)を生成および出力するように構成された1つまたは複数のレーザ光源を含む。いくつかの実施形態では、光学エンジン202は、ユーザの目216の網膜に出力されるときに画像として知覚されるように光ビーム218を変調するために、コントローラまたはドライバが結合されたコンピュータプロセッサから受け取った命令に従って、光学エンジン202のレーザ光源からのレーザ光の放射のタイミングを制御するドライバまたは他のコントローラ(図示せず)に結合される。
【0016】
例えば、レーザ投影システム200の動作中、それぞれ異なる波長を有する複数の光ビーム218は、光学エンジン202のレーザ光源によって出力され、その後、ユーザの目216に向けられる前に、ビーム結合器224を介して結合されて結合光ビーム228となる。光学エンジン202は、結合されたレーザ光が画像の一連のピクセルを反射し、任意の所与の時点での各レーザ光ビームの特定の強度が、その時結合されたレーザ光によって表されるピクセル内の対応する色内容と明るさの量に寄与するように、レーザ光ビームのそれぞれの強度を変調する。
【0017】
いくつかの実施形態では、光スキャナ204の走査ミラー206および208の一方または両方がMEMSミラーである。例えば、走査ミラー206および走査ミラー208は、レーザ投影システム200の能動動作中にそれぞれの作動電圧によって駆動されて振動するMEMSミラーであり、走査ミラー206および208に結合光ビーム228を走査させる。走査ミラー206の振動により、ビーム結合器224によって出力される結合光ビーム228が、光リレー210を通って第2の走査ミラー208の表面にわたって走査される。第2の走査ミラー208は、走査ミラー206から受け取った結合光ビーム228を導波路205の入力結合器212に向かって走査する。いくつかの実施形態では、走査ミラー206は、第1の走査軸219に沿って振動し、その結果、結合光ビーム228は、第2の走査ミラー208の表面を横切って一次元(すなわち、ライン)のみで走査される。いくつかの実施形態では、走査ミラー208は、第1の走査軸に垂直な第2の走査軸221に沿って振動または回転する。
【0018】
いくつかの実施形態では、入力結合器212は、実質的に長方形の外形を有し、結合光ビーム228を受け取り、結合光ビーム228を導波路205内に向けるように構成される。入力結合器212は、より小さい寸法(すなわち、幅)とより大きい直交寸法(すなわち、長さ)によって画定される。いくつかの実施形態では、入力結合器212は、実質的に円形または正方形の形状を有する。一実施形態では、光リレー210は、第1の走査ミラーによって第1の寸法(例えば、入力結合器212の小さな寸法に対応する第1の寸法)で走査された結合光ビーム228を受け取り、結合光ビーム228を第2の走査ミラー208にルーティングし、第2の走査ミラー208を越えた射出瞳への第1の寸法での結合光ビーム228への収束を導入するライン走査光リレーである。様々な実施形態によれば、光リレー210は、結合光ビーム228を整形し、第2の走査ミラー208上に焦点を合わせる1つもしくは複数のコリメーションレンズを含むか、または、結合光ビーム228を整形して第2の走査ミラー208上に向ける2つ以上の球面、非球面、放物面、および/もしくは自由曲面レンズを含む成形反射リレーを含む。第2の走査ミラー208は、結合光ビーム228を受け取り、結合光ビーム228を第2の寸法で走査する。第2の寸法は、導波路205の入力結合器212の長さ寸法に対応する。いくつかの実施形態では、第2の走査ミラー208は、合成光ビーム228の射出瞳を第2の寸法に沿った線に沿って掃引させる。いくつかの実施形態では、入力結合器212は、第2の走査ミラー208が入力結合器212上で結合光ビーム228を線または列として走査するように、第2の走査ミラー208の下流の掃引線またはその近くに配置される。
【0019】
いくつかの実施形態では、光学エンジン202は、実質的に楕円形の非円形断面を有する光ビーム218を各々放射する端面発光レーザ(EEL:edge-emitting laser)ダイオードを含み、その結果、楕円形断面を有する結合光ビーム228が得られる。光リレー210は、第2の走査ミラー208上で結合光ビーム228が収束する前に、結合光ビーム228をその半長軸または半短軸に沿って拡大または最小化し、結合光ビーム228を円形にする。いくつかの実施形態では、各EELダイオードは、特定の波長の光ビーム218と、図4を参照してより詳細に説明されるコリメートレンズ406などの各EELダイオードに関連付けられたコリメートレンズとを提供し、EELダイオードから放射された光をコリメートして、特定の周長の光ビーム218を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、バウンス分離間隔を減らすために、各光ビーム218の周長は、他のEELによって放射される光ビーム218と比べて異なる。すなわち、光の各波長は、EELダイオードによって放射され、その周長が光学エンジン202内の他のEELによって放射される光の他の波長の周長と異なるようにコリメートされる。短波長の光(例えば約450nmの青色光)は長波長の光(例えば約638nmの赤色光)に比べて回折角が小さいため、赤色光のビームサイズが大きくなると、導波路205内のバウンス分離間隔(すなわち、所定のバウンスと次に近い同じ波長を有する光のバウンスとの間の距離)の量が最小化され、したがって、レーザ光が導波路をたどる際に、レーザ光によって表される画像の色の均一性の低下が最小限に抑えられる。いくつかの実施形態では、各コリメートレンズは、対応するEELダイオードに対して位置決めされ、EELダイオードからコリメートレンズが配置される距離によって決定される特定の周長を有する特定の波長のレーザ光ビームを提供する。いくつかのそのような実施形態では、走査ミラー206のミラープレートの表面は、楕円形で非円形である(例えば、結合光ビーム228の断面積と形状およびサイズが同様である)。他のそのような実施形態では、走査ミラー206のミラープレートの表面は円形である。
【0020】
レーザ投影システム200の導波路205は、入力結合器212および出力結合器214を含む。本明細書で使用される「導波路」という用語は、入力結合器(入力結合器212など)からの光を出力結合器(出力結合器214など)へ伝達するために、全反射(TIR)、特殊なフィルタ、および/または反射面のうちの1つまたは複数を使用する結合器を意味すると理解されるであろう。一部のディスプレイ用途では、光はコリメートされた画像であり、導波路はコリメートされた画像を目に転送して複製する。一般に、「入力結合器」および「出力結合器」という用語は、回折格子、ホログラム、ホログラフィック光学素子(例えば、1つまたは複数のホログラムを使用する光学素子)、体積回折格子、体積ホログラム、表面レリーフ回折格子、および/または表面レリーフホログラムを含むがこれらに限定されない、あらゆる種類の光格子構造を指すものと理解されるであろう。いくつかの実施形態では、所与の入力結合器または出力結合器は、入力結合器または出力結合器に光を伝送させ、伝送中に設計された光学機能を光に適用させる透過型格子(例えば、透過型回折格子または透過型ホログラフィック格子)として構成されている。いくつかの実施形態では、所与の入力結合器または出力結合器は、入力結合器または出力結合器に光を反射させ、反射中に設計された光学機能を光に適用させる反射格子(例えば、反射回折格子または反射ホログラフィック格子)である。本例では、入力結合器212で受け取られた光ビーム218は、TIRを使用して導波路205を介して出力結合器214に中継される。次に、光ビーム218は出力結合器214を介してユーザの目216に出力される。上述したように、いくつかの実施形態では、導波路205は、眼鏡のフォームファクタを有し、レーザ投影システム200を使用する表示システムのレンズ108またはレンズ110(図1)などの眼鏡レンズの一部として実装される。
【0021】
図2の例には示されていないが、いくつかの実施形態では、追加の光学構成要素は、光学エンジン202と走査ミラー206の間、走査ミラー206と光リレー210の間、光リレー210と走査ミラー208の間、走査ミラー208と入力結合器212の間、入力結合器212と出力結合器214の間、および/または出力結合器214と目216の間の光路のいずれかに含まれる(例えば、ユーザの目216によって見えるようにレーザ光を整形するために)。いくつかの実施形態では、光が適切な角度で入力結合器212に結合され、TIRによる導波路205内の光の伝播を促進するように、プリズムを使用して走査ミラー208から入力結合器212に光を導く。また、いくつかの実施形態では、フォールドグレーティングなどの射出瞳拡大器(例えば、後述する図3の射出瞳拡大器304)は、入力結合器212によって導波路205に結合された光を受け取り、光を拡大し、その光を出力結合器214に向けて方向転換し、そこで出力結合器214がレーザ光を導波路205から(例えば、ユーザの目216に向かって)外れて結合するために、入力結合器212と出力結合器214との間の中間段に配置される。
【0022】
図3は、いくつかの実施形態による、図2のレーザ投影システム200の導波路205内の光の伝播の一例を示す図である。図示のように、光は、第1のエッジ220を有する入力結合器212を介して受け取られ、第1のエッジ220に平行な軸302に沿って走査される。次に、光は射出瞳拡大器304に向けられ、その後出力結合器214にルーティングされて(例えば、ユーザの目に向かって)出力される。いくつかの実施形態では、射出瞳拡大器304は、レーザ投影システム200を含むWHUDのアイボックスの1つまたは複数の寸法を拡大する(例えば、射出瞳拡大器304がない場合のWHUDのアイボックスの寸法に関して)。いくつかの実施形態では、入力結合器212および射出瞳拡大器304は各々、それぞれの一次元回折格子(すなわち、一次元に沿って延在する回折格子)を含む。図3は、入力結合器212が走査軸302に垂直な第1の方向に(現在示されている図に関して)光を真っ直ぐ下に向け、射出瞳拡大器304が、光を、第1の方向に垂直な第2の方向に(現在示されている図に関して)右に向ける、実質的に理想的な場合を示していることを理解されたい。本例には示されていないが、いくつかの実施形態では、入力結合器212が光を向ける第1の方向は、走査軸302に対して正確に垂直ではなく、わずかにまたは実質的に斜めであることを理解されたい。
【0023】
図4は、光リレー210が成形反射リレーを含むレーザ投影システム200の例示的な実施形態を示す図である。図示のように、レーザ投影システム200は、ビーム結合器404、コリメートレンズ406、およびミラー408が配置された基板402を含む。様々な実施形態によれば、基板402はプリント回路基板(PCB)または別の適用可能な基板である。
【0024】
光学エンジン202は、図示の赤色レーザ光ダイオード418-1、緑色レーザ光ダイオード418-2、および青色レーザ光ダイオード418―3などの、1つまたは複数のレーザ光源418(例えば、レーザダイオード)のセットから構成され、プロセッサまたは他のコントローラは、光学エンジン202を操作して各レーザダイオード418のそれぞれの強度を変調し、ユーザへの表示用に生成される画像の対応するピクセルに対応する赤色光、緑色光、および青色光の寄与を提供する。コリメートレンズ406は各々、光学エンジン202のそれぞれのレーザダイオード418とビーム結合器404との間の光路に挿入される。例えば、各レーザ光源418は、レーザ投影システム200によって投影される結合光ビーム228を生成するために、コリメートレンズ406を通して異なる波長のレーザ光(例えば、赤、青、緑のそれぞれの波長に対応する)を出力し、ビーム結合器224で結合される。ビーム結合器404は、個々のレーザ光入力を受け取り、結合されたレーザ光ビーム228をミラー408に出力し、ミラー408は、結合光ビーム228を走査ミラー206の反射面412上に向け直す。走査ミラー206は、第1の走査軸を横切って光リレー210内へ結合光ビーム228を走査する。光リレー210は、結合光ビーム228を走査ミラー208の反射面414に向けてルーティングするように構成されている。走査ミラー208は、第1の走査軸に垂直な第2の走査軸に沿って、導波路205の入力結合器(入力結合器212など)を横切って結合光ビーム228を走査する。
【0025】
図5は、光学エンジン202と、光ビーム218のビームを接線502上に整列させるように構成されたビーム結合器224の一実施形態とを含む、図4のレーザ投影システム200の一部500を示す図である。各レーザダイオード418-1、418-2、418-3(総称して418)は、ある範囲の波長からなるレーザ光のビームを投影する。例えば、レーザダイオード418-1はレーザ光218-1を投影し、レーザダイオード418-2はレーザ光218-2を投影し、レーザダイオード418-3はレーザ光218-3を投影する。説明のために、光ビーム218-1、218-2、および218-3(総称して218)の各々は、図5において、垂直断面(つまり、光ビームの伝播方向に平行)における光ビームのエッジを示す2本の線によって表されている。各レーザダイオード418からの光ビーム218は、それぞれのコリメートレンズ406を通過する際にコリメートされる。コリメートレンズ406は、その後ビーム結合器224に送信されるコリメート光ビーム218の所望の周長に基づいて、レーザダイオードから距離を置いて配置される。例えば、コリメートレンズ406をそれぞれのレーザダイオード418の近くに配置すると、周囲光ビーム218が比較的小さくなり、一方、コリメートレンズ406をそれぞれのレーザダイオード418からより遠くに配置すると、光ビーム218が、それぞれのコリメートレンズ406と交差する前により長い距離を進むにつれて、より大きな分散を経験する(すなわち、光ビーム218の周長が増大する)ため、周囲光ビーム218がより大きくなる。
【0026】
コリメートレンズ406でコリメートされた後、光ビーム218は、内部に配置された少なくとも1つの反射面を含むビーム結合器224に伝送される。いくつかの実施形態では、ビーム結合器224は、それぞれのコリメートレンズ406の各々から光ビーム218を受け取るための反射面504-1、504-2、および504-3(総称して504)を含む。したがって、図5に示す例では、反射面504-1は光ビーム218-1を受け取り、反射面504-2は光ビーム218-2を受け取り、反射面504-3は光ビーム218-3を受け取る。いくつかの実施形態では、反射面504は、ビーム結合器224内の平行平面に配置され、したがって、光ビーム218の各々がそれぞれの反射面504から反射される角度は、同一またはほぼ同一である。この結果、反射光ビーム218は、ビーム結合器224内の同じ光路に沿って向けられ、その後、ビーム結合器224から出て、結合光ビーム228として互いに平行になる。
【0027】
ビーム結合器224内の反射面504間の間隔は、それぞれのコリメートレンズ406から送信されるそれぞれの光ビーム218の周長および形状に基づく。反射面504間の間隔はまた、接線502に沿って各反射面上の入射点508-1、508-2、508-3(総称して508)を位置合わせすることに基づいており、入射点は、関連するコリメートレンズ406から送信されたそれぞれの光ビーム218のエッジがそれぞれの反射面504に入射する点である。例えば、光ビーム218-1のエッジは、接線502に沿った入射点508-2および508-3と位置合わせされた入射点508-1で反射面504-1に入射する。したがって、反射面504間の間隔は、光ビーム218-1、218-2、218-3の各々のエッジが接線502に沿ったそれぞれの入射点508でそれぞれの反射面504に入射するように、z軸に沿って可変である。その結果、結果として生じる結合光ビーム228のエッジも接線502に位置合わせされる。
【0028】
上で論じたように、各光ビーム218のエッジが接線502などの接線上に位置合わせされるように、結合光ビーム228内の光ビーム218の各々の位置を同心から離れるようにバイアスすることが望ましい。この位置合わせは、合成光ビーム228が光スキャナ204を通って向けられる際に維持されるため、結合光ビーム228は、結合光ビーム228の光ビーム218のエッジが、図3に示されるエッジ220などの入力結合器212のエッジに位置合わせされた状態で、入力結合器212に入射し、したがって、光ビーム218が導波路内を伝送される際の二重バウンスの事例が減少する。
【0029】
図6は、図2のレーザ投影システム200を含むWHUD600の一部を示す図である。いくつかの実施形態では、WHUD600は、図1の表示システム100を表す。本例では、光学エンジン202、ビーム結合器224、光スキャナ204、入力結合器212、および導波路205の一部は、WHUD600のアーム602に含まれる。
【0030】
WHUD600は、第1のレンズ606、第2のレンズ608、および導波路205を含む光結合レンズ604を含み、導波路205は第1のレンズ606と第2のレンズ608との間に配置される。出力結合器214を通って出た光は、第2のレンズ608(例えば、表示システム100のレンズ要素110に対応する)を通って進む。使用中、第2のレンズ608を出た光は、WHUD600を装着しているユーザの目610の瞳孔に入り、光学エンジン202によって出力されたレーザ光によって搬送される表示画像をユーザに知覚させる。光結合レンズ604は実質的に透明であるため、WHUD600の周囲の環境に対応する現実世界のシーンからの光は、第1のレンズ606、第2のレンズ608、および導波路205を通過してユーザの目610に到達する。このようにして、レーザ投影システム200によって出力される画像または他のグラフィックコンテンツは、ユーザの環境の現実世界のビューと組み合わされて(例えば、オーバーレイされて)、ユーザにAR体験を提供する。
【0031】
図示された例には示されていないが、いくつかの実施形態では、追加の光学要素は、光学エンジン202と入力結合器212の間、入力結合器212と出力結合器214の間、および/または出力結合器214とユーザの目610の間の光路のいずれかに含まれる(例えば、ユーザの目610で見えるようにレーザ光を整形するため)。一例として、プリズムは、光が適切な角度で入力結合器212に結合され、TIRによる導波路205内の光の伝播を促進するように、光スキャナ204から入力結合器212に光を導くために使用される。また、いくつかの実施形態では、フォールドグレーティングなどの射出瞳拡大器(例えば、射出瞳拡大器304)は、入力結合器212と出力結合器214との間の中間段に配置され、入力結合器212によって導波路205に光を受け取り、その光を拡大し、そして光を出力結合器214に向けて再配向し、そこで出力結合器214は導波路205から(例えば、ユーザの目610に向けて)外れてレーザ光を結合する。
【0032】
図7は、図6のWHUD600または図1の表示システム100を表すWHUD700の一部の部分的に透明な斜視図を示す図である。WHUD700は、図2および図4のレーザ投影システム200の配置例を含み、これは、光リレー210が成形反射リレーである実施形態である。いくつかの実施形態では、WHUD700は、図1の表示システム100に対応し、WHUD700の図示された部分は、表示システム100の領域112に対応する。
【0033】
WHUD700のアーム704は、光学エンジン202、ビーム結合器224、コリメートレンズ406、および第1の走査ミラー206の少なくとも一部を収容する。WHUD700のフレームセクション706は、第2の走査ミラー208、第1の走査ミラー206の一部、および光リレー210を収容する。導波路205の入力結合器212および出力結合器214は各々、レンズ708(例えば、図1のレンズ110の一実施形態)内に埋め込まれるか、またはレンズ708上に配置される。前述のように、光学エンジン202によって出力される結合光ビーム228は、少なくとも第1の走査ミラー206、光リレー210、および第2の走査ミラー208を介して入力結合器212にルーティングされる。第1の走査ミラー206は、第1の走査軸に沿って合成光ビーム228を走査するために振動または回転し、第2の走査ミラー208は、第1の走査軸に垂直な第2の走査軸に沿って合成光ビーム228を走査するために振動または回転する。第2の走査ミラー208によって反射された結合レーザ光228は、入力結合器212で線に収束する。入力結合器212で受け取られた結合光ビーム228は、導波路205を介して出力結合器214にルーティングされる。出力結合器214で受け取られた光は、その後、導波路205の外へ(例えば、WHUD700のユーザの目に向かって)向けられる。
【0034】
導波路から導かれる光の色の均一性の低下を軽減するには、二重バウンスの事例を最小限に抑え、バウンス分離間隔を減らすことが望ましい。したがって、図6または図7のWHUDなどのシステムは、導波路内で光の伝播方向にある入力結合器のエッジ、例えば図2に示す第1または第2のエッジ220、222に各光ビームを整列させることにより、光が入力結合器に複数回遭遇する可能性を低減するために、ビーム結合器224を含む。光ビームを入力結合器のエッジと位置合わせすることにより、光ビームは入力結合器によって導波路内に導かれ、その後、光ビームが入力結合器に複数回遭遇する可能性を減らすために、入力結合器から遠ざかる方向の経路に沿って導かれる。いくつかの実施形態では、ビーム結合器224は、入力結合器を介して導波路に入るレーザ光ビームによる二重バウンスを最小限に抑えるために、ビームが入力結合器のエッジに接するように、レーザ光プロジェクタによって放射される各レーザ光ビームを位置合わせするように構成された反射面を含む。
【0035】
図8は、図2の光学エンジン202および導波路205などの光学エンジンから導波路に提供される結合光ビーム228の断面例を示す図である。いくつかの実施形態では、合成光ビーム228内の光ビーム218は非同心であり、図5の接線502などの接線上に整列するようにバイアスされている。接線に沿ってビームを整列させると、光ビームが導波路に向けられた後に再度導波路の入力結合器に遭遇する可能性が低減される。断面9-1および9-2は、異なる周長を有する赤色レーザ光218-1、緑色レーザ光218-2、および青色レーザ光218-3のビームから構成される円形の非同心結合光ビーム228を示す。断面9-3および9-4は、異なる長軸長および短軸長を有する赤色レーザ光218-1、緑色レーザ光218-2、および青色レーザ光218-3のビームから構成される非同心の結合光ビーム228を示す。いくつかの実施形態では、入力結合器212のエッジに接するように光ビーム218の各々をバイアスすることは、光ビーム218の各々のエッジが共通接線上に位置するようにレーザ光ビームの位置決めを調整するように構成された少なくとも1つの位置合わせ構成要素を使用することによって達成される。
【0036】
本明細書で開示されるように、レーザ投影システムは、複数の光ビームを放射するように構成された複数のレーザダイオードを備える光学エンジンと、複数の反射面を有するビーム結合器であって、各々の反射面が、反射光ビームのエッジが、前記複数の反射面のうちの他の反射面から反射された前記複数の光ビームに共通の接線上に位置するように、前記複数のレーザダイオードのうちの1つから前記複数の光ビームのうちの1つを受け取り、前記受け取った光ビームを反射するように構成されている、ビーム結合器と、を備えている。一態様では、複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する。別の態様では、複数のレーザダイオードの各々は、他の複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する。さらに別の態様では、複数の反射面は、ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている。さらに別の態様では、ビーム結合器内の複数の反射面の各々の位置は、複数の光ビームの各々のエッジを接線上に位置合わせすることに基づく。
【0037】
一態様では、ビーム結合器内の複数の反射面の各々の間の間隔は、複数の光ビームの各々のエッジを接線上に位置合わせすることに基づく。別の態様では、接線は、レーザ投影システムに関連付けられた導波路の入力結合器のエッジに対応する。
【0038】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のレーザダイオードと、内部に配置された複数の反射面を有するビーム結合器とを備え、複数の反射面の各々が、複数のレーザダイオードのうちの1つから投影される光ビームを受け取るように位置決めされるレーザ投影システムにおいて、複数のレーザダイオードから複数の光ビームを投影することと、複数の光ビームの各々のエッジが接線上に位置合わせされるように、複数の反射面から複数の光ビームを反射することによって結合光ビームを生成することと、を含む。一態様では、複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する。別の態様では、複数のレーザダイオードの各々は、他の複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する。さらに別の態様では、複数のレーザダイオードの各々は、他の複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する。
【0039】
一態様では、複数の反射面は、ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている。別の態様では、ビーム結合器内の複数の反射面の各々は、複数の反射面の各々によって反射された光ビームの各々のエッジが、複数の反射面のうちの異なる反射面から反射された他の複数の光ビームのうちの1つのエッジに共通する接線上に位置合わせされるように位置決めされる。さらに別の態様では、方法は、複数の反射面の各々によって反射された光ビームの各々のエッジが、複数の反射面のうちの異なる反射面から反射された他の複数の光ビームのうちの1つのエッジに共通する接線上に位置合わせされるように、ビーム結合器内の複数の反射面の各々の間隔をあけることをさらに含む。別の態様では、接線は、レーザ投影システムに関連付けられた導波路の入力結合器のエッジに対応する。
【0040】
いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、複数の光ビームを放射するように構成された複数のレーザダイオードを備える光学エンジンと、複数の反射面を有し、複数の光ビームの各々のエッジが接線上に位置合わせされるように、複数の反射面から複数の光ビームを反射することによって結合光ビームを生成するように構成された、ビーム結合器と、を含む、レーザ投影システムと、結合光ビームを受け取るための入力結合器を有し、入力結合器のエッジは、複数の光ビームのエッジが整列する接線に対応する、導波路と、を備えている。一態様では、複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する。別の態様では、複数のレーザダイオードの各々は、他の複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する。さらに別の態様では、複数の反射面は、ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている。さらに別の態様では、ビーム結合器内の複数の反射面の各々の位置および複数の反射面の各々の間の間隔は、接線上で複数の光ビームの各々のエッジを整列させることに基づく。
【0041】
上記の一般的な説明で説明したアクティビティや要素のすべてが必要なわけではないこと、特定のアクティビティやデバイスの一部が必要とされなくてもよいこと、および、記載されているものに加えて、1つまたは複数のさらなるアクティビティが実行されるか、または要素が含まれてもよいことに留意されたい。さらに、アクティビティが列挙されている順序は、必ずしも実行される順序ではない。また、概念は特定の実施形態を参照して説明されている。ただし、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書および図は、限定的な意味ではなく、例示的な意味でみなされるべきであり、そのような修正はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0042】
利点、他の長所、および問題の解決策は、特定の実施形態に関して上で説明されている。ただし、利点、長所、問題の解決策、および利点、長所、または解決策が発生する、またはより顕著になる可能性があるあらゆる機能は、一部またはすべての請求項の重要な、必要な、または必須の特徴として解釈されるべきではない。さらに、上で開示された特定の実施形態は、例示にすぎず、開示された主題は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者には明らかな、異なるが同等の方法で修正および実施され得る。以下の特許請求の範囲に記載されているものを除き、本明細書に示される構造または設計の詳細に制限を意図するものではない。したがって、上で開示された特定の実施形態が変更または修正され得ることは明らかであり、そのような変形はすべて、開示された主題の範囲内にあるとみなされる。したがって、本明細書で求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載されているとおりである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ビームを放射するように構成された複数のレーザダイオードを備える光学エンジンと、
前記複数のレーザダイオードのうちの1つからの前記複数の光ビームのうちの1つを受け取るように各々が構成された複数の反射面を有し、前記複数の反射面は、反射光ビームのエッジを前記複数の反射面のうちの他の反射面から反射された前記複数の光ビームに共通する接線上に位置するように、受け取った光ビームを反射する、ビーム結合器と、を備える、レーザ投影システム。
【請求項2】
前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する、請求項1に記載のレーザ投影システム。
【請求項3】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項2に記載のレーザ投影システム。
【請求項4】
前記複数の反射面は、前記ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている、請求項1または請求項2に記載のレーザ投影システム。
【請求項5】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の位置は、前記複数の光ビームの各々のエッジを接線上に位置合わせすることに基づく、請求項4に記載のレーザ投影システム。
【請求項6】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の間の間隔は、前記複数の光ビームの各々のエッジを接線上に位置合わせすることに基づく、請求項4に記載のレーザ投影システム。
【請求項7】
前記接線は、前記レーザ投影システムに関連付けられた導波路の入力結合器のエッジに対応する、請求項5に記載のレーザ投影システム。
【請求項8】
複数のレーザダイオードと、内部に配置された複数の反射面を有するビーム結合器とを備え、前記複数の反射面の各々が、前記複数のレーザダイオードのうちの1つから投影される光ビームを受け取るように位置決めされるレーザ投影システムにおける、
前記複数のレーザダイオードから複数の光ビームを投影することと、
前記複数の光ビームの各々のエッジが接線上に位置合わせされるように、前記複数の反射面から前記複数の光ビームを反射することによって結合光ビームを生成することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の反射面は、前記ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々は、前記複数の反射面の各々によって反射された前記光ビームの各々のエッジが、前記複数の反射面のうちの異なる反射面から反射された他の前記複数の光ビームのうちの1つのエッジに共通する接線上に位置合わせされるように位置決めされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の反射面の各々によって反射された前記光ビームの各々のエッジが、前記複数の反射面のうちの異なる反射面から反射された他の前記複数の光ビームのうちの1つのエッジに共通する接線上に位置合わせされるように、前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の間隔をあけることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接線は、前記レーザ投影システムに関連付けられた導波路の入力結合器のエッジに対応する、請求項8~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
複数の光ビームを放射するように構成された複数のレーザダイオードを備える光学エンジンと、
複数の反射面を有し、前記複数の光ビームの各々のエッジが接線上に位置合わせされるように、前記複数の反射面から前記複数の光ビームを反射することによって結合光ビームを生成するように構成された、ビーム結合器と、
を含む、レーザ投影システムと、
前記結合光ビームを受け取るための入力結合器を有し、前記入力結合器のエッジは、前記複数の光ビームの前記エッジが整列する前記接線に対応する、導波路と、を備えた、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)。
【請求項17】
前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つは、前記複数の光ビームのうちの少なくとも1つの他の光ビームと比較して異なる周長を有する、請求項16に記載のHMD。
【請求項18】
前記複数のレーザダイオードの各々は、他の前記複数のレーザダイオードと比較して固有の波長範囲にわたって光を放射する、請求項16に記載のHMD。
【請求項19】
前記複数の反射面は、前記ビーム結合器内の光路と交差する平行な平面に配置されている、請求項16に記載のHMD。
【請求項20】
前記ビーム結合器内の前記複数の反射面の各々の位置および前記複数の反射面の各々の間の間隔は、接線上で前記複数の光ビームの各々のエッジを整列させることに基づく、請求項16~請求項19のいずれか1項に記載のHMD。
【国際調査報告】