(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-18
(54)【発明の名称】アンチセンスオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20241010BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20241010BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241010BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C12N15/113 120Z
C12N15/113 ZNA
A61K31/712
A61K48/00
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526008
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 KR2022003884
(87)【国際公開番号】W WO2023075043
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0148357
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520095603
【氏名又は名称】オートテリック バイオ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ク ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】クォン ヘジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジヘ
(72)【発明者】
【氏名】パク チョンウィ
(72)【発明者】
【氏名】ホン スジョン
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム テフン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、配列番号1ないし配列番号3のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも1つの変形されたヌクレオチドを含む新規のアンチセンスオリゴヌクレオチドに関するものである。該新規なオリゴヌクレオチドは、TGF-β2タンパク質の発現抑制効果に優れているように表われ、癌細胞の死滅効果も優れ、血しょうでの安定性も改善された。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、TGF-β2の発現と関連がある疾病などを治療するための医薬組成物として有用に使われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1ないし配列番号3のうちの何れか1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、
前記オリゴヌクレオチドのうちの1つ以上のヌクレオチドは、ヌクレオシドが変形されたヌクレオチドであり、
ここで、変形されたヌクレオチドは、2’-O-メトキシエチル(MOE)変形されたヌクレオチド、2’-フルオロ(F)変形されたヌクレオチド、2’-O-メチル(O-Me)変形されたヌクレオチド、ロック核酸(LNA)変形されたヌクレオチド、エチレン架橋核酸(ENA)変形されたヌクレオチド、制限されたエチル(cET)変形されたヌクレオチド、及びポリアルキレンオキシド変形されたヌクレオチドからなる群から選択された、オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドの5’端部の1つ以上のヌクレオチドまたは3’端部の1つ以上のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドの5’端部の1つ以上のヌクレオチド及び3’端部の1つ以上のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドの5’端部の最初ないしn番目のヌクレオチドまたは前記オリゴヌクレオチドの3’端部の最初ないしm番目のヌクレオチドが、前記変形されたヌクレオチドである、請求項2に記載のオリゴヌクレオチド(ここで、n及びmは、それぞれ独立して1~10のうち何れか1つの整数である)。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドの5’端部の最初ないしn番目のヌクレオチド及び前記オリゴヌクレオチドの3’端部の最初ないしm番目のヌクレオチドが、前記変形されたヌクレオチドである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
前記オリゴヌクレオチドの5’端部の(n+1)番目のヌクレオチド及び3’端部の(m+1)番目のヌクレオチドの間に1つ以上の変形されたヌクレオチドをさらに含む、請求項5に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
下記表1の1~30番のうち何れか1つの配列で表したアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、
下記表1で下線が引かれた太字で表示されたヌクレオチドが変形されたヌクレオチドであり、
ここで、変形されたヌクレオチドは、2’-O-メトキシエチル(MOE)変形されたヌクレオチド、2’-フルオロ(F)変形されたヌクレオチド、2’-O-メチル(O-Me)変形されたヌクレオチド、ロック核酸(LNA)変形されたヌクレオチド、エチレン架橋核酸(ENA)変形されたヌクレオチド、制限されたエチル(cET)変形されたヌクレオチド、及びポリアルキレンオキシド変形されたヌクレオチドからなる群から選択された、オリゴヌクレオチド:
【表1】
【請求項8】
表1の1~30番のうち何れか1つの配列で表したオリゴヌクレオチドの変形されたヌクレオチドは、2’-O-メトキシエチル(MOE)変形されたヌクレオチドである、請求項7に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
隣接するヌクレオシドの間の結合は、ホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合である、請求項1から請求項8のうち何れか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
隣接するヌクレオシドの間の結合は、ホスホロチオエート結合である、請求項1から請求項8のうち何れか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
請求項9に記載のオリゴヌクレオチドを含む、癌治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内のDNA塩基配列情報は、mRNAに転写(transcription)された後、リボソームでmRNAの情報に基づいてtRNAが対応するアミノ酸を持って来て、それをペプチド結合で連結させる過程を通じてタンパク質が生産される。
【0003】
このような遺伝子発現過程中に、もし、mRNAと相補的な塩基配列を有した一本鎖DNAまたはRNAが存在すれば、この相補的DNAまたはRNAは、mRNAと結合して二本鎖を形成して、タンパク質の生産を防ぐことができる。
【0004】
前記のように転写されてタンパク質に翻訳されるmRNA(センスRNA)と二本鎖で結合して、その機能を阻害させることができる相補的関係のDNAまたはRNAのオリゴヌクレオチドをアンチセンスRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドと称する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、TGF-β mRNA発現の抑制能が向上したアンチセンスオリゴヌクレオチドを開発するために研究した結果、アンチセンスオリゴヌクレオチドのうち、一部の糖の構造を変形させた新規のアンチセンスオリゴヌクレオチドがTGF-β抑制効果に優れ、安定性が高いという点を確認した。
【0006】
したがって、本発明は、新規のアンチセンスオリゴヌクレオチド及びそれを含有する医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、配列番号1の5’-GGCGG CATGT CTATT TTGTA-3’のオリゴヌクレオチド;配列番号2の5’-CGGCA TGTCT ATTTT GTAAA-3’のオリゴヌクレオチド;または配列番号3の5’-GCGGC ATGTC TATTT TGTAA-3’のオリゴヌクレオチドのうち少なくとも1つの変形されたヌクレオシドを含む新規のアンチセンスオリゴヌクレオチドに関するものである。
【0008】
具体的に、本発明は、配列番号1ないし配列番号3のうちの何れか1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオシドが変形されたヌクレオチドを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドに関するものである。
【0009】
ここで、ヌクレオシドが変形されたヌクレオチドは、ヌクレオシドが2’-O-メトキシエチル(MOE)変形されたヌクレオチド、2’-フルオロ(F)変形されたヌクレオチド、2’-O-メチル(O-Me)変形されたヌクレオチド、ロック核酸(LNA:locked nucleic acid)変形されたヌクレオチド、エチレン架橋核酸(ENA:ethylene-bridged nucleic acid)変形されたヌクレオチド、制限されたエチル(cET:(R/S)-constrained ethyl)変形されたヌクレオチドまたはポリアルキレンオキシド(例えば、トリエチレングリコール(TEG))変形されたヌクレオチドである(以下、特別な言及がない限り、前記のようにヌクレオシドが変形されたヌクレオチドを「変形されたヌクレオチド」と称する)。
【0010】
例えば、本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、変形されるヌクレオシドのリボース五炭糖の2’位置が2’-O-メトキシエチル(MOE)形態、2’-フルオロ形態、または2’-O-メチル形態であるか、変形されるヌクレオシドのリボース五炭糖の2’位置の酸素が4’位置の炭素と連結されるLNAまたはENA形態であるか、前記LNAの2’位置の酸素及び4’位置の炭素を連結するブリッジがメチル基で置換されたcET形態である。
【0011】
前記例示した変形ヌクレオシドの構造は、次のように示すことができるる:
【0012】
【0013】
本発明のオリゴヌクレオチドは、5’端部及び/または3’端部に1つ以上の変形されたヌクレオシドを含む。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドの5’端部または3’端部に1個またはそれ以上の変形されたヌクレオシドを含みうる。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドの5’端部または3’端部に1個またはそれ以上の変形されたヌクレオシドを有するヌクレオチド、すなわち、「変形されたヌクレオチド」を含みうる。
【0014】
具体的に、本発明によるオリゴヌクレオチドは、前記オリゴヌクレオチドの5’端部の1つ以上のヌクレオチドまたは3’端部の1つ以上のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドである。
【0015】
また、本発明によるオリゴヌクレオチドは、前記オリゴヌクレオチドの5’端部の1つ以上のヌクレオチド及び3’端部の1つ以上のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドである。
【0016】
本発明において、前記オリゴヌクレオチドの5’端部の最初ないしn番目のヌクレオチドまたは前記オリゴヌクレオチドの3’端部の最初ないしm番目のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドである。
【0017】
また、本発明において、前記オリゴヌクレオチドの5’端部の最初ないしn番目のヌクレオチド及び前記オリゴヌクレオチドの3’端部の最初ないしm番目のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドである。
【0018】
ここで、n及びmは、それぞれ独立して1~10のうち何れか1つの整数であり、望ましくは、n及びmは、それぞれ独立して1~9のうち何れか1つの整数であり、さらに望ましくは、n及びmは、それぞれ独立して1~7のうち何れか1つの整数である。
【0019】
また、本発明のオリゴヌクレオチドは、前記5’端部または3’端部に存在する変形されたヌクレオシドの間に変形されたヌクレオチドをさらに含みうる。
【0020】
すなわち、前記オリゴヌクレオチドの5’端部の(n+1)番目のヌクレオチド及び3’端部の(m+1)番目のヌクレオチドの間に1つ以上の変形されたヌクレオチドをさらに含みうる。
【0021】
本発明のオリゴヌクレオチドの望ましい例は、下記表の1~30番で表したアンチセンスオリゴヌクレオチドのうち何れか1つである。
【0022】
下記表1で下線が引かれた太字のヌクレオチドが変形されたヌクレオチドを示す。
【0023】
【0024】
前記表1のオリゴヌクレオチドの変形されたヌクレオチド(下線が引かれた太字で表示される)は、2’-O-メトキシエチル(MOE)変形されたヌクレオチドである。
【0025】
一方、表1において、GenBank Access No.NM_001135599は、TGF-β2を発現する塩基配列で公知されたものであって、下記の通りである(配列番号4参照):
【0026】
【0027】
例えば、表1のA002オリゴヌクレオチドは、NM_001135599配列の1695~1676番の塩基配列に相補的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、A002-01Mオリゴヌクレオチドは、A002オリゴヌクレオチドの20個のヌクレオチドのうちから5’位置の4個及び3’位置の4個のヌクレオチドが変形されたヌクレオチド(望ましくは、2’-O-メトキシエチル(MOE)変形されたヌクレオチド)であるということを示す。
【0028】
本発明のオリゴヌクレオチドで、ヌクレオシドの間の結合は、当該ヌクレオシドが変形されたものであるか否かと関係なく、ホスホジエステルであるか、またはホスホロチオエートである。
【0029】
【0030】
前記表1のオリゴヌクレオチドでヌクレオチドの間の*表示は、ホスホロチオエートを示す。
【0031】
本発明のオリゴヌクレオチドは、陽イオンと共に塩を形成しうる。したがって、本明細書において、「オリゴヌクレオチド」は、オリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩も含む概念として理解しなければならない。
【0032】
本発明において、前記のようなヌクレオシドの変形は、当該技術分野で公知の有機化学的合成方法を通じて製造可能である。
【0033】
また、本発明は、前記のように変形されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関するものである。
【0034】
例えば、本発明は、前記のように変形されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、TGF-β2タンパク質の過発現と関連がある疾病(例えば、悪性腫瘍、良性腫瘍、免疫疾患、線維症または眼科疾患など)を予防または治療するための医薬組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明のオリゴヌクレオチドを固形癌細胞株に処理した時、TGF-β2タンパク質の発現抑制効果がさらに優れているように表われ、癌細胞の死滅効果も優れ、血しょうでの安定性も改善されるということを確認した。
【0036】
したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、TGF-βの発現と関連がある疾病、例えば、悪性腫瘍、良性腫瘍、免疫疾患、線維症、眼科疾患などを治療するための医薬組成物として有用に使われる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】A549を本発明のASO 20nMで処理してTGF-β2 mRNA発現変化を示すグラフである。
【
図2】A549及びPANC-1を本発明のASO 1μMで処理してTGF-β2 mRNA発現変化を示すグラフである。
【
図3】A549及びPANC-1を本発明のASO 1μMで処理してTGF-β2 mRNA発現変化を示すグラフである。
【
図4】A549、PANC-1及びA2058の各細胞株に対する本発明のASOの吸収(uptake)程度を示すグラフである。
【
図5】A549、PANC-1及びA2058の各細胞株に対する本発明のASOの吸収(uptake)程度を示すグラフである。
【
図6】A549、PANC-1及びA2058の各細胞株に対する本発明のASOの吸収(uptake)程度を示すグラフである。
【
図7】本発明のASOの安定性改善効果の有無を確認した実験の結果である。
【
図8】A549細胞株に対する本発明のASOの濃度別処理後、TGF-β2 mRNAレベル及びタンパク質発現レベルを示すグラフである。
【
図9】A549、PANC-1及びA2058の各細胞株について本発明のASOを濃度別に処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図10】A549、PANC-1及びA2058の各細胞株について本発明のASOを濃度別に処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図11】A549、PANC-1及びA2058の各細胞株について本発明のASOを濃度別に処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図12】多様な癌腫の細胞株について本発明のASOを処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図13】多様な癌腫の細胞株について本発明のASOを処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図14】多様な癌腫の細胞株について本発明のASOを処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図15】多様な癌腫の細胞株について本発明のASOを処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図16】多様な癌腫の細胞株について本発明のASOを処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図17】多様な癌腫の細胞株について本発明のASOを処理した時のTGF-β2 mRNAレベルを示した図面である。
【
図18】A2058細胞株を移植したゼノグラフトマウスに本発明のASOを投与した時の腫瘍の成長曲線を示した図面である。
【
図19】A2058細胞株を移植したゼノグラフトマウスに本発明のASOを投与した時の腫瘍の成長曲線を示した図面である。
【
図20】A2058細胞株を移植したゼノグラフトマウスに本発明のASOを投与した時の腫瘍の成長曲線を示した図面である。
【
図21】A2058細胞株を移植したゼノグラフトマウスに本発明のASOを投与した時の腫瘍の成長曲線を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明のオリゴヌクレオチドを固形癌細胞株に処理した時、TGF-β2 mRNAの発現抑制効果がさらに優れているように表われ、癌細胞の成長を抑制する抗ガン効果も優れ、血しょうでの安定性も改善されるということを確認した。
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の思想や範囲が、これに限定されるものではない。
【0040】
1.実験方法(共通事項)
【0041】
ア.細胞培養
【0042】
下記表2のように細胞タイプによって、RPMI 1640(10% FBS、1% Antibiotic-Antimycotic)、DMEM(10% FBS、1% Antibiotic-Antimycotic)またはMcCoy’s 5A(10% FBS、1% Antibiotic-Antimycotic)などの培地を使用し、細胞は、37℃、CO2 5.0%の環境で培養した。
【0043】
【0044】
イ.トランスフェクション試薬(Lipofectamine RNAiMAX)を使用したトランスフェクション
【0045】
細胞の特性及びプレートのサイズによって適切な数の細胞をシーディングし、24時間培養した後に培地を交換した(10% FBS、without antibiotics)。ASOを濃度に合わせてFBSが含まれていない培地に入れ、トランスフェクション試薬も、FBSが含まれていない培地に入れた。
【0046】
ASOが入った混合物とトランスフェクション試薬が入った混合物とを1:1に混ぜて5分間常温で反応させた。培地を交換した細胞株にこの混合物を分注し、試験目的によって24時間または48時間インキュベーター(37℃、CO2 5%)で培養した。
【0047】
細胞シーディング及びトランスフェクション試薬は、下記表3のようである:
【0048】
【0049】
ウ.トランスフェクション試薬なしにトランスフェクション
【0050】
細胞の特性及びプレートのサイズによって適切な数の細胞をシーディングし、24時間培養した。
【0051】
ASOを濃度に合わせて10% FBSが含まれた培地に入れた。
【0052】
ASOが入った混合物を細胞がシーディングされたプレートに分注した後、試験目的によって24時間または48時間インキュベーター(37℃、CO2 5%)で培養した。
【0053】
2.TGF-β2 mRNA定量分析
【0054】
ア.RNA抽出及び定量
【0055】
トランスフェクション後、24時間または48時間経過した時に、培養液をいずれも除去し、RNA精製(preparation)キット(Rneasy Plus Mini kit、Qiagen、Cat# 74136)を用いてRNAを抽出し、以後、マイクロ-体積プレート(Take 3、Biotek)とマルチプレートリーダー(Reader)(Synergy H1、Biotek)とを用いて吸光測定法でRNAを定量した。
【0056】
イ.cDNA合成
【0057】
抽出したRNA 2μgでcDNA合成キット(RevertAid First Strand cDNA Synthesis kit、Thermo Sceientific、K1622)を用いてcDNAを合成した。合成は、製造社の指示事項による合成条件下で進行し、PCR完了後にcDNAを20ng/μlになるように蒸留水(DW)で希釈した。
【0058】
TGF-β2 mRNA定量分析のために、real-time PCRを進行した。リファレンス遺伝子としては、ヒトSRSF9が使われた。
【0059】
下記表4ないし表6のような組成、条件で混合物を製造してPCRを進行した。
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
3.TGF-β2タンパク質発現定量分析(ELISA)
【0064】
適切な数の細胞をシーディングし、24時間後にASOをトランスフェクションした。
【0065】
トランスフェクションし、48時間経過時に、上澄み液を回収し、それを遠心分離した(13,000rpm、1分)。
【0066】
上澄み液のみ回収してTGF-β2 ELISAキット(R&D)を使用して製造社の指示によって定量分析を施行した。
【0067】
4.ASO物質の製造
【0068】
前記表1のASO物質を通常使われる公知の方法で(例えば、論文 S.L.Beaucage and R.P.Iyer,Tetrahedron,1993,49,6123;またはS.L.Beaucage and R.P.Iyer,Tetrahedron,1992,48,2223などに記載の方法を参照して)製造した。
【0069】
実験例5.A549細胞株に対するASO 20nMの処理結果
【0070】
トランスフェクション試薬がある条件でASOを20nMの濃度で細胞株A549に処理した後、TGF-β2のmRNAレベルの変化を候補物質別に比較した。
【0071】
細胞株A549(Lung carcinoma)の培養培地は、RPMI1640+10% FBS+1% Antibioticsであった。
【0072】
6ウェルプレートにウェル当たり2x105cells/2mlの細胞をシーディングした。
【0073】
トランスフェクション:細胞シーディング24時間後、培地を交換し(既存の培養液除去後、antibioticsを含まず、10% FBSが含まれたmediaを1.8ml入れる)、試験するASOを処理濃度の20倍(400nM)になるようにplain mediaに入れ、トランスフェクション試薬(Lipofectamine RNAiMAX)も、7.5ul/100ulの濃度になるようにplain mediaに入れた。希釈して準備したASOが入った混合物とトランスフェクション試薬が入った混合物とを1:1に混ぜて5分間常温で反応させた(この際、ASOの濃度は、200nMになる)。反応させたASO及びトランスフェクション試薬混合物の最終濃度が20nMになるように、培地を交換した細胞株に200ulずつ分注した後、24時間培養した(CO2 incubator(37℃、CO2 5.0%))。
【0074】
TGF-β2 mRNA定量分析:
【0075】
-RNA抽出及び定量:トランスフェクション24時間後に培養液をいずれも除去した後、RNA preparation kit(Rneasy Plus Mini Kit、Qiagen、Cat# 74136)を用いてRNAを抽出した。RNA抽出後、micro-volume plate(Take 3、Biotek)とmulti plate reader(Synergy H1、Biotek)とを用いて吸光測定法でOD260nmでRNA定量した。
【0076】
-cDNA synthesis:抽出したRNA 2ugでcDNA合成kit(RevertAid First Strand cDNA Synthesis Kit、Thermo Scientific、K1622)を用いてcDNA合成した。合成条件は、manufacturer’s instructionによって進行し、PCR完了後、cDNAを20ng/ulになるように蒸留水(DW)で希釈した。
【0077】
-TGF-β2 mRNA定量分析のためのreal-time PCR進行:Reference geneとしてhuman SRSF9を使用して、前記表4ないし表6と同じ組成及び条件でPCR混合物を製造して、PCRを進行した。
【0078】
-Human TGF-β2のmRNA発現抑制率(inhibition rate、%)を非処理細胞(untreated cell:細胞株にASOなしにトランスフェクション試薬のみ処理)に対する相対的な比率で計算して結果を確認した。
【0079】
図1は、A549をASO 20nM(トランスフェクション試薬と共に)処理時に、Human TGF-β2 mRNAレベルの変化を確認したものである。
【0080】
実験の結果は、下記表7のようである:
【0081】
【0082】
実験例6.A549、PANC-1細胞株にASOを1uM(free uptake環境)処理後、human TGF-β2 mRNAレベルの変化確認
【0083】
A549及びPANC-1細胞株を対象にして、トランスフェクション試薬がない条件(free uptake環境)で各ASOを1μMの濃度で処理し、24時間後のTGF-β2のmRNAレベルの変化を比較した。
【0084】
実験方法:
【0085】
細胞株A549(Lung carcinoma)は、培養培地RPMI 1640+10% FBS+1% Antibioticsを使用し、細胞株Panc-1(Pancreas Epithelioid carcinoma)は、培養培地DMEM+10% FBS+1% Antibioticsを使用した。
【0086】
6ウェルプレートに各ウェル当たり(2~2.5)×105cells/1.8mlの細胞をシーディングした。
【0087】
トランスフェクション:
【0088】
-細胞シーディング後、24時間培養した。
【0089】
-ASOを最終処理する濃度の10倍の濃度(10uM)になるように10% FBSが含まれた培養培地に入れた。
【0090】
-ASOが入った混合物を細胞がシーディングされたプレートに最終濃度が1uMになるように200μlずつ分注した後、24時間培養した(CO2 incubator(37℃、CO2 5.0%))。
【0091】
TGF-β2 mRNA定量分析:
【0092】
-RNA抽出及び定量:トランスフェクション24時間後に培養液をいずれも除去した後、RNA preparation kit(Rneasy Plus Mini Kit、Qiagen、Cat# 74136)を用いてRNAを抽出した。RNA抽出後、micro-volume plate(Take 3、Biotek)とmulti plate reader(Synergy H1、Biotek)とを用いて吸光測定法でOD260nmで濃度を算出した。
【0093】
-cDNA合成:抽出したRNA 2μgでcDNA合成kit(RevertAid First Strand cDNA Synthesis Kit、Thermo Scientific、K1622)を用いてcDNAを合成した。合成完了したcDNAを20ng/ulになるように蒸留水(DW)で希釈した。
【0094】
-TGF-β2 mRNA定量分析のためのreal-time PCR進行:Reference geneとしてhuman SRSF9を使用し、前記表4ないし表6と同じ組成及び条件でPCR混合物を製造して、PCRを進行した。
【0095】
-Human TGF-β2のmRNA発現抑制率(%)を非処理された細胞(細胞株にASOなしにトランスフェクション試薬のみ処理したもの)に対する相対的な比率で計算して結果を確認し、A549細胞株に対する結果は、下記表8及び
図2に示し、PANC-1細胞株に対する結果は、下記表9及び
図3に示した。
【0096】
【0097】
【0098】
実験例7:FAM(5’-フルオレセインアミダイト)ASOを使用してA549細胞株でfree uptake比較
【0099】
FAM(5’-フルオレセインアミダイト:5-Fluroescein amidite)標識されたASOを使用してA549、PANC-1及びA2058細胞株でfree uptake(トランスフェクション試薬がない環境での吸収)を比較した。
【0100】
実験方法:
【0101】
細胞株A549(Lung carcinoma)は、培養培地RPMI1640+10% FBS+1% Antibioticsを使用し、細胞株PANC-1(Pancreas Epithelioid carcinoma)及びA2058(Melanoma)は、培養培地DMEM+10% FBS+1% Antibioticsを使用した。
【0102】
細胞シーディング:
【0103】
4チャンバスライドに各ウェル当たり4×105cells/500μlの細胞をシーディングした。
【0104】
トランスフェクション:
【0105】
試験するASOを10% FBS及び1% antibioticsを含むDMEM培地中に1μMの濃度になるようにして、各ウェルに200μlずつ分注し、24時間培養した(CO2インキュベーター、37℃、CO2 5.0%)。
【0106】
FACS分析
【0107】
トリプシン-EDTAを処理して細胞を取り外し(detach)、PBSで洗浄した。PBSで細胞を浮遊させた後、FACS(蛍光活性化細胞分類器)分析を進行した。平均蛍光強度(MFI:Mean Fluorescence Intensity)を確認して、各細胞の相対的なFAM標識ASOの含量を比較した。
【0108】
A549細胞株、PAC-1細胞株及びA2058細胞株に対するMFI測定結果をそれぞれ
図4、
図5及び
図6に示した。
【0109】
実験の結果、試験に使われたASOいずれも正常に細胞内によく吸収されたということを確認した。
【0110】
実験例8:ASOをヒト血しょうにスパイキングした後、安定性の測定
【0111】
ヒトの血しょうにASOをスパイキング(spiking)して7日間培養し、残っているASOの量を分析した。
【0112】
実験方法:
【0113】
ヒトの血しょうにASOの最終濃度が5uMになるようにスパイキングし、37℃インキュベーターで40rpmで回転しながら7日間インキュベーションした。時間別(0、4時間、1日、2日、7日)に血しょうをサンプリングして残存するASOの量をHPLCで分析した。0時間に検出されたASOの量を基準に残っているASO量の比率を計算した。
【0114】
【0115】
本発明によるASO物質は、naked ASO(A002及びA004)に比べて安定性が大きく増加して、7日後にも80%以上血しょうに残存するということを確認した。
【0116】
実験例9:A549細胞株を対象にしてトランスフェクション試薬がある条件でASOを濃度別に処理後(5-160nM)、mRNA及びタンパク質分泌レベルの変化確認
【0117】
トランスフェクション試薬がある条件でASOを濃度別(0nM、5nM、20nM、80nM)にA549細胞株に処理した後、TGF-β2のmRNAレベルとタンパク質分泌レベルとの変化を確認した。
【0118】
実験方法:
【0119】
細胞株A549(Lung carcinoma)は、培養培地RPMI1640+10% FBS+1% Antibioticsを使用した。
【0120】
6ウェルプレートにウェル当たり2×105cells/2mlの細胞をシーディングした。
【0121】
トランスフェクション:
【0122】
-細胞シーディング24時間後、培地を交換した(既存の培養液除去後、antibioticsを含まず、10% FBSが含まれた培地1.8mlを入れる)。試験するASOを処理する濃度の20倍になるようにplain mediaに希釈した。
【0123】
-トランスフェクション試薬(Lipofectamine RNAiMAX)も、7.5μl/100μlの濃度になるようにplain mediaで希釈した。
【0124】
-希釈して準備したASOが入った混合物とトランスフェクション試薬が入った混合物とを体積比1:1に混ぜて5分間常温で反応させた。
【0125】
-反応させたASO及びトランスフェクション試薬混合物をあらかじめ設定した最終濃度になるように、培地を交換した細胞株に200ulずつ分注した後、24時間培養した(CO2 incubator(37℃、CO2 5.0%))。
【0126】
-1% FBSを含み、antibioticsを含まない培地1mlに培地交換した後、48時間培養した(CO2 incubator(37℃、CO2 5.0%))。
【0127】
TGF-β2 mRNA定量分析:
【0128】
-RNA抽出及び定量:トランスフェクション72時間後に培養液をいずれも除去した後、RNA preparation kit(Rneasy Plus Mini Kit、Qiagen、Cat# 74136)を用いてRNAを抽出した。RNA抽出後、micro-volume plate(Take 3、Biotek)とmulti plate reader(Synergy H1、Biotek)とを用いて吸光測定法でOD260nmで濃度を算出した。
【0129】
-cDNA synthesis:抽出したRNA 2μgでcDNA合成kit(RevertAid First Strand cDNA Synthesis Kit、Thermo Scientific、K1622)を用いてcDNAを合成した。合成完了したcDNAは、蒸留水(DW)を使用して20ng/μlになるように希釈した。
【0130】
-TGF-β2 mRNA定量分析のためのreal-time PCR進行:Reference geneとしてhuman SRSF9を使用した。前記表4ないし表6と同じ組成及び条件でPCR混合物を製造して、PCRを進行した。
【0131】
TGF-β2タンパク質発現定量分析(ELISA)
【0132】
-別途に集めておいた培養薬を遠心分離して上澄み液のみ回収してTGF-β2 ELISA kit(R&D)で製造者の指示事項(manufacturer’s instruction)によって定量分析を進行した。
【0133】
実験の結果を
図8に示した。実験の結果、本発明によるASOは、濃度依存的にヒトTGF β2 mRNAレベル及び分泌レベルを減少させるということを確認することができた。
【0134】
実験例10:トランスフェクション試薬がない条件(Free uptake条件)でASOを濃度別に処理後、ヒトTGF-β2 mRNA抑制確認
【0135】
トランスフェクション試薬がないfree uptake条件でASOを濃度別(3.9~4000nM)にA549、PANC-1及びA2058細胞株に処理した後、非処理細胞と対比したヒトTGF-β2のmRNAレベルの変化を確認した。
【0136】
実験方法:
【0137】
細胞株A549(Lung carcinoma)は、培養培地RPMI1640+10% FBS+1% Antibioticsを使用し、細胞株PANC-1(Pancreas Epithelioid carcinoma)及びA2058(Melanoma)は、培養培地DMEM+10% FBS+1% Antibioticsを使用した。
【0138】
6ウェルプレートにウェル当たり(2~2.5)×105cells/2mlの細胞をシーディングした。
【0139】
トランスフェクション:
【0140】
-細胞シーディング24時間後、培地を交換した(既存の培養液除去後、antibioticsを含まず、10% FBSが含まれた培地1.8mlを入れる)。試験するASOを処理する濃度の10倍になるようにplain mediaに希釈した。
【0141】
-希釈して準備したASOが入った混合物をあらかじめ設定した最終濃度になるように、培地を交換した細胞株に200μlずつ分注した後、48時間培養した(CO2 incubator(37℃、CO2 5.0%))。
【0142】
TGF-β2 mRNA定量分析:
【0143】
-RNA抽出及び定量:トランスフェクション48時間後に培養液をいずれも除去した後、RNA preparation kit(Rneasy Plus Mini Kit、Qiagen、Cat# 74136)を用いてRNAを抽出した。RNA抽出後、micro-volume plate(Take 3、Biotek)とmulti plate reader(Synergy H1、Biotek)とを用いて吸光測定法でOD260nmで濃度を算出した。
【0144】
-cDNA synthesis:抽出したRNA 2μgでcDNA合成kit(RevertAid First Strand cDNA Synthesis Kit、Thermo Scientific、K1622)を用いてcDNAを合成した。合成完了したcDNAは、蒸留水(DW)を使用して20ng/μlになるように希釈した。
【0145】
-TGF-β2 mRNA定量分析のためのreal-time PCR進行:Reference geneとしてhuman SRSF9を使用した。前記表4ないし表6と同じ組成及び条件でPCR混合物を製造して、PCRを進行した。
【0146】
A549細胞株、PAC-1細胞株及びA2058細胞株に対する実験の結果をそれぞれ
図9、
図10及び
図11に示した。
【0147】
実験の結果、A549細胞株に対しては、特に、A002-04M、A002-05M、A002-08MのTGF-β2 mRNA阻害効果に優れ、PANC-1細胞株に対しては、特に、A002-01M、A002-04M、A002-05M、A002-08MのTGF-β2 mRNA阻害効果に優れ、A2058細胞株に対しては、特に、A002-04M、A002-05M、A002-08M、A004-04MのTGF-β2 mRNA阻害効果に優れた。
【0148】
実験例11:多様な癌腫の細胞株についてトランスフェクション試薬がない条件(free uptake条件)でASOで処理した後、human TGF-β2 mRNAレベルの変化確認
【0149】
多様な癌腫の細胞株を対象にしてASOを処理し、24時間または72時間後のTGF-β2 mRNAレベルの減少を確認した。
【0150】
実験方法:
【0151】
実験対象の細胞株及び使用培地は、前記表2のようである。
【0152】
6ウェルプレートにウェル当たり(2~2.5)×105cells/2mlの細胞をシーディングした。
【0153】
トランスフェクション:
【0154】
-細胞シーディング24時間後、1% FBSが含まれた培地1.8mlを入れた。
【0155】
-試験するASOを処理する濃度の10倍になるようにplain mediaに希釈した。
【0156】
-希釈して準備したASOが入った混合物をあらかじめ設定した最終濃度になるように、培地を交換した細胞株に200μlずつ分注した後、24時間または72時間培養した(CO2 incubator(37℃、CO2 5.0%))。
【0157】
TGF-β2 mRNA定量分析:
【0158】
-RNA抽出及び定量:トランスフェクション24時間後に培養液をいずれも除去した後、RNA preparation kit(Rneasy Plus Mini Kit、Qiagen、Cat# 74136)を用いてRNAを抽出した。RNA抽出後、micro-volume plate(Take 3、Biotek)とmulti plate reader(Synergy H1、Biotek)とを用いて吸光測定法でOD260nmで濃度を算出した。
【0159】
-cDNA synthesis:抽出したRNA 2μgでcDNA合成kit(RevertAid First Strand cDNA Synthesis Kit、Thermo Scientific、K1622)を用いてcDNAを合成した。合成完了したcDNAは、蒸留水(DW)を使用して20ng/μlになるように希釈した。
【0160】
-TGF-β2 mRNA定量分析のためのreal-time PCR進行:Reference geneとしてhuman SRSF9を使用した。前記表4ないし表6と同じ組成及び条件でPCR混合物を製造して、PCRを進行した。
【0161】
ヒトTGF-β2のmRNA抑制率(%)を非処理細胞(細胞株にASOなしにトランスフェクション試薬のみ処理したもの)に対する相対的な比率で計算した。
【0162】
【0163】
実験の結果、特に、A002-04MまたはA002-05Mによって多様な癌腫(肺癌、胆管癌、三重陰性乳癌、黒色腫、膵臓癌、膠芽腫など)でhTGF-β2 mRNAレベルが顕著に減少するということを確認した。
【0164】
実験例12:黒色腫細胞株であるA2058を移植したヒト化(humanized)ゼノグラフトマウスモデルでの抗ガン効能の評価
【0165】
ヒト化A2058 xenograft model:
【0166】
Mouse:NSG-b2m免疫欠乏マウス、雌5~7週齢、6匹/群
【0167】
マウス入庫後、一週間順化させた。
【0168】
ヒトPBMC(末梢血液単核細胞:Zenbio、Cat# SER-PBMC-200-F)を1×107細胞/匹で静脈(i.v.)投与して移植した。
【0169】
PBMCを移植してから5日後、A2058細胞株を2×106細胞/匹で皮下投与して移植した。
【0170】
A2058細胞株を移植してから5日後、本発明によるASOを腹腔内注射して投与し始めた:
【0171】
処理:週3回、投与容量は、30mg/kg、投与体積は、10ml/kg(すなわち、注射液の濃度は、ASO 30mg/10ml)。
【0172】
観察:週2回体重及び腫瘍体積の測定
【0173】
下記の集合A、集合B及び集合Cの全体的な実験設計は、類似しているが、移植したPBMCの供与者別に区分したものである。
【0174】
集合A、集合B及び集合Cに対する各郡別の実験設計は、下記表10ないし表12のようである:
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
各集合別の腫瘍増殖抑制率(tumor growth inhibition rate:IR)は、下記表13ないし表15のようである:
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
前記実験の結果から、本発明によるASO投与時に、腫瘍増殖抑制率は、PBMCによる免疫治療効果よりもさらに優れているということを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明のオリゴヌクレオチドは、TGF-β2の発現を抑制して抗ガン剤として使われる。
【配列リストフリーテキスト】
【0185】
配列番号1:5’-GGCGG CATGT CTATT TTGTA-3’
【0186】
配列番号2:5’-CGGCA TGTCT ATTTT GTAAA-3’
【0187】
配列番号3:5’-GCGGC ATGTC TATTT TGTAA-3’
【図】
【配列表】
【国際調査報告】