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特表2024-538326改良された器具トラッキングを有する外科ナビゲーションシステムおよびナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】改良された器具トラッキングを有する外科ナビゲーションシステムおよびナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241010BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526007
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2022080276
(87)【国際公開番号】W WO2023078803
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】102021128478.3
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523290953
【氏名又は名称】ビー.ブラウン ニュー ベンチャーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】B. Braun New Ventures GmbH
【住所又は居所原語表記】Berliner Allee 2, 79110 Freiburg Im Breisgau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン スタヴィアスキー
(72)【発明者】
【氏名】アミール サルベスタニ
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの医療器具をトラッキングするための、患者(P)への外科的介入時のナビゲーション用の外科ナビゲーションシステム(1)であって、当該システムは、表示装置(2)と、トラッキング対象の医療器具(4)と、3Dデジタル記録データ(3DA)を提供するのに適したデータ提供ユニットと、記録ヘッド(8)を有する医療用撮像装置(6)であって、患者(P)の介入領域(E)の視覚記録を作成するのに適しており、トラッキング対象の医療器具(4)を検出し、それを記録ヘッド(8)に対してトラッキングするのにも適している、医療用撮像装置と、撮像装置(6)の記録ヘッド(8)を検出およびトラッキングするとともに、3D撮像データ(3DA)に登録するために患者(P)の少なくとも一部を検出するのに適しているトラッキングシステム(10)と、撮像装置(6)からのデータと、トラッキングシステム(10)からのデータと、提供される3D撮像データ(3DA)とを処理し、トラッキングシステム(10)から記録ヘッド(8)へのトレースと記録ヘッド(8)から器具(4)へのトレースとをリンクさることによって、トラッキング対象の器具(4)の位置および/または向きを特定し、患者(P)に関して登録された3D撮像データ(3DA)と器具(4)の位置および/または向きとを用いて関連表現を作成し、それを表示装置(2)によって視覚的に出力するのに適している制御ユニット(14)とを備える。さらに、本発明は、さらなる独立請求項に係る、ナビゲーションタワー、ナビゲーション方法、およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療用の器具をトラッキングするために、患者(P)への外科的介入時のナビゲーションのための外科ナビゲーションシステム(1)であって、
視覚コンテンツを表示するための表示装置(2)、特にモニタと、
トラッキング対象である少なくとも1つの医療用の器具(4)と、
データ提供ユニット、特に記憶ユニット(12)であって、前記患者(P)のデジタル3D撮像データ(3DA)、特に術前の3D撮像データ(3DA)を提供するように適合されているデータ提供ユニットと、
撮像ヘッド(8)を有する医療用の撮像装置(6)であって、前記患者(P)の介入領域(E)の一部の画像を作成するとともに、前記撮像ヘッド(8)に対して、トラッキング対象である医療用の前記器具(4)を検出およびトラッキングするように適合されている、撮像装置と、
トラッキングシステム(10)であって、前記撮像装置(6)の前記撮像ヘッド(8)を検出およびトラッキングするとともに、前記3D撮像データ(3DA)に登録するために、前記患者(P)の少なくとも一部を検出および特にトラッキングするように適合されているトラッキングシステム(10)と、
制御ユニット(14)であって、
前記撮像装置(6)の前記データと、前記トラッキングシステム(10)の前記データと、提供される前記3D撮像データ(3DA)と、を処理し、
前記トラッキングシステム(10)から前記撮像ヘッド(8)へのトレースと前記撮像ヘッド(8)から前記器具(4)へのトレースとをリンクさることによって、トラッキング対象の前記器具(4)、特に前記器具(4)の器具先端(16)の位置および/または向きを特定し、
前記患者(P)に関して登録された前記3D撮像データ(3DA)と前記器具(4)、特に前記器具先端(16)の前記位置および/または向きとを有する相関表示を作成し、
前記相関表示を前記表示装置(2)によって出力するように、
適合されている制御ユニットと、
を備える外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項2】
医療用の前記撮像装置(6)は、トラッキングのための3次元検出を行うように適合されている外科用顕微鏡または医療用内視鏡であり、特に、深さ情報を検出するための3Dカメラシステムを備えることを特徴とする、請求項1に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項3】
医療用の前記撮像装置(6)の前記撮像ヘッド(8)は、ステレオ画像(A)のためのステレオカメラを備え、
特に、前記制御ユニット(14)は、マシンビジョンを用いて、前記ステレオ画像(A)から、前記撮像ヘッド(8)に対する前記器具(4)、特に前記器具先端(16)の位置および/または向きを検出するように適合されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項4】
前記制御ユニット(14)は、前記ステレオ画像(A)の三角測量を用いて、及び/又は、前記ステレオ画像(A)の視差重複の再構成を用いて、前記器具(4)の前記位置および/または向きを特定するように適合されていることを特徴とする、請求項3に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項5】
所定の光学パターン(20)、特に、QRコード(登録商標)(24)および/またはバーコードおよび/または互いに離間した2つのリング(30)が、トラッキング対象である医療用の前記器具(4)の外面、特に前記器具(4)の遠位端部に配置されており、特に、前記器具(4)に一体化されており、
前記制御ユニット(14)は、前記光学パターン(20)をデコードするか、または前記光学パターン(20)を記憶ユニットに記憶されている基準と比較して、検出された前記光学パターン(20)に基づいて、前記光学パターン(20)に対する器具先端(16)の位置または前記器具(4)の形状を特定するように適合されていることを特徴とする、
請求項1から4のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの医療用の前記器具(4)の幾何学的形状、特に複数の医療用の器具の幾何学的形状が、特に前記撮像ヘッド(8)および/または前記トラッキングシステム(10)による最初の3次元検出によって、記憶ユニット(12)に記憶され、
前記制御ユニット(14)は、前記撮像ヘッド(8)によって検出される医療用の前記器具(4)の一部と記憶された前記幾何学的構造に基づいて、前記器具先端(16)の位置、特に姿勢を特定することを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項7】
前記トラッキングシステム(10)は、赤外線ベースのカメラシステムおよび/または電磁石ベースのシステムおよび/またはIMUベースのトラッキングシステムを備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項8】
前記ナビゲーションシステム(1)は、マシンビジョンを用いて、少なくとも2つの撮像視点、特にステレオ画像(A)から、器具(4)の姿勢の空間的3次元検出を実行するように適合されている画像分析装置を備えることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
【請求項9】
移動式の医療用のナビゲーションタワー(100)であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)と、
前記ナビゲーションタワー(100)を移動可能に設置するための車輪を有する移動カート(102)と、
を備えるナビゲーションタワー(100)。
【請求項10】
少なくとも1つの医療用の器具(4)をトラッキングするために、患者(P)への外科的介入時のナビゲーションのための、特に、請求項1から8のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)におけるナビゲーション方法であって、
特に前記患者(P)の一部を、前記患者(P)の3D撮像データ(3DA)に対して登録するステップ(S2)と、
医療用の撮像装置(6)の撮像ヘッド(8)によって、トラッキング対象である医療用の前記器具(4)を検出およびトラッキングするステップ(S5)と、
トラッキングシステム(10)によって、前記撮像ヘッド(8)を検出およびトラッキングするステップ(S4)と、
前記撮像ヘッド(8)のトレースと医療用の前記器具(4)のトレースとをリンクさせることによって、医療用の前記器具(4)、特に器具先端(16)の位置および/または向きを特定するステップ(S7)と、
好ましくは、医療用の前記器具(4)の特定された前記位置および/または向きを前記3D撮像データ(3DA)に転送するステップと、
表示装置(2)によって、前記3D撮像データ(3DA)と医療用の前記器具(4)の前記位置および/または向きとを有する相関表示を出力するステップ(S8)と、
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項11】
前記ナビゲーション方法は、
医療用の前記撮像装置(6)によってステレオ画像(A)を作成するステップと、
前記ステレオ画像(A)に基づいて、三角測量および/または視差重複の再構成によって、深さ情報を有する深度マップ(18)を作成するステップと、
前記ステレオ画像(A)と前記深度マップ(18)に基づいて、前記器具(4)の前記位置および/または向きを特定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のナビゲーション方法。
【請求項12】
所定の光学パターン(20)、特にQRコード(24)および/または互いに離間した少なくとも2つのリング(30)を、前記光学パターン(20)から器具先端(16)までの距離または前記器具(4)の形状に関する情報キャリアとして検出するステップと、
前記光学パターン(20)に基づいて、前記光学パターン(20)に対する前記器具先端(16)の位置、特に姿勢を特定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項10または11に記載のナビゲーション方法。
【請求項13】
前記ナビゲーション方法は、所定の前記光学パターンがQRコード(24)であり、かつ前記QRコード(24)から前記器具先端(16)までの距離が前記QRコード(24)にコード化されている場合に、
前記QRコード(24)をデコードするステップと、
前記器具先端(16)までの前記距離を読み取るステップと、
前記3D撮像データ(3DA)に対してトラッキングされた前記撮像ヘッド(8)を介して、前記撮像ヘッド(8)に対する前記器具先端(16)の位置を特定するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項12に記載のナビゲーション方法。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項10から13のいずれか一項に記載のナビゲーション方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者への外科的介入時のナビゲーションのため、介入に使用される少なくとも1つの医療器具をトラッキングするための外科ナビゲーションシステムに関する。さらに、本開示は、二次請求項のプレアンブルによるナビゲーションタワー、ナビゲーション方法、およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
外科ナビゲーションは、通常、赤外線基準点などのマーカを有する特別なマーキングシステムや電磁トラッキングシステムを備える特別な器具を用いなければ行うことができない。このような器具は、インジケータまたはポインタとして知られており、その先端で三次元空間内の位置をマークするよう特別に適合されており、その先端がナビゲーションシステムによって検出される。
【0003】
介入中に必要なナビゲーション情報を得るためには、外科医などのユーザが、一連の作業を中断して、特別に適合された(ポインタ)器具を手に取り、それを所望の場所へ誘導しなければならない。この場合、(ポインタ)器具の機能は、ナビゲーション情報を提供することだけである。このように個々の器具を連続的に交換することによって、患者への介入が不利に長引いてしまい、外科医側の疲労にもつながってしまう。加えて、機能の異なる多数の医療器具を常に使用できるようにしておく必要がある。
【0004】
さらに、現在、ナビゲーションシステムは、通常、介入領域から離れた位置に配置されるステレオカメラなどの外部カメラシステムを使用するという問題がある。赤外線ベースのナビゲーションシステムなどの外科ナビゲーションシステムでは、特にナビゲーションシステムと外科用顕微鏡が同時に使用される場合、介入領域の複雑な環境において、視線内の視野が著しく制限されてしまう。器具のトレースが一時的に中断されてしまい、トレースの精度も低下してしまう。さらに、カメラシステムのために確保すべき視野に関する制限を守る必要があり、患者への介入がさらに複雑になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本開示の課題および目的は、従来技術の欠点を回避するか又は少なくとも低減する、外科ナビゲーションシステム、ナビゲーションタワー、ナビゲーション方法、およびコンピュータ可読記憶媒体を提供することである。特に、より精度の高い医療器具のトラッキングを提供し、連続的で中断されないトレースを可能にし、介入領域のさらに優れた検出を可能にする外科ナビゲーションシステムおよびナビゲーション方法を提供することである。ユーザ、特に外科医は、より良く安全なナビゲーションモダリティを享受することができる。さらに、外科処置のワークフローをより良くサポートし、より速く実行できるようにすることも目的の一部である。既存の外科器具をポインタとして使用すること、または、それらを少なくともわずかに変更するだけでよいこと、特に補うだけでもよいことも目的の一部である。介入中に利用可能なナビゲーション時間を増やすことも目的の一部である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の課題は、本発明による汎用の外科ナビゲーションシステムに関しては請求項1の特徴によって、本発明による汎用のナビゲーションタワーに関しては請求項9の特徴によって、本発明によるナビゲーション方法に関しては請求項10の特徴によって、本発明によるコンピュータ可読記憶媒体に関しては請求項14の特徴によって解決される。
【0007】
従って、本開示の基本的なアイデアは、外科ナビゲーションシステムおよびナビゲーション方法において、医療器具が、例えばカメラシステムを介して、直接的かつ絶対的に検出されるのではなく、一方では、例えばカメラシステムよりも介入領域に近接して配置される医療用撮像装置の撮像ヘッドをトレースすることによって、他方では、撮像ヘッド自体によって医療器具をトレースすることによって、間接的に検出されるものであり、その結果、2つのトラッキングのシリアルリンクを用いて器具の位置及び/又は向きを計算することができる、又は特定することができるということである。患者がナビゲーションシステムに登録されている場合、3D撮像データ/3D画像データ、特にMRI画像及び/又はCT画像などの術前の3D撮像データも患者に登録され、器具の特定位置及び/又は向きが、ナビゲーションのために3D撮像データにおいて特定されて、ユーザへ表示される。
【0008】
ある意味で、器具の直接的なトレースが、少なくとも2段階の連続トレース、すなわち、撮像ヘッドのトレースと撮像ヘッドによる器具の独立したトレースに分割されるということである。この2つのトレースは2つの個別の(座標)変換を提供し、これらの変換はトラッキング対象である器具の変換を得るために結びつけられる。この独立性のおかげで、様々なトレースシステムまたは方法を使用することもでき、一方では、撮像ヘッドをトレースするために、それ用に構成され、長距離に適合されたトラッキングシステムが使用されてよく、他方では、器具をトレースするために、介入領域において、短距離用の特別に適合されたトレースが使用されてもよい。このように、従来技術では不可能であった、一般的な、例えば標準医療器具、特に標準外科器具の検出が可能である。
【0009】
医療用撮像装置(の撮像ヘッド)、特にステレオ顕微鏡と使用される器具との間の距離が小さいので、この少なくとも連結された/リンクされた2段階または2段式の連続トレースは、非常に高いトラッキング精度/高いトレース精度をもたらすことができる。このように、ナビゲーションカメラは、トラッキング対象である器具自体を見る必要がなく、医療用撮像装置の撮像ヘッドのみ、特に外科用顕微鏡の光学系を有する顕微鏡ヘッドのみを見ればいいので、例えば、外部ナビゲーションカメラに伴う視線の問題も回避される。また、撮像装置の撮像ヘッドによって器具を検出およびトレースするということは、標準器具も追跡可能であり、ポインタなどのナビゲーション器具に置き換える必要がないということなので、ナビゲーションシステムの使用によって外科処置のワークフローが中断されないということも有利である。
【0010】
ナビゲーション方法を用いた介入により、外科医が利用できる実質的なナビゲーション時間が増えるので、安全性が向上する。標準外科器具は、使用されている間、ナビゲートされる。
【0011】
換言すると、少なくとも1つの物体、特に医療器具をトレースするための、患者への外科的介入におけるナビゲーションのための外科ナビゲーションシステムが提供される。このシステムは、視覚的コンテンツを表示するための表示装置、特にモニタと、トラッキング対象である少なくとも1つの物体、特に医療器具と、撮像ヘッドを有する医療用撮像装置であって、撮像ヘッドが、患者の介入領域の光学的/視覚的画像を作成するとともに、患者の介入領域において、撮像ヘッドに対してトラッキング対象の物体、特に医療器具を検出し、トレースし/トラッキングするように適合されている、医療用撮像装置と、(外部)トラッキングシステムであって、少なくとも撮像装置の撮像ヘッドを検出し、トラッキングシステムに対して撮像ヘッドをトラッキングし、登録のために、介入領域を有する患者の少なくとも一部を検出する、特にトラッキングするように適合されている(外部)トラッキングシステムと、患者のデジタル3D撮像データ、特に術前3D撮像データを提供するように適合されているデータ提供ユニットと、制御ユニットであって、撮像装置のデータと、トラッキングシステムのデータと、提供された3D撮像データとを処理し、トラッキングシステムから撮像ヘッドへのトレース(の変換または変換行列)と、撮像ヘッドから物体への、特に器具へのトレース(の変換または変換行列)とをリンクさせることによって、トラッキング対象の物体、特に器具、特に器具の器具先端の位置及び/又は向きを特定し、それをトラッキングシステムに登録された患者の3D撮像データに転送し、これを表示装置によって視覚的に出力するように適合されている制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、患者について登録された3D撮像データと、特定/計算された器具の位置及び/又は向きとの相関表示を作成することができ、これを表示装置によって視覚的に出力することができる。このように、外科医は、3D画像データ中の(バーチャル)器具、特に器具先端の正確な位置を、例えばORモニタ上に表示することができる。
【0012】
検出された患者と、検出された撮像ヘッドと、撮像ヘッドによって検出された器具とに基づいて、3D撮像データに対する器具、特に器具先端の位置及び/又は向きを特定することができる。このように、患者の3D撮像データ(3D画像)に対する外科器具の位置及び/又は向きを特定することができる。
【0013】
このように、手術中に、外科器具を追跡し、患者の3D撮像データ(3D画像セット)に対する外科器具の位置、特にその姿勢を示すナビゲーションシステムが提供され、器具は光学システムによって追跡され、光学システムはナビゲーションシステムのトラッキングシステムによって追跡され、患者も(3D撮像データへの登録のために)ナビゲーションシステムによって追跡される。
【0014】
「位置」という語は、3次元空間内での幾何学的な位置を意味し、特にデカルト座標系の座標によって特定される。特に、3つの座標X、Y、Zによって、位置を特定することができる。
【0015】
「向き」という語は、空間における(例えば、その位置での)アライメントを示す。向きは、3次元空間における方向または回転を示すとも言える。特に、3つの角度を用いて、向きを特定することができる。
【0016】
「姿勢」という語には、位置と向きの両方が含まれる。特に、3つの位置座標X、Y、Zと向きの3つの角度座標との6つの座標を使用して、姿勢を特定することができる。
【0017】
3Dという語は、画像データが空間的であること、すなわち3次元であることを定義するものである。デカルト座標系(X,Y,Z)を有する3次元空間において、患者の身体または空間的な広がりを有する身体の少なくとも一部を画像データとしてデジタル的に利用可能である。
【0018】
トラッキング対象の医療器具は、例えば、吸引管や鉗子であってよく、その遠位器具先端を使って、特に正確に、空間内の点を画定する。外科ナビゲーションシステムはもちろん、(より小型の)医療装置のトラッキングにも使用できる。
【0019】
有利な実施形態は、従属請求項に記載されており、以下に特に説明される。
【0020】
好ましい実施形態によれば、医療用撮像装置は、トレースのための空間検出を行うように適合された外科用顕微鏡および/または医療用内視鏡/外科用内視鏡であってよく、特に、深さ情報を検出するための3Dカメラシステムを備える。例えば、開頭手術では、介入中に外科用顕微鏡が外科医をサポートする。外科用顕微鏡の顕微鏡ヘッドの位置は、外科ナビゲーションシステムのトラッキングシステムによって追跡される。特に、介入中に、外科器具を認識し、顕微鏡の画像センサに対する器具の位置を計算するために、外科用ステレオ顕微鏡が使用される。したがって、撮像装置(ビジョンシステム)は外科用顕微鏡または外科用内視鏡であってもよい。特に、外科ナビゲーションシステムは、外科用顕微鏡、特にステレオ顕微鏡と組み合わせて使用されてよく、制御装置は、対応するナビゲーションデータを提供するように特別に適合されている。(従来の)外科用顕微鏡を用いて関心介入領域の一部を数センチメートルの距離で焦点を合わせることができ、非常に正確に器具の位置を特定し、追跡することができる。
【0021】
さらなる好ましい実施形態によれば、医療用撮像装置の撮像ヘッドは、ステレオ画像のためのステレオカメラを備えてよく、特に、制御ユニットは、マシンビジョンを用いて、ステレオ画像から撮像ヘッドに対する器具、特に器具先端の空間的な3次元位置及び/又は向きを検出するように適合されていてもよい。言い換えれば、撮像装置は、ステレオカメラシステム及び/又は深さ情報を有する3Dカメラシステムを備えてもよい。つまり、評価用の制御ユニットのみを適合させれば足り、ステレオ顕微鏡や端面にステレオカメラを備える内視鏡などの標準装置を使用することが可能である。
【0022】
本開示のさらなる実施形態によれば、ナビゲーションシステムは、画像解析装置を備えてよく、この画像解析装置は、マシンビジョンを用いて、少なくとも2つの撮像視点から、特にステレオ画像から、器具の空間的3次元検出を実行するように適合されている。言い換えれば、ナビゲーションシステムは、少なくとも1つのカメラを備えるカメラシステムを有しており、マシンビジョンを用いて器具の3次元検出とトレースを実行してもよい。
【0023】
好ましくは、制御ユニットは、画像処理(解析)技術によって、および/または、ステレオ画像/ステレオ写真の三角測量によって、および/または、ステレオ画像の視差重複の再構成によって、器具の3次元位置および/または向きを特定するように適合されていてもよい。特に、制御ユニットは、3D再構成原理を用いてナビゲーションを行い、ステレオ画像から位置特定を行うように適合されていてもよい。特に、ステレオ画像の左画像の画素ごとに、対応する画素が右画像で検索される。これら2つの画素の位置を用いて、画素の見かけの深さが計算される。あるいは又は加えて、画像処理技術を用いて、撮像ヘッドに対する外科器具の姿勢(3D位置)が計算されてもよい。特に、器具の姿勢(3D位置)は、三角測量の原理に従って左右画像内の器具を認識することによって特定されてもよい。あるいは又は加えて、ステレオ画像の視差重複を再構成することによって、位置および/または向きが特定されてもよい。このような深度マップ/視差マップでは、器具が認識され、対応する深度値からその姿勢(3D位置)が直接計算される。器具は、左画像または右画像の個々のカラー画像に対する画像処理方法、左画像と右画像のペアを(同時に)使用する画像処理方法、1つの視差マップ/深度マップを使用する画像処理方法、または前述の画像処理方法の組み合わせを使用する画像処理方法を使用して、認識されてもよい。特に、マシンビジョン方法には、ニューラルネットワークまたは画像変換(ビジョン変換器)を使用するディープラーニング法、線検出または色検出などの手作業による設計特徴、または画像への3Dモデルの適応が含まれる。特に、少なくとも1つの器具は、好ましくはマシンビジョンによって、外科用(外科用ステレオ)顕微鏡によってトラッキングされ、外科用顕微鏡自体はナビゲーションシステムのトラッキングシステムによってトラッキングされる。
【0024】
特に、トラッキング対象である医療器具の光学的に見える外面、特に器具の遠位端または端部に、撮像ヘッドによって検出される所定の/予め決められた光学パターンが設けられてもよく、特に一体的に設けられてもよい。制御ユニットは、光学パターンを認識してデコードするか、又は光学パターンを記憶ユニットに記憶されている基準と比較し、検出された光学パターンに基づいて、光学パターンに対する器具先端の位置または器具の形状を特定するように適合されている。したがって、制御ユニットは、光学パターンを使用して、器具先端の位置または器具の形状に関する情報を得ることができる。このように、少なくとも1つの器具は、特に遠位端または端部に一体化され、撮像ヘッドによって検出される所定の光学パターン/光学マーキングを有する。器具先端が覆われていたり、器具のコントラストが低いせいで器具先端の正確な位置を認識することが難しいので、光学パターンを介して伝達される情報は有用なものである。一方、器具の本体部にある決められた光学パターンを認識することは極めて容易であり、制御ユニットは、その情報を使用して器具先端の位置を推測できる。利点の1つは、より優れたナビゲーションエルゴノミクスが提供されるということである。特に、ナビゲーションシステムで使用される外科器具は、好ましくはその先端領域において、特にマーキングによって変更されないか、またはわずかに変更されるだけである。この比較的簡単で小さな変更は、大きな剛体を有する古典的なナビゲーション器具と比較して、器具をさらに正確に追跡するために行われる。例えば、QRコード(登録商標)、データマトリックスコード、バーコード、線、ドット、テクスチャなどの特定のパターンを器具に刻印するだけで、直接的な光学的マーキングを実現することができる。光学的マーキングは、QRコード、所定の距離だけ離間した少なくとも2つのリング、または制御ユニットがデコード可能な他の固有のパターン、特に記憶された情報へのリンクであってもよい。特に、これらの光学的マーキングは、器具先端の位置をコード化するため、及び/又は器具の形状を示すために使用されてもよい。特に、所定の光学的パターンはQRコードであってよく、QRコードから器具先端までの距離がQRコードにコード化されることによって、器具先端の位置が特定できるようになっていてもよい。
【0025】
さらなる実施形態によれば、光学的パターンはQRコードであってよく、QRコードから器具先端までの距離がQRコードにコード化されることによって、器具シリンジの位置が特定できる。
【0026】
特に、画像処理技術を用いて一般的な外科器具の外観を学習させ、最適な認識精度を提供してもよい。
【0027】
一実施形態によれば、少なくとも1つの医療器具、特に複数の医療器具の幾何学的形状が、特に撮像ヘッドおよび/またはトラッキングシステムによる最初の3次元検出によって、記憶ユニットに記憶されてよく、制御ユニットは、撮像ヘッドによって検出されたトラッキング対象の器具の一部と記憶されている幾何学的構造とに基づいて、遠位先端の位置、特に姿勢を特定してもよい。特に、少なくとも1つの器具の視覚的外観または幾何学的外観を標準化することによって、器具の認識を簡単にしてもよい。このように、器具を変更する必要なく、既知の記憶された幾何学的形状情報を用いて、器具の3D形状が認識され、最終的には器具の姿勢が特定される。
【0028】
好ましくは、トラッキングシステムは、赤外線ベースのカメラシステム、及び/又は、電磁石ベースのシステム、及び/又は、IMU(慣性測定ユニット)ベースのトラッキングシステムを備えてもよい。IMU(慣性測定ユニット)の場合、IMUは、撮像ヘッドをトラッキングするために、特に撮像ヘッドに配置されてもよい。
【0029】
本開示の課題は、移動式の医療用ナビゲーションタワーに関して、ナビゲーションタワーが、本開示によるナビゲーションシステムと、ナビゲーションタワーを移動可能に配置するための車輪を備えた移動ベース/移動カートとを備えることによって解決される。ナビゲーションタワーは、コンパクトな移動ユニットとして設計されているので、手術室の様々な場所に柔軟に配置可能である。このように、本開示によるナビゲーションシステムを備える移動式の医療用車輪付きカートが提案され、このカートは、特に、制御ユニットを実現するコンピュータと、モニタとを備える。
【0030】
患者に対する介入時に少なくとも1つの医療器具のトレース/トラッキングをするナビゲーションのためのナビゲーション方法、特に本開示の外科ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法に関して、本開示の課題は、患者の3D撮像データに対して、特に患者の、患者の一部を登録するステップと、医療用撮像装置の撮像ヘッドによってトラッキング対象の器具を検出およびトレースするステップと、トラッキングシステムによって医療用撮像装置の撮像ヘッドを検出およびトレースするステップと、撮像ヘッドのトレースと医療器具のトレースとをリンクさせることによって、医療器具の位置および/または向きを特定/計算するステップと、特に、検出された医療器具の位置および/または向きを3D撮像データ(3DA)へ転送するステップと、表示装置によって、3D撮像データと少なくとも医療器具の位置および/または向きとの組み合わせ表示を出力するステップと、によって解決される。
【0031】
一実施形態によれば、ナビゲーション方法は、医療用撮像装置によってステレオ画像を作成するステップと、ステレオ画像に基づいて、画像処理技術によって、及び/又は、三角測量によって、及び/又は、視差重複の再構成によって、深さ情報を有する深度マップを作成するステップと、ステレオ画像および深度マップに基づいて、器具の位置及び/又は向きを特定するステップと、をさらに含んでもよい。
【0032】
特に、所定の光学的パターンがQRコードであり、かつQRコードから器具先端までの距離がQRコードにコード化されている場合、ナビゲーション方法は、QRコードをデコードするステップと、器具先端までの距離を読み取るステップと、3D撮像データに対するトラッキングされた撮像ヘッドを介して、撮像ヘッドに対する器具先端の位置を特定するステップと、をさらに含んでもよい。
【0033】
コンピュータ可読記憶媒体に関して、本開示の課題は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本実施形態によるナビゲーション方法の方法ステップを実行させる命令を備えることによって、解決される。
【0034】
本開示のナビゲーションシステムに関するあらゆる記載は、本開示のナビゲーション方法にも適用され、その逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下、好ましい実施形態によって、添付図を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【0036】
図1】外科用ステレオ顕微鏡を備える、好ましい実施形態の外科ナビゲーションシステムの概略図を示す。
図2】外科用顕微鏡の撮像ヘッドによる器具のトレースを伴う、図1のナビゲーションシステムの詳細な概略部分図を示す。
図3図1および図2の顕微鏡ヘッドのステレオ画像の概略図であって、外科器具が検出されている概略図を示す。
図4図1図3のステレオ画像の三角測量による3D再構成の概略図を示す。
図5】トラッキング対象である器具の3次元検出のためのステレオ画像の深度マップの概略図を示す。
図6】さらなる第2の好ましい実施形態の外科ナビゲーションシステムであって、器具の遠位端部にQRコードが見えるように取り付けられている外科ナビゲーションシステムを示す。
図7】さらなる第3の好ましい実施形態の外科ナビゲーションシステムであって、離間して配置された可視リング群が器具の遠位端部に取り付けられている外科ナビゲーションシステムを示す。
図8】さらなる第4の好ましい実施形態の外科ナビゲーションシステムを備える移動式ナビゲーションタワーを示す。
図9】好ましい実施形態のナビゲーション方法のフロー図を示す。
【0037】
図は概略的なものであり、本発明の理解を補助することのみを意図している。同一要素には同一の参照符号が付される。様々な実施形態の特徴は入れ替え可能である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、患者Pへの外科的介入時のナビゲーションのための外科ナビゲーションシステム1の概略側面図を示す。ナビゲーションシステム1は、外科医へナビゲーション情報を視覚的に出力するための、外科モニタの形態をした表示装置2を備える。
【0039】
患者の介入部位、ここでは患者の頭部に対して、外科医は、ナビゲーションシステム1でトラッキングしたい鉗子、吸引管、またはシーリング器具などの医療器具4を用いて、介入を行う。
【0040】
医療用の撮像装置である外科用ステレオ顕微鏡(以下、単に顕微鏡とする)6は、撮像ヘッド8である(ステレオ)顕微鏡ヘッドを有しており、この顕微鏡ヘッドは、患者Pの介入領域Eの一部の視覚的なステレオ画像A(異なる位置からの互いに離れた2つの映像記録)を作成するために、CMOSセンサやCCDセンサなどの下流センサを有する光学システム(図示せず)を備える。顕微鏡6は、介入領域自体だけでなく、外科医によって介入領域Eで使用されるトラッキング対象の医療器具4も検出する。後に詳しく説明するように、ナビゲーションシステム1は、ステレオ画像Aを用いて、撮像ヘッド8に対する器具の位置および向き、すなわちその姿勢を、空間的に検出する、トレースする、またはトラッキングすることができる。
【0041】
ナビゲーションシステム1の外部トラッキングシステム10、特に赤外線ベースのトラッキングシステム10は、患者の脚の領域に配置された外部(ステレオ)カメラの形態をしており、顕微鏡6の撮像ヘッド8を検出し、特に赤外線マーカが取り付けられている場合に、撮像ヘッド8を3次元で検出およびトラッキングすることができる。
【0042】
SSDメモリなどの記憶ユニット12の形態をしたデータ提供ユニットが、ナビゲーションのために、患者PのMRI画像及び/又はCT画像の形態で術前のデジタル3D撮像データ3DAを提供する。患者Pは、トラッキングシステム10によって検出され、例えば、赤外線マーカが患者の頭部に配置されて、3D撮像データ3DAに対して登録される。このようにして、「実際の」現在のデータ、特にステレオ画像Aが、「仮想の」3D撮像データ3DAと関連付けられる。また、トラッキングシステム10は、処置中の患者の体の動きも検出し、動きがあった場合には、3D撮像データ3DAに再度登録する。
【0043】
本実施例では、ナビゲーションシステム1の制御ユニット14は、撮像装置6のデータと、トラッキングシステム10のデータと、提供される3D撮像データ3DAとを処理し、トラッキングシステム10による撮像ヘッド8のトレースと撮像ヘッド8による器具4のトレースとをリンクさせることによって、トラッキング対象である器具4の姿勢を特定し、さらに器具4の器具先端16の位置も特定するように特別に適合されている。具体的には、トラッキングシステム10による撮像ヘッド8(顕微鏡ヘッド)のトレースによって、トラッキングシステム10のローカル座標系(本実施例では、外部(ステレオ)カメラのローカル座標系)から撮像ヘッド8の現在のローカル座標系を推測するための第1の変換行列が提供される。そして、撮像ヘッド8による器具4のトレース(トラッキング)によって、撮像ヘッド8のローカル座標系から器具4のローカル座標系への第2の変換行列が提供される。制御ユニット14は、この第1および第2の変換行列を、外部(ステレオ)カメラのローカル座標系から器具4自体への全体的な変換行列へ処理する。
【0044】
さらに、トラッキングシステム10によって患者Pが登録される、すなわち、患者Pのローカル座標系と外部(ステレオ)カメラのローカル座標系との関係が検出され、これが患者側の変換行列として制御ユニット14に提供される。さらに、患者Pが3D撮像データ3DAに登録され、(理想的には)実際の患者Pが3D撮像データ3DAに対応する。
【0045】
器具4から(撮像ヘッド8を介して)外部カメラへ、さらに外部カメラから患者Pまたは3D撮像データ3DAへの全体的な変換行列によって、トラッキング対象である器具4の姿勢(位置および向き)を3D撮像データ3DAへ転送することができ、ナビゲーションのために表示することができる。制御ユニットは、相関表示を作成し、この相関表示は、一方では、患者Pについて登録された3D撮像データ3DAを有し、他方では、3D撮像データ3DAにおける器具4の位置及び/又は向き、特に器具4の仮想幾何学モデル(位置補正又は向き補正、特に姿勢補正)も示す。この相関表示は、その後ORモニタで出力され、外科医は、器具先端16を視認できない場合であっても、器具先端16を有する器具4が患者Pのどこに位置するかをいつでも見ることができる。
【0046】
2つのトレースを組み合わせることによって、非常に柔軟で安全なナビゲーションを外科医に提供することができる。通常、顕微鏡6の視野は組織が存在する介入領域Eに対して垂直なので、他の物体によって妨げられることは実質的にない。顕微鏡6による良好な視覚的検出とそれに伴うトレースのおかげで、特別なポインタ器具を必要としないので、介入時のナビゲーションに、トラッキング対象の標準器具4を使うことができる。
【0047】
撮像ヘッド8による器具4のトレースを説明するために、図2図3には、図1の顕微鏡6の詳細な部分図と、例示的な(2次元の)ステレオ画像Aが示されている。顕微鏡6の撮像ヘッド8は、光学システムと、2つの離間した下流画像センサとを備えており、画像センサは、図3に模式的に示されるように、異なる視点からの2つの(わずかに)異なる画像(左と右)を提供する。図4および図5を参照して以下に説明するように、左画像と右画像の画像解析によって、深さを特定することができる。
【0048】
図4は、2つの2次元画像(左画像と右画像を有するステレオ画像A)から3次元再構成を行う原理を模式的に説明するものである。三角測量の原理を用いて、3次元再構成のための深さ情報を求める。このように、ステレオ画像を、空間的な3次元検出、特にトラッキング対象である器具4の3次元検出に使用することができる。器具4のトレースは、制御ユニット14によって行われる。したがって、本実施形態では、外科用顕微鏡6がステレオ画像Aを制御ユニット14に提供するだけで十分であり、制御ユニット14は、これに基づいて、上述の画像解析を用いて、撮像ヘッド8に対する、より正確にはセンサに対する器具4の姿勢を特定する。
【0049】
このように、画像解析に基づく撮像ヘッド8による器具4のトレースと、トラッキングシステム10による撮像ヘッド8のトレースと、患者Pについて登録された3D撮像データ3DAとをリンクさせることによって、非常に簡単でかつ信頼性高く、器具4の姿勢、特に器具先端16の位置を、3D撮像データに表示することができる。
【0050】
図5も、ステレオ画像Aに基づく3D再構成を示している。左画像内の画素ごとに、対応する画素が右画像内で検索され(またはその逆)、これら2つの画素に基づいて、画素の深さが制御ユニット14によって計算される。これがステレオ画像Aの各画素について実行されると、最終的に深度マップ18(図5の右側の画像に模式的に示されている)が生成され、この深度マップ18は、ステレオ画像Aの左画像および右画像とともに、空間的な3次元構造を特定するために使用されてもよい、つまり、器具4の姿勢および器具先端16の位置を検出するためにも使用されてもよい。
【0051】
図6は、さらなる第2の好ましい実施形態による外科ナビゲーションシステム1を例示的な画像とともに概略的に示している。このナビゲーションシステム1は、トラッキング対象である、光学マーキング20を有する特別に適合された器具4を備え、制御ユニット14が、光学マーキングに情報を割り当てて、器具先端16の位置を特定するためにそれを使用するように適合されているという点でのみ、図1図5に示されたナビゲーションシステムとは異なる。
【0052】
具体的には、QRコード24が、器具4の遠位端領域22内の器具4の側方面/側面26に刻印される。このように、例えば、レーザを用いるなどして、非常に簡単かつ迅速に実現できる刻印を施すだけで、標準器具4を変更および適合させることができる。QRコード24は、制御ユニットがデコード可能および解釈可能なコード化された情報を含む。センチメートル単位の距離をQRコード24に直接コード化することによって、評価プログラムに頼ることなく、その距離から、QRコード24の位置から器具4の長手方向軸28に沿う器具先端16の位置を直接的に推測することができる。一方では、記憶ユニット12に記憶されたデータ(QRコード24から器具先端16までの距離も有する)を用いて器具先端16の位置を推測するために、QRコードが参照としてIDを有してもよい。このように、ナビゲーション時に外科医をサポートするために、直接目視できなくても、3次元画像データ3DAに器具先端16を表示することもできる。
【0053】
図7は、外科ナビゲーションシステムの別の好ましい実施形態を示している。QRコード24を有する第2の実施形態とは対照的に、トラッキング対象の器具4は、リング群32にまとめられた円周リング30を有する。リング群32は、円周リング30と共に器具4の長手方向軸28に沿って配置され、リング群32から器具先端16までの距離をコード化する。1つの円周リングを有する第1のリング群32は10cmの距離に配置され、2つのリングを有する第2のリング群32は20cmの距離に配置され、3つのリング30を有する第3のリング群32は30cmの距離に配置される。一方、制御ユニット14は、リング群32に基づいて、器具先端16までの距離を特定するように適合されている。
【0054】
器具4の特に見やすい部分に設けられた光学マーキング20を用いて、光学マーキングに対する、場合によっては器具4の特徴的な設計特徴に対する、器具先端16の位置、特に姿勢をコード化することができる、あるいは、器具4の形状情報さえも、データベースを用いて直接または間接的にコード化することができる。
【0055】
図8は、さらなる第4の好ましい実施形態の外科ナビゲーションシステム1を備える移動式のナビゲーションタワー100を示している。車輪102を備えた構成なので、ナビゲーションタワー100を手術室の様々な場所で柔軟に使用することができる。外科医は、モニタに、顕微鏡画像と、3D撮像データ3DAに器具4の姿勢が重ね合わされた相関表示とを並べて表示することができる。
【0056】
図9は、好ましい実施形態によるナビゲーション方法をフローチャートで示しており、このナビゲーション方法は、外科ナビゲーションシステム、特に上述したナビゲーションシステム1で実行することができる。
【0057】
最初のステップS1では、患者Pの術前の3D撮像データが検出される。
【0058】
次のステップS2では、患者Pが3次元撮像データ3DAに登録される。
【0059】
好ましくは、ステップS3において、撮像装置6(視覚化システム)又は撮像ヘッド8が、患者Pの介入領域Eの方へ向けられる。
【0060】
ステップS4では、トラッキングシステムによって、撮像装置の撮像ヘッドの位置が特定され、トラッキングされる。
【0061】
ステップS5では、撮像装置を介して、特にステレオ画像を介して、撮像ヘッド8に対する器具の(3次元)姿勢(位置と向き)が特定される。
【0062】
好ましくは、1つのステップで、外科器具4は外科医によって介入領域E内で誘導されてもよい。
【0063】
好ましくは、ステップS6において、トラッキングシステム10によって、患者が3次元的に検出され、位置特定される。
【0064】
続くステップS7において、患者Pに対する器具4の位置および/または向き、つまり以前登録された3D撮像データ3DAに対する器具4の位置および/または向きが計算される。
【0065】
最後に、ステップS8において、相関表示が生成され、器具4の位置および/または向きが3D撮像データ3DAに表示されて、モニタを介して出力される。
【符号の説明】
【0066】
1:外科ナビゲーションシステム
2:表示装置
4:医療器具
6:撮像装置/ステレオ顕微鏡
8:撮像ヘッド
10:トラッキングシステム
12:記憶ユニット
14:制御ユニット
16:器具先端
18:深度マップ
20:光学マーキング
22:器具の遠位端領域
24:QRコード
26:側面
28:器具の長手方向軸
30:リング
32:リング群
100:ナビゲーションタワー
102:車輪

P:患者
E:介入領域
A:(ステレオ)画像
3DA:3D撮像データ

S1:術前の3D撮像データを検出するステップ
S2:患者を3D撮像データに登録するステップ
S3:撮影ヘッドを介入部位へ向けるステップ
S4:トラッキングシステムによって撮像ヘッドをトレースするステップ
S5:撮像ヘッドによって器具をトレースするステップ
S6:トラッキングシステムによって患者の姿勢を検出するステップ
S7:3D撮像データに対して器具の位置および/または向きを特定するステップ
S8:相関表示を作成し、表示装置で出力するステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの医療用の器具をトラッキングするために、患者への外科的介入時のナビゲーションのための外科ナビゲーションシステムであって、
視覚コンテンツを表示するための表示装置、特にモニタと、
トラッキング対象である少なくとも1つの医療用の器具と
データ提供ユニット、特に記憶ユニットであって、前記患者のデジタル3D撮像データ、特に術前の3D撮像データを提供するように適合されているデータ提供ユニットと、
撮像ヘッドを有する医療用の撮像装置と
トラッキングシステムであって、前記撮像装置の前記撮像ヘッドを検出およびトラッキングするとともに、前記3D撮像データに登録するために、前記患者の少なくとも一部を検出および特にトラッキングするように適合されているトラッキングシステムと
を備え、
前記医療用の撮像装置の前記撮像ヘッドは、前記患者の介入領域の一部の画像を作成するとともに、前記撮像ヘッドに対して、トラッキング対象である医療用の前記器具を検出およびトラッキングするように適合されていることを特徴としており、
前記外科ナビゲーションシステムは、
制御ユニットであって、
前記撮像装置の前記データと、前記トラッキングシステムの前記データと、提供される前記3D撮像データと、を処理し、
前記トラッキングシステムから前記撮像ヘッドへのトレースと前記撮像ヘッドから前記器具へのトレースとをリンクさることによって、トラッキング対象の前記器具、特に前記器具の器具先端の位置および/または向きを特定し、
前記患者に関して登録された前記3D撮像データと前記器具、特に前記器具先端の前記位置および/または向きとを有する相関表示を作成し、
前記相関表示を前記表示装置によって出力するように、
適合されている制御ユニットを備える、
外科ナビゲーションシステム。
【請求項2】
医療用の前記撮像装置は、トラッキングのための3次元検出を行うように適合されている外科用顕微鏡または医療用内視鏡であり、特に、深さ情報を検出するための3Dカメラシステムを備えることを特徴とする、請求項1に記載の外科ナビゲーションシステム。
【請求項3】
医療用の前記撮像装置の前記撮像ヘッドは、ステレオ画像のためのステレオカメラを備え、
特に、前記制御ユニットは、マシンビジョンを用いて、前記ステレオ画像から、前記撮像ヘッドに対する前記器具、特に前記器具先端の位置および/または向きを検出するように適合されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の外科ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記ステレオ画像の三角測量を用いて、及び/又は、前記ステレオ画像の視差重複の再構成を用いて、前記器具の前記位置および/または向きを特定するように適合されていることを特徴とする、請求項3に記載の外科ナビゲーションシステ
【請求項5】
所定の光学パターン、特に、QRコード(登録商標)および/またはバーコードおよび/または互いに離間した2つのリングが、トラッキング対象である医療用の前記器具の外面、特に前記器具の遠位端部に配置されており、特に、前記器具に一体化されており、
前記制御ユニットは、前記光学パターンをデコードするか、または前記光学パターンを記憶ユニットに記憶されている基準と比較して、検出された前記光学パターンに基づいて、前記光学パターンに対する器具先端の位置または前記器具の形状を特定するように適合されていることを特徴とする、
請求項1に記載の外科ナビゲーションシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの医療用の前記器具の幾何学的形状、特に複数の医療用の器具の幾何学的形状が、特に前記撮像ヘッドおよび/または前記トラッキングシステムによる最初の3次元検出によって、記憶ユニットに記憶され、
前記制御ユニットは、前記撮像ヘッドによって検出される医療用の前記器具の一部と記憶された前記幾何学的形態に基づいて、前記器具先端の位置、特に姿勢を特定することを特徴とする、
請求項1に記載の外科ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記トラッキングシステムは、赤外線ベースのカメラシステムおよび/または電磁石ベースのシステムおよび/またはIMUベースのトラッキングシステムを備えることを特徴とする、請求項1に記載の外科ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記ナビゲーションシステムは、マシンビジョンを用いて、少なくとも2つの撮像視点、特にステレオ画像から、器具の姿勢の空間的3次元検出を実行するように適合されている画像分析装置を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の外科ナビゲーションシステム。
【請求項9】
移動式の医療用のナビゲーションタワーであって、
請求項1に記載の外科ナビゲーションシステムと
前記ナビゲーションタワーを移動可能に設置するための車輪を有する移動カートと
を備えるナビゲーションタワー。
【請求項10】
少なくとも1つの医療用の器具をトラッキングするための、特に、請求項1に記載の外科ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法であって、
特に前記患者の一部を、前記患者の3D撮像データに対して登録するステップと
医療用の撮像装置の撮像ヘッドによって、トラッキング対象である医療用の前記器具を検出およびトラッキングするステップと
トラッキングシステによって、前記撮像ヘッドを検出およびトラッキングするステップと
前記撮像ヘッドのトレースと医療用の前記器具のトレースとをリンクさせることによって、医療用の前記器具、特に器具先端の位置および/または向きを特定するステップと
好ましくは、医療用の前記器具の特定された前記位置および/または向きを前記3D撮像データに転送するステップと、
表示装置によって、前記3D撮像データと医療用の前記器具の前記位置および/または向きとを有する相関表示を出力するステップと
を含む、ナビゲーション方法。
【請求項11】
前記ナビゲーション方法は、
医療用の前記撮像装置によってステレオ画像を作成するステップと、
前記ステレオ画像に基づいて、三角測量および/または視差重複の再構成によって、深さ情報を有する深度マップを作成するステップと、
前記ステレオ画像と前記深度マップに基づいて、前記器具の前記位置および/または向きを特定するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載のナビゲーション方法。
【請求項12】
所定の光学パターン、特にQRコードおよび/または互いに離間した少なくとも2つのリングを、前記光学パターンから器具先端までの距離または前記器具の形状に関する情報キャリアとして検出するステップと、
前記光学パターンに基づいて、前記光学パターンに対する前記器具先端の位置、特に姿勢を特定するステップと、
をさらに含む、請求項10または11に記載のナビゲーション方法。
【請求項13】
前記ナビゲーション方法は、所定の前記光学パターンがQRコードであり、かつ前記QRコードから前記器具先端までの距離が前記QRコードにコード化されている場合に、
前記QRコードをデコードするステップと、
前記器具先端までの前記距離を読み取るステップと、
前記3D撮像データに対してトラッキングされた前記撮像ヘッドを介して、前記撮像ヘッドに対する前記器具先端の位置を特定するステップと、
を含む、請求項12に記載のナビゲーション方法。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項10または11に記載のナビゲーション方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
最後に、ステップS8において、相関表示が生成され、器具4の位置および/または向きが3D撮像データ3DAに表示されて、モニタを介して出力される。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の内容である。
(項目1)
少なくとも1つの医療用の器具をトラッキングするために、患者(P)への外科的介入時のナビゲーションのための外科ナビゲーションシステム(1)であって、
視覚コンテンツを表示するための表示装置(2)、特にモニタと、
トラッキング対象である少なくとも1つの医療用の器具(4)と、
データ提供ユニット、特に記憶ユニット(12)であって、前記患者(P)のデジタル3D撮像データ(3DA)、特に術前の3D撮像データ(3DA)を提供するように適合されているデータ提供ユニットと、
撮像ヘッド(8)を有する医療用の撮像装置(6)であって、前記患者(P)の介入領域(E)の一部の画像を作成するとともに、前記撮像ヘッド(8)に対して、トラッキング対象である医療用の前記器具(4)を検出およびトラッキングするように適合されている、撮像装置と、
トラッキングシステム(10)であって、前記撮像装置(6)の前記撮像ヘッド(8)を検出およびトラッキングするとともに、前記3D撮像データ(3DA)に登録するために、前記患者(P)の少なくとも一部を検出および特にトラッキングするように適合されているトラッキングシステム(10)と、
制御ユニット(14)であって、
前記撮像装置(6)の前記データと、前記トラッキングシステム(10)の前記データと、提供される前記3D撮像データ(3DA)と、を処理し、
前記トラッキングシステム(10)から前記撮像ヘッド(8)へのトレースと前記撮像ヘッド(8)から前記器具(4)へのトレースとをリンクさることによって、トラッキング対象の前記器具(4)、特に前記器具(4)の器具先端(16)の位置および/または向きを特定し、
前記患者(P)に関して登録された前記3D撮像データ(3DA)と前記器具(4)、特に前記器具先端(16)の前記位置および/または向きとを有する相関表示を作成し、
前記相関表示を前記表示装置(2)によって出力するように、
適合されている制御ユニットと、
を備える外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目2)
医療用の前記撮像装置(6)は、トラッキングのための3次元検出を行うように適合されている外科用顕微鏡または医療用内視鏡であり、特に、深さ情報を検出するための3Dカメラシステムを備えることを特徴とする、項目1に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目3)
医療用の前記撮像装置(6)の前記撮像ヘッド(8)は、ステレオ画像(A)のためのステレオカメラを備え、
特に、前記制御ユニット(14)は、マシンビジョンを用いて、前記ステレオ画像(A)から、前記撮像ヘッド(8)に対する前記器具(4)、特に前記器具先端(16)の位置および/または向きを検出するように適合されていることを特徴とする、
項目1又は2に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目4)
前記制御ユニット(14)は、前記ステレオ画像(A)の三角測量を用いて、及び/又は、前記ステレオ画像(A)の視差重複の再構成を用いて、前記器具(4)の前記位置および/または向きを特定するように適合されていることを特徴とする、項目3に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目5)
所定の光学パターン(20)、特に、QRコード(24)および/またはバーコードおよび/または互いに離間した2つのリング(30)が、トラッキング対象である医療用の前記器具(4)の外面、特に前記器具(4)の遠位端部に配置されており、特に、前記器具(4)に一体化されており、
前記制御ユニット(14)は、前記光学パターン(20)をデコードするか、または前記光学パターン(20)を記憶ユニットに記憶されている基準と比較して、検出された前記光学パターン(20)に基づいて、前記光学パターン(20)に対する器具先端(16)の位置または前記器具(4)の形状を特定するように適合されていることを特徴とする、
項目1から4のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目6)
少なくとも1つの医療用の前記器具(4)の幾何学的形状、特に複数の医療用の器具の幾何学的形状が、特に前記撮像ヘッド(8)および/または前記トラッキングシステム(10)による最初の3次元検出によって、記憶ユニット(12)に記憶され、
前記制御ユニット(14)は、前記撮像ヘッド(8)によって検出される医療用の前記器具(4)の一部と記憶された前記幾何学的構造に基づいて、前記器具先端(16)の位置、特に姿勢を特定することを特徴とする、
項目1から5のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目7)
前記トラッキングシステム(10)は、赤外線ベースのカメラシステムおよび/または電磁石ベースのシステムおよび/またはIMUベースのトラッキングシステムを備えることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目8)
前記ナビゲーションシステム(1)は、マシンビジョンを用いて、少なくとも2つの撮像視点、特にステレオ画像(A)から、器具(4)の姿勢の空間的3次元検出を実行するように適合されている画像分析装置を備えることを特徴とする、
項目1から7のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)。
(項目9)
移動式の医療用のナビゲーションタワー(100)であって、
項目1から8のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)と、
前記ナビゲーションタワー(100)を移動可能に設置するための車輪を有する移動カート(102)と、
を備えるナビゲーションタワー(100)。
(項目10)
少なくとも1つの医療用の器具(4)をトラッキングするために、患者(P)への外科的介入時のナビゲーションのための、特に、項目1から8のいずれか一項に記載の外科ナビゲーションシステム(1)におけるナビゲーション方法であって、
特に前記患者(P)の一部を、前記患者(P)の3D撮像データ(3DA)に対して登録するステップ(S2)と、
医療用の撮像装置(6)の撮像ヘッド(8)によって、トラッキング対象である医療用の前記器具(4)を検出およびトラッキングするステップ(S5)と、
トラッキングシステム(10)によって、前記撮像ヘッド(8)を検出およびトラッキングするステップ(S4)と、
前記撮像ヘッド(8)のトレースと医療用の前記器具(4)のトレースとをリンクさせることによって、医療用の前記器具(4)、特に器具先端(16)の位置および/または向きを特定するステップ(S7)と、
好ましくは、医療用の前記器具(4)の特定された前記位置および/または向きを前記3D撮像データ(3DA)に転送するステップと、
表示装置(2)によって、前記3D撮像データ(3DA)と医療用の前記器具(4)の前記位置および/または向きとを有する相関表示を出力するステップ(S8)と、
を含むことを特徴とするナビゲーション方法。
(項目11)
前記ナビゲーション方法は、
医療用の前記撮像装置(6)によってステレオ画像(A)を作成するステップと、
前記ステレオ画像(A)に基づいて、三角測量および/または視差重複の再構成によって、深さ情報を有する深度マップ(18)を作成するステップと、
前記ステレオ画像(A)と前記深度マップ(18)に基づいて、前記器具(4)の前記位置および/または向きを特定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目10に記載のナビゲーション方法。
(項目12)
所定の光学パターン(20)、特にQRコード(24)および/または互いに離間した少なくとも2つのリング(30)を、前記光学パターン(20)から器具先端(16)までの距離または前記器具(4)の形状に関する情報キャリアとして検出するステップと、
前記光学パターン(20)に基づいて、前記光学パターン(20)に対する前記器具先端(16)の位置、特に姿勢を特定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする、項目10または11に記載のナビゲーション方法。
(項目13)
前記ナビゲーション方法は、所定の前記光学パターンがQRコード(24)であり、かつ前記QRコード(24)から前記器具先端(16)までの距離が前記QRコード(24)にコード化されている場合に、
前記QRコード(24)をデコードするステップと、
前記器具先端(16)までの前記距離を読み取るステップと、
前記3D撮像データ(3DA)に対してトラッキングされた前記撮像ヘッド(8)を介して、前記撮像ヘッド(8)に対する前記器具先端(16)の位置を特定するステップと、
を含むことを特徴とする、項目12に記載のナビゲーション方法。
(項目14)
コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに項目10から13のいずれか一項に記載のナビゲーション方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【国際調査報告】